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1975-06-05 第75回国会 衆議院 内閣委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月五日(木曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 越智 伊平君 理事 奥田 敬和君    理事 加藤 陽三君 理事 木野 晴夫君    理事 箕輪  登君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    大石 千八君       近藤 鉄雄君    竹中 修一君       旗野 進一君    林  大幹君       三塚  博君    吉永 治市君       嶋崎  譲君    和田 貞夫君       鬼木 勝利君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  出席政府委員         国防会議事務局         長       内海  倫君         防衛政務次官  棚辺 四郎君         防衛庁参事官  菅沼 照夫君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       斎藤 一郎君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      今泉 正隆君         防衛庁衛生局長 萩島 武夫君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 久保 卓也君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         科学技術庁原子         力局長     生田 豊朗君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         外務省アジア局         長       高島 益郎君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省経済協力         局長      鹿取 泰衛君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省国際連合         局長      鈴木 文彦君         文部省学術国際         局長      木田  宏君  委員外出席者         国防会議事務局         参事官     上野 隆史君         防衛施設庁総務         部施設調査官  菅原 竹雄君         法務省入国管理         局次長     竹村 照雄君         通商産業省機械         情報産業局航空         機武器課長   堺   司君         運輸省航空局飛         行場部環境対策         第一課長    井下登喜男君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 委員の異動 六月四日  辞任         補欠選任   大石 千八君     佐々木秀世君   近藤 鉄雄君     本名  武君 同日  辞任         補欠選任   佐々木秀世君     大石 千八君   本名  武君     近藤 鉄雄君 同月五日  辞任         補欠選任   渡辺 惣蔵君     嶋崎  譲君 同日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     渡辺 惣蔵君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇号)      ――――◇―――――
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴切康雄君。
  3. 鈴切康雄

    鈴切委員 日米安保条約第六条に基づく地位協定には、日本国内施設及び区域の使用を許される、そのようになっております。個々の施設及び区域に関する協定は、合同委員会を通じて両政府が締結することを義務づけておりますが、さきに核兵器の持ち込みで問題になりました施設区域内に入るアメリカ軍艦及び艦船あるいは航空機については、全然チェックがなされてないことが実は明らかになったわけでありますが、例外として、「合衆国海軍は、通常受入国政府当局に対し、少なくとも二十四時間前に、その原子力軍艦到着予定時刻及びてい泊又は投錨の予定位置につき通報する。」となっておりますが、これが取り決められましたのは、どのような形でなされたのか、また何が目的でそういうふうになったのかお伺いをいたします。
  4. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 アメリカ原子力潜水艦のわが国への寄港に関しましては、昭和三十九年の八月に、米国政府とわが方の間で一つ取り決めと申しますか、合意が行われております。正式の文書ではございませんが、外交文書の交換がございまして、この問題に関しては、ただいま先生がおっしゃいましたとおり、米国原子力潜水艦が本邦に参ります場合には二十四時間前にわが方に通報してくる。それから、その入るところは当時は横須賀佐世保でございましたが、その後沖繩が返還されましたので、ホワイトビーチを加えまして三カ所に入ってくることになっております。  こういう特別の取り決めをいたしましたのは、言うまでもなく、わが方としましては、この原子力に関する国民の特殊な感情を考慮いたしまして、安全性の問題について再三アメリカ政府にいろいろ照会を行い、そして国内におきましても、関係方面の意見も慎重に徴した上で、このような取り決めをいたすに至った次第でございます。
  5. 鈴切康雄

    鈴切委員 原子力軍艦寄港について、科学技術庁海上保安庁、それから地方自治体――地方自治体というのは横須賀でございますが――によって、安全を確保するために放射能調査を行っておりますが、調査はどのような種別によって行われておられますか、その点をお聞きします。     〔委員長退席木野委員長代理着席
  6. 生田豊朗

    生田政府委員 原子力潜水艦と申しますか、原子力軍艦入港に伴います放射能測定でございますけれども入港いたします港に放射能あるいは放射線測定いたしますモニタリングポストを備えつけてございます。そのほかにモニタリングボートと申しまして、その測定の機器を積みました船によりましての測定もあわせて行っております。
  7. 鈴切康雄

    鈴切委員 それはどういうふうな調査の仕方、たとえば、定期調査とか、あるいは非寄港時の調査とか、あるいは寄港したときの時点の調査とか、いろいろ分かれていると思うのですが、それについてもう少し詳しい御説明がありませんと、よくわかりませんので……。
  8. 生田豊朗

    生田政府委員 調査のやり方でございますけれども、まず第一が定期調査でございます。これは、海水海底土及び海産生物に含まれております放射能の長期的な変化を調べますために、四半期ごとにサンプルを採取いたしまして分析を行っております。  二番目が非寄港調査寄港しないときの調査でございます。これは軍艦寄港時――この寄港時と申しますのは、軍艦入港いたします二十四時間前から出港までの期間を言うわけでございますが、その寄港時におきます放射能調査に対処いたしますために、寄港調査に準じた方法によりまして、寄港時以外における放射能、つまり軍艦入港していないときの放射能調査いたします。これが二番目の非寄港調査でございます。  それから三番目が寄港調査でございまして、軍艦寄港しておりますときに、周辺放射能水準を観測いたしまして、軍艦からの放射性物質の排出を監視いたします。で、異常値が発生いたしました場合には、その原因を追求いたしますとともに、放射能水準空間的な広がり、持続状況、そういうものを把握いたしまして、周辺住民安全確保のために必要な措置をとる、かようなことでございまして、以上の三つの種類の調査を行っております。
  9. 鈴切康雄

    鈴切委員 寄港調査について、原子力軍艦あるいは原子力潜水艦等寄港通告があり次第、現地において調査班が編成をされることになっているわけでありますが、どういうふうな割合で、そしてどういうふうなポジションを分担しながら、大体何人ぐらいずつ、たとえば科学技術庁あるいは海上保安庁、そして地方自治体横須賀市、こういうふうなことについてはどういうふうになっていましょうか。
  10. 生田豊朗

    生田政府委員 寄港調査でございますが、寄港いたします港が沖繩横須賀佐世保と三カ所でございます。沖繩につきましては、科学技術庁は三名の職員を派遣いたしております。それから海上保安庁から第十一管区海上保安本部担当者が参加いたします。それから……(鈴切委員海上保安庁は何名ですか」と呼ぶ)そのときによって必ずしも一定しておりませんが、五、六名程度でございます。それから県または市当局、つまり十名前後の沖繩県当局担当者が参加いたしまして、合計十七、八名ないし二十名程度調査班を編成するわけでございます。横須賀につきましても同様でございまして、科学技術庁から同じ数、それから海上保安庁からは横須賀海上保安部担当者が同じく五、六名、それから横須賀市当局から同じく十名前後ということでございます。佐世保につきましては、科学技術庁、それから佐世保海上保安部佐世保市当局と、それぞれ同じ程度の数の人間が集まりまして調査班を編成いたしております。
  11. 鈴切康雄

    鈴切委員 日本寄港する米原子力潜水艦の問題でありますけれども、これまで佐世保における異常放射能事件などが起きておりますが、この原子力潜水艦安全性確保については、またこれは大変重要な問題だと思いますけれども、特に横須賀において、政府横須賀市、それから海上保安庁で行っている調査班があり、そしてモニタリングポストモニタリングボートなどによる監視体制がしかれているわけでありますが、この体制について科学技術庁では十分であると判断をされているかどうか、この点についてお伺いしましょう。
  12. 生田豊朗

    生田政府委員 現在のところそれでほぼ十分だと考えております。
  13. 鈴切康雄

    鈴切委員 横須賀原潜寄港時におけるモニタリングボートモニタリングポストは、どういう目的でどのような調査を行っているか。モニタリングボートは、聞くところによりますと、原潜あたりに近づくと非常に危険であるから、百五十メートル以内には近づかないということになっている、そうまで言われているわけなんですけれども、これは事実であるかどうか。また入港の際のドックによっては調査がむずかしいといった問題が生ずるのではないかと思うのですけれども、その点についてちょっとお伺いしましょうか。
  14. 生田豊朗

    生田政府委員 モニタリングポストでございますが、横須賀には四ヵ所設置してございます。モニタリングボートでございますが、横須賀には一隻ございまして、ただいま御質問モニタリングボートにつきましては、空間及び海水中の放射能の移動の連続測定、それから海水及び海底土の採取を行っているわけでございます。  ただいま先生質問の百五十メートル以内に近づかないということでございますが、これはそのような基準を特に設けておりません。ただ船でございまして、特に原子力軍艦とこのモニタリングボートの大きさが非常に違いまして、余り接近いたしますと、このモニタリングボートの安全と申しますか、衝突その他によりまして危険が生ずることもございますので、特に基準は設けてございませんけれども、安全を確保するように、余り危険なところまで近づかないようにということで、これはそのときどきの判断で、危険のないように、かつこの目的が達成できるようにという限りにおいて作業している次第でございます。
  15. 鈴切康雄

    鈴切委員 モニタリングボートの場合は、通常大体何メートルぐらい近寄って測定をしているのか。また、いままでで一番近寄った場合には、一体何メートルぐらいモニタリングボートは近寄ったことがあるか。その点お伺いしましょう。
  16. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま申し上げましたように、特に基準は設けておりませんが、最近の実績といたしましては、大体五十メートル前後まで近寄っているということのようでございます。
  17. 鈴切康雄

    鈴切委員 いままでにモニタリングボートが近寄っているわけですけれども、一番近く近寄ったという例は、記録の中ではどのようなことでございますか。
  18. 生田豊朗

    生田政府委員 記録をとっておりませんので、何メートルということは申し上げかねるわけでございますが、五十メートルよりももっと近寄ったことはあるように聞いております。
  19. 鈴切康雄

    鈴切委員 モニタリングポストなんですが、一から四までありますね。ありますが、いま私が申し上げますモニタリングポストと、バース岸壁、これの大体の距離についてちょっとお伺いしたいのでございますが、モニタリングポストナンバー三と七号バースは大体何メートルくらい離れておるか。また八号バースと第三のモニタリングポストの間は何メートル離れているか。その点についてちょっとお伺いいたします。
  20. 生田豊朗

    生田政府委員 七号岸壁と三号ポストでございますが、これは非常に近うございまして、百メートルくらいであろうかと思います。それから一号ポストと十五号岸壁でございますが、これは三百メートルくらい離れていようかと考えております。
  21. 鈴切康雄

    鈴切委員 六号ドライドックの中には十四、十五、十六、十七のバースがあります。その十四、十五、十六、十七バースモニタリングポストナンバー一とは、大体何メートルくらい離れておりましょう。
  22. 生田豊朗

    生田政府委員 それがただいま申し上げました大体三百メートル前後と考えております。
  23. 鈴切康雄

    鈴切委員 それでは十二号バースモニタリングポストナンバー一とは、大体何メートルくらい離れておるか。
  24. 生田豊朗

    生田政府委員 二百メートルくらいだと思います。
  25. 鈴切康雄

    鈴切委員 六号バースモニタリングポストナンバー二とは、大体何メートルくらい離れておるか。
  26. 生田豊朗

    生田政府委員 二キロないし三キロぐらいだろうと思います。
  27. 鈴切康雄

    鈴切委員 それから七号バースと第四ポストとは何メートルくらい離れておるか。
  28. 生田豊朗

    生田政府委員 一・五キロくらいだろうと思います。
  29. 鈴切康雄

    鈴切委員 いまそれぞれバースモニタリングポスト距離をお聞きしたわけでありますけれども、米の原潜がこれまでに佐世保横須賀沖繩に何回入港されておりますか。その点を明らかにしてください。
  30. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 全体としていままでに百十四回入っております。内訳は佐世保は十八回、横須賀が八十六回、沖繩ホワイトビーチ十回でございます。
  31. 鈴切康雄

    鈴切委員 横須賀八十六回ということですが、ちょっと何か勘違いをされているんじゃないでしょうか。
  32. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 いま申し上げましたのは原子力潜水艦の数でございまして、それ以外に原子力水上軍艦がございまして、横須賀に十回、佐世保に四回、合計十四回入っております。したがいまして、原潜原子力水上軍艦を合わせますと百二十八回になります。
  33. 鈴切康雄

    鈴切委員 よく問題になるんですけれども原子力潜水艦エンジンをとめますと第一次冷却水が出るわけであります。原潜の場合、日本領海施設内で実際に放出されることはあるかないか。また、この約束というのは日米間でなされていると思いますけれども、どういうふうに約束されておりますか。
  34. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 申しわけございません。御質問の趣旨はどういう点でございますか。
  35. 鈴切康雄

    鈴切委員 第一次冷却水、これは非常に問題なわけでありますけれども原潜の場合、日本領海あるいは施設内で放出されることは、私はないというように思っておるんですけれども先ほどお話がありましたように、日米間で取り決められた中にそういうふうなことが約束されていると思うのですけれども、その点について具体的にひとつ御答弁願いたいということです。
  36. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 原子力潜水艦寄港に関しましての一般的な取り決めは、先ほど申し上げましたように、昭和三十九年八月二十八日に行われたわけでございますが、その後、ソードフィッシュ号佐世保における事件がございまして、さらにアメリカ側と話し合いました結果、昭和四十三年十月二十二日に行われました三木外務大臣ジョンソン大使との会見で一つの会談の覚書をつくっております。その中で、米国大使は、「外国の港における合衆国原子力軍艦の運航に関する合衆国政府の声明」「においてなされている約束は、」「今後の寄港の際に厳格に履行される旨」をまず述べまして、さらに、「寄港中における一次冷却水の放出は例外の場合であり、従って今後日本の港においては通常一次冷却水が放出されることはなく、これが現在の実施方式に即したものである旨を述べた」わけでございます。
  37. 鈴切康雄

    鈴切委員 日本の基地に入港停泊する際、原潜エンジン停泊後間もなく停止し、そして出港数時間前に始動をするのか。あるいはエンジン稼働をさせておくのか。あるいは通常稼働しない間原潜エンジンはどのようになっているでしょうか。
  38. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 先ほども申し上げました昭和三十九年八月二十八日にアメリカ側取り決めました際に、アメリカ側日本側の種々の照会に対して回答を取りまとめて、エードメモワールの形で回答いたしておりますが、その中で先方は、原子炉通常停泊後間もなく停止され、また通常出港の数時間前に始動されるというふうに申しておりますので、このようにして行われておると承知しております。
  39. 鈴切康雄

    鈴切委員 そうしますと、通常ということですね。通常はそういうふうにするんだ、ただし例外もあると思いますが、どういう場合が例外なんでしょうか。
  40. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 これは、仰せのとおり通常と申しておるわけでございまして、どういう場合に例外ということになるかということに関しましては、残念ながらちょっと私たち十分な知識を持ち合わしておりませんので、お答えいたしかねます。
  41. 鈴切康雄

    鈴切委員 そういうような調査をする以上は、かなり詳しく調査をしなくちゃならぬと思うのです。調査をいたしましたところが、通常かなり長い期間停泊するときには、確かにあなたがおっしゃるとおりに、停泊エンジンをとめて、それから出るときには数時間前に始動をする、こういうふうなかっこうをとっておりますね。たとえば二、三日とか、そういう短い場合においてはエンジンをやはり吹かしている、そういうことがあるということが私ども調査の結果わかったのですけれども、それはそれとして、原子炉を温める際のヒーター用電源横須賀設置されておりますが、これはいつごろから設置されたのでしょうか。
  42. 生田豊朗

    生田政府委員 現在、そのヒーター用電源がありまして、原子炉を停止いたしましたときに冷却水を予熱している――いるのだろうと思っています、その状況から判断いたしまして。しかし、ただいま先生質問の、いつからそういうことになったかということにつきましては、私どもでは調査いたしておりませんので、わからないわけであります。
  43. 鈴切康雄

    鈴切委員 それはやはり重要な問題でもありますから、いつその電源設置をされたかということをひとつ調べていただきたいのです。  これにつきまして申し上げますけれども、私ども調査いたしました。たしか異常放射能騒ぎがありまして、これは大変だということでやりましたので、たしか昭和四十二年か四十三年ごろでしょうか、そのころにヒーターができたというように聞いておりますけれども、一応それを調べていただきたいと思います。私どもに調べられることを皆さん方に調べられないわけはないですから、お調べ願いたい。  それから、科学技術庁長官諮問機関として、原子力軍艦放射能調査専門家会議がつくられておりますが、この機関はどういう性格のものなのか、またどういうことが検討されているのか、その点について詳しくひとつ御説明願いたいと思います。
  44. 生田豊朗

    生田政府委員 原子力軍艦寄港時に際しましての放射能調査につきまして、先ほど御説明申し上げましたが、その調査基準、あるいは調査をするに当たっての基本的な考え方、そういうものにつきまして、専門家先生にお集まりいただきまして御審議願う機関でございます。
  45. 鈴切康雄

    鈴切委員 それはたとえば、原子力潜水艦が入った、あるいは原子力軍艦が入ったというときには、必ずその後データ等を取りまとめ、そして科学技術庁としてはその資料に基づいて専門家会議にかける、こういうふうなシステムになっていますか。
  46. 生田豊朗

    生田政府委員 出港後その都度必ず毎回やっているというわけではございませんが、ある程度まとめまして、そのデータの御審議を願っております。
  47. 鈴切康雄

    鈴切委員 そこで、いよいよ話に入ってくるわけでありますけれども昭和四十四年の十月二十八日に、米原子力潜水艦サーゴ号SSN五八三、二千三百六十トンが横須賀入港いたしまして、十一月九日に再び出港をしたということが記録されております。十月二十八日の入港時及び十一月九日の出港時においては、科学技術庁調査結果によりますと、モニタリングポストにおいて測定されましたのは、二十八日には七時から九時二十五分の間は空間で九から十六カウントパーセコンド、そして十一月の九日の九時三十四分から十一時二十七分には九から二十カウントパーセコンド測定された、そのように記録はなっておりますが、その他の場合においては、私ずっと調査をいたしましたら、大体九並びに十カウントパーセコンドになっておりますけれども、入出港時に高いデータを示した理由というのはどういうところにあるのでしょうか。
  48. 生田豊朗

    生田政府委員 これは推定でございますけれども停泊時ではなくて出入港時に高い値が出たということから考えますと、原子炉の駆動によります影響ではなかろうか、かように考えております。
  49. 鈴切康雄

    鈴切委員 原子炉稼働による、要するに放射線漏れということになりましょうか。いわゆる原子炉から遮蔽壁を通って放射線が漏れた、こういうことに結論はなると思うのですが、それでよろしゅうございましょうか。
  50. 生田豊朗

    生田政府委員 先ほど先生質問の、原子炉を動かしましたときの一次冷却水影響ということも考えてみたわけでございますが、諸般のデータから考えまして、一次冷却水影響ではないということのように考えております。したがいまして、一次冷却水ではなくて原子炉そのものの直接の影響ではなかろうか、かように考えております。
  51. 鈴切康雄

    鈴切委員 これはちょっと重大な問題でして、原子炉からいわゆる遮蔽壁を通して放射線が漏れるという、その原子力潜水艦日本の国に寄港させている、これは本当に重大な問題だと私は思うのですね。あなたたちは、それがいわゆる許容量以下であるから云々ということをおっしゃるでしょうけれども、それはそれとしておいて、とにかく原子炉から遮蔽壁を通り越してガンマ線が漏れている。まき散らしながら日本の国に来るということですよ、あなた。これは大変な問題じゃないですか。  それで、私は皆さん方から資料をいただきました。その資料をいただきますと、科学技術庁の発表した米国原子力潜水艦サーゴ号横須賀寄港にかかわる調査結果一覧において、ごく大ざっぱなものしか実際に私の方にはいただいていないわけです。実際に放射線異常値を示したものに対してのもっと厳格な内容については、一向に私の方には資料をいただいていないわけですが、われわれの調査によりますと、出港時の昭和四十四年十一月九日に、実はモニタリングボートM八〇三、これがサーゴ号から約二百メートル離れたところで七十五マイクロレントゲン・アワーの値を測定したはずでありますけれども、それについていかがでしょうか。
  52. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま先生御指摘の数値につきましての記録が残っていないわけでございますが、私ども記録によりますと、この原子力潜水艦サーゴ号入港いたしました十一月二十八日に、モニタリングボートの空気中の放射線をはかります空間線量計でございますが、それが、十カウントパーセコンド、一秒当たり十カウントから十六カウントに、つまり六割上昇しております。それから十一月九日、そのサーゴ号出港いたしますときに、同じくモニタリングボート空間線量計によりますと、一秒当たり十カウントから二十カウントに増加しております。こういう記録が残っております。
  53. 鈴切康雄

    鈴切委員 あなたたち、うそを言っちゃいけませんよ。要するに、入港したときにいち早く、どうもおかしい、原子炉から放射線が漏れているのじゃないかということで、出港時にもということでモニタリングボートが二十メートルに近寄ったのですよ。そしてシンチレーション・サーべーメーターで測定をしたところ、七十五マイクロレントゲン・アワーが測定されたということなんですが、あなたのおっしゃるのと大分違いますね。それはどういうことですか。
  54. 生田豊朗

    生田政府委員 実は先生のその御質問があるということでございまして、調べたわけでございますが、この詳細調査をやった結果が、ただいま先生御指摘のことであろうかと考えております。ただ、記録がないのでございまして、それで私どもの方に残っております通常調査によりましていたしました結果が、ただいまお答えしたような結果でございます。
  55. 鈴切康雄

    鈴切委員 これまたおかしな話だ。科学技術庁海上保安庁横須賀の三者が測定をされて、地方自治体の方においては、こういうふうにいろいろ報告書が出されているわけですね。報告書の中にこういうふうに書いてあるじゃないですか。「サーゴ号出港時M八〇三は原潜より二十メートルの距離で七十五マイクロレントゲン・アワーの値を測定した」。これはシンチレーション・サーべーメーターですか、「これは原子炉運転時に放射線が洩れたものと推定される」、こういうふうに書いてあるのです。こういうふうにきちっと地方自治体ではもう報告されている。どうして科学技術庁ではそんなことがわからぬのですか。
  56. 生田豊朗

    生田政府委員 私ども記録がございませんので、これ横須賀市ともう一度調査いたしますが、ただ申し上げられますことは、私どもといたしましても、この測定の結果、これはガンマ線が直接漏れたという判断をいたしておりまして、その当時もそういう判断であるということを発表している次第でございます。
  57. 鈴切康雄

    鈴切委員 あなたたちもお持ちになっていると思いますが、これをよくお読みになればわかりますけれども横須賀においては、このようにして、すでに全部、サーゴ号並びにソードフィッシュ号、あるいはプランジャー号、スヌーク号、この内容について克明に報告しているわけですね。当時、新聞ではあなたたちは、わずかに通常の大気のいわゆる放射線の二倍ぐらいしか出ていないというようなことをおっしゃっておりましたけれども、実際にはこれは、二十メートルに近寄ったモニタリングボートが七十五マイクロレントゲン・アワーを測定したということを、ちゃんと書いているじゃないですか。いますぐ行って調べなさい。できませんか。
  58. 生田豊朗

    生田政府委員 調べます。
  59. 鈴切康雄

    鈴切委員 それではさらにお聞きしますけれども、サーゴが入港時に異常を記録しましたグラフ、及び放射線が発生されたときに録音キャッチいたしますね。それを出してください。
  60. 生田豊朗

    生田政府委員 それにつきましては、全く未整理のもとの資料でございますので、整理いたしまして数字にした形でお出しいたしたい、かように考えております。
  61. 鈴切康雄

    鈴切委員 未整理ということはどういうことなんですか。たとえば、ここにありますこれは、横須賀に、当時問題になりましたハドックのことについて記録し、これは全部このとおり出ておりますね。横須賀記録紙が出せるものが、どうして国会に提出できませんか。私どもはその記録紙を見れば、どういうふうな状態で放射線が漏れたということがわかるのですから、この記録紙を出してもらわなければ困るし、またキャッチしている録音を出してもらわないことには、これは話にならぬじゃないですか。出せますか。ちゃんと横須賀市議会に出しているものを国会に出せないわけはないでしょう。このとおり横須賀市議会に出しているんですもの。そういう資料は出ているんですよ。出ているにもかかわらず、どうして国会には出せないのかということですよ。問題があるから出せないんでしょう。みんなそうですよ。ちゃんとなっておりますね。  この場合においては、確かにほかの原因であったということは言われております。しかし、私どもよく専門家から、こういうことについて研究をいたしますと、この中においてもこのカーブは、少なくとも一次冷却水が捨てられたかのような感じを与えるカーブですよ。だけれども、私どもまだこの原因をつかんでおりませんから、それについてそれを確定的に言うわけにはいきませんが、すべて記録紙というものは明らかに放射線漏れというものをキャッチすることになっているのですから、その資料を出して下さいよ。委員長、出して下さい。
  62. 生田豊朗

    生田政府委員 私どもそのチャートを秘密にしているわけではありません。現地におきましても、たとえば何らかの形でブザーが鳴るとか、あるいは異常値が観測されたというときには、住民の方その他にチャートをお見せしまして、専門家が十分御説明するということをやっているわけでございます。ただ非常に専門的でわかりにくい。実は私自身もよくわからない程度のようなものでございますので、そういうものをお出してどうかということを考えたわけでございますけれども先生御指摘のように、横須賀の市議会に出しましたものを出さないということは不都合でございますので、お出しするように取り計らいます。
  63. 鈴切康雄

    鈴切委員 横須賀の市議会に出したものはサーゴではないのですよ。しかしほかの記録紙は出している。だから、ほかの記録紙が出るならばサーゴだって出せないわけばないでしょう、ということを私は申し上げているのですから、そういうことはどうでしょうか。
  64. 生田豊朗

    生田政府委員 先生のお説のとおりだと思いますので、そのように取り計らいます。
  65. 鈴切康雄

    鈴切委員 この問題は、大臣の諮問機関である原子力軍艦放射能調査専門家会議においても検討されたはずでありますが、その際の会議録、あるいはその際科学技術庁が同会議に提出したそういう資料もあるはずですから、それもお出し願いたいのですが。
  66. 生田豊朗

    生田政府委員 調べまして、まとまってお出しできる会議録がございましたら、お出しいたします。
  67. 鈴切康雄

    鈴切委員 先ほどのあれはどうでしたか、お聞になって。
  68. 生田豊朗

    生田政府委員 調べましたのでございますが、その詳細調査をやったらしいということでございまして、記録がございません。横須賀市当局と打ち合わせまして、もう少し調べさせていただきたいと思っております。
  69. 鈴切康雄

    鈴切委員 これは横須賀市です。ちょっと見てください、私が書いたわけでも何でもありません。このとおりです。  七十五マイクロレントゲン・パー・アワーというのですが、これはいわゆる人体許容量についてはどういうふうになりましょうか。
  70. 生田豊朗

    生田政府委員 七十五ということでちょっと計算しておりませんが、それより多い目の百で計算したものがございますので、それで御説明さしていただきますと、百マイクロレントゲン・パーアワーでございますが、これを十時間浴びたといたしまして、いわゆる被曝量に換算いたしまして一ミリレムの被曝になるという計算でございます。大体そういうことに相なります。一ミリレムということになりますと、現在、原子炉規制法、放射線障害防止法に基づきます被曝量の基準が、一般人の場合年間五百ミリレムでございます。それから従事者の場合が五レム、五千ミリレムでございます。これは十時間浴びるといたしましてそういうことでございますので、たとえば年間に十時間浴びるような機会が数回あったといたしましても、許容量を大幅に下回るというものだろうと考えております。
  71. 鈴切康雄

    鈴切委員 いまあなたがおっしゃったのは、ICRP、すなわち国際放射線防護委員会で決めてある普通人の基準ですね。それを言われたと思うのですよ。それはパー・イヤーでしょう。バー・イヤーですから、パー・ウィークというようなことでやった場合にはどうなりましょうか。
  72. 生田豊朗

    生田政府委員 放射線許容量基準につきましては、いろいろの基準がございます。たとえば通常人に対しましては年間五百ミリレムということでございます。それから原子力施設の従事者、いわば従業員でございますが、それに対しましては、年間五レムあるいは三カ月三レムという基準を設けております。それを基準にいたしましていわゆる被曝管理をやっているわけでございますので、その大きい方をとりますと、三カ月間に三レムが従事者の基準、かように考えております。
  73. 鈴切康雄

    鈴切委員 放射線の障害の防止に関する法律並びに施行令、同規則の中で基準が決められておりますね。それはパー・ウィークでしょう。パー・ウイークという決められているそれについて、ちょっと御説明願いたいのです。
  74. 生田豊朗

    生田政府委員 いまちょっと調べておりますが、私ども、たとえば原子力発電所等の原子力関係施設におきましては、三カ月三レムを基準にいたしましてそれぞれ被曝管理をやっているというように承知しておりますので、基準ではバー・ウイークはないと思いますか――失礼いたしました。それから計算いたしまして、一週間三十ミリレムという基準を告示でつくっております。
  75. 鈴切康雄

    鈴切委員 原子力局長、こういうことについてはもう少し勉強していただかないと、大切なことなんですからね。一週間について三十ミリレム、それ以上になりますと、要するに放射線管理区域としなければならない、こう規定してありますね。そうですね。いまあなたが言いました国際放射線防護委員会のICRPの基準から、当然パー・ウイークという数値が出てくるわけじゃないですか。ですからそれをどういうふうに御計算なさっているのでしょうか。
  76. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま先生御指摘のように、ICRPの基準によりますと、従事者の場合、年間五千ミリレムでございます。ですから、これを五十二で割りますと算術的な計算ができるわけでございますが、先ほどの年間五レムと三カ月三レムとの関連におきますと同様でございまして、その期間内の放射能の減衰あるいは放射線影響が体に吸収される程度その他を考えまして計算したものと聞いております。
  77. 鈴切康雄

    鈴切委員 五十二週間というふうにおっしゃいますけれども、大体、専門家は五十週と計算するのじゃないですか。そうすれば割ればすぐ出てくるのじゃないですか。そうでしょう。職業人は百ミリレム・パー・ウィークじゃないですか。そうでしょう。それからもう一つは、普通人は十ミリレム・パー・ウイーク、こうなるのでしょう。ちょっと私のいまの計算、間違っているかどうか。
  78. 生田豊朗

    生田政府委員 計算上間違っておりません。ただ先ほど申しましたように、たとえば二つ基準がございます。従事者の場合、年間五レム、それから三カ月三レム、これが両方正しい値として与えられているわけでございます。三カ月三レムにしますと、これを四倍いたしますと年間で十二レムになるわけでございます。これと五レムの関係は、ある期間放射線を浴びました場合、その後のそれに対する体の放射線に対する適応の仕方を考えまして、年間五レム、それから三カ月三レムという二つの基準が並行して用いられておるというように承知しておりますので、先生御指摘の週単位の計算におきましても、ただ割るだけではございませんで、つまり年間ならして放射線を浴びている場合と、年間のある一定期間だけ放射線を浴びて後は浴びない場合と、身体的な影響が違うわけでございますので、その辺の計算の仕方はまた変わってくるのであろうと考えております。
  79. 鈴切康雄

    鈴切委員 通常横須賀の場合、大気中にありますところの放射線はたしか九から十マイクロレントゲンというふうに私は大体調査をしたのですけれども、その点についてはどうでしょうか。
  80. 生田豊朗

    生田政府委員 いわゆる自然放射能でございますけれども、年間百ミリレムが自然放射能として存在する。これは土地の状況あるいは位置によって違うわけでございますが、その程度基準でございますので、横須賀におきましても、ただいま先生御指摘のような、ほぼその程度の数値かと考えております。
  81. 鈴切康雄

    鈴切委員 そうしますと、七十五マイクロレムというのは少なくとも七倍から八倍の数値であるというふうに、単純計算から言いますと出ますね。その点、どうでしょうか。
  82. 生田豊朗

    生田政府委員 計算上は先生の御指摘のとおりでございます。
  83. 鈴切康雄

    鈴切委員 そうですね。ここに実は「この値は一般人の許容量の五十分の一の値である」ということが書いてあるのですね。これは科学技術庁皆さん方海上保安庁と、あと地方自治体――五十分の一である、これは全くでたらめなんですね。七十五マイクロレムというのは五十分の一の許容量の値である。これはどういう計算なんですか。
  84. 生田豊朗

    生田政府委員 この放射線の量の問題でございますけれども、ここで考えなければいけませんのは、その二つの条件がございます。一つはどのくらいの時間継続して放射線を浴びたかという時間でございます。もう一つは、放射線と申しますのは、先生御承知と思いますが、光と同じでございまして、距離が遠くなりますと弱くなりますし、最後は減衰してなくなってしまうものでございます。それは放射能と違うわけでございますので、時間と距離によって影響を受けるわけでございます。  ただいま御指摘の点でございますが、ある限られた時間におきましては、確かに先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、年間にどれだけ放射線を浴びるかということになってみますと、この原子力潜水艦の場合、それだけの量をたとえば一年じゅう浴びますと、確かに先生の御指摘のとおりになります。ただ一年じゅう浴びるわけではございませんで、ある一定の時間しか浴びないということでございますので、その時間の問題が一つそこに入ってまいります。  もう一つ距離でございまして、放射線の強さは距離の二乗に反比例するわけでございますので、ただいま先生おっしゃいましたのは、二十メートルまで接近した場合そうだという数字でございます。ですから、通常人、一般人がそのような状態で原子力潜水艦から二十メートルのところに一年間おりますと、確かに先生の御指摘のようなことになるわけでありますが、そのようなことは考えられないことでございますので、一般人に対する影響といたしましては、その距離と時間との関係から、その測定値が非常に割り引かれまして、自然放射能との偏差は非常に小さい、余り影響がない、かように考えております。
  85. 鈴切康雄

    鈴切委員 ここに「この値は一般人の許容量の五十分の一の値である」なんて出ておりますけれども、これは要するに科学技術庁の方で横須賀市議会の方に御報告なさったのか。あるいはその算定基準はどういうふうにして出されたのか。この点についてはどうなんですか、五十分の一の許容量なんて、こんなでたらめなことは。私どもいろいろ調査をした状態から言いますと、五十分の一じゃないですよね。いわゆる数分の一なんですよ。五十分の一なんて、全然関係ないなんて、いわゆる故意にそういうふうな数値を、科学技術庁皆さん方が五十分の一だというふうに市議会の方へ報告されたのか。もしされなかったらこれは全然出てこないわけですから、この点はどういうふうないきさつになっているのですか。
  86. 生田豊朗

    生田政府委員 大分以前のことでございまして、私、当時の事情を存じませんので、その当時の記録、あるいは横須賀市とも打ち合わせまして調査をさしていただきたいと思います。
  87. 鈴切康雄

    鈴切委員 こうやって御質問を申し上げておっても、的確な答えが戻ってこないのですね。だから、もうこれは長官か何かに出ていただいてお話しするより実はないのですが、私どもいろいろ調査をし、ある程度やってみたのですが、七十五マイクロレントゲン・アワーが二十メートルの距離において測定されたということは、一般人の許容量の大体数分の一である。そして科学技術庁、あるいはこれは横須賀市議会が勝手にはじいたのかどうか知りませんけれども、五十分の一ということで出ているからみんな驚かないわけであって、そんなものではないということが一つです。  それから、たとえば原潜原子炉の点線源から出された放射線が、モニタリングボートにおいていわゆる七十五マイクロレントゲン・アワーが測定された場合、いわゆる原潜の点線源の放射能の強さは、コバルト六〇に換算して何ミリキュリーになりますか。
  88. 生田豊朗

