○
永井国務大臣 この種の問題は、非常にデリケートといえばデリケートな面がありますから、私
たちが考えている点を申し上げたいと思います。
リジンは
子供の健康のために望ましいから、リジンを使った方がよろしい、その方が抵抗力なども出てよろしいというのは、国連食糧農業機構と世界保健機構、FAOとWHOの合同特別
委員会が
調査をして出した一九七三年の報告書にございます。もちろん、それら
二つは重要な国際機構でありますから、相当数の学者、世界的にも相当な
人たちを集めて出されたものと考えてしかるべきものと思います。ですから必ずしもわが国だけの問題ではございませんので、世界的にリジンを使っているということです。リジンを使ったのは、むしろ体力の増強のためという目標からであります。
さて、いま一部からそれについて疑問が出てくるという場合にどういうふうに対処したらいいかという、ことでございますね。私
たちは、こうしたものについてどう対処すべきかというときに、三つ、四つの重要な柱があるように思います。それは、
先生がおっしゃいましたように、それを使っていると直ちに、一週間、十日のうちに人の命にかかわるというようなことがわかるようなら、これは直ちに中止しなければならない、それは全くそのとおりだと思います。ただ、リジンのように、WHOとFAOで合同特別
委員会をつくって、そこから報告が出ているというような場合、いま出ているような疑問というのは、そこを根本的に覆しているようなものではなくて、その報告書に問題点があるという式のものでございます。そこでどうしたらいいかということになるわけです。その場合、
やり方は三つあると思います。
一つは、やはり
調査をやっていくということだと思います。現在、
文部省も独自の立場でやっておりますけれども、
文部省だけではできませんから、厚生省とも十分連絡をとってしっかりした
研究資料を集めていくということであります。
第二番目の問題は、そういう過程において不安が起こらないようにしなければいけないということであります。実際、いまのリジンのことは、先ほどから御説明申し上げましたように、その
二つの国際機構が出した一九七三年の報告書、それを根本的に覆すという
意味における疑問が出ているとは理解していない。そうではなくて、リジンは体に役に立つのだけれども、それに毒性が含まれる
可能性もあり得るという形の疑問が出ているわけです。しかし、そういうことが正確に伝わるように
文部省は努力しなければいけない。先般の通達も、ずっと読んでいただきますとそういう点に触れているわけでございます。ですから、いますぐリジンをやめるというわけではないけれども、よく考えていくということです。これを、
教育委員会を通して各
学校、結局御父兄に理解していただく、その過程において私
たちは考えていくということでございます。
三番目の問題といたしましては、これはリジンの問題なんですが、私自身だってもちろん、お医者さんではありませんし、こういう問題は
専門家でありません。リジンとたん白質との
関係、それから先ほど体育
局長が申し上げました発がん性との
関係等々非常に個別的な問題がたくさん絡んできて何か危険だというふうになりますから、こういう式のものはできるだけ問題を具体的に解析いたしまして、どこのところが問題点であって、どこのところが問題点でないかというふうに非常に具体的に処していく考えでいるわけでございます。
以上三点申し上げたわけでございますが、リジンの場合、非常にデリケートなのは、いま申し上げましたように、一番初めは、そういう国際的な機構、しかもそういう
専門的な機構からの共同報告というものもあって、一言で言えば体力増強だと思いますが、体力増強に役に立つのだという話であった。ところが、それにいま問題点があるということが大体今日の事柄の全貌であると私は思っております。だから調べなければいけないと思います。しかし、リジンというのは大変な騒ぎなんだという形の疑問が出ているのではない。そういうわけではなくて、両面をはらんでいるものとして、いま起こっていることがあるのではなかろうか。しかし、それも私の素人的見解でありますから、こういうことは厚生省も
文部省も共同して
調査をいたしまして不安なからしめるようにしなければいけない、こういう考えでございます。