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津川委員 私もこの教科書の「下」を見ましたが、それには「工業都市」と書いてあって、汚染のことを書いてあります。だが、ここは農業、
水産業、林業と、いう形で一遍分離して、それを植えつけておいて、片一方は農業、漁業ではなくて別な面からのぞいている。したがって、漁業というものを真っ正面から顔と胸から見ないで斜めに後から見たかっこうで公害の問題を扱っているが、漁業をどうするかというと、いま水産庁が言ったように真っ向からこれに取り組まなければ教育の欠陥が出てくる。
それを指摘してみますと、漁業の中に魚を
日本国民は一番食べるということが書いてある。これは正しい。このことだけ言えば正しいが、
牛乳は発達した資本主義国では
日本の国民が一番飲まないなんて、こんなことは書いてない。そういう点で、農業として、漁業として、はっきりした位置づけがないで、まあ、私に言わすとこれはへ理屈。「下」の方はまたこの次に問題にしてみますが、そこのところは農業を育てることは一つも書いてないし、漁業を育てることも一つも書いていない。
いま
日本の農民にとって何が大事かというと、希望を持つことが大事なのです。この立場から言うと、グラビアの一ページに「近年、米の
生産が消費を上まわるようになり、このため国は、稲の作付面積をへらすことをすすめるようになりました。」と書いてあるけれども——稲のところではあります。グラビアの一ページでは、
生産を減らすことをすすめましたということを書いてあって、五十ページには「稲作の制限がおこなわれています。」五十二ページには「買い入れも制限するようになりました。」「稲の作付面積をへらすことを
農家にすすめています。」と書いてある。現実はどうかというと、青森県の黒石市は限度
数量五十年十六万六千百五十俵、限度
数量として政府がおろしている。農民の買い入れ申し込み十八万一千百四十八俵、余り米一万四千、この事実を皆さんが
生産調整することをすすめているというのです。これは上からのかなり強い強制なんです。こういう点の記述がかなり問題になるわけです。
もう一つ言うならば、百三十ページの真ん中に「おろし売り市場では、その日の早朝までに集まった品物を、「せり」にかけてねだんをきめ、小売り商人に売りさばきます。」とある。これも事実です。このとおりです。だが、文部省、一度
神田の市場や築地の市場に行って見てごらんなさい。競りにかける物より相対売り、随意契約で売られている物の方が多いのです。小売で競りにかけられている事実は間違いない。だが、これは実態をつかんでいない。
こういう点で一番恐ろしいのは百三十五ページから百三十六ページです。百三十五ページには、貿易の自由化で
日本の農産物がつぶれてもよろしいという意味にとれる記事がある。百三十六ページに「国土にあった
生産物を選び、質やねだんで
外国にまけないようにすること。」とあるが、これも正しいが、
外国に負ける物は輸入してもよろしいというのが前のページなんです。貿易の自由化に対して
食糧の自給率を高めていくという、いまの基本の国民的合意の問題がこの教科書の中に扱われていない。
今度は別なところで見ると、五年生の「下」の方になってくると貿易のことが少し書いてある。だが、
日本の農政にとっていま必要なことは自給率をふやして
日本の農産物を守るということです。この対策に一つも触れていない。
時間が来ましたのでこれで終わります。最後に
農林省と文部省に対する答弁を求めてきょうは指摘に終わりますが、このことで国会が終わったら私とゆっくりともに検討してみる気持ちはないか。
農林省自身が私と一緒にこういう点で教育の問題を検討してみる必要があると思うのです。内容についてはきょうは時間が来てしまったので終わりますが、この二つのことだけ答えてください。