○
永井国務大臣 先生が御
指摘の問題は非常に重要なポイントが多いので、これは、私たちはもちろんでございますが、
大学院の問題に関して申し上げますと、この四月から
大学院問題懇談会が正田
先生を
中心にできましたので、いろいろ御検討願うべきことであると思います。
先生のお話を承っておりまして、非常に重要であると思われることの
幾つかを私ここで
先生の御
質問との関連で申し上げたいと思います。
まず第一は
研究の大型化という問題がありまして、大型コンピューターなどがその一例でありますけれ
ども、これは
戦前の
研究などにはなかった。そういうことになってきますと、
戦前の姿の講座別の構成での
研究ということだけではなかなか問題の解決に進みにくいという面があります。これは大型コンピューターを一例として挙げたわけでございますが、ほかにもそういうことを生じてきます。そうしますと、講座別の積算
単価で
研究費を
考えていくというだけではなく、むしろ講座とか
学科を越えての
共同研究をどうやっていくかというこの問題、これは世界的にそうだと思いますが、
わが国の場合にこの点がまだ十分に検討されておりませんから
考えなければいけないと思います。
次に第二点は、
わが国に比較的固有な問題でございますが、先ほどからずっと国立の問題を議論していますけれ
ども、
わが国の
大学の場合に八割、学生数で申しますと、八割が私学でございますから、実はそういうところの
先生方にも非常に有能な
研究者がいらっしゃるわけです。そうすると、
国立大学の
充実ということあるいはそこの
大学院の
充実ということだけを
考えますと、その相当部分の方が生かされないという恐れが出てくるわけです。そこで、それをどういうふうにしていくか。これも懇談会ですでに御検討を願い始めておりますが、これを
考えていかなければならないということがあると思います。
それから、さらに、非常に重要なのは、
定員法の
関係でどうなってくるかというお
言葉がございましたが、これについては
審議官がすでに御答弁申し上げたとおりでありますが、やはり私たちとしましては、
大学の規模というのが
学部、
大学院を通してこれまた世界的に非常に大きくなってきておりますから、どうしても従来の
ような形の
大学、人員というのでは
考えにくい時代になっておる。そういう点についてやはり
関係各省と十分に話し合う。そしてまた、懇談会でも御
意見を出していただいて、必要最低限の人材というものを確保していくというその
基本的な問題が非常に大事だと思います。
第四点といたしましては、
わが国は戦後非常に経済復興というものを急ぎまして、それから経済成長というのに展開していった過程におきまして、やはり
企業の
発展あるいは
企業内の
研究所というものの成長は目覚ましいものがありましたが、
大学の方がおくれをとった。そういうことで
大学の
先生方も
研究上いろいろ不備な点が多かった。また御不満もたくさん出たということは否定できない事実でありますから、そういう意味合いにおいてこれからもっとバランスのとれた
社会をつくっていかなければならない。
これは一日にできるわけではございませんでしょうけれ
ども、そういうことも勘案して、すそ野の部分を固めていくということが大事だというのが
先生の御
指摘と思いますが、これは非常に重要な御
指摘でございますから、いま私は四点に要約申し上げましたが、こういうことを私たちも十分
考えますし、そしてまた、それぞれ必要な会その他でお
考えいただく
ようにしたいと思います。
で、
独立大学院とか
連合大学院の
構想というのが単に
制度いじりになってはいけないということが
先生の言われた御趣旨のポイントであろうかと思いますが、私も全くそう思います。ただ
提案の趣旨は、
制度いじりによって変わっていくという
ような
考えではございませんので、いまの
ようなすそ野の方から固めていくということも非常に重要なこととして考慮をしながら、そういうものとの関連において、にもかかわらず従来の
日本の
大学の
制度ではカバーし切れなかった、それは主として専門的であったりあるいは
研究の大型化というものと比較的違う時代にでき上がった
制度でございますから、そういうものとは違う姿で
独立大学院をつくり上げていく、また
大学局長が申し上げました
ように現行
大学院というものもでき得る限りそういう形で改善していくということをやっていきたいというのが私たちの
考えの
基本でございます。