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1975-02-19 第75回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月十九日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 志賀  節君 理事 羽田  孜君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 阿部未喜男君    理事 土橋 一吉君       小渕 恵三君    金子 岩三君       高橋 千寿君    廣瀬 正雄君       村岡 兼造君    大柴 滋夫君       金丸 徳重君    久保  等君       米田 東吾君    平田 藤吉君       大野  潔君    田中 昭二君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         郵政政務次官  稲村 利幸君         郵政大臣官房長 高仲  優君         郵政大臣官房首         席監察官    永末  浩君         郵政大臣官房電         気通信監理官  田所 文雄君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省貯金局長 船津  茂君         郵政省簡易保険         局長      北 雄一郎君         郵政省電波監理         局長      石川 晃夫君         郵政省人事局長 神山 文男君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君  委員外出席者         日本国有鉄道旅         客局荷物課長  山岡通太郎君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   北原 安定君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   三宅 正男君         日本電信電話公         社総務理事   遠藤 正介君         日本電信電話公         社総務理事   武田 輝雄君         日本電信電話公         社理事     好本  巧君         日本電信電話公         社営業局長   玉野 義雄君         日本電信電話公         社施設局長   山本  孝君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     —————————————  委員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   津金 佑近君     平田 藤吉君 同月十九日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ————————————— 二月十五日  簡易郵便局法等の改正に関する請願外四件(大  橋武夫紹介)(第四八九号)  同(坂田道太紹介)(第四九〇号)  同(關谷勝利紹介)(第四九一号)  同外一件(西村英一紹介)(第四九二号)  同外二件(足立篤郎紹介)(第五四三号)  同外二件(伊東正義紹介)(第五四四号)  同外八件(小沢貞孝紹介)(第五四五号)  同外一件(唐沢俊二郎紹介)(第五四六号)  同外七件(佐々木良作紹介)(第五四七号)  同外三件(楢橋進紹介)(第五四八号)  同外一件(西村英一紹介)(第五四九号)  同外一件(細田吉藏紹介)(第五五〇号)  同外一件(毛利松平紹介)(第五五一号)  同外一件(伊藤宗一郎紹介)(第五七一号)  同(大村襄治紹介)(第五七二号)  同外三件(櫻内義雄紹介)(第五七三号)  同(園田直紹介)(第五七四号)  同外十九件(山中貞則紹介)(第五七五号)  同外二件(山田太郎紹介)(第五七六号)  同外五件(有田喜一紹介)(第六二五号)  同外八件(宇田國榮紹介)(第六二六号)  同外一件(大橋武夫紹介)(第六二七号)  同外一件(小沢貞孝紹介)(第六二八号)  同外二件(仮谷忠男紹介)(第六二九号)  同外一件(久保田円次紹介)(第六三〇号)  同(近藤鉄雄紹介)(第六三一号)  同(福永一臣紹介)(第六三二号)  第三種郵便物郵便料金に関する請願大村襄  治君紹介)(第四九三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に開する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土橋一吉君。
  3. 土橋一吉

    土橋委員 きょう、私は、委員会において郵政大臣が過日事業説明をされましたその内容を中、心に質問をする。もう一つの問題は、解同朝田派と言われる諸君研修会などを開いておる問題について質問をしたいと思うのであります。  そこで、郵政事業全般について、大臣の七十五通常国会における郵政大臣所信表明資料に基づいて質問をいたしますが、その前に、これ、小さいことですけれども、郵政省が四十九年度の郵政要覧というので、こういう冊子を出しております。私も勉強させていただいております。これは小さい問題ですけれども、非常によく練れてはおりますけれども、非常に誤植の多いということ。たとえば十四ページの郵政事業は三世紀、いわゆる何と言いますか三百年を迎えたような説明になってきておるわけですね。そのほかは、私べつ見をしましたけれども、非常に誤植が多いということ、そしてまた、文字をもう少し練って書く必要があるというふうに私は痛感しましたので、一言苦言を呈しておきます。たとえば、第三世紀になったというようなことを書いておるわけです。まだ二世紀目です。郵政は明治五年からできまして、いまから五年ほど前に百年を迎えたのですから、第二世紀に向かっているわけですから。そういう目立ったものが十四ページ以後にたくさんあります。ですから、注意してもう一回よく見て直すように、この次出すときにぜひ直すようにということです。  それから、ちょっと私はお尋ねしてみたいと思うことがありますが、通信郵便というのを出すのは、たとえば郵政省局長とかあるいは郵政大臣とか郵政業務に関して無料郵便通信事務として出すことができるというように私は理解しておるわけです。そこでお尋ねをいたしますが、簡易保険福祉事業団というのは一体どういう法人ですか。郵政省とどういう関係があるのか。簡単に答えてもらいたい。
  4. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答えいたします。  簡易保険郵便年金福祉事業団法という法律に基づいて設立された特殊法人でございます。
  5. 土橋一吉

    土橋委員 その特殊法人というのは、無料通信郵便を出す権限を持っておるのかどうか。
  6. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいまお話しの簡易保険事業団の場合は、この郵便法第二十条の、無料で差し出すことができるという条項の第一号は「郵政省から差し出されるもの」、二番目に「郵政省依頼により郵政省にあてて差し出されるもの」という二つでございますので、いまお話のありました事業団につきましてはこれには該当しないと思いますから、無料郵便を差し出すことはできないというふうに解釈いたします。
  7. 土橋一吉

    土橋委員 そうすると、この役職員諸君無料郵便を出すことはできないわけですね。それは間違いありませんね。そうしますと、郵便法第二十条と規則の十条の規定に基づいて、そういう違法行為をしてはならないということになっておるにかかわらず、名前は避けまして、ある郵政省高級官僚をしておった方がここへ退職をして就職されたわけです。仮にN氏としておきましょう。そのN氏が住居移転をしたということで、通信事務無料郵便を全国的に配付しておるわけです。そういうことをなぜやるのですか。どういう根拠に基づいて——いま、あなたはやっちゃいかぬ、そういうことはない。第二十条の規定によって、「郵政省から差し出されるもの」、「郵政省依頼により郵政省にあてて差し出されるもの」は無料郵便物として取り扱うということになっておるわけです。規則の十条も大体そういう趣旨です。そのN氏が勝手にそんなことをしていいのですか。
  8. 石井多加三

    石井政府委員 先ほどお答えいたしましたとおりでございまして、無料郵便というのはやはり法律規定に定められておるそういった目的に従って出されるものであります。したがって、いま御指摘の事実につきましては、詳細どういう事実関係があるのか、いまにわかのお尋ねで私も的確なお答えをいたしかねますから、十分調査いたしましてなお御報告を申し上げたいと思います。原則論としては、いま申し上げたとおりでございます。
  9. 土橋一吉

    土橋委員 ここにその写しがあるわけです。現物じゃありませんが、写しがあります。私はN氏の名誉のために名前等は省略いたします。これは四国に起こった事件でありますが、「お知らせ」「保険部管理課」という名前で、「簡易保険福祉事業団云々のN氏は「左記の住所移転いたしましたので参考までにお知らせいたします。」「記」として「東京世田谷区」云々となっている。これは四国松山郵政局でこういうことをやっているわけです。したがって、これは恐らく松山だけでなくて、九州も関東も東北もやっておると思うのです。郵政省は赤字だ、苦しんでいるんだ、収入がないと言っておるのに、なぜこういうのは何百、何千通と無料通信を、しかもこの方はかつては郵政省高級職員でございました。しかし、いま事業団の一幹部であります。なぜこんなことを一体郵政省は許しておるのか。明確な返答をしてもらいたい。
  10. 石井多加三

    石井政府委員 ただいまの御指摘郵便物につきましては、私どもの方も実情調査いたしまして、正確なお答えを申し上げたいと思います。
  11. 土橋一吉

    土橋委員 ちゃんと現物があります。調査をするまでもないわけであります。現物がありますから見てください。そしてこれに対して四国上田宇村という方が、松山郵政局に抗議の手紙を出しております。松山郵政局長はこれについて何の返事もしない。こういう不届き千万なことが繰り返されておる。本人のあれも出ておりますから。なぜこんなことをやるのか。私はこれは一つのほんの事例だと思いますが、こういうことが平気で郵政省の、しかも簡易保険部何とか課という名前でこの事業団を利用しておるということになってくれば、こういうことがこれだけじゃないと思うのですよ。郵政省関係のいわゆる公益法人としてのいろいろな財団がたくさんございます。そういうものが、幹部が就任をしたとか移転をしたというときに通信事務、こんなことをやっておるということは許しがたいことでありますので、やってはならないことはもちろんですけれども、直ちに通数を調べて、本人からちゃんとした料金を納めさせて、そしてその領収証国会へ提出してください。何通出したのか。これだけの厳重な措置をしなければ、今後かようなことが絶えないわけです。ですから、これはどの党であろうとも、こういうことが郵政省の中で行われておるということは、郵政省がいかに堕落をしておるかということを私は端的に証明しておると思いますので、即刻本人から、あるいはその事業団として——個人的な住所移転でありますから、当然本人が負担をすべきでありまして、こんなことをやらして郵政省に迷惑をかけるようなことがあってはならない。しかも、自分が長い間郵政省幹部として禄をはんできたわけだ。それがこんなことで郵政省を困らせるようなことを高分でやることは断じて許すことはできませんので、これはその事業団幹部諸君で検討して、本人謝罪の意を表することが必要であります。したがって、新聞において謝罪の意を表し、そして郵便法規定に違反をしておるのですから、郵便法上の処罰を受けて、そしてきちっとした料金郵政省に納める。この三つの要件を私は強く要求したいと思うのであります。どうですか。
  12. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  ただいま先生からこの手紙写しを見せていただいておるわけでございますが、この原文のそのものずばりの、どういう手紙内容になっておったのか、またその封被等も内容等も実際によく調べてみまして、その上で的確なお答えを申し上げた方がよろしいかと思いますので、それまでしばらくわれわれの調査の時間をとらしていただきたいと思います。
  13. 土橋一吉

    土橋委員 事実はきわめて明白であります。でありますから、具体的な資料を添えて皆さんがそういう処置に出ることについて私は賛成ですけれども、そこに書いてある手紙趣旨やあるいはその写しや、そういうものは疑う余地もないわけです。したがって、事明白でありますので、いま申し上げたように本人のいわゆるこの事業団の名誉のためにも、謝罪文新聞で広告をして、そうして郵政省にちゃんと料金を納めて、郵便法上の処罰をきちっと受ける。これは当然であります。しかも、本省においてこの方は重要な役割りをしておったわけです。そういう人がかようなことをやっておることは許しがたいことでありますので、私は郵政当局において厳重な措置を講じなければならぬと思っております。この件はこれだけにいたします。石井さん、郵政局長として約束しますね。
  14. 石井多加三

    石井政府委員 調査いたします。
  15. 土橋一吉

    土橋委員 そのほかに、まことに残念なことですけれども、ある報道をいたしておる雑誌によりますと、こういう事実が指摘をされておるのであります。私の方も一応調査いたしました。その結果は、新宿区百人町に中央メーリングKKというのがあります。ここは大体ダイレクトメール商業用通信を一手に引き受けて発送しておるように見受けられるわけであります。そこに、私の方で調べたところによりますと、郵政省の四十八年九月一日付の職員録を見ますと、下谷郵便局において、伊丹利雄という下谷郵便局次長さんがおられます。この方が転勤をするところはどこに行っても、この中央メーリングという会社ダイレクトメールがその郵便局に持ち込まれるわけです。そして郵便局に持ち込まれまして、たとえば十万の郵便物を出したよと言って、それで実際は二十万の郵便を引き受けさせたことにして、その最高限度一五%の割引を窃取をしておったという疑いが顕著であります。そして、この中央メーリングKK幹部と山分けをしておったということがこの雑誌には報道されております。「「二億数千万円を着服した」といわれる郵政省役人の進退」というので、すでにこれは自宅謹慎を命ぜられて、いま解雇の形をとっておるようですが、そういう事実を郵政局長は知っておるのかどうか。
  16. 永末浩

    永末政府委員 首席監察官でございます。  先生指摘の件、ある週刊誌に載った記事の問題だろうと思います。この記事に載りましたことにつきましては、私も拝見したわけでございますが、全く心当たりがないわけでございます。ただ、御指摘のありました請負業者と結託して郵便物発送費をごまかして会社と山分けしたという事実につきましては、昨年の十月ごろにあったわけでございます。これは、郵便局窓口係員一名が運送会社の社員三名と共謀いたしまして、郵便局へ差し出される郵便物に対する郵便料金受領証金額を、実際よりも多い金額に水増しして会社に渡したということでございます。したがいまして、郵政省といたしましては料金は適正に徴収されているわけでございますが、その受領証が水増しされまして会社からそのお金詐取するという方法で、四十八年の十月ごろから四十九年の十月ごろまでの間、毎月五、六十万円、合計約八百万円を会社から詐取し、四人でこれを山分けしていたという事件でございます。この件は、昭和四十九年の八月三十一日、関東郵政監察局に対しまして、被疑者等が結託して郵便料金をごまかし、会社の金を横領しているようであるという申告がございまして、発覚したものでございます。
  17. 土橋一吉

    土橋委員 あなたさんの説明によると、こういう事実があったのですか、なかったのですか。
  18. 永末浩

    永末政府委員 いまの事実はございました。
  19. 土橋一吉

    土橋委員 あったわけですね。  そうしますと、こういう事実は犯罪事実であるし、また、たとえば十万通持っていって二十万通届けましたと言って割引料金を、たとえば一五%であれば何十万円という金を郵便局から詐取をしておった、また逆の場合を言えば、会社から、実は十万通しか郵便局に持っていっていないけれども二十万通出したよ、ああそうかというので郵便料金を半分は詐取する、こういう両方があると思うのですよ。この記事では十万通出して二十万通の受けということになっているから、要するにこれは郵便局側割引を利用して詐取をしたというふうに、私もいろいろこれを検討いたしまして結局その道ではなかろうかというふうに思うのですけれども、逆の場合もある。こういう犯罪事実をなぜあなたの方はきちっと摘発をして処断をしないのですか。ただやめさせたとか、自宅謹慎だけさせておって……。
  20. 永末浩

    永末政府委員 郵政省詐取されたわけではございません。具体的に申しますと、十万通の郵便物を差し出した、十万通のお金郵政省としては受け取っているわけでございます。ただ領収証を書く過程におきまして空白の領収証をやるとか、あるいはいろいろの方法で、会社に持ち帰る領収書が実際に郵便局に差し出された通数よりも多くなっておって、会社の方が詐取されたというようなことになっているわけでございます。また、本件につきましては、当人に対しましては十一月の十三日付で懲戒免職をいたしております。四十九年の十一月十四日、司法処分詐欺罪で起訴されている次第でございます。
  21. 土橋一吉

    土橋委員 これが郵便局次長という地位を占めておる人なんです。この人は世渡りが上手と見えまして、高崎の出身でございまして、それで高崎郵便局を振り出しに下谷郵便局次長にまでなっている方です。そして高崎局渋谷局世田谷局下谷局など移動して、そして最後は、この資料によりますと、これは関東郵政局かあるいは東京郵政局かの調査官という地位を占めたというふうに書いておりますが、そういうかなり中堅幹部でありながらこういうでたらめなことをしている。しかも私が非常に奇異に感ずることは、関東監察局の第一部のN氏が言っておる内容などについては、これは黙視しがたいものであります。少なくとも自分の調べた中からこういう不届きな者が出て世間に対して申しわけない、われわれの監督不行き届きで申しわけないというようなことを声明すべきであるにかかわらず「投書がインチキだったのか。インチキだとすれば、C氏はよほど人に恨まれるコトをした人ということになる。」、関東監察幹部がこういうせりふを残しているということになってくれば、これは全く許しがたい問題であるというふうに私は痛感をするので、これも石井さん並びに関東関係監察部諸君は、この最後のところを見てもらって、こういう物の考え方でいるならば、これはそういう問題についてはいわばぼろを出さないようにするという、そういうさもしい根性でいるということを示すものであります。こういうことに対して、厳正にしかもきちっとした処置郵政省はとるべきでありますから、そのことについて監察関係幹部はどう考えておるのか。
  22. 永末浩

    永末政府委員 週刊誌記事が非常に込み入っておりまして、私全く心当たりがないと申しましたけれども、先ほど申しましたのはそういった水増しをして横領したという事件、これは先ほど申し上げた件でございます。そのほかに書いてございます郵便局を転々としていたり、郵便局幹部であったという件につきましては、先ほど申しました事件とは全く別個の問題でございます。また、内容週刊誌に書いてあるものとは全く違ったものでございます。
  23. 土橋一吉

    土橋委員 いずれにいたしましても、こういう人の茶飲み話になるようなことが郵政省で頻繁に起こるということは、やはり監察方面においても、先ほど指摘をいたしました通信事務無料で、郵政省最高幹部の一人である者が百も承知でそういうことを、かつて自分の部下であった四国郵便局簡易保険部幹部を使って住居移転についてそういうものを配るなんということはもってのほかでありますので、これは大臣内容はお聞きになって大体わかると思いますので、こういうことを郵政省から各分野においてやはり一掃する必要があると思います。  たとえば、これは一つの例でありますけれども、「解約に冷たい簡易保険」という題でこれは二月の十五日土曜日に東京新聞に出ておるわけです。この案件を簡単に申しますと 結局 あるテレビ俳優の方が勧誘員お話を聞いて本人大変心を動かしまして、それで三百万円の簡易保険を七口、合計二千百万円の契約をした。そして五ヵ月積み立てたけれども、やはりこの俳優さんですか、この方はどうも支払いが困難になってきた。その方は大体十五万四千二百円ずつ一ヵ月に掛けなければならぬ。なかなか大変でございます。十五万円というきれいな金を月々納めることはなかなか容易じゃございません。そこで、五ヵ月たってから、やめたいということを本人が言われて、何とかならぬかということを言ったらば、六ヵ月納めなければ一銭も返さない、こう約款に書いてあるからやむを得ない。約款でそういうことを約束されておったことを本人が知らなかったことは非常にうかつだと私は思います。当然約款解約条項を見ていなければならぬ。しかし、それにも増して、簡易保険を勧誘する者がこういうこともあり得るんですよと一言ぐらい念を押しておかないと、そのためここで大問題、いろいろの事が起こっているんですよ。結局納めた金が、七十七万何千円という金が一銭も返らない、何というむごいやり方だというので、やはり茶飲み話になっているわけですね。これは約款を改め、もし六ヵ月掛けるならば、十五万円さらに入れれば、たとえば半分返すとか、あるいは七十七万円の三分の一返してやるとか、どろぼうに追い銭のようなことだけれども、結局、そういう手の行き届いた措置をやらないと、人気が悪くなってしようがないですよ。簡易保険関係諸君、おられますか。こういう問題も起こっているのですよ。この約款を改正するか、あるいはまたそういう措置を講じて、やはり国が経営をする任意保険なんですから、こういう点は一体、大臣、先ほどの二つの件とこれについてどう考えていらっしゃるか。ちょっとあなたの所見を聞きたいと思います。
  24. 村上勇

    村上国務大臣 先ほどの先生の御質問ですか、御意見は、全く私はあなたと同感です。やはり郵政省自身にたとえ損害を与えなくても、人間として第三者に詐欺的行為があったというようなことについては、私は、これは公務員として断じて許すべきでないというような、その見地に立っての判断は土橋先生と全く同感であります。  ただいまの簡易保険の問題につきましては、余り私もまだ実情を知りませんから、ただ、一つの秩序を維持するために一つ規約があった、その規約に従ってやったことは正しかったかもしれないが、余りに愛情がなさ過ぎるじゃないかということについては私もうなずけます。ですが、これは私のいまここで即断すべきことではない、かように思っております。
  25. 土橋一吉

    土橋委員 これがますます金額が多くなってくるいまの情勢なんですよ。つまり、保険金額限度をだんだん高めてくるわけです。そして、そのときは払えると思っても、病気をしたとか不時の出費があったために、その十五万何千円の一カ月の掛金を掛けられないという事態も予測できるわけですね。そうすれば善意の——国経営をする簡易保険事業ですから、当然そういう方々は俸給生活者ですから、余分に営業してもうかるとかどえらいうまみのある商売とかということじゃないわけですから、そうなってくると、やはりそういうことも考慮に入れて、約款の改正なり、あるいはここのところ、どういう処置をするか。結局、端的に言えば七十七万円が、本人がやめたと言った瞬間に郵政省のふところに入ってしまう。しかも、この中で答えておる内容がけしからぬわけですよ。これが問題なんだ。どういう答えをしておるかというと、端的にこれを読み上げてもいいのですが、結局、その間あなたは補償されたじゃないか、その間安心して、要するに二千何百万円の金が入るといういわゆる期待可能性があったのだから、それで帳消しでいいのじゃないか、こういう説明をしているのですよ。おわかりになりますか。実にひどいことを言っておるじゃございませんか。そのためにほかの人も安心して簡易保険で補償されるということが証明されておるのだから、もって黙すべきではないかというような、何と言おうか、これは説明説明だけれども、全くむごいことをやっておるわけです。  もう一つあります。大体同じような案件ですが、これはやはりこの委員会においてもそうですか、郵政省がやはりこの問題について抜本的に、解約の場合の約款関係、あるいはその場合が起こり得る場合について、どういう措置を一応将来国民に——任意で簡単に入れていいという、そういう大きな意味からここで相当内容について検討して、改正する必要があるというふうに私は思うが、どうですか。
  26. 高仲優

    ○高仲政府委員 ただいま簡易保険局の関係者が参っておりませんので、便宜私からお答え申し上げます。  保険を募集するに当たりまして、こうした約款内容を十分説明することなしに契約をした結果、こうした事態が起こったのではなかろうかと考えておる次第でございまして、契約のときには十分説明に意を尽くして、こうした問題が起こらないようにすることが必要であろうと考えておる次第でございます。
  27. 土橋一吉

    土橋委員 私はこの内容を読んで実は本当に憤激をしました。それで、その間においてごたごたしたようですが、結局、「生命保険の社会的意義をご理解いただければ、七十七万円を掛け捨てたなどとは決して思われないはずですが」というような、こういうしゃあしゃあとしたことを言っておるわけですね。  もう一つ案件もあります。これは川崎市高津区の主婦Oさん三十三歳の問題です。さっきのは横浜市神奈川区のテレビ俳優Kさん三十四歳の案件です。ですから、これはやはり検討しませんと、こういうのがちらっと出ると、簡易保険事業全体に非常に大きな影響を与えるということですから、検討する必要があるということでありますので、検討するかどうか。いま私が申し上げた点で、それは保険というのはなかなかむずかしい原理によっておるわけです。保険学というのはなかなかむずかしい原理を持っておるわけですよ。そういう原理原則の問題もありますけれども、計数の問題もあるけれども、要するに、それはそれとして、簡易保険事業を本当に国民のために——一ヵ月やってそれで返せなんと言うのはちょっと無理でしょうけれども、五ヵ月も掛けておいて七十七万円もふんだくっていくということは、これは許されない。明確な前向きの討議をするかどうか、答えていただきたい。
  28. 高仲優

    ○高仲政府委員 先ほど申し上げましたように、募集に当たってかかる行き違い、錯誤が起こらないように、十分意を尽くすよう簡易保険局に伝える所存でございます。
  29. 土橋一吉