    生田政府委員 ちょっとむずかしい計算をする必要がございますので、専門家に計算させたいと思います。
  89. 鈴切康雄

    鈴切委員 それじゃ困りますね。こういうふうに論議をしているときに、やはりもうそれは出していただかないことには次に進めない。私、一応調査をしたので、またそれが正しいかどうかはあなた方の御議論を待つといたしまして、大体私は、三十ミリキュリーだ、そのように思うのです。それで、たとえばその二十メートルの幅が十メートルになった場合、確かにあなたがおっしゃるように距離の自乗に反比例いたします。反比例するということになりますと、〇・三ミリレントゲン・パー・アワーになるわけですね。さらにそれより近くなった場合には、これまた大変なんですね。距離の自乗に反比例するんですから。たまたまモニタリングボートが二十メートル離れたところからキャッチしたのが七十五ミリレントゲン・パー・アワーであったということであって、原潜の近くで働いている人は、距離の自乗に反比例するということになれば、かなりの数値が出てくるじゃないですか。それは確かに、あなたがおっしゃるとおり、稼動時間というものはあるでしょう。あるでしょうけれども原潜の中における原子炉から放射線が漏れているという事態、あなた、これは問題ですよ。いま「むつ」の問題だってあります。あれは放射能が漏れているというんですが、こんなもの、あなた入れておくわけにはいかないですよ。原潜原子炉の中において放射線が漏れ、まき散らしている、そういう原潜横須賀にあなた入れるわけにはいかぬでしょう。そうでしょう。これに対してアメリカ局長アメリカに抗議し、あるいはこの場合はどうだということを聞きましたか。どうなんですか、手を打ちましたか。
  90. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 このサーゴのケースにつきまして、われわれとしても、まだ十分科学技術庁から話を承っておらないわけでございますが、われわれとしては、アメリカとしては万全の安全措置をとっておると承知しておりますので、そういうことはないと存じますが、万一、いろいろなことを調べてそういうことがあるとすれば、科学技術庁とも御相談の上しかるべき措置をとりたいと存じます。
  91. 鈴切康雄

    鈴切委員 これは実は大変に問題でして、あなたのところに一冊しかないというやつを、大事なものを借りた。あとでお返しします。この中に、リコーバー中将が証言しているところがあるでしょう。このリコーバー中将が証言している内容も実はまた問題なんですよ。私、余り英語が読めないんでえらい苦労したんですが、これは米国議会上院原子力合同委員会の一九七〇年聴聞会の会議録、リコーバー中将の証言というのがありますね。この中にこういうことが書いてあるんですよ。「公衆の安全から見て高いレベルの放射能」、まあ危険ということですね。「が観測されていないが」と書いてある。これはもう出ているということなんですね。放射線は出ている。高いレベルの放射能は出ていないが、低いいわゆる放射線は出ていると証言していることが一つ。それから横須賀というのは非常に監視体制が厳しくなった。「一九七〇年」いわゆる四十五年、サーゴは四十四年十月ですね。「の早期から原子力艦艇による佐世保海軍基地の使用の便を奪われ、横須賀では一つのドライドックを除くすべての施設への接近ができなくなりました」、こう書いてあるんですよ。勉強されて、お読みになりましたか。
  92. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま先生お読み上げになりましたその議事録は、私も読みました。
  93. 鈴切康雄

    鈴切委員 それに基づいて、アメリカ原子力潜水艦横須賀に入れ込むについて、いままでとは違う方法で入れ込むようになったんでしょう。どうですか。
  94. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま先生の御指摘は、恐らくこのころを契機にいたしまして六号ドックに入る潜水艦が多くなったということの御指摘だろうと思います。傾向としてはそのとおりでございます。
  95. 鈴切康雄

    鈴切委員 四十四年の十一月九日のサーゴ以前は十八回寄港いたしております。その中で八回が七号バースに入っていますでしょう。それから十回が八号バースですよ。それから、次から八十七回寄港いたしております。六号ドライドック、これは先ほど言いましたように岸壁が四つあります。その四つある六号ドライドックに五十七回、八号バースに十四回、十二号バースに十一回か十回、それから沖に停泊しているのが六回、こういうふうなことに変わったということ。私、いまずっとあなたの方からいただきました資料に基づいて計算をしてみたのですが、間違いございませんか。
  96. 生田豊朗

    生田政府委員 そのとおりでございます。
  97. 鈴切康雄

    鈴切委員 そこで問題のあるのは、先ほど私が申し上げましたように、第三モニタリングポストと七号バース、すなわちサーゴが異常値をはかられたその間隔は約百メートルですね。あなた、百メートルとおっしゃった。それからモニタリングポストの第一と六号ドライドック、これは十四、十五、十六、十七のバースがありますね。これは三百メートルというふうにおっしゃった。ところがこのドライドックには、モニタリングボートは中に入れないんですよ。それからモニタリングポストナンバーワンからいわゆる六号ドライドックの方に対して、小高いなだらかな山があるでしょう。あそこでまさしくガンマ線なんかキャッチできなくなっていますよ。ボートだって二百メートルも二百五十メートルも近寄れなくなっているじゃないですか。明らかに、このわずかな一つの第六号ドライドックのそこに逃げるしか方法はない、ということをリコーバー中将は言っているじゃないですか。それで放射線が順調に調査できるなんてとんでもない話ですよ。その点お認めになりますか。死角がある。
  98. 生田豊朗

    生田政府委員 その点につきまして、私どもがやっております放射能調査の性格につきまして御説明させていただきたいと思います。  私どもがやっております放射能調査は、先ほども申し上げましたように、原子力軍艦寄港に伴いまして、周辺住民の安全を確保するためにその放射能測定をするということが目的でございます。ただいま先生がいろいろおっしゃいました数値につきましての御質問でございますが、これはむしろその原子力軍艦に非常に接近して、つまり原子力軍艦の内部あるいは非常にそばで作業するといいますか、あるいはそこにいるといいますか、いわば基地従業員、原子力発電所で申しますと、原子力発電所の従業員のような場合に、それが果たしてどうかという御質問であろうかと思います。私どもはその件については関知しておりません。私どもはその周辺の住民の安全ということでそれを考えまして、その各港の地形あるいは気象、海象を考えましてモニタリングポストを配置しているわけでございまして、その周辺の住民の安全に関する限りは問題はないと確信しております。ただ、先生御指摘のように、非常に近い距離で見たらどうなるかということになりますと、これはまた別問題であろうかと考えております。
  99. 鈴切康雄

    鈴切委員 問題だ、その発言は。科学技術庁は、放射線をまき散らして横須賀へ入ることについては、何にもキャッチしなくともいいというのですか。放射能というのは、放射線、それから廃棄物と冷却水、こうありますね。そのうちのいわゆる廃棄物をとって、それが蓄積されることが横須賀の住民に害があるかどうかということ、これだけを調べればいいのであって、原子力潜水艦放射線漏れは全く調べなくてもいいとあなた方はおっしゃるのですか。これは大変な問題ですよ。
  100. 生田豊朗

    生田政府委員 そういうことを申し上げたわけではございませんので、もう少し御説明させていただきますが、放射線も調べるわけでございます。放射線も調べますが、放射線につきましても、空間線量計を置いておりますので、当然キャッチいたします。キャッチいたしますから、先ほども申しましたように、サーゴの場合はその空間線量計でもキャッチしております。したがいまして、そういうことが起こりますと、もしも周辺住民影響があるような放射線が起こります場合には、その線量計でキャッチできるようにしてございます。  ただ、先生のおっしゃいますのは、軍艦のすぐそばでどうかということでございますが、私どもは、軍艦のすぐそばでということは、これは個人個人が、たとえばポケット線量計なり、あるいはフィルムバッジなり、そういう線量計を持つ以外には正確に測定することが不可能でございます。各原子力施設では、全部そういう方法でやっております。一般住民に対しましては、原子力発電所におきましても、その地域の気象、海象を考えましてモニタリングポストでやっております。これは二本立てでございます。  ですから私どもは、これは原子力発電所におきますモニタリングポストと同じようなものをつくりまして、同じようなことにやっているということでございまして、従業員の被曝管理につきましては、これはまた別途、そのポケット線量計なり何なりで測定をして被曝管理をするという二本立てでございますので、そういうことに考えておるわけでございます。
  101. 鈴切康雄

    鈴切委員 それは問題ですね。大体において科学技術庁は、放射線が出るのは瞬間だから、その作業をしている方々が被曝を避けれればそれでいいのであって、要するに横須賀の住民には大して影響はない、むしろ堆積したどろとか冷却水、これは蓄積されるから問題だから、これの方だけ調べるという、これが科学技術庁の根本的な方針だとするなら、私はこれは大変に問題だと思うのです。  だから、調査の問題について、いま私が申し上げたように死角がある。そこへ入る以外にないとリコーバー中将は言っているじゃないですか。いいですか。要するに私が言ったサーゴ以後はみんな第六号のドライドックの方へ逃げ込んでしまっているわけですね。ですから実際には、それから出ているのだってわかりはしないではないですか。そしてモニタリングボートは近寄れないようになっているし、ポストからは遮蔽されているような状態ですから、放射線が漏れているような原子力潜水艦が堂々と入ってきたって、皆さん方は優にそれを認めて、そして入れているという以外に私ないと思うのです。その点はどうですか。それは問題ですよ。
  102. 生田豊朗

    生田政府委員 同じことを繰り返すようで申しわけございませんけれども、これはあらゆる放射能管理についての基本的な考え方でございますが、周辺の住民の被曝管理、それからその施設の中におきます従業員の被曝管理、これは分けて考えるわけでございます。これは先ほども申し上げましたように基準も違うわけでございます。従業員につきましては年間五千ミリレム、一般人につきましては五百ミリレムということで十倍違うわけでございます。  したがいまして、各施設におきまして全部同じやり方をとりまして、私どもがやっておりますのは、その周辺に対しましては、その地形あるいは気象を考えまして、どういう形でどういう放射線あるいは放射能が出てくるかということを考えまして、キャッチできるようなモニタリングポイントを配置いたしまして、そこで計測いたしております。施設の中で働く従事者につきましては、これはその施設におきまして従業者一人一人の被曝管理をさせております。で、やりまして、これは報告も受けておりますけれども、それぞれ個人個人が被曝線量を記録できるような線量計、これは私ども原子力発電所に時たま視察に参りましても同じようなものをつけるわけでございますが、それをやりまして被曝管理をやるということを指導しておるということでございますので、これは二つ分けてお考えいただかないといけないわけでありまして、モニタリングポストはあくまでその周辺住民がどの程度放射線を浴びるかということでございます。  先生の御質問の要点は、恐らくその原子力軍艦に非常に接近してそこで仕事をするなり何なりしている者をどうするか。私どもは、そういう人たちの被曝管理を正確にやることは非常に必要でございまして、そういう人たちが異常な放射線を浴びてもいいということは毛頭考えておりません。これは当然その限度内にとどめるようにするべきであろうかと考えております。しかし、これはモニタリングポストの問題ではございませんで、その従業者の被曝管理、それに伴う適当な施設あるいは計器もございますので、それによってやるというように考えている次第でございます。
  103. 鈴切康雄

    鈴切委員 モニタリングポストモニタリングボートは、あなたがおっしゃるように、そういうふうな目的でやるのだ、だから放射線については大して私どもは関係しないのだ――これは科学技術庁とあればそういうわけにいかぬですよ。原子力潜水艦原子炉からガンマ線が遮蔽壁を通って出てきている。二十メートルで七十五マイクロレントゲン・パー・アワーが測定された。距離の自乗に反比例する。そうなってきますと、やはり二十メートルにおいて七十五マイクロレントゲン・パー・アワーというものは、これは近寄れば近寄るほど放射線は強くなりますからね。こういうふうな問題は、私は今後科学技術庁がもう少し真剣に取り組んでいただかないと、あなたたちがそれでいいと言うなら、私はもう絶対に科学技術庁長官を呼んで聞かなければならぬし、原子力安全局をおつくりになるというのですが、これはもうとんでもない話ですよ。何のために原子力安全局をつくろうというのですか。そんなことまでできないようじゃ、これはしようがないですよ。これは基本の問題ですよ。だから、そういうふうなあなたの姿勢であるとするならば、これは私は問題にしなければならぬと思うのです。  それで、あなたはおっしゃるけれども、実は私も調査をいたしましたので、こういうのがありました。四十四年ごろ、作業員が米軍の命令により、バランスタンクがありますが、そのバランスをとる作業として、鉛を取り外す作業をやっていたらしいのです。作業の内容というのは、外郭といいますか、外のところにマンホールがあるのです。その中に潜水夫が入って、そうしてバンドを切断して鉛を取り外す作業なんです。その取り外した鉛を持ってきて、そのときに放射能の反応があるかどうかといって日本人の基地の安全の係の担当官が調べたら、異常に高い数値が出たというのですが、この事実を御存じでしょうか。
  104. 生田豊朗

    生田政府委員 事実は承知いたしておりません。
  105. 鈴切康雄

    鈴切委員 それも調査してくださいよ。そういう事実があったと、私ども調査でわかるのですから、あなたたちがそういうことがわからないじゃ困っちゃう。  それからもう一つは、先ほどあなたがおっしゃった作業員のフィルムバッジ、これが色が変色した。原潜の作業に際して米軍から与えられたフィルムバッジが、白い色から茶色に変わった。変わったときにアメリカは何と言って逃げましたか。要するに、そのフィルムバッジは検査をしていなかったからそういうふうになったのだ、アメリカはこう逃げたんですよ。検査をしなかったから、だから不良のバッジをあなたたちにつけたから色が茶色に変わったんだと、こういうふうに言った。これは問題じゃないですか。横須賀の基地に働いている従業員あるいは作業員、一般人は、それぞれ放射線を浴びながらそういうふうな危険な仕事をしているんじゃないですか。それに対して、科学技術庁として万全の態勢をとるという方向にもう少し前向きに皆さん方は検討されませんか。それとも、アメリカの言うとおりに、第六号ドライドックに入り込んだ、逃げ道を一つつくっておいてあげましょう、あなたたちはそこへ入りなさい、そのかわり私どもは一切関知しません、こういうふうに今後もおやりになるのですか。
  106. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま先生御指摘の事実は、私は初めて伺ったわけでございますが、もしも米軍側がそういうことを言ったといたしますと、これは非常にけしからぬことだと思います。このフィルムバッジというのは、まさにその色が変わることによりまして放射線測定するものでございますので、色が変わったのはフィルムバッジが悪かったというのは、もってのほかであろうかと考えます。  それから、一言弁明をさしていただきたいと思いますが、私の答弁が大変不手際でございまして、放射能及び放射線の量を測定するというふうに申し上げたつもりでございますが、あるいは放射能だけと言いましたら訂正させていただきます。実は放射線も当然測定するわけでございます。  それから、基地従業員の被曝につきましてどうでもいいということは、毛頭考えたこともございませんし、これは一般の原子力施設の従業員と全く同じでございまして、これは、そういうおそれがある場合は厳重に被曝管理すべきであろうということが、私どもの基本的な考え方でございます。ただ、その点の具体的な実務につきましては、これは私どもが基地従業員の管理をしているわけではございません。ただ原子力の総合官庁といたしまして、これは防衛施設庁と御相談をいたしまして、なるべく私どもの考え方を実現するように取り計らってまいりたい、かように考えております。
  107. 鈴切康雄

    鈴切委員 いまあなたの答弁を訂正されましたけれども、いわゆる放射能の廃棄物、それから冷却水、それによるところの放射線が出てくる、それだけを要するに調べるのだ、それが貝類とかそういうことで横須賀の市民にどう影響を与えるかということだけを調べるとおっしゃったけれども放射線はやはり調べてもらわないことにはどうにもならないのですよ。放射線を調べるには、私が申し上げたとおりに、完全な放射線を調べる体制にいま決してありません。六号ドライドックの中に入りますと完全に死角があります。そのためにリコーバー中将は、もうそこだけ一つしかなくなっちゃったと言って、日本監視体制が非常に整ってきたというふうに言っているわけですから、その点についても厳重にチェックをしなければ、これから佐世保の基地が横須賀の方に移るというような不安な中において、そういうふうなことは許されるわけがありませんし、また放射線が漏れて入ってくる原子力潜水艦を入れるわけにいかぬですよ。アメリカ局長さん、どうですか。入れてもいいですか。放射線が散らばりながら、そして悠々と横須賀寄港するということ。あなたアメリカ局長として、それは許されるかどうか、常識的にお考えになってください。いかがですか。
  108. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、米国原子力潜水艦の本邦への寄港に関しましては、政府としては安全性ということを最も重点に置いて話し合ってきたわけでございます。また、その後の事件もありまして、さらに体制を強化してまいったわけでございまして、そういう安全性について問題がある場合には、もちろんわれわれとしては問題にいたします。ただ、事実に関しまして、われわれとしてはまだ十分把握いたしておりませんので、科学技術庁の御意見なんかも伺いました上で処置いたしたいと存じます。
  109. 大出俊

    ○大出委員 関連して。  私も中路君も、ともに何遍も調査をしているわけでありまして、私の選挙区の隣ですぐに見えるわけですから。  そこで、四十四年の異常放射能事件。いま議事録を頼んでありますが、たしかハドックではなかったと思うのですが、サーゴ号でしたか、愛知さんが外務大臣のときでした。大変な異常放射能記録をされて、新聞に大きく出たわけであります。片っ方でドックで工事をしていて、いろんな鉄片を切断するので、そちらの方のやつが計量計に入ったのではないかとか、いろんなことを言われた。ところが、これは詰めたらどういう結果になったかというと、それまでは高圧線を入れてなかった。私が調査に行ったら五本高圧線が入っている。いつ入れたのだと言ったら三日前だと言った。横須賀市役所の人がそう言ったのですがね。何にするのだと言ったら、入ってきた船が原子炉を停止をする、そして今度は出港時には加熱をして始動をする。そうすると、冷却水というのは液体ですから、加熱されれば容積がふえる、ふえればあふれる。つまり冷却水は表に出るわけですね。その繰り返しをやっていたというわけです。愛知さんが私のところに来られて、幾ら言ってもアメリカが聞かないのだ、わかっていることを。そこで初めてそのときを契機に原子炉を加熱したというのです。つまり容積が変わらないように。こういう芸当をやったわけです。愛知さんかんかんに怒っていたですよ。まさかさっきの答弁の席では言えませんでしたからと言って、私のところに来られて、幾ら言ってもわかっているのにやらない、つまり冷却水を出していた、だからそれを契機に高圧線を入れて、容積を変えないようにして出ぬようになった、こういう事情がある。  ところが、時間がたつとアメリカ側は、それも一々やるのは大変だというわけで、またもとに戻ってくる。そこで今度はどうなったかというと、あなたはさっきは大変ふざけた答弁だと私は思っているのですけれども、問題の焦点は、ガンマー線ならガンマー線が出てくるということは重大な問題で、そういうものをなぜ入れるかという、日本原子力行政の基本に触れてこれは物を言うべきなんだね。にもかかわらず、いまやっているのは、あなたは周辺住民の安全だと言うけれどもポスト二というのは沖の方にあるでしょう、ポスト四というのは自衛隊の方でしょう。あと一だ、三だというところには入ってこないでしょう。そこを通り抜けて六号ドックに入ってしまうのでしょう。そこには何もないでしょう。ボートも入れぬ。つまりどんなことをしても放射線は出てしまうのですよ。  いい例は那覇軍港がそうじやないですか。私はあそこに行って、服部学さんという人と一緒に調べてみた。この人は立教大学の武山の原子力研究所の研究者ですよ。コバルト60が出てきて、だから那覇の人たちは軍港にカニがたくさんいても一切とらない、一切食べない、半ば永久的に海底のどろの中のカキ類その他に濃縮してそのままあるという判断からです。英国のホリー・ロッホを調べてみたけれども、あそこだってそうです。私はペリカン島まで行って、例の原子力船「むつ」の定係港を横浜にと言うから、調べに行った。で、科学技術特別委員会で私は質問したが、答弁できない。ストップのままです。だから、横浜の定係港は消えて、当時何もなかったむつに行った。そうでしょう。  どうしても出る。だから、それをどうするかというのは基本的な問題なんだ。だから新聞に出たりコーバー中将の証言になっている。それを見逃して、ポスト四というのは自衛隊の方です。二は沖である。出てきはしない。一と三のところには行かない。六に入ってしまう。六にはボートも行けない。それなら六の方は、陸上なら陸上で車を持っていって、ぴったり横づけにして調べるとか何かをしなければ、基本的な問題は解決しないでしょう。にもかかわらず、周辺住民の安全だけでいい、そんなことを言うなら、初めから問題は話のほかですよ。だからそこらをあなた方は基本的に考えなければならぬと私は思っておる。そこのところを外さぬでくださいよ。  そこのところを、いま山崎さんはあんな簡単なことを言うけれども、これはアメリカというのはいままでに前科があるのだよ。高圧線を入れてきて、やっとこさっとこ容量を変えないようにして、冷却水を出さないようにする。出せば必ず測定値は上がる。つまり現実は入ってくるたびに出しているということです。監視体制は整ったといいながら、省略もあるのですよ。最近はどろなど全然とっていないじゃないですか。そういう基本的な問題をやはりあなた方は考えなければならぬ、こう思うのですね。いかがですか、御両所答えてください。
  110. 生田豊朗

    生田政府委員 その周辺住民のみならず、その基地内の従業員その他の安全の確保につきましては、私ども先生と全く同じ考え方でございます。ただ、それが十分行われているかどうかという問題でございますが、私どもは、もしも周辺住民影響のあるような放射線、たとえばガンマー線が出てくるということになりますとキャッチできると考えておりますが、その点、御質問がございますので、もう一度専門家会議の意見も聞きまして、それから基地内のことでございますので、外務省、防衛施設庁等とも相談させていただきたい、かように考えております。
  111. 鈴切康雄

    鈴切委員 いま専門家会議にもいろいろ諮って前向きに検討しなくちゃならないとおっしゃいますから、一応外務省も当然それに絡んでもらわなくちゃならないわけですから、やっていただきたい。いいですね。そうしませんと、これは放射線漏れ原子力潜水艦が悠々と日本に入ってこられたのでは、これはたまったものじゃないですからね。  それで、アメリカ局長もすぐに行かれなくちゃなりませんので、二、三お聞きしておきます。今度は安保条約の問題ですけれども日米安保条約第六条の実施に関する交換公文がございますが、この中で条約第五条の規定に基づいて米軍が軍事行動を行う場合は事前協議の義務は解除されることになっている。実はこれは括弧がしてあるわけですね。括弧書きは「(前記の条約第五条の規定に基づいて行なわれるものを除く。)」と、こういうふうに書いてありますね。その括弧はいわゆる戦闘作戦行動だけに係るのか、それとも配置及び装備の重要な変更にも係るのか、これはどちらでしょうかね。
  112. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 この括弧の中は、「戦闘作戦行動」のみにかかるということに解しております。従来からそういうことになっております。
  113. 鈴切康雄

    鈴切委員 そうしますと、たとえ武力攻撃があっても、戦闘作戦行動だけは除外をされるけれども、しかし、核兵器の持ち込みとか、あるいは配置の変更、これについては当然事前協議はある、このように判断していいわけですか。
  114. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 配置における重要な変更及び装備における重要な変更の場合には、すべての場合において事前協議の対象となります。
  115. 鈴切康雄

    鈴切委員 それから、きょうはもうじき行かなくてはならぬというので、なるべくまとめてちょっとあれしますけれども、御存じのとおり、ベトナム戦争が一応終止符という形をとったわけです。そのとき、実はアメリカの武器が大変たくさん残されて、そしてアメリカは引き揚げていったということですが、いよいよそうなりますと、北ベトナム並びに臨時革命政府、これによって武器が接収されているわけですが、この武器は推定どれくらいございましょうか。
  116. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 ちょっと新聞報道で読んだ記憶がございますが、正確な数字は承知しておりません。
  117. 鈴切康雄

    鈴切委員 まあ、あたたもあれなんですが、新聞報道によりますと、「旧南ベトナム政府の崩壊によって、革命政府、北ベトナム側に渡った米国製武器は膨大なもの」と書いておりますね。米国国防総省が公表した数字というものがあるのでしょう、御存じないですか。
  118. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 公表した数字であるかどうかは存じませんが、たしかシュレジンジャー国防長官が、私の記憶で正しければ、五十億ドルに上るというふうなことを言ったような記憶がありますが、正直言って、正確かどうか自信がございません。
  119. 鈴切康雄

    鈴切委員 この新聞報道によりますと、「F5ジェット戦闘機など千百機、戦車三百両など数億ドルにのぼる。とくに注目されるのは航空機で、その内訳はF5ジェット戦闘機八十七機、ロッキードC130四発輸送機二十三機」その他大変な武器を残していったわけでありますけれども、この接収された武器は全部が全部使えない、少なくともかなりこの武器については補修をしなければならないということなんですが、当然どこかで補修をしなければならない。このことについて、何らか日本の国にそういうふうな武器を直してもらいたいというような商談が来ておるかのようなうわさも立っているのですけれども、そのことについて、通産省の方でしょうか、ちょっと御答弁願いたいと思います。
  120. 堺司

    ○堺説明員 私ども調べた限りでは、業界の方にも外務省の方にも一切商談は来ていないということでございました。
  121. 鈴切康雄

    鈴切委員 商談は来ていない、それは各防衛産業等にもお確かめになったんでしょうか。
  122. 堺司

    ○堺説明員 そのとおりでございます。
  123. 鈴切康雄

    鈴切委員 しかし、当然考えられることは、日本なんか地理的に非常に近いし、それから恐らくそういう修理等ですと、八百億ぐらいは大体その修理費として必要であるんじゃないかということになりますと、これは現在はないから、あなたはないで結構ですけれども、しかし、たとえば修理する武器が北ベトナムの方から輸入をされて、そして輸出という形になりますと、いままでは故障をしておった武器であるから、これはもう武器としてそのときには使えないにしても、今度日本の国に入ってきて、そして武器を修理したときには、完全に武器としての役割りをするわけですね。  そうした場合、御存じのとおり武器輸出三原則というのがございますけれども、その武器輸出三原則とこの関係はどうなるのでしょうか。
  124. 堺司

    ○堺説明員 御承知のように、武器輸出三原則では、共産圏、特にココム対象国でココムの禁輸品目になっているものはだめである、それから紛争当事国またはそのおそれのある国。それから第三点といたしまして、国連決議で禁輸している国ということでございますが、ただいまお話がございました南ベトナム革命政権が捕獲いたしました武器につきまして、これはどのように取り扱われるかということについて、実は南ベトナム革命政権が共産圏であるかどうかということについては、私ども所掌ではございませんけれども、必ずしもまだ明確な考え方が整理されていないようでございますので、本件につきましては、通産省といたしまして明確なお返事をいたしかねるということでございます。
  125. 鈴切康雄

    鈴切委員 それじゃ外務省の方にお聞きしますけれども、南政府が崩壊いたしましたね。それから臨時革命政府と北ベトナム、こういうことで大体統治をされるということになれば、その国に対して共産圏であるかどうかという判断については、どんなふうにお考えですか。
  126. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 この問題は、私、外務省の中で必ずしも所管しているわけではございませんけれども、外務省から私しか参っておりませんので、便宜答弁申し上げますが、この点については、まだ外務省としてはっきりした見解を表明したことはございません。  それからまた、現在の政権の性格についても、まだ政府としてもはっきりした把握をしておらないわけでございますので、ましてやココムリストの対象となるような国であるかどうかというところまでの検討はまだ行われていないと承知しております。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕
  127. 鈴切康雄

    鈴切委員 北ベトナムは御存じのとおり共産圏であり、ココムの該当になっておりますね。ですから、そういうことから考えまして、たとえばこれからその政権について皆さん方判断をされるわけですけれども、もうすでに現在紛争は終わっているわけですから、紛争当事国ではないわけですね。そうした場合に、もし外務省の方で共産圏でないと判断された場合、そういうことについて一応許可をされるお考えがあるんでしょうか。
  128. 堺司

    ○堺説明員 仮定の御意見でございますので、必ずしも通産省として現時点で明確なお答えができないわけでございますが、共産圏でないということになりましても、武器輸出三原則の精神にのっとってケース・バイ・ケースで判断いたしたいというふうに考えております。
  129. 鈴切康雄

    鈴切委員 そうした場合、形は、輸入をしてそれから輸出をするというかっこうになるのでしょうけれどもね。いまそれ以上答えられないということなんですけれども、こちらからたとえば従業員を派遣するとか、あるいはプラントを輸出するとかということに対しては、どういうことなんですか。
  130. 堺司

    ○堺説明員 従業員を派遣するということは役務の提供であろうかと思います。実はこの辺の所掌につきましては、非常に複雑でございまして、大蔵省が担当いたしておりますので、通産省としては答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。  それからプラントでございますけれども、これにつきましては、これも貿易と同じ考え方で、武器輸出三原則にのっとって判断をいたしたいというふうに考えております。
  131. 鈴切康雄

    鈴切委員 私はこれは、共産圏であるとか、それから共産圏でないとかということは別問題として、少なくとも新しい武器輸出につながるようなやり方については、政府としてはもう厳然とチェックをしなければならないし、そういうものを許可すべきものではないというふうに思います。いずれにしても、紛争当事国であったベトナムが、そういうふうな膨大なアメリカの武器を何らか補修をするについて、日本がまた再びそういうものに対してかかわり合いを持つということは好ましくないと私は思うのですが、その点、お考え方だけで結構なんですが、ちょっとお知らせ願いたいのです。
  132. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 政府といたしましては、武器輸出三原則というものを持っておるわけでございますから、ただ具体的な事例に関しては、現在、先ほど通産省の方からも御説明ございましたように、ケース・バイ・ケースに判断するほかはないと存じます。われわれとしては、この精神にのっとってその具体的な場合について関係省と協議の上、対処してまいりたい。それ以上のことは、ちょっと現在の段階では、具体的な問題ではございませんので、申し上げかねる次第でございます。
  133. 鈴切康雄

    鈴切委員 では、次へまいります。局長さん、結構です。  昨年の十二月二十七日に次期対潜機及び早期警戒機専門家会議が開かれて、そうして「次期対潜機及び早期警戒機の研究開発の是非について」の答申がなされましたけれども、その内容についてちょっと御説明願いたいと思います。
  134. 上野隆史

    ○上野説明員 昨年の十二月二十七日、次期対潜機及び早期警戒機専門家会議から国防会議事務局長あてに「次期対潜機及び早期警戒機の研究開発の是非について」という表現でもって答申が出された次第でございます。  その内容を簡単に御説明申し上げますと、時期対潜機につきましては、「将来の装備化の時点において、国内開発によるものをもつて充てるか外国機をもつて充てるかについて検討したが、現段階でそのいずれかを否とする決定的な要素は見いだせなかつた。」ということでございました。  それから早期警戒機につきましては、「現段階では、国産化を前提とする研究開発に着手することは見送ることとするのが適当であると考える。」ということでございます。  これには幾つかの付言がついておりますけれども、それは省略させていただきます。
  135. 鈴切康雄

    鈴切委員 その付言も大変大切な部分でしょうから、ちょっと付言についてももう一度……。
  136. 上野隆史

    ○上野説明員 次期対潜機につきましては、先ほど申し上げました主文に続きまして、次のようなことがつけ加えられてございます。  すなわち、「一般的に言つて、自衛隊の(特に基幹的な)装備については、自主開発、国内生産が望ましいとする意見にも首肯すべき点はあり、また、わが国航空機産業が置かれている環境も考慮すれば、次期対潜機の国内開発が待望されていることも十分に理解できるところである。したがつて、防衛庁の運用上の要求を性能的、時期的に満足させ得る技術的、財政的基盤が確実であれば、対潜機のように、その運用からして相当の機数を必要とするものについては、国産化を図ることが望ましいと言えよう。ただし、現実の問題として、防衛庁から提示された国内開発案に関しては、今後その量産機取得までに相当の期間を要し対潜機能維持上問題があること等を考慮すれば、更に一段階先の研究開発を含みとしつつ、当面、外国機の導入を図ることも止むを得ないものと考える。」というものでございます。  それから早期警戒機につきましては、先ほど申し上げましたくだりの次に、「ただし、このことは、航空防衛力強化のための電子技術の向上に関する研究についてまで否定するものではない。なお、将来、装備化される場合、少なくともその当初においては、外国機の導入によつて処置することが適当であろうと考える。」というものでございました。
  137. 鈴切康雄

    鈴切委員 これをいわゆる玉虫答申というのですね。どちらにもとれるような答申をなされたわけです。その米国の海軍の現有機でありますP3Cオライオンに関する調査団が、たしか五月の二十五日ごろに出発したと聞いておりますけれども、その出発した目的とかあるいは調査団のメンバー、あるいは何を調査項目にされておるのか、その点についてお伺いします。
  138. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 海幕で編成をいたしました次期対潜機の調査団、これは五月の二十五日に出発をいたしまして、六月の八日に帰ってくるということになっております。この調査団の任務は、先ほどございましたように、国防会議事務局の委嘱いたしました専門家会議の答申に基づきまして、国産をするか、あるいは外国機の導入を行うかという問題について財政的、技術的基盤を検討するということになりまして、自後、関係省庁におきまして打ち合わせをいま実施しておるところでございますが、これと並行いたしまして、先ごろの専門家会議の御審議の過程におきまして、最も外国機としてすぐれておると言われておりますP3C――これはその前の過程に、たとえばイギリスのニムロッドであるとか、あるいはフランスが合同開発をいたしましたアトランティックであるとか、こういうものが審議の過程には出ておったわけでございますけれども、性能その他要求項目に合致するというか、その中で一番優秀であると言われておりましたP3Cについてさらに再度TI当時の調査団の参りました当時には、価格その他の面におきましても、ちょうどいわゆる石油ショック以前でございましたので、非常に大幅の変動があるであろうという問題。それから内部の搭載をいたします電子機器、こういったものにつきましては、その後の開発が進捗をしておるということでございまして、次期に装備をされますものはかなり程度の高いものになるということも言われております。こういった前の調査団のときに十分調査できなかったというよりは、その後の事情の変更、こういった問題を主といたしまして、最終的に国産にするかあるいは外国機導入にするかという決定をいたしますための必要な資料調査ということで参っておるわけでございます。
  139. 鈴切康雄

    鈴切委員 このPXLはFXとはちょっと違う性質を持っての調査団である、私はそのように判断をいたしております。もうすでに、あなたがおっしゃったように、PXLのP3オライオンについては、前にも調査団を出されて価格をお調べになったのですね。ですからそのときの価格はどれだけであったか。それから、それに対して研究開発に対する分担金というのも、こういう場合には往々にして出さなければならないというようなことになると思いますけれども、もうすでにその当時は、価格はある程度お聞きになってきているわけですから、今度行った調査団というものは、P3を購入するために価格並びに研究分担金等を幾らだという取り決めに行ったのではないかと私は思うのですが、その点いかがですか。
  140. 山口衛一

    ○山口政府委員 第一の点でございますが、第一回の調査団は、これは単にP3Cのみではなく、ただいま防衛局長が申しましたとおり、アトランチック・マークIIでありますとかニムロッド、こういうものにつきまして全般的な調査をいたしてまいりました。このときは、御承知のとおり、どのようなものが一番適当であるかという、性能あるいは製造状況、その他全般にわたりまして調べた関係から、日本が購入するとか、あるいはライセンス生産をするというような前提で価格交渉ということをしておらないわけであります。全般に、相手国政府が大体どの程度で買っているのかとか、あるいは市場でどういうような評価をされているのかとかいうことでございまして、各国政府あるいは各国メーカーは、御承知のとおり、こちらがいわゆるひやかしではなくて本当にやるんだという腹を示しませんと、実際の、たとえばこれから先とのような技術改善をした場合に――われわれが手に入れるのはずっと先でございますから、そのような時期の間にどのような改善が予定されておって、それが入った場合に一機当たりのコストはどれくらいであるか、大体何機くらい買えばどのくらいであるか。その場合、日本側が今度はライセンス生産する場合は、ライセンスフィーというのは、これはまた政府と違いまして、メーカーのかなりの関係要素に入ってまいりますので、その辺につきましての明確なコストネゴというものができない状況でございました。  今回は、P3Cのみに関しまして、もしライセンス生産をするとすると、ただいま先生御指摘のとおりの、たとえばRアンドDがどのくらいになろうとか、あるいは数年先、何年先にアメリカ政府にはどのくらいで売るんだとか、こういうふうな値段につきまして具体的にキャッチをしてまいりたいという趣旨でございまして、第一回とはその点、大分事情が変わっておるというふうに考えております。
  141. 鈴切康雄

