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1975-06-17 第75回国会 衆議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月十七日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 越智 伊平君 理事 奥田 敬和君    理事 加藤 陽三君 理事 木野 晴夫君    理事 箕輪  登君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       有田 喜一君    近藤 鉄雄君       竹中 修一君    中馬 辰猪君       旗野 進一君    林  大幹君       三塚  博君    吉永 治市君       八木  昇君    和田 貞夫君       木下 元二君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         防衛庁参事官  菅沼 照夫君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       斎藤 一郎君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      今泉 正隆君         防衛庁衛生局長 萩島 武夫君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 久保 卓也君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         外務政務次官  羽田野忠文君         外務省アジア局         次長      中江 要介君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君  委員外出席者         内閣官房内閣調         査室長     渡部 正郎君         外務省経済協力         局外務参事官  菊地 清明君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇号)      ————◇—————
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木下元二君。
  3. 木下元二

    木下委員 私は、まず日米防衛分担の問題について伺います。  ポストベトナムのもとで、日米防衛分担をどうするか、あるいは有事の際の共同作戦をどう展開するかという問題であります。六月三日の当委員会でも、こうした問題について質疑が行われました。     〔委員長退席木野委員長代理着席〕  政府答弁によりますと、幕僚会議と称する日米の制服間の会議で、こうした問題の研究検討が進められているようであります。そこでもう少し伺っておきたいと思うのであります。こうした問題の会議は、現在まで何回開かれておるのでしょうか。
  4. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 まず、第九回の日米協議委員会設置されました幕僚研究会同、これは当方統合幕僚会議事務局長、それと在日米軍参謀長との間の会合でございますが、設置されまして最初に開かれましたのは四十四年一月十三日で、現在までに四十八回開催をされております。これは、もっぱら在日米軍基地について、経済社会的な側面ばかりでなしに、軍事的な側面からも検討するということで行われてきているわけでございます。それから後は決まった形式の会合ではございませんで、当方統幕、それから陸、海、空各幕の幹部と、それに対応いたします在日米軍、それから陸、海、空軍それぞれの担当者施設関係でございますと施設、それから運用、そういった者が会合しておるわけでございまして、これははっきり正確な数ということになりますと、それぞれのところでやっておりますので、正確な数はちょっと申し上げられませんが、大体年数回開催をしておる、こういう状況でございます。
  5. 木下元二

    木下委員 そうした会議は主としてどこで開かれておるのでしょうか。そしてまたいまの幕僚会議の場合は、日本側統合幕僚会議事務局長米側在日米軍司令部参謀長というふうに言われましたが、ほかに日本あるいは米側はだれだれが参加をしておるのでしょうか。そしてまた、こうした会議研究が進められておるテーマというのは、どういうことでしょうか。
  6. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 メインスピーカーがいま申し上げました事務局長、それから参謀長というところでございまして、それぞれのテーマに従って統幕の場合にはその担当の各室長が陪席するというようなかっこうになっておるようでございます。先方もそれに対応する幕僚幹部ということでございまして、その細かいところまではよく存じておりませんが、大体そういうかっこうでやられております。  それから、申し上げましたように、基地問題についての検討ということでございまして、一、二事例を申し上げてみますと、二十二回から二十五、六回にかけましては立川基地の問題。これはちょうど昭和四十六年でございますが、立川基地、それから沖繩基地の問題、こういった点についてそれぞれの情報交換検討、こういうものが行われております。その他は、大体そのときどきの日本におきます防衛計画の立案ができましたとき、あるいは業務計画、予算が成立いたしましたときに、その中身を話す。それから米側から、基地運用に関しての、はっきりした方針ではございませんが、大体の計画、こういったものについての話を聞くというふうなことが大体内容になっておるようでございます。
  7. 木下元二

    木下委員 有事の際の共同作戦をどうするか、あるいは防衛分担をどうするかといったことについては、研究あるいは検討はどのように進んでおりますか。
  8. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 この面に関しましては、全般的な問題についての検討ということは、それぞれの立場上無理がございますので、結局、それぞれの担当の分野の中で、ごく限られた条件でどういうことが可能であるかということを検討するということでございまして、一例を挙げますと、補給関係の問題について、どういう基地にどういう形でできるか、それがどういう輸送手段によってどの方向にどのくらいの時間で運ばれるかというようなことを諸条件いろいろ詰めてやる、こういうことでございます。
  9. 木下元二

    木下委員 どうもわかりにくいですが、私の方から申しますと、米側自衛隊に最も期待し要求してきたのが海上力だと思います。自衛隊でも、海上がおくれているとして、海上の強化、とりわけ対潜水艦能力の向上に努めてきたと思います。その対潜能力分担ということが日米防衛分担において考えられつつあるというふうに聞いておるわけであります。その対潜能力分担ということは、具体的にはどういうことでしょうか。
  10. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 これは、いままでのところそういうことで、海上自衛隊在日米海軍との間で、具体的にそういう問題について話し合っておるということはございません。  いまの御質問に対するお答えといたしましては、対潜についての分担ということでございますが、私ども基本的に考えております考え方といたしましては、第七艦隊が、御承知のように日本周辺においてはアメリカが持っておる大きな海軍力であるわけでございますが、第七艦隊機能というのは、三隻の空母中心といたします空母打撃力というのが中心になる。これが第七艦隊の主要な機能でございます。もちろん第七艦隊関連をいたします対潜機能というものも持っておりますけれども、これはむしろ自隊対潜といいますか、自分を潜水艦から守る、第七艦隊自体潜水艦から防護する機能というものを大体満たす程度のものであるということでございまして、したがって、第七艦隊自体行動するためには、当然それが一緒にくっついて行動するということになるわけでございます。  わが方の対潜能力というものは、結局わが国自体防衛のために必要なものであるということでございまして、もともと任務、機能、そういうものが全然違うわけでございます。したがいまして、わが国の対潜能力というものをどういう形に持っていくかということは、これは一にわが国自体の主体的な判断で決めていく問題でございまして、その辺で、直接対潜活動についてすり合わせをするという必要性はないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  細かい問題につきまして、全くないのかということになると、ちょっと私もいま自信を持って申し上げられないわけでございまして、大体の方向としては、いま私が申し上げたようなことではないかというふうに思います。
  11. 木下元二

    木下委員 日米間において機能的に防衛分担するというふうな答弁もあったわけであります。そしてそういう観点から対潜能力分担する。それはいまいろいろ言われましたけれども、対潜能力分担するということは、そうしますと、これは米側の方は何もしないということでしょうか。対潜能力日本分担するという場合、米側も何らかのことをするのかどうか。するとすれば、一体日本は何を分担するのか。こういうことについては、どういうふうにお考えなんですか。
  12. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 基本的には、先ほど私が申し上げましたように、米側には、日本周辺の要するに七艦隊中心とした、七艦隊のための対潜活動ということ以上のことは、余り多くを期待できないのじゃないかというふうに思います。したがいまして、日本周辺の対潜活動というのは、もっぱらわが方が負担をするということにならざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  13. 木下元二

    木下委員 自衛隊が対潜能力分担するとしまして、その作戦行動範囲はどのように考えていますか。
  14. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 作戦行動範囲は、憲法的に申しますならば、自衛範囲において必要な限度、それは在来から御答弁申し上げていますように、領海領空に限定されたものでなく、必要に応じて公海公空に及ぶこともあり得るということでございます。  そこで、非常に大きな範囲考えるのではないかということでございますが、これは在来どもの方から御答弁申し上げておりますように、日本周辺の数百海里を大体考えておる、こういうことでございます。
  15. 木下元二

    木下委員 防衛庁の方は、これは航路帯を設定して責任を負担するという考えはないというふうに言われておるんですね。対潜作戦におきましても、同じように憲法上の制約から、その行動範囲を厳格にしぼるという考えに立たなければ一貫しないと思うのですが、そういうことですか。
  16. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 わが方はあくまでもやはり憲法範囲内ということでございますから、その限度があるわけでございまして、その中で考えていく、こういうことでございます。
  17. 木下元二

    木下委員 ところが問題は、これは実際に海域に一定の枠を設けて、ここまでは行動できる、ここからはできないというふうなことは、実際問題としては、実際の作戦において不可能だと思うのです。必然的に憲法上の制約を破って広範囲作戦を展開する危険があるのではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  18. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 実際、いままさしく先生のおっしゃったとおりに、私どもは、どこからどこへという区域を設けてやるということ、そういう意味海域分担ということは考えておらないわけでございまして、そういう意味でこの作戦というのはかなり流動的であるということでございますが、先ほど申し上げましたように、そうかと言って、これは無制限に広がるという問題ではございませんで、公海公空に及ぶ場合においても、大体わが国周辺の数百海里の範囲内というような程度考えておるわけでございます。現実に能力的に見ましても、大体そのぐらいのところをめどにして考えておる、こういうことでございます。
  19. 木下元二

    木下委員 どうも数百海里というのはあいまいな感じがするのです。この際、明確にされたいと思いますのは、自衛隊行動範囲がどこまで及ぶか、また制約されておるかという点についての考え方であります。というのは、どうもこの点について政府答弁が幾らかずつずれてきておるように思うからです。たとえば日本に対する武力攻撃があったとき、日米共同作戦領海外で行われてよいという答弁がされております。また一方では、自衛隊行動範囲は、領海領空ばかりでなくわが国防衛に必要な限度内でできるという答弁もあります。この二つの答弁は同じではないわけでありますが、これは一体どういうことになるのか。総合しますと、自衛隊武力攻撃がなくても領海領空外行動できるという考えなのですか。いかがですか。
  20. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いま申し上げておりますのは、防衛出動の事態が出てからということでございます。安保五条につきましても、安保五条の状態になってからということが前提になっております。
  21. 木下元二

    木下委員 そうしますと、自衛隊行動範囲というのは、防衛に必要な限度内でできるという、この必要な限度内というのは、これは政府側が自由に判断できるということでなくて、安保五条による場合、こういうふうに限定するわけですか。
  22. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 安保五条の場合と、それから安保五条が発動にならない場合で単独にわが方が防衛出動する場合というふうに分けて考えられた方がよろしいのじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても当方考え方は、わが国わが国防衛するため、自衛必要限度内において領海領空に必ずしも限られない、公海公空に及び得るというその基本的な考え方については、独自に出動する場合においても、また安保五条の場合においても、日本側としては同じ考え方であるということでございます。
  23. 木下元二

    木下委員 ですから、安保五条の発動の場合と、それからそうでない場合に、防衛に必要な限度内でできるという場合というのはどういう場合なのか。武力攻撃があった場合、その場合にしぼるというふうにお考えなのか。それを聞いているわけです。
  24. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いずれにいたしましても私ども行動の基準というのは、防衛出動については自衛隊法の七十六条に定められておることでございまして、外部からの武力攻撃を受けた場合ということが要件になっておるわけでございます。
  25. 木下元二

    木下委員 武力攻撃を受けた場合、その場合に限って防衛に必要な限度内ということで判断をして行動する、こういうふうにお考えなんですか。もう一遍確かめておきます。
  26. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 七十六条には「内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)に際して、わが国防衛するため必要があると認める場合には、国会の承認を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」こうなっておるわけでございます。武力攻撃がある、あるいは武力攻撃のおそれがある場合でございます。
  27. 木下元二

    木下委員 そのおそれがあるということで幾らでもエスカレートしていくわけでございます。では、わが国への攻撃がない、あるいは有事でない、つまり平時のときから、領海外での戦闘行動を想定して、必要な作戦、たとえばいろいろな調査をやったり準備行動をやる、こういうことはできるのでしょうか。
  28. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 ここにございますいわゆる防衛出動ですが、出動に伴いまして、当然防衛行動に必要な権限というものがこの後にずっと出ておりますが、こういうものを付与されるわけでございまして、こういうものは防衛出動下令にならなければできないわけでございます。ただ、いま例示をされました周辺海域調査であるとかその他の問題は、いわゆる防衛出動に伴う行動ではございませんので、この適用を受けることではないというふうに解釈をいたしております。
  29. 木下元二

    木下委員 ちょっとこれまでの答弁と少し違ってきているのではないかと思うのです。たとえば、これまでは公海において海底ケーブルソーナーなどは設置はできないというふうに私は聞いておるのです。訓練区域を指定して訓練をするというのは、これは別であります。そうではなくて、実戦を想定して、そこで実戦がやれる場合のために調査あるいは準備をやる、こういうことはできないのじゃありませんか、これまでのあなた方の考えからすれば。
  30. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 海底公海部分ソーナー設置したりするということにつきましては、これは違法ではございません。できるということでございますが、ただしまだ現実にやっていないというだけの話でございます。
  31. 木下元二

    木下委員 そうしますと、いま言ったようなことはできる、いろいろな実戦に備えての調査なり準備行動というものは公海上においてもできる、こういう立場のようですが、では現実にやっておりますか。
  32. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまおっしゃっておりますこの防衛出動準備行為ということになりますと問題は別でございますが、いま挙げられました、私が御説明いたしましたことは、防衛出動準備行為ではございません。
  33. 木下元二

    木下委員 私が聞いているのは、領海外での戦闘行動を想定して必要な作戦、これにはいろいろありましょうけれども調査であるとか準備行動、そうしたことができるかどうかと聞いているんですよ。あなたはできると言う。それでいいわけですか。
  34. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 防衛出動準備行動というのは、七十六条、これの直接の関連でなければできないと思います。私どもがやっております調査というものや何か、これはそういう意味準備行動ではございません。
  35. 木下元二

    木下委員 じゃ何のための準備行動ですか。
  36. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまおっしゃるような意味、法律的な意味における準備行動ではございません。調査調査なりの目的を持っております。
  37. 木下元二

    木下委員 どうも調査の具体的な内容がわかりませんので、はっきりしませんので、それでは私の方から伺います。  対潜水艦攻撃方法としてJEZEBEL方式というのがあると聞いております。これはどういうものですか、簡単に言うと。
  38. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 簡単に申しますと、ソーナーを間隔を置きまして投入いたしまして、そのソーナーから入ってまいります音源でございますが、それを計画的に探知をしていくという方法でございます。
  39. 木下元二

    木下委員 それは結局、爆雷攻撃をするためにその潜水艦位置探知する、そういう方法ですね。そしてそれはヘリコプターから、聴音探知器と申しますか、ソノブイというのを投下して、それによって位置を確認してヘリに伝える、それで攻撃を加える、こういうものですね。
  40. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 大体そのとおりでございます。
  41. 木下元二

    木下委員 そのJEZEBEL攻撃訓練を行う海域は決まっておりますか。
  42. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 別に特定はいたしておりません。日本周辺海域ということになっております。
  43. 木下元二

    木下委員 本当に決まっていないのですか。ここに「海上自衛隊公報 秘密版四五〇一四九」四十五年十二月十日付というのがあります。これは海洋業務隊司令から出ておりまして、各部隊の長、各機関の長あてであります。「JEZEBEL訓練海域に関する参考資料」ということで出ております。これは配付をされておるわけでありますが、はっきりと「JEZEBEL訓練海域に関する参考資料」というふうになっておるのです。こういう海域が決まっているのではありませんか。
  44. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 これは、JEZEBEL訓練実施をいたしますときに、あらかじめそういう訓練区域をそのつど指定をいたしまして実施をするということでございます。
  45. 木下元二

    木下委員 そのときどきこの訓練海域が決められているということですが、では、少し質問を変えますけれども、対潜攻撃作戦展開のためには、海底地形図底質図海底プロフィル図。あるいは音速分布図、これは塩分の関係音速が変化いたしますので、こうした分布図をつくる必要があると思うのですが、こういうものを作成しておりますか。
  46. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 これは対潜作戦を展開する上に必要なデータでございます。そういうことはどこでも調査をいたしております。どこでもというのは日本周辺でございますが、調査をいたしております。
  47. 木下元二

  48. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 領海外もつくっていると思います。
  49. 木下元二

    木下委員 領海外もつくっておられることを認められましたので、あえて指摘をするまでもないのですが、同じく「海上自衛隊公報 秘密版四五 ○一二七」というのがありまして、これによると、「海洋図等の作成について」という文書であります。「海底地形図 トカラ群島(東方)」「底質図 対馬海峡東水道」「玄界灘」等、そのほかにもありますけれども、こういうふうに記載をされております。つまり、こういうことで、公海にわたってこうした図面が対潜作戦のためにつくられている、こういうことですか。
  50. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 まだ完全なものに至っておらないようでございますが、そういうものを調査して作成するということをやっていることは承知しております。
  51. 木下元二

    木下委員 大体わかりましたが、わが国への攻撃が加えられていない平常時においても対潜作戦準備が進められている、海底ケーブルソーナー公海上にも延ばしておるということは、これはすでにもう明白になっていると私は思うのです。こうしたことはとんでもないことだと私は思います。平和憲法をじゅうりんすることもはなはだしいのであります。  日米防衛分担としまして対潜作戦考えているようでありますが、この対潜作戦防衛分担は、実質上はすでにやられているということではないのですか。新たな課題として研究検討をするということではなくて、すでに事実だけが先行しておる。いま言われましたけれども、もうJEZEBEL訓練が行われている。海底調査音速調査も対潜作戦のために進められている。結局あなた方は、こうした非公然であったものを公に堂々と運用できるようにしたいということではないのですか。いかがですか。
  52. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 まず、JEZEBEL訓練をやりますのは、これはもう対潜訓練の一つの典型的なパターンでございますので、それがすぐに違憲になるかどうかというお話は、ちょっと私は筋違いではないかと思います。  それから、ただいまお話にございましたように、周辺海域について潜水艦行動に必要な調査を行うということは、これはもう当然、潜水艦が活動するためには必要なことでございまして、基本的にはわが国自衛のために必要なものであるということになると思います。  それから、それがすべて準備行為であるというふうにおっしゃるわけでございますけれども、そもそも潜水艦を保有するということ自体が対潜活動をやるということでございまして、潜水艦十分機能を果たし得るための諸条件というものを平生からやはり詰めておくということが大事でありまして、いまの調査もこれにつながる問題であります。いわゆる憲法違反を平生から準備しているというような御指摘は、私は当たらないと思います。  それから、アメリカとの分担はすでに事実先行ではないかということでございますが、事実はもうすでに日本は、こういう自衛力を持って自衛のために出発をしておる。われわれはそういうものを持っておるわけでございます。それからアメリカアメリカで、安保条約に基づきまして在日米軍あるいはその他のものを所在させておるということでございます。そういう両方の事実を踏まえて、安保条約に基づいて両方作戦にそごを来たさないようにと申しますか、要するに整合のとれた協力関係というものができ上がるようにすり合わせをしようというのが、おっしゃっておる分担協力ということであるというふうに思うわけでございます。事実が先行しておるという、既成事実をつくって云々ということは、ちょっと筋の違った御議論ではないかというふうに私は思います。
  53. 木下元二

    木下委員 対潜作戦分担をやると言われておるけれども、すでにもうこの対潜作戦現実に展開されておる。そのいろいろな準備調査あるいは訓練が行われておるということを私は言っておるわけです。  この日米防衛分担ということは、これは前にも言われていたことがあると思うのですが、米側の太平洋海域の制海権確保ということがその眼目だと思うのです。そうではありませんか。
  54. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 アメリカが制海権を確保するということは、アメリカ自体の目的から出ているということだと思います。わが国にとりまして、わが国の安全を守るために、周辺海域のいまの対潜でございますか、こういった活動をするということは、まさにその合目的的な行為でございまして、アメリカのためにわが国分担をするということはないわけでございます。たてまえはあくまでも日本の安全を守るためということが目的でございます。
  55. 木下元二

    木下委員 わが国を守るために対潜作戦をやるということですけれども、私がいま言っているのは、防衛分担という、そういう考え方日本と米国で防衛分担について話し合いをし、それぞれ機能的な分担をやるというようなことも言っておられるわけですが、そのことは、つまり米側の太平洋海域の制海権の確保というところに重点があるのではないか。そのことが、あなた方の考えによれば、日本防衛にも通ずるということだと私は思うのです。  この米側の太平洋海域の制海権確保、それはではどういうことかと言えば、ソ連等の潜水艦の太平洋海域への進出を食いとめるという手段で実現される。自衛隊がその任務を分担するというわけではないかと思うのです。さらに具体的に言えば、宗谷、津軽、対馬の三海峡を通過するソ連等の潜水艦攻撃対象として作戦を展開する、あるいはまた海峡も封鎖をする、日本に直接武力攻撃があるなしにかかわらず、米側の太平洋海域の制海権を確保するために、自衛隊はこの対潜作戦分担するということではないかと思うのです。これがあなた方の言う対潜能力分担ということではないのですか。しかもこの際の対潜攻撃というのは、当然公海上を含むということになる。こういうことは私は許されないと思うのです。所見を承りたい。
  56. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 先ほどお話がございましたように、これは考え方の相違だと思いますが、私ども日本を守るためにアメリカ協力をしてもらうという立場を終始とっておるわけでございます。私たちばかりじゃなく、日本としては当然のことだと思いますが、おっしゃるように、アメリカのために、アメリカの太平洋作戦のために日本自衛隊があるという発想ではございません。  それから、いまの御指摘の点でございますが、武力攻撃がないのに海峡封鎖をするというようなことは、これはできません。やはりこの七十六条の「外部からの武力攻撃」云々、こういう前提がございませんと、海峡に対する機雷敷設、それによって封鎖をするというようなことはできないわけであります。
  57. 木下元二

    木下委員 私は、こういう質問をしましたのは、六月三日の当委員会での質疑を見ましても、日米共同分担によって米側に太平洋海域の制海権確保をしてもらう、そういったことを言われておるので、あえて私はそういう角度からお尋ねしたのです。それをいまの答弁では否定されておるようであります。しかし、前にはそういう答弁をされておる。一応この点については——何かありますか。
  58. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 日本周辺海域防衛をいたします場合に、わが国海上自衛隊だけの力で独自に守っていくということは、これはきわめて至難な話でございまして、そのために日米安保条約というのがあるわけでございまして、私が申し上げておりますのは、日本周辺海域を含めた一般的な制海権というものは、アメリカの第七艦隊があるということによって確保される、そういう前提の上にわれわれは対潜活動を主とした周辺海域における活動に従事する、こういうことで、それはあくまでもわが国を守るためにやるものである、こういうことでございます。
  59. 木下元二

    木下委員 だから、その太平洋海域の制海権を確保するためということは、では具体的にはどういうことなのか、どういう手だてによってそれを確保するのかということを言いますと、私が指摘をしたように、ソ連等の潜水艦の太平洋海域への進出を食いとめる、そこに主眼があるんじゃないですか、実際は。率直に言っていただきたいのです。
  60. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 アメリカの太平洋地域における制海権の確保というのは、これはあくまでもアメリカにやってもらうということでございます。そういう全般的な制海権がこの周辺海域において確保されているという条件の上にわれわれの海上自衛隊が活動をする、こういうことでございます。
  61. 木下元二

    木下委員 その点につきましては、幾らかすれ違いがありますので、私はもうそれ以上深入りして聞きません。  次の問題に移ります。兵庫県の青野ケ原のホーク基地関係であります。この青野ケ原の基地に第八高射特科群の配置計画が進められようといたしております。まず伺いたいのは、どのような施設をどのような順序でいつまでに建設をするのか、そして施設の総工費、ホーク関係建設費用としてどれだけの予算を計上しているか。ランチャー一基の単価及び弾一発の単価は幾らか、そういうことについてお伺いしたい。
  62. 平井啓一

    ○平井政府委員 まず施設の面に関して私から御答弁申し上げます。  青野ケ原に第八高射特科群を昭和五十年度末を目途として部隊の編成を完了するというスケジュールに合わせまして、施設の面におきましては、昭和五十年度におきましては、隊舎とかあるいは本部庁舎等二棟、それから食堂、浴場各一棟、整備工場二棟、その他の所要施設を整備する計画を持っておりまして、この予算は総額で約十五億でございます。あと五十一年度におきましては、体育館だとか、貯蔵施設だとか、あるいは五十年度で建設してまだ不足します公務員宿舎等を建設する予定にしております。
  63. 山口衛一

    ○山口政府委員 ホークの弾でございますけれども、これは配備いたします弾の調達年度によりまして変わってまいりますが、たとえば四十八年度にホークの調達契約をいたしております場合は、これは予算単価ではございますが、一発で約三千九百万円でございます。  それからランチャーでございますけれども、ランチャーは関連の機材と一緒になっておりますので、ランチャー一つを取り出して幾らという数字は後刻調べまして申し上げます。関連資材と一緒になっておりますので、ランチャーだけを抜き出しての計算はできておりません。
  64. 木下元二

    木下委員 関連資材というのはどういうものですか。関連資材等を含めて言ってもらっても結構です。
  65. 山口衛一

    ○山口政府委員 関連機材と申しますのは、ランチャーその他これを統轄して発射指揮をいたします指揮装置関係のコンピューターを含めました各種関連機材という意味でございます。これにつきまして、一セット当たりの値段につきましては、いま調べまして後刻申し上げます。
  66. 木下元二

    木下委員 このナイキ部隊、ヘリコプター部隊の配備を四次防以降に計画しているという声が聞かれておりますが、この点はいかがでしょうか。そういう計画があるのでしょうか。
  67. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 四次防以降の計画は、御案内のようにただいまポスト四次防の作業をやっておりますので、それがはっきり決まりませんと、現在の段階で計画がある、ないということをまだ申し上げる段階にございません。はっきり決まりました段階で申し上げます。——失礼いたしました。私、全般的計画で御返事をいたしておりましたのですが、青野ケ原については考えてございません。
  68. 木下元二

    木下委員 去る三月二十八日に地元の意向を無視して予備測量を強行しておるのでありますが、こうしたことについて申したいのです。  昨年の十二月以来、兵庫県当局と関係自治体当局が、地元の了解なしに測量と工事着工をやらないよう防衛庁側に要望を出しておりましたにもかかわらず、防衛庁側は、陸上自衛隊中部方面総監部と大阪防衛施設局長との連名で「第八高射特科群の設置について」と題する本年三月二十二日付文書を抜き打ち的に関係自治体に送りつけてきましたとともに、同月二十五日には、陸上自衛隊姫路駐とん地で中部方面総監部の太田幕僚副長と大阪防衛施設局の岩見施設部長が、二十二日付で出した協力要請に対し地元から正式回答がなくても実施するなどと発言をいたしております。そして二十八日には、第三師団副師団長の西浦一佐の指揮のもとに、第四施設団の隊員ら約二百五十人が、県警本部の制私服警官約百七十人を動員した厳重な警戒体制のもとで予備測量を強行しております。こうした防衛庁側の一方的なやり方に対して、地元では批判と怒りの声が上がっております。こうした住民の声に押されましてか、小野市長は本年四月三日付公文書で、一方的に現地測量がなされたことは市長としてまことに遺憾にたえないという申し入れを行っております。防衛庁防衛施設庁のやり方は地元の意思を顧みない問答無用のファッショ的暴挙であると言わざるを得ないのです。  そこで、お尋ねしたいのでありますが、防衛庁防衛施設庁の方針は、地元の意思がどうであろうとこれを無視してでも既定方針を強行しようということなのか、それとも地元の理解と了解を得るために地元と十分協議をするという方針なのか、これを伺いたいのです。
  69. 久保卓也

    ○久保政府委員 先生は余り十分御理解いただいていないようでありますが、昨年来私は、県の副知事、あるいはそれ以前には知事とも会っておりますが、それをスタートにしまして大阪の施設局、それから中部方面総監部の人たちが、関係二市町の町長、市議会、それから県議会の方々、さらに地域住民の方々、それらに十分御連絡をし、相当数の会合も開き、その都度、表面的にはともあれ市長さん、市議会の方々、そういう方々の御理解を得ながら連絡も申し上げ、また現地の測量もしておるということで、比較的スムーズにいっているケースであろうというふうに思っております。
  70. 木下元二

