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1975-06-20 第75回国会 衆議院 内閣委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月二十日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 越智 伊平君 理事 奥田 敬和君    理事 加藤 陽三君 理事 木野 晴夫君    理事 箕輪  登君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       大石 千八君    竹中 修一君       旗野 進一君    林  大幹君       八木  昇君    和田 貞夫君       鬼木 勝利君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    小田村四郎君         防衛庁参事官  菅沼 照夫君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         科学技術庁長官         官房長     片山 石郎君         科学技術庁計画         局長      安尾  俊君         科学技術庁研究         調整局長    伊原 義徳君         科学技術庁振興         局長      木下  亨君         科学技術庁原子         力局長     生田 豊朗君         科学技術庁原子         力局次長    半澤 治雄君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       井上  力君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   平井 寿一君         行政管理庁行政         監察局監察官  上井 正司君         防衛庁長官官房         防衛審議官   伊藤 圭一君         文部省学術国際         局研究機関課長 植木  浩君         資源エネルギー         庁長官官房総務         課長      平林  勉君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 六月十九日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     金子 みつ君 同日  辞任         補欠選任   金子 みつ君     山本 政弘君     ————————————— 六月十九日  台湾残置私有財産の補償に関する請願(佐藤文  生君紹介)(第三八三二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一一号)      ————◇—————
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより、質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 私は、今回のこの機構改革、つまらぬことをまた官僚の小手先だけでやるものだと実は思いまして、こういうばかなことをするからどうも科学技術庁が非科学技術庁になってしまうので、こういうものは何をどう言われても通すべきではない、こう思っております。特に参議院の方にお願いして、保革伯仲有効性を御発揮いただいて、何とか懇談会なんてものをやっておるわけでありますから、その結論でも出てから、ゆっくりひとつ子々孫々に至る百年の大計どころではない抜本的なこの国の科学技術行政考えて、その上で機構というものをどうするか、これが筋だと思っておるわけであります。  そこで、そういう立場で承りたいのでありますけれども、基本的な科学技術行政のあり方、さらに原子力船むつ」をめぐる各般の問題、また分析化研等のあきれて物が言えぬ実は科学技術庁との癒着ぶり、でたらめさかげん、さらに原発問題をめぐり、通産省の平林さんという課長さんがずいぶんくだらぬことを言っておりますけれどもそこらの問題、これは名指しでおいでいただいております。さらに自衛隊の核等にかかわる問題などを承りたいのでありますが、いかんせん、二時間半というきわめて短い時間でございますから、実は五、六時間承りたいところでありますが、そういうことでございますので、時間がなくなりますから、なるべく簡潔な御答弁をいただきたいのであります。  そこで、最初に承りたいのは、四十八年の五月でございましたが、科学技術庁で、日本分析化学研究所問題等と絡みまして、実は大変な、国民税金を私する不届きな汚職事件が起こっておるわけでありますが、私は、これはまさに氷山一角であって、恐らく取り締まり当局捜査段階で確証のつかめぬものがいろいろあったのだろうと思うのであります。だが、きちっと調査結果を明らかにするということで、全体の皆さんが、すねに傷があればあるようにお考えになるということで、こういう決着をおつけになったのだというように実は善意に解釈しておりますが、ついてはそういう意味で、科学技術庁原子力局職員らによる法人認可並びに委託調査費などをめぐる贈収賄及び公金詐欺事件検挙についてという警察庁のこの件に関する御報告をいただきたいのであります。
  4. 平井寿一

    平井説明員 ただいまお尋ねの件でございますけれども、本件は、警視庁におきまして昭和四十八年五月に検挙に着手した事件でございます。収賄被疑者としまして四名、贈賄被疑者として三名を検挙いたすとともに、公金詐欺事件で四名を検挙し、送致しております。  具体的な容疑事実について申し上げますが、まず贈収賄事件でございますけれども、当時、科学技術庁原子力局政策課課長補佐庶務室長をしております松田義治ら収賄側被疑者は、三名でありますが、これらは、財団法人日本分析化学研究所法人設立許可放射能分析調査費請求交付及び放射能廃棄物処理研究委託等につきまして便宜な取り計らいを得たこと、並びに今後とも同様便宜な取り計らいを得たいという趣旨で、贈賄側被疑者でありますところの財団法人日本分析化学研究所専務理事浅利民弥らから合計六百回以上にわたりまして、個人遊興飲食費四千九百万円の支払いを受け、あるいは現金の供与を受けるなどの職務に関する賄賂を取ったという事案でございます。  また、詐欺事件についてでございますけれども、いま申し上げました松田義治らは、自分らの遊興費支払いに充てる目的があるために、これを隠しまして、原子力局所管事項につきまして会議を開催し、飲食代金などの経費を要した旨、内容虚偽関係書類を、あたかも会議に要した費用支払い請求のように装いまして支出官に提出し、あるいは当庁の監督下にある各種法人自己遊興費に充てるのにもかかわらず、会議費用を負担してくれと虚偽の事実を申し送りまして、合計二百回以上にわたりまして一千万円余を送らせ、この金を詐取したという事案でございます。
  5. 大出俊

    大出委員 私も実は、それなりにこれを調べてまいりましたので、よくわかっておりますが、まさかこれは、私の方からこの席上で、私が調査しましたらこうでございますという言い方はできませんから、警察庁関係方々おいでをいただいて御報告をいただいた。その御報告に基づいて以下質問をしたい、こういうふうに実は思いまして警察庁に御足労いただいたのでありますが、大変お忙しいところをお出かけいただきましてどうもありがとうございました。お礼を申し上げまして、後は警察庁には伺いませんので、御退席をいただきますように。ありがとうございました。  いま、警察庁からお話がございましたように、大変古い経過がございます。また大変長い経過がございます。ときに、佐々木さんが科学技術庁おいでになったのは、原子力局長等をお手がけになったのは何年ごろでございますか。
  6. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いまから十六年前くらいだと存じます、やめましたのは。十七年になるかもしれません。
  7. 大出俊

    大出委員 科学技術庁の大先輩でございます大臣でございますから、恐らく大臣の余徳を慕う方もたくさんおるのに、不肖な後輩ができてよからぬことをやったということになるのだろうと私は思うのでありますが、事重大でございます。いまお話がございましたように、賄賂というのが六百回を超えている。四千万円を超えてしまった。これは皆さん、何年何月ごろから何年何月ごろまでに至る間というのがございますが、御存じでございますか。
  8. 片山石郎

    片山(石)政府委員 収賄事件の方が、これは起訴状によるわけでありますけれども昭和四十六年二月十九日から昭和四十八年五月十九日までというふうになっております。  それから詐欺事件の方でございますが、詐欺事件の方は、昭和四十六年三月三日から昭和四十八年五月十九日までというふうに伺っております。
  9. 大出俊

    大出委員 この三年間足らずで六百回を超えておりますから、一年に二百回を超えているんです。一年は三百六十五日しかない、そうでしょう、三百六十五日五時四十八分四十六秒くらいしかないんですから、三百六十五日のうちで日曜も祭日もある、そうしますと、これはまさに賄賂連続詐欺連続。こういうばかげたことになっておって、まことによくぬけぬけと小手先細工機構改革を出せたものだという気がする。これを認めた行政管理庁、これもまたろくでないという気が私はするわけであります。  これは大臣に承りたいのですが、私は、そのときにいなかったからということなんですけれども大臣は後と先においでになったことになる。そうでしょう。そうすると、これは責任継承原則というのがある。これは次官まで関係あるんですから、一体あなた方は国民に対してどういうお気持ちを持っておるんですかね。これは根本的に国民の不信を買ったわけでありまして、信用せいと言ったって信用のしようが全くない。  この科学技術庁事務次官は何とおっしゃる方でございますか。
  10. 片山石郎

    片山(石)政府委員 当時の事務次官梅澤邦臣と申します。
  11. 大出俊

    大出委員 梅澤邦臣さんという方は何をやったんですか。
  12. 片山石郎

    片山(石)政府委員 不起訴に最終的になりましたために、正確なことをわれわれは存じておらないわけでありますが、当時の情報によりますと、お嬢さん結婚お祝いとしまして五十万円いただいたというふうに伺っております。
  13. 大出俊

    大出委員 関係当局にいろいろ承りましたら、本質は明らかに収賄である、ただ、時あたかもお嬢さん結婚という問題が片やあったというので、そこらも判断をさせていただいたのだ、実はこういう弁明が私に返ってまいりました。そうなりますと、これは次官以下。この件は次官だけではないのです。ほか二人、こういうことがございますので、つまりお祝いだということにならない、そういう経過が実はあるわけであります。  ここに書いてありますけれども、「梅澤邦臣は、科学技術庁事務次官として同庁原子力局など各局を指揮監督する職務を有する者であるが、日本分析化学研究所専務理事から、同法人運営について職務を通じて好意ある取り計らいを受けたこと及び将来放射能廃棄物処理についての研究委託を受けたい趣旨現金を贈った。」こう書いてある。この事実は捜査当局が認めておるのです。ただ片やということで、そういう意味で情状を酌量した。そしてこの件は、恐らく氷山一角であろうという気がする、捜査段階を通じての受け取り方は。だが、そのことが全体の綱紀を引き締めるという意味で非常に大きな役に立つであろうということを考えたと、私が聞きましたら言っておりました。  こういうことが将来起こらぬ保証はない。しかもこれは中身が、分析化学研究所は本当に八十人しかいないんですから、小さな団体であります。そこにお粗末な話でありますが、九千六百件も、皆さんのところの原潜分析から始まってそこらじゅうの原発の問題から全部ここにほうり込んだ。八十人で大体そんなものは分析できやしない。機器は一体幾つあるか。私はかつて、立教大学の服部学さん等いろいろな方のお話を承って、佐世保異常放射能のときに、分析化学研究所なるものはいかなるものか、当時は三宅博士などにいたしましても、大変ずげずけ物を言った。まさに伏魔殿じゃと言う。佐世保異常放射能時代というのは大変古いことであります。その時代から延々と続いていた中の三年足らずの問題が表へ出たということであります。だから、経過を拾っていけばこれは限りなく古い、こういうわけであります。  次官みずからが、いまここに書いてあるが、これはちゃんと捜査当局の書いた文書でありますが、何ですか、大変どうも手心を加えていただきましてありがとうございましたといって、金を持っていった、虚偽報告だ何だ、分析もしていないのにデータだけ出す、そういうことについて一切目をつぶっていただきましたという、これはお礼なんです。「日本分析化学研究所専務理事から、同法人運営について職務を通じて好意ある取り計らいを受けたこと及び将来放射能廃棄物処理についての研究委託を受けたい趣旨で」——本当にもうわれわれは人がいいから、まさかと思いながらあのデータ質問した。余りと言えば異常なデータだというので、科学者方々から御示唆をいただいて、おかしいではないか、不破さんがかつて予算で質問しましたが、私は、この委員会でだいぶ前にこの問題を取り上げたことがある。そういう事情、振り返ればこれはなるほどということになる。てっぺんからしまいまで、全く一山幾らじゃないけれども、そっくりそのままいいからかげんなことをやりまくったわけですからね。  これなんか見てごらんなさい。何ですか、松田義治さんという方。日本分析化学研究所浅利さんが贈る方で、被疑者の方。これはちょっと例を挙げますが、この松田義治さんは、科学技術庁原子力局政策課課長補佐庶務室長文書取扱主任。これだけやっているんですから、これは何だってできちゃう。政策課課長補佐庶務室長文書取扱主任、こういうわけですから。「同庁所管に係る公益法人設立許可に関する事務同庁民間団体調査研究委託するに際し交付する放射能分析調査費原子力平和利用研究委託費などの支払い事務及び同局主催各種会議に関する経費支払い請求事務を担当していた者であるが、同庁委託により放射能測定調査、」大変重大なことですよ。「放射能測定調査原子力平和利用研究などに当たっている日本分析化学研究所専務理事から、同法人設立許可放射能分析調査費請求交付について便宜な取り計らいをした謝礼として、」よけいもらっているんですよ。分析もしていないのにもらっている。「東京都中央区銀座七の六クラブ(M)外四十数店における個人遊興飲食費支払いとして、総計五千五百三十万円を各クラブ預金口座振り込み送金をさせて、」いいですか。放射能分析調査費、これは国民税金です。これを科学技術庁からよけい振り込んでおる。よけいいただいておる、分析もしていないのに。これはその一部ですよ、一部五千五百三十万円。これを、預金通帳こしらえてそこに口座をつくって振り込んでおいて、四十何軒ぐるぐるぐるぐる、三百六十五日のうちの二百日以上を飲んで歩いている、何人も連れて。こういうふうにあなた方の庁の中ではこの人に片っ端から飲まされている。本当言えばみんな同罪だ。クラブMが拠点で飲んでいる。それを国民税金からみんな払う。五千五百三十万円、わかっただけでこうだ。これしか証拠がない、やっていた形跡はもっとある、こういうことでしょう。どうも私は、これは裁判にゆだねたのだからそれでいいんだということにはならぬと思うんですね。抜本的に、科学技術庁そのものをひっくり返して、全く新たな角度から行政機構、人間の問題その他を含めまして全部根本的に考え直さなきゃだめだというように思うのですが、大臣いかがですか。
  14. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私どもが初代でございますから、その当時から考えまして、こういう事件が発生したことはまことに残念でもあり、遺憾のきわみだと、国民に対しまして申しわけない次第だと深く反省しておるわけでございます。  その後、いろいろ御指摘のように、庁内の刷新を図らなきゃならぬことは当然でございますので、人事の刷新はもとより、綱紀粛正のための規律問題委員会というものをつくりまして、梅澤さんの後の事務次官委員長として、そしていかにして綱紀粛正するかという勉強もさせ、また実行に移せるものは即時実行に移しまして、私は、去年の十一月の末かと存じますが、はからずも科学技術庁長官を拝命いたしたのでございますけれども、参りました際には、私どものおりましたときと違いまして大変かたい体制になって、こちんこちんになっていまして、大出先生や何かのおしかりが効いたせいもありましょうし、また自己反省のこともあるでしょうが、まことに冷蔵庫の中に入ったような感じがするくらい自粛自戒と申しますか、そういう感じが実はいたしましたので、粛正はもちろんでありますが、しかし同時に、やるべき国から課せられた任務も重いわけでございますから、この際は過去の反省の上に立って新しいスタートをしようではないかということで、せっかく気持ちを引き締め、新しい発展に向かいましてただいま努力中でございます。
  15. 大出俊

    大出委員 私は苦い経験があるんですよ。原子力船むつ」——「むつ」というのは、むつに持っていったから「むつ」という名がついたのだけれども、あれを最初横浜へ持ってくるという、二階堂さんが科学技術庁長官のとき。それで横浜の八地区の埋め立てに三万坪よこせ。横浜市の計画は、あなた、隣は中央青果市場をつくろうという、飲食物を山ほど扱う。隣をよこせ、大変な話でございました。資料その他たくさん請求いたしましたが、全くろくなものは出してこない。わかりゃせぬ。とうとう私はアメリカ原子力船サバンナ号定係港であるペリカン島まで行ってきました。アメリカの省庁を歩き回って一生懸命資料をもらってきた。アメリカ五大湖には入れないことになっている。なぜならばこうこうこういう危険があるから。実はきわめて率直な資料説明もいただいた。当時私は、だから科学技術特別委員会に出席させていただいて質問いたしました。天下の新聞がほとんど大々的に取り上げた。安全性について確認できず、あなた方答弁できなかったのだから。これが十三日で、翌十四日に飛鳥田市長から経済性だけを主張してお断りした。結果的にむつへ行った、こういうわけです。  科学技術庁というのは、自分たちはでたらめなことばかりやっておって、資料と言ってもさっぱり出さぬ。みんな隠しちゃう。全く平和利用原子力基本法の三原則にもとるのです。それでいてやることは、裏の方じゃとんでもないことをやる。私は、もう何としても理解に苦しむからあえて言う。普通はここまでずけずけ意地悪く言わぬのだけれども。これを見てごらんなさい。「自己遊興費等支払いに充てるのであるのにこれを秘し、同局所管事項につき、それぞれ会議を開催し、飲食代等経費を要した旨内容虚偽関係書類をつくり」こんな書類をつくっている暇があるのなら、こっちから言った資料を出しなさいよ。冗談じゃないですよ。こういう問題をみんな虚偽報告だ何だといって、大体虚偽報告をしなれているのだ、あなた方は。  しかも、この後に何と書いてある。「情を知ったクラブ」ときた。何で情を知ったか知らぬけれども、この「クラブの名義の飲食代等請求書とともにあたかも会議に要した経費支払い請求のように装って支出官に提出し」わからなかった支出官もろくなやつでないと思うんですがね。これも一杯飲んでいるんじゃないかと私は思う。「支払い請求のように装って支出官に提出し、合計千五百万円、日本銀行を通じて前記クラブからの個人口座振り込み送金させて騙取したものである。」これは本当に科学的なんですな、やることは。本当に科学的だ。人が請求すれば資料をさっぱり出さぬ。自今もう資料を出さぬなんて言ったらただじゃおかぬ。  切りがない、幾つもあるんだから。しかもこれは、浅利さんの経歴も全部調べた、一つ残らず。ただ、あんまり個人の問題にわたりますから、これは申しませんが、全部調べてみた。ここにちゃんとある。そういうことをやっていて、この国会に機構改革を通せの通せぬのと言って、ぬけぬけと真っ昼間世の中をよく歩けるものだと思うぐらいのところへもってきて、全くふざけた話だと私は思っている。  そこで次に承りますが、測定値捏造事件からまいります。  ちょうどいまから七年ぐらい前になりますが、佐世保アメリカ原潜による放射能汚染事件が起きた。このときに海水分析を担当したのが、ほかならぬこの汚職事件の最たる日本分析化学研究所。これは実は私がさっきもちょっと名前を挙げましたが、横浜市におられます科学者、また周辺においでになる科学者、この方々に御相談に参った。私は、この席で質問をいたしました。ところが、このときに科学者方々がどういうふうに分析しても——日本分析化学研究所がお出しになった分析値、検算までしている。全く不可解きわまるデータであって、放射能減衰曲線、これを調べた。半減期四十五日の放射性鉄59Fe、この存在が出ている。この放射性鉄というのは、原子炉の第一次冷却水中に含まれている核種なんですね。だからこのことは、原子力潜水艦の、つまり、この間ここで鈴切さんも質問していましたが、ここから出たきわめてこれは厳格な証拠ですね。当時これは、私も取り上げましたが、その後新聞にも何遍か出た。ところが不思議なことに、その後から発表される日本分析化学研究所と称するところの放射能値の中で、減衰曲線減衰というのはぴたりとまってしまった。これはもう不思議なことで、当時のきわめて細かい化学的なデータ化学的資料はここにございます。ピコキュリーの〇・七九ぐらいのところまでとっているものからたくさんございます。  ここでこの議論をいたしますと、大変に長いことになります。この議論だけで一時間以上かかると思いますから時間がとてもございません。だが、なぜ一体こういう不思議な変化になったか。振り返りまして、このころから分析化学研究所というのはろくなことをやってないわけでありますから、すでにここのときに大きなごまかしが出ている。当時の数値をひもときまして、皆さんは一体この点をどういうふうにお考えでありますか。最初でございますから簡単に承ります。もしわからなければ、細かいデータ、いかなるものもございますから私の方から申し上げます。
  16. 生田豊朗

    生田政府委員 先生の御質問は、ソードフィッシュ事件のときの御質問だと思います。  ソードフィッシュのときの問題でございますが、データをいろいろ分析いたしまして、最終的には必ずしも原子力潜水艦から出たものとは断定できないということが当時の専門家結論である、かように記憶いたしております。
  17. 大出俊

    大出委員 これは一九六八年五月二日であります。原子力潜水艦ソードフィッシュ号二千五百七十トン、艦長G・T・リッグスビー中佐、これが佐世保に入港した、一号ブイにつないだ、工作艦エージャック号一万六千二百トンの右舷に接舷をした、五月十一日まで同港内に停泊をした、こういうことでございます。  以下いろいろございますけれども、その点は後でまた申し上げたいと思うのでございますが、そこでこの非常に不自然な動き、時の学者がいろいろな問題を取り上げております。それなどの資料もここにございます。きわめて科学的に、科学技術庁というのは非科学技術庁である、日本分析化学研究所というのはいいかげんなものであるということをるる述べておられる。こういう異常なデータが出てくるというのは作為がある、科学者の常識、科学者の知識でかくのごとき不可解なデータが出てくるというのは明らかに何らかの意図がある、こういう論文が幾つもございます。  ここに表現しているのによりますと、日本分析化学研究所科学技術庁と二つですね。このデータはまことに不自然であり、いずれにせよ作為が感じられるということで、当時、分析化学会等でも問題になりまして警告を発した、こういう事実も実は当時ありました。だから私は、このころに本当に勇気のある科学技術庁の官僚の方々、テクノクラートの方々が決断をして、内部におるんだから、わからぬわけはないんだから、これではならぬと言って踏み切っておれば、今日こんなばかげたことができるはずはない。  振り返って、私自身も何回か質問いたしておりますから大きな反省をしておりますが、いかがでございますか。いま、まことにとってつけたような答弁をしましたが、資料もそろえて物を言っているのですから、もう一遍大臣から承りたい。
  18. 生田豊朗

    生田政府委員 いろいろのことがございまして、最近、特にこの潜水艦の入港に伴います放射能の測定体制につきましては、体制を整備いたしまして、かつてのソードフィッシュ号当時よりも格段に整備いたしておるつもりでございます。それから資料につきましてもできるだけ公開する、これは必ずしも全部というわけではございませんけれども、できるだけ公開するという方向で努力している次第でございます。
  19. 大出俊

    大出委員 私も何遍か異常放射能質問いたしましたが、しまいには高圧線を五本も入れて原子炉をとめても温度が変わらぬようにしておいて、つまり、だから振り返ればそれまでは冷却水を出していたことになる、これは愛知さんが生前私に認めておられました。質問が終わったらここまで来られまして、亡くなられた愛知さんのことで、いまからずいぶん古い話でありますが、アメリカというのは困ったものだ、幾ら言っても直さない、まさかこういう席では言えぬけれどもと言って、御了解ください、ああいう答弁になりましたがと、直接私におっしゃった。愛知さんが外務大臣でございました。  そういうふざけたこと、ここには政治的意図が働いている。だから例を挙げますが、このソードフィッシュのときの専門家会議、これが委託を受けて汚染調査に当たった。最初何と発表したか。ここに新聞記事もございますが……(発言する者あり)初めはいま中路さんおっしゃったように、放射能に、つまり原潜放射能に結びつけることは大変むずかしいと答えた。ところが、だんだん国会でも追及される、資料が出てくる、そうなったならば何と言ったか。原潜による放射能の疑いが濃いと言い直した。  最初は、原潜放射能に結びつけることはむずかしい、専門家会議ですよ。データは出てくる、新聞社は飛んで歩く、週刊誌の方々は飛んで歩く、新聞にも週刊誌にも出てくる、その前後関係、みんな明らかですよ。そうしたら今度、原潜放射能の疑いが濃い、こういうきわめてふまじめな、不見識な専門家会議、こんなものはみんなやめさしちゃって、全く新しい角度から分析化学会等に物を言って、こっちからもたくさん定員が出ているのですから、むしろこちらに選考さして入れかえなければならぬ、抜本的なものに全部やり直さなければならぬ。  そうして最後にどうなったかというと、これは当時、いまから振り返れば語りぐさだと思うのでありますが、私は、自分質問しておりますから当時の資料をここに持ってきているが、この専門家会議結論は何だったかというと、まさに名文句と世の中がせせら笑っているのです。「この異常値は原子力潜水艦からの放射能が原因であることの疑いがあるようである」これが結論です。何を言っているんだ。「この異常値は原子力潜水艦からの放射能が原因であることの」原因であると言わない。原因であることの疑いがあるならまだわかる。今度は疑いの次に「疑いがあるようである」日本語というのは、これを書いてまさに文法上間違いじゃないけれども、これではわからないんですよ。「この異常値は原子力潜水艦からの放射能が原因であることの疑いがあるようである」全くこの専門家会議は、いかに政治的に玉を押さえられて四苦八苦して、このいわゆる迷いの迷文句を書いたか。  振り返って、私は人がいいものだから、あなた方が陰で、虚偽報告から始まって、銀座を飲み歩いて、三百六十五日のうちに二百日以上もやっているなんて私の方は知らないんだ。皆さん中にいて、恐らく一緒につき合ったのはたくさんいるんだと思う。二百日も飲んでいるんですからね。三年間も毎日毎日、私はよくくたびれなかったと思うんだけれども。だから、まるっきりでたらめなことをやっている者とこっちはまともにつき合っている。ばかな話でありましてね。だから科学技術庁日本分析化学研究所、両方がぐるになって異常放射能原子力潜水艦の結びつきをあいまいにするために懸命にやったのだと思うんですね。こういう科学技術庁は私は要らないと思っているのですが、いかがでございますか、大臣
  20. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほども申し上げましたように、確かにいまお説の当時には、そういう弛緩した、腐敗した空気があったことと存じます。なるがゆえに、御指摘のような問題が生じたわけでございますけれども、その後改むべきものは改め、自粛自戒すべきものは自粛自戒いたしまして、人事の刷新のみならず体制刷新のいま努力をしておる最中でございます。  たとえば、いまの分析問題でございますが、私、就任してすぐ、新しくできました研究所へ参りました。実際に研究している実情を見まして、まずまずこれであれば良心的に信用できる研究所になっているんじゃないか、もちろん、まだ人間その他の点で十分だとは申せない点もありますけれども、という感じを受けてまいりまして、決して当時のままで放置したのじゃなくて、それは整理するものは整理し、新しくつくるものはつくり上げて、その充実はどうかということを責任をもって実は見てまいって、皆様にそれほど指弾を受けないでやれるであろうというふうに実は感じる次第でございます。
  21. 大出俊

