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1975-02-07 第75回国会 衆議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月七日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 小山 長規君 理事 竹下  登君    理事 谷川 和穗君 理事 湊  徹郎君    理事 山村新治郎君 理事 小林  進君    理事 田中 武夫君 理事 林  百郎君    理事 山田 太郎君       植木庚子郎君    大久保武雄君       大野 市郎君    奥野 誠亮君       北澤 直吉君    倉成  正君       黒金 泰美君    櫻内 義雄君       笹山茂太郎君    正示啓次郎君       瀬戸山三男君    田中 龍夫君       谷垣 專一君    塚原 俊郎君       西村 直己君    根本龍太郎君       野田 卯一君    藤井 勝志君       細田 吉藏君    前田 正男君       松浦周太郎君    森山 欽司君       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    石野 久男君       板川 正吾君    岡田 春夫君       楯 兼次郎君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    湯山  勇君       青柳 盛雄君    荒木  宏君       中川利三郎君    平田 藤吉君       松尾 信人君    矢野 絢也君       安里積千代君    小平  忠君  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君         法 務 大 臣 稻葉  修君         外 務 大 臣 宮澤 喜一君         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         文 部 大 臣 永井 道雄君         厚 生 大 臣 田中 正巳君         農 林 大 臣 安倍晋太郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 木村 睦男君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       福田  一君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      井出一太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      植木 光教君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      松澤 雄藏君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         内閣法制局長官 吉國 一郎君         内閣法制局第一         部長      角田礼次郎君         警察庁警備局長 三井  脩君         行政管理庁行政         管理局長    小田村四郎君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 久保 卓也君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    岩田 幸基君         経済企画庁総合         計画局長    小島 英敏君         法務大臣官房訟         務部長     貞家 克己君         法務省刑事局長 安原 美穂君         法務省入国管理         局長      影井 梅夫君         外務省アジア局         長       高島 益郎君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省中近東ア         フリカ局長   中村 輝彦君         外務省経済協力         局長      鹿取 泰衛君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省国際連合         局長      鈴木 文彦君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         大蔵省主計局長 竹内 道雄君         大蔵省主税局長 中橋敬次郎君         大蔵省証券局長 田辺 博通君         大蔵省銀行局長 高橋 英明君         国税庁長官   安川 七郎君         文部大臣官房長 清水 成之君         通商産業省通商         政策局次長   江口 裕通君         通商産業省貿易         局長      岸田 文武君         通商産業省産業         政策局長    和田 敏信君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         郵政政務次官  稻村 利幸君  委員外出席者         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   大島 隆夫君         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ————————————— 委員の異動 二月七日  辞任         補欠選任   楢崎弥之助君     広瀬 秀吉君   増本 一彦君     青柳 盛雄君   正木 良明君     松尾 信人君 同日  辞任         補欠選任   広瀬 秀吉君     楢崎弥之助君   青柳 盛雄君     荒木  宏君   松尾 信人君     正木 良明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十年度一般会計予算  昭和五十年度特別会計予算  昭和五十年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度一般会計予算昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。阿部哉君
  3. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私は、まず三木総理に、高度成長政策を転換して安定成長政策を行う、こうおっしゃるのだけれども高度成長政策安定成長政策との違いはどこなのか、これをまずお伺いをしたいと思います。
  4. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 第一番には成長率が違ってくる、これは大変なことであります。従来、実質で一〇%を超える成長というのは世界にどこにもないです。それが速度半減というわけですから、それに伴って産業構造あるいはこれに対応する国民生活労使関係まで影響を及ぼす、これは大変な基調の変化である、こういうふうに考えます。
  5. 阿部助哉

    阿部(助)委員 なぜこれを聞いたかと申しますと、十五年前に池田内閣は、所得倍増、月給二倍というスローガンで高度成長政策を出発いたしました。この池田内閣高度成長政策に対する国民批判、これに便乗して佐藤内閣安定成長を唱えて登場したわけであります。しかし、実際は池田内閣以上の超高度成長政策をやってのけた。これはもう御承知のとおりであります。田中内閣は論外であります。列島改造などという大変なウルトラ高度成長政策をやって、これが倒れた。それで三木内閣になった。この違いというもの。あなたは、制度、慣行を直さなければならぬ、こうおっしゃったけれども、私もそのとおりだと思う。  そこで、安定成長になるのは、多少比率が上がるか下がるかじゃなしに、この安定成長国民生活にどう影響するかということを国民が知りたいわけであります。パーセンテージが変われば多少影響はあります。しかしそれが少し動くということに問題があるのじゃなしに、この安定成長国民生活にどう影響するのか、そこが国民の知りたいところだと私は思うのです。そこをひとつ御説明願いたい。
  6. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 やはり安定成長路線に切りかえなければならぬことは、資源の問題もありますし、環境の問題もあるし、あるいはまた国民の意識の問題もあるわけですから、そうなってくると、いままでの国民生活消費の面から考えてみましても、資源使い捨てのような時代ですから、大量にやはり資源を、いつでも日本の必要な資源は簡単に手に入るということでありますから、そういうので大量生産使い捨て、こういうふうな時代であったわけですが、安定成長ということになってくれば、産業構造国民生活もやはり資源をできるだけ、人類のためにも貴重な資源でありますから、有効に使わなければならぬという。そういう大きな見地、また国の国際収支の面から申しましても、そういうことはできないわけですから、どうしてもいままでの生活パターンというものが、貧乏になることじゃないけれども、いままでの使い捨て消費パターンから、できるだけ資源消費しないような、物を大事に使うというような、そういう生活パターンに変わってこなければならないということでございます。    〔委員長退席小山(長)委員長代理着席〕 また、いままでは高度経済成長ですから、国民の要望というものを高度経済成長の中に吸収される面が多かったわけですが、これからそうはいかないわけですから、そういう成長率の低い中で、私ども社会的公正というものをやかましく言うのも、やはりできるだけ公平な資源配分に対する公平な措置を、政治の上においてもしなければならないということでございます。
  7. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いろいろ言われるけれども、私は、それでは国民にわからないじゃないか。いま公平な配分とおっしゃるけれども、どうやって公平な配分をするのかというところに国民は注目をしておると思うのであります。問題は、高度成長政策によってつくられ、ますます拡大する貧富の差、これをどうするのか。ここに一番のポイントがあると思うのであります。高度成長政策を推進してきたメカニズムを、どう具体的に直すのか、これがいま問われておると思うのであります。私は、最もその核心は、一番重要なところは、第一は産業優先財政税制金融をどう改めるのか。第二に、破壊し続けてきた農業をどう再建するのか。第三に、設備投資に狂奔して高度成長のアクセルを踏み続けてきた企業体質をどうするのか。簡単に言えばこの三点を変えない限り、ただ言葉安定成長と言ってみたところで、また条件、たとえば海外条件とか、いろいろな条件が整えば、その本質高度成長政策路線を走らざるを得ない。これは佐藤内閣の例を見てもわかるわけでありまして、問題はこのメカニズムを、安定成長にというならばどう切りかえるのか、ここに私は一番の核心があると思うのでありますが、この点はいかがです。
  8. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 佐藤内閣とはもう客観的条件がすっかり変わってきたのですから、それはもと高度経済成長に、ある移っていく間の調整期と言われておりますが、それが済んだらもとに返るということではないわけです。条件はもうすっかり変わったわけですから、そういう点で、佐藤内閣時代のように返ることはない。安定成長という、成長率が低くなっていくという、低いといっても、世界的に見ればそれが正常な姿ですけれども、そういう世界並み成長、緩やかな成長の中でこれからやるわけでございますから、企業のあり方も、いままでのように、設備投資といっても、むやみな設備投資をやるわけにいかない。むしろ企業というものが——しかし阿部さんのおっしゃるのは、企業というものに対して悪だという感じはわれわれは持っていない。企業の果たしておる役割りというものは近代社会においてきわめて重要でありますから、その企業がこれからは、たとえば独禁法の改正ということも一つでしょうし、環境政策、いろいろ環境基準というようなものも厳しくなっていくだろうし、そういう公正な社会ルールの中に生きていくことも必要でございましょうし、そういう意味で、もとにはもう返れないのだ。企業は、いままでのように、何でもいろいろな社会的要求高度経済成長の中に吸収された時代でないのですから、政治を見る目が、社会的公正ということが、大きな国民政治を見る目に映ってくるわけですから、いま言ったような自由経済の体制の中において、厳しいルールの中に生きて、そしていわゆる公正な自由競争もとにおいて、企業の秩序を維持していかなければならぬということに変わってこざるを得ないわけでございます。また、いろいろな設備投資にかわって、やはり一方は、社会資本といわれるような面にこれを充実していかなければならぬ。今年度の非常に限られた予算の中においても、そういう点に、いろいろ阿部さんには御批判はあるでしょうけれども、われわれとしては、やはりこれに相当な力、ウエートを置いてきたことは事実で、公共事業ども、これはもう横ばいに抑えてしまって、そして、社会資本といわれるものもふやしてきたわけですから、そういう点で、もうまたもとへ返るのではないか——返れないのですから、返れないという条件もとで考えていかなければならぬ。
  9. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まあ客観情勢もとへ返らないのだ、こうおっしゃるけれども、問題は、一番政策本質を転換しなければ、国民の立場から言えば、それは安定成長というメリットは何も出てこないわけです。今日まで安定成長と言っては高度成長をやってきた。ゆとりある家計と言っては、国民生活を破壊してきた。私は、これは何が一番そのもとにあるか、こう言えば、今日まで自民党政府が取り続けてきた産業優先、特にその中で国際競争力強化、この追求がある限り、これに何がしかの手直しをしない限り、これは大企業だけが巨大な利益追求するという結果になるんじゃないか。企業の集中を図ったのも、福祉を軽視して産業優先財政金融を振り向けたのも、税制を不公平にしたのも、また、二重価格で国民生活を抑えつけて、国際競争力強化という形で進んできたこの政策国際競争力強化を何ものにも優先してきたそのためだと私は思うのであります。この際、三木総理は、安定成長国際競争力強化との関係はどうなるのか、国際競争力に関する理念制度、またその限界、それは何なのか、これを私はお伺いしたいと思うのであります。
  10. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 阿部さん、この国際競争力というものに対して、いろいろ御批判がございましたけれども日本という国が、これは加工貿易の国なんですね。原料、燃料食糧まで輸入してきて、それをまた基礎にして製品にして、外国への輸出貿易によって、日本はドルをかせいできておるわけです。それでかせいでこなければ、資源燃料食糧も買えないわけでありますから、やはり国際競争力というものは、絶えずわれわれが頭に置いていかなければ、日本経済というのは成り立ちませんから、その国際競争力というものが、ただダンピングみたいなことではなくして、公正な、やはりいろいろの技術の進歩もありましょうし、そういうことで、絶えず国際競争力というものを持ち続けるということは、これは大いに奨励しなければならぬ。ただしかし、いままでが産業というものが中心であり過ぎたという、これはわれわれとしても、高度経済成長時代経済がそうであったことは事実でございます。それは、日本高度経済成長を引っ張った力は設備投資ですから、そういう点で、設備投資といったって、それだけの大きな高度経済成長期でありませんから、消費も非常に緩やかな消費に変わってくるわけでございますから、これからは設備投資に重点を置く経済ではないんで、むしろやはりできる限り、技術とか頭脳なんかを使って、科学技術、こういうものの開発によって、そういう形で国際競争力を持っていくということで、一方においては、いま言ったような生活環境整備、いままでおろそかにしてきたことは事実ですから、これに対してやはり力を入れていかなければならぬ。税制改革社会保障の充実、これもやはり社会的公正の中においては重要な項目であることは、申すまでもないわけでございます。
  11. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まあ後段の方は、これからあとでお伺いをいたしますが、前段の国際競争力強化、これをお伺いしておりますと、私が若いとき、満州事変の起こる前から、見本は領土が狭い、資源がない、そういう宣伝の中で、戦争が終わるまで「欲しがりません、勝つまでは」という形で、これは国民は梅干しを食べさせられて、そうして戦争政策をやった。しかし、その間も、巨大な企業は、利益追求に狂奔してきたということを私は体験しておる。いま、国際競争力がなければ日本は物を買えないじゃないか、買うてこれないんじゃないかという、この国際競争力強化する、これをにしきの御旗にする限り、あなたのおっしゃったような後段福祉の問題、国民生活の問題、これは私は実現できるはずがないと思うのであります。  あなたはいま、環境整備、また税制の問題に触れられたけれども、それならば、具体的に税制の問題、あなたは社会的不公正の是正と、こうおっしゃるけれども、一体この五十年度税制が、端的に私は、不公正の拡大へつながる税制を行いながら、社会的不公正の是正と、こうおっしゃっても、国民は納得できないと思うのであります。  それならば、三木さんにお伺いするけれども、どのような理念で五十年度税制指導に当たられたのか、御説明を願いたいのであります。
  12. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 税制のことについては、できる限り社会的公正というものを頭に入れて、税制にも改善を加えたわけで、これは一遍にというわけにもいきませんから、絶えず税制はそういうことを頭に入れて改善を加えていかなければなりませんが、今年度の税制改革については、大蔵大臣から答弁をいたさせます。
  13. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いや、具体的な問題は大蔵大臣にお伺いしますけれども、これは総理としての——税調総理に所属する機関でしょう、税制理念を聞いておるんだから、これは総理大臣からお伺いする以外に道はない。一体どのような理念で、この税制指導方針を出されたのか、これは総理からお伺いする以外にないのです。
  14. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 根本的改正というわけにはまいっていないわけでございますが、しかし、所得税減税とか、あるいはまた税体系におきましても、負担の公平というようなものを中心にして……(阿部(助)委員三木さん、もう少し大きな声で言ってください。聞こえないのです」と呼ぶ)要するに、所得税減税も、去年の大幅に引き続いて行わせ、税体系についても、できるだけそれに改善を加えてまいっておるわけでございまして……(「改善ですか。改悪じゃないですか」と呼ぶ者あり)いや、改悪だとおっしゃるならば、具体的な点についてもう一度……。
  15. 阿部助哉

    阿部(助)委員 先日、わが党の堀さんからも、指摘がありましたので、私は、いろいろな数字を持っておりますけれども、あまり詳しくは触れません。しかし、あなたが具体的に言えとおっしゃるので、私は三つの点で、まず、低所得層が重税になる、負担が重くなるということを申し上げておきたいと思うのであります。  その第一は、五十年度の全予算を見ましても、租税収入は三兆五千七百八十億、二六%の増であります。特にこの中で、直接税が三兆二千七百八十億、その中でもまた、この直接税では法人税源泉分とがありますけれども、さらに源泉分ではこの増加率が三八・八%、法人税は二八・八%にすぎない。全体の増税の中で、いわゆる給与から差し引くところの源泉分増税比率が最も高い。その上に、間接税——もう間接税は私が説明するまでもなく、逆進的なものであります。低所得層であろうと高額所得者であろうと、その点では余り金額に差がないという、これは逆進的な、税の逆行であります。これが第一であります。  その次には、この所得税源泉を見てまいりますと、納税人口昭和四十年に千三百二十一万六千人、そうして四十八年には二千五百五十六万一千人、約倍増であります。言葉をかえて言えば、大衆課税になっているわけであります。この点は認めざるを得ないでしょう。  しかも、その納税者のうち、給料の低い方々、この方々に大きなしわ寄せがあることは、これまた先日堀委員から指摘されたとおりであります。私はいま、これは仮定の数字で言いましても、いままで百万円の年所得を持っておったなら、ことしの春闘でどれだけ上がるかわかりません。しかし、非常に控え目に、政府の希望するように、仮に二〇%だけしか上がらなかった、こうしてみますと、年所得百二十万になるわけですね。その人たちは七千七百九十一円の増税になるのです。この増税の割合は六二・八%も引き上げられるのです。  私は、いろいろ例や数字がありますけれども、時間の関係上、またこの前お話がありましたから、詳しく触れませんが、そうしますと、増税の中で、給料に対する源泉所得税が一番大きな比率を持っておる。しかも納税人口は倍以上にもふくらんで、これは大衆課税になっておる。その中でまた低所得層は、このように直接取られる税金だけで重くなっておる。さらにその上に追い打ちをかけて、酒、たばこの間接税増税であります。一体これが公平な、社会的不公正の是正になりますか。そうしながら、一方大きな金持ちに対しては、いままでの恩典のある税制はそのまま残しておるじゃないですか。大企業に至っては、四十六年の上期、このときの資産が五十四兆八千四百十五億六千三百万円、そうして四十八年の下期、このときには八十二兆三千二百五十六億二千二百万円、その資産増加率は、わずかに二年で五〇%の増加であります。こういうものに対する特別措置とか恩典がある税制はそのまま温存しておいて、三木さんが今度の内閣の成立に当たって、社会的不公正の是正、こうおっしゃるけれども、一体これが不公正の是正につながるのか。私はこれは不公正の拡大だと思う。  なぜ私はこういう問題を取り上げるか、こう申し上げますと、その国の政治が公平であるか不公平であるか、これはその国の税制を見れば一番よくわかる、こう言われているだけに、私は公正の問題、この問題を税制中心にしてお伺いしようとするのもそのためであります。一体、これであなたのおっしゃる社会的公正を期することができるのですか、お伺いします。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 阿部先生から、堀政審会長に次いで、本委員会を通じて、税制の御論議を詳細にいただくことは、私は大変ありがたいことだと思うのであります。  わが国も諸外国と比較いたしまして、税制の構築に当たりまして、私はそんなにおくれをとっておるものとは思わないのでありますが、この税制は、御案内のように、ことし限りのものではございませんで、長い沿革を持った歴史の流れの中にあるわけでございまして、昭和五十年度におきましては、こういう客観情勢の中で、どこをどのように改正いたしますことが、今日の経済情勢との対応におきまして、社会的公正を最も有効に生かし切るものであるかという観点から、税制調査会等におきましても十分の御検討をいただいて、そしてこれが今日考え得るベストの案として御審議を願ってしかるべしということで、御提案申し上げておるものでございます。したがって、私どもはそれなりに苦心をして提案いたしたものであるということを、まず御理解をいただきたいと思うのであります。  第一に、あなたの言われるように、今度の税収の増加が、所得税法人税等に集中しておるじゃないかということでございますが、これはわが国の税制が、直接税が柱になっておる税制でございまするし、今日の所得の状況が、国民の給与所得を中核といたしまして異常な増加を見ておる状況を反映いたしまして、そういう姿になることは、私はきわめて自然な道行きであると考えておるわけでございます。  それから第二に、しからば階層別に、高額所得者について触れないでおいて、果たして社会的公正が生かされたと強弁し得るかという御反問でございます。これはたびたび本委員会を通じましても御説明申し上げておりますとおり、わが国の減税が、基礎控除あるいは各種の人的控除等の引き上げという姿において、減税を行わしていただいたわけでございます。すなわち低額所得者に対して減税を厚くするという方向において行ってまいったわけでございまして、高額所得者を目当てにいたしましての減税ということは、今日までいたしていないわけでございます。したがって欧米各国と比較してみまして、国税ばかりでなく、地方税を合わせての負担を考えてみますと、今日わが国の高額所得者負担は決して低くないばかりか、かえって欧米各国よりも高くなっておるというのが実情でございますので、ことしは高額所得者に手をつけていないのがわれわれの考え方でございます。  それから、酒あるいはたばこという大衆課税を結果するところのものに手をつけたのは、社会的公正の見地から、許しがたいじゃないかということでございます。仰せはごもっともでございます。しかし、お考えいただきたいことが二、三あるわけでございます。  第一は、酒とかたばことかいうようなものは、これは従量税のたてまえをとっておるわけでございまして、その他の物価が上がりましても、税がそれに追随していかない仕組みに相なっておるわけでございます。四十三年以来据え置きに相なっておるわけでございますので、この際、他の物価との間のアンバランスを是正させていただきましても、あながち不公正を結果することになるものとは考えられないということをひとつ御理解いただきたいと思うのでございます。(阿部(助)委員「大臣、簡単に」と呼ぶ)  同時に、しかしながら、大衆の愛用するお酒あるいは下級たばこ等につきましては、特に据え置きにいたしてあるということも、あわせて御考慮をいただきたいと思うのであります。
  17. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私は、具体的に数字を挙げて、負担が低所得層に重くなると申し上げておるのであります。あなたはいろいろおっしゃるけれども、あなたのおっしゃることに、何一つ納得できるものはございません。  それならば、不公正税制の最たるものであると批判し続けられてきた利子・配当の特別措置をなぜまた改めて、これからちょっと手直ししたくらいで、この不公平な税制を延ばされるのですか。三木総理は、この問題の質問に当たって、税の体系であるとかバランスがあるので延ばしたとおっしゃるけれども、税調のいままでの答申のどれを見ても、特に利子・配当については、大体特別措置というものは税の体系を乱し、税の不公平を来すものであるから、常に見直して、これが既得権化しないように、慢性化しないようにと、こういう注意を常に税調はしてきておるのですね。それにもかかわらず、このたびの三木内閣社会的不公平の是正だとおっしゃる内閣ならば、期限の来た利子・配当の特別措置などというものは、当然ことしは打ち切るべきであったと私は思うのでありますけれども、これをまた五年間も延長しようなどというのは、まさに金持ち優遇の措置であって、決してこれが公正を期する税制だとは私は思えないのであります。幾ら理屈をこねてみたって、税調自体が——これはちょっと前の、三十九年の税調の書類でありますけれども、「一部の高額資産所得者を著しく優遇するものであって、この措置に伴って生ずる弊害が大きく、しかもその弊害を償うに足るほどの政策的効果も実証し難い」と言っているが、これはこのときだけじゃないのですよ。常にそう言っておる。それにもかかわらず、これを延ばしてきた。  もう少し詳しく申し上げれば、この利子についての特別措置については、税調の意見もまた、時によっては何がしかの違いを来たしております。それは、三十九年の税調では、不公平ではあるけれども、預金者への心理的影響があるからということで、政府の要求に屈しておるわけであります。四十二年は、不測の事態に備え、危惧があるから、これを延ばした、これを認める、こういうことであります。四十五年はやはり心理的影響への配慮、そうして昨年、四十九年の税調では、実務上の理由と、こうおっしゃっておる。  そこで、この前の公明党の矢野さんに対する答弁も、大蔵大臣は、実務上の理由で、この利子・配当の特別措置を残さざるを得ないとおっしゃったですね。そうですね。ちょっと答えてください。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 阿部先生御指摘のように、利子・配当所得の総合課税という問題は、税制の公正を期する上において根幹的な重要なアイテムであることは、私もよく承知いたしておるわけでございます。これは、政府並びに税調にとりまして、そういう問題意識を持ちまして、いままで終始勉強を続けてまいりました最大の問題の一つであることも御案内のとおりでございます。しかしながら、こういう大きな問題にメスを入れようとする以上は、どういたしましても、その前提といたしまして、利子・配当所得を政府が捕捉し切るだけの行政能力を持たなければならぬことは当然でございまして、それが中途半端で大担な改正に踏み切りますと、かえって不公正を助長することになりかねないことを恐れるのでございます。  で、矢野さんにお答えいたしましたのも、そういう趣旨でございます。しかし、それだからと言って、それでは従来のまま、そのまま放置しておいていいかということでは決してないのでございまして、自由民主党歴代の内閣も、この問題につきましては、ゼロ%から五%分離課税、あるいは分離選択の課税率も五%、一〇%、一五%、二〇%、二五%まで引き上げてまいったわけでございますが、この際さらにこれを三〇%に、三木内閣の手で引き上げようといたしておるわけでございます。そこまで引き上げますと、大部分の方がこの課税にひっかかるわけでございまして、私は、これは、この問題について政府がおろそかにしているというそしりを受けるものとは決して思わないわけでございます。
  19. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私の聞いたのに答えてください。あなたは、この前、矢野質問に対して、実務上の理由ということでこれは温存をする、温存する理由は実務上の理由だ、こうおっしゃった。これは間違いないでしょう。それは間違いないですね、と、こう聞いているのです。その返事だけでいいです。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 さようでございます。だけれども……。
  21. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それだけでいいです。それは大臣、あなたはうそをついておるんじゃないですか。何が一体実務上困難なんです。支払い調書の作成義務は金融機関にあるのですよ。これは法律ではっきりと出ておるのです。支払い調書というものは、これは金融機関がつくるのです。あなたは支払い調書というものを見たことがあるのですか。まあ、あなたは大蔵省だから知っておるのでしょうね。  総理、これが支払い調書です。これの作成は金融機関がおやりになるのです。それは金融機関ごとに、たとえば富士銀行であるとか三菱銀行であるとかいうのは、それぞれ出てくるでしょう。その名寄せは一つもむずかしくないのです。それを皆さんはいま店舗ごとに、同じ富士銀行であっても、神田の支店であるとか赤坂の支店であるとかという店舗ごとにこれをやらしておる。そうすれば税務署はむずかしくなるのはあたりまえなんであります。法律はそうはなっていないのですよ。なぜ一体実務上なんです。  皆さんは、「直接国税に対する資料情報事務の取扱要領」というのを出しておりますね。これを拝見しますと、中小企業の税金のことに関しては、まさに重箱のすみをほじくるようにして、資料を収集する方針を与えておる。これは弁護士さんも大ぜいおられるだろうけれども、弁護士さんは大変腹を立てると思うけれども、これを一々読み上げればいいんでしょうけれども、時間がないからやめますがね。弁護士に対しても、弁護士の守秘義務まで侵すかのような、裁判所に行って裁判記録を見ろとか、いや何を見てやれとかいう、大変詳しい情報収集をこれは命じておるわけですよ。これだけ一般の庶民に対しては、厳しく税金を取り立てるための調査を命じておる。そのくせ、金融機関に対しては、この調書作成の義務まで免除するというのは、一体どの権限で皆さんは免除したのです。法律は明らかに、これは金融機関に作成義務を与えておるのです。罰則までつくってあるのです。一々この条文を読みましょうか。それにもかかわらず、大蔵省は税法を犯してまで、なぜ金融機関に対してめんどうを見なければいかぬのです。これは税法違反じゃないですか。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 実務上の困難があるということで、ただいまこれを総合課税に持っていくことがむずかしいということは申し上げたわけでございます。  問題はいよいよ核心に入ってきたようでございますので、この実務上の困難を、具体的に事務当局から説明させます。
  23. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 定期預金の利子につきまして、支払い調書があるから、それについて総合課税はできるのではないかという御質問でございます。  支払い調書は確かに出るわけでございますけれども、そこで問題がございまするのは、いわゆる架空名義ということでございます。金融機関が調書を出してくれましても、それは全部税務署に集まってまいりますが、そこで架空名義というものが存在します限りは、幾ら名寄せをいたしましても、名寄せし切らない部分が非常に多いわけでございます。現に、現在、元本三百万円という少額貯蓄の非課税制度というのがございますが、これも、いまから七、八年前に、多種多店舗ということで便宜をはかってやってまいりました、その創設の当時には、実は、その口数は五千万口くらいであったものが、現在は一億口になっております。これにつきましても、名寄せというものも、現在は各税務所で非常に努力をいたしておりますけれども、その処理に追われておるわけでございます。  そのほかに、いま御指摘のようなすべての定期預金等につきましての支払い調書というものが出てまいりましたときに、それを完全に名寄せをするためには、真正な名義ということが一番必要なわけでございます。それができれば、私どもも完全に総合し得るし、また、総合しなければならない所得税法の原則のたてまえに戻れるわけでございますけれども、いかにすればこの架空名義の預金がなくなり、しかも支払い調書を完全に把握しまして総合できるかというところが、実は、税務行政上の非常にむずかしいところでございます。  そういう難点がございますので、これをできるだけ早く総合し得るように、そのためには架空名義預金というものがなくなるように、調書によりまして名寄せが完全にできるように、という措置を見つけるためにいろいろ苦心をいたしておるわけでございます。
  24. 阿部助哉

