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1975-06-19 第75回国会 衆議院 逓信委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月十九日(木曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 志賀  節君 理事 羽田  孜君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 阿部喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       小渕 恵三君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    長谷川四郎君       廣瀬 正雄君    村岡 兼造君       金丸 徳重君    平田 藤吉君       大野  潔君    田中 昭二君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         大蔵省理財局次         長       後藤 土男君         郵政政務次官  稲村 利幸君         郵政大臣官房首         席監察官    永末  浩君         郵政省貯金局長 船津  茂君         郵政省人事局長 神山 文男君  委員外出席者         大蔵省銀行局総         務課長     清水  汪君         農林省農林経済         局審議官    齋藤 吉郎君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 六月十九日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第四六号)      ————◇—————
  2. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 これより会議を開きます。  郵便貯金法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ただいま議題となっております郵便貯金法の一部を改正をして、一人の預金者について貸付総額の制限を二十万から三十万に引き上げるというこの内容についてはかねてから私どもも主張したところでございますから、それ自体改正自体に反対するものではありませんけれども、この際郵便貯金のあるべき姿について若干の質問をしたいと思います。  まず、郵便貯金特別会計についてお尋ねいたしますけれども昭和四十九年度決算並びに昭和五十年度決算見通しにおいて郵便貯金特別会計収支は単年度一体どうなっておるか、お伺いしたい。
  4. 船津茂

    船津政府委員 お答えいたします。  郵便貯金特別会計お尋ねの四十九年度と五十年度、五十年度見込み予算でございますが、四十九年度におきましては、いろいろ理由がございますが数字的に六百二十一億円の当年度赤字、五十年度見込みといたしましては九百二十二億円の赤字逆ざやということになろうかと存じます。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まず郵便貯金特別会計昭和四十九年度並びに昭和五十年度が大幅な赤字になるということは、いま御答弁があったわけですけれども、さてその赤字になる理由ですが、まずお伺いしたいのは郵便貯金貸し出し利回りはどのくらいになっておるか。それから預金コストはどうなっておるか。したがって、この貸し出し利回りから預金コストを差し引いたいわゆる利ざやはどういう割合になっておるか。さらに、銀行もいろいろありますが、都市銀行地方銀行信用金庫等民間銀行たくさんありますけれども、一番似通っておる地方銀行と、これらの貸し出し利回り預金コスト等比較してどういう割合になっておるかをお示し願いたい。
  6. 船津茂

    船津政府委員 お尋ね利回りコスト利ざや、四十八年、四十九年、五十年度について数字を申し上げますが、郵便貯金の場合、四十八年度利回り六・四八%、コストが六・三七%で、利ざやが四十八年度は〇・一一%、順ざやといいますか利ざやがあったわけでございます。四十九年度におきましては利回りが六・六五%、コストが七.〇一%でございまして逆ざやになっておりまして、〇・三六%でございます。五十年度見込みといいますか予算上の見込みでございますが、利回りが六・九七%、コストが七.四一%で、逆ざや〇.四四%ということに相なろうかと思います。  また、お尋ねの第二点の、地方銀行とのコスト及び貸し出し利回り比較でございますけれども業務内容郵便局地方銀行は異なりますので、ほぼ同じでございますが、単純に比較するわけにはまいらぬかとも思いますけれども数字的に比較いたしますと、四十九年度地方銀行のものがつかめませんので、四十八年度についてだけ申し上げます。郵便貯金の場合は先ほど申し上げたとおりでございますが、地方銀行預金コストは六・〇八三%。それから地方銀行貸し出し利回りでございますけれども、七・六六七%という数字をつかんであります。利ざやは、それを引きますと一・五八四%の地方銀行利ざやになろうかと思います。四十八年度でございます。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それから店舗の数でございますけれども郵便貯金の場合には郵便局店舗の数になると思いますが、地方銀行店舗の数は全国でどのくらいですか。郵便局はどのくらいでございますか。
  8. 船津茂

    船津政府委員 これまた昭和四十八年度におきまして比較しますと、郵便局局数二万一千十局。地方銀行店舗数は四千六百六十九店。郵便局の数が一万六千ほど多うございます。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そんな膨大な店舗の数を抱えて、貸し出し利回りは低く、預金コストは高くて、したがって利ざやが非常に少なくなって、逆ざやになってくる。こういう状況で、これからの郵便貯金特別会計の運営が成り立つのかどうか。局長、どうお考えですか。
  10. 船津茂

    船津政府委員 先生指摘のように、四十八年度まで郵便貯金特別会計、黒字と申しますか、累積の剰余金もございましたが、四十九、五十、また五十一年度以降も、それに引き続く数年間は相当大幅な赤字が予測されるわけでございますが、この原因、いろいろございますが、くどくど申し上げませんけれども、結論的に申し上げまして、現在郵便貯金の最高の利率は八%でございますが、これと預託利率が八%ということで同率でございまして、利ざやが生めない形となっております。これは沿革的には、いままでずっと四十八年の七月までは〇・五%から一%の預託利率が高くなってまいったわけでございますけれども、これが相同じということで利ざやがかせげないということによりまして、やはり今後は、預金利率支払い利率に見合うと申しますか、それを上回る預託利率というものを求めていかなければいかぬ、そういうふうなものに努力しなければいかぬ。それにあわせまして、もちろん郵便貯金増強事業近代化というものもあわせて行いまして、会計健全化収支相償うようにという努力をしていかなければいかぬと思います。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、向こうにおいでの準備があるのじゃないか思うが、ちょっと聞いてください。  いまお話を申し上げましたように、郵便貯金特別会計昭和四十九年度で六百二十一億の赤字です。昭和五十年度は、見込みですが、九百二十二億。恐らくこれは物価上昇等に伴って予想されるベースアップ等については正確な数字が入っていないのではないか。もしこれが行われれば、私は昭和五十年度郵貯特別会計赤字は一千億をはるかに超すものだと思います。そういう郵便貯金特別会計が大幅な赤字を抱えておる状況にあるのですが、大臣としてはどういう対策をお持ちでございますか。
  12. 村上勇

    村上国務大臣 努力して集めたその金を逆ざやで扱っておったのでは、どういう術を施してもこれはせんすべはないと思うのです。何としてもこれは預託利子というものを採算のとれるようにはするべきだ、かように思っております。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣御案内のように、郵便貯金というのは零細な庶民お金を集めたものでございまして、統計によればほとんど一〇〇%、個人からの預託でございます。しかも、その額は最近二十兆円を超えたと言われておりますけれども、そういう膨大な庶民お金を預って、しかもそのお金国家目的のために資金運用部に回って財政投融資等にも回っておる。私はこの金の使い方が必ずしも妥当かどうか疑問がありますけれども、ともあれ国策の線に沿ってその金が使われておるという点において、利益を追求する民間銀行と非常にその性格を異にしておると思うわけです。  まず第一に、私は預金者利益を守らなければならないと思います。同時に、それを運用する、運用を預っておる郵政大臣としては、この会計が大きな赤字を出すのを黙って見過すわけにはいかないのではないかという気がするわけです。もう少しこの議論を詰めますから、後で大臣に結論を出してもらいたいのですが、いまの二十兆になんなんとする郵便貯金の中で、いま貯金局長からお話のありましたいわゆる定額貯金はその何%ぐらいの割合を占めておりましょうか。
  14. 船津茂

    船津政府委員 郵便貯金現在高は六月三日に二十兆台になりましたのですけれども、五十年二月末現在十九兆千四百五十二億円。この中で定額郵便貯金の占めます割合は七九%でございまして、二月末定額貯金のみの現在高は十五兆七百七億円、こういうふうな数字になっております。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 年々定額貯金の占める割合が大きくなっていっておるわけですね。昭和四十九年度の九月末の統計によると七六・八%。これはおたくから示された資料によって預金総額の中の定額貯金、いわゆる八%の利率を払わなければならない、もちろん三年以上ですが、この預金が実に七六・八%。それが昭和四十九年度年度末で八〇%強になっていますよ。ですから総預金、極端に言えばいまおっしゃったように二十兆円ちょっと切りますが、二十兆円に近い預金の中の八〇%は全然利ざやがなくて、預金コスト郵政省の持ち出しというかっこうで運用されておる。これで郵便貯金特別会計が成り立つ道理がないと私は思うのです。すでに昭和五十年度予算は決まったわけでございますけれども、きょう大蔵省お見えになっておりますか。大蔵省はこういう内容を十分把握しておられますか。
  16. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 郵貯会計からお預けいただきますものが八%でございまして、これが郵貯会計の大宗をなす定額貯金金利と同じである、そのために郵貯会計収支が苦しいという事情は、かねがね郵政省の方からお伺いをいたしております。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵と言えば数字に大体明るいはずでございますが、私の手元にあるこの資料によりますと、昭和四十五年の四月から昭和四十六年の二月までは、この定額貯金の三年以上のものの利率とそれから資金運用部預託をした利率との間には〇・七五%のさやがあったわけですね。それから昭和四十六年の二月から四十七年の八月までは〇・五%の開きがあった。これが郵便貯金特別会計運用する預金コストであり利ざやになってきておったわけでございますが、四十七年の九月から四十八年の四月二十三日、これは〇・七%のさやがあります。ところが、四十八年七月一日以降この八%は、利ざやが全然ないという同じコストになっておるわけですね。これはきのうきょうなったものじゃないのですよ。四十八年の七月から、資金運用部預託をする利率とそれから三年以上の定額貯金郵貯特別会計が支払う利率が同じになっておるのです。そういう経営が成り立つものか成り立たぬものか。大蔵省、一体これはどう考えておりますか。
  18. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 通常企業会計的に考えれば、当然集めた金の金利預託する金利が同じであるということは、いろいろの経営費その他の面が見られないというような状況になるということは、私ども重々承知をしております。ただ資金運用部におきましても、この預託されましたお金を決して利ざやをとって使っておるものではございませんで、八%で預託をしていただきましてまた運用部で貸し出すものも八%でやっております。そういうことでございますので、実は私ども郵貯会計収支につきましては大変心配をいたしておりまして、何とかしなければならないという気持ちは持っておりますけれども、現在の段階におきましてはいわば金利引き下げの傾向もある時期でもございますし、この金利を上げるというわけにもいきません。しかしまた上げませんと、やはり八%以上の金利をもって郵政省の方から預託をいただくということもむずかしいという事情でございます。参考までに、資金運用部の四十九年度収支はわずか三十億程度でございます。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省が扱う場合に、それは八%で預託をされて八%で貸し出したって、あなたのところはほかにこの中からコスト利ざやを生み出して運用せんならぬという理屈は何もないのです。あなた方の給与それ自体が大体国の一般会計で賄われておるわけでしょう。郵便貯金特別会計ですよ。郵貯特別会計はよそから持ってくることができないわけでしょう。その違いは明らかじゃないですか。何もそれを大蔵省が利子取って貸してたまりますか。大蔵省は当然少しぐらい国から補てんをしても安く貸し出すのがあたりまえで、大蔵省に利子取られてたまりますか。全然会計性格が違うんです。郵便貯金特別会計で、その利ざやでもって運用していかなければならないことになっておるわけですよ。それをあなた大蔵省の、一般会計給与まで賄ってもらっておるところと同じ理論で考えられてたまりますか。  大体それでは今日、資金運用部原資の中で郵便貯金は何割ぐらい占めておるのですか。
  20. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 五十年度予算におきましては四一・六%でございます。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 五十年度予算は別にしましょう。四十九年度実績はどうなっていますか。
  22. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 四十九年度実績では残高で五四・八%でございます。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 四十八年度は私手元にあるのですが、ここで五三・六%ですよ。四十九年度はこれを上回っておるわけです。だから、五十年度予算とあなたはおっしゃったけれども、私は当てにしないのですよ。結果的にもっと大きくなるだろうと思うのです。だから私は、五十年度予算についてはあなたのおっしゃることを当てにしないのです。実績でいきますが、四十八年度でも五三・六%、四十九年度は五四%を上回っておる。いわゆる政府のあなたの方の資金運用部原資の半分以上賄っておるのが郵便貯金です。そしてさっきからるる申し上げましたように、その郵便貯金二十兆円の中の約八〇%というものは、大蔵省から返ってくる預託利率預金者に支払う利率が同じなんです。同じ八%なんです。どうしてこれで郵政省郵便貯金特別会計が成り立ちますか。それを、ことしそうなったとか、四十九年の決算の結果そうなったから考えなければならぬでしょう、とおっしゃるのならわかります。四十八年からすでに全然利ざやのないことになっておるのはおわかりでしょう。これをこのまま放置しておいて、しかも五十年度予算を組み立てるという神経は一体どういう神経ですか。国はこれをどう処理するつもりですか。これはいっそ思い切ってこの際、郵便貯金特別会計運用を全部郵政省に任したらどうですか。
  24. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 郵便貯金特別会計赤字につきましては、いろいろの対策もあろうかと思います。特別会計自身のいろいろの合理化その他の問題もございましょうし、また五十一年度予算の際にその赤字の処理という形で検討する方法もございます。また先生指摘のように、運用部預託をしていただきます金利郵貯特別会計金利よりも若干高い数字に置くという方法もございます。従来はその方法で、御指摘のように〇・五%あるいは〇・七%というさやがあったわけでございます。それがいろいろの事情がございましてそのさやがなくなりまして、その点郵政省の苦しい事情も私ども重々承知しておるわけでございますが、そういういろいろの歴史的ないきさつがございまして、いま直ちに直すということは大変むずかしい事情がございますが、今後の預金金利の動きを見ながらいろいろと検討してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、やはり私はこの郵便貯金の場合、基本的には預金者利益を守る立場に立たなければならない。ところが、確かに法律の中にも、一般市中銀行金利等勘案しなければならぬという条文もございます。それも承知をしておりますが、しかし、国家目的のためにいわゆる資金運用部にこれを預託をして運用してもらうために、郵便貯金特別会計が大変な赤字を生んで、そのために預金者に対するサービスは低下をしていく。その現場で働いておる労働者は大変な苦労をせんならぬ。これは私は非常な矛盾だと思うんです。それで私は思い切って、よかれあしかれ自前でやってみる、郵政省自前でやってみる、郵便貯金特別会計自前でやってみる、そういう一つの思い切った施策をとることが、そこで働く労働者のためにも、大切な庶民お金を預けてくださる一般預金者のためにも私は有益なことで、いやしくも零細な庶民金融が国の施策のために利率を押えられてみたり労働者にしわ寄せされることは好ましくないと思うのですが、どうでしょうか。
  26. 村上勇

