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1975-06-05 第75回国会 衆議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月五日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 澁谷 直藏君    理事 今井  勇君 理事 笠岡  喬君    理事 坂村 吉正君 理事 中川 一郎君    理事 藤本 孝雄君 理事 井上  泉君    理事 芳賀  貢君       片岡 清一君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    丹羽 兵助君       渡辺美智雄君    角谷堅次郎君       柴田 健治君    島田 琢郎君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       諫山  博君    中川利三郎君       山原健二郎君    瀬野栄次郎君  出席政府委員         厚生省環境衛生         局長      石丸 隆治君         農林政務次官  江藤 隆美君         農林大臣官房審         議官      今村 宣夫君         農林省農林経済         局長      岡安  誠君         水産庁次長事務         代理      兵藤 節郎君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局原子力開発         機関監理官   中戸 弘之君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 三浦 大助君         農林大臣官房審         議官      二瓶  博君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     山中 正美君         海上保安庁整備         救難部長    山本 了三君         日本専売公社生         産本部本部長 小松 伸雄君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 六月五日   辞任        補欠選任   中川利三郎君     山原健二郎君 同日   辞任        補欠選任   山原健二郎君     中川利三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 澁谷直藏

    澁谷委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、昭和五十年五月下旬から六月上旬にかけての降ひょう被害状況について、政府から説明を聴取いたします。今村審議官
  3. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 五月二十四日から六月三日にかけて、中国四国、関東、九州、近畿地方降ひょうによる農作物被害が発生しております。関係府県は十八府県に及んでおりまして、そのうち特に被害の著しかった地域は、鳥取県、岡山県、長野県、兵庫県、高知県等でございます。  また被害を受けました農作物は、ナシリンゴブドウ等中心とする果樹関係、それからスイカ、キュウリ、ナス等中心とする野菜関係、それからたばこ等となっておりまして、現在、県の報告によりますれば、被害総額が約九十八億五千万円ということに相なっております。  これに対しまして、農林省としましては、被害実態を正確に迅速に把握いたしますために、目下、地方農政局統計情報事務所、同出張所等の組織を挙げて被害実態調査中でございます。被害結果の判明被災後おおむね二十日ということになっておりますが、できるだけ早く私たちといたしましては被害実態を正確に把握をしたいと思って、鋭意努力をいたしておるところでございます。  なお、また、今回の果樹被害状況にかんがみまして、農業保険果樹共済担当者を来週早々に現地に派遣いたしまして災害状況調査し、所要対策を講じたいと考えておるところでございます。  また、果樹のうち特に被害の著しいナシにつきましては、来年の収獲にまで影響考えられますので、被災後直ちに中国四国農政局から果樹関係技術担当官現地に派遣して、所要技術指導を行っておるところでございます。     —————————————
  4. 澁谷直藏

    澁谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 委員長にお願いをしておきましたが、早く会議を進めるために被害の現物を政府に提出します。  いま、政府から、五月末から六月上旬にかけまして降ひょうのあった被害把握状況説明がされましたが、この説明の中で、統計情報部等が二十日以内にその状況集約して対策を実施したいという御報告でございました。私はいま御報告のありました中の被害県であります鳥取県の出身でありますが、鳥取県なり岡山県なり、あるいは滋賀県なり高知県なり、相当の県が被害を受けたわけでありますが、鳥取県の実情といたしましては、五月の三十一日の正午ごろから約三十分間と夜の八時過ぎから約二十分間降ひょうがございまして、大きさは十ミリないし三十ミリのひょうでありました。そういうひょうが降ってまいりまして、多いところでは大体二十センチ、少ないところで六センチ程度、積雪といいますか、ひょうが積もった。こういう状況の中で、六月の三日の十二時現在の集約によりますと五千百七十五町歩の被害面積がございまして、五十五億四千六百万円という金額被害実態であります。  そういう実態でありまして、私も二日の日に現地を歩いたのでありますが、降ひょうのあった地域ナシ等はほとんど全滅であります。スイカももちろん全滅であります。その他、たばこ白ネギあるいはタマネギも壊滅的な打撃を受けておりまして、農家皆さん茫然自失というのが今日の現況でありますから、その対策を早急に立てて農業に精を出してもらうという姿をとっていかなければ農民皆さん方は立ち上がる気力を失いつつあるというのが現況であります。  したがって、この対策として、二十日集約ということでありますが、きょう私がいま申し上げましたように、私が目で見てまいりました現況から言ってどのような対策があるか、審議官の方からまず御説明をいただきたい。
  6. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 私たちといたしましては、できる限り速やかに被害実態把握いたしまして、これに対する所要対策を鋭意進めてまいるつもりでありますが、まず、被害状況によりますが、被害状況把握した上で天災融資法発動につきまして検討をしてまいりたいと思っております。  なお、また、農業共済につきましては、被害状況に応じ、仮払い等措置検討いたしたいと思っております。  それから、また、農家がそれぞれ資金の借り受けを受けておるわけでございますから、そういう資金償還問題について検討をいたしてまいりたいと思っております。  なお、また、被害が非常に大きくて農家経済に著しい影響を及ぼしておる場合、その経営を維持するための自作農維持資金融通の問題につきましても検討をいたしてまいりたいと考えておるわけであります。  大体以上のような措置につきまして、被害状況を的確に把握次第、私たちとしては所要検討を取り進め、所要対策を講ずることといたしたいと思っております。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 天災については、天災融資法の中で特別被害農業者地域指定というのがございますね。いま私はわが県のことに限って見たものでありますから、あとのことにつきましてはまた同僚議員が御質問を申し上げますが、年収の五〇%以上の被害があった農家がわが県には相当あるという実情が、お調べをいただければ判明をすると思うのであります。しかも、県は、百戸と言わず、数百戸にわたって五〇%以上の被害農業者があるというふうに私は承知をしております。それに基づいて対処をしてもらうということになるわけでありますが、いま私が申し上げた鳥取県の実情からして、各県にまたがってそうでありますから、特別被害農業者地域という指定について、天災融資法は当然発動できるものと私は考えておりますが、そのように解釈をしてもよろしゅうございますか。
  8. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 先生御存じのとおり、天災融資法発動のベースは、統計事務所の取りまとめました被害に基づきまして対処をするという扱いに相なっておるわけでございますので、私たちとしては一日も早くその結果を正確に把握した上で天災融資法発動の問題について検討をいたしたいと考えておるわけでございます。  なお、また、天災融資法発動が決まりました場合に、特別被害地域及び特別被害農林漁業者選定につきましては、これは従来からもそれほど私たちとしてはぎくしゃくした取り扱いはいたしていないわけでございまして、天災融資法発動になりました場合には、実情に応じ適切なる被害農林漁業者選定及び被害農林漁業地域指定の問題を取り扱っていきたいというふうに考えております。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 天災融資法発動した場合は、同じ時期に特別地域指定もやっていただけますか。
  10. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 同時期に指定を行うような取り扱いを従来からもいたしております。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 そのほかに自作農維持資金融通法に基づく自作農維持資金制度がありますね。これについては二十年間で三年据え置き百万円というのがございますが、これと天災融資法と併用しない限りは農村の立ち上がりというものはとてもむずかしいというのがわれわれのところでは一般の声であります。たとえば天災融資法は四十万円、果樹の場合は百万円ということでありますから、合わせて二百万円程度でもとても間に合わない。いまも審議官からお話しがありましたように、ナシ等は、いまごらんいただいたと思いますが、袋を外しますと黒くなりまして全部取らなければなりませんが、これは来年の摘果のための花をつけておりますかち、これを取ることによってその花もまた飛んでしまいますから、後遺症を残しまして来年もだめになる。したがって、とても立ち上がりが困難である。こういう実情から、併用してその受給を受けるという方法はとり得ると考えておりますし、そのとおり進めていただけると思っておりますが、どうでしょうか。
  12. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 天災融資法発動がございました場合には自作農資金災害枠融通をいたすわけでありまして、そのような場合には両者を併用して適用することは可能でございます。
  13. 野坂浩賢

    野坂委員 それから、もう一つ報告の中で借り受けのことがございますね。いままで近代化資金とかあるいは農林漁業金融公庫等から借りております金を返済することが、この被害状況で非常にむずかしくなってきた。それを延期してもらうということを考えていかなければなりませんし、その延期の場合に利息等については十分配慮をいただかなければならぬというのが農民の声でありますし、特に、江藤政務次官は、攻めの農政というのは心がまえの問題であって、情けのある農政であるということを所信表明の演説の中で述べられておりますから、そういうことであろうと言って農家皆さんには理解を求めておりますが、そのように進めていただけると私は確信を持っておりますが、政務次官、どうですか。
  14. 江藤隆美

    江藤政府委員 ただいまの制度では、御存じのように、その償還延期期間の金利の免除という制度はとっておりません。しかしながら、いま審議官から御答弁がありましたように、天災融資法天災資金の貸し付け、あるいは併用、同時に償還期限延長、その他条件緩和等を含めてそれらの問題が十分にカバーできるように運用してまいりたい、と、このように考えております。
  15. 野坂浩賢

    野坂委員 償還期間延長ということは当然やるということでございますが、問題はその利子補給なんですね。要約して言いますと、農業信用基金協会というものがあって代位弁済等もやります。それはやりますけれども、そのままかぶってまいりますので、地方自治体町村等では、この利子補給をいま真剣に考えております。損失額があった場合に国が補助金を出すという三条一項の問題がありますから、このことを適用して、その点は地方自治体財政硬直化の事態もございますし、国が配慮をすべき事項であろうと思うのでありますが、現在の制度を十分活用して対処できるんではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  16. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 償還条件緩和等につきましては、従来からも、天災融資法発動を必要とするような災害につきましては、農林漁業金融公庫でありますとか、あるいは近代化資金につきましては関係金融機関等につきまして、融資条件緩和措置をとるように私たちとしてはいろいろ指導をしてまいっておるところであります。  したがいまして、たとえば農林漁業金融公庫につきましては、法令の範囲内での償還期限延長あるいは中間据え置きの設定、それから被害年度利息支払い繰り延べ等措置を講じておるわけでありますが、その間の利子について、たとえば県が免除をする場合における国がそれを援助をするというふうな特別な制度というものは現在ございません。したがいまして、私たちとしましては、そういう被害の態様あるいは被害程度に応じます金融機関の適切な繰り延べその他、場合によりましてはあるいはその間の利息の減免問題も金融機関との関係で起こるかもしれませんが、そういうふうなことで関係金融機関を適切に指導することによって対処をしてまいるということを考えておるわけでございます。
  17. 野坂浩賢

    野坂委員 二十日までに天災融資法に基づくそういう情報集約されて、閣議で決定をされて、それぞれに通知があり、手元に金が届くのはいつごろになりますか。     〔委員長退席今井委員長代理着席
  18. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 まあ、一日も早い方がいいわけでございますが、二十日ごろまでには被害を取りまとめまして、方針を定めて、それから閣議を経るわけでございます。二十日の閣議を経て以後、二十日以降若干所要日時を要します。それが決まりますれば融資を行っていいわけでございますが、融資手続その他についてまた若干の日時を要しますので、その間どの程度期間かということはちょっとはっきりとは申し上げられませんけれども、私たちとしましては、決まればそれに基づいてできるだけ速やかに処理をするという方針でございます。
  19. 野坂浩賢

    野坂委員 いまも御説明をしましたように、スイカがだめになりますと全部裸にしまして、もう一遍、新芽をとって旧盆過ぎに売りに出す。そのときは安くなっております。それで、肥料も出さなければなりませんし、あるいは桑等にしても、ナシ等にしても、いまが一番作業がかかって、消毒と施肥労働力ということで異常なほど金がかかってまいりますので、その間のつなぎ融資というものは政令発動されるとすぐに通達をしていただくということになると思いますが、そのような措置をしていただけますか。
  20. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 天災融資法発動等方針が決まりますならば、つなぎ融資等につきましての所要措置を講ずるよう関係金融機関に通達して指導をいたしたいというふうに思っております。
  21. 野坂浩賢

    野坂委員 あと皆さんに聞いていただきますが、江藤さんにお尋ねをしたいと思うのですが、江藤さんの姿勢なり考え方についてで結構でありますからお尋ねします。  天災融資法はたしか昭和三十年に議員立法によって制定をされたと私は理解をしておりますが、当時、天災融資法による資金というのは十万円だったと思いますけれども、その後、三十六年に二十万円に変わりまして、四十六年に芳賀さん等の出身であります北海道で異常な冷害が起きて、その冷害天災融資をあわせて金額改定が問題になり、一般には四十万円、そして北海道は七十万円ということになったように私は記憶をしております。  いま、大体五年を一つのめどに変えておりますけれども、この天災融資法で四十六年現在農家一戸当たり四十万円、北海道七十万円というのは、いまの物価状況経済環境から見てどうなんでしょうか。天災融資法というから相当なものだというふうに一般の国民は理解しておりますが、もらった金額といいますか、利子のついた金の借り様というのは四十万であります。これは高級官僚皆さんの一ヵ月の月給分相当すると言っても言い過ぎではないと思うのでありますが、これらについては、今度の天災融資法に絡ませるとまた時期がおくれる、もらうのがおくれるということにもなろうかと思うのでありますが、もう一遍見直して考えていかなければ、四十万円では天災融資という金が泣くんじゃないか、また、これでは立ち上がれるような状況にはならぬのではなかろうかとさえ、これを読みながら、災害地を歩きながら、皆さんの要望を聞きながら、しみじみと私は思ったものであります。  江藤政務次官はどのようにこの点についてはお考えでありましょうか。
  22. 江藤隆美