    阿部(助)委員 局長、そんな答弁をしていいんですか。架空名義をつくらせたのは大蔵省じゃないですか。あなたはこの税法を知っておるのでしょう。税法では、はっきりと、どこのだれかがわからないときには、住民票を持っていらっしゃい、住民票がなければ米の配給通帳を持っていらっしゃい、保険の証明書を持ってきて確認しなさいと書いてある。少額貯蓄の場合に、ですね。どうなんです。架空名義をするように仕向けたのは、それじゃないですか。  それなら、もう端的に言います。皆さん、大臣、これは知っておるんでしょう。大蔵省の極秘文書。これは四十五年六月六日、国税庁と銀行局とが覚書を交わしております。その中で、一項目一項目違反だと、私は指摘したいけれども、時間がないが、一番要点は、「金融機関から税務当局に提出された支払調書について、本人が不実在であるため、税の追徴を行なう場合において、徴収ずみの源泉徴収税額と源泉選択税率による源泉徴収税額との差額を追徴すれば、金融機関はそれ以上の責任を追求されることはない」と言っておる。これは調書作成の義務をまず免除しておるのですよ。税法は金融機関に命じておるのであって、店舗ごとに調書作成の義務を命じておるのではないのですね。それはそうでしょう。そうすれば、いま店舗ごとにやらして、わざわざわからないようにして、わからないからみんな分割して預金をして免除になる。もう少し言いますと、利子は三万円以下は申告しなくてもいいのです。その金融機関が三万円を超えるのか三万円以下であるのかという判定をするためには、その金融機関は名寄せをしなければいかぬのです。なぜこれが違反でないのですか。大臣、どうです。
  25. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 名寄せを完全にできれば、問題はないわけでございます。ですから、Aという人がBという名前をもって預金をしましたときに、金融機関の方で、それはBという預金であるけれどもAのものであるということがわからない限りは、名寄せができないわけでございます。そこに問題があるわけでございます。
  26. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はそんなことを聞いているのじゃない。あなたたちは名寄せをさせていないのでしょう。大臣、これを読んでごらんなさい。これは税法違反じゃないですか。これを見てごらんなさい。私は法律を一々挙げてやったら時間がかかるから言わないだけであって、税法全部ここへ調べてあります。これは違反じゃないですか。——まあ、調べておるそうですから、その間に……。  その中にはっきり言っておるのですよ。これを指摘されれば違法であるということまで、その中にちゃんと書いてあるのです。そのページを見せましょうか。そう書いてあるのですよ。その上にもっと悪質なのは、この覚書によって、大蔵省は、各金融機関の協会の専務理事クラスを集めて口頭で説明する。あまり外部へ漏れてはいかぬからね。その上で、さらに詳細は秘密文書をもってやるから、あれしろとちゃんと書いてあるんだ。いま、その文書を読んであげます。こういうことを国民には教えない、国会には報告をしない、そうして大蔵省と銀行とは癒着をして、密室の中で違法行為を犯すということは許されない。  向こうで読んでおるから、大臣、私はこれは最後にお伺いしますけれども、あなたは、実務上だなんというのは、百も承知の上で、国会にうそをついたということになるんですよ。私は、その責任をどうしてもあなたにお伺いしなければいかぬ。こんなことをなぜやるんです。大臣、この秘密通達をひとつ提出してください。
  27. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いまおっしゃいました通達、覚書を見てみますと、税の追徴を行います場合に、本人がわからないわけでございます。したがいまして、いまの税率で例をとって申しますと、一五%取っておったときに、その本人がわからないわけですから、本来でございますれば、もちろん、総合課税にいくか、あるいは源泉選択の、今度は現在でございますと二五%の税率を取るか、いずれかの道を選ばなければならないわけでございます。そのときに、本来二五%の源泉分離選択税率を選びますためには、本人が選択をしなければならないわけでございますけれども、そこは本人は選択をしておりません。しておりませんから、本来でございますと、一五%の源泉徴収税率で、後の総合というものの確保ができないわけでございます。したがいまして、この場合には本人の選択はないんですけれども、二五%の源泉選択税率を取れ、こういうことでこの覚書はできておるようでございます。
  28. 阿部助哉

    阿部(助)委員 局長、そうすると、この覚書は調書作成の違反ではないとおっしゃるんですか。
  29. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 この問題については、私は、調書と実は関係ないと思います。といいますのは、調書があって、その人間のところへ行ってまいりましても、実在していない。総合が保障できないから、そのときには一五%だけでほっておくのは残念でございまするから、本人の選択はございませんけれども、選択税率の二五%まで取るということでございます。
  30. 阿部助哉

    阿部(助)委員 じゃ、もう一つ。第一項には、「金融機関は、税法上、預金者等の住所氏名について調査確認する義務はない」と言っておるんですよ。本当にこれはないんですか。調査確認する義務はないんですか。所得税法ははっきりと、さっき言ったように、調書は住民票を持ってこい、何を持ってこい、こう言っておるんですよ。
  31. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 金融機関が預金を取ります場合に、確実に本人という証明が、たとえば住民票を持ってこいという制度ができますれば、これは私どもが申し上げております名寄せが完全にできる体制になるわけでございます。ところが、いまはそういう事態になっておりません。そこで架空名義というものが発生せざるを得ないのでございます。
  32. 阿部助哉

    阿部(助)委員 施行令の四十六条「金融機関の営業所等の長は、個人の提出する非課税貯蓄申告書又は非課税貯蓄に関する異動申告書に記載された住所又は氏名が真実なものであることが明らかでない場合には、その者から住民票の写し、食糧管理法第八条の三第一項(購入通帳)に規定する購入通帳、国民健康保険の被保険者証、国民年金手帳その他の大蔵省令で定める書類の提示を求め、その住所又は氏名が真実なものであることを確認しなければならない。この場合において、これらの申告書に記載された住所又は氏名が虚偽のものであると認められるときは、これらの申告書を受理してはならない」とある。
  33. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 ただいまお示しのものは、少額貯蓄非課税制度を実現するための、適用を受けるための要件でございます。問題になっておりますいまの源泉選択分離課税の方は、一般の預金でございまして、そういうものはないわけでございます。そういう制度が完全にできれば、名寄せができるということを言っておるわけでございます。
  34. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、架空名義だ何だとするようにしたのは、本当は、この特別措置で、皆さんはわざわざ穴を抜いておるんですよ。それも知っておるんだ。そう出るだろうということも。だけれども、そういうことをやって、この少額貯蓄や何かは全部分散するように皆さんしむけてある。私は余り個人を傷つけたくないから個人名は言わないけれども、これを見ますと、皆さんは、銀行局と国税庁と相談をする。話がまとまらないと、銀行局は帰って銀行協会の幹部と相談をして、また出直して行って、また相談してこれをつくったんですよ。その記録も、だれがいつどこでどうやったというのは、日にちからみんな書いてあるんだ。しかも、その銀行局はこう言っておるんだ。「法制上、預金者ごとに一年間の支払うべき利子額を名寄せして、翌年一月末までに支払調書を提出することもできる。だが金融機関としては」……。これはちょっと違いましたね。ちょっと待ってくださいね。「支払調書の名寄せは各店舗毎で考える。当該金融機関の全店舗を通ずる名寄せを求めることは、当面、考えていない。しかし、法律の建前は支払場所毎の名寄せではなく、支払人毎の名寄せが求められていることは事実である」言いかえれば、支払い人とは金融機関ですよ。三井なら三井銀行、これが名寄せを求められておるのですよ。それを皆さんは、店舗ごとで結構ですと、こうやるから、店舗ごとだから、みんな分散してしまうんですよ。だから名寄せができない。架空名義預金を皆さんは奨励しておるのですよ。これはただ金利の問題だけじゃない。資産の隠匿につながるんだ。金持ち優遇税制なんです。これが違反でないのですか。大臣、どうです。
  35. 大平正芳

    大平国務大臣 問題は、店舗ごとの名寄せか、金融機関ごとの名寄せかという問題ではなくて、つまり、架空名義というものが発生するかしないか、それを完全に封殺できるかできないかということが問題であろうと、私は判断するのでございまして、そういう道が達成されない限り、この総合課税への道はなかなか険しいと私は思うのでございます。また、そのために、私ども税を取る場合にどれだけの徴税費用を使うか、そのバランスも徴税当局としてはいろいろ勘案しなければならぬ問題であろうと思うのでございまして、いま五ヵ年さらに御延長いただいて、税率を上げることによって、五カ年間延長していただくという期間をいただいておるゆえんのものは、さらにそういう問題につきまして究明をしていこうということでございまして、この問題につきまして、阿部先生が言われるような、総合課税というものを終局的に断念しておるわけでは決してないことも、あわせて御理解をいただきたいと思います。
  36. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私は、この覚書は明らに所得税法違反である、これはどうか、こう聞いておるのですよ。違反でないと言うなら、違反でない条文を出してください。
  37. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 支払い調書を出すのは、「利子等の支払をする者」というふうに法律上なっております。したがって、その場合に、「支払をする者」というのは、たとえば何々銀行というふうに解するのがまず第一の解釈であろうと私は思います。もっとも、四十五年のときにいろいろ議論をいたしまして、先ほど来お話のございますように、「支払をする者」というのは、何々銀行ではございまするけれども、支払い調書の事務の収拾がなかなかっかなくなったものでございますので、各店舗ごとでよろしいというふうに解釈をしたそうでございます。
  38. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それは二百二十五条、施行規則八十二条、ここにおいて「支払をする者」、こう出ておる。これは銀行ですよ、ね。そうして、「その利子等の支払を受ける者の各人別に、次に掲げる事項を記載した調書を、その利子等に係る所得税の法第十七条」云々と書いてある。この「支払をする者」というのは銀行なんですよ。当然なんです、これは。それをあなたたち勝手に、皆さんが解釈をすることができるのですか。税法はそんないいかげんなものなんですか。私は前にも申し上げたことがあるように、税というのは法律できめなければいかぬ。これは歴史的なものなんです。イギリスの革命だ、フランス革命だ、それを経て、新しく国民から税金を取るということは国会の議を経なければいかぬ。租税法定主義というのは、これは大原則です。総理、どうです。そうでしょう。それを勝手に皆さんが解釈をしたり、勝手に変えたり、そうして金持ちや銀行のために図るなどというのは許されることじゃないのですよ。これはあなた、そんな解釈をして通ると思っているのですか。違法ですよ。
  39. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 先ほど申しましたように、「支払をする者」というのは金融機関でございます。ただ、その場合に、たとえば国から給与を払いました場合にも、支払いをする者というのは国でございますけれども、それを各役所役所ということに分けて考えておるということはございます。それと同じような考えで、支店ごとということに、この五年間取り扱ってきたものだと思います。この点はなお検討させていただきたいと思いますが、問題は、私先ほど来申しましたように、店舗ごとにやるあるいは各銀行ごとにやりましても、架空名義の存在が非常に多い限りにおきましては、なかなか総合課税の実が上がらないというところに大きな問題がございます。
  40. 阿部助哉

    阿部(助)委員 架空名義が云々と言うけれども、皆さん税法をちゃんと踏まえてやれば、架空名義というのはあり得ないのです。皆さんやらしておるのですよ、これは。皆さん自体が法律をしり抜けにして、そうして架空名義をやらしておるのですよ。なぜこれをきちんとやらせないのです。  それよりも、まずこの所得税法違反という点で、皆さんもう少しはっきりしなさい。これはごまかしたって逃がしません。
  41. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 少額貯蓄でございませんで、普通の定期預金について申し上げれば、本人であるということを銀行に一々提示する資料を出さなくても、預金として受け入れるわけでございます。それを受け入れることにつきましては、別に所得税法の違反でございません。
  42. 小山長規

    小山(長)委員長代理 関連して、堀昌雄君から要求がありますので、質問を許します。
  43. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと法制局長官に伺いたいのですけれども、要するに法律の解釈というものをここでどういうふうしするか、行政府が勝手に法律の解釈は変えられるのかどうか、最初にそれだけお答えをいただきたい。
  44. 吉國一郎

    吉國政府委員 法律の解釈は、客観的に一義的に正しく確定せらるべきものでありまして、行政府がこれをみだりに変更することなどはあり得ないものでございます。
  45. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いま大蔵省側は、その「者」というのは金融機関である——金融機関というのは要するに、たとえば第一勧業銀行なら第一勧業銀行なんですね、「支払をする者」は。それを具体的にいまの問題について、私どもは「者」というのは金融機関だ、それはもう主税局長も答弁しておるとおりですから、それが法律の定めたところであるというのは間違いないと思いますが、法制局長官、どうですか。
  46. 吉國一郎

    吉國政府委員 所得税法第二百二十五条に定めております第一項で「次の各号に掲げる者は、大蔵省令で定めるところにより、当該各号に規定する支払に関する調書を、その支払の確定した日の属する年の翌年一月三十一日までに、税務署長に提出しなければならない」その第一号に「居住者又は内国法人に対し国内において第二十三条第一項」、これは利子所得の規定でございますが、「第二十三条第一項に規定する利子等の支払をする者」。この場合の「支払をする者」と申しますのは、いわば人格の主体としての私人または法人ということでございます。したがってこの「者」は、銀行でございまするならば銀行が法人として、株式会社として組織をされております限り、その法人にこの義務が帰属することはもう当然でございます。
  47. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、さっきの主税局長の答弁は違法の答弁だということになりますね、法制局長官。
  48. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただ、これは、支払い調書を提出しなければならない義務が帰属するのはだれであるかということでございまして、その支店ごとに支払い調書を提出いたしましても、支店が提出するということは、その提出をしたという法律事実はどこに帰属するかと申せば、これは当該銀行でございます。銀行というものは法人でございますので、その機関あるいはその機関もとにございます組織を通じて行動するわけでございまして、よく民法の議論でも、法人に通行地役権があるかというような議論がございますが、法人が行動するのは、すべてその機関を通じて行動するわけでございます。したがって、その機関の命を受けまして、支店の事務組織がこの支払い調書を提出するわけでございます。支払い調書提出の義務に関する限りは、その法人の機関である——機関が支店ごとにあるかどうか存じませんが、その機関あるいは機関の命を受けた者が支払い調書を提出するということで、その銀行の支払い調書提出の義務が履行されておるということでございます。
  49. 堀昌雄

    堀委員 支払い調書を作成するのは、それじゃどこですか。
  50. 吉國一郎

    吉國政府委員 支払い調書作成という行為も、これは自然人の行為でしかございません。したがって、法人の場合は法人の機関、あるいはその機関の命を受けた法人の事務組織、これは自然人でございましょうが、その自然人が作成をする、その作成をした法律効果が、法人としての銀行に帰属をするということに相なると思います。
  51. 堀昌雄

    堀委員 いまあなたが言われておる支店というものは、それでは法律上はどういう規定になっておるのですか。支店というのは機構の一つじゃないですか。一部でしょう。
  52. 吉國一郎

    吉國政府委員 支店と申しますのは、一般的に申せば民法の法人の主たる事務所、従たる事務所。その従たる事務所に当たりますものを、商法上は支店と称するということになると思います。
  53. 堀昌雄

    堀委員 そんなことを聞いているのじゃないのですよ。要するに、支払い調書を作成する義務が「者」に定められておるわけでしょう。「者」に定められておるその「者」を、あなた方は「者」というのは支店でも本店でもいいのだというのではなくて、あなたが前段で答えたように、その「者」は機関でしょう。金融機関というのは富士銀行でしょう。違うのですか。
  54. 吉國一郎

    吉國政府委員 これは先ほど申し上げましたように、法人としては、何々銀行という場合であれば、その何々銀行に帰属することは当然でございます。ただ、何々銀行が義務を履行する手段といたしまして、銀行が自分で調書を作成して提出するということはないわけでございまして、その機関を通じて法人は行動するわけでございます。その機関というのは、何々銀行であれば、何々銀行の頭取であり、あるいは代表権のある取締役でございましょうが、その取締役が当該銀行内の事務組織に命じて一定の調書を作成さして、その作成したものを今度は税務署長に提出をする、これも自然人の行動でございますから、その銀行内の事務組織がこれを行うわけでございます。支店であろうと本店であろうと、本店の何々部あるいは何々課で作成をして、その何々課の課員がそれを税務署長に持参するということは、これはもう当然のことでございます。それによって、その法人としての義務が履行されるということに相なると思います。
  55. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、その責任は一体どこに来るのですか。それらのすべての責任は、当然銀行そのものに集約されてくるのじゃないですか。
  56. 吉國一郎

    吉國政府委員 それは当然銀行の執行責任のある、通常は頭取あるいは代表取締役にあるということでございます。
  57. 堀昌雄

    堀委員 実は、私は、架空名義預金を毎年、少なくとも六年か七年にわたって、大蔵委員会でやってきました。そうして、この架空名義というのはどうしたらわかるかというのは、実は銀行が大体知っているわけです。御承知のように、国税庁で毎年課税に対する違反の処分が出ます。その違反の処分が出たときに、一体架空名義預金というのでどれだけ入っておるのかというのは、国税庁が大蔵委員会に対してちゃんと報告しておる。そうしてその報告している中で、三カ年にわたって私がしょっちゅう、悪質な銀行についてはそれを公表しなさい、そういう自分で知っておりながら、架空名義預金であることを知りながら、なおかつ違法の処置をしているものは国民の前に明らかにしなさいと言っても、福田さんも、たしかそういうお答えを一回なさったことがあると思うのですけれども大蔵大臣は、それは適当でない、こう言って銀行側ばかりかばっておる。  総理、いまこういうことなんですよ。架空名義預金というのは、銀行が知らないかというと、皆さんも御承知だと思いますけれども、百万円、二百万円という多額の金額が預金されておるときには、現在銀行は必ずその預金者のところへ行って、さらにひとつ預金をお願いいたしますと言って歩いているわけですよ。皆さんも御経験があると思う。歩いていったときには、架空名義がすぐわかるわけです。そこにはないということがすぐわかるわけです。にもかかわらず、それはそのままでほったらかして、実は預金獲得のためにやっておる。いま銀行の店舗に、架空名義預金はあなた方のためにならないからやめなさいと大蔵省から言われていますと、ただ紙だけ張ってあるけれども、実際にはずいぶんたくさんの架空名義預金がわかっていたというのでなければ、どうして国税庁が犯則事件をやったときに、これは架空名義預金というのがわかるのですか。  国税庁長官、ちょっと答えてください。架空名義預金が犯則でわかってくるのは、銀行が知っていない限り、あなた方の方で架空名義預金が把握できるはずがない。ちょっと答えてください。
  58. 安川七郎

    ○安川政府委員 お答え申し上げます。  犯則事件の査察調査の場合におきましては、いろいろな資料、情報等を総合いたします。そこで資料、情報の収集源でございますけれども、その場合は、その銀行の支店長等のいろいろな手控えとか、そういうものを資料、情報として収集する場合もございます。また、必要に応じまして預金者のところに当たる、いわゆる反面調査と申しますか、そういうような各種の方法を通じまして、その資金源を捕捉する、こういうことをやっております。
  59. 堀昌雄

    堀委員 いま銀行の支店長その他の書類を調べることによってわかるという答弁がありましたね。要するに、銀行は知っていながら、現実に今日でも架空名義預金を許しておるわけです。そういう悪質なものは公表しなさい。処分しろと言うのではないのですよ。国民の前に、この銀行は架空名義預金をこうやって知りながら、国民利益に反したことをやっておる——架空名義預金というのは、すべて脱税のために行われておるわけです。だからこれをやめるようにしろと言って公表を求めても、公表しないというのはどういうわけですか。それじゃ大蔵大臣、今度は公表しますか。要するに、架空名義預金が犯則調査で明らかになったのがずっと資料はあるわけです。その悪質なものだけでもとりあえずやりなさい。何回もそうやって出てきているのがあるわけです。私はちゃんと自信を持っています。にもかかわらずやらないのです。そうやって架空名義預金を奨励しながら、架空名義預金があるから税金は取れませんという、そんなばかなことがありますか。どうですか、大蔵大臣。この際公表しますか。税法違反だ。
  60. 大平正芳

