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1975-06-19 第75回国会 衆議院 地方行政委員会商工委員会災害対策特別委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月十九日(木曜日)    午前十時九分開議  出席委員   地方行政委員会    委員長 大西 正男君    理事 愛野興一郎君 理事 片岡 清一君    理事 高鳥  修君 理事 中山 利生君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君       伊能繁次郎君    亀山 孝一君       小山 省二君    渡海元三郎君       岩垂寿喜男君    細谷 治嘉君       小濱 新次君    折小野良一君   商工委員会       岡田 哲児君    加藤 清政君       野間 友一君    近江巳記夫君       玉置 一徳君   災害対策特別委員会    委員長 金丸 徳重君    理事 越智 伊平君 理事 高鳥  修君    理事 兒玉 末男君 理事 柴田 健治君    理事 柴田 睦夫君       金瀬 俊雄君    辻原 弘市君       山本弥之助君    高橋  繁君   公害対策並びに環境保全特別委員会    委員長 渡辺 惣蔵君    理事 田中  覚君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 島本 虎三君    理事 土井たか子君 理事 木下 元二君       岩垂寿喜男君    岡本 富夫君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 福田  一君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  出席政府委員         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁水質保全         局長      大場 敏彦君         通商産業省立地         公害局長    佐藤淳一郎君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君         建設省都市局参         事官      森田 松仁君         自治政務次官  左藤  恵君         消防庁長官  佐々木喜久治君         消防庁次長   森岡  敞君  委員外出席者         水産庁研究開発         部長      佐々木輝夫君         運輸省港湾局技         術参事官    鮫島 泰佑君         海上保安庁警備         救難監     船谷 近夫君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油コンビナート等災害防止法案内閣提出第  六六号)      ————◇—————     〔大西地方行政委員長委員長席に着く〕
  2. 大西正男

    大西委員長 これより地方行政委員会商工委員会災害対策特別委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  内閣提出に係る石油コンビナート等災害防止法案を議題といたします。
  3. 大西正男

    大西委員長 本案についての提案理由等は、お手元に配付してあります資料によって御了解願うこととし、直ちに質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田哲児君。
  4. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私ども商工委員会には、現在石油備蓄法案がかけられているのですが、これはいまさら言うまでもなく、石油危機以来大変備蓄の問題は重要だというふうに考えております。重要に考えれば考えるほど、最近続発しておりますコンビナート中心とする石油事故、こういうもの等がございまして、やはり地域住民の十分な協力を得なければこれが達成できない。そのためにはどうしてもこういう災害が発生するものをいかにして防止していけるか、そういう前提がない以上、地域住民協力は得ることができない、こういう立場から私はこのコンビナート防災については非常に重大な関心を持っているわけであります。  そういう立場で、一日も早くりっぱな内容のものが提出されることを期待をしていたわけであります。しかし、この出てきましたものを見ますと、一応の前進は感ずるわけでありますが、実は内容的には非常に不満な点が多い。これをさらに強化して完全なものにしていかなければならぬという立場から、これからお伺いをしたいと思うわけでありますが、まず最初に、コンビナートというものをどのように考えられておるのか、コンビナート概念といいますか、コンビナートというものをどのようにとらえてこの法案が出されてきたか、こういう点についてお伺いしておきたいと思うのです。
  5. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この法律の名称にございます「石油コンビナート等」ということでございますけれども、いわゆる本来的な意味コンビナートというものよりはさらにその概念を広げた形で用いておるのであります。私どもがこの法律立案に当たりましてとらえました「石油コンビナート等」というのは、いわゆる危険物あるいは高圧ガスというものの集積が非常に大きいもの、そしてまた、その中でも特に複雑な事業形態をとっておるものということでございますけれども、こうした集積の大きいものというものをすべて含めていきたい、こういうことでとらえておるつもりでございます。
  6. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 この概念について、言うならば石油精製石油化学などの装置性工業性の技術的、資本的結合というようなもの、それから、地域的に見ますと、当然原料搬入され、製品搬出されるという、こういうものがなければならぬと考えるわけであります。私は、コンビナートというものはそういうものだと考えているわけでありますが、いま非常に大きく考えたというふうに言われるわけですが、私はどうもそこら辺、明確を欠いているように思うのですが、どうでしょうか。
  7. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 「石油コンビナート等」というものにつきましては、いま申し上げましたように、危険物高圧ガス等集積の非常に大きいものということで考えたわけでありますけれども、いわば、この法律規制対象にいたします地域ということを考えます場合には、こうした地域の場合に、当然にそれに出入りする船の問題ということは防災考えていかなければならない問題でありますけれども、この法律立案に当たりまして、一応考え方といたしましては、陸の地域というものを中心にいたしまして、陸から海へ及ぶ災害というもののありますことを想定しながら海の部分についても必要な規定を設けるというような考え方をとっておりますが、ただ、海自体の問題につきましては、このコンビナート等災害防止法対象からは除外をしたということでございます。
  8. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私のお尋ねしているのは、コンビナートというものの概念をどのようにとらえられているかということでいまお伺いをしておるのです。私に言わせれば、当然原料搬入されて製品搬出される、こういうものがなかったならコンビナートの機能というものはないわけであります。そういうふうに思うのですが、そういうふうにコンビナートというものをとらえなければならぬと私は考えているためにいまお伺いをしているわけです。
  9. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 いわゆる石油コンビナートにおきます原料搬入施設、それから搬出施設、そこまではこの法律対象にしてコンビナート地域に含めて考えております。(岡田(哲)委員「何ですか、その最後がよくわからなかった」と呼ぶ)搬入搬出施設につきましては、このコンビナート地域の中の施設であるというふうに考えております。ただ、非常に海上に遠く離れておりますシーバース等の場合には、これは一応対象から除外をするという考え方でございますが、とにかく、コンビナートに付設されて設定されております搬出入施設は、当然コンビナート地域の中に含まれる施設であるというふうに考えております。
  10. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 いや、私は水島コンビナートの地図を持っておるのですが、これで見ますと、タンクのすぐ横に第五、第六の桟橋がありまして、ここにタンカーが接岸するのです。この距離たるやもう本当に張りついているのですが、いまあなたの言うシーバースは別として、問題は、接岸をするタンカー、これは海上になるわけですが、これは含まれるというふうにいまお答えをしたように思うのですが、どうですか。
  11. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 搬入搬出施設コンビナート地域の中の施設であるというふうに考えております。この搬入搬出施設に接岸される船舶の場合、タンカーの場合におきましては、一応現在の消防法並びに消防法考え方によりまして、このタンカーが接岸されております場合には消防対象施設ということになっておりますので、いわゆる市町村消防機関のいわば消防対象であるというふうに考えておりますが、この船舶自体は「コンビナート等そのものではないというふうに考えております。
  12. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私は冒頭から言っておるように、コンビナートというものは原料が入ってきて、製品が出ていかなければ効果のないものだというふうに考えます。いまあなたの言われておるように、先ほど答弁からいきますと、当然入るのだというふうに承っているのだが、この対象からは外れておるのだ、こういうふうに言われているわけですね。しかし私は、コンビナートという表題をうたったこの法案、こういうものから見まして、いまのようなことであるとするならば当然これはコンビナートというものの範疇からは外れる、こういうふうに思うのですが、どうでしょう。
  13. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 「コンビナート等」というのは事業所を持つ地域考えておるわけであります。したがいまして、この事業所施設でありますところの石油あるいは高圧ガス搬入搬出施設自体コンビナート事業所施設に含まれてくるわけでありますけれども、これに接岸するタンカー船舶コンビナート自体ではないというふうに考えております。
  14. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 非常にわかりにくいのですが、原料であります石油は当然施設を必要とする。しかし、その船そのものは違うんだというように聞こえるのですが、そういうことですか。
  15. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 搬出入施設コンビナート事業所施設でありますけれども船舶は「コンビナート等」の中には含めておらないということでございます。
  16. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 時間がありませんから次に移りますが、いまの点は非常に詭弁だと私は考えておりますし、そういう考え方では、問題をコンビナート災害に対する防災という立場から見ますと非常に手が落ちているということだけこの機会には申し上げておきたいと思います。  次に、大臣にお尋ねをしたいわけでありますが、この法案がことしに入りましてから非常に問題になりまして、直ちに提出しようという努力で鋭意作業にかかったというふうに思うのですが、非常におくれている。この原因は、どうも考えてみますと十三にも及ぶ関係省庁意見調整の過程で、相当な各省庁の抵抗が出てまいりまして、その調整に手間取った、こういうことだろうと実は思うのであります。  もっとも、この法案は従来の縦割り行政や各省庁セクショナリズム等によって、総合的な防災対策を確立することがおくれて、それが重大事故につながってきた、こういう反省の上に立って一元化を図る、総合的にやっていこうということが一つの大きなねらいだったというふうに思います。  それにもかかわらず、この法案作成の段階で、すでにいま申し上げたような各省庁のなわ張り意識が露骨に出てきている。こういう現状を考えますと、この法案が制定されたとしてみても、実際運用の上ではスムーズにいかないのではないか、こういう不安がどうしてもつきまとうわけであります。せっかく知事本部長として、県、市町村行政機関企業代表で組織する石油コンビナート等防災本部をつくることになって、従来の対策本部よりも一元化が形の上では進んだ、一歩前進したというふうにこれは思うわけでありますが、事業所や設備の監督等についてはやはり依然として従来どおりの縦割りで、ないしは共管ということになっているわけであります。  こういうふうに見ますと、一元化効果を上げるためには各省庁がいままでより以上に協力体制、有機的な連携というものが必要になってくるわけでありますが、この最近の様子をずっと見ておりますと、やはり不安を消すことができないわけであります。  この法案作成調整に当たってこられた大臣、実際に今後のこの運用を一層強化される、そういう立場からぜひ決意をここで聞いておきたい、こういうふうに思うわけです。
  17. 福田一

    福田(一)国務大臣 先ほど来お話がございましたが、コンビナート地域をどの限度にするかという問題も私は一つの大きな課題であったと考えておるのであります。陸上海上接点の問題ということになります。がしかし、陸上についてはこのコンビナート法処理をする、海上については運輸省で新しい法案をつくる、こういうことで問題の一応の区切りをつけたわけでありますが、その接点の問題になりますと、あなたが提示されたように、非常な問題、疑点もあると思います。  大体いま私たち考えますと、セクショナリズムといいますか、役所のこの問題というのはなかなかむずかしい。もっとも私は、役所がそれだけ自分の範囲を一生懸命守ろうという努力があることがまた非常にプラスの面もあるわけでありますから、そう一概にそのこと自体をとがめるわけにはいかないと思っておるのでありますけれども、お説のような面があることだけは認めざるを得ません。  そこで、これをコンビナート法ということでございますが、やはり何といってもコンビナート法をつくった理由は、防災ということが中心になっておるわけでございまして、防災ということは、御案内のように、自治省がいままでやっておったわけであります。はなはだ不十分でございまして申しわけないのでありますが、自治省の所管ということになっておりますので、そのたてまえにおいてどう問題を処理するかということになりますと、消防法とかあるいは高圧ガス取り締まりとか災害対策基本法というようないろいろの法律を含めて、これらでは取り締まりできない面があるのでありますから、そういうものを一元化するというか、そういうものと関連を持たせながらこのコンビナート法というものをつくってそして防災をやるということにいたしたわけでございまして、あなたの仰せになるように、何かやはりぎくしゃくしたことがあるし、いざというときにそれは間に合うのかという御疑問があること、よくわかります。  しかし、少なくとも今度は知事等中心にいたし、市町村中心にし、また事業体自体にも消防防災の義務を持たせ、また組織をつくったという意味ではいままでよりは一歩大きく前進をしたと私は考えておるのでございまして、これで十分であるかとおっしゃれば、私はこれは必ずしも十分だとここで自信を持ってお答えをするほどのあれはありませんけれども、しかしやはりこれだけのものくらいはまずつくっておいて、そしてまた必要に応じてこれは直していかなければならない法律になるんじゃないか。ということは、大体石油化学というものが日本の国で開発した仕事ではなくて、実は海外から直輸入をしてどかどかとつくってしまったというのが現実の姿でございまして、われわれが考えてこのものはこういうふうにしてという設計をしてやったわけでないところに大きな一つ課題があると思うのであります。したがって、これで十分とは考えておりませんが、大きく前進をさしていただいておるという意味ではひとつ御理解を賜わりたい、かように考えておるわけでございます。
  18. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 いまも申し上げましたように、私も一応の前進は認めているわけであります。  問題は、いまも申し上げましたように、非常に各省の間の調整に困難を来たした、こういう実績の上に今後これを運用していくという不安があるわけでありますから、ぜひ大臣十分に連携をとられて前進をされるように、この場合は要望をしておきたいと考えるわけであります。  この法案で一番重要な問題は、総合的かつ一元化、こういうことになると思うのであります。こういう立場から見ますと、先ほどもちょっと触れましたように、海の点を考えて見ますと、本案の中では、油の回収船の備えつけ、それから防油堤の設置、それから異常時における海上警備機関への通報、これだけに実はなっているわけであります。しかしいままでの事故大臣全部ごらんになっておわかりのように、実にコンビナートと海という関係における事故が大多数を占めているわけであります。私は、こういうような点から見まして、ぜひ本法案ができ上がるに当たって考えていただきたいと思いますのは、こういうことは考えていないかということでありますが、自治通産や運輸、まあ十三省庁と言われておりますが、そういう防災関係する部分だけ一つにして、一つ機関を設置するという発想はお持ちでないか、こういう点だけ伺っておきたいのであります。
  19. 福田一

    福田(一)国務大臣 まあ一つのお考えであると存ずる次第であります、あなたのおっしゃることは。  しかし、たとえば通産省におきましても、石油行政というものをつかさどっているところは、石油の輸出入の問題、あるいは日本でどのように石油化学を持っていくか、あるいはガソリンの問題、ナフサの問題等々、いろいろの問題をやっておるわけであります。大体あそこでさえ人が足りないといって、通産省は嘆いておることは、あなたも御存じのとおりである。そこで、そのうちからまた人を防災関係で取ってしまうということになるとなかなか私はむずかしい問題が起きるのではないかと考えるのでありまして、お説のように一元化ができれば——運輸省の場合も同じでございます。運輸省の場合、船舶に関する船舶航行の問題とか、あるいは建造、その他いろいろの問題についてタッチしておりますが、そういう面においてもたくさんの仕事をやっております。それをある程度兼務でやって、お役人の数を余りふやさないようにするということも、実は一つ問題点であると思いますので、そこいらを勘案いたしまして、いま言ったようなこのような体系になったわけであります。  しかし、それが防災という意味で完璧であるかと言われれば、先ほども申し上げたとおり、完璧とは申し上げかねる。特に東京湾とか大阪、あるいは水島等々のいわゆる相当大きな工業地帯を持っておりますところは、ある意味で陸と海との接点における問題というのが非常に大きいことも、われわれよく理解はいたしておりますが、まずさしあたりこの程度のもので出発をいたしまして、今後の推移を見ながら順次改善をしていくよりいたし方がないのじゃないかという結論に達したわけでございますので、ひとつ御理解をしていただきたいと思うのでございます。
  20. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 時間がありませんので、今後、確認するような問題でありますから、ぜひ簡単に御答弁を願いたいと思うのであります。  第五条の関係でありますが、これで見ていきますと、事業所だけを一つ対象にしているように思うわけであります。このコンビナート全体のレイアウトについてはどうも考えていない。たとえば事業所間の連絡導管及び連絡道路、こういうものだけが考えられているように思うのでありますが、この全体については一体どのように考えるのかといいますと、その次のところに周囲状況及び各施設というものを十分考慮するのだというふうに言っておられるように思うのでありますが、このコンビナート全体については一体どういうふうにお考えなんでしょうか。
  21. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 第五条の規定は、御指摘のとおり第一種事業所であって、しかも石油及び高圧ガス両者を扱っている事業所に限定をしてこの規定を適用するようにいたしております。  コンビナート全体についての配置の問題につきましては、この法律では規制対象にしておらないのであります。これは、第一種事業所が特に石油または高圧ガス扱い量が非常に大きい、そういう一番危険な事業所というものを対象にしてこのレイアウト規制を行いたいということでございます。その事業所規制をいたします場合には、その周囲が、その事業所に接しているところが一般の住民居住地域であるのか、あるいはそうでない第二種事業所以下のいわば危険度の少ない事業所に接しておるかということがやはり第一種事業所自体レイアウトに重要な影響を与える、こういう意味におきまして、周辺の状況を見ながら第一種事業所レイアウトについて検討をして、防災上必要がある場合においては変更指示をする、こういうことになっておるのでございます。
  22. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 それから既存のコンビナート規制についてでありますが、これは非常に危険だ、こういうふうに考えられた場合には変更することができる、こういうことが大事だと思うのですが、これは十分現行法でできるというふうにお考えなんでしょうか。
  23. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 第五条の規定におきまして、第一種事業所レイアウトについての指示の問題が規定されておるわけでございますが、この規定にございますように、事業所を大きく製造施設地区でありますとか、貯蔵施設地区といったようなブロックに分けてみて、そのブロックの全体の配置状況あるいはその面積というものが防災上どのような状況になっているかということでその計画の変更指示するというような規定になっておりまして、既設事業所についてこれと同じような考え方での事業所変更を行うということになります場合には、実質的には大きいブロックごと配置規制ということになるわけでありますから、現実には既設事業所の場合にはその事業所全体の配置がえという問題になってまいりますので、この規定は適用をしないということにいたしているわけであります。ただ既設事業所防災上いろいろ問題がある、若干のタンクなりを間引きしなければならないというような事態につきましては、これはその必要がある場合においては、消防法規定なり高圧ガス取締法規定において必要な部分規制は行っていくという考え方をとっております。
  24. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 もう時間が来たようでありますが、最後に、この第一種事業所、結局石油高圧ガスが併存する場合のみを対象にしているということでありますが、私ども立場から言いますと、せっかくこの法律ができるわけでありますから、当然石油ガスもすべて、コンビナート全体の立場でこれを規制していく、こういう形をとるべきではないか。これは一元的というふうに言われておるわけでありますが、高圧ガスの場合には通産で都道府県、それから石油の場合でいきますと消防庁市町村、こういうふうに分かれているわけであります。私は、こういうことから見ますとやはり一元化されていない。どのような形で一元化をするか。ですから、高圧ガス石油と同じような立場で取り扱うべきだということを実は考えるのでありますが、どうでしょうか。
  25. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 たとえばLPGの基地でありますとか、石油備蓄基地というものを考えますと、現に鹿児島県の喜入にありますような備蓄基地の場合には、いわば貯蔵施設地区がほとんどでございまして、若干の管理施設地区があるというように、その事業所内ブロックの区分というものがきわめて単純でございます。そういう意味におきまして、現在非常に事故との関係において問題があります製造施設地区あるいは貯蔵施設地区との関係の問題、あるいは製造施設地区自体の問題というものがそういう地域ではないわけでございますので、現在の高圧ガス取締法消防法規定によってこれは処理ができるというふうに考えております。  なおまた高圧ガス取締法におきましては、コンビナート保安規則というものが最近大きな改正をされまして、その保安距離等につきまして非常に規制が強化されております。なおまた消防法におきましても、その辺の保安距離その他につきましての規制は強化をしていくということになっておりますので、現在の個別法で十分処理ができるというふうに考えております。
  26. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 時間が来ましたので、終わります。
  27. 大西正男

    大西委員長 加藤清政君。
  28. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 ただいま質問いたしました岡田委員と重複する点につきましては簡潔に御答弁願いまして、十一時には自治大臣が退出されるということでありますので、最初に自治大臣についてお尋ねしたいと思います。  本法案と関連いたしまして、石油備蓄計画と防災問題についてお尋ねしたいと思います。昨年の秋に、中東戦争を契機にして石油の削減とかあるいは石油の価格の値上げというようないわゆる石油危機を教訓にいたしまして、備蓄の問題が大きく浮かび上がってまいったことは御案内のとおりでありまして、本国会におきましても、内閣提出六二号議案としてすでに石油備蓄法案が提案されておることも御案内のとおりであります。欧米諸国におきましても、九十日をめどにして備蓄計画を立てており、そして国際エネルギー機関に加盟参加への義務づけとしても九十日をめどにしておられるわけでありまして、いま日本における九十日備蓄というものは大変大きな焦点になっておると考えられるわけであります。したがいまして、この九十日備蓄というものを達成する上におきましては、さなきだに石油コンビナート事故が暴発し、そして国民が大変不安などん底に陥れられておる中におきまして、さらにこの備蓄計画を進めていくということになりますと、どうしても備蓄と防災の問題を切り離して考えるということができないと思うわけでありまして、その点について御質問したいと思います。  現在は六十日分の備蓄をすでにしておるわけでありますが、あと三十日分を備蓄していかなくてはならないわけでありまして、これを試算してみますると、三十日分の石油は三千万キロリットルが必要であるわけでありまして、これを現在の備蓄量の六十日分に上乗せをするのでありますから、その分の備蓄をする能力を有する新規の設備がこれから必要となると思うわけであります。三千万キロリットルの石油をストックするためには十万トンの容積のタンクで三百七十五基必要であります。石油タンクは満杯にするわけにはまいりませんから、一応デッドストックを二〇%見た八〇%の数字で計算いたしますると。一方それだけのタンクを新たに建設するための敷地でありますから、十万トンのタンクを一基建てるためには一万三千坪の敷地が必要であります。そこで三百七十五基の新規タンクの建設にはどうしても五百万坪の敷地が必要であるということになってくるわけであります。昨年十二月、三菱石油水島製油所で流出事故を起こしたタンクは五万トンのタンクであり、本年二月、大協石油四日市製油所の火災事故を起こしたタンクの容積は二万トンであります。このような小さなタンクですらあのような大きな事故を発生しておるわけでありますので、十万トンのタンク事故が起きた場合には、想像を絶する大惨害を惹起するであろうということがわかるわけであります。政府が十万トンのタンクを三百七十五基も建てなければならないような備蓄計画を推進するのであるならば、公害対策防災対策を完全なものにしていかなければならないということは当然であるわけであります。相次いで発生したタンク事故、不等沈下等による欠陥タンクの存在が明らかになったことについては、国民のコンビナートに対する非常な不安を醸し出しておるということは言うまでもないわけでありますので、新しいタンクの建設に当たって絶対に安全であるという保証がなければ地域住民が今後建設についての反対をしていくということは火を見るよりも明らかであろうと思うわけであります。国民が安心できる公害対策、環境保全のための対策、そして防災体制を打ち出さなければ国民は納得しないでありましょう。国民の理解が得られなければ、備蓄のためのタンクの建設はできないわけでありまして、全く備蓄計画は絵にかいたもちに等しいことになるわけであります。タンクの建設ができなければ備蓄はできないのでありますから、政府は備蓄計画と公害対策防災対策についてどのように考えておられるか、特にコンビナート防災のための一元的な対策の基本的な措置として強力な防災対策をつくることを中心にしてまいりました自治大臣の御所見を承りたいと思います。
  29. 福田一

    福田(一)国務大臣 まことにごもっともな御指摘と考えるのでございます。一体この日本のような狭い土地でどの程度の工業をやれるかということが一つの大きな課題にいまなりつつあるわけであります。しかも汚染でありますとか、あるいは環境の整備というような問題から見ましても、いま御指摘になった点は非常に重大であると思います。したがって、もう三百幾つの十万トンのタンクをつくるのに大変な土地を必要とする、しかもそれが安全でなければならないということになると、急にそれができるのかどうか、そういう点も考え日本の将来の経済政策というものを考えてみなければならないのではないかと私も考えておるわけでございます。これは自治省という立場から言えば防災ということでございますけれども、単に防災ということだけでこの問題は解決できるわけではない。どれだけの石油を使うことが日本の経済を発展させる意味で可能であるかというに、いま言われました九十日の予備貯蔵ができるかどうかということも一つの大きな課題になろうかと思うのであります。私はそういう意味で、世界の石油関係の会議等に出た場合に、一体日本がそういう義務を完全に負って、ああそうですかと言って帰ってきていいのかどうかということも考えております。実際そういうときにやはり日本の姿というものをよく見て、そう簡単にはできない点もあるのでありますから、そういう点も十分考えて、私はそういうときに世界に対しても所信を述べておく必要もあると思います。と同時にまた一面においては、この油をもっと使わない工夫というものを私たちは考えなければいけないのじゃないか。油を使わないで、できるだけ節約をする。あなたも御案内のとおり、現にいま油はだぶついております。かれこれもうどこの船も満杯であるし、これは私の聞いたところでございますけれども、一割ぐらいはもうだぶついているのじゃないかというようなことも聞くのであります。そうすると、この一割というものは、いま言いましたところのあなたの御数字といいますか、ある意味では三十日分にも当たるのじゃないかと思うのでありまして、それらの点もいろいろ考えてみますと、油をこれからもどんどんふやしていくということが、日本の経済成長を二%か三%に抑えていくというたてまえから見て、それはその関係においてどう見ていったらいいのかということになれば、私はここにも一つ問題点があると思われるのでございます。いままでの高度成長とは違いまして、低成長という時代で考えた場合においては、油の消費という面をできるだけ抑えつつ物を考えることと、油にかわるエネルギーの問題をひとつ大きく考えていくことと、それからどうしても備蓄をせねばならないのですから、その場合にどこにどのようにして備蓄するかという技術的な問題も考えなければいけません。一説によると、これは説でありますけれども、海底にタンクを埋めてやるような方法もあるじゃないかというような説も聞いたりするわけでありますが、しかし実用の段階にはまだ達しておらない。しかし、こういうことに非常な金を使って研究もいたすべきじゃないか、もっと積極的に研究をするということも必要かと考えておるのでございまして、自治省自体の、いわゆる消火、防衛、災害の防除をするといいますか、災害を防ぐという立場から考えれば、現在あるコンビナートの近所にたくさんの予備タンクをつくるというようなことは、ほとんど考えられないと私は思っております。そういうことになりますと、いわゆる装置産業でございますから、工場と関係のないところへタンクをつくってみても意味がないわけですね。ここいらにも問題があると思うので、いろいろ困難な問題を含んでおります。しかし、そういうことで災害があっていいということにはなりませんから、そこを十分に踏まえて、災害がないようにしながら、その種の産業を伸ばしていくという考え方に立たざるを得ないのじゃないかと私は考えておるのでございます。これは自治省というような考え方よりは、政府としてそういう考え方を持って問題に当たらなければならないのじゃないか、こう考えておるわけでございます。
  30. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 自治大臣から、いまこの問題は単に災害というだけではなくして、政府としての総合的な考え方に立っての御答弁があったわけですが、あと八分で自治大臣は退出されますので、自治大臣にこの際お聞きしたいと思うのですが、人間の脳の中に脳下垂体という機能があります。これは御案内のとおり、ホルモンの分泌作用を扱うわけですが、そのホルモンが過重に一方に偏ると、親指とか足の指だけが太くなったり、そういうようなあれを果たすわけです。また、そのホルモンの流れが薄くなると、これは片方が動かなくなったり、大変細い肉体が出てきて機能を失うというようなことになって、脳下垂体としてのホルモンの分泌作用は、体全身の分泌作用を扱うと考えるわけであります。  いま備蓄の問題について、五十四年までの九十日の備蓄の問題とあわせて、防災の問題についての福田さんの力強い御答弁を伺ったわけですが、何といっても防災というものについては、自治省だとかあるいは運輸省だとかあるいは通産省だとかあるいは環境庁だとか、九省にわたる省庁のそれぞれの行政がこの中にあるわけですね。ところが、それぞれの行政の枠の中にはまってばらばらであるということは否めない事実なんですが、何としても有機的な一体性を持った防災一元化というものは、いま大変必要なことではなかろうか、最も要請されるものであろうと思うわけですね。先ほどの体の脳下垂体というホルモンの分泌作用から言いましても、何といっても防災一元化というものを今後の日本の中においてはつくっていかなければならないというのが必然的な要請であろうと思うわけです。  そこで、自治大臣の決意をお伺いしたいのですが、この防災一元化について、法案作成に当たって各省のばらばらを取りまとめつつ努力された福田自治大臣として、この防災一元化のために政府に防災対策本部を置いて、防災一元化、環境あるいは公害問題の一元化というものを組み入れていく考えがあるかどうか、またその中心となって、いまの御答弁をされた福田大臣が今後各省庁に呼びかけて、この一元化のために尽くしていく、その決意がおありかどうか、その点をあわせて福田大臣の御所見を承りたいと思います。
  31. 福田一