    土橋委員 それでは、本論に入ります。  過日病気上がりのところを押して出られまして、村上郵政大臣が所信表明をやられました。私も大変意義深くいろいろ拝聴したわけであります。そこで、主管官庁としてというのが最初のページの初めから五行のパラグラフのところに、また主管官庁として電信電話等を初めとする電気通信業務についてもいろいろやっておるというお話が出ておるわけです。  そこで私は伺いますが、この主管官庁というのは、これは郵政事業あるいは電電公社事業というようなものの全般的な交通整理やあるいは指導をする。したがって、そこに勤めておる職員は、これは当然郵便局の給料でまかなわれるものじゃなくて、主管官庁として、たとえば運輸省のように主管官庁として、特別職なりあるいは他の方法によって郵政で上げた金から養われるのじゃなくて、国としてその身分や給与を保障すべきものであるというふうに私は考えておるわけです。主管官庁ということを述べておるのですから。そうすると、その主管官庁の各出先であるところのたとえば関東郵政局であるとかあるいは東京郵政局というのは、いわばその地元の働きをしている上級官庁であって、東京地方の主管官庁であるわけですね。そうなってくると、そういうところに勤めておる職員は、郵便とか貯金とかいう金によって賄われるのじゃなくて、要するに国家の職員として給与体系から入れるべきじゃないか。つまり、公労法の規定やその他の規定によらないで、身分とその給与体系をきちっとすべきじゃないか、こういうふうに私は思うのでございますが、これはどうですか。
  30. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 お答えいたします。  「通信主管庁」云々の問題は別といたしまして、ただいま土橋先生の御発言の問題は、実は本省あるいは郵政局等の管理部門経費の問題かと存じます。その問題につきましては、実は本省におきましても三事業運営の企画部門をやっておるわけでございますし、郵政局も全く同様でございまして、郵便局におきます三事業が円滑に運営されるような計画を立てる部門、そういう意味合いで事業経費というように考えるのが私どもの考え方でございます。
  31. 土橋一吉

    土橋委員 そうすると、これは郵政特別会計から金をもらうのじゃなくて、やはり国家の公務員として当然郵政省初め——従来は電波監理関係が中心になっておりますけれども、これは電波監理関係だけでなくて、たとえば監察にしても、あるいは貯金、保険等は、地方貯金局はこれは現場なんですね。しかし本省で貯金業務の指導、監督をするというのは国家的な立場からやっているわけですから、こういうものは当然そういう給与によって賄われることが必要である。私がそういうことを提案する一つの主な理由は、つまり郵政が赤字だ赤字だと言って困っておって、料金だけにはね返すというようなことが根本的に間違いだという、そういう一つの根拠からいまの立論を私は持っているわけです。ですから、当然監督あるいは交通整理をするそういうところは、郵政業務によるいわゆる収益から給与待遇を賄うのでなくて、国家がやるべきじゃないか。これと同じことはやはり郵便官署、ポストあるいは機械設備あるいはそういう局舎あるいは従業員の宿舎、住宅、これもそうであります。郵政事業は国家事業でありますから、当然基本的な投資をしなければならない。その基本的な投資は別途借り入れとか、あるいは本当に収益の余ったものについての場合には国と相談をしてこれを使う、これが基礎であります。それと同じように、主管官庁であるし、いわゆる上級官庁といわれるところの諸君の給与は全部そういう体制をとるべきである、こういうように私は考えておりますが、大臣はどのように考えておられますか。
  32. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先ほど申し上げましたように、本省並びに郵政局の経費と申しますのは、会社で申しますならば本社経費あるいは支社経費というようなものに当たるかと思います。したがいまして、三事業を運営いたしております郵政省におきます経費の使い方といたしましては、そういった民間におけると同様の事業運営経費というように考えて本省並びに郵政局の経費につきましても経費に計上しておる次第でございます。
  33. 土橋一吉

    土橋委員 ちょっと待ってくださいよ。経費に計上しているというのはどういうことですか。一般会計、特別会計の給与から金を取っておるのでしょう。そうでしょう。それはおかしい。
  34. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 一般会計に属する部分につきましては先生指摘のとおりでございます。ただ、特別会計所属の各事業につきましては、ただいま申しました理由によりまして特別会計から支出するという考え方をとっておるわけでございます。
  35. 土橋一吉

    土橋委員 これは委員先生方も聞いてください。現場で郵便物を区分したり受けたり配達したり、あるいは電報を打ったり電話をやったり、いろいろな書類を書いたりあるいは切手を売ったり印紙を売ったり、この事業を監督をする郵政局と本省というものが上にあるわけです。この諸君は、国家としていろいろな指令を出したり、通達を出したり、業務を指導しておるわけですよ。現場で働いておる人は、結局それ以外の仕事はないわけです。報告書を書くとか郵便送達したとか電報を打ったとか。  たとえば電話の取り次ぎをしたとか書留を受けたとか配達をしたとか、こういう業務なんです。そうすれば、それを指導する上の方はそこの特別会計から賄われるのでなくて、国家の事業としてやっておるわけですから、そうすればそれを交通整理したり監督する者は特別会計の予算で賄われるのではなくて一般会計で賄うのがあたりまえじゃないか。  たとえば、もっと不都合なことを言えば、郵便貯金というのは郵便局の事業なんですよ。簡易郵便保険というのは郵便局の事業なんですよ。そこで上がってくる収益が委託業務による費用なんということを会計面には書いておるわけですが、委託業務じゃないのです。郵政が委託を受けているのは電報と電話、それと印紙の売りさばきだけなんですよ。それ以外の事業は郵政の本来の事業である。先ほども申し上げた明治五年以来郵政省が持っている基本的な業務である。ところが、会計を見ると、その内容は委託業務で収益が上がった形をとっておる。こんなばかなことを繰り返しておるわけだ。だからそういう点から見ても、やはり郵政の監督の立場に立っておる者は当然国家から給与を受け、身分待遇を受けて、そして懲罰をするとか通達を出すとか業務命令を出す権限を持っているわけですから、ほかの職員は、課長であろうとも現場で働いておる集配であろうと、保険の募集をする人だってそんな権限のもとに働いておる。全然分野が違うわけです。それを、ここに書いてありますように、基本的な態度としてまず検討する必要があると思う。それを検討しないでおいてすぐ料金にはね返すとは一体どうかという問題が出てくるわけです。ですから、村上さんに逐次これからお尋ねを申し上げますので、そういう基本的な問題があるということを——あなたは簡単にお読みになったと思いますが、私はこれを聞いたときにすぐそういうことが頭にひらめいたわけですね。「主管庁として」とあなたがおっしゃる限りは、それなら当然そこに働いておる職員全部は国から給与を受けるべきである。こういうことを感じましたので質問をいたしたわけであります。  そこであなたは、ここで二ページ目にこういうことをおっしゃておるわけですね。「郵便事業の財政問題につきましては、すでに昭和四十八年末郵政審議会から郵便事業収支の改善を図るためには、郵便料金を改定することが適当であるとの答申が出されたところでありますが、」こういうふうにあなたはお書きになった。そうしますと、この答申を出した郵政審議会というものはどういうものであるのか。あなたも御承知のように、これは郵政省が勝手に任命をする。学問とかあるいは郵政に明るい人とか、貯金に明るい人とか、四十五名で構成しておるわけです。この郵政審議会は国会において責任を負わないわけです。国民に対しても答申その他について責任を負わない、こういう存在であるわけですね。だから、これがどのような答申をしても、郵政大臣としては財政上の問題が困難であるならば、まず私がいま申し上げたような点から検討して、郵政の特別会計をどう善処するかということを考えるべきが郵政大臣の主な役目ではないか、というふうに私は考えているが、どうですか。
  36. 石井多加三

    石井政府委員 ただいまの御指摘郵政審議会の構成その他性格等もただいまお話しのとおりでございまして、これは郵政大臣の諮問機関でございます。ただそこで審議していただきます事項の中には、郵政省の全般のいろいろ大事なことを全部そこで審議していただきまして、その答申を郵政大臣は尊重していろいろの事業運営をやっていくというたてまえになっておるわけでございます。ただいま私たちの方の問題になっておりまする郵便事業財政の立て直しというふうな問題は、当然この審議会の付議事項でございまして、たとえば第一種、第二種、第三種、第四種以下の郵便料金の改定をどのようにするかということにつきましては、この審議会の答申を得て郵政大臣が尊重して決めるというのがたてまえでございます。  以上でございます。
  37. 土橋一吉

    土橋委員 あなたがそういうことをおっしゃるならば、この前鹿島郵政大臣が答申をしたときの答申の原文や内容を拝見すると、国家財政全般の問題とそれから物価、インフレの問題については一言も触れていないわけです。答申はあなたも御承知でしょう。なぜこのような事態が起こって郵便料金を値上げをしなければならなくなったのか、あるいは給与をどうして引き上げなければならぬか、という問題については討論していないわけです。この問題は議題になっていないわけです。その基礎の上に、要するに物価は上がったんだから郵便料金を値上げをする、こういうところにすぐ飛躍して橋をかけてしまっておるわけです。それではいかぬじゃないか。郵政省全体の構成の中から直すべき点や検討すべきものがたくさんあるのにかかわらず、その方をほったらかしておいて、物価が上がったんだからどうしてもやれませんから、千四百億赤字が出たからこれを何とかしてくださいという形の答申をして——答申をする方もする方ですけれども、そうかと、それではいろいろな関係で業務のここ改善してあそこ改善して——郵便料金だけ上げたらよろしい、こういう答申をしておるわけだ。そういうことをやってはならないではないかということを私は言っておるわけだ。もっとまじめに、郵政省全体の財政が困難だと言うならば、どういうふうに根本的に建て直しをするかということが基本であって、勝手に作文的なものをつくって郵政審議会で答申させておいて、郵政審議会の答申だから大臣がやったというような、こんな形式的なごまかしを逓信委員会においてはやってはならないということを私は主張しておるのであります。いかがですか。
  38. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  郵政審議会に、郵便事業の健全な経営を維持する方策について諮問いたしましたのが昭和四十八年の十月でございます。これはただ単に料金値上げを諮問したということではなく、できれば郵便料金の値上げを避けるためのいろんな合理化その他の方策も含めて、どのようにしたら郵便事業の今後の健全な経営が維持できるかということについての諮問をしたわけでございまして、一ヵ月半以上にわたりましてその審議会でいろんな角度から、サービスの問題等も含めまして徹底的な審議をお願いをいたしました結果、いろいろ今後企業として取り組むべき合理化その他の問題はあるけれども、それらを幾らしても、いますぐ当面のこの財政的な窮迫状況を救済するほどの特別の名案はない。したがって、最終的には郵便料金の改定をこのようにすべきであるという答申が四十八年の十二月になされたわけでございまして、その答申をいろいろな当時の情勢から、石油危機以来の物価情勢を考えまして、四十九年度中は料金値上げをしないということで、答申はいただきながらそのままにしてずっと参りました。また、その後のベースアップ等でなお窮迫がより以上切実なものになりましたので、昨年の十二月に郵政審議会に再び諮問をして答申を得た、その答申の中身が、ことしの四月一日から第一種五十円、第二種三十円というような料金改定をすべきであるという答申であったわけでございますけれども、それを、なお当面の物価情勢が非常に大事な問題であるということで実施時期を半年延ばし、また三十円のはがきの料金を二十円というふうに訂正いたしまして、今度郵便法の一部改正の法案を別途提案を申し上げようとしておるところでございます。
  39. 土橋一吉

    土橋委員 何回も申し上げるように、あなたがここへ出した四十九年十二月七日の郵務局長石井多加三さんという名前で出した文書と、それからこの答申を出したそういうもの、ここにあります。ありますが、たとえば郵議第二十二号、四十九年十二月七日の土光敏夫さんという郵政審議会の会長さんの、鹿島俊雄殿と出したこの文書なんか拝見しましても、切実さと、本当に検討して努力をしたという跡が一つも見られないわけです。全部非常に矛盾をしたことを書き並べて、そうして郵便料金だけ値上げというところを書いておるわけだ。たとえば、指摘しましょうか、「本審議会は、既に昨年末の答申において郵便事業は労働集約的な特質もあって短時日に収支改善の実をあげ得る合理化の方策は見出しがたく、」と。何ですか一体。まじめにこの基本的な問題を討論するとか物価問題とかインフレ問題についてどう対処して郵便局全体の財政的なものをやるか、ということを全部避けて書いてある。インフレ問題や異常な物価問題を避けておる。そして、現状はこんなに物価が上がったんだから結局しようがないから郵便料金上げる、こういうところへみんな来ておるわけだ。あんた、これ見たってわかるでしょう。大臣もごらんなさい、私が指摘しますから。こういうあいまいもこなものをつくっておいて、そしてやたらに郵便料金上げるなんて、もってのほかじゃありませんか。何一つまともな答申していないじゃないですか、どこを読んでみたって。ただ郵便料金値上げについての理由を説明しておるだけなんです。  そこで私は大臣お尋ねいたしますが、そういうような郵政審議会の答申ぶりも答申ぶりですけれども、その答申の原案を出しておる方も出しておる方なんですよ。ですから、私はもっとまじめに郵政全体の問題について検討する必要があるということなんです。そこで、あなたの御説明によると、四十九年度は、これは二ページの初めから六行目のパラグラフに「一千四百億円の赤字が見込まれ、このまま推移いたしますと、昭和五十年度以降、さらに大幅な赤字の発生が予想されるというまことに憂慮すべき状態にあります。」こう言っておるわけだ。この赤字は一体どこで埋めるんですか。どこで一体この赤字を埋めようと言うんですか、千四百億の赤字を。
  40. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 四十九年度におきまして千三百八十一億の赤字を生じておるわけでございますが、これは借入金によりまして処理する考えでございます。
  41. 土橋一吉

    土橋委員 いま大臣もお聞きのように、借入金であると言うんです。借金してやるというわけです。その借金してやると言っておる同じことについて、今度は十一ページを見てください。どういうことを書いてあるかというと、さらに五十年度の見越しから見ても千九百八十二億円の財源の不足が出る。借入金もします。こちらの方は千九百八十二億円というんです。そうすると、二つ合わせると三千三百八十二億円の赤字が出ますと、簡単に書いておるわけですね。どうしてこれは埋めるんですか。三千三百八十二億の赤字をどこであなた方は埋めようというんですか。十一ページ上段です。どこでこの赤字埋めますか。
  42. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいまのお話でございますけれども、これは先ほど申しましたように、四十九年度におきまして千三百八十一億の赤字が出ておりまして、これを借入金による、さらに五十年度におきましては六百一億の不足を生じますので、両方合わせまして一千九百八十二億ということに相なるわけでございます。
  43. 土橋一吉

    土橋委員 その前の十ページのところに「料金の改定に伴う増収見込額一千五百七十八億円を計上して」おる、これは勝手な数字ですね。こんな見込みがあるのか。それとも減ってくるのか。不景気になってきて、もっと郵便が減るのか、これは単なるあなた方の主観的な目測ですよ。増収があるだろうと見込んでのお話なんだ。そうすると、結局さっき申し上げたように、さきの千四百億も赤字、借金だ。次のまた赤字は千九百億もある。どこで一体このけりをきちっとつける考えか、つまり決着をつけようとしておるのか。そういうことをやっていながら、インフレは促進しておるわけです。そうしてまた、料金を上げれば、あなた方の資料によると、個人的にはわずかだと盛んに言っている資料のものを私は拝見しましたよ。しかし郵便料金が上がれば、これに伴ったすべての関係のものがまた上がってくるわけですね。同時にこの中には、きのうも大会がございました。小沢先生もお出になりましたように、たとえば専門誌であるとか地方紙なんというのは、いま六円が五倍上がるというので三百人も四百人も東京に集まって反対の集会をして、絶対上げるなという意気込みでおられる。こういう状態なんです。そうなってまいりますと、そのほかにお酒を上げよう、たばこを上げようというようなことをもう政府はほのめかしておりますね。都市ガスもいままた上げてくれというので、御承知のように、私の地方におきましても、小さいガス会社ですが、どんどん……。次はお砂糖も上げるということできのう、きょうの新聞には出ておりますわね。そうなってくると、そういう値上げを予定しておる中で基本的な財政環境をきちっとしなければまた——今度の料金値上げは、ことし仮にそういうことが通過したとしても、もう五十一年にはまた郵便料金を上げてもらわなければいかぬという想定のもとにこれは組まれておるわけです、文書を拝見すると。こうなってくると、郵政事業というものは、結局悪性インフレを助長さしたり、自分でまた苦しんだり、また料金を上げて、はね返って苦しんでくる、こういうことを繰り返してしまうということになるではないかというふうに私は思うが、これはどうですか。むずかしい計数は別として、私は大臣に率直にお尋ねしたいのですよ。こういうことを繰り返しておるわけです。
  44. 村上勇

    村上国務大臣 お答えを申し上げますと言う前に、あなたとこの問題で私が議論しても、とても私は御満足のいくようなお答えできぬと思います。  ただ、この料金を上げてもなおかつ赤字になるのではないかということにつきましては、計算上はそういうふうになっておりますが、しかし企業の努力とか、あるいは減るという考え方はありましょうが、また私どもの方では、手前みそな考えか、多少ふえるだろう、増収があるものとして、そうして赤字はだんだんと解消してくるだろうし、それから大体物価抑制策として第二種を答申どおりやらなかったのも、来年あたり相当物価が落ちつくのではないか、いろいろなことを政治的に予想しての今回の料金の改定でありますので、それがあるいは政府の考えておるようなとおりいくかどうかについては、これは一寸先はわからないのですけれども、私どもとしてはこういうふうに行けるものという一つの確信を持ってやっているわけなんでございます。  私がお話し申し上げるまでもなく、とにかくほとんどの経費の八、九割までが人件費でありますだけに、どうしても昨年のように賃金が急騰しますとこういう結果になるということも、これは私より以上に御了察いただけると思いますが、とにかく先ほどの本省並びに郵政局の幹部は一般会計これが三つの会計に入るべきでないという議論もよくわかるのです、わかりますけれども、しかし郵政大臣を社長として、郵政局長は支店長というようなことからいくと、本、支店の経費というようなものもやはりその事業の中に含まれているというように御解釈願えれば、やはり郵便事業の中にすべての経費が、三つの、保険、郵便あるいは貯金、こういう事業の中にこれらのものが特別会計として含まれておるんじゃなかろうか。私もどうも郵政大臣になったけれども、素人ですからよくわからぬけれども、私は私なりにいままでの体験上のお話を申し上げてひとつ——何ぼ突いても、何と言われても御満足のいくような答弁ができるはずじゃないと思います、しかし、郵政省多士済々ですから、私以外にまた大ぜいおりますからひとつ御遠慮なく御質問願います。
  45. 土橋一吉

    土橋委員 はい、わかりました。それは。御趣旨説明も一生懸命やっていただいてありがたいです。よくわかります。それは専門的な次官初め局長が悪いのであって、あなたさんにそんなにあれはないわけですよ。やる気がないでおるからいかぬのであって……。  そこで、物価問題について私は少しく所見を述べさしていただいていきたいと思います。  今度郵便料金を上げなければならないといったような事態になってきておることは、これは私がくどく申し上げなくても、あなた自民党の幹部さんでございますのでよく御承知だと思うのですよ。つまり物価、特に田中内閣になりましてかち異常な日本列島改造論などをひっ提げまして、それで金脈、金権をやって異常に物価が上がってきました。これは御承知のとおりです。そして土地は上がってくる。けさのテレビじゃないけれども、NHKではマイホームの夢はなくなりましたなんてアナウンサーが盛んに言っておりました。これは皆さん御承知のとおりです。その責任はだれが負うのか。その責任は内閣にあるんじゃないか。しかもその内閣は自由民主党の内閣なんですね。その内閣がこういう事態を引き起こしておいて、そしてその責任を結局郵政省の特別会計だけで賄わせるというようなことは不届き千万じゃないか。しかも、それが料金にはね返ってまた物価が上がってくる。こんな悪循環を自由民主党の政権は、御承知のように佐藤さんから最近の田中さん、現在の三木さんだって、全部これは自由民主党の幹部で、環境庁の長官をしたとか大蔵大臣をしたとか、みんなこれは一連の幹部じゃありませんか。そうすれば、この問題について自由民主党は、つまり政権を担当しておるあなたさんですね、国務大臣として一体どういう責任を負うのですか。あなた方はこういうことで、たとえば一つの例を言うと、あなた方が総需要抑制という政策を出してやれば、物価はある程度鎮静の方向に向かうわけですね。そして、一方においては不景気なんという問題が起こってきているわけですね。失業という問題が起こってきている。それには金融措置をつけてやるとかいろいろ救済もある。政府がやる気ならば物価もある程度抑えることのできるそういう仕組みの基本を、要するに自由民主党政権というものは持っているわけだ。その自由民主党政権がこの問題にほおかぶりしちゃって、しかも、あなたもその幹部の一人ですよ。村上さんという昔から有名な方で、かつても郵政大臣をしておられました。こういう重大な責任ある者が、こういう料金を上げることによってまた物価が上がってくる、いま申し上げたような問題を検討しないでおいて、国民に結局また料金値上げではね返って物価が上がってくる。こういう悪循環をするようなことについて、第一の責任は現在の政府にあるんじゃないですか。しかも、国民が信任した政府じゃない。自由民主党の内で要するに勝手に総裁を決めて、これが内閣総理大臣をやっている。こういうたらい回し政権の中でこんなことが繰り返されておるわけです。ですから私は、自由民主党の郵政大臣そのものが真剣にこの問題についてやらなければ、第三条の規定によって利用者負担だなんということの原則だけを振り回したってだめじゃないですか。たとえば、郵政はこの法律の目的というので、大臣もよく御承知のように、きちっとした原則を持っているわけです。これはもうわが国の郵政省制度始まって以来の大原則であるわけです。それはどういうことかというと、「この法律は、郵政の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」こういう大原則を持っておるわけですね。ところが、ダイレクトメールがふえたり業務用の通信がふえたりして、それでどういう口実をつけたかと言うと、第三条で「郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」といったような規定を二、三年ほど前の改正によって、郵便料金を上げるついでに挿入してきたわけです。今度の答申なんか見てもこの原則をフルに生かしているわけだ。これを振り回しておるわけなんだ。そして、料金改定は当然だという説明の方向に持ってきておるわけだ。ところが、二世紀にわたろうとしておる郵政事業全体はこの郵便法第一条の根幹的な精神を貫いておったわけですね、そういうことすらもわからない郵政審議会の委員が勝手なこんなことをやっておるから私は申し上げておるのです。しかも、自由民主党の政権が責任を負わなければならない問題について、政府の財源をぴしっとしておいて補てんしてやらなかったらどうにもならない状態に置いといて、それでこの三条の規定を振り回して独立採算だ独立採算だと言って押しつけて料金を上げる。こういう形になっているのですよ。答弁があったら聞かしていただきましょう。
  46. 村上勇

    村上国務大臣 どうも土橋先生、一方的にこれは皆自民党が悪いんだ、政府が悪いんだ、何が悪いんだというように聞こえます。それはあなたのお立場からはそうでしょう。しかし 私の立場というのではなくて、私の常識から考えてみますと、大体世界的な一つの現象と申しますか、今回わずかばかり値上げさせていただくことはおしかりを受けると思いますけれども、それではよその——よその国を引っ張ってよけいなことを言うなと言われるかもしれませんが、よその方では二度も三度も上げている。回数も多いし、それから料金もわが国と比べて非常に大きいですね。そういうことも御考慮願ったり、石油ショックというものが、これは何も自民党内閣だけの、また私どもだけの責任でもなかったので、そういうことを相殺してくだされば、今回はこれぐらいの値上げはまあまあ許してやらなければならぬのじゃないか、というような同情のある御質疑もお願いしたいと思います。
  47. 土橋一吉