    大平国務大臣 私が御答弁申し上げておりますのは、いろいろな議論がございますけれども、架空名義という慣行を封殺できない以上は、利子・配当所得についての総合課税の完璧を期すことができない。したがって、これをどのように封殺してまいるかという行政能力の培養ということが、前提として必要でないかということを申し上げておるわけでございます。
  61. 堀昌雄

    堀委員 そこで大蔵大臣、一つ私は問題を提起しておきたいのですけれども、銀行側が本人だと確認をできておるものはたくさんありますが、確認できないものもあるわけです。百万円以上の預金で、今後銀行側が本人だと確認できないものについては、一遍はがきを出せばいいのですからね。要するに、その預金者名に対して、あなたのところには百万円以上の預金があります、間違いございませんね、こうやって一遍はがきを出せば、本人のところなら届きますね。本人でなければ必ず銀行に返ってきますね。銀行へ返ってきたら、銀行側としては調査をする義務がある。このぐらいのことをやってもいいんじゃないですか。私は五万や十万の預金のことを言っているのではないですよ。脱税で出ておる金額というものは、平均して一件当たり五百万円とか六百万円とか、多額の額になっているわけです。だから、一口百万円以上の定期預金その他については、銀行が過去の取引の関係で確認できているものはいいですよ、確認できないものについては、はがきを出してそれを照会する。現在、御承知のように証券会社は、各種のいろいろな問題があれば、それに対して必ず照会文書を出して、あなたはこれだけ残高がありますが、これは間違いありませんかと、みんなやっているわけですよ。銀行にも、それじゃそのぐらいのことをやらしたらどうですか、大蔵大臣。そういう架空名義を真剣にやめさせようという熱意が大蔵省側にない。それはなぜかといえば、銀行との関係において遠慮しているということじゃないでしょうか。大蔵大臣、いかがですか。あなたが、架空名義預金があるから名寄せができないんだと言うならば、まずもとを正すべきでしょう。百万円以上の預金についてはがきを出すぐらいのことは、証券会社がみなやっているんだから、現在あなたはこれだけの残高がございます、間違いございませんかと、照会を必ずやっているんだから、そのぐらいのことを銀行にもやらしたらどうですか。
  62. 大平正芳

    大平国務大臣 でございますから、その捕捉という問題について検討しなければなりませんので、なおしばらく時間の余裕をちょうだいしたいということで、今度の税制改正案でも、なお五カ年間の余裕をお願いいたしてあるわけでございまして、いま堀委員の御提議になりました問題につきましても、われわれとしては慎重に検討させていただきます。(「これじゃ予算審議なんかできない」と呼び、その他発言する者あり)
  63. 小山長規

    小山(長)委員長代理 静粛に願います。
  64. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま大蔵当局は、違法でないと言って突っ張っておりますね。  それじゃもう一つ、この三項で「源泉徴収税額と源泉選択税率による源泉徴収税額との差額を追徴すれば、金融機関はそれ以上の責任を追求されることはない。」これはどういうことなんです、大蔵大臣。これは勝手に金融機関に対して、当然取らなければならないものを免責をしておるのですね。それは法律第何条で免責する権限を皆さんはお持ちになったのです。
  65. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 金融機関は利子を支払いますときに、普通の源泉徴収税率であれ源泉選択徴収税率であれ、源泉徴収するだけの義務を負うわけでございます。したがいまして、いまの税率で申しますと、一五%の税率で源泉徴収するのか、二五%の源泉徴収をするのか、それだけの義務を負うわけでございますから、先ほど来申しておりますように、一五%の源泉徴収をしておりまして、あとは本人が総合申告をするはずでございますのにそれをやらない場合には、本人の所在がわかりませんから、その場合には源泉選択税率の二五%を取るということで、金融機関の責任はそこで終わるわけでございます。
  66. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、わからない、わからないと言うけれども、わからないようにしてあるのでしょう。なぜわからないようにするのですか。だからさっき私が読み上げたように、本人のあれを確認して預け入れをさせれば、何もできないことはない。しかも、それはいまオンラインですよ。全部本店へ行っておるのですよ。だから、そこで金融機関はこの法律に従って、いま法制局長官が言ったように、この機関がそこで名寄せをするということは、そうむずかしいことじゃないのですよ。ただ、それをやったら金融機関も困る、金持ちも困る、脱税もできない、資産の隠匿もできない。それを助けるために、皆さんはいろいろ言うけれども、一体そんな法律はどこにあるのです。
  67. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いま金融機関がそれ以上の責任を負わないと申しておりまするのは、金融機関としては、源泉徴収をします責任が一五%か二五%かということで、そこでそれ以上の責任はないということを言っておるわけでございます。それで、その後の、総合すべきかどうかというのは本人の責任でございまして、源泉選択をとらない限りにおいては、総合申告をして総合をするということの本人の責任が生ずるわけでございます。
  68. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はそれは納得できないです。だから総合課税は税の原則なんです。総合して、それで大きな所得のある人には累進税率をかける、これか税法の原則なんですよ。それをここで崩しておるのです。私は局長の答弁は納得できませんので、この法律違反の問題は、さらに私ももっと調べてやりますけれども、私がいろいろ調べてみても、これは違反です。これはもう全部違反はっきりしておるのです。(発言する者あり)
  69. 小山長規

    小山(長)委員長代理 質問者の声が聞こえません。
  70. 阿部助哉

    阿部(助)委員 もう一つ。それじゃこれを聞きますが、「支払調書に関して税務署が調査を行なうのは利子所得の総合のためであって、元本の追求のためには行なわないこととする。」とこう言っておる。皆さん、これはわかっておっても追及しないというのは一体どういうことなんです。
  71. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 支払い調書の目的は、利子を総合課税するというためでございます。したがいまして、それによって、利子を総合する目的を達すればよろしいのでございまして、その元本については、また別途のいろいろな調査方法によって、それを追及すればいいわけでございます。
  72. 阿部助哉

    阿部(助)委員 別途の方法でおやりになったことがありますか。はっきりとした違反のときには、皆さんは、この書類によっても、犯罪行為のときにはこの限りにあらずという、それはこの内容は私も承知しております。一般の場合にそれをやったことがありますか。やった例がありますか。ないでしょう、そんなものは。
  73. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 元本につきましては、いろいろな取引状況あるいはその支払いの決済状況等から、銀行調査などをやりまして、かなりそういうものをトレースしました結果、各種の更正決定が行われておることは、もう御承知のとおりでございます。
  74. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それならば、なぜこんなことを覚書にうたわなければいかぬのです。こんなものを違法覚悟の上で——私はいままでいろいろな犯罪というものを聞いたり見たりしてきました。しかし公務員が明らかに違法であることを承知の上で、計画をし、実行したなんということは、この覚書が初めてです。私はこれは大変悪質だと思うのです。しかも、いま詭弁のような答弁でこの場を逃れようとするけれども、これは私はいつまでも、この論議は間違いであるということははっきりしておるのだから、それを認めるまで、この追及をいたします。皆さんは、この覚書を全部違法でない、こう断言できますか、大臣。
  75. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 先ほどから申し上げておりますように、一つは、源泉徴収をする金融機関が、幾ばくやるべきかということについて書いてございます。その点を、一五%の普通の源泉徴収税率でやるのか、あるいは二五%の源泉選択税率でやるのかということで、そこでとどめておるということは、別に違法ではありません。  それから、利子の支払い調書につきまして、利子の総合のためにそれを使うということは、その支払い調書をとる目的そのものでございまするので、それ以外に使わないということは、別に違法ではございません。     〔小山(長)委員長代理退席、委員長着     席〕
  76. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうしますと、二百二十五条にこういうことがあるのですね。同一人に対するその年の利子等の支払い金額が三万円以下である場合、これは申告しなくてもいいのです。一体三万円以上であるのか以下であるのかというのは、どういう手続、どういうことから判定をするのですか。いまのような言い方をする限り、一体この人に三万円以上の利子を払っておるのか、あるいは分轄によって三万円以下であるのかわからぬじゃないですか。この条文は、そうすると空文になるのですか。どうなんですか。
  77. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 利子の支払い調書を徴取します場合に、事務手続の観点から、おっしゃるように、三万円以下について、支払い調書を出さなくてよろしいということになっております。その場合に、Aという人間について三万円かどうかという判定をする必要があるわけでございまするけれども、問題はAという人の預金であるはずのものが、Bという人の名前でなされておるときでございます。そのときに、金融機関としまして、それを全部Aという人の帰属として、そこまで判定をしてやらなければならないということまでは、税法としては要求できないわけでございます。
  78. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから税法は、金融機関ごとにこれは名寄せをしなければいかぬのですよ。それを皆さんは、この覚書で免除してあるから、だから金融機関としては、この人が三万円以上の利子であるのか、三万円以下であるか、判定ができないように仕組んであるのです。そうすれば、この三万円云々なんというのは全くの空文にすぎないということになるでしょう。そうでしょう。そうならざるを得ないでしょう。一体これはどうなんです。みんなあなたたちはこうやって抜け道をつくって、税法をごまかしておる。私は、こんな状態で、この税法の審議、しかもこの金持ち優遇の——公正を目指す三木内閣税制として、こんなものを出しても、そのままにしておいて、五年も延期しようなどということは、私は何としても納得ができません。
  79. 田中武夫

    田中(武)委員 議事進行。  お聞きのように、はっきりと大蔵省は、法律違反の覚書といいますか、これを出しておるわけなんです。大蔵省は、税法に関連して、法律違反ないし銀行あるいは多額の所得を持つ自然人及び企業に対するいろんな通達等も出しておる。それが法律に抵触するようなことがたくさんあります。そのうちのこれは一つのはっきりとした例です。このことは、行政府が、大蔵省が国会を軽視し、法律を無視した通達でございます。したがって、これはゆゆしい問題であり、さらに国会としても明確にする必要がございます。  したがいまして、この点に関し、ひとつ委員長の御判断により、どういうようなことをやるのか、これを大蔵大臣から、あるいは総理から、明確に御答弁を願うとともに、この問題は保留をして研究をする必要がある、このように考えますので、委員長に、そういう点を含めて御提案申し上げます。
  80. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 そこで、大蔵大臣から、ただいまの議事進行に関する田中君の発言に対して、御答弁ありますか。
  81. 大平正芳

    大平国務大臣 田中委員から、大蔵省が実際の行政面におきまして明らかに違法なことをいたしておるという御指摘でございます。  大蔵省といたしましては、さようなつもりはないのでありまして、この複雑な経済組織の中で、複雑な、たとえば税法の執行に当たりまして、これを適法かつ適実に運用してまいることにつきまして、鋭意努力を重ねておるわけでございます。しかし、本委員会並びに大蔵委員会等におきまして、われわれの税務行政につきまして、いろいろ御究明をいただくことにつきまして、われわれは最大限御協力申し上げて、真相を解明していただくことは、私は大変結構なことと思うのでございますけれども、私ども大蔵省が明らかに違法なことをやっておるということを、私はここで承知するわけにはまいりません。したがって、この問題につきましては、本委員会並びに大蔵委員会におきまして、御疑問の点につきましては、引き続き究明いただくことを希望いたします。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 大平大臣、先ほど来の論議を聞いておられて、なおかつそのような御答弁をされるのですか。明らかな法律違反ですよ。あるいはそれを見越しての覚書である。ほかにも、通牒その他でもたくさんございます。私は自分のときにも持っておりましたが、時間等の関係で省略いたしました。ならば、この問題で、一日くらいかけて、集中的な論議をする機会を与えてもらいたい。でなければ、あなたにお見せしたように、これだけの資料で、私も全部調べておる。堀委員も持っています。阿部委員ももちろん持っています。全部出しますよ。これは何といっても行政府の国会軽視である。なお法律無視の態度であることだけは明確であります。したがいまして、この問題をこのままにして次へ移るわけにはまいりません。
  83. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 わかりました。  そこで、委員長の処置といたしまして、後刻の理事会で検討いたしまして、そうして、この問題で一日討議を願うということの点があるいは正しいかどうかわかりませんが、とにかく協議いたしまして、午後の委員会でまだ保留分がありますから、その機会に御発言を願うというようなことも、理事会等で御相談をいただく。なおまた、大蔵省といたしましても、午後の保留分の審議中までに、どうぞはっきり回答のできるように用意を願う、こういうことでいかがでございましょう。——田中さん、ちょっと私から申し上げます。  ただいま大蔵大臣及び主計局長とも相談いたしましたが、午後の質問までに完全な回答文をつくりまして、この部分に対して阿部君の御質疑の保留をいたします。そしてそこで御検討を願う。したがって、午後の保留分が終わったところで御発言を願い、そしてまた完全な答弁を願うということにしたらどうかと思いますが、いかがでございますか。
  84. 田中武夫

    田中(武)委員 一応、委員長の御提案を了承いたします。しかし、午後だけで決着がつくかどうかわかりません。と申しますのは、われわれの方も、違法の通達、覚書、あるいは脱法というか、法違脱の省令等々もございます。それを全部一応整理をこちらもいたします。そういう時間を含めまして、一応この時点における阿部質問は、いまの委員長の御提案で結構です。  しかし、違法でないというなら、全部並べて、こちらから資料として出して、一日じゅうやる用意がございます。いいですか。(「大きなこと言うな」と呼ぶ者あり)いや、大きなことじゃない。やってもいいよ。——まあそういうことは保留をいたしまして、一応はそういうことにいたします。
  85. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ただいまの田中君の御提案、結構だと思います。さよう決定いたします。  それでは大蔵省、どうぞ後刻までに、ひとつはっきり資料を出してください。  もういいですか。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 だからもういいです。あと時間を残して、先ほど来の混乱の時間をも含めて、阿部委員の質問についてはそういうようにして、こちらから明確に違法の事実を示して、論議をいたします。
  87. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 了承いたしました。  それでは、阿部君のただいまの質疑を保留いたしまして、午後一時より再開することといたしまして、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十三分休憩      ————◇—————     午後一時二十一分開議
  88. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  先ほど宣告いたしました時間より超過しておりますが、理事会で協議が長くかかりましたものですから、約束の時間より二十分間おくれました。御了承を願います。  この際、理事会の協議により、広瀬秀吉君の発言を許します。広瀬秀吉君。
  89. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 実は本会議で代表質問をいたしました際に、答弁を要求いたしておりました福田経済企画庁長官・副総理がいらっしゃらなかった。大変残念だったのですが、これまた健康の理由ではやむを得なかった、こういうことで、予算委員会理事会の御配慮をいただきまして、本日改めて、副総理中心に、土地税制の問題について質問をいたしたいと思うわけであります。  これは、いま今日異常な物価高騰、そういうものの中で、そしてまたその結果、これを抑えようとした総需要抑制、これが長期にわたったために、全く文字どおりスタグフレーション化して、経済の危機が来ているんではないか、こういう状態の中で、政策の失敗、その中でも特に今日、その結果ひずみやゆがみの問題として、社会的不公正ということが非常に大きくクローズアップされてきている。そういうものを引き起こした大きな原因の一つに、この税制があります、不公平税制があります、ということを指摘いたしました。  そして、その中でも、昭和四十四年につくられました土地税制、このときはあなたが大蔵大臣で、提案をされた税制でありますが、今日こういう状態を引き起こす原因と申しますか、根源と申しますか、そういうものは、これは土地問題、地価上昇ということが、物価上昇を異常にした非常に大きな原因になっておるではないか。しかも、あの税制によって、法人の土地買い占めというようなことが非常に促進をされた、それからまた土地成金を生んだ、こういうようなことには、これはもう数字を挙げて、昭和四十三年、その税制ができるまでは、いわゆる土地成金といわれる一億円以上の所得者というのは六十一人しかいなかった。それがもう今日では、昭和四十九年度で六千三百三十六人。そういうような、百四倍にも上るような土地成金ができているというような問題。そして法人が土地を買い占めてそれでもうけるという、そういうようなことが、地価上昇、これは四十四年の九月から四十九年の九月までに、土地の価格は確実に二倍半上がっている。それだけ上がったものは、今日土地以外には、そうはざらにないはずであります。この前の洗剤であるとかトイレットペーパーであるとかという、去年のいまごろ大変問題になったものにしても、その後の値下がりを見れば、それまでにはなっていない。こういうような非常に大きな問題をこの土地問題は抱えている。しかも、いまわれわれが考えますと、土地の値上がり、土地問題と、それから法人企業というものが高度成長政策の中で、余りにも優遇されてきたではないか、この二つが今日の社会的不公正を生み出す大もとになっている、というような考えを私どもは持つわけであります。  そこで、福田経企庁長官・副総理にお伺いしたいのは、そういう状態に対して、わが党が当時実は指摘しているのです。あとでこれは読み上げますが……。土地成金ができるだろう、それから法人の手にそれが移るだろう、こういうようなことを指摘した。それにもかかわらず、あなたが当時の土地税制を、今日の結果を生み出した税制を強引に通した。これが今日のそういう不公平の根源になったということについて、これは非常に政治的責任は大きいものである、こういうように考えざるを得ないわけでありますが、その点について、まずあなたの御所見を率直に伺いたい、こういうことであります。
  90. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 私は、広瀬さんがいま四十四年度土地税制改革、これが今日の経済事態を醸し出した上にかなりの責任がある、こういう御所見ですね。私は大筋におきましては否定いたしません。そういうことかと思います。  ただ、昭和四十四年私が大蔵大臣をしておりまして、あの税制改正を御提案した、あのときの時点の社会状態はどうかといいますと、経済が大変発展してきた、そこで国民の中で大きな問題は、衣食、これは足って住である、住宅を求める声が非常に強くなってきたわけです。私はそれに対しまして、住宅対策上積極的な手を打たなければならぬ、こういう考え方を非常に強く持っておったわけでございますが、そのときたまたま非常にうまいことを考え出した人があるわけです。それは、住宅のためには土地が要るじゃないか、土地を求める人が多い。しかるに、未利用のまま保有しておる個人、それがなかなか土地を放出しようとしない。そこで土地を売却した場合の税制を簡素、また軽課する、そしてだんだん先へ行ったらそれを高くしますよ、こういうことにしたならば、土地を放出する人が多かろう、こういうことで、その着想に基づきまして、税制調査会でも大変議論が行われまして、広瀬さんがいま述べられましたような、これは妥当でないという意見ももちろんあったのです。しかし、大勢といたしましては、これは大変な名案だ、ぜひ取り上げようじゃないかということになりまして、私に答申がなされたわけであります。私もこれは結構なことじゃないか、そういう考えのもとに、これを立法化いたしまして、そうして御審議をお願いをいたした、こういういきさつがあるわけなんです。  で、この法律の動きを見ておりますと、私は、所期のとおり、当初の段階においてはその目的を達したと思うのです。いま広瀬さんは、四十五年になると土地成金というか、高額所得申告者の中で、土地譲渡所得の方が圧倒的に多くなったというお話ですが、それはまさにこの税の効果があらわれてきたのです。私は、所期のねらいがこれは実現されたなという評価をしておったのです。ところが、問題は違った局面を迎えることになった。それは何かと言いますと、四十六年ごろになると、ぽつぽつ過剰流動性問題が出てきたわけです。それから四十七年、八年、これが最高潮に達する、こういうことになってしまう。そこで過剰流動性という事態になり、また一方において、いろんな要素から、インフレ空気、これが濃厚になってくる。先は土地でも品物でも高くなるんだ。そこで、この過剰流動性というものが土地、商品に殺到することになったんです。その土地に殺到した過剰流動性、その多くを、デベロッパーと言いますか、そういう企業、そういうものももちろんでございまするけれども、当面必要もないという仮需要的な要素もまた出てきたということになり、地価の暴騰の要因をなした、こういうふうに私は見ておるわけであります。ですから、あの税制自体として、あの当時の社会情勢、客観情勢では妥当なものであったんだが、その後に起きた異常事態が、あの税制のねらうところを全くひっくり返してしまった、こういうふうに私は見ておるわけです。  私は、とにかく土地というものが投機の対象となる、こんな社会は本当によろしくないと思うのです。ですから、とにかく、今日非常な混乱した社会情勢になってきた。しかし、まあそれがだんだんと、総需要抑制政策中心とする諸施策に伴いまして、土地の価格も商品の価格も鎮静化の方向であり、特に土地のごときは下落の傾向を示しておる。私は大変一安心をしておるわけでございまするけれども、とにかく私といたしましては、今後土地が投機の対象となる、社会的不公正の大きな要因となるというような事態は、断じて避けなければならぬという姿勢で対処してまいりたい、かように考えます。
  91. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いま副総理は、四十四年度制定の土地税制は、必ずしも失敗だとは思わない、一定の役割りは果たした。私どもも一定の役割りを果たしたことは認めるんです。それは、宅地の供給に何ほどか寄与したという点では、若干前進面はあろうと思うのです。しかし、その際にわれわれが指摘したことに対して、あなたが答えておられる点が、実は問題なんですよ。それというのは、なぜ法人を野放しにしたのかということを、あの段階でわが党は強く追及をしておったはずなんです。それに対するあなたの答弁を読み上げてみますと「また投機の目的をもって買うものには重課する、こういう考え方は法人の場合は取り入れなかったわけです。」これはあなたの答弁ですよ。「これは技術的に非常にむずかしいのです。」「一つむずかしい点を申し上げれば、これは会社ですから、赤字ということがある。赤字の会社が投機の目的をもって土地を取得して売却する、その場合に重課をするということをした場合、一体どういう効果があるか。これはその会社の形態によって非常にその効果が違ってくる、こういうことになります。その他、これは会社という一つの経理方式を持っているものですから、土地の譲渡所得を分離すると、いろいろむずかしい問題が出てくる。それからもう一つの点は、やはりこの問題は、会社に個人の場合のような考え方を適用した場合に、一番適用を受けるのは土地造成会社です。土地造成会社が入手する、あるいは売り払う、その土地に重課する、こういうことになりますと、この土地造成会社が非常に重い負担を負うわけです。そうなると、その会社の事業がやっていけないということになる。そうすると、国の全体の土地造成事業は一体どうなるのだ。民間の土地造成にも期待するところは大きいわけですが、その事業に支障があるのではないか。それからまた、そういう会社が昔から持っておった土地なんですといって売り払う、その場合の税金は安くしてやる、こういうようなことを認めるというようなことにすれば、これはほかの大会社あたりで、土地造成会社じゃない会社がまた定款を変更しまして、それに均てんをするというようなことにもなるわけです。これは技術上非常にむずかしいです。そういうようなことで、個人の分離課税方式は法人には取り入れなかった。」  もちろん、そういうことで土地造成会社、デベロッパー、こういうようなところを非常に意識して、その利益を守ろうというようなことが、やはりあれから後で、教訓に学んだかもしれませんが、四十八年度にようやく法人に対して、新しく法人税以外に一〇%重課しますよ、付加税をかけますよというようなこともやりました。しかし、あの段階でそういうことをやっておったら、これはやはりやれということを、私ども野党はもう見通しをして言っておいたのですから、それを大企業サイドに立って、あるいはデベロッパーと言われる大資本に対して困るようなことはしたくない、したくない、そういう気持ち、やはり大企業、大資本、デベロッパーというものの性格からいって、土地造成、宅地造成というようなことをやっているという、その部分だけにかかずらわって、そういう大局を失したという点では、これはやはりわれわれの指摘が正しかったということ、これは土地成金を生み出しましょう、それから、法人の土地買い占めというものを促進するでしょう、だから法人に対する分離重課というようなことも同時に用意しなければいけませんよと注意したにもかかわらず、それを、そういう、いま読み上げたような角度でやられた。なるほど技術的にむずかしい点もあります。しかし、そこをびしつとやっておけば、土地を中心に、これだけの物価上昇というようなことは、かなり避け得たではないか、こういうことなんです。だから、そういう点では、あと予期せざる過剰流動性時代に、土地買い占めがものすごく起こって、急速に譲渡所得がふえているというようなことは、大蔵省の資料にもちゃんと出ておりますが、そういうことがある。  一定の役割りを果たしたと言われますが、大蔵省では、宅地、田畑の農地が取引件数の六八・三%、面積で二九・四%を占めている、こういうようなことで、主として都市近郊農地の宅地化促進をねらった特別措置は、一応その政策目的を果たした、こういうように評価しているのですが、しかし実際に宅地供給に結びつかなかった。若干は結びついたけれども、あなたがねらったような結びつき方はしていなかったというのが、その後の調査によってはっきりしているわけですね。市街化区域の土地取引は、全体の一四・七%を占めるにすぎません。宅地供給として非常に不十分であったということが、この数字によってはっきりします。  それから、譲渡先別の構成というものを、今日一番新しい資料で見ますと、これは大蔵省の資料ですよ、件数では個人が五五・二%、過半を占めております。法人が三二・六%、国、公共団体の一二・二%を上回っております。しかし面積では逆に法人が四四・七%、個人が三七・六%、国、公共団体が一七・七%、こういう状況になっておりますし、しかも法人の手に渡った長期保有土地の大体六〇%ぐらいが、おおよそゴルフ場だとかというような——ゴルフ場という名前だって、最近はなかなか、国土保全の問題やその他の問題を含めて、認可がおりないということで、そういう名目を使っただけで、仮需要として値上がりを待つために保有するというようなことが、法人に渡った土地のうち六、七割はそういうものになっている。こういうような結果を生み出したということについては、これはやはり本来的な政策運営の立場に立つものとして、企業サイドに立つか、ほんとうに住民がいま住宅に困って何とかしたいというのは、一千万世帯にも及ぶ、現実に住宅困窮者というのは二百四十万ぐらいだ、こう建設省は言っておりますが、そういうものにこたえるという、そのサイドに立っての政策運営というものが、この中では非常に欠けておった、こういうことはお認めになりますか。
  92. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 個人の長期保有する土地を譲渡した場合の税制、これは私は、それ自体とすると、当初の目的は、ああいう社会情勢であった静かな時代でありますると、相当効果を出したのじゃないか。また、現に四十六年ぐらいの事態においては、そういう作用が相当強く出てきておるのではないかと思うのです。ただ、四十七年、八年になりますと、この税制が刺激となって、個人長期保有の方々はどんどん売り出す。それを受け取る相手方が、実際に土地を必要とする、住宅のためだ、あるいは住宅開発のためだ、こういうことのほかに、いわゆる仮需要、見越し需要、土地を投機の対象とするという傾向が非常に強く出てきたのです。私は、おととし行政管理庁長官をしておりまして、そのとき、行政管理庁として、何とかこの住宅問題というものについて、ひとつ大きく前進を見るような各種の行政諸施策が必要だというふうに考えまして、その基礎資料として、ずいぶんこの土地税制、あの四十四年の土地税制改正、あれが及ぼした影響とか、そういうものを調べてみたのですが、やはりそれはあの時点になりますると、かなりゆがんだ結果というものが出てきておる。これはもう広瀬さんのお話のとおりでございます。ですから、その最初の段階においては、私はあの立法がねらったとおりの作用をしておったと思うのですが、特に四十七、八年のあの過剰流動性、また景気ブーム、またインフレムード、そういう段階になりまして、非常に変質、変貌して、そして所期の目的はついにどこかへ行っちゃったと言っても支障のないような状態にまでなってきたということについては、私は率直にそう考えております。
  93. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 法人に買い占められた土地のうち六〇%ぐらいは、恐らくゴルフ場という名において、仮需要の形で今日保有されているというのが実態だと思うのです。宅地に回ったものは、法人が買い占めたうちのわずか一〇%ぐらいしかないという推定がされておるわけなんですよ。  まあ、今日までのことは、その辺にしておきましょう。そうなると、法人に対してこれからどうするかということは、非常に大きい問題だと思うのです。四十八年に、さすがに法人の土地買い占めというような問題が非常にクローズアップされて、政治の問題になりました。それで、法人税以外に付加税率を課するというようなことになったりしました。さらにまた、土地を供給するという立場から、いわゆる特別土地保有税というようなものなども、地方税として設けた。こういうようなことをやったわけですけれども、すべてこれは後手後手なんですね。本当に最も切実な問題として、宅地というようなものに対して供給を促すという点では、みんなこれは後手に回っている、こういうことになれば、そういう土地成金を生むだけ、それから法人の土地買い占めを促進するだけというような、四十四年から五十年の十二月三十一日までの税制というものは、五十年の十二月三十一日までだけれども、思い切ってことしから新しい税制に切りかえるというようなことを当然やるべきだ。そういう不合理さというものを認めながら、これを若干の手直しをして、さらにまた延長する。この手直しは若干ではないという理屈もあるかもしれません。それは二千万円を超えるものについては、四分の三を総合課税に持っていきましょうというわけですから、これはかえってかなり重いものだと、こう言いますが、それでも大体一億円以上の譲渡所得があった人では、税負担は五九%程度にしかならない。本来の意味の総合課税ということに持っていけば、これは金額的に五百万あるいは一千万、二千万、五千万あるいは一億以上、十億というふうに、累進をする姿というのも非常によくなるわけだ。それを、本来ならば、総合課税でいけば八七%ぐらいまでいくものが、五九%程度でもう頭打ちになっている。そういうようなことでは、土地を持っている人がやはり依然として値上がり益を期待して持ち続けるというようなことに対して、有効に働いていかないんじゃないかという考えなんですね。  そういう点で、その面でいまわれわれがずうっと要求しているのは、特に法人は、簿価と時価との差が六十八兆もあるという、そういう評価益、これに対しては、実現せざる利益に対して課税するのはどうかというようなこともありまするけれども、そういうことでなしに、もう土地を本当に必要な者に宅地として供給するんだこういう立場でまずその再評価益に対する課税をやるという方向。それから臨時的に特別土地保有税をつくったけれども、これも四十四年以降取得したものだけに限られて、それ以前に取得したものは全然対象にならない、こういうようなやり方。それから免税点というようなものも、二千平方米ということになっているというのなんかも、もっと下げていいんじゃないか。そういう点で、土地保有課税というようなものをもっと強化して、インフレヘッジとして、土地を持って値上がりを待っているんだという、先ほども総理が言われたように、土地を種にしてもうけるというような、そういう風潮は一掃したいというお考えがあるならば、少なくともそういうことを当然やるべきだ、こう思うのですが、そういう御決意がありますか。そういうものがなければ、やはりいま公営住宅も、もうすでにことしも去年よりも予算が減っている。四十九年度は四十八年度よりも減っている。五十年度は四十九年度よりもなお減っているという、そういうものしか出てこない。公団住宅などもしかりである。そういうようなことに対して、これは本当に住宅を必要としている人たちに宅地を提供するというようなことにはつながっていかないんじゃないか。そういう点で、いま私が要求したような問題点をしっかりやらなければ、これは国民の期待にこたえられないんじゃないか、こう考えるわけですが、政府としてのお考えを、この際、ひとつ国民が安心できるように、はっきりお答えをいただきたいと思います。
  94. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 法人所有の土地につきましては、すでに四十八年度にかなり厳しい課税負担を行う、こういうふうにしてあります。これは非常に厳しいと思います。とにかく一般法人税のほかにまた分離課税を重ねて、それに追加してやる、こういうことで、恐らく普通の取引ケースにおいては七〇%ぐらい課税対象になるのではないかというくらいな重いものになっておる。それから個人の方につきましては、四十四年度税制の期限がことし到来する、こういうことになる。そこで、大蔵省から、これもかなり厳しい改正を行う、こういうことになっておるわけです。これは御承知のとおりでございます。  税制が、そういうことで、土地保有者に対して厳しく当たるということになりましたので、社会的公正とか、そういうような見地の問題はかなりこれで片づくんじゃないか、そういうふうに私は見ておるわけですが、しかし、それにしても、土地の価格が今後どうなるかという問題がある。一番大事なことは、土地の価格のでこぼこというか、特に騰貴、土地の価格が騰貴するというような状態を引き起こさないということが、私は一番徹底的な、いま広瀬さんのおっしゃるような見地から見ての対策でなければならぬ、こういうふうに思うのです。税制で幾らやってみても、これは限度がある、こういうふうに思うわけです。税制におきましては、ただいま申し上げましたように、法人所有の土地につきましてもあるいは個人所有の土地につきましても、今度御提案の個人所有の方が御承認願えますれば、かなり完備したものになる、こういうふうな考え方をしておるわけですが、法律案につきましては、ひとつ十分御審議のほどをお願いします。
  95. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いまの質問に対して、これからの問題ですから、これからの土地税制をどうするか、そうして本当に地価を安定させ宅地の供給がふえるような方向に向かって——これは、この土地問題について、税制だけがすべての役割りを果たすというようなことはできるはずのものではないけれども、この問題が、いままでのいきさつから見ましても非常に問題であっただけに、これから大蔵大臣としてどう考えているかをお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  96. 大平正芳

