○柴田(健)
委員 その点がわれわれと多く違うところなので、米の
価格、麦の
価格というように、
価格問題だけでこの日本の農業政策、食糧政策というものが済むとは私には思えない。これからは、国民にどうして合意を得るかということが農業
振興について一番大事な点だと思うのです。これはただに
生産者だけでなしに、
消費者全部をひっくるめて国民みんなの合意を得なければ日本の食糧政策は発展しないだろうし、解決しないだろうと私は思っているのですよ。そういう判断から申し上げると、
国会で、各階層の代表が各
地域から出てきているんだから、もっとオープンにもっと思い切った論戦をすべきだという気が私はするのですよ。
それから、国民の合意を得られないような農産物の
価格の決め方というものについては、日本の食糧問題を民族の
政治課題として本当に真剣に受けとめていないんじゃないかという気がする。ただ
農林省だけがラッパを吹いて、あとは一切協力しないということでは日本の農業は発展しないと私は思う。どうすれば合意を得られるかということが一番大事なんです。だから、国民の英知をどうすればもっと集約できるかということがこれからの日本の食糧問題を解決する手段の一番の
基本だと私は思う。
昭和九年に日本の人口が約五千五百万人余りで、今日一億一千万人でしょう。四十一年間で人口が五千五百万人ふえているのですよ。倍になっておる。あなたはまだ五十にならぬとして、四十五歳なら、これから四十年といったらあなたは八十五歳になるよ。
食糧庁長官、もう四十年で何ぼ人口がふえると思いますか。そういう人口増をどう踏まえておるのか。日本の領土が思い切って広がるという見通しはない。少ない領土で、いままでは国際分業論という言葉でいろいろだましてきたが、いまは安定的供給論という言葉に変えた。これもまたごまかしだ。海外依存度は
一つも減っちゃいないじゃないですか。安定的供給論と言葉は変わったけれ
ども、また、国内の
自給体制を確立して
自給率を高めますと言うけれ
ども、
自給率は
一つも上がっていない。海外依存度の方が伸びておる。こんなことでいいのか。だから、あなたたちの言うことは常に口だけだ。中身が全然ない。
それから、農産物の
価格の決め方についてももっと国民階層から
意見を求めるべきだ。そういう判断から言えば、
国会で思い切って論議させることが正しいと私は思うのですよ。そこの点があなたと私は
考え方が違う。たとえばさっきも言った時期の問題でもそうですよ。これから先の一カ年、十二カ月の
物価の伸び率を見込んで決めるのなら、なるべく収穫時期にやった方がよかろうということになるわけです。
生産費の問題についても前の一年の統計で出すのでしょう。農機具にしても、肥料にしても、いままでの
生産費調査でやるのでしょう。これから先じゃないのですよ。日本の税金でも、昨年の所得にことし税金をかけるのですから、税金とちょうど同じような
考え方になっておるのですよ。だから、それでは農民は困ると言っているのですよ。昨年のことを
基本にするのなら、早く決めようと思えば決められるわけです。何も五月の段階まで延ばさなくても、七月の段階まで延ばさなくても決まるはずですよ。そういうごまかしをあなたたちは常に言うてきておる。それは私はおかしいという気がするのですよ。
それから
労働賃金でも、レジャーの
関係、特にギャンブルを見てください。六十歳、七十歳のおじいさんやおばあさんでもいま一日七千円も八千円ももらっている。農民の
生産費調査で家族労働賃を見ても、一時間三百円前後で抑えるというのがおかしい。八時間で二千四百円でしょう。失対事業でも、生活保護の
基準でも、ことしこの失対事業費を二二・七%伸ばしているんですよ。生活保護費でも二三・五%伸ばしているんですよ。この
麦価にしても、
米価にしても、農民の
労働賃金を何ぼと見たか。その点はどうですか。