    土橋委員 それはあなた、郵政省が出したこの資料をお読みになってそういうふうにお感じになったと思うのです。私もそれはごもっともだと思う。これには皆それらしく書いてある。私も注意深く見ました。しかし、この資料が根本的に誤っている点が一つあるわけですよ。それは、郵便制度の第一条の目的を中心とする構えで書いてないわけですね。第三条の構えだけを振り回す観点でこれを書いているわけだ。特に最も大きい八五%を占めておる第一種、第二種が大きな問題です。これをどうするかという問題が非常に大きな問題です。また、ダイレクトメールを初めとする営業用の通信商業用通信をどうするかということは郵政事業としてはいま非常に大問題であるわけですね。そういう基本的な問題はさらりとかわして、ただここに書いてあるアメリカがどうだとか回数が何回とか、そんなことばかり言っている。  この資料だって誤りがありますよ。私、指摘しましょうか。この資料はどういう資料ですか。たとえばしまいから三番目の資料ですよ。郵便(1)というところの目次ではがきというので一〇〇から二〇〇と書いてある。これは何のことですか、私よくわからない。封書も一〇〇から二〇〇と、これはどういう数字から出ているのか。これは何のことですか。あなた方が盛んに持ってきた資料の三枚目の(1)に書いてある封書二〇〇、はがき二〇〇というのはこれはどういう資料かな。説明してください。こういうインチキ資料を見てはいけませんよ。私の言うことを聞かなければだめですよ。
  48. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  先生のお持ちの資料と同じ資料だと思いますからこの数字を申し上げますと、「各種サービス料金値上倍率推移」という表題で、郵便料金と似たような人件費を中心としたサービス事業の料金の値上げの推移というものを比較した数字でございまして、昭和二十六年を一〇〇といたしますると、たとえば郵便の場合は四十九年度におきましても三倍の二〇〇にしかなっていない。その後にきています国鉄運賃、都バスその他、その表に書いてありますように四〇〇とか六〇〇とかあるいは七〇〇というようなものもありますが、そういった人件費を中心とした料金の値上げはこのように高くなっております。そういった比較をしておる数字でございます。
  49. 土橋一吉

    土橋委員 それじゃ、この(1)のところの二〇〇というのは二倍上がったということですか。それならそういうふうにパーセント書いたらいいじゃないですか。最初ははがき一〇〇でしょう、封書一〇〇でしょう。二〇〇、二〇〇というのじゃ私はわからないですよ。というのは、封書は最初はたしか七円かなんかだったでしょう。それで十五円になったときあるでしょう。それで現在二十円でしょう。そういうのはパーセントで書かなければいかぬじゃないですか。これだと説明の仕方が不十分だ。これは私も読んだときには疑問だった。
  50. 石井多加三

    石井政府委員 二十六年の当時は封書の値段は十円だったわけでございます。それが四十五年のところに一五〇と書いてありまするように、そのときの値上げで十五円にいたしたわけでございます。それを四十七年度におきまして二十円にしたわけでございます。したがって、二十六年を一〇〇といたしますと現在は二〇〇であるということでございます。
  51. 土橋一吉

    土橋委員 私も研究しますけれども、あなたの方も研究してください。細かいこういうのは後にして、肝心なことをやらなければいかぬ。  そういうわけで、結局大臣は、石油ショックがあったんだ、こういう説明であります。私は大臣説明には賛成しがたい。これは二国間協定において、三木さんもやっておられたように、アメリカのメジャーの下請のようなことをやめれば石油の価格はあんなに上がらなくても済んだ。また国内においても、たとえばガソリン税とかあるいは灯油等に関する消費税をある程度織り込んでいけばあんなに上がらなくても済んだ。したがって、石油ショックだから物が上がったということだけじゃなくて、外交政策、国全体の姿勢が対米従属のもとにああいうことが行われておるわけですから、もっと二国間協定で——きょうのテレビでも、中国から五百四十万トンの原油を入れる、その原価の問題についてもかなり骨を折って安く入るということも現にあるわけですよ。ベネズエラだってメキシコだってボルネオだってあるいはイラン国だって、いろいろあるわけですから、そういう外交上の基本問題から出てくる問題について、これはしょうがないということじゃいけません。やはり私たちが主張するような外交政策をきちっとして、安保条約をなくして、そういう体制をとって石油も世界の皆さんから協力をいただくということになればこんなに上がらなくて済んだ、こういう半面があるわけです。ですから、私はいまの答弁には承服しがたい。残念ながら御賛成申し上げることはできない。こういう趣旨であります。ですから、物価問題がどうにもしょうがなかったということじゃなくて、そういう基本的な問題は検討する必要があるということを前提として、この制度もいま申し上げるように、繰り返してはもうこれ以上申しませんが、そういうことをやはりとめることが必要だ、ということが第一の問題であります。この世界的な情勢はとおっしゃるけれども、ある国によってはそんなことはないですよ。社会主義の国なんかそういうことは全然ございませんよ。これは資本主義の特有の問題であります。制度上の問題であります。こういう点を私は指摘をしておきたいと思います。  そのほか、先ほど簡易保険は申し上げましたから、目減りをどうするかという問題、貯金の目減りを一体どうするのか。どういう補償をするのか。後で簡単にまとめて答えていただきたい。それから、いろいろありますわ。たとえばケーブルの架設の問題にしましても、いま具志川村のあすこに上がってきている国際電電の第二太平洋ケーブルの問題も、非常に大きな問題を持っております。これは地位協定第六条の規定によってこの問題がどうなるか、ということは非常に私たちは注目しております。これは八ページです。  それから日中ケーブルは、いまやっておりますが、この陸揚げ地点はどこであるのか。こういう点もまだ明確ではございませんね。中国側は上海の郊外に揚げると言っております。日本はまだそれを言ってないわけですよ。  それから東南アジアケーブルの問題、これがまた、安保条約第六条の規定を受けまして地位協定というのがございます。そこの第六条の規定から見て、これがどういう性格を持っているかということは非常に疑問の問題であります。  それからOTHの問題は、これは放送局に言ってやってください。おとといの電波ニュースでは、これははっきりと一千何百万円で賠償するということになっておりますので、これは当然やらせなければいけません。所沢の周辺の人は、テレビが見えないという問題が起こっているわけです。それから、東京の三井ビルとか、特に張本人の一人であるのは国際電電株式会社のあの高い建物です。あれでやはり千葉県とか——特にあそこはひどいですね、川崎、保土ケ谷、緑区、あの辺がもうテレビは見えないという問題が起こっておりますよ。  こういう問題がたくさんありますので、時間が切れますから、私はまとめてそういう点については善処されるよう、たくさんの問題がありますけれども、お願いをしたいと思っております。  次の問題。次は解同朝田派のいわゆる研修の問題であります。後でまとめて答えていただきます。郵政省お尋ねをいたしますが、郵官秘第一〇六四号、昭和四十七年八月二十八日の事務次官通達というのも出していますが、これは間違いないですか。
  52. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答えを申し上げます。  郵官秘第一〇六四号、昭和四十七年八月三十八日付通達、事務次官の通達でございます。間違いございません。
  53. 土橋一吉

    土橋委員 そうしますと、この通達のページをめくったこちら側の二ページになるところですが、こういうことを書いていますが、これはどういう事実があったのですか。ここで「最近部内において差別的偏見に起因する発言等の問題が発生していることはまことに残念であり、深く反省すべきことであります。」、このくだりがあります。一、二の例を挙げてもらいましょう、どういう事件が起こったのですか。郵政職員で、差別的偏見に起因をする発言というのは、どういうことをやったのですか。
  54. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  事例を挙げろということでございますが、局舎内に差別的言辞と見られる落書きがあったとか、あるいは一部職員に差別的言辞ととられる発言があったという事実がございます。
  55. 土橋一吉

    土橋委員 その差別的な発言があったということは、どこからこんなことをやってくれという申し込みがあったのですか。何という団体からいろいろそういう要請があったのですか。その団体名は何というのですか。その委員長という人は何という人ですか。
  56. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、差別的と見られる落書きとかあるいは発言があったということを、これは局員が発見して、それを管理者に申し出ておるということであると私は理解しております。
  57. 土橋一吉

    土橋委員 だれが書いたかわからないような発言に、何で局が責任を負わなければいけないのですか。だれが書いたのか知らぬ。場合によっては、そういうことを言われている人があるいは書いておいて、差別的なことをやったというようなことをやり得る場合が、私いろいろな事例を知っておりますけれども、間々あるわけですね。そうすると、これは次官通達で出しておいて、大阪の郵政局で問題が特に大きくなっておるのですが、そこでは、聞くところによると、解同朝田派と協定を結んでおるということを聞いていますが、そういう文書があったら出してもらいたい。どういう協定を結んでおったのか。
  58. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  大変申しわけございませんが、私、そのような協定書があるということは承知いたしておりません。
  59. 土橋一吉

    土橋委員 これは確かにあるはずです。そのときの局長名前もはっきりしておりますから、私は必ずそれを、あなたの方は責任を持って大阪郵政局の局長とその協定書と言われるものを出していただきたい。なぜかと言うと、あなたの方の津嶋参事官の資料によりますと、四十九年からそういう研修会が開かれておるわけですよ。それで最も多く開かれていた時期は九月、十月、十一月。これは最高潮に研修会を開いておるわけですよ。この時期は何であるかというと、御承知の十一月二十二日、八鹿町におけるところのあの暴力、そして残虐なリンチ事件、これの前後が最も激しく研修が行われておるわけですね。ということは、そういう暴力事件発生の呼び水になるような、それを何か援助するような形をとって郵政がやっておったという結論をつけざるを得ないのであります。というのは、それからずっと十二月も減っちゃったわけですね。ことしになってくると減っておる。たとえば、謝礼金で言いましょう。六千円の謝礼金を払っておるわけです。その六千円の謝礼金を払っておる八月が十八万一千円、九月が三十二万五千円、十月が三十九万四千円、十一月が三十一万円、こういうふうに払っておる。あの問題が国会で追及されたら、がたっと落ちて、十二月は一万二千円、一月は六万円、そして二月が九万円という謝礼金を払っておるわけですね。そうすると、あなた方の研修というのは朝田派を中心として展開されておった。こういうことをやっていいのですか。国家公務員は、政治問題については中立であるとか不偏不党でなければいかぬけれども、暴力的な、反共的な利権集団の清節を集めて、そしてこの研修を見ますと、十月のごときは六十回近い研修をしておる、謝礼金も三十九万四千円。しかも超過勤務手当なんかも出しておるのでしょう。それは計算ができないということだから私は黙っておったけれども、こういうことまでして、あの暴力事件をバックアップするような、承認するような形をとった研修会を開いておるわけです。なぜそういうものを開くのですか。
  60. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  同和研修についてのお尋ねでございますが、同和問題は、憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題でございまして、その早急な解決のためには、公務員はもとより国民の理解と認識を深めることが重要な問題でございます。このためには、同和問題についての啓発活動がきわめて重要でございまして、このことにつきましては同和対策審議会答申、同和対策長期計画にも明らかにされております。郵政省におきましても、この見地から職員に対する教育、啓蒙を積極的に推進的にいたしておるところでございます。  なお、月別の開催状況でございますが、私その月別の開催回数の変動についての細かい理由は承知いたしておりませんが、当然業務上の繁閑の度合いを考えながら実施しておるもの、かように考えておる次第でございます。
  61. 土橋一吉

    土橋委員 高仲さん、私はそんなことを聞いているのじゃないのですよ。冷静に聞いて答えてください。私は、そういう同和対策事業特別措置法がどうしたとか、答申がどうであるとか、この通達がどうということを聞いているのじゃないのですよ。なぜ朝田派幹部だけの、洗脳を受けた人とかそういう者の講習だけしかやらないのかということを聞いているのですよ。つまり同和事業に対して、あなたも御承知のように、これは保守系と言われる方々の全国同和何とか協会とかあるいは解同正常化連とか、またそういうところへ入っていないけれども同和問題については検討しておるそういう知名の方もあるわけですね。あるいはまた、法制局なりそういう関係諸君が同和対策に関する諸問題を講義されるということについて、一向に私はとやかく言っていないのですよ。なぜ朝田派と言われる暴力的な反共集団が講師となってそういうところへ講義をするようなことになっておるのか、ということを私は聞いているのですよ。私だって、同対審のあれを持っていますよ。あなたがおっしゃるまでもなく、そんなことはみんな書いてあるのですよ、法律規定で。同和対策事業特別措置法は十一ヵ条の条文ですよ。この一条にちゃんと書いてあるのですよ。六条、七条で具体的な措置を書いてあるのですよ。そんなことを聞いているのじゃない。なぜ朝田派の講習を受けなければならぬのか、どういう根拠に基づいておるのか、そこを聞いているのです。
  62. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  講師の選定についての御質問でございますが、同和問題を正しく理解し認識するためには、同和問題についての学識経験者から広く話を聞くことが効果的であると考えられます。研修会の講師の選定につきましては、こうした見地から地方公共団体同和対策室あるいは教育委員会等に推薦を依頼して研修を実施いたしておる次第でございます。
  63. 土橋一吉

    土橋委員 なぜ朝田派からこの講習を受けなければならぬのか。あなたのいまの答弁から見ますと——それじゃ具体的事実でいきましょう。一月二十日に神戸市の垂水郵便局というところで、御承知のようにあの昨年の十一月二十二日の八鹿事件の元凶とも言われる小西弥一郎という兵庫県における解同朝田派委員長です、この委員長さんの研修を受けるというので、私の方へ入りましたから、急遽この問題についてあなたにも交渉した。溝呂木事務次官にもこれをやめるように交渉した。津嶋参事官にも私は電話をかけた。大阪の郵政局の局長さんがいなくて、次長の人にも私は折衝いたしました。なぜそういうことをやるのか、これは間違いじゃないかというので、当該郵便局長さんにも私は説明いたしました。細田賢介さんです。これはやめてください、こういうことは正しいことじゃありませんよ、しかもついこの間は八鹿であのような暴力事件を起こした利権集団で反共集団ですよと言ったら、あなたの方は手を厚くして直ちに中止になった。非常に私は結構だと思います。中止をされました。私は高く評価しました。やはり郵政省もそういう暴力的な利権集団の講義をやらせることは間違いだというので、垂水の郵便局の庶務課長が自転車で小西弥一郎君のところへ行って、やめてくださいと言ったら、うんやめましょうということになったという話を聞いているわけですよ。それなのに、日にちが三、四日たった二十七日に大阪西郵便局、ここでまた講義があることになった。私どもの市会議員とか府議会議員とか共産党員は、これはいかぬというので私のほうへ連絡がありまして、このとき溝呂木次官やまたあなたにも言った。津嶋参事官にもこのことを申し上げ、大阪の郵政局の次長さんの平林宏次君にも私は厳重に言った。そして当該局長さんの伊吹孝夫さんにも事情を懇請して、ぜひやめていただくようにということを申し上げた。ところがどうしても聞かなくて、当日私のほうへ入った報告は、二十七日は三十二名、二十八日は二十六名、二十九日は二十三名が講習を受けるということであったけれども、実際あとで聞いたらば、二十七日は百何十名の者が受けた。そして二十八日は六十何名、二十九日も六十何名の人が聞いておる、こういうことになっておるわけです。あれだけ私が通告をして皆さんに要請をしたのに、なぜ垂水ではやめて大阪の西局ではやったのか、その理由を聞きましょう。どういう理由で垂水はやめたか。その正当性を私はここではっきりさせたい。大阪西局でなぜやめられなかったか、聞きましょう。
  64. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  まず垂水郵便局の件でお尋ねでございますが、垂水郵便局におきましては、職員の一部から反対があり、このような状態では研修がうまく行われないという理由で中止いたした次第でございます。  大阪西の件についてお尋ねでございますが、これは先ほどお答え申し上げましたとおり、同和問題を正しく理解し認識するためには、広く同和問題についての学識経験者から意見を聞くことが効果的であるという判断のもとに実施いたした次第でございます。
  65. 土橋一吉

    土橋委員 そのときの講師の名前を言ってください。何という人が講師でしたか。
  66. 高仲優

    ○高仲政府委員 水口幸一という方です。
  67. 土橋一吉

    土橋委員 それはどういう役職を持っておる人ですか。
  68. 高仲優

    ○高仲政府委員 その役職は、大阪府同和事業促進協議会理事という肩書きであると承っております。
  69. 土橋一吉

    土橋委員 その同促協の理事である水口幸一さんという方は、これは皆さんも御承知かと思いますが、上田卓三さんなどを先頭とする朝田派幹部の一人であります。しかもこの人は反共で利権集団の一員と言われております。また恫喝や脅迫を行う、そういう集団の幹部とも言われております。そういう方からなぜ講習を受けなければならぬのですか。郵政省はどういう負い目があって、そういう方が講師になって講義を受けなければならぬのですか。明確に答えてください。どういう負目いがあるのですか。
  70. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  水口講師につきましては、当初大阪府の同対室からの推薦で講師になっていただいた、その関係からその後も講師としてお話をいただいておる、このように聞いております。
  71. 土橋一吉

    土橋委員 それでは、大阪府の同促協という方々がどういうことをおやりになっておるかちょっと皆さんに披露いたしましょう。  固定資産税の減免適用問題について、これは三谷衆議院議員も予算一般において質問いたしましたように、これは税金を免除させるという形で、この集団は税金を払わないでいるわけです。ここに出ております。それから不合理な矢田中学校建設計画、この矢田中学校という学校ですが、ここの建設問題でも大変な金を使っておるわけですね。特に浪速区における栄小学校は、一小学校の建設費が五十億四千万とも言われ五十億六千万とも言われる金を使っているのですよ。しかも、その建設や用地買収その他について、全部朝田派がリベートを取るとか、自分たちの業者だけに請け負わせるとか、こういうことをやっているわけですね。それだけじゃございませんよ。浪速区において五つの建設事業というので、約九十九億円以上の予算を組んで、大阪市は四苦八苦しておるじゃありませんか。どういうものを建てるか。青少年会館あるいはここでは買物センター、解放会館、たとえば解放会館は二十二億八千万の予算で同じところに建てるという。したがって、この全体の予算が九十九億何千万という金をかけて、会館をつくるとか買い物センターをつくるとか、みんなこうやる。たとえば学校の問題にしても、さっき申し上げた栄小学校は五十億を超える予算。大阪は三百の小中学校があるわけです。そこはおんぼろ校舎やプレハブ校舎を建てているわけだ。こういうようなことを平気でやる。しかも自分たちはリベートを取る。そして、おどかす、恫喝を用いてやる。その名前が研修という名前でやったり、確認会、糾弾会という名前でこういうことをやっているわけだ。そういう諸君から、何で聞く必要があるのか。こういうことを解同朝田派は大阪で——これは大臣もごらんになったと思いますが、栄小学校のデラックスな冷暖房つきの、ごらんなさい、五十億何千万もかけてこんなものをつくっている。これは明らかに暴力的な利権集団じゃないですか。その幹部の講習をなぜ受けるのか。その正当性はありますか。それは京都大学とか関西大学のそういう方面の権威から聞くのは結構でしょう。われわれ共産党もこの問題は長い間、党をつくって以来、末解放部落の解放のためには大いに努力してまいりました。しかし、暴力でそういうことをやらすとか、研修に名をかりて糾弾会をやるなんということは、現在の法制のもとにおいては許されません。そういう講師の諸君をなぜ選んだのか。あなたの説明は正当性はないじゃありませんか。なぜそういう者を講師にするのですか。しかもそのとき、私は局長さんに電話でいろいろお尋ねを申し上げたら、伊吹孝夫さんはおっしゃいました。講師を呼んで、思想にわたる問題やそういうことはぜひやめてくださいよと話をしたら、この水口幸一さんという方はそれはお話しにならなかった、と言って後から本人からも連絡が来た。前もって講師に、思想的な問題やそういう利権に関する問題を言わないでくださいよと頼むような講師をなぜ選んだのか。郵便局長は上から替われる。また私の方から要求していろいろ言う。だから、そんなことは言わないでください、今度の集会にはぜひそういうことをおっしゃらないでいただきたいと言って懇願をして、そしてその講義をしてもらうというような連中をなぜ選ぶのか。ここに大きな問題があるのじゃないですか。大臣、おわかりになりましょうか。伊吹さんという方は私にしみじみと、私はその前に呼んでお話しをしたところ、、幸いに水口さんはそういうことはおっしゃらなかったけれども、実はほっといたしました。そういう諸君をなぜ講師に認定するのか。
  72. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、水口講師は当初大阪府同対室から御推薦をいただいた講師でございます。また大阪府同対事業促進協議会についてのお尋ねでございますが、私が承知いたしておりますのは、大阪府が認可いたしました財団法人であって、大阪府が監督機関になっておるものであると承知いたしております。
  73. 土橋一吉

    土橋委員 高仲さん、そういう見え透いた形式的な答弁ではこの問題は済まされないのよ。大阪府の同促協というのがどういう形になっておるのか。大阪府との関係は一体どういうふうになっておるのか。あるいは大阪市においては、それは支部その他の、たとえば西郵便局においては、水口幸一さんという方が荒本区においてどういう方であるのか、もうよく知れ渡っておるのですよ。それを局長が懇願をして、その話はなかったからよかったようなものの、そういうことを公然と局の建物を利用し、そして謝礼金を出し、超過勤務手当を出してなぜ聞くのかということが問題であるわけです。たとえばこれは大阪のある一つの局でありますけれども、これは局の建物ですが、この中で、この日付は十二月十三日ですか、これは局の掲示板ですよ、局専用の掲示板に八鹿高校現地調査報告集会というので、十二月十一二日の集会を開いている。局の掲示板を利用してこういうものが開かれているわけです。そしてそこに響いてある、中の方は小さい字ですけれども、八鹿高校の赤旗報道は真っ赤なうそ、挑発、でっち上げをたくらんでいる、こういうのが張られておるわけですね。ところが、これは国会において明確になりましたように、きわめて遺憾な、学校始まって以来の暴力事件であった。しかもけが人が二十何人も出て病院に入っておる。こういうものをでかでかと張らしておいて、国民を欺瞞するようなそういう連中の講義を聞くとは、一体何事ですか。こういうことをやって、それでもあなた方は正当性があると言うのですか。しかも、あなた方が出した資料でごくつつましい資料を見ても、あの八鹿事件の起こったときは、最高潮じゃありませんか。三十九万四千円を六千円で割ってみると、大体六十回ぐらい講義をやっている。これは近畿郵政局管内です。そして電電公社と符節を合わしたようなことをやっている。電電公社のやつも私は資料を持っておりますよ。この資料を拝見すると、やはり同じように、たとえば滋賀県の例を言うならば、解放同盟滋賀県連事務局長宮田新太郎さんというのが講義をしている。百名の講義。あるいは同じように解放同盟の県連の教育文化対策副部長の谷口勝己さんという方が滋賀県で講義をやっている。これは電電公社です。あるいは奈良県の場合も同じようなことをやっている。奈良県では同じように解放同盟の奈良県連委員長の米田富という方が百二十名集めて講義をしている。こういう事態を郵政と電電と符節を合わしてやっているわけですね。しかも、解放研というのはどういうかっこうになっているのか御承知かと思いますが、本人の名誉のために私は名前は言いません、また局のいろいろな関係から申し上げませんけれども、ある局では、勤務免除をして数名の解同朝田派と言われる諸君のパトロールやオルグを認めている、郵政省の金で。そういう事実があるが、あなた方は知っておられますか。郵政省はどうですか。
  74. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  ただいま勤務免除について知っておるかという御質問でございますが、私、具体的には承知いたしておりません。
  75. 土橋一吉

    土橋委員 解放研だというので職場に出たままでぶらぶらして、そして課長室に入り込んだり、あるいはほかの局をオルグして歩いたり、それで解放研運動ということで——それは一面の理由もあるでしょう、しかしながら、こういうことがあるということはまことに残念であって、郵政省はさようなことに手をかしてやってはならないというふうに私は思うのです。  時間も来ましたから、そういうことについて大臣はどういう所信を持ってこの問題を善処しようとしておるのか答えていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  76. 村上勇