    鈴切委員 いまお話がありましたけれども、要するに、実際に手に入れるためにこちらが真剣にプッシュしなければ、向こうとの値段が決まらないとおっしゃるわけですけれども、もうすでに第一回の調査団が出されて、次に五月二十五日に出されたわけですから、防衛庁といたしましては、PXLはP3オライオンというものを前提として、調査団としては、価格とか、あるいは研究開発に伴うところの分担金とかその他の問題の取り決めに、今度調査団としてお行きになったのではないかというふうに私は思うのですが、財政的な面云々と先ほどおっしゃいましたけれども、その点はどうなんですか。
  142. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 先ほども申し上げましたように、今回は外国機導入の場合にはP3Cオライオン一本にしぼるということになりましたので、先ほど装備局長申し上げましたように、導入の場合の諸条件を十分に詰めるということでございまして、政府全体、もちろん防衛庁自体も同様でございますけれども、開発にするのか導入にするのかという点については、現時点においてまだはっきり方針を決めておるわけではございません。その結果によって決めるということでございます。もちろん防衛庁以外に、財政当局の側におきましては、この両者、開発あるいは外国機導入という、これによる経済へのはね返りについての見通し、これを十分お立てになる必要があると思いますし、また通産省におきましては、航空機産業への影響ということも十分御検討をいただくというようなことになるわけでございます。それからまた全般的に見まして、技術的な波及効果という点の評価、これもひとつ十分考えていかなければならない問題だと思いますが、こういった諸条件につきまして、まだ関係省庁で協議をしておるという段階でございまして、一応今回の調査団が帰りました結果、このデータもあわせてその検討の材料にする、こういう考えでおるわけでございます。
  143. 鈴切康雄

    鈴切委員 この間から問題になりました、防衛庁長官が、例の防衛分担ということから、日本の果たし得る分担については、特に対潜ということについて重要なポストというふうに考えておられるようですけれども、それに伴ってP3オライオンがPXLの重要な柱として、今度調査団を派遣をしたというのはそういう意義があるという、海幕の方ではそのような方向で調査団が出ていっているように聞いておりますけれども、この点についてはどうなんですか。
  144. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 私からお答え申し上げます。  もうこれは先生十分御案内のとおりでございまして、わが海上自衛隊の基本的な任務ということで、対潜作戦、海上の交通の保護ということを主体にいままでやってきておるわけでございまして、御案内のように、P2Vを導入いたしまして、その後P2Jということで国内でこれを改良いたした非常に優秀な航空機をある時期ずっと持ってきておったわけでございます。かねがね申し上げておりますように、このP2Jが五十三年あたりをピークといたしましてフェーズアウトしていくということで、これに対応して次期の対潜機ということで、四次防を策定いたしますときに国内開発という基本方針で臨んだわけでございますが、その後事情の変更で現在に至っておるということで、私どもといたしましては、この対潜哨戒機の勢力ダウンに対応して、その後の増強というもの、これにかわります更新というものをぜひお願いをいたしたい、こう考えておるわけでございます。
  145. 鈴切康雄

    鈴切委員 昨年末の国防会議専門家会議の答申で、PXLの候補機種として、米国の現有機であるP3Cというものの輸入ということを決めてはいないのじゃないですか。そのときには決めてないのじゃないですか。それにもかかわらず調査団を出された。その調査団は、全く価格を交渉するための調査団であるし、そうしてまた、購入をするという前提をもとにしなければ、向こうの方で値段を言ってくれない、あるいは真剣に交渉に応じてくれない、あるいは分担金等についても明らかにしてくれない、こういうふうなことであれば、その答申のあれから比べますと、ずいぶん違う方向へいま現在来ているのじゃないでしょうか。
  146. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 繰り返して申し上げますように、開発をするか、外国機の導入をするかということにつきましては、外国機の導入についてはP3Cということで一本にしぼったということが前の事情と非常に違うところでございまして、答申によりますれば、いずれを是としいずれを非とするということを決定しかねるということで、パラレルな表現になっております。そこで、私どもに課せられました任務は、技術的、財政的基盤を詰めていずれかに決定するということでございまして、ただいま派遣しております調査団も一本にしぼっておりますので、前とは条件がかなり違うので、かなり詰めたところまではいろいろのデータなり条件なりというものを示してもらえるということを期待しておりますけれども、われわれとして外国機のP3Cを導入するという最終決定をしておりませんので、その点につきましては、最終決定をしてから後、また初めてはっきりした条件の提示なりそういうものはあると思いますけれども、今回の調査は、そういう意味では十分な条件を満たすデータというものはなかなか入手しにくいのではないかというふうに思います。
  147. 鈴切康雄

    鈴切委員 しかし、最終的な交渉はこれからだと言うけれども、少なくとも事前におけるところのP3Cの値段というもの、あるいは交渉というものは、ある煮詰まった数字が提示をされる、それに対してこちらの方で、もうP3Cは必要ありませんよとぽんとけったときに、大変に信用を害するという点も出てくるでしょう。今度の調査団というのは、少なくともすでにP2Jあるいは対潜哨戒機が老朽化するということを見込んで、その間において、導入という方向ではもうP3Cを決めていこうという、そういう調査団としての性格を持っているんじゃないか。私はそういうように思うのですが、その点はどうでしょうか。
  148. 山口衛一

    ○山口政府委員 調査団の性格につきましては、繰り返すようでございますが、防衛局長から申し述べたとおりでございまして、これは一応事情の調査ということがどうしても基本でございまして、といいますのは、これはアメリカ海軍が購入をしているとはいえ、日本に対して売ります場合には、アメリカ政府に売ります場合とは全く条件が違うことは御承知のとおりであります。その際やはり一番問題になりますのは、開発費分担とかいうような非常に流動的な要素がございますね。これを最初からたとえば、おまえのところの飛行機を買うんだとか、あるいはライセンスは決めたんだとかいう前提で話してしまうことは、きわめて不利な交渉を要求されます。非常に言いたいほうだいのことを言われます。それからまた事実、私どもは、防衛局長が申しましたとおり、これから関係各省との協議ということをみっちりやらなければなりません。五十一年度予算でどうするかは今後の問題として、政府部内の協議が整っておりませんので、とてもこのような段階で導入に決めたというような状態ではないということは、御承知おき願いたいと思います。
  149. 鈴切康雄

    鈴切委員 P2JとP2Vと、それからS2F1ですか、これは現在使われておる対潜哨戒機ですね。これのことしの三月末の機数はどうなのか。それからまた、これからいよいよ老朽化してくるわけですけれども、老朽化してもう使われなくなってくるのは大体何年度がめどなのか。その点についてちょっと……。
  150. 山口衛一

    ○山口政府委員 ただいま先生が御指摘になったとおり、海上自衛隊の対潜航空機体系はすべて御指摘の三機種で構成されております。P2V7でございますが、これは一番最近の保有状況を申し上げますと、四月末現在で四十五機保有しております。それからS2F1の方は同じ時期で四十八機保有しております。それからP2Jでございますが、これは同じ時期で五十五機というのが保有量で、合計いたしますと、対潜機は百四十八機というのが四月末現在のわれわれの保有状況でございます。  それから第二の御質疑の点でございますが、老朽化あるいは減耗の状況でございますけれども、御承知のとおり、P2V7の方は非常に納入が古くて昭和三十年、もう二十年前でございます。それから三十三年まで約四年間でございますが、アメリカからのMAPで供与をされております。それからその後三十四年からライセンス生産に入りまして、三十七年で契約を打ち切っております。このように非常に古い飛行機でございまして、現在、モスボールと言いまして、さびどめ、油づけした機数を現在五機保有しております。それからS2F1の方でございますが、これは全部アメリカからの供与品、MAPの飛行機でございまして、四十八機のうちの二十一機が油づけ、モスボール状態に現在なっております。P2Jの方、これは四十二年度から契約を開始いたしまして、現在までのところ、四十八年度までで六十三機、四十九年度に八機契約いたしましたから、七十一機すでに契約をしております。  このそれぞれの老朽基準でございますが、P2V7の方は、一応飛行時間七千五百時間というようなのが耐用年数でございます。それからS2Fの方は約七千時間、P2Jの方が七千五百時間ということで、これまでの飛行実績から判断いたしまして、またこれから二、三年の飛行訓練予定を見ますと、P2V7の方は昭和五十三年度におおむね零になるという見通しを立てております。おおむねと申し上げましたのは、最近の油状況でございますとか、こういう事情がありますのでおおむねと申し上げましたが、五十三年ないし五十四年くらいに零となるというのが現在の見通しでございます。それからS2F1の方は御承知のとおりレシプロの双発機でございまして、非常に古いもので、艦載機から出発したものでございましてそれほど広い訓練範囲を持っておりませんので、余り使っておりません。したがいまして、少し寿命が延びておりまして、これは五十七年度ないし五十八年度におおむねなくなってしまう。これからは約七、八年何とか持っていくだろうということでございます。それからP2Jの方は調達が比較的近年でございます。ただこれも一定飛行時間を過ぎますと、昭和五十七年度から八年度、この辺から減耗が始まるという見通しを持っております。  このような三機種の減耗状況から推定いたしまして、五十三年ないし四年ごろから、飛行機部隊を編成します定数に不足を生じてくるという状況が起こるというふうに判断をいたしまして、今後のPXLの調達数量なり計画を立てたいというふうに考えております。
  151. 鈴切康雄

    鈴切委員 いま御説明を伺ったのですけれども、P2Jの四次防収得計画というものがあるわけでありますけれども、その計画数に対して契約量というものは達していないというふうに思いますが、その点についてどんなふうな状態になっておりましょうか。
  152. 山口衛一

    ○山口政府委員 四次防の当初予定は、P2Jは四十三機という計画を持っておりました、これに対しまして、四十七年度、八年度、九年度と三年度の契約をいたしました実績は、毎年度八機ずつで二十四機でございます。それから五十年度の今年度予算に、先般国会でお認めいただきましたのは六機でありますので、合計しますと三十機が五十年度までには契約可能機数と考えておりますので、まだ四次防はあと一年残っておりますが、十三機不足をしております。ただ、これまでの予算とか契約状況から見ますと、八機とか六機でございますから、幾分多いなという感じを持っています。
  153. 鈴切康雄

    鈴切委員 いまの説明を聞いておりますと、結局P2Jについては、四次防の中においても、まだ調達量は実際には十三機残っておる。そうして老朽化する五十七年から五十八年まであるのだ。このP2Jについては国産をしておるわけですからね。そういうことから考えますと、何もいまあわててアメリカのP3Cを購入をするというような考え方を決めなくてもいいんじゃないでしょうかね、実際に。こんなに早く調査団を出して、お金を詰めて、そしてしかも次期対潜哨戒機はP3Cなんという、そういうふうな煮詰めをこの際しなくたって、まだこれから約七年間、八年間、老朽化するについてはあるわけですから、そのときにおいて、どんどんと手を打っていけば、P2Jとしてまだ生きていくんじゃないかと私は思うのですが、P2JとP3Cとえらく違い、また対潜能力はものすごく違うということであれば、これまた話は違うのですが、しかし、私はやはり、日本の国の場合における防衛力というものは、それの限度があるし、予算的な制約もあるし、何もアメリカとの防衛分担で、対潜は一切私どもでやりましょうなんて、そういうことを防衛庁長官が今後言ってお決めになる必要がないし、それであるならば、当然いまP2Jというものを進めていかれるというお考え方はないのでしょうか。
  154. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 現在保有しておりますP2JあるいはP2V、S2Fという航空機がゼロになって完全に姿を消しますのは、先ほどお話ございましたように七、八年ということでございますが、先ほど装備局長が申し上げましたように、現用機として使用いたしまして、対潜哨戒機の部隊として運用いたしますピークは、大体五十三年ないし五十四年くらいということでございます。全体の機数がだんだん下がっていきますので、次々に補充をいたしませんと、当然零になるまで待っておくというわけにまいりませんし、私ども防衛力の水準を維持するためには、少なくとも下降線をたどらないためには、五十三年、五十四年までに手当てをしておかなければならない、こういうことがまず第一点でございます。  それから、いまの開発、それからP2Jを引き続き使っていくという問題、それから外国機の導入というような点、すべてをあわせまして専門家会議でずっと御検討いただいて、その結果が先ほど申し上げましたような答申として出ておるわけでございまして、いまのところ、P3Cを導入するという結論にはまだ達しておりません。先ほど申し上げましたように、外国機の導入というのは、もういまの段階ではP3Cを入れるかどうかという問題にしぼられておりますけれども、その問題と、それから国内開発という問題をあわせまして、ただいま関係省庁との間に問題を詰めておる、こういうことでございます。
  155. 鈴切康雄

    鈴切委員 五十三年、五十四年が大体ピークだというようにおっしゃいますけれどもポスト四次防に、たとえば日本の開発としてP2Jというものをやろうという場合に、技術的において、それはもうスローダウンにつながるのでしょうか。その点はどうなんですか。
  156. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 ただいまのP2Jの性能からいたしまして、次期のPXL、次期の対潜哨戒機として十分に任務を果たし得る能力というものはすでになくなるという見通しでございます。  これは当然問題は、御案内のように相手は潜水艦でございますので、潜水艦が日進月歩の進歩を示しております。ほとんどが原子力潜水艦になっております。水中の速力も三十ノット以上を示す、あるいは深度も大変増加しておるということでございまして、そういう潜水艦を対象といたしました場合には、現在のP2Jを改良いたしましても十分これに対応できないということは、技術的にはっきりいたしておる次第でございます。
  157. 鈴切康雄

    鈴切委員 P2Jがまことに対潜能力がないということですね。次期においてはどうしてもP3Cを輸入しなくちゃならないということであるとするならば、もうすでにあなたのお考え方は、P3Cを導入するということに腹の中では決めておるということなんじゃないですか。それじゃ専門家会議の答申の中に、日本の国における開発というのが望ましいというふうな答申がなされてましょう。そういうことから言いますと、もうすでに防衛庁としてはP3Cを、次期のポスト四次防においては対潜能力がないから、ここで買うということをお決めになったのですか。
  158. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 いや、私が申し上げておりますのは、P2Jが次の世代において対潜能力を得るに十分でないであろうということがはっきりしておる。したがって次期対潜機というものを整備しなければいけない。それには、外国機を導入するか、国内開発をやるか、いずれかの方法を選ばなければいけないということで、そこで専門家会議は、この両者について、その選択の基盤として、今後の技術的な、また財政的な諸条件を十分詰めた上決定せよ、こういう御答申をいただいておりますので、私どもはそれをやっていく、こういうことでございます。
  159. 鈴切康雄

    鈴切委員 御存じのように、航空機業界の中にあって、P3Cというのはアメリカのロッキードですが、経営が非常に困難になっていますね。経営が非常に大変なんですよ。ところが、今度来られましたアメリカの大使、これは前ロッキードの副社長か何かをやっておられたようにちょっと私聞いているのですが、そういうような絡みがP3Cを導入をするというふうな方向に進ませたというふうに、私はどうしても考えられてしようがないのですが、何もアメリカのロッキードの会社が左前になっているのをうちの防衛庁がささえてやる必要なんか毛頭ないじゃないですか。その点はどうなんですか。
  160. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 いままでの経緯をずっとごらんいただければ、私ども別にそういう問題について何ら関与しておらないということがよくおわかりいただけると思います。純粋に技術的な検討をされた結果が先ごろの答申案ということで出ておるわけでございまして、その過程において、先ほど申し上げましたように、外国機については数種のものについて検討いたしましたけれども、その段階では、P3Cが一番すぐれておるという結論になっておるわけでございまして、ただし、そのP3Cを導入するか、あるいは国内開発をするかという問題については、まだ最終的に決まっておらない。現在私ども、関係省庁とその点について、先ほど申し上げますように、技術的な、財政的な点についての問題を詰めておる、こういう段階でございます。
  161. 鈴切康雄

    鈴切委員 P3Cをこれから調査をして来られますね。そうして調査をして、最終的にどうなるかということを煮詰められるでしょうけれども、決定されるのは大体いつごろなんですか。
  162. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 先ほど申し上げましたように、五十三、五十四年がピークでございますので、そういう面から考えますと、特に国内開発の場合にはできるだけ早く着手しなければならない、開発期間というものを、リードタイムをまた考えなければなりませんので、そういった点で、私どもの願望といたしましては、これは防衛庁の願望でございますが、来年度予算の概算要求の出る前に方針は決めさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  163. 鈴切康雄

    鈴切委員 四次防においては、御存じのとおり研究開発ということだけでしょう。それに対して、来年それを決定しようなんというのは、これは予算の先取りみたいなかっこうになるじゃないですか。五十一年度まで決定したらおかしいですよ。四次防においては、少なくとも開発とか研究等しか与えられてないわけですから、五十一年度まで決定するということはずいぶんおかしい話であって、そんなことはできませんよ、あなた。予算の先取りでしょう、そういうことは。すでにポスト四次防というものを先取りしようということになるのじゃないですか。その点はどうなんでしょう。
  164. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 四次防の原案と言ってはあれですが、途中で変わりましたのですが、四次防は、四次防期間中においてこのPXLを開発をするということで進みまして、御案内のように途中で事情の変化がございまして、外国機導入も含めて検討すべしということで国防会議専門家会議にお預けになったわけでございます。その結論が先ほど申し上げましたような答申案というかっこうになってまいっておるわけでございます。  そこで、先ほど申し上げましたように、来年度までに結論を出すということは、要するに、研究開発をするか、あるいは外国機導入にするか、こういうことの決定をいたしたいということで、基本的には四次防の研究開発というラインの上に乗っかったことでございまして、先取りという問題にはならないというふうに考えるわけでございます。もとに戻るというふうに考えております。
  165. 鈴切康雄

    鈴切委員 いずれにしても、あなたたちが調査団を出されて、P3Cの価格等、あるいは研究開発の分担金等まで煮詰めてこられて、そんなものを早く決定しようなんでとんでもない話でして、これは前に言われたとおり、次期対潜哨戒機等については開発なり研究ということであって、機種まで決定して云々なんということを早期に決めるべき筋合いのものではない。もう少しよく研究をされて、国内において開発をすべきか、あるいは外国のものに頼らなくちゃならぬかということについては、私はもう少し煮詰めなくちゃならぬと思うわけでありますけれども、その点をひとつお聞きしたい。  それからAEWについては、答申の方は、十五機ぐらいでは開発をしたら銭がかかってしようがない、これは購入した方がいいだろうという内容だと思います。このことになりますと、これはポスト四次防の問題になってくるわけですけれども、AEWについては、アメリカのE3Cですか、これに大体考え方は置いておられますか。
  166. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 これも前に調査団を出しまして検討いたしまして、その際、ヨーロッパとアメリカのただいま御指摘になりましたE2C、こういったものについて検討いたしておりまして、その結果が、答申案のように国内開発は見送るべきであるという御意見が出ておりますので、私どもといたしましては、いま先生おっしゃったとおりで、ポスト四次防の問題として検討をやってまいりたいと思いますが、いまのところ、E2Cにしぼられるというような状態ではございません。いろいろ開発がそれぞれその後も進んでおるようでございますし、タイミングその他、要するにこちらの納入の時期その他を十分検討いたしまして、これもそのうち御方針をお決めいただければ調査団を派遣するということにいたしたいと考えております。  もう一つ第一問の方でございますが、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、このPXLの問題については、あれだけの専門家が長い時間かけて、純粋に客観的な立場で御検討いただいた結論がああいう答申で出ておりますので、私どもといたしましては、あくまでもやはり答申の趣旨を尊重いたしまして、その線でさらに技術的、財政的な問題について詰めていくということをいたしたいと思っておるわけでございまして、そのスケジュールとしては、先ほど申し上げましたように、来年度の予算に、研究開発にするのか、導入のための調査費にするのか、その辺について今後関係省庁の御決定を得まして、最終的には、来年度予算でございますので、国防会議の御承認を得るということに当然なることでございますが、そういう段取りで進ませていただきたい。ただいまの段階ではそういうふうに考えておるわけでございます。
  167. 鈴切康雄

    鈴切委員 いまの早期警戒機の問題ですが、アメリカの方には大きいのがありますよね。けれども日本に適応したということになりますと、いまのE2CあるいはE3Cというのも開発されておるわけですが、そちらの方に大体方向は決まってくるのじゃないかと思うのです。これからさらに新しいのを皆様方がお探しになるというのならまた話は別ですけれども、大体私の感覚では、E3Cあたりに落ちつくのではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  168. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 現在配置をされておりますのはE2Cでございまして、お話のように、E3C開発の話も聞いております。これも、先ほど専門家会議でいろいろ御検討いただいた中で、優秀な航空機であるという評価を得ておるようでございます。この運用その他の問題につきましては、私どもその後の情勢の変化といったものをよく勘案いたしまして再検討をしなければならないと思っておりますが、当時、いろいろ調査の対象に挙げられましたそれぞれの外国の早期警戒機の中では、比較的性能がよろしいという評価を受けたように私ども伺っております。
  169. 鈴切康雄

    鈴切委員 実はきょうは防衛論争を用意をしておったのですが、初めの科学技術庁放射線漏れの問題が大変時間を食ってしまいましたものですから、ちょっとここで問題のあるのを防衛庁長官にお聞きしたいのです。  防衛庁長官、あなたは防衛白書をこの秋おつくりになりたいとおっしゃいましたね。そういう準備をしたいという話ですけれども、いま具体的にはどういうふうに進んでおりますか。
  170. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 とにかく、日本の防衛力は国民の支持と協力、理解、そういうものがなければ本当の効果ある防衛力にならないという私は信念を持っておるわけでございまして、そのために、やはり国防というものの意義について、特に憲法の制約下にある日本の国防、しかもまた非核政策をとっておるわが国としての国防というような点から考えまして、国民に対するコンセンサスを求める意味におきましても、またそれは単にわが国の国民だけではなくて、平和に徹した日本が、世界の中でどういうような国防の考え方を持っておるんだということを、世界の多くの国々の方々にもわかってもらえる上におきまして、日本政府の、あるいは防衛庁の考え方というものを正確に伝える必要がある。そういう意味から、やはりその材料を一つ提供しようというのが私の気持ちでございまして、私の承知いたしますところによりますと、かつて中曽根長官のときに一度防衛白書を出されたそうでございますが、それ以後防衛白書が出ておらないということでございますので、私はやはり、権威のある資料に基づいた国防白書を考えることは大切なことであるというふうに思いまして、実は防衛白書を出すということを決心いたしたわけでございます。これもそう前に考えたのではなくて、最近のことでございます。しかも作業を命じましたのも最近のことでございます。ただいま、どういうふうにこれを運んでいくかということを、庁内において検討しておる段階でございます。
  171. 鈴切康雄

    鈴切委員 中曽根長官のときに出された防衛白書、あれは防衛庁のPRばかりが非常に多くて、私ども国民としては、なかなか納得のいかない点がずいぶんありました。そういうことから言って、権威あるということでありますけれども防衛庁長官は秋までには出したいのだということをお約束なさっているわけでしょう。そうしますと、具体的にもう作業に入っていなくちゃならないわけです。もう秋までですからね。ですから、そのポジションにおいてどういう検討がされ、どういうところまで進んだか、ひとつ明確に御答弁願います。
  172. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは担当いたしておりまする政府委員からお答えをいたしたいと思いますが、私は一応のめどを秋と申し上げておるわけでございますから、その点はひとつ御了承を賜りたいと思います。
  173. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 防衛白書を出そうということについて、ただいま長官からお答えしたように、決定がございまして、比較的最近のことでございますので、一言で申せばいま準備を進めたばかりのところでございますが、大体の考え方としては、中身は先ほど御指摘があったように、防衛庁に都合のいいような宣伝というのではなくて、わが国の防衛のあり方について、基本的な、しかも一般の国民に非常にわかりやすいかっこうでまとめていこう。ついては、ただいまのところ、また防衛局関係の方で、別な考え方、別な仕事として、たとえば「防衛を考える会」で皆さんの御意向がどういうところにあるかというようなことを聞く作業をしておられますし、あるいはまた、御承知のように八月の末に来年度の概算要求を事務的にはするわけですが、それに関連して来年度の予算要求の構想というようなものが出てくるであろう。また、それと関連して、四次防の全体の姿はどんなことになっていくのだろうというおぼろげなかっこうが出てくるのではないか。先ほど申し上げたように、そういう内容をわかりやすく取りまとめて、そしてできれば、国民各層の人が読んで、客観的にこういうことであるなと、わが国の防衛の現状、あるいはわが国の防衛の置かれておる国際的な環境というものがおわかりいただけるものをまとめたいということで、こういう作業をやるには実は専門的なスタッフが要ると思うのでございますが、まだそこまで行っておりませんで、いま、そういう考えをどういうところに柱を置いていくべきであろうか、またその前提になるいろんな数字的な資料なんかもできるだけ集めたいということで、その準備を開始したばかりでございます。
  174. 鈴切康雄

    鈴切委員 結局、何もやっていないということじゃないですか。それでは、秋にもう防衛庁長官が実際にお出しになるというふうにおっしゃるのですから、その点防衛白書について具体的にはどういう構想を持っているのか、どういうふうな会合を何回、どういうふうにお持ちになったか、そしていつごろまでそれが出されるか。まあ秋をめどというのですから、秋をめどということは少なくとも秋、次はもう冬にもなりましょうしね。ことしじゅうにきちっとお出しになるのか。あるいは、ことしはちょっと無理だから、少なくともポスト四次防の問題も含めて、そして国民にその問題を明らかにされようとするのか。その点についてはどうなんでしょうか。
  175. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 官房長の答弁が少し舌足らずのところがあったと思いますので、私から補足させていただきたいと思います。  やはりまず第一には国際情勢の考察、これは軍事的な側面から見る。しかし、軍事的側面から見ると申しましても、やはり外務省の御意見あるいは調査結果というものを十分把握をいたした上で決めなければならないというふうに思います。  それからまたわが国の防衛のあり方。これは御承知のように四月から「防衛を考える会」という会を発足いたしまして、十一人の委員をお願いをいたしまして、ただいままで四回会合をしていろいろ貴重な御意見を賜っておるわけでありますが、これが大体六月いっぱいで御報告が受け取れると思うわけでございます。そういうようなことも聞きまして、わが国の防衛のあり方の基本的な理念については出てくるというふうに思います。  まあ私たちも、従来考えておりましたことと、それから「防衛を考える会」あたりで、どういうような国民的視野から考えたらというような御意見等もあろうかと思いますが、それを十分参考にしながら、われわれ自体といたしましての防衛のあり方をまとめていきたいと思います。  また、自衛隊の現状ということにつきましても、これはただいまわれわれかなり資料を持っておると思いますけれども、それに対しまして、どうも問題意識を持ってその資料がながめられておらない。言うならば、貴重な意見、資料がたくさんあるわけでございますが、それがまとまった形ではない。そういうものをまとまった形でまとめるということそれ自身も、意味があるのじゃないかというふうに私は考えるわけでございます。大体そういう方向でまとめていきたいと思います。  それから庁内の体制といたしましては、水間防衛審議官を長といたしまして、これはもうそういう方向で具体的な作業に入るように命じておるわけでございます。  それから、めどにつきましては、実はこれに取りかかる場合に、私は国防白書はぜひ出したいのだけれども、予算的な問題はどうなんだと庁内で検討いたしましたら、現在のいただいております予算内でもやれ得るということでございましたから、その差し支えない限度においてでもやはり防衛白書を出すべきであるというふうに私は決心したのです。と申しますのは、やはりこういうものをつくるには相当の費用をかけなければなりませんし、綿密な分析等も行わなければならない。それには新たな予算が必要ではないか。しかし、それは来年は来年のことといたしまして、本年やれ得る範囲内においてでもやはり防衛白書という名のものをまとめ上げて、そして国民にわかっていただくということは非常に大事だと考えまして、できれば秋をめどにしてひとつ努力をしてみたい、こういうことでございます。しかし、これは私たち一生懸命やりましてもどうしても不十分であるというようなことでございますると、あるいは時期的にずれてしまうということもあろうかと思いますけれども、私自身の気持ちといたしましては、秋をめどに作業を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  176. 鈴切康雄

    鈴切委員 防衛長官は、秋をめどとして防衛白書をおつくりになろう、しかしあるいは少しずれるかもわからない。ずれるけれども、少なくとも今年度予算にやるということは、来年三月までの間にはつくると、こういうふうに理解していいですか。
  177. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私はそのつもりで一生懸命努力をするつもりでございます。
  178. 鈴切康雄

    鈴切委員 その内容については、ポスト四次防に対する防衛庁の考え方、その方向性というものをある程度明らかにしないと、国民は決まってから出されたのでは、去年の暦を読むようなものなんですが、そういうこともやはり十分に考慮に入れられてお出しになられる予定でしょうか。
  179. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 御承知のように、高度工業社会における異常な経済成長から安定経済への転換期でございまして、その中においてポスト四次防をどう考えるかということも非常に大事な点かと思います。  そのポスト四次防を決めるにつきましては、やはりいままでやってまいりました四次防計画までの状況も十分反省をいたしまして、その事実認識の上に立ってポスト四次防を考えていかなければならない、そういうふうに思いますし、やはりそれには、はっきりした理念を持ってポスト四次防に臨まなければならないと私は思いますので、やはりそういう考え方というものが基礎にあって、そうして現状、たとえば来年度の予算編成にも臨まなければならない。ポスト四次防は次の次の予算になろうかと思いますけれども、しかし、来年度の予算を編成するに当たりましても、ポスト四次防というものをにらみながら来年度の予算編成を考え、そして概算要求をなすべきものだというふうに私は心得ております。  また同時に、秋まで、あるいは来年三月までの間に防衛白書をいたすにいたしましても、そういう防衛構想の大綱といいますか、理念と申しますか、そういうものがあって初めて防衛白書というものが生きてくるというふうに思いますし、国民の側からも、その方がわかりやすいのではなかろうかというふうなわけで、先ほど申しましたように、いろいろ貴重な資料はたくさんあるけれども、問題意識を持ってながめるというのは、先生の御指摘のような気持ちでこの防衛白書を発表をいたしたい、あるいは固めていく作業を始めたいという気持ちでございます。したがいまして、たとえば本委員会等におきまして、先生から貴重な御意見等もございましたならば承りまして、そしてそれを十分把握の上で防衛白書を練ってまいりたいというのが私の考え方でございます。
  180. 鈴切康雄

    鈴切委員 いま安定成長期に入って云々というお話がございましたが、山中防衛庁長官が、国内的にはその経済、財政事情の変化等、防衛力整備に種々の制約がある、あるけれども、防衛費は一%以内に抑えることであるので問題はないんだ、こういうふうな御答弁をされておりますね。それに対して、ポスト四次防について、やはりそのお考え方を踏襲されるお気持ちでしょうか。
  181. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私は、日本の防衛の規模というものと申しますか、あるいは内容というものは、まず他国に脅威を与えるようなものであってはならない、それが一つであります。もう一つは、内政を非常に圧迫をするというようなものであってはならないというふうに考えるわけでございまして、その意味合いにおきまして、従来、GNPの大体一%前後というようなことではなかろうかというようなことは、貴重な御意見であるというふうに思います。私も大体そういうような線に沿ってまいりたいというふうに思うわけでございます。  私、実は経済に非常に弱い男でございまして、現在の予算でどういうふうにGNPのパーセントがなるかとかいうことは大体見当がつくのでございますが、安定経済になった場合に、一体どういうふうにそれがなっていくのか。しかし、GNPというものは大体そういうものだということであって、ただ一般会計の中でどうだこうだという議論じゃなくて、いかなる変動があろうともGNPというものを一つの座標といいますか、ガイドラインとするというようなことは、そういう変動にも煩わされない一つ基準のとり方なんだ、こういうことから考えるならば、やはりGNPの一%前後ではなかろうか、こういうふうにいまは考えておるわけでございます。
  182. 鈴切康雄

    鈴切委員 いまの坂田防衛庁長官が言われた、その一%前後というあいまいなところに私は問題があると思うのですね。山中防衛庁長官は、一%以内に抑えるから問題はないんだ、こういうふうに言われ、歴代の防衛庁長官はそういうふうなことではっきり言ってきているわけですよ。ところが、いま坂田さんの場合には、その一%前後ということになると、これは一%を超えても前後になるわけですからね。そうでしょう。そこは実は問題のあるところです。少なくともポスト四次防に対して、一%以内に抑えるというふうに各歴代の防衛庁長官の言われたことを踏襲されるのか。前後というその後というところの、一%にまだぐうっと上になった場合、それじゃ何%まであなたは考えているんだということになりますよね。その点はどうなんでしょうか。
  183. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 その点が、私が申し上げたように、山中長官なんか非常に経済のわかった方でございますから、ぴしゃっとはだ身でわかるわけだと思うのですが、私はまだそこが十分把握できませんので、私も実は非常に一面理想主義者でもありますが、一面現実主義者でもございますので、やはり自分が確かめないとなかなかそのお答えができない。しかし、やはり国会でお答えをするということに対しては、私は責任を持ちたいというふうに思っておりまするので、実は気持ちとしては、それを踏襲していくという気持ちではあるけれども、たとえばそのGNPの一%をちょっとぐらい超えたところも、それもいけないと言われると、その辺はお考えいただかなければならないのじゃないかなあというような気持ちもあるものですから、したがいまして、私の答弁といたしましては、他国に脅威を与えないような限度において、あるいは内政を非常に圧迫するようなことのないような程度において考えるべきものではないかということを、前段といたしまして御答弁を申し上げたわけでございます。
  184. 鈴切康雄

    鈴切委員 防衛庁長官が、五十二年度以降のいわゆるポスト四次防の防衛力整備計画案の作成指示について、あなたが事細かにお出しになっているわけでしょう。お出しになっているのに、予算を伴わないこういうものをお出しになるわけはないんであって、国力、国情に応じということではあるけれども、少なくとも歴代の防衛庁長官が、一%以下なんだから、もうはるかに一%より低いんだから問題はないじゃないかと言ったそれを御踏襲なされるのかということですね。これがはっきりしないと、これはいただいた方では実は非常に困るわけであって、当然、防衛局などこれから作業をされる方々は、この一%、それについて以内に抑えるというならば、以内に抑えるなりの構想ができるでしょうし、幾らか頭は伸びてもいいということであれば、またそういうふうな考え方も出るでしょうし、安定経済の中にあって、そういうふうな物の考え方についてやはりはっきりしなくちゃならぬじゃないかと思うのですがね。防衛庁長官、その点はどうですか。
  185. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 いまよく話を聞きますと、大体うちでもそういうことで作業を進めておるようでございますので、やはり私といたしましては……(鈴切委員「一%以内」と呼ぶ)一%以内ということであります。
  186. 鈴切康雄

    鈴切委員 わかりました。はっきり、安定経済に入ろうが何であろうが、とにかく防衛庁は一%以内、これで何とかやっていくということを――私は認めるというわけじゃないですよ。認めるというわけじゃないですけれども、そういうふうな皆さん方の考え方をお聞きしておかないと、これは国民の方はわからないわけですからね。だから、そういう点でお聞きしたわけです。  非常に雑駁な質問になってしまいまして申しわけないと思うのですけれども、本来ならばずっと引き続いて防衛論争をやりたかったわけですけれども、要点要点をお聞きしたようなわけでございまして、以上をもって終わります。ありがとうございました。
  187. 藤尾正行

    藤尾委員長 本会議散会後委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時二十一分休憩      ――――◇―――――     午後三時三十六分開議
  188. 藤尾正行

    藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。嶋崎譲君。
  189. 嶋崎譲

    嶋崎委員 三月の十八日に公害対策特別委員会で、第四次防の計画に基づいて小松の基地に配置されるファントムが配置をめぐりまして、地元の市と防衛庁との間にその後の折衝やちょっとしたトラブルもあったようでございますが、事態が進行している点についで、一度御質疑をさせていただいたわけでございますが、きょうは、情勢がもう少し新しい情勢になっているように思われますので、内閣委員会で質問をさしていただく場をいただいたわけでございます。  今度のいま提案されております防衛二法に当たりまして、小牧から三沢への空団の移転が提案されておるようでありますが、その小牧から三沢への空団の移転はどういう理由なんでございましょうか。
  190. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 御案内のように、小牧の基地から、現在、日本海、それから遠州灘の訓練空域、こういったところに往復をしてやっておりますけれども、この訓練空域に往来をいたしますのは、特別に設定されました回廊を通って行き来をするということでございまして、日本海の演習空域に参りますには片道二十七分程度かかるという状況でございまして、したがいまして往復に一時間近くを要する。結果的に燃料の関係で訓練空域におきます訓練時間が非常に短縮される、こういう問題がございます。それからまた、射爆演習でございますが、これも適地がないために、場所を入れかわりまして訓練せざるを得ないというような問題があるわけでございます。いずれにいたしましても、訓練環境がきわめてよくないということ。  それから一番問題になるわけでございますが、小牧の場合には、御案内のとおり都市化が大変進みまして、航空機の操縦上、事故がありました場合退避をする、こういった場所がきわめて限定されるということで、そういうことを平生からパイロットが訓練の最中にいろいろ注意を受けてやるわけでございますが、この制約された条件下で訓練をしなければならないということで、大変厳しい条件下でやっておるという状況下にあるわけでございます。  三沢の場合、それでは都市化が問題ないのかということになるわけでございますが、ただ、その場合には、海に非常に近く、訓練区域に往来いたします回廊の長さも非常に短いということで、またあわせて射爆場の使用その他についても非常に有利な条件下にあるということでございまして、諸般の事情を勘案いたしまして、それから全国的な要撃機部隊の配備というような点も勘案をいたしまして、このたび小牧から三沢への移動をお願いをいたしたい、こういうことで法案を提出している次第でございます。     〔委員長退席木野委員長代理着席
  191. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまの説明では、ジェット戦闘機の配置上の理由もあるようでありますし、一つの大きな理由は、昨年でしたか、事故に絡まっての安全と、都市化に伴う都市状況が反映しまして、騒音と安全という周辺の反対が一つの要因になっているというふうに判断されますが、そう判断してよろしいですか。
  192. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 かねがね地元からもそういう御要望、特に昨年事故が起きまして犠牲者も出しましたというような事情もございまして、地元からの御要望もありました。また、私どもいま申し上げましたように、部隊の配置、それから訓練環境、こういった点を考慮いたしまして、前々から第三航空団を三沢に移転する、つまり、三沢というよりは小牧からどこかへ移さなければならない、こういうことはずっと計画として持っておった次第でございます。
  193. 嶋崎譲