    村上国務大臣 これは一つ行政機構の大改革でありますから、私の考えで——私はあなたの御意見については十分うなずけ、また納得のできる点がたくさんあります。しかし、これはとにかく政府全体の問題で、また画期的なことでありますから、十分考えさせてもらった上で御返事したいと思います。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣大蔵大臣になるおつもりで予防線をお張りになっちゃいかぬですよ。まあ私は、いまの国家機構の中で、政府の中で、そう簡単にできるものと思いません。思いませんけれども、こういう状態で放置をしておかれたのでは、郵貯特別会計、そこに預託をする預金者、その職場で働く労働者は、これはたまったものじゃないと私は思うんですよ。そういうことを全然考えずに、実に昭和四十八年の七月からすでに三年間も全然利ざやがない状態で、しかも特別会計を押しつけておるわけでしょう。そういう無謀なことが通っちゃ困るとぼくは思うんですよ。いま、大蔵省の方から考えねばならぬ、とこうおっしゃるのですが、考えるとすれば、私は五十年度予算をつくる際に当然考えられてしかるべき問題だったと思うんですが、一体これ貯金局長、これからあなたは郵便貯金特別会計を預かる局長として、この状況をどうなさるおつもりですか。
  28. 船津茂

    船津政府委員 先ほども申し上げましたが、先生指摘のように、四十八年七月の利率引き上げのときに連れ立って預託利率が上がらなかったという事実が、二年間でございますが、いままで続いているわけでございます。今後ともこの逆ざや状況が数年続く見込みでございますので、これを解消するのが至上命題だと考えておりまして、努力の主たる目標は、大蔵省と鋭意折衝しまして預託利率と支払う預金利子との兼ね合い、いままで差があったものをそういう姿にしなければ、おっしゃるとおり利ざやは云々され、また働く人の勤労意欲にも関係するのは仰せのとおりでございます。まずそれが主点でございますが、そのほかにも企業努力と申しますか、郵便貯金の一層の増強によって収益も上がりますので、それに努めます。またこの数年間を目途に、為替貯金事業全体の見直しといいますか体質改善といいますか、近代化機械化に取り組んで、この郵便特別会計面だけではなしに企業内容も対応するものに持っていくのが貯金局長の現在の使命であると考えております。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 今日郵貯特別会計を救っておるのはインフレですよね。インフレで金額が立ち上がってきておるから、これが郵便貯金特別会計を救っておる理由になっておるのですけれども、しかし、いまいろいろお話しがありましたけれども、どう考えてみても郵便貯金の場合の経費率市中銀行に比べて非常に低いのですよ。一体こんな低い経費率郵便貯金がやれる原因はどこにあるとお考えですか。
  30. 船津茂

    船津政府委員 先ほど申し上げました地方銀行との対比におきましても郵便貯金の場合、経費率が低うございますが、二万という店舗で大量に取り扱っておりまして、数年前は相当高かった、余り低くもなかったのですが、そういう意味においてだんだんと改善されてきて経費率が低くなってきたということであろうと思います。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 一店舗当たり預金残高がわかっていましょう。いまあなたは非常に大量の貯金を扱っておるとおっしゃいましたが、一店舗当たりはどうなっておりますか。これも地方銀行郵便局の一店舗当たり残高を知らせてください。
  32. 船津茂

    船津政府委員 二万局の郵便局の一局当たり残高は七億三千万円でございまして、地方銀行四千六百六十九店舗の一店当たり残高と申しますのは五十六億七千万円、こういうふうになっております。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 一店舗当たりから考えても預金残高郵便局の方が非常に少ないわけですよ。そのことは逆に言えば、経費率は高くならなければならぬ、それは当然ですね。ところが、経費率は非常に低く済んでおる。私は、貯金局長は非常に重要なことを忘れておると思うのです。そこで働いておる労働者が非常に大きい犠牲をこうむって働いておるんだということをあなたは明確に答弁すべきだと思うのですが、どうですか。
  34. 船津茂

    船津政府委員 仰せのとおり為替貯金事業に従事する従事員、非常に良質でございまして、数字にもあらわれますように、営々として勤労していただいているおかげだ、こういうふうに考えております。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、ここは大事なところですが、同じ貯金を扱って、しかも片方は庶民の零細な預金を扱って、集まったお金は国の政策に使われておる。非常に大切な仕事をしておるわけです。その郵便局貯金従業員市中銀行従業員処遇。まず一般的に言って、高校を出る、大学を出て銀行に入るか郵便局に入るかと言ったら、どっちに入ると思いますか。大臣、どっちを希望すると思いますか。
  36. 村上勇

    村上国務大臣 これはそれぞれ人によって違います。(阿部(未)委員「そんなことはない。はっきり言いなさいよ、あなた」と呼ぶ)それは、私なら郵便局の方へ入ります。(笑声)
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、ぼくは常識的に聞いたのです。大臣個人はどうお考えか知りません。社会的な風潮として、高校を出て銀行を希望する人が多いだろうか、郵便局を希望する人が多いだろうか。大臣個人考えじゃなくて、社会的な風潮をどうとらえておられますか。
  38. 村上勇

    村上国務大臣 それはやはり銀行に入る方が多いと思います。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうでしょう。余り無理な答弁をなさっちゃいけませんよ。大臣もおっしゃいましたように、個人的なお考えはともかくとして、社会的な風潮として銀行の方を希望する。しかしその内容考えれば、郵便局の方がはるかに、国家的な見地からもあるいは社会的な、いわゆる庶民の零細なお金を扱うという見地からも、大切な仕事をしていると理解すべきではないか。にもかかわらず銀行を希望するというのは何か。処遇が違うのです。銀行の方がはるかに処遇がいいのです。だから市中銀行を希望する。  そこで私はあえて貯金局長に、一体何が郵便貯金特別会計経費率を低く押さえておるかというと、この人件費にしわ寄せされるということになる。もちろん郵便局の場合には他の部門があります。郵便があり保険があり、そういうところとの比較があるから貯金だけを特に悪くしておりません、こう貯金局長は言いたいと思うのですけれども、私は、産業別にながめてみた場合には、金融金融としての給与というものがなければならない、そういう考えになるわけです。しかしこれまた、いま直ちに郵便局の中で貯金だけを特別な給与体系にするというわけにはまいらぬでしょう。けれども、そこに大きいしわ寄せがあって経費率が非常に低く押さえられておることについて少なくとも幹部は理解をし、それが少しでもよくなるような努力を払うべきではないか、こう思うのですが、この点は大臣どうでしょうか。
  40. 村上勇

    村上国務大臣 その点は同感です。私の知っている範囲の外督責ですか、非常にまじめにりっぱに、しかも涙ぐましい努力をしておることもよく承知をしておりますだけに、御意見のとおりであります。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこでまず郵政省の方からお伺いしますが、郵貯特別会計運用に当たって、基本的には定額貯金の三年以上の利率資金運用部預託をする預託利率との利ざやは大体どのくらいあるのが運用上妥当だとお考えですか。さっきちなみに申し上げましたが、いままでの実績からいくと一%という時期がちょっとありましたね。それ以外は〇・七なり〇・五、〇・七五、こういう時期が長かったようでございますが、昭和四十八年の七月以降は全然利ざやがない。こういう傾向になっていますが、本来あるべき姿として、今日預金量が相当ふえていますから必ずしも一%という数字は必要じゃないと思いますけれども、大体何%ぐらいの利ざやがあれば郵貯特別会計はやれるとお考えでしょうか、まず貯金局長
  42. 船津茂

    船津政府委員 最高の郵便貯金利率預託利率とがいま一致しておりますが、その沿革的に開いておったのが四十八年七月まででございますが、預金量もふえておりますし、おっしゃるとおりに一%などということはもちろん望むべくもございませんが、仮にいまこの段階で〇・五%上げまして、いろいろ数字的なあれはございましょうが、簡単にはじきましても、〇・五%の開きをもし得たといたしましても、五十一年度にはまだ赤字だ。ですから、もちろん五十一年度赤字でも、会計年度は年々長期的に見なければいけませんので、直ちに黒字に一いろいろの条件はございますけれども、黒字化が早く来るのではなかろうかということでございます。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは、普通預金もありますから、必ずしも私は郵便貯金の全部が定額になるとは思いません。しかし、郵便貯金全体の中で定額がふえていくのは、これはまだもう少しふえると思うのです。それは庶民預金というのが、少しでも利率のいいところ、それから定額にする以上は三年以上しておきたい。それはあの預金利率を見ればわかるように、三年以下の場合には郵便貯金にするよりも銀行貯金した方が利率が高くなるのです。したがって、郵便局の定額にするというのは、少なくとも三年以上しておきたいという期待を持ってこれは預けているのだから、だからこれは大体八%の利子を払わなければならない預金がまだまだ非常にふえてくるし、八%の分野が広くなってくることは間違いないと思うわけですよ。そういうことを見越してみて、いま貯金局長は〇・五の利ざやがあれば大体いけるのではなかろうかというお話があったわけですね、ことしは赤字でも、長期的に見れば何とかやれるのではないかと。  大蔵省、〇・五くらいの利ざやが常に出るような運用資金運用部からの預託率が返せるかどうか。どうですか。
  44. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 先ほども申し上げましたように、郵貯特別会計赤字の問題は、いろいろの方面から検討して改善をする方法があろうかと思います。その一つ方法として、運用部預託をいただきます金利を上げるということも提案いただいたわけでございまして、私どもも今後の金利の動きによっていろいろ検討してみたいという気持ちは持っておりますけれども、これはどれくらいがよろしいかとかあるいは必ず上げるかとかいう問題は、今後いろいろと預金金利の動きもございますので、そういう点を見ながら考えていきたいということでございまして、現在この段階で幾ら上げますというようなことはとても申せませんのでお許しいただきたいと思うのでございます。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 かつて郵便貯金資金運用部から六%をもらっておって、そして大変な赤字を生んだことがあるのですよ。そして、たしか借り入れていたのを棒引きにしまして、〇・六五%にして、郵便貯金はこれ以後はこれで自前でやりなさいよと大蔵省が強く要請をした時期があったはずですよ。ところが今日、先ほどから私がるる申し上げますように、この八%の預託利率というのはおそらく私は国策だと思うのですよ。これ以上上げることは一般市中銀行利率等に大きい影響を与えるということで私は抑えているのだとは思いますけれども、しかし、かつて郵便貯金特別会計赤字が出たときには、大蔵省はきわめて厳しい態度で臨んだことを私は記憶しているわけですけれども、そこで、昭和四十九年度なり昭和五十年度の単年度の郵貯特会の赤字の処理は別にして、あるべき姿として郵便貯金特別会計というものをずっとこのまま推し進めていくという政府施策がある限りにおいては、やはりいま貯金局長からお話しがありましたように、いつそれをどうするかは別にして、おおむね〇・五%くらいの利ざやがなければやっていけないのだということについて了解ができるかどうかです。
  46. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 〇・五%の利ざやが必ず必要かどうかという点でございますが、これはやはり郵貯会計のいろいろな収支その他を検討してみないと、私この場でもってこれが適当な数字かどうか、ちょっと判断いたしかねるのでございます。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 くどくなりますけれども昭和四十八年七月から利ざやのない状況運用されているのですよ。だから、私が言っているように、きのうきょうこうなったのなら私はこんなにくどくは申し上げません。少なくとも二年間利ざやのない状態郵貯特別会計運用させておって、今日なおもっと検討してみなければわかりませんなどと言うのは——これはまず一つずつ聞きましょう。五十年度の、それでは郵貯特別会計赤字は一体どう処理をなさいますか。私はきのう明確に大蔵省に言ってあります。ぼくの質問に答弁できる人間をよこしてください。大蔵大臣と言ったら、大臣はいろいろ酒、たばこもあって出られないと言うから、責任もって回答のできる人に出てもらえば係長でも結構ですと私はきのう申し上げておきましたから、そこでまず昭和五十年度、おそらく一千億を超すでしょう。  ちなみに大蔵省、言っておきますが、あなた方は大きい金を扱っているから気がつかないかもわかりませんが、郵政事業特別会計昭和四十九年度千三百億の赤字でいま大変な大騒動しているのですよ。御承知でしょう。ところが、いわばその本流である郵政事業特別会計の千三百億の赤字で大騒動しているときに、支流であるといいますか、この貯金特別会計がおそらく千三百億に近い赤字になると思うのですが、その方はあなたの方はけろっとしているのです。何とかなるでしょうなんか言って。一体、どうしますか。まず五十年度赤字の解決をどうするか。五十一年度以降はどうするか。一つ一つ明確に答えてください。
  48. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 五十年度赤字は、従来〇・五%あるいは〇・七%の利ざやがございました、そこで利益の積み立てがございまして、その辺である程度カバーをしていけるのではないかと考えているわけでございます。もちろん今後の預金金利のふえ方その他の関係がございますので、数字的にはっきりしたことはこの場では申し上げかねますけれども、ある程度はカバーできるのではないか。さらに、五十一年度の問題が起こるというふうに承知しております。しかしながら、そのためにことしどれくらい上げてその赤字をカバーする対策をとるかということにつきましては、郵政省の方の御要望もいろいろ伺っておりますし、現在この場でも御要望も承っております。先生の御趣旨も一お伺いいたしました。いろいろと今後検討させていただきたいと思いますが、この場ではっきりこういうふうに上げるからということは直ちには申しかねる事情でございます。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あなたがそう言うだろうと思って、ぼくはわざわざこの前の六%から六・五%に引き上げたときの処理の模様をさっき申し上げたのです。そのときは郵便貯金特別会計赤字をつくったということで、大変大蔵省のけんまくが激しいものがあったのですよ、私の知る限りでは。今度はどうですか。一生懸命努力して、幾らか黒字が残っている、そこでことし赤字が出ても前の残った黒字でおまえのところは消しておけ、こういう言い方でしょう。この黒字はぼくはそういう性格のものではないと思うのですよ。これは本来預金者に何らかの方法で還元すべき黒字であって、たまたま郵便貯金特別会計努力の結果黒字があったからといって、いま申し上げましたような不合理な利率の中で生じた赤字をこの黒字で埋め合わせろというような理屈はぼくは成り立たぬと思うのですよ。単年度においてちゃんと赤字赤字のように処理すべきだと私は思うのですよ。それをたまたま黒字がある——仮に黒字があったとしても、いまの計算で見込まれるのは二百二十二億ですね、二百二十二億の繰り越しの黒字があったとしても、さっきから申し上げる物価の上昇もありましょう、さらに賃金のベースアップも行われます。そうなりますと、この黒字というのは昭和五十年度でこれが赤字に変わるおそれがあるということになってくると思うのですが、しかし、私はそういう理屈じゃなくて、そういう理論ではなくて、いままで営々として黒字を残してきた郵貯特別会計のこの黒字というものは、何らかの形で預金者保護、預金者のために回されるべきであるし、ましてや、私はあとで聞こうと思っておりますが、インフレの中でせっかく預金をして目減りをした諸君にこの黒字をもって対策を立てるべきであって、この黒字があることを奇貨として無謀な運営を押しつけることは許されない、こう思うのです。その物の考え方はどうですか、大蔵省
  50. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 これはなかなか大変むずかしい問題でございますが、私どもといたしましては、やはり一つ企業会計の原則といたしまして、過去に累積の積み立てがあり、これがどのような性格か、先生指摘のような事情もあろうと思います。けれども、そういうものがあり、それを踏まえて今後の黒字の収支の計算をしていくのが私どもの立場としては筋ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省のお考え大変よくわかりました。  そこで大蔵省にもう一つお伺いしておきますが、市中銀行もこの期間に非常に膨大なもうけをしまして、黒字を抱えております。こういうインフレ庶民が大変悩んでおるときでございますから、市中銀行の黒字もこの際全部吐き出していただいて、預金者に還元をして、目減り対策を立ててもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  52. 清水汪