    福田(一)国務大臣 大変医学上の知識を御披露いただいて、適切な御忠言をいただいたわけだと私考えておるわけでございます。お説の問題は、政治、経済を通じて、社会生活その他全般を通じての一つの大きな課題であると私考えておりますので、どういうようなものをつくるとかどうするとかということはここで申し上げるわけにはいきませんが、御意見を十分参考にして、今後の政治のあり方に反映をさせていきたい、かように考える次第でございます。
  32. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 自治大臣から力強い御答弁を承ったわけでありますが、ひとついまの答弁とあわせて、今後の将来計画として、日本防災というものに対しての一元化、有機的な一体化について大いに活躍していただきたいということを要望いたしたいと思います。  それでは、次に消防庁は、三菱石油水島製油所で貯蔵タンクの破損による重油の流出事故が発生して、あわてて全国の二千六百九十八の一万キロリッター以上のタンクについての緊急総点検を実施したわけなんですが、その結果によりますると、タンクの本体に不良個所がありまして補修が必要なものが三十一基、それから不等沈下が著しいとされたものが百九基、防油堤に亀裂があったものが三百十八基、配管、弁の不良や防油堤中の水を抜く水抜き管の開閉機能が働かないものが七十一基、備えつけの自動消火設備の不良が百三十七基もあったわけでありまして、実に驚くべき数字であるわけです。そして補修が必要と断定されたものが四百十七基と、何と全体の一五%ものタンクが実は欠陥だらけだったということが露呈されたわけであります。これでは、コンビナートが爆弾を抱えているようなものであります。そこでもって、この欠陥タンクについて本年二月二十一日の調査結果が公表されておるわけでありまして、すでに四カ月をけみしておるわけでありますので、この欠陥タンクについてどのように対処され、どのような結果になっておるか、この際御答弁を願いたいと思います。
  33. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 タンクの不等沈下以外の個所の不良の問題、特に多かったのは防油堤について欠陥があるといったようなものが三百八十ぐらいございました。こうした防油堤の欠陥あるいは配管等の不良という問題は、直ちに補修をいたさして、ほぼこの補修は終わっておるというふうに考えております。  タンクの不等沈下の大きかったものが百九基あったわけでありますが、この百九基のタンクにつきましては内部の精密検査を行うということで油を抜きまして、その点検を実施いたしておるわけでありますけれども、現在までに精密な点検を全部終了いたしましたタンクが約三分の一でございます。それから現在点検中のタンクがあと三分の一でございます。それから残り三分の一につきましては逐次計画的に油抜きを行い、中をクリーニングして精密点検にかかるということを計画中でございます。
  34. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 ところでもって、この本法案がこれから新しくできるコンビナートや従来の施設変更の場合にのみ限って主務大臣に強い権限が与えられておるわけですが、既存のコンビナートについては、その欠陥を是正するための設備の変更を命じるなどの権限を与えられておらないわけですね。本当の意味でのコンビナート防災考えるのであれば、既存の施設や設備の変更を命じられるようにすべきであると思いますが、この関連はどうなっておりますか。
  35. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 第五条以下の規定によりまして新設の事業所についての規制を行いますのは、事業所全体としてのレイアウトを大きくブロック別に見まして、その配置関係防災上適切かどうかという観点から主務大臣が調べるということでございます。  既設のものにつきまして、こうした大きいブロックごとレイアウトについての規制を行うということは、事実上、その事業所のやり直しという問題になりますので、非常に困難であろうということで、これは外しておるわけでありますが、ただ、その既設事業所のいろいろな施設についての問題があります場合には、それは高圧ガス取締法あるいは消防法等の規定によりまして、それぞれの欠陥は是正をさせるということになるわけでありまして、現在、高圧ガス取締法におきましてはすでに新しくコンビナート保安規則がつくられておりますし、また消防法におきましても、従来のタンクその他につきましての規制面の強化は、近くその技術基準というものを明確にして行ってまいりたいというふうに考えております。
  36. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 次に、コンビナート防災対策の重点はもちろん事故を起こさないようにすることに置かなければならないと思いますが、しかし、現在のようにコンビナートの規模が大型化し、集中が進むにつれて、事故が発生した場合には、地域住民だけでなく沿岸漁民らにも大きな影響を及ぼすことになっておるわけでありまして、その上に、爆発や火災のほか、三菱石油の例に見られるように大規模な油汚染まで起きるような結果を生じるということになるわけでありまして、コンビナート事故は多様化してきておるわけですね。  そこで、不幸にして事故が発生した場合には、適切な手を早く打って被害をできるだけ小さくすることが必要でありましょう。コンビナートにおける事故の恐ろしさは、幾つかのものが重なって不測の事態が発生して、被害をさらに拡大に拡大を重ねていくということになると思うわけであります。コンビナートには各企業が入りまじっております。コンビナート事故による被害を最小にとどめるためには、企業間の共同防災組織がぜひ必要なのでありましょう。しかるに、この法案では各企業に防災施設、自衛防災組織の設置を義務づけていますが、共同防災組織は任意になっておるわけですね。また共同防災訓練の実施や特定事業所の職員に対する防災に関する教育を実施したりする特別区域協議会を置くように努めなければならないと言っておるわけですね。共同防災組織と防災区域協議会はその設置を義務づけるべきであると考えますが、この点について政府はどう考えておられるか。
  37. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 共同防災組織あるいは防災協議会というものの設置は、第一種事業所等が数多くあります地域におきましては当然に必要な組織であるというふうに私ども考えております。また義務設置であります自衛防災組織で置かなければならないと考えております。防災資機材等の中には、そのコンビナート区域の実情に応じて共同で高性能のものを備えた方が合理的だという場合もあるわけであります。たとえば油回収船といったようなものについては、共同で高性能のものを備えるというふうにした方がむしろ合理的だというようなものもございますし、また専任の防災要員の数を確保するためには共同して置いた方がいいという場合が多いかと思います。  したがって、この共同防災組織なりあるいは防災協議会につきましては、その地域の実情に応じて各種の形態の共同防災組織なり防災協議会というもののパターンが考えられるであろうというふうに思っておりまして、私どもは自衛防災組織の基準なりあるいはまた共同防災組織の基準なりを政令で規定いたします段階におきまして、必要な地域において共同防災組織等ができやすいように政令基準を考えていきたいと思っておりますし、また協議会につきましても、その地域消防機関あるいは海上保安機関等とも十分な協議の上に、できるだけこの協議会というものは設置させるようにしていきたいと思っております。いずれにいたしましても、これは各府県が府県段階でつくります防災計画の中でそういう問題の扱い方は十分検討し、考えていっていただきたいというふうに思っておる次第でございます。
  38. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 共同防災組織は任意になっておるけれども、しかし共同防災組織の重要性にかんがみて、今後政令基準を考えてできるだけ共同防災組織をつくるように、都道府県における防災計画の中に組み入れていくように指導する、さらに行政指導としてそういう方向に持っていくという御答弁があったわけでありますので、ひとつその点は十分にお考えおきを願って、単に任意であるからどうでもいいのだということでなくして、災害の実情に沿って共同体制というものは組んでおくように、是が非でもお願いしたいと思います。  次に、第二十七条によって特別防災区域が所在する都道府県では石油コンビナート等防災本部を置くことになっておりまして、石油コンビナート等防災本部本部長には都道府県の知事が当たって、その他の本部員には特定地方行政機関の長またはその職員、陸上自衛隊だとか都道府県の警察本部長市町村長、市町村消防長、特定事業者の代表等、都道府県の知事が必要と認めて任命した者ということになっておるわけですが、この防災本部は石油コンビナート防災計画を作成し、その実施を推進するほか、非常に重要な組織であるわけでありまして、このようにコンビナート防災に重要な防災本部には、地域住民や特定事業所で働く人たちの代表や、そして公害や安全問題に取り組んでおる専門家など、コンビナート防災に関して厳しい注文をつけられる立場にある者を本部員に参加させるべきではないでしょうか。この点について、ひとつ御所見を承りたい。
  39. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この防災本部の構成は、災害対策基本法におきます地域防災会議の構成を中心にして考えたものでございます。この防災本部の組織が地域防災会議と組織の違います点は、特別防災区域内の特定事業所に係る特定事業者の代表者が入っておるという点が地域防災会議の構成と異なる点でございます。これは、特定事業者が自衛防災組織あるいは共同防災組織をもって実力のある実動部隊を編成をしておるという観点から、この防災本部の構成員に入れたわけでございまして、この構成員は、地域防災会議におきましても、その地域防災仕事について相当程度の実動部隊を持ち、あるいはまたいろいろな事後措置についてまで責任を持っているものによって構成するというたてまえをとっております。したがいまして、災害発生の際には、直ちにこの構成員がいわゆる災害対策基本法におきます災害対策本部の構成員と同じ働きをしていくというような方式をとっております。ただ、その地域防災について、特にコンビナート防災について、特に学識経験者でありますとか、あるいは漁業者の代表でありますとか、または地域住民の代表者を防災本部の本部員として構成するかどうかという点は、この条文の二十八条第五項九号にありますように、「都道府県の知事が必要と認めて任命する者」という規定によりまして、知事が本部員として任命をするのか、あるいは、専門的な立場から防災計画の立案等において、必要な学識をもってこの計画のいわば適合性というものについて十分意見を言うてもらうために専門員を置く規定がございますが、その専門員として任命をしていくか、この辺は都道府県が防災本部の設置に当たり、本部員とするか、専門員としてその十分な学識経験を生かしていくというふうな方式をとっていくか、これはその府県知事の取り扱い方に任していきたいというふうに考えております。
  40. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 もう一点お聞きしたいと思うのですが、コンビナートなどでの爆発や火災事故を防ぐには、事故を起こさないようにすることが第一でありますけれども、実際問題として、事故を全くなくすということはできないと考えられます。したがいまして、事故発生時には、広がるのを食いとめて、被害を少なくする措置を考えておかなければならない、そのように思います。コンビナート内の工場では、爆発のおそれがある高圧ガス石油タンク、その他の危険物や毒劇薬などが多数の設備機器に集積されておりますが、このために事故が発生する可能性が大きく、事故が起きるときの規模が大きくなりやすく、地域住民に実害を与えていくということになるわけです。コンビナートなどの事故は、人的被害も一切与えず、あるいは物的被害も与えないということを目標にして今後立てていかなければならない、そのように思います。そのためには、どんな悪条件が重なっても心配がないように配慮していかなければならないと思います。つまり地域住民に被害を及ぼさないために、コンビナート民家の距離を十分に確保することが重要であろうと思うわけであります。  ところが、このことについては、石油タンク消防法高圧ガス高圧ガス取締法でそれぞれ定められておりますけれども、一体性をなしておらないわけですね。そこで本法案では、公害防止対策として、防災のための緩衝地帯としての緑地帯を設置するということについて主務大臣の承認を受けることになっているだけで、明確な設置義務と、それから保安距離をこの中には示しておらないで、単に費用の分担と計画の作成と主務大臣の承認ということだけになっておって、最も大事な緩衝地帯とも言うべき特別防災区域、災害の周辺における防止という立場からの緩衝地帯の設置義務がないわけですね。このことについてどう考えられておるか。  さらに、コンビナート災害から民家や住民を守るためには、この法案コンビナートと民家との保安距離をさらに明確にして、いささかでも住民の不安を除去する体制をつくらなければならないと思いますが、この点についての法案作成過程においての経緯と、それからこれにどう対応していくかという点についてひとつお答えを願いたいと思います。
  41. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 コンビナートの中の特に第一種事業所のように、石油ガスをたくさん扱っております事業所と一般民家との関係の問題でございますが、こうした緩衝地帯あるいは緩衝空地というようなものにつきましては、高圧ガス取締法並びに消防法とこのコンビナート防災法との間で、いわば二重の安全対策を考えておるわけであります。まず第一次的には、高圧ガス取締法消防法規定によりまして保安距離規定がございます。これは事業所内におきまして隣接する民家その他の施設との間において、安全上一定の距離をとるということになっておるわけでありますが、この保安距離につきましては、コンビナート高圧ガス関係の法令におきましてはコンビナート保安規則によりまして、また消防法関係政省令におきましても、この保安距離につきましては、従来のものに比べますと相当大きくこの保安距離規定を改正するということになったわけであります。そういうことで、まず第一次的には、現在事業所の敷地においてとります保安距離を、通常考えられる災害に対して十分な距離をとるということがまず第一の、いわば安全空間の問題でございます。  第二次的に緑地の規定というものを置いたわけでございまして、この緑地は、そういう意味におきまして第二次の安全空地としての遮断緑地の規定でございますが、これはその地方団体におきましての都市計画上の公園緑地としての、都市施設としての計画決定を行って実施をしたいという考え方をとっておりますので、一たん災害が発生いたした場合におきましては防災遮断帯としての効能を持つわけでありますけれども、平常時におきましては住民のレクリエーションの場としての効用を果たすという、いわば公園緑地としての機能を相当持たせていく、こういう考え方でやっておりますので、この地域の実情に応じまして緑地というものが設定できますように、この地域の計画に従って財政上の特別措置をとりながら、この緑地の設置については推進してまいりたいというふうに考えたものでございます。
  42. 加藤清政

    ○加藤(清政)委員 時間がすでに参りましたので、これをもって質疑を終わります。  ありがとうございました。
  43. 大西正男

    大西委員長 午後一時から再開することとし、この際休憩いたします。     午前十一時十九分休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議
  44. 大西正男

    大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出に係る石油コンビナート等災害防止法案を議題とし、質疑を続行いたします。玉置一徳君。
  45. 玉置一徳

    ○玉置委員 消防庁の長官にお伺いいたします。私たち商工の者でありますので、非常に技術的につたない質問になるかと思いますが、要領よくお答えをいただければありがたいと思います。  水島の問題になっておりますコンビナート石油タンク、この間破壊されましたもの、あれの原因がまだ十分に解明されておらぬように新聞、テレビ等でお伺いするのですが、状況はどうなっておりますか、そこからちょっと入りたいと思います。
  46. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 事故後、あのタンクにつきましての事故原因調査委員会を設けまして、本年の三月末に一応の中間報告が出されております。これによりまして一応の原因というものは明らかにされておるわけでございますが、あの大きな被害をもたらしました原因はいろいろな面から考えられるわけでありますけれども、やはり直接的には、あのタンクに独立階段を設置いたしまして、その独立階段を設置いたします場合の工事の管理というものが不十分でありましたために、それがいわば一つの引き金になってああいう事故が発生をしたというふうに考えられると思います。
  47. 玉置一徳

    ○玉置委員 午前中に質疑応答をお伺いしておりましたところ、かなり大きなひずみが出ておるという百九のうち、三分の一ぐらいを完全に調べた、残り三分の一は目下調査中だ、その残りの三分の一は次に準備中だ、こういうようにお伺いいたしました。そこで、水島コンビナート災害の場合を見ましても、その立地条件として、どのような上にどのようなものをこしらえるときにいままでの規格では将来間違いが起こりやすいというようなことで、十分気をつけなければいかぬ、あるいは指導要項等を徹底的に改正せなければいかぬというような点が見つかりましたかどうか。
  48. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 ただいま御指摘のように、タンクの工事につきましては、私どもの所管いたしております消防法関係の法令のいわゆるタンクの技術基準というものについて、非常にその規定が抽象的であり、非常に甘かったではないかというふうに反省をいたしております。本年の四月から、タンクの工事基準あるいは安全基準というものについての根本的な改定を行うための学識経験者による委員会を発足いたしまして、できる限り早い時期にその結論を得て、その政省令関係の改正を行いたいというふうに考えております。その改正ができます前の暫定的な基準を近く設定いたしまして、行政指導により当分の間新しい基準によりまして指導してまいりたいというふうに考えております。
  49. 玉置一徳

    ○玉置委員 百九もかなりのひずみの多いものが見つかった。それもこの機会に見つかったのであって、従来の検査のやり方についてはどのようにお考えになっておるか。
  50. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 これまで、石油関係施設につきまして、完成後のいわゆる定期点検という規定がございませんために、十分な点検が行われておらなかったという点がございまして、そういう関係から、今回の石油コンビナート等災害防止法案の附則におきまして消防法の一部を改正いたしまして、危険物施設につきましての定期点検の義務づけを行いたいというふうに考えております。今後そういう規定に基づきまして定期的な点検というものを行っていくようにしたいというふうに考えております。
  51. 玉置一徳

    ○玉置委員 私が質問しようと思っておるのは、これから石油備蓄公団をつくりまして、備蓄もいま約七十日前後か六十数日分ですかに来ておると思いますが、世界の石油会議等々の要請に基づき、大消費国である日本としてはやはり世間並みに九十日分に増強せなければならない、こういう切実な時期に来ております。したがって、従来の欠陥の原因は何か、あるいは百九のものにつきまして、十分今後の使用にたえ得るのかどうか、なるべく速やかにまず検査を終了して、それのすべてのものに対する所見が出てきまして初めて今後の対策というものに万遺憾なきを期し得ると、こう思うのです。そういう意味では、百九のものが全部検査を完了し得るのには、あとどのぐらいの日数を要するとお思いになりますか。
  52. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 百九の不等沈下の大きいタンクがございましたのは、一万キロリッター以上の大きいタンクについての調査の結果でございます。なお引き続きまして、一万キロリッター以下のタンクについての調査も行わせておるわけでございますが、現在、私どもの検査についてやや隘路になっております問題は、タンクのクリーニング業者と非破壊検査の業者が非常に少ない、そのために、そうしたクリーニング並びに非破壊検査を行います業者の日程等の関係で、ややその調整が問題になっておる点でございます。これはできる限り早くやりくりをつけて、まず大きいタンクからできるだけ早く仕上げていくようにしたい、こういうことを考えておりまして、大体私どものめどでは、この夏ぐらいにはこの百九の分は全部終わるようにしたいというふうに考えております。
  53. 玉置一徳

    ○玉置委員 幸い石油の需給関係がいま緩慢になっておるときでありますので、そこまで問題は深刻ではないかと思いますけれども、これが欠陥のぐあいによりましては、相当手直し等々を要するわけでありますから、それにも若干の日数を要すると思います。そういう意味で、なるべく早くこのことが完了され、そうして将来に対してみんなが安心していけるような一つの基準、規格をおつくりいただければ非常に幸せだ。同時に定期検査等の励行もやっていただかなければならないと思うのです。  そこで、通産側にお伺いしたいのですが、石油備蓄法案をつくりまして九十日分の備蓄をやろうと思うのには、現在よりもどのくらい備蓄量がふえまして、それに対してどの程度のタンクを必要とするのか。現在一番大きなタンクと思われるタンクの基数をお伺いしたいと思います。
  54. 左近友三郎

    ○左近政府委員 ただいま通産省では、石油備蓄を促進する意味におきまして、石油備蓄法案を国会に提出して御審議を願っておるところでございますが、われわれ考えております計画といたしましては、五年間に九十日分の備蓄をいたしたいということでございます。現在の水準から九十日にいたすためには、約三千万キロリットルほどの備蓄が必要というように考えております。ただ、これは五年後の時点におきます消費水準に依存するわけでございますので、現在よりもあるいは小さくなることもあるし、あるいは場合によっては少し大きくなるかもしれませんけれども、大体三千万キロリットル弱というように考えております。これを大体十万キロリットル入りのタンクで、しかもこれは満タンというわけにはまいりませんので、平均して八〇%くらいの稼働率を考えますと、大体三百七十基から三百八十基の間のタンクが必要というように試算いたしております。
  55. 玉置一徳

    ○玉置委員 この三百七十基のうち、仄聞しますところによりますと、三分の一程度を現在設置されておるコンビナートへ持ち込みたいという計画のように承っておりますが、そうでありますか。
  56. 左近友三郎

    ○左近政府委員 現在のタンクの設置計画につきましては、まだ確たる見通しが各会社についても出ておらないようでございますが、われわれが調べましたところによりますと、いま申しましたタンクに必要な土地の面積というものが、これも概算でございますが、約五百万坪弱要ると考えられます。そのうち大体百七十万坪程度は企業がすでに持っておるか、あるいは手当て中のものということでございまして、その中では、いまお話しのような既存の立地の中のものもあるかと存じますが、現在、最終的にどの程度が既存の立地になるかということは、もう少しわれわれの方も調査をしてみたいと考えております。
  57. 玉置一徳

    ○玉置委員 その三分の一、百七十万坪というのが問題なんです。現在のコンビナート災害防止法案、こういうものが完全に施行されまして、そして付近住民一つの共感、安心感をある程度定着させていくことによって初めて可能なことでありまして、現在のところが空地があるからというので、ぼんぼこぼんぼこふやしていくというようなことでは非常に不安があるのじゃないかということを心配いたしております。  先ほど自治大臣もお話しになっておりましたように、これから石油の使用量の増加に伴いまして石油備蓄は一番必要なことでありますけれども、備蓄の場所を探すということもまた至難なわざだと思うのであります。いわんや現在地のものをある程度間引いていかなければならぬくらいなときに、それをまた過密を増していくということはなかなかしにくいと思いますが、通産省はそういう点ではどうお考えになっていますか。
  58. 左近友三郎

    ○左近政府委員 御指摘のとおり、今後の備蓄を推進する上において、タンクを増設するに当たりまして地元の住民の御理解が必要でありますし、その御理解を得るためには完全な保安対策が前提になるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、従来以上にこの保安について、既存の法律、また現在御審議願っておりますコンビナート防災法等々を石油企業が遵守いたしまして、地元の方に十分御納得いける保安対策を進めた上で備蓄用のタンクの設置を進めたいというふうに考えております。
  59. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで自治大臣にお伺いしたいのですが、きょうも午前中お話しなすっておいでになりましたように、必要欠くべからざるものとは言いながら、公害並びにそういった保安という観点から、なかなかこれはむずかしい問題だと思います。こういうことで、保安距離を特別拡張したり、あるいは都市計画的な要素であります公園、緑地のような形のものをおつくりになる、非常に結構だと思うのですが、そこで既存のもの、たとえば大分前に問題になりましたときに四日市を見さしていただきましたが、工場ができますと、またその周辺に生活の必要に基づきまして住宅ができ、商店ができと、こうなってまいります。既存のものも、将来空気のいいところに住宅をだんだん移していくとか、都市計画的な見地から、国が都市計画に基づいて、そういうことも、きょう言ってきょうという緊急のものじゃなくて、十年かかろうが二十年かかろうが構いませんから、やったらいいのではないか。  たとえばスラム街を長年かかってお互いにりっぱな環境整備をしつつあるわけでありますが、これは企業だけでやるという形ではやり得ないと思います。その意味では、地方の都市並びに府県及び建設省等々、都市計画をやるべき立場のものがそのことをやる。金も要ることでありましょうから、五年計画、十年計画ですべてやってしまえなんということは言うべくしてできぬことでありましょう。それから古い家屋もそのうちにはずいぶんできておると思いますから、長い将来を見つめながら都市計画的に場所を移して、そこへお移りになった方々には、無利子に等しいような長期の住宅の、あるいは店舗の建設のあれをいたしますぞとか、いろいろなやり方の誘導政策もあり得ると思います。コンクリート建築だったら別ですが、日本屋の住宅ですと、これから百年も二百年もというものはあり得ないわけであります。初めに大きな計画をこしらえて、誘導政策を持っていって、健康的にもいい、しかも公害その他にも、保安にも大丈夫な町づくりをいたしましょうというような雰囲気をつくっていっていいのじゃないかと私は思うのですが、これに対する自治大臣並びに建設省から来られた方の御意見を伺いたいと思うのです。
  60. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えを申し上げます。  大変結構なお考えであると私は考えております。緑地帯を設けるというのも都市計画法でやることになっておるのですが、といってそれも、金の問題とかあるいは換地の問題あるいは営業の問題、いろいろございまして、そう一朝一夕に実現できるものではありません。しかし、やはり計画というものがなければこれは前進しないわけですから、なるべく早く計画をつくって、そうして住民とよく話し合いを進めつつ問題の解決に当たる、既設のものについてはそういう温かい配慮をしていく必要があるのではないかと私は考えておるわけでございます。
  61. 森田松仁

    ○森田政府委員 一般的に申し上げまして、市街地とこのような工業集積地の間に完全空間を設けまして、それで市街地を守っていくというのは相当な効果を上げてまいりますので、この制度は指導を促進いたしております。それでその際、既存の場合、その周辺におきまして、市街地と新たにつくられる緩衝地帯との計画でございますが、それらにつきましては、緑地として決定いたしました都市計画、それを実現いたします場合には、他の事業、たとえば市街地再開発事業あるいは土地区画整理事業という周辺の地域のことを考慮いたしまして、面開発をあわせてこの緩衝地帯をつくり上げてまいりたい、かように考えております。
  62. 玉置一徳

    ○玉置委員 自治大臣もおっしゃっておりますように、私たちも実例を各地で見るわけでありますが、たとえば道路が非常にふくそうするものですから、市街地を通るやつを避けましてバイパスをつくります。そこへは知らぬ間に、商店のかなり力のある者が、前のところを避けまして新しい道へずいぶん出てまいります。ましていわんや商業を営まない普通の住宅街でありますと、その施策のいかんによりましては、十年、二十年人が行き出しますと、これはもう行かなければという形でそういう空気というものができてくるわけであります。だから、いまのお話のように、住民の対話と住民の共感を求めなければできないことでありますけれども、遠い将来の計画というものをつくって示す。たとえばここにダムができるという、そういう話もなかなか進みませんけれども、将来ともそこで安住できないというのならば、早く計画を示してもらいたい、話し合いを進めてもらいたいという空気も半分はみんな持っているわけであります。こういう意味では、大きな意味の都市計画見地で、いまのお話のように、その他の市街地開発法とか、あるいはいろいろな法律がございますから、それを併用しながら、なおその上に、先ほど申しましたような長期低利の融資制度というようなものをつくることによって、大きくはこのコンビナート災害防止法案の目的が達せられることであり、と同時に、煙あるいは硫黄公害の非常に稠密なところから思い切って避けて行ったようなところで日々の生活ができるようになることが、非常に好ましいと思うのです。そういう意味で、ぜひともこれにつきまして、別途でありましょうけれども、あわせてひとりお考えをいただきたい、こういうことをくれぐれも希望しておきたいと思います。  そこで、先ほどの問題に戻りますと、日本の将来の国民経済と国民生活を賄っていくためには、思い切って石油の要らないような方策を講じると同時に、なお備蓄を必要としますから、これは思い切ってひとつ発想を変えまして、あるいは離島の利用だとか、あるいは半島の一番すみっこにつくりまして、そこにおいでになる少数の方々は、適地を見出してひとつ御移動いただくとかいうような工夫もあってしかるべきだ。いままでは、海辺に埋め立てて、一番コンビナートのやりやすいようなところへぼんとつけるくせがございましたけれども、そうじゃなしに、精製工場だけは別にしまして、パイプライン等の利用によりまして若干離れたところに工場立地ができるような方法もあり得ると思います。こういうことで、対象とするものだけでなしに、さらに産業立地のあり方につきましても格段の御配慮をいただきたいと思うのですが、これについての御所見を伺っておきたい、こう思います。
  63. 左近友三郎

