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1975-06-03 第75回国会 衆議院 内閣委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月三日(火曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 越智 伊平君 理事 奥田 敬和君    理事 加藤 陽三君 理事 木野 晴夫君    理事 箕輪  登君 理事 上原 康助君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       近藤 鉄雄君    竹中 修一君       旗野 進一君    林  大幹君       三塚  博君    吉永 治市君       木原  実君    八木  昇君       和田 貞夫君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  出席政府委員         防衛政務次官  棚辺 四郎君         防衛庁参事官  菅沼 照夫君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       斎藤 一郎君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      今泉 正隆君         防衛庁衛生局長 萩島 武夫君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防御施設庁長官 久保 卓也君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         外務省アジア局         長       高島 益郎君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省条約局外         務参事官    伊達 宗起君  委員外出席者         内閣官房内閣調         査室長     渡部 正郎君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 五月三十日  辞任         補欠選任   笠岡  喬君     粕谷  茂君   近藤 鉄雄君     菅野和太郎君   吉永 治市君     大石 武一君 同日  辞任         補欠選任   大石 武一君     吉永 治市君   粕谷  茂君     笠岡  喬君   菅野和太郎君     近藤 鉄雄君     ————————————— 五月三十日  個人情報保護基本法案上田哲君外一名提出、  参法第二二号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇号)      ————◇—————
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 外務大臣に承ってから坂田長官に承るのが筋のような気もするのでありますが、最近、長官サイドで数々の問題が表へ出ておりますから、そういう意味で最初にひとつ聞かしていただきたいと思います。  長官がおつくりになったんだろうと思うのでありますが、「防衛考える会」という会があるようであります。どういう中身のものかつまびらかにいたしませんけれども、新聞の報ずるところによりますと、四回目の会合をお開きになった。そして国際情勢を分析をされた後で、日米安保体制のあり方を中心に討議をして、特にベトナム後の朝鮮半島軍事情勢について多くの意見が出されて、日米間の事前協議の問題として、「朝鮮半島武力紛争が起こったとき、日本米軍基地が直接使用できる場合を想定すべきではないかとの考え大勢を占めた。」こうなっているわけでありますが、この「朝鮮半島武力紛争が起こったとき、日本米軍基地が直接使用できる場合を想定すべきではないか」ということは、具体的に言うとどういうことになりますでしょうか。
  4. 坂田道太

    坂田国務大臣 「防衛考える会」は四回開きまして、たしか四回目に、朝鮮半島をめぐりましていろいろの情勢の話が出ましたことはございます。私どもといたしましては、朝鮮半島でいろいろの武力紛争があるということは、やはり日本の安全にとって無関心ではあり得ないのだ、こういう認識でございます。
  5. 大出俊

    大出委員 つまり、朝鮮半島紛争が起こることが日本の安全にとって無関心ではおられない、だから日本軍事基地が直接使用できる場合を想定すべきである、こういうことになるわけでございますか。
  6. 坂田道太

    坂田国務大臣 そこまでの話があったかどうか、余り記憶が定かでございません。
  7. 大出俊

    大出委員 おかしいんじゃないですか。あなた、後で別のところで講演をなさっていますね。ここに「防衛懇話会における講演」というのがあります。大臣お話しになった全文であります。あなたのおつくりになった私的諮問機関結論を、これから何人かの関係大臣諸公と話を詰めるとか、将来国防会議へという道筋でこれを提出していきたい、こういうふうに言っておられるわけですよ。だから、あなたが知らないということはどうもおかしいので、知らないものなら、何でこんな新聞記事にするのですか。
  8. 坂田道太

    坂田国務大臣 日本記者クラブにおきまして私の考え方を申し上げたのは、そのとおりでございます。
  9. 大出俊

    大出委員 だから、あなたがこの中の議論に無関心でいるはずはない。そうでしょう、あなたの私的諮問機関であるとおっしゃるのだから。そうだとすれば、いまあなたは途中までしかおっしゃらなかったが、朝鮮半島紛争が起こるということはわが日本の国は無関心ではおられない。無関心でいないということは、それだけ大きな直接的な脅威なり何なりを感ずるわけですからね。だから、集まった方々大勢は、日本米軍施設が直接使用できる場合を想定すべきである、つまり無関心ではおられないから日本米軍基地が直接使用できる場合を想定すべきである、こういうわけですからね。坂田さん、これは丸山さんの問題じゃないのですよ、あなた自身私的諮問機関をおつくりになったのだから。そんなことを一々防衛局長と何を話すのですか。全くもう話にも何もならぬじゃないか。初めからこれでは思いやられるな。
  10. 坂田道太

    坂田国務大臣 私が申し上げておりますのは、日本記者クラブお話を申し上げましたのは、朝鮮半島をめぐるいろいろの情勢について、防衛庁長官としての一つ認識を申し上げた、こういうことでございます。それから「防衛考える会」では、支配的であるとかどうであるとかということではなくて、たまたまその中の御意見の中にそういうことがあったという事実はございます。ただ、支配的であるから直ちにそれが私の考えになってどうだということではないということを、いま申し上げておるわけでございます。
  11. 大出俊

    大出委員 だが、「防衛考える会」が、これは大臣答申をすると言っておるわけですからね。そうでしょう。新聞にはそう書いてある。あなたは、「防衛考える会」でいろいろな意見が出てまとまったものを、これから関係の各大臣と打ち合わせたり相談したり、最終的には国防会議でございましょうが、そこらの中にも提起していきたい、こう言っておるわけですからね。これは、あなたの考えであるなしにかかわらず、あなたが諮問したんでしょう。  もう一つ、これは朝鮮半島情勢と佐藤・ニクソン共同声明に触れているわけですが、「一九六九年の日米共同声明では直接発進が可能だったはずだが、その後の国会論議ではあいまいになっている。韓国防衛重要性から見て、事前協議ではイエスと言える余地を残しておくべきではないか」ということである。ここのところはどうなんですか。
  12. 坂田道太

    坂田国務大臣 委員の中においてそういう御意見があったことは私も聞きました。しかし、それをそのまま私の考えとするということは、また別の問題なのでございます。いま、「防衛考える会」でこういうふうに決まったから、その答申を求めているのじゃないかということでございますが、従来のああいう私的諮問委員会におきましていろいろの御意見があるということ、それはやはり国民各界各層の御意見なのだ、私はそういうふうな受け取り方をするわけでございまして、そういうものを聞きながら防衛庁自身としての自主的な判断というものはその次に行われるべき問題である、そういうふうに考えておるわけです。答申にこういうふうにまとまってしまったから、これを直ちに防衛庁長官がそのまま実施する、こういうことには直接はつながらないということをひとつ御理解賜りたいと思います。私は「防衛考える会」の運営をそういうふうに考えている。ですから、非常に極端な意見が出る場合だってあり得るということをひとつ御了承賜りたいと思います。
  13. 大出俊

    大出委員 これは大変問題がありましてね。あなたも閣僚の一人ですから、閣議決定なり歴代内閣方針なりというものには従わなければならぬ筋合いでございましょう。これは「朝鮮半島への米軍出動イエス余地を 防衛考える会の大勢」という見出しです。片っ方の新聞を見ると、「有事分担詰め必要 米議会パイプを」、こうなっておる。有事というのは戦争をやるということですよ。こういう、この国の国民の将来の安全と平和という問題を中心にして、事きわめて重大な問題、この国の将来の安全と平和に直接かかわる政策に触れる問題、こういうものをあなたの私的諮問機関で勝手に——あなた、いまのお話を聞いていれば、何のタッチもしていない、諮問機関をこしらえて勝手にやったと言う。三回やりました、四回目ですと、新聞にでかでかとこういうものを載っける。こんな大きな記事です。これは一体何事ですか。
  14. 坂田道太

    坂田国務大臣 日本の防備につきまして、国民の中にいろいろな考え方がある、多種多様の考え方がある、一方的な考え方ではないんだというのが真実だろうと私は思う。そういうものを知らないで、ただ防衛庁だけの判断一つ考え方を押しつけるというようなやり方では、日本防衛というものはやれない、やるべきではないというふうに私は思うのでございまして、やはり大体国民コンセンサスを得られるように求めつつ防衛構想というものを考えなければいけないのではないかというのが、私の一つ防衛問題に対するアプローチの仕方でございまして、この点ひとつ御了解を賜りたいというふうに思うのでございます。  国会におきましても、自民党の方々防衛に対するお考え方。それから社会党方々は、たとえば自衛隊というものは必要ではないんだ、こういうような御意見もあるわけです。しかし同時に国民の中には、いや自衛隊は必要である。たとえば最近の世論調査によりますと、七三%は何らかの形において自衛隊は必要である、そういう御意見もあります。しかし、この七三%ということを考えれば、二七%は反対だということでございます。現に国会におきまして、社会党さん、あるいはほかの政党におきましても、自衛隊反対である、こういうことなんです。そういうような意見というものをわれわれはやはり頭に置きながら、しかし日本の独立と安全というものを守るという場合にはどういうふうに考えていったらいいのかということは、私は当然なことじゃないかというふうに思うのでありまして、国民的コンセンサスを求め、あるいは国民の御意見を聞くために諮問委員会を設けまして、そういうようないろいろな御議論が出ること、そのことが、私は防衛責任者といたしましては、非常にありがたいことだというふうに思っておるわけでございます。
  15. 大出俊

    大出委員 そんなこと言ったって、納得も了解もできやしませんよ。一体これはどういう人たちで構成しているんですか。メンバー出してください。牛場さんだけここに書いてある。前のアメリカ大使大変タカ派大使ですね。だれとだれですか。何名ですか、大体。
  16. 坂田道太

    坂田国務大臣 申し上げます。牛場さんでございますね、アメリカ大使をやられた。それから元朝日新聞論説委員をされました荒垣さん、それから評論家平沢さん、それから野村総合研究所長の佐伯さん、それから元参議院事務総長をされました河野さん。それから中小企業金融公庫の副総裁の荒井さん、この方は元法制局におられた方でございます。そういう意味でお選びをいたしました。それから金森さん、これは日本経済研究センター理事長でいらっしゃいまして、やはり経済問題に対する非常なエキスパートであると承知をいたしております。それから角田房子さん、この方も評論家でございますし、外国に行かれたこともございますし、こういう方もお選びいたしております。それから京都大学教授の高坂さん。それから元NHKの解説委員をされまして、科学技術、そういうことが非常に御堪能な村野さん。それから電電公社総務理事でございますが、この方も電子工学と申しますか、そういうものの権威者承知をいたしておりますが、緒方さん。以上の十一人の方々委員にお願いをいたしております。牛場さんは御承知のように外務省の顧問でいらっしゃいます。
  17. 大出俊

    大出委員 これは細かく調べてみなければわかりませんけれども、一つの大体似たようなグループが集まれば、似たような結論が出るものでね。  ところで承りますが、これは閣議で決めたんですか。
  18. 坂田道太

    坂田国務大臣 これは閣議了承ではございませんけれども、御報告は申し上げました。
  19. 大出俊

    大出委員 あなた、この種の懇談会であるとか何とか会であるとか、大臣諮問機関だ何だ、局長諮問機関だ何だとおつくりになる。こういうものは、一体本来、歴史的にどういうことになっているかということを御存じでございますか。
  20. 坂田道太

    坂田国務大臣 御質問意味がよくわかりませんけれども、かなりたくさんありまして、私、党におりましたときには、少しこういう諮問機関が多過ぎるんじゃないだろうか、もう少し政府整理すべきじゃないかという意見もあったことを私自身承知をいたしておりますし、そしてともするならば無責任体制になるおそれがあるという批判も、私、承知をいたしております。むしろ政府目打責任をもって行政を行うべきじゃないか、隠れみのになるようなことはいかぬのじゃないか、そういうようなこともやはり私は耳にいたしておりましたが、しかし防衛問題については、こういうような国民的コンセンサスが得られておらない現状においては、やはり国民的視野に立つ諮問委員会みたいなところで御議論を賜るということは非常に結構なことではないだろうか、というふうな判断を私はいたしたわけでございまして、この設置に踏み切ったということでございます。
  21. 大出俊

    大出委員 あなた、いま、諮問をしたとおっしゃいましたね。このいまの十一名のメンバーに諮問をなさった、そういうことですか。
  22. 坂田道太

    坂田国務大臣 この法的な性格というものはどういうものかということは、あるいは私の言葉が足りなかったかと思いますけれども、一応、私設の諮問機関というふうに、私、了解いたしておるわけでございます。ただし私の真意は、ただいま申しますように、非常に法的な拘束力を持った諮問機関もございますし、あるいはその諮問機関で決めたことは、少なくとも八〇%、九〇%は絶対にもう曲げることはできないんだという拘束力を持った諮問機関もあるように承知をいたしておりますが、そういうわけじゃないというような運営をすべきじゃないだろうか。むしろ、私が思い至らないようなところ、あるいは国民の中にこういうような反対意見があるんですよ、それを大臣は知らないままで突っ走るなんというようなことはよくない、そういうようなことに対して注意を喚起していただく、そういう意味合いにおいて諮問委員会運営したらどうだろうか。そうしてまた、そういうことを常に聞きながら、言うなら薄氷を踏むような思いで行政というものはやっていかなければいかぬのじゃないかというような、私は政治家としての気持ちも持っておるということをこの際申し上げておきたいというふうに思います。
  23. 大出俊

    大出委員 善意であるということをいま強調されたわけですけれども、それはそれなりに、あなたの気持ちはわかりますけれども、行政管理庁あたりはどう言っていますか。
  24. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 「防衛考える会」については、先ほど来、防衛庁長官がお答えしたような考え方で、防衛庁長官がいろいろ思索をめぐらすために参考になる意見をいろいろと聞く、そういう機会を持つということでございまして、法的には何ら根拠も制約もございません。ただし、先ほど来御質問があったような、審議会とかなんとかというものについての行管考え方もございますので、行管にこういうものを事実上設けますという連絡はいたしてございます。
  25. 大出俊

    大出委員 これは昭和三十六年の四月の十二日に通達が出ておりますね。「懇談会等行政運営上会合の開催について」という、これは閣議決定をいたしております。あなた、諮問といまおっしゃいましたね。「諮問的または調査的なものなど審議会協議会設置については、国家行政組織法第八条の規定により、法律によることを要するものである。いわゆる懇談会等は、これに該当しないものとして従来政府部内の慣行として閣議決定、省令、訓令等が設けられていたが、最近ことに参議院内閣委員会でこのことが脱法的措置ではないかとの議論もあり、別紙添付議事録抜粋のとおり、内閣総理大臣答弁があったので、現在実施中のものを再検討の上、善処されるとともに、今後各省庁が部外者の参集を集めて開催する懇談会等行政運営上会合は、国家行政組織法第八条の機関ではないかとの疑惑を受けることを避けるため、左記の点について特に留意を願いたい。」これはいま連絡だけしたというけれども、行政管理庁協議をしなければいかぬことになっている、そういったものをつくるときには。基本的につくるのは適当ではない。これは岸総理大臣が当時答えている。疑惑を招くおそれがあるので適当でないと言っている。  しかもこの中身というのは、時間がないからそれ以上言わぬけれども、まとまった意思決定をこの諮問機関がしてはならない。明確になっている。まとまった意思決定ができるのは、ただ一つ国家行政組織法第八条に基づく八条機関でなければならない。明確だ。行政機関だから意思決定ができるという解釈。だがしかし、国家行政組織法に基づく八条機関ならば、防衛庁設置法の改正をして、そこで明確に審議会なり、名前はどうでもいいが、八条機関をつくらなければならない。閣議が決めた方針をずっと踏襲してきている。当時三十二ばかりあったものを、疑惑を招くということで全部整理した。そして緊急やむを得ざる場合に、行管協議をした、協議結果はかくかくしかじかというところでつくる場合には、個々の意見しか聞けない、機関意思というものがあってはならないと、はっきりしている。あなたは何で諮問なんかするのですか。閣議決定で流れているものの違反じゃないですか。小沢行政管理庁長官のとき、小沢佐重喜さん、以来閣議歴代これを踏襲してきている。だから、田中総理が選挙の区割りについての委員会をこしらえたとき、新聞が一斉に書いたじゃないですか。あれは一体何だ、八条機関でも何でもないもの、区割り委員会をこしらえた。総理の純然たる私的諮問機関だと答えた。そんなもので区割りを決められてたまるかという騒ぎになって、とうとう表に出せぬでつぶれたじゃないですか。やめたじゃないですか。  事これほど重要な問題。歴代閣議でだからこそ、八条機関でなければ意思決定ができぬことになっている。行政上の意思なんだから。防衛庁長官たるもの、今日は行政長官ですよ。防衛行政ですよ。その長官が勝手に、諮問機関の何だかさっぱり根拠もわからぬようなものをこしらえて、日本の国の将来の安全と平和に、国民直接的かかわり合いのある、韓国で何か起こったら日本基地米軍が面接使用できる場合を想定しろとか、イエスと言える余地を残しておけとか、そんなものを新聞にばかばか出されてたまりますか。一体どうなんですか、あなた。
  26. 坂田道太

    坂田国務大臣 いま大出さんのお話をお聞きしておりまして、私自身も、むやみやたらに諮問機関みたいなのをつくるべきではないということは承知をいたしておるわけでございますけれども、しかし、いままで私がここで申し上げましたようなわけで、一つのきちんとした意思を決めて、そうしてそれを行政長官に言うならば押しつけるというか、あるいはそういうものを隠れみのにしてやるというようなことではなくて、そういうような諮問機関、「防衛考える会」を通じて、国民いろいろ防衛についての議論を吸い上げる、そういうことは必要だ。少なくとも内容は必要だというふうに大出さんもお考えになっているのじゃないかというふうに受け取ったのですけれども、そうじゃないのでございますか。
  27. 大出俊

    大出委員 あなたは、それではまるきり答弁にならぬじゃないですか。あなたは大臣でしょう。防衛庁長官という行政長官でしょう。行政長官がこれに従わなければいかぬじゃないですか。個個に、牛場さんなら牛場さんにあなたはどうお考えですか、平沢さんにあなたはどうお考えですかと聞くことはよろしい。聞くことはよろしいが、あなたは諮問したとおっしゃる。だから大勢としてこうなったと書いてある。それが、八条機関というものと間違う、八条機関でないもの、何ら根拠のないものを、そういうことはよろしくない、これが参議院で問題になった中心だ。あなたは簡単にぼかぼかと人を委嘱して諮問をした。私的諮問機関。ぼかぼか新聞に、イエス余地を残すとか、有事分担詰め必要だとか、米議会パイプをだとか、大勢がそうなったとか、冗談じゃありませんよ。根本的にあなたは間違いだ。迷惑千万だ。一体全体あなたは安全保障というのは何だとお考えですか。
  28. 坂田道太

    坂田国務大臣 日本の国、あるいは日本の民族、あるいはわれわれ国民の一人一人の生存と自由を守るものだ、それが安全保障だと私は思っております。
  29. 大出俊

    大出委員 学者意見というのは、その国の国民生命財産の安全を保障すること、要約するとこれが通説ですよ。あなたは自由というのを入れたけれども。国民生命財産の安全の保障ですよ。中には、政策意思を相手に押しつけるという意味のことを含む学者もいるけれども、通説国民生命財産の安全を保障することです。つまり最も基本的なもの、それはあなた、かくのごとき閣議決定内容があり、行管通達が流れていて、当時紛らわしいものは全部整理をした。そういう歴史的事情があるのに、こんなものを表へ出すとはまず一体何事ですか。なぜ大勢がこうなったなんということを平気でこんな新聞に載っけているのだ。
  30. 坂田道太

    坂田国務大臣 私が言っているのは、国民生命財産を守る一番基本的な問題であればこそ、こういうものがやはり議論をされなければならない、そういうような反対意見等もあるということを十分吸収せずしては、防衛庁長官としての責任を全うできないと私は考えておるわけで、こういうものを設けるということは私は正しい、こう思っております。
  31. 大出俊

    大出委員 正しくないから言っている。あなたは行政をやっているのでしょう。閣議というものがあって、法律があって、国家行政組織法八条のものしか、あなた方が公的に行政機関として諮問機関をつくることはできない。それ以外法律根拠はない。ないような紛らわしいものは適当でないということで整理をしているんじゃないですか。それならば、なぜあなたはちゃんと明確な手続をとって、これをお出しにならぬのですか。そして諮問しないのですか。そうでないものをやってはならない。この国は、あなたが言うように法治国家なんだから。あなたの考え方が正しかろうと何しようと、こういうふざけたことでは。そうなれば、委員の問題なんかみんな議論をするのだから。国会があってやっているのでしょう、国の政治というのは。あなたは個人的にそう思うからといって、大臣が勝手にそんなことをやって、新聞にどこどこ発表する。そんなことでは一体どこが責任を負うのだ。私的諮問機関責任なんか負いようがないじゃないですか。あなたは行政長官だ。機関だ。
  32. 坂田道太

    坂田国務大臣 私自身決定したことに対して私が責任を持つわけです。そういうような意思、いろいろな御意見を踏まえて、私が防衛庁長官としてのあらゆる行政の最高責任者でございますから、私が責任を負うわけでございます。しかし、そういうようないろいろな議論も聞かないで、私が独走をして判断するというようなことこそ、議会制民主主義をとっておる今日の世の中においてはふさわしくないのであって、むしろそういうようなことをどんどんくみ上げるべきじゃないか、御意見を聞いて判断すべきではないだろうかというのが私の考え方でございます。  それから諮問委員会については、確かに法律でもってきちんと決めてやるというようなあり方もあろうかと思います。しかしまた、そうでなくて諮問機関を置くことも許されておることだというふうに私は承知をいたしております。
  33. 大出俊

    大出委員 私的諮問機関意思決定をするということは許されちゃいませんよ。許されていないから言っているのじゃないですか。
  34. 坂田道太

    坂田国務大臣 意思決定は私自身がやるわけでございまして、いろいろな意見を承るということは必要なことであるというふうに私は考えております。
  35. 大出俊

    大出委員 そうじゃないのだ。国家行政組織法の八条の機関ならば、その機関決定したことは、法律上明確に行政上の意思決定なのだ。ところが八条でない私的諮問機関行政上の意思決定をすることはできない。八条機関じゃないのだから。だから、そういうものは適当でないと閣議が決めて、歴代そういう方針で進んできているじゃないですか。だから本来あなたが考えていることは間違いなんだ。そういう手続で私的諮問機関にぽかぽかこういうものを発表させるというようなことは明らかに間違い。何も中身の問題を言っているのじゃない。
  36. 坂田道太

    坂田国務大臣 ちょっとそこのところを何か誤解されているのじゃないかと思うのです。私自身防衛庁長官責任において判断することと、「防衛考える会」でいろいろ御議論があるということ、そしてまた、その意思がすなわち私の防衛庁長官としての意思、そういうことじゃないわけでございます。意思決定をするわけじゃないのですから。それは許されていいのじゃございませんでしょうか。
  37. 大出俊

    大出委員 八条機関というのは正式な行政機関なんだ。だから、そこで決めたことは、意思決定として一つ結論が出たことになる。これは、あなたが認めようと認めまいと、別に問題はない、八条機関ならばそこで決めたことは。八条機関というのは行政機関なんだから、審議会なり委員会なり「考える会」なり、名前はどうでもいい。構わない。これは手続上国家行政組織法機関なんだから、ここで決めたことは、あなたが認める、認めないにかかわらず、八条機関といわれる行政機関の、十人なら十人集まったところで結論が出た行政上の意思なんだ。いいですか。あなたが諮問機関としてこしらえたものは意思決定のできない機関だ、この通達でも。その中の個々人にあなたが意見を聞くことは自由だと言うのです。だが、そこで合議をして、これが結論ですというものを出すことは、まかりならぬというわけです。その意思決定を求めるなら、何で八条機関という正式な手続をお踏みにならぬかというわけです。おわかりになるでしょう。
  38. 坂田道太

    坂田国務大臣 大分わかってきました。というのは、そこで従来意思決定をやって、そしてそれがすべてのように運用されてきた経緯はあるかと思うのですが、今回はそうじゃなくて、私は個々の意見を求めているのです。たとえば牛場さんはこう考えている、あるいは緒方さんはこう考えている、金森さんはこう考える、そういうことを最終的にはひとつお述べをいただきたい。そしてそれは委員方々の御了承が得られるならば発表をしたい、こういう節持ちでございますから、その点で私とあなたと内容的には同じじゃないか。ただ、これが違法であるかどうかとなると、これは手続上あるいは不十分な点があったかと思いますけれども、従来の諮問機関の行き方というものがそういうことであれば、私は余り好ましくないのであるというふうに思っておったのです。しかし、今度私がつくりました「防衛考える会」はそうじゃない。意思の押しつけじゃなくて、委員一人一人の御意見を最終的には求めたいというのが私の気持ちなんです。
  39. 大出俊

    大出委員 わかればいい。委員の一人一人の意見を聞くことはいいけれども、意思決定を求めるということは八条機関でなければやってはいかぬ、適当でないというのが行管通達の趣旨です。そうでしょう。あなたは、私的諮問機関行管には通知をしただけだ。これはちゃんと協議するようになっている。その程度のことにしておいて、第四回の会合を開いたら大勢がこうだった、なんということが新聞に大きく載るなんてことをやらしてはいけないと私は言うのだ。それは間違いだと言う。それはお気をつけください。あなた自身がお一人お一人から意見を聞く、最終的に、牛場さん、議論してみてあなたはどうだったんだ、承りたいという、その点は認めているわけです。あたりまえのことですよ。だからその点はきちっとしていただかぬと、事、国の安全保障にかかわる重大問題をぽかぽか、大勢がこうだとか、イエスと言う余地を残せとか、あなたの考えでもないとなるなら、まさにもっと重大だ。そうでしょう。
  40. 坂田道太

    坂田国務大臣 ただ、ちょっとお断りしておきたいのですが、こういう「防衛考える会」の会合をやります。そうすると新聞記者の方々が、どういうことが話し合われたのかということを聞きに来られるわけで、その場合、個々の人におのおのお話しいただくこともできませんので、やはりそれについて委員の方のお一人から、あるいはまたうちの方の司会者から、こういう議論がございましたということは、求めに応じておおよそはやらなければなりませんから、そのことはひとつ御了承を賜りたい、こういうふうに思うわけでございます。
  41. 大出俊

    大出委員 了承できない。そんなこと、できないですよ。
  42. 坂田道太

    坂田国務大臣 しかし、大出さんもその辺はひとつよくわかっていただきたいというふうに思うのですが。
  43. 大出俊

    大出委員 これは大体、法律上はっきりした国家行政組織法八条があって、やみなものをこしらえて、そんなものを新聞に一々出されたらたまったものではない。あなたお認めになったでしょう、最後のところで。そんなことはおやめなさい。時間がありませんから後からもう一遍聞きます。  外務大臣に承りたいのですが、けさの新聞一つございますので、そっちから承りたいのですが、ガイラー米太平洋軍司令官と外務省大臣がお会いになって、これは東京新聞ですけれども、ここに「「原子力潜水艦に補給する機材は、日本米軍基地にも置いてある」と説明した」、こうある。これは一体どういうことでございますか。
  44. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのようなことを私、聞いておりません。
  45. 大出俊

    大出委員 そうするとこれは、うそを書いたことになりますか、東京新聞が。
  46. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私が昨日ガイラー氏から聞いた話の中には、そういう部分はございません。
  47. 大出俊

    大出委員 それじゃひとつここで、ガイラー氏がどう言ったのか、念のために一遍聞かしていただけませんでしょうか。
  48. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 公にする目的で話を聞いたのでございませんので、全部を申し上げることもいかがかと思いますけれども、それに関連する部分につきましては、日本に核のための作戦をサポートするための配備などはしていない、そういう必要はない、こういうことを言っておられたことは事実でございますけれども、ただいま御指摘になりましたようなことは、私、聞いておりません。
  49. 大出俊

    大出委員 もう一遍承りますが、この読売新聞の方には「米核支援部隊、日本にいない 太平洋軍司令官が直接否定 核積載艦は寄港? 潜水艦など微妙な発言」、こういう見出しです。潜水艦などの寄港については大変日本のお世話になっているという言い方をしている。片方は否定しておいて、潜水艦の方はさらっとそういう言い方をしている。「「核支援部隊は置かない代わり、核積載艦は寄港させてもらっている」という意味なら、逆に「核持ち込み」を認めたことにもなりかねない」という解説がついている。こっちの方はどうですか。
  50. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いまお述べになりましたように、「意味なら」という解説がついているが、これはどうかと言われるので、その解説については私は論評をいたしません。そういう会話がなかったことはもう事実でございます。
  51. 大出俊

    大出委員 潜水艦のくだりは何と言ったのですか。
  52. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 海上防衛の見地から潜水艦関係のものは置かせてもらっておるということは、話の中にあったと思います。それはもうごくあたりまえのことでございます。そういうことはあったと思いますけれども、ただいまの解説とおっしゃいましたものにつながるような発言は全然ございませんでした。
  53. 大出俊

    大出委員 いまの大臣答弁の中に、潜水艦関係のものは置かせてもらっているという発言はあった、こういうのですが、潜水艦関係のものというのは一体何か。いまの御答弁では、東京新聞などがうそを書いたことになっているのですか。余りどうも一々新聞がうそじゃ困るのです。こちらは原子力潜水艦に補給する機材は日本米軍基地にも置いてあると説明をしている。いま大臣は、潜水艦関係のものは置いてある、こうおっしゃったというので、そうすると、どうもまんざらうそでもなくなってくるわけです。潜水艦関係のものは防衛上置いてもらっている、こう言っている。防衛上置いてもらっているというのは、それなら潜水艦関係の機材でしょう。違うのですか。あなた語るに落ちた。
  54. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 米国の潜水艦がわが国の施設、区域に出入をいたすわけでございますから、その活動に関係するもの、それは日本に置かせてもらっております、こういうことでございます。
  55. 大出俊

    大出委員 その潜水艦に関係するものとなりますと、これは潜水艦に関係するもので、何かおもちゃを置いてあるわけじゃないのですから、やはり潜水艦関係の機か材じゃないんですか。機と材と二つ書くと機材になってしまうのですけれども、そうじゃないですか。防衛上とさっきおっしゃったが、潜水艦関係のものというのは何ですか。
  56. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは普通の会話でございますから、文章で一つ一つきちんと紙に書いたものとして、厳密に御議論になるような性格のものではないと思いますけれども、私が自分で話を聞きましたのは、潜水艦の出入りはいたしますから、リレーテッドアクティビティーズといいますか、そういうことは日本の施設、地域を利用していたしております、このような趣旨であったと思うのでございます。これは記録も何もとっておりませんから、正確に文章で申し上げるわけにはいきませんが、そういう趣旨、ごくごく普通の説明として私は受け取ったわけでございます。
  57. 大出俊

    大出委員 リレーテッドアクティビティーズといまおっしゃいましたが、そうすると潜水艦関連のものとなりますね。これは横須賀というのは私の足元でございまして、あそこには潜水艦関連のものがあるのではないか。この間も取り上げまして、外務省から実はまだ正式に私、お答えをいただいていない。ほかの委員会で山崎さんが御答弁なさるということで、電話でちょっとした話を私になさいましたが、これは時の外務大臣がアメリカに照会をする、その結果はお知らせをするということになっているわけです。これも実はリレーテッドアクティビティーズの口なんですよ。やっぱり潜水艦関連のものなんです。  そこで、どうもおかしな話で、核関連のこれをサポートするような組織的なものはない、こう言ったというのですが、あなたの方でガイラーさんに対して質問になっているんですね。日本国内では核問題でいろいろあるので、という質問の形になっている。それを否定した。そこまで質問なさるなら、何で一体、潜水艦関連のものというのまで表へ出てきているやさきに、ではその潜水艦関連のものとは何ですかとか、通常の対話ならば——これは横須賀で、あれだけどんどん潜水艦がふえる、母港になっちゃっている潜水艦の家族もいる、そうなっているんですから、そういう意味で大変疑惑を持っている。後から質問を改めていたしますが、そういう時期なんですから。横須賀を母港にするたくさんの米軍艦、今度は九隻になっている。これはみんな、私ども専門的な立場で見ると核搭載が可能な船です。ラロックの証言もある。そうすると、核搭載可能な艦船、そして潜水艦、ここらについてはどうなのかというお話をなぜおやりにならぬのでしょう。つまり、潜水艦関連のもの、これは一体何だ、そこらのところは一体どういうふうにお考えでございましょうか。
  58. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 何かこちらが質問をして、それに対してそういう答えがあったというふうにおっしゃったように思いますが、そうではございませんで、全然そういう質問などは私はいたしておりません。
  59. 大出俊

    大出委員 質問をしないとすると、本来なら、せっかくガイラーさんがお見えになったんだから、これだけ国内で大きな騒ぎになっているのですから、時の外務大臣として質問ぐらいしてみていただきたいのですがね。おやりになったのじゃないとすると、向こうからおっしゃったことになるんだが、どんなふうなことになっておったのですか。心配しているから聞いているのです。国民の心配なんですから。
  60. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先方の話されました状況説明の中に、そういう部分があったわけでありまして、私の推察では、日本国内でときどきそのような心配をされる向きもあるということは、先方も承知しておられましょうから、そういう意味で、自分からそういうことを言われたのであろうと思います。別に私どもは、それについて、さらにこちらから質問する必要もございませんし、先方のそういうお話であったから、それを承ったまま報道関係の諸君に御紹介をしたということでございます。
  61. 大出俊

    大出委員 この新聞三紙を総合してみまして、状況説明なら説明でよろしゅうございますけれども、核システムなり核サポートをする部隊がない、こういう点に触れただけで、潜水艦の関連するもの、あるいは核搭載艦に関する問題については触れない。お世話になっていますというのか、あるいは機材なのかわかりませんけれども、ここらの点について触れただけ。このままで新聞がこう書いておりますと、横須賀などは、いま現実にたくさんの疑問があるわけでありますから、大変に疑惑が深くなる。何で一体、核部隊なり核システムなりに触れておって、核搭載艦なり潜水艦については、お世話になりましたとか、機材を置かしてもらっているとか、これしか言わなかったのか。そうするとさつきの解説式になってしまう。ということは、核部隊なり核システムなりはないけれども、潜水艦や核搭載艦では大変お世話になっています、機材を含めて、こういうことになる。片や否定、片や肯定をした、そういうニュアンスになる。それではならぬと私は思うので、せっかくお話し合いをなさったのなら、もうちょっとそこらのところは、国民にその記事によって疑惑が出てこないような、外務大臣として御説明があってもしかるべきものという気がするのだが、いかがでしょうか。
  62. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 なるほどお尋ねになっていらっしゃることの意味合いはちょっとわかってまいりました。結局、背景を申し上げていないのでそのような御解釈が生まれたと思いますけれども、ガイラー司令官の話を総合して聞いておりますと、背景は、わが国にアメリカが、この場合海軍でございますけれども、施設、区域を利用しているのは非常に防衛的な性格のもので、ことに海上ルートというものを大事にしておかなければ日本のためによくない、そういう意味で、そもそも核関連のそれをサポートするための軍隊を配備することは必要がないし、しかし潜水艦機能は強化をしておく必要があります、全体そういう背景のもとに話の説明がございました。これを御説明申し上げておきますと、大出委員にもおわかりをいただけるのではないかと思います。そういう関連で潜水艦という言及があったわけでございます。
  63. 大出俊

    大出委員 アメリカの国防長官なり総合参謀本部議長なりの報告が出ておりますが、この中で特に海の潜水艦機能の問題は非常に強く触れているわけでありまして、だからその筋を外した話にはならぬはずだろうと私は思いますから、いま言われることがわからぬわけではない。ないけれども、それだけにどうも、潜水艦問題というのを私はずいぶん詳しく調べてきておりますだけに、愛知さんが外務大臣時代から、スタージョン型なりパーミット型なりという潜水艦が日本に入ってきている、スレッシャー型だの。数の上で十四、五隻はどうしても算術計算でも入ることになってしまうということで、したがって当時の久保防衛局長答弁もございまして、アメリカに問い合わせをされて、当時、木村官房長官にもお出かけをいただいて、私に木村さんから直接文書で回答をお持ちになったいきさつなどもある。だからわかっているつもりでありますけれども。  つまり、ラロックの証言その他どこをながめましても、核搭載可能な潜水艦。原潜の場合、核を積んでないことはないと言い切っている。外してくるのか、それとも初めから載せないで来るのか。載せないで来ることはあり得ない。さて外すこともあり得ない。ならば積んできていることになるじゃないか。だが皆さんは、アメリカを信頼せよと、こういうやりとりになったまま。それだけに、やはりいまのこの問題は、新聞方々が取り上げる筋なんですね。だからいまおっしゃる説明、そこまで承っても、なおかつ、重視している潜水艦ですから、核を外してくることはあり得ない。そうすると、ますますもって、浦郷を初め核倉庫ありとわれわれが見る地域でございますから、関連していろいろなものが置いてある、この疑惑は深まらざるを得ないということになる。したがって、今日これ以上私が申し上げても、大臣はここまでなんだとしかおっしゃらぬだろうと思うから、このあたりは、ひとつ大臣としての立場から、これから八月になれば三木さんもおいでになるでしょうし、いずれかの場所で、核搭載艦、核搭載の原潜、これらに対する長年の疑惑にこたえるべく、何かをやはりアメリカ側と明らかにする必要がある、こう私は思うのですが、いかがですか。
  64. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは、事前協議の対象になるべきケースについて、ただいま大出委員が御言及になっておるわけでございますから、わが国としては、当然その場合には事前協議を受けなければならないし、先方には事前協議をする義務があるわけでありまして、そういうことが行われていないときに、そのようなケースがありますかとこちらから問いただすことは、まことに理屈の合わないことでございまして、直接にそういうことを問いただすというような気持ちは、私はただいま持ってはおりません。
  65. 大出俊

    大出委員 疑惑疑惑のままで残る、これはいたし方がないということですか。念のために聞いておきましょう。
  66. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 政府としては疑惑を持っていないということでございます。
  67. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから、次に行きましょう。  四月三日に、まだあのときにはサイゴン政府が存在をした時期でありましたが、選挙のさなかでございましたけれども、私、大臣に二、三御質問申し上げたことがあります。このときには、十日にアメリカにおいでになるという前提になっておりました。私は、民族自決という問題をとらえて、本来、民族連動としてとらえるべきものであって、したがって、民族自決の原則は認めるべきではないのか。そうしたら、苦い過去の経過を振り返って、民族自決の原則を認めざるを得ぬという意味の御答弁でございました。だから、そうだとすれば、これから起こるドミノの議論もそのときにしたわけでありますけれども、恐らく相当な影響が方々に出てくる。となると、なおのこと、そこらを根底にした日本の外交の独自性というものがなければならぬはずだ。大臣も大体同感の意を表されたわけであります。したがって私は、その意味では朝鮮半島の緊張が激化するような方向はあってはならぬという気が当時あって、立場は違いますけれども、申し上げたわけであります。  ところが、これまた新聞が真意を書いていないとおっしゃるかもしれぬのだけれども、ここに読売新聞がございます。十日にキッシンジャー氏なり関係方々にお会いになるのでおいでになった宮澤大臣が、新聞の報ずるところによりますと、ポストベトナムのアメリカの新戦略がその後公表されましたが、これはすでに宮津さんは、直接アメリカに行かれた時期に聞いていたという前提の記事がございます。つまり、後からアメリカ側の発表がございまして、シュレジンジャー国防長官のポストベトナムという意味での発言、そのことがそのときに話し合われていた。  「日本韓国を中軸とする“ポスト・ベトナム”の米アジア新戦略が公表されたが、政府・自民党筋は二日、すでに先月の宮沢外相とキッシンジャー米国務長官との会談でこの構想が示され、韓国の有事の際、日本政府日米安保条約の核持ち込みを含む事前協議に当たって「前向き、かつ速やかに」対応するむね日米間で確認が行われていたことを明らかにした」、この辺のいきさつはどうなっているのかという点がまず一つ。  それから「この確認内容は、六九年日米共同声明の“韓国条項”の再確認という形をとっているが、米側はこれを新しいアジア戦略の不可欠の要素として位置づけており、キッシンジャー長官はさらにこの点について具体的な日本の「援助」を要請したといわれる」というのですが、二番目に、この具体的な援助というのは一体何なのか。  それから「キッシンジャー長官が指摘した「日本政府の援助」が具体的に何を意味するのか」という点で、「同筋は」と書いてあるのですが、「岩国や沖繩などの米軍基地への米兵力の集結、出撃の自由、さらに核兵器の持ち込みや、日本政府による後方支援などが考えられるとしている」と、こうあるのです。  いま三つ申し上げましたが、ここらのところ、当事者の宮澤大臣でございますから、ここにもたくさんの憶測が実は出てまいりますので、はっきりしていただきたいと思うわけであります。
  68. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点は、たしか先日本会議でお答えを申し上げたかと記憶をいたしておりますけれども、キッシンジャー氏と、四月の十日でございましたか、会談をいたしました際に、韓国あるいは朝鮮半島の問題は話をしておりませんわけでございます。ただいま御紹介になりました報道は、ある筋の話として報道されておるようでございますから、その報道そのものが不正確だと私は申すのではなくて、そのある筋と言われる方が言われておることが正確でない、こういうことであろうと思うのでございます。すなわち、有事の際に事前協議の体制を簡便化するとか、あるいは韓国に対して何がしの特別の援助をそのためにいたすとかというような種類の話は、四月にキッシンジャー国務長官と話をいたしましたときに、一切出ておりません。したがいまして、私としては、そのある筋がどのような理由からそのような観測をされましたか不明でございますけれども、私に関します限り、そういう会談をいたしたことはございませんので、これは明白にさように申し上げておきます。
  69. 大出俊

