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1975-06-05 第75回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月五日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 横山 利秋君    理事 越智 通雄君 理事 加藤 六月君    理事 橋口  隆君 理事 松浦 利尚君    理事 山中 吾郎君 理事 小林 政子君       加藤 紘一君    片岡 清一君       羽生田 進君    吉永 治市君       加藤 清政君    中村  茂君       多田 光雄君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    熊田淳一郎君         経済企画政務次         官       安田 貴六君         経済企画庁国民         生活局長    岩田 幸基君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部少年調査官 山下  力君         環境庁企画調整         局環境保健部保         健調査室長   五十嵐 衛君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 宮沢  香君         農林省食品流通         局消費経済課長 荒尾 芳幸君         通商産業省基礎         産業局化学品安         全課長     平河喜美男君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ————————————— 委員の異動 六月五日  辞任         補欠選任   野間 友一君     多田 光雄君 同日  辞任         補欠選任   多田 光雄君     野間 友一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦(利)委員 きょう、公取の方で三時から、ホリデイマジック社に対する何らかの決定が出されるようでありますが、実はこの委員会で二回にわたってマルチ商法の行為について厳しく調査をしたわけでありまして、そのときに各委員から、こうした商売のやり方についての問題点指摘が行われたのであります。  ところが、たまたま売っておる品物に——この前はマークIIについていろいろと御質問があったわけですが、きょうは、実はエー・ピー・オー・ジャパンで売っております品物について大変な分析結果が出されましたので、これらの点について政府の的確な対処の仕方と方向づけをお願いしたいと思います。  いま私が申し上げるのは、エー・ピー・オー・ジャパンが扱っておりますウインズ社製品であります。これはアメリカのウイン・オイル・カンパニーによってつくられました添加剤、これを実はマルチ商法で売り歩いておるわけです。内容的には、エンジンチューンアップ、これはエンジン内部の有害なスラッジを溶解するというものです。あるいはフリクションプルーフィング、フォアオイル、こういったものを売っておるのですが、実はたまたまこの品物を売りたいと考えておった人が、大阪住友化学工業株式会社大阪製造所内にある住化分析センター添加剤分析を依頼したわけです。ところが、この添加剤から、本当は使用してはならぬと言われておりましたPCBが一〇〇ppm検出されたという分析試験結果が出たわけです。これは私の手元にあります。私はしろうとでありますから、現地の住化分析センターにその内容についていろいろと依頼をいたしましたが、環境庁なり通産省から指定された分析方法によってPCBの検出が行われたという報告であります。  そこで、お尋ねしたいのですが、こうしたマルチ商法で売られておるエー・ピー・オー・ジャパンのこういうものが、店頭になくて、それぞれ各家庭に直接売られていくわけでありますが、一体PCBというものはどういう扱いになっておるのか、特に輸入品についてどうなっておるのかということを、まず通産省の方からお聞かせいただきたいというふうに思います。
  4. 平河喜美男

    平河説明員 お答えいたします。  PCBにつきましては、化学物質審査及び製造等規制に関する法律に基づきまして、その製造輸入は全部禁止されております。また、PCBを消費いたしました製品につきましても、潤滑油、塗料あるいはコンデンサー等につきましては、やはり輸入禁止しております。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、このエー・ピー・オー・ジャパンで売っておるウインズ社エンジンチューンアップから一〇〇ppm検出されたのですが、こういった事実について通産省では御存じだったでしょうか。
  6. 平河喜美男

    平河説明員 私ども先生から御指摘いただくまでその内容について詳細は存じておりませんでしたので、早急に実態調査いたしたいと思います。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 通産省お尋ねしておきますが、わが国内においてPCB製造使用あるいは添加等禁止されておるのですが、このように上陸してくるものについて網の目から漏れるという状態が出てきておると私は思うのです。こういったものをどういうふうに上陸点で防止するのか、そういうことについてお考えがあれば、ひとつ簡単に説明してください。
  8. 平河喜美男

    平河説明員 PCBを使われた製品につきましても、これが大量に消費されまして問題がある場合には、製品として輸入禁止措置をとることができますので、実態調査した上、必要な措置をとりたいと思っております。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 環境庁お尋ねをいたします。  PCB製造等禁止について、いまこういった抜け穴の事実が明らかになったわけでありますが、さらに、こういったものについて環境庁としても厳しくチェックをしていくというお考え方がありますか。
  10. 五十嵐衛

    五十嵐説明員 お答えいたします。  この問題につきましては、私ども先生から御指摘いただくまで、このような分析結果が出たということは存じておりませんでした。私ども環境庁は、化学物質審査規制法の実施に伴いまして、通産省厚生省、それから関連主務官庁の実施いたします化学物質規制対策に関連して、環境汚染未然防止という観点から御意見申し上げるという立場にございますので、この問題につきましては、通産省調査結果を待ちまして、環境汚染未然防止という観点からの協議をいたしまして、通産省ともども関係各省対策を練ってまいりたい、そのように考えております。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう一度通産省お尋ねをしておきますが、これはマルチ商法で大量に売られておるのです。エー・ピー・オー・ジャパンは、純益三十億ぐらい上げたというふうに言われているくらいもうかる。しかも直接販売じゃないのです。段階的にいろいろ責任を設けて売っていくという形ですが、これがもう現実に相当大量に出回っているのです。そこで、直ちに通産省としてこうしたものについての分析の結果、住化分析センターが明らかにしたようにPCBが検出された場合の措置についても、ひとつ通産省からお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 平河喜美男

    平河説明員 先生の御指摘のように、販売使用量、あるいはその中に含まれておりますPCBの量の問題、検討を待ちまして、御趣旨のように処置をいたしたいと思います。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 直ちに現品を取り寄せて分析をし、処置をしていただきたいと思います。  そこで、もう時間がありませんから、経企庁の国民生活局長お尋ねしておきたいし、また、その決意のほどをお聞かせいただきたいのですが、マルチ商法というのは、この前も指摘したように、催眠術的な発想で人狩りをやって、品物はつけ足しなんです。しかも、その品物というのが、マークIIがどうだこうだという議論があったように、きょうはたまたま自動車に対するエンジンチューンアップが、しかもPCBが一〇〇ppmもという大変な分析結果が出ておるわけでありますから、マルチ商法で売られている商品については全部チェックしてみる必要がある。本当に国民生活にプラスになるのかどうか。これは商道徳というものから見てもあり得ないことが現実にここで起こっているわけですから、こういうものについて、マルチ商法規制するのみならず、売っているそのものについても内容的にチェックをすることが必要ではないか。その点について生活局長の御意見を承りたいと思います。
  14. 岩田幸基

    岩田(幸)政府委員 マルチ商法につきましては、この前の五月二十二日の当委員会の御意見をいただきまして、その後早速、関係各省集まりまして、一つ商法自体の問題、それからもう一つは、御指摘の売っておる商品自体の問題、この両面から、各省で早急に今後やるべきこと、その手順、新たにどういうことをやる必要があるのかということについて打ち合わせをやっておりまして、近く結論が得られると思っております。  なお、PCBの問題につきましては、御承知のように、これは化学物質規制法によりまして輸入品についても政令指定をしておりまして、輸入禁止する措置をとっております。ただ、いま御指摘のものが政令指定物質に入るのかどうかという問題が一つございますし、それから、それ自体が果たしてPCB一〇〇ppmというものが出ているのかどうかという分析の問題、二つあると思うのです。したがって、早急にこの分析をしていただいた上で、もし政令指定物質になければ、新たに政令指定をするという措置を講じていただきたいと、私の方からも関係各省に働きかけてまいりたい、こう思うのでございます。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 最後にお願いしておきますが、この結果については、国民分析結果等はすべて明らかにしていただきたい。そして、その処置についても明確に国民の前にお示しをいただきたい。この二点を最後に要望しておきたいと思いますが、これは通産省の方から御回答いただいて、私の質問を終わります。
  16. 平河喜美男

    平河説明員 御指摘のとおりに処置いたしたいと思います。
  17. 横山利秋

  18. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、サッカリン使用緩和の問題についてお聞きしたいと思いますが、まず最初に、四十八年の十一月一日からサッカリン一般食品への使用を全面的に禁止いたしました。それから二カ月足らずたって、四十八年十二月二十六日に、体重一キロ当たり一日一ミリグラムまで二十四品目について使用を認める、こういう経過があったわけでありますけれども、この経過と、こういうふうになった理由について、厚生省からひとつ。
  19. 宮沢香

    宮沢説明員 お答えいたします。  サッカリンにつきまして、実はこれは食品添加物全般についてその安全性審議しております国際機関でございますFAOWHOという機関がございまして、そこで安全量というものを個別に設定しておるわけでございますが、昭和四十二年に、サッカリン体重一キログラム当たり五ミリグラムまでは安全である、こういうようなことを決めておるわけでございます。  ところが、その後四十五年になりまして、アメリカで膀胱にがんが出たというような研究の発表がございまして、日本でも早速、国立衛生試験所の方で検討に入ったわけでございますが、ただいま先生指摘のように、四十八年に至りまして、アメリカではやはりがん原性疑いが強いというようなことで、四十八年の四月ごろでございますが、当時チクロを禁止して非常に混乱を招いたことがございましたので、このような混乱の経験に照らしまして、私どもとしましては、アメリカのFDAと申します、ちょうど厚生省当たりますところですが、そういう措置をとるときは迅速に連絡してほしいというような話をしておりましたので、四月ごろ、向こうの担当官から直接、六月ごろ禁止するようになるかもしれないというような連絡をいただきました。  そこで、四十八年の四月に、早速、そういった食品添加物が要るか要らないかという必要性等についていろいろ御審議を願っております添加物部会を急遽招集いたしまして、どうしたものかというようなことで諮ったわけでございます。  そこで、サッカリンについては、残された最後人工甘味料であったわけでございますが、がん原性というようなことがあれば、やはり国民の健康を優先すべきであるということで、特殊栄養食品と申しまして糖尿病患者なんかに使う以外のわれわれ一般の食べる食品からは、やはりそういう疑いがある以上はやむを得ないということで禁止措置をとるべきだという御意見をいただいて、禁止に踏み切ったわけでございます。  ところが、ただいま先生指摘のように、それが六カ月間の猶予期間を置いて十一月から発効したわけでございますが、そのアメリカ連絡の一カ月後に、アメリカでは、やはり人工甘味料というものについては、最後のものであるし、非常に必要だという声もありまして、科学アカデミーでもう一度がっちりと研究してみよう、その結果が出るまでは現在の規制措置をしない、つまり、一日十五ミリグラムまで摂取してよいという一つ基準を持っておりますが、それを変更しない、結果が出るまで延長する、こういうようなことを発表いたしました。  そこで、日本におきましても、先生ただいま御指摘のように、四十八年の暮れの十二月十八日に、今度は毒性審議する毒性部会必要性審議する添加物部会を再度招集いたしまして、当時の発がん作用等についての実験各国の資料を集めていろいろ御審議をしていただいて、やはり最後人工甘味料ということでどうしても必要であるというようなことでございましたが、がん原性については必ずしもあるとかないとかはっきりしない。ちょうど当時、衛生試験所の方で実験が途上にあったわけでございます。その結果が出るまでは、WHOで決めておる量の五分の一という、これは世界に類例を見ない非常に厳しい基準体重一キロに対して一ミリグラムという非常に厳しい基準を暫定的に設定しておったわけでございます。  全面禁止からこういうふうに戻しましたのは、やはりどうしても必要であるということと、それからがん原性が必ずしもはっきりしない、衛生試験所の結果が出るまでは暫定的に一ミリ・パー・キロというふうにしたわけでございます。
  20. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、人工食品添加物についてできるだけ減らそうという方針を持っていると思いますけれども、その考え方を、厚生省と、それから農林省からそれぞれ明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
  21. 宮沢香