    ○左近政府委員 必要な備蓄に対する施設につきましては、いま御指摘のとおり、単なる従来のような観点からのタンクの建設のみならず、より安全な、あるいはより実行しやすい方策というものも十分検討すべきではなかろうかと考えております。先ほど自治大臣から海底の備蓄というお話もございましたが、われわれも広く考えまして、しかも備蓄として効果のあるような方法を十分考えたいと存じます。幸い備蓄を主体にいたします基地は、必ずしも製油所と非常に緊密に近接していなくても可能であるというふうにわれわれ考えておりますので、その点も十分配慮して、問題のない、安全性の高い方法を検討いたしたいというふうに考えております。
  64. 玉置一徳

    ○玉置委員 もう時間がございますんので、あと一点、自治大臣に御質問申し上げまして終わりたいと思いますが、一工場、一工場群だけじゃなしに、たとえば横浜、川崎等の実例を見ますと、油送船の船着き場からコンビナート並びにその他の、非常に燃えやすい、爆発しやすいような工場群があちこちに点在いたしております。だから、地震もしくは大火災等々考えますと、いまのベルト地帯等々だけじゃなしに、市街地にそういうものが数個点在するような場合には、なお全般としても大きな視野からこういうものを見ておかなければいかないんじゃないだろうか。地震対策という点から考えてもそのことは言い得るのじゃないか、こう思います。東京、神奈川県等々にはこういうことが特別必要なわけでありますので、ただに単位の工場もしくは工場の一群のグループだけじゃなしに、一つの連帯した隔離帯と申しますか、公園立地というようなこともあわせてお考えいただいて、本当に大災害等の問題が起こりましたときにも、何とか切り抜けられるぐらいの程度のものには早く考えたい。その意味で、先ほど言いました既存の分にもひとつ考え方を及ぼしていただきたい。こういうことを申し上げたわけであります。先ほど一つの既存の工場群ぐらいなことで済ましましたが、大きな地帯としても、全般として見直すべき時期に来ておるんじゃないだろうか、こういう感じがいたしますが、所見を伺わしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  65. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  まことにごもっともなお考えでございまして、一コンビナート一つ地域というのじゃなくて、そういうコンビナートがある地帯に幾つも存在しておるという場合、たとえば川崎でありますとか横浜とか、その他にもございますが、そういうような地帯におきましては、そのコンビナートだけの災害でなくて、やはり全体として幾つものコンビナートの関連性において災害対策を考えておくということはまことに大事なことだと思いますので、そういう点も含めて今後ひとつ研究をさせていただきたいと思う次第でございます。
  66. 玉置一徳

    ○玉置委員 終わります。
  67. 大西正男

    大西委員長 金瀬俊雄君。
  68. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この出されました法案の順序に従って御質問申し上げます。時間が限られておりますので、重要な点だけ簡単に御質問申し上げますので、答弁も簡単で結構でございますので、ひとつ要領よくお願いしたい、さように考えております。  第一に「総則に関する事項」の中で「目的」というところがございますが、その中に「大量の石油若しくは高圧ガス」ということが書かれております。この「大量」というのはどのくらいかを御説明願いたいと思います。
  69. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 石油コンビナート等の特別防災区域の指定基準としましては、いま考えておりますのは、石油の貯蔵取扱量において十万キロリットル、それから高圧ガス関係におきましては処理量として二千万立米、大体この辺を一応のめどにいたしまして検討したいと思っております。
  70. 金瀬俊雄

    金瀬委員 十万キロリットルということでございますので、ほとんどの日本の国にある製油所がこの対象になると思いますが、その製油所は何カ所ぐらいございますか。
  71. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 私ども従来石油コンビナート地帯として特別な防災体制をとらせておった地域が六十カ所ちょっとございます。現在この区域につきましては、その区域の区割りについて地元市町村あるいは府県との相談がこれからでございますので、具体的にどれだけの地域になるかということは、まだはっきりいたしておりませんけれども、おおむね七十程度の地域が指定になるどいうふうに考えております。
  72. 金瀬俊雄

    金瀬委員 先ほど通産省に聞きましたら四十八カ所だということですので、何回も念を押したら間違いないということでしたが、いま聞きますと七十カ所かそこらだということです。はっきりした数字を出してくれませんか。私の責任で調べた数字ですと五十一カ所です。
  73. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 四十八カ所と申しますのは石油精製工場の数だと思います。この石油コンビナート等特別防災区域ということになりますと、精製工場だけではなしに、備蓄のための基地等もあわせてこれが指定対象になりますので、個所数から申しますと七十カ所程度というふうに考えておるわけでございます。
  74. 金瀬俊雄

    金瀬委員 製油所でなくて備蓄基地ということになりますと、油槽所というのが全国的にございます。それは石油が備蓄されているわけです。そういうのをまぜての調べによりますと百三十カ所あるのです。あなたの数字は両方製油所と備蓄個所とをまぜて七十カ所というのはどういう計算ですか。
  75. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 石油の油槽所におきまして、その地域としまして十万キロリットル以上の貯油量がない場合には、この地域指定は行わないということにいたしておりますので、その基準で計算をいたしまして、大体七十カ所程度というふうに考えております。
  76. 金瀬俊雄

    金瀬委員 石油の中継基地というのが油槽所ということになっておる。そして北海道何カ所とかどこ何カ所とか調べていきますと、十万キロリットル以上が大体百三十カ所あるのです。だから、そんなずさんな調査でこの法案を出したということは、法案を出す前に、こういうことは調査研究していろいろ準備しなければならないはずです。私の調べた数字が正しいか。あなたの言う四十八カ所を七十カ所から引けばわずかの中継基地しかないですよ。日本の国に十万キロリットル以上貯蓄している基地が百三十カ所もあるということですよ。
  77. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 製油所が幾つあるか、油槽所が幾つあるかという計算でいたしますと、そういう製油所でありますと四十八カ所という形になるわけでありますけれども、ただいま申し上げました石油コンビナート等特別防災区域ということで区域指定をいたしますと、その区域の中に製油所が四つあるいは五つ含まれるところもございます。あるいは油槽所が二つ、三つあわせて特別防災区域として指定になる場合がございます。これは区域の区切り方で、油槽所の数あるいは製油所の数で申し上げているのではございませんで、特別防災区域としての地域指定になります数が大体七十カ所前後ということを申し上げているのでございます。
  78. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは、あなたのいま言っております七十カ所というのを、後でひとつ資料として提出していただきたい、さようにお願いしておきまして、時間がございませんので先に進ましていただきます。  第一種事業所については緑地帯等を義務づけております。この緑地帯の場合に、国が二分の一、企業が三分の一負担するということが書いてありますが、あとの残りはどこが負担しますか。
  79. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 緑地の設置費につきましては、三分の一が企業負担でございまして、残り三分の二の二分の一が国の負担でございます。したがいまして、国が全体の事業費の三分の一、地方公共団体が三分の一、地方公共団体が全体の事業費の三分の一でございます。
  80. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると地元の県と市で残りの三分の一を持つということですか。
  81. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この事業の負担につきましては、府県が全体を持つか、市町村が全体を持つか、あるいはその負担を折半するか、これは地元の方で相談して決められることだと思います。
  82. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは自治大臣に質問申し上げますが、いまの地方財政から言って、こういう負担に耐えられると思いますか。
  83. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 地方負担につきましては、この法案にも書いてございますように、当初の財源につきましては地方債をもって充当いたしまして、その地方債の元利償還につきましては、その二分の一の額を地方交付税の基準財政需要額に算入をするという措置をとっております。また、事業全体というものが、その実施計画を立てます段階では、どうしても数年以上の年度区分が設定されることになるだろうと思いますので、現在の段階におきまして十分財政上は処理し得るように考えております。
  84. 金瀬俊雄

    金瀬委員 自治大臣に聞いたのですが、自治大臣が居眠りしておって返事がないようですので、重ねて質問申し上げます。  石油精製石油化学、これは地方税が電力とかガスとかと違って非常に納め方が少ないということを知っておりますか。
  85. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 石油精製の事業は、地方税として負担しておりますものは、法人の県民税、法人事業税、市町村市町村民税法人税割、さらに固定資産税というのを直接的に地方団体に納付しております。
  86. 金瀬俊雄

    金瀬委員 千葉県の例を申し上げますと、あれだけ広い面積にあれだけの石油精製石油化学の工場があって、平均しますと、一つの工場が払っている税金が六千九百万円、それから電気、ガスの方は五億八千九百万円と非常に開いております。これは電気、ガスの方が収入金課税という課税の方法をとっております。それから石油精製石油化学は、いま長官の説明したような方法で取っておるわけです。ですから石油化学に今度の法令が同じに適用になっても税金の収入が非常に違うわけで、緑化の負担金を払えと言われても、石油精製の場合には払えない、電気、ガスの場合には相当収入があるから地方が負担してもいいということになるわけですが、そういう不公平というか、不均衡になっておる点はどう考えますか。
  87. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 ただいまの税金の種類は法人事業税についてのお話だと思いますが、法人事業税につきましては、電気、ガスにつきまして収入金課税をやっております。その他の事業につきましては所得課税という形で行われておりますので、所得の少ない年度におきましては、石油精製等の事業の場合には、その税収入額というものは少ないという形になるわけですが、所得の多い年度におきましては、相当にふえるということは事実でございます。ただ電気の場合には、たとえば関東の地域でありますと会社が大体東京電力ということで一社でございます。石油精製の場合には数多くある。こういう点から、一社当たりの金額にしてみました場合には、どうしても一社当たりの金額の方は少なくなるだろうということでございます。  なおまた、法人事業税の場合には、石油精製等につきましては、最近法人事業税におきましての分割基準の改定も行って、できる限り精製事業が行われている府県に収入額が多く配分されるような基準の改定も行ったところでございます。
  88. 金瀬俊雄

    金瀬委員 石油精製石油化学と電気、ガスと収入金が極端に違っております。特に千葉県の場合などの例をとってみますと、電気、ガスの方が面積は十分の一ぐらいしか使っておりません。その十倍ぐらいの面積を石油精製の方が使っております。だけれども税金の面は逆になっておるというような現象でございますので、この点については再検討をしていただきたい。そうでなければ、後でこの緑地帯の負担金、そうしたものを納めるというときになっても、ガスとか電気の場合は町民あるいは市民が了承する、ほかの場合は相当な抵抗感を持つということでございますので、ひとつよろしく御配慮願います。  それから、十万キロリットルということを対象に押さえるということでございますので、当然、電力会社、特に共同火力、製鉄所あるいは石油化学、そうしたところに備蓄されておる石油対象になりますか。
  89. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 このコンビナート地帯の指定に当たりましては、石油精製だけではなしに、その他の企業におきましても備蓄量は計算をされるわけであります。これと同様に、第一種事業所の判定に当たりましても、石油精製だけではなしに、それ以外の工場におきましても、石油の貯蔵量が多い場合には第一種事業所として指定になるわけでございます。
  90. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、漁業組合が漁港にたくさんの石油を貯蔵しておる場合、あるいは自衛隊の基地に貯蔵しておる場合、そうしたものも対象になるわけですか。
  91. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在私どもが調査したところでは、漁港とかあるいは自衛隊というところで、コンビナート地帯の指定基準に該当してくるというものはないようでございます。ただ、コンビナート地帯の近くに自衛隊の貯油施設があるというところが一部あるようでございますが、これらの地域についてどういう特別防災区域の区割りをするか、この辺は地元市町村、府県とよく相談をしていきたいと思います。
  92. 金瀬俊雄

    金瀬委員 横須賀はコンビナート地帯に入りませんか。それからもう一つ、成田空港公団へ電話してみたら、私の方もこの対象になりますということでした。それから羽田空港の方も同じだということですが、これはそう考えてよろしゅうございますか
  93. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 横須賀につきましては、いまのところこの基準に該当しないというふうに考えております。それから千葉の成田空港につきましても、現在のところこの基準には該当しておりません。それから羽田につきましても同様でございます。
  94. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは、「特定事業者に係る災害予防に関する事項」というところに、「要員」、それから「資機材」ということが書かれておりますが、「資機材」というのはどういうものですか。
  95. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この「資機材」には、これまでございました化学消防自動車以外に、消防用のあわ消火剤、それからオイルフェンス、油回収船、そういうものまでくるめまして資機材の備蓄基準をつくっていきたいと思っております。
  96. 金瀬俊雄

    金瀬委員 消防車というのはどういう種類の消防車ですか。
  97. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在の自衛消防組織には化学消防車だけの義務づけでございますけれども、今度考えておりますのは、化学消防車のうちでも高性能化学車といわれておりますもの、さらにスクアート車、それからあわ原液の運搬車、これらのものを消防車として考えております。
  98. 金瀬俊雄

    金瀬委員 大協石油事故のときには、はしご車がなくて、クレーンで先の方へつけてあわを出したということを聞いていますが、全部はしご車がつかなかったら、タンク事故が起きたときは、タンクの高さまで上げなければならないので、そういうことを考えておりますか。
  99. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 自衛防災組織に消防車の義務づけをいたしまして、その基準として考えておりますのは、化学消防車にスクアート車を必ずつけさせる、こういうことで大協石油の場合の教訓を十分生かしていきたいというふうに考えております。
  100. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは、回収船ということですが、これは油回収船のことかと思いますが、これはいま日本の国に役に立つようなのはございますか。
  101. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 海上防災資機材につきましては、現在海上保安庁の方といろいろ協議をいたしておりますが、この油回収船につきましては、なかなか高性能のいいものがないということが非常に悩みになっております。
  102. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これを開発するために、消防庁で研究か何かを進めておりますか。
  103. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 油回収船につきましては、海上保安庁の方でいろいろ研究をされているというふうに聞いております。
  104. 金瀬俊雄

    金瀬委員 きょうは、消防庁でこの法案についてしさいにわかるからということでしたので、海上保安庁の人は呼びませんでしたが、せんだって東京湾で起きた事故のとき、回収船が現場へ直行したら、油が固まっておって吸い上げすることができない。それから大きい船ですと浅瀬へは絶対入れない。それから大きい船ですと波が動いておって油が散ってしまう。高性能のものを新しく開発しなければ役に立たない。瀬戸内海のときも東京湾のときでも役に立つものがなかったということですが、その点については消防庁はどう考えていますか。
  105. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 確かに御指摘のとおり、東京湾あるいは瀬戸内が相当汚れてじんかいが多いということのために、油回収船がその能力どおり機能しなかったという話も聞いておるわけでありまして、この点、海上保安庁の方に十分この油回収船の研究開発をお願いしたいというふうに考えております。
  106. 金瀬俊雄

    金瀬委員 消防法によると、完成検査というのは、単に消防技術でなくて、土木技術、建設技術あるいは溶接技術、検査技術などのいろいろな実務能力が必要であるということにされておりますが、いまの消防組織でこうした技術にたえられる人がおりますか。
  107. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 消防におきましては、確かに今回の水島事故等から判断しまして、相当な技術が必要であるというふうに考えておりますが、やはり大都市地域等の消防機関を除きましては、いわばタンク等についてのあらゆる技術に通暁しておるという人が非常に少ない、あるいはおらないというような消防機関もありますので、これらにつきましては、その必要な対策を考えていかなければならないというふうに思っております。
  108. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまの倉敷の消防署、これは水島事故で有名になった消防署ですが、そこに一級建築士が何人いるか、出してくれということで消防庁に資料をこの前要求しておきました。また、全国に建築技士がどのくらいいるか、検査能力にたえる人がいるかどうかを出してくれと言ったけれども、それをまだ出してもらいませんが、この法令が通過したらすぐにその人が検査できるような体制になっていますか。
  109. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 市町村消防機関における予防関係を担当しております職員で、技術関係の教育を経て消防職員になっている者の数が、大学卒、高校卒を合わせまして千人強でございます。すべての関係について検査ができるということはなかなかむずかしいかと思いますが、できる限り、私どもの方で作成いたします技術基準というものを、そうした検査のやりやすい、あるいはまた検査機関を使ってやりました場合に十分それをチェックできるような、そういうものにして技術基準を出していきたいというふうに考えております。
  110. 金瀬俊雄

    金瀬委員 消防力の基準というのがございます。これは消防庁の方で出しておりますが、現在、全国の消防力がその基準に合致しているかどうかということについては、どう考えておりますか。
  111. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 最近、消防力の基準につきましては全面改正を行いましたので、この新しい基準に基づく各消防機関における消防施設等の水準がどの程度にあるかということは、正確にはまだつかめておりませんけれども、今年度いっぱいくらいで、消防施設につきましては大体八〇%水準ではなかろうかというふうに推定をいたしております。
  112. 金瀬俊雄

    金瀬委員 五月におたくの方が改正をして、数字を出して通達を出しておりますが、それによりますと、千葉市、市原市、それから袖ヶ浦町、この三地域対象になるわけですが、それを調べてみましたら、充足率というのが、千葉、市原、袖ケ浦とも全国では平均基準を上回っておる財政豊かなところですが、千葉市が三二・五%、市原市が三〇%、袖ヶ浦が六四・六%という数字が出ています。こういうようなことでございますので、ほかの地域は推してはかることができるわけですが、地元消防の実務能力というのは、これを適用しても余りないんじゃないかと思うのです。その場合に消防庁は、要員の確保とか研修とか、そういうことをどのように考えておるか、ひとつ御説明願いたい。
  113. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 消防職員の充足につきましては、一方におきまして新しい消防力の基準を制定いたしますと同時に、財政措置の面におきまして、地方交付税の単位費用の算定の基礎におきまして消防職員の充実という面に相当心がけておるわけでありまして、たとえば本年度の場合、いわゆる市町村標準団体であります十万都市団体におきましても、十人の増員を図るというような形で消防職員の充足を図っておるところであります。ただ現実問題として、地域によりまして、技術系の職員の採用が非常にむずかしい地域もございますので、これらにつきましては、教育訓練という面を相当考えていかなければならないというふうに思っておるところでございまして、近く非破壊検査等についての研修、あるいはまた消防大学校におきます予防科につきまして研修期間の延長といったような措置で対応していきたいというふうに思っております。
  114. 金瀬俊雄

    金瀬委員 自治大臣に御質問申し上げますが、三菱石油水島製油所のタンク事故の原因調査委員会の委員に、中間報告も出ておりますが、あれに使った鋼材関係の人が委員になっておりませんが、これはどういうわけですか。材料の関係者は委員にしなくてもいいという前提があったのかどうか。
  115. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 東大の山本教授がその方面の専門家であるというふうに聞いております。
  116. 金瀬俊雄

    金瀬委員 水島の調査委員会には、溶接関係とか、あるいはパイプ関係とか、そうした人たちが全部網羅してあります。ところが、鋼材、材料の調査をする人は、あの中の名簿では専門家はいません。ですから、これから先あることですから、その点については十分に各方面からの人を入れて調査した方がいいじゃないか、さように考えております。  最後に、岡山県の水島製油所で昨年の十二月に流出事故を起こしたタンク消防法違反で、許可なくして着工しておったということが書かれておりますが、千葉県でも、日曹化学というのが最近無許可でタンクの建設をやった、そして消防署の査察で発見された、こういうことが出ておりますが、消防庁は知っておりますか。
  117. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 その事実、まだタンクの建設までに至らなかったのでありますけれども、基礎工事の一部を行っておったということで、消防の方で直ちに中止をさせたという報告を受けております。
  118. 金瀬俊雄

    金瀬委員 こういう場合に、無許可でタンクを建設するということが将来起きないように、またこういうことが事故につながるわけですので、こうしたものに対してはどういう処罰をするのが正しいか、長官にお答え願いたいと思います。
  119. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 工事の着工許可をとらずに工事を始めておるという場合におきましては、その工事の中止を命ずるという形になると思います。現在、消防法規定によります罰則は、無許可でタンクを設置した場合において罰則の規定が適用されるのでありますけれども、まだ工事の途中段階におきましては、現在の規定では罰則の適用がないわけであります。
  120. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この千葉の消防署では、このことについて始末書だけで済ましてあるようです。ごく軽い処罰ですが、こういうタンクを無許可でつくった、あるいは着工したというものに対して始末書程度で済ませるようなことが大きな事故につながるということは考えられるんですがね。だから、今後、こういうものに対しては、営業停止とか、あるいは今後そのタンクを建設することは停止するとか、そういう厳重な処罰をするように、ひとつ消防庁の方で厳罰主義といいますか、そういうことを要望いたしまして、私の質問、時間が参りましたので終わります。
  121. 大西正男

    大西委員長 柴田睦夫君。
  122. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 コンビナート地帯の災害を防止するために緊急で強力な対策が必要であるというととは、これは言うまでもないことですが、災害の未然の防止、それから災害が発生した場合における災害の拡大を防ぐという防災本来の任務を考えた場合に、コンビナートの地理的条件、立地条件が大きな問題になります。コンビナートを新設する場合には、立地の面からこれを規制していくということを考えなければならないと思うのですけれども、そういう角度で以下お尋ねしたいと思います。  ことしの三月二十八日に千葉県の地方港湾審議会で富津沖の埋め立て計画が答申されましたが、この計画につきましては、中央港湾審議会の諮問をいつごろ出すのか、運輸省はどういう方針で臨むのか、そういう点をまずお伺いします。
  123. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 お答えいたします。  先生お話しのように、千葉の方の審議会で三月二十八日に計画が了承されたわけでございますが、なお運輸省の方に上がってくるまでには検討すべき事項が残っておりまして、現在のところ、それがいつごろ中央の方に上がってくるかは予測できておりません。
  124. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この富津地区の埋め立て、工業開発は、LNG四百万トン、LPG二百七十万トン、石油製品八百万トンの一大エネルギー基地をつくるという計画になっておりまして、三井、三菱などの大企業が強力に推し進めてきたものであります。ところで、このエネルギー基地ができるとどのくらい東京湾海上交通がふえると予測しておられるのか、お伺いします。
  125. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 ただいま申し上げましたように、この計画はまだ中央に上がってきておりませんけれども、地方審議会に出されました計画につきまして、私ども聞きました範囲で申し上げますが、昭和六十年という目標年次でこの地区に入港する船舶の数は一万三千隻程度というふうに計算されているようでございます。
  126. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは、最近の二年間に限ってでいいのですが、東京湾内での船舶事故の件数と、そのうちタンカーが絡む事故は何件であるか、お伺いします。
  127. 船谷近夫

    ○船谷説明員 東京湾におきます交通量でございますが、港湾統計年報によっての各港へ入った船の隻数は、四十五万六千四百五十三隻、これは四十八年暦年中でございます。一日平均一千二百五十隻ということになっておりますが、このうち発生当時に救助を必要とした衝突や乗り上げ等の船舶の海難は、東京湾で百六十三隻、一日平均〇・四五隻になっております。なお、四十九年の救助を要するに船の海難は、百四十隻、一日平均〇・三八隻というふうになっております。
  128. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 タンカーに絡む事故は何件ですか。
  129. 船谷近夫

    ○船谷説明員 申しわけございませんが、そのうちのタンカーというもの、いま資料を持ち合わせてございません。
  130. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 私が調べたところによりますと、タンカーが絡むのが四十八年度で二十一件、四十九年度で十四件と、こういうふうに理解しているわけです。そういう中でも、最近でも第十雄洋丸の衝突や栄光丸の座礁事故というのがありましたし、これが公害や災害対策上の重大事故として頻発しているわけですが、このように東京湾船舶事故が多発しているというその原因についてどういう認識をしておられるのか、また、そのような原因を除去していく対策として現在どういうことを考えておられるのか、お伺いします。
  131. 船谷近夫