    大平国務大臣 いま副総理からもお話がございましたように、根本はインフレ対策を厳しく遂行することでございまして、幸いに土地価格が下降傾向にありますことは喜ばしいことでございますけれども、なおこの傾向が定着してまいりまして、諸物価の鎮静化と相まちまして、経済の安定を図ることが施策の根本であろうと思います。  それから、税制の問題でございますが、五十年度といたしましては、今日の事態、長期保有の土地処分による譲渡益の重課について御提案申し上げておるわけでございまして、本年度とたしましては、これで一応、対応策として十分有効適切でないかと考えておるわけでございますけれども、なお、税制の面から、足らないところがあれば精力的に追及してまいる、検討してまいることは当然と思っております。
  97. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これにて広瀬君の質疑は終了いたしました。  この際、去る一月三十一日の矢野絢也君の質疑に関し、外務大臣より報告を求めます。宮澤外務大臣。
  98. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 去る一月三十一日、本委員会におきまして、矢野委員よりお尋ねのございました、米国の輸送船サージャント・T・キムブロー号の積載の貨物の問題につきまして、事の重大性にかんがみまして、政府といたしましては、同日夕方より関係方面にも依頼をいたしまして調査を始めまして、今日に及んでおります。  本件につきまして、かねて委員長から、調査が長引く場合には中間報告を申し上げるようにというお話でございましたので、ただいままでにわかりましたところを御報告申し上げます。  正確を期しますために、直接調査に当たりました政府委員より報告申し上げることをお許しいただきたいと思います。(発言する者あり)
  99. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 御静粛に願います。
  100. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 一月三十一日の本委員会で、矢野委員より御質問のございました、サージャント・T・キムブロー号によるWHMK101の搬入問題につきましては、ただいま外務大臣からもお話がありましたように、政府といたしましては、これを重大な問題として受けとめまして、直ちに米側に照会いたしておりましたが、二月五日の夜、米側より、要旨次のとおりの回答を得た次第でございます。  一、一九六八年以前のコンコード港積み出し貨物に関する記録は廃棄処分にされているため、矢野委員予算委員会で提出されたDDフォーム四八七号を原本と照合することはできなかった。  二、矢野委員より御指摘のあったWHMK101という識別記号は、ウォーへッド・マーク101を意し、これは在来型対潜魚雷MK44の通常弾頭を示すためにのみ使用されるものであり、したがって核弾頭を意味するものではない。  以上につけ加えまして、米側の説明によりますと、MK101のみの場合は、爆雷ルルの識別名として用いられております。他方、ウォーへッドMK101は、MK44という魚雷の弾頭部分でありまして、この魚雷MK44と爆雷MK101には、共通する部品は全くありません。  また、国防省の記録によれば、P3対潜哨戒機は、一九六六年までは岩国には配置されておらず、一九六五年当時においては、P2対潜哨戒機が岩国に配置されていたとのことであります。  以上が米側の回答の要旨でありますが、政府といたしましては、キムブロー号の航海記録が入手できるかどうか等につきまして、さらに米側に照会中であることを申し添えます。
  101. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これより矢野君の保留分の質疑を許します。矢野絢也君
  102. 矢野絢也

    ○矢野委員 質問をいたしますに先立ちまして、委員長初め委員、さらに理事各位から再質問の機会を与えていただきましたことを感謝いたします。  さらに、先ほど御報告がございましたが、事柄の重大性にかんがみまして、この総括質問終了の時点までに、中間報告とはいえ、内容については私たちいろいろ異論がございますが、日本政府として照会をされたことの労について敬意を表したいと思います。  そこで御質問いたしますが、政府の、このMK101は核専用である、こういう御答弁を前提といたしまして、先日の予算委員会で私が指摘をしたわけでありますが、DDカーゴ・ストウエッジ・プラン、貨物保管計画公式書類に基づきまして、キムブロー号でMK101の名称を持つ兵器——ここをあえて、という名称を持つ兵器というふうに申し上げますが、そのMK101の名称を持つ兵器を輸送されたという事実について、原本と照合できないということでありますが、日本政府としても、たとえばキムブロー号が存在するかどうか、あるいはこのような公式書類が存在するかどうか、こういつたことについて、いろいろと御調査されたものと思います。これが核であるか非核であるかは、これからの議論の問題、これからお尋ねしますが、少なくとも、私の指摘した、MK101の名称を持つものが輸送された事実があるかどうか、この点についてまず御判断を伺いたいと思います。これは外務大臣に伺いましょう。
  103. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 矢野委員からお示しをいただきました書類そのものは、コピーでございましたけれども、恐らく間違いなくこれと同じものが、廃棄処分にあっておらなければ存在をしたであろうというふうに私どもは考えまして、実はそれを求めることを米側に依頼をいたしたわけでございましたが、廃棄処分になっておったということでございました。  それから、キムブロー号そのものは、現在も就航をしておるようでございまして、したがいまして、その航海記録を調べることが可能ではないか、そういうことで大分時間はたっておりますけれども、過去のその時点の航海記録を求めたいと思って、この調査を継続いたしておるわけでございます。
  104. 矢野絢也

    ○矢野委員 これは防衛局長伺いたいと思うのです。防衛局長さん、決して私、いやがらせをするつもりはないのでありますけれども。  先日、私が、MK101は核専用ですかとお尋ねしたことに対して、そうですという意味のことをお答えになったわけです。ところが、アメリカから、WHMK101、これはMK44の通常弾頭のみである、こういう説明があった。そうすると、せんだって、そうですとお答えになった。ところが、今回このようなアメリカからの回答があれば、ああそうですかと言う。これはちょっとおかしいのじゃないか。アメリカは、この際は、核持ち込みをしたのではないかという容疑者であります。その容疑者の回答を、何の疑いもなく信ずる、その辺のところがどうも理解できないわけでありまして、この点についてお答えをしていただきたい。  さらにまた、MK44の通常弾頭としてのWHMK101もあるのかもわかりません。これは後ほど聞きたいと思います。あるのかもわかりませんが、MK101は核だとする政府の認識から言えば、核弾頭のWHMK101もあるのではないかと疑いを持つのは、常識上、私は当然のことだと思います。そのような疑いをなぜお持ちにならなかったのか、この点について防衛局長から御答弁願います。
  105. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 先般、矢野先生の御質問で、いわゆる核兵器、それから核、非核両用兵器、これについて、いずれが核専用であり、また非核両用であるかという御質問がございまして、それにお答えを申し上げたわけでございますが、その過程におきまして、MK101というのはどちらであるかという御質問で、私は、ジェーン年鑑の記載によりまして、これは核爆雷となっております、というふうに御答弁を申し上げたわけでございます。いわゆるMK101という完成の兵器ということで、それが核であるかどうであるかということになりますと、私御答弁申し上げましたように、公然資料によりましては、MK101しか該当するものがないということで、それ以外の部品についてMK101という名前がついておるということにつきましては、実はその後の調査によりまして、非常にたくさんあるということがわかったわけでございます。これはいま申し上げましたように、いわゆる核か非核かという前提でのお答えでございますると、核についての専用はMK101しかない。その他の問題につきましては、その後御資料の御提出がありまして、私どもいろいろ調べました結果、いま申し上げましたように、いろいろなものがあるということがわかっておる、こういうことでございます。
  106. 矢野絢也

    ○矢野委員 これは言葉をかえて申し上げますと、WHMK101は、アメリカの説明によれば、MK44の通常弾頭のみだ。それは決して核爆雷MK101の核弾頭であることを論理的に否定しているものじゃないのです。つまり、なぜ「のみ」ということになるか。これは非常に重大な問題なのです。この点については、こういう問題点が残っておるということをここで指摘しておきまして、具体的に次の問題に進みたいと思います。  まず第一点でありますけれども、これは外務大臣に伺いたいと思いますけれども、常識的に見まして核専用であると判断されるものですら、あるいはまた日本政府がこれは核専用であると認識しておるようなものですら、このような説明ですりかえられるといいますか、私たちの判断では、ごまかされる、こういう判断をしている。こういう状態なら、核兵器に関する一切の名称、 コード、これは部品も含めてですが、そういうものの一覧表でも、日本政府があらかじめもらっておらなければ、一々チェックできないじゃありませんか。たとえば、アメリカが事前協議を無視して勝手に運んできた、明らかに私たちの常識では核だと思うものでも、問い合わせをすれば、いや、これこれです、こういうことでは、アメリカが事前協議を無視して持ち込んだ場合だってチェックできない。さらにまた、安保条約の第四条に基づいて随時協議の申し入れをする根拠すら、日本政府としては持ち得ないことになる。これでは、核が目の前で爆発する、確かにこれは核だ、こういうこと以外に、政府として、この事前協議や随時協議の問題をどのようにして処理なさるのか。これは非常に私は疑問だと思いますが、この点について、これは簡単で結構です、このような一覧表に準ずるものを、日本政府はお持ちになっているのかどうか、これをまず伺いたいと思います。
  107. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 詳細は防衛庁の政府委員からお答えしていただくのが適当かと存じますが、私もこのたび初めて知りましたことは、MKというのはマークということだそうでございます。これは様式を意味する略語の由でございまして、したがって、MK101という様式のものは各種の兵器についてあるのだそうでございまして、これは私、実は初めて知りましたので、申し上げておく次第でございます。
  108. 矢野絢也

    ○矢野委員 いまのは答弁じゃありません。(発言する者あり)
  109. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 御静粛に願います。
  110. 矢野絢也

    ○矢野委員 事前協議に違反して、事前協議を無視して持ち込んできた、あるいはまた、こちらから随時協議の申し込みをする、その場合、核兵器に関する名称、コード、あるいは核兵器の部品に関する名称、コードがわかっていなければ、そういうことができないじゃないかということを私は聞いているのです。そのことをお答えください。ほかのことはお答えの必要はありません。
  111. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 わが国として、恐らくそのようなものは持っておらないと思いますし、核兵器の一々についてその性能等を知らされました場合に、恐らくそれなりの機密保持というものがついてまいるかと思いますが、そのようなものをわが国が守り得るかどうかということにも、あるいは問題があるのではないかと想像をいたします。
  112. 矢野絢也

    ○矢野委員 そのお答えでは納得できません。これでは、事前協議はもう完全に空文だということになりますね。しかし、これは非常に重要な問題ですけれども、私の後の質問がつかえておりますから、私から一通り申し上げた後で、もう一遍これは伺いたいと思います。これは後でもう一遍伺います。  次に、これは防衛局長さんに伺いますが、自衛隊のMK44、通常魚雷でございますね、その通常魚雷の弾頭の識別コード、記号というものはどのようになっておりますか、簡単にお答えください。
  113. 山口衛一

    ○山口政府委員 お答えいたします。  海上自衛隊におきましては、補給に当たりまして、ストックリストをつくっておりますが、ただいまのマーク44につきましては、弾火薬コードは二種類に分かれておりまして、弾薬火薬コードの番号は一三五六−Z一〇一、品目名WHEADMK10。これはコンピューターの記号が九けたでありますので、最後の1が取れておりますが、WHEADというのはウォーヘッドの略でございます、それから弾種コード一一〇〇、そこに備考としまして、マーク44魚雷実用頭部MK101MOD0、これは三十六年から三十九年にわたりまして、アメリカからMAP及びFMSによりまして輸入、無償供与を受けたもののコードでございます。  二番目のコードは、弾火薬コードの一三五六−Z一〇一−J、品目名MK101MOD0、弾種コード一一〇〇、備考マーク44魚雷実用頭部MK101MOD0−N、このNというのは国産でございますが、このようなものが弾種コードの内容であります。
  114. 矢野絢也

    ○矢野委員 先ほどからの説明では、私が指摘したWHMK101というものは、MK44の通常弾頭だという意味の御説明がありましたけれども、全然これはコードが違うじゃありませんか。いまの御説明では、まずWHというのがついていないじゃありませんか、WHというのが。それから、私が指摘したのはWHMK101であります。MODなどというややこしいのはついておりません。  私はここに、これは別の船積み表でありますけれども、たとえば0がつく場合には、この船積み表にも明らかにMK1010と書いてあります。自衛隊が持っている通常弾頭だと言っているものは、まずWHがついていない。しかも、私が指摘した書類とは違う、MOD0という記号がついておる。識別コードというのはそんないいかげんなものじゃないはずですよ。ですから、私が指摘いたしましたMK101、WHがついておりますね、それと、あなた方が言うMK101、MOD0、これが別の品物じゃなくて同一の品物だ。なぜそう思われたのか、その理由を聞かしてください。全然根拠ありませんよ、それは。
  115. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 よくわかるように言わなくちゃだめだな。
  116. 山口衛一

    ○山口政府委員 ただいまの御質問は、弾火薬コードにつきまして、どのようなことであるかということでございましたので、弾や薬コードそのままを申し上げましたが、ただいま私が説明しましたとおり、品目名のところにWHEADMK10とありますが、これはまさに先ほど申し上げましたとおり、米軍から供与、輸入をされました米軍のものでございます。これはWHEADという品目名で私どものは入っております。WHというのはウォーヘッドの略だとわれわれは考えまして、101というものと同じであるというふうに推定はいたしますが、そのものがこれであるのかどうかということにつきましては、そのものを見ておりませんし、WHMK101というのは、たまたまこれと符合するというふうに考えております。
  117. 矢野絢也

    ○矢野委員 いま非常に重大なことをおっしゃったのですよ。たまたまそれに符合するというふうに言われたのです。アメリカの回答はそうだ、WHMK101がMK44の普通弾頭に該当するのだ、こう断定的に言っておる。いま聞けば、たまたまそれに符合するものだ。私は冒頭に、なぜ「のみ」ということになるのですかということを伺っているのですよ。ましてや、いま申し上げたとおり、私が最初に伺った識別コードでは、MK101MOD0というのがつく。識別コードで、あなたはお答えになったのでしょう。私が言っているのはMOD0なんかついていない。この辺の区別をはっきりしなければアメリカの回答がおかしいということになるじゃありませんか。これははっきりしてください。これは私が言っているものとは別の品物ですよ。
  118. 山口衛一

    ○山口政府委員 お答えいたします。  品目名というのは、私どものほうの自衛隊のストックリストによりますと、品目名が先ほど申し上げましたとおりWHEADMK10でございます。それで備考としまして、私どものほうにはMK101MOD0、この0というのはアメリカのものであるという記号で、0とわれわれつけております。MODというのは型だというふうに私どもは名称をつけておりますが、これは私どもの備考名でございます。
  119. 矢野絢也

    ○矢野委員 ちょっとこれを見てください。これは別の表ですよ。こういうふうにMK1010と、0というのがわざわざついたやつもあるのですよ。ついたやつもあれば、ついていないやつもあるのです。それを一緒だというのはおかしいと言っているのです。
  120. 山口衛一