    宮沢説明員 お答えいたします。  食品添加物につきましては、先ほども申し上げましたように、食品が非常に各国間に流通するようになったということで、しかもこれがもし危険なものが入っておると非常に問題が広範に発生する、こういうことで、FAOWHO専門家委員会におきまして、昭和三十三年でございますが、食品添加物安全性というものを評価する一つ原則を出しまして、もう一つ食品添加物を認める場合の考え方というものを示しております。  その内容を概略申し上げますと、まず、添加物というものは安全ということが第一前提である。それからその次に、その添加物国民食生活にとって寄与するもの、何らかの利益を与えるものでなくてはならない。さらに、その使用というものが消費者に対して欺瞞をするような使い方はいかぬ、こういう原則がございます。そして、その添加物が、食品製造したり、加工したり、あるいはその品質保持するというようなときに非常に必要なものである、そういうことになっておりまして、人工的に合成された添加物というものは極力食品に不必要な使い方をしない、こういうような原則を出しております。  私どもは、この原則に沿いまして、わが国の実情等を加味しながら、昭和四十年に、食品添加物食品衛生調査会審議する際の指定基準を設定しております。この線に沿いまして、安全性について徹底的に、すでに指定されておった添加物等につきましては、常にその時代技術進歩に合わせた安全性評価を行うとともに、さらに指定した当時、必要とされた当時の状態を振り返りながら、現状において、流通状態とか、あるいはその製造技術加工技術等進歩によってすでに必要性の薄れたものについては絶えずそれを削除するというような方針をとってきておりますし、三十七年以来ずっと安全性の再評価必要性調査をやっておりまして、たとえば発がん性疑いの持たれたような着色料であるとか、あるいは必要性の乏しくなった保存料であるとか、そういうようなものについて四十品目ほど現在までに削除しております。  この極力使わないようにするという方針は、今後も続けてまいりたいと思っております。
  22. 荒尾芳幸

    荒尾説明員 農林省としましては、食品に対する嗜好の変化とか、あるいは食生活変化によりまして、加工食品の中に食品添加物が使われるということは、ある面ではやむを得ないというふうに考えておりますが、できるだけ使わないでやっていくことが望ましいというふうに思っております。したがいまして、農林省としましては、品質保持上とか、あるいは製造加工上どうしても必要であるというもの以外はできるだけ使わないという形で、たとえば色素人工色素から天然の色素に切りかえるように、あるいは保存料を使わないでも品質保持ができるような製造加工技術開発等について、業界等を指導しておるところでございます。  なお、JAS規格日本農林規格でございますけれども、それの設定に当たりましては、所要の制限を行っておるところでございます。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 ここに東京漬物問屋協同組合理事長大野五十三の判こをついた文書で、あて先は「御当局御中」、それから表題が「生産者へ提出した要望書考え方について」という文書がございます。この「御当局御中」というのは、厚生省を指しているのかどうか、ひとつ厚生省からお聞きいたします。
  24. 宮沢香

    宮沢説明員 これは厚生省の方に提出いただいたものでございます。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは、この文書を提出させた経過考え方についてお聞きしたいと思います。
  26. 宮沢香

    宮沢説明員 お答えいたします。  ただいま先生のご指摘文書でございますが、私どもとしては、こういう正式なものでなくて、メモ程度のものとしてお願いしたわけでございますが、こういうふうな形で出されたわけです。  この経緯と申しますのは、実はここにも書いてございますように、三月の二十日に、何か色素を非常に使ったつけもの類欠陥食品だというようなことで展示されて、関係つけもの等販売する業者の方々が非常に追及されたというようなことでございまして、そのときに、いわゆる食品添加物とか、特に着色料等については今後なるべく使わないようにしよう、自然の食品ということでつけもの販売すべきだ、こういうようなことで会員の皆様に御連絡申し上げた文書がございまして、実はその文書を、サッカリン緩和という私ども審議の始まる中途におきまして、ある消費者団体から、つけもの販売している方々は、添加物等については、余り要らないようなことを言っておるけれども、こういうことは厚生省は一体どういうふうに考えるのですか、こういうようなことで、そういった当時つけもの問屋組合から会員にあてて出した文書を持ってまいったわけでございます。  そこで、私どもとしましては、これは東京都の問題でございますので、特に直接関係はございませんが、全国漬物協会というのがございますが、そこを通して、どうしてこんな文書が出たのか、あるいはサッカリン等についてつけものというものには必要だからということを、以前から全国漬物協会としては私どもに言っておったのですが、実際サッカリン等について東京都さんがどんなお気持ちを持っておるか、もしわかれば大変ありがたいし、それがこの持ってきた消費者の方に対してメモとしてでも渡せればいいと思ったので、ちょっと聞いて、メモか何かを届けてほしい、こういうことでお願いしましたら、こういう文書が出てきたわけでございます。
  27. 中村茂

    中村(茂)委員 メモのつもりというふうに言うけれども、これは角印まで押した、正式な、りっぱな文書であります。ですから、私は、始末書だというふうに内容を理解するのですけれども、一応当局問屋組合からとった始末書ですか。
  28. 宮沢香

    宮沢説明員 お答えします。  これは始末書でございません。  それから、もう一つつけ加えさしていただきますが、私どもとしましては、先ほど来申し上げておりますように、食品添加物、特に化学的合成品である食品添加物については、必要以上な使わせ方はしないというような考え方に立っておりますので、つけもの等についても本当にどういうつけものにどの程度要るのだというようなことをいろいろ調査しておった時期でもございますので、そういう要らないようなことについての文書等も出ておったので、その辺のところをよく知っておきたいということで、全国漬物協会を通して、メモ程度で出してもらいたいということで、決して始末書というような性格のものではございません。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、私が非常にこういうものをとったということは問題だと思いますのは、いわばこの問屋組合で出した要望書、その要望書に対して、その考え方文書でとったわけであります。  これは要望書の一部でありますけれども、こういう内容になっています。「(漬物大量生産大量販売時代に入り)漬物本来の価値を忘れ、生命を維持するための“たべもの”の安全性についての研究がおろそかにされ、近年急増した出産異常の原因食品添加物であるといわれるようになった。」「漬物は本来自然食品であり、ふるさとの味であり、おふくろの味であるのだから、この伝統ある食品の発展のためにも、当組合は今後、生産者に不要の食品添加物、とりわけ合成着色料使用は排除するよう努力することを要望する。同時に消費者もご協力をお願いする」、この文書に対して、皆さんの方は、この文書はどうして出したのかという考え方を、先ほど言いましたようにとったというわけですね。  これは、先ほど聞きました人工着色料、こういうものはできるだけ少なくして、安全性というものを求めていく、特につけもの等については、ここで言っておりますように、そういうものをできるだけ除いて、「漬物は本来自然食品であり、ふるさとの味であり、おふくろの味である」こういう味を出したつけものを今後問屋の方に送ってもらいたい、こういう要望書問屋生産者組合に出したのを、あなたのところで、どうしてこういうものを出したかという考え方を、メモメモだと言うけれども、正式な角判までついた文書をとった。私、そこで考えてみるに、安全性について研究がおろそかにされておる、ここのところを、厚生省がまあ自分の痛いところを言われた、こういうふうに私は見ざるを得ません。それから「近年急増した出産異常の原因食品添加物であるといわれるようになった。」これはもう学者等もいろいろそういう点については発表しているし、いろいろ出ている問題であります。それを今度メモがわりだということでこの文書、いわば始末書をとった。  それで、この始末書の中身で特に私は問題になるというふうに思いますのは、「要望書趣旨」ということを書いて、その最後の方に「当時サッカリンについては、何等考慮もしていなかったものである。」出した方の文書にはサッカリンなどは何も言っていませんけれども皆さんの方のとった中には、この要望書を出したときに「当時サッカリンについては、何等考慮もしていなかったものである。」ということを、ここへ書かせているんですね。そしてその後に「サッカリンについての意見」という欄を一つ設けて、サッカリンについてのことを書かしている。  そういう一連のことを関連して見ると、この文書をとったときにはサッカリン緩和しようという動きが出てきて、それぞれ調査会で意見を求めるというような段階だった。そうすると、こういうふるさとの味を出すつけものについて、問屋の筋から、そういうものをできるだけ送ってくれ、人工着色料などつけてやらないようにという要望書に対して、皆さんがこういうものをとったというわけでありますから、これは簡単にメモというものではなしに、皆さんの政策意図をもって、そしてこの要望書に対して皆さんの方がこういう始末書をとった、こういうふうに私は見ざるを得ないわけであります。その辺についてはどういうふうにお考えですか。
  30. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  厚生省としましては、先ほど来先生がしばしば御指摘のように、本当に消費者にとっての健康な食品をつくらせるというようなことで、無用な添加物は一切排除する、この方針は私どもは堅持しておるわけでございまして、特につけものでございますが、これも農林省としまして、つけもの研究しておりますいろいろな学者の先生方に、どうしてこういう人工甘味料なんか必要なのかというようなこともいろいろ調査しておったわけでございます。  したがいまして、あくまでもつくる側、つけもの製造業の団体でございます全国漬物協会、そういうような線を通して、必要性についてはいろいろな点を聞き、そして個別に研究している各学者の御意見をちょうだいして、最終的に専門家から成ります食品添加物部会の御審議をいただいていく、こういうふうに、非常に慎重を期しておるわけでございます。  また、一方におきまして、実際に都道府県の食品衛生監視員を通して使用実態等も常に調査をしていただいて、不必要となったものについては逐次削除していく、こういうようなことをやっておるわけでございまして、そのつけものの、こちらは売る側でございますが、そういう方々の、化学的合成品である添加物をなるべく使わないようなつけものを供給してほしいという要望は、全く厚生省考え方と一致しておるものでございまして、したがって、決して私どもそれを始末書というような性格のものでとったのではなくて、その辺のところを、東京都の関係で、これは全国ではございませんが、どういうふうに考えておるか知っておきたい、こういうふうに思ったので、メモというような形で出していただければありがたいということで、全国漬物協会にお願いしたわけでございます。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 メモであろうと何であろうと、特にその考え方を明らかにしていただきたいというふうに思いますのは、サッカリンについていま取り上げているわけですね。要望書の方においては、サッカリンについて抜き出して、サッカリンは使わないようにしろ、こういうふうに何も言っていないわけでしょう。  ところが、皆さんの方からメモだというふうにとった中身については、その当時はサッカリンについては何も考えていなかったとか、サッカリンがん原性についていろいろ疑いがある点については、しかるべき機関で結論を出せばそれに従うとか、サッカリンについて今度はこっちから取り上げているわけですよ。何でそういうふうになってきたのか、何でサッカリンについてだけそこで取り上げたか。そこのところに、サッカリン緩和していこうという皆さんの時期と合っているから、サッカリンを使わないようにしろということがこの中に含まれていやしないか、したがって、サッカリンについてだけそこへ歯どめをしていく、こういうメモ内容になってきたのではないか、こういうふうに私は思わざるを得ない、こう言っているわけでありますから、サッカリン関係についてひとつ明らかにしていただきたい、こういうふうに思うのです。
  32. 宮沢香