    木下委員 それじゃ私の答弁になっていないじゃないですか。私は、どういう方針でやろうとしておるのかということを聞いておるんですよ。
  71. 久保卓也

    ○久保政府委員 私がお答え申し上げたことでおわかりになりますように、地元の方々との御了解を得ながら私どもは仕事を進めるというのが基本的な方針であります。
  72. 木下元二

    木下委員 どうもそういう方針でやられていないように思うから伺ったのですが、そういうことでやられているとすれば、いま私が指摘しましたように、小野市長が公文書で、そういう一方的に現地測量がなされたことは市長としてまことに遺憾にたえない、というふうなことを発表するはずがないのです。ごり押しでやっているから、こういうふうに市長でさえ問題を提起をしておる、こういうことなんですよ。
  73. 久保卓也

    ○久保政府委員 地方行政のことは、御案内のようにいろいろむずかしい経緯もありまして、余り表面立ってあらがうのは適当でないかもしれませんが、基本的には私ども、市長さん方、町長さん方、あるいは市議会の方々のみならず、地域住民の人ともよくお話をしております。これは、ときどきある時点においては、そういった事態もあり得るかもしれませんけれども、基本的な線としては、御了解を得つつあると私どもは認識しておりますし、また、御了解がなければごり押しにするというようなことは、私どもとしてはいたさないというつもりでおります。
  74. 木下元二

    木下委員 本年の六月の十四日、陸上自衛隊中部方面総監と大阪防衛施設局長の連名で「第八高射特科群の配置計画について」と題する一方的な通知書を、関係自治体に対してこれまた抜き打ち的に提出し、地元の意思を踏みにじって本測量と工事着工を強行しようといたしております。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕  六月十四日に出した配置計画はいつどこで決まったのでしょうか。関係自治体に提出した配置計画の詳細を資料として提出してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  75. 久保卓也

    ○久保政府委員 いまの現地における配置計画につきましても、一方的に抜き打ち的に差し上げたのではございません。地元とお話をしながら差し上げているわけであります。したがって、決まりましたのは直前でありますが、この配置計画について資料を差し上げることにはやぶさかではございません。
  76. 木下元二

    木下委員 それはいただくといたしまして、十四日の直前に決まったと言われましたが、いつ決まったのですか。
  77. 銅崎富司

    銅崎政府委員 先ほどお話がありました三月末に予備測量をいたしましたが、その結果を踏まえまして、一応の隊舎等の原案をつくりました。それで、それを地元に示しまして、地元の意見をお聞きしながら配置を決め、配置図を作成したわけでございますが、十四日に地元側に示すかどうかということにつきましては、ただいま久保長官からお話がありましたように、十二日から十三日にかけまして、内部でいろいろと相談をいたしまして、それで正式に配置図を決め地元側に通知をする、こういう段取りになったわけでございます。
  78. 木下元二

    木下委員 そうしますと、十二日から十三日にかけて配置計画が決まったということですか。その決まった時点はいつですか、はっきりしていただきたいのです。
  79. 銅崎富司

    銅崎政府委員 正式に決まりましたのは十二日から十三日にかけてでございます。
  80. 木下元二

    木下委員 その点、私、後から聞きますが、重大な点があるんですよ。十二日から十三日というのはいつなんですか。一体決まったのはいつですか。
  81. 銅崎富司

    銅崎政府委員 内部の調整を十二日から行いまして、決まりましたのは十三日でございます。
  82. 木下元二

    木下委員 私は、防衛庁側が六月十四日にこの配置計画を明らかにするという情報を事前に入手しまして、去る十二日、本庁の防衛施設課に問い合わせをいたしましたところ、大阪防衛施設局でやっているということでありましたので、本庁ではわからないということでありました。そこで、早速大阪防衛施設局に電話を入れまして確かめたところ、局長は、六月十四日に配置計画を発表するというような予定はない、配置計画はまだ決定されていないという説明をしたのです。ところが防衛庁側は、六月十四日に私が事前に入手した情報のとおり配置計画を提出いたしました。防衛庁防衛施設庁は、地元の意思を顧みないだけでなく、国会議員の問い合わせた問い合わせに対してうそをついてまで、既定方針を強行しようとしておるのですか。防衛庁側のやり方は言語道断ではないですか。  そこで、私はお尋ねをしたいのでありますが、防衛問題を所管する内閣委員会の委員である国会議員にうそをつくとは何事ですか。これがまともなやり方であると思っておるのですか。所管の委員会の委員に対して平気でうそをつくような役所を相手にして防衛問題の審議ができるとでも思っているのですか。責任ある答弁をいただきたいと思うのです。
  83. 久保卓也

    ○久保政府委員 私は、十四日に地元に連絡するというふうに当時聞いておりました。そして十四日に間に合わせるように大阪局で準備するように私は承知をしておりました。したがって、先生に大阪局でそういうふうに答弁をしたのは私は知っておりませんでしたけれども、多分、非常にデリケートな問題でありますので、地元局に連絡する前に、国会議員ではありますが、外に出すことをおもんぱかったのであろうと私は思いますが、必ずしも適当な措置ではなかったというふうに思います。したがいまして、大阪施設局長のとった措置に対してはおわびいたしたいと思います。
  84. 木下元二

    木下委員 適当な措置ではなかった、おわびをするでは、私は済まないと思うんですよ。私は、大阪防衛施設局長の説明を受けまして、それをそのまま地元に伝えたのです、まだ計画もつくられていないということだと。地元住民からは、木下はいいかげんな男だ、そういう批判を受けております。私の信用はまるつぶれであります。この責任を一体どうとるのですか。いかがですか。
  85. 久保卓也

    ○久保政府委員 いずれにせよ、十四日に地元、特に市長、町長とよく御連絡をする、その前にいろいろと外に情報が流れて不測の問題が発生しても困るということを配慮したものであろうと思いますけれども、いかにしても国会議員の先生に不明瞭な言い方をするのは不適当であったので、申し上げられませんと言うべきであったと私は思うのです。
  86. 木下元二

    木下委員 外に漏れるのを恐れたと言いますけれども、何もうそをつく必要はないんですよ。計画ができておれば、あるいはもういよいよできる段階であれば、そのことを言えばいいのです。けしからぬです。時間がありませんので……。  第八高射特科群の青野ケ原演習場への配備計画に対しまして、地元の小野市、加西市、滝野町当局はいずれも、基本的反対、同演習場の平和的利用で望むということを議会等で表明をいたしております。議会でも、加西市議会と滝野町議会がこれと同様の態度をとっております。小野市議会では賛否両論に分かれまして、現在なお協議をしておる段階です。周辺住民の意向も、昨年末神戸新聞が実施したアンケート調査によりますと、小野市民の七三%、北播全域の六〇%が配備計画に反対いたしております。地元の大半の意向は、青野ケ原を住民福祉に役立つよう平和的に利用しようということでありまして、憲法違反自衛隊増強に反対するということであります。ところが防衛庁側のやり方は、地元の意思を無視したファッショ的というよりほかにないのであります。六月十四日付の文書を見ますと、既定方針を強行することを表明いたしますとともに、地元にはこれへの協力を一方的な形で要求するという高圧的な内容になっております。地元の了解を得るために協議をしたいというような文書にはなっていないのです。  そこで、伺いたいのでありますが、地元の意向を尊重するというのであれば、第八高射特科群を青野ケ原へ配備するという計画は、地元住民の大部分がこの計画に反対しておるのでありますから、当然白紙撤回すべきだと思うのでありますが、どうですか。
  87. 久保卓也

    ○久保政府委員 六月十四日に御連絡をしました内容は、地元から配置計画はどうなっているのか知らせてほしいというお話がございましたので、十四日に別添の資料をつけて差し上げたわけで、それにあわせてなお、今後測量及び建設工事を始めたいという私の方の希望もつけ加えてはございます。しかしながら、協議という点になりますると、これは以前から今日も協議は進行中でありまして、たとえば測量にしましても、測量をやるときには地元に御連絡しますし、建設工事の場合には、これはもう当然形式的な手続がございまして、市町村長から県に通じてさらに認可行為が出なければ始められない。したがって、そういう形式的な手続以前に、具体的な協議あるいは御了解というものは当然得るということを前提にして考えております。いわば協議はまだ進行中である。したがいまして、いまここで白紙撤回をするしないという問題は登場してまいらないというふうに思います。
  88. 木下元二

    木下委員 どうも地元と話し合って協議をしながらやっておるかのように言われますけれども、そんなことないですよ。予備測量にいたしましても、これは強行しているではありませんか。この予備測量を強行したときの三月二十二日付の文書を見ましても、この計画について「大方の御理解を得られつつあるものと考えております」などと述べております。その後もこういう主張を繰り返しておりますが、一体これは何を根拠にしておるのですか。私は当面、少なくとも地元の理解と了解を得るために、関係自治体当局と議会及び住民と十分に協議を尽くすべきである、それまでの間この地元感情を逆なでするようなやり方、そういう本測量と工事着手は見合わせるべきだと思うが、いかがですか。それとも国会議員にうそをつき、地元の意向を無視して既定方針を強行してきたいままでのやり方を、あくまでとり続けるつもりなんですか。はっきり答弁をいただきたい。
  89. 銅崎富司

    銅崎政府委員 先ほど久保長官から申し上げましたように、私どもは、地元と十分話し合いまして、御理解と御協力をいただきながらやっていこうという姿勢であるわけでございます。昨年十二月初めから、私どもは、市の市長、議会の議員の方々とお話し合いを始めますとともに、今日まで、地元の町内会の方々と十九回にわたりましてお話し合いをし、御意見を拝聴いたしております。また町内会とは別に、県、二市一町の代表者の方々、あるいは区長、議員の先生方、それから個人の方々に対しましても、約三十回程度の説明を行っております。  それから、すでにホークを配置されました部隊を見ていただくことが、ホークを御理解いただくのに一番早道であろうということを考えまして、すでに部隊の配置が行われております大村とか飯塚、下志津等においでを願いまして、実地にどういう状況であるかということを見ていただいております。これは地元十九団体、二百二十五名の方が参加されております。そういうふうに、いろいろな機会を通じまして、ホークとはどういうもであるか、また部隊の配置された実情はどうなっているかということにつきまして、十分に御説明申し上げているつもりでございますし、今後とも、そういう努力をいたしまして御理解と御協力を得たい、こういうふうに考えております。
  90. 木下元二

    木下委員 大分食い違いがあるようですが、ここでもう私はその事実関係につきまして議論をいたしません。けれども、私がいま質問しましたように、地元感情を無視したり逆なでをするようなやり方というのは改めてもらいたいと思うのです。これまでそういうふうなことでやってきたのです。測量なども強行してやってきたのです。だからひとつ今度は、本測量、それと工事着手、これは十分に協議をし、了解を得るように努力をする、そういうことなしにそういう工事の強行ということはやめてもらいたい、あるいは本測量をやめてもらいたい、こういうことを言っているのです。いかがですか。
  91. 久保卓也

    ○久保政府委員 私どもとしましては、あれは三月でしたか、三月に予備測量をやりましたときにも、一方的に強引にやったとは考えておりません。これをやるときにも、やはり根回しをやりながらやっておるわけで、私どもが基本的に考えておりますのは、仮に強引にあるいは地元の了解なしにある時期にやれても、部隊が配備されるということは、結局、部隊と地域住民が共存共栄をしていかなければならない、ですから、一時成功しても後で非常に不利があってもまずいわけなんで、もともと自衛隊の存在自身が地域住民に溶け込むものでなければならないわけなんですから、一方的にやるということは、基本的に私どもとしては念頭にございません。したがいまして、このケースにつきましても、当然、各種の段階について、それぞれ地域住民の方々、あるいは市長もしくは市議会の方々の御了解を得てやるという方針には変わりございません。
  92. 木下元二

    木下委員 その方針をはっきり確認していただきまして、この質問を終わります。  次の問題に移ります。——何かありますか。
  93. 山口衛一

    ○山口政府委員 先ほど木下委員から御質問がございましたランチャーの単価でございますけれども、ランチャーは四十八年度契約で私どもがやっておりますのが、最近でございますが、一ランチャー当たり約八千万円というふうな予算単価でございます。そして一高射特科群が二十四ランチャー編成というのが通常編成でございます。
  94. 木下元二

    木下委員 はい、結構です。  私は、陸幕二部別室の問題について伺いたいのであります。この陸幕二部別室の組織でありますが、六月三日の中路委員の質問によりまして、秘密のべールに包まれていたその実態がずいぶん浮き彫りにされ、明るみに出てきました。と同時に、その組織構成なり指揮系統なりについてかなり問題があることも明瞭になったと思います。そこで私は、もう一歩突っ込んで伺いたい点があるわけであります。  二部別室は陸、海、空の各自衛官と文官合わせて一千五十名、この人数をもって編成されております。そしてこの混合部隊を陸幕長が指揮をしておるということであります。これは防衛二法に照らしましてもきわめて変態的で、問題があることは明らかです。しかし、これは結論的に違法ではないと中路質問答弁されました。結論的に違法ではない、その根拠を説明されたいと思うのです。
  95. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 まず、組織令の百七十二条でございますが、これによりまして、陸上幕僚監部の内部組織に関しまして必要な事項を長官が定めるということになっております。この長官が定めるいわゆる訓令でございますが、これによって二部に別室を設置するということを定めておるわけでございます。
  96. 木下元二

    木下委員 簡単な説明ですね。この前のときにもっと詳しい説明もあったと思うのですが、それだけしか言えませんか。この前のときに、防衛庁設置法等を引用されてもっと根拠づけをされたように思うのですが、それをもう一度確認しておきたいと思って伺ったのです。
  97. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 一番最後の結論に近いところを申し上げましたので、法律から申し上げますと、設置法の二十一条の四項で「幕僚監部の内部組織は、政令で定める。」となっておるわけで、そこで組織令で、いま申し上げましたように、長官に委任をされておる、そこで訓令で定めた、こういうことでございます。
  98. 木下元二

    木下委員 この前言われたのは、設置法の二十三条二項によって「一の幕僚監部に他の幕僚監部の事務の一部を処理させることができる。」というのが一つ。それから二十四条によって、それぞれの幕僚監部にそれぞれ本来所属すべき自衛官を置くということがたてまえであるけれども、特に派遣することを禁じていない、こういうことをこの混合部隊の根拠にされた、そうではなかったのですか。私は、こういう変態的な陸、海、空の自衛官が集まって一つの部隊をつくっておる、そういうふうな本来あり得べき姿から離れた存在になっておるこの根拠は何かということを聞いているんですよ。それに対するお答えは、私がいま指摘をしたようなことではなかったのですか。それはいまでも変わりがないのか。変わっておるのか。どうですか。
  99. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 設置の根拠のお尋ねでございましたから、二十一条から御説明申し上げたわけでございます。いまおっしゃいますように、陸、海、空の各自衛官が二部別室に勤務する根拠は何であるかということでございますが、これはこの前御説明いたしましたように、二十三条の二項によりまして、各幕の事務の一部を他の幕僚監部に処理させることができるということでございます。いま二十四条を御引用になりましたが、これはこの前、私、中路先生の御質問にお答え申し上げましたように、本来それぞれの幕僚監部は、陸であれば陸の自衛官で構成するのがたてまえであるということを二十四条にうたっておるわけで、これはそのたてまえに反する行為ということで違法ではないかということでございますが、趣旨から申しまして、特にこれを禁止する規定がございませんので、違法ではないというふうに申し上げたわけでございます。
  100. 木下元二

    木下委員 いま言われるように、派遣することを特に禁じていないので違法ではないという点が非常に問題だと私は思うのです。部隊の単なる派遣はできるでしょう。必要に応じて部隊を派遣させる、これは禁じられていない以上自由にできる。海上の部隊を必要に応じて陸上の部隊のいるところに派遣をさせる、これはできるでしょう。しかしその場合、海上の部隊と陸上の部隊がたまたま一緒におるからといって、海上に対して陸上が指揮をするということにはならないと思うのです。それはたまたま一緒におるというだけなんですよね。そのことはもう自衛隊法九条の規定に照らしましても明らかであります。陸上、海上、航空、それぞれ部隊が違っても一緒に特別の部隊が編成され、海上や航空が陸上の指揮下に置かれる、あるいはその逆の場合もあるとすれば、その逆の場合も問題であります。そういうふうなことはこれは特別の場合ではないのか。いかがですか。
  101. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 原則的には、それぞれの系列に従って指揮監督するということが原則でございます。いま御質問のように、これは特別の場合というその意味がちょっとあれでございますが、そういう意味では原則とは違うということでございます。
  102. 木下元二

    木下委員 その私が言いましたようなことが特別にできる場合というのは、どういう場合ですか。
  103. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 この陸、海、空のそれぞれの系列以外の場合はまず統合幕僚会議でございますが、これは、それぞれ陸、海、空から出向をいたしまして、ここで統合幕僚会議議長の指揮監督下に置かれるということになっております。それから有事の際に統合部隊を編成することがございますが、これは有事の際でございますから、通常の組織、編成ではございません。それからあとは共同機関というものがございます。中央病院、それから地方連絡部といったようなものでございますが、こういうものについては、それぞれ共同機関としての規定がございまして陸、海、空が混在しておる、こういうことでございます。
  104. 木下元二

    木下委員 共同機関であるとか統合幕僚会議の議長といった場合は、これはきちんと法律が明定しておりますね。  それからもう一つ、この特別の場合というのは、自衛隊法二十二条が明定をしておる場合、つまり七十六条第一項、外部からの武力攻撃に際しての防衛出動のとき、七十八条一項、間接侵略その他の緊急事態に際しての治安出動のとき、八十一条第二項、都道府県知事の要請による治安出動のとき、こうした特別の出動の場合に限って特別の部隊編成が行われ、指揮系統にも一部変動が生じ得る。この二十二条一項「内閣総理大臣は、第七十六条第一項、第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により自衛隊出動を命じた場合には、特別の部隊を編成し、又は所要の部隊をその隷属する指揮官以外の指揮官の一部指揮下に置くことができる。」それから三項「第一項の規定により編成された部隊が陸上自衛隊の部隊、海上自衛隊の部隊又は航空自衛隊の部隊のいずれか二以上から成る場合における当該部隊の行動についての長官の指揮は、統合幕僚会議の議長を通じて行なうものとし、これに関する長官の命令は、統合幕僚会議の議長が執行する。」こうあるわけですね。こういういま私が指摘した特別の出動の場合に限って特別の部隊編成が行われ、指揮系統にも一部変動を生じ得るのだ、私はこう思うのです。法制局おりますか。この私の見解、いかがですか。
  105. 味村治

    ○味村政府委員 二部別室の問題でございますが……。
  106. 木下元二

    木下委員 詳しいことは結構です。いま私が言ったことに対しての解釈です。
  107. 味村治

    ○味村政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、二十二条に特別の場合がありまして、部隊の編成について特別の編成をすることができるということを規定してある。その場合には、陸、海、空混合の部隊が編成できるということはそのとおりでございます。
  108. 木下元二

    木下委員 特別の部隊編成を行い、そして指揮系統にも変更を生じ得る場合というのは、この二十二条以外にどういう場合があるのか、それを伺っているのです。あるのかないのか。これに限定をするというふうに考えてよいのかどうか。
  109. 味村治

    ○味村政府委員 自衛官につきましてそのような場合があるのかないのかという非常に包括的な御質問でございますが、これは、現在問題になっております二部別室を含めまして、もうちょっと検討さしていただきませんと、現段階では自信のある答えができません。
  110. 木下元二

    木下委員 いや、二部別室の実態を踏まえて、そういうものがあるから検討せぬというふうな、そんなことをあなたに伺っているのじゃないですよ。私は自衛隊法の法的解釈をあなたに伺っているのです。この二十二条の解釈からすれば、陸上、海上、航空、こういう自衛官が一緒に集まって部隊を編成して、混合部隊をつくって、それでその指揮官を陸上なら陸上と決める、そういうのはこの二十二条をおいてほかにあるのか、これを聞いているのです。自衛隊法という法律の上からは、これ以外にないのじゃありませんか。もっとも、いまの共同機関とかあるいは統合幕僚会議の議長、これは法律が明定しておりますから別といたしまして、こういうふうに法律が明定した場合以外にできるとすれば、私は大変なことになると思うんですよ。適宜陸上も海上も航空も集まって部隊を幾らでも編成して指揮官を決める、そんなことが一体平時においてできるのですか。とんでもないことですよ。その解釈をあなたに伺っているのです。
  111. 味村治

    ○味村政府委員 陸、海、空につきまして特別の部隊を編成することができるという明文の規定は、先生の御指摘の二十二条だけでございます。ただ、ここで申し上げておきたいことは、幕僚監部は部隊ではございません。また、明文の規定が幕僚監部についてございません場合に、どのように解釈をするかという解釈の問題は残るということは申し上げておきたいと存じます。
  112. 木下元二

    木下委員 幕僚会議は部隊ではない、部隊でなければできるということですか。部隊でなければできるのですか。     〔委員長退席木野委員長代理着席
  113. 味村治

    ○味村政府委員 部隊につきましては、先生の御指摘の二十二条があるということを申し上げたわけでございます。部隊でないものにつきましては、これは防衛庁設置法の解釈によると存じます。
  114. 木下元二

    木下委員 この二部別室の場合は、これは実際に千五十名の部隊なんですね。陸上、海上、航空の自衛官が集まっている混合部隊なんです。そしてあなたは、部隊でなければ防衛庁設置法の解釈だというふうに言われますけれども、幾ら解釈をいたしましても——それは派遣はできますよ。私は、単にどこかに派遣させるという問題を言っているのじゃないですよ。陸上自衛官、海上自衛官、航空自衛官が一緒になって一つの部隊、部隊でなければ一つの組織をつくって指揮命令系統も適当に決める、そういうことが可能なのかどうか、防衛二法に照らして。そういうことは私はあり得ないと思うのです。あり得ますか。どうですか。
  115. 味村治

    ○味村政府委員 二部別室というのは、幕僚監部の一組織と申しますか、組織の一部でございまして、部隊ではないというように考えます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、幕僚監部につきましては防衛庁設置法の解釈によろうかと存じます。
  116. 木野晴夫

    木野委員長代理 関連して中路君。
  117. 中路雅弘

    ○中路委員 二部別室が部隊でないというお話ですが、通信所は七つ、分遣班を除いてありますね。私は、北海道の東千歳も行きまして、各地区所長に会いました。ここは通信所だから所員というのですかに、皆さんは部隊なのか、一つの機関なのかということで全部確かめました。部隊であるということは、現地のたとえば東千歳の指宿所長も、部隊だということを言っておられますし、先日、私が質問のときに出しました恵庭の中の配置図も、それから部屋のあれを見ましても、使っているのは全部隊員室ですね。これは機関ではなくて部隊だということは、皆さん自身の方でも明記をされているわけですね。また日常それは部隊だということで認められているわけです。こういう部隊がスタッフ機構である幕僚部についていること自身が問題なんですが、しかし、二部別室が部隊であるということは皆さん自身も認められているわけですから、いま法制局に木下委員がお聞きしているのは、そういう部隊についてこういうことがあり得るのかということを聞いているわけです。
  118. 木下元二

    木下委員 法制局、いまの点いかがですか。部隊についてはあり得ないということでよろしいですね。
  119. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまの中路先生の事実関係について……。中路先生に通信所長がどういうふうに回答をいたしましたか、私どもよく存じませんけれども、少なくともこの二部別室というのは、陸上幕僚監部の、いわゆる幕僚監部の中の機関、一部でございまして、いわゆるここに出ております部隊というものではございません。二十二条に部隊で特別の場合を規定してございますのは、実力行使をいたします部隊を陸、海、空を越えて特別の編成をするということについて制限的に規定をいたしたというのがその趣旨でございまして、いまの二部別室につきましては、陸、海、空の各幕僚監部から自衛官が派遣をされて、中で陸上幕僚監部の幕僚長の指揮を受けて仕事をしておる、こういうことでございます。各通信所をずっと持っておりますけれども、それはあくまでも機関の幕僚監部の現場が仕事の性質上そういう通信所であるということでございまして、その中で、正式の呼称で通信所が部隊であり、あれが部隊員であるということはないと思います。ただ隊員という呼称は、すべて自衛隊員という言い方でやっておりますので、それが必ずしも部隊の一員を呼称する意味ではないというふうに思います。
  120. 木下元二

    木下委員 いま中路委員から指摘されましたように、実質的にはこれは部隊であることには間違いないと思うのです。私は、法的に言いますならば、いまの法制局の見解はよくわからぬのですよ。部隊の場合に二十二条が適用になるのだ、部隊でなければ適用がないかのようなことを言われますけれども、そうではないでしょう。よくこれを読んでいただきたいのです。二十二条は、そういう陸上、海上、航空の自衛隊が特別の部隊を編成する場合はこういう場合に限るのだということを書いてあるんですよ。つまり要件としてこういう場合、防衛出動等の場合に限ってこういう混合部隊また指揮権の変動等が生じ得るということが書かれている。そうでしょう。だから、そもそもそういう二十二条の要件がない場合、通常時においてこういうふうな特別の部隊をつくったり、あるいは部隊でなくても、陸上、海上、航空の自衛隊が集まって特殊な組織をつくって、陸上の方が指揮権を持つということが、一体何を根拠にできるのかということですよ。これはできっこないんですよ。それを法制局は防衛二法に照らしてできるということを断言されますか。とんでもないことですよ。
  121. 味村治

    ○味村政府委員 通常の部隊の編成につきましては、自衛隊法第三章の第一節から第三節までに規定がしてあるところでございます。そして、これにつきまして、それと異なる特別の部隊を編成しようというときは、二十二条の規定によって、自衛隊出動内閣総理大臣が命じた場合に限られているということも、先生御指摘のとおりであるかと存じます。ただ、先ほど申し上げましたように、これは部隊の編成につきましての特例でございまして、幕僚監部は部隊ではございませんので、この規定が適用になるということはないということを私は申し上げたわけでございます。幕僚監部の組織につきましては、防衛庁設置法に規定してございますので、防衛庁設置法の問題であろうということを申し上げたわけでございます。
  122. 木下元二

    木下委員 ですから、確かに幕僚監部が出動をする場合を二十二条は規定していないと思うのです。私は、何もそんなことを言っていないですよ。陸上、海上、航空の自衛隊が一緒になって特殊な組織をつくり得る場合というのが、この二十二条に照らしてみてほかにないではないかということを言っているのです。あなたは、防衛庁設置法から見てあるんだ、できるんだという解釈ですか。そうだとすれば、その条項、根拠をお教えいただきたい。
  123. 味村治

    ○味村政府委員 私が申し上げましたのは、自衛隊法二十二条は部隊についての特例であるということを申し上げたわけで、これは幕僚監部についての規定ではないということを申し上げたわけです。幕僚監部についての規定というのは、防衛庁設置法に規定があるということでございます。防衛庁設置法上ただいま先生の御指摘のような事態が許されるかどうかということは、これは防衛庁設置法の解釈の問題であるということを申し上げたわけでございます。
  124. 木下元二

    木下委員 だから、防衛庁設置法で許されるのかどうか、それを聞いているんですよ。許されますか。
  125. 味村治

    ○味村政府委員 この問題は、実はかなりむずかしい問題でございまして、防衛庁設置法の二十四条三項におきまして「陸上幕僚監部に陸上幕僚長及び陸上幕僚副長のほか所要の陸上自衛官を」となっております。海上自衛官あるいは航空自衛官を置くという規定がないわけでございます。したがって、先ほど局長が御答弁になりましたように、たてまえとしては、これは海上自衛官、航空自衛官を置くということにはなっておらないわけでございます。しかし、先ほど御指摘の二十三条の二項でございますか、「長官は、必要があると認める場合には、前項の規定にかかわらず、一の幕僚監部に他の幕僚監部の事務の一部を処理させることができる。」このように、たとえば海上幕僚監部の事務の一部を陸上幕僚監部に処理させるということを長官がお決めになった場合に、海上自衛官を今度は陸上の幕僚監部に勤務を命ずることができるかどうかということは、解釈論としては残るかと思うのでございますが、この問題は実は私も昨日伺いましたので、十分な検討をいたしておりませんので、現段階でははっきりと申し上げかねます。この点は御了承いただきたいと思います。
  126. 木下元二