    江藤政府委員 ただいまの御質問でありますが、御存じのように、天災資金というのは農業経営資金融通するということが実はたてまえで、これは法律に基づいて決められておる制度でございます。したがって、農業生産に必要な現金経営費動向調査してこれを決めるということになっておりまして、農林統計情報部昭和四十八年度の農家経営調査によって、農業現金経営費営農形態別にそれぞれ実は調査して決めておるということでありまして、御存じのように、一般農家では一ヘクタールから二ヘクタールで、おっしゃるとおり四十万でありますが、ミカンを主体にしておる農家では、一ヘクタールから一・五ヘクタールで、これは御存じのように平均七十九万円、同じくリンゴではこれが一ヘクタールから一・五ヘクタールで百十万円、それから酪農においては五頭から九頭で百四十万円、実はこういうことになっておるわけであります。  したがって、これに対して天災資金で貸し付けられるものは、限度は、一般に都道府県では四十万円ということでありますけれども、果樹あるいは家畜等飼育者に対して貸し付けられるものは、政令で定めておりますから百万円まではいけるということになっておることも御案内のとおりです。しかしながら、いまの物価その他の状況において四十万あるいは百万というのが適当であるかどうかということについては、それはいろいろ議論のあるところだろうと思います。  また、天災でありますから風水害のようなこともございましょうし、あるいはまた今回のように突然ひょうが降ってくるというようなこともあって、災害形態あるいは置かれておる周囲の経済的な環境等いろいろと農業経営変化等もございますので、この制度実態を含めて今後の運用全体については私どもとしても十分検討してまいりたいと考えております。  したがいまして、あくまでその名のとおり天災融資の目的が果たせるように、よりよき制度の確立に向かって努力したい所存であります。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 検討してやるということだと思います。そして、経営動向なり現金経営状況ということから割り出してやったということだと思いますが、それは、四十六年のときの四十万円は妥当な金額であったかもしれません。お説のようなそういう理論の展開もございますが、ただ、あの四十六年度の二十万円が四十万円になったときは、冷害があったそのときに、この天災融資法を変えて絡ませて出したという実態は御案内のとおりであります。そういう状況を踏まえて、この五年間に経済はどのように変わったのか、農家経営動向というものはどのように変わったのかということを考えてみたならばたとえば特別被害農業者地域の問題にしても、年間収入の五〇%の損失額以上の方が適用されてこういう状況なんでありますから、そうすると、現金動向から考えてみて、常識的に言っても、いまの損失額のパーセントから割り出した数字から見ても、四十万円が適当な金額でないということは当然だと私は思います。それらについても十分に御検討をいただきたい。  これはいますぐには間に合わないと思いますが、すべて見直す時代に入ってまいったわけでありますし、天災という状況は決して小さな被害であるとは考えられない。これは今日の現況からもそう思いますし、また、天災と言えば相当被害があるものだというのが常識でありますが、それに見合っていない。見直すべき時代に入っておるから、いまのままに絡ませてくれとは言っておりませんが、近々に、最近のうちに御検討をいただくべきだと思いますが、そのお考えはどうかということが一つ。  もう一つ、いまもお話しがありましたように、面積ではなしに、これは一戸の被害者農家に対しての問題であります。だから、たとえば私たちのところには果樹園相当量ございますから、あるいはたばこ等相当量ありますから、それだけで生活をしておる農家全滅をしておる。何百万円、一千万円にも近いような金額、そして十ヘクタールにも及ぶような損害を受けている。農林省専業農家育成強化を、特に中核農家としての育成を言われておるわけでありますから、それが四十万円とか、果樹の場合は百万円とか、あるいは自作農維持資金を借りても二百万円とか、これだけでは現金経営動向から見てもやり得ないというのが現況でありまして、それ以上に借りていかなければ農業を営むことができないという現況にもありますが、これについてはどのように対処し、また、これ以上のものについてはどのような方策で臨まれるか。借り入れについてもまた、国が指導し、農家育成強化をするということに照らしての対策を樹立すべきだと思うのでありますが、この点はいかがですか。
  24. 江藤隆美

    江藤政府委員 四十万円限度の問題につきましては、御存じのように、四十八年の農家経営実態調査をもとにしておるわけでありまして、近く、今度は四十九年度の調査がまとまる予定であります。この六月に階層別には出てくるかと思いますが、農家経営実態等も出てまいります。なかんずく、四十九年度は世に言われる狂乱物価時代でありましたから、そのようなものが統計として十分反映されてくると思っております。したがいまして、それらの実態を踏まえて十分に検討してまいります。     〔今井委員長代理退席委員長着席〕  第二番目の御質問につきましては、限度以上のものについてはどうするかということでありますが、金融全体の問題でございますから、償還条件緩和あるいは償還延期、あるいはその他必要な資金等につきましては、それらは別途また指導もしてまいりたいと思っております。  ただ、最初に申し上げましたように、これは経営資金でございまして、経営資金融通するということでありますから、施設資金というものとはいささか事情が異なりまして、一般的に考えられるよりか若干この金額が低くなってくるという実態のあることも御了解をいただけるのではないかと思います。
  25. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が参りましたから後に譲りますが、おっしゃるように、私も経営資金であるということは十分承知をしております。施設資金ではないということを承知しております。だから、たとえばナシの場合に摘果をしなければならぬ、あるいはいま施肥をやらなければスイカ等は生きてこない、そのためには家内労働ではむずかしい、相当の人もお願いしなければならぬという意味で、現金的な経営ということを中心にあなたにお願いするといいますか、質疑をしておるわけでありますから、その点等十分配慮されまして、二百万円以上が今日経営としてはどうしても必要なんだという事情を十分御了察をいただきまして、その指導に万全の対策を立てていただきたいと思うのであります。  特に、専売公社の方もきょうはおいでになっておりますが、これを見てください。ひょうが降りますとこういう状況ですね。こんなふうにたばこの葉は完全に破れております。スイカ等は、いまもそっちへ回してありますが、こんなになっておるわけです。全部だめなんです。だから、専売公社も、いま今村さんなり江藤さんからお話しがあったようにこれらの対策集約されておられると思いますが、鳥取県におきましても被害は六億程度だったと思います。これははっきり言っておかぬと、また間違ったら困りますから言いますが、全体で五十五億でありますから、たばこだけではたしか六億程度だったと思いますが、そういう事情でありますので、これらの点についても十分把握して対処されておると思いますが、一応どのように対策を進められておるのか、どのような対処をしておるのか、お尋ねをしておきたい。
  26. 小松伸雄

    ○小松説明員 先生からお尋ねのように、鳥取県におきましては五月三十一日と六月一日にひょう害がございまして、たばこ被害におきましても、鳥取県における栽培面積千二百六十五ヘクタールのうち約六百五十ヘクタールが多かれ少なかれ災害を受けておるわけでございます。特に、その災害の大きい地域におきましては七割以上の損害、あるいは全損に近いというような災害もあるわけでございます。われわれといたしましては、それぞれの技術員を総動員いたしまして災害地調査いたすと同時に、その対策について万全を期しておるところでございます。  たばこに対するひょう害の対策といたしましては、激甚な場合には、これは幹を切り取りまして、新しいわき芽を出してその葉を収穫するという以外にございませんので、これから幹を切り取りまして、新しい芽を出して収穫ができるかどうかの判断がいまの時点でございますと非常に微妙でございます。この点につきましては特に注意をいたしまして、農家の方とよく協議いたしながら万全の対策を講じてまいりたい、と、かように考えております。
  27. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が来ましたので私はこれでやめますけれども、いまたばこお話しをいただきましたが、現地を見てまいりますと、土葉もだめですし、天葉もだめです。その間に葉がついておる十四枚もことごとくだめになって、これから新芽をとるということになりましても、収入が一〇〇%あるとすると大体三三%程度だというのが実情でありますから、これに対していまから想定し計算をする場合には、いや労働力もだめだ、いや乾燥もこれもとるというかっこうになると、五〇%あると言いながら実質は一〇%程度になってしまうという過去の例もございますので、その点十分に農家の立場に立ってお考えをいただきたいということを要望しておきます。  最後に、江藤政務次官なり今村審議官からいまいろいろとお話しをいただきましたが、しかし、今日ただでさえ農業経営は困難な事態にございますのが、この天災によって農家皆さんは異常なショックを受け、立ち上がる気力さえ失っておるというのが私どもの地方の現況でありますから、天災融資法を早急に発動され、特別被害農業者地域指定を簡潔に実施をされまして、そして自作農維持資金融通法等に基づく資金対策償還期間延長等をできるだけ早い機会にやりまして、農家皆さんに安心をしてもらうように万全の対策を立てていただきますことを強く要望して、私の質問を終わります。
  28. 澁谷直藏

    澁谷委員長 柴田健治君。
  29. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 いま野坂議員から質問がございましたが、重複を避けて、与えられた時間の範囲内で御質問申し上げたいと思います。  まず、今村審議官に聞きますが、ひょう害についての農林省考え方、つまり、災害に対する基本的な問題についての農林省考え方は、どうも一つも変わっていないという気が私はする。調査をしてそれから具体的な、というような表現があるわけですね。そして統計調査部の報告を待ってからと言うのですが、それは数字については報告も待たなければならぬでしょうけれども、災害に対する敏速性という立場から言えば、天災融資法発動した場合にはどういう処置を直ちにどうするとか、それまでには自作農維持資金の中で災害融資についてはどうそれに対処していくとか、また、近代化資金のいままで借り入れをしておるものの延期手続はどうしてやるとか、そういうことはもう早急に決めておいてもいいことだと私は思う。災害が起きた途端にちゃんとそれは決めておくべきだ。それを決めずにおいて、報告を受けてから処置をしますというのでは昔も今も一つも変わらない。農林省が攻めの農政であるとか、温かい農政を進めるとか、血の通った農政を進めるとかと言うのは日本語だけであって、心構えそのものは一つも変わっていないと思うが、この点、今村審議官、どうですか。
  30. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 被害が発生いたしました場合におきまして、被害程度を速やかに把握し、それに対する適切なる対策を講ずべきことは言うをまたないところでございまして、私たちといたしましては、その被害の結果を待って物を処理するということでは決してございませんけれども、農作物その他の今回のような被害の場合におきましては、その被害実態といいますものは県の速報のみによってはなかなか判断しがたいという部面があるわけでございます。したがいまして、作物被害につきましては統計情報部の被害の結果によって判断するということは、決して形式的ではございませんけれどもそういう取り扱いといたしておるところであります。  しかしながら、私たちといたしましては、もとより被害程度というものは県の速報その他の状況で十分わかりますから、統計情報部の被害の結果が出るまでじっといたしておるということでは決してございませんで、被害の態様、被害程度等に応じまして、その時期その時期におきましてどういう対策を講ずるべきかということの検討は鋭意いたしておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、統計情報部の結果を待ってその後の対策考えるということでは決してございませんで、結果が出たら同時に方針が決定できる程度に私たちとしては努力をいたしておるところでございます。
  31. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 日本列島は御承知のように宿命的に災害の多い列島である。これは歴史的にはっきりしているわけです。そのために災害関係の法案が順次立法措置で講ぜられておるわけですから、ひょう害が起きたらどうするかというくらいのことは先手先手を打てる体制ができると私は思うのです。そういう点で手落ちのないように万全の処置をとってもらいたいと思います。  私は今度の被害を受けた町村をめぐってみて感じましたことは、局部的ではございますけれども、農作物全般にわたってのいろいろな被害状況の中で、たとえば施設園芸に対して、果樹共済なり、そういう農業共済にここは入っておるのかということをまず聞いてみると、入っているところと入っていないところがある。なぜこういうことが起きるのだろうかというと、要するに、農林省なり県なりがいまある制度の中で法律なり立法措置をどう運用していくかということを余りにも十分理解していないんじゃないかと思う。われわれが国会でいろいろな形で審議をして、それを強力に進めてもらいたいという立場でこの法案を通すというようにいままでやってきたが、ところが、末端ではそれが十分生かされていない。なぜこういう結果が起きるのかという点が強く感じられたのです。  そういう農業共済事業に対してどうするかという対策等をもっと抜本的に推進していく行政のあり方について、どうお考えになっておられますか。
  32. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 農業共済のお尋ねでございますが、御存じのとおり、果樹共済は四十八年から本格実施をされておるわけでございます。私たちといたしましては、できるだけその共済に農家の方に入っていただきたいということで、その普及につきましてはいろいろ努力をいたしておるわけでありますが、四十八年から本格実施ということもありまして、四十九年度の全国平均の加入率は、収穫共済につきましては大体一七%程度となっておるわけであります。樹体共済に至ってはもう少し低い状況にありますが、五十年度引き受け以降、先生のおっしゃるような趣旨を踏まえて、この制度の普及あるいは農家の加入に十分努めてまいりたいと思います。  私たちとしましては、そういう法律、制度農家の段階でできるだけ生かされるように十分な努力を惜しむできではないし、また、従来からもその努力をしてきたつもりでありますが、今後ともそういう努力につきまして遺憾のないようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  33. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 今度のこの施設について、私たちがこれは何てお粗末なやり方をしているのかと聞くと、いや、資金がないと言う。資金がないからこういうお粗末なことをやって、たまたまひょう害を受けたら無残にもいかれた。それは借入金の問題だ。要するに、近代化貧金をへんじょこんじょ言うて余り貸してくれない。貸してくれないために、自己資金がないから、ただ借入金の範囲内でその施設をしている。それによってお粗末な施設ができて被害が大きくなる。  こういうことになっておる実態を見たときに、近代化資金の枠については、これから農業団体と十分話し合いをして統計的に調査をしてみれば、災害の多い地域はどの辺だということは大体ある程度わかるのですから、なかなか確認はできないでしょうけれども、災害を特に受ける地域施設園芸に対する資金融資については大幅に認めてやるということを考えたらどうかという気がしたのですが、その点はどうですか。
  34. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 災害を受けました施設につきましての復旧の資金につきましては現在の近代化資金法で対応することができるわけでございますから、その復旧についての資金融通につきましては、私たちといたしましても、農家災害復旧を行いますために資金的にお困りにならないように農協その他を十分指導してまいりたいと思っております。  なお、また、経営資金等につきましては、先ほどの天災融資法融通並びに自作農貧金の融通等によりまして経営資金の手当てもいたし得るものというふうに考えております。
  35. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 自作農維持資金の中の災害融資の枠は思い切って出せるぐらいあるのですか。
  36. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 災害枠は大体思い切って出せるぐらいな金はございます。
  37. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 もう田植えを済まして本田に移しているのは農業共済にかかる。ところが、まだ苗代にあるやつはかからない。岡山県の場合、五月二十六日と六月一日の二回にわたって被害を受けておるわけです。ところが、その六月一日には本田に移しておった。五月二十六日には苗代にかかっておった。こういう苗代の分と本田に移してもう田植えが済んだところというように、ごくわずかな、一週間前後で非常に違ってくる。その点の取り扱いについては天災融資法その他で思い切ってやったらどうか。  そういうように同じ被害、同じ被害額においても違うし、作物によって違うということでいろいろ考え方が違うわけですが、ただ、同じ果樹でもいろいろ違う。ナシであるとか、露地ブドウであるとか、梅であるとか、いろいろと品目においても実態が違う。野菜類においても、大根にしても、ホウレンソウにしても——このホウレンソウのごときは案外回転率が速いけれども、大根というのはなかなか回転率が悪いものですから、同じ野菜類の中でも回転率のいいものと悪いものとにおいての被害が、被害後における農家経営実態と生活の実態に対する影響が大きく違うわけです。  そういう格差を融資やその他で勘案できるのかできないのか。一律にただ表面に出ている被害額だけで認定していくのか。作物によって、同じ被害額ではあるけれどもこういう作物の被害については今後相当の後遺症が残るだろうという、そういう長期にわたっての後遺症の問題には融資の枠の認定についてどういう考慮をするのか。その点を聞かせていただきたいと思うのです。
  38. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 被害の認定でございますが、作物の被害につきましては、作物の態様によって被害の認定がいろいろと先生のお話しのように異なります。  そこで、私たちといたしましては、従来からの試験研究の結果を踏まえまして、たとえば果樹につきましては、こういう被害程度であればこのくらいの被害額であるというふうな一定の基準を設けまして、そして統計情報事務所の職員が一々現地について調査をするということになっております。したがいまして、そういう作物の特性は被害額の認定の際には出てくるというふうに私たちとしては考えております。  ただ、しかし、そういうことで被害額を認定いたしましても、いろいろとその後の農業経営に及ぼす影響といいますものは作物によってまた違ってくるわけであろうと思います。たとえば果樹の共済をとってみましても、果樹共済にありましては、本年度引き受け後、今回の災害によって花芽が損害を受けて来秋に収穫されるものが三割を超えるという減収になった場合には共済金を支払うというふうな、そういう制度果樹共済につきましてはあります。したがいまして、現在ありますそういう制度をいろいろ活用していきますと同時に、お話しのありましたように、資金融通という面につきましては、たとえば自作農資金でありますならば、農家の今後の経営状況等を踏まえましてその融通を行っていくという考え方のもとに、できるだけそういうお話しのような点が生かされるように、資金融通につきましても考えてまいりたいというふうに考えております。
  39. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 先ほどの今度の被害報告を見ると、山の問題、林業の関係被害報告がない。これはおかしいと私は思う。私は山の調査をやってみたのですが、植林後一年、二年のところがいかれているのですね。それから苗圃が実生の場合とさし木の場合と両方あるのですが、この実生の場合の苗圃が大分いかれているのですね。これらの報告がないというのはどういうわけですか。
  40. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 私たちの方には県からの林業関係被害はまだ上がってきておりません。これは、恐らく、県の方としても農作物被害調査にいろいろ奔走しておるということがあるのかもしれませんが、御指摘のような点もございますので、さらに県に照会をいたしまして、その被害実態把握に努め、それに対する所要対策を講ずべきものであるとするならば、その点につきまして十分検討してまいりたいと思っております。
  41. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 特に、今度のひょう害を受けた町村は市町村の財政力の非常に弱いところが多いのです。財政力指数から言うともう十%前後です。農林省がどうせいこうせいと言うけれども、県なり市町村も災害を受けた被災農民に対するいろいろな手当てをやっぱりしなければならぬ。それは利子補給のことを一つ取り上げてみても金が要るということになるわけでありますが、そういうときに、県なり市町村の財政力はいま非常に硬直化していると言っているが、硬直化ではなくて抑えてしまっている。国がもう単位費用を認めていないわけです。  それから、市町村の農業行政費というものは、今年度の単位費用は地方財政計画の中で何%ぐらい伸びておると思われますか。これは政務次官に伺いたいのだが、政務次官、あなたは政治家だから知っておられると思うが、何%ぐらいこの市町村の農業行政費が伸びておるか。それを計画の中に認められておるか。
  42. 江藤隆美