    ○船谷説明員 海難が発生します原因につきましてはいろいろございますが、基本的にはもちろん船が狭いところにふくそうするということでございまして、それの対策として海上交通安全法を制定していただき、特に大型船、巨大船あるいは大きい危険物積載船につきましては、入出港のコントロールをしております。  なお、第十雄洋丸とか栄光丸のような事件が発生いたしまして、たとえば航路の出入り口における交差状態を衝突が起こらないような状態にする、航路の先に目標のブイを設置するとかいうこと、あるいは船舶の流れ全体を東京湾において何とかうまく一方交通的なことが考えられるのであれば、それも研究しなくてはいかぬということで、そういった意味の根本的な衝突を起こさない船舶の流れの方法というようなものも検討いたしております。  それからまた、港におきましては、テレビやレーダーを使いまして、船の流れを規制するための情報機構というものも横浜と川崎には設置いたしましてコントロールをしております。なお観音崎にも、東京湾全体を見ることができるレーダー局を建設中でございます。
  132. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いままでの説明を聞いていましても、結局は、東京湾船舶事故、海難事故が生じる根本的な原因は、何といっても東京湾が非常に過密である。そしていろいろ対策は考えておられるようでありますけれども、結局そういう過密な状態の中で船の衝突事故がないような、座礁事故がないような対策、それが安心できるようなものではないように思うわけです。そういうところで、いま申し上げました富津沖が埋め立てられてエネルギー基地ができれば、この過密な東京湾海上交通に出入りする船舶が年間で延べ四千四十四隻、さらに湾内移動の九千二百三十七隻、これで一万三千隻以上という計画が出されておりますけれども、そういうものが新たに上乗せされる。そして一層東京湾のふくそう化を招くことになるわけです。運輸省海上交通の面で、こうした埋め立て計画に対して、これから先も海上交通がふくそう化する、そういう中でさらに事故の危険が生じるということは当然考えなければならないと思うのですけれども、そういうことについて将来の対策などを練っておられるかどうか、お伺いします。
  133. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 先ほど申し上げましたように、富津それ自体の計画につきましては、なおいろいろ港湾管理者の方で検討する状況でございます。運輸省といたしまして、全体的に東京湾の航行の安全ということのために抜本的な航路の整備等いろいろの構想を持っているわけでございまして、それの第一段階として第三海堡の撤去というものに現在全力を挙げているわけでございますが、なお利用者等の同意が得られないままに、着工していないというのが現状でございます。
  134. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この埋め立て計画、そして工業開発計画は、膨大なLNGやLPG、それから石油を取り扱うことになる基地の計画でありまして、基地をつくる予定をしております三井、三菱、こうしたところは、このコンビナート法案の主務大臣への届け出義務のある事業者に該当してくるわけです。この法案によって、東京湾海上交通が非常にふくそう化する、そして事故などの危険がある、そういう場合において、このような海上交通のふくそう化、危険化というものを留意してコンビナート基地計画に対して制限の指示をすることができるかどうか、お伺いします。
  135. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在提案いたしております法案におきましては、コンビナートと特別防災区域の中のいわば第一種事業所の周辺の状況ということも一つの検討の対象になっておるわけでありますけれども、その防災上の検討は、その周辺地域災害を及ぼすおそれがある、そういう観点からの検討になるわけでありまして、ただいま御指摘のような海上交通上の問題ということにつきましては、今後、運輸省海上防災法等の取り扱い等も待って御相談をしなければならないと思いますが、現在のところでは、まだその辺までのところが一応私どもの検討事項になるというふうには考えておらないのでございます。
  136. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 海上タンカー事故による石油の火災が陸上コンビナートに飛び火すれば、これは大災害になるということはもうだれでもわかることでありまして、石油火災が飛び火することの危険性についても、いろいろ専門家の間で指摘されているところであります。いま言われましたこの法案の第八条第一項第一号に、新規立地の条件として「周囲状況その他の状況を勘案し」という文言、これがあるわけですけれども、これらの文言は、海上交通のふくそう化によって生じる災害の危険、これを「周囲状況」にということに該当するという形で運用する以外には、立地のことについての規制をすることはできないのではないかということを考え、特に立地の問題がコンビナート災害を根本から防いでいくという意味で重大でありますから、特にそういう点についての考慮をしていただきたいと思うわけです。  それから、全体的に見まして、新たなコンビナートの立地に当たっては立地規制を厳しくする、特に東京湾沿岸のような過密地帯では新規立地を認めるべきではないという意見もあるわけです。また、こういうところに認めないということが、最も効果的な防災対策あるというように考えるわけです。たとえば富津地区の開発に関して東京湾地域整備連絡会議から千葉県へ指示された事項を見てみますと、「(東京湾の湾口および湾内における船舶の輻輳の現状にかんがみ)大型の危険物積載船舶の入港は、原則として望ましくない」という指摘もありますし、また、東京湾(における今後)の埋立ては、広域的な総合計画を策定し、これに基づいて行われるべきであり、計画が策定されるまでの間の埋立ては最小限度に止めるべきである一こういう指摘もされているわけです。このような東京湾沿岸におけるコンビナートの新設に対して立地上の規制をどうするのか、この点、最後大臣にお伺いします。
  137. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 工場立地法を所管する者といたしまして御答弁申し上げたいと思います。  鉄鋼、石油精製石油化学等のコンビナートを形成しますような規模の大きな業種の立地につきましては、基本的な考え方といたしましては、すでに計画が具体化されまして、相当緒についているというものはいたし方ないといたしまして、全然新規に新しい計画として、東京湾等を含む三大湾あるいは瀬戸内海等に新しいコンビナートをつくっていくということは極力避けまして、われわれといたしましては、新しい過疎地帯といいますか、そういう地点に工場地帯を誘導してまいりたい、こう考えております。
  138. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 地方行政を担当されている自治大臣の方の見解も伺っておきたいと思います。
  139. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  過密地帯に隣接しておるようなコンビナートについては、慎重にわれわれとしては検討をしていかなければならない、かように考えております。
  140. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは、既設コンビナートの問題ですが、千葉県の市原市では、昭和四十四年から四十八年の八月までに二十九件のコンビナートの爆発火災事故を起こしております。昨年でも五月に丸善石油でナフサタンクの屋根が沈没するという事故を起こしております。このときの様子を見ますと、消防への通報は発見からまる一日おくれ、一日後に通報がなされるという状態でありました。先ほど話が出ておりました日曹化成は、無届けで石油タンクの基礎工事を開始して消防署に摘発される。また旭ペンケミカルなどは、たびたび指導されていたにもかかわらず自衛消防組織をつくってはいない。例を挙げれば幾つもあるわけですけれども、こうした数々の事例があって、消防署はまるきり企業から無視されているというような感じがするわけです。  今度の法案を見てみますと、自衛消防力を強化するということになっておりますが、果たして今度はこれに見合った自治消防の監督機能が対応できるのかという心配が生じてまいります。市原市を見てみますと、危険物係は八人しかおりませんし、七十ある工場を見て回るには一カ月以上かかっているという実態であります。こういう状態で、企業の自衛消防の組織をチェックできるというように考えておられるのかどうか、お伺いします。
  141. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 自衛消防組織につきましては、政令をもって具体的な基準を定めますと同時に、これが企業の防災規程、さらにはまた府県の段階でつくります防災計画というものに具体的な定めがなされるということになってまいりますので、そういう意味におきまして、自衛防災組織につきましてはこの基準を厳格に守らしていきたいというふうに考えております。  なお、この自衛防災組織につきましては、さらに海上災害に対応するだけの資機材につきましても、その設置を義務づけるつもりでございますが、これについてのいわば監督というものは、府県、市町村を通じまして十分に可能であるというふうに考えております。
  142. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 現実にこの自治体の消防の方で、現在でもこの工場地帯のタンクの状態を初めいろいろな調査をするのに、それだけの人的な能力がないということが訴えられているわけです。ですから、十分にできるという考えだけでは現実に合わないわけですから、現実状況をしっかりと見ていただきたいと思うわけです。今度の法案につきまして、市原市の消防の幹部に意見を聞いてみましたら、ここでまた仕事がふえる、こういう少ない人員ではとてもたまらないと、率直な意見であったわけです。市原にありますコンビナート企業は、昭和四十八年に五百七十七億の税金を国に納めるわけですが、市原市に対しては特別交付税はその二十五分の一でありますわずか二十三億円であるわけです。市原市では、コンビナートの緩衝緑地をつくることも含めて、コンビナートがあるために支出は非常に膨大なものになっております。そして現在においても、必要だと考える十分の消防体制、特に専門職員、こういうことについて十分な体制を持てないでいる現状であるわけです。このコンビナートがあるために特別な消防体制の強化が必要であるという、このような市原市のような自治体に対しては、それが可能になるように国は特別な援助をする必要があると思うのですけれども、その点についての考え方をお伺いします。
  143. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 コンビナートがありますために、その市町村消防力につきましても、通常の市町村よりはそのための強力な消防施設の設置も必要となってまいります。そういう意味で、この法案におきましては、消防施設強化促進法の特例を設ける規定もつくっておるわけでありますし、またさらに、コンビナート地域のいろいろな立入検査その他の事務におきましても、消防の事務がふえてまいるということは御指摘のとおりでございます。そういう意味におきまして、これまでの財政措置に加えまして、交付税の算定におきましても、コンビナート地域の所在する市町村の分につきましては、そういう意味での追加財政需要額というものは十分算定するように心がけていきたいというふうに考えております。
  144. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 市原市の場合ですが、このコンビナートと市街地の緩衝緑地帯を昭和四十三年に完成させたわけです。このときの費用は総額三十七億円ということですが、このうち国が一億円、県が十五億円、市が十三億円、企業は八億円ということになっております。公害や災害の原因者である企業が全額を負担しても別におかしくはないと思うのですけれども、この法案におきまして企業の負担を三分の一以内ということにされているわけですけれども、その根拠をお伺いしたいと思います。
  145. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この法律におきます防災緑地は、いわばこのコンビナート地域全体の第二次的な安全弁としての防災緑地になるわけでございます。そういう意味におきまして、そういう機能については、当然に企業が全額負担をすべき部分の機能でございます。しかし、この緑地は同時に、災害発生時におきましては防災機能を持つわけでありますけれども、平常時におきましては、いわゆる都市施設でありますところの公園緑地として機能してまいるわけでございまして、この緑地の設置に当たりましても、都市計画法の規定に基づいた公園緑地の指定が行われるという形になるわけでございます。そういう意味におきまして、いわば防災機能の部分についてどれだけの負担を求め、都市公園的な機能の部分についてどれだけの負担を求めるかというのが議論のあるところでありますけれども、この法律におきましては、防災機能の部分について三分の一の負担を求め、他の三分の二については、公共的な施設としての負担として国と地方公共団体が折半をするという規定にしたものでございます。
  146. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間が参りましたので、終わります。
  147. 大西正男

    大西委員長 高橋繁君。
  148. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 私は、災害対策という立場から、いま上程になっております石油コンビナート等災害防止法案について質問をいたします。  まず最初に、第一条にこの目的がありますが、きのうも参考人の意見もありました。「石油コンビナート等特別防災区域に係る災害の発生及び拡大の防止等のための総合的な施策の推進を図り」となっておりますが、そこに災害復旧ということをなぜ入れなかったのか、その辺から質問をいたしたいと思います。
  149. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この法律は、この第一条の目的に書いてございますように、災害発生の防止あるいは災害の発生した場合の拡大の防止ということをねらいにしたいわば規制法になっておるわけでございます。このコンビナート地域から発生いたしました災害によっていろいろな損害が生じたというものにつきましては、この部分につきましてはやはり民事上の問題として処理せざるを得ない。こうした規制法はやはり公法的な性格を持つものでありますから、その中に民事上の規定を取り入れるということについてのやや法体系上の問題もございますし、そういう意味におきまして、災害復旧の問題につきましては一応この法案からは除外をしたわけでございます。  なお、そうした規制面であるというような観点から、別途、附則の消防法の一部改正の中におきまして原状回復の義務規定というものは設置しておるわけでありまして、この原状回復の義務があり、そしてまた原因者が原状回復の仕事をしなかった場合においては、市町村長がその仕事をしてその補償を請求するというような、いわば原状回復命令、あるいは原状回復のための代執行の規定をここの中に入れておるわけでございます。
  150. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 いわゆる石油コンビナートあるいは石油タンク等が、企業だけの災害の場合はそれでいいとしても、その災害が二次災害を起こし、地域が拡大されて付近住民のところまで災害が来た場合には一体どうするか。それは災害対策基本法の方でやるのか。その辺の解釈についてはどう考えますか。
  151. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 コンビナート地域以外に災害が拡大をしていくというような場合におきましては、現在の災害対策基本法規定に基づきまして措置をされるということになるわけでございます。
  152. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そこで、関連してまいりますが、特別防災区域の指定ということでありますが、これはこの法案にありますが、石油タンク等を新設する場合には消防法でいろいろ決められておりますが、その施設をされておる地域ということで、その辺の区域の設定に当たって、あるいはその地域から何メートルとか、こういう具体的なものは決めないですか、ただそのコンビナートがある地域ということだけで。
  153. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 石油コンビナート等特別防災区域というものを指定いたします場合には、単に石油タンクあるいは高圧ガスタンクのありますいわゆるコンビナートをなしておる事業所の区域だけではなしに、その地域を一体として防災体制を形成することが望ましいという地域を一括して指定をするということにいたしておるわけでございまして、この地域の区切りの仕方というものにつきましては、市町村長、府県知事の意見を十分取り入れて指定をしていきたいというふうに考えております。
  154. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そうしますと、付近に住民の家屋があるという場合に、市町村長がここまでは危険だという場合には、それも含まれると、こう解釈してよろしいですね。
  155. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この区域の指定は、第一種事業所、第二種事業所並びに一種、二種事業所以外の事業所を含む区域というふうに考えております。それに隣接する一般住民居住地域は、通常の場合にはその特別防災区域の中には入らないであろうというふうに考えております。
  156. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 それぞれ地域地域によって、私、全部見ておりませんのでわかりませんが、そういう場合がなきにしもあらずと思うのです。だから、特別防災区域における防災先ほど言った災害復旧という問題も、そこから起きてくると思うのです。それでないと、それでは防災区域内に住民家屋が万が一指定されたという場合に、その家屋の被害については先ほどあなたがおっしゃった災害対策基本法、こちらだけはこのコンビナート法律でやるということになると、非常にややこしくなってくるような感じもいたします。これはまた時間がありますれば後で質問いたします。  そこで、今回都道府県に石油コンビナート防災本部というのをつくった。災害対策基本法では防災会議というのがある。従来このコンビナート災害防止につきましては、地方防災会議の中に、専門に検討する部会あるいは協議会というものをつくって現在までやってきたのですが、この防災会議の中における検討をする部会とかあるいは協議会というものは、従来どこに欠陥があったのですか。
  157. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 災害対策基本法におきましては、この法案防災本部に相当するものといたしまして地域防災会議がございましたし、災害発生時におきましては災害対策本部が設置をされるということになっておるわけでありますが、現在の災害対策基本法におきましては、府県に地域防災会議を置き、同時にまた市町村にも地域防災会議を置くというふうな二重機構になっておったわけでございます。この石油コンビナート地域におきまして、従来のような二重の機構というものは、地域の広さ等から見ましても必要ではないし、特にまた非常にきめ細かい防災計画というものを定めなければ、災害の防止、あるいは一たん災害発生時における対応というものが非常に機動的ではないというような観点から、これを一本化いたしまして、府県知事を長とする防災本部にいわば一元化したという形になっておるわけでございます。
  158. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 いままでは二重構造で、いわゆる都道府県防災会議、市町村には市町村防災会議、今度これを一元化したからさらに強固なものになる。ところが、知事本部長とする防災本部のいわゆる本部員と防災会議の方の会議のメンバーと、ほとんど同じメンバーですね。同じメンバーで一元化するということでありますが、一体、地方自治体では、そういうものが二つつくられて、どこの課で一体これを専門的にやるのですか。
  159. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 これは各県がそれぞれ機構の中で考えていただければよろしいわけでありますが、恐らく通常の場合には消防防災課というような課がございまして、そこが庶務的な事務処理に当たるということになるだろうと思います。
  160. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 ですから、一元化してそれがりっぱなものができて、りっぱな活動をするようになれば一番いいと思うのですが、いまの防災会議というのは、はっきり言ってなかなかりっぱなものではないのです、実際問題は。その防災会議のほかに、今度はコンビナート防災本部というものをつくって、しかも知事本部長、あとは自衛隊あるいは警察本部長、ほとんど同じメンバーで、しかもその仕事は、恐らく消防防災課という、これは県によって違うかもしれませんが、そこで担当すると思うのです。その消防防災課がますます仕事が多くなってくる。もっと単純化していくという方向が私はいいような感じもするわけですが、いままでも、自然災害が起きたときに、県は確かに地元には来ますが、ほとんど何もできない。ほとんど市町村が先頭を切ってやっている。後でまたこれは出てきますが、現地本部をつくるということもありますけれども災害対策基本法では、現地に災害対策本部を設置しなければならない。この災害対策基本法に基づく災害対策本部の設置と、この石油コンビナートにおける現地本部、またそこで二重のものが起きてくるような感じがしないでもないのですが、その辺の連絡調整というものは、いわゆる中央防災会議、国土庁の災害対策室との緊密な連絡のもとにつくられたと思うのですけれども、その辺は十分に連絡をとられてこの法案ができたものですか。
  161. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在の災害対策基本法のもとにおきます地域防災会議等は、広く各種の災害を予想をして災害対策本部を設置いたしておるわけでありますけれども、やはりその災害中心というものは、どうしても自然災害というものがその防災計画等の中心になってまいっております。ところが、石油コンビナート地帯におきましては、危険物高圧ガス等の非常に大量の集積があるわけでありまして、その災害の様相というもの、それからまた災害の拡大の速さというものは、通常の自然災害の場合に比べて非常に変わった形をとるわけでありまして、災害の対応というものは、そうした災害の種類に応じた対応がなければならないというふうに考えられるわけであります。そしてまた、災害発生の頻度ということを考えてみましても、やはりコンビナート地帯におきましては、十分にそれに対応しなければならないというふうに考えるわけであります。したがいまして、現在におきましても、この防災会議のもとにおける防災計画も、コンビナート部会というものをわざわざ設置をいたしまして、特別な防災計画もつくっておるわけでありまして、やはり現在の防災計画の中でのコンビナート防災計画というものは特別なものをつくらざるを得ない、そういう災害の性格を持っているだろうというふうに考えるわけであります。そういう意味におきまして、このコンビナート地域につきましては、特別な体制をとらせるということにいたしたわけでありまして、この点は、災害対策基本法の主務官庁であります国土庁とも十分意見の調整をいたしまして、現在の法案の形にしたわけでございます。
  162. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 二次災害が起きた場合、あるいは複合的な災害が起きた場合に、一体どうするかということですね。この辺の連絡というものは、防災本部と防災会議とがどのようにとられてやるのかということです。
  163. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 そのコンビナート地域から一般居住地域への災害の拡大ということになります場合には、当然にコンビナート地域防災計画以外にその市町村防災計画があるわけでありますので、それに基づいた防災機関の活動があるということになるわけでありますが、やはりこのコンビナート地域からの災害の拡大という問題は、陸上部分につきましては恐らく火災災害が一番多く予測されるところだろうと思います。そういう意味におきましては、地域防災計画というものとコンビナート防災計画というものは、その辺の調整は計画上十分とっておかなければならないというふうに考えております。
  164. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 連絡をとらなければならぬのは当然でありますが、実際問題、県でそうした防災本部に基づいて防災計画というものをお立てになるわけでしょう。片方では防災会議に基づいて地方防災計画を立てなければならない。その辺の連絡調整というものがかなり緊密にいかないと、もう役所というのは大体縦線がはっきりしていますから、もうこっちはわれわれの管轄でないとなると、一つも手を出さない。そういう災害という大事な問題が起きたときにそういうことであっては、私はせっかくこれができても十分に力を発揮することができない。私は後から現地本部のことも質問いたしますが、そういうことで、この地方防災会議の方は中央防災会議につながっているわけですね。石油コンビナート防災本部は消防庁につながるわけですか。
  165. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この石油コンビナート等防災本部というものは、中央の関係におきましては、やはり中央防災会議の方につながってくるという形でございます。
  166. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 だからよけいにここら辺の問題は連絡調整をやらなければいけない。先ほど申し上げたように、せっかく災害対策室に防災会議というものがあるんだから、それをもっとコンビナートの専門分野で充実強化をしていく方が、指揮系統はぴしゃっと私はいくと思う。  それじゃ、この法令にあります現地本部ですが、これに私は非常に問題があると思う。「現地本部は、現地本部長及び現地本部員をもって組織する。」ということでありますが、「現地本部長及び現地本部員は、本部員のうちから本部長が指名する者」となっています。その「本部員」というのは一体どういう方であるかというと、特定地方行政機関の長またはその指名する職員です。陸上自衛隊の方面総監または部隊、機関の長です。県警本部長です。都道府県の知事が部内の職員のうちから指名する者、これはいい。それからその次は市町村長です。消防団長、消防長、あと都道府県の知事が必要と認めて任命する者。防災本部に専門の事項を調査させるため、専門員を置く。そうして現地本部員は本部員のうちから本部長が指名するということになると、警察の本部長消防長も市町村長も、これが何名いるか知りませんけれども、その方面の長が現地に吹っ飛ばされる。そうすると、コンビナートだけの問題ならいいですけれども、二次災害、または拡大するという恐れがあるときに、警察本部長市町村長が現地へ飛んでいって、全体の指揮というものが一体とれますか。この辺の心配はありませんか。
  167. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現地本部はいわば災害発生地におきますところの現地指揮機関になるわけでありまして、通常の場合には、現地本部長というのは、そのコンビナートが所在いたします市町村の長が大体現地本部長になってくるでありましょうし、そしてまた、そこの市町村消防長あるいは消防団長、さらにはそのコンビナート地域におきます特定事業所の代表者というものが現地本部を構成してくるということになるだろうと思います。
  168. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 構成することはわかりましたよ。わかりましたが、市町村長や消防団長や県警本部長が現地本部になって、実際本部は空になるわけだ。ただ単にコンビナートだけの災害であるならば、まあ許されるかもしれぬけれども、この災害がさらに広がって二次災害を起こすという場合に、そうしたそれぞれの団体の長が現地本部に赴いておって、あとの一切の指導あるいは指揮ができますかと言うのです。この心配はありませんか。
  169. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この現地本部を構成いたします現地本部長、現地本部員というのは、通常の勤務状態におきましてはその災害地におります者でございます。災害地におきますところの実動部隊を構成する、その実動部隊の指揮者がいわば現地本部を構成するという形になるわけであります。そこの現地本部からは、必要な防災活動の状況というものが本部あてに常に連絡があるわけでありますから、防災本部長である知事は、必要に応じて、陸上自衛隊の災害出動でありますとか、あるいは警察の部隊の出動でありますとかというような調整防災本部においてされる。現地におきましては、主として消防機関、それから企業の自衛防災組織、あるいは共同防災組織というものが実動部隊となって災害防除に当たるという形になると思います。
  170. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 それはわかります。ところがこの法案では、「現地本部長及び現地本部員は、本部員のうちから本部長が指名する者をもって充てる。」と書いてある。災害では普通大体副知事あるいは総務部長が現地の本部長になるのです。消防庁で言えば消防署の次長が行くとか、そして現地の実際の指揮に当たるのです。本部長や警察本部長は、本部におって全体の指揮をし、全体の指令を出す責任ある立場におらなければ何にもわからないじゃないですか。だから、この「本部員のうちから本部長が指名する者」ということになると、それぞれの各団体の長が現地へ吹っ飛ぶということになる。実際問題、それでいいですかと言うのです。
  171. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この法律規定にございますように、防災本部の本部員を構成いたします者は、特別防災区域を構成しております市町村の長、あるいはその特別防災区域を構成する市町村消防長というような人たちであります。したがいまして、現地に常にある人が現地本部を構成するということが災害発生時においては一番望ましいわけで、特に本部から出かけていくという形にはならないわけであります。災害発生時におきましては、通常の場合には市町村長はその市役所におりましょうし、消防長は消防本部におるわけですから、そのコンビナート地域に出動するという形にはなると思いますけれども、常に現地におる人たちであります。
  172. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 それでは、法案二十九条にあります「現地本部長及び現地本部員」は、「本部長が指名する者をもつて充てる。」と、こう書けばいいんだよ。「本部員のうちから本部長が指名する」ということになりますと、実際、団体の長なんか全部指名しなければならないでしょう。本部員というのはそうですから。そうじゃないですか。それはそうですよ、この法でいけば。間違いですか、これは。
  173. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 本部員の構成の中で、特別防災区域が所在する市町村市町村長というものは、通常の勤務形態におきましては、その特別防災区域の市町村におるわけであります。それから恐らく隣接の市町村長も本部員になる場合があるかと思いますが、これは必ずしも現地本部員を構成する必要はないわけであります。あるいはまた、その特別防災区域の所在いたします市町村消防長というものも本部員でございますが、通常の勤務形態におきましては当該市町村に常時勤務しておるという形になっているわけであります。それから特定事業者の代表というものも、通常の形態におきましてはコンビナート内におるというものでございます。災害発生時におきましては、まずそういう人たちが現地本部を構成するという形で、いわば実動部隊の指揮に当たるという形でいいのではないかと思っております。
  174. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 私はそれはうまくいかないと思う。本部長が現地へ行って本当に指揮できる人たちを任命しなければならない。たとえば海に石油が流れたという場合には、農林水産関係の職員も派遣しなければならないでしょう。あるいは火災が起きればもちろん消防防災課。あるいは建設関係、土木関係、いろいろな種類の人たちを、その災害の種類によって本部長はそれぞれ適切な部員として現地に派遣しなければならない。ところがこの法案でいくと、この本部員ということになっておりますから、その辺のあれはうまくできない。この辺の問題についてはまたよく地方委員会で検討していただきたいということを私は要望いたしておきます。  それから、時間がありませんので、十七条にあります企業防災管理者の資格要件はどのようにお考えでありますか。
  175. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この防災管理者は工場長が通常任命されるものと思っております。
  176. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 その要件はどのように考えておりますか。管理者としてのいろいろな要件があるわけでしょう。要件というか具備する条件。
  177. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 その事業所の管理責任者というものを通常この防災管理者に考えております。
  178. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 その管理者は、防災の管理者ですから、いろいろな条件、たとえばこういう試験あるいは講習を受けた者とか、そういうものについては、具体的なものはお考えになっておりませんか。
  179. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この防災管理者についての資格要件は特に考えておりません。その事業所の管理責任者というものを期待しております。
  180. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 特殊な問題だけに、専門的な知識を有していないとなかなかむずかしいと私は思う。したがって、防災管理者の具備する要件については、慎重に考え配置をされていただきたいということを要望して、質問を終わります。
  181. 大西正男

  182. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは非常に限られた時間でございますので、簡単に要点を御答弁いただきたいと思います。  昭和四十八年に出光石油化学の爆発事故が起きまして、コンビナート災害が相次いで起こったわけであります。また、昨年の十二月におきましては、三菱石油の重油が大量に流出をいたしました。こうした重大事故が発生したわけであります。コンビナート防災に関する総合的、一元的な対策を樹立しなければならないということは、各方面から非常に強く要請されておったわけであります。この問題につきましては、商工委員会におきましても、私たち、この三月十八日にコンビナート防災の基本対策を早急に樹立する旨を決議をいたしたわけであります。こういうような情勢にありながら、政府は、各省庁間の権限争いに日を費やして、延長国会に入ってからようやくこのように提案をしてきたわけですが、私は、もう全く怠慢であると申し上げたいわけであります。こういう政府の姿勢でコンビナート災害を防ぐことができるかということを私は申し上げたいわけであります。なぜこのように提案がおくれたか、どのように反省をされておるか、これについて大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  183. 福田一

    福田(一)国務大臣 御忠言をいただいて大変恐縮なのでありますが、実は私は、事務当局に対しましては、三月中に案をつくって国会に出すようにということで指示をいたしたわけでございますが、何しろ関係しておる省庁が十三もあるというようなぐあいでございまして、特に運輸省あるいは通産省等々とは非常に密接な関係があることは、もうこの法案の内容をごらんいただいてもすぐおわかりを願えると思うのでありますが、これらの役所とのいろいろの話し合いにおきまして、やはりはっきりと分野を決めておく。また監督の方法あるいはこの関係する条文等の整理ということをいたしますには、法務省関係もございますし、内閣の法制局との関係もありまして、いろいろ困難な問題が非常にございまして、要は、もしおしかりを受けるとすればセクショナリズムの結果である。それを十分に監督できないのが政府の責任であるという御叱正になるかと思うのでありますけれども、しかしまた、各省は各省なりにそれぞれの自分の分野を十分に守っていくという非常な熱意を持ってこの問題に取り組んで、あらゆる問題に取り組んでおるわけでありまして、それはまたそれなりに、私は役所としては当然な仕事でもあると考えておるわけでございます。でありますから、何でも上からといいますか、ある一つの省が押しつけて、これでもう決める、こういうふうにやっていくにはなかなかむずかしい面がございまして、その折衝に非常に手間取ったということでございます。これは独裁的なことでやればもっと早く進むかとも思いますが、そこにいまの日本の行政のあり方、それからまた、お互いのその各行政機関が自分の分野に本当に忠実であるということが、かえって事態を解決するに時間を要することになるということでございますので、われわれといたしましては、できるだけの努力はいたしたつもりでございますが、御期待に背いて大変遅くなったということについては、私としてはおわびを申し上げたいと思います。
  184. 近江巳記夫

    ○近江委員 最後大臣も反省をしたということでありますが、いい意味で言えば忠実な分野同士のぶつかり合いということでありますが、これは大臣もおっしゃったように、もうセクショナリズムのいわゆる見本みたいなものであります。こういうことで、商工委員会におきましては石油備蓄法案も上程されておりますし、これだけの重大事故を発生させておきながらそういう調整に手間がかかる、これはもう大臣がおっしゃったように、やはりセクショナリズム、これが一番大きな問題であろうかと思います。今後そういう政府の姿勢は全体として大いに反省をしていただきたい、このように思います。  それから、この法案の提出がおくれたという大変な大きな問題があるわけですが、ところが、この中身を見てみますと、非常に貧弱である、不完全である。私が次に指摘をいたしますから、それを聞いていただければわかると思いますが、この法律案はもう総合的な対策でもなければ一元的な対策でもないということが言えると思うのです。きわめて不十分な法案であろう、このように思います。こういう貧弱な法案が成立したとしても、結局できるだけ近い機会にこれを見直していく、こういう課題は残されると私は思うわけですが、私は次に何点か指摘をいたしますけれども、そういうことを聞いた上において、なるほどということをお認めになれば、政府としては当然私が申し上げたように態度をとっていかなければいけない、このように思うわけです。大臣、この点についてどのように思いますか。
  185. 福田一

    福田(一)国務大臣 確かにこの法案が完璧なものであるというわけには、御批判を受けることはやむを得ないかと思うのでありまして、この法案ができたからそれでもう今後の問題は解決したというふうには考えておりません。来たるべき国会においてまた新しい問題として提案されれば考えなければならない。特に海上の問題につきましては、運輸省海上保安といいますか、海上災害防止の面からいろいろの問題を考えておるようでありますが、これはまだ提案されてないような事態でございますが、しかし、少なくとも陸上に関するものについては、いささか御不満な点があっても、一応とにかくつくっておかないと、また災害が起きたときに大変な結果を起こすし、また、その災害防止に役立つようにできるだけの努力をわれわれがいたしておったということについては、ひとつ御理解を賜りたいと思うのであります。
  186. 近江巳記夫