    木下委員 いまあなたが言われたように、防衛庁設置法だけを見ましても、二十四条三項によって陸上のところに海上や航空を持ってくることはできない。これはたてまえでしょう。そして二十三条の二項というのは、これは事務の一部を委任させるというだけであって、人をやっていいという規定はないんですよ。それは人をやってよいという規定があれば、あなたのような解釈もできましょう。事務の一部を海上から陸上に委任させるということが、なぜ人をやってよいということになるのですか。できっこないですよ。だから、あなたはまあいろいろそういうことを言われますけれども、あなたの立場としても、できるのだということまでよう言わない。これはできっこないですよ。  長官、結局いまの論議を聞かれておわかりだと思いますが、とにかくこの問題は、私は法的にも非常に重大な問題を含んでおると思うのです。この二部別室の混合部隊の構成と指揮権が陸上幕僚監部の幕僚長にある点は、これはもう防衛二法に抵触をいたしております。いまの議論で明らかであります。いかがですか。
  127. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 繰り返して申し上げておりますように、二十四条の三項というのは、たてまえを規定してあるわけでございまして、二十三条の二項によりまして、海上自衛隊、航空自衛隊の事務の一部を陸上自衛隊に処理をさせておるという実態に即しまして、それぞれの自衛官を陸上幕僚長の指揮下に入れるということでございまして、これはこの法律によって特に禁じられている行為でないというふうに私どもは解釈しておるわけでございます。
  128. 木下元二

    木下委員 防衛庁長官、私は、いまここで議論がありましたこと、これをもって長官の立場としては、いや確かにこれは違法である、違反しておるということは言いにくいと思うのです。言いにくいと思いますけれども、これはもうはっきりしておると私は思うのです。だから、この前も答弁がありましたように、いろいろ苦心の存するところであるとか言われながら、結論的に違法ではないとしか言えない。根拠づけは言えないんですよ。いまの論議で明らかになりましたように、法制局の立場から見ましても非常に問題がある。防衛庁設置法から見て、これは違反ではないということをよう言い切ることができないんですね。だから長官、私の指摘に対しまして、少なくとも違法の疑いがある、これはよく研究検討するという答弁はするべきだと思うのです。そうでしょう。そういう答弁をいただきたい。
  129. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 この問題は、ただいま防衛局長がお答えをいたしましたとおりに、違法ではないということだと承知をいたしております。しかし、まあいろいろ議論はあるところだと思うので、この前も実はそういうような御答弁を申し上げておるわけでございますが、研究をいたしてみたいというふうに思います。
  130. 木下元二

    木下委員 法制局でさえ違法でないということを言い切ることができない問題ですから、よく研究をいただきたい。  次の問題ですが、二部別室の人事権の問題であります。  中路質問で「陸上自衛隊公報 第一八四二号」の「陸上自衛官及び予備自衛官の人事記録の細部取扱いに関する達」によると、自衛官の人事記録の保管権者は、陸上幕僚監部では陸上幕僚長であるが、「第二部別室を除く」とされており、これは第二部別室長となっている。これは二部別室は人事権が陸幕長から除かれているということではないのかという追及に対しまして、人事記録の保管はそうなっているが、陸上幕僚長の人事権を奪っているものではないとの答弁がありました。だとすると、陸幕長にやはり人事権があると明言されますか。
  131. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 陸上幕僚監部の二部別室に勤務することについては、陸上幕僚長の人事権がございます。
  132. 木下元二

    木下委員 全面的に人事権があるという立場ですか。
  133. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 先般来お話がありますとおり、海上自衛官、航空自衛官が陸上幕僚監部の二部別室で勤務するわけなんです。そういたしますと、まず適格者を海上幕僚監部あるいは航空幕僚監部から陸上幕僚監部に派遣をする、その派遣をいたしました者について陸上幕僚長が、陸上幕僚監部の二部別室勤務員として適任であるということで発令をするというわけでございます。
  134. 木下元二

    木下委員 そうすると、なぜ人事記録の保管権者を二部別室長にしておるんですか。
  135. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 その点は、先般も中路委員にお答えいたしましたとおり、航空自衛官、海上自衛官が混在といいますか、一緒になって勤務しておりますので、この点につきましては、人事記録の保管というだけでありまして、これを例外的に二部別室で保管をしておる。それ以外の陸上自衛官につきましては、保管権者陸上幕僚長ということは、具体的には陸上幕僚監部の人事を預かっております第一部で保管をするというだけの相違でございます。
  136. 木下元二

    木下委員 こういうふうに、この人事権者と人事記録の保管権者を別々にしておるということは、通常考えられないのじゃないですか。なぜ人事記録を別室長の保管にしておるのかということを聞いておるのです。
  137. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 その点は、まさにただいままで論ぜられております幕僚監部二部別室の特異性に基づくものであると思います。
  138. 木下元二

    木下委員 それだけではわかりません。どういう特異性か。なぜですか。この前は便宜という言葉を使われた。なぜ便宜なのか。
  139. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 航空自衛官、海上自衛官が陸上幕僚監部で一緒に勤務をしておる、そういう特異性でございます。
  140. 木下元二

    木下委員 どうもわからぬですね。一緒にやっておればなぜ別室長が保管をすることが便宜なのか。これはわからぬですよ。それじゃ、こっちから言いましょう。二部別室内の人事を実質的に決定するのは二部別室長、だからその人事記録の保管権者にしているんじゃないですか。陸幕長の人事権はあるいはあるのかもわかりません、けれども、それは名目上のものだけであって、形骸化した人事権だ。実質的に人事権があれば、その人事記録も当然保管をすることになると思う。ところが、そうでなくて人事記録は別室長が持っておる。これは実質的に人事権を持っておるからそうなっておるんだ、そうとしか考えようがないんですよ。これを否定しますか。
  141. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 具体的な人事を行います場合には、その点は、海上幕僚監部であれ航空幕僚監部であれ、人事の面で補佐をしておる部長が実質的に行います。その点で陸上幕僚監部の二部別室は、先ほど来申しておりますとおり、航空自衛官、海上自衛官と混在をしておる、そういうことで二部別室長が一部長と相談をし、そこから陸上幕僚長のところへ上がっていって、それで発令となるというわけでございます。
  142. 木下元二

    木下委員 少し認められたようですが、結局、二部別室長が実質的に権限を持ち、そしてこういうようにしてもらいたいということを言っていく、そういう都合から別室長のもとに置いておいた方が便宜であるということでそうなっている。したがって、形の上では幕僚長が人事権者であっても、それは形だけだ、そういうふうに承ってよろしいね。
  143. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 先生おっしゃいました点は、大体においてそうでありますが、それじゃその点について二部別室だけがそうなのかと言いますと、そうではなくて、それは他の部局においても、適材を欲する場合に第一部長に協議をする、その結果、陸上幕僚長に上げていって発令をするという点では、特に二部別室だけが変わったものではありません。
  144. 木下元二

    木下委員 大分認められてきたのでありますが、それではもう一点伺いたいのは、この二部別室長はだれの指揮下にあるのでしょうか。
  145. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 二部別室長は陸幕長の指揮監督を受けます。
  146. 木下元二

    木下委員 この前、斎藤政府委員は、別室長は陸幕の人事管理になっているので、陸幕長、二部長の指揮監督下にあったと述べておるのです。つまり陸幕の人事管理になっていたからという前提で答えておるのです。ところが陸幕の人事管理になっていない。その前提が崩れかかってきておる。実際には指揮監督権を行使するのはだれなんですか。これは結局、陸幕長ではないのでしょう、実際は。いかがですか。
  147. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 実際上も形式上も陸幕長でございます。
  148. 木下元二

    木下委員 余り時間がないわけですが、六月二十七日付の「週刊ポスト」によりますと「当の陸幕第二部長をつとめたことのあるP氏も「あの別室については二部長在職の当時から全く関わりがなかった。あれは陸幕第二部とは別の組織というべきでネ。室に所属する者以外には、いっさいが不明なんです。私ですら、その実態を知らなかったんだから」と証言する。」これが真相ではないのでしょうか。形の上で陸幕二部にあってもまさしく別室、これは特がつく特別室であります。二部長、陸幕長にも人事権、指揮監督権が実質的にはなかった、そういうものではなかったわけですか。
  149. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 はっきりしない匿名の方の御意見でございますし、ともかく私らが申し上げておるのが実態でございまして、陸幕長の指揮監督下にある、当然二部長もこれには関与はいたしております。
  150. 木下元二

    木下委員 だれが考えてもきわめて疑わしいのです、あなたは固執されますがね。答弁を聞けば聞くほど疑いは深まるばかりであります。ひとつ長官、この陸幕二部に行って直接二部長から事情を聞けばはっきりすると思うのです。陸幕二部に行きますから、ひとつ会わせてもらえますか。それからまた、この指揮監督権、人事権も別室長になかったというのなら、ひとつこの別室長からも事情を聞かせてもらいたいと思うのです。よろしいですか、長官。
  151. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 私が全部代理して御答弁を申し上げております。したがいまして、特に本人をお呼びいただいていろいろお聞きになる必要はないのではないかと思うわけでございます。
  152. 木下元二

    木下委員 あなたの答弁でははっきりしないから聞いているんです。何も呼んでくれということではなくて、私の方が行くから会わせてほしいと言っているんですよ。いいですか。
  153. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 先生個人でお会いになるということでございましたら、私どもでそのあっせんをいたしたいと思います。
  154. 木下元二

    木下委員 長官、これは本当のことを言えば、別室長を指揮監督するのは内閣調査室ではないんですか。さらにその上部は内閣官房、元警察庁警備局長、現内閣官房副長官川島廣守氏、そうではないんですか。彼はかつて内閣調査室長でもあったわけです。さらにその上部は国防会議ということではないんですか。本当のことを言っていただきたいのです。
  155. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 本当のことを申し上げておるわけでございますが、ただいま防衛局長がお答えを申し上げたのが本当のことでございます。
  156. 木下元二

    木下委員 また「週刊ポスト」の引用をいたしますと、これは名前が載っている。海原治氏、元国防会議事務局長でありますが、「二部別室は便宜的に陸幕の組織にハメ込まれてはいるが、実体としては、内調を通じて国防会議に直属する機関」と言っているんです。そういうふうなことが書かれておりますし、いろいろ諸般の状況からして疑わしいので伺っているのです。
  157. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは先ほどから真実を語っているわけでございまして、防衛局長がいままでお答え申し上げましたことを真実だというふうに受け取っていただきたいと思います。
  158. 木下元二

    木下委員 質問を変えますが、内閣調査室には、他の省庁からの出向者で、併任、つまり兼務の人たちがかなりおるようであります。昭和五十年二月一日現在で、たとえば警察庁警備局出向石田保氏、同じく岩佐英弌氏、同じく門駿爾氏、同じく清水良太郎氏、同じく滝田一成氏、同じく竹林精一氏、同じく鳴海国博氏、同じく松尾清一郎氏、同じく百瀬涓氏その他がおります。さらに東京地検出向佐藤謙一氏がおります。防衛庁出向平川滿氏がおります。これらの併任者は、主として内閣調査室に常勤しておるのではありませんか。どうでしょう。
  159. 渡部正郎

    ○渡部説明員 他の官庁からの兼務者は内閣調査室に勤務しております。
  160. 木下元二

    木下委員 歴代の別室長は内閣調査官の併任者であります。だとすれば、その勤務場所は内閣調査室ではなかったんですか。
  161. 渡部正郎

    ○渡部説明員 現在、防衛庁の方の陸幕の二部の別室長は、私どもの内閣調査室とは併任になっておりませんが、かつては内閣調査室の併任でございまして、そのときは別室長室、防衛庁の方に勤務しておりました。
  162. 木下元二

    木下委員 どこに勤務しておったのですか。防衛庁のどこに常勤しておったのですか。
  163. 渡部正郎

    ○渡部説明員 二部別室の室長室でございます。
  164. 木下元二

    木下委員 それはどこですか。
  165. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 市ケ谷でございます。市ケ谷駐とん地内でございます。
  166. 木下元二

    木下委員 本当にこれは市ケ谷なんですか。こういうことを聞きますのは、実は私の方でもいろいろ調べてみますと、ここに「自衛隊年鑑」がありますが、この「自衛隊年鑑」を見ましても、これに市ケ谷駐とん地というのがありまして、いろいろな施設、部隊がある、学校があると書かれておりますが、この中にその二部別室というのは書かれていないんです。これ見てください、書かれていないわけです。ここにあるのですか。ちょっと見てください。知っていますか。
  167. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 それはちょっと私ども存じませんが……。
  168. 木下元二

    木下委員 それならちょっと見てください。
  169. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 それは部外で出した年鑑でございますから、私どもの発行したものでございませんし、現実に市ケ谷にあることは間違いございません。
  170. 木下元二

    木下委員 どうもこの二部別室は幽霊みたいに、ほかの資料、部隊編成を幾ら見ましても出てこないのです。私いま指摘しましたように、これを見ても出てこない。一体本当に市ケ谷にあるのかどうか。あるとすればひとつ確かめてみたいと思うのでありますが、電話番号を言っていただきたい。
  171. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 調査いたしまして、お知らせしたいと思います。
  172. 木下元二

    木下委員 わかりませんか。
  173. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 わかりません。
  174. 木下元二

    木下委員 あなた方にもわからない……。  中路委員の調査によりますと、二部別室の某通信所に勤務する某隊員は、指揮命令は直接内閣から来ると証言しているんです。この別室長に対する指揮権は内閣調査室にある。その別室長の指揮命令は内調から各通信所に対して行われておるということではないんでしょうか。
  175. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 これはもう繰り返して申しておりますように、防衛庁の陸上自衛隊の機関でございますので、陸上幕僚監部の機関でございますので、内閣調査室の指揮を受けるというようなことは絶対ございません。
  176. 木下元二

    木下委員 この通信所等で収集をした情報というのは、内閣調査室に送られていることは間違いないでしょう。しかもこれは、いまあなた方がしきりに言うところの二部長、陸幕長というコースを経ないで——形はそうなっておっても、そういう実質的な関係はないわけなんだから、そういうコースを経ないで内閣調査室に送られている。これは否定できないんじゃありませんか。
  177. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 すべて部外との関係は内局がやっております。内局は私の局でございますが、私の局に連絡がございまして、私の方から内閣調査室その他関係の政府機関に御連絡をする、こういうことをやっておるわけでございます。
  178. 木下元二

    木下委員 ここに「防衛日報」がありますが、これによりますと、ここに初めて二部別室というのを私は発見したのですが、これに電話番号も載っているのです。二四五一−二、これは防衛庁の内線であります。市ケ谷と言われましたけれども防衛庁にも別室の一部があるということなんですか。
  179. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 電話は防衛庁の代表から各機関のところに行くようになっておりますので、別に桧町になくても電話は通じるようになっております。
  180. 木下元二

    木下委員 じゃ防衛庁の内部にはない、ここには別室長はいない、こう聞いていいのですか。
  181. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いま防衛庁とおっしゃいました意味が桧町の建物、敷地内ということでございましたら、そこにはおりません。市ケ谷におります。
  182. 木下元二

    木下委員 次の問題ですが、各通信所の開設年月日を聞きたいのです。
  183. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 この前、一部については中路先生に御説明申し上げてございますが、大井通信所が昭和二十八年の三月一日、東千歳通信所が四十六年の十月一日、それから東千歳通信所の稚内分遣班は三十二年の一月二十一日、根室分遣班が三十五年の十二月九日、それから太刀洗通信所が二十九年の十二月二十日、小舟渡通信所が三十二年の八月二十日、美保通信所が三十六年の四月一日、喜界島通信所が三十七年の十月一日、東根室通信所が四十年の七月一日、以上でございます。
  184. 木下元二

    木下委員 いまの説明でわかりますように、早いところは二十九年ないし三十年ころにはすでに開設をし、動いていたということがわかります。三十三年四月一日に別室が開設をしたというのは、これはおかしいわけであります。実態はすでに開設をされ、運用されていたということではないのか。山口氏が別室長になった三十一年には、これはすでに二部別室として大井などの通信所は機能をしておったのではないか。これはいかがですか。
  185. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いま申し上げましたように、現実の仕事はもうかなり前から陸上自衛隊の下部機構として実施をしておったということでございます。
  186. 木下元二

    木下委員 こういうふうに相当以前の二十八、九年くらいから機能していたということは、この二部別室というのが内閣の中央情報機関として機能していた、自衛隊の機関ではなかった、このことを示しておるんじゃありませんか。これは私は現在でも実質的にはそうだと思いますが、この発足のこうしたいきさつからいたしまして、私が言いましたようなことではないのですか。
  187. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 発足のいきさつについてはいろいろあるようでございますけれども、いずれにいたしましても現時点におきましては、繰り返し申し上げておりますように、完全に自衛隊の組織でございまして、自衛隊以外の機関の指示を受ける、あるいはそれの下に隷属をするというような性格のものではございません。
  188. 木下元二

    木下委員 現時点も問題だけれども、私がいま特に聞いているのは、その発足の当初のころを聞いているのですが、少なくとも二十八、九年ごろつくられた当時は、そういう内閣のいわば諜報機関として、自衛隊ではなくて発足をしておったということではないのですか。
  189. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 終始自衛隊の機関でございまして、ただ他官庁の御協力を得ておったという時代が発足当初はあったようでございますけれども、現在はございません。
  190. 木下元二

    木下委員 その発足の当初はともかくとしてというふうに言われておったのがまた変わってきたのですけれども、どうもこれは疑いが解けません。この形の上だけで自衛隊に結びつくようになったのは、三十五年一月二十七日の陸幕の二部別室の組織に関する内訓、これによってであろうと私は思うのです。この内訓、ひとつこれを資料としてお出しいただけませんか。
  191. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 内訓でございますので、遠慮さしていただきたいと思います。
  192. 木下元二

    木下委員 提出をされなければ、あなた方の言うことが真実かどうかわからないわけです。疑いは濃い。出されなければますます疑いは深まるということになるのです。なぜ国会でこれだけ問題になっているのに出せないのか、私は大変遺憾に思います。  次の問題ですが、現在は東千歳通信所に移っておりますが、四十六年十月まで機能をしておりました東恵庭通信所のアンテナは、この前も問題になりましたけれども、特定の方向の特定の周波数を傍受するために設置されたことは明白であります。中路委員も指摘をいたしましたが、このアンテナというのは、六つのロンビックアンテナと一つの対数周期アンテナを持っております。電波技術上これらのアンテナはきわめて指向性が強いものであります。電波技術の常識といたしまして、ロンビックアンテナというのは、通常頂角が五十度、四ランダーとして使用する。ところでこのアンテナは、たとえばAアンテナ、ひとつここに図面をつくってきておりますので、見ていただきたいと思いますが、東恵庭通信所の配置図であります。これは東千歳に移る前の状況を示しております。A、B、C、D、E、Fと、これは私の方で書き込んだものです。このAアンテナは恵庭から見て方位角三十六・〇七度、スパーンの長さ百十八メートル、波長は二ランダーないし四ランダーと考えられます。そこで二ランダーとしてみた場合、Aアンテナは五千四十八、約五メガの相手が出す周波数に対して最も感度が高い。四ランダーで見ますと、一万九十六、約十メガの前半の周波数に対して最も感度が高い。頂角は四十三度、これによると、このアンテナは方位角三十六・〇七度方向の五メガないし十メガの周波数に対して最もよく機能するという配置になっております。東恵庭から見まして方位角三十六・〇七度はソ連のどの地点を指すのか。これは地球儀がありませんけれども、わかりませんか。
  193. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 私の方はちょっといまどこを指すかは、よく調べてみませんとわかりません。
  194. 木下元二

    木下委員 これはひとつよく調べていただきたいのです。これは技術専門的なことで、いきなりこれをお見せしてもわかりにくい点があるかもしれませんけれども、これはAのアンテナだけでなく、B、C、D、E、F、いずれもAのように、特定の方向の特定の周波数を傍受するために設置されたものなんです。この六つのアンテナは、それぞれソ連などの特定の地域を指向し、そこから出される特定の周波数を傍受し、全体を合わせると、ソ連の全域から中ソ国境にかけてくまなくカバーされておるのです。それでもあなた方は、日本上空に飛来する電波を聞いておるだけであって、特定国の特定地域を意識的にねらっているものではないという答弁をされるのですか。
  195. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 この間も申し上げましたように、周辺の軍事情勢の把握ということが基本的な目的でございまして、そういう意味で、特定国の特定地域に特に重点を当ててということではないわけでございますが、ただ、御案内のように、軍事情勢でございますから、軍隊の展開していないところに当ててもしようがないわけでございまして、そういうところでは、ある程度地域的には集中といいますか、限定するということにならざるを得ないと思います。また、すべての電波をとらえるというわけではございませんので、したがって、重点的に対象をしぼっていくというようなことに結果的にはなるだろうということでございます。
  196. 木下元二

    木下委員 あたかもこの日本上空に飛び交う電波を捕捉するのが任務であるかのような答弁をされておったわけでありますが、決してそういうアンテナではないということを、私は専門的な立場からも言っているわけであります。このロンビックアンテナというのは、大体、航空機とか艦船などの対移動局に対しては不向きなんですよ。これは電波技術上明白なところなんです。ひとつ検討してください。あなた方は、この中路質問に対しまして、あたかも航空機と艦船から発する電波を傍受するように答えておりますが、全くのごまかしであります。上空に飛来する電波の受信になぜこのような短波のビームアンテナを使用するのか。全く不向きなことは電波技術上明白なんです。このアンテナは、主として陸上の固定局間、あるいは固定局と他の移動局間の交信をキャッチするために設置されたものであることは、疑う余地がないのです。いかがですか。
  197. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 まず、最初のあれでございますが、わが国の上空に飛んでくる電波をつかまえるということと非常に違うということをおっしゃいますが、ともかく現実には、ここへ飛んでこないと電波はつかまらないのでございまして、そういう意味では、特にそれ以上のことではないということでございます。  それから、このお示しいただきましたアンテナ、この前、中路先生からも御提示をいただきましたのでございますが、必ずしもこの方向——これは設計の段階でつくったものらしく思われます。どこから入手されたかわかりませんが、現実につくりましたものは、必ずしもこれと同じものでなかったようでございます。  それで、いまお話のございました地上の固定局にねらいをつけておるのではないかということでございますが、このアンテナは、もちろんおっしゃるとおり地上の固定局用でございます。
  198. 木下元二

    木下委員 私がいま指摘をしましたような電波技術的な見地というものから、どういうアンテナなのかということをひとつよく検討してください。これは、いまそういうことを言われましたので、確認をいたしておきます。決してあなた方がいま答弁をされておるようなものではないということを、私は重ねて指摘をしておきます。  もう時間がありませんので、一点だけ法的問題として指摘をしておきたい。  この二部別室の通信所がやっている電波の傍受、解読等の業務は、法的にもきわめて問題だと思うのです。一つだけ私は申します。電波法五十九条に「何人も法律に別段の定がある場合を除く外、特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。」という規定があります。これに違反していると私は思うのです。前回もこれは違反していないという理由を言われましたけれども、どうしてもわかりません。それをひとつ説明いただきたい。
  199. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまおっしゃいましたように、電波法の五十九条に「何人も法律に別段の定がある場合を除く外、特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。」こうあるわけでございます。そこで、官庁が職務上こういう仕事をすることについてどうであるかということでございますが、ただいまの五十九条にございますように「内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。」ということになっておるわけでございまして、この傍受をいたしました中身を取りまとめまして、そして政府の部内で執務参考として使用するということについては、これは窃用にならないという解釈でございます。これはもちろん私どもの主管法律でございませんので、郵政省の関係でございますが、そういう解釈でございます。  それで、職務上こういうことを行えるという根拠につきましては、それぞれの各官庁の設置法、防衛庁につきましては防衛庁設置法におきまして、調査資料の作成、所掌事務の遂行に必要な調査研究ということになっておるわけでございまして、いずれにいたしましても、この件につきましては電波法の五十九条の違反ではないというふうな解釈、立場をとっておるわけでございます。
  200. 木下元二

    木下委員 窃用ではない、「内容を漏らし」には該当しないのですか。「内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。」ということなのですが、「窃用」には当たらないという説明がありましたけれども、「漏らし」には当たらないのですか。
  201. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 「漏らし」にも該当しないという解釈でございます。
  202. 木下元二

    木下委員 どうしてですか。
  203. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 同様の根拠でございます。職務行為として行いますので「内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。」には該当しない、こういうことでございます。
  204. 木下元二

    木下委員 結局、そうすると、この五十九条の「法律に別段の定がある場合を除く外」こうこうしてはならないという規定の形式になっておりますが、「法律に別段の定がある場合」というわけではない。構成要件に該当しないのであって「法律に別段の定がある場合」ではないというふうに伺ってよろしいか。
  205. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 「法律に別段の定がある場合を除く外」ではなくて、いまの「内容を漏らし」云々というところでございます。
  206. 木下元二

    木下委員 これは、いまの説明を聞きましても、どうも私にはわからないのです。どうして「漏らし」にも当たらない、「窃用」にも当たらないのか。私は当たると思うのです。どうもいまの説明を聞いておりますと、職務行為としてやるから当たらない。なぜ職務行為としてやれば当たらないのかですね。「漏らし」とか「窃用」とかいう法律で決めた構成要件に該当するかしないかということは、その行為の事実の問題であって、評価の問題ではありません。その行為が政府行為として、職務行為としてやるから当たるとか当たらぬとかいう問題ではないと思う。政府として、機関としてやっても、当たる場合は当たるし、当たらない場合は当たらない。当たるかどうかは事実の問題であります。それをあなた方は、職務行為だから当たらないと言う。どうもその理由づけが私にはまず第一にわからないのです。それから、どうして「漏らし」や「窃用」でないのかですね。  そこで、伺いたいのでありますが、この五十九条の「何人も」というのは、これは自然人だけですか。どういうふうに解釈しておりますか。
  207. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 必ずしも自然人には限らないというふうに考えます。
  208. 木下元二

    木下委員 私は、その解釈が非常に重大だと思うのです。自然人に限らない、つまり法人あるいは団体も含む。そうすると、政府なら政府あるいはほかの民間の団体でも結構です。あるいは公法人でも結構です。そういう団体がほかに漏らしてはならない。そうすれば、その団体内部で、それをいろいろに利用したり、あるいはそれを漏らしたりということは自由にできるという解釈なんです、あなたのは。とんでもないですよ。この「何人も」というのは、当然自然人を対象に限定して構成要件が書かれておる、私はこう思うんですよ。そうでなければ、たとえば大きな団体で、じゃ団体内部であれば、幾らでも自由にそれを漏らし、あるいは活用しいろいろできる、そういう解釈ですか。そういう解釈に立てばこれには該当しない。
  209. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 ともかく私どもの解釈は、先ほどから申し上げておるとおりでございまして、この点についての有権解釈は、主管省である郵政省の問題でございますので、郵政省にお聞きいただければと思います。
  210. 木下元二

    木下委員 解釈もはっきりしないで該当しないなんということを言われるから私は聞くんですよ。これは、たとえば無線をAが傍受し、Bがそれを受けて傍受した内容を分析する、Cがそれを解読する、Dがその内容別に整理をする、そしてEがさらにそれを一定の用途に役立てる。これは一人の人間が全部やることはできないわけでありまして、みんなそれぞれ分担を決めてやっておると思うのです、通信所等で。そういう場合にA、B、C、D、E、これは全部が一つの機関としてやっているのだから、これは「漏らし」でもない、「窃用」でもないということになると、とんでもないことであります。やはり「漏らし」とか「窃用」ということは、これはそれぞれの人を対象にして、漏らすという具体的な行為があったのかなかったのかということから見るべきなんですよね、解釈としては。当然じゃありませんか。それはあるいはあなた方が、この五十九条の構成要件に該当する、該当するけれども、これはその法的評価の問題としてこういう場合は正当なんだというふうな理屈をつけてくるならば、これはこれで私は、それも非常に問題であるけれども一つの理屈だと思う。ところが、あなた方の方は、いやそもそも五十九条に該当しない、こう言っている。とんでもないことです。この点については、これは私は非常に大事な問題であると思いますので、よく研究検討を深めて考え直してもらいたい。要請いたします。大臣いかがですか。
  211. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 研究いたしてみたいと思います。
  212. 木下元二

