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1975-05-22 第75回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年五月二十二日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 横山 利秋君    理事 橋口  隆君 理事 松浦 利尚君    理事 山中 吾郎君 理事 小林 政子君       愛野興一郎君    加藤 紘一君       片岡 清一君    羽生田 進君       加藤 清政君    中村  茂君       和田 貞夫君    野間 友一君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    熊田淳一郎君         公正取引委員会         事務局取引部長 後藤 英輔君         経済企画政務次         官       安田 貴六君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    岩田 幸基君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         経済企画庁         総合計画局長  小島 英敏君         農林省畜産局長 澤邊  守君         農林省食品流通         局長      森  整治君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君  委員外出席者         警察庁刑事局         保安部保安課長 四方  修君         厚生省薬務局         監視指導課長  花輪 隆昭君         通商産業省         産業政策局消費         経済課長    斎藤 成雄君         資源エネルギー         庁、公益事業部         技術課長    児玉 勝臣君         運輸大臣官房         参事官     横田不二夫君         運輸省航空局         監理部長    山元伊佐久君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ————————————— 五月二十日  インフレ抑制対策に関する請願(林百郎君紹  介)(第三二六六号)  同(多田光雄君外一名紹介)(第三三五九号)  公共料金引下げ等に関する請願三浦久君紹  介)(第三二六七号)  物価引下げ等に関する請願荒木宏紹介)(  第三三六〇号)  同(小林政子紹介)(第三三六一号)  同(増本一彦紹介)(第三三六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦(利)委員 まず、副総理お尋ねをいたしたいと存じます。  御承知のように、春闘もおよそなだらかな方向政府見通しどおり定着をしたわけでありますが、率直に申し上げまして、いま、景気の問題で、一体政府見通しどおり景気が上向くのかどうか、そういった問題について産業界を含めて大変な疑心暗鬼というものがあるわけでありますが、五月十五日に宮崎経済企画庁事務次官記者会見をいたしまして、これは私見であるが、という前置きがあったわけでありますが、輸入そのものが非常に落ち込み過ぎておる、さらに自律回復力というものが弱くなってきておる、景気回復のテンポもどうもおくれてきておるようだというような発言があったわけなんですが、これは全くの事務次官の私的な発言ではあるにしても、やはりある意味で相当大きな反響を呼んでおると思っておるのです。  そこで、副総理お尋ねしたいのですが、これから一体景気はどういう方向に行こうとしておるのか、八月ごろには薄日が差すだろうと言っておられた、そういった見通しも若干後退をするのではないかというような判断もされるわけですが、そういう点について、ひとつこの際、副総理から御意見を承っておきたいと思います。
  4. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 政府はいま二つの問題に取り組んでいるわけです。一つ物価安定、これを五十年度中には一けたの台に定着させたい、こういうことでありますが、他方、昨年一年間、特に下半期に景気が非常に停滞してきておるわけでありまして、今日までずっとそういう状態が続いておる。ただ、景気停滞が長きにわたりまして、ようやくこの停滞現象も底に来た、こういうふうに見ておるのです。  しかし、この底から景気現象上昇過程に転ずるかということになると、どうもほうっておきますと、そういう要素はなかなかない。つまり、国民消費が上昇する傾向があるかというと、そういう傾向はいま見られない。  それから、設備投資はどうだと言いますと、今日仮に金融緩和をいたしましても、企業側におきましては、遊休設備というか、稼働しない設備を多量に抱えておる、こういう状態でありますので、設備投資が起こるという傾向もこれは大局的にはない、こういうふうに見られるのであります。  そこで、いまほうっておきますと、底に来た経済が一体どうなるかということを判断するわけですが、まあ在庫が一月、二月、三月減少いたしてきておるわけです。在庫が減少するという現象が起こりますれば、生産はやがてはこれに追随して上向くという現象が出てくる。そういう現象のはしりが三月ごろからちょっと出ておるのですが、それにしても、とにかく景気上昇過程に転じたとまでは言い切れない。そこで、大体余り長く景気停滞が続いてもまた日本経済の根幹に関するようなことになりますので、そういうふうな状態にあることは好ましくない。したがって、私としては夏ごろ、つまり第二・四半期ごろから経済上昇過程に転ずるということを目標にいたしまして、そして財政、金融その他各般の諸施策を講じてまいりたい、こういう基本的な考え方です。  そういうことで、ほうっておかないで、政府が何らかの対策をこの上ともとる必要があるかどうかという判断は、今月中の経済指標その他、経済動きをよく見て、そして判断してみたい。その際には、もちろんそういう施策をとる必要があるかどうかの判断ばかりじゃありません。どういう手段を必要とするかということまで含めまして検討してみたい。その時期は六月の中旬である。その辺で見当をつけてみたい、こういうふうに考えております。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこで、さらにお尋ねをしたいのですが、時同じくして五月十五日に、小松通産事務次官通産省立場で談話を出しておられるのですが、その中で、不況対策とは関係なく、石油危機等によってコスト上昇に伴った値上げが不十分な鉄鋼、こういったものなどについては値上げを認めていきたいという発言をしておられるのです。これが一つ。それからもう一つは、第三次不況対策を仮にそういったものを含めて実施をしても、物価には影響はありません、こういう言い方をしておるのですね。こういう考え方については、福田総理は肯定なさるのかどうか。  それから、いま言われたように、五月末の経済指標を見られて、六月中旬、十二、三日ごろに第三次不況対策等についての経済閣僚会議が開かれるんだと思うのですが、その場合に、いま問題になっておる公定歩合の再引き下げというようなことも政府としては真剣に検討する考え方を現在持っておられるのかどうか、その点もあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  6. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 非常に概括的に申し上げますと、これからとにかく一けた台の物価目標、本年度中はこれをぜひ実現しなければならぬ、また実現し得る、こういうふうに考えておりますが、その前途に二つ、これを適正に処理しなければならぬ問題があるのです。  その二つがいま松浦さんの御指摘の問題なんですが、一つは、企業の方で値上げをしたいという動きがある。つまり、経営が苦しい、そのしわ寄せを値上げで処理したいという動きであります。私は、企業がそういう期待を持ち、希望を持つことは、これは自然だろう、こういうふうには思いまするけれども、しかしそれをそのままにしたんじゃ、これは物価体系に非常に重大な影響がある。  そこで、基本的なこの問題に対する考え方としましては、いま物価が非常に大事な時期である。ことに春闘がなだらかな解決になりそうである。もしこの物価一けた台という目標が達成されないというようなことになりますと、来年の春闘、来年の賃金決定は大変なことになる。せっかく賃金物価の悪循環断ち切りのその第一歩を踏み出したというのが、元も子もなくなるような状態なんです。その理解を、これは特に企業側においては持たなければいかぬ、そういう呼びかけもいたしておるわけであります。  と同時に、企業におきましてもそれに対しましてはかなり深い理解を示しておるのです。ですから、心の中では、苦しいなあ、ここで製品商品値上げをしたいなあとは思いながらも、まあここでじっとこらえなければならぬなあという機運もまた相当高まりつつある。こういうことで、希望希望といたしまして、それが実現する可能性というものは非常に少ない、私はこういうふうに見ておるわけであります。  ただ、その中で、いま御指摘のように何が何でもあらゆる物資についてということができるかどうか、あるいは非常に特例的な例外ということを経済団体考えるというようなことがあるかどうか、その辺が多少のことはありましょうが、大局的に見て、企業製品商品の価格のつけかえをやるという傾向に対しましては、これは自制をしていってもらいたい、こういうふうに考え、またそれは実現される、こういうふうに見ております。  それから第二の問題は、景気対策との関連です。景気対策は必要ではありますけれども、これを間違えますると、物価問題を傷つけるということになることは必定でございます。  景気対策をとれとれという議論も相当強い。その一つの理由といたしまして、景気対策をとりましても、これは物価には影響いたしません。何となれば、いま不稼働設備が相当あります。そういう状態で、企業コストは非常に高くなっておる。もし生産が活発になるということになれば、より大量の生産でありますので、商品一つ当たりコストは下がるはずである、したがって、物価にはいい影響はあろうとも悪い影響はありません、こういう見解に基づくものでありますが、これは、理屈はそういう理屈もあり得ると思うのですが、一歩やり方を誤りますと、非常に大きな弊害というか、悪影響を及ぼすということになりますので、にわかにその議論には賛同しがたいのです。  しかし、なだらかな形で生産が上向いていくということになりますれば、物価を傷つけずに、むしろただいま申し上げましたような理論的見解のメリットを生かし得るんだ、こういうふうに考えております。これが私の見解であります。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それから、最近OECDあるいは日本近隣諸国で、御承知のように近隣窮乏化政策といいますか、いろんな意味日本が批判を受けておるのですが、そのことに関連をして宮崎事務次官発言があったんだと思うのですが、輸入を拡大するためにはどうしてもある程度景気上昇を図らなければならぬ。  そこで、福田長官お尋ねしていきたいのですが、そういった国際的な世論を無視することはできないわけですが、従来、長官の発想としては、日本経済成長というのは大体安定成長三%から四%だというふうに常に発言をしてこられたということを私は記憶しておるのですけれども、こうした状況を踏まえて、三%ないし四%でいいのかどうか。恐らく、これは新聞の報道ですから正確にはわかりませんけれども、五十一年度を初年度とする新五カ年計画策定作業について、政府の新経済計画について六月に正式諮問をするということをちょっと新聞で拝見したのですが、その場合に、この新経済計画の中で三%、四%というものを想定しておられるのか、あるいはもう少し高いところ、五%ないし六%というようなところで見通しを立てようとしておられるのか、そういう点についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  8. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 私は、経済成長率を何%なんというのは非常に窮屈過ぎると思うのです。もう少し弾力的に考えるべきだという考え方を持っておるわけですが、いずれにいたしましても、三%なんというようなことは私はいまだかつて言ったことはありません。もう少し高いところにいくのじゃないか、こういうふうに思います。  それにしても、いま非常な変動期である。混乱期である。この変動期混乱期を乗り切って、そして世界経済がどういう方向に動いていくか。私は、一九六〇年代のような高いところにはとてもいくまい、こういうふうには思いまするけれども、実際にどの辺の程度経済繁栄というものが実現されるか、そういうことを注意深く見たければならぬ。そういう動きを見ながら、わが国世界経済の中で、先進諸国の中でもまあ成績のいいというか、先端をいく、そういう国々繁栄成長、そういうものを目途としてわが国経済運営というものを考えるべきだ、こういうことを考えておるわけでありまして、まだ何%にするのが妥当かということは私の念頭にはないのです。これから経済審議会なんかでどういうふうにお考えになられるか、その辺をよく見まして私の考え方をまとめなければならぬ、こういう段階でございます。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 副総理はよく安定成長ということを盛んに言われますね。低成長という意味ではなくて安定成長という言葉を使われるのですが、それでは、副総理としては、日本経済成長という中の安定成長、その安定成長というのはどれくらいを見ておられるのですか。そういうのは全然ありませんか。ただ口安定成長ですか。
  10. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 これは国際社会の中において安定した姿でわが国経済を運営するというので、安定成長というのは何%のことでどういうのだというような考え方は持ってないのです。つまり、国際社会動き均衡のとれた形、それから資源の問題にも十分対処し得るような形、それから、国内面におきましては物価国際収支、公害、そういうものとの均衡というものが十分とれるような形、それからさらに、わが国社会としては、社会全体の工業も、農業も、あるいは水産業も、中小企業も、大企業も、大体等しく肩を並べて前進し得る程度速度、そういうものを総合いたしまして、成長速度というものは世界経済動きの中で求めていかなければならぬ、こういう考え方でありまして、いま固定した何%というような考え方をとっているわけじゃございません。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 固定した考え方はないということは理解できますが、そうすると、これはちょっと暴論かもしれませんが、あるいは一〇%台ということもあり得るというふうに理解していいわけですか。
  12. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 まあ一〇%なんというのはとても考えられないと思うのですよ。つまり、一〇%というと、十年間でわが国経済の規模が二倍半になるわけですね。二倍半になって、一体世界の中で日本経済行動というものが承認されるか、これはされないです。いまでも多くの資源を使い過ぎておると言われておるわが日本です。その日本が二倍半の経済ということになったら、鉄鉱石はどのくらい使うのだ。世界輸出の大半を日本が使うということになるでしょう。あるいは銅だ、クロームだというようなことになったら、世界輸出の全部を日本が使う、それでも足りない、こういうことになる。そんなことを、資源有限時代の今日、世界が認めるはずはありません。仮に認められたとしたって、それらの品物がみんな製品化して世界市場へ出ていくわけですから、日本商品世界にはんらんするという状態になる。これを黙って見ておるはずはありません。  ですから、一〇%というようなことはとても考えられませんが、まあ世界並み……(松浦(利)委員「それは何%ですか」と呼ぶ)世界がどういう方向をとるだろうか。これから世界各国長期計画をいろいろ研究するでしょう、そういう動きを見て、年末ぐらいの時点で、日本経済のかじ取りはこの辺にするという考え方を決めたらどうだろう、こういうふうに見ております。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 だから、副総理、いま言われたとおり一〇%などということはとうてい望めない。ということになれば、日本国情に見合った大体の成長率というのは頭にあるのじゃないですか。副総理経済担当大臣、しかも三木内閣中心ですからね。その中心である副総理が全然数字をお持ちにならぬということはないと思うのですよ。  なぜ私がしつこく言うかというと、極端に言うと、産業政策上、一体これからの日本経済成長はどのくらいなのかということが明確にされないと、全体の国民が非常に不安なんですよ。だから、そういう意味で、実際に六月に正式に、新経済五カ年計画を立案するという諮問をするという段階でしょう、それじゃ日本国情に見合って何%が妥当だということくらいはやはり知っておらなければいかぬし、また、知っておられるのにまあ一流のあれで——そのことを言われたからといって、私は一つ政府経済政策影響を与えないと思うのですがね。むしろ国民自身は安心するのじゃないでしょうか。
  14. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 もちろん、私は、今日の時点における私なりの見解を持っているのです。しかし、いまこれから六月に初めて経済審議会に対しまして成長をどうするかというようなことを含めて諮問をする段階になるわけで、そのやさきに私はこう考えるなんということを言ったら、これは諮問する意味も何もなくなっちゃう。ですから、私は、いま私なりに本時点における見解は持っておりますけれども、これを公にすることは妥当でない、こういうふうに考えておるので、その辺は御理解のほどをお願い申し上げます。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうしますと、そのことがはっきりしないので、安定成長下産業政策ですね、表現は安定成長という言葉は非常にいいのですが、逆に言うと安定成長下脱落をしていく産業というのが私は当然出てくると思うのです。高成長からそのラグ、差がありますから、結局その分だけ、高度成長期ではよかったけれども、減速成長と言った方がいいですか、そういう段階では落後していく。  たとえば、これは産業転換エネルギー資源転換でありますが、石炭から石油に移ったときには、御承知のように政府はそれだけの対応策を打たれたわけです。石炭労働者に対しては雇用促進事業団をつくるとか、そういった形で対応していった。ところが、実際には、今日では口では高成長から安定成長だと盛んに言われるけれども、そういった転換政策がないのです。そういった低成長下安定成長下では、早晩、繊維産業かなりの部分が脱落をしていくのではないか、あるいはその他、要するに際どいところにおる産業というのは脱落をしていくのではないか。  要するに、不景気だということの中に構造的なものが入ってきておるのです。ですから、この構造的なものに対する抜本的な対策を早く国民の前に示さないと、私が不安で不安でと前から言っておるように、やはり国民全体が不安に思っておるというのはそこだと思うのです。だから、そういったものについて、通産省の所管でありますが、経済担当大臣として一体どう対処しようとするのか、そういう対処しようとするにしても、一定の成長率というものが出てこない限り、それに対応する政策というものもまた出てこないのじゃないかということで、これは私は裏表だと思うのですよ。  ですから、そういった意味からするならば、もっと早く産業政策転換なら転換政策というものが方針として国民の中に出されるべきだった。それが出されないままに来たものだから、私はいま国民の動揺、景気に対する不安、こういったものがついて回ってきていると思うのですよ。そういった問題について、一体転換方向をどういうふうに安定成長下考えればいいのか、転換する場所については政府が明確に責任を持ってもらえるのか、そういった点について六月に諮問されるわけでありますから、そういう点についての政府のお考え方もこの際はっきりさせておいていただきたいと思います。これは数字ではありませんから。
  16. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 いま経済動きの中には、一時的な要素と、長期にわたる構造的要素、この両者が含まれております。それだけに非常に混迷が生ずる、こういうふうに見ておりますが、まあしかし、いま企業かなり時の流れには敏感でありまして、それは五%になるか六%になるか、その成長率について的確な政府見解を述べられないにしても、しかし大体減速というか、かなり低い成長になるだろうというようなことははだで感じ取っておるのです。ですから、俊敏な経営者はもうそれぞれそれに対する対応の構えを示しておるのですが、しかし、政府の方で本当に国家全体にとりまして日本経済がどういう姿になっていくのだろうという全体の姿を描き出す、そういう中でまた一つ一つ企業自分のあるべき姿ということを見直していくということにすべきだろう、こういうふうに思いまして、そして長期計画は、国のあり方地方公共団体あり方、また企業あり方、また家庭のあり方、すべてにわたって非常に基本的な問題でございますので、これはなるべく早い方がいい、そこで六月に諮問をいたしまして、そして年度中にこの答申を得たい、こういうふうに考えておるのです。  しかし、年度中というと、それでもおそいという問題があります。ことに、もう暮れになりますれば五十一年度の予算を編成しなければならぬ、その編成に長期展望も踏まえなければならぬというふうに考えておりますので、粗ごなしはともかく年内にいたしたい、こういうふうに考えまして、審議会とは緊密な連絡をとりながら、なるべく早目に、国民政府の持っておる長期展望というものを明らかにしたい、こういう考えでございます。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、大臣承知のように、そういった複雑なものが絡み合っておって、しかも政府対応がおくれたというわけではありませんが、出なかったために、御承知のように、そういった業界から政府その他に対して、産業保護政策要求が非常に出てきておるわけですよね。おれのところは危ないからどうかせよ、その端的なあらわれが輸入制限だと思うのですよ。輸入を制限してくれ、もうやっていけないじゃないか、こういった産業保護政策要求というものを一体政府はどう扱うのか。そういう方針が出るまではそういう方向でいくのか。現に、繊維業界あたりからも輸入制限という問題をやはりクローズアップしてきていますね。そういった問題に対して一体どう対応するのか。いま現に出てきておる輸入制限等要求に対して、政府はどういうふうに対応されるおつもりなんですか。
  18. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 世界政治として見まして重大な問題だ、こういうふうに思います。つまり、こういう世界的不況世界的混乱の中からは、どうしても自国を自分立場において防衛するという考え方を起こしがちなのです。しかし、もし国々がそういう考え方を現実に採用するということになりますれば、それは一波万波を呼びます。他の国はまたそれぞれそれに対する対抗手段を起こす、それで世界貿易というものが総縮小をする、こうなったら本当に世界悲劇になる。これは経済的悲劇ばかりではありません。これはもう恐らく政治的な、社会的な悲劇というところにつながっていく大問題になる、こういうふうに思うのです。  そういう中において、一番資源が少なくて工業生産の多いわが国はというと、やはり自由交流体制というものについては徹底した見解を持ち、貫かなければならぬ、こういうふうに考えております。わが国産業に苦しいものもあります。ありますが、さりとて、世界諸国に対しまして日本日本立場に立った自国防衛政策世界の流れに反してとった、そのきっかけを日本がつくったというようなことがあってはもう断じて相ならぬ、こういうふうに思うのです。でありますので、まあ苦しい産業いろいろあります、ありますが、それに対しましては、そういう国際自由交流とは別の角度で考えていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうすると、それはやはり通産事務次官が言ったように、結局不況対策とは異質の対策もやっていく、不況対策以外の、そういった産業政策転換のための犠牲、脱落していこうとするものについても、何らかの財政金融措置で当面は救済をしていくのだ、そういうふうな理解ですね。
  20. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 まあ、非常な世界的な、また国内的な大変動期でありますので、その変動に応じまして企業がその構造を改革するという動きにだんだんと移っていくだろう、そういう現象が非常に活発になってくるだろう、こういうふうに思います。その活発な動き、これを助成するにつきましては、政府もでき得る最大の協力をしてあげなければならぬだろう、こういうふうに考えております。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうした中に、金融財政措置ができない部分について今度は製品価格に転嫁をしていってやる、言うなら物の値段を上げることによって救済をしてやろう、そういうようなことが当然政策の中で生まれてくるような気がしてならぬのですね。転換をしていこうとする場合に、財政金融でその部分については救済をしていく、その部分というのには限度がありますから、ということになれば、製品価格の引き上げということを当然想定せざるを得ないのじゃないかという気がするのですよ。そうすると、その九・九%との見合いで、一体そういうことが可能なのかどうかという疑問も出てくる。ですから、これからの物価値上げについてはある場合には認めざるを得ないことになるというふうに私たちは理解せざるを得ないのですがね、ちょっと三段論法的になるかもしれませんが。
  22. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 いろいろの業種におきまして、企業は苦しい立場に今日あります。そういう企業がその苦しさからの脱出のために製品商品価格の引き上げということを考える、これは考えがちなことだろう、こういうふうに思うのですが、それを野方図に放任しておくわけには物価対策上どうしてもいきません。ですから、この需給の管理、これを体制としてはぴしっとしておく。もしそういうような動きが一般化するということになれば、これはやはり管理体制をまた強化しなければならぬということにもなるわけでございます。まあ値を上げましても売れません、こういう状態をそういう際にはどうしてもつくり上げなければなりませんが、そういうところに持っていかぬで、企業の方で自粛をしてもらいたい。これは政府としても経済団体に対しましてお願いをしているのです。  経済団体としてもこの問題につきましてはかなり理解を持っておりますので、よくよくのものにつきまして経済団体がこうしたいというようなものがあるかもしれない、なしとはしない、こういうふうには考えますけれども、いま希望しているような一般的な価格のつけかえというようなことはもう行われるはずがないし、行われることは認めることができないし、もしそういうようなことがあろうというようなことになれば、経済政策のかじのとり方は変えなければならぬ、こういうふうにも考えるのです。そういう厳しいところにならないように、政府、また経済団体理解と協調をもってやっていかなければならぬだろう、かように考えております。
  23. 松浦利尚