    嶋崎委員 あすこはたしか三菱重工でつくられた飛行機の訓練区域で、土曜、日曜は飛んでいると私の調べたのではあるのですが、したがいまして、騒音の観点からしましても、かなり他の基地に比べて、土曜、日曜を含めているということもありますし、それに都市化に伴う騒音公害というようなもの、それから安全の問題等々が絡んで、それに戦闘上の理由がくっついて移転というふうになったと推察されますが、今度提案されております小牧から三沢への空団の移転の理由に、そういう都市化と騒音、安全というような問題が含まれるとすれば、小松の基地の場合も、市を挙げて騒音の問題なんかで反対とあれば、移転するようなことは可能でしょうか。
  194. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 騒音問題、要撃機部隊のありますところ、要するに航空機のあります基地につきましては、当然のことながら騒音の問題その他が必然的に伴ってくるところでございますけれども、小松の基地につきましては、もう私から申し上げるまでもなく、要撃機、戦闘機の基地として現在、沖繩を含めまして四つの大きな区域、北方、中方、西方という分け方をしておりまして、それぞれに二個の要撃機の航空団を持っておる、こういう体制でございまして、それぞれの領空侵犯に対処するという意味で、太平洋岸、日本海岸、それぞれの配置が望ましいわけでございますが、中方につきましては、太平洋岸について百里、日本海岸につきましては小松という配置がございますので、これでいわゆるすきのない航空体制というものができ上がっておるわけでございまして、私どもとしては、小松の基地の重要性というものはきわめて高く評価して考えておるわけでございます。現在のところ、小松の基地をほかに移転をするというようなことは考えておりませんし、具体的にそういう計画を立てておるということはございません。
  195. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこでお尋ねしますけれども、いまおっしゃったように、日本海側の重要な基地として小松が位置づけられているということでありますが、大変漠然としておりますが、四次防に基づく今度のファントムの配置の過程から見まして、小松の基地というものを他の基地に比べまして、防衛庁の方では、地理的に見ても、気象的に見ても、それから軍事的に見ても、民生の上から見ても、どういうランク、レベルというか、どういうふうに考えておられるのでしょうか。
  196. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 私ども別に、防衛の見地から見ました場合に、基地に特別のレベルをつけて分類をしておるということはないわけでございまして、小松の基地の重要性につきましては、ただいま私、申し上げましたように、日本全般の防空体制という点から考えてみました場合に非常に重要である。小松があくということが大きな間隙を生ずるというふうに判断をしておるわけでございます。  ファントムの配備は、御案内のように、百里と千歳、その次が小松、それから行く行く築城、最後は沖繩、こういう配置を考えておるわけでございまして、強いて申しますならば、航空機の、特に要撃戦闘機の基地といたしましては最高のレベルであるというふうに、私どもとしては評価をいたしておるわけでございます。
  197. 嶋崎譲

    嶋崎委員 たとえば小松というのは御承知のように非常に雷の多いところです。金沢でこの間市街地に104が落ちたのも雷でございます。そうしますと、基地というものを考えるときに、確かに防衛上の見地から見て重要であるという議論は防衛庁の側にはありましょうけれども、しかし、シビリアンコントロールのもとにある軍事基地でありますから、当然民生の対策ですね。それから安全。それから、これから議論していきます騒音を含めて、やはり基地というものを位置づけておいていただかなければ、いまの環境基準のもとにおいても、また整備法の新法のもとにおいてもいろいろ新しい考慮が行われておるわけでありますから、そういう意味で、単に軍事的な側面からだけ議論するのではなくて、防衛庁としては、外局である施設庁とも十分協議の上、そういう観点での基地の機能というものも分析してかからなければならぬと思います。  たとえば雷の研究というのは、いまどのくらいの進行状況ですか。
  198. 岡太直

    岡太政府委員 雷の状況でございますけれども、雷と申しますのは、非常に地域的な特性が多いものであります。それで、たとえばヨーロッパの雷だとかアメリカの雷だとかいろいろありまして、小松地方は非常に小松地方特有の雷がございます。それで、何とかしてこの雷の特性を把握いたしまして予知したらどうかということを研究いたしております。  それで、過去数年間にわたりまして、雷電であるとか空電の状況、こういうものを観測してまいったわけでございますが、そういう制度を使いまして、地域に広くセンサーを配置いたしまして、そのセンサーのデータを電子計算機によって処理しまして、飛行場の周辺の雷雲がどういうふうにあるか、そうしてそれによってその雷雲を避けて飛行をするというようなことをすれば、雷による被害を避け得るという見通しが立っておりますので、今年度から、地上用雷電探知装置と申しますけれども、そのものの試作に着手しております。これは全然未知のことでございますから、第一回の試作をいたしましても、これがどの程度に役に立つかというのは非常に問題であると思いますが、二年たって完成しましたら、雷のデータをとりまして、そうしてそれでいよいよ大丈夫という見通しがつきましたら、さらに二年ぐらいたちまして、本当の雷電の探知ができる装置を試作したいというような状況になっております。  以上でございます。
  199. 嶋崎譲

    嶋崎委員 雷雲の発生は比較的予知できるし、わかるんだが、それが雷になるというのは、科学的にはなかなかむずかしいというのが現状だと思います。いまおっしゃったように、これは試作中ですね。しかし、金沢に104が落ちたのは、私が金沢に行く前ですから、もう六年から七年ぐらい前のことでしょう。ですから、小松の基地の安全という場合に、金沢の上空で104が現に事故を起こしたということから、そういうものについての予知をどうするのか、それに対する調査をどうするのかということについて、いまごろになって試作中では、小松の基地の上空から考えますと大変危ない話なんで、そういう意味でも、単に軍事的に小松の基地の位置づけをやるだけじゃなくて、この安全というような問題についてまだ十分なる対策がとられていないように見受けられますけれども、試作中ということですから、そういう意味で、基地機能の一つの側面の欠陥がまだ補われていないという点をここで押さえておいて、私は次の議論に進みます。  では、ファントムの配置が、この第四次防によりますと、百里に二十二、千歳に二十四、小松に十八等々ずっと配置されていく仕組みになっております。104のときには、小松はいま二〇五飛行隊ですから、あれは五番目に配置したということですね。今度のファントムは三〇三飛行隊ですから、三番目に配置するということでしょうが、そうなりますと、まず百里に入って、千歳に行って、次は小松に来たわけです。それで、104のときには五番目に来たのが、ファントムのときにはなぜ三番目に来るのかという疑問をちょっと持ったわけでありますが、小松の基地機能というものを少しずつわかるためにも、わからぬことが多いですから、一つの傍証材料としてお聞きしたいのです。なぜ三番目に配置したんでしょうか。
  200. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 この新機種のファントムは、当初百里に配置をいたしまして、それから千歳、そして今度は小松という順序になっております。  それで、滑走路のかさ上げ、あるいはハンガーの補強、こういったファントム配置に伴います地上施設の整備、これが航空機の導入と相並行して進みます場合には非常に順調にまいるわけでございますけれども、現状はいろいろの障害がございまして、地上施設の整備が計画よりもかなりおくれているという現状でございます。一方このファントムの方の生産のラインは計画的に進むという状況がございまして、入ってまいりますファントムを受け入れる場所は、とりあえず現在百里に受けまして、それを逐次配置をしていく、こういう方針をとってやっておるわけでございます。  そういう点と、それから次に、ファントムのパイロットになります者の養成、それから補給の関係の面、こういう点を考えまして、とりあえず百里に始めまして、逐次北から西の方へ及ぼしていくという、パイロット教育、補給面の問題、それから地上施設の整備の関係、こういうような問題を考えまして、確かに御指摘のとおりに、三〇一は百里、三〇二が千歳、それからまだ看板は出しておりませんが、三〇三が小松になる予定になっておるわけでございます。
  201. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、現在、このファントムの配置状況を見ますと、これは「航空ジャーナル」のことしの一月号のものですが、百里が二十三機、千歳が十九機となっております。そうすると編成の定数は何機ですか。十八機ですね。十八機だと、百里は十八機よりも五機オーバーして配置されている、それから千歳は定数よりも一機多く配置されているという現状になっているわけですね。小松への配置がなかなかうまくいかないからたまっているのかどうか知りませんが、たしか毎月二機ずつ配置していくという計画ですね。  そうしますと、三〇一飛行隊の場合に定数を超えて配置されているという現状になっていますね。つまり定数を超えても配置できる余裕があるのかどうか知りませんが、配置されております。百里もそうなっておる。それは余裕があるのですか、ないのですか。
  202. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 いわゆる正式配置としての余裕はございません。受け入れで、航空機をしばらくそこへ格納しておきまして、いずれ百里に入りましても、これはいわゆる待ちの姿勢にあるわけでございまして、三〇二ができれば三〇二へそれを回送するというようなことをやっておるわけでございまして、配備の定数から申しますと、百里が余裕があってそういうものを受け入れているという状態ではございません。
  203. 嶋崎譲

    嶋崎委員 しかし、編成定数よりもよけいにおるということは、まだ小松の地元の方ではいろいろ問題が解決していないわけですから、千歳や百里に余分におれるのなら、もうしばらくそちらにいて整備員の訓練もやってもらえばいいし、パイロットの訓練もやってもらいながら地元との話し合いを進めるように、少し余裕を持たせる可能性をこの数字の上に私は読み取るのですが、そういうふうに判断させていただけますか。
  204. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 やはりできるだけお認めいただいた正規の定数にすることが部隊の運用上好ましいわけでございまして、先ほど申し上げましたように、受け入れますファントムが、いま御指摘のとおり、月二機の生産ベースで入ってまいります。一方、受け入れる体制の方が立ちおくれているというような諸事情で、やむを得ず百里に一応取得をして置いてあるというような状況です。ただ、パイロットの準備その他がございますので、これはできるだけ早く技能をつけさせなければなりませんので、臨機応変の体制をとっておりますけれども、要するに恒久的な体制としては、なかなかいつまでも続けるというわけにはまいらぬというふうに考えておるわけでございます。
  205. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その問題は、また後で事前協議等との問題に絡んで再度伺わせていただきます。  そうしますと、たとえば築城の飛行場はまだかさ上げができていなくてファントムの配置ができない、そういう状態になっているんですか。
  206. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 築城の問題につきましては、四十九年度と五十年度にかけまして、かさ上げの工事あるいはエプロンの整備、こういったことをやることになっておりまして、四十九年度の繰り越しの分の実行という点につきまして、最近、地元といろいろお話し合いをしておりまして、現実にまだ着工の段階にまでは至っておりません。
  207. 嶋崎譲

    嶋崎委員 どうなっています、那覇の方は。沖繩はどうなっています。
  208. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 沖繩につきましては、かなり先の問題になりますので、まだ予算もついておりません。
  209. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それで、いま言ったようなわけで、三番目というそういう手順で、小松はかさ上げが終わっているから、それで三番目に配置する、そういう素直な解釈ということで納得させていただきますが、ファントムの配置は百里がありまして、そして北海道千歳、小松、それに築城。あれはもっと南の方に配置するんじゃなかったですか。九州は南の方、場所は築城と、そして沖繩、これはどっちに向いているんですかね。ファントムの配置はどっち向けですか。大陸の方を向いてやしませんか。
  210. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 御案内のように、領空侵犯に対処するということでございますので、特定の方向ということではございません。
  211. 嶋崎譲

    嶋崎委員 大陸の方を向いていると言うわけにはいかぬからでしょうが、最近の国際情勢から見ても、朝鮮民主主義人民共和国の動きは、自主平和統一を問題にしているし、それから日ソの平和条約をどうしようかという段階だし、中国との間には、日中平和友好条約を結ぼうかと言っているような状態ですから、これは全部迎え撃つ体制ではありますけれども、最近の国際情勢から見て、四次防で計画をして、百里、千歳、小松、築城、沖繩と計画はおありでしょうが、計画は計画として、法律で決まったことですから進めればいいですけれども、アジアの情勢に変化があるだけに、配置について十分に地元との話し合いを進めた上で配置するという情勢は、アジア情勢としてあるように私は考えるわけであります。  そういうわけで、さてそこでお聞きしますが、ことしの三月に、石川島播磨と防衛庁との間に、ファントム導入のための格納庫、サイレンサーについての工事契約を結んでいるということを聞き及んでいますが、そうでしょうか。
  212. 銅崎富司

    銅崎政府委員 三月の二十五日に契約を結んでおります。
  213. 嶋崎譲

    嶋崎委員 どのぐらいの工費で、いつから工事にかかって、いつ工事が終わるというような内容を持った契約書でございますか。
  214. 銅崎富司

    銅崎政府委員 建設計画につきましては担当が違いますので、その詳細を私存じませんが、請負金額は約一億四千二百万円になっております。
  215. 菅原竹雄

    ○菅原説明員 四十九年度に契約いたしました工事の内容について申し上げます。  固定消音装置につきまして一億八千三百万円、それから格納庫の新設につきましては二億五千七百万円、それからエプロンの新設につきましては二億九百万円、その他の工事につきましては三千万円、計六億七千九百万円契約しております。工期につきましては、一番早いのが三月の二十一日より十一月三十日まで一応契約してございます。これは契約工期でございます。
  216. 嶋崎譲

    嶋崎委員 二十五日に契約して、三月二十一日から十一月三十日までの間にやるのですか。
  217. 菅原竹雄

    ○菅原説明員 一応契約の工期になってございます。これは予定でございます。
  218. 嶋崎譲

    嶋崎委員 三月の下旬に急いで契約を結んだ理由はどこにありますか。
  219. 菅原竹雄

    ○菅原説明員 契約先の問題でございます。
  220. 銅崎富司

    銅崎政府委員 実は本年の三月十七日にF4Eの配備関連の付設工事につきまして、石川県の建築主事から建築基準法に適合する旨の通知を受けまして、この通知を受けた段階で、私どもこれまでの地元との話し合いの状況から、五十年度の早い時期に地元の理解と協力が得られるものと考えた次第でございます。
  221. 嶋崎譲

    嶋崎委員 三月の中旬ごろは、地元の小松市長から県知事に、ファントム配置に伴う格納庫、サイレンサーの工事に着手するに当たっては――この間の委員会で述べましたが、これは三月の三日に文書が提出されております。その三月三日、小松の市長が石川県知事に出している文書というのは「F4EJファントム戦闘機の配備計画に対して、小松基地周辺の九十六町内会三万九千七百人及び十二団体から反対陳情が出されており、昨年十二月十五日には、基地周辺市民によってファントム配備反対市民大会が開催された事は、すでに御承知のとおりであります。」という実情を述べて、「石川県及び小松市との間に十分なる協議がなされていない現時点において、ファントム戦闘機の配備を前提とした格納庫及び消音装置増築にかかる計画通知書が提出された事は誠に心外であり、容認しがたいところであります。」という市から県に対する要望書であります。そして県の建築許可という観点から見れば、建築基準から見てはおかしくはないが、しかしこのサイレンサーや格納庫の工事にかかるに当たっては、県の方で防衛庁の方に申し入れが三月十七日に届いているはずでございます。それには工事着工に当たっては、小松市及び関係住民の意見を十分に聞いて慎重に行われたい旨の意見が付されていたことは御承知のとおりだと思います。そうしますと、三月の三日に現地の市長が県知事に書類を出し、三月十七日に知事が防衛庁に対して慎重に取り扱えと言っているその直後に、三月の二十五日に工事契約が結ばれて、そして十一月までに工事が完了する、こういう形で事態が進行している、こういう状況になるわけでございます。したがいまして、地元の市や県は、まさか、仮に工事契約があっても、十一月までに完了するだろうと考えていないやさきに、工事契約の中身が十一月までにこれを完了するということであるとすると、これは予算措置上の形式的な理由の契約書ならば別ですが、そうでないとすると、防衛庁の方は、地元の意向を十分参酌して行動している、対策を立てているというふうに考えられない節がありますが、この辺どう考えますか。
  222. 久保卓也

    ○久保政府委員 小松へのファントム配備につきましては、昨年の八月の末に、予算を編成する予算概算要求書を大蔵省に提出する関係上、小松に予定をいたしまして、その旨の通知を小松市にしたわけであります。そして正式には、昨年の十二月の初めに私が現地へ参りまして、市長さんそのほか関係の方にお願い申し上げた。で、私どもの腹づもりとしては、空幕なり防衛局の原計画を実施するためには、十二月にいまの格納庫サイレンサー等の着工をやりたいということで実は申し上げたわけであります。しかしながら、現地ではやはり、いろいろの情勢あるいは対策その他を明示してもらいたいというようなお話がありまして、その後の経緯は御承知であります。  そこで、いま予算上の形式的手続ということをおっしゃいましたが、まさにそのとおりでありまして、ほっておけば予算が流れるわけでありますので、そこで一応契約繰り越しという形にした。しかし、契約繰り越しにしましても、契約をするだけの条件が整わねばならない。そこで県からの通知をいただいたので条件は整った。しかし着工するに当たっては、県あるいは市からの御要望もあるとおりに、十分地元と話し合いをしてやろうということで、御承知のように今日もまだ着工ができていない、こういうことでございます。
  223. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そういう御説明であれば、契約書に十一月末に完了する目途で契約が行われていますけれども、これは引き延ばすことができる、こう解釈してよろしいでしょうか。
  224. 菅原竹雄

    ○菅原説明員 引き延ばすことができます。
  225. 嶋崎譲

    嶋崎委員 わかりました。  では、十一月でなくて先の方まで、地元との協議いかんによっては引き延ばすことができるというふうに理解して事を運んでよろしいですね。
  226. 久保卓也

    ○久保政府委員 いま形式、手続論の上での答弁があったわけでありますが、私どもとしましては、この春に着工して十一月くらい、つまり冬になって気候の関係で工事ができないことになる、そういう以前にやりたいということで、これは極力早い時期に地元の御了解を得、かつ工期をできるだけ短縮して十一月に終わる、あるいは少なくとも十二月に終わるということは私どもの希望であります。しかし、それが不可能な場合に、これはやむを得ないことでありまして、延ばさざるを得ない、こういうことであります。
  227. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまの両方の意見、ちょっと食い違っていますね。
  228. 久保卓也

    ○久保政府委員 同じです。
  229. 嶋崎譲

    嶋崎委員 同じですか。では地元いかんによっては、冬にかかって工事もできるのですね。
  230. 久保卓也

    ○久保政府委員 私どもの現在の立場では、地元いかんではというふうに悲観的に考えたくないのでありまして、近く何とか地元とお話ができるでしょう。そうすれば十一月ないし十二月に工事が完成するであろう。これでも当初の計画に比べると半年おくれということでありますから、なるべく早くやりたい。もしそうならなかった場合は、そのときまた改めて判断をしなければならない。そして延ばすことは手続上は可能であるということを菅原調査官が申したわけであります。
  231. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それは防衛庁の方がやりたいことはわかり切っていますよ。法律で決まっているし、月に二機ずつ配置するのだから。ところが、配置するに当たって環境基準もあれば新整備法もあって、そういうものに対する対策を、住民の側からの問題も全部考えないで、やりたいということだけ返事をされたってどうにもならぬから、引き延ばすことができるのですかと聞いているのですよ。だから、それはできるということですから、地元の情勢いかんによっては工事の契約をさらに変えることができる、そういうふうに理解して、そして住民の側から今後、いまから後で質問する問題を詰めていって、そしてその時期を検討さしていただくということになりますが、いまの段階は方法論ですから、まだ中身を言っておりませんから、それでよろしいですね。
  232. 久保卓也

    ○久保政府委員 私どもは、今後地元に対してどういうことをやるかということについては、これも御承知のとおりだと思いまするけれども、地元側に提案をしておるわけです。そしてまたそれを受けて、少しおくれたのでありますけれども、市の方でも対案といいますか、市側からの要望というものを準備できたそうでありまして、ここ一両日前、あるいは今日の状況でようやくできたそうでありまして、それがわれわれの方に提案をされる。そうすると、その提案を受けて、私どもはどういうことができるかということで市の方と話をする。そして私どもの希望としては、なるべく早い時期に市側と話し合いの決着をつけて工事にかかる、こういうことしか考えておりません。
  233. 嶋崎譲

    嶋崎委員 早まって、質問以外の先のことを答えぬでいいですよ、それはまた、いまから細かに議論をしますから。  そうしますと、状況いかんによっては契約が変えられるということが確認できた。これが一つ。それで防衛庁としては、サイレンサーと格納庫――格納庫と訳するのか、後でまたそれは質問しますが、それができて以降にファントムを配置することになるのでしょうが、そうしますと、小松にファントムを配置するのは、この工事が完了した時期に配置されることになりますか。
  234. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 この工事ができました時期に配置ということでお願いをいたしたいと思っております。
  235. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そのときは十八機ですね。
  236. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 当初、臨時三〇三航空隊として発足することを考えておりますので、必ずしも全機というわけでないと思います。工事の、これは地元との御了解その他の問題もあると思いますが、滑走路、ランウエーの使用その他につきまして、十分準備ができました時点で三〇三の臨時部隊の編成をやりまして、そして最終的には十八機の配備をいたしまして正規の三〇三の開設をいたしたい、こういうふうに考えております。
  237. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、十一月、仮に格納庫、サイレンサーができたとして、三〇三航空隊が配置されるときに一挙に来ないとすると、ばらばらということがありますね。そうすると、現在86は何機ありますか。
  238. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 現在は、第四飛行隊の86F、十二機でございます。
  239. 嶋崎譲

    嶋崎委員 104は何機ですか。
  240. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 第二〇五飛行隊、これが104Jが十八機、それからDJが二機でございます。
  241. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、十一月以降ファントムが配置される状況いかんによっては、そのときに、配置と同時に86は引き揚げるのですか、引き揚げないのですか。
  242. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 ファントムの配備に見合いまして逐次86を引き揚げる、こういう計画でございます。
  243. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまでも86は編成定数どおりいないのですから、だから徐々に減っているのでしょうが、そうしますと、本来ならば104の隊とファントムの、小松は二編隊というのが防衛計画にありますね。そうすると、過渡期には86も混在している時期が半年か教カ月間あり得るということになるわけですね。
  244. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 過渡的にはそういう現象が出ますが、これはできるだけ短い期間にいたしたいというふうに考えております。
  245. 嶋崎譲

    嶋崎委員 わかりました。そうしますと、ここで確認できますかどうかは別として、十一月に仮にここにサイレンサーや格納庫の工事が完了すると同時にファントムの配置という準備が進む。その場合に二機来るのか五機来るのか、それはいずれまた、どこかで詰めて聞かしていただきますが、それで104とファントムの二編隊で、そして過渡期には86がしばらく暫定期間いる、そういう状況になるわけですね。  ちょっとお聞きしますが、施設庁の方で、十一月までに工事が完了しないと冬は工事ができないというようなことを現地でお漏らしになっていらっしゃる方がいるようですが、それはどういうことですか。
  246. 菅原竹雄

    ○菅原説明員 小松周辺の気象条件から考えまして、十月、十一月以降は降雨あるいは降雪がございまして、外回りの工事が非常にむずかしくなるという考え方だと思います。
  247. 嶋崎譲

    嶋崎委員 外回りの工事がやりにくいということですね。では、雪が降ってもやれぬことないわけですね。
  248. 菅原竹雄

    ○菅原説明員 屋内の工事については、屋根がかかっておりますのでできます。
  249. 嶋崎譲

    嶋崎委員 市当局や住民の工事は全部冬にやっているのですよ、御承知のように。四月からやっているのじゃないのですよ。私に予算が動き出して、そしてみんな冬に工事をやっているのですから、だから理由として、冬になったら外回りに雪が多いからできぬから十一月までなんだというような理由は、現地ではおっしゃらない方がいいと思うのですよ。住民の側に立てば、いつも冬にそういう防音工事から一切の工事をやらされているのですから、非常に一方的な印象を与えることになります。だから、そういう理由はお述べにならぬ方がいいということを、余分かもしれませんが、ちょっとつけ加えておきますが、いかがですか。
  250. 菅原竹雄

    ○菅原説明員 ただいま申し上げましたのは、工事を非常にスムーズにやるためには降雨とか降雪がない方がいいということを申し上げたのでございます。
  251. 嶋崎譲

    嶋崎委員 あそこのサイレンサーはわかるのですが、今度の格納庫はシステム・チェック・ハンガーとかいうのだそうですね。システム・チェック.ハンガーというのは、私が訳すると、点検格納庫みたいに訳した方がいいのじゃないかなんて思うけれども、普通の格納庫じゃありませんね。これは飛行機が飛んでいることに関連して、現地と何かあったり、そういう点検か何か精密な格納庫ですか。
  252. 菅原竹雄

    ○菅原説明員 システム・チェック・ハンガーというのは、飛んでいる飛行機と下との関連ではございませんので、整備格納庫とお考え願えればよろしいと思います。
  253. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、次の質問に移りますが、御承知のように前の藤井市長との間に、昭和三十九年の四月三十日に「小松基地拡張に伴う小松市要望事項に対する協定書」というのが結ばれていることは、この前の委員会でも言いましたから御承知のとおりだと思います。この協定書の六の協議事項の中の一番最後の7に「新たな基地拡張の場合の事前協議」ということがうたわれております。そしてこの事前協議を覚書で交わしまして、覚書の第三項には、「協議事項中の基地拡張の場合の事前協議の外F104機より騒音の大なる機種の配置の場合にも事前に協議する。」こうあることは御承知のとおりだと思います。  そこでお聞きしますが、事前協議というのをどういうふうに――どうも最近のいろんな話では、防衛庁の方の考えておる事前協議の中身はさっぱりわからないのですが、ここで言っている「事前協議」というのはどう理解されているのですか。
  254. 久保卓也

    ○久保政府委員 もちろん法律解釈ではございませんので、常識的に解釈するほかありませんが、F104よりも騒音の大きな航空機を配置する場合には、地元とよく御相談をして、その了解を得た後に配備をする、そういう考え方であると理解します。
  255. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうすると、事前協議というのは、国際的な関係の事前協議、それと同じではないでしょうけれども、ノーということが言えるのが事前協議ですよ、常識的には。だから、ノーということを言えることを含めて事前協議というふうに私たちは理解しますが、ノーということを含まない事前協議ですか。
  256. 久保卓也

    ○久保政府委員 具体的に多分そこまで詰められたお話はなかったのだろうと思うのですけれども、地元の方でノーと言う場合があり得る。言葉の解釈上は、そういうふうに理解されてもやむを得ないというふうに思います。
  257. 嶋崎譲

    嶋崎委員 この間、名古屋の施設局長が最初に行かれまして、そしていま御答弁の菅原さんが小松に行かれまして、最初に行ったときと後に行ったときとでは、新聞の書き方は、センセーショナルではありましたが、かなり趣が違ったようでございますが、その経過をお伝えください。
  258. 菅原竹雄

    ○菅原説明員 お答えいたします。  先月の二十四日に名古屋の相場局長が現地に参りまして、工事の着工の申し入れをいたしました。その場合にちょっと誤解がございまして、通告みたいな言い方で、それで地元の市長さん初め地元の方々がちょっと誤解いたしまして、お話し合いがないままに着工するのかというふうに受け取られましたので、私、現地に参りまして、今後ともお話し合いを続けながら御理解を得たいということを申し入れをいたしてまいりました。
  259. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私は後でテープをお聞きしたのですけれども、一回目は大変激しいやりとりをやっていたようであります。二回目の話は大変穏やかではございましたが、菅原さんが二回目に市長をお訪ねになった後に新聞記者会見で、六〇%くらいの世論の賛成があれば協議が成り立ったものと解釈できるような御発言が北国新聞に載りましたが、六〇%くらいの了解で大方の了解という、例の小牧で問題になりましたね。ああいう趣旨の大方の了解というのは、六割くらいというふうにお考えでしょうか。
  260. 菅原竹雄

    ○菅原説明員 ただいまの六〇%というお話でございますが、私が申し上げたのは、六十点と申し上げたのです。
  261. 嶋崎譲

    嶋崎委員 新聞には六〇%と書いてある。
  262. 菅原竹雄

    ○菅原説明員 新聞がちょっと間違っておりまして、一つの新聞だけは明らかに六十点と書いてございます。私は入学試験を例に出しまして、百点満点の入学試験というのは、優秀な方でないとございませんでしょう。非常にむずかしい。普通の方々であれば大体六十点とれば入学できるのじゃないかと思います。それで、現地の皆さんとのお話し合いするのに、十万人全部の皆さんとお話をするわけにはまいりませんので、いろいろ重立った方々とお話をしまして、おおよそということは六十点くらいのものじゃないでしょうかということを申し上げたわけであります。
  263. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その六十点というのはどういうことですか。
  264. 菅原竹雄

    ○菅原説明員 六十点などと変な言葉を申し上げまして非常に申し上げにくいのでございますけれども、一般的に申し上げまして、六十点はニアイコール六〇%というような感じに受け取っていただければと思いますが……。
  265. 嶋崎譲

    嶋崎委員 さて、そこで言う「事前協議」というのは、小松の市民の六十点がもし六〇%だとすると、防衛庁の方がいままでやってこられたことは、何回か小松に申し入れや何かあっておりますが、あれはみんな協議の中身ですか。
  266. 久保卓也

    ○久保政府委員 「事前協議」という場合は、市長と名古屋の防衛施設局長との覚書でありますので、市長と施設局長との関係ということになります。しかしながら、単純に行政機関だけで行政的にお話をするだけでなくて、やはり地元の方々と直接お話をするということも事前準備として必要であろうし、また市長からも現実にそういう御要望もあったので、そういう手続を経ていきたいということでございます。必須要件というよりも、妥当な行政をするためにそうした方がよろしいのではなかろうかという市と私ども判断でございます。
  267. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、かつて市長と結んだような事前協議と同じように、今回もファントムの導入をめぐるサイレンサー、格納庫の工事にかかるに当たって、市と現地名古屋の局長との間の協定ないしは書類の交換をするというところまでが協議の中身と理解してよろしいでしょうか。
  268. 久保卓也

    ○久保政府委員 ただ、今度のファントム配備に関しての認識については、実は地元と私どもと若干解釈が異なっております。これも御承知だと思いますけれども、ファントム配備について、この第三項目からすると、覚書に基づいて事前協議が必要ではないかという、地元の方々はそういう立場をとっております。私どもの方では、ファントムとF104と比べた場合に騒音は大であるというふうには認識しておりません。これはホンの大きさその他も地元に御説明したことがありますが、そういう数字的な問題だけでなくて、現実に百里なんかにも行っていただいて、千歳あたりで調べましたときに、104とF4の音の質、騒音の質というものが違いまして、人間としてはF4の方がまだ104よりましだという大方の方の意見もあるわけでございます。したがいまして、基本的に104よりも大きいという立場は私どもとしてはとりたくない。しかしながら、事は部隊を配備し、また地元から各種の御協力を得なければなりませんので、実質的には覚書にあることと同じようなことをやりたい、こういうことでございます。
  269. 嶋崎譲

    嶋崎委員 協議ということを成立させるためには、ノーという権利を私は主張しているのではなくて、協議の中身という観点からしますと、少なくとも三つの点の協議の了解が必要だと私は思います。  第一は、騒音対策という問題について、防衛庁は環境基準並びに整備法に基づいて、どのような対処をしているのかということについての納得のできる中身が一つ。     〔木野委員長代理退席、加藤(陽)委員長代理着席〕 第二番目は、安全対策という問題について現地の人たちが納得のできる中身が示されること。第三番目には、周辺の民生対策について納得できる中身が示されること。この三つが事前に協議をしていく場合の三要件だと私は思います。いかがでしょうか。
  270. 久保卓也

    ○久保政府委員 基本的にはお話のとおりでありますし、私どもとしても、そういう線に沿って地元に御提案申し上げているつもりであります。
  271. 嶋崎譲

    嶋崎委員 大変いい御回答をいただきました。騒音対策、それをいまから質問をしますが、発生源を含めて運航等々も含めていく問題に関連しますし、安全対策もそうであります。それから周辺対策については、どのような線引き、騒音コンターに基づいてどのような具体的な措置が行われるか等々についての具体的なものを早くお示しいただくという意味で、三要件を前提にして市と名古屋の現地との間に協議が成り立つという方向に御努力願える、そういうふうに理解してよろしいですね。
  272. 久保卓也

    ○久保政府委員 私どもとしてはいまお話しのとおりの方向で進みますが、ただ現実になし得る合理的な範囲、妥当な範囲というものもございますので、人口の全員か御納得――納得ということになりますとなかなかむずかしいかもしれませんけれども、今日の行政の事情からしてやむを得なかろうというふうな御認識をいただけるようなものにしたいと考えております。
  273. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ちょっとまたずれたようですが、市長と私が言っているのは、事前協議なんですから、市長と名古屋の局長との間の協議の内容はいまの三要件でという意味です。
  274. 久保卓也

    ○久保政府委員 ちょっと間違いましたが、おっしゃるとおりで結構でありまして、ただ私ども先ほど提案したものについて、市の方では、そのままではお受け取りになっておらない、つまり了解はされておらない。そこで、さっき申し上げたように、改めて市がごく最近おまとめになったそうでありまして、その提案を私どもも検討さしていただいて、それに基づいて市の方とお話をし、市の御納得を得たいというふうに思っております。
  275. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、その三要件のうちの騒音問題から質問をさせていただきます。  この間質問しておきまして運輸省から御回答を得ておりますから、確認だけで結構ですが、昭和三十八年の環境基準に基づいて、普通の民間の飛行場においては、騒音対策として騒音防止法に基づいて三つの対策を進めているということを確認しております。一つは、御承知の騒音源の対策でございます。二番目は、空港構造の改造でございます。音をチェックしていくために、防騒林をつくるとか、堤をつくるとか、そういう空港構造の改良という問題が二番目。第三番目には周辺の対策。この三つに基準を合わせて総合的に騒音対策をやっていられるということで、幾つか具体的な問題を確認いたしましたが、それをまず確認さしていただければと思います。
  276. 井下登喜男

    ○井下説明員 先生御指摘のとおりでございます。
  277. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、騒音源の規制という問題に関連して、民間の飛行場の場合は、御承知のように日本の飛行機はエンジンがみんなアメリカからの輸入ですから、アメリカの騒音証明制度を前提にして騒音源の規制をやるために、エンジンの改良やエアバスやその他でいろんな努力が行われております。国会でいま航空法の一部改正がどうなっているのか、その経過をよく知りませんが、日本でも騒音証明という制度を設けて騒音源の規制についての努力をしようというのが、民間の航空会社がとっている態度であり、それを運輸省並びに環境庁と話し合いながら詰めているというふうに思います。  そこで、防衛庁に確認しますが、軍用機の場合は騒音源の規制はやらないというたてまえをとるのでしょうか。
  278. 井下登喜男