    江藤政府委員 遺憾ながら、つまびらかでございません。おおよそ横並びか、あるいはきわめて少々という程度ではないかと推察をいたします。
  43. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 政務次官、安倍農政は攻めの農政だと言われるけれども、たとえば農林省がこういう災害を受けた時分にどんなに本気でやろうとしたって、都道府県の地方財政計画の中で自治省が決めておる今度の単位費用はゼロですよ。全部ゼロです。昨年並みですよ。それから、町村の方は五%ですよ。ただし、これは十万を基準にしておりますから、人口八千、一万というところはもうゼロです。それから、農業行政費が町村で五%の伸びというのは、これは伸びていないということ、現状維持ということでしょう。そういう現状維持の町村がこういう災害を受けた時分に大変な経費が要る。調査するのでもこれは大変なんですよ。そういうことをまず知っておかないと、農林省がどんなに気張ってみたところで十分にできない。できる体制をつくっていくということが必要だ。災害が起きてもすぐ対応できるような体制づくり、そういうものをまず農林省は平素から考えておかないと後手後手になってくる。こういう点の埋め合わせばこの単位費用ではどうにも解決できないとするならば、特別交付税で処置してやる、それは農林省が先頭に立って自治省と話をつけるという、そのくらいの熱意がなければ攻める農政とは言えないと私は思う。  今度の災害について特別交付税の配分を思い切ってやらせるということは審議官だけではできない。これはやはり大臣なり次官の力であり、責任だと思うが、次官、どうですか。
  44. 江藤隆美

    江藤政府委員 災害が起こりますと、当然災害復旧費に多額の費用を要する場合もありますし、あるいはまたそれがひいては税収の減少につながり、さらにはそれが行政費を非常に圧迫するという困果関係を生んでくるわけでありますから、これは御意向のとおり、私どもが今後被害調査実態をまとめたときに、今後の全体の農政を進めていく上の一つの大きなめどとなるものとしては、いまの御意見の特別交付税の特別配分の問題が当然出てくるであろうと思います。  せっかく貴重な御意見を承りましたから、ただ単に被害調査とその対策にとどまることなく、今後のそうした市町村の財政の強化のためにもこれらのものを十分活用していくように、大臣とともに今後努力をしてまいりたいと思います。その御意見はありがとうございました。
  45. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 審議官に尋ねたいのですが、岡山県の津山の辺は広域営農団地造成ということで農林省も力を入れておるわけです。その中で、消費地と生産地と直結論ということで、流通革命、流通改善ということで、大阪の千里ニュータウンへ野菜を直送する、中国縦貫自動車道ができる、それを高度に利用して生産農民の手取りをふやす、消費者には安い価格で供給していくということで、そういう大義名分で、これは非常にいい構想です。それに農業団体が力を合わせて農家と契約をしている。そういう契約をして今度の被害を受けた。栽培契約をしておいて、もう農協が補償してくれ、ほかのものを植えておったら被害を受けなかったんだという意見も出るわけですが、そういうように農業団体と農民とが栽培契約をしておるところに被害を受けた時分の救済措置はどういう方法をとったらいいのか。これを審議官に教えてもらいたいと思う。あくまでも個々の農家と国との関係、県との関係になるのか。農業団体との関係はどうなるのか。その点についての融資についてはどういう配慮ができるのか。
  46. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 作物につきましての被害についてどうするかということは、これは災害対策において処理をすべき側面であろうと思いますが、農家と農協との関係で契約栽培等を行っておる場合に、ほかの作物をつくっておれば被害なかりしものを当該契約栽培に栽培をしておったということの被害、損害、要するに損害問題につきましては、これはやはり農協と農家との長期的な生産、出荷なり、栽培問題として対応していくべきものではないかというふうに考えております。     〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕  その場合に、たとえば農協が資金的に非常に苦しくなるとか、あるいは農家との関係でいろいろな対策を講ずる場合に農協としての資金面の問題が起こります場合にあっては、これは農協全体としての資金のやりくりの問題でありますから、当該農協で処理をし得ない場合にあっては信連、あるいは信連で処理をし得ない部分にあっては農林中金という系統内部の資金操作の問題として検討すべき問題ではないかというふうに考えております。
  47. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 この点については研究課題であろうと思うし、われわれも研究しなければならぬと思うのですが、今後の問題として、こういう災害を受けた時分にそういう契約栽培をしておる地域には肩がわり農業共済ということに加入できるのかできないのか。農協が総括をしてたとえば何十ヘクタールを契約したとか、野菜でも、大根でも、ホウレンソウでも、何でもいいですが、そういう果樹、蔬菜の集団で、代貸しというか、何というか、かわって集団で農業共済に加入できる方法をとれるのかとれないのか。  こういうことは将来問題として考えてもらわなければいかぬのじゃないかという気がするのですが、その点はどうですか。
  48. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 なおよく検討をいたしてみますが、私の知ります限りにおきましては、たとえば農協がかわりに共済関係に契約を結ぶという形になりますと、国と農家との関係におきます契約責任問題というものが非常に不明確に相なるわけでございまして、従来からそういうふうな方式はとっていないと理解をいたしております。  しかしながら、その点につきましてはさらに私の方としましてもいろいろ検討をいたしたいと考えております。
  49. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 もう時間が来ましたから最後に詰めとしてお願いしたいのですが、野坂君も申されたのですが、特別災害地指定として天災融資法を決める場合、その間の手続として閣議にかけて——今村審議官野坂君に対する答弁でなかなか苦しいような答弁をされておりましたが、いつごろかと言われるとなかなか言えないということだったが、そういう弱さがいまの現状の姿じゃないかと思う。これは何もあなたを責めるわけじゃないけれども、日本の官僚機構なりその他の機構の手続論というものは相当時間がかかる。そういうことを考えたときに、これはもう少し敏速にやってもらいたい。これが第一のお願いであり、そして、また、自作農維持資金の中の災害融資について、これも枠があるのだそうだから思い切って早急に出してもらいたい。それから、乙の近代化資金だが、いままで農業経営なり施設資金としていろいろな借り入れをしておる農家がある。これの延期対策、延納対策というものを早急に打ち出してもらいたい。この三つをお願いして、最後に御意見を政務次官から聞かせていただいて終わりたいと思います。
  50. 江藤隆美

    江藤政府委員 大変残念なことでありますけれども、この天災資金というのは調査を待ってということに制度がなっておりまして、調査をせずにやれということには実は法律の趣旨がないわけであります。  したがって、私どもは鋭意調査を急がせて、調査ができ上がったときには閣議決定ができるようにこれを取り運んでいくということであって、調査を待って何もせぬということじゃありませんで、すでにもうそのときには天災資金はどうするかとか、また、条件緩和あるいは償還というものはどうしていくかとか、——天災資金等は百万円まで貸せるわけでありますから、自創資金等の貸し付けはどうしていくかとか、そういう問題をなるべく早く片づけるように、いままで十日かかりましたのは一週間に、一週間かかりましたのは五日でというふうに、攻めの農政でありますから一生懸命やっていきますので、お気づきの点はまた御忠告を賜りたいと思います。
  51. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 次に、関連して井上泉君。
  52. 井上泉

    ○井上(泉)委員 非常に言葉はりっぱでありますので、ぜひひとつそれは実行してもらいたいと思います。  そこで、私は関連でありますのできわめて端的にお尋ねをしたいと思いますが、それはたばこの問題ですが、高知県の場合には六月の一日からたくさんの人を入れて葉たばこをとる準備をしておった。ところが、その夜中に降ったひょうのためにめちゃくちゃになって、非常にやるせなく途方に暮れた。こういう状態が高知県の山田町とかあるいは南国市の久礼田地区とかというようなところに集中的に出ておるわけですが、これらのたばこ耕作農民に対する救済措置のとり得るあらゆる方法について専売局から御答弁をお願いをし、これらの耕作農民に安心を与えていただきたいと思いますのでお尋ねするわけです。
  53. 小松伸雄

    ○小松説明員 先生からお尋ねの高知県におきますひょう害についてでございますが、五月の二十六日と六月一日にこの方面にひょうが降りまして、大体八十八ヘクタールぐらいの葉たばこにつきましてかなり大きい被害が出ておるわけでございます。  先ほども野坂先生にお答えいたしましたように、この葉たばこに対しますひょう害につきましては、その程度によりまして対策が違ってまいります。ついております葉の大部分が落ちるとかあるいは茎が折れるとかというような場合には、これは茎を切り取りまして新しい芽を出させて、それに葉をつけて収穫するということにもなるわけでございますが、しかし、これがたばこの生育が進んだ後におきましてはなかなか収穫がしにくいというようなこともございますので、その圃地圃地の被害状況考えまして技術的な対策を講ずるということになると思います。これにつきましては、それぞれその区域の公社の技術員を総動員いたしまして、農家ごと、圃地ごとにこの対策を御指導いたしておる、こういうことでございます。  それから、この災害によります補償の関係につきましては、一筆の畑が全損いたしました場合にはたばこ災害補償制度によりまして平年の収納代金の二分の一、半分の補償をお支払いする。これは調査が終わりましてすぐ支払うことができるわけでございます。全損でないその他の災害につきましては、収納の葉たばこの買い入れの終わりました時点におきまして平年の収納代金の三割以上の災害があった場合には、その災害被害程度に応じまして、最高災害補償金と収納代金の合計が平年の七割になるまで補償金を支払うということになるわけでございます。
  54. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういう場合に、新しい芽が出るといえば、高知県のこの地域なんかになると葉たばこをとる寸前ですから、それをまた株を切って新しい芽を出してというようなことは大変な労力であるし、恐らく不可能だと思うわけですが、そういうことについても、専売局の方としてはまだ新しい芽が出るんじゃないかというような指導をなさるおつもりですか。その点と、それから、仮にそうなると、この地域ではほとんど全損と言われるような状態であるが、五〇%の補償金では、これはもう肥料代にも足らないような状態になりはしないかと思うのですが、残りの五〇%に対する何らかの救済措置はないのか。この二点をお伺いして私の関連質問を終わりたいと思います。
  55. 小松伸雄

    ○小松説明員 先生のおっしゃいますように、ひょう害を受けました際に、幹を切って新しい芽を出して、それにつく葉が収穫できるのは移植いたしましてから五十日あるいは五十五日目くらいまでが限度でございまして、それ以降になりますと、新しい芽を出しましても、その生育がうんとおそくなりまして実質的に収穫できないということになるわけでございます。  高知県におきます災害の場合には、おっしゃるように本当にぎりぎりのところにあると考えております。したがいまして、わき芽を出せばそれで葉が収穫できると一概に言い切れないと思いますので、土地ごとにたばこの状態を見てその辺の判断をいたし、災害農家の方とも相談して、もう捨ててしまうか、さらに管理を続けるか、この辺の判断を下したい、と、かように考えております。  それから、災害補償全損の場合に平年の収納代金の二分の一ということを申し上げたわけでございますが、それ以上につきましては、公社におきまして災害補償の制度は残念ながらございません。
  56. 井上泉

    ○井上(泉)委員 公社の方ではないが、その場合については、ある程度の救済措置というものをやはり講ぜられにゃならぬと思うのですが、そういう関係については農林省の方で考えられることですか。その点、審議官の方から御答弁願います。
  57. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 お話しの部分につきましては、農林省の方で天災融資法融通をもって処理をすることができるというふうに考えております。
  58. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 竹内猛君。
  59. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農村におけるガソリンスタンド、給油所の設置の問題について質問をいたします。  まず、通産省にお伺いしますが、四十八年に石油危機がありましたが、あの時点と現在の段階においてはどういうようになっているか。数量と価格において、結論だけでいいですから、まず、そこから報告をしてもらいたい。
  60. 山中正美

