○
塩崎議員 午前中にこの
法律案の
提案理由を御
説明さしていただきましたが、なお若干の問題につきまして
補足説明をさせていただきたいと思います。
委員の
皆様方が最も疑問に思う点は、昨年の五月十四日に私の本当に私案といたしまして、
私立学校振興助成法案を新聞にすっぱ抜かれたわけでございますが、そのときの姿と現在の提案されておりますところの
法案の姿とが大変変わっておる、これはなぜかという点であろうかと思うのでございます。その点につきまして若干の御
説明を申し上げたいと思います。
つまり、
二つばかり疑問がございます。一つは、国が
私立学校等に対しまして
補助をする場合に、二分の一という
補助義務を昨年の五月の案では課しておりましたけれども、今回の案では二分の一以内の
補助をする
裁量権限を国に与えておることでございます。それから第二点は、午前中にも御
説明申し上げましたが、四十九年の五月十四日の案では、
地方団体に対しまして
高等学校以下の
経常費について二分の一の
補助義務を負わせ、それに対しまして国がその半分を
補助する
義務を負う、こんな構成になっていたのでございます。しかし、現在の案ではもうごらんのとおり、
地方団体については
補助義務は全く書いてございません。
提案理由で御
説明申し上げましたように、それは当然
地方団体の
固有事務として
補助することができるわけでございます。したがって、その
補助義務の
規定あるいは
補助する
権限、
裁量権をあらわすこともやめまして、もういきなり、
地方団体が
補助する場合には国はその一部を
補助することができるというふうに、国の
補助についての
裁量権限を
規定しているわけでございます。当然のことでございますが、
地方団体も
私立の
高等学校以下に対して
補助割合については全く
規定がない点は、当初の案とも全く異なり、今回の案でも
私立大学に対する国の
補助とも違った
規定になっておるわけでございます。
この
二つの点がなぜこんなに大幅に変わったのか、こういう点がいつも御疑問になってきているのではないかと思うわけでございます。それは言うまでもなく、
財政上の
理由でございます。(
発言する者あり)
ひとつ静かに聞いていただきたい。私も、こういった点は全く
財政上の
理由として当然
理由ありと、最近そのように態度を徹底するようになったわけでございます。御
承知のように、これは
経常費の
範囲についていろいろ問題がございます。しかし、いまの
経常費を裸で引き出しますれば、
私立大学等についても、五十年度の
経常費は約五千億と見込まれるわけでございます。そして
私立の
高等学校以下につきましても、大体
経常費は期せずして五千億、こんなふうな
計算になるようでございます。そういたしますと、
私立の
大学等につきましては御
承知のように、五十年度の
予算におきましては千七億円の
経常費の
補助が計上されているわけでございます。五千億に対しましては当然半分にも到達しておりませんところの、ちょうど大体二〇%の
補助割合になるわけでございますが、当然二分の一の
補助義務を負わせますと、二千五百億円と千七億円との差額の千四百九十三億円の
財政支出が国に対しまして
義務を負わされるわけでございます。千四百九十三億円が相当膨大な
金額であることは言うまでもございません。こういうことによって初めて
経常費に対しまして半分の
補助割合になるわけでございます。
一方、
私立の
高等学校に対しまして、
高等学校以下の
経常費及び
地方団体及び国の
補助金の
現状はどうなっておるかと申しますと、先ほど申し上げましたように、
経常費の総額は五千億でございますから、その半分を国と
地方とが持つといたしますと、国の
補助所要額は千二百五十億円になります。そしてまた、
都道府県の
補助所要額が千二百五十億円、合わせて二千五百億円の
補助義務を私の当初案ならば課せられるわけでございます。ところが五十年度の
予算におきまして計上されております
金額は幾らかと申しますと、これまた御
承知のように、国庫の
補助額はわずか八十億円でございます。そしてまた、
都道府県が
地方財政の
交付税の
計算上において見積もられましたところの
補助予想額でございます、
現実の
地方団体の
予算計上額等はまだはっきりいたしておりません。六百五十八億円と見込まれておるわけでございます。そういたしますと、私の当初の案の
補助所要額の二千五百億円に比べまして、
現実に五十年度に予想されておりますところの国及び
都道府県の
補助予想額は七百三十八億円でございます。そういたしますと、二千五百億円マイナス七百三十八億円イコール千七百六十二億円の
予算負担、
財政負担を
私立の
高等学校以下に対しましても国と
地方公共団体が負わなければならないことになるわけでございます。そういたしますと、昨年の私の案によりますと、
私立大学等におきまして千四百九十三億円、
私立の
高等学校以下に対しまして千七百六十二億円、合計三千二百五十五億円の
財政負担を負わなければならないという
計算になるわけでございます。もう御
承知のように、
皆様方にこの
金額がどんな
金額であるかは申し上げるまでもないことでございます。
また、去年に比べましてことしの
財政事情は大変窮迫していることは御存じのとおりでございます。四十九年度で七千六百八十六億円の
赤字決算額を生じたわけでございます。五十年度の
財政予想においても、四十九年度の土台が下がっただけで
大蔵大臣の発表では九千億円の
赤字が予想される。これに