    宮沢説明員 お答えいたします。  つけものにもいろいろな種類がございます。私ども今度の改正に当たって特によく調べてみてわかったのですが、サッカリンを必要としないような多くのつけものもございます。それから、中にはたくあんづけのような、サッカリンがなければ非常に困るというようなものもございます。したがいまして、現在の基準では量は非常に少ないのですが、たくあんづけと一般つけものというような大ざっぱな分け方をしておったわけでございますが、今度はさらにそのつけものを幾つかに細分するような、こういう審議の結果を意見としていただいておりますので、その線に沿って現在検討を加えておるわけでございます。  たびたび先生が御指摘のような、サッカリンについて何か始末書的な性格のものとしてとったじゃないか、こういう御指摘でございますが、これは決してそうではなくて、たまたま私どもも、実はそういう文書が出ているというのは、このサッカリン規制緩和することが可能かどうか、がん原性についての疑いが晴れたかどうか、こういうような審議をこの四月から始めたわけでございますが、その中途において、一部の消費者の方から、こういう文書が出ていますよ、こういうようなことで持ってきたので、早速、その辺はどういういきさつで出たのか、それから、東京都の売る側のつけもの屋さんは一体どういう考えを持っているのか知っておけば、さらに私ども審議を進める上にも役に立つし、また、消費者の方にもそういったことを説明すれば了解されるだろう、こういうことで、あくまでも、あて先も要らないから、メモ程度で結構です、こういうふうによくお願いをしてございます。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 その文書の点はその程度にして、次に、サッカリン使用緩和の作業がそれぞれ進んでいると思いますけれども、その経過と、きょう現在どういう状態サッカリン緩和の問題は厚生省として考えているのか、明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
  34. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  サッカリンについては、先ほど申し上げましたように、がん原性疑いが必ずしも晴れていない。当時衛生試験所で追試中であったというような事情もございまして、私どもとしましては、食品衛生調査会食品添加物についてのいろいろな改正をやる、特に新しく指定をするとか、あるいは従来の線を若干とも緩和するというようなときには、特に慎重にやります。そして、その用いる資料としましては、関係学会誌であるとか、あるいは関係学会等に発表された、そういう公になった資料に基づいてやる、公正を期する、こういう原則を貫いておるわけでございまして、ことしの日本薬理学会が四月九日に開かれまして、そこで、特に衛生試験所の方で追試をしておりました、サッカリンにより膀胱にがんが出るではないか、こういう点について、サッカリンにはその疑いが晴れた、こういう発表がされたわけでございます。  そこで、その発表された資料を整理いたしまして、食品衛生調査会毒性審議していただく毒性部会、それから必要性等について審議していただく添加物部会、その両合同部会を四月二十三日に開催しまして、国立衛生試験所で発表いたしました、サッカリンにはがん疑いはないとされたという、この資料を中心にして、さらにWHOFAOが一九七四年、昨年でございますが、それまでにアメリカがん原性があるではないかと疑われた資料を含めたいろいろな資料でもって検討を加えた結果、WHOで決めた現行五ミリグラム・パー・キログラム体重という勧告量は変える必要はないと出されたその辺のいきさつとか、それからアメリカのFDAでがん原性があるということを発表した、その国で、なぜサッカリン禁止しなくて、現状のままはっきりするまで厳しくしない、規制を強めないと言ったかというFDAの見解とか、そういうふうな資料すべてを集めまして、がん原性について特に慎重に審議をしていただいたわけです。その結果、がん原性については一応晴れたという結論をいただいたわけです。  そこで、引き続いて四月三十日に至りまして、今度は安全量をどこに持っていくかという一つの議論がございます。これについて、特にカナダあるいはオランダ等で非常に慎重に、詳細に一般毒性等を含めて検討しております。特に六世代にまでわたったデータもございまして、そういったデータで一般毒性とかその他いろいろの病理所見等を見ていただいて、安全性をどこに置くか、それから安全係数をどこにとるかという審議をいただいたわけでございますが、その結果、WHOの決めているこの線が妥当であろう、こういうような結論が出されたわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、早速、本当に必要とする食品にはどういうものがあるかとか、どういう程度必要なのか、これは農林省を通じまして、学者であるとかあるいは研究機関等に詳細に聞いて、いろいろの必要とする資料を整理いたしまして、五月十三日でございますか、その有用性等について審議をしていただく食品添加物部会に、その基準改正についてお諮りしたわけでございます。  その結果、WHOの計算どおりにいきますと、一日二百五十ミリグラムまで私どもは摂取していいことになっておりますが、審議していただいて決まった基準を見た場合に、各食品に目いっぱい許されたとおりのサッカリン使用されたとしましても、せいぜい百五十ミリグラムぐらい、つまりWHO基準の五分の三程度の摂取量になる、こういう結果が得られたわけでございます。したがって、これは摂取許容量の範囲内であるということで、その翌日、食品衛生調査会の常任委員会という、これはそこの意思を決定し、大臣の諮問に応じて答申したり、あるいは意見を具申する機関がございますが、そこから改正についての意見具申をいただいております。  私どもは、これだけ世の中で問題になった安全性等についても、まだまだ不安が持たれている点も多いということで、消費者に対しては、サッカリンの使われている食品で、特に容器包装に入っている食品は当然そこに入っておるという旨が表示してございますけれども、それ以外の店頭でばら売りしたりするものについても、消費者にこのたくあんにはサッカリンが使われているかいないかというようなことがわかるような、十分な指導をするように、表示の点について、これは実際表示ができないような食品についても十分配慮するように、こういうような御意見をちょうだいいたしたわけでございますので、それについて現在鋭意検討しておるわけでございまして、おれはサッカリンはどうしてもいやだという消費者に対しては、サッカリンの入っていない食品を容易に選別できる、それをいかにして徹底するかということを現在作業中でございます。  以上でございます。
  35. 中村茂

    中村(茂)委員 この問題については、学問的にも安全性が完全に保障されておるかどうかということが非常に重要な問題だというふうに私は思うのです。いろいろな経過がありましたし、今度特にがんの問題についてはそういう疑いがないのだ、こういう結果が出たので、それを付して、なおアメリカその他のいろいろな研究結果等も含めて検討した、こういうふうに言われます。  私も素人でありますが、相当多くの資料をとって調べてみましたけれども、特にがんそのものについては、サッカリンをとることによってイコールがんというふうな研究データはそうありません。しかし、がん疑いのある不純物があった、そういうものからがんというふうに出てきておるという学説も相当あります。それから、遺伝との関係をどういうふうに解明していくかということについても、まだ完全に行っていないというデータも相当あります。ということになると、学問的にもサッカリンというものについてはまだ完全に解明されていない、まだ十分検討していかなければならぬ点が残されておる、こういう事情ではないかというふうに私は判断するわけであります。  ですから、この調査会で皆さんが出した資料については、がんそのものでなくて、そこのところから出てくるいろいろ疑いある点等についての学問的な資料も含めて出して、したがって、がんばかりではなしに、そういう付随してくる疑わしい問題についても、こういう点は残されているけれども、このくらいの使用量ならいいだろう、こういう結論になったのか、そこら辺のところをもう少し明らかにしていただきたいというふうに思います。
  36. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  最初に不純物の問題でございます。確かに先生指摘のように、アメリカがんが出たというのに対して、さらに科学アカデミーの方でいろいろ詳細な研究をやっておるわけですが、不純物の中で、トルエンからサッカリン製造する一つの方法がございまして、その場合に避けて通ることのできないオルトトルエンスルフォンアミドという化合物ができます。これが非常に大量にあったということで、あるいはこれが犯人でなかったかというようなことで、これは現在アメリカでも研究しております。WHOでもこの点についてはずいぶん議論もされております。  日本でも、もちろんそれについて四十八年十二月十八日の添加物毒性合同部会のときにも議論されまして、その結果、いま衛生試験所がんの問題を追試中であるけれども、純度についてもさらに高める必要がある、こういうような意見も出されましたので、実はそれを受けまして、翌年の五月十八日に、サッカリンの中の不純物の特に一番たくさん入ってきておりますオルトトルエンスルフォンアミドについては、一〇〇ppm以下というような非常に厳しい純度基準を設定したわけでございます。  アメリカ実験されておりますのは数千ppmも入っておるのが、日本では一〇〇ppm以下というふうにして、WHOに私どもこの基準も送っておりますし、今後サッカリンの規格ができる場合には、恐らく日本の規格が非常に参考にされるのではないかと思うわけでございます。  それから第二点、不純物についての安全性とか、あるいはサッカリンを含めた不純物等についての一般毒性並びに遺伝の問題、こういうものについても、私どもとしましては、添加物部会におきまして、特に遺伝の問題は日本ではサッカリンについては全くございませんでしたが、諸外国で広く行われております幾つかの遺伝を検定する方法がございます。ただ、この方法は、まだWHOでは化学物質安全性を見る上には熟していない、まだ非常に早い、こういう見解をとっておりますけれども各国ではそういうものももちろん幾つか検定をし、試験をしておりますが、その試験等についても資料は提出して十分審議を尽くしていただいておりますし、さらに、これは公開した資料でなければいかぬということでございましたが、日本でも全くないままで審議をすることもどうかということで、国立がんセンターの研究所長にもちょっとお願いをして、早速、非常に新しい方法で細胞毒性と遺伝の面から見ていただいた資料もいただきまして、非公式にそれもお諮りして説明をしてございまして、それからその他の一般毒性についてはもちろん従来のデータ、それからWHO評価しております考え方の点等を全部踏まえて、慎重に審議をしてございます。
  37. 中村茂

    中村(茂)委員 まあしろうとでありますから、学問的にはそれ以上細かいことはわからないのですけれども、しかし、まだそういう面についてはいろいろな問題はあるけれども解明されていない、こういうことだけははっきりしていると思うのです。そうなってまいりますと、そういうものについて使用量をどういうふうにするか、こういうことで、WHO、世界保健機関の一応の基準におさめるようにしたからまあいいだろう、こういうことですね。これまでにしてまだ疑いがある、しかし一応の世界のそういう基準におさめるようにしたからまあいいだろうということで、使用緩和していく。それほどまでにして、このところが完全に解明を終わらないにもかかわらず使用していかなければならない、緩和していかなければならないという理由は何なんですか。
  38. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  私ども、前回、非常に厳しい基準を設定しましたときに、これはしょうゆで、特に関東ではなくて九州地方とか関西方面の一部のしょうゆ業者なんだそうですか、人工甘味料を使えなくなったために砂糖にすると、カビが生えてしまうとか、いろいろそういうことで、もうできなくて困っているとかいうような特殊な食品等もございました。しかし、私どもとしましては、安全性がはっきりするまではそれは無理だということで、公開された資料ではっきりとがん原性が否定されるまでは、私どもはそういう事情があるということは十分承知はしておったのですが、今日の厳しい規制を続けておったわけでございます。  ただ、このがん原性その他一般的な毒性についても、十分審議は尽くしてあると申し上げたのですが、先ほど来先生指摘の、不純物とか、あるいは遺伝の問題について、これもはっきり解明するまでやはり現状でいくべきじゃなかろうか、こういうような御指摘でございます。これにつきましては、実は先ほどちょっと触れましたが、特に遺伝の問題については、遺伝の作用あるものは発がん作用があるじゃないかというようなことが多くの学者にも言われておる。したがって、遺伝の作用のあるものは当然発がん作用も疑ってかかれというようなことになっておりますが、しかし、これもWHOでは、細胞と化学物質を接触させて、細胞にちょっと変異が起こったからといって、これでもって安全性を云々できるというような、そこまでこの学問はまだ熟していない、したがって、WHOとしては、これは今後大いに研究するテーマであるけれども、しかしこれをもって直ちに、解決するまでこれは使わせるべきじゃないというような、そこまでの決定的なことは言えないということを申して、非常に時間のかかる学問でございます。  それから、不純物につきましても、日本では非常に純度は高いものにしておりまして、その日本サッカリンを使った実験に関する限り、これはカナダでも日本サッカリンを使っておりますが、がんは全く認めていないし、その他の毒性等についても問題を認めていないというわけでございます。ただ、この不純物について取り出して拡大して、遺伝の問題とか、がんの問題とか、こういうことは当然今後の問題として考えていかなければならないわけでございますけれども、これはWHO、あるいは日本でも、カナダでも、アメリカでも、これから……
  39. 横山利秋

    横山委員長 ちょっと委員長から御注意しますけれども質問者はたびたび言っているのですが、緩和の理由は何かということを聞いているのですから、それに端的にお答えになればよろしい。最初おっしゃったように、業界の要望がございますから緩和いたしますと、そうならそうではっきりおっしゃってください。そんなことをおっしゃらぬでもよろしい。
  40. 宮沢香

    宮沢説明員 わかりました。  そういうことで、むずかしい問題があるので、いま安全性が一応担保された、こういうことで緩和をしておるわけでございます。
  41. 中村茂

    中村(茂)委員 特に業界の緩和していただきたいという強い要望はどの程度になっているのですか。これは特に厚生省と、農林省の方からも、緩和してもらいたいという業界の要望があると思うのですけれども、その要望と、それに対しての農林省サッカリン使用についての考え方、両方からひとつ、簡潔で結構です。
  42. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  非常に強い要望の出されておりましたのは、しょうゆの協会と、つけものと、清涼飲料と、この三団体でございます。
  43. 荒尾芳幸

    荒尾説明員 お答えいたします。  私どもの方へも要望が各方面から出ましたけれども、先ほど御説明申し上げましたように、つけもの等一部のものを除きまして、JAS規格上ではサッカリン使用するということを認めておりません。
  44. 中村茂

    中村(茂)委員 ここに、調査会に出した資料というので、これはそのものを写したものでありますけれども、特につけもの、それから魚介加工品、飲料、菓子、しょうゆ、こういう部類のもので、それぞれサッカリンについてこういうことで必要なんだ、このぐらいはどうしても必要だというものがあるわけです。したがって、これはいずれにしても調査会へ出したわけでありますから、業界の希望も相当含まれているでしょうし、これはそれだけ本当に必要なのかどうか、またそれだけ必要だと言っても、その程度はどうだろうというようなことをしさいに検討を加えた上に資料として出したものだと思いますけれども、この資料を出した経過というか、中身というか、そういうものについて明らかにしていただきたいというふうに思います。
  45. 宮沢香