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  まず、数量でございますけれども、四十八年のいわゆる石油ショック以前でございますけれども、この輸入量が大体二億八千八百万キロリッターでございまして、四十九年度は、昨年度でございますけれども、これは二億七千五百万キロリッターでございます。本年の見込みでございますけれども、これは去る四月に石油審議会で御検討いただきまして一応官報告示をしましたわけでございますが、これが昨年と同じ二億七千五百万キロリッターでございます。  それから、価格が非常に複雑ではございますけれども、CIFのいわゆる通関統計でいきますと、大体当時原油が一キロリッター当たり五千円ないし六千円くらいの間で推移してきたわけでございますけれども、現在は二万一千円から二万二千円の間で大体推移しております。  以上でございます。
  61. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまの説明によると、値段は上がったけれども数量においては平常に復したというぐあいに理解をしていいですね。
  62. 山中正美

    ○山中説明員 数量は、平生といいますか、先生御承知のとおり、四十年代前半はGNPも非常に増加しておりましたので、それにつれまして石油の輸入量、消費量とも相当の勢いで伸びてきたわけでございますけれども、ただ、石油ショック以後は一応横ばいの状態である、と、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  63. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ところで、農業関係においては石油の利用状況というものはどういうふうになっているのか。要するに、四十八年の段階と現在の段階とにおいて著しい変化があるのか、それともないのか、その辺はどうですか。
  64. 山中正美

    ○山中説明員 農業関係につきましては、ほぼ横ばいで推移してきております。
  65. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 われわれのところにいろいろと連絡があります。それによると、通産省のスタンドの設置の目的というものがどうもはっきりしていないような感じがする。というのは、石油商業協同組合、いわゆる石商というものが非常に力を持っている。この石商の拒否にあって実際要求するところにスタンドができないということが各地で言われております。したがって、通産省のスタンドをつくる目的は業者を擁護することにあるのか、それとも消費者に対して必要なサービスをすることにあるのか、どういうような基本的な姿勢を持っておられるのか、この点はどうですか。
  66. 山中正美

    ○山中説明員 いわゆる石油の末端供給でございますけれども、これにつきましては、低廉にかつ安全な石油を供給していきたいというふうに私どもは考えております。先生の御指摘のように全石商によって左右されるということは全然ございません。
  67. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その点はまた後でさらに具体的な幾つかの例によってそれを解明していきますけれども、石油の規制というものは、消費を節約して危機を乗り越えるということで出発をしたと思う。だから、四十八年の十二月の通達の趣旨はそういうことになっているだろうと思う。だから、消費規制をするならば、スタンドの規制だけでなしに、まだ消費規制の方法はあるはずだ。たとえば無限に自動車がつくられていくが、そっちの方は野放しにしておいてスタンドだけを抑えるというのはおかしいじゃないかという話もあるのだが、こういうことに対しては一体どういうふうにお答えになりますか。
  68. 山中正美

    ○山中説明員 私ども、スタンドの設置といいますか、スタンド行政をやっていく上でのポイントを三つくらい置いております。  一つは、先生の御指摘のエネルギー消費の抑制ということでございますが、いま一つは、御承知のとおり、ガソリンスタンドというのは、九九%近くが中小企業でございます。そうしますと、経営の安定化ということもやはり必要でございます。というのは、御承知のとおり、ガソリンというのはもっぱら自動車用燃料等に使用されるわけでございまして、粗悪なガソリンはすぐに安全問題に波及してくるわけでございます。そういう意味で、経営を安定しない限りは粗悪ガソリンが流入してくる。それは安全問題の上からもどうしても阻止しなければならない問題だというのが第二点でございます。  それから、第三点といたしましては、御承知のとおりガソリンスタンド自身は危険物を取り扱っておりますし、かつ、いわゆる水質汚濁にも関係するし、自動車が停止したり、あるいは自動車が入ってきたりするわけでございますから、それによるいろいろな騒音公害の問題がございます。そういう意味で一ヵ所で密集するということにつきましては、いろいろな社会的あるいは自然環境上の問題も派生してくるわけでございます。  そういう三点を勘案いたしましてスタンド行政をやっているということでございます。
  69. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それでは、四十八年十二月十七日から向こう三年間というような見通しで出した規制の通達は、これはどういう法律なり根拠に基づいて出されたものか、その根拠を示してもらいたい。
  70. 山中正美

    ○山中説明員 これは法律上の根拠というよりも、行政指導の結果でございます。
  71. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 たとえば先般も私がここで質問しましたが、市乳の場合、牛乳の場合には、政府が介入するということになると、それは独禁法に違反だと言われる。しかし、スタンドの規制をする場合には独禁法の違反にはならないのか。一定の距離を決めて、その距離の中にそれをつくってはならない、しかも、それをつくる場合には、石油の元売りと石商と通産省の各機関が集まって懇談会を開いて、その懇談から出た結論というものがこれを許可するということになれば、まさにこれはいわゆる独占的なものになりかねない傾向がある。私の茨城県なんかを見ると、元売りの大手というのは、大体その地域における大企業を代表するものである。たとえば信用組合の責任者だとか、そういうものが親分になって地域を押さえている。中小企業を守ると言うけれども、中小企業は守られておらない。こういう実態があるんだが、その点については、これはどういうことになりますか。
  72. 山中正美

    ○山中説明員 懇談会というのは以前はあったわけでございますけれども、現在はそういうものは設置しておりません。われわれは厳密な資格基準というものをつくりまして、通産局単位でその基準に合致するかどうかということでスタンドの設置を判断しておりますし、先生も御承知のとおり、昭和四十八年以降は許可はしておりませんから、いわゆる判断基準に基づいてどういうことになっているのかということは現在お答え申し上げられませんけれども、一応その判断基準に基づいて運用するというたてまえになっております。
  73. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そうすると、その懇談会というのはいつやめたのか。それは確かに四十八年以降はできていないから、それはつくらないと言うけれども、また今度やがてこれが解除されればそういうものをつくるわけでしょう。そしてそれの基準を決めるわけでしょう。現に栃木県の宇都宮では石商が基準を決めて、ここにはつくっていい、ここはだめだというふうに通産省の代貸しみたいなことをやっている現実がある。そういう現実がある限りにおいては、懇談会はないということを私はここで了承するわけにはいかない。
  74. 山中正美

    ○山中説明員 栃木県のケースはわれわれも現在つまびらかではございませんので、本件についてはお答えするわけにいきませんけれども、われわれ通産省としましては、基本的には石商の意見を徴するような懇談会というものは設ける意思もございませんし、今後は、いわゆる判断基準というものの厳正な運用を図っていきたいというように考えております。
  75. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 まだたくさん例があるから、これはここで一々申し上げたら、それだけだって一時間以上もかかってしまうから、それは申し上げないことにするが、それは通産省は知っているはずだ。  そこで、これは農林省の方にお伺いしますが、農村関係の諸団体からスタンドをつくってもらいたいという要請が現在いろいろ来ているはずですね。これに対して満足のいくような状況にあるのかないのか、その点について農林省から答えてもらいたい。
  76. 二瓶博

    ○二瓶説明員 全農等から石油スタンドの新設の要請が通産省の方に出されておるということは聞いております。四十九年度につきましてもその要請が出ておりますが、先ほど通産省の石油部精製流通課長の方からお話しがございましたように、四十八年度の暮れからの既存の給油所の廃止の代替等に伴う新設以外は認めないという方針が現在も踏襲されておりますので、この建設枠につきましては建設省の方から設定を認められておらないという状況でございます。  ただ問題は、このことによりまして農家の方が必要な農業用の石油が入手できないのかどうかということ、そこが一番の問題でございますけれども、現在の段階においては、特にこの入手ができぬというようなことで問題になっておるというようなことは特段には聞いておりません。
  77. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農業団体の方から要請があって、それを通産省に出したけれども許可になっていない、農家は別に不自由はしていない、と、こうおっしゃるわけですね。それは、しかし、農林省としてはそんなことはおかしいじゃないですか。これは後でまた数字を挙げて言いますけれども、農林行政としてはずいぶんそれは冷たい話なんです。しかし、まあ、それはいいです。  そこで、農協と業者との関係について私はこう理解をするんです。それは、石商というのは主として利益を中心にして商売をやっていますね。農協は本来農民の組織であるから利益を中心にすべきものじゃなくて、農民の個々のサービスを中心にしなければならないが、そういう農協になっていない向きもある。現在はいろいろあって批判があるけれども、本来はそういうものでなければならない。だから、そういう性格の違うものに対して、別に農家が騒がないからいいじゃないかというようなことじゃなくて、その性格の違いというものと、それからスタンドというものはどこへつくったって構わないはずなんですから、それを一定の段階で、価格には差があるけれども数量に差がないなら、農村だって前と同じだというならば、なぜ一体それはつくることが認められないのか。  それから、その性格の違いというものに対して、農林省は通産省に向かって、農業のために手近にスタンドをつくって便益を図ろうという努力をなぜもっとしないのか。その点はどうなんですか。どういう努力をしましたか。
  78. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいま申し上げましたように、四十九年度は通産省に対して二百十七ヵ所のスタンドの設置要求が全農から出ておるわけでございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、通産省の行政指導によって現在までのところ建設枠の設定が認められておらないわけでございます。ただ、問題は、この中で非常に支障を来すというところがあるかどうかということで、そういう面につきましては、農林省としても、その面の建設枠の問題は通産省の方にも設置の要請はもちろんやるわけでございますが、特に、いま申し上げました二百十七ヵ所というのは、これは一般枠のものでございます。  現在このほかに農林省として通産省の方に特に強く折衝をいたしておりますものにガソリンの無鉛化という問題がございまして、ことしの二月一日から無鉛ガソリンの生産が行われております。また、田植え機等におきましては有鉛ガソリンでないとエンストを起こすというような問題がございますし、そういうようなものを入手するということで、不便なところといいますか、こういう面につきましてはさらにガソリンスタンドの新設別途百二ヵ所を通産省の方に強く要請をいたしております。この面につきまして強く押していきたいということで現在通産省といろいろ折衝中でございます。
  79. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは通産省に聞きますけれども、現在各地に無印のスタンドがかなりできている。それでめちゃくちゃに安い油を売っている。安いに越したことはないからそれはそれで結構だけれども、その状況については一体どういうぐあいに把握をしているのか。どこにどういうような事実があるのかということについてちょっと知っているだけかいつまんで報告してもらいたい。
  80. 山中正美

    ○山中説明員 現在、無印スタンドと言われておりますものは全国で百九十九ヵ所われわれのところで把握しております。
  81. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 なぜそれを取り締まることができないのか。農業団体が手続をして要求をしてもそれはだめだと言う。無印のやつは百九十九ヵ所と言われたが、私の調べたところでは四百ヵ所ぐらいある。関東においては「関越石油」として、堂々と新聞に一リットル七十五円から八十五円というものを広告している。そして今度、私の茨城県では、これはきのうの新聞だが、これによると九十円のスタンドができた。こういうものが堂々と新聞に出ている。われわれが通常買うのは百五円ぐらいだ。こういうふうに値を下げて、しかも別なサービスまでしてやっているときに通達なんか出したって何の意味もないじゃないですか。これは一体どういうことになりますか。
  82. 山中正美

    ○山中説明員 先生の御指摘の無印のスタンドが横行しているということは、通産省としても非常に遺憾なことだと思っております。先ほどから私が申し上げていますように、ガソリンというのは自動車その他輸送機関の燃料に使用されるものですから、あくまでも一定の品質が確保されなければ走行の安全は守れず、特に交通事故等の原因となるわけでございますから、われわれとしては、無印のガソリンスタンドを、一応一定の品質保証のできる、少なくともリファイナリーの品質管理の行き届いた製品を消費するように極力指導していきたいというように思っております。
  83. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま私が聞いているのはこういうことなんです。通達があるにもかかわらず、混乱をしているのに、それをやめさせない。一方においては正式に届けをすればそれは抑えられる。しかし、無届けでどんどん無印のやつをつくって、「さわらび」なんていう油が京都や滋賀県の方には流れている。あるいは「関越」でもそうだ。そういうものを黙ってみていていいかどうかということなんです。これでは秩序が保たれないじゃないですか。
  84. 山中正美

    ○山中説明員 いわゆる無印スタンドにつきましては、通産局等を通じまして行政指導に従うように現在極力指導しておりますけれども、何分諸般の事情がございまして、一応消防庁等にも協力を願いまして、消防法上のチェック等もお願いしている段階でございまして、今後無印スタンド対策というのは積極的に進めていきたいというふうに考えております。
  85. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 先ほど、スタンドの許可について懇談会はないと言ったけれども、しかし、現実に各地でいま問題が起きているのです。私の地元で起きている問題を言えば、たとえば茨城県の取手の農業協同組合がスタンドをつくろうとすれば、これは石商が文句を言って抑えている。あるいは藤代でも抑えているし、那珂町でも抑えているし、金江津でも抑えている。神奈川県の三浦でも、あるいは秦野でも、藤沢でも、あるいは長野県の岩村田でもみんな実際抑えられている。そして宇都宮の方に至っては、石商がその設置基準をつくって、これに合うからとか合わないからという形で、あたかも通産省の代理のようなことをやって権限を振りまいてやっているという事実がある。こういう事実があるのに対して、一方では無印のスタンドがどんどんできて、そして安く売り飛ばしている。一体こういう状態を黙って見ていていいのかどうか。これはやはり問題じゃないですか。
  86. 山中正美

    ○山中説明員 石油ショックに始まりましたスタンドの設置の一応の凍結の問題と、それに伴いまして、たとえばいろいろな無印のガソリンスタンドの問題等が派生して起きているわけでございますが、そういうことを含めまして現在通産省でその対策検討中でございますので、しばらくお待ちいただきたいと思っております。  なお、先生の御指摘の茨城県の単位農協のガソリンスタンドの問題等々は、御承知のとおり全般的に凍結しておりまして、一般的な、いわゆる農協以外のガソリンスタンドと言ってよろしゅうございましょうか、それも全部抑えている段階でございますので、何も農協だから抑えているということではございませんので御了承いただきたい、こういうように考えております。
  87. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 やみスタンドができているところを見ると、これはやはり抑えていると言っても、ほかには現実にできているのだからね。それはさっきから認めているでしょう。それはどう言っても、現実にそれがあるのだからだめだ。  そこで、今度は、たとえば農協の人が努力をして、個人経営をしてどうにもならないやつを農協が買ってそれをやろうとしても、これは認めないでしょう。認めないですね。どういう権限でこれを認めないのか。何か一つの商業権というものがあるのか。何か法律でもあってそれはいけないということになっているのかどうか。これはどうですか。
  88. 山中正美