    ○近江委員 私が指摘するまでもなく、やはり大臣としては最大の欠点ということは認識されておられるように私は思うわけであります。大臣もいみじくもおっしゃったように、最大の欠点はコンビナート周辺の海上保安に関する対策というものが規定されておられないということであります。陸上における災害というものがそのまま海上災害につながる危険性というものは大いにあるわけであります。災害には陸海の境界というものが存在しないのに、なぜ官庁間の境界線を持ち込んで陸上の対策と海上の対策を別の法体系でやろうとするのか、私はここに最大の欠陥を指摘したいわけであります。危険物を積んだそういう船舶が密集往来するコンビナート周辺の海上に非常に事故の危険性が多いわけでありますが、こういう点から見ますと、そういう基本的な防災対策というものをいつ確立するか、この対策と法案との一元化を図る必要があろうかと思うのですが、その方針はいつごろ立て、いつごろ実現なさるおつもりですか。
  187. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 海上における、たとえばタンカー等の事故がありました場合に、それに対応して対策を講じますのは、海上保安庁、国の仕事でございます。したがいまして、災害処理機関が全く違うわけでございます。ただ、海上と陸の場合におきまして、その接点となりますところの港湾区域の中におきましては、港湾行政というものが一部地方団体の行政になっておるわけでありまして、そしてまた港湾区域内における災害というものが、海から見ますと陸の方に最も災害が及びやすい、こういう点がございます。したがいまして、今後、通常の海上の場合におきましては、海上保安庁、運輸省におきまして、十分そうした対策についての立法化をしていただくと同時に、こうした国と地方の行政の接点であります港湾区域における対策をどう処理するかということにつきましては、海上防災法といったような法案の成案を得ます過程におきまして、十分その協力体制というものを考えていきたいと思っております。
  188. 近江巳記夫

    ○近江委員 私が指摘したように、その欠陥はお認めになって今後こうするようにするということをおっしゃっておりますが、これはやはり一元化ということを早急にやらなければいけない問題であります。  それから、本案の内容はきわめて貧弱であるということを私は申し上げたわけですが、事業所内の立地規制を定めた第二章を除きますと、ほとんど従来の法令あるいはまた行政指導をやってきたことか、あるいはこれからの行政指導でできることばかりであると言っても過言ではない、私はこのように思うわけです。少なくとも抜本的な対策ではないということは私は言えると思うのです。もっと思い切った新しいそういう対策が考えられなかったものか。少なくとも十幾つの省が集まって一生懸命やっておられるわけですが、それでこういう貧弱なことしかできないのか。優秀な政府のそういう皆さん方が集まってこれだけのことしかできないのか。努力は認めますけれども、もう少し抜本的なものができなかったかということを私は申し上げたいわけです。  たとえばコンビナート災害による被害者に対する救済措置、これについての企業責任等に関する特別の制度等、当然設けなければいかぬわけであります。こういうことが抜けておる。この問題についてはどう思いますか。
  189. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 コンビナート災害によって被害を受けた者について、その被害を受けた救済という問題につきましては、原因者がそういう被害を受けた者の原状回復をしていくということは当然の義務でありまして、これは民法の規定に基づきまして民事上の問題として処理されるというのが通例の姿であろうと思います。こうした被害の救済についての規定というものを、いわばこの法律のような規制法という内容を持つ公法の分野において取り上げるということにつきましては、法体系上につきましてもいろいろ問題がございます。そういう意味におきまして、こうした民事上の関係につきましてはこの法律から除外をして考えていったわけであります。ただ、行政として行わなければならない流出した危険物の回収というものにつきましては、この流出さした者について、それを回収すべき義務があるということをこれによって明らかにいたしまして、回収措置の命令、あるいは回収措置について代替措置をとった場合の代執行に要する経費の徴収というような、いわば公法分野の規定をこの法律の中には入れたわけでございます。
  190. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなた方は、すぐそういうように法律の体系を言うわけですが、その点も私はわかりますけれども、やはりそこをもっと工夫して何らかのそういう対策はとれなかったか、これについても十分ひとつ考えていただきたいと思うのです。われわれとしては、そういうようになっておりますということだけであっては納得できませんよ。私が質問するまでもなく、資料としてこうした考えを持っておるとかいうことを当然そろえるべきですよ。  それから事業所の立地規制につきましては、第二章である程度の規定を置いておるわけですが、先ほど申し上げたように、セクショナリズム、各省庁間のなわ張り意識というものが明らかに出ておる、このように私は思うわけです。すなわち、第二章の対象となるのは石油の貯蔵設備と高圧ガス設備の両方を持っている第一種事業所に限定して、石油の備蓄専門の事業所高圧ガス専門の事業所除外しておるわけですが、こういうことは、従来の消防庁の所管には通産省は入れない、通産省の所管事項には消防庁の侵入を許さない、こういう意図が明らかに働いておると私は思うわけであります。これでは対策の一元化どころか、ばらばら行政というものを一層はなはだしくするものじゃないかと思うわけです。これでは一元化に逆行するのじゃないかと私は思うのですが、この点についてはどうですか。
  191. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 第五条につきましては、御指摘のような高圧ガス石油が混在している第一種事業所についてのいわばレイアウト規制でございます。こういう事業所の場合におきましては、特に製造施設地区における事故というものが、これまでの事例から見ましても頻発をしているというようなことでございまして、この製造施設地域におきましては、消防法高圧ガス取締法規定とがいわば競合する分野でありまして、そしてまた、こうした製造施設地区から他の施設地区への災害の拡大という点が非常に心配なわけであります。そういう観点から、こうした複雑な構成を持つ事業所について、各施設地区ごとの、いわばブロックごと防災上のレイアウトという観点から検討しようということでございまして、たとえばLPGの基地でありますとか、あるいは石油基地でありますとかという場合には、単に貯蔵施設地区だけがあるというような事業所でございまして、その他の性格の異なる施設地区との間の問題ということは別に問題はないわけでありまして、現在の消防法規定なりあるいは高圧ガス取締法規定によって、十分な保安距離その他の防災上の措置がとられておればそれで十分ではないのかという観点から、そういう規定をしたわけでございます。
  192. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなた方は現行よりも一歩前進しておるということをおっしゃっていますが、本当にコンビナート防災をしていくという点からいけば、根本的な点をあなた方忘れていますよ。どういう点かと申し上げますと、コンビナート災害を防止するためには、この法律からいきますと、非常に縦割り行政による個々のそういう立地規制ということをやっておるわけですが、いわゆるコンビナートの建設計画の段階から全体の配置を一元的に規制していく、こういうことをやっていかなければ、この法律だけではきわめて不徹底であるということを私は言えると思うのです。したがいまして、今後この問題を抜本的に検討いたしまして、本当の意味でのコンビナート立地規制の制度を設ける必要があるんじゃないか、このように思うのですが、この点についてはどのようにお考えになりますか。
  193. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 ただいま申しましたように、石油基地におきましては、消防法規定で現在の保安規制ができるわけであります。これは市町村消防機関におきましてこれを一元的に取り扱えるという体制になっておるわけであります。それからまた高圧ガスにつきましては、高圧ガス施設だけがあります事業所におきましては、現在は府県知事がこの許可等の権限を行っておるわけであります。しかし、この事業所の場合におきましては、災害が発生いたしました場合、その拡大防止というような仕事になってまいりますと、市町村消防がこれに対応して活動しなければならないというようなことで、現在私ども立場で申しますと、そうした保安、防災という観点からの規制は、高圧ガス事業所においてやや二元的になっておるという問題があるというふうに感じております。したがいまして、これからの市町村のいろいろな消防機関のレベルというものを十分に上げてまいりまして、いわば消防機関が一元的に対応し得るような体制ということが望ましいというふうに私ども考えております。
  194. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなた消防庁長官ですから、特に消防庁のことばかりおっしゃっておるわけですが、やはり私が申し上げたように、コンビナートを計画する段階からいわゆる全体計画というものを見て規制をしていく、こういう大きな網をかぶした中で総合的に考えていく、こういうことを言っているわけですよ。ですから今後その問題をお考えになりますか。大事な問題ですよ。これは大臣からお答えいただきたい。
  195. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 ただいま御質問の内容は一部今後の工場立地の問題に非常に関連いたしますので、そういう観点からお答え申し上げたいと思います。  新しくコンビナートを造成する場合には、まさに、環境問題あるいは防災の両面にわたりまして、レイアウトその他施設の末端に至るまで非常にきめの細かい配慮をしていかなくちゃならないということは、われわれ十分に考えておりますし、現実に昨年の三月から工場立地法が施行されておりますけれども、そういう運営に当たっては、できるだけ生産施設を全体の中の面積比率としては低くするように、いろいろ現実にやってきております。問題は、先生も御指摘になっておりますように、単独の石油基地群がこれから備蓄の問題と絡んで増加してまいるわけでございますが、それらの問題につきましても、われわれはできるだけ自治省の方と十分に防災上の観点から調整をとりまして、適地に造成していくというふうに検討もしなければいけない、こう考えております。  ただ工場立地法は、先生十分御承知のように、環境上の問題から総量規制という観点で工場施設群の立地規制をやっておるわけでございまして、タンク群については、生産活動が伴わないという意味で実は外しておるわけでございます。むしろタンク群につきましては、環境問題よりもやはり保安上あるいは災害の面で非常に問題もございますので、保安法の観点からこれを規制していった方がいいだろうということで、あえて今度の場合は立地法の中にも入れておりませんし、従来どおり単独立地のタンク群については自治省にお願いするというふうに考えておる次第でございます。
  196. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたもまだ考え方が、言うならば器の中の一部ですよ。工場立地のそれなんかも、個々のエリアの中における環境エリアであるとか、そんなものは一部なんですよ。また石油タンク群にしたってそうですよ。私が言っておるのは、もっとコンビナート全体の当初計画において大きな網をかぶして規制をしていく、こういう中から本当の一元化といいますか、そういう体制ができ上がるわけです。この点は重大な課題でありますから今後政府として十分にひとつ勉強していただきたい、このように思います。これはもう大臣に申し上げておきますから。いまの答えは、時間がありませんから、まとめて大臣から答えてもらいたいと思うのです。  それから、各省庁が、十三省とかおっしゃっていましたね、いろいろといままで検討なさってきた。そういう間に、消防庁が全国の三十三都道府県におきまして石油タンクの緊急調査をいたしまして、その調査対象二千七百基のタンクのうち、不等沈下の著しいもの百九基を初めとして、一五%に及ぶ欠陥タンクが発見されておるわけです。大変な問題ですよ、これは。これにつきましては、関係機関は予想以上の結果で非常にショックを受けておると私は思うのですが、このタンク防油堤の管理のあり方、技術的な面等につきまして、この調査結果からの教訓というものを政府はどのように受けとめておられるかという問題であります。今後の保安行政や本法の運用に当たってどのように生かしていかれるか、この点をお聞きして私の質問を終わります。
  197. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 二千七百に及ぶ大型タンクについての調査結果はただいま御指摘のとおりでございまして、私どもも直ちにこれらについての改善措置をとらしておるわけでありますけれども、こうした教訓にかんがみまして、今回の法案の中身は、危険物施設についての定期点検の規定を設けて、今後施設ごとに点検期間を定めまして定期点検を実施さしていきたいというふうに考えております。なおまた、不等沈下等の問題、あるいはまた水島における流出事故等の経験から見まして、タンク自体の保安基準あるいは防油堤その他の保安基準の改定ということを早急に行いたいということで準備を進めておるところでございます。
  198. 福田一

    福田(一)国務大臣 先ほど御指摘の点につきましては、今後十分に研究をし、また改善を図るように努力をいたしたいと思います。
  199. 近江巳記夫

    ○近江委員 では終わります。
  200. 大西正男

    大西委員長 林義郎君。     〔大西地方行政委員長退席、渡辺公害対策     並びに環境保全特別委員長着席〕
  201. 林義郎

    ○林(義)委員 先ほど来の御質問を私は聞いておりまして、非常にもっともな御質問であるという感じで皆聞いておったのであります。この法案ができましたのは、何と申しましたところで、水島の三菱石油事故で早急に対策を立てなければならないということでやったということでありますから、災害防止法と書いてありますが、私をして言わしめれば、災害防止のための暫定措置に関する法律というふうに名前をつけるべきではないかというふうな感じのする法律である。日本石油コンビナートというのは大体臨海にあると思うのです。石油というのは海外から持ってくるのですから、臨海に置いておいた方が一番よろしい。ところが、見てみると海上保安庁の関係は全然入ってない。これは一緒にやらなかったら余り効果がない。こういった意味でも臨時的かつ暫定的な法案だと私は思うのです。これは政府の方も大体そんなお考えのようですから、私はあえて聞きませんが、ひとつ事務的なことをさっと聞いておきますから、簡単に事務当局の方からお答えをまずいただきたいのです。そして暫定的かつ臨時的なものですから、これから恒久的かつ抜本的な対策はこういう考え方でやれということを私は後で申し上げますから、それについてどういうふうにお考えになるかということを後で聞かせていただきたい。時間がありませんからこの二つだけやります。  まず最初の方の事務的な話ですが、この中では、事業所レイアウトは企業にとって経営上大変重要な問題である、新設の計画の変更指示についても、それを受ける企業にとっては大変な問題であると思うのです。しかし、防災の観点から最も望ましい配置にしておく必要があり、この法案考え方というのは私は理解できますが、問題は、本法案には既設事業所レイアウト変更指示が入っていないけれども、これはどういう理由ですかというのが第一点です。  第二点は、既設事業所に対して消防法等によりどのような手当てをするつもりなのかという点であります。  第三点は、消防法等の規制の強化により、企業に与えた影響についてどういうふうに考えるのかということです。  それから緑地をつくれという規定があります。緑地について事業者の負担は三分の一とする旨が定められておるけれども、公害緑地の負担が二分の一から四分の一と比較して、今度三分の一と定めた根拠は一体どこにあるのかというのが第四点。  第五点は、本法案防災緑地は都市計画的な要素も入っていると思うのです。そういった意味で、国の負担割合というのをもう少し上げたならばどうかということを考えているわけですが、こういうふうな形になりましたのはどういう理由なのか。  以上五点につきまして、余りむずかしい細々した答弁は要りませんから、簡単明瞭に、率直にお答えをいただきたいと思います。
  202. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 第五条の届け出の規定によりまして、第一種事業所レイアウトについての規制を行うということでございますが、このレイアウトは、この法文に書いてございますように、その事業所ブロックごと配置面積というものについての規制でございます。そういう意味におきまして、既設事業所につきましてこうしたレイアウト規制を行うということになりますと、事実上その事業所の全体をやりかえるというような形になってまいりますので、現実問題としてこれを行うということは非常にむずかしいということで、新設の事業所に限定をいたしました。また既設事業所におきましても、増設する場合に限ってこの規定を適用するというふうにいたしたわけでございます。ただ反面、既存の事業所におきましても防災上そういう問題がないのかということになりますと、在来の事業所におきましても、防災上の観点からその見直しを行う必要はやはりあるであろうということは私ども考えておりまして、昨年度からコンビナート地帯の防災診断委員会というものを発足させまして、現在防災診断のいわば基準の設定作業を急いでおります。恐らくこの夏ごろから、一応の試案に基づきまして、こうした防災診断の事業を始めることができるのではないかというふうに期待をしております。それらの防災診断の事業を通じまして、防災上必要な措置をとらせていくというふうに考えていきたいと思っております。  それからさらに、コンビナート防災につきましては、この法案だけですべて防災体制というものがとれるわけではございませんで、やはりこの法律は面的な規制、全体的な規制という観点からの立法でございますので、個々の高圧ガス施設あるいは危険物施設につきましては、従来の高圧ガス取締法あるいは消防法関係の法令の内容の強化、いわば規制の強化によりまして、それぞれの施設の保安体制というものをとっていただくというふうな形になるだろうと思います。  この法律の制定に伴い、そしてまた高圧ガス取締法の系統のコンビナート保安規則でありますとか、あるいは消防法の系統のこれからの政省令の改正等に伴いまして、企業負担というものは当然出てくるだろうというふうに考えられるわけでありますけれども、これらにつきましては、本年度は間に合いませんでしたけれども、来年度以降、国の財投計画等の作成が行われる過程を通じまして、防災面の融資という形を何とか準備をするような方向で対処していきたいというふうに考えております。  それから、緑地の負担の問題でございますが、これは大体の考え方は、公害関係の緑地の場合と同じような考え方をとっておるのでありますけれども、この企業負担につきましては、公害関係の緑地につきましては、企業負担が四分の一ないし二分の一というような規定になっております。これは、公害緑地に対応する企業の公害発生源との関係におきまして、そうした負担について若干の差等が設けられておるというふうに考えられるわけでありますけれども、最近の現実の公害緑地についての企業負担というものの実態は、大体三分の一というのが通例のようでございます。そういうような公害緑地における実例等と、さらにはまた防災という面から見ますと、公害の場合と違いまして、その負担割合は、幅を設けるよりはむしろ均一である方が適当であるというような判断のもとに、公害緑地の四分の一ないし二分の一というものに対応する規定として、三分の一という一律的な規定を設けたものでございます。  また、この緑地は都市計画事業として行われることになるのでありますけれども、その場合の国の負担割合というものは、現在の公害緑地の場合と同様な企業者負担以外の負担分について国が二分の一というふうな方式をとったわけでございます。
  203. 林義郎

    ○林(義)委員 内容の点に細かく入れば、私はいろいろ問題があるだろうと思います。しかし、先ほど申しましたように、暫定的かつ臨時的なものだと私は了解をしているし、大臣もそういうふうな御答弁でありますから、あえて言いません。  海上保安庁おられますね。海上保安庁のいろいろな仕事協力というのが一緒の法律の中に入っていない。こういう点は、海上保安庁というのは国家行政機関であって、ここでやるのは市町村であり都道府県知事であるから、国として協力できる範囲においてはやるけれども、実際の問題は別のところでやるからというのが主たる原因として今回は入っていない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  204. 船谷近夫

    ○船谷説明員 この法案海上部門が入っていないのは、自治省の方とはいろいろと御相談をいたしましたが、海上における防災ということになりますと、コンビナートに限らず、全国的な海上全体をとらえていった方がいいという観点がございます。それから海上と言えば、やはり船による事故ということが大きい問題であって、それは港内にとどまらないということもございます。そういった法域の問題と海上における特殊性の問題とで、もう少し時間をかしていただいて、検討を加えて法案を作成したいと考えたところでございます。
  205. 林義郎

    ○林(義)委員 海上の特殊性である、だから海上保安庁でやるんだ、こういうお話である。しかしそれは、海上の方だって地方の自治体でやっておれば、一緒にやったって一つも差し支えないと思います。  そこで、今国会には独占禁止法の改正法案商工委員会にかかっておりまして、きょうは別のところでも連合審査をやっておる。私は、この石油コンビナート等災害防止法というのは、大企業の責任をどうするかという問題において独占禁止法と同じような範疇に入るものではないかと思うのです。災害防止法でありますが、消防が主体になってやる、こういう話です。消防というのは、国家行政組織法のたてまえからすれば、国または地方公共団体がやらなければならない固有事務である。サービス業務でも何でもない。絶対にどこかでやらなければならないパブリックサービスとしては、まず第一に警察と消防が挙げられると思う。ところが石油の場合に、同じようなルールを適用してもどうかという気が私はするのです。消防の場合には一般の住宅がありまして、その住宅から火災が出る、消防隊が駆けつける、こういうことなんですね。そのルールを適用していったのでは、私は、この問題というのはなかなか解決できないような気がするのです。きわめて大きなビッグビジネスの取り扱うところのものが石油コンビナートだ。昭和三十年か何かに三井石油化学が始めましてから、日本ではあちらこちらに石油コンビナートが大変はやりになってきた。これはまさに日本の高度成長のシンボルだったと思うのです。そういった時代で、いまの豊かな社会というものをつくってきた功績があると同時に、もしも災害があったならば、この災害に対してどうするかというのは、小さな織物機屋とかなんとかいうのとおのずから別の法理で規制考えていかなければならない、こう思うのです。  災害が起こったときにいろいろな防止法を考えるが、災害が起こったときの被害の問題から入った方がいいと思うのです。被害の問題でしたら、先ほど消防庁長官がおっしゃいましたのは、民法の規定に戻って考える、こういうふうな話である。民法七百九条に不法行為という規定があります。「故意又ハ過失二因リテ他人ノ権利ヲ侵害シタル者ハ之二因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責二任ス」という規定です。そうしたときにおいて、故意または過失を認定しなければ損害賠償をしないということは、こういった大企業が行うときにおいてはおかしいのではないか。一つには、これはやはり無過失責任というものを大企業はとらなければならないと思う。公害法におきましては、事業活動によって排出するものについては無過失責任を負わせている。事業活動によって他人の健康に対して被害を与えた場合におきましては無過失責任をやろう、その議論をやったときに、そのほかの物的損害、財産的損害についても無過失責任の問題を早急に検討しろというのは、国会の附帯決議でもついているのであります。こういった大企業が地域社会にあって、そこでいろいろ社会的責任を果たしていくときにおきましては、いろいろな活動についての無過失責任の問題というものをまず第一に考えていかなければならない、そう思うのです。  そうしますと、私はそこからが問題だと思いますが、この無過失責任ということを考えますと、それではそのいろいろな防災体制の中で取り組むいろいろな取り組みでありますが、それはやはり企業の中で防災体制というものをしっかりつくってもらわなければならないというのが私は基本だと思うのです。いかに外からやったところで、企業の中でいろいろな防災体制というものをつくる、これがまず第一に企業の責任だろうと思うのです。この企業の責任について、これは企業の自己責任という形でやってもらわなければならないし、それをだんだん広げて市町村協力を求める云々、こういうふうなかっこうでやるのが私は基本原則ではなかろうかと思うのです。そうしたときに、企業自体ではなかなかできない。複数の企業でありますから、複数の企業の間でお互いに相談してやる。さらには、それでも足りないから市町村にお願いをいたします、あるいは府県に対してお願いをいたします、こういうふうなことが私は出てくるだろうと思うのです。  そういうような考え方をいたしてやるときには、企業の自己責任の中でありますから、それは一つは能率の原則というものがあっていいと私は思うのです。一万年に一遍ぐらいしか起こらないような事故を目がけて多額の投資をするということは、私はナンセンスだと思う。おのずからそこには、企業の経営の能率という原則と、もう一つ消防という法的安定性という原則との調和かもしれませんけれども、企業の自己責任という意味におきましては、能率というか、効率という原則というものを一つ貫いていいんじゃないかと私は思う。  そこで能率、効率の原則を貫けば問題が起きる。そこはやはり保険制度というものを一つ考えるべきではないか。これが第二点であります。たくさんの企業ですから、起こるであろうということを全部想定して非常に過大なことをやるのは国家的な損失にもなるだろう、そういうふうに私は考える。しかし、もしも万一事故が起きたならば、ちゅうちょなく企業は全責任をとらなければならない。先ほど私は民法の原則と申しましたが、民法だけじゃないのです。失火ノ責任二関スル法律というのが明治三十二年にありまして、「第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ適用セス但シ失火者二重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限二在ラス」、こう書いてある。そうですね。したがって、過失の問題が常に論ぜられるわけですけれども、そこは無過失に全部持っていっちゃって、そこで新たな考え方でひとつやっていかなければならない問題である。そうしますと、実際問題としては企業に相当金がかかるだろう。しかしこれは公害におきましてPPP原則というのがある。企業は汚染によって出たところの損害は払う。こういう原則であります。やはりこの原則が適用されるべきでありまして、そこをやるということになれば、企業努力によってやらなければならないし、また同時にそれは製品価格に、製品コストの上昇というような形で転嫁される場合もあるかもしれない。私はそれはやむを得ないことだろうと思うのです。石油コンビナートでできているものは非常に豊かなものをつくっているわけです。石油コンビナートがない時代にはお互いに使ってもいなかったようなものであります。いまは豊かな社会になりまして、石油コンビナートのおかげで出てきたいろいろないい製品をわれわれは受けているわけでありますから、その地域社会のために住民がもしも被害を受けるということになったならば、それを防止する費用というものは、それによって利益を受ける受益者が負担するというのが当然のことだろうと私は思うのであります。そういう基本原則で私はやってもらいたい。  幸いに左藤政務次官が出ておられますから、ひとつ左藤政務次官から、そういうような私の考え方についてどういうふうに考えられるか。きょう突然のお話を申し上げましたから、よく考えてというお話かもしれませんけれども、私の基本的な考え方は、そういうことにしてみたらどうだろう、そうしないと、災害防止についていろいろなことをがたがたやりましても、またもしも災害か起きたならば、どこの責任になったとか、だれがどうだったとか、おまえはどうしたとかこうしたとかいう責任のなすり合いになるから、いまのような考え方にしては、はっきりとやはり企業の責任だ、企業を助けていくのがこのものだとする。  なぜ私そういうことを申しますかというと、本来消防庁というのがありまして、過去ずっとやっておりますよ。しかし、これは一般の住宅について適用してもいいと私は思う。ところが、これだけ大きなことになりますと、この金を全部の国の財政だとか町村何とかかんとかということになりますと、大変なことになってくると思うのですね。やればやるほどむずかしい。何かそういうふうなことをひとつ発想を変えてやっていただくことが必要じゃないか。  もう一つ言いますと、ただ単に陸上コンビナート施設だけではないと思うのであります。海の上を運んでくる船がある。先ほど保安庁おっしゃいました、船はどこから来るかわからないから一緒にするとと言う。しかし、船が運んでくるのもだれのために運んでくるかというと、コンビナートに入れるためじゃないですか。コンビナートと一緒に考えて、そこは全部の責任をとるというようなことを考えて新しい法律をひとつやってみられたらどうだろうか、こういうことを御提案申し上げるのでございますが、政務次官、いかがでしょう。
  206. 左藤恵

    左藤政府委員 御趣旨の点、非常にいろいろ問題を含んでおると思います。今回の法律の提案をいたしました間におきまして、すでに御説明あったと思いますが、各省庁との調整とかいろいろな問題をたくさん含んでおりますし、しかも一刻も早く国会へ御提出申し上げなければならないというふうないろんな事情がございまして、たとえば法制局におきます審議の段階におきましても、十分そういうことを詰めていくということができなかった面も確かにあろうと思います。特にいま御指摘のような無過失責任論につきましては、近代民法と申しますか、現行の民法が前提といたしております責任論というものと、今度社会的にもう一歩今日の時代にそれが本当の意味で適合できるものであるかどうかというようなことについての検討、そしてそれが企業の社会的責任というものを無過失責任論まで援用できるかどうかというようなところまで突き進んだ検討というものは、われわれは将来の問題として当然これは考えなければならないと思いますが、いまの段階におきましては、そうした法律論を十分突き詰めて、一つのこの線までという線を出すことができなかった点は、今後のわれわれの勉強しなければならない問題だと、私はこのように考えております。
  207. 林義郎

