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渡部(一)
委員 総理のただいまの御意見のと太りに
行政が推移されれば、私はもう言うことはない、実を言うと。これから少しいろいろなことを、
総理、聞いていただきます。
一つは、奇形児が最近増大しつつあります。これは厚生省の出されている統計でありますが、頂生統計協会の発行された「厚生の指標」
昭和四十九年七月号によりますと、後期死産に占める先天異常の割合は、一九六一年に対し一九七一年、
昭和三十六年に対して四十六年は、先天異常で二・五八倍、二分脊椎で三倍、無脳症で三・二二倍、その他で四・〇二倍になっております。奇形児が実に四倍に近くなっているわけです。また、いやなデータを次々と申し上げるわけでありますが、「悲劇を予防する医学を」によると、医師立ち会いによる死産中の先天異常、その中の無脳症が全体の死産の中でどれぐらいを占めるかと言いますと、死産総数の中でパーセンテージが見る見る上がっております。〇・〇五から六、七、八、九、一〇、二〇、三〇、四〇、五〇、六〇、七〇というふうに上がってきております。実に倍率で言いますならば、大体一九五一年から七二年の間、約二十倍というふうになっております。ここはちょっと見取りにくいかと思いますが、カーブが一直線状に上がっているのは、この先天異常の率の表であります。
また最近の数々の婦人
団体における非公式的な
調査によりますと、流産、死産、奇形児発生、これが異常増加しているようであり、私もある婦人の百人ばかりのグループで先日調べましたところが、全体の約三分の一が流産、早産、死産、奇形児発生の被害に見舞われております。この三分の一に近いという
状態は、異常を通り越しております。
日本でこうしたような
事故発生がいままでにどれぐらいあったかというデータは、遺憾ながらあまり詳しくはないのでありますが、従来の経験例からして、数%以下というのが当然のところであると思います。
人間の体が壊れてきた、奇形児発生のグラフが異常に伸びているのは、
昭和二十七、八、九年ごろ、及び
昭和三十五年ごろを契機として、極度に段がついて伸びております。
昭和三十五年を契機にして伸びておりますのは、食品添加物であります。
昭和二十七、八年ごろを大体中心にして伸びておるのは農薬であります。私が、まだろくろく
調査されていないこうした問題について、予見を試みることは科学的でなかろうと思いますから、私はそれ以上の推論を申し上げることは控えたいと存じます。
しかしながら、人体に入る異常物質というのは、大きなものを取り上げてみますと、大体どれぐらいのものがあるか。これはもう次の四種類しか大体なかろうというのが医者の定説のようであります。
一つの大きな群が食品添加物です。数百年前には食品添加物は存在しませんでした。ごくここの十数年、二十数年でどっと入ってきたのです。
もう
一つは農薬です。堆肥を使っていた時代は歴史年代として長いが、ここのところへ来て、科学的な手法によってつくられた農薬、これが二群であります。
第三群が飼料添加物であります。牛、豚、鶏に与えられる飼料が、最近とんでもないのが多いということがわかっております。たとえばストレプトマイシンのような、人間に与えられる抗生物質が牛や豚や鶏に与えられる。そのために人間の血液がこういう抗生物質で汚染されているという報告がすでにありまして、
政府の
所管される遺伝研究所においては、人間の血清をとって人体の抗体、細菌に対する抵抗のグラフをつくろうとするのですが、現在の
日本人の血清をとったのでは基準にならない、全部が汚染されていて。そこでわざわざオーストラリアからその血清を購入しているという話が現にあり、
予算が使われております。つまり
日本人の人体が全部そうやって抗生物質に汚染されるということは、私たちが医薬品で汚染されたのではなく、食物で汚染されていることを意味しております。そうしてこの食物は何かということでたどると、鶏、特に豚等に与えられている膨大なマイシン族の存在がこれを証明しております。これは後ほどまた申し上げます。飼料です。
第四番目がいわゆる工業廃棄物です。工業廃棄物は、カドミウムによってお米が汚染したとか、あるいは水銀であるとか、これは打撃がでかいために、今日まで比較的注目され、追撃も容易であった。また分析も容易であった。
ところが、食品添加物、そして農薬、飼料添加物、特にこの二つは農林省の
所管でありますが、この二つについては、ほとんどと言っていいほど、見直しが余りされたことがない。私はここで申し上げておきますが、農薬を全廃しようと言っているのではありません。非常に危険性が高いことをいまから
指摘いたします。この四つに対して重大な問題がございます。
この本の中に、やはりニールという方が、「すべての先天異常のうち、遺伝性のものは二〇%をこすことはなく、染色体異常も一〇%をこえず、ウイルス感染によるものも一〇%かあるいはそれ以下で、残りの六〇%はその他の主として環境要因によるものであろうとのべている。」つまりこういう異常