    ○井下説明員 現在、御審議をいただいております騒音証明制度につきましては、これは民間機だけでございます。
  279. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それは民間だから運輸省でしょう。防衛庁はどうなんですかと聞いているのですよ。
  280. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 結局、私どもの機種選定の際の問題ということになると思います。一応いろいろ総合的な要撃機なら要撃機としての性能というものを主体にして私ども考えておりますけれども、御案内のように、結局、航空機でございますから、当然、基地周辺についても騒音という問題が出てまいりますので、今後、機種を選定する際にやはりそういう要素も十分検討する必要があるというふうに考えております。
  281. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それは次の騒音コンターのところでまた再度質問をしますが、アメリカ、イギリス、ヨーロッパの場合は、民間飛行機については騒音証明制度はとっているけれども、軍用機にはとっていないのです。だから防衛庁の場合だって、当然、これは軍用機なんだから証明制度をとらないという返答が出てくるのかと思ったら、努力をいたしますということになると、これは機種ごとの騒音コンターをつくっておかなければならぬ、こういう事態に発展していくわけでございます。それは後の騒音コンターの問題のときに再度質問いたします。いまの局長の答弁は、軍用機についても騒音規制について努力するという非常に結構な答弁なんですけれども、それは防衛庁、制服組には大変抵抗があるんじゃありませんか。まあ、それは後にしましょう。  そこで、騒音源の規制という場合に問題になるのは、結局、民間の場合にはそういうふうにエンジンの改良やなにか努力できますけれども、軍用機の場合には戦闘力の問題なんかがありますから、それがなかなか思うに任せない。ただそのときに、いま局長がおっしゃったことを私流に善意に理解をして言えば、外国の軍事基地というのは都市周辺にないということです。非常に遠いのです。  私は、かつて九州大学にベトナム帰りのファントムが落っこったときに、アメリカのニューヨーク・タイムズに「オンリー・ツー・マイルズ」という反戦広告を載せました。アメリカからものすごい投書が来ました。わずか二マイルのところに大変な軍事基地があるというのは常識的に考えられないという意見でございました。ですからそういう意味で、外国の場合には軍事基地は都市から非常に離れたところに置くのが常識だけれども日本はこの狭い領土の中でやるものですから、都市近辺に軍事基地があるというところに、防衛庁も民間並みの騒音対策をやらなければならないという大変ジレンマが起きておるのが現状でございます。  ですからそういう意味で、仮に防衛庁が管理している軍事基地であっても、環境庁が言い、新整備法で言っているような、その要請に基づいて騒音対策をやるということになれば、軍用機の騒音源規制という問題についても、いま局長が言われたような御努力をいただきたいというふうに思うのです。しかし、軍用機のことですから、いま探しておるFXにしたって、どんなのが決まるかわからないのですから、それはおくとしましても、そうしますと問題は、軍用機の飛び方が安全を含めて都市の上空を飛ぶか飛ばないのか、なるべく海に向かって飛ぶようにするとか、そういう運航方式というものを人一倍検討をして、環境基準に合わせた御努力をしていただかなければならぬという問題になります。  前回、公害対策特別委員会で私は質問を申し上げましたが、私のデータでは、この間言いましたように、小松の場合には海に向かって相当飛べる。スクランブルの位置を見ましても、あれはちゃんと海に向かってぶうっと飛ぶかっこうになっております。緊急発進を考えてもそういう仕組みになっておることから判断をして、海に向かってかなり飛べるという、そういう判断に立ってきたわけでございます。私のひそかに二年間調査したデータと防衛庁のデータとが違うと言いましたが、あのときは何をおっしゃっているのかよくわからなかったのですが、後で議事録を読んでみたら大体私と同じなんです。つまり私の調査は、皆さん御承知でしょうが、小松のあの滑走路の海に向かって飛ぶ場合の向かい風。まず風がない場合が――私の調査は、三時間置きにまる一日とって、昭和四十七年と四十八年ですから、まる二年間の調査でございますから、データのとり方に違いがあるかもしれませんが、どういうデータのとり方をしてきたかというと、飛行機は、御承知のように追い風よりも向かい風を利用して飛びますから、そうしますと、まず飛行場周辺の気象が無風状態なのは調査したときの何%くらいあるか、これをまず押さえます。それから次に今度は横風ですね。追い風は後にしまして、横風の場合にも、今度は飛行場から直角に切って、そして前の方ですね。だから九十度ですね。そっちの横風、それから左側の横風、これは向かい風になりますから、当然飛ぶ条件になるわけであります。問題なのは、斜めから吹いてくる横風と後ろの追い風とあるわけであります。御承知のように松山空港の場合には、その追風、五ノット以下ですね。秒速二・五メートル以下、横風は秒速七・五メートル以下、それならば安全だということに基づいて優先滑走路方式をとって海に飛んでいるというわけです。だから、民間がやっている優先滑走方式というものを、小松の基地の場合にはとれないはずはないと思って気象調査をやったら、静穏の場合が何%、それから直角に切って向かい風になるのは何%、追い風の五ノットを超える場合が何%、こういうふうに計算してきたんです。この間の議事録を後で読んでみたら、回答は追い風五ノット以下の場合の調査の中の割合が二〇%足らずだと言っているのですから、その数字に関しては私の数字と大体合っています。しかし、それでは説明にならないので、つまり、向かい風と横風の前から吹くやつが、小松の一年間の気象条件の中にどの程度あるかを調査すれば、大半は海に向かって飛べるんだということを証明することができるわけであります。私は、基地の中でやるわけにいきませんから、基地から離れたところでひそかにやってきましたが、そうだとすると、防衛庁のやられている気象調査データを今回正規に請求をしたいと思いますが、その調査資料を出していただけますか。
  282. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 御指摘の点につきまして、これは提出さしていただいて結構だと思います。  ちょっと中身を簡単に御説明申し上げたいと思いますが、つまり海側の方、西側の方でございますが、これから離陸をいたします場合、これは逆に言いますと東側からの着陸ということになるかと思いますが、私どもの方の気象班で毎正時と言っております、ちょうど切れのいい一時、二時、三時。何分というのでございませんで、一時零分、二時零分という時点でずっと調査をしてまいりまして、四十七年と四十八年にかけての二年間の統計でございますが……
  283. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それは夜やっているのですね。
  284. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 夜と、昼もやっております。要するに二十四時間やっております。切れのいい時間にやっておるわけでございますが、そこで零時から二十四時間まで、つまり二十四時間を分母として見ました場合、この場合には、有視界気象状態のほかに非有視界気象状態、これを含みましたものが、いま申し上げました、つまり西側から離陸できるわけですから、西から風が吹いておる、これは五ノット以下の風でも当然それに含まれるわけでございますが、それと、それから東からのいわゆる追い風で五ノット未満のもの、それをプラスしたものでございます。これが七五・四%でございます。そのうち有視界気象状態は六六%でございます。それから今度は中間の部分でございますが、午前九時から十六時、午後四時でございます。この間、結局八回とっておるということになりますが、これを分母といたしました場合、前の七五%に相当いたしますものが六三%、それから有視界気象状態の場合が五五・九、約五六%ということに相なるようでございます。  それから逆の方でございますが、逆の方はよろしゅうございますか。
  285. 嶋崎譲

    嶋崎委員 時間がないので、後で資料をいただけばわかりますから。
  286. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 では資料を提出いたします。
  287. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その問題は資料をいただいて、この運航という問題について、騒音規制という意味から対処方について、事前協議の際に少し地元で詰めさしていただきたいと思います、中身として。     〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕  それから航空図というんですかね。マンスリーで出ているのか何か知りませんが、自衛隊の飛行機が飛ぶときの着陸のコースを変更したりするのを含んでいる本がありますね。あれは航空図というのですか、航空路図誌というのでしょうか。そう、それです。その航空路図誌のことしの一月以降、小松基地の場合の離着陸の仕方について、航路の変更が行われていると聞いておりますが、それはそうでしょうか。細かな数字はいいですから。
  288. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 そのとおりでございます。在来、進入の場合に小松市に近く経路をとっておりましたのを、海岸寄りの方に寄せて変更をいたしておるわけでございます。
  289. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私もその本はないものですから、本をいただければ幸いですが、コピーして資料としていただきたいと思います。
  290. 藤尾正行

    藤尾委員長 資料、よろしゅうございますね。
  291. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 はい、よろしゅうございます。
  292. 嶋崎譲

    嶋崎委員 今度はコンターの問題に関連して御質問しますが、騒音の規制という問題は、軍用機の場合の騒音規制という場合に、運航の問題を詰めていただいて、運航の変更をやっていただきながら最大限に飛ぶ飛び方を検討していただきたいと思うし、それについて相当地元と詰めていただかなければならぬと思いますので、できるだけ資料を提出していただければと思います。  そこで、これは安全にも関係しますが、いまの飛行機の飛び方が、民家の上空を飛ばないという方式になれば、相当程度事態は緩和するわけでありますから、それはいいのですが、その場合でも、先ほど防衛施設庁長官久保さんは、ファントムと104は騒音において大して差はないという判断だ、キーンとかいうとおっしゃっていますね。それはどういうデータに基づいていますか。
  293. 久保卓也

    ○久保政府委員 いま手元に資料がないようでありますが、千歳で104とF4を飛ばしまして、そのときのデータの比較で申し上げたわけであります。この数字は資料を得てお手元にお届けいたします。
  294. 嶋崎譲

    嶋崎委員 あの千歳でやった調査の小松に出した防衛庁のパンフレットは説得力が全然ないのですよ。あの数字をひょっと見たら、ファントムの方がやかましいという結論しかないのです。だからあれじゃだめなのです。  おっしゃるように、ファントムと104が騒音において差がないということについてのデータのとり方に関連して二、三お聞きします。環境庁、来ていますね。  前回の委員会で私は御質問を申し上げましたが、環境庁がこの告示を出していますね。この告示で騒音の測定方法を知らしております。地方自治体にも告示しておりますね。こういう観点からしまして、まず環境庁に確認をさしていただきたいのは、この間御確認をいただきましたが、きょうは長官がお見えになっていませんから。  昭和四十八年の環境庁の騒音の基準ですね。この基準は、民間は言うまでもなく、防衛庁が管理する軍事基地の場合にも同じように適用するという点は御確認できますね。
  295. 春日斉

    ○春日政府委員 そのとおりでございます。
  296. 嶋崎譲

    嶋崎委員 告示には、防衛庁は特殊であるような言葉がありまして、民間の場合ですと、ここにあるように達成期間等の表が入っていて、民間の飛行場は、次のように「段階的に環境基準が達成されるようにするものとする。」と書いてあるのですね。努力してせにゃいかぬということです。ところが、自衛隊等が使用する飛行場の周辺の場合には、「維持されるように努めるものとする。」と書いてあるわけですね。だから、これは違う、自衛隊や軍事基地を特殊な扱いをしているんじゃないですかと言ったのに対して、長官は、いま御説明になったように、違いはありませんと言われた。こういうわけで、環境庁は軍事基地の騒音にも臨むということが明らかになっているわけでございます。  さて、それを前提にして環境庁にひとつお聞きしますが、このごろ、公害という問題を取り扱うときに、総量規制という観念が非常に問題になってきていますね。騒音の場合に総量規制という考え方をとることはできませんか。
  297. 春日斉

    ○春日政府委員 総量規制という概念は、騒音の場合もだんだんとらなければならないという意見が出てきております。しかしこれは非常にむずかしい問題でございます。なぜかと申しますと、騒音の場合は排気ガスなんかと違いまして、排気ガスの場合は一足す一は二になるわけでございますが、騒音の場合はそうはなりません。たとえば倍になって、デシベルで言えば三ホン、そういうようなエネルギーの計算はなかなか簡単にまいりません。非常にむずかしいわけでございますが、総量規制というものは、少なくとも都市の騒音対策にはこれからだんだん必要になってくるであろう、そういう指摘はできると思います。
  298. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまお答えがありましたように、私は、この環境庁の告示による騒音の規制方式にはやはり欠陥があると思うのです。と申しますのは、WECPNLの換算表を見ますと、どうしても納得ができないわけでございます。たとえばこの換算表でいきますと、私のやつはピーク・レベル・パワー、ホンは百、九十五というように五ずつとってあるのですけれどもね。だから正確にはいきませんが、いまおっしゃられましたように、三ホン音を小さくして飛べば飛行機の回数は倍飛べるというのが大体常識になってきております。ところが、生物学的な人間の側から言いますと、やかましさの度合いというか、三ホン音が小さいというのは、人間の耳には全然わからぬのです。三ホン下がったから二倍飛べるということは、五十回飛んでいた飛行機が百回飛べるということを意味するわけですね。三ホンという音は生物的にはわからないのに、回数だけは倍になるということになると、騒音というのは人体に大変大きな被害を与えることになるわけでございます。  確かに、このWECPNLの計算は、デシベル(A)を前提にした計算の仕方ですね。防衛庁が昔やっていたのはデシベル(C)か何かを単位にしてやっていたのだと思います。だから去年、小松に調査に来たのだと私は思う。この環境庁の基準のとり方が、騒音対策という観点から見た場合に、果たして住民を納得させるようなものなのかどうかという点については、それはそれなりに私も判決を読んでいますし、法律家の座談会も読んでいますし、いろいろなものを読んでいますが、それぞれ理屈はあります。理屈はありますが、理屈抜きにして、三ホン音が小さいのが飛んだら二倍飛んでも同じ音だというWECPNLの数値のとり方には、騒音対策という観点からしますと、住民の側からはなかなか納得ができないという問題点があるわけでございます。それだけに、やはりホンというものを頭に置きながら、飛行場周辺にあらわれる騒音の総量をどういう計算で示し、それを全体としてどういうふうに規制していくかという考え方をこれからはとっていく必要があるのではないか。これは私論であります。  そういう意味で、私はいまの環境基準のとり方そのものに大変疑問を持つわけですが、たとえば今度の環境庁のこの告示によりますと、環境基準というは、地域の類型をとりながらその基準値というものは七十以下にしなければならぬと書いてありますね。七十以下ですね。そうして第二に達成期間があって、達成期間の中で、民間の場合には、既設の飛行場のB表に相当するのは五年以内に八十五未満とすること、そして屋内では六十五未満にすること。それから第一種空港の場合には、この第一種というのは整備法でいう一種、二種、三種じゃありませんけれども、これによりますと、片一方は十年以内に七十五WECPNL以下、それから屋内では六十、こうなっています。  ところが、この環境庁の基準でこういうのを出しているにもかかわらず、周辺整備法ではどうなっておるかというと、周辺整備法の第四条、第五条、第六条を見ますと、ここで決められた第一種区域、第二種区域、第三種区域というのは、八十五、九十、九十五になっておるわけね。たしかそうじゃなかったですか。これに基づいて総理府が出している総理府の告示、これに基づいて見ますと、第四条の第一種の区域は八十五以上、第二種が九十以上、第三種が九十五以上、こうなっていますね。  そうしますと、環境庁の基準としていま出したものは七十五以下にしなければならぬという基準があるわけね。ところが実際には、整備法でやっているところの線引きをするに当たっての基準は八十、八十五、九十ということになると、その差はどうなるのですか。この間、私質問しましたけれども、いまこれからコンターをつくりますね、ちらっと見せていただきましたけれども。そのコンターができて線引きをやるときに、この法律に基づいてやれば八十五、九十、九十五しかできぬわけね。ところが、七十五という基準があるわけですから、八十五以下のところはどういう対策を立てるのか、八十五以下というものをどういうふうに見るかというこのギャップが問題にならざるを得ません。環境庁、この辺どう考えますか。
  299. 春日斉

    ○春日政府委員 確かに御指摘の点があるわけでございまして、民家の防音工事等の障害防止対策の実施の基準について、環境基準との開きがあるということでございます。しかし、とりあえずは運輸省所管の航空機騒音障害防止法と同様に、八十五WECPNL以上の区域について実施するものとする。ともかくひどいところから手をつけていこう、こういうふうにお考えだと聞いております。もちろん、将来これらの対策の進展状況を見て、さらに環境基準の達成のために、対象区域の拡大というようなものについても検討すべきものだと私どもは考えております。
  300. 嶋崎譲

    嶋崎委員 努力しなければいかぬことはわかるよ。しかし、現実に市当局と防衛庁との間で協議するときに、民間飛行場をやっていると同じように、住民に全部見せるかどうか別としても、騒音コンターでもってやるわけですから、それをやるときに、一方で環境基準が七十五という努力目標があって、引いたものは八十五、九十、九十五としか引かぬわけですから、そうすると、八十五以下のものはどうしてくれるのですかという問題は、トラブルとしてかなり残ります。だから、将来努力して七十五以下にするというのはわかるけれども、当面、そういう民間の飛行場であれ、それからまた軍事基地の場合瀞、ただでさえ軍事基地について住民の批判や何かがある場合に、環境庁か出した基準を――長官は、軍事基地においても同じように努力します、こう言っておるわけでしょう。言っておるやさきに、防衛施設庁がつくったコンターの基準は八十五、九十五というふうにとっているとすれば、そういうずれがあるということが国の騒音対策の行政上論理的な矛盾点として残っておるわけです。そうしますとその問題は、現地からすれば、対策の線引きをするというのは大変なことになるのですから、家の防音工事からすべての対策に、全部お金に関連してくるのですから、幼稚園から学校からすべてに関連を持ってくるのですから、そういう基準と防衛施設庁が出しているところのこのギャップという問題は、国の方の行政のあり方としては、これは大変問題点を残すというふうに私は思うのです。それで環境庁は努力するというのはわかったが、防衛庁は当面どうしますか。
  301. 久保卓也

    ○久保政府委員 環境基準というのは、ことし、来年に達成できるとまでは規定しておらない。それは非現実的でありますから。そこで私どもとしては、さしあたって、とにかく全般的に問題がある地域を選んで、それについて線引きをし、それについての対策をとる、その対策についても、当然予算上の問題もありましょう。したがって私どもとしては、できるだけ多くの予算をとり、さしあたりまず総理府令で定められている対策をし、かついずれはなるべく早い時期に環境基準に合わせるというのが、これが、防衛施設庁だけでなくて運輸省の仕事でもあり、かつ政府全体のねらいでもあろうというふうに理解しております。
  302. 嶋崎譲

    嶋崎委員 お言葉を返すようですが、その前段におっしゃったことは慎しまぬといけませんよ。というのは、非現実的だと言いますが、騒音防止法というのは国際的に比較してごらんなさいよ。西ドイツの法律、外国の法律と比較したら、日本の騒音防止対策というものはものすごくおくれているのですよ。だから、世界的に見てずっと問題になったことから日本がおくれているから、いますぐやることは確かに非現実的だという議論はあっても、国際的にできることを日本がやらなかったから、いまやることは非現実的だなんというような問題の立て方をされたんじゃ、本格的に騒音防止法の理念に基づいて環境基準ができ、そうして周辺整備法をつくって新法で対策をやろうとしているのに対して水をかける議論になると思うのです。ちょっとお言葉を返すようですが。
  303. 久保卓也

    ○久保政府委員 つまり環境基準にも時期が明示してありますように、今日七十五と八十五以上とのギャップを直ちに一、二年の間に環境基準と同じように合わせるというのは非現実的であろうということを申し上げたわけであって、やはり環境基準にあるような時期に合わせて努力をする。しかしさしあたっては、いまの私ども、あるいは運輸省と同じような歩調で八十五以上のものについての対策をとる、しかし環境基準の線で行くべきであろうというふうに考えているということを申し上げたわけです。
  304. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そういうふうに言い直してもらえば結構でございます。  そうしますと、防衛施設庁としては、実際に線引きをやった場合に、住民の中から出る基準と実際の法のもとで行われるコンターとの間の矛盾が八十五と七十五と出た場合に、それに対して積極的な対策を立てる用意があるということですね。
  305. 久保卓也

    ○久保政府委員 八十五以上の方が騒音がはるかに厳しいわけであり、かつ一年、二年で対策が全部講じ切れません、正直申し上げて。自衛隊及び米軍の基地関係だけで十万個あると言われておりますから、それらの対策を一、二年で講ずることはできない。そうすると、やはりひどいところから先に予算を振り向けていくということはやむを得ないのではないか。そうすると、すぐそれじゃ七十五と八十五の間の住民はどうするのかというふうに聞かれるわけですけれども、その手当てをもしすればもっとひどいところの手当ては薄くなるということで、実質的な公平をまずはねらうべきではなかろうかというふうに考えます。
  306. 嶋崎譲

    嶋崎委員 一般に公共的事業については国でも五カ年計画とか、それからそういう処置をいまとろうとしておるのだ、予算措置の上からでも。ですから防衛の場合にも、将来到達の目標があるとすれば、それに向けてどういう計画で事を進めるかという展望くらいは、これは後で防衛庁長官に確認してもらいたいことだけれども、そういうことをやはり立てないと、毎年毎年単年度で、私の田舎の言葉で言うとハエたたきでハエをたたいて歩いているみたいに、問題が起きるとたたく、問題が起こるとハエたたく対症療法的対応をしていたのでは全然問題にならぬです。法の精神にも反する。だからそういう意味で、おっしゃるように、確かに全国的、ナショナルに考えてみれば、そう小松だけやるというわけにいかぬでしょうよ。だけれども、その軍事基地を持っている地域の住民が、特に軍事基地なるがゆえに民間飛行場よりも騒音規制がやりにくい、そういう特殊性を持っているだけに、もっと積極的な対策というものを立てなければ住民を納得させることはできぬ、そういう考え方を申し上げたいのですよ。
  307. 久保卓也

    ○久保政府委員 この点は私も同意申し上げるところでありまして、したがって、私どもも長期的な計画を立てるべきであり、その前提としては騒音コンターを引いてみる。特に小松などは、機種が変わるとすれば今度は騒音コンター自身も変わってくるかもしれませんので、そういうことでまず騒音コンターの線引きをやって、そこで、その中に対象施設が一体どの程度あるのか、どういう種類のものがあるのか、それを拾い、それを予算化し、長期計画化していくということは、当然やるべきであろうというふうに思います。
  308. 嶋崎譲

    嶋崎委員 大臣にこの点だけ確認しておきますが、いま、防衛周辺新法で問題になっている騒音コンターと言いますか、それをこしらえる基準と環境庁基準との間に、努力目標だけれどもギャップがある。そういう現実があるから、被害を受ける側からしますと、被害対策をやってほしいですからね、必ず地元との間に問題が起きるという現実がある。したがいまして、そういう法の不備といいましょうか行政の統一のないところといいましょうか、当面は急いでいるからちぐはぐかもしれないが、そういう意味で統一的な対応ができるように、そのギャップに対して特別な判断というものを何らかの形で計画的に示すとかいうようなことに御努力願いたいと思いますが、いかがですか。
  309. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ずっとお話を承っておりまして、先生のおっしゃることは非常に納得のいくようなお話だと思うので、われわれの方でも、十分その精神を踏まえまして検討をいたさせたいと思いますから、御了承を賜りたいと思います。
  310. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、今度は騒音コンターのとり方の問題について、防衛庁の側に二、三お聞きさしていただきます。  騒音コンターは、御承知のように、飛行機の回数、飛行機の経路、それから飛行機の機種、そういうものが変化してくれば当然変化するということは常識的に考えてみても考えられる。そうしますと、その騒音コンターのとり方を頭に置いてみまして、昨年八月、小松に日大の先生を中心にして調査に入られましたですね。あの調査は何日間調査したのか、そしてその調査の結果はどうなっているのか、これをちょっとお聞きします。
  311. 銅崎富司

    銅崎政府委員 昨年の八月に実施いたしまして、四日間かかっております。で、現在、六月四日から現地の加賀市、小松市にこのコンター図面を持っていきまして説明をいたしております。この結果につきまして、いずれ意見を聴取する予定にいたしております。
  312. 嶋崎譲

    嶋崎委員 では、去年の夏、四日間やったのですね。  そうしますと、環境庁に聞きますが、環境庁は測定方法という問題について告示で示しておりますね。この測定方法によりますと、原則として連続七日間の測定を行うものとする。原則として七日間。なお、自衛隊等が使用する飛行場のように、必ずしもスケジュールが一定していない場合には、飛行状況より見て適当と思われる日数について連続測定を行うものとすると書いてあります。いまの測定方法について、原則として連続七日間。自衛隊なんかの場合には、演習や何かいろいろありますから、そういうときには連続測定をするものとするときちっと書いてありますね。そうすると、いまの報告によりますと、去年の調査は八月にまず四日間ですね。それで騒音コンターをつくるのですか。環境庁、それでいいと思いますか。
  313. 春日斉

    ○春日政府委員 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律、第四条、第五条及び第六条の規定に基づいて、第一種区域、第二種区域及び第三種区域の指定を行う場合に実施する航空機騒音の測定は、同法施行令第八条及び同法施行規則第一条の規定に基づいて行われるものでございます。したがいまして、区域指定に当たっての実施細則は、合目的見地から設定すべきものと私どもは考えております。  なお、環境基準の維持、達成状況を把握するための航空機騒音の評価は、環境庁の告示第百五十四号に基づいて実測値によって行われるものでございますから、標準的な条件を設定して地域指定を行う際には、住民の生活環境を保全するという見地からこれと矛盾しないように留意していただく、こういうことでございます。
  314. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまのお話にありましたように、確かに民間の飛行場の場合には、この表に書いてあるとおりに指定は簡単にいくわけです。飛行機の回数を一年間計算して一日を計算すれば、これは既設の飛行場の一種になるのか、二種になるのか、三種になるのかがわかるわけです。ところが、この間、私、公害対策特別委員会で質問したときに、小松はどうなんだというのはいままで明らかにしてなかったわけですから、環境庁の考え方も、防衛庁の考え方も、はっきりしたのは、それはこのBと第一種の大体中間だと、こう言ったわけですね。ですから、民間の飛行場を測定する場合も、軍事基地の測定の場合も、環境庁の基準について同じ計算の方法でやるということになれば、防衛庁の方も、当然環境庁が指示した考え方でやらなければいけない。現にかつて単位をデシベル(C)をとっていたから、今度の基準に合わなくなったから去年の八月に来たんじゃありませんか。それが来て調査をするのなら、少なくともこの環境基準でとれるような調査をやっているんだろうか。確かに今度の調査は、周波についての調査を含むものまでやられているんですね。だからぼくは精密だということは知っているんです。だけども、少なくとも環境庁が示しているような基準にきちっと従ってやってないものに基づいたコンターを住民に示したって、これはだめですね。  もう一つ聞きます。いまのは測定の日数ですけれども測定の時期についてこう書いています。測定時期については、航空機の飛行状況、気象条件等を考慮すれば四季ごとに行うことが望ましいが、年間を通じて航空機騒音の状況がそれほど変化しない場合には年一、二回の測定でもよいものと考えられると書いてあります。小松はどうでしょう。大変四季の変化のあるところです。雪が降ります。よう飛行機が飛びません。そこが軍事基地になっているんですから。だとすれば、少なくともここで言っている飛行状況、気象条件を考慮すれば、四季ごとに変化のない地域だと考えるわけにはいきません。だとしたら、去年の八月にやられた調査に基づいて騒音コンターをつくられているというのは、環境基準の観点から見ると、測定方法は科学的だと言えるのでしょうか。その点どうでしょう。環境庁にまず聞きます。
  315. 春日斉

    ○春日政府委員 先生の御指摘の点は、確かにこれは、この測定方法等につきまして、私から各都道府県知事に対して出しました環境基準の地域類型を当てはめる地域の指定を行う場合の測定方法だと思います。したがいまして、それに準じて行われるということは、私は望ましいことだと思います。ただ、こういった軍事基地と申しますか、基地の空港でございますから、必ずしも民間空港とぴったり同じでなければならないというわけにはいかない場合もあろうかと思います。しかし一応準ずるということが常識的判断だと考えております。
  316. 嶋崎譲

    嶋崎委員 防衛庁が去年の八月行ったその調査は、私は自然科学者じゃないですから、正確にはわからぬけれども専門家に聞けばわかることですが、少なくとも四日間しかやってないということと、それから測定の時期が夏だということですね。それで小松の気象の一年間の騒音コンターがとれるかどうか、どう思いますか。とれているという確信ありますか。
  317. 銅崎富司

    銅崎政府委員 私どもの方は、本調査をやる前に予備的な調査もいたしまして、騒音の値が妥当にとれる期間が、雨の日で訓練をやらない日もありましょうが、その地域地域で何日あればいいかということを考えるわけでございますが、小松の場合、四日で十分適正な値がとれるという判断のもとに作成したわけでございます。
  318. 嶋崎譲

    嶋崎委員 まあ専門家に聞かないとわからぬことで、それでいいと専門家が言ったからいいと言っているだけの話でしょうけれども、私たちの立場からすると、騒音コンターというのは、飛行の回数、気象条件それから機種、飛行機の飛び方、いろいろなことを検討しなければならぬものです。だって雲が低ければ騒音が違うのだから。天気のいいときの騒音と雲が低いときの音は全然違うんだし、同時に飛び方だって、ぐうっと上がる場合と真っすぐに上がる場合とでは騒音が違う。だから、騒音のとり方というのは、そういう意味では環境庁が示しているやり方に即して、住民が納得できるようなやり方をしたというふうに示してもらわないと、そういう疑問点は依然として残るということです。いま長官いませんけれども、大事なところだから……
  319. 藤尾正行

    藤尾委員長 ちょっとお待ち願います。
  320. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこでお聞きしますが、そういう意味で、去年の八月に防衛庁当局では、それでコンターをつくってもいいと……
  321. 藤尾正行

    藤尾委員長 いま防衛庁長官、参りましたから。
  322. 嶋崎譲

    嶋崎委員 つくっていいと判断されておられるでしょうが、環境基準を各都道府県に示しているのですよ。だから各市町村の長や県知事は知っているのです。こういういわば測定方法についての一定の基準的なものを示しておいて、各県知事も市長も知っておって、そこに決められている最低の七日間、特に自衛隊の場合には連続測定しなさいと書いてある。そして測定の時期というのは、一年間を見てノーマルな場合に二回でよろしいと言っているのですよ。だから、環境庁がこういう測定基準を考えたということは、いまの騒音測定の科学技術の発展段階から見て、小松に使ったのは特別すぐれた計器なのか知りませんけれども、この程度測定の日にちと、それから測定の時期というものを選定せよという環境庁の考え方を信頼する以外にないと思う。だとすると、いま小松でつくっておられる騒音コンターというのはわずか四日間であって、しかも真夏の天候のいいときだけを軸にして――確かに予定値の計算もします。実測値もやります。三菱重工なんか、私が問い合わせてみますと、そういう意味で非常に実測値に近い予測値を出して、誤差を埋めるにはどうするか、努力しています。だから、相当細かな計算ができるようにはなっているけれども、いま小松で行われたこの調査は、そういう意味で環境庁基準に合わせて住民を納得させるような調査ではないというふうに私は断定せざるを得ない。そういう意味でも、いまのつくった騒音コンターを前提にして地元と協議に入った場合に、そういう問題点が残ります。だから、それを防衛施設庁よく頭に置いて、その協議の中に入っていただきたい。この点をひとつ、問題ですから、申し上げておきたいと思うのです。  長官にお聞きします。いま議論したことは、簡単に申し上げますと……
  323. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 四日間が、ただいまのところ、われわれとしては最善の方法だとして採用しまして、それをもととして折衝に入っておるというふうに思いますけれども、われわれの方でも、そういうやり方がいいのかどうなのかということについても、さらに検討をいたさせてみたいと思います。それを踏まえて折衝に当たらせたいと思います。
  324. 嶋崎譲

    嶋崎委員 長官、こういう問題なんです。環境庁基準に基づいて、告示は時期のはかり方についての一定の基準を示しています。その基準に合わせると、去年の八月に来た日大教授を中心とした騒音コンターの測定方法は、少なくともその基準には合ってない。そういう意味で、どんなに精密な計器を使われたかは別として、その騒音コンターに基づいて地元との話し合いをしたときに、そういう問題点が残るということを申し上げたのですから、その点、防衛庁の方でも十分対処して、説得力のある対応をしていただきたい、こういうことでございます。  続きまして、余り時間もありませんが、防衛庁の方から、いままで104とファントムというものは音の差はない、ないという話ばかり聞きますね。  そこでお聞きしますが、104とファントムの飛行機の飛ばせ方について、同じような条件のもとで飛ばして騒音コンターをとったデータはありますか。
  325. 平井啓一

    ○平井政府委員 ただいま104とファントムを飛ばすときの騒音コンターとおっしゃいましたが、騒音コンターと申しますのは、先ほど出ましたように総騒音量でございまして、そうではなくて、104とファントムとを同一の日に、同一の気象条件のもとに、同一の測点でもって計ったという実例は、千歳においてございます。
  326. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ありますね。小松の市長との事前協議によりますと、ちょっといま正確ではありません。皆さんの方が読んでいらっしゃるでしょうが、104とファントムと比べてみて、それが基地の拡張というような性質のものではないし、騒音に対して影響を与えないという前提で話されていますね。  ところが、お聞きしたいのは、今度小松の基地に配置されるのは、さっき話がありましたように、86がいなくなって104とファントムの二つの編隊になるわけですね。そうしますと、86と104は両方とも軽戦闘機です。86がいなくなってファントムがかわりに入る。そして104がいるわけですから、104に比べて仮にファントムの音がイコールだとしましょう。ないしは同じぐらいだとしましょう。音の質が違うとしましょう。それにしても小松の基地全体の飛行機の騒音の総量は、どう見たって非常に多くなると判断せざるを得ません。だから小松の基地の拡張という場合に、ファントムと104を比べてみて、その音の度合いに差はないから基地拡張にならない、騒音の拡大にならないという立論の仕方は正確でないと私は思います。いかがでしょうか。
  327. 久保卓也

    ○久保政府委員 当時の覚書締結者でございませんので、当時両者がどう理解したかはわかりませんけれども、今日残っておる文面から申しますれば、86にかわってF4が参ることは確かでありますが、文面上は、104よりも大きな騒音のあるものが来る場合には事前協議をいたしましょうというふうに読まざるを得ないのではないかと考えております。
  328. 嶋崎譲

    嶋崎委員 読み方の問題じゃないんですよ。形式的な読み方が整ったら住民が納得できるというふうに考えるから住民対策にならないのです。その前には、本文のところでは「基地拡張の場合の事前協議」と書いてあるのです。そのときには専門家や、ぼくも少し勉強させてもらったけれども、その当時の人たちは、104とファントムはどうかということは何もない時代です。ですから想定はつかないが、いまの段階でファシトムを持ってくるということになれば、軽と重の二つの戦闘機の編隊が二つ小松に来るというのが現実なんですから、そうしますと、音の小さかった86と104に比べて、今度はファントムと104の二つの編隊が小松にいるとすれば、小松の周りの住民に与える影響というのは大きいと判断するのは常識じゃありませんか。だから、協議の言葉の中に「拡張の場合」という言葉があるからといって、矛盾はしませんという答弁をしていたのでは、現地との協議にはなりはせぬとぼくは思う。いかがですか。
  329. 久保卓也

    ○久保政府委員 覚書をどう解釈するかという問題と、それからF4を現地へ配置する場合に地元にどう理解し納得していただくかということは別問題だと考えるわけです。覚書は覚書。しかしながら、覚書が全部実施されたらそれでよろしいと私どもは考えているわけではございません。やはり地元の方々が納得されるような対策を講ずべきであろう。覚書に基づいてそれが不要だということを主張しようとする意思は毛頭ございません。
  330. 嶋崎譲

    嶋崎委員 だからぼくが言っているんですよ。覚書というようなことじゃなくて、最初に確認されたように、騒音の規制、それから飛行場の近辺の安全、それから三番目の周辺対策という三本柱について、地元の市長との間の話し合いができる協議の中身を詰めなさい、こう言っているわけです。そうしたら、詰めますと言ったでしょう。詰めるときには、かつて協議のときには確かに104との比較であったけれども、いまやファントムを皆さん入れたいなら、ファントムを入れるについて、協議の中身が煮詰まるような客観的なデータを出して話をしなければ煮詰まらぬじゃないか、そういう意味で言っているのです。
  331. 久保卓也

    ○久保政府委員 そのとおりで結構であります。覚書に基づいて私どもは地元とどうこうというのではなくて、具体的に86にかわってF4が行く、それについて地元の方々が納得されますように、先ほど御指摘の三つのポイントについて地元とお話ししたい、こういうことでございます。
  332. 嶋崎譲