    大出委員 このテンポでやっていますと、これは何時間もかかってしまいますから少し駆け足をいたしますが、要するに専門家会議というのは、いかにして——原潜は冷却水をどんどん出している。だから、第一次冷却水の中でなければない核種まで検出をされている。減衰曲線が明確に出ている。それが、だからというこの新聞の取り上げ方、学者が物を言う、途端にデータは変わってしまう、減衰は出てこない、こういうことをやる。だから、いかにアメリカ原子力潜水艦、これが危険なものであり——英国のホリーロッホの原潜基地だって汚染に次ぐ汚染で使いものにならない、英国民ひとしく認めるところであります。だから、長らく原潜が入っていればそういうことになる。間違いない。それをひた隠しに隠す、糊塗する、それが役目。国民のために危険をなどという筋合いのものでない。そういうばかげたことを、国の予算で科学技術庁国民のサイドに立たないで、原潜そのものが汚染源であるということをいかに隠すかということで狂奔する。  そのことなどは、ここにあなた方のきらいな学者、三宅泰雄さんが——あなた御存じのとおり、これは有名な学者ですよ。分析化学会の権威です。これは「世界」の四十三年七月号、ここに実に細かく書いておられる。専門家会議に委嘱してもはっきり調査していない。その中身を細かく分析しています。いまになれば彼が書いているとおり。本当にふざけた話であります。  ところで当時、専門家方々が学会等で議論をして、その結果、この専門的な、プロフェッショナルな方々分析化研のデータを中心にして専門家の間で討論しようじゃないかという提案をした。そうしたら科学技術庁どうしたかといったら、ぴしゃっと拒否した。大臣、こういうことはすべきではない。世の中の国民が大変な不安を持つ、人の体に影響があるんですから。将来の子々孫々に至る間の責任を現在生きておるわれわれが負わなければいかんのですから。分析化研にいる八十数名の職員の中で、一体それじゃ分析化学会とかそういうところに籍を置いているのは何人いるか。六人かそこらしかいない。そうでしょう。六千名もおる学会員、その中の五、六人しか抱えていない分析化研でしょう。ならば本当の、つまりこの種の専門家というのは日本には少な過ぎる。  私の兄貴も実は医者で学者で、放射能なんという問題は東北大学の学生の時代からですが、食えないと言われたのにそこに入って専攻したんですけれども、その兄貴に聞いてみても、この種の学者というのはきわめて少ない。育てていないことが日本の政府のそもそもの間違いだ、こう言っていますけれども、つまり結論としてそういうことになる。  ですから、こういうときには、今後もあることですから、こういう専門家の意見を聞いて国民の前で十分討論をする。アメリカなんかやっています。そういう姿勢がなぜ科学技術庁にないか。私は大変不可解なんですが、将来の大きな問題ですから大臣、これはいかがでございますか。
  22. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私、当時おりませんので詳しいことはわかりませんけれども、もし私が長官であれば堂々と受けて議論させたと思います。
  23. 大出俊

    大出委員 さらに、拒否したのみならず、放射能汚染対策本部をつくったんですね、この放射能汚染対策本部というのは一体何ですか。
  24. 生田豊朗

    生田政府委員 主として核爆発実験によります放射性降下物、いわゆるフォールアウトでございますけれども、それの人体に対する影響の調査、研究あるいはそれに関連いたします放射能対策につきまして勧告、指導を行うということを目的としましてつくられた組織であります。
  25. 大出俊

    大出委員 これは一九六二年にできている。当時の一件資料を私はここに全部持っておりますが、ここにも書いてありますけれども、何の目的でつくったのか。「科学技術庁は、科学者放射能測定結果を自由に発表することを禁止した。」こう書いてある。関係省庁の放射能汚染対策本部をつくってデータのスクリーニングをやる。「じっさいには科学技術庁の幹部がデータを独占し、秘匿することが、その目的であった。」こう書いてある。まさにそのとおりだ。皆さんは出しやしないんだ。学者にそこらじゅうでいろいろ発表されて困っている。あなた方が言うように動かない。こういうようなこそくなことばかりやってきている。  当時、この放射能測定の資料というのは、放射線医学総合研究所が編集をして、英文の「放射能サーベイ・データ」ということで刊行されている。国際的に出ている。このデータの中に、日本の専門学者が調べてみて誤りあり、不正確であると思うものはたくさんある。それを国際的に出されるということは大変に不都合であり、かつ迷惑だということで、これはずいぶん学者から科学技術庁に物を言っている。  だから、これをなぜ一体一握りの日本分析化学研究所なんというところに委託をしたのか。そもそもここにも癒着の根本原因がある。専務理事浅利さんはろくなことをしない。民間委託するならするでいいが、ほかに研究所がないわけじゃない。学校の研究所がたくさんある。大学だってたくさんやっている。本来ならばこれは国が中立の機関をつくらなければいけませんけれども、少なくとも一つではだめ。二つなり三つなりというところに委託をする。両方のデータが違えば討論ができる。なぜそういう仕組みをつくらぬか。今回やっていることだって全くこそくな話でありまして、これは私は断じて反対でありますが、なぜ分析化研一つだけにやらしていたか。五千何百万も飲んでしまうならば幾らでもこんなものはほかに頼める。なぜ一カ所だけにしたのですか。
  26. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私も、長い問離れておりましたけれども、記憶をたどりますと、日本とスウェーデンは世界で一番放射能等に対する計測あるいは分析等がすぐれておるというふうに実は考えておりました。モニタリング等も世界のむしろ模範のように私どもは自負しておったのですけれども、ただ、実際に分析化学研究所が不備であるにもかかわらず、それに頼ったというそのおしかりはまことにそのとおりでございますけれども、私、常々考えておりますのは、時代が非常に急テンポに、しかもこういう新しいナショナルプロジェクトの考え方が進んでいるのに対して、行政その他の機構がそれにビビッドに対応するような、そういう国柄になっておるかと申しますと、日本の体制は必ずしもそうはならない、古いものは古いもので温存する、新しいものはなかなか進まないようにする、やはりこういう硬直な姿が日本の行政あるいは全般にあるんじゃないか。ですからこういう大きい科学、新しい科学を進めるときには、もう少しそれに相応した一つの行政機構の問題なり予算の問題なりに対して弾力性のある体制を今後とも考えていくべきじゃないかという点を実は痛感しております。  お説のように一ヵ所にスティックしたのには、それなりの理由があったろうと思いますけれども、その当時の理由もさることながら、では現在どう思うかということになりますと、実は私はひしひしとそういう感じがするのでございます。
  27. 大出俊

    大出委員 私は、なぜ振り返ってこういうことを言うかというと、長い将来のことを考えたいからですよ、焦りなさんなと言いたいから。  そこで、この分析化研を調べてみると、専務理事さんの同族で全部固めているんですよ。御存じでしょう、そんなことは。私が名前を一々挙げなくたって。だから、さっきここに個人のことにかかわるから言わぬと申し上げているんだけれども、余りといえばひどいものです。専務理事中心にみんなその周辺は同族ですよ。全く壟断をしているでしょう、これは。それと科学技術庁がひっついたら、幾らスウェーデンと同じようにこの学会の方の知識が進んでいても、技能が進んでいても、その進んでいた技能を使ってごまかすのならば、このくらいふざけたことはまたこの世の中にない。  私に言わせれば、実は末端の八十人の研究者の方々科学者でほとんど素朴な方です。ここからデータが上がっていく、それをごまかしたのはてっぺんの諸君だと私は思う。てっぺんの諸君と科学技術庁の諸君とで政治的にごまかした。だから、末端の方には本当に気の毒だと私は思っている。つまり自由になる機関をそこに置いておかなければ困るからですよ、政治的に。技能の高い低いに関係ない。ごまかす頭が初めからあれば幾ら高くたって同じだ。だから、やはりきちっとこれは幾つかのところに頼むということにしなければ、こういう結果が生まれてくる。大臣は、そのことを痛切に感じているとおっしゃるのだから、今後の問題としてはそうお考えいただきたいのです、後で詰めのときに申し上げますが。  しかも、ここには東大の元総長、有名な茅さんを、たくさんの学会の長老と一緒に評議員なんというような名前で全部並べて体裁を整えて、そうしてこの学術分野の最長老である、東大の名誉教授でございました木村健二郎先生、これが東京女子大の学長をおやめになった途端にここの理事長だ。教え子は、分析化研は伏魔殿で危ないから、傷がつくから木村先生おやめくださいってさんざん言った人がたくさんいる。もうこれはばれる寸前だ。方々の学者は気がついていた。しかしまあなられて、しょうがないから門下生が集まって、目黒の八芳園で勲一等をお受けになった木村先生、合わせてお祝いをやった。お祝いをやったら、理事長に東京女子大の学長をおやめになった木村さんを強引に引っ張ってきたんだ、この汚職の張本人の、収賄事件の張本人の専務理事が。それでおやりになった。木村先生、いい面の皮ですよ、一週間たったらこのさっきの事件。  こういう全く振り返って何とも腹が立つ、がまんができない、こういう経過をたどっているのが今日の科学技術庁なんですね。問題の本質はどこにあるかと言えば、間違いなく科学技術庁幹部の指示ですよ、これは。分析化研そのものの八十名の研究者じゃない。本当にけしからぬ。そのけしからぬ最たるものは科学技術庁そのもの。だから、波高分析器によってガンマ線のスペクトルグラフが出てくる、ところがサンプルが違って測定月日も違うのに細部に至るまで波型はみんな同じだ、それが五枚も十枚も出てくる。これはあきれ果てて物が言えない。そういうばかげたことをあなた方はやらせてきている。一つの機器で同時に二つの測定などができないことは、科学技術庁皆さんが百も承知のはずであります。私も疑義を持ってここでそのことを聞いたことがある。あなた方は全く適当に答えて逃げる、こういうわけであります。  ところで当時、分析化研の分析委託は一体年間どのくらいございましたですか、ピークで。
  28. 生田豊朗

    生田政府委員 正確な数字は調べておりますけれども、私の記憶では、年間一番多かったときが七千万円ないし八千万円くらいであったと記憶いたしております。
  29. 大出俊

    大出委員 ここにデータがございますが、八十人の職員で何と年間に九千六百件ですね。機器の数からいったってこんなもの物理的にできはしない。しかも、この中身というのはみんな政府、電力関係ですよ。あなた方の原潜の問題、原発ですよ、ほとんどが。ごまかしのきくところにみんなほうり込んじゃう。原発で住民運動が起きる、そうするとやりとりが行われる、測定をする、みんな分析化研。だから片っ端ごまかしていたわけです、これは。物理的に九千六百件も処理できやしない。だれに聞いたって、当時だってそう言っていた。それをみんなデータを出してくる。ここにつまり、さっきの汚職の理由になっている根本原因がある。こういうふざけたことをあなた方はいままでやり続けてきた。  そこで幾つか、これから少し飛んで承りたいのですけれども、私はまず第一に、原子力潜水艦などのつまり監視、これは科学技術庁からはずしていただきたい。私は、訴えようかと思っているんですよ。実は本気で訴訟を起こそうかと思っている。いいかげんなことを言うのじゃない。私は、いろいろな方に意見を聞いておりますけれども、これは明らかに日本の原子力基本法違反であるという、ほぼ確信に近いものを持ち始めているのです。平和利用原則とする、原子力潜水艦というのは明らかに兵器である、軍艦である、これに手をつけるということは明らかに間違いでありまして、この点を一体、大臣どうお考えでございますか。
  30. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 法律的な面は私も実はまだつまびらかにしておりませんけれども、しかし原潜が入ってくるときにどの官庁で所管すべきかという点に関しましては、当時ずいぶん議論のあったところかと存じます。原子力委員会におきましても、自分の方で担当してしかるべきものかどうか、大変実は議論のあったところだと存じますけれども、しかし事柄は急を要するし、原潜は入ってくるという事態ですから、原子力の責任者としての原子力委員会としてまずお引き受けしようじゃないかということで出発したように実は記憶してございます。
  31. 大出俊

    大出委員 原潜が入ってきて何年たちますか。
  32. 生田豊朗

    生田政府委員 十一年でございます。
  33. 大出俊

    大出委員 事柄を、急を要するなら十年以上たっているのになぜほっぽっておくのですか。原子力平和利用を推進するために設けられたのが原子力委員会でしょう。平和利用でしょう。その原子力委員会が、これは初めからふざけた話だけれども原潜の中を調べられはせぬのに安全性は間違いないなんていうような報告書を出しておる。そこから始まって深くかかわり合って、原潜の事故に結びつけないように一生懸命隠し続けているという不思議な話、全くもって国民のサイドに立ってはいない。だから原子力基本法を踏まえて、平和利用を推進しようとするために設けられた原子力委員会なんですから、原子力局も同然でありますが、原子力潜水艦の寄港という軍事に関することについては断じて手を出すべきではない、私はそう思っている。急を要するからとおっしゃるならば、十何年なぜほうっておいた。これは改めて御検討願いたい。
  34. 生田豊朗

    生田政府委員 私は二年前、この松田事件の直後に原子力局へ参ったわけでございますが、実はその事務引き継ぎを受けましたときに、先生と同じようなことを感じたわけでございます。それで私も同じような検討をいたしました。  で、この問題といたしまして、先生御指摘の潜水艦の放射能の測定の問題と先ほど御質問がございました核爆発実験のいわゆるフォールアウト、放射性降下物の分析と両方やっているわけでございます。法的にはそのフォールアウトの方が科学技術庁設置法の中の業務の一つに入っているわけでございまして、潜水艦の方は入っておりません。しかし、いずれにいたしましても潜水艦だけということではございませんで、両方一括して考えるべきだと思います。ただ、潜水艦の放射能にいたしましてもフォールアウトの放射能にいたしましても、測定を中断することはできませんので、また科学技術庁以外の各省庁に放射能の測定あるいはその専門家もいないわけでございますので、その点、各省庁とも相談いたしまして改めて検討させていただきたいと思います。
  35. 大出俊

    大出委員 これは大臣にお願いしておきたいのですが、いま原子力行政に関する有沢さんのところの懇談会をやっていますね。実はきょう資料を忘れてきましたが、有沢さんのお書きになっている本を読んでみましても、有沢さん自身が大変迷っておられるんですよ。ですから、これは根本的に御検討を願いたいのです、どこまでのものが出てくるか。事務当局は皆さんですから、学者さんが集まっておやりになったって——だから、皆さんが一体どう考えるかというのが一つの大きな課題であります。  当時、原潜が入ってきたときには、お亡くなりになった愛知揆一さんが科学技術庁長官でございました。石橋さんが前段の御質問をなさって、私が安全性を中心にこの席で当時質問したわけであります。だから、これは懸案でございますから、いま検討したいとおっしゃられたことを大臣に受け取っていただいて、できる限りこれは原子力基本法平和利用の筋を通していただきたい。そして中断することは、おっしゃるとおり私も不賛成でございます。中断していただきたくない。だが十年を超えたのですから、軍事にかかわる問題はどうするか、ここは大臣、ひとつ新しい構想を出していただきますようにお願いしたいのですが、御所見をいただきたい。
  36. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 十分研究したいと思います。
  37. 大出俊

    大出委員 それからもう一つ、原子力委員会委員長はほかならぬ大臣でございましょう。
  38. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そうです。
  39. 大出俊

    大出委員 これは行政監理委員会なんかもそうですか、行政管理庁長官が座っていたのじゃ後で何がしかのそしりを免れぬシステムになる。だから、原子力委員会なるものには通常委員長代理などという名前が出てくるが、これはどなたがおやりになっていますか。
  40. 生田豊朗

    生田政府委員 原子力委員長が新しく就任されましたとき、最初委員会におきましてその都度委員長代理を指名されることになっております。ただいまの委員長代理は井上五郎さんでございます。
  41. 大出俊

    大出委員 この井上五郎さんという方の経歴を見ますと、中部電力取締役社長さんである、経済団体連合会常任理事である、中部電力株式会社取締役会長である、電気学会会長、日本電気協会会長、日本動力協会会長、中部電力相談役、これは電力業界の大立て者なんですね。原発を推進する立て役者、大立て者です。その原発を推進する大立て者が至るところに——原発はいま八カ所でしょう。そのうち六カ所故障して二つしか動いてないでしょう、けさの新聞にもタンブリン博士が言っていますが。そういう現状の中で住民運動が片っ端起こっている。しかも二年余にわたって延々と続いているところもある。私が非常に興味を持って読んだものがここにございますが、熊野市の「原発拒否の論理」、これは反対闘争がまだ続いている。こういうふうに至るところに反対闘争が延々と続いている。ここにあらゆる事故が特集され、一つ残らず載っています。  このように事故が続発している時期に、原子力委員会委員長代理に電力の、原発自身の親分がいる。そういう原子力委員会なんというものの存在価値を私は認めない。この点、大臣どうお考えになりますか。
  42. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 井上さん個人お話をするわけじゃないですけれども、過去は確かにそういう経歴でございますが、最後は動燃事業団の理事長でございまして、技術的に大変練達した方でございます。また判断も大変公正でございまして、決して自分の立場で物を申すような人ではございません。この種の委員会では学識経験あるいは練達の士を選ぶのは通例でございまして、海外の例等から申しましても必ずしも委員はそういう営業関係から選んではならぬということになっておらぬわけでございまして、特にアメリカ等は実業界の方が主力のように考えられますし、そういう点も考えまして、こういう新しい科学の推進のためには、その道に練達した人、しかも公正に物の判断ができる人は、そういうことに余りとらわれることなしに抜てきするものは抜てきするということの方が本当じゃなかろうかと私は考えます。
  43. 大出俊

    大出委員 そのうちに私は井上さんに来てもらってしょてっぺんからぶったたこうと実は思っている。ただじゃおかないつもりだ。私は一生懸命周辺を洗っているんだ。あなたはそんなたわごと言うけれども、いまに見せてあげますよ。ふざけたことを言っちゃいけませんよ。日本はアメリカとは違うんだ。アメリカの日本と同じような科学技術分野というのは核兵器から出発している。いまだって七割そうです。調べてごらんなさい。そのアメリカのシステムを日本にそっくり持ってきたのがいまの原子力局。だから開発の分野と監視の分野と同居している。明らかに違う。日本は平和利用一本でしょう。核開発は非核三原則で政策としてしないんでしょう。そこに根本的な間違いがある。原子力委員会だって同じことですよ。  時間がありませんから井上さんの問題は改めてやります。実はきょうよっぽどこちらに呼んでもらおうと手続までとってもらいかかったのだけれども、一遍あなたに聞いてからにしようと思って見送った。稲葉秀三さんだって大分矛盾を感じているようですがね、委員の中で。  ところで、あわせて承っておきたいのですが、動力炉・核燃料開発事業団、こちらの方は一体どういう構想でいまのような顔ぶれになっているのですか。
  44. 生田豊朗

    生田政府委員 動燃事業団は、昭和四十二年に設立されたものでございますけれども、一つは新型の動力炉、たとえば高速増殖炉というようなものの開発、それから核燃料の研究開発、この二つの開発をする機関として設立をされたものでございます。
  45. 大出俊

    大出委員 そんなことを聞いているのじゃない。そんなことは百も二百もわかっている。この顔ぶれ、理事長の清成さんという方、これは日立製作所でしょう。副理事長の河内武雄さん、これは中部電力。もう一人の副理事長の瀬川さん、この人は通産省。悪名高き通産だ。理事長沼さん、中部電力。もう一人の理事田中稔さん、これも官庁だ。会計検査院となっている。もう一人の理事鵜木さん、東京電力。もう一人の理事島史朗さん、日立製作所。神山貞二さん、古河鉱業。岡野茂夫さん、関西電力。渡辺孝章さん、三菱原子燃料。もう一人の理事宗像さん、日本原子力研究所理事長だが旭化成工業でしょう。もう一人の理事伊藤俊夫さん、関西電力副社長。これ現職ですよ。これは一体何事ですか。もう一人の理事、これは非常勤ですが田中直治郎さん、現職は東京電力の副社長。監事には警察庁が一人入っている。これをながめてみて、何事ですかね。これじゃまるきり膨大な予算を国民税金で組んで、関係五グループその他の方々にこの事業団を通じて金を出す。大変な金。何百億という金。動力炉・核燃料開発事業団理事長以下、理事長が日立製作所、副理事長が中部電力、理事が中部電力、東京電力、日立製作所、古河鉱業、関西電力、三菱原子燃料、旭化成、関西電力、東京電力副社長さん、現職で入っている。  これじゃまるきり、みんな財界の親方なんだから、諸君で、おいもう少し政府金を出せということになる。片っ端から、原発の親方が寄ってたかって集まって、金をふんだくってきて、おいどう分けるかというこれは分け取りじゃないですか。こういうばかなことをやっておって信用しろと言ったって、ふざけたこと抜かせということになる。あたりまえのことだ。五大グループに流れていく金、これは事業団を通じて流れていく。これは一体何ですか。
  46. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 動燃は核燃料の開発の任務と、もう一つは、新型動力炉の開発という大きい二つの任務を持っております。かたがた核融合その他大きい問題を手がけておりますが、主として新型動力炉が新しい動燃ができました際の一番大きい目的でございまして、しかもこの二つの問題は、いま世界でそれぞれ技術を競って、先進国が争って先陣を競っている最中であることは、大出さんもよく御承知のことと存じます。  で、これは国産炉としての根っからの新しい開発でございますから、そういう目的のためには、安全性の問題とか、あるいはシステムアライズされた大きい技術でございますから、特に一番未開発の分野、ネックがあるかとかいった非常に総合性を持った展開をしませんと進まない問題でございます。     〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕 したがって、この問題に関しては動力面で詳しい人も必要でございますし、また材料面その他で必要なメーカーの工学的な面に詳しい人も必要なことは事実でございまして、いわばその事業団自体の性格が、むしろ学術研究という基礎的な研究よりも、応用研究あるいは実際のプラントをつくっていくという、こういう性格を持ったところでございますので、その編成が、おのずからそういう動力あるいはメーカー等が中心になっていくのも、考えようによっては一番当を得た一つの選択法じゃなかろうかというふうにも実は考えられると思います。
  47. 大出俊

    大出委員 これは小さな金じゃない。五グループにみんな流れている。日本原子力グループ、四十四年を見ると六十億じゃないですか。四十六年は百二十億じゃないですか。東京原子力グループ、これは四十四年に五十四億、四十六年に百六億。三菱原子力グループ、四十四年に五十三億、四十六年で六十一億。第一原力子グループ、四十四年が七十七億、四十六年七十八億。住友原子力グループ、四十四年が四十一億、四十六年が二十億ですか。これは関係業界の親方を集めて、これを分けろと、仲間うちでおまえどうするんだということになってしまう。これは国民の金でしょう。国民税金を、こんな大変な金を、何百億という金をこっちに持ってきて、関係の業界の親方を集めて、それっと、こうやる。そんなもの、あなた、まともに通りやしませんよ。  それで、そこらじゅうで事故ばかり起こって、燃料棒がひん曲がったの、放射能が漏れたの、安全性という問題に対する結論を出す前にどんどん開発をする、全くわれわれには何とも了解ができない。何かまことしやかなことを言うけれども、これは国民税金なんです。業界の親方を集めてこれを持っていけ、分けてやる。そんなわけにいきやしませんよ。科学技術庁がやるんならば、通産も科学技術庁もそうだが、悪名高いが、もうちょっとそれはあなた、国民が納得するような顔ぶれでできませんか。いかがですか。業界の親方ばかり集めて。
  48. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 この点は、せっかくの大出さんの御指摘でございますけれども、私は、そのまま受け取るわけにいきません。いまのお話で、いまの発電関係にいろいろ事故が起きる、故障が起きておるというのは軽水炉でございまして、この事業団のやっておるのは軽水炉ではございません。ATRあるいはファストブリーダーの、世界で先ほど申しましたように原子力の開発として一番重要な大きい問題に取り組んでおるのでありまして、考えようによりまして、いまのいわば軽水炉を中心とした発電炉の故障等がなぜ起きるか、日本がなぜそれに対して対処ができなかったか、その反省の上にむしろ立っているのが、この動燃事業団じゃなかろうかと私は思っております。  ですから、初めから根本から自分の手で新しい炉をつくり上げているのでございますから、学者の集まりだけではどうにもなりません。したがって、いま日本の原子力の発達の過程を見ますと、私どもやりました十数年前から、それぞれ技術界では応用面におきましてはグループをつくりまして、そうしてそのグループがそれぞれの得意を生かしながら技術を練ってきたのは御承知のとおりでございます。成長しました日本の技術を結集して世界で一番新しいファストブリーダーに取り組んでおる最中でございますので、その編成はおのずからそういう五グループでございますか、そういうのが参加協力していくのがあたりまえでございまして、それなしには、これはやろうとしてもできないのでございます。
  49. 大出俊

    大出委員 この五グループでございますが、いま恐れ入った答弁をいただきました。だから、この法律は通す気は全くないのですが、どうせ廃案になりますけれども、地域住民の健康だとか安全だとかいうことで、これだけ日本列島はまさに原発をめぐって反対運動が起こり続けている。国際的に見ても、各国政府は少数派です。みんなどこでも追い詰められている。アメリカだってそうでしょう、故障だらけです。まして日本は、みずから材質その他を含めて開発をしていない。資料を出せと言えば皆ノーハウ、企業秘密だと言う。そして、これだけの国民の金を使ってやっているところの動力炉・核燃料開発事業団というのは、理事長以下みんな、実はこの三菱、日立、住友、東芝などを中心とする五グループの関係者。これは何らかの方法でどうしてもとめなければいかぬという気が私はするのです。つまり、明らかにこれは企業優先の最たる姿がここにあらわれている、こう私は指摘をいたしておきます。  見解が全く違います。りっぱな方は技術者だっていっぱいいるのですから、もっと国民が納得するような、国民の側に立つ諸君を当然入れて、あるいはその人たちだけで構成して、五グループを呼んできて相談をするというのでなければ、事業団をこしらえて、その理事長以下全部その五グループの親方連中が集まっている、そこと関係のある九電力あるいは原子力開発会社、こういうかっこうをやっておくと、将来において科学技術庁とこの動力炉・核燃料開発事業団などの間にいろいろなことが起こりかねない。分析化研がそうです。私は、これはもう非常に反対であります。この点、私は強く指摘をしておきたいわけであります。  そこであなた方は、新しい分析センターをつくるということで今日やってこられておるわけでありまして、将来特殊法人などという声もちらほらあったりもするが、いまどんなものを皆さんはおつくりになったわけでありますか。
  50. 生田豊朗