    松浦(利)委員 議論がちょっとかみ合いませんけれども、このことで時間をとるわけにはまいりませんから、この産業政策転換の問題については、また後刻議論さしていただきたいと思うのです。そこで、いま一番製品価格に転嫁しようという人たちがたんたんとねらっておるのが、私は政府の許認可料金だと思うのですよ。そこで、単刀直入にお尋ねをいたしますが、農林省が発表した麦価、麦の売り渡し価格の引き上げ、一これは国際価格は逆に下がりぎみなんですけれども、実際に従来の逆ざやを埋めるという意味も含めて、七月に二〇%ないし三〇%程度の引き上げをやりたいということが言われておりますね。あるいは従来は生産者米価と消費者米価を別々に諮問しておったのですが、これを同時諮問をする。そして、大体一五%ないし二〇%程度、従来の逆ざや分を含めて消費者米価を引き上げたいというアドバルーンが上がっている。あるいは国鉄の方では、国鉄再建のための委員会からは、最高約一二七%から最低約七〇%の五十一年度国鉄運賃の値上げというもののアドバルーンが上がってきている。  そうすると、これに対する政府対応の仕方いかんでは、また政府主導型の物価上昇という状態が生まれてくる。間違いなく生まれてくる。そこで、これに対して、経済企画庁長官、そしてかなめである副総理として、一体どういうような処置をとられようとするのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  24. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 国鉄につきましては、当面何ら値上げのことを考えておりません。ただ、国鉄は、いま非常に経営内容が苦しい状態でありまして、いずれは将来値上げということを考えなければならない。しかし、当面は考えておりませんから、これは論外といたしていただきたいのです。  それから、五十年度中に政府が、予算でも予定いたしておりますが、たばこ、酒並びに郵便料金、これの引き上げを考えておるのです。ただ、これが決定に当たりましては、上げ幅を調整するとか、実施時期をずらすとか、いろいろ工夫をしております。御指摘のように、これが物価全体に悪影響を及ぼさないように、こういう配慮はいたしておるわけであります。  それから、予算にはあらわれてきておりませんけれども、実行上出てくる問題は、いま御指摘の麦価、米価の問題であります。物価は上がる、あるいはまた賃金が上がる、そういうようなことでありますので、生産者麦価、生産者米価、これもそれとの調整で問題になってくるわけでありますが、その際に、消費者麦価、消費者米価をどうするかということが、物価政策上、非常に大きな問題になってくるわけであります。  生産者麦価につきましては六月中に、また生産者米価につきましては七月中にこれを決定しなければならぬ。その際、消費者麦価、消費者米価をどうするかもあわせて方針を決めなければならぬ、こういうことになるわけですが、いま生産者米価、消費者米価同時諮問ということについて御言及でありますが、同時諮問という手続にするがいいか悪いか、これは手続上の問題で、この先なお考えなければならぬ問題募りますけれども、しかし考え方といたしましては、生産者米価をただ単にそれだけで決めるわけにいかぬと思うのです。消費者米価を一体どういう時点でどういうふうにするかということもあわせて考え生産者米格は決められるべきものである。こういうふうに考えます。麦価につきましてもまた同様でありまして、消費者麦価をどうするか、それもにらみながら生産者麦価を決めるべきである、こういうふうに考えます。  この二つの食糧につきましては、生産者価格はどうしても決めなければならぬ。引き上げの方向で決める方向になりましょうが、その際、消費者麦価、消費者米価をどうするかということにつきましては、六月の時点あるいは七月の時点における物価の動向、経済の全体の動き、財政の事情、そういうものをよく検討いたしまして、そしてどうするかということについて最終的な結論を出したい。いま、農林省で何か麦価について発表しておるというような話でありますが、まだそういう段階にはならないで、農林省はさようなことは発表しておりませんです。
  25. 松浦利尚

    松浦(利)委員 非常に抽象的な御説明でしたが、いまは政府の意図する方向物価がいきますけれども、政府が決めることによって全体の物価を上げる、政府主導型の物価引き上げというものが起こってくる可能性がある。ですから、麦価とか米価というのは非常に大きな影響力を持つのだ、それに対してはどういうふうに対処されるつもりかという質問なんですよ。だから、具体的に言うなら、やらない方がいいということなんですよ、私の言わんとするのは。
  26. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 これは、本年度の予算の編成の過程で、ずいぶん政府部内においても議論をしたのです。しかし、財政の事情、また企業会計の立場、そういうものを考えまして、少なくとも酒、たばこ、郵便料金は、ことし法案を御審議願って引き上げということをいたしましょう、それから麦価、米価につきましては、そのときの状況で考えましょうということになっておるわけでありまして、なるほどおっしゃるとおり、いま物価を抑制しましょうというとき、政府の関与する価格なり料金が上がるということは、私も非常にちゅうちょしたのです。  しかし、他の立場考えますときに、ある程度のことはこの際片づけておかなければならぬなという気持ちになりまして、ただいま御審議をお願いしておる、こういうことでございますが、法案として御審議されないところの麦価、米価につきましても、これは御指摘のように政府主導型というようなムードをつくり出さないためのいろいろ手当てをしながら、もし上げるというようなことになりましても、そういうふうに配慮していかなければならぬだろう、こういうふうに考えるのです。  据え置きにすれば、物価だけの見地から見ればこれに越したことはありませんけれども、物価だけを考えておるわけにもいかない。財政事情、企業の長きにわたっての体質というようなことも考えていかなければならぬ、そういうことで、いわば中間的措置というか、妥協的措置になっておりますが、仮に米価、麦価も加えて引き上げを行うというに際しましては、これが波及につきましては——そういうことはいま予定はしておりませんけれども、いまここでは決めてはおりませんけれども、もしそういうことをやるということになりました場合におきましては、それが波及を最小限に食いとめなければならぬ。その配慮をした上これを実行いたしたい、こういうふうに考えております。
  27. 松浦利尚

    松浦(利)委員 政府がいいところだけとって、食管会計が赤字だからその埋めるところだけ、いいところだけをとって、それで物価が上がるといかぬからそのしわ寄せを弱いところにやってしまう、そして九・九の地ならしをするようなやり方に結果的になるだろうと私は思うのですよ。麦価が上がってパンが上がる、ハンが上がったら便乗値上げをする、これを抑える、米が上がったら外食が上がる、それを抑える、そういう形のものは必ず起こってくるのじゃないか。  ですから、私は、農林大臣が言うのはわかりますよ。経済企画庁長官、副総理は、この際、やはりこういったものについては慎重に、ではなくて、できるだけ値上げを抑える、させないんだ、本当に物価が安定したという見通しが立つまでは抑えるんだというくらいの積極性がなければ、私は九・九という一けた台という目標は、これはまたここで、おかしいじゃないか、空念仏じゃなかったかという議論に終わるのじゃないかという危惧が非常にあるのですね。ですから、政府物価が安定するまでは抑えていくんだ、苦しいけれども抑えていくんだという方針がなぜとれないのか、私はその点は非常に残念に思いますね。副総理はそういうふうに行けないのですか。
  28. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 一時はそういうことを考えたこともあるのです。公共料金は一切、本年度はストップしようかということも考えたこともありますが、企業立場とか、あるいは財政の立場、そういうものを考えますと、そうばかりの立場にこだわることは妥当でない、こういう結論に到達いたしまして、先ほど申し上げましたような、たとえば電電公社、こういうものは料金引き上げは抑える、国鉄も抑える、そういうような反面、先ほど申し上げましたような酒、たばこ、郵便料金については、これが引き上げを行わざるを得ない、こういうふうに決定したわけなんですが、米麦につきましては、六月、七月の時点に立って、一体物価政策は大丈夫なのか、財政はどういうふうな状態になるだろうかというようなことを十分検討いたしまして、慎重にも慎重を期しながらこの結論を得たい、こういうふうに考えております。
  29. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう時間が余りなくなったのですが、それじゃ公正取引委員会に、マルチ商法について、苦言と、経過をお聞かせいただきたいと思います。  時間がありませんから簡単にお答えいただきたいのですが、実はこの前、ホリデイマジック社等を含めて、マルチ商法に類似する行為を行っておる参考人に来てもらって、議論をいたしました。そのときに、公取に質問をしたのですが、公取の方で、ホリディマジック社についての立入調査の経過等については現在調査中であるという御答弁だった。それから火曜日の日に理事会で、委員長の方から、マルチ商法については現在公取の方で議論中であります、間もなく結論が出ると思いますという御報告があった。  ところが、その日の独禁懇話会で、公取としてはこれは明らかにもう黒です、ですから、現在の独禁政策の上でマルチ商法というのは制限できるのです、そういう方向に進みますと言ったということが、新聞に大きく出たわけですね。これは明らかに私は国会に対する侮辱だと思うのですね。国会の委員の質問には答えない、独禁懇話会に出席しておる皆さんには報告をする。一体国会の審議権というものを公正取引委員会はどういうふうに考えておるのか。  私たちも、公取が扱う事件については、これは審査中あるいは審問中だから慎重に扱わなければいかぬというので、立ち入った質問はしなかったのです。結果が出たものについてしか質問しなかった。それだけの良識を私たち国会議員は持っておる。ところが、実質的にわれわれが質問したときに、そういうことを経過的に報告されただけでありながら、片一方の方では、そういう具体的なことまで事務当局が報告をしておる。委員長だったかだれだったかわかりませんよ。新聞に大きく出る。一体公取では、国会の審議権というものに対してどういうふうに考えておられるのか。われわれが配慮しておったこと自体が私は間違いだったという気がする。審査中とかあるいはそういったものについてはなるたけ国会では遠慮をして質問しないというのがわれわれの配慮だった。これからはやはり徹底的にしなければだめだという気がしてならぬですね。  その点について、きょうは公取委員長はお体が悪くて御出席でないのですが、事務局長の方から、公取としての国会に対する考え方、それをはっきりしていただきたい。  それから、なぜ懇話会でああいう発表をしたのか、その点についても明確にしてもらいたい。  それから三番目には、マルチ商法というものに対して公取では現在どういうことで、結論はどういう方向になるのか、どのようにしようとするのか、そういった点について明確にお聞かせいただきたい。
  30. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 ただいまの松浦先生のお話でございますが、どうも新聞の報道ぶり等から誤解があるのではないかというふうに考えるのでございます。  このマルチ商法の扱いにつきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、公取では現在ホリデイマジック社の違反の疑いにつきまして審査中でございまして、遠からず結論が出るという段階に来ております。たびたび私ども国会においても御答弁を申し上げておりますように、このホリデイマジック社につきましての公正取引委員会の結論、これを待ちまして、他のマルチ商法というものにつきましても公正取引委員会として態度を決めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  で、一昨日独占禁止懇話会にマルチ商法の扱いにつきまして御報告をいたしました趣旨でございますが、これは、そういうふうにマルチ商法というのが非常に問題になっております。これは公取にも、ホリデイマジックの問題だけでございませんで、いろいろと苦情が寄せられております。社会問題化しておる現在でございますので、独禁法上どういうような点が問題であるかということを検討しておりますその問題点を、一応公取の私的な諮問機関でございますけれども、独禁政策の運用についていろいろと意見をお尋ねする場でありますところの独占禁止懇話会に、その実情といいますか、問題点といいますか、そういうようなものを報告いたしまして、そしてその会員である学識経験者の方々からいろいろ御意見を伺ってみたい、こういうことで、実はこの問題だけではございませんで、ほかに二つ問題がございました。三つの問題を実は一昨日の独占禁止懇話会に御説明をしたのでございます。  これは、そういうふうに実情を御説明いたしまして、独禁法上問題がありはしないかというところから、会員の諸先生方の御意見を承る、それによって私どもの独禁法運用の参考にする、こういう趣旨からいたしたものでございます。新聞にはいろいろと報道をされておりますけれども、私どもはそれによりまして結論を得て、この結論に従ってやっていくというようなことを決めたわけでも何でもないわけでございまして、その点はひとつ御了承をいただきたいというふうに考えるわけでございます。  これからの公取のマルチ商法に対する扱い方でございますが、これは最初にも申し上げましたように、まだホリデイマジック社についての審査が続行中でございます。そういうことでございますので、公正取引委員会といたしましては、それについての結論が出ました段階におきまして今後の対策というものをはっきりと決めてまいりたいというふうに思います。  もちろん私どもは、これは独禁法に抵触する疑いありとして、立入検査までいたしまして審査をいたしておる問題でございます。したがいまして、どういう結論になるかわかりませんけれども、もしもかりにこれが独禁法に抵触する不公正な取引方法である、そういう部分を含んでおる、こういうようなことになりますと、私どもは、類似のものにつきましても同じような態度で、独禁法を厳格に適用していくということになると思います。しかし、まだホリデイマジックについての結論が出ておりませんので、いまの段階におきまして、公取としてマルチ商法全般に対しましてどういうような方針でいくということを、具体的に申し上げるわけにはまいらないわけでございます。  一般的な考え方といたしましては、もしも独禁法に触れる、あるいは景品表示法に触れるという部分があるということがはっきりいたしますならば、これはホリデイマジックに限りませんで、他のマルチ商法類似の案件につきましても同じような態度で臨んでいく、こういうことでございます。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 新聞の報道の問題については了解をいたします。大体新聞に書いてあるのと同じようなことだと思うのです。ただ、公取が意識しておったかどうかというのは別ですけれども。  そこで、さらに事務的なことですが、もう一切の事務は完結しておる、あとは委員会に報告して、委員会の結論を待つだけだというふうに私は理解をするのですが、完結しておるのか、委員会の開催日はいつなのか、この点に関しての委員会はいつ招集されるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  32. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 先ほども申し上げましたように、もうほとんど審査は終結に近づいております。委員会にもできるだけ早く上げなければならないというふうに考えております。ただ、委員会に諮りますのも、一回で済むのか、あるいはさらに検討を要するのかというようなこともございまして、いま直ちにいつ結論を得るということを申し上げるわけにもまいりませんので、委員会の日程等につきましても、この席ではひとつ御勘弁をいただきたいと思います。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ、マルチ商法の問題については、また後で、委員長において休憩後の理事会でこの問題の扱いについてお諮りをいただきたいと思うのですが、よろしいですか。
  34. 横山利秋

