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大出委員 それなら調査研究不十分じゃないですか。
尾崎さんはそういうことをおっしゃるけれ
ども、経済的な減耗の補てんである、経済的な価値のとさっき梅澤さんはおっしゃいましたが、減耗の補てん、これは恩給理論の基礎だ。ただ、それが実情にそぐわないこともこれまた現実だ。だから、その理屈を言うなら、本来これは恩給局の旧来やったことだって矛盾だらけ。年齢別三本立て仮定俸給表なんというものは、一体何でそんなことが言える。年齢は
給与じゃない。あくまでも退職時となれば、今日の老齢者優遇だって
意味はない。明らかに間違いです。そうじゃなくて、老齢者になぜ優遇措置をとらざるを得なくなっているかと言えば、今日のような大変なインフレ状況の中で、谷間がそこにあるということだから埋めようということでしょう、優遇措置というのは。そうでしょう。そうでなければ、恩給審議会の答申違反だ。
恩給審議会の新居さんにもここに来ていただいて、私が
質問したことがあるが、年齢別の三本立て俸給表というものは間違いではないか、恩給の論理からいって経済価値の減耗を補てんするのだというならば、年齢は経済ではない、賃金ではない。全くそのとおりだ。三本立て俸給表を廃止しろという答申を出した。にもかかわらず、今日また老齢者優遇を各所に出してきているというのは、実情に合わないからだ。同じことじゃないですか。あなたが言うように、退職時の俸給を基礎にする、経済的価値の減耗を補てんする。補てんするなら、現在の世の中で人間は人形じゃないのだから、生きていられるようにしてあげなければいかぬじゃないですか。生きていられないようなことになっているということは何かといえば、在職している人間が、昔の俸給体系のあり方では生きていけないから困っているのじゃないですか。ところが、昔の俸給の体系のままで、退職時を基準にして、そのときのベースは幾らだったのか、俸給は幾らだったのか、それで仮定俸給をつくる。それが大事なんだから、そうやっていきますというだけで、現在の
公務員というのは昔の体系のままを引き継いではいない。現実が引き継げないのだ。なら、仮定俸給表をつくるときの基礎になった昔の俸給体系というものは、現状、この世の中に即してどう改めなければならないのか。
公務員だった人間がやめて生活しているのだから、当然そういう論理になるじゃないですか。その証拠に、だから食えない連中ばかりできちゃうじゃないですか。それを、あくまでも退職時の俸給が幾らだったかが基礎なんだからと言って、あなた方が幾ら腕を組んだって、この人たちは退職したって生きているんだ。
ここに正確な資料がありますが、地方事務官の方で勤続二十五年、この方が現在、仮定俸給の通し号俸で計算していって五十一号。この方は百五十分の五十八という比率です。だから年間三十六万六千三百六十七円しかもらっていない。月三万ない。二万何千円。ここにあらゆる職種の官庁の皆さんの恩給資格年限の十七年から始まって、一番長いところまで、学校の先生から全部あります。年間二十三万円、二十四万二千円、二十四万二千円、二十五万五千円、二十五万五千円、二十八万三千円、二十八万三千円、三十一万二千円、三十八万一千円、四十二万一千円。これは訓導、それから公立高女の教諭、公立中学校の教諭、公立実業学校の教諭というぐあいで、これが各職種の現在の受給額。これを調べてみてある。この中の大半は、いまの世の中でこの恩給で生活なんて毛頭できない。だから、これは最低保障という
制度が出てくるのはあたりまえだ。大きな矛盾があるからそうなってくる。ところが、最低保障というのは、完全に全部が最低保障で救われるわけじゃない。年齢制限も六十五というふうにある。じゃ、最低保障に満たないそこから上の方、ここらは一体どうなんだ。ここらだって全部にっちもさっちもいかない。じゃ、一番てっぺんの方は一体どうなんだ。てっぺんの方は、現職の
公務員の俸給表から見て、それよりも上の方に上がっていくばかりだ。