    生田政府委員 昭和四十九年の七月から、原子力軍艦関係放射能の測定の業務を開始したわけでございます。人員は四十四名でございまして、理事長は前東大教授の浜口先生でございます。設備といたしましては、機器分析の設備を中心にいたしまして、この放射能測定関係の設備がそろっております。業務内容といたしまして、昭和四十九年度におきましては、フォールアウト、いわゆる放射性降下物でございますが、その放射能分析原子力潜水艦の入港に伴います放射能分析、これを受託しております。そのほか、科学技術庁平和利用研究委託費の交付を受けまして、放射能分析技術の研究もあわせ行っております。
  51. 大出俊

    大出委員 この日本分析センターの役員を見ますと浜口さん、理事が望月さん、元日本原子力研究所ですね。宗像英二さん、これはいまここに挙げました旭化成の御出身です。つまり、いま私がけしからぬと申し上げた動力炉・核燃料開発事業団の理事。そうでしょう。大変なお金をみんなで持ってきて、仲間で分けている御大将の一人。それからまた理事が清成さん。清成さんというのは、動力炉・核燃料開発事業団の理事長じゃないですか。そうでしょう。日立製作所の親方でしょう。日立の副社長をやっている。  これは一体何で宗像さんだの清成さんだのを入れるんですか。日本分析センターというのは、そこらで問題になった原発やなんかのやつをみんなここで背負うんでしょう。原潜のやつだって背負うんでしょう。これは問題になっている御本尊じゃないですか。  これを見てください。動力炉・核燃料開発事業団、これはあなた、いろいろおっしゃったが、一口で言えば、高速増殖炉の試作などといって金を持っていっているわけでありますが、このいま私が指摘した理事長さん、これは日本分析センターがいろいろ分析するに当たってみんな筒抜けじゃないですか、原発の方の親分に。親方が二人入っているんだから。片や旭化成、片や日立。こういうことで賛成しろもへちまもありゃせぬですよ。お答えください。一体どういうお考えなんですか。ほかに人がいないというわけですか。本当に企業優先もいいところだ。
  52. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま理事長は、先ほど申し上げましたように、前東大教授の浜口先生にかわっております。そのほか理事が、先生御指摘のように、原研の理事長、動燃の理事長が入っております。これは、いわば原子力関係の特殊法人と申しますか、関係機関を挙げてこの日本分析センターを応援するという体制を示しますために、こういう人選にした次第でございます。
  53. 大出俊

    大出委員 体裁のいいことを言いなさんな。公害騒ぎで原子力公害、原発公害、日本じゅう大騒動です。原発を八つこしらえて、二つしか稼働していないじゃないですか。あと六つは事故じゃないですか。停止しているじゃないですか。それで訴訟だなんだまでみんな起こりかけている。そこでみんなデータを、やれ燃料棒がひん曲がったの、危ないのと言って、騒ぎの本家本元を入れておいて、全面的に応援する——応援してまたデータでもごまかされちゃたまったものじゃないですよ、あなた。そういういいからかげんなことで事は済みやしませんよ、実際。こんなものは何が何でも、間違ったってつぶしてもらわなければいかぬ。  ところで、もう一つ承りますが、私は、こういうふざけたことをなさるなら、こんなものはない方がいい。どこかの大学にでも頼んだ方がいい。大学に頼んで正直なデータをどんどん出されたら、皆さんが困るんでしょう。そういうまさに科学技術庁というのは、財界、原発業界の門番でもやっているんですか。だから、これはさっきみたいなとんでもない汚職事件ばかり起こるんだ、贈収賄から詐欺から。何だこれは一体。  前の分析化研の職員の方々はどうなっちゃったのですか。
  54. 生田豊朗

    生田政府委員 ああいう事件を起こした研究所でございますので、その職員につきましても、慎重な調査をいたしまして、社会的な問題を起こしましたその関係については問題がなく、かつ技術水準の非常にすぐれた方につきましては、この分析センターにも入っていただいております。  あと、その他の人につきましては、民間企業の同種の分析の業務をしている方もおられるようでございます。
  55. 大出俊

    大出委員 ずいぶんつれないことをするわけですね、これは。気の毒な話でありまして、私が調べてみたら、こういうことです。今度のこのいいかげんな、何ですか、動力炉・核燃料開発事業団ですか、この理事長さんの清成さんだなんという筒抜けの親方みたいな人が入っているんだが、こちらの方の八十人ばかりおいでになる中でそれでも九人拾っておられるんですが、残ったほかの方々はどうなったのか。日本分析化学研究所というのは、いま清算法人でしょう。あれだけ科学技術庁が捏造データをつくらせてきて、あなた方がやらしてきて、あなた方が捏造データをさんざんつくらせてきて、その間にあなた、分析調査費なんというものを銀座で五千何百万も、三百六十五日しかないのに一年に二百回以上も飲んじゃって、そんなことをさせて清算法人になっておる。ここに六人残っておる。あと化学分析コンサルタントに就職した人が二十五人、残りの四十五人については会社などに就職したと思われるというわけです。思われるで、把握していない。四十五人といったら半分以上です。半分以上の方々はおっぽりぱなし。まじめな研究者で、一生懸命御本人たちが研究してデータを上げた、自分たち分析して上げた結果というのが、てっぺんで変わっている。捏造されている。何の罪もない、妻子抱えている、それで四十五人まるっきり行くえわからず。全くやることが話にも何にもならぬ。大臣どうですか、これはかわいそうな話じゃないですか。何をやっているんですか。
  56. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、四十五人につきましては、その就職先がわからないわけでございます。ただ、私どもといたしましては、ただいま先生の御趣旨と同じような考え方を持っておりまして、分析化研に対しましても、その起こしました事件事件といたしまして、その職員に迷惑のかからないように極力就職その他についてはあっせんするということを伝えてありまして、私どもでそういうことで仕事をあっせん、紹介いたしました例も幾つかございます。
  57. 大出俊

    大出委員 つまり私が言ったとおりでしょう。四十五人がわからないということは、あなた方がお世話をしていないということだ。あなた方がお世話すればわかるでしょう。何にも罪のない人たちだ。そういうことを科学技術庁がやっている。だから、科学技術庁なんというものは要らないと言うのです、こんなものは。もう本当に不人情きわまる。物の言いようがないというのです。こういう破廉恥行為を起こしたのは科学技術庁の責任なんだ。責任がある、あったらあるようにするのがあたりまえじゃないですか。  そこで、この問題の結論を私は出したいのだが、こんないいかげんな方々が入っているんじゃなくて——その御本人がいいかげんというのじゃないのです、私が言っているのは。国民が見て納得しがたい、原発の公害を起こしている中心的な人物、燃料事業団の理事長なんというものを入れておいたりなんかして、満足な分析結果が出るとだれも思いやせぬじゃないですか。ましてこれだけ不信を買っている世の中に。つまり、学会からだって、環境放射能研究所をちゃんとつくれ、きちっとしたものを学術会議等と相談をしてつくれと勧告もしているじゃないですか。なぜそうしないのですか。金沢大学からだって再三再四文部省に対して、こういう分析センター式なものを大学ベースでつくりたいと言っているじゃないですか。いまだに取り上げられていない。大学にはたくさんの専門家、プロフェッショナルなレベルの方々がおるじゃないですか。  いま気象庁だって、天気予報が当たらぬとかなんとか言ったって、国民はやはり信用しているじゃないですか、まじめに長年やっているから。げたを脱いで、ほうり出して、上向いたら天気だとやった方が早いと言う人がいるけれども。そうでしょう。天気予報の逆をやればいいのだというようなことを言うでしょう。それだってやはり、旅行に行くといったら学校の先生は気象庁に電話をかけるでしょう。信用があるからですよ。一生懸命やっていることを認めているからですよ。そういう独立した機関をなぜつくらぬか。  さっきの原潜放射能にしても、なぜそういう機関でやらせないかというのです、私は。何で開発と監視と一緒くたにしてやっていくようなことをやるのか。こんなものは、今度の機構改革でわずか十五人ばかりふやして開発部門と監視部門を分けていこう、分けてみたって科学技術庁が腐れ切っていれば一緒じゃないですか。腐れ科学技術庁に何ができる。なぜ中立の機関を、きちっとしたものを——人事院だって、何だかんだ言ったって定着して、ときには政府が何を言ったって聞かないでしょう。そういう機関をきちっとなぜつくらぬか。国の責任じゃないですか。大臣いかがでございますか。私は口が悪くて恐縮だけれども、腹が立っているので勘弁してください。
  58. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 この分析センターを新しくつくりましたのは、大出さんのおっしゃったような経過を経まして、しかし分析業務は中断を許さぬ緊急な事態ばかりでございますから、新しい機構を、私の聞き及んでいる範囲では、去年の夏でございますか、当時大変激務に激務を重ね、ほとんど昼夜兼行でこの機関の創立を図ったように聞き及んでおります。したがいまして、このつくりました趣旨は、全く御説のとおりの趣旨で実はつくったものと考えております。
  59. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから、承りたいことが山のようにございますが、省略をさせていただきまして、過去の問題でなくて今日の問題を少し取り上げたいのであります。  通産省資源エネルギー庁の総務課長平林勉様、おいでいただきましたが、名指しでお呼び立てして恐縮でございますが、少し聞かしていただきたい。  外人記者のセミナーにおいでになって、日本のエネルギー計画についてお話しになったのはいつでございますか。
  60. 平井寿一

    平林説明員 正確に記憶しておりませんが、いまから一月半ぐらい前だったかと思います。
  61. 大出俊

    大出委員 調べはいたしましたが、念のために承りますが、どういう会合でございましたのですか。
  62. 平井寿一

    平林説明員 通産省のそういう来賓関係に対する広報を担当しております通商局の担当官から、ぜひ外人記者からエネルギー問題についていろいろと話をしてほしいという要請がございまして、その要請を受けてやったものでございます。
  63. 大出俊

    大出委員 あなたがおっしゃったのを読みますと、通産省の資源エネルギー庁の総務課長さんである平林勉さんは、日本のエネルギー計画についてということでお話しになった。「一九八五年には、日本のエネルギー消費の一一・四パーセントが原子力エネルギーになると期待しております。」ということは、原子力発電の出力七千万キロワット、これは毎年十トンのプルトニウムができる勘定なんですね。それでこれは、現在の原子力発電所の建設及び発電出力がいささか計画よりもおくれている、これをお嘆きになって、「原子力発電所の建設をいかにスピードアップするかが、わたしたちの最重点目標の一つなのであります。」こうお述べになっているんですね。そういうことでしょう。違いますか。
  64. 平井寿一

    平林説明員 その外人記者に対する広報は、英語でやりまして、私、その記録をとっておりませんし、日本語の記録を私自身見たことがございません。いま先生御指摘のようなそういう言い方を私したかどうか、よく記憶しておりませんが、いずれにいたしましても、その二・四%とおっしゃいますのは、昨年七月に総合エネルギー調査会がつくりました一次エネルギー供給可能量試算、これはすでに公表されたものでございまして、外人もよく知っている数字でございます。その数字に書いてあるその上限の七千万キロワットというのが一一・四%に当たるという説明でございます。
  65. 大出俊

    大出委員 わかりました。大体計画がございますから、それに従ってお話しになったのでしょう。  それで、外人記者から質問があったというわけですね。原子力発電というのは国際的に見て、外国の方ですから、アメリカを初め自国でみんな問題を抱えているわけですから、危険性が非常に高い、なのに、なぜ通産省はそれほど熱心に原子力エネルギーを促進しようとするのか、廃棄物の最終処理も国際的にまだ決まっていない、そういう状況で危険が至るところにある、アメリカでもたくさんの原子炉が故障しておって稼働していない、そこらのことから、危険性がきわめて高いのになぜ通産省はそれほど熱心に原子力エネルギーを促進しようとするのかという質問が出ている。これに対して平林さんが「確かに放射性廃棄物は問題です。が、どこの国も同じ問題に直面しているのであります。わたしたちはこの放射性廃棄物を原子力発電所の敷地にあるドラムカンの中に貯蔵しています。」つまり発電所の敷地の地下ですな。貯蔵しているんですね。「すでに、これまでにこうしたドラムカンを二万七千個貯蔵しております。」こういうお話ですね。このくだりはそんなふうなお話をなさったわけでございましょう。
  66. 平井寿一

    平林説明員 繰り返して恐縮でございますが、その日本語の記録をとっておりませんので、正確に記憶しておりませんけれども、私は二万四千本と言ったように……。
  67. 大出俊

    大出委員 この記者の書いたのは、平林さんのお話を聞いていてお書きになった文章なんですよ。私も早稲田の英文科の中退のなれの果てですがね。それは話ですから、まして英語ならば受け取り方も違うかもしれません。だから、その要点がわかればいいわけです。つまり二万七千個貯蔵しておる、二万四千個であっても、大体そういうお話をなさった。  ここでこの質問が出て、平林さんはそのまま逃げるように答えた、こういうふうに注釈がついていますが、最重点目標がおくれているものだから、原発の建設をいかにスピードアップするか、これが最重要目標だ、こうおっしゃったということで、外人記者が、そんなに危険性が高いのに、そんなに急いでどうするのだという趣旨質問なんでしょう。平林さん、いささか意表をついた質問が出てきて、逃げるように答えたと書いてあるんですけれども、そこで平林さんは、放射性廃棄物の貯蔵が出力の増加とともに問題になることはお認めになった。「将来これらの廃棄物のドラムかんをコンクリートに固めて海底深く沈めるか宇宙軌道に乗せてしまうといった方法について国際的な話し合いが必ずつくと見ています。」こういう御答弁だそうなんですがね。
  68. 平井寿一

    平林説明員 そういう話題について質問がございましたことは事実でございますが、いまの点につきまして私、正確に記憶しておりますけれども、将来こういう問題について国際的な合意がつくと確信していると私申したことはございません。この問題について最終的な処分について、国際的な合意がなければ最終的な処分は決まらないのだということを申しました。それからさらに、スピードアップすることが必要であるということの前に、私は、安全でないエネルギーはエネルギーでない、したがって原子力が本当に安全なエネルギーであるということにならなければ原子力の開発は進められないということを申しておることは記憶しております。
  69. 大出俊

    大出委員 時間がなくなりまして、細かく書いてありますが、あなたのお立場もあるのでそう別に深く追及する気はないのですが、これは大変重大なことだと思うから申し上げるので、海底深く沈める、あるいは宇宙軌道に乗せる、これも方法の一つでしょう。だがこれは、私もいろいろ調べておりますが、そう単純かつ完全なものじゃない。もうすでにドラムかんが二万四千個原発の敷地の下にある、大変なことですよ、これは。八五年には七千万キロワットの発電量、出力が出るようになる。そうすると、あなたのお話のとおりに、順調にスピードアップしていきますと、ここまでに一体、この二万四千個のドラムかんは何個にふえるのですか。
  70. 生田豊朗

    生田政府委員 事実関係でございますので、かわりまして私お答えいたしますが、六千万キロワットで計算しておりますけれども、六千万キロワットで計算いたしますと、累積で約百三十万本になります。
  71. 大出俊

    大出委員 ちょっと違いやせぬですかね。百三十二万本ですか。
  72. 生田豊朗

    生田政府委員 そうでございます。
  73. 大出俊

    大出委員 ここに議事録が一つありまして、「六十年に累計どれくらいかといいますのは、六十年度発電の規模によって左右されるけれども、六十年六千万キロというのを想定いたしますと、約三十一万本、その間の累積量として百三十二万本」こういう推計なんですね。  そこで、館山沖などに海洋投棄したのがありますね。これは何本ぐらい海洋投棄したのですか。
  74. 生田豊朗

    生田政府委員 千六百本でございます。
  75. 大出俊

    大出委員 これは海の中に捨てるように将来なると言うのだけれども、千六百本しか捨ててない、試験的にでしょうね、これは。認められてはいますけれども。捨てるとすれば、順調に行くと六十年までに百三十二万本捨てることになるんですね。千六百本しか捨ててないところに今度は百三十二万本捨てるんですね。これは稼動していけば後限りなく捨てていくわけですね。宇宙軌道に乗せると言ったって、科学ですから間違いもある。宇宙飛行士で亡くなった人もある。一つ間違って途中でロケットが燃えたらどういうことになるか。これはプルトニウムが天から降ってきちゃうですね。海洋投棄と言うんだが、一千年から先まで厳重監視をしなければならない性格を持っているわけでありますから、地殻隆起という問題も出てくる、それから深海に入れた場合に、圧力によって完全に沈むかどうかという問題さえあって、そこのところがわからない。  国際的には結論が出ていないというわけなんですが、これは平林さんはこういうふうにおっしゃっているんだけれども、どうも肝心なところをあなたは言ってないとおっしゃるからしようがないんだが、「将来必ず国際的にそういう話し合いがつくと見ています。」これは専門家の方に聞きますが、そこのところはどうなんですか。
  76. 生田豊朗

    生田政府委員 まず処分の仕方でございますけれども、私どもは、いわゆる低レベルの放射性廃棄物と言っておりますが、これは全部海洋投棄というふうに必ずしも考えておりませんで、海洋投棄と陸上にしかるべき保管施設をつくりまして保管するものとの組み合わせでやってまいりたいというのが基本的な考え方でございます。海洋投棄につきましては、まだ技術的に特に安全性の問題につきまして多少問題が残っておりますので、各国ともまだ試験段階でございます。先生の御指摘のような問題が確かにございますので、試験段階でございますが、ヨーロッパ諸国あるいはアメリカでは日本よりも多少その実験が進んでおります。大西洋あたりでかなり大規模な試験をやっております。それにつきましての国際的な条約、取り決めのような形が早晩できるだろうと考えております。  第二の、ロケットで打ち揚げるということでございますが、これはまだアイデアの段階でございまして、非常に極端な例といたしましては、太陽の中に打ち込んでしまえば、太陽というのは巨大な放射能のかたまりでございますので問題ないではないかというようなことも学者の中では一部言われております。ただ実用性の面につきましては、先生御指摘のとおり、そのロケット自身に事故が起きましたときは大変なことになるわけでございますし、そのほか果たしてそれだけの高性能のロケットができるかという技術的な問題もございますので、これはまだ実現するといたしましても非常に先のことでございまして、国際取り決め云々という段階ではないと考えております。
  77. 大出俊

    大出委員 百三十二万本も捨てたら、この海だって三十年、五十年後に容器が漏れ始めたということになると、大洋は一体どうなるか、とんでもないことになっちゃうですね。そうでしょう。  ところで、プルトニウムそのものは、六千万キロワットの出力、六十年というところで一体どのくらいの量できるのですか。インドの例からいきますと、的確な数字を私は持っておりますが、標準型原子炉を一年間運転すると、広島型原爆一発できるだけのプルトニウムができる、こういうことで、日本の金にすれば一億五千万円、これで一発つくったのがインドなんですが、どのぐらいできるのですか。
  78. 生田豊朗

    生田政府委員 昭和六十年度までに六千万キロワットの原子力発電設備ができて稼動するという前提でございますが、そういたしますと、昭和六十年度までに累積で四十一トンのプルトニウムが生成するという計算になっております。
  79. 大出俊

    大出委員 これは広島型原爆がどのぐらいできますか。インドのものの計算をちゃんと英国が出しているんですよ。ここにある。
  80. 生田豊朗

    生田政府委員 広島型の原爆——プルトニウムを使いましたのは、たしか長崎の原爆だと思います。それで八キロぐらいの。プルトニウムを使うわけでございますので、それで換算いたしますと、千八百個くらいに相なるかと思います。
  81. 大出俊

    大出委員 そうすると、これは一生懸命に急いでやっておられますが、計画どおり、平林さんおっしゃるように——悪意で聞いているのじゃないから勘弁してくださいよ。計画どおりやっていきますと、プルトニウムが四十一トンできると言う。広島型原爆で千八百個できる。それだけ抱えていることになる。これは大変なことであります。私はなぜお呼び出ししたかというと、ここに書いてあるのは「将来これらの廃棄物のドラムかんをコンクリートに固めて海底深く沈めるか宇宙軌道に乗せてしまうといった方法について国際的な話し合いがつくと見ていますと述べた。」こう書いてあるから、そう簡単に話し合いがつくものならば——アメリカでいま反対運動がたくさん起こっている。タンブリンさんが言っているけれども、それは考え方は変わってきますよ。本当のところ、アメリカやその他多くの国の原子力科学者が指摘しているように、このきわめて危険な放射性廃棄物の安全処理の最終的な方法はないということなんですね。  だから、私がここで言いたいのは、その方を、つまり危険なものを、ましてどうも四十一トンできて千八百個も原爆ができるという世の中ですから、人に対する健康という問題と絡みますので、そこらまずもって結論が出る、さて原発がという議論の段階に進むというのが筋なわけでありまして、さっきも話をちょっと申し上げましたが、どうも政府と企業が二兆円も投資して、そこに五万四千人も科学者や技術者が従事している、だから、どんどん進めなければならぬということになるのなら、これはもう企業優先だということになってしまう。そこらが私は何としても不賛成なので平林さんにおいでをいただいた、こういうわけでありまして、基本的な考え方を最後に聞いておきまして、時間がありませんからほかの問題に移りたいのですが、大臣いかがでございますか。企業優先に走り過ぎやしませんか。
  82. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 日本でたまってまいります廃棄物の処理をどうするかという点に関しましては、ただいま原子力局長から説明したとおりでございます。  それから、このたまっていく。プルトニウムが軍事用に転化されないようにということで核防法の問題が起きているわけでございまして、これは私どもはぜひ通していただきたいと思いますけれども、いろいろ事情があるようですから何とも申せませんけれども、しかし、これが軍事転用できませんように、現在の段階で国際機関の監視員が毎月来て丹念に調べておりますし、これはまたわが国といたしましてはこれを転用する意図は毛頭ございませんので、この点は大丈夫だと思います。  最後に、国際的な処理の問題がございましたが、先般、国連機関の事務次長さんが日本に見えまして私のところにあいさつに参りましたので、帰ってから国連機関に何か伝言することはございませんかというお話でございますから、廃棄物の処理はひとり日本の問題のみならず、各国とも雄大な規模で原子力発電をどんどん進めていきつつあるし、また進める計画を日本以上にたくさん持っておるわけでございますから、これは日本だけの問題ではなくて国際的な問題には違いない。しかもドイツあるいはソ連、米国のように岩塩坑を持っておるところは現在は岩塩坑で処理しているわけですけれども日本には岩塩坑はございません。日本のような立場の国もたくさんあるに違いない。そのとおりです、ぜひひとつこれを国際機関として取り上げて、各国のその後の処理に対する試験研究等がずいぶん進んでいるはずですから、そういうものをみんなで出し合って、そうしてどうしたらこの処理が一番安全にできるか、そういう点をひとつ世界の英知を集めて討論してみたらどうかという御提言を実は申し上げまして、帰ったら早速事務局長並びに要路にお話ししたいということで帰ってまいりました。それがすぐ実を結ぶかどうかは別にいたしまして、そういう努力が間断なしに続けられるということが大変重要なことだと私はただいま考えています。
  83. 大出俊

    大出委員 これはいま八つで、そのうち六つが修復のための運転中止。建設中の十五基、これもいろいろ問題があって騒ぎが方々で起こっている。単価から言っても、普通の石油、石炭、火力発電がキロワット当たり九円、原子力発電の場合は五円です、こう言っておられる。これは事故で停止したなんだということがなければそれは計算どおりなるでしょう。だが、タンブリン博士がアメリカの例を挙げていますけれどもアメリカはならしてみたって火力から見てはるかに高い、事故だらけだ、将来とも事故は起こる、日本のように材質研究その他直接自分でやってきたんじゃない、こういうところで安う上がる、これはとんでもない話だという指摘をしていますがね。  大臣、そこのところを一体どうお考えかということと、安い安いというが、進んでいる諸外国の例からいって一つも安くつかない、タンブリン博士がこう講演していますが、日本の場合だって、それは事故も何もなければ五円で済むかもしれない。だから、大変高いものについているはずですよ。したがって目下は、最終処理の方法はないのだから、原発工場の下に埋めているばかり。地震でもあったらどうするか、地震対策だってありはせぬのだから。  そうなると、三木さんも多少これはスローダウンするようなことをちらっと口にされたようだけれども大臣、つまり上限云々と言っておりますけれども、総体的にこの原発の進行速度を、原子力発電の建設をいかにスピードアップするかが私たちの最重点目標の第一でございますなんというようなことを言わないで、いかにスローダウンするかが最重点目標でございますぐらいの答弁をなぜしないのですか。あわてなさんな。そこらじゅうみんな——分析機構だっていいかげんで、とりあえず中断ができないからつくったとおっしゃっているんだから、なぜ一体スローダウンさせることを第一目標にしないのですか、大臣いかがですか。
  84. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 少し時間をおかりいたしまして……
  85. 大出俊

