○清水説明員
民間の
金融機関の
利益の
状況につきましては、期によりまして多少の変動はございますが、概して堅実な
状態で推移しております。これにつきましては、いろいろの要因があるかと思いますが、特に四十九
年度、上期、下期と多少様相が違っておりますが、四十九
年度について
考えてみますと、貸出
金利の引き上げの効果の方がどうしても早く出てまいります。そうして、
預金金利の引き上げの方の効果が出るのには時間がかかるという
性格がございます。そういう関係が主として働きまして、ことに四十九
年度の九月期
決算昨年の九月期
決算は、増益率が高く出た事実がございます。しかしながら、ただいま申し上げましたような要因の結果といたしまして、この三月期
決算は、どちらかというと、
利益状況は全体で見まして横ばいないし減益の
状態になっております。今後さらに現在の期、ことしの九月期あるいは来年の三月期に向かってその点を
考えてみますと、これはむしろはっきり減益であるということはもう明らかだと思います。ことに貸出
金利の方はすでに現実に引き下げの過程に入っておりますので、かなり
経営環境は厳しいものになるだろう、こう思っております。
もう
一つは、これはぜひ御理解をいただきたい点でございますが、四十七年の三月以降、実は
銀行の
決算に際しまして貸し倒れ引当金というようなものの経理の仕方が変わってきております。これは、法人税法施行令の
改正によりまして、貸し倒れ引当金の積立限度率、つまり損金で許容される限度率、これは洗いがえの限度率ですけれ
ども、この限度率が逐次引き下げられてきております。ということは、実質的に増税ということになっておるわけでございますが、
銀行が
決算をいたします際には、その基準が変わりますことによって、営業活動の実態は変わらなくても計算上の
利益が多く出ることになります。そういうことが影響をしておりまして、この点が実はこの数期間における
銀行の表面上の増益のむしろ半分ぐらいの要因を占めておるという実態もあろうかと思います。
そういうことでございますが、私
どもとしましては、
預金者の立場につきましては、やはり最優先的に
考えていかなければならないと思っております。したがいまして、そうした
考え方に基づいて、たとえば去年の九月におきましても、
預金金利の引き上げを図ったというようなことでございますし、現在の貸出
金利の引き下げ過程の中におきましても、なおこの問題は慎重に
考えていきたい、このような意味で
預金者の立場に配意してまいりたい、かように
考えております。