だから、
大蔵省の御主張のようなことで言うならば、管理職でやめたような
方々というものは、全部いまの方式の方がいいんだ。上がる一方。恩給の改定をやるたびに、旧管理職の
方々はどんどん現職の
公務員の同じ立場の管理職よりも上がってしまう。ところが、管理職以外の現場で働いている郵便配達をしている人間だとか、国鉄で機関車を運転している人たちとか、これは共済というものはみんな右へならえなんだから、現職の
公務員の同等のと比較すれば下になる一方。改定のたびに格差がついてしまう。それで果たしてやめたときの俸給が基礎だからと澄ましていられるんなら、生きている人間を相手にしている
人事院でもなければ恩給局でもないことになる。ふざけたこと言っちゃいけませんよ。
例を挙げて具体的に申し上げますが、恩給で通し号俸で仮定俸給表の八十二号というのがある。この方なんかは、最初は確かに九十万五千二百円というのが仮定俸給表八十二号。この方は行政職(一)表の一等級の七号に当たる。局長さんだ。当時の給料は七万五千七百円だ。十二倍すれば年間が出る。九十万八千四百円。だから、ここでは現職の
公務員よりは恩給の仮定俸給表の方が少ない。これは二万円ベースのときです。ところが、これが三十九年、四十一年、四十四年、四十五年と過ぎていくと、あなた方は勝手にここのところで指定職の乙をつくった。最初は指定職はないんだ。だから、後から物を言うけれ
ども、管理職の方はどんどん格づけを上に持っていっちゃった。だから四十五年を見ると——時間がありませんから、もう少し最近に近いところを申しましょう。
現職の
公務員と八十二号の方、これは甲乙一緒にしたといういきさつがございますけれ
ども、三百十八万二千九百円。つまり現職の
公務員に比べて、
支給配分の一律方式のなせるわざだけれ
ども、大変有利な進み方をする。六十七号のところをとりましても、六十七号は四十九年で二百十五万八千五百円、現職の
公務員が二百十三万八千四百円です。六十七号というのは行政職(一)表の二等級の四号ですから、これまた局長さんもしくは次長さん、あるいは古い課長さん。仮定俸給表六十号、これは課長さんです。管理職。行政(一)表で言えば三等級の五号。これが当時の二万円ベースのときの官職。これが現在、現職
公務員が年間百六十二万四千八百円。これに対して仮定俸給表六十号でいけば百六十四万七百円だ。現職より高い。仮定俸給表の五十号、これは課長補佐だ。ここで四十九年で年間百十五万九千三百円、現職の
公務員は百二十六万六千円。ところが、これが四十号になりますと、当務者で五等級の四号。この方ですと、年間八十一万六百円というのが恩給の仮定俸給表の四十号。これに見合う現職の
公務員というのは九十六万九千六百円。現職の方がはるかに高くなって、やめた人の方がはるかに低くなっている。仮定俸給表の三十号なんかになりますと、四十九年で年間五十七万八百円。ところが現職の
公務員は七十六万三千二百円です。はるかに低くなっている。これじゃ食っていけないのはあたりまえじゃないですか。
こういうふざけたことになっている。これはなぜこうなったかということですが、一律配分の結果です。だから昨年
附帯決議がついている。現職の
公務員については大変な傾斜配分をやっておいて、やめた人間は人形で息の根がとまっているのなら別だ。そうじゃない限りは、いまの世の中で生きられるようにしなければおかしいじゃないですか。しかも恩給局は初めて傾斜配分の要求をした、それを認めない、こうくる。
附帯決議がもうすでに先般ついている。聞くところによれば一昨日、
与党の旗野さんでございましたか、私が常々言うようなことをおっしゃったそうだけれ
ども。これは
人事院一体どうなんですか。研究をしたのだけれ
ども、確たるオーソライズされたものがないとおっしゃる。ないで済みますか一体。
公務員法上明確にあなた方に調査研究の義務があるじゃないですか。生きている方は、こういうふうにどんどん下の方に厚くしていって、やめちゃった方は、食えなくてどうなってもそれは構わぬという思想ですか
人事院は。