    大出委員 本会議の上原君の質問だったと思いますけれども、大変どうも不明確な御答弁のように私、聞きましたから、したがってもう少し詰めておきたいのでありますが、この記事の中には、まず宮澤外務大臣が核防条約等の問題をめぐりまして答えておられる。簡単に言ってしまえば、事前協議について条約上はイエスもあり得る、こういうニュアンスの、そうでなければ条約を結んだ意味がない、こういう趣旨の御発言があった。これは一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明一つございます。ここらとの関連等において皆さんの党の中の議論新聞に出ていたわけであります。核防条約を批准をするというなら、当然そこで二つの問題が出てくる。この国の核武装ないしは核の持ち込みという面で何かの保証が安全保障上必要ではないかという議論。ですから、その辺が一言外務大臣が物を言わなければならぬ背景だったのだという気が私はする。が、しかし、そこまで触れて物を言われれば、そのことは公に外務大臣が物を言ったわけでありますから簡単なことではない。  そういう意味で、アメリカ側とのやりとり、これはちょうどポストベトナム直後でありますから、その後でシュレジンジャー国防長官の発表も出ているわけですから、時期的には、そこで何も韓国問題がないというばかなことが、じゃ何のために行ったんだということになる。マヤゲス号事件だって見方によれば、朝鮮半島を意識してやったのかもしらぬという見方も一面にはある。そういう時期でございますから、そうだとすると、何もないというばかなことはない、つまり確認をしたということでないにしても。このすぐ後でアメリカ側は新方針を出したわけです。それをあなた聞いておられたということですから、当然このころにアメリカの考えがなければ、後の発表にはつながらないと私は思う。そこのところを、あなたこういうふうにおっしゃったんだから、一体この時点でどういうふうに扱われたのか。総理の八月訪米がございますから、宮澤さんの性格でそう不用意なことはおっしゃらぬことはわかるけれども、話があった、だがしかし、それは総理訪米の時期にトップの間で話し合われる筋合いだというなら、それも一つの筋道でございましょう。そこらのところを解せないままに放置はできませんので、はっきりしていただきたいのであります。
  70. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 四月に訪米いたしましたときに、キッシンジャー長官との間で韓国あるいは朝鮮半島について別段の話をいたしませんでしたことは、先ほど申し上げたとおりでございますが、内外記者会見におきまして、いわゆる佐藤・ニクソン会談の際における韓国条項というものについて質問がございまして、韓国の安定あるいは朝鮮半島に戦争、紛乱が起こらないことは日本にとって緊要なことと考えておるかという質問がございまして、私は依然としてそう考えておるという答えをいたしました。現在もさように思っておるわけでございます。  それは内外記者会見における質問で、この質問をいたしましたのは韓国の記者であったと思いますが、そういう問答はございましたのですが、このことは、私とキッシンジャー国務長官との会談の中身との関連で出された質問ではございませんでして、当時あのような状況で、これは当然記者団としても関心を持つ問題でございましたでしょうし、いわんや韓国の記者とすれば、なおさらに関心が深かったことであろうと思われます。確かに私はそういう答えをいたしましたが、これはキッシンジャー長官との間の会談との関連で出された質問ではなく、それとの関連で答えた答えでもないわけでございます。  他方で、しかし米国側が、ベトナム以後の事態において、ことに朝鮮半島の問題安定について韓国が至大な関心を抱いているということは、これは米国もよく知っておるところでございますから、しばしばそれについての米国側の発言が公の場合になされておりますし、また私も、日本の立場からして、韓国が安全であること、朝鮮半島が安定しておることはわが国にとって緊要なことである、今日、現在考えておるということも、これももう間違いでございません。事実でございます。しかしながら、そうではございますけれども、そのある筋が伝えたといいますそのような話というものが、キッシンジャーとの間で出たということは、これは全然根拠のないことでございます。
  71. 大出俊

    大出委員 この記事には、やはり同じ筋の話なんでしょうが、日米外相会談の確認内容というのは、「わが国の有事ばかりか、韓国の有事の場合にも“イエス”があり得ることを政府自身が米側に約束したという衝撃的なものとなっている。」だが、「この内容は、さらに、八月に首相が訪米する際にもフォード大統領との間で再確認される運びになっているといわれ、国会での核防条約批准問題の審議はもちろん、“ポスト・インドシナ”のわが国外交のあり方」をめぐって非常に影響があるところだろう。「ただ、外相は、この席では米政府の新しいアジア戦略についての日本政府の評価は避け」となっていますね。この「新しいアジア戦略」と言っておりますのは、五月一日の、私ここに持っておりますが、シュレジンジャー氏のアジア戦略についての見解表明と言ったらいいのでしょうか、この中で、前線防衛地域は、韓国、西欧そして日本だ、こう言っていますね。これは、要約すると、アメリカの前線防衛地域は、西ヨーロッパ、韓国、そして間接的には日本とすべきである。こうなっていますね。よろしゅうございますね。で、このことを、四月においでになったのですから、五月一日にこれは出ているのですから、とにかく大臣が、シュレジンジャー氏のポストベトナムにおけるいわゆるアジア戦略ですか、中身を読んでおりますが、ここで言われている日本の関連、それに触れないということは、キッシンジャー氏にしてもないだろうと私は思うわけであります。  そこで、大臣の立場で、この後にございますけれども、八月にいずれにしても総理がおいでになる。当然これは、この情勢ですから、新しい方針に基づく話が出ないことはない。先ほどのガイラー氏の話の中でも、このときに補足の形で、統合参謀本部議長の報告が二月に出ておりましたが、これに触れているわけであります。そこで、そのことを踏まえて、「ただ、外相は、この席では米政府の新しいアジア戦略についての日本政府の評価は避け」、これは行って聞いたのでしょうから、「首相が八月に訪米する際に改めて討議するよう主張、事前協議制に関する確認事項と合わせ日米首脳会談の議題とすることで合意したという。」これは正式なものじゃないのでしょう。総理がおいでになってからの話になるとすれば、議題ということですから。したがって、先ほどお話しにならなかったのかもしらぬけれども、韓国条項に関する佐藤前首相の声明は、事前協議制でイエスの予約を与えたもの、これは当時さんざん議論されたところであります。したがって議題になるとすれば、これはその前に相当詰めておかなければならぬことになるわけでありまして、私も当然なるだろうと思います。  この間の書いてあります中身大臣がここまで否定されるとすれば、この記事は全く初めからしまいまで全部いいかげんだということになるのですが、そういうお答えになりますか。やはり可能な限りお話しいただかぬと議論になりませんですよ。
  72. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 やや修飾のないお答えになるのでありますけれども、つまり某筋の観測によればというその観測そのものが、少なくとも私の知っておる範囲では事実と違っておりますために、その上に組み立てられましたそのような解説というものが、どうも私の知っておる事実に即さない、こういうことになるわけでございます。  すなわち、四月の十日という時点はどういう時点であったかと申しますと、これはもう大出委員が御記憶のように、フォード大統領が、ベトナムからの撤退及びベトナム人を含めていわゆる引き揚げについての決心をいたしました時点でございまして、米国としては、この撤退作戦及び引き揚げ作戦が支障なく行われるかどうかということに、文字どおり心血を注いでおった段階でございます。したがいまして、正直申して、当時キッシンジャー国務長官の頭の中に、その後にいろいろ起こるであろういわゆるアメリカの約束についてのクレジビリティーと申しますか、一般的にはそういう危惧を持っておらなかったわけではもちろんございませんでしょうけれども、実はこの引き揚げ作戦というものを無事に行い得るかどうかということが文字どおり非常に大きな問題であったわけでございまして、いまのような話、あるいはその後にシュレジンジャー国防長官が五月一日に記者会見をしましたそのような内容というものは、当然のことながら両者の間では議論にならなかったわけでございます。  また、実は私自身といたしましても、そのようなアメリカの置かれておった当時の苦悩というものを、友好国の外務大臣としてもとより理解ができるところでございますから、そのような議論は私からもいたさなかったというのが事実でございます。したがいまして、その某筋の観測というものは、私の知っております限りは事実に即していないというふうに考えるわけでございます。
  73. 大出俊

    大出委員 時間がありませんが、もう一つだけ承っておきますが、それでは、パリで国際エネルギー機関の閣僚会議がございましたね。そこにおいでになって、日本新聞に写真が載っておりますが、キッシンジャー国務長官とお会いになっておられるわけですね。関連があるので承りたいのですが、ほかの記事によりますと、十日においでになった時点で、まず一つは、恒久的なという意味の安保の再確認、これを宮澤さんの方から物を言われて確認をした、こういうふうな記事になっております。十日の時点。(宮澤国務大臣、「それは違います。ワシントンです」と呼ぶ)四月のワシントンです。これが一つ。これは方々にその記事があります、向こうから来た記者のお書きになった。名前もわかっておりますが。これは外務大臣がこちらから求めた形になっている。それは別にとやかく言うわけじゃないのです。それならそれでいいのですが、そこで恒久的な意味での確認をしたということですね。安保に触れておられるわけですね。撤退問題その他で確かに大変だった時期でございますから、いまおっしゃることがわからぬわけではないけれども。重ねてパリで会っておられるわけですが、パリの件は、ここで言われていることは、前にいろいろ話し合いをしたことを確認をしただけで新しい話はなかったという趣旨の記事になっている。だからこれは、話はワシントンで済んでいるというニュアンスの記事なんですね。  ところが、いまのお話を聞いていると、何も話し合わなかったと、こういうことだけになっているのですけれどもね。そうすると、パリのこの記事の方では、わざわざ四月にアメリカにおいでになったわけでありますから、したがってそっちで話が済んでて、このときはそれ以上のものがなかったという記事になっているのですけれども、その関連は一体どういうことになるか。また、パリでお会いになったときに、ざっくばらんに申し上げて、一体どういうふうなことになっておったのか。重大な時期だけに私どもやはり大きな関心を持っておりますから、お聞かせいただきたいと思います。
  74. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 パリでキッシンジャー国務長官と話をいたしたわけでございますが、その中で極東に関係のあることと申しますと−と申しますのは、中東の話なども出ておりますので。私から、いわゆるサイゴン撤収後のインドシナ半島の情勢について、私の知り得る範囲のことを話をいたしました。ことに、ハノイと南ベトナムとの関連がどのようになるのであろうかというようなことにつきましても、多少の意見の交換をいたしたわけでございます。この際も、韓国あるいは朝鮮半島の問題につきましては具体的な話はございませんで、ただキッシンジャー国務長官としてあのような——と言いますのはベトナムのようなことでございますが、あのような目にはもう二度と自分たちは遭わないつもりであるという話がございまして、これは、朝鮮半島において、北鮮側がアメリカの決意、姿勢を誤解をして不測の挙に出ることがあってはならないという気持ちがアメリカには非常にございますので、朝鮮半島のことを指してそのように言ったものというふうに私は考えて聞いておったわけでございますが、それ以外でございますと、極東情勢についてはタイの話がございました。そんなような大略でございました。
  75. 大出俊

    大出委員 それじゃずっと項目的に承っていきたいのでありますが、いま前段でおっしゃったことは意味のあることでありまして、つまり韓国でベトナムのような目に遭ってはならないという決意でしょうから、それは新極東戦略あるいは日本との関係等につながる問題だろうと思います。  そこで二、三承りたいのですが、一つは南ベトナムの承認という問題ですね。いま南ベトナムの話が出ましたが、臨時革命政府の臨時は取ったのでしょうけれども、承認という問題、あるいは五日とか六日とかという話も出ておりますが、そこらは一体外務省としてどういうふうにお考えなのか。  それから六月中に北ベトナム、つまりハノイに懸案の大使館の開設という問題がございますね。四月三日の日に、私、援助の額その他に触れて少し細かく質問したのですけれども、五十億云々という問題がいま俎上に上っておりますけれども、ここらとの相関連する問題として、ハノイに大使館を開設をする、こういう問題がございますが、ここらを二つ、どういうふうにお考えなのか、まず承りたい。
  76. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先週、私が留守をいたしておりました関係もございまして、アジア局長からお答えを申し上げます。
  77. 高島益郎

    ○高島政府委員 初めの御質問の南越の承認の問題でございますが、これは先生も御承知のとおり、五月七日に承認をいたしました。その後、先方政府の準備体制もいろいろまだ十分じゃないようでございまして、いわゆる外交関係の方はまだ緒についておりません。しかし、在留邦人もたくさんございまして、邦人の保護関係の仕事は、先方の軍事管理委員会の外交委員会を通じまして、数回にわたりましていろいろ接触をしておりますし、将来正式に外交関係が開けるようになった場合に、日本国との関係において問題はなかろうと考えております。  それから、北越とのいわゆる五十億円の経済協力交渉でございますけれども、つい最近先方から返事がございまして、今月の十日過ぎにビエンチャンで交渉を再開しようということになりまして、当方からも係官を派遣しまして、ビエンチャンにおいて交渉を妥結せじめたい、こう考えております。それから、ハノイ大使館の方でございますが、これは先方との間に、四月中に開くということに合意をいたしております。したがいまして、この方はいまの交渉とは別個の問題といたしまして、今度この交渉に行った際に話をつけて、なるべく早い機会に、いまビエンチャンに待機しております二人を派遣して開館したい、こう考えております。
  78. 大出俊

    大出委員 重ねて承っておきたいのですが、一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明では、「総理大臣と大統領は、ヴィエトナム戦後におけるヴィエトナムその他の東南アジアの地域の復興を大規模に進める必要があることを認めた。総理大臣は、このため相当な寄与を行なうとの日本政府の意図を述べた。」こうなっていますね。ところが、いまお話に出ましたが、五十億円。一九七五年三月までに日本が南ベトナムに与えた借款というのは三百二十億円に達しているわけですね。時間がありませんから申し上げますが、南に相当な金をつぎ込んでいるわけであります。ただ、情勢が変化をした。南の政府は存続をしない。だから、これは共同声明の中身が変わったというなら、それでも一つ理屈ですからいいんですが、この五十億円という俎上へ上っているものは、一つは、この共同声明の時期のような物の考え方は、いまないのかどうか。思い切って復興援助をしようという積極的な意思はないのかどうかという点が一つ。そうすると、この五十億円というのは、ここに大使館を設置をして、卑俗な言葉で言えば、少し様子を見よう、そういう感じもちょっとするのですけれども、そこらのつながりはどういうことになるのか。念のために承っておきたいのです。
  79. 高島益郎

    ○高島政府委員 いま申しました五十億円の経済協力のお話は、北越との外交関係設定に当たりましての話の一環でございまして、その後約一年半かかりました交渉の結果、去る三月に妥結いたしまして、とりあえず、今後行うべき無償経済協力のうち五十億円については、その実施方法を相談しようということで合意をしたわけでございまして、まだ五十億円はトータルの経済協力の額ではございません。これからなお先方との間に、これはまた別途に交渉を続けなければならぬということでございます。
  80. 大出俊

    大出委員 私ちょっとここで聞きたいと思っておりましたのは、高島さん、あなたお出かけになったのだと思うのですが、東南アジア大使会議というのが二十五日、バンコクでございましたね。高島さん御自分でおいでになっておりますね。大臣ではございませんね。ここで、新聞ですから、これまた否定されるかもしらぬけれども、きょうは新聞記事を取り上げると、全部それは事実でないとおっしゃられるので、新聞がついていない日になっていますけれどもね。この中身によると、社会主義政権へのてこ入れはどうも余り国益にならないのではないかという分析。またもう一つは、東南アジアに出現した強力な軍事国家。当面、強力な軍事国家でございましょうね。この軍事国家に援助することはバランスを崩す。これはリー・クアンユー総理の言い方が最近一つ出ておりますが、私もリー・クアンユー氏が政権をとった年に長い話をしたことがございますけれども、三十九歳の総理でございましたが、大分政治的なニュアンスで日本へ来られて発言をなさっておる。外務省も大分むずかしいところを抱えておるのだろうと思うのです。ここに例の英国のBBC放送の記事がございますが、この中身は、きわめてなるほどと思うポイントがございます。つまり大使会議の報告、打ち合わせ。高島さんお見えになっての結論ですかね。社会主義国にてこ入れすることは国益にならぬ、東南アジアに現出をした強力な軍事国家に援助することはバランスを崩す、リー・クアンユーさんが言っておられるようなことでありますが、そこで第一次援助の五十億円、これでとりあえず六月中にハノイに大使館を開設をする。言うならばこれは一種の観測基地であるという趣旨の大使会議をめぐっての記事が入ってきておるわけでありますが、大体こんなことになるわけでございますか。
  81. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 あるいはそういう意見具申が、大使館員の中でだれか、大使から出たのであるかもしれませんけれども、私の考えでは、どうもそういうことではございませんで、ことに現在のインドシナ半島の情勢を見ますと、まず難民が非常におるわけでございます。この人たちをいわば人道的な見地からとりあえず飢えて死なないようにしなければならないことは、私どものやはり責務でございますし、その後におのおの自分の生業と申しますか、自分の郷里、落ちつくところに帰りまして、リセトルメントというのでございましょう、そこで農業なり何なり生業につくということにいたすこと、ここまでもやはりわれわれは、近隣の国として援助をしなければならないと考えておるわけでございます。その仕事がいま当面一番大きな仕事でございましょうと思います。このことは、その国の体制とかイデオロギーとかいうことにこだわっておったのではいけませんので、やはり人道的な見地から、ともかく当面の困難をしのぎ、そして落ちつくところに落ちついて生業を始めるということまでは、その国の体制ということでなく、やはり人道的な見地からわれわれがしなければならないことではなかろうか。基本的には私はそのように考えております。  したがいまして、ハノイに対します経済援助の内容にしましても、そのような目的に沿ったような性格のものにしてまいりたいというふうに考えておりますし、ハノイに大使館を開きますことは、観測地点と申しますよりは、パリ会議の後にわれわれが北越と国交正常化をしようと約束をいたしましたこと、二年たちましたけれども、それをそのとおり実行しようとしておるわけでございまして、いわば国と認めた相手に対して外交関係を開いて正常化をしようという、ごくごく当然の努力であるというふうにお考えをいただきたいと存じます。
  82. 大出俊

    大出委員 いまの御答弁、私、全く同感でございまして、私はだから佐藤・ニクソン共同声明を取り上げたのですが、坂田さんもおいでになりますが、わが国の基本的な外交政策防衛というものも後ろについておるわけですけれども、一番大事なことは、せっかく三日に大臣が民族自決の原則をお認めになったわけですから、向こうに行かれてもその点を主張されたと新聞が伝えておりますから、ならばやはりこれは、それがどういう政権だからということでなしに、当面困っていることはだれの目にも明らかでありますから、この国ができる限りのことはするという前提で、それぞれの国が、覇権問題がいろいろやかましくなっておりますが、いかなる大国の制約も受けずに、やはりみずからの自主性で、イデオロギーの違いがあっても、共存の体制がこの地域でとられていくという、そういう方向で話し合っていけるような努力をこの日本という国はすべきであろという気がするわけでありまして、これは朝鮮半島にも言えるのでありますが、ぜひひとつそういう方向づけで、第一次ということであれば幸いでございまして、二次以後のことも考えていくんだという、そういう姿勢をぜひおとり願いたい、こう思っているのですが、念のために一言だけ承っておきたい。
  83. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたこと、ただいま大出委員の言われましたような気持ちを持っておりまして、そういう意味では、リー・クワンユー首相が言われましたことと、必ずしも同じ考え方をしておるわけではございません。
  84. 大出俊

    大出委員 これで終わりでございますが、二、三分いただきますが、木村元外務大臣のときに、続けて申し上げますが、八月十九日の参議院の決算委員会で、日本の朝鮮民主主義人民共和国の承認の問題の議論がありました。国連全体としては朝鮮問題処理の仕組みを変更していないが、この点に関し変化があるとすれば日本政府としても考え直すという発言が一つある。この秋の国連総会を目して、去年は十九回ばかり開きましたが、北の朝鮮民主主義人民共和国の場合には同数、こういう微妙なことに去年なっているわけでありまして、これが変化を見せた場合にはどうなのか。つまりこの点について日本政府としても考え直すという答弁一つございます。  それからもう一つ、一九六九年秋の佐藤・ニクソン共同声明、さっきお話がございました。韓国の安全が日本の安全にとってエッセンシャル、緊要であるとした韓国クローズ、韓国条項は、当時における日米両国政府首脳の認識表明であって、その後の国際情勢の変化が起こった現実からすれば、韓国の安全というよりは朝鮮半島全体の平和と安全が日本にとって緊要であるというのが木村さんの答弁。私は実は同感なんです、これは。  それから、九月の二十九日の参議院の外務委員会、ここで例の大きな問題になりました北からの脅威は、これは一体軍事的に脅威があった場合にはどうなのかという質問がありまして、これは田君の質問でございますが、北からの脅威は韓国自身判断することであるという前提を一つ置きました。置いてさらに、日本政府としては客観的にその事実はないと判断するという言い方が出てまいります。  時間がありませんから、続けて申し上げます。そしてその時に、もう一つ続けて、日韓定期閣僚会議など年内に開催する具体的な日程は検討しておらず、そのような雰囲気もいまの日韓関係からすればないと明確に答えておられます。これは外務省が夜遅くまで事務当局と相談なさったところであります。その点は外務省の事務当局が発表いたしておるのがございますが、その点は省略をいたしますが、さらに九月五日の衆議院外務委員会、ここで、韓国朝鮮半島を代表する唯一合法の政府とは限らないという答弁がもう一つある。  私は、これを一貫して見た場合に、いまちょっと私は基本的なものを言いましたが、この国の外交政策の基本原則があっていいという気がする。当面の問題はいろいろ変わりますけれども。つまり政治体制の相違があっても、いまの国連の構成メンバーだって十年前とはうんと違うのですから、その点は違いがあっても共存ができなければならぬわけでありますから、朝鮮半島全体の平和という物のとらえ方をすることが間違ってはいないという実は私は気がするわけでありまして、もちろんこれはアメリカとのいろんなサポート云々の関係がありますから、制約を受けることはわからぬわけではないが、しかしなおかつ朝鮮半島の全体の平和を考えるという場が必要であろうという気がするわけであります。新聞が誤報であるとすれば、これは私からすれば幸いなんですけれども、どうもいささか冷戦構造に返っていくような米韓日の関係というものが表へ出てき過ぎる感じがするのであります。  さっき坂田さんにも聞いていたんですが、「考える会」とても、米空軍基地を貸す余裕をつくっておけとか、イエスということも考えておけとかという出方でございますから、そこのところを、余りそちらに傾斜し過ぎることは半島の情勢を複雑にする。四月の末に金日成氏が中国に九日間行っておられたいきさつ、非同盟諸国を回っておられる事情等々とあわせまして、逆になるという気が私はするのであります。さっき、誤解があってということをキッシンジャー氏が言われたというのでありますが、そういう誤解を強める結果になりはせぬかという気がするのでありますが、大臣がここのところ外国においでになっていろいろ話してこられました事情、国内で新聞がいろいろ取り上げております事情等々踏まえて、前の木村さんのときのこの事情と変化はあったに違いないけれども、大変に百八十度変わらなければならぬ理屈は私はないと思うのでありますが、そこのところは、どういうふうに受け取ればよろしゅうございますか。
  85. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私どもは一貫して、朝鮮半島に現在できておりますバランス、これはかなり微妙なバランスと思いますが、そのバランスが何かのことで崩れるということは、よほど注意をいたしませんと、それが新しい紛争あるいは戦争のもとになりかねませんので、このバランスを不用意に崩さないということをやはり常に大切なこととして考えておるわけでございます。そういう意味では、確かに韓国の安全ということと朝鮮半島の安全ということは表現的には違いますけれども、韓国の安全が壊れるということは、朝鮮半島自身のバランスが壊れるということになるわけでございましょうから、木村前大臣の言われましたことが、そんなに従来の考え方から異なっておるというふうには私は受け取っておらないわけでございます。ことにベトナム以後、先ほども大出委員も言われましたように、いわゆるキッシンジャー国務長官の言う北鮮、北側の誤算に基づく何かの行動ということは、やはり可能性としては考えなければならぬことでございますから、そのような誤算を生まないような、現在のバランスを不用意に壊すということがないような配慮を常に私どもはしていかなければならないというふうに考えております。これが基本的な考え方でございます。  次に、冒頭に言われました韓国のいわゆる国連軍の問題でございますが、確かに、昨年の国連決議の状況等々から判断をし、その後の推移を加えて考えますと、これはよほど、韓国としても、関係各国としても、この秋の国連総会までに考えておきませんと、そして国連の大勢に受け入れられるような何かの対処を考えておきませんと、昨年のような形で事態がおさまることは容易ではない、むしろ困難であると考えるべきかと思いまして、そのことは、実は先般ある機会に韓国側にもわが国の見方としてお伝えをしてございまして、韓国側は、そういう見方にも確かに一理がある、やはり何かの形で国連の総意、大勢に沿うような対策を考えなければならないという認識は、韓国も持っておられるように考えておるわけでございます。
  86. 大出俊

    大出委員 もう時間がありませんから、いま質問いたしましたものの結論をお答えをいただいていませんので、再度いまのところを質問したいのですが、もしこの秋の国連総会で、いまお話しの出た問題、情勢が変わったら日本はどうするかという問題が一つある。対応を考えておいてくれぬと困るということを、丁一権さんか金鍾泌さんか知りませんけれども、何人もお見えになっておられますから、機会をとらえてお話になったという。そのことは即日本も、つまりさきの国連総会ではこっちに入れたんでしょうから、そういう意味では直接関係があると思う。アメリカ側だって、議会筋はマンスフィールド議員の発言だってある、必ずしもシュレジンジャー氏の方向だけではない。そこらの微妙なところもある。だからそこまで考えたときに、日本はどうなのか。あわせていま懸念を表明する外務大臣のお気持ちがあるところで、国民が懸念を持つことはあたりまえです、私どもも。木村さんもそれを言っておられる。三木さんも金鍾泌さんに会ったときに、そうおっしゃっておられるはずであります。国民全体の理解がという。にもかかわらず、この議会が終わったら、渡米の前に日韓閣僚会議をソウルでという話がある。決まったことなのかどうかという点、これは私どもからすると大変に心配なことであります。総理がみずから言っている国民の理解というものが、新聞の社説もたくさんありますが、そこまで進んでいない。なぜそこでお開きになることにしたのかという点、理解に苦しむところであります。  あわせて最後に、民族自決という話が出ましたが、韓国問題も、大きくとらえればそこに一つの問題点がございますけれども、東南アジアの場合にはそれをお認めになって、韓国で認めないというのも、これまた筋がおかしなことになる。そこはどうなのかという点。簡単で結構でございますが、そこらのところをお答えいただきたいと思います。
  87. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず最初の点でございますが、もしこの秋の国連総会において、昨年の国連総会とは帰趨を異にいたしまして、韓国における国連軍の存在というものに総会の多数が否定的な立場になるということがあり得るといたしますと、わが国として考えなければなりませんことは、国連軍が朝鮮の平和取り決めの一方の当事者になっておるわけでございますので、その当事者がなくなってしまうということになりますと、平和のフレームワークがなくなってしまいますので、そこのところを十分に考えておかなければならぬ、何かの方法を考えておかなければならないというのが、わが国として考えておくべきことではないかと思います。  それから日韓閣僚会議を比較的早く、たとえば七月にというような報道を、私はちょうどヨーロッパにおりますときに耳にしたわけでございますけれども、この点は、前々から申し上げますとおり、閣僚会議を開くといたしますと、やはりこれは将来の日韓関係が本当に真の友好に立ち返る、十分な友好への再確認の第一歩というものにしたいと私は考えておりまして、そのための雰囲気はまだ十分に熟していないというのが私の判断でございますので、したがって、仮に七月なら七月という時点で会議を開くための準備、決心をしておるかと申しますと、私はそういう考えはただいまのところ持っておりません。
  88. 藤尾正行

    藤尾委員長 大出君に申し上げますが、委員会の同士の約束で時間が制限されておりますので、御承知おきを願います。
  89. 大出俊

    大出委員 要望をして終わります。  韓国新聞も全く一つのことを書いているんじゃなくて、しきりにポストベトナムは韓国だというこの周辺諸国の言い方は、逆に誤解であり、かつ非常に困るという、つまりベトナムとは事情が違うのだという主張をしている新聞もあるわけでして、したがって、不用意に、何かどうも次は韓国だ、朝鮮半島だという式の論評なり憶測なり物の言い方なり、だからというものが次々出てくることは、よほどこれは差し控えるべきだろう。そこらはひとつぜひ慎重に対処をいただくようにお願いいたしまして、外務大臣に対する質問を終わらせていただきます。  山崎さんおいでになる間にちょっとここで承っておきたいのでありますが、時間の関係もございましょうから、順序を逆にさしていただきます。  いま横須賀で非常に市民の間に大きな問題になってきておりますのは、ミッドウェーの母港を認めた。これは長野前市長が認めたわけでありますが、この結果として、次々に基地が強化をされる、残念ながら居住する米軍家族もふえる一方である、こういう状況なんですね。いまどのくらいの艦船がここにおって、どのくらいの家族が住んでいるか。まあ家賃なんというのはべらぼうに上がっちゃって、どうしようもないのですがね。そういう現実的な状況というものをいかに把握をされておられるのか、少し外務省から説明をいただきたいのですが。
  90. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 現在、横須賀に家族を居住させております米艦船は、第七艦隊の旗艦のオクラホマシティーと航空母艦の、ミッドウェー、それから第十五駆逐隊に属しております六隻の駆逐艦でございます。その名前は、ウォーデン、パースンズ、リチャード・B・アンダーソン、ボーセル、ガータ、ローワンでございます。  家族数につきましては、ちょっといま手元に資料がございませんので、後ほど調べてお答え申し上げます。
  91. 大出俊

    大出委員 そこで、佐世保からまた横須賀に船が入ってくる。第七艦隊の第十五駆逐戦隊に配属をされた補給艦のホワイトプレーンズなんというのが入ってきているわけでありますが、この点は私は非常に疑問に思うのです。ミッドウェーの母港というものは認めたにしても、これだけたくさんの艦船が次から次から入ってくることまで市民は認めていない。市長も認めていない。だから、神奈川県知事、横須賀の横山現市長が、全くもって迷惑だ、市民感情からいっても全く賛成できないということで、官房長官等々に、やめてもらいたいという申し入れをした事実があると思うのでありますが、お聞きになっておりますか。
  92. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 そういう申し入れがありました事実は承知しております。
  93. 大出俊

    大出委員 皆さんの方は、それに対して何とお答えになっているのですか。
  94. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この点に関しましては、アメリカの海軍といたしましては、人的な、または物的な資源を最も効率よく利用する総合計画の一環として、米海軍の佐世保基地の艦隊支援機能を整理統合するというふうな方針を立てたようでございまして、その結果といたしまして、佐世保基地が若干縮小し、その基地の一部はわが方にも返ってまいるわけでございます。  その意味においては基地整理統合が進むわけでございますが、その関連におきまして、いま御案内のありましたように、この佐世保基地におります補給艦二隻のうち一隻のホワイトプレーンズというのが横須賀に移りまして、そしてそれに伴ってその乗組員とその家族が、大体今月からというふうに聞いておりますが、移るようでございます。この家族は、もちろんいますぐ収容する施設はないようでございまして、基地外に適当な家を求めて住むことになるのではないかというふうに承知いたしております。
  95. 大出俊

    大出委員 それだけでも二百九十人ばかりの乗組員がいるのですから、そうすると、一人ずつ世帯を持っているとすれば、二百何十軒からの家を借りなければならぬ。いま二千からの世帯のあるところへ、横須賀は人口過密でどうしようもないでしょう。そこに家を借りる。一般の民間人が結婚したからったってなかなかない。家賃はどんどん上がる。これは実は大変な市民運動が起こりかねないと私は思っている。にもかかわらず、整理統合だ、こう言われて、政府はそうですかということですか。
  96. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 確かに、横須賀の方々にとりましては、そういう人がふえることに伴ういろいろな問題があるとは思いますが、米海軍の日本における基地としては、そういうわけで整理統合が進んでおるということは事実でございまして、われわれとしましても、横須賀市民におかけする迷惑というものについては、できるだけこれを軽減するように関係省ともお話ししてまいりたいと思います。ただ、こういうふうに艦船が移ること自体を困るというふうには、ちょっとわれわれとしては申す立場にはない次第でございます。他方、米軍といたしましても、日本の家賃が高く、また物価が高いということで、こういう海外に家族を居住させる計画というものがいろいろな問題を持っているということは認識しているようでございます。
  97. 大出俊

    大出委員 あなたがおっしゃらぬからちょっと申し上げますと、九隻の船の母港化、このほかに潜水艦があるでしょう。潜水艦はそれ以前から母港なんですよ。だから、さっきの関連機材を置いてあるということになる。何を置いているのかわかりませんがね。兵員が約一万人ですね。家族が、ミッドウェーの三百世帯が横須賀市内。実はミッドウェーの家族は九百世帯あるのですけれども、横須賀市内に三百、六百は市外です。葉山なんというのは、基地もないのにこれらの人がいっぱい住んでいて、これは税金その他免除されていますから、全く金は入らない。金は入らないんだが水は使う、道路は使うというわけでありますから、どうしようもない、そういう状況です。特権がありますから、みんな免除されている。だがしかし、どんどん住んでいる。六百世帯のうちの半分近くがお隣に住んでいる。そこへもってきてオクラホマシティーが二百世帯、駆逐船隊がこれも合計で六百世帯、これだけで二千世帯ですよ。その二千世帯の上にホワイトプレーンズが入ってくる。家族が九十四世帯。市内に家を探して住む。一生懸命探しているのです。こうなると、これはいささか無理ですよ。神奈川県下に二十六カ所の基地がありますけれども、二十六カ所のうちの十七カ所が横須賀なんですから。  こういうことになってくると、これは私どもがここで議論した当初の母港化というのは、つまり兵員の乗り継ぎを早くやるだけなんだと、何遍も皆さんお答えになった。そうじゃないのではないか。ミッドウェーが来ることによって次から次からふえてくるのではないか。第七艦隊の七十七機動隊の中心的な基地になるのではないか。そんなことはない、兵員の乗り継ぎを早くするだけだ、交代を早くするだけだ、こう言ったはずだ。早くするどころじゃないじゃないですか。これだけの艦船が入ってきちゃっては、これは単なる乗り継ぎどころの騒ぎじゃないです。もうがまんがならぬという市民の声がここにたくさん書いてあります。これは地元の神奈川新聞ですが、たくさん書いてある。ここにも、私はだまされましたという奥さんから、基地犯罪の脅威に脅えているという人から、たくさん載っていますよ。これはまことに平易に地元の記者がみんなの意見を聞いている。これじゃたまったものじゃないという騒ぎになっているところへ、またまた佐世保から入ってくる。補給艦が幾つか佐世保に残りますが、これだって将来また入ってくる。一遍に入ってくれば大変なことになるから。佐世保はつまり共同使用にして残して、整理してしまおうというわけでありますから、そうなると、残っておる艦船も横須賀に来ることになる、同じ機動部隊傘下なんですから。そうだとすると、これはもうがまんができない。外務省が仕方がないと済ましていられる筋合いかどうか。  当初私が、実は四十六年の四月十二日の歳出委員会のレアード長官の発言を外電でとって質問して、初めて大平外務大臣がミッドウェーの母港化をアメリカから言ってきているということをこの席で明らかにした。それまで全く明らかになっていなかった。それは一体何だと私は質問した。そうしたら、単なる兵員の交代なんだ、乗り継ぎなんだということしか言わない。それ以来、母港化の最後まで一貫してそれしか言ってこなかった。だが現実の様相は明確に違う。単なる兵員の交代のためじゃない。全部ここを基地にしている。ミッドウェーの母港化じゃない、大艦隊の母港化ですよ。当時の皆さんの答弁と明らかに食い違っているこの責任を、一体あなた方どうおとりになるつもりですか。
  98. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 ちょっと最初に兵員の家族の問題でございますが、私たちの把握しておりますところでは、去年の十月九日現在でございますけれども、横須賀にありますのは、オクラホマシティーにつきましては家族数は三百六十四世帯、第十五駆逐隊の六隻の家族数は合計四百三十五世帯、ミッドウェーの家族数は三百五十五世帯でございます。  それで、ただいまのお話の件でございますけれども、まずホワイトプレーンズにつきましては横須賀に移ってまいるわけでございますが、もう一隻の補給艦マースがどうなるかということについては、米側からの通報によれば全く未定でございまして、われわれは、これがいずれ横須賀に来るというふうには、まだ聞いておりません。行き先は全く未定というふうにわれわれは承知しております。ホワイトプレーンズだけのことについて仰せられれば、確かにその分だけ住む人がふえるということは事実でございますが、われわれとしても、無制限にアメリカの艦船が横須賀に家族を居住させていくということはないと考えております。  と申しますのは、先ほど申し上げましたように、アメリカ側としても居住条件が非常にむずかしい。家賃がいろいろ高くなっておるとか、その他、周辺で実際問題としてもなかなか家が得られない、また基地内に家族が住めるような住宅をつくるといってもなかなか一挙に進まない、それから日本の物価はアメリカの乗組員にとっても決して少なくないというふうなことで、この問題は十分彼らも認識しておるようでございまして、いろいろと検討を加えておるというふうに承知しております。したがいまして、大出先生のおっしゃいますように、無制限に艦船がふえていくということはないとわれわれは考えております。
  99. 大出俊

    大出委員 あなたの方も、いまのお話を聞いていると、家がない、家賃が高いという。これは高くならざるを得ないのですよ。過密都市の横須賀でしょう。横須賀というのは、どんどんふえて大変な過密都市になっているわけですから。だから乱開発も次々行われて大きな騒ぎになっているのだけれども。そこへなおかつ山坂ですからね。本当にもう横須賀というのは地形の悪いところですから、山の間に家があるということでしょう。そこへ次々に入ってきて、二千世帯から入ってきちゃう。その上にまだ今度は百世帯近く入ってくるというわけですからね。そうすると、これはもう市民にすれば大変なことなんですね。この間、実は市会議員の選挙がありまして、七十何名、べらぼうなたくさんの立候補者がありました。みんなそれを言っている。端から聞いていると、もう保守も革新も問わず。皆さんが現実に困っているからですよ。こんなことにしちゃって、だからだまされたという意見がたくさん出てくるわけですね、そんなはずじゃなかったと。オクラホマシティーが入ってきたらこれこれ、大体市内に三百くらいしかふえないのです、こういうことだった。六百ぐらいほかで住むんですからという。三百くらいのつもりだった。そうしたら二千。さらに二千を超える、まだ入るかもしらぬ、これではおさまりがつかぬと私は思うのですよ。だからそこのところは、あなたの方でいつまでも仕方がないと黙っておられれば、これは仕方があるように運動でも起こさなきゃしょうがないのです。  そこで、先ほどお話がございましたが、日本は物価が高いという言い方をされたが、そうじやないのです。確かに日本は高いけれども、それどころじゃないのだ。それは普通なら予定もしないところへ二千何百世帯も入ってくれば、これはみんな物を買うのだから、いやでも高くならざるを得ないのですよ。この点だって実はずいぶん大きな被害なんですね。かといって、それじゃここに混在をして住んでいるこちら側に何かしてくれたか。何にもしてくれない。一号から五号ドックというのは返還すると言っていた。明らかにこれは共同使用でしょう。六船渠というのは初めからアメリカだ。後は共同使用。しかも、アメリカが必要なら優先使用でしょう、これは。そうすると、ほとんど何の地元に対する恩恵もない。やめた市長だってぼやいていますよ、こういうだまされたということについては。やはりだまされたと言っていただかなきゃ困るでしょう。あなた方が答えたのは、アメリカ側が言うとおり答えたんだから。ミッドウェーだけだから大体市内に三百かそこらだ、ふえても六百どまりくらいの話で、それより先に来ていたのはしょうがないとして、ということだった。それが二千何百にもなるとなれば、これは山崎さん、あなた方の方がアメリカに対して、四十六年の四月の十二日にレアード国防長官が下院の歳出委員会で物を言ったのが始まりだけれども、当時から一貫して言ったことが違うじゃないか、このくらいのことは国民を代表して相手方に言わにゃいかぬでしょう。そのくらいの責任はあってしかるべきでしょう。明確にしていただけませんか、そこのところは。それがまず第一歩でしょう。
  100. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 これは根本的には米海軍の艦艇の運用の問題でございまして、われわれとしても、将来についてどうなるかということは把握いたしかねるわけでございますが、今回の場合、在日米海軍全体として考えました場合、日本における第七艦隊が大いに増強されたという問題ではなくて、横須賀に佐世保にいる一隻が移ってくるという問題でございますから、この問題については、われわれとしても、一方において佐世保においては現実に人が減る、また基地の一部が返還されるという問題でもございますので、とやかく言うことはちょっとむずかしいわけでございます。ただ、将来の計画はどうなっているのだということに関しましては、先ほど申し上げましたように、艦艇の運用の問題でございますので、なかなか明確なことを聞き出すことはむずかしい次第でございます。ただ、マースの問題につきましては、われわれとしても、できるだけ早い機会に、その行く先を明らかにするようにアメリカ側と話し合いたいと思っております。
  101. 大出俊

    大出委員 これは幾ら市民の皆さんが外人世帯がどんどんふえるために困っていても、お隣の葉山のように、基地もないのにたくさんの米人が四百何十世帯も住んじゃって、税金も取れないで市費を使ってみんなやってやらなければならないとか、そうなっても、それはアメリカの艦船の運用上のことだから仕方がないと言っていたのでは、この国に政府行政もありはせぬじゃないですか。そうでしょう。そういうものの考え方を私は根本的に変えてくれぬと。だからこれは、東南アジア情勢もあるけれども、ウタパオを抱えている国も、クラークを抱えている国も、タイだってフィリピンだって、逆にこれは全く無用の長物で、こんなものもうやめてくれということになるのですよ、国民感情として。だからやはり言うべきことはきちっと言って何とかしなければ、現実に市民が困っているのでしょう。そこへまた入ってくる。だからいま大騒ぎが起こっているわけでしょう。また三百も入ってきたんじゃどうしようもないじゃないかという。市長だってとうとう音を上げて抗議をしているわけでしょう。本来ならば、横山さんという市長はミッドウェーが入ってくることに賛成した市長ですよ。それが反対の立場に立つというのはどういうことか。市民が困るからでしょう。だからあなた方も、そこは考えて受け入れたのでしょう。現実に市民が困っているのでしょう。それならそれを何とかしなければならぬということだけは残るでしょう。どうするかという問題はあっても。そのくらいのことを向こう側に言えないというふざけた話はないでしょう。現実に困っている、この過密になっているところにこれだけ入ってきて、さらにふえるこの状況というものを、理屈を言う法的な問題は別に言いますが、現実の問題を目をつぶれませんですよ。これは一遍御検討いただきたいですが、いかがですか。いま即答はいただきませんが、御検討願いたいのですが、いかがですか。
  102. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この点に関しましては、私ども横須賀市長ともお話をいたしております。さらにこの点は実情につきましていろいろ伺いまして、皆さんの困っておられる状況について何か政府として打てる手当てがないかという点について、関係省ともお話し合いをしたいと思います。
  103. 大出俊