    横山委員長 はい、承知しました。
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それから、農林省にも来ていただいて大変申しわけなかったのですが、私の時間がなくなってきましたので、農林省に三つだけ申し上げたい。  実は今度、牛肉の安定基準価格が決まったのですけれども、その中に飼料高騰という問題も加味されておったと思うのです。そこで、その飼料高騰の問題で四月−六月ではいろいろ御苦労なさって、六千円従来のものからダウンしたわけですね。それで、すでに基準価格の中には四月から六月までの飼料のダウンしたものについては見込まれておるのかどうかということが一つ。それからもう一つは、七月以降は一体飼料の価格というのは下がるのか下がらないのかということが一つ。それから三番目には、実はこれを審議した審議会で附帯決議が出されておりますね。状況の変化に応じて年度内改定をするための審議会を開きなさいということがあるのですが、仮に七月以降の飼料が下がった場合、これについて審議会を開催するという御方針があるのかどうか、これがひっくるめて一つです。  それから二番目に、従来、国内の生産者価格を安定させるために、五千三百トンの生産肉を冷凍凍結しておったわけですが、現在までに二千四百トンの放出を終わっておるのですが、残っておるものについては放出するのかどうか。それから、これは豪州との関係で大変問題になりまして、生産者の皆さんは輸入するな輸入するなということでしたが、最終的に、先ほど福田総理も言われたように国際社会の一員としてそれはできないということで、一万トンの輸入を決めましたね。ですから、この輸入再開というのはいつごろになるのか、これが二番目であります。  それから三番目に、流通対策。肉の対策というのは、私たちも視察をしたのですが、屠場はあるけれども市場がないのですね。屠殺するところはあるけれども市場がないというようなことで、流通の中では一番おくれておるのです。ですから、この流通コストというのが非常に不明確だ。ですから、生産価格が下がっても消費者価格が下がらない、そういう問題が関連をしておるのですが、そういった流通対策の抜本的な改正というものについて農林省は取り組んでおられると思うのですが、一体いつごろその方針が最終的に出るのか。  時間がありませんから、それだけのことをまとめて質問をして、お答えをいただきたいと思います。
  36. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 それでは、お尋ねの件につきまして簡潔にお答えしたいと思います。  まず第一のえさの問題でございますが、先般決めました牛肉の安定価格を決定する算定方式の中には、四月−六月の飼料の値下げ分、これは肉用牛関係は約六千円でございますが、この分は織り込んでおります。  それから、七月以降下がるかという点は、私どもは現在の見込みではある程度下げ得ると思います。ただ、現段階におきましてトン当たり何円下げ得るかという点は、まだ関係メーカーからヒヤリングをやっておりませんので、この段階では申し上げるところまでは至りません。  次に附帯決議の関連で、飼料の値下げ等があった場合には畜産振興審議会を開催して価格の改定について諮問するのかという趣旨のお尋ねでございますが、この点につきましては、飼料価格の引き下げがどの程度かということとも関連しますが、法の規定にもございますように、飼料価格だけではございませんので、その他のコストの状況、その他需要の動き、あるいは生産の動向等、総合勘案いたしまして、必要な場合には改定をするということになるわけでございますが、附帯決議によりますと、物価その他の経済事情が著しく変動した場合には、政府が直ちに改定について諮問するというところまで至らなくても、改定すべきかどうかについて諮問すべきではないか、こういう御趣旨の附帯決議をいただいておりますので、飼料価格の動向等を見た上で、必要な場合には開催をしたいというふうに考えております。  それから、凍結保管肉の放出の問題につきましては、五千三百トンは農業団体が自主的に保管しているものの数字でございますが、これはある程度すでに出しておりまして、現在、牛肉の価格が安定帯の価格の真ん中より少し上にいっております。一時は上位価格に接近をいたしましたが、最近またやや下がっておりますが、これは、先般来全農等が持っております調整保管肉の放出を現在始めておりまして、それによりまして中心価格までの価格の引き下げを図っておるところでございます。全農の持っておるものの放出を終わりますれば、事業団の持っておるのが約八千トン余りございますので、これも引き続き放出をしていくということによりまして、安定帯価格の適正水準の中におさまるように需給操作をしてまいりたいというふうに考えております。  次に、輸入再開の問題でございますが、日豪閣僚委員会におきまして、六月中に一万トンをめどに輸入を再開するという見込みを、農林大臣から相手国に対して説明したわけでございますが、最近の牛肉の価格は先ほど申しましたようにやや高値で推移しておりますし、年度後半に入りますと、輸入をいたしませんとかなり不足してくるのではないかというような需給見通しを持っておりますので、八月ごろからわが国に到着するようなことを目途に、輸入を再開する必要がある、そのために、さしあたり六月中に一万トン程度輸入したいということで、現在準備を進めております。なお、今後の需給推移によりまして、さらに輸入が必要であるということになれば、追加輸入考えなければいけないと思いますが、現段階では、とりあえずまず六月中に一万トンをやりまして、需給の推移を慎重に見守って対処してまいりたいというふうに考えております。  次に、流通対策でございますが、屠場はあるが市場がないというのは、特に地方の屠場のことかと思いますが、中央におきます中央卸売市場は、屠場であると同時に中央卸売市場であるということで併設されておるわけでございますが、地方におきましては確かに御指摘のような面がございますので、私どもといたしましては、地方市場の整備、さらに食肉センターという、産地におきまして食肉を屠殺解体処理をいたしまして消費地に輸送するというような流通形態を促進するような努力をいたしております。これは、生体のまま消費地へ持ってまいりまして消費地市場で屠殺をするということはいろいろむだがございますので、流通改善の一環としてそのような施策を進めておるわけでございます。  その他、流通問題につきましては御指摘のように種々問題がございますので、現在、牛肉の消費者価格問題研究会というものを開いておりまして、これは主として卸売段階から小売段階に至る間を中心といたしまして、流通改善の対策につきまして専門家に御研究をいただいております。六月中には結論が出ると思いますので、ただいま御指摘になりました点を含めまして、その結論を待った上で、来年度施策に反映さしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  37. 松浦利尚

    松浦(利)委員 以上で終わります。
  38. 横山利秋

    横山委員長 野間友一君。
  39. 野間友一

    ○野間委員 先ほども話がありましたけれども、マルチ商法のことについて少し質問をしたいと思うのです。  先日やりました参考人からの聞き取りの中で、かろうじて一社は若干の反省を示したようなかっこうをとっておりましたけれども、来ておりましたあとの二社は全く反省の色がない。ところが、被害は続々いまでも出ておるというのが実態であります。  そこで、前々から言われておりますけれども、ホリデイマジック、これに対する措置をどうするのか、これを待って、というのが、通産省もあるいは公取の態度もそうであるということは、いまのお答えにもありました。そこで、ホリデイマジックの問題から少しお聞きしたいと思いますが、これは二月に強制調査をされたわけですけれども、これは四十条の調査というふうに理解していいのかどうか。
  40. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 ホリデイマジックにつきまして二月七日に臨検をいたしまして、調査を続行しております。これは独禁法四十六条によるものでございます。
  41. 野間友一

    ○野間委員 その場合の違反事実、これは不公正取引というのがいまの話にもありましたけれども、少し具体的に、不公正取引方法のどれに該当する容疑であるのか、明らかにしていただきたい。
  42. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 この被疑事実でございますが、これは不公正な取引方法一般指定というのがございますが、それの六号に「正常な商慣習に照して不当な利益または不利益をもって、競争者の顧客を自己と取引するように誘引」するという条項がございますが、こういうような条項に当たるのではないか、そういう疑いがございます。
  43. 野間友一

    ○野間委員 そこで、この結論について、これまた先ほどの質問にもあったのですけれども、三月末あるいは四月末と、ずっと延び延びになっておるのですね。五月ももうすでに下旬を迎えておる。しかも通産省は、これの結論が出るまでということでいわば静観する態度を示しておる。だから、これを早急に出さなければいかぬ、こう思うわけです。これは先ほどは、いつ出すのかは言えないという話ではありましたけれども、ぜひ早く出すという方向でひとつ奮闘してほしいということをまず最初に申し上げて、それから次に進めたいと思います。  エー・ピー・オーあるいはジェッカー、この関係についてもいろいろと苦情が私のところにも出ております。そこで、きょうは品物を持ってまいりましたので、これが果たして法律上どのような規制ができるのかということについて、厚生省あるいは通産省に少しく聞いてみたいと思います。  まず、これはイオン強力型源水器というもののようです。これをコンセントに差して、そして水道の水を浄化して出すというような仕組みになっておるようです。  まず、厚生省にお聞きしますけれども、これは法律上どのような規制ができるのか、少し答弁を求めたいと思います。
  44. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 お答え申し上げます。  薬事法上、医療用具の規定があるわけでございますが、医療用具につきましては、薬事法の第十四条におきまして、そのものの本質、原理、効能、効果、形状等を審査いたしまして、そして医療用具として適当なものにつきましては承認を行う、かような仕組みに相なっております。
  45. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、これが医療用具になるという御判断ですね。
  46. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 ただいまそこに実物がございますイオン源水器でございますが、それにつきましては、いまだそのような医療用具としての申請がございませんので、具体的な審査をまだ行っておりませんので、いまの段階では薬事法に規定する医療用具に該当するかどうか、はっきりいたしません。
  47. 野間友一

    ○野間委員 該当するかどうか、いまのところはよくわからないということですけれども、私はこれを以前から見せて、いろいろと話も承っておるのですが、これは確かに薬事法の中では医療用具あるいは医薬部外品ですか、大体この二つのうちのどちらかに当たると思うのです。  しかも、効能書きと申しますか、源水器の説明書、カタログもここにありますが、これはすでにわかっておりますね。この中でいろいろと効能が書かれております。これを見ますと、あれこれありますけれども、「健康な人体の血液はP・H七・四」こういうことから書き出されまして、このイオン源水器で浄化すると、これが「P・H七・四程度の正常な弱アルカリ性となり健康の三原則の一番大切な「血液の浄化」が実現します。」こういう記載がありますね。そして、血液が酸性化するとどういう病気が起こるかということで、高血圧等いろいろ書いてあります。しかもこのチラシの中では、「イオン源水器は病気の治癒の働きをし、健康な人に対しては健康増進の目的で」云々、こういうことも書かれております。  ですから、この源水器、そしてこれにセットされた説明書を見れば、明らかに医療目的、薬事法で言う医療用具、このように認定して差し支えない、ある人に聞きますとそう言うわけですけれども、私もそうだと思うのです。いかがですか。
  48. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 薬事法上、医療用具につきましては、「人の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること又は人の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている器具器械であって、政令で定めるもの」こういう定義に相なっておるわけでございます。先生御指摘のとおり、その広告と申しますか、チラシ、それにつきましていま御指摘あったわけでございますが、このような薬事法の定義に触れるような薬効を一部標榜しておるというふうに伺うことができるわけでございまして、非常に問題の広告文書であるというふうに考えておるわけでございます。ただし、そのもの自身が、薬事法で言う医療用具の規定のうち、「医療用物質生成器」こういう具体的な用具の指定があるわけですが、最終的にそれに該当するかどうか、なおその物自身を取り寄せまして、至急内容を審査いたしたいと考えております。
  49. 野間友一

    ○野間委員 これが医療用具に当たるとすれば、どのような規制ができるのか。先ほど、十二条による許可を受けなければならぬという話がありましたが、許可を受けておるのかどうか。もし受けてないとすれば、これが医療用具に該当するという場合にどのような刑事上あるいは行政上の措置を講ずることができるのか、その点についてお答え願いたい。
  50. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 当該物品が医療用具に該当する、こういうことになりますと、薬事法上、まず第十四条に規定されます承認を受ける、続いて第十二条に規定いたします製造の許可が必要となるわけでございますが、当該物品につきましては、そのような承認あるいは許可は一切受けておりません。したがいまして、そのような場合につきましては、薬事法の六十四条で規定しておりますとおり、第五十五条の第二項の無許可医療用具ということで製造販売等は一切禁止されておる、かようになっております。
  51. 野間友一

    ○野間委員 よくわかりました。そうすると、いまの話で、製造の承認及び許可の手続は全くなされていない。しかも先ほどの話で、説明書等を見ますとこれは医療目的、医療用具としての疑いが非常に強いということになりますと、これは厚生省としても早急に調査をして、その上で製造ないしは販売の禁止という措置をとらなければならぬ、これは当然だと思うのです。この点について、早急にそういう手だてをとるのかどうか、ひとつ答弁をいただきたい。
  52. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 早急に調査いたす所存であります。
  53. 野間友一