    宮沢説明員 お答えいたします。  ただいま先生の、業界からそういう要望の線も出ております。私ども、諸外国における使用実態も十分調査し、それから、こういった食品についてそれぞれ研究しております先生方の御意見も徴して、そして十分審議をしていただいて線を決めたわけでございます。
  46. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、この資料をつくるには、業界と、それから農林省意見も聞いたのですか。
  47. 宮沢香

    宮沢説明員 お答えいたします。  農林省の方から紹介をしていただきました研究機関とか、学者の意見も十分聞いております。
  48. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは、農林省はこの資料についてはどういうふうに考えるのですか。
  49. 荒尾芳幸

    荒尾説明員 厚生省から連絡がございまして、私ども各原課につなぎましてそれぞれの方々意見を聞き、厚生省連絡をいたしております。
  50. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、資料として出したからには、これは相当責任を持って出した資料じゃないかというふうに思うのですけれども、いまお聞きする範囲では、私自身は相当検討も加えたりして責任ある資料というふうにはなかなか判断ができかねます。  そこで、先ほどの毒性というか、まだ疑いのある点、それから、業界からは確かに皆さんが取りまとめたものを調査会に出して、そういう要望等をあわせて最終的に決まった、こういうわけでございます。そこで、調査会という機関は、皆さんのところで意見を求める場合と、諮問する場合があるのですけれども、これは諮問したわけですか、意見を求めたわけですか。
  51. 宮沢香

    宮沢説明員 お答えいたします。  サッカリンは、すでに、現在、一部、低い量ですが使用を認めさせております。そういったようなものの改正ということもございますので、意見を具申していただいております。
  52. 中村茂

    中村(茂)委員 諮問を求める場合と、意見を求める場合で、皆さんのところで諮問したものを受けた場合、それから意見を求めてそれを受けた場合、取り扱い方はどういうふうに考えておられますか。
  53. 宮沢香

    宮沢説明員 これは全く同様でございます。
  54. 中村茂

    中村(茂)委員 食品衛生法の二十五条の二項によって意見を求めたと思うのですけれども、したがって、この調査会に諮問した場合とか意見を求めた場合には、その意見を尊重する、こういうふうになっているわけでありますけれども、いま意見が出て、皆さんの方でそれを受けて、今度政令としてまとまって、官報に載せて実施するという段階にあるわけですか、どんな状態にあるわけですか。
  55. 宮沢香

    宮沢説明員 お答えします。  先ほど申し上げましたように、表示の点についていま十分審議をしておりますが、これが済み次第、告示をするということになってくるわけであります。
  56. 中村茂

    中村(茂)委員 その予定はどんなころになりますか。
  57. 宮沢香

    宮沢説明員 これは非常にむずかしい作業もございますので、ちょっとここではっきりお答えすることはできません。
  58. 中村茂

    中村(茂)委員 特に消費者団体等からは、この緩和については、まだいろいろ疑いがあるし、反対だ、こういう強い意見が出ています。そして、特にサッカリン緩和されて、そういうものを使った場合には、それは買わないように不買運動をひとつ起こそうではないかという動きもあります。いまずっとお聞きしたわけですけれども、私自身も、これだけを緩和するということについてもう少し調査会で審議されて、踏み切った内容国民に理解されなければ、いまの段階で直ちに踏み切ると言っても、国民的に、世論的に、または消費者の立場に立って見た場合に、相当無理があるのじゃないか、こういうふうに思うのです。  先ほどからの質問の中でもはっきりしておりますように、これはもう長い間の懸案です。特に四十八年については全面禁止して、二月足らずの間に一部認める、そして一年半、今回また大幅な緩和をする、そして緩和するにしてもまだまだ多くの論議がなされている、こういう段階で、調査会の意見がそういうことで出たから、すぐそれを政令にして実施するということ、その間に、もっと国民的な啓蒙というか、またはあらゆるところからのもっと幅広い意見の上で踏み切った方がいいのじゃないか、こういうふうに思うわけです。もう表示の方法を検討して、それがいけばすぐ出してやるというような言い方ですけれども、私は特にその点について強く希望しているわけです。  そういう立場から、特に消費者行政を預かる経済企画庁として、いまずっと申し上げましたように、実施に踏み切るに若干時間を置いて、国民的な、世論的な、全体的な理解の上で踏み切っていく、または使用量をもっともっと基準以下にしたほうがいいのか、あらゆる点にもう少し力を注いでもらって、時間を置いてこの問題をやっていく、こういうふうにしたほうがいいのだというふうに消費者の立場から思うのです。そうなってきますと、消費者行政に携わる経企庁の役割りというものも非常に大きいと思いますけれども、そんなことを含めて、経企庁の立場からひとつ考え方をお聞きしたいというふうに思います。
  59. 安田貴六

    ○安田政府委員 中村委員の先ほどからの御質疑を拝聴いたしておったのですが、いま最後に御意見がございましたように、ただいまの質疑の過程では、中村委員のお考え方の中には、厚生省あるいは農林省等の説明ではなお疑念が晴れておらないといいましょうか、なお慎重な検討を要するのではないか、こういう御意向のようでありますが、私ども経企庁の立場から申しますると、国民の健康という問題を責任を持って所管いたしておりまするのは厚生省でございまするし、また農林省でございますので、この両省の考え方に対しましては尊重すべきたてまえにあると私は考えておるわけであります。  しかし、一面から申しますると、国民生活の安全確保という点から申しますると、なお経済企画庁といたしましても、大変大事な分野だと思っております。したがいまして、私ども原則的には厚生省の慎重な処置を期待いたしておるわけでありますが、なお今後、御意見の点につきましては十分に、経済企画庁としても関係省庁と話し合いを進めながら、できるだけ慎重の上にも慎重を期する、そういう姿勢を貫くように話し合いを進めていきたい、かように存じます。
  60. 中村茂

    中村(茂)委員 これで終わろうと思ったのですけれどもね。特にこの調査会についても、消費者意見が十分反映できるような人員の選考というか、そういうかっこうになっていないわけなんです。したがって、特にこういう問題については消費者の立場に立ってよく考えてみる、こういうことが非常に必要だと思うのです。  この食品衛生法が四十七年六月三十日付で改正公布になっているわけでありますけれども、この改正案が論議されたときに、特に二十五条で定めている食品衛生調査会の問題について非常に深い論議がされています。どこにポイントを置いて論議されているかと言えば、この調査会の中に消費者代表をできるだけ入れたらいいのじゃないか、しかし学識経験者というものが頭にあって、その中から選ぶというふうになっていますから、学識経験者即消費者代表、こういうふうにならざるを得ない関係でいろいろ論議されていますけれども、しかし、そういう頭があるにしても、これからはこの調査会にできるだけ消費者代表を入れていこう、こういう附帯決議が最終的になされています。  そういう附帯決議があるにもかかわらず、まだそれが十分この調査会の中に生かされていない、こういう立場からすれば、こういう問題が出てきたときに、その行政に携わる経済企画庁とすれば、省庁のそれぞれの横の関係はわかりますけれども、この取り扱い方についてはある程度強い姿勢で消費者の意向というものを厚生省にひとつ反映していただきたい、こういうふうに思うわけです。
  61. 安田貴六

    ○安田政府委員 食品衛生調査会の問題については、なお消費者代表の数が少ないのではないか、こういう御指摘のようでありますが、この調査会設置の目的から言って御指摘の点は理解できますので、厚生省とも十分話し合いをして、できるだけ、これをタイミング等があると思いますので、適切な時期にさらにひとつ消費者の声が反映できるような調査会にするために努力をいたしたいと思います。
  62. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  63. 横山利秋

    横山委員長 関連して委員長から伺いたいと思いますが、いまの質問者の疑いは晴れておるかということ。政府側としては、サッカリン疑いは晴れたという立場に立って、なおかつ慎重にということのようでありますが、ここ数年来のサッカリン騒動というものは、関係業界や消費者に及ぼした影響は実に大きいものなんです。  私の承知しておりますものでも、しょうゆ、つけもの、菓子、清涼飲料等の業界は、ある日突如としてサッカリン使用を禁じられた。きのうまでやっておったことが、きょうからそれを使うと犯罪であるということにされたわけであります。そのために、非常にたくさんの在庫商品を抱えて倒産した者がある。それから、その在庫商品の廃棄処分の仕方で大騒動をした者があります。あるいは倒産を免れんがためにそれを売って警察で処分をされ、営業停止を受けた者があります。また、それに伴って汚職の疑いが政界に発生したこともあります。  このように、ある日突如サッカリンは使ってはならぬと言われたことが、日本審議会、日本の科学的な判断でなくして、アメリカがやったから、それにもたれて禁止したという歴史的事実がある。しかも、いまのあなたのお話によれば、日本審議会がサッカリン疑いは晴れた、こういうことのようでありますが、しかし、この一年の経過というものは、私どもは非常に釈然としないような気がしてなりません。いまの質問者も、そういうことを踏まえて慎重にしてもらいたいということのようであります。  もし本当にサッカリン疑いが完全にないとしたならば、二年前の政府のとった措置関係業界の受けた打撃は一体どうなるのでありましょうか。私どももその点について非常に釈然としないものがあります。質問者の趣旨を十分にくんで、善処をしていただきたい、これをお願いいたしておきます。  多田光雄君。
  64. 多田光雄

    多田委員 私は、灯油の指導価格の撤廃の問題について、若干お伺いしたいと思います。  これは通産省ですが、きょうの中央新聞の報道によりますと、六月一日から灯油の元売りの指導価格が撤廃になったのを受けて、元売り各社は価格を、今週末から来週にかけて、十六日から一キロリットル当たり約三千円、それから七月以降に二千円の二段階アップを決めるというふうなことが報道されております。そしてまた、その報道によりますと、この結果、工業用灯油並みに約三万円になるが、各社ではばらつきがあるけれども、大体一八%前後の値上げだ、こういうことも言われていますし、そして、もしこれでいくならば、小売段階では昨年に比べて約百円高の七百円になるだろうというのが一般の予想だということが報道されているわけです。  そこで伺いたいのですが、こういう事実を政府は知っているのかどうなのか、また、これは事実なのかどうなのか、これをまず伺いたいと思います。
  65. 左近友三郎

    ○左近政府委員 お答え申し上げます。  家庭用灯油の元売り仕切り価格につきましては、この六月一日から指導をやめたといいますか、自由にいたしたわけでございます。ただ、その後は需給の実勢に従って価格が形成されるということをわれわれは期待しておるわけでございまして、業界が話し合って決めるというのはもちろん論外でございます。これは独禁法違反でございますが、個々の企業としていろんな値を考えるということは、われわれとしては市場実勢に応じて決まっていくということで考えておりますので、いろいろ企業としての各社各社の思惑があろうかと思いますが、われわれとしてはその個々の内容について関知はしておりませんし、家庭用灯油以外の価格につきましても、各社いろいろ値上げを計画しておりますが、現実は必ずしもその値上げの計画が通っておらないというのが現状でもございますので、われわれとして、そういう価格が現在から通るというふうなことを考えておるというわけではございません。
  66. 多田光雄

    多田委員 私の聞いているのは、そういう事実があるのかどうなのかということを聞いているのです。
  67. 左近友三郎

    ○左近政府委員 石油会社がどういう検討をしておるかということについては、われわれは関知しておりません。
  68. 多田光雄

    多田委員 それでは、これも通産省に伺いますが、この指導価格を撤廃することによって灯油はどれくらい上がるというふうに通産省では予測していたのか、それをひとつ伺いたいと思います。     〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕
  69. 左近友三郎

    ○左近政府委員 この問題は大変むずかしい問題でございまして、いま申し上げましたように、最近の石油価格というのは需給関係で決まっておるわけでございますが、灯油につきましては、現在、一部の地域を除きまして、完全な不需要期に入りました。したがいまして、工業用灯油の需要はございますが、家庭用灯油の需要はほとんどなくなってくるという状況でございます。したがいまして、いまのところ、当分どのぐらいの値になるだろうかということははなはだむずかしいわけでございますし、また、自由にした趣旨が、一定の価格を政府が出しますことによって、その値段が下支え効果を持つということが一番いけないということを考えておりまして、現に昨年の六月に、灯油の末端の標準価格を廃止いたしました。  当時、大体六百二、三十円になるのではないかというふうな議論がございました。そして、その六百二、三十円になるのを極力防止するために、たとえば六百円程度の指導価格をつくるのはどうだろうかという検討もいたしたわけでございますが、むしろ末端価格は供給を豊富にして、市場の自主性に任せた方がいいという考えから、標準価格を決めなかったわけでございますが、結果といたしましては、昨年の十二月に至りまして六百円を割った。二月、三月では、十八リットルかん一かんが五百八十円台になったという結果が出ております。     〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、われわれとして、いまの段階で幾ら上がるだろうということを表明することははなはだむずかしいというふうに考えておりますので、この数字を申し上げることは御容赦願いたいというふうに考えております
  70. 多田光雄