    ○清水説明員 民間金融機関の利益状況につきましては、期によりまして多少の変動はございますが、概して堅実な状態で推移しております。これにつきましては、いろいろの要因があるかと思いますが、特に四十九年度、上期、下期と多少様相が違っておりますが、四十九年度について考えてみますと、貸出金利の引き上げの効果の方がどうしても早く出てまいります。そうして、預金金利の引き上げの方の効果が出るのには時間がかかるという性格がございます。そういう関係が主として働きまして、ことに四十九年度の九月期決算昨年の九月期決算は、増益率が高く出た事実がございます。しかしながら、ただいま申し上げましたような要因の結果といたしまして、この三月期決算は、どちらかというと、利益状況は全体で見まして横ばいないし減益の状態になっております。今後さらに現在の期、ことしの九月期あるいは来年の三月期に向かってその点を考えてみますと、これはむしろはっきり減益であるということはもう明らかだと思います。ことに貸出金利の方はすでに現実に引き下げの過程に入っておりますので、かなり経営環境は厳しいものになるだろう、こう思っております。  もう一つは、これはぜひ御理解をいただきたい点でございますが、四十七年の三月以降、実は銀行決算に際しまして貸し倒れ引当金というようなものの経理の仕方が変わってきております。これは、法人税法施行令の改正によりまして、貸し倒れ引当金の積立限度率、つまり損金で許容される限度率、これは洗いがえの限度率ですけれども、この限度率が逐次引き下げられてきております。ということは、実質的に増税ということになっておるわけでございますが、銀行決算をいたします際には、その基準が変わりますことによって、営業活動の実態は変わらなくても計算上の利益が多く出ることになります。そういうことが影響をしておりまして、この点が実はこの数期間における銀行の表面上の増益のむしろ半分ぐらいの要因を占めておるという実態もあろうかと思います。  そういうことでございますが、私どもとしましては、預金者の立場につきましては、やはり最優先的に考えていかなければならないと思っております。したがいまして、そうした考え方に基づいて、たとえば去年の九月におきましても、預金金利の引き上げを図ったというようなことでございますし、現在の貸出金利の引き下げ過程の中におきましても、なおこの問題は慎重に考えていきたい、このような意味で預金者の立場に配意してまいりたい、かように考えております。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、何も市中銀行経営状況内容を聞こうと思ったのではないのです。ただ、郵政省の黒字があるとおっしゃったけれども郵貯特別会計の黒字といえども、何年かかかって営々と残してきた黒字なんですよ。これは大体昭和四十八年度年度末で千七百三十五億という黒字が残った。ところが、昭和四十九年度郵貯特別会計赤字が六百二十一億で、ここで食われて、あと千百十四億残っておる。そして昭和五十年には、恐らくこれはぼくは全部食われてしまうだろうと思うのですが、これは営々として積み立ててきた黒字なんです。この黒字がいまのような無謀な運営のために食われてしまっておる。これも国策上やむを得ないとおっしゃるのならば、いままで市中銀行がこの数年間の間に蓄えてきた膨大な利益を目減り対策に吐き出させなさい、こうぼくは聞いておるのです。そういうことは実際問題として不可能でしょう、やれといっても。市中銀行にできないものを、郵便貯金は黒字があるからこれを吐き出しなさいと言うのは不合理じゃないですかと言うのです。  非常に端的な例を私は申し上げましょう。同じ貯金を集めにいく、預金をしてもらうのに勧誘に行っても、郵便貯金の場合にはこういうふうに国から管理をされて、たとえば手みやげを持って貯金を頼みに行く場合でも、持っていく品物が違うのですよ。市中銀行の場合は、大きくなればテレビだとかステレオを持って預金の勧誘に行くほどの余裕がある。郵便貯金の場合は、こんなに苦しいからタオル一筋持っていったりしなければならない。この差が明確に出ておるのです。しかも、集めた金は何に使われているか、もう申し上げませんが、郵便貯金の場合は明確に国家の政策を進めるために使われておる。市中銀行の場合には、利益を追求するためにしか使われていないじゃないですか。その大きい目的の違い、そういうものを抜きにして、たまたま郵便貯金が何年間かかかってここに黒字があるからといって、無謀な運営を押しつけてこれでよろしいのだという理屈は成り立たない。黒字があるからいいじゃないかとおっしゃるからぼくはあえて言うのですよ。そういうものじゃないと思う。この黒字は、たとえば募集に行く人たちが勧誘に行くのに、ステレオを持っていけとはぼくは言いませんが、せめてもう少し喜んでもらえるようなものを持っていくくらいの余裕はあっていいと思うのですよ。そういうものを食いつぶしていけとあなた方は言っているのですよ。そうでしょうが。そこにあなた方の民間銀行に対する感覚と郵便貯金特別会計に対する感覚が大蔵省は全然なっていないとぼくは思うのですよ。  時間がなくなりましたから、そこで、この点については大蔵省にも強く要請しておきますし、大臣貯金局長にもお願いしておきますが、こういう状況で推移したら、これは単に郵便貯金特別会計が大変なことになるだけでなく、預金者に対しても大変なマイナスになると思うのです。そういう意味で、十分ひとつ大蔵と協議をして——せっかく大蔵も協議をしたいという意向のようでございますから。黒字があるからいいのだという理屈は成り立たない。これは本来郵便貯金預金者に還元さるべき筋のものであって、少なくとも単年度ごとに赤字が出ないような運用をしなければならない。その方策について大蔵省郵貯特別会計の間で十分な話し合いが行われるように期待をします。いいですか、大蔵省は。一言答えてください。
  54. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 先生のただいまの御発言の趣旨はよく私どもも理解いたしました。かねがね郵政省からもいろいろのお申し越しもございます。そういう点を受けまして、いろいろと検討いたしていきたいと思っております。ただ、役人根性でまことに申しわけございませんが、ただいまこの場でいろいろのお約束まではいたしかねるという事情でございますので、お許しいただきたいと思います。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大変それでは御苦労でございました。  次にお伺いしたいのですが、福祉預金が今度六月二十三日の予定でございますかで何かつくられると聞いておりますが、これはまた一つ大蔵省全体もありますけれども、郵貯としてはどういう形の福祉預金を想定されておりますか。
  56. 船津茂

    船津政府委員 いわゆる福祉郵便貯金でございますが、その内容につきましては、老齢福祉年金等の受給者、経済的、社会的に弱い立場にある方方、五百二、三十万ですかの方々の貯金を優遇といいますか、ちょっと言葉は悪いですが、優遇するために、一年の定期郵便貯金利率を、一年定期郵便貯金の現在の利率は七・五%でございますが、これを一〇%に引き上げます。しかし、無制限に預金していただくということじゃなくて、預金者一人当たりの限度を五十万に限りまして、おっしゃるように六月二十三日からことしいっぱ取り扱いをしたいということで内容考えておりまして、すでに五日の日の郵政審議会の御答申も得ておりまして、そういうふうな形で行いたい、こういうふうに思っております。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は二、三点疑問があるのですが、まず五十万に限りということですけれども、これは貯金法の七条ですか、郵便貯金の種類がございますね、その郵便貯金の種類の中ではどういう種類に入るのでございましょうか。
  58. 船津茂

    船津政府委員 郵便貯金には御存じのように通常貯金、積み立て貯金定額貯金とありますが、定期貯金という一年制のものが創設されてもう十年近くなります。その定期郵便貯金に特別の利率を付与するというものでございます。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 二点目に、五十万というのはどういう根拠ですか。
  60. 船津茂

    船津政府委員 先生から先ほど来言われております、私も御答弁申し上げておりますとおり、郵便貯金特別会計にもし潤沢な黒字がございますならばそういうふうな五十万も百万というような限度も考えられますけれども、想定されます利用度にもよりますけれども、一年制の特利一〇%の定期郵便貯金に相当利用が来ますと、利子負担増というものもございますし、そういうことからひとまず五十万という限度を設けたわけでございます。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 住宅貯金をつくったときは、五十万というのは総額制限の三百万の特例として法定してありますね。今度のこの五十万は法定されてないのですね。貯金法によると大体住宅貯金を除いては三百万まで貯金ができるようになっておるようでございますが、これを五十万で抑えるという根拠はありますか。
  62. 船津茂

    船津政府委員 一〇%の利率がついたものは五十万でございますが、そのほかにもし御余裕があれば二百五十万までいずれかの種類の郵便貯金を御利用願えるわけでございます。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その一〇%の利子のつく貯金を五十万以上してはならないという理屈が私はわからない。三百万まではできるはずですよ。なぜ五十万でとめるのですか。三百万までできるじゃありませんか。法律でそう決まっております。
  64. 船津茂

    船津政府委員 いわゆる福祉郵便定期貯金は、物価上昇下におきますところの弱い立場にあられる老齢福祉年金等の受給者を一時的、特例的に、言葉はあれですが、優遇しようという意図に出たものでございますので五十万ということでございますが、これを三百万まで一〇%、やればできるじゃないかと言われても、物すごい利子負担増になりまして、郵便特別会計を預かる者といたしましてはやはり五十万程度が民間とのにらみ合わせもございまして妥当ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 住宅貯金を除いては三百万までは貯金ができるのですよ。法律でそう決まっておるのです。その定額貯金の利子でしょう、定額貯金の利子は別に定めるのですが。五十万までの福祉預金という法定事項があるならばそれはやむを得ぬです。法定事項をつくるならばやむを得ぬです。つくらぬ限り三百万まで貯金はできるのです、定額貯金はちゃんと。そのうちの五十万までしか一〇%をつけませんという理屈がどこに出るのかということです。五十万までしか一〇%の利子をつけないとするならば、これは法定事項でこういうものをつくらなければおかしいじゃないか。法定で福祉貯金というものをつくって、これは一〇%の利子をつけますが、これこれの期間でこういうものでございますというのが法定されなければ、現行の貯金の総額制限の三百万というものがある限り、そのうちの五十万だけを別扱いにするというのはおかしいじゃないですか。これはぼくは明らかに法定すべきだと思うのですが、いかがですか。
  66. 船津茂

    船津政府委員 言葉じりでございますが、先生定額貯金とおっしゃいましたが、これは定期貯金でございます。法定すべきかすべからざるかといいますか、そういう問題、いろいろ関係の向きと一応の意見その他詰めてみまして、これは政令でそういうふうな一時的な特利をつけた定期郵便貯金、対象を限りますけれども、これまた郵便貯金法の公平の原則にももとらないということで、一時的、特例的に、先ほどから何遍も申し上げますが、そういう方々のために措置するという性質のもので、政令で行いたいと思います。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうも便宜主義に走っているような気がするから私は心配しているわけです。何もかも政令でやろうとする傾向が強くなってきておるから心配するのですが、具体的に該当者が六十万円貯金したいというのを受け付けぬわけにいかぬのですよ。一枚の証書で六十万の定期貯金をしたいと来るでしょう。そのときは郵便局としては六十万の定期貯金をしてあげないわけにいかぬですよ。そうすると、一枚の証書、六十万の証書について、五十万までは適用される、あとの十万はそうではございません、そういう利子計算をしなければならぬことになりますね。そうなさるわけですか。
  68. 船津茂

    船津政府委員 さようでございます。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると預金者にとっては非常に不都合だと思うのです。預金者は一〇%利子のつくものは五十万までしかできない、百万しても三百万しても同じですね。そのときに、仮に預入に来て、そして窓口で二百万この預金をしますと言いますね、この貯金を二百万したい、そうするとあなたの方は二百万の証書を切らなければならぬ。そのうちの五十万だけがこの適用を受ける、こういうことになるわけですか。
  70. 船津茂

    船津政府委員 御設問の仮に二百万といたしますと、五十万の定期郵便貯金証書と百五十万の証書を作成してお手渡しして、その五十万のやつを御希望により一〇%、六月二十三日からことしいっぱいに預かるならばつけましょうという証書になろうかと思うのです。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 恐らくそう答弁するだろうと思ったのです。切りのいいときはそれでいいかもわかりませんが、さっき言った六十万というのを、私は六十万一枚ほしい、こう来るのです。そうするとあなたは六十万貯金できませんとは言えぬでしょう。こちらの方の都合であなたは十万と五十万にしますと言ったって私は六十万の証書がほしいと言われたら、法定上三百万まで定期預金ができるわけですから、六十万の証書を郵便局は渡さざるる得ぬはずです。そのときに、その処理は、十万と五十万を貯金局で別々にして処理をなさるのですか。
  72. 船津茂