    大出委員 時間がないから簡単でいいです。簡単にやってください、まだ聞くことがあるんだから。できないならできないと。
  86. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 簡単でありますと御理解いただけないと困りますので……。  お話のように、油の問題が起きましてからフランスはただいま一切の発電は原子力に切りかえつつございます。一切油を使ってはいかぬ、これからの発電は原子力でやりなさい。最近イタリアの大使が参りまして、聞きますとイタリアも同様でございます。ドイツは今後五割は原子力発電に切りかえる。アメリカは今後十カ年間に大体二億四千万キロ、日本の現発電量の三倍を原子力発電でやります。その発電の炉は軽水炉であることは間違いございません。同じ軽水炉を日本で輸入いたしまして、そしてただいま発電しているのが日本の現状でございます。  なるほど御承知のように、いろいろ故障が起きまして、特に日本はそういう安全面でうるそうございますから、定期検査のみならず、ほかの国ではとめぬでもいいのも全部とめて丹念に、ひとつ故障を起こさぬようにやってくれよということで、非常に厳格に安全の面に注意いたしましてやらしているのが御承知の状況になっている次第でございます。  原子力発電を、それにもかかわらずなぜやらなければいかぬのかということは、いま申しました油との関係、資源との関係等もございますが、私の考えをもってすれば、まだまだほかに効用がございまして、その一番大きい理由は、油あるいは石炭等による発電は技術的には大体限度でございます。しかし原子力発電に関するものはまだ無限でございます。こういう無限な技術的な可能性のあるものを、先進国の日本がこれを取り入れないということはいけないことでございまして、また輸送面から申しましても問題になりません。油とか石炭の輸送から考えますと、何百分の一くらいの輸送費でございますから問題になりません。あるいは貯蔵面におきまして、これは大体二千分の一くらいの貯蔵のスペースがあればできますから、日本でいま油の貯蔵問題で大変苦労していることは大出さんもよく御承知でございまして、あるいは外貨の支払い問題、これも国際収支上日本の経済としては大変実は問題でございますので、これも実はほかの燃料に比べまして大変安くなるはずでございます。  それこれ考えますと、いまの軽水炉による日本の発電が、初期に予定しました操業度を割っておる、あるいは休んでおるというその現実の事態だけでこの大きい問題を判断するという方がよろしいか、あるいはそれに改善を加えてだんだん直していくけれども、しかし世界の情勢なり日本のエネルギーの将来を考えれば、やはりこの困難は切り抜けて、技術的ないかなる困難、あるいは社会的ないかなる困難があろうと切り抜けていこうというこの方がよろしいか、私は、後者の方がよろしかろうということでただいま進めておる最中でございます。
  87. 大出俊

    大出委員 これは大きな見解の相違でありまして、この議論をいたしますと時間がなくなりますから、全く考え方が百八十度違うと申し上げまして、この点は次の問題へ移らしていただきます。ただ、国民の安全という問題は、これは子々孫々までございますので、私は、立場を異にいたしますけれども、その点だけは国民が納得するようなあなた方の結論を先にお出しになる必要がありゃせぬかという点だけ申し上げておきます。  次に「むつ」の問題ですが、結局これは八月という期限がついておるわけですね。これはどこかで一応その修理をして、船体腐食の恐れなどという、先般調査をなさったようでありますが、調査結果が知らされておりますけれども、これは国民の反対の中でございますだけに、「むつ」をつくるときのいきさつから調べて、かつてから質問をしておりますだけに、そういう意味の心配を大変私どもしているわけでありますが、最終的にどこかに移して改修をしてそれからということにするのかどうか、そしてそのときには燃料棒というものは一体抜くのか抜かないのか、抜くとすればどこでどう抜くのか。それから佐世保ということで辻市長が物を言っておりますが、佐世保となりますと、これは私どもの書記長石橋さんの足元でございまして、かつて私の足元に定係港をつくるとおっしゃって、私がけったら青森へ行っちゃったんですけれども、今度はまたわが書記長石橋さん、この内閣委員会の私の先輩、私は跡を継いでいるんですから、わが親方の足元へなんぞ持っていかれたんじゃ、人の目の中へ手を突っ込んで、目ん玉の中へ手を突っ込むようなことをあなた方なさるんなら、私はこれはもう長崎へ出かけていくつもりでいますがね。辻さん何と言おうと、ふざけたことをぬかせと言って乗り込もうと思っているんですがね。  まあ知事さんはこれに反対であるという姿勢を変えておられない。あなた方は、この辻さんの姿勢を大変に歓迎をされているというんですが、長崎は被爆の地でございまして、八月には国際会議もここで開かれるわけでありますが、九月ごろ審議会に、こういうお話でありますが、どうせそう簡単にうんと言うことにならぬと私は思うのでありますけれどもそこらを含め漂流物「むつ」、目下港につながれているようでありますけれども、一番これを悲しんでいるのは丸山さんのところだと私は思うのです。原子力潜水艦の炉の問題だけ残っておるわけですから、三菱でつくっておるわけですから、原潜計画もございまして一体どういうふうにお考えなのか、このお荷物「むつ」をどうしよう、これひとつしかと聞いておきたい。  それから、時間がありませんからつけ加えておきますが、実は防衛庁にじっくり承ろうと思って資料を持ってきたんですけれども二つ承りたい。  原潜計画というものは二つの面、川崎重工あるいは三菱と両面でございます。楢崎さんが指摘した文書もついに本物であることをあなた方はお認めになった。ただし、それは技術者が独自の研究をしたのだというふうにお逃げになった。だが「むつ」の動力炉をおつくりになったのも三菱だし、原潜計画が表へ出た、これもまた三菱でございまして、しかも涙滴型に変えましてから三次防の五隻、四次防の五隻、四次防積み残しがございますけれども、実はこの潜航の度合いも大分深いところに行っておりますし、まさに動力炉さえ変えれば原潜でしょう。しかも歴代のいろんな方の、ここに全部ございますけれども、防衛庁関係の方の御発言は、原潜に対しては、原潜でなければ専守防衛といっても防衛にならぬという結論が出ている。  つまり歴代の長官がお答えになった。西村さんと中曽根さんがお答えになっていますね。御存じでございましょう。原子力基本法というものの改正ということに触れた西村さんの言い方、抵触しないという中曽根さんの言い方、二つあります。「むつ」と同族でございますから一緒に聞くんですけれども、原子力三原則というものがあるから西村さんは改正をしたいと言った。中曽根さんは、公開の原則その他というふうなものに触れずに改正しなくても抵触しない、こう言った。こういう違いがありますが、両方ともそのことはお認めになっているんですね、原潜が必要であることは。  そうすると、このいまの「むつ」の進行過程から見て、ポスト四次防というところで、やはりアメリカの要請があって海峡封鎖まで考えるところまできますと、原潜でなければ太刀打ちができない、ここまで来ているというふうに私は思う。だから、あんまりこの点は物事を逃げることだけでなくて、「むつ」の問題の陰に、私ども防衛をやっている人間からすると、おたくの方の問題との関連を大変私は注視しているわけでありますが、そこらをどうお考えかという点。  それからもう一点承りますが、丸山さんのところに承りたいのでありますが、私は、日米共同戦闘要領という言い方をいたしました。過去にそういう詰めがあったからであります。そしたら日米共同戦闘大綱という御発言をなさっております。鬼木さんの質問でございましたか。  そこで、その共同戦闘要領に基づいて戦闘をやった場合に、アメリカは明確に核戦闘というものを前提にして戦術は組み立てられている。共同戦闘の過程で核戦闘が仮にあったとした場合、核防護というものはずっと皆さんは取り上げてきておられますけれども、共同戦闘分野でアメリカが公海において、あるいは敵の領海に近く核を使うという段階において、日本の自衛隊はそこのすり合わせというのは一体どうなっておるのか。だから、核防護教範等によっていろいろやってきていることはわかりますけれども、その場合の共同戦闘行動というようなものはどうなるのか。その三点を、時間がございませんから並べて御質問いたしましてお答えを承りたいのであります。
  88. 生田豊朗

    生田政府委員 「むつ」のこれからの方針でございますが、昨年の十月に漂流いたしまして大湊に入港いたしましたときの四者協定がございます。四者協定によりまして、二年六カ月後を目途として母港を撤退するということが約束されておりまして、政府といたしましてこれを忠実に履行することは当然でございます。  二年半後と申しますと、昭和五十二年の春を目途としてそれまでに新しい定係港を建設いたしまして、建設後その新定係港に「むつ」を移しまして、そこで原子炉を初め船体各部の総点検、修理を行いまして出力上昇試験を始める、こういうことが私どもの基本的な考え方でございます。したがいまして、その方針に沿いまして新定係港の候補地をいろいろ検討いたしまして、対馬の三浦湾を第一候補として地元と折衝に入る予定でございましたけれども、その直前に地元の反対がございますので、ただいま白紙還元いたしまして事態を静観いたしております。  ただ、そういう方針でございますけれども、それの一つの変化形といたしまして、とりあえずその新定係港の建設を待たないでどこかの港で原子炉の総点検、必要な改修をいたしまして、すなわち安全性の確認を改めて徹底的にいたしまして、それから新定係港に移してそこで出力試験を再開するということもあり得るわけでございます。そういう二段構えの方法も、先ほどのは基本的な考え方でございますが、そのほかにも考えられるということで並行して検討いたしております。  特に、先般の全漁連の決議その他にもございますように、安全性を確認しなければ日本じゅうのいかなる港、湾にも受け入れないということを言われております。確かにそういうことも私どもとして理解できるわけでございます。したがいまして、先般原子力委員会の公式の見解も発表いたしましたように、まず安全の総点検をやる、必要な改修をする、それが前提条件だということを私ども強く打ち出しているわけでございますが、総点検ないし改修をするにはどこかの港でないと実はできないわけでございます。全漁連のおっしゃいますように安全性を確認しなければどこの港にも入れない、しかし安全性を確認するためにはどこかの港に入らなければいけない、ということは実は非常に矛盾するわけでございまして、安全性を確認しなければ港に入れないけれども、どこかの港でなければ安全性は確認できないということをどうやって解決したらよろしいか、このところ非常に困っているわけでございまして、何とかしかるべき地元の御協力をいただきまして、まず安全性の確認をいたしたい、かように考えております。  それから第二点の燃料棒を抜かなくても点検、改修ができるかという御質問でございますが、これはいま専門家が検討いたしておりますが、両説ございまして、燃料棒を抜かなくてもできるという説と、抜いた方がいいという説と両方ございます。もう少し詰めてみたいと思っておりますが、現在「むつ」の燃料棒の中の放射能は非常に減衰しておりまして、もうほとんど手でつかめるような状態になっております。燃料棒を抜くというのが大変な問題になっておりますが、私どもは必ずしもそう考えませんで、原子力局の職員が自分で手で抜こうかという、まじめな話として考えております。それができる程度のものでございますので、これを抜くことにつきましては余り問題がないと考えております。  それから第三点の佐世保の問題でございますが、これは私ども候補地として決めたものでもございません。こちらから申し入れたものでもございません。新聞の報道によりまして市長のお考えを知った段階でございますので、もしそのとおりであれば大変ありがたいというふうに考えております。
  89. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 まず第一問の原子力潜水艦でございますけれども、在来の国会の答弁、先ほど先生の方で御指摘ございましたとおりで、原子力の推進機関というものが一般船舶に普遍化する段階になってから原子力潜水艦の推進力ということを考慮するというのが在来の国会の御答弁でございます。こういった方針に基づきまして、現に遂行中の四次防においてはもちろんそういう考えもなかったわけでございますし、それから来るべきポスト四次防の期間中にこういった問題が起きるかというと、恐らくそういう状態になってこないのではないか。  しからば原子力潜水艦というものを対象としたわが方の対処能力、その点について現有のディーゼル機関の潜水艦を主体にしてどうなんだ、こういうお話でございますが、おっしゃいますように水中速力、それから潜航深度、こういった点におきまして明らかに格段の差がございます。そこでポスト四次防において私どもが、現在まだはっきりはいたしておりませんが、これに対する対処として考えておりますのは、依然としてやはり能力においては大変劣りますけれども、通常型の潜水艦であってもそれなりの作戦用法上の能力というものはあるわけでございまして、これは運用面についての創意工夫ということがやはりこれからできるだけ望まれるわけでございますけれども、総合的に申しまして、水上艦艇、それから特に対潜哨戒、これが御案内のように現在のP2Jは原子力潜水艦に対します能力という点では非常に問題があるわけでございまして、そこでPXLの導入ということをいま内々検討はいたしております。この点につきましては、外国機になるかあるいは国内開発になるかは現在検討の段階でございますけれども、ポスト四次防においては、やはりそういった面でPXLの問題を重視しておるわけでございまして、原子力潜水艦につきましては、四次防中着手する、あるいは研究開発するというようなことはちょっと現在ないだろうというふうに申し上げてよろしいかと思います。  それからその次、二番目の問題でございますけれども、日米の共同作戦大綱あるいは要領ということでございますが、この問題につきましては、御案内のようにわが国としては、あくまでも通常戦の対処能力というものを第一前提にして考えていくということでございまして、いわゆる核対処能力というものについては、私どもは、率直に申し上げて考えていないというのが実情でございます。  大体、日米の共同対処と申します場合に、具体的にどんな場合が想定されるのかという点につきまして、実はこれからいろいろ詰めてまいりませんと具体的な事態の想定がなかなか困難でございますが、問題は、御指摘のとおりに安保条約五条が発動になり、いわゆる有事の事態ということになりますれば、アメリカは当然戦術核を持つ、こういう核能力を持つわけでございますが、その場合といえども、在日米軍については核の持ち込みをさせないということでございますが、日本周辺を行動いたします米軍については、当然こういうものを持つであろうということで、当然こういう核を持った部隊と全体的には共同対処するという形になるわけでございまして、この場合のわが方の方針としては、あくまでも憲法の枠内、わが国を防衛する限度内においてという基本方針を貫くということでございまして、具体的にどういう場合にどうなるかということは、いま申し上げましたその原則に照らして自衛の限度内にとどめるということに徹底をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。どうもはっきりした御答弁にならなくて恐縮でございますが、いまのところ、まだ検討段階でございますので、その程度しか申し上げられないわけでございます。
  90. 大出俊

    大出委員 実は、私の方から幾つか問題提起をしようと思って資料を持っておりますが、それに触れている時間がございません。  そこで「むつ」の問題、いま三つ質問した最初でございますが、これは原子力船開発事業団で、東京工業大学教授の高島洋一さんを委員長とする  「むつ」維持管理検討委員会を発足させたわけですね。十七日、現地視察を行って、高島さんがお話しになっていますね。現状のままで炉を動かさなければ、そっとしておけば安全だ、しかし二年も放置すれば、いま五十二年というお話でございましたが、船体各部の腐食が間違いなく相当問題になってくる、だからこの際、早目にこれはドックに入らなければならぬというのが結論だ、こう言っているわけですね。そうのんきなことを言っていられる筋合いではないんですね。  さっき大臣いなかったけれども佐世保の場合に、どうも私どもの書記長の石橋さんの足元になんということになったのではほっとけないですけれども、ともかくあそこは設備があるからというようなこと、辻さんとの間で何か政府の考え方があってこういうことになっているのですか。というのは、この高島さんの調査結果からすれば、早急にどこかでドック入りしなければならぬ。浮きドックでできるという意見もあったり、無理かもしらぬという意見があったりするようですけれども、何とかしなければならぬ、そういう差し迫った状況でございますから、大臣、この「むつ」の問題はほうってはおけない。相当な金がかかっているわけですからね。  とすると、ここで二つ問題があるんですが、一つは、今回放射能が漏れた云々、これには、つまりストリーミングなどという開発分野における未開のものがあった、そこらをうっかり大丈夫だろうと思ってやったらこういう結果になったという、参考人でお出になった三菱関係の責任者の方からの話もある。そうすると、この補償だの修理費だのという問題が実は出てくるわけでありますが、契約上三菱側に責任がない、これは私はおかしな話だと思うんですね。つまり事故が起こった、起こったということは、明らかにミスがあったと認めているんですから、期限が切れたとかなんとか言うのなら、切れる前になぜその補償措置を早急にしなかったかということ。国民税金ですから、その辺一体どういうふうにお考えなのかあわせて承っておきたいと思います。
  91. 生田豊朗

    生田政府委員 契約の問題でございますが、保証期間の延長を数回やったわけでございますが、昨年の三月で実は保証期間が切れてしまったわけでございます。これは先生の御指摘のとおり、事業団側の不手際だったと私ども考えております。したがいまして、契約のその条項に関します限りは、確かに三菱側には補償の責任はないということになりますが、契約全般の考え方あるいはこの原子力船開発に関します民間の協力の問題を考えました場合に、契約がそういうことであっても三菱側が全くその契約を盾にとって、何と申しますかその分担をしないということは、私は許せないことであろうかと考えております。その点は、また先般の放射線漏れの原因の因果関係の究明その他も全部関係してまいりますが、三菱側が当然負担すべき部分につきましては、これは契約のいかんにかかわらず負担させるように指導してまいりたい、かように考えております。
  92. 大出俊

    大出委員 大臣、これは私どもが見ていてこんなずさんな、それは確かに調査委員会が出しているように、地上で一遍も試動してみなかったという、そんなこともありますけれども、しかしこれだけ長い年月かけて、これだけ金を使ってやったんだから、その修理、補修、そういうものの責任がメーカー側にないなんというようなことを簡単に、契約上こうなっているんだなんということで、これは納得できないですよ、どこから考えても。だからこの点は、大臣の責任において国民を納得させてください。そういう措置をとってくださいよ。そうでないと、これは私ども了解できませんよ。これは国民ひとしく関心事であって、どこへ持ってこられるか、やたら話が方々に出てくるわけだから、途中で、最近どこかで修理しなければならぬという喫緊の問題だということになっているんだから、大臣、ここらのところは責任を持ってどういうふうに考えているのだぐらいのことは言ってくれぬと困りますよ。いかがでございますか。
  93. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 修理に関する財政負担等の問題は、ただいま原子力局長から答えたとおりに処理したいと存じます。  それから「むつ」自体の問題ですけれども、いまお話しの点は、一つは、定期検査というのが船には必要でありまして、一年に一回か二年に一回か、二年に一回はやらなければいけないのですけれども、御承知のような事情で「むつ」はまだ定期検査しておりません。したがいまして、定期検査しませんと実際の運航の際に、特に原子力の安全性どころじゃなしに、船自体の安全の問題でございますから、これは当然その前に済まさなければいかぬと思います。  ただ、その定期検査をやるのにどうしたらよろしいかというところが大変問題でありまして、これも含めてただいま事業団で検討中で、近く結論が出るはずでございますから、その結論によりたいと考えております。
  94. 大出俊

    大出委員 出ない結論は追及しても仕方がありませんが、丸山さん、大変長い時間お待たせして申しわけないんですけれども質問の都合上時間がなくなってしまいまして申しわけないのですが、ポスト四次防、つまり五次防というものを想定することになるの、だろうと思うんですけれどもそこらのところと、その間は原潜にかかわる何事もしないといういまお話なんですが、実は研究費の中で、必ずしも原潜と言い切れぬ両様の面がありますけれども、二つばかり費目があるわけですね。大体ディーゼルでやった場合には、せいぜい水中速力は三十ノットぐらい、これが水中ではもう限度でしょう。原潜の場合には三十五ノットぐらいのスピードは普通ですね。そうすると、これはにっちもさっちもいかない。それとサブロックみたいなものを考え計画、これの研究費がございます。そこらのことから、後半の関係から言ったって、通常ならば通常弾頭を使ったって、敵の原潜が相手ならこれは戦争にならぬ。いまのP2Vなんかじゃ索敵もできない。P3Cオライオンをお使いになるということならばいいですけれどもそこらも聞きたいんですが、それでも索敵困難なんですね、いまの原潜というのは。  そうだとすると、どうもきわめてつじつまの合わぬことができ上がりかねない。結局、涙滴型のいまやっているものは、動力炉を変えれば原潜に使えるということで進めているのですか、そこも含めて最後に答えていただきたい。
  95. 丸山昂

    ○丸山(昂)政府委員 現在の涙滴型も、いわゆる通常のディーゼル機関ということでございまして、いまのところ原子力推進機を使うということは全然念頭にございません。
  96. 大出俊

    大出委員 使いものにならぬ潜水艦ということになってしまうんですけれども佐々木さん、どうもちょっと調べてみて腹立っことだらけだったものだから、少し口の悪い質問をし過ぎた感じがして恐縮なんですけれども、これはかっかしていたものですからお許しをいただきたいのです。つまり、こういうことを申し上げるだけのことがあると私は実は思っているんですよ。ですから急がぬでほしい、科学技術行政の抜本的な問題がここにあるんだから。  さっきのあなたの立場でおっしゃることがわからぬわけではないが、じゃ国民の心配はどうするのか。反対運動が起こる国際的な現状でありますから、これをどう説得するのか。説得するに足る安全性という問題の結論がなくて説得しようと思ったってできないのです。  だからそういう意味で、さっきの分析の方式、つまり機構のつくり方等につきましても、これまた納得できない点がたくさんあるのです。そういう意味で行政何とか懇談会なんというものがあって、これもあるいは隠れみのかもしらぬという気はするが、それにしても、いまここであせらぬでも、十五人ばかりふやして、あるものを二つに分けてみたってこれはしようがないので、そんなところに問題があるのじゃない。だから、そういうつもりでひとつ腰を据えて、この問題はお互いがひとつじっくり検討する、こうしていただきたいという気がするのですが、最後にそのことを申し上げて一言ひとつ……。
  97. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 お説の趣旨はわからぬこともございません。この原子力安全局をつくろうといったときに、そういう議論が政府内にあったことも事実でございます。しかし私が、なぜそれを押し切ってまでこういう挙に出たかと申しますと、去年の暮れ、いま原子力発電を担当している各県の知事さんが数県集まりましていろいろディスカスしたことがございます。その際申すことには、各知事さんも同じでございまして、それは「むつ」の問題以来、安全性に対する国の姿勢がわからなくなった、そこで自分らとしてはこれ以上原子力発電の問題は進められない、そこで政府としては単なる口じゃなくて、行動でこれを示してもらいたい、どういうことが一番よろしいか、まず原子力の安全に対する国の機構的な責任の可否を明確に定めてもらいたい、そういう議論が非常に強うございました。それでなければこれは一歩も進まぬぞ、そういうことで私は、有沢機関が内閣にできまして抜本的な改正をするのを待てば筋ではございましたけれども、事態は先ほど申しましたようにそれほど悠長な事態でもございませんので、まずこの際、政府としては安全に対してこういうしっかりした姿勢でいくぞ、決してこれは十分じゃありません、過渡的な形態でございますよ、しかし、ないよりはましだということで、これが全部だとは毛頭考えておりません、過渡的な一つの手段にはすぎないけれども、しかし国としてはここまで、その前の日に行政機構は一切新しい局はつくらぬという閣議決定をとったあくる日からやったのですから、これは大胆不敵に違いありません、しかし、これはそういう考慮を払ってやったことが一つ。  それから、大出さんに先ほどから大変お叱りをこうむりまして、過去をよく御存じですから何とも陳弁の申し上げようもございませんけれども、しかし斎戒沐浴して庁内の空気刷新を図ってございまして、ことわざにも、三日見ぬ間の桜かなと申しますので、もう大体半年以上過ぎまして大分空気も変わってまいりましたので、ひとつ改めて御認識の上、御同情のほどをお願い申し上げたいと思います。
  98. 大出俊

    大出委員 どうも少し口が悪過ぎて恐縮でございました。
  99. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員長代理 本会議散会後委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十九分休憩      ————◇—————     午後四時十八分開議
  100. 藤尾正行

    藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。中路雅弘君。
  101. 中路雅弘

    ○中路委員 最初に、この法案について二、三御質問したいと思います。  原子力安全局の設置についての御提案なんですが、最初にこの提案の背景といいますか、提案されました理由について簡潔にお聞きをしておきたいと思います。
  102. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 従来、原子力の開発は、開発部門と安全規制部門とを同一局で扱っておりまして、去年の「むつ」の問題以来、開発と規制を一緒にしてやるのはどうか、自分の開発でも自分で安全を規制しなければいかぬ立場でございますから、規制する方はむしろ分けてやる方が、責任の所在を明確化するという点から言ってもその方がよろしいんじゃないかという議論が非常に強うございます。原子力委員会等も含めまして根本的にやる問題は、これは別でございますが、けさほども申し上げましたように、とりあえずは、これは十分でないにいたしましても、私は、やはり規制部門は分けまして、そして規制に関しては局長あるいは長官が明確な責任を負う、こういうふうにするのがよろしかろうというので、少しでも原子力の安全を確保する面で、行政府として国民の負託にこたえたいということでこういう措置をとった次第でございます。
  103. 中路雅弘

