○美濃委員
大臣のお
考えのように、今後はなくするという方向で
農林省は挙げて努力をしてもらいたいと思います。
その次に、ここに示された参考資料の四ページの「配混合
飼料の原料
使用量の推移」というところを見ますと、粗悪原料が使われておるということですね。私はこういう経験があるわけです。戦争が終わった直後、当時は私は北海道の畑作農業で、トラクターは使わぬで、馬で起こしてやっておったわけですが、その馬の
飼料に使った燕麦も十分置けないわけです。供出
命令が厳しくて燕麦も全部出さねばならぬ。そうすると足りないわけです。えさは、春先農耕するときにはやはり穀物を食べさせなければ馬は疲れますから、当時亜麻をつくったわけです。亜麻種は供出の
対象にならぬわけです。亜麻種でも穀物ですから、食べさせるのです。しかし、亜麻種を食べさすとどうもいけない。昔は軍馬資源保護法などという
法律がありまして、私
どもは当時主として牝馬を繁殖兼用で農耕馬に使っておったが、ところが、この油を食べさすと全然だめですね。体質が変化をしまして妊娠しません。それから、たとえば先進酪農国へ行きますと小麦は濃度が高い。日本ではふすまと言いますけれ
ども、日本の専増産ふすまなどというのは、粉を四〇%取って、六〇%がふすまとなってえさ用に回すわけでありますから、かなり小麦濃度が高いわけですね。先進酪農国では小麦は濃度が高い。ですから乳牛のえさとしては
使用しておりません。それから油のかすも
使用しておりません。しかし、油かすとかふすまとかいうようなものは石油たん白や何かと違いますから、純植物性のものでありますから、肥育豚や何かに
使用して、繁殖用にならないものには使っても別に大きな障害は起きないのじゃないかと私は思いますけれ
ども、とにかく繁殖用に使うもの、たとえば種取り用ですが、鶏であっても卵を取る鶏、あるいは豚であっても子っこを取る種豚、これのえさには油かすだとかこういうものは基本的にだめです。こういうものを食べさすと繁殖障害が高くなってコストが高くなる。ですから、いわゆる乾乳牛と
農林省は言っておりますが、日本の場合、空き腹で休む牛の率は、先進北欧諸国と比較してみても空き腹が倍ぐらいおるのです。
牛乳を
生産する農家では子っこを産まなければ
牛乳の
生産ができないわけです。次の子っこをはらんで乳が出るまで一年間えさを食わせて遊ばしておくわけです。これは酪農の大きな凶作なわけですね。その最大原因は何にあるのか。まず、そのえさが悪いということも大きな原因の
一つになっておるわけです。ですから、保証乳価を高くしなければならぬという問題が出てくるわけです。えさが
畜産経営のコストにはね返る。そのコストを守ればやはり
消費者の
消費経済にもはね返っていくわけです。これは非常にめんどうな問題だと思うのです。
この
現状を見ますと、非常に粗悪なものが使われておる。ですから、第一に提言したいことは、日本は自給ができない
現状でありますから、この粗悪原因を一遍に解消せいと言っても無理でしょう。この粗悪の原料を大幅に直ちに解消して、油かす等は有機質肥料に回して、えさに
使用することはまかりならぬと言ってみても、現実はなかなかそうはいかない。それで、これだけ使っておる大豆かすだとかいうような粗悪原料を全部排除して、そして
家畜の体質に最も合致する生鮮な
飼料を全部求めるとしても、これを一遍にやれというのは無理じゃなかろうかと私は思う。また、経済的にも量的にも一遍にやれということは無理ではないかと思います。逐次それを
改善してもらわなければならぬが、その前にまずしなければならぬことは、単に栄養分析表をつけるだけではだめだと私は思うのです。このえさには何を使っておりますという栄養表示をどうせするのですから、その横へ油かすが入っておるとか入っておらぬと、使った原料をはっきりと明示する制度をとらすようにすべきである。たとえば乳牛のえさであれば油かすとか、そういうえさを食わせた場合、妊娠に非常に影響があるから、そういう体質に陥るようなものはこのえさには入っておりません、乳牛のえさには小麦もふすまも入っておりません、トウキビと大麦で
製造してあります、ということを表示させる。それ以外のものは入れては相ならぬと思います。
ドイツへ行っても、フランスへ行っても、全部そうしてやっておるわけです。欧州諸国を皆さん検討してみなさい。乳牛に供与しておる
飼料は大麦とトウキビです。それ以外のものは、こんな油かすやなんかは食べさせておりません。小麦系統は濃度が高過ぎるということで全然
使用しません。特に、デンマークは北緯五十度でありますからトウキビがつくれない。八〇%が大麦ですね。十アール当たり十俵とっておりますね。二〇%がオートミール。これは向こうでは日本語に翻訳してカラスムギと言います。燕麦とは言わないですね。私
どもが行ったらカラスムギと言う。カラスムギが二〇%、大麦が八〇%、余のものは入れておりません。そういう悪いえさを使うと妊娠障害率が高くなってだめなんです。体質が変調しますから正常な妊娠にならない。発情にならないから非常に妊娠率が低下するわけですね。こういう点を厳格にしてもらわなければ困ると私は思うのです。
ですから、たとえば肥育豚あたりにはふすまなどは無論良好な
飼料だと思います。肥育豚あたりには障害はないわけです。あるいは種鶏ではなくて卵
生産用の養鶏の
飼料には小麦を使ってよろしいんじゃないかと思います。酪農に使ってはだめだ。特に油かすについては問題があると思いますけれ
ども、これも石油たん白とは違いまして植物性ですから、
人体に影響が起きるとは思いません。ですから、肥育専門の
動物であればある程度供与することは経済的にやむを得ないというのであれば、これもやむを得ないのではないかと思いますけれ
ども、原則としては、油かすなどは
家畜の
飼料としてはいいものではないということははっきり言えるわけです。そういう粗悪なものを使うと体調がおかしくなるわけです。
農林大臣に申し上げますが、大豆を煮て、ある程度の量食べてみなさい。大豆を二百ccとか三百cc食べると、よほど胃腸が丈夫な人でなければ下痢をしますよ。ですから、油かすのようなものを入れてえさをつくって、生まれたてのあれにやると下痢をするのです。下痢をするから、それにペニシリンを入れるのだと言う。これはまことにこっけいな話だと思う。日本の現況は直ちにそれをやめることができませんと言う。しかし、初生ひなあるいは産まれ落ちの豚の子っこも弱いわけですから、こういう一定期間の、弱いときの肥育用のえさから油かすや何かを排除するということはぜひやってもらわなければならぬと思います。そういうものを混入して、下痢をするからペニシリンを入れるのだ、あるいはマイシンを使うのだ、と、こんなことは全く笑い話だと思うのです。そういうことがはっきりしておるのですね。せっかくこういうりっぱな
法律をつくるのですから、そういう点を厳格にやってもらいたい。
繰り返しますが、こういう油かす系統の
飼料も、肥育豚になって四ヵ月ですか、二十キロ以上になってくれば、ある程度の量を入れても、量を多く入れなければ下痢をすることはないと思います。ひなでもあるいは豚の子っこでも初生のときは弱いですから、そのときにこういうものを入れてえさをつくって、そして下痢をするから薬を入れるのだとか、下痢どめの薬をえさに使うのだとか、こういうこっけいな非常識なことは監督上厳格にやめるようにしてもらいたいと思います。どうでしょうか。