    船津政府委員 窓口で受け付けますときに、老齢福祉年金その他の方々がおいでになるならば、言葉はあれでございますが、種々懇示しまして、五十万と十万に分けて五十万のやつは一〇%の利子がつく、こっちは七・五%ですという証書でお渡しする以外にないと思います。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこに無理があるわけですよ。なぜ法定しないか。法定しておけばその必要はないわけです。福祉貯金というのは五十万しかできない預金です、そのかわりこれこれの期間に預けたものについて一〇%の利子がつくものでございますという法定がされておれば、これは住宅貯金と同じようにぴしっといけるわけです。それを法定をしないで政令でやろうとするから、窓口で懇示をして五十万と十万の証書をつくらなければならぬというふうな取り扱いになってくるはずなんです。そうでしょう。だから私はどうも法定しなかったことに——いまの郵貯特別会計の内情から、利子負担その他を考えて、一般銀行との関係もありましょうから、五十万というのが好ましいことではないけれどもやむを得ぬとしても、それを法定しないで政令でやろうとするあなた方の考えに無理がありはせぬかということを聞いているのです。
  74. 船津茂

    船津政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、法律事項であるかどうかいろいろ詰めてみましたが、政令で行えるというめどが立ちましたので、政令でこれをやろうとするものでございます。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 政令でやろうとしておるのはわかっておるのですよ。そうなっていることはわかっているけれども、なぜ法定しないか。法定した方が無理がないではないか。政令でやろうとするから無理があるのではないかと私は言っておるのです。まあそれはいいです、あなた方それでやるのでしょうから。が、これからは安易に政令に流れるというものの考え方はひとつやめて、法定すべきものは明確に法定しておくべきだ、このことを私は言っておきます。だからといって何でもすべて法律にせよと言うのではありませんが、本来法定すべきものは法定した方が正しいですよということを申し上げておるのです。  その次に、少しへ理屈にわたりますけれども、先ほど貯金局長いみじくもおっしゃいましたが、弱者という言葉が適当かどうかは別にして、そういう人たちの救済という意味もあるとおっしゃいましたが、貯金法第一条で「貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、」この「あまねく公平」というのはどういうことになりますか。
  76. 船津茂

    船津政府委員 先生のおっしゃるところの意味をそんたくしてお答えすると思いますが、あまねく公平というものを私の方もこれまたしかるべきところの意見を徴しまして詰めました結果でございますが、表面的には機会的公平ということでもあろうかと思いますけれども、実質的な公平、公正、こういうものを目ざすという意味においては、その第一条の趣旨にも、こういう制度がもし発足するならば、もとらないだろうという見解に到達しております。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私はこの制度が悪いと言うんじゃないのですよ。しかし、貯金法の一条で言う「あまねく公平」とは一体どういうことかとなると、いい意味にせよ悪い意味にせよ、これはあまねく公平ではないではないかと言えると思うのですよ。いい意味だからいいではないかと、そうはならぬのじゃないでしょうか。いい意味で利用されたにせよ悪い意味で利用されたにせよ、あまねく公平という言葉からするならば、こういう特別な人たちだけに特別な措置をするということが貯金法一条の精神にはもとっていないだろうかということをお伺いしているのです。
  78. 船津茂

    船津政府委員 いま答弁申し上げましたとおりに、間然するところなく一刀両断的な解釈はできないと思いますけれども、実質的な公正感、公平感というものを満たす一つの制度ではなかろうかということで、一条の精神に精神的には違背しないという見解でおります。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は疑いがあると思いますが、悪い制度ではないから、この際これ以上追及しませんけれども、そこで、これを実施しまして一体郵貯にどのくらいこれが預入されるだろうか。そのために一〇%で、これは明らかに八%しかもらわないわけですから、今度は二%の逆ざやです。利子の逆ざやになるわけですよ。逆ざやになりますが、どのくらいの預入があって、この一年間にどのくらいこの貯金事業特別会計のこのための赤字が出るだろうかということをちょっと……。
  80. 船津茂

    船津政府委員 この制度が発足した場合のほぼ半年間の預金者の方の利用のしぐあいでございますが、なかなか予測するに困難でございますが、一つの試算といたしましては、先ほど申し上げました対象になられる五百三十万の方の、現在国民の総世帯の六〇%が郵便貯金の利用者であられますので六〇%を掛けまして、最高五十万というのですが、フルに五十万までじゃなくてまあ腰だめでございますけれども、半分とりまして二十五万、大体八千億ぐらいの半年間に預金が、この一年定期一〇%預金があるとしますと、七・五%の現行利率と一〇%との二・五%の利差が八千億に対しましては二百億。利子負担増、純粋に二百億。それにいろいろな事務費、経費その他ありますので、二百数十億というふうなことに相なろうかと思います。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 農林省、お見えでしょうか。実は農協の方からも大変な陳情を受けて、農協としてもこの預金をやらざるを得ない。ところが、この農協の場合も一本来利益を追求する団体でないわけでございますので、ちょうど郵政省と同じようにそうたくさん蓄えてうんと持っておるわけでもないので、これをやるとかなり農協にも預金が集中するのではないか、この利子補給は大変なことだという陳情を受けておるのですが、農林省、どうお考えですか。
  82. 齋藤吉郎

    ○齋藤説明員 ただいま先生お話にございましたように、この新しい制度を導入いたしますと、御案内のとおり農林関係と申しますか、農漁協につきましては大変個人預金、これがほとんど一〇〇%近い。さらに加えまして重点的になるかと思われます老人の方々、七十歳以上の老人の方々の農山漁村の世帯に占めます比率というようなことを考えますと、一般世帯の倍くらいの勘定になるのではないかということで、これをやりますと相当の影響が起こるのではないかということは想像にかたくないわけでございますが、何分とも最初のことでございまして、これを実施した影響というものを想定することが現在はなはだ困難であるということでございまして、各種団体からの陳情はございますが、現在のところこれに直接的な見当がつきませんので、しかも、これは一応制度といたしましては自主的に金融機関が責任において実施をするというたてまえになっておりますので、現在のところは特段のことを考えてはいないわけでございますが、なお推移をながめてまいりたいというのが現在のところでございます。
  83. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省にお伺いしますが、これは国策としておやりになるわけですね。明らかに国策としておやりになる。いま農協とか郵便貯金特別会計とかいうふうなものは、先ほどからるる説明してきましたように、利益を追求する団体でないから、いままでにそういう余分の蓄えがあろう道理がないわけですよ。それを国策としてやれ、明らかに逆ざや運用をやれと国が要請をするわけでございますから、それはやりたくなければやらぬでいいぞとおっしゃるかもわかりませんけれども、しかしこれは国策でやる以上、やはり郵便局や農協はやらないわけにいかぬでしょう、率直に言って。そうなればせめてその金利程度のものでも大蔵省の方でいろいろ検討はできないものかどうか。この点はどうですかね。
  84. 清水汪

    ○清水説明員 ただいまのお尋ねが財政資金で云々ということでございます。したがいまして、いま銀行局の立場で直接お答えするのはいかがかと思いますが、その前に、今回民間金融機関におきましてこういうものをやることになったことにつきましては、御案内のように非常に長い間の議論と経緯がございまして、そうして民間金融機関の立場から何らかその社会の要請にこたえなければならないということから発意として出てきた提案であるわけです。したがいまして、その企業努力の中でできる範囲のことをやるということが一つの前提かと思いますし、そういうこととの兼ね合いで先低どの五十万円という限度の問題もあるわけでございますし、あるいは対象を五百三十万人程度にしぼらざるを得ないという事情もあったかと思います。したがいまして、私どもとしましては、やはりこの問題は今後さらにそれぞれの機関で、まあいろいろ格差がございますので事情は違いますけれども、とりあえず自己努力で対処していただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  85. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから民間金融機関の場合には、いままで率直に言って相当の蓄えができておる、これは私はそう思うんですよ。しかし郵貯特別会計とか農協とかいう場合には、そういう持ち出す原資はないわけですよ。ないならやらぬでいいと、あなたのお話はそういうことですよ。民間金融機関が自発的にやることなんだから余裕がないところはやらぬでも構わないんだというお話のようですけれども、そうはいかぬでしょう。特に郵便貯金の場合なんか、郵便貯金がやらなければこの目的は半減すると思うのですよ。それほど重要な役割りを果たすだろうと思うのです。なぜならば、老齢福祉年金とかいうものはみんな郵便局の窓口に取りに来る、そこで預けるだろうと思うから、これは郵便局は手をこまねいておるわけにいかぬだろうと思うのです。しかし、やればやるほどこれは明らかに逆ざやですよ。多ければ多いほど逆ざやです。そこで、蓄えがあるからとかまあ余裕の中からとか言ったって、これは郵政省の場合、郵便貯金の場合、どうしようもない。農協の場合もどうしようもない。そこで、そういうないところについては——ないところについてはと言うとおかしいが、本来の経営内容としてあり得ないところ、そういうところについては、私はやはり大蔵省の方で相当の手当てをすべきではないか。国が施策としておやりになる以上は相当の手当てをすべきではないかというふうに考えます。恐らく銀行局長銀行の方の立場で物をおっしゃっておると思うのですが、ぼくは銀行経営内容は余り興味もありませんからことさら聞こうと思いませんが、これは常識的に考えて、金融機関が今日膨大な利益を上げておることは、これは常識ですからね。そのことを、ここ半期、一年がどうだということは、これはどうでも構いませんよ。ただ実際やらなければならない、やれば赤字が出るというこの農協と郵便局については、国の施策としてやる以上は考えるべきだ、それともやらぬでいいからやるなとおっしゃるか。二者択一。ちょっと答弁してください。
  86. 清水汪

    ○清水説明員 大変むずかしいお尋ねでございます。私どもの立場からは民間金融機関のことについて申し上げるのが精いっぱいでございます。したがいまして、ただいまのお尋ね、二者択一という点につきまして、もちろん私ども民間金融機関の行政をやっております立場からも、民間でこういうものをやった場合に、郵便貯金もおやりになるだろう、おやりになる必要はございませんというようなことを言うべき立場にはございません。ございませんけれども郵便貯金自体でどうなるかという点につきましては、大変恐縮でございますが、私ど直接お答えする立場にございませんので、御了承いただきたいと思います。
  87. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 銀行局長ではそうでしょう。恐らく、だから私が申し上げたように、やれるところはおやりなさい、やれぬところはやらぬでいいですよというのが大蔵省の言い分だと思うのです。しかし、今日まで国民の負託にこたえて運営をしてきた郵貯が、この際これをやらぬでいいというわけには私はまいらないだろうと思います。だから、あとはひとつ大蔵省の方と、どうせ赤字が出るのだから、一応農協の問題も含めて、ひとつ大蔵省も十分検討してみてください。もう私時間がなくなりますから、あと聞かなければなりませんので、それをお願いして次に移ります。  大臣、ことしは国際婦人年でございまして、婦人の地位の向上については本院においても可決をするという、日本の国民にとっては婦人に対する重要なあれがあるわけですけれども貯金局には非常に婦人従業員が多いわけでございますが、貯金局における婦人と男子の構成の割合、婦人と男子の平均年齢、そして婦人の役付、各役ごとにどういう役についておるか、婦人の地位がどうなっておるか聞きたいので、これは大臣でなくていいですよ、貯金局長で結構ですが、それをちょっと、もう時間がありませんので、大至急答えてください。
  88. 船津茂

    船津政府委員 お尋ねの地方貯金局の男女構成比、年齢申し上げます。  男八千三百二十七名、女七千六百八十五名、計一万六千十二名、大体半々でございますが、平均年齢は男が四十二歳、女が三十八歳、合わせますと四十一歳ということになります。役職者の総数は、四十九年十月一日現在で一万六千のうちの四千百七名、これは主査以上でございますが、そのうちの婦人役職者は八百二十六名、二〇%となっております。局長、次長にはゼロ、課長に二百七十二名中一名、課長代理に三百六十三名中八名、係長に八百六十名中四十名、主査に二千五百四十九名中七百七十七名、合わせますと二〇%、こういうことで八百二十六名でございます。
  89. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 電電公社でも婦人の局長とか課長というのは非常に多いようでございます。特にこの貯金局というのは、保険局もそうですが、いまお話のあったように男女の構成比はほぼ同じ、平均年齢にしましてもそう大きい開きがないようでございます。そうすれば、男女に差別がなければ大体もっと婦人の局長とか課長とか役付がふえていいのではないかという気がするわけです。どうも郵政の職場には、従来から女性を蔑視をする傾向があるように思われます。それで、いまなっておらぬものをしようといったって仕方がないわけですから、これから、幸いことし国際婦人年でもありますから、婦人を登用して——私が聞いた限りでは、大臣、御婦人はこうおっしゃるのですよ。熱意を持ってやりたくとも、そういう地位を与えてくれないと、婦人はこう言うのです。  今日もう婦人の地位というものは非常に高まっていますし、婦人の能力も私は高まっておると思います。その意味で、従来にとらわれることなく、ひとつ婦人の地位を向上させるために、特に貯金局が率先して婦人の局長とか課長とかあるいはその次の課長代理、係長——主査なんというものは、これは平職員に毛のはえたようなものですからどうでもいいんですが、上の係長、課長代理、課長、こういうところに婦人をどんどん登用して婦人の地位の向上を図り、同時に婦人も職場で責任を持って仕事を遂行してもらう、ひとつそういう方針をとってもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
  90. 船津茂

    船津政府委員 先生のおっしゃるように、半数婦人でございまして、何も蔑視しておるわけではございませんが、国際婦人年ということを抜きにしましても、今後本当の意味におきまして婦人の士気の高揚を図るために、おっしゃるように課長代理、課長ないしは次長というぐらいのところまであるのが理想的だというつもりで今後臨みたいと思います。
  91. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 約束の時間になりましたのでこれで終わりますが、貯金事業特別会計運用をめぐって種々論議をいたしました。大臣として、ひとつ決意といいますか、所感を承って終わりたいと思います。
  92. 村上勇