    大出委員 何かしてあげなければ、それは横須賀市民の皆さんに国の責任上気の毒過ぎますよ。それは私は足元だから申し上げるので、ぜひこれは御検討いただきたい。  それから、さみだれ的に次々入ってきたら、これは一体どういうことになるのだ。一遍に入ってくればとやかくという問題はあるけれども、これは最初からミッドウェー初めこれらの艦船九隻一緒に入ってくるという騒ぎだったら、あの当時のあんな話じゃ済みはしないですよ。いつの間にか、ふたをあけてみたらミッドウェーのみならず、オクラホマシティーのみならず九隻も入ってきちゃった、なお入ってくる、そういうべらぼうなことが、事前協議だってこの中にあるのに、事済みませんよ。  ここで一つ私は、念のためにもう一遍聞いておきたいのですが、第七艦隊というものは、海の場合にはタスクフォースだというのだが、アメリカの記号で言えばTF、これはいま第七艦隊とあなたおっしゃったから聞くのだけれども、幾つありますか。いま第七艦隊の配置状況というのはどうなっておりますか。
  104. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 私どもの方で存じております関係をお答え申し上げたいと思います。  第七艦隊はタスクフォースが、直轄のタスクフォース、それから哨戒偵察関係のタスクフォース、それから機動後方支援のタスクフォース、それから巡洋艦、駆逐艦部隊のタスクフォース、それから潜水艦部隊、それから両用戦部隊。空母打撃部隊、これは御案内のように、三隻の空母を中心にいたします三つのタスクグループに分かれてございます。それから艦隊海兵部隊、これは第三海兵両用戦部隊の関係でございますが、タスクフォースといたしましては、以上に分かれております。
  105. 大出俊

    大出委員 わかりにくい答え方をされますね。これちゃんとナンバーがついているのだから、ナンバーで言ってくれませんか。たとえば、いまお話しの空母三隻とおっしゃったのはTF77でしょう。そうでしょう。TF77、これは第七艦隊の主力でしょう。攻撃空母打撃部隊、こう言っておる、日本語に訳せば。攻撃空母打撃部隊、TF77。それから哨戒部隊、TF72、これは従来南シナ海から台湾海峡です。それから補給支援部隊、TF73、これは第七艦隊の補給が主任務。それからTF76、これは上陸作戦部隊。それから海兵部隊、これがTF79。これだけがTFですよ。タスクフォースですよ。あとは、いまあなたが直轄とおっしゃったのはタスクグループなんです。TGです。TFじゃない。タスクグループ、直轄任務群、こう言っておるわけです。これが、一つは旗艦のプロビデンス、二番目が対潜掃海任務群。これは対潜空母が一隻います。それから巡洋艦・駆逐艦任務群。それから潜水艦任務群、これが潜水艦が約十隻。それから航空早期警戒部隊。それから対機雷戦任務群というのがもう一つありますね。ここまででしょう。そうすると、オクラホマシティーというのは、私は昔のプロビデンスと言いましたが、構成は変わっていない。  そこで、私がここで非常に不思議に思うのは、ミッドウェーから、オクラホマシティーから始まって九隻ぞろりと入ってきている。そこにまた補給船も入ってくる。そうすると、事前協議における海の配置の変更はTFが単位であるという。ところが、ただ単なるTFなら、哨戒部隊、TF72なんというのは駆逐艦四隻ですよ。そうすると、いま横須賀に入っているものをながめてみれば、ミッドウェー初め九隻いるわけです。同じTFでも哨戒部隊等ならば、わずかに中心は、小さなものがあるとして、駆逐艦四隻、これだけです。そうなると、これだけのものが入ってきてしまっても、何らこれは対象にならないという海の事前協議というのは、私は当時にさかのぼって、一体なぜ海をタスクフォースという単位に決めたのか。これは皆さんがお決めになったんだから、皆さんの先任者が。問い直したい。本来、四隻の軍艦が入ってきても、入ってきたものがTF72ならば、これは当然このTFという単位になる。ところが、空母三隻、そのうちの一隻と合計九隻の艦船が入ってきていても、これはその単位ではないという。これは一体どういうことなんですか、念のために承っておきたい。
  106. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 御案内のとおり、現行の安保条約が結ばれましたときには、海の場合について事前協議の対象となるのは一機動部隊程度ということでございまして、ただ、この機動部隊につきましては、これも先生がおっしゃいましたとおり、その任務、目的に応じて規模とか構成は異なるわけでございますが、空母の打撃部隊という場合には、われわれとしては二ないし三のタスクグループから構成されておるというふうに考えておりまして、このタスクグループについては、大体空母一隻を中心にまあ五、六隻の駆逐艦が随伴しておるという体制を想定しておるわけでございます。したがいまして、現在の横須賀におります艦船につきましては、これは一機動部隊には該当しないものだと考えておる次第でございます。
  107. 大出俊

    大出委員 それなら海の事前協議はないのですよ。いまあなたの答弁によると、三隻の空母がいる。その空母一隻を中心にして五、六隻の艦船が取り巻いている。それが一つの機動群である。そうすると、仮に六隻の艦艇が一つの空母を取り巻いていれば合計七隻。ミッドウェーがそうです。合計七隻。プロビデンス、いまの旗艦オクラホマシティーが直轄だとすれば、それから輸送艦が一つ入ってきているとすれば七隻で、ミッドウェーが一隻あってタスクグループのはずです。それが三つある。七隻で三つあれば二十一隻でしょう。空母三隻含めて二十一隻の艦船が入ってこなければ事前協議の対象にならぬというなら、これはない。なぜならば、横須賀の港には二十一隻は入れないから物理的にだめです。事前協議の対象にしようのないものを何で一体、一TFだというふうに決めたんですか。入れないじゃないですか。七十七機動部隊の三隻の空母とそれを取り巻く一グループ六隻、合計七隻とすると、二十一隻を超える。いろいろな補給艦もくっついているから、合計すれば三十隻以上になる。いまだって補給艦が入っているでしょう。そんな大部隊が日本の港、どこにも入れやしません。入れないものを想定して事前協議の対象とは一体何だ。なぜ一体そういう決め方をしたのですか。
  108. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 一つの港にそれだけの大きな艦艇が入ることは余りないであろうという御指摘は、確かに通常の事態においてはそのとおりだと存じます。しかし、これは事前協議の対象になるのは日本国内の施設を使用する場合でありまして、米軍に提供している一つの港に限らないわけでございまして、全体としてとらえることでございます。しかし、全体としてとらえましても、そういうふうなことは通常の事態では余りないであろうということはわれわれも考えますが、しかし、非常の事態にはそういうこともわれわれとしてはあり得るというふうには考えておる次第でございます。
  109. 大出俊

    大出委員 あなたは外務省だからだけれども、そんなばかなこと言ったって通用しないです。第一艦隊というのはアメリカの太平洋岸にひっついているのでしょう。それが任務でしょう。国を守っているんだから。あとは第七艦隊しかないのでしょう、太平洋側は。  それじゃ承りたいんだけれども、第七艦隊の警戒範囲というのはどこからどこまでですか。
  110. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 東経六十二度から百六十度の間の海洋面というふうに承知しております。
  111. 大出俊

    大出委員 というと、それはもう少しわかりやすく言ったら、どこからどこまでですか。
  112. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 六十二度はインド洋のちょうど真ん中ぐらいになると思います。それから百六十度はグアム島の少し東のところではないかと思いますが、ちょっと正確なことはよく覚えておりません。
  113. 大出俊

    大出委員 ペルシャ湾を見たらわかるじゃないですか。ペルシャ湾というのは、運河が一つあって、向こう側は地中海でしょう。向こうは第二艦隊ですよ。こっちは第七艦隊です。グアム島からそれだけ広大な地域に第七艦隊の守備範囲がある。いまのお話だというと、第七艦隊というのは七十七機動部隊です。これしかない。三隻の空母とそれを取り巻く六、七隻の艦船しかない、軍艦で言えば。それが全部日本に入ってきちゃったら、これはアメリカというのは第七艦隊しか太平洋岸に置いてないんだから、これはなくなってしまうじゃないですか。そんなばかなことがありますか、初めから。日本の横須賀だけでない、ほかの港も使って入ってくると言ったって、アメリカの第七艦隊全部が入ってこなければ、七十七機動部隊が入ってこなければ、これはあなた事前協議の対象にならぬのだと言うなら、攻撃型空母を中心にする攻撃船団は七十七しかないんだから、そうすれば、まさにペルシャ湾、インド洋からグアム島まで全部留守になって、そんなばかなことが、あなた、初めからありゃせぬじゃないですか。そうでなければ事前協議の対象にはならない、まじめにそうお考えでございますか。
  114. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 私も申し上げましたように、これはそういう非常事態の場合であると思いますが、日本周辺に非常な緊張が高まったということで、米海軍が第七艦隊の艦船を集結するということはあり得るであろう、まさにそういうときこそ事前協議の問題が生じ得るであろうということでございまして、現在においては確かに想定しにくい事態でございますけれども、理論的に考えますればあり得る事態ではないかと考えておる次第でございます。
  115. 大出俊

    大出委員 つまりタスクフォースなら事前協議の対象にならない。いまちょっと話も出ましたが、第七艦隊の守備範囲というのは北はベーリング海まであるのですよ。いま丸山さんの答弁にそれが抜けていましたが、北はベーリング海、南は南極大陸まであるのですよ。ちゃんと任務に書いてある。それから東は中部太平洋、キロで言えばグアム島の東九百六十キロ、東経で百六十度ですね。それからインド洋、これは同九十度です。この莫大もない水域を抱えているわけでしょう。幾らそれは有事だと言ったって、これが一緒になって日本に入ってくるなんて、そんなばかなことは初めから考えられやしない。つまり事前協議というものは全く海において有名無実である。対象にしょうがない。初めからない。これは一機動隊程度という答弁をさっきなさいましたが、そうすると、そこのところは外務省として、アメリカ側と話し合わなければならぬ筋合い。いにしえの、いまの取り決め、口頭了解というものがありますけれども、初めから対象にならぬものを想定して事前協議と言ったって意味がない。ならばどうするか。そうじゃないから横須賀のようなことが出てくる。九隻も入ってきたってどうしようもない。次々入ってしまう。こういうようになし崩しに入ってきて、それだけの数、単位になったらどうするんだと言ったら、それは明らかに違反だ、安保条約六条に基づく交換公文違反だと大河原さんは前に答えている。なし崩しにこれだけ入ってきても手も足も出ない。国益の上からこれはゆゆしき問題ですよ。だから、ここのところは改めて検討する必要があることだと思いますが、いかがでございますか。
  116. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 事前協議の対象となる陸、海、空の規模につきましては、日米間で合意がございまして、また、それについてはすでに確認もされておる次第でございまして、われわれとしては、これを改めて再検討するという立場はとっておらないわけでございます。艦船の配置に関しましては、そのときどきの事態に応じていろいろと変わってまいるとは思いますが、その当時われわれの取り決めました定義を変える必要は、現在認めておらない次第でございます。
  117. 大出俊

    大出委員 もう一つ承りましょう。そうすると、安保条約六条に基づく交換公文というのは、安保条約六条が基礎でございましょう。そうですね。そうすると、日本並びに極東の安全と平和の維持に寄与するためにということでしょう。日本並びに極東の安全と平和の維持に寄与するために、アメリカ合衆国は、その陸、海、空三軍をして日本の施設、区域を使用することを許されると書いてある。そうでしょう。これが六条でしょう。地位協定もありますが、これに基づく交換公文でしょう。そうなると、日本並びに極東の安全と平和の維持に寄与するために、アメリカ合衆国は、日本の施設、区域を使用することができる、許される、日本が許す、こういうことでしょう。  さて、第七艦隊の旗艦のオクラホマシティーが横須賀にいる。ミッドウェー中心に九隻も入ってきている。この第七艦隊の守備範囲は、北はベーリング海から南は南極大陸、東は中部太平洋、グアム島の東九百六十キロ、東経百六十度、インド洋同九十度に達する水域、実に何と地球の海面の五分の一です。こんなべらぼうな海域を守備範囲にしている第七艦隊の基地。単なる兵員の交代でないとすれば基地、いまやまさに間違いないでしょう。あのときは、単なる兵員の交代だからと大平外務大臣は私に言った。だが今日は、単なる兵員の交代でないことはあなたもお認めになっている。家族を含めてみんながっちゃり入ってくる。ほとんどの艦船は方々に出払って任務についておる。ところが、マヤゲス号事件、シャム湾に向かっての例の問題のときにはミッドウェーは出かけていっている。そうすると、これは明らかに安保条約六条違反ですよ。日本並びに極東の安全と平和、極東とはフィリピン以北日本の周辺、こうなっておるわけです。一体何で、ベーリング海だの南極大陸などまで守備範囲に持っておる第七艦隊の旗艦以下、これらの艦船の基地として横須賀を認めなければならないのですか。これは明らかに安保条約六条にかかわる違反じゃないですか。いかがですか。
  118. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 空母ミッドウェーが所属しております第七艦隊の艦船が大きな守備範囲を持っておるということは、仰せのとおりでございますが、そういう艦船がそのときどきにどこにいるかということとは別に、日本に寄港しております第七艦隊の艦艇が全体としてわが国の安全と極東の平和と安全の維持に寄与しているということが実体的に認められておるわけでございまして、その限りにおいて、その行動の範囲が必ずしも極東の範囲に限られていないということは、わが方としても許容し得るところであろうと考えます。
  119. 大出俊

    大出委員 そんなことを言うなら、安保条約の条文なんて要らない。あってもなくても一緒。これはだから、極東の範囲から言って、この第七艦隊の守備範囲からいけば、日本と極東の安全と平和に寄与するより以上の、まさに地球の海の五分の一を抱えておるわけですから、そういうものは認められない、そういう解釈を日本政府がとることはできる。あなた方がそれをとろうとするかしないかの問題だけだ。あなた方が安保条約六条というものを正しく解釈して、許容する範囲を超える、だから認めがたいということを言うことはできる。つまりこれは日本政府政策。それをあなた方が言うか言わないかということだけ。明らかに極東の範囲を超えている。かくて今日九隻も来て、市民は大変な迷惑をしている。こういう状況です。そこのところはいかがですか。
  120. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 現在、日本の施設、区域を使用しております第七艦隊の主要な艦艇は、先生の御案内のとおり、ミッドウェーを中心とする九隻、ないし佐世保の分を加えても十隻程度でございまして、そういうものがあるということは、わが国の安全と、そして極東の平和と安全に寄与していることも事実でございます。この点は若干認識の違いがあるかとは思いますけれども、それ自体はそう大きな兵力ではないのではないか。そしてその艦船の一部が極東の範囲を超えて行動することは確かにあり得ると思いますけれども、その艦船を全体として見れば、これはわが国の安全と極東の平和と安全に寄与しておることが認められます以上、われわれとしては、この点については十分認め得るところであると考える次第でございます。
  121. 大出俊

    大出委員 核の問題で一つ承りたいのですけれども、一月の二十三日に、弾薬輸送艦から三七二型一号、三号、零号、こういうコンテナが浦郷の弾薬庫に陸揚げされている。作業は午前九時から午後五時まで行われた。約四十本のコンテナが搬入をされている。この日はミサイル駆逐艦のパーソンズ、これがドックから出た。三月十一日にこの浦郷の弾薬庫に輸送艦から積み込まれたコンテナ三七二型、これをパーソンズに積み込んだ。これは写真があります。このコンテナ三七二型、これは一体どういうものか御存じですか。
  122. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 ちょっと事実について承りたいのでありますが、それはことしの一月の事実でございますか。
  123. 大出俊

    大出委員 もう一度言いましょう。ことしの一月の二十三日、弾薬輸送艦、ここから三七二型、午前九時から午後五時まで四十本のコンテナが浦郷に運び込まれた。二十八日にパーソンズが修理でドックへ入った。このパーソンズがこの港に入ってきたのですね。そして三月十一日に、このパーソンズにいまの三七二型、このコンテナが積み込まれる。これを目撃者もいれば映画にも撮ってある。したがって、このコンテナ三七二型というのは何を入れるコンテナかと、こう聞いているわけです。いま一号、三号、零号と言いましたが、どれでもいいですけれども。
  124. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この一月のケースについては、われわれは正直申し上げて承知しておらないわけでございますが、昨年の十一月二十九日に新聞に報道された同様な事件がございまして、そういう問題については、アメリカ側に聞いたことはございます。ただ、この一月の問題については承知しておりませんので、いずれにしても米側に問い合わせてみたいと思います。ただ、いずれにいたしましても、前から申し上げておりますように、米側からの事前協議なくして、そういう核兵器のようなものが日本に持ち込まれることはあり得ないと確信しておる次第でございます。
  125. 大出俊

    大出委員 私は冒頭に申し上げましたが、まだ正式にこの浦郷の、私がサイミントン委員会の付属資料に基づく質問に対するお答えをいただいていない。これはいただかないと、いまあなたはそう簡単なことを言われても、米政府に照会するとあなた方が答えたままになっておるので、どこかほかの方が質問するというので、あなたは私に電話で、核ではないということを言ってきましたが、ということをおっしゃっただけです。だから、私のいま聞いているのは、まだ核の話をしておるのじゃないですよ。えらい早手回しで核の話をなさるけれども、私は、いま三七二型というのは何だと聞いている。そしたら、いずれにしても核は持ち込まないとあなたは言う。あなたは少し核におびえているんじゃないですか。かくかくの次第というのは後から言いますよ。わからぬならわからぬでいいんだが、三七二型というコンテナは、アメリカの軍の記号、表示その他ございますが、これからいくとどういうものを入れるのか、こう聞いているわけですよ。
  126. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 その三七二型の件につきましては、米側に照会いたします。  それから、一九七〇年一月の上院外交委員会安全保障協定・対外公約分科委員会、いわゆるサイミントン委員会提出した横須賀基地の機能に関する資料の付属で、一部が削除されておりまして、これが核兵器を意味しておるのではないかという点でございますが、この点に関しましては、当時、大臣が米側に照会するということを約束されました。この点につきましては、われわれは照会いたしましたが、米側は、その削除した部分は核兵器に言及したものではなく、また核兵器とは関係のないものであるという旨の回答があった次第でございます。
  127. 大出俊

    大出委員 ところで、核兵器に関係のないものだと言うなら、それは一体何なんですか。
  128. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 米側は核兵器に関係したものではないということは明らかにしたわけでございますが、その具体的内容は何であるということについては、公表できないというふうに言ってまいっております。
  129. 大出俊

    大出委員 これは上と下全部公表されていて、公に資料で出しているのですよ、付属資料で。この間私が原文を持ってきてここで皆さんにお示ししたとおりであります。ところで、省略ということになっている。艦船からの移しかえ、一時貯蔵、ここから削除と、こうなっている。デリーテッド、削除、こうなっている。つまり艦船からの移しかえ、一時貯蔵というところまで載っていて、その下が削除。だから、ここにフォー・ニュークリア・ウエポンズを入れば、「核兵器のための」ということになって、脈絡全く整うというのが専門家の見方、こういうわけですね。だから、これを否定しようとなさるなら、核でなければ何なんだということがはっきりしなければ、核ではない別なものだ、それじゃ一体それは何なんだ、それは発表できない、こうであったのでは、この問題の決着にならぬじゃないですか。ならないでしょう。納得のしょうがないじゃないですか。  ところで、三七二型コンテナの方はどうなったのですか。
  130. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この点は実は、宮澤大臣もほかの委員会で答えられておられるわけでございますけれども、一国がその公式文書の一部を削除するというには、やはり一応の理由があるのであろうと思います。ただ、これが核兵器に関連する問題でございますれば、日米安保条約上の米側の義務にも反する問題でもありますし、わが国の国の方針にも反する問題でもございますので、わが方としては、この点ははっきりしておかなければならないと考えます。その点につきましては米側は、核兵器に関係のないものであるということははっきりさしたわけでございまして、したがいまして、それ以外の何らかの理由によってこれを削除して、公表したくないということを先方は言っております以上、これはわれわれとしては、それで満足せざるを得ないのではないかと思うわけでございます。  一番最後の御質問の点がちょっとわかりかねたわけでございますが、どういう点でございますか。
  131. 大出俊

    大出委員 三七二型コンテナの方はどうなったんだと聞いた。ところであなたの方は、問い合わせるとおっしゃるならそれでいいんで、調べていただきたいのでありますが、このアメリカ側の資料によりますと、艦対空の誘導ミサイル・ターター、それから同スタンダード、これを一本ずつ入れる容器であると、こう言う。スタンダードというのは、これは核、非核両用です。つまりスタンダードの入れかえ作業。これはもう実はこのターターというのは、あなた方は御存じと思いますけれども、いまどんどんみんなスタンダードに切りかえているわけですよ。ターターというのは両用兵器ではありませんから、これはどんどん少なくなっているわけですね。日本に限らず方々で、小山内さんなんかも書いておられますけれども、ターターはいま、スタンダードをどんどんつくってみんな入れかえている。だから、いまのこの事実は、ターターをスタンダードに入れかえている入れかえ作業だ。そうすると、これはラロックの証言その他から見て非常に疑問が残る。スタンダードに違いない。これはあなたはお調べいただくことになりましたから、一遍調べていただきたいのでありますが、これはつまり両用兵器に全部切りかえている。一つの艦船は必ず両方を積んでいるというのがラロックの言っていることです。ラロックの証言です。また、だからボタンの押し損ないで赤い頭のやつが出てきてしまったという説明までしているわけです。大変に私どもは大きな疑問を持ちます。これはぜひひとつお調べいただきたい。  それからもう一つ、三月十九日、やはり三七二型の一号、これは八本、海上自衛隊の「あまつかぜ」、これに持ち込んでいるのですね。自衛艦「あまつかぜ」、これは新鋭艦ですね。艦対空のミサイルを持っている。ここに写真がございますが、「あまつかぜ」が装てんをしている写真がある。これは映写の模様からすると模擬爆弾だと見られます、私どもの経験からすると。だが、これも非常に疑問があるのですね。これは坂田さんの分野ですけれども。同じ浦郷から出てきた三七二型一号コンテナから取り出した模擬爆弾であっても、それを装てんするというのは、私どもから見ると、これはいささかどうも、訓練をしているのだということになりましょうけれども、いまここで申し上げませんが、いろいろな見方ができます。したがいまして、これは事実かどうかというよりは、映画を写している諸君もいるのですから、映画なんですから間違いないことですけれども、これまた長官がおいでになりますから、八本、これはぜひひとつお調べいただきたいわけであります。いまの二点、きょうでなくても結構でありますから、お調べいただいてお答えをいただきたい。あといろいろ問題がございますが、そのときに改めて申し上げたいと思います。  つまり、私がいまここで申し上げたいのは、ラロック証言にもございますように、沖繩に入ってきている艦船、パーソンズ、ローワン、ガータ、アンダーソン、ボーセル等々、ウォーデンもありますし、オクラホマシティーがあります。ミッドウェーがあります。ここに積載しているテリアなりアスロックなりタロスなり、これは全部調べてみまして、核、非核両用兵器をほとんどが積んでいる。積載艦です。本来なら積んでいるわけですけれども、日本との約束があるから入ってきたときには積んでいないというのが皆さんのいままでの主張なんです。これはアメリカ議会で取り扱われているやりとりでも何でも、必ず積んでいることになっている。日本評論家の村上薫さんなんかも、「アメリカ第七艦隊」という本を書いておりますが、この中にも、必ず積んでいるというフエルト大将の証言を挙げている。私もたくさん調べてみました。ギル・パトリック以来のいろいろな証言を調べてみた。国会の資料室から借りてきてお返しをしたら、その次に調べに行ったらもうなかった資料まである。不思議な話であります。ギル・パトリック証言がそうです。  そういう事情が実はございますから、私どもはこれは信用していない。だから、さっき申し上げましたように、単なる兵員の交代なんだということでミッドウェーは入ってきたはずなんでありますが、それが単なる兵員の交代ではない。二千何百世帯もの人が定着をしてしまった。すでにこの間に原子力潜水艦の乗組員も定着して、家を借りて住んでいるなどというたくさんの事情が出てきて、いま横須賀は大変混乱をしております。そういう時期におまけにいま入ってきた艦船の核搭載の疑いというものをますます濃くしている。だから、けさも実は宮澤さんにああいう聞き方を私はしたのですけれども、これはこのまま放任はできない。そこのところを皆さんの側がお考えをいただいて御検討いただきたいとさっき申し上げたのだが、そういう市民が苦しんでいる実情というものを避けて通らずに御検討いただきませんと、やはりこれは、アメリカの上院軍事委員会等が沖繩に関して海兵隊問題について挙げているような問題だって出てくる可能性もあるわけでありますから、これは前向きに御検討いただきたい、こう申し添えておきたいのであります。  さっき委員長からメモをいただきました時間が過ぎましたので、とりあえずここまでにさせていただきますが、きょうは私と中路さんになっておりますので、あと休憩後にできるだけ詰めて防衛庁長官に承りたいのでありますが、以上で午前中は終わらしていただきます。
  132. 藤尾正行

    藤尾委員長 午後二時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十五分休憩      ————◇—————     午後二時三十一分開議
  133. 藤尾正行

    藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。大出俊君。
  134. 大出俊

    大出委員 外務大臣がお見えになりましたので中断をいたしましたが、私が言わんとするところは二つありまして、さっき外務大臣とのやりとりですでに申し上げましたが、いまの時期に、「防衛考える会」という会もそうでありますけれども、ポスト・ベトナムということでいろいろな感じの相違が出てくることは、人間ですから当然あり得るわけですけれども、何か大変だなという形の騒ぎ方と言ったら、これはお怒りになるかもしれませんが、そういう物の見方は正しくないのではないか。たとえば隣の国の政治体制が変わったところで、それはその国の国民の選択ですから、変わったからさていやだと言ったって、日本国民日本から逃げるわけにはいかぬのですから、そういう意味では、もう少しじっくり物を判断する、詰める、そのことが必要なんじゃないか。だから、いささか不用意と見られる新聞への——限られた方が集まって、必ずしも全部が防衛の専門家でもない、実はぽかぽかぽかぽか出てくるというようなことは、これは感心をしないという気が一つと、あわせて、やはりこれは行政ですから、その意味では行政手続をきちっと規定をして閣議が物を言っているわけでありますから、それはお守をいただきたい。二つありましてああいう言い方をいたしましたが、そこらの真意をおわかりいただければそれでいいわけで、ぜひひとつ、国会で審議をして決めた、つまり行政機関ではないわけでありますから、その種のものは、実はあくまでも個々に大臣が必要に応じて、専門家の方々、あるいは学識経験のある方の意見をお聞きになるという筋道のものでございますから、余りそれが何か大きな物議を醸すような表への出し方はお避けを願いたいという気がありまして申し上げたわけでありますが、御理解をいただけますか。
  135. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は、いまお話しの気持ちで対処したいと思っております。特にポストベトナムの問題については、むしろ静かに冷静に対処するということが必要だというふうに私は思っております。
  136. 大出俊

    大出委員 御理解をいただきましたので、先に進ませていただきたいのであります。  そこで、防衛庁長官が最近いろいろ記者諸君に物を言っておられたりする中で、冒頭に承っておきたいのは、二十九日でございますか、坂田長官が、事務次官の田代さんなり統幕議長の白川さんなり、あるいは防衛局長丸山さんなりと、ポストベトナムを踏まえたわが国の防衛問題について、約一時間十五分にわたって意見交換をした。この席で防衛庁側が、日米安保条約に基づく防衛分担について日米間で詰めるために問題点の検討に入っていることを報告された、首相が、制服の方々を含めた日米間の話し合いに入ることを了承した、こういう報道がございます。これも実は長らくいろいろな角度から議論をされてきたところでありまして、なかなかむずかしい側面もございます。この時期に来て防衛庁長官がこういうふうにお考えになったという、これは上田哲君の質問に答えての議事録も読みましたが、その真意は一体どこにあるか、私もかつてこの問題を取り上げて種々議論をした経験もございますが、その真意のほどをとりあえずお聞かせをいただきたいわけであります。
  137. 坂田道太

    坂田国務大臣 これは、いま御指摘になりましたように、参議院の予算総会におきまして、社会党の上田議員から、日米安保条約が結ばれておる、しかし、それに基づくいわば実務者同士の防衛計画と申しますか、あるいは作戦計画といいますか、そういうものが何か秘密にあるのじゃないだろうかということでございます。それで一応調査いたしました。しかしながら、それはございませんでした。ただ、海上自衛隊において、アメリカの海軍のユニホームの人たちと研究をしているということはございました。それをそう申し上げましたら、やはりそれでいいのかという詰めがなされまして、むしろ、防衛庁長官、私とあなたとは立場は違います、しかしながら、論理的に言うならば、日米安保条約があって、そしてそういうような防衛の有事の際における何らかの取り決め等がないというのはおかしいじゃないですかという意味の、これは私はそういうふうに受け取りましたので、そうおっしゃられ、詰められますと、私も論理的にはそうあってしかるべきじゃないだろうかとお答えしたのです。そういうわけで、たまたま昨年、御案内のとおりに、山中長官が向こうにおいでになりまして、国防長官お話しになって、今度はひとつ日本にも来てくださいということをちょっと言っておられたそうでございます。それで私も、就任いたしましてから、やはり防衛を預かる責任者同士が、日米安保条約もありますのに情報の交換もしない、ごあいさつもしないということはどうだろうかと、実はかねがね就任以来思っておったわけでございまして、そこで私も、それはシュレジンジャーさんをお呼びいたしたい、そうして、いまお話しのようなことも含めまして、必要があるならばそういうような取り決めもやってみたい。必要があるならばと、私は少なくともそういう気持ちで申し上げたわけで、これが本当の気持ちでございます。
  138. 大出俊

    大出委員 妙な時期でございまして、片や「考える会」ということで、これは大変だ、下世話の言葉で言えば、ポストベトナムで何かが起こるのじゃないかというような雰囲気が出てくる。金日成氏は九日にわたって北京を訪問した、韓国で革命が起これば積極的に援助するというようなことを言うた、そういう背景の中で、けさほど来申し上げましたが、どうも日本基地を有事の際にはアメリカに使わせる、そういう余裕を残さなければいかぬじゃないか、事前協議についてもイエス、六九年の日米共同声明等に基づいて考えておかなければいかぬじゃないかというふうなものが出てくる。これも坂田さんの名において出てくるわけですから、新聞を見れば。  そこで防衛分担の日米交渉、装備にまで話が及んでやる。しかも八月は総理がアメリカに行く。一方、宮澤さんが外国においでになっての数々の外電は、まさに米日韓という形における結束強化をやろう、シュレジンジャー氏のポストベトナム新政策のみならず——この記者発表の中身というのは、心臓部をたたくんだなんというようなことを言う。かと思うと、NATOの会議を対象にして、戦術核兵器を使うと言う。えらい威勢がいいわけですね。どうも防衛当局が余り威勢のいいことを言い出すと、ろくなことがないという気が私はするわけでございます。だから、これはじっくり長官の真意を承っておかなければならない、こういう気がするのであります。  そこで防衛分担、こう言うのでありますが、一言で防御分担と言ったって、なかなかそう簡単じゃございませんで、陸、海、空ございます。お答えいただきやすいように申し上げれば、海は一体どういう分担をやるべきなのか。あるいは空はADIZもございますが、どういう分担をおやりになるのか。陸は、日本は島国でございますけれども、さてどういう分担をおやりになるのかという大変気にかかるところがございます。詰めると言うのでありますが、詰める前に何かがなければ詰められぬわけでありますけれども、そこらは一体どうお考えでございましょう。これは必ずしもシーレーンの問題だけじゃなくて、全般的にどうか、承りたいわけでございます。
  139. 坂田道太

    坂田国務大臣 そういうわけで、先生がそうお話しになるほどいろいろのことがあると思いましたので、実は事務当局に作業を命じまして、どういう問題点があるのかということをいまやらせておるわけでございます。防衛局長からお答えいたします。
  140. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 この問題はまだ私どもの作業が進行中でございますので、あらましの考え方と申しますか、そういうものをちょっと申し上げておきたいと思います。したがいまして、必ずしもいま私が申し上げるような結果になるかどうかということについては、いまの段階ではっきり申し上げられませんので、そういう前提でひとつお聞きを願いたいと思います。  具体的な詰めという問題になりますと、これはやはり両国の軍事の直接の担当者の間の詰め、いわゆる専門家間の研究ということにならざるを得ないわけでございまして、ある程度、いままでも国会で御報告申し上げてございますように、幕僚研究という形でいままで進めてきております。しかしながら、現地の当事者限りで、御案内のようにアメリカは相手が在日米軍司令部でございますので、全権を委任されておるわけではございませんし、きわめて技術的な問題に終始するというかっこうにならざるを得ない、おのずから限界があるということでございまして、そこで、この両者がそういうすり合わせをする両政府のオーソライズされた調整機関といいますか、こういうものの存在が必要ではないかということをまず考えております。これはいままでの日米関係におきましては、第九回の安保協議委員会におきまして、在日米軍基地の軍事的な側面についての検討、これをやらせるという合意が成り立ちまして、そこで現在は、私どもの方の統合幕僚会議の事務局長一在日米軍司令部の参謀長がそれぞれの代表になりまして、ずっといままでこの会合は続けてきておるわけでございます。これはいま申し上げましたように、米軍基地の運用についての問題ということにテーマが限られておりますので、それ以上のことはできないことになっておるわけでございます。結局、いまの両国の細かい軍事作戦面ということになりますと、そういうものの存在が必要ではないか。しかもこれは非公然ということではなくて、堂々と両国が合意した形で運用できるようにということになるかと思います。  それから、この作戦分野の専門家の諸作業をする前の前提といたしまして、アメリカが日本を支援する場合には、それでは具体的に一体何をやってもらうのかという大枠は、やはり政治の責任ではないかというふうに考えるわけでございます。アメリカの任務、支援、まあ日本サイドから見ますと、アメリカに対する期待内容といいますか、こういうものはやはり、大筋は政治の枠の中で技術的に詰めていくということをやるべきではないかというふうに考えております。  在来御答弁申し上げておりますように、有事の際にアメリカが何をやってくれることを一体期待しておるかということになりますと、御案内のように私どもは憲法の制約がございますので、それ以上のことはできないということになりますと、まず核の抑止力に依存する、これは日米安保の基本でございます。核の抑止力をきかせてもらうというアメリカに対する期待、これはもちろん現在の平時においてもきいておるわけでございますが、そういうこと。  それから、いわゆる専守防衛という立場から自衛隊考えました場合に、われわれの作戦というのは、いわゆる守勢作戦と申しますか、受け身の方の防勢作戦ということになるかと思っております。そこで攻勢作戦ということ、つまり仮に日本に侵攻する国があって、相手方の基地をたたくということ、これがいわゆる攻勢作戦ということになるかと思いますが、こういうことはアメリカに期待せざるを得ないということだと思います。  それから、現在の情勢下で、現在のこの防衛体制から考えまして、自衛隊で十分対処し得るかというと、なかなか問題がある。日本の国土、を守るという本来の目的を達成するために、その補完的な任務といいますか、役割りを演じてもらう必要がある。その補完的役割りということになりますと、一緒に並んで戦列に加わるということもございますが、主としてやはり補給面というようなことが大きな問題になってくるのではないかというふうに考えております。  そういうような中身のものを、こういう調整機関において具体的に詰めていくということが必要ではないかというふうに思いますので、これも大臣の方からかねがね申されておりますように、仰仰しい形式的ないわゆる取り決めという形には必ずしもこだわっておらないわけでございまして、この辺は外交関係の問題もございますし、外務省においてあわせて御検討していただいておるわけでございます。  大体私どものいまの頭の中にございますのは、そういうあらましのことを考えまして現在作業をやらせていただいている、こういう状況でございます。
  141. 大出俊

    大出委員 この「防衛分担の日米交渉 首相も積極姿勢 統幕議長らの報告了承」というのは五月三十日の記事なんですね。きょうは三日でございますから、二、三日前の記事、先週末の記事ですね。そこで承っておかなければなりませんのは、いまのお話で言うと、その専門家と申しますか、たとえば統合幕僚会議の事務局長さんがおたくの側においでになる、在日米軍の参謀長が向こうにおいでになるというところがトップになって、第九回安保協議委員会で決めて基地問題の話をしよう。これを称して一体何会議というのですか。専門家会議ですか。
  142. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 通称幕僚会議と申しております。
  143. 大出俊

    大出委員 そうすると、いまここで丸山局長がお答えになっている新しいこの種のものをつくる、これは一体称してどんなふうなものになるわけでございますか。やはり幕僚会議、あるいは防衛分担に関する専門家会議とか、事務レベル会議とか、構想としては何かそんなことになるわけでございますか。
  144. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまの幕僚会議は純然たる制服間のものでございますが、この段階にシビリアンを加えるのが適当であるかどうかという点については、これもいまあわせて検討させていただいておるところでございます。  それから、これはまだはっきりしたあれを申し上げられないのでございますが、この第九回日米安保協議委員会のときの合意というような形で出てまいっておりますけれども、このような形を選択するのがよろしいかどうかという点につきましても、現在検討の段階、こういうところでございます。
  145. 大出俊

    大出委員 要するに、専門家を集めて、そこにシビリアンを入れるか入れないかという出題。たとえば防御局長をおやりになっていた久保さんなどは、すり合わせということになりますと、制服の方がいるでしょうけれども、そうでなければ、まさに専門家でございましょうから、そういうような意味の専門家の会議というふうな受け取り方をしてよろしゅうございますか。
  146. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまのところ、まだ全く卵みたいな状況でございますので、先生のおっしゃったようなことを私どもも考えておるわけでございます。
  147. 大出俊

    大出委員 さてそこで、先ほどのお話に出てくる日米合意に基づくもの、つまりオーソライズされたもの、公然とやろうというもの、こういうことでその意味における専門家の会議一つつくりたい、こういうわけであります。そこで、その後に出てまいりましたのが専守防衛を国是とする日本でございまして、つまり旧来から言われる防勢作戦、自衛隊は店の役割りを果たす、そこでやりの役割りを攻勢作戦と称してアメリカがこれを受け持つ、こういう話なわけでありますが、そして事あったときに、有事というお考えでありますけれども、核のかさというのは一つの抑止力でございますが、これを詰めていきますと、実は大変なところまでいってしまう性格を私は感じるわけであります。  事、有事の際となりますと、実は御存じのように、三矢図上研究というようなものもあるわけでございまして、三矢特別委員会をつくられまして、この中で後ほど少し触れさせていただきたい問題もあるのでありますが、まさに、某月某日、三十八度線を越えて鮮中連合の大編隊が北から入ってきたというところから始まるわけですね。あの中では日米間の問題というのは限られているのです。三矢小委員会は非公開で開かれましたが、提出資料が幾つもございました。第四というのがあります。第四の中身というのは、主として日本とアメリカの関係自衛隊米軍関係を詰めている。核の問題も出てくる。アメリカの核、戦術核なんというものにどういうふうに日本側が対応するかという中身などがあるわけです。国内的に、しからば自衛隊法なる法律がございますけれども、この中で、政令なり何なりに委任をして決めなければならぬ問題がたくさんあるのですけれども、あの中では、八十本ばかりの法律を一週間かそこらで臨時国会を開いて押し通しちゃおうという中身です。つまり詰めていきますと、防衛分担と名がつく限りは、そういう側面を非常に大きく持つことになる。憲法の制約とおっしゃるのですけれども、安保条約というものは憲法違反じゃないという皆さんのたてまえですから、安保条約五条というのは自動的に共同戦闘ですから、安保条約五条をたてまえとすれば、そこで行われる戦闘というものは憲法違反でないという形の戦闘でありますから、当然そこまでいってしまう。  そこで、前提として承っておかなければならないのは、そうだとすると、トータル・フォース・コンセプトなる総合戦力構想というものがレアード構想でございます。まずこれとの関係で、トータル・フォース・コンセプトなるもの、つまりその総合戦力の一環とアメリカ側は日本自衛隊を見ている。この点はまずもってどういうことになるのかということですね。つまり有事の際まで想定をして防衛分担を決める。分担を決めた限りは、それが協定であれなかれ、相互に決めた以上は責任と義務を負い合わなければならぬ。そのことは、どこで責任を負い合うかということである限りは、片務的なものじゃない。自衛隊の側もここで責任を負ってくださいよ、わかりました、ここまでは専管水域ですよ、こうなると、そこでつながっているわけですね。そうすると、つまりアメリカのトータル・フォース・コンセプトから離れて日本自衛隊は存在するのではない。その詰めた防衛分担の接点を中心にして責任と義務を負い合うことになる。当然そうならなければこれは意味がない。そうでないと、安保条約があって何で一体そういうことが決まっていないのですかと疑問を提起させて、大臣の立場からすれば乗らざるを得ない。これはあたりまえのことで、安保条約があって共同戦闘が五条で決まっていて、そしてでは一体何かあったらどうするのだというと何もない、こういうわけにはいかない。  ここで二つ問題があります。つまり、いままでアメリカ側はしきりに物を言うのだけれども、日本の側はみんなその答弁をはぐらかしてきた。トータル・フォース・コンセプトと言われるものとの関係はどうなんですかと言ったら、関係ないと言う。関係ない限りは勝手に動くわけですよ。防衛分担なんて初めからあるはずがない。だから防衛分担をお詰めになることを総理の了承を得た限りは、それがどういうものであっても一つのものが決まれば、海上なら海上、シーレーンならシーレーン、航空なら航空——これは松前・バーンズ協定まである。そうすると、そこらのものまで含めて、ADIZの問題がありますが、三十八年の松前・バーンズ協定は生きているわけで、なくなったわけではない。ほかから飛行機が入ってきた、スクランブルをかけるという意味における、これはバッジシステムに連動していま動いていますけれども、あれはそれ以前ですから足りない。足りなければ松前・バーンズ協定で米軍がやるというわけですよ。これはきちっとした約束ですよ。これは明らかに共同防衛です。だから問題になって、大きな新聞記事になったというわけですね。つまり、そういう意味でここで問題になるのは、トータル・フォース・コンセプトなるアメリカの戦略構想というもの、これとの接点を決めるというわけですから、全部とは言わないが、これと連動する部分が出てくる。これは当然だと思うのです。そうでなければ、有事の際と言われても何もないというのじゃ、何で安保を結んでいるのだという疑問を持ったと大臣はおっしゃっているのですが、その疑問はそこなんです。そこはいかがですか。
  148. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 御指摘のとおり、アメリカの考え方、これはニクソン・ドクトリンにも示されておりますように、要するに、主として地上勢力というものについては、それぞれの国において自助、セルフヘルプによってセーフに努力をする、そしてアメリカはグローバルな戦略のもとにこれに支援を与えるということで、先生御指摘のトータル・フォース・コンセプトという考え方に立っておるわけでございます。わが国についても、そういう基本的な考え方においては例外ではないと私どもは見ておるわけでございますけれども、同時に、わが国はよその国と違った特殊な条件がある。憲法の制約その他いろいろな問題があるわけでございまして、この点については、アメリカも十分承知の上で安保条約を締結しておるということでございます。  そこで、いま先生御指摘の、トータル・フォース・コンセプトとの連動する接点の部分が出た場合に、それをどう処理していくかということでございます。これはまだ問題をよく詰めておらないわけでございますが、私どもとしては、われわれの国防の基本方針、要するに、憲法の枠内において自衛力を整備していくというこの基本原則はあくまでも通していく、基本的に安保条約そのものがそういう基盤の上に成り立っておるという認識のもとに進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  149. 大出俊

