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宮沢説明員 お答え申し上げます。
サッカリンについては、先ほど申し上げましたように、
がん原性の
疑いが必ずしも晴れていない。当時
衛生試験所で追試中であったというような事情もございまして、私
どもとしましては、
食品衛生調査会で
食品添加物についてのいろいろな改正をやる、特に新しく
指定をするとか、あるいは従来の線を若干とも
緩和するというようなときには、特に慎重にやります。そして、その用いる資料としましては、
関係学会誌であるとか、あるいは
関係学会等に発表された、そういう公になった資料に基づいてやる、公正を期する、こういう
原則を貫いておるわけでございまして、ことしの
日本薬理学会が四月九日に開かれまして、そこで、特に
衛生試験所の方で追試をしておりました、
サッカリンにより膀胱に
がんが出るではないか、こういう点について、
サッカリンにはその
疑いが晴れた、こういう発表がされたわけでございます。
そこで、その発表された資料を整理いたしまして、
食品衛生調査会の
毒性を
審議していただく
毒性部会、それから
必要性等について
審議していただく
添加物部会、その両合同部会を四月二十三日に開催しまして、
国立衛生試験所で発表いたしました、
サッカリンには
がんの
疑いはないとされたという、この資料を中心にして、さらに
WHO、
FAOが一九七四年、昨年でございますが、それまでに
アメリカで
がん原性があるではないかと疑われた資料を含めたいろいろな資料でもって
検討を加えた結果、
WHOで決めた現行五ミリグラム・パー・キログラム
体重という勧告量は変える必要はないと出されたその辺のいきさつとか、それから
アメリカのFDAで
がん原性があるということを発表した、その国で、なぜ
サッカリンを
禁止しなくて、現状のままはっきりするまで厳しくしない、
規制を強めないと言ったかというFDAの見解とか、そういうふうな資料すべてを集めまして、
がん原性について特に慎重に
審議をしていただいたわけです。その結果、
がん原性については一応晴れたという結論をいただいたわけです。
そこで、引き続いて四月三十日に至りまして、今度は
安全量をどこに持っていくかという
一つの議論がございます。これについて、特にカナダあるいはオランダ等で非常に慎重に、詳細に
一般毒性等を含めて
検討しております。特に六世代にまでわたったデータもございまして、そういったデータで
一般毒性とかその他いろいろの病理所見等を見ていただいて、
安全性をどこに置くか、それから安全係数をどこにとるかという
審議をいただいたわけでございますが、その結果、
WHOの決めているこの線が妥当であろう、こういうような結論が出されたわけでございます。
そこで、私
どもといたしましては、早速、本当に必要とする
食品にはどういうものがあるかとか、どういう程度必要なのか、これは
農林省を通じまして、学者であるとかあるいは
研究機関等に詳細に聞いて、いろいろの必要とする資料を整理いたしまして、五月十三日でございますか、その有用性等について
審議をしていただく
食品添加物部会に、その
基準改正についてお諮りしたわけでございます。
その結果、
WHOの計算どおりにいきますと、一日二百五十ミリグラムまで私
どもは摂取していいことになっておりますが、
審議していただいて決まった
基準を見た場合に、各
食品に目いっぱい許されたとおりの
サッカリンが
使用されたとしましても、せいぜい百五十ミリグラムぐらい、つまり
WHOの
基準の五分の三程度の摂取量になる、こういう結果が得られたわけでございます。したがって、これは摂取許容量の範囲内であるということで、その翌日、
食品衛生調査会の常任
委員会という、これはそこの意思を決定し、大臣の諮問に応じて答申したり、あるいは
意見を具申する
機関がございますが、そこから改正についての
意見具申をいただいております。
私
どもは、これだけ世の中で問題になった
安全性等についても、まだまだ不安が持たれている点も多いということで、
消費者に対しては、
サッカリンの使われている
食品で、特に容器包装に入っている
食品は当然そこに入っておるという旨が表示してございますけれ
ども、それ以外の店頭でばら売りしたりするものについても、
消費者にこのたくあんには
サッカリンが使われているかいないかというようなことがわかるような、十分な指導をするように、表示の点について、これは実際表示ができないような
食品についても十分配慮するように、こういうような御
意見をちょうだいいたしたわけでございますので、それについて現在鋭意
検討しておるわけでございまして、おれは
サッカリンはどうしてもいやだという
消費者に対しては、
サッカリンの入っていない
食品を容易に選別できる、それをいかにして徹底するかということを現在作業中でございます。
以上でございます。