    村上国務大臣 大変有益な御質疑をいただきまして、ありがとうございました。十分御趣旨の点を尊重して今後運営してまいりたいと思います。
  93. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 終わります。
  94. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 土橋一吉君。
  95. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたの方からお出しになっておる「昭和四十八年度郵政統計年報」という、これを中心にいろいる質問したいと思うので、お持ちでしたらこれを中心にやっていきたいと思うのです。     〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕  一つの問題は、この二ページから十四ページへかけまして、貯金局のEDPSの機械化の問題が述べられておるわけです。現在貯金局はいかほどあって、いかほどの局が機械化をしておるのかという点をまず答えていただきまして、そうして機械化をしていない局にはどういう措置が講ぜられておるか、それで機械化をしたために人間の冗員と申しましょうか、そういう方々に対してどういう措置をしておるのかということをお聞きしたいと思います。先ほど一万六千名ということでしたが、これは現場の郵便局の方も貯金課の方を全部含めて一万六千なのか、地方貯金局の方々だけの人数であるのか、こういう点をはっきりさして、一万六千名は地方貯金局の方だけであるのか、それとも現場の二万一千の局に働いておる従業員の方々全部ひっくるめて一万六千であるのか、こういう点をひとつ簡単に答えていただきたい。
  96. 船津茂

    船津政府委員 第一点は、現在二十八の地方貯金局がございます、その中で機械化、オフラインでございますが、EDPS化をやった局が十八局でございます。残された十局は従来のパターンの作業の内容でございます。  もう一つ、それによって人がどのくらい、冗員ではございませんが、減ったか、その数字は後で申し上げますが、それをどういうふうに措置したかというお尋ねでございますが、つい一、二年前までは、仕事機械化しますので手が浮きます、その方々の言っちゃなにですが、解決策としましては、自然減、自然退職、これによって賄ってきたわけでございますが、去年あたりからそれでは間に合わないといいますか、私の方で意識的に地方貯金局の職員、おっしゃったような二万の郵便局ないし郵政他部署に転出願うだとか、いろいろ積極的にやっておりまして、何とかそういうふうな要員の方の措置をやっております。  それから、お尋ねの一番最後の一万六千名は二十八地方貯金局の従事員数。為替貯金事業全国二万の局も含めまして、従事員数は六万ちょっと超すかと思います。
  97. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、冗員といいましょうか、仕事にあぶれたと申しましょうか、そういう方々の措置はきわめて重要な問題だと思うわけです。これを得手勝手な配置転換をしたり、あるいは隠居仕事のような仕事を与えてみたり、あるいは草むしりをやらしてみたり、こういうことはあってはならないことだと思うのですが、現実にさような問題について十分な配慮をすると同時に、やはり適切な措置を講じませんと、機械化をした、人間が余ってしまったというようなことであってはならないというふうに私は考えております。  いまお話しの二十八局のうち十八局がやったというのですが、まだ十局あるわけですね。こういう点で貯金関係の仕事の全体のバランスといいましょうか、そういうことについての将来の確たる方針を持って臨みませんと、かつてお話がございましたようにいろいろな不公正が出ますので、この全面的な措置をぜひお願いしたいというふうに私は考えるわけです。  私は、これをきのう忙しい中をずっと一べつをいたしました。最初のところの表の出だしの「郵便貯金と各種経済指標」というのを、ここをずっと見まして、大体最近の経済情勢やあるいは国民所得特に消費者物価との関係等の割合から言って郵便貯金は非常な努力をしておるということをこの表で私は大体見たわけです。そしてずっと表を見ておりました。それで最後の表も見ました。ところが、最後の表を見て私は異様に感じたことは、これは歴史的な理由もあったと思いますが、たとえば東海の名古屋の貯金局は、管内が静岡県、愛知県、岐阜県、三重県というのを含めておるわけです。ここの表をずっと私見ていくと、愛知県のごときは約一兆円の貯金をする、あるいは静岡県でも岐阜県でも、上位のランクへ入っているところがあるわけですね。それだのに東海地方はただ名古屋の貯金局だけだ。たとえば東北のところを見ると、青森県だけが貯金局がないだけで全部持っておるわけです。中国地方を見ると、鳥取県がないだけであとは全部貯金局を持っておる。一体これはどういう理由でこんなことになったんだろうかということが非常に私は疑問になっております。この別の表のところをずっと見ていくと大変な——ここに出ております。これは私の方で教えますよ。この表です。この表を見ると上位のランクを占めておるわけですね。第三位を占めておるのは愛知県なんですね。それで静岡県のごときはやはり十番手ぐらいのところにいるわけです。岐阜県も同様です。なぜこういうことになったのですか。
  98. 船津茂

    船津政府委員 正確な数字はそう違わない数字だと思いますが、戦前の地方貯金局、貯金支局と申しておりましたが、十局か十一局ではなかったかと思いますが、戦争中大切な預金者貯金原簿というものを持っておるわけでございますが、これを戦災その他不慮の事故によって焼失したりしてはいけないという配慮のもとに、何年かかかって地方に、たとえば東京地方貯金局のそういうふうな貯金原簿を、甲府だとか宇都宮だとか新しく貯金局を設定しまして移替保存した。保管したという歴史が、そういうふうないびつな、東海地方では名古屋地方貯金局が数県を受け持つ、小さなところは青森を除いて東北五県ですか、そのほかの県にはあるというような、原簿疎開と申しますか原簿移替こういうような沿革的な事実がございまして、そういうような偏在する形になっております。先生のお言葉を援用するわけじゃございませんが、確たる見通しを持って今後為替貯金事業を運営していかなければいかぬということでございまして、この数年を経ずして、貯金事業近代化機械化を図っていく作業を着々進めておりますが、その進めた暁には、先ほど申し上げました戦前の十局ぐらいの計算センターというものを設定しまして、大きな計算機でデータ回線で各二万の局の端末機と結びまして、世界一の規模のネットワークを持つそういうふうなものをこしらえ上げたいといまやっておりますので、いままでのそういうひずみはそのときに自然解消さしていく。  また、そういうふうな機械化の問題につきまして、よけいなことでございますが、先生おっしゃるような要員問題、要員の措置の問題というのが、それに劣らず重要な、また困難な問題でございますので、これの解決がやはり貯金局長の今後の一番大きな仕事だ、まあ草むしりなんかをさせておくというようなことはもうさせないで、確たる見通しでそういうふうに持っていくのが私ども仕事だといま思っております。
  99. 土橋一吉

    ○土橋委員 この表をごらんになってだれでもわかりますように、東海郵政局管内は二千二百五の郵便局を持っておるわけです。それに中国とかあるいは東北とか、こういう地方とも匹敵をする状態なんですね。ところが、貯金局はただ一局だということでありますので、将来これが一つの見本になってくれば、二十何局かある貯金局全体の問題にも関係をする。そうすれば、機械化の問題と関連をして、ここで基本的な方針を決めておかなければ、どこの地方にいたしましても、たとえば関東地方で甲府の貯金局を取ってしまうなんて言ったら、これは大変な騒ぎですよ。あるいは九州の名瀬にある貯金局ですかを持っていってしまうなんて言ったら、名瀬では大変な騒ぎが起こってくる。こういうことについてやはり相当確固たる態度を決めておかないと大きな問題を生ずる。  沖繩県は一体どうしているのですか。
  100. 船津茂

    船津政府委員 沖繩につきましては、貯金局と申しませんで、沖繩郵政管理事務所がございまして、ほぼ貯金局に匹敵する仕事をやっておりまして、事務連絡上は鹿児島地方貯金局と提携してやっておりますが、やはり沖繩にもそういうふうな意味の、規模は小さくはございますけれども、オンライン化しました暁には事務センター——現在の貯金局数、十局を除いた局数ぐらいになろうかと思いますけれども、これはまだ確たる構想は固まっておりません。おりませんが、沖繩にもそういうふうな地方貯金局に値する事務センターというものを設置する気持ちでおります。
  101. 土橋一吉

    ○土橋委員 沖繩県は九州圏に属しておると私は考えておるのですが、むしろこれは熊本を中心とする関係の方へ入った方がいいんではないかというふうに私は思っておるのですよ。     〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕  沖繩だけまた特別に——今日は通信が発達をしておるし、また先ほどあなたがおっしゃったように、大容量のいわゆるコンピューターなどを入れてオンライン式になってくれば、これはまた沖繩だからといって別に置いておくわけにいかぬと思うのです。こういう点については十分な配慮をしませんと、沖繩県の方々に対して御迷惑がかかったり、あるいはまたそういう点で非常な不便を感じさしてはならないと思うのでありますから、こういう点は慎重にひとつやっていただきたい。特に、これから海洋博を控えまして、沖繩県の諸問題は金融その他の面でも非常に大変だと思うのですから、こういう点をぜひ考えておいていただきたいと思うのであります。これは答えなくてもよろしいです。  次は、郵便貯金法の第一条の規定、これはもう局長さんはよく御承知だが、私はちょっとこれを読み上げてみたい。先ほども阿部委員からもお話がございましたが、第一条(この法律の目的)と題して書いておるわけです。「この法律は、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」そうして第二条で(郵便貯金の国営)というので、「郵便貯金は、国の行う事業であって、郵政大臣が、これを管理する。」それで(国の保証)として第三条で「国は、郵便貯金として預入れた貯金の払もどし及びその貯金の利子の支払を保証する。」これが総則的に書いてあって、後は条文を消して、第六条で「郵便貯金に関する書類には、印紙税を課さない。」こういうふうに書いておるわけですね。  そうすると、最近の異常な物価高でどんどん物価が、たとえば消費者物価のごときは二十何%上がるとかあるいは三〇%も上がるとか、こういうことになってくると、貯金が非常に目減りをするということに対して、貯金局長並びに郵政大臣は重大な責任を感じていないのかどうか。現在の利子だけで、異常に物価がどんどん上がってくる中で貯金をしていただくということについては結構だというふうに一概に言えないのではなかろうかという気がするのですが、これは一体どう考えているのか。この基本目標から言うならば、明らかに郵便貯金というのは国営で、しかも確実な貯蓄の手段として、あまねくすべての日本国民に公平に利用してもらうことによって国民の経済生活の安定を図るのだ。ところが、国民経済の安定を図ることができないじゃないですか。物価はどんどん上がっておって、わずかばかりの金利を払ってそれで返してみたところで預けた人は期待を裏切られ、どうにもならない。そうすると、この貯金法の規定ではそういうふうに書いておるけれども、実際は逆の方向にすべて行っているのではないかということが懸念をされるが、これについて貯金局長なんか責任を負わないのかどうか。責任を負ったとすれば、どういう措置を講ずべきかということについて簡単に答えてください。
  102. 船津茂

    船津政府委員 先生指摘の預貯金、あらゆる金銭債権はすべてインフレ化によって減価するという問題は非常に頭の痛い問題で、私から答えるのはちょっと僭越がましいのですが、物価の上昇を抑制するということが貯金法の第一条の精神をまず満たす大前提条件というふうなことで、私たちもそのインフレの収束のための大きな支柱の一つとしまして貯金増強ということで努めてきたわけでございます。なおかつ、また預金者の立場は、そういうふうな意味において福祉の増進を図るという一条の精神から守っていかなければいけないということで、四十八年の四月以降五回利率の引き上げを行ってまいりました。その他いろいろ特別の利息のつく特殊の預貯金も創設して郵政省貯金もつくりまして、いろいろ腐心しまして対処してきたわけでございますが、今後ともおっしゃるように減価しないような、預金者利益を守るような配意を積み重ねて真剣に取り組まなければいけない。貯金局長責任はないか、大きな責任はちょっと背中に余りますけれども、責任を感じております。
  103. 土橋一吉

    ○土橋委員 村上郵政大臣お尋ねをいたしますが、あなたが最高の責任者として貯金業務をおやりになっているわけですね。ところが、いま申し上げるように貯金局長さんはあなたの指導下においてお仕事をやっていらっしゃる。ところが、実際物価はどんどん上がっているわけですね。たとえば今次郵便料金の値上げであるとか酒、たばこの値上げ、続いて御承知のように私鉄運賃から石油化学製品も一斉に上がってくる。こうなってくると、貯金をしたわ目減りをするわというようなことで、国の責任は一体どういうふうにして第一条の規定をまともなものとして、これを本物として国民に納得をさせるためには、国はどういう施策をやったらいいでしょう。
  104. 村上勇

    村上国務大臣 なかなか大きな問題でして、そのためにただいま貯金局長からも御答弁申しましたように四十八年から五回にわたって金利の引き上げまでしてみましたけれども、しかしなかなかそれをもって償うということにもならないと思いますが、しかし国としてはそうして少しでも預金者の損失を償うためにいろいろと苦心をいたしておるところでありますが、さらにいま政府として最も重点を置いておりますのは、ごらんのとおり物価の抑制、これにすべてを打ち込んで、そうして預金の目減り等その他のあらゆる問題をこれによってひとつ何とか償っていきたいというので懸命な努力をいたしておるところであります。
  105. 土橋一吉

