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1975-06-03 第75回国会 衆議院 農林水産委員会 第24号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十年六月三日(火曜日) 午前十時三十分
開議
出席委員
委員長
澁谷
直藏君
理事
今井 勇君
理事
笠岡 喬君
理事
坂村
吉正
君
理事
中川
一郎
君
理事
藤本 孝雄君
理事
井上 泉君
理事
芳賀 貢君
理事
津川 武一君 足立 篤郎君
愛野興一郎
君 伊東 正義君 片岡 清一君 熊谷 義雄君
佐々木秀世
君
島田
安夫君 丹羽 兵助君
角屋堅次郎
君 柴田 健治君
島田
琢郎君 竹内 猛君 野坂 浩賢君 馬場 昇君 美濃 政市君
米内山義一郎
君
中川利三郎
君
瀬野栄次郎
君 稲富
稜人君
出席国務大臣
農 林 大 臣
安倍晋太郎
君
出席政府委員
農林省畜産局長
澤邊 守君
農林水産技術会
議事務局長
小山 義夫君
水産庁次長事務
代理 兵藤 節郎君
委員外
の
出席者
厚生省環境衛生
局乳肉衛生課長
岡部 祥治君
農林省畜産試験
場栄養部飼料資
源開発研究室長
吉田 実君 参 考 人 (
地方競馬全国
協会会長
、元飼
料品質改善制度
研究会座長
)
太田
康二
君 参 考 人 (
東京大学農学
部教授
)
藤巻
正生
君 参 考 人 (
全国農業協同
組合連合会常務
理事
)
永松
英二
君 参 考 人 (
協同組合日本
飼料工業会会
長)
河田
四郎
君
農林水産委員会
調査室長
尾崎 毅君 ————————————— 本日の
会議
に付した案件
飼料
の
品質改善
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第五二号) ————◇—————
澁谷直藏
1
○
澁谷
委員長
これより
会議
を開きます。
飼料
の
品質改善
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
とし、
審査
を進めます。 本日は、まず
本案
について
参考人
から
意見
を聴取することといたします。 本日御
出席
の
参考人
は、
地方競馬全国協会会長
、元
飼料品質改善制度研究会座長太田康二
君、
東京大学農学部教授藤巻正生
君、
全国農業協同組合連合会常務理事永松英二
君、
協同組合日本飼料工業会会長河田四郎
君、以上四名の方々であります。
参考人各位
に申し上げます。
参考人各位
には御多用中にもかかわらず本
委員会
に御
出席
をいただきまして、まことにありがとうございます。 本
委員会
におきましては、ただいま
議題
といたしました
本案
について
審査
をいたしておりますが、
本案
につきまして、
参考人各位
のそれぞれの立場から忌憚のない御
意見
をお聞かせいただきたいと存じます。 なお、議事の都合上御
意見
を一人十五分
程度
、
太田参考人
、
藤巻参考人
、
永松参考人
、
河田参考人
の順序でお述べいただき、その後
委員
からの質疑がありますので、これにお答えをいただくことにいたしたいと存じます。 それでは、
太田参考人
にお願いいたします。
太田康二
2
○
太田参考人
ただいま御紹介を賜りました
太田
でございます。 ただいま当
委員会
において
審議
をされております
飼料
の
品質改善
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
の
前提
として、
畜産局
が
飼料品質改善制度研究会
というものを一昨年の十一月に設けられたのでございますが、私はその際
委員
の一人に選ばれまして、
委員
の互選の結果
座長
の職を相務めまして、前後約六回にわたる
審議
をいたしまして、
畜産局
から
検討
を命ぜられました各
項目
につきましての
研究会
としての
意見
を一応
取りまとめ
まして御
報告
を申し上げたわけでございますが、これらの
報告書
の
内容
につきまして御説明を申し上げ、それが現在
審議
をされておりますところの
改正法律案
の中にどういうふうに具体化されておるか、織り込まれておるかというようなことにつきまして、私の
考え
を述べさせていただきたいと思います。 最初に
研究会
が設けられまして、私
ども
が
農林省
から現在の
飼料
の
現況等
につきましての
現状認識
を得るための説明を伺いまして、その際、現在の
飼料
の
品質改善
に関する
法律
が昭和二十九年に制定されたわけでございますが、その後三十一年に
公定規格
に伴いますところの
改正
をいたした程度で今日まで推移をしてきたのであります。しかしながら、近年、
畜産物等
を通じての
有害物質
による
人体
への影響の問題あるいは
抗生物質
を初めとした
飼料添加物
の
家畜体内
での
残留性
の
問題等
が取り上げられまして、これらの問題の防止に対する
社会的要請
が非常に高まってきておるのであります、従来これらの問題は、
家畜家禽
に対する
栄養効果
の
確保
という観点からの
規制
だけが
法律
で取り上げられておったわけでございますが、これらの
品質
問題と並びまして
飼料
の
品質
問題が重要な課題となってきて、そこで、これらの問題について
検討
をしてもらいたいという
前提
で
研究会
が始められたわけでございます。
研究会
が
検討
いたしました
事項
は全部で八
項目
ございまして、これを順次申し上げますと、
飼料
の
範囲
につきましての問題が第一点で、第二点が
業者
の
届け出制度
の問題でございます。第三点が
飼料
の
登録制度
と
公定規格
、第四番が
表示
の
制度
、第五番が
飼料
の
添加物
、第六番が
異物
、
有害物質
の
規制
、第七番が新
飼料
の
取り扱い
、第八番が
検査制度
ということになっておるのでございます。 先ほど申し上げましたように、四十八年十一月五日に第一回の
研究会
が開かれて以来、六回にわたりまして
審議
を重ね、四月二十日に一応
会議
を終わったわけですが、その後
起草小委員会
を設けまして案を練りまして、最終的には五月二十日の
研究会
にかけまして、各
委員
の方の御了承をいただきまして
農林省
に提出した、かような経過でございます。 そして、この
研究会
としては、これは特に
農林省
の配慮であったかと思いますが、どちらかといいますと直接業界の関係の方は除かれておりまして、主として
学者先生
を中心とした、いわゆる
学識経験者
の集まりによって
研究会
が持たれたということでございます。 それでは、以下
項目
を追いまして、
研究会
の
報告
の
内容
並びにそれがいかに今回の
改正法律
の中に織り込まれたかという点につきましての私の
考え
を申し上げたいと思います。 まず、第一は、
規制
の
対象
となる
飼料
の
範囲
でございますが、現在の
法律
では、「ふすま、
油かす
、
魚粉等家畜家きん
の
栄養
に供されるものとして
農林大臣
の指定するもの」というのが
飼料
だと
定義
づけられておったわけでございますけれ
ども
、
飼料
の
事情
が
法制定
当時と非常に変わりまして、いろいろと新しい
行政
上の要請が出てきており、特に、
農林大臣
の指定がないものがそのまま流通する場合には法の
規制
が全く及ばないというような難点があるということが
現状
の問題として提起されました。 さらに、御
承知
のとおり、水産物におきましては、とる漁業からつくる漁業へということで、
養魚用
の
飼料
というものがかなり
生産
もふえておる。これらにつきまして
現行法
では
法的規制
が全く及んでいないというようなことはやはり問題があるのではないかというような
問題点
が指摘されたのでございます。 なお、それ以外に、最近におきましては、
愛玩用
の
動物
とかあるいは
実験用
の
動物用
にもえさがつくられて供されているというような事実もあるので、これらについても
品質保全
の面あるいは
公正取引
の
確保
の面から
法的規制
を行わないことは問題があるのではないかというような点が指摘されたのでございます。 そういった
問題点
を踏まえましての
委員会
の
意見
の集約といたしましては、
飼料
の
定義
といたしましては、いわゆる
経済動物
としての
家畜家禽
、豚、鶏、
牛等
はもちろんでございますが、
養魚用
のものあるいは
愛玩動物
、
実験動物等
を含めた広義の
家畜
に対する
飼料
が
対象
となり得るように改めて、必要なときには何どきでも具体的にその
生産
、
流通等
を
規制
し得る体制を整備することが望ましいというような
報告
に相なっておるのでございます。 これにつきまして、今回の
改正法律案
におきましては、「
家畜等
」につきましては、「
家畜
、
家きん
その他の
動物
で政令で定めるものをいう。」というふうに第二条の一項で
定義
をなさいましたし、
対象動物
に
養殖魚
を含み得るようにするというようなことで、
飼料
の
定義
につきましても、一々
農林大臣
の指定をまたなくても、「
家畜等
の
栄養
に供することを
目的
として
使用
される物をいう。」ということで、私
ども
が要望いたしましたように、機動的に発動し得るようなことに以上の二項で相なっているようでございますので、私
ども
といたしましては、私
ども
の
報告書
の
内容
がおおむね実現を見たというふうに
考え
ております。 それから、第二に、
業者
の
届け出制度
でございますが、
現行法
では
製造業者
と
輸入業者
だけにつきまして
一定
の
届け出義務
が第三条によって課せられておるのでございますが、
改正法
の十八条によりまして、
届け出
の
範囲
について、
対象業者
あるいは
報告
する
事項
につきましても私
ども
の
報告
にございますような点がかなり取り入れられての
改正
が行われたと解釈をいたしております。
現行
の
制度
は、申し上げましたとおり
製造業者
と
輸入業者
に限っておるのでございまして、しかも、
飼料
につきましても特定の
飼料
に限られておったのでございますが、新しく
飼料
の
添加物等
をこの
法律
の
規制
の
対象
に加えるというような
研究会
の
考え
もございまして、えさだけではなしに
添加物
につきましても
製造業者
、
輸入業者
、
販売業者
につきまして
報告義務
を課すべきであるというようなことに相なったのでございます。もちろん、従来は、
飼料添加物
につきまして特に
法的規制
がございませんでしたからそういったことは行われなかったわけでございますけれ
ども
、今回新たにこれをこの
法律
の
対象
にして
規制
をするということにいたしまして、えさと
同様添加物
につきましても
届け出義務
を課するべきであるということにいたしたのでございます。 それから、従来は
販売業者
につきましての
届け出制度
がなかったわけでございますけれ
ども
、
飼料需給規模
の拡大、
飼料種類
の
多様化等
、
飼料
をめぐる
情勢
が
法律制定
当時と大いに異なっておりますので、
販売業者
につきましてもやはり
一定
の
届け出義務
を課すべきであるというような
意見
が強かったのでございます。 要するに、今回のこの
研究会
における
報告書
におきましては、「
飼料添加物
を
法規制
の
対象
に加えるとともに、その
前提
として
実態
に応じ必要な限度で
飼料
同様その
製造
、
輸入
又は
販売業者
に対し
届出義務
を課する必要があろう。」ということにいたしたのでございます。したがいまして、これを整理いたしますと、
製造業者
につきましては、現在、
配混合飼料
、一部の
単体飼料
につきましての
届け出義務
があるわけでございますけれ
ども
、新しく
飼料添加物
につきましての
届け出義務
を課することにし、
輸入業者
につきましても同様でございまして、
配混合飼料
と
単体飼料
につきまして
届け出義務
があったわけでございますが、新しく
飼料添加物
について
届け出義務
を課することとし、
販売業者
につきましては従来
届け出義務
がなかったわけでございますけれ
ども
、
配合飼料
、一部の
単体飼料
、それに
飼料添加物
につきましての
届け出義務
を課するべきではないか、と、こういう
報告書
の
取りまとめ
をいたしたのでございますが、これを受けまして、今回の
改正法
におきましては、
安全性
の
見地
から、二条の二の
規定
によって
基準
、
規格
が
設定
された
飼料
または
飼料添加物
の
製造
、
輸入
、
販売業者
で
一定
の者につきましては
届け出義務
を課するという十八条の
規定
が設けられておりますので、おおむね私
ども
の
研究会
の
報告
の
趣旨
に沿って
改正
が行われるというふうに
理解
をいたしております。 第三が、
飼料
の
登録制度
と
公定規格
の問題でございますが、
現行法
におきましては、
公定規格
に基づく
登録制度
がこの
制度
の根幹をなしておりまして、それが
飼料
の
品質改善
に大いに役立ったという評価をいたしたのでございますが、現在の
登録制度
は、御
承知
のとおり、他の農薬とか肥料と違いまして
任意登録制度
の仕組みになっております。これらの
実態
を踏まえまして
現行
の
制度
につきましていろいろ
検討
いたしたのでございますが、何と申しましても、この
法律
をつくりました以後の
飼料業界
を取り巻く
事情
が大きく変化をいたしまして、
安全性
に対する
社会的要請
の
高まり等
、
飼料
をめぐる諸
情勢
が著しく変化してきたわけで、そこで、
飼料
の
品質
の一層の
適正化
を図るため、
制度全般
との関連におきまして、現在の
登録制度
あるいは
公定規格
の
制度
について再
検討
すべき時期に来ているという認識で一致を見ましていろいろ
議論
をいたしたわけでございますが、先ほど申し上げましたような八点の
検討項目
のうち、すべての点につきましておおむね
意見
の一致を見ましたが、この点につきましては
委員
間で
意見
の統一が若干とれませんで、必ずしも
統一意見
にはなっておらないのでございますが、
登録制度
、
公定規格制度
の
改正
に当たっては、
飼料
の
品質改善制度
の全体のあり方との関連を踏まえて十分
検討
することが必要であるということで、こういった答申をいたしております。 それは、「以下のいずれの
制度
を採るとしても、
畜産物等
を通じての人の健康を損なうことの防止いわゆる
安全性
の
見地
からの要件を加えることが必要である」ということで、今回の
改正法
の眼目がそこにあるわけでございますので、当然そういったことを
前提
に置きまして、一つは、
公定規格
の
内容等
について
検討
を加え、
現行
の
任意登録制度
を続けたらどうだという
意見
と、いま一つは、
公定規格
と
登録
を分離いたしまして、
公定規格適合
のものはその旨の
表示
を付することとする、いわゆる
規格適合表示制度
、つまり、今度の
改正
のたしか第四条でございましたかに採用されておるような
制度
の提案をいたしております。 それから、一部の
飼料
、特に
配合飼料
については
義務登録制
を導入したらどうかとか、あるいは全部の
飼料
について
義務登録制
を導入したらどうかというような各種の
意見
が出たわけでございますけれ
ども
、
報告書
の
取りまとめ
の
段階
では
統一見解
にはなりませんでしたが、
農林省
はこれらの
報告書
の中から、第三の、「
公定規格
と
登録
を分離し、
公定規格適合
のものはその旨の
表示
を附することとする」ということで、
規格適合表示
の
制度
を、
改正法
の四条だと思いましたがとられまして、私
ども
の
意見
の中からおおむね最大公約数的なものをお取り上げいただきまして
改正案
にしていただいたというふうに
理解
をいたしております。 それから、第四の
表示制度
の問題でございますが、
表示制度
につきましては、
現行法
の十五条の二で「
成分等
の
表示義務
」があるのでございますが、しかし、これらにつきましても、「
飼料
の種類の
多様化
、
飼料添加物
の
使用量
の
増大等
、
飼料
をめぐる
情勢
の著しい変化からみて、
飼料
の
品質
の
適正化
と
消費者保護
の
見地
から
表示制度
のより一層の充実を図るとともに、特にその厳正な履行が
確保
されるよう
行政庁
はその監視に努める」という
前提
を設けまして、
表示制度
の問題の
検討
に当たったわけでございます。 そこで、
表示制度
の問題におきましては、現在、この
法律
の実効を補うためにいろいろと
農林省畜産局
が
行政指導
によって実施されたものも含めまして、
必要最小限度
でこれを
法律制度
として確立すべきであるというような
前提
に立っての
議論
をいたしたのでございますが、特に問題になりましたのは、
飼料
の
原料名
の
表示
を義務づけるということは当然でありますが、
配合割合
についても
表示
を義務づけるべきであるかどうかというような点につきまして
議論
がございました。特に、一部の
生産者
の方から、
配合割合
についても強く
表示
を義務づけるべきではないかというような御
意見
がございました。しかし、いろいろ
議論
をいたしましたが、
飼料製造
の
実態
を見れば、原料の
需給事情
及び
価格事情
に応じて
配分割合
はかなり頻繁に変化するというようなことを
考え
ますと、なお一部のものにつきましては
配合割合
を確認する
検査技術
上の
困難性
もあるというようなことを理由に、確かにそれができれば好ましいわけでございますけれ
ども
、
成分量等
の
表示
をいたしますれば相当の部分は
目的
が達成されるのではないかというようなことで、
飼料添加物
その他の
特定原料
についての
配合割合
の
表示
を義務づける等の二条の二の
改正
をいたしまして、さらに八条で「
表示
の
基準
」というような
規定
を設けられまして、これらによって対処されるということになされたようでございますので、私
ども
は、その運用によりまして
十分目的
が達成されるのではないかというふうにこの点については
考え
ております。 それから、第五の
飼料添加物
の問題でございますが、今回の
研究会
におきまして最も
議論
になりましたのは
添加物
の問題でございます。
添加物
につきましてはいろいろ問題があるということでずいぶん時間をかけて
議論
をいたしたのでございますが、従来は御
承知
のとおり
法律
上の
規制
がなくて、いわゆる
行政指導
ということでやってまいったのでございまして、
飼料添加物公定書
というようなものをつくりまして、これに基づきまして
規格
、
使用基準
を定め、これに適合するものを
使用
するとともに、
配合飼料
に
使用
した場合はその旨の
表示
を行うような
行政指導
を行っておったという
現状
にあったのでございますが、そういったことでは最も問題になっておりますところの
添加物
の
規制
としては不十分である、当然
法律制度
としてこれを取り込むべきであるということで、いろいろ外国の
制度等
も
参考
にいたしまして、結論といたしましては、
わが国
においても
飼料添加物
の
規制
を
法律
上の
制度
として整備すべきであるという
考え
を示したのでございます。 そこで、そのおおむねの方向としては、
規制
の
対象
とすべき
飼料添加物
の
範囲
は、
配合飼料メーカー段階
において添加するもののみでなくて、
単体飼料
として農家で添加するものもあるわけでございますから、これらも
規制
の
対象
に含めるべきではないかということ。第二点としては、現在
行政指導
によって
添加物
の
公定書
がつくられておるわけでございますけれ
ども
、その
内容
を権威ある
審査機関
で再
検討
の上法制化し、
飼料添加物ごと
に
製造基準
とか
成分規格
とか
使用基準等
を定めて、その
基準
、
規格
に適合するものについてのみ
製造
、
使用
を認めるようにすべきであるというような
報告書
でございます。第三点としては、
薬事法
の適用を受けない
飼料添加物
であっても、その
包装容器
には
有効成分名
とか
添加効果
、
使用方法等必要事項
を
表示
させることが望ましい、
薬事法
による
規制
はまた
薬事法
によってやるべきであるというような
報告
。第四点としては、
飼料添加物
を
使用
する
配合飼料工場
におきましては
一定
の資格を有する
技術者
を配置し、
添加施設
の
基準
、
関係帳簿
の
整備等一定
の要件を
確保
する必要があるという
報告
をいたしておるのでございます。 これらを受けまして、今回の
改正法律
におきましては、
資料添加物
の
定義
を新しく
法律
上の二条三項として設けられますと同時に、
製造
、
使用
、保存の
方法
、
表示
についての
基準
あるいは
成分
についての
規格
をお定めになる。これにつきましては
農業資材審議会
に諮って決められるというようなことに二条の二の二項で相なっておるようでございまして、
農家段階
におきましても、この
規制
がこの二条の二の二項によってかけられるということでございますので、当然私
ども
の
報告
の
趣旨
に沿った
改正
が行われたものと
理解
をいたしております。 なお、
改正法
の二条の八で
製造管理者
の
規定
が設けられておりまして、私が先ほど申し上げた
飼料添加物
を
使用
する
配合工場
におきましては
一定
の資格を有する
技術者
を配置してもらいたいということを
報告書
として
取りまとめ
ておるのでございますが、それも実現されたものというふうに
考え
ております。 次が、
異物
と
有害物質
の
規制
の問題でございます。
現行法
では第十五条で「
異物混入
の禁止」という
規定
があるわけでございますが、
有害物質
の
規制
につきましては、これまた
飼料添加物
と同様従来
行政指導
によって処置をされてまいったのでございますが、
行政指導
だけではおのずから限界があるし、今回の
法律
の
改正
の
趣旨
に沿ってもできる限りこれを法
制度
化すべきであるということで、
改正法
二条の二あるいは二条の六の一号、二号、あるいは二条の七というような
改正
が行われたようでございます。これらにつきましての
報告書
の
検討
の経過は、
異物
につきましては、一応
現行法
上一般に
異物混入
が禁止されておるので、
制度
的には
現行制度
の踏襲でおおむね問題はないという
理解
の上に立っての
報告
に相なっております。 それから、
有害物質
につきましては、基本的な
考え
方といたしましては、
病原微生物
によって汚染されている
飼料
の
添加物
あるいは
有害物質
を含む
飼料
ないし
飼料
の
添加物
につきましては、その
生産
、
販売等
の
規制
は
行政指導
にゆだねるべきではなくて、当然
法的制度
として整備すべきである。それから、この場合に、
家畜
、
家禽等
、さらには
畜産物等
を通じての
人体
に対する毒性、
家畜
、
家禽等
の体内への蓄積及び
人体
への
移行等
について
客観性
のある
科学データ
が得られる場合には、
許容基準
の
設定
によって対処する
方法
を導入する。予測しがたい事故に対処するため、
有害物質
により汚染された
飼料
を一般的かつ包括的に
規制
し得る
措置
を講じ得る
制度
を導入することが必要である。これは、こういった
制度
が他の同種の
法律
の、たとえば
食品衛生法
の四条とか七条の
規定
がございますので、これらに準じた
制度
を導入すべきではないかということに相なっておりますが、先ほど申し上げましたように、
改正法
の二条の二、二条の六の一号、二号、二条の七等で私
ども
の
報告書
に盛られた
趣旨
の
改正
が行われたというふうに
考え
ております。 それから、第七番目に、新
飼料
の
取り扱い
でございますが、これにつきましても、従来は
飼料規格等設定委員会
という特別の
委員会
を
行政内部
に設けまして、その適否の
検討
とか
飼料化
のための
試験基準
の
設定等
のいわゆる
行政
的な
措置
のみによって対処してきたようでございますが、他の同種の
制度
におきましても新しいものの
規制
につきましてはいずれも何らかの
法的規制
がなされておるという
実態
があるわけでございますので、今回の
委員会
の
検討
の過程におきましても、新
飼料
につきましては当然
規制措置
を加えるべきである、それも
法的裏づけ
を持った
規制
にすべきであるということで
検討
がなされたのでございます。 一方におきまして、現在の
飼料
の
事情
から
考え
まして、
わが国
においては新
飼料
の開発ということが非常に強く望まれるわけでございますが、同時に、その
安全性
の
確保
ということが要請されるわけでございまして、特に、新
飼料
が出される
段階
におきまして、国のみでなく、
大学等
も含めて権威ある
研究機関等第三者機関
において十分オーソライズし、適正な
裏づけ
を得た上でその利用に踏み切ることにすべきであるというようなことを言っておるのでございまして、特にその
取り扱い
は慎重を要する。 そこで、新
飼料
についての
規制
の問題でございますが、特に
安全性
の問題を
確保
しなければならないということで、
改正法
の二条の六の三号あるいは二条の七等で
規制
の
措置
がとられることに相なっておりますので、これまたおおむね私
ども
の
報告
の
趣旨
を生かして
改正
が行われたというふうに
考え
ております。 それから、最後に、
検査制度
の問題でございますが、
検査制度
につきましては、
現行法
の二十一条から二十五条に国及び都道府県の
検査
のことが書かれておるのでございますが、従来の
制度
もかなり活用はされてまいっておりますが、今回
規制
の
範囲
が非常に広がった。しかも、これだけ
規制
を加えるということになりますれば、その実効を
確保