    ○林(義)委員 最初から申し上げておりますように、私はいま今回でやれとかなんとかということではないのです。ひとつ政府も、いろんな役所がおられますから、そういった意味で前向きにこの問題に取り組んでもらいたいと思うのです。この法律をつくったからそれでもう石油コンビナートは終わりだ、こういうことではなくて、これは単にコンビナートだけではないと思うのですね。いろんな製鉄会社があるとか、技術革新の結果非常に大きな企業になってきたので、企業の社会的責任を新しい角度から考えていかなければならない。  私は、いま左藤政務次官おっしゃいましたけれども、民法の原則で割り切れないような問題がたくさんあるんだろうと思うのです。近代法というものからすれば、近代法を越えた新しいジャンルの法律というものがどうしても必要になってくる。経済法というか、社会法というか、そういったような新しいルールというものを目指してていくことが必要だと私は思うのです。  聞いておりますと、環境庁の方でも相当時間をかけて、無過失賠償責任の財産被害——健康被害の方は、大体一つ法律体系が健康被害補償法という形でできておりますが、財産被害について取り組んでいく。そういたしますと、事業活動によって出されたところの財政被害の問題と、事業をやっておって災害を受けたときの被害とは、一方が無過失になり一方が過失、重過失を問われなければならないということは、私はバランスを失したことになるんじゃないか、こう思うのです。そういった意味で、これはきょう言ってすぐあしたからどうだということではありませんけれども、政府当局もいろいろおられますから、ひとつ十分な御検討をしていただくことはやはり早くやっていただきたい。  通産省当局おられますけれども通産省はこういった企業を皆抱えておられるところであります。とかく石油危機以来、大変な企業の社会的責任ということが言われてきた。そういった企業の社会的責任というものに対しても、やはり何かこたえていかなければならないのが現時点の課題だろう、私はこう思うのであります。きょうは大臣もおられませんし政務次官もおられませんが、ひとつその辺は事務当局としても、また政府の当局であるところの政治家の方々も、十分に考えていただきたい。断っておきますけれども、私はそれだからこの法案をだめだと言うのではない。こんな法案でも暫定的にでもすぐにやってもらった方がいい。恐らくこれは全委員としてみんな同じ考え方ではないかと思う。  それで私は一つだけ御提案申し上げたのは、いまのような新しい法体系をひとつ考えたらどうかということであります。最後通産省当局、いまの問題についてどういうふうにお考えになりますか。
  208. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 今回の水島事故一つ例にとってみましても、非常に大きい迷惑を社会に与えたのみならず、企業としても存立にかかわるような金額を支払わなければならないというような実態になっておりまして、今後われわれ、このような法律をもってもちろん保安の万全を期して事故の絶滅を期しますけれども、しかし絶対ないというあれもございませんので、そういうことも考えまして、そういう企業の限度を超えたような補償が将来絶対ないとも言い切れませんし、もちろん防災施設として保安基準を十分に全うし得る最大の努力はやっていかなくちゃならないにしても、そういう万一の場合を考えた仕組みについては、やはり制度的にわれわれとしては考えなければならない。それは一つは、先生おっしゃったような保険の問題もあるでしょう。その他いろいろ掘り下げてわれわれとしては考え七いかなくちゃならない。  それから責任のあり方についても、確かに無過失責任制度という考え方も、環境問題とのバランスで当然考えなくちゃならない問題ではございますけれども、これは波及するところも非常に大きい問題でございますので、ひとつ十分に慎重に考えさしていただきたい、こう考えます。
  209. 林義郎

    ○林(義)委員 四十八年かに水銀事件というのがありました。いまから二年前、ちょうどいまごろだったと思う。アジを十匹食ったら水俣病になって手がこんなになるかもしれないぞというような異様な風潮があったのですね。いま、そんなアジ十匹食って手がこんなになるなんて、だれも考えていないのです。しかしあのときに払った金というのは、三百億にも上がっているわけですね。あのときに、私は批評するわけじゃありませんけれども、どういうことかというと、魚をとる人、漁業者に対して補償する。魚を取り扱う仲買人に払います。魚を買ったところの魚の小売店から卸屋さんには全部払う。それからその魚を使うすし屋に払う。すし屋に払ったならば今度は旅館に払う。旅館に払ったら、旅館に来る人からパチンコ屋までどうだという話。旅館まで確かに私は払ったと思うのですよ。今度その次に、旅館に来るお客さんがいなくなったからパチンコ屋も払うかどうかという話が出た。さらに言うならば、遊技射撃場というのがありますね。旅館に来るお客さんが少なくなったからそこも補償してもらいたいと、とめどがなくなってくるのだろうと思うのですね。これは全部財産被害です。私はそこまでやるのはどうか。あのときは別といたしまして、そういったものを考えておかなくちゃならない。何でも事故が起きたら、全部とにかくもらえもらえという風潮が出てくることは、社会としては余りよろしくない風潮だ。確かに原因となったところの水俣病の患者に対しては、徹底的に被害の救済もし、十分な補償もしていかなければならない、これは当然です。しかし、どこまで行っても上がらないような体系というのは、やはり考えていかなければならない問題だと思うのです。  そういった意味で私は、財産被害の問題というのはしかく簡単にいく問題ではない、これはわかっています。わかっていますからこそ、早くその辺をけじめをつけて案をつくられることを心から希望いたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  210. 渡辺惣蔵

    ○渡辺委員長 田中覚君。
  211. 田中覚

    ○田中(覚)委員 すでに先輩議員各位からいろいろの点にわたりまして質疑応答がなされておりますので、重複をできるだけ避けまして、二、三の点についてお伺いをいたしたいと思います。  まず最初に申し上げたいのは、この石油コンビナート等災害防止法案は、先刻来、大変提案の時期がおくれたといういろいろ御批判もございましたけれども、何しろ関係省庁が十指を超えるような問題をいろいろお取りまとめいただいた自治省初め関係各省のこの御努力は並み大抵のものでなかったという意味で、私は与党議員の一人として敬意を表したいと思います。しかしながら、そうは申しますものの、できた法案を拝見いたしますと、ほかの議員の方からいろいろお話がございましたように、やはりわれわれが期待をしておったところに比べてどうも食い足りないといいますか、そういう幾多の不満の点のあることを申し上げなければならないのを大変に遺憾に思うものであります。  まず第一に申し上げたいのは、申し上げたいというよりはむしろ伺いたいのでありますが、今度この石油コンビナート等災害防止法案という新しい法案をおつくりになったそもそもの必要性といいますか、提案理由の説明には簡単に書いてありますけれども、私は、これをむしろ、そのものずばり、なぜこういうものをつくらなければならない必要性があったのかということを、ひとつ最初に伺わしてもらいたいと思います。
  212. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在、コンビナートの場合におきましては、御承知のように、その施設ごとに、消防法なり高圧ガス取締法、あるいは労働安全衛生法といった各種の立法がございます。しかしながら、事業所全体をとらえて、それについての全体的な防災体制、あるいは安全の面からの規制というものを行っている立法がございませんために、どうしても防災体制がそれぞれの立法に基づくばらばらな状態があらわれておる、それらをできるだけ一元化していくというような立法措置が必要ではないかというような観点から、こうした防災体制を事業所全体としてとらえ、そしてまた防災体制につきましても、見直しを行ってできるだけ一元化を図っていこう、こういうことのためにこの災害防止法というものの立法化を考えたものでございます。
  213. 田中覚

    ○田中(覚)委員 まさに消防庁長官お答えのとおりだと思います。石油コンビナートに対する保安の行政というものがたくさんの省庁にまたがっておりまして横の連絡がない、いわゆる縦割り行政の弊害を端的に露呈をしておるために、一たん重大な事故が発生いたしたときに、これに敏速に、しかも総合的に対応できない。したがってまた、一たん発生した事故の被害が拡大をするおそれがある。そういうところから一元的なコンビナートに対する防災体制をつくらなければならない、これがこの法律の本来の目的だと私は思います。  そういう点からながめてみますと、どうもこの法案は第一に関係各省の点から申しましても、自治通産、建設、三大臣の共管になっておりますし、それから先ほど来お話のありましたように、海上保安法だとか、あるいは労働安全衛生法だとか、そういうようなものなども全然これに触れられておらないというようなことであるばかりでなく、消防法だとか、あるいは高圧ガス取締法だとか、そういった既存の法律もこれに並行して適用しなければならないというようなかっこうになっております。また地方におきましても、県と市町村関係は従来以上余り出ておらぬ、そういったことになっておりますために、私どもといたしましては、せっかくこの新しい法律をつくるなら、石油コンビナート防災に関する限りはこの新しい法律で文字どおり一元的に処理できるというような法律にぜひしてほしかった、こういう感じを実は強く持っておるのでありますが、どうしてそういう体制がとれなかったのでありましょうか。私は率直に申し上げまして、この石油コンビナート防災一元化を図りたいというそのねらいは大変いいのでありますが、いろんな点において多元化をむしろ加重するような結果になってくるのではないかというような心配をいたしておりますので、先ほどお話がございましたように、これを暫定的な臨時措置法というようなことにでもして、もっと本格的なそういう一元立法に将来持っていくというようなお考えがあるのかどうか、そういう点も含めましてお伺いをいたしたいと思います。
  214. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 こうした法律立案いたします場合にやはり問題になりますのは、御指摘のとおり、これまでございました消防法なり高圧ガス取締法、あるいは労働安全衛生法といったような法律を全部ばらしまして、いわばコンビナート防災法的なものに一本にまとめていくということも、でき得ればそういう方式ということがあるいは望ましい姿であるかと思うのであります。ただ、こうした法律には、それぞれの立法の経緯なり、またそれぞれの法律に基づいてこれまで行政を行ってきた実績の積み重ねというものもあるわけでありまして、こうした法律を全部統合してしまうということにつきましては、相当な検討期間と、あるいはまたそれが一元化された場合の人的な構成の問題、あるいは所管の問題、いろいろな問題があるわけでありまして、短時日のうちにこれらの問題を片づけるということはとうてい不可能なことであります。  そういうことから、この法律立案いたします場合に、現行の個別立法はそのまま残しながら、先ほど申しましたように、事業所全体として規制をかけていく、いわば個別法の上に全体を覆う網をかぶせるというような形で防災体制を事業所においてはとらしていく。また行政機関側としましては、いままでいろいろ分かれておりますものをでき得る限り一元的に持っていきたい、こういうことで、実は私どもも、たとえば許可権限などについての一本化ということにつきましても、いろいろと相談をしたわけでありますけれども、現在の行政機構のもとにおいて非常に無理が出る面がございますので、私ども考えましたものにつきましても、一部は政府部内における検討の過程で断念せざるを得ない部分もあったわけでありますけれども、それ以外の部分につきましては、地方公共団体側のいわゆる防災体制というものにつきましては、でき得る限り一元化を図ったつもりでございます。  なお、また、このコンビナートにおける危険性の中心石油高圧ガスであるというようなところから、これにつきましては、市町村長と府県知事の連絡を非常に密接にしていって、でき得る限りこの一元化の実が実際の行政の上に反映できますように、そういうことを考えた立法を行ったつもりであります。  そういう意味におきまして、私ども一元化の目標を掲げたわけでありますけれども、結局でき得る限りの一元化ということにとどまらざるを得なかったということは非常に残念に思っているわけでありますが、またさらに将来の問題として検討していきたいというふうに考えております。
  215. 田中覚

    ○田中(覚)委員 将来の問題として検討するというお言葉でございましたが、これはさらに一層一元化を徹底する方向に向かって検討するというふうに理解をいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  216. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 そのとおりでございます。
  217. 田中覚

    ○田中(覚)委員 そういう前提でさらにお伺いをしたいと思うのでありますが、私は別にいま出ている法案に反対だというわけではないのですから、これははっきりさせておきますけれども、ただ、もしいまのようなこういう中途半端な法案を出されるのであれば、現在すでに、自然災害中心にした立法ではありましたけれども災害対策基本法という法律も実はございまして、どなたか御指摘もございましたが、ちょうど、新しく提案した法律で言っておられる防災本部だとか、あるいは協議会だとか、そういうものの設置は、災害対策基本法でもうすでに各県ではやっておるわけなんです。ことに石油コンビナートのある府県におきましては、これは多分自治省からの御指導もあったと思いますが、四十五年ごろですか、いわゆる専門的な分野として石油コンビナート防災計画なども、本当を言いますと、災対法に基づいてすでに確立しているわけなんです。そういうことで、この災対法というのはすでに十有余年の歴史を積み重ねて、地方自治の中に完全に根をおろして定着をしておるわけです。ですから私は、この程度と言っては大変申しわけないのだが、こういう中途半端な新しい立法をされるぐらいなら、同じ網をかぶせるのなら、むしろ災対法を使って網をかぶせて、そうしてほかの関係法の手直しをしてもらう、抜けているところを補完してもらうということをやる方法もあったのじゃないのかというような感じがするわけですが、こういった点についての検討はなされたのかどうか、御意見があれば承りたいと思います。
  218. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 御指摘のように、災害対策基本法に基づきます地域防災会議との関連ということにつきましては、私どももいろいろ検討したわけでございます。ただ現実的に、現在の地域防災会議あるいは災害対策本部というものを構成いたします場合に、どちらかというと、これらの地域防災会議なりあるいは災害対策本部というものは行政機関だけの会議であって、そしてまた災害対策本部は、県の場合にはまさしくいわば県の機関といったような構成でございます。コンビナートにおきましては、この災害に対応する実動部隊といたしましては、この法律案にも規定しておりますように、自衛防災組織なり共同防災組織といったような相当な実力を持った防災部隊を抱えておるわけでありまして、当然にこうした企業側の実動部隊もこうした防災体制の中に加えていかなければ、現実問題としてこのコンビナート防災体制はとれない。こういうような観点から、むしろ災害対策基本法にございます構成機関から、コンビナート地域においては必要ではない行政機関を外して、特に関係のある行政機関のみで構成をすると同時に、そうした自衛防災の責任を持つ企業側の代表者もその構成員に加えるというような構成をとったわけでございます。そういう意味で、従来コンビナート部会というものが地域防災会議の方に置かれておったわけでありますが、このコンビナート部会というものを廃止いたしまして、防災本部の方に一本化していくということを考えたものでございます。
  219. 田中覚

    ○田中(覚)委員 この点につきましてはこれ以上申し上げませんが、恐らく県などの受ける感じは、何かもう一つ規制法ができたといったようなことで、屋上屋を重ねたというような感じになるのではないかというふうな懸念もいたしておりますので、こういう点については、自治省の方でしかるべく御指導をいただくことが肝要ではないかと思います。  次に、この法案を拝見いたしますと、政令とか省令に基準その他詳細な規定を譲っているところが大変に多いわけでありまして、機械的に勘定いたしましても、政令に譲っているのは三十、省令でも二十一というぐらいあるわけですが、従来この公害関係法律はえてして政省令に譲るところが大変多いものですから、委員会の審議等におきましても、審議の参考資料として政省令の内容をあらかじめ出していただくというようなことを要求しておったわけでありますが、今度のこの法案について、消防庁として重要な点についての政令等をこの審議期間中にお出しをいただけますか。
  220. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 実はこの法律立案過程におきまして、各種の法律との調整が非常に長引きまして、政令に規定すべき事項につきましての具体的な計数的なものにつきましては、まだ十分な成案の得られない部分もございます。私どもも、できる限り早い時期にこの政令の内容につきましての具体化をしていきたいというふうに考えておりますけれども、そういうような事情で、いまのところ、この政令についての具体的な内容をまだ全体的にわたって成案を得ている段階でございませんので、なかなか間に合いかねる部分が多いだろうと思います。
  221. 田中覚

    ○田中(覚)委員 法案をこの国会に出すようにこぎつけるまでの御努力が大変だったようでございますから、その点については恐らくそうだろうと私も推察をしておったわけでありますが、すでにほかの議員の方々の御質問によりまして、一部政令等に盛られる基準内容が明らかにせられたところがございますので、そういった点を含めまして若干お伺いをしてみたいと思います。  第一は、この第二条の石油コンビナート等特別防災区域の指定の基準でございますが、先刻来拝聴しておりますと、石油類については十万キロリットル以上、高圧ガスについては二千万立米以上という地域を指定する、指定地域は大体七十ぐらいの見当になるだろう、こういうお話でございました。こういうことになりますと、全国に指定地域が広がるわけでありまして、確かにこのコンビナート等に対する防災の必要性から言うと、一斉に全国的に網をかぶせるということも意義のある規制ではありますけれども現実効果を上げるといいますか、そういう点から見て、問題はやはり、生産工場を中核としたいわゆるコンビナート、こういう地域災害事故が多発しておる、そういう従来の経緯から見ますと、むしろ重点的に効果を上げるためには、いわゆる本来の石油コンビナート地域、そういうところをまず指定をして、その指定をした地域に重点的に施策を集中する、そういうふうなことをやってもらうことの方が現実的ではないのかというふうな感じが実はするわけでございます。と同時に、これだけ一挙に全国的に網を広げるということになりますと、これは企業の方でもあるいは地方団体の方でも、これに対応するために短期間の間に多大の資金的な支出負担もしなければならぬということにもなりましょうし、同時にまた、一定の資格がなければ保安の責めに任ずることができないいろいろの役職がございますが、そういった有資格者も一挙にはなかなか確保できないというようなこともあったりするのではないかというようなことを聞き及んでおるのであります。  そういう点から見て、この特別防災区域の指定基準、ここで大体お話のございました指定基準等につきまして、何かもう少し考えていただく余地もあるのではないかというような感じがいたしますが、この点についてのお考えはいかがでございましょうか。
  222. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 従来から、石油コンビナート地域につきましては、各府県の地域防災会議の方とも連絡をとりながら、この地域においての特別な防災体制をとるという考え方のもとにコンビナート部会等を設置していただきまして、それぞれの地域の実情に応じた防災体制をとってきていただいておるところでございます。この地域がこれまで私どもの指定したもので六十一あるわけでございまして、大体この地域は、そういう意味では一応コンビナートとしての防災体制を逐次準備をしてきておる地域でございます。この地域が大体今度の特別防災区域として指定になるということになるだろうと思いますが、そうした地域の区割り等をどうするかということがまだ具体的でございませんので、場合によっては行政区域によって分けられるところも出てくるのではないだろうかということで、大体七十地域ぐらいの指定になるのではないかということを申し上げておるのでありますが、従来からの地域を大体この特別防災区域としてやっていきたい、指定していきたい、こういうつもりでございますので、特にこの法律ができたら急にいろいろなものを一挙にやらなければならないというところは余りないであろうというふうに考えております。
  223. 田中覚

    ○田中(覚)委員 先ほど、どなたかの御質問に対する答弁の中で、生産工場を持たない中継の油槽基地、油槽所のタンクのある地帯ですね、これがいまお話しの七十の指定地域の中に含まれているのか含まれてないのか、ちょっと私、御答弁をはっきり理解いたさなかったので、重ねてお尋ねをいたします。
  224. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 その地域の中での石油の貯蔵取扱量が十万キロリットル以上あります場合にその地域指定が行われるのでありますけれども、その地域の中に製造所と油槽所が同時に入っているというような事例が大部分でございまして、単に石油だけの貯蔵基地というものは、鹿児島の喜入を筆頭にいたしまして数カ所ある程度ではないだろうかというような感じがいたしております。
  225. 田中覚

    ○田中(覚)委員 そうすると、単なる油槽所というか、中継の基地は通常なら含まれない、こういうふうに理解をしていいわけでございますね。
  226. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 相当大規模な中継基地というものが含まれてくるだろうと思います。
  227. 田中覚

    ○田中(覚)委員 時間もございませんので、ちょっとお伺いしたいことだけ申し上げますと、法律の第二章ですね、「新設等の届出、指示等」、これはもちろん新増設の場合の規定であるわけでありますが、既存の施設は一体どうなさるのでしょうか。たとえばその面積とかあるいは施設配置、いわゆるレイアウトですね。そういう点につきまして、新増設の場合と同様、防災上の見地から問題のあるところもあろうかと思いますが、これは今度の法律ではどういうふうに対処されるわけでございますか。
  228. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 既存の事業所につきましては、増設の場合にこの規定を適用するということにいたしまして、原則的には、既設事業所については、そのレイアウトについての規制規定は適用しないということにいたしております。この第五条の条文にございますように、第一種事業所における各施設地区かいわばブロックごと配置、面積等についての規制というのが中心でございますので、既設事業所についてブロック別の配置規制を行うということになりますと、現実的にはその事業所全体のやり直しという問題につながってまいりますので、この規制は行わなかったのでありますけれども、ただ、施設の個々についての問題があります場合には、別途私どもの方で、コンビナート防災診断委員会というものによりまして診断項目の策定をいま急いでおりますが、これらによりまして、必要な防災上の規制はいわば行政指導をもって行っていきたいというふうに考えておりますし、また別途、消防法関係のいろいろな保安上、防災上の規制措置は強化をしていくというつもりでおりますので、場合によりましては、タンクの間引き問題といったような問題も、それらの方面から出てくることになるかもしれないというふうに私ども考えております。
  229. 田中覚

    ○田中(覚)委員 そういたしますと、既存の施設については、たとえば高圧ガス取締法対象になる施設につきましては、先般、四月二十五日付ですか、通産省の省令で出ましたあの新しいコンビナート保安規則ですか、あれだとか、あるいは消防庁の先般お出しになった保安点検基準ですか、そういうものによって規制を受けるということになりますか。
  230. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 消防法関係の作業が少しおくれておりますけれども、これからできる限り近い時期におきまして、タンク等についてのいわば安全基準の暫定的なものを出していきたいと思っております。これに基づきまして相当な規制の強化を行っていきたいというふうに考えております。
  231. 田中覚

    ○田中(覚)委員 この新しい法律も、第三章以下は当然従来の施設にも適用になるわけですね。そういたしますと、それも含めまして既存の施設に対する規制の強化をやる場合に、一体現在の施設以上にどの程度の上乗せをしなければならないことになるのか、およその見当というものはついておりますでしょうか。
  232. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 これは第一種事業所の中でも相当幅があると思いますけれども、大きい事業費としてあらわれますものは、一つは流出油等防止堤、いわゆる二次防油堤の設置でございます。これが非常に金がかかる仕事であろうと思います。それからさらに、共同防災組織も含めてでございますけれども、自衛防災組織は、これまで消防法規定にありますところの自衛消防組織の基準よりははるかに強化されますので、この自衛防災組織にかかる経費が相当出てくるであろう。この二つが大きい金目のものになってくるだろうというふうに考えております。
  233. 田中覚

    ○田中(覚)委員 これから新しくつくるものはもちろんそうですし、それから既存のものに上乗せをする場合につきましても、この法律は十九条で「共同防災組織を設置することができる」というような規定になっておりますけれども、これからのあり方といたしましては、共同防災組織をむしろ積極的につくらせる。個々の工場、個々の企業で設置するよりはその方がはるかに経済的、合理的にできるのではないか。現にコンビナート地域は、そういう意味では企業相互間に防災協定も相当つくっておりまして、ある程度そういう体制もできつつあるわけでありますから、むしろ指導方針としては、これを積極的に進めるというふうな御配慮をぜひお願いをしたいし、またその場合は財政、金融あるいは税制の上で特に配慮をするというようなことをしてもらえば、かなり積極的に進むのではないかというふうな感じがいたしますが、いかがでございますか。
  234. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 御指摘のとおり、共同防災組織によりまして設置した方がむしろ高性能、高能率のものが設置できるというような利点もございますし、また防災要員の確保という点から言いましても、共同防災組織の方が望ましいというふうに私ども考えております。ただ、コンビナート地域によりましていろいろ事業所の構成等が異なりますので、一応、共同防災組織につきましては、「設置することができる」というような規定に置いておりますけれども、指導の方針としましては、共同防災組織を設置すべきところはすべて共同防災組織を設置をさせるという方針で臨んでまいりたいと思っております。
  235. 田中覚

    ○田中(覚)委員 時間が参りましたので、最後一つだけ。この四十八条で「主務大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、都道府県知事又は市町村長に委任することができる。」という規定がございますが、主な委任事項というようなことは大体いまお教えいただけますか。同時にまた、法律の窓口ですね。たとえば自治省通産省にまたがっておるわけでありますけれども、窓口というふうなことはどういうふうにお考えか。その点もあわせて簡単にお答えをいただきまして、私の質問を終わります。
  236. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 いま権限委任について考えておりますのは、計画変更指示がありました場合に、その指示に基づいた変更計画によってそのとおりに施設が建設されたかどうかといったような確認事務というようなものは、現地の地方公共団体に委任していいのではないかというふうに考えております。またこの法律は、それぞれについて主務大臣規定がございますので、その事務の内容によりまして、主務大臣の方にいろいろな手続をしていただくということになると思いますが、一般的には、私どもの方と通産省の方と共同して処理をするという事項が非常に多かろうと思っております。
  237. 田中覚

    ○田中(覚)委員 政省令の制定はこれからの作業でございますが、この法律の実効を上げるために、関係方面あるいは地方自治体の意見などもできるだけ聞いて、ひとつ円滑な運用を図るように希望をいたしまして、ほかにお聞きしたいこともございますが、時間がございませんので、これで終わります。
  238. 渡辺惣蔵

    ○渡辺委員長 島本虎三君。
  239. 島本虎三

    ○島本委員 この内容に入る前に自治大臣にちょっとお伺いしておきたいのです。  石油コンビナート等災害防止法関係しておる省庁のいかに多いかびっくりしたわけです。消防法消防庁高圧ガス取締法通産省、労働安全衛生法は労働省、電気事業法は通産省ガス事業法は通産省、それから石油パイプライン事業法は消防通産運輸省、海洋汚染防止法は運輸省、それから港湾法は運輸省海上保安庁法は運輸省消防組織法は消防庁災害対策基本法は国土庁に消防庁、それから毒物及び劇物取締法は厚生省と、大体こういうふうになっておるように承知しました。     〔渡辺公害対策並びに環境保全特別委員長退席、大西地方行政委員長着席〕 しかし、あの水島事故以来、縦割り行政がばらばらにぶつかっているために、三木総理が縦割り問題は検討すると予算委員会で答弁があったわけであります。検討するということだから、これは当然取り入れるべきものだというふうに考えられたが、それが取り入れられておらないわけであります。これは、そういうふうなことからして、防災体制、応急措置、工場立地、監視、取り締まり、こういうふうな効率的運営は当然図らなければならないわけです。したがって、コンビナート地域施設、それから設置の許認可、指導、監視、取り締まりの体制、こういうふうなものを一元的に行政の効率化を図らなければ、これは何にもならないはずであります。ところがこういうようなもので出てきた。結果において、従来のばらばらの上に本法をかぶせるというような、いわば不十分な体制だけが残りやせぬかということが心配ですが、この点、三木総理の発言とともに、この立法の趣旨について考え伺いたいのであります。
  240. 福田一

    福田(一)国務大臣 御質問のとおり、三木総理が、縦割り行政というものは十分に考えてやらないと政治の本来の目的を達成できないと言いましたのは、必ずしもこの問題だけを言ったわけでないと思いますが、一般的に言って私は当然な発言であると考えておるわけであります。もちろんこれについてもそういう趣旨は言われておりますけれども、私といたしましても、縦割り行政がいいと思っておるわけではございません。したがって、各省庁と十分詰めを行う段階において、縦割り行政というものの弊害等もございますから、一元化をするように極力努力をいたしたわけでございます。  実を言うと、もし一元化ということに余りこだわらなかったならば、私はもっと早く法案の提案ができたかと思うのですが、最終的になかなかどうしても詰めがうまくいかない。特に関係法案が非常に多いものですから、なかなかいろいろな面で詰めがいかないということもございまして、最後に残ったのが通産省との関係でございますが、しかし、通産省関係、いわゆる高圧ガスの問題、それからタンクの問題というもので権限争いのようなことをいたしておりましても、これでは本来の目的を達することができません。もしまたこんなときに災害でも起きて、そうしてそういうことでこの問題の解決ができなかった、その責任をどうするかということになると、これは大変われわれとしても大きな責務といいますか、責任を負わなければならない問題であると思います。  本当を言いますと、こればかりではなくて、いままでもしばしば言われておりますが、陸上海上との防災の問題というのも、これは非常に大きい問題であります。私は、徹底して一元化するということになれば、陸海を通じ、通産の問題も考えて、全部あわせて一元化するというのが本当の一元化になろうかと思うのでありますけれども、結果においては、海上の方は、消防という面から考えて、そこまで手を伸ばして実際の能力があるかどうかという問題があるわけであります。油送船の上まで及ぶということはいささか権限を侵す形になります。一方、通産省関係でございますが、これは通産から言えば、これは自分らの方でちゃんと法律があってやっているのであるし、共管ということで、しかし消防といいますか、災害を防止するという意味コンビナート法という意味から言えば、自治省が所管することは何も反対ではないけれども、しかし高圧ガスの問題だけはやはり自分の方でどうしても持っていて、解決というか、対処していきたい。  そこで、いろいろあるのでありますが、最後に私がここに決断をいたしましたのは、残念ながら私の方の消防庁というのに、いわゆる科学技術とか、土木とかいうような技術陣というものがそれほどたくさんあるわけではございません。非常に少ない。すべて責任を持って政治をするという場合は能力を持っていなければなりません。いま急に人を雇うといっても雇えるものでもなし、採用するといっても採用できません。そういうことを考えてみますと、いたずらに自分に能力がないのにあえてその範囲を広げるということが、果たして政治的に正しいのかどうか。これをじゃ一元化して高圧ガスの問題を取り入れてしまえばいいじゃないか、人も採ったらいいじゃないかということになるかもしれませんが、しかしそうなると、通産省でもエネルギーの問題だけでも人が足りなくてずいぶんやっているわけですから、いろいろ私も実は苦労をしたという苦労話を、島本さんのことだから申し上げているのでありまして、そういうことはひとつ御理解をしていただきたいと思います。
  241. 島本虎三