    村上国務大臣 同和問題については、先ほど高仲官房長からもお話がありましたように、すでに憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題でありまして、その早急な解決をするためには、公務員はもとより、国民各層にも理解と認識を深めることが重要であると考えております。いろいろと先生の御意見も拝聴しておりまして、郵政当局にもいろいろ連絡その他の多少遺憾な点があったのではないかとも思いますが、なお、今後十分この問題については慎重に検討した上でいろいろな結論を出していきたいと思います。そういうようなことに今後一層努力いたしますので、御了承願います。
  77. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議
  78. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭二君。
  79. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 今国会始まって最初の、大臣質問申し上げる委員会が再開時刻に至ってもなかなか定数がそろわないということは、私は本当にばかにしたことだと思うのです。今後こういうことのないようにひとつ委員長に取り計らっていただきまして、委員長のたっての質問をしろというお勧めでございますから、始めていきます。  所信表明を読ましてもらいますと、その中に最初に、いまの厳しい経済社会情勢の中で公共の福祉の増進に努めるということがございますが、これは当郵便事業について、大臣としてどのように具体的に施策をお考えになっておりますか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  80. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  郵政省は、全国津々浦々に散在する二万一千余の郵便局を通じて、国民の日常生活に欠くことのできない、きわめて公共性の高い郵便、貯金、保険の三事業を行っております。また、電気通信及び電波放送の各行政分野におきましても、国民生活の発展向上を図り、国民福祉の増進に努めているところであります。本年も経済社会情勢がきわめて厳しい中ではありますが、国民の期待に沿ってこれら所管の事業及び行政を効率的に遂行していくことが、すなわち公共の福祉の増進につながるものと確信いたしております。  なお、本年度の具体的施策については、最近所信表明で申し述べましたとおりであります。これによってひとつ御判読をお願いいたしたいと思います。
  81. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 次に、郵便事業の財政問題についてまずお述べになっておりますが、特に赤字を抱えております郵便事業に対する根本的な解決は何でありましょうか。その見通しと、責任ある答弁をお願いしたいと思います。
  82. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  郵便事業の健全な経営を維持する方策につきまして、四十八年十月に郵政審議会に諮問しまして、あらゆる角度から御審議をいただいたわけであります。が、その答申の中で、労働集約的な郵便事業にあっては、各種の合理化施策によっても、短時日のうちに効果を上げることは困難であり、また業務用の通信が圧倒的部分を占める最近の郵便事業の実態から、利用者負担の原則を離れた赤字解消策は適切なものではないと述べられております。  一方、現行法におきましても、事業運営上必要な費用については料金収入により賄うべきことが規定されております。したがいまして、私といたしましては、今後さらに業務の合理化、作業の能率向上、経費の節減等、経営合理化の努力は続けてまいる所存でございますが、現下の対策といたしましては、国民の基本的通信手段である郵便サービスを確保していくため、国民の御理解を得て郵便料金改正を実施し、窮迫した現在の事業財政を少しでも立て直してまいりたいと考えておる次第であります。
  83. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 赤字を抱えております郵便事業につきまして、この経済の変転といいますか、特に高度経済成長に乗ってきました各種の経済環境というものがあったために、いわゆる郵便事業が人力に依存する度合いが大きいために赤字を抱えるような状況が出てきた。四十八年の答申のときからのことをお述べになりましたけれども、やはりこの赤字を抱えておりますときであればこそ、根本的な赤字と、それから大臣も所信表明におっしゃっておりますように、また至る所で国民に対してお約束なさっておるように、国民生活に密接な関係もあるし、大事な国民に対するサービスの公共事業でございますから、そういうものに対しますお見通しと、もう少しはっきりしたところを所管大臣としてお聞かせ願いたいと思います。
  84. 村上勇

    村上国務大臣 郵便業務の円滑な運営を図って、正常な運行を確保していくことは郵便事業の不断の目標でありまして、事業に携わる職員一人一人がそれを課題といたしまして業務に精励しなければならないと考えます。この認識に立ってしさいに業務運行を見ますと、まだまだ至らないところがありますので、この際、決意を新たにいたしまして、従来にも増して一層郵便業務の正常運行確保に万全を期する意味で申し上げた次第でございます。さような心組で推進してまいりたいと思っております。
  85. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 赤字解決の根本的な解決の見通しについては御披露がございませんから、まとめてまたあとでお聞きすることにしまして、次に移りますが、この所信表明の中で次に出てきます重要な課題は、ここにお述べになっておりますように、「事業の重要な課題」は、「業務の正常な運行を確保すること」ということがございますが、この重要課題を国民、利用者のサイドから見れば、これは当然のことであろうと思います。その当然のことをことさら課題としてなければならない理由は何でしょうか。その原因の認識はどのようになさっておりますか。お答え願いたいと思います。
  86. 石井多加三

    石井政府委員 先ほど大臣がお述べになりましたことを若干敷衍して申し上げますが、ただいま御指摘のとおり、郵便事業の正常な運行を確保するということはもちろん当然のことでございまして、いまさらそういったことを言わなければならないのはおかしいではないかという御趣旨の御質問だと承るのでございますが、全般的には郵便業務の運行は正常に行っていると思うのでございますけれども、やはりしさいによく業務運行を見てみますと、まだまだ至らない点が少なくないわけでございまして、そういった点をこの際、料金改定も別途お願いしておりますような時期に、職員の一同みんなが決意を新たにして、業務の正常運行を確保するという決意をまた新たにしたい、そういうことをわれわれも考えておる次第でございます。
  87. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは大事なことなんですよ。ここでそういうふうにお述べになることは、私もこの委員会に参りまして二年何ヵ月かになりますけれども、しょっちゅう聞くことでございますが、いま私がお尋ねしておることをもう少し率直に、当然やらなければならないものがそれじゃやられてないとすれば、そういう段階で——そして赤字解消というものも、これも根本的解決を見出すようなものでもない。その証拠に、恐らく翌々年、五十一、五十二年度になればまた大変な赤字がいまの予定よりもふえるかもしれない。そうしますと、私は郵便事業が人力依存の事業であるといっても、ただそれだけで、国民の側から見れば当然やらなければならないことをやらないでおって、国民にそういう赤字の根本的解決もできないで今度の料金改定をお願いするというこの体制は、一方的に国民に押しつけることになるんじゃないか。そうであれば、これは利用者の中では特に零細所得者、そういう人たちは一番犠牲を受けますし、そういう人たちは国家の法律と行政によって、権力によって行われますことの犠牲者になるわけですよ。われわれはまた、この郵便料金が当然この場でいろいろ検討しまして大変な赤字になっておるということは認識ができますけれども、庶民一般大衆に、国民に理解と協力を求めるならば、当然のことぐらいは少しははっきりした改善と見通しというものをここでお約束できなければ、私は次に進むことはできないじゃないですか、議論することは。国民の方にだけ一方的に押しつけておって、こうなんだからこうしろというような行き方は、いまは通らない世の中じゃないだろうか、こういうふうに思うのですが、もう一つ大臣からお答えを願いたいと思います。
  88. 村上勇

    村上国務大臣 御質問の御趣旨は、料金改定しても見通しのつかない改定をやっておるじゃないかというように私は解釈したのですが、これはもうはっきりした見通しを立てて、そして労使全く一致協力して、あくまでも郵便会計の赤字を解消していこうという大きな目的に向かって一丸となって進んでおる、ということをお答えしたいと思います。
  89. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは見通しのことも大事でございますけれども、先ほどから言いますように、業務の正常な運行を確保しなければこの郵便事業というのは達成できないのでしょう。どこかの囲みたいに、郵便を出したけれどもそれはいつ着くかわからない、着くか着かないかわからないということじゃ、郵便事業を国家という権力に任せる、いわゆるサービス業務を国家という権力に任せて行わせることがむずかしくなるんじゃないですか。郵便を出したけれども着かない。着かないというのはわずかなものでしょうけれども、そういう状態で、私はそれをまず解決しなければ——解決するといいましても、きょうあす解決する問題と時間がかかるものとありましょうから、そういうものについてははっきりしなければいけないんじゃないか。そちらの方の観点からは、大臣いかがお考えになりますか。
  90. 村上勇

    村上国務大臣 もとより、郵便物の取り扱いについてその正鵠を期するということは第一であります。そういう点については十分、全従業員一致して万遺憾のないように国民に対するサービスというものを第一に推進していくということは、私所信表明で申し上げたとおりでありまして、その点はもう、そういう点を除いたら、料金値上げも何もみんなそういう問題から離れたら、御破算になってしまってもやむを得ぬのじゃないか、というぐらいに重要視いたしております。
  91. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もう少ししっかりしてもらわなければいけないという点もありますけれども、ここで押し問答しておっても仕方がありませんから次に移りますが、それではもう少し具体的に、私は本当はきょうは大臣の所信表明に対する質問ですから、ある程度の総体的なことに対する結論を見出したいと思いましたけれども、なかなかむずかしいようでございますから、次に移りますが、いま私が問題にしました後に「幸い今期年末年始は大体順調な運行を確保し、国民の期待に」云々、こうありますね。今期年末年始は順調な運行を確保したというその実態と、どうしてそんなふうに今期の年末年始はよくなったのか、御説明願いたいと思います。
  92. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  今期の年賀郵便の業務は、昨年の十二月十五日に年賀はがきの引き受けを開始いたしましてから、早期差し出しというようなことで利用者の皆さんに大変御協力をいただきました結果、全期間——期間といいますと、ことしになりまして一月十日までを期間と見るわけでございますが、合計しまして約二十四億通の年賀状を引き受けたわけでございます。その二十四億通の中で、一月元旦に私たちがいわゆる元旦配達目標ということをいつも言っておるんでございますが、これは十二月の三十一日の午前中までに、それぞれの配達を担当しておる郵便局に到着した年賀はがきを配達するということでございまして、その通数は約十八億五千万通、それよりちょっと上回るような数字でございますが、それをことしの一月一日に配達することができたわけでございます。この十八億五千万通というのは昨年よりもかなり上回る数字でございまするし、そういった面ではかなり順調に行ったと思うわけでございますが、その後二日は組合との話し合いで休配をしておりますが、三日以後も、年賀のその後着いたものも順調に処理を終えたというふうな状況でございます。ただいまお尋ねのございました、どうしてこのような運行が良好になったかということについての理由でございますけれども、これは相対的な問題でございまするから、最近の何年かを比較すると、ことしの正月は非常に順調に行ったとわれわれ見ておるわけでございますが、その一つはやはり昨年の組合との間の話、いわゆる年末闘争が例年になく早期に妥結した。十二月にかかることが非常に多かったのでございますが、昨年は幸い十一月二十八日に大綱が妥結した。そういったことから年賀の取り扱いに闘争から大きな影響を受けるというようなことがなかったということ。それから先ほど触れましたように、利用者の方々が非常に早期に差し出していただくという御協力を賜ったということ。それから、ちょうど昨年は景気の方もかなり悪い状況でございましたために、例年大変苦労します非常勤の確保というようなことが、非常に各局とも順調に確保できたというふうなこと。なお、そのほかにも付随的に、東北とか北海道を除きますと非常に天候にも恵まれたというようなことも、それぞれこういった成績がよかった原因だというふうに見ておるわけでございます。このように全体としてはおおむね順調でございましたけれども、新聞等で御承知のとおり、その後一部の非常勤の職員が年賀はがきを放棄したというような事件が報道されまして、私たちも大変申しわけなく思っておるわけでございます。こういったことにつきましては、十分反省をいたしまして、今後こういったことが再現しないように第一に備えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  93. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 同じく当局にお聞きしておきますが、その後に一部の郵便局に正常でないものもあった。この一部の郵便局に正常でないものがあった、それはどういうふうな実態がありますか。まずそれからお聞きしましょう。
  94. 石井多加三

    石井政府委員 お答えします。  ただいまの大臣の所信表明の中で触れております一部の郵便局で正常でなかったということでございますが、先ほど申し上げましたように全般には順調でありました中で、個々の郵便局で申し上げますと、たとえば愛媛県の松山郵便局、あるいは弘前の郵便局とか郡山の郵便局とか、全国でわれわれも個々に名前を列挙することができる若干の局におきましては、先ほど申し上げましたような十二月の三十一日の午前中に引き受けたものは、正月の元旦には全部配達する、それはいわゆる一〇〇%完配と呼んでいるんですが、そういったことが必ずしもできなかった。松山の場合にも十数%たしか割ったと思いますが、あるいは八〇%とかいったような局もありまして、わずかではございますがそういう局があったということが一つと、それからもう一点、実は年賀の処理のほかに、この年賀が終わった後で、全国的には郵便業務は全般的に平常の状態で順調に運行されておるわけでございますが、一月の下旬から御存じのような雪害等が起こりまして、そういった影響が出たことやら、二月に入りましてからは労使間のいわゆる三六協定と申しますか、こういった協定がなくなったというようなこと、あるいは個々の局のそれぞれの労務事情等がありまして、地域的に若干の局で遅配が生じておるわけでございます。したがって、どこの局で遅配が起こっておるかということは、その日その日によって変わっておることが多いわけでございます。たとえて申しますと、一昨日の数字を申し上げますと、全国で百十一万通の外務の郵便が滞留になっておるわけでございます。これは一日に全国の郵便局で配達いたします郵便通数が約三千二百万通でございまするから、全体の中でいいますと、一日の全体の三・五%のものが、一昨日配達されるべきものが配達されずに残った。そのものにつきましては、もちろん何といいますか、善後処理を誤らないように、昨日のうちにこれを完了するように指示いたしましたし、恐らく全部完配したものと思いますが、このような日によって局名も変わりまするし、したがって滞留物数も変わるわけでございますけれども、いま申し上げました百十一万通の滞留を生じました局の数は約七十局でございます。その七十局の合計がいま申し上げた数字でございまして、これは全体の集配を取り扱っております郵便局が全国で約五千八百ばかりあるわけでございますから、それの中で約一二%の局でそういったような遅配があった。これが一番新しい最近のデータでございます。最近におきましては、そういった百万を超しますと、もちろん大変な物数ではございますけれども、個々の局で、しかもその局全体がおくれているんじゃなくて、いつかも申しましたように、ある特定の区が郵便の出回りが非常に多かったというようなことやら、あるいは職員が急に休んだというようなことやら、いろんなそういったそれぞれの局の地域的な特殊な事情によって発生しておる遅配である、そういうふうに見ておるわけでございます。
  95. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまいろいろ述べてもらいましたが、大臣、この問題はここにあなたがお述べになっておりますような、今後郵便事業が当面する最大の課題は、業務の正常な運行ということをお述べになって、その中でいま当局から御説明ありましたように、年賀、年末年始の運行は、いままでに比較して幾らかよかったということと、またその反面、遅配、滞留が相当あったところも一部にあった、こういう説明であるわけですが、こういう現場で行われております業務の運行について、もう少し当局も堂々と責任と誇りを持って発表できるようなものが必要ではないか、こういうことが一点です。いま、たとえば年末年始でよくなったということの内容は、組合との問題が解決した、また非常勤の職員が雇い入れられたとか、いろいろそういうことをお述べになりますが、通常の場合でもそういう者を定着しておかなければ根本的解決にはならぬじゃないかということを先ほどから言いたかったわけであります。それでそういう者が一期間、一部分にあったからといって、国民が納得するような郵便業務の運行が行われるとはまだ納得できないわけであります。  それで、私いつも思うのですけれども、ここで皆さん当局側で御答弁いただくわけですが、ここで言うことはやさしいのですけれども、その現実は、現場に行きますと大変な問題があるという状態をまた後で述べます。その前に、郵便業務の過去の姿と現在を私は比較してみますと、前回の値上げのときにも、国民に対して業務の正常な運行をこのようにやっていきますという一つの方向を出されました。それは御存じのとおり送達日数表ですか、一つ挙げれば、そういうものを発表して国民の皆さんに約束したのであります。それが、前回の四十七年ですか値上げは、その四十七年から送達日数を国民に約束した、その約束事も逐次悪くなっておるのです。ということは、どこにあるかと言えば、やはり現場の中で妥当な職場管理と運営がなされていない。私はこのことを申し上げて現場の人を云々するわけじゃありません。そういう体制にあることが問題だ、こういうように思いますから、この根本的な考え方を私は当局に訂正してもらわなければ、いわゆる現場で正常な運行ができるという方向のためには、こういうものをやるべきだという解決の根本的な問題を示してもらわなければ、ただ形だけの送達日数を国民に約束したために、正常な運行を守りなさいという通達を何回出しても、それではよくならない。四十七年以来、業務の正常化運行のために、正常な運行をしなさいという通達を毎年二回出して、それでいいのか。そういうところを考えなければいけない。その証拠に、それでは現場が動かないために悪くなっておるのじゃないですか。聞いてみますと、送達日数の試験的なものを毎月三万通くらいやっているそうでございますが、その結果から見てみても悪い。また、いろんなところで聞きます。新聞報道等を見ましても、だんだん悪くなっている、こういうことを言わなければならぬのですが、これは郵務局長さん、いかがでしょうか。
  96. 石井多加三

    石井政府委員 ただいまいろいろお話がございました中で、郵便の遅配の状況につきましては、私たちも決してこれを包み隠すということはいたしておりませんで、毎日全国の郵便局から郵政局を通じまして、その局の前の晩の夕方五時ごろの時点で、その日のうちに配達をすべきのが配達できなかった通数をそれぞれ報告を求めまして、それの集計をして、これが一定の通数以上オーバーした場合には新聞の方へもその旨を報道するということをやってきておるわけでございます。  なお、いまお話の出ました郵便の送達日数を御指摘のとおり昭和四十六年の十月に公表をいたしましてから、この日数表は、深夜における郵便専用機の便の廃止というようなことがございましたために、若干訂正をいたしておりますが、それ以来郵便の業務運行の状況は、年末闘争期あるいは春闘の時期というところを除きますと、比較的順調に運行されてきていると思います。最近において、先ほど申し上げました一部の局で、平常時におきましてもそれぞれの局の固有の労務問題等が発生いたしましたために、御指摘のとおり標準日数の確保が完全に行ってない局がある状況でございますが、全般的に見ますと、いつかもお答えいたしましたように、こういう闘争期の特別な時期を除きますと、大体九〇%くらいの郵便物数が日数表どおり配達されておるというふうに見ておるわけでございます。今後ともこの送達速度の安定には、われわれ職員を挙げて全員で努力していかなければならぬと思っておるわけでございます。  なお、四十七年度以降の標準送達日数の確保状況がだんだん落ちておるじゃないかという御指摘でございますが、この点はお話しのとおり、私どもの持っております調査の結果によりましても、四十六年度は九八%、四十七年度も九八%でございましたが、四十八年度になりまして若干落ちまして九二%、それから今年度は、最近までの数字ではございませんが、八六%といったような数字になっておりまして、確保の状況が少し落ちてきておる。これは非常に重大な問題でございますので、この機会に何とかこういったパーセンテージが落ちないようになお一層の努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  97. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最初に九〇%ぐらい確保しておるということをおっしゃったけれども、いま内容を聞いてみると、年度別には八十何%ですか。そうしますと大臣、一年間百三十億通ですか、百三十か百四十億通ぐらいの郵便物、一割にしても十一三億通の郵便物が着かなかったりおくれたりしておるということなんですよ。それがだんだん四十七年以降悪くなっておるでしょう。  そこで私は、きょうは一つの具体的な例を申し上げて、単に郵便物がおくれた、着かなかったということだけではない、こういういまの郵政当局の体制の中には、着かなかったことよりもそれ以上に国民に損害を与えるような事実、具体的な事実は小さな問題ですけれども取り上げて、ひとつお伺いしていきたいと思います。  わかりやすいために図解をつくりまして大臣にもお上げしております。これを見てください、この問題ですから。委員長にもお上げしておりますが。これは一通り説明してみますと、茨城県の古河郵便局の問題です。国鉄古河駅から小荷物到着通知書を昨年の十一月十八日に発送しました。同じ郵便局管内のSさんというお宅、ここに書いてありますが、Sさん宅には当日か翌日、遅くても翌々日には着かなくてはならないものです。同じ局管内で七キロくらいしか離れてないのです、古河駅からSさん宅の図解の場所までは。ところが、さらに二日おくれて二十二日に着いたのです。どんなおくれても二十日には着くものが二日おくれて結局二十二日に着いた。受取人はその日にすぐ駅にその小荷物を取りに行きました。ところが、何のことはない、二日分の保管料を取られた。本人はいやな気持ちもさせられたでしょう。その上、通常であれば取られない保管料という手数料を取られて損害を受けた。こういう状態では本人はやりきれませんから、古河郵便局にそのことを問い合わせをした。ところが、何の返事もない。郵便物がおくれるという問題も重大な問題ですけれども、そういうことに対して利用者がいやな思いをして実害まで受けて、どうしてくれる、どういうものでしょうか、と言って問い合わせしても返事もしない。ここに私は重大ないまの当局の——行政サービスなんということは言葉では言えますけれども、行政サービスではないのです。行政というのは、私が言うまでもなく、一つのきめられたことに対して温かい配慮と親切を欠いたらこういう結果になるのです。ここではその実害はわからないでしょう。しかし、利用者の怒り、郵便事業に対する不満というのは、これは金銭ではかれないものがある。皆さんが、法律とか通達で仕事をする場合に、いやな顔をして冷たく当たってみなさい、物事はその法律趣旨どおり行きませんよ。そういうことは、私がここで申し上げるまでもなく、十分わかっておるはずなんだ。ところが、現場ではそうじゃない。どうですか、まずこういう事実はお認めになりますか。
  98. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま御指摘の古河局の郵便の問題につきましては、御指摘のとおりでございます。私たちといたしましても、こういった郵便のおくれで御迷惑をかけた上に、またそのあとのいろいろな措置、御本人からの照会に対する回答がおくれたり、また実害もおかけしたということ等を通じて、当該局の措置もきわめて不適切であったと思いますし、特にその局における取り扱いの中で、利用者の方に対する思いやりと申しますか、そういう立場に対する配慮について非常に親切さが欠けておるということが特に大きな問題であろうと思います。これに対する当時の概況につきましては、いろいろここに細かいことを書いたものを持っておりますけれども、申し上げましても弁明になりますから、率直におわびを申し上げ、こういったことを繰り返さないように、今後局のこういった場合に対する取り扱いにつきましての、特に利用者に対する態度につきまして十分指導をしてまいりたいと思います。
  99. 村上勇

    村上国務大臣 私どもとしては、たいへんありがたい御注意を受けまして、非常に感謝いたします。とにかく局員の人間性の問題でありまして、こういう点についてはわれわれ今後大いに教育をしていく必要があろうと思います。
  100. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この事実は一応お認めになって、大変まずいことであったということを言われておりますが、大臣、やはりここでおわびする、厳重に注意しますということでは済まない問題ですね。これはそういうものを含んでおるのですよ。そこを静かに考えてもらいたいのです。  もう少し申し上げます。被害者は局に問い合わせたけれども返事がないものだから、今度は新聞に投書したわけです。投書した後に、古河局から郵便課の副課長さんという人がおわびに行ったというけれども、これはおわびに行っても本人は納得しませんよ。おわびに行って、実害を受けたものを補償してもらう、そんなことは何にもないのですから。だから、その問い合わせを古河の郵便局で受け付けたときに、それを一番に見た人とか、おわびに行くなら行く人が、先ほど言った行政の親切さを失ったならばかえって批判されるのです。特に郵便事業はサービス業務でしょう。ところが、この投書に対して、監督官庁である郵政局はさらに間違いを起こしておる。間違いと言うと大げさかもしれませんけれども、これは郵政官庁だけじゃないかもしれませんね。官庁というのはこういうものがあるかもしれませんが、郵政局は間違いを起こしておると私はっきり申し上げたのは、その問い合わせをした人、また新聞に投書されたのですから、これは公表されることになります。国民に対してもばかにしたようなことになっている。ということは、郵便の事情によっておくれた場合には、当然なさなければならない手順があるはずなんです。その手順は、その投書に対する返答の中では何も述べられていないのです。これを見てください。投書の中にあります「「遅配損害」にお答え」という郵政局の回答もそうはなっていない。これはどうですか。これは私いま間違いだと言いましたけれども、そういう場合にどうしなければならないということを、その当事者に教えてやるなり手続を踏まなければならない。そういうことが投書に対して回答がなされていない。この関東郵政局の回答はそれでいいですか。
  101. 石井多加三