する上におきましても、この
検査
機関の充実ということは非常に焦眉の急を要する問題である、それがなければ
法律
改正
の実効が
確保
されないというような
見地
から、国ないし都道府県を通ずる
検査
機関の施設面あるいは人員面における充実ということが強く言われたのでございます。 なお、さらに
一定
の要件を備えたものでありますれば、民間機関も活用すべきであるというような
意見
も出まして、現在、アフラトキシンにつきましては、民間の
検査
機関による製品
検査
を実施しているというような
実態
もあるようでございますので、要件をきわめて厳重にした上で民間機関の活用も図るべきであるというような答申に相なっております。これらにつきましては、新しく第四章として、指定検定機関というような
規定
が第十条から十五条七ということで設けられておりますので、これも私
ども
の
報告
の
趣旨
に沿った
改正
がなされたというふうに
理解
をいたしております。 なお、
参考
までに申し上げますが、先ほど申し上げましたように、関係業界代表の方は当初の
研究会
には排除をいたしておりましたので、余り
実態
とかけ離れたような
報告書
になってもどうかというようなこともございましたので、最終の
取りまとめ
の
段階
におきまして、一応
参考
意見
を聞こうということで関係業界の代表の方の
意見
をお聞きいたしました。それによりますれば、今回の
法律
の
改正
のねらいといたしておりますところの
安全性
の
確保
に重点を置いた改善の方向については全く賛成であるというような御
意見
をいただいております。 なお、そのほか幾つかの御
意見
がございますが、おおむねわれわれの
報告書
の
内容
を是認した上での
意見
でございますので、これは省略をさせていただきます。 大変時間が超過して恐縮でございましたが、以上申し上げたとおり、私
ども
はこれを五月二十日に
報告
をいたしました。なお、その後、
農林省
はこの
報告書
を受けまして、これを法文化するための
検討
に入られたようでございまして、たしか昨年の十一月でしたか、もう一度かつての
研究会
のメンバーの方にお集まりいただきまして、私
ども
の
報告書
に基づきましてこういった
改正
をいま
検討
いたしておりますという
報告
を
畜産局
からいただきまして、われわれ
研究会
の
委員
といたしましては、おおむね私
ども
の
報告書
の線に沿った
改正
が意図されておるということで、その旨を了承いたしまして、
研究会
を終えたというようなことでございます。 どうも失礼いたしました。(拍手)
澁谷直藏
3
○
澁谷
委員長
ありがとうございました。 大分予定の時間を超過いたしておりますので、これからの
参考人
の方は、大体十五分
程度
という時間をできるだけ厳守していただきたいと思います。 次に、
藤巻参考人
にお願いいたします。
藤巻正生
4
○
藤巻参考人
私は、ただいま御紹介いただきました
藤巻
でございますが、
東京大学農学
部におきまして食糧化学講座を担任いたしている者でございます。 私は
飼料
の専門家ということではございませんけれ
ども
、
飼料
と食料とはある意味においては共通したものであるし、また、当然でございますが、
飼料
は
家畜
、家禽の体を通して畜産物すなわち食料となるということを踏まえましても、ある
程度
共通した理念で対処さるべきものであると常々
考え
ている次第でございます。 このたび、
飼料
の
品質改善
に関する
法律
の一部を
改正
する法案を拝見いたしまして、簡単に
参考人
として
意見
を申し上げたいと存じます。 本法案は
飼料
品質
の改善と
安全性
の
確保
に関するものでございまして、
品質
の改善につきましては、従来の
公定規格
に加えまして、新たに燐、カルシウムあるいは可消化養分総量、可消化たん白質という四
項目
の追加や
規格適合表示
といった
制度
を見ますことは
飼料
の
栄養
成分
確保
に役立つものと存じられますし、また、新たに
安全性
の
確保
をお取り上げになられまして、従来の
行政指導
にかわるに
基準
、
規格
の
設定
など諸
規制
を設けられましたことは、
農林省
が
飼料
の
安全性
につきまして責任ある積極的な体制をおとりになられる態度を明確にされたという意味におきまして、今後、
わが国
の
飼料
の
生産
、流通ばかりでなく、
飼料
資源の自給にもつながりますところの新
飼料
の
開発
の点からも大いに喜ばしいことと
考え
られる次第でございまして、
わが国
畜産の振興発展のためにも本法案の速やかな成立が期待され、希望されるものでございます。 いま、その
内容
につきまして簡単に二、三の点について申し上げたいと存じますが、御
承知
のように
わが国
の濃厚
飼料
の最近の
輸入
数量は約二千万トンに及ぶかと存じますが、非常に莫大な数字でございまして、これは一面
わが国
畜産の基盤のもろさを物語っていると申してもよろしいかと
考え
られるのでございまして、その一端といたしまして、私
ども
は
飼料
資源、特に
飼料
たん白資源の
開発
にあらゆる努力を払いまして、自給へ一歩でも近づくことが肝要かと
考え
ております。 そのためには、
考え
られますあらゆる
方法
を探索いたしまして解決に資すべきでございますが、その
一つ
に微生物たん白質の問題もございます。 微生物たん白質の効用につきましては、
わが国
におきましての微生物学の優秀性と相まちましてはかり知れないものがあろうかと存じますけれ
ども
、御
承知
のように、外国ではすでに一部その
生産
も開始されておりますし、その
安全性
につきましても、一部では、たとえばラットの十七代、日本産ウズラの二十五代、豚、家禽については七代といったいわゆる累代テストの結果でもすべて障害がなく完了しておりますようでございまして、また、EC九カ国も昨年六月に
生産
の許可を与えている
現状
でございます。 翻って
わが国
におきましては、
安全性
の再チェックあるいは国民的な合意というものにまつところでございましょうが、今回の法案によりますところの
農業資材審議会
の運用に期待されるところが非常に大きいと
考え
られます。
飼料
品質
の改善といい、
安全性
の
確保
といい、今回の法案を実施される場合に最も重要であると
考え
られますのはこの
審議
会の活用にあると申してもよろしいかと私は存じますが、そのためには、人の健康の問題も含まれる
飼料
の
安全性
でございますから、科学的に正しい答申を生み出すためにも、食
飼料
の
安全性
に関する
学識経験者
を
委員
に加えるなど、十分権威ある専門部会とすることが必要でありましょうし、また、
安全性
の新しい評価法の研究を含めまして、
飼料
の
安全性
に関する研究、
検査
といった体制の充実に十分な御配慮が望ましいと
考え
る次第でございます。 現在、食品
添加物
の
安全性
と効用につきましては、その総点検が行われておりますけれ
ども
、
飼料添加物
につきましても、その効用は率直に十分私は
理解
できる次第でございますが、
抗生物質
といい、抗菌製剤といい、可能な限り整理いたしまして、ある
程度
減少の方向をとるべきかと
考え
られますので、これも同時に正しく科学的に処理する意味からも、本
農業資材審議会
の活用にまちたいところでございます。 以上、簡単でございますが、再び本法案の速やかな成立を個人的には期待いたしまして、私の申し上げるところを終わらさせていただきたいと存じます。(拍手)
澁谷直藏
5
○
澁谷
委員長
ありがとうございました。 次に、
永松参考人
にお願いいたします。
永松英二
6
○
永松参考人
永松
でございます。 まず、最初に、諸先生方の非常な御尽力によりまして
わが国
の畜産がここまで参りまして、平素皆様方に非常にお世話になっていることにつきまして厚く御礼を申し上げます。 まず、
わが国
の畜産の伸びの問題でございますけれ
ども
、高度成長によりまして畜産物の需要が非常に伸びておるということは御
承知
のとおりでございます。その結果、今日まで主として
品質
よりは増産体制へ中心が行きまして、多頭飼育、大規模化という方向をとってまいりました。その結果
生産
性を上げるということが主体になりまして、また、労働力は非常に不足しておるというふうな結果、購入
飼料
が非常に多くなってきたというのが今日の日本の畜産の現実でございます。 これを
えさ
の面から見ますと、本来国内で
飼料
は
生産
すべきだと私たちも
考え
ますけれ
ども
、実際には国内
生産
の基盤は非常に脆弱でございます。そうして、
飼料
殻物の
原料
は海外から
輸入
されるというふうな
実態
になっております。この海外から
輸入
される
原料
は国際商品として非常に問題の多い商品でございます。 また、日本の畜産も必ずしも自給率一〇〇%というわけにはまいりません。したがって、畜産物を
輸入
するということになりますと、国際競争上裏でこの畜産が行われておるということは他の耕種から見ますと非常に特徴的なものではないかというふうに思います。 そこで、
輸入
原料
をいかに安く入れるか、そしていかに完全な
配合飼料
をつくって畜産の
生産
効率を上げるかという、そういうことをより効率的な工場で配合するという
実態
に至っておるのが今日の姿ではないかというふうに思います。 その結果、飼養効率、飼養の技術につきましてもかなり進んでまいっておる。言い方によりますと国際的な水準までまいっておると言っても過言ではないかと思います。そういったノーハウの
開発
もまたかなりされてまいっておるということでございます。そういった意味で、
行政
的な
品質
管理、
品質保全
といいますか、
行政
上の取り締まりもかなり濃密にやっていただいておるし、また、
生産
する側から言いますと、
品質
管理ということにつきましても非常に神経を使っておるというのが現実でございます。 そこで、日本の畜産物が残念ながら国際競争上裏で非常にコスト高についておるという点を指摘する必要があるかと思いますが、これは
一つ
には
生産
基盤が非常に弱いということと、
一つ
には
飼料
の問題と、もう
一つ
は規模の問題ではないかというふうに思います。そして、もう
一つ
は、先ほど申しました
輸入
原料
が主体であって、これが国際的な相場によって変動が非常にはなはだしく、したがって日本の畜産が安定しないということは御
承知
のとおりでございます。 また、もう
一つ
申し上げなきゃならぬと思いますのは、畜産物製品の流通の未熟さ、不合理さでございます。 われわれ
生産者
団体としましては、本来の姿は以上のような
実態
の中で
飼料
は自給体制でいくのだということを
考え
ていろいろ対策をやっております。また、多少のコストがかかっても、これからの消費者が要望しておる点は、畜産物が安全であり、フレッシュであり、そして味もいいということなんだから、いかにしてわれわれはそれに対応していくかという姿勢でございます。 それから、もう
一つ
われわれも
考え
なきゃなりませんのは、
飼料
はもちろん畜産物も国内自給度を高めるということでございますが、こういったことを急にやりますな非常な破壊になります。急にコストを上げますと需要が減る。今回の畜産物でわれわれはそれを体験をしております。したがって、所定の時間をかけて消費者と
生産者
の納得の上で逐次そういう方向へ持っていくという努力をわれわれはしなきゃならぬというふうに
考え
ております。 こういった意味で、今回の
品質改善
法の
改正
の
趣旨
は、
生産者
側の
生産
に使う
えさ
の問題であると同時に、その
えさ
を使った食品がいかに消費者にとっても安全であるかという
趣旨
でございますので、われわれ
生産
をしながらその製品を消費者にいかに消費してもらうかという立場の農業
関係
者としては、今回の
品質改善
法の
趣旨
にはきわめて賛意を表しておる次第でございます。 ただ、法案を拝見しまして、われわれの
考え
ておることをこの機会に若干申し上げておきたいと思いますけれ
ども
、その
一つ
は、先ほ
ども
申し上げましたが、理想を追うの余り現実を破壊するということにならないよう御配慮を願いたいということでございます。細かく言いますと切りがありませんが、
生産
性を無視して理想を追うということによって
生産
が落ちる、せっかく
開発
された技術をいきなり否定してしまうことによって
生産
が落ちるということになりますと、それは即国内の供給が減ることになるし、したがってこれが消費者価格にも逆に悪い結果を及ぼすということは、現在の畜産物価格が特に需給実勢価格で決められておるという中においては非常に問題が多いわけでございます。 もう
一つ
は、急にそういった過激な
変化
を及ぼしますことは、先ほど言いましたように日本の畜産がまだ非常に脆弱な中でそれをやりますと、国際的な競争力を欠いておりますし、結果としては日本の畜産を否定することになることになりますので、この点につきましては
生産者
と消費者との両利害
関係
者のコンセンサスが十分得られるという中で逐次改善を図っていくという姿勢が必要かと思います。 次に、
添加物
の問題でございますけれ
ども
、従来は、われわれは、
添加物
公定書
によって、その
範囲
内で、しかもわれわれ自身も問題であるということについては許される
範囲
内で、さらにわれわれの意思もそこに入れまして、その
範囲
内で
添加物
の
取り扱い
について自主的にもいろいろと対策をやっております。そして、われわれが第一に
考え
なければならぬのは、何といいましても製品を使っていただく消費者の安全ということでございます。その薬品が
生産者
にとっても危険な場合ももちろんあるかと思いますので、これも配慮する必要があるかと思います。 しかし、その場合に頭に置かなければならぬと思いますのは、恐るるが余りに余りにもそれを忌避しまして、国際的にはそれが使われておるにもかかわらず日本では非常に理想的な
配合飼料
をつくるということは、現在日本の自給率が一〇〇%でなくて、外国から製品としての肉を入れなければならぬ、酪農製品を入れなければならぬという
実態
の中で、外国から入ってくるものについては、それは外国の法の
規制
のもとでつくられた製品であり、日本の
生産者
のみが国際的に非常にきつい
規制
を受けるということにもなりかねませんので、その辺のバランスというものは非常に重要であるという点でございます。 それから、もう
一つ
は、現在使われております薬品類、
抗生物質
等も、すぐに代替ができるものとできないものとございますが、できないものについていきなりここで急激に否定をいたしますと、畜産物自体も病気の発生がございますし、さらに消費者に行きます製品、畜産物についての問題も非常にございまして、消費者の健康を害するというふうな問題も発生しかねないことでございます。 第三番目に留意しなければならぬと思いますのは
表示
の問題でございます。
表示
につきましては、
公定規格
の
内容
を充実して、これが
生産者
にとって必要にして十分な
表示
であるということはわれわれも賛成でございます。ただ、必要にして十分以上の
表示
をする必要があるかどうかという点の配慮をする必要があるのではないかというふうに思います。現在ここまで
わが国
の畜産が非常に
生産
性も上がり、伸びてまいった一環として、
配合飼料
の
製造
過程におけるいろいろな技術、言いかえればノーハウというものはきわめて尊重に値するのではないかというふうに思いますが、そういった意味で、
生産者
である
農家
に必要なものは何であるかということを主体にして、その
限度
で
製造
過程におけるノーハウの向上ということも同時に配慮する必要があるのではないかと思います。しかし、これは何と申しましても混合物で、一目ではわからない商品でございますので、その辺の取り締まりといいますか、
規制
は厳にする必要があるかと思います。 それから、四番目に留意しなければならぬと思いますのは、
農業資材審議会
でかなりのことが
審議
されるわけでございますが、この
審議
会は純粋な学術的な
検討
の場であるべきだというふうに思います。他の利害
関係
者を入れるのではなく、
動物
と
飼料
とそれから人間の健康という面から純学術的に時間をかけて十分究明をしていただきたいというふうに思います。 それから、第五番目に、この機会に若干要望を申し上げたいと思いますのは、そういった
安全性
という非常に重要な問題が
飼料
と畜産にこれから絡んでまいりますと、公的な試験研究、
検査
機関をもっともっと充実する必要があるのではないかというふうに思います。民間でも私たち自身も相当の経費をかけて研究所を運営しておりますけれ
ども
、ある意味では負担の限界が参っております。この点は要望でございますが、ぜひ実現をお願いしたいと思います。 それから、最後に、この
法律
の施行によりましてよほど運営がうまくまいりませんと、一時的にでも畜産物がいろいろな障害を起こして供給が減るとか、
生産
性が落ちるとか、コストが上がるとかいうふうな症状が出てまいるのではないか。そうなってはいけないと思いますが、もしそういうことが発生し、またそれを強いてやっても——
安全性
についてコストをかけてもやるのだというふうなことであるとすれば、
生産者
にそのことが負担にならないように、強いて言えば日本の畜産がそれによってマイナスにならぬようにひとつ御配慮を願いたいというふうに思います。たとえば、ある薬をあしたからやめるということによって高い薬に切りかえるとか、また、薬をやめることによって多少
生産
性が落ちるということによるコストアップをどう結末をつけていくかという点については特段の御配慮をお願い申したいというふうに思います。 結論的に申しますと、今回の
改正
はわれわれとしましては非常に妥当なものであると思います。しかし、これの運用を間違えますと非常に問題が多く発生するので、これの
取り扱い
につきましては、
方法
論についても時間的にも十分慎重に
取り扱い
をお願いしたいし、また、これは国民全般の問題でございますので、
生産者
、消費者、
関係
者に十分な
理解
を得るような手はずを十分とって具体的な実施をしていただきたいと思います。 終わりに、角をためて牛を殺すようなことにならないように特にお願いを申し上げまして、私の陳述を終わりたいと思います。(拍手)
澁谷直藏
7
○
澁谷
委員長
ありがとうございました。 次に、
河田参考人
にお願いいたします。
河田四郎
8
○
河田参考人
ただいま御指名いただきました
河田
でございます。 まず、
協同組合日本
飼料
工業会の組織と運営について申し上げたいと存じます。 本会の組合員は、七十四企業、百四十九工場で、
昭和
四十九年度においては九百七十万トンの
配合飼料
を
製造
をいたしております。 運営に当たりましては、各地区から選出された
理事
と
委員
で
理事
会と
委員会
を設置いたしまして、
議題
に応じ
検討
、協議を行いまして、
配合飼料
産業の健全なる発展を図っております。 組合員の
使用
する
原料
につきましては、
輸入
割り当て、たとえば脱脂粉乳、関税割り当て、たとえば
輸入
魚粉
原料
は本会で共同買い付けを行い、政府操作
飼料
につきましては組合員の希望する数量の買い付けを行い、
輸入
自由化品目のトウモロコシを初めとする
原料
等はそれぞれ組合員各自が買い付けをいたしております。 次に、
飼料
の
品質改善
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
の
審議
に当たりまして、見解を申し上げます。
改正案
は、
飼料
の
安全性
の確立と
品質
のより一層の改善向上を
目的
としており、ことに、畜産物の
飼料
及び
飼料添加物
が原因となりまして
人体
あるいは人間の健康を損なうおそれがあるものの
生産
防止
または禁止をいたしますことは、食品の
安全性
の観点から時宜を得たものと存じます。 御高承のとおり、
配合飼料
は
昭和
初期に始まり、長い歴史の間に、
飼料
製造業者
と畜産農民との相互信頼の上に立ち、
農林省
の
行政指導
による
検査
等をあわせて今日の
生産
拡大を見てまいった次第であります。
配合飼料
の基本は
原料
手当て、
製造
技術、給与であり、他の単一商品とは異なる種々いろいろの特殊性がありますが、特に
原料
は農産物、水産物等の天然の産物を
使用
しております
関係
上、気象条件等により豊作、凶作等が常に価格、
品質
に大きく
関連
をいたします。
製造業者
としては、良質の
原料
による高
栄養
成分
のものを廉価に提供する姿勢を堅持し、よって畜産
農家
の安定的経営に寄与してまいった次第であります。
配合飼料
は、国民所得の向上に伴いまして食生活改善による畜産物摂取が高まり、畜産
農家
の飼養する
家畜
頭羽数が増加いたしますとともに、
飼料
の需要は年々加速度的に増高してまいりました。最近では
配合飼料
の
生産
量は年間千七百万トンを超える数量に達しております。 その間、
飼料業界
は畜産
農家
とともに畜産経営に当たっての
家畜
の品種改良、肥育畜舎の環境改善、
飼料
品質
の向上、
飼料
の流通経費の軽減等につきまして、先進諸外国の例も取り入れ、あらゆる合理化を図ってまいりました。このことは、畜産物が過去諸物価上昇に追随しない価格傾向を示したことを見ても判断できる次第であります。 しかし、近年、
配合飼料
の主な
原料
供給先であるアメリカ合衆国を初めとする需要国を含めた国々の天候異変に基づく穀類の収穫減少及び食糧としての需要増、さらにソビエト連邦等の大量買い付け等が重なり、
飼料
穀物の需給に不安定な様相を示したため著しい価格の高騰を招来いたしました。 このことは
配合飼料
価格の数次にわたる値上がりにつながり、折からの経済動向の変調による消費減退と相まって、畜産経営上支障を来す問題が惹起した次第であります。その際は、諸先生方の深い御
理解
と
農林省
御当局の
行政指導
によりまして、畜産
農家
救済のための
配合飼料
価格安定特別基金
制度
の発足を見ましたことは、心より感謝申し上げる次第でございます。
配合飼料
の
原料
は、御高承のとおり、大部分を海外からの供給に依存しております
関係
上、輸出国の穀物
生産
の動向が
輸入
する量及び価格に反映され、直接畜産経営に影響を及ぼすわけであります。
飼料業界
としては、畜産
農家
に
配合飼料
を安定的に供給できる企業努力として、
輸入
先国の多元化、穀類の品目別
使用
の
多様化
、さらに、また、輸出国における予測できる短期的な争議行為等に対応するための事前の買い付け対策等によりまして異常事態回避の努力を行っておる次第でございます。 最近、世論としての
飼料
穀物の備蓄問題は、
目的
としては有意義と存じますが、実施に当たりましての
問題点
は、収容する穀物サイロの不足及び備蓄穀物の買い入れ代金と諸経費の増高等が
考え
られ、これに要する費用は莫大なものとなりますので、特別なる御配慮を期待するものであります。
配合飼料
の
製造
は関税定率法で定められました
配合飼料
の
規格
に基づき、その上にまた
農林省
で定められた
現行
の
飼料
品質改善
法の
公定規格
に基づきまして
製造
しており、畜種別に適切なる
栄養
成分
を含有したものであります。また、
使用
原料
は、それぞれ
原料
別に海外相場を十分勘案して買い付けたものであり、最も適切なる
原料
を選択
使用
するわけであります。 一方、畜産経営の動向は、急激な経済の発展に伴い、畜産用地の取得難または環境汚染
問題等
が深刻化しつつありますが、飼養形態の多頭化、集団化等により、できるだけ経営のコストダウンを図っている次第であります。
飼料業界
はこの趨勢に対応するために試験研究を重ね、
農林省
の指導のもとにより一層
品質
の改善向上に努力している次第であります。 この
目的
のために、本会組合員は、
家畜家禽
、養魚の飼養実験を含めた試験研究所五十ヵ所と、また、工場ごとに試験分析室を設け、
飼料製造
責任者、
品質
管理責任者等それぞれの専門分野での
技術者
八百五十名を配置し、
原料
及び製品の
成分
、
安全性
等の
検査
を実施いたしております。 問題となっております
抗生物質
、フラゾリドン等の
添加物
は、
農林省
の
行政指導
に従い、主として幼
動物
のみに
使用
いたしており、人間の食用に供する肉、卵、牛乳を
生産
する成鶏用、乳牛、肉牛用には全く
使用
いたしておりません。肉豚用につきましても、ごく一部を除き
使用
いたしておりません。その上に、さらに
安全性
を
確保
するため休薬
飼料
を
製造
しております。また、ホルモン剤は一切
使用
いたしておりません。 以上、見解を申し述べ、法
改正
に当たっては細部にわたる御
検討
を賜り、今後とも畜産物が国民の食糧としての需要を十分満たすことができますよう適切なる御配慮をお願い申し上げる次第でございます。 以上。(拍手)
澁谷直藏
9
○
澁谷
委員長
ありがとうございました。 以上で
参考人
からの御
意見
の開陳は終わりました。 —————————————
澁谷直藏
10
○
澁谷
委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井勇君。
今井勇
11
○今井
委員
時間もございませんので、私は政府・与党の立場からきょうの四先生に同じ質問をいたしたいと思いますので、順次御
意見
をお聞かせ願えれば大変ありがたいと思います。 〔
委員長
退席、坂村
委員長
代理着席〕 まず、第一点は、
安全性
の問題についてでございますが、今回の法では二条等の
関係
で
安全性
の
確保
についていろいろ
規定
してございます。その諸
規定
の評価並びに実効を担保するために、先ほどから先生方のお話しがありましたように、試験研究設備体制の強化が必要であろうと思いますが、それについての御所見を承りたいと思います。 第二点は、農民の素朴な要求の中に
品質
の
表示