    ○野間委員 これは、ジェッカーチェーンについて、もしそのように薬事法上違法があれば刑事上の制裁があるのかどうか。あるとしたならば、どういうことなっておるのか。厚生省でも、あるいは警察庁でも、来られておったらどちらでもいいですが……。
  54. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 薬事法上、無許可製造につきましては、二年以下の懲役または十万円以下の罰金、こういう規定がございます。
  55. 野間友一

    ○野間委員 シェッカーの場合には、これが一つの主力製品なんですね。これがしかも、もうここ数年前から問題になっておる。被害者が続々出ておる。いろいろ使っておる人に聞いてみますと、これは欠陥商品でもあるというわけですね。たとえば、これは漏電する。その水道のじゃ口をひねりますと、お湯が出る、あるいはさびが出る。いろいろな欠陥が被害者から続々出ておるわけですね。しかも、数年前からなんです。これについて私がつい二、三日前に厚生省にいろいろ聞いて、初めてあなたの方では実態把握をしたということでは、人間の健康あるいは生命、そういう点から考えて非常に怠慢だ、私はこう言わざるを得ないと思うのです。公取に対してだって、どんどん被害の報告が出ておるわけでしょう。なぜいままでこういうものが放置されておったのか。  製造の承認も許可も全くないままに、しかもこれがマルチ商法の商品として多くのところに売られて、被害を出しておるという実態なんです。これは厚生省の怠慢以外の何ものでもないと思うのです。なぜいままでこれを放置されておったのか。いかがですか。
  56. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 その点につきましても全く遺憾でありますが、ただ、一言申し上げますと、普通の医療用具あるいは薬品の販売というものは、店舗を中心に営業をいたしておるわけでございまして、従来、薬事監視等も、そういう店舗に立ち入りまして無許可品あるいは不良品を摘発する、こういうことで実施いたしておるわけでありますが、本件の場合には、むしろ店舗販売ではございませんで、訪問販売でございますとか、あるいは何らかの特定のサークルに販売をするというようなことで、比較的薬事監視員が見つけづらかったという事情があろうかと思います。  なお、私どもの方は、全都道府県を通じまして、実は本物品につきまして消費者からの苦情もいままでなかったというふうな実情でございまして、今日まで、そのような広告文書、説明書等が流布されておるという事実を遺憾ながら承知いたしておりませんでした。
  57. 野間友一

    ○野間委員 それでは、早急にこれを調査して、適切な行政上の措置を直ちにとるというようなことについてのお約束をまずいただいて、この点についての厚生省の関係については、これで一応終わりたいと思うのです。
  58. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 直ちに当該会社から実情を聴取いたしまして、どのような物品をどのような説明文ないし広告によりまして販売しておったのか、実情を調査いたしまして、適切な措置をとる覚悟でおります。
  59. 野間友一

    ○野間委員 後でまとめて厚生省にお聞きするのですが、次に、通産省にお聞きしたいと思います。  通産省の管轄で、この同じ商品、イオン強力型源水器ですが、これがどういう評価を受けておるか、法律上どういうことになっておるのか、ひとつ御説明を求めます。
  60. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 シェッカーのイオン源水器でございますが、実は昨日現品を見せていただきまして、いままで私たちが取り扱ったことのない品物でございます。しかしながら、百ボルトを使っておりますし、また、水を使うということからいきまして、電気用品取締法の取り締まり対象になるべきものと思われます。しかしながら、同法の第二条に「政令で定めるもの」ということになっておりまして、それを政令の中でどういうふうに分類するかということがございまして、「医療用物質生成器」というのが政令の中で定められておりますので、恐らくそれに該当するのではないかと思います。しかしながら、その現品につきましてまだ専門家が見ておりませんので、その辺の範疇にどういうふうに入れるかということについては、まだお答えできないところでございますが、早急に調査いたしまして、その政令の中に入るかどうかを決めたいと思います。  それで、それが電気用品の対象物品であるということに決まりました場合には、シェッカーの会社がどういうような経緯でどれくらいのものをどういうふうに頒布しておるかということの実情を調査いたしますし、さらに、電気用品取締法のたとえば登録、それから型式認可、それから表示、そういうものがどうもないようでございますので、そういうことに関しての違反ということで、行政指導と、それからそれに対する厳正な処分をしなければならぬ、こういうふうに思っております。
  61. 野間友一

    ○野間委員 電気用品取締法二条に該当するかどうかということについて、これは先ほど薬事法の関係でも答弁がありましたけれども、大体同趣旨のものだと思うのです。先ほども挙げましたけれども、この説明書き、カタログ、これと一体として考えた場合には、まさに人間の健康を守るために、治療を目的としてこういうものを売りさばいておるということになりますから、私は、この電気用品取締法に言う電気用品になることは当然だと思うのです。もしこれが電気用品取締法で言う電気用品に該当するとするならば、これを製造、販売する者はどのような手続をしなければならないのか、これをまずお伺いします。
  62. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 電気用品を製造いたす場合には、電気用品取締法第三条によります事業の登録をする必要がございます。それから、製造いたします品物につきましては、同法の十八条によります型式の認可を受けまして製造する必要がございます。それで、製造いたしましたものにつきましては、同法二十五条によりまして、そういう型式認可を受けたということの表示をしなければならないことになっております。
  63. 野間友一

    ○野間委員 登録、あるいは型式の認可、そして表示の義務、これに違反した場合には、どのような行政上の制裁措置があるのか。
  64. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 電気用品取締法第三条の登録、それから第十八条の型式認可の違反につきましては、同法五十七条に定められております罰則、すなわち三年以下の懲役、三十万円以下の罰金ということになります。それから、二十五条の表示の違反につきましては、同法五十九条におきまして、十万円以下の罰金ということが規定されております。
  65. 野間友一

    ○野間委員 厚生省の関係でも、また通産省の関係でも、このようにいろいろと厳しい規制をして、そしてこれについての国民のいろいろな生活上の利益を守る、そういう役割りを法律が果たしておるのですけれども、いまなお、厚生省と同じように通産省も全く手をつけていない。これも厚生省と同じような責めを負うべきでないか、こう私は思うのですけれども、なぜいままで手をつけてこなかったのか、この点についてさらに答弁を求めたいと思う。  特に、これも厚生省にも申し上げたとおり、これが問題になってから久しいわけですね。もう数年になるのです。ところが、被害が続発するにもかかわらず、厚生省と同じように通産省もこれはそのまま放置されておる。これは百ボルト使うわけでしょう。コンセントに差し込んでやるわけですね。先ほど申し上げたように、漏電で使用する人がいろいろと被害を受けているというのもずいぶんあるわけですよ。私どものところにもいろいろな被害の報告がありますけれども、なぜいままで手をつけてこなかったのか。
  66. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 通産省といたしましては、電気用品取締法の実効を図るために試買検査をやっておりますが、いま先生のおっしゃった源水器は、通常の市場に出ておらなかったということもございまして、われわれのいわゆる市場調査または試買検査の対象に入らなかったために、われわれが気がつかなかったということでございます。そういう問題で大変御迷惑をかけている点につきましては、われわれも、そういう無認可品または不良品が出回る点についてどういうふうに対応をすべきかということについて、また十分勉強したいと思います。
  67. 野間友一

    ○野間委員 製造、販売については、薬事法の関係では答弁がありましたが、通産省の電気用品取締法の関係では、いま幾つか、登録あるいは型式認可等々の違反の事実がある場合に、行政上、製造、販売の禁止という措置がとれるのかどうか、その点について。
  68. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 同法によりますと、すでに登録をしてある工場におきまして違反がありました場合には、登録の取り消しということがございますが、登録されてないメーカーでございますと、そういうようなことはできません。しかしながら、こういうようなことについては、通産省といたしましても行政指導上とり得る限りの手を打ちたいと思います。
  69. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、通産省のサイドでは、このような違反の事実が明らかになった場合でも、製造ないしは販売の禁止、これをとることが法律上できないのですか。
  70. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 第三条の登録を受けないで製造している者につきましては、罰則を適用することができます。
  71. 野間友一

    ○野間委員 罰則のことを私、聞いておるのじゃない。これは刑事上の罰則はいまの幾つかの点についてありますけれども、行政措置として、この製造あるいは販売の禁止という措置が法律上とれないのかどうかということです。
  72. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 同法によりましては、登録してない者が製造してはならない、それから型式認可を受けてないものを製造してはならない、それから表示してないものは売ってはならない、そういうことでございますので、登録されてない事業者についても適用されると思います。
  73. 野間友一

    ○野間委員 そうでしょう。まさにそうなんですね。  それでは、通産省は電気用品取締法の観点から直ちにこれを調査して、それから厳正な措置をとることを約束してください。
  74. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 直ちに調査いたしまして、厳正な措置をとります。
  75. 野間友一

    ○野間委員 源水器の問題についてはこの程度にして、あと、商品はきょうは持っておりませんけれども、同じ、シェッカーからバスイオンというのを販売しておるわけです。  これは厚生省にもすでにカタログをお渡ししてあると思うのですけれども、このバスイオンについてもいろいろ効能書きが書かれております。家の中で、この機器をお湯の中にほうり込むと温泉と同じような効果があるんだ、そして温泉の効果として、神経症あるいは心臓弁膜症等々挙げられてありまして、これに効くんだということが書かれてあります。  そういう点から、これはまず厚生省に聞きますけれども、このバスイオンが、いま申し上げたような効能を書いた説明書によって、そういう目的で販売されておるということになりますと、これは薬事法上どのような規制ができるのか。
  76. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 先ほどのイオン源水器の場合と同様の事例になろうかと思いますが、いずれにいたしましても、薬事法上、薬効をうたう説明書を添付いたしまして物品を販売するということは、非常に問題があろうかと思います。  なお、そのバスイオン器につきましては、現在まだ物品を見ておりませんが、至急調査をいたしまして、薬事法に言う医療用具それ自体に該当するかどうか直ちに審査をいたしたい、かように思います。いずれにいたしましても、薬効を表示した広告文書、説明文等をつけることには問題がある、かように考えております。
  77. 野間友一

    ○野間委員 そうすると、このバスイオンについては、製造元は昭和工事株式会社、これはチラシにはそうあります。発売元がジェッカーチェーンとありますけれども、これについて、これの薬事法上の届け出はなされておりませんですか。
  78. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 現在まだ未調査でございますので、至急調査をいたしまして、後刻、御報告申し上げます。
  79. 野間友一

    ○野間委員 これは医療用具になるのか、あるいは医薬部外品になるのかということは、先ほどの源水器と同じような問題があると思うのですね。ただし、この効能書き等によりますと、これはまさに医療用具そのものだというふうに理解せざるを得ないと思うのです。  同じような問題だと思いますけれども、もしこれが届け出もなしに製造し、かつ販売されておるということになりますと、これについての製造あるいは販売の禁止、こういう措置も法御上はできるわけですね。できるとすれば、直ちにこれを厳正に調査をして、行政上そのような厳しい措置をとるべきだと思いますが、いかがですか。
  80. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 先ほどのイオン源水器とあわせまして、至急調査をいたします。
  81. 野間友一

    ○野間委員 調査はわかりましたけれども、調査をして、その後の措置について、いま申し上げたようなことについてどうするかということです。
  82. 花輪隆昭

    ○花輪説明員 当該物品が医療用具に該当する、こういうことになりますれば、先ほど申し上げましたように、薬事法の五十五条第二項違反ということになりますので、厳正な措置を講ずる所存でございます。
  83. 野間友一

    ○野間委員 この効能書きを見ますと、「電源室」あるいは「パイロット・ランプ」というのがいろいろな装置として説明がありますし、あるいは「直流数ミリアンペアというごく微量の電流の力により」云々というのがあります。パイロットランプがつくということは、これは電池が入っているのではないかというふうに思うのです。そうすると、これまた通産省の関係にもなろうかと思いますけれども、この点についてはいかがですか。
  84. 児玉勝臣

    ○児玉説明員 ただいまの品物につきまして私よく存じ上げませんので、詳しいことは申し上げられませんが、いま先生のおっしゃったいわゆる電池が入っているという点につきましては、電気用品取締法では、電池を使うものにつきましては対象としておりません。
  85. 野間友一

    ○野間委員 それでは次に、これはマークIIべーパーインジェクターというものですが、これはエーピー・オーが主力商品として販売しておるものですけれども、これについてはこの前のときにも若干の質疑がなされたと思いますが、通産省ではこれについてのいろいろな性能の検査をやっておられると思うのですけれども、その経過及び結果について御報告いただきたいと思います。
  86. 斎藤成雄

    ○斎藤説明員 エー・ピー・オーのべーパーインジェクターにつきましては、実は通産省で一昨年にテストをいたしまして、そして一昨年の十月に、表示されているような効果があるとは言いがたいということを先方に通知するとともに、新聞発表を行いまして、この製品の性能が言われるようなものではないということを指摘したわけでございます。  エー・ピー・オー社にそのときに注意をいたしましたのは実は二点ございまして、一つは、性能が広告されているようなものであるとは言いがたいということと、それから、商売の方法であるいわゆるマルチ販売というのが非常に問題を起こしやすいものであるから、十分に注意をするようにという二点を指摘したわけでございます。  その二点を指摘いたしましたときに、当方のテストでは十分効果があるとは言いがたいけれども、もう一度第三者機関に依頼をしてテストをするようにということを勧告いたしまして、先方はそれを受け入れまして、昨年の二月から十二月までかけましていろいろテストを実施いたしております。その結果と、それからエー・ピー・オー社自身の方でこの製品の改良もあわせて検討しておりまして、一部改良されたものについてのテストの結果、両方がことしの三月末に提出されております。  自動車の排気ガスの処理装置と同様に、技術上の評価がなかなかむずかしいものでございますので、一昨年のテストをいたしましたときにも、学識経験者七、八人の方にお集まりいただきまして結論を出したわけでございますが、今回のものにつきましてまだ整理が終わっておりませんので、近い機会に、学識経験者の方にお集まりいただいて評価をしたいと考えておるのが現状でございます。
  87. 野間友一

    ○野間委員 いまごろになって何を言うのですか。四十六年の九月ごろから販売しておるということは、通産省自身も認めておるわけです。しかも、おととしこれの検査を工業技術院、それから日本車両検査協会、ここにさしておる。その上で出した結論が、先ほども若干答弁がありましたけれども、「排気ガスおよび燃料消費量について効果がないものと判断される。」こうやっておるわけです。  ところが、いまの話を聞きますと、通産省では、こう思うけれどもということで、さらにこれを製造販売しているエー・ピー・オーに対して、きちっと検査しろ、こういうような申し入れをしてやったという話のようですけれども、まさにこれは犯人に対して、どうじゃ一遍検査しろ、こういうようなことになるわけですね。こういうばかげた態度がいまなおやられておるというところに、私は通産行政は一体どうなっておるのかと言わざるを得ないのです。  これはエー・ピー・オーの主力商品でしょう。四十六年から販売されている。しかもこれは高い価格、ワンセット二万二千円です。ところが、いまなおこれの結論を出すことはできない。先ほどの話では、検査の結果、これは効果がないのだということで勧告をしたという話もありました。しかし、勧告はまさに勧告でありまして、これは規制する拘束力はないわけです。だから、この間の、参考人として呼んだときでも、もうとにかく高姿勢で、何の反省もない。  私、なぜこの商品の問題を持ち出したかといいますと、これは通産省は公取待ちだ、こういうことなんです。ところが、マルチ商法そのものがいろいろ法律上の問題を抱えておるとしても、これはもう私は当然早い機会に規制しなければならぬと思いますけれども、それはそれとしても、商品の側から考えても、たとえばいまの源水器等々の問題もそうですし、このエー・ピー・オーのインジェクターの場合もそうですけれども、商品そのものの規制によって被害を未然に防ぐということは十分可能なわけです。ところが、これすら手がつけられていない、こういうのが現状なんですね。  いまになって犯人に対して、おまえ一遍これの効能についてきっちり検査しろ、これは一体どういう態度なんですか。また、通産省は三年前にこういう一定の結論を出しながら、その後放置されておるという状態、これは一体どういうことなのか、再度答弁を求めます。
  88. 斎藤成雄

