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阿部(未)
委員 非常にいい方針ですし、大賛成ですが、いままでずっと聞いてきたところとあまり変わらないのです。ただ、前に北
局長が人事
局長のときもずいぶん苦労されまして、確かに最近労使
関係がかなりよくなって来つつあるということについて必ずしも否定するものではありません。しかし、いま人事
局長からもお話がありましたように、まだ必ずしも十分ではない。ここで
大臣にひとつ百尺竿頭さらに一歩を進めてもらわなければならぬのです。
郵政の職場の紛争、これはお聞きとめ願えば結構ですが、郵政の職場の紛争でいま一番大きいのは行政処分にあるわけです。この行政処分というのは、処分さるる方の言い分を全然聞いてやらないのです。処分をする方が一方的に、おまえはこういうことをしたから戒告にするとか懲戒にするとかになるわけです。ごく最近私が聞いた例ですけれども、
局長の耳元で大きな声を出したとかあるいは進路を妨害したとかいうふうなことで処分をされた職員がおるわけです。本人に聞いてみたら、本人は自分にはそういう覚えはないと、こう言うわけです。本人は処分されてびっくりして、
局長のところに、どうして私はこういう処分を受くるのかということを聞きに行ったら、おまえに話す必要はない、おまえはおれのところに出て来ると賃金カットをするぞ、と処分をした人がそう言うわけですね。された方は身に覚えがない。した方は、おまえに処分の理由を
説明する必要はない、こういう言い方で。そうすると、当然これは不信感が生まれてまいります。しかも、その行政処分は一方的にやられるわけでございますから、私が仮に
局長で、あいつ気に入らぬなと思うたら、何かの言葉じりをとらえて処分しようと思えば、これはいつでもできるわけです。たとえば
局長の耳元で大きい声を出したとしても、それが本当に処分せんならぬものであったのか、悪意に満ちたものであったのか、たまたま声を出したのが耳元になったのか、これはやはり処分をするに当たっては十分判断をしなければならない問題だと思うのです。
そこで、私はかねてから北
局長のときに何遍も提起してきたのですが、極悪非道な親を殺したような殺人犯でも、その動機、その心情は疎明をする機会が与えられる。ならば、この
郵政省の行政処分についても、その本人にそういう非違行為があったかどうかについて、本人の言い分も聞いてやってもらいたい。また、それが事実であったかどうかを認定するに当たっては、特に労使
関係では明らかに使用者の側と労働者の側が対立しておるわけですから、片方の言い分だけで処分をすれば片手落ちになることば、これは間違いがないのです。だから、必ず相手の側の言い分を聞くというふうな
措置がとれないものかということについて何度も提起をしてきたわけです。明らかな、たとえばストライキをやった——ストライキの問題はいろいろ議論の分かるるところです、憲法上の問題があり、法律上の問題がありますから。そういう明らかなものについて仮に行政処分があったとしても、そのことまで私は一々本人の疎明を聞けと言うのじゃないのです。せんだってもこういうことがありました。私は
大臣と同じ郷里ですが、郷里の方で、
局長がドアを出ようとしておった、それを知らなくて職員がぽんとドアをあけたわけです。たまたまいわゆる闘争期間中であった。これは
局長に暴行を加えた、処分すべきである。そのとき管理者の責任者に非常にりっぱな人がおりまして、熊本郵政局ですが、よく事情を調べたら、それは何も故意に
局長にドアをぶち当てたものじゃないじゃないか、
局長が出ようとしておるのを知らぬでドアをぽんとやったのが
局長に当たったんじゃないか、そんなことで処分をしたら、これは大変な物笑いになるということで、これはそのまま終わりました。こういうりっぱな管理者がおれば、しかも、これは自分がやられたんじゃないから感情的にも何もないわけですから、正当な判断が加えられます。ところが、
局長にしてみると、わざとやったんじゃないかという気になるわけです。そこで処分をしようということになる。そのときに冷静な判断を下す人がおってくれれば結構ですが、いまの行政処分は、これは
局長がやれるのですよ。役職いろいろありますし、処分の量定にもよりますけれども、大体一般の職員を戒告とか減給処分なんかするのは
局長で、ずっと勝手にやれる。だから気に入らぬ職員はいつでも
局長が処分できる。調べてみますと、まさに処分などというものとは縁遠いことをやっておる。しかも、これは最近郵政の職場だけです。ほかのところでは、
国鉄にしろ
電電公社にしろそういうばかげた行政処分というものは行われていない。これはひとつ
大臣気にとめて、何度も提起してきておりますから、何かこれはもう本当に処分せざるを得ないという判断を下す、あるいはこれはちょっと本人も反省すれば別に重い処分をせぬでもいいじゃないかとか、あるいはこれは行き違いがあるとか、そのことについて
考えてもらう、判断をする機関といいますか、そういうふうなものをひとつ検討しておいてもらいたいと思いますが、検討していただけるかどうかだけ……。