    多田委員 何か昨年の標準価格の撤廃以後の状況がうまくいったようなお話とも承れる話なんですが、いま六百円台を割ったという話ですが、灯油に一番大きな影響を持っている北海道、東北、特に北海道のモニターの調べた灯油価格を調べてみますと、昨年の六月段階が六百六十一円、これは全道平均ですよ。そして、ことしの春まで六百円を割ったことがない、こういう状況なんです。  そこで、私、伺いたいのですが、通産省で出した今度の通達、これを見ると、不当に引き上げられないように「企業からの報告徴取、モニターの活用等により十分監視、指導等を行う。」と言っているけれども、それでは、不当な価格とは一体どういう価格なんですか。
  71. 左近友三郎

    ○左近政府委員 われわれの指導といたしまして、価格が不当に引き上げられる場合にはまた何らかの措置をするというように申しております。その値段は、現在自由にいたしましたが、昨年、元売り指導価格を決めましたときの考え方は、極力家庭用灯油の元売り指導価格を引き下げるということを考えました。しかしながら、大体類似の商品でございます軽油とかあるいはA重油というものよりも低くいたしますと、そちらの方に商品が流れて、せっかくの灯油の確保ができない、したがって、その結果また家庭用灯油が末端で値上がりするということを考えまして、大体軽油、A重油並みということにいたしたわけでございます。  したがいまして、われわれ現在考えておりますところは、やはりそういう精神は今後も生かしていきたい。したがいまして、いまのような商品と著しく乖離した値が出るということは、当然不当であると言わざるを得ないというふうに考えております。  それからもう一つ、先ほど私が御説明申し上げました五百円台と申しますのは、店頭売り価格でございますので、持ち込み値段にいたしますと、当時大体五十円ぐらい加算をしたらということになっておりましたので、私の御説明が足らずに五百円台と申し上げましたが、持ち込み価格では確かに六百円台でございます。
  72. 多田光雄

    多田委員 不当な価格というのは、中間三品のA重油、軽油並みというふうないまの話だったのですけれども、私、計算してみますと、A重油、軽油は大体二万八千五百円から二万九千円台、ところが、仮にいま二万九千円といたしますと、現在の元売りは二万五千三百円、その差三千七百円です。そうすると、これは一リットル三円七十銭ということになり、十八リットルになりますと当然これは六十六円六十銭、このままいけば。  そうしますと、たとえばいま最も需要地である札幌の場合、最低が五百三十円、これでも六十六円六十銭を加えますと五百九十六円六十銭、これは店頭渡しです。それから最高が六百三十円、これに六十六円六十銭をプラスすると六百九十六円六十銭、これに中間マージン、配達料込んだら当然七百円を超すわけです。たとえば配達込みの例を挙げますと、これも道のモニター調べですが、札幌の場合、最低が五百四十円です。それから最高が六百五十円。これでいきますと、中間マージンやその他を抜きにして見ても、七百円を超えるわけです。これはだれが見たってそうなるのです。  そうしますと、さっき私の申し上げた、この新聞が報道している大方は七百円と見るだろうというのは、相当な値上がりなんです。そう思いませんか。そうすると、これは大体一八%台の値上がりということになると、政府は今度の春闘のいわゆるガイドラインを指定しておりますけれども、行っているのだって一五%以内でございましょうが。そうしますと、お米と同じようになくてはならない灯油が、それよりもはるかに上がっていくわけです。だれが見たってそうなんです。だから、もう七百円になるだろうということは東北や北海道の中でささやかれているのです。ただ、いまそれが荷動きが余りないということは、業界としては、いま余りばんと値上げすると、また国民の批判や、国会で問題になるということで、相当締めているということも私は聞いている。一体これは不当な価格と言えないでしょうか。  あなたの言うA重油や軽油並みであるなら、それは不当なんですよ。しかも、政府自身が来年三月まで九・九%に物価を抑えると言っている中で、これはなくてはならないものなんです。それが不当じゃないでしょうか。あなた方が見て不当でないかもわからないが、国民から見ればまさにこれは不当な値上がりなんです。そういうふうにお思いになりませんか。
  73. 左近友三郎

    ○左近政府委員 先ほど申しましたように、灯油の値段はこれから需給関係で形成されていくわけでございますので、七百円になったらどうかということについては、われわれとしていますぐに当、不当と言うわけにはまいらないというふうに思いますし、その時点で、先ほど申しました軽油、A重油並みという考え方は、昨年の指導価格でも決められたわけでございますので、そういう考え方自身が不当であるとはわれわれとしては考えておらないわけでございます。
  74. 多田光雄

    多田委員 考え方が不当か不当でないか、現実の問題なんです。現実の問題として、昨年は六月から六百円にぴんとはね上がりました。なるほど、その後幾らかだぶついているから、六百円台を割ったところもありますけれども、私の言っているのは、東北、北海道の最も切実な地域でもってそうはなっていないということなんです。  そこで、私、伺いたいのですが、この灯油の指導価格撤廃、当然これはその額のいかんを問わず上がってくるでしょう。そうなれば、それに見合ってまたA重油や軽油が上がらないという保証はないのです。そうすれば、これは一体どこに歯どめがあるのですか。だから、私が伺っているのは、政府としてどういうのが適切な値段と考えているのか。いままで元売りの指導価格までやってきて、少なくとも国民生活を防衛しようとする姿勢を示してきた。ところが、今度歯どめがないのですよ。新聞なんかでも、企業は今度の灯油が非常に大きなネックになっていたから、これを外せばA重油、軽油も上がるだろうという一般の報道なんです。  そこで、私はここでひとつ政府に提案したいのですが、私はやはり何といっても歯どめが必要だと思う。そこで、せっかくいままで元売り価格の指導をしていたわけですから、六月一日これを撤廃された、これをもとに戻してもらいたいという基本的な願いを私は持っているけれども、これは後で申し上げることにして、元売り価格を毎月調べて、それを国民に発表して、国民の監視のもとに置くということ、それはいままで政府がやってきたのだから、そういうことをとられるかどうか、それを伺いたいと思う。
  75. 左近友三郎

    ○左近政府委員 いま御提案になりました件でございますが、個々の会社の元売り価格を出すということはなかなか困難であろうと思います。しかしながら、個々の会社によって元売り価格は現在でも違っておりますが、われわれが報告をとりまして、それのいわば平均的な価格水準というものを出していくということにつきましては、先生の御意見、われわれも検討すべきであると思いますので、十分検討させていただきたいと思います。
  76. 多田光雄

    多田委員 これは経企庁の次官に。  次官もこの辺のことはよく御存じだろうと思うのです。そこで、繰り返し申し上げますが、いままで政府が指導価格を設けて、そして国民生活防衛の一応の線をとってこられたというふうに言われるだろうと思うのですが、これを撤廃すれば、本当にこれは歯どめがないのですよ。いま通産省の方から検討するというお話でございましたけれども、特に物価問題に大きな責任を持っておられる経企庁として、こういうものは発表しても、これは何でもない。なぜなら、いままで現に指導価格で抑えてきたのだから。天下に公表してきたわけです。そうすれば、検討するのじゃなくて、それを国民に明らかにしていくというのは、法の精神から言ったって当然のことだろうと思うのですが、経企庁として、どうでしょう。
  77. 安田貴六

    ○安田政府委員 灯油の問題、私自身も十分に現地からの要請等も受けておりまするし、大変重大な問題だと思っておりますが、現在では経済企画庁の政務次官という立場で御答弁を申し上げますが、いま多田委員より御指摘のありました点は、私自身もごもっともだと思います。しかし、この問題は通産省の意向もあると思いますので、通産省の側と十分にひとつ話を詰めまして、そうして経企庁としては、いまの御指摘のような平均価格という、いま部長からもお話がございましたが、そういう形以外にできないのかどうか、もう少し詳しく検討いたしまして、そうして御趣旨に沿うような処置を講ずることが一番よろしいのじゃないかと考えておりますので、今後検討さしていただきたいと思います。
  78. 多田光雄

    多田委員 これはもう少し後で伺います。  そこで、これは通産省に伺いますが、こういう大幅値上げを誘発するおそれのある灯油の指導価格をやめたわけですが、その主たる目的は何ですか。
  79. 左近友三郎

    ○左近政府委員 先ほど御説明申し上げましたが、昨年、標準価格、いわゆる末端の価格を撤廃いたしましたけれども、その後、需要に応ずるような在庫積み増しを四月、五月以降九月までに十分やらせまして、その結果、需要期における灯油の需給が非常に円滑にいったということが、非常に昨年の灯油価格の安定に寄与したわけでございます。したがいまして、ことしの灯油、つまりこの九月以降の灯油の需要期を控えまして、やはりいま最もやるべきことは在庫を蓄積させることである。そして、九月に昨年の水準以上の在庫を持たせて、その上でこの需要期に臨みたい。そういたしますれば、それが、つまり需給関係が歯どめになりまして、大きな値上げが出てこないというふうに考えておりますし、また、過去の実績もそれを物語っておるわけでございます。  ところで、先ほど申しましたように在庫を積み増すわけでございますが、今年の三月末在庫は、昨年に比べまして約二十万キロリットルほど少ないわけでございます。したがいまして、それを積ますということも必要でございますので、そういう意味での在庫積み増し、灯油の供給を豊富にするというのが、今回の直接的な目的でございます。
  80. 多田光雄

    多田委員 値上げの変動のあるときは、いつも在庫の減少が訴えられるのですよ。去年もそうでしたよ、六月の前に。だから、国民はもうそういう在庫の若干の変動にはだまされないのです、ああ、また始まったかなと。そうしますと、主要な目的は、この備蓄というか、供給を確保するということだろうと思うのですが、それなら、備蓄について言うならば、石油業法の第三条、十条に基づいて、政府の指導によってもこの程度の備蓄の問題は指導できるのじゃありませんか。
  81. 左近友三郎

    ○左近政府委員 お説のとおりでございまして、私の方も、石油の供給計画で九月末に約五百九十万キロリットルの備蓄をするように指示をいたしております。  ただ、先生にこういうことを申し上げるのははなはだ失礼でございますが、経済現象というものは、法律とか政府の指示だけで完全に守られるというわけにはいきませんで、それがやり得るような経済実体をつくってやらないといけないというのが、われわれの過去からいろいろの苦い経験をなめた結果でございます。したがいまして、そういう指示と実態的な裏づけというものとあわせて、この九月末の在庫を確保いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  82. 多田光雄

    多田委員 私は経済実体を全く無視しろなんてことを言っているのではないのです。  そこで、私、ひとつ伺いたいのは、備蓄量を調べるのは皆さんどうやっていますか。それは業界からの報告に基づいてやっておるのじゃありませんか。それとも、あなた方通産省、あるいは価格調査官でもよろしいですよ。そういう方々が実際に典型をあげるなりして調べてやっているのですか。
  83. 左近友三郎

    ○左近政府委員 生産、在庫、販売等々については、いわゆる統計法に基づきます指定統計で徴取しております。なお足らざるところは、またわれわれも個別に調査いたしておりますが、一応現在の数字は統計上の数字を利用しておるわけでございます。
  84. 多田光雄