    ○島本委員 そのような能力の関係から、また通産省高圧ガスに対処するという強い姿勢、こういうようなものを取り入れてこれはやったというような謙虚な御答弁があったのですが、あんまり謙虚過ぎて防災対策には何もならないようになつたら、これはまさに何にもならないのです。その謙虚は美徳にならない。  したがって、次は消防庁長官に聞きますが、いまの質問に関連して水島事故によって示された石油タンクの構造や地盤そのほかの個々の設備に関する問題点がございましたが、これは本法によらない、すべて消防法などによる規制対象とされたままだ。そうだとすると、個々の設備に関する技術上の問題点はすべてこれからの法令、政令の改正を待って行う。具体的な対策は挙げていない。それならば、いま防災ですから、あくまでも石油コンビナート等災害防止法ですから、具体的に水島の三菱重油流出事件、それからチッソ五井工場などのコンビナートの爆発事故のようなものは、この法によって災害の未然防止が十分ですか。それはもう簡単率直、わかるように答えてもらいたい。
  242. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 災害要因がいろいろ分かれると思いますが、水島事故の教訓から、私どもも、タンクにつきましての技術基準というものが非常にお粗末であったということを痛感いたしておるわけでありまして、それぞれの分野の専門家を委嘱いたしまして、現在タンクの基準を根本的に改正をするという作業を始めております。ただ、この作業が完了するには一年半くらいの時間が必要でございますので、この法案が成立いたしますころまでを目標にいたしまして暫定基準の作業をやっておりまして、政令、省令の改正までの間この暫定基準で規制を強化していきたいというふうに考えております。  また、チッソの五井工場等の問題は、やはりこれは、従業員の教育、あるいは保安要員の教育の問題が非常に大きい問題であろうというふうに考えております。この点につきましては、消防法による予防規程、あるいは高圧ガス取締法の危害予防規程の強化、あるいは従業員教育の徹底ということで対処していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  243. 島本虎三

    ○島本委員 タンクの設計、その他暫定基準を設けたと言うが、タンク危険物として見ておりますか。その他の建造物として見ておりますか。
  244. 佐々木喜久治

  245. 島本虎三

    ○島本委員 それならば、設計の段階からこれはチェックするようにいまなっておりますか。
  246. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 タンクにつきましては、着工に当たりまして、その設計に基づいての許可が要るようになっております。その設計を十分検討いたしまして、技術基準に合っているものについて着工許可を与えるという方式になっております。
  247. 島本虎三

    ○島本委員 大きさの規制、それから石油貯蔵量の総量規制、こういうようなものをコンビナートの場合はきちっとしておかないと、また事故の誘因になるわけでありますが、そういうような点も十分考えていますか。
  248. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 石油タンクにつきましての安全基準、いまいろいろ検討いたしておりますが、水島事故後に起きました四日市の大協石油タンク火災等の事例から見まして、タンクにつきましては高さ制限というものも必要であろうというふうに考えております。したがいまして、容量につきましても制限をする必要があるというふうに考えております。
  249. 島本虎三

    ○島本委員 当然石油貯蔵量の総量の規制考えているというふうに理解しておいていいですね。
  250. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 タンクにつきましては、そのほか現在、保安空地、保安距離につきましての規制を強化していくということを考えております。そうした規制をあわせてみますと、今後この総量についてもそういう規制の強化によりまして、相当厳しい総量規制が結果的に生じてくるであろうというふうに考えております。
  251. 島本虎三

    ○島本委員 通産省との間の調整最後まで難航したという大臣の御答弁がございましたが、それなら通産省も来ておられるようでありますが、石油業法によって設備の許可が行われ、それに基づいてタンクの設置がなされる。その規制消防法によって行われるようになっている。そうすると、石油タンクの設置については、通産省が事実上許可しているのに、一たん事故が起こればすべて消防が責任をかぶることになる。これじゃ何か割り切れない感じもしないではありません。一方この法律でも、石油基地のこの届け出は必要がないということになっておる。とすると通産省は、石油業法で許可した以上、石油タンクについて後の保安、防災にまでめんどう見るというか、責任を持つというのがあたりまえなのじゃないのだろうか、当然私はそう思うのでありますが、このために、通産省、何か対策を考えておりますか。諸悪の根源と言われないようにはっきりしてください。
  252. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 石油業法で許可をいたしておりますものは石油の精製設備でございまして、タンク設備は業法の許可対象になっておりません。しかしながら、石油精製業自身の保安の確保は重大な問題でございますし、それから精製設備ができますれば、当然それに付帯したタンクを設置する必要がございます。そのタンク設置につきましては、消防法の許可を得て設置をしておるわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても、そういう石油精製業を所管しております通産省といたしましては、従来ともこの保安については十分考えておりますし、企業に対しましても、消防法とか高圧ガス取締法等々の保安関係の法令を十分遵守するように指導しておるわけでございます。なお、今後につきましては、この石油コンビナート等災害防止法というものの施行に当たりましても、通産省もその共管大臣として入るわけでございますので、十分努力をしてまいりたいと考えております。今後もこの石油タンクの保安が確保されるように努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  253. 島本虎三

    ○島本委員 何かこの法律は、内容を見れば食い足りない点と甘やかされている点が同居している、こういうようにちょっと思いました。設備の新設計画に関する届け出による規制対象が第一種事業所だけである。しかも石油及び高圧ガスの両方を取り扱う事業所に限られている。第二種事業所や、石油または高圧ガスのどちらかを扱う第一種事業所も、当然届け出の対象にすべきじゃないのだろうかと思うのですが、これが抜けているというのは、何か重大な理由があるのでしょうか。  それと、既設事業所に対しても、防災上の見地からレイアウト規制、これはいろいろ御答弁がありましたが、これはもう適用しないことになっている。とするならば、これにかわる代替対応手段というようなものが十分考えられているのかどうか。新設の計画に対しては関係知事関係市町村長の意見を聴取するということになっているけれども関係住民の意向が全部それに代表されるような考え方であって、現在残っている公害のいろいろな問題を頭に置いた考えでもないように思われる。そうすると、住民の意向を反映するというこの一項を入れなかった理由なんかは、どうなんでございましょうか。
  254. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 第一種事業所の場合におきまして、石油ガスを取り扱っております事業所の場合には、石油につきましては、現行法は消防法規定により市町村がその許可事務を行っておるわけであります。また高圧ガスにつきましては、都道府県知事高圧ガス取締法規定によって許可を行っておるわけでありまして、こうした高圧ガス石油とが同居しております事業所の場合におきましては、その許可の主体が違っておるという観点から、その防災面から見ていろいろ問題を生じやすい。また、特にこうした高圧ガス石油が同居しております事業所の場合には、規模の大きいものが多いわけでございますので、それを国の面で、全体的な各施設、地区のレイアウト中心にして防災上の検討をしていこう、こういうことでございます。  現在、高圧ガスあるいは石油のみを扱っております事業所の場合には、それぞれの法律規定によりまして、石油基地であります場合には、消防機関がそれぞれの許可を行っておるわけでありまして、防災の責任も消防機関が負っておるわけでありますから、これは一元的に処理ができるというように考えておるわけであります。  また、地域住民の意向の問題につきましては、市町村長あるいは府県知事が、十分にその地域の実態を考えて意見を述べていただければいいのではないかというように考えております。
  255. 島本虎三

    ○島本委員 どうも現実とは少し離れた考え方のように思われます。  では、この特定防災施設として具体的にどんなものを考えておるのかということと、特定防災施設に関する定期点検、これは事業者に任せきりのようですが、なぜこれを公共機関で厳正に実施するようにしないのでしょうか。また、点検や記録義務を怠った事業者に対する罰則規定がないのですが、こういうようなことはきちっとしておかなければならないはずのものじゃございませんか。こうしなかった理由伺います。
  256. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 特定防災施設は、現在、消防法あるいは高圧ガス取締法規定にない防災施設考えておるのでありまして、具体的には流出油等防止堤、いわゆる二次防油堤であります。そのほかウォーターカーテンでありますとか、貯水槽、屋外消火栓というものを具体的にいま考えておるわけであります。  また、この特定防災施設につきましては、定期点検並びに点検記録の作成、保存というものを義務づけておるのでありまして、市町村長は、必要に応じて報告を聴取したり、あるいはまた事業所の立入検査を行うということによりまして、その監督をすることができるというふうに考えております。  また、そうした検査の結果、特定防災施設等が主務省令で定める基準に従って維持されておらないという場合には、措置命令なりあるいは使用停止命令を行うということができるわけであります。これらの取り扱いによりまして、十分この維持管理ができますように指導してまいりたいと思っております。
  257. 島本虎三

    ○島本委員 水島の三菱石油のあの事故の問題等からして、いまの答弁は甘過ぎるし、企業を甘やかすようなことになりはせぬか。これは事業者に定期点検を任せておいてそれでいいのかどうか。公共機関で厳正に実施することを義務づければいいじゃありませんか。点検や記録の義務を怠った事業所に対する罰則規定がないのはおかしい。これに答弁がない。やはりこれくらいきちっとしておかないと画竜点睛を欠くじゃありませんか。どうもこの辺が少し甘いようで残念であります。  同時に、石油コンビナートに接する港湾の防災。ほとんど港湾なんですけれどもコンビナート地域防災に最も密接不可分であるのが港湾の防災なんですが、この港湾における防災対策については、本法では何ら触れていないようです。さしあたって陸上部分についてだけ立法したというならば、海上防災対策について、海上消防法ですか、石油港湾防災法ですか、何かこういうようなものを別途立法化する考えがあると聞いておりますが、何々を立法化するつもりでありますか。この際お伺いをいたします。
  258. 船谷近夫

    ○船谷説明員 海上防災に関しましては、コンビナートに停泊しておる船はもちろん入りますが、そのほかにコンビナートを持っていない港湾、あるいは港湾だけではなくて、湾を含めて付近の海上、すなわち船全体をとらえなくてはいかぬという観点がございます。それで自治省消防庁ともいろいろと御相談申し上げたのですが、海上の特殊性もございます関係上、別途の考え方といいますか、別途の法体系で考えたいと考えたところでございます。  いま検討を進めておりますが、事故を起こさないという予防の面につきましては、まずは船舶の航行の安全を確保するという意味で、現行法は港内においては港則法がございますし、最近の法制によりまして海上交通安全法ができております。それからまた、事故が起こった場合の火災につきましてはまだはっきりしたものはございませんが、油が流れた場合につきましては、先国会で海洋汚染防止法三十九条の二が追加されましたが、それによって防除資機材の備蓄が義務づけられたところでございます。そのような現行法体系を踏まえ、また外国の事例なんかも参考にし、海上全般の防災に関してのことをいま鋭意検討中でございます。
  259. 島本虎三

    ○島本委員 鋭意研究中であるけれども、どのような法律かということは、方向だけはわかったけれども、その内容については全然言ってない。しかし、コンビナート災害についていま一番重大な部門である水上部門が抜けているわけです。どうしてこれを言うかというと、第一だんだんタンカーが大きくなっているでしょう。二十万トンタンカーが桟橋に着岸する。本年の三月四日の公害.環境特別委員会の参考人の意見として貴重だと思ったことなんですが、毎秒十センチのスピードで着岸しても単位面積当たり三百七十五トンの力が加わっているのです。したがって、もし桟橋と船の衝突、不良接触があって外板が破れると油が流れ出る。原油なら当然火災になるわけです。その場合、その場所から千メートルの距離のものは延焼するということになっているわけです。こういうようなことからして、タンカーの桟橋が最も危険だ、こう言われておるのであります。この桟橋からタンクまで千メートル離れていないと危険なわけです。しかし、日本ではどういうような制限がございましょう。これは無制限でしょう。距離の制限はないでしょう。これはおかしいじゃありませんか。同時に、港湾防災体制、こういうようなものが組み込まれていない。陸上にもないというのならこれは抜け穴になる。テキサスシティーですか、事故の体験で、州法で三千メートルもタンクと桟橋の距離をつけているというのですね。そういうような参考人の意見があったのです。やはり火災を誘導するおそれがあるのですから、こういうようなことを十分慎重に考えないといけないと思うのであります。  それと同時に、海上保安庁は消防機関ですか。これをあわせて、ひとつ御答弁願います。
  260. 船谷近夫

    ○船谷説明員 いま先生御指摘の点は、十分に考慮して検討したいと思っております。  それから、海上保安庁は、海上における生命、財産の保護を任務としております。その関係消防も任務として実施しております。
  261. 島本虎三

    ○島本委員 港湾防災体制をはっきり肉づけする、これも結構であります。そうすると、いま危険だと言われた桟橋にもシーバースにも消防法が及ぶのですか。及ばないのですか。危険な海に突き出ているあの桟橋、これには消火器一つ備えつけの法的義務もない。それから消火装置をつける義務もない。それから消火管理者を置く義務もない。こういうようなことでコンビナートは十分なのでしょうか。この点いかがでしょう。
  262. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 桟橋につきましては、消防法対象になる施設でございまして、現在、危険物の取扱所としてのいろいろな消防設備の規定がございます。ただ、現実に現在の桟橋の消火設備についての規定が十分であるかどうかという点につきましては、私どもただいま検討をいたしておりまして、消防用設備についての規制を強化していく必要があるというふうに考えております。
  263. 島本虎三

    ○島本委員 どうも時間を制限されたのは最も残念なんであります。若干積み残しができてしまったのでありますが、これも事故のもとになろうかと思いますので、この辺でやめなければならないと思うのであります。しかし、いろいろ考えてみましても、このコンビナート事故による災害が及ぼす影響、こういうようなものは広範囲にわたるわけでありますから、当然被害者の救済措置も中に入れて考えさしておかなければならないんじゃないかと思います。当然だと思うのですが、この点が一つ。  次には、コンビナート事故による災害、これは大規模で環境を汚染して、関係のない地域住民の健康、生活、財産にまで重大な影響を及ぼす。前に無過失賠償責任の話をしましたが、私は逆な立場から、この重大な事故を惹起した防災管理者に対しては、現在は過失と故意二つしか載っておりませんけれども、無過失でも刑事責任を負わせるような規定を設けることによって、事業者の防災に対する自覚を一層促して未然防止の効果をもたらすようにすべきじゃないのか、こういうように思うのであります。こういうような点に対してどのようにお考えですか、伺いたいと思います。
  264. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 石油の流出につきましての、あるいは水島事故のような施設の設置管理上の問題による災害という場合におきましては、現在、民法の第七百十七条によって工作物の設置管理瑕疵によるところの不法行為責任という規定がございます。これが事実上現在の運用としては無過失責任に近い責任が認められておるということになっておるわけでありますけれども、こうした民事上の規定というものを、果たしてこの法案のような公法上の規制法律の中に入れるのが現在の法体系上いいかどうかという点につきましては、いろいろ議論のあるところでございまして、私どももこの規定はあえて今回の法案から除外したものでございます。また刑事責任につきまして、無過失のものについて刑事責任を追及するということは、現在の刑法の規定から申しまして非常に問題のあるところでありまして、現在刑法の基本的な原則としては、犯意なきものは罰せずというのがたてまえになっておるわけであります。この辺は、この刑事責任の場合には、よほどその内容を考え規定する必要があるというふうに考えます。ただ、事業の責任者あるいは保安の責任者について、その責任の範囲というものを相当重くすることによって、そうした責任が十分に遂行されておらなかったということについてのいわば罰則の適用ということは考え得る問題であろうということでございまして、そういう意味では、今回の法案におきましても、事業の責任者あるいは防災管理者等につきましては、その責任を非常に重くし、それに対応する罰則ということを規定しておるわけでございます。
  265. 島本虎三

    ○島本委員 じゃこれで終わりますが、最後一つだけ、イエス、ノーでいいのです。  石油タンクの耐用年数はこの中できちっと指導していますか。しているかいないかだけ聞きます。
  266. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 これは消防法関係の法令で、必要があれば規定すべきであろうと思います。ただ耐用年数を一律に決めるということにつきましては問題があると思います。
  267. 島本虎三

    ○島本委員 一言だけ申し上げておきます。ジョイント部分は腐るのです。そういう事故があるのに、一律に決められない、耐用年数もそのままだと言う。いまないのですよ。そのままで通産省は指導しているのです。それで事故が起きたらあなたの方にいくのです。こういうようなことで防災ができますか。過去に対する本当に反省がない、まことに遺憾であるという意を表明して、私の質問を終わります。
  268. 大西正男

  269. 土井たか子

    ○土井委員 ただいま審議をいたしておりますこの石油コンビナート等災害防止法案というのは、もう言うまでもなく、昨年十二月十八日から十九日にかけて起こりました岡山県の三菱石油水島製油所でのC重油の流出事故に端を発する一般の認識ということがもとになって、やはり緊急を要する問題というところでこの法案が作成されたといういきさつを、私も承知をいたしております。そういうふうな点から、先ほど、まず、いろいろな関係省庁に、やはり縦割り行政でこの安全対策、保安対策、防災対策を講じようとすると、多岐にわたる問題がある。いま、現行法でこれを問題にしていっただけでも、これはいろいろ大変な行政サイドでのやりとりがあるわけであります。先ほど島本委員も、一元化ということに触れての御質問をされたわけでありますが、防災保安体制の観点からいたしますと、現在、それに対しての基本になる法というのは、恐らくこの三つだろうと言われている。一つ消防法一つ高圧ガス取締法、もう一つは労働安全衛生法と言う。これを一元化して、予防して対処するのが急務だと言われ続けてきたわけなんですが、そういう点からすると、今回この法案をつくることによって、何だか一元化より四元化の感が強いのじゃないかと言われる向きがございます。これはもうよく御承知だと思うのですが。  ただ、先ほど自治大臣から、そのことに対しての御答弁は出たわけでありますから、私は、さらにそれに対して質問を展開することはいたしませんが、ここで一つだけお尋ねをしたいのは、今回の法案の二十二条というところを見ますと、石油コンビナート等特別防災区域協議会というのが設けられることになっておりますね。この中を見ますと、私、こういう問題を考える場合に一番考えていただきたいのは、直接不安を持っている住民だと思うのです。直接不安を持っている漁民であり住民だと思うのですが、この住民に対する配慮、漁民の方々に対する配慮が一体どういうことになっているか。少なくともこういう協議会の中にはそういう利害関係者を加えるべきではないかというのが、率直な素朴な意見として私はあるわけです。二十二条を見るとこれがすっぽり抜けているわけでありますが、この点についてはどのようにお取り計らいになるおつもりであるかを、ひとつお聞かせいただきたいのです。
  270. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 二十二条の協議会の規定は、考え方としましては、特定事業者の自主的な協議機関という形でございます。これによりまして、共同の防災訓練でありますとか、あるいは応援体制の整備でありますとか、あるいはまた、いろいろなコンビナート内における災害時のお互いの体制整備のための連絡会議ということになるわけでありまして、地域住民との関係におきましては、一つは、コンビナート地帯の防災計画というものが県の防災本部で定まりました場合におきましては、これを公表するという制度を設けております。さらにまた、必要に応じましては、この防災本部の本部員に知事が任命するということもあり得ましょうし、また、その内容によりましては、専門員として、その専門的な立場からの防災計画についての意見を述べていただくということにいたしておるわけであります。
  271. 土井たか子

    ○土井委員 その程度で十分というふうに消防庁長官はお考えでいらっしゃいますか。
  272. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 地域住民なりあるいは漁業者の意見というものを、どういう形で反映をしていくかという点は、これはそれぞれの地方公共団体でお考えいただくということが必要であろうと思いますし、また、そういう形がとられるだろうというふうに私ども考えております。制度的には、そうした防災計画の公表と、あるいはまた、その会議並びに会議外におきましても、専門員の制度というようなことで十分反映できるのではないかというふうに思っております。
  273. 土井たか子

    ○土井委員 おっしゃるとおり、自治体においては自主的な意思というものを尊重していくということが大事でありますけれども、しかし、いまこの法律というものをつくる場合には、これは一律に全国に対して、基本的にはこういうふうに臨みたいということが中身に盛り込まれていなければならないはずなんですね。恐らく自治体では、住民の意見というものを反映しておやりになるであろうとか、いろいろな協議会を独自におつくりになる場合には、関係住民、利害関係者というのもその中にお入りになることを配慮なさるのではあるまいか、そういうお考えは結構です。それはそのとおりでしょうけれども、少なくとも、そういうことに対しての熱意を国が一体どれくらい考えているかというのは、やはりこれはこの法文化されている部分を見てだれでも判断いたしますよ。  そういう点からいたしますと、私が先ほど来申し上げているように、二十二条を見たら、利害関係者、特に不安を持っているところの住民に対しての配慮というものが、もう一つ足りないのじゃないか。やはり一番大事に考えるべきはその点じゃなかろうかという点が、もう一つはっきり出ておりませんねというふうな意味を込めて私は申し上げているのです。こういう点については、法文化される場合にもう一つ配慮なさる必要があったのじゃないかと私は思うわけですが、消防庁長官とされては、この点は、何らか通達なり行政指導なり、この法文の上であらわれていないところについて、国としてはこういう姿勢で臨みたいと考えているのだということを明らかにしたいというふうなお考えがさらにおありになるのでしょうか。いかがです。
  274. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この協議会は、どちらかと言いますと、特定事業者が自主的に防災体制を固める上についてのいわば連絡会議でございます。こうした場で地域住民の意向を反映するというよりは、コンビナート地帯全体の防災体制として、市町村防災計画についてどう考え、そしてまた地域住民がどう考え、あるいは漁業者がどう考えるかということについて、防災計画というものは相当具体的に定められるものでありますから、むしろその段階においての住民意思の反映ということが望ましいのではないかというふうに考えます。
  275. 土井たか子

    ○土井委員 そういうふうに考えていらっしゃるのでは、今回の法案についてさらにお尋ねしたい点が出てくるのですが、第三章の「特定事業者に係る災害予防」という章がございます。ところで私は、この法案が作成される以前に、すでに消防庁からお出しになった石油コンビナート等災害防止法案要綱というのをいただきましたし、さらに、それ以前にすでに消防庁からは、三月に石油コンビナート地帯防災法案(仮称)大綱というのが出ておりますむそれを見ますと、その中にはいろいろと、事前調査の問題や環境影響評価の問題や安全性の確認について、周辺の都市化状況、人口の関係、地盤のあり方、港湾施設なんかの内容、そういう地域状況ということから考えて、一地域に対する一コンビナートでの絶対数量なんかを抑えていくということも内容としてはお考えになった向きの大綱であり、しかもこの法案の要綱だったわけですよ。今回、第三章のところを見ると、そういう問題がすっぽり抜けてしまっているのです。  実は、これはもう長官もよく御承知のところだと思いますが、日弁連の方からも、こういうことに対しての意見書がすでに出ておりますね。日弁連の意見書もごらんになったと思います。お読みになっていらっしゃると思うのです。この意見書の中では、その点を大変に重視いたしまして、これを取り上げるのに対しては、保全対策として定期的な再許可制をとるというふうな問題に対する提起であるとか、それから事前影響評価制というふうなことを許可申請者に対し義務づけるというふうな問題であるとか、保全基準について総容量規制ということを考えていかなければならないのじゃないかというふうなちゃんとした提起をなすっているわけですね。  こういうふうな問題も含めて、かつて消防庁とされては要綱や大綱の中でお考えになったところが、今回の法案ではすっぽり抜けてしまったのは一体どういうふうな理由があったのでございましょうか。
  276. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 ただいま御指摘の事項につきましては、立案の過程でいろいろな問題があったわけでありますが、一番大きい問題は、現在の個別法でありますところの消防法なり高圧ガス取締法規定との調整の問題でございます。そういうことで、以前の立案の過程におきますいろいろな要綱あるいは大綱というものの中での届け出審査というようなものは、現在の第二章第五条以下にその内容が規定をされておるわけでありまして、これは新設の第一種事業所についてレイアウトについての規制を行うということで書かれておるわけであります。  それから総量的な規制の問題というものは、現実には総量規制の基準というものについて技術的にも非常にむずかしい問題がございます。ただ、別途消防法関係法令による規制を強化をしていくということになりますと、これからの方向といたしましては、現実的には相当な総量規制というものが結果的に生ずるであろうというふうに私ども考えておるわけであります。  やはり防災体制は、この法律の生まれる段階から、消防法高圧ガス取締法とこの法律とのいわば二人三脚で規制というものを強化していかなければならない、立案の過程においてそういう仕組みをとりました関係から、そういう形にならざるを得ないと思っておるわけであります。
  277. 土井たか子

    ○土井委員 なかなか苦しい御答弁です。これはかつて消防庁としては、大変な意欲を持ってこの石油コンビナート災害防止に対して当たりたいというふうなところをお示しになった中に、それが主要な問題として出ていたのですよ。私たちは、この主要な問題になっている点が一体具体的にはどうなるかということに対して、かなり期待をかけていた。これは事実であります。消防庁とされては、この点が今回の法案でこういう形になったことを、防災体制という点から好ましいとお考えですか。いかがです。
  278. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 立法技術上の問題もございまして、この法律を現在のような法案の形で提案したわけでありますけれども、私どもも、コンビナートのいわゆる事業所自体についての配置規制の問題、それから総量規制の問題というものは、今後の防災上必要な措置であるというふうに考えております。したがいまして、これからのいろいろな法令の改正過程を通じまして、そうした措置が実現できるような体制を考えていきたいというふうに思っております。
  279. 土井たか子

    ○土井委員 それは、将来そうあってほしいとおっしゃるけれども、いまだって、しょうとしたならばできなくはなかったであろうと私は思うのです。法技術的な観点からむずかしかったとおっしゃるけれども、それ以前の問題があるように私は思います。  環境庁いらっしゃっていますね。環境庁にお尋ねしたいのですが、こういう石油コンビナート等々を含めていろいろなコンビナートについて、新たにつくられる場合に、環境庁とされては、事前の環境影響評価というものは必要だというふうにお考えですか。これは一たん事故を起こしてしまうと何らかの環境汚染というものを引き起こすということは、今回のあの水島事故の例を引き合いに出すまでもなく、これは十分私たちとしてわかっていることです。事前に予防することが肝心だということもわかっているところです。石油コンビナート等を建設するに先立って、事前の環境影響評価というものは必要だというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか、今回の法案ではそれが生かされているかどうか、その点もお答え願います。
  280. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私ども、当然先生がおっしゃったような観点から、事業所を新増設する場合には、環境保全の見地からいろいろなチェックが必要だという観点から、この法案の作成にも参画いたした次第でございます。具体的には、たとえばいろいろ議論になっておりますが、事業所の新増設の計画について主務大臣が計画の変更あるいは廃止を指示できることになっておりますけれども、その際には当然環境庁長官の意見が反映できるように担保もいたしているつもりでございます。そのほか、コンビナート、工場等の新増設に当たって、特に瀬戸内海の例を申し上げますれば、埋め立てあるいは港湾計画、そういったものにつきましては、環境庁長官の事前の意見が反映できるように措置はされているつもりでございます。
  281. 土井たか子

    ○土井委員 今回のこの法案については、いまおっしゃったようなことが具体的に生かされる法条をひとつお示しいただきたいと思います。
  282. 大場敏彦

    ○大場政府委員 先ほど申し上げましたように、これはたしか法の五条であったかと思いますが、事業所の新増設の場合に、安全確保対策上、事業所が主務大臣に計画を提出し、主務大臣は計画の変更ないしは廃止を指示できるという規定がございますが、これと関連いたしまして、当然その主務大臣関係行政機関の長に意見を求めるという規定もございます。その中には当然環境庁長官というものが入っておるという形で、環境庁の意見は反映できるというふうに考えております。
  283. 土井たか子