の問題がございます。今回でも
品質
表示
については
現行制度
よりも一歩進んでおりますが、ここまでやるならば原材料についてもうちょっと細かい
表示
をしてもらえないだろうかというのが素朴な農民の
意見
でございます。この
表示
、法文で申しますと八条、九条でございますが、これについての御
意見
。 この二点について先生方の御発言の順序に御
意見
を承れればありがたいと思います。
太田康二
12
○
太田参考人
今井先生の御質問にお答え申し上げます。 まず、第一の、
安全性
の
確保
についてさまざまな
規定
が設けられたわけです。これの
法律
の評価というお話しでございますが、この点につきましては、私は
報告書
との
関連
におきまして種々申し上げたわけでございますけれ
ども
、この
法律
の
改正
のねらいはそこにあるわけでございます。 先ほど全農の常務からのお話しにもございましたとおり、法の運用に当たっていろいろ実効が上がっていくことが期待される面が多いわけでございまして、実は、われわれの
研究会
の場におきましても、たとえばいろいろな
規格
や
基準
等を決めます場合に、新しく
農業資材審議会
の場をかりてそこでやられるわけでございますけれ
ども
、私
ども
の
議論
にもございましたし、これは
関係
業界
代表の御
意見
でもあったわけでございますけれ
ども
、
飼料
等の
安全性
の認定とか
規格
、
基準
の
設定等
を
審議
する機関は社会的に評価された者をもって構成することということで、その
委員
の選考に当たりましては、これは
農林省
がやりますとともするとメーカーサイドに偏るのではないか、特に、人の健康の問題でございますから、そういった面で非常に学問的にすぐれた方を資材
審議
会等の場に入れまして、十分討議の上でこれらの
基準
等を
設定
していただきますれば、この
法律
がねらっておるところの、新しいねらいとしての
安全性
の
確保
という面に大きな役割りが果たせるものというふうに
考え
ておりますので、この
法律
の
改正
の
内容
はきわめて適切なものであるというふうに
考え
ております。 それから、第二点の
表示
の
基準
とそれに基づく指示等の問題でございますが、確かに
農家
の代表の方から
原料
の
表示
だけではなしに配分
内容
についての
表示
もしてもらいたいというような御
意見
もございました。この点につきましては、先ほど私が
一つ
ないし二つの理由を挙げて、
研究会
としてはとりあえずはそこまでいかなくてもよろしいのではないかというふうに申し上げたのでございますが、その裏側といたしましては、
栄養
成分量等
につきましては当然
表示
するわけでございますから、それをやれば十分ではないかというような
意見
があったことは事実でございます。しかしながら、私、その後国会の
議論
等を伺っておりますと、
一つ
には、企業として非常に努力をなすっていろいろ配分の比率を決められておるというような点もございまして、
配分割合
を一々
表示
することはなかなかむずかしいという
議論
も言われたようでございますが、伺いますと、
農林省
も必要とあらばこの八条の
規定
によって配分の割合等についても物によっては何か決めることがあるのだというふうに聞いておりますので、これらの点につきましてはよくそれらの
事情
を勘案した上で運用なさることが必要ではないかというふうに私は
考え
ております。
藤巻正生
13
○
藤巻参考人
藤巻
でございますが、簡単にお答えいたしたいと思います。 第一の御質問に対しましては、先ほど私も申し上げましたように、この法案が実施される場合には非常に有力であろう、特に
家畜
の
生産
物、いわゆる畜産物の
安全性
につきましては、これまで
農林省
関係
の研究機関におかれましてはそれほど十分に当たっておられなかったうらみもあると思いますので、今後この法案の進行とともに研究
対象
におきましての研究の強化ということが十分に御配慮願えれば幸いだ、と、こういうふうに私は思います。特に、申し上げましたように、この
安全性
をチェックする
方法
が日本はもちろん国際的にもまだ十分でないわけでございまして、その
安全性
を評価する研究もまた当然
農林省
においてお進めいただきたいという意味で、ぜひこれは強化されるように御配慮願いたいと思います。 それから、二番目の原材料の
表示
につきましては、私もいろいろ伺っておりますけれ
ども
、
使用
いたします原材料というものは
製造
する側におきましては十分わかっているわけでございますが、科学的に
考え
ますと、そういう原材料を一々明示されましてもその効果というものは必ずしも十分
使用
者側に把握されないのではないかと思いますし、もしそういう必要をお認めになるならば、たとえば
栄養
成分
を含めて一種の
成分規格
を十分おつくりになる方が科学的に正しい。たとえば先生方御
承知
のように、たん白質
一つ
取り上げましても、いろいろなたん白質によっていわゆるアミノ酸組成が違う。つまり、
栄養
価値も違う。こういう必須アミノ酸の含量というものも当然問題になりますし、原材料を一々挙げても
使用
者側におかれましてはそういうことは恐らく
認識
できないだろうのが常識でございまして、そういう点では、今後必要とあらばそういう
成分規格
を決めるという努力をしまして御要望にこたえていくのが科学的な行き方ではないか、と、私はこういうふうに存ずる次第でございます。
永松英二
14
○
永松参考人
第一番目の御質問の
安全性
の問題につきましては、本法案に盛られている
考え
方についてはわれわれは賛意を表しております。また、高く評価もしております。ただ、いろいろな技術的な問題、新技術の
開発
等は時代的、時間的に非常に
変化
をする面もあるかと思います。したがって、これは資材
審議
会でかなり濃密な
検討
をしていただく必要があるというふうに私たちは
考え
ております。結論的には、この運用を間違いますと非常に問題が大きくなりますので、特に最前も申し上げましたけれ
ども
、運用については十分
関係
者の
意見
を聞いていただいて御配慮を願いたいと思います。 二番目の
表示
の問題でございますけれ
ども
、先ほ
ども
私が陳述いたしましたように、結論的には必要にして十分な
表示
にとめるべきであるし、また、逆に言いますと、必要にして十分な
表示
はすべきであるということでございます。 現在
成分
表示
をやっておりますけれ
ども
、御
承知
かと思いますけれ
ども
、
成分
を保証いたしまして、その保証すべき
成分
を何で実現するかということで諸材料を使っておる次第でございます。トウモロコシとか、マイロとか、大豆かすとかいうふうないろいろなものをその
成分
を実現するために使います。したがって、そのときの入手の難易、価格のいかんによりましてこの原材料について非常に変動がございます。したがって、
成分
表示
を明確に厳格にいたしますれば、
原料
の方を同時にそれに並行させるということは非常に煩瑣でございますし、また、コストも非常にかかってまいるのではないかというふうに思います。 それから、もう
一つ
は、先ほ
ども
話題になりましたノーハウの問題でございますが、これは民間の企業意欲というか、
開発
意欲をいかに尊重していくかということのために
表示
の仕方についても配慮を要するかと思います。 それから、先ほど
生産者
が言っているではないかというふうな御
意見
がございましたが、確かに私たちも
生産者
の団体でございますので、そういう
生産者
の
意見
は十分聞いております。ただ、
生産者
においてその結果どういうふうな問題があるのかということにつきましては、まだまだ
意見
交換が十分にされておりません。それで、すべてを知るということは結構なことでございますけれ
ども
、その利害得失がどういうふうになるのだというふうなことを十分話し合いながらわれわれも
生産者
と接触し、
生産者
にも必要にして十分という意味を納得していただくという努力をするつもりでございます。
河田四郎
15
○
河田参考人
お答えいたします。
安全性
につきましては、これは法の
改正
にもあるとおり、また
太田参考人
からの御所見にもありましたように最大に重要なものでございますので、これを適切な
方法
に持っていきたいと存じております。
原料
表示
につきましてでございますが、先ほど申しましたように、
原料
の大部分を海外より依存して、国際
需給事情
により常に
輸入
する量と価格が変動しておるのでありますが、この影響を受けて、定められました
栄養
成分
を含有するもので適切なる
原料
を選択して
使用
することが余儀なくされているわけでございます。
表示義務
を果たさせることは、コストアップにもつながるわけでございます。また、
配合割合
は一朝一夕にできたものではなく、各企業、メーカーが長年にわたりましての経験と研究の成果で、また、製品の特徴でございます。いわば企業のノーハウでございます。これを公表することになれば
配合飼料
の
品質改善
、向上の意欲が阻害され、今後多額の研究費と労力をかけて新規の研究
開発
をする意欲をなくするようなことにもなりかねないし、畜産
農家
にとってはかえって損失じゃないかというようにも
考え
られます。 さらに、
配合飼料
を畜産
農家
が
使用
する上において相互信頼に基づいております
飼料
の
品質
について、販売
技術者
が畜産
農家
の
使用
する
家畜
の環境等も調査して、
実態
に合った
飼料
の有効
成分
を
説明
し、納得の上で使っていただいているというのが
現状
だと私は思います。
今井勇
16
○今井
委員
終わります。
坂村吉正
17
○坂村
委員長
代理 次は、美濃政市君。
美濃政市
18
○美濃
委員
参考人
の方には大変御苦労さんでございます。 二、三質問いたしたいのでございますけれ
ども
、まず、最初に
太田参考人
にお尋ねしたいと思いますが、いろいろ
委員会
でも
検討
されたようでありますが、
安全性
という表現を四人の
参考人
とも同様にされております。この
安全性
という表現の中で、畜産物について、できたものを人間が食べた場合の
安全性
だけを
考え
て粗悪な
原料
を使えば
家畜
の体質変調を起こすので、
家畜
の
安全性
も
考え
なければならぬわけだが、それは余り
検討
されていないというようにお聞きしたのですが、いかがでしょうか。
太田康二
19
○
太田参考人
確かに、
安全性
の問題で、人の健康を第一に強調したためにさような誤解を受けたかと思いますが、必ずしもそうではないのでございまして、先ほど申し上げましたように、
有害物質
等を含んだ
えさ
が
家畜
に供与されて
家畜
に被害を与えるというようなことも当然あるわけでございまして、
安全性
の問題については、
えさ
を通じて畜産物に、そして畜産物を通じて
人体
に移行する問題とともに、
家畜
それ自体に対する問題も当然あるわけでございます。
美濃政市
20
○美濃
委員
時間が短いですから簡単に申し上げますけれ
ども
、私はかって北海道の議
会議
員だったときに、地元の新得の畜産試験場で粗
飼料
で試験をしましたが、その試験は、乳牛にゲントコーンサイレージ七〇%と乾草三〇%を供与した場合と、それから反対に乾草七〇%とゲントコーンサイレージ三〇%を供与した場合で、これを十頭の牛で試験しました。ところが、ゲントコーンサイレージ七〇%の場合の牛は四頭空き腹になりまして、六頭しか妊娠しませんでした。乾草を七〇%供与した牛は、一頭が空き腹で九頭まで受胎をしました。そして、その次の年に、その同じ十頭の牛を六月から放牧して、青草につけて、反対の試験をやったわけです。同様にやはりゲントコーンサイレージを七〇%食べさせた牛は、そのときは四頭でなくて三頭空き腹になりましたが、前に四頭空き腹になった十頭の牛は青草で全部受胎しました。 たとえばゲントコーンサイレージは酸がありますが、その酸というものは毒性ではないわけですから、それからできた牛乳を人間が飲んでも
人体
に影響は起きませんが、毒性ではないがそういうふうに体質変調を起こす。そういう観点から
農林省
から出ておるこの資料を見ますと、これは困ったものだなと私は思うのです。 先進酪農国の欧州へ行ってフランス、ドイツ等を歩けば、大麦四、トウモロコシ六というのが配合
基準
で、原則はほとんど自家
生産
で、自家配合ですね。デンマークは北緯五十度で夏の積算温度が足らぬのでトウキビがつくれませんから、大麦が八〇で、カラス麦、われわれが言えば燕麦ですが、このオートミルが二〇。こんな
油かす
なんか使っておりません。この
農林省
から出た資料を皆さんも手元に持っておるでしょうが、トウモロコシが六百三十三万トンで、マイロが三百八十九万トンで、その他植物性油としかも、大豆かすが百十七万トンとそれから米ぬか
油かす
というように、こういうものの総計で
油かす
類が三百万トン使われておる。この
原料
比率で、いま言ったような
家畜
の体質、生理変調が起きないような配合が本当にできるのだろうか。私はできないと思いますが、だから
添加物
を入れるのですか。その
添加物
というのが私にはわからぬのですがね。粗悪な
原料
を使って
添加物
を使うということ、これが日本の現在の
えさ
の特徴だと私は思います。 そこで、可消化養分量を
表示
すればあえて
原料
割合は
表示
せぬでもいいんじゃないか。これは私
ども
畜産
農家
にとっては了解できないことですよ。話を聞いておっても、もちろん
配合割合
は多少の弾力は持たすべきだと思いますよ。自分が
生産
しておる自家
生産
を先進EC諸国のように自家配合するわけではないのですから、やはり限られた
輸入
条件もあるでしょうし、いろいろな条件の中で行うのですから多少の弾力はあってしかるべきだと思います。たとえば
配合割合
を変えたから、それは一%違っておっても
承知
できないのだというものではないと思うが、しかし、搾乳牛あたりにこういう
油かす
を多く入れてやった場合に、
油かす
というものは油ですので、消化が悪いですから可消化養分量も低下する。そして、そのものが体質を変調していく。これは植物性ですから、つくったものが
人体
に影響する、せぬの問題はそう起きないと私は思います。
油かす
というのは植物性ですから、それを食べさせた
動物
から出る肉にしても、牛乳にしても、そんなに
人体
に悪影響が起きるようなものにはならぬと思いますけれ
ども
、
動物
の体質が変調して、十頭のうち三頭くらい空き腹になったら、これは酪農なんかは大凶作なんですよ。これはものすごくコストが高くなります。
農林省
が計算しておるように、酪農の面だけ見ても、いま全国で二十万頭近い乾乳牛がおるが、先進諸外国を見ると通例そんなに空き腹はおりません。その差は
えさ
にあると断定して間違いないと私は思います。
えさ
の劣悪性によって空き腹が多いのだ。その乾乳牛はそっちのけにしてしまって、しぼった牛だけで五千キロしぼっておくのだというコストで乳価が計算されて、三〇%からおる空き腹にかかっておる
飼料
経費やその他は保証乳価の中から計算上除外されておる。こんなばかなことですから日本の畜産はいつまでたってもコストが高い。こういう問題が
えさ
から出てくるわけです。ですから、もちろん可消化養分量の
表示
も大切ですが、しかし、
原料
割合の
表示
というものは上下五%や三%くらいの差はあることは——ない方がいいけれ
ども
、しかし、多少の弾力をつけなければならぬと思うが、原則としてこういう
配合割合
になっております。
原料
はこれこれですということを
表示
する。できない、それをしないということは非常にいけないと私は思います。それでは
動物
飼育上わからぬですからね。
配合飼料
になって、粉になってしまっておりますからね。なぜそれをスムーズにやらないかと私は言いたいわけですが、どうでしょうか。
太田康二
21
○
太田参考人
先生の畜産と
飼料
との
関係
につきましての全般のお話しを伺ったわけでございますけれ
ども
、私もついこの間まで役人をやっておったわけですが、その経験によりますと、たとえば日本の畜産がやや濃厚
飼料
依存型に偏り過ぎておる。特に、
家畜
の中で草食性
家畜
と言われます乳牛とか肉用牛につきましては、もっと草を食べさせていいにもかかわらず濃厚
飼料
に依存をしておるというような
実態
があることは御指摘のとおりだろうと思います。そのために繁殖障害等が起きておるというような事例もあろうかと思います。しかし、一方におきまして、豚、鶏等の
生産
性の向上がきわめて目覚ましかったということは、もちろん挙げて
農家
の努力にあったわけでございますけれ
ども
、
配合飼料
が果たした役割りも大きかったというふうに私は評価をいたすのでございます。 外国の例をおとりになってお話しが出ましたが、われわれの
検討
の過程におきましても、外国の場合には畜産
農家
が自家配合をする場合が非常に多いんだというようなお話しも出ました。しかし、
わが国
の場合には、現在の畜産
農家
の
実態
から言いますと、それぞれのメーカーの完全
配合飼料
に依存する度合いが非常に強い。
添加物
につきましては
農家
の
段階
で添加をすることがある。したがいまして、その場合には
飼料添加物
の扱いは当然慎重でなければならないということで、今度の
法律
でも二条の二の第一項で、「
飼料
若しくは
飼料添加物
の
製造
、
使用
若しくは保存の
方法
若しくは
表示
につき
基準
を定め、」というようなことで、
農家段階
の
製造
とか保存の
方法
等についても
規制
をし得る道が開かれたようでございますので、これによって対処ができるのではないかというふうに
考え
ます。 それから、
原料
の
配分割合
の
表示
の問題でございますが、
表示
の義務の
議論
におきまして、そこまでやってもらいたいということが
研究会
の
委員
の
生産者
代表の方からお話しが出たことは事実でございます。それにつきまして、各
委員
の方々の
議論
で多数を占めましたのは、先ほど来メーカーの
参考人
の方が御発言なさいましたように、各国からいろいろな
えさ
を入れて配合しており、しかも、時々刻々変わる
情勢
の中で
えさ
としての効果を最も落とさないような
配合割合
に腐心をしてやっておられるという
実態
もあるわけでございますから、
成分
量の
表示
等を十分なさいますれば、それである
程度
の
目的
は達成されるのではないかというような
意見
がございまして、この
報告書
としては、先ほど申し上げましたようなことで、
原料
の名の
表示
だけで配分の
内容
までの
表示
は必要ないんではないかというような結論になったわけでございます。 なお、
法律
の制定の過程におきまして、先ほどちょっと申し上げましたが、八条の
表示
の義務のところで、「
栄養
成分
量、
原料
又は材料その他
品質
につき
表示
すべき
事項
」を定めるということになっておるようでございまして、これらの運用によりまして、ここに書いてあるような
実態
にある
飼料
につきましては、
農林省
も必要に応じて何かやられる場合もそういうことを
基準
としてお定めになる場合もあるというふうに
検討
をしておると聞いておるのでございます。
美濃政市
22
○美濃
委員
同様の問題で、全農の
永松
さんと
飼料工業会会
長の
河田
さんの両氏にお尋ねしたいと思いますけれ
ども
、私は、先進畜産国から見れば
原料
が非常に粗悪だと思う。しかし、日本の置かれておる現在の立地条件ですから、これはここで自給できないという
一つ
の悩みがあるわけですけれ
ども
、たとえを申し上げたように、この
現状
ではどう
考え
ても繁殖障害がはっきりと起きる。乳牛用の
えさ
がこの
現状
では
確保
できない。
油かす
その他であっても、たとえば卵を取る専門の産卵用の鶏にしても、肥育豚にしても、肥育牛にしても、すぐ肉にして、繁殖を伴っていないものには、日本の現実から見て
油かす
等が
えさ
になることも一面——いまやかましくここで言ってもしょうがないと思うのですが、そういう点、現在、
配合割合
の上で十分配慮しておるのかどうか。いま、ここで、現在乳牛用には
油かす
は
一つ
も使っておりませんということが言い切れるかどうか。その配合の
現状
というものをお聞かせいただきたいと思います。
永松英二
23
○
永松参考人
確かに先生のおっしゃるとおりで、特に大
動物
につきましては、われわれもできるだけ自給
飼料
でいくということで、自給
飼料
を
農家
の
段階
で自作する、また
開発
するということについては、これは政府からもいろいろな御援助が出ておりますけれ
ども
、そういう方向でまず
考え
ております。 それから、そうは言っても現実にカロリーも足らないし自給
飼料
も足らないというふうな場合に、
配合飼料
をわれわれは供給しているわけですが、特に肥育用の短期のものと、それから乳廃用の長期のものといいますか、これにつきましてはわれわれもこれまでもいろいろ配慮しておりますし、今後もその泌乳率のいい牛が長くもつような十分な配慮をしていきたいというように
考え
ております。
河田四郎
24
○
河田参考人
ただいま御質問の大
動物
につきまして、わらのあるところ、それから牧草のあるところの牛その他につきましてのことは、われわれの方は大体市販
飼料
をつくっておりますので、それを買っていただけるお方は——そういうものをおつくりになっている方々は、恐らくそれを十分利用してその上にわれわれのものを一緒に使っていただいておるのじゃないかと思いますが、まあ、都市周辺でおやりになるお方はやはり
配合飼料
専門でいかれるところもあるかと思いますけれ
ども
、その点、牧草とか粗
飼料
の
生産
と、それからそれとどういうふうに組み合わせてお使いになっているか……。牛なんかを飼っておられるお方は、飼養管理その他についての御経験も大体において相当ある方が多いものですから、われわれのつくります
配合飼料
等を適当に勘案されまして御
使用
をいただいておるのじゃないかと思っております。 それから、配合の問題でございますけれ
ども
、先ほ
ども
ちょっと申しましたように、その
原料
にも非常にばらつきが多いのでございます。たとえて申しますれば、トウモロコシ等におきましても、産地によりましてはたん白が六だとか七だとか、多いところは一〇あるということでございます。畜種にもよりますけれ
ども
、いまの鶏とか小
動物
に対しましては非常に厳しい
栄養
を要求しているんじゃないかと思いますので、そのために、先ほど申しましたようにわれわれとしても非常な努力をしていろいろなデータを集めてその
製造
をいたしておりますので、いまおっしゃるように養分が五%ぐらい違ってもいいじゃないかということは、大
動物
等については言えるかもわかりませんけれ
ども
、小
動物
等については、われわれの観点からいきますれば、非常に厳密な決められた
範囲
内のものでこれを
農家
の方に供給するという責任があると
考え
まして現在
えさ
をつくっているわけでございますので、ひとつその辺で御勘弁をいただきたいのでございます。
美濃政市
25
○美濃
委員
いまの
河田
さんのお話しですが、もちろん初生ひななどは量的にも余り多くありませんし、また本当に弱い初生ひなですから、
えさ
の
配合割合
は厳格にしなければならぬと思います。私が言っておるのは大
動物
だけじゃございません。たとえば鶏でも、親になって産卵をする時期になれば、
配合割合
がそのときの国際価格やあるいは
輸入
の
事情
によって多少変わっても対応性はあるわけです。それから、たとえば豚についても、二十キロ以内の初生肥育と二十キロを超えての本格的な肥育になって体力がついた場合とでは、
えさ
の割合等については体力が出てきますから違う。ですから、私が言っておるのは、通例大
動物
、小
動物
という区分はないということです。しかし、
動物
は
えさ
で生理変調を起こすわけですから、その生理変調が起きる条件の
動物
には、
配合割合
の厳格性は、私が申し上げておるのは、多少の弾力はあってもいいけれ
ども
、可消化養分さえあれば何を食わせてもいいのだでは困るということなんです。
動物
が生理変調を起こすと受胎をしなくなるのですから、乳牛の場合ですとはらまない牛が多くできる。はらまなければ乳が出ないわけですね。
生産
することができないわけです。そういう
関係
にある牛についてはさっきちょっと例を粗
飼料
で申し上げたけれ
ども
、
河田
さんのお話しを聞いているとそういうところは粗
飼料
でおおむねまかなっておるのじゃないかということですが、そうじゃありません。北海道地域においては、乳をしぼるのは大体粗
飼料
が五〇、濃厚
飼料
五〇です。あるいは都市周辺になると五〇、五〇を上回っておるくらいで、粗
飼料
だけで牛乳を
生産
しておるという酪農はございません。全部濃厚
飼料
、皆さん方のつくる
配合飼料
を食べさせておるわけなんです。ですから、
配合飼料
は単に可消化養分だけあればいいのだ、
表示
はそれでいいのじゃないか、中身は言わなくてもいいのじゃないかということでは困りますよと私は言っておるわけなんです。
河田四郎
26
○
河田参考人
えさ
をつくりますときに、いまおっしゃるように、鶏で申しますと、一番初めに生まれてすぐのときの
えさ
、それから六十日から百二十日くらいまでたつときに育てるときの
えさ
、それから卵を産むまでの期間の、いわば大雛と申しますか、そういうようなときの
えさ
、それから産卵を始めてからの
えさ
、と、こういうふうに区分けしております。したがいまして、大きくならなければならぬときには、いま申しましたように
栄養
価の高いものをたくさん入れたものをつくります。それから、相当量体重ができまして余り太らせてはいけないというときには、たん白類を落としましてでん粉質のようなものに置きかえる。それから、卵を産むようになりますればそれに必要な
栄養
を与えていく。そういうふうに
飼料
の
種類
