○井内政府
委員 大学院の整備の問題につきまして、いろいろと新しい道を開いていくということを
考えましても、最も肝要な点は、すぐれた
大学院担当の教官をいかにして確保するかということかと存じます。
この点につきましては、先ほども申し上げました新しい
構想による
大学院の設置ということで、いろいろな向きで検討が行われておりますが、具体の
構想に即しまして、個別にこの点は配慮する以外にないわけでございますが、従前、
大学院の教官は、
学部等の教官が兼務するということを常例としてまいりました。先般の
大学院設置基準を契機といたしまして、
大学院をもっぱら担当する
大学院専用講座の設置ということも問題と相なってまいりまして、
国立大学について申しますと、
大学院専用講座の設置も若干スタートを切りまして、いま必要な
分野に
大学院の専任の教官の設置ということも始めたわけでございますが、それぞれの
分野における具体の
構想の進展に応じまして、
大学院の教官の確保の面につきましては、いろいろな工夫をし、
大学院の新しい方向が真に生かされるための教官の確保に努力をしてまいりたいと存じております。
現在の
大学院につきまして、どのような、たとえば予算的な配慮であるとか条件の整備等が行われておるのか、きわめて不十分ではないか、今後どのような方向に努力してまいるかというお尋ねでございますが、
学部の
研究教育と
大学院の
研究教育とをやはり一体として行ってきておる
関係もございまして、
大学院のみの予算措置等をどうするかということは、切り離せない共通な部分の整備という問題もありますので、なかなかむずかしい点があるのでございますが、
一つは、
大学院の学生を
教育するに必要な経費を一人当たりで積算しますいわゆる学生経費というものがございますが、この点につきまして、従前から
大学院の重要性にかんがみまして、博士
課程、修士
課程ごとにそれぞれの増額の努力をいたしておるわけでございますが、五十年度で申しますと、博士
課程二五%、修士
課程一五%の積算校費のアップを行いました。また教官の
研究費につきましても、
大学院博士講座あるいは修士
課程担当者に対しまする
研究費の増額等も行っておるのでございますが、
大学院自体のための事務機構の整備でございますとかあるいは
大学院プロパーの
教育研究用の設備というものについても何らかの特別の予算措置をすべきであろうということで、本年度、設備としては約三億五千万円の計上をいたしておりますが、これは四十九年までわずか一億しかなかったというような状況でございます。
学部、
大学院に共通する諸経費の増額というものを図っていくという基本を踏まえながら、
大学院プロパーの経費も何とか増額の努力を今後もしてまいりたい。
特に
大学院学生に対しまするいろいろな諸条件の整備の点で
幾つかの問題がただいま具体の論議と相なっておりますが、
一つの問題は旅費をどうするかという問題がございますが、この点につきましては、
大学院学生が、
教育研究を
専門的職業とする教官とは基本的に
立場が異なっておりますので、
大学院学生に教官に準じた一律の
研究旅費の支給という問題にはいろいろと問題がありまして、私どもまだ成案を得ておりません。これはやはり慎重に検討しなければならないと存じます。
大学院学生の
研究生活条件等の改善につきましては、
研究者の養成確保という観点とか人材の確保という観点等から申しましても、これに対しまする奨学金の
制度をどう拡充するかという緊急の問題がございます。この点につきましては、四十九年、五十年引き続き貸与月額の増額、貸与人員の増員等を図っておるところでございますが、博士
課程につきましては、大体八割から九割の間、修士
課程は大体五割前後がただいまその対象と相なっております。
この点につきまして、さらに
一つの問題が、これも先般お尋ねをいただいた点でございますが、いわゆるオーバードクターという
名前で呼ばれておる
研究者の方、
大学院を出た
人たちのオーバードクター問題という問題がある。この問題に対しましては、
日本学術振興会におきまして、奨励
研究員ということで七万円強の貸与をいたしておりますが、これの人数がいま二百人強でございまして、
大学院学生に対する奨学
制度、オーバードクターに対する奨学金の給与、こういったところを今後一体どういうふうに拡充してまいるか。
一つの問題は、ただいま私ども検討いたしておりますのは、先般山原
先生からも御指摘いただいた点ですが、
大学院学生のときに育英会から貸与を受ける。それを教官とか一定の
研究機関に就職をいたしましたときには、返還が免除になるわけなんですが、そこに就職するまでの間、特定のところへ就職すれば免除になっていく。その際に、就職先の
研究機関を実態に即して拡大するという問題が
一つと、それから
大学院を終了して就職するまでの間――判定のところに就職すれば返還免除になるのですが、出て特定のところに就職するまでの間あきますと、大体猶余期間が一年なら一年ということで、それまでの間に特定の
研究機関に就職をしないと返還しなければならぬというたてまえに相なっております。この点でも、現状から申しますと、やはり
実情を少し具体に検討して、返還の猶余期間を拡張し得るケースを具体に即して拡大する必要はないかという問題が提起されておりますが、この問題につきましても、私どもといたしましては、
実情を把握しながら積極的に検討しなければならない課題かと存じます。
それからもう一点、
大学院学生、これは
学部学生もそうでございますが、
教育研究災害という問題がございます。これは、管理者の責めに帰し得ないような、まさに不慮の事故によって、
教育研究やっております際に災害にかかるという際におきます具体の措置というものを一体どうしたらよろしいかということで、国公私立
大学の
関係者の
方々の参集を求めまして、この問題に対する実態調査の問題でありますとか、またこれに対する対応策をどうしたらよろしいかということで、学生の
教育研究災害の補償
制度を学生相互の互助共済
制度として整備することができないであろうかということがただいまある案がまとまりまして、いまそれを各
大学に提示しまして、もしできまするならば、この件につきましては五十一年度から何か具体のスタートが切れないかということで、こういった問題等を検討いたしておるところでございます。
大学院の修士
課程なり博士
課程に進学する者の年齢でございますとか、いろいろなことを
考えますと、今日の
経済情勢下におきまして、この学生の
人たちに対する奨学の問題、こういった問題につきましては、私どもも積極的に検討をぜひさしていただきたい、かように
考えております。