    ○土井委員 当然入るとおっしゃいますが、その当然入る今回の法案の根拠をお示しいただきたいのです。
  284. 大場敏彦

    ○大場政府委員 関係行政機関の長ということを申し上げましたが、それは政令で定めるということになっております。私どもは、この法案立案過程におきまして、その行政機関の中身は政令で定めるわけでありますけれども、これは当然のことながら環境庁長官というものは入るということを了解の上でこの法案の作成に参画した、そういうコンセンサスは成り立っているということを申し上げます。
  285. 土井たか子

    ○土井委員 重ねてお尋ねしますが、石油コンビナートを新設する場合に、立地条件の中で環境保全ということは非常に大事だと環境庁はお考えになっていらっしゃいませんか。いかがです。そしてそういうことが大事だとお考えになるのなら、やはりその旨は、政令に委任するのじゃなくて、法律事項として法律自身に明記をしておくべき問題だとお考えになりませんか。いかがです。
  286. 大場敏彦

    ○大場政府委員 コンビナートの新増設の場合に、環境保全上それがどういうふうになるかということは、われわれの一番関心を持っているところでございます。それは先生のおっしゃるとおりということを申し上げておきます。  それから、関係行政機関の長を法定するかどうかというのは、立法技術の問題とも関連いたしますわけで、政令で定めるということにいたしたわけでございますが、それを政令で定めるという法律規定を置く場合に、先ほど申し上げましたように、それには当然環境庁長官は入るのだという理解でそういう規定にいたしたわけでございます。
  287. 土井たか子

    ○土井委員 どうも判然といたしませんね。法案作成のときには、いろいろ内々での連絡があり、内々での相談があることぐらいはよくわかっております。しかし内々での相談で、やがて政令をつくるときにそれは考えましょうとか、政令でそのことは具体化しましょうというふうなことに、これは問題として持っていっていいことでしょうか。これは本来、法案要綱という中では、「新設等の届出、指示等に関する事項」の中でその部分が非常に大きかったのです。その大きい問題について、いまこの法案を見ると、すっぽり抜けているだけでなくて、環境影響評価について一体どういうふうな取り決めがあってどういうふうにそれをやろうかというのが、いまおっしゃったとおり、法律事項として定めていないのです。具体的には、いまからこの法律によって考えていかれる政令の中身になっていくんですね。そういうふうな行き方で、果たして環境影響評価についても事業者に義務づけるということが確固としてできるでしょうか。事業者をしてその環境影響評価を事前にする義務を果たしていなければ新設を認めないというチェックを、きっぱりしていくことができるでしょうか。私は非常に心もとないと思いますよ。新増設について安全保安、環境保全という立場から今回この法案を作成するなら、その点は大きな大きな一つの大黒柱じゃないですか。その点が法案の中では十分に生かされていないということを見ますと、私は今回の法案というのは、そういう点で大きな穴があると言わざるを得ません。環境庁としてはその点についてはいかがです。やはりこれは法律事項として明記しておくべきだというふうにお考えになりませんか。そのことばかりを私は追及していても、また政令でやりますというふうな御答弁しか出てこないと思いますが、しかしこの問題は一つの大きなことだと思います。  ただ、先ほどたまたま消防庁長官が、現在の高圧ガスの問題ともかんでいる、さらに立法技術上の問題もあるというふうなことを御答弁の中で言われましたから、ここでひとつ基本的なことも、それならばお尋ねしておきたいのですが、通産省御出席ですね。  私は、水島事故の問題についていろいろ考えていって、基本的な問題はやはり立地そのものにあるんじゃないかという感を深くしている一人です。そういう点から申しますと、六月十日の予算委員会でも私はこの点を取り上げて、時間がなくてこのことについて十分にお尋ねするという機会を逸しているわけでありますけれども、現在ある工場立地法の中で、安全性や災害防止ということを考えていく法律であるという点からいたしますと、生産施設比率の中に備蓄タンクというものも入れて考えるべきであるというお考えをお持ちになって当然だと思うのですが、この点は、通産省としてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  288. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 工場立地法の役割りの重点をどこに置くかという問題が一つの論点になろうかと思います。実はこの立地法というのは、先生十分御承知かと思いますけれども防災上の問題というよりも、日本全体の環境負荷をできるだけ軽減して環境改善をするためには、立地の段階から、特に集合地帯のコンビナート地域の立地等については、十分に環境アセスメントをやった上で、それで適正な判断の上に立って立地すべきであるということによりましてこの法律ができた経緯があるわけでございます。ただいま御提案申し上げておりますところのコンビナート防災法の中におきますこのタンクの問題といいますのは、今度の水島事故から考えますと、結果的に確かに環境破壊という問題につながりましたが、第一次的にはやはり石油タンクでございますから、環境の問題以前に、危険物として非常に防災上の問題がむしろ先行するわけでございます。したがいまして、立地法の中でタンクを取り上げていくということも、確かに一つの案としては私はあり得ると思いますけれども、むしろ危険物という問題に着目して、消防庁の方で安全問題を十分に考えられて、それでしかも配置規制という問題につきましては、保安距離という問題で十分解決するわけでございますから、そういうことでいった方が、事石油タンクについては、防災面からいってむしろベターじゃなかろうかというふうに私は判断いたしておるわけでございます。
  289. 土井たか子

    ○土井委員 生産施設に対して許可をお認めになるのは通産省ですね。生産施設についての許可がおりれば、それに順応いたしまして備蓄タンクの量もふえてまいります。そういたしますと、現行法として問題になっている工場立地法からすると、生産施設に対しては全体の工場敷地面積の中でのスペースは問題にされるけれども、備蓄タンクについては全然問題にされてないというかっこうになっているわけです。そうしますと、これは石油の備蓄量に対しては六十日から九十日ということに順応していくことのために、やっぱりこの節、備蓄タンクについても全体の工場敷地の面積の中でのスペースというのが問題になってきやせぬか。これを抑えておかないと、消防庁に幾らそれは安全の距離というものを考えてやっていただきたいとおっしゃっても、消防庁が管轄なさるのはタンク一基一基についての問題ですよ。全体について問題になさるのはあくまで通産省ですよ。したがって、そこのところの兼ね合いという点から言うと、せっかくこの法案の大綱の中では、環境保全という点から、製造施設の地区であるとか、貯蔵施設の地区であるとか、用役施設の地区であるとか、事務管理施設の地区であるとか、施設ごとの面積、配置災害拡大の防止ということをお考えになっているけれども、私は、いまの法体制の上からいくと、消防庁には一定の限界があると思うんです。だからそういう点から言いましても、通産省とされては、これはいいかげんに工場立地法についていままでどおりの考えでは済まないぞというところを思い切って考え直しをしていただかないと、これはどこまでいったって消防庁は後追いにしかすぎない。つくられてしまっていることに対しての後追いを一基一基やったって全体の防災になりやしませんよ。その点をひとつはっきりしていただくことが私は必要だと思うのです。  あえて私はもう一度問題として出しますけれども、あの十日の予算委員会でも私はこの資料を出して問題にいたしました。これは例の工場立地法というのがつくられる以前に石油連盟の方から出ております「要望(メモ)」に書いてある一点を読んで再考をお願いしたいと思うのです。四十七年十二月二十一日に石油連盟から出ている「要望(メモ)」の中身では、「生産施設の範囲について」というので「原油、製品、半製品の各タンク施設は、油種・用途の別なく全油種とも国家的要請にもとづく備蓄対策として行なわれているので、用地制限が行なわれる生産施設の範囲から除外されたい。」こう書いてあるのです。これに従って通産省はいろいろ法案審議の場合でも問題にされていったという気配が十分にある。だから私は、事業者の立場考え石油連盟の立場考えていったのじゃ、もうあの三菱石油水島製油所の二の舞にならざるを得ないということをはっきり申し上げて、この節工場立地法に対する再検討ということをぜひやっていただかなければならないと思います。  時間の制約がありますから先を急いで、あと五分という用紙も来ておりますので、大事なことをあと二点ばかり、これは環境保全という点からぜひ聞いておかなければならないので申し上げます。  一点は、水質汚濁防止法の中にある特定施設に、石油精製施設の中にある貯蔵タンクというのが入るか入らないかということ。もう一点は、水質汚濁防止法の十二条一項で決められている排出水の中に油は含まれるかどうかということ。この二つの問題について環境庁お答えをいただきたいと思います。
  290. 大場敏彦

    ○大場政府委員 二つございましたが、まず、タンクが水質汚濁防止法の対象施設に入るかどうかという点につきましては、タンクそのものは入りません。水質汚濁防止法で対象としておりますのは、廃水を通常排出する、そういう性質を持っております施設対象としておりますので、タンクそのもの対象にしてございません。  それから、油が水島事故のように環境水域に排出されたという場合に、排水口を経由せずして、あるいは道路の側溝等を経由して環境水域に排出されたという場合は、水質汚濁防止法の十二条との関係におきましては、そのこと自身は禁止している行為には該当しない。水質汚濁防止法十二条で規定しておりますのは、工場ないしは事業者は排出水を排出する場合に、その事業場、工場等の「排水口において排水基準に適合しない排出水を排出してはならない。」こういうことになっておりますので、二つ要件がございまして、「排水口において」という要件と「排出水」という要件がございますので、油等が側溝等を経由して環境水域に出た場合には、水島の例でございますが、そのこと自身はこの十二条には直接該当しない、こう理解しております。
  291. 土井たか子

    ○土井委員 初めの「特定施設」の中から石油貯蔵タンクというのが省かれるということについては、これは考え直す必要があるというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか。これは言うまでもありません。この水質汚濁防止法の施行令の中にある別表第一の五十一という部分でこれを取り扱うことになっておりますけれども、これはやはり考え直す必要があるのじゃないかというふうなことをお考えになっているかどうかということが一点。  二点目は、事実に対してもうちょっと調べておいていただきたいと思うのです。水島の例も、排水口からあの事件のときに油が出てます。排水口から出ていない、側道からとおっしゃいましたが、排水口からも出ておりますよ。そして経常的であるとおっしゃるのなら、それに対して私は反論をいたします。何かというと、流されている流出水に混じって油が出るということはしばしばあるのです。雨が降った場合にだって、それに混じって排出水の中に油が混じるということは十分にあるのです。だから、こういうことからすると、この経常的に流されている流出水に限るから油をそこから除外するといういわれはございません。  それから水島の例からしても、これは排水口から油が出ているということであります。かてて申します。瀬戸内海は周辺にコンビナートがふえまして、タンカーからは年間一万八千三百から三万四千キロリットルの石油分が排出されているというふうに推定されているのです。これはコンビナートタンカーから出ているのを全部含めてみて、この水量計算をやってみるとそういうことだというのがこの「科学」という雑誌の中にも載っかっているわけですが、年々ふえているのですよ。  こういう実態からしますと、臨海工業地帯にあるコンビナートから排出される油というものは、水質汚濁や海洋汚染防止法等々について、もう一度環境庁としても、いまのままでいいかどうかというのはお考え直しになる必要があるのじゃないかと思う。だから私はきょうは二点特にお尋ねをしたわけでありますが、初めは「特定施設」の中に貯蔵タンクを含めるやいなや。二点目は、排出水の中に油は含まれるか含まれないか。これは当然含まれるというふうに考えなければならないのじゃないか。これはPPm方式で押さえていったのじゃ間に合わないですよ。PPmで幾ら幾ら、環境基準、排出基準ということを問題にしながら、排出基準を何とか守っているからいいじゃないかと押さえるのは微々たる問題です。顕微鏡で見なければならないような問題じゃない。今回のようにどっと油が出て海水を汚染する、水質を汚濁する、そういうふうな場合は、いまの水質汚濁法や海洋汚染防止法だったら手の押さえようがないじゃないですか。だからこういうことに対しても、水質汚濁防止法やこの海洋汚染防止法の観点から考えていく必要があるのじゃないか、私はこう思いますが、いかがですか。
  292. 大場敏彦

    ○大場政府委員 最初の御質問ですが、タンクそのものを水質汚濁防止法の「特定施設」に指定する意思はないのか、こういったことでございますが、それにつきましては、水質汚濁防止法第二条第二項におきまして「特定施設」の定義がございまして、一定の要件があるわけですが、いずれにしても一定の要件を備える汚水、また廃液を排出する施設ということになっておりますので……
  293. 土井たか子

    ○土井委員 そういう解説は結構です。それを入れるお考えはないかということを聞いているのです。
  294. 大場敏彦

    ○大場政府委員 法律でそういうふうに要件が縛られておりますので、政令では、現行法ではちょっと困難かと存じております。要するに汚水または廃液をコンスタントに出すということが要件になっているわけであります。  それから第二番目の、油そのものは排出水であるかどうかということにつきましては、これはやはり文理解釈上、排出水とは排出される水であるというように理解しております。なお私は、全部の油が側溝等を通じて環境水域に出されたということを申し上げておるわけじゃなく、そういうことがあるわけでありますが、水島のケースの場合には、一部の油につきましては、冷却水等の系統の貯水池に入って、そこから排水口を通じて環境水域に流れた油もあるということは敷衍して申し上げております。
  295. 土井たか子

    ○土井委員 解説は結構です。政令を変えるのには法文そのものを変えなければならないということであれば、法律の改正ということを考える必要があるとおっしゃればいいじゃないですか。政令で考えていく枠づけというものは、言うまでもなく法律で決められているわけです。したがってその点、法律で条件が決められている部分については、やはり考え直してみる必要があるのならあるとおっしゃればいいのであって、解説なんて聞きたくないのです。解説についていろいろとここでお尋ねしているわけじゃないのです。  ただ、時間が来ました。このことについて、どうです、やはり法律改正ということを考えて、この節水質汚濁防止法や海洋汚染防止法の観点から、今度のコンビナートのこの法案が出ることと軌を一にして考えてみる必要があるとお思いになりませんか。災害防止ということの中には、言うまでもなく環境を保全していくということもあるであって、これは考えておかなければならない問題ですから、そういう点からいかがです。
  296. 大場敏彦

    ○大場政府委員 水質汚濁防止法は、先ほどのことを繰り返しますが、汚水または排水をコンスタントに出すという法律ですから、その法域に属するかどうか問題があるところだと思います。しかし、油を環境水域に出すということは重大な環境汚染につながるわけでありますから、これは何としても防がなければならない問題、これは御指摘のとおりだと思うのです。現在御審議願っておりますコンビナート法案も、まさにそういうような観点から私ども発言いたしまして、いろいろ主張して、油等の環境への流出を未然に防止するというところに最大の重点を置いてわれわれの主張を反映させていただいている、こういった経過になっているわけであります。
  297. 土井たか子

    ○土井委員 もうそれは質問を続けていても同じことの繰り返しになると思いますが、ひとつその点は、環境庁としても抜本的に、こういうコンビナート防災法案が審議されているときに、同時に政令でそのことは決めるとかなんとかいう御連絡は内々でしょっちゅうあるわけでありますから、もう少し積極的な姿勢でもって、現行法でいいかどうかは環境庁独自でお確かめになるという作業が同時に進んでいてあたりまえだと思うのですよ。だから、そういうことについても、ひとつ気を新たにしてやっていただかなければならないと私は思います。  最後消防庁一つだけ、これはお尋ねというか、事実の確認だけしておいて終わりたいと思いますが、私は十日の予算委員会で、消防法の十一条の許可に対する規定があることに違反をして水島における三菱石油の二七〇号という問題のタンクが建設されたのではないかという質問をいたしました。二七〇号だけじゃないのですね。あれと同じ型のタンクが四基あるわけでありますから、四基が四基ともそうだと私は言わざるを得ないと思うのです。ところが、ここにまた新たに千葉県の市原でやはりタンク建設に対して無許可で着工していたという事実が明るみに出まして、これに対して消防本部の方は中止命令をお出しになっていらっしゃるようでありますが、この許可め申請というのが着工してから行われてしまっては有名無実になる。  実は今度の法案の五条、八条、九条という中身になっていくと思うのですよ。この土壌に対しての基礎工事をやる場合、それから改良工事をやる場合、それに先立って許可というものは、やはりきちんと受けていなければならないはずでありますから、そういう点に対して消防庁としては、今回の法案でもどういう確かめをなさろうとしているのか。そういうことを言い出すと、水島や市原だけではなくて、現に全国でやはり許可を受けないままに基礎工事に着工しているという例がほかにありやしないかと思います。そういうことに対して、消防庁としては、現時点で一斉調査のような形をおとりになっていらっしゃるかどうか。もしそうでなければ、これはぜひやっていただかなければならないと思いますよ。それは、今回の五条、八条、九条という条文を幾ら考えても、こういう事実が先行してしまうとしっぽ抜けになりますから、ひとつこの点を確かめておきたいと思うのです。いかがですか。
  298. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 市原の事件はまことに遺憾だったと思います。現在、タンクについての地盤の問題については、その技術基準、工事の施行基準というものを作成いたしております。したがいまして、どの時点からいわゆるタンクの着工になったかという点を、そうした技術基準の改正に合わせて明確にしていきたいと考えております。  それから、現在は消防法関係政省令の改正が行われて、タンクの技術基準が改正になるということを各消防機関に連絡をいたしておりますので、現在着工をしているというタンクは、以前から工事が継続している分は別といたしまして、新設のタンクの建設はいまとまっているはずであります。ただ、いま基礎工事をやりましても、恐らく保安距離の改正に伴ってその基礎工事はむだになるおそれがあるというふうに私ども考えております。したがいまして、新しいタンクはこれからの新しい基準に基づいて建設をされる必要があり、その段階において十分にチェックできるであろうというふうに考えております。
  299. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。
  300. 大西正男

    大西委員長 岡本富夫君。
  301. 岡本富夫

    ○岡本委員 ただいま議題となっておりますこの法案について、時間の許す限り、若干質問をいたします。  そこで自治大臣に、最初にこの法案で、私は事実に基づいてどういうようになるのかということをお聞きいたしますけれども、奄美大島の宇検村というところがありますが、ここに枝久手島という島がありまして、ここに東亜燃料が五十万バーレルの原油基地をつくろう、こういうような計画が出ておるわけであります。地元も反対しておりますけれども、これはちょうど枝久手島と本土をつぶして焼内湾という湾を埋め立ててしまうんですね。そうしますと、この焼内湾は死の海になってしまう。こういうふうなことで非常に心配をいたしておるわけでありますけれども、こういう原油基地が来ますとその海は非常に汚れる。これは兵庫県の飾磨におきまして、出光石油石油基地を持ってきて、いまその付近では、瀬戸内海の中ですけれども、非常に汚れておる。こういうような例がありますけれども、これについて環境アセスメント、これを行うことができるのかどうか、これについてひとつ自治大臣にまずお聞きをいたしたいと思います。
  302. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 原油の備蓄基地につきまして、現行の消防法なり、あるいは現在提案いたしております法律案に基づいての環境アセスメントはできないわけであります。
  303. 岡本富夫

    ○岡本委員 結局、環境アセスメントはこれでできないんですね。第五条の新設、これの許可をするに当たって環境アセスメントができないということになりますと、これは大変なことになる。われわれ環境・公害特別委員会からここに連合審査を申し込んだのもそこにあるわけです。先ほど環境庁の担当者から、「主務大臣は、第一項の規定による届出があつたときは、遅滞なく、その届出書の写しを政令で定める行政機関の長、関係都道府県知事」と、こう言っておりますけれども、それに送付する。しかし、その四項の方には、主務大臣は、この第一項の規定によって届け出たものに対して、その新設の計画については「関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。」あるいは「市町村長の意見を聴かなければならない。」となっておりまして、結局、環境庁の長官の意見はどこからも述べることができない。瀬戸内海の方は、これは瀬戸内海の環境保全の臨時措置法があるから、環境庁長官の意見がここに入りますけれども、それ以外のところでは環境庁長官の意見が入らないのではないか、こういうように思うのですが、環境庁長官、いかがですか。
  304. 大場敏彦

    ○大場政府委員 先ほど私が御答弁申し上げましたが、八条三項で、事業所の新設等に係る計画の指示等を主務大臣ができるわけでございますが、その場合に関係行政機関の長は、主務大臣にそういった計画の変更等の「指示をすることを要請することができる。」という規定がございますし、同四項におきましては、主務大臣は、みずから指示をする場合には「あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。」こういうことがございます。その中に、先ほど土井先生の際に御答弁申し上げましたように、関係行政機関の長には当然環境庁長官というものが入りますので、この防災上の観点から、環境の汚染につながらないような形で環境庁の長官の意見を反映させることができるということを申し上げた次第でございます。
  305. 岡本富夫

    ○岡本委員 その場合に環境庁長官は、石油コンビナートあるいは石油原油基地、この新設の届け出があったものに対しては、チェックして環境アセスメントをする、これをひとつ明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  306. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 いかなる場合でも、現在でも、この法律がなくとも、御承知の苫小牧にいたしましても、あるいはその他知多半島に火力を増設するにしましても、全部アセスメントを要求し、そのアセスメントの結果を適切に指導し、必要があれば補足をさせ変更をさせながら、環境対策上これで支障のないという場合に許可の応諾を私ども関係官庁にしているわけでございますから、このコンビナート法の中にそれがありませんでも、当然環境保全上必要な事前環境影響評価については行っていかなければならぬわけでございますし、また、行っておりますし、今後も行います。  ただ、この前も申し上げたように、いま私どもはアセスメントの、ちょうど公明党さんが提出をされている法案等も参考にしながら、なおあの中には、いろいろ私どもとしても意見がございますので、それらを参考にしながら、なお十分な内容を持った法案にしたいというので鋭意検討いたしておりますから、来年の通常国会には何とか提案をいたして、アセスメントの問題については私ども法律でひとつ解決をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  307. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、いま環境アセスメントの手法というものがまだ固まっていないのです。どういうような手法にしなさい、どういうところを調査してこういうふうにしなさいという手法が固まっていないわけですから、各事業所に対してアセスメントを持っていらっしゃいと言っても、どういうようなものを持っていっていいかわからない。また、そうしますと、環境庁は、われわれの意見も参考にするとおっしゃったけれども、そういう環境アセスメント法案ができるまで新設の許可はおろさない、こういうことですね。
  308. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 いや、そうはいきませんので、いまでもやっているわけでございますから。たとえばコンビナートができる場合は、まず第一に埋め立て計画と港湾計画というものができてくるわけでございますが、これらは当然閣議了解に基づいた公共事業でございますから、その事前の環境影響評価をやることになっておりますし、その結果、今度そこへどういう企業が進出し、その地方全体の環境影響にどういうようなことが起こり得るかという点についても、たとえば火力なら何万キロでどうだとかいろいろあれしまして、苫小牧と同じように、議論になりました、先生御承知のような、ああいう事態を常時私どもは道庁に命じてやらせ、それを補足し、また変更させるというようなアセスメントをやっているのが事実でございますから。なるほど手法についてまだ確立されてない問題等もございますけれども、各県と連絡をとって、現状における必要な環境影響事前評価というものはやっておるわけでございますので、その法律ができるまでは一切許可しないとか、できないとかいう問題ではないわけでございます。
  309. 岡本富夫

    ○岡本委員 いまアセスメントという名前はありましても、各企業から出てくるアセスメント、あるいはまたそういうものに対して環境庁でチェックするにしても、確たる尺度がなくてなかなかうまくいかないと思うのです。こればかりやっておるとあれですが、したがいまして、早急にアセスメントの手法もつくって、そして事業者の方もこれに従ってやればいいんだというようにしなければならぬと思います。この石油コンビナート、これは巨大なものです。そしてその付近の大気汚染、あるいはまた水質汚濁というものは非常に大きいわけです。もう太平洋ベルト地帯ではとてもできないというようなところに来ておるわけですから、これは環境庁の方で相当厳しくチェックしなければならないと私は思うのです。ただ防災方面で消防庁の方でやるとしましても、それは本当の何メートルぐらいのところで、全体の環境になってくるとこれは大変なことになってくる、こう思いますから、その点をひとつ強く要求をいたしておきます。  次に、既存の施設について、これは消防庁長官でよろしいのですが、なぜこの法律を適用しないのか。聞くところによると、お金がかかるとかいろいろむずかしいということでありますけれども、かつて、千日前デパート、あるいはまた熊本の大洋デパート、この大火事があったときは、早速消防法を改正して、そして既存の建物に対してもさかのっぼてかけているという事実があるじゃありませんか。したがって、いつまたこういう事故が起こるかわからない。災害というものは忘れたころにやってくるということでありますので、せっかく法律をつくったのでありますから、強く既存の施設まで及ぼしていく、こういうようにしなければならないと思うのですが、いかがですか。
  310. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 第五条の届け出の規定のところにありますのは、法律の条文に書いてありますように、事業所全体を主なブロックに区分をして考えた場合に、その面積、配置防災上適切であるかどうかという観点から見直すわけです。こういう見直し方をいたすわけでありますから、在来の事業所についてこれを行います場合には、その事業所全体の配置をやり直すということと同じような扱い方になってまいります。昨年消防法の改正をいたしまして、既存の建築物につきましても一定の消防設備の義務づけを行いましたのは、この法律で申しますならば、第三章以下の規定を既存のものについて適用するというのと同じような内容になるわけでありまして、そういう意味での既存の事業所についての遡及適用はいたしておるわけであります。第五条と同じような扱い方にいたしますと、建物を全部つぶしてもう一遍建て直せというのと同じような形になるわけでありますから、現実問題としては非常にむずかしいというふうに考えるわけであります。ただ、既存の施設につきましても、防災上問題のあります事業所につきましては、別途昨年度からいま作業をやっておりますコンビナート防災診断の基準というものによりまして診断をいたしまして、必要な防災上の措置はとらしていきたいというふうに考えております。
  311. 岡本富夫

    ○岡本委員 せっかくこうして法律をつくったのですから、さかのぼるということは非常にむずかしかろうと思いますけれども、若干経過期間でも置いて、そうして完全な防災の対策をしておかないとならない。あと時間が余りありませんから、要求だけしておきます。  そこで次に、石油の貯蔵タンクあるいは原油基地、こういうところにはタンカーが絶えず出入りするわけです。そのタンカーが出入りをいたしましたときに、必ずバラスト水を排出するわけです。この自治省からもらいました七十カ所の指定地域、これは「想定」と書いておりますが、この中でこのバラスト水、そうした廃油を処理する施設のないところはどこどこですか。これについて調査なさいましたか。
  312. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 お答えいたします。  実は先生のおっしゃいました七十というのは、私の方ではちょっと承知しておりませんけれども、現在石油精製工場で廃油処理施設を持っておるところはございます。それから持っていないところもあるわけでございますが、この点につきましては、事業所があるところ、あるいは港湾管理者もしくは漁港管理者がそういう施設を持っておりまして、そういうところで処理をするということでございまして、石油精製工場のある港につきまして、その処理はいずれかの形で十分に行われていると考えております。
  313. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは運輸省の港湾局からもらいました「廃油処理施設整備港湾及び事業者一覧表」ですが、これと、それからこれは七十カ所の指定地域としてすでにタンクのあるところですが、これを突き合わしてまいりますと、廃油施設のないところが出てくるのですよ。これは私、いつか公害委員会で、もう二、三年ぐらい前ですけれども、これを論議したことがありますけれども、それから大分ふえております。余り細かいことは言いませんけれども、船というのはバラストを積んでこないとひっくり返るのですよ。そしてそのバラストを下の船倉から抜いて、そして処理施設があればそこに行かなければならぬのです。あるいはまた、中には処理施設に行かずに下から抜いているという船長の話も大分ありましたけれども、それであの海がどんどん汚れるわけです。そして遠いところの港に幾ら廃油処理施設がありましても、またそこからこっちに来る間に船がひっくり返りますからとてもできない。したがって、これを突き合わせてくると何カ所