状態の発生の六割というものは環境要因である。私がいま述べました四項目、これはまさに大きな問題になるのではないかと私は申し上げるわけであります。
そこで、まず話は、最初に持ってきましたのは食品添加物群につきましてであります。論議の時間が余りないようでありますから、私はある程度
自分の方でまとめて申し上げます。
総理食品添加物はいま三百三十六種類と言われております。多少の増減はございますと思います。ところが、この食品添加物でどんな試験が行われているかという試験手法について、私は調べてみたんです。そうしたら、実は三百三十六種類というのは、厚生省はずいぶんやかましくいろいろなことを言っておられるわけでありますが、安全性の試験についての公表が行われていないんです。安全性の試験をしているのかもしれない、していないのかもしれないのですが、データが全部公表されない。データが公表されないで、安全ならばそれは私は問題にしないのですが、たとえば
総理、前に国会で問題になりました亜硝酸ナトリウムというのが、ありました。魚肉ハム、ソーセージとか食肉とかいうものに入っておりますが、これは発がん物質であるということで、すでに
委員会でも何回か論議されました。これについての安全性の試験は公開されておりません。公開されていないものです。
また、
一つずつの薬品の名称を申し上げることは、私はちょっと控えさしていただこうと思うのです。めんどうなのと、もう
一つはよけいな打撃やよけいな大混乱が起こるおそれがあります。この中で、私どもの心配では、毒性試験をしていないもの、天然に存在していないもの、アメリカで使用していないもの、毒性が強過ぎて大変危険なものというようなものが、大まかに言いまして現在百ぐらい
指摘されております。
特に着香料という変なものがあります。着香料というのは、においをつけるということになっておるのですが、その着香料というのはまことに妙なことでありまして、「食品衛生
調査会において
調査審議を行なう際の基準」の中に「食品添加物は、原則として添加した食品の化学分析等により、その添加を確認し得るものでなければならない」となっております。添加したのがわかるような基準のないものは、そんなわけのわからないものは、使うとどれくらい使ったかわからないから、使ってはいけないとなっておるのですが、この着香料については分析ができない。これにひっかかる。この着香料というのが百種類もあるのであります。
ですから、どう
考えても、この食品添加物群はおかしいんじゃないか。ですから、いろいろな各種の、こちらからもあちらからも安全性についての学問的見解があります。そのすべての見解を網羅することは不可能だと思います。しかし、安全かどうかについて、安全性の試験はこういうふうにしましたと公開する。少なくとも、学問の世界に公表しなければならない。公表すれば集団の目によって監視ができる。これは当然のことだと思うのです。薬事法というのによりますと、ついでに申し上げますと、薬事法の四十一条というのは、これは
一般の薬に対する態度でありますが、これは安全性の公開という項目があります。ところが食品添加物だけは安全性の公開という項目がない。したがって、こんなとんでもないことになったと理解されるわけですね。
いま、私が厚生
大臣に
伺いますから、聞いておいていただければわかります。厚生
大臣は、この辺よくお調べになって、きょうおいでになったはずであります。私は厚生省との間で食品添加物問題については何回か論議もいたしました。現在の食品添加物の認可は、一時かたまってどんと行われたことがある。そこで、現在の手法で点検し直しますと、たとえば発がん性であるとか、たとえば催奇形性、これは奇形の発生の試験であります。催奇形性であるとか、こうしたものについては、ろくろく手法が確立されていないのです。ですから、最新の方法によって、いま全部一遍総点検し直すということが大事なことの第一ではないか、私、提案します。
第二は、今度は三年ごとくらいに、ともかくそのときの最新の手法で全部点検し直すことが必要ではないか、これが第二です。
第三番目は、安全性試験をやったら、ともかく安全性試験はこういうようにやりまして、こういう結果が出ましたからこうなりますと、薬事法の四十一条にほぼ準拠して、食品添加物についても公示をするべきじゃないか、公表するべきじゃないか。これは消費者の四原則の
一つでもありますけれども、検査方法を公開する、データを公開するのが大事なんじゃないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
厚生
大臣、私はまとめて一遍に申し上げましたから、途中のデータや薬品名やその他で多少異同がありましたらお許しをいただきたいのですが、その基本原則の問題について
お答えいただきたい。