    木下委員 十分な解釈も聞かしてもらうことができなかったわけで、研究をするということでありますから、それに期待いたしまして最後の問題に移ります。  稚内の開設が三十二年の一月二十一日にあったという答弁でありました。この当時は二部別室は稚内のどの施設に入っていたのでしょうか。また人数はどの程度だったのでしょうか。
  213. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 開設当時どのくらいの人数であったかということについては、よく調べてみませんとわかりません。それからもう一つの御質問、恐縮でございますが……。
  214. 木下元二

    木下委員 いつ入ったのか。
  215. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 二部別室は、この前御説明をいたしましたように、三十三年四月一日発足でございますので、その時点で……
  216. 木下元二

    木下委員 どの施設に入ったのか。
  217. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 稚内にあるどの施設でございますか。これはちょっと調べませんとわかりません。
  218. 木下元二

    木下委員 人数は現在は何名ですか。
  219. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 現在は約四十名でございます。
  220. 木下元二

    木下委員 この稚内の施設というのは、米軍が使用していたELINTの施設と、航空自衛隊第一八警戒群のレーダーサイトの施設、この二つしかないのです。そのどっちでしょう。
  221. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 それはよく調べませんとお答えができません。——どちらでもございません。
  222. 木下元二

    木下委員 この稚内の施設は米軍が使っていたわけでありますが、この施設は私も行って現地の状況はよく知っているのです。これはいま私が指摘をした二つの施設しかないんですよ。どっちかと聞いている。どっちでもないなら、一体どこでしょう。
  223. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 どちらでもないあれがあるそうでございますが、そこでございます。
  224. 木下元二

    木下委員 だから、どこかと聞いているのです。
  225. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 それは稚内の……
  226. 木下元二

    木下委員 どこかわからぬでどっちでもないなんて言えますか。これは、ひとつはっきりしてくださいよ。どっちでもないと言いながらどこかわからぬなんて、そんなおかしな答弁しなさんな。
  227. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまお挙げになりました建物のどちらでもない。それで、そこから離れた山の上にあるそうでございますが、そこの建物を使っておるということでございます。
  228. 木下元二

    木下委員 離れた山の上にある、それは現在はどうなんですか。
  229. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 現在もそこにございます。
  230. 木下元二

    木下委員 それは一体どこのことか、私、現地に行ってきましたけれどもよくわからぬわけです。一体どこにありますか、そういうもの。あそこはELINTの基地が海岸寄りと一段奥に行ったところと二カ所あります。それからさらに、その奥に第一八警戒群のレーダーサイトがあるわけです。それだけしかありませんよ。
  231. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 私が現地を踏んでおりませんので、まことに申しわけございませんが、いま話によりますと、いまのELINTと第八警戒管制群、これとのちょうど中間にあるそうでございます。
  232. 木下元二

    木下委員 私は、寝泊まりをしておったのを聞いているのじゃないんですよ。どこで仕事をしておったかということを聞いているのです。仕事をしておったのは一体どこなんですか。三十二年に入ったときからどこで仕事をしておったか、また現にどこでしておるのか、言ってください。
  233. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 開設当時からずっとそこで仕事をしておるそうでございます。
  234. 木下元二

    木下委員 どこでやっておったのか、現地を見てきた私にも、どうもあなた方の言うことがよくわからぬのです。その一八警戒群の南側、海岸寄りだということを言われるけれども、海岸寄りはELINT基地なんですよ。その間というのは、つまり海岸からELINT基地がありまして、それが二つに分かれていると私はさっきから言ったのですけれども、その真ん中の奥のELINT基地という意味ですか。そうでなければそれ以外にないですよ。それ以外にありませんよ。
  235. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 ともかく、いま申し上げましたように、真ん中のところにあるそうでございます。
  236. 木下元二

    木下委員 じゃ私から申しますが、この米軍のELINTの基地、ここに入ったのじゃありませんか。ないと断言できますか。
  237. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 そこには入っておりません。
  238. 木下元二

    木下委員 私は、きわめてその点も疑わしいということを指摘しておきますが、そうしたら現在はどうなんですか。現在二4(b)になっているでしょう。共同使用ということになってやっているのじゃありませんか。この問題は私は、四十八年の国会で質問をしましたけれども、二4(b)でここを使っているのじゃありませんか。
  239. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 わが方が入っております建物は、わが方の防衛庁の行政財産でございまして、二4(a)でも何でもないということでございます。
  240. 木下元二

    木下委員 そうすると、ここは四十七年七月以降返還になりまして、地位協定二4(b)で米軍側年四回、一回四十五日以内共同使用ということになっているわけでありますが、ここのELINT基地は共同使用していないということですか。
  241. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 共同使用はいたしておりません。四十七年の六月三十日にアメリカから返還になりまして、使用転換をいたしまして、四十八年の六月に防衛庁の行政財産になっております。
  242. 木下元二

    木下委員 そうすると、四十七年以降現在まで、米軍はここの施設を何回、何日共同使用してきておるのでしょうか。
  243. 銅崎富司

    銅崎政府委員 ちょっと資料が昨年ので古うございますが、手持ちの資料で申し上げますと、米軍の使用状況は、四十七年の十月、十八日間となっております。それから四十八年の二月から三月までが四日間、四十八年の五月は三日間、四十八年の六月から七月は二十五日間、四十八年の十月に四日間という状況でございます。
  244. 木下元二

    木下委員 そうすると、二部別室はこの真ん中のところで一体何をしておるのですか。
  245. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 真ん中のところといいますか、いまの東千歳の分遣班といたしまして通信の調査事務をやっておるということでございます。
  246. 木下元二

    木下委員 そうすると、現実にほかの通信隊でやっておるような無線の傍受、分析、解読といったことを、この二部別室が、この分遣隊が米軍と別個に独自にやっておる、それはELINT基地ではないということをはっきり言われますか。
  247. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 これは当初から当方施設に入り、それから二部別室の通信所として放送の受信と方位の測定。通信所は内容の解析、分析というようなことは能力がございませんので、受信と方位測定、こういうことをやっておるわけでございまして、いまのELINTとは関係ございません。
  248. 木下元二

    木下委員 この点は私は非常に疑わしいと思うのでありますが、あなた方が確かめても再々そういうふうに言われますので、私はこれ以上ここではもう質問をいたしませんけれども、この問題はさらにもっとよく調べてみたいと思います。  この稚内の施設、かつてこの施設を使用しておりました米軍というのは、米国家安全局、NSA直轄の米空軍セキュリティーサービスの部隊がソ連の情報を収集するといういわば諜報機関でありました。この施設を二部別室が肩がわりをして、その電波通信を傍受しておるということは、私は明らかだと思うのですけれども、少なくともその疑いはきわめて強い。この稚内にいる二部別室分遣班は、現在東千歳通信所の分遣班ということになっております。ところでこの東千歳通信所は、米国家安全局直轄の陸軍セキュリティーエージェンシーの部隊が、主としてソ連の電波傍受及び暗号解読の任務をやっていたところを二部別室、東千歳通信所が肩がわりしたものであります。しかもここは二4(a)で、米軍の管理のもとで米軍の施設及び器材を共同使用して行っております。これで明らかなように、この稚内も東千歳も、ともにNSAの機能及び業務を肩がわりして、稚内においては二4(b)という形で米軍がその情報を吸い上げ、東千歳ではダイアリー・メイド・デタッチメント1と呼ばれる米軍セキュリティーグループの部隊によってその情報が吸い上げられております。  いずれにいたしましても二部別室は、このNSAのセキュリティーグループの諜報活動を肩がわりしておることは明白であります。私は、このようなことは断じて許されないと思います。長官、この点について所見を伺いたいと思います。
  249. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまおっしゃいました、NSAから引き継いでその肩がわりというようなお話でございますけれども、最初から申しておりますように、わが国のあれは、あくまでもわが国防衛のために必要な情報収集ということをやっておるわけでございまして、御指摘のような点は当たっておらないというふうに存じております。
  250. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 日本の国民の安全と、それからわが国の独立、これを守るためには、日本周辺に飛び交いますところの電波というものは、やはりわれわれがよく分析いたしまして、そして絶えずこれを知っておらなければならない。これこそが、いわば現在の攻勢作戦というものをとれない憲法のもとにおいて、自衛のために防衛力を持っておるわれわれの立場でございまして、これはもう、どういう電波でありましょうとも詳細に知っておくということが、やはりお互いの生存と、そして自由につながっていくというふうに私は思うわけでございまして、日本の安全を守るというわれわれ防衛庁の使命から言って当然なことではないかというふうに思うわけでございます。のみならず、国民の立場から言っても、安全のためにそういうものがあるということは理解してもらえる事柄であるというふうに思っております。
  251. 木下元二

    木下委員 その点はすれ違いということになってくるわけでありますが、私、先ほど伺っておった点についてもう少し聞いておきたいと思うのですけれども、先ほど言われましたように、この二部別室が稚内の基地にいて何をしていたか、どこにいたかという点についての答弁は一応伺いましたが、どうも腑に落ちない点が多々あるわけです。これは第一、二年前に私、現地に行ってきたのですが、そのときも、施設の中をくまなく見て、説明も聞いたのです。あなた方の方は何もかも秘匿をされまして、第一、二部別室がここにいるということ自体も、当時は明らかにしていなかったのです。それがやっと後にわかったわけでありますけれども、しかし、それがこの稚内施設の真ん中のところにいたなんということは、これは私たちは想像もできない。  ここに私が行きましたときに、当時ELINTの機械を動かしておりました人がいろいろ説明をしてくれましたが、その人は北部航空方面隊所属の青木一尉と名のりました。この施設は北空ではないのですね。また、そこにいる部隊というのは北空所属の部隊でないわけでありまして、これは二部別室の分遣班がいて私に対する説明をしたのだというふうに、いまになって思うのです。北空は施設の管理はやるでしょうけれども、この基地で資材や機械を使って運用するということはやれるはずがないわけでありますから、これをやっていたのは二部別室だ。当時からこの二部別室がここにいて機械等を動かしておった。そしてそれは、その真ん中のところと言うけれども、実際は返還前は米軍と一緒になってここでいろいろと機械を動かしておったのではないのですか。どうもそう考えなければこれは理解に苦しむのです。もう一度念を押して聞きます。
  252. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いま事情を聞きますと、先生のごらんになりましたところと二部別室のとを混同しておられるのではなかろうかということでございます。アメリカの持っておりましたELINTを引き継ぎましたのは、前の久保防衛局長も御答弁申し上げていますように、四十七年に返還になりましてから、そこの機材と施設とを当方が引き継ぎを受けまして、そしてこれは航空自衛隊のELINT業務の者が引き継いでやっておりますので、組織的には二部別室ではございません。二部別室の通信所というのは、先ほどから繰り返して申しておりますようにここではなくて、ELINTと空の一八警戒群のレーダー基地とのちょうど中間にある。これはもう当初からそこに建物、施設がありまして、大変お粗末な建物だそうですが、そこへ最初入りまして現在までずっとおる、こういうことでございます。それからみさきに近い方の空のELINT、これはもとアメリカがやっておりました。これは空のELINT班が引き継いでやっておる、こういうことでございます。
  253. 木下元二

    木下委員 そうすると、その空のELINTは、さっきは四十七年七月以降は何もしていないかのように言われたけれども、それは空の方が中に入ってELINT業務をやっておるということですね。それは一体どういう実態、実情ですか。
  254. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 これは、ただいま定員が二十二名でございまして、四十九年の十月から運用開始をいたしまして、ここで電子情報の収集を行っているということでございます。
  255. 木下元二

    木下委員 そうしますと、共同使用ということで日数等も言われましたけれども、米軍が来たときにはどうするのですか。一緒にやっているということですか。
  256. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 米軍は自分の機械を持っておりまして、別にやっておるようでございます。
  257. 木下元二

    木下委員 はっきりしないことをはっきりしたように言いなさんなよ。米軍は日本に引き継いで帰ったわけですよ。そして時たまやってきて、これは二4(b)ということで一年四十五日以内四回ということで使っているわけでしょう。だからこれは当然、別の機械が置いてあってそれを使うんじゃなくて、自衛隊の方が引き継いでやっているわけでしょう。それを時たまやってきて一緒に使うということじゃないのですか。
  258. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 やはり私が御答弁申し上げましたように、機材がありまして、そして時折来て使うという状態になっておるということでございます。
  259. 木下元二

    木下委員 そうすると、その機材は日本側に引き継いでいないということですか。
  260. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 大変不正確で申しわけございません。参事官からひとつ……。
  261. 平井啓一

    ○平井政府委員 これは私、施設施設部長時代に処理した案件でございますが、使用転換をいたしまして、施設番号FAC−一〇一一、稚内通信施設として、地位協定二条四項(b)として米軍にその使用を認めております対象は、土地と、それから建物が五千百六十七平米、それから付帯しましたところの通信の工作物ということでございまして、機材は二条4項(b)の対象には入っておりません。
  262. 木下元二

    木下委員 いや私が聞いておるのは、機材は一切日本側に引き継いで、日本側がやっておるということではないのかどうか。日本側に引き継いでやっておるということだとすれば、では米側はやってきて一体何をしておるのか、そこを聞いているんですよ。
  263. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまのはちょっと事情が入り組んでおるようでございますので、よく調べまして、正確なところを御回答申し上げたいと思います。
  264. 木下元二

    木下委員 どうもいろいろ答弁をされ、いろいろ変わってくるわけなんです。はっきりしていない。実態をつかまずに答弁されると困るのです。結局、私が言っておるように、米側から日本が引き継いで、その後をELINT基地として動かしておる。ときどき米側がやってきて、二4(b)ということでそこを使っておる、そういうことだと思うのです。では米側日本側はそれを一緒に使っておるということになるのかどうかですね。そこらの実態、これは、ぜひひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。日本側に引き継ぎながら、なおときどきやってきて監督するかのように業務をやっておる。これはまさに共同作戦そのもののように思われます。その点をよく調べていただきたい。  最後に長官に伺います。この二部別室が内閣調査室を通じて、先ほども指摘をいたしましたように、国防会議に結びつく機関であり、その指揮命令権は陸幕にはなくて、内閣官房を通じて国防会議にあるという疑い、これは疑いといたしておきましょう。しかしその疑いは、私は質問しましたけれども、何ら晴れなかったわけであります。私が指摘をしました事実が真実なら、これは自衛隊法違反というだけではなくて、国防会議自衛隊を使ってみずからの情報収集を下請させるという点において、内閣の責任は重大であります。長官はそのことを否定されますけれども、それではひとつこの国防会議の一員として事の真相を国民の前に明らかにすべきである。そのために私は二部別室の視察を大臣に要求いたします。認められますか。
  265. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私、聞いておりまして、これだけはっきり答弁しておるのに疑いを持つ人もおるわけですから、これは私がそうじゃないと申し上げるわけにいきませんけれども、国防会議と何で関係するのか、私は全くわからないんですよ、そういうふうに決めつけられることが。
  266. 木下元二

    木下委員 疑いがあると言っておるんですよ。
  267. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 疑いがありましても、もう少しはっきりした根拠があって疑いがあるというのなら、まだ話はわかるのだけれども……
  268. 木下元二

    木下委員 いろいろ根拠を言いました。
  269. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ちょっとその根拠はわれわれにはわかりません。ですから、そういうことはございませんので、ひとつこの点、御了承を賜りたいと思うのですが、疑いを晴らしていただきたいというふうに思います。
  270. 木下元二

    木下委員 だから、その疑いを晴らすためにも、ひとつ二部別室を私は視察をしたいと思います。よろしいですか。
  271. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは、やはり国政調査権に基づいていろいろおやりいただくならば、われわれといたしましても考えなければならないということでございまして、委員会で、国会でお決めいただく課題であるというふうに思います。
  272. 木下元二

    木下委員 ですから、国会として調査をする、それはそれで結構だと思うのですが、私のそういう視察の要請に対しまして困ると言われるのなら疑いは晴れないし、そういうふうに困ると言われることがますます疑いを深めるゆえんでもあると思うので、私は言っておるのです。そんな疑いがない、はっきりしておるというのなら、国民の前に明らかにすればいいじゃないですか。なぜそういうふうにこだわるのですか。それはやはり明らかだ、疑いは何らないというところを見せればよいじゃないですか。
  273. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 御承知のように、やはりわが国を守るためにこの通信所があるわけです。そういたしますと、周囲のいろいろの影響もあるわけでございまして、電波法に秘密を漏らしてはいかぬとかなんとかいうような事柄が書いてあるゆえんのものも、そういうところにあると私は思うのです。そういう意味から考えまして、われわれは責任を持って委員の御質問には答えておるわけなんでございまして、われわれとして、疑いがあることにつきましては、できるだけ詳細に御答弁を申し上げるわけです。なおかつ、それができないということであれば、これは国会の調査権に基づいてやっていただく方が適当ではないだろうかという私の判断でございます。
  274. 木下元二

    木下委員 国政調査権の発動はまた別に考えられると思いますが、私の要請に対して秘密云々と言われますけれども、そんなに何もかも全部が秘密だということでないと私は思うのです。何もあなた方が秘密だ、秘密だと言われていることをこちらはあえて探ってやろうという気は毛頭ないんですよ。だから、秘密は秘密、公にできる点は明らかにしてもらいたい、こういう立場で私はお願いをしておるわけです。できませんか。
  275. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私としては、公にできることは国会でつぶさにお答えを申し上げたいということを申し上げておるわけでございまして、それ以上のことにつきましても、御要請があるならばわれわれは国会の言うことに従わざるを得ないわけでございまして、その点についてはひとつ国会でお決めをいただきたい。
  276. 木下元二

    木下委員 そうすると、いまの私の要請は断ると、こう伺ってよろしいか。
  277. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 断るとは申しておらないわけでございまして、国会でお決めになったことには私は従いますということを申し上げております。
  278. 木下元二

    木下委員 国会で決めるというようなことにこだわっておられることは、通常の場合と違った扱いをされるということなんで、どうもそれは私も納得できません。しかし、そういう答弁である以上は、私もそれ以上ここで言っても仕方がありませんから申しませんが、少なくとも防衛庁長官としては、国民の疑惑を晴らすためにも、ひとつできるだけ公にし明らかにして問題を解決をしてもらいたい。そういう姿勢がどうも十分感じられないという点を私は指摘をして、質問を終えたいと思います。
  279. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私は、防衛庁長官になりまして、国民の方々にできるだけわかっていただくために、いろいろの材料を、秘密でどうしても出せないもの以外は、出すべきであるという方針を実はとってきておるわけでございます。ただ、こういうような問題につきましては、やはりよくお考えをいただきたいということを申し上げておるわけでございます。特に、先生おっしゃいましたような、国防会議とこれが関係があるというようなことは、全くわれわれの事実と違いがある。この事実をはっきり私は答弁しておるにかかわらず、それを言うならば、そうではないんだ、そうではないんだと、いわばその辺が私には全然わからないわけでありまして、この辺くらいははっきり私たちの言うことに対しても信用していただきたいというふうに私は思うのでございます。
  280. 木下元二

    木下委員 もうこれで質問を終えますが、そういうふうに言われますと、私もさらに申しておきますけれども、決して私たちは根拠なくそういうことを申しておるわけではないんですよ。そしてまた、さっきからずっと指摘をし、質問をいたしましたように、この二部別室の組織、構成、位置というものが、この防衛二法に照らしても、あるいはまた全体の組織体系の上から見ても非常に問題がある。これは、もうさっきからずっと質問しました点、あるいは前の中路質問によりましても明らかになっておると私は思うのです。陸幕長あるいは二部長、そういう系統を通して組織されていないという疑い。これは形はそうでしょう。しかし、たとえばいろいろ指摘をしましたように問題がたくさんある。そういうことを指摘し、いろいろ疑いの晴れない点を問題にして、その上に立って問題提起をしておるのです。だからあなた方が、私がいろいろ指摘をした問題を解明されないで、疑いを晴らさないでそういうふうに言われても困るんです。
  281. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 先ほど先生の御指摘になりました防衛庁設置法の解釈の問題については、私は謙虚に研究してみたいというふうにお答えを申し上げておるわけでございます。そういうふうにして、疑いのあることでわれわれもそうだと思うことは、素直に私は答えておるわけです。しかし、国防会議とこれと関係がないということは、私はもうおわかりいただけるものだというふうに思うのです。それでもなお、何かそうじゃないというふうに一方的にきめつけられますから、私としては、これぐらいはおわかりいただいてもらわなければという気持ちを申し上げておるわけでございまして、国防会議とわれわれとのこの関係はないということだけは、ひとつ御了承を賜りたいと私は思います。
  282. 木下元二

    木下委員 時間が来ましたので、質問を一応終わります。
  283. 木野晴夫

    木野委員長代理 午後二時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十二分休憩      ————◇—————     午後二時三十六分開議
  284. 藤尾正行

    藤尾委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。鬼木勝利君。
  285. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 時間の関係で外務省の方に最初お尋ねをしたいと思います。  カンボジア、ベトナム問題についてちょっとお尋ねしたいのですが、これは先般新聞にも載っておるようでしたが、政府はカンボジア並びにベトナムの新政府の承認をいち早くされた。ところが、カンボジアとベトナム両政府からはどういう返事が来ておりますか。こちらが承認したのだが、向こうからの返答はどういうものなのか、その点について政務次官でも局長でもいいが御返答願いたい。
  286. 中江要介

    ○中江政府委員 おっしゃいますように日本政府はカンボジアのロン・ノル政権が崩壊しました後、それからベトナムのグエン・バン・チュー政権の全面降伏の後、いち早く承認したわけでございますが、一般的に申しまして政府の承認というのは、御承知のように一方的行為でございますので、特に返事は要らないということになるのですが、そうは申しましても、承認を受けました政府が日本政府に対してどういう反応を示しているかという点が御質問の御趣旨だと思います。  カンボジアにつきましては、日本が承認いたしましてから反応らしいものは正式には一切ございません。これは北京におりますシアヌーク殿下が新しい政権の象徴的元首だということでございますけれども、プノンペンに戻った事実もございませんし、いろいろ発言は聞こえてまいりますけれども、正式な新しいカンボジア政府の日本に対する見解というものはなくて、むしろ一般論といたしましては、現在プノンペンにはいずれの国の外交使節も駐在を認められないというような形で、一種の鎖国のようになっているということで、あとは情報の機関が全くとだえておりまして、プノンペンの解放放送だけが唯一の情報源ということで、正確な事態を把握することができないということで推移しております。  一方、サイゴンの方は、これは御承知のように、日本は前の政権時代に大使を派遣いたしまして、その大使が現在の時点まだサイゴンにとどまっております。いままでの間、承認いたしましてから十数回にわたって新しい政権の機関との接触はございましたけれども、これはいずれもサイゴン・ジアディン地区の軍事管理委員会という一種の軍政機関でございます。地方的な軍政機関でございますが、その軍事管理委員会の外務委員会という一種の対外折衝機関との間では十数回の接触がございました。その接触を通じて私どもが承知しております限りでは、新しい政権はあらゆる国との間に友好関係を持ちたい、またできるだけ多くの国からの援助を仰いで戦争の災害から立ち直りたい、こういう希望は伝えられてきておりますが、正式の外交関係ということになりますと、これはまだ軍政から完全な民政移管という段階になっておらないわけでございまして、人見大使につきましては、これはグエン・バン・チュー政権時代に派遣された大使でございますので、新しい大使の任命を待ちたい、こういう意向の伝達がございまして近く人見大使は帰朝してくる。新しい大使をいつ派遣するかという問題は、これは政治的な考慮に基づいて検討されることになろうと思います。  そういう意味で、サイゴンにあります前からの大使館は、事実上の外交特権は認められながら仕事はしておりますけれども、完全な意味での外交使節の派遣という段階には至っていない。しかし承認関係は、これは一番最初に人見大使が先方の外務委員会委員長と話をしましたときに、日本が早速承認をしていただいて感謝をしているということを言っております。また過去のことは水に流して友好関係を結びたいということも言っておりますので、時間はどれぐらいかかるか知りませんけれども、見込みとしてはやがて両国間に正規の外交関係が結ばれていくもの、こういうふうに期待をいたしております。
  287. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 大体事情わかりましたが、正式に友好関係の外交ルートが正常に帰するということはまだ時間的にはっきりしない、こういう御答弁であるが、いまおっしゃったように、南ベトナムには前チュー政権の場合に派遣した人見さんがおられたはずで、それがいままだ向こうに残留しておる。ところが、人見大使の現在の資格は一体どういう資格であるのか。外交官として特権免除を受けているのであるかどうか、そういう点の御説明もまだいまなかったようです、もっとも私はまだそういうことまで聞いていなかったからね。(笑声)皆さん笑っておるけれども、私が聞かないことも、あなたいま言ったからね。だから、どうせ聞かないことを言うんなら、そこまで言えば、おれがわざわざ聞かなくたってよかった。頭の問題だよ。  また、大使館の不可侵権は一体どうなっておるか。この不可侵権というものは現在保障されておるかどうか、そういう点についてもひとつ御説明願いたいと思う。先ほどはあなた、なかなか行き過ぎて言ったけれども、今度も少し行き過ぎて先まで言ってもいいから。もうその次ぼくが聞こうとするところまであなた行くかもしれぬけれども、それは構わぬから。
  288. 中江要介

    ○中江政府委員 一般に国際慣習法によりますと、二つの国の間に外交関係があって、その間に外交断絶のようなものが起きた場合でも、その外交使節がその国を離れるまでは引き続き外交特権を認めるべしというのが一般国際慣習法になっております。サイゴンの解放戦線の臨時革命政府も、先ほど申し上げました外務委員会担当官は、自分たちは国際慣行には従うのだ、したがって、政権が革命政権にとってかわったからといって、前の政権時代に派遣された外交使節あるいは外交公館、つまり大使館、領事館でございますが、そういったものを、そのときからもう何の特権もないものだということで否定してしまうというようなことはいたしません。国際慣行に従って事実上の特権は引き続き認めますということでございまして、残っております日本の外交官も引き続き外交官としての身分証明書をもらっていままでどおりのステータスで執務をしているということでございます。
  289. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そういうことであるならば、人見さんも現地で依然大使として大使館に残って残務整理をしておると私は思います。そういう点について私はお尋ねしたので、あなたのいまの御説明で大体わかりました。  そこで、カンボジア並びにベトナムに対する日本との政府間の債権あるいは債務あるいは政府の借款あるいは民間の投資といいますか、そういうようなものに対する保障というのはされておるかどうか。これはどこということを言いませんけれども、かつてそういう場合に、革命政権によって保障されなかったというような場合もないでもない。その点について、今回はそういう点が保障されておるかどうか。カンボジア並びにベトナムにおいてはどうなっておるか。今度の革命新政権はそれを継承していくのであるか、あるいはそこで全然それを打ち切ってしまうのであるか。これは大事な問題ですから、簡単な問題じゃないですから、ひとつ責任ある答弁をしていただきたい。
  290. 菊地清明