    ○土橋委員 なるほどインフレがどんどん高進をするから金利を少しずつ上げて、つまり物価に追っついていこうとする努力は私は認めることにやぶさかではございません。これは当然のことであります。しかしながら、政府の政策がいわゆる高度経済成長政策であるとか日本列島改造論であるとか、こういう物価がどんどん上がっていくような措置をし、たとえば土地の問題にしましても、最近は幾らか下がったなどと新聞に書いておりますけれども、どんどん買い占めをする、だから学校もできないというような状況に追い込まれておる中で、貯金の問題だけが依然として第一条の規定を中心にやっておるというのでは、もうインフレを中心とする政府の政策ではとても解決できないということは明瞭だと私は思うのですよ。ですから物価が上がるたびに金利を上げる。ところが、金利をいかほど上げてみたところで、先ほど阿部委員がよく指摘しましたように、結局この財投、大蔵省の方では、いわゆる大蔵省預金部資金の預託金利は八%、八分だ、こういうことを言っておるわけです。そうなってくると、先ほどの御説明のように定額貯金が約八〇%、七九・何%を占めておるわけです。そうすると、郵政省特別会計仕事をしておるけれども、何のことはない、つまり持ち出しで一生懸命かせいでこの第一条の規定を真に受けて、政府はどんどん物価を上げておる。船津局長はこの規定だけまともに受けて一生懸命で従業員のしりをたたいて貯金をどんどん集めてくる、集めれば集めるだけ仕事赤字でどうにもならぬ。一体これはどういうわけでしょう。これはやはり郵政大臣が、それこそ厳然たる態度をとって——何も大蔵省預金預託関係を指導する大臣やその人たちの子分といいますか手下じゃないわけですよ。特別会計として法律の規定によって運用しておるところの光栄ある郵政従業員なんです、これはみんな。それが仕事をやればやるだけ赤字でどうにもならぬようなことをしておいて、先ほど大蔵省の方が御答弁になったようですけれども、私はああいう答弁では承服できない。どうしても郵政大臣はここで、この問題についてきちっと決着をつけるという体制をぜひとっていただきたいと思うが、どうですか。
  106. 村上勇

    村上国務大臣 もうここらが限度だ、こう思っております。五十一年度予算編成の際に、私は私なりにこれをどうすべきかということについて関係方面とも十分交渉してみたいと思います。  なおまた従業員並びにそこの機械化等の企業努力によりまして、少しでも赤字を補給していくということについても一層の努力を続けてまいりたいと思っております。
  107. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは先ほどお話もあったと思いますが、預託利率が八%のために結局期間二年のものは八・二一%利子を払わなければならない。三年のものは八・八四%の利子を払っていかなければならない。五年のものは九・六〇%の利子を払っていかなければならない。特に十年のものについては一一・九一%の利子を払う。これでは大蔵省の方々どんなに逆立ちしたといったって、八%でこの事業がやっていけますか。しかも、全体の中に占めておる比率は八〇%を超えておる定額貯金というものを持っておるのですよ。こんなことはもうだれが計算したって、少なくとも小学校の三年ぐらいになれば、だれだって計算したらわかることなんですよ。なぜこういう不都合なことを依然として認めておるのでしょう。その根拠を聞きたい。どういう理由でそんなことを放任しておるのか。これをはっきり答えていただきたい。
  108. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 先生の御質問の意味、ちょっと理解いたしかねる点がございますが、どういう理由で認めていると申しますのは、その趣旨がちょっとわかりかねます。
  109. 土橋一吉

    ○土橋委員 郵政省特別会計で、この貯金業務というのを第一条の規定や第六条までの基本原則に従ってどんどんおやりになっておるわけですね。そうして財投としてこのお金をお使いになっておる。ところが大蔵省預金部関係の預託金利は何ぼかといったら八%だ、こういうわけですね。そうしますといま読み上げましたように、たとえば十年ものは一一・何%という利子を払っていかなければならぬ。そうすれば、その貯金は定額もあれば普通貯金もあるし、いろいろありましょうけれども定額貯金というのはその七九・何%、つまり八〇%を占めておるというわけですね。しかも、年期ものがずっとこう年限をかさんで、途中から払い出しのできないものを抱えておる。そうすると、八%の金利では郵政省特別会計は賄い切れないだろうということはわかるんじゃなかろうか。そうすれば、やはりこの金を使うところの財投関係を指導する大蔵大臣がこの措置をしなければならぬではないか、こういうことを質問しておるわけです。私の質問が間違っておったら指摘していただきたい。
  110. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 その趣旨はわかりました。  やはり究極するところは、郵政省の集められる貯金コストが高いのに、そのコストに見合うだけの金利運用部預託を受けないのはなぜかということだと思います。その点につきましては、先ほどから阿部先生にもたびたびお答えを申し上げたところでございますが、従来はその辺の含みもございまして、〇.五%ないし〇・七%というような差もあったわけでございます。また、定額貯金の比率というものも現在のように高いものではなかったということで、いろいろその問題は解決され、むしろ累積の黒字も出ていたという状況であったと思います。しかしながら、現在このように高い状況になりまして、しかも運用部の方でいただきます金利は必ずしもそれに追いつけないという事情があることは私ども承知しておりますし、先般阿部先生にもお答えいたしましたように、この処理につきましてはいろいろの方法がございます。たとえば郵便貯金特別会計合理化の問題もございましょうし、あるいはこれは私の方の権限を超える問題でございますが、特別会計に対する予算上の措置ということもございましょうし、また、一つ方法として御提案いただきました預託金利を引き上げるという方法もあるわけでございます。まあそういういろいろな問題それからそのやり方というものを、郵政省の御要望は当然五十一年度予算の際には出てくるものと思いますので、私どもそれを受けまして、いろいろ検討をいたしたいという考えでございます。
  111. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは船津さんにお尋ねしますが、この問題について五十年度赤字は何ぼぐらい出ると予定をしておりますか。
  112. 船津茂

    船津政府委員 五十年度におきます郵貯特別会計の一年間の赤字の予測でございますが、九百二十二億円と予定しております。
  113. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまお聞きになったとおりです。九百二十二億円という莫大な赤字を抱えておるわけです。しかも、貯金局関係の要するに預託に関する費用その他、一千億円前後ぐらい、ちょっと超えておりますかな、その程度であります。それで、いまお話があるように、六万人の従業員が毎日毎日貯金業務に働いておる。だれが考えたって、あなた、六万人の人が全国で働いておって、それで帳面つけたり窓口で仕事したり、いろいろなお客さんの愛想をしたりしてやっておって、それで九百二十二億円の赤字が出て、知らぬ顔して金使うとは何事ですか。これはどういう理由をつけても即刻解決をしなければならぬことです。九百二十二億の赤字が出ておって、しかも六万人の人が北海道の向こうの端から沖繩まで全部寒さ暑さの中で一生懸命働いて貯金をしておる。そしてそれをどんどん持っていっている。仕事をした結果九百二十二億の赤字を出しておる。どうするんですか、一体これは。私はやはりこれはこの質問の中の中心問題だと思うのですよ。これをきちっとした措置を講じてもらいませんことには——大蔵大臣に電話をかけてください、大蔵省はどういう措置をするのか。これを承らなければ質問をちょっと中止をして、私は確たる——この逓信委員会においてそんな無法なことが許されていいのかどうか、大臣にすぐ電話をかけて聞いてください。  委員長、しばらくの間、これは待ってください。この問題を解決しないでおいて、ただ適当な答弁をしておいて、それでこの逓信委員会を過ごすことはできません。  逓信委員会の委員先生方、どうですか。加藤先生、そうじゃありませんか。われわれ逓信に責任を持っている者は、そんなことを大蔵省にやられておって、黙っていまの局長さんの答弁で済まそうなんということはもってのほかです。これはきちっとした措置を直ちに——答弁を聞いて、それが解決するまでは、私は質問をちょっと保留しておきたいと思うのです。簡易保険局のためではないのです。これは逓信従業員全体の基本的な問題を守る観点から私は当然だと思うのです。そんなでたらめなことを黙って許しておいて、そうしてただ適当な答弁をいただいて、そうかと言って聞いて帰るわけにはいかぬのです、これは。
  114. 村上勇

    村上国務大臣 これは私がお答えするのがいいのか悪いのかわかりませんが、しかし先生郵便貯金に対して大変熱誠あふるる御援助御支援を賜りまして、ありがとうございます。先生のこの鞭撻のむちに乗りまして私も来る五十一年度予算編成の際には大いにがんばりますので、きょうはひとつこの程度でよろしく御進行をお願いいたします。
  115. 土橋一吉

    ○土橋委員 私どもの先輩、同僚の委員先生方はこの話を聞かれれば、何であれ、六万人の方々が奮闘して集めたのにかかわらず、とにかく九百二十二億も五十年度赤字を出すようなことを黙ってこの委員会において通過させることはできぬわけです、私は。また、働いておられる貯金業務の、貯金局はもちろんですけれども、沖繩県から北海道の方々を含めて大変な御尽力ですよ。ですから郵政大臣がそういう御答弁ならば、私は譲るわけにはいきません。やはりこれは筋を通して、九百二十二億を国全体で捻出をして迷惑をかけないという態度をきちっとしなければならぬのですよ。適当な答弁でこれは済まされるものではないですよ。しかも、二万一千の局でこの問題を取り扱っておるのですよ。あらゆる方法で。考えたってぞっとするほどたくさんの人が仕事をしておるわけですよ。どうですか、あなた、電話をかけて即時この問題について回答をしてください。それができないような政府委員ならば、なぜ出てきたのですか。この委員会にどうして出てきたのですか。それだけのことが自分で説明できないような人が出てきたってしょうがないじゃないですか。
  116. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 大変むずかしい問題をこの場で答えよということでございます。私、微力でございまして、なかなかお答えしにくいわけでございますが、この問題はやはりそういう歴年の郵貯特別会計赤字の処理の問題とも絡むわけでございます。それをどうするかということにつきましては、先ほども申し上げましたようないろいろな方法があるわけでございまして、これは郵政当局からもいろいろお話も伺っておりますが、結論はまだ出ていないところでございまして、今後いろいろ議論をしようというところでございまして、この場ですぐに結論を出すということは大変むずかしい問題でございますので、お許しをいただきたいと思うのでございます。
  117. 土橋一吉

    ○土橋委員 委員長委員先生方もお聞きになったとおりです。そんなことで済まされる問題じゃないじゃないですか。これは当然この委員会において決着をつけてもらいたい。見え透いた九百二十二億の赤字が出ることを知っておって、従業員に働かして、そしてその金は自分たちがいい顔をして使おう。もってのほかじゃありませんか。どう考えたってこんなことは許せません。われわれ逓信委員の者は、そんなことを黙っておって済まされる筋合いのものじゃないですよ。これはひとつこの次の委員会等にも責任者が出ていただいて、この問題をきちっと解決をするめどをつけて出席をしてもらいたい。この問題については私は保留します。保留いたします。委員長もひとつよろしくどうぞ。これはひとつ委員長さんの方でも銘記していただきまして、勝手な、そんなことをして、あなた、ひどいことですよ。  次へいきましょう。この資料を拝見しておりますと、私もかねがね大変だとは思っておりましたけれども、ここでこういう個所を私は読んでびっくりしちゃったわけです。私は認識不足ですから、やむを得ませんけれども。ここをずっと読んでおったところ、これは「事業の概況」四十七ページの九のところです。「郵便局現金出納局」「昭和四十八年度における現金出納局については、受入れは、口数七億三千十七万口、金額二十六兆五千五十一億円、払出しは、口数二億二千六百一万口、金額二十六兆四千九百三十二億円、受払合計では、口数九億五千六百十八万口、金額五十二兆九千九百八十三億円となっている。この現金出納局のうちには、資金過超金関係のもの及び保険年金取扱高が含まれているので、これを除いた為替貯金窓口の受払高については、受入れは、口数五億二千三百五万口、金額十六兆一千二百七十億円、払出しは、口数二億一千六百三十一万口、金額十三兆七千七百五十五億円となっている。」こういう数字が書いてあるわけですね。これを読んでみて私は非常にびっくりしました。つまりこれだけの仕事が二万一千の局でずっと行われているわけですね。そうしてこの中で、私はたとえば資料要求としてお願いしたいのですが、いろいろあるけれども、これだけの膨大な金額を出し入れをしておるという中で一千億円以上の大口の出し入れというのはどの程度の数があって、どういうものが一千億円以上のものか。簡単に答えられれば答えてもらって、資料を出してもらいたい。一千億円以上の金の出し入れをする品目はどういうものか。
  118. 船津茂

    船津政府委員 お尋ねの一千億円という数値をいま持ち合わせておりませんので、そういうふうな取り扱い件数がどのくらいあるか、一千億に限らず、そういうふうな金額段階別に後で資料を提出させていただきたい、かように思います。
  119. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、これは金額も大きいです。先ほどお話を申し上げたように、この数字は覚えることもできないような二十六兆五千億です。しかも、全体の受け払い高、為替貯金の窓口全体では十六兆一千二百億円という膨大な金なんですよ。したがって、これがわからなければ後で資料を出していただいて、私が納得できるようにひとつ教えていただきたい。
  120. 船津茂

    船津政府委員 ただいまお尋ねの一千億を超す受け払いというのはないということでございます。
  121. 土橋一吉

    ○土橋委員 その種目によってです。たとえば一千億円というのは、郵便局に一千億円持っていって貯金する、そんなことを言っているのじゃないのですよ。あなた。考えたってわかりますよ。どういう種目が大体一千億を超える金額か、こういうことを言っているのですから。個人で一千億持っていって、郵便局へ預けるばかがいますか、あなた。受け取る方だって取れないよ、そんな金は。  さて、そういう二万一千の局で皆さんが奮闘されておるわけですね。これだけの膨大なものをやっているわけです。ところが、ここで窓口欠損金という問題が起こってきておるわけですね。これは、私は郵政省に大変苦情を申し上げるわけですけれども、つまり全国で二万一千の窓口をもって毎日八千万の金が出入りをしておる、こういうふうに書いてあるわけです。八千万か一億か、時によっては、この資料なんかを見ますと、私はこれを見て大変だなあと思ったのですよ。これをごらんなさい。これは初めの方のページですよ。これを見ますと、貯金に関する限りはボーナスの入ったとき、お手当の入ったときはぐうっと線が上がってくるわけですね。ほかの金融機関に見られないほどの鋭角をもって上がっていくわけですね。そうして、ちょうどつなぎ目と言われる時期はがたっと払い出しをしているわけですね。こういうことから見ると、庶民金融だなという感じを私は表を見てすぐ抱きました。庶民金融だな。この表を見ると、だれが見ても、そのことを端的にちゃんとあらわしておるわけですね。  そこで、そういうものを取り扱って、一日何十、何百という仕事をやっておる窓口が、ここで余った金が出てきた、あるいは欠損して足らなくなったというときに、あなたの方の措置としては、たとえば欠損金は、過剰金という名前をつけて、そうして四十八年度において見ると二十七万七千件があったと言っているわけですね。この金額はどれぐらいの金額になりますか。
  122. 船津茂