    大出委員 外から日本の基本原則に触れるような歌が聞こえてきましたがね。ここは大変大事なところでして、ここをはっきりしておきませんと次に進みにくいわけです。  そこで、少し例を挙げたいと思いますが、山中さんが防衛庁長官をおやりになっていたときに、このトータル・フォース・コンセプトというのが、いまおっしゃった自助の原則を守れという非常に強い表現でニクソン・ドクトリンは書かれている。大きな原則は三つぐらいありますけれどもね。そうでないと助けてやらないぞというわけですから、はっきり言えば。例外ではない、こうおっしゃったわけで、日本の陸上においても、トータル・フォース・コンセプトが言うところの原則は、それなりに努力しなければならぬという意味で例外ではない。  そこで、トータル・フォース・コンセプト、この中に自衛隊が組み込まれておるというふうな認識かどうかという質問に対しての山中さんの答弁。山中さんは「アメリカのほうで総合戦略構想とでもいうべきものをいろいろいっておりますし、しかし日本の場合には、もう日本が世界戦略の中で果たし得る役割りというのはないわけでありますから、憲法に定められた範囲」、だから国際紛争解決の手段も放棄している。戦力放棄の原則がありますから。日本列島の局地防衛だ。そうすると、外国がどう評価しようと自由だが、しかし日本は総合戦力とは別だ、国際的な戦略の役目を果たしているということは自衛隊にはできない相談なんだから、それは別なものである、こうはっきり言っているのですよね。いまの丸山さんの答弁はそれと百八十度違う。山中さんは、陸上自衛隊そのものもトータル・フォース・コンセプトなる原則とは全然別なものである、組み込まれてもいない、全く別だ、日本には国際的に軍事的に寄与し得る何物もない。向こうが言うのは勝手だけれども、日本は全く別なんだ。これははっきり言い切っておられるわけですからね。ところが、いま三つばかり質問いたしましたが、いまの防衛分担の話は、この考え方とは百八十度違っている。憲法の制約、これは当然ある。あるが、アメリカで言う自助の原則を守れ、つまりトータル・フォース・コンセプトの第一原則。この第一原則は当然例外ではなくて、日本の陸上自衛隊というものもその原則を適用されているものである。例外でないという言葉を使われました。  そうなると、わかりやすい例を申し上げればシーレーンという問題。これは、トータル・フォース・コンセプトというものがここにある。そしてアメリカ側はもう再三再四これを取り上げて物を言ってきている。ここに幾つもありますがね。質問ですから少し例を挙げないとかっこうが悪いので申し上げますが、ここにありますのはニクソンの外交教書です。日本の排他的繁栄は許さないというわけですね。ほとんど全文ここにございますけれども、この中では、日本のGNPが年間一〇%以上成長していながら防衛費が少ないという点でまず不満を表明して、したがってアジア地域における米軍方針に基づく公約にいろいろなコンタクトをしていますけれども、そういうものに対してもっと日本は寄与すべきである。たとえば米韓軍事同盟もあるわけですね。アメリカは三十二ばかり対外公約をしておりますが、そのアメリカの公約という表現で、日本はアジア地域において軍事的に寄与すべきである、こういうふうにここで言っておるのですね。ここから始まりまして、先ほど私、取り上げましたが、四十六年四月十二日にレアード国防長官がアメリカの下院の歳出委員会の対外活動小委員会の席上で、一つはミッドウェーの寄港、一つは海上における日本の寄与、これを大変はっきりと表に出した。後から申し上げますがね。これが実は直接的に一つの、皆さんの事務レベルの中での日米間のやりとりに発展をしていっている。それが四十八年五月二十九日、三十日に行われた安保事務レベル会議の席上であります。  このときには、皆さんは文書をお出しになっている。この文書の中で、シーレーン、つまり航路帯として物を考えれば、千マイルまでのことを言っておられる。裏日本、表日本に分けて、百海里であるとか三百海里であるとかいうことを書いておられる。こういうわけなんですね。このシーレーン、千マイルなら千マイル、ノーチカルマイルで言って千マイル。以内なら以内でもいいですけれども。アメリカ側は、さっきから議論しておりますように、第七艦隊があるわけですから、その接点、つまりトータル・フォース・コンセプトといわれるものの接点、ここのところをあなた方は基本的にどういう分担にしようというのか。これは大変大事なことでありまして、そこらがなければ議論するに当たらない。日本の海上自衛隊なら海上自衛隊が、専管水域、つまり専門的に守る水域、そういう意味でアメリカ側との間で話し合いをつけることになるのだろうと思うのでありますが、そこのところはいかがでございますか。少し具体的に触れてほしいのです。
  150. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 まず最初でございますが、先ほど御引用になりました山中元防衛庁長官の御発言と、私どもの考え方は基本的には違ってないと私は考えております。と申しますのは、トータル・フォース・コンセプトというのはアメリカの戦略思想でございまして、恐らく日本に対しても同じような考え方を持っているのではないかというのは、実は日本サイドから見て、われわれの側から見てアメリカの考え方を推測して申し上げたわけでございまして、私どもはそれを是認しているという立場をとっておるわけではございません。当然日米が協力をするということになりましても、アメリカとしては、アジアの全般を考えて、その中で、日本防衛あるいは日本に直接関連する極東の安全を考えるという意味で申し上げたわけでございます。  そこで、具体的な個々の問題について、これは非常にむずかしい問題がたくさんあるわけでございまして、ただいま御指摘のシーレーンの問題もかつてそういう経緯を経ておるわけでございまして、この結果、日本として、現在の海上自衛隊防衛構想を立てる上において、どういう海域についてどういう機能といいますか、それを持つべきであるかということで、当時の久保局長から御答弁申し上げましたように、日本の周辺の数百海里の周辺海域、それからシーレーン設定の場合においては千ノーチカルマイル以内のものということを大体想定してと、こういう御答弁を申し上げておるわけであります。  この点は、私どもの海上自衛隊を今後整備していく上においての基本的な考え方は、今後とも変わらないというふうに思うわけでございます。ただ日米の間で、ある海上に線を引きまして、ここまでが日本の専管水域でその外側がアメリカ、というような分け方をするのかどうかということでございますが、むしろこういった領域についての、いわゆるNATO方式がそれでございますけれども、NATO方式的な区画割りというような考え方は、われわれの憲法を基礎としての自衛力のあり方という点から見ますと、なじまない考え方ではないかというふうに私どもは考えております。むしろ機能的に分担をする、あるいは対潜についてはわが方がやるけれども、あるいは水上艦に対する攻撃、いわゆる敵性水上艦に対する攻撃はアメリカが分担するとか、基本的にその海上の制海権——普通、制海権、支配力と言われておりますが、こういう制海権は、日本の場合には第七艦隊でございますが、第七艦隊によって基本的にそこは確立してもらう。わが方はもっぱら潜水艦対策。それも先ほど申し上げましたような、わが方でできる範囲内ということに限定されるかと思いますが、そういう機能的な分担というようなことが考えられるのではないかというふうに思ってはおるわけでございまして、いずれにいたしましても、まだはっきり決まっておらないのですが、いろいろ私どもの考えておる頭の中には、そういうものも含まれているということでございます。
  151. 大出俊

    大出委員 もう少しはっきりしていただきたいのですが、ここまで新聞記事に幾つかなっておりますと、しかも総理のところまで話がいって、皆さんがこれからシュレジンジャーさんなどを呼んで話すなり、行って話すなり、日程が長官の頭の中におありになるわけですからね。念のために聞いておきますが、行って話すのですか。呼んで話すのですか。どっちなんです。
  152. 坂田道太

    坂田国務大臣 私が一応招待しているわけでございます。ただ、まだ向こうから来るとか来ないとか、あるいはそういういらえがございませんので、まだそのままの状況でございます。
  153. 大出俊

    大出委員 いずれにしても、日程が一つ先の方に立てられているわけですから、もう少し話をしいいように問題を提起しますが、経過はこういうことなんですよ。昭和四十四年四月二十一日、いまから五、六年前の話です。昭和四十四年四月二十一日、外務省防衛庁が沖繩問題についての懇談について記者会見をおやりになった。これが実はこの問題が表に出てきた最初です。沖繩返還の問題と絡んでおりました。その中でメモを持っていっていろいろ説明している。メモというのは、どうもメモかどうかわかりません。二十九日、三十日の安保事務レベル会議などの席上もメモと言っているわけですから。大変りっぱなものを書いておられるのだけれども、ここで「南西航路の確保などに必要な防衛力を整備する」と、南西航路ときちっと書いてある。  そうして今度は、昭和四十五年の四月二十八日に、当時の事務次官は小幡さん、施設庁長官をおやりになった小幡さんです。工業倶楽部における防衛懇話会の総会で演説をなさっておりまして、ここで、木上周辺の地上防衛力を第一に考えるとともに、海上の交通保護についても、マラッカまでというとっぴなことは考えておりませんけれども、南西航路あるいは南東航路とわれわれが申します、アメリカ、豪州の方の航路筋につきましても、ある限度は日本で守りたいというふうに考えております。航空自衛隊につきましては、先ほども申しましたように、艦船とか地上を攻撃する力、それに対してのいろいろな関連設備、こういうものをふやしまして、万が一日本に直接侵略するようなことが起こりましても、海と空ではある程度は領域外でたたく、そしてそのあと残ったものが陸上に上がってくるというかっこうにしたい、こういうふうに話をしているのですね。  ここで非常に微妙なのは、だからこの例を挙げたのですけれども、領空外、領海外と言っているわけですね。つまり、公海あるいは領空外、これは一体どの辺まで、どういうふうであれば憲法の許容するところになるのですか。
  154. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 これは個々具体的な事例について個別的に検討いたしませんと、一般基準としてどういう地域ということは、非常に申し上げにくいのでございますが、在来国会で御答弁申し上げておりますお答えの仕方としては、もちろん領海、領空はあれでございますが、自衛のために必要な限度において公海、公空に及び得るという御答弁を申し上げておるわけでございます。したがいまして、その個別の行動が自衛のために必要な限度ということに含まれる場合においては、当然、公海、公空のところにいくと思いますが、それが客観的に何マイルであるかというようなことをあらかじめ一般的基準として申し上げるということは、非常にむずかしいのではないかと思います。
  155. 大出俊

    大出委員 シーレーン、つまり航路帯として千マイルと言ったら、これは一体いまの憲法との関係、領海という関係、領海外という関係からいきまして、どういうことになるわけでございますか。
  156. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまの海上自衛隊の整備の構想と申しますか、これを打ち立てるために大体どの辺の規模を考えるかということで当時考えておりました考え方がそれでございまして、その場合に、それでは——それはもちろん当然公海上の問題でございます。いま申し上げました、自衛のために必要な限度においてどこまで及び得るかということで、いまの航路帯を設定して、その航路帯についてわが国にとって緊要な船団を護衛をするというような想定のもとに考えた場合には、そのぐらいの、それもいろいろな前提条件というものがあると思いますけれども、海上自衛隊の整備をいたします目標として、一応いま申し上げましたような航路帯千マイルというような前提を当時の構想として申し上げたということでございます。
  157. 大出俊

    大出委員 あなた方の方が、米軍の事務当局の方と、事務レベル会議か専門会議かわかりませんけれども、そういうものをやろう、そして分担を決めようということになった、総理了解も得たという限りは、いま私が例に挙げている航路帯千マイルという、その千マイルの航路帯に関しては、わが海上自衛隊は当然責任を負うということにならなければならぬわけでしょう。そうでなければ初めから分担も何もないですから。いま分担ないでしょう。     〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕  ただ、四十八年の五月二十九、三十日の会議等の中身からすると、日本がそのところを受け持ちたいと、こう言っているだけであって、これは分担じゃないのです、その限りは。だからそこらあたりが、実は協定があるのじゃないかという話が出てくる根拠ですけれども、いま、それを一歩出て分担を決めたいという、詰めたいという、そのための専門家の会議つくりたい、オーソライズされたものにしたいという。トータル・フォース・コンセプトというものがアメリカ側にある。憲法という枠の中なんだけれども、それのらち外ではない、例外ではない、だからいざというときに何もないのはおかしいのだから、何どかそこを詰めようという。ならば、千マイルなら千マイルという航路帯についてはわが方が責任を負う。その責任を負うところと負わないところの接点というのは、米軍の守備範囲との接点ですよ。そうでしょう。そのことは、憲法との関連でいったらどういうことになるか、そこらあたりは答えてくれないと話が前に進まないのですが、いかがですか。
  158. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまの航路帯千マイルと申しますのは、日米間の分担の結果、わが方がそこについて排他的に——排他的というのはあれでございますが、責任を負うというような考え方ではなくて、わが方の海上自衛隊の能力を高める上においての目標としてわが国はこういう考え方でおる、という考え方をやったわけでございまして、その場合にでも、先ほど申し上げましたように、あくまでも前提は、やはり自衛のために必要な限度という、このところに入るかと思うのでございまして、これは常に、その航路帯を専門的に日本責任を負って、そこの航路帯の海上交通を保護するという考え方ではございません。わが国がその航路帯設定をいたしまして——設定をいたしましてといいますか、つまり憲法の範囲内において、自衛力の範囲内において船団護衛の目的を達し得る能力を造成する。そのための一応の考え方としては、その程度のもの、いわゆる千ノーチカルマイルの航路帯というものについて一応の海上保護の責任を果たし得るということを考えてやっておるわけでございまして、日米の防備分担の結果、ある特定の航路帯を日本がもっぱら責任を持って海上交通の保護に任ずるという、そういう趣旨ではないというふうに私どもは了承しておるわけでございます。
  159. 大出俊

    大出委員 これちょっと、あなたの言っていることはさっぱりわからぬのだけれども、後で議事録読んでもいいですけれども、つまり防衛分担というものが、これは公海になりますから——千マイルというようなことになると、主として公海ですよ。たとえば三百にしても、これは訓練水域のはずですね、太平洋側三百、裏の日本海側面なんというのは。そうでしょう。それにしてもその間の専管水域だ、つまり守る意味責任水域だということになると、そこで、ここでという分け方で分けると、あるいは半分ぐらいアメリカが手伝ってくれたっていいわけですけれども、そういう分担をすると、それは一体この国の事情から言って果たして適法に取り決められるのかと聞かれたとき、山中さんは、いや、それはできません。防衛分担はできないと言っているわけですよ。なぜできないのか。それは、いまお話しの海上自衛隊の能力なのか、憲法なのか、安保条約五条なのか。結論は、能力の問題ではない、つまり憲法と安保五条との関係でできない、こういうことなんです。これは答弁は久保さんです。四十八年の国会、この委員会でそこのところがずっと詰まってきて、防衛分担ができるのかできないのかというトータル・フォース・コンセプトのいきさつからずっと入っていって、あなたの答弁と明らかに違うけれども、これは防衛分担をやろうとしたのだから、違わなければおかしい。  ところで、この議事録にある結論は、つまり防備分担できない、わが方はこう思っているということだけ向こうに言ってある。こちら側はこう考えている、自衛隊として独自に。アメリカは全然別に。つまりここでコネクトして分担を決めるというふうなことは、一言もやってない。やればそれは憲法と安保条約五条の問題になる。だからできない、能力の問題じゃない、こうなっているわけですよ。ところが、いまあなたの話は、憲法の枠内だと口ではおっしゃっているけれども、能力の問題で大変なことはできないが、できる能力の範囲で防衛分担を決めたい、こういう話なわけですね。その関係は一体どう理解すればいいのですか。
  160. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 私が申し上げておりますのも、能力と申しますのは、憲法上の根拠というものを考えて申し上げておるわけでございまして、結局、先ほど前提に申し上げましたように、日米である区割りを設けて、わが方の専管水域あるいはアメリカの専管水域というような形での分け方、分担の仕方というものは、憲法上の制約その他から考えてできないのではなかろうか。できないのではなかろうかではなくて、できないというふうに考えておるわけでございます。  そこで、先ほど申し上げましたように、機能的に分担ということができないかどうか。これは、できるということをいまの段階ではっきり申し上げることは、なかなかむずかしいと思います。そういう点についての検討ということも、今度の私どもの作業の中の大きなあれになるわけでございますけれども、少なくともいままでではっきりしております点は、NATOのような区画割りということは非常にむずかしい、困難である。そういう形による日米の分担、役割りということは、非常にむずかしいのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  161. 大出俊

    大出委員 どうもNATO問答を繰り返したってしょうがないから、ずけずけ言っているわけですけれども、あなたの方でそのように答えてくれなければ困るんだ。  それじゃ、もう少しはっきり言いましょう。航路帯千マイル、こう言うのですが、ただ単に千マイルとそれだけ言われると、一マイルというのは千八百五十二メートルですよ。だからノーチカルマイルで千と言ったら千海里ですから、千八百五十二キロですよ。おおむね二千キロ近い。日本の領域からということになると、これは台湾の隣の石垣島までいま沖繩の土地ですからね。そうでしょう。そうなると、下手なことを言って二千キロなんて言ったら、サイゴンの近くまで行っちゃう。ここに地図がありますから見てごらんなさい。二千キロと言ったらマリアナ群島の入り口まで行っちゃうのです。パラオ諸島まで二千三百キロぐらいですよ。そうすると、あなた方ほかの方にいろいろなものをやっているけれども、地図がありますから、あなたこれを見てください。私はいろいろ計算してみたのだが、グアム島を越えちゃうんですよ、こういう航路帯をつくれば。航路帯の幅がどれだけか、それはわかりません、いままであなた方明らかにしていないのだから。  もう一遍言いますが、一ノーチカルマイルというのは一海里なんだから、千ノーチカルマイルというのは千海里。メートルに直したら、一海里は千八百五十二メートルなんだから、千八百五十二キロです。そうなると、ミクロネシアの少し手前まで行っちゃうのです。南に下っていけば、テニアンとかロータとかサイパンとか、たくさんあります。これはアメリカ側がそれを望んでいるわけですよ、ミクロネシア群島に基地をつくっているわけですから。アメリカはそれが必要なんだから。だから前からレアードさんなんか審議しているんだから。そうでしょう。だからそうなると、その水域に航路帯をつくれば、その航路帯は日本の船だけが通るのじゃない。サイゴンの近くまで航路帯をつくれば、その水域もまた、日本の船だけが通るわけじゃない。そうなると、有事を想定するとなれば、そこに何かが起こった。日本自衛隊、海上自衛隊はそれを守っているわけですから。となると、当然アメリカの船だって出てくる、この中に。ということになると、そこに一つは、安保条約第五条というのは、日本の領域という前提があるでしょう。そうでしょう。日本の領域という前提で、日本かアメリカかが攻撃されれば共同戦闘自動発動。ところが、日本の領域でないはるかかなた、南に下ってサイゴンに近い方まで。沖繩から計算すればサイゴン近くまで行ってしまう。マラッカ海峡、突拍子もない。——突拍子もなくはない。石垣島から計算すればマラッカは近い、二千キロといったら。そうでしょう。そういうことになると、それは果たして憲法上、安保条約上許容できる範囲かといったら、それは不可能だろう。アメリカの艦船だって入ってくるわけだから。  だから、それがこの議事録にございますが、「もし有事の際に、領海あるいは領空外、たとえばシーレーンですね。」「たとえばシーレーンあるいはADIZの中で、日本自衛隊は有事の際、米国の艦船や航空機を防衛する責務を負うことになりますか。」という質問がされている。「それは安保条約の運用の問題だと思いますけれども、日本側としては責任を持たないと思います。」持てないですよ、そんなことは安保条約で。そうすると、このシーレーンならシーレーンを挙げて、それをアメリカと防衛分担をして、ここは日本が守ります、これができない理由というのは能力なのか、安保条約なのか、憲法なのか。後の二つの問題だと思います。「正確には法制局外務省からお答え願ったほうがよろしいと思いますが、私の考えとしては、第二と第三の両方からであると思います。」こうなっておるわけですね。ここのところは大変気をつけてお答えになっている。だから、あなたの方で防衛分担と簡単に言うけれども、これは大変危険な要素を含んでいるので、私はしかと承っておきたい、そこのところを。  このときの山中さん以下久保さん等とのやりとりのまず大きな相違は、トータル・フォース・コンセプトというものに対して、防衛庁はまずどう考えるのか。アメリカは総合戦力の一環だと言っておるんだがという。陸上の例をお挙げになって、例外ではないとお答えになった。そこで当然それなら前と違う発想なんですから、防衛分担の必要をもう少し詰めたいという気になる。これも無理ではない。長官の答えているように、安保条約があって、いざというとき何もない、こんなばかなことはないということになる。それは総合戦力という形で共同戦闘が想定されているなら、そうだということになるのも不思議ではない。そういった発想で、だから防衛分担を決めましょうというふうに進んできた。専門家会議つくりましょう、オーソライズされたもので、総理了解を得ましたよ、シュレジンジャーを呼んでいる、来なければ行きますよ、こう進んでいるんですから。そうでしょう。さて、そうだとすると、いまのこのところあたりは、憲法の制約ははっきりさせた上でと言っているんだから、どうなりますかということを聞いているんで、大臣、このあたり答えていただけませんか。
  162. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 ちょっと私の説明足らずで迷惑をかけましたが、まず、トータルコンセプトという考え方はアメリカは持っておる。アメリカの考え方である点において、アメリカが日本に対して考えておる考え方は例外ではないだろうというふうに考えておるのでございます。そこでわが方は、御案内のようにわが方独自の方針防衛計画というものを進めておるということでございまして、したがいまして問題は、日米の間の分担というものが、要するに憲法ないしは安保の運用上できない形での分担ということは、これはなし得ない。そこで、なし得る分担というのは一体何なのかということで、そこを私どもで詰めていくというのが今度の作業の一番大きな目標になっているというふうに申し上げておるわけでございます。
  163. 大出俊

    大出委員 だから、なし得る分担とは何だと聞いているんです。そんなものがあるかと私は聞いているんだ。
  164. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 なし得る分担は、先ほど一般的に申し上げましたように、まず海上自衛隊について言えば、機能的に分担ができないのかどうかという問題。それからなお一般的に申し上げますれば、日本自衛隊に対する補完的な役割り。それは補完的な役割りというのは、弾薬の援助あるいは油の補給、こういうようなものも含めて考えました場合に、アメリカとしての分担というものがあるんではなかろうかというようなこと。そういう点についての詰め方を具体的にはちょっと考えておるわけでござ、います。
  165. 大出俊

    大出委員 それじゃ答えにならぬじゃないですか。あなた、上田君の質問なんかに答えているのは、長官も聞いていてくださいよ。お答えになったのは、シーレーンというテーマでやっているじゃないですか。弾薬の補給だとかなんとかというものはシーレーン云々じゃない。防衛の分担でしょう。機能的にやりと盾、わかりますよ。それじゃシーレーンならシーレーン、海上の防衛の専管水域をめぐって分担をしようというのでしょう、あなたの発想は。いまそう言ったじゃないですか。そうなれば、やりと盾もヘチマもない。潜水艦であるとか、水上艦であるとか、そういうものはありますよ。ありますが、シーレーンと言う限りは、航路帯とか何海里とかいうかっこうで、ここからここは守りますとか——それはNATOのように大変な軍事力を日本は持っているんじゃないんだから、区画整理はできませんよ。だが、いまあなた方が明らかにしているのは、日本海百海里、太平洋側三百海里、航路帯と言うならば一千海里以内と言っているんでしょう。そういう文書を四十八年の五月二十九日にちゃんとあなた方は出している。そうでしょう。それはただし分担と言っていないんだ。それを一歩進めてそのことについて分担しようとおっしゃるなら、憲法上許容する分担というのは、一体どこでどういうことにすれば許容する分担になるのかと聞いているんだ。そうでなければ、変なものをこしらえられたらえらいことになる、この国の専守防衛のたてまえ上。だから、いいかげんに防衛水域の分担なんということを言われたら困る。あなたは水域と言っているんですからね。周辺海域とかなんとか言っているんだから。何かしらぬが、少し記録を直してくれとかおっしゃっているそうだけれども。そういうあたりはきちっとしてくれなければ困りますよ。
  166. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いや、大臣は海域とは申されておりませんので、要するに、もともとそういう考え方がわれわれにはないわけでございます。いま先生の御質問で非常にはっきりしたのでございますが、要するに、在来、周辺の数百海里あるいはシーレーン設定の場合の千ノーチカルマイルというものの考え方は、日米分担という考え方で打ち出しておる考え方ではないわけでございまして、したがいまして、そういう日米分担のときにこれを日本の専管水域とする、アメリカとの関係において日本の専管水域とするかということでございますれば、それは明らかに、いまそういうことは考えてない。  そこで、それじゃ一体日米との間に分担というのはどういう部門があるのかという御指摘でございますが、その点、先ほど大ざっぱに——いま詰めております段階で、具体的に申し上げられないのは残念でございますが、大ざっぱに申しまして、全般的に考えれば補給の問題ということがあると思いますし、それから海上自衛隊などについて考えました場合には、全般的な制海権の保持と、それから個別な地域的なASW、対潜能力の維持というようなこととの間におきます機能的な分担の振り合いというようなことは考え得るんではないかというふうに思っておるわけでございます。
  167. 大出俊

    大出委員 そうすると、海上における、あるいは潜水艦を含んで防衛水域という意味における分担、これは将来ともに考えない。いま長官が言っている防衛の分担というものの中には、水の上の、あるいは水の中の——水域と言ってないというんだから、海域でも何でもいいけれども、航路帯でも何でも構わぬけれども、ともかく話がわかればいいんだが、要するに南西航路だとかなんとか、こう言っているわけだけれども、つまり、そういう意味の分担は将来ともやらないというより、やれない。そうなんですか。はっきりしてくださいよ。
  168. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 日米間の役割り分担という意味におきましては、ただいま御指摘の、水域を定めまして専管水域とするというような考え方は、私どもは考えておりません。
  169. 大出俊

    大出委員 アメリカ側の言っているのは全然そうじゃないんじゃないですか。もっと日本は、潜水艦対策を中心に海上の安全を——アメリカは第七艦隊を、ソビエトとの関係でインド洋等へどんどん出しておりますから、だからもっと手前の方は防衛庁が専管水域を決めて責任を負え、これがアメリカの言い分ですよ。レアード氏の四月十二日だってそうですよ。ほかにもございますけれども、そういう海上における考え方。  ここにもう一つはっきりしたところを申し上げますと、中曽根さんが昭和四十六年五月三十一日に言っている。これは久保さんなんかもお出になって、経団連の防衛生産委員会懇談会で中曽根さんが言っているのはこういうことなんです。周辺海域の防衛の問題について——周辺海域ですよ、はっきり言っている。「一応われわれが考えております周辺海域といいますのは、太平洋岸で申しますると束のほうで南鳥島、南で沖ノ鳥島、それから西のほうで南西諸島というような範囲、本土から申しますと大体千マイル程度の海域になっております」。中曽根さんがここで「大体いまの尖閣列島、沖ノ鳥島、南鳥島、その範囲内において敵の潜水艦の跳梁を許さない」と、なかなか威勢がいいんですよ。「一応それが目標で、十年くらいで飛ぶ力を持ってゆく。」飛ぶ力というのはヘリなどを載せる。「しかしやはりある程度集中的に援護措置を講じたほうがいいというので、航路帯を二、二本つくって、その航路帯に入ってくれば敵潜の跳梁は絶対に許さない、そういう構想です。それで、そのためには八千トンのヘリ空母が要るわけです。」ここで出てきたのです、八千トンの空母というのは。「そのためには八千トンのヘリ空母が要るわけです。ヘリコプター六機搭載、四機実働という、そういう計算であります」。つまり千海里構想というのは、八千トンのヘリ空母を載せて、この航路帯では敵の潜水艦のいかなる跳梁も断じて許さない、こういう威勢のいい話でですよ。この後、千海里というのはちょっと距離があれだから六百だなんてことを江崎さんが言いましたけれども、これはアメリカ側がいろいろ言っている長い間の背景なんです。  そこで、あなたは防衛分担とおっしゃって、シーレーンの問題をやりとりされている。そうすると、海上におけるアメリカとの間における防衛の分担をしようということになる。だからそうではないのか。私の方が少し先に憲法の問題など言い出したものだから、あなた引っ込んじゃったかもしらぬけれども、最初大分あなたは話に乗ってきたんだけれども、途中からだんだん引っ込んでいっちゃった。私は、記事にするよりは、余りあなた方に突拍子もないことをやってもらいたくないから途中で水を差したのです。うっかり聞いていると何を言い出すかわからぬから。だから、話し合いをなさるのならば、この辺のところをきちっとしておいてもらって、大体、領海、領空、憲法の許容する範囲だったら、いままで見当違いのことをあなたおっしゃっているけれども、しまいには最初の話と全然違っちゃって、つまり、海上における、あるいは航路帯を含む周辺海域における防衛の分担。だから私は、海上でここでと決めたら、トータル・フォース・コンセプトというものがあるんだから接点になりますよ、一方的におまえさんだけやってくれというわけにはいかないんですよ、約束なんだから、ここからこっちは責任を負え、じゃあ向こうは負うかといってトータル・フォース・コンセプトに連動しますよと初めから念を押しているんですよ。それで話が進んできたら、しまいになったら消えてなくなった。将来ともおやりにならないのか。補給団だったら改めて別に聞きますよ。問題はシーレーンについて話をしているんですから、初めから。だから、シーレーンについての分担ができないならできないでいいですよ、はっきり打ち切っておけば。どちらなんですか。大臣、あなたが答えているんで、そうなると今度は、向こうの議事録で物を言わなければならないんだから。
  170. 坂田道太

    坂田国務大臣 私が申し上げましたのは、あくまでもわが国の憲法あるいはいろいろの制約の条件のもとにおいてどういうような限界までやれるかということについて、私自身はしろうとでございますから、専門家を含めて事務当局に検討させておるという段階でございます。
  171. 大出俊

    大出委員 だから、あなたの先ほど来の答弁だって、つまり私はシーレーンという言い方をして物を言っているわけで、あなたは一朝有事のときに海上防衛という面で何にもないというのは困るというお話でしょう。何かなければならぬ。だからどこでどういう分担ができるか、憲法というものがあるのだ。その枠内だが、どこでどういう分担ができるかを検討するとおっしゃった。あくまでも海上防衛です。ところが、海上防衛、一体どこでできるのだと言っていったら、その気はないと言う。将来ともないか、それはないと言う。なければ、海上防衛も何も防衛分担を麗々とこんなに大きく新聞に載せる必要がない。そこの先まで詰めて言わなければ、これは私どもは非常に迷惑するのですよ。大臣、きのうやきょう防衛議論しているわけじゃないのだから、歴史があるのだから、そういいかげんなことを言われては困る。  そこで、実はこのときに、四月十二日、アメリカのレアード国防長官は下院の歳出委員会で、横須賀の母港化の問題を日本側に申し入れてある、あわせて、ペルシャ湾からインド洋、マラッカ海峡を経て日本に入ってくる長大な海上輸送路、これに対して日本側は軍事的寄与をすべきであると日本側に言うてある、こう答えているわけです。もう一遍言いますが、ペルシャ湾からインド洋、マラッカ海峡を経て日本に入ってくる長大な海上輸送路、これに対して日本側は軍事的寄与をすべきであろう、こういうことを日本側に申し入れてある、言うてあるという。これがこの問題の基礎になっているわけです。だから、上田君が言うようにあなた方が知らぬところで話し合いが行われている。私が知っているのは、四十八年五月二十九、三十日のやつは知っている、ここで議論したから。四十九年は残念ながら私は知らない。一方的に出したメモの中に、南西、東南の航路帯が二つあって、そして周辺海域、片方は百だ、片方は三百だ、こうあって、そして航路帯というならば千マイル以内とこうあって、さんざここで議論したのです。そうでしょう。それは出したままで、ここで議論したように、文書を差しかえる、メモを差しかえるということになった。大河原さんが答えている。そのままになっている。差しかえたものが出ている。ただ、それは分担だと言ってない。自衛隊の方がそう考えているということだけを書いて出してある。読ましてもらいましたらそうなっている。わが方の自衛隊は航路帯としては千マイル以内であるということにしていると書いてある。だが、そこから先、話し合いの中身をぼくら知らないのだから。それじゃそこだけは海上自衛隊責任を負え、やれよ、うん、じゃあやりましょう、こうなっているとすればこれは秘密約束だ。その疑問があるから上田君が聞いているわけだ。文書になったものがなくたって、そういう話し合いが行われていれば密約ですよ。だから、密約密約と言われるならば、安保があるのだから、有事のときにアメリカの分担はどこ、日本の分担はどこと、海上においてもこうなっていなければおかしいと思ったと言う。だから、皆さんに、分担を決めろ、憲法の枠内だぞと言って預けたと言う。検討してもらっていると、こう言う。そうでしょう。検討して、あなたはやっていて、専門家会議をつくってオーソライズしてやるのだと言っていながら、海上を詰めていったらどこかへ行ってしまった。これは人騒がせな話じゃないですか。将来とも海上については分担はやりませんな。はっきりしてください。
  172. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 この問題は、最初から大臣がおっしゃっておりますように、この前のときも、内閣委員会においても大臣おっしゃっておりますが、要するに、いまのシーレーンのように周辺海域にある一定の区域を限って専管区域を設ける、そしてそれを日米の間における分担というような形では考えておらないということはたびたび明言しておるところでございまして、私も最初からそういう線でお話を申し上げておるわけでございまして、その日米の分担についてはどういう面であとを考えるのかという点については、機能別分担、あるいはいろいろな分野においての分担があり得るのではないかということで詰めていこう、こういうことでございます。
  173. 大出俊

    大出委員 よけいなことはいいのだが、要するにやらないということですな。いいんですな。
  174. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまの日米の分担で、シーレーンを置くということは考えていないということでございます。
  175. 大出俊

    大出委員 あなた方は、新聞で大きく載っかっていて、えらい細かい防衛分担なんて書いてあるから、こっちも心配になるから聞いてみているわけです。  これは、アメリカの方がしきりに言っているものだから、久保さんだって最後にここで答えておられるでしょう。メモを差しかえると、こうなった、議事録も調べて。そうしたら久保さんが、ちょっとこの文書の背景を一言言わしてくれとおっしゃるから、言っていただいた。念のために申し上げると、「ちょっとこの文書の背景を一言だけ御説明さしていただきたいと思うのですけれども、米側では、政府部内でもいろいろの誤解があります。たとえば、日本の憲法が改正できるのではないかとか、あるいはインド洋にまで日本の艦艇が出て海上交通の保護の任に当たるべきではないかといったようなものが出ております。」さっき私が読みました四月十二日の歳出委員会のレアード証言、ペルシャ湾からインド洋、マラッカ海峡を経て長大な輸送路について日本の海上自衛隊防衛の寄与をすべきである、こう日本に言ってあると、久保さんいみじくもここで言っておられる。そういうことがあったから、四月二十九日の事務レベル会議にメモを出した。そのメモで、日本海、太平洋にかけて周辺海域なら百だ、三百だということ、航路帯なら千以内だということを自衛隊としてはやっているというやつを出したのだ、こう説明している。だからこれは初めからはっきりしている。  さて、そうなると、おやりにならないと言うならそれでいいのだけれども、ぼくは、もう少しあなた方は発想を変えて、そこらをはっきりやる気になったのかと思ってまともに物を言っているのですよ。実際そんなへっぴり腰なら、初めから言わなければいいのだよ。もう少しあなた方はその気になってやる気になったのか。で、韓国が何かになったらアメリカ側に基地を認めろとか、イエス余地を残しておけとか、あるいは「防衛考える会」とかなんとか威勢のいいのが出てきたり、総理の前で防衛分担をシュレジンジャーを呼んで話し合うとか、えらい威勢のいい話だから、私は、防衛分担をそこまでやる気になったのか、そう思ってあなたに聞いたら、有事のときに分担がないのはおかしいとおっしゃる。だから命令したと、こう言うから、それで聞いてみた。全くむだな時間だ。そのとおりやらないとおっしゃるなら聞く必要はないのだ。本当にはた迷惑だ。  そこで、ほかの機能だとか、やれ補給だとか、妙なことを言うなら、それなら防衛分担というのは何と何がありますか。いままで通説として存在をするものは何と何ですか。
  176. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 それを先ほど私が一般論として申し上げたわけでございますが、まず全般的に見た場合には、核抑止力はアメリカである、これは言うまでもない。それから攻勢的な作戦、これはわが方でできませんので、アメリカに依存せざるを得ないということ。それから、われわれが行います守勢作戦、これについては、われわれの力だけでは不十分なことが十分考えられるので、その補完をアメリカに依存せざるを得ないだろう、その場合には補給も含んで考えておるということでございます。
  177. 大出俊

    大出委員 大臣、これは少し何とかしてください。いまのそんなことは、あなた、初めからわかり切っていることで、分担でも何でもないじゃないですか。核なんて言ったって日本にないのでしょう、非核三原則の国会決議があって。分担するもしないも、核なんて分担できはしないじゃないですか。そんなものは分担というのではないのですよ。核のかさに日本が入れてもらっているというだけのことじゃないですか。ただ、やりと盾なんて言ったって、足のとんでもない長い飛行機は持てないことになっているのでしょう。F4Eファントムを決めるときに、私はさんざんやりとりしたでしょう。石橋さんがやりとりをして、足の長いものはだめだということになった。そうしたら、二千三百も飛ぶやつを持ってくるというものだから、みんなとっぱらえば三千を超えるのだからと大騒ぎになった。なったら、増田防衛庁長官が私の質問に答えて何と言ったかといえば、爆弾をつけない、爆装を外すと言うのだ。コンピューターもみんな外すと言うのだ。爆弾を載っけないのだから敵に脅威を与えないと、こう言う。それで外すということになった。なったら、にもかかわらず、T2改について爆装をしているから、石橋書記長が取り上げてまた大騒ぎになった。ぼくとの約束があって、それは違うじゃないかという。そうでしょう、そんな足の長いものなんかないのだから。爆弾を載っけていくものはないのだから。盾もやりも、やりは向こうにしかない。そんなものは分担も何もない。  そうじゃない。アメリカ側が終始一貫、防衛分担と言っているのは、いい例を一つ挙げます。これは四十九年八月ワシントン、二十九日、時事通信。「米下院歳出委員会は二十九日、日本韓国などに配置された極東米軍の抜本的再編、統合を政府に勧告する報告書を明らかにした。」ここで「米下院歳出委員会が公表した一九七五年度国防支出権限法案に関する付帯報告書のうち、日本および韓国関係の詳報次の通り。」と新聞が伝えている。ここで日本が分担をしろと言っているのは三つある。一つは何か。「1日本自衛隊の増強」、中心は海上ですよ、潜水艦対策。今度の二月のシュレジンジャー報告だってそうじゃないですか。問題はいまの航路帯ですよ。これが第一。航路帯をつくってその中で——だから中曽根さんの八千トンのヘリ空母が出てくるわけですよ、六機載っけて、実動は四機であるという。潜水艦の跳梁を許さない。アメリカの要望にこたえてそこまでやりたいという意思がある。ただ憲法があり、安保条約があるから、自衛隊の方だけがこう考えていると言いっ放しにしている。そこまで行きたいわけです。だから、いま議論したのはそこに焦点がある。アメリカの言っている第一はそれです。それは第七艦隊のいまの配置を見てごらんなさい。ソビエトの潜水艦の増強の状態を見てごらんなさい。だから原子力潜水艦が欲しいと制服の方が言うのはあたりまえじゃないですか。そこまで来ているのに、何でいまの議論をあなた方は逃げるのですか。大臣もおかしいじゃないですか、幾ら素人でも。だからこれが第一、アメリカは一貫して変わってないです。「2在日米軍基地運営費についての日本の協力」、金を出せと露骨に言えないから「協力」になっている。地位協定二十四条にかかわる拡大解釈をして、リロケートという名前で、関東計画なんかも、沖繩の場合だってそうです。日本に金を負担させているじゃないですか。NATOの例だってあるじゃないですか。金を出せというのです。これが二番目。「3東アジアの自由諸国に対する日本の経済援助の増額」、この三点を挙げているじゃないですか。日本防衛分担といったら、それしかないのですよ。海上を抜いて、必要ない。島の中の日本に陸上自衛隊がいるだけじゃないですか。どこで分担するのですか、しようがないじゃないですか。それはADIZでしょう。ADIZがあって、松前・バーンズ協定は生きているのですよ。それでたくさんじゃないですか。分担は決まっているじゃないですか。そうなったら海上しかないでしょう。航路帯、日本の海上自衛隊はちゃちなんだから、航路帯をつくって、その中で潜水艦をその限り抑えなさい、アメリカは手を抜くから。アメリカの輸送船も入ってくるのだが、日本責任を負いなさい、端的に言うとそれですよ。それしかないのです。これだけです。あとは基地に金を出せというのです。もう一つは東アジアの自由圏の諸国に対して経済援助をやれ、この三点しかないのだよ。何を言っているのです、あなた。核の抑止力の分担をする、そんなことはできはしないじゃないですか。  大臣、どうなんですか。いまの三点は、あなた側が言うのではなくて、アメリカが言うのです。アメリカが言うからあなた側は物を考えるのだから。そうでしょう。この三点しかない。いかがですか、大臣
  178. 坂田道太