    ○斎藤説明員 ベーパーインジェクターの一昨年のテストというのは、実は通産省で一年近くかかったわけでございますが、これの評価につきまして、学識経験者の間でいろいろ意見があったわけでございます。  先ほど私がお答え申し上げましたときに、効果があるとは言いがたいというふうに申し上げたかと思いますが、これは効果がないと言えないのだろうかということで、実は私、いろいろ学識経験者の方に意見を問うたわけでございますけれども、そのときの意見がいろいろございまして、これはテストピース、たくさんございますけれども、そのテストピースによりますと、あるものは効果が出ている、あるものは逆に悪くなるという場合もある、これをどう評価するかというのが技術上なかなかむずかしい問題でございます。そういう意味で、学識経験者の方々の結論というのが、先ほど申し上げましたように効果があるとは言いがたいということでございまして、技術上非常にむずかしい問題があるということをひとつ御理解いただきたい。  それから、どろぼうにテストをさせるというお話がございましたけれども、これはそのとき勧告いたしましたのも、通産省の側で選んだ検査機関でやった結論がこうだけれども、エー・ピー・オーの方で選ぶ公正な第三者機関でテストをしてもらったらどう、だということを勧告したわけでございます。  なぜそういうことをしたかと申しますと、この装置の取りつけ方その他にいろいろ意見がございまして、私どもの方でテストをいたしましたときには、エー・ピー・オーの技術者を呼んで取りつけをさせた上でテストをしたわけでございますけれども、エー・ピー・オーの方は、通産省のやっておるテストのやり方については、自分たちの言う意見が反映していないということを盛んに言うものですから、そういう意味で、自分たちの取りつけ方を十分説明して、公正なる第三者機関にテストをさせたらどうだということを言ったわけでございます。  私どもがそのときずっと一貫して考えておりますのは、明確に直ちに結論が出るものでございますと措置がしやすいわけでございますけれども、非常に微妙な装置でございまして、技術者の間でも、直ちに効果がないというふうに断定すべきではないという意見がございましたので、慎重な措置をとった次第でございますので、御了承いただきたいと思います。
  89. 野間友一

    ○野間委員 いや、この通産省からもらったその評価によりますと、そういうことは書いてないですよ。「排気ガスおよび燃料消費量について効果がないものと判断される。」こういうふうに通産省は評価しておるものです。効果がないものとは云々という答弁がありましたけれども、通産省からもらった資料にははっきり書いてあるのですよ。どうですか。
  90. 斎藤成雄

    ○斎藤説明員 先生のお手元の資料がどういうかっこうで出たか存じませんが、私どもの方でテストの結果を外に発表いたしましたときの文書がここにございますが、この文書では「エー・ピー・オー・マークIIペーパーインジェクターについては、機械技術研究所、日本車両検査協会の試験結果を見れば、効果があるとは言えない。」という、ふうに書いてございます。その後の文章が実はちょっとあるのですけれども、「しかしながら、本装置については、上記試験の他東京都公害研究所、神奈川県公害センター等で試験が行われており、そのうち、東京都公害研究所等による試験によれば、効果がある旨のデータも出ている。」ということも実は書いてございます。  この文書によりまして、私、先方にも話をいたしましたし、それから新聞発表もいたしておりますので、もしお手元にあります資料がこれと違ったことが書いてございますれば、私がいま読み上げた資料の方が正しいというふうに御理解をいただきたいと思います。
  91. 野間友一

    ○野間委員 それはおかしいですよ。それは私がもらった資料とは全く違うわけで、その点についての問題はさらに詰めてみたいと思いますが、ただ、言えることは、いずれにしてもこの効果があるかないかはっきりしないものが、マルチ商法のルートに乗ってずっといま走っておるという事実だけは、これは紛れもない事実なんです。そして、それによって多くの消費者が被害を受けておるのも事実なんです。売っても、これが実際の効果がないから、これを使うことができない、これもまた事実なんです。  ところが、四十六年からこれが販売されながら、そしてまた一定のそういう検査をしながら、そのまま犯人にとにかくまあ一遍やってみろというような措置をとったまま、今日までこれが放置されておる。あなたの方では、この結論を出すのにいろいろ複雑な問題があるといってそのまま放置しておる中で、被害だけは一方どんどん出てきておる、こういうのが実態なんです。一体これをどうするのですか。そうして、もしこれが効果がないものであるとすれば、法律上はどのような取り締まり、規制ができるのか、いかがですか。
  92. 斎藤成雄

    ○斎藤説明員 先ほど申し上げましたように、これのテストのときの発表、一昨年の発表でございますけれども、そのときに、先方に対しましては、販売を自粛するように、マルチ商法というやり方でやるのは好ましくないから自粛するように、それからまた、商品についてははっきり結論が出るまで差し控えるようにということは実は言ってございますけれども、これはあぐまでも行政指導でございまして、本件について直ちに法律に触れるというような問題が実はないわけでございます。  したがいまして、私どもは一昨年、この問題を何とか解決するために、法律上の裏づけが要るのではないかということで、一昨年の暮れに通産省諮問機関でございます産業構造審議会にこの特殊販売についての小委員会をつくっていただきまして、そこでこういったマルチ商法についての規制はいかがなものかということの御検討をお願いしたような次第でございます。  繰り返しになりますけれども、私どもは一方では説得ベースでの行政指導をしたわけでございますけれども、テストの面については、先方もこちらの言うことを聞きまして、実施をいたしましたけれども、販売の自粛ということについては効果が上がっておりませんので、別途法律によってこれを規制しようということで努力を続けてまいった次第でございます。そういう点を御理解いただきたいと思います。
  93. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、これが効果がないものであるとするならば、効果がないものであるとしても、現行法ではこれを取り締まりあるいは規制することができないということになるわけですか。先ほどの話では、特殊販売の規制の問題がありましたけれども、あれは商品販売をネズミ講的ないわゆるリクルートというものと絡ませてやるところに問題があるということなんでしょう。つまり、商法そのものなんでしょう。しかし、商品そのものが無価値か、あるいはそれに近いという場合は、仮につくっても私は効果がないと思う。  そこで聞くのは、現行法ではこれが無価値あるいはそれに近いものである場合に取り締まりあるいは規制ができるのかどうか、いかがですか。
  94. 斎藤成雄

    ○斎藤説明員 現在の法律で、たとえば詐欺になるかどうかということになりますと、刑法その他の問題が出てまいるかと思います。ただ、詐欺であると言うためには、商品の効果がないということがはっきり言えないと、恐らく警察としても踏み切ることができないだろうと思います。そういう意味におきまして、私どもは、この商品の効果について明確な結論が出ないと、現在の法律でどこかにひっかかるということはないというふうに考えたような次第でございます。
  95. 野間友一

    ○野間委員 これがやはり一つの欠陥だと私は思いますが、確かに刑事上は、無価値のものを価値があると偽って販売する行為については詐欺罪に該当するのは当然なんですけれども、これは通産ベース、つまり行政のサイドでこれの製造あるいは販売の規制はできないという答弁なんですね。そうすると、これは大変なことになると思うのです。無価値なものをどんどん売っても、その製造、販売は禁止することはできない、野放しにすることにしかならぬ。  警察庁、お見えになっておりますか。——これはいまの話にもありましたけれども、無価値かあるいはそれに近いものを価値があると偽って販売した場合に、刑事上は確かに、二百四十六条でしたか、「人ヲ欺罔シテ財物ヲ編取シタル者」というのに私はなると思う。これはもう聞かなくてもわかっておりますけれども、まずその点についての確認と、そして、無価値あるいはほとんど価値がないものとした場合、行政法規の上で、つまりこの刑事上の処分のほかにこれを規制する方法があるのかないのか、その点についての御見解を承りたいと思います。
  96. 四方修

    ○四方説明員 詐欺に該当するかどうかにつきましては、いま先生御説明のとおりでございまして、当該商品が全く価値のないものであるという認識の上に立って、そういうことが価値のないものであるということを知りながら、相手をだまして売りつけたということになって初めて詐欺罪は成立するものと考えておりまして、いままでわれわれが持ち合わせておる資料では、当該物品を販売しておる者が、当該物品が価値のないものというふうに判断して売っておると言うに足りる十分な資料を持ち合わせませんので、残念ながら、いまのところ詐欺罪の適用ができない状態にございます。  御質問の第二点につきましては、これは警察所管外の問題でございますが、警察としましては、国民の中に被害の出るような好ましくないものが売られるという状態が継続するということは好ましくないと思いますので、そういう点については、先ほど来関係省庁が御答弁のとおり、早急に適切な行政上の措置がとられることを希望してやまないものでございます。
  97. 野間友一

    ○野間委員 これは通産省も責任があると同時に、刑事上の問題としては、警察庁に私、責任があると思う。商工委員会の中でも、いま高校生を初め若年層が親の金をくすねて持ち出して、そしてこういうことに奔走しておる、もうゆゆしき問題だというようなことで問題になりました。  しかも、単にマルチ商法そのものだけではなしに、本当に価値のないものがあるかのごとく装って販売される。先ほど、その行為者の行為の問題のお話がありました。つまり、行為がなければ罰則は適用できない、これが無価値のものであるという認識がありながら売っておるかどうかについては、証拠がないのだというお話がありました。そうしますと、いまの状態が続きますと、通産省はややこしいと言ってそのままになっておる、警察庁は警察庁でいま答弁されたような状態で終始しておるということになりますと、早晩、その無価値なものあるいはほとんど価値のないものというのが、だれがいつどういうふうに措置するのかはともかくとして、それまでの間、野放しにしてこれが販売されておる、まさに放任されておるという状態になると思う。通産省のサイドだけではなしに、あるいは運輸省も関係があるかわかりませんが、警察庁としても、これが果たして価値があるものかないものか、これは独自の調査、捜査をするべき筋合いのものだ、これは当然だと思うのです。いかがですか。
  98. 四方修

    ○四方説明員 エー・ピー・オー・ジャパンを初めといたしますいわゆるマルチ商法と言われておる業態につきましては、過去にも国会で御答弁いたしておりますように、警察庁といたしましては、きわめて好ましくない業態であるというふうに判断をいたしております。われわれの方では、まず警察としては異例と言えるかもわかりませんけれども、これらの業態について一部の県で特別な班をつくって、何らかの犯罪が行われておらないかということをかなり綿密に調査いたしております。先般も私のところで関係県を集めて検討をいたしたわけでございますが、いまのところ、残念ながら具体的な事実が出てこないということでございます。  この際、申し上げておきますけれども、非常に巧妙に会員の勧誘並びに商品の販売が行われておりまして、うっかり手をつけますと、結局被害者であると思われるような末端の会員のみが被疑者扱いにされるというようなことにもなりかねないわけでございますので、その辺も総合的に判断しながら慎重に検討を進め、前向きに取り組んでおるわけでございます。  ただ、当該商品商品として無価値なものかどうかという判断につきましては、われわれは、従来同様、今後におきましても所管の省庁の専門的な判断を待つという考え方で臨みたいと思っております。警察として、その商品が効果があるかどうか、適切に法律を運用するほど専門的な判断をすることはできないというふうに考えておる次第でございます。
  99. 野間友一

    ○野間委員 ここに「APO販売の手引」というパンフレットがありますけれども、この「マークII使用による利点」ですね、「燃焼室内のカーボン堆積量の減小。」とか、あるいは「燃費節約」、「エンジンパワーの増加」云々と、幾つか書いてあります。こういう利点があるのだということで、あと、販売のいろいろな手引き、それから問答式にクェスチョン・アンド・アンサーとして書いてあります。こういうことでどんどん売られておる。  警察庁のいまの話では、これは専門的な分野だから関係省庁のそれに任すんだ、こういうことなんです。ところが関係省庁は、いまのような非常にあやふやな態度です。ところが、被害だけはどんどんふえておる。これはもう本当に紛れもない事実なんです。  通産省、どうなんでしょうか。関係省庁と言いますけれども、警察庁、あるいはこれは運輸省にも関係があると思いますが、そういう状態でお互いにすくみ合いながら、被害だけが現実に増加しているというのが事実なんです。あなた待ちなんです。通産省、あなた、どうされますか。
  100. 斎藤成雄

    ○斎藤説明員 商品の評価につきましては、先ほど来申し上げておりますように、明確な結論が出るまでは、私どもちょっと措置をしかねるというふうに考えております。できるだけ早く現在持っております資料につきまして評価をいたしたいと考えております。  先ほど申し上げましたように、こういった問題が特に世間を騒がせると申しますか、問題を起こすのは、商品の問題よりは、むしろマルチ商法というその売り方の問題の方に大きな原因があるというふうに私ども考えまして、マルチ商法の方の規制を何とか急ぎたいということで従来から努力してまいっていることを御理解いただきたいと思います。
  101. 野間友一

    ○野間委員 いや、その商法、売り方と商品とを切り離すことはできないのと、また別に、これはいまの法律で規制がむずかしければ、商品の側からも規制することができるのじゃないかという点から私は質問しているわけです。わかりますね。ところが、もうこれは繰り返しませんけれども、ずっといままでの経過があって、いまだに通産省は結論を出せない。警察庁は、あなたの方で結論を出すまでそのままほうっておる。ところが、一方、販売する者は、これは無価値あるいはそれに近いものという認識がない。となりますと、刑事上の処罰の対象にも、いまのところはなり得ないということが実態なんでしょう。  四十六年から販売したものが、まだ通産省は結論を出せない、これでは余りにもひどいじゃありませんか。この前の参考人調べのときにも、被害者がいろいろと窮状を訴えておりました。とりわけこのエー・ピー・オーの場合には、若年者、若年労働者あるいは高校生がこういうものに手をつけて、親子の離散から、あるいは自殺から、夫婦別れから、いろんな被害が各地で続発しておる。何か他人事みたいに私は聞こえてしょうがない。いま現にそれではこの検査をしておるのか、しておるとしたら、結論はいつごろ出すめどでやっておるのか、その点、再度聞かしていただきたいと思います。
  102. 斎藤成雄

    ○斎藤説明員 技術上の評価につきまして、学識経験者の方にお集まりいただいて検討しなければいけませんので、いま私どもそれの事務的な整理を急がせておりますけれども、来月に入らないとちょっと結論が出ないのじゃないかというふうに考えております。できるだけ速やかに結論を出してもらいたいと思っております。
  103. 野間友一

    ○野間委員 公取にお聞きしますけれども、いま商品の問題について、源水器やバスイオンと称する商品、それからいまのエー・ピー・オーのインジェクター、こういうものについての質問をしたわけですけれども、マルチ商法そのものの中に占める商品、この位置づけ、これは独禁政策あるいは独禁法上どのように考えておられるのか、まずそこからお答え願いたいと思います。
  104. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 商品の効能ということに関連いたしまして、独禁法体系でどういうような規制ができるかということでございますが、景品表示法ではそういう点を表示の面から規制するということができるわけでございますが、ただ、その場合には、一般消費者を誤認させるということになっておりまして、このマルチ商法の場合に果たして一般消費者というふうに言うことができるのかどうかというところに疑問があるわけでございます。この点につきましても、公正取引委員会といたしましても従来検討をいたしておりますけれども、まだ結論を得ておりません。
  105. 野間友一

