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澤邊政府委員 お尋ねがございましたように、農村部で産業
動物関係の
獣医師が特に不足を来たしておるわけですが、これは全国的に見られるわけでございます心反面、都市におきましてはむしろ
獣医師が多過ぎるという
意味での過密の問題が出ておりますけれども、
畜産政策上重要な産業
動物関係の
獣医師は全国的に非常に不足しておるわけでございます。不足しておる町村は、われわれの
調査では二百六市町村であります。これは
畜産に全く
関係のない町村を除いて、
畜産に
関係があって現在不足しておるというのが二百六市町村というふうに把握をしておりますが、そのうちで
獣医師が一人もいないという無獣医市町村が四十七市町村あるわけでございます。これは特別なところでございますけれども、一般的に獣医が不足しておる。
しかも、また、反面、老齢化が進んでおって、若い人が新たに産業
動物用の
獣医師になりたがらないという点があるわけでございます。最近の獣医
関係の大学の卒業生等を見ましても、飼料会社とか、
食肉会社とか、乳業会社とか、そういう企業
関係に入る人あるいは
研究所等に入る者の待遇は他と比べてそう遜色はないと思いますけれども、産業
動物関係の診療に直接当たる共済組合なり、農協なり、市町村というところへ就職する者の給与は一般に比べますと見劣りがするということのために、そういう待遇上の不利益ということのために、卒業生が新たに産業
動物関係の農村在住の
獣医師になりたがらないという点がありまして、これは今後
畜産を進める上に非常に重要な影響がございますので、われわれとしても、何とかこれを解決すべきではないかというふうに考えるわけでございます。
そこで、その対策といたしましてはいろいろございますけれども、
一つは、無獣医地区等の
獣医師の誘致定着化をはかるために、まず、四十七の現在の無獣医である市町村に
獣医師に来てもらうというのが先決でございますので、診療施設あるいは診療車とか住宅を含めまして、それらの施設に対しまして国が援助をするということによりまして
——給与等につきましてはやはり地元で負担をしていただくほかはないと思っておりますが、施設面につきまして
整備をしてそこに
獣医師を誘致するというようなことを、モデル的な
事業として、五十
年度から、わずか四カ所でございますけれども着手をしたわけでございます。今後この
成果を見ながら拡充をしていきたいというように考えております。
それから、さらに、
家畜共済診療点数表の
技術料を引き上げるということが診療報酬の改善を図るために必要だと思いますので、今
年度は七五%の引き上げを行っております。また、共済組合なり農協等を含めまして、開業
獣医師等も含めまして、民間の
獣医師を雇い上げて
伝染病の
予防対策をやっておりますので、それらの雇い
上げ手当を引き上げるということも待遇改善の
一つだと思いますので、前
年度の四千五百円から五千九百五十円という三二%余りの引き上げをことし行ったわけでございます。
これらの対策で十分だとは思いませんけれども、今後ともこれらの対策を一層充実することによりまして、農村部におきます
獣医師の定着、不足解消ということには
努力をしていきたいと思っております。
二カ年間、産業
動物獣医師総合対策
検討会というものを設置いたしまして、
報告もいただいておりますが、五十
年度予算にはその
報告がまだ全面的に間に合わなかったものですから、それを受けて全面的に
予算を組んだというところまで参らなくて一部にとどまりましたけれども、今後、その
報告の方向に沿いまして、ただいま申し上げたような点につきましてさらに拡充をしていくことによりまして定着化を図りたいというように考えております。
そこで、二番目に
お尋ねになりましたことについて、あるいは問題を私は十分理解しておらないかもしれませんけれども、生活条件という問題については、単なる報酬のほかに農村部に
獣医師が集まらないという問題でもございます。これは子弟の教育とかいう点まで申し上げれば、確かに農村部は都市部に比べて生活上の不便がありますので、そういう面からも、単なる報酬だけではなくて、不利益のために集まらないという面もございます。これらの問題につきましても、将来の問題として
検討してみたいというように思います。
三番目の診療報酬につきましては、先ほど、共済の
技術料の引き上げについて一部配慮をしておるという点でお答えしたところでございます。
それから、
予防衛生のコンサルタントの問題につきましては、現在共済
事業でやっております乳房炎の
予防につきましては、これに対しましてたしか共済として援助をしておると思いますが、いずれにいたしましても十分な
措置ではないと思いますので、御趣旨の線に沿って今後
検討してできるところから
実施してまいりたいと思います。