    嶋崎委員 だから、そういう端々に、住民の側をいつも意識しながら、防衛施設庁というのは――それは制服組から見れば、制服組は何とでも早く配置して早く訓練したいでしょう。しかし防衛施設庁の側は、住民との話し合いによってなるべくそういう防衛体制をつくるために努力しなければならぬ行政機関でしょう。そのときには、もっと住民の側の問題点は何かという観点から話し合いをしてもらわぬと、事前協議の中身なんか煮詰まりはしませんよと言っているのです。だから、おっしゃるように、いま言った問題点が一つあります。だから、この点についても事前協議について十分現地の市長と話し合いをするということを、防衛庁の方で検討しておいていただきたい。  そこで、いま私が言いましたが、104とファントムが来れば小松基地をめぐる騒音の量ははるかに拡大するということは肯定されるでしょう。そうすれば、それを前提にした騒音コンターのつくり方でなければならぬと思うが、いかがですか。
  333. 久保卓也

    ○久保政府委員 昨年の八月に調査したわけでありますから、86と104ということでありますが、そしてまたこの案に基づいて、地元に四日、昨日以来御照会をし、意見を求めようとしておるところでありますけれども、当然、F4が配備されれば、それに基づいてコンターの引き直しをし、それに基づく対策をさらに考えねばならぬというふうに思います。
  334. 嶋崎譲

    嶋崎委員 じゃそれも問題点の一つです。いままでは、事前協議の中身よりも、事前協議という申し合わせがあったから、今度事前協議で協議して決めようじゃないかという話になったのですから、今度は、かつての事前協議に基づいて協議の話が具体化してきている、その中身を詰める際に、いまのもう一つの柱、86にファントムがかわった、軽戦闘機と重戦闘機の二つの編隊で小松は今後配置されるという場合に、前と違った基地拡張という観点を住民が持ち、市長も持ち、そしてその騒音の問題について多くの懸念があるから、そういう観点からの対処の仕方はどうかという点を詰めておいていただきたいということでございます。  それで、さっきの話によりますと、ファントムと104について、この騒音の測定を同じ条件でやったとおっしゃいましたね。そのデータいただけますか。
  335. 平井啓一

    ○平井政府委員 後刻差し上げます。
  336. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それから、この測定をするときに、有視界飛行の場合と計器飛行の場合とではずいぶんその音が違いますね。天気がよければびゅうっと上がれるかもしれないけれども、天気が悪ければファントムと同じように飛ばなければならないんだから、その騒音の状況は違うはずです。ですから、飛び方といっても、どういうデータをおとりになっているのか知らぬけれども、そういう意味で、104、ファントムの飛行の場合についていま防衛庁で持っている資料を私の方で検討させていただきたいので、提出方はいま言った意味でもお願いできますね。
  337. 平井啓一

    ○平井政府委員 ただいま御指摘のような飛び方を千歳ではやったわけではなくて、離陸、着陸、飛行場の上空の一定の高度における通過、そういった同様な条件のもとに104とファントムとの騒音の比較をしたというデータでございますので、そういうデータは手持ちにございますので、それは後刻差し上げることにいたしたいと思います。
  338. 嶋崎譲

    嶋崎委員 じゃそういうデータを下さい。ただ小松の場合は、さっき言うように、冬になると大変雷雲が出てくる。雪が多くなる。雲がたれる。だからもう飛行機は大体計器飛行をやらざるを得ないことが多いんです。だから騒音のとり方というのは、そう単純なものですべて科学的なデータだとは言えませんよということをここで申し上げておきます。  そこで、もう時間もそろそろ参りましたので最後の詰めをさせていただきますが、周辺対策です。  三番目の柱である、協議の内容である周辺対策という問題についてですが、この周辺対策は、確かに防衛庁の方から小松に対してこの大綱が出ております。すでに二月二十七日に大綱が出ておりますから、この大綱の各条項について私は検討してみました。この条項を検討してみますと、いわばこれは、事業計画もなければ、予算措置の裏づけもなければ、大変漠とした総花的なものだと思います。しかし、総花的なことを本気になってやられることをマイナスだと言っているのではありません。  そこで、今年度の予算で防音工事に十五戸か何かの予算をつけましたですね。それはどういう中身を考えていられますか。
  339. 銅崎富司

    銅崎政府委員 個人の住宅の防音工事でございまして、これは実は四十九年度の予算でございます。ことし繰り越しております。
  340. 嶋崎譲

    嶋崎委員 もう時間ありませんから、私の主張だけ申し上げておきましょう。  北陸の家は、障子をぱっぱっぱっと外しますと、お葬式にもなれば、それから結婚式もできるような家の構造を持っております。そうしますと、家の中に防音工事するといって、お年寄りがいるからといって、どの部屋をどんなふうに防音工事するかというようなことについて十分検討もしないで、ただ十五戸なんといったって何のことかわからぬということですね。そういう意味で、そういう防音工事の予算をつけて動かしていくに当たっては、どんなふうに考えるかということを検討しておいていただきたい。  そこで、運輸省、まあ聞かなくたっていいけれども、たとえば大阪ではすでに、五人家族の場合には二部屋とか、それから受験生がいるときには一部屋とか、それからお年寄りがいるときには一部屋とかというようなことについて実際に民間で行われております。同時に成田でもことしの予算からそれを具体化しております。そういう民間の防音対策の進んだ例を頭に置いてみると、現在、小松の対策要綱で言われているような、抽象的な、漠然としたやり方では、よそに比べてやはり軍事基地というのは、それは金の額はかなり積んでいますから大きいけれども、しかし本当に民心の機微をとらえた対策になっているんだろうかという疑問を持つわけであります。だから、大阪や成田でやられているような防音対策というものを、より計画的に、より精密にその対策というものを出していただくような配慮をぜひやっていただかなければいかぬということです。  それで、もう最後になりましたが、いま私はいろいろな角度で質問をしてきて幾つかの疑問点を出してまいりました。こっちへ資料をやっちゃったから、いまここで頭にすぐ一、二、三、四ということはできませんが、議事録を確認をいただきまして、私の言いたい考え方の一つは、地元の市長と防衛庁当局が各古屋との間で協議をして煮詰めるに当たって、騒音源の対策、それから二番目の安全対策、三番目の周辺整備に対する対策、この三つについてかなり積極的な、具体的な提案をしながら、全部一〇〇%オーケーと言わぬにしても、いまのような段階では、私の質問で明らかになったように、この三つについてはそれぞれ全部ずさんである。騒音コンターのとり方だってどうも怪しい、調査の仕方も怪しい、対策についても非常にあいまいである、飛行機の運航という問題についてもまだ今後検討を要する。ですからたくさんの問題点があるわけですから、どうか議事録を整理されて、そういう事前協議の中身にふさわしい話し合いが市長と現地でできるように、大臣の方でも問題を整理されて各内局、外局に指示されんことを願いたいのですが、その決意のほどを伺います。
  341. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私、就任いたしまして、やはり基地周辺の住民とのいろいろのトラブル、そういうものをできるだけ少なくするためには十分な話し合いをやることが必要であるということを申し上げたわけでございまして、特にファントムを移駐するということにつきましては、かねがね地元に多大の御迷惑をかけておるわけでございますが、きょういろいろの御指摘がございましたが、それを十分踏まえた上で、今後住民との納得のいくように最善の努力をいたす覚悟でございます。
  342. 嶋崎譲

    嶋崎委員 これで終わります。どうも時間を超過しまして済みません。
  343. 藤尾正行

    藤尾委員長 午後六時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後五時四十二分休憩      ――――◇―――――     午後六時七分開議
  344. 藤尾正行

    藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。受田新吉君。
  345. 受田新吉

    ○受田委員 まずこの改正法案に関連した重要な問題を取り上げ、最後に法案に質問を移していきたいと思います。  外務大臣、防衛庁長官、おそろいでありますので、特に外務大臣、時間切れの日程を割いて御苦労いただいておりますので、外務大臣に集中質問をさせていただきたいと思います。これにあわせて坂田大臣、及び事務当局で結構な場合にはそちらでお答えをいただきます。  三月二十八日、当委員会で、私、南ベトナム解放戦線の存在意義についてお尋ねをいたしました。当時、大臣も、また局長も、南ベトナム解放戦線を承認するような段階ではないし、またこれを承認している国はほんに幾つかしかないということでございました。そのとき御答弁の中で、南ベトナム解放戦線を承認している国はほんにわずかしかない、ささやかな存在で、それはパリ協定の主役になっている国ではあるが、現実には日本国としては外交路線に乗るような国ではないんだと。後から聞けば、実際は南ベトナム解放戦線を承認している国は三十数カ国と言い直されたわけです。初めにはほんに数カ国しかないほど軽く外務当局も見ておられたわけです。現実に、それほど認識が不足するほど、実際は三十数ヵ国も承認しているのに、わずか数カ国しか承認がない、そんな印象にしか残っておらぬ南ベトナム解放戦線であったことを、私ちょっと残念に思う。外交官として、南ベトナム解放戦線の方を余りにも軽視しておられた、このことがちょっと私、非常に奇異に感じたわけでございます。当時言い直された数字と、初め幾つかと仰せられた数字とに、余りにも大きな開きがある。このことは、日本の外交姿勢の基本に関する問題でありまして、民族意識がいかに強烈なインドシナであるかというようなことを考えるときに、決して南ベトナム解放戦線が軽視できない存在であるそして南ベトナム政府そのものが米国の支援で今日まで息をついてきたという状態を見るときに、常に外交の分析は、厳密で将来の展望も的確でなければいけないわけです。大体、アメリカ自身がインドシナの見方が間違っておったということの反省がいまあるわけで、千五百億ドルも金を使って、数万のとうとい戦死者を出して、そして引き揚げるにしては余りに悲劇であった。それは東南アジアの、特にインドシナの民族の意識というものにアメリカが認識を欠いた点があり、またこれに伴うて日本も認識を欠いておる点があると思うのです。  そこでお尋ねをしたいのですが、南ベトナム解放戦線に対する認識は、三月二十八日の時点と今日でどのように転換したかをお答え願いたいのです。
  346. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 米国がサイゴンから撤収いたしますとともに、いわゆる南ベトナム解放戦線の人々がサイゴンに入ったわけでございます。ただいまサイゴンには軍事管理委員会というものができておるようでありまして、この軍事管理委員会が布告を発し、あるいは旧政権下の制度、社会生活等を変革しつつあるようでございますが、同時に、解放祝賀式典が行われましたころ、五月の半ばころと思われますが、ハノイに本部を持ちます北越労働党に属する幹部がサイゴンに入ってまいりましたようで、たとえばファン・フンというような人は、出身は南でありますけれども、北越の労働党のポリトビユーローの高い席を占めておった人のように思いますが、そのような、非常に明確には事態はわかりませんが、やや党優位の組織づくりが行われておるようでございまして、現在のところ、南ベトナム解放戦線政府というようなものが誕生したということはまだ聞いてはおりません。
  347. 受田新吉

    ○受田委員 日本は南ベトナム解放戦線を承認する通告をしたわけでございますか。
  348. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 五月九日に臨時革命政府を承認いたしました。
  349. 受田新吉

    ○受田委員 臨時革命政府と解放戦線とはどう違うわけですか。
  350. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 現在は臨時革命政府というのが存在する唯一の政府であろうと思います。
  351. 受田新吉

    ○受田委員 その臨時革命政府と発展したということで一つ質問しますが、人見大使がいま現地にいらっしゃるわけですが、この人見大使はいまどういう存在であるのですか。
  352. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 人見大使は南越に存在します日本の大使でございます。現に臨時革命政府の軍事管理委員会に外交官として正式に登録されております。
  353. 受田新吉

    ○受田委員 外交官として正式に向こうの政府も認めておる。日本を代表する大使として革命政府が認めておるわけですね。
  354. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 登録ということは、そういうことだろうと思います。
  355. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっともう一遍……。
  356. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 外国人のうちで、外交官は外交官として別個登録されておりまして、わが方の大使並びに大使館員はすべて外交官として登録されております。
  357. 受田新吉

    ○受田委員 登録ですね。
  358. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 はい。
  359. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、向こうの臨時革命政府との間の外交交渉もできる立場にもあるわけですね。
  360. 高島益郎

    ○高島政府委員 先ほど大臣から御答弁がありましたとおり、臨時革命政府そのものとしましては、新しくできました南越政府の内部におきます、いろいろ治安の維持その他、そういう国内の整備が重点でございまして、いわゆる政府としての外交活動をまだ展開するに至っておりません。そういう意味での政府というものはまだ出現しておりません。したがいまして、わが方大使並びに大使館員の接触する相手は依然として、サイゴン・ジアディン地区を管理しております軍事管理委員会、そこの中にさらに下部機関としてございます外交委員会、そういったものでございまして、その内容は、もっぱらほとんど邦人の生命、財産の保護に関する仕事についての接触をいたしております。
  361. 受田新吉

    ○受田委員 日本が経済援助をしたチョーライ病院、カントー大学あるいは孤児の職業訓練所、これは国費でお手伝いをした。これらの機関はいまどうなっておるのでございますか。
  362. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 日本が無償の協力をいたしましたそういう案件につきましては、南ベトナムの前の政府に引き渡しをしたわけでございまして、向こう側の所管に移されているわけでございます。現実にいまどうなっているかという事情につきましては、現在のサイゴンの状況がああいうことでございますので、的確には把握しておりません。
  363. 受田新吉

    ○受田委員 邦人の生命、身体、財産の保護の重責に任じておるという人見大使を中心の在南越ベトナム外交官たちは、こうした日本の経済援助の対象になり、また、そこに勤めておるお医者さんとか大学の先生とか、こちらの関係の方々に対して、どういう手を打っておられるでしょう。
  364. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 実際の状況につきましても、なるべく情報の把握に努めておりまして、孤児の訓練所につきましては、情報によりますと従来どおり運営されている。それからサイゴンにございますチョーライ病院につきましては、これは新聞情報などにも出ておりますけれども日本が提供いたしましたチョーライ病院は七百ベッドの病院でございますけれども、その一部は病室として使われておるということはわかっております。カントーの状況についてはつまびらかにいたしません。私どもといたしましては、南ベトナムの新しいオーソリティーが外交を軌道に乗せるような体制になるのを待ちまして話し合いをしたいということを考えております。
  365. 受田新吉

    ○受田委員 そうした経済援助、難民対策等を含めた日本の引き続く支援というもの、特にあの悲劇の戦争で孤児になった人がたくさんあるんだし、現に生活苦にあえぐ人が本当に続出しておるこの現状に対して、三月二十八日にも私ここで指摘いたしました。これらに対して、赤十字の機関を通じて日本国の温かい愛情を積極的に送ってはどうかと提案したのでございますが、その後これはどういうふうになっているか。混沌としておるので手がつかぬのかどうか、北ベトナムに対する援助とあわせてひとつ御答弁願いたいのです。
  366. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 赤十字を通ずる援助につきましては、現在でも実施可能でございますけれども、相手の国を直接の相手といたしますバイラテラルな援助につきましては、現在は、少なくとも南ベトナムとカンボジアにつきましては、事実上実行不可能でございますので、これは相手との交渉ができる段階になって行いたいということでございます。北ベトナムにつきましては、これは従前の話を続けるということになっております。
  367. 受田新吉

    ○受田委員 ここで一つ悲劇の問題が発生したことを解決するためにお尋ねをします。  ベトナムから日本へ勉学に来ておった留学生、日本からベトナムへ行っておった留学生、これらの皆さんで、特にベトナムから日本へ留学しておった国費、私費の留学生たちは祖国がなくなった。この人々の外国人としての地位は、いま日本ではどう認められておるのか。この留学を目指して日本へ来た学生たちは、国費と私費とそれぞれどういう手だてをしていただくのか。強制的に向こうへ送還されるような運命に立つ人もあるのか。私は、この問題は政治的に人道的に非常な大事な問題と思いまするので、この際、明確に政府の方針を打ち立てておいていただきたいと思うのです。
  368. 竹村照雄

    ○竹村説明員 この留学生諸君は大体七百名ぐらいですけれども、生活上の問題のみならず、自分たちの身分がどうなるかということについて深い憂慮を持っております。これらの人たちとは、われわれとしては、いろいろなパイプを通じまして話し合いも進めておりますが、当面、われわれが明確に示しておる方針を申し上げますと、現在、この人たちが持っております旅券というのは、サイゴン政府、旧政府の発行した旅券でございます。しかしながら、われわれとしては、この新政府を承認しましたけれども、その新政府がこれらの旅券について何らかの措置をとるまでは、従来の旧政府発行の旅券は有効なものとして取り扱うということを明らかにしております。  それから、現在付与されている留学生としての在留資格は、引き続きこれを認め、在留目的の継続中であれば、その目的達成まで在留を認めるという方針を明確に出しております。  特に、これらの人たちは、いま生活上の問題を抱えております。この生活上の問題で、アルバイトをしなければならない、学業の方を一時離れても生活のために奮闘しなければいけないという立場の人もあります。これらの人たちが、生活上のためにいろいろ奮闘することについては、われわれは在留管理の上からも最大限の便宜を計らう、それがために留年することがあっても、留学生としての身分を失わせるようなことはしないということを明確に申し上げております。  それで、勉学が終了しまして、その段階で、そのまま本邦に在留したいという者があるかもしれません。それらにつきましては、それぞれの信条、政治的な立場もございまして、いろいろな希望を持っておりますけれども、われわれはやはり新しい情勢を見きわめつつ、ケース・バイ・ケースで処置しなければなりませんけれども、基本的には人道的な気持ちで前向きに対処する、このような気持ちでおります。  以上でございます。
  369. 受田新吉

    ○受田委員 わかりました。文部省。
  370. 木田宏

    ○木田政府委員 学生につきましては、いま入管の方から御説明がございましたような取り扱いを決めていただきまして、早々にそれを、五月六日でございますが、各地の大学の方へ通知をいたしました。そしてその通知に合わせまして、この生活上の問題があるわけでございます。七百三十名ほどの留学生がおりますが、そのうち六十数名の国費留学生を除きまして、後は私費で来ておる留学生でございます。私費の留学生の中身はいろいろさまざまでございますけれども、親元の事態の急変に伴います生活環境の変化ということが予想されます。暫定的な措置として、いろいろと援護の手だてを身近な大学関係者の方でとりあえず世話をしてもらいたい、そういう趣旨の通達を出しました。また幸いに、先月から今週にかけまして、大学関係者の会合もございましたものですから、そのことを特に話をし、また状況につきまして、いま随時実態の把握に努めておる、こういう次第でございます。
  371. 受田新吉

    ○受田委員 法務省と文部省で非常に温かい心遣いをしておられることはよくわかったのですが、局長さん、ベトナムの方へ行っている学生はいまどれぐらいおりますか。
  372. 木田宏

    ○木田政府委員 四十九年度のデータで、日本からベトナムへ行っている学生はおりませんです。学術調査のために三名ほど出ておりました。それからまた、先ほど御指摘がございましたカントー大学等に、日本の大学の教官などお手伝いに行っておりましたが、いまみんな帰ってきております。
  373. 受田新吉

    ○受田委員 いま政府として、ベトナムからこっちへ来ている不幸な学生たちは、祖国が変わったわけです。いつの間にか国がなくなって新しい国ができておるというときに一つ問題が起こるのは、あちらの国でこちらにおった皆さんを祖国へ帰すことを強制的にとめられる場合がありはしないか。これは新しい政府の行き方が一つ問題になってくるのですが、私ちょっと今度外交官の場合でお尋ねしたいのですが、カンボジアの外交官が日本へ来て、祖国はもう政府がひっくり返って、ロン・ノルからシアヌークの政権にかわった。そうすると新しい政府に、日本へ来ておった外交官は重要犯罪人だというような烙印を押されるような立場の人もできてくるのではないか。いままでの政府から見たら忠実な外交官が、新政府から見たらとんでもない重要犯罪人だ、こういうことがあり得るかどうか、ちょっとお尋ねいたします。
  374. 高島益郎

    ○高島政府委員 それは、カンボジアの新政府がどういう態度をとるかによるものでございまして、日本政府として、日本にいますカンボジアの外交官がどうなるかということをちょっと申し上げるわけにはまいらないと思います。
  375. 受田新吉

    ○受田委員 重要犯罪人として、犯罪人引き渡し条約などによってでも引き戻すというような犯罪人というようなことになったときに、日本は政治的亡命者としてこれを扱うのか、そういうような問題が当然起こってくると思うのです。これは、こういう場合はこうなる、こういう場合はこうなるというのが慣例でもあるはずですから、いまそれを言うておくと向こうの政府に刺激を与えるからという配慮があれば、その配慮をお答え願いたいのです。――むずかしいですか。むずかしければ無理に要りません。
  376. 高島益郎

    ○高島政府委員 いま実は、カンボジアとの関係は何もないわけでございます。辛うじて北京にありますカンボジアの出先の大使館と若干の接触はございますけれども、いずれにしてもカンボジアの新政府が、そういう外交関係につきましてどういう態度をとるかという点が全くわかりませんので、この段階で何か申し上げることは差し控えた方がいいと考えております。
  377. 受田新吉

    ○受田委員 デリケートな問題であるとすれば質問を遠慮しましょう。  次長さん、旅券を持って日本へ来て勉学しているが、本国が旅券の発行をやめて効力がなくなった後になお、救済措置をしばらくとりたいといういまお話しでしたね。これは期限が別にあるわけじゃないのですか。無期限にということでしょうか。
  378. 竹村照雄

    ○竹村説明員 たとえば、直接のお答えにならぬかもしれませんけれども、サイゴン政権のもとから派遣された留学生で、もうサイゴン政権はいやだ、チュー政権はいやだ、革命政府がいいと言って、いわば反旗を翻してサイゴン政権から旅券の期間の延長を拒否された者、そういった者もおりまして、これは現在約三十名おりますけれども、こういった人たちは、われわれは引き続き留学生としての在留を認めておるわけです。そういった方針は、逆の立場に立ってもわれわれは貫くべきものであると考えます。
  379. 受田新吉

    ○受田委員 わかりました。お二人、結構です、どうぞ。御多忙の中御苦労でございました。  それから、大臣もお時間が迫っておりますので、今度は大臣にお尋ねをしてみたいのです。  その前に、坂田長官、あなたは防衛当局者として、ベトナム後のアジアにおける軍事的な焦点を朝鮮に合わせるような発言をされたことがありますかどうですか。あなたの発言の中に、防衛庁長官が朝鮮の武力紛争の事態というものを想定して、その場合における日米防衛分担協定を結ぶ意向を明らかにしておると判断してよろしいかどうか。
  380. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 そうではございません。
  381. 受田新吉

    ○受田委員 防衛分担構想は、目標は何でございますか。
  382. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 日米安保条約というものを有効に働かせるために、防衛責任者同士が話し合いの機会を持つということは大事なことであるということで、シュレジンジャー長官に招待状を出したということでございます。  それから、参議院におきまして社会党の上田哲君から質問がございまして、それに答えまして、日米安保条約に基づくいろいろの協議あるいは情報の交換、そしてまた防衛分担、これはいろいろあろうかと思いますけれども、それらのことにつきまして、忌憚のない意見の交換をするということが必要ではないだろうかという趣旨でございます。
  383. 受田新吉

    ○受田委員 東北アジアにおける新しい情勢というものを別に認識はしていないわけですね。
  384. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 それは、ベトナム後における北東アジアの情勢についての私の認識それ自体は持っております。
  385. 受田新吉

    ○受田委員 それを承りたいのです。
  386. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 朝鮮半島につきましては、御承知のとおりに、北朝鮮と韓国との間に軍事的対峙があるという事実、しかもまた、三十八度線を境といたしまして、この数年来いろいろの武力衝突があった。まあ小さいことではございますけれども、そういう事実もございます。しかしながら、現在、中国及びソ連、そしてまたアメリカ三国は、この朝鮮半島の従来の情勢、そういうものが変わるということを望まないというふうに認識をいたしますので、したがいまして、何かいま直ちにここで戦争が起こるというようなことはないというふうに私は見ております。
  387. 受田新吉

    ○受田委員 大体真意を承りました。  ここで、外務大臣と御一緒に御答弁をいただかなければならぬ問題が起こるのです。  ポストベトナムの問題に関して、韓国を含む東北アジアの情勢というのがどうあるかということについて、シュレジンジャー国防長官はもうこう言っております。米国は通常兵器に対する核兵器による先制攻撃があり得ることを明らかにしている。これは長官が米国の議会への報告でそういうことを言っておる。また米大統領、国防長官が、北朝鮮が南を攻撃する場合には、北朝鮮の心臓部を徹底的に攻撃すると述べております。米議会ではデルムス下院議員が、韓国に千発の核兵器が貯蔵されているというようなことを言っておるわけです。  どうもこの種の不穏な発言がございますが、韓国を中心とした新しい事態が起こったときに、日本の置かれている地位というものが、私は非常にデリケートになる危険があると思うのです。私はこれまで何回かお尋ねしたし、この間から他の議員も尋ねていらっしゃることですが、もう一遍繰り返します。  宮澤先生、佐藤・ニクソン共同声明の際に、佐藤さんの発言の中に韓国条項が出てきておるわけですね。その韓国という国に急な事態が起こったというときに、戦闘作戦行動の発進基地として日本における米軍基地を使う場合に、日本はその認識に立って「事前協議に対し前向きにかつすみやかに態度を決定する」、これは今日まで生きておる。この韓国に対する武力攻撃が発生することがあればというこのことに対する総理大臣佐藤さんのナショナル・プレス・クラブの演説、この精神はまだ生きておるということですか。
  388. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほどから御指摘のように、朝鮮半島の事態はやや緊張をいたしておりますので、そのようないまの段階におきまして、私が、ただいまお触れになりました問題につきましていずれとも申し上げますことは、平和維持、増進のために建設的な結果にならないであろうと思いますので、ただいまの政府の態度につきましては、申し上げることを御遠慮させていただきたいと考えております。  ただ、ただいま御指摘になりました佐藤首相のそのような言葉は、一九六九年、その当時ワシントンのナショナル・プレスクラブにおける演説の中で述べられたものでございまして、その後一、二年にわたりまして、国会におきまして何度か御議論がございました。それに対しまして、たとえば曽祢益議員の質問に対して佐藤総理大臣が、実はその際自分の用いた言葉は適当でなかった、政府の立場は事前協議であるから、ノーの場合もありイエスの場合もある、そういう意味であったということを国会で正式に答弁をいたしておられますので、私は、そのプレスクラブにおけるそのような言明は、その限りにおいて修正を受けておるものというふうに考えております。
  389. 受田新吉

    ○受田委員 これはきょうは、外務大臣、時間が迫っている中で、ひとつたくさんお尋ねすることがあるのですが、その問題はそこまででおいて、ひっかけてちょっとお尋ねしておきたいのです。  きのうでしたか、外務大臣、今秋の国連総会で国連軍解体決議が出されたときに、これに対してこれを大目に見ていくというような意味の御発言があったのですか、ちょっと確認します。
  390. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨年の国連総会におきましても、そのような総会の決議がございまして、これはいわゆる非同盟国が中心になりました決議でございましたが、賛否同数で成立をいたさなかった経緯がございますが、その後の世界の動きを見ておりますと、もし今年同様な動きを非同盟がいたしますときには、恐らく総会の決議としては成立するであろう、このように申しました。
  391. 受田新吉

    ○受田委員 その決議が成立した効果はどういうところにあるのでありますか。決議が成立すると、国連軍を解体するという実質的な効果があるのかどうか。国連軍は安保理事会で決まった韓国の国連軍ですから、決議案で決まったとしても、実効の上では何ら影響がないと私は判断するのですが、いかがでしょうか。
  392. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはごもっともなお尋ねと思いますが、確かに国連軍を創設いたしましたのは安保理事会でございますので、筋道から考えますと、総会でそのような決議が成立したといたしますと、安保理事会はそれを受けまして、この問題についての審議、討議をしなければならないことになるであろうと思うのでありますが、ただ、御承知のように、国連軍が創設されました当時の安保理事会の常任理事国は台湾政府でございました。そうして国連軍創設のときに、当時の大陸中国はいわば侵略者といったような立場に国連では解釈をされております。したがいまして、現在の国連の安保理事会におきまして、現在の中国政府がそのような審議をいかに扱うであろうかということには、実はかなり未知数の点がございます。果たして安保理が、有効に総会の決議が仮に成立いたしましたとして、それを受けて安保理としての決定に至るや否やということは、実はただいまから予測が大変にむずかしい問題であると思います。
  393. 受田新吉

    ○受田委員 これは、安保理事会にはアメリカがいるわけですし、そう簡単に、決議案が通ったからといって、安保理事会がこれを練り直すような情勢ではないのじゃないですか。これははっきり非常な決議案の影響力が出てくる可能性があるのでございますか。実際問題として影響力はどうあるか。安保理事会そのものは台湾もおった時代のことですけれども、主役のアメリカがこれにがんばっておる限りこの決議案は、アメリカの国連軍ですからそう簡単にどうですかね。これは事務当局でもいいですよ。そこは国連局長でもいいし、御答弁をいただければだれでもいいです。何ら実効はないということじゃないかということですよ。
  394. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは一種の予測でございますけれども、もし朝鮮半島におきます平和維持のための、つまり停戦の取り決めでございますが、この一方の当事者が国連軍になっておりますので、国連軍が解体された場合に、当事者がなくなるかどうかという問題がございまして、したがって、そういう法律的なフレームワークをどのように残しておくかという問題、これは大きな問題であると思います。わが国としても関心がございますが、そういうことについて合理的な解決案が考えられるのであれば、これは私の想像でございますけれどもアメリカといたしましても、もし国連総会あるいは安保理事会の大勢というものがそのような形で展開をしてまいりましたら、それに直ちに絶対に反対をいたすものかどうか、それは私は必ずしも即断できないのではないかという感じがいたしますが、展開いかんであると思います。
  395. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、決議案が通った場合はあるいは影響が出てくるかもしれぬ。しかし現実には実効を伴うような決議とは思えない。安保理事会の壁が一つあることをわれわれは含んでおかなければならない。いかにも何かこう国連軍が解体するという見通しがあるように世間に印象を与えておるが、しかし、結果は厚い壁があるんだということを外務省も国民に知らせておかないと、国連軍は決議案が今度通ればやがて朝鮮から消えるんだよ、韓国から消えるんだよという印象を国民に与えておる傾向がちょっとあると思うのです。この点どうでしょうか。
  396. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一言つけ加えますならば、現在の事態におきまして、朝鮮半島における国連軍の実態は、実はかなりもう、数におきましても組織におきましても形式化いたしておりまして、他方で米韓条約がございますので、米軍は御承知のように多数駐留をしておるということでございます。  ただ、国連軍として現在板門店におきましてずっと接触があるわけでございますので、会談のようなものがあるわけでございますので、そのたとえば主体というようなものがなくなってしまうというような問題が出てまいります。法律的なフレームワークも、そういうことをどうするかというようなことも実は解決を要する問題ではございますけれども、国連軍そのものの数等は、実は非常に縮小されてしまっておるというのが事実であろうかと思います。
  397. 受田新吉

    ○受田委員 私ね、この際、大臣、御認識をいただきたいのですけれども、米韓、米比、日米というそれぞれの防衛条約がある。同時に、国連憲章五十三条による敵国条項に基づく中ソ、それから中国と北鮮、朝鮮民主主義人民共和国、それから北鮮とソ連、それぞれの国に日本を仮想敵国とする友好同盟条約が現に存在しておる。これは非常に大きな矛盾がいまあるわけで、日本を仮想敵国とする三つの条約が、国連憲章の規定のもとに生まれておる。これは残念な現実ですね。私もかつて二回ほど、この問題を国連総会へぶちまけることをもう十数年前から提案しておるのですが、最近これに対して働きかけをした形跡もないようだ。このあたりで、アジアの緊張を緩和する、中国との間に新しい道も開けるということになるならば、この日本を仮想敵国とする三つの条約などに対して、国連の場で、今度また外務大臣行かれた場合は、ノーベル平和賞をもらう佐藤さんのような人が日本におるのですからね、もう仮想敵国の三つの条約はお許しください、敵国条項は削除してくださいと、もう国連の場において有力な国家になる日本ですから、外務大臣、強く提唱してもらえませんかね。
  398. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ちょっと事務当局から説明を聞いたわけでございますけれども、この五十三条第二項で申します敵国でございますが、まあ論理的には、この文章を読みますと第二次世界大戦の云々ということでございますが、わが国はもうすでに国連に加盟をいたしておりますし、ただいま御指摘のようなことでございますから、この敵国の中にわが国が含まれていないということは、恐らくすべての国連加盟国が認めているところであろうと思いますが、この条項そのものは、ベルリンの状況がああいう状況のままでございますために、それとの関連で廃止をすることがむずかしいというふうに説明を受けております。
  399. 受田新吉

    ○受田委員 もう東独、西独、どちらも国連に加盟しておるという現状において、この敵国条項を生かす理由はもうなくなっておるのですよ。それから日米安保だって敵国を一つも対象に挙げてありません。ところが三つは日本を敵国にしておる。そういうことでこれは片手落ちですわ。国際的不公正です。公正な条約に切りかえる時期が来ておる。東西ドイツがもうその壁を破ってしまっておるのです。局長さん、どうですか。大臣の御答弁よりも、事務当局として専門的な立場で御答弁してください。
  400. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 御質問がありました国連憲章のいわゆる敵国条項につきましては、先ほど大臣が申されましたように、私どもといたしましては、日本が平和愛好国家として国連に加盟を認められておりますし、あそこで想定しておりますような敵国に該当する取り扱いを受けるべき立場にはもうすでにないという考え方に立って、国連憲章の敵国条項につきましては、すでにわが国については適用がないという考えをとっているわけでございます。ただ、敵国条項の廃棄ないし改正の問題ということになりますと、国連憲章全体の再検討の一つの問題として取り上げられるわけでございますが、ほかにいろいろな再検討を要すべき問題がございますし、また敵国条項につきましては、ベルリンについて、なお現在連合国の管理が法律的には続いているという状態もございますので、これをどういう形で廃棄するか、削除するかというのが法律的にはかなりむずなしい問題があると考えております。したがいまして、五十三条をいま直ちに削除する、あるいは廃棄するということをわが国が主張いたします場合に、現実的にはやはり若干困難な問題が含まれていると考えざるを得ないと思います。  さらに、中ソ同盟条約、これは明らかに日本という国に言及いたしまして、中ソ間の同盟条約として締結されております。この条約が締結されましたことについて、恐らくソ連あるいは中国も、国連憲章上は、いま申されました敵国条項によって合法化される、制度化されるという立場をとっているかと思います。それから中国と北朝鮮との間の援助条約、あるいはソ連と北朝鮮との間の援助条約、これは直接には日本には言及いたしておりません。こういうような三つの条約について見ますと、いずれも形式的にはその効力が存続していると考えるのが妥当であろうと思いますけれども、わが国といたしましては、ソ連とも友好関係を持ち、また中国とも現在友好関係を持っておりますから、現実の問題として、これらの条約が日本との関係において適用されることはないであろうというふうに考えているわけであります。  これらの条約についてどういう措置を講ずるかということは、日本自身の問題ではなくて、それぞれの当事国であります中国なりソ連の問題である。したがいまして、私どもといたしまして、中国なりソ連に対して、これについてどうこうすべきであるということを申すことは、まさしくよその国に干渉するということにもなりますので、その点はやはり相当慎重に考えなければならないというふうに思っております。
  401. 受田新吉

    ○受田委員 あなたとは、局長さん、長いおつき合いですから、後からもう一遍その問題は……。大臣がもう時間が来ていますから。  宮澤先生、あなたは非常に忠実なお方で、質問にあえて応じていただいて、外交儀礼までも融通してもらっておるのですから、五分間しかありませんので、ひとつ国連総会で南北朝鮮の同時加盟という問題が起こったとき日本はどういう態度をとりますか。
  402. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点は国連の普遍性を高めると思いますので、支持をいたしたいと思います。
  403. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、韓国の方は同時加盟を提唱しているが、朝鮮民主主義人民共和国の方は、統一を前提として納得していない。  いま南北両方の朝鮮を承認している国がそれぞれ何国あり、同時に両方を承認している国が何国あるか、ちょっと数字をお示し願いたい。
  404. 高島益郎

    ○高島政府委員 韓国を承認している国の数は九十四、北朝鮮を承認している国の数は七十三、双方を承認している国が四十、これは本年の二月一日現在であります。
  405. 受田新吉