    ○野間委員 ここに私は、ジェッカーのいろんな顧客あるいは加盟店勧誘のチラシを持っております。これはたしか渡してあると思いますが、これは九州の宮崎で配ったチラシですけれども、山口理事長のいろんな話を載せております。「ジェッカー・チェーンの特徴を一口で言えば、誰もが安心して事業の成功者になれるということである。」「一日平均収益五千円以上可能。半日平均収益三千円以上可能。専業の場合は、月収で二十万円以上可能」、これはこの間の参考人のときにも申し上げたわけですけれども、これが宮崎で配ったチラシです。  それから、これは「シェッカー城南」、東京の城南だと思います。これを見ますと、「主婦、会社員、学生の方で一日三時間−四時間の余裕のある方でしたら、どなたにも出来る簡単な仕事で、」これもやはり「利益は一日平均収益五千円以上、専業の場合は月収で三十万円以上は確実。」こういうのがあるわけですね。  そして、ジェッカーに加盟させるまでの手続の手引きがあります。これによると、まず説明会を開く。説明会を開くときには、どこでどういうふうにしろという、こういうのがあります。それから、その次には相談会を開く。相談会を開いた後で、申し込みから契約、もう、とにかく詳細にこれの規定があります。この中で特に私びっくりしたのは、この前も若干申し上げましたけれども、「相手によけいな事を考えさせないで強引に話を進める」、まさに催眠商法の最たるものですね。これをジェッカーが指導しておるわけです。それから「現在あるだけのお金を申込金に入れておきなさい」、とにかくひどいものでしょう。わいのわいの、一日収益五千円以上とか、月三十万円以上確実だとかいうことで集めては、催眠商法にかけて、そしてよけいなことを考えさせる間を置かずにばっと契約をして、持っておるお金を全部とにかく申込金に入れておくように指導せよ、こういうひどいことも書いてある。  しかも、これによって加盟させて、そして販売する商品が欠陥商品である、あるいは薬事法、あるいは電気用品取締法で大きな問題を抱えておる。つまり、何の手続もしない商品である。これでは被害者はたまったものではない。加盟し、あるいはそれから買わされる、こういう者はたまったものではない。これは間違いない事実だと思うのです。  いまのこのチラシの、こういう顧客の不当な勧誘ですが、こういうビラ自身も私はやはり不当表示防止法のあれにも該当するのじゃないかというふうに思うのですけれども、このビラについての評価、判断はいかがでしょう。
  106. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 先ほども申し上げましたように、そのビラあるいは宣伝の仕方というものが、景品表示法に当たるような、つまり不当に優良、有利であるというふうにこれが一般消費者を誤認させるということであれば、まさにこれは景品表示法に該当することになるのでございますけれども、この商法の対象としておりますのは果たして一般消費者と言い得るのかどうかというところに問題がございまして、はっきりと景品表示法に違反するというところまでまだ言えないということで、検討を続けておるわけでございます。  なお、最初に申し上げましたけれども、独禁法の不公正な取引方法、先ほども申しました一般指定の六号に当たるというようなことになりますと、これはまた見方を別にいたしまして、そちらの方から規制をしていくということを考えておるわけでございます。
  107. 野間友一

    ○野間委員 もう時間が参りましたので、最後のまとめになりますけれども、先ほど松浦委員の質問にもありましたけれども、公取委事務局の取引部がつくった「マルチ商法の取扱いについて」この文書を私も入手しておりますが、この問題点は、リクルート料の問題、それから勧誘方法の問題、それから保証金その他の問題、この三つに分けて、それから「独禁法上の取扱い」としては、リクルートの問題、あるいは募集、それから再販売価格の問題、それから差別対価の問題、この四つに分けて検討されておるようです。ところが、これがどういう理由でつくられて、そして、おとといでしたか、独禁懇の方に配られたか、私、ちょっと疑問に思う。  先ほど質問の中での答弁では、早急にホリデイマジックについては結論を出す、こう言われた。これが三月になり、四月になり、延び延びになって五月になっておる。いまも出ていないというのが現状ですね。ところが、これによりますと、「独禁法上の取扱い」として、これこれの中には入らないかどうか——何かこの文書を見てみますと、どろぼうをつかまえてなわをいまなっておるような感じがしてしょうがない。もうすでに審査が終結、あるいはそれに間近い、こういう答弁もありました。その時点でまだこういうようなこと。だから、これはどういうような理由で出されたのかよくわかりませんけれども、先ほどから私、申し上げておるように、商品商品のサイドから、いまのこの本当に被害者が続発しておる事情の中では、早急にこれらについての規制をしなければならぬのに、いまなお厚生省も通産省も放置されておる。  通産省は、この商品サイドだけではなしに、マルチ商法そのものをどうするか、特別立法をどうするかということについても、これは公取委待ちだ。その公取委が、二月七日に摘発しながら、しかもこれはホリデイマジックだけだ。それについても、文書による限り、私は、まだなまぬるい、いつになったら結論が出るかわからぬような状態じゃなかろうかということも、ある意味では考えざるを得ないと思うのです。それぞれまちまちなんですよ。ところが、まちまちですくみであるけれども、被害が続発していることは紛れもない事実なんです。  最後に、副総理、こういうような実態を踏まえて、どういうようにお考えになるのか。これは結局、流通過程に乗って消費者のもとにどんどん行く。商品そのものが入るわけでしょう。しかも無価値のものであるかもわからないという商品がずいぶんある。こういう点を踏まえて、しかもいま各省庁ばらばらで、一体どういうふうにお考えになるのか、御所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  108. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 御指摘のマルチ商法事件は、これはいずれにしても健全な社会現象じゃないと思います。これが発展いたしまして消費者の皆さんに御迷惑をかけるということを放置することは、許されないことである、こういうふうに考えます。  この問題を考えますと、二つの面があるのじゃないか、こういうふうに思います。一つは、妥当な商品が果たして消費者に提供されておるのか、こういう問題だろうと思います。商品サイドの問題ですね。それからもう一つは、その提供される商品の提供の手法というか、商法といいますか、そういうサイドの問題がある、こういうふうに思うのです。これはそれぞれ対策を講じなければならぬ性格のものではないか。でありますので、商品所管官庁、これは商品サイドの問題として検討しなければならぬ。それから、マルチ商法というネズミ講式の商法が妥当であるかどうか、こういう問題は、多分に、一つは警察庁的な角度の問題であり、また、公正取引委がどうかという角度の問題であろうと思います。  いずれにいたしましても、非常に多岐にわたる複雑な面を持っておりますので、どうしても早急に政府全体として結論を得て、そうして消費者に不当の損害を与えないというふうにしなければならぬと思います。  経済企画庁といたしましても、そういう不当な商品をお求めにならないように、また、マルチ商法というものは非常に欠陥のある現象であるし商行為であるということにつきましては、国民生活センター等を通じまして極力ひとつPRいたしたい、かように考えます。
  109. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  110. 横山利秋

  111. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 去年の八月、経企庁の総合交通研究会の中間報告が出ました。「総合交通体系の検討に関する中間報告」、これに基づいて、総合交通体系の将来がどうあるべきかということについて、私はこれから副総理に御質問を申し上げたいと思うわけであります。  御存じのとおり、いままでの総合交通体系というのは、いわば高度経済成長政策の中で位置づけられてつくられたものでございます。それから低成長時代に転換をするわけでございますので、それだけにまたいろいろな制約があるわけであります。この中間報告におきましては、四つの制約の問題が取り上げられております。エネルギー、労働力、環境、空間、この四つの制約というものが今後の総合交通体系をつくる上において非常に大きな条件になる、いわばこういうことの中間報告でございますから、結論めいたことは余り出ておりませんけれども、それに基づいてこれからいろいろ御質問申し上げたいと思うのです。  まず最初に、やはり基本的になるのはエネルギーの問題でございます。昨日、総合エネルギー対策閣僚会議ですか、これが行われて、増田資源エネルギー長官からエネルギー供給に関する報告があったそうでございます。それをざっと読み上げてみますと、「一九七三−八五年の共産圏を除く自由世界のエネルギー需給見通しを明らかにした。」とあります。「この期間中の自由世界のエネルギー需要の伸びは年率四−五%程度の増加と七二年までの十年間の年率五・三%の伸びに比べ鈍化し、八五年に原子力エネルギーの比率を一四%まで高めれば供給力は確保できる」こういうような発表をされておるようでございます。また、わが国については「エネルギーの供給制約によって低成長を余儀なくされることはない」こういうふうに強調されたようでございます。  まずここで伺いたいのは、資源エネルギー庁においては、低成長というものの定義について、これはおおよその定義だと思うのでございますけれども、実質成長率三%ないし四%、こういうふうに低成長というものを定義づけて、それに基づいてのこういう発言のようでございます。長官とされては、この実質成長率三ないし四%というのはいわゆる低成長の定義として妥当である、そういうふうにお考えであるかどうか、まずその点から伺いたいと思います。
  112. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 低成長ということは私も余り言っておりませんが、要するに、これからの日本経済は静かで控え目な成長ということを考えなければいかぬだろう、こういうことを申しております。そこで、その成長の高さは一体どういうふうにするかと言いますと、三%だとか、四%だとか、五%だとか、そういうふうに単一の成長率ということを考えていくには、余りにも世界の環境というものは流動的である、かなり弾力的な成長率ということを考えなければならぬだろうな、こういうふうに考えておるのです。何%ないし何%ぐらい、そういう考え方を取り入れて、そのときどきに動く世界情勢に弾力的に対処する、そういう姿勢が必要じゃあるまいかというふうにいま私個人としては考えておりますが、三%というような低さのことはちょっと考えられないのじゃないか、そういうふうに思います。  いずれにいたしましても、これは経済審議会諮問をいたしまして、経済審議会で十分あらゆる角度からの御検討を願って、妥当な結論を得るというようにいたしたい、かように考えておりますので、いままだ成長の高さをどうすべきかということについては予断をしておらない、かように御理解いただきたい。
  113. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういたしますと、やはり経済成長率というものはエネルギーの確保に非常に大きく左右されることは、前回の石油ショックの例を見ても明らかなわけですから、この前、総合エネルギー対策閣僚会議で説明をされましたエネルギー供給についての見通し、これは閣議においてそんな程度であろうというように了承されたと解釈してよろしいでしょうか。
  114. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 昨日の閣僚会議で、通産省側から説明した資料、これは通産省見解であります。これを各閣僚は十分検討する、また問いただすべき点もある、こういうことになっております。そして最終的には、閣僚間において意見を交換いたしまして、そして経済成長率というか、それの前提となる一つの重要資料であるエネルギーの需給についての統一見解をまとめたい、かように考えております。
  115. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 さらに新聞報道によりますれば、十月をめどにして、長期的な総合エネルギー政策というものを確立するというような意味合いのことが発表されておるわけでございますが、この点についてはいかがでしょうか。
  116. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ことしじゅうの作業としますと、来年度の予算の編成があるのです。これを無性格なものとして編成するわけにはまいりません。そこで、予算編成のよって立つ基盤を考える、そういうことになりますが、経済全局の動きのとらえ方、その前提として、まずエネルギーは一体どうなんだろう、こういうことを考えなければならぬということになるのでありまして、とにかく十月というふうに月を指定するわけにはまいりませんけれども、予算編成に間に合うように、エネルギーの計画も重要な資料といたしまして、五十一年度並びにそれ以降の経済の展望をどういうふうに持つかということについての考え方を統一しておかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  117. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういたしますと、総合エネルギー政策を確立する上におきましては、エネルギーの消費各部門にわたっての検討がなされなければならぬと思うのですが、特に総合交通体系というのはエネルギーに非常に制約されるわけでありますので、むしろ総合エネルギー政策を確立する前に、総合交通体系というものはある程度めどがつかなければいかぬのではないかと私は思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  118. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 経済全体の基本計画、これがとにかく最終的にはでき上がらなければなりませんけれども、その前提として、エネルギーの需給あるいは総合交通体系、そういうものも決めておかなければならぬわけであります。しかし、こういう流動的な状態の中でありますので、ことしの秋までにがっちりしたものを決めるというわけにはあるいはまいらないかもしれません。あるいは概略案だとか、あるいは素案でありますとか、そういう形にならざるを得ないかとも思うのでありますが、いずれにしてもそれらの問題を十分に検討いたしまして、それをにらみながら経済の全体の基本計画も策定いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  119. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そうすると、時期的な問題を詰めるのは実際問題むずかしいと思いますが、しかし、五十年代の経済見通しというものをある程度立てなければならぬわけでございますので、そういうものに伴って、この総合交通体系というものも、少なくとも本年中にはめどをつける必要があるのではないか、こういうふうに思うわけです。  というのは、来年度になりますと、また国鉄の赤字問題が非常に大きな問題になると思います。それからまた、地方の過疎地帯におきます旅客の足の確保、料金の問題等、あるいはまた、新幹線と空港のジェット化の問題、そういういろいろな問題がふくそうしているわけでございますから、ある程度基礎をはっきりしないと、そういうものを整理していきませんと、ただ競争の原理だけでやっていったのでは、低成長時代の中で非常に効率が悪いのじゃないかということも出てくると思うのですが、そういった意味で、この総合交通体系というものを、少なくとも本年中ぐらいには粗筋を明らかにするというような方向にはいかぬでしょうか。
  120. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 大体さようにいたしたいと思います。御指摘のように、国鉄をどうするか、いま非常に困難な状態に立ち至っておる。この再建というようなことを考えましても、事はそう猶予することはできないのです。なるべく速やかに、今年中ということを目途といたしまして、せめて概略案なりとも策定して、予算の編成、国鉄の再建に臨まなければならぬ、そういうふうに考えております。
  121. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういたしますと、通産省の報告によりますれば、実質六%の成長は可能である、それだけのエネルギーが確保できるというふうに言っておるわけなんでございますけれども、しかし、大局観に立てば、資源は有限であるということは動かしがたいわけでございますので、この交通部門、運輸部門におきましても、各産業と同じように、省エネルギー型の交通体系にせざるを得ないのではないかという問題が一つあると思うのです。  それから、現在の交通問題をいろいろ考えてみますと、たとえば大都市を中心とした通勤地獄の解消、そういうような問題も手をつけていかなければならないというふうに考えますと、交通部門においては、いままでの総エネルギー量の中に占める比率というのは年々下がっておるから、そういう点も換算すれば、どうしても文化生活に付随的に起こってくる必要な交通量の確保ということになるから、交通部門においてはエネルギー量を十分確保しなければならぬというような議論もまた起きてくるのではないかと思うのでございますけれども、ここら辺の関連はいかがでしょう。
  122. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 御指摘のとおりだと思うのです。やはり総合交通体系ということを考える場合におきまして、省資源、省エネルギー、こういう立場は、これは非常に重要な要素になるのじゃないか、そういうふうに思います。そういうことばかりじゃございませんけれども、資源、エネルギーということは非常に大事な要素になる。いろいろの角度から総合的に検討いたしまして、経済の基本計画の検討と並行いたしまして、総合交通体系をどうするかということにも取り組んでみたい、かように考えております。
  123. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これはどうしても二面にわたって、省資源型と、それから現在の問題点を解決するためには積極的な方向というものがふくそうして出てくることはやむを得ないのでございますけれども、その省資源型の問題について、私もこの前、一遍長官にも申し上げたと思うのでございますけれども、かなり細かくチェックをしていかないと、この効果が上がってこないわけなんですね。  運輸省部門だけでも、私、この間、省資源政策をどう進めているかというのでチェックをしてみましたけれども、余り効果の上がるようなことはやっていない。ところが現実には、たとえば新潟−ハバロフスク間のジェット機がソ連との間に往復しておるわけですが、これなんか見ますと、一週間に一遍運航しているらしいですけれども、その飛行機に乗っているのは大体一回について六、七人、こういうような状況なんですね。外国協定との問題があるから、そう簡単に廃止できないにしても、そういった面はかなりチェックしながら、さらに話し合いによってもう少し便を減らすとかいうようなことは当然できるのじゃないか。  そういった意味で、省資源政策というものの実施についてどこかで明確にチェックをしないと、これはまあ細かく総合的にやる以外にないわけでありますから、効果が上がらぬのではないか、こう思っておるわけです。一体それじゃ省資源政策の実施についてどこで政府としてはチェックさせるつもりなのか。どういう機関でこれをチェックさせるつもりなのか、そこら辺はいかがでしょうか。
  124. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 交通問題になりますれば、これはどうしても運輸省にお願いをしなければならぬ、こういうふうに思います。運輸省は、資源担当官庁である通産省初め所管官庁とよく協議しながら検討をする、こういうことになろうかと思います。
  125. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 なるほどそういうことになるかもしれませんけれども、しかし現実はそういうような状況が平気で行われておるわけでございますから、やはりこれはエネルギー庁あたりが中心になってかなり細かいチェックをしていかないと効率は上がらぬのではないか、こういうふうに思うので、これは一応議論として申し上げておきます。  それから、次の問題でございますけれども、先ほど来申し上げましたように、三十年代から四十年代の交通体系というものは、高度経済成長を基本としてつくられたものであるということは論をまたないわけですが、同時に、五十年代の交通体系は低成長経済を基本とするということは、まずまず大筋においてはそういうことだと思うのですけれども、そういった意味で、先ほど申し上げた省資源問題の追求もありますし、それから輸送効率の問題も追求しなければなりません。それに伴って各交通機関別の調整もある程度行わなければこれは総合交通体系にならぬと思うのでございますけれども、いままではどちらかと言えば競争の原理が優先をしておりまして、この調整機能というものは余り発揮されていないように思うのですね。  自動車の問題を考えてみましても、あるいは私鉄を含めた鉄道という問題を考えてみましても、あるいは船舶も、あるいは航空機もそういうような状況になっておるのでございますけれども、そういった意味政策的な調整といいますか、そういうものが今後示される総合交通体系の中にかなり明確にあらわれてくる必要があるのではないか、こういうふうに思うのでございますけれども、いかがでしょうか。
  126. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 調整の手段を一体どうするか、こういうことになりますると、これは私は料金体系というものが非常に重要である、こういうふうに思うのです。料金を一体どういうふうに扱うか、そういうことが好ましき方向に誘導するという上に大きな影響があるだろうと思います。この料金というものをどうするかにつきましては非常に重点を置いて考えるべきときに来ておる、こういうふうに考えるわけであります。もとより料金ばかりの話じゃありませんが、料金を中心として、総合的にこれからの省資源型の交通体系をどうするかを広く検討しなければならぬだろう、かように考えます。
  127. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 運輸省来ていらっしゃいますか。——総合交通体系と非常に関連が出てくるのでございますけれども、東北新幹線がたとえば花巻、盛岡まで開通するとすれば、二時間ちょっとで行くと言われておりますね。ところが実際は、花巻の飛行場ではジェット化の方向を推進いたしておるというような状況でございます。新潟なんかはすでにジェット化されておりますけれども、これからジェット化をしようという空港と新幹線との問題、どういうような調整が進んでいるのか、あるいは全く調整する必要はないと考えておられるのか、そこら辺の状況について御説明をいただきたいと思います。
  128. 横田不二夫