    ○山中説明員 先ほども二瓶審議官の方からお話しがございましたように、私どもは、農協のグループとそれから一般のガソリンスタンドのグループというふうに一応二つのグループを分けまして、そのグループ内でいろいろ調整をやっていくという行政指導を従来から続けてきております。そういうことで、農協のスタンドから一般のスタンドへ、あるいは一般のスタンドから農協のスタンドへといきますといろいろな混乱を生ずるわけでございまして、そういうことから現在のところは一般のスタンドから農協のスタンドにかわるというのは一応御遠慮いただいている、こういう段階でございます。
  89. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは政務次官にもちょっと答えてもらいたいのですが、スタンドというものは、農協だからとか、あるいは一般の商社だからということで区別をする必要は何もないと私は思う。便利なところにだれがつくったっていいじゃないか。それを従来は申請の中の一割ぐらいを農協に認めてきたという経過があるようですけれども、現実には農協の組合員がスタンドをやっていてつぶれてやめたものを、農協がこれをかわって経営しようとしても認めない。しかし、現実にこれを認めているわけだ。わが茨城県では認めている。こういうように何でもかんでも通達と違ったことをやっているという事実の中で、これは行政というものをだれも信用しませんよ。こういう事実に対して、こういうやりとりの中で、政治家としてあなたはどう思いますか。
  90. 江藤隆美

    江藤政府委員 無印スタンドのことについては、通産省の所管でありますから私どもがとやかく申し上げる筋合いはありませんが、それが行政の趣旨に反するものであるならば、その処置は厳格にすべきであると私は思います。そういうものをしないでおって業界に姿勢を正せと言うのはしょせん無理なことでありますから、それは当然の政治の責任だと私は思います。  ただ、農協のスタンドについては、いま政治家としての所見はどうかというお尋ねでありましたから私は申し上げたいと思いますが、農協が自分の組合員に対して有利な販売をするためにやるスタンドであるならば結構だと私は思うのです。あるいはまた無鉛化対策のためにこれから新しいスタンドを要するということで、このために私どもが手伝うことも、これは至極当然のことであります。しかしながら、地域によっては著しく過当競争になって、スタンドが共倒れをしておる地域のあることも事実です。そういうさなかに一般の市民を対象にして農協が町中に出ていくということはいささかいかがであろうかと私は考えます。  本来、系統団体としてそのようなものに多額の投資をするものよりか、直接生産者農民施設その他の面においてもっと努力をし、資金を有効に使うことがあるのではないかと考えられますが、それはおのおのの地域あるいは土地の状況、あるいは組合の実績、経理内容、組合員の要望等によって一概には言えないと思いますけれども、そのような感じ方を私はいままでのお話しを承りながら持っておるところであります。
  91. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 後段の方については、それは私も同感です。  そこで、先ほども出たように、無鉛化対策として五百五十九というものを農林省を通じて通産省に申請をしているが、この問題についてはどうなっておるのか。要するに、九市町村の中の、特に農業地域の中のこの問題を中心として調査をして、選び出して要求している。こういう問題について、その始末はいまどういうふうになっているのか。
  92. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ガソリンの無鉛化に伴います農協系のガソリンスタンドの新設の件でございますけれども、これは百二ヵ所の要請を通産省の方にいたしております。  この百二ヵ所の内訳といたしましては、五十九ヵ所につきましては新設でございます。もともとガソリンスタンドのない町村に新しくつくるということでございます。それから四十三ヵ所の方につきましては、これはワンタンクしかなく、したがいまして、増設しませんと、無鉛と有鉛と両方とも入れるスタンドがないとまずいわけでございますので、そういう面で四十三ヵ所は増設ということで、合計百二ヵ所の要請をいたしております。  通産省の方では目下この内容について個別に検討中ということでございます。
  93. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 通産省、どうですか。
  94. 山中正美

    ○山中説明員 いま農林省の方から御答弁がありましたとおりでございまして、ほぼ検討も終わりに近づきつつありまして、その検討結果に基づきまして一応農林省と御相談したい、こういうふうに考えております。
  95. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間がなくなったから、最後に一つ基本的な問題について質問しますが、ことしの四月三十日の最高裁の判決で、国会で決めた薬事法に基づくところの薬局の距離の問題で、最高裁があれは憲法の第二十二条に違反をするという、きわめて明確な判決を出しました。これは同じように通達ですね。しかも、通産省の限られた時期における一定の背景を持った段階の通達というものが現在幾つかの混乱をもたらしつつあるときに、これは法律に基づいていないから憲法に何とかということではないけれども、こういうものは早く撤回して、そしてもう少し別な形でやっていく必要があるのじゃないですか。  きょうはもう時間がないから、最後に私はこの点についての答弁を求めて質問を終わりたいと思いますが、なおまた後で、次の段階で、答弁によってはもう少し細かい問題について質問を続けたいと思いますが、とりあえずきょうはその答弁を求めます。
  96. 山中正美

    ○山中説明員 薬事法に基づく薬局、薬店の問題については、私どもも最高裁の判決をよく検討しているところでございます。ただ、薬事法に基づく薬局の設置とガソリンスタンドといささか違うところがございます。というのは、先ほど来私も再々申し上げておりますように、薬局あるいは薬店につきましては、御承知のとおり薬剤師という国家試験を通った方が必ず責任者としておることになっております。それに対しまして、ガソリンスタンドというものはそういうふうな制度というものが全然ないわけでございます。さらに、薬を誤飲するということについてはもちろん大問題でございますけれども、これは薬剤師がちゃんと責任を持って調合しているわけですし、販売をしているわけでございます。それに対しまして、石油というのは、一応それ自体は誤飲するということはおよそあり得ないわけでございますけれども、誤販売のケースあるいは劣悪な品質のものを販売することによって惹起されることが予想されます交通事故の問題というものが多々あるわけでございまして、そういう意味で、社会環境的な色彩が薬事法における薬局の位置と石油業法その他によるガソリンスタンドの位置といささか違っていると思います。ただ、われわれといたしましても、最高裁の判決をもとといたしまして、ガソリンスタンド行政のあり方というのをもっと検討していきたい、と、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  97. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。
  98. 藤本孝雄

  99. 山原健二郎

    ○山原委員 赤潮の問題について質問します。  私は、五月三十一日にたまたま飛行機で瀬戸内海の上空を通りました。私も三年前の幡磨灘の赤潮の調査をいたしまして、船で現地へ行きましたときには赤黒い赤潮を見たのですが、今度飛行機で見ますと、何とも言えない鮮烈な赤さですね。私は、山はだがはがれて赤土が出ているのだろうかと思ったのですが、それにしては余りにも広大な面積がそういう状態ですから、よく見ると、それが瀬戸内海の播磨灘を中心とする一帯でありました。ちょうど陶器の朱を流したようなものなんですね。さらには染め物の朱を流したような、化学製品の朱を流したようなかっこうになっているわけです。死に瀕したこの瀬戸内海を見て私は全く息をのむ思いがしたわけですが、その点につきまして、最初に状況を簡単に報告したいと思います。  六月三日の公害対策特別委員会での参考人の陳述で、お一人は兵庫県の中村さんという漁業協同組合の方で、この人の陳述を聞きましたが、この方は、「私は二年物のハマチを三万尾買って、七月までに売る計画だったが、まさか五月にこれだけの赤潮が発生するとは思わなかった。二万尾が死んで、私個人だけで四千万円の被害である。こんな多額の借金を抱えたままでは転業、転職はできない。首つりか夜逃げしかない。いままでも受けた被害ではいつも泣き寝入りであった。」というような陳述をいたしております。それから、さらに、香川県の漁業組合長の浜野さんの発言でありますが、「播磨灘はかつて魚の宝庫だった。戦後養殖業としてハマチ、ノリをやってきたが、工場排水、都市下水、重油汚染、赤潮などで被害を受けてきた。毎日赤潮の被害の事務処理で忙殺されている。赤潮の発生は五月十九日だったが、ハマチが大量に浮上したのは二十二日から二十三日にかけてである。このとき県の水産試験場からは魚を動かすな、えさをやるなと指示されてそれに従ったが、ついに被害を受けてしまった。いままでと同じように、これ以上の行政指導は全くなかった。小豆島では魚を移動して被害を免れたと聞いている。重油流出事故以来赤潮の大量発生を学者が警告したやさきの被害である。」というふうに述べおります。  これ以上説明をする時間はありませんが、これに基づいて私は少し質問をしたいのですが、まず、第一点は、この赤潮の発生というのは果たして天災なのか人災なのかという問題です。政府としてその点を御検討になっておれば、今日の段階でこれをどう見るかということをお答えいただきたいのです。
  100. 兵藤節郎

    ○兵藤政府委員 その赤潮の発生につきましては、どういうメカニズムで出てくるかということは必ずしも究明されておるわけではございませんが、一般的には内海とか、あるいは大規模な赤潮というものは都市排水あるいは産業排水、屎尿投棄あるいは海底に沈でんするところのいわゆるヘドロ、こういうものから出てくるところの海水中の窒素あるいは燐等の栄養塩類の過度の増加が基盤となって、それが異常気象なりあるいは海況の変化によりまして異常な発生を見る、こういうようなことでございます。  この赤潮を天災と見るか人災と見るかについては、私ども水産庁の方といたしまして有権的にどうだということを言えませんが、いま申し上げたような事情からいたしますと、一部天災であり一部人災でもあるというふうな複合的な原因によるものであるというふうに思うわけでございますが、この点についてはなお環境庁等の御意見等も聞くことが相当であるというふうに考えております。
  101. 山原健二郎

    ○山原委員 異常な発生、さらには時期が大変早くなっておるという事態ですね。特に、水島における重油の流出問題が新しい問題として加わっておる事態の中でのこの赤潮発生をどう見るかということは大変重要なことでありますから、この点については今後も国会でも論議されると思いますが、十分検討していただく必要があると思うのです。  そこで、第二番の問題として、十九日に発生したこの赤潮ですが、五月にこれが発生するなどということを果たして予想できたのかという問題です。そして、未然にこれを防ぐことができないものなのかどうか、また、これが発生したときに、それを直ちにキャッチして、それに対して直ちに適切な手が打たれないのかどうか、この点についてお答えをいただきたいのです。どうでしょうか。
  102. 兵藤節郎

    ○兵藤政府委員 今回五月十九日に播磨灘で異常な赤潮の発生があったわけでございますが、先生が御指摘のように、例年に比べますと二ヵ月ほど早く発生しているということで、この事情につきましては、水産庁の方といたしましても直ちに研究開発部長を現地に派遣しまして、その原因等について究明し、今後どういうふうな対策をとるかということについての検討会をやらせるようにいたしたわけでございます。  なお、神戸の瀬戸内海漁業調整事務局が水産庁の出先機関としてあるわけでございますが、五月二十六日にはこの関係三県を集めまして今後の対策を協議いたしました。  また、ハマチの養殖が一番の打撃を受けるということでございますので、六月二日には、ハマチの養殖の技術的な面の検討ということで専門家の検討会を催したということでございます。  しかし、先生がいま御指摘なさったように、発生した、すぐにそれを除去するということにつきましては、私どもの方としましても、三年前から、その除去方法等につきまして、補助金等も出しましていろいろと事業化試験をやっているというようなことでございますが、赤潮は単に水面だけのものじゃなしに海底からも出てくるというような事情からしまして、ヘドロをかきまぜるといったようないわゆる第二次汚染も出てくる心配もあるものでございますから、現在のところ、残念ながら、発生した赤潮を確実にキャッチするというふうな技術が完成されていないということでございます。
  103. 山原健二郎

    ○山原委員 この問題については、政府に対しまして、政府のやり方は対症療法的なやり方で、これではどうしても間に合わないという批判が非常に強いことは御承知だと思います。したがって、この発生源に対する未然の防止策、さらには発生したときの対策、これは十分検討する必要があると思うのです。  時間がありませんから、次に、被害者に対する救済の問題について二点ばかり伺いたいのですが、一つ天災融資法の問題です。これは四十七年度の天災融資の返済期が参っておるわけでございます。そして、同時に、いまお話しがあったように、人災的部面がこの赤潮にはあるとするならば、これに対するもっと完全な補償をすべきではないかということですが、この点についてどう検討されておるか。  二つ目は共済制度でありますが、赤潮特約は七月以降となっていますが、ところが、今度の場合は五月に発生したという事態です。この赤潮特約を今回の場合に適用するということがいま必要になっておると思うのですが、これはどういうふうに検討されておりますか。  この二つを最初に伺っておきます。
  104. 兵藤節郎

    ○兵藤政府委員 ただいま先生が御指摘なさったように、四十七年の海水の異常現象によって生じた赤潮につきましては天災融資法発動しております。このときの被害額が七十一億円で、関係県が兵庫、徳島、香川、岡山というような四県にまたがるものでございました。  今回の五月十九日に発生したものは兵庫県の家島群島でございまして、この被害額が県の報告によりますと約五千万円というふうに報告されております。  なお、その内訳を申しますと、この家島で全体で四万四千尾を飼育しているわけでございますが、そのうち斃死したものが三万尾、それからなお生存しているものが一万尾、それからすでに売却したものが四千尾、こういうことになっておりまして、被害額が約五千万円、こういったようなことになっております。  そこで、天災融資法でございますが、これは融資法の第二条にございますように、「天災による被害が著しくかつその国民経済に及ぼす影響が大である」場合ということで、おおむねの基準としては被害額が三十億円程度以上のもの、それからまた数県に、二県以上にまたがる場合、といったような運用の方針をとっておるということで、ただいまのところ、この家島についてだけ直ちに天災融資法発動するということはできないというふうに考えますが、しかし、今後これに続発しましていろいろと同じような被害が発生するということになれば、また別途検討の余地があるというふうに考えております。  それから、先生の御指摘の第二点の共済の話でございますが、このハマチの養殖共済は大体ふ化翌年の五月三十一日以前のハマチは一年魚として計算し、それ以降のハマチは二年魚として計算しているわけでございますが、今回家島で起きたところの被害のハマチは、五月の四、五日ころモジャコという稚魚を放流したということからしまして、一年魚というふうな定義の中に入ってくるわけでございます。それで、漁業共済組合としましては、その各漁業共済組合員ごとに共済責任期間というものを決めているわけでございます。普通は、長期のものは、六月一日から翌年の五月三十一日までというのが普通の長期で、それから短期としましては六月一日から翌年の三月三十一日までということで、この家島の場合には短期の方に入っているというようなことからしまして、たまたま事件が五月三十一日という期限が切れた後に発生しておるということで、残念ながらこの対象にはなっていない。しかし、兵庫県の漁業共済組合におきまして、共済期間、責任期間を長期の五月三十一日まで延ばすというふうに組合員の合意を得て共済規程を改正するということなら、私どもで積極的にそういう方向で指導し、今後措置してまいりたい、このように思うわけでございます。  なお、赤潮特約につきましては、やはり、特約というものを前もって契約せねばならぬわけでございまして、この家島の場合には残念ながら赤潮特約にはなっていなかったということでございます。
  105. 山原健二郎