    石井政府委員 ただいまの事件が起こりましてから、御本人からの照会に対する回答がおくれた、これは申しわけがないことでございますが、こういったような場合には、明らかに郵便局の側の原因によってその通知書が遅延したという場合には、国鉄の内部におきましても、その取り扱いについて郵便局からの証明なりあるいは口添えがありました場合は、ただいまお話に出ました保管料の徴収を免除するということは前から話がついておることでございまして、この点につきましては関東郵政局におきましても、かつて管内の各局に対しその旨の周知を行っておるようでございますから、当然古河の局においてもその点は徹底していなければならなかったわけであります。したがって、古河の郵便局から、いまお話しのようにおわびに行きました際に、そのような取り扱いがあるということを御説明をしたわけでございますが、ただすでにその時点では、御本人は百四十円の金を駅の方にお払いになって荷物をお受け取りになった後でございまして、またその局でも古河の駅に収納金の取り扱いについて照会して、何とか返せないかという折衝はしたようでございますが、実はその時点では料金の収納後の時間が相当経過しておりましたため還付までには至らなかったというようなわけでございまして、いずれにいたしましても、この辺の適確な措置が不十分であったということが原因でございます。この点につきましては、今後再現しないように、こういった例、国鉄の駅からこういうはがきが行くということはケースとしては非常に多いと思いますから、二度とこういうことが起こらないように、関係の管内はもちろん、全国の郵便局になお徹底してまいりたいと思います。  なお、もう一点お聞きがございましたので申し上げますと、こういった場合に、すぐ二日間の料金を取るというふうなことにしないで、本人からそういったお話があった場合には、駅からも当該の郵便局にそういった問い合わせをしてもらうような折衝もする必要があるのではないか。本人が払ってしまわれますと、後から郵便局側の事情によるということの証明をいたしましても、やはり会計経理上の手続としてすでに収納してしまったという形になっておりますと、なかなか還付ということはむずかしいかと思いますので、やはりその時点での措置も必要ではないかと考えます。この点につきましては、なお今後国鉄の方面とももう一回よく話し合いをしていきたいということが、今回のこの事件からわれわれの方の教訓として出てきた問題でございます。
  102. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま私が指摘したことに対しては、肝心なことをお答えになっておりませんが、その前に、いまの小荷物の保管料は郵便局が返してやるのではないのですからね。国鉄が正当な理由がわからなくて取ったのです。ですから、の方でこういう場合にはどういうふうな手続なり規定があるのか、御説明願いたいと思います。
  103. 山岡通太郎

    ○山岡説明員 ただいま御指摘の古河の件につきまして、利用者の皆様方に大変御迷惑をおかけいたしましたことを申しわけなく存じております。早速事実を調べまして、また御報告申し上げたいと思います。ただいまお尋ねの件は、私どもで取り扱っております鉄道小荷物のうちの駅どめの小荷物の件ではないかと考えますが、その駅どめの小荷物の扱い方につきまして簡単に御説明を申し上げたいと思います。  私ども、到着駅に小荷物が到着いたしますと、早速定められました文案によりまして、これは部内の規定でははがきでございますが、郵便はがきを使用いたしまして荷受け人の方々に御通知を申し上げることになっておりますが、御承知のように最近では電話の普及度も非常に高まってきておりますので、荷物についております荷札にできる限り荷送り人、荷受け人の方の電話番号を書いていただくようお願いしております。したがいまして、できる限り電話によりまして的確にまた敏速に御連絡申し上げるよう部内を指導しておるわけでございます。いまお尋ねの保管料の問題でございますが、実は私どもの規定によりますと、到着通知を発しましてから二日間は、郵便の配送期間を考慮いたしまして三日間は無料の保管期間という定めになっております。三日間を超えますと保管料をちょうだいいたす仕組みになっております。御指摘の件につきましては、二日間の保管料をちょうだいすることになるわけでございますが、いま御指摘のございましたように、御利用者の皆様方にやむを得ないというような御事情のあります場合には、部内の規定によりまして特別の減免措置をとっております。その一措置といたしまして、通知が著しくおくれた場合、たとえば郵便のおくれ等によりまして到着通知が非常におくれた場合と認められます場合には、その遅延いたしました日数に関しましてはこれを無料とする、というような定めになっております。したがいまして、先ほど郵政御当局の方からも御説明ございましたように、もし利用者の荷主の皆様方からはがきその他がおくれたというようなお申し出がございましたときには、できる限り最寄りの郵便局その他に照会をいたしまして、荷主の皆様に御不便をおかけしないよう努力をするよう指導しておる次第でございます。
  104. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いろいろお述べになりましたけれども、こういう場合は、おくれた郵便物がどこの責任によっておくれたかということを明らかにすれば、いまの国鉄の無料保管期間の特例という規定によって、その保管料を取らないような処置ができるということがあるわけですね。ですから、この利用者も言っておりますことは、こういうふうに郵政当局の責任によって有形無形の損失が利用者に生じたときは、監督官庁はそれを補償しなさい、こういう意味のことを投書しているのです。私は、先ほど郵務局長お答えになりましたけれども、まず郵便がおくれたということもこれは問題ですけれども、おくれた郵便物によってこういう損害を受けたから何とかしてくれという新聞の投書に対して、郵政局はどういう答えをしたかと言えば、そういうことのないように常に指導しております。それで最後には、もしもそういうことがあったらまた地元の郵便局に申し出てください、こういう回答になっているわけでしょう。その回答をだれが読んでみても、これは回答になっていない、こう思わざるを書ないのですよ。大臣、ここは大事なことなんです。いいですか。郵便局は現場は忙しくて、ある時間に膨大な量が来て一生懸命やっておりますから、それは間違いが起こることもあるでしょう。その間違いに対しては、やれ注意をしている、やれ「郵務だより」で周知徹底している。だれが知っていますか。知っておれば、そういう問い合わせが来たらすぐ処置ができなければならないでしょう。ですから、現場の間違いを補ってやるぐらいの監督官庁である本省が、こういうことを私がここで指摘しなければわからないようじゃどうしますか。全国郵便物の届けられた事故件数だけでも二十三万、工十三万件とあるのですよ。一々郵便課長がおわびに行きますか。おわびに行けるならばそれでいいです、おわびに行って、そして本人が納得すれば。全国二十万、三十万の事故に対して——郵務局長さんには申しわけないけれども、あなたがここで言うようなことをその二十三万件のところに全部言って回って、そして保管料を無料にしてあげるという正式な手続がありますから、私が一時出しかえてでも利用者の損害は補てんさせてもらいますよ、というふうなことができればいいですよ。どうですか、大臣。こういう問題は一つの問題ですが、まだ隠れた問題がたくさんある。私は昨年も指摘しました。ある郵便物が、ある地域で途中まで来て、十日間も配られないのです。それで、その先におられる方は大事な公的な議会招集の通知が受けられなくて、大変困ったという問題がある。数え上げればたくさんあるわけでしょう。そういうわからない問題もあるでしょうけれども、こういうふうに公表されて ちゃんと手続をとれば——本人としてもわずかな金額のことで言っているものじゃないと私は思うのです。先ほどから言っておりますように、利用着に対する親切さというものを忘れてしまっておる。その中で現場の人は苦しんで、郵便物が着かぬでがたがた言って、いつも郵便値上げを繰り返すということになってはいかぬじゃないですか、と私は言いたいわけです。まず監督官庁であります郵政局がこういう指導をして、そしてそれが間違いがないとするならば、この際そういう損害を受けた利用者を補償でもしてやるというようなことも考えなければ、これは郵便業務の正常な運行どころじゃないですよ。どうでしょうか。
  105. 村上勇

    村上国務大臣 詳細にわたって御意見拝聴いたしました。ことごとく人間性の問題であって、こういうことの起こらないように、またこういうことが起きた場合があっても、直ちにそれを間髪を入れず、それぞれ御理解のできるような措置をとるべきであろうと思います。そういう点について今後一層訓育と申しますか、十分末端にまでも徹底するように努力をしてまいりたいと思います。
  106. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この問題について、もう一遍郵務局長さんお答え願いたいと思います。  あなたは、ある新聞に現在の郵便事業に対してのいろいろな所見を述べてある中で、こういうことを言っていますね。私がいま業務の正常化の問題を言ったところの関係のところだけを読んでみますと、「国民の深い理解と協力がなくてはならず、その前提として平素、郵便業務の正常運行がぜひとも確保されなければならない」。国民の協力を得る前提としての業務の正常化であるならば、いまあなたがお述べになったように、送達日数においても九〇%からだんだん悪くなって八〇%になっている、そしてその業務の運行によって国民が被害を受けておる、これを直さなければ国民の協力は得られないんじゃないですか。このことについて、当局と大臣の御所見をもう一回お聞きしておきたい。
  107. 石井多加三

    石井政府委員 ただいまの私が述べたという記事についてのお尋ねでございますが、私も、そこに書いてあるとおりでございまして、郵便料金の値上げをお願いしなければならないようないまの情勢の中で、郵便の業務が正常に行われて、少なくとも利用者の方々に信頼されるような郵便の事業でなければならないということはもう当然のことでございます。現在そういったことになっておれば何も言うことはないのでございますけれども、やはり先ほど来申し上げましたように、全国の数多い郵便局の中には必ずしもそのような形になっていないところがありますので、これらにつきましては、それを放置することではなく、各郵政局を通じまして個々の対症療法もしながら、そういった遅配が一掃されるように、そしてまた国民の皆さんに御迷惑をかけないよにということで、今後最大の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  108. 村上勇

    村上国務大臣 御趣旨に十分沿うように今後努力いたします。
  109. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もう一遍大臣お尋ねしますが、大臣は過去に郵政大臣もやられまして、そしてさらに今度のこの料金値上げという時期に当たって、先輩として議員歴も長いし、経験も深い、逓信行政については大先輩であります。二度目のお勤めでありますし、村上大臣こそ今度は庶民の声を聞いてくれる、そういう方が大胆になられたということで大変期待もしており、注目もしておったと思います。そこで、大臣が就任のときに、郵便事業は広い範囲にわたって国民生活と密接に関連している。三十二万職員と一致団結して国民に奉仕しなければなららない。郵政事業は最近大変赤字が出ておるが、何とかして国民の理解により解決したいというようなことをお述べになっている。そこで、料金値上げによって赤字を解消するという大きな問題を、単なるキャッチフレーズだけで済ますわけにはいかないと思うのです。大臣もよもやそのようには思われないと信じます。そこで、繰り返しますが、郵政事業は国民生活と密接に関連しておる、何とかして国民の理解をと言っておられますが、具体的にどのようなことを行って国民の理解を得ようとお考えになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  110. 村上勇

    村上国務大臣 率直に申しますと、郵便事業の赤字の解消等についても、国民の皆さんの本当に深い御理解と御協力がなければできないことであります。また、郵便物の取り扱いにつきましても、保険、貯金その他の事業の面からいろいろと窓口で国民と接触する、その上からも、十分御理解のいくような、また御理解していただくような、本当にサービスと申しますか、奉仕の精神をもって当たっていくように努めたい、こう思っておる次第であります。
  111. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 三木内閣ができまして掲げました目標の中には、物価抑制と弱者救済というふうなこともあったと思いますが、大臣は、この逓信行政の中で弱者救済という面はどういうことをお考えになっておりますか。
  112. 村上勇

    村上国務大臣 郵政省におきましては、これまでも直人用の郵便物無料扱いあるいは簡易保険の老人福祉施設の設置、老人福祉電話に対する優遇措置、また身体障害者に対する放送受信料の免除等、これらの弱者に対する諸施策を行ってまいっておりますが、今後ともさらに慎重に検討してまいりたいと思っております。
  113. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 せっかくお述べになりましたが、いまお述べになったようなことは大体いままでもやっておったようなことだと思うのです。さっき私申し上げましたように、村上郵政大臣として、これだけはひとつやってみたいなというようなことがやはりあっただろうと私は思います。それを裏づけるように、あなたが九州に行かれたときに、何か新聞報道によりますと、寝たきり老人などの弱者対策を進めるためにはがきの無償配布などを検討しておる、こういうふうに言われておりますが、これはいつから実施されますか。
  114. 村上勇

    村上国務大臣 今回の料金改定に当たりましては、現下の諸情勢から、生活保護世帯へはがきを無償交付してはどうかという御意見も一部にはあったのであります。それをいろいろと検討してみようということで、私の九州における発言はそういうような発言であったと思います。で、保護世帯等への適切な保護施策につきましては、やはり所管官庁が保護世帯の生活全体の向上という総合的な観点から実施するのが適当であると考えられますので、実施はいまのところ見合わせるということにいたしております。なお、今回の料金改定に当たって、はがきを三十円というように考えておりましたのを二十円にいたしておりますのも、家計の負担をできるだけ軽減することとして、郵便利用への配慮をいたしたところであります。こういうようなことで私は検討するということを申したので、はがきを寝たきり老人に差し上げるというように報道されておりましたが、検討の結果は、これはやはり政府全体で考えることでありまして、ただ単に郵政省だけでこれをどうということはいかがかと思っております。
  115. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 これは大臣、重大な問題ですよね。私がいまお聞きしたことだけでなく、先のことまでお答えになったのですが、結局、御発言になったことを検討するということだけで終わっておるようですけれどもね。まあ、それは新聞報道でございますから、多少のニュアンスの違いはあったと思いますけれども、私はやはり大臣の頭のすみ、心の底には、無償はがきぐらいやってやったらどうだろうか、こう思っておられたと思うのですよ。そういうときにああいう大臣の発言を見ますと、やはり国民の皆さんは、大臣が考えていることは、国民の協力を求めるということはそういうことかなと実は大変喜んだ。大臣に対する敬意の言葉を私も地元で聞きまして、大変期待しておったわけですが、まあそういうことですから、どうもお年寄りを喜ばせっ放しでは心苦しいんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  116. 村上勇

    村上国務大臣 どうもまだ若いもんですから、いろいろとひっかかったと思いますけれども、私の気持ちにおいては、できればそういうこともして差し上げたいという気持ちはいっぱいです。しかし、これはやはり政府全体で考えることでありまして、一郵政省が取り上げて、たとえ幾らの金であろうとも勝手に処理するということは、これは差し控えなければならない。政府全体の問題でありますから、よく各省と相談もして、そういう必要があれば、厚生省なり何なり、社会福祉的なことはここらで取り上げていくということが妥当でないか、こう思っております。
  117. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 これは大臣もちょっと触れられましたけれども、三十円の予定のはがきを二十円にしたという問題とは違うのですよ。これは重大な問題ですから、時間の制約も受けておりますから、この問題についてはもう少しはっきりした御見解と御方針を伺わなければならぬと思います。  後に回しまして、次の問題に行きますが、次は電波行政、いろいろありますが、時間がないようでございますから、電電の方の質問に入っていきたいと思います。簡単に質問申し上げていきます。  公社は発足以来、技術革新と生産性の向上ということに努めてこられた、このように聞いておりますが、その成果の代表的なものを少し、年代順ごとでも結構でございますから、一、二お聞かせいただきたいと思います。
  118. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社が発足いたしまして二十三年以上たっております。発足いたしましたときは、加入電話の数が百四十万でございまして、現在、それが二千八百万近くになりました。電話の積滞の解消も、一番多いときには積滞が二百七、八十万ございましたが、最近は積滞も百十万ぐらいになって、そして積滞解消のめどもだんだんついてまいりました。ただいまの御質問の、その間に技術革新としてどういうものがあったか。これはお話しいたしますと一時間ぐらいかかってしまうのでございますが、代表的な問題を申し上げますと、マイクロウエーブのような、そういういわゆる無線の多重方式、これが一つございます。それからその次に同軸搬送。搬送に対して同軸ケーブルを使って、いままでたとえば九百六十チャンネル取ったものを、それの四倍とかあるいはもっとたくさん取るという、いわゆるパーチャンネル当たりの値段を四分の一にする、そういう同軸関係の問題がございます。それから交換関係ではクロスバー方式というもの、これはアイデアはアメリカのアイデアでございますけれども、その回路を日本が開発いたしまして、従来のステップ・バイ・ステップよりもむしろ安い交換機を開発いたしました。これは世界でも非常な評価を受けております。それから線路関係ではプラスチックケーブルというものを大々的に採用いたしました。そのために、昔ありましたような紙ケーブルで鉛被をかぶせているというケーブルは、穴があきますとすぐ障害になる。それに対しまして、プラスチックケーブルは水が入っても、中がまたプラスチックになっておりますので、そういう点で保守が非常にうまく行く。障害が起こらない。  そういうことでございまして、第五次五ヵ年計画をつくったとき、これは三年ぐらい前に策定いたしまして、その当時の価格で七兆円ということを予想いたしましたけれども、十年前の技術をアプライいたしまして、大体七千億円建設費を節減できる。これは一つのエグザンプルでございまして、その前になお一次、二次、三次、四次という計画がございますが、それはまた時間があったら申し上げますけれども、第五次五ヵ年計画の最初の計画、七兆円の中で約七千億円建設費をセーブできた。その内容のものは、 マイクロウエーブ、同軸ケーブル、クロスバー方式、それからさっきも申しましたプラスチッケケーブル、こういうものが代表的なものでございまして、また御質問があれば詳しく数字をお答えいたします。
  119. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま第五次五ヵ年計画に至るまでの中での技術革新の問題を述べてもらったわけでございますが、その中でまた特に住宅用電話、この増設を図ることが国民福祉の増進の一つであるということで力を入れてこられたということをおっしゃっておるわけでございます。そういう成果の達成のためにも、もちろん建設投資、これについてはまた別な機会に細かく私はその問題を論じていきたいと思いますが、そういう姿の支えといいますか、やはり私は、公社の職員の全体の皆さんの支えがあったからこそそういうものができておる、このように思うわけでございますが、その職員に対します総裁の基本的なお考え方といいますか、そういうものをお聞かせ願いたいと思います。
  120. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社は膨大な固定資産を持っておりますサービス事業でございまして、公社の運営並びに発展は、一言に言えば国民のために役立たせていくということが最大の目標でございまして、公社の三十万の職員の人にも、とにかく電信電話を利用する国民の皆さんの立場に立って大いにサービス精神を発揮してもらいたいということを、私毎年要望いたしております。もちろんそれが一〇〇%うまく行っているというふうには思いませんけれども、だんだん確かにサービスは改善されてきて、世界最高とは申しませんが、ヨーロッパを抜きまして、むしろアメリカと大体同じくらいのレベルのサービスができているんじゃないかと思います。積滞の問題につきましては先ほど申し上げました。  それから、中の職員に対しましては、一言に言えば人間尊重というものを経営に反映したい、これが前々からの念願でございまして、そういう点で及ばずながら努力をしているつもりでございまして、たとえば住宅問題、それから病院とか医療とかの問題、そういうことにつきまして、あるいはまた健康ということが非常に大事でございますから、スポーツあるいはレクリエーションセンターをつくるとかいうようなこと、そういうことで努力をしておるつもりでございます。決して十分とは申し上げませんが、これからもその人間尊重を経営に反映するということに努めていきたいと思っております。
  121. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 公社の三十一万でございますか職員の皆さんが、総裁のそのお気持ちをどう現場で生かしていくか。また、その現場の中でどう成長していくか。それから、いま仰せになりましたようないわゆる人間尊重というようなものもどう打ち立てていくか。これが問題だろうと思うわけであります。そこでその中には、やはり公社の職員だけの、公社から見ただけのサービスというものであってもならない、そういう気持ちがしてならないわけです。私もずっといろんなところを機会あるごとに視察もさしてもらいますし、いろいろ御説明も聞くわけでございますが、その中で常日ごろ思いますことは、仮にいまの総裁のお考えが、各本社の幹部の皆さんから地方の通信局ですか、これは私は内部のこと全部まだよくわかりませんから、間違いがあればそれは許していただいて、本社の総裁以下御幹部のお考えが、地方通信局なら通信局、通信局から部ですか、管理部なり通信部なり行って、そして現場の電話局、そこでまた、局長さん以下現場の係まで、そのいま総裁のお考えを徹底することは、これはなかなか大変な問題だろうと思います。しかしそれは、それをやらなければ、公社がこれだけの国民の福祉の増進という反面にはいろんな料金をちょうだいしているわけですから、そして発足以来二十三年間のそれだけの膨大なる建設投資も行われておるわけでございますし、そういう意味で、その総裁のお考えが現場に行った場合に、現場で利用者並びに国民の皆さんが公社に対してどういうサービスの向上なりそういうものを持っておるか、また、それをどう吸い上げていくか、ここに私も常日ごろ自分ながら注意して見ておるわけでございますが、たまたまそういうことで公社の「監査報告書」というものをずっと勉強さしてもらいます中に、いわゆる公社のサービスに関係した「利用者の苦情、意見、要望等」というところがございます。これを拝見さしてもらいました。ところが、これがどうもいま私が申し上げました公社全体の現場の中から上がってくる芳情や意見、要望等じゃないようなふうにもとれますし この辺はどういうふうに理解すべきでしょうか。
  122. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  お客様のいろいろな御意見、苦情その他がございますが、これは私の方に相談所というのがございますが、そういうところ、あるいは現場の電話局の窓口へいらっしゃっていろいろ御意見御要望ないしは苦情等をおっしゃる場合、あるいは販売等で訪問する場合があるわけでございますが、その場合にいろいろ承ったこと等、これを集めまして、それで本社に言報告をいただいておるわけでございますが、それにつきましては現場でそれぞれ措置できるものはいたしますし、それから通信局で措置するもの、その他を分けてやっておるわけでございます。したがいまして、たとえば四十八年度で申し上げますと、いろいろ御照会がございましたのが三十万件、それから苦情が六千件、意見、要望が千四百件、合計いたしまして三十一万件ということでございます。ただ、先生おっしゃいますように、この処理体制を充実するためにここ一、二年非常に力を入れておるわけでございますが、その処理の仕方その他がまだ統一のとれてない点がございまして、通信局によっては上がる数がほかに比べて非常に少ないとか、そういう点もございますので、なおそういう点については徹底して、各通信局ともそういうのが反映されて上がってくる、それから処理ができるというようなかっこうにできるだけ早く整備していきたい、こういうふうに思っております。
  123. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまの御答弁で、監査報告に上がっております数字というものは、公社の現場における全体の意見、要望ではないというふうに認識してようございましょうか。
  124. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  一応現場で受け付けた部分については全部上がっておると思いますが、先ほども申し上げましたように、受け付け処理といいますか、それの整理とかいうことで、まだ漏れておるのがございますようなので、その辺を順次整理していきたいと思います。そういう体制の不備に伴って上がってこないというような意味では、まだ漏れておるものがあると思っております。しかし、これにつきましては順次整備しまして、全部上がってくるようにということで考えております。
  125. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 総裁、いまお答えになったように、いまの段階では現場の全体の意見要望というのは上がってこないような状況。ですから、それを早く上がってくるようにしたい、こういうことでございますが、私は、この「監査報告書」を見てみますと、ここに上がっております。先ほど三十一万件とおっしゃった件数は、これは全国の通信局に大体あります相談所、ここで取り扱った件数であって、通信局には通信局以外に管理部もありますし通信部もありますし、それから現場の電話局、そういうところの意見要望というのは上がってこないということになりますと、先ほど総裁に私がお尋ねした、本当に電電公社が国民の要望といいますかそういうものを根底にサービス改善をしている、技術革新をやっている、こういうふうには言えないことになるのじゃないでしょうか。いかがでしょう。
  126. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  いま局長が答えましたが、多少答弁が不備じゃないかと思います。一つは、取扱局におきましては保全とか営業とか運用という仕事を担当しておりまして、たとえば保全の場合には、申告が百回線一月幾らという基準が一応つくってございます。そして、その局がその基準に該当するかどうかということを保全局のラインで——保全局、保全部それから通信部、現場の保全というように四段階になっておりますが、そのラインで保全の申告自体というものがその基準の中に入っているか入っていないか、というものを局ごとに全部チェックしておるわけでございます。  それからもう一つは、いわゆる相談所等に上がってくるもの、あるいはまた、新聞とか投書とか出てくるもの、そういうものに対しましては、本社で幹部会議というのを一週間に一回開いておりまして、その幹部会議でそれを披露する。それから本社に監査局というのがございまして、各通信局を全部回りまして、年に一回必ず監査をする。そこで調べました監査のレポートというものを必ず幹部会議にかけまして審議するという仕組みをしております。ですから、現場の、たとえばある保守なら保守、そういうもののレベルの中に入っている問題については現場限りで処理されている。しかし、そうじゃなくていろいろ特殊な問題がございますから、そういうものは上がってきたところで一つ一つ処理する。そういう形になっておるのでございます。ですから、私そこの表をちょっと見てないので、現場の保守の数がどうなっているのか、そこはちょっと知らないのでございますが、あらゆるものが全部本社に上がってくるというわけじゃなくて、いわゆる通信局あるいは現場段階であるレベル以下のものは処理されてくるし、特殊なものといいますか少し大きなものは監査というラインで上がってきて、本社でいろいろ処理するか、ディスカッションする。それからまた、新聞等に出てきたり、あるいは投書で上がってきたものは毎月広報部がまとめまして、幹部会議のテーマにして処理する、こういう仕組みになっておるのでございます。
  127. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 これをちょっと見てください。監査報告ですから。
  128. 米澤滋