    船津政府委員 欠損金と過剰金と両方が窓口において現実に出てくるわけでございますが、先生お尋ねの過剰金余ったという額、四十八年度は二十七万七千件でございまして、金額にいたしまして四億一千百五十八万円となっております。
  123. 土橋一吉

    ○土橋委員 不足金は、件数にして何ぼ、金額は何ぼですか。
  124. 船津茂

    船津政府委員 四十八年度の不足金の件数は二十八万七千件で、金額で二億九千八百十二万円こうなっております。
  125. 土橋一吉

    ○土橋委員 その場合に、過剰金と称する約四億一千万余の金はどうするのですか。
  126. 船津茂

    船津政府委員 過剰金、発生しましたのはその件数と金額でございますが、発生しました中で、よけいもらっておりましたと利用者の方がお返しになるというような還付金も中にございまして、それが二億五千万円くらい正当処理に結末がつくわけでございますが、四十八年度の場合、その差額の一億七千万程度でございますか、これは郵便貯金特別会計の中に繰り込まれるというふうに理解しております。
  127. 土橋一吉

    ○土橋委員 不足金はどうですか。
  128. 船津茂

    船津政府委員 不足金が出ました場合は、正当なものは正当に処理しますのですが、日々の現金の計算で出た場合には、その大半といいますか、大部分のものは任意弁償ということで当務者が弁償しておるという形が実際上あるようでございます。
  129. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、ここで委員長もぜひ聞いていただきたいわけです。過剰金ができたときには——これは金が余っちゃった。窓口によくあることだ。どこから入ったかわからない。金が余っちゃったと、大騒ぎをするわけです。大騒ぎをしていろいろ調べた結果、あの人の間違いであったとか、この団体の間違いであったということがわかれば、それにちゃんとお返ししなければならない、それは当然です。金銭出納をやる者は当然です。その余った金が一億何千万ある、これは黙って自分のポッポへ入れてしまう。公示もしなければ何もしないで、自分のポッポへ入れちゃう。今度欠損金が三億出た、約二億九千何ぼ出た。そうすると、窓口の者に、おまえ弁償しろ。これは一体どういうわけですか。しかも、たとえば普通の市中銀行などでは、重過失があって、本人がきわめて悪意で、そしてごまかしておったというような場合には、これは責任を負わせなければいかぬ。しかし、酢のコンニャク言わせないですぐ始末書とっておどかしておいて、そうして自己弁償しますと言ったら、そうかと言って二億何千万円を、わずかな給料しかもらっていない従業員に負担をさせている。どういうわけですか。聞きましょう、きちっとした態度を。
  130. 船津茂

    船津政府委員 窓口の事務取り扱い、現金出納事務取り扱いから生じまする過剰金といいますか、それと欠損金の扱い方、先生のおっしゃることは心情的に非常に理解できるわけでございますけれども、まず事柄を分けまして、当務者諸君が自分のポケットマネーで弁済するというしきたりといいますか、そういうようなならわしになっておるようでございますが、これは法的には規定されておりません。欠損金の埋め合わせをポケットマネーからやるということは規定されておりませんけれども一、ちょっとこれは詳しくなりますが、会計法の第四十一条に「出納管理が、その保管に係る現金を亡失した場合において、善良な管理者の注意を怠ったときは、弁償の責を免れることができない。」こういうような規定になっておりまして、善良な管理者の注意を怠ったかどうかは会計検査院の検定によることとされておりまして、この検定をされる前に、現金を亡失した出納職員がこちたい、ことごとしい取り扱いにならない、過誤の責任を追及されたりなんかするのも煩わしいというようなことからかと思いますが、便宜自己の過失だということである程度の金額を任意に弁償しているのがしきたりだというふうに考えております。  それからもう一つの点でございまして、過剰金は先ほど私が申し上げましたように、郵貯特別会計の中に、まあポッポの中に入れてということでございますが、不足金はそういうふうに当務者に負担させている。過剰金と不足金と何とかならないのか、これまた私も心情的といいますか、非常によくわかるわけですが、これまた法理的に言いますと、過剰金と不足金はその発生の原因と結果が別々のものでございますので、直接的な因果関係はございません。後日その原因が判明した場合には返してみたりしなければいかぬというようなこともございまして、区別してこれはぜひ経理しておかなければいかぬ。民間の場合は、おっしゃるように銀行あたり重過失といいますか、その場合は責めを負うが、ほかのときには銀行の方がめんどうを見ておるというようなことだろうと思いますが、特に国の職員は、私の方は、財政法ですか、会計法ですか、そういうような法規に縛られて、いやしくも国家公務員というような立場にもございますので、まあしかし、そういうふうな心情的にわかるというだけでは答弁になりませんので、そういうふうなあり方としまして、便宜的な自己任意弁償というもののあり方が、果たしてこのまま放置していいのかどうかというようなことにつきましては、種々検討しまして、従事員の負担がそうかからないような何らかの対策、解決策がないかということを今後まさぐっていきたい、こういうふうに考えております。
  131. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は経験をしているから言うわけですよ。中央郵便局の外国郵便課で現金出納の経理をやっておって私はひどい目に遭いました。その経験をもとにしてお話を申し上げましょう。  これはあるのですよ。たとえば臨時雇いの方がちょっと勤めて、そうして金をもらいに来ないわけだ。経理としては、当時日当一円十銭とか一円二十銭というのを計算をして七円なら七円あると思って取っておくわけだ。幾ら取っておいても取りに来ない。それを黙ってポッポに入れちゃうわけです。つまり郵政省が入れるわけですね。私が入れるわけじゃない。今度一少しでも足らなくなってくると、もうしぼり上げられちゃって自分で弁償金を払うわけです。しかもこの手続が、会計検査院の結果を待ってやる場合、半年以上かかる。そこで因果を含めて、おまえ、半年先になってこれがばれたときにはえらいことになるぞというおどかしをかけて、じゃあ、しょうがない、まあひとつ私が払っておきましょう。おどかしをかけておいて、任意弁償という形式をもって泣き泣きその金を全部払わしてしまう。これが実態であります。いまも変わっておりません。こういうことをなぜやるのかということです。  それは原因は違いますよ。過剰金の場合には、お客さんが間違えちゃって、要するに余分な金を持ってきちゃった。あるいはつまり事の内容がわからぬけれども、どっか郵便局へ持って行った金が、その持って来た人の気持ちはちゃんとわかるけれども、法規上事務処理上の関係からどこの部門に入れていいかわからぬという金が、約四億もある。こういうかっこうになっているわけですね。今度、なくしたという場合には、人の目の前で計算したり金を勘定したりしているわけだから、隠すところは何も一つもありはしない。引き出しもちゃんと見てくださいとみんなに言うわけです。どうしても出てこない。そういう場合に、監察だとか会計検査院だとかおどかしをかけておいて、それで自然と本人が任意弁償をするような形で金だけは取ってしまう。これは単に勘定上の問題ではないのですよ。郵政省の金銭出納に関する基本的な態度が間違っておるところに問題がある。  私は何も心情的にこの問題を言っているのではないですよ。つまり、自分の方に入ってくる金は公示もしないでおいて、黙ってポッポへ入れてしまう。足らないというと、原因が違うから、おまえ、責任を負え、そう言ったのでは実もふたもないから、六カ月後には会計検査院からちゃんと監察官も調べて来る、そうなってくると君の責任問題だ、いまのうちに弁償しておいたら、その問題はけりがつくぞ、こういうおどかしをかけておいて、要するに言葉はいろいろ柔かい言葉もあるでしょうけれども、結論はそこなんです。だから重過失で明らかに本人が善良な管理者の注意を怠ったということが明瞭にわかるような場合は、これはいいでしょう。本人も会計をやっているのですから、会計担当者としての善良な管理者の注意を持っていたけれども、どうしてもわからないという場合には、窓口であろうとも、いわゆる奥で計算するところであろうとも、これは当然重過失なしと認めてこの問題を処理してやらなければならぬ。あたりまえじゃないですか。何でそんなおどかしをかけて任意弁償という形をとるのですか。そこに問題があるわけですよ。
  132. 船津茂

    船津政府委員 先生の御経験上のお話もございましたし、十分御承知と思いますけれども、私もまた言い逃れはいたしたくないのでございますけれども、たてまえはあくまで強制とかおどかしとかいうことではございませんで、本人が自発的に——先ほど私、ちょっと言葉を滑らしましたが、細々した、こちたい、煩わしい手続上のことよりも、立てかえて、というような気持ちが任意弁償という形で慣行化されておる。これで放置していいという気持ちでおりませんで、心情的ということでなしに、やはりそういうふうな面はどなたがお聞きになってもちょっとおかしいじゃないかというような感じも覆えませんので、これの解決策には頭をしぼりたい、こういうふうに考えております。
  133. 土橋一吉

    ○土橋委員 郵政大臣、せっかく疲れていられるところ済みませんけれども、いまのをお聞きになっておりますように、こんなことが一つの慣習だとか、あるいは最後処分されたらおまえはえらい処分を受けるだろうとか、手当が減るぞとか、いわばそういうような形の——やり方はいろいろ違うでしょう。また課長さんや局長によって違うでしょうけれども、基本はそういうことなんですよ。そういうことでやむなく、自分はどうもわからぬ、自分も一生懸命やったけれどもわからぬというので、自分が担当しておるのだからしょうがないということで任意弁償という形式をとるわけです。それが何と驚くなかれ、一年間に二十八万九千件もあるのですよ。二十八万九千件ですよ。約三十万件です。それはひどいじゃないでしょうか。皆さん。これは大臣、責任を持って、ひとつさようなことがないように——現金出納をやる人はそれでなくても非常に苦労しているわけですよ。金を逸散してはならない。札が飛んではならないというので非常に苦労しておるわけですね。しかも一人ではない。何人かやはり見ておるわけです。一緒に手伝ってくれておるわけですね。この善処方をひとつ、大臣がどう措置をされるのか、御答弁を願いたいと思います。
  134. 村上勇

    村上国務大臣 緩めればまた緩めたでいろいろ弊害もありましょうし、締めれば従業員に気の毒だ、まことにその中庸をいって事故をなかしめるということはなかなか容易ならぬことと思いますけれども、この問題につきましては事務当局に十分勉強させて、何とか本当の最小限で食いとめるような努力をしてまいりたい、こう思っております。
  135. 土橋一吉

    ○土橋委員 もう時間もありませんが、監察局長、どうですか、こういう問題について一定の基準を決めて、あなたの方がやはり貯金局なり郵政大臣ときちっとした、余り従業員の皆さんに苦労かけないように、そうしてこういう問題についてもおたくの方がやたらに出ていくと従業員の方はこわがってしまっておるわけですね。そこへもってきて会計検査院だなんていう偉いところの人から怒られてくるということになってくれば、まあめんどうくさいから払っておけということになっちゃうわけなんです。どういうふうな基準を持っているのですか、そういう場合。
  136. 永末浩

    ○永末政府委員 いま監察が強制的おどしをかけて弁償させるというケース、私は初めてお聞きしたわけでございます。  たてまえといたしましては、現金の不足が生じました場合に、善良な管理者の注意を怠ったため現金を亡失したときは、出納職員は直ちにその事実を郵便局長に報告し、郵便局長は事情調査の上、郵政局長及び監察局長に報告いたします。この報告は本省にも上がってまいりまして、会計検査院、大蔵大臣に通知されるわけでございます。最終的に出納職員に弁償責任があるかどうかは会計検査院の検定を得るわけでございます。これが正式の事務手続になっているわけでございますが、こういった以前に職員が任意に弁償するという点に問題があろうかと思いますが、あくまで任意でございますので、このあたり基準をどういうふうにつくれというのはちょっと私いま思い当たらないわけでございますが、強制的に弁償させるというようなことは絶対にないようには注意しなくてはならないというふうに考えております。
  137. 土橋一吉

    ○土橋委員 監察の方でそういうふうにおっしゃる。任意だ任意だということをさっきからおっしゃっておるわけなんです。また船津局長も任意だと。そこが一番のくせ者なんだ。任意という形をとらして賠償させておるわけです。そこを言っておるわけです。任意だからいいじゃないか。本人はそんなものは払いたくないのですよ。しかし、これを払わないとあなたは始末書を書かなければいけない、ここで払ってさえくれれば会計検査院も文句なしにいくからして何とか泣いてくれ、こういう意味のことを言うわけですよ。それは結局おどかしじゃありませんか、金を払えということなんですから。過失の要するに始末書をとるでしょう。始末書をとるだけじゃなくて、もし行動その他が悪ければ監察は直ちに調べるでしょう。  この問題は高知県の稲生という郵便局、特定集配局においてその特定集配局の次長がやはりそういうことで二百万円の金を引き出したという問題がからんでおった。これを摘発をした従業員を松山郵政局は寄ってたかってその口をふさぐような方法をとって、これに矛を向けてこいつを責めてやろうというような態度で、その次長の勝手な貯金引き出し問題については寿構いなしという体制をとろうとしたわけですよ。これは私が最近ここ二、三年経験をしておる事情です。と同じように、寄ってたかって現金出納の方々にそういうように因果を含めるような形をとることは、これは労働組合としても私は意見が出ておると思います。任意という形をとってそういうことをずっと遠巻きにやってくる。これは私は断じて許すことはできません。それは重過失があるとかあるいは善良な管理者の注意を欠如しておったとかいうような事態が明瞭であればこれは別です。さもない普通の事務処理しておった場合に、いまのようなまあ結局言えばおどかしですね、そういうことで任意という形をとった始末書をとる、あるいは任意の処分ということでやるようなことは断じてやらしてはならない。これは一定の基準を設ける必要があると思うのです。  郵政大臣、どうでしょうか、そういう点について。従業員仕事をして、おまけに自分の責任でもないのに、たとえば五万円とかあるいは三万とか八千円とかというどんどん負担をさすようなことを、させてはならないというふうに私は思うのです。どうでしょう、よろしいでしょうか。郵政大臣、どうでしょうか。
  138. 村上勇