    ○菊地説明員 お答えいたします。  御質問の、今度の新しい南ベトナムそれからカンボジアの政権が、日本政府が与えました借款それから民間のいろいろな投資、貸し付け、それに対する保障をどうするか、正確に申しますと、継承するかどうかという問題でありますが、それに関しましては、一般国際法によりまして、政権がかわりましてもその国に対する債権というものは存続しておる、つまり消滅をしておらないということでございます。ましてや私契約の場合には、その契約の効力は依然として存在しておるということでございます。ただ、先ほどアジア局からも御説明申し上げましたように、新しい臨時革命政府それからカンボジアの政府との間に正式の外交関係がございませんので、したがって、外交交渉をするすべがいまのところございません。しかし、外交交渉ができるようになりました暁には、これを継承してもらうべく交渉をやりたいということで、その時期を待っているということでございます。ですから、お答えといたしましては、いまの継承に関しては今後交渉するということでございます。
  291. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それは国際法のたてまえから継承するということが当然だと思いますが、たとえば革命政権として中国だとかあるいはソ連などというようなところで、かつて前政権の債権、債務をそのまま継承しなかったというような例もないでもないから、いまあなたのお答えでは、それは国際法のたてまえから言われたのであって、現実問題として必ずこれは継承するんだというようなことをいまから交渉して、それの取り決めをきちっとやるのか、もうすでに決定しておるのか、いまからそういうふうに努力しますというのか、そういう点をはっきりしてもらわないと困る。それは法的には国際法上、あなたのおっしゃるとおりそれがたてまえでしょうが、その点を明確にしてもらわぬと困る。その点どうですか。
  292. 菊地清明

    ○菊地説明員 現在の段階におきましては、臨時革命政府もカンボジアの政府も、そういった意思表示をする機会もございませんし、私たちの方から公式に確かめることもできないという段階でございます。  おっしゃるとおり、こういった場合の継承の問題は非常にむずかしい問題でございますが、私たちが考え、かつ希望しておりますことは、わが国とそういった新しい国との援助関係といいますか、経済協力関係というものは今後も続くものと思いますし、また続けたいと思いますので、そういった話し合いのときには当然継承の問題が出てくる。もちろん継承していただきたいというふうに考えておるわけでございまして、向こうからも継承しないというふうに言ってきている、ないしそれが決まっているということではございません。
  293. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 これは政務次官にお尋ねしたいのです、大事な問題ですから。  無論、向こうから継承しないというようなことはまだ何にも言ってきていない。ところが、そういうことを申し入れて話し合いをしたかしないか、何も話し合いをしていなければ向こうから言うてくるわけはないですからね。何も言っていないのに向こうから言うてくるわけはない。国際法上、これはもう当然継承すべきものだとこちらだけはそう思っておるのか。なおこれから十分、それの実現方を努力されるのか。もしそれを努力されるということになれば、責任者として、きょうは大臣が見えておらぬから、政務次官が十分この点は受け持ってやりますという、はっきりしたお言葉をいただきたいのです。
  294. 羽田野忠文

    ○羽田野政府委員 カンボジア、ベトナム、わが国もいずれもこの両国を承認したような関係でございます。ということは、早く日本とベトナム、カンボジアの関係を正常化して友好関係を確立したいということが当方の方針でございます。  そこで、できれば在外公館を早くカンボジアとの間にも交換し、それからベトナムとの間でも、先ほど御説明申し上げましたように、人見大使を更迭するような状態が出てきておりますが、新しい大使に早く現地に行っていただいて、外交ルートによって友好関係を進めると同時に、いままでの権利義務関係、これも承継をしていただく。それから今後もそういういろいろ経済的な提携も深めていこう、こういうことが考えられております。  そこで、その中で先生の御質問のいままでのいわゆる借款、債権というものの新政権による承継ということについては、外交ルートを通じて強力に話し合いをしていくというつもりにいたしております。  いままでそういう話し合いが持たれたかという点につきましては、いま申し上げましたように、カンボジアとの間にはまだ公館の相互に設置もございませんし、ベトナムの方もいまそういう整理の段階でございますので、具体的にまだ話をする段階に至っていないというのが実情でございます。
  295. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 ようやく新政権が成立したばかりで間もないことですからね、はっきりした御答弁はできないと思いますが、この点は大事なことでございますから、いま次官がおっしゃったように万遺憾のないように処置をしていただきたいと思う。  それから次に、これは時間がありませんので急いでまいりまして恐縮ですけれども、現政府はアメリカの政策に、これは言い過ぎかもしれませんけれども、ほとんど一方的に無定見に同調しておられる、こういうきらいがないでもない。といいますのは、皆さん御承知のトンキン湾事件でアメリカがいいのだ、北ベトナムが間違っておった、こういうアメリカの軍事介入を認めて在日米軍基地の使用を全面的に黙認した。ところが事実はでっち上げであって、これは虚構であった。事実はそうじゃなかった。これがはっきりしておるんですね。判明しておる。トンキン湾に米軍の駆逐艦がおったところが、北ベトナムがこれを攻撃した。そこで米国側が反撃して奪還した。ところがわが政府は、これは北ベトナムがよくない、当時こういうことであったわけであります。ところが事実関係はそうじゃなかった。逆に米が悪かったということが判明しておる。ところがその後、この問題に対して北ベトナムに対して何らの意思表示も日本はなしていない。しかもその政権が、今度新しい政権がなっている。ところが、日本はほおかむりであって、何もそれに対しては意思表示をしていない。こういう点について、どのように外務当局は皆さん考えておるのか。きょうは大臣いないから政務次官以下局長連中に……。  それは私、この新政権に対してわびを入れろとか、陳謝しろとか、そんなことを言っているのじゃない。そんなことを言っているのじゃないけれども、少なくともあれはわれわれの誤認であったとか、考え違いであったとか、何らかの意思表示はすべきである、公表すべきである、声明すべきである。ところが全然、今日までこれを放任しておる、ほおかむり。だから、無定見にアメリカ一辺倒で、アメリカのやることならば、是であろうが、非であろうが、全部アメリカの言うことはりっぱだというような、そういう外交政策をとっているのじゃないか。これはだれだってそういうふうに考えますよ。どうですか。そういう点、次官でも局長でもだれでもいいから、顔を見合わせぬでもいいから、だれでもいいからひとつ……。
  296. 中江要介

    ○中江政府委員 御指摘のトンキン湾事件も含めまして、インドシナ半島にアメリカ関係を持ちましてから進展してまいりました情勢の変化というものが日本にとってどうであったかという点につきましては、まず、日本はベトナム戦争の参戦国という立場にはなかったわけで、終始軍事的な介入なり関係を持たないということで一貫しておったわけでございます。したがって、あの半島に展開されます軍事情勢について、一々日本がこれを評価する、あるいはコメントするという立場には実はなかったという事情が一つにはあったと思います。  もう一つ、トンキン湾事件につきましては、これは米軍と北ベトナムとの間の事件として、日本は直接の関係がなくて、どちらがいい、悪いということをそもそも言うべきでない立場にあった、こう当時から思っておりましたし、その後アメリカが国連の安保理事会に詳細な報告を出しておりまして、政府としては、それが客観的に表明された一つの立場であるということは理解したわけでございますけれども、それの是非というものまで立ち入ってどうするということはなかった。したがってそういう意味で、いま先生がおっしゃいましたように、何もかも全部一辺倒というつもりでは私どもは接しておらなかったわけでございます。  しかし、いまこうなりまして顧みてどうだという点でございますが、日本は北ベトナムとの間には、まだベトナムが最近見ましたような急展開の決着を見るに先立ちまして、パリ協定の後で、北ベトナム、ハノイとの間に外交関係の設定の合意をいたしましたが、この交渉の過程でそれぞれ、北ベトナム側には日本立場に言い分もございましたし、日本側もいままでの日本政府の立場というものについて述べる場面はございましたけれども、決着いたしましたところは、これからの日本と北ベトナムとの友好関係を発展させようというところに着目して、お互いに大使を交換するという合意に到達して、いまその最後の話をしているという段階でございまして、日本政府としては、過去もそうでございましたが、現在、また将来にわたっても、インドシナ半島における軍事作戦の一々について、日本政府としてどうというコメントをし得る立場になかったし、また、そういう立場に立つべきでないという態度で一貫したつもりでございます。
  297. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、それは何ぼあなたたちがそういうことを言っても、第三国としてわれわれが、これはどちらがいい、悪いということを判断するということは、あなたもいまおっしゃったように、こちらは第三国ですから、関係ないんだから、それをどちらが正しいとか正しくないというようなことを軽々に言うべきじゃないと私は思う。だからこういう問題が起こる。  アメリカは、これは公海を通ったのだ、するとカンボジアの方は、いやこれは領域侵害だ。客観的情勢を日本はどう判断したか。しかもそれを判断して、どちらが是だとかどちらが間違いだということを軽々に日本は言う立場にはないわけだ。そういうことをやるから後で困るんですね。  いまあなたのおっしゃるように、もうこれは両国間の問題なんだから、その両国間の問題を、客観的情勢を踏まえて、そしてどちらが正しいとか正しくないとかいうことは、これは内に含んで、発表すべきことじゃないですね。言外すべきことじゃないわけです。それは各人だれだって、あれはあっちが本当だろう、こっちがどうだろうというようなことは言いますけれどもね。それを第三者のわれわれの日本政府が、北ベトナムが間違いだなんというようなことを言うというのは軽々なんです。最もよろしくない。そういうことを言うから後で問題になる。それは間違っておった、判断に誤りがあった。だから私は、そこを言っているのです。判断に誤りがあったということに対しては、何らかの意思表示をすべきじゃないか、こういうことを言っておるのです。  だから、アメリカの言うことが本当だとアメリカの言うことだけを認めて、それから沖繩よりの海兵隊の派兵を日本は認めた。私はそういう点が、いまあなたは決してアメリカ一辺倒じゃございませんと言われたが、それは一辺倒じゃないかもしれぬけれどもアメリカべったりということは言える。だからきょうは、宮澤さん見えておらぬから、その点を余りあなたに突っ込んでもしょうがないけれども、そういう点について、これは何らかの機会にもう少しはっきりしてもらいたいと思う。  そこで、やはり今日もまだ、カンボジアにおいてマヤゲス号を拿捕したということはカンボジアの不法行為であったとあなたたちは思っているか。今日はどういう考えであるか。やはりこれはカンボジアの方が間違いであったというのか。その間の事実ははっきりしているのです。こういう問題もどういうふうに考えられるか。  トンキン湾の問題と同時に、カンボジアのマヤゲス号の拿捕問題、こういうものについても、私はひとつこの際お聞きしたいと思う。やはりこれはカンボジア政府の不法行為であった、こういうふうに解釈しておられるかどうか。領域内の侵犯であるとか、片方は公海を通ったとかいろいろ言っておりますけれどもね。これはそういう点について、アメリカ一辺倒じゃないとおっしゃるけれども、いずれの場合も私はどうしてもそういうところが納得ができない。その点は局長どうですか。
  298. 中江要介

    ○中江政府委員 カンボジアの海軍の船がマヤゲス号を拿捕したというふうに言われておりますマヤゲス号事件でございますが、これも先ほど来と同じようなことでございますが、日本は直接の当事者でないわけでございますので、また日本としてどちらが正しい、正しくないということを判定するような立場にもないわけでございます。  ただ、はっきりしておりますことは、アメリカが、これはトンキン湾のときも同じでございますけれども、やはり国際社会における紛争処理機関として、いまあります国際連合の憲章に従って安全保障理事会に報告をしておるわけでございまして、その報告がこういうふうになっているということに関する限りは、私どもはそれをそれなりに理解しなければならないのじゃないか、こういうふうに思います。  前提になりますところは、確かに先生のおっしゃいますように、それが領海であったか、公海であったか、また仮に領海だとしても、無害航行であったかどうであったかというのは非常にむずかしい問題で、とても日本政府が判断し得るような状況でない。また、その当時におけるカンボジアの国内情勢というものも非常にデリケートなときに起きたわけですが、ただ、はっきりしておりますのは、アメリカ安保理に報告しておりますように、アメリカの財産である艦船、及びそこにアメリカ人という自国民が乗組員として乗っていて、それの侵害が起きたのでそれを救わなければならないという、国連憲章上の自衛権の発動としてやったのだという報告が安保理に出ているということを私どもとして理解する、それ以上に立ち入ってどうするということは、日本としては確かめるすべもございませんし、また、そこまで判定するというようなことも、先ほど先生がおっしゃいましたように、日本のすべきことではない、そういうふうに思っております。
  299. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 だから、先ほど私が言ったように、トンキン湾事件にしても、カンボジアの軍隊がマヤゲス号を拿捕したこういう事件でも、これはいずれも両者の言い分を客観的にわれわれが判断するのである。そうでしょう。何もわれわれは関係ないのだから。ところが宮澤さんは、先日の外務委会において、カンボジア側の違法性を非常に強調しておられる。どういう根拠でそういうことを言われたのか。いまあなたの御説明では、これは第三者としてわれわれは局外の者だから、的確なことをどうだこうだと申せません。ところが、外務委員会において宮澤さんは、カンボジアの違法性を強調した。だから、カンボジア政府の見解、米国政府の見解をどういうところで判断し、どういうところにカンボジアの違法性を強調する的確な根拠があるのか。あなた大臣じゃないからちょっと困ろうけれども、きょうは大臣がいないのだから、外務省のあなたたちは、どういうふうにそのことを考えていますか。いまあなたがおっしゃるけれども、それは関係ない、われわれは第三者だという、それはわかる。私もそうなんです。ところが宮澤外務大臣は、外務委員会ではっきりカンボジアの違法性を強調している。どこにそういう根拠があるか。片方は、領域侵犯だ、こう言っている。片方は、公海だ、こう言っている。しかし、領域侵犯であろうが公海であろうが、いずれにしてもあの当時は平時じゃないのですから、いわば戦時中なんだから、そういうことは平時の場合と戦時の場合とは意味が違ってくるんですよ。明らかに意味が違う。その点どうですか。
  300. 中江要介

    ○中江政府委員 先生がいま御指摘の外務大臣の御説明というのは、五月二十三日の外務委員会における御説明のことを指しておられると思うのですが、このときの大臣の御説明の趣旨を私どもが承知しておりますのは、当時非常に情報がなかった、新聞情報だけで物を判断するわけにいかない、しかし、その中にあって客観性のある説明というのは、私、先ほどちょっと申し上げました国連に対してアメリカがなした報告である。その報告によればこういうことになっているということを紹介したのだ。このアメリカの報告の中に、最初アメリカとしては、この拿捕について、どういう意図で拿捕したのか、またその乗組員の返還その他はどうなんだということについて、方々で外交的な努力をしてきたけれども思わしい反応がなかったというくだりがございます。私どもも外電その他で、あの事件が起きた直後の状況を見ております限り、カンボジア側からは、あのマヤゲス号の拿捕の事件について何らの意思表示がない時間が非常に長かったという客観的な事実はあったわけでございますので、大臣としましては、安保理に出されたアメリカの報告はこうなっているということを御紹介になったということで、それが即日本政府の判断であるということは全くおっしゃっておらなかったものだ、こういうふうに了解しております。
  301. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 およそ紛争というものは相手国があるわけなんですからね。一方的なことを、だからこうだと自分は思うというようなことを主観を交えて言うのはとんでもない。これは間違いですよ。ことに先ほど私が申しましたように、アメリカはカンボジアのロン・ノル政権を経済的にも政治的にも一切援助してきた。ところがそれが倒れた。当時はやはりどう考えても、カンボジアの新政権とアメリカとの関係というものは戦時状態と思わなければならない。あの場合平時の状態ではなかったのです。そうでしょう。その当時はどういう関係であったか、すべて物事を考える場合には時ということが大事なんです。いつ、どこで、だれが、何を、これが一番大事なことなんです。ホエン、ホエア、フー、ホワット、しかも時を論ずるということが一番大事なんです。その当時の時というのは、いままで軍事的にも経済的にも盛んに応援したところのロン・ノル政権はもうおしまいだ。新しい政権になっておる。だったら、その当時はこれはあくまで戦時状態である。戦時状態の場合に平時のときのような気持ちを持って、しかも両者の言い分でなく一方的なことだけ聞いて、そしてどうだこうだというようなことを軽々に言うということは、これは私は聞違いだと思う。あの当時いろいろなことを言っておられた。平時ならば無害通航ということもあり得ると思う。戦時に無害通航なんというようなことがあり得るわけがない。どうですか、その点、それは平時の場合は、ここを通るべからずと言えば通りませんよ。しかし戦時のときに無害通航なんというようなことは、これは論ぜられるわけがないじゃないですか。そういう点をお考えになって外務大臣はああいう発言をされたのか。あなたは外務大臣を非常に擁護される。それはそうでしょう、同じなんだから。あなたたちが外務大臣を攻撃したら外務大臣は一日も務められぬ。それはよかれあしかれあなたたちは応援するだろう。だけれども、それはわれわれには通じないんですよ。どう考えますか。
  302. 中江要介

    ○中江政府委員 おっしゃいますように、あの事態が全く平穏無事な時期でなかったということは私どもももちろん承知しております。そうかといいまして、戦時国際法が支配するような戦時であるかというと、これはまたいろいろ議論のあるところだと思うのですが、いずれにいたしましても、あの事件が起きた時点におけるカンボジア政権の状態、またあの船の状態、それからその位置、どういう場所であったか、またその事件が起きてからどういう外交的な働きかけが相互にあったかというような点はいろいろございますけれども日本政府としては全部を包括してこうだというふうに判定するだけの材料もございませんし、また、その立場もなかったということがまず基本でございまして、あと何があるかというと、あの事件で自衛権を行使したアメリカの主張、アメリカがなぜ自衛権を行使したかということについての説明が、国際的に権威のある文書として安保理事会に報告されているという客観的な事実を大臣は述べられたものというふうに私ども聞いておりまして、大臣が、その考え方が正しいのだとか、あるいはここが間違っているとかいうふうなコメントをされたということはなかったというふうに聞いております。
  303. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 先ほどから言ったように、大臣はそういう考えはなかったということで、あくまであなた方は突っ張らなければおさまりはつかぬものな。それはまあそうでしょう。しかしながらそれまでの、私は過程のことも一つお尋ねしたいんだがね。  先ほど言った、沖繩から海兵隊が出動した、これは当然、マヤゲス号を奮還するために沖繩から米海兵隊が出動した、これは常識上もうわかるわけだ。ところが、自衛権の発動というようなことをあなたはおっしゃるけれども、そういうことを認めたかというんですよね。自衛権の発動日本は認めた、こういうことになりますよ。沖繩から米海兵隊が発進するのを認めた、停止すべきであったと思う。とめなければならぬ。それを米側の一方的判断に加担して、そしてわが国基地を野方図にアメリカに使わせる、こういう問題がまた起きてくるんですよ。ところがあなた、自衛権の発動なんて、いま語るに落ちたが、自衛権の発動ということになれば、それじゃやはりカンボジアが正しくない、アメリカが正しいということを認めたから、沖繩から海兵隊が出ることを認めた。どちらが正しいか正しくないか判明しない、わからないというんだったら、沖繩の基地から発進することはとめなければならぬ。だんだんそういう矛盾が起きてくる。また、これはカンボジアの方に行ってその船を奮還するために沖繩から出た、その上にカンボジアの本土まで爆撃する、こういうことになれば、これは先ほどあなたが言われたように、国連憲章第二条の第四項に違反する。あなたが先ほど言われたとおり。こういう問題が次々に出てくるんですよ。だから、この問題は一番大事な基本ですよね、これから出発するんだから。アメリカがやっていることが是なり、カンボジアが間違っている、こう認めたがために、アメリカが、沖繩から海兵隊が出動した、そしてその船を奪還に行った。認めたからこそ沖繩の基地から発進することを許したんでしょう。あまつさえ本土まで爆撃した。こうなれば、これは明らかに話は全然違ってくる。  そういう点を、ちょっと時間がありませんのでひっくりまとめて私はお尋ねしたのですが、ここに一々条項を挙げてお尋ねしたいように用意してきたんだけれども、時間がないから、もうひっくりまとめてお尋ねするのだけれども、どうですか、そういう点は。
  304. 中江要介

    ○中江政府委員 御質問の中には二つの点があったと思うのです。沖繩の海兵隊の問題につきましては、これはアメリカ局長の方から答弁していただけると思いますが、国連憲章の中の二条の義務と自衛権との関係につきましては、自衛権が発動されるときというのは、一般的に急迫不正の侵害がある場合あるいは緊急避難のような場合というようなことで、とりあえず自衛のために出動するということでございまして、これは国連憲章二条の一般原則に対する例外というふうに解釈されているのが通説だと私どもは了解しております。
  305. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 ただいま中江アジア局次長からも申し上げておりますように、アメリカ政府としましては、国連憲章第五十一条に基づく自衛権の行使として、今回のマヤゲス号事件に対処したということを申しておるわけでございます。このアメリカの言っておることが一〇〇%正しいか、また、その自衛権という名のもとにとった行動が一〇〇%正当化されるものであるかどうかということについては、われわれとしても明確に申し上げる立場ではございませんけれども、今回の沖繩の海兵隊の一個大隊が海外の基地に移動いたしましたことにつきましては、われわれとしては、これは日米安保条約の規定に照らしましても何ら差し支えないものと考えておる次第でございます。  この事態は、そのときの時点において考えてみる必要があるわけでございますが、この沖繩にあります海兵隊の一個大隊が出動いたしましたのは、日本時間で申しますと十四日の未明でございまして、当時、アメリカ国務省からわが方のワシントンにあります大使館に対して、マヤゲス号が拿捕された、それだけの事態、その時点においてはそういう事態であったわけです。拿捕されたという時点であったわけですが、その事態にかんがみて海兵隊に警戒体制を命じた、そして約千名からなる一個大隊を、輸送機の準備ができ次第、海外の基地に移動させますということを言ってきたわけでございます。これはもちろん事前協議の対象となるべき事態ではなかったと思います。その海外への基地へ行ったわけでありますが、これはその当時の時点においては、日本政府はどこへ行くかということは承知しておりませんでしたが、その後の情報その他から判断いたしますと、タイのウタパオ基地に行ったようであります。その上でのまたいろいろな米国の軍隊の行動があったわけでございますが、その点については、われわれとしては一々コメント申し上げかねる次第でございます。
  306. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いまのあなたの説明は私は納得できない。それはアメリカが、海兵隊が沖繩から出ることは出られるでしょう、事前協議の結果は。それは奪還を目的として行ったんだから。ところが、あまつさえ本土爆撃までやっている。明らかにこれは交戦状態。そうなりますと、これは私は簡単にあなたの説明では了解できない。先ほど言ったように、これはアメリカとカンボジアとの両国間の紛争なんだから、それに対して両者の客観的情勢をとらえてわれわれが勝手にそれを判断してどうこうするということは、そこにさかのぼるからいけないということを私は言っている。そういう個々の問題じゃない。根本の問題をお尋ねしている。  外務省関係は一時間というお約束ですから、ちょっとこれは時間がないから、なおまたこの問題については機会を見て私お尋ねしたいと思うから、はなはだなんだけれども、他日またお尋ねしますが、私はそういう答弁では納得できない。しかし外務省はこれでよろしいからどうぞ御自由になすってください。政務次官、御苦労さんでした。  それでは早速今度は防衛庁に移ります。  まず最初は、法案そのものもありますが、これもぼつぼつお尋ねしたいが、その前に実は坂田防衛庁長官にいろいろお尋ねしたいのです。これは私、いままで毎度お尋ねしてきたのでございますが、ことに坂田防衛庁長官は人情家として知られておる人で、私も同じ九州人で日ごろから格別ごじっこんに願っておるし、お人柄もよく存じておるのでお尋ねしたいのですが、医官の配置状況についておたくの資料をいただいたところが、おたくのこの資料によると、隊員が二十三万四千三百二十名おる。その中に医官が二百四十二人。そこで、医官が一人当たり診察をする数は、医官一人に対して九百六十八人を受け持つ、こういうことにおたくの資料によるとなっておる。しかも私が非常に遺憾に思うのは、まことに医官のことで遺憾であるが、お医者さんの現員が二百四十二人といま申し上げた。ところが、これで十分でないということを考えたのであろうと思うが、町医者に委託をした人数が六百四十七人。こんなばかな話があるかというんですよ。正式なお医者さんが六百四十七人おって、なおそれによっても不足だから若干の委託、町医者を頼んでおる、現職のお医者さんが六百数人で、そして足らないのが二百何十人の町医者というふうに、これが逆の数字なら理屈はわかる。それが正式のお医者さんは二百数十人で、町医者、一週間に一遍か二遍か呼んでくるお医者さんが六百何人、しかも、そのお医者さんは余りはやらぬお医者さんを雇ってきている。  これは私、冗談を言っているんじゃありませんよ。現地の部隊に行って調べたのです。ところが、実際にお医者さんがそう言うのです。町の委託しているお医者さんは、皆余りはやらないお医者さんだ。また、はやらぬお医者さんでなければ委託なんかに来るわけがない。一週間に一遍でも二遍でも忙しくて来れぬ。だから、余り患者さんのない暇な人を、はやりもせぬような、言葉が言い過ぎたら取り消しますけれども、やぶ医者みたいなそういうのを六百何人。防衛庁の正式の医官は二百四十二人しかいない。そういうことでどうして隊員の健康管理ということができるか。だから、毎年これはやっているけれども全然実績が上がらない。国民から親しまれる自衛隊、しかも国防に携わっているところの大事な自衛隊、こう言っておきながら、隊員の健康管理というようなことはいささかもできていない。  だから、私は隊に行って調べたところが、お医者さんはもうほとほと困ります、こう言っているのです。また、ある部隊に行って私が、身体検査をしたならば、その記録があるはずだ、出せ、それで調べた。なぜそういうことをしたか。演習の場合に大砲によって耳が破れてよく聞こえない、だから、部隊において身体検査をした結果どういう記録が残っておるか調べたところが書いてない。それで防衛庁の役人を呼んで聞くと、身体検査は耳も診察するのか、何を言っているのだ、耳も手も足もどこも全部身体は検査するのが身体検査です。そういうことでどうして日本防衛ができるか。だから、陸上自衛隊員が二万人も足らないのです。足らぬはずだ。あなた方がアンケートをとると、四人に一人は自衛隊では生きがいがない、明るい希望が持てない、こういうアンケートが出ているじゃないか。これは私がとったんじゃない。  これはまた後で防衛庁長官には詳しくお尋ねしたいのですが、文教の坂田とまで言われた坂田防衛庁長官が、隊員の健康管理というようなことについてどういうお考えを持っていらっしゃるのか。なおまた、ここには医務局長も衛生局長も来ていると思うが、一体どういう考えを持っているのだ。自衛隊を何と心得ておるか。自衛隊の存続ということに対してはあるいは合憲、違憲、それはいろいろあるでしょう。それはあってしかるべきだと私は思う。物事に対しては甲論、乙論あってしかるべきだと思う。しかし隊員に対してはいささかも罪はない。なぜ隊員を愛せないか。だから隊員が足らない。これは防衛庁長官も御承知でしょう。陸上自衛隊なんか二万名から欠員だ。十数年来欠員だ。だから隊員募集に際してはいかがわしい者まで集めてくる。他の企業からスカウトする、あるいは客引きをする。不見識きわまりない。そういう点について、新しくなられた防衛庁長官には大いに期待をいたしておりますが、どのようにお考えになっておるのか、ちょっとお尋ねします。
  307. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ただいま鬼木先生から、自衛官の健康につきましての烈々たるお話を伺いまして、非常に心強く思っておるわけでございます。それに引きかえまして、わが防衛庁におきまして自衛官二十六万お預かりしておるわけでございますが、それに対して医官が不足をしておるということ、これに対しましてまことに遺憾でございますし、これからひとつ何とかこの問題と取り組んでまいりたいと思っております。  実は私、文部大臣をいたしておりましたときに、当時の中曽根長官からお話がございまして、いま鬼木先生から御指摘になりましたように、医官が足りない、たとえば海の自衛艦に乗っておっても医者もいないのだ、こういう統計を示されたのでございまして、実はそういうわけで医科大学をつくりたいが協力してもらえないかということでございまして、私、進んでこれに協力をいたしまして、各種学校の形ではございますけれども、これを承認したわけであります。私、防衛庁長官になりまして早速医科大学の入学式に参りました。ちょうどこの医科大学ができまして二年目の入学式でございました。しかし何と申しましても、この医科大学に入りました学生が卒業いたしますのは数年後でございます。なかなか間に合わないわけでございますが、長期的に考えまするならば、やはりこの医科大学を遅まきながらつくったことがよかったなという感想を持っております。  いま一つは、自衛隊の医官の衛生学会がございまして、そこに臨みました。そのときにお話を申したわけでありますが、二十六万のうち約一〇%が薬を飲んでおる。そしてそのうち一〇%が入院をしておる。それから要注意が、別人でございますけれども一〇%。そう考えると、二十六万おるけれども、欠員等も考えますと、結局、本当に防衛そのものに当たれる壮健なる、精強なる自衛隊員というものは二十数万そこそこである。もしこのパーセンテージが非常に少ないといたしまするならば、それだけ防衛力は高まるわけでございまして、これまた非常に遺憾なことである。  それからもう一つは、自衛官になる者は、頭ももちろんであるし、精神ももちろんであるけれども、体が頑健な者を身体検査をして入れておると思っておりましたところが、案外そうではない。かなり体格も劣っておる者も中にはいるという状況でございます。あれは私が大臣になります前でございましたけれども、ある駐とん地に参りまして、二千人ばかりの自衛官を前にして四、五分あいさつをいたしますと、真夏でもないのに二、三人倒れて担架で運ばれておるのです。これを見まして、私たち中学校時代、普通のときでも、炎天下に立っても一時間ぐらい平気であったのにという気がいたしまして、ほおっという感想を実は持ったわけでございます。そういうわけでございまして、今後、国民からお預かりいたしましたこの二十六万の健康管理というものについては特に意を用いてまいりたい。そして単に病気になってからそれを診療するという治療だけではなくて、どうやって健康を維持するかということ、つまり予防医学の面において、あるいはもっと精強なる、強力なる体力を持った自衛官に仕立て上げるという意味におきましても、ともに健康上の問題には留意をしてまいりたいというのが私の考えでございます。  しかしながら、まだ入りましたばかりでございまして、十分私も承知をいたしておりませんので、どうか鬼木先生の知っておられることを全部私にお話しをしていただきますれば、私、それを静かに拝聴いたしまして、私の行政の中に取り入れてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  308. 萩島武夫