    ○米澤説明員 いま見ましたから、ちょっと答えさせます。
  129. 玉野義雄

    ○玉野説明員 監査報告に上がっておりますのは、先ほど私が申し上げました数字と同じでございますが、相談所の分だけでございます。したがいまして、監査報告で取り上げましたのは、相談所は従来からそういう体制でやっておりましたので、件数が非常に正確に上がってくるということで上げておりますので、現場の方は先ほど申し上げましたように、相談所ほどそういう体制ができてないということでそれを整備させまして、相談所並みにちゃんとできるような体制にしたいということで現在進めておるわけでございます。したがいまして、監査報告の方は、先生おっしゃいましたとおり、相談所の件数でございます。
  130. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 総裁もお聞きになっておって、いまのことはおわかりいただいたわけですが、そこで私はなぜこれをしつこく言うかといいますと、総裁も記憶があると思います。私が、広域時分になってある程度時期が過ぎたときに、外国にありますような通話度数の表示の問題を御質問申し上げましたですね。ああいう要望はいまだもって新聞、投書等にもどんどん出てきます。いわゆる広域時分になって、時間を長くかければどんどん料金が上がっていくわけですから、それがかけている人にもわかるような方法というのは、いまの電電公社では受けられないとおっしゃいますけれども、技術的にはできる、外国でもやっている、また、そういう機械もできたということを前回のときにも私申し上げたわけです。だから、国民の要望もそういうものがある。そうしますと、技術的にできるのであれば、そういうものが建設投資なり今後の計画の中に、技術革新の中に組み入れられていくことが、私が先ほどから申し上げたことの中に入っておったわけなんです。そのほか、新製品をいろいろ販売なさいますときも、認可申請される製品の価格の問題、それから電電に納める納入業者のいろいろな問題、それから公衆電話をあそこに欲しいとか、こちらには公衆電話が余っておるけれども、こちらには足らない、極端なことを言うとそうなんです。こちらのある地域は、公衆電話の割り当てか何かあるそうでございまして、もう消化するのに大変だといって自治体に頼んでどうしようか、という所があるかと思うと、人口急増地帯ではものすごく公衆電話が足りない足りないと言う。それから先ほどの広域時分で言えば、例の、それにかかってきます異常度数といいますか——異常度数の申告と言うんだそうですね、これも私あのときに申し上げたのですが、こういうものはわずかしかないんだというふうに私はお答えをいただいておったと思うのです。ですから、現場を見に行ったときに、その点については十分注意して私も現場の意見を聞いてきました。その度数申告にしましても、あのとき技術的には、機械というのはほとんど間違いがないようになっておるから、その間違いはほとんどないんだという御答弁までいただいておったわけですけれども、東京のある所を見に行きますと、この異常度数申告というのは相当数ありますね。この異常度数申告の中に、人為的な事故と機械的な事故というのがちゃんと出ておる。  総裁、その前にもう一つここで、監査報告の中に出てきます苦情ですね。苦情の中の電話料金というのは四百八十八件。しかし、これは全国の一部分だから四百八十八件ということですけれども、こういうことならばこういう異常度数に関係する苦情は何万件あるかわからないですね。この異常度数の、いま申し上げました人為的機械的事故というのがある管理部だけで六百件近くありますね。異常度数そのものは五万件ぐらいあるらしい。その中に事故がわかったのが仮りに六百件ぐらい。ところが、この間違いがないという異常度数を、今度は異常度数も間違いないということで各利用者に料金の請求をされますね。ところが、その料金請求書を発行した後にさらに間違いがあるということがまた調査されているわけです。それもある管理部で、大体平均してみますと一ヵ月一万加入当たり〇・〇一ですから百件、こういう事故があって、この中にまた人為的事故と機械的事故というのが出ております。こういう事故並びにそのためにある管理部で減額されたものが、少ないところで十件から多いところは百件。東京だけで六百件。いわゆる電話の度数関係だけから見ると、異常度数を一遍検査をしてみて、それで人為的事故と機械的事故を外してこれで間違いないというところで領収書を切ってやったところがまた間違いがあった。その中で減額したのが何ぼ、こういう数字が出ておるわけですね。そうしますと、この監査報告に出ております電話料金の四百八十八件の苦情というのは本当の一部分であって、私が前回申し上げた度数の誤りによる苦情というのは全国的には相当あるということを裏づけするように思うのですが、これはいかがでしょうか。
  131. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  ただいま監査報告書の数字の御指摘がございましたが、先ほど総裁からお答えいたしましたように、たとえば障害と同じように、料金申告にしましても、障害だと言ってしまえばそれも苦情になるわけでございます。そういう数字は恐らく相談所に持ち込まれないで、直接取扱局へ持ち込まれております。したがって、その中には入っておらないわけです。それと同じように料金の苦情も  苦情といいますか申告も、相談所に持って来られる苦情と申しますのは、大抵電話がつかないとか、なぜつかないとか、そういう一般論的なものが多うございます。具体的に自分料金が違っておるというのは、あるいは間違いだというものは、その取扱局へ直接直にあるいは加入課の方へ参ることが多いわけでございます。したがって、恐らくその件数の中には入っておりませんし、また私どもの方で料金につきましては数年来非常に大きな問題になっておりますので、別途数字を取っております。その数字は大体私の記憶では一万件当たり八件ぐらいの苦情でございます。一万回線当たり八件ぐらいの苦情でございますが、その苦情の中身と申しますのは、いま先生指摘のようにいろいろな料金に関する苦情全部が含まっておりまして、たとえば料金の間違いと御本人は思っておられますが、私どもの方の事務的な関係の間違い、たとえば六月分の料金だ、こういうぐあいに請求書に書いておりますけれども、一段に六月分といわれれば普通の方は六月一日から三十日までと思われるのはこれはやむを得ないのでございますけれども、私どもの方ではそれが料金月というのがコンピューターの関係でございますために、たとえば五月十五日から六月十四日までの方も六月分の収入として出しておる。そういう事務的な間違いといいますか、意思疎通の不十分のために起こる苦情というものもございます。本当に料金そのものの計算違いというのは大変少うございまして、先ほど先生が御指摘になりましたように、一万件当たり〇・〇幾らというような数字だったと思います。したがって、概括的に申し上げますと、いま申し上げました料金の苦情というのはほとんど取扱局、それも料金発行いたしました料金課なり電話局の窓口の方へ直接参りますので、この監査報告書にはほとんど載っておらないだろう、こう思います。それは相談所に持ち込まれる件数としては皆無だろう、こう思っております。しかし、別途私どもの方でその資料を取っておりますので、もし必要であれば日を改めて御提出をさせていただきます。
  132. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまのお答えと私が言おうと思ったことは少し違うようですから、別途そういう件数については報告していただくということですから、それをもとにしてまた御質問申し上げるようにしましょう。  次に、時間が大分過ぎましたから、委員長の許可を受けましてもう一問だけにしておきます。最近こういう物価の上昇で五十年度の予算も大変人件費のアップが云々されておりますが、私は先ほどから言いますように、この世界的技術まで達したところの公社の人件費、職員の状態というのは、必ずしもただ人件費が上がったということだけで解決、そこだけを見ていくべきものではなかろう、こういうふうに思います。先ほどから言われますように技術革新、生産性も増進されておりますし、そういう意味では原価の中に占める人件費というのはどのくらいが妥当でございましょうか。
  133. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  非常にむずかしい質問でありますし、これがいわゆる公企体の場合とそれから民営の場合とは非常に違うのじゃないかと思います。たとえばよくATTと電電公社が比較に出ますが、ATTの昭和四十八年の収入、私は正確にはいま覚えておりませんけれども、約七兆円の収入がございます。その中で配当として払っているものが一兆二、三千億円、それから税金として出しているものがたしか一兆三、四千億円、合わせて二兆七、八千億円というものは企業の外へ出している。電電公社というものはそれは出しておりませんから、パーセンテージだけでまいりますと、結局非常に変なものになってしまう。いわゆる比較にならないものを比較するようなことになってまいります。  ところで、では電電公社のいまの給与が高いか低いかという問題につきましては、これは私が判断するというよりも、仲裁裁定という仕組みがございまして、仲裁裁定が判断して、しかも最近はその仲裁裁定で決める前に、いわゆる調停段階で労使それから公益委員の三者が集まって大体の線を出して、その線を委員長見解ということで——ただ、いまの法律では、公労委がその調停で話を出しても給与総額は動かせませんから、結局、形は仲裁裁定になるけれども実際は調停でやっているというそういう仕組みなんで、私は、ことしの話はまだ要求も出ておりませんので何とも申し上げられませんが、仲裁裁定というもので処理されてきているから、総裁としてはそれが妥当だと申し上げる以外にちょっと答えようがないのでございますが、しかし、いま御指摘がありましたように、技術革新をするといっても結局やはり人がやることになるわけでございます。いわゆる研究所の人がやり、それから技術者が設計し、建設をし、それから保守はやはり公社の職員がやる。技術革新があれば当然訓練も受けなければならない。そういう点で、私はこれからもそういう処遇の問題については十分考えていかなければならぬという個人的な考えを持っておりますが、妥当かどうかという点につきましてはちょっと回答できませんので、御了承願いたいと思います。
  134. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 少し質問の意味を取り違えているかと思いますから申し上げますが、私は人件費が一人当たり幾らが妥当かということをお聞きしたわけじゃなかったわけです。いわゆるそういうふうに社外流出しない電電公社ならば、そのもうけ部分というのは建設投資に回っていくんだろう。それが国民のためになっていっているんだろう、こういう推測をするわけですが、いわゆるその公社全体としての投資をなされ、そしてそれが国民に還元される、その中に占める人件費というのはどういう状態がいいだろうかということで、実は私監査報告をまた見てみました。それで、大変大ざっぱな言い方ですけれども、予算上のそういう人件費の見方と決算上に出てくる人件費の見方というのは、私は、過去を振り返るとすれば、決算上に出てきたものを見た方が正しい、こういうふうに思いましたから見てみましたところが、原価の中に占める人件費というのは、技術革新のせいでしょう、ずっと下がってきておりますね。いわゆるおたくの「原価要素別費用調」という中を見てみますと、三十三年を基準にしますと、それを境にしてずっと人件費の割合は下がっておる、ということを知りましたから、それに関しての総裁のお考えを聞きたかったわけでございますけれども、これはまた後ほど五十年度予算の細かい問題に入るときに論議をさせてもらうということにしまして、最後に私は、電電公社が、先ほど総裁もお述べになったように、社外流出部分がないとすれば、莫大な建設投資が行われてきた。その建設投資が問題となって、現在いわゆる公社の中の減価償却費が大き過ぎるんじゃないかとかいろいろな問題が出ておるわけですが、そういうこととあわせて考えてみますと、建設投資の中で、固定資産の投資額の中でも、特に土地に対する投資がほかの機械、設備等よりも多いということ、発足当時、二十八年当時からずっと年度別に追ってみましても、固定資産の中でも土地が一番大きくなっておる。そういうことを見てみますと、土地は減価償却の対象になるものじゃないし、建設投資にしましても、やはり国民の、利用者の観点から見たところの建設投資というものをやっていくならば、このように土地だけが膨大な倍数でふえるということはどうだろうか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  135. 山本孝

    山本(孝)説明員 ただいまの先生の御質問にありました土地の額でございますが、これは全体の通信設備に対する投資の比率で見ますとおおむね一〇%弱、横ばいになっておりまして、この一、二年は多少土地の値上がり率が、公社で買っております一般の物品費よりも高いものですから多くなっておりますけれども、実際には最近建てます局舎は、能率の悪い地方の都市の、あるいは小さい局舎でございますから、一端子当たりの土地の使用能率ということから考えましても、多少上がりぎみにはなっております。しかしながら、土地自体に出しております投資額はそれほどふえておらない。絶対額ではふえておりますけれども、パーセンテージはふえておりません。
  136. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 違うのですよ。私も電電公社の全体の資産を一つ一つこの目で確かめてみたわけじゃないのです。本当は確かめてみたいのです。だけれども、確かめてみておりませんから全体的なことを言っておりますけれども、もう指摘だけしておきまして、議論はまた後にしましょう。  二十八年発足のときと四十八年で見てみますと、固定資産の中で土地は五十六倍にふえておるのです。電気施設は、これは二十八年が出ておりませんからわかりませんが、線路設備は四十五倍です。建物が三十六倍す。ですから、こういうものが、生産性の向上、技術の革新ということを見てみると、私は逆な姿じゃないか、こういうことを一応指摘しておきまして、この問題についての議論はまた後にすることにしまして、きょうの質問はこれで終わらしていただきます。
  137. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 次に、米田東吾君。
  138. 米田東吾

    ○米田委員 大臣の所信表明に関連をいたしまして、二、三御質問を申し上げたいと思います。  郵政事業は、大臣の所信表明にもありますように、人手に依存する度合いのきわめて高い事業である。これは大臣が言われているところでございます。「したがいまして、業務の円滑な運営を図る上で、労使間の円満な協調関係の樹立は不可欠なことであり、省といたしましても常に重要課題として取り組んでいるところでありまして、今後とも的確な労務管理を行い、秩序ある明るい職場づくりのため積極的な努力を傾けていく所存でありますが、労使関係はあくまでも労使双方の存在の上に成り立つものでありますところから、労働組合に対しましても労使関係の正常化に努力するよう率直に要望してまいりたいと考えております。」、こういうふうにうたわれておるわけであります。ここでおっしゃっているところは、人手に依存するのが郵政事業の特徴なんだから、したがって、その労使の関係というものを大事にして省としても常に最重要な問題として取り組む、なお労働組合に対しても正常化に努力するよう要望する、こういう御趣旨のように受け取っておるのであります。  ここで、私、大臣の心構えとして最初に聞いておきたいのでありますけれども、労使間の円満な協調関係、要するに正常な状態というものは一体何かということなんです。大臣、もういまさら申し上げるまでもなく、かつても郵政大臣として実績をふるわれておるわけでありますし、自民党の中でも非常に経歴の長い第一級の政治家でもいらっしゃるわけです。したがいまして、ここらあたりの勘どころは十分つかんでおられることだと私は思うのでありますが、この円満な協調関係の樹立に当たって何が一番大事だというふうにお考えになっておられるのか、そのことからひとつお聞かせをいただきたい。
  139. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  労使の関係と書いてありますけれども、われわれ郵政事業に携わる者は、労使というようなそういう何か区分されておるように考えるようなものでなくて、全く私自身もその従業員の一人であって、本当にそこにはお互いに理解と協力と、そして、何といっても和をもってとうとしとするという、古い言葉ですけれども、やはりすべて話し合いの上で、そして平和なうちにお互いに理解をしていくということが大事でありまして、対立関係の世界ではすべての事業が絶対にうまくいくものじゃない。私は政界に入るその前から、物心がついてこの方、あくまでもいかなる人とも相携えて平和なうちに事を処していくということを私自身モットーとしてまいっておりますだけに、どの世界に参りましても、とにかく、すべてどんな問題でも真摯な、本当に理解を持って話し合えばすべての問題が解決するものなり、かように思っております。
  140. 米田東吾

    ○米田委員 大臣の気持ちは理解できるような気もいたしますけれども、大臣もここで触れられておりますように、労使双方の存在の上に労使関係は成り立つ、こういうふうにおっしゃっておられるわけでありますから、大臣も従業員の一人だ、そのお気持ちはわかりますけれども、やはりこれは国も郵政省も一般事業も同じでありますけれども、使う者と使われる者との関係というものは厳然と存在しておるわけです。したがって、やはり科学的に労使関係というものは成り立つということでありますから、これは私は認めざるを得ない。ここで言う「労使双方の存在の上に成り立つ」ということは、それを認めてそして円満な協調体制というものをつくり出していきたい、こういうことだろうと私は思うのです。そうだとすれば、その円満な協調関係をつくるということは何が基本かというと、いま大臣がおっしゃったように、大臣の言葉の中では、私が理解できるとすれば和ということ、要するに信頼の問題、お互いの信頼ということだろうと私は思うのです。大臣のお気持ちはそういうことで私は受けとめてよろしゅうございますか。お互いの信頼関係……。
  141. 村上勇

    村上国務大臣 全くそのとおりでございます。
  142. 米田東吾

    ○米田委員 その点では私も大臣と見解が同じだ。信頼という関係、労使の存在を認めながら、その上に立っての信頼関係というものをつくっていく。そうだとすれば、やはり大事なのは、特に労使間には一定のルールがある。戦後労働運動が存在しまして三十年、郵政省の中でも一定のルールがもう厳然とできておるわけです。このルールは大事にしていかなければならないということになりますと、そのルールの上に信頼関係あるいは正常な関係というものを打ち立てていかなければならぬということになるだろうと私は思うのです。そこで大事なのは、その信頼を常に維持してこれを発展させていくには、約束ごとというものは双方とも守っていかなければならぬ、私はこういうことだろうと思うのであります。労使の関係で、法的には法律もありますし、あるいは労働協約とかいろいろなそういうような法的なものもありますが、団体交渉等で労使双方が確認する、お互いに認め合うというルールもあるわけであります。いろいろそういうようなルールの上に約束ごとは守っていく。こういうふうに信頼し合って労使関係というものが発展をし、正常に動いていかなければならぬと私は思うのですね。これなければ郵政事業——郵政事業の中身はほとんど人でありますから、人を主体にした郵政事業というものは一日も機能を発揮することができないだろうと私は思う。そういうことからいきますと、最近の労使双方の中には、ややもすると約束ごとが郵政省の側の都合でときどき破られる、どうもこういうようなことがあるように私は思うのです。そういうことについて大臣は御承知なさっておられますか。たとえば、労使間の人事管理に関係していろいろ約束をするわけであります。そういうようなものが郵政省の御都合で破られてしまう。最近の一これは話が正常に戻ったというふうに私は聞いておりますけれども、郵政省の側では従業員に対して処分権というものを持っておる。これは経営権の一つの重要なものとして郵政省はしっかりと持っておられる。その処分権の発動に当たっても、いままでの全逓と郵政省の間ではある程度のルールがあった。この処分権なんかについても、最近そのルールが破られて、現場に問題が出ておる。これはまた郵政省と労働組合の方で話をされて正常の方向に戻すというふうにいま進めておられるそうでありますけれども、それにしても、また、今後、こういうふうにせっかく労使間で認め合い理解し合ってまとまったものが一方的に破られるというようなことがあってはならないと私は思うのですね。ことに郵政省は、本省、地方郵政局、現場の郵便局、権限においてもいろいろ分かれておりますし、必ずしも人事管理あるいは処分等の問題については上から下まできちっと通っておらないようにも私は思いますけれども、これはひとつ労使間の信頼の問題として、約束したものについてはあくまでも守るという、少なくとも郵政省の側から破るようなことがないように、ひとつ今後十分注意をしてもらわなければならぬのじゃないか、こう思うのでありますが、大臣はどう思いますか。
  143. 村上勇

    村上国務大臣 具体的な点についての御質問でありませんので、この点はどう、あの点はどうというようなお答えはできませんけれども、しかし、せっかく約束して労使間ではっきりと取り決めたものを一方から破っていくというようなことはあるべきでない、かように思っております。
  144. 米田東吾

    ○米田委員 私はきょうは大臣とのあれですから、余り一般的な具体的なことを申し上げていないのですけれども、大臣のいまの御答弁の気持ちを次官以下あなたの方の部下に徹底をさせておいていただきたいというふうに思うわけです。  それから、「労働組合に対しましても労使関係の正常化に努力するよう率直に要望してまいりたい」、この大臣のお気持ちは、労働組合にはどういうことを要望されようという何か具体的なものがおありなんですか。
  145. 村上勇

    村上国務大臣 とにかく、お互いに遠くでいろいろな揣摩憶測をするのではなくて、やはりこういうことをやりたい、こういうふうにあるべきだという場合には、率直にひとつ当事者がよく協調してやってほしいというようなことですが、現在のところ別に差し迫ってどうということもないようでありますので、私も健康を害したりなんかしておりましたので、別に具体的にどうということはいたしておりません。
  146. 米田東吾

    ○米田委員 要するに、大臣のお気持ちは、大臣も十分労働組合と話をする。要するに三木内閣の対話ですな。対話と協調、これは大臣みずから郵政省の場合においては、身をもってその衝に当たって、労働組合とも話をするところがあれば幾らでも話をする、こういうお気持ちと理解してよろしゅうございますか。
  147. 村上勇

    村上国務大臣 私の乏しい知識で常に組合と交渉するとかというようなことはどうかと思いますが、とにかく必要があればその当事者が親しく話し合うということは必要だ、こう思って、またそういうふうにさしていきたいと思います。
  148. 米田東吾

    ○米田委員 これはひとつ大臣、ぜひ私はそういうふうに大臣から対処をしていただきたい。労働組合というと何かみんな次官か人事局長かそういうものに任せきりで、大臣はなかなか出てこられない。くせになるなんておっしゃっておられますけれども、それがやはりここで大臣が言っている円満な協調関係を阻害することになると私は思いますから、ひとつそういうことのないように大臣に特にお願いをしておきたい。  それから、これは同じ人の問題で、私はきょうは郵政省の同和問題について大臣に若干の御質問をしたいと思います。  この委員会で同和問題について大臣なり郵政省から見解を求めるというのは、社会党としては初めてでございます。私どもも同和問題については重大な関心を持っておりましたけれども、逓信委員会でこの問題で大臣から答弁を求めるということは、そういう事態でないと思っておりましたけれども、最近の状況というのは必ずしもそうでないようでありますから、したがいまして、同和問題について基本的な大臣郵政省の見解を私はこの際一、二求めておきたいと思います。  昭和四十九年十二月に郵政省は「同和問題の理解と認識のために」、これでありますが、これを管内一般に出しております。私はきわめて適切だと思うのであります。この中に郵政省の意図するところがあると私は理解しておるわけであります。これは「同和問題の理解のために」という大学教授の伊藤昇さんの解説が入っております。それから同対審の答申が全文入っておる。それから同和対策事業特別措置法が記載されておる。それから同和問題についての郵政省の通達、なお同和対策事業特別措置法の施行についての各省庁の通達というようなものが収録をされておるわけであります。この時期に、このようにまとめて郵政省が同和対策の一つの取り組みとして、管下一般の庁に出されたことは適切であったと私は思うのであります。総論でありますけれども、「同和問題の理解と認識のために」というあえて言えば通達でありますけれども、この冊子は郵政省が出したものでありますから、これは今日も当然効力を有しておるし、郵政省の同和問題に対する見解というものは要するにこれに尽きる、このとおりである、というふうに理解してよろしゅうございますか。
  149. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  郵政省といたしましては、同和対策審議会答申、同和対策事業特別措置法、同和対策長期計画等の精神にのっとりまして同和対策を推進いたす考えでございます。当然のことながら、この中に組まれております事務次官通達は有効なものでございます。
  150. 米田東吾

    ○米田委員 わかりました。  この四十七年八月二十八日付の郵官秘第一〇六四号という次官通達、これによりますと「最近部内において差別的偏見に起因する発言等の問題が発生していることはまことに残念であり、深く反省すべきことであります。」こういうふうに明記しておられますが、これは私が理解するところ、郵政省の部内にもやはり差別問題というものは存在する、意識するとしないにかかわらず偏見が存在する、要するに同和問題という根本的なものは郵政事業の中にも存在しておるのだ、そしてこれは深く反省しなければならない、こういう認識の上に立ってこの事務次官通達は出ておると私は見ておりますけれども、よろしゅうございますか。
  151. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃいましたとおり、局舎内に差別に起因すると見られる落書きとか、職員の一部における言動等が散見されたということを申しておる次第であります。
  152. 米田東吾

