○
山田芳治君 私は、
日本社会党を代表して、
公職選挙法の一部を
改正する
法律案に対する両
修正案を含めて政府案に
賛成、
政治資金規正法の一部を
改正する
法律案に
反対の
討論をいたしたいと存じます。(
拍手)
まず、公選法関係の政府案と両
修正案を一括して、
賛成の理由を申し述べたいと存じます。
昨年の七月執行された
参議院議員選挙以来、金権
選挙批判や金のかかる
選挙制度をなくするそういった
国民世論の急速な高まりとともに、従来からの世論であった衆参両院議員の
定数の問題を解決するための議員
定数の是正が大きく取り上げられるとともに、
政治資金の
規制の
強化、参議院全国区
制度の検討等が求められてまいったのであります。
これらの世論の動きに対応して、本院では昨年の八月、いち早く、
公職選挙法改正等
調査特別委員会の中に小
委員会を設置して、
選挙制度、
政治資金の
あり方について各党の話し合いが続けられ、自来約十カ月、
衆議院の
定数是正は、紆余曲折はあったものの各党の合意ができ、十一
選挙区二十名増員、現在の中
選挙区制を堅持し、六名以上は分区をするということといたし、分区の作業を自治省に委任をいたしたのであります。委任に当たっては、分区を行う原則として、人口比、地勢などの自然的条件、従来の行政区割りを考慮に入れて線引きを行うことを小
委員会で確認したのであります。
わが党は、自治省
提出の分区案については、必ずしも満足ではありません。しかし、各党や各候補予定者がそれぞれ
意見を申し述べれば、必ず党利党略となります。したがって、われわれは、不満足であっても、この案に
賛成をすることによって、
定数是正を一日も早く実現さすべきであるという
国民世論に沿うという立場をとったのであります。したがって、強行
採決などというのは当たらないのであります。(
拍手)
去る四月十八日、政府案が、ただいま申し述べた
定数是正を含めて
提案されたことは、御承知のとおりであります。この政府案は、
定数是正のみならず、
供託金の引き上げや、
選挙公営の
拡充、
寄付、
文書図画の掲示及び機関紙の
頒布制限強化、
連座制の
強化等がその
内容でありますが、必ずしもこれは十分なものではありません。特に、小
委員会で
議題になりました参議院の地方区の
定数是正、全国区制の改革には何ら触れられておらないのであります。まことに不満であります。
とりわけ、参議院地方区については、そのアンバランスの比は一対五・〇と、
改正前の
衆議院の比よりもはなはだしい状況で、早急に是正が必要なことは多言を要しないところであります。参議院の特別
委員会において現在協議中でありますが、今
国会において成案を得て、必ず是正がなされることを強く要求するものであります。(
拍手)
次に、政府案の公営の拡大の問題であります。
選挙運動用自動車やポスターに要する経費の一部を国庫負担とすることは、確かに
一定の前進でありますが、まだ不十分でありますから、私たちは、次に述べる
修正案を
提出したのであります。
すなわち、公営拡大の一つとして、
候補者の
選挙文書の
頒布は国庫負担を含めて認めること、テレビ放送の拡大、はがきの枚数の増加等が
修正案に含まれており、評価すべきものと思うのであります。
第三に、
制限規定の問題であります。
政府案に盛られた
寄付行為の
禁止については、望むところでありますけれども、要求した側についても触れられていないので、これは
修正案にこの旨を明確に
規定したのであります。
最後に、確認
団体の
機関紙誌の
頒布の
制限について申し述べます。
今回の政府案は、
選挙に関する報道評論を
掲載した確認
団体の届け出
機関紙誌について、
選挙期間中、定期購読者以外は有償
頒布に限ることとされて、
選挙に関する報道評論を
掲載した号外については、
頒布を
禁止することとされております。
この問題を論ずるに当たり、私たちは、
政治活動と
選挙運動とは厳然と区別すべきであると存じます。これを同一視する誤りを犯している
政党があるのであります。
政治活動は、憲法の理念のように、
選挙期間中といえども最大限自由であるべきであります。しかし、
選挙活動は、
一定のルールの中で、有権者に政策や考え方を訴える手段をどの
候補者にも平等に、公正に
確保されるという原則が必要であります。したがって、ポスターの枚数やはがきの枚数、
選挙運動用の自動車の台数の
制限が、こういった
趣旨で現在も設けられているのであります。
こうした
見地に立って、今回わが党は、確認
団体の
機関紙誌の本紙は、まさに
政治活動の重要な手段でありますから、通常
頒布の方法に戻すべきであると主張し、
修正案を
提案したのであります。
したがって、ここで問題になりますのは、確認
団体の機関紙の号外であります。この号外は、今回の政府案の
改正によって
禁止されるのは、
選挙の報道評論に関するものだけでありまして、これ以外の号外、すなわち、純粋の政策等のみを記載した
選挙に関しないものは依然として自由であり、一部の
政党が言われるような、憲法違反とかファシズムに道を開くというようなことは絶対に当たらないのであります。
禁止されるのは
選挙の報道評論のある号外だけであって、これは
選挙の公正を期するため、他の文書の
制限をしている現行
選挙法体系の中では当然であって、さらにわが党
提案の
個人版公報の
頒布、すなわち、
選挙文書を配布する道を新しく開くことの法制化を通じて、この
文書図画の
制限を一歩緩和させたものであると考えるであります。
以上、述べてまいりましたように、わが党は、政府案の不十分さを指摘し、これが是正のための
修正案を
提出してこれを補うとともに、
内容的な前進をかち取るため努力をしてまいったわけであります。(
拍手)
要するに、
選挙運動期間中、
選挙の報道評論を載せた機関紙の号外
頒布の
制限につき、種々異論が唱えられていることは私たちも知っております。言論、出版の自由と、
選挙の公正、
候補者間の公平を期することの調和をどこに求めるかが問題であります。わが党は、政府案の公営化と
修正案の
内容にあるごとく、一部
規制の緩和
措置等を含めて、今回の
改正は近来まれに見る大幅なものであり、
一定の前進であります。有権者各位の良識と相まって、わが党は、今後の
わが国の議会制民主主義を一層発展させ、国民の福祉向上を一層前進させることを誓って、両
修正案を含めて政府案に
賛成するものであります。(
拍手)
次に、
政治資金規正法について、
反対の
討論をいたします。
今回の
改正案は、きわめて不十分でありますが、経理の
公開の原則が貫かれていることは
一定の前進ではありますが、
政党に対する企業献金の最大限を一億五千万と、われわれにはおよそ関係のない額を許容し、
政治資金奨励法と言われるゆえんであり、
公開の額も、
政党や
政治資金団体に対しては一万円以上はすべて
公開するのに対し、派閥への献金は百万円以下は
公開しなくてもよいというような、派閥温存を認めるなど、とうてい容認できないところであります。また、
個人献金の延長線上にある労組の献金まで企業献金と同列に置いて
制限を加える等、全く理解ができません。
とりわけ、三木総理は、かつて総理になる以前においては、
個人献金が望ましいということを声を大にして主張していたにもかかわらず、今回の
提案では、五年後に見直すという
規定を挿入したにとどまり、五年後完全にいままでの主張どおりとする保証は何らないのであります。
したがって、私たちは参議院に、わが党のあるべき姿の
改正案を
提出して
審議を願っているところでありますので、これが成立に各位の御協力をお願いいたし、政府案に対する
反対の意思を表明して、
反対の
討論を終わります。(
拍手)