○安嶋
政府委員 ただいま先生御指摘の引き揚げ者の
日本語
教育は、先ほど御説明を申し上げたような形でしか行われていないわけでございますが、これは昭和二十八年三月に、「中華人民共和国からの邦人引揚児童生徒の転入学に関する措置について」という文部次官通達がございまして、その通達の中に、引き揚げ児童生徒を受け入れるために市町村
教育委員会は
日本語
教育のために特に特設学級を設けることが望ましい、という指導をいたしております。これは二十数年前のことになるわけでございますが、
文部省の指導の方針といたしましては、やはり特設学級を設けて受け入れを進めることが適当だ、こういう
考え方でございます。
現状は、先ほど申し上げましたように、いわゆる夜間
中学においてその受け入れが行われておるわけでございますが、御承知のとおり夜間
中学というのは法制上認められた
学校制度ではございません。従来は、この夜間
中学の学級に対して教員定数の配当をするというようなことはいたしてこなかったわけでございますが、数年前から、現実に学級が編制されておればこれに対して定数措置をするという
施策を進めてきたわけでございます。ただ、しかし、よく御承知のとおり教員定数というのはいわゆる公立
義務教育諸
学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の運用の枠内でその定数を措置するということでございます。したがいまして、私ども、この
日本語学級についての定数問題というものは、先生先般御指摘のとおり十分
検討しなければならない課題であるというふうに認識をいたしておりますが、ただいま申し上げましたようにいわゆる標準法の枠内でどういう措置が可能かということになるわけでございますので、具体的な進め方につきましては、さらに
検討をさしていただきたいというふうに
考えております。
定員の問題はそういうことでございますが、ほかに、先般担当教員の研修ということもやはり必要ではないかというお話がございました。この点につきましては、あるいは学術国際
局長からお話しをいただいた方がいいかとも思いますが、現在、国立国語研究所で、外国人に対して
日本語
教育を行う者の研修会を毎年行っておりますが、引き揚げ者の
方々に対して
日本語
教育を行う教員の研修ということにつきましても、ただいま申し上げましたような機会を通じてさらに推進するようなことも
考えてみたいと思っております。
それから教材の点でございますが、夜間
中学の
日本語学級に対しましては、
文化庁の国語課で編集をいたしました「外国人のための
日本語読本」これは初級と中級というものでございますが、すでに配付をいたしております。その他の教材をどう整備するかということにつきましても、さらに具体的な
検討を進めてまいりたいというふうに
考えております。
それから、ただいま
大学局長から答弁をいたしましたいわゆる帰国子女の
教育の問題と引き揚げ子弟の
教育の問題は、これは
日本語に習熟していない児童生徒をいかに
日本語に習熟させるかという課題、そういう点では同じ問題を含むわけでございますが、現在「帰国子女指導の手引き−小
学校編」というものが出ておるのでございますが、これの改訂、それから同じく中
学校編の作成を学術国際局において作業中であって、昭和五十年度早々に各
学校に配付をしたいということでございますので、そうした
施策も一方行われておるということをこの際御報告申し上げておきたいと思います。