    多田委員 これも新聞報道ですけれども、石連はこういうことを言っているのですね。灯油を上げてもらわないと「今秋以降の需要期に、供給責任を果たせなくなる恐れもある」。つまり、私、こう思うのです。価格が適切かどうかは別にして、業界がともかく灯油の引き上げを図っていく、そうして、上げてくれなければ供給不足を来す、これは一つの脅迫なんです。  いま手元にある新聞報道の一部にも、こういうことを書いております。「値上げと引きかえに、今冬の需要期に向けての備蓄、安定供給を確約させるという表向きの理由以上に、基幹産業である石油業界の経営を破たんさせては、元も子もないという危機感が強かったため」だ。そうして「逆にいうとこの“足カセ”をはずすことで石油製品全体の値上げを再燃させる危険もある。」こう言っておるのですね。大体これが私は大方の意見だろう、こう思っておるのです。  私は、通産省は需給のことをいろいろおっしゃっておりますけれども、何といってもこれは企業の灯油の値上げをまず認めてやる、この発想だろうと思うのです。もちろん、私は、供給のことを全く考えてないと言っているのじゃないのです。その供給の実態からして、業界からの報告に基づいておるわけなんです。ですから、言えば脅迫に屈したようなものだというように私思うのです。  そこで、この供給の問題については、私、ひとつこれも提案があるのですが、実際に備蓄がないのかあるのか、投機防止法に基づいて、灯油はその指定品目に入っていますね。そして、価格調査官というのは、あの狂乱物価のときにいろいろな役割りを持たされたわけです。そしていま各地にいるわけです。いま何しているか、ちょっと調べてみたら、手持ちぶさたみたいなかっこうらしい。そうすれば、こういう備蓄の状況も、法に基づいて、実際にあるのかどうなのか、これを調べてみる必要がある。そうしてその調べた結果を逐次国民に発表していく。こうしてやはりこの場合においても、国民の監視のもとにおいて業界の不当な脅迫を抑えていく、値上がりを抑えていく、供給不足を抑えていくということが非常に大事なことであり、これはむずかしい言葉で言えば、民主主義の根幹にかかわる問題だと私は思うのですけれども、そういうこともひとつ考えてもらえませんか、どうですか。
  85. 左近友三郎

    ○左近政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、この備蓄を強化するというのがわれわれの目的でございますが、それが現実に実行されなければ、これは大変なことになります。したがって、いま御提案もございましたが、買い占め防止法、それから石油業法というものがございます。そういうものをいろいろ使いまして、十分にその確保状態も確認をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  86. 多田光雄

    多田委員 それはぜひひとつ実現していただきたいと思うのです。  そこで、次に移りますが、石油精製企業は盛んに赤字を強調しているわけですが、三月期決算で精製十六社の当期欠損が五百四十億というふうに新聞でも言われており、この間通産省に聞いたら、それを否定されておりませんでしたが、その赤字の中で一体灯油はどれだけの比重を占めるのでしょうか。こういうことを皆さんは知っているでしょうか。
  87. 左近友三郎

    ○左近政府委員 この会社の三月期決算の結果の赤字については、先生のおっしゃるとおりでございますし、われわれもそういうふうに申し上げたと思いますが、ただ、その中で灯油がどの程度欠損に関連しておるかということは、各社によりましても非常に事情が違いますし、なかなかむずかしいと思います。ただ、私らの見ておりますところは、やはり欠損の大きな原因は、むしろ灯油ではなくて、石油会社の最も大きな販売商品でございます重油とか、あるいはナフサだとか、そういうふうな商品が不況のために需要も減り、かつその需給関係から値が上がらないというふうな事情が、一番大きな影響を及ぼしておるというふうに考えております。
  88. 多田光雄

    多田委員 ところが、石連の中島会長は、この間の新聞発表によりますと、灯油だけで年間一千億の赤字と発表しているのですよ。もし一千億であるならば、この半期で五百四十億の赤字を全部灯油だとすればちょうど合うのです。ところが、いまの部長の答弁とは違っている。政府は中島会長の言っていることを認めますか。
  89. 左近友三郎

    ○左近政府委員 石連中島会長の言明がどういうふうに言われたか、私も詳細に存じませんが、いま先生のおっしゃったような、一千億の赤字が全部灯油から出てきたというふうなことを仮におっしゃったといたしますれば、その言明は間違っておるというふうに考えます。
  90. 多田光雄

    多田委員 これは次官にも私、申し上げたいのですけれども政府の先ほどの報告、灯油が中心ではないというふうにおっしゃった、私はそれを信じたい、こう思うのですよ。  いまの国民が、かつてはまきをたき、石炭をたいていた。確かに私は、石油の合理性というものを否定するものではありません。いまも石油が石炭より高くなって、そして石炭をたこう、まきをたこうと思っても、これは家庭の暖房の装置から言いましても、とてもたける仕掛けではないわけですね。これはやはり過去十年、十五年の、エネルギーが石炭その他から石油に転換していくという過程の中で、急速に厨房用の暖房その他が変わってきている。これは国民の責任じゃないのですよ。やれ石油だ石油だと、政府もそういう先頭に立ってこられた、そしていやおうなしに日本の大事なエネルギー資源、石炭その他が放棄されていって、そして石油に切りかわってしまったのです。そういう意味では、国民に責任はないのです。ところが、赤字の方を盾にして、そしていま灯油を上げて国民に負担を大きくかけようとする、つまり国民に責任を負わせようとするのですけれども国民に負うその責任はないのですよ。  私は、無料で石油をくれなんと言っているのではないのです。ですから、私どもは前から言っていたのですが、こういう準公共料金に匹敵するような灯油問題なんかについては、原価を公表して、そして明確にしていくということなんですよ。  たとえば国鉄とか、郵便料金というのは、国会の中でも原価は明らかになってきますね。ところが、郵便はがきは十回のうち五回にしても生きていけるのです。お米と、この暖房だけは、東北とか、あるいはまた北海道、ここでは、なければどうにもならないのだ。ところが、そういう生活必需品というものは私企業のもとに置かれている。そして、赤字でもって押されてくる。まるで灯油が赤字のすべてであるかのようにさえ言われている。そうだとすれば、この原価の公開あるいは原価を明らかにして、国民の納得のいく方法をとっていくというのが筋だろうと私は思う。これはこの国会でも、あの狂乱物価以来、相当論議された問題なんです。ですから、私はもう一度これを主張しておきたいと思いますが、こういう問題について経企庁どうでしょうか、次官の御意見を伺いたいと思うのです。
  91. 安田貴六

    ○安田政府委員 灯油が東北、北海道地方の国民生活上非常に重要な必需物資であることは、もう言うまでもありません。ただ、そのことと原価公表という問題とを直接的に結びつけることが、いまのわが国の自由主義経済のもとにおいて適切かどうか。この点は、独禁法等の改正問題でも議論のあったところのようでございますが、私自身はただいま適切だとは思っておりませんので、なおひとつ研究させていただきたいと思います。
  92. 多田光雄

    多田委員 それでは、それに関連して伺います。公取、来ていますね。  旬刊の「セキツウ」というのを見ますと、昨年十月、それから本年一月に石油精製各社が値上げを発表しているのです。これを見ますと、昨年の十二月二十五日、日石が一月以降の製品追加値上げを発表した。それによりますと、ガソリンが昨年十月五千円、それからことしの一月に三千円、合計八千円の値上げです。それから、ナフサは同じです。灯油は別ですが、「その他」の中で、いま言った中間二製品の軽油、A重油は十月に三千五百円、それから一月に二千五百円、締めて六千円の値上げを図った。これは新聞にも出たし、御承知のとおりなんです。ところが、出光が「これに追随して」と、こう書いてある。十月にガソリン五千五百円、追加値上げ二千五百円、段階的な値上げの額は日石と違いますけれども、合計すると八千円なんです。同じなんです。それから中間三品は、十月が三千七百円、追加値上げが二千三百円、これも段階的には違うけれども、値上げ幅は六千円、同じなんです。これは不思議というか何というか、全く一致しているのですよ。これは私ども一般庶民から見ればやみカルテルという疑いを持つのですけれども、こういうことを調べたことございますか。
  93. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 新聞等でその値上げの状況というのは承知をしておりますけれども、ただいま先生おっしゃいましたような点について、特に調査をいたしてはおりません。
  94. 多田光雄

    多田委員 時間がありませんので、昨年皆さんがいろいろ調べられた件数は相当多くなっているはずなんですよ。国会でもあれほど問題になっていることなんですね。こういう問題について調べて、当委員会にひとつ報告していただきたいと思いますが、どうですか。
  95. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 独禁法上問題があるかどうかということは、実態をさらに把握してみませんと何とも申し上げられませんが、いずれにいたしましても、実態がどういうふうになっておるかということにつきまして把握をするように努力をしたいと思います。
  96. 多田光雄

    多田委員 公取、独禁問題で骨を抜かれたみたいに元気がなくなっちゃっているので、もっと確信を持ってやるようにしてくださいよ。  ところで、この値上げは思うようにいっていないのですよ。つまり、第一次分の値上げすら十分そのとおりいっていない。その理由として業界が挙げているのは、不況で需要が減ったからだ、それからもう一つは、灯油の価格を抑えられているからだと言っている。したがって、灯油の指導価格撤廃というのがドミノを起こして、連鎖反応を起こして、今度は中間三品の他のA重油、軽油に飛び火しないという保証はさらさらない、先ほど言ったように。むしろ新聞その他の指摘は、それも一つの目当てだろうと言われている。  したがって、私は通産省に強く言いたいことは、この撤廃の問題についてはもっと慎重であってほしかった。国会でも十分論議をする必要があった。そういう意味で、すでにもう通達を出してしまって、これを引っ込めろと言ったって皆さん引っ込めないでしょうけれども、やはり国民の声を代弁する気持ちで、皆さんのやっていることを本当に強く告発するような気持ちで私は言いたいのです。こういうものを撤回しなさいということ、あるいはもっと十分に国会で論議をするとか、そして実情を国民に知らせる、関係の消費団体その他の意見も聞くというようにやってもらいたかった。  そこで最後に、通産省に伺いますが、これまで指導価格を設けてきた目的は何ですか。
  97. 左近友三郎

    ○左近政府委員 この価格指導をやりました発端は、御承知のとおり、一昨年の石油ショックでございました。あの時期に諸物価が値上がりし、ことに原油価格が四倍に値上がりをして、それが製品価格に転嫁されようとした、それが急激に値上がりをするということになり、かつ当時は物不足と言われておりましたので、それに便乗した値上げがなされてはいけないということから、当初は末端については標準価格、それから全製品について元売り仕切りについて指導価格を実施したわけでございますが、昨年以来段階的に撤廃をしてまいりました。それは、だんだん経済界が落ちついてきたということを反映しておるわけでございます。したがいまして、現在の時点では元売り仕切り価格を維持しておく必要がないという判断になったわけでございます。
  98. 多田光雄

    多田委員 こういう指導価格を設けてきた根底には、幾つかの法律もつくりましたけれども、それらには全部国民生活を守るというようなこともうたわれているのです。ですから、やはりそういう精神を引き継いでもらいたかったというふうに思うのです。  そこで、いまだんだん物が出回ってきた、必要なくなったというふうにお考えのようですけれども、これは経企庁の次官にお伺いしますが、先ほど言いましたように、油が物価値上げの引き金の役割りを果たすかもしれないのです。そういう場合に、こういうふうにして思い切って六月一日から撤廃するような事情なのかどうなのか。事情というのは、油だけではありません。諸物価の動き、それから原油の輸入の状況、そういうものを総合的に考えてみて、諸物価の高騰の引き金になるようなものを許すような状況なのかどうなのかということをひとつ伺いたいと思います。
  99. 安田貴六

    ○安田政府委員 灯油の問題については、経済企画庁といたしましては、一応元売り仕切りの指導価格の撤廃をいたしたわけでありますが、これに伴います、特に末端小売価格の値上がりの問題、これは非常に関心を払っておるわけであります。したがいまして、いろいろな御指摘もございましたけれども、そういう急速な値上がりがあったのでは大変なわけでありまして、したがいまして、通産省としても同様だと思いますが、私どもの方といたしましても早速調査官を北海道等に派遣いたしまして、そして小売価格の上昇状況というものをもう少しつぶさに調査いたしまして、その結果によって、政府としてまたさらに手を尽くすことが必要になってまいりますような動向なら、さらに手を尽くして、小売物価の急騰という問題を極力抑制することに努力しなければならぬ、こう考えておるわけであります。  また、石油の指導価格の撤廃に伴いまして、他の諸物価の引き上げの大きな引き金になるのではないかという御心配でありますが、こういう点についても全然心配は要らぬというわけにはいかぬと思うのでありまして、したがいまして、そういう面について通産、経企両庁十分にこの推移に対しまして注意を払いまして、そしてそういう結果を招かないように極力努力を払ってまいる所存でございます。
  100. 多田光雄

