○永井国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、海洋の開発に限らず、海洋というものを解明いたしまして研究をしていくということは、
わが国にとって非常に重要なことと思います。
ところで、それを総合海洋大学というふうにしてはどうかという御提案でございますが、大学をつくるときの
考え方というのは、二つの
考え方があると思うのです。
一つは、いまのお話のような、海洋もそうでございますが、あるいは環境というようなこと、あるいは都市というようなこと、いわば問題があるわけです。その問題を
中心に大学をつくり上げるということになりますと、たとえば都市問題大学とかあるいは環境大学というものもできることになるわけです。
他方、従来の学問分野から申しますと、たとえば海洋の研究ということですと、地質学あるいは生物学、土木学、それから建築学、それから
先ほどからお話がございましたように、国際関係あるいは国際法、こういうふうなものも全部関連してくるわけです。そうすると、従来発展してきた学問分野というものと切れてしまいますというと、かえってそういう研究が強まらないという面もあるかと思うのです。
そこで、いまわれわれがとっている
考え方はどうであるかというと、御指摘のように、海洋の研究というものを非常に強めなければならないという点について全く同感でありますが、その進め方につきましては、従来の大学というようなものの中に、いろいろ海洋関係の研究が
先ほどの学問分野との関連でできてきているわけです。しかし、やはりそれだけにこだわりませんで、御指摘の方向で、たとえば東京と神戸の商船大学に大学院を新設いたしました。これは
昭和四十九年度。それから愛媛大学の工学部に海洋工学科をつくりました。また五十年度には琉球大学の理工学部に海洋学科を新設いたします。東京水産大学、鹿児島大学の水産学部を改組いたします。こういうふうな形で、いろいろな研究内容に応じて、方々の大学、研究所、国立試験研究機関、こういうものを総合的に関連させながら進めていく。だから、一気に総合海洋大学ということでなくて、従来の研究が進んでおりますものを総合的に関連させながら、その学問というものが発展していく方向が望ましいんではないかという形で、もし必要があれば
政府委員の方から、どういうところでどれだけ予算をふやしたかということも御報告申し上げますが、進めているわけでございます。
次に、太平洋国際海洋研究所というものをつくってはどうかというお言葉がございましたが、これは最近
わが国で開かれました国連大学の
理事会で、結局、国連大学が何を取り上げていくかということが決定されまして、三つの項目がきまったわけでございます。
一つが資源の問題です。それから次が
食糧でございます。それから第三番目に開発の問題です。これにも
わが国は相当の投資をいたしておりまして、そして
わが国にこの九月から本部を——いま小さなものでございますが、大きくいたしまして、そしてそこでもって、いまの三つの問題というものに、
わが国だけでなくて
世界の諸国が研究の上で
協力するということになりますから、そういう形で御趣旨を生かしていくということが
一つあるわけです。しかし、実はそのほかに、海洋に関する国際
協力研究というのが、いままでも相当たくさんございますので、そういうものも推進しながら、国際的に海洋の研究を進めていくべきじゃないかという御趣旨を生かしていかなければならない、かように
考えております。
それから三番目に御指摘になりました、水産高校を高等専門学校に格上げしてはどうかという御指摘でございますが、これももちろん十分に
考えなければならないことでございますけれども、現状、水産高等学校というのが幾つあるかと申しますと五十ございます。これは
昭和四十九年五月一日現在の調べでございますが、これで見ますと、水産高等学校の卒業生の約九割が卒業と同時に就職いたしております。そして約一割がいわゆる専攻科というものに進んでいるわけであります。そういたしますと、職場の
需要というものに応じまして、中堅的技術者として水産高等学校がいま相当生きているわけでございますから、そういう
状況の中では、やはり水産関係の指導的な技術者は大学の水産学部で養成するけれども、いまの水産高等学校は相当活用されているわけでありますから、さしあたってはこれを強化していくということが私どもの
考えている点でございます。御指摘の点は、さらにその先で
考えなければならない、そういうやり方でお
考えを生かしていくというふうに進めるのがよかろうかと、かように
考えている次第でございます。