    ○米田委員 私の質問に対して官房長は肯定の答弁をされておりますから、これで私は了承したいのでありますが、ただ差別の事象が、いまのあなたのお言葉だと、落書きだとか何かそんなような次元のようにおっしゃっておられますけれども、そういう次元での存在だというふうに見ておられるのですか。そんな単なる落書きがあったとかないとか、そういう現象的な形式的なことで差別があるというふうに認識されておるとすれば、これは私はちょっと納得できないのですけれども、もっと基本的に本質的に人間の差別として憲法の精神に反するような、本来あり得ない差別が存在するかのようなそういう偏見、そういうものとして郵政省の中に存在している。それがやはり人事管理の面でもあるいは労使間の面でも、要するにもっと基本的なものとして存在している。私はそういうふうに見ておるのでありますけれども、そういうことじゃないのですか。
  153. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  現象といたしまして一部職員の言動あるいは落書き等と申し上げましたけれども、よって来るゆえんは、職員の一部の者の軽率さ、あるいは旧来の考えに惑わされている者等があったのではなかろうか。そうした原因があって、先ほど申し上げましたような現象が出ておったというふうに考えております。
  154. 米田東吾

    ○米田委員 この「同和問題の理解と認識のために」という通達が出ましてから、あなたの方でこの問題について掌握している——特に同和問題が一番緊急にしかも集中的に出ておりますのは、とかく言われておりますのは近畿郵政管内あるいは中国郵政管内あるいは九州郵政管内、あなたの方の関係ではそういうふうに思うのでありますけれども、これが出ましてから郵政省の同和対策という面では、いろいろな面で好ましい状況に行っているのですか。要するに、差別をなくするという憲法とそれから同対審の答申、それから特別措置法の趣旨に沿って、郵政省の部内においてもよい方向に向いている、こういうふうに見ておられますか。効果が出ておるかないかということです。
  155. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  同和対策審議会答申、同和対策事業特別措置法等の精神にのっとりまして、部内といたしましては研修等を実施いたしております。その結果、こうした差別事象があらわれなくなってきている、このように理解いたしております。
  156. 米田東吾

    ○米田委員 ひとつ具体的なことでお聞きをしたいのであります。  これは昨年の十二月二十一日付の赤旗でございます。これは日本共産党の機関紙だというふうに承知をいたしております。この赤旗に、これは記事を全部読みますと時間が長くなりますから、要点を申し上げます。兵庫県の垂水郵便局、ここでこの記事によれば、部落解放同盟兵庫県連小西委員長を講師にした研修会が計画されたけれども、共産党の抗議によって中止された、こういうふうに報道されております。説明によりますと、垂水の郵便局でこういう計画を関係者なり組合の方と話をされて、郵便局長が局の事業として、この通達に基づいて研修会をやろうというふうに計画をされたようであります。「このことを知った共産党の久留島義忠県議、森原健一神戸西地区副委員長らは二十日午前、細田局長に面会をもとめ、研修会を中止するよう申入れました。久留島県議らは、国会や県議会でも問題になり、暴力、蛮行をほしままにふるまっている「解同」県連の委員長をよんで職員の研修をすることは、局が暴力を容認することなのか——と細田局長研修会の中止をもとめました。」こういうふうに言っているわけであります。これは局長は即答を避けたけれども、あと午後三時半ごろ局長から久留島県議あてに、研修会は中止しましたと電話で回答があった。さらにこの記事には、共産党の土橋一吉衆議院議員は二十日午後郵政省関係当局にこのことについて抗議をした、これに対し郵政省の高仲官房長——あなたであります、は同日午後四時過ぎ、指摘のとおり好ましくないことなので直ちに中止するように指示した、こういう回答をなさっております。  私が読み上げましたのは、この赤旗の記事がどうこうということで読み上げたわけじゃないのです。あなたの方の見解をお聞きするためでありますけれども、ここで言っている重要な部分は、暴力、蛮行をほしいままに振る舞っている解同の委員長を呼んで講師にするということは暴力を認めるということになる、したがって、暴力を認めるというのかというように詰め寄られてやめたということになりますと、この部落解放同盟は暴力集団だということをある党が言っておりますけれども、暴力集団だということを認めた上であなたの方はやめられたということになるわけであります、論理から言って。そして、あなたが土橋議員に返事をした趣旨も、この記事からいけば私は同じだと思う。私はここで赤旗の記事がどうこうということは問題がそれますから言いませんけれども、あなたはどういうことでこの研修会を中止させたのか。解同は暴力集団だと認めたのか、認めないのか。この記事からいけば、共産党のおっしゃることは、暴力集団の委員長を呼んできて話を聞かせるとは何事だ、郵政省はこの解同の暴力集団を認めるのか、そしてそれを局員に聞かせるのか、こういう論点で抗議をされておるわけであります。これに対して、わかりました、やめますということになれば、当然それを認めたということになりませんか。この点について、重要ですのではっきりしたお答えを聞いておきたい。
  157. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  垂水の郵便局において予定されていた研修が中止になったということは事実でございますが、これは垂水の郵便局の職員の一部に反対があって、そのような状態では効果的な研修が期待できないという理由のもとに中止になったものと理解いたしております。
  158. 米田東吾

    ○米田委員 一つは、垂水郵便局局長の判断で、あなたがおっしゃるように、局員の中に反対があって好ましくないということでやめたということなら、それはそれでわかります。ここにもう一つあるのは、土橋議員に対してあなたが、好ましくないことなので直ちに中止するように指示しました、これはどういうことなんですか。あなたの判断は。
  159. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  土橋議員から垂水の郵便局研修会についてお尋ねのあったことは事実でございます。その際、私はたまたまその研修が行われる予定になっておるという事実を知りませんでしたので、現地に問い合わせた上で御返事申し上げるということにいたしてございました。現地に問い合わせました結果、この研修会は先ほど申し上げました理由で中止することとなったという報告を受けまして、その結果を土橋議員に電話いたした次第でございます。
  160. 米田東吾

    ○米田委員 そうすると官房長、いまのあなたの答弁からいきますと、解同が暴力集団だ、したがって、その暴力集団の委員長を呼んで来て話をするということは、即暴力を認めたということになるではないかというその共産党のおっしゃることについては、あなたの方はどういう見解を持っておられるのですか。私はいろいろ調べてみますと、この種のことはほかにもあるようであります。それは肩書きは確かに解同関係の役員の方もおられるかもしれませんけれども、やはり部落差別の問題、部落問題というのを一番基本的に本質的にとらえているのはこの関係者であります。そういう関係者が来て話をする。これはやはり私は、特別措置法あるいは答申の趣旨からいって一番誠意のある、本当は大事なことじゃないかと思うのですね。その場合に、いま解同が——解同といいますか、部落関係の団体というものが幾つか分かれておりますから、それは私は現実にそういう事態が存在していることは認めておりますけれども、あなたの方ではその関係者を呼んで、そういうものに関係なく講師として、この部落問題というものを基本的本質的に話をしてもらう、こういうようなことでなさっておられると私は思うのですね。今後あなたの方で、この共産党さんがおっしゃっておられるように、解放同盟というものは暴力集団、トロキスト集団なんだというようなことをお認めなさったとすれば、私は重要だからもう一遍聞くのであります。垂水の郵便局でやめたというのは、そういう基本的なものをあなたの方はどういうふうに整理をされて——ただ職員が反対したからというだけでは私は理由にならぬと思うのです。どういうふうに整理をされてこの方針をとられたのか。あなたも郵政省の官房長であります。郵政省の部落問題の大元締めじゃないですか。この点きちっとしておかなければ、今後こういう問題が出てきてもあなたは対処できないだろうと私は思う。あなたの見解も私はきちっとしたものを聞いておきたいと思う。
  161. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  垂水の件につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、私は中止になったという事実を土橋議員に電話でお伝えしたにとどまるわけでございます。それ以外のことは私は申しておりません。  それから同和研修の問題についての基本的考え方について御質問があったと存じますが、同和問題についての理解と認識を深めることはきわめて重要な問題でございます。そのためには同和問題についての活発活動がきわめて重要でございます。この点につきましては、この冊子にも入っております同和対策審議会答申、同和対策特別措置法等においても明らかにされておる点でございまして、郵政省におきましても、かかる見地から職員に対する教育啓蒙を積極的に進めている次第でございます。なお、同和問題を正しく理解し認識するためには、同和問題についての学識経験者から広く話を聞くことが効果的であると私は考えております。各地方段階におきましても、こうした点から講師をお願いするに当たっては、各地方公共団体あるいは地方公共団体の同対室あるいは教育委員会等の推薦を受けた講師の方々かち研修を受けているのが実情でございます。
  162. 米田東吾

    ○米田委員 その前段の方です。後段はわかります。前段の方ですが、あなた郵政省の官房長でいらっしゃるわけです。別にあなたをやり玉に上げて言っているつもりは私はないのですけれども、共産党の兵庫の県会議員あるいは市会議員、それから土橋議員の中止せいという申し入れがあったからといって、はあ、わかりました、中止しましたというそんな主体性のない、しかも、あなたの郵政省の行政行為を一つやめるわけですからね。これは組合が計画したのでも何でもない。同対審の答申に基づいて、あなたの方の次官通達に基づいて、特別措置法の精神に基づいて、あなたの方が自主的に計画された研修会です。これをやめるに当たって、ただ中止しますという、そんないまの前段のあなたの答弁だけでは、これは私引き下がれません。また、そんなことであなたの方はふらふら、共産党さんから何か言われると、ああそうですか、やめます、というふうになるのですか。そんなことじゃないでしょう。私はそんなことであってはいかぬと思うし、そういうことじゃないと思う。ですから私は、やはりあなたが郵政省の同和問題についての最高の主管であるだけに、あなたの見解というものももっときちっとしたものを聞いておきたい。共産党がおっしゃるこのことを全面的に認められたのかどうかということなんです。答弁してください。
  163. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  いささか私の説明が足りなかった点があろうかと存じますが、私が申し上げたのは、土橋議員からお話のありましたとき、私はその事実を知らないから現地に問い合わせるというそのことだけを申し上げ、別に中止せしめるとか中止させるべく努力するとか、このようなことは申し上げた記憶はございません。ただ、その約束に従って現地に問い合わせました結果、中止になったということを聞きましたので、その事実を、中止になったという報告を受けましたという事実をお伝えした、こういうことでございまして、私個人としての価値判断等は申し上げた記憶はございません。
  164. 米田東吾

    ○米田委員 もう一つ、そうすると官房長、この記事によるとあなたはこう言っているのですよ。「指摘の通り好ましくないことなので、ただちに中止するよう指示した」。かぎ括弧になって、赤旗ではこういうふうに書いておられます。「指摘の通り好ましくないことなので、ただちに中止するよう指示した」。そうすると、あなたが、党さんが指摘というのは、いま私がるる説明したこの指摘だと思う。おっしゃるとおりわかりました、好ましくないと思います、したがって、中止をするように指示をしました、この記事はこういうふうにしか理解できません。そうすると、この記事はうそだということで理解してよろしゅうございますか。
  165. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  私が好ましいとか好ましくないとかいうことを申し上げた記憶はございません。単に事実をお伝えいたした次第でございます。  なお、その記事につきまして、先ほど先生がお読み上げくださいましたけれども、私読んだところでは、中止の事実の方が先でございまして、私が指示したと称するのは時間的にも後になっておるようでございまして、私といたしましては、そのような指示をいたしたという記憶はございません。事実を伝えたということでございます。
  166. 米田東吾

    ○米田委員 もういいです。わかりました。ただ、もう一点聞いておきますが、これはとにかくとして、あなたの方が特別措置法や通達に基づいてこれからも部内に積極的に差別問題をなくしていく、同和対策というものを推進するという方向で努力をされるし、また現に研修会も進めておられると思うのでありますけれども、それらの一連の郵政省自体が進めておる、あるいは今後取り組まれる同和対策事業というものについていささかも変更はない、これからも推進する、こういうことでしょうか。それとも何か方針の変更はありましょうか。
  167. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  最初に申し上げましたとおり、郵政省といたしましては同和対策審議会答申、同和対策特別措置法の精神に従って、今後とも同和問題の解決に力を注いでいく所存でございます。
  168. 米田東吾

    ○米田委員 わかりました。いずれまた同和問題につきましては、後でなおお聞きしたい点がございますけれども、後の機会に譲りたいと思います。大臣から一言だけ、同和問題について見解を聞いておきたいと思います。
  169. 村上勇

    村上国務大臣 ただいま高仲官房長がるる御説明申し上げたとおりでありまして、私としてはまだ十分勉強が行き届いておりませんので、高仲官房長のお答えをもって私の意見というように御解釈いただいて結構でございます。
  170. 米田東吾

    ○米田委員 わかりました。私は時間に制限がございますから、答弁要りませんが、要望だけ高仲さんに申し上げておきます。私どもが調査したところによりますと、これは決して十分な調査ではありませんけれども、郵政省としてたとえば特定局や——これは無集配とか簡易郵便局とか特定局いろいろあると思うのですけれども、要するに置局の関係ではまだ同和対策という面から見ますと非常に不十分である、こういうことがあるようであります。特に兵庫県、滋賀県、和歌山県、京都府、これらの県には同和地域といいますか、そういう集落、地域に対しての郵政省の公共施設的なサービス適用の面からいって、私は郵便局の廃止というのは重要だと思うのでありますけれども、こういう点でまだ差別があるようでありますから、これは後で調査をして私に返事をいただきたい。  それからもう一つは、ポストの配置であります。これもたしか一定の基準があったはずであります。同和関係の集落あるいは地域だということによってポストの数が少ないなんていうことは、これは全く今日的な郵政省としては言語道断だと思いますから、こういう差別がまだあるようでありますから、これもひとつ調べていただきたいと思います。  それから、これはそこまでいってないかもしれませんけれども、取り集めあるいは配達なんかについて、たとえば集落によっては二度地をカットするとかあるいは取り集めの回数を減らすとか、そういうようなことがあっては大変でございますけれども、そういうようなことがあるかどうか。要するにそういう面での差別があるのかないのか。これは郵務局長おられますから、できれば答弁いただいてもいいんですが、そういう点についてひとつ、まず第一段階調査をして私に返事をいただきたい。恐らくあなたの方でも十分な調査はないだろうと思うんですね、この同和問題については。だから、いま答弁されると言っても、ちょっと資料がないと思いますから、ひとつ調査をして私の方にいただきたい。いずれこれは後で十分お聞きをしていきたい。これはよろしゅうございますか。
  171. 高仲優

    ○高仲政府委員 窓口施設の分布、ポストの分布、それから取り集め度数、配達度数等についての調査の件は、実施いたしました上、結果まとまり次第先生のところに報告いたしたいと考えております。
  172. 米田東吾

    ○米田委員 次に、郵政事業一般につきまして、せっかく大臣の御見解をこの機会に聞いておきたいと思います。  非常に一般論でございますけれども、郵政事業というものをどういうふうに大臣は見ておられるかということなんであります。郵政事業も今度の予算の説明にもありますように、四十九年度だけでも一千億を超える赤字状態になっている。ことしもまた料金を上げなければ郵政省のいう郵政事業の運営ができない。郵便の国民から与えられておる負託にこたえることができない。こういう状態になっておるわけであります。  そこで郵政事業というものについても、私は少し考えてみなければならない幾つかの問題があるんじゃないか、こういうふうに実は思うわけであります。郵便法では第一条に、一郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」。安い料金で、あまねく、公平、この三つのことがこの第一条にきちっととらえられておるわけであります。そして、公共の福祉の増進であります。第三条には、郵便に関する料金で、「郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」。第三条にこのように料金の原則というものがうたわれておるわけです。この二つを相対的に考えてみまして、今日のこの時世における郵政事業、私はこの中に特に迅速という言葉は入っておりませんけれども、郵政省の政策としては、郵政事業というものは安全、確実それから迅速、この三つが必須の条件として、創立以来ずっとこれを追求されてきておるわけなんであります。今日、電話の普及が、先ほどの電電公社米澤総裁の答弁でもありませんけれども、高まっておる。郵便に対する国民の期待や、国民の郵便事業に対する利用の質も変わってきておる。社会一般の生活、文化、経済の関係というものも、郵便事業が創設された当時とは全く違った状態になってきておる。こういう状態の今日でありますから、郵政事業というものをもう一遍見直して、新しい一つの方針といいますか郵政省のあり方というものを確立されまして、そして郵政事業というものを国民の期待にこたえていく、転換までできなくてもそういう方向に郵政省自体として取り組まなければならない時期に来ているのじゃないか、こんなふうに私は思うのでありますけれども、大臣はいかがでございましょうか。これは大臣とあわせて郵務局長からも答弁をいただきたいと思います。
  173. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  郵便事業の使命といいますか公共的な事業として、あまねく公平に、かつわが国の津々浦々に至るまでこの郵便サービスを広げるというようなことで、国の事業として長年やってまいっておるわけでございまして、この郵便のサービスのモットーと申しますか昔から安全、正確、迅速ということを言ってまいっておりますけれども、確かに時代の変遷とともにいろいろな通信手段の発展してきている中で、郵便事業に課せられている使命というものも、社会から見ておのずからウエートが変わってきておるということは私たちも感じておるわけであります。端的な例が、現在の郵便事業の中におきまして迅速ということも、かってできるだけ早くということで、電話その他の航空機同様な非常にスピーディーなものとは比較できませんけれども、少しでも、一日でも早く一時間でも早くということがわれわれのモットーであったわけでございますけれども、まあいろいろな情勢から、たとえばかつては深夜における郵便の専用航空便を飛ばしておりました問題も、いろいろな別の方の航空騒音というようなことから現在はやれなくなりましたし、かつて昭和四十六年当時全国の郵便局に掲示いたしました郵便送達日数表そのものも一日ないし半日のおくれを現在見ておりまして、現在のそういったおくれた日数表を掲示いたしておるわけであります。いま一番大事なことは、先ほどの田中委員からの御質問にもありましたように、確実に届く。その一日も早く一刻も早くという気持ちはわれわれは忘れてはなりませんけれども、それよりも毎日コンスタントに、郵便が着かない、時によると二日に一回というようなことになったりして、利用者の方に大変御迷惑をおかけしておる、そういったようなことをなくして、安心して、そんなに早くはないけれども間違いなく届くといったようなことについて、郵便を利用される方々の信頼をつないでいきたい。失われかかっているものを保持していきたい。その辺に少しウエートの置き方を変えていかなければならぬということで、現にもうそういったサービスの基準になっておることが実情でございます。なおまた、今後だんだんいろいろな通信手段の発展する中で郵便に求められるビジョンと申しますかがどういうものかというようなことにつきまして、現在郵政省の中に外部のいろいろな方面の学者にたくさん集まっていただきまして、将来の新しい社会の中での郵便に対する、郵便の使命と申しますかそういったものをいかにとらえるべきかということにつきまして、現在かなり長期にわたっていろいろ検討していただいておりますから、その方面からまたいろいろな結論が出てくるかと思います。  最近の状況につきましてちょっと申し上げさせていただきました。
  174. 米田東吾

    ○米田委員 私は、郵便法がこの法律規定しているのは、私が不勉強であるいは十分な理解がないのかもしれませんけれども、第一条の「郵便の役務をなるべく安い料金で」、要するにどんな人でも国民の皆さんが郵便を利用できる、その最低の保証をここにうたわれておると思います。それから「あまねく、公平」、どんな人でも郵便が利用できる。これは憲法の国民の基本的権利からこれが引き出されてきていると私は思うのですね。この二つなんですね。いま局長が答弁されましたように、安全に届けなければならぬ、あるいは確実に扱わなければならぬ、あるいは迅速に処理をしなければならぬ。これは大事なことでありますし、私もそのことは決して間違いだと申し上げているわけではないし、郵政省としてこれは追求されなければならぬと思いますけれども、これは法律規定して郵政省にそのことを要求しているのじゃなしに、郵政省が国民に向けて郵政事業のサービスとして、郵政事業一つの政策として、この三つの条件を原則にして郵便事業を今日百年進めてきておられると私は思うのです。この政策的な要素というものは、いま答弁がありましたけれども、もっと時代の要求に対応して変わっていっていいんじゃないか、私はそういうふうに思うのですね。もういま現に迅速なんということは、率直に言えば、国民はだれも郵便に期待していないだろうと思う。大体あなたの方だって、郵便が所要日数どれだけの時間でもって配達できるかという最短距離を追求してやろうとされましたけれども、これは失敗しておりますし、ほとんどこれは定着しておりませんね。国民の皆さんは慢性的な遅配の状態に不満を持ちながらもややあきらめかけて、このごろの郵便というものはそういうものなんだというふうにあきらめかけて見る人がいる。私はそれに郵政省が惰性のように乗って行っていいというふうには決して申し上げておるのじゃないし、これは国民の側からすればあくまでも追求してもらわなければなりませんけれども、郵政事業の求められておる独立採算、いろんな面での事業の性格、任務からいきまして、場合によればこういうものについてはもっと弾力的に処理をされて、国民が郵政事業に何を一番求めておるか、そのことを追求するというふうに私は大胆に転換されてもいいんじゃないか、できれば郵政審議会あたりに郵便事業のあり方、そういうふうなものをひとつ諮問をされて、総体的な議論をしてもらうというようなことも必要なんじゃないか、こんなふうに思うのでありますが、どうでしょうか。
  175. 石井多加三

    石井政府委員 ただいま最後に御指摘になりました、郵政審議会の場で郵便のあるべき姿についていろいろ検討してもらったらどうかという御指摘につきましてお答えいたしますが、実は一昨年の十月、郵政審議会に対しまして、郵便事業の経営を適正にするための方策についてということで諮問をいたしたわけでございます。その当時、郵政事業の特に郵便事業の財政状況が非常に苦しかったこともございますけれども、ただ単に料金の値上げを答申を求めるというのではなくて、料金値上げをしないで済むようないろんな方策を総合的に検討していただきたいということで、一ヵ月半ぐらいのかなり長期にわたりまして、いろんな角度から郵便事業の今後のあるべき姿等についても議論が行われまして、中には今後こういったことを合理化していかなければならぬとか、サービスのあり方もこういうふうに直すべきだといったような御指摘もいろいろあったわけでございます。いずれにいたしましても、そういったような問題がございましたけれども、現在の財政の立て直しをするためには、そのような合理化方策では急場に間に合わないから、料金値上げについても急いでやるようにというような答申を四十八年の時点に得たわけでございます。また郵便事業の全般についての今後のあり方等につきましては、ただいま御指摘のとおり郵政審議会におきましても、今後料金値上げのようなこういったせっぱ詰まったときだけでなくて、いわば経常的な委員会と申しまするか、いろいろな問題を取り上げて今後検討していくように、というふうなことも昨年の審議会の答申でも触れておられるわけでございます。いずれにいたしましても、そういった面については郵便事業の長期の展望の中で、そういった審議会の場でずいぶん慎重にいろいろ議論をしていただいて、われわれとしてもそういった審議会の御意見等を勘案しながら進んでまいりたいと思っておるわけでございます。
  176. 米田東吾