    ○山原委員 こういう事態ですから、さらに検討していただきたいと思います。  最後に稚魚の問題ですが、瀬戸内海一帯は鹿児島、高知から稚魚約四百万匹を送っています。約五億円ですね。私の高知県から約百万匹、約一億円出ているのですが、これが現在出荷の見通しがないという状態も生まれているわけです。こういうことに対してすでに契約はなされておるけれども、一方は稚魚を受け取る体制はない、一方は送れないという状態ですね。これは恐らく県の方からも報告がなされると思いますが、これについての対策と、それからもう一つは研究体制です。これは香川大学の岡市助教授が報告をしておりますけれども、昨年度は三百万円の特定研究費と八百八十万円の緊急予算が組まれておりましたが、ことしはこの赤潮に対する研究の予算は三百万円で、八百八十万円がなくなっておる状態です。  これは政務次官に最後に簡単に伺いたいのですけれども、このような研究体制については各省庁で話し合って十分な体制をとるべきだと思うのですが、この点についての御見解を伺って私の質問を終わります。
  106. 江藤隆美

    江藤政府委員 ただいまの予算は文部省所管のものであろうと思いますが、このことは公害全体の問題でありますから、環境庁において積極的に研究予算に取り組むということを長官も発言をされておるようであります。  言うならば、私どもは漁業を守る立場という、いつも押しつけられる立場でありまして、このような発生については油濁の問題を含めて非常に困惑いたしておるところでありまして、関係方面にこれらの研究体制が整うように十分に働きかけてまいりますし、また、同時に、私どももそれぞれの研究機関を持っておりますから、これらの機関の研究等が十分充実するように今後取り組んでまいりたいと思っております。
  107. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  108. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 諫山博君。
  109. 諫山博

    ○諫山委員 きわめて限られた時間ですから、二つの問題を質問しますが、簡単に答えてください。  第一は、きのうの午前八時十七分に発生した三光汽船所属の栄光丸の座礁の問題です。  東京湾にいまのようにたくさんの船が集まる、いまのように大型の船が出入りする、このこと自体がこのたびの事故の背景だということがマスコミで一致して指摘されております。その中で「赤旗」が特別に強調しているのが海上交通安全法施行令附則第二項の問題です。もともと、この施行規則によると、長さ五十メートル以上の船は中ノ瀬航路を通過するということになっているわけですが、附則の第二項で、喫水が十六メートル以上の船舶については当分の間これを適用しないとなっています。ところが、実際は一日平均十隻の大型タンカーがこの例外規定に従って例外とされているところを通過している。そして、このたびの事故はここで起こったということが指摘されているんですが、その事実は間違いないかどうか、海上保安庁から説明をいただきます。
  110. 山本了三

    ○山本説明員 東京湾には、先生がおっしゃったとおりにたくさんの大型タンカーが入港いたしております。中ノ瀬航路を通れないで、今回の栄光丸はその西側の航路で事故を起こしたということも事実であります。海上交通安全法が制定されました当時に、海上交通安全法は、例を東京湾にとりますと、東京湾の自然環境あるいは船舶交通のふくそうの状態あるいは交通の状態をもとにしまして、その間に海上交通の安全を図るためにはどういうふうにあるべきかという基本姿勢でつくられております。したがいまして、中ノ瀬航路は水深が二十メートルでありますので、水深二十メートルを航行できる船だけを通すという規定になっておるわけでございます。附則は、二十メートルでは通れない船は中ノ瀬航路の西の深いところを通すと、そういう趣旨でございます。
  111. 諫山博

    ○諫山委員 私が指摘したとおりの事実だということのようですが、私たちは、この附則の存在がこのたびの事故と非常に関係が大きいというふうに考えております。しかし、この附則がいまなお残されているというのは、やはり、東京湾に出入りする航路の整備が不十分だということと関係があるわけです。  そこで、附則の第二項は「当分の間、適用しない。」と書いてありますが、これはいつごろまで例外規定として残しておくつもりなのか、海上保安庁の見解を聞きます。
  112. 山本了三

    ○山本説明員 中ノ瀬航路が改善をされまして、その附則を外すことができる時点までと、そういうふうに考えております。
  113. 諫山博

    ○諫山委員 交通安全法の施行規則というのは、海上交通の安全を保つためにつくられたものです。そして、原則がありながら例外規定が設けられているが、この例外規定の適用地域でこのたびの事故が起こった。こういうことになりますと、この例外規定がいつまで残るのかということが大きな課題になるわけですが、交通安全が保障されるまでというのは、時期的にいつごろというめどが全くないわけです。いつごろになればこの例外規定が取りのけられて大型船舶が原則どおりのところを通れるようになるのか、時期的なめどがあったら御説明ください。
  114. 山本了三

    ○山本説明員 海上保安庁は、船舶交通の安全について各方面で最善の努力を払っておるわけでございますけれども、中ノ瀬航路の航路の改善につきましても、現在、関係の機関とその航路の改善につきまして鋭意相談をいたしておる、そういうところでございます。
  115. 諫山博

    ○諫山委員 ぜひ本日付の「赤旗」を精読していただきたいんですが、私たちは、このたびの事故の背景として、とにかく東京湾には船が多過ぎるし、特に大型タンカーが傍若無人に通っているということを指摘しています。そして、具体的な要求として、海上交通安全法施行規則附則第二項を再検討すべきだ、とにかくこの例外条項の中で事故が起こったのだから再検討せよ、さらに大型タンカーの航行を制限する必要がある、もう一つ、こういう例外規定が設けられて、さらに大型タンカーが傍若無人に頻繁に往来するというのは、その背景にシーバースがつくられているからだ、こういうところにシーバースがあること自体が問題だけれども、さらにこれが増設されようとしている、これは禁止すべきではないか、と、こういうことを私たち問題にしていますが、本当にこういう事故をなくするためにはこういう問題を解決することが緊急に必要だと思うのですが、海上保安庁、いかがですか。
  116. 山本了三

    ○山本説明員 原則的には先生の御指摘のとおりであろうと思います。  先生の御指摘のような線に沿って、海上保安庁といたしましては、東京湾におきます航行の障害の除去といいますか、あるいは超マンモスタンカーを東京湾に入れなくて済むようにといった方面の施策につきまして関係の機関と今後とも努力いたしてまいりたい、そのように考えます。
  117. 諫山博

    ○諫山委員 このたびの事故で直接被害が予想されるのは漁民です。きのうわが党の石母田議員が海上保安庁に赴きまして、栄光丸を将来移動する場合は漁業関係者の意見を十分聞いてもらいたい、一方的に海上保安庁の判断のみで強行するようなことはやめてもらいたいという申し入れをしたのに対して、善処しますという回答がなされたということが本日付の「赤旗」で報道されております。これは被害を最小限に食いとめて、そして事故防止を民主的に進めるという観点から見てきわめて当然のことだと思いますが、海上保安庁の公式の見解を聞きたいと思います。
  118. 山本了三

    ○山本説明員 昨日、三管区に先生が赴かれましてそういったことの要望があり、善処いたしますというふうにお答えしたということを報告を受けております。  栄光丸の事故にからみまして、これ以上油を流出を起こさせないということは当然のことであります。安全問題については漁業者あるいは関係者それぞれいろいろありますけれども、十分に意見を聞きながら善処してまいりたいと考えます。
  119. 諫山博

    ○諫山委員 海上保安庁を終わります。  次に、原子船「むつ」の母港の問題です。この点は科学技術特別委員会を初めとしてさまざまな委員会で論議されていますが、漁民の生活を守るという観点から二、三質問します。  長崎県の対馬が母港として最適地ということを政府は決めているようですが、これは現在も変わっていないのかどうか、科学技術庁の方に御説明願います。
  120. 中戸弘之

    ○中戸説明員 対馬の母港問題につきましては、先生御承知のとおり、地元の国会議員等に対します事前のごあいさつと申しますか、打診と申しますか……
  121. 諫山博

    ○諫山委員 対馬の母港を決めていることは変わっていないかということについてだけ答えていただけば結構です。
  122. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 簡単に願います。
  123. 中戸弘之

    ○中戸説明員 対馬の母港につきましては知事から白紙還元をしてくれという申し出がございまして、この申し出に対しまして、私ども長官よりこの申し出を了承するということでお答えしてございます。その状態は変わってございません。
  124. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、対馬を母港にする計画は放棄したと聞いていいんでしょうか。
  125. 中戸弘之

    ○中戸説明員 白紙還元の意味でございますが、私どもといたしましては、地元の意向を尊重しつつここしばらく静観をする、こういうことで了解をしております。
  126. 諫山博

    ○諫山委員 対馬を母港にする計画を放棄したのかと聞いているんです。正確に答えてください。
  127. 中戸弘之

    ○中戸説明員 私どもの公式的な態度といたしましては、ただいま申し上げましたとおり白紙還元をするという表現でございまして、かつ、その意味は、ただいま申し上げましたように静観をするということでございますので、そのように御理解いただきたいと思います。
  128. 諫山博

    ○諫山委員 そんなに回りくどいことを言わずに、簡単明瞭に言わないから事柄が紛糾するわけです。私の質問は、対馬を母港にする計画は放棄したのかと聞いているんです。これに対して、まず、なぜ正面から答えませんか。これに正面から答えられないというのは、計画を放棄したのではなくて、交渉を進めることをしばらく凍結するという趣旨なんですか。
  129. 中戸弘之

    ○中戸説明員 放棄したということではございません。静観という意味は、いわば私どもの方から一方的に、あるいは押しつけがましく交渉するということではございませんで、地元の方で事態の好転等によりまして安全性の説明等に来てくれという申し出がありますれば、そのようなときには喜んで参上する、こういったようなことでございます。
  130. 諫山博

    ○諫山委員 この問題の経過を見ていますと、科学技術庁の態度というものはまことにずる賢いです。白紙還元ということを長崎県知事に言明したと言う。白紙還元と言う限り、当然母港にする計画自体がなくなったんだと受け取ります。そこで、長崎県知事はそのように長崎県に帰って発表する。ところが、実際は母港化の計画そのものをやめたのではなくて、交渉をしばらく凍結するだけだというふうに言い方が変わっております。そして、私のただいまの質問に対してもまことに答弁が不明確である。これは地元民を愚弄する態度ですよ。白紙還元というような言葉を使うことをやめなさい。母港にすることを白紙還元したんじゃないんでしょう。そういう態度をとり続けながら地元の納得を得たいと言ってみたところで、だれが納得しますか。県知事を初めとして長崎県民をだましたという結果になっているじゃないですか。  そこで、佐々木長官のしばしばの言明で、中央の計画を地元に押しつけることはしない、地元の皆さんと話し合う、合意の上でします、ということを言っておりますが、だれと話し合うのかということが問題なんです。だれの合意を得ようとしているのかということが問題です。地元民の意向を代表するさまざまな住民組織、市民団体というものがつくられていますから、こういう組織とも相談し、こういう組織と合意を得た上で計画を進めるかどうかを決めるのだという趣旨と聞いていいでしょうか。
  131. 中戸弘之

    ○中戸説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、私ども、その前にまず地元の選出の先生方にごあいさつをして、それの段階を終わりましたところで直ちに地元の方々に直接お願いに上がるという手はずにしておったわけでございますが、その段階でああいう事態になりました。私どもの真意はいま先生のおっしゃったとおりでございます。
  132. 諫山博

    ○諫山委員 地元の皆さんと話し合うということを佐々木長官が強調するわけですが、地元の皆さんという場合には、市町村長や市町村議会はもちろんのこと、また、直接関係の深い漁業協同組合はもちろんのこと、さまざまな地元の組織などとも十分話し合って、その合意の上で態度を決めるのだと聞いていいですか。
  133. 中戸弘之

    ○中戸説明員 漁業団体等にとどまりませんで、いま先生のおっしゃいましたようなさまざまのいろいろな地域団体、市民団体があろうかと思いますが、そういったところとお話しを申し上げまして御了解を得る、こういう基本的な姿勢でございます。
  134. 諫山博

    ○諫山委員 先月の科学技術特別委員会の審議の中で、わが党の山原議員が札束でほっぺたを張り飛ばすようなことをやっているのではないか、そういうことはやめるべきだと質問したのに対して、佐々木長官が大変怒られまして、そんなことはやっていないし、そんなことはやるつもりもありませんという趣旨の答弁をしました。  そこで、札束でほっぺたを張り飛ばすようなやり方というのはなかなか文学的であるだけに正確な内容がつかみにくいのですが、佐々木長官が絶対にそういうことはしませんという趣旨は、たとえば地元の母港化に反対している組織に何らかの名目で金を渡したりするとか、あるいはみんなが希望している何らかの施設をつくってやるというようなことで反対運動をなだめるとか、懐柔するとか、そういうやり方はしませんという趣旨に聞いていいのでしょうか。
  135. 中戸弘之

    ○中戸説明員 おっしゃるとおりでございます。私もその衆議院の科学技術特別委員会の場に居合わせましたわけですが、山原先生からそういう御質問がございまして、大臣の方からは、科学技術庁はそういうことは全然考えていない、具体的な事実があったら御例示願いたいということでございましたが、山原先生の方からは御例示がございませんでした。私どもはそういうことは毛頭考えておりません。
  136. 諫山博

    ○諫山委員 地元住民の納得の上に進めるということが強調され、札束でほっぺたを張り飛ばすようなことはしないと言われましたが、そうすると、科学技術庁としてだけではなくて、いろいろな省庁が関係しているわけですが、政府としても、金で住民運動を懐柔するとか買収するというようなやり方ではなくて、あくまでも理論的にといいますか、科学的にといいますか、全然金銭の絡まない形で地元の納得を得たい、その納得が得られない限り、たとえば名前が出ている対馬においても、鹿児島県の甑島や種子島においても、さらに佐世保や長崎港においても母港化するようなことはしないという意味ですか。
  137. 中戸弘之