    ○中路委員 昨年以来、日本分析化学研究所データの捏造事件や、あるいは原子力船むつ」の放射能漏れの事故、原子力発電所等における各種の事故、非常に重要な事故がこの分野で相次いでおるわけですね。そのために原子力利用の安全性あるいは原子力行政に対する国民の不信の気持ちというのが非常に大きいと私は思うわけです。いまでは恐らく皆さん計画されている原子力発電所の新規の立地、これもそういう点では大変むずかしい状態にいまある。六十年度六千万キロワットですか、この長期計画も立地条件その他でも大変困難な問題にいまぶつかっていると思うのです。  皆さんの提案理由の中にも「しかしながら、その安全性については、必ずしも国民から万全の信頼を得ているとは言いがたい状況にあります。」ということでお述べになっているわけですが、私は、いま政府が進めている原子力開発政策、これは非常に多くの点で重要ないわば致命的な欠陥があるのではないかと思っているわけです。特に安全審査の体制、この点では根本的な欠陥がある。いまちょっとお話がありましたが、この安全審査を行う原子力委員会のあり方をとってみましても、今度の場合、この原子力委員会の問題については全く手を触れられておらない。政府の場合、どうしてやっていくかということについては、まだ具体的な提起をしておらないし、安全審査に直接関係しない実務、主としてこの実務を扱う原子力局を二分するというだけの提案なわけです。原子力発電等の安全性を保障する上で最大の責任を負っているのは、原子力委員会による安全審査であると思いますが、現在行われている安全審査が、その内容や方法、体制、どの面をとってみてもその点では全く役割りを果たし得ない状態にあるわけです。基本的には原子力委員会のあり方にかかわる問題でもありますし、こういった問題について、私は、根本的な検討を抜きにして、ただ機械的にこの原子力局を二分をする、実務を担当する局だけの設置というのでは本当の意味でメリットもないんじゃないかというふうに思うわけです。  私たちの党も、お読みになっていただいていると思いますが、昨年、この問題で安全優先、国民本位の原子力開発についての提言というのを発表しています。この中身についてきょうお話をするという時間もありませんし、ごらんになっていただいていると思いますが、この中でも、いま私がお話ししましたような問題に関連して幾つかの具体的な提言も行っているわけです。  そこで、この安全審査を中心にした根本的な、いまの原子力委員会を初めとしたあり方、こういう問題との関係を、今度の提案と関連して政府の方の大臣のお考え、こういったものをまず聞かしておいていただきたいと思います。
  104. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 原子力委員会と原子力局というものは無関係でないのでありまして、原子力委員会の実質的な事務局をつかさどっているのが原子力局でございます。したがいまして、原子力委員会で基本設計等の審査をする場合には、当然その事務局である原子力局もそれに参与していることは事実でございます。  ただお話しのように、「むつ」の問題以来、抜本的な原子力行政の改正をしようという場合には、文字どおり抜本でございますので、原子力委員会まで含めてその改革をすべきであるということだと存じます。アメリカ等でも、この一月から原子力委員会を廃止いたしまして原子炉規制委員会ということになったのは御承知のとおりであります。そういう情勢等も勘案し、日本自体でもそういう必要性にも迫られているように見えますので、原子力委員会がみずからの改革ということは、これは自分自分の改革というのは、なかなかそう思い切った改革というものはできないと存じますので、内閣に別の機関をつくりまして、そこでただいませっかく、きょうもやっておりますが、せっかく検討中なことは御承知のとおりでございます。  その結論が出まして、原子力委員会まで含めた全体系の改革案というものが出てくるわけでございますけれども、それではそれができて、それが実施に移るまでずっと待っておるか、現状のままでよろしいかといいますと、けさほど申しましたように、実情をありていに申し上げますと、実は去年の暮れに、いま原子力発電を持っている地域の、八県ばかりありますけれども、知事さんが集まりまして、そして「むつ」の問題以来、原子力の安全という問題に対して地方の行政の責任者としてはまことにつらい立場に立って、これ以上は一歩も進めないような実情でございますと、そこで国として何とかこの際安全の問題に対してはっきりした姿勢を示してもらいたい、姿勢とは、単に口頭でこうやるというのじゃなくて、具体的に、まず万全でなくても、経過的な措置でも結構だからとりあえずこういたしますという一歩前進した姿というものを具体的に示してもらいたい、そのことによって、われわれもまた思いを新たにしてひとつ前進を図ろうじゃないか、こういう意見が大変強うございました。全部の知事さんがそうでございました。  そこで、私も考えてみますと、抜本的な改正をやる必要性は十分心得ておりますけれども、しかしそれを待つと、なかなかそれまでの間何もせぬというわけにもまいりませんので、この際、経過的な措置ではございますけれども、原子力局の開発と規制関係を一緒にしておったのを、せめてこれを分断して、そして規制に対する責任の所在というものを明確にした方がその要請にこたえる一つの道だ、全部ではございませんし、また完全ではございませんけれども、一つの道であるというふうに考えまして、閣議では、新しい部局は一切つくらないという決定をしたばかりでございましたが、その話を聞きまして、これではいかぬというのでこういう処置に出たのでございます。
  105. 中路雅弘

    ○中路委員 抜本的な検討が必要だということは大臣もおっしゃっていますし、今度の問題が過渡的な処置だという御発言もあるわけですが、この提案理由、先ほど読みましたけれども、ここにも安全性について「国民から万全の信頼を得ているとは言いがたい」と述べて、「安全性確保のために万全を期し、国民の理解と協力を得なければならない」このためにこの局をつくるのだという御提案ですから、これではいま国民の不安に思っている、また問題を解決する根本は、この原子力委員会を初めとした安全審査を含めたこのあり方、こういうものに対する根本的な検討が必要じゃないかという、あくまでこの設置は安全審査の実務を担当する局ですから、この問題で、このために、安全性確保のためにこの局をつくるのだという提案理由ですと、安全という名前で、真の問題がどこにあるのかということ、何にメスを当てて改善をしていかなければいけないかということを、もっとひどく言えば覆い隠すような役割りというふうになってしまう。こういうことをやっていますから、もう大丈夫なんだというふうになれば、問題の根本的な解決がそれで隠されてしまうというふうに私は思うわけです。  だからこの点で、この局の設置がいま過渡的な処置だということをお話しになりましたけれども、やはり根本的な原子力行政についてはいまメスを入れなければならない、また急いでこのことについて政府としても取り組まなければいけないという問題について、いま大臣お話しになりましたけれども、その認識について、もう一度はっきりとさしておいていただきたいと思います。
  106. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 抜本的な改正を、これは国の大本に属する問題でございますから、慎重に構えて、そしてこれが対策を樹立し、実行に移すのは大変必要なことだと存じます。これは余りあわててやるべき問題ではない、国の大問題でございますので。さらばと言って、それが済むまで何もせぬかというと、そうはまいりませんので、たとえば原子力安全局をつくった、そのメリットと申しますか、安全に対するメリットはどうかと申しますと、根本的な一つの構えば、先ほど申しましたように、国の原子力安全に対する行政府としての姿勢の一端をまず示すということが大きなねらいでございますけれども、単にかけ声だけで中身はどうなんだ、こういうことになりますと、私は、三つに分かれると思います。  一つは、安全研究で特にいま一番問題になっていますのは軽水炉でございますから、将来の動力炉をどうするというその安全の問題もあります、ありますけれども、さしあたって発電あるいは船等に使う原子炉は軽水炉でございますので、軽水炉に対する安全の研究、これが従来、日本は十分かといいますと、決して十分ではございませんので、これがいま大変反省を要しているところですけれどもアメリカから完成炉ということで輸入いたしましてその安全に対しては、実は完成したものでございますから、研究炉じゃないということで原子力研究所もなかなか手をつけなかった。輸入してまいりました発電会社あるいはメーカーも、軽水炉の安全に対しては、それほどシリアスには考えなかった。ところが、やってみますとそうじゃない。いろいろ故障が起きてくる。これは御承知のとおりでありまして、そうでありますと、この際、遅まきではありますけれども、せめてドイツ程度に日本も軽水炉の安全の研究を思い切ってやらそうじゃないかということで、実は二、三年前からこの問題に、原子力研究所で真剣にただいま取り組ませております。今後、九電力あるいはメーカー、全部総合いたしまして、この問題を、さらに全国的な視野で研究させるということも当然必要でございますし、そういう点を、まず呼びかけて推進するのが、この安全局の一つの任務だと存じます。  第二点は、審査、検査でありまして、いかに検査、審査がりっぱでも、本体自体が悪ければどうにもならぬですから、さっき言ったように、本体自体研究の段階で十分に大丈夫だというものをつくらせることがまず第一で、第二は、さらにそれを、念を入れて審査、検査をして誤りないようにすることが大変重要でございます。  そこで、この審査、検査でありますけれども、従来は、基本設計というものは原子力委員会、詳細設計あるいは現物設計の実物検査等は運輸省、通産省とでそれぞれつかさどっておったのですけれども、今度の「むつ」の問題以来、幾らやってもその責任の所在というのが非常に不明確である、概念規定も分明でないといったようなことがございまして、せめてこの問題が——さっき申しましたように、有沢機関で一元的な案ができますれば、それはおのずから解決してくると思いますけれども、その間、それじゃ従来のままでよろしいかというと、私はそうは思いません。したがって、どうしても今度できます原子力安全局が中心になりまして、そして各省で詳細あるいは現物検査をする際には、行政府同士として連携をとって、その間少しでも誤りないように問題を処理していくのが科学技術庁としては当然ではなかろうかということを考えまして、それが一つ大きい任務になると思います。  それからもう一点は、国民の信頼感を失っているわけですから、この原子力の安全問題に対して、安全になるようにいろいろ措置は講じますけれども、同時に国民に、どうしてこれを理解させ、御協力を得るかという大きい問題が一つございまして、この問題こそは従来の行政では見られない一つの新しい分野でございます。したがって、こういう問題に対して、いままで以上にもっといろいろ工夫をこらして御理解を求めるということが必要かと存じますので、そういう点も合わせるという、この三つの大きい理由でございますが、なおあわせて申し上げますと、たとえば核防条約が批准されますと、査察を日本が今度やるようになりますので、そういうためのいろいろな準備、整備がどうであるとか、あるいは各国でいま非常に問題になっておる核燃料あるいは特殊核分裂物質、そういうものが盗難にかかったらハイジャックにかかったらどうするか、その対策いかんという問題が世界的にいま非常に問題になっております。そういう問題に対して、十分法的な措置その他も講ずる必要があります。  それからまた、考えますと私、原子力局の中にそのまま従来混在しておったものをこの際分けて、そしてそういう責任分野を明確にしていくということが、万全でないにしても一つの前進じゃなかろうか、また国民の要望にこたえる道じゃなかろうかと思いまして、こういう措置に出た次第でございます。
  107. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一、二問関連してお聞きしたいのですが、いまお話しになりました新しい局ですね、この局は今度原子力安全局になって、いままでと体制といいますか、人員ですか、それがどういう体制で人員はどれくらいふえるのですか。
  108. 片山石郎

    片山(石)政府委員 従来の原子力局でございますが、従来は定員百五十三名でございました。今度の場合は、原子力安全局の方だけで定員百名、それから原子力局は七十二名、合計いたしますと百七十二名になりますので、十九名のネット増ということになります。  なお、つけ加えて申しますと、従来、原子力局の中でいわゆる安全関係事務をやっておりました人間の数は百五十三名の約半分の七十六名でございます。それが百名になるわけでありますから、安全関係について申しますと、二十四名の増でございます。と申しますのは、先ほど申しました十九名以上に振りかえをいたしておるということでございます。
  109. 中路雅弘

    ○中路委員 今度、安全局でその仕事の関係で言えば二十名余りの増だというお話なわけですが、しかしこれは、これからの原子力発電の開発規模と比較しますと、現在千五百万キロワットくらいですか、これが安全担当の人員増との関係で、たとえば五、六千万キロワットになりますと、原子力発電の開発規模の比較では、約四倍くらいになるわけですね。人員は百名で約二十名余りふえますけれども、原子力発電の開発規模と比較すれば、こちらの方はこれまでの四倍を扱うということから見れば、実質的に強化をされておるというよりも、単純にそれを比較しますと、むしろ扱う仕事の量から言えば後退にもなるということも言えるわけですね。パワー当たりの人数というのはぐっと減らされるという関係になりますから、こういう体制で、先ほど大臣が言われたような仕事が、局をつくって体制の上でも本当にやっていけるのかどうかということについても大変まだ私は納得できない面があるのですが、今後この局を、そういう面では一層強化をされていかれるという考えなんですか。扱う仕事はどんどんふえるわけでしょう。
  110. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほども申し上げましたように、日本の行政体制と申しますか、あるいは政治全般と申しましょうか、少し口はばったい表現でございますが、時代の非常に急ピッチな変化に対応できるほど弾力性を持っておりません。したがって、こういう新しいプロジェクトというようなものができた場合には、それに即応するような弾力的な措置というものはできるはずでございますけれども、しかし実際問題としてはなかなかむずかしい状況であることは御承知のとおりでございます。その間を縫いましていま、無理と申しますと語弊がありますけれども、大英断でこういう措置に出たわけでございまして、それではいますぐ人数をふやしたりなんかして大ぶろしきを広げ得るかというと、これまたなかなか困難でございますので、とりあえずはこれくらいで出発いたしまして、そして逐次充実していくという方向に向かっていきたいというふうに考えております。
  111. 片山石郎

    片山(石)政府委員 若干数字的なことを申し上げたいと思います。  実は、いま申し上げました百名の数字でございますが、これに対応する過去の数字はどうでありましたかということを申し上げますと、昭和四十八年度末の定員は五十四名でございました。先ほど申し上げました四十九年度末は七十六名ということで、去年、ことしとかけまして、政府部内におきましても一生懸命努力いたしてくれまして、こういうふうに増加しております。これはごく普通の行政機関にはあり得ない人数の増加でございまして、今後もこういう努力は続けたい、こう思っております。その点が第一点でございます。  それから、先ほど大臣からちょっと御説明申し上げましたように、安全審査をやるためには、そのバックになる研究なり、それをサポートするいろいろな安全解析とかそういう仕事がございます。そういう関係の仕事についてちょっと申し上げますと、原子力研究所の中にことしから、安全性試験研究センターという組織をつくりまして、従来からやっておりました安全関係の研究をここで統一的にやろうということで、人数を九十四名から百六名に増加いたしました。  それから、特に解析関係やコード開発、これは安全審査に密着したバックアップ組織でございますけれども、その組織をはっきりさせまして、去年四十二名で発足させたわけでありますが、ことしは五十一名ということで強化をいたし、そういうバックアップ組織も大いに強化しているわけでございます。
  112. 中路雅弘

    ○中路委員 私は後で、原子力艦船の放射能体制の問題と関連して、体制あるいは人員の問題は、もう一度お聞きしたいと思うのですが、そちらに入る前にもう一点お聞きしておきますが、いま問題になっています例の「むつ」の新母港の決定の問題ですね。  すでにお約束された期限は切れているわけですし、まだ行き先もわからないのですが、先日、総理の諮問機関である「むつ」放射線漏れ問題調査委員会がまとめた調査報告内容というのがありますね。この中にも、原子力開発について広く国民の理解を得るための努力として、こういうことを述べています。「さらに重要なことは、今後、ことにあたる責任者が地元の住民とも責任をもって話合いをし、情報を正確に伝え、理解を得る努力をすべきことである。この努力を怠るようでは、地元住民の不信感をつのらせ、一層混乱を深刻にし、広範囲に悪影響を及ぼすものであって、今後の原子力開発の推進をになうことはできないと考える。」というふうにこの調査報告は述べているわけですが、私は、いま新聞等でどんどん表へ出てくる報道を見ますと、科学技術庁や運輸省が、新母港決定に当たって、この政府自身の諮問機関が出した報告書の指摘さえ、十分こういう方向で努力をされておられるように見えないわけです。  関係地方の自治体や漁民の皆さんや住民の不安、こういう疑問に——この人たちは、いままでの原子力行政に対して非常に強い不信を持っているわけですから、なかなか困難なわけですが、それがいろいろ決定までの、いま打診をされているんでしょうけれども、その動きが、そこの地域の住民の不在のまま、知らせずというような形で、新聞によると、いわば秘密交渉的なこともやっておられるような動きしか見えないわけですね。  そこで、この新母港決定にはどういう方針でいま折衝をされているのか、簡潔にちょっとお答え願いたい。いまのこの諮問の報告書が出しておるこういう立場から見ても問題があるのではないかと私は思うわけです。
  113. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 実は、私どものいまとっております根本的な態度は、大体その報告書のとおりだと考えております。中央政府で決め、あるいはこれを地方の行政府に流して、その合意を得ればそれで決定したというふうな権力的なやり方は決してとらぬつもりでございます。  しからばどういう方法があるかといいますと、少しでも候補地が新聞に載りますと、明くる日にはもう反対の電報の山でございまして、私の手元にはいっぱい地元から反対の電報が参ります。ですから、この問題を選定して、私ども自体としては、いろいろな面から二十数港選びましてこれを決めたいと思っておるのでございますけれども、いま申し上げましたように、事前にこれを現地に交渉というわけにはまいらない事態がございまして、たまたま悪いことには地方選挙がございまして、下手に発動すると選挙妨害になるぞという大変なけんのんな事態に逢着しました。したがって、不本意ではありましたが、統一選挙の済むのを待ちまして、さていよいよ交渉に入ろうかと思いますと、地方議会の方の編成、議長その他決まるのがなかなか手間取りまして、実際は開かれないというようなことで、それを待ったりしておりまして、いよいよ大体準備もできたようだから、それではひとつ第一順位に選んだところの交渉に入ろうか、そしてその交渉も、一気にすぐ県知事に正式交渉ということでは、これは知事さん自体もあるいは困るかもしれませんし、それにもまして困るのは、地方の、当該県から選出されておる国会議員であることは間違いございません。自分の了承も得ずして、あるいは事前に通報もしないで、国に帰ってみたら、もう科学技術庁の連中あるいは運輸省の連中が実地調査に入っておった、あるいは町長、村長あるいは地元の漁民の皆さんにいろいろな話をかけておったということになりますと、これは国会議員としてはたまったものではありません。私自体も国会議員でございますから、そういう失礼なことはできない。  そこでまず事前に、知事さんにお願いする前に、県選出の国会議員の皆様に礼を尽くして、いろいろ打診と申しますと大変失礼ですけれども、あるいは懇請をしようということで、これは必ずしも自民党だけというわけにいきませんので、まず自民党の皆さん、それから社会党、民社党というふうに順を追っていろいろ打診をしておった途中にああいう事件になりまして、もう国民皆さんも大変なことで反対運動になりまして、中央にも陳情を受けました。そこで知事さんは、自分らはまだ正式な交渉を受けていないけれども、しかし事態を円満におさめられるならば、この際、白紙還元でしばらく静観してもらいたいという御希望でございますので、私どももそういうようにいたしました。  次いで、いままでの青森の皆さんにも、これはやはりこういう事情でございます。やむを得ぬじゃありませんか、青森の方の希望に沿えるようにいたすためには、この際、こういう措置をとった方がいいんじゃないかと思うというお話をして了解を得まして、青森の方でも早く決めてもらいたいことは事実だけれども、と言って円満にやらずに「むつ」とまた同じような騒擾を繰り返すということは、これまた本旨でないので、ひとつ円満におさまるように配慮をしてもらいたいという希望でもございますので、ただいまそういう点を踏まえまして静観をし、かたがた地元の要請の場所もいろいろございますので、そういう点の調査と申しますか、そういう点も進めつつ、焦らずに円満に解決したいということで進めている最中でございます。
  114. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、先ほどからお話ししています、いままでの原子力行政に対する国民の不信、これが根底にあるわけですから、やはり安全の問題を優先した原子力行政に対する姿勢、そういうものをしっかり確立するということなしにいろいろ交渉をしても、これは非常に困難な状態にあると思うのです。だからこの問題は、やはりもっと政府としてはっきりこういう体制でやる、安全審査はこうしていくのだというようなことをもっと明確にされるのが前提になるのではないかというふうに、いまの動きを見ていまして強く感じるわけです。  これと関連して、午前中も御質問ありましたけれども、数日前、佐世保の辻市長が、十八日ですか、原子力船むつ」の修理、幾つかの条件がかなえられるならば、佐世保港に誘致してもよいという見解を発表されていますが、これは皆さんの方からお話があったのか、それとも佐世保の辻市長が独自の立場で見解を表明されたのか、また独自の表明だとすれば、皆さんの方でこれについてどういうように対応されるお考えがあるのか、一言お聞きしておきたいと思います。
  115. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 佐世保の市長さんが、おとといでございますか、新聞お話しになったようでございますが、事前に折衝はございません。ただ、新聞によりますと、佐世保で母港というよりは修理、修繕、点検の港として受けたいという御希望のようでございまして、私どもといたしましては、実は大変ありがたいことだという感謝の念でいっぱいでございます。  と申しますのは、「むつ」はただいま青森県にございまして、これを、二年半を目途にして第二母港に「むつ」の本体を移してもらいたいという話になっております。もちろん、その契約は履行するつもりでございますけれども、受ける方の第二母港の候補地の人たちの、少なくとも長崎対馬の例を一つのサンプルとして、悪い表現ではございますけれども考えてみますと、その他の地区も大体同様のようでございますが、安全性の確認のないものは困るという強い地元側の主張であることは間違いございません。これもまた無理からぬ御主張だと思います。  そこで「むつ」が安全なりやどうかという点に関して大山委員会報告が出ましたので、これで安全だということが立証されたじゃないですかと言っても、それは困る、あの報告書にあるように修理も済まし総点検もして、要すれば原子力委員会としてその裏打ちをして、これが安全であるということになれば、初めてそのもの自体が安全だと立証されたことになると思うので、できたらそういう状態にして港に入ってもらえないか、こういう希望のあることば、これは否めない事実でございまして、青森県で危険だと言うものを、なぜそれではわしらの方に持ってこなければいかぬのですかと言うのは、これは素朴な、しかも当然な一つの考え方だと思います。  そこで、できますれば、私どもも修繕を済ませ、総点検を済ませて、これで大丈夫でございますよということで母港に持っていくのが、一番行政府としての務めだとも存じましてそういうふうにいたしたい。原子力委員会でも、先般、大山委員会報告会の結論を踏まえまして検討の結果、その全部の結論ではございませんが一つの結論として、そういうことが望ましいという結論にもなっております。という際に、たまたま佐世保の市長さんからああいう御発言が出るということは、私どもとしては、全くありがたい次第だと思うのは当然でございまして、いますぐ交渉に入るということではございませんけれども、できるだけひとつ、いろいろな資料等の検討をしてみたいというふうにただいま考えておる最中でございます。
  116. 中路雅弘

    ○中路委員 これは佐世保港とも関連があるのですが、私は、きょうこれから、いままでの原子力艦船、アメリカの原子力軍艦の寄港と関連して、この放射能の監視体制の問題について少し具体的にお尋ねしていきたいと思うのですが、その前にことしの四月の二十一日に、横須賀ですが、原子力潜水艦のハドック号が入った際に、微量放射能を測定した警報が連続して五回鳴っているわけですが、皆さんの方の発表によりますと、この中で二回から五回までは停電等による電源系統の事故だったということが発表になっておりますが、最初の二号モニタリングポストの問題については、なぜかという原因についてまだ発表されていませんが、これはどういう原因だったのかおわかりになりましたか。
  117. 生田豊朗

    生田政府委員 本年の四月十九日に、アメリカ原子力潜水艦のハドックが横須賀に入港したわけでございますが、その入港停泊しております間、ただいま御質問のとおり、四月二十一日の夜に警報装置が数回にわたって作動いたしたわけでございます。そのうちの二回目から四回目までの分につきましては、停電系統のアラトムが鳴ったものでございまして、同時刻ごろに米軍基地内に停電があったことも判明しておりますので、停電が原因だろうと推定したわけでございます。  第一回、これは二十二時二十八分に二号ポストの水中系の自動警報が鳴ったわけでございますけれども、これにつきましては、漏水あるいは機器の不調であると判断しております。その根拠といたしましては、艦尾——潜水艦のしりの方でございますが、艦尾で採取いたしました水の波高分析結果、それからモニタリングポストの記録紙の波形、それから出港後海底土をとりましたそのどろの分析結果から総合的に判断いたしましてそういう結論を出した次第でございます。
  118. 中路雅弘

    ○中路委員 私も、この二号ポストを昨年直接見たこともあるのですが、このポストの機器自身が耐用年数がもう来ているということも、私が行ったときに現地でもお話がありましたけれども、いまも機器の中に水が入ったんじゃないかとかいろいろ推測をされているわけですが、こういう耐用年数の来ている機器を置いて、それが何か水漏れがあったんじゃないか、それでアラームが鳴る、しっかりした原因もはっきりしないという状態ですと、実際測定にも大きな障害になるんじゃないかと思うのです。  今度の問題は、その前にもこれは一号ポストですが、たとえば二月にもアラームが鳴っている事故もあるわけですけれども、こういった点で機器の更新その他について、あるいはこれを一度全部引き揚げて、水が入ったという機器にやはりそういう障害があったとすれば、二号ポストについて全面的な点検をし直すとか、そういうことはこれからやられるわけですか。
  119. 生田豊朗

    生田政府委員 二号ポストにつきましては、確かに御指摘のようにかなり古くなっておりますので、本年度の計画でそれを取りかえることにいたしております。その間、原子力軍艦が入港いたしましたときの問題も確かにございますので、そのときは予備器を使いまして測定するようにいたしております。
  120. 中路雅弘

    ○中路委員 それでは二号ポストは更新されるというお考えですね。——科学技術庁が作成されました「原子力軍艦放射能調査指針大綱」というのがあります。これは日本分析科学研における各種分析の測定値の捏造問題が起きまして約半年、原子力艦船の入港がとめられていたわけですが、その後、この調査指針大綱が一部改正をされて、これに基づいて横須賀等の放射能の監視の体制がやられていると思うわけですけれども、この問題に関連して、私、きょう幾つか御質問していきたいと思うのですが、この調査大綱の内容ですね、どういう手段を併用して調査をやっておられるのか、私も持っていますからわかるわけですけれども、ごく簡潔に、いまの現地の放射能の監視体制というのは、どういうやり方をとっておられるのかということを最初お話ししていただきたい。
  121. 生田豊朗

    生田政府委員 簡単に申しますと三種類の調査をやっております。  一つが、定期調査でございまして、四半期ごとに、海水、海底のどろ、海産生物を取りまして、その中の放射能の測定をいたしております。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕  それから二番目が、非寄港時調査でございまして、これは後に申します軍艦寄港時の調査に対応するためのものでございまして、寄港時以外にその放射能調査をいたしております。  三番目が、寄港時調査でございまして、軍艦が寄港いたしましたときに、周辺の放射能水準を観測いたしまして、軍艦からの放射性物質の排出を監視いたしまして、さらに異常値がもしも発生しました場合には、その原因を追及いたすようにいたしております。
  122. 中路雅弘