    ○山口政府委員 MODというのは型式、0というのは、私ども、アメリカから得ているものに0をつけておりますし、その次のは、私どもで国産しておりますものはMOD0−Nというふうにつけておりまして、私どものコード番号と備考名は、このようになっておるということでございます。
  121. 矢野絢也

    ○矢野委員 その答弁じゃ納得できませんよ、こんな重大な問題。識別コードが同じだからということを論拠にして、私が言ったものは、自衛隊が使っているMK44の普通弾頭だということを言いたいのでしょう。コードが違ったら何にもならないじゃありませんか。同じものだと断定する根拠は何もありませんよ。これはあとでもう一遍やります。重大な問題ですから残しましょう。言うだけのことを先に言わしてもらいましょう。  第三点、申し上げましょう。  WHMK101MOD0は識別コードであると、先ほど説明がありましたけれども、もう一度念のために伺いますが、このコードというものは、そんないいかげんなものじゃない。他のものと区別するための、峻別するためのきわめて重要なコードである、意味を持つものである。これはイエスかノーか答えてください。そんないいかげんなものじゃないと私は思うのです。適当に変わるかどうかということを、イエスかノーで答えてくださいい。
  122. 山口衛一

    ○山口政府委員 ただいま矢野委員の言われましたとおり、コードというものは全部コンピューターに入っておりまして、それのみで識別がされるものであります。
  123. 矢野絢也

    ○矢野委員 そういたしますと、私が質問で申し上げておる品物、これは、今回のアメリカの回答というのは、私の質問の回答になっていないということを、これから証明しましょう。  先日も三木総理にお見せいたしましたこのDDカーゴ・ストウェッジ・プラン、つまり、わかりやすく言えば船積み指示書、大きなやつ、それとセットになったカーゴリストというのがある。これは三木総理にだけ、せんだってお見せしましたね。このカーゴリストというものが私の手元にあるわけです。  カーゴリストには、それぞれの品目について、さらにこれが具体的に表示されているのです。よろしゅうございますね。このカーゴリストというものは、コンコードのアメリカ海軍兵器部より送り状が別途飛行機で田浦に送られてくるわけです。これは正式の送り状ですね。その送り状に基づいて、田浦で受け入れる荷物を船おろしをするためにつくっているものです。しかも、この私が持っておりますものは、私が示した、外務省でお調べいただいた書類とワンセットになった書類であります、というのはおわかりいただけたと思いますけれども。  そして、このカーゴリストには、WH101とは書いてないのです。これは非常に大事な点です。と申しますのは、コードとしてのWHだということを強調していらっしゃるわけですね。WHMK101、このWHというのはコードなんです。私のこの資料には、フルスペルでWARHEADMK101と書いてあるのです。外務省は、あるいはアメリカ政府は、コードとしてのWHMK101についての回答をお寄せになったか知りませんが、これを送り状によって別に書き記したものによれば、コードとしてのWHじゃない、単語としてのフルスペルのウォーヘッドということになっているのです。非常にややこしい意味のことを申し上げておりますが、これは非常に重要なことなんです。だから私は先日もこのリストを読み上げましたときに、ウォーヘッドMK101と言って、WHとは読んでないのです。コードとしての略したWHじゃなくして、単語としての、つまり弾頭という意味を持つ、フルスペルで書かれておる言葉で私は申し上げているのですよ。いまあなたは、 コードとは、他の品目と峻別するそれなりの正確さを持ったものだと言われた。私が問題にしているのはWHじゃないのです。フルスペルのウォーへッド、弾頭という固有の意味を持つMK101を言っているのです。これはどう見ても核爆雷の弾頭という意味になるのです。コードとしてのWHじゃないのですよ。だからMK101の弾頭WHMK101、ましてやここにMOD、0がつくかつかぬかという重大な疑問がありますが、それとは別に、いま申し上げた意味におきましても、これは自衛隊がお持ちになっておる通常弾頭のものとは違う。これを一遍見てください。この書類、お見せしましょう。装備局長さんですか。これをごらんください。WHじゃないでしょう。  伺いますけれども、WHというコードという意味において、それがMK44の普通弾頭だと説明されましたけれども、これはコードじゃございません。言葉としてのウォーヘッドMK101が、それが同じだとおっしゃるなら、その理由を示してください。
  124. 山口衛一

    ○山口政府委員 先ほど申し上げました点は、弾火薬コードといたしましては、自衛隊におきますものは一三五六−J一〇一及び一三五六−Z一〇一−Jというのが弾火薬コードの名前で、先ほど申し上げましたとおりでございます。それから、先ほど品目名と申し上げましたが、品目名としまして、ここに一つはアメリカからもらったものが、日本のストックリストではWHEADMK10、それから日本のものはMK101MODの、それから備考としまして内容がこう書いてあるというふうに先ほど申し上げました。これは先生のおっしゃるとおり、コードという名前のみで言いますと、弾火薬コードというところの一三五六−Z一〇一というところがコードでございます。それから内容としまして、品目名、備考というのが、私どものストックリストにこのように載っておるということで、私どもはこういう記号で、内容は、マーク44の実用頭部のものであるというふうに先ほど御説明申し上げました。  それから、アメリカのコード及び品目名というものを見てみますと、アメリカのものは、コードとしまして一三五六−六二八−一一四一……(矢野委員「私の質問に答えてください。ウォーヘッドとWHは違うじゃないかと言っているのですよ」と呼ぶ)私どもの方には、自衛隊のリストにはWHEADというふうに書いてありますが、アメリカのコードにおきましては、やはりコードとしましては番号が書いてありまして、アイテムネームとしまして、ウォーヘッド、WARHEADMK101−0というふうにアメリカのアイテムネームというところには書いてありますが、コードは一三五六−六二八−一一四一ということでございます。
  125. 矢野絢也

    ○矢野委員 非常に重要な問題を私は伺っておるのに、あなたは全然見当違いなことを答えていますよ。  最後にもう一点伺います。第四点。私の手元に、アメリカのニューメキシコ州のカートランド空軍基地にある、国防総省の原爆博物館に展示されているルルの写真がある。これには、MK101・イコール・ルルと間違いなく書いてある。MK101・イコール・ルル、ルルというのは、紛れもなく核専用爆雷です。しかも、先ほどからいろいろ議論して、ろくなお答えがなかったけれども、WHというコードじゃなくして、ウォーヘッドという単語を持ったMK101、つまりルルの弾頭だということをこの書類が示しておるのです。MK10というのは核だということがはっきりしているのです。しかもそれの弾頭だということも明確になっておるのです。そこで、どうしてもあなたが、私の言っているのが自衛隊のMK44の通常弾頭だとおっしゃるのならば、このルルの核弾頭のコードと重量を教えてもらいたいのです。それから、この構造を教えてもらいたいのです。私はチェックするそれだけの資料を持っております。教えていただけば、チェックして間違っているかどうか、教えていただいたものとこれとが違うておれば、私は私の疑惑は根拠がなかったものとして引き下がりますよ。核爆雷ルルの構造、弾頭の重量、弾頭のコード、これを教えてください。
  126. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 私どもでは、核関係の兵器の構造図、性能、そういうものは一切持ち合わせておりません。国会で御答弁を申し上げておりますのは、ジェーン年鑑その他の公然資料をもってお答えを申し上げておるわけでございまして、私ども直接こういう兵器を取り扱う立場にございませんので、持っておりません。(発言する者多し)
  127. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ちょっと静かにしろ。静かに。静かにしたまえ。
  128. 矢野絢也

    ○矢野委員 兵器専門家の説によりますと、弾頭というのは、特に核弾頭は、その部分が重要なだけに、取り外しができるようになっておるのです。それ自体独立したコードを持っておるのです。政府は私が指摘したものはMK44の通常弾頭だとおっしゃっているでしょう。ああそうですがと言うわけにいかない。なぜかならば、私の指摘したものはルルの弾頭だ。それならそのルルの弾頭はコードで何と言うのだ。重量はどれだけあるのだ。これを教えてもらって初めて、私の質問が間違っているかどうかわかるのです。それを明かしもしないで、そして政府ですら常識的に核だと思っておったものを、アメリカから一枚の紙切れが来て、通常弾頭ですとやられれば、ああそうですか。ああそうですがまではいいです。それは何も私の資料が核爆雷の弾頭を意味するということを否定する根拠にはならない。先ほどおっしゃったじゃありませんか。否定する根拠にならないのなら、このルルの弾頭 コード、重量、構造を教えてください。私の手元の資料と照合して、合っておれば、これは核爆雷の弾頭です。合っていなければ、これはあなた方の言うとおり、通常弾頭のみということに、私は承服いたしますよ。のみということが承服ができない。どうですか。この問題はいいかげんな感じじゃ済まされませんよ。
  129. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 通常弾頭、つまりMK44魚雷の弾頭でございますウォーヘッドMK101、これにつきましては、先ほど装備局長から申し上げましたように、われわれの扱っておりますコードナンバー、これは先ほど申し上げたとおりでございます。今般アメリカから外務省を通じて知らせられました中身は、同じ魚雷マーク44の弾頭に使うウォーヘッドMK101である。それで、先ほど矢野先生から御指摘がありましたように、そのあとにMOD、0ということがついておらぬのではないかという御指摘でございまして、なるほどそのとおりでございます。そういう意味で、正確にそのコードといいますより名称がぴったり合っていないではないか、こういうお話でございますので、その点については、はっきりこれとこれが同一物であるということを断定申し上げることは困難かと思います。常識的に申し上げまして、MK44という魚雷の弾頭である、名前がウォーヘッド101、そこまでが合致しているということで、同じものではないかというふうに申し上げたわけでございます。
  130. 矢野絢也

    ○矢野委員 いま、MK101の弾頭に照応しておる、しかしこれが核弾頭でないことを断言するものではない、という意味のことをおっしゃいました。それは非常に重要な発言だと思うのですよ。あくまでも、のみではないということを——アメリカは、のみだと言っていますね。あなたの見解は、のみを意味するものではない、ひょっとしたらルルの爆雷を意味することもあるかもわからぬという意味のことを言っておるんですよ。  これは委員長、私は先ほど四点を伺ったのです。もう一遍、整理して申し上げましょう。  常識で核専用と判断されるものですら、こういういいかげんな説明で政府は納得されようとする。こういう状態では、事前協議をアメリカがサボタージュしたときにどうしてチェックができるか。あるいはこちらが積極的に随時協議をどうしてしかけることができるか。せめて核の部品や核の兵器の一覧表でも持っておれば、それはできる。私は別におどかすわけではありませんけれども、キムブロー号以外の船の船積み表を四つ持っています。まだここにあるんです。非常に興味深い内容がたくさん書いてある、核兵器に関して。まだあるんです。ところが、その一覧表でももらって確認して質問しなければ、政府ですら核兵器だと言ったことを、問い合わせすれば、違いますよということになるんでしょう。私たちは何を信用してこういう調査をすればいいんですか。調査をする必要はないとでもおっしゃるのですか。  ですから、第一点、こんなでたらめなことで事前協議や随時協議ができるのか。あるいはこういう資料に基づいて私たちがまじめに質問しても、問題解明の役に立たぬじゃないか。これが第一点です。第二点は、自衛隊のMK44の通常魚雷の弾頭はWHMK101MOD0これがコードです。私が言っているのは、WHMK101であって、MOD0などというものはついていない。WHがつくかつかぬで、WHがつかないMK101なら核だ、WHがつけば手品みたいに奇妙きてれつに核でなくなる。それほどコードというものは重要なものなんでしょう。MK101なら核だけれども、WHがついておるからこれは違うんだと言っておるんでしょう。それほどコードというものが重要なら、MOD0というものがついているかついていないか、これはきわめて重要な相違点じゃありませんか。なぜこれをもって、私が指摘しておるこの物品を通常弾頭だと政府が断定することができるのか。その理由の説明がないじゃありませんか。  第三点は、先ほど言いましたとおり、WHMK101じゃない。ウォーへッドMK101だ。フルスペルとしての、単語としての、弾頭という意味を持つ言葉としてこれは記載されておるんです。コードとして、つまり記号としてWHと書かれているんじゃない。ですから、私の御質問に対する答えにならないでしょう、アメリカの回答は。なぜこれが答えになると政府はお考えになっておるのか。これが第三点。  第四点は、私の指摘しているものがルルの核弾頭でないとおっしゃるんなら、そのルルの核弾頭のコード名称と重量と構造を教えてもらいたい。私の手元にあるこのデータに基づいてチェックすることができる。それぐらいのことをしてもらってもいいでしょう。  この四点を伺いましたけれども、全然ろくな回答がありません。こんな回答も説明もできないような状態で、そしてアメリカの回答、ああそうでございますかなどと言われたんじゃ、これは総理まずいですよ。  私は、まだあと五点聞きたいことがあるんです、いま四点申し上げましたけれど。より具体的な資料に基づいて……。こんな調子では、これは聞けませんよ。委員長、これはよろしくお願いしたいです。あと五点ある。聞けませんよ、この調子では。(「委員長委員長」と呼ぶ者あり)
  131. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ちょっとお待ちください。(「議事進行」と呼ぶ者あり)議事進行はありません。待ってくれ。私の発言中、お待ちください。  矢野君の御質疑と外務省並びに防衛庁の答弁と、果たして食い違いになっているかいないか、この点は非常な——私が聞いていたんではわかりません。何となれば、専門家でございませんからわかりません。(発言する者あり)やじはどけ。そこで、もう一遍ひとつ外務省あるいは防衛庁、責任をもって、いまの質疑に対して、アメリカとの問い合わせ並びにひとつ専門的な研究をしていただきまして、すみやかに矢野君の答弁に納得できるような資料を提出していただくということで、矢野君、いかがでございましょうか。
  132. 矢野絢也

    ○矢野委員 委員長の御指摘のとおり、確かに話が専門的なことになりまして恐縮いたしております。ただ、私もほんとうは専門家じゃないのです、はっきり言いまして。ただ、こういうすれ違いのいいかげんなことを言うてくるから、これは相手方の土俵に入って——私はペンタゴンと違うのです、はっきり言いまして。しかし、ペンタゴンになったつもりで調べて、あくまでもこの疑惑を解明しなくちゃならぬと思って、論理的に伺っているんです。だから、お聞き苦しい点がありましたことはおわびいたします。  なお最後に、いま委員長からそのようなお取り計らいがありました。これは私が判断をするのには、総理のお答えを聞いてから判断をしたいと思いますので。
  133. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 国民の中に核持ち込みの疑問があることは事実でございます。したがって、矢野委員の指摘された問題は重要な問題であることを認めます。しかし、きょうは中間報告として申し上げたのでございまして、これは政府の方としても、航海日誌なども手に入らないかと照会しておりますし、ウォーヘッドマーク101、ただマーク101、マーク44、ルルとの関係等、もう少しいろいろと政府の方でも解明をいたしまして、そしてこの予算委員会が終わるまでに、最終的な報告を申し上げて御了承を得たいと思っております。
  134. 矢野絢也

    ○矢野委員 それじゃ、一言。アメリカのこの中間報告で、日本政府としては、核持ち込みの疑惑が晴れたと判断しているわけじゃない。なお疑惑があるので、引き続き、私が指摘した点についても調査をしてみたい、この点ちょっとお答えください。
  135. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 こういう問題を提起されました矢野委員が、御納得が得られないわけでございますから、それに対して政府は答える責任がございますので、なおいろいろ御疑問のある点については、政府の調べられる限り調べまして、そうして御報告を申し上げたいと思っておるわけでございます。問題は、矢野委員にいろいろまだ疑問がたくさんにおありのようでございますから、その疑問は政府の側においても十分承っておるわけですから、できるだけその疑問にお答えできるような処置をとりたいと思うわけでございます。
  136. 矢野絢也

    ○矢野委員 委員長、大変時間を御配慮いただきましたことを感謝申し上げます。それじゃ、なお引き続き調査をしていただくということでございますので、委員長の方でよろしくお願いしたいと思います。
  137. 山田太郎

    ○山田(太)委員 議事進行。ただいまの矢野委員の質問に対しまして、私が聞いておりましても、また専門的な用語が入るとはいえども、矢野委員の質問に対しての明確な答弁がないというように断定してもはばからないと思います。  しかし、委員長から、やはりその点も勘案し、よくわからないということも考え、あるいはその答弁内容等々も不満足の点も考え、資料等も出させて、また、理事会において、この問題を検討していくという点もあわせて、やはり同じく、他日、近い期日にこの問題の処理を考えていただきたいと思います。  なぜならば、この核の問題は、何といいましても、国会の非核三原則の決議も、もちろん国民の総意でもあり、また国是とも言える問題でございます。その重要な問題でございますゆえに、ただ単に予算委員会の問題のみならず、全国民の注目の的になっている事柄でございます。これは言わずもがないことでございます。  なおその上に、ただいま総理から、矢野委員の納得のいくような処置をする、また資料のことも考えて、納得のいくような処置をするという御答弁でございます。その点を明確にしていただくことをお願いしておきたいと思います。
  138. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ちょっとお待ちください。  ただいま山田委員から、議事進行について動議がございました。まことにごもっともであると思います。  なおひとつ、防衛庁長官並びに外務大臣、質問と答弁と食い違っておるかあるいは食い違っておらないかの判断も、私ではよく判断つきませんが、しかし、もう少し勉強して、よく答弁のできるようなことにしてもらわないと、立法府といたしましては非常な迷惑千万、厳重な警告をいたします。  ただいまの山田君の動議でございますが、理事会でよく研究すると同時に、なるべく早い機会に資料の提出もすることで、きょうは質疑は終わります。
  139. 矢野絢也