    ○中戸説明員 先生の御承知のとおりでございます。
  138. 諫山博

    ○諫山委員 水産庁に質問します。  長崎県が漁業県だということは言うまでもありません。とりわけ対馬では全産業の中で漁業が非常に大きな割合を占めています。たとえば新しい資料では、対馬全体の農業の生産額が九億九千万円で、工業製品が約十九億円です。ところが、漁獲高が八十七億九千万円で、対馬の産業の中では圧倒的な部分を漁業が占めています。とりわけ焦点になっている美津島町でも同様です。そして、この点は、鹿児島県の種子島とかあるいは甑島でも同じような点が指摘されております。こういうところで漁民が母港化に反対する。そういうときには水産庁としても漁業資源を守る、漁民の生活を守るという立場から無理押しをしないような側面的な援助が必要だと思うのですが、農林省、この点はいかがお考えですか。水産庁から説明を聞きます。
  139. 兵藤節郎

    ○兵藤政府委員 ただいまの先生のお話しの中で対馬の中での漁業のウエートの問題がありましたが、先生が八十七億という数字を挙げられましたが、私どもの調査では、漁獲金額約十億円というふうになっておりますので、一応申し上げておきます。  それから、こういった原子力船の定係港問題につきましては、私ども水産庁としまして直接的に関与しているわけではなしにまた、御相談にあずかっているわけでもございませんですが、水産庁は何といっても漁民の立場に立って物を考える役所でございますから、十分に漁民の利益が図られるように、そうしてまた既存の権益が侵されることのないように指導してまいりたいと思います。
  140. 諫山博

    ○諫山委員 最後の質問です。政務次官質問します。  漁業組合がいろいろな問題で現在ほど闘いに立ち上がった時期はかつてなかったと思います。さっき山原委員質問した赤潮の問題についても、あるいは油濁の問題についても、あるいは原子力船「むつ」の母港化の問題についても、漁民が漁業組合ぐるみ闘いに立ち上がっているが、これは日本の歴史上余り例がない現象ではないかと思います。それだけ漁民の生活がいまの政府の政治によって脅かされているということを示しております。水産庁から、水産庁は漁民の味方だと言われましたが、こういう科学技術庁の横暴、あるいは運輸省が所管している海上運送の危険性、こういう問題についてもっと漁民の生活を大事にするという観点から農林省が力強い発言を政府の中ですべきではなかろうかというふうに私は考えますが、いかがですか。
  141. 江藤隆美

    江藤政府委員 お説のとおりであります。兵藤部長が申し上げましたように、漁民があっての水産庁であることに間違いはありません。私どもはそのことに強い自信と、そしてまた責任を感じております。したがいまして、たとえばただいま政府部内でまだ調整がついていないのでありますが、領海十二海里宣言の問題についても、私ども農林省としては何としてもやりたい、そして沿岸漁民の権益を守りたいという、そういう思想が一つのあらわれとなっておることを御了承いただきたいと思います。  したがって、いまお話しの油濁の問題にしても、あるいはまた赤潮の問題にしても、あるいは工場排水等の問題にしても、私どもとしては、これは省あるいは出先の機能を挙げて、これ以上日本の近海の漁場が狭められて汚染されていくことは絶対に避けなければいかぬということで、特に国連海洋法会議にも私は出席をさせていただきましたが、残された日本の周辺の資源を守るということについてはこれから非常に大事な時期だ、これに改めて私どもは思いを新たにして取り組む必要があるということで、いま、大臣を中心に、水産庁長官を初め幹部の者と、どのように今後のそうした問題について取り組んでいくかということを積極的に協議しておるさなかでございます。
  142. 兵藤節郎

    ○兵藤政府委員 一つだけ、ただいま先生がお話しになった対馬の漁獲高でございますが、先生が八十七億とおっしゃったわけでございますが、私の手元の数字で十億と私が言いましたのは私の読み違えでございまして、いま正確に申し上げますと九十八億というふうになっておりまして、長崎県全体の漁獲高の約一〇%、こういうことでございますので、訂正させていただきたいと思います。失礼いたしました。
  143. 諫山博

    ○諫山委員 私の資料が最新のものかどうかわかりませんから、いまの数字を信用したいと思います。  終わります。
  144. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 次に、瀬野栄次郎君。
  145. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 グレープフルーツ、レモン等の違法添加剤検出問題並びに農業近代化資金融資問題について、農林省並びに厚生省当局に質問いたします。  この件については、去る五月二十二日の当委員会で質問を留保しておいたものでありますが、まず、最初に、グレープフルーツ問題からお尋ねしますが、ことしの二月に輸入を再開されました米国フロリダ産のグレープフルーツから、日本では許可されていない合成保存剤オルトフェニルフェノールが大量に検出されました。これは農林省蚕糸試験場の重松農学博士が検出したものでありますが、最大検出量は一六・九二ppmに達したと言われておりまして、グレープフルーツは昨年夏のミバエ問題で輸入を停止されていた経過があるだけに、食品衛生行政のずさんさが再び問題になっておったのであります。  四月以来この件についていろいろ質問する予定にしておりましたが、法案の審議の関係でなかなかできませんでしたけれども、いまだに問題が続いておりますので改めてこの問題を取り上げるわけですが、すなわち、違法合成保存剤オルトフェニルフェノールが大量に検出された問題は現在も全国に波及して波紋を投げております。厚生省は四月の五日早朝に緊急に未通関のグレープフルーツに輸出禁止を打ち出し、業者による自主検査の徹底を強めておられたわけであります。また、一方、農林省もこの措置を受けて輸入業者に行政措置の徹底を図っておられるわけであります。生産者団体の日園連とか各生産者等は事態を重視して、四月五日早朝、農林省に対して、問題が明確になるまで輸入を禁止すべきだという申し入れを行ったのも事実でありまして、その後消費者からも危険なものに対しては輸入を禁止してほしいという動きが起きておったことは当然のことであります。こういった経緯があったわけですが、その後一応落ちついてきたとは言われておりますけれども、まだまだ検査の不徹底から相当出回ってもおるし、大変心配されております。  そこで、以下お尋ねしてまいりますが、まず、厚生省に伺いますけれども、その後の対策といままでの経過について最初に答弁を願いたいと思います。
  146. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 先生のお尋ねの現在までの経過について御報告申し上げます。  ただいまの先生の御指摘のように、米国産グレープフルーツから、四月四日の時点におきまして、わが国で指定をしておりませんオルトフェニルフェノールが検出されたという連絡があったわけでございまして、この連絡に基づきまして、厚生省は、その時点におきまして保税倉庫に在庫しておりました米国産の柑橘類、すなわちグレープフルーツ、オレンジ、レモンにつきまして国内への移動を直ちに停止させたわけでございます。  この保税倉庫に在庫しておりましたこれらの柑橘類につきまして、オルトフェニルフェノールの検出を国立衛生試験所で実施いたしたわけでございます。国立衛生試験所におきまして検査をいたしました結果オルトフェニルフェノールが検出されたもの、いわゆる不合格のものがあったわけでございますが、このうちすでに一部が通関済みで市場に流通しておりましたものが九ロット、六万五千カートンあったわけでございますが、この六万五千カートンに対しまして国内での流通経路を調査いたしまして、違反のものにつきましてはそれぞれ回収するように指導いたしたわけでございまして、これが関係いたしております都道府県が、その時点におきまして二十九都道府県あったわけでございます。  その後、この二十九の関係都道府県がこれらの調査をした結果、一万三千カートンが回収されたわけでございまして、この一万三千カートンにつきましては積み戻しあるいは廃棄処分等を行っております。
  147. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省、いまの件について農林省としてはどういうふうに対策を講じてこられたか、お答えいただきたい。
  148. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいま厚生省の方からお答えがありましたように、四月四日にグレープフルーツからオルトフェニルフェノールが検出をされたわけでございます。そこで、この問題につきましては厚生省所管の問題ではございますが、農林省といたしましても重大な関心がございますので、直ちに厚生省の方に照会をいたしましてその状況把握に努めたわけでございます。それとともに、四月七日に、法律で禁止されているものが輸入された場合には流通上混乱が生ずるおそれがございます関係から、このようなものが輸入されないようにということで、柑橘の輸入業者に対しまして、柑橘輸入に際しましては食品衛生法にのっとりまして輸出業者と十分連絡をとりまして対処するよう指導をいたしたわけでございます。現在も、厚生省の方とは、さらにその後の経過等につきましても照会をし、事態の把握に努めておるわけでございます。  それで、農林省としましては、このような食品衛生法に違反した添加剤を使用した果物が今後輸入されることのないように、米国の輸出業者のわが国食品衛生法の遵守と厚生省によります的確な検査が行われますことを強く期待をいたしておる、こういう状況でございます。
  149. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この合成保存剤オルトフェニルフェノールというのは食品衛生法第六条違反の化学合成物質でありまして、米国では一〇ppmを最大許容限度に使用を認めているわけですけれども、日本では認めていないのは御承知のとおりであります。わが国で認めているのは、グレープフルーツ、レモンなどの合成保存剤に対してはジフェニールで、これは最大許容濃度七〇ppmだけを認可しておるというわけであります。しかし、このジフェニールが保存剤として認められておるというのだけれども、実際にオルトフェニルフェノールがついてきているという事実がありますので、これについて十分に検査体制を強化するということも当然でありますが、農林省も厚生省と密接な連絡をとってやってもらわないと国民は大変不安であります。  そこで、逐次尋ねてまいりますけれども、松元農蚕園芸局長名で、去る四月に、二百余りの輸入業者に対して該当するグレープフルーツの輸入を中止せよという警告書を出していることは事実でありますが、その後われわれが聞いていることによりますと、農林省は、日本へ輸出しても売れない、グレープフルーツ全体の輸入中止ではないというふうに強調しておるようですけれども、この点の経緯は明確でないのですが、どういうふうに措置をしてこられたのか、その状況対策を詳しくお答えをいただきたい。
  150. 二瓶博

    ○二瓶説明員 先ほども申し上げましたように、四月七日に、農蚕園芸局長名をもちまして、二百ほどの輸入業者に対しまして、法律で禁止されているものが輸入された場合には流通上混乱が生ずる心配があるから、輸入に際してはわが国の食品衛生法にのっとって海外の輸出業者と十分連絡をとって、そのようなものが輸入されないように、そういう違反がない姿で輸入をするという形にするように指導をした、こういうことでございます。したがいまして、グレープフルーツなりそういうものにつきましての輸入の禁止というような趣旨で出しておるものではございません。
  151. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 厚生省にお尋ねしますが、先ほど概況と対策報告を受けましたのですが、二十九都道府県に対して移動禁止等いろいろ行ったということでありますが、それの具体的な検査の結果というか、確認についてはどういうふうになっていますか。
  152. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、六万五千カートンのうち、われわれが各都道府県に連絡をとりました段階におきまして在庫しておりましたものが一万三千カートンでございまして、このものにつきましては積み戻しあるいは廃棄を行ったわけでございます。  そのほか、国内にすでに流通しておりましたものを関係各都道府県が独自に検査いたしておるものがあるわけでございますが、これが一道一都四県八市でこの検査を行っております。これらにつきましてはただいま数字等も集計中でございますが、すべて各都道府県知事あるいは政令市長の権限に基づきましてこういつた検査を実施いたしております。
  153. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その積み戻しをしたものが幾らで、廃棄したものが幾らで、また、都道府県でいま集計中とかいうのだが、それはいつごろわかるのですか。それをはっきりと具体的に聞きたいというわけです。
  154. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 ただいま正確な数字は持っておりませんが、回収いたしたものはほとんどが積み戻しを実施いたしております。
  155. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その具体的な数字、つまり、どこの県で幾らだというようなことはいつごろわかるのですか。もうわかっているのですか。
  156. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 目下集計中でございまして、早急にこういった数字をまとめたいと思っております。
  157. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 集計中だということでありますが、ぜひ早急に集計して、その数字を資料として出していただくように委員長からお取り計らいいただきたいと思います。
  158. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 まとまり次第提出いたしたいと思います。
  159. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 厚生省にさらにお伺いしますけれども、業界の自主検査によるということについては、予算もないし人員も足らぬということで厚生省ではこういうことがなされていないかと思うのですけれども、厚生省の行政のずさんさということが大変問題になっている。  御存じのように、いろいろな添加物とか合成剤がいま大変問題になっており、国民の関心も強いわけです。そこで、厚生省に予算がないということで業界の自主検査によるとしておられることについては賛成できかねる、これは問題だ、と、こういうふうに私は指摘するわけです。と申しますのも、業界が検査し終わった後に厚生省がやるということになっても、その後幾らでも出てきた例があるわけです。業界の自主検査だけでは当てにならぬということが言われております。だから、厚生省自身がやらなければ国民は安心してこういうものを食べることはできないと叫んでおるわけです。  また、厚生省は食品衛生法の趣旨を自分で貫くという信念を持って改めて行政を行っていただきたいと私は申し上げたいのです。人、予算がないというのであれば、要求して予算を取って強化すべきである。これは国民の健康にかかわる問題であります。昨日も、実は飼料の品質等の改善問題で厚生省、農林省にもいろいろと問いただし、審議をしてまいりましたけれども、将来の日本の国民の健康ということを考えた場合に、これは重大な問題であると私は思うわけです。  そこで、食品衛生法となりますと消費者サイドなので、農業団体または日園連等が厚生省に行ってもなかなか相手にしてもらえない、本当に要望を聞いてもらえぬということで、今日までまさに批判の的になっておりますけれども、こういったことでは相ならぬと私は思う。輸入物ということになれば、これは厚生省が検査するとしても、実際には日本にもたくさんの果物があるわけでございまして、日本の国内産の果物にも影響する、イメージダウンするということで、これはほうっておけない問題であります。そういった意味からもぜひひとつ不信を取り除いてもらいたい。農林省ともよく連携をとりながら、輸入食品の検査体制については十分な厚生省の予算と拡充した人員で今後の行政を実施してもらいたいと強くお願いするわけですが、局長の見解を承りたい。
  160. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 輸入食品の検査につきましては、先生の御指摘のようにわれわれも従来から努力しておるところでございますけれども、御承知のように、われわれの検査体制の整備以上に最近輸入食品の量がふえておるわけでございまして、なかなかこの検査が完全には行き届かない状況にあるわけでございます。その点、われわれは毎年検査体制の整備に努力をいたしておるところでございますが、今後ともさらに監視員の増員あるいは検査器械設備の整備ということに努力いたしてまいりたいと思っております。  ただ、食品の輸入の問題でございますが、われわれが一つの検査体制をしきまして、これに基づいての検査を行うということも必要ではございますけれども、片一方におきまして、輸入業者と申し上げましょうか、食品取扱業者というものが国民の健康を考えてそういった違反食品を取り扱わないようにすることも必要かと思うわけでございまして、そういった点につきまして、こういう柑橘類なら柑橘類を取り扱っております輸入商社がわが国の指定されております添加物についての正確な知識を持ちまして違反食品を輸入しないというようなことも必要かと思うわけでございまして、そういった点につきましては、今後とも農林省と連絡を密にいたしまして取扱業者の指導に当たってまいりたいと思っております。
  161. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 このグレープフルーツ問題については農林省にお伺いしたいが、このほかに飛行機で入れるものもあるわけです。もちろんこれは植防関係で十分検査をしてやっていただいているだろうと思うのですけれども、飛行機によるところの輸入というようなことも十分考えなければならぬ。と申しますのは、最近特にレモンの場合なんかは一個が二百円から三百円もする。場合によると五百円もするということになって、輸入業者もあの手この手でいろいろと輸入してもうけようとするようなこともありますので、厚生省の方とも連絡をとりながら、飛行機による輸入等についても十分対処していただくようにお願いしたい。かようにお願いをしておくわけです。  と同時に、今回の問題については、農林省の態度が厚生省のいはば検査待ちの態度だというか、確認された後でというような態度で、どうも厚生省の後追いになっているような感じがしてならなかったわけです。今後もそういうことがあってはいけないけれども、これは将来も起きる可能性があるという関係から、農林省としてもこういう国民の健康に関係する問題については積極的に厚生省と連携をとりながら、セクト主義を排してやっていただきたいと思うわけですけれども、農林省当局の今後のこれに対する決意のほどを承りたい。
  162. 二瓶博