    ○横田説明員 お答えいたします。  新幹線と航空機との関係でございますけれども、やはり輸送機関の特性というものを前提にして考えなければいけないと思います。飛行機の場合は、長距離を短時間で克服するという特性を持っているわけでございますが、ただし、点から点への輸送なんでございます。翻りまして新幹線の場合は、非常に鉄道として高速ではございますけれども、また長距離の運輸はいたしますけれども、しかしながらその間の途中の都市も拾っていくという線の輸送をしているわけでございます。そういう関係におきまして、必ずしも新幹線—があれば航空が要らないとか、あるいは航空があれば新幹線が要らない、こういうふうに簡単に割り切れないものであります。それぞれの特性が最大に発揮される限度においてその部分の長所を買って施設をしていく、かような考え方でやってまいるべきではないか、かように考えております。
  129. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 長官、いまお聞きになったように、それぞれの特性があるからそう簡単にはいかないのだというのですけれども、高速道路まで含めて考えてみますと、これは私たちは素人だからそういうふうな言い方をするのかもしれませんけれども、日本のいわゆる社会全体の経済効率ということから考えますと、そういった政策的なある程度の制約とか、何か方向が明示されてしかるべきじゃないか。非常にむだ金を投資しているといいますか、そういうことになりはせぬかというふうにわれわれは思うのでございますけれども、この点はいかがでしょうか。
  130. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 それはなかなかむずかしい問題だと思いますが、しかし一つの原則として、非常に長距離の交通は航空機がよりいいのだとか、あるいは線輸送というか、そういう面を、国土の平均的な開発というような角度で考えるには、一体どの程度の新幹線を要するとか、いま新幹線の計画もずっと広範なものが展開されておりますけれども、やはりこれも経済成長というものが静かな成長だ、こういうようなことになりまするから、これも一応考え直すというか、そういう必要もあるのではあるまいか、そういうふうに考えますが、そういう際には航空輸送との関係をどうするか、つまり点輸送力との関係を一体どうするか、そういうことも十分考えて対処しなければならぬだろう、こういうふうに考えます。
  131. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 なかなか答えにくい問題でございますから、それ以上は申し上げませんけれども、たとえば最近、国鉄におきましては、大幅な赤字のためにフレートライナー方式というものが行き詰まってきておるわけですね。これはトラックの輸送、船舶の輸送に比較していろいろな面でかなわない点があるからそうなるのだと思うのですけれども、そうしますと、それが非常に大きな国鉄全体の赤字部門にもなっておりますし、やはりそういった意味では、ある程度計画的な調整というものが必要になってくるのではないかというふうに思います。  次の問題に移りたいと思いますが、財源問題でございますけれども、総合交通体系というものは、社会、文化の全体的な発展というもの、あるいは国民の全般的な要求というものを見通しながら策定をしていかなきゃならないわけでございますけれども、その財源をどこに求めるかというのは、今後の新規開発のための財源をどういうふうに求めていくかというのが非常に問題だと思うのです。国土開発という意味からいけば、これはいわゆる政策的な投資という点に重点が置かれるべきだと思いますね。そういうような開発政策上の負担というものと、それから政府が国鉄運賃等のときによく言われる受益者負担の問題ですね、サービスを受けるわけだから受益者が当然その負担をすべきではないか、こういうような二つ議論があるわけですね。  ところが、その関係というものは、これもなかなかむずかしくて、その関係がどういうふうにあるべきかという議論は余りなされていないように思うのですね。そのときの経済情勢、景気の動向あるいは長期経済政策、そういうものに関連をしてくるわけでございますが、どうも二、三年ごとの財政の運用なんかを見ておりますと、きわめてこの点が不明確で場当たり的に行われているような気がするわけです。  私にして言わしめれば、たとえば長距離旅客輸送の中心である新幹線の問題にしても、これは多分に社会開発的な、国土開発的な意味があるわけですね。というのは、新全総の中におきましても、新幹線については七千キロというようなことが明確にうたわれておったわけでございますから、そういうふうになりますれば、そういった新幹線の新設等はもう少しそこら辺が明確な財政上の措置がなされてもいいのじゃないかというような気がいたします。  それからもう一つは、鉄道の地方新線の建設あるいは延長等におきましても、これは基本的に国鉄の経営上から見ると黒字になるような可能性は全くないというふうに考えますれば、これもまたやはり国土開発的な意味合いがあるわけでございますから、こういう問題を受益者負担との関連性においてどう考えるべきかということについて、長官の御意見はいかがでしょうか。
  132. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 交通料金につきましては、国鉄に限らず受益者負担主義を基本とするという考え方は、私は妥当だと思うのです。しかし、そればかりでやっていけない場合がある。たとえば受益者負担といっても、これは国鉄としては料金の引き上げをしなければならぬ、これが国鉄当局の考えるようにそう順調に取り運ばないというケースもあるわけでありますから。しかし、基本といたしましては受益者負担原則、それに対しまして、いろんな事情からどうしても受益者負担主義だけでは解決されないという特殊なケースもあるだろうと思います。そういう際におきましては、そのときどきの事情に応じまして妥当な国家的な援助を与えるということもまた考えられる、こういうふうに思うのです。これはひとり国鉄ばかりじゃない、あるいは地下鉄につきましても、その他の交通部門におきましても、みんな同じような事情があろう、こういうふうに思います。
  133. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 国鉄の赤字問題について政府がどういうような考え方に立っておられるかということが、私、一つは問題だと思うのですが、確かに物価との関連がありますから、料金を大幅に上げることはできない。したがって、受益者負担というのが原則であるけれども、どうもそれを完全に施行することはできないというような状況ですね。  これは国鉄側から提起をされている問題でございますけれども、いわゆる鉄道というのは、いわば鉄道を施設する通路費といいますか、そういうものを全額負担しておる。それに比べて道路は七割、あるいは空港は五割、海運は三割しかその基本的施設にかかわる負担をしていないというような問題が前に提起されたことがあるわけですが、そういう問題等をもう少し整理して、鉄道そのものも、そういう通路を確保する、交通空間を確保するための基本的な施設については、現状からかんがみて何%かはいわゆる政府投資で確保していくのだというような考え方は全くありませんか。
  134. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 基本的な考え方としては、利用者負担主義、これを中心とする、そして、それで救い切れないという問題がありました場合におきましては、その事情事情に応じまして、ケース・バイ・ケース、国家が適切な助成をするということもあり得る、こういうふうに考えます。基本原則である受益者負担、それに穴をあけるという考え方は、これはとるべからざるものである、こういうふうに考えております。
  135. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 くどいようでございますけれども、いわゆる道路をつくるというのは、多分に各地方におきましては社会開発的な性格を持っているわけですね。それについては政府は積極的に応援をしておる、こういうことだと思うのです。しかしながら、私たちが利用者の立場から考えてみると、そういう面、特に道路なんかは、自動車産業の発展にいままで大きく貢献をしてきたわけです。そういったところだけどんどん収益を上げて、鉄道なんかはやはり施設投資が政府によって余り行われておりませんから、その分は全部受益者の方に負担が重くのしかかってくるということを考えますと、どうしてもそこら辺の社会開発的なあるいは開発政策上の負担というものと、受益者負担との、何らかの定義づけといいますか、そこら辺の関係性を明確にする必要があるのじゃないかなと私どもは思うのでございますけれども、そこら辺のところ、もう少しいかがでしょうか。
  136. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 基本的な考え方として、国鉄の新幹線なりあるいは地方路線、これは地方開発、地域開発に関係するのだから、道路同様な考え方をもって国が何がしかを担当すべしという考え方でございますが、これはなかなかむずかしいことだと私は思うのです。理論的に考えましても、一部地域の開発の負担を一般国民の負担においてしよう、こういうことになる。そういう理論は理論といたしまして、さてそれじゃ国がそういう負担に任ずるとした場合の財源を現実の問題として一体どうするか、こういうこれからの財政の展望として非常にむずかしい問題にも当面するわけです。  ですから、基本的な考え方として、地域開発投資、これを国、つまり一般国民が負担すべしという考え方、これに穴をあけるというか、それに非常に基本的な例外を設けるという考え方は、これは私はなかなかそう踏ん切りはできません。けれども、その国鉄なりあるいは他の企業体でいろいろな事情からどうも運行ができない、社会、公益、公共のための任務を尽くし得ない、こういうような事情がある、国家がこれに助成をしなければならぬ、そういうケースも出てくるだろうと思うのです。ですから、基本原則は基本原則といたしまして、そのときどきのケース、ケースに応じての助成、こういうことはあってしかるべきものである、こういう見解でございます。
  137. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、それに関連をいたしますのですけれども、輸送機関に対する国民的な要求を満足させるためには、いままで日本の交通政策というのは、基本的に交通機関相互の競争という形で成長してきたと思うのですね。今後もそういう形で成長をしていくべきだとお考えになっていらっしゃるのか。  これにはいろいろな議論があると思います。要するに、いままでどおり競争原理を中心にしてさらに発展をさせていくのだという考え方、あるいは環境問題が起こってきているから、どうしてもそういった意味で負担政策を導入すべきであるという考え方ですね、騒音料の問題を後で問題にしますけれども、その騒音料の問題というふうに、ある程度利用者に負担をさせる、そういう考え方、それからまた、そういった市場の力のみに依存をするのではなくして、国が積極的に政策介入を行うべきだ、こういう時代になってきたから、国が積極的に政策介入を行うべきだというような考え方もあるわけです。  これについて具体的な例を挙げますれば、過疎地帯のバス料金の問題、これはどこのバス会社も大幅な赤字を抱えておる。いま運輸省の政策で言いますと、会社全体が赤字にならなければ助成をしないということになっています。これは海運もそうでありますし、あるいは航空もそうですね。そうしますと、会社はほかの地域でもうかっておればいいですけれども、地方のそういうようなバス路線なんかは、あるいは航空機なんかは、赤字をどんどん増大させておって、その会社が赤字にならなければ財政的な援助を得られないわけですから、現実は、いわば生かさず殺さずというような形になっているわけです。こういう問題もやはり総合交通体系の中ではある程度方向性を出さなければいかぬのじゃないか。  それから、国が積極的に政策介入を行うべきだという議論の背景には、私はこの間の四月、五月の連休問題があると思うわけですね。これは大変なことでした。私たちも地方におる議員でございますので、五月の六日に国会があるというので五日に上京してきたわけですけれども、それは死にもの狂いですね。来年もそういうことが行われると思います。この問も経企庁でそういう問題についての何か見解を発表しておられたようでございますけれども、そういうことを考えてみますと、この間のああいう混雑ぶりを見ますと、ちょっとした事故でも起こったら大変な混乱になりますね。そういう状況を見ますと、やはり積極的な政策介入を行うべきだという議論も私は是認できるわけですね。  そこら辺の三つの議論を踏まえて、一体どういう方向でやっていくのか。基本ベースは競争原理なのか、あるいは政策介入をするようなそういう社会情勢の中に突入したのかどうか、ここら辺の御見解についてはいかがでしょうか。
  138. 小島英敏

    ○小島政府委員 一般の商品に比べますと、交通関係におきましては完全な自由競争原理でございませんで、御存じのように、交通産業というものは非常に膨大な設備投資を行っておるわけでございますから、完全にフリーにいたしますと、一朝企業が成り立たなくなったときに非常に大きな国民経済的なロスが生ずるということもございまして、国鉄は当然でございますけれども、私鉄につきましても路線の認可等において、あるいはタクシーその他の面においても、運輸省当局における認可、許可の部面がかなり多いわけでございます。そういうベースは、一種の管理された完全なフリーでございませんマーケットでございますけれども、反面、最近のように自動車がどんどんフリーの形で、自家用車にしろ自家用トラックにしろ出てまいるということになれば、これは鉄道と自動車の競争になり、あるいは航空と鉄道の競争になるという面では、やはり冷厳な市場原理というものが働いている。しかし、その面でも、料金についてやはり完全にフリーではございませんで、運輸省当局における認可が行われるという形で、間接的なチェックが行われているというふうに考えております。したがいまして、今後の方向につきましても、大きなあり方というものはやはりそういうことだと思います。  ただ、前に物価安定政策会議の御提言もございましたが、たとえばタクシーなんかについてはもっとフリーにしてもいいのじゃないかというような議論もあったことがございます。その辺は今後の長期的な課題だと思いますけれども、そういう中で、できるだけ競争のメリットを交通産業の中に導入していくということは、効率化を図る上にも必要でございます。ですから、ベース的には、ある一種の認可行政、その上における自由競争原理の導入ということであろうかと思います。  いまおっしゃいますように、過疎バスの問題、あるいは都市における地下鉄の問題というところは、これはおっしゃるように、フリーにしておいてはとても企業が成り立たない。建設費もたくさんかかる、あるいはお客さんが少なくて経常費が賄えないということでございますから、こういうところは現在でも役所による一種の援助が行われているということでございまして、今後、フリーに任しておける部分と、役所の援助がさらにどういうところで必要かということは、企画庁なり関係当局において十分検討していかなければいけない部面だろうと思います。  連休の問題あたりは実は非常に頭の痛い問題で、今後、労働時間が少なくなって余暇時間がふえてまいるということになりますと、一層おっしゃるような問題が深刻化するおそれがございます。ですから、そういうときに、量、需要の方をいかに調整するかということは、確かに今後の検討課題であろうかと思います。連休に限らず、マイカーの大都市における流入規制も、当然今後の検討課題に入っている大きな問題でもございますし、ある意味では、そういう意味の需要の調整というものは、これはだんだんに強くせざるを得ないのじゃないかということがあるかと思います。  それと同時に、騒音にしろ、その他の環境につきましては、おっしゃるようにだんだんこれから規制が強くなって、そういう大枠は政府が決めていくということは、やはりだんだんに強化されていくということじゃないかと思います。
  139. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 余暇問題につきましては、調整をしていかないとえらいことになると思いますので、長官にもひとつぜひ御検討をいただきたいと思います。  それから、いまちょっと話が出ましたが、環境問題についてもぜひ御検討願いたいと思うのです。環境問題といえば、いわば大気汚染の問題、騒音、振動、こういう問題がいまクローズアップされておるわけであります。大気汚染についていえば、自動車、航空機。あるいは騒音についていえば、これも自動車、航空機あるいは新幹線。振動もそれぞれがいろいろ被害を出しているわけでございますけれども、これに対してどう対処していくのか、環境をどう整備していくのか。特に・これも財源問題になるわけでございますけれども、原因者負担か利用者負担かという指摘が前々から行われておるわけでありますが、これが現実の問題としていろいろクローズアップされてきているわけです。  その一例がいわゆるジェット機の騒音料の問題だと思うのですけれども、いま騒音料は、いわゆる航空会社からは特別着陸料という形で一機について幾らというような取り方をする、一般からはジェット使用料というふうに分けて取るということがいま試案として出されておるわけでございますけれども、こういうやり方は新幹線にも、あるいはまた自動車騒音にも将来当てはまるべき問題でございますから、この問題を一体どう考えていくのか、財源問題をどう考えていくのかということが、基本的にこれからの大きな問題になると思いますので、考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  140. 小島英敏