経済事情等を加味いたしますれば、まだまだわからないけれども、恐らく相当な
赤字が予想される
現状であるから、このような
財政現状を考えると、昨年考えましたところの私の、
私学振興助成についての基本的な国及び
地方団体に対して
補助義務を課すということ、しかもそれを二分の一で固定するということは大変な影響を来たすわけでございます。私はどうしても考えなければならない大きな要素であると反省、自粛、自戒いたしたわけでございます。
さらにまた、この
私学問題じゃなくして全般といたしまして、
財政硬直化の心配が大変ふえてまいりました。その硬直化にもいろいろな要素がございますけれども、硬直化の最大の要素は、
法律をつくることによって、あるいは各官庁が種々の経済計画、
財政計画を立てることによって、将来に対しまして当然増として
予算に対しまして負担を課することが硬直化の最大原因だと言われているわけでございます。
これにはいろいろな見方がございますけれども、いままでの伝統的な見方によりますれば、私が考えておりましたところの、行政によりますところの
私学振興助成法では大きな
財政硬直化の原因になると非難されてきたこともあるわけでございます。このようなことを考えてみまして、私もいろいろ考えました。このような財源を生み出すためにはいろいろと
財政全般の見地から、さらにまた
教育財政の中でのウエートの置き方もひとつ再検討することによって、このような
財政余裕を生み出すことができないかどうか。
それから第二は、この私どもの計画は、いまの三千二百五十五億円をいきなり当年度、五十一年度で課すというものではございません。五年間で五分の一ずつ均等分いたしまして実現する経過
規定を置いておりましたが、五年間でも無理であるとすれば、ひとつこのような
財政上のゆとりを何らかの形で生み出すことはできないかということも検討したわけでございます。しかし、いまの経済事情のもとで、これに対処するところの確たる見通しを持つ
財政計画がなかなか容易ではない、私が考えましても、大方の御納得を得るだけの時間も大変少ないわけで、こんなことを考えまして、私もひとつ涙をのんで、先ほど御
説明申し上げました二分の一以内の
裁量権限、これを
私立大学の
補助について
規定することにいたし、
地方の
私立の
高等学校以下につきましては、
地方団体に対しましては
地方自治のたてまえから二分の一というような拘束は置かない、しかし国が二分の一以内というようなことが一つの基礎になりますれば、
現行においても、四十五年度から
予算補助で始まりました
私立大学に対するところの
補助に準じて、
交付税計算、
地方財政計画の
計算ではやはり同じような
計算方式がとられております事実から見て、善意で
地方団体も国の施策に準じて二分の一を目標として進んでいただけるに違いない、それはそのときの
財政事情に左右されましても、目標は二分の一になるであろうということを期待いたしました。
しかし一方、国の方はまだまだいろいろ考え方があります。
地方の
固有事務であるからこの
補助に対しては慎重でなければならない、このような考え方もございますが、しかしどう考えてみましても、
高等学校以下に対しまして国が
財政責任を負うことも、新しい
教育の方向だろうと私は思います。さらにまた、このようなことを
法律に
規定することによって、国が間接的にも財源を心配していくということも、いまの国と
地方との関係から見ても適切なことであろうかと思うわけでございます。古典的な
交付税理論ということにこだわることも私は問題があろうかと思いますので、一部の
補助ということで、しかもその
裁量権を国に与えるということでいたし方がない、こんなふうに考えまして現在の
規定をつくらせていただいたわけでございます。当初は、国と
地方の
私立高等学校以下に対しますところの
補助を四条、五条と並べておりましたが、四条、五条と続けますと、四条の二分の一以内という
規定が
地方団体にすぐ影響して、
地方財政を制約するおそれがあるということも指摘され、私どもも気がつきましたので、これを九条に
規定することによって別の角度からの
補助とも考えて、
理想はありますけれども、直接のつながりがないような苦心した
規定の仕方をいたしました。もちろん
補助割合は
規定いたしませんでしたけれども、そのような周到な
地方団体に対しますところの、
私立の
高等学校以下に対しますところの
財政援助を期待していきたい、こんなふうに考えたわけでございます。
その他いろいろ、監督
規定あるいは新しい
収容定員の
増加とやった問題についても、考え方がございます。これらにつきましては、もう先ほども御
説明申し上げましたように、当初の案にも大体そのような構想は出ておりましたので、ここでは重複を避けまして、御質問がありましたらお答えすることにいたしまして、
補足説明はこの程度で終わらせていただきたいと思います。
なお、これは私の提案というより、私どもの議員立法という形になっておりますが、何と申しましても議員でございまして、詳細な、そしてさらにまた
法律の細かい関係につきましては、私よりも、私を手伝っていただきました衆議院の法制局、さらにまた文部省の方々にも御質問していただきまして、
私学の
現状、さらに今後の見通し等についてまた御質問をいただければ、私以上に御納得をいただける御答弁が得られるのではないかと思います。特に
文部大臣は、
私学問題について大変高邁なる御識見をお持ちのようでございまして、
文部大臣にもひとつ御質問をお願い申し上げます。
以上でございます。