    ○萩島政府委員 先生の御指摘のように、医師の充足は昭和四十年ぐらいから徐々に下がってまいっておるのが現状でございます。大学問題その他いろいろな事情あるいは国民全体の医療需要が多くなったために、国全体の医師不足ということもバックとしては影響があったのであろうと思いますが、最近は三〇%近くあるいは二八%というような状況でございます。  いま大臣からもお話がございましたように、防衛医科大学を設置いただきまして、いまこの学生が授業を始めたところでございますが、学生が実際に医者として活動するのにはなお八年ぐらい期間がかかるわけでございます。その間、貸費学生の問題とか、あるいは公募いたす医官の採用等、医官にとって自衛隊の医療活動あるいは衛生活動を魅力ある内容にすることが、この先生方に来てもらう唯一の理由になるだろうということで、現在検討いたしておるところでございます。  健康管理につきましては、これも大臣からお話がございましたように、身体検査を入隊のときにやりますのと、毎年定期あるいは特別、臨時の健康診断を行います。これにつきましては、少ないながらも自衛隊の医官が責任を持って実行いたしておりますが、診療面につきましては、診療各科がいろいろ専門的に必要であることもございますし、部隊に医官が欠員であるという事情もございまして、御指摘のような委託医師をお願いしておるわけでございます。最近のデータによりますと、大学の付属病院、あるいはその他国立、あるいは公立の病院から応援に来ていただいている先生も、病院の方では相当多くございます。部隊の方では、御指摘のような開業医の先生にお願いをしている部分が四〇%程度でございます。いずれにいたしましても、診療面につきましては、診療各科の必要性もございまして、先生にお願いをすることも多うございますが、今後病気にならないための努力、あるいは体力管理の部分、そういう面につきましては、医師不足ということも原因いたしまして従来不十分であったところが多いと思いますので、今後その面を大いに強調するように努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  309. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 あなたの説明は通り一遍の説明であって、実態をよく御存じない。ことに、いま長官がおっしゃったように、防衛医科大学も去年始まったばかりだから、ここ七、八年はまだ役に立たぬと思うが、その間は貸費学生なんかもおりますのでというようなお話であったけれども、貸費学生なんて、あなたそういうことを言われるのはますますおかしい。これはなくなってしまっているじゃないですか。  大臣、御参考に申し上げますが、この衛生貸費学生で医官に任官するのが四十六年度が二人、四十七年が一人、四十八年が一人、四十九年が一人。そういうことで卒業生は四十九年はたった二人です。これは全然話にならないですよ。歩どまりは二割にすぎない。だから、ことしはもう二人しかおらぬのですよ。こういう状態ですから、いま衛生局長から御説明であったが、地方病院は施設も相当整っておるようですけれども、部隊に行ってごらん、何もありゃしませんよ。あなた、部隊に行ってよく見られたですか。いすが一脚か二脚ある、そして幕戸も張ってある、その中でこつこつやっておる。とてもじゃないが、これでは話にならぬですよ。いま長官おっしゃったように、大事な国民をお預かりしているんだから、そういう点は十分ひとつ責任を持ってやってもらわぬと、いまのあなたの通り一遍の説明では、実態はそういうものじゃないんですよ。  では、この辺で次にいたしましょう。  これも私は、この前から二、三回お尋ねしておることですが、予備自衛官の問題ですが、初めこれは陸が三千人、海が六百人、空が五百人、こういうことを出されたけれども、空は今度省いて陸と海と、現在三万六千四百八十九人、定員は三万九千六百人、そういうことで今度の法案が出ておるようですが、陸が三千人、海が六百人。ところが空は、要求したけれども、大蔵省の査定で認められなかった。訓練招集は年に二十日間。ところが一回の支給が、一日の支給が五百五十円、去年は三百七十五円であった。三百七十五円がことしは五百五十円になった。これは大変なことで私はびっくりした。こんなに上がってどうするのだろうか。それを私ば、前の山中長官にお尋ねした場合に、山中長官は、これは何とかして上げたい、こういうことを私に言われたが、それが招集手当がことしは五百五十円になっておる。  ところが、こういうことも言っておりますね。これは議事録をあなた方よく読んでおられるからわかっておると思いますけれども、将来何とかこれはこの次は検討したい、何とかこれは月額二千円の問題も——これは月額二千円で、そして今度年間二十日間訓練招集をやる、一日が五百五十円。ところが、実際は五日間しかやっていない。こういう点がずるい。いいですか、年間に二十日以内と書いてある。五日間もこれは二十日以内ですよ。一日やってもこれは二十日以内ですよ。どうですか、大臣、ずるい言い方でしょう。年間に五日間しかやっておりませんよ。私は、よけいやれと言っているのじゃないですよ。こんないいかげんなことを言ってはいけないということを言っているのです。一週間以内といって五日やりましたというのなら、これは常識的だ。     〔委員長退席木野委員長代理着席〕 あるいは五日以内といって二日やったとか三日やったというのは常識的だ。ところが、二十日以内と書いてあって毎年五日間しかやっていない。それでこれは二十日以内でございますと、こう言う。何をとぼけたことを言っているのだ。二十日以内というておって、十五日間やったとか十八日間やったというなら理屈はわかる。  山中長官は、そんなばかなことはどこだって通りません、何とかこれは考えなければなりませんということを私に答弁しているのだ。それを、三百七十五円が五百五十円、月二千円の手当もこれは少な過ぎる、これも十分考えなければいけません。ところが、検討をどういうふうにされたか。どうなったか。全然これはやってない。これは坂田防衛庁長官に言っても仕方ないけれども、前の防衛庁長官がどう言おうが、だれがどう言おうがこれは関係がない、まさかそんなことはおっしゃるまいと思うけれども、しかし防衛庁長官がかわるたびごとに全部防衛政策が根本的に変わってしまうのでは国民は困る。だから、そういう点については坂田防衛庁長官の今後のお考え——今後のお考えを聞いておっても、来年また変われば何にもならぬな。同じことは一つことだ。そういう点をどのようにお考えになっておるのか。前にちゃんと議事録を読んでいただけばわかるんですよ。
  310. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは私も議事録を読ませていただきました。現在、防衛庁職員給与制度等研究調査会におきまして検討をいたしておる。まだ少し時間がかかるそうでございます。これは御承知のように、給与改定の一部になるものでございますから、やはりよそとの均衡、諸手当との均衡の問題もあるということでやっておると思います。ただ私、就任いたしまして、今度の予算編成におきまして特に力を入れましたのは、二十六万のうちでいわば一番下積みになっておる、昔で申しますと下士官以下の兵、つまり曹士の人、しかも曹士の中のいわば法律でもって二十四時間隊舎に拘束をされるそういう人たち、これは士が主でございますが、曹も半分ぐらいいますが、この人たちの食糧費の問題につきまして、実はこれは前長官からの引き継ぎ事項にもなっておりまして、大蔵財政当局はかなりの難色を示しましたけれども、私、今回の予算折衝におきまして、一応今年度の予算として三十億計上させていただきました。大体いまの予定では、法律改正を要しますので次の国会にまた御審議をわずらわしたいと思いますが、そういうわけでございまして、これも実は先ほど申しました防衛庁職員給与制度等研究調査会、この中で中間報告として特にこれは本答申を待たずしてやるべき課題であるという答申がございましたので、私は、それを踏んまえて財政当局と交渉いたしました。そしてこれをやりました。  これの内容を聞いてみますと、どうも給与の中に織り込まれておるけれども、実際手渡しますときにはそれを引かれて手渡しする。私は、募集等の要項を見ますと、自衛隊に入るならばまあ飯代はただだ、こういうふうに受け取っておったわけでございますが、実際上はその食料費は差し引いてやっている。これはやはりこの自由な世の中において法律でもって二十四時間拘束をされておる、そういう人たちに対しては、むしろ国で食費ぐらいは見るということが至当ではなかろうかというふうに私は考えました。したがいまして、私は、これに対しましてことしはまずこれを片づけるということで、先ほど申しましたように一応三十億のお金を計上させていただきました。来年の一応の心づもりといたしましては、二月からか三月からか、四月以降続くようなやり方の案をいま検討しておるというところでございますが、そういうぐあいで、やはり隊員の士気に影響いたしますし募集に影響いたします。同じく予備自衛官のこの手当の問題にしましても、先生御指摘のとおりに、やはりせっかくこういう制度がある以上、世間並みの手当というものはやるべきではないかというふうに思います。せっかく努力をいたしたいと思います。
  311. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いま長官の御答弁のとおり、やはり山中さんもそう言われたのです。給与制度調査会というようなものにいろいろお話をして、答申を得て、そして「ただいまのようなおしかりを受けるような、まことに人をばかにしたような話ではないかと思われるようなものは、現実的に国民から許容される範囲内で、御苦労さんというだけの程度の金額にはしたい。まあ千円札以下というのはまずいですね。」こう言っている。それが五百五十円。五百五十円ということは千円以下ということだ。こういうことになっている。それから予備自衛官のこの年間の月の手当の二千円も、これは考えなければいけないということも言っておる。だから、いま坂田長官の御答弁で、私、了承いたしますので、同じことを毎年毎年繰り返して、もう前の長官とかわったからというようなことはないように、その点はひとつよろしくお願いを申し上げたいと思うのです。  次に、大変時間を急いで済みませんけれども、これも前回、私お願いをした自衛官の勤務時間の問題についてです。山中前防衛庁長官も「自衛官だけが違った勤務時間というのもどうだろうか。もう少し研究させてください。」このように言っておるんですけれども、一体研究した結果はどうなったかということは、あなた、私としても聞かなければならぬわけだ。これは御承知のとおり、自衛官の勤務状態を、訓令の第四条、第五条に八時と八時半とに三十分の時差をつけてある。説明なんか要らぬですよ、これは。この議事録にも載っておるし、昼飯食う時間をどうするとかこうするとか、そんなことを言っているんじゃない。根本の問題を私は言っている。だから山中前防衛庁長官も、これは全軍の士気に関係します、ごもっともでございます。こう言っておるのだ。だから研究さしてくれと言っておる。その結果を聞きたいのです。
  312. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 先生おっしゃいましたとおり、当時防衛庁長官研究をお約束いたしまして、研究いたしたわけでございます。  ところで先生のおっしゃる、その開始時刻を制服は桧町駐とん地の幕僚監部も部隊も一緒にするというのはきわめてもっともな御意見でございますが、実はそれを実施するかどうかについて隊員の意見も聞いてみました。そうしますと、実は一つ難問が出てまいりましたのは、まず部隊に勤務している隊員の中には、現在六千人余り夜間の大学、高校に通っておる者があります。これらの意見は、何とか終業、課業が終わる時刻を五時にしてほしいという意見であります。それからいたしますと、開始時刻はやはり現在どおり部隊については八時。それでは先生のおっしゃった幕僚監部の自衛官も現在八時半であるのを八時に上げればいいじゃないかという点ももっともでございますが、すると、御存じのとおり桧町駐とん地は幕僚監部、統合幕僚会議事務局に勤務する隊員でありまして、勤務地が内局や防衛施設庁と同一である、相互に同じ時間帯で事務の連絡をいたしたい。また内局、防衛施設庁にしてみますと、各官庁と大体同じ時間帯で勤務をしたい、それの方が便利である。そういうことで桧町駐とん地については、現状どおりやはり八時三十分にいたしたい。終業はいずれにいたしましても五時になるわけでございます。  そういうことで一応検討はいたしましたけれども、当面現状のままでまいりたい。もちろんそこに三十分間始業について桧町駐とん地と部隊との間でずれが出てまいりますが、この間のずれにつきましては、当直などで遺憾のないようにしてまいりたいというのが一応当面出しました結論でございます。
  313. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうすると、みんなの総意が三十分の時差をつけることが妥当だということですか。みんなの希望がそういうことですか。
  314. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 部隊の隊員にしますと、とにかく終業時刻を五時にしてほしいということであります。そうして昼の休み時間は、訓練をやるものですから一時間ほしい、そういうことで八時開始ということになるわけでございます。これに比べまして、これは簡単にということでさっき省略しましたけれども、桧町駐とん地の場合には、いわゆる事務を主とする業務でありますから、これは各官庁並みに昼休み三十分で十分である。それで他官庁との関連考えて八時三十分。そういうことにつきまして、課業開始が三十分ずれることについて、部隊の隊員の方から桧町駐とん地だけ朝三十分ゆっくりしておかしいじゃないかという意見はございません。
  315. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いやしかし、それは防衛庁だけでしょう。他の官庁と一緒だとおっしゃるけれども、他の官庁はお昼休み一時間でしょう。ところが防衛庁の内局なんかは三十分。どうですか、各官庁は一時間でしょう。あなたは官庁と同じだと言われるが……。
  316. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 いやその点は、各官庁も昼の休憩時間は三十分でございます。
  317. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 三十分かね。だけれども、各官庁は朝の出勤時間は同じでしょう。三十分の時差がありますか。
  318. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 ございません。したがって、八時三十分でございます。
  319. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いまあなたのおっしゃるように、みながそういうことを希望しておるというなら、何も私はどうだこうだと言うわけじゃないですよ。ところが、私らの耳には困るという声があったから。これも私はアンケートをとったわけでも何でもないから、そんなオーバーなことは言いません。一、二そういう意見を私に具申された人があったから、だから昨年こういう問題を持ち出したのであって、しかし皆さん方が調査された結果、みなの意見がそういうふうだと言えば、それは皆さんの困られるようなことを私はしようとするのではないのだから。皆さんが望んでおるようなふうに私はやりたいのだから。だからその点は、どういうふうな事情で、どういうふうなところで調査されたか、そういうような点を、何なら後でもいいから私のところへゆっくり何か資料を持って説明に来てください。そういうことでこの問題はとめておきましょう。
  320. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これはいろいろお話を聞いてみて、私はやはり東京なら東京の中に防衛庁がある、そしてそこで事務をやっている、そういたしますと、やはりほかの官庁並みに合わせた方がいいんじゃないか。直接の部隊は部隊で、これは一番上の人も下の人も同じだと思いますが、やはりそこの市内におる、そして主として事務に携わっておる自衛官というものは、やはりそれに合わせた方が常識的じゃないだろうかというふうに私は思います。イギリスの官庁でもたしか、これはむしろユニホームを脱ぎまして、そして市民と接する場合においても背広で会うという方が好ましいということをやっておるそうでございます。当委員会におきましても、そういうような例もあるので、ひとつ防衛庁においても、ユニホームを脱いで、みんな背広にしたらどうかというお話もございましたけれども、私は、そう画一的にやるというのはどうかと思うし、それはむしろ本人の意思に任せた方がいいのじゃないかと思うが、しかしやはり、郷に入ったら郷に従えで、防衛庁全体がいわゆる内局もございますから、そしてその他の官庁もございますから、そしてその周囲の市民に溶け込むという意味から言っても、やはりそういうように合わせた方が好ましいのではないか。その時間にいたしましても、いま説明を申し上げました方が妥当ではなかろうかというふうにいまは思っております。
  321. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 防衛庁長官の御説明も一応わかります。ただ問題は、防衛庁というのは、他の官庁とちょっと成り立ちが違う。これは交戦をたてまえにはしていない、あくまで防衛、自主防衛ということでございますけれども、少なくとも国を守るという立場に立った官庁でございますから、一般の官庁とはまたその点は私は少し違うと思うのです。私は私の考えがある、しかし長官のおっしゃることも大いに一理あると思う。いずれにしましても、そういう点のいきさつについて、また後で御説明を願いたいと思います。  次に、超過勤務の問題ですが、自衛隊員は二十四時間勤務ですから超勤ということはないと思いますけれども、事務屋の方々、事務官連中に対しては超勤手当が十分あるべきはずであるのに、実際は超勤手当は十分に払っていらっしゃらないんですね、支給されていない。これも私のところに申し出があっております。これは予算の問題ですから、一応枠を決められるということは、私はまた一応そうかと思うけれども、超勤手当というものは、あらかじめ予測のできない、そういうような場合に超勤するのであって、もう予算がないから払われぬ、こういうことになるというと、残業命令も出されないということになる。残業命令を出した以上は超勤手当を出すべきだ。また、どうしてもこれはやらなければならない仕事だ、あすまで持ち越されない、きょうじきゅうにぜひやらなければならないということを、残業命令が出なくたってやったという場合も私はあると思う。そういう場合は、命令を出していないからおまえは勝手に残ったんじゃないか、こういうことでは私はよくないと思う。だから、超勤手当を私は十分に出すべきだと思う。一体超勤手当はどういうふうになっていますかね、これはひとつはっきり言うてもらわぬと困る。
  322. 亘理彰

    ○亘理政府委員 お答えいたします。  超過勤務手当の予算は、各官庁とも基準は多少違いますが、予算編成に当たりまして一定の基準、たとえば防衛庁の場合、中央でありますと、月一人当たり十二時間というふうな一定の基準によりまして積算されております。それで、その積算の範囲内におきまして中央から末端に流れるわけでございますが、これをたとえば陸上自衛隊関係で申しますれば、陸上幕僚監部から四半期ごとに方面に流されまして、方面からまたそれに従って各隷下の機関に流される。その場合に、これは仕事の実情でありますとか業務の繁閑を勘案いたしまして、調整いたしまして流しておるわけでございまして、予算上の積算基準どおりに一律に流しているわけではございません。それからまた、毎四半期あるいは毎月同じ基準で流しておるわけではございませんで、年間の繁閑をにらんで、たとえば年末とか年度末とか業務が繁忙になるというときには、その分をあらかじめ留保いたしまして配分し、実際の運用に当たっておる、こういうことでございます。  ただいま先生から、超過勤務の実績どおりに手当を支給すべしというのは、全くそのとおりでございます。ただ、これは予算の範囲内でもちろん実行せざるを得ないわけでございますので、仕事の内容、繁閑によります全体の配分の調整をさらに円滑に行いまして、それからまた、平素から業務を計画的に行わなければいけないという問題もございますが、超過勤務手当の配分、その支給については、さらに実情に即しまして十分考慮してまいりたいと思っております。
  323. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いまのあなたの説明も、これは一般的な説明であって、実態は超勤手当を払っていない。全部とは言いませんよ、払っていないところもある。そういう実態をあなたは経理局長として把握しておられるかどうか。これは大事な問題ですから、当然払うべきものは払ってもらわぬと困る。これからそういう超勤の未払いなんというようなことがないようにしてもらわぬと困る、その点あなたもう一度はっきり……。
  324. 亘理彰

    ○亘理政府委員 ただいま申し上げましたように、予算の範囲内で執行せざるを得ないわけでございますが、その配分をさらに職場、職場の実情に応じて、それからまた、毎月の業務の繁閑に応じて適切に配分をいたす。それからまた、超過勤務命令を出します場合に、その配賦された予算というものを念頭に置いて、超過勤務の実態がありながら手当が支給されないというふうなことがないように、さらに十分努力してまいりたいと思います。
  325. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 次に、これはいま問題になっているところの航空自衛隊小松基地へのファントム戦闘機配備計画、それに伴う格納庫、それからサイレンサー建設問題、こういうことについてちょっとお尋ねしたい。  五月二十七日に防衛施設庁の菅原竹雄施設調査官が小松市役所を訪れて竹内市長に対し「無断着工はしない。今後も協議を続けて着工時期を煮詰めたい」このように釈明しておる。釈明したということは、つまりこれは名古屋の防衛施設局の相場正敏という局長が小松市に、もう着工するようになった、発車する、こういうことを一方的に申し入れしたがために市は硬化した、そこで、これはいかぬというので、ここへ見えている久保卓也長官が——偉いんだ、これは。その長官が菅原竹雄を派遣したと思う。そして着工を無理押しするつもりはない、このように言って現地に派遣した。それは当然のことで、茶番劇だこういうことは。着工を無理押しするつもりはないというのはあたりまえのことだ。朝、昼、晩、おれは三遍飯を食っておるというのと同じことであたりまえのことだ。菅原さんを現地に飛ばして、そういうことはない、無断着工はしない、今後も協議を続けて着工時期を煮詰めます、これは当然のことであって、名古屋の施設局長の相場なんというのはとんでもない、生意気千万だ。これは防衛庁長官の意を受けて言ったのか、久保施設庁長官の意を受けて言ったのか、勝手なことを言ったのか、その点をはっきりしてもらいたい。一施設局長が一方的に住民を無視した、思い上がりもはなはだしい、言語道断だ、こういうことは。  時間がないからやめるけれども、新聞をこんなにぼくは持ってきている。全部これは非常な反発、反撃を受けておる。竹内市長談もここに載っておる。あなたたちも新聞は読んだろうと思うけれども、時間があれば長々と読んでみせてもいいけれども、こういう一方的な着工に対しては全面的に反対だ。何という考えを持っておるのか。こういう施設局長なんというのは地方に置いてもらっちゃ困る。大臣が御答弁がなければ、久保長官、これは本当かうそか知らぬけれども、新聞にはちらちらとあなた次官になる、えらい出世をされる、それほど偉い施設庁長官が、何というぶざまなことをやるんだ。これは絶対小松では反対していますよ。それを六割方賛成があれば着工するんだ、着工しながら話し合いはしますとか、ふざけたことを言うんじゃないよ。  これは予算委員会においても、あるいは当内閣委員会においても、亡くなられた佐藤総理がこう私に答弁をしておる。国民の納得が、住民の納得がいかない限りはそういうことはいたしません。予算委員会においても江崎防衛庁長官は私にはっきり答弁しておる。相手方の納得がいかない限りはいたしませんと明言している。それを地方の一施設局長が一方的な、とんでもない言語道断だ、何をか言わんやだ。これはどうですかね、まずその責任者である坂田防衛庁長官にひとつ御高見を承り、なお直接の責任者である久保施設庁長官のはっきりした御答弁を願いたいと思う。
  326. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私は就任早々、基地周辺の住民とはよく理解を持って協力を仰ぎながらやるべきであるという方針を述べたわけでございまして、いろいろトラブルはあるかもしれないけれども、やはり住民とよく話し合って事を進めていかなければ日本防衛力にはならない。つまり、いかに物理的ないろんな性能のいい飛行機を持っても戦車を持ってもあるいは自衛官を持っても、その防衛力そのものが国民の理解と支持と協力がなければ、これは防衛力にならないという基本的な考え方を私は持っております。また基地がある周辺については、騒音その他いろいろ御迷惑をかけておることも事実でございます。したがいまして、地域住民における納得、了解そういうようなことを、非常にむずかしいかもしれないけれども、やはりそういう過程を経てそして合意に達するというふうにすべきであるという一般的な考え方を持っております。
  327. 久保卓也