    ○中路委員 調査の体制といいますか、どういう手段を併用して調査をやっておられるかということも、簡潔にお話ししていただきたい。
  123. 生田豊朗

    生田政府委員 調査をいたします機器でございますけれども、モニタリングポスト、それからモニタリングポイント、それからモニタリングボートを使っております。沖繩ではモニタリングカーも使っております。  人員といたしましては、科学技術庁、海上保安庁、県または市当局、この職員によりまして調査班を編成いたしております。
  124. 中路雅弘

    ○中路委員 そうしますと、寄港時、非寄港時などで、調査の時期あるいは状況等によって組み合わせばいろいろありますけれども調査の手段としては、放射能監視の手段としては四つですね。モニタリングポストによる放射能の測定、それからモニタリングポイントによる測定、それから沖繩はカーも使っておりますが、モニタリングボートによる放射能の測定、あとは海水、海底土、海産生物の分析という、大きく言って四つの手段が併用されているわけですね。  私は、この問題について、このポイントもポストも全部現地で見てまいりましたので、それと関連して、きょうは、私自身がこれはぜひ改善する必要があるのじゃないかということを、具体的な問題で幾つ感じましたので、ひとつ積極的な、私の方の意見として述べながら、質疑を少し進めてみたいと思うのです。  モニタリングポストですが、米軍基地の中に三カ所と自衛隊の施設の中に一カ所、四カ所あるのですが、原潜放射能、一次冷却水や放射性の物質が流出した場合に、いまの機器によりますと、モニタリングポストで、どれぐらいな放射能が出た場合に検出できるのか、おわかりになりますか。
  125. 生田豊朗

    生田政府委員 各種分析をいたします場合の分析目標値でございますけれども、たとえばコバルト六〇の場合、海水につきましては、機器分析をやります場合に、〇・一ピコキュリー・パー・リッターでございます。海底土につきましては、同じく機器分析の場合、五十ピコキュリー・パー・キログラム、海産生物につきましては十ピコキュリー・パー・キログラム、これは生のものでございます。これを分析目標値といたしております。
  126. 中路雅弘

    ○中路委員 これは、私たちの調査に同行していただきました、たとえば立教大学の服部先生の見解も聞いたのですが、このモニタリングポストで空中、水中の線量をはかる機器ですね、水中については放射線源から出るガンマ線が、御存じのように距離の自乗に逆比例して弱くなってくるわけですし、それだけじゃなくて、この線源とカウンターとの間の海水によって減衰もするわけですから、一次冷却水程度の放射線では、守備範囲が大体数十メートルということだというのが服部先生のそのときのお話でした。私自身、御案内いただいた科学技術庁からお見えになった技官の皆さんに、原潜でどのくらいの放射能が出た場合に、これで検出できるのかということをお尋ねしたことがありますけれども、それについての科学技術庁の技官の皆さんのお答えは、一次冷却水二トンが一時に放出されて水塊となってポストの方向に真っすぐに移動をしてきた場合は検出できるというのがそのときのお答えだったわけですけれども、いま服部先生や現地の案内していただいた技官の皆さんお話も一、二紹介しましたけれども、大体この四個のポストの検出能力、守備範囲といいますかは、いま私が言ったような、たとえば大体その程度のものですか。
  127. 生田豊朗

    生田政府委員 この放射能測定の能力の問題でございますけれども、私どもは、モニタリングポイント、モニタリングポスト、モニタリングボート、この三つが、いわゆるモニタリングシステムという形で全部関連させまして周辺住民の安全の確保という観点から配置されているわけでございます。したがいまして、ただいま検出限界のことも御説明申し上げたわけでございますが、非常に極端な場合、一次冷却水が非常に少量、これはたとえ話でございますが、一滴出たかどうかということが検出できるかどうかということになりますと、これは検出できないわけでございますが、現在のモニタリングシステムの能力をもちまして、周辺住民の安全という観点からは十分測定できる、かように考えております。
  128. 中路雅弘

    ○中路委員 六、七年前ですか、例の佐世保でのソードフィッシュ号の異常放射能事件がありましたけれども、この一次冷却水放出によると思われる放射能汚染を発見したのは、佐世保の場合、モニタリングボートなわけですね。この際は、モニタリングポスト、ポイントは、いずれもそれを検出できない、感じていないというのが佐世保の状況だったわけですから、佐世保で問題になったあのソードフィッシュ異常放射能の問題はボートで発見したということで、この程度ならば、ポストやポイントというのはこの事故には、いわば大きな役には立たなかったということ、これはこの七、八年前の事故で言えるんじゃないかと思うのです。それだけに、このポストをどこに設置するか、あるいは原潜がどこに入港するのかという関係の問題は、私は非常に重要じゃないかと思うわけです。  横須賀に例をとってお尋ねしますが、ここ二、三年くらいの、原子力艦船が主として寄港するところは、ここに地図もありますが、横須賀港の中で主としてどこですか。
  129. 生田豊朗

    生田政府委員 いろいろございますけれども、最近では六号ドックに入るケースが比較的多うございます。
  130. 中路雅弘

    ○中路委員 私も現地を自分で見ていますから、私の方からむしろお話ししていく方が時間も節約になるのでお話ししていきますけれども、いまお話しのように、原子力艦船がここ三年で私、調べてみましたけれども、七割が六号ドックに入っています。残りが大体八号バース、それから沖泊まりというのがあるわけですけれども、いまお話しのようにほとんど六号ドックに集中しています。頻繁に停泊するのが六号ドック、ほぼ最近はそこへ集中している。  四つポストがあるわけですが、六号ドックに一番近い一号ポストでドックから約四百メートル離れています。私もずっと現地を歩いて調べてみてお聞きもしたのですが、ドックの中にはポストの設置はアメリカは認めていませんし、ポストは設置されていないということなので、一番近いのは一号ポストですが、これで大体四百メートル近く離れている。  三号ポストというのは、地図を見せないとちょっとわかりにくいのですが、第六、第七バースの岸壁のすぐ近くに設けられているわけですが、ここはこの数年間原子力艦船はほとんど接岸していない。六号ドック以外に八号バースに若干入ったことがありますけれども、この八号バースは一号ポスト、それからいま言いました三号ポストからも五百メートル以上離れているわけですね。  二号ポストというのは、港外に向けて設置されていますから、これは沖泊まりの対策でもあると思うのですが、沖泊まりの原潜の泊まるところの位置からいうと大体千メートル以上離れているという状態ですし、三号ポストからこの沖泊まりの原潜が泊まっているところは二千メートル以上離れています。  あと、自衛隊の基地内にある四号ポストというのは、原子力艦船が停泊するドックあるいはいまのバースから見ますと約二千メートルも離れているわけですし、あるいは軍艦が通過するコースの関係で見ましても、至近点でも大体数百メートルの距離がある。  現地を実際に見てみまして、こういう現状にあるわけですが、このポストの実際の検出能力、そういった点から言いまして、これは先日の委員会でも問題になりましたけれどもアメリカの方自身が、監視体制が少し強化をされてきているので、もう六号ドックに入るしかない、逃げ込むしかないということも言っているわけですが、意識的にこの六号ドックへいま集中しているのではないかと疑わざるを得ないような状況なわけですね。実際のポストの能力から言いまして、いま言いましたように、最も近い距離でもこれだけ離れたところで、いわば六号ドックというのは、その中の一番盲点になっているというか、離れたところになっているという配置ですから、実際にいまのポストの監視方式というのは、現状の配置のままでは放射能監視の機能を十分果たすことができないのではないか、有効な役割りを果たすことができないのではないかということを、現地へ行ってこのポストの配置、最近の原子力艦船の入港の状態を見て痛切に感じたのですが、この点についてどのようにお考えですか。
  131. 生田豊朗

    生田政府委員 いわゆる放射線、特に先般、本委員会でも御審議いただきました直達ガンマ線、それの感知能力でございますが、確かに六号ドックとモニタリングポストの間は相当距離がございます。したがいまして、ほかのバースに停泊いたしましたときと比較いたしますと、それだけ感知能力が実質的に低くなるというようなことは考えられるわけでございますが、ただ一つ、原子炉から出ます直達ガンマ線は、当然原子炉が作動しているときに出るわけでございますが、入港時にも、もし直達ガンマ線が出るものであれば当然出るわけでございまして、入港いたしますときには、一号ポストの百メートルぐらいのところを通るわけでございますから、もしも直達ガンマ線が出るものであれば、入港時に一号ポストでそれを捕捉することは可能であろうかと考えております。したがいまして、全般的に現在のモニタリングポストその他の配置、あるいはモニタリングボートでの測定もやっておりますので、それもあわせまして、全体のシステムとして周辺住民の安全という観点からは特に問題はなかろう、かように考えております。
  132. 中路雅弘

    ○中路委員 これは私だけじゃなくて、何人かの専門家皆さんもこの視察には協力をしていただいた、また技官の皆さんに案内していただいた、その御意見も聞いて私は言っているわけです。その皆さんの意見が、いまの寄港の経過、六号ドックに集中する——これは私もそうですか、実際に現地に同行しておられた専門家皆さんも、ポストの設置個所との関係で言えば、それを回避して接岸個所をアメリカが選んでいる形跡が非常に強いという意見なんですね。そうだとすれば、私もそう思うのですが、やはりポストを置く以上、それが有効に設置されなければいけない。ここでも大丈夫じゃないかというのじゃなくて、最も有効な個所はどこかということでポストというのは当然監視体制の上では設置されなければならないと思うのです。また逆に言えば、そういう監視体制の中にないところには接岸をさせない。同じ横須賀港であっても、監視体制があるところには入れるけれども、十分でないところには入れないというような方法も考えなければいけない。そうしなければもっと監視体制の弱いところへ、皆さんの意見があるように、そこをわさわざ選んで——アメリカでもそう言っているんですからね、実際に。そこを選んで、ポストの設置個所を回避して集中して入っている形跡さえあるというのが、見た人たちみんなの意見ですから、その点で、たとえば六号ドックの中にポストを設置するということにアメリカの同意が得られないということになれば、それなりの対策はまた考えてみる必要がある。  それで、たとえば先ほど沖繩にはカーが置いてあるというお話でありました。沖繩になぜカーが置いてあるかと聞きましたら、ポストの体制が不十分なので、これを補う意味も兼ねて沖繩にはカーを置いたというお話です。私は、たとえば横須賀にカーを置くということになれば、六号ドックの近くにもカーに機器を積んで、車と機器さえあればいいわけですから、カーを置けば接岸個所が変わっても、そこで一応ポストの役割りを果たせる、大した費用でもないというふうに思うわけです。  横須賀の現地を見て、本当にこのポストが有効な役割りを果たすためには二つあると思う。一つは、ポストの設置個所を、いまのアメリカの原子力艦船が停泊する、そういう関係で最も有効な配置をしなければいけない。その場合には、たとえばカーの問題も当然考えてもいいじゃないか。沖繩だってカーを置いているわけです。いま横須賀に集中しているわけですから、入っているのは。もう一つは、監視体制のもとにあるドックやバース以外には接岸を認めない、今度は逆に。そういうことを日米間で取り決めるという、この二つのことが最低、ポストの問題だけについて言えば必要ではないか。そうでなければ、このポストが本当の意味で有効なポストとしての役割りを果たさない。  いま私が言ったことは、これはいま皆さんがすぐオーケーで返事ができる問題じゃありません、アメリカとの交渉もありますから。しかし日本側の意見としてそういうことを今後アメリカと話してみるということは可能じゃないか。たとえば監視体制がこうなっているというところに、それから非常に離れたようなドックやバースには接岸はさせないということを日米で取り決める、こういうことは外交交渉ですからできるわけです。また六号ドックに集中しているとすれば、六号ドックにカーなどを配置する。このドックの中にポストをつけるということをアメリカが認めないということになれば、ここにはポートも入れないわけですからね、六号ドックには。ボートの話もありますけれども、ボートの入れないところですから、そこは沖繩のようにカーを使う。そんなに大した予算をかけるわけじゃない。車さえあれば、それに機器を積めばいいわけですから。  そういうことで、現地の監視体制が不備だということを私は指摘するのではなくて、こういうように改善したらどうかということできようは意見を言っているわけなので、すぐそうしますという答弁は、アメリカとの関係がありますから、当然皆さんの方では無理だと思いますけれども、そういう問題の検討をしていただく。私たちの、現地を見て、また専門家皆さんの御意見も聞いた上での提案でありますので、ひとつお考えを聞かしていただきたい。
  133. 生田豊朗

    生田政府委員 御意見大変ごもっともでございますので、私どもの軍艦の専門家の意見も聞きますし、防衛施設庁あるいは外務省とも協議いたしまして検討させていただきたいと思います。
  134. 中路雅弘

    ○中路委員 私もいまの点はぜひ検討していただきたいと思います。沖繩でカーを置かれたというのは、今度の改善の一つの点だったんですね。私たちの不破局長質問して以後、沖繩にカーが置かれたわけですね。——ボートですか。沖繩はポートが新しく置かれたわけですね。しかし沖繩はカーを置いてありますね。沖繩にカーがありますから横須賀にも。横須賀にいま集中しているわけですから。費用もかからないから、いま御答弁もありましたけれども、そういうこともひとつ研究をしていただく。  それからもう一つは、いま十分検討されるとおっしゃいましたけれども、私は、ポストの設置が有効に働くために、それをわざと避けて入るようなことをしないでそこには接岸はしない、同じ港であっても、入れるにしてもそこには接岸しないということを日米間で折衝することは可能であるし、それは市民の皆さんの不安を解消する上でも非常に重要なことなので、いまお話がありましたけれども、防衛施設庁あるいは外務省ともあわせて検討を一度していただきたいということを重ねてお願いしたい。  ポイントの問題については、これはもともとフィルムバッジと同じような役割りですから、相当大きな事故がなければこれで発見することはできないわけですね。異常の場合の早期発見という機能は当初から余り期待はできないわけです。またポイントの個所というのは、何百メートル、何千メートルと離れていますから、これで探知されるならば大変な大事故の場合です。しかし、あえてこの問題についてはいま触れません。  もう一つはボートの運用の問題です。港内を一番自由に航行できて、原子力艦船にかなり近くまで接近して放射能の測定ができるという点では、ポストよりもボートの場合により一層有効な面を持っているというふうに私は思いますけれども、しかし、このボートの実際の運用状況を聞きますと、非常に制約また限界があるように思うのです。  幾つか私たちが調査をして感じた点をお話ししますけれども、一つは、入港、出港の際の追尾は別にしまして、寄港中は一日一回ということになっていますね。所定のコースを回るということですから、この走航中にたまたま検出可能な程度の異常放射能が見つかったときは発見できますけれども、長時間連続放出による放射能汚染に対しては比較的有効だと思いますけれども、原子力軍艦のように予想される冷却水が一時的に放出される、海水中に拡散されるというタイプの汚染に対しては、一日一回ということになればぶつかるときしかないわけですから、非常に限られた監視能力しか果たせない。あるいは先ほど言いましたように、原子力軍艦に接近できる利点があるといっても、いま集中しているドックにはボートは入ることはできない、というよりも禁じられているわけですから接近できないというような問題もあります。  それから第一番に、軍事機密ということで冷却水の放出の口がどこにあるか、全長百メートルからあるわけですから、こういう原子力潜水艦のどこについているのかさえ、日本側には知らされていないというような制約を持った監視の状態ですから、ボートの行動についてもっと制限を取り払う必要があるのではないか。寄港中は二十四時間必要な場合は連続して監視もできるとか、私が直接聞きましたら近寄ると危ないということでおどかされたとボートを運用している人たちが言っていました。それがこわくて余り近くは行けないのだということを率直に言っていましたけれども、実際そういうことがあるとすれば、これはけしからぬことなんで、ボートの運用について、もう少しこれを有効に働かせていくというようなこともあわせて検討をしていただく必要があるのじゃないかということなので、ポートが現実にどういうように運用されているかということを、あらかじめもう一度点検、検討していただけますか。
  135. 生田豊朗

    生田政府委員 ポートにつきましては、一次冷却水が仮に放出されましても、相当長期間これはとどまっている、つまり、そのまますぐに消えてしまうという性質のものではございませんので、一応一日一回という原則で十分測定可能であるというように考えておりますけれども、ただいま御質問がございますので、専門家会議の意見を徴して検討いたしたいと思います。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕
  136. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、今度のこの放射能の監視調査の指針大綱の中で、最もけしからぬと思ったのはこの改正です。六月一日から改正をされた。わが党の不破書記局長質問をいたしまして、この分析研のデータ捏造だけではなくて、現地の監視体制についても弱点があるということで改善も提案をいたしました。その後、入港の再開されるのと関連して大綱が改正をされたのですが、この改正の附則を見ますと、いままでより逆に手抜きになっているのじゃないかということを特に感じるわけです。いままでは両方やっていたわけですね。決め手になるものは化学分析だと思うのですけれども、この海水や海底土及び海産生物の化学分析——いままでは化学分析とガンマ線エネルギーの分析による機器分析、両方やっていたわけですけれども、今度の改正の附則によりますと「海水、海底土および海産生物の核種分析は、七月を目途に」いわゆる機器分析を主にして「化学分析によって補完する方法に切り替える」ということになっているわけですが、現在までこの両方をやっていたわけですが、化学分析によって補完するということで、機器分析を主としてやるということにこの附則で改正をされたというのは、どういう理由なんですか。
  137. 生田豊朗

    生田政府委員 実はこの問題は、昨年の衆議院予算委員会におきます不破先生の御質問以後、私どもといたしまして根本的にいろいろな制度、方法等を検討いたしました際に、専門家の間で非常に議論のあったところでございます。それで専門家の会合を非常に頻繁に開きまして、その結果むしろ世界の大勢あるいはその分析の目的から考えまして、機器分析主体の方が合理的である。それで分析の精度あるいは目的も十分達成できるという専門家の御意見でございまして、機器分析主体に切りかえたわけでございます。
  138. 中路雅弘

    ○中路委員 しかし多くの専門家皆さんの書かれたものを見ましても、御意見を聞いても、微量なものの放出、この検出については、やはり化学分析が最も決め手になるということは明らかでありますし、機器分析の精度が非常によくなってきているというようなお話もありますけれども、やはりこれまで化学分析、機器分析をやっていたわけですから、これを機器分析に切りかえるということになれば、いずれにしても手抜きにならざるを得ない。化学分析の場合、もちろん時間もかかれば費用もかかるということもあると思いますし、お話によりますと、化学分析の場合は結果に個人差が出てくる、職人芸のようなものだというお話もあります。あるいは記録の保存性がどうだというような論議もあるのも聞いていますけれども、しかし、やはり決め手になるのは化学分析が微量なものまで検出できるという点では非常に重要なわけです。  いままでやっておられたこの二つを併用する。どちらかにするということを私は言っているんじゃなくて、いままではこの両方が併用されているわけですね。だから、もちろん機器分析を、精度の高い機器を入れて強化していくというのは当然ですけれども、それを主にして、いままでやっておられた化学分析は従にして補完をするというやり方ではなくて、やはり化学分析もやるし、機器分析もやっていくというのが当然ではないか。どうしてこの化学分析の方を手抜きをされるのかということが私はまだよくわからないのです。いままでのように、分析研のその化学分析が捏造だったということはあります。こんなことをやられたのでは、何度化学分析をやってもどうしようもないわけですけれども、しかし正確な化学分析というのは必要なわけですから、化学分析もやり、機器分析もやるということが安全の上で当然ではないかと思うのですが、もう一度お考えを聞きたい。
  139. 生田豊朗

    生田政府委員 私どもも、機器分析と化学分析の併用体制をとっておりますし、今後も併用してまいりたいと思っております。  現在の考え方といたしましては、一般的な分析を機器分析でやりまして、むしろある核種にねらいをつけてやるときに化学分析をやるというような形になっているわけでございます。これで十分であろうかと考えておりますけれども、この点も先生の御質問がございますので、専門家会議でもう一度御質問趣旨を伝えまして検討させるようにいたしたいと思います。
  140. 中路雅弘

    ○中路委員 私も、三宅先生やいろいろ専門家科学者皆さんの書物を最近幾つか読んでみたのですけれども、やはり化学分析というのが一番決め手になるように思うのです。その点では、いま専門家会議でもう一度検討もしていただくというお話なので、専門的な問題でもありますから十分検討していただきたい。いままで両方やっていたことを片方に切りかえていくということになれば——それは化学分析の場合は費用もかかると思うのです。時間もかかるし、そういう点はあると思うのですけれども、しかし皆さん、あの分析研の反省から一層この放射能調査の問題、監視の体制は強化をしていくという約束をされておるわけですから、改善ではなくて手抜きになるような方向ではなくて、検討していただきたいというふうにもう一度強く要請しておきたいと思います。  それから次は、体制の問題ですが、これは実際に現地に原子力艦船が入るたびに来ておられる科学技術庁の職員の皆さんや、いつもお世話になっている鎌田さんなんかの御意見、皆さんにどれほど声が行っているかわからないけれども、直接私たちお聞きして痛切に感じるわけなんでお話をするわけです。原子力艦船放射能調査の大綱で万全の監視体制を確立すると言っておられるわけですが、これをあずかる科学技術庁に、この監視体制の維持管理、運営に当たる専任の方は一人もおられないわけですね。現在もそうですか。
  141. 生田豊朗

    生田政府委員 現在でも必要な都度、現地に当庁の職員を派遣する体制をとっております。
  142. 中路雅弘

    ○中路委員 いまお話しのように専任の方はどなたもおられない。四十年から四十二年ころの原潜の入港を見ますと、このころには年間六回くらいです。皆さんの方から資料もいただいているのですが、特に四十六年以降になりますと、多いときは一年のうち——まあ入る回数だけじゃなくて滞在期間もふえていますから、横須賀に例をとりますと、大体一年間の半分くらいは原子力艦船が入っているんですね。年に何日というものじゃないんですよ。何回何日というものじゃなくて、事実上原子力艦船の母港になっています。  この点では、いままで原潜の入港の問題でアメリカの方は、この目的は六四年八月の日米双方の覚書で寄港の目的は休養と補給ということに限定していますけれども、最近の動向の特徴は、四十七年あたりからそうですか、沖繩の施政権返還後、連絡と称する寄港が急増しています。だから、実際には覚書自身も踏みにじっていろいろ作戦の基地にもされてきているということも言えるわけです。私どもの不破局長質問の後、半年間は入りませんでしたけれども、それ以外の統計をとってみますと、その前あたりは年間に半年以上は何らかの原子力艦船が横須賀に入っているという現状にまでなっているわけです。動く原子炉というふうに言われているわけです。  横須賀というのは、御存じのように東京湾の入り口で全く人口密集地を抱えているわけですし、後でお話ししますが、艦船の出入りは大変なところです。事故も多い。だから、これはアメリカの上下両院の合同委員会でのテーラー博士やリコーバー中将の証言等を読んでみますと、「原子力潜水艦原子炉は、実際は安全な装置でなく、軍事上必要ある場合を除いては人口密度の高い港に寄るべきでない」ということも証言しています。もっぱら軍事上の必要からこの寄港の問題が行われているわけです。それが、最初は年間何日というのがいま事実上母港になっている。一年の半数以上は入っているというような状態にあるわけです。  そして皆さんの方の体制は、最初のときと変わらないんですね。専従者も一人もいないという状態がいまも続いている。入港が通知されると、科学技術庁の職員の皆さんが日常の仕事の中で、きょうはだれが行けと言われると、ボストンバッグを持って横須賀へ飛んでいく。ふだんは別の仕事をやっている、そういう研究者がかばんを持って飛んでいく。何日かわからない。入港が長引いて長期になると健康上も問題になってくるし、家庭も大変ですね。現地に飛んでいる職員の皆さんは、みんな私たちにそういう苦衷を言います。いつ飛ばされるかわからない、入ってくるとすぐボストンバッグを持って、家庭には電話連絡ぐらいして飛んでいくというようなことをお話をされていますけれども、こういう臨時に通知があると、いままでやっている仕事をほっぽって、ボストンバッグを下げて飛んでいく、これが万全の体制とは私はとうてい言えないわけです。  あるいは日常機器の補修、検査も必要です。そうでないと先ほどのように、水が入っちゃって機器が故障していて警報器が鳴ったのか、原因も不明なわけです。日常点検もない。そういう補修、更新あるいは機器の定期的な検査、こういうことになると今度は市の職員へ下請に出されている。横須賀市の職員が協力をするということで実際には皆さんの責任の仕事をやっているということになるわけです。  これだけの大綱を出して科学技術庁が万全の体制をとるのだという約束をしておられる以上、しかも年間常時母港になって入っているこの監視体制について、その仕事をやっていく専従の職員が一人もいない、これでは万全の体制とは言えないのじゃないか、この点の根本的な改善が必要だと私は思いますし、これは実際入るたびに派遣されている職員の皆さんの強い意見でもあるのです。この点の改善についてお考えがありますか。
  143. 生田豊朗

    生田政府委員 確かに先生御指摘のような点がございます。現在でも監視体制、監視の業務そのものは十分にやっているつもりでございますが、その半面におきまして、ただいま御指摘のようにいろいろ無理がございます。これを担当しておりますのは、原子力局放射能課でございますが、もともと余り職員の数が多くないわけでございますし、この放射能監視以外のいろいろ忙しい仕事も抱えておりますので、潜水艦が突如入港いたしまして、そのたびに職員がかなり現地に張りつけになってしまうということで、ほかの業務の遂行上も問題がございますし、ただいま先生、特に家族その他の問題、個人生活のことで御指摘いただきまして大変ありがたいと思っておりますけれども、そういう点も確かにございます。これの常駐職員を置くかどうか、この点も私どもかねがね考えている点でございますが、全体の機構、定員の問題とあわせまして検討さしていただきたいと思います。  特に本日、午前中の大出先生の御質疑におきまして、この放射能監視測定の業務は科学技術庁がやるべきではないというような御指摘がございました。この点とも関連いたしますので、あわせまして検討さしていただきたいと考えております。
  144. 中路雅弘

