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佐々木国務大臣 安全局を
設置しようという
法案をつくるまでの経過でございますが、これは、かねて
原子力行政を進める上において、
原子力発電あるいは船舶用炉等を
開発するためには
安全性の
確保というものが一番問題じゃないか、立地問題が大変問題になっておりますけれども、その立地問題のさらに真因を突き詰めてまいりますと
安全性の
確保というところに尽きるわけでございまして、
安全性を
確保するにはどうしたらよろしいかという点が前々から大変問題になっておるところでございます。
そこで、去年も実は安全部というものを
原子力局内に設けて、少しでも安全のための
行政体制を
強化しようということで国会に提出したのでございますけれども、去年は
審議未了で成立に至らず。ことしは財政の見通し等から言いましても、あるいは
政府全般の機構の問題から言っても、この際新規の局部は一切取りやめようという
閣議決定をしておりましたので、私どもも、去年せっかく部を出してそれがことしもそのままになるのは、今後の
安全性を
確保する上に大変憂慮にたえないという気持ちもしておりまして、そこで
科学技術庁としては、いろいろ
原子力委員会等の意向も受けまして局案を練っておったようでございますけれども、私自体は、一番決心いたしましたのは、「
むつ」問題もしかりでございますけれども、日本で発電炉を扱っている県が八県ばかりございまして、その八県の
知事さんが暮れに集まっていろいろ話をしておりましたところ、この際どうしても安全問題に対して
政府がはっきりした具体的な
姿勢を示さないと
自分らとしてはどうにもやりようがない、ついては、
政府で近く
内閣に大
機関をつくって、
原子力委員会まで含めた主として安全を中心にした抜本的な
機構改革をやるそうですか、それは一体いつできるのですかという
お話。実はそのときは、まだ
懇談会ができておりません。いつつくるかも、早くつくろうというだけの話でございまして、その間一月の予算の編成で挙げて予算の問題に狂奔するという状況で、
懇談会ができるのがどうしてもその後。人選の問題でこれまた御
承知のように大変難渋いたしまして、幾変転を経て
原子力行政懇談会のメンバーというものができたものなんです。それこれ思い合わせて、これが実際に動いて
結論を出して、その
結論を受け取って
法律をつくる過程において、
各省との
権限調整をして予算を盛ってそしていざスタート。スタートして
行政として定着するということになりますと少なくとも二年は見なければいかぬぞ。それから二年後になって査察あるいは監査、審査するスタッフが足らないじゃないかといっても、その要員がなかったというふうなことではどうにもならぬのじゃないだろうか。この際、切れ日なしに重要な問題を進めていくためには、あるいは現地の実際を担当している
知事、市長村長等の苦心を考慮すれば、この際
政府としては、それで十分とは言えないにしても、一歩
前進の
意味で
安全局というものをつくって、
政府はほかのものを一切新設はしないけれども、これだけは特別に扱いましたという気構え、
姿勢をまず形の上ではっきり示そうではないかということが根本的な経過だと私思っております。
それから、この局の内容でございますが、
一つは、
責任の明確化でございまして、いま
原子力局にありますが、従来の関連からいたしまして、安全問題に対して行
政府として最終的に
責任を持つところはどこかというところを詰めて
考えてみますと、
原子力委員会というものは、決定
機関のようで本質的には
諮問機関でございますので、その下部
機関である安全審査会、部会が決めたそれにおんぶして行
政府自体の
責任がないような
体制はおかしいじゃないか。これは総理
大臣みずからが
設置許可するわけでございますから、その
設置許可に際しての
責任は、
安全局を新しくつくって、そこではっきりと明示して、そこで
責任を持ったらいいじゃないかという
責任体制の中心を定めたということ。
それから、
一貫性の問題がございまして、
各省との関連等いろいろございますが、そういう
意味におきましても、この際、いままでの
法律をすぐ変えるわけにはいかぬけれども、しかし
連絡その他を密にして、いわば
安全性の確認のための環境的なシステマタイズと申しますか、システムをつくりまして、そしてそれぞれの分担をおのがじじ持っていくわけですけれども、しかしその
最終責任はやはりこの
安全局が持って、そしてシステマタイズに、安全というものを行
政府一体として現
法律のままでも
行政措置として
運営していくことが、当面われわれとしてやるべき仕事でないだろうかということ。
それから、先ほどもちょっと触れましたが、人員の養成をどうするのだということがございます。これはまた金があればできるという問題でございませんので、こういう
機関が中心になって人員の賛成をしたらどうだろうというのが、この局の
一つの
権限と申しますか、職能だと私は思います。
しかし、もう少し大きく
考えますと、いま安全問題に対して一番緊急を要するのは、やはり軽水炉の安全
研究をどうするか、それからいままで申しました審査、検査を、いままでのようなやり方だけでよろしいか、その
内部検討の項目等、やり方等も、まだまだ吟味の要があるんじゃないかといったようなこと、あるいは
国民の
理解、支持を得るためにはどうしたらよろしいかといったような問題がたくさん機能としてございまして、先ほど申しましたように、
安全局そのものの権能なり
責任の
所在は申したとおりでありますが、具体的にまた大きい仕事としてどういうことがあるかと申しますと、いま言ったような分類になるのじゃなかろうかと思います。
以上、設立までの経過とその内容でございます。