    ○受田委員 北を承認している国が非常にふえてきたとか、両方を承認している国がふえている。これは毎年ふえつつあるようですが、もう北と南を承認している国が七十三と九十四、非常に接近してきました。そして双方を承認している国も四十と、ここまでくると、国連の同時加盟という運びを大臣もおやりになろうということになるならば、その点はまずひとつ十分国連の場で御努力をしていただくべきだし、朝鮮半島の緊張緩和という意味からも、われわれはその方向を願っております。ただ、北を承認する国がこれだけの多くの国になっているという時点において、このあたりで朝鮮民主主義人民共和国に対しても、一応もうりっぱな国家として形をなしておるということであれば、適当な承認への条件をだんだん積み重ねていってもいいんじゃないでしょうかね。
  406. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点は実は非常にむずかしいところでございまして、私どもとして最大のわが国の国益、あるいは周辺に対する関係から申しますと、朝鮮半島のバランスというものが非常に微妙なものでございますので、わが国のように、近くかついろんな意味で影響力のあります国が北鮮を承認をするということになりますと、そのバランスに不測の変化を与えないとは限らない。そうなりますと、朝鮮半島の平和というものがそこから壊れる危険がある。かなり実は神経質に考えなければならない問題だと思っておりまして、したがって、私どもとしては、北鮮とは人的にあるいは物的にいろいろな交流を、文化上の交流などもあわせましていたしておりますし、それは決して門戸を閉じないという考えでおりますけれども、承認ということになりますと、ただいまのような理由からやはりよほど考えなければならないという立場を政府はとっておるわけでございます。
  407. 受田新吉

    ○受田委員 これでおしまいにします。  私、韓国との親善関係は、これは基礎的に大事な従来の関係があるんですから、十分これを尊重しながら、北に対してもこれほど接近して、いまもう世界の国がほとんど互角まできておるんです。そうなれば、あえて共産主義の国家であるからといって、それを毛ぎらいしなくてもいいことだし、金日成主席そのものが、この間の新聞を見てもわかるんですが、AFP記者との会談で、韓国を侵略する意図は全然ない、こういう発言を明確にしておる。この金日成主席の発言というものを宮澤先生信頼しますか。信頼しませんか。――むずかしいですか。答弁を要求することがむずかしければ、これに対して、これを信頼するという前提に立つならば、私は、朝鮮半島の緊張というものは、日本が友好関係を両国に持つことによって本当に効果的な成果を上げることができると思うのです。そういうかっこうで北朝鮮をながめていく時期が来ておるんじゃないか。そのあたりでもう英断をふるっていい時期じゃないか。もうこれは互角のところまで接近したですよ。国際世論になった。それに最後にお答えをいただいて、七時というお時間が参りました。御苦労でございましたと申し上げます。どうぞ。
  408. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 わが国が北朝鮮を承認しておりませんのは、それが共産主義国家であるという理由からではございませんで、先ほど申し上げましたような、朝鮮半島のかなり微妙なバランスに不測の影響を与えたくないという配慮からでございます。金日成首相はモーリタニアを訪問された際に、南北統一は平和的手段により行われなければならないと言われた由でありまして、私はそのように金日成首相が考えておられることを心から期待をいたすものでございます。
  409. 受田新吉

    ○受田委員 どうぞ、お時間です。  坂田大臣、あなたの御発言にみな関係してくることになるのですが、私、坂田先生防衛庁長官であるということに、実にほほ笑ましい感じを持っております。お顔がやさしくて、気立てもやさしい。三軍を指揮される最高指揮官としては、余りにも柔和でいらっしゃる。そこにハト派長官の感じを与えておるのですが、私の認識が誤っているかどうか、お答え願いたいです。
  410. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私はこういう人間でございますから、同じ文教委員をしたこともございますし、いかように御判断になりましても、そのとおりに受け取っていただきたいと思います。
  411. 受田新吉

    ○受田委員 文部大臣、厚生大臣として、人を大切にし人を幸福にするための閣僚を歴任されたわけでございますが、国家権力として強大な力を持っている、国土、国民を守るための自衛隊の最高責任者としては、また変わった責任がおありなはずなんです。それで、御就任以来なかなか味のある御発言もあるし、行動にも移っておられるし、また米国防長官とも積極的に会って問題の処理に当たりたいという熱情もわかります。わかりますが、そこに長官、従来、防衛庁は防衛庁サイドで日本の自衛隊をながめてきた。国民の自衛隊というかっこうの方がおろそかになりがちで、防衛庁という役所的な認識でこれまでながめてきた傾向が濃厚なんですね。これを国家、国民を守る自衛隊、最小限の自衛措置としての自衛隊、こういう形にするためには、外交努力、財政努力、国民的合意の努力、いろいろな要素を総合的に持ち、これを築き上げて自衛隊という存在がいるわけです。だから、自衛隊を強化するということが、単に軍を強化するという意味でなくして、外交的努力によっても、財政的にも倹約しながら国民の合意を得て、そしてその中に量よりも質の豊かな自衛隊、こういうことにしなければならぬ。  いまあなたが、次のポスト四次防の構想について、あなたの部下に御指示をなさった。これは拝見しました。たかなかいい文章で、その中には、陸、海、空の各幕の十分の調整も挙げるなどという、幾つかの建設的なお答えも出ておるわけですが、坂田先生の御構想をおつくりになったときには、防衛庁の内局だけでなく、あるいは制服の方の意見も入れた、外交サイド、財政当局、その他一般国民の良識ある代表者とおぼしき人々を含めた総合的な認識の上に立った御指示であったのか、主として防衛庁でこれをおつくりになったのか、御答弁願いたい。
  412. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 それに直接お答えをする前に、少しお話しを申し上げてみたいと思います。  それは、私、就任いたしましてから、日本の国防、防衛というものの任務を果たすためには、いま御指摘になりましたように、単に防衛力を増強するということだけでは全うできないんだという考えがございます。国民の理解と支持と協力がなければならないということがその一つでございます。  それからもう一つは、やはり軍事的なものだけではいけないので、外交努力、それから内政、福祉、教育、経済、あるいは文化全体と申してもよかろうかと思いますが、そういう広い視野に立った中において日本の防衛を考えていく。国民を守る。しかも国民といった場合には、その国民の一人一人のいわば生存あるいは国民の自由というようなものをひっくるめて守る、そういうことでなければならないというふうに考えました。私がその理念を実現するために最初に考えましたのが「防衛を考える会」でございまして、十一人の委員の方に委嘱をいたしまして、防衛庁だけでなく広い国民的視野で防衛を考えていただくということで、たとえばかつて朝日新聞の論説委員でありまして、「天声人語」なんか書かれました荒垣さんだとか、あるいはNHKの論説、しかも外交官の経験もあられる平沢さんとか、あるいはアメリカの大使をされた牛場さんとか、あるいはシビリアンコントロールというようなことを考えるならば、国会の実際の実情というものを把握された、参議院ではございますけれども事務総長の河野さんとか、あるいは法制局の、単なる法律学者ではなくて、国会における法律というものを実地に適用することについて、与野党の間にどういうような意見が闘わされておるかということも十分知られたような荒井さんであるとか、あるいは女性の方で角田さんは、単に日本のことだけでなく外国に行かれた経験もあるし、駐在した関係もあるというような、そういうようなそれぞれの持ち味を持った方にお集まりいただいて、国民的視野で防衛を考えるという場合にどういうような御意見があるだろうか、そういうことについて耳を傾けながら、ポスト四次防にいたしましても、防衛構想というものも考えていかなければならぬということが一つであります。  それからもう一つは、国防会議がございますけれども、これがこの十年ばかり、少し実質審議について十分でなかったのではなかろうかというような気もいたしまして、むしろやはり総理大臣、外務大臣、防衛庁長官、あるいは大蔵大臣、経済企画庁長官等々が入って構成されておりまする、いうならば国防会議というものが、そういう先生御指摘のような広い視野に立って、経済、民生、文化、教育、あるいは技術というような、そういう面から防衛を考えるということにおいて適切なる審議がなされるのではなかろうか、こういう考え方で、これからはひとつ国防会議も活発な動きをしてもらいたいというふうに考えておるわけです。そういう背景がございましてポスト四次防についての長官指示をいたしたわけでございますが、その段階においては、一応そういう考え方を踏まえて指示をいたしました。  しかし、その指示もいたしましたが、その防衛庁で考えましたものをまた国防会議等にかけまして、そしてそこでもひとつ基本的な問題について御議論をいただくという道も開きたい。そしてまた、それを聞きながらもう一遍、防衛庁でその指示いたしました問題について、たとえばポスト四次防の開始されます来年の八月、五十二年度の予算編成までの間にかなりの時間がございますから、何回かそういうようなことをして、いろいろ国民の意見を組み入れながらひとつ新しいポスト四次防の政策意思決定を行いたいというふうに考えておるわけであります。
  413. 受田新吉

    ○受田委員 大臣としてよほど念を入れられておることはいまわかりました。念には念を入れて多くの意見を吸収したいということ。ところが、この四次防終了に伴う新しい業務計画の作成に関する長官の御指示、これを拝見しましても、これはやはり、防衛庁の内局等である程度専門的な知識を持つ者が中心になって書いたということはわかりますね。それは間違いないですか。
  414. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは先ほど先生御指摘になりましたように、内局及び統幕の人も入れまして実は方針を決めたわけでございます。
  415. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、いま国防会議のお話が出ましたが、国防会議の尊重度というのが由来いささか欠けていたというそしりがあったわけです。かつては有力な防衛庁長官であった中曽根先生が、国防会議の事務局長をとらえて、茶くみ坊主とかなんとかというちょっとべっ視したような言葉を申されたことがある。私はこの話を非常に不愉快に思って、中曽根さんは懇意な同期の桜ではあるが、個人としてもその言葉を慎んでほしいということを申し入れたことがあるぐらい、国防会議は、せっかく国防会議の構成等に関する法律によってつくられた機構ではあっても、従来、防衛庁も粗末にしておる、政府も国防会議にかけるべき重要事項を国防会議にかけぬでまあ精いっぱい懇談会でごまかしておる、こういう調子です。防衛庁長官も国防会議の構成員である議員であるのですが、この国防会議をひとつどういうふうに大事にしたらいいか、新たな構想がいま新鮮な感覚でおありだと思うのです。
  416. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 アメリカあたりになりますと安全保障会議というようなものもございますし、ちゃんとわが国においても国防会議というものがございまして、総理大臣、外務大臣、企画庁長官、あるいは大蔵大臣、それに防衛長官が集まって重要な国防の問題について審議をするということになっておるわけでございますから、これを十分活用するということが、国民の安全のために私は必要なことであるというふうに思うわけであります。したがいまして、ぜひともこれを活用いたしたいと思っております。その方策についていまいろいろ案も練っておるということでございます。
  417. 受田新吉

    ○受田委員 外務省の方々の意見をどの程度お聞きになったかです。平時における防衛力の限界というものを二年前に論議したことがあるわけです。結局これはうやむやになってしまいました。この平時における防衛力というのは一体どういう程度のものなのか。その平時における防衛力の数字・特に陸の数字は陸十八万で済んでおるが、船などは数万トンの差があるというふうな食い違いが現実に起こっている。あの平時における防衛力論争のときの問題は、その後何かの基準では生かしてあるのですか。事務当局で結構です。
  418. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 先生の御案内のような経緯で、結局、政府側としてあの案を撤回いたしましたので、公式には存在しないという形になっておりますが、あのような過程を経まして、国会に一度は説明を当時の防衛庁長官からされておりますので、そういう意味ではそれなりの意味のあるものであるということで、私どもとしては、一応当面の整備の限界といいますか、目標といいますか、そういう意味では一つの参考指針として使用させていただいておるということでございます。  中身は、陸につきましては十八万、五方面の十三個師団、これは現状どおりでございます。それから海につきましては、四ないし五個の護衛隊群、それをトン数にいたしました場合に、二十五万トンないし二十八万トンというところでございます。それから航空機につきましては八百機というのが当時の数量でございます。
  419. 受田新吉

    ○受田委員 その中で現在の実力はどこまで来ていますか。比較してお答え願いたい。
  420. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 陸は、先ほど申し上げましたように、数量的には同じでございます。それから航空機につきましては、大体同じところでございます。ただいま七百機程度でございますが、大体近いところでございます。海につきましては、現在約十六万トンをちょっとオーバーした程度でございまして、四次防が完成いたしましても二十一万四千トンということであったわけでございますが、御案内のような事情で、四次防完成は恐らくこれを約二万トン以上下回るのではないか。つまり十九万トン程度のもので終わるのではないかというふうに思われるわけでございます。
  421. 受田新吉

    ○受田委員 今回の改正案を拝見しますと、今度は法案にちょっと触れますが、陸は一応もうこれでよろしい、海と空は今回の改正をやってもなおふやすのかどうか、これでおしまいなのかどうか。陸と同じように人員はストップかどうか。今回の改正で終わりですか。空、海をお答え願いたい。
  422. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 人員につきましては、装備の取得、それから逆に装備が、艦艇にいたしますと除籍、あるいはその他、大型の装備につきましても廃棄というようなことがございますので、差し引きの問題がございますけれども、新規の装備の取得に伴って、それに相応する人員の手当てというものは、これは不可欠でございますので、そういう意味では、これから若干ふやすという結果にならざるを得ないと思います。
  423. 受田新吉

    ○受田委員 なおまだ若干ふやす見通しである、陸はもう一切ふやさぬということ、よろしゅうございますか。
  424. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 陸は当面現在の十八万ということを目標にいたしまして、中身の充実をこれから図るということを考えております。
  425. 受田新吉

    ○受田委員 私、大臣に特に認識していただきたいのですが、私がさっき申し上げました、量よりも質、質的向上を図るべきである。何回かこれを繰り返して申し上げた。陸だって十八万という。事実上は十五万五千くらいしか現員はいないのに、定数十八万をがんばってきておる。これを三万か五万かすかっと定数を減らして、そして隊員の対遇をよくして、国土、国民を守る意欲に燃えた優秀な隊員を採用せよと私は申し上げているのに、一向これをおやりにならない。まだ空と海はこれから徐々にでも伸ばそう。それから、平時における防衛力の上限を、海の場合においてはまだ七万も八万もずれがあるという現状であるというようなところを思いますと、今後、海については相当のトン数をふやさなければならぬ、こう思うのですか。
  426. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 大体におきまして、これからは質を充実する、量より質というふうにお考えいただいて結構だと思います。大体、陸につきましては十八万。ただしいま防衛局長が申し上げましたように、海と空につきましては、若干のふえはあると思いますけれども、そう増強するということには至らない。むしろそれよりも、全体といたしまして、質に重点を置いていきたいという先生のお考えに私は同感なんでございまして、特に一つの優秀な飛行機を動かすにつきましても、抗たん性と申しますか、レーダーサイトであるとか、あるいはいろいろなものが重要であります。しかしながら、その点が、いままで正面装備にお金がかかり過ぎまして、ともいたしますと、抗たん性というか、支援体制といいますか、そういうものができておらない。できておらないから、実戦の力としましてはそれだけ弱体であるというふうに言わざるを得ない。ポスト四次防というものを考えました場合においては、やはりその点に力を入れるべき時期に来たというふうに私は考えるわけでございます。  しかも、二十五、六万の陸、海、空の自衛官でございますが、この士気が上がり、そして質が上がることによって、その防衛力というものは非常に高くなるわけでございまして、二十五、六万おりましても、それは士気の低下があり、あるいはりっぱな自衛官でなかったならば、防衛の任務を全うすることができない、こう私は思うのでございまして、まずもってこれからは、量より質、抗たん性、支援体制、そういうことにやはり力を入れていくべきではなかろうかというふうに全般的には考える次第でございます。
  427. 受田新吉

    ○受田委員 私は、長官が今度のこのポスト四次防に考えておられる構想の中には、ちょっと変わった要素が入っている感じがするのです。いまおっしゃったようなことのほかに、相当な夢がおありである。これはたとえば装備品の更新、近代化等に対する費用対効果分析、そういうところも考えながら整備充実、正面防衛力と後方の支援体制との均衡、こういうところでいろいろやっていくと、環境保全等も含めて決して簡単な金ではできそうにない仕事がここに掲げてあるのです。だから、金も余りかけなくて質をよくするという行き方が要するわけなんです。私の党は自衛隊を国土、国民を守るために最小限の自衛措置として一応認めておる。したがって、この自衛隊のあり方について、余り前進したものを考えないで、専守防衛であるべきだということで、戦闘機のあり方についてもいろいろとわれわれがこれに見解を表明しておるわけですが、四次防に引き続く問題として次期主力戦闘機、FXというものを防衛庁自身が考えているのか。いや、ポスト四次防にはそういうものはもう考えなくて、FXは、いまのF104で、それができるだけ大事に使われるようにして、やめるというのか。こういうような問題も、いまの平時における自衛力の限界という意味から、私たちは余り前進をしないで、いまあるF104を、またF86もあるのだから、そういうものを大事に使って、壊さぬようにして、次期戦闘機をお考えになることのないように。たとえばF14あるいはF15というような幾つかをいま予想されておるというような新聞報道などもちょいちょいと耳にすると、もうポスト四次防には新しい夢をお持ちじゃないかという感じがするのですが、新しいFXの構想はないのでございますか。
  428. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 防衛局長からお答え申し上げたいと思うのですが、量より質と申し上げますと、やはり兵器というものが日新月歩で進歩いたしますので、そのためには、それ相応の、また日本の経済事情あるいは民生を圧迫しない程度において漸次更新をするということは、やはり必要だというふうに思っております。
  429. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 ただいま大臣の申し上げましたとおりでございまして、できるだけ現用の兵器を大事に取り扱って耐用命数を延ばすという努力、これはやっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、装備の老朽化、これはそれぞれの、特に空を飛ぶ航空機につきましては、その安全性の確保のために、耐用時間数を超しました場合には大変危険になりますので、やはりこれは消えてなくなるということにならざるを得ないわけでございまして、大体、昭和五十五年をピークといたしまして、ただいま展開をいたしておりますF104がだんだん消えてなくなっていくという情勢にあるわけでございまして、したがいまして、これの後継機をいまから考えて手当てをいたしませんと間に合いませんので、そういう意味でことしFXの海外の資料班を派遣をさしていただいておるわけでございます。六月一日に出発をいたしまして七月になってから帰ってくることになっておりますが、それらの調査をいたしました資料をもとにいたしまして、純粋に戦術運用、それから防空のための全般的な戦略構想、こういったものを基礎にして次期の戦闘機を選定をさしていただきたい。もちろん重要装備でございますので、これは国防会議の御決定を経るということに相なるわけでございます。
  430. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと数字を示していただきたいのですが、このF86、104、これは大事に、大事に使って、いまから落ちないとして何年まで持てるのですか。落ちることを計算に入れないで、大事に使って耐用年数は何年まであるのですか。落とさぬようにしてもらってです。機種を示して、耐用年度がいつまであるかをひとつ……。
  431. 山口衛一

    ○山口政府委員 現在、航空自衛隊で持っております三機種でございますが、86F、F104、F4とございます。86Fの方はF4等と比べますと、非常に初期の程度の戦闘機でございます。ただ耐用年数としますと、私どもはこれは、アメリカのこれまで使いました運用上の実績等から、それを参考にせざるを得ないのでありますけれども、平均しまして約三千時間というふうに言われております。ただこれも、ただいま先生がおっしゃいましたように、なるべく大事にということは当然考えておりまして、途中で主翼を補強したりいたしますと、その後さらに千数時間ももつということも実績がありますので、そのような主翼補強等も鋭意これまでやってまいりました。いずれにいたしましても、86等は非常に古い飛行機でありまして、これまでも再々国会等で、事故等につきましてのおしかりをいただいたりしておりまして、安全性につきましてもかなりの限界がきております。それから、いまのような主翼補強、あるいは一般的な三千時間というような航空機の耐用年数からはじいていきますと、86につきましては、ほとんど現在のところ数年もつことが非常に困難な状況でございます。それから104の方は、ただいま防衛局長がお答え申し上げましたように、昭和五十五、六年あたりで非常に減耗がはなはだしくなりまして、保有機数が極度に減ってまいります。これに対しましてF4の方は、現在第四次までの発注があるわけでございますが、これも当初四次防で百二十八機までということで契約を進めさしていただいておりますが、その後につきましては、私どもは国会の御承認も得ておりませんし、これにつきましては、今後どのように持っていくかということは、FXとの関連でも十分検討しなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  432. 受田新吉

    ○受田委員 従来の進行がまだ国会の承認を得ていない問題も控えているだけに、FXについてはよほど慎重を期してもらいたいし、そして大事に飛行機を使っていくという計算でいくと、もう百二十八機が完成したとして何年までもてるか。一機も墜落させないでやった場合、昭和六十年ごろまではもてるかどうかです。
  433. 山口衛一

    ○山口政府委員 これは一機三千時間という平均から言いまして、現在の訓練時間等から見ますと、一機におきまして大体十年前後というようなところではないかと思いますが、いずれにいたしましても、これも非常に明確に何年までということは言い切れませんが、おおむねそのような計算でやっております。
  434. 受田新吉

    ○受田委員 新しい飛行機をつくるには金がかかるのです。F14、F16というようなものは百億に近い金がかかるという説もあるぐらいなんです。安いもののYF16でさえも二十億もかかるというようなことを考えると、これは国民の負担を大変増大せしめることになることを忘れてはならないのですね。その費用の効率という問題を常に念頭に置いて、それから実際に飛行訓練でも、飛ぶだけでなくして本当に訓練になるような飛び方をしてもらって、遊び半分に飛んでいることはないと思いますが、油代も要ることだから燃料も節約し、非常に効果のある訓練をして飛行機を大事に使う。それから生命を大事にしてもらって、パイロットの生命軽視という思想を私はやめてもらいたいのです。これは全日空との衝突事件などを省みて、いまでも残念でしょうがない。そういう点で自衛隊が国民の批判を受けることのないようにやってもらいたい。その点よろしゅうございますか。
  435. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 やはり安全性ということを考えますと、相当の時間を飛べる、そういう練度がなければいけないわけでございます。それから、いま申し上げますように、これは近代兵器でございますから、世界的に見て何千時間が安全度であるということであれば、やはりわれわれはそれに乗るということでなければいけない。しかしながら、われわれといたしましても、一機幾らという非常に多額の金を要するわけでございますから、この点は十分考えて、これから機種の選定あるいはその数をどういうふうにやっていくかということは、慎重に考えていかなければならないと思います。  私は、大体、防衛計画を立てる場合におきまして、日本の防衛力というものは他国に脅威を与えるようなものであってはいけないということが一つ。それからもう一つは、極端に民生を圧迫するようなものであってはならない。こういうようなことを踏まえて防衛力を質的に充実していくという態度で臨みたいと思っております。
  436. 受田新吉

    ○受田委員 外務省の方々にちょっとお気の毒ですから、国際的な行事もおありだと思いますので、先にお尋ねをします。大臣、いまのお話をちょっと中断します。  いまお二人をながめておると大変お気の毒になりますので、外務省の方の任も解除して差し上げる質問をします。それぞれ三局長さんに御縁があるのですが、それぞれのお立場で御答弁を願いたいと思います。  朝鮮半島に私がさっき質問したような脅威が起こった、そのときに日本の基地から米軍の飛行機が飛び立ってその武力攻撃に対処する、こういうときに、もう繰り返し論争になるのですが、ちょっと確かめておきたいのです。時代が変わって、私はそうは思っていないけれども非常に切迫した情勢というように判断する国民もある。しかもそれはインドシナから朝鮮半島に近づいてきたという緊迫感がある。そういう世論が一つある。そのときに、余りにも隣の国であるだけに、ベトナムなどと比較にならぬ近いところだけに問題が一つ起こるのです。そこで明確にしておきたいことは、在日米軍が朝鮮半島における事件のときに飛び立って対処する際に、直接戦闘作戦行動として行動するときは、それはもう事前協議の対象でしょう。しかし済州島とか釜山などにちょっと移動して、そこから行動に移ったときは事前協議の対象にならぬ、こうおっしゃってきておる。たった二十分くらいで行ったり戻ったりできる非常に近い九州などから見ると、山口県などから大阪に行く途中の岡山辺と同じような近いところなんです。そんな近いところで、すぐ飛び立って戦闘作戦行動として動けそうな状態が発生する危険があるというときに、在日米軍の基地から飛び立つ以外は戦闘作戦行動として直接事前協議の対象にならぬということは、いまでも変わらないのでございますか。それから、日本の基地を飛び立って間もなく、飛び立った飛行機に指示が出て、どこを攻撃せよと命令を受ける、これは事前協議の対象にならぬということですね。そういうところに非常に複雑で、われわれから見ると非常に不安な問題が起こってくるのです。これは日米安保条約に伴うものとすれば、アメリカ局長の御担当ですか。お答えいただきたい。
  437. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 事前協議の対象となりますのは、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内施設及び区域の使用ということでございまして、日本の基地を飛び立って戦場に赴いて直接戦闘に従事する場合、これは明らかに事前協議の対象となるわけでございます。その他の場合、単なる部隊の移動であればもちろん事前協議の対象とならないと思います。ただ、具体的にそういう先生が挙げられましたようないろいろな事例は、無数に考えられるわけでございまして、結局、米軍がわが国の施設区域から発進する際の任務とか態様とかいうものが、明らかに戦闘作戦行動のための施設区域の使用に該当するかということを見きわめなければならないわけでございまして、結局、その具体的な場合場合に応じて判断するほかはないのではないかと存じます。
  438. 受田新吉

    ○受田委員 局長さん、現実の問題ですかっとお答えをいただきたいのですが、今度防衛分担をやるということになると、有事の際の非常に込み入った状態を予想しておかなければいけない。韓国におる日本人の生命、財産を非常に混乱した有事の際にどう守っていくか。これはどういうことになるわけですか。韓国で戦乱が起こった、そのときに日本人の生命、財産、身体に危険がある。どうされますか。
  439. 高島益郎

    ○高島政府委員 大使あるいは大使館といたしましては、そういう非常の場合、日本人の生命、財産の確保のために最善の努力を尽くす必要があることは当然でございまして、われわれといたしましても、そういう場合にはこうするということを常時考えておく必要があると思っております。しかし、いまそういう事態を想定してこういうことを考えているということをこういう場合申し上げるのは、いろいろぐあいが悪いと思いますし、また現に、朝鮮あるいは韓国でそういう事態が起こるということをわれわれ全く希望いたしておりませんし、またそういう事態を想定しておるわけでもございませんので、具体的にいかなる措置をとるかという点につきましては、差し控えさせていただきたいと思います。
  440. 受田新吉

    ○受田委員 お隣ですから、しかも韓国の安全は日本の安全だ、こう共同声明にも明白にうたってある。しかも距離が非常に近い。そこで戦乱が起こった、それに対して在日米軍が飛び立って行動しておる、在韓日本人は非常に危険状態に置かれておる、そういうときに防衛分担ということはどう考えられる問題か。防衛分担構想の中にこの問題をどう踊り出させてくるかです。これは外務省と防衛局長も一緒に含めて、そういうことは考えてはならぬことではなくて、これは考えられる想定です。韓国で戦乱が起こる、武力攻撃が起こった、それに在日米軍が動く、これは当然予想されることですからね。これを予想してはいけないということはないのです。そういうことが起こった場合、失礼でも何でもない。韓国には日本人がたくさんおる。日本人が戦乱のちまたで身体、生命、財産の危険にさらされておる。在日米軍の行動と、防衛分担をやっている日本の自衛隊は一体どういうことをやればいいのか。韓国へ救援のために出かけることが海外派兵の立場から一切だめということになるのか。どういうことなんです。
  441. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 ただいまの先生の御設想のような場合におきましても、わが国の自衛隊を救援の目的のために派遣することは、憲法に定められた現在の自衛隊の基本的な任務ということからは出てまいらないということでございまして、結局、実力をもって救出をするという仕事は、まさにアメリカ軍に依存をせざるを得ないと考えております。
  442. 受田新吉

    ○受田委員 有事の際の戦闘作戦行動でありますので、いろいろなことを想定しておかなければいかぬ。防衛分担を御計画される場合には、あらゆる場合を想定しながらその任務の分担を検討しなければならぬ問題ですから、それはあり得る非常に危険な状態である。そのときに、いかなる場合も海外派兵できないということですが、急迫不正の侵略に対しては敵基地をたたくことができる。防衛庁長官の言明が昭和三十一年以来明白に出ておるわけです。座して死するという状態のときには敵の基地に飛び込んでたたいてもいいということになっておる。これ防衛局長御存じですか。
  443. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 前の国会答弁でそういう御答弁があったことを承知しております。
  444. 受田新吉

    ○受田委員 そういう敵基地をたたくということは、結局、国内から敵の基地へ行くわけでございますから、それは海外派兵ということが言えないこともないわけなんです。事実問題として敵基地をたたきに行く。そのたたきに行くには行き方がいろいろあるわけなんです。それに人間が乗っていけば、これは明らかに海外派兵と見るか、あるいはそういう場合だけは海外派兵と見ないと言うのかということです。
  445. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 ただいまは憲法解釈の問題でそういう御発言があったことは承っておりますけれども、現在の自衛隊法によっては、そういうことはできないことになっております。
  446. 受田新吉

    ○受田委員 敵基地をたたき得る行き方の中に、実際に誘導弾等の攻撃に対処する行き方等、具体的な例示がしてあるわけです、憲法解釈だけでなくて。架空の議論じゃないのです。それはひとつ御研究願うことにして、私、質問を続けますから、その間にやっていてください。  私、韓国の場合だけ、非常に身近なところであるから、よけい不安があるわけなんです。南ベトナムの教訓をここへも生かさなければならぬのですが、韓国から米軍が撤退した、国連軍が撤退した場合は、韓国でございますから、南ベトナムとは違った秩序と行動が保たれるとは思いますが、米軍の撤退ということが考えられるかどうか。アジアにおける米軍の撤退作戦というものは全地域に及ぶ可能性はないのか。インドシナの実情などから見て、米国もいざというときには引っ込む。しかも、ここでちゃんとさっき読みました国防長官の発言などを聞くと、米国首脳部は朝鮮に対する認識がなかなか強烈ですね。そういう問題は、日本の防衛当局としても、外務当局としても、米国の動きに対しては、友好国であると同時に独立国家同士でございますから、やはりそのやり方に対しては常に適当な注意もし、また反省もしてもらうような行き方が必要だと思うのですが、防衛庁長官、あなたは近いうちに、早速国防長官とお話しになるし、向こうが来てくれなければこっちからでも行きたいのだということで、シュレジンジャーさんに大変な熱意を持っておられるのですが、シュレジンジャー国防長官の発言、五月三十日に明らかになった米議会の報告は、あなたはどこかでお読みになっておられますか。
  447. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 それは承知いたしております。
  448. 受田新吉

    ○受田委員 これは非常に積極的な報告です。あなたのような、さっき私があえて申し上げたハト派の防衛庁長官、お顔から見てもお気持ちから見ても平和で、絶対に好戦防衛庁長官とはだれが見ても思われない。かわいい坊やのような顔しかしていない。これが防衛庁長官かと人が誤解するほど。誤解と言っては失礼ですが、本当にやさしいお顔とお気持ちがあるのです。あるだけに、あなたがアメリカの国防長官とお話しされるときに、あなたの平和への愛好心を米国防長官にも十分認識していただくように、両防衛当局の最高責任者が腹を割って、アジアの安全のために、そしてお互いの協力関係をどうするかということについても、日本の置かれている立場を十分認識をしてもらって、専守防衛の日本を苦境に陥れないようにやっていただきたいのです。外務当局も、これは単に国防長官同士の話ということでなくして、一つの外交でございますから、これに対しては、アメリカ局長も条約局長もアジア局長も、それぞれ坂田さんが行かれることについては無関係ではないはずですね。この関係を外務当局からお答えいただきます。
  449. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 シュレジンジャーさんとの問題は、実はシュレジンジャーさんにぜひこちらへ来ていただきたいと言ってまず招待状を出しておるわけです。これはこの前、宮澤外務大臣が向こうへおいでになったときに、その意思は伝えてあるはずでございます。したがいまして、何らかのお答えがあるだろうというふうに私は期待をいたしておりますし、またその際は、日本の実情、憲法の制約、しかもその中において、日本の国を守るのにはどうなければならないかという私の気持ちを十分申し上げ、また向こうが何を日本に期待をしておるかというようなことも十分聞きたいと思っております。そして、それは単に一回きりのものじゃなくて、常時そういうようなことが行われる、あるいは情報の交換が絶えず行われるということが必要であって、日米間において、安保条約の実際上の作戦その他につきましても、何らかの機関が必要ではなかろうかというふうに思っておる次第でございます。安保条約を動かす運用面における何らかの機関日米間に常になければいけないのじゃないか。それは、政治レベルでも、またシビリアン同士でも、そしてまたユニフォームの段階でも、こういうことであります。
  450. 受田新吉

    ○受田委員 その機関は、いま幾つかの場合を予想されておりましたが、それを今度お話しして具体的にやるわけですね。
  451. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 まず、そういうようなことに到達いたします前に、まだ一度もお会いをしておりませんから、やはりこれはお会いをして、そしていろいろのいま置かれておる日本状況等もよくお話をするということがまずまず第一だと考えておるわけでございます。
  452. 受田新吉

    ○受田委員 初めてお会いするという。あなたがお会いして戻ったら、またおやめにならなければいけぬというような事態が過去において残っておるのですよ。それをいま初めて手をつけるようなお話をされる。従来のアメリカとの関係を十分基礎にして、その上でお話を進められるのなら、初めてごあいさつに行くというようなお気持ちが大臣にあってはいかぬのです。過去の防衛庁長官約束したこと、その上に今度おれが新しい使命を帯びて行くのだとなれば、初めてごあいさつに行こうかというような軽いことで行ったのでは国費をむだにするわけです。これはいけません。
  453. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 そういう意味ではございません。実は山中長官が向こうへ参られまして、その際もたしか御招待を申し上げたいという旨も言っておられたようでございますし、私もそれを受けまして、また新たな事態といたしまして、私自身が防衛庁長官として、日本の国を守る上において、どうしても日米間にもう少し緊密な連絡というものが常時必要なんだ、情報交換もあるいはできるならば何らかの取り決めも必要なんだ、こういうことでございまして、かなり強い決意を持っておる次第でございます。
  454. 受田新吉

    ○受田委員 その情報交換はそれでいいが、取り決めをやるとき、たとえば防衛分担についての取り決めをやるときは、これは国会の承認事項ですね。
  455. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 その点につきましても、やはり外務当局とよく打ち合わせをして、その形式等につきまして、この程度ならばどうなのかこうなのかということをいま検討させておる最中でございます。
  456. 受田新吉

    ○受田委員 それはだれに検討させていますか、具体的に。
  457. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 わが事務当局におきましてであります。
  458. 受田新吉

    ○受田委員 長官の部下の事務当局に対して。外務省との検討、外務省との打ち合わせは、ここに外務省の有力な将来ある三局長がおられるが、この方々は御縁がないわけですか。
  459. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 御縁がないわけじゃなくて、これは外務省の方々と話をしなければできない問題だと心得ておる次第でございます。
  460. 受田新吉

    ○受田委員 そうした日米間の防衛関係の取り決めということには、当然外務省が基本的にタッチしなければならぬ。それは防衛庁長官の独断ではできない問題でありますが、このことについては、アメリカ局長、いつも御相談を受けておりますね。今度の防衛分担の問題等を含んだ坂田長官の御渡米、あるいは向こうの長官をお招きするというようなことについては、御相談を受けておりますか。
  461. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 昨年山中防衛庁長官アメリカに行かれまして、シュレジンジャー国防長官といろいろ話をされたわけであります。われわれといたしましては、防衛庁長官アメリカの国防長官が話されることは非常に有意義であると存じまして、その当時もいろいろとお世話申し上げたわけでございますが、そのときに当時の山中長官は、シュレジンジャー国防長官を日本に招待された次第でございます。その後、坂田長官になられまして、この招待を確認されて、両国の共通の関心のある問題についてじっくりと話し合いたいという御希望がおありでございまして、このことを、宮澤大臣が本年の四月にワシントンに行かれましたときに、よく伝えてほしいということでございまして、宮澤大臣もこれを受けて、アメリカの国務省を通じまして正式にシュレジンジャー国防長官の招待を確認いたしたわけでございます。このような次第でございまして、外務省といたしましては、両国の防衛責任者同士の話し合いが行われることは、大変結構なことだと存じております。  ただ、いま防衛庁長官からお話がございましたように、会った上でじっくりといろいろな問題を話し合いたいということでございまして、具体的な問題についてはまだ十分われわれとしても承っておりませんし、また、大臣同士の話もこれからされることだと存じますので、そのお話のぐあいを承りまして、外務省としても防衛庁といろいろと話をしていきたいと存じております。     〔委員長退席木野委員長代理着席
  462. 受田新吉