    ○中路委員 日本の場合に非核三原則をたてまえにしているわけですし、原子力基本法からいって原子力艦船の問題を科学技術庁が取り扱うということについては、大変疑問に思っております。しかし現実に入ってきた場合、この放射能の問題、監視をどうするかということは、現実にあるわけですから、これはどこかがやっていかなければならないという問題もあるわけですね。だから、これは十分研究していけなければいけないと思うのです。それだけに体制は万全の体制をやらなければいけないということで、いまお話のありましたように、こっちの業務にも支障を来すと思うのです。日常業務をやっていて少ない人数の中で何人か割いて、大体二人か多いときは四人くらい飛んでいくのでしょう。しかもそれが年間に何回というのではなくて、年に半分も入っているということになれば、科学技術庁のこちらの本庁の仕事にも支障がくる状態ではないか。原子力艦船の問題や放射能の監視の問題がこれだけ政治問題、社会問題になっていながら、その体制が人員の面で言えばこういう状態だ。  これは大臣も、その部門には思い切って人員も充てる、専従者も充てる。そうでなかったら、今度は市の方も大変です。下の方の自治体に下請に出されて、定期の監視までやらされているわけですから、これは思い切ってそういう体制を——いま横須賀にほとんど集中しているわけですから、佐世保、沖繩までそういう体制をすぐということは言いませんけれども、現実にいま集中しているこの横須賀については、こういう体制について十分具体的にひとつ検討をしていただきたいと強く要望するのですが、大臣の御意見はどうですか。
  145. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 ただいま原子力局長が申しましたように、いろいろの問題があると存じますので、前向きで検討を進めたいと思います。
  146. 中路雅弘

    ○中路委員 時間もそうありませんので最後になりますが、しかし、これは現実に入ってきているから監視の体制を言っているのであって、根本的には横須賀のような、こういう軍事的な問題だけじゃなくて安全の面からも、原子力艦船の入港は一切やめなければいけないという強い意見の上で問題を提起しているのです。  これと関連して特に東京湾の問題ですが、これもいただいた資料を見ますと、東京湾における海難事故の推移、衝突事故だけで、たとえば四十五年、四十六年、四十七年、四十八年、四十九年の資料がありますが、衝突事故だけとってみても、四十五年年間七十件、四十六年二十一件、四十七年三十三件、四十八年三十七件、四十九年三十件、その他の火災や転覆やいわゆる救助を要する事故というのが、四十五年は合計で百九十七件、四十六年が百三十五件、四十七年が百二十四件、四十八年が百六十三件、四十九年が百四十件、大変な数に上っているわけですね。この後にも現実に大型タンカーの事故も数日前報道されていますし、また入港を調べてみますと、東京湾への十万トン以上の大型タンカーの入港が、四十三年は年間二百三十一隻だったのですが、うち二十万トン以上というのが五隻です。これが四年後の四十七年の統計をとりますと、十万トン以上の大型タンカーの入港が七百九十九隻、そして二十万トン以上になりますとこの中で三百九十九隻になっていますね。全体の隻数では大型タンカーは二倍になっていますが、二十万トン以上の大型タンカーをとりますと、この四年間に五隻から三百九十九隻、八十倍という数になっているわけです。  最近の報道で事故が相次いでいるというのも、こういう過密の状態になってきておるからです。ここに原子力艦船が入ってきているわけです。しかも年間半分以上が横須賀を母港にしているという状態なわけですから、放射性物質を流すという問題だけではなくて、いつ衝突やその他の事故があるかわからない。こういう事故がもし広がって汚染になれば、これは大変なことになる。いまの石油流出どころじゃない、また大変な問題になるのじゃないかと思うのです。  これも専門家皆さんに聞いてみたのですが、皆さんの方の御意見はどうですか。たとえば東京湾で事故が起きて放射能の汚染が起きた場合に、海水の入れかえはどのくらいかかるかわかりますか。
  147. 生田豊朗

    生田政府委員 私ども専門ではありませんので、海流関係専門家の意見を聞いたわけでございますけれども、それによりますと、東京湾内には海流というものは存在しないようでございますが、潮の干満によります潮流、それから河川の水が湾内にかなり大量に流れてきているわけでございますので、そういうものの影響によります交流、それが存在しているそうでございまして、その流れが方向としては外洋に向かって流れているということを伺いました。  その湾内の海水の交換速度でございますけれども、これも専門家の論文によりますと約一カ月という説がございます。
  148. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの話ですと、汚染になれば交換速度は一カ月かかる。また浅いですから湾内の広がりは非常に早いと思うのです。こういう点で、いま青森の「むつ」で大変な問題になっているわけですが、いま原子力艦船が横須賀に入ってきているという状態は、隻数から言っても、あるいは危険度から言っても、青森で問題になっている「むつ」の比じゃないと思うんですよ。  私は、こういう点を考えた場合に、午前中もありましたけれども科学技術庁が原子力艦船の放射能問題を扱うのは、原子力基本法からいってどうかというような御意見もありましたが、それを扱う以前に、やはりこういう原子力艦船の入港、寄港——横須賀のような港については、いわゆる日米の安保条約に基づいた提供という側面だけじゃなくて、これは安全という立場からも根本的な検討をしなければいけないし、入港を断わるということについては、国民の安全という立場に立てば当然論議をさるべき問題じゃないかと、最近の東京湾の事故を考えてみて特に痛感をするわけです。  もちろん科学技術庁だけでこれが解決できるという問題ではありません。しかしこの点については、外務省や防衛施設庁も含めてもう一度、科学技術庁の立場からもこの原子力艦船の横須賀入港については検討をしてみる必要がある。この東京湾の汚染あるいは周辺の過密化された都市の住民の安全——いま放射能を出しているか出していないかだけではなくて事故の問題がありますから、一たん事故が起きた場合にどういう事態が想定されるかということは大変な問題ですから、この点は十分皆さんの中で検討をしていただきたいと私は思うのです。最後に、大臣からこの点についての御意見をお聞きしておきたいと思います。
  149. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 放射能漏れ等がございまして、住民の生命に被害を及ぼしたり、あるいは海水が汚染をするということであれば大変重要な問題でございます。そういうことのないように、またそれを発見できるように、御承知のようにただいま監視をしているわけでございまして、その整備充実を図れという御主張はよくわかりますので、さらに重々検討いたしたいと存じます。  ただ、日米安保条約自体の義務上から、基地として原潜の入る問題そのものまで私どもにどうこうしろというのは、ちょっとテリトリー外の問題でございますので、御説はちょうだいしておきます。
  150. 中路雅弘

    ○中路委員 これで終わりますが、いま前半にお話しになった点ですが、私は現地で実際にこの監視体制を全部見てきまして、改善の問題について幾つか具体的な意見を述べまして、これについては検討をしていただくということです。  特に、後でお話ししました科学技術庁の体制ですね。職員の皆さんを含めての。この体制については、至急強化をしていただきたいし、改善をしていただきたい。これは皆さんの方の職員の強い要望でもあるんですよ、どれほど皆さんの方に声が行っているかわからないけれども。私は、原潜が入るたびにいつも横須賀へ行っています。現地に派遣されている皆さんと接触していますが、率直に言って家庭の問題までいろいろ悩みをお話しになりますよ。こういう問題については、大臣としてもひとつ至急改善をしてほしい。  最後の問題ですけれども、この前、総理が防衛法案の採決のときの質疑のときにこちらにお見えになりましたが、そのとき、いかなる条約でも、人権あるいは民族の問題、主権、こういうものにまさるものはないのだということで、いま沖繩の県民の皆さんが受けているいろいろな被害について御答弁もありました。もちろん日米安保条約における義務というのは、いまお話しになりましたけれども、しかし少なくとも、これだけの東京を中心にした人口過密の地域、事故の多い東京湾、こういう中における原子力艦船の問題を、そういうレベルとはまた別の角度で、本当に国民の安全という立場でもう一度検討してみる必要がある。その点では、科学技術庁がもっと強く物を言う必要があるというふうに私は感じているわけなんです。  もちろん日米の安保体制の中で、政府のいまの方針として受け入れられているという中での大臣の立場ですから、それはわかりますけれども、しかし今度は、安全という立場に立った場合、やはりこの問題をそういう角度から検討してみる、意見も述べるということは当然ではないかと思うのです。きょう何か具体的な答えを、私はこの問題では話をしているわけじゃなくて、中で論議をし、検討もしていただきたいと思っているわけなんです。最後にもう一度……。
  151. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 原子力船放射能調査等が、原子力委員会として所管する事項かどうかという点まで加えましていろいろ検討してみたいと思います。
  152. 中路雅弘

    ○中路委員 じゃ終わります。
  153. 藤尾正行

    藤尾委員長 受田新吉君。
  154. 受田新吉

    ○受田委員 どうも御苦労です。なるべく時間を短縮します。濃縮して質問します。  科学技術庁長官、あなたは原子力センターの親玉でいらっしゃったわけだし、科学技術庁が生い立ってことしでちょうど何年になりますかね。聞かれないであなたでひとつ……。
  155. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 大体二十年くらいになると思います。
  156. 受田新吉

    ○受田委員 三十一年に科学技術庁設置法が生まれたわけです。当委員会で審査しました。つまり、長官が現在長をなさっておられるお役職が、大体ということでごまかせば満十九年、数えの二十ということでございますが、それだけの日月がたったわけです。そこで、いわば大人になった、成人に達したということである。  ところが私、冒頭お尋ねしたいのですが、科学技術庁というお役所はどうも欠陥の多い役所なんです。幾つかの欠陥が相次いで発生している。きょうわれわれの同僚議員からの質問のような悪いことをする人も科学技術庁にたむろしていらっしゃる。先年は川崎のがけ崩れ事件で多数のとうとい報道陣の生命を失わしめておる。科学技術庁というので安心して、科学技術のセンターという気持ちで、国家機関としてはこれほど安心できるところはないと信頼しているところが、最も恐ろしい欠陥の役所であったということなんですよ。そして現に「むつ」問題にしましても、また原子力発電所の設置に相次いで地元から猛烈な反対が起こってくるという事情などを見ても、どこかに原子力行政の大欠陥があるのじゃないかと思うのです。普通の行政の欠陥は違って、非常に根強い広範な欠陥があるのじゃないか。「むつ」の問題なども、これは驚くべき原子力行政の欠陥である。  私、専門家ではないので、もう掘り下げた質問はいたしませんけれども、おおよそわれわれがアウトラインを把握した感覚から見ても、これは行政上の欠陥である。「むつ」の問題などにしましても、国民に原子力に対する安心感を与える努力というようなものをやる一方では、常に安全を確保するということを裏で裏づけておくようにしなければならない。一方では非常な不安を抱いてもう核とか——核アレルギーですな、全く。原子力などと言うと、何かこわいもののように思って、安全な船がやってきたときでも、これは何が起こるか知れぬぞという不安を与えておる。原子力行政のあらゆる面ですかっと割り切った対策を立てて、国民に安心してついてきてくださいということをおやりになっていない。その欠陥をお認めになりますか。
  157. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 まず初めに、受田先生の御子息が川崎で御負傷なさったそうで、まことに申しわけございません。  それから綱紀粛正の点に関しましては、これは先ほど来おわび申し上げておる次第で、まことに申しわけないと存じます。  三番目の、原子力の安全問題に対して、国家の構え、機構全体に大変欠陥があるのじゃないかという御指摘は、まさしく私も同感でございまして、大変欠陥があると存じます。
  158. 受田新吉

    ○受田委員 素直にお認めになっておられます。そこで長官、私ひとつ科学技術庁のお役所の中をまずえぐってみたいのです。  科学技術庁設置法の一部改正を何回か私たち担当をいたしました。ときには科学技術庁長官をして、設置法第四条に基づく勧告権の行使をここで強く要請して、技術者養成の勧告をしてもらったこともあるというようなことで、非常に関心があるのでございますが、いま長官の足元におられるお役人の中で、課長もしくは課長補佐までの段階で、昭和三十一年科学技術庁がスタート以来採用した純粋の生え抜きの職員の割合がどのくらいになっておりますか。つまり総員の中に占める割合です。
  159. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私が初代の原子力局長をやっておった当時、初めて庁として新規に採用したわけでございますが、その後それがずっと続いておりまして、その中には海外に出たり、あるいはただいまは皇太子殿下の、何と申しますか宮内庁に勤めておったり、いろいろ変化はしておりまして、どの程度全員の中で割合を占めておるか、私つまびらかでございませんが、ただいま官房長からお答え申し上げたいと思います。
  160. 片山石郎

    片山(石)政府委員 課長補佐まで入れました数字はちょっとはっきりいたしませんが、まず課長以上の段階で申しますと、管理職を全部入れますと五十四名でございますが、そのうちの九名でございます。それが当庁でプロパーに採用された人間でございます。管理職以下の課長補佐事で入れますと、若干その比率は大きくなるかと思います。
  161. 受田新吉

    ○受田委員 最初からずっと長期に勤務しておる者の数字と途中他省から流れてきた者の数字とをいまお聞きしましたが、これは他の省と比較してどうでございますか、官房長
  162. 片山石郎

    片山(石)政府委員 ごく最近できました役所は別といたしまして、たとえば経済企画庁などは若干古うございますが、その辺の感じから比べまして非常に少ないのではないかと思います。
  163. 受田新吉

    ○受田委員 何が少ないのですか。
  164. 片山石郎

    片山(石)政府委員 プロパーに採用している人間が少のうございます。
  165. 受田新吉

    ○受田委員 官房長はどこから来られましたか。
  166. 片山石郎

    片山(石)政府委員 通商産業省でございます。
  167. 受田新吉

    ○受田委員 そしてこちらの局長は。
  168. 生田豊朗

    生田政府委員 私も通産省でございます。
  169. 受田新吉

    ○受田委員 ここにおられる方で局長以上の方、課長でも結構です。——お二人いらっしゃる。  大臣、いまあなたの部下の大事な地位にある皆さんが通産省その他のお役所からおいでになっている、生え抜きの幹部はりょうりょうたるものである、こういうお役所であるところに一つの欠陥があるのです。つまり寄せ木細工。大変失礼な言葉ですが、いろいろのところから木を持ってきて組み立てる。そこに生い立った、どこか心が通うて、袖触れ合うも他生の縁というような役人の方々が袖を触れ合いながらお仕事をしておられる、そういう愛庁の精神、役所を愛する精神というものが自然に欠けてくる、そこでばらばら行政が行われる、そういう欠陥が起こってくる。ほんとうに生え抜きのお役人さんは九人しかおらぬ。ちょうど青年に達した二十年のお役所で、当初から科学技術庁に期待してそこに来た人は該当人数の二割にも達しない。後はみんな流れて動いてきたクラゲのごとく漂える形において構成されたお役所である。これでは安定した科学技術行政はできないのです。科学技術行政を命がけで守って、そこを死に場所と心得るお役人が欲しい。  昭和三十一年、三十二年に採用された方はもう課長になられるころですね。最初の採用者はどうなっていますか。
  170. 片山石郎

    片山(石)政府委員 三十一年に採用された人間はおりますが、課長になっております。三十四年ぐらいまでに採用された人間で課長になっておる者がございます。
  171. 受田新吉

    ○受田委員 そうした、ここを最後と心得るお役人が、しっかりそこに根強く踏みとどまってもらうような行政が要るのです。ところが、ここで改正案を拝見しますと、原子力安全局なるものが今度生まれる、次長をその方へ一人持っていって、一人の次長はやめる、科学審議官の三人を一人にするという、表面はごく簡単な改正です。一つの局をつくることは、行政簡素化の基本線からいったら逸脱することであるというお気がねから次長を一人減らす、科学審議官を減らすとかいうことでちょろっとこれがごまかされておる。  行政管理庁はどうですか。この役所の局新設について無条件で賛成されたのですか、やむを得ない事情をどこに見出されたか、そのいずれかを御答弁願います。
  172. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 毎年そうでございますが、五十年度の予算につきましても、機構の新設は厳に抑制する、こういう予算編成方針が出ておりまして、私どもとしては、できるだけその機構の新設、特に部局につきましては新設をしたくないという気持ちで各省と御相談申し上げたわけでございます。  ただ、原子力安全局の問題につきましては、「むつ」問題もそうでございますけれども、原子力の安全の問題につきまして、国民各層から非常に御期待がございますし、また現在漠然とございます不安感というものも払拭しなければいけない。そういう意味で原子力の安全についての責任体制を一刻も早く確立する必要があるのではないかということで、これは科学技術庁ともいろいろ御相談申し上げた次第でございますけれども、やはり安全局を新設した方が適当である、こういう結論に達した次第でございます。ただ、行政簡素化の見地はあくまでも貫く必要がございますので、前例等も考慮いたしまして、若干の他の部面における簡素化を図ったということでございます。
  173. 受田新吉

    ○受田委員 行管もちょっとすかっとせぬ。ちょうどいまの時刻のやや曇りがちの空のようです。管理局長さん、行政機構の簡素化、この原則の中に、行政監理委員会の答申とかあるいは臨調の答申とかの中に、原子力行政に安全局を設けよというのがどこかにありましたかね。
  174. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 それはございません。
  175. 受田新吉

    ○受田委員 だから、行管は大体独走的な感じで、臨調や行政監理委員会の要求も何もないのに独断でおやりになった。職権はそれを忠実にやらなければならぬとも言えないわけですが、いままでのポストの新設等では、大体そういう臨調や行政監理委員会等が要求した線を実行に移してこられた。  特に私、指摘したいことが一つあるのですが、原子力基本法ができて二十年になっておる、科学技術庁は十九年、これができてから長期計画を一応進めてまいったのでございますが、いまの時点で、さっきから申し上げたようにいろいろな欠陥を原子力行政が生じておるのです。それに対して行管は、行政監察の上から、その監察をした、つまり二十年の原子力基本法の進みぐあいの過程でいろいろな問題が起こってきていることに対して、科学技術庁に御注意、勧告、そういうようなことをしたことがないじゃありませんかね。黙ってこの欠陥官庁をそのまま見逃しておられる。私は、その点が残念だと思うのです。行管もどこかに欠陥がありそうです。
  176. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 行政監察につきましては、後ほど監察官の方から御答弁申し上げますが、実は四十九年度の予算におきましても、原子力局の中で開発と規制とを分離いたしまして、安全規制についての責任をはっきりさせた方がいいだろうということで原子力局の中に原子力安全部という機構を認めることにいたしまして、これは法案も国会に提出申し上げたのでございます。五十年度におきましては、やはり部ではどうも不十分である、開発を担当いたします原子力局と安全規制を担当いたします原子力安全局と、これを明瞭に二つに分けて責任体制を確立した方がよい、こういう御要求でございまして、これは安全規制と開発とを分離するということにつきましては、すでに前年度行政監理委員会の御了承もいただいておることでございますので、これを局として認めることにしたわけでございます。
  177. 受田新吉

    ○受田委員 行管は、監察計画の中に原子力行政に関する特別調査として目的を掲げて、すでに監察予定項目も掲げられて、実施期間も四月から五月ということで、担当官までも設けた調査にいま乗り出されておるのですが、これが初めてですか。これより前にタッチされたことがありますか。
  178. 上井正司

    ○上井説明員 原子力行政を直接対象といたしましたような行政監察につきましては、今回の調査が初めてでございます。
  179. 受田新吉

    ○受田委員 私は、科学技術庁という役所ができたことは非常に喜ぶべきことであり、そして科学日本の粋をここに集めて、佐々木長官のような専門家を長官にいただいて、優秀な公務員が国民のために奉仕してもらいたい、そういう熱情を本当に強く持っておるわけでございますが、実際やっているところには非常に大きな穴があり、どこかたるんでいる。それは汚職をやる人が続出しているような役所にろくなことはないんですよ。これは、やはり本当に知能の役所として、日本の科学技術の粋をわが役所がやるのだ、科学技術行政は長官以下が火の玉でやるのだというがっちり組んだたゆまざる、たるまざる団結によって、この役所の重みがどっしりと国民の中にこたえるのですね。  長官、局長さんたちが他省からちょこっちょこっと来られる、またちょこっちょこっと出られる、そういうようなところで腰かけ的にこの役所が運営されているというこの欠陥が、これだけ国民科学技術庁が期待されながら、逆に欠陥が続出してくるというこの結論になっておるのではないかと憂えておりまするが、ひが目でございまするか、ずばり当たっているか、お答えをいただきたい。
  180. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 確かに大きい欠点だと存じます。私は戦時中、企画院とか興亜院とかあるいは戦後経済企画庁、科学技術庁などことごとく中央の各省の上に立ついわば総合官庁で仕事をしてきた人間でございますが、その経験から申しまして、お話のように確かに寄り合い世帯の役所というものが大変大きい欠点を持っておることは事実でございます。ただ、総合調整という立場に立ちますと、強力な権限のある官庁であればよろしいのでございますが、大きい権限、言いかえれば予算の編成等の権限を持っておる役所でありますと、カでこれは総合調整できるわけでございますけれども、しかしそうでない場合には、やはり各省のそれぞれのチャンピオンが集まりまして、そして各省との間にパイプをつなぎながら利害得失を論じて総合調整をしていくというこの妙味も、また必ずしも捨て切れないものがあるように感じます。  ただお話のように、この役所をつくりました本来の使命そのものは、そういう権力的な役所でなくて、むしろおくれた日本の科学を育成し、そして戦後新しくできましたこのナショナルプロジェクトという大きい国の科学的な課題を解決していく、そしてこれに対しては、非常な情熱を燃やし、権威を持って取っ組むのは当然のことかと存じます。にもかかわりませず、お話のように若干、その中間の過程で綱紀の弛緩問題等が起きまして、先ほど申しましたようにまことに申しわけないと存じますが、しかし逐次凍りついた気分もやわらいでまいりまして、再度本来の使命に向かってただいま邁進しようという最中でございますので、しばらくひとつ温かい気持ちでお見守りのほどをお願い申し上げておきます。
  181. 受田新吉

    ○受田委員 私たちはそれを願っておるわけです。この役所が本当に科学技術行政の総本山として国民の信頼をしっかり支えるように要望いたしておきます。いささか言葉が過ぎたかもしれませんが、私、この科学技術庁への大きな期待をこれからかけるがゆえに、欠陥をどんどん抹殺できるようにがんばってもらいたい。  そこで長官は、国防会議の議員であることを御存じでございますか。
  182. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 国防会議委員でございますが、表決権のない委員のようでございまして、会議には参加をいたしまして討議には携わりますが、表決はいたしません。
  183. 受田新吉

    ○受田委員 正確にひとつ……。
  184. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 失礼しました国防会議委員ではなくて、国防の閣僚懇談会でございますか、それの委員だそうでございます。
  185. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっとその国防会議の規定を読んでみてください。
  186. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 組織でございますが、第二条で「国防会議は、議長及び第四条各号に掲げる議員で組織する。」とございます。それから第四条が「議員」でございまして、「議員は、次に掲げるものをもって充てる。一内閣法第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣 二外務大臣三大蔵大臣 四防衛庁長官 五経済企画庁長官」以上でございます。
  187. 藤尾正行

    藤尾委員長 懇談会のメンバーは特に規定はないんですか。
  188. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 懇談会についての規定は法律上ございません。
  189. 受田新吉

    ○受田委員 科学技術庁長官は、その他の仲間として出ておるはずです。
  190. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 第六条に「議長は、必要があると認めるときは、関係の国務大臣、統合幕僚会議議長その他の関係者を会議に出席させ、意見を述べさせることができる。」ということでございます。
  191. 受田新吉

    ○受田委員 私、ちょっといま勘違いしておりました。科学技術庁長官は、該当する者として必要に応じてそこへ出て、科学技術庁の立場からどんどん意見を述べられる地位にある国務大臣としていま考えておったわけです。私の方がいま間違っておりましたが、科学技術行政を、原子力の平和利用への目的を明確に打ち出していってもらって、少なくともこれを軍事目的に転換させるようなにおいを一切払拭する努力を、科学技術庁長官として国防会議へも必要に応じてどんどん反映させてもらいたい、こういう要望を私、したいと思ったわけです。  そこでもう一つ、この原子力行政で、非常に複雑多岐になっている、各省にまたがるやつをまとめていく、原子力行政の一元化、これについての構想を承りたい。
  192. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 原子力行政の特質と申しますか、これは基本法に基づきまして原子力委員会ができて、最高方針を決めていくのは御承知のとおりでございますが、その事務局としての原子力局が、非常に広範にわたる各省間の調整をどうしているかという点でございますけれども、この点は御承知のように設置法を決める際に、実は私どもの先達があの当時は超党派的な機関でこの問題を議論したのでございますから、いま考えますと、よくこういうことが通ったものだと思うような事実がたくさんございます。  その一つは、予算のいわば編成でございまして、各省は単独に大蔵省に要求するんじゃなくて、原子力の予算に関しては原子力局で、言いかえれば原子力委員会が予算の見積もり調製をいたしまして、そして原子力局としてその予算を折衝する、そしてそれを配分する、こういうたてまえになっておりまして、各省の調整は、その面では単に総合調整と違いまして、相当実力的な意味で調整ができるというふうに私は考えてございます。
  193. 受田新吉

    ○受田委員 文部省に御苦労願っておるわけですが、文部省は、原子力研究所を国立大学に幾つか持っているわけです。そこで研究される原子力研究なるものは、科学技術庁の原子力行政のらち外にあるものかどうかなのです。いま国立大学が持っている研究所、国立大学に付置した研究所、原子力、原子核、原子炉、原子エネルギー研究所、いろいろ国立大学にあります。これらの研究機関というものは、科学技術庁は一切ノータッチかどうかです。原子力研究という点で、これは原子力行政のらち外ということかどうかです。
  194. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 この点は、実は原子力を始める前から非常な問題でありまして、各国のごとく一元的にという意向も強うございましたが、しかし大学の自治という主張も大変強うございまして、大学自体で研究するといったような問題は、これは原子力委員会あるいは科学技術庁の範囲から外れております。  ただ、大学に付置する研究所に関しましては、予算の見積もり調製等は、原子力委員会でこれを見るようになっているように承知してございますが、間違いがあるといけませんので、原子力局長から重ねて答弁させます。
  195. 生田豊朗