    多田委員 政府は繰り返し三月末九・九%というふうに言っておられますけれども、それが成るか成らないか、これは三木さんの勘どころの一つだろうと思います。それだけに私は考えていただきたいと思うのですよ。  春闘では一五%以内ということで、なるほど政府の強引な押し切りで国民は賃金だってそう思うように上がらなかった。ところが、一方では公共料金の値上げでございましょう。これはこの委員会でも何人にも言われておると思う。それから、大型な値上げがいま相次いでおります。しかもそれが生活関連物資にもどんどんいま及んできておるわけです。きょうの新聞では、また牛乳の値上げですね。こういう状況の中で、果たして政府の物価抑制策というものが実を結ぶのかどうなのか。言うならば、国民に犠牲を強いて、そして物価高騰を抑えていくというふうにさえ見られてもしようがない。  五月二十九日でしたか、私どもの小林議員の質問に対して、福田長官が、個別物資値上げについては厳しい行政指導を行うというような意味の御発言をされておりました。その言やよしですよ。そういう意味で、国民の生活にきわめて重大な関係を持っている灯油の値上げということについて、経企庁はどの程度真剣にお考えになっておるのか、これは私、本当に疑問に思わざるを得ないのです。  これは経企庁と通産省にお願いしますが、先ほど、不当な価格ということのはっきりした意味もわからない、皆さんわかっておるのに言わないのです。それで元売り価格の公表をお願いしたのですが、何と言っても石油中心に動いておるわけだから、そういう意味で、経企庁と通産省がこの撤廃に伴う犠牲を最小限度に抑えていくためにこれからどういう措置をとるのか、それを先ほどの私の要望以外のことで答えていただきたい。
  101. 左近友三郎

    ○左近政府委員 いまわれわれの考えておりますことは、元売り仕切り価格の監視、これは先ほど先生がおっしゃったことでありますが、むしろ末端における灯油価格がどうなるかということにつきまして、従来とも通産省にもモニター制度がありまして、そこからの月々の情報をいただいておりますが、それのほかにも、府県等々と連絡をとりまして、十分末端価格の動向を明らかにしたいということを考えております。  それから、先ほどから先生おっしゃいますように、灯油は主として北海道、東北というような寒い地域が一番問題でございますし、また、その地域における最も生活必需物資で、御指摘のとおりむしろ米以上に重要なものであるというふうにわれわれも考えております。したがいまして、その地域につきましては、ことに北海道につきましては北海道の通産局、通産省の出先でございますが、その担当の局長、部長も呼びまして、今後の急激な値上がりのないような対策をいろいろ検討しておりますが、とりあえずは、北海道においては、道庁とも連絡をとりながら価格の動向について細かく調べていきたい、それによって必要な措置をとっていきたいというふうに考えております。
  102. 安田貴六

    ○安田政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおりでありまして、いま通産省の方からも御説明がありましたように、経済企画庁としては特に北海道、東北の灯油小売価格の問題については関心を払いまして、調査官等、その他モニター制度もございまするし、道庁の方の調査もありまするし、通産省と相協力しながら実態を把握いたしまして、それに応じての必要な措置を講じたいと存ずる次第であります。  なおまた、いろいろな物価の問題に対しては福田長官も大変配慮をいたしておるわけでありまして、六月二日等におきましては経済界の代表ともお会いをいたしまして、そうして原材料等の値上げについてはひとつ最大限の抑制を図っていただきたいということを強く要請いたしていることは御承知のとおりだと思いますが、そういう姿勢でございまするので、物価問題には、さらに経済企画庁としては、われわれ自身も庁内を挙げてひとつ努力を払ってまいる所存でありますることをお答えいたしておきたいと思います。
  103. 多田光雄

    多田委員 では、終わります。
  104. 横山利秋

    横山委員長 有島重武君。
  105. 有島重武

    ○有島委員 きょうは福田副総理がお見えになるかと思って、いろいろ御意見を承りたい、質問もしたいと思っておりましたけれども、安田政務次官にいろいろ御意見を承っておきたいと思っております。時間もありませんけれども、主に食べものの問題を少し承りたい。  最初に、レトルト食品というのを御存じであろうかと思うのですけれども、お料理をしてしまって調理済みの食品と申しますか、これが大変出回っております。これは日本缶詰協会の調べによりますと、昭和四十八年の推計でございますけれども、カレーだけでもって三万九千百十一トン、これは約二億二千万食であると言われております。それからシチューが千九百八十トン、ハヤシ千六百八十五トン、それからミートソース三千九百トン、以下、食肉野菜煮であるとか、あるいは御飯、ぜんざいその他、大体これが五万トンほどということになっております。  こういうものが大変出回っているということについて、この普及していることをわれわれとしてはどういうふうに評価したらいいか、その辺をどのようにお考えになりますか。国民食生活の問題として、こうしたものの普及についてどのように評価なさるか、そのことをまず最初に承っておきたいと存じます。
  106. 荒尾芳幸

    荒尾説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、最近レトルト食品というのが非常に売り上げが伸びてまいりまして、四十三年から四十九年の間に急激に伸びてまいりました。農林省といたしましては、実は四十八年度に、こういうレトルト食品について、表示の実態等がどうなっているかということを消費者団体等に委託いたしまして調査をやりました。そのときに出ましたのが、一つは、他の類似のものと保存性等についてなかなか区別がつけにくいではないかという問題、あるいは表示が内容と違って適正を欠くものもあるというようなこともございまして、そういう問題点指摘がございました。  そこで、やはり品質の改善をやらなければいかぬということと、同時に消費の合理化ということを図るために、日本農林規格、JASでございますけれども、それと、品質表示基準と申しまして、これはJAS規格の表示の規定に準じた形で表示をさせるわけでございますが、これはJASの指定があるなしにかかわらず、一般的に義務づけるという形の基準でございますが、これを制定して、品質のいいものが出回る、あるいは表示を適正にやることを図ろうということで、三月二十六日に農林物資規格調査会に諮問をいたしまして、原案の了承を得ております。目下、告示の事務手続を進めておるという状況でございます。
  107. 安田貴六

    ○安田政府委員 いまの御指摘の点でありますが、これはやはり食生活等の多様化、あるいは国民生活自体の複雑化、完全雇用下における食生活の問題、いろいろな要素が、私自身の評価として関連があると思うのです。それと、もう一つは、それに対応して食品メーカーの方々のこういうものの生産と販売の面の努力といいましょうか、そういうものが総合して、こういう食品がだんだんとふえてきた理由になっておるのではないかと私自身は考えております。
  108. 有島重武

    ○有島委員 普及されてきたその理由を承っているのではありませんで、こうしたものが非常に普及されてきている、こういうものについて食生活の上から将来どういうふうに判断していくか。  と申しますのは、当委員会でも、消費者保護基本法制定以来と申しますか、その前後というか、ずっとこういった食品の問題については大変論議が持たれておりました。最近では、新聞に連載されております有吉佐和子さんの「複合汚染」なんというのが大変評判になっておるようでございますけれども、、やはり国民生活全般を考えていただかなければならない。というのは、健康の問題は本当は厚生省のはずなんでございますけれども、なかなかそうもいかないというのが、いままでの論議でも明らかではないかと思うのですね。それで、その主管である経済企画庁として大体どういったような判断を持っていらっしゃるか、見通しを持っていらっしゃるか、そこら辺のところを率直に伺いたいわけです。
  109. 安田貴六

    ○安田政府委員 私は、こういう食品が大変ふえてまいりますことは、これは一面から申しますと国民の期待にちょうどこたえておるという見方もできると思います。しかし、家庭生活などの面から申しますと、果たしていまのようなこういう即席的な食品だけを求めて、国民生活、家庭生活の中でそれを主体にするような生活ぶりがいいのかどうか、私は疑問を持っております。これは私個人と申し上げた方がよろしいかもしれませんが、私個人は疑問を持っております。  しかし、これはつくる方、買う方、それから消費者の生活様式、そういういろいろな要素が複合しておるわけです。したがいまして、こういう問題は、食品の安全であるとか、そのほかそういう大事な要素の面で十分に配慮されておるものならば、これを一概に規制する必要もないのではないか、こういう考え方を持っておりますが、日本国民としての長い食生活、あるいは家庭生活という観点から言うと、いまのようなものをどんどんどんどんふやしていくことを習慣づけていくことがいいか悪いかについては、私は疑問を持っております。
  110. 有島重武

    ○有島委員 ここではその議論は長くはいたしませんけれども、これは現実問題として大変多量に出回っておりますので、ひとつよくお考えいただきたいと思うのです。  それで、いまの農林省からの御説明によりますと、JASに規定されるということですが、いつそれが発表になるわけですか。
  111. 荒尾芳幸

    荒尾説明員 先ほどお話し申し上げましたけれども、三月二十六日に規格調査会で原案の了承を得まして、目下、告示手続中でございます。いま作業を進めております。近く告示になる予定でございます。
  112. 有島重武

    ○有島委員 そうなりますと、有効期間といいますか、そういうものはしっかりと表示されるのか、あるいは製造年月日というものは全部そこに表示されるようになりますか。
  113. 荒尾芳幸

    荒尾説明員 表示につきましては、製造年月日は表示されることになりますけれども、有効期間については、実は食べ物はいろいろ時間的に品質が変わりますけれども、これは食料品のいろいろなそれぞれの特性もございますし、それから流通段階の取り扱いの条件等によって千差万別でございます。したがいまして、いたずらに流通段階で混乱を起こすということも避けなければいけませんので、慎重に対処しなければいかぬというところでございます。  賞味期間につきましては、全般の問題としていまいろいろ検討中でございますが、レトルト食品は一応袋詰めかん詰めといわれているほど保存性がきわめて高いということでございますので、このレトルト食品に賞味期間を義務づけるということは目下検討しておりません。
  114. 有島重武

    ○有島委員 政務次官、お聞きのように、製造年月日は書き入れるけれども、それのほかは、多種多様であるという理由があるでしょう、それから、いまのは流通段階で混乱を起こすからという理由だそうですけれども、有効期間と申しますか、あるいは私は変化の度合いがこんなふうに色が変わったらばこれはいけないのだとか、そんなような注意はあってもしかるべきじゃないかというふうに考えておりましたけれども、そういったものは一切なされておらない。おらない根拠は、消費者が迷惑をするからという根拠ではなしに、流通段階が混乱するというのですね。  消費者から見れば、主に業者サイドの都合によってそういったことがなされないというお話です。それについてはいささか片手落ちではないかと私は思いますけれども、政務次官、いかがでございましょうか。
  115. 安田貴六

    ○安田政府委員 私もこの種の食品の面に対する専門的な知識はあまり持ち合わせておりませんけれども、ごく常識的な判断から申し上げますと、やはりつくられた日にちが明確になっておる以上は、大体これが品物にもよって、変色でありますとか、あるいは変質でありますとか、いろいろな問題が必ず起きてくるものもあると思うのでございます。したがって、そういうおそれのあるものについては、やはり少なくとも安全期間はどの程度であるというような、そういうものを表示するようになることが望ましいのではないかと私は考えておりますが、この辺についてはもちろん関係省庁と私の方でまだそこまで話し合ってはおりませんから、経済企画庁の意見として申し上げるわけにはまいらぬかもしれぬけれども、私自身はそう思っております。
  116. 有島重武

    ○有島委員 関係省庁と打ち合わせをなさるというお話でございますが、その関係省庁というと、どことどこになるおつもりですか。
  117. 安田貴六

    ○安田政府委員 主として厚生省農林省だと思います。
  118. 有島重武

    ○有島委員 この種の問題、いつもちょっと欠けているのではないかと思うのですけれども、文部省ということもあるのではないか。と申しますのは、お子さん方を通してこうした食品衛生上の問題はかなり浸透する率もあると思います。それから、それは厚生省農林省との打ち合わせの上でもって次の措置になろうかと思いますけれども、文部省はやはり落としてはならないのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  119. 安田貴六

    ○安田政府委員 文部省もそれは無関係だというふうには考えておりませんけれども、しかし、主体をなすのはやはり厚生省農林省であろう。文部省はどういう関係でそういう御意見が生まれるかわかりませんが、私自身の常識の範囲では、やはり厚生省農林省がまず主体ではないか、こういうふうに考えております。
  120. 有島重武