    ○矢野委員 ありがとうございました。
  140. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 次に、四日の楢崎君及び昨日の岡田君の保留分について、楢崎君の保留分もあわせて、岡田君より質疑をすることをお許しいたします。岡田春夫君。
  141. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ただいま公明党の矢野書記長の御質問、それに対する答弁を伺っておりましたが、委員長は、自分は専門家でないからまだ判断ができない、こういうお話でございます。私も静かに伺っております限り、これはまさに矢野書記長の言われるとおりである、このように私は心証を明らかにいたしてまいりました。  この点につきまして、私、社会党としても、日本には核が持ち込まれている、こういう点について、具体的にこれから質問をいたしてまいりますが、このことは、すなわち、矢野書記長の言われたことが正しいということを裏づけることになる、そういう意味で、具体的な点で、角度を変えまして質問をいたしたいと思います。  そこでまず第一点は、昨年の十二月二十日に、楢崎君がこの予算委員会において質問をいたしているのでございますが、この質問に対して一政府は答弁を留保されております。  そのことはどのことかというと、二つの問題でございますが、一つは、航空母艦ミッドウェーの中に、スペシャルウエポンという部隊がある。このスペシャルウエポンという部隊は核部隊である。この点が質問の第一点であります。     〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕  第二の点は、これはまさに矢野質問に直接関係をすることにもなるわけでございますけれども、持ち込まれたただいまの核爆雷が、横須賀を通って岩国に貯蔵されている。この岩国に貯蔵されているという具体的な場所が、楢崎委員の質問において指摘をされているわけであります。  すなわち、岩国の中にMWWU−1部隊というのがある。この部隊は、岩国の中で、建物としては一八一一という建物である。この点は一九七一年の春の岩国基地における電話帳の中に明確に出ている。この点を明らかにしてもらいたいということ、並びに、その隣の建物である一八一〇という建物には、二重の有刺鉄線と夜間照明用のライトがつけられており、その上、これに対しては二棟の監視塔がある。そして、先ほど言ったMWWU−1という部隊が看板をそこに立てて、いつもライフル銃をつけて、二十四時間の警戒をやっている、この事実について楢崎君から質問があったわけであります。  すなわち、矢野書記長が言われたこの核爆雷、それ以外の核兵器が、岩国にはこのような倉庫、部隊の中に格納されているということを裏づけたわけであります。これについての答弁は保留されておりますが、これについてはどのようになっておりますか。
  142. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 岡田委員から御質問のありました二点のうち、第一点の、空母のミッドウェーの中に特殊兵器班、スペシャル・ウエポンズ・ディビジョンというものがあるという問題でございますが、この点につきましては、私の方でアメリカ側に照会いたしましたところ、ここにいいます特殊兵器には、保安上の理由で特別の取り扱いを要する通常弾頭戦術ミサイル及び核兵器が含まれておるけれども、このような特殊兵器班なる名称が付された班があるからといって、必ずそういう特殊兵器が置かれているわけではないというふうな回答でございます。     〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕  それから二番目の、米軍の岩国飛行場の弾薬貯蔵地区にございます建物、一八一〇という建物の使用目的に関しましては、アメリカ側に照会いたしましたが、これは海兵航空団第一武器隊の執務に必要な場所を提供すること及び同武器隊が行う兵器取り扱い及び訓練のために必要な場所を提供するということを回答いたしてきた次第でございます。
  143. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 アメリカ局長、あなたその答弁で満足ですか。私がさっき聞いたのは、一八一〇と一八一一を聞いているんですよ。一八一一はどうなったんです。電話帳に書いてあると言ったのはどうなったのですか。調べたのですか。アメリカに聞かなくたって、電話帳の問題なら、あなた調べられるでしょう。外務省の中に電話帳を持っているでしょう。調べてきたの、どうなの。  まず第一点、電話帳を調べてきましたか、どうですか。これだけ答えてください。
  144. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 アメリカの電話帳につきまして、あることは事実でございますが、建物一八一一というものがあるかどうかについては、まだ確認いたしておりません。
  145. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 だめですよ。質問を年末にしているのに、いまだに調べてないというのはどういうわけですか。電話帳を持ってきなさい。どうなっているのですか。——電話帳がなければ、見せてあげよう。
  146. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 電話帳の問題じゃない。答弁が先。
  147. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 調べてないじゃないですか。調べてな.いから、電話帳があると……。
  148. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 答弁しろ、答弁しろ。電話帳の問題じゃないんだよ。答弁だ。
  149. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 だから、電話帳を調べてないんだと言うから、電話帳を見せてやると、こう言っている。
  150. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 建物一八一〇につきましては、先ほど申し上げましたとおり、照会して調べた次第でございます。  実は楢崎先生の御質問の趣旨が、一八一〇について調べろということであったと、われわれは了解しておったのでありますが、さらに一八一一という建物があるかどうかという点につきまして、電話帳その他について、われわれは調べておりませんので、その点はさらに調べまして、お答え申し上げます。
  151. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 外務省は非常にふまじめです。なぜなら、私は速記録を読んでいるんですよ。一八一一という建物があります。同じところですが、そこにはMWWU−1という部隊が初めてあらわれてくる云々と、速記録の中に書いてあるじゃないの。なぜ調べないの。こんなことじゃだめですよ。  それでは、もっとはっきり言いましょう、私も進めなければならないから。  一九六九年八月の岩国の電話帳には、コマンダー・オブ・ザ・ガードというのがあって、その後に括弧してNBCウエポン・セクション、これを日本語で言うと核・生物・化学兵器小隊警備指揮官、これが一八一〇にある。電話の番号は三〇四七番。これは電話帳の十五ページにある。  第二、同じ電話帳の三十二ページにNBCオフィサー、すなわちニュークリア・バイオロジカル・ケミカル部隊、これの指揮官、いわゆる核兵器の部隊という意味です。これが建物は一〇一、電話番号は四二四四と三三一五。それから一八一一という建物には、NBCウエポンズ・セクション1、括孤してMAG−15、電話番号は三五七九、四四六八、このように書いてあります。したがって、いま私がここで読んだとおりに、まさに核が持ち込まれているということが、電話帳で明らかになっているじゃありませんか。岩国には核の部隊があって、指揮官がおって、その指揮官のもとにおける将校もおって、小隊がある、こういうことに、電話帳ではっきりしているじゃありませんか。これをどうしてお調べにならないか。はっきりしている。これが六九年ですよ。  七一年の電話帳を申し上げましょう。七一年の電話帳には、建物一八一一、先ほど申し上げたMWWU、それの1ですか、これの看板のかかっているところが一八一一。しかもその中にはオフィサー・イン・チャージ、オペレーションズ・オフィサー、サプライ・オフィサー、こういうようにはっきり書いてあって、これは核の警備部隊並びに核の具体的な担当の部隊であることを証明している。こういう点からいって、六九年、七一年の電話帳においても、これは明らかに岩国の中に核の部隊がいるということを立証しているではないか、こういう点が第一点であります。しかも、この点についてお調べになっておらないというのでは、話にならないわけであります。こういう点で、重ねて御質問をいたしておきます。
  152. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 そういう部隊がおりまして、NBCオフィサーというものがいることは、事実のようでございますが、これは、そういうものについて取り扱う資格のある将校がいるということでありまして、そういうものを、具体的にその岩国の基地内において扱っているということは、私たちはないと信じます。  それから一八一一の建物につきましては、楢崎先生の御指摘の点は、MWWU−1の部隊が一八一〇の中に入っておる、そこの建物が有利鉄線や夜間照明用のライトがついておるということでございましたので、それを中心に調べたわけでございます。ただ一八一一の問題について十分な調べがなかったではないかとの御指摘がございましたので、その点はもう一度調べます。
  153. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 最初のことは、そういう部隊があり、将校がいるということは認めたわけですね。しかし、それは核を扱っているかどうかはわからない、こういう御答弁ですか。しかし核部隊と書いているのに核を扱ってないのですか。  もう一度言いますよ。一九六九年の電話帳の十五ぺ−ジには、NBCウェポン・セクション1というのがある。NBCというのは核ですよ。また二十四ページにはガード・パーソナル・NBCウエポンズ・NBC・核を扱っている警備兵のいるところ それから三十二ページにはNBCオフィサー。全部核部隊だということを証明しているじゃないですか。核の部隊、そういう名前のものは知っているけれども、核を扱っていない、こういう意味ですか。この点が一点。  第二点は、先ほど申し上げたMWWU−1というのが一八一一にいるのだ、これを調べなさい、こういうことになっている。これは調べると言うのだから、それはいいとしても、前の点はどうなんですか。核部隊がこのようにいると、はっきり言っているのに、あなた、そういう名前があることは認めたけれども、核があるかないかはわからない、こういうわけですか。
  154. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 私は、この部隊にNBC将校というものがいるということは申し上げましたけれども、これは核部隊であるということは申し上げておりませんし、ましてや核兵器がここに存在するということはあり得ない。これは政府がたびたび申し上げておりますように、事前協議なくして、アメリカはそういう核兵器を持ち込むことはあり得ないというわけでございます。したがいまして、これは将校がいましても、アメリカの将校はもちろん各地に転属するわけでございますから、そういう核に関する訓練は受けておりますし、そういう訓練を受けた意味で、そういう資格を備えている将校がいる、そういう一種のタイトルとしてはあるかもしれませんが、これが核部隊であるとか、核を基地内において直接扱っておるというようなことはないと考える次第でございます。
  155. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 局長、あなた常識持っているのですか。アメリカの部隊の中に、核という職能のある部隊があるのですか。そういう職能、資格を持っている将校だというのですか。そういう意味だというのですか。はっきりしてください。それでは、アメリカに核という将校の資格を持ったそういう部隊が、そしてまた兵隊が、あるいは将校がいるのですか。あなたのおっしゃったのは、そういう意味ですね。
  156. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 米軍は全世界に展開しているわけでございまして、核を扱う将校がいるということは当然でございます。そして、そういうものとして、そういうトレーニングをいたしておりますから、その意味で、そういう専門的な訓練を受けた将校がそういうタイトルとしてあるということは事実であります。  これは、かつて国会でも御質問を受けましたが、沖繩においても、核兵器専門職というのがあるではないかという議論がございました。これも、その当時お答え申し上げましたけれども、それは一つの資格を示すものでございまして、その本人の資格を示すものであって、そういう資格があるからといって、その人が常に核兵器を扱っているということはあり得ないのでございます。
  157. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 だめですよ、これでは。質問できません。冗談でないですよ、あなた。核という職種がある、そういうことなら、その職種の根拠を、アメリカの軍事的なそれによって明らかにしてください。あなた、そんなことを言うけれども、あなたの自己的な判断だけでそんなことを言われたって、納得しませんよ。冗談でないですよ。核一等少佐とか核二等少佐なんてあるの。そういうのがあるの。あるならあると言ってくださいよ。アメリカの核一等少佐、これを聞かしてくださいよ。
  158. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 もちろん階級ではございません。そういう専門の訓練を受けた者に対して、そういう専門職というもののタイトルがつけられるということはあるようでございます。これは沖繩に関連いたしまして、かつて問題が提起されたことがございまして、われわれはアメリカに照会して、そういう職種はあるということでございました。
  159. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ちょっとこれはあきれてものが言えないですよ。なお、それだけではありません。あなた、きっと、訓練をやるかもしらぬが、実際にはないと思うし、そういうものはやっていないだろう、こう言うつもりだったのだろうと思う。そこまでまだ答弁しないが、答弁するなら、してもいいですよ。そういう職種がある。職種があるとおっしゃるなら、アメリカの軍事的な関係の正式書類において、そういう職種のあるということを立証してください。はっきり立証してください。どういう軍事的な書類の、公式文書の中のどこにあります。それを言ってください。
  160. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 アメリカのそういう軍隊の職種全部について、われわれが承知しているわけではございませんけれども、この問題に関しては、われわれがそういう職種があることを聞いておるわけであります。向こう側から、照会して聞いておるわけでございます。
  161. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それはだめです。あなたの個人的なそんな見解を言ったってだめですよ。はっきり、どういう文書のどこにこういう職種があって、たとえば一等少尉なら一等少尉、それに核という資格のついたものを——陸軍、海軍、その中に工兵部隊とかなんとかいうのがあるわけでしょう。その工兵と同じように、核という職種の少尉なら少尉、大佐なら大佐というのがあるんだというなら、それをはっきりしてください。そんな職種がありますか。冗談でないよ。
  162. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 私が職種と申し上げましたのが、おわかりいただけなかったかもしれませんが、軍人はいろいろな意味での訓練を受けるわけでございまして、その訓練を受ければ、そしてそれに合格すれば、一つの資格が与えられる、そういう意味を持っておるという意味でございます。そういう意味で、この将校たちは、そういうものを扱う資格を持っておるということでございます。
  163. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 じゃ、もうちょっと進めましょう。  それじゃ、あなたの解釈では、そういう指揮官なら指揮官というのは職種である、そして岩国には核がない。訓練はしているのですか。その点はどうですか。
  164. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 米軍の訓練の詳細については、われわれは承知しておりません。
  165. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 もう一度答弁。核はあるのですか、ないのですか。
  166. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この問題については、政府がたびたび申し上げておるとおりでございまして、アメリカからこういう核兵器の持ち込みについて協議を受けたことはないわけでございますから、岩国にそういう核があるはずはないと信ずる次第でございます。
  167. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 先ほどまでは、一九七一年の電話帳でお話をした。今度は、現在使われている電話帳でお話をしましよう。現在使われている電話帳はこれであります。その中の、岩国の電話帳の三十六ぺ−ジ、在日米軍の全体の電話帳の二十九ページ。これにはMAG−15、これはマリーン・エア・グループ。この中にヘッドクォーターS3というのがある。その項目の中にNBCオフィサーというのがある。いいですか。それは建物の名前は一四三一−A。これはNBCオフィサー。あなたので言うと、職種の士官がいるわけだ。それからその次、岩国の電話帳。現在使われている電話帳の三十三ページ、在日米軍の電話帳の三十ページにはMABS−15、これは飛行中隊です。これのへッドクォーター、司令部にS3というのがあって、その中にはNBCチーフというのがいる。NBCチーフというのは、これは主任という意味でしょう。核を扱う主任。さっき言ったのは核を扱うオフィサー、士官。このチーフのほうのビルは一六九〇、電話の番号は三八二一番。あなた、電話かけてみなさい、ここからすぐ。核があるかないか、聞いたらすぐわかりますよ。しかも、これはトレーニングではない。いいですか、トレーニングではないということを立証します。  もう一つ、岩国の電話帳の十九ページ、在日米軍の電話帳の二十五ページ。ここにトレーニングNBCDという部隊の欄がある。これは訓練部隊です。いいですか。このNBCDのDは、これは普通爆弾ですよ。ですから、NBCというのは、核とバイオロジカルとケミカルという意味です。ここでNBCDと書いて、前の方でNBCと書いている限り、普通爆弾ではないということは明らかですよ。そして、ここにはNBCDNCOというのがいる。これは下士官です。これのバルの建物は四三〇七、電話の番号は三七六六です。こんなにはっきりしているじゃないか。トレーニングじゃないんですよ、前の二つは。実戦部隊なんです。これは職種じゃないのです。なぜならば、チーフがあって、オフィサーがあって、NCOがあるのですから、部隊編成になっているじゃありませんか、あなた。職種なんて言ったら、国民に笑われますよ。外務省の局長ともあろう者が、そんなことを言って笑われないようにした方がいいですよ、あなた、答弁はつらいかもしれないけれども。こんな常識のないことを言ってはいけませんよ。部隊編成がこれで——三木総理、チーフがおって、オフィサーがおって、下士官がいる、これは明らかに部隊じゃないですか。しかも、これは訓練の部隊、下士官がおって、実戦部隊が先にあるということをはっきり示しています。どうです、この点、あなたお調べになるか、まだ職種だと言ってがんばりますか。あなた、電話帳の前のやつでさえ調べていないのだが、これは現在使われている電話帳です。これは外務省にあるでしょう。外務省にある電話帳を調べてごらんなさいよ。調べて、もし何だったら、そこに電話がありますから、かけてごらんなさい。電話、通じますよ。局長の答弁では、私、納得できません。外務大臣、ひとつ御答弁をいただきたい。
  168. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほどまで政府委員から申し上げましたことが、そのとおりであると思います。
  169. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ちょっとよくわかりません。いまの答弁は、私の言ったことがそのとおりであると私には聞こえましたが、それでよろしいですね。
  170. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 外務大臣宮沢喜一君。よくわかるように答弁願います。
  171. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほどまで政府委員から申し上げたとおりであると思います。
  172. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 宮澤さん、悪いけれども、さっきの答えは七一年の話をしているんですよ。私の言っているのは七四年のことを言っているんですよ。さっきは、七四年の答弁は一つもしていませんよ。政府委員の答弁のとおりって、七一年のことで、七四年のことはないじゃないですか。
  173. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは、なぜそういうことを政府委員が知っておったかと申しますと、沖繩返還のときに、NBCオフィサーというものがいるではないかというお尋ねが、国会でございまして、それで、それは何であるかということを、実は正式に照会をいたしたわけでございます。それに対してアメリカ側から、これはNBC、そういうような訓練を受けたところの特殊技能を持っている人たちである、そういうタイトルを持っている人たちであるという答えがございましたから、それを知っておるわけでございます。  そこで、ただいま承っておりますと、電話帳の中に、そのチーフもある、その下士官もあるというお話でございますから、それは、そういうことはあろうかと私は思いますので、したがって、政府委員が申し上げましたことに間違い、偽りはないように私は思うのでございます。
  174. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 しかしこれは、こういう事実を質問しても、電話帳を調べてないというのですから、調べていただきたい。  それからもう一つ、調べていただかなければ、これはわかりませんが、いまの御答弁を伺っていると、沖繩問題に関連して、そういうアメリカの返事があった、回答があった、それは文書であったのですか。どうなんですか。
  175. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 NBCオフィサーという問題は、当時から問題になっておりまして、それから最近におきましても……(岡田(春)委員「いや、文書であったのですか、ないのですか」と呼ぶ)それは、国会での御質問がございましたときに、われわれの局といたしましては、必要に応じてアメリカ側に問い合わせをして、返事をもらっております。文書という問題ではございませんが、内容は全部向こう側から正確に聴取した上で、国会で御答弁申し上げておる次第でございます。
  176. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それじゃ、文書ではないんですね。
  177. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 当時、私は担当しておりませんけれども、当時のわれわれのやり方といたしましては、国会でいろいろと御質問がございましたときは、直ちにアメリカ側に照会いたしまして、回答を受け取っておるわけでございますので……(岡田委員「文書があるかと言っている」と呼ぶ)そういう文書はないと存じます。
  178. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 これほど問題になっておるんですから、委員長、お取り計らいをいただきたいのですが、こういう重大な問題は、やはり文書での回答をもらっておりませんと、先ほどの核爆雷問題などについては、文書による回答があったわけですから、こういう点は、はっきりアメリカ側に照会をしていただいて、公式の文書による回答をいただかなければ話になりません。こういう点はひとつ後で、お取り計らいについての運営は理事会にお任せいたしますから、これははっきり決めていただきたい。
  179. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 岡田春夫君の御提案、理事会で相談いたします。
  180. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 この問題は、文書で明らかにならない限りは、われわれは了解できませんよ。さっきのように、職種がありますなんて、総理大臣、それはわかりますか。部隊の編成までできているんですから、電話帳で。電話帳に部隊の編成が全部あるんだもの。そこまで明らかなのに、これは職種でございますなんという話では問題になりません。私は納得いたしません。  それから楢崎君の第二の問題ですが、スペシャルウェポンの部隊というのは、あるというのですか、ないというのですか。ミッドウェーの中に、スペシャルウェポンはあるのですか、ないのですか。しかもこれについては、あなたは速記録をお読みになったと思うけれども、これは一九七四年十月十八日のD・S・ポッター海軍長官代理の署名入りの公式の文書の中にこれがある。ですから、これはあることは間違いないと思うのですが、どうですか。
  181. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 空母ミッドウェーの中に、スペシャル・ウエポンズ・デパートメントというものがあることは事実でございます。
  182. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 これは間違いない。そこで、あなたはまだしらをお切りになるだろうけれども、私は実は去年の十月十六日、横須賀において、複数のミッドウェーの乗組員に会っているんですよ。その部隊の職種は——あなたの好きな職種ですが、リペアパーティーです。この人に詳しく内容を聞いてあるんですよ。スペシャルウエポンというのは、これは核部隊ですということをはっきり言っているんですよ。あなたはアメリカの回答において、どういうあれをされるかわからないが、それじゃ、そういう問題で、私は具体的に明らかにしましょう。  ミッドウェーの中には、少なくともこのような核兵器がある。核の形は、本体は長さ六フィート、直経三フィート、そして本体全体は白に塗ってある。ただし、この頭の方ですね、先頭、先端の部分と、後ろの方に四枚のひれがついている、先頭と四枚のひれには赤い色が塗ってある。これが核兵器である。いいですか。しかも、この核兵器はどこにあるか。私は複数の乗組員に確認を求めた。ミッドウェーの甲板の上から四番目、第四甲板に入り口がある。その入り口から二つのエレベーターがあって、最初のエレベーターから少しおりてからまた次のエレベーターに乗りかえたところに核が置かれている。しかも、その核の格納庫の場所はSASと言う。ここまではっきり私、実は調べてあるのです。  もう一つ、あなたは訓練について調べてないとおっしゃった。これは岩国部隊についてでしょう。ミッドウェーの部隊については、航海を一回するたびに最低一回以上の訓練をやる。その訓練は、名前はブルー・ベルズ、第二はブロークン・アロー、第三はキャメロット、この三つの訓練を行う。この部隊の複数の乗組員に、私は、この訓練に参加しましたか、参加いたしております。はっきり答えており、続いて、これは重要な点ですが、この訓練の際には必ず、胸のボタンをつけるところに放射能検出のバッジをつける。核の汚染がある場合には、この放射能の検出器に先に反応する。その場合に、核の汚染がわかるから、直ちにこの訓練を停止する。このことが一つ。それじゃあなたはミッドウェーの中に核があるということを確認されますか、そうしたら彼は平然と答えた。われわれは、艦内においてはこのように上級将校から言われています、横須賀の町に出ては、市民に言ってはいけない、しかし、艦内では原爆の問題は何ぼ言ってもよろしいと言われています、そして、この核兵器の名前は愛称、俗称としてニューキーという名前を使っています、ここまで言っている。ニューキーということで、艦内で核兵器の問題をいろいろ話しています、こう言っている。しかも横須賀で、いままでの政府の答弁によると、核兵器は、横須賀に着港する前におろすというような話を政府はしているようだが、あなたはそれを信用できますか。この複数の乗組員は、そんな事実は全然ありません。しかも、いいですか、キャメロットというのは核兵器積みおろしの訓練ですが、自分が船に乗ってから、キャメロットの演習をやったことは一度もありません、ここまで言っていますよ。ここまで言っているのですから、あなたがスペシャルウエポンがどうであるかこうであるかとおっしゃっても、われわれは納得ができません。船に直接乗っている人に、ここまではっきり聞いてあるのですから。この実態をひとつお調べいただけますか、どうですか。SASということ並びにこのような訓練の種類、こういう点等について、ただいま私が具体的に申し上げましたが、お調べいただけますか、どうですか。
  183. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま仰せられましたことは、概してかってラロック証言というもので言われました内容と、概括的には私は似ておることだと思います。したがいまして、それにつきましては、政府は正式に米国に照会をいたしまして、答えがありましたことは、昨年の十月でございましたか、御承知のとおりであり、さらにフォード大統領来日の際にも、そういう話がありましたことも、御承知のとおりであります。そういうことを具体的に調べるかということにつきましては、私ども調査をする考えはございません。
  184. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ラロックと似ておりますから調査する気持ちはありません、こういうことですか。ラロックと全く同じではありませんよ。ラロックはSASというものがあるとか、核の大きさは何であるとか、訓練はこういう三種類の訓練を行うとか、こんなことなんか全然言っていませんよ。そういう点についても調べるつもりはない。  これ、ちょっと重大ですから、あなたの方でもあれしてください。これは調べる気はないとおっしゃるなら、私は質問できません。冗談じゃない。そんなのは話になりませんよ。問題になりませんよ。
  185. 田中武夫

    田中(武)委員 議事進行。約束の時間も迫っているようでございますが、いまのような外務大臣の答弁は、これは国会に対する答弁として、われわれとしても納得できません。そこで、先ほど岡田委員が申し上げて、理事会で御相談願いたい、こういった点を含めて、もう一度岡田委員の方から、この点、この点、この点ということを挙げてもらいますから、それに対してどうするかを、ひとつ理事会で相談する、そういうようにいたしたいと存じます。
  186. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 わかりました。
  187. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 理事さんがそうおっしゃいますから、私やりますが、確認をしろという第一点は、まず第一に電話帳に岩国の基地内の電話の番号をまず確認願いたい。そしてそれに基づいて——核という職種がある、こうおっしゃるのならば、それは文書にようてアメリカから正式の回答をもらってもらいたい。その点が第一の問題ですね。  第二点の問題については先ほどからミッドウェーの問題について伺いました。ミッドウェーについては、いま、ラロック証言に似ておりますとおっしゃるけれども、ラロック証言以外のことを、具体的に私は聞いているわけであります。すなわち、核の大きさの問題、その核兵器に色がどういうように塗られているかという問題、並びにその格納庫はSASという名前で、第四甲板に入り口があるという問題、それからその訓練は三種類の訓練が行われているという問題、それはブルー・ベルズ、ブロークン・アロー、キャメロット、こういうものが訓練として行われているという問題、これもラロックが言っておるわけではありません。それから訓練の際には必ず胸に放射能の検出器をつけて訓練をやる、こういうことも明らかになっておりますし、ミッドウェーの中では、ニューキーという愛称を使って核の問題が自由に話をされているという問題、こういう点について、もう一度アメリカに問い合わせて御調査を願いたいということであります。  以上であります。
  188. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 以上、岡田君の発言でございます。理事会でよく研究いたします。
  189. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 時間がありませんので、私自身の留保した質問はなくなってしまいました。しかし、これについては別な機会にいたしまして、きょうはこれ以上進めないことにいたしたいと思います。
  190. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ちょっと、そこのところはよくわかりませんが、進めないというのですか、保留というのですか、どっち……。
  191. 田中武夫

    田中(武)委員 これは理事会における約束の時間もありませんので、一応これでおきますが、いま再確認をした点、及び、これは実は岡田質問と楢崎保留分をあわせてやってもらう予定でしたが、それができていないので、その点の時間等については、後ほどこれも含めて御相談をするということで御善処をお願いして、一応この際、おきたいと思います。
  192. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 わかりました。それら一切を含めて理事会で研究いたします。  これにて岡田君の質疑は終了いたしました。  理事会で研究はいたします。      ————◇—————
  193. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  本日、海外経済協力基金理事大島隆夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  195. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 次に、去る三日の安宅君の質疑に関し、外務大臣の報告を求めます。宮澤外務大臣。
  196. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 釈明をさせていただきます。  実は、過日安宅委員からPLOの問題についてお尋ねがございまして、そのときに私が、PLOが日本に事務所を持つ持たないということの関連で、その場合、PLOの代表と話し合う用意があるかないかとお尋ねでございました。これにつきまして、私が申し上げ方が不十分であったという御指摘がございまして、実は速記録を調べさせていただきました。私の真意ではございませんでしたが、申し上げた言葉を非常に選んでおりまして、かえって申し上げたことの真意が不明確になったきらいがございます。この点につきましては、総理大臣がすでに御発言になりましたように、PLOの事務所を設けたいということが、PLOの中のアラファト議長の属される団体から、もし話がございましたら、その段階において政府としては考えるということ。しかし、そのことと外交的承認ということとは別個の問題であるということ。なおその際、PLOの代表者が——総理大臣の場合には、総理大臣御自身のこととしてお答えになりましたが、政府に対して会見をしたいということがあれば、お会いをするのにやぶさかでない。こういう意味のことを申し上げたつもりでございましたが、真意が明確でないということでございますので、この点は安宅委員におわびを申し上げまして、私の真意を釈明させていただきます。
  197. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 安宅常彦君、先日の保留分の質疑を許します。安宅常彦君。
  198. 安宅常彦

    ○安宅委員 外務大臣の釈明は釈明として聞いております。  いま、核の問題で、岡田さんからお話がありました。外務省の一般的な伝統として、全部逃げを打つということだけに専念をしている結果、ああいうことになったのだろうと私は断定いたします。  あなたが釈明するのはそれは結構です。ただ、理事会にぜひと私が申し上げておったことの中に、もう一つあります。     〔委員長退席小山(長)委員長代理着席〕 朝鮮民主主義人民共和国との交流の問題のついて言うならば、三木さんは、政治家も人間の中に入っているから、そういう経済交流その他を皆含めて、そして今度は交流をやるんだという答弁をいたしました。これは一国の宰相として、非常に何か国民から、そのまま生の声を聞いたならば、なぜあんなことを、政治家も人間の中にあってあたりまえじゃないか、サルじゃあるまいしと、そういうことになるのです。あるいは国民は、政治家はサルだと思っているかもしれませんよ、ああいうことばかり言うんだから。それは別として、あなたはそういう答弁をされた。  そうしたら外務省は、次の日、これは読売新聞の二月四日の記事でありますが、「三木首相は三日の衆院予算委員会で、わが国と朝鮮民主主義人民共和国との関係について、「承認は時期が成熟していないが、交流はこれまで通り積み重ねていく。(こうした人物の交流では)政治家も含まれる」と述べた。これは従来、スポーツ、文化、人道、経済の分野に限って認めてきた北朝鮮から日本への入国を政治面にも拡大することを示唆したのではないかと注目されているが、同夜、外務省筋は「タイミングの問題だ」と語り、冷え切った日韓関係を立て直す方が先決であり、政治の分野での北朝鮮との交流は当面“凍結”する方針を明らかにした」こういうふうなことをコメントしておるわけですね。ことにその最後の方に、こういうふうに書いてある。「このため、三日の首相発言が、この外交演説を“軌道修正”するものかどうか関心を集めたものだが、同筋は質問した安宅常彦氏(社会)との問答の内容を検討、「(首相発言は)前向きではあっても、これを実施するというのではない」と政策変更を意味しないことを強調した」  これはどういう意味ですか。外務省というのは、一々首相が答弁したことを、へ理屈をつけて、これに論評を加え、これに反対する、そういうことを新聞社に発表するような機関ですか。アジア局長、きょう来ていますか。こういうことは、あなたがやったのかどうか。だれがやったのか、明確に犯人を調べなければなりません。
  199. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは私からお答えする方が適当であると思います。  総理が答弁をされましたことが、わが国の外交の方針でございます。したがいまして、事が起こりましたときに、ケース・バイ・ケースで判断をしていくということでございます。
  200. 安宅常彦