    ○久保政府委員 この問題の実態を申し上げますると、ファントムの配備について、昨年の八月末に予算の概算要求書をつくり、業務計画を策定する関係上、地元市に対しましてファントム配備の計画があるという旨を御通知申し上げたわけであります。それから十二月になりまして私が参って、正式にこういう計画である、ついてはお話し合いをさしていただきたいということで市長、議長、関係会議員それから関係の方々も集められておりまして、そこで私どももいろいろ説明をし、また御質問も受けたわけです。私どもとしましては、そのときの計画としては、十二月中に格納庫などの着工をしたいということでありましたが、いまお話ししたような過程の中で早急に着工することは不適当である、やはり地元と協議をし、かつまた、政府としてなし得る対案といいますか、対策を示すべきであるというようなふうに私どもは御要求として承ったわけであります。  そこで年が改まって以後、私ども地元と相談をしながら防衛施設庁としてあるいは防衛庁としてなし得ることはこういうことでありますということの案を出し、さらにそれでは不十分であるというようなことで第二次案も出しということで、これは市それから市会議員の方々、地元の方々にも御説明をし、それからファントム配備の場所、飛行場などにも町内会長、地区長さん方にも行っていただいて、実態がこういうようなものであるという御認識も得るということで、大体そういう過程の中でこの工事を着工するにつきましては県の確認書というものが必要でありますが、市長を通じ県知事の確認書を得たわけであります。これが三月でありますが、このときに県の方からは、着工することは結構であるけれども地元とよく相談をしてほしいということでありました。  したがって昨年度の予算で、三月に着工の許可書は得たわけでありますが、そういった条件がついておりますので三月の着工はやめまして、その以後もさらに地元の方々、関係の方々といろいろお話をし、大体私どもの気持ちとしてはそろそろもう話が済んだかな、県知事が要求されている地元とよく協議するということが済んだかなということで、五月二十四日でありましたか、施設局長は、もちろん私の代理といたしまして、大体話がついてきたように思うが、ついては着工させていただけないかという趣旨でお話をしたのですけれども、そのときの言葉が多分不適当であったのでありましょう。市長さんが来られ、いろいろとそこで意思の疎通が欠けたというふうな報告を私は受けたものでありますから、誤解を避けるために本庁から菅原施設調査官を派遣いたしました。私どもが真意とするところは、地元と十分話し合いをした上で工事に着工するということであって、私どもとしては大体話し合いがついたかなという認識でありましたけれども、市長及び地元の方々の認識ではその認識が違っておるということがわかったので、菅原調査官に命じて私どもの認識を改めてなお話し合いを継続いたしましょうということになったわけであります。  そこで、関係の方々も奔走されまして、また市長も思いを新たにされて、市の方でも対案を出そう。実は市長の方で対案を出されようとしたのは、昨年の十二月であったのでありますけれども、それが出ないままに今日に至って、その五月の事態を契機に市長の方からも対案を出した。それで市長の方の対案が出たところで私どもはその内容検討し、従来私どもが出しておる案と見比べてどういうことができ、どういうことができないか、直ちにできることは何であり、逐次計画的にやることは何であるかということを協議申し上げるということであったわけであります。  そこで、必ずしもまだ市の案が私どもの手元についておるわけではありませんが、市議会でもいろいろ協議されまして、結論的には六月十日付で市議会の決議といたしまして「相互の理解と信頼により大乗的見地から問題の解決を図り、工事の着工に当たっては、市議会並びに小松市長と十分に話し合いを尽くし、了解を得ること」という趣旨の決議が出されまして、私どもはこれをいただいておるわけですが、この線に沿って今後も進めてまいる、こういう所存であります。
  328. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 だからいまあなたのお話を聞くと、あなたのお考えと現地の相場という施設局長の話とは食い違ってきた。いまあなたは、言葉の行き違いで間違っておったかどうか、とにかくそこになにを醸した、こういうふうにあなたは解釈しておられる。だから念のために本庁から派遣した、こういうことで一応理屈はわかった。わかったけれども、私の言うのは、あなた方のような——先ほど防衛庁長官ははっきり言われたし、あなたもおおむねそのお考えは一緒なんです。ところが相場という人の言っておるのはすこぶる一方的で、降雪季の前には工事に着工するのだ、話し合いというものはもう一方的なものであって、こういうふうに自分たちはやるから承知してくれというような話し合いじゃ、これは話し合いが進むわけはないのです。そういう点があなた方の考え考えが違うのです。地元の了解ができ、納得ができたら、その時点から着工するのだ、これなら理屈はわかる。ところが着工ということをすでに予定して、工事着手をもうすでに前提とした話し合いなんというものはあるべきはずのものじゃない。希望としてわれわれはこのようにやりたいと思いますが、こう言うなら理屈はわかる。そこがいま長官が言ったように、話の行き違いが言葉の上であってそういうように間違ったのであろうというあなたの解釈、あるいはそうかもしれないけれども、まさにそうかもしれないということであったとするならば、これは相場局長の失態だ。とんでもない暴言だ。ただ、これは簡単に相場施設局長の行き違いであったでしょう、言葉の上のなにであったでしょうなんというような簡単なことで解決すべきものではない。  これは防衛庁長官にも申し上げておきますけれども、相場という施設局長を本庁にでも呼んで厳重にこれは警告、訓告してください。普通ならこんなものは首じゃ。大衆の敵じゃ。自衛隊は何と心得ておるか。国民のための自衛隊、国民に愛せられる自衛隊、それが横暴きわまりない。不都合千万だ。断じて許されない。それも普通の責任のない人ならともかくも、施設局長がのこのこ出かけていってだ。その点大臣の御高見を承りたい。
  329. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 先ほど私がお答えを申し上げましたとおり、この種の問題につきましては十分地元の理解を得るということが第一だと思います。また当方施設局長等において、いろいろやり方等について十分でなかったということは反省させるようにいたしたいと思います。
  330. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 時間がありませんので、大変恐縮ですけれども少し急ぎます。  次に、先ほども申し上げましたように、坂田長官を三木総理が任命された。これははなはだ申し上げにくいことだけれども、文教の坂田、厚生大臣もなさったし、福祉の坂田ということはもう令名雷のごとく聞こえておる。しかし失礼千万ですけれども防衛の方には私は素人だと思う。坂田長官は偉いから万能であるかもしれぬけれども。ところが、あえて坂田長官を任命された、こういうことに対しましては、私は、いままでと根本的に防衛政策、防衛行政が変わるわけはないと思いますが、何らかここに坂田色が出てこなければならぬ。これは総理にあすお尋ねしたいと思いますが、どういうわけで坂田長官を任命したのか。えりにえって素人を——つまりバター屋さんが大砲屋になった。かつて中會根さんが長官になったときには、よくぞ私を長官に選任していただいたものだ、こう言って天下に声明された。だから私は、坂田長官が不適任だというようなことを申し上げているのじゃありません。私も三木さんがよくぞ坂田さんを長官にされたものだ、さすがに目が高い、こう思っておる。  そこで、坂田長官にお尋ねしたいのは、やれ装備だ、やれ戦力だというようなことばかりいままで考えてきたのに対して、文教の坂田と言われる坂田長官が——あくまで自衛隊の存在というものは、これは平和憲法を基本にした平和と自由ということを根本理念、基本理念とした自衛隊の存在だ。そこで坂田長官が、憲法の精神にのっとって隊の教育方針をどのようにこれからやられるか。平和と自由をまず表に立てた、心身ともに健全な隊員の教育をどのようになさろうとされておるのか。いわゆるシビリアンコントロール、この点にどう意を用いていらっしゃるのか。  先ほどもちらっと申しましたように、自衛隊員は、皆さんのアンケートによりますと、約四分の一は生きがいはないと言っている。先の見通しがない、明るい生活ができない。しかも、この「自衛官の心がまえ」にずっと載っておりまして、詳しく私、これを見ておりますが、一、二、三、四、五までありますが、平和憲法を愛するなんというようなことは一カ所も載っていない。しかも三木総理は、三木内閣においては平和憲法は絶対に遵守する、こういうことを言っている。そこで坂田長官に期待するところは、明るい、前途に希望を持った、平和教育に徹した隊員の教育方針をどのように樹立されんとしておるのか、また樹立されるか、そういう点について……。
  331. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私も、実は昨年十二月に三木総理から防衛庁長官をやれと言われてびっくりしたわけでございます。しかし私も、二十九年の国会議員の経歴があるわけでございまして、引き受けました以上は、その任務の達成に全力を注ぎたい、こういう考えで今日まで過ごしてまいったわけでございます。  本委員会におきましてすでに申し上げたわけでございますが、私は、戦前における天皇主権のもとにおける軍隊と、主権在民下における自衛隊というものは、その性格において違うというふうに思っております。国を守るという点においては同じでございますけれども、おのずとその性格は違うという認識を持っております。したがいまして、先生のおっしゃいます平和憲法の理念というものを、やはり指揮官から末端の曹、士に至るまで周知徹底させるべきであるというふうに思っております。そういう意味から、私は、文部大臣の経験を生かしまして、やはり教育、訓練というものは非常に大事である、また、その教育、訓練の基礎となる理念というものがはっきりしなければいけない、つまり新しい憲法意識と申しますか、そういうものが自覚をされて、そして一人一人の自衛官に至るまでそれを把握するように努めなければならない、またそういうふうに教育されなければならない、そういうふうに私は思うのでございます。  実は私、防衛庁へ参りますと、出るときと帰りますときに、あそこで銃をささげまして異状ないというような報告がございます。一体こういう人たちはどこから来ておるのかと聞きましたら、付近の駐とん部隊から警備の任に当たって交代で任務を遂行しておるのだということを聞きました。私は、就任以来、なるだけ自衛官に会ってみたい、あるいは話をしてみたいという希望を持っております。しかし就任早々臨時国会、予算編成、そうして通常国会と続きましたので、現地の部隊を十分にまだ見ておりません。国会が終わりましたらもう少し見たいと思っておりますが、せめてこうやって来ておる人たちと短い時間であっても会おうということで、写真をとったりあるいは私が話をしかけたり、健康状態はどうかというようなことを聞いたりはいたしておるわけでございます。  その自衛官たちに私が一貫して申しておりますことは、精強なる自衛官になるということが大事だ、しかし同時に、一般国民と遊離しないよき常識を持った国民の一人であってほしい、あるいはまた広い知識を持った、広い眼を持って物事を見、また判断のできるような、視野の広い、そういう一市民でもあってほしいのだ、よき自衛官であると同時によき国民であってほしいのだ、こういうことを私は申しておるわけでございます。  先生先ほど来、自衛官の意識調査のことに触れておられますが、四分の一は生きがいを感じてないというようなお話でございます。これをつぶさに検討いたしてみますと、曹、幹部、これを合わせますと八〇%から九〇%が生きがいを感じておるわけでございます。士だけが五一%でございます。そこで、それを計算いたしますと、おっしゃるように七五%ぐらいにあるいはなるかと思うのでございます。しかし士は御承知のとおりに中学校、高等学校の一般教育を受けまして入ってきた人で、まだ十分教育、訓練を受けてない人たちであります。むしろ自衛官という職業を選んだ人たち、これは曹及び幹部となりますと、九〇%近い人たちが生きがいを感じておるということは、この自由社会における自由を求める青年の中ではかなり健全な考え方あるいは職業に徹する考え方を持っている人たちだなと感じました。  いま一つは、少し厳しさが足りないのじゃないかというのがかなりございました。これは六七、八%でございましたか、七〇%近かったと思うのでございます。さらにそのうちでもうちょっと厳しくしてほしいというのが六十何%もあるわけでございます。かと思いますと、一面において公務以外の自分の自由な時間はもう少し自由にさせてほしい、公務以外の自由なる時間つまり拘束されないところ、つまりプライバシーを守る気持ち、意識でございますね。たとえば営外に出るときは、一つの証明書があればそうそれから余り細かくは言わない、昔の軍隊のときと同じようないろいろなチェックの仕方を二重、三重にもやっておるということは、自分たち自身の人格というものを認めないのじゃないかというような気持ちがあるのじゃなかろうか、こういうふうに思われるわけでございまして、これは一人の人間から言うならば、相矛盾するようでございますけれども、現代の自由主義社会のこの世の中においては、まことに普通の、社会における青年たちと意識は違わないのだ、その同質の意識の中に自衛隊もあるということは、私は、むしろ健全に育ちつつあるわいなあという感じを一面持ったわけでございます。もちろんいろいろ不十分な点もございます。これに対しまして、旧軍隊の経験を持った方だとか、非常にかたい考え方を持った人たちの中で、どうもサラリーマン化してしまったのだ、これで一体有事の際に国を守れるだろうか、あるいはこれで精強だろうかというような批判が一面においてあります。その批判も私は一つの理屈があると思います。しかし、むしろそうじゃなくて、今日の自衛官の意識がこういうふうな状況にあるということは、いわば特別に意識の違った集団ではないのだというところに健全性がある。言うならば現憲法思想というものを知らず知らずのうちに身につけてきておるのだなという感じを実は持ったのでございます。  そういうわけで、一般的に申しますと、どういう教育方法をとっておるかについては、もう少し実態をわが目で確かめませんと、はだで感じませんと何と申し上げようがございませんけれども、この自衛官の意識調査というものは、トータルといたしまして一つの客観性を示しておるという意味において、実態とそう離れたものではないというふうに判断せざるを得ないと私は考えておるわけです。そういう意味から、今後自衛官の教育につきましてもいろいろ細かく検討してまいりたいというふうに思っております。
  332. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 さすがに文教坂田と言われるほどで、なかなかうんちくを傾けた御高見を承りましたが、いまおっしゃったことは私も承知しております、おたくからアンケートをいただきましたので。これは士が四分の一のことであって、なるほど全般的のトータルは、八〇%からみな満足しておるというようなこと、なおまた、教育訓練をもう少し厳しくしてくれとか、いろいろ全部資料はいただきました。だから、わかっておりますが、それはそれとして、自衛隊員の教育の大綱、方針ということについて、私は、あなたに大いに期待いたしておりますので、何らかの形で出てまいると思うわけなんです。それを期待しておるわけです。  先ほども申し上げましたように、「自衛官の心がまえ」ですか、こういうのにも、五項ありますけれども憲法の条項なんか一カ所も出ていないんですね。だから私は、そういう点も申し上げたのであって、これがやはり教育の基本になっておりますね。これを拝見しますと「自由と平和を愛し、社会福祉を増進し、」これは全部坂田長官のためにできたようなものなんだな、本当にあなたの専門分野だ。そして「自衛隊はつねに国民とともに存在する。」だから私、先ほどから申し上げましたように、先ほどの小牧から小松に移る問題でも、何が「国民とともに存在する。」のか、国民とともにますます離反するようなことじゃないかというような見地から申し上げたわけなんです。そういう点について、長官のいまのお話を承って大いに意を強くいたしました。  それから次に、シビリアンコントロールのますます強化ということについて、先ほど言いましたように「自衛隊はつねに国民とともに存在する。」ところが、防衛庁長官はどうか知りませんけれども、私どもがよく地元に帰りまして、ざっくばらんに申しまして、選挙の演説会をやったりいろいろなことをやりましても、安保問題なんというようなことはだれも知らない。ということは、何ぼ自衛隊は国民とともにあるとか国民に愛される自衛隊とか言っても知らないんですよ。これはまことに御無礼千万で、知っている方もたくさんおられると思うが、おおむね無関心。ということは、国会へ防衛関係資料を提出することをきらう。当然答弁すべきことをしない。当然資料を出すべきものを出さない。秘密主義が余りにも多過ぎる。これも私、調べております。ここに資料を持っております。これは各省どこもあります。外務省でもあるいは文部省でもある。どこでもございます。  時間がございませんので申しませんが、防衛庁には余りに、あるいは「機密」の書類だ、あるいは「極秘」あるいは「秘」あるいは「取り扱い注意」とかいうようなのが、しかも何万点とある。機密が六万点、極秘が四万六千、秘に至っては七十万、取り扱い注意というのはもう膨大な数です。必要以上に秘密、秘密、秘密。国民の支持を得ようと欲するならば、国民とともにある、愛される自衛隊だというならば、それは秘密もあってしかるべきと思いますけれども、国会に提出するような書類は秘密ということはできる限り開放していただきたい。当然答弁すべきものは堂々と答弁すべきだ。だから、これからこれまでは国会には出されない、これからこれまではどうだというような基準をはっきりしていただきたい。こういうようなのはちょっと隠しておけ、これはまあいいぞというような出たとこ勝負でなくして、基準を明瞭にしてもらいたい。  もう時間がございませんから、私は簡潔に要点を申し上げていきますが、これも論じていくならば、この問題だけで二十分も三十分もかかりますので、それじゃちょっと困りますから簡潔にひとつ……。
  333. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 その点全く同感でございます。先ほどの私が国民とともにあるというのは、そういう意味でございまして、しかも、天皇主権から主権在民となった憲法を持っておるわが国といたしまして、やはりわが自衛隊はそういう国民とともに歩むということが必要なんです。しかも、いわゆるシビリアンコントロール、その内容は何かと言うならば、むしろポピュラーコントロールと言った方がいい。主権在民で選ばれた議員によって構成されておる国会によって実力部隊たる自衛隊がコントロールされる、これがまさにポピュラーコントロールであるというふうに私は考えるわけでございまして、その国会に対しては国として、むしろ国の安全にかかわる意味において、これはどうしても秘密にしておかなければならないものは別といたしまして、その他のものはやはり国民の前に明らかにするということの方が、国民に対して自分たち一人一人が安全保障というものを考える、あるいは国防ということを考える手だてになる。いままではそういう材料を与えられないがゆえに防衛というものを考えない、安全保障というものを考えないということになったのではなかろうかという気が私はいたしております。  したがいまして、私が今度就任いたしましてから「防衛考える会」をつくりましたのもその一つであります。国防会議もやはりもう少し実質審議をしようというのもそのためであります。あるいは国会におきましても、私は、いま防衛庁長官でございますから申し上げる立場にはございませんけれども、できるならば防衛委員会を設けて、そしていま先生がおっしゃいましたようなこういう問題についていろいろ議論を賜りたい、そのことを国民が聞きたがっておるのだ、こう私は思うのでございます。  したがいまして、それに対して国民がどういうような選択をしようと、それは国民自体の選択にゆだねられるべき問題だ、しかし材料を提供いたしまするのはわが政府、わが防衛庁の責任なんだというふうに私は考えるわけでございます。しかし、この自衛隊法も国会の承認を得ておるわけでございますし、いわゆる憲法のもとにおきまして、わが自衛のために必要な程度防衛力というものはこの国会において認められておるわけでございます。その限りにおいて、やはり国民の側におきましても、意識調査を見れば、七三%は何らかの形において自衛隊の存在を認めておるという現実、しかもそのうちに一五%はわからないという層がある、一二%が反対だという、この反対だという国民の方々がなぜ反対なのかということを私が知りながら、やはりこれから防衛政策というものを構想していかなければならないというのが私の務めである、かように考えますし、また、わからない一五%の人たちに対して、そのような材料を提供するというのが防衛庁長官としての任務であろうかと思います。したがいまして、その意味合いにおきましても国防白書というものをつくりまして、国民の側において防衛問題について考えられる材料にいたしたいというのが私の国防白書をつくる気持ちでもあるわけでございます。
  334. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで坂田長官にお尋ねしたいのですが、あなたは国防白書というようなものをお出しになるお考えがございませんですか。それをちょっと聞いておきたい。
  335. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 もうすでにここの委員会におきましてもそのことを申しておるわけでございまして、できればこの秋くらいまでに一応まとめたいというふうに思っております。来年は予算上にも計上いたしまして、来年からはかなり精密な、できれば毎年実はつくっていきたいわけでございます。  そこで、もちろん国内の方々に対しまして防衛問題を考えていただくと同時に、諸外国の人たちにも、日本は軍国主義国家になるのじゃなかろうかというふうに心配しておる向きのアジアの諸国もかなりあるわけでございますので、そうじゃないのです、日本という国にはこういう憲法があるのです、平和に徹したところの憲法があるのです、自衛のために必要な防衛力しか私たちは持たないのです、それはこういう意味なんですというようなこともわかるような、そういうようなやはり国防白書にいたしたい。場合によっては英文に翻訳いたしても結構かというふうに思うわけでございまして、そういう一つの材料を提供する。それから正確な、いま日本を包んでおる周辺の軍事情勢というものにつきましても、本年度はこうだ、来年度はこうだ、その次はこうだ、見通しとしてはこうだというようなものが、やはり国際情勢を踏まえた上における軍事情勢というものが載って、それを国民が見ることによって、これならば安全だとか、これならば不安だとか、もう少しどうかしなくちゃいかぬのじゃないかというような議論が出てくるのではなかろうか、そこで初めて国民的コンセンサスが得られるのだというのが私の考え方でございます。
  336. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 よくわかりました。それではひとつ、いずれ国防白書を秋までにお出しになるということですから、それをよく拝見いたしまして、またその上に立って、それを踏まえて相まみえたいと思います。それを楽しみにしております。  次に、指揮権の問題でございますが、平時においては指揮権の範囲は私は比較的に明瞭であると思う。ところが有事においては、その範囲が果たして明確になっておるかどうか、やや危険を感ずるというような点もないでもない。そういう点についていかなる歯どめがあるか。有事の際のことは後でお尋ねしたいのでございますが、一応内閣があり、国防会議あるいは防衛庁長官、それから長官補佐の段階、内局もあります。統合幕僚会議とかあるいは各幕僚監部あるいは各部隊、いろいろ任務の分担はあると思うのですが、私はすこぶるあいまいであると思うのです。そういう点に明確な区分というか明確な縦分けが立っておるかどうか。平時においてはどうであるのか、有事の際はまたお尋ねしたいが、そういう点をひとつ明確にお答えを願いたい。  というのは、いろいろ過去にも問題があった。これは一々言わぬでももうおわかりだと思うけれども、過去においてもそういうあいまいな、責任はだれにあるのかと国会において問題になった。それは過去においてもたくさんありましたよ。三矢事件もあった。四次防の予算の先取り事件もあった。沖繩に対する物資輸送の問題もあった。そういう平時においても、一体これはだれが責任者だというその指揮権の存在というものはすこぶる不明瞭である。平和時は比較的できておりますが、これが有事の際なら大変なことになる。だからまず平時の場合から御説明願いたい。
  337. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 自衛隊のいわゆるシビリアンコントロールについて、いまお尋ねのように平時の場合と有事の場合が考えられますが、御所望によりましてまず平時の場合から御説明するわけですが、これは御案内のように、まず政治の軍事に対する優位というか、政治が軍事を統制するという考えからくる制度として、まず自衛隊の予算なりあるいは自衛隊運用、組織その他を規律する法律、こういうものを国会でもって御審議され、お決めになるというところから始まるわけでありまして、そういう意味で国会がまず平素だけでなく、これは有時の場合も基本は同じことでございますが、自衛隊の基本的なものをお決めになり、承認なさるというかっこうにございます。  それから先ほども御発言の中にありましたが、国防会議自衛隊に対して国防の重要なことを決めるということで所定の機構あるいは権限が定まっておる。それから何よりも自衛隊にとって一番大きなことは、シビリアンコントロールの大きなかなめになると思われるのは、自衛隊の最高指揮官が内閣総理大臣である。最高の指揮監督権を内閣総理大臣が持っておるわけであります。そのもとにやはり文民である防衛庁長官が、総理大臣の指揮監督のもとで自衛隊の隊務を統括して責任をもって管理していくという組織になっております。この最高指揮官が文民である総理大臣であり、さらに防衛庁長官が大臣であるということ、そしてこれが組織の上でいろいろ機能的にまたさらに細かく担保されるような制度になっておりますが、まず中央の組織としまして、文官の大臣に対する補佐機関がございます。参事官というものが防衛庁設置法の中に決まっておる。これが基本的な施策について、大臣に対して補佐をするということになっております。さらにまた、文官たる防衛庁長官自衛隊を管理していかれるための基本的な施策について補佐をするものとして、制服とは別個の内部の部局がございまして、そこにわれわれのごときシビリアンが相当数おります。これもほかの役所と違って、大きな組織としてではなくて、防衛庁の特色としては、参事官に相対するものとして部員組織というのがございまして、一人一々の部員が専門的に十分な研究をして補佐をするというたてまえになっております。  これは、簡単に申し上げますと、中央部局における内部の部局ですが、各幕僚監部というものがございまして、これは部隊とは別個に中央に陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部とございまして、この幕僚監部の長は、防衛庁長官に対する専門的な助言者として補佐するということになっております。そしてこの助言者のいろいろ専門的な知識の補佐を受けて大臣が部隊に対して命令をするという組織になっております。したがって幕僚長は、命令を発するものではなくて、防衛庁長官が命令を発する際の助言者でありまして、防衛庁長官が命令を発した場合の部隊に対する執行者である。幕僚長自身が命令を発するという立場にはございません。そういう意味でシビリアンコントロールという考え方が出ておると思うのであります。  さらに、先ほどもお尋ねの中にありました統合幕僚会議というのがございますが、これは三つの幕僚監部の機能、ことに防衛活動の面における機能を統合し、かつ調整するために、これまた防衛庁長官に対して専門的な、助言的な立場で統合的、調整的な機能をして陸、海、空でばらばらな活動が行われないようにという配慮をする。これらのいろいろな角度からする補佐機関が、防衛庁長官に十分な補佐をすることによって、文民たる防衛庁長官が、専門的な機能を十分に含めた命令を各部隊に発して、そして各部隊が行動する、平素としてはそういうたてまえになっておるのでございます。  細かく申し上げれば切りがないのですが、一応以上でございます。
  338. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 平時においては、いまあなたのおっしゃったようなことで範囲ははっきりしていると私は思う。しかしながら、平時においてすらも、この指揮系統がすこぶる不明瞭な場合がかつてあったわけなんです。  そこで有事の際に、いまあなたのおっしゃったようなシビリアンコントロールの確保についてどういう的確な措置を考えておられるか。有事の際はどういうふうにされるのか。いまのとおりでいいのですか。
  339. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いま私は、一応平時の法的な面をお答え申し上げたので、あわせて有事の法的な面を申し上げたいと思います。運用の面については、防衛局長からまた話があるかと思うのですが、有事の際の法的な面としては、先ほど申し上げました政治が軍事に優先するという考え方が貫かれておりまして、いわゆる有事考えられる事例としては、自衛隊法の中に書いてある、たとえば防衛出動だとかあるいは治安出動だとかいった防衛的な活動——災害救助まで有事考えればそういう場合もあるのですが、防衛出動、治安出動の場合にだれが命令を発するかということ、あるいは命令の発し方がそれぞれ規定されております。特にその中で重要なのは、防衛出動についても国会の承認にかかっておる、緊急の場合の例外規定はございますが、国会が承認をするということが根本的なチェックの組織であろうかと思うのであります。さらに、先ほど申し上げました国防会議の決定事項の中にも「防衛出動の可否」という項目がございまして、これも、いよいよ防衛出動するというときは、国防会議の議決を得なければならぬという法的な組織になっておると思っております。  ただ平時、有事を一応法律的には分けて考えますが、この運用をいかに上手にするかということになりますれば、有事がそうしょっちゅうあるはずもございませんから、平時から、先ほど私が申し上げた平時のシビリアンコントロールがいかに手際よく効率的に行われるかということの訓練を積み重ねることによって、有事の際にいわゆる有事即応のやり方がうまくできるのではないか。そういう意味合いにおいて、平時のシビリアンコントロールというのはきわめて重要なことではないか、私はそう思っております。  防衛活動の面での有事のときはどういうぐあいに考えておるかという内容面になると、防衛局長の方で幾らか答えられるかもしれません。
  340. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いまあなたのおっしゃったとおり、これは平時の場合が大事であって、平時の場合はある程度法で抑えており、規則で抑えておる、制度上もこれはよくできておるから、平時の場合は問題ないかとも思う、かつての事例は問題があったけれども。シビリアンコントロールについても、私は一応それでいいと思う。しかし問題は有事の際ですよ。いまあなたも幾らかそういうことを言われた。私も、そういう点はちょっと調べてきたのですが、たとえば自衛隊行動として治安維持に出動する場合、これは七十八条であったと思うのです。それから要請によって出動する場合、これは八十一条であったと思う。海上における警備行動の場合、これは八十二条。領空侵犯措置等の場合、これは八十四条。そういうことをちらちらあなたおっしゃっておったようだが、そういう場合の指揮命令系統ですね。そういう点は日ごろからよく訓練を積み重ねて、有事の際でも誤りのないように十分訓練ができておるかどうか。  つまり、内閣総理大臣の指揮監督権の範囲とその状態ですね、自衛隊法の第七条にあるところの。それから防衛庁長官の指揮監督権の範囲とその態様、これは第八条。幕僚長の職務、これは第九条。こういう点について日ごろの訓練、積み重ねがどのようにできておるか。そうしないと、有事の場合には指揮系統はすこぶる乱れる。日ごろから一糸乱れぬ指揮系統が厳然とできておるか。そういうことが下部までずっと徹底しておるかどうか。そうしないと、平時の場合はいいけれども、一朝有事の際には非常に問題が起こってくるのではないか。命令の適法性というようなことも起きてくると私は思う。指揮系統、指揮権によって命令の適法性ということが問題になってくる。違法命令というようなものがもしあった場合なんかとんでもないことになる。  こういうふうにできておりますといまあなたの説明されたようなことは、私くしですいたように全部調べてきているんです。そういうことを羅列して、日ごろこうやってこうやって、こうなってこうなっておりますということを私は聞くのではなくして、日ごろの訓練ができておるか、みんな身につけているか、下部まで徹底しているか、そうしないと一朝有事の際には大混乱を起こすぞ、こういうことを申し上げてお尋ねしているのです。しかっているんじゃないよ。あなたに尋ねている。どうですか。