    ○小島政府委員 騒音につきまして一番最初に問題が顕在化いたしましたのは、おっしゃるようにジェット機の問題でございまして、これは国際的になかなかまだ納得が得られないということでもめておるようでございますけれども、日本の場合、非常に過密国家で、過密地帯の中に飛行場があり、なかなかその点では国際的に見ても一つの弱い点でございますから、やはり何とかある程度の了解が得られるように今後期待せざるを得ないと思うわけでございます。  同じような問題は、今後、新幹線にしろ自動車にしろ出てくる問題でございまして、新幹線につきましても、いま環境庁を中心に、政府の中でも非常にいろいろな意見もあります。  一つには、やはり非常に大きなお金がかかるということがございまして、経済企画庁としても、この問、環境庁の方から意見を求められたわけでございますけれども、いま、先生も御存じのように、ことしじゅうかかって一つ長期計画をつくるということで、いろいろ作業をしておりますけれども、よく言われておりますように、非常に大幅に経済成長率減速いたすということで考えてまいりますと、やはり財源の問題というものが非常にシビアでございまして、交通関係等につきましても、従来考えていたものよりもやはり相当しぼった形でしか配分ができないのじゃないかという危惧がございます。  その中に、全然いままで出てこなかった騒音対策費というものが非常に大きな金額で必要ということになりますと、これまたなかなか重大問題で、果たしてこれがどの程度お客さんの負担に——たとえば騒音負担の形で料金に上乗せすることがどの程度可能なのかというようなことが、やはり今後非常に大きな問題でございますと同時に、規制の水準自身をいまの段階でどの辺に決めるべきかということは、どうも私どもとしても軽々に結論が出せずに弱っている段階でございます。しかし、今後非常に大きな問題であることは言うまでもないわけでございます。  自動車になりますと、これは一層対象が非常に多くなりますものですから、自動車騒音の問題というものは、基準はあっても実行をさせることが非常にむずかしいというまた別個のむずかしさもございます。  大気汚染あるいは水等につきましては、だんだんに対策が進みっつございますけれども、これからやはり騒音、振動というような新しい公害因子の対策が重大になっていくわけでございますけれども、現在の段階で、こういうことでいきたいというはっきりした線を申せない点は、どうも大変遺憾でございますが、非常に頭を痛めているという状況でございます。
  141. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 長官、くどいようでございますけれども、いままでは、経済発展の大きな率があった時代におきましては、交通網を整備しなければならぬというので道路をどんどんつくった。そのためには従量税なんというような方向が出てきたわけでございますけれども、国鉄自体にいたしましても、あの騒音問題を片づけるためには、一説によれば、三兆五千億からの金がかかる、こう言われておるわけですね。航空機の問題にいたしましても、大阪空港周辺整備というので第三セクターをつくって、これは大変なお金がかかるわけです。  そうしてみると、現在の国家財政の規模からいきまして、国の負担だけではいかぬということは、これはだれしもが理解しておるのではないかと私は思うのですね。そうしますと、やはりそういった特別税の設定というような形になってくるのではないかというような感じがするのですけれども、いま小島局長の御答弁がございましたが、そういう可能性があるのかどうか、この点についての御意見を伺うわけにいかぬでしょうか。
  142. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 交通料金は、とにかく公害とかそういう負担も含めまして利用者負担でやる、その原則が私はいいと思うのです。  ただ、その原則だけでやり切れない場合がある。これはとにかく交通というものは公共事業でありますから、この公共企業体としての責任が果たせない、こういうケースもあり得ると思うのですが、そういう事情がどういうふうな事情で出てきたかとか、あるいは仮に料金にそれを依存するという場合に、その負担が一体国民の生活状態からどういうふうになるとか、そういう面で異常なことでも出てくるという際には、国家が財政上政策的に介入する、こういうことが考えられると思います。  しかし、公害なんかの場合においては、まずとにかく企業者が第一線に立つ、企業者負担というもので考えて、それでやり切れないという場合に一体どうするか、こういう問題だろう、こういうふうに思います。そういうことにつきましてこれからいろいろ検討しなければならぬだろう、さように考えております。
  143. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 運輸省に伺いますが、このジェット特別料金が「迷惑料の徴収きまる」なんという形で新聞に報道されておるわけです。これは、やはり騒音対策財源確保のためにこのジェットの特別料金を徴収する、こういうことだと思うのですが、簡潔に言ってくれませんか。
  144. 山元伊佐久

    ○山元説明員 お答えいたします。  先生御承知のとおり、一昨年の十二月に空港に関する環境基準が環境庁から示されたわけでございます。これによりまして五年ないし十年のうちに整備しなくちゃいかぬわけでございますが、当面五十年度の予算におきまして、環境対策費といたしまして二百三十五億が計上されたわけでございますが、そのうち六十五億につきまして財源が不足いたしますので、空港設置者が航空会社から特別着陸料という形で徴収することになったものでございます。したがいまして、航空会社は運航コストが増加いたしますので、それの相当額を航空会社から旅客に対しましてジェット料金として徴収するということになったものでございます。
  145. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこがきわめておかしいのですね。いわゆる航空会社から特別着陸料として取るわけでしょう。その航空会社が負担をした特別着陸料というのは、これは形式的には運輸省を通して大蔵省の方へ納入されるわけでしょう。ところが、運輸省の財源確保されたそのお金については、特別空港に厚く行われるような計画になっておりますね。たとえば五十年度の空港の騒音対策費にいたしましても、七七%が大阪でしょう。  そうすると、一般の人はジェット使用料という形で、たとえば名古屋なり福岡なり、そういうところから乗った人もジェット使用料というのを取られるわけです。いわばこれは騒音料ですよ。そうすると、自分が利用した空港周辺には自分の支払った騒音料というものは全然還元されない。あるいは極端に少ない金額しか行かない。その大半は大阪空港整備のために使われるということでは、乗ったお客は地元に対する還元が全然ないのというような、きわめて論理的に矛盾した形でジェット使用料というものが取られることになると思うのですけれども、これはおかしくないですか、いかがですか。
  146. 山元伊佐久

    ○山元説明員 ただいま先生の御指摘になりました点につきまして、航空審議会の財政小委員会で、各先生方の問で議論が行われたわけでございます。で、大方の御意見といたしまして、各空港はネットワークを形成して相互に機能を果たしているという見地から、空港ごとに料金差を設けないで均一の料金を適用することが適当である、こういう御意見が報告になっているわけでございます。
  147. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それはお答えにならぬと思うのですね。それはいろいろの問題があることはわかっていますよ。たとえば距離によって、一律料金六百円というのは、いわば短距離は航空運賃が実質的に高くなる、いわゆる長距離に比較して実質的に運賃の比率が非常に高くなるという問題もあるでしょう。あるいは大型ジェットに乗った場合と、あるいは中型ジェットに乗った場合とでは、大型ジェットに乗った方がいわば割り高になる。そういうような問題もいろいろあることはわかっていますけれども、たとえば私が名古屋で乗ったとします。ところが、この騒音対策費というのは、大阪の方に大体もう年度の予算の七七%ぐらいは毎年使われているわけでしょう。いわば六百円の中で四百五十円ぐらいは大阪の方へ行っておるわけですよ。六百円の騒音料を払って、四百五十円は大阪の方に使われている。私は名古屋で乗ったのだから、名古屋の方へそういうような利用者の騒音負担費といいますか、そういうものが落ちなきゃおかしいじゃないですか。そう思いませんか。それは込みでやるという手もあるけれども、それならばやはり税の体系で取るべきじゃないですか。
  148. 山元伊佐久

    ○山元説明員 ただいま先生御指摘の点でございますが、御承知のとおり、現在の空港のそれぞれの整備につきましては、ガソリン税にいたしましても、着陸料にいたしましても、いろいろ財源がございますが、これらは空港特別会計にプールされまして、それぞれの必要に応じて各空港の整備に充てられているわけでございます。その場合に、それぞれの財源の徴収につきましてはすべて均一的な取り扱いをしているというのが従来の例でございます。本件につきましても、先ほど申し上げましたように、航空審議会の財政小委員会におきまして、空港ネットワークという観点から均一に取るのが適当だ、こういう報告が出ているところでございます。
  149. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それはまた大臣がいる席でやりますが、そういう議論もあるかもしれませんけれども、これは明らかにジェット使用料ですから、騒音料であることは間違いないのですよ。騒音料という形、そういう名称が出るか出ないかは別に、しまして、一般的な受け取り方は騒音料でしょう。そうしましたら、その周辺の迷惑のかかっている人たちは、当然おれたちのところに騒音料というのは落ちてしかるべきじゃないかという議論が出てくるのは、これは明確な事実ですよ。それは全国プールしてガソリン税のようにやるんだと言いますけれども、そこが、だから問題なんですね。長官、これは問題なんですよ。  だから、将来、たとえば新幹線にも騒音料、振動料というものが適用されると仮定すれば、いまみたいなやり方ではこれは納得いかぬと思うのですよ。まあ順次片づけていくという意味もあるかもしれませんけれども、しかし、そうなりますと、大阪空港整備という問題にしても、あるいは新幹線の騒音地帯にいたしましても、重点的にやられたのでは、それよりもより被害の軽いところというのは、これでは十年先、二十年先ということになりかねません。その間ずっと騒音料は払いっ放し、利用されている空港周辺はちっともそれによっての恩典にはあずからぬという形では、これは私はまずいと思うのですね。これは私の意見として申し上げておきます。この点も運輸省においても——これはまだ最終結論じゃないでしょう。「徴収きまる」とあるけれども、大体そういう方向で運輸省は検討しているということで、これから航空審議会なんかにかかるのでしょう。その点も十分加味して御検討を願いたいと思うのです。  それから、最後になりますが、これは計画局長にお伺いいたしますが、財政的な問題、あるいは環境的な問題、あるいは実質的に国土利用という問題から考えまして、交通空間というものは非常に大きくいま制約されておるわけでございます。ところが、実際、自動車の例をとりますと、各企業の自由競争によってどんどん生産高を決めて、それで販売をいたしておるわけでございますけれども、日本の国土全体からいきまして、自動車のいわゆる許容量、総量といいますか、そういうものはある程度推定する必要があるのではないか。こういうことを考えませんと、環境問題も片づかないし、いわゆる交通渋滞という問題もこれ以上にただひどくなるだけであって、それを財政的に手当てする方法はないと言って過言じゃありません。そういった意味におきまして、自動車の総量を、どの程度日本の国土としては許容量なのかということを、日本全体的にも、あるいはブロック別ぐらいにでもこれはつくってみる必要があるのではないか、こんなふうに思うのですけれども、計画局長いかがでしょう。
  150. 小島英敏

    ○小島政府委員 おっしゃるように交通空間の制約というものが非常に大きな問題になってまいりまして、端的にはやはり自動車の相対的なシェアをだんだんに減らしていかなければならないということであろうと思います。この間の中間報告でも、旅客輸送につきましては、鉄道、地下鉄、モノレール、バス等、大量輸送機関に需要を誘導するということ、それから貨物輸送につきましては、輸送方式を合理化するとともに、長距離輸送は海運の活用を図るというようなことを言っておるわけでございまして、大筋はそういうことだと思います。  ただ、現実に自動車の利便性というものは消費者及び業者の間に非常に浸透していて、ドア・ツー・ドアというメリットもございますし、依然として非常に大きな交通容量になっているわけでございます。  全国的に、自動車の容量を限度を設けるということが一応考えられますけれども、現実問題としては、やはり交通容量の問題というのはすぐれて地域的な問題だと思うわけでございます。都市がやはり当面の問題でございますし、都市につきましても道路との関係もあり、道路容量がふえれば・容量がふえるということもございますから、なかなか一義的にここは何台というようなことを決めることもむずかしい。  やはり一般的に、これは空間だけの問題じゃなくて、先ほど来議論が出ておりますエネルギーの問題、それから労働力の問題及び環境の問題、どれをとってみましても、自動車のシェアというものをだんだんに減らしていくということが大きな方向でございますので、これは価格メカニズムと申しますか、いろいろな形で負担をふやしていくことによって需要を相対的に減らすということが、大きな筋ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  151. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 終わります。
  152. 横山利秋

    横山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時五十九分休憩      ————◇—————     午後三時三十四分開議
  153. 横山利秋

    横山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、特殊販売の適正化等に関する問題について、私から総括的に政府に申し上げます。  本委員会は、去る十三日、参考人五名を招致し、それぞれの立場からの意見を聴取し、また、関係政府当局にも質疑を行い、問題の究明とこれが対策等について調査を進めてまいったのであります。  マルチ商法等のように急速に拡大した組織は、通常の店頭販売と比較して、無店舗、ネズミ講的な形態であり、その上、勧誘方法が欺瞞的、催眠的等特異な手法を用いるため、消費者または販売組織の加入者との間に種々トラブルを起こし、社会的、経済的はもとより、人間関係をも損なうような深刻な問題となっております。一方、販売商品の欠陥も多く見られ、行政当局の取り締まりを逃れて、消費者に多大の被害を与えている傾向が顕著であります。  マルチ商法等の特殊販売は、商品の取引行為に伴って過大の会員獲得料と、それに伴う組織の拡大を主眼としているので、いわゆるヘッドハンティングなど種々の弊害を誘発し、正常な商慣行を害するものであります。  これらの適正化対策として、リクルートの有限性の問題、勧誘方法、出資金(加入料、保証金等)に関する契約及び解約問題等を解明し、これらの規制を強化することが必要であります。  公正取引委員会は、すでにホリディマジック社に対して立入調査を行い、近くその結論を発表する段階にありますが、マルチ商法等の特殊販売について、独占禁止法の運用を機動的に行い、積極的に弊害を除去し、その適正化に努めることが望まれます。  最近、未成年者、学生等を対象にして勧誘を進め、広範囲にわたって深刻な問題を惹起し、国民的関心の特に深いこの種の特殊販売について、政府は規制強化の方向で鋭意立法作業を進めていることでもあり、一方、諸外国におけるこの種の商法に対する厳しい禁止、規制等の実情に照らし、政府は、その規制の実効性を確保するためには、総合的な観点から早急に立法措置を講ずる必要があります。  また、消費者に対し、マルチ商法等特殊販売の不合理性、販売システム自体の欠陥性を十分に周知させ、投機的色彩の強い商法に対する理解と自覚を促し、消費者の保護のため、この種の被害を最小限度にとどめるための強力な啓蒙活動を積極的に行うことが必要でありますから、私から政府に次のように要望いたしたいと思います。  一、公正取引委員会は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等を機動的に運用し、特殊販売の弊害の除去に努めること。  一、マルチ商法等については、諸外国においても厳しい規制が行われている実情にかんがみ、総合的な検討を加え、速やかに規制措置を講ずること。  一、マルチ商法等の実態について、消費者の理解を深め、被害の防止を図る等積極的に啓蒙活動を行うとともに、被害者の救済についても特段の措置を講ずること。  以上でありますが、本問題について政府の所見を求めます。福田経済企画庁長官。
  154. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 本委員会でマルチ商法につきまして熱心な御審議をいただき、また、政府に対しましていろいろな御所見、御注意なぞを賜りまして、大変ありがとうございます。  このマルチ商法と称されるものは、国民消費者に与える影響、これは非常に憂慮せらるべきものがある、かように考える次第でございます。これをこのまま放置することは許されないと考えます。  ただいま委員長から委員会を代表して御所見が述べられ、特にその中で三点についての御指摘がありましたが、一々私はごもっともだと思います。この委員長の御指摘の線に沿いまして、政府におきましても鋭意検討を続け、一刻も早く結論を得たい、かように考えます。
  155. 横山利秋

    横山委員長 公取事務局長はお答えありますか。大臣のお言葉でよろしゅうございますか。  それでは、次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十九分散会