    ○有島委員 お言葉を返すみたいになりますが、いまのお考えですね、消費者の生活を一番基本的に守っていくということから申しますと、確かに農林省厚生省、これを科学的な問題としてなかなか議論がつかない場合もございますけれども一つの警告を発する、ないしは、いままでになかった食品流通形態、そういったものが普及すると同時に、それの扱い方についてよくPRをしておくということ、これはほんとうは業者側も大いにPRしなければならない問題です。  それから、それについてどのようなPRをしていくか、これは厚生省農林省が一番責任があると思いますけれども、テレビを通してということもあるでしょうけれども、そうした消費者の方のマナー、これはいつも何か片手落ちになって、それでずいぶんむだな論議みたいな、むだな波紋みたいなものが出る場合があるのじゃないか、そんなふうに私は思うわけなんです。そういうことをひとつやはり考えの中に入れていただきたい、こういうわけです。いかがですか。
  121. 安田貴六

    ○安田政府委員 せっかくの御指摘ですから、よく研究してみます。私は、文部省よりも先に厚生省、それから農林省の次には通産省のほうが、これは流通関係の面で非常に業者の指導が大事ですから、むしろ文部省よりも通産省のほうがまず協議する場合には大事な一つの省庁の中に入ってくるのじゃないかと思っておりますが、文部省の問題についてもよく考えてみます。私自身、いまのところでは、文部省が直ちにまず相談すべき対象の省庁だというふうに考えるには及びつきませんけれども、なおよく考えてみましょう。御了承いただきます。
  122. 有島重武

    ○有島委員 あまり大した問題でないようですが、基本問題を含んでいるわけです。と申しますのは、消費者を守る、そのためには業者を通じて——これはいままでの政府のいつでも基本的な態度ですね。それには違いないのだけれども消費者教育、これは学校教育ばかりではございませんで、社会教育ということもございます。それがいつも業者サイドのコントロールに終わる。そうすると、必ず業者サイドの利害でこれは制限を受ける。いまのはちょっと短いお答えでございますけれども、やはり流通段階が混乱するからとかなんとか、業者サイドの都合というのが真っ先に飛び出てくる、そういうルートでは一つの限界があるのじゃないかと私は思うわけです。ですから、このようにくどく申し上げたわけです。  それから、先ほどから食品添加物基準の問題、サッカリン等の問題も出ておりましたけれども、この中で、厚生省としては確かに食品添加物は不必要なものは用いないようにということで指導している、これはそのとおり言っていらっしゃるわけですよ。だけれども、その場合、必要であるのか不必要であるのか、毒であるか毒でないかという問題は別の問題でございますね。  毒は、この限度以内ならば有害ではないであろうとは思うけれども、これは必要だ不必要だというような言葉がここで交わされるわけです。この場合の必要不必要というのは、一体何を基準にして言われておるのか、その辺をどういうふうに聞いていらっしゃったか、あるいは御判断になっていらっしゃるか、これを承っておきたい。本当はこれは福田さんに聞きたいのだが、同じお心でいらっしゃると私はかたく信ずるから、ひとつ政務次官から伺いたい。
  123. 安田貴六

    ○安田政府委員 どうも大変むずかしい御質問のようでございまして、私自身は必要不必要という問題の見解を決める場合には、これは物によって違いますけれども、いまのような食糧に関する問題にまず限定してお答えするとすれば、これはもちろん国民消費者の立場に立って不必要か必要かということを判断するということが基本にならなければならぬのではないかと私は思っております。
  124. 有島重武

    ○有島委員 国民大衆が添加物を必要としておるかどうかということが問題ですね。これはそうには違いないかもしれませんよ。だけれども、防腐剤につきましては大量生産ということが前提になるわけですね。大量生産で安くなる、あるいは便利である、そういうこととの引きかえにこれが必要となってくるわけですね。ですから、食生活全般にわたって、大量生産でやるべきものと、そうでない方がよろしいものということは、どこかでもって考えなければいけない問題なんです。いまのところ、どこも考えるところがないわけです。いままでは、経済企画庁でも、恐らく考えていらっしゃらないのじゃないですか。政府の部局内で、国民生活の一番基本になっている食生活の動向について、経済動向ということは数字の上ではいろいろお出しになるけれども食品の今後の行き方については政府のどこで検討し、考えていくことになるのでしょうか。
  125. 安田貴六

    ○安田政府委員 もちろん私ども経済企画庁もそうでありましょうし、それから、直接的にそういう面の所管をいたしております農林省、あるいはこれに関連する諸般の業務を担当する厚生省、あるいはまた、流通部門を担当する通産省、その他各省庁がいずれも、御指摘のようなテーマを一つにしぼった検討をなさっておるかどうかは別といたしまして、国民生活の問題に対しては絶えず関心を払っておられるものと私は信じておるわけでございます。したがいまして、いまのような即席的な食料品を集約的に、専門的にどこでやっておるかというと、いま答弁しておりました農林省が直接的には担当して、一生懸命努力を払っておる、こう考えております。
  126. 有島重武

    ○有島委員 そういう御認識であると非常に困るわけです。従来、農産物については農林省がやっています。それから、厚生省も口に入るものあるいは医療についてはやっておりますけれども、いま申しましたように、食品を大量生産方式で持っていく限界を一体どの辺まで広げてもいいものだろうかというような問題が、いま非常に深刻に問われているのじゃないですか。  それで、さっきの添加物、これは着色剤もある、これは消費者が好んで買ってくれるであろう。これは主に業者サイドの包み紙みたいなものですよね、きれいにして高く売りましょうというところから出ているわけです。それからもう一つ、防腐剤も非常に大きな問題でございますけれども、いままでの農林省あるいは厚生省通産省の判断の基準は、何も国民食生活を本当にこれからどういうふうにしていこうかなんというところから出た発想ではないわけですよ、いろいろ注意はしているだろうけれども。だから、そういったことをひとつ政府のどこかで今後集約的に考えていかなければならないのではないかということを提起していったわけです。  いま政務次官も、集中的にやっているところは余りないであろうとおっしゃいましたけれども、そのままでいいか、あるいは今後そういった食生活ということについて集中的に審議をすべきものではないか、この辺はどうお考えになりますか。ここでもってすぐ返答を迫るのはあるいは酷かもしれないけれども、副総理のかわりに座っていらっしゃるわけですから、お答えをいただきたい。
  127. 安田貴六

    ○安田政府委員 いまのような問題は、私は、現在の各省間の行政の担当責任の上から申しますと、やはり直接的には厚生省だと思うのです。現地におきましてこの種の問題に取り組んでおるのは、大体保健所ですね。だから、直接的には、まずいまの段階で申し上げますならば厚生省ではないか、私はこう考えます。しかし、経済企画庁も無関係でおっていいとは思っておりません。したがいまして、それは農林省にも関係がありましょうから、いずれの関係省庁とも十分に関心を払うべきことだと思いますけれども、これはやはり国民食生活という点から言うと、総合的にそこまでまだ検討政府部内でもなされておらないと思いますから、いまの段階で、いま御指摘になった課題をすぐどこがやるのが一番いいのだということは申し上げかねますけれども、いまの食品問題の責任機関としては、厚生省農林省ということになると思います。さように御了承いただきたいと思います。
  128. 有島重武

    ○有島委員 いまやってないから、今後やるべきだとお思いになるか、いまのままでよかろうとお思いになるか、その辺のところだけを伺いたかったのだけれども、どうですか。
  129. 安田貴六

    ○安田政府委員 行政面から見ましても、あるいは政策面から見ましても、それを取り上げるべき要素というものを、土台になる、基礎になりまするいろんな問題点をもう少し集約してみないと、直ちにこれは結論を出せるものでないのじゃないかと思うのですよ。  だから、私がさっき個人的な見解として申し上げましたように、主婦の料理の仕方とかなんとかということを一生懸命考えようとすれば、やはり大根は大根なりに買って、あるいはニンジンはニンジンなりに買って、そして自分で料理をするという、やはり家庭生活の味といいますか、そういうものを重視しようとすると、いま出回っておるような食品に対しては、これは余り売らぬようにした方がいいのじゃないかという考え方も出るかもしれませんし、その辺のところはまだ集約化されておりませんから、十分に各関係省庁が検討されておらないような問題の提起だと思うのです、いまの御提言は。だから、そういう面についてはなお時間をかしていただかないと、いまここでどこが一番いいかということはなかなかお答えしにくいですね。御了承いただきます。
  130. 有島重武

    ○有島委員 ここで詰めたお答えをいただこうとは思っておりませんし、それから、そういったことはここでもってすぐ結論なんか出っこないのであって、かなり長期に考えなければいけない。だけれども、考えれば集約するとかなんとかということになるのであって、何にもしなければいつまでもこのままであり、それは業者サイドの——それは皆さん業者の方も良心的にやっていらっしゃる方が多いわけであります。これは私も承知しておりますけれども、野方図にそのままでもって、いままではよかったと言ってもいいでしょうが、今後いいかどうか、そういうことは詰めて考えていただきたい、そういうことでございます。  時間がなくなってしまったのですが、一問だけ。警察庁の方、来ていらっしゃいますか。  全国小売酒販売組合が、四月に自動販売機によるビールだとか酒類の販売を見合わせるということを通告してきたということでございます。国民生活の上からこれもどうなるかということでございますが、いままで確かに全国でもって八万六千台あるそうです。これが夜になりますと監視する人がおりませんから、車の運転手さんが降りて買うということも十分ある、それから未成年者が使うということもある、こんなことがいままであったようでございます。それで、主婦同盟というところで調査を一生懸命やっていらっしゃったらしいですけれども、警察庁、この前後における飲酒運転の状態変化があったのかどうか、それをお伺いいたします。
  131. 山下力

    ○山下説明員 自動販売機から酒を購入いたしまして子供が飲酒をするということが問題になり始めましたのは、ちょうど昭和四十五年ごろからでありまして、福岡県警が調査をいたしましたところによりますと、飲酒で補導された少年の大体二七%ぐらいが自動販売機で購入しておる、しかも、パトロールの結果によりますと深夜が多いということでございましたので、昭和四十六年に、国税庁の方にお願いをいたしまして、しかるべき措置を講じていただきたいというふうにいたしたのでございますが、ことしの四月から深夜以降の未成年者の購入ができないように自動的に販売が抑止されるということになって、大変喜ばしいことだと思うのでございます。  いずれにいたしましても、まだ日が浅うございますので、具体的な効果等はあらわれておりませんけれども、おおむね二万七千人ぐらいを年間補導いたしておりますので、この自動販売機の規制によって、今後大きな効果が出てくるだろうと思うのであります。私ども警察といたしましては、その効果を期待いたしながら、深夜の自動販売機設置個所に対する街頭補導を今後とも重点的に推進してまいりたいというふうに考えております。  また、ただいま酒酔い運転との関連についてのお話でございますが、少年という角度で見ますると、自動販売機で購入した少年が飲酒運転したというのは、数の上では少なくなっております。ただ、具体的につかめなかったという点もあろうかと思いますが、今後ともそうしたことのないように、警察の補導活動を通じて、特に深夜が多うございますので、重点的に進めてまいりたい、かように考えております。
  132. 有島重武

    ○有島委員 政務次官、お聞きのようなことでございますが、主婦同盟という婦人団体が、先般東京都内で実態調査したのです。それで、お酒については二百十六カ所調べました。そうしたらば、とまっていたのが百十一台でございまして、百五台は動いていた。ビール、それからウイスキーにつきましては、二百十五台調べた。とまっておりましたのが九十七で、百十八は動いていたということです。これは規制というふうにはいままでなっていないようですけれども、これも今後法令化していくようにした方がいいかどうか、この辺をどういうふうに御判断なさるか、このことを承っておきたい。
  133. 安田貴六

    ○安田政府委員 いまの問題は、自動販売機による酒類等の販売が、一体青少年の非行あるいは自動車の事故その他、国民生活の各般の面においてどういう弊害を与えておるのか、これをもう少しく調べてみないと、これに対して規制措置をとるべきかどうかという判断はなかなか下しにくいと思います。私自身も、経済企画庁としてもそうだと思うのですが、そういう面の十分な内容についてはまだ承知をいたしておらぬのではないかと考えております。関係方面の御意見等もよくお聞きしながら、どういう被害があるのか、それをもう少しく明らかにして判断をしなければならぬ、こう考えております。
  134. 有島重武

    ○有島委員 被害についてはいま警察庁の方からお話がございましたけれども、大体補導された青少年の二七%が自動販売機だという。  きょうは食品の問題を少し挙げましたけれども、とにかくいままでは合理化、能率化ということですべてまいりましたけれども、今後それだけの原理では困るのではないか、そのことを本気で取り組んでいただきたい、そういうことでもってきょうは質問を終わります。
  135. 横山利秋

    横山委員長 次回は、来る十日火曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時八分散会