    ○米田委員 これはいずれまた法案もかかってくるわけでありますから、後でもっと掘り下げて十分御意見を聞きたいと思いますが、問題提起だけしておきたいと思います。  次に、郵政事業特別会計の関係二つばかり聞いておきたいのであります。私ども社会党は、郵政事業もそうでありますが、公企体についてもそういう見解を持っておるわけでありますけれども、郵政省で言えば局舎建設だとか要するに建設関係、会計上建設会計といいますか、こういうようなものは本来国民の負担を前提とする料金収入から賄うのは間違っているのじゃないか。国民はそういう今後に残る建設の関係の会計まで案分され、負わされて料金を負担しなければならぬというようなことは国民の側からすると問題がある。したがって、国鉄であろうと電電であろうと郵政省の建設関係であろうと、建設勘定というようなものについては国の一般財政が賄う。それは財投の関係もありましょうし、いろいろ方法はあると思うのですけれども、料金にそれをばせるということは間違いなんじゃないかという見解を実は社会党は持っておるわけです。したがいまして、国鉄の再建なんかにつきましても党はそういう立場からいろいろ提起をいたしまして、国鉄では郵政や電電なんかと違って大分一般会計からの投入という道が開かれてきておる。郵政事業の場合でも、今日局舎の建設は建設勘定の中に占める割合はばかにならぬわけですね。あるいは郵便事業のいろいろな建設関係というものは、今日の狂乱物価の時代、コストがずっと上がっておる時代でありますから、これが全部郵便料金にばせられてしまって国民が負担しなければならぬ、そのために郵便料金を二倍も三倍も上げなければならぬ。これはいずれ法案の段階でも議論しなければなりませんけれども、基本的なものとして私はこの特別会計の独立採算というあり方について疑問をいま提起しているわけなんでありますけれども、建設会計というようなものについては、郵政省は国から一般会計から導入するという方向に踏み切っていいんじゃないか、こういうふうに思うのでありますけれども、この点は大臣からも見解をひとつ聞いておきたいし、関係局長からも聞いておきたいと思う。
  177. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 お答え申し上げます。  御承知のように、郵便事業はその経費の大宗が人件費でございます。したがいまして、ただいま郵便の収支で出ております赤字の原因はほとんどが人件費であるというふうに考えていいかと思います。ところで、先ほど御指摘の局舎建設経費でございますけれども、郵政会計の特色といたしまして経常経費がきわめて大きいということでありまして、国鉄とは内容的に大変異なっております。したがいまして、仮に一般会計から建設経費につきまして補てんを受けたといたしましても、経費の収支を相償わせるためにはどうしても料金改定によらざるを得ないというのが実情でございます。そういう関係からまいりましても、また同時に郵便利用の実態から申し上げましても、利用者負担の原則と申しますか受益者負担の原則というものは、今後ともあくまで堅持していく方がむしろ社会的にも公平の原則にかなうものではなかろうか、このように考えておる次第でございます。先ほど、独立採算制について考えるべき時期に来ておるのではないかというようなお話もございましたけれども、確かに経常経費がきわめて高くなっておりまして、そのために収支相償うということはなかなか困難な事態を見ておることは事実でございますけれども、郵便利用の実態、その点から考えますと、郵便利用の八割までが事業用通信であるというような現状、こういう面から見てまいりましても、受益者負担という原則は維持していくというのが本来のあり方ではなかろうかというような考え方でおります。
  178. 米田東吾

    ○米田委員 その受益者負担の原則ですね、これはわが党はそう認めておりませんけれども、仮にそうであったとしても、建設勘定、建設部門まで料金の中から負担しなければならぬ、これは国民の側からすればやはり納得しませんよ。国鉄のことを例に出すまでもありませんけれども、郵政省の場合と国鉄当局との関係とは規模において違いがありましょうけれども、そのために二倍、三倍も料金を取られなければならぬということになったら、国民の皆さんが納得するはずはないと私は思う。郵便の利用の関係から言って、八〇%ぐらいまでが要するに事業家の利用だ、国民の一種、二種じゃなしに、ダイレクトメールだとかそういうことが多いだろうと思うのですけれども、仮にそういう状態であったとしても、料金の体系の面から言って、だから建設勘定までやはり受益者負担の原則から言って利用者に負担してもらっていいんだ、というふうにはストレートには理解できないと思う。ですから、この建設勘定等については、もっと基本的に、郵政省も従来の受益者負担の原則に乗っかっての情性じゃなしに、料金がこのようにどんどん上げられてくるような時代になってきておるのでありますから、しかも、建設勘定の占める割合がだんだん多くなってくるわけでありますから、十分考えてみる必要があるんじゃないか。もしそういうことで野放しにしておいて、そうして局舎料なんかの計算、これも非常に問題があると私は思う。悪く言えば、特定局長なんか局舎料で飯食っているようなものですわ。いま電電公社の関係でも料金問題が出てまいりましょうけれども、減価償却の関係で電電が一番甘いというか、そういうことが言われておるわけでありますけれども、同じように郵政省の場合でも、局舎料に関する限り非常に甘いのです。そういう状態にしておいて、みんなそれは料金にばせられてしまう。これは国民の側からすれば納得できないことであります。もう少しこれは検討する余地があると思うのでありますけれども、いかがですか。
  179. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 先生御承知のように、郵政事業特別会計におきます建設勘定部門というのは非常にわずかでございます。なおかつ、ただいま財投によってその資金を確保いたしております。郵便事業から直接建設経費を生み出し得ないような状況にございますので、簡保資金の積立金を利用いたしまして、これを運用してその借入金により建設しておるということでございますので、これは年々借入金の償還利子ということでやっておりますけれども、年々の負担としては少なくなってきております。それから借料につきましても、これは適正な借料を払うということで計算をいたしておりますので、私は過大な支出をしておるというふうには考えておりません。ただ、今後局舎全体としていかにあるべきかという基本的な問題点というのは、郵政事業の抱えておりますきわめて大きな問題かと思います。これは今後とも真剣に検討しなければならない課題かと思っております。
  180. 米田東吾

    ○米田委員 財投と言ったのは一つ方法として申し上げたのです。過渡的な段階としてそういうことを考えてもいいじゃないか。それは現在そうやっておるとおっしゃるのですけれども、それにしても、それはただじゃないわけですよ、郵政省は。やはりそれは料金収益から返していかなければならぬ。ですから、これは国の一般会計からあるいは国の一般の財政から投入するという方向というものは十分検討をしてみなければならぬのじゃないか。局舎料について適正だとおっしゃるけれども、それはあなたの方が適正だというふうに見ておられるだけの話なんで、われわれから見ると、局舎料というのはずいぶん恩恵的だと思うのです。大体、いま十五年か十六年ぐらいで特定局舎は減価償却できるようになっていますね。違いますか。それは後で答弁してください。いずれにしても甘いと私どもは見ている。ですから、そういうことからいきまして、われわれは、もし今後料金問題が出てくれば、もっとシビアにこの問題は分析をして追及しなければならぬ、こう思っておるのです。いまどれくらいの償還になっているのですか。
  181. 廣瀬弘

    廣瀬政府委員 ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんけれども、私の記憶では二十五年であろうと思っております。
  182. 米田東吾

    ○米田委員 それは後でひとつ、きちっとした資料を出してください。それはあるはずなんですから。それは地域によっても違うでしょう。これは地域によっても違うし、建物によっても違うし……。総体的に特定局舎ということになりますと、私が知っている限りでは、最近は大体十六年からその程度ではないか。それじゃ、これは後でひとつ資料を出してください。  その問題が一つございますし、もう一つ聞いておきたいのでありますけれども、いま、一つの社会政策的な面を取り入れまして無料扱いをやっている郵便があるわけでありますね。大体四つぐらいの系列に分けて、盲人の点字だとか刊行物だとか、農産種子だとか、これは郵政省一つの社会政策的な面で私はいいことだと思うし、賛成なんです。しかし、これも私は郵政事業がここまで赤字赤字で追い詰められてきて、そして料金改定なり値上げなりをしなければならぬというところまで来ておるわけでありますから、国鉄なんかでもこれは問題になっておるわけでありますし、電電でも老人電話なんかについても問題になるわけでありますが、こういうものを含めまして、もっと関係各省が一致して大蔵省と、要するに国でもって見るというような、医療の関係は厚生省だとか教育の関係は文部省だとか、そういうふうに区別をしないで、とにかく原則的に、郵政省のこのような社会政策的な面についての料金負担も、国がやるというふうにやはりさせるべきではないか。この点はいかがでございましょうか。
  183. 石井多加三

    石井政府委員 お答えいたします。  現在の郵便事業の財政の苦しい中でいろいろ特別に割り引いておる料金については、郵便事業の負担というものを緩和するためのいろいろな御示唆をいただいてまことに恐縮いたしております。ただいまお述べになりました第四種の中の盲人用点字その他の唐人関係のものは、これは実はわが国の郵便料金としても無料にいたしておりますのみならず、世界各国とも盲人のものについては同じような扱いをいたしております。これは万国郵便条約におきましてもそういった規定になっておるわけでございます。あと第四種の中で、先ほどお述べになりました農産種苗あるいは通信教育といったようなものは、原価から見ますと、非常に安い料金でございますけれども、これは無料ではございませんで、ある程度の料金をいただいておる。このたびの料金改正をするということでの郵政審議会からいただいております答申の中でも、通信教育等につきましては値上げをわずかに一円でしたか二円でしたかやるような案になっておると思いますが、そのようなことで盲人用点字のようなものは今後も無料を続けていきたいと思いますが、ものによっては若干の引き上げ程度は認めていただきたいというふうに思っておるわけでございます。それから農産種苗等につきましては、実は郵政審議会の答申の中では、この制度の目的はわが国の農業の振興といいますかそういったような目的でできた制度でありますけれども、最近の利用率はかなり低くなっておりまして、別のルートでこれは運ばれておるというようなことから、これを特殊扱いをすることをやめるべきである、というふうな答申をいただいたわけでございますが、われわれの方もいろいろ関係のところとも折衝したしましたが 最終的には第四種としての扱い、つまり特別に比較的安い料金で扱うという、その制度としては今度は残したいということに相なっております。  それから、いまお話には出ませんでしたけれども、やはり第三種の問題もあるわけでございまして、この問題につきましては関係方面からいろいろな意見が出ておりまして、先生方のお耳にも入っておると思いますが、現在のところわが国の三種の料金は非常に安い料金になっておりまして、原価からいきますと大体八割引きぐらいの料金かと思います。先ほど四十九年度の郵便事業の赤字が約千四百億と申し上げましたけれども、その中で一番大きな赤字ははがきの赤字でございまして、これが約五百億でございますが、その次に大きいのはこの三種の約三百億の赤字というのがいま郵便事業の財政の破綻の大きな要素になっているわけでございまして、このたびの郵政審議会の答申の中でも、これを原価を償うまではもちろん上げるべきではないけれども、直接費として直接かかっている経費ぐらいは料金として取るべきではないかというふうなことで、実は倍率としては一部のものにつきましては六円のところを三十円というようなものも出ておりますし、この辺は非常に議論のあるところでございますけれども、いろいろなそういったものにつきましては、今後とも、料金改定の中で慎重に検討してまいりたいと思っております。
  184. 米田東吾

    ○米田委員 私も時間が制限がありますから、きょう結論を聞きたいなんて思っていません。ただ、私どもはこれは今後の法案審議の際にも十分申し上げたいのですけれども、三木内閣が一つの目玉にしております弱者救済、この関係郵政事業の面にも十分取り入れていきたいというのが私どもの基本方針なのです。そういう面からいきまして、いま私が申し上げましたような無料になっているものあるいは割引制度がとられているものはいろいろありますけれども、こういうものはもっと拡大をせい、そして、国民の要するに低所得者層あるいは母子家庭あるいは老人あるいは重度心身障害者を含めまして身体障害者、そういう関係者に対する郵便の利用ということについては、もっと大きくサービス提供で、この拡大をしていかなければならぬという私ども方針があるわけであります。それは、具体的にはいずれまた法案の段階で申し上げますけれども、そうするにしても、独立採算というこの厳然たる郵政事業特別会計の制度がありますと、われわれも郵政省の採算を無視してそういうようなことをただ主張もできませんから、したがって政策的に政府の一つの政策としてこのようなことが強調され取り入れられるとするならば、その分の負担は郵政省の特別会計の中で負担するのじゃなしに、当然国の一般財政から負担をさせるという、そういう方針が確立しなければいかぬじゃないか。これにはもっとあなた方も声を大にして、大臣以下主張すべきじゃないか、私はこういうふうに実は申し上げたい。そういうことでありまして、きょうは問題提起だけしておきたい、こう思っております。  それから次に、これは保険、貯金の各局長さんにも一言だけ聞いておきたいのでありますけれども、いま予算委員会で不公正是正とかあるいは金融財政、あらゆる面で集中審議が行われております。この第一日目の十七日に、特に金融関係について審議がなされたのでありますが、そのときに非常に重要なことが福田副総理・経企庁長官その他関係者から答弁で出ているわけなのであります。これは、自民党の湊徹郎議員からの質問に対する答弁でありますけれども、要するに「経済政策の主役を企業の設備投資から生活環境、社会福祉優先に」切りかえたらどうか、もう日本の経済の高度成長時代は終わったのだから、安定成長しかも福祉優先という時代に変わった以上、金融、財政あらゆる面で政策転換をすべきじゃないか、という前提でこういう指摘が出ていると思うのであります。この指摘に対して福田副総理は、「産業優先から生活、とくに住宅優先に転換する」ということをはっきり答弁されて、約束しているわけであります。同じような趣旨質問に対しまして、佐々木全銀協会長からは、「資金配分の公平を期し、中小企業むけ貸し出しに努力する」「資金提供者たる預金者に融資では重点配慮する」、こういうような答弁がなされているわけであります。この限りでは一つの転換の兆しが出ているように私は受け取っているわけであります。このように国の政策が変わろうとするならば、これは変えなければならぬわけでありますが、だとするならば貯金、保険の事業の関係についても、もっと預金者重点あるいは保険の場合は加入者重点という方向に転換すべきじゃないか。いたずらに大蔵省の資金運用部に金をみんな吸い上げられてしまって、郵政省がタッチできない、それからこの運用についても、現在のこのパーセントのもとで非常に規制を受けているわけでありますけれども、全面的に国が行う貯金、保険等についての資金運用はいまこそ郵政省が取り戻して、そして加入者あるいは預金者に還元する、こういう政策に転換すべきじゃないか。そのことをあなた方は主張しなければならぬし、大臣はそのためにひとつ三木内閣の中で迫ってもらわなければならぬのじゃないか。こういうふうに思うのでありますけれども、この点についての見解を私は大臣関係お二人の局長から聞いておきたいと思います。
  185. 船津茂

    ○船津政府委員 お答えいたします。  十七日の集中審議の副総理並びに関係大臣の御答弁、私ちょっとつぶさに承知しませんが、先生のおっしゃるとおりでございますならば、貯金事業に関しまして簡単に申し上げますけれども、やはり物価高騰下におきますところの預貯金に対する配慮というものは一層加えていかなければいかぬということでございまして、一昨年の四月から昨年の九月まで五回にわたりまして、郵便貯金も利率のアップもいたし、トータル的に二・五%でございます。そのほか四十八年度の末、四十九年の夏と、半年の特別利子をつけました定期貯金も発売いたしました。十分配慮してきたつもりでございますが、まだやはり目減りというような現象を完全に克服するわけにはいかない。やはり総需要抑制策を中心に、貯蓄も大いにやってもらって、物価の安定を図ることが肝要かというような考えで一生懸命やっております。何分よろしくお願いいたしますが、さらにまた利上げということになりますと、おっしゃるとおりに、支払い利子の増高が現に目に見えて郵便貯金特別会計を圧迫してきておりますし、これ以上の利上げになりますと、やはり預託利率の引き上げ、それに伴います資金運用部からの貸し出し金利のアップ、いろいろ影響するところが至大でございまして、そういうふうな金利体系の中で慎重にこの事態を注視しながら検討を加えていきたい、こういうふうに考えております。  それからまた、御指摘の資金運用部に——わが郵便貯金は百年たつわけでございますけれども、制度的、沿革的に全部資金運用部、大蔵省の言うままかというようなことでございますけれども、郵便貯金もその大半を占めておりまして、全部が資金運用部に回るわけでございます。しかし、統計的数字を見ますと、大体逐年生活関係、福祉関係に関する財政投融資というものが占める割合が上がってきておりまして、去年は六四・四%というようなあれで、福田副総理が大蔵大臣時代の御答弁も記憶しておりますけれども、なお今後ともこの生活、福祉重点に資金運用部の財投関係を考えていきたいという明確な御答弁を私は委員会で聞いておりますし、そういう方向に進むものと思っておりまして、郵便貯金の社会的機能を果たしていきたい。この運用権を全部郵政省で持ったらどうだ、非常に理想的に希望するところでございますけれども……(米田委員「いままでそうだったか」と呼ぶ)沿革的にいままで郵便貯金はずっと資金運用部に全部繰り入れてきている、さようでございまして、新機軸といたしましては、二年前から預金者貸し付けという制度で、今度三十万に上げてもらうつもりでございますけれども、還元する一つ方法としていささか画期的な制度ではなかったろうか、こういうふうに考えております。  答弁が至らないと思いますが、以上でございます。
  186. 北雄一郎

    ○北政府委員 生命保険は、御承知のように、契約が長期にわたります関係で、こういう物価情勢というものの影響を受けやすいということは否定できないわけであります。簡保といたしましても、当然加入者の利益保護という対策をすべきでありまして、そのためには資金をできるだけ有利に運用するというようなことで、まず経営効率の向上に努めなければならないと思います。その利益をもって加入者に対する配当金の増額、あるいは去年の十一月に二%ほど下げましたが、保険料を引き下げる、あるいは福祉事業団のやっております福祉施設を拡充していく、というようなことに努めることによりまして加入者に還元するように努めておる次第でございます。今後とも運用制度の改善を図ります等、経営の効率化に努めるということと、また物価騰貴の影響をなるべく避けるような、そして保険の目的を達成できるような、そういう新種保険の開発ということについても努めなければならないということで、これについても検討してまいる所存であります。  なお、資金の運用につきましては、御案内のように現在では資金の大部分と申してよろしいと思いますが、大部分につきまして積立金として、これを郵政大臣が自主的に運用できるようになっております。その次第は、これまた御案内のように簡保及び郵便年金の資金の運用に関する法律というのがございまして、これによって郵政大臣が自主的に運用しておるわけであります。もっとも、その法律の第一条にありますように、この資金の運用はやはり公共の利益を図るように運用しなければならないということがございますので、そういう意味でその大部分の原資をもって財投に協力をしておる。しかし、財投の中でも簡保資金がどこへ回っておるかと申しますと、現在では約三分の一が地方公共団体へ回っております。たとえば、市町村がつくられる義務教育施設、これなどはほとんど全部が簡保資金で賄われておるというふうなことでございまして、仰せのような民生関係に対する融資ということに私どもとしても重点を置いている次第でございます。なお財投の場合、いわゆる有利運用部分とそれから低利の運用部分と大体二通りに分かれておりますが、関係の当局ともいろいろ協議をしておりまして、有利部門への簡保資金の配分の比重が逐次高まってきておる、こういう状況にありますので、それやこれやをあわせまして十分努力を払ってまいるつもりでおります。
  187. 米田東吾

    ○米田委員 貯金局長簡易保険局長から答弁をいただきましたが、私の言いたい基本的なものは、ようやく政府も、福田副総理が答弁しましたように、国家の経済あるいは財政、あらゆるものを含めまして経済の高度成長政策に重点を置くというのではなしに、国民生活の方に重点を置いて、そして福祉の方に還元する、そういうふうに言っているのでありますから、そういう時期に来ておるわけでありますから、一番国民の生活に近いのが、郵便貯金あるいは簡易保険の性格がそうなんでありますから、そういう面については、その線に沿った努力を皆さんから十分やってもらわなくちゃいかぬのではないか。財投、財投といいましても、必ずしもこれが国民の期待する方向に回されているわけではないわけでありますし、私どもの方としてはもっと国民福祉型にこれが重点を置きかえられなければならない、こういう観点で申し上げておるわけなんでありますし、できれば保険の運用権なんかについても、この際もっと郵政省が発言権を持つ、そういう方向に持っていかなければならぬだろう、こういうことを私は申し上げておるわけであります。これはひとつ十分努力して、大臣からもひとつがんばっていただきたいと思います。  最後に、私は一つ聞いておきたいのでありまが、郵政省は、身体障害者について一定の枠を設けて職場を与えておりますか。これをまずお聞きいたします。
  188. 神山文男

    ○神山政府委員 身体障害者の雇用促進でございますが、これは先生御承知のように、身体障害者雇用促進法というのがございまして、それを受けまして身体障害者雇用促進法施行令というのがございます。その三条によりまして、郵政省の職員の対象職員について一・六%というのが身体障害者の雇用率として適用されてございます。それで、ただいま四十九年の十月一日現在の雇用率でございますが一・五二%で、まだ〇・〇八%達してないという現状でございます。
  189. 米田東吾

    ○米田委員 人事局長、それはあれですか、身体障害者雇用促進法の趣旨にのっとって毎年郵政省が身体障害者に一定の枠を設けて、そして採用した結果が、いまあなたが答弁されたパーセントになっている、こういうことですか。
  190. 神山文男

    ○神山政府委員 通達を出しまして、身体障害者の雇用を促進するようにということで指導してまいっております。それから職業安定所等と連絡を密にしてやるようにということで指導してまいっておりますが、なお、こういう現状でありますので、省としても、各事業局挙げて、この身体障害者雇用にもう少しきめ細やかな対策を立てていこうということで、身体障害者雇用促進連絡協議会というのを省内につくりまして、今後各事業一体となって推進しようという体制をつくったところでございまして、今後郵政局等に対しても協議会を設置するというようなことを促進するように努力しておる段階でございます。
  191. 米田東吾

    ○米田委員 あなた、ちょっとごまかして答弁されているのじゃないかと思うのですが、私は、郵政省はこの促進法の趣旨に沿って身体障害者ということを公にして、そうして郵政職員に採用しているというような者はないと思うのです。要するに、電電公社のような方式はとってないと私は思う。ただ一般の、郵政省に入ってこられる方の中に身体障害者があるいはおるかもしらぬ。それは軽症の者についてはそれぞれの部門に当てはまるという、その条件に合っておれば採用している。あるいは現に郵政省におる人が身体障害者になって、それはまたその身体障害者が適応できるような事業に配置をして採用してずっと継続している。こういうようなものであって、何%かを枠をとってそして身体障害者の一定の条件を示して、そして郵政省のどういうような職場に入れるというような、そういう措置にして公開の採用をやっているということはないと私は思うのですが、どうですか。
  192. 神山文男

    ○神山政府委員 各職場について、そういう先生のおっしゃるような、どこの職場でどのくらいという指導は従来なされておらなかったということでございますが、それでは残りの〇・〇八%がなかなか進捗を見ないということで、もう少し具体的な方策を立てて対処していきたいということで、先ほど御答弁申し上げたような協議会等をつくって、今後具体的にどういうやり方でこれを推進していくかということで対処している次第でございます。
  193. 米田東吾

    ○米田委員 これはひとつ、あなたの方はこれはサボっておると私は思うのですよ。郵政省だって現業部門はたくさん持っておられますし、完全な人でないとなかなか遂行できないという部門もありますけれども、しかし非現部門もあるわけでありますし、あなたの方はこの法律に沿って、身体障害者についても郵政省が仕事を提供できるような、そういう積極的な態度をとられれば——私は、一・六ぐらいのパーセントも問題ですけれども、大体そういうことを全然やっておられないということがむしろ問題だと思う。いま御答弁がありましたように、これからでもいいですから、身体障害者が郵政省にどんどん入って来れるように、そういう措置を早急になさるべきじゃないか、こういうふうに申し上げておきます。これからもひとつ身体障害者の雇用促進について具体的に進めていただきまして、今後この委員会に報告できるようにひとつお願いしたいと思います。よろしゅうございますね。
  194. 神山文男

    ○神山政府委員 先生の御意見のとおり、われわれとしても今後本腰を入れて対策を立ててまいりたいと考えております。
  195. 米田東吾

    ○米田委員 大臣、この身体障害者の関係は、電電公社やそういうところはやっていますけれども、郵政省はやっていないのですよ。これはひとつ郵政省のイメージを変えるためにも、大々的にやっていただきたいと思います。
  196. 村上勇

    村上国務大臣 御意見のとおり、この問題は非常に大事なことですから、大いに積極的に前向きでやってまいりたいと思います。
  197. 米田東吾

    ○米田委員 終わります。
  198. 地崎宇三郎

    ○地崎委員長 次回は明二十日木曜日、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十二分散会