    ○安宅委員 いまの問題もそうですよ。パレスチナ問題でも、私は、ゼスチュアだけじゃないですか、三木さん、ということを言って、アメリカの議会で問題になっているという新聞記事まで出して、そうして話し合いをする用意がありますかと言った。なるほど、議事録を詳細に調べます——私が断定したときには、そういうことじゃございませんと言っていますよ。だけれども、話し合いをする用意があるとも言ってないし、貿易事務所を開くなどとは一つも言ってない。そうしたら今度は、ぎりぎり突っ込まれると、やっとその次の日あたりに、今度は貿易事務所もつくりますという表現になっている。こういう何か、逃げて逃げて逃げまくって、どうにもしようがないときは白状するみたいな、どろぼうの論理だ、それは。そういうことをあなたさせてはいけませんよ、あなたが総理になった以上。これ以上私は言いません。  こういうことはぜひひとつ宮澤さんも考えてもらわなければなりません。あなたもそうですよ。アメリカとの照会なんて、そんな意思はありません、ただそれだけですね。そのうち今度、逃げて逃げて逃げまくってきたけれども、白状しなければならないような時期が——あなたもいんぎん無礼、頭のいいことをかさに着てだか、私は知らないけれども、そういうことをやっている答弁はいつかはばれる、こういうことを覚悟しなければなりません。  それで私はこの間の保留の問題に入りますが、私が要求した資料は「韓国の不実企業の実態」という資料でありました。これに対して、私に持ってきた外務省の資料は全部、見せますよ、総理。これは全部消していますよ。あなた一遍よく見なさい。これは何ですか、一体。あれほど出すと言ったのでしょう。そしてその中には、十ページほど裂いてあるところがあります。これはどこかと言いますと、政治家と経済界との関係を書いているところですよ。私はどうせ持っているから、質問には事を欠かない。だから後は言わないけれども、そういうことをやらなければならないほど、私が一番最初に申し上げた韓国の第三次経済開発五カ年計画の調査団、この調査団が韓国を訪問して報告した中に、経済外の問題がこの経済援助に関して入り込んでいる。たとえて言うならば、銀行が商業ベースで金を貸したなどという例は皆無である。商業以外のペースで貸してある。それから、商業借款やその他借款の枠をもらう場合には、有力者の口添えがなければだめだという声があった、こういうことを中心にして、この経済使節団の会議を開いて、どういうわけでこういう文書になったかということを直ちに調査しなさいと私は言ったのです。それは何も回答がありませんから、これはどういうことかまず聞いておきたいと思うのですね。どういうふうに始末をする問題か、五カ年計画の報告書の問題について。これは私は言いませんよ。この問題は取り上げません。ばかばかしくて仕方がないからです。  しかし、ここで第二点としてお伺いしたいのは、こういうことなんです。第三次五カ年計画の調査団が何らかの証拠に基づいて文書化した問題、もちろんこの中に含まれている分も恐らくあるだろうと思います。これは日本政治家もいろいろ名前が出てくる問題も、別な報告書にあります。私はきょうは言いません。それを言ったら、あなたまた腰を抜かすだろうと思うからです。これはヒントだけ与えておきましょう。この文書の番号をみれば一遍でわかることであります。頭のいい宮澤さんですから、わかるでしょう。ですから、こういう問題は、後で私は政府の発表の範囲内で質問することはあると思います。しかし、すべて私の責任ではない。なるほどあなたがおっしゃったとおり、不測の事態、あなたの官僚が説明したところによりますと、殺されるかもしれない。つまり、政治家と経済機関が結びつき、それから政治家と銀行が結びつき、そのために、いつでも問題になっているように、地下鉄の車両が倍になったりする。なぜそういう倍になるかという問題が明らかにここに浮き彫りになっているからです。これは三十分の質問の中では、私は証拠を示してできませんから、徹底的にこれをやる機会がある、これを覚悟しておいていただかなければなりません。ですから、あなたに申し上げますが、第二点は、なぜ、こういう事態が起きているそういう国に、いままでの方法で海外経済援助を続けていかなければならないかという問題です。あなたがおっしゃっているでしょう。私だっていやなのですよ。これは私の責任で、私の資料によって質問したということになったら、私も命が危ないかもしれないから言っているんですよ。ようござんすか。あなた方も危ないと言っている。韓国人も危ないと言っている。皆さんの韓国大使館も危ないと言っているんですよ、あなたの下僚は。だから、そういうことを私の責任でやったらたまったものじゃないから、政府が出す。マル秘文書でも何でもない。どこにも出回っていますよ。そんなことを言うなら、私のところにさえ来ているんですから。だから、そういうことをなぜ続けていかなければならないか。続けていくのが妥当でないとするならば、日本政府において、日本の国会において、どこかにそれをチェックする機関が必要ではないかという、さきの質問に私は戻るわけです。いかがですか。
  201. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 不測の事態云々と申し上げましたのは、私どもについて申し上げたことではございませんで、その報告をいたしました韓国の個人あるいは法人、並びにその中に名前の載っております韓国人等との関連において申し上げたわけでございます。  それから、調査団の報告でございますが、せんだっても申し上げましたように、確かに調査団の報告にはそのようなことが書いてございます。実は私が申し上げとうございましたのは、それは政府に対する報告でございますから、私ども執務の参考には十分いたします。しかし、それを政府の見解だと申し上げるわけにはまいりません。また、そういう性格のものでないということを申し上げました。  そこで、ただいま御指摘になりました国会に対するいろいろな報告、これは大平前々外務大臣が答弁しておられますとおり、国会がそういう問題についてできるだけ知っておられなければならないということは、わが国のたてまえから言って当然でございます。したがって、一般に民主主義は公開の原則によって運営されるものでございますから、できるだけそうでなければならないわけでございますが、外交の問題について、その公開の原則というものがどの程度に行われることが適当であるかという問題は、やはりあるように私どもは感じるわけでございます。すなわち、よその国の政治のあり方について、これを逐一隠さずに、私どもの見るところを国会に申し上げることが常に必ずよろしいかということになりますと、私どもの立場から申しますと、それは場合によりましては、相手国に対して礼儀を欠く結果になることがあろうと思います。」また、わが国としてはどのような国とも親善関係を結びたいという立場から申しますと、そのような努力に支障を生ずるおそれがあるということも、おわかりいただけるであろうと思います。そのような観点から申しますと、できるだけ公開にいたすべきでございますけれども、ただいまのような外交的配慮というものも、これは恐らく安宅委員にも少なくとも一部は御理解を願えるところであろう、こういうことも考え合わせまして、前からお約束をいたしておりますように、経済協力の態様、内容についてはできるだけ詳しく国会に御報告を申し上げるべきである、そういう方法を考えるべきであるということを私ども思っておりますけれども、ただいま申し上げたこととの関連において、それをどのようにいたしたらいいかということを、私どももう少し詰めて考えたいと思っておりますことを、そのまま申し上げたわけてございます。
  202. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたの長々と言う答弁を聞いてみますと、韓国の政府のやり口について一々言うと、外交方針その他で支障がある場合がある、こういうのです。日本企業がどういう韓国の企業と結びついて、そしていろんな商取引でせっかくの民生安定、自立経済、向こうの被援助国のそれを助けるためにやっているか、こういうなのに、日本企業がおかしなことをしている例がたくさんあった、実際あるのです。だから、この問題について、私は日本のやり方がおかしいからということを重点に、過去の何回もの国会で、不実企業を含めて質問しているのです。その中では、たとえば私が名前を出して恥ずかしくないような企業、私は政府の御用達でも三木さんの御用達でもない、韓国にこういうものを輸出しているのです、そのために韓国はいま非常にりっぱになっているのです、インドネシアもそうですというような企業、どことどこがやったかは絶対企業の秘密だから言えないなどという援助じゃなくて、それをきちっとするためにやったらどうか。たとえば公開入札なんか、いいじゃないですか。中曽根さんは、「お説のように、やはり公明なものでなければならぬと思います。御指摘の点はよく調査してみまして、是正すべきものがあれば是正いたします。」公開の原則なんかいいじゃないかと言っているのですよ。前の前の国会、四十九年の二月の国会ですから、ちょうど一年前。それは韓国のことばかり言っているのじゃない。日本企業のことを言っている。日本企業はどういうことをやっているかということを、何もいまの私の要求した資料が墨で消されたからという、しっぺ返しで言うわけじゃないけれども、韓国では有名な学者がいろんなことを言っていますよ。日本の援助の一番大きな特徴は何か、こういうことを書いてありますね。ひもつき借款が主軸である、サプライヤーズクレジットである、資本の供与者もしくは彼が指定する商社の商品を買い入れなければならないという条件が必ずつけられる。こうなると、金を貸したのに対して元利をせしめるばかりでなく、その上に自分の会社の商品まで売りつける。こういう日本海外経済協力は、まさにこのようなパターンで定型化されつつある。これは韓国の有名な学者が発表していることですよ。そういうことを私は言っているのです。韓国のことを言っているんじゃない。われわれの国の商社は、だれがどういうぼろもうけをしているかということを聞いているのです。だから、こういうものについて、たとえば公開入札なんかどうだと言ったら、けっこうでしょうと、中曽根さんは言っている。そのときにあなた方は、そういうことを——たとえば聞きますけれども、これはいま言いましたが、あなたは、外交がまるっきり与野党がこんなになっていたら、政権交代なんかはないと言っておるけれども経済援助だって一つの外交ですね。その外交の中に与野党あるいは学識経験者、産業界の代表などを入れた、つまり海外援助というものは輸出振興のためなどというのではなくて、本当に被援助国が経済が自立して、国民が本当に幸せになる、こういうふうに改めるためにはどうしたらいいかというような、たとえば諮問機関などを設ける用意がないか。あるいは国会のことだから、私は知らぬと言われるかもしらぬけれども、自民党総裁として、自民党、社会党、共産党、公明党、民社党皆含めて、みんなこの問題についてどうしたらいいかということをコンセンサスを得るような、議会におけるそういう討論する場所、あるいは計画を立てるというかチェックをする場所、これは外務委員会の小委員でも何でもいいから、そういうところに設ける意思はないかということを私は質問しているのですよ。そこのところをもう一回思い出してください。こういうことになったならば、一つは外交方針だってコンセンサスを得られる、そういうことができるのではないでしょうか。これは大変重要なことですから、外務大臣でなくて、総理大臣からお答えを願いたいと思います。
  203. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 援助をめぐっていろいろな疑惑が起こるということは——これはやはり援助というものによって国民的な友好関係も培われていくということも、援助の中には、背景にはあるわけですが、そういうことでいろいろな疑惑があるということになれば、援助が国民国民とのベースで結びつかないことになりますから、いろいろ御指摘のような問題は、海外援助のあり方に対しては、政府部内においても、いろいろと御指摘のようなことも頭に入れて、検討をいたします。  どういうふうな方法がいいか。いま言われたようなのは、国会ではいろいろこうやって御論議を願うわけですが、これも一つの批判をされて、そのことで、政府としてもいろいろ反省をしなければならぬ面も出てくるわけでございましょうから、これを何かの機関ということになりますと、国会の関係もございますし、しかし、何か疑惑を起こさないように、入札は公開するということも一つの方法でしょう。今後援助を通じていろいろな疑惑があるということは、これは政治不信でもあるし、ことに相手国もあるわけですから、国際的にも、非常に不信な感情を両国民に与えるようなことがあってはいけませんから、これは国会の方でも御研究を願いますし、政府部内でも十分にそういうことを頭に入れて、今後この海外援助が明朗な形に行われるような検討は加えることにいたします。
  204. 安宅常彦

    ○安宅委員 結局、あなたもまた逃げの答弁ですよね。じゃ、そういう機関を設けることについていろいろと各党で話し合うとか、そういうことも考えておりませんか。政府における諮問機関でいいですよ、議会は別として……。
  205. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 たとえば決算委員会等もございますし、そういうことで、国会で何らかこういうものに対して検討されるような機関——機関といいますか、小委員会のようなものを設けることに対しては、御研究の余地があると思うのです。
  206. 安宅常彦

    ○安宅委員 その前提が必要なんですよ、総理。きょうは穏やかに言いましょう、もう時間がありませんから。徹底的にやりたいのだけれども。穏やかに言うのには条件があるのです。たとえば海外経済協力基金などというものは、予算書も何も出てこないのです。おとといでしたか、わが党の楯さんが言いましたね。法律に基づいているから構わないのだ。これは経済協力基金だけで一年間にどれくらい金が出ていると思いますか。八千億も出ているでしょう。そういう金はやみからやみに、だれのチェックも受けないでやられているのです。ちなみに私は聞きますけれども海外経済協力基金で、これは経済効果がどうなっているのか、うまくいっているのか、そういうことをチェックする機関がありますか。  それから経済企画庁には、これは聞いたのですけれども経済協力第一課というのがそれをやっていますと言うのです。谷村さんという課長さんは、あなたの課では何人おるのですか、そうしたら、九名でございます、そういうチェックするとか、そういうことを評価したりする係だけが九名ですか、いやその他の仕事もございます、大変少のうございます、先生、少し増してくれ、と言うのですよ。それはどれぐらいかと言ったら、半分ぐらいでしょう、四人ぐらいだと言うのです。四人でこの膨大な機構を、国会でチェックする機関条件もいまわれわれは与えられていないのです、それをやれるのですか。  今度は通産省に聞いてみたい。通産省も答えてください。今度は輸出のやり方の問題があるわけですね。これはいままでならば、延べ払いの関係があって、LCスイッチ方式というのですか、それだったらわかるけれども、リンバース方式でどんどんやられる、正常な貿易でやられるということになりますと、チェックする場はわれわれの場合にありません、こういうふうに答弁している。実際にできないんじゃないか。  それから外務省は、どうです。外務省は分課分掌規程まではいきませんが、調べてみたら、これも経済協力局の中に若干の課があります。そういうところは、実際にそういう計数をはじいてやる課じゃないと思います。じゃ日本の行政機構の中で、国会の中で、盲めっぽう、天井知らずにいくのではないかということを楯さんが心配して聞いた。その心配を本当に裏づけるだけで、何らチェックする機関がないじゃありませんか。こういうことを私は言っているのですよ、総理。だから、これを国会に報告する機会に、予算書に出すようにする、それが一つの問題。そういうことを考えたことはありますか。  それから、各省、もう時間がないみたいですから、これ以上言いません。たとえば金大中さんの問題なり、あるいは文世光の事件なり、オーグルさんという人が日本の空港で何かやられた問題なり、それから金チョル佑という、私が前に取り上げた在日韓国人の家族が、いまどんな尾行を受けたり、どんな奇怪な事件に遭遇しているか、これは全部きょうやりたかったけれども、時間がない。分科会で徹底的にやりますから、これは省略いたしますけれども、どうかいまの基本的な問題についてだけ、各省でどういう答弁をされるか、それを、欠点を補う機関として、抽象的なことではなくて、具体的にどうしたらいいかということを答弁してくださいよ、各主管大臣ごとに。
  207. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 海外経済協力につきましては、安宅さんが御指摘のように、これはもう非常に各省、各庁に仕事が分かれておりまして、これは何かひとつ統合して、この協力問題を見るという仕組みが政府部内で必要じゃないかなという考えを持っているのです。いま硬直化問題、これで行政組織やあるいは行政のあり方を再検討するというような問題もありますが、そういう際には、ぜひこの問題もひとつあわせて考えてみたい、こういうふうに私は思っているのです。  なお、経済企画庁とすると、経済協力基金の監督をやっておるわけですが、これは少数精鋭でちゃんとやっている、こういうふうに思っておるわけですが、いたずらに人数の多いこと、これをもって誇りとするわけじゃございませんけれども、なおお言葉もありますので、少数の力を最大に発揮いたしまして、その職責を尽くしたい、かように考えております。
  208. 安宅常彦

    ○安宅委員 基金の何か理事が来ているそうですが、総裁じゃないとわからないですがね、ここは。あなたちゃんと答弁するつもりか。
  209. 大島隆夫

    ○大島参考人 基金の貸し付けにはいろいろの種類がございますので、直接借款について申し上げますと、まず借款の契約をする段階から、そのプロジェクトの可能性につきましては十分の調査をやっておりますし、それから一たん契約が成立いたしました後、具体的な契約によりまして、プロジェクトが進行していくわけでございますが、その契約につきましては、一々チェックをいたしております。それからその後に、プロジェクトの進行状況につきましては、必要に応じて相手国政府の報告を徴し、あるいは基金の駐在事務所をして調査させるというようなことで、万全の措置をとっておりますので、御了承いただきたいと思います。     〔小山(長)委員長代理退席、委員長着     席〕
  210. 安宅常彦

    ○安宅委員 了解できませんよ。そうだから、そんな態度だから困るのです。私は、日本社会党の海外援助あるいは核問題などのプロジェクトチームは、総裁を招いて講師にして、全部御高説を拝聴したのですよ、この前言ったとおり。よろしゅうございますか。そうして私、総裁に質問したのです、実際できるのですかと。あっちの銀行に行ったら、政府に行ったら、今度は政府は銀行に委託してしまう、銀行が商社を選ぶ。この前言って笑われたでしょう、安宅産業なんて言ってしまって。そうして、その会社に行ったら、あとは企業の秘密だから言えません、銀行から金さえ借りてくればいいのだと、これ以上のことはできないのだということを、総裁は私に言っているのですよ。ようございますか、きょう総裁来ないけれども、そういう機関をつくるために、監理課というものをこれからつくるつもりでございます、安宅さん、こういう答弁ですよ。少数精鋭主義、四人ではできませんて、あなたの課長が言っているのですよ。何にもやってないのですよ。そうして、楯さんが心配するように、これは海外経済協力基金だけで六千億から八千億、これはドルとの関係で計算の仕方がある。これも韓国の学者が言っておるには、ドルが有利なときにはドル借款、今度は円が有利なら円借款を押しつけてくる、そんなばかなことがあるかということを韓国の学者が言っているのですよ、日本経済援助はそういうものだって。そういう非難を浴びながらあなた方はやっている。その調子だから、私は、六千億ないし八千億と言っている、経済協力基金だけでそうですよ。輸銀はどうですか。次は、新しくできた事業団はどうですか。合計してごらんなさいよ、何兆円という金が、国民の税金が何らのチェックもなしに、そうして事業家同士の、あるいは政治家も絡んだ汚い結びつきがあって、せっかく援助したのが、向こうに行ってどろんと消えてしまったり、また何年たっても機械がそのまま倉庫に積まれておったり、あるいはその金がかさ上げになって、化けてふところに入ったりしている。しているから、この調査を、私は調査を出せと言ったら、差しさわりのあるところは全部こんなふうにして、持ってきたじゃないですか。そして、この関係のあるところは十ページも破いて出してきたじゃありませんか。国民がそれで納得すると思いますか。国会で審議する場合、予算書もないのですから、私ら、もう天井知らずのことを、本当にどうだかわからない、雲をつかむみたいにして、質問をしなければならない。こんなことでは、日本の税金を納める人は納得するはずがない。それも経済援助だと言いながら、軍事援助に変わってみたり、鉄砲玉をつくる会社に行ってみたり、いろいろなことを、いままで言われたのを総括して、私は言っておるのですよ。  このことを私は言っているのですが、改めて聞きます、福田さん、せっかく言ったので。そういうことを、各省に分かれているから、それを一本にしてやるような、そうしてそれを正しくするような、先ほど言った審議会ですね、各党交えるなんて言ったら、あなたびっくりこくから、何かそういう、私のたとえばの話ですから、諮問委員会みたいなものを設けてやる意思はないか、こういうことを重ねてお伺いします。それで私の質問を終わらせていただきます。
  211. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 今度内閣法の改正の中にも、経済協力というものが各省にばらばらになっていますからね、それで担当大臣を先に置きたいということで、国会の御審議を願っておるわけですが、こういうものの大臣が置かれる機会に、あるいは安宅さんの言われる、そういうふうな、何か、ばらばらになっておる海外協力の機関、これを審議会のようなものがいいのか、そういうことでひとつ、大臣が新たにできた機会で、この問題に対して、御意見なども取り入れて検討することにいたしましょう。
  212. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これにて安宅君の質疑は終了いたしました。  田中武夫君より発言を求めておりますので、これを許します。田中武夫君。
  213. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほどの岡田委員に対する宮澤外務大臣の御答弁は、ただ単に岡田委員に対する答弁ではなく、国会と政府、言うならば立法府と行政府関係で重大な発言でございます。国会軽視もはなはだしいと言わねばなりません。ついては、理事会において、このような観点から独自の立場で検討し、政府に対して申し入れ等を行うことを含め、善処方を委員長にお願い申し上げます。  なお、いまの安宅委員に対する政府の答弁、ことに外務省の答弁は、これまた同じことが言えると思いますので、あわせて委員長にお願いをいたします。
  214. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ただいまの田中武夫君の動議、私もさよう認識をいたしました。したがいまして、理事会において善処いたします。  次に、本日午前の阿部君の保留分の質疑を許します。阿部哉君
  215. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大変時間がありませんから、端的に聞きますから、答えも簡単にお願いしたいと思います。  まず国税庁の長官にお伺いします。  長官、この所得税法第十条、これによる氏名確認は行われておるかどうか。第二点、二百二十五条、同規則八十二条、これによる支払い調書作成義務及び名寄せは行われておるかどうか。第三、申告書の提出は、いま銀行において保管されておると思うけれども、これは税務署に提出しなければならぬとなっておるが、それはどうなっておるのか。この三点について、簡単に結論をお聞かせ願いたい。
  216. 安川七郎

    ○安川政府委員 お答え申し上げます。  十条の確認、これはいたしてございます。それから、支払い調書は、現在税務署の方で保管をいたしております。それから、名寄せは、非常な枚数になるものでございますから、サンプル的な監査的な調査を別といたしまして、現在は、事務的な問題から行われておりません。  以上でございます。
  217. 阿部助哉

    阿部(助)委員 名寄せは行われていないとすれば、二百二十五条の違反になると思うが、どうです。
  218. 安川七郎

    ○安川政府委員 二百二十五条の名寄せは、全部は完全にはできていないというように申し上げたわけでございまして、部分的には相当枚数はやっておるわけでございます。しかし事務上手が回りかねるという問題がございまして、部分的にやっております。
  219. 阿部助哉

    阿部(助)委員 法律は、部分的にやってもいいと書いてあるのですか。
  220. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 所得税法二百二十五条によりますところの利子の支払い調査は、各金融機関から、三万円という限度を超えますれば出るということになっておりますが、租税特別措置法によりまして、年間分のものを提出しないで、一回ごとに支払ってもよろしいということになっております。ただし、一回ごとに支払い調書を出すのか、年分の支払い調書を出すのかということは、金融機関が全体としていずれかを選ぶことになっておりますから、金融機関が選べば、一回ごとの支払い調書でいいようでございまして、現在各金融機関は一回ごとの方を選んでおるようでございます。
  221. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それは二百二十五条の違反に当たりませんか。
  222. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 租税特別措置法三条の二の第九項によりまして、特例が設けられることになっておりますので、違反ではございません。
  223. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうしますと、大臣、これは税は総合課税の原則を放棄されたのですか。
  224. 大平正芳

