○
横山委員 大臣、私の言いたいことがまだすべて言い尽くされていないような気がするのだけれ
ども、たとえば、この間ある
保護司に会いました。そうしたらその
保護司が言いますのには、「
少年がうちへやってくる、私よりも家内や家族の者と大変親しくなった」こういうわけなんです。「家内の言っていることの方をよく聞いているようですな」こう言うのです。つまり、その
保護司さんは
自分ひとりの
保護司ではなくて、家族ぐるみの
保護司家庭になっておるということなんです。もう少しやりようがあったという
意味は、それを逆に私がいま言っていることなんですから。
保護司が、
自分だけできちんとやっておる、家族、おまえは手を出すな、あれは
犯罪者だからどうなるかわからないから手を出すでないというようなことも
一つの
方法、そうなりがちなものを、その家庭は本当に奥さんからみんなが温かく迎えて、
保護司の御主人が言うことよりも奥さんやおばあちゃんが言うことの方が
説得力がある、
保護司がおらなくても来て、そして遊んで帰っていく、ということは、
保護司の
仕事というものはどれだけやっても切りがないということなんです。それは物質面もさることながら、
精神面においてさらにさらにどれだけやっても切りがない。もちろんそれはうまくいく場合とうまくいかない場合とがありまして、寄りつかない、そして所在不明、逃亡。
仮釈放の者が逃亡というのもかなりの数字に達していますから、いろんなケースがあると思うのですが、そういう中で働いておる
保護司が人選よろしきを得る、あるいは
活動のバックグラウンドが適切につくられておるかどうかは大変なことでございます。
大臣も御存じだと思いますが、あえて言いますと、その手当は、Aクラスが千九百円が二千六百円に、Bクラスのケースが九百三十円が千三百円に、Cクラスが八百三十円が千百円に今度の予算でなった。
大臣、私最初これを聞いて、「ああ一日か」と言ったんですよ。「いやいやそうじゃないのです、一月なんですよ、一件一月ですよ。」Bクラスが一番多いとして、一人の被
保護観察者に対して、私が言うように
保護司のみならず奥さんからおばあちゃんから子供まで、みんなが温かく迎えて、うちでみんな協力してやって、一月に
役所から千三百円くれるというのです。「正直のところくれぬ方がいい、いかにもやったという顔をされてもおもしろくない」こう言うのです。
その議論から思い出されるのは、去年の当
委員会において調停
委員の問題で、あれは一日七千円くらいでしたか、そうでしたな。
大臣、調停
委員は一日七千円、これは一月千三百円。それで私がそのときに
保護局長に、「あなたはそれでいいのか」と言うたら、
保護局長はそんなこといかぬとは言えぬもんだから、「まあまあなんとかやっております」とか、「まあ上げていただきました」と言うておったのですが、一体
全国の
保護司の
人たちは何と考えておるか。それは調停
委員の皆さんも、私
ども銭金でやっておるわけじゃありません、
保護司とは違います、こう言う。しかし、調停
委員の皆さんと
保護司の皆さんと比べてみますと、それぞれ独立した
一つの重要な
仕事をしておられる。なるほど調停
委員は
家庭裁判所へ行きまして、日がな一日いろいろと世話したり、何回もやっておられる。それもまた
一つの
仕事でございますけれ
ども、全人格的に被
保護観察者と
一緒になって家族ぐるみにやっておる
人たちが一月千三百円で、それでいいとはどうしても思われぬのです。まあ、九百三十円が千三百円になった、八百三十円が千百円になった、千九百円が二千六百円になった、上がる率はいいとおっしやるかもしれませんけれ
ども、本当にお粗末もはなはだしい。
この種の問題は、先ほど話が出ました
更生保護会に対する国の
補助も同じようなことでございまして、私がくどく言います
社会的不公正というものについていま国会が議論をしておりますけれ
ども、日の当たるところにおける
社会的不公正は議論されるけれ
ども、日の当たらないところにおける
社会的不公正というものが大変なおざりになっておる。
大臣は御就任早々で、
保護司の問題については率直にまだ十分検討してなかったとおっしゃるわけでありますから、ひとつ白紙に地図を描くような気持ちになって、そんなばかな予算の
状況について根本的に考え直してやってもらいたい。九百三十円が千三百円、一日じゃないですよ、一月ですよ。家族のところへやってきて、「おお、よう来たよう来た、きょうは何だ」「きょうはその辺まで来ましたで、ちょっと寄らしてもらいました」「まあまあ上がって飯でも食ってけ」と、こういうわけですよ。それで奥さんがちゃんと御飯出して、まあ、ばか話をいろいろするというようなことをして喜んでおる家庭へ一月千三百円、お恥ずかしくて話にならぬと思いますが、どうですか。