をつくっておりますが、初生用、中雛用、大雛用、成鶏用と、それからまたブロイラーの肉用の鶏のごときは、最初に一週間ないし二週間使う
えさ
、それから体をどんどん大きくしていくときに使う
えさ
というように大体二
種類
ないし三
種類
に分けまして
えさ
をつくっております。豚等におきましても、えづけをするときの子豚、中豚、それからどんどん肥育しなければならないときの
えさ
というものを区別して
えさ
をつくっております。
美濃政市
27
○美濃
委員
次に、全農の
永松
さんにちょっとお尋ねしたいと思いますが、先ほど、自給体制には全農としても力を入れる、具体的にこれから全中とタイアップすると言われたが、これは可能な
限度
もございますね。
えさ
の自給には土地という条件が要るわけですからね。だけれ
ども
、時間がございませんから地域別その他は別として、どういう
方法
で自給体制に力を入れていくかということと、もう
一つ
は、遠き将来まではわからぬでしょうけれ
ども
、当面の
輸入
価格の推移とその量の
確保
ですね。これについてお伺いをいたしたい。 それからもう
一つ
は、私の聞いた
範囲
では——これは立入
検査
をして私が証拠をつかんでいるというのではないので、事実に相違しているかもしれませんが、私の聞いた
範囲
では、
えさ
会社によっては、特になたねの
油かす
まで
えさ
にしているという話を聞いているわけですが、なたねの
油かす
なんかということになると、これは
えさ
として果たして適当であるかどうか。やはり有機質の、果樹かその他の肥料に使うべき性格のものじゃないかとも
考え
る。しかし、大体使っておるらしいのではないかと私も思うのですが、確証はつかんでおりません。そういうことで、この質をもう少しよくしなければならぬということと同時に自給を高めるということですね。
えさ
の中身が、先進畜産国に比べると非常に粗悪な
原料
が無理して使われておる。これも日本の特殊性ですから、いまここで私は皆さん方が悪いときめつけるわけじゃありません。やはり、自給できていないという弱さがあると私も
理解
しますからね。だけれ
ども
、先進畜産国に比較すれば
えさ
の
原料
は粗悪なものが使われておる。これを将来直していかなければいかぬだろう。直す方向は、自給の方向と、もう
一つ
は
輸入
の中でも変えていくという
方法
だと思うのですが、これについてどういうふうにお
考え
になっておるか。 私は去年予算
委員会
等でもこの質問をしたことがあるわけですが、政府は大麦等の買い付けにもつと力を入れたらどうか、役人はどうも商売が下手でだめだということなんだな。だから商社に依存せざるを得ないというのが政府の態度なんだ。ですから、自給の方は農業団体ですから全農からだけでよろしゅうございますが、価格の推移と将来の対策についてどうお
考え
になっておるか、
河田
さんとお二人からお聞きしておきたいと思います。
永松英二
28
○
永松参考人
最初の御質問の自給問題でございますけれ
ども
、これは農政上の問題が非常に多くあるかと思います。しかし、
生産者
団体としましてもできる
範囲
ではそういった方向で努力をしたいということで、過去、もうすでに十年ぐらいになりますけれ
ども
、北海道でトウモロコシの
開発
ができないかというふうなことで、特にそれにつきましては国内でトウモロコシの配合
原料
としての
開発
ができないかというようなことでやってまいりました。しかし、これはなかなかむずかしいわけでございまして、一部では定着をしてまいりましたけれ
ども
、なかなか面積が拡大できないということで、これは特にコストの問題が大きな問題でございます。 それから大麦の未乾燥の、ソフトグレーンとわれわれは言っておりますけれ
ども
、これの
開発
にここ数年努力をしてまいりました。これは北海道ではなくて少し南の方で、関東以西と申しますか、そういうところでやってまいりまして、これは現在非常にいい結果を生んでおります。したがって、コストもわりあいに合ってまいりましたし、かなり普及ができるのではないかと思います。ただ、残念ながらソフトでございますから、いわゆる長距離の流通ができないということで、われわれとしましては、できるだけ産地を団地化して、その団地の中でそれを小売りをするというふうなことでやっていきたいということで、現在かなり進んでまいっております。 そういうことを含めて、未利用資源もありますが、
えさ
づくり運動というふうなことで、先ほど先生がおっしゃったように
生産者
の頭をまず自給
飼料
にできるだけ切りかえていく、特に大中
動物
についてはそういう方向でわれわれとしても対応していく、したがって
えさ
の供給についても、いわゆる基礎
飼料
というか、産地でそういう
飼料
で飼育をやる、それに不足するものをわれわれは供給していく、つまりサプリメントするといいますか、そういうような形でこれからは進めていくべきではないかというふうに
考え
ております。 それから、二番目の御質問の
輸入
価格と量というお話しなんですが、それの
考え
方というふうに御質問をとったのですが、現在トウモロコシ、マイロの主
原料
でわれわれの団体だけでも年間約五百トン
輸入
が必要になります。まあ、かすも多少ありますが、これをできるだけ実需で向こうの
生産者
と契約をしていくという形でいまわれわれは進めております。端的に申しますれば、アメリカなりオーストラリアなりの協同組合とこちらも協同組合ですから、協同組合同士の契約をしていくということで現在まで過去十年以上進めてまいっております。これはアメリカ、南米、特にアルゼンチンとそれからオーストラリアあたりでも高く評価されておりまして、今度の備蓄とか
規制
とかいうふうな問題の場合にも、この契約につきましては向こう側の政府も非常に応援をしてくれておるという現実でございます。 この場合に、価格の問題でございますけれ
ども
、向こうも
農家
ですからできるだけ安定価格で契約ができれば一番いいとは思っているのですが、残念ながら、シカゴ相場に右へならえというふうなことがまだ標準になっております。必ずしもそうではありませんけれ
ども
、そういう形で現在数量と価格の問題がございます。 それから、三番目に御質問のなたねかすの問題でございますけれ
ども
、これは非常に害になる要素がございまして、日本でも非常にきらわれておりますし、われわれは使っておりません。外国では使っておるようでございますけれ
ども
、われわれは使っておりません。 それから、その際御質問の、粗悪なものが非常に出回っているのではないかというふうな御質問でございますけれ
ども
、われわれも
生産者
の立場から見ますと非常に心配をしております。まあ、手前みそになりますけれ
ども
、全農のマークのついたものについては、
品質
管理並びにブランドの保持の問題からそういうものは絶対にないというふうに確信をしておりますけれ
ども
、未利用資源という名をかりるといいますか、そういうものが
生産者
のところへ若干出回っておるということも聞いております。しかし、われわれとしては、それは価格が安くてもかえって非常に問題があるというふうなことで、いろいろなルートを通じて
生産者
にも、PRといいますか、教育といいますか、やっておるわけでございます。
河田四郎
29
○
河田参考人
いま
永松
さんからも御答弁がありましたけれ
ども
、簡単なものから先にお答えいたします。 なたねかすにつきましては、なたねかすを今後使ったらどうだという話がずっと前からいろいろと世間でございます。それから、日本ではなたねかすが現在非常に減少しておりますけれ
ども
、カナダとかどこかでなたねかすを盛んに売り込んできておりまして、なたねかすの
飼料化
ということにつきましていろいろやかましく言われておりますけれ
ども
、現時点におけるわれわれの
業界
といたしましては、これをどれだけ使ったらどれだけの効果があり、どれだけ使ったらどれだけの危険があるというようなことをまだはっきりとわれわれは耳にしておりませんので、非常に危険だと思いますが、全農さんのように、現在では恐らく使っていないのじゃないか、もし使っている人があったにしましても微量に試験的にお使いになっているという
程度
じゃないかと私は想像いたします。 それから、
原料
の
輸入
の問題でございますけれ
ども
、これは先生も私たちも本当に頭の痛い問題でございまして、産地によりましては南半球、北半球と収穫時期が違います。それらを勘案し、それからいろいろ世界の
情勢
等を見まして——持ってくるときの船賃なんかも、アメリカから持ってくるのに七、八ドルで来るときもありますれば三十ドルも取られるときがあります。こういうようなことも勘案しなきゃならない。最近では為替の相場がどんどん変わってまいります。これは非常に大きく影響いたします。 それから、各地のトウモロコシ買い付けにつきましては、現在貿易協定で買っておりますのはタイでございます。毎年
輸入業者
と使う方のメーカー側と話し合いまして、貿易協定で
一定
の期間を決めまして買っております。それから、中国から、これはもう十何年になりますけれ
ども
、少量でございますけれ
ども
年間契約をいたしております。その他のところはほとんど需要買い付けでございます。したがいまして、先ほど申しましたように場所によって非常に
内容
が違ってまいります。水分の多い問題とか天候その他の
関係
で割れが多かったり、未熟が多かったりというような問題がございます。これらは私たちが
配合飼料
をつくる上におきまして大きな問題でございまして、それらをよく勘案して使っているわけでございますけれ
ども
、来たときにそれがいいか悪いかわからないときもありますし、
規格
どおり来るものもありますし、いろいろでございますので、それを
確保
することにつきましては最大の情報網をもちまして、また手当てをいたしまして調査して買っております。 そういうわけで、
飼料
の
原料
をわれわれが手当てをするのは大体三ヵ月から四ヵ月先のものを買っていかないと、来るのに大体一ヵ月半くらいかかって参りますから間に合わないわけでございます。そうすると、先物を買っておきませんと、もし仮に船の都合とかいろいろな問題で来ないときには、われわれとしましては生き物を後に控えておりますので、どうしても相当の危険をわれわれは負担いたしまして手当てをいたしております。これは私が言うのははなはだ口幅ったいのでございますけれ
ども
、過去五十年の
飼料
の歴史を持っておりますけれ
ども
、メーカーで、
えさ
の
原料
を切らして
家畜
に
えさ
をやれなかったというメーカーはいままでかつてないのでございます。そのようにわれわれメーカーといたしましては配慮をして手当てをいたしております。 それで、その手当ての先行きにつきましては非常にむずかしいわけで、いまの天候の問題とか、それからよそが突然買ってくるんじゃないかとか、買われたとか、それの後になりましたら高くなるとかいうことで、自由貿易でございますので、そういう点につきましてわれわれは全く夜もまくらを高くして寝られないような時期もありますので、
考え
ると自分の身上は今晩飛んでしまったというようなこともないとは言えません。そういうわけで今後もその
原料
手当てにつきましてはわれわれ全力を尽くしまして、各企業がそれぞれ自由に買っておりますが、先の見通し、それから現在の時点ではアメリカの収穫、それから年度末の繰り越し、それから新年度の収穫というもの等をいろいろ調査しておりますけれ
ども
、現在のところでは
輸入
原料
につきましてのわれわれの見通しというものは全くついていない。しかしながら、高くても安くてもわれわれの系列におりますところの鶏、牛、豚は殺してはならないということで、現在でもその手当てをいたしております。 したがいまして、現実にいま困っておることは、この前は高いところのやつを買っておりまして、それがいまはだんだん下がってまいりまして、高い
原料
をたくさん手持ちして、現在それを消化しなくちゃならないという事態で、売れ口がとまればそれは置き場も困るというようなことで、事実現在そういう問題で当惑している事態がございます。 そういうわけで、お尋ねの見通しにつきましては、われわれはぜひそれをキャッチするべく、外商、商社それから自分みずからも産地に調査陣を出しまして、あらゆる
方法
をもって収穫だとかいろいろな問題の調査をいたしておりますが、現時点におきましては、先行きこの
飼料
が安くなるんだろうか、それからわれわれが買うのにどれだけのものが
確保
できるんだろうかという点につきましては、企業はそれぞれの企業努力によってやっておりますけれ
ども
、なかなかむずかしい問題だと存じまして、はっきりここでお答えすることが私はできないわけでございます。あしからず御了承いただきたいと思います。
坂村吉正
30
○坂村
委員長
代理 次は、柴田健治君。
柴田健治
31
○柴田(健)
委員
参考人
にお尋ね申し上げます。 まず、
太田参考人
にお尋ねしたいのですが、私たちは今度の法案を
審議
する過程の中でいろいろと疑問を持っているわけです。まず、
家畜
にも大
家畜
、中
家畜
、小
家畜
といろいろ
種類
があるし、特に鶏、豚、乳牛、和牛に重点を置いて私たちは
飼料
の
品質
に非常に関心を持っておる。そういう立場から言って、
添加物
を使わなければならぬ理由というものがよくわからない。
添加物
、
添加物
ということで
規制
をしながら、そして
品質
を改善しながらなぜ
添加物
を使うんだという、こういう
添加物
利用の基本的な理由がよくわからないので、その点の
考え
方をちょっと聞かせていただきたいと思います。
太田康二
32
○
太田参考人
添加物
につきましては、先ほど来申し上げておりますようにすでに使われておりまして、
飼料
公定書
によってこれを
規制
をしておるという
実態
であったわけでございますが、なぜ
飼料添加物
が使われたかということにつきましては、確かにメリット、デメリットがあることはおっしゃるとおりであろうと思いますが、現実の問題として、
飼料
の変質の
防止
のこととか、
栄養
成分
、特に微量
栄養
素分の追加補給の問題とか、あるいは
家畜
疾病の
防止
等に
飼料
添加剤の果たす役割りが非常に大きいこととか、そういったメリットもあるわけでございますから、その
種類
とか
使用
方法
とか
使用量
のいかんによってはもちろん問題もあるわけですが、十分にこれらに対する手当てを講ずることによってやはり
使用
を認めるべきではないかということで、
規制
を
法律
上の
制度
として整備して認めるという
報告
をいたしたのでございます。
柴田健治
33
○柴田(健)
委員
銘柄がどんどんふえて、現在
登録
、未
登録
を含めて四千八百
種類
ほどある。この四千八百
種類
もまだその上ふえる要素がある。こういう銘柄がふえる根拠は、そういう
添加物
を使うことによって銘柄がどんどんふえていくんだろうという気が私はするわけですね。 そうすると、消費者である農民の方は、本当に中身を勉強してこの
飼料
を与えるとどうなるかというような研究がおろそかになる。それから飼育管理者である農民の勉強不足からくるところのいろいろの弊害、つまり、先ほど美濃
委員
が言われましたような、日本の場合には死産、流産、妊娠障害というものが減っていない。なぜ減らないかという理由は、そういういろいろな
添加物
を使った銘柄の濃厚
飼料
がいろいろな災いをしているのではないかと思う。御
承知
のように沖繩から北海道まで日本列島は気象条件が皆違うし、粗
飼料
の給与率も違うし、そしてまた水も違う。水の質もアルカリ性のところもあれば、鉄分のあるところもある。そして、水で溶解させていく
飼料
についてはいろいろな
変化
を起こしてくるというように、地理的条件、地域においてもろもろなものが変わっておる面も
考え
なければならぬ。 そういうことから
考え
たときに、余り
添加物
を使うと変なことになる、そういう障害を起こしてくるということをわれわれは常日ごろ
考え
ているわけです。こういう
添加物
を使うことによって銘柄がどんどんふえる。この銘柄のふえることによって農民は非常に迷いを起こしている。こういう弊害があるとわれわれは思っているのですが、そういう弊害があるかないか、
太田参考人
、ひとつ見解を聞かせてください。
太田康二
34
○
太田参考人
飼料添加物
の
使用
を認めることによって銘柄が非常にふえたのかどうかという
実態
につきましては私は必ずしも明らかでないわけでありますけれ
ども
、確かに、御指摘のように、
飼料添加物
を
使用
することによりましてのデメリットがあることは
研究会
の場でもずいぶん
議論
されたわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、全体をながめてみますとデメリットよりもメリットの方がやはり大きい。しかし、デメリットも伴うものでございますから、その
使用
規制
等については十分な配慮を加えた上で
使用
を認めるべきであるということに相なったのでございます。 〔坂村
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
飼料
の数が非常に多いということにつきましてはいろいろ問題があろうかと思いますが、
飼料添加物
の
使用
が
飼料
の
種類
を非常に多くしたかどうかについては私は必ずしもつまびらかにしないので、ちょっとお答えいたしかねます。
柴田健治
35
○柴田(健)
委員
同じ質問ですが、
藤巻参考人
はどういうお
考え
を持っておりますか。
藤巻正生
36
○
藤巻参考人
簡単にお答えいたしたいと思いますが、先生の御指摘のように、勉強不足からくる弊害があるということ、こういうことがたとえば
一つ
の
添加物
についてもまつわっているということはある
程度
心配されることがあろうかと思いますが、これは反面から
考え
ますと、
添加物
の効用がかなり大きいということがある意味では災いしているかとも
考え
られるわけであります。
添加物
についてメリット、デメリットがあるということもいまお話しが出ましたけれ
ども
、
添加物
というのは食糧の場合でも基本的には大体同じだろうと思いますけれ
ども
、まず第一番目に
安全性
の問題が
確保
されなければいかぬということと、それに基づいてさらに効用が十分であるということが立証されなければいかぬという点で、
添加物
はそういうものが保証されれば、その必要性は、ことに日本のような環境においてはある
程度
必要であろうというふうに私には
考え
られるわけであります。 しかも、
飼料
の場合にそれではどういう
添加物
が必要かということについては、今後の
農業資材審議会
の専門部会とか、そういうようなところで科学的にもう一回洗い直す必要があるというふうに私は
考え
ております。
柴田健治
37
○柴田(健)
委員
それぞれの方が資材
審議
会に大きな力点を置いて、これを絶対信頼して、この資材
審議
会の活動によって適正な
飼料
供給体制ができるのだということを言われたのですが、この法案の文章から見ると私はそうはとっていない。これはこの資材
審議
会という会にもう少し手足となるものがあるのかないのかという問題があるのですね。その手足がこの法案によって完全にできるというふうに
参考人
の立場としてお
考え
になっておるのかどうか。
太田
さんと
藤巻
さんにお尋ねしたい。
太田康二
38
○
太田参考人
先ほどの
報告書
の
内容
の御
説明
でも申し上げたのでございますが、資材
審議
会に今度の
規制
についての
基準
等が諮問されまして、資材
審議
会で判定が下されるわけでございますが、それは二条の二の
基準
、
規格
なんかについてもそうでございますし、八条の
表示
の義務なんかについてもそうなっておるわけでございますが、そこで
審議
される場合には、十分これらを
裏づけ
るバックデータが国の試験研究機関で実施されているものは当然国の試験研究機関から出されるでございましょうし、それぞれのメーカーの機関から研究されているものも出されると思いますが、伺いますと、
農林省
としてはメーカーの試験研究機関でやったものはにわかに信頼するわけにはいかないので、やはり第三者機関による信頼すべき実験データをバックデータとして
審議
をするということを期待しているようでございます。 現に私
ども
の
報告書
にもそういったことが新
飼料
等についてうたわれておるわけでございますが、そういった
客観性
のあるバックデータを得たものが当然現実に認められていくものであるというふうに思うわけでございまして、そういった十分なデータのないものが認められて
使用
されるというような事態はなかろうというふうに信じております。
藤巻正生
39
○
藤巻参考人
先生の御指摘のこの
審議
会の手足ということは、私なりの
理解
では、
農林省
におきますところの研究体制の強化というところでその手足の充足があるというふうに
考え
たいと私は思いますし、日本の実情から申しまして、これに各国立大学、私立
大学等
の研究機関が協力することが望ましいと
考え
ております。
柴田健治
40
○柴田(健)
委員
配合飼料
の
原料
は
輸入
に頼っておるというのが現実の姿ですが、この
輸入
原料
に対する
品質
の
検査
、調査というか、そういうものが十分なされておるんだろうかどうか。たとえばトウモロコシにしても、マイロにしても、同じトウモロコシでもそれぞれの国によって
成分
というか養分が違っておると思うのですね。国内でもそうです。同じ米と名前がついておっても養分がいろいろと違う。そういう
原料
の養分なり
成分
の
検査
が十分されておるのかどうか。それによって国内でそういう
添加物
を使って
配合飼料
をつくり出していく。そういう場合に、基礎的なものが狂っておると大変なことになるのじゃないかという心配もあるわけですが、そういう点で、
輸入
原料
についてもそういう養分または
成分
の
検査
がいま十分されておるんだろうかどうか。その点
参考人
の立場からの見解を聞いておきたいと思います。
太田
、
藤巻
両
参考人
にお願いします。
太田康二
41
○
太田参考人
えさ
の数量が非常にバルキーな数量に上っておりますので
検査
が大変なことは言うまでもないわけでございますけれ
ども
、メーカーの方といたしましては、当然
品質
の保証ということで製品をつくっておられるわけでございますから、
原料
を入手されました場合にも、当然それ相応の
品質
管理をして製品化しておるというふうに信じております。 なお、製品等につきましては、御
承知
のとおり、国なり県の
飼料
検査
所あるいはこれらと類似の機関がそれぞれ立入
検査
あるいは抜き取り
検査
等によりまして
検査
をいたしておるのでございまして、これらを通じて十分——まあ、十分という意味がなかなかむずかしいわけでございますけれ
ども
、それぞれの立場立場で行われておるというふうに
考え
ます。
藤巻正生
42
○
藤巻参考人
先生がただいま御質問になられました
輸入
原料
の
品質
がたとえばロットごとに違うであろうとか、そういうことはある
程度
考え
られるど思うのでありますが、それをいかにチェックしているかは、大変恐縮でございますが、私はつまびらかにいたしませんけれ
ども
、そのゆえにこそそういうものを
原料
にしてつくられたもの、たとえば
一つ
の例で申しますと
配合飼料
というものの
成分規格
が
設定
されており、そういう
成分規格
の
設定
とか、そういうことによりまして原材料の
品質
というものが当然チェックされて使われている、こういうふうに私は
考え
ておりますので、
成分規格
の
設定
というところでそういうことが充足されているというふうに
考え
たいと思います。
柴田健治
43
○柴田(健)
委員
この条文から見ますと
成分規格
というものが明確でないのです。いま
藤巻参考人
からもろもろのものの
原料
の
成分規格
の
設定
ということについても言われましたが、私はこの
成分規格
を明確にすべきであると思うのですが、これはそういう
成分規格
を明確にするという条文ではないという気がするのです。 その点について
藤巻参考人
にもう一回見解を聞きたい。
藤巻正生
44
○
藤巻参考人
現
段階
でこの
成分規格
が十分であるかどうかということは、
一つ
は現在の学問的な結果の水準にもよると思うのでありますが、一応この法案に盛られているところの
成分規格
というものはかなりよろしいことであるというふうに私は
考え
ております。
柴田健治
45
○柴田(健)
委員
全農の
永松
さんと工業会の
河田
さんにお尋ねしたいのですが、先ほどの美濃
委員
の質問のなたねかすを使っておるかどうかということですが、
農林省
の畜産試験場が
昭和
四十八年二月に出した「改訂
飼料
成分
表」を読んでみると、
油かす
類の
成分
表が皆出ているわけです。アマニかす、カポックかす、ゴマかす、サフラワーかす、大豆かす、なたねかす等の抽出と圧搾と、それからニガーかす、パーム核かす、ヒマワリかす、綿実かす、ヤシかす、落花生かすというように
成分
が出ておる。こういうように
農林省
みずからそれぞれの
成分
の率を出している限りは、いろいろの面で使っておるということを判断しなければならぬ。 それで、日本にいま五百五十三社ほど
製造業者
がある。五百五十三社で、いまの
検査
体制は
農林省
なり都道府県に委嘱している。この
検査
が十分に行われておるかどうか私たちはちょっと疑問を持っておるんですが、こういう
農林省
が出しておるいろいろな品種の
成分
を見ると、全然使っていないということは
考え
られない。全農は使っていないかもしれない。特に、全農連、日本配合、日清製粉、日本農産、協同
飼料
、大洋
漁業
、菱和
飼料
、東急エビス、
昭和
産業、アミノ
飼料
というような大手十社について、それぞれの
農家
がいま使っておる
飼料
の
表示
がなかなか不明確な点があって、私たちは十分知らないのですけれ
ども
、
農林省
が出したそれぞれの
成分