    坂田国務大臣 私の方でまだ向こうと話し合いをしておりません。そういうことも含めまして、一体どういうことを向こうは日本に期待しているのかということ。それはレアード国防長官は、御指摘のようなことを言ったかもしれません。しかし、いまシュレジンジャーはどう考えておるか、まあいろいろあろうかと思います。しかし、また大出さんのおっしゃるようなことかもしれません。そういうものも、私、現実に責任者同士が話し合うということがやはり必要なんだというふうに思いますし、また、従来の経緯から考えるとそうであろうという推測は、私自身にもつくと思うのでございます。それでございますから、まず基地の問題、それからもう一つ日本の上空の防空の問題、それからもう一つは潜水艦対策と、この三つじゃないか。  その三つといっても、それがどこまで期待があるのか。われわれは憲法がある、向こうがそれ以上求められてもこちらはできない。できないところはできないとはっきりする、しかし、やはり約束をした以上はそれを忠実に守るということでなければ、日米安保条約に向こう側としてはクレジビリティーというものがないということで、そういうようなことを含めまして私お会いをしてみたい、こう思っております。
  179. 大出俊

    大出委員 ばかなことを言っちゃいけませんよ、大臣。あなた、レアードは何を言ったか知らぬが、シュレジンジャーがどう考えたかわからないんだ。わからないといったって、シュレジンジャーというのは国防報告を議会に出しているのでしょう。あなたお読みになっていないの、そんなこと言って。それじゃ防衛庁長官は勤まらぬじゃないですか。ちゃんとここに国防報告を出しているでしょう、二月に。しかも統合参謀本部議長の追加報告まであわせて出ているじゃないですか。シュレジンジャー報告とブラウン報告、二つ出ているじゃないですか。基本でしょうが。ここに何て書いてあるのですか。ブラウン報告、統合参謀本部議長ですよ。アメリカの制服の御大将ですよ。これはアメリカ議会にシュレジンジャーの基本報告が出ていてブラウン報告を追加して、両方あわせてセットにして報告している。ブラウン報告、明確じゃないですか。これはシュレジンジャーの意思ですよ。  日本の部分だけ読み上げます。この中に「アメリカの使命」という項があります。「アメリカの使命、日本は国力、すなわち政治的、経済的能力と、アメリカとの密接な関係において、アメリカのアジア政策遂行のかぎに相当する。日本との緊密な関係を維持することは、今後ともアメリカの重要政策である。」ここから下ですよ。「アメリカの政策日本列島に対する航空攻撃、海上からの侵略を防衛し」、さらにさっきあなたちょっと触れましたが、「ASW、対潜水艦戦能力を強化して、アメリカの戦力を補い得るような適当な軍事力を維持するよう、日本を激励することである。」はっきりしているじゃないですか。レアードと一つも違ったこと言っていないじゃないですか。同じことじゃないですか。だとすると、この意味の海上における防衛分担がアメリカの最大課題なんだ。それをしきりに言っていることを、久保さんも前に答えている。ペルシャ湾からインド洋を通ってマラッカに入ってくる長大な輸送路、これに対して日本の海上自衛隊がもっと積極的な寄与をすべきである、こう日本に言ってきている。私が歳出委員会のやつを取り上げて物を言ったら、最後に久保さんの方から、アメリカはそういうことを言う、だからこういうメモを出したのだと答えている。そうでしょう。そこまではもう詰まっていることなんだ。だから、海上の問題を取り上げて上田君だって質問しているし、それを受けてあなたは防衛分担とおっしゃるのだから、これを詰めておかなければと思うから、私は詰めている。ほかに、防衛局長が言っているようなこと、何にも書いてないじゃないですか、アメリカの方は。核の防衛分担なんて、そんなものはできやしないじゃないですか。人が笑うよ、本当に。  どうなんですか。それであなたの方の言っている分担なんというのは、いま三つあなたがお挙げになったが、もう一遍三つ言い直してください。そしてそれをどうしようというのですか。大臣が言った三つ、もう一遍言っていただいて、とんちんかんだったけれども、それをどうするのですか。学校を建てる話をしているのじゃないんだから。
  180. 坂田道太

    坂田国務大臣 私も実はシュレジンジャー報告もブラウン報告も一応は読んだわけでございます。ただそこに書いてあることが確かにアメリカが日本に対してやってもらいたいということは、それなりにはわかる。しかしながら、やはりこういう問題はニュアンスというものがありますから、そこで、今度は実務者同士の責任者がやはりお会いをして、あるいは常時情報を交換して、そして同じことを言うにしても、どういう意味なのか、あるいはそれに対してわれわれはどう答えるべきなのか。あなた方、アメリカでそう国防白書をおつくりになっても、こっちの方では憲法というものがこういうふうなんですよ、あるいは国会の事情というのはこういうことでそう簡単に了解も得られませんよ、そういう事情がありますよ、こういう具体的な、現実的なお話を交わしながら、やはりそのニュアンスというものを見きわめた上で、なおかつ、日米安保条約を結んでいるのだから、その限度内において日本としてやらなければならぬことは何なんだということを向こうと詰めるということが肝心なんだ。そういうことはわかっているのだけれども、これは言いたくないし、国会ではいろいろ議論になるから、ここを避けて通ろう。私は避けて通るべき問題じゃない。非常にむずかしい問題だけれども、むずかしいところを話し合って、われわれの国会ではこういう状況だから、ここまではいけるけれども、ここまではかつてないのだということを、私はシュレジンジャーさんにも申し上げて了解を求めたいと思っている。そのことが日本全体の安全につながってくるし、それは同時にアメリカの利益にもつながっていくだろうと私は説得しよう、申し上げたいと思っておるわけなんです。やはりもう少し率直に物を言い合うということ、ただ想像だけで、あるいはブラウン報告なり、あるいはシュレジンジャーの報告だけでもう相手はこうだああだと決めちまって、そうしてひとり歩きをするということはよくないという私の考え方でございます。
  181. 大出俊

    大出委員 それじゃもう、時間の関係で私も先を急いでおりますので、承りますが、ブラウン報告なり、シュレジンジャー報告が出ている。それから歴史的に、さっき私が申し上げたように、下院の歳出委員会の付帯報告もあります。それからレアード報告もあるし、ずっと歴代こうある。その焦点というのは、要約すると三つくらいなんですよ。  一つは、率直に言って、東アジアの自由諸国に金を出してくれぬかということです。だから、私はさっき外務大臣に、心配になって、形ができ過ぎているから、宮澤さんがアメリカへ行ったりなんかしてこられた後の新聞は、きょう私が取り上げたようなことが書いてある。そうして丁一権さんなり金鍾泌さんなりが日本にお見えになって、いろいろな方に会って話しておられる。亡くなった佐藤さんにまで、時の外務大臣に会う前に会っておられるのだから。そうでしょう。そこで出てきたもの、日韓閣僚会議をやりましょうということですね。そうすると、八月には三木さんがアメリカに行かれる。その手前の七月にソウルで日韓閣僚会議が開かれる。閣僚会議が開かれた。アメリカに行った。アメリカ議会筋は韓国に金を出すことについてはもっとやかましいのだから、マンスフィールドだって反対だって言っているのだから。だから日本何とかしろと言う。それに違いないと思うから、午前中取り上げているわけです。  ところで、あなたは分担、分担おっしゃる。そうでしょう。だから、そこであなたの率直なお考えは、レアード報告やブラウン報告、あるいはシュレジンジャー報告等に載っているように、海上の潜水艦その他を中心にして日本の海上防衛力をもっときちっとして、防衛水域なら水域、専管水域なら水域をきちっとして、もっと責任を負え、寄与しろということも受けて立とう。ただ、日本には憲法がある、国会情勢もある、国内の情勢もある、だからできないものはできないと言いたい、そういう話をしたいというのが一つ。  だが、この際に聞いておきたいのは、つまり海上における分担も何か考えようという気がまだなおあるのかどうか。私は、さっきの局長答弁で、それはしないとおっしゃったというふうに思うのだけれども、大臣に聞いてないからわからぬので、海上における防衛分担もでき得る範囲であなたは考えるという気持ちがいまあるのですか。それが一つ。  それから皆さんの方で前にこしらえた、四十八年五月の二十九日の事務レベル会議にあなた方の方が出そうとした文書で、最初の案にあって消えてなくなった文章がある。それにはサイミントン委員会のジョンソン国務次官の答弁なんかもあるのですけれども、つまり日本に対して韓国なんかに軍事援助をやってくれと言ったら、すぐ日本議会が反対してそんなことはできない一だけれども、軍事援助ではない形の援助を行う。そうして相手の国がその浮いた金で防衛の方に回すというようなことはやり得るかもしれないということをジョンソン次官が言っていますけれども、それと同じで、通信機だとか、あるいは通信機材だとか、橋とか車両だとかいうふうなものに日本が経済援助をして、韓国側からすれば、それを買うべく予定をした金を武器の購入に回すというようなことはできるということを、四十八年の五月二十九日の事務レベル会議にあなた方出そうとした経緯がある。  つまり、そこらのところも含めて、あなたは、シュレジンジャー氏にどっちにしても会おうというのだから、あなたの腹の中というのは、話し合うだけでとまらしちゃ困るんで、海上における分担というのはなおかつしようと考えておるのか。援助という問題も、あるいは地位協定二十四条なんかもめぐる金の問題なども、アメリカの要望にこたえ得れば、できる範囲でこたえたいと考えているのか。そこはどうなんですか。
  182. 坂田道太

    坂田国務大臣 この件については、この前の委員会におきましてもお答えをいたしたわけで、海域分担は考えておらないわけです。
  183. 大出俊

    大出委員 ほかの二つはどうですか。もう一遍言いましょうか。  これはサイミントン委員会などでもジョンソン国務次官が答えているけれども、日本にただ乗りは困る、ざっくばらんに言って、もっと金を持て。だから、軍事援助というようなことを言ったら、議会がすぐ反対する。それは反対しますよ、私だっていま反対して質問しているんだから。そこまでジョンソンさん言っているわけだ。だから、そうでないもの、純然たる意味の経済援助というものを日本がやれば、相手の国が予定した金が浮く。それを相手国の防衛その他に回すというふうなことはできるかもしれない、こう言っておられますが、四十八年の五月の安保事務レベル会議防衛庁の最初の案、これは新聞にも出ましたが、韓国に対して、通信機とか通信機材だとか自動車だとか車両だとか橋だとかいうふうなものの援助をして、これは純然たる援助だから、それの分の金を韓国防衛に使うというふうなことはできる筋道なんだということを、最初に文書をおつくりになって出そうとした。楢崎弥之助君が質問すると新聞に載っかったりして、山中さんがかわったばかりだったんだけれども、これは出ずに消えてなくなった事情も、当時の新聞、ここにある。久保さん、あなた笑っているけれども。大体、防衛庁がそんなものを出すべき筋合いじゃないとかなんとかというので、山中さんがぷうっとむくれたときもあった。だから、私が心配なのは、しきりに防衛分担、分担とおっしゃるが、分担というのは、何も核兵器のことじゃないんで、一つは、海上の潜水艦やなんかの航路帯や、あるいは海上の分担なんで、ペルシャ湾までめんどうを見ろと言わんばかりのことをアメリカは言うんだから、久保さんの話によれば。そうでしょう。レアードもそう言っているんだから。だから、そういう意味ではこれが一つ。もう一つは、いまの経済的な肩がわり援助ですよ。いまのアメリカから流れてくる外電によれば、おっかぶせられかねない。あるいは地位協定二十四条等の拡大解釈による基地に金を出すという問題等々、ここらのところが分担なんで、その後の二つの方はあなたどう考えるか、念を押しておきたいのです。
  184. 坂田道太

    坂田国務大臣 この問題は、政府全体で考えなければいけない問題ではないかというふうに思うのです。
  185. 大出俊

    大出委員 あなたはどうなんですか。また防衛庁に妙な文書を書かれちゃ困りますから。
  186. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は、やはり日本防衛努力というものはアメリカとしても期待をしておると思うものでございますから、そういうような形で、もしうちの予算の中でそう民生を圧迫するというようなことがなければ、そういうことは好ましいじゃないかと私は思いますが、しかし、これは大蔵大臣もございますし、外務大臣もございますから、私からどうだこうだと言うべきじゃないと思います。
  187. 大出俊

    大出委員 そうすると、海上のいわゆる防衛分担などというものはできない。だから、予算上、アメリカとの間において日本側が責任を負えるものということになれば、もちろん大蔵省その他政府全体の問題だが、考えることが望ましいと長官は思っているということですな。——ここで長い時間をとっても、全くもとに戻っちゃうというのは意味がないのですよ。  そこで、中路さんの質問関係もあって気にしながら聞いているのですけれども、どうしてもこれだけ聞いておかなければ困ることがありますから承りたいのでありますが、ポスト四次防と言ったらいいと思うのでございますが、これはあなた指示を出しておられますね。指示が二つありますね。一つは「昭和五十二年度以後の防衛力整備計画案の作成指示について」、五十年四月一日、それから「昭和五十一年度業務計画の作成に関する長官指示について」、二つございますね。両方やっておる暇がありませんから、片一方取り上げますけれども、この指示で、あなたは数の問題じゃないという趣旨のことを言っているのですね。いろいろなことがここに書いてありますけれども、艦船の数や何かふやそうとしてもなかなかむずかしい、したがってそこらのところは、そういう意味でない知恵をみんなが出し合ってやってくれ、というようなことを書いておられる。これはほかの方でも言っておりますね。さっき私、申し上げましたが、防衛懇話会講演をなさっておりますね、「ポスト四次防」という。これはあなたおっしゃったのだから。そのままだから。ここで「考える会」なんというのをちょっと取り上げたりいたしまして、「単に惰性的に数量だけを追う、数量だけの議論しかしない、そういうことではいけないのであって、もうこの段階になると、これだけの制約の下において日本防衛力は陸海空各々の役割はどこまではやれる、どこまではやれない、やれることはチャンとやろう、やれないことまでもやれるが如く装ってまかり通るということは許されない」と考えて私の指示を出した。こうでしょう。ここで言っておる、数量だ、云々だという議論じゃこれはだめだ、これはどういうことなんですか。  まず、そこで例を挙げて承りたいのですが、四次防の積み残し、大きなものを拾って言っていただきたいのですが、四次防の積み残しがございますね。積み残しは残念だというこの積み残しは数なんです。つまりできなかったから残念だというわけです。そうでしょう。時間がありませんからあれですが、四次防で残ったもの。四次防は最終的に六兆円を超しそうであって、四次防の目玉商品である七四式の新型戦車、ヘリコプター積載護衛艦、涙滴型潜水艦、国産のT2超音速練習機、同FST2改支援戦闘機が軒並みに削減された、こうなんですね。そのほかにもたくさんあります。戦車七十九両だとかたくさんあります。四次防の積み残しというのは、大体どんなものが積み残されたのかということと、それは一体今後どうお考えになるかということ。長官は、数の問題などとやかく言ってももうだめだ、こう言っておる。しかし積み残しというのはあくまでも数ですよ。こんなものはだめだと言うのだから、じゃ積み残しはあきらめた、こういうことなのかどうか。そこらはっきりしてください。
  188. 坂田道太

    坂田国務大臣 私が申し上げましたのは、こういう意味です。ポスト四次防ということを考える前に、四次防自体は一体どうなんだ。たびたび国会で申し上げておりますように、陸と空の方はかなりな進捗を見せておるけれども、海についてはかなりおくれている。しかし残すところ来年度の予算だけだ。それじゃ普通でございましたら、四次防達成のために全力を挙げて、来年度の予算はその正面整備のために力を入れるという一つ意見もあります。しかし私はそれはとらない。しかし四次防というものはあくまでも達成したい、すべきである。しかし、それはいまの高度成長経済から安定経済にこう変わってくる事態において、それをなだらかに達成をしたいんだ。そしていままで四次防までいろいろ努力をしてきたけれども、それはそれなりの意味はあったけれども、やはり一つの飛行機を動かすについても、その抗たん性といいますか、縦深性と申しますか、たとえばレーダーサイトだとか、そういうものがなければその威力を発揮できないのであって、ともいたしますると、そういう抗たん性あるいは後方支援のいろいろのものが十分に四次防まで行われなかったのじゃないだろうか、そういうようなところにもやはり目を開いて価値を認めてやる努力がポスト四次防には必要じゃないか、こういうような意味を申し上げたわけでございまして、全然量は見ないんだ、もうやめてしまうんだ、いやもう四次防の達成なんかもあきらめたんだという意味ではないということをひとつ……。
  189. 大出俊

    大出委員 どうも少しよけいなことが多いですね。それならこんな数なんというものはお書きにならなければいい。それじゃ同じことではないですか。何とか達成したいというわけでしょう。  もう時間がありませんから、ここでひとつFX問題にちょっと触れさせていただきますが、調査団を一昨晩お出しになったわけですね。そこで、調査対象、これは何機種ですか。それで大体国はわかるわけでありますが、そこらのところはどうなっておりますか。
  190. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 ただいまのところは八機種でございます。
  191. 大出俊

    大出委員 具体的に言ってください。
  192. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 まずスウェ一デンのサーブスカニアのJA37というビゲン。それからその次は英独伊共同開発のパナビア、MRCA。それからその次はフランスのダッソー・ブレゲー社のミラージュFlM53。それからあとはアメリカでございますが、F14、これはグラマン社。F15A、これはマクダネル。F16、ゼネラル・ダイナミックス。YF17、ノースロップでございます。
  193. 大出俊

    大出委員 これでは七つじゃないですか。八つとおっしゃいましたね。もう一つ何ですか。
  194. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 それからまだ問題にはなっておりませんが、一応の対象ということになっておりますのはF4Eの改良型でございます。
  195. 大出俊

    大出委員 これは国はどこですか。
  196. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 マクダネルでございます。
  197. 大出俊

    大出委員 アメリカですね。  私は非常に疑問を持っておるのですが、こんなにたくさんの国をFX調査団と銘打って歩く必要はどうしてあるのかという点であります。なぜかといいますと、防衛庁はFXにかかわる一つの基準をお決めになっている。つまり皆さんの方では「航空防衛力構想」というのがあるのですね。「航空防衛力構想」ございますか。だれかひとつ言ってあげてくださいよ、話が進まないから。——装備局いないようですけれども、私はちゃんとそれまで言ってあるのですよ。  防衛庁の「航空防衛力構想」というのがございます。要約をいたしますと、「戦闘機の性能は防空を主任務とする以上、要撃(敵を待ち伏せ、迎え撃つ)を主任務としないものは除外し、航続力、短距離離着陸性、全天候性、対戦闘機戦闘能力」、これは格闘能力というわけですね。「にすぐれたものが望ましい」という、あなた方一つの基準をおつくりになっておられますね。大臣いかがですか。
  198. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまの御指摘の文章について私ちょっと存じておりませんので、恐縮でございますが、このFXを決める選定基準というものを大まかに言って一体何を考えているのかということにつきましては、ただいま御指摘の、一部適合するわけでございますけれども、要撃機としての要求性能ということで、全天候性能あるいは飛行性能、戦闘能力ということでございます。それから物の生産の面に着目をいたしまして、開発をいたします場合の開発の見通し、それから生産能力、補給能力といったような点を考えております。それからその他の要撃機は当然、地対空誘導弾あるいは高射砲、こういったものとの関連を考えますので、総合武器体系の問題、それから当然のことながら費用対効果、こういった点を配慮することになっております。
  199. 大出俊

    大出委員 これは後の方は当然なことで、開発見通しがなければ買えないのですから。それから補給、これもそうであります。補給が続かなければしょうがないですから。相手の国がつくっていなければどうしようもない。それから総合武器体系、これも戦争にはなければしょうがないですから、これもあたりまえの話です。それで、いまの要撃能力、これは主任務ですから、日本の置かれている専守防衛という状況から見て、また日本の置かれている地形から見てそうですね。それから要撃という任務を持っているとすれば、相当な航続力がなければなりません。それから短距離の離着陸性、ぱっと飛んでいけるものがなければ間に合わないのです、スクランブルといったってそうです。それから雨が降ったから、天候が悪かったからといってレーダーが効かなければしょうがないわけですから、全天候性でなければならぬ。それからその上に戦闘機に対する格闘能力、つまり対戦闘機戦闘能力、こういうわけですね。中心点を言えば、ここらがなければ、これは資格がなくなるというわけであります。  私はそこにもう一つ大きな枠を考えざるを得ないと思いますのは、防衛庁がいろいろなことをおっしゃるけれども、アメリカ以外の飛行機を買えるか。日本のいま置かれている立場から、ロッキードの何とかという人が大使だったり、そんなのになっているのだから、ブラウンさんかだれですか、代理店か何かに入ってきたりしちゃっているのですから、こういう状況の中で、アメリカ以外のものを、ビゲンを買うとか、あるいは三国共同の製品を買うとか、こんなことは、だって考えようがない、私どもが考えれば。そうすると、いま幾つかお挙げになりましたが、サーブ37ビゲンというのはスウェーデンでしょう。スウェーデンの飛行機を日本が買うというのは考えられない。それから英独伊三国が共同で開発しているMRCA、これなんかも多目的を持つ戦闘機には違いありませんが、過去の経緯からいきましても、こんなものを買うとも思えない。それからフランスのミラージュだって、これはフランスの偉い人が、ミラージュというのは各国の戦闘機に劣るんだなどと言って大騒ぎを起こしたりしているのですから、これも日本がミラージュを買うなどというばかなことはちょっと考えられない。そうなると、残るのはアメリカの機種なんですね。  さて今度はアメリカの機種なんですけれども、果たしてアメリカの機種というのは、この原則に照らして見てどうなるのかということ。軽戦闘機というものが、果たしてこのいま防衛庁局長がお挙げになった選定基準、私が申し上げました「航空防衛力構想」なるもの、これらからいきまして一体どうなのか。14、15というのがございます。16、17。17というのは、これはいまもう機体変更なんですよ。これは失格ですよ。F18に切りかえているでしょう。この17はないんだ。ないものを何でいまだに挙げておくのですか。調査団が一昨晩出たというのに、麗々といまあなたが17までお挙げになるから、おかしなことをおっしゃると不思議に思っていたのだが、違うのでしょう。私の言っているように、これはなくなるでしょう。そうすると14、15、16しか残らない。ないものは調べようがない。そうでしょう。そうすると、これは三つしかないんじゃないですか、どうですか。
  200. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 大変よく御存じでございますけれども、問題は、今回のミッションの目的は資料収集でございますから、まだ機種をしぼってとか——最初からそういうむだな旅費を使って調べること自体おかしいではないか、という御質問であれば問題は別でございますが、実は今回の資料収集は、航空機そのものももちろんでございますけれども、そういう航空機を現在製作をして採用をしておるという基本的な防空構想、防空の考え方というものを、これは当然のことながら、他兵器との関連、それからどういう条件においてそういう要求性能が出てきておったかというそのバックグラウンド、こういったものを検討いたします。そういう資料を入れることがわが国にとって次期戦闘機を選定する際の入力データとして必要であるという、そういう見地でしておりますので、先ほど申しましたように、一応形式的に選定基準というものだけを拾ってみれば、いまの段階においてもう結論ははっきりしているんじゃないかということをおっしゃられればそうでございますが、ただしかし、いま出ておるものも、たとえばF16にいたしましても、ヨーロッパで採用する場合にはレーダー性能を高めるというような話も出てきておりますので、いろいろ費用対効果その他を考えまして最終的に決めたいということで、とりあえず今回こういうことでお認めをいただいて調査団を出しておりますので、御承認をいただきたいと思います。
  201. 大出俊

    大出委員 いま丸山局長は形式的にとおっしゃいましたから、形式的にとおっしゃるならば、これはわからぬわけではない。形を整えようということですから。形を整えようということで、まあ16もレーダー性能がなさ過ぎますから、これはアメリカは補助戦闘機に考えているわけですからね。議会でもめて、金の面でしぼられまして、削られたわけですからね。海軍の可変翼のF14が思い切って削られましたから、それであわてて16というのを、つまりベトナム戦争の結果、戦闘機の敵は戦闘機だというので生まれた発想なんですけれども、アメリカ軍が募集した機体の一番すぐれたやつというので、アメリカがこれだと折り紙をつけたやつが16の形です。しかし、このレーダーというのは銃後からいただこうというわけですから、補助戦闘機で一緒に飛んでいくのだから見えない。可視距離以外のところは戦えないんだ。そうするとこの16というのは、銃後からのレーダーでもらって戦闘をするわけですから、これはレーダーの能力を高めるというけれども、どのくらい高めるかということを調べてみましたが、とてもじゃないが、中心となる戦闘機なしに戦える戦闘機じゃない。機体の形がそうなんですから。17に比べたら九百キログラム軽いわけですから。だから、とてもじゃないがこんなものは納められる筋合いのものじゃない。  それからさっき総合的な武器体系という話をなさいましたが、武器体系も、全く補助戦闘機ですから決定的に悪い。対戦闘機という格闘戦闘機なんですから。アメリカという国の特徴で、御存じのとおりに、これは戦闘機対戦闘機の格闘空戦というものを本来は想定しないのですからね。これだけの火力を持っているアメリカに、戦闘機が飛んでいってアメリカ本土に、なんというようなばかなことは普通考えられない。だから、アメリカが約束をしている同盟国のために物を考えるという分野でのみ、格闘戦闘機というものの存在が成り立つわけですよ。だからF101まででっかくなっちゃったわけですからね。朝鮮でミグと戦った時代のF86から出発しているわけですから。そうなるとF16というものの性能をいかに高めてみても、これは限度がある。これははっきりしているわけですね。  そうすると、この機種選定のいまの基準その他からいきますと、おおむねしぼられてきていることに間違いはない、こう言わざるを得ないわけでありまして、ただ皆さんが形式をお整えになるという意味で、各国の一線戦闘機の能力なりあるいは総合戦力なりというものを調べたいとおっしゃるなら、これは改めて別にお出しになればいいわけであって、FX調査団という名がついている限りはいささか私は不穏当な気がするが、大臣、これは形式的にとにかくまあやってみるということでお認めになったわけですか。
  202. 坂田道太

    坂田国務大臣 いま防衛局長からお答え申し上げましたように、いろいろのデータがやはりわれわれとしては欲しいということでございまして、調査団を出したわけでございます。
  203. 大出俊

    大出委員 そこで承りたいのですが、YF16の性能、これを幾つかに分けて、長い時間要りませんから、あなたの方が選定基準になさっているところをポイントとしていただいて、六つ、七つございますが、つまりどの程度の要撃能力があるのか、航続力、それから短距離離着陸性、あるいは全天候性、あるいは対戦闘機戦闘能力などというものを中心に性能をお挙げいただきたい。めんどうですから、F16と、それから14と15、この三つをひとつ挙げていただきたい。
  204. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いま御指摘のような細かいデータ、ちょっと私、持っておりませんので、まず重量、それから最大速度というようなところ、いまわかっております点だけでちょっと申し上げたいと思います。  重量はF14が二十五トン、F15が二十トン、これに対しましてF16が八トンと、非常に軽いわけでございます。ですから翼に対する荷重は16が一番少ない。したがっていわゆるACF、格闘戦闘機としては最適であるということが言えます。それから最大速度はFMが二・三マッハ、それから15が二・五マッハ、それからF16が二マッハちょうどというところでございます。それからF15につきましては、海面上の速度が——これはちょっと比較がございませんのであれでございますが、F15だけは海面上の最高が一・二マッハというところでございます。  それから武装でございますが、これは大体似通っているところでございまして、14が二十ミリが一門、それからF15も二十ミリ、16もそうでございます。空対空ミサイルでございますが、F14の場合には、これはちょっと失念いたしましたが、14特有のAAMがございまして、これが十二、それからF15が四ないし八。それから16に至りますと、これは二基しかつけられないという状況でございます。滑走路VTOL性その他につきましてちょっとデータがございませんので、申しわけございません。
  205. 大出俊

    大出委員 航続距離はどうなんですか。
  206. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 航続距離はF14が約八百キロメートル、それからF15イーグルが……
  207. 大出俊

    大出委員 F14が八百ですか。
  208. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 F14が八百キロでございます。
  209. 大出俊

    大出委員 航続距離が八百キロといったら、小松から平壌までしかないのだよ。
  210. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 失礼しました。これは行動半径でございまして、航続距離はわかっておりません。それから次にF15が四千六百八十一以上と書いてございます。それからF16が三千七百でございます。それで行動半径は九百二十五以上。
  211. 大出俊

    大出委員 FMの武装がわからぬとおっしゃるけれども、何か特別な物が積んであるなどといまおっしゃっていましたが、F14は六発の長距離ミサイルがありまして、ミサイルフェニックスAlM54A、六発の中距離ミサイルスパローAlM7P、フェニックスとスパローを混用しています。四発の近距離ミサイル、サイドワインダーAlM9L、それと二十ミリM61A1速射機関砲、こうなっているのですね。これはいまのお話では、これから聞いても、ちょっとおわかりにならぬだろうと思うので、いたし方ないのでありますけれども、私の手元にF16にかかわる幾つかの資料がございます。この幾つかのF16にかかわる資料によりますと、防衛庁のこの基準には全く適合しない。完全に適合しない。レーダーにおいてしかり。全天候性でないということがはっきりしておりますから。改造しても全天候性にはなりません。そうだとするとこの選定基準に欠ける。あなた方が選定基準をつくったのだから、そうするとあなた方の選定基準が正しいならば、はっきり言ってF16というのは適合しない。そうなると、これはますますもっておかしな話で、選定基準からいけば、F14とF15しかない。ところがF14というのは可変翼で本来海軍機だ。これはイランがたくさん買っている。最後に五十機注文したときの価格は大分下がっているけれども、そうでしょう。そこで、さてそうなると残るのは価格の問題です。F16は適合しないですよ、あなた方の基準が正しければ。あなた方の基準に合わして調べてみた。データは細かくありますよ。三種類もございます。  そこで承りたいのですが、F14と15が残るのですが、念のために16まで入れまして、この三つの価格、一機当たり単価というのは現在どう御判断でございますか。実はそれも細かく計算資料がございます。いかがでございます。  防衛局長大臣がおいでになる前だが、あなたがお読み上げになったその選定基準、私が読みました航空防衛力の云々という基準と同じことだと思いますけれども、長く書いてありますが、中心だけ申し上げましたから。そうすると、あなたの方もさっき、レーダーが改善されるということも聞いているから、というふうにつけ加えられた。その改善されるべきものもおおむね見当がついているわけですが、そうすると、大体あなた方の基準からすると、適合性という意味では、F14、15というもの、つまり一般論としてあなたの方でお立てになった基準からいけばその辺にいく、そんな感じがするのですけれども、まず、そこらのところはどうですか。だからどうというわけじゃありません。一般的に聞いているのですから。
  212. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 先ほど申し上げましたような選定基準を厳密に解釈して、現在のところでき上がっておる航空機を判断した場合は、先生のおっしゃるようなことになると率直に申し上げざるを得ないと思います。
  213. 大出俊

    大出委員 そうだとすると、F14なりF15なり、念のためにF16まで入れて、大体どのくらいの一機単価になるか。これはアメリカが生産する生産機数等との関係ももちろんございます。またライセンスにしろ何にしろ、日本側が手がけるということに関する規模にもよりましょう。大体どのくらいのことになるかという見当はおわかりになりませんか。
  214. 山口衛一

    ○山口政府委員 三機種の単価につきましては、これまでいろいろと数字をキャッチしてまいりましたが、いずれも雑誌のあれでありますとか、あるいはアメリカ政府が買い取る予算上の単価でありますとかというような数字でございまして、それで私どもが果たして買えるのかどうかという問題は別といたしまして、私どもの資料を申し上げますと、F14の場合、トムキャットでございますが、これは一九七四年米会計年度での予算上の単価は千三百九十万ドル、四十一億七千万円というふうに、ある情報から、雑誌から入っております。それから七六年価格としましては、千七百二十八万ドル、日本円で約五十一億円でございますが、これがインターラビアで報道されております。  それからその次F15でございますが、これは「航空情報」によりますと、七四米会計年度で千四百九十四万ドル、四十四億円という数字が出ております。それから米会計年度、七六会計年度では、先ほどのインターラビアでございますと、千五百四十八万ドル、四十六億円というふうに出ております。  F16につきましては、こればゼネラル・ダイナミックスがNATOの諸国に提案した価格としまして報道されているところでは五百十六万ドル、約十五億五千万円ですか、こういうような数字があります。ただ私どもは、こういう雑誌からの推定でございまして、また別の情報としまして、最近先生御指摘のとおり、F15、14につきまして大分単価が下がってきている。というのは各国からの注文がふえたりというような情報がございまして、この際明確な御返事がそこまではできないというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。
  215. 大出俊

    大出委員 これはアメリカのやり方というのは、開発費を本来持っていますから、そこらがどういうことになるかということは非常にむずかしい。前のFXのときに、私が増田防衛庁長官と予算委員会で大分長いやりとりをしたいきさつもございまして、そのときも調べてみましたが、後でやはり多少の狂いも出ているわけでありまして、一概には言えないが、やはり基準をおつくりになったのは防衛庁長官御存じのはずでありまして、大臣が基準についてうんとおっしゃらなければできないのであります。その基準からいけば、さっき丸山さんがお答えになったように、だれが考えていってもそういうことになる。  そこで一つ残るのは、八機種とおっしゃいましたから一つ残るが、これはF4EJ改ですね。三菱重工さんが日本の兵器廠として一生懸命がんばっておられるわけであります。ところで、これとの絡みで一つ承りたいのですが、一体この次期戦闘機FXなるものはいつから必要になるかという点です。間に合わなければしょうがない。いつになりますか。
  216. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまのところの計算でございますと、五十五年度、つまり必要になりますのは五十五年度から落ちますので、五十五年度に一番機が取得されるようなタイミングということになります。
  217. 大出俊

    大出委員 つまり、これは104の代替機ですね。86でなくて104の代替機だということになりますと、五十五年度では落ちてしまうのですから、一スコードロンなら一スコードロン、二十機なら二十機。そうすると五十四年には二十機そろってたければならぬ、こういうかっこうですね、間違いなく。いかなる生産方式をとるにしても、五十五年には一スコードロンできている前提条件ですね。ところが、私も調べてみましたが、F4EJ改なるもののアメリカにおける動きを見ておりますと、五十五年度にはできない。いまの開発システム、工程からいきましてできない。そうする一これは、F4EJ改をという考え方が仮にあっても、五十五年には形をなさないとすれば、つまり二十機そろって日本のどこかに配置されていないということになるとすると、これもいささかどうも無理な感じがいたします。  この点はいまお答えになりましたから、私はいま主張するとおりだと思うのですが、そうだとすると、ますますもって、可能性のあるというのはF15、F14二つですね、基準からいきましても。16のレーダーがどういうことになるかと言ってみても、要撃戦闘機としての総合武器体系、これに欠けます。全天候性を持っておりません。だからそうなると、主力戦闘機がおって、その補助戦闘機としてレーダーをこっちからもらうというなら、これは可能でしょう。だがそれ以外に使い道がない。アメリカがそういう目的でつくったのですから。ということになると、これはますますもって今回のFX調査団なるものも、何か形式的に過ぎるという感じが私はする。  そこで、もとに戻りますけれども、購入方法その他を通じまして、予算の分科会で私は大臣に承っているのでありますが、山中さんに承り、坂田大臣に承っているのでありますけれども、商社はたとえば14、15なら二つでございまして、日商と安宅でございましょう。ここまできて妙なことにしていただきたくないのですがね。片一方は、可変翼ということもありますから、海軍採用の飛行機。確かに、これはイランだって使っているのですから、それだけのことはあるのでしょうけれども、せっかくここまで来ているものを、この最後の土壇場で妙なことにしていただきたくないという気がしきりにするのですが、その辺の大臣の御決意のほどを承っておきたいわけでございます。
  218. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点は、もう先般もお答えを申し上げましたとおりに、厳正公平に、いやしくも国民疑惑を招くがごときは断じてやらないというつもりで行いたいと思っております。
  219. 大出俊

    大出委員 そこで、やはり厳正公平とは申しながらも、商社を通じて買うということにならざるを得ぬわけでございますか。両方あわせて検討するという先般の大臣の御答弁はいただいておるのでございますが、いかがでございましょう。
  220. 坂田道太

    坂田国務大臣 その後装備局長に命じまして、メリット、デメリット両方の検討をさせてまいりました。その両方につきましてやはり長短があるようでございます。いまここで、どっちにするということは申し上げかねますけれども、しかし、御指摘のところを装備局長に命じまして十分検討させまして、そしてそのメリット、デメリットというものが明らかになっております。その尺度で厳正公平に選定をいたしたい、かように考えております。
  221. 大出俊

    大出委員 そうすると、残るのはYF16一つだけ。レーダーの改正なんということがありまして、問題は価格が一つございますね。ただ、あなた方の基準についてとやかく申し上げる気はないのでありますけれども、この国の置かれた立場その他から言うと、私は立場は違いますけれども、つまり、全く意味のないものを買ってもらうことは、これは困るわけでございます。そういう意味で大変しぼられてきている、こういう気がするわけであります。  実は在日米軍司令官のグラハムさんなど、いち早く、これはF15でございましょうが、日商さんが代理店契約を結んでおられる、ここにダグラスの首席駐在員ということで送り込んできているとか、どうもだれがどこへ行ったなんという話までありまして、余り言いたくないのですが、私は、この件は前からの私の質問、二回にわたる議事録もございますので、坂田長官責任において、この問題に関して、あるいは途中でおかわりになることもあるかもしれませんが、ひとつくれぐれも妙なことになりませんようにお願いをしておきたいわけであります。  そうして一つ非常に大きな心配を私はいたしますのは、いずれも14、15ともに四千キロを超える航続距離を持っているのですね。さっき八百などというお話をなさいましたが、その八百を例に挙げますと、石川県の小松の基地、ファントムがいまおりますね。F4EJファントムのあります小松の基地、あそこから北朝鮮の平壌までちょうど八百キロです。金日成さんがおいでになるところまで八百キロ。ファントムで飛んでいきますとわずか二十分しかかかりません。これは二十分だということになりますと、あそこへファントムが置かれれば、幾ら専守防衛だと言われてもいい気はしない。ファントムというものは、とんでもないものをつけようと思えばつけられるし、載せようと思えば載るのですから。南進をするなどと言うならば心臓部を、なんということをアメリカの国防長官がおっしゃると、ますますもって穏やかでない。そこで、実は前のFX論争のときには、私、増田長官を大分詰めまして、当時ファントムの航続距離は、いろいろなものを外せば三千二百ぐらいでございましたか、それでも長いではないかということで、爆装はつけない、コンピューターその他もつけないというお約束になっておるわけです。いまの選定基準でいって、まだいろいろな意見が出てくると思いますけれども、四千六百八十一キロもあるなどということになりますと、あるいは16であっても三千七百あるわけでありますから、これは穏やかでない。ここらのところは一体どういうふうにお考えでございましょう。専守防衛でございますから。
  222. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 ともかく海外資料団を出しました段階でございますので、個別的にどのあれについて爆撃装置を外すとかいうことは、ちょっといまの段階で明言はできませんので、御容赦願いたいと思います。
  223. 大出俊

    大出委員 前のFXのときに爆装を外す、それに付属するコンピューターその他は一切外す、照準を含めまして。そういうお約束になって、議事録はここにあるのですけれども、今回のFXについても、前回の選定に当たってそういう国会での決着になっているのですから、やはりそれが踏襲されてしかるべきものであろうという考えで聞いているのですけれども、大臣、これはいかがでございましょう、政治的分野でございますから。これは爆撃装置をつけるということになると大変なことになる。
  224. 坂田道太

    坂田国務大臣 私どもとしまして、その点とにかく憲法に違反しない範囲内において、そうしてやはり威力はある、そうして防衛に徹する、それがどのところかということは、やはり新たな機械や何かを見ないと言えないことじゃないかというふうに思っております。
  225. 大出俊

    大出委員 大臣、御勉強いただかぬと、新たな機械を見なければなんとおっしゃったって、なかなかむずかしいですから、さっぱり見当つかぬことになりますよ。  ところで、いまおっしゃる、枠が憲法に違反しないということ。専守防衛というのは憲法上出てくるわけでありますから、そこで、航続距離はある、足の長いのは憲法に抵触するということになった、これは石橋質問でそうなった。足の長いという論争がございました。それが崩れてまいりまして、しかし、F4Eファントム、この機種は優秀なんだから使わしてくれという判断、その場合に相手に脅威を与えないという憲法上の原則、それから実は爆装を外す、コンピューター、照準その他一切外すと、こうなったわけですね。足は長いけれども要撃一点張りなんだ、向こうへ行って爆弾を落とすなんということはしないのだという、つまりファイターボンバーという段階になっているわけですから、単なる戦闘機じゃない、爆撃機を兼ねているわけですから、だからそういう意味の原則は通していただかなければならぬ、こう思っているのです。  もう一遍承りますが、爆装をつけて、爆弾を積んで飛んでいけるようになると、実はここに資料があるのですが、長沼のナイキ訴訟の中でおたくの現職の方が答えている。ファントムEJというのは爆弾をどのくらい積んでいくんですかと言ったら、二トンとうっかり言っちゃって、あわてて言いわけをなさった。わが方は二トンだがアメリカは四・五トン積みますなんてうっかり言っちゃって、あわてて直しました。     〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕 つまりこの中身を見て、爆弾などは積まないことになっているのだが、二トン積んでいるんだなと私は思いましたが、それではやはり困ると思いますから、爆弾を積んだら、それならばどういうことになるのかというのをあわせて答えていただきたい。三つしかないですから、機種は。
  226. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点は、やはりもう少し検討させていただきたいと思うのです。データもはっきりいたしておりませんから。
  227. 大出俊