  341. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 私が申し上げたのは、有事の場合は何遍も訓練できないような事態ですから、平素のシビリアンコントロールのあり方こそ有事の際の基本になると私は思っているということを申し上げたのですが、それに御賛同いただいて大変恐縮に思いますが、まさにお話しのとおり、平素どうやってシビリアンコントロールをよくやっているかということが有事の際の応用動作に素直にあらわれてくるのではないかと、私見でございますが思っております。  そこで、この問題については、先ほど大臣からお話があったように、旧軍隊と違っていまの自衛隊というものがどんなものであるかという自衛隊員一人一人の認識から基本的には始まることである。そういう意味合いで、自衛隊員に対する精神的な教育、訓練はもちろんでございますが、こういう自衛隊の制度、組織、仕組みのあり方、そういうものについての教育ということ、これが十分行われることがまず基本である。それから後はそれぞれの活動の面でありますが、たとえば平素防衛活動に直接関係のない人事管理の面あるいはまたいろいろ計画の面、予算の面、そういった面において幾らでもいわゆるシビリアンコントロールの場面というのはございますので、そういうところにおいて、各仕事ごとにそういう考え方、物のあり方というものを身につけていくように私ども努力をしておるわけでございます。  さらにまた、防衛のいろんな計画については、この中にも陸、海、空の幕僚長の仕事あるいは統幕会議の仕事として防衛計画なんかもございますし、それから訓練が平素陸、海、空それぞれ行われますが、そういうものについても、訓練計画について内局の局長が十分これを把握して、そして大臣に十分にこの内容お話しして、そして大臣の命令として訓練も行うということが平素行われておりますので、平素としてはできるだけそういう配意のもとに物事が取り運べるように——必ずしも万全でございませんので、場合によっては先ほどもお話のあった十分でなかった事例も出てくることはございますが、そういうしつけと申しますか癖と申しますか、そういうことが行われるように努力しておる次第でごございます。
  342. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 必ずしも万全でないと大変謙虚なことをおっしゃったけれども、必ずしも万全でなくして、必ず万全であるようにやってもらいたいですね。これはいやしくも国防に関係したことですから、その点をひとつよろしく。  それから、これは長官にお尋ねしたいのですが、日米安保条約の第五条の事態が発生して自衛隊と米軍とが共通の危険に対処する場合、この軍事行動における指揮系統は一体どうなっておるのか。これはもうあちらこちらでいま盛んに論議があっておりますので、鬼木はまたそんなことを聞くかというような顔を、防衛庁長官はしていらっしゃらないようだが、自衛隊は米軍の指揮下に組み込まれるのか、あるいは日米がそれぞれ別個の指揮系統のもとに行動するのか、その点について簡潔にまず、これは前提でございますから。
  343. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これはもう別々に、わが国自衛隊法に基づきまして個別の、わが国の独自の指揮権、指揮系統ということで御了承を賜りたいと思います。
  344. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 これは、もういまあちらこちらで盛んに論議があっておりますので、これは一元化じゃない、二元化ということを長官もおっしゃっておるようなのでございますので、承知いたしました。  そこで、指揮系統は別々である、ところが、日米が緊密な連携をとって行動するということになっておるようでありますが、実際上有事の際にそういうことはあり得るか。なぜ私がそういうことを申し上げるかというと、日米共同防衛ということは安保条約にうたってあるけれども日米共同作戦ということは言うてないですよね。そうしますと、おのおの別個の二元化であるといま防衛庁長官はおっしゃったが、日米共同防衛という立場に立った場合に、共同作戦はなくても、互いに緊密な連携をとる、ところが、たとえ別々の指揮系統においても、用兵とか作戦というようなことが別々ということは考えられるかどうかということですね。
  345. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 自衛隊と米軍が整合のとれた作戦行動をとるようにしなければならぬ、また整合のとれた作戦行動がとれるようにしなければならぬ、これはわが国憲法のたてまえから申しまして当然なことである。しかし、こういうようなことについて米国と日本との防衛の責任者が、一たん有事の際になってあわててそういうようなことを考えてもいけないので、日ごろやはりそういうような問題について話し合いをするということが必要ではないかというのが、昨今私が申し上げておることなんで、そのためにぜひシュレジンジャー氏ともお会いをしたい。そうしてでき得べくんば、そういうような作戦協力の大綱であるとか——いまのはちょっと間違えました。対処行動の大綱であるとか、あるいは連絡調整機関の設置であるとか、あるいは平素におきます研究、ユニフォーム同士の研究の場であるとか、そういうものを持ちたい。しかも、それは両国の責任者同士がオーソライズされたものとしてやりたい。それがまた、まさにシビリアンコントロールだというのが私の考え方でございます。
  346. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 防衛庁長官が、有事の際の日米防衛分担について、自衛隊在日米軍との間で指揮系統を一元化することはないと言う。これはわかる。だが、実際に集団自衛権ということは日本にはない。これはないわけでしょう。そうしますというと、これはどうせ日本アメリカとか、あるいはこれは想像ですけれども日本と韓国とか日本と台湾とか、これは独自の自衛権はない、集団自衛権は日本にない、そうすると別個でやる。一元化じゃない、二元的だ、これは防衛庁長官おっしゃっておる。なるほどそうかもしれない。ところが実際は集団自衛権は行使しないで個々にやる、個々別々にやる。こうなった場合に、共同防衛ということが安保条約にある。そうすると、実際の場合には一緒になってやる。共同作戦はやらないと言っても、事実上共同でやらなければならない事態があると私は思う。そういうような場合には緊密な連携をとる。そうすると、緊密な連携をとるということになれば、いつ、どこで、どういう緊密な連絡をとるための連絡機関というものをおつくりになるのか。そういう機関をおつくりになるのか。あるいはまた、一体日本からだれが行くのか、アメリカならアメリカからだれが来るのか、だれが話し合うのか、そういう点は全然ないんですよね。これじゃ全然話にならぬですよ、これは子供だましみたいなことで。防衛庁長官は、何か調整機関をつくるとか、それは話が違うでしょう。防衛分担はどのような分担をするかということの話し合いの調整機関であって、共同作戦はやらないとおっしゃるけれども、いよいよ有事の際にやる場合の緊密な連携をとるということとは別問題だ。じゃ、どのように緊密な連絡をとるのか。新聞で坂田長官が御発表になっている調整機関をつくるというのはどのようなものか。これは、おまえはここを受け持て、おれはここを受け持つという防衛分担の調整機関であって、いよいよ作戦行動に移った場合の緊密な連絡はどこでやるのか。それがなければ話にならない。そうしなければ、結局はアメリカの指揮下に入らなければならない、アメリカの言うがままにならなければならぬ。アメリカの言うとおりだ。坂田長官が何ぼ息巻いて、一元化はやらない、二元化だ二元化だと言っても、おまえそっちでやれ、おれはこっちで勝手にやるというのじゃ話にならぬ。共同防衛にはならぬ。実際面の場合において共同防衛にならぬ。  そうしまするというと、アメリカが勝手なことをやって、ああやれ、こうやれと、こういうことになる。それでやって終わったら——終わるか終わらぬか知らぬけれども、やりたいことをやっておいてぱっと帰ってしまう。こっちはもう操り人形のように振り回される。事前協議はありますけれども、撤退する場合の協議事項は条約にはない。遺憾ながらない。勝手気ままだ。まあ大抵日本をいいかげんに利用しておいて、そしてぱっと帰ってしまう。われわれはおってくれと言うんじゃありませんよ。決していつまでもおってくれなんて言わない。おらぬ方が一番いい。おってくれと言うんじゃないけれども、事前協議はあるけれども、事後協議は何もないんだもの、安保条約に。だからアメリカは、自分たちの利益になること、自分たちの立場のみを考え行動するんですから、勝手気ままに引き揚げてしまう。日本防衛して、日本を守ろうというための駐留じゃないんだから。その事前協議だもの。だから事後の協議は何もない。自由気ままだ。いつ何どきでも、もうここらでよかろうというので、やりたいほうだいのことをしておってぱっと帰ってしまう。そういう点で一元化じゃない、二元化だ二元化だ、あくまでも指揮系統はこっちにあるんだ、アメリカにもある、両方で別個にやるんだ、防衛分担という大変いいことを長官はおっしゃっておるけれども、遺憾ながら大事なところで抜けている。いいものを包んであるけれども、ふろしきのひもが結んでない。そういう点、どうですか。
  347. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 まず共同対処ということでございますが、御案内のように、アメリカの持っております軍事的な能力と日本の能力というものは全然性格が異なるわけでございます。御案内のように、わが自衛隊わが国の安全を守る、しかも憲法制約があるということでございまして、他国の脅威にならないという武器の制限もあるということからいたしまして、当然いわゆる防衛的な装備である。一方アメリカ攻撃的な装備を持っておるわけでございます。したがいまして、これが一つの共同対処という場合に、一つの部隊を、混成部隊をつくって、侵入する敵に相対するということは全然考えられない事態でございます。したがいまして、日米分担をするということは、日本はもっぱら国土防衛に当たるということでございまして、当然、侵入する敵を、先制攻撃をかけて、これに攻撃をしなければならぬわけでございますが、そういうことはアメリカがやるということになるかと思います。  それで、そういう意味の基本的な両者の軍の機能からする分担ということが当然この調整機関の基本的な方針ということになるわけでございますが、同時に、第二番目に先生が御指摘になりましたような一朝有事になった場合に、それぞれの行動が十分連携のとれたものでなければならぬ。攻めてくる敵に対して先制攻撃をかけ、かつ、それが仮に着上陸をするというような場合においては、わが方がこれを迎え撃つというようなことになるわけでございまして、この辺についての両者の息がぴったり合わなければ、いわゆる整合のとれた行動でなければならぬわけでございます。  そういう意味の両者の作戦調整といいますか、こういうものの機関は、有事の際には常識から言っても当然必要なことでございまして、こういうものを、日米相互に、どういう構成メンバーで一体どこにつくるのかというようなこと、かなり具体的な問題を日米の間で詰めていかなければならぬというふうに考えておるわけでございまして、先生の御疑問を抱かれるのはあたりまえのことでございまして、私どもは、まさにそういうことをこの日米間の政治レベルで御決定をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、最後の事後協議……
  348. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それはちょっと待て、ぼくがやるから。  それで、たてまえは長官は別個であるとおっしゃるけれども、事実はこれは共同防衛という見地に立って、それで作戦行動に移るのだから、結局はやはり共同作戦ということになるのではないか。それは共同作戦ではないと長官がおっしゃるのならば、日米両国が相提携して緊密な連絡をとると、こうあるが、では緊密な連絡をとるということは、防衛分担の問題の調整機関とはこれは話が違うのです。これは話は全然別個の問題だ。これを一元化されては困る。  それで、そういう連絡機関、緊密な機関をつくるのか、どういうふうにしてつくるのか、わが方からだれ、向こうからだれ、そしてどういうことをやるのか、そして互いに別個の指揮をとっていくのか、そういう点を私はまずお尋ねしたい。それを答えてください。事後協議の問題はまた後で……。
  349. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いろいろいま御指摘のございました、そういう有事の際の日米作戦の調整といいますか、こういった面についての機関につきましては、もう当然それの設置が必要であると私ども考えておるわけでございまして、この点については相手のあることでございますので、私ども考えておりますことが十分それに生かされるかどうかということは、これは両者協議いたしませんと結論的にわからないところでございますが、少なくとも、まずわが方の制服の最高責任者、それからアメリカの方の日本におります最高の責任者というものが必要だと思います。それからあと民事上の問題、一般行政上の問題、いろいろな問題がございますので、内局のシビリアンあるいは各省のそれぞれに関係した者、こういった者が当然、特に日本の側としてはここに加わるべきではないかというふうに考えております。  まだその案は具体的に、私どものデスクワークで検討中でございますので、いま申し上げましたように非常に漠然とした形でございますが、各省ともよく詰め合わせまして、アメリカに提示する場合には、もうちょっと具体的な形で出してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  350. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それでわかりましたが、これが一番大事なかなめだと思う。  防衛庁長官共同作戦ではないとおっしゃる。安保条約では共同防衛ということはある、それから発展して共同作戦はないと言う。互いに緊密な連携をとって行動をとるんだ、こう仰せになっておる。これが一番かなめなんです。これがなかったらわれわれはこれに対して納得はできないのです。だから、検討中ということをおっしゃればそれで終わりだけれども、大体国会の答弁というのは、努力しますとか検討中というのがはやり言葉なんだから、そういうことはあなたはまねせぬでもいいから、ひとつはっきりやってもらわぬと困る。  それから、いまあなたのおっしゃった、事前協議はあるけれども、事後のあれは何にもない。ということは、結局有事、平時を問わず、アメリカが一方的に日本から撤退する。誤解されちゃ困りますよ。私は、なるべく撤退せぬでおってくれと言うんじゃありませんよ。この条文のたてまえを、仕組みを私は申し上げておる。その仕組みがすこぶるよろしくないのです。事前協議はあるが、事後協議は何にもないから、アメリカが利用するだけ日本を利用して、そうして自分の勝手気ままなときに、やりたいほうだいのことをやってぱっと撤退してしまう。アメリカの意のままである。私が先ほど申し上げたとおり、これは何も条約に縛られることはないから、アメリカが撤退するのは自由です。そういう仕組みになっておる。お互いにアメリカ日本は一心同体じゃないかなんて、いささかも一心同体じゃない。け散らかされて、ぱっと行かれてしまう。これは日本の国益は何にもありません。恩恵はありません。アメリカ自身の損得によって、彼らが勝手気ままにぱっと帰ってしまう。これは単に日本は利用されておるだけだ。  この点について私はお尋ねをしておるのであって、そこのところは誤解のないように。おってもらいたいと言うんじゃありませんよ。これは本当に日本は利用されておるのだ。勝手気ままなことをやって、いつ帰ったかわからない。どんどん勝手に帰ってしまう、自分たちの用が済んで十分目的を達したら。日本は損害をこうむるばかりだ。それでぱっと帰ってしまう。こういう非合理的なことがありますか。このことを長官はお考えになったことがありますか。
  351. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 先生がおっしゃるのは、この点だけは私はちょっとよくわからないわけですけれども、そのたてまえが——わが国防衛というのは、核の攻撃に対してはもう無力でございますね。日本列島そのものが縦深性がございませんし、地勢上も非常に都市集中だし弱いわけです。また一面におきまして、非核三原則をわれわれは堅持いたしております。核はつくらぬわけですから、核の攻撃に対しては全く無力なんです。したがって、一つの理由として、その核の攻撃に対して核抑止力を働かせてもらうために——もらうためということは、核の攻撃に対して日本国民を守るために、お互いの平和なるこの生活を守るために安保条約を認めておる、こういうのがわれわれ安保条約を支持しておる者ども考え方でございます。また同時に、単にアメリカのかさだけではだめなんで、やはりみずからの国をみずからの手によって守るということでなければ、人の国にもそういうことを頼めないのだということが原理的に出てくる。また、本来的に独立国であるとするならば自衛権はある。憲法でもそれは認められておる。しかし現在の憲法平和憲法だ。他国に脅威を与えるようなものであってはならない。一面において内政を著しく圧迫するようなそういう防衛力の整備というものはよろしくないというような制約がある。それが二つ。それから何と言ったって、国を守るというのは、これは侵略があった場合は、国民の一人一人があくまでも抵抗をして主権を守る、あるいはお互いの家族を守る、そういう国民の気概なくしては、いかに精強なる自衛隊を持っておっても、また優秀な飛行機を持っておっても、戦車を持っておっても、あるいは自衛艦を持っておっても、それは十分な働きをしないのである。つまり抵抗の意思と自衛のために必要なる限度防衛力とそして安保条約、この三つ、この一つを欠いても日本防衛は達成できないのだ、日本国民の安全は保てられないのだ、国民一人一人の生命、財産は守れないのだ、わが国の享受している自由は確保できないのだというのが、いまのわれわれの日米安保条約を堅持しなければならないという立場の者ども考え方なのでございます。  そういう意味から言うならば、日本のために安保条約は存在しておる、しかし安保条約は結んでおるけれども、いろいろ世界各国とも条約は結んでおるけれども、それが有名無実になったというような例はそこここにあります。それも私は承知をしております。それであればこそ、なおかつ、われわれが不断にアメリカに対してクレジビリティーを高める防衛努力というものをやらなければならない責任があるのではなかろうか。あるいは安保条約を結んでおるその代償として基地の提供をわれわれはしておるが、その基地に対しては、いろいろ困難はあろうけれども、また住民の説得あるいは納得を得ながらこの基地について置いていただく、認めていただくという努力はしなければいけないけれどもアメリカ日本という立場からするならば、一方において、安保条約によって核の攻撃あるいは通常兵力の大規模なものに対してはやはり応援をしてくれる、こういうことでございますから、その代償としての基地の提供ということは、これはやはり締約国としての当然の義務履行なんで、これは忠実に守るべくわれわれは最大限の努力をしなければならないというのが私たちのたてまえ、考え方なのでございます。
  352. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 安保条約の成り立ち、安保条約というものはどうして出てきたか、それは不肖私もよく存じております。むろん日本を経済的にも、あるいは軍事的にもお守りしようというアメリカの発想から出ておる、それはわかります。それはわかりますけれども、事前協議の場合はじっくり事前協議をしながら、終わったときはこちらが知らぬ間に帰ってしまう、これはちょっとおかしいじゃないか。結局アメリカの自分自身の利益のために行うことであるということが言わずしてこういう点に出ておるのではないか、こういうことを私は申し上げておるのです。ですから、防衛庁長官安保条約の説明なんか聞かなくても、それは不肖私もよく存じておりますから、その点をひとつ……。
  353. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 安保条約に事前協議制度というのがございますのは、第六条の日本の安全とそれから極東の平和と安全のためにということで在日米軍が装備、部隊の配置を行う場合に、あらかじめ日本政府と協議をするという制度でございまして、あくまでも日本基地を使用するということから出てくる日本政府との合意といいますか、こういうものを前提として考えられた制度であるというふうに考えておるわけでございまして、アメリカの都合のため、アメリカの利益のために考えておる制度ではないというふうに私ども理解をいたしております。
  354. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それは六条の事前協議の話であって、防衛庁長官がおっしゃるように日本基地を提供するのは当然じゃないか、それはそうでしょう。そういうことがあるから事前協議をやる、だから、その事前協議をやる場合には、それは日本の利益だなんということも一応考えられるでしょう。ところが、撤退する場合は何の話もなくそのまま帰ってしまう。そこにこれは、私はもっと極論すれば、初めがあったら終わりがあるのだ、こういうことは安保条約に対する違反じゃないか、私はそこまで考えている。撤退はすべて自由だなんというような、初めは互いに協議しておりながら、後はおれの自由だ、勝手だなんて、これはむしろ安保条約に対する不履行、違反だと思う。そこまで私は極論したい。だからといって、おってくれと私は言っているのじゃないんですよ。そこのところを間違えないようにしてもらわぬと困るよ。そうじゃないのです。この条文のたてまえがおかしいじゃないか、こういうことを言っている。
  355. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 確かに御指摘のとおり、配置の場合に新たに配置する場合には事前協議の対象になりますけれども、それが日本から撤退する場合においては、これは事前協議の対象にならないという……(鬼木委員「それは事前協議に載っていないからだ、それを言っているのだ、何を言っているのだ」と呼ぶ)いま先生がおっしゃるとおりそういうことになっておるわけでございますが、これは外務省からお答え申し上げるのが適当かと思いますが、比較的大きな部隊の撤退という場合には、やはり事実上外務省に連絡があるということでございますし、また御案内のように、四条で安保運用について随時協議制度があるわけでございまして、日本側からこれを協議すべしということで提議をすれば、アメリカとしてはこれに応ぜざるを得ないのではないかというふうに考えます。  安保の解釈を私の方でいたすのはちょっとどうかと思いますが、いまのお話関連してはそういう問題も考え得るのではなかろうかというふうに思っております。
  356. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 第四条の随時協議ということをいまあなたは言われたが、「この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」こういうことがあるとあなたはおっしゃっているのだろう。この四条は事後の場合の条文ですか。そうじゃないでしょう。随時というようなことがいつもあってたまりますか。事前協議で出動したその結果のあれが随時なんということのあるわけがない。あなたがそんなことを言うなら法制局長官を呼んでもいい。これは事後のための条文だなんてふざけたことを言うのじゃないよ、防衛局長は。何が防衛局長だ。ふざけたことを言っておる。おれを素人かと思っている。おれは内閣委員として十何年やっているんだ。そのくらいのことはわかっている。なめたことを言うな。
  357. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 私が申し上げたのは、私が有権的な解釈をする立場にございませんので、先ほどのお話関連いたしまして、安保運用に関しては随時協議という制度があるということを申し上げたわけで、この四条が、いま御指摘のようにいわゆる事後の問題について、それを目的として規定された規定でないことはもう御指摘のとおりでございます。
  358. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 どうもいいかげんだな。ぼくが尋ねておることに対して的確な答えをしてもらいたい。そんな広義な解釈で、常識の解釈でやられたのでは困る。国防なんていうものは、そんな簡単なことで解釈されては困る。そういう仕組みになっていることをぼくは指摘している。防衛局長安保条約の説明なんかしなくたって、大砲屋よりもぼくの方が知っていますよ。この点ははっきり私は申し上げておきますから、なおよく検討してくださいよ。前の防衛局長の久保さんもそこにおる。これは第四条がそのためにあるなんてことは、あなた訂正したけれども、そんなことではごまかされませんよ。そんな簡単なことで法文の解釈ができるわけないじゃないか。  では、その次ですが、長官、これはまたちょっと問題を蒸し返すようではなはだ恐縮でございますが、防衛分担ということを長官がおっしゃっておる。これは先ほどお話したとおりですが、日米安保条約の第五条の共同防衛ですが、この防衛分担は第五条の事態が発生した場合に限られるのか、あるいはまた日本が直接の当事者ではないが、日米安保条約の第六条の極東における平和及び安全の維持のために米軍が軍事行動をとる場合にも、わが国日米防衛分担を負うことになるのか。時間がありませんから、私は、ここに書いてあることをどんどん読んでいきますが、この二つの場合それをひとつ。本当のことを言えよ。
  359. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 あくまでもわが国の安全を守るという趣旨から私ども考えておるわけでございまして、この安保五条に基づきましてそれぞれが共通の危険に対処するように行動すると、こういうことになっておるわけでございまして、この関係での両者の分担といいますか協力といいますか、そういうものを大臣としては考えておられるということでございます。  それから六条に出ておりますように、これは日本の安全と、それから極東における平和と安全の維持に寄与するため、ここにございますように施設区域の使用ということでございまして、それで施設区域を、日本基地を使うということは、そういう意味では日本分担であるという解釈も成り立つかと思いますけれども、大臣の言われている御趣旨は、安保五条の共同の危険に対処する、その対処して行動するという項の部分に関連しての日米の役割り、これをお決めいただく、こういう趣旨でございます。
  360. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、第六条の場合ですが、これは具体的に私はお尋ねをしょう。たとえば朝鮮半島において第三国の紛争が起こった、アメリカがそれに介入をしたというようなときには、日本は事前協議によるところの基地提供ということだけであって、先ほど防衛庁長官の言われた防衛分担はやらないと、このように解釈していいですか。これははっきりせぬと、議事録に残るのだからうそを言うなよ。
  361. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 わが国自衛隊行動はあくまでも、先ほど大臣が申し上げましたように自衛隊法の七十六条、わが国に対して外部から武力攻撃があったときしか動けないわけでございます。そういう意味で、仮に朝鮮半島でございましても、それがいわゆるわが国に対する外部からの武力攻撃ということにならなければ、私どもとしては七十六条の発動の状態にならない、こういうことでございます。
  362. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 わかりました。大体私は、この問題は防衛分担の問題をお尋ねする意味から言っている。  そこで、防衛分担ということが先ほどから論議のあれになっておりますが、これは率直に言って、防衛分担というのは、やはり共同作戦ということの一環になるのじゃないか。防衛庁長官共同作戦ではないと言うが、結局するところ、事実上共同作戦の一環になるのじゃないか。あくまでそれはならないと、こう否定をされるのか。その点もう一度はっきり御答弁ください。
  363. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 共同作戦という言葉が非常に狭い意味の、先ほど私がちょっと例示をいたしましたように、アメリカ日本とが一つの混成部隊をつくって同じ指揮系列に入るというような、そういう意味に使われるのであれば、そういう共同作戦ということはないというふうに大臣はおっしゃっておるわけでございます。したがいまして、いま先生御指摘のような場合で日米が共同して対処するという場合に、いまの狭い意味共同作戦というような事態というものが起こり得るのかということであれば、それは起こり得ない。と申しますのは、あくまでも指揮系統を別にする、それから最初から申しておりますように、部隊の機能、性格が全然違いますので、まずそれは非常に無理である、やろうと思ってもできないというようなことから、まずないというふうに申し上げてよろしいかと思います。
  364. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 委員長から結論を急げというメモが来たものだから、この防衛論についてはもっと突っ込んで、かねてからじっこんの間柄だから、私は、坂田長官にじっくりお尋ねしたいのだが、遺憾ながら時間がないので結論を急ぎますが、結局、防衛分担ということは、先ほど幾らか結論が出た。つまり緊密な連携をとるということは、日本の最高責任者とアメリカの最高責任者と緊密な話し合いをする機関をつくるというようなお話があって、それは検討しますということで、幾らかその結論は出かかっておるが、日米間でこれは勝手に取り決めるという性質のものであるかどうか。これは私、そういう場合には国会の承認を求めるべきじゃないか。これがシビリアンコントロールの最高のものじゃないか。  局長、大臣、ようございますか。これが一番かなめだ。きょうはかなめが多かったけれども、これは大事なことなんですよね。国の命運に関する、国家を左右するような大事なことですから、これは国会の承認を得るべきじゃないか。これがすなわちシビリアンコントロールの最高のものである。口ではシビリアンコントロール、シビリアンコントロールと言うけれども、その点を長官、局長、……。
  365. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 それでは私のほうから、ちょっと事務的なことで申し上げさしていただきたいと思います。  今度のこの話は、あくまでも安保条約の性格を変えるものではない、安保条約の枠組みの中でしか私どもはできないという一つの大きな制約がございます。  御案内のように、安保条約そのものにつきましては、国会で御審議をいただいて御決定、御承認をいただいているという経緯があるわけでございまして、その基本方針の枠内でやることでございますので、国会で御方針を決めていただいている方針の中で私どもが仕事をさしていただくということで、本来国会の御承認を得なくてもよろしいことではないかというふうに考えるわけでございます、事務的な性質としては。  それからもう一つは、やはり形式上の問題があると思います。これは外務省の方で御検討いただいておるわけでございますが、新たに安保の枠組み内にしても、協定締結というようなことであれば、これは当然やはり国会の御承認を得るようなことになるかと思いますけれども、両者の間のこの合意の形式については、共同声明であるとか、あるいは交換公文であるとか、いろいろな形式があるかと思います。その点につきましては、国会に御報告をさしていただくということでよろしいのか、いずれにしてもできるだけ国会に経緯を御報告し、御承知をいただくということは絶対に必要なことではないかというふうに考えておるわけでございます。
  366. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 いま防衛局長が答えましたとおりでございまして、この防衛分担あるいは防衛協力、そういうものの内容につきましては、いま事務当局にどういうものがあるかということを検討させておる段階でございます。  しかも、そのことにつきまして、いまお尋ねの、それじゃどういうような形式でやるかということにつきましても、実は外務省とも相談をいたしておるというわけでございます。  しかしながら、私といたしましては、こういう大事なことは、やはり国会に報告して知っていただかなければいかぬことであるというふうには思います。  そういうわけですが、ただ、この前の予算総会におきまして三木総理は、行政協定みたいな形で権利義務を伴うようなそういうような取り決めはやらないということははっきり御答弁になっておりますことを申し添えておきたいと思います。
  367. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いま大臣の御答弁防衛局長答弁はちょっと食い違っておる。防衛局長は、それはかねがね国会の了承を得ておることだから、安保条約範囲内のことだから、報告しなくてもいいんじゃないかというような御見解のようであった。私の取り違えかもしれないが。私はそれは承知できない。一朝有事の際に、事国の命運に関するような場合に、日ごろ安保条約の規定内であるから、これは了承を得ているものだなんというようなことをやられたのじゃとんでもない。それは指揮命令系統というものは日ごろから、先ほどから言ったように、あるいは判然としておるかもしれない。そういう点においては、厳然とあなた方が日ごろから訓練をしておきますと、先ほどお話しのとおりだ。しかし一朝有事の際に、事国の命運に関するような場合に、長官は国会に大事なことだから報告すべきだと思うと、こうおっしゃったのだから、そういういいかげんなことを言われちゃ困る。これは一番大事な、これが私が先ほどから言っておるシビリアンコントロールの最高のものだ。これがシビリアンコントロールというものだ。どうです。
  368. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 先ほどの私の説明が拙劣でございましたので、先生にそうお受け取りいただいたかと思いますが、私は結論として、いずれにいたしても、国会には御報告するようにするのが本当だというふうに、私、結論で申し結んでございますので、そういう点で御了承いただきたいと思います。
  369. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 じゃ了承。  大変時間が延びまして恐縮でございました。長官以下、大変皆さん御苦労でございました。お疲れでございました。ありがとうございます。  じゃ、これで。
  370. 木野晴夫

    木野委員長代理 次回は、明十八日水曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十七分散会