○
中川(利)
委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、
飼料の
品質改善に関する
法律の一部を
改正する
法律案に対する修正案の提案理由を説明いたします。
畜産飼料の
品質が優良であるかどうかは、
畜産物食品の安全を
確保するためにも、また合理的な
畜産経営を行うためにもきわめて重要な意義を持っています。ことに、抗生
物質などの多量の
添加物が
飼料に混入されていたり、また、原
材料の
配合割合が
表示されていない現状のもとでは、
添加物の
規制強化と
配合割合表示を求める要求が
消費者と
畜産農民の強い運動として高まっているのは当然であります。
政府案はこの要求と運動によって余儀なくされたものであり、一定の
改善を含んでいますが、同時に、
飼料メーカー、薬品メーカーの圧力に押され、重要な点であいまいさと不十分さを残すものとなっています。
第一に、
飼料原
材料の
配合割合表示の問題であります。
最近の
飼料の値下げにもかかわらず
飼料による経営危機が続く中で
配合飼料の
品質が低下し、産卵、成育、肥育、搾乳量が現実に悪くなったことが多くの農民によって
指摘されています。また、自家
配合飼料によって飼育した
家畜が各種の品評会等で最優秀賞を獲得していることの影響は、自家
配合の権威を高め、メーカーお仕着せの
配合飼料への疑惑を増大しています。このような疑惑を晴らすこと、さらにまた、効率が高く、良質の
家畜を
生産できる
飼料の農民による研究と工夫の前進は、
飼料原
材料の
配合割合の公開を必要不可欠の事態にしています。
ところが、
政府は、
配合割合の
表示は、せんじ詰めればそれが
企業秘密であり、原価の公開につながるというメーカー側の反対を理由にして、ついに
改正案に明確な形で盛り込まなかったことは見過ごすことのできないものであります。
第二に、
添加物の
規制基準の問題であります。
現在、
飼料には、成長促進という名目で抗生
物質、サルファ剤など抗菌剤が年間三千七百四十トンも混入されており、常時、豚、鶏、牛に与えられています。このため、多くの学者によって耐性菌が増加する危険性が
指摘され、その対策の確立の急務が強調されています。各種の病原菌に対する特効薬として従来
使用されていた抗菌剤が効かなくなるという耐性菌の増加は、新抗菌剤の発見がきわめて困難になってきている現在、保健、医療上の重要問題であります。
ところが、
政府案の
規制基準にはこの耐性菌増加防止が明示されていません。
第三に、
販売を
禁止される
飼料または
飼料添加物の問題であります。
政府案では「有害な
物質を含む」ものに限定されていますが、「その
疑いのあるもの」を加え、
安全性の強化を図る必要があります。現に
食品衛生法では
疑いのあるものにまで
規制を広げています。
日本共産党・革新共同は、
政府案のこのような弱点を克服し、真に
畜産農民の経営と国民の健康を守るために本修正案を提案するものであります。
次に、修正案の概要を申し上げます。
一、
飼料原
材料の
配合割合を
表示することを
製造業者等に対し
義務づけること。
二、
飼料及び
飼料添加物の
安全性の
確保を図るための
基準及び
規格を
設定し、
改正し、または廃止しようとするときに考慮すべき
見地として、新たに「抗生
物質やサルファ剤などの抗菌剤に対する耐性菌の増加を防止する
見地」を加え、この点については
厚生省
大臣との協議
事項とすること。
三、有害な
物質を含む
飼料等の
販売禁止の項目に、「有害な
物質」だけでなく、さらに「その
疑いのあるもの」を加えること。
以上が修正案の提案理由及び概要であります。
何とぞ慎重な御
審議の上、御可決をいただきたく、以上提案する次第であります。(拍手)