が出た限りは使ってもいいという判断に立っておるのではなかろうか。いまの
飼料
メーカーの社会的責任というか、道徳的責任というか、そういう責任の度合いをそういうことによって
考え
た場合には、売れるやつは何でもつくって売ろう、どんな
方法
でもやれということになる可能性はある。 私たちは、乳牛の面でも、分娩二ヵ月前からどういう
えさ
を与えていくか、そして生まれたらその子牛というか、哺乳牛というか、保育牛というか、そういうものに一週間の間にどういう
えさ
を与えていくか、また、幼齢期と言われる三ヵ月間の間にどういう
えさ
を与えていくか、六ヵ月まではどういう
えさ
を与えていくかというように、こういうものについていろいろ試験をし、そういう指示はやっておる。それをやった場合に成功しておる例もあるし、不成功の面もあるが、そういうことを
考え
たときには、やはり
えさ
の中身というものがいろいろな複合的その他の
変化
を起こすのか、また、持っている牛の体質なり、あるいは肥育管理なり温度調節なりというもので影響があるのかというような総合的な研究というものがまだまだ
農家
では十分なされていない。そういう弱さがある。要するに、肥育管理体制の弱さというものがある。そういうものにいま
配合飼料
でいろいろな銘柄をつくってどんどん供給していくということはメーカーの方もお互いにもう少し
考え
なければならぬのではないかということを私は
考え
ておるわけです。 そういうことで、全農の
永松
さんと工業会の方の
河田
さんがいまの
現状
で十分に責任を果たしているかどうかという立場から、この法案に対して、今後安心して
農家
が使えるような
えさ
を責任を持って供給していくという自信があるかどうか、見解を聞いておきたいと思います。
永松英二
46
○
永松参考人
三つばかり御質問があったと思うのですが、最初のなたねかすの問題ですけれ
ども
、
農林省
の許容されている
範囲
と、それからわれわれが実際に
農家
の
生産
を
考え
、またそこから出てくる販売物と、これの消費者への対応と、それを消費がどう見てくれるかというふうなことを
考え
た場合に、われわれとしてはその
範囲
内で
えさ
、飼育
方法
、
流通等
を
考え
てやっておりますので、先ほど申しましたように、なたねかすについては、これはよくない要素がほかのかすと違いましてあります。したがって、使っておらないということでございます。 それから、
検査
体制の問題につきましては、われわれといたしましても、今度
法律
が
改正
になりますればなおさらでございますが、国の施設としましては肥
飼料
検査
所が六ヵ所しかなく、人員は
承知
しておりませんけれ
ども
、体制は非常に不備だというふうに思っております。したがって、われわれといたしましても、われわれの立場から言いましても、充実をしていただきたいということにつきましては先ほど陳述を申し上げたとおりでございます。 それから、
農家
の
段階
での総合的な研究なり知識なりがまだまだ不十分だという問題と、先ほどのお話しの銘柄が非常に多くなってくるという問題と、問題が非常に絡んでおりますけれ
ども
、まず、全農といたしましては、いろいろな新しい技術も
開発
されますし、
農家
が知識を大いに持ってもらわなければ困るし、また、それを持っていない
農家
が使われるいろいろな
飼料
も安全である必要があるというふうなことから、すでにもう七、八年になりますが、茨城に中央研究所をつくって、
えさ
の
安全性
についてといいますか、そういう
検査
体制を厳格にやっております。ここの年間の経費だけでもいま八億円以上かかるというふうな非常な投資になっております。 それから、銘柄の問題ですが、そういった中で銘柄が非常に多くなってくるということにつきましては、これは非常によくないといいますか、好ましくないことだというふうに私たちも
考え
ております。したがって、指導といたしましては、先ほ
ども
成分
の問題が出ましたが、同じような
えさ
、それから同じような
段階
で使うものにつきましてはできるだけ
統一
をしていく。このことは
農家
の技術の問題も非常に影響しているのですが、そうなれば、たとえば素畜も
統一
されてくれば、できてくる畜産物も
規格
が
統一
されるというふうな利点が出てまいりますので、われわれといたしましても、銘柄につきましては極力減らすということで多少の実効は上がってまいっております。 そういったことが先ほどの
成分
表示
とそれから
原料
との
関連
になるのですけれ
ども
、
原料
が非常に浮動している中で、また、
農家
の知識がそういうふうにまだ十分でないという中で、
原料
の名称だけで
農家
がそれにいろいろと自分のところで添加したり何かするということの危険性も非常にございます。 したがって、銘柄がふえるということは好ましくないので、
農家
の知識が向上するということと同時に、その向上を待ってそういった問題をわれわれとしては順次改善をしていくというつもりでやっております。
河田四郎
47
○
河田参考人
お答
えさ
せていただきます。 順序不同になるかわかりませんが、銘柄の点でございますが、われわれメーカーといたしましては、なるべく銘柄を少なくすることによりまして工場の操作が簡素化してまいります。したがいまして、
原料
その他につきましても、いろいろと
使用
するのに便利があろうと存じまして、銘柄が少なければそれだけコストダウンにもつながるのではないかと思っておりますから、われわれ
業界
といたしましても、メーカー側といたしましても、極力必要になるものだけにして、銘柄を少なくしていきたいというのがわれわれの
考え
でございます。 それから、先ほ
ども
申しましたように、なたねかすその他のものについては、大体大豆かす以外には余り多く使っていないと思います。とにかく、なたねかすにつきまして特に指摘がありましたので申しますけれ
ども
、先ほど申しましたように、恐らく使っておらないというように私は
考え
ております。 それから、
原料
を入荷したときのチェックでございますけれ
ども
、これは非常に厳重なチェックをいたしております。各メーカーごとによって
方法
その他はいろいろ違うかもわかりませんけれ
ども
、しかし、大体におきまして、
原料
が入ってまいりますれば、それに対して、量目等につきましても、ショートした場合にはそれはコスト高につながりますし、そういう検量の問題と、それからサンプリングをしてその適合
検査
をいたします。物理
検査
、化学
検査
、細菌
検査
等のいろいろな角度から、先ほど冒頭に申しましたように専門の要員を持っておりますので、その機関を通じまして専門員を動員いたしまして、
原料
にいたしましても、製品にいたしましても、その責任体制を整えましてチェックをいたしておりまして、不良その他によりましての
生産者
方に御迷惑をかけるようなことは、現在のわれわれのメーカー、
生産者
側との
関係
からいきますれば、どうしても
生産者
側の採算性の合った有利な飼育をしてもらわなければわれわれの
えさ
代がもらえない、また買ってもらえないということになりますので、非常に慎重に、皆様の御満足のいくような万全の策を講じてチェックをいたして、監視、監督をしているということを申し上げます。
柴田健治
48
○柴田(健)
委員
もう時間が来ましたので、簡単に全農の
永松
さんにお尋ねしますが、先ほどの御発言の中で現実論と理想論という言葉をどういう意味で言われたのか、余り理想論ばかり言うなという気持ちで言われたのかどうかわかりませんけれ
ども
、私たちは、あくまでも畜産事業は第一次産業だという位置づけをしているわけですね。第一次産業なら第一次産業らしくやっていかなければならぬ。それがいまや日本の場合は畜産はもう第三次産業だ、加工業だと言われる。農民の中からそういう声が出ておる。それはなぜかというと、
えさ
は全部購入
飼料
だというところに問題がある。それから、自給
飼料
体制をどうつくっていくかということが今後の日本の国民の政治課題でもあるし、また、
農林省
もそういう方向でやってもらわなければいかぬ。 私たちは、
配合飼料
や濃厚
飼料
はあくまでも極力
原料
輸入
を抑えて国内で自給していくという施策を強力に進めたいために、
添加物
を使って化学
飼料
というようなものはなるべく排除していきたいという
考え
を持っているから、この法案の
審議
の過程でもいろいろ申し上げておるわけです。そういうことで、現実論と理想論という言葉を使われたから、それはどういう意味で言われたのか、その点の見解を聞いておきたいと思います。 それから、あわせて単味
飼料
の供給体制なんですが、農民の方はこれを強く要望している面もあるわけですが、これからのそういう単味
飼料
の供給体制というものについてどう対応していかれようとするのか。 以上の二点だけお聞きします。
永松英二
49
○
永松参考人
いまの御質問の現実論といいますか、理想論といいますか——理想論ではなくて、特に大
動物
等については、先ほど御
説明
申し上げましたように、自給
飼料化
の方向へわれわれとしても努力をしておるという現実でございます。しかし、将来どういうふうな方向へそれを持っていくのかということは先ほど申し上げたつもりでございます。 単味
飼料
につきましては、いま自給
飼料化
の方向の中で非常に要望もございますし、非常に好ましいことだというふうに思っております。ただ、単味
飼料
を供給するという手はずが、
制度
的にもいま非常に欠陥がございます。たとえば税法上の問題でも、単味については税がかかるとかいうふうに非常に問題がございます。われわれとしましても、できるだけ
農家
の技術が向上するということとと同時に、そういった単味といいますか、それの供給をふやしていくというふうにしたいという
考え
方でおります。
澁谷直藏
50
○
澁谷
委員長
中川利三郎
君。
中川利三郎
51
○
中川
(利)
委員
全農の
永松参考人
にお聞きするのでありますが、まず、全農のよって立つ基盤は農業協同組合法だと思うのですね。したがって、全農がいろいろとおやりになる事業もそういう精神に立脚しているものだと思います。つまり、一人一人の農民は非常に弱い立場でありますが、これが団結いたしまして、現在農業にいろいろな面で障害を起こしている資本の攻撃に対して太刀打ちしていこうじゃないかという
考え
方の基礎の上に全農の事業が位置づけられているのだと私は
考え
ておるわけでありますが、この点についての
永松
さんの御見解はいかがでしょうか。簡単で結構です。
永松英二
52
○
永松参考人
おっしゃるとおりでございます。全農の立場はあくまでも
農家
、
生産者
、しかも経済的に弱い者の結集であるということはおっしゃるとおりであります。ただ、問題は、全体の経済が進んでいる中でそういう集団がどう闘っていくかということに非常に問題がございますので、全農もそういう姿勢でやっておるということを御
承知
おき願います。
中川利三郎
53
○
中川
(利)
委員
いま問題になっております
配合飼料
の割合の公表ですね。この問題については私もこの前の
委員会
で申し上げたわけでありますが、これはもういまの
生産者
、農民の欠くべからざる要求になっておる。技術水準あるいは経営意欲という面から見ましてもどうしても
配合割合
を公表していただきたいというのが一般の農民の声であります。これは理想論でなくて現実論でそうなっておるわけでありますが、特に、先般私が調べましたある県の
昭和
五十年四月の調査によるところの
飼料
品質改善
実態
調査の結果では、「
飼料
の
品質
が低下したと思う人」というアンケートをとったところ、千羽以下の採卵鶏の場合は五〇%の人が「低下した」と答えておる。三千羽以内の人は三〇%、三千羽以上の方は四〇%が同じような答えをしておるのですね。繁殖豚の場合でも三九%、肉用牛の場合は六六・六%の方々が「
飼料
の
品質
が低下したと
考え
ている」という答えをしておるのですね。「低下したと思われる理由は何だ」「なぜあなたはそういうことに気がついたのだ」ということのお答えには、産卵だとか肥育、成長、乳量率低下というものがほとんどなんです。そして皆さんがひとしく言っておることは、「配合の割合を公表していただきたい」ということをおっしゃっておるわけであります。 そこで、私はお聞きしたいのですが、全農は農民のよって立つ農業協同組合法によるところのそういう性格を基本的にお持ちになっていらっしゃるのだが、農民の要求に対してなぜ全農は
配合割合
の公表に踏み切っていただけないのだろうか、なぜおれたちの全農はそうなんだろうかという声に対して基本的にいかがお
考え
であるか。簡単でよろしゅうございますから、御返答いただきたいと思います。
永松英二
54
○
永松参考人
農民の要望があることは、先ほどからお話し申し上げておるとおり
承知
しております。ただ、要望の
内容
並びに要望に対するこたえ方について、農民が逆にデメリットにならないような
方法
でわれわれはこたえる義務があると思います。全農の立場は先ほど申し上げましたが、われわれとしてはそういう姿勢でやっております。
中川利三郎
55
○
中川
(利)
委員
農民のデメリットにならないようにという非常に抽象的なお答えでございますが、現に
配合飼料
についてそういうような意欲がある農民の方々にとってみますと、お仕着せの、自分の工夫も要らなければ
考え
ることも要らないようなそういうものでやってこられると、そういう状況の中で畜産が本当に発展するだろうかと懸念せざるを得ない。 現に最近の品評会なんかを見ましても、一等賞、二等賞、三等賞、四等賞ぐらいまで、自家配合によるところのものが大変優秀な成績をおさめておる。私は秋田県でございますが、秋田県でも天皇杯をとった方は自家配合なんですね。そういう方からいたしますと、
配合割合
を公表してもっともっと農民の経営意欲を発展させてやろうということが全農の役割りじゃなかろうかと私は思うのですが、それをやるとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
永松英二
56
○
永松参考人
最前から申し上げておりますように、自給
飼料
でいくということが一番好ましいことでございます。また、それを使って十分に効率を上げるべく
農家
の技術を向上するということもわれわれの義務でございます。しかし、一般論から言いまして、それではあしたからすぐに全
生産者
がそういうことでいけるかといいますと、非常に
問題点
がございます。したがって、それを
検討
してみますと、やはり
成分
容量というものを明示し、少なくともそれは
農家
にははっきりしておるという中で畜産をやってもらうということで十分である。 では、デメリットとは何かということの御質問ですけれ
ども
、最前からこれも申し上げておりますけれ
ども
、
原料
の
品質
問題について先ほど御質問がありましたけれ
ども
、
品質
につきましても、同じトウモロコシでも変わってまいります。それから価格も変わってくるというふうなことで、トウモロコシとマイロはまた価格の差が出てくるというふうな変動もございます。したがって、それらを
一つ
ずつ一回ずつ
表示
をする。また、逆に言いますと、不十分な
表示
では不満足であるし、非常に問題が多いということを
考え
ますと、いまの
段階
では
表示
はあくまでも
成分
表示
で必要にして十分であるというふうに
考え
ております。
中川利三郎
57
○
中川
(利)
委員
私は何も自給がたてまえだから自給を全部やりなさいということを言っているのじゃないのです。皆さんのお仕着せと言えば言い過ぎでありますが、
配合飼料
でやる人はやって結構じゃないですか。しかし、おれは自家配合でやりたいという人もいるだろうし、その中でまた配合をいただいておる方でも、うちの牛や豚はこの
規定
でやっていけばもっと太るはずなのにおかしいじゃないかという研究をする人もいるだろうと思うのです。いろいろなケースに従って需要があるのは当然でありまして、そういう面で、自家配合がいいからといってもあしたから早速に切り変えることはできないのだという一面的な論法では論法としてもどうも成り立たないのじゃないだろうかというふうに私は思うわけであります。 したがいまして、私がお聞きしたいことは、全農さんがそういう立場であるならば、系統の農民といいますか、系統の農協といいますか、そういうものに対しては、これから配合
表示
の意向があった場合にはこれを
表示
することに少なくともやぶさかでないという姿勢がおありなのかどうか、この点をお聞きしたいと思うのです。
永松英二
58
○
永松参考人
われわれも
えさ
の流通に携わっておりますので、
生産者
がどういうふうにそれを使っているか、どういうふうにそれが
生産
のためになっているかという研究もいろいろしておりますし、また、話し合いもしております。そういう中できょう現在においてはこういう
原料
でこういう
成分
をとっておるというふうな話し合いは、これは研究として十分やっております。しかし、商品として流通していく場合にはコストも非常に低減させなければならぬし、先ほ
ども
ノーハウというお話しがありましたが、そういうメリット、デメリットを
考え
ますといまの
表示
で十分であると思います。 われわれも
生産者
の団体でございますから、いま先生のおっしゃるような研究、話し合いは
生産者
と十分いたしてもおりますし、これからもいたすつもりでおります。
中川利三郎
59
○
中川
(利)
委員
自分の系統農協に対しても、そういう御
要請
にはいろいろなノーハウの
関係
等があってなかなか言うことはできないのだ、しかも、いまの
成分
量で十分なんだと言われるが、その十分だという御判断は何を基礎にしておっしゃっているのか、私はよくわかりませんが、最近の「酪農
事情
」という雑誌などを見ますと「自家配合のすすめ」という特集号を組んでいますね。いろいろなかっこうで配合をわれわれに
表示
せよということは天の声だ、地の声だ、自分たちの経営意欲をもっと発展させ、
生産
を発展させたいのだ、畜産を発展させたいのだという、こういう
生産
農民の要求にこたえるのが少なくとも全農の姿勢だと私は思うわけであります。 そこで、ノーハウがあるとおっしゃいましたけれ
ども
、ノーハウについてお聞きしますならば、五月七日の日にあなたの部下の全農の責任ある方が私の部屋へ三人ばかり見えまして、全農としてはノーハウはそう大した問題ではないんだ、全農が問題にしているのは
一つ
は
需給事情
なんだ、もう
一つ
は
検査
ができなくなるからだ、と、このことを口を酸っぱくして大変力説してお帰りになったわけでありますが、いまあなたのお話しを聞きますと、同じ全農の責任ある立場にいながら、ノーハウがあるからそうなんだということが
一つ
の理由になっているわけです。一方の五月七日に私の部屋を訪れた全農の方は、ノーハウは全農としてはほとんど問題にしておらないとおっしゃっている。これでは私たちは非常に迷うわけでありまして、何が本当の全農の腹の中なのかわからない。また、全農の指導体制は、課長、参事
段階
ではそういうことになっておって、常務
理事
さんの
段階
になればそうなるというふうにちぐはぐなものなのかどうか。この点について責任ある御答弁をはっきりお聞きしておきたいと思うわけであります。
永松英二
60
○
永松参考人
先ほど先生のおっしゃるとおりで、
検査
の時間が非常にかかってできるものとか、非常にやりにくいものとか、
原料
の
表示
をいたしますといろいろと中身が出てまいるかと思います。そのことを私たちの係が先生に申し上げたんじゃないかというふうに思います。 それから、ノーハウのとり方の問題ですが、非常に厳密な意味でとれば非常に極秘ということになるかもしれませんが、価格の契約の仕方とか、買い方とか、それからどういう
原料
を使っておるかとか、広くとりますと、われわれがいろいろ努力しておる結果が外にそう公表できないという面が多分にございます。 一番初めに先生が私に御質問になった全農の姿勢はという中で私が回答として申し上げたとおりで、全農といえ
ども
こういった競争場裏の中で仕事をやっております。国内はもちろん、外国との畜産物は、特に外国との値が同じでございますので対外的な競争の問題もあるというふうな中での仕事でございますので、すべてを公表するということには限界があるというふうに思います。
中川利三郎
61
○
中川
(利)
委員
全農といえ
ども
競争場裏にある、したがって公開するためには限界があるというお話しでありますが、限界があるということは、一部ならよろしいのかどうかということです。私が先ほど系統農協なり農民に対してはいいのかということを聞いたら、それはだめだというお話しだったが、そうすると限界の
範囲
は一体何か一限界があるということで実際何もやらないということなのか、そこら辺が
一つ
問題だと思いますが、これはあとでお聞きします。 そうすると、あなたの論法でまいりますと競争場裏に全農といえ
ども
あるわけでありますが、メーカーが公開した場合はどうなさいますか。全農はその後におくれてついていくというかっこうになると思いますけれ
ども
、もしそういう事態が起こったならば全農としてはゆゆしい責任問題が起こるだろうと私は思うのですが、この点はいかがでございましょうか。
永松英二
62
○
永松参考人
これは先ほど申し上げましたように競争場裏でやっておるわけでございますので、これは公表の仕方もあるかと思いますけれ
ども
、メーカーが公表した
段階
で、それはそれでわれわれとしてはまた配慮しなければならぬというふうに思います。
中川利三郎
63
○
中川
(利)
委員
少なくとも全農は農民の団体である。五千五百万農民のそういう基礎の上に立っている団体がメーカーよりも後発で、メーカーが発表したらその
段階
で
考え
るということが全農の姿勢として適切かどうかということですね。私がお伺いしたいのはそこなんです。 メーカーによっていろいろあるでしょうけれ
ども
、たとえば中部
飼料
という会社がございます。これはメーカーでございます。このメーカーは非常に限定されたものでございますけれ
ども
、中部
飼料
では、肥育豚の後期について、たん白一四%物について、トウモロコシが三〇%、マイロが四〇%、大豆
油かす
が一〇%、ふすま五%、その他一五%ということを公開しておるわけであります。そのほかにもあるわけでありますけれ
ども
、これは農民の間に大変好評を博しておるということを私は聞いておるのでありますが、これについての御見解をお聞きしたいと思います。
永松英二
64
○
永松参考人
先ほど公表の仕方の問題というふうに申し上げましたが、たとえばわれわれがそういう
表示
をした場合に、それがいつまでそのとおりにいくかどうかというふうな問題がございます。先ほ
ども
言いましたように、
輸入
の
実態
、世界的な条件の
変化
によってその
内容
が変わってまいります。そういったことを
考え
ますと、いまの
段階
ではメリットよりはデメリットの方が非常に多いという解釈でおります。
中川利三郎
65
○
中川
(利)
委員
どのような
方法
でそれは公表したのかということですが、これは私が知ったのはチラシで知りました。愛知方面にメーカーのチラシがずっとばらまかれているのです。いずれにいたしましても、全農としては、メーカーが何かをやっても、いまのこの
段階
でもそれを十分キャッチなさらないだけでなくて、しかもみずから進んで何もやろうとしない。そういうことを私は非常に残念に感じ取ったわけであります。 そこで、最後にお聞きするわけでありますが、しからばこういう状況の中で農民の方が、全農さん、何らかの
方法
でおれのやつを知らせてくれないか、何とか公表してくれないかと個人が言った場合に全農さんはお答えしますか。それも答えてくれないのですか。いかがでございますか。
永松英二
66
○
永松参考人
公表という言葉の解釈の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、
特定
の
農家
と
特定
の畜産について語り合うというふうなときには、研修の
内容
としてそういった問題が十分討議されるということにはわれわれはあえてやぶさかではないわけですが、ただ、いわゆるしゃばで言うところの公表するということについてはわれわれとしては問題が非常に多いということを申し上げたわけでございます。
中川利三郎
67
○
中川
(利)
委員
先ほど公表はだめなようなお話しでしたから、私は百歩譲って、
農家
個人としてのそういう場合にはどうなのかということをお聞きしたわけであります。あなたは先ほど公表には
一定
の限界があるのだというように言われたが、そうすると、限界の歯どめというものは何もないということなんですよ。個人が言ってもだめだ、一般の公開についてもだめだ、中部
飼料
というメーカーが限られた品種でやっておってもだめだということならば、これは私は非常に遺憾なことだというふうに
考え
るわけであります。 そこで、時間の
関係
もありますから次へ行きますけれ
ども
、これは
太田参考人
にお聞きしたいと思います。 先ほどあなたは、
改正案
の八条の
配合割合
の公表について、政府が必要に応じてやることを
検討
しておるというような意味の御発言があったような気がするわけでありますが、この点をちょっと確認したいということが
一つ
と、それからもう
一つ
、あなたは前段の御
意見
発表の
段階
で、自家配合の場合、
添加物
に
関連
して
農家段階
でも
規制
を受けるというお話しがありましたが、この点についてもう一回、簡単で結構ですから、そのとおりなのかどうかということを御
説明
いただきたいと思います。
太田康二
68
○
太田参考人
私も
参考人
としてこの席に呼ばれることになりましたので、国会における主なる
議論
を勉強いたしたのでございますが、
原料
の
配分割合
を
表示
しろということが非常に大きな問題になっておるということで、その
取り扱い
について