    大平国務大臣 決して放棄したわけではございませんけれども、ただいまの状況におきまして、利子・配当所得を総合課税するということは大変至難でございますので、分離選択制度をとらしていただいておるわけでございます。
  225. 阿部助哉

    阿部(助)委員 法律は明らかに総合課税の原則を踏まえて決められておるのです。困難であるからできないと言うならば、これは法律を直さなければいかぬのです。それを大蔵省の勝手気ままな取り決めで、これを免除するわけにはまいらぬのです。政令は何でもできるということじゃないでしょう。政令は法律の枠の中で、これは決められるけれども、法律の原則を踏み外して、政令を大蔵省で勝手に決める。しかも、この金融機関、大金持ちの利益をはかるために、法律の原則を踏みにじるという政令は、これは違法であります。この政令は意味をなさない。無効であります。そうでありませんか。どうです。大臣だ、これは。原則だ。
  226. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 ちょっと、法律の問題でございますので、私からお答えをさせていただきます。  先ほど私、租税特別措置法の三条の二と申しましたけれども、三条の三と訂正させていただきます。  租税特別措置法の三条の三の第九項によりまして、所得税法二百二十五条の特例は政令で規定するということで、授権をせられておるわけでございます。それから所得税法の二百二十五条で、一体どういうことまで規定しておるのかと申しますと、利子の支払い調書につきましては、それをつくりましたならば、翌年一月末日までに提出するということが規定してございます。一年分まとめて三万円かどうかという判定は、それのもとにおきますところの大蔵省令で定めておるわけでございます。
  227. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、租税特別措置法の九項で、政令に委任する、必要な事項は政令で定めると、こうなっておる。だけれども、その政令はと言えば、何を決めてもいいということじゃないでしょう。どうです。何を決めてもいいということではないのです。これは法律の原則を踏まえ、その枠の中で決めるべきなんです。いま名寄せは部分的にしておるけれども、していないとすれば、なぜ名寄せが必要か、なぜ調書が必要かと言えば、これは累進税を取らなければいかぬ総合課税の原則があるから、こう決めておるのですよ。その総合課税の原則を破るようなことは、これは法律で決める以外にないのです。大蔵省が何でもできるというか、政令で定めると言えば、その政令は何を決めてもいいということにはならぬでしょう。どうなんですか。これは大臣です。基本問題です。
  228. 大平正芳

    大平国務大臣 それは阿部先生御指摘のとおりでございまして、租税法定主義でございまして、租税につきまして、政令で勝手気ままに措置するなんということはとんでもない間違いでございまして、大蔵省はゆめゆめそういうことはいたしておりません。
  229. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、最後の言葉を除けば、あなたのおっしゃるとおりなんです。法律で決めなければいかぬのです。それを、法律の原則を破って決めるということは、租税法定主義に反することであって、国会を無視するものであります。そういうことになりませんか。この施行令並びに施行規則というのは、総合課税の原則をぶち破るものです。破っておるから、いまいろいろな脱税が行われておるでしょう。法律の枠を外れる、こんなものは皆さん、つくる権限がないのです。国会でつくらなければいかぬのです。なぜ国会にそういうものを報告しない。しかも先ほど言ったように、秘密の通達で、関係者の銀行にだけ教えるみたいなことをなぜやるのです。こんなことで、税制が公平であるとか、社会的不公正の是正であるなんということを幾ら三木内閣が言ってみたって、国民は信用しないでしょう。この政令は法律違反である、無効である、国会軽視である、私はこう思うのですが、大臣、どう思いますか。
  230. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 先ほど申し上げておりますように、所得税法の二百二十五条で規定しておりますのは、支払い調書を翌年一月末日までに出すということが規定してあるのでございます。それから、それに対する特例として、租税特別措置法三条の三の九項によりまして政令を定めまして、一回ごとに作成する場合には、年分をまとめての一月末日までという提出期限を、そのつくりましたときの翌月末に提出しなければならないということで、特例を設けておるわけでございます。それで、一年ごとに三万円という総合的に判断をするというのは、所得税法の施行規則、省令において規定せられておりまするものですから、それに対する特例としましては、租税特別措置法の施行規則、省令でもって三万円とありますのを、一回に払いますときには、一年の期間に対応するものは一万円とかいうふうに、特例を定めてあるわけでございます。
  231. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、あなたは私の質問に答えていないのです。同施行令のものは調書を作成しないでもいいとか、名寄せの義務を免除するということは何もうたっていない。そうしておいて、三万円を一年でやるのを分割するから一万円でいいなんという。これは法律で決まっておるものを、皆さんは省令や何かでこれを崩しておる。崩すから、これは総合課税の原則から外れて、脱税が行われておる、こういうことになっておるわけでしょう。それが一体、政令でそう勝手気ままに法律の原則を崩すようなものを出せるのかどうかと、私聞いておるのであって、これは大臣、答弁しなさい。
  232. 大平正芳

    大平国務大臣 ちょっと私も質疑の趣旨がよく理解できないかもしれませんけれども所得税法で、所得のあるところ所得税が納められなければならない大原則がございますけれども、同時に、租税特別措置法によりまして、利子・配当所得につきましては、課税の特例が認められておるわけでございまして、法律によりまして、総合課税の例外が認められておるわけでございまして、大蔵省が勝手にそういうことをいたしておるわけでは決してないわけでございます。(阿部(助)委員「法律のどこに認めておるのです」と呼ぶ)
  233. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ちょっと待ってください。法律的な解釈で、吉国法制局長官。
  234. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいま問題になりました租税特別措置法の施行令、これは政令といたしまして、内閣で制定をいたします前に、私どもの方の内閣法制局で十分な審査をいたしまして、法律違反がない、法律の授権の範囲内であるという認定をいたしまして、閣議に付議したつもりでございますので、私から説明を申し上げます。  租税特別措置法に入ります前に、所得税法の第二百上十五条では、先ほど申し上げましたように、利子等の支払いをする者は、「大蔵省令で定めるところにより、当該支払に関する調書を、支払の確定した日の属する年の翌年一月三十一日までに、税務署長に提出しなければならない。」という義務を課しております。これについて、租税特別措置法の第三条の三で——第三条の三は「利子所得の源泉徴収税率の軽減等」という見出しをつけた規定でございますが、その第九項で、「第五項から前項までに定めるもののほか、第一項の規定の適用を受ける利子所得に係る所得税法第二百二十五条の規定の特例その他同項から第四項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。」ということで、先ほど申し上げました所得税法第二百二十五条の規定の特例を定めることを政令に委任いたしております。  その政令の規定といたしましては、租税特別措置法施行令の第二条の三に「源泉分離選択課税の適用を受けない利子所得に係る支払調書の特例等」という見出しをつけまして、その第二条の三の第一項では、先ほど申し上げました「租税特別措置法第三条の三第二項に規定する利子所得の支払をする者は、大蔵省令で定めるところにより、当該利子所得の支払に関する所得税法第二百二十五条第一項の調書」、さっき申し上げました所得税法の二百二十五条で一年分を翌年の一月三十一日までに出すということになっておりますが、その「調書を同一人に対する一回の支払ごとに作成する場合には、」——これは利子を付する期間がたとえば一年に一遍あるいは六カ月に一遍、三カ月に一遍というようなことがございますが、その同一人に対する一回の支払いごとに作成する場合には、二百二十五条第一項で決めてあるとおりではなくて、「同項の規定にかかわらず、当該調書をその支払の確定した日」——括弧がございますが、括弧は省きまして、「支払の確定した日の属する月の翌月末日までに税務署長に提出しなければならない。」ということで、一年の分を翌年の月三十一日までに出しなさいという特例といたしまして、個別に一回の支払いごとに作成する場合には、その支払いの確定した日の属する月、二月に支払いが確定したといたしますならば、三月の末日までに税務署長に提出するということを決めております。  それから三万円の問題は、もともと所得税法の施行規則、大蔵省令でございますが、大蔵省令で、調書の提出は「同一人に対するその年中の利子等の支払金額が三万円以下である場合」には出さなくてよろしいという、その三万円以下と申しますのを、租税特別措置法の施行規則の第二条の四で「利子所得の支払調書の特例」といたしまして、利子等の計算期間が一年である場合に一万円、それから半年から一年未満の場合は五千円、それよりもっと短い場合には二千五百円ということで、これは省令の特例を省令で決めておるというだけでございます。  したがいまして、法令の体系といたしましては、全く問題はないということになります。ただ、その内容として、どういうことを定めることが妥当であるか、租税政策上妥当であるかどうかの御批判は、別な問題であるというふうに考えております。
  235. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま読みましたね、租税特別措置法の三条の三は、総合課税の原則を貫いておるのですよ。そうでしょう。どうです、法制局長官。この特別措置の法は、三条の三は一応総合課税の原則を貫いておる、私、こう思うのですが、どうです。
  236. 吉國一郎

    吉國政府委員 それはそのとおりであると思います。
  237. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それを、この租税の大原則を政令で崩すということは一体政令はそれだけの権限があるか。ないでしょう、こんなもの。だから三万円以下は免税になっておる。それ以上はかけなければいかぬ。それをこういう形で、わけのわからないようなことをしている。一体その判断は、三万円以上であるか以下であるかの判断は、金融機関がしなければいかぬのですよ。金融機関がそれをしないでもいいように、できないように、皆さんこの政令をつくっておるわけですよ、一回ごとにして。そういうふうに皆さんは脱法行為をここでつくって、銀行、金融機関や金持ちを保護しておるという事実、このことはどうです、大蔵大臣、お認めになりませんか。
  238. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 租税特別措置法の三条の三によりますものは、源泉分離選択税率二五%を適用しないで、むしろ総合するという人の税率の問題でございます。その人たちにつきましては、その際には一五%を一応取っておきまして、そうしてその人の確定申告でもって総合するというたてまえでございます。それで、総合します場合に、支払調書が出ておるものだけを総合していいというものではございません。支払い調書の金額以下のものでも総合しなければならないわけでございます。したがいまして、一回でたとえば一万円という限度以上のものの支払い調書が出てまいりましても、それ以下のものも、全部総合して申告しなければならないわけでございます。したがって、この一回ごとに支払い調書をつくって、翌月の末日までに提出してよろしいということは、所得税法二百二十五条におきまして、いかなる支払い調書をつくりましても、その分は翌年の一月末日までに提出してよろしいということの特例と、いささかも矛盾しないわけでございます。
  239. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、あなたはこの施行令と省令は違法でないと、こうおっしゃるのでしょうけれども、ちょっとこれを読みますがね。「限界税率一五%未満の所得層はむしろ確定申告した方が有利である。また、限界税率一五%超の所得層の口座分割、債券分割による税負担の軽減は、最高わずか五%にすぎない。しかもそれは脱税行為、違法行為であり、その事実が明らかになれば応分の処分を受けなければならないものである。金融機関指導すれば脱税ほう助になるし、また、金融機関自体としても分割に伴うコスト増の問題があろう。とこれははっきり違法であることを認めておるのですよ。それを、皆さんはこの施行令をつくり、省令をつくって、これで大丈夫と、こうおっしゃるだろうけれども、どだいこの施行令とこの省令が税法の趣旨に反しておる、私はこう言っておるのです。これはどうです、趣旨に反していませんか。法制局長官、どうです。
  240. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほど申し上げましたように、所得税法そのものの二百二十五条の特例を租税特別措置法の施行令の第二条の三は定めただけでございまして、税の根本理論に反するというようなことは、私はないと存じますけれども、ただ、この租税特別措置法の施行令、同施行規則全体を通じて、いかなる租税徴収上の方策をとるか、これは政策問題でございますので、その政策の当否については、私は判断はいたしません。ただ、租税特別措置法の第三条の三の九項に基づいて、この政令が制定せられておるし、その政令自体が、所得税法なりあるいは租税特別措置法によって打ち立てられておる利子所得課税についての基本原則を乱るものであるということはないと思います。
  241. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それでは総理大臣にお伺いしますが、あなたは社会的公正と、こうおっしゃっておる。私、まだ不公正な問題、いっぱい問題がありますけれども、もう時間がありませんから、いまおっしゃられたように、この税法の総合課税にして累進税率をかけるという、これがいまどこの国でもとられておる税の原則なんですよ。その税の原則を破るようなこういう省令が、果たして正しいとお考えになりますか。
  242. 大平正芳

    大平国務大臣 利子の総合課税をやるということが正しいことであり、それが社会的公正を生かす道である、御指摘のとおりでございます。そして、それを政府といたしましても、今後精力的に検討を進めてまいらなければならぬと思っておりまして、その場合に、立法政策の問題といたしまして、いま御指摘の問題につきましては、十分再検討に値するものと私は思います。
  243. 阿部助哉

    阿部(助)委員 最後に、皆さんは直される、こう言うのでありますけれども、これは当然のことなんです。なぜ直されるのかと言えば、本当は違法だからなんですよ。私は余り納得はできない。こんなふうなことを牽強付会に突っ張ろうとしても、これは国民自体も納得しません。また、法の体系の上から言っても、これは許されない。皆さんは、政令に委任する、その政令は、何をやってもいいという。私は、国会を無視して、そうして法の原則を崩してまで、これをやってもいいということにはならぬということを、皆さん十分御考慮を願っておきたいと思います。私、この問題はまだ預かって、場合によれば、一般質問あるいは分科会で追及をいたします。  きょうはもう時間がありませんから、私の質問をこれで終わります。
  244. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。  次に、去る一日の荒木君の質疑に関し、大蔵大臣の報告を求めます。大平大蔵大臣
  245. 大平正芳

    大平国務大臣 先般当委員会におきまして、三和銀行の住宅ローンの実施に関する通達に関しましての御質疑がございまして、調査をいたしましたので、その結果を御報告申し上げます。     〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕  三和銀行から事情を聴取いたしましたところ、御指摘のとおり、一月、二月は取り組み一この取り組みという意味は、融資の実行でございますが、取り組みを停止し、三月に繰り延べすることとされております。これは、日銀の窓口規制の枠内で住宅ローンの増加資金を極力有効に使用するために、四半期を単位として運用することとし、最初の二カ月で顧客から融資の申し込みを受けてて、最後の月で融資の実行をすることとしておるものでありまして、従来からこのような措置をとってきておるとのことでございます。したがって、通達内容も格別不都合はなく、その運用もわれわれの指導に反するものではございません。しかし、仮にも誤解を招くようなことがあってはなりませんので、通達の発し方には慎重を期する必要がございます。この点については、十分指導してまいる所存でございます。
  246. 谷川和穗

    ○谷川委員長代理 次に、荒木君の質疑を許します。荒木宏君。
  247. 荒木宏

    荒木委員 いま報告を伺ったのでありますが、一月、二月はおいて、三月にまとめる、こういう趣旨のように聞きました。しかし、この三月というのは、決算資金、一般資金、需要が集中するときであります。いわばやりくりが非常に窮屈になるときです。しかも窓口の実情は、一、二月はその枠が決まっていない。決まっていなければ、実際申し込みを受けても、窓口担当者としては返事のしようがない。ですから、実情はいま大臣が報告されたのとは明らかに違うわけでございます。とりわけ、住宅抵当証書の発行が認められ、そのような点から住宅資金の拡大ということが強く要請されており、特に中小建設業者の仕事の確保という点からも、この点は指導が一層強化されるべしと、かように考えておるわけです。     〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕 せんだって伝えられるところによりますと、大蔵省は昨日、各都市銀行から、一−三月の住宅資金供給の計画を出させて、昨年の十月−十二月の実績を上回るようにと、こういう個別指導をしたというふうに言われておりますが、不況対策としてこのような指導が実際になされたのかどうか、当局から簡単に答弁を求めたいと思います。
  248. 高橋英明

    ○高橋(英)政府委員 都市銀行の住宅ローンにつきましては、昨日ということではございませんで、昨年十月に、私がしっかりやれという通達を出しましたときに、各銀行から計画をとる、そしてそれをトレースするということをやっております。一−三月につきましても、昨日ではございませんで、ずっと前にやっております。と申しますのは、一−三月の都銀の貸し出し増加額というのは九千百億円でございました。九千百億円ですと、一割を確保しろよというだけでは、九百十億円になってしまいますので、一方では四半期千億円という指導をしておりますので、その辺、一割だけの心づもりでやられては困りますので、一応計画を厳重に見ました。それによりますと、一−三月大体千百億円ぐらいになるような形でございます。  それから、先ほど三和銀行の点につきまして、三・四半期の初めの一、二カ月は、受け付けだけで全然貸さないのかということでございますが、そういうことではございませんで、住宅融資といいますものに非常に緊要度がございます。いますぐでも払わなければならぬというようなのがございますので、最初の二カ月でも、全然貸し出しの実行が行われないというわけではございません。現にこの一月も二十億ほど貸し出されております。
  249. 荒木宏

    荒木委員 窓口実態の認識について、これはもう明らかに違いますから、これは時間がありませんから、引き続き別の機会に追及したいと思います。  あわせて、住宅資金だけでなくて、いまの不況時の金融対策、これについて一言お尋ねしておきたいのですが、不況業種別に、実質金利の引き下げを含めて応急措置の検討を開始した、こういうふうな報道があります。  大蔵大臣に二点お尋ねしたいと思いますが、一つは、そのような事実があるかどうか。特に、その場合に不況業種の中小企業への実質金利の引き下げの措置を検討しているかどうか、これが第一点であります。  第二点は、先日、三井銀行の貸し出し方針について触れましたが、貸し出し採算の不良先から果断に回収をして、引き締め時でも優良先に積極的に貸し出していく、こういう資金供給の方式ですね。これは高度経済成長政策の当時に、優良企業成長企業に資金集中するということでとられた方式であります。この不況下に低成長を余儀なくされておりますが、そのときに、三木内閣は、同じこの金融集中の方式をとり続けるのかどうか。先日大蔵大臣は、この点について一々調査はできないと、こう言いました。あの質問以来、私のもとには、大銀行のこの不況下での資金集中の方式に対して抗議のはがきが次々と寄せられております。大蔵省の担当者も、あれはひどいと、こう言っています。ですから、三木内閣は、いまの時期にあの資金を集中するという、優良大企業に集中する方式をとり続けているのかどうか。もしそうでないとするなら、大蔵大臣はなぜ、それを調査できない、放置すると言ったのか、このことを伺いたいと思います。
  250. 大平正芳

    大平国務大臣 いわゆる不況対策といたしまして、特別の金利を持った特別融資の検討をやっているかということでございますが、そういう事実はございません。  それから、第二の点でございますけれども、三井銀行の融資に関連しての御質問でございますけれども、各都市銀行ばかりでなく、各金融機関それぞれ、その銀行の責任におきまして、社会的責任を御自覚の上、その業務を遂行していただいておるわけでございます。そして、大企業ばかりでなく、中堅、中小零細企業、あらゆる業態に対しまして、それぞれの社会的な責任を果たしていただいておると思うのでございます。そういった判断は、金融機関が自主的に、個々のケースにわたりましてやることでございまして、一々の場合、大蔵省の方で指示すべき性質のものでないと私は申し上げたわけでございます。そうしなければ、金融機関の自主的な責任において社会的責任を果たすというわけのものには、私はならぬだろうと思うのでございます。ただ、金融行政当局といたしましては、大所高所に立ちまして、大きな指導はいたしておりまするけれども、個々の貸し出しの実行につきましては、個々の金融機関の厳粛な責任のもとでやっていただくことが適切であると、私は判断いたしております。
  251. 荒木宏

    荒木委員 銀行にとって貸し出し採算の不良な先から回収をして、優良大企業に回す、この方針を三木内閣大蔵大臣は明らかに認めたのです。これは高度成長時代のやり方と本質は同じじゃありませんか。この点は、私は引き続いて厳しい追及したいと思いますが、時間がありませんから、質問は、そのことを指摘して終わりたいと思います。
  252. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 答弁、いいんてすか。——大蔵大臣の答弁を許します。
  253. 大平正芳

    大平国務大臣 いま私、丁寧に答えたつもりでございますけれども、各金融機関の責任におきまして、業務をその責任において実行していただくわけでございまして、一つ一つの手口につきまして、政府が関与するということは適切でないと、私は判断しておるということでございます。荒木さんの言われるような露骨な表現で、回収して、そして気の向いたところへ融資するというようなことを私が裏書きしておるというようにおとりになるのは、いささか牽強付会の御質問じゃないかと思います。
  254. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これにて荒木君の質疑は終了いたしました。  林君より発言を求められておりますので、これを許します。林百郎君。
  255. 林百郎

    ○林(百)委員 議事進行について、一言申し上げたいと思います。  委員長もすでに言われましたとおりに、核の問題については、国民が今日重大な疑惑を持っているところであります。ところが、本日の各議員の質疑に対する政府答弁は、国民の疑惑にかわって真剣に質疑を行っている立法府のわれわれとしては、全く納得できないところであります。  そこで、この問題の審議について、私の希望を、以下、委員長に申し上げまして、御善処願いたいと思うのであります。  一例を、本日の審議を通じて、また本委員会を通じて申し上げますと、MK101が核爆雷でないというアメリカの政府の回答も、その一枚の紙切れだけで、われわれはとうてい納得できないところであります。MK101が核爆雷であるということは、ジェーン航空年鑑にもすでに明記されておるところであります。また、丸山防衛局長も、当委員会で、そう答弁していたのであります。また、世論調査によって、日本国民の七三%は、日本に核が持ち込まれていないという政府の説明を信用しておらないという世論調査が出てきております。わが党は、従来から一貫して、この問題、すなわち核持ち込みの問題について政府を追及してまいりましたが、これはその後のラロック証言、ニューヨーク・タイムズの核通過秘密協定についての暴露問題、あるいはミッドウェー号の乗組員の核持ち込み証言などによって、一層その正当性が証明されてきたと思います。しかし日本政府は、今国会では依然として、アメリカ政府の言い分を信頼せよということを答弁するだけであって、終始、何ら自主的な、積極的な、国民の疑惑に答える措置をとったという説明がなく、国民の疑惑は一層深まるばかりであります。  何よりも重要な問題は、特にわが党の不破書記局長も指摘したところでありますが、この問題にいま問題になっておるものをあわせまして、現に、核兵器を使用する部隊、核攻撃の任務を持った部隊が日本に駐留して、現実に核攻撃の訓練を行っているという事実であります。これはアメリカ側も認めているところであります。日本政府、ことに三木内閣は、この点について、沖繩協定の締結前の態度よりむしろ後退した答弁をし、この核攻撃訓練を認めようとさえしておる答弁が、この国会を通じてなされておるように、われわれは受けとめております。  これらの問題は、日本の平和、また国民の安全に重大な影響を及ぼすきわめて重大な問題でありますので、本日の政府答弁でもって、当予算委員会における核問題の審議は終わりにしたということではもちろんないとして、わが党としても、立法府の権威にかけて、これでもう予算委員会にかける核問題の審議は終わったということは認めるわけにいかないわけであります。  そこで、国民の重大な疑惑に答えるために、あとは委員長にお願いでありますが、当委員会は、核問題について適当な方法で、また適当な時期にに、集中的な審議を行いまして、国民の期待にこたえるようにしていただきたいと思うのであります。この提案を、委員長理事会においてお諮り願いまして、ぜひ実現されるようにお願いする次第であります。  以上が、私の発言でございます。
  256. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ただいまの林君の御発言は、議事進行とは少し意味が違います。違いますが、あなたの誠意をくみ取りまして、理事会で協議をすることをお約束いたしますが、同時に、どうぞ、まだ一般質問の機会もございますので、十分ひとつ御発言を願うことは決して差し支えございませんから、御了承を願います。わかりましたか。——わかったら、以上で林君の緊急動議は終わります。  以上で、総括質疑は全部終了いたしました。  次回は、明八日午前十時より公聴会を開くことにいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十分散会