    大出委員 とりあえずいいでしょう。憲法違反をしないというわけでありますから。それならば、専守防衛ということですから、改めてその点は議論をさせていただきたいと思います。  それで一遍、これは防衛局長にお願いをいたしますが、先ほど私、御質問申し上げたのですが、どうも半径八百キロとか妙な話しか出てこないので、皆さんの手元に、装備局長初め皆さんおいでになるのだから、資料がないはずはないので、それをひとつお出しをいただいて、聞きたいポイントも実は聞けないわけで、かみ合いませんから、ぜひこれはそういうふうにしていただきますようにお願いをいたしておきたいわけであります。  たくさん問題点はございますが、中路さんの時間に大分食い込んでしまいまして申しわけないのですが、以上のことにさせていただきます。
  228. 藤尾正行

    藤尾委員長 中路雅弘君。
  229. 中路雅弘

    ○中路委員 きょう後で少し詳しくお聞きしたい問題がありますので、最初に、先ほどから論議になっている問題ですが、たびたび表に出ている問題ですから、二、三お聞きしたいと思います。  例の参議院予算委員会での発言もありましたが、先日この委員会でも、シュレジンジャー国防長官国会終了後二、三カ月以内に招待をしたい、目的は、有事の際の日本周辺海域の日米間の具体的な防衛分担について協議して、できれば何らかの取り決めをしたいというような趣旨の御発言があったわけですが、この問題に関連して幾つかお尋ねしたいのです。  最初に、最近のアジア情勢、特にカンボジア、インドシナ、ベトナムにおける情勢の急変ですね。これについての長官のお考え方認識の問題ですが、例の四次防が発表される前に、五年前に中曽根長官時代に作成されました防衛白書の中では、当時の情勢について、極東で「米国、ソ連、中共の間の複雑な関係を背景に、東南アジア、朝鮮半島等の情勢をめぐって、不安定な状態が続いており、国際緊張の焦点と目されている。」と書かているわけです。こういう情勢分析の上に立って、日本自衛隊による専守防衛、制限戦争に有効に対処することができるような通常兵器による防衛力の整備が必要だという説明をされているわけです。その後、米中接近とか、あるいは日中の国交回復の問題、特に最近インドシナ情勢の新しい展開が行われているわけですが、この最近のアジア情勢について、主として軍事情勢を含めて、簡潔でいいのですが、長官認識をひとつお伺いしたいと思います。
  230. 坂田道太

    坂田国務大臣 最近デタントということが言われておるわけでございますが、確かに米ソの間において、核の均衡というか、そういう形において世界の情勢はデタントの方向にある。歴史的に言えば、たとえばソ連においてはフルシチョフが政権をとった、アメリカにおいてはケネディが政権をとった。したがって、主義、主張は異なっても平和共存が可能であるという一つ考え方が出てきた。それから核の追求をやった結果として、もし第一撃を一方がやった場合は第二撃で反撃を受けるということで、何千万という人の殺戮ということを考えなければ第一撃もやれないというようなことから、抑止的な考え方が米ソ双方の間に出てきた。そういうような前提があって、ヨーロッパにおいても、御承知のようにアルジェリアの戦争が終結をして、ドゴールが東の国と西の国同士の間においても冷戦状況を打開する何らかの道があるのじゃないかというようなことで、希望を持つというような考え方が出てきた。それからブラントがまた西ドイツにおいて、そういうデタントの線によって東独との関係においていろいろの取り決めを行ったということで、六〇年代以来、超大国間及びヨーロッパにおいてはかなりデタントの様相が展開している。  ただ、そういうデタントの基調はあるけれども、一体アジアはどうなんだと言えば、やはり中東における危険な様相も若干あるし、現にベトナムにおきましてかなりな戦闘が行われてきた。それからまた、朝鮮半島におきましても、北と南とにおいてある程度の軍事的対立がある。しかしベトナム以後におきまして、朝鮮半島に現状を変更するということを、中ソにおいても、あるいはアメリカにおいても望んでいない。そういう意味においては、全然限定的な危険が消滅してしまったとは言えないにいたしましても、一応いまの段階としては戦争は抑制されるであろう、こういうような情勢分析を私なりにやっておるわけでございます。
  231. 中路雅弘

    ○中路委員 アメリカはベトナムを初めとしたインドシナ三国の中で敗北をしたわけですね。アメリカのベトナム戦争における敗北、これからどういう教訓があると長官はお考えでしょうか。
  232. 坂田道太

    坂田国務大臣 私自身からこれを申し上げるのはどうかと思うので、むしろ外務大臣からお答えすべき問題かと思いますけれども、一九七三年パリ協定が行われたとき、すでにアメリカはインドシナ半島から撤退するということを基本的に決めておったと私は思うわけでございます。そういう認識でございますし、宮澤さんが言っているような認識も私は十分理解できると思っております。
  233. 中路雅弘

    ○中路委員 外務大臣じゃなくて、あなたが今度招待して話をしたいと言っているシュレジンジャー長官自身が、アメリカの週刊誌の特別インタビューで、最近のアメリカの安全保障政策を詳細に述べているのがあります。その中でこう言っておるわけですね。「ベトナムでの失敗でアメリカの同盟諸国にあたえた教訓、これは同盟諸国も自国の責任にたいして少くともわれわれと同様に真剣でなければ、アメリカだけではどうにもならないということであって、これはきわめて貴重な教訓であろう」、アメリカだけでは勝てなかったんだ。「同盟諸国」、日本もその一つですね。「同盟諸国も自国の責任にたいして少くともわれわれと同様に真剣でなければ、アメリカだけではどうにもならないということ」、これが教訓だということを言っているわけです。この認識の上に立ってシュレジンジャー国防長官はベトナムの戦争の問題を考えている。その人とお話しになるわけですから、これは外務大臣の問題じゃなくて、シュレジンジャーとお会いになる長官は、アメリカのベトナムでの敗北についての教訓をどのようにお考えになっているのかということを私はお聞きしているわけです。
  234. 坂田道太

    坂田国務大臣 そのことは、もうすでにニクソン・ドクトリンにおきましても、自分の国は自分で守る、そうでなければなかなか援助もできないんだという考え方でありまして、私は、ニクソン・ドクトリンがあろうが、バンデンバーグ決議があろうが、日本自身といたしまして、日本の国は日本が守るんだという基本的な考え方がなければいけないんだというふうに思いますし、ベトナム戦争の教訓もやはりそういうようなものの一つであると思っております。
  235. 中路雅弘

    ○中路委員 その点では、私は長官と全く意見を異にします。また、世界の最大の大国であるアメリカが、ベトナム戦争で、あれだけの軍隊を注いでなぜ事実上敗北したか、この教訓が明確でないと思います。率直に言って、いわゆる民族自決権ですね。こういう国民の長期にわたる正義の戦いは、どのような軍事力をもっても阻むことはできないんだ、ベトナムの戦争は、アジアの諸国あるいは世界の民族自決を求めた国の解放闘争に対する大国の干渉が必ず失敗するという教訓を明確にした、非常に歴史的な出来事だと考えるわけです。このベトナムの戦いは、基本的に民族自決の戦いであった、それに対する干渉、不正義の戦いであったために結局やめざるを得なかったというように考えるのですが、この点については、長官はどういうようにお考えですか。
  236. 坂田道太

    坂田国務大臣 中路さんの御意見は、私、御意見として拝聴いたしたいと思います。しかし私は、ベトナム戦争というものを見まして、わが国と民族とを守る責任のある私といたしましては、第一には、日本の国は日本自身が守るという強い決意と申しますか、もしも侵略が行われるという場合においては、一人一人がそれに抵抗をするという強い抵抗の意思を持たなければ、どんなにりっぱな防衛の飛行機であるとか、戦車であるとか、船であるとかいうものを持っても、それでは十分ではないと思うのです。国民の一丸となった国を守る気概、それがなければ日本の独立と安全は期し得ないということを痛感いたしましたし、教訓として肝に銘じておる次第でございます。
  237. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題で長官と時間をかけて論争するつもりはないのですが、長官がベトナムにおけるアメリカの敗北を正しくとらえていくということがなければ、防衛を含めてこれからの日本の外交の問題について正しく対処することはできないと思うわけです。  アメリカは、インドシナの急変、新しい展開、この情勢の後、アジアの戦略をいま再検討していると思いますが、そういう中でいまアメリカのシュレジンジャー長官や国防関係者が繰り返し言っているのは、一つは先ほど言った立場から日本の軍備の増強の問題ですね。とりわけ日本の海、空の強化の必要性を言っているわけです。それは先ほど大出委員も幾つか引用されていました。ベトナム後のアジア戦略における日本の軍事的な増強といいますか、分担といいますか、こういうものを強く求めているということは、最近の関係者の幾つかの発言を見ても明らかじゃないかと私は思うのです。しかも日本防衛力強化の期待の表明は、もっと具体的に、対潜水艦能力の問題、海上交通路の安全確保の問題、防空の問題、こういったところにいま重点が置かれているというのは、この発言の中身を見てもはっきりしておるわけですし、先ほど言いました週刊誌のインタビューでもシュレジンジャー長官は、日本防衛力強化の期待を表明している中で、「対潜水艦能力、海上交通路の安全確保、防空の三つをとくに重点が置かれている部門としてあげ、さらに近年日本側のこの分野での努力は予想されていたほど活発ではないが、われわれはこれが改めて強化されるものと見込んでいる」と述べているわけです。  いま、日米の間で防衛分担の問題についていろいろ協議をしよう、こういう立場でアメリカから具体的な強い要請が行われている。それにこたえようというのが長官の最近のいろいろ表に出てくる発言の中にあらわれているんじゃないかというふうに私は考えるわけですが、いままでは防衛分担の話というのは、大体制服レベルで非公式にいろいろ話し合われてきた。これが今度政府間の代表者による、できれば取り決めという問題まで表に出ているわけです。先日、二十九日ですか、首相官邸で総理を含めて長官あるいは統幕議長ですか、入ってお話をされましたわけですが、新聞だと反響が大きいんで、後でこれは勉強会だ勉強会だという話になっているわけですね。  私は、総理の官邸で統幕議長、制服の代表者を含めて防衛庁長官総理が会談をした例がいままでどれくらいあるのかということを調べていただきましたら、皆さんの方で出されてきました資料を見ますと、事実上今度が初めてですね。それまで一、二度ありますけれども、みんな昼食会の懇談というのが一、二回ありました。皆さんが出した資料でも、はっきりと一つのテーマ、「アジアにおける軍事情勢について」ということで会談の内容も入っていますが、これが最初なわけですね。「総理官邸において統幕議長等が国の防衛について総理と会談した事例について」というので、「総理官邸において総理と会談した事例のうち、現在記録によって確認できるのは次のとおりである」ということで、防衛庁が六月二日私のところへ資料で持ってこられたこれを見ましても、このように、議題を「アジアにおける軍事情勢について」ということで明確にして、防衛庁長官総理、統幕議長が加わった会談というのは初めてなわけです。決してこれは勉強会ではないと私は思いますね。しかも総理は八月に訪米されるわけですから、期日もまだ相当ある。その前に総理を含めて、総理がオーケーを与えなければいけない、ゴーを出さなければいけない。そこに何らかの話が当然あるといいますか、アメリカ側からも、この防衛分担についてもっと差し迫った具体的な問題の提起もある。その問題を進めるに当たって、総理了解もとらなければいけないという事態がここにあったんじゃないかと私は思うのですが、その点で、この二十九日の会談というのは、皆さんの方から後で新聞によく言われて、いやあれは単なる勉強会だったという、こういう集まりだったのか。中身はどういうことですか。
  238. 坂田道太

    坂田国務大臣 これは率直に申し上げたいと思うのですが、二十九日の直前、四、五日前だったと思うのですけれども、記憶をいたしておりますが、総理の方から電話がございまして、日本をめぐる軍事情勢について制服の人からお話を聞きたいのだ、こういうことでございましたから、防衛庁長官としては、だれがいいだろうか、それはやはり統幕議長が一番いいんじゃないかというふうにお答えをいたしまして、実はそのときちょうどヨーロッパに招待をされておりまして、三週間ばかり旅行をいたしておりました。私ども帰ったものだと思っておったら、まだ帰らないのだ。たしかあれで前の日に帰るということでございましたから、それじゃひとつ二十九日にならば統幕議長も帰ってお話もできますでしょうということで、そこで、帰ってきましてお話を申し上げたということでございます。  それから新聞でございますけれども、確かに軍事情勢お話ししたわけでございます。それから社会党の上田さんから参議院で御質問のあったこと、そのことについてお話がございましたから、もうあのときにあのような答弁をいたしておるので、私はやはり、日米安保条約がある以上は、何かひとつお互いに情報交換をやるとか、いわば日米安保条約の運用面についてやはり話し合う必要がまずあるんじゃないか。それからそうかた苦しいあれじゃなくて、常時会えるようにしなければいけないのじゃないかということを、私はそのときに申し上げた。  そういうことで、やはりこれは勉強会だったと思いますし、それが訪米のための勉強会であったのか、あるいは国会の予算総会が開かれますから、それについて、軍事情勢等を野党の方々から御質問を受けるので、そのための勉強会であったのか、その点は私は承知いたしませんけれども、勉強会であったことには変わりがないというふうに思います。
  239. 中路雅弘

    ○中路委員 いずれにしましても、最後におっしゃった、参議院の予算委員会で発言があった。先日この委員会でも、シュレジンジャー国防長官を招いてその責任者間で協議をする、できれば何らかの取り決めをしたいというこの問題について、いわゆる日米安保条約に基づいて有事の際の日米の軍事分担について、両国の責任者同士がその問題で協議をするということについて、総理がこの席上でそれを了承を与えて、いわばこの話を進めることにオーケーを出す、その一つの区切りになった会合であったことは間違いないのじゃないですか。いままでここで発言されたことを、総理も含めてこれからそのことについて話を進めるということについて、各新聞の報道でも、総理がこの席上でそれを了承したというのが主要な記事内容ですね。決して勉強会というものじゃなくて、皆さんがいまアメリカの方とその話を進めていくということについて、一つのゴーを出したということでないんですか。
  240. 坂田道太

    坂田国務大臣 そこは、私、実際中へ入っておりまして、そうじゃないんで、本当に軍事情勢の説明があって、そうして日米安保条約についての問題点がある、たとえばポスト四次防、あるいは四次防まで一体どのくらい積み残しがあるか、そういうようなお聞きがあった、それに対して統幕議長がお答えになった、そういうようなことなんで、いま会ってゴーを出したとか、それを了承されたとか、そういうようなものではなかったということだけは、はっきり申し上げられるわけでございます。
  241. 中路雅弘

    ○中路委員 いずれにしても、長官がいままで国会答弁された、シュレジンジャー長官を呼んで協議をしたいというお話も出たことは事実でしょうし、それについて、これからそれを進めていくということには間違いないわけでしょう。
  242. 坂田道太

    坂田国務大臣 特別、私そこであの問題をことさらに総理に申し上げたようなことはないのです。ただそれについて、それじゃいけないかとかなんとかということも、何もおっしゃらなかったわけなんで、しかも予算委員会では、御承知のようにそういう質問があって私が答えまして、総理自身が、憲法に抵触しないようにしなければいかぬよということをはっきり明言しておられるわけでございまして、それはもう私は十分に把握をしておるわけなんで、しかもシュレジンジャーと会うというのも、ただ招待状を出しておるわけなんです。まだ向こうからの返事が来ないわけなんです。差し迫った問題ではございません、そういう意味においては。しかも御承知のように、ベトナム問題が起こりましたからシュレジンジャーさんも忙しいだろう。そう急に来られるかどうかということも考えられないわけなんで、かなりおくれるのじゃなかろうかということは、私こちらで推測しているわけなんです。そういうことですから、そこだけは私の言ったことを中路さんわかっていただきたいと思うのです。何か私がいたずらに隠しているとかなんとかいうことじゃなくて、本当にそういう会合だったということはひとつ御理解賜りたい。  ただ、いままでそういうことがなかったのじゃないか。たしか私の記憶では、私、調べましたから、林さんが統幕議長のときに、これは佐藤さんの前の池田さんのときに一回あったのじゃないかというふうに思いますが、あるいはそれは記憶の間違いかもしれませんが、そういう記憶もちょっとございます。しかし、この十年ばかりほとんどないということは、はっきり申し上げられるのじゃないかと思います。
  243. 中路雅弘

    ○中路委員 皆さんの出した資料の過去十年間というのにはないですよ。どの新聞でもこの会談が日米防衛分担論の認知ということですね。反響が大きい。韓国大使館など外国からも問い合わせが来て、反響が大きいのでびっくりして防衛庁が、いやこれは勉強会だったということを言っているということなんです。しかしシュレジンジャー長官に招待を出しておられることは事実ですね。会談をしたいということも事実ですね。
  244. 坂田道太

    坂田国務大臣 それはそのとおりでございまして、上田さんの御質問がありました後、そういう手続をとったわけでございまして、それは事実でございます。
  245. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほど大出委員からも、航路帯のお話も出ましたが、みんな今度は消えてなくなっちゃったのですが、しかし私も一、二問だけ聞いておきたいのです。  たとえば会談をされる。日米お話ですと、これは有事の際の防衛分担について協議をしたいというのが委員会の御答弁でもあります。だから私は、協議中身について、こういうことは対象になるのかということで、簡単にお聞きしておきますけれども、たとえば、これも皆さんの出された資料であるわけですが、韓国日本の軍事レベルの会談といいますか、交流ですね、これは資料を見て私も驚いたのですが、大変な数ですね。「自衛官韓国訪問状況(昭和四十五年度以降)」というのがありますが、ほとんど毎月ぐらい、四十五年度から四十八年度まで、年間に相当な数ですね。陸幕、空幕、海上幕僚、幕僚長を含めて制服のトップクラスがみんな韓国へたびたび出かけておられるわけですし、逆に、「大韓民国軍関係者来訪一覧」、これも出ていますが、この資料を見ますと、また大変な数ですね。四十六年からですね。四十八年になりますと毎月——毎月より多いですね。年間に十五、六回、韓国の海軍大将とか空軍大将クラスが日本に来ているわけですね。だから、いままで制服レベルでは、たとえば日韓の関係を見れば、大変密接な交流、あるいはいろいろの話し合いなんかも、視察その他であったんだと思います。今度のこの防衛分担、特に最近は、アメリカの政府や国防総省の高官が、六月上旬から下旬にかけて日本韓国を訪問する計画が相次いでいますけれども、これは私は、ベトナム以後における動きとして非常に重要なものだと思います。こういう自衛官の韓国訪問、あるいは大韓民国の軍関係者の訪日、こういう制服レベルで非公式にやられていたということが、有事の際の韓国防衛について、たとえば今度のシュレジンジャー長官との会談の中で、日本にあるアメリカの基地でアメリカが何かの行動を起こした場合、第五条が発動になった場合、それに関連して日米でどういうように防衛を分担していくのかというような一体になった防衛協力、こういった点は協議の対象になりますか。中身に入りますか。
  246. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 韓国との情報交換の状況の資料提出の御指示がございまして、私どもの資料を出してございますが、これはもう中身をごらんになっていただければよくおわかりになると思いますけれども、いずれもほとんどが情報担当でございまして、いわゆる作戦の打ち合わせというようなことを担当するような係官ではございません。数が多いのは、陸、海、空、それから統合幕僚会議、それぞれがやっておるからであります。相手方はそれぞれのカウンターパートでございまして、合同作戦参謀本部、それから陸、海軍省というようなことになっております。  問題は、日米防衛の分担を決める場合に、韓国の問題を対象として一朝有事の際の取り決めをするかどうか、こういうことでございますけれども、かねがね申し上げておりますように、私どもの考え方は五条の考え方が主になっております。日本防衛ということを主にして日米で細かい作戦の打ち合わせをするような機構をつくり上げたいというのがねらいでございますので、韓国ということを私どもの対象として現在考えておらないわけでございます。
  247. 中路雅弘

    ○中路委員 最近のアメリカの国防省関係の高官の文章を見ても、日本韓国防衛の後方拠点基地とか、あるいは先ほど大出委員が紹介された中でも間接表現で韓国を位置づけているわけですね。それと関連して日本防衛協力を求めてきているわけですから、私はこの点で先ほどから——アメリカの方は、この問題は韓国日本と一体にして考えているわけです。日本韓国防衛の後方拠点基地だという位置づけでやっているわけですから、アメリカの方から言えば、韓国問題も協議の対象にしたいということは当然なわけですが、いまのお話で、韓国防衛の問題については日米協議の対象ではない。もう一度お尋ねしますが、中身にはしないんだというお話ですか。
  248. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 私どものレベルでやりますので、結局、防衛庁とアメリカの軍機関という関係になるわけでございますが、そこで御案内のように、韓国で問題が起きました場合に、わが国は海外派兵ができるわけではないわけであります。つまり自衛隊がこのためにオペレーションをやるという立場にはないわけでございます。したがいまして、あとの米軍の展開その他の問題につきましては、防衛庁固有の問題ではなくて政府全体で考える問題でございまして、私どもがいま問題にしておりますのは日本防衛ということ。自衛隊の活動とアメリカの在日米軍、あるいはそれに応援に参ります部隊との作戦上のすり合わせ、こういうことが主なねらいになっておるわけでございます。
  249. 中路雅弘

    ○中路委員 いま自衛隊が直接出かけることは憲法上できないわけですけれども、当然日本基地が使われることは事実なわけですね。その点でアメリカの方も後方拠点基地と位置づけているわけですから、その位置づけた立場で日本防衛協力を要請しているわけですから、そういう点で、韓国の問題が起きた際の日本基地を含めての防衛の分担のあり方、これは協議の対象になるのか。直接自衛隊が出かけていって共同作戦をやる、そういう狭い意味で聞いているわけじゃない。日本基地の態様を含めて、韓国防衛の問題がやはり協議の対象になるのではないか。アメリカの方の主張から言えば、当然中身に入ってくるじゃないかということをお尋ねしているわけです。
  250. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 その問題になりますと、少なくとも私どもの所管外でございますし、いまのところは、そこまで広げてやるということは、政府内部においての合意というものはまだできておりませんので、私どもとしては考えておりません。
  251. 中路雅弘

    ○中路委員 それではもう一つお聞きしますが、これは五月三十一日の毎日新聞にも報道されておりますが、アメリカのデルムズ下院議員が国防予算の審議の中で、韓国に千発の戦術核兵器、五十四の核搭載機を配備しているという発言をしている記事が出ています。たしかことしの一月初めにも、別のアメリカの軍事専門家が、韓国には五百何発かの戦術核兵器が置かれているという発言をしているのもあります。  韓国にこれだけ膨大な戦術核兵器が配備されているということになれば、この核兵器の輸送や管理の関連でも当然日本のアメリカの基地が重要な役割りを果たしているということは、こういう発言の中から私は示唆を受けるわけですけれども、たとえば有事の際の核の持ち込みや通過の問題、こういった問題はやはり今度の協議中身に入りませんか。
  252. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 先ほどから申し上げていますように、自衛隊の作戦行動と在日米軍を主とした部隊の作戦行動ということのすり合わせでございますので、直接的にいまの核の持ち込みその他についての打ち合わせということにはならないと思います。もちろんこの点につきましては、わが庁独自の問題ではございませんで、核の持ち込みは事前協議の対象でございますので、事前協議の運用の問題等につきまして、外務省と十分詰めなければならない問題はたくさんあるかと思います。
  253. 中路雅弘

    ○中路委員 外務大臣もお見えになっていませんからこの問題はとどめておきますが、先ほど大出議員がお尋ねになっていて聞きにくいのですけれども、今度の協議で一番問題になっているのは航路帯の問題が表に出ているわけですね。いままでもたびたび第七艦隊と海上自衛隊との間でシーレーンについて密約があるのではないかということが言われておりました。アメリカの方も、先ほどお話しのように、レアード国防長官を初めアメリカの議会の中では、たびたびこのことについて発言があります。将来のある時点で、日本が自衛責任の一部として、いわゆるインド洋経由の補給海路の防衛責任の一部を分担せざるを得なくなるのは、きわめてあり得ることだと言っているのですが、先ほどは、航路帯の問題の協議じゃないのだ、機能だとか補給だとか、そういうことの協議だというお話があったわけですが、この海域、航路帯の分担の問題ですね、この問題は先ほどの御答弁のように考えていないのだということですか。もう一度お尋ねしておきます。
  254. 坂田道太

    坂田国務大臣 この問題は、先ほど大出さんにお答えをいたしましたとおりでございまして、機能分担といいますか、そういうものを申し上げておるわけでございます。
  255. 中路雅弘

    ○中路委員 長官の発言でいままで一番一般の新聞等も取り上げたのはこの問題なんです、これの協議がやられるだろうということで。きょうの委員会でも、これはやらないのだというお話ですと、いま何のお話をされるのか。いままで日米の間で合同演習というのをたびたびやっていますね。たとえば海上自衛隊でも、いまちょっと手元にありませんが、皆さんの資料で、七〇年からことしの初めまで約五、六年の間でも、対潜を含めた海上自衛隊とアメリカの艦隊の合同訓練、合同演習を十回ぐらいやっておられるわけです。  問題は、こういうことはしょっちゅうやっておられるわけですから、機能の分担だとかいろいろお話しになっていますけれども、現実に日本海から西太平洋にわたってこういう訓練はいままでやっているのじゃないですか。いま問題になっているのは、この航路帯を含めて——航路帯ということの問題になれば、安保の極東の範囲ということも問題になってくるでしょうし、有事の際という解釈、こういうものが拡大されてくる非常に重要な問題だから、これが長官の発言でどんどん新聞にも出てきているわけですから、私たちはきょう、このことも明らかに協議の対象になるのかということでお聞きしたいと思ったのですが、先ほどから、これは対象にならないということをたびたび言っておられるので、それをはっきり御答弁になれば、私も一応きょうはその問題について詰めませんけれども、もう一度お伺いしますけれども、シーレーンといままで言われているこの航路帯の問題は、今度のシュレジンジャー長官との会談では、そういうことの話じゃなくて、先ほど局長が言ったいわゆる防衛分担、機能の問題とか補給の問題とか、こういう点の話だ、こういうふうに理解して間違いありませんか。
  256. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 日米合同訓練の問題を御引用になりましたので、一言申し上げておきたいと思いますが、合同訓練は日本の海上自衛隊のレベルアップという目的が主でございます。したがいまして、アメリカの通常型の潜水艦も対象にしますが、ときには原子力潜水艦を対象にして訓練することもやっておるわけでございますので、あれがそのまま日米の作戦のすり合わせというような形には、直ちには発展しないわけでございます。もちろん、そういう過程においていろいろ研究の材料を蓄積するということは、やっておるわけでございます。  それから航路帯についての問題。これは当初から大臣は、航路帯は対象にしておらないということをおっしゃっておられるわけでございまして、先ごろの内閣委員会においても、明確にそういう御発言をされておるわけでございます。
  257. 坂田道太

    坂田国務大臣 ただいま防衛局長答弁いたしましたとおりでございます。
  258. 中路雅弘

    ○中路委員 それでは、この問題は一応きょうは終わりまして、少し時間をいただいてお尋ねしたい問題に入りたいと思います。  これは昭和三十三年にも一度予算委員会で問題になりましたし、今度の予算委員会でも、社会党の楢崎委員が、短時間ですが触れられた問題でもあります。自衛隊の情報活動、主として電波傍受を通じて行われる情報活動についていろいろお尋ねしたいのです。  先日、私が防衛駐在官の問題で御質問した際に、丸山局長が、陸幕二部の六つの班組織のほかに、二部の別組織として二部別室というのがございます、という答弁もされているわけですが、この二部別室の問題からお尋ねをしたいと思うのです。  この二部別室という組織は、自衛隊の中でも非常に秘密性の強いベールに包まれた組織と言われてきたわけですが、元陸上自衛隊の幹部で調査学校や幹部学校に勤務したことのある軍事評論家の市川宗明という人が、ことしの一月の「軍事研究」という雑誌に書いているのがあります。正確な中身がありますが、市川氏は、「その存在をよく知らない秘密のベールに包まれて、覗くことも許されぬものに二部別室がある。」「“陸幕”の二部長の管轄外で、陸・海・空から通信技能や暗号解読の専門家などが派遣されて勤務についているが、主要幹部の多くは、防衛庁の“内局”や警察庁、外務省その他の官庁から出向してポストについているようで、別室長は歴代、警察畑の警視正クラスが警察庁からやってきて、一定期間就任し、ふたたび後輩と交代して警察へ帰ってゆくという、まことに不思議な機関である。」というふうにも述べているわけです。私は、ことしの初めから、この二部別室に所属している幾つかの通信所も、現地に行って所長にもお会いしましたし、調べてもきました。  こういうことをもとにして御質問したいわけですが、第一番に、二部別室の組織について、これはいつできて、できたときは通信所は幾つ、どこにありましたか。
  259. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 二部別室が設置されましたのは昭和三十三年の四月一日でございます。この発足前に、それぞれ陸、海、主として陸上自衛隊でございますが、この通信所として発足をしておりましたものがその当時あったわけでございまして、当時は分遣班を含めまして、本部と——本部といいますか、練馬にありましたのですが、それと、それからあと五カ所の通信所ということでございます。
  260. 中路雅弘

    ○中路委員 五カ所の個所はわかりますか。
  261. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 大井の通信所、それから東恵庭の通信所、それから稚内の分遣班、大刀洗の通信所、それから小船渡の通信所、以上でございます。
  262. 中路雅弘

    ○中路委員 先日、楢崎委員質問で、現在は二部別室が七カ所の通信所と二つの分遣班というお話ですね。総勢千五十名という御答弁をされていますが、この七カ所の通信所の個所と二つの分遣班、これをまずお知らせ願いたいと思います。
  263. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 七カ所は、大井の通信所、それから東千歳通信所。東千歳は稚内と根室にそれぞれ分遣班を持っております。それから大刀洗、小船渡、美保、喜界島、東根室、以上でございます。
  264. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほど、三十三年にできたとき五カ所というお話だったですね。議事録を見ますと、三十三年の予算委員会の今澄氏の質問の際に、四カ所と出ていました。私は大井が落ちていたのではないかと思ったのですが、いま大井というのをおっしゃいましたから、五カ所ですね。
  265. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 分遣班を含めたのが……。
  266. 中路雅弘

    ○中路委員 そのときの議事録を見ますと、練馬を含めて四ヵ所と報告されているのです。だから今度、本部の練馬を入れると五カ所と、それから分遣班は稚内でしょう。そのときの予算委員会答弁は大井が落ちていますから。これは別の問題ですけれども。  いま七カ所お話しになりましたが、もう一回確認しますと、東千歳通信所、分遣班が稚内と根室、それから東根室通信所、新潟県の小船渡通信所、埼玉県の大井通信所、鳥取の美保通信所、福岡の大刀洗通信所、鹿児島の喜界島通信所、間違いありませんね。
  267. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 間違いございません。
  268. 中路雅弘

    ○中路委員 この他に、通信所あるいは分遣班が、これから計画があるとか、たとえば沖繩のトリイ・ステーションとか、こういうところに分遣班をつくる、そういう計画はありますか。
  269. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 ただいまのところございません。
  270. 中路雅弘

    ○中路委員 予算委員会で千五十名という御報告ですが、陸、海、空と文官の内訳を知らせていただきたい。
  271. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 陸上自衛隊が約六百、そのうち事務官が百二十、海上自衛隊が約二百、そのうち事務官が十、航空自衛隊が約二百五十、そのうち事務官が二十というところでございます。
  272. 中路雅弘

    ○中路委員 整理しますと、陸が四百八十、海が百九十、空が二百三十、文官が百五十ということになるわけですが、間違いございませんか。
  273. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 自衛官が九百、事務官が百五十、計が約千五十というところでございます。
  274. 中路雅弘

    ○中路委員 一応いまのを前提にしまして、具体的な問題で幾つかお聞きしておきたいのですが、この二部別室という部隊、千五十名からの大きな部隊ですが、この別室の任務といいますか、どのような仕事をやっているわけですか。
  275. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 二部別室は、通信調査、通信保全に関する業務を担当しておるということでございますが、通信調査ということはどういうことかと申しますと、わが国の上空に飛来してまいります各種の電波を収集いたしまして、それらを整理、分析してわが国の防衛に必要な情報資料を作成する。その中身は、発信源でございます航空機、艦艇等の種類、行動等を推定をいたしまして、そしてわが国の周辺における軍事情勢を把握するということによって、わが国の専守防衛の目的を達するということでございます。それから通信保全の方でございますけれども、これは通信の保全上の監査、あるいは自衛隊通信に対します、あるいは電子兵器に対します電波妨害に対する保全措置を講ずる、それから自衛隊がみずから使用いたします暗号の研究、こういったものが中身でございます。
  276. 中路雅弘

    ○中路委員 日本の周辺、わが国に飛来する電波を聴守をして、この電波を収集するというのは、主として軍事情報ですか。一般の電波もとりますか。
  277. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 主として軍事関係の電波でございます。
  278. 中路雅弘

    ○中路委員 一般の電波というのは特別とっていないということですか。
  279. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 軍事情勢判断に参考になるようなものはときにとるかと思いますけれども、ほとんど軍事関係の電波でございます。
  280. 中路雅弘

    ○中路委員 たとえば、これは予算委員会ではウサギの耳という話を長官がしておられましたね。特定の国の特定の地域を意識的に集中的に聴守をするというようなことはやっていないわけですか。先ほどお話しのように、主として、ウサギの耳のように張っていて、わが国の上空に飛来する電波を、軍事情報を収集する、そういうことですか。私の聞いているのは、特定の国また特定の地域を目的意識的に聴守をする、そこへ方向を定め、固定して。そういうことはやっていないわけですか。
  281. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 一般論として、特定のところに集中してやるということはやっておりません。御案内のように、発信源の方位測定をやりますので、それがどこから出ているかということは当然私どもの調査の対象になります。
  282. 中路雅弘

    ○中路委員 外国の暗号の解読なんかはやっていないわけですか。
  283. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 外国語の翻訳、それから御存じのように最近ほとんど略語が使われますので、略語の解読というようなことはやっております。暗号の解読という点については、これは業務上差し支えますので、差し控えさせていただきたいと思います。
  284. 中路雅弘

    ○中路委員 差し控えさせてほしいというのは、やっているかやってないか言えない、そういうことですか。
  285. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 言えないということでございます。そのとおりでございます。
  286. 中路雅弘

    ○中路委員 先日私は、二部別室の東恵庭通信所、これは昭和四十五年か六年の夏ごろまで使っておられて、後でまた御質問しますけれども、千歳通信所の方に移った部隊がいたところです。三十三年に二部別室がつくられて、その当時すでに東恵庭というのは入ってきていますから、十数年使われていたところですけれども、この移った東恵庭通信所の跡に行って調査したのですが、何をやっておられたのかということは、跡に行って相当わかるのですね。一目瞭然でわかるのです。先ほど、日本周辺の電波傍受をやっている、特定の国を定めて、特定の地域を定めて、その電波を意識的に傍受するということはしていないのだという答弁ですが、これは大変でたらめな答弁じゃないかと思うのです。私どもは専門家の協力を得まして東恵庭通信所を調べました。ここにアンテナの配置図があります。ごらんになりますか。二千分の一の正確な縮刷のものです。そのアンテナの配置図をごらんになったらわかるように、アンテナは対数周期アンテナが一対、それからロンピックアンテナが六対あります。角度も全部正確に出してありますけれども、このアンテナ方向はいずれも方向が固定して決められています。地域も出ていますけれども、この東恵庭は全部ソ連の領域ほとんど全体をカバーしています。一対のこの対数周期アンテナというのは、明確に朝鮮半島の三十八度線を指向しているアンテナであるわけですけれども、私がいまここに持っているアンテナ配置図がありますけれども、この東恵庭通信所のアンテナの状況というのは——皆さん、ここに御存じの方おられますか。
  287. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 先生のおっしゃっているのは、東恵庭でなくて東千歳の方でございますか。
  288. 中路雅弘

    ○中路委員 恵庭です。
  289. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 恵庭でございますか。じゃ東恵庭にはございません。
  290. 中路雅弘

    ○中路委員 移ったのですよ。四十六年に東恵庭の部隊が東千歳に移ったのです。移った千歳のことは後でお尋ねすると言っているのです。移った後、あなたたちは跡をそのままにしているのですよ。アンテナもそのまま置いてあるのです。私、何回か行ったのですが、アンテナはそのままにたっていますから、近くのお百姓さんからは、アンテナがコンクリートで畑の中に全部あるものだから、早くどけてくれという要求もあるのです。しかし防衛庁の皆さんは、どけるのに金がかかるからと言って、どけない。それは私たち全部調べられるわけですね。そのままあるのです。建物も空き家になって、そのままになっている。だからそれを調べて、いま恵庭の話をしている。恵庭で何をやっていたか。アンテナは取り払っていないですよ。このアンテナだって現にあるのですよ。それで恵庭のお話をしているわけです。
  291. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 御案内のように、恵庭の通信所は四十六年の十月に現在の東千歳の方に移動いたしまして、その当時の建物、それからアンテナも含めてだと思いますけれども、これは四十八年の三月に大蔵の北海道財務局へ渡してございまして、現在私どもの方の財産ではございません。
  292. 中路雅弘

    ○中路委員 しかし、十数年使っておられたのは、そのままあるわけですから。これはそれの配置図なんです。このアンテナの配置図を見ますと、先ほど言いましたように、ウサギの耳を張って日本の上空を飛来する電波を聴守をする。海、空ですと軍艦や飛行機ですね。そういうものじゃなくて、特定国の特定地域に集中的にアンテナの方向を固定さして、アンテナ方向を定めて、相手国の奥深く手を伸ばして情報をキャッチする、そういう性格を持っているというふうにこのアンテナ配置図から明確に言えるわけですけれども、これはお認めになりますか。
  293. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 御案内のように日本の周辺の国ということになりますと幾つもございません。したがいまして、それぞれのところにアンテナを張っておりましても、別に不思議なことではないと思うわけでございまして、特に特定の国だけに集中してやっているということはないということを申し上げているわけでございます。
  294. 中路雅弘

    ○中路委員 これは後でお話ししますけれども、特定の国のしかも特定の地域が通信所別に全部指向されているわけですね。だから、そういうアンテナの配置になっているということはお認めになりますか。
  295. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 そのアンテナそれ自体についての問題は、実は私、専門家でございませんので詳しく申し上げられないのでございますけれども、運用上の点から申し上げますと、まあ当然ある国の方へ向いておりますけれども、その全部が特定の地域だけに集中しているということではございません。
  296. 中路雅弘

    ○中路委員 じゃ後でその地域ももう少しお話ししましょう。  先ほど、大体主として軍事情報を収集するというお話ですが、外交一般の電波通信、これはたまに入ってくることがあるというお話ですけれども、この電波の傍受の中に、軍事情報だけじゃなくて、一般の電波を傍受するという施設、あるいはそういう機能、そういうものが、この恵庭でも、後でお示ししますけれども、あるわけです。もう一度お尋ねしますけれども、一般の電波傍受はやっていないわけですか。
  297. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 これも先ほど申し上げましたように、軍事に関連するものがあればとっておるようでございますが、大部分は軍事であるということでございます。
  298. 中路雅弘

    ○中路委員 これは小さいですけれども、やはり東恵庭にあったのです。これは東恵庭のオペレーションルームの中の電話機の配電盤についているものですけれども、この中でどういう種類の電波情報をとっているかということがわかるのですが、ここには陸、海、空、そして一般と明確に分けて、陸の軍事情報、海の軍事情報、空の軍事情報、そして外交一般の情報というふうに分けて記録をされているわけです。だから、たまに入ってくるのじゃなくて、この仕事の中に、一般外交の電波情報、これも含まれてその機能としてやられているということは明白なんです。先ほどお話しのように、一般は原則としてやってないということですが、これは機能の点では一般もはっきりとらえているわけです。どうですか。
  299. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 先ほどから申し上げているとおりでございまして、軍事に関連したものということで、いまおっしゃっている一般というのは、外交ではなくて、ある国の商船隊、これは商船隊といいましても、国家統制で軍と一緒に動く性格のものもあるわけでございまして、そういうものをあわせてとっているということでございます。
  300. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほど軍事情報だというお話があったのですが、いずれにしても、一般の情報もとるシステム、仕事のやり方もあるし、そうなっているということは明白なんですね。  それじゃもう少し具体的にお尋ねしますけれども、仕事のやり方は、私たち調べましたら、五人が一組で一単位をつくっているのですね。四クルー三シフト制で仕事をやっているわけですね。それで情報収集をやる。その中で単位が決められております。東恵庭通信所の当時——四十六年まであったわけですね。四十五年ころの仕事のやり方で言いますと、ソ連の陸軍の軍事情報が五単位、ソ連の海軍の軍事情報が、これは方向も定められてありますけれども、七単位、ソ連の空軍の情報が九単位、そしてソ連一般ということに二単位、二十三単位という単位で四クルー三シフトの仕事のやり方をやっておられたというのが私たちの調査でもわかっています。  皆さん大蔵省の所管だと言われますけれども、これは東恵庭の全部の通信所の中の部屋の配置図です。どこの部屋でどういう仕事をやっているかという配置図ですが、これを見ますとテレタイプの部屋もあります。市ヶ谷ですか、中央へ急速に情報を送るというテレタイプの部屋もありますし、軍事衛星から送られてくる写真を途中で盗み撮りするような、そういうこともやっていたということも、配置図の中の部屋の機能等を見ますとよくわかるわけですけれども、そのとった情報を記録している用紙もあるのです。皆さん置いていったわけですから。これは調査表です。調査表六号。周波数、それからとっている自分の名前、相手の呼名、月日、捕捉時間、通信方式、信号型式、シフト幅、方位、位置、性格、全部書き込むようになっております。これは皆さんが仕事をやっているときの用紙ですね。  こういうことで東恵庭では四十六年まで仕事をやっておられた。これはお認めになりますか。
  301. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 先ほどから申し上げております、要するに軍事関係の手引書。ただいまお話がございましたように、その関係のものは、あるいは自衛隊で使っておったものだろうと思いますけれども、要するに、単位といいますのは目標でございます。これは常時これだけに限定するわけではなくて、単位をそれぞれ移動して使うということもございます。  それから、先ほどお話のございました一般というのは、私が御説明いたしましたように、商船隊や何かを指しているのだろうと思います。
  302. 中路雅弘