農林省
は一体どういうことであるのかというふうなことを伺ったのでございます。私
ども
の
研究会
としてはそこまではいかなかったわけでございますけれ
ども
、法案の
段階
におきまして、八条で、
審議
会にかけて
表示
の
方法
等について何か
規制
をするようなことが出ておるわけですが、その過程においていま
検討
しておるということを聞きましたので、率直にそれを申し上げたのでございます。 それから、
飼料添加物
の場合には、
農家
の
段階
でも添加する事例がございますから、これを
規制
しなければならないということを
報告書
でうたっておるわけですが、二条の二で、「
飼料
若しくは
飼料添加物
の
製造
、
使用
若しくは保存の
方法
若しくは
表示
につき
基準
を定め、」とございまして、
農家
の
段階
で
飼料
に
添加物
を添加することは
飼料
の
製造
であり、
使用
であり、保存でありますから、これによって
規制
ができるというふうに
考え
るということを申し上げたのでございます。
中川利三郎
69
○
中川
(利)
委員
では、政府が来ておるようですから政府にお伺いしたいのですが、
改正案
の第八条で、いまお答えがございましたように、
配合割合
公表について政府が必要に応じてやることを
検討
しておるという
趣旨
の
参考人
の
意見
の開陳があったようでありますけれ
ども
、先般私がこの
委員会
で質問したときに、部分的な公開といえ
ども
認めないということを終始一貫してあなたの方では力説されましたが、なぜこのように食い違いがあるのかということが
一つ
。 もう
一つ
は、
農家段階
でも
規制
していくということ、つまり、自家配合が今度できなくなるような状況になるわけでありまして、これは私はここで初めて発見した大変な事態だと思うのでありますが、そのとおりなのかどうか、もう一回あなたから確認していただきます。
澤邊守
70
○澤邊政府
委員
ただいまの
太田参考人
からお答えになりましたことに
関連
しての御質問でございますけれ
ども
、八条の第一項の一号に「
栄養
成分
量、
原料
又は材料その他
品質
につき
表示
すべき
事項
」とあって、「
原料
又は材料その他
品質
につき
表示
すべき
事項
」と書いておりますので、これは
法律
的には
原料
、材料の名称のほかに
配合割合
も当然書き得るわけであります。
法律
上は、告示をして
農林大臣
が定めますれば定め得るという余地が残されておるわけであります。ただ、実際上の
取り扱い
といたしましては、増量剤的なものは私
ども
としては
原料
または材料の割合まで書かしたいというように
考え
ておりますが、その他のものにつきましては、先般申し上げておりますような観点から、現
段階
においてすぐ全部書かせることは適当ではないのではないかというふうに
考え
ておるということをお答えしておるわけでございます。 それから、もう一点は、
農家
の
使用
段階
までの
規制
という点は実は
安全性
の方の
規格
に関することでございまして、二条の二の第一項に「省令で、
飼料
若しくは
飼料添加物
の
製造
、
使用
若しくは保存の
方法
若しくは
表示
につき
基準
を定め、」とありまして、その中で
農家
の
製造
につきましても
規制
が加わるということでございます。 あるいはちょっと問題を取り違えておるかとも思いますけれ
ども
、一応そういうふうにお答えしておきます。
中川利三郎
71
○
中川
(利)
委員
私の質問の時間の
関係
もあるので、いまの問題は聞いておくといいますか、聞かせていただいたわけでありますが、また後の機会でやることがあるだろうと思うのです。
河田
さんと
藤巻
さんに
一つ
ずつ質問させていただきますが、まず、工業会の
河田
さんに伺いますが、先ほどあなたは高
成分
のものを廉価に
農家
に分けるのがわれわれの使命だとおっしゃいましたね。それで、トウモロコシであれ、マイロであれ、これは
輸入
の免税品ですね。国がある
程度
特別
措置
を講じて安いものを出しておるわけですね。あなたのおっしゃるような高
成分
で廉価のものが市場に出されておるのかどうか、また、果たして免税品に見合う安いものかどうかということを政府かだれかが
検討
し、チェックしておるのか、本当にそのとおり安いのだというように客観的に立証できる手だてはどういうことがあるのか、教えていただきたいということです。
藤巻
さんに対する質問としては、
添加物
として
抗生物質
を認可するときの条件としては、いまのところはメーカーの書類
審査
だけなんですが、それではなくて、権威ある機関による追試験を行うべきであるとわれわれは
考え
るのですが、この点に対する御
意見
を聞かせていただきたいと思います。 以上です。
澁谷直藏
72
○
澁谷
委員長
時間が参っておりますので、簡潔にお答え願います。
河田四郎
73
○
河田参考人
お答えいたします。 簡単に申し上げますが、諸
原料
、主要
原料
にいたしましても、副
原料
にいたしましても、これは産地及びメーカー等によりまして非常に相違があります。そこで、いいものを廉価で差し上げますと言ったことは、われわれの努力によりまして、同じトウモロコシにいたしましても、先ほ
ども
申しましたようにたん白の多いものをできるだけ買う、それからマイロ等につきましても、要するにあれはタンニンがありますことは非常に大きな災いをしておりますので、できるだけタンニンの低いものを買ってお渡ししよう、と、こういう意味でございますので、さように御
理解
をいただきたいと存じます。
藤巻正生
74
○
藤巻参考人
簡単にお答えいたしますが、
添加物
の認定につきましては
添加物
の
公定書
というものがございまして、それにのっとっているかと思いますが、私は、先生がおっしゃったように権威ある機関にゆだねるべきであるというふうに
考え
ます。
中川利三郎
75
○
中川
(利)
委員
終わります。
澁谷直藏
76
○
澁谷
委員長
瀬野栄次郎
君。
瀬野栄次郎
77
○瀬野
委員
飼料
の
品質改善
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
について
参考人
にお伺いいたします。 まず、最初に、東大農学
部教授
藤巻参考人
にお尋ねいたしますが、
藤巻
教授は東大においても食品学を専攻しておられますし、また、厚生省所管の食品衛生調査会の
委員
でもあられる立場であります。今回の法案は国民にとって大変重要な影響を持つ
飼料
の
品質改善
の法案でございますが、私は、将来の国民の健康と安全に影響する重大な法案であるということで先般来
農林省
に見解をただしてきたところでありますが、時間の
関係
もございますので、若干はしょってお聞きしますが、教授の御
意見
をお聞かせいただければ幸いであると思います。 まず、最初に端的にお伺いしますけれ
ども
、催奇形性、発がん性等について重大な疑問がいまだに残っておりますAF2については厚生省を通じて
使用
禁止になったことは御
承知
のとおりであると思います。ところが、このAF2と同類のニトロフラン系
飼料添加物
であるフラゾリドン等三
種類
がいまだに
飼料添加物
ということで
使用
されておるわけです。これについてはいろいろ論議されてきたところでありますが、御
承知
のように、最近外国の方が見えますと、日本は景色その他ながめはいいけれ
ども
、食べものの中で鶏の肉、卵の味が落ちたと言います。もちろんこれは成鶏になっていない
関係
もあって、肉の質が十分でないという面もわかりますけれ
ども
、とにかく肉がまずい、卵がまずいと言う。また、一方、
農家
においても、いまにわかにAF2やニトロフラン系
飼料添加物
等を抜くと畜産が全滅する。すなわち、マイシン系、AF2などを抜いたならば、ひよこを含めて大量
生産
方式をとっている
関係
から、緑の目やにが出て鶏が参ってしまう。実際問題として、日は当たらないし、暗いところのゲージ飼いでヒーターによって育成されているというような傾向が強いわけで、鶏が参ってしまうということで、急激にこれを抜いたら大変であるということも言われておるわけです。かといって、今回の法案の
趣旨
は、教授としてもそうであると思うが、私は、何といっても人間性が大事であるというところに根本があると思う。畜産物が大事か人間性が大事かといえば、当然人間性を大事にしなければならない。ところが、最近の
飼料
を見ますとなかなかわからないような名前の
飼料
がいっぱいあって、
農家
も判断に困る。
飼料
に添加されているものの
内容
そのものの
表示
もいろいろ言われておるわけでありますけれ
ども
、その薬の
内容
がどういう作用をするか、どういうビタミン剤であるかということが
農家
にはなかなかわかりにくい。これは
農家
に言わせれば、
飼料
の値段を上げるためにいろいろなものをまぜて
農家
の目をごまかしているのじゃないかというふうに批判をされているところであります。 いずれにしても、そういった背景を踏まえて
考え
ましたときに、畜産に影響を及ぼすこの
添加物
が将来
人体
に影響するということは、いろいろと学説の異なるところはあっても証明されている点も多々あるわけでございますので、食品衛生調査会の一員でもあり、また今回の法案に対しても
参考人
として呼ばれて、食品の面から重大な関心を持っておられる教授に、私は、こういった問題について今後このままにしておいていいのかどうかということをお聞きしたいわけです。
農林省
は
段階
的にというようなことも言われます。AF2については年間四百トンぐらいを
使用
している。昨年、四十九年は十一月期から二百トンに減らした。五十年は何とか百トンに減らして、だんだん減らしていこうということである。育雛にしても、いわゆる幼びな、中びな、大びなとあれば、幼びなだけに食べさせてあとは食べさせないようにする。休薬
飼料
等も五日間にする。先日の私の質問では、これを一週間か十日か延ばすようにするというふうな話もありましたけれ
ども
、実際休薬
飼料
なんかは
農家
は見たこともない。使えるということになっておるけれ
ども
、実際にそんなものは余り買ったこともないという者が多い。そういった状況下において将来大変心配が予測されるわけですけれ
ども
、そういったことを踏まえて、その道の権威であられる
藤巻
教授はこれに対してどういうふうに
考え
ておられるのか、国民の前に教授の見解を明らかにしていただきたい。 これをまずお尋ねするわけであります。
藤巻正生
78
○
藤巻参考人
簡単にお答えいたしたいと思いますが、先生が御心配になっておられますように、
添加物
の過用、著しく用い過ぎるということはまず第一番に慎むべきことでございまして、先ほどおっしゃられましたAF2につきましても、食品の場合にこれが原因になりまして発がん性というものがあらわれたときは、もう猶予なく直ちに停止という処置がとられた次第でございますが、
飼料
の
添加物
につきましても、先生が御心配のように、また、私が先ほどの御質問にもお答え申し上げましたように、今後権威ある機関を——私はそれはこの法案によります
農業資材審議会
の専門部会であろうと存じますけれ
ども
、そういう権威ある機関をおつくりいただきまして、それによって十分討議しまして整理されることが望ましい、と、こういうふうに
考え
ております。
瀬野栄次郎
79
○瀬野
委員
教授からもっと具体的な答弁を欲しかったのですけれ
ども
、余りにも簡単過ぎましたが、御答弁にありましたように、確かに、本法施行に当たっては、この
農業資材審議会
のあり方というものが大変問題であると私は思う。これが
一つ
の大きなチェックポイントになる。そういったことで、私は、国民の健康を
考え
るためにはこの選考については十分
考え
ろということを言って、四つの分野に分けて四十名を擁して
審議
会を運営するということを先般
農林大臣
からも答弁をいただきましたが、これについてはもちろん私情を入れずに公正中立にやり、利害
関係
者は入れない、そして
安全性
を第一にやる、第三者的公的機関で行うということは当然であります。 そこで、さらに私は
藤巻
教授にお伺いしますけれ
ども
、私が心配しているのは
飼料
の試験研究機関、
検査
機関の整備の問題でありますが、御存じのように、
飼料
等に対する
検査
体制というものは、従来から、国及び都道府県が立入
検査
により収去した
飼料
及び
飼料添加物
について、それぞれの
検査
機関で
成分
、
異物
等の
検査
を実施し、最近
行政指導
まで国及び一部の都道府県で
有害物質
飼料添加物
の
検査
を実施しておったわけですけれ
ども
、今回の法
改正
によれば、
飼料添加物
検査
事項
として
飼料
のほかに
飼料添加物
も
検査
の
対象
に加わり、これには四つありまして、
一つ
には、
公定規格
が
設定
された
飼料
についての
規格適合表示
の
検査
、二つには、その事後
検査
及び法第八条に基づき
表示
の
基準
が定められた
飼料
についての
検査
、三つには、法第二条の二に基づき
設定
される
基準
及び
規格
の適合
検査
、四つには、第二条の四に基づく
特定
飼料
の
検査
等
内容
が拡大されていること、等であります。そこで、いろいろ申しましたが、現在まではどっちかというとメーカー主導型で
検査
がなされてきましたけれ
ども
、今回の法
改正
がなされるとなれば、現在全国六ヵ所しかない肥
飼料
検査
所は、そのほかに各都道府県に
検査
機関も一ヵ所ずつあるとは言うものの、実際に従来からの予算を見ても少ない。人員も少ない。果たしてこれで十分にできるかどうか、危惧の念を持つわけですが、その点は教授としてはどういうふうに判断をしておられるか、御見解を承りたい。
藤巻正生
80
○
藤巻参考人
先生のおっしゃいましたところの、できないかどうかということでありますが、できないかどうかではなくて、できなくてはいけないと私は思うのでありまして、それができるためには先生方の御配慮によりまして
検査
体制をぜひ強化するように御配慮願いたいと思います。 同時に、
検査
というものは、常に科学が進歩しておりますから、それと正比例して研究体制も充実していかなければいかぬ。そういう体制を充実していただきまして、この
安全性
を
確保
して畜産の振興を図っていくということが筋だろうと私は
考え
るのでありまして、先生のおっしゃるように四つの機関で十分かどうかということじゃなくて、十分であるようにしなければいかぬという
考え
方を私は持っております。
瀬野栄次郎
81
○瀬野
委員
太田参考人
に伺いますが、いまの件について教授からできるようにしなければならぬというようなことをおっしゃったけれ
ども
、それはそうだろうと思うけれ
ども
、これまた予算の
関係
とか、いろいろな従来の経緯から見てなかなか大変なんだが、皆さん方が
研究会
で研究された
段階
でこの点についてはどういうふうに見通しを立てておられますか、どういう見解でございましたか、お伺いいたしたい。
太田康二
82
○
太田参考人
私は時間が参りましたので
検査
のところははしょって少し飛ばしたのですが、「
飼料
生産
量の増大、
検査
内容
の
多様化
に十分対応しているとは言い難い。特に今後
制度
改正
を行った場合には、
有害物質
、
飼料添加物
の
規制
及び
表示制度
の充実等が実現することとなり、これらの厳重な実効を
確保
するため、
検査
業務は今後なお一層、
検査
範囲
、
内容
の拡大を伴いつつ、事務量が増大することが予想されるので、
検査
体制のより一層の整備が要求されることとなる。」以上のことを踏まえまして、「国、都道府県の
検査
機関は効果ある
検査
を実施するため適正な体制整備と
内容
の充実を
検討
すべきである。」ということを
報告
いたしております。なおそれ以外に幾つかのことが書いてございますが、そういった
報告
をいたしております。
瀬野栄次郎
83
○瀬野
委員
余りぴんとこないけれ
ども
、一応聞きおくとして、
太田参考人
にさらにお聞きしておきますけれ
ども
、二条六の三号の
関係
で、新
飼料
の
開発
の問題が
規定
されておりますけれ
ども
、この
内容
は、新
飼料
開発
に際しての
安全性
のチェックについては、
開発
機関と同一機関が付属的にこれを行っていることが従来からも問題になってきたわけです。それで、今後は国の機関を初め第三者機関等によってチェック体制を確立して、
安全性
についてその適正な
裏づけ
をする、そして国民に十分安心できるようにしていこう、と、こういうことであるようでありますが、私は、従来の経緯から見て
開発
と
安全性
は別にすべきであるということを先般来
農林大臣
にも強く質問してまいりました。 たとえばサリドマイド児について、当時は心配ないと言いながらも、あのように安全だと言っていたものが結果的には実際にああいう結果になったことは御
承知
のとおりです。自分で
開発
したものを自分で悪いと言うことはなかなか言えないわけでありますから、これについては国が金を出して
安全性
をチェックする機関をつくるということは大変問題であるというふうに私は思うのですが、この点についてはどう
検討
してこられたか、
太田参考人
からお答えいただきたい。
太田康二
84
○
太田参考人
新
飼料
の問題につきましては、「
安全性
については、国のみでなく
大学等
も含め権威ある
研究機関等第三者機関
において十分オーソライズし、適正な裏付けを得たうえでその利用に踏みきることとし、」ということで、まず第一義に
考え
られますのは、この資材
審議
会で
審議
される場合にメーカーの試験研究機関の結果が恐らく出てくると思いますが、それでは十分ではないので、やはり権威ある第三者機関によるオーソライズされた結果というものを踏まえた上で利用に踏み切るべきであるという、そういう慎重な態度をとることを
報告
いたしておるのでございます。
瀬野栄次郎
85
○瀬野
委員
太田参考人
にさらにお尋ねしておきますけれ
ども
、廃棄または回収命令の問題ですが、これまた大変な問題でありますけれ
ども
、
農林大臣
が廃棄または回収命令等を出し得る条件としては、「有害畜産物が
生産
されることを
防止
するため特に必要があると認めるときは、必要な
限度
において、」云々となっておるのですが、そこで、廃棄命令等を発動できる
前提
については、これは有害畜産物の
生産
を
防止
するということに置いておりますけれ
ども
、
家畜等
に被害が生じた場合の処置はどうかということをお尋ねしたいわけです。 すなわち、人間がおかしくならなければどんな
飼料
をやってもよいということにはならぬと私は思うのです。仮にそういった支障があった場合に、メーカーはおかしいものはおかしいのだと言ってはっきりすればいいのですけれ
ども
、信用問題の
関係
からそういうことはなかなか隠したがるということも起きてくると思うのですが、
家畜
に被害が出てからでは遅いと私は思うわけです。従来から、ダイブの例とか回収した例があるわけですけれ
ども
、
家畜
の場合は金で片づきますけれ
ども
、人間の場合はそうはまいりません。従来の
経過
からもいろいろ例があります。 そこで、
家畜
に被害が出た場合でも回収するか廃棄するというふうにすべきだと私は思うわけですけれ
ども
、この点について
太田参考人
はどういうふうに
研究会
で
審議
してこられたか、お答えいただきたい。
太田康二
86
○
太田参考人
有害物質
の
取り扱い
につきまして、
研究会
では「
現行
食品衛生法
第四条、第七条の
規定
に準じた
制度
を導入することが望ましい。」ということを言っているわけですが、いま先生のお尋ねの件につきましては、
一つ
は二条の二で、
飼料
ないし
飼料添加物
によって被害が生ずることにより畜産物の
生産
が阻害されることを
防止
する
見地
からというのと、人の健康の問題と両方あるわけでございます。この場合には
基準
を決めて
規制
をする。しかも、
基準
に合わない
方法
によってやる場合には、「
製造
等の禁止」の「禁止」ということばが二条の三にあるわけでございます。それから、「有害な物質を含む
飼料
等の販売の禁止」は第二条の六で、いままさに先生のおっしゃるとおり、「有害畜産物が
生産
されることを
防止
するため必要があると認めるときは、」ということで、資材
審議
会の
意見
を聞いて販売を禁止するというような
措置
が講じられておるわけでございますが、前段の二条の二で、「
家畜等
に被害が生ずることにより畜産物の
生産
が阻害されることを
防止
する
見地
から、」ということで、
製造
、
使用
もしくは保存の
方法
あるいは
表示
についての
基準
を定め、あるいは
成分
についての
規格
を定めるということになっておりますので、これによって指導し、さらに違反する場合には
製造
の禁止等もできるわけでございますから、大体私
ども
が
報告
した線に従いまして
措置
が講じられておるというふうに
理解
をいたしております。
瀬野栄次郎
87
○瀬野
委員
協同組合日本
飼料工業会会
長の
河田参考人
にお伺いしますけれ
ども
、いまの問題で、そういった
飼料
が出た場合に廃棄または回収すると
業者
は信用問題にかかわるということで、好まないことはよくわかりますけれ
ども
、しかし、人間の
安全性
ということから
考え
ますとこういったことは思い切ってやるべきだと私は思うわけです。 従来のいきさつから見ましたときに、廃棄処分の例は過去数年間に三件ぐらいしかないということで、本当にわずかでありますが、私はもうとあるというふうに推察しております。今後こういつた問題がますます問題化してくると私は思うのですけれ
ども
、人間の生命が最大事であるという点から、
河田参考人
のメーカー
関係
ではどういうふうにこれに対処する決意であるか、
参考
までにお伺いしておきたいと思います。
河田四郎
88
○
河田参考人
いまの廃棄物その他につきましては余りわれわれの方で取り扱ったこともございませんし、各メーカーごとでも、そういう問題はいままでに余りないのじゃないかと思います。 それから、また、
飼料
によりましていろいろ障害が起きた場合には、
飼料
による障害ということが画然とした場合には、メーカーとしましては責任を現在までもとってきておりますから、そういうことによって生ずる問題については、いま当面したことは余りないように思います。
瀬野栄次郎
89
○瀬野
委員
あと時間がわずかになりましたので、
永松参考人
と
太田参考人
に簡単な問題を二、三点お伺いしてみたいと思います。 まず、
太田参考人
にお伺いしますけれ
ども
、
公定規格
の
設定
及び
規格適合表示
等の問題でありますが、御
承知
のように、現在、
登録
飼料
、非
登録
飼料
も合わせて約五千ぐらいの銘柄の
種類
になっているわけであります。その中で
登録
飼料
が二千五百二あると言われておりますが、こういった銘柄がものすごく多い。
一つ
の例を言いますと、
一つ
のメーカーで子豚用として五つの銘柄の格づけ
検査
をしておる。同じ用途でもこんな実情で、なかなか多岐にわたっておる。こういったことでは今後整理を必要とするし、こんなに数が多いといろいろな面で支障を来たすと私は思うわけです。こういったことが
研究会
で問題になったろうと思うが、これについてはぜひもっと整理をすべきではないかと思うが、こういうことでは問題にならなかったかどうか。 この
規格適合表示
の問題については
永松参考人
からも伺いたいが、これについてはどう
考え
ておられるか。 それから、もう一点
永松
さんに伺いますが、
飼料
品質
表示制度
の拡充で、これもしばしば問題になっておりますけれ
ども
、私がもう一点お伺いしておきたいことは、この
配合飼料
の
表示
はいまのもので十分だ、と、従来から一歩も出ないような言い方をしておられるけれ
ども
、これは政府部内その他国会でもこれだけ問題になり、いろいろと各地でも問題になっておる問題であります。穀類と増量剤と
添加物
と三つに
飼料
は大まかに分けられるが、
添加物
については各薬品に細かく
表示
がなされている。そこで、穀類、増量剤についても逐次農民の要望にこたえていく誠意を示してやっていくという方向でなかったならば、いまのままでいいということでやったら——全農は農民あっての全農じゃないですか。そういった意味からこれは問題であると私は思うが、その点についての決意をさらに最後に伺って、私の質問を終わりたいと思う。
太田康二
90
○
太田参考人
公定規格
と
登録制度
との
関係
の問題でございますが、御指摘のとおり、現在
配合飼料
生産
量の六五%が
登録
飼料
によって占められておる。したがいまして、残りは
登録
飼料
ではないわけでございますけれ
ども
、しかしながら、
登録
飼料
でなくても実際上はその
成分
保証を大部分が実施しているということで、現在の新しい
情勢
に即応して
登録制度
は
考え
直すべきではないかという
議論
があったわけでございます。したがいまして、その結果、先ほど先生が御指摘になりましたとおり、
公定規格
と
登録制度
とを分離いたしまして、
公定規格適合
のものは
規格適合表示
の
制度
というものを新しく四条で設けたというふうに
理解
をいたしております。 なお、
飼料
の
種類
が非常に多い、したがってそれは減すべきであるという点につきましてはこの
審議
会では必ずしも
議論
にはならなかったように私は記憶をいたしております。
永松英二
91
○
永松参考人
規格適合表示
の問題につきましては、われわれとしては異議はございません。 それから、
品質
表示
の問題でございますけれ
ども
、いま先生は
一つ
も進歩がないと言われましたけれ
ども
、いままで法規上はこれだけは
表示
しろというものと、しなくてもいいというものとがございます。しかし、われわれといたしましては、
生産者
、
えさ
の
使用
者のことを
考え