    ○二瓶説明員 グレープフルーツ、レモンその他、輸入柑橘類の問題につきまして、このたび食品衛生法上使用を認められていない合成保存剤が発見されたということははなはだ遺憾でございます。食品でございますので、当然国民の健康の問題がございますし、それからこういう果物の流通、消費という面にも非常に大きな影響が出るわけでございます。そういう角度からいたしまして、所管は厚生省のことではございますけれども、農林省といたしましても十分厚生省と連絡をとりまして、こういう面についてはこういう事態が出ないように十分対処してまいりたい、かように考えるわけでございます。
  163. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、グレープフルーツに続いてレモンからもこれが検出されたということが問題になっておるわけですが、この件について若干お尋ねをいたしたいと思います。  まず、厚生省にお伺いしますけれども、カリフォルニア産のレモンの一部から同じ合成保存剤が厚生省指定の検査機関で検出されたということが、四月の十日と思いましたけれども、明らかになったわけです。このレモンのうちの大部分はすでに市中に出回っております。そして、厚生省の調べによると、すでに出荷したかび防止剤つきのレモンの量は九百カートンである。一カートンは約十七キロとされておりますが、このうち東京と群馬県に三百カートンずつ、埼玉県に二百カートン、愛知県に百カートンが出回っている。そしてあと百カートンが在庫で残っておるというふうに私は聞いておるわけです。すなわち、三月末に東京品川埠頭に荷揚げされたもので、商標がディスプレイという商標でありまして、千カートン輸入したわけですが、厚生省指定の検査機関であるところの日本食品衛生協会とか食品衛生研究所の検査によってはっきりしておるわけですが、一ppmのオルトフェニルフェノールが検出されたということでございますけれども、こういったことは事実であるかどうか。そして、また、百カートンが残っておるけれども、これはどうなっておるのか、そして、これ以外に出回っているという心配はないのか、その辺、局長から御答弁をいただきたい。
  164. 三浦大助

    ○三浦説明員 先生のいまお尋ねの個々の数字につきましては現在集計中でございまして、まだ細かくはわかっておりませんが、全体として輸入数量が約六万五千カートンばかり入っております。市場に流通した柑橘類でございますが、六万五千カートン入って、そのうち保税倉庫に残っておったものが一万カートンでございまして、回収分が約千三百カートンで、残りは先生の御指摘のように市中に出回っておるわけでございますが、ただいまの先生の御質問の濃度につきましても、大体一から四ppm程度のものが出たということでございます。
  165. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま課長が言ったのはグレープフルーツとレモンとを混同しているのじゃないですか。ぼくは、さっきはグレープフルーツのことを聞いて、今度はレモンのことを聞いているのだよ。
  166. 三浦大助

    ○三浦説明員 大変失礼いたしました。  いま柑橘類を全部合計して申し上げましたが、レモンにつきましては、輸入数量が約六千四百カートン通関を通ったということでございまして、そのうち事件が発覚いたしましてすぐに私どもが倉庫で押えたものが約七百カートンでございます。それから回収できたものが約八百カートンございまして、したがって、約五千カートン足らずのものが市場に出回ったということでございます。
  167. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 オルトフェニルフェノールのついたレモンが五千カートンも市場へ出回っているということになると大変な問題であるが、私の調査によると、東京と群馬県に三百カートンずつ、埼玉県に二百カートン、愛知県に百カートンぐらい行っているというふうに聞いているけれども、かなりの県に出回っていると理解していいですか。
  168. 三浦大助

    ○三浦説明員 私ども、生産地別、船別にロット編成をいたしまして、そのロットで検査をしているわけでございます。それで、オルトフェニルフェノールが見つかったロットにつきましては、これを取り扱った業者に直ちに回収させて、あわせて都道府県にその回収を確認させるという手段をとってきたわけでございますが、その際、全国の都道府県で市場に出回りましたものは二十九都道府県でございました。
  169. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長もお聞きになっておると思うが、何かしどろもどろで混乱してはっきりしていないのだが、グレープフルーツ、レモン、オレンジといったものは同じような取り扱いのものでありますから、そんなに資料がないわけはないと思うのだし、きょうは質問するということは通告をしてあるわけですから、これは当然に明快に答えてもらいたいと思いますが、何か歯切れが悪くてどうも納得がいかない数字なので、次々に質問しても、こちらまで聞くのが何となくためらわなければならぬような感じがしてならぬ。  いずれにしても、現在市中ではレモンが相当問題化されておって、国民にとっては大変な問題で、さっきから言うように一個が五百円もした場合もあるし、一個二百円も三百円もするということだから、必要なものは最小限入れなければならぬということは安定供給の面からわれわれも了としておりますけれども、御存じのようにグレープフルーツならば皮をむいて中を食べる。中身を食べるからまだしもということが一応は言えるけれども、レモンとかオレンジというようなものは外皮ごとこれを小刻みにして料理に使ったりして、外皮ながら食べるわけです。または紅茶の中に輪切りにして入れるということで、皆さん方も常に飲んでおられると思うが、厚生省はこれを洗えばまず心配なかろうというようなことも言われるけれども、実際これがどの程度洗えばいいものか。  日本で禁止されているものを入れるということは、これはいわゆる違反なんです。こういったものを見逃すわけにいかないし、また、現に入っているものについては厳しく調査をし、検査をして回収する、処分する、そしてまた国民の健康保持上からも対策を講じなければならぬ、積極的にやらなければいかぬというのに、どうしてもその辺がはっきりしないというような感じがしてならぬ。局長、そういう面についてはどういうふうにして国民に安心させるようになさるのか、はっきりと答えていただきたいと思うのです。
  170. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 今回の事件が発生いたしまして、われわれがそういった柑橘類が輸入されているということを知りましたのが四月四日の時点でございまして、したがいまして、四月五日以降通関手続がとられたものにつきましては新たな観点からこの検査を実施いたしておるわけでございまして、それ以降に通関をされたものについては、そういった指定されていない防ばい剤が添加されているものはないというふうにわれわれは自信を持って、確信をいたしておるところでございます。  ただ、四月四日以前に通関をいたしましたものにつきましては、すでに市場にこれが出回っておったわけでございまして、この市場に出回っておりましたものにつきましては、これは国内商品でございますので関係都道府県にお願いをし、督励をいたしまして検査を実施するとともに、違反の物品につきましてはこれを回収するよう措置をとったところでございます。
  171. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長、そこでさらにお尋ねしておきますけれども、国立衛生試験所で問題のレモンの再検査ということを今後も引き続き早急に実施をしてもらいたいと私は思いますし、オルトフェニルフェノールの含有の確認をやっていただいて、そして輸入業者を食品衛生法六条違反で、すなわち添加物違反で処分するという厳しい対策方針で臨まなければならぬと思うのだが、今後もあることなので、こういうことについては早く結論を出して、そして十分に対処してもらいたいと思うわけですが、その点局長はどう考えておられるか、さらにお答えをいただきたい。
  172. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 先ほど来議論しておりますところは、こういった柑橘類の輸入時点におきます検査の問題であったわけでございますが、こういう違反の食品がわが国に輸入されないためには抜本的な制度の改正が必要かと思うわけでございます。すなわち、食品衛生法第十六条に基づく輸入届け出の届け出事項の改正等も必要かと思うわけでございまして、輸入食品の衛生を確保するために十分な届け出事項を定めて、これを励行させることも必要かと思うところでございます。  さらに、これはまだ外交上の問題でございまして、これが成功するかどうかはわかりませんけれども、アメリカにおきましてこれを輸出する時点において、輸出検査等による衛生証明書の添付ということも可能かと思うところでございまして、そういった問題につきましてさらに今後農林省の方と連絡を密にしながら検討してまいりたいと思っております。
  173. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、農林省も厚生省も、国民が重大関心を持っておりますこの問題については十分連携をとりながら、毎日毎日食している問題でありますから、国民が安心してこれを利用できるように対策を特に厳格に講じていただくこと、このことを私は強く要望します。  なお、農業近代化資金融資問題とただいまのグレープフルーツ、レモン、オレンジ問題について十分に質問ができなかった問題については、次回にこれを譲りまして、本日は以上で質問を一応終わることにいたします。
  174. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 次に、今井勇君。
  175. 今井勇

    今井委員 時間も大分たちましたのと、私の質問の大半を同僚議員からただいま質問をされましたので、したがいまして、二つの問題だけに限りまして、同様な問題でございますけれども念を押しておきたいと思います。時間がございませんので私が二点を全部しゃべりますから、それについて政府の見解をお聞かせ願えればよろしいかと思います。  第一点は、ただいま問題になりましたOPP、オルトフェニルフェノールの使用は現在わが国においては認めておられません。現在はジフェニールだけでございますが、私どもの調べたところによりますと、このOPPの毒性というものは、ジフェニールと比べましてまさるとも決して劣らぬものであるようであります。したがって、政府は、防かび剤としていま政府が認めておられますジフェニールに加えてOPPのようなものをさらにお認めになるというようなことはさらさらないであろうと思いますが、その決意はどうかということが第一点でございます。     〔藤本委員長代理退席、中川(一)委員長代理着席〕  それから、第二点は、日本のそういった果物に対します監視機構は、わが国では十三の海港と二つの空港で食品衛生監視事務所を置いておられますが、その総人員はわずかに五十名足らずと聞いておるわけです。しかも、そのところに大量の果物が入ってきておるわけで、実際になかなか行政検査の手が届かないというところから自主検査というものをやっておられると思いますが、私の聞いた範囲でございますと、その自主検査の結果が、後ほど行政検査で再検査をしてみると合格率もはなはだ少ないということもあったというふうに聞いております。したがって、ただいまのその機構、これは組織を含めてでありますが、これをよほど抜本的に改めないと、国民が知らない間に非常に危険な防かび剤が入ったものを食べさせられるということになりかねません。しかも、ただいまWHO等ではそれぞれの単体についての安全性は言っておられるようでありますが、これが複合された場合にどうなるかということについては現在はわかっていないというのが本当であろうと思います。したがって、そういったものが単体で使われないで複合されることも、いろいろな薬品を使っておるわけですからあり得ると私は思うわけで、そういう意味からも、厚生省は監視体制についても今後具体的に一体どう考えるのか。  その二点だけをお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  176. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 まず第一の、OPPの使用を今後どういうふうにするかという問題についてお答え申し上げます。  消費者の健康の保護と食品の公正な取引とを目的といたしまして、現在、百五ヵ国参加のもとに、WHOとFAOが一緒になりまして国際食品規格委員会がつくられておるわけでございまして、この委員会の中におきましてただいま御指摘のOPPについての検討が行われておるわけでございまして、その結果につきましては、ただいま先生御指摘のように、一九七〇年にすでに安全性が評価され、一日摂取許容量も定められておるわけでございまして、その段階は第九段階と申し上げましょうか、ステップ九に進んでいる実情にあるわけでございます。  こういったものを今後わが国がどういうふうに取り扱っていくかということでございますが、やはり、今後世界各国が一体どういうふうにこの勧告を受諾していくかという問題もあろうかと思うわけでございまして、わが国以外の各国の受諾状況も十分今後参酌して、わが国の国民の健康を守る立場に立って検討いたしたいとは思っております。  なお、輸入食品だけを特別の扱いにするわけにはいかないわけでございまして、したがいまして、このOPPの問題につきましては、今後いかなる取り扱いをするにいたしましても、大臣の諮問機関でございます食品衛生調査会で十分御審議願う必要があろうかと思うわけでございますが、ただ、こういった添加物につきましては、ただ単に毒性の問題だけではないわけでございまして、その必要性を十分考慮いたしまして、安全なものであってもできるだけこれを食品から排除していくという基本的な姿勢で今後対処してまいりたいと思っております。  それから、第二番目の点でございますが、監視機構の整備の問題につきましては、今後ともできるだけその機構の充実には努力いたしてまいりたいと思っております。  ただ、今後とも自主検査というものの必要性はあろうかと思うわけでございます。特に、輸入業者がその自覚を持って違反食品を排除していくというような観点からすれば、今後とも自主検査が必要であろうかと思っておるところでございますが、ただ、その自主検査が行政検査と結果的に異なるということは非常に残念なことでございまして、われわれといたしましては今後さらにそういった検査機関の指導というような技術的な指導というところにも努力してまいりたいと思っております。すなわち、自主検査の制度を向上させるということがまず第一に必要かとも思っております。  さらに、輸入業者の相手国商社との間におきます契約上の問題等もあるわけでございまして、業界の指導といった点につきまして、今後農林省の方とも十分連絡をとりながら善処してまいりたいと思っております。
  177. 今井勇

    今井委員 最初の点の答弁ですが、再度確認しておきますが、いやしくも国民の間に危惧があり、かつ、その毒性について、単体のみならず複合的なものの場合に、まず解明されていない現状においては、他の新しい防カビ剤等を政府みずからが軽々に認めることはないのだというふうに理解をしてよろしゅうございますか。それだけ念を押しておきます。
  178. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 こういった添加物を許可いたします場合に、毒性の面から申し上げますとただいま先生御指摘のとおりでございます。  さらに、毒性の面以外の点からもこの添加物については考慮しなければならないわけでございまして、その必要性について国民のコンセンサスが得られることが必要かと思います。
  179. 今井勇

    今井委員 終わります。
  180. 中川一郎

    中川(一)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十一分散会