    ○中路委員 私の出した単位——単位の移動というのはあります。これはほかの通信所、中国に対してはどこの通信所が、たとえばソ満国境に向けたら何単位と単位はありますけれども、私が言っているのは、同じ年代でとって、東恵庭で仕事をやっておられた昭和四十五年ころの単位はこうだと、ソ連の軍事情報、海軍情報の単位をいまお話ししているわけです。だから、こういう仕事のやり方でこの通信所は仕事をやっていたのだということはお認めになりますかということを言っているわけです。単位が移動するというのは、ほかの通信所の話をすれば、それは私もよく知っていることです。ただ、私たちが調べた四十五年ころはこういう単位で仕事をやっていた、アンテナの方向もこうだ、これはお認めになりますかということを言っているわけです。
  303. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまのが全部正確であるかどうか、これは事実に即して調べなければなりませんけれども、大体、大まかなところはそういうことではないかというふうに思います。
  304. 中路雅弘

    ○中路委員 大まかなところそういうところだというお話ですが、では、もう一度お聞きしますけれども、斎藤官房長はかつて別室の室長だったことがあるのですが、何年ころ室長をやっておりましたか。
  305. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 私いまここに政府委員としておるのでございますが、いま中路先生のお尋ねの二部別室のことは所管外でございますので、私がここでお答えするのは、役所の担当としては権限がございません。  ただ、せっかくお尋ねでございますので、便宜いまのことだけをお答えいたしますが、四十年の三月二十六日から四十一年の十一月二十三日までの在任期間であるという記録になっております。
  306. 中路雅弘

    ○中路委員 確かにいまは官房長という仕事ですから、いまのお仕事ではないのですが、別室の室長をやっておられたし、私が聞いておるのは、あなたが別室長のころの仕事の単位なんですよ。だから一番よく御存じじゃないか。あなたが室長ですから、総責任者ですから、それでちょうどうまい人がいるのだなと思って、きょう、大体そのようだと局長はお答えになっているから、もう一つ確かめる意味でお尋ねしているわけです。  向こうに張り紙がしてありまして、「別室長統率方針」なんというのが張ってあった。これはボイラーの部屋に張ってあった。あなたが別室長のときに出されたやつですね。だから一番御存じじゃないかと思ってお尋ねしているのですが、その範囲だけで、官房長という仕事ですが、かつて別室長をやっておられた——官房長といったって、同じ防衛庁の中でしょう。だからお尋ねしているのですが、いま私がお話ししまして、大体そのとおりだと局長おっしゃったのですが、間違いありませんか。
  307. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 先ほどもお答えしたとおり、私の担当でないことが一つございますが、もう一つは、何分もう十年前のことでございまして、先ほど話があったように、私は別室長でございましたが、当時も、当時は千人いなかったかと思いますが、千人前後が方々にちらばっておったわけでございますから、個々のことについては記憶が正確でございません。ただ、大筋は先ほど防衛局長が答えたようなことだというふうに思います。
  308. 中路雅弘

    ○中路委員 別室長も大体そのとおりだというお答えなんですが、あなたが別室長のときに出した「別室長統率方針」でも、「職責の自覚」と書いてある。職責のことについてよくしつかりして覚えていなければいかぬ。「秘密の保全」というのも出しておる。「秘密の保全」といっても、どいた跡みんなこういう証拠を置いていかれた。どうしようもないのですが、いずれにしても、私がお話ししたのは大体そのとおりだとお認めになった。  大井通信所も行ってみたのです。これは現にやっているところですね。これも専門家の御協力で正確な配置図がここにありますけれども、アンテナの何度角というのも全部出ています。これを見ますと、ソ連だとか、周辺の国の中国だとか、そういう一般的なことじゃないのですよ。この何度角という指向性、角度を正確に見ましても、たとえば朝鮮、満州の国境に向けてこれがどうなっているとか、あるいは撫順、アムールのどこだとかウラジオストク、全部アンテナごとに方向がはっきりしているのです。大井通信所も、これは詳しくアンテナの配置図がありますけれども、これを見ても明白なわけですね。  大井の場合のいまの単位をお話ししましょう。大井の場合は、ソ連の海の軍事情報が九単位、ソ連一般一単位中国一般五単位。だから、一般がたまに入っているというのではないのです。大井通信所の場合は軍事情報じゃないのです。中国の一般を五単位とっているわけです。中国は軍事情報はないのです。韓国その他七単位、これも一般です。軍事情報じゃないのです。だから、先ほど、軍事情報が主で、たまに入ってくる外交とか一般の情報もとるのだというお話ですけれども、大井通信所を見た場合、中国では軍事というのはないのです。ほかのところでは中国の軍事情報をとるところがあります。大刀洗とかありますが、大井通信所はないのです。だから、一般も付随して入ってくるのではなくて、一般も電波通信傍受をやっているということは大井を見ても明白じゃないですか。局長、どうですか、お認めになりますか。
  309. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 軍事情報をとりますので、方向を軍隊のないところへ向けても、これは意味ないわけでございまして、そういう意味で、その国の中である地域を指すということは、これはもう当然のことでございます。ただ、そこへ全部が集中してということではなくて、私どもは、最初から申し上げておりますように、日本周辺をくまなくカバーするようにということをやっておるわけです。ただ人数の関係、それから先ほど御指摘ございましたように、四クルーで三交代という、そういうあれをやっておりますものですから——通信所でまちまちでございます。人数の関係がございまして、必ずしも一致してはございませんが、そういう体制をとりましてやっておりますが、何分にもそれの単位が非常に限られてまいりますので、非常に苦労しておるというところでございます。  それから一般の問題は、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、軍事関係のがとれればとりますが、一般も大変に参考になりますのは、御案内のように、社会主義体制の国等におきましては国営でございますので、その通信というものが軍の動きを推察するときの基本になるというようなこともございます。日本におきます一般通信というのとはちょっと性格が違うということでございます。
  310. 中路雅弘

    ○中路委員 最初のところへ戻りますけれども、一番最初私がお聞きしたときに、また予算委員会で楢崎委員長官がお答えになっておるように、ウサギの耳だ、日本の上空を飛来する電波、特に主として軍事情報ですね、これをとって専守防衛の役に立てるのだというお話だったわけですけれども、いま一、二の例を挙げました。大井と東恵庭の例を挙げましたけれども、これは特定国の、しかも特定の地域を一つ一つのアンテナが明白に示している。しかも軍事情報だけじゃない。いま大井で言ったように、この大井通信所の中国へ向けたアンテナは、五単位のは全部これは軍事情報じゃなくて一般なんです。だから、軍事情報もとるけれども一般もとるのじゃなくて、一般は付随してやるのじゃなくて、明白に一般もとっていくという任務がある。この大井通信所は中国の軍事情報じゃないのです。一般の情報をとる。ソ連に対しては、軍事情報、海の九単位というのがありますけれども、こういう仕事なんですから、軍事情報だけじゃなくて、一般も電波傍受をやっている。それも特定国の特定地域に向けて相当奥深く、ウサギの耳じゃないので、意識的に方向を定めて、いま言われたように、軍事情報がとれないところは一般でとっているわけですね、必要なところは。そのように報告も、この地域は何をとるかということを明確にして、ただ飛び交う電波を、入ってくる電波をとるのじゃないのです。そういう目的意識的にやっている性格の電波収集なんだということを私が言っているわけです。最初にお話しになったのと違うでしょう。このことはお認めになりますか。
  311. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 大臣がお答えいたしましたウサギの耳というのと、いささかも変わっていたいと思うのでございます。つまり、こちらに飛んでまいります電波を選択をいたしまして、そして大変な量の電波が飛んでくるわけでございますけれども、その中で当方で軍事に必要なものを選択をしてとっておるということで、いま先生のお話によりますと、ある奥深くこっちが何か入り込んでいくようにお考えでございますが、当方は一つも入り込んでいるのではなくて、飛んでくる電波のもとを探っているということでございます。ですから、大臣の言われましたウサギの耳であることには、依然として変わりはないと思います。
  312. 中路雅弘

    ○中路委員 仕事をやっている、これは名前を伏せますけれども、皆さんのある隊員が、たとえばソ連と満州の国境にどれくらいいま兵力が集結しているか、そういうことも入ってくるということは言っていますけれども、入ってくるのじゃなくて、そこへ向けているのですから、アンテナの方向も。このアンテナは、たとえばどこの国境へ向ける、三十八度線に向けるということで固定さして、——回っているのじゃないですよ。固定さして、そしてそこの情報をとるというわけですから、向こうから入ってくるのじゃないのですよ。
  313. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 それは、大きなアンテナをぐるぐる回せる施設がございましたら、大変金がかかりますけれども、そういうものがありましたら、ぐるぐる回しているということになると思いますが、いまのアンテナによっては、これは固定アンテナということになるわけでございまして、先ほどから申し上げておりますように、たくさん来るものの中から選択をするわけでございますから、選択をして、われわれが何に関心を持っているかということになりますと、いま中ソのことを挙げられましたけれども、中ソの問題はやはり日本としては相当大きな影響がございますから、関心を持って見るべきではないかと思います。そういうところにもし新しい機械がございまして、ぐるぐる回っていて、そこからいろいろなものが出てくるということであれば、その中で、中ソでいま国境紛争があるということであれば、日本人であれば、みんな関心を持ってまずそれをとるだろうと思います。そういうことで申し上げてあるわけでございまして、ある特定の方にアンテナが向かっているから、そっちの方に向けて何かミサイルでも発射するような印象でお話がございますけれども、これは全然逆の問題であるというふうに思います。
  314. 中路雅弘

    ○中路委員 外務省の方、お見えになっておりますか。——国際電気通信条約というのがありますね。電波の傍受やあるいは暗号の解読、この問題で、この国際電気通信条約の当該条項は適用除外になっているという場合は、どういう場合ですか。
  315. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 お答え申し上げます。  電波の傍受、暗号の解読ということにつきましては、この国際電気通信条約には規定がございません。ただ、一つ「国防機関の設備」ということに関連いたしまして、第三十八条でございますが、各国はその自国の「陸軍、海軍及び空軍の軍用無線設備について、完全な自由を保有する。」ということでございまして、この国際電気通信条約の目的といたします周波数でございますとか、その他の有害な混信を防止する意味における電波の監理という規定から、これらの各国のただいま申し上げましたものは除外されている、規制の対象外であるということがこの三十八条に決めてあるわけでございます。
  316. 中路雅弘

    ○中路委員 国際電気通信条約では、いわゆる軍隊の場合は、たてまえはいま言ったように自由ですね。適用例外条項になっているわけです。国内法の電波法でも、五十九条に通信の秘密を守るというのがありますが、「何人も法律に別段の定がある場合を除く外、特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、」云々とあります。これと同じ項目が国際電気通信条約にありますけれども、秘密保護という観点からの条文を見ますと、軍隊に関しては例外条項になっているわけです。自由になっている。日本自衛隊は軍隊ですか。どうですか。
  317. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 ただいま先生も御指摘になりましたように、この国際電気通信条約といいますのは、一般の国際通信業務というものを規制することを本来の目的としているものでございます。したがいまして、軍隊を除外いたしましたのも、そのような趣旨から軍隊の使うようなものは除外いたそうという趣旨から、この軍隊の除外規定というものは出ているわけでございます。  翻りまして日本の場合を考えてみますと、日本におきましては、電波法というものによりまして周波数その他電波の監理が行われているわけでございまして、一部自衛隊のレーダーないしは移動する無線局というものにつきましては、電波法の例外ということになっております。ところが、今度は自衛隊法になりますと、電波法の例外とされたものにつきまして自衛隊法に規定がございます。したがって、自衛隊の使います電波その他の無線通信というものは電波法、それからレーダー及び移動の無線設備につきましては自衛隊法の規制するところとなっておりまして、その内容は、この国際電気通信条約、つまり一般の電波規制というものと合致いたしておるわけでございます。
  318. 中路雅弘

    ○中路委員 それはことしの三月でしたか、参議院で通信条約の審議の際に、社会党の田さんがこのことについて御質問された。田さんの質問で、第三十八条に「国防機関の設備」という条項があって、その第一項に、いまお話しになりました「陸軍、海軍及び空軍の軍用無線設備について、完全な自由を保有する。」という規定があるわけですが、日本の場合は自衛隊にこれが適用されておりますかという質問に対して、自衛隊に対してこの規定は適用がないというふうな考え方をとっておりますというのが政府委員答弁ですから、これは当然のことですね。先刻の私の質問で、ちょっと私が軍という言葉を使ったら、委員長からわざわざ注意を受けましてね。委員長自衛隊は軍ではありませんという話をされました。これは参議院の田さんの質問でも、国際的にも軍隊には適用外になっているわけですけれども、自衛隊はこの条約の除外の規定に入らないということを明白に答弁をされているわけですね。だから私は、繰り返し先ほどから局長に聞いているのです。いまの関係はどうですか。
  319. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 御質問の御趣旨、あるいは取り違えておるかと思いますけれども、自衛隊へのこの国際条約の適用につきましては、自衛隊法その他によってカバーをされておるという現状でございまして、それで十分であるというふうに考えております。
  320. 中路雅弘

    ○中路委員 後で東千歳のお話をすれば、一層このことははっきりするわけですけれども、先ほど仕事のやり方をお話ししました。では私の方で、全通信所がどういう単位で仕事をやっているのかお話ししておきますと、斎藤官房長は覚えていないらしいが、あなたは室長だったから、私は、あなたがおられたらきょうの審議はうまくいくのではないかと思ったが、東恵庭と大井は先ほどお話ししたとおりですが、小船渡通信所はソ連の陸軍情報六単位。美保通信所は北朝鮮陸軍軍事情報二単位、同じく北朝鮮の海の軍事情報三単位、北朝鮮の空が四単位、北朝鮮一般一単位。大刀洗、中国陸軍七単位、海軍一単位、空軍八単位、一般三単位、あと韓国が一単位ずつあります。喜界島、中国空軍一単位、海軍五単位ということですね。合計しますと、四十年から四十五年当時のあれは、陸軍の軍事情報がソ連関係が十一単位、中国関係が七単位、韓国、北朝鮮その他が三単位です。海の情報がソ連関係十六単位、中国関係六単位、韓国、北朝鮮その他四単位。空の情報がソ連関係十単位、中国関係九単位、韓国、北朝鮮は四単位。それで、一般外交等を含め、ソ連関係四単位、中国関係八単位、韓国、北朝鮮九単位ということで、合計ソ連関係が四十八単位、中国関係が三十単位、北朝鮮その他が二十単位で、九十八単位という単位で先ほど言ったような仕事をやっておるわけですね。そしてアンテナの方向も、いまお話ししましたように固定もして、明白な地域の方向も定めて電波を傍受しておるということです。軍隊でない自衛隊、国際的にこの条約で適用除外になっているその規定にも入らないのだと、明白に国会でも答弁されているその自衛隊が、こういう仕事をやっているわけです。  それは、専守防衛のための情報収集というのは、自衛隊の任務の中にもあります。しかし、こういう電波情報を、先ほど言ったようなあり方で、奥深く特定の国の特定地域を中心目的にやるという情報の収集方法は、電波を集中的に傍受をする——市ヶ谷で暗号の解読もはっきりやっておられるわけですから、こうした情報収集は、専守防衛を旨とする自衛隊の情報活動ではないと思うのです。ある面ではきわめて侵略的な情報収集。しかしこういうことを、専守防衛を旨として、ウサギの耳で日本へ飛び交う電波をとるのだという最初のお話ですが、しかし、私が申し上げましたように、アンテナの方向にしても、仕事の単位のやり方から見ても、こういうことを軍隊でない自衛隊が、国際条約でも適用外、たてまえは自由だという軍でない自衛隊がやられる根拠は一体どこにあるのですか。
  321. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 これは私はまことに理解に苦しむわけでございますが、どう御説明をしていいかと思うのですが、専守防衛であればこそ、いま先生がお話しになったようなことをやらざるを得ない、これはもう大変大事なことであると私は思います。日本へ飛び交ってくる、まさに飛び交ってくる電波をとっておるわけでございまして、それも無定見にとっているのではなくて、発信源が軍隊あるいはそれに準ずるものということで、出てまいりますものをとっておるわけでございますから、まさに専守防衛の責務を果たすためにはこういうことをやらなければいかぬというふうに思うわけでございます。  それから、私、先ほど説明をした点が間違っておりますので、ちょっと訂正させていただきたいと思いますが、一般というのは、それぞれ相手の発信源が陸、海、空ということで非常に明確である場合以外を総称して一般という言い方をしておるそうでございます。この辺訂正させていただきたいと思います。
  322. 坂田道太

    坂田国務大臣 いま丸山局長からるる御説明したとおりでございまして、専守防衛を旨としておりますわが国として、日本の独立と安全とをどうやって守るかという場合には、情報というのが非常に大事なんで、周囲の国が軍事力を持っておる、その動向というものがわからないでどうやって一体日本を守るのか、これは私どうも理解に苦しむわけなのでございまして、まあウサギの耳というのは私が例にとったわけでございますが、しかし、そのウサギの耳にしましても、あの耳を、方向をいろいろ当てまして、そして敵が自分をやっつけるというところにちゃんと合わせてこれはやっております。そして、あれは走るときにはたしか非常に耳を立てて走るというふうに私は聞いておるのです。これはなぜならば、非常な速度で走る場合には熱が出る、その熱を冷ますためにはあれを立てて走らなければならない、つまり空冷化をちゃんと考えているのだ、こういうことなんで、やはり自分を守るためにはいろいろなことを考えるわけで、先ほどからるる私はほかの委員方々にもお答えをいたしておりますけれども、専守防衛、しかも非常な憲法の制約がある、そして核も使わないということを決心しておる日本として、この一億の民族をどうやって守るか、この一人一人の生存と自由というものを守る、生命財産を守るために、これはもうあらゆる情報をわれわれはキャッチしなくちゃならない。  それから、軍事情報と一般の情報といいますが、一体そこの区別がどこまで言えるのかというところも考えなければいけないわけなんで、今日、単に軍事力だけで国を守るなんということはできないので、やはり経済の安定、つけ込まれないような状況、そのためにやはり民生安定ということも大事なんだ。そうなりますと、経済力の培養ということもやはり国の防衛関係をいたしますし、それから侵略が起こらないように外交手段をフルに使うということが大事だということで、三木総理も、有事に至らしめないあらゆる努力を外交面でやるんだ、こう言っておられるわけなんで、その意味合いにおいて、私はやはり、主として軍事情勢を担当いたしておりますけれども、この中にいろいろな情報が入ってくる。そういうものも、こちらで日本防衛ということを考えると価値のあるものだというふうに見るというのもやはり大切じゃないか、こういうふうに思うのです。日本の国を守るということ、日本の民族を守るということ、個人個人の生命財産を守るという立場からは、憲法に抵触してはいけませんけれども、そうでない限り、あらゆる努力をしなくちゃ本当にその使命を全うできないというのが私の考え方なんでございますけれども。
  323. 中路雅弘

    ○中路委員 私の言っているのにまともに答えてもらえないのですが、私の言っているのは、いま憲法にとおっしゃいましたけれども、自衛隊は軍隊でないということは、先日委員長も言っておられますね。私が言っているのは、国際通信条約にしても、軍隊はこの秘密の保護の適用外だということがあるわけですね。しかし国会の審議でも、自衛隊はこの適用を受けないということですから、たとえばこれのやり方がどうかということは別にしても、軍隊の場合はこの条約の中にある秘密の保護やそういうものの適用外で、ある意味合いでは自由にやっておるというわけだけれども、自衛隊は軍隊でないのだから、適用を受けていないのだから、だから、あなたが必要性を強調されても、憲法のたてまえから言えば、軍隊でない自衛隊が適用から外されていないわけですから、こういうことをやるという根拠はどこにあるのですかと聞いている。  あなたは国を守ることが必要だというお話をしておられるわけですけれども、私は、電波法や国際通信条約ですね、こういう点で外国の軍隊がやっているようなこととは、また自衛隊は軍隊でないのだから、だから軍隊でない自衛隊がこういうことを自由にやられる——それも皆さんの方で、最初に私の部屋に説明に来られた調査一課長も繰り返し言っているのですよ。この部隊は日本を取り巻くすべての国の軍事に関する外国放送を聴守するので、電波通信を含む特定国の特定地域の電波を固定して聴守をするということはやっているのではないということを繰り返し言っておられるから、私は特定国の特定地域を定めてやっているじゃないかということを言っているのですよ。その根拠を聞いているのです。
  324. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いま国際条約の方からのお話がございましたけれども、前に引用されておられます参議院のときのお話は、これは発信の方でございまして、発信は明らかに相手方に迷惑をかけるあれがございますので、そこでその場合、自衛隊法で特殊な場合について例外規定がある、こういうことでございます。  受信の方につきましては、受信というよりは傍受でございますが、傍受の方につきましては、これは御案内のように電波法の五十九条に、「何人も法律に別段の定がある場合を除く外、特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。」つまり傍受して内容を漏らしたり窃用してはいけない、こういう規定があるわけでございます。  そこで、この点について防衛庁あるいはその他の機関がやりました場合に、これは要するに除外例はないわけでございますから、国家の機関といえどもやはりこの対象になるわけでございます。そこでその場合に、傍受した、それだけでは違反にならない。これを第三者が受けるということになって、いわゆる窃用という形が出てまいりませんと、盗んでそれを用いるという形になりませんと、違反にならないという解釈でございます。  そこで、私どもの方並びに政府の諸機関でございますが、これはそれぞれ当然の職務行為といたしまして、任務の中に調査、情報の収集、整理、保管、こういうことをそれぞれ設置法で明記をしておるわけでございまして、防衛庁についてもやはり同じことであるわけでございます。そういう意味で、法的には電波法の五十九条の違反になるかというお話でございますが、これはならないという解釈をとっておるわけでございます。  それからもう一つ、それでは憲法の通信の秘密の侵害になるのではないかという御疑問が一つ出るかと思いますが、元来通信につきましては、通信手段とか、あるいは通信内容の伝達経路などが閉鎖的な場合、この秘密を侵すということが問題になるわけでございまして、無線で開放的に通信をいたしますものについては、通信の秘密という概念は成り立たないという解釈が一般的になされておるわけでございまして、そういう意味で、私どものやっておることが国際条約の違反、それから国内法の違反になるのではないかという御質問かと思いますが、そういう意味においてはならないという解釈をとっておるわけでございます。
  325. 中路雅弘

    ○中路委員 じゃ、もう少し進めてもう一回その問題を論議しましょう。東千歳通信所、いま私がお話ししました恵庭通信所が移った、部隊が移った東千歳通信所、二部別室のですね。これは東千歳のどこに移ったのですか。
  326. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 場所は通称クマ基地と言われます米軍に提供しております土地でございます。地位協定の二4(a)に基づく共同使用を行っておる場所でございます。
  327. 中路雅弘

    ○中路委員 いま移ったと言われたクマ基地ですね。後でもう少し具体的にお話ししますけれども、アメリカの施設、ここへ共同で二4(a)で入ったわけですが、このクマ基地でその前にアメリカが何をやっていたという問題ですが、たとえばこれは内閣調査室が監修で出された「国際情勢資料」というのがあります。四月二十二日号、これは特集で、「四十カ国の暗号を解読 NSA」——アメリカ国家安全局です。「巨大な情報吸塵器」という記事が出ているわけですが、このNSAというのはコンピューターと電子技術を駆使して情報をキャッチする、各国が送受信する暗号無線文を傍受して解読するという、規模もCIA以上の規模を持った組織だと出ていますが、これは、いまこの「受信ステーションは大小取りまぜて全世界に二千、大きなものでも十四カ国に五十ある」という前置きをして、日本について具体的に述べております。これは内閣調査室が私のところへ出されたあれですからね。  この中で陸軍と空軍と三軍に分かれていますが、陸軍の「セキュリティー・エージェンシー」ですね。この部隊は、「前例を見ない程多様な暗号解読任務を手がけている。ASAの暗号解読士官は、沖繩、日本、エチオピア、米国内その他の地上ステーションに配属されている」と述べながら、いまお話しの日本の配備は千歳が出ている。「日本の千歳に配属されている一陸軍中尉は」こういうことをやっているという仕事の内容を語ったということも、この中に述べられているわけですが、アメリカのこの組織が千歳に置かれていたということは、この皆さんの監修で出されている「国際情勢資料」に明記をされているわけですが、恵庭から千歳に皆さんが移られる前にそこにいた部隊が、ここに出ている部隊ですね。アメリカの第十二戦線保全通信隊という部隊です。これが七一年に撤退して、その後に東恵庭から東千歳へこの二部別室の通信所の部隊が入った。アメリカがここでやっている仕事を肩がわりして入ったということになるわけですが、二4(a)ということで一般的に言われましたが、どこの施設に入ったか御存じですか。
  328. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 どこの施設という御質問がちょっと私よくのみ込めないのですが、つまり、前の部隊がおりました、あいたところに入ったということだと思うのでございます。
  329. 中路雅弘

    ○中路委員 あいたところというのは、いま私が言っております、内閣調査室が監修で出している「国際情勢資料」に出ているのですね。千歳と出ている。このアメリカの情報部隊、第十二戦線保全通信隊が七一年まで使っていたこのステーションに入った。ブラボーステーションと呼んでいます。私も見てきましたけれども、二つの衛星用のパラボラアンテナがある、アンテナドームがあるブラボーステーションという建物ですが、ここに二部別室の東千歳通信隊が入って、いままでアメリカがやっていた仕事を引き継いで肩がわりしてやっているわけですが、東千歳通信所のどういう仕事をやっているか御存じですか。
  330. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまの米陸軍第十二保全部隊というのが前におりまして、その部隊は、無線中継、それから通信保全、それから電子現象に関する研究というようなものをやっておったようでございます。そこで、その後にこちらの東恵庭の通信所が入ったわけでございますが、東恵庭の通信所は、当然、東恵庭におりましたときにやっておりました任務を、そのまま引き続いてやっております。そのほかに、大体いままで御議論がありましたのは、通称COMINTという、コミュニケーション・インテリジェンスといわれる範疇に入るものでございます。そのほかに、いま二別がやっておりますのは、ELINTといいまして、これはエレクトロニック・インテリジェンスといわれるものでございまして、電子に関する情報収集をやっております。  なぜこの電子に関する情報収集をやるかと申しますと、近代兵器はみなすべて、航空機にいたしましても、艦船にいたしましても、レーダーを搭載しておる、それからレーダーによって誘導される誘導武器を皆持っておるということで、それぞれに固有の波長なりいろいろ固有のパワーなりというものが定められております。これを各国とも大変秘密にしております。秘密にしておるのはなぜかと申しますと、一朝有事のときに、この電子を妨害することによって相手の機能を麻痺させるということができるわけでございまして、これは近くは第四次中東戦争においてつぶさに体験されたところでございます。そういうことで、電子の情報収集をいたしますが、これは、いまの東恵庭とあと若干のところが、こういうものを付加してやっておるということでございます。
  331. 中路雅弘

    ○中路委員 私も現地へ行ってみました。向こうの所長にも会ったわけですが、ブラボーステーションと呼んでいるところ、いままでさっき言った戦線保全通信隊が入っていたところ、ここに共同使用で入ったわけですが、ここはいままでソ連の軍事衛星の電波、こういうものの傍受を含めた活動をやっていたところです。別室の部隊が入った建物は、先ほど言いましたように、パラボラアンテナがあるブラボーステーションというところですが、それともう一つ、クモの巣のように円心円状に張られた超短波の巨大なアンテナ群が千歳にはあるわけです。ここにはFBISがあります。これは山崎アメリカ局長が、私どもの瀬長議員の質問に、FBISが沖繩とアメリカ大使館と千歳にあるということを答弁していますが、ここにあるわけですね。このFBISが使用しておるアンテナを共有しているわけです。アルファーデビジョンと呼ばれる地域のアンテナを共有してこの仕事をしておるのが東千歳に移った部隊です。この巨大なアンテナ群、あるいは部隊が入ったこの建物、ドーム、これは防衛庁財産ですか。米軍財産ですか。
  332. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 これは米軍財産でございまして、したがって、二4(a)によって当方が共同使用しておるということでございます。
  333. 中路雅弘

    ○中路委員 いま御答弁のように、米軍の建物、米軍のアンテナを使用して、そうして米軍が行っていたソ連の軍事衛星の傍受を含めたいわばスパイ活動、これを肩がわりしたのが東千歳に移った部隊がやっておる仕事なんですね。そうしてここには、米軍が引き揚げたということになっていますけれども、そうして皆さんの方も米軍はいないのだということを言っておりますが、米軍の電話帳を見ると部隊がいるのですね。去年の秋の米軍の電話帳にダイアリー・メイド・ディタッチメント・Iという分遣隊がいます。だから共同で仕事をしているわけですね。  ここで働いていた自衛隊のある人の話によりますと、この通信の器材の修理、調整、これは米軍がやって自衛隊には一切やらせないということも言っています。また、いまこの自衛隊の部隊が入っておる二つの丸いドームのある建物、この施設をつくるときには、作業員は全部目隠しされて、そうして運ばれて位置が不明のような状態のまま、作業を各分離してやられたということも、直接話を私たち聞いております。  この「国際情勢資料」にも出ている、アメリカの本国に直結したそういうスパイ活動をやっていた部隊がいたところ、いまなおそこにはそういうダイアリー・メイド・ディタッチメント・Iという分遣隊が残っている。いわばその指揮を受けるといいますか、いままでアメリカがやってきた仕事を共同でやっているというのが東千歳の二部別室の部隊の仕事です。このアメリカ軍のスパイ部隊と軍隊でない自衛隊が、またこういう仕事を今度東千歳では共同してやっておる、こういうことは許されることですか。
  334. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 まず、FBISとの関係でございますけれども、これは隣接した建物におるようでございます。現実には日本人の雇員が二人か何かだったと思いますけれども。それでアンテナは全然別でございます。  それから、先ほど全部アメリカのもののように私、申し上げましたけれども、東恵庭から移りましたときに、固有のアンテナも張っておりますので、ある部分、一部は自衛隊のものもあるわけでございます。  それから、ソ連の軍事衛星やなんかをというお話でございますけれども、現在はこのあれについてはアメリカの部隊はおりません。全部私どもの方で処理しておりますが、ソ連の軍事衛星の情報をとるというようなことは現在行っておりません。能力的にはございます。能力的にはございますが、現在やってないというのが実態でございます。
  335. 中路雅弘

    ○中路委員 あなたは、やってないというお話ですけれども、私は確かめるすべもない。これは自衛隊の部隊でしょう。ことしの二月に防衛庁の本庁を通して、私たちはこの部隊だけじゃないですけれども、北海道のホーク部隊を含めて、千歳の通信部隊、通信所、これも訪ねたいということで行きました。指宿という一佐、所長が出てきましたけれども、質問に対して一言も答えなかったです。いまあなたが言われたことも言わなかったですね。自分が指宿一佐だ、所長だ。副所長はいるのか、それも言わない。そのほか一切東京で聞いてくれということで答えない。中にも入れない、ゲートの近くまでも入れない。外へ出てきて、ホーク部隊の部屋で私たちは話をした。所管の委員会委員が、委員会の視察じゃないですけれども、自衛隊の部隊が何をしているかということについて訪ねて行って、それは答えられないこともあるでしょうが、施設のゲートのところまでも入れない。一切答えない。何をしているかということも一言も答えない。  長官、これはどういうことなんですか。これは、秘密的なこと、違法なこと、こういうことをやっている部隊。しかも標識も何もないです。大井の部隊だって東千歳だって、普通はこれは自衛隊の何の部隊だと標識がありますね。何もないです。大井の場合だと、私たちは大井の部隊のアンテナを調べに近所に行きました。そして出てきた鉄かぶとをかぶったある隊員さんに、これは防衛庁の施設ですか、そうじゃない、民間の施設ですか、そうじゃないと言ったまま飛んで行って、電話でいま怪しい者がうろちょろしてますということで、すぐ部隊が駆けつけてくる。自衛隊の部隊で、こういう標識もない、看板も何もかけない。国民にも全く秘密である。そして所管の委員会委員が行っても、その仕事について一言も答えない。こういう部隊が、そういうことはやってませんと言っても、私たちは信用できますか。どうですか、長官
  336. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 一般的に防衛に関する施設につきましては、一般に公開されることが好ましくない部分があることは当然のことだと思います。それはもう御理解いただけると思います。防衛秘密というものがあるということも、これも当然のことでございます。特に、この二別の仕事につきましては、先ほどからずっと御説明申し上げておりますように、本来これを公表してやる性格のものではございません。相手方の対抗手段ということも十分考えて——対抗手段といいますのは、結局、この通信をとっておることによって、今度は秘匿の方式に切りかえられるということで、非常にとりにくくなる。波長を変えるとかいろいろ対抗手段があります。それでなくても秘密保全のためにいろいろな手をとっておるわけでございまして、各国ともこういったことについて公にしてないというのが、前から申し上げているように一種の国際常識になっておるわけでございます。そういう意味で、北海道の場合は、せっかく先生がおいでいただいたわけでございますけれども、そういう事情で中の立ち入りを御遠慮願ったという経緯でございます。できるだけ見ていただくことがよろしいわけでございますけれども、事柄の性質上、われわれとしてもそういう一般方針をとっているということについて、ぜひ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  337. 中路雅弘

    ○中路委員 アメリカの弾薬庫だって皆見せるわけでしょう。横須賀の場合にも、私たちは、浦郷から吾妻島ですね、核があるのではないかという疑惑もあり、これは委員会じゃないですよ、党の議員として外務省を通して要求すれば、弾薬庫の視察もさせます。しかし、これは自衛隊の部隊であって、所管の議員が行っても、通信の業務をやっていますというぐらい——それは言えないこともあるでしょう。しかし、皆さんがそう一いう機能があるというアメリカの施設の中に皆入ったわけですから。ソ連の軍事衛星を全部とることができる機能のあるところに入っておるわけですから。そしてそんなことは一切やってないのだと言っても、説明もないですね。施設の近くまでも近寄せない。これは私はけしからぬと思うのですね。  後で部隊のことについて詳しくお聞きしますけれども、その自衛隊の部隊の定員の問題にしても、この委員会で決めていくわけでしょう。どこにどれだけの人員をふやす、陸上自衛隊にしても。これは陸、海、空三軍の千五百名というのは混合の部隊です。その部隊が何をやっておるのかということについて、国会が、あるいは委員会が、これを皆さんに問うというのは当然じゃないですか。福崎議員の質問でも十億近い予算がここにつけられておるわけですね。二部別室には九億幾らですか、今度も予算がつけられておるわけです。予算の問題に関係あるのですよ。十億近い予算がつけられていて、どういう仕事をしておるのかということは全然私たちに知らさないで予算を通してくれ、そういうことはできないでしょう。だから私は聞いておるわけです。長官、どうです。
  338. 坂田道太

    坂田国務大臣 私としましては、防衛庁がやっておりますこと、あるいは自衛隊がやっておること、そういうことを、秘密でないものにつきましては、できるだけわかっていただくということが非常に大事なことだと思うのでございますけれども、ただいま防衛局長が申し上げましたように、いろいろの国際条約や電波法があるのはなぜか。ということは、傍受はできるけれども、それも余りほかの人に知らせるということが、たとえば相手国にどういう影響を与えるだろうか、そういうようなこともやはり考えた上で、そういうような条約等もできておると私は思うわけなのでございます。  しかし、いやしくも予算を審議していただきますこと、あるいは防衛二法を審議していきます場合におきまして、必要なことについて委員方々からいろいろ御質問があるということについては、防衛庁長官を初めとしまして、局長がこうやってお答えをいたしておるわけでございますから、まず第一には、われわれから聞き取りをいただくということが大事だと思います。あるいは国政調査権に基づいていろいろ得られるというようなことについては、われわれの方でできる範囲のことはお知らせをする。あるいはもちろん御調査をいただくということがいいことではなかろうかというふうに私は思います。
  339. 中路雅弘

    ○中路委員 たとえば、皆さんの方で詳細な点で、これは答えられないという問題はもちろんあるでしょう。あると思いますけれども、少なくとも、さっき局長がここではこういうことはやっていないのだということはお答えになっています。だから私たちに、自衛隊の施設でありながらゲートのところまでも行かせないということではなくて、ここではこういう仕事を一般的にやっておるのだ、あるいはこういうことはやってないのだということを、少なくも自衛隊の施設ですから、それについて、私たちにその範囲で調査とか視察をさせるというのは認めることが当然じゃないですか。私たちがもう一度皆さんにお願いした場合に、東千歳の施設の調査については、いままでのように、施設にも近づけない。もちろん二4(a)ですから、外務省を通してアメリカとの話もあります。しかし私たちは、アメリカの問題じゃなくて自衛隊のやっておる仕事、自衛隊の施設についてこの前も行っておるわけです。それについて答えていただけますか。
  340. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 結局、最初申し上げておりますように、私どもの専守防衛の根幹に触れる問題でございますし、問題は非常にナーバスな問題で、これの機密が漏れるということによって非常に仕事がやりにくくなるという性格のものでございますので、一般的に立入禁止ということをやっていただいておるわけでございます。それで、そういうたてまえから、この前先生のおいでになったときも、そういう失礼なことがあったわけでございますが、私どもといたしましては、国政調査権の活用ということについては十分考えさしていただくということで、その辺の点については御了解をいただきたいと思います。  ただ、いま先生からも御指摘がありましたように、あそこの東千歳は二4(a)でございます。そういうことで、外務省並びに米側との信義上の問題もございますので、大変いろいろ複雑な問題が入り込んでおります。そういう点を考慮いたしました上で、できるだけ、ただいま大臣から御答弁ありましたように、御理解をいただくために前向きに考えたいというふうに思います。
  341. 中路雅弘

    ○中路委員 それでは、この点は改めて防衛庁の方へまたお話ししたいというふうに思います。  もう少しまた論議を進めてからお話ししたいのですが、この別室の編成の問題です。二部別室ということになっているわけですが、この二部別室の部隊は二部長の指揮下にあるわけですか。
  342. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 陸上幕僚監部の二部長の指揮監督を受けるということになっております。
  343. 中路雅弘

    ○中路委員 陸幕二部長の指揮を受けるということですね。陸幕の二部というのは、陸幕長の任務を遂行する、それを助けるスタッフ機構ですね。これは千五十名からのいわば前面部隊を持っているわけですが、これが二部長の管轄下にあるという性格、これは大変おかしいんじゃないか。たとえば自衛隊法の第九条第二項で、「陸上幕僚長は陸上自衛隊の隊務に関し、海上幕僚長は海上自衛隊の隊務に関し、航空幕僚長は航空自衛隊の隊務に関しそれぞれ最高の専門的助言者として長官を補佐する。」となっています。ところが、先ほど一番最初お尋ねしたときに御答弁のように、この第二部別室というのは陸、海、空の混成部隊です。それぞれの内訳も、陸が四百八十ですか、海が百九十、空が二百三十で、陸の部隊に何名かくっついているという性格のものでないのですね。東千歳の所長は陸の一佐だったわけですが、たとえば美保通信所の所長はどこの部隊ですか。あるいは喜界島はおわかりになりますか、いまの所長。
  344. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 それぞれの責任者を申し上げますと、大井、東千歳、それから大刀洗、これはそれぞれ陸の一佐でございます。それから小船渡が陸の二佐、それから美保が空の二佐、それから喜界島が海の二佐、それから東根室が空の二佐、こういうことになっております。
  345. 中路雅弘

    ○中路委員 いま御答弁になったように、所長を見ましても、たとえば美保の通信所の所長は二空佐ですね、空の部隊所属です。喜界島の通信所は海ですね。編成から言っても、あるいは所の責任者も陸、海、空がいるということで、明らかにこれは混成部隊です。こういう部隊を陸上自衛隊の隊務に関して最高の責任を負うという陸幕長が指揮統括できるのかどうか。その法的な根拠はどこにあるのですか。こういう陸幕長が混合部隊を指揮できるという法的な根拠はどこにあるのですか。
  346. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 これは非常に苦心の存するところでございまして、陸、海、空がそれぞれ別個にやっておったのではいけないんで、有機的に運用されなければならないという、これは実は創設者が相当苦労をしたところだと思います。  そこで、設置法の二十三条の二項に「一の幕僚監部に他の幕僚監部の事務の一部を処理させることができる。」これは防衛庁長官ができるわけでございます。そこで、これに基づきまして、陸上幕僚監部に対して、海と空のそれぞれの、本来、海と空の幕僚監部の仕事であるわけでございますが、これを処理させるということができるわけでございます。  そこで、それでは、この設置法の二十四条によりまして、それぞれ、陸上幕僚監部に所要の陸上自衛官を置く、それから海上幕僚監部には海上自衛官を置くということがたてまえとなっておるが、それとの関係はどうかということでございますが、これについては、この規定が原則的にある。つまりそれぞれ本来所属すべき自衛官を置くというたてまえを述べたものでございまして、このほかの幕僚監部へ派遣をするということについてこれを特に禁じている規定はないので、したがって、ただいまの形で運営されることについては、いささかも問題はないというふうに考えております。  それからもう一つ、これも先生の御指摘でごもっともな点もあるわけでございますが、本来、幕僚監部の組織でこれを実際は直轄部隊等にすべき実態を持っているではないかといういまのお話でございますけれども、二部長は当然みずから情報収集をする権能もあるわけでございまして、そういう意味で、ここで実施部隊を幕僚監部が持つことについても、まあ好ましいとは言えませんけれども、これも設置法に違反するものではないというふうに私ども考えておるわけでございます。
  347. 中路雅弘

    ○中路委員 自衛隊というのは、部隊の編成についても詳しく明記しているわけですね。
  348. 旗野進一

    ○旗野委員 委員長、議事進行について。  協議事項は協議事項の時間があるでしょうけれども、私ども拝見しますというと、六時三十分でしょう。すでに七時十五分も過ぎている。あなたはいつまでおやりになるつもりですか。
  349. 藤尾正行