て、たとえばTDN、DCP等については特別に全農の
飼料
には
表示
をしてまいりました。そういった意味で、これはいまの
段階
では
表示
をする必要があるというふうに
生産者
との話し合いが進んだといいますか、
生産者
の技術もそこまで進んでおるというふうになった時点では、われわれとしては、
規定
その他にかかわりなく、
生産者
のためになる
表示
はしていくつもりでございます。
瀬野栄次郎
92
○瀬野
委員
各
参考人
には貴重な御
意見
をありがとうございました。 以上で質問を終わります。
澁谷直藏
93
○
澁谷
委員長
以上で
参考人
に対する質疑は終了いたしました。
参考人各位
には、長時間にわたり貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手) この際、午後四時再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時五十四分休憩 ————◇————— 午後四時十五分
開議
澁谷直藏
94
○
澁谷
委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。
飼料
の
品質改善
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
について質疑を続行いたします。井上泉君。
井上泉
95
○井上(泉)
委員
きょう午前中に
参考人
を招致して、
参考人
の方からいろいろ
意見
を聞いたわけでありますが、
飼料
ということになっておるけれ
ども
、
飼料
は食糧と同一に
考え
るべき性質のものであるということがきょうの
参考人
の中で、東大の先生からも
意見
を述べられたわけですが、
農林大臣
としては、
飼料
に対する
考え
方はどういうふうに
考え
ているのか、伺いたい。
安倍晋太郎
96
○安倍国務大臣
飼料
につきましても、これまでも
議論
がございましたけれ
ども
、食糧と同じような立場で
飼料
を重大に
考え
る必要がある、
飼料
の安全を
確保
することは人間の健康を第一に
考え
るという意味において必要である、と、こういうふうな基本的な
考え
方を私は持っておるわけであります。
井上泉
97
○井上(泉)
委員
そこで、かつて石油たん白の問題が国会の中で問題になったときに、あなたはその国会の中で、そしてまたこの
委員会
でも、石油たん白の問題について、
安全性
が確認され、さらに国民的な合意が得られなければ一切認めないと約束した。その翌々日か、
農林省
の研究機関がこれを打ち消して早期に実現を促すような論文を発表して大変問題になったわけでありますが、そういうことについて
農林大臣
としてはどういう感想をお持ちになるのか、まず、その点を承っておきたい。
安倍晋太郎
98
○安倍国務大臣
飼料
の
安全性
を
確保
していくためには、先ほ
ども
申し上げましたけれ
ども
、人間の健康というものをやはり第一義に
考え
ていかなければならぬわけでございまして、そのために「
安全性
の
確保
」があり、なおかつ国民的な合意を得ない新
飼料
につきましては、これをつくるというふうなことはさせないというのが
農林省
の、また私の基本的な立場でございまして、そういう意味におきまして、私の国会における答弁でもございますし、
農林省
の事務当局にも厳しく指示しておるわけでございます。 これに対する
農林省
内における
一つ
の研究としての論文等につきましては、学者としての良心に基づいた研究でございますので、これはこれなりに今後の技術
開発
あるいは研究を推進していくという意味においては大切なことであろうと思いますが、私のそういう基本的な方針に反するようなことは厳に慎むべきであるし、これは慎んでいくように指示をしておるわけであります。
井上泉
99
○井上(泉)
委員
大臣の見解としてもそういう見解を持っておる。しかし、「SCPの
飼料化
によって浮くはずの
飼料
用大豆たんぱくを食用に回せれば」ということで、そうすれば非常に助かる、そして石油たん白を早く実用化するように期待したいというふうにその論文が表明しておるわけですが、これは
農林省
の研究室としてはちょっと軽々な発言であるし、国民に誤解を与えることであるが、依然としてそのことは学者の良心として、やはりそういう
飼料化
を目指して研究をしておるのかどうか。その点をこの際承っておきたいと思いますので、室長の方から御答弁を願いたいと思います。
小山義夫
100
○小山(義)政府
委員
お尋ねの研究室長を
出席
させておりますので、当人からも
説明
をさせますけれ
ども
、いまお話しの資料といいますか、論文といいますか、それは先般新聞に出たものであろうかと思います。 これは中身を読んでいただきますと御
理解
をいただけると思いますけれ
ども
、「SCPの
飼料化
をめぐる諸問題」という題で書かれておりまして、いわば一般的な解説文でございますが、SCP、いわゆる微生物たん白の中にはいろいろな
種類
のものが含まれておりまして、この解説文の中では、酵母のそれぞれの
種類
の
特定
のものを指す場合にはそれぞれの名前が書かれてございます。亜硫酸パルプ廃液を
原料
とする酵母であるとか、あるいはでん粉かすを利用するものであるとか、その中にはもちろん石油たん白と言われておりますノルマルパラフィンの資化酵母だってあるというふうにそれぞれのことが書かれてございまして、いま御指摘の一番最後の早急な実用化を期待したいというところには、「SCPの早急な実用化を期待したい。」ということが書かれておりますが、これは御心配のいわゆる石油たん白の早急な実用化という意味ではなくて、総称した言葉としてのSCPの早急な実現というふうに書かれておるわけでございます。 そういう意味で、
農林省
といたしましても今年度新規の予算を計上いたしまして、農産廃棄物を利用した微生物たん白の
飼料化
の研究に取り組むというふうにしておりまして、そういうことを含めたものであるというふうに、私は、指導監督の責任者としては
理解
をしておりますが、なお、この点については、本人が
出席
をしておりますので、本人の口からも研究者としての
考え
方をお聞き取りいただきたいと思います。
吉田実
101
○吉田
説明
員 ただいま
農林水産技術会
議事務局長
の方から概略の御
説明
を申し上げたわけでございますけれ
ども
、私、執筆した当人といたしまして二、三御
説明
を追加させていただきたいと思います。(井上(泉)
委員
「時間がないから、あまり専門的にむずかしく言わずに、要約して簡単に言ってください」と呼ぶ) この私の論文の「むすび」の短い文をごらんいただきますと、「SCP」と「酵母」の、この二つの言葉を慎重に使い分けているつもりでございまして、この点に御留意いただきたいと思います。 SCPと申しますと単細胞たん白質のことでございまして、バクテリアでありますとか酵母、カビ、藻類、プランクトンといったようないろいろな
種類
のものがございまして、それを総称しております。ノルマルパラフィンを資化いたします炭化水素酵母もその中の一
種類
にすぎないことになります。私がこの論文で「早急な実用化を期待したい。」と書きましたのは広い意味のSCPでございまして、単に炭化水素酵母一
種類
のみを特に指して、それの実用化を期待したいというふうに申しているつもりではございません。仮に、もしもその国民的な合意、皆さんの合意が得られまして、炭化水素酵母を
飼料化
するということになりますれば、それはそれで結構であろうと私は存じます。本来、
農林省
の方針といたしまして国民的合意が得られるまではということになっておりますので、そういうことになればそれはそれで結構だと思いますけれ
ども
、私は、この炭化水素酵母をSCPの本命とは
考え
ておりませんで、SCPの最も本命と
考え
るべきものは、農産廃棄物あるいはふん尿等を循環再利用する、その一環といたしましてSCPを培養して利用する、こういう
考え
方に立つSCPが本命であるというふうに
考え
ております。 もちろん、この種のSCPにつきましても、実用化に当たりましては慎重に
検討
いたしまして、その結果に基づいて、国民的合意を得られました上で
飼料化
されるものと私は
考え
ております。 そして、そのための判断材料といたしまして、私の研究室は未利用資源の
飼料化
に関する試験研究を担当しておりますので、
飼料化
の可能性があるかどうかということを含めまして、研究結果をすべて国民の皆さん方の前に提供いたしまして御判断いただくというのが私の研究室の業務であると
考え
ております。 私の文章につきましてはそのように御解釈願いたいものと存じます。
井上泉
102
○井上(泉)
委員
それはそういう解釈をするとかしないとかいうことではなしに、あなたも科学者でありますから、そのことについてはやはり責任を持って追求をしておるというわけでしょう。 そこで、それでは、
農林省
が今度わらとかもみがらというような廃棄物で微生物たん白の
飼料化
の研究をやるということで、ことし一億何千万円かの予算を計上しておるが、この研究はいままではやっていなかったわけですか。これからやろうとするのですか。
吉田実
103
○吉田
説明
員 先生の御指摘のとおりに、農産廃棄物等を利用するSCPを積極的に
開発
しようという研究、これはそれぞれの研究室あるいは個々の研究者の発意として行われていたかもしれませんけれ
ども
、
農林省
としてまとまった
一つ
の研究プロジェクトとして研究するというのは本年度からが初めてでございまして、それまではこの種の研究を大きなプロジェクトとして取り組んだことはないと私は
考え
ております。
井上泉
104
○井上(泉)
委員
それでは、この石油たん白の研究を
農林省
が四十四年からやってきておったのは、あなた自身の個人的な研究としてやってきたんですか。鶏に石油たん白を与えて、その成長をずっと記録をしたり、いろいろやったでしょうが、それは、
農林省
として四十四年から石油たん白の
飼料化
に取り組んだわけじゃないんですか。
吉田実
105
○吉田
説明
員 ただいま御指摘いただきましたいわゆる石油たん白、炭化水素酵母の
飼料
価値に関する研究は、
昭和
四十四年から四十八年までの五ヵ年計画での、「たん白質の高度利用並びに資源の
開発
」という課題の大きなプロジェクト研究がございまして、その中の一環として分担、担当した研究でございまして、これは本年度から研究に取り組もうとしているSCPとは別
種類
のSCPでございます。
井上泉
106
○井上(泉)
委員
それでは、石油たん白の
飼料化
の研究を
昭和
四十四年から今日までもうすでにずっと大規模に続けてきたわけだが、続けてきた結果、あなたとしては確信を得たからこれの早期の実用化を願った、と、こういうことになったのとは違うのですか。
吉田実
107
○吉田
説明
員 私
ども
のプロジェクト研究の結果につきましては、すべてすでに発表いたしまして皆さん方の御批判を仰いでおりますけれ
ども
、もちろん、私
ども
の研究の結果だけで先生の御指摘の石油たん白が安全であるかどうかという判断をするのではなくて、私
ども
といたしましても、慎重の上に慎重な
検討
をさらに続けていただきました上で御判断願いたいものだというふうに
考え
ております。 したがいまして、私が「SCPの早急な実用化を期待したい。」と申しましたのは、この炭化水素酵母の実用化を期待したいということではなくて、一般的な広い意味でのSCPの実用化に向かって、これを期待したい、と、こういうふうに文章で記述したつもりでございます。
井上泉
108
○井上(泉)
委員
それでは、そういう大規模な研究をやってきたが、これがどうも
飼料
用にいけるぞということで、大日本インキ会社だとかその他の会社が
飼料
たん白を
製造
化しようとして、それが物すごい攻撃にあって批判にさらされてやまったわけで、そして
農林大臣
としても、そういう心配のあるものは使うようなことはしないという発言をせざるを得なくなってきたわけでありますけれ
ども
、そういう研究のデータ、研究の結果の知識というものについて、これを企業化しても十分にいけますよとこれらの
業者
に流したというか——流したという言葉が当てはまるのか、知らしめたという言葉が当てはまるのか、とにかくこれをひとつやってみませんかというアドバイスをあなたたちが与えたわけですか。
小山義夫
109
○小山(義)政府
委員
吉田研究室長はお尋ねの研究の一環を分担をしたものですから、その研究自体は技術
会議
事務局として企画をしたものでございますので私から答弁をさせていただきたいと思いますけれ
ども
、当時は、御
承知
のように、石油たん白についてのいろいろな問題が世間でいろいろ御批判がありました。その批判の中に、企業側が出したデータだけで物事を判断するのはよくない、すべからく役所自身の試験研究機関の中でその数字を出すべきだという御
意見
が非常に強くございました。それで、私
ども
では急遽その要望にこたえるために大型プロジェクト研究を組んだわけでございます。その結果出ましたデータはいま先生が御指摘のとおりのデータでございます。私
ども
の研究は、この研究に限らず、すべて研究の成果は公表すべきものであるということで中間
報告
もいたしております。そういうことでデータが出ておりますので、企業側に安全であるとか、これは進めていい
段階
のものであるというふうな意味で出したものではなくて、常に研究成果は公表しているということで出ておるものであることをまず御
理解
をいただきたいと思います。 なお、
安全性
につきましては、実験計画でやった限りにおいては、対照区であります普通の
配合飼料
を与えた場合と比べて特に異常は認められないという結果が出ておることはそのとおりでございます。ただ、それだけで企業化に踏み切れる
段階
に来ておるかどうかということにつきましてはなお問題があり、
家畜
はもちろん国民の健康にかかわる非常に大事なものでございますので慎重の上にも慎重にこれを取り扱うべきことであると
考え
ておりまして、あの実験計画だけで早急に判断をし、結論を出すべき筋合いのものではないというふうに私
ども
は
考え
ております。
井上泉
110
○井上(泉)
委員
石油たんぱくの企業化で、大日本インキ会社なとが企業化を中止せざるを得なくなって中止して、そのことによってこの石油たん白に対する研究は打ち切ったというふうな新聞報道でありましたけれ
ども
、
農林省
の方としては、今度の微生物たん白の研究の
対象
の中に石油たん白は依然として含まれておるんですか、いないんですか。
小山義夫
111
○小山(義)政府
委員
農林省
の研究の中には大きく二本の柱がございまして、新しい微生物たん白
飼料
の
開発
と、それから
安全性
を確認するための手法を確立することと、この二本の柱がございます。 それで、新しい微生物たん白を
開発
する研究の中には、いわゆる石油たん白等は全く含まれておりません。農林水産廃棄物を利用するという分野のものでございます。 それから、
安全性
の確認の手法につきましては、これはいろいろな微生物を使ってやらなければなりませんので、それの使う材料の
一つ
として石油系のものを使うことは
考え
ております。
考え
ておりますという理由は、たとえばその中には、最も安全で、われわれがすでに口にしておりますビール酵母も入っておりますが、石油たん白系も入っておりますので、そういうものを比較
検討
しませんと
安全性
の
基準
の確立、
方法
論を求めることができません。いろいろな酵母、細菌等を比較
検討
する上では石油たん白を使うことがあり得るわけでありますが、これはあくまでもそういういろいろなものを比較
検討
した上で
安全性
確立の
基準
をつくる、と、こういう意味でございます。
井上泉
112
○井上(泉)
委員
安全性
の
基準
を確立するために石油たん白を研究するということは、これは
農林省
としてのらち外に
考え
なければいかぬのじゃないですか。あなたは
飼料
として依然として石油たん白というものを頭の中に画いておるからそういうことを言われるわけで、少なくとも
農林省
としては、その石油たん白を研究の中で
飼料
とは言わずとも、これを研究の
対象
の中に今日も依然として置いておくということは間違っておるのと違いますか。
小山義夫
113
○小山(義)政府
委員
いわゆる石油たん白につきましては、安全とか安全でないとかという最終的な結論を出しておりません。したがって企業化を認めていないわけでありますけれ
ども
、石油たん白が安全でないとすれば、安全でないという科学的根拠を示す責任がわれわれにあると思います。そのときに私
ども
は石油たん白そのものをみずからの手で
開発
をするつもりはありません。 そういう計画は持っておりませんけれ
ども
、もし仮に石油たん白が安全でないとすれば、それを企業側が
開発
をしたいとかあるいは実際に市販をしたいということで持ってきたときに、それが安全でないと判断をする手法を持っていませんと
規制
のしようがないわけでございます。したがいまして、農林水産廃棄物を利用した酵母であるとか、あるいはビールの発酵に使っております酵母でありますとか、そういうものだけを判断する手法を持っておりまして、石油たん白そのものを判断する手法を私
ども
が持ち合わせていないときには、これは
規制
する技術を持たないことになります。 それでは、私
ども
がもし石油たん白が有害であると仮にいたしましたときには——いまそういうデータが出ておるわけじゃございませんけれ
ども
、仮にそういう事態があった場合には、それを判断する手法を
開発
してそれを持っておることが、いろいろな
法律
上の
規制
手段をとる場合に私
ども
技術陣営が果たすべき役割りであるというふうに
考え
ております。
井上泉
114
○井上(泉)
委員
それでは、
飼料
として石油たん白が有害でないという結論が出た場合には、いま
飼料
として
考え
なくても、石油たん白が
人体
に害がないというデータが出される。そのデータをつくることが必要であるということは、依然として石油たん白は
農林省
の方も研究は続けていくということですか。 この石油たん白を
飼料
として——これはもう
飼料
としてではないけれ
ども
、その他のものとしてでもいいが、もしこれを企業側が
飼料
として出してきた場合に、それに対して反駁するものを持っていなければいかぬから研究しておくのだというふうな答弁でしたが、もっと端的に、石油たん白が安全であるかどうかということを含めて
農林省
としては依然として研究をするという姿勢でおるのかどうか、そのことを明確にお答えを願いたいと思います。
小山義夫
115
○小山(義)政府
委員
微生物たん白を利用しました新しい
飼料
を
開発
する場合……(井上(泉)
委員
「石油たん白のことだけでいいですよ」と呼ぶ)その中にいろいろなものが含まれておるわけでございますから、それの微生物たん白の
安全性
を確認をする手法を私
ども
は用意をしなければならない。その場合に、石油たん白も、その
安全性
の手法について、尺度にかけてみてそれを判断するということが当然あり得るわけでございます。しかし、それは石油たん白の
安全性
を認めるために、実証するために行っているのではなくて、たくさんのものが世の中に出てまいりますので、それらの共通的な
安全性
をはかる尺度を
開発
するという、そういう研究でございます。
井上泉
116
○井上(泉)
委員
それは認めるためにはやっていないけれ
ども
、安全かどうかということを確認するための研究をやるということは認めるのと同じことじゃないですか。 厚生省は、この石油たん白の問題については、これは
人体
に有害だという結論を今日の
段階
では出して、研究を打ち切って、企業化するとかいうことはもってのほかだというような見解を表明されておるように私は
承知
をするわけだけれ
ども
、
農林省
は、石油たん白から
飼料
を求めなければ
飼料
問題が解決をしないのだと、それほどにまだ
考え
ておるのか。
農林大臣
、その点についてはどうですか。いま石油たん白を研究すると言っているのですよ。
安倍晋太郎
117
○安倍国務大臣 石油たん白につきましては、私もしばしば申し上げましたように、その
安全性
が確認をされ、国民的な合意が得られなければこれを実用化させないという基本的な方針を堅持いたしておるわけでございます。ただ、いままでの研究の過程におきまして、いま局長も申し上げましたように、石油たん白について有害であるというようなはっきりしたデータも出ていないが、しかし、
安全性
も確認をされていないわけでございます。さらに国民的な立場からいろいろと石油たん白に対する御批判があるわけでございますから、私は、先ほど申し上げましたような基本的な方針でこれに対処していかなきゃならぬと思っております。 ただ、これから農林水産廃棄物を
開発
し、そして同時にこれが安全の確認をしていこうという研究はわれわれがやっていくわけでございますから、そういうふうな研究を進める過程において、いわゆる研究の分野の中にあって、この石油たん白については、
開発
ということではなくて、いわゆる
安全性
について研究をしていくということはやはり主として必要なことではないかと、私はそういうふうに思っておるわけでございます。
井上泉
118
○井上(泉)
委員
飼料
は日本の国内
飼料
としては絶対不足である。そこで、世界的にも食糧危機であるというような中で、
飼料
としてトウモロコシなんかを食わすのはもったいないから石油からそういう
飼料
をつくり出すようなことをやったらどうだという発想を
農林省
が打ち出したこと自体に大変問題があると私は思うのですが、そういう発想をいつごろから
考え
出したのか、その
経過
について御
説明
願いたいと思います。
小山義夫
119
○小山(義)政府
委員
この研究を大がかりに組みましたのは
昭和
四十三、四年からでございますけれ
ども
、この種の問題に研究者が目を向けておりましたのはかなり古くからでございます。 いまトウモロコシというお話しがございましたけれ
ども
、
考え
ておりますのは、大豆かすのように鶏とか豚のために非常に高濃度にたん白が含まれておるものでなければならない、そういう
飼料
に置きかわるものがないだろうかということをかねがね研究者は模索をしておったわけであります。それで、この問題はいまから
考え
ますと非常に突拍子もない新しい発想のようでありますけれ
ども
、実はそれほど新しい発想ではなくて、御
承知
のように、牛は草を食べて、そして第一胃の中で——微生物があの中で繁殖しておりますが、その微生物の菌体が持っておるたん白が第四番目の胃の中に送り込まれて吸収をされておるわけであります。そういう意味で反すう
動物
は草を食べて、それをたん白質の形に置きかえて
体内
に吸収をしているというメカニズムは畜産
関係
の研究者としては学生時代からよく身につけておることでありますが、豚とか鶏は反すう
動物
ではございませんので、そういう形のものを何とか豚とか鶏に適用できないだろうかということを
考え
るわけで、かといって、豚とか鶏を反すう
動物
にして、第一胃のような発酵機能を持った胃をつくるというわけにまいりませんので、それを体の外でどうやってつくっていくかというふうな形の、そういう素朴な研究の着想というものは、畜産
関係
の、特に畜産の
えさ
の研究をしている者にとっては相当古くからあった
考え
方でございます。
井上泉
120
○井上(泉)
委員
学者として、研究者としてそういう問題を研究するということもあり得ると思うわけですし、
農林省
のそういう研究の部門であるからそういうことをやるということも少なくとも私は認めるわけです。しかし、
行政
の場にある者としては、
飼料
というものを日本の畜産
行政
の中でどういうふうに位置づけていこうという
考え
方の上に立って
考え
なくてはならぬと思うわけです。 たとえば極端な
議論
でありますけれ
ども
、いま食糧が非常に危機であるから、
えさ
に回しておるもので人間の食糧に回せるものは回すべきだ、だから石油たん白なんかは大いに使うべきである、今日食べるものがないのだから、石油たん白であるけれ
ども
これは食わさにゃしようがない、それで二十年先にがんになっても仕方がない、きょう飢える者、あした飢える者を救うためには、がんになるおそれが多少あるものでも食わさにゃしようがないじゃないか、と、こういう危険な
考え
方というか、国民の健康を無視したばかげた
考え
方が
農林省
の食糧問題に対する技術研究者の中には広まっておるのではないか。たとえば吉田さんも石油たん白のことをいまいろいろと
説明
されたわけでありますけれ
ども
、しかし、結論的には石油たん白を
飼料化
するということについて熱意を持たれておることだけは事実である。そして、また、
農林省
の中の食品問題を研究しておりまするところの、これはどういう地位にある方か知りませんけれ
ども
、その人たちも雑誌で絶望的な食糧危機の
実態
というものを訴えておられて、その中で石油たん白も食わにゃしようがないじゃないかという意味のことを国民の前に宣伝しているというか、
意見
の発表をしておるわけです。そういう思想というか
考え
方については
農林省
当局としては十分に
考え
なければいかぬ問題だと私は思うのです。 国民の健康を守り、国民を食生活の上で安心させていくためには、そういう化学製品に頼らない中でどうやって
飼料
の需給に見合ったものをつくっていくかという
考え
方に重点を置かなければいかぬと私は思うわけですが、依然として石油たん白に頭を突っ込んでおる。有害ということがわかっておると言われておりながらも、なおそれに
農林省
は頭を突っ込んでいるわけだが、そんなことをしなくても、それ以外にエネルギーを集中する道があると私は思うのですが、
農林大臣
、そういうふうな
農林省
の中における風潮を一体どう
理解
しておるのですか。
安倍晋太郎
121
○安倍国務大臣 私は、今日の
