○勝見政府
委員 先ほど総理府の方からお
答えがございましたように、この許可申請の件に関しましては総理府の方において主管いたしておりますので、私どもといたしましては、司法制度にかかわりがあるという観点から検討させていただいておる次第でございます。私どもといたしまして法務省の結論というべきものを出している段階ではございませんけれども、お尋ねでございますので、ただいま私どもが考えておる点を申し上げたいと存じます。
先ほど
裁判所の方からもお
答えがございましたけれども、基本的に一般論として申し上げれば、民間人または民間の団体が私的な紛争に関与いたしまして、その紛争の処理に当たるということ自体は別に禁止されているわけでもないと思います。当事者はいついかなる段階においても
裁判所に訴えできるのでありますれば、別に裁判権を奪われたことにもならないかと存じます。
ただ、この種の、本日問題になっておりますような機関について、先ほど御
指摘のように、
国民全般が
裁判所に行くのはめんどうくさい、あるいは時間と経費がかかるということ、ないしただでやってもらえるとか、簡単にやってもらえるとか、いろいろな実際上の利点はあるかもしれませんが、ただこの際、
国民の側から言って
裁判所に行きたいのだけれども、やむなくこの種の民間の機関の厄介になるということでありますれば、そこに何かしら
裁判所における各種制度の制度面、運用面で問題があるからであろうかと存じます。運用面は
裁判所の方でやっていただいておるわけですが、もしそういうことでありますれば、私どもといたしましては十分検討しなければいけない問題だというふうに考えております。
それから第二番目に、先ほど御
指摘の資金の支出源の問題でございます。
本件が財団
法人でございますので、財団とその基本財産ないし運営財産という点で考えてみますと、一般的に言って、財源がどこから出されているかということ自体と、財団の
目的ないし現実に社会に機能する面を考えてみますと、一般の
国民から疑惑を持たれるというようなことがあり得ることは御
指摘のとおりかと存じます。ただ、抽象的に言いまして、果たして、財団の財産、財源の出所自体と、その財団の許可をなすべきかどうかという問題になりますと、十分検討が加えられなければならないというふうに考える次第であります。
本件の場合は、先ほど御
説明がありましたように損保協会から出ておって、それはいわば加害者サイドの方から金が出ておることになるのではないか、そこに中立性、公共性といいますか、そういうものを損なうこととなるのではないかという御疑問、ごもっともでございますけれども、その点は、実際に
相談に当たる人、あるいはいわゆる裁定に当たる人の人選、それから手続等の実際の運用面などともかみ合わせて十分検討がされてしかるべきことだろうと思います。
それから、弁護
法人の問題でございますが、この点も青柳
委員御
指摘のとおりの問題点があろうかと思います。私どもの
考え方といたしましては、現行弁護士法が、弁護士事業というものは
個人がやるものであるということが前提となっておりまして、弁護士業務を
目的とする
法人を設立するための規定は見当たらないわけでございます。そこで、
本件センターのような
法人が設立されること自体が弁護士法の趣旨に合うのか合わないのか、結局弁護士業務を
目的とする
法人を認めてしまうことになるのではないか、あるいはそうではないのだというようなことはいろいろ十分検討を加えられなければならない問題だというふうに承知しております。
それから最後に、私ども拝見しました申請書添付の寄附
行為の案を見ますと、この業務に当たられる方が弁護士であるということが明記してございませんでしたので、仮に弁護士でない方がこの種事務をやるということになりますれば、やはり弁護士法七十二条
違反の疑いが起こり得るというふうに考えておる次第でございます。
以上のような次第で、いろいろな問題点があろうかと存じますけれども、主管庁において十分御検討していただいておるものというふうに考えておる次第でございます。