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内村政府委員 まず、第一に、諸外国が
漁船による
水揚げを禁止しているのに、
日本はそういう措置をとるのがなぜおくれたのかということでございますけれ
ども、これは、
日本の
漁業の置かれていた位置といいますか、問題が外国とは違っていたということが
一つあるのではないかと思います。すなわち、イギリスはやっていないようでございますけれ
ども、ヨーロッパの多くの国は
漁船による
水揚げ禁止の措置をとっております。これは、ああいうような狭いところで長年
漁船によるところの相互の出たり入ったりがあったというようなところから出たのではないかと思います。アメリカの場合にはニコルソン法というのがたしか前世紀の
法律でございますが、これはやはりメキシコとか、そういう関係でできたのではないかと思います。
わが国の場合は、戦前も戦後もずっと外国
漁船が
日本に
水揚げするというようなことは余り想定されなかったわけでございます。そこで、四十年代から
韓国の
マグロ船が
日本に
水揚げをするようになり、さらにソ連が
日本の
近海における
漁業をどんどん拡大いたしまして、
日本の港の使用を求めてきたというようなことがございまして、昭和四十二年にいまの
法律ができたわけでございます。その場合に、四十二年でございますから、要するに戦後ですが、ガット等の
原則がすでに国際貿易の中で定着しておりますので、そういった場合に余り貿易に抵触するということになりますとガットの非貿易の障害として取り上げられるということもございまして、特に、
水揚げだけを目的として
漁船が
日本に
水揚げする場合には積み出し港の証明書があればいいというような制度になったわけでございますが、そういったことになる背景には、
日本の場合には、外国
漁船による脅威と申しますか、そういうおそれが余りなかったというような過去の歴史的事実がそこにあるのではないかと思います。したがいまして、
法律ができたのが四十二年ということになっておるわけでございます。
それから、
国会の
決議について何をやってきたのかということでございますが、確かに衆議院、
参議院の
委員会において
決議がございましたし、私
どもはそれを十分
検討したわけでございます。そこで、一番望ましいことは
数量調整をしてしまうということで、すなわち、現在、昭和三十六年以来
マグロは自由化物資になっておりますけれ
ども、これを割り当て品目に戻すことができれば一番いいわけでございます。そこで、そういう点も
検討したわけでございますが、自由化しているものを非自由化に戻すということは非常にむずかしいという貿易上の問題がございます。
それから、先ほ
ども申しましたけれ
ども、ひとつ関税を上げてみようかということで関税の問題もいろいろ
検討いたしましたが、
マグロというものは本来
輸出産業であったわけでございますから、これも当時余り心配せずにガットの譲許品目にしているわけでございます。したがいまして、これを上げるということになりますと相当の代償を払わなければならぬ。私
どもの計算では一千三百億ぐらいの代償を払わなければならぬということになりますけれ
ども、
農林省の物資からそれだけのものをとても出すことができない。
それから、貿易上の
輸入貿易管理令で何とかできないかとか、いろいろ考えたわけでございますけれ
ども、なかなか現実的にはいい手だてがないわけであります。
そこで、先ほどからも申し上げておりますけれ
ども、本件のバックには
日本の商社がいるのだから商社に自粛を求めようということで、あの
決議があった以後、昨年の夏あたりから商社の代表を呼びましてるる自粛を求めたわけでございますが、昨年じゅうはなかなか事態が進展しなかったというところへ、さらに今年に入りまして
韓国からの
輸入が急増してきたということが起こってきたわけでございますので、私
どもといたしましては、何とかこの際その
数量を押さえ込むという
意味で、先ほどからも問題になっておりますように、
外国人漁業規制法の
改正というものはそういった場合に非常に有力なる手だてになる、バックになるということは事実でございますけれ
ども、
日本の
業界の
立場、さらに
日韓漁業関係全体を考えた場合には、何とかして
政府ベースで自主
規制で話をつけたいというふうに強く考えておるわけでございます。