飼料
の需給
情勢
、さらにまた畜産物の今後の需要の増大というものを
考え
るときに、
わが国
として、
飼料
を増産し、あるいはまた同時に
飼料
の安定的な
輸入
化を図っていって、国民の畜産物に対する需要にこたえていくということは当然のことであろうと思うわけでありますが、そういう中にあって、
わが国
においては資源的な制約があるわけですから、新しい
飼料
を
開発
していくということはやはり必要なことではないかと思うわけでございます。しかし、その新しい
飼料
を
開発
する上においても大事なことは
安全性
の
確保
の問題であることは言うにも及ばぬことであります。 石油たん白につきましても、その
安全性
が確認をされ、さらに国民的な合意が得られれば、石油たん白といえ
ども
飼料
として
開発
することは当然のことであろうと私は思いますが、現在の
段階
においては
安全性
も確認されておらないし、また、国民的な合意も得られていない。ですから、これを企業が
開発
し、そしてそれを実用化されるということは私たちは許さないという姿勢でおるわけでございます。 しかし、その
安全性
もまだ確認はされておりませんが、有害ということもデータの上ではっきり出ておらないわけですから、
安全性
の問題について、この石油たん白につきましても
農林省
における科学陣が研究をしていくということは、これは当然のことであろうと思います。 しかし、私たちは、政策、
行政
の責任者として
考え
るときに、あくまでも研究の成果としてこの
安全性
が確認されなければならぬし、さらに、国民的合意が得られなければこれを
開発
して実用化させるということは絶対にさせないというのが基本的な
考え
方でございます。
井上泉
122
○井上(泉)
委員
それで、
飼料
の
関係
の中で、石油たん白については
安全性
に疑問が持たれるし、
農林省
はさきに同僚議員の質問の中でも研究は一切しないという話をされたのを私は聞いたわけですけれ
ども
、この
法律
はきょうとあすで
審議
が終わるわけですが、この時期にもやはり研究を続けるということですか。 私はくどいことはよう言いませんが、石油たん白については
安全性
があるのかどうか、
飼料
として適当か不適当か、そういうことについてはなおこれからも
農林省
としては研究をするというのかしないというのか、この二つに
一つ
、どっちにもつかぬのならつかぬでいいですから、ひとつ御答弁を願いたい。
小山義夫
123
○小山(義)政府
委員
石油たん白を
開発
するための研究はやりません。それは大臣から数回繰り返し御答弁があったとおりでございます。
井上泉
124
○井上(泉)
委員
石油たん白の研究をやらないということだが、いままで四年間やってきて、これを大日本インキやその他の会社が企業化にまで乗り出そうとしたのは、
農林省
の石油たん白についての研究をしたデータがその基礎になって企業化に踏み切ろうとしておったわけですけれ
ども
、それが国民の間からも、そしてまた役所の中の厚生省からもその危険性が指摘されて企業化を中止したという
段階
にあるわけなので、そんな国民に危険を与えるような研究をしなくとも、それにとってかわる、それ以上の国内の
飼料
生産
に意欲を持っていくということが
農林大臣
の志向する前向きの農政の一環ではないかと私は思うわけですが、その点について
農林大臣
の見解を承りたいと思います。
安倍晋太郎
125
○安倍国務大臣 新
飼料
につきましてはまだ未知の分野があるわけでございますし、
安全性
の問題につきましても、これまたいろいろと問題があるわけでございますから、慎重な上にも慎重な研究をして、そして、その結果
安全性
が確認され、国民的合意が得られなければこれは実用化しないわけでありますから、これの
開発
という面につきましてはまだまだ長い年月がかかるわけでございますし、いまお話しのように、
飼料
政策というものを
考え
るときに、現在の自給
飼料
の増産であるとか、あるいは
飼料
穀物についての安定
輸入
化とか、あくまでもそういうオーソドックスな
飼料
問題というものに
農林省
として真正面から取り組んでいくことがわれわれの最大の責任であろう、と、こういうふうに私は思うわけであります。
井上泉
126
○井上(泉)
委員
石油たん白の問題に抗議をした主婦の間からも出ており、最近やかましくなってきておりますところの、土を大切にする運動、つまり、土の力をつける、地力をつけるという運動が非常に盛り上がっておるし、これは当然しなければならないと思うわけですが、そういう点、
飼料
との
関係
におきましても、「農産物の需要と
生産
の長期見通し」の中でも、あるいは「食糧問題の展望と食糧政策の方向について」という中でも、良質の粗
飼料
の給与率を高めていくという
考え
方の上に立っておりながらも、十年たった後において、現在四五・九%のものを五〇・六%に、つまり四%ちょっとの自給率を高めるような計画しか出されていないわけですが、
畜産局
としては
飼料
の自給率については実際にどういう
考え
方を持っておるのか、御
説明
願いたいと思います。
澤邊守
127
○澤邊政府
委員
乳牛及び肉牛につきましては、草食
動物
という性格上、できるだけ粗
飼料
を給与することが
家畜
の産肉能力なりあるいは泌乳量等にも好影響をもたらしますし、また、経営のコスト面でも有利であるということで、われわれといたしましては、いたずらに濃厚
飼料
に過度に依存することなく、適正な粗
飼料
の給与率まで高めるように指導し、また、それに必要な草地
開発
等の事業もやっておるわけであります。 われわれが政府といたしまして六十年度の長期見通しを定めました
前提
といたしまして、粗
飼料
の給与率を平均的に見ますと、大
家畜
平均で六七%水準まで高めたいということを
考え
ております。
基準
年次の四十七年は五八%でありますが、それを六七%まで上げたい。その中で乳用牛につきましては七五%まで上げる。繁殖牛につきましては、これは主として草を利用して飼育するものでございますので、これは九〇%。肉用牛の場合は三五ないし四〇%というような給与率。肉用牛の場合には、御
承知
のように濃厚
飼料
等を使うことによってかなり肉質のいいものをつくるということがございますので他の大
動物
よりはやや低目になっておりますが、以上のようなことで、総合いたしまして六七%の粗
飼料
の給与率まで高めたい、こういう
考え
で施策を進めることにいたしております。
井上泉
128
○井上(泉)
委員
良質の粗
飼料
の給与率を高めるということになると、草地の造成とか水田の裏作の利用とかというようなことをやらねばならないわけですけれ
ども
、それをやるためには土というものを今日育てなければいかぬわけで、そういうふうな方向に
農林省
がもっと意欲を注がねばならないと思うわけですが、微生物たん白の研究の費用として一億三千何ぼもことし計上しておる。私
ども
はこれに対しての予算を省くような組み替えを提案もしたわけでありますけれ
ども
、否決をされたわけですが、それと引きかえに土を生かすということについての予算をとれないものか。これはいわゆる裏作として
飼料
作物をつくっていくためにも絶対的に
関連
があると思うのですが、この予算をそういう方向へ回すようなことはできないのか、
飼料
作物という点でこれを回して使うということはできないのか——これは役人だからどうでも理屈をつけるのですが、そういうふうな
方法
はとれないものかどうか、この点を伺いたい。
澤邊守
129
○澤邊政府
委員
地力対策につきましては、これは何も畜産の草地のみに限らず、日本の耕種農業全体が土地の地力が非常に低下しておるということが問題になっておりまして、畜産面でもこれに対します種々の対策を講ずる必要があるわけでありまして、その
一つ
といたしまして、
家畜
のふん尿を堆厩肥という形で耕地に還元するというようなことに今後一層努力をする必要があるということで、畜産の環境汚染問題の解決にも資するという観点から、畜産環境整備に関する各種の事業の中で、そのような方向で施策を進めておるところでございます。 なお、お尋ねのございました粗
飼料
の給与を高めるためには、予算的な
措置
といたしましては、御
承知
の公共事業によります草地の
開発
造成事業を、これは五十年度は百九十七億ぐらい
畜産局
と構造改善局両局にわたって計上いたしております。 さらに、外延的な拡大だけではなくして、既耕地に
飼料
作物を裏作を含めまして導入していくということの
関係
の予算といたしまして、今年度約六十八億ぐらい計上いたしております。 これらの施策は地力対策にももちろんなりますし、今後一層拡充実施していく必要があるということで今後進めたいと思っております。
井上泉
130
○井上(泉)
委員
私は多くの質問をしたいのですけれ
ども
、時間がありませんのでそろそろやめますが、この
飼料
について当
委員会
で論議をされておるのは主として
家畜
に関する
飼料
が中心に論議をされておるわけです。さっきの
理事
会のときにも稲富先輩からも発言がありましたが、養殖
漁業
が非常に盛んに行われておるわけですけれ
ども
、養殖のハマチに食わす
えさ
とタイに食わす
えさ
がほとんど違いがないわけで、ハマチに食わす
えさ
をタイも食っておるのであるから、成長したタイの身の味もハマチの味もほとんど変わらないという現象が出ておるわけですが、水産
関係
におけるこの
えさ
の問題について、今日そういう
問題点
が提起されていないのかどうか、あわせて承っておきたいと思います。
兵藤節郎
131
○兵藤政府
委員
最近、
わが国
におきましても養殖
漁業
が大分発展してきておるわけでございますが、養殖
漁業
でも海面養殖と内水面養殖の二つがあるわけでございまして、海面養殖の場合ですと四十八年度の数字では八万四千トン、内水面養殖の場合には六万四千トン、合わせまして十四万八千トンという養殖水産
動物
の
生産
があったわけでございます。これに要するところの
配合飼料
としましてはおよそ十六万トン
程度
のものの
生産
が行われております。 それから、いま先生がお話しになったハマチ等につきましては、イワシ、サバ、サンマ等の鮮魚、冷凍魚が中心になっておるということでございまして、このハマチ等の生えについては、その供給についてはほぼ心配はないといったような状態になっておるわけでございます。
井上泉
132
○井上(泉)
委員
あと若干
島田
議員から
関連
質問を行うわけでありますので、私はこれ
一つ
で終わりたいと思いますが、この
飼料
の
品質改善
に関する
法律
の
改正案
、つまり
飼料
の安全に関する
法律
が通った場合に、畜産物の
関係
だけではなしに、水産物の
関係
にもこの
法律
は当然適用されるべき性質のものだと思うわけですが、それについての大臣の見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
安倍晋太郎
133
○安倍国務大臣 これは畜産
動物
だけではなくて、養殖
漁業
に対する
配合飼料
につきましてもこの
法律
の適用を受けるべく、
法律
改正
が行われたときには直ちに省令、政令等で
指定
をする方針でございます。
澁谷直藏
134
○
澁谷
委員長
関連
して、
島田
琢郎君。
島田琢郎
135
○
島田
(琢)
委員
先ほど、石油たん白について、小山水産技術会
議事務局長
から、一般的にはこれを普及するという立場では一切研究をやらぬというお話しがありましたが、その前段では、SCP等の研究の比較から言って石油たん白についても研究をやらなければならないという意味の発言があったように思いました。この点については、大臣からも、先般の私の質問に対して、国民的合意が得られなければという
趣旨
の、石油たん白の研究あるいは
開発
についての明確な発言があったので、私はそれをある
程度
了解をいたしておりましたが、先ほど大臣から盛んに国民的合意ということを言われるわけであります。しかし、国民的合意とは何かという点になりますと非常にこれがあいまいで、たとえば少数の反対者があっても国民的合意は得られなかったと判断する場合と、少数
意見
は少数
意見
なんで、大勢としてはこれを認める国民的合意があったのだという
理解
がそこに成り立つと石油たん白を
開発
して
使用
するということに流れがちになりますので、きょうの答弁は前回から見ると若干ニュアンスが変わっているというふうに私は受けとめていたのですが、私の受けとめ方が間違いであれば幸いですが、この点については、大臣、いかがでしょうか。
安倍晋太郎
136
○安倍国務大臣 私は、しばしば申し上げておりますように、石油たん白につきましては、国民的な合意と
安全性
の
確保
がなければこの実用化はさせないという基本方針をもって今日まで
行政
当局に指示し、指導もいたしてきておるわけでございますが、この国民的合意とはどういうことかということにつきましてはここで具体的にはっきり申し上げることは非常にむずかしいわけですが、国民的合意を得る
前提
条件は、やはり何としても
安全性
の確認ではないかと私は思うわけです。
安全性
の確認があって、それが周知徹底をして、その結果国民的に合意が得られたならば実用化ということも
考え
られるわけでございます。 ですから、国民的合意の大
前提
というのは
安全性
の確認であろうと思うわけでありますし、その際の国民的合意におきましても、もちろん、多数決といったような、少数が反対し多数で押し切るといったようなものであってはならない、やはり広く国民が合意をするということでなければならないと私は思うわけであります。
島田琢郎
137
○
島田
(琢)
委員
厚生省の岡部乳肉衛生課長、先ほどの井上
委員
とのやりとりあるいはいま私から端的に質問を申し上げました点について、厚生省としての見解はいかがですか。
岡部祥治
138
○岡部
説明
員 お尋ねはSCPに関してでございますか。石油たん白でございますか。——石油たん白につきましては、すでに先生も
経過
を御
承知
のとおり、従前こういうものの
開発
が進められたわけでございますが、これらを
飼料
として利用いたします際には、
生産
物が肉あるいは牛乳等として人の食用に供されるものでありますから、その
安全性
を十分
検討
する必要があるということから、食品衛生調査会におきましてこれらのデータをいろいろ
検討
した経緯がございます。しかしながら、今後これらのものが
飼料
として
開発
、利用される場合でありましても、その
家畜
の肉等が食品となるものでございますので、これらの問題を十分踏まえましてその
安全性
を確認する必要があると
考え
ております。
島田琢郎
139
○
島田
(琢)
委員
そうすると、厚生省は、石油たん白の研究
開発
については
農林省
にゆだねて、その
安全性
が確認されれば厚生省としても合意するという
考え
方ですか。
岡部祥治
140
○岡部
説明
員
安全性
が確認されるということの評価の問題でございますが、この評価が科学的に十分行われたものであり、なお、私
ども
といたしまして食品衛生の立場から専門的に
検討
いたしまして、食品の
安全性
が
確保
されるものであれば私
ども
としては差し支えないと
考え
ております。
島田琢郎
141
○
島田
(琢)
委員
そうすると、厚生省としては、石油たん白については、
人体
に影響があるかないかの判定はまだしていないということですか。
岡部祥治
142
○岡部
説明
員 大日本インキ及び鐘淵化学の実験
段階
で行われたものにつきまして実験データで見ます限りにおきましては、これは従前の
飼料
等で飼育したものと差がないということでございます。しかしながら、これが実用化、いわゆる企業化に当たりましては、この実験
段階
におきますものと同一のものである等いろいろな条件がございますけれ
ども
、この実験
段階
におきますものにつきましてはそういう評価をいたしております。
島田琢郎
143
○
島田
(琢)
委員
どうも私にはわからないのですけれ
ども
、めんどうくさい石油たん白だ、いま国民的合意がなかなか得られないのだ、だから厚生省としては石油たん白に直接かかわるのは避けたいのだ、責任をむしろ
農林省
に移した方が得なんだ、と、そんな判断があってあなたは何かごちゃごちゃ言うのか、さっぱり私にはわからないのでありますけれ
ども
、私に言わせれば、石油たん白については、これを
家畜
に食わせていった場合でも畜産製品に変わって、その食料を人間が食べるのですから、むしろ厚生省がこのことに対して的確な判断を下すべきではないんですか。 実験
段階
では危なくないと思っているがさらに用心をしなければならないということで、その責任が
農林省
に転嫁されている点では、これは
農林省
としては非常にやりにくいでしょう。だから、先ほどから大臣や小山事務局長からの答弁にもあるごとく、国民的合意という言葉が盛んに出てくるわけでありまして、その辺はむしろ厚生省が責任を負わなければならない範疇に入るのではないか。そういう点についてもう少し態度をはっきりさせないと、国民的な合意はもちろんのこと、これは非常に危険だという立場でいままでも
取り扱い
をされてきたという私
ども
の
理解
から言うと、これはいささか責任回避というふうに聞こえるのですが、いかがですか。
岡部祥治
144
○岡部
説明
員
飼料
としての
安全性
の確認の
方法
にはいろいろな手法がございますが、現在なかなか確立されていない
段階
の部分もあるわけでございます。したがいまして、これらの新
開発
の
飼料
につきましては、今後この
改正法
によりまして、
農業資材審議会
等におきまして十分
審議
されるわけでございます。 しかしながら、これが食品としての
安全性
というようなことから疑問がある場合には厚生省といたしましては
農林省
と十分連絡をとり、また、法文上は
意見
を述べるということになっておりますが、これらの条文を活用いたしまして食品衛生の万全を期してまいる所存でございます。
島田琢郎
145
○
島田
(琢)
委員
どうも私の質問に的確にお答えにならないのですけれ
ども
、今度の
改正
によります新しい
法律
で、第二十二条の
取り扱い
で確かにそのことは私は
理解
しているのです。しかしながら、石油たん白について私はいま聞いているわけで、石油たん白もこの二十二条の厚生大臣の
農林大臣
に対する
要請
という形の中で
取り扱い
を進めていくということについては不都合ではないかと私は思うから、石油たん白については明確にしておかないといけないのではないかと思って厚生省の見解を求めているわけです。
岡部祥治
146
○岡部
説明
員 いわゆる石油たん白というものにつきましては現在
飼料
としての
実態
がございませんので、この新しい法案におきます新
開発
の
飼料
の部類に入ると
考え
ております。したがいまして、二十二条でこれらの
規格
、
基準
あるいは
使用
方法
等につきましての適用を受けるものと
考え
ております。
島田琢郎
147
○
島田
(琢)
委員
いま大変重要な発言があったのですが、実際に食わしてみた、そういう実験データがない、また、試験ではなくて、実際に現場で石油たん白が
使用
された結果によって実害が出た、出ないというデータがないから依然としてこの二十二条で
取り扱い
することがいいんではないかという
趣旨
の発言ですけれ
ども
、石油たん白以外の問題についてもいまのおっしゃり方で言うと非常に問題があると私は思います。石油たん白についての国民の側からのいろいろな御
意見
がいま非常にたくさんあるということは厚生省も御
承知
でしょうし、それだけに、
人体
に及ぼす影響については、幾つかの試料あるいは学者の研究結果によってかなり疑わしいということがすでに指摘をされている
段階
です。 したがって、厚生省としてはそういう
意見
に対してはどのように対処しようとしているかの点がきわめてあいまいだから、それを
農林省
の責任に転嫁してしまうということで厚生省の役割りが果たせるのでしょうか、と、このことを私はくどくお聞きをしているわけです。
農林省
にすべてをやらせて、結果が悪ければひとつ文句を言おうというふうに聞こえるのですが、いまの御発言はそういう御
趣旨
ではないのですか。
岡部祥治
148
○岡部
説明
員 新しい法案の二条の六の三号において石油たん白等
使用
経験の少ないものにつきましての
規定
がございます。それで、二条の六について、厚生大臣は公衆衛生の
見地
から
農林大臣
に対して、これの
規格
、
基準
あるいは
使用
方法
等についての
意見
を申し述べることができるように条文上なっておりますけれ
ども
、これが研究の
段階
でございますとかあるいはそれらのデータ等につきましては内部で十分連絡をとりまして、そういうことのないようにいたす所存でございます。
島田琢郎
149
○
島田
(琢)
委員
それでは、もう時間がなくなりましたので余り長くお話しを聞くことができませんが、この際最後に岡部課長にお聞きしますが、この第二十二条の、いま触れております厚生大臣の
農林大臣
に対する
要請
という条項に対して、先ほど午前中に
研究会
の
太田
座長
から
報告
が行われておりました中にもありましたが、この
研究会
では、「
現行
食品衛生法
第四条の二の
規定
に準じた
制度
を導入することが望ましい」と言っている。この「準じた」ということに多少のひっかかりがありますが、私に言わせれば、むしろ、
食品衛生法
の第四条の二に「
飼料
」という
項目
を入れて厚生省が積極的に取り扱うべきだというふうにさえ一面
考え
ておった一人であります。それを二十二条で救ったわけですが、この際二十二条に対する厚生省側の見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
岡部祥治
150
○岡部
説明
員 先生御
承知
のとおり、
食品衛生法
では四条でございますとか、あるいは七条でございますとか、いろいろと食品衛生上の危害の発生
防止
のための
規定
がございます。それで、畜産物について、特に人の食用にそれが供せられてそれが人の健康に影響を与えるというようなことがないように、
飼料
あるいは
飼料添加物
の
段階
でこの新しい法案において
規制
をしようというのがこの法案でございます。もちろん、これが
飼料
あるいは
飼料添加物
の
規格
、
基準
あるいは
使用
方法
等を定めます場合に、この
食品衛生法
を
前提
におきまして
規格
、
基準
を定められることは当然のことと
考え
ております。 したがいまして、なお、それらの
規格
、
基準
が食品として不適当なものが
生産
されるおそれがある場合には、二十二条によりまして厚生省から
農林省
に
意見
を申し述べるという
規定
でございまして、これで私
ども
は食品の
確保
ができるものと
考え
ております。
島田琢郎
151
○
島田
(琢)
委員
まだ私は二十二条の問題については多少
意見
がありますけれ
ども
、もう時間がありませんから最後に
農林大臣
に伺いますが、いま厚生省側の見解が示されましたけれ
ども
、この条文にある「
意見
を述べ」とか「
要請
することができる」という言葉の使い方から感じとる中ではきわめてこの点が弱いし、また、人間の食べる食料の
安全性
確保
という
見地
から言って、厚生省が
農林省
に対して、ともに、同時に責任を負わなければならない立場にあるという
理解
をいたしますと、もう少し積極的に——たとえば
農業資材審議会
の
審議
に当たっては、
農林省
だけではなくて厚生省も参加をするということで、事前チェックができるという責任の持ち方も必要だと私は思っております。 したがって、
審議
会の運用に当たってはこれは相当慎重を期さなければならない点ではないかと私は思いますが、この点について
農林省
としては厚生省との
関連
において、具体的には
審議
会の持ち方等についてどのようにこれからされていこうとお
考え
なのか、時間がありませんのでごく簡単に具体的にお答えをいただきたいと思います。
安倍晋太郎
152
○安倍国務大臣 この
改正案
が成立いたしましてこれを実施するに当たりましては、厚生省とは十分連絡を密にしながらこの適正な運営を図っていかなければならぬと思うわけであります。 食品の安全につきましては
食品衛生法
によって
規定
をされるわけでありますし、その食品を
生産
する
原料
となるところの畜産物の
飼料
あるいは
飼料添加物
につきましてはこの法案によって
規制
をされるわけでありますし、厚生大臣が
要請
をするという二十二条につきましても、これが
要請
をされる事前に
農林省
は厚生省と十分な連絡もとっていかなければならぬと思うわけでございます。 同時に、
審議
会の
委員
につきましては、
農林省
といたしましては、食品衛生
関係
の
委員
を
審議
会の
委員
になっていただくという
考え
方を持っておるわけであります。
澁谷直藏
153
○
澁谷
委員長
島田
君、時間が来ました。
島田琢郎
154
○
島田
(琢)
委員
岡部さん、いま大臣からそういう話が出ました。私は「
要請
」という言葉は弱いと思っているのですが、これを「協議する」とかいう言葉の使い方にするのと、厚生省側としてはどちらが強い
意見
がそこに出されると思うか、それだけ承って質問を終わりたいと思います。
岡部祥治
155
○岡部
説明
員 「協議」というのは受け身であると私は
考え
ております。現在の条文は厚生大臣から
農林大臣
に
意見
を述べることができるということでありますが、「協議」というのは向こうから御相談がなければ何にもできないということで、むしろ
改正案
法の方が積極的だと
考え
ております。
澁谷直藏
156
○
澁谷
委員長
次回は、明四日水曜日午前十時
理事
会、午前十時十分
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十七分散会