    生田政府委員 昭和三十年の十二月、原子力委員会設置法の御審議をいただきましたときの附帯決議がございまして、「原子力委員会設置法第二条第三号の関係行政機関の原子力利用に関する経費には、大学学部における研究経費を含まないものとする。」これが一つございます。もう一つ附帯決議がございまして、「原子力委員会設置法第二条第三号の関係行政機関の原子力利用に関する経費には、大学における研究経費を含まないものとする。」という附帯決議がございます。それによりまして、大学の研究関係経費につきましては、原子力委員会の範囲外、守備範囲の外でございます。  ただ、大学あるいは大学の付属研究所におきまして、研究用の原子炉を設置いたします場合、これは原子炉規制法の規制の対象になっております。
  196. 受田新吉

    ○受田委員 原子力関係の研究の安全性というもの、それはもう大学の自治に任してあるわけですか。
  197. 生田豊朗

    生田政府委員 安全性につきましては、大学の自治ではございませんで、放射線障害防止法あるいは原子炉規制法の規制の対象となっております。
  198. 受田新吉

    ○受田委員 文部省からおいでいただいている方にお答えを願いたいのですが、東大、東京工大、名古屋大学、京都大学等の国立大学の各所にある五つの原子力関係の研究所というものは、いまお話しのようなところで、大学の自治と原子力行政との接点というものをどういうふうに判断をしておられるのか。つまり大学の自治を主に考えていくならば、そこで何もかも一切大学にお任せください。予算の分についてはいまお話が出ました。それはそれとして、研究は全く大学独自の自治に基づきますということでお断りができるのかどうか。安全性というものは、いまこれは関係法規の分についてということでございましたが、大学で勝手に研究して、そこで何かの事故が起こったというときの責任は一体どうなるのか、こういう問題があるのですが、大学の自治とそれから原子力を用いる場合の安全という問題、これは非常に大事な問題になると私は思うのです。大学の自治の中で、一切外部の介入を許さずというところでやってくれると、これは問題がますます深刻になってくるし、それから今度、拡散防止条約の例の国際原子力機関の査察制度が実施されたという場合、これはもう大分後退して、今度政府はあきらめるような話でございますが、これを批准をした場合に、査察というときに大学の原子力研究所などの査察というのは一体どうなるのか、こういう問題、これは国務大臣として一緒に研究されておったと思うのです。あの査察機関の、IAEAの関係は、ここでは一体どういうふうになるのか。大学の原子力研究所のようなものは、査察のときにはおれの大学の自治だと言って拒むことができるのかどうかです。
  199. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 それは当然査察の対象になります。
  200. 受田新吉

    ○受田委員 文部省の方、ひとつ。
  201. 植木浩

    ○植木説明員 ただいま先生からお話ございましたように、大学は本来自由な発想に基づきまして、原子力等につきましても基礎的な研究を中心に長期の見通しに立って研究を進めておるわけでございます。したがいまして、そこにおいて行われる研究には研究の自由というものの確保が必要でございまして、私ども文部省におきましては、そういう配慮から行政を行っておるわけでございます。  ただ、先生がいまおっしゃいました安全性の問題につきましては、これは一大学内にとどまらず、いろいろな方面に関係がございますので、いろいろな諸法規に従いまして、この安全管理という点につきましては体制の整備、指導、場合によってはいろいろな専門家の御意見等も承っておるわけでございます。
  202. 受田新吉

    ○受田委員 これからますますこの国立大学のこうした研究機関が研究を強めていくわけでございますので、これは国民税金による研究ということでもあるし、それからもう一つは、国民が核アレルギー的な歩み方をしようというときに、核の安全について原子力行政がすかっと一線を確保しておいてくだされば、国民はもっと原子力行政についてくる、そういうようなこともありますので、文部省としてこの各大学の原子力研究は国民のためのものであるというところへひとつ力点を置いて、象牙の塔に立てこもらないような指導をされる必要はないか。  もう一つ、核拡散防止条約に入ったら、いまのような国際原子力機関の査察対象にはもう秘密も何もない、自主も何もない、全部さらけ出して調べられるのだ、こういうことになったならば、そういうことを考えると、拡散防止条約には入らぬ方がええと文部省考えられますか。これはちょっと政治的なことになりますので、ちょっと審議官には御無理だね。どうでしょう、これはやはり佐々木大臣でないとね。大学の自治を侵すことになる、事実その原子力研究をさらけ出すわけですから、これは大学の自治から言えば拡散防止条約に入らない方がいいという結論になりますね、この面については。やはりプラス、マイナスの面でこれはマイナスだと見られるかどうかです。
  203. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 自治と申しましても、広大無辺なものじゃないと私は思います。ただいまも二国間協定に基づきまして、御承知のように国連機関の査察を受けております。受けておりますが、その査察官が大学で持っている原子炉等の査察をしないかといいますとします。対象になりますので査察をしてございます。ましてや国連機関に、この核防条約に入りました際にはその対象になります。
  204. 受田新吉

    ○受田委員 ここに防衛庁から御苦労を願っています審議官が来ていらっしゃるわけですから、あわせて伺いたいのですが、防衛庁では核に関する研究をどの場所かでしておりますかどうですか。
  205. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 御承知のように、防衛庁は核の防護についてささやかな研究といいますか、装備品としましては主として計量器材、ガイガーカウンターのようなものでございますが、そういうものを各部隊にそう多くはございませんで、全部の陸、海、空通じまして三千くらいでございますが装備いたしております。そういう器材の改良、性能向上、そういった意味の研究をいたしております。  それからもう一つは、これは科学技術庁からの御依頼を受けまして、高空の放射能を集める方法、それから測定する方法、そういうものを研究いたしております。
  206. 受田新吉

    ○受田委員 科学技術庁は防衛庁に放射能を集める等の御依頼をしておるのですかね。
  207. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 もし間違えると困りますが、後で訂正させますけれども、たとえば中国で核実験をしたという場合に、そのフォールアウトを上空でキャッチする必要もございます。その際、民間の航空機ではキャッチできないような高空の場合がございまして、そういう点等を考慮して防衛庁に試料収集方を御依頼したことがございます。それは私の当時もございましたが、いまもやっているそうでございます。
  208. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、防衛庁は科学技術行政にも非常に高度の貢献をしている。放射能収集のお手伝いを自衛隊に御依頼申し上げる、民間にはそれを集める能力がないというので自衛隊の飛行機を利用させてもらっておる、こう理解していいですね。
  209. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そのとおりです。
  210. 受田新吉

    ○受田委員 そこで伊藤先生、いまの防衛庁の分担というのは、ほかの役所ではできない面を受け持っておられることがわかるのですが、核攻撃があったという場合に、核爆発に備えて自衛艦がその核爆発の中でいかに防御目的を果たすかというような研究とか、あるいは日本近海に原子力潜水艦へ空母のようなのがやってきて、そこで公海の中で爆発して、そしてその汚染されたものが日本へ流れ着いてくるというようなときの対策というようなものも研究しておられるのかどうかです。研究としてはやっておられるかどうかです。
  211. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 いま先生がおっしゃいました核攻撃に対する防護策というものの定義だと思いますが、実際攻撃があったときに、どういうふうに部隊を運用して、そしてどういうふうな装備品を持っておれば対応策ができるかというようなところまではいたしておりません。と申しますのは、一つには自衛隊が現在防衛の立場から見ております限り、核攻撃については可能性はきわめて少ない、いわゆる予想していないという一つの考え方がございます。そして、いわゆるその防衛力整備の立場からいたしますと、可能性のあるものから順次整備し、研究するという考え方でまいりますと、核攻撃というものはほとんどあり得ないという一つの認識がございます。それからもう一つは、核攻撃を受けましたときには、これは自衛隊の部隊だけで処理できるような被害ではない、非常に大きい、したがって、よそのある国がやっておりますように、シェルターを含んだり、あるいは避難の方法、そういうものを含めたものでなければ対応策ができない、そういうような考え方で、いま先生がおっしゃるような意味の対応策というのはやっていないということだろうと思います。  しかしながら、仮に国が将来そういう危険性を感じてそういうことが必要であるときに役立つものとしては、そしてまた現実に自衛隊がそういうときに動くために必要なものは、一体放射能で汚染されているかどうか、そういうのを検知する装備であり、その方法だろうと思います。そういうものは研究をいたしております。  そしてまた、海を航海いたします船、これの新しくつくります船は、いわゆる海水による汚染の除去装置と言いますか、そういうものを備えるようにいたしております。  それから、最後に御質問ございました原子力潜水艦が爆発したような場合、そのことにつきましても、私どもの認識といたしましては、可能性としてはきわめて少ないというふうな一つの判断がございます。と言いますのは、原子力潜水艦が故障しましても、仮にそれに積んでおります核兵器が爆発するという可能性は、御承知のように安全装置というものが二重、三重にもありまして核爆発に至るということはほとんどあり得ないだろうということ、それから原子力機関に故障が起きた場合にも、それが非常に大きな汚染になる可能性というものはきわめて少ないだろうということで、いま先生がおっしゃいましたような意味で非常に大きな爆発が起きたときの対策、そういったところの研究にはまだ至っておりません。
  212. 受田新吉

    ○受田委員 放射能による血液の治療とか、あるいはいまお話しのような防護用具とか、こういうものの研究は、全然しておらぬというわけじゃなくて、多少はやっておるということでしたね。  そうなりますと、核戦争あるいは放射能戦争というようなものはないというのであれば、そんなものはやる必要がないわけですね。あるいはというときに備えて、放射能降りしく平野の中で戦車がいかに行動するかというような研究とかいうものも、やはり防御作戦としては必要なことでございますが、ある程度、防衛庁の技術研究所などでは理論的にはいままで研究をしてこられておるわけでしょう。
  213. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 それも先ほどお話しいたしましたように、まず可能性の問題からするときわめて少ないものだというふうな判断をいたしておりますので、その放射能が降りしきる中でどういうふうに部隊を運用し、どういうふうに攻撃を受けながら対応するかという研究は、実は外国の本を読んだり、そういうようなことはございますけれども、防衛庁自体として研究しているということは、その研究というのもいま申しましたように、外国のいろいろな資料を読んだりするという意味の研究という程度で、実際にそれを日本の防衛の際にどういうふうに当てはめるかというようなところまでは至っておりません。
  214. 受田新吉

    ○受田委員 防衛技術研究所の研究年報の中に、そうしたものを出されたことはございませんか。
  215. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 いまの部隊運用のようなものは技術研究所ではやっておりませんので、それはないと思います。
  216. 受田新吉

    ○受田委員 これは、また後からいろいろひとつ当たってみていただきたいと思います。いまのような放射能に対応する諸研究がやられているという資料が出ておりますので、そういうところで、これがどういう意味か、またもう一度掘り下げて一緒に研究をいたしましょう。  そこで、いま防衛庁としては、放射能戦争もしくは核戦争はない、こういうことでございますならば、いまのようなことは一切もうやらなくて済むわけだ。  それからもう一つ、日米共同作戦の中には、一方は核兵器を使う、日本は使わない、防御専一だ、こういうことになってくると、入りまじった中で日本がやはり核の被害を受ける場合があり得るのです。これは実際にアメリカ側が核を使うわけですから、その被害を日本が受ける可能性もあるわけなんだ。これは皆無とは言えない。ということになれば、こちらがそうした防御策を一応研究するということは、これはいまのような安保条約の体制ができている以上は、その被害を受けることを一切ないと判断することがむずかしいだけに、研究をせざるを得ないのじゃないですか。
  217. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 私の御説明が悪かったのかもしれませんけれども、防衛庁も絶対にないという判断はいたしてないわけでございます。しかし起こり得る可能性としましては、いま先生がおっしゃいますように、アメリカがすぐ核兵器を使って、その中で防衛行動をしなければならぬというふうには実は余り予測しておりません。そういうのが皆無だとは思いませんけれども、しかし核兵器を使うような事態というのは、現在の核兵器の大きなカからしまして、まず可能性としてはきわめて低いものであろうということでございます。したがいまして、核兵器そのものを持っております外国のいろいろな文献、そういったものは、それぞれの学校の研究部とかあるいはそういうところで読んで勉強はしていると思います。しかし、それを使って、では自衛隊をどういうふうに動かすかというところまでは至っていないということだろうと思います。
  218. 受田新吉

    ○受田委員 科学技術庁としては、放射能対策というものをどういうふうに考えておるわけですか。天から降ってくるような場合、いまの防衛庁に委託しているような問題を含めて……。
  219. 生田豊朗

    生田政府委員 放射能対策といたしまして、各種ございますけれども原子炉その他原子力施設から出てまいります放射能の監視、これを一つやっております。  もう一つは、原子力潜水艦の入港時の放射能の監視、これも各入港いたします港におきまして監視をいたしております。  三番目が、外国の核爆発実験によりまして、いわゆる死の灰と称せられます放射性降下物が降ってまいりますので、これを地上で採取いたしますと同時に、先ほど大臣から御答弁いたしましたように、飛行機からも採取いたしまして、その分析をいたしております。  さらに、放射線の人体に与える影響の研究、放射線を医療に使いますときの使い方その他につきまして、放射線医学総合研究所という研究所を持っておりまして、そこで研究いたしております。
  220. 受田新吉

    ○受田委員 外国で核戦争が起こった、そしてその放射能が日本へ降りかかってくるということは想定されますね。外国で核爆発の強大なものがあった、そういう場合等いろいろな場合に、放射能の非常に大きな影響力を受ける場合を想定しておりますか。そうしたときに日本国民のために放射能防御策をどうとったらいいかということを研究する機関がございますか。
  221. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 それはしておりません。ビキニの際などは、帰りました漁船等に対する対策は原子力委員会としていたしましたが、その後、いまお話しのような核防備といいますか、そういう点はしておりません。  ただ、これは原子力委員長としての発言と思われると大変困りますが、スウェーデン、ストックホルムあるいは北京等に参りますと、地下ごう等非常に整備いたしまして、こういう際に対する対処方法をしておるようでございますが、わが国ではそういう用意はいまのところはございません。
  222. 受田新吉

    ○受田委員 いま私が指摘したような事態が皆無ということでなくして、危険性はあるわけなんです。そういうときに、これをどう防御するかという研究は、これは別に平和利用という意味を壊すわけでなく、つまり被害を防ぐという意味ですから、放射能に対する対策はどうしたらいいかということでございますから、生命を守るための研究というものは、この原子力行政の中で当然続けられてしかるべきじゃないでしょうか。
  223. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 その点は、実は平和の目的に限るという——平和とは何ぞやという問題になりますと、果たしてそういうものが、軍事利用に対する対処方法というものが平和利用の目的に限るというその範疇内に入るかどうか、その解釈になりますと、非常にむずかしい解釈になりまして、受田先生も御承知のように、私も長い問一緒に当内閣委員会理事をしておりまして、いろいろ教えを請うた一人でございますけれども、当時いろいろなそういう問題がございまして思い悩んだ経験がございます。ただ、現在はまだそういう点は未解決のまま実は進んでおりまして、大変残念に思います。
  224. 受田新吉

    ○受田委員 お話を進めていきますが、原子力発電所については、もう大臣御自身御縁が深いわけですけれども、原発立地問題として住民との対話、そういうものを十分こなしてこないから原子力発電所ができると各所で反対運動が起こる。もっと理解を高めて、熱エネルギーとしての原子力、石油から原子力ヘチェンジする時期が来たということがよく住民に理解されれば、こういう問題はスムーズにいくはずなんです。各所で、原発というと何か大きな恐ろしいものが来るような印象を与えてきておる。これを防ぐために通産省も十六日に、電気事業者のそうした仕事をするときの計画に当たって、住民との対話を前提とさせる方針を決めたようですが、これは科学技術庁にも連絡が行っておるわけでございますか。
  225. 生田豊朗

    生田政府委員 まだ構想の段階でございますけれども、こういうことを考えているという連絡は受けております。
  226. 受田新吉

    ○受田委員 そうしたことは、科学技術庁と通産省と役所が違っておっても、終始連絡をして住民の理解と協力を求めていく、こういうところに原子力行政の成功する原因があると私は思うのです。いまのように非常に各所で核アレルギーに追い回されている原子力行政の一元化という意味で、各役所間の懇談会、こういうようなものは、適当に関係省庁の間で計画が進められておるのですか。
  227. 生田豊朗

    生田政府委員 特に懇談会と申しますか、連絡会議のようなものは定期的にはやっておりませんが、通産省、運輸省あるいは労働省等、関係各省と非常に密接な連絡をとっております。常時連絡をとり合いながら仕事をしているという形でございます。
  228. 受田新吉

    ○受田委員 行管が各省のそれぞれの関係部門に呼びかけておられることをこの資料で拝見したわけですが、お答えを願います。
  229. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 行政管理庁として、原子力の問題について各省に呼びかけておることはございません。科学技術の総合調整は、科学技術庁において行っていただくことになっておりますし、それから原子力政策の基本的な計画、企画する部門として原子力委員会事務局を科学技術庁が持っておられるわけでございますので、科学技術庁において密接に連絡をとってやっておられるものと考えております。
  230. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、この行管の監察計画の中に「監察(調査)対象機関」として総理府以下を挙げておりますが、これは科学技術庁を通じてやらせる、こういうことですか。
  231. 上井正司

    ○上井説明員 調査といたしましては、原子力行政を担当しておりますのは、必ずしも科学技術庁の原子力局だけではございませんので、それぞれ担当しております各省庁の各部局に対して私どもの方から直接調査の通知をいたします。調査もいたします。
  232. 受田新吉

    ○受田委員 いま私が局長にお尋ねしたのは、こうした原子力行政に対して監察、調査をするのに、それぞれ関連する対象機関を広くつかんでやろうとしておるのではないかということなんですが、いまのお二人の意見がちょっと違うのです。監察、調査をなさるときに、総理府以下の各省庁に対してそれぞれの目的による調査を、ここにあります「安全確保対策」の「行政の執行体制」「安全審査及び検査」「施設等の安全管理」というような項目をそれぞれ科学技術庁、通産省、運輸省、文部省、労働省、その他の事業団、こういうところへ直接行管がやられて監察目的を果たすのか、科学技術庁を通じてやるのかとお尋ねしたら、いま局長は直接はやらないという御答弁です。ちょっと私に理解できないのです。
  233. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 ちょっと御質問趣旨を間違えまして、いま原子力局長がお答えになりました連絡会議のようなことについて行管が呼びかけをしておるかというふうな御質問に伺ったものでございますから、そういうことはないということでございまして、監察の方につきましては監察官の方からお答え申し上げます。
  234. 上井正司

    ○上井説明員 それぞれの省庁に私どもの方から直接に連絡をいたします。調査も別に技術庁を通じてということではございません。
  235. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、科学技術行政の一元化、できるだけ一本化を図ろうという問題については、これは科学技術庁の役割りと、また行管もそこへ一役買えると思うのです。行管と科学技術庁がタイアップして、行管はそれぞれの監察対象を考え科学技術庁科学技術庁として各省との連絡を密にして、各省のセクト主義を排除した強力な一元化行政をやっていく、こういうふうに考えてよろしいかどうか。
  236. 上井正司

    ○上井説明員 一元化が必要でありますれば、私どもの方からそういう勧告はすることができますが、ただいま調査中でございますので……。
  237. 受田新吉

    ○受田委員 一元化ということは、通産省その他の各省でばらばらになる危険がある、そこに縄張り的な各省のセクト主義が働いて、せっかくの効果を上げ得ないという危険があるという意味で、できるだけ原子力行政の一元化を進めていく方がよいのではないか。行管は一元化はしない方がいい、こういう考えですか。
  238. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 科学技術行政行政機構のあり方につきましては、先生御承知のとおり、ただいま内閣におきまして、原子力行政懇談会が発足して御検討を続けておられますので、その御結論が出ましてから各省とも御相談して検討してまいりたいと考えております。
  239. 受田新吉

    ○受田委員 その答えが出るまでということのようでございます。  以上で時間も参っております。なるべく七時までと思っておりましたが、もう一つ、原子力委員会なるものは、科学技術庁とどういう関係になってくるか。どちらも法律に基づいた機関でありますが、田島さんが去年おやめになられた、あの田島さんはどういう意味でやめられたのか確かめておきたいのです。
  240. 生田豊朗

    生田政府委員 ちょうど一年ほど前に田島先生辞任されたわけでございますけれども辞任されました理由として田島先生が言っておられますのは、従来、原子力委員会委員を新たに任命する場合の慣行として、原子力委員の内部で委員の候補者について相談し、その意見を任命権者でございます内閣総理大臣に原子力委員長、すなわち科学技術庁長官を通じて意見具申をするということが慣行になっていたわけでございますが、昨年の四月に宮島原子力委員が任命されました際に、その慣行が守られなかったのは非常に遺憾であるということで辞任された次第でございます。
  241. 受田新吉

    ○受田委員 安全性についての意見というのはなかったのですか。
  242. 生田豊朗

    生田政府委員 田島先生辞任されましたときに、直接安全性についての問題はございませんでした。ただ、安全性も含めまして原子力行政全般につきまして、原子力委員会というものが政府そのものではなくて、政府からある程度距離を置いた中立性を持ったものでなければいけないというお考えでございまして、その一環としてただいま申し上げた委員選考の手続の問題をお考えになった、かように理解しております。
  243. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ最後に。ここに安全局ができると二人の局長ができるわけですね。その二人の局長を一方は開発、一方は安全、二人がにらみ合いをして、逆に行政の円滑化を欠く危険がないか、これは非常に大事な問題なんです。(「長官がしっかりしているから大丈夫だ」と呼ぶ者あり)長官がしっかりしているというだけでは片づかぬ問題が一つあるわけです。長官、どうですか。
  244. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 確かにそういう問題は起こると思います。この問題は、考えようによりましては、原子力委員会まで含めて原子力行政全般の改革はどうすべきかという問題にもつながってくる問題でございまして、ただいま私ども考えております安全局は、当初お話し申し上げましたように、そういう抜本改正までの間と申しては語弊がありますけれども、一歩前進の意味でこういうことを考えたのでございまして、ただ、抜本的な改正ができるまでの間も原子力局との間にいろいろな権限調整等の問題が起きないかという御心配は確かにございますが、その点に関しましては、やはり長たる科学技術庁長官あるいは原子力委員長として原子力委員会の意向等も聞きまして、円滑にやるようにいたしたいというふうに考えております。
  245. 受田新吉

    ○受田委員 その抜本的な改正をやろうという委員会結論を年末ごろには出せるのじゃないですか。
  246. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 大体秋から年末にかけてということになっております。
  247. 受田新吉

    ○受田委員 そうしたら、その懇談会結論が出るまでお待ちになってはどうなんですかね。
  248. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 実は、受田先生は先ほどお見えにならなかったのですけれども、その点は局をつくる際に、政府内部でも非常に議論のあったところでございまして、私どもの判断では、恐らくいまの有沢機関で出しました結論が予算に載るというのは、来年というのは、五十一年というのはあるいは無理かもしれない、時によっては五十二年というふうなことになりますと大分先になってまいりますので、またそれほど慎重を要する問題かと存じますが、結論が出たからすぐにそれを法律化していくというわけにもまいりませんので、これはまた行政管理庁とか大蔵省あるいは各省の間にはいろいろ議論が出てくるだろうと思いますが、そういうものを克服しながら、実際につくり上げていくというときには、私の経験からいたしますとやはり相当時間がかかると思います。その間ほうっておくかと申しますと、もう地方の知事さん等はとても待てないんですね。やはり政府としてはこの際、はっきり安全に対して取り組むんだという姿勢を明確にしてもらいたいということでございまして、安全局をつくること自体は、はなはだまだ不十分でありますけれども、しかし、ただやります、やりますというのではなくて、この安全局をつくるのは総理なり幹事長が本当にがんばってくれましてできた、行政府は反対の方が強かったのです。そういう非常に政治的な問題を含んだいわば現内閣の気概というふうな心意気を具体化した一つのあらわれでございまして、不十分ではございますけれども、しかし一歩前進じゃなかろうかという感じがいたしますので、お話のような点もございますけれども、まず安全局をつくりまして、抜本的な改正の案ができますれば、速やかにそれにのっとってまいりたいというふうに考えております。
  249. 受田新吉

    ○受田委員 ただいまの有沢先生の会を侮辱することになりませんか。
  250. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 実はそうじゃないのでございまして、有沢先生が私に申すのには、安全局ができないということになりますと、大変立案するのに困却するというお話をしてくれました。やはり一つのそういう体制が一歩でも前進するということは、大変問題は扱いいいという話をしてくれました。
  251. 受田新吉

    ○受田委員 これをもって質問を終わりますが、何か非常に焦っておられるようであるが、これはこの委員会を通らない、また通ったにしても参議院でもたもたしたとなったら、結局最後は半年待ったのと同じことになってしまうのですが、これは皆さんの方は、もう通らないのがわかっておって、なおかつ強くいまの長官のような熱意で押しまくらなければならないという重い使命感があるのか、話し合いによっては通るのか。今度、連合審査のときの発言もあると思いまするので、私またその際までに私なりの知恵を出そう。妥協という意味じゃないですよ。妥協という意味じゃなくて、筋を通すことがどちらがいいかということで、結論は二十三日の連合審査、その後でうちの党の態度を明確にさしてもらいましょう。  一応これで質問を終わります。遅くまで御苦労さまでございました。
  252. 藤尾正行

    藤尾委員長 来る二十三日月曜日、午前十時より科学技術振興対策特別委員会と連合審査会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時十分散会