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近藤委員 三木総理の一月の施政方針演説の中で総理は、「善隣友好がわが国外交の重要な柱であることは申すまでもありません。特にわが国が米、中、ソという世界政治に重大なる影響力を持つそれら三カ国と近接しているということが、わが国の
立場を特徴づけています。
しかも、この日、米、中、ソの四カ国
関係の中で、日本としては、他の三カ国のすべてと正式な外交
関係に加えて、親善、友好の
関係を持っているということは、きわめて重要なことであります。
この四カ国
関係の動向が、アジア、太平洋
地域の安定と密接に関連しているだけに、こうした重要な
立場にあるわが国が、善隣友好を一層推進することが、アジア、太平洋
地域の安定に貢献するゆえんであると信じます。」こうおっしゃっているわけでありますが、まさにその四カ国が大事な国であって、しかも四カ国ともみんな外交
関係を持っているのは日本しかない、これは私、大変ユニークな
立場であると思いますので、まさにこの日本のユニークな
立場を一〇〇%活用して、そうして中国を説得し、アメリカを説得し、ソ連を説得していく、これがまさに、これからの日本の外交の基本的なあり方、姿勢でなければならない、かように思うわけであります。
特に、まさに日本と一衣帯水の
関係にありますところの中国とは、私は、こういう問題について、いまもお話を承ったわけでありますが、率直な私の
感じでは、まだまだ本当に腹を割って話し合いをしていらっしゃらぬのじゃないか、こういう
感じがするわけであります。日中平和友好条約のねらいは、まさにこの日中
関係に沿うような真の平和と友好の
関係をつくる、こういうことだと思うわけであります。
私は、あえて申し上げますけれ
ども、どうも日中
関係復交二年半の中で、条約だとか協定だとか、そういう
形式的なことが先行して、実質的な
関係がややもすればおくれているのじゃないか。いまさら余り申し上げたくありませんが、日中航空協定にしてみても、先ほ
ども三塚委員の話があったわけでありますが、日航は非常な赤字である——まあ、赤字の原因がすべてここにあるとは思いませんけれ
ども、やはりあの段階で日本の国益を考えたら果たして日中航空協定を、いずれ締結するのはいいわけでありますけれ
ども、あそこで無理して結ぶ必要があったのかどうかということを依然として非常に疑問に思っておりますし、また日中平和友好条約も、八項にあることは私もよくわかっておりますが、しかし、あの協定ができたらまたその次だ、そういうことができなければ日中
関係の本当の話し合いができない、こういうようなものでもないような
感じがする。
私は、最初申しましたが、本来ですと、あの日中共同声明で、
理解の仕方はありますけれ
ども、あれでもういいのだ、それでいいのだということであれば、いろいろなことを言わなくても、日中
関係の具体的な話が進んだと思うのでありますが、たまたま書いてあるものだから、今度は日中友好平和条約が結ばれなければ日中
関係は次の段階に進行できない、しかも、その日中友好平和条約を結ばないならば、これは中国は希望しておるのだけれ
ども、どうも日本の内部でいろいろ国内的な思惑がある、また外国からその他のいろいろな牽制がある、こういうことで日本が結べないのだ、いわば日中間の平和的な友好的な
関係がうまくいかないのは、挙げてかかって日本
政府にある、日本の側にある、こういうような取り上げ方に日本の外交がみずからを追い込んでいくことは、私は賢明なことではないのじゃないかという
感じがするわけであります。
みずからにタイムリミットを課せないで、お互いに日中間の条約は条約として十分議論する、しかも条約がなくてもできることがあるので、条約がなければ朝鮮問題について打ち割った話ができないわけでもなければ、条約がなければ台湾問題について打ち割った話ができないわけでもなければ、条約がなければ核問題について打ち割った話ができないものでもない、だから、どうもくどいようでありますけれ
ども、いまのとらえ方で、これがなければ日中
関係は進歩しない、発展しない、こういうようなプレゼンテーションの仕方が私は非常に問題だと思うわけでありますが、この点について外務大臣の率直な御
意見を承っておきたいと思います。