    村上国務大臣 この問題につきましては、会計法、会計検査院法等の規定の適用を受けますので、郵政省限りで策を講ずることは困難でありますが、任意弁償につきましてはいろいろと問題もありますので、引き続き十分検討していきたいと思います。
  139. 土橋一吉

    ○土橋委員 郵政大臣、いまのお言葉の中には、郵政省ではできないということをおっしゃいましたね。どこかそういうことを——やはりむずかしいのですか。郵政省限りではできないというのはどういうわけです。郵政省でやっていいじゃございませんか。どこか、この問題について文句を言うところがあるのでしょうか。
  140. 船津茂

    船津政府委員 大臣がお答え申し上げましたように、民間銀行あたりの重過失のものを除いた措置あたりと比べますと、国家公務員として諸法規、会計法、会計検査院法に出納職員は拘束されるわけでございまして、この不足金の処置ということにつきましてはそういうような法のかかわり合いもございますので、この具体的な解決策、先生のおっしゃる趣旨はよくわかりますので、これを求めていきたい、こういうふうに考えております。
  141. 土橋一吉

    ○土橋委員 まあそういうことについてやはり一定の基準を設けまして、そうしてそういう過剰金が出たときは黙ってふところに入れてしまう、公示もしなければ何もしないでおいて、今度欠損金が出たというときは原因が違うというので——そういう過酷なことをしないように、やはりバランスのとれた形でこの問題を処理されるように私は希望します。この次の質問するころまでに成案をつくって、私の方へ回答してください。どういうふうにこの問題を処理するか。ですから二十八万件、九万件もあることですから、金額にしても三億円とか莫大な金なんですから、大変なんですよ。  そこで財投の問題についてちょっと大蔵省の方にお尋ねをしますが、四十九年度、五十年度、特に五十年度の財投会計の総額と、そのいわゆる郵便貯金であるとか簡易保険という金額はどの程度になっておりますか。
  142. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 四十九年度におきます財投は七兆九千二百三十四億円でございます。五十年度におきます財投は九兆三千百億円でございます。  これに対します原資といたしましては、四十九年度実は国債の引き受けもいたしておりますので、実際にその原資はもっと多うございまして八兆三千四百三十四億円でございます。この中で郵便貯金は三兆五百億円を予定しておりまして、それから五十年度の財投の原資は九兆七千三百億円でございまして、この中で郵便貯金は四兆五百億円を予定しております。
  143. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、九兆七千三百億円の財投の金をいろいろお使いになっておるわけです。この使い方について、これを国会の承認を得ておりますか。
  144. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 四十八年度におきまして法律を御提案申し上げまして御承認をいただきまして、国会の議決をいただいております。
  145. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、国会においてたとえばこの財投の金の収支について、道路公団にこれだけやるのは多過ぎる、これは住宅公団に回すべきだ、あるいはたとえば輸出入銀行にこれだけの投資をすることは多過ぎる、これは地方還元すべきである、こういう修正案を出して結構ですね。
  146. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 特別会計予算総則におきまして書きまして、国会の議決の対象としていただいているわけでございますから、その修正案その他の問題につきましては、私はちょっと法規的には詳しくございませんけれども、いろいろ御議論をいただいておるかに聞いております。
  147. 土橋一吉

    ○土橋委員 だって国会の審議を経、決裁、決議を経るということになれば、当然各党派は修正案を出したり、その使い方についていろいろ質疑応答する権限があるんじゃないですか。そうすれば、それなら財投の問題についてはわれわれ予算委員会とか各分科会においてその修正案を出して、それでそれは通るように努力をいたしますけれども、それは認めますね。そういう修正案を出して、金額にすれば九兆七千三百億の金の使い方について審議をすることができれば、当然修正その他することできますね。
  148. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 いろいろと御審議をいただいて結構だと思います。それから五十年度は九兆三千百億円でございます。
  149. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、先ほどあなたの御報告にございましたように、五十年度郵便貯金は四兆五百億の要するに財投をするわけですね。そうしますと、これは大体九兆七千何百億のいわゆる総額から見ますと何%に当たるのですか。
  150. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 原資の九兆七千三百億円の中におきましては郵便貯金の四兆五百億円は四一・六%に相当いたします。
  151. 土橋一吉

    ○土橋委員 四兆五百億円は……。
  152. 後藤土男

    後藤(土)政府委員 いや、この四兆五百億円が四一・六%でございます。
  153. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうですか。そうしますと、財投の中に占めておる四一%という高い比率です。そのうちのさっきお話しの八〇%は、要するに定額貯金なんですよ。それが五十年度に九百二十二億の赤字を出しておるという問題になってくれば、この財投全体の中のいわば柱がぐらぐらとしておるわけですね。したがって、これはだれが考えてみたってこの問題の措置をすることはまことに重要じゃございませんか。しかも、これが国会の審議にかかって修正をされたり、あるいはいろいろ増減が加えられるということになってくれば、郵便貯金はまとまったものじゃありませんか。ほかの原資を見たって、御承知のように一番大きいのは厚生年金じゃございませんか。それ以外のものはとうてい郵便貯金に及ぶべくもないじゃないですか。これは四十九年度のを見たって群を抜いているじゃございませんか。その八〇%を占めておる定額貯金はこういう状態では一体どうなりましょうか。これは国会の承認を得ることは当然でありますし、またこの使い方がいわゆるインフレを促進をしたり、あるいは道路公団とかそういう開発銀行であるとか輸出入銀行がその金をどんどんばらまいて、そうして異常なインフレを促進をさせておるじゃありませんか。こういうことについてわれわれは重大な関心を持つと同時に、当然これは訂正すべきものは訂正すべきであるというふうに私は考えておるわけです。  次に船津さんにお尋ねをいたしますが、あなたの方では目標を立てまして、たとえば五十年度で申し上げれば、要するに財投が約四兆五百億ですか、そうすると、簡易保険局としては五十年度は何ぼの目標を立ててやっていらっしゃるのですか。五十年度の目標は、貯金の募集目標といいますか、セールスは何ぼですか。
  154. 船津茂

    船津政府委員 先生がおっしゃいました四兆五百億円がひとまずの年間の、五十年度の募集目標でございます。
  155. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、先ほど私が図を示しましたように、いわば勤労者階級低所得者層を中心とする預け入れ、あるいは出し入れをやっておるわけです。この表を見るとすぐわかる。そうすると、今日非常に不景気だ。春闘においても御承知のように四万五千円の要求が一五%内に抑えられた。皆、労働者は不満を持っておるわけです。中小企業は倒産をしております。帰休制度が行われておる。そうすると、こういう表から見てわかるように、果たして四兆五百億の資金が集まりますか。この階層から見て、だれが見たって不景気だ。首を切られて物価が上がっておる。とてもじゃないが暮らしは苦しいという中でこの大枚な四兆五百億という金を集めることができますか。
  156. 船津茂

    船津政府委員 将来の予測の問題でございますけれども、過去数年間の数値の推移、いろいろ条件、にらみ合わせまして、集まるだろう、それ以上にいくのじゃなかろうかというぐらいの気持ちで取り組んでおりますが、現実にもう五月末現在までに二カ月間本年度経過したわけでございますが、四兆五百億円のすでに一五%というものを達成しておりまして、このまま順調に、特別の事情変更がなければ、そうやすやすと四兆五百億もちろん達成できませんけれども、相当の経営努力従事員の方の丹精込めた努力によりまして四兆五百億はやりたい、まあやれるだろう、こういうように考えております。
  157. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたの方の資料を見ると、私はページをちょっと覚えておりませんが、ここのどっかの中に、最近は、四十八年ごろから自主目標を立てて、従来は貯金局が指導的に上から金額を決めて、そうして各地方貯金局に割り当て、地方貯金局は各郵便局に全部割り当てて募集をしておった。これでは民主的でないので、自主的に下から目標を選んで、そうしてやらしておる、こういうことがどっか書いてございました。果たしてそれは本当ですか。
  158. 船津茂

    船津政府委員 物事を端的に割り切ることはできないと思いますけれども、いままでの先生がおっしゃいましたしりたたき的な督励的なやり方は策の得たものではないということで、昭和四十五年から、まあまあこういうふうな仕事は全部簡易保険も同じでございましょうが、郵便貯金の募集も募集者の自主的な、自発的な意欲というものに負うことが大きゅうございますので、そういうふうに四十五年から自主目標、自分でやる目標を立てるということで、私の方はそれをたっとびまして、それの数値がたとえば四兆五百億のわれわれが策定しました一年間の達成目標にいかにもほど遠い自主目標、下回った自主目標だといろいろ難点もございましょうが、大体いままでの数値、傾向値その他あわせまして、自分でこのくらいやれるだろうという自主目標は、トータルしますと四兆五百億前後ということに相なりましょうし、いままでも四十五年以降なってきたわけでございますし、自分が設定した目標だということで働いていただく。そうしたら、非常に気持ちよく仕事していただけるんじゃなかろうかということで、そういう方式でやっております。
  159. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、郵政省考えておったことと同じような、各二万一千の局で従業員の方々がたまたま意見が一致した、四兆五百億になった、そんなことが一体世の中にあるでしょうか。つまり、あなたの方でも大体四兆五百億の金を今度は五十年度予算でやっていきたい。下の方で自主的にみんな相談した、二万一千の局で。そうしたら、ちょうどそれが四兆五百億になった。こんなことが一体世の中にあるんですか。どうですか。
  160. 船津茂

    船津政府委員 御不審はもっともと思いますけれども、やはりいままで自分のやってきた積み重ねが、一年間の増強といいますか、大体達成の実際の数値になっておるわけでございますので、自分自身で一局一局もわかっておるわけでございまして、トータルしまして、完全に四兆五百億に期せずしてなるかといえば、そうならない、前後すると思いますけれども大体符節を合する、ということに相なっております。
  161. 土橋一吉

    ○土橋委員 聞くところによると、あなた方は従来どおりガイドラインを決めて、それをおろしておいて、そして自主目標を自分たちで立てたという形をとって、そして自分で自分の良心を責めるような方法で、いわゆる貯金の募集に専念せざるを得ないというしりたたきの方法を発見したのじゃないでしょうか。
  162. 船津茂

    船津政府委員 一部の郵政局でガイドラインというものを各郵便局に流すということもありますけれども、これは各郵便局、各人が自主目標を——ちょっと言い逃れ的になるか知りませんが、立てやすくするためのいわゆるガイドラインでございまして、それによって自発的にひとつここまでやってやろうというようなめどを立てていただくということでございます。
  163. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、上から金額をまず船津局長村上郵政大臣が出して、そしてそれが各二十数局の地方貯金局を回っておる。その地方貯金局は、東海地方のような場合には、名古屋貯金局一局で二千何ぼの郵便局を拘えておって、そして割り当てて作業をする。そして従業員がその割り当てに従って、まあ上から言ったのだからしようがないというので、自分も飯を食っているのだからというのでやる。ところが、そうじゃなくてガイドラインだけを示しておく。そして地方貯金局及び郵便局にこれをおろす。みんなが自主的にやったという形をとって、つまり前者の場合には、上から言っているのだからしようがないと言って愚痴をこぼす余地があるわけです。つまり、人間というものはいろいろ思うことを言わなければ腹ふくるるわざで、愚痴を言えば気が晴れるというようなことも間々あるというようなことも、私は聞いております。ところが、愚痴を述べることもできないようにしておいて、自分たちが自分で決めたのだからしようがないというような、きわめて率直に言わしていただくと、巧妙といいましょうか、あるいはきわめて悪質といいましょうか、あるいはセールスマンに立っている人をどういう方法でがんじがらめに仕事をやらしてしまうか、こういうことに結果なるのじゃないですか。前者の場合よりも後者の場合非常に悪質じゃございませんか。どうですか、委員長、お聞きになって。私は上から言われたんだからしようがない、まあやるのだと言って愚痴を述べて不平だらだらでやる、そういう場合もあり得る。片方は、不平を言うこともできない、自分たちで決めたんだから文句を言いなさんな、こういう締め手を用いて仕事をさせるということは、現代のいわゆる心理的な要素を利用することもほどほどであって、これはきわめて検討しなければならない問題だというふうに私は思うのですよ。もしさような意図があってか、ガイドラインを決めておいて、そうして下から出たのは四兆五百億上の希望も大体四兆五百億、一致した、それでまあ自主的にやった。こういうことは近代的な労働運動から見ると非常に巧妙過ぎるほど巧妙であると同時に、心理的にも、自分自身が愚痴のこぼしようがない、こういう結果に陥れてしりをたたくというのは、どんなものでしょうか。郵政大臣、お聞きになってどうですか。
  164. 村上勇

    村上国務大臣 それは先生の思い過ごしでありまして、とにかく多年の経験によって大体統計的にもまあ当たらずとも遠からずというものが出てくるものであります。その証拠には、少なくとも私の知っている範囲の貯金外交員——外務員、外事員ですか、非常に和気あいあいと、もう本当に楽しく働いておる。これを見ても私は証明できると思います。まあどうぞ御心配なく。
  165. 土橋一吉

    ○土橋委員 それはまあ郵政大臣ともなれば、あなたがそういうのをごらんになったり、あなたを囲んで話が出れば、こんなことをして苦しんでおるなんてことは言いませんよ。これはまあ常識だと思うのです。またあなたは最高の責任者ですから、そういう善意の意味にとられることは決して私はあれはいたしませんけれども、下の方では、たとえば自分は健康がすぐれない、あるいはうちの中は女房は病気をしておる、子供は試験に落第した、思わしくない、きょうは休みたいというような人もたくさんあると思うのですよ。にもかかわらず、自分で決めたんだからしょうがないといった人が、出かけていって募集するというような場合もたくさんあると思うのですよ。百人が百人毎日愉快にやっておるというわけにいきませんよ。われわれだってそうです。やはりおもしろくない日もございます。そういうときに文句だらだらでやって、まあうっぷんを晴らしたというような場合があり得ると私は思うのですよ。  そういうことですから、ひとつこの点は、やはりそういうことについては相当検討してみる必要がある。ただ募集させれば何でもいい、どういう方法でもしりをたたけばいいということであってはならないということを私は強く要望いたしまして、この問題についてもさらに検討する必要があると思うのです。  以上をもちまして、私の質問を終わります。
  166. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十六分散会