    ○受田委員 長官、あなたがいま幾つかの機関を想定されておりました。これは私、結構なことだと思うのですが、私が非常に危険を感じておるのは、国防長官自身の朝鮮に対する認識が、北朝鮮の心臓部へ核兵器でもぶち込むような、こういう御発言というのは恐ろしいですよ。それだけに、これは当然日本へはね返ってくる問題だ。  それで、外務省がお帰りになるために、もう一遍最後にこのお話に返りますが、危険防止のために、日米安保に伴う事前協議は、必ずこういう場合にはこうだという、特に差し迫った近隣の問題になったときに、明確に日本の主張をもっともっと大きな線で採用できるようなかっこうの話し合いにできませんか。たとえば事前協議は戦闘作戦行動の場合が中心でございますが、それをやるときは、もう目的がはっきり攻撃と決まっている以上は、たとえ途中で一服していく場合でも事前協議の対象とする。そこまできちっとしておかないとこれは危のうございますよ。それだけは一札とれる外交交渉はできないものか。条約局長も、安保条約を扱う上で、何か条約の都合によれば――条約の九条、十条辺のところをちょっとわれわれから見たら、五年たった後には、一方的にやめると言えばやめられるような規定もあるほど明確になっているのですから、安保体制を堅持される自民党の政府であっても、やはり事前協議では厳しく日本の声を反映させるような取り決めをされておく必要がないかな。これは防衛庁長官を含めて一緒にこの点を厳しくしておいていただきたい。  坂田先生、ここはやはり、今度は近いところであるがゆえに、国民の不安が一つあるのです、南ベトナムの事態をよく知っているだけに。私はそういうことは余り感じないのですが、国民の声の中に非常に緊迫した感じを持っている人がいる。その人々に安心感を与えるためには、やはり在日米軍の行動に対する規制をきちっとしておく必要があると思う。これは日本の防衛の当局者としての大臣もその御認識を願っておきたいのです。大臣が御答弁できれば、国務大臣ですからね、これはもう外務省の局長さん以上の実力、権威をお持ちでありますから。
  463. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 この事実協議の問題につきましては、やはり外務大臣から御答弁を願いたいというふうに思います。私はやはり、外務大臣と一体となって日本の防衛を考えてまいりたいというふうに考えます。また先生の御趣旨は、十分私も承って善処をいたしたいと思います。
  464. 受田新吉

    ○受田委員 外務当局は非常に御苦労されていることがよくわかりますが、この問題はきわめて緊迫感を国民に与えているのです。これを安心させるために、外務大臣がもうお帰りになっておりますが、坂田大臣が十分閣議でも主張して外務大臣とも話すということでございますので、この問題をひとつ十分御認識の上御相談していただきたい。  松永局長さん、あなたがいまちょっと私にとって少し不満足な答弁をされておるのです。例の国連憲章五十三条の敵国条項というものを削除してもらいたい。それに伴う中ソ条約などというものが効力を失う。効力を失わないでも、敵国条項を削除してくれればいいのだから、中ソで条約を残しておかれてもいい。日本がその敵国ということ、それだけはひとつ国連の場にこれを主張されていって決して恐れることはない。あなた、何か引っかかることをおっしゃったでしょう。法律的に引っかかると。それば日本が正義の声として国連の場で主張されることは当然だと思うのです。それが法律的にどこが引っかかるが、ちっともわからぬ。国連憲章にその他にも敵国条項が規定されているところがあるのですが、これを削除するのは、国連に加盟して二十年もたっておる日本は当然ですよ。これをあなたが非常に遠慮して発言されておるのは残念ですが、勇敢に発言できないものか。外務当局としては、事務官僚としては困難であるという点がありますか。政治的に強く押そうとすればできるかどうか。
  465. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、国連憲章のいわゆる敵国条項につきましては、すでに日本については現実には適用はないと考えているという立場をとっているわけでございます。しかしながら、その日本の立場からいたしますれば、国連憲章になおこのような敵国条項が残っているということ自体は、決して望ましい状態ではないと思いますので、国連憲章を再検討いたします場合には、この問題も取り上げて検討されるべきであろうというふうには考えているわけでございます。  ただ、他方この敵国条項の法律的な問題につきましては、実は国連の中においてもいろいろと論議がございます。法律的な問題もございますほかに、先ほどちょっと申し上げましたけれども、ベルリンの問題について、連合国の管理権がなおベルリンに及んでおるという状況がございますので、日本の立場から考えた場合にのみこの問題を解決できる問題ではないということを申し上げたわけでございます。したがって、その敵国条項がなくなるということ自体は、日本にとっては好ましい、望ましいことであるという点については、私どももそのとおりに考えているわけでございますけれども、現実にこれを削除することが可能であるかどうかということを考えますと、そこにはやはり困難があるということも、私どもとしては理解しなければならないということでございます。
  466. 受田新吉

    ○受田委員 ベルリン問題を持ち出しておられるわけでしょうが、ちょっとそこの困難のところを私に示してください。ベルリンの法律関係をちょっと私に見せてください。
  467. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、ベルリンについては、なお連合国の管理権があそこに及んでおるという状態が法律的にはございます。そのベルリンに対する連合国の管理権というものは、まさしく旧敵国であるドイツに対して連合国がとった措置でございます。この措置はいわば占領ということによって法律的に説明されるわけでございますけれども、そういう措置というものは、現在の国連憲章のもとにおいては、合法的には正当な措置として必ずしも認められない。それがこの敵国条項がまさしく存続しております実はゆえんであるわけでございます。
  468. 受田新吉

    ○受田委員 そのベルリンは、もういま東西両国とも国連に加盟しておるのです。そしていまの管理権の問題というのは、これはどうもいま死せる管理権じゃないですか。それが生きておるという。もう現に両国とも国連に加盟して、平和愛好国家として国際社会に参加しておる。法律的な規定である管理権が、現に実際は生けるしかばねのような管理権ということであれば、そういうようなものを何とか国連の場で話し合いがつかないのですかね、ベルリンの問題だけいつまでも問題になるとするならば。私はどうもそこにひっかかる問題がある。  日本の国がそれがあるから主張できないというのは、日本は弱いと思うのですね。国連の場へ強力に主張すれば、その問題は自然に国連の場で解決しませんか。連合国のやっていることじゃないか。枢軸国と連合国の問題ですから。敵国条項の削除をやろうと言えば、国連の場でみんなが友情を出し合えば、これは解決する問題じゃないですか。それは非常に時間もかかる問題ですから、後からもう一遍詳しくお聞きしたいのです。私はちょっと納得しにくい。ここまで来ている問題が、法律論でどこか管理権がまだ残っているというような、何か生けるしかばねがあるような気がして、私はよくわからない。日本が主張するのになぜ壁があるのかという感じです。これはもう一度、もっとよく局長さんに事情を私は聞かしてもらいます。  それでは、外務省のお三人、せっかくお休みのところでありますが、私、あえてもう一つ、もう一遍念を押したいのです。繰り返しますが、在日米軍が行動を起こすことについて、ぴしっと歯どめをすることができないかということに対して、日本の基地から動いていくときに、直接行かない限り、途中で寄る場合はもう事前協議の対象にならないんだということ。ベトナムとは事情が違うのですから、もう身近なところであるだけに心配なんです。これに対して、何かもう一度これを検討したいというようなお声があれば、これでおしまいです。
  469. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 本年の四月に宮澤大臣がキッシンジャー国務長官とお会いになりましたときも、日米両国が安保条約を維持していこうという意思を確認し合っておるわけでございます。その中には事前協議条項も含まれております。ただ、その事前協議条項の具体的な発動、形態に関しましては、先ほど申し上げましたとおり、具体的な事例について判断いたしませんと何とも申し上げかねるわけでございまして、結局、日本から発進する米軍の行動については、その任務とか態容から判断する以外にはないということでございまして、それ以上のことはちょっとお答えいたしかねる次第でございます。
  470. 受田新吉

    ○受田委員 任務、態容というのを具体的にちょっと……。
  471. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 任務と申しますのは、いわば本当の戦闘作戦命令を受けて出ていっておるかということ。それからその飛び立つ形式、形態が、たとえば爆弾を積んで直接戦場に赴いておるということが客観的に認められるか、そういうふうなものを全部総合的に判断して、われわれとしては戦闘作戦行動であるかいなかが定まるべきものであるというふうに考えておるわけでございます。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕
  472. 受田新吉

    ○受田委員 沖繩の海兵隊の行動について事後承諾であったというような、こういう事例もあるわけなんで、この点、これは外交交渉ですかっと答えが出ると私は思うのです。事実上、途中下車をしても目的が戦闘作戦行動であるならば、それは事前協議の対象。やった結果が日本から飛び立って攻撃を加えたということであるならば、後からなぜ事前協議の対象にしなかったと抗議を申し込むことができるようなかっこうにしてもらわなければいかぬわけです。それがいまだからできる。つまり非常に近接した東北アジアの問題であるだけに、今度キッシンジャーとお会いになっても、宮澤さんにあなた方が御一緒に行かれると思うのですから、十分に私のいま申し上げたような点をアメリカと強く御相談をしていただいてはどうか。日本は弱い国じゃないのですから、日米安保を対等の立場で結んだ国家として、ひとつ日本国民の気持ちも十分くみ取って、アメリカよ、答えを出してくれと御努力をしてください。それをお約束できれば直ちにお引き取りを願います。これだけです。努力をしようということです。できませんか。――それでは、どうぞお帰りいただきます。事務当局者、むずかしいことだと思います。どうも長い間ありがとうございました。なかなかむずかしいことでしょうから。  今度は防衛庁長官、あなたの御決断で法律も改正できるような問題があるのを、いまからお尋ねいたします。  自衛隊法の第三条、これは先般ちょっと私、加藤さんの御意見を承っておったのですが、この第三条の「自衛隊の任務」で「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持」、これは法律担当の方でもいいが、ここを明確にしておきたいのです。「公共の秩序の維持」とは何でございますか。
  473. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 突然のお尋ねなんで、いま持ち合わせの限りでお答えいたしますが、第三条は御指摘のように自衛隊の任務を書いてございまして、「主たる任務」のほか「必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」「公共の秩序の維持」というのは、従前の私どもの解釈では、「自衛隊の行動」という章がずっと後の方にございまして、たとえば七十八条に「命令による治安出動」というのがございます。その七十八条の第一項は、「一般の警察力をもつては、治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」そういう場合をここで言う「公共の秩序の維持」に当たる活動のように、私どもは従前自衛隊法を理解しております。
  474. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務」としているという、その「間接侵略」が七十八条にある。その関係はどうなんですか。
  475. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 主たる任務に属する「直接侵略及び間接侵略」という部分は、ただいま申し上げたやつとパラレルに申し述べますと、第六章の「自衛隊の行動」の中で七十六条に「防衛出動」ということが書いてございます。この中に「外部からの武力攻撃(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)」ということがございます。これの態様としていろんな態様が考えられますが、直接侵略はその明確な場合でありますが、間接侵略で外部からの介入があるというような場合も、ここに解釈できるというふうに理解しております。
  476. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、七十六条の「防衛出動」に当たる間接侵略というのはどういうような場合ですか。
  477. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 それは、先ほども申し述べました第三条の「主たる任務」に属するような間接侵略が七十六条に言う「防衛出動」の対象になるような侵略でありまして、その対象の中で直接侵略がすこぶる明確な場合ですが、間接侵略は、明確な直接的な武力侵攻ではないけれども、外部の勢力の介入によって、外部からの武力攻撃と認められるような場合を言うというように理解しております。
  478. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、間接侵略には七十六条に該当する間接侵略と、七十八条に該当する間接侵略と、二様の場合があるのですね。外部からの間接侵略、つまり「外部からの武力攻撃」とうたってあるのですから、「外部からの武力攻撃」、または「外部からの武力攻撃のおそれのある場合」というのは、すぐ武力攻撃に移りそうなというんで、これは間接侵略の意味じゃないと私は思うのです。だから、外部からの武力攻撃に際して防衛出動するのですから、間接侵略に対しては防衛出動はしない。間接侵略は七十八条の「間接侵略その他の緊急事態」という意味であって、警察力をもってしてはということであると私は思うのですが、七十六条の防衛出動の対象になる間接侵略というのはいかなる場合か、これは私は問題だと思うのです。間接侵略というのは直接侵略と相対するものでございますから、これは国内におけるひそかなる侵略と私は解釈すべきだと思うのです。これはやはり自衛隊の任務、その任務に対応する自衛隊の行動、この行動の中で柱が防衛出動と命令による治安出動でありますから、この二つをいまから取り上げていきたいと思いまして、基本的な問題に触れたわけです。  そこで、この防衛出動でございますが、坂田先生、私はかつてこれを当委員会でお尋ねしました。しかし時代が変わってきたのです。もういまは自衛隊も国民の中へ定着しつつあるわけでございますから、この辺で明確にしていただきたい。国民合意の上の自衛隊になりつつある。もうそれになっているのです。私らの線から見れば、なりつつある。  そこで七十六条に「内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃に際して、わが国を防衛するため必要があると認める場合には、国会の承認を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。ただし、特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。」というこの規定は、非常に大事な規定なんで、このあたりでこの自衛隊法を根本的に検討する時期が来ていると私は思うのです。つまり、特に緊急の必要がある場合には国会の承認を得ないで出動するという、これは文民統制の上からも大変厳しい規定であって、この規定を乱用してもらうことになると、もう国民は大変なことになるのです。しかし、事実問題としては国会の承認を得るのがむずかしいので、好戦総理や好戦防衛庁長官であれば、さっとやる危険がある。伝家の宝刀を与える危険、乱用する危険があるから、めったなことにこの緊急出動をすることをやっちゃいかぬ。と同時に、七十八条の「命令による治安出動」は、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもっては治安を維持することができない、それで自衛隊の全部または一部を出動する。そのとき内閣総理大臣は、「前項の規定による出動を命じた場合には、出動を命じた日から二十日以内に国会に付議して、その承認を求めなければならない。」こういう規定があるのです、長官。  この規定がくせ者でございまして、「前項の規定による出動を命じた場合には、出動を命じた日から二十日以内に国会に付議して、その承認を求めなければならない。」だから、総理大臣は出動を命ずることができるのです。国会の承認をすぐは得なくてもいい、二十日以内に承認を得ればいいことになっておるのです。それで承認が得られなかったら、速やかに自衛隊を撤収しなければならぬという、ここもはっきり、「国会の承認を得て自衛隊の全部または一部を出動する」と、七十六条と同じランクづけをする必要はないか。その時期がいま来た。自衛隊発足以来二十数年、もう間接侵略のときには国会の承認を得て出る習慣をつけた方がいいと私は思うのです。国防会議の事務局長は肯定しておられるが、個人の情においては賛成でございますね。どうでしょう、この問題。ほかの方、事務局長にお尋ねしておるわけじゃないのですから。
  479. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、防衛出動の場合は大変厳格な要件になっておりますし、七十六条の治安出動の場合は「出動を命じた日から二十日以内に国会に付議して、その承認を求めなければならない。」ということで幅がございまして、要件としてはやや緩やかでございます。そこが、先ほど申し上げたように、七十八条の場合は治安出動ということで、第三条の任務から言いますと「主たる任務とし、必要に応じ」以下の事態に対処する活動であって、「一般の警察力をもつては、治安を維持することができない」と思われるような国内におけるいろいろな内乱状態のような場合を予想しておるのでございまして、一方、法律として七十六条、七十八条の要件が使い分けてあるのは、そういう趣旨であろうかと私どもは思っております。
  480. 受田新吉

    ○受田委員 いまの時点では使い分けをしない方がいいのです。つまり治安出動という場合も、命令による出動は国会の承認を得るのを原則として、緊急の必要がある場合には国会の承認を得ないで出動すると同じ形にしていい問題じゃないですか。このぐらい国会の権威を高めてもらいたいですよ。国会はどうでもいいから、二十日以内に承認をとればいいんだというずるい考えがこの法律ができたときにあったのですよ。国会無視もはなはだしい法律で、当時は自民党政府としても強い姿勢を示す時代であったのですが、いまは国民合意の自衛隊になっておるというときですから、国会の承認を得るのを原則として、やむを得ないときは承認を得ないという形になさってはどうか。命令による治安出動ですよ。待機命令じゃないのです。そういうことですから、この二つは同じかっこうにしたらいいんじゃないか。  防衛施設庁長官久保先生がおられるときでしたかね。いまは御所管ではないわけでございますが、この問題を御研究いただいたこともあるわけです。これは一遍議論をしておる問題です。議論をしておるだけに検討すべき問題かどうか。検討をする域に達しておるか。もう国会はどうでもいいんだという感じかどうか。国会の承認を原則とする。治安出動というのは大事なことですよ。前に赤城先生防衛庁長官のときに、当時の総理大臣から何かお話があったのを長官は先例として聞いておられませんか。
  481. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 安保騒動のときですね。
  482. 受田新吉

    ○受田委員 安保のときです。
  483. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 聞いております。
  484. 受田新吉

    ○受田委員 聞いておられるでしょう。そういうこともあるから、この際、あなたのような方が長官であれば間違いないが、間違いのある方がなられたときの歯どめとして、国会の承認を原則とするというかっこうにしておかれる方が、国会尊重ということになって文民統制に貢献するわけです。自衛隊法もだんだんとそこへ成長しなければいかぬと思うのです。国会尊重の自衛隊法であってしかるべきだと思います。御検討されるかどうか。
  485. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 この点は、何もいまの御指摘のようなことがあっても、国会軽視ということには直接はつながらないと私は思うわけなんで、いま直ちにこれを変えるというような考え方はございません。しかし、私も未熟でございますから、いろいろの場合を研究させていただきたいと思います。
  486. 受田新吉

    ○受田委員 ただ治安出動の方が時間のゆとりが逆にあるのです。防衛出動は緊急な事態で起こりやすいが、治安出動の方は、間接侵略がどう動くかは相当前からわかるのですよ。それだけに国会の承認を得ておく。だから、二十日もたった後に国会の承認を求めなければならぬというこの規定がおかしいのですよ。これは非常におかしいでしょう。どうせ国会の承認が要るのです。要るのなら初めに承認をとる。承認が得られなかったら撤収しなければならぬというのですから、大恥じゃないですか。せっかく出動して、二十日後になっていけないとなったら撤収するというのは、防衛庁大恥ですよ。
  487. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 私どもは、この自衛隊法のでき上がった法律の解釈として、現行法の仕組みについての理解をお答え申し上げたわけですが、いま先生が御指摘のように、国会の承認にかからしめるか、あるいは事後に国会に承認を求めることにするか、これはまさに立法的な立場で、私どもよりもっと高度の立場でいろいろ判断すべきことだと思います。そういう御指摘のような国会との関連における違いがあることは確かでございますが、七十八条の場合に、国会の承認にひっかかっておるということで、そういう意味の国会尊重の精神は十分にあって、しかも治安出動というものは、この立法者の立場としては、七十六条の場合よりは幾らか要件が違うというふうに理解したのではないかと、立法者の立場を推測するわけでございます。
  488. 受田新吉

    ○受田委員 立法者の立場と言われるが、これは国会が立法したわけです。われわれが立法したのです。紛れもない、お互い国会議員がやったわけですがね。このお互い国会議員が考えて、二の法律は近代的な感覚から見たらちょっとおかしくなった。法律を改めるには、時勢の波に乗って適当にやらなければならぬのですよ。まだあいまいもことして、水母なすただよえるときにできたこの法律を、いつまでも金科玉条として考えていくという思想は改めなければならぬです。自衛隊法で改めるべきところは適当に改めるべきで、「二十日以内」なんて、だれが見たっておかしい規定ですよ。(「憲法もそうだ」と呼ぶ者あり)憲法も改めるべきときは、あなた方は改めるとおっしゃるのですから。その点で、これはひとつ検討をすべき大事な問題であることを提示しておきます。  さて、私、ここで祖国を守ろうとする責任感の旺盛な防衛大学の学生のことにちょっと触れておかなければならぬ。この学生が日本のいまの自衛隊の幹部で、事実上これが中心になって日本の防衛に当たっていただいておるが、入学のときにどのぐらいの競争率であり、途中でどのぐらい落後して、何人卒業して、卒業して後に自衛官をどれだけやめたか。この数字は予告してありますので、おわかりと思います。日本の将来の自衛隊の質をよくする意味から、防衛大学へ入り国費で教育を受けた者がいいかげんに転進するという思想があるとすれば、これは非常に残念でありますので、私はあえてこれをお尋ねします。
  489. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 数字的な御質問でございますから私からお答えさせていただきます。  最近の五カ年、四十六年、四十七年、四十八年、四十九年、五十年卒業、期で申しますと十五期から十九期生までになりますが、その学生の志願者数、合格者数、入学者数、中途退学者数、卒業者数、卒業後の一年間における離職者数について申し上げます。  十五期の四十六年卒業者につきましては、志願者数八千三百二十、合格者数七百四十五、入学者数五百十二、中途退学者数五十五、卒業者数四百六十二、卒業後一年間に離職した者六十七。四十七年の十六期生は、七千三百十三、七百四十、四百九十五、六十九、四百二十八、六十四。それから十七期生、四十八年卒業でございますが、六千百四十二、七百四十一、五百七十八、八十二、四百九十七、六十一。十八期生、四十九年卒業、五千五百、七百五、五百十九、九十二、四百二十二、三十七。十九期生、五十年卒でございますが、四千六百七十一、七百三、五百五十五、八十九、四百四十六、四月までで三十六、以上でございます。  さらに念のため申し上げますと、本年の入学者につきましては、二十三期生になりますが、志願者数が七千九百七十五、合格者数七百九十九、入学者数四百九十七ということになっております。
  490. 受田新吉

    ○受田委員 いまの数字を見るとき、ちょっと私は残念な感じがするのです。志願者がたくさん出てくることは、これはいいこと。いい質の防衛大学生を招くのには、志願者がたくさんあることはいいこと。ところが、五十年に例をとりましても、七百九十九人で実際に入学したのは四百九十七人しかおらぬ。そして今度卒業するときは、ことしはまだ卒業していないから、過去の例を見ても、卒業するまでに落後する、卒業して一年以内にやめる数は、これは相当なものですよ。結局、入学した数字か任官一年後に――大体これで見ますと七分どまりですか。入学数は七分よりもっと平均して下がりますか。
  491. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 いまの先生の御質問でございますが、割合で申し上げます。卒業者の入校者に対する割合で申し上げますと、十五期生、四十六年が九〇・二、十六期生が八六・五、十七期生が八六・〇、十八期生が八一・三、十九期生が八〇・四という割合になっております。
  492. 受田新吉

    ○受田委員 それから、卒業して一年以内にやめる、卒業するときに落後する、また一年以内にやめておる。任官一年後における数字はどうですか。いまの示した数字を比率で示してください。
  493. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 途中の退学者と卒業後一年間の離職者を合計したものの入校者に対する割合をとってみますと、十九期生、五十年卒でございますが、二二・五%になっております。
  494. 受田新吉

    ○受田委員 つまり、落後したのが二二・五%、大まかに言って約四分の一がだめになる。防衛大学の学生として使命を帯びて入学試験に合格した。入学でまずやめる、それから途中で落後する、卒業して一年以内にやめる。せっかく幹部自衛官として国費を使って養成したのが四分の一もだめになるというのは、これはどこに原因があるでしょうか。いかがでしょう。
  495. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 いま先生御指摘のように、防大の在学中あるいは卒業の前後に相当数の者が退職するということは、非常に遺憾なことでございますが、その理由といたしましては、防衛大学校の性格を正確に把握していない、あるいは現在の自衛官の社会における地位というようなこと。あるいは四年間やってみまして、自分が肉体的にも自衛官としてやっていけない、ふさわしくないというようなことを考えてやめる者があろうかと思います。  その対策としましては、防衛大学校におきまして、防衛に関する任務の重要性ということをよく認識をさせますとともに、集団生活を通じまして極力自衛隊の本義を指導いたしまして、あわせて、最近陸上自衛隊において意識調査というようなものも出ておりますが、防大学生の意識というようなもの、あるいは学業生活の実態というようなものを十分把握いたしまして、よく指導してまいりたい、かように考えます。
  496. 受田新吉

    ○受田委員 防衛大学の卒業式を私は何回も拝見に行っております。できるだけ幹部自衛官の士気等も拝見したいと思って行っておる。なかなか規律正しくて、これはみごとである、頼もしいなという感じがちょいちょいする。長官は一遍体験したですね。それはなかなかきちっとしておる。それが任官してもまだ一年以内に相当数がやめていくというのは、これはどうかね。宣伝の仕方が悪かったというのか、何かどこが抜けたところがありますよ。国費をこれだけ費やして、そしてもし待遇が悪ければ、皆さんの方から、生命を賭する仕事であるから、待遇改善の法案をお出しになればいい。われわれもそういうことについては、生命をささげる職種の人に対して処遇を改善するのはやぶさかではない。何が不満かということですね。入学のときは、試みに受けようかというのがおるでしょう。それはやむを得ぬが、入って後に、それから任官した後にやめるというのは、これはどうもわからぬ。
  497. 菅沼照夫

    ○菅沼政府委員 ただいま先生の御指摘でございますが、私が申し上げましたのは、防衛大学校を卒業しまして、一年間幹部候補生学校あるいは部隊実習をやりまして、一年後に任官をいたしますが、その任官をするまでのことでございます。
  498. 受田新吉

    ○受田委員 それは幹部候補生学校へ行っておる間でしょう。幹部候補生学校へは一般の大学からも行っておる。それがみがき合いをしていけばいい。四年間防衛大学の教育を受けて、幹部自衛官としての教育を受ける間に逃げるというのは、これはおかしいよ。そのときが一番味があるはずだ。もう来年は任官をする。四年間も防衛大学で教育を受けておるのですよ。その一年間の三尉になるまでの間にということでしょう。任官というのは、卒業してから――ちょっと言い回しが私は悪かったのですが、一般大学の卒業者も教育を受けるのですから、それは決意がかたくてりっぱな人が残っておらなければいかぬのです。私は防衛大学の教育に欠陥があるとは思わないが、どこかにたるんだところがある。国費でただで教育してもらって、そしてさようならという行き方、これはパイロット自衛官が、ちょうど円熟したころに途中で航空会社へスカウトされて、高禄をはむのを見逃しておるのと同じようなことです。数千万円のパイロット養成費を犠牲にして民間パイロットにこれを送り込んでおる。  防衛庁長官、私が防衛大学の卒業式を見たときにあのきちっとしたのが、一年間にいまのように非常に多数の落後者が出る。一人や二人や三人、十人、二十人じゃない。いま見ると数十人が脱落しておる。どう思いますか。
  499. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 実は私も今度長官になりまして初めて防衛大学の卒業式に参りました。そして一面におきましては非常に感動をいたしたものでございます。ただ、御指摘のようなことにつきまして、この数字を見ればかなりの脱落者がおるということも事実でございます。この点につきましては、いま菅沼参事官から御答弁を申し上げましたとおりでございます。  しかし、一体われわれを取り巻いておる同じ年齢の青年の意識はどうかということを考えましたときに、私はさほど先生が御指摘になるほど悲観もしていない。まだ望みがあるというふうに見るわけでございます。と申しますのは、非常に戦前と違いまして、自由社会における自由というものを求めておるということは、先生、長い間教育関係を担当せられて理解が深いわけでございまして、たとえば、同じ大学生の姿からいうならば、かなり私は、やはり防衛大学にみずから進んで来た人がこれほどいるかということに、むしろ健全性というものを覚えるわけでございます。  そしてまた一つには、やはり外部における教育訓練というものに耐えかねる者もおると思います。そしてそれはまた、どうしても耐えかねる者はやめていただいた方がいいというふうに私は思うのです。もちろんそれは国費をむだ使いするということにもつながるかと思いますので、この点は十分採用する際において、そういう数がもう少し向上するように一面においては努力をしなければならないと思います。あるいは教育訓練の内容につきましても今後努力をいたしたいと思います。  実は、この前は、言うなら卒業式でございますが、しかし国会でも終わりましたら、私一遍一日がかりで行きまして、学長や教官あるいは学生ともよく話をして、どういうところに反省すべきところがあるか、そういうようなこともひとつ十分はだ身で感じてみたい。それからこういうような問題についての対策を考えてみたいというふうに思うわけでございますが、先般、発表いたしました陸上自衛隊の意識調査、これにつきましても、これに生きがいを感じておるという自衛官に志した人たちの意識がかなり高い、八〇%以上ということ。しかし、また一面においては、公務はそうなんだけれども、公務のない自由な時間、あるいは外出する、そういうな繁雑な手続等はもう少しこうという、つまり今日の青年の抱えておりまする自由に対する考え方。仕事のときは一生懸命やる、というのは、たとえばあの中でもう少し厳しい訓練を受けたいという気持ちも、一面においては出ておるわけです。そうかと思うと、自由に対する要求は非常に強い。これは相矛盾するようですけれども、近代青年の意識というものが非常に素直に出ている、そういう調査じゃないかというふうに思うわけなんで、この点につきましても、私はやはり、今後施策の中に生かしていきたいというふうに思います。  非常に昔流の考え方から言うと、全体がサラリーマン化してしまったのだと簡単にお考えの向きもありますけれども、私はそうでなくて、自衛隊はおれたちだけが国を守っておるのだという、そういういわば特権的な何か考え方を持つとするならば、それは間違いなんだ、やはりこの日本全体の国民のあるいは青年層の同質の意識を持った人たちであるという意味において、むしろ私は健全に育ちつつあるなという印象を、実は自衛官の意識調査によって把握をいたしたわけなんです。  したがいまして私は、自衛官諸君には、一面においては精強なる自衛官であってほしい、そしてそのために規律ある、そういう命令を遵守する自衛官になってほしいと言うと同時に、また一般の青年、国民と同じような常識を備え、あるいは国際的視野、広い視野を持った自衛官になってほしい。いわば自衛官であると同時に、よき市民でありよき国民であってほしいということを申しておるわけでございます。  そしてまた、国民のコンセンサスを求めるという場合におきまして、自衛官を卒業して任務を終えて国民の中に入った人が、いわば国民の中でもそれぞれの分野において中堅の人材になっていく。そういう意味において、たとえば一年であろうと二年であろうと、防衛大学で教育を受けた時があった人たちが国民の中に入っていくということがまた、振り返ってみると、おれは防衛大学に二年間だったけれどもおったことがよかったなあ、というふうに感ずるようなことで、国費を費やしたからそれが全然むだである、こういうふうには直ちには私は考えないのでございます。先生の御指摘は、私、よくわかるのでございます。
  500. 受田新吉

    ○受田委員 どうもありがとうございました。時間が来ましたので、私、時間を厳守する予定です。  それでもう二問ほど、せっかく国防会議の事務局長がおられる。かつて防衛庁事務次官の御経験のあるりっぱな方が事務局長におられるわけでありますので、私、一言、国防会議の構成法の活用を、防衛庁長官にも、今度は総理が来られたときには特にこの問題をやろうと思うのだが、一言だけ、この国防会議にできるだけ大きな問題は引っかけるように、付議するように、防衛庁長官、先例をつくっていただきたいのです。「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」、それらは、いまの防衛計画の大綱、国防の基本方針には至らなくても、いまの防衛大学の教育の問題なども、これは非常に大事なことだし、それから、いま、下士官四十三歳から五十歳、五十三歳、五十五歳、五十八歳と、将に至るまで定年がある。若くしてやめる人の問題等もあるが、全体の問題としては、定年制をどうするかというような問題は、他の一般公務員とは変わった性格を持っているのだから、こういう問題等も、私はやはり、国防会議かあるいは国防会議懇談会等で、この国防に関する基本に触れるような問題は、それぞれ取り上げて行くがいい。いまの防衛の分担の問題など、これはもう明らかにこれに持ちかけねばいかぬ問題です。そいうことについて、国防会議事務局というのは、一体そういう問題の掌理をするだけであって、議長である総理に対して、あるいは外務大臣、防衛庁長官等に対して、事務局としてこうあってほしいと言って、幅の広い立場で、国民全体の問題としての自衛隊を築くという意味から、事務局はもっと名にか活用したらどうですか。参事官会議みたいなことでなくて。何かとろっとしている感じがするのです。国防会議事務局の構成も、もし人間が足らねばどんどん持ってくればいいのですが、せっかく大物の事務局長おいでのときに、これは何とか国防会議をもっと権威あるものにしていただきたいのですよ。これは長官、同感ですね。あなたは国防会議を自分の手足のごとく使うという野心を決して持ってはいけませんよ。それから事務局長は、これに対して職責の重大さを自覚した御発言が願いたいのです。
  501. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 もうこの点は全くそのとおりに思っておるわけでございまして、三木総理に対しましても、そのことを申し上げました。官房長官にも、そしてまた宮澤大臣にも、大蔵大臣にも申し上げてございます。
  502. 内海倫

    ○内海政府委員 大変貴重な御意見をいただきまして、私どももさらに目をあけまして、事務局としての任務を尽したいと思っております。  なお、いま仰せのような問題につきましては、国防会議また議員懇談会等において取り上げていただいて、十分論議をしていただけるものと思います。また同時に、かねがねから防衛庁長官あるいは外務大臣等も、私に対してそういう要望をしておられますので、恐らく適当な方法で適当な時期にそういうことも御議論が行われるのではなかろうか、こういうふうに思っております。
  503. 受田新吉

    ○受田委員 時間ですから、おしまいにします。時間を厳守しますが、私、この間も委員長以下沖縄を視察しました。自衛隊の飛行機、自衛隊のヘリコプター、こういうものへ民間人が便乗さしていただく、あるいは教育のために乗る、こういうときに事故が起こった場合はどうなるのか。この問題については、事故が起こっても損害は賠償しませんという一札を入れて乗せておるという事例もあるわけなんです。あなたは乗るときは覚悟して乗りなさいよという一札を入れさしておるようでありますが、これはやはり、国家の飛行機で事故が起こったら、見学であろうと、視察であろうと、便乗的に乗った場合であろうと、防衛思想の普及のために乗っていただいたとすれば、防衛庁はやはり責任を負うべきです。何かいつか商売に使ったという話がある。宣伝のために使ったという事件があったようですが、これはけしからぬ話です。そういうことは防衛庁はやっちゃいけません。そういうことをやっておるから、ときどき批判が出るわけです。だから、本当に国民に自衛隊を理解していただくために、自衛隊のあらゆるものを利用していただく、これはいいですよ。  それから、自衛隊で払い下げ品ができたら、民間人に、飛行機の構造などを知らせるために、これを払い下げて、社会福祉機関とか学校とかいうところへそれを展示させるとか、そういうような、国民の中へ溶け込む、愛される自衛隊になさってくださいよ。いまの点お答え願います。
  504. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 受田先生のお話を聞いておりまして、私も全く同感でございまして、そういうようなことをやる過程において、国民の防衛に対する関心も高まってまいりますし、自衛隊に対する信頼の度も増すだろうと思いますし、一生懸命努力いたしたいと思います。
  505. 受田新吉

    ○受田委員 事務当局、いまのをどうするかひとつ。
  506. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 ただいま御指摘のございました、いわゆる部外者搭乗に際しまして、搭乗される御本人から「航空機とう乗承認申請書」というのをとりまして、そしてそこに「このとう乗にあたっては機長及び関係担当官の指示に従って行動し、事故による損害については当方でいっさい処理し、自衛隊に迷惑をかけません。」こういうあれを出すことでいままでやっておりましたが、すべて国家賠償法で処理できますので、このようなものを規定することは不適当であるということになりまして、訓令によりこれを改正し、次官通達でこの撤廃を通達をしてございます。
  507. 受田新吉

    ○受田委員 いつ撤廃した。
  508. 丸山昮

    ○丸山(昮)政府委員 これは昨日でございます。
  509. 受田新吉

    ○受田委員 私が質問の通告をしたのに間に合うように――これはやはり効果があったね。それは受田質問に対するいい答えだ。それは非常にいい答えをきのう出していただいた。こういうように前進してくださるとなれば、自衛隊が国民に本当に溶け込むということです。  きょう非常に長い時間御苦労でした。済まぬだったね皆さん。防衛庁当局も熱心に答弁してもらって、どうも御苦労さんでした。どなたも遅くまで御苦労さんでした。では、これで質問を終わります。
  510. 藤尾正行

    藤尾委員長 次回は、来たる十日火曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時五分散会