○坂田国務大臣 私も、実は昨年十二月に三木総理から
防衛庁長官をやれと言われてびっくりしたわけでございます。しかし私も、二十九年の国
会議員の経歴があるわけでございまして、引き受けました以上は、その任務の達成に全力を注ぎたい、こういう
考えで今日まで過ごしてまいったわけでございます。
本
委員会におきましてすでに申し上げたわけでございますが、私は、戦前における天皇主権のもとにおける軍隊と、主権在民下における
自衛隊というものは、その性格において違うというふうに思っております。国を守るという点においては同じでございますけれ
ども、おのずとその性格は違うという認識を持っております。したがいまして、先生のおっしゃいます
平和憲法の理念というものを、やはり指揮官から末端の曹、士に至るまで周知徹底させるべきであるというふうに思っております。そういう
意味から、私は、文部大臣の経験を生かしまして、やはり教育、
訓練というものは非常に大事である、また、その教育、
訓練の基礎となる理念というものがはっきりしなければいけない、つまり新しい
憲法意識と申しますか、そういうものが自覚をされて、そして一人一人の
自衛官に至るまでそれを把握するように努めなければならない、またそういうふうに教育されなければならない、そういうふうに私は思うのでございます。
実は私、
防衛庁へ参りますと、出るときと帰りますときに、あそこで銃をささげまして異状ないというような報告がございます。一体こういう人たちはどこから来ておるのかと聞きましたら、付近の駐とん部隊から警備の任に当たって交代で任務を遂行しておるのだということを聞きました。私は、就任以来、なるだけ
自衛官に会ってみたい、あるいは話をしてみたいという希望を持っております。しかし就任早々臨時国会、予算編成、そうして通常国会と続きましたので、現地の部隊を十分にまだ見ておりません。国会が終わりましたらもう少し見たいと思っておりますが、せめてこうやって来ておる人たちと短い時間であっても会おうということで、写真をとったりあるいは私が話をしかけたり、健康状態はどうかというようなことを聞いたりはいたしておるわけでございます。
その
自衛官たちに私が一貫して申しておりますことは、精強なる
自衛官になるということが大事だ、しかし同時に、一般国民と遊離しないよき常識を持った国民の一人であってほしい、あるいはまた広い知識を持った、広い眼を持って物事を見、また
判断のできるような、視野の広い、そういう一市民でもあってほしいのだ、よき
自衛官であると同時によき国民であってほしいのだ、こういうことを私は申しておるわけでございます。
先生先ほど来、
自衛官の意識
調査のことに触れておられますが、四分の一は生きがいを感じてないというような
お話でございます。これをつぶさに
検討いたしてみますと、曹、
幹部、これを合わせますと八〇%から九〇%が生きがいを感じておるわけでございます。士だけが五一%でございます。そこで、それを計算いたしますと、おっしゃるように七五%ぐらいにあるいはなるかと思うのでございます。しかし士は御承知のとおりに中学校、高等学校の一般教育を受けまして入ってきた人で、まだ十分教育、
訓練を受けてない人たちであります。むしろ
自衛官という職業を選んだ人たち、これは曹及び
幹部となりますと、九〇%近い人たちが生きがいを感じておるということは、この自由社会における自由を求める青年の中ではかなり健全な
考え方あるいは職業に徹する
考え方を持っている人たちだなと感じました。
いま一つは、少し厳しさが足りないのじゃないかというのがかなりございました。これは六七、八%でございましたか、七〇%近かったと思うのでございます。さらにそのうちでもうちょっと厳しくしてほしいというのが六十何%もあるわけでございます。かと思いますと、一面において公務以外の自分の自由な時間はもう少し自由にさせてほしい、公務以外の自由なる時間つまり拘束されないところ、つまりプライバシーを守る気持ち、意識でございますね。たとえば営外に出るときは、一つの証明書があればそうそれから余り細かくは言わない、昔の軍隊のときと同じようないろいろなチェックの仕方を二重、三重にもやっておるということは、自分たち自身の人格というものを認めないのじゃないかというような気持ちがあるのじゃなかろうか、こういうふうに思われるわけでございまして、これは一人の人間から言うならば、相矛盾するようでございますけれ
ども、現代の自由主義社会のこの世の中においては、まことに普通の、社会における青年たちと意識は違わないのだ、その同質の意識の中に
自衛隊もあるということは、私は、むしろ健全に育ちつつあるわいなあという感じを一面持ったわけでございます。もちろんいろいろ不十分な点もございます。これに対しまして、旧軍隊の経験を持った方だとか、非常にかたい
考え方を持った人たちの中で、どうもサラリーマン化してしまったのだ、これで一体
有事の際に国を守れるだろうか、あるいはこれで精強だろうかというような批判が一面においてあります。その批判も私は一つの理屈があると思います。しかし、むしろそうじゃなくて、今日の
自衛官の意識がこういうふうな状況にあるということは、いわば特別に意識の違った集団ではないのだというところに健全性がある。言うならば現
憲法思想というものを知らず知らずのうちに身につけてきておるのだなという感じを実は持ったのでございます。
そういうわけで、一般的に申しますと、どういう教育
方法をとっておるかについては、もう少し実態をわが目で確かめませんと、はだで感じませんと何と申し上げようがございませんけれ
ども、この
自衛官の意識
調査というものは、トータルといたしまして一つの客観性を示しておるという
意味において、実態とそう離れたものではないというふうに
判断せざるを得ないと私は
考えておるわけです。そういう
意味から、今後
自衛官の教育につきましてもいろいろ細かく
検討してまいりたいというふうに思っております。