    藤尾委員長 私は、委員質問の時間を制限したいと思いません。これは十二分に御意見を賜って……
  350. 旗野進一

    ○旗野委員 一応協議事項が大体そういう形になっておるのですから、やはり私はある程度まで常識的に考えて、三十分も四十分も経過してもなお発言を許すということは、これはいささかどうかと思うのですけれども、この点は委員長からひとつしかるべく御考慮いただきたい。
  351. 藤尾正行

    藤尾委員長 理事会に諮って善処いたしたいと思いますが、理事会と御相談の上、十二分に御見解を賜りたい、御審議を願いたいということで運営をしておるつもりでございます。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕
  352. 中路雅弘

    ○中路委員 いま苦心の作だ……(旗野委員「しかしある程度まで時間を決めてかかったものなら」と呼ぶ)時間は決めてあるんだよ。その決めてある時間にまだ行っていないんだよ。  いま苦心の作だとおっしゃいましたけれども、幕僚というのは、確かに私が言ったようにスタッフ機構ですね。それで、二部別室となっているから、一般の人は、二部別室なんと言うと、何かの付属のちょっとした機関のように思うわけです。しかし、内容は一千名から超える大部隊であります。しかもそれは陸、海、空の混合部隊だというのがこの実態なんですね。  自衛隊法の二十二条第三項で「陸上自衛隊の部隊、海上自衛隊の部隊又は航空自衛隊の部隊のいずれか二以上から成る場合における当該部隊の行動についての長官の指揮は、統合幕僚会議の議長を通じて行なう」ということを規定しております。しかし、これは後を読みますと、災害出動とかあるいは防衛出動、治安出動等の際に特別に編成される部隊の場合で、平常時の部隊の編成じゃないわけですね。二部別室のような平常時の部隊で、統幕議長及び陸幕二部長、陸幕の指揮下にあるこれだけの大部隊、混成部隊、これはどう見ても、自衛隊法から言っても、隊法をはみ出す部隊じゃないか。先ほど説明がありましたけれども、もう一度。
  353. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 陸、海、空にわたりますものは、御案内のように、共同機関というのがございます。中央病院あるいは地連などがその代表的なものでございますが、編成上そういう形になるものは、これは法律に決められているものでございますが、そのほかに、いま申し上げましたように、いま陸幕二部別室のような形でつくることは結論的に違法ではないという解釈をとっておりますので、これは、最初に申しましたように、好ましい形ではないけれども違法ではございませんので、この形で運用したい。行く行く共同機関のような形にするのが安定した形だとは思います。
  354. 中路雅弘

    ○中路委員 いまおっしゃった病院とか、それは自衛隊法上明記されているんですよ、病院についてはどうだということを。だから、私が言っているのは、例を挙げられた病院その他は自衛隊法上でも明記されているわけですが、しかし、自衛隊法の上でこれだけの平時の混合部隊が明確にされていないというのは、法的な根拠から言ってもおかしいのではないかということを聞いているわけなんです。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕  確かに少し手直ししないとおかしい点もあるといういまのお話ですけれども、それだったら、この陸幕二部別室長に直接の指揮命令をするのは陸幕長ですか。
  355. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 もとは長官から出るわけでございますけれども、陸幕長を経まして、陸幕の第二部長が指揮監督をいたしております。
  356. 中路雅弘

    ○中路委員 二部長が指揮をする——斎藤さん、もう一回聞きますけれども、あなたは別室長のときだれから指揮命令を受けましたか。
  357. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 便宜またお答えするわけですけれども、いま防衛局長が答えたように、別室長は陸幕の人事管理になっておりますので、陸幕長、二部長の指揮監督下にあったと記憶しております。
  358. 中路雅弘

    ○中路委員 私ここで例を挙げますけれども、陸上自衛隊公報一八四二号というのがあります。昭和四十八年二月二十四日の陸上幕僚監部が出している公報ですが、ここに「陸上自衛官及び予備自衛官の人事記録の細部取扱いに関する達」が載っていますが、この第五条では、「自衛官の人事記録の保管権者は、」——人事権を持っている者ですね。「次の各号に定める者とする。」ということがありまして、表がつけてあるのですが、「陸上幕僚監部」というので、これは「陸上幕僚長」となって、「第二部別室を除く。」となっています。そして「第二部別室」というのが別にありまして、これは「第二部別室長」というふうになっているわけですが、二部別室は人事権が陸幕長から除かれているわけですね。これはどういうことですか。先ほど陸幕長、それから二部長を通じて指揮命令を受けているということでしたが、人事権は陸幕長から二部別室は除かれているわけです。皆さんの公報に出ている。
  359. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 人事記録の保管はそうなっておりますけれども、それは陸上幕僚長の人事権を奪っているものではございません。
  360. 中路雅弘

    ○中路委員 人事記録の保管者というのは、人事を全部そこで掌握するわけですから、これは大事なものでしょう。二部別室だけ陸幕二部から除かれているわけですからね。それは大変おかしなことじゃないですか。どうして除かれているのですか。
  361. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 先ほど来お話がありますとおり、陸上幕僚監部の二部別室は、陸上自衛官だけでありませんで、海上自衛官、航空自衛官も勤務をいたしておりますので、便宜、陸幕二部別室長が独立して保管しておるということだけでありまして、陸上幕僚長の人事権がそこから外されておるというわけではございません。
  362. 中路雅弘

    ○中路委員 こういうところにも矛盾があるんじゃないですか。陸幕二部に所属をしてその部隊だと言っても、実際は混合だから、その人事の保管は陸幕の長あるいは二部長がやれないということが現実にあるわけだから、そこから除いているということですよ。これも皆さんがそういうごまかしを言っているけれども、矛盾があるからそうせざるを得ないというところにあるわけですよ。  もう少し突っ込んで聞きますけれども、じゃこの二部別室長ですね。先ほど三十三年につくられたというお話でしたが、そう多くないのですが、歴代の別室長の名前と出身省庁はおわかりになりますか。
  363. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 現在の室長は九代目でありますが、初代が山口室長、二代が後藤室長、三代が阪野室長、四代が斎藤室長、五代が佃室長、六代が宮田室長、七代が島本室長、八代が武士室長、現在が九代で木村室長であります。  前歴は、山口室長は北海道警察本部警備部長から、後藤室長は岩手県警察本部長から、阪野室長は東北管区警察局公安部長から、斎藤室長は内閣官房内閣調査室から、佃室長も内閣官房内閣調査室から、宮田室長は関東管区警察学校教務部長から、島本室長は内閣官房内閣調査室から、武士室長は警視庁第一方面本部長から、木村室長は警察庁警備局警備調査官からであります。
  364. 中路雅弘

    ○中路委員 いまのお話のように、これは大変不思議なことが出てきたわけですね。陸海空、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の混合部隊の一千名を超える部隊の指揮官が、歴代全部自衛隊でない、警察出身者であるということがいまお話で出てきたわけですが、いわゆる文官ですね。  その前に、先ほど三十三年に二部別室がつくられたと言いましたけれども、最初の山口さんは、たとえば「日本官界名鑑」、これを見ますと、三十一年に防衛庁陸上幕僚監部第二部別室長、三十五年までということになっていますが、これは間違いですか。
  365. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 陸上幕僚監部の第二部別室が訓令上正規にできましたのは、先ほど来お答えいたしておりますとおり三十三年四月一日からであります。山口室長は、それ以前、発足前に準備の段階から発令されておったものであります。
  366. 藤尾正行

    藤尾委員長 ちょっと中路君に申し上げますが、あなたの質問時間の御通告は百五十分でございまして、現在もう百五十分を超過いたしております。したがいまして、私はあなたの質問時間に対して制限を加える意思はございませんけれども、大体予告の時間をひとつ頭に入れて御質問をいただきたい。
  367. 中路雅弘

    ○中路委員 いま、二部別室は内訓で決められて三十三年にできたとおっしゃいましたね。そのことで、じゃお話ししましよう。  これも公報に出ているわけですが、「陸上自衛隊内訓 陸上幕僚監部第二部別室の組織等に関する内訓(秘)」となっていますが、これは三十五年の皆さんの公報に出ております。三十五年一月二十七日の公報です。その後、三十六年、三十七年それぞれに一部改正があります。さっき内訓は三十三年と言いましたけれども、陸幕二部別室の組織に関する内訓は三十五年の公報に掲載をされております。そして初代の山口室長は準備期間を含めてと言いますけれども、すでに三十一年にこの名簿ですと室長になっている。そして皆さんは、つくられたのが三十三年と言う。三十三年とは国会の予算委員会でこの別室が初めて問題になったときです。この違いはどこから起きているのですか。
  368. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 いまの公報に掲載されております三十五年は、全部改正が行われた時点でございまして、もともとの内訓それ自体は三十三年の四月、この発足のときに定められておるということでございます。
  369. 中路雅弘

    ○中路委員 それでは、先ほどお話になりましたね、最初の山口広司さん、現在の兵庫県副知事ですが、警察庁警備局の出身。二代目の後藤信義さん、やはり警察庁警備局出向。阪野正明さん、警察庁警備局出向。そこにおられる斎藤さん、あなたは官房長ですが、やはり警察庁警備局の出向です。佃泰さん、この人はインドネシア大使館の等書記官もやっていましたが、警察庁警備局外車課の出向。宮田清吉さん、警察庁警備局の出向。島本耕之介さん、この間まで防衛庁の調査課長ですね。現在、岐阜県の県警本部長、やはり警察庁警備局の出向。武士孝さん、現在、大分県の県警本部長、警察庁警備局の出向。木村武さん、この前の内閣官房長官秘書官、これも警察庁警備局出向。皆さんの方もこれは間違いないと先ほどお話になった。三十三年から二十年近くにわたって、二部別室の陸上、海上、空の三つの部隊を入れた混合部隊、一千名を超える部隊の指揮官が歴代警察の高級官僚であるという、これはだれが見ても異常に思うんじゃないですか。警察官が二十年近くにわたってこの部隊のいわば指揮官をやっている。これはどういう事情ですか。
  370. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 結果的にそういうことになっておるわけでございまして、御案内のように、防衛庁はまあ新世帯でございまして、私とか斎藤君はみな警察庁から来ておりますし、次官その他は大蔵省から来ております。装備局長は通産省から来ておるという役所でございます。ここにシビリアンを充てるという考え方は、先ほど私がいろいろ苦心の存するところということを申し上げましたのは、陸、海、空のそれぞれの専門家が集まる部隊でございまして、これは統合機構というものがない以上、やはり共同機関にするということが至当であると思いますが、当然、現在の諸条件の上で考えました場合に、いずれにも属さない事務官で、ある程度こういった仕事についての理解がある人が別室長におさまるということが、全体の機能を上げていくために必要であるというふうに判断されてなされたものと思いますし、現にそういう実効を上げておるわけでございます。
  371. 中路雅弘

    ○中路委員 全くでたらめなことを言っちゃいけない。シビリアンコントロールというのは、内局は文官、部隊の指揮官は制服というのが大きな原則としてあるわけでしょう。そして各部隊や機関の指揮官というのは勝手に決められない。これは隊法で明確に決められているわけです。たとえば防衛庁の付属機関自衛隊病院の場合、防衛研修所の場合——まあ自衛隊の病院の場合は、制服あるいは文官でもいいということが隊法の中で明記をされているわけです。自衛隊の組織がそうでたらめで、シビリアンが千名からを超える部隊の指揮官をやるということは、これは許されないわけですね。隊法にもどこにもそういう規定がない。陸、海、空あるから都合がいい、そんなことは許されないわけです。これは前面部隊です、制服部隊です。私が聞いているのは、その制服部隊の指揮官が文官であるということが隊法上どこに明記されているかということです。
  372. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 この事務官をもって充てることでございますけれども、各幕には御案内のようにそれぞれ事務官の身分を持っておる者がおるわけでございまして、これが指揮官になってはならないということはございません。現に地方連絡部長その他につきましては、シビリアンの地連部長もおるわけでございます。その根拠は、要するに事務官をもって充ててはいけないという規定がないということでございます。
  373. 中路雅弘

    ○中路委員 そんなことを言い出せば、自衛隊の部隊に充てて悪いことはない。というのは規定がないということで、文官を部隊に持っていってもどこへ持っていってもいいということになるじゃないですか。原則としては、部隊は制服であり、内局の仕事をやるのはシビリアンだというのが、シビリアンコントロールの上でのいまの自衛隊の大きなたてまえじゃないですか。
  374. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 有事の際の権限執行その他の点を考えまして、たとえば師団長、連隊長、こういったところに事務官を充てることは適当でないと思います。しかしながら、本来、この二部別室あるいは地連、そういったところに事務官を充てても差し支えないというふうに考えます。
  375. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほど、人事記録の保管でもお聞きしましたように、実際には陸幕長でも握れない。だから別に、人事記録の保管は二部別室は二部別室長ということで明記されているぐらいですね。そうして室長はみんな一佐でしょう。大体一佐、二佐。別室長付でも一佐が多いですね。この指揮官というのは、自衛隊の制服で言えば、将か将補のクラスですね、それだけの最高幹部が当たらなければいけない。そういう制服の部隊の指揮官を、しかも歴代ずっといままで一人残らず警察出身の官僚であるということにはわけがあるだろう、なぜそうしなければいけなかったのか、そのわけを私はもう少しはっきりさせてほしい。ただ、文官を充ててもいいからとか、たまたま間に一人入ったとかということで聞いているのじゃないです。初代から今日まで、警察の警備局出身の警察官僚が大体二年ぐらいで全部別室長をやっているというのは、根拠がなければそういうことにはならないでしょう。ただ文官でもいいということだけじゃなくて、もっと積極的な、それはなぜかということです。
  376. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 先ほど私から御答弁申し上げましたように、当初においてこういう陸、海、空の合同の機関を統率する、指揮する者として事務官が適当であるという発想が出たであろうと思います。現実にそれによって効果を上げてきておりますし、現在のところ、この在来の方針を踏襲するということでよろしいかと思います。問題は、先ほどから申しておりますように、これはあくまでも当分の間ということで現在まで来ておりますので、やはり安定した形とすれば、将来共同機関のような形にすべきではないかという、これは私個人の考えでございますが、そう思っております。
  377. 中路雅弘

    ○中路委員 長官、この点どうですか。いまお話ししていますように、千名から超える制服の部隊でしょう。この指揮官が文官であり、しかも全部初代から今日まで二十年近く警察官であるということについて、これはどういう根拠でなっているのか。自衛隊法から言っても、自衛隊のこういう指揮官については一つ一つ明記されています。これは制服である、あるいは病院長の場合は文官でもいい、そういうふうに一つ一つ自衛隊の中の機関や部隊について明記されているのが自衛隊法なんですね。そういう中で、この二部別室の千名に上る部隊について、私が言いましたように、これが制服の指揮官なら将クラス、最高クラスを充てなければいけない。一つの小さなグループじゃないのですよ。付属の機関じゃないのですね。それが警察官でなければ勤まらない。たとえば一佐の室長がいますね。ずっと幾つも処長がいますね。この処長から上がっていったって不思議じゃないんじゃないですか、仕事は一番よく知っているんだから。それがいつも外から警察官が入ってこなければいけない。どうしてそうならざるを得ないのか。しかも自衛隊法から言っても明白に違反するじゃないですか。書いてないからそれはいいということは言えない。自衛隊法で明記されている大原則は、制服の部隊は制服が指揮官だということが明記されているんじゃないですか、長官どうですか。
  378. 坂田道太

    坂田国務大臣 自衛隊が発足をいたしましてまだ日も浅うございますし、そういう関係で各省から来て、それで自衛隊防衛庁が構成されておるということは、先ほど防衛局長からお答えをいたしたわけでございますが、若いところでたとえば、警察出身でなくて、防衛庁の勤務ということで初めから入ってきた人たちが、だんだん育ちつつあります。そういうような人たちが将来この方面の指揮をとるというようなことも、今後は出てくると私は思いますし、そういうこともあっていいと思うわけでございます。
  379. 中路雅弘

    ○中路委員 私が聞いているのは、日が浅いというのじゃないのです。いままでもう二十年近くたっているのですよ。千名を超える制服の部隊の指揮官に旧来全部警察官が来ている。日が浅いのじゃないのです。三十三年にできているのですから、二十年近くたっているのですよ。これはそうしなければいけないわけはどこにあるのか。しかも自衛隊法から言っても、どこにも明記されてないじゃないかということを聞いているのです。これからどうするかということを聞いているのじゃない。
  380. 坂田道太

    坂田国務大臣 二十年という期間は長いとも見えますし、短いとも言えるわけなんで、たとえば私前に文部大臣をやりました。そうしますと、かなり層が厚いわけでございます。あるいは大蔵省を考えましても層が厚いわけでございますが、やはり日の浅い防衛庁でございますと、どういたしましても、大蔵省から、あるいは警察から、あるいはまた通産省から、こういうことでございますが、将来、本当にちゃんとした自衛隊、ちゃんとした防衛庁という理想的な構成というものを考えれば、生え抜きの最初から防衛庁に勤めるというので入ってきた人たちが、課長級、あるいはよその省で言いますと課長補佐みたいなところの部員でございますが、そういう人たちもだんだん育っておりますし、優秀な人たちがおるわけで、こういう人たちが漸次そういう任務につくということが好ましいというふうに思います。
  381. 中路雅弘

    ○中路委員 ちょっとくどいようになりますけれども、私の聞いているのは、二十年近くもその部隊は警察官が指揮官をやらなければやれなかった、そういう根拠はどこにあるのか、それから自衛隊法上そればどこに根拠があるのかを聞いているわけです。
  382. 坂田道太

    坂田国務大臣 私もたとえば警察行政等について余り詳しいわけじゃございませんけれども、しかし警察におきましては、部隊を指揮して、そういうようなところは、ほかの各省庁よりもすぐれておるというようなこと。やはり警察官にいたしましても、これは一種の実力部隊でございます。それから自衛隊にいたしましても実力部隊でございますから、そういうものの指揮というものは、普通の文官ということではなかなか部隊の運営というものはむずかしいのじゃないだろうかというようなことから、そういうふうに警察の部隊の指揮等をやった経験のある人たちが登用されてきた、こういうことでございますが、これからはやはり防衛庁生え抜きの人たちがこれに取ってかわるということが望ましい姿だというふうに私は思います。  それからシビリアンコントロールの問題につきましても、私は、シビリアンコントロールというのは、基本的には主権者たる国民に選ばれた国会が実力部隊をコントロールする、言うならばポピュラーコントロールということかシビリアンコントロールの真髄だというふうに思うわけです。したがいまして私は、いろいろ委員会等でもお尋ねがございますから——いま私は防衛庁長官行政官でございますから、私からは申し上げられませんけれども、そういう実力部隊をコントロールする、ポピュラーコントロールがシビリアンコントロールの基本であるという考え方からするならば、やはり防衛問題というものに対する特別委員会なり、あるいは名前は安全保障委員会でも結構でございますが、そういうようなことが望ましい、こういうふうに思うわけなんです。
  383. 中路雅弘

    ○中路委員 それはいい。質問事項をはみ出ていることはいい。質問に答えてください。
  384. 坂田道太

    坂田国務大臣 いや、それはシビリアンコントロールということをあえてお尋ねでございますから、私はシビリアンコントロールというものについての基本的な私の考え方を実は申し上げておるわけなんで、実力部隊をコントロールするというのは、やはり国会が原則じゃないだろうかというふうに思うものですから、そういう意味——そこで、やはり生え抜きの人がこれにかわっていくのが望ましい。それから先ほど防衛局長も申し上げましたが、少し改善すべきところもあるようだというようなことも担当者が申しておるわけなんで、そういうようなものも検討してみる必要があるなというふうにはいま考えておるわけでございます。
  385. 中路雅弘

    ○中路委員 なかなか率直にはお認めにならないのだけれども、とにかく将来は生え抜きの方がいいと思うとか、あるいは苦心の作だとか、とにかくこれが厳密に自衛隊法から法規上でもはみ出たような部隊になっているということは、事実上皆さん認めざるを得ないからそういう苦しい答弁をされるわけですけれども、私が言っているのは、自衛隊法を見ても、部隊と機関の指揮官というのは明確にされているのです。勝手に決められないのです。隊法ですね。しかも大きく原則と言えば、内局はシビリアンがやる、制服は部隊の指揮官をやる。文官が入った場合も、それは補助的な役割りを果たしているのです。補給処だってそうでしょう。補給処だって課長クラス、係長なんかにはシビリアンが入っている場合があります。しかし部隊や機関の指揮官というのは、隊法上明確にされているのは自衛隊法であるわけですね、ずっと読んでみましても。しかも文官でもいいという場合は病院のように明記されているのです、法の上で。だから、そういう点から言っても、この部隊は、自衛隊法から言っても、隊法に反する部隊じゃないか。将来、だからこうしたいという苦し紛れの御答弁されていますけれども、いままで二十年近く千名を超える部隊が警察官が指揮官でやってきた。これは隊法上どこにも法的には明確な根拠はない。だから隊法上はみ出た部隊だ。  しかもこの部隊のやっている仕事は、先ほどから言っているように、これは本来専守防衛の情報収集をやる自衛隊の部隊の仕事からはるかにはみ出た、そういうスパイ的な活動。しかもアメリカが、国際的にも文書で出ている、やっているこういうスパイ活動の仕事を、そのまま引き受けていこうというようなことをやっている。私たちは国会の中で、この二部別室に十億からの予算をつけている。しかし国民は、この部隊が何をやっているか、こういう秘密の仕事をだれも知らない。こういう部隊は解散すべきだということが私の意見なんですが、まあ委員長から時間のことも言っておられますから、終わりの方へ進みますけれども、なぜこの二十年近くも警察官がこの指揮官であったかということの理由は、私はほかにあると思うのです。  これは、この二部別室がつくられてきた歴史的な経過をずっと見れば、この中に明白じゃないかと思うわけですが、ここに文書があります。これは内閣総理大臣官房調査室、いわゆるいまの内閣調査室が三十二年につくられました前ですね。前は官房調査室だったですね。官房調査室に関する事項、当時の文書です。「極秘」と入っていますが、ナンバー二八八で、ケースナンバーが一九六です。これは保管のケースナンバーです。これは、いまの内閣調査室、当時の官房調査室が出されている文書です。時間が来ていますから少し省略して言いますけれども、この中にたとえばこういうところがあります。  この「内閣総理大臣官房調査室に関する事項」ですね。ケースナンバー一九六のこの「極秘」と書いた文書の中に「通信情報機関設置」という項があります。昭和二十七、八年、いわゆる講和発効の直前に、アメリカと相談して日本の通信情報機関をどうするかということの検討をやられた後の文書ですが、この一部に「外国特にソ連及び中共等の暗号電信を傍受、解読する特殊機関設置し、重要な情報の捕捉に当たらしめる。」「本機関は、調査室」、いまの内閣調査室ですね。「保安庁」、自衛隊です、当時の保安隊。「国警」、警察庁です。「外務省・公安調査庁の連絡協議会において」云々ということで文章が続いていますけれども、当時この外国放送の電波傍受の問題において、この調査室と保安庁、国警、外務省、公安調査庁の五者の連絡協議会においてこのことが相談をされている。  これと関連しまして、もう一つのこれも皆さんの中から出た文書ですが、この文書は、松本清張氏の「深層海流」の中にそのまま引用されていますから御存じだと思いますが、もう一つの極秘文書ですね。電波情報関係連絡会議ですね、いま言いました五者の。昭和二十七年九月、内閣調査室室長の部屋で行われたこの会議で決められた議事録が載っているわけですが、これは一般にも公刊されている幾つかの文書にもたびたび引用されております。この中に第一番として、「中央に強力な暗号通信情報機関を作る。」調査室はその事務局として世話をする。現在の内閣調査室ですね。第三番目に「中央機関関係各庁の共同作業的性格を持つものとし、従って各庁は要員、技術、施設、器材等の面で協力、且つこれを利用する」云々という文書があります。そしてこの「中央機関に関する方針」の中で、第一番にこの機関を「早急に設置をする。」「当分の間埼玉県××村の施設を活用する。」これは大井通信所です、現在。第二番目「外部に対しては」、秘密保全上ですね、「保秘上、その名称、所属等について特別の考慮を払うこと」云々というんですね。それから第三番目に「その運営方針は、要員の身分にとらわれず、すべて連絡委員会決定によること」というのがありますが、室長お見えになっていると思いますが、いま挙げました二つの極秘文書ですが、知っていられると思いますが、当時、こういう文書、あるいはこのような計画があったことは知っておられますか。
  386. 渡部正郎

    ○渡部説明員 そういうことは聞いておりません。
  387. 中路雅弘

    ○中路委員 私が取り上げましたこの「極秘」と書いたケースナンバー一九六、この文書についてはどうですか。
  388. 渡部正郎

    ○渡部説明員 存じておりません。
  389. 中路雅弘

    ○中路委員 こういう文書があったかどうかということは調査をしていただけますか。
  390. 渡部正郎

    ○渡部説明員 いまお話がございましたように、昭和二十何年かの文書ということでございますが、内閣調査室は三十二年に内閣法の改正がございまして、それに基づきまして現在の内閣調査室ができているわけでございます。その関連の政令も出ているわけでございますが、法令によりまして、現在の内閣調査室の任務がはっきり規定されているわけでございまして、法律的に言いますと、二十七年当時のいま申されました内閣総理大臣官房調査室というのは総理府でございます。現在内閣でございますので、法律的に言いますと別のものでございますので、事実上調べてみることはできると思いますけれども、現在の調査室とは直接の関係のある事案ではないというふうに考えております。
  391. 中路雅弘

    ○中路委員 三十二年に変わりましたから違うわけですけれども、もとは総理府のあれですからね。しかし、皆さんの組織の前身であることには間違いないわけですから。だから、私が出しましたこの文書について——もう一つの文書は、もう小説にも松本清張氏の、あるいはその他の文書にも出ていますからあれですけれども、私がきょういまお読みしますこのケースナンバー一九六の文書については、存在について調査はしていただけますか。
  392. 渡部正郎

    ○渡部説明員 資料その他をいただきましたならば、事実上そういうことがあったかどうかは調査することはできると思います。
  393. 中路雅弘

    ○中路委員 じゃこれは後で調査をしていただきたい、この存在についてですね。  では、私がいま読み上げました二つのこの文書、こういう中身ですね。こういう計画が当時あったかどうかということについては御存じですか。
  394. 渡部正郎

    ○渡部説明員 私は聞いておりません。
  395. 中路雅弘

    ○中路委員 押し問答していても、聞いてないと言って突っぱねるわけですから。この計画は全面的に実施はされなかったんですね。中央情報機関つくりたいという希望はこの中にもあった、しかし、この計画はそのままでは実施はされなかった。形を変えてこの計画がずっと実行されてきたのです。いまの中央機関に関する方針の第一項で読みましたけれども、中央の情報機関つくりたい、いわば公安調査庁と警察と外務省と調査室と自衛隊と五者が共同で、まあ日本型CIAの情報機関つくりたい。講和発効にもなると、アメリカがその部門の後で、日本にそういうことについても要請があったこともうかがえるわけです。しかし、これはそのままでは計画は実行されなかった。しかし、この中央機関に関する方針の第一項にありますように、当分の間、埼玉県大井村の施設を活用するというようにありますが、これは先ほど言いましたように、現在の二部別室の大井通信所のことです。だから、すぐには施設はできない、中央にそういう機関はできない、だから五者で共同して、いまの内閣調査室がその世話役になって、中心になって、そして自衛隊に人を送って、この大井通信所で共同の作業をやるというふうにして出発したわけです。  私は先ほどちょっと聞くのを飛ばしましたけれども、先ほどの歴代の二部別室長、初代の山口さんから全部今までの——木村さんのところはまだなっていませんけれども、とにかく木村さんの前までの二部別室長は全部内閣調査官をまた兼務していた、これは間違いありませんね。ちょっと戻って聞きますけれども。
  396. 渡部正郎

    ○渡部説明員 内閣調査官の併任でございました。
  397. 藤尾正行

    藤尾委員長 中路君に申し上げますが、もう再三あなたに御注意申し上げておりますように、時間がすでに通告より四十分経過をいたしております。結論をひとつお急ぎいただきませんと、これは皆食事をやっておりませんから、人道上の問題にもなりますので、十二分におやりいただくなら、食事の時間を取ってやるとかなんとかということを、委員長責任においてやらなければなりません。御注意を願います。
  398. 中路雅弘

    ○中路委員 私は幾らか延びていますけれども、たとえば大出委員が三時間半というお届けなんですよ。それで実際には五時間近くやられているでしょう。そういうので押せ押せになっているのですよ。それもあるのですよ。だから若干答弁にも関係するのです。
  399. 藤尾正行

    藤尾委員長 あなたの時間を私はかっているわけですからね。それで、もうすでに四十分経過しておるということを申し上げておるわけです。
  400. 中路雅弘

    ○中路委員 だから、終わりの方にいっていますから、そんなに長くやりませんから。答弁がはっきり出てこないから延びるんじゃないか。  いまお聞きしましたように、二部別室の室長は先ほど全部警察官だとお話ししました。それはまた、全員内閣調査官を併任しているということもいまお話しになったわけですけれども、この経過で見ますと、先ほど言いましたように、つくりたいという希望はあったけれども、電波電信傍受機関が内閣調査室にあるわけじゃないから、二十七年の秋から、当時の保安隊の第一幕僚部第二部の分遣隊として、埼玉県大井にこういう電波暗号の傍受隊を設けて、当時は元陸軍少佐の川崎二佐を隊長として分遣隊が派遣された。この機関を使われたわけですね、この五者協議会で。そして先ほど国会でも問題になった時点で、その後いろいろ経過はありましたけれども、練馬の第二部別室でそれが引き継がれて、当時の別室長が内閣調査官併任の山口広治氏であると、これは参議院の三十三年の予算の議事録に出ているわけです。これが歴史的な経過の真相なわけです。いわゆる内閣調査室が最初、中央機関つくりたい、しかし電波電信の傍受機関をみずから持たなかったために、自衛隊の施設を自分たちの情報傍受機関として位置づけて、そこへ別室長を送り込む、あるいは調査室の室員を送り込むということで、これは三十三年の国会の議事録に出ていますが、そこには公安調査庁や警察庁も出かけていっているんですね。大臣答弁の中にも出ています。そして事実上この五者の機関として活用をされたわけです。そして歴代別室長が警察官であり、また内閣調査官であるという人で占めている。事実上ここが指揮命令権を握って、人事管理も、先ほどお話しのように、陸幕二部に所属しながら、陸幕長が人事管理権の保持者になっていない。別室長は別室長だ。では上はどこだということになれば、実際は内閣調査室につながっている、中心にした五者協議会に。ということが私は歴史的な経過だと思うのですね。  なぜ警察官であり内閣調査官の併任の室長が歴代続いてきたか。先ほど長官局長も、率直には認めておらないけれども、これはおかしな組織だ、将来少し検討しなければいけないということを考えられているような不可思議な部隊ができたのは、まさにこういう歴史的な経過があるからだというふうに私は思うのですが、この事実についてどうお考えですか。両方から……。
  401. 渡部正郎

    ○渡部説明員 いまお話のございましたその文書につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、全然存じておりませんので、どういう性格のものかわかりません。  それともう一つ、先ほど申し上げましたように、仮にそこに書いてありますことが本当だといたしましても、現在の内閣調査室の発足以前のことでございますので、直接私どもの関連ではないと思います。そのことと、お話しのようなその文書に書かれておりますこと、あるいはその文書とその後にお話しになりましたこととの関連性というものについては、私としては全然判断することができません。わからないということでございます。
  402. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 この二別の発足について、いろいろその細かい経緯を教えていただいたわけでございますけれども、私ども現在の運用の面から申しますと、先ほど申し上げましたように、何ら不都合を感じておりません。ただ、先ほど私が私見として申し上げましたように、共同機関みたいな形にすべきではないかという考え方を持っておりますけれども、現状は、いまおっしゃったようなものとはおよそかけ離れた、きょう最初から先生との間のやりとりでお話ししておりますように、日本の専守防衛の実を果たすために周辺の軍備事情を把握するという、非常に重要な役目を果たしておるというふうに考えております。
  403. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほどから言っていますように、だれが見ても不可思議な状態になっている。いわゆる千名からの部隊の指揮官が歴代警察官であり、そして内閣調査官の兼任であるというのは、私はこの歴史的な経過をたどらなければ、なぜそうなっているか明確にならないのだということを、幾つかの文書でお話ししているわけです。室長がそうだけでないのです。一つ一つ一人一人の名前については、きょうは委員長が盛んに時間のことを言うから私はしませんけれども、自衛隊公報、それから自衛隊の職員録、縁故録、全部調べた。時間があれば一人ずつ全部やってもいいのですけれども、これを見ますと、今度は逆に制服自衛官の方が内閣調査官として、あるいは調査室員として出向されている。何人もあります。これは後でちょっともう一問お聞きしますが。また逆に内閣調査室員、これを二部別室に——室長だけでないんですよ、二部別室に送り込んでいる。これは人的な面でも非常に密接な関係があります。これが歴史的な経過です。  現在、私たちがこの中でずっと拾っただけでも、私の部屋に来られた調査室の木下さん、そういう経歴のはいないと言うのです。調べてみたら、人の経歴の中には幾段かあります。その二部別室と関係のないところばかり全部拾ってきた。そうじやない。この職員録にも前歴が二部別室というのが全部出ているのです。それを拾っただけでも、ずっと私の方から名前を挙げます。現職自衛官で二部別室から内閣調査官あるいは内閣調査室の室員として行ったのですが、大体二人ずつくらいずっといつも行っています、現在も含めて。いままでこういうところに出ているだけでも、石田九六、それから大野宣雄という陸幕二部の二佐ですね。白倉鉄夫、これは現在内閣調査室にいますが、陸幕二部別室、一佐。黒田暁、山本寛一、石塚一郎、田坂盛夫、江口利夫、内山實人、釜賀一夫、川崎丑之助。平川満。これも現在併任でいると思うのですが、陸幕二部別室長付、一佐ですね。内閣調査官になっています。南村国雄。ずっとありますが、陸幕二部から、あるいは二部別室から内閣調査官、調査室室員あるいは内閣調査官として出ているというのが、ずっとここに出ているわけですね。大体二名くらいずついつも出ています。これは電波傍受による暗号解読あるいは軍事情報を解析するという必要からも、私は、制服自衛官が防衛庁事務官か、そういう資格で入っていく形をとっているんだと思いますけれども。それから今度は内閣の調査室員を二部別室に送り込んでいるわけです。これも名簿はあります。  こういう非常に密接な関係つくり上げてきたということは、事実この二部別室という組織が不可思議な組織ですが、これが自衛隊の指揮命令下にない。内閣調査室を中心にした、自衛隊、公安調査庁、を含めたこの五音ですね、これに握られて情報がここで共同で使われているということだと思いますが、これが不可思議な組織ですから、どこへつけようかということで、後から考え出したのが、二部別室という一つの独立した何か小さな機関のようにつくったわけですね。あたかも陸上自衛隊一つの機構、部隊であるように見せかけている、これが私は実体だというふうに思うのですが、いまもしそれを否定されるならば、この名簿で一人ずつ挙げてもいいです。しかし、そういう密接な人事交流がある、これはお認めになりますか。
  404. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 ただいまも内閣調査室へ兼務で二人の自衛官を派遣しております。これはしかし二部別室とは全然関係がございません。内閣調査室が海外その他から収集されます資料なり情報なりがございますが、その軍事的な面における分析、解説という任務を負っているものでございまして、通信、情報とは一切関係はございません。したがいまして、これを除きまして、現在内閣調査室と当方との間に兼務ということはございません。かつて相互に人の派遣をやっておったということはございます。これは結局、収集をいたします情報が、それぞれ内閣調査室に関心を持たれるもの、こういったものを選別するというようなこと、そういう連絡のためにあったわけでございますが、現在は、いま申しました全然違った兼務の者を除きましては、ないというのが現状でございます。
  405. 渡部正郎

    ○渡部説明員 ただいま、内閣調査室の職員の併任の関係、あるいはその前歴等についてお話があったのでございますが、ただいまお話ございましたのは、自衛隊あるいは陸幕二部別室の関係だけを取り出してお話しなすったように思うわけでございますけれども、内閣調査室の任務というのは、内閣の重要政策に関する情報の収集及び調査ということになっておりまして、その関連で、各行政機関の行う情報の収集及び調査であって、内閣の重要政策にかかわるものの連絡調整に関する事項をつかさどるというふうになっておりますので、事の性質、仕事の性質もございまして、現在、内閣調査室には各省から来られた方もたくさんおられますし、また内閣調査室からほかの省に出ていかれる方もあるわけでございまして、現在でも、先ほど防衛局長からお話ございましたように、防衛庁の方から人をいただいておりますけれども、そのほかに、労働省あるいは通産省、あるいは農林省、法務省、警察庁、その他海上保安庁ですとかいろいろなところから、あるいは併任の形で、あるいはそこにおられた前歴がそれぞれの衝にある人を、現在専務者ということでいただいておるというようなことでございまして、そういう関係は、陸幕の二部別室に限った関係ではないということを申し上げたいと思います。
  406. 藤尾正行

    藤尾委員長 結論をひとつお急ぎいただきます。本当に食事の問題がありますから、結論をお急ぎください。
  407. 中路雅弘

    ○中路委員 わかりました。  一人だけ例を挙げますよ。たとえば陸幕公報の一四六六号、これをそのまま読みますと、内山貴人ですね。「陸幕人第五一六号 内閣官房に出向させる」ということで、これもおかしいのですね。防衛事務官に行かない。いきなり陸幕の公報、人事でシビリアンの方へ制服が行くということで、内閣官房に出向させるというので、内閣官房に四十五年から四十九年までいます。それから逆の場合の一例だけ挙げます。これは陸上自衛隊公報一八六八号、内閣調査官が二部別室へ行っている例の逆の例ですね。これはいまの陸上自衛隊公報の一八六八号に「兼ねて防衛庁事務官に任命する 陸幕二部別室勤務を命ずる 内閣事務官小林紀治(行政職(一)六等級)」と出ております。もう委員長の話もありますから、私は一人ずつ挙げません。いまお話しのようにほかの省庁からも来ているかもしれません。しかし、いままでこの二部別室と内閣調査室が人的な面でも密接な関係にあったということは事実なわけです。特に室長が、いま言いましたように、歴代調査官だという、併任している、しかも警察官だということも明白なわけです。  だから私は結論的にお話ししますけれども、この陸幕二部別室というのは、先ほど機能の問題でお話ししましたけれども、編成上は陸幕二部につながっています。そして別室が収集する情報は、確かに自衛隊にも、陸幕、海幕、空幕を通して三自衛隊、統幕にも提出されるでしょう。しかし、指揮命令をするのは陸幕長でないということは、人事保管権者の先ほどの話でもはっきりしていると思うのですが、なぜ、この部隊の歴代別室長を見ると、制服の自衛官でなくて警察官であり、内閣調査官を兼務しているのか、そして人的な両方の交流があるかということは、先ほど私が言ったそういう歴史的な経過があるから。現別室長の木村武氏だけは、いま内閣調査官兼務をしていません。これはやはり警察庁の出向ですけれども、この木村氏だけ現在のところ内閣調査官を兼ねていない。また、先ほど言われたように、去年あたりからこの両方のつながりを切ろうと引き揚げている、そういうふうにされています。これは事実なんです。そのことは、私どもがこの問題を提起してきたからです。それを始めたころから、とりあえず調査官の兼務をしていないという形をとっている、そういう可能性の方が強いわけですね。  そういう点では、結論で言いますけれども、この歴史的な経過は、後で調査していただきますが、この極秘文書であるように、最初五者の機関として、いわば日本のCIAの電波情報機関として中央機関を持ちたいと思ったけれども、それは言えなかった。計画は実現しなかった。だからその五者で、内閣調査室が中心になって、自衛隊の通信部隊、これを使って運用していこうというふうに考えた。最初大井を使い、そして練馬を使い、いま七つの通信所と二つの分遣班、これをもって、実際にその二部別室長は警察官であり内閣調査官が歴代占めて運用してきたというのが、これが歴史的な経過でありますから、私は、こういう二部別室という不可思議な部隊、しかも全部歴代警察官に指揮されるような、自衛隊法上でも明記をされていない違法な部隊は解散をすべきだ。これに十億の予算もつけて、そして国民から秘匿されたところで、事実上の特定の国、特定の地域の奥深くスパイ活動をやる。これは軍隊でもない、自衛隊のいわゆる情報活動として許されないことだということで、この二部別室の部隊は私は解散すべきだということの主張を強く述べたいわけですが、長官にこのことについてひとつお伺いしたい。
  408. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は、専守防衛のために、日本の安全と独立を守るためには必要であるというふうに思っています。
  409. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一言だけ。いま言ったような、そういう自衛隊の部隊が警察官の指揮下にある、内閣調査官を兼務している室長が指揮している、それから人事もそういう形でずっと密接な関係がある、この問題についてはどうされますか。
  410. 坂田道太

    坂田国務大臣 もういまは警察官じゃないのですから、防衛庁の職員でございます。
  411. 中路雅弘

    ○中路委員 防衛庁の職員で出向させたんじゃないですか。  もう一言だけ。警察官でないと言って、二年ごとでそれはやめて、今度は全部、大分だとかどこかの警察本部長に行っているんですよ、経歴は。その二部別室に出向しているだけですよ。警備局から出向して、あとは警察の本部長、それにみな行っているじゃないですか。警察官じゃないというのは、二部別室長をやっている間だけじゃないですか。明白にそれは警察官僚じゃないですか、やっているのは。制服じゃないのじゃないですか。
  412. 丸山昂

    丸山(昂)政府委員 大変お言葉を返すようですが、私も警察からこちらへ出向してまいっております。しかし現在役人としては、こちらへ参りましたら防衛庁の人間でございます。ですから、そこにおりました者は、恐らく斎藤氏もその別室長であったときには、防衛庁事務官に徹して仕事をしたと思います。
  413. 中路雅弘

    ○中路委員 時間も超過していますが、しかし、いまのは私は納得しません。この問題は改めて、それからまた東千歳の問題については、調査について検討するというお話ですかち、また機会を見て続けていきたいと思います。終わります。
  414. 藤尾正行

    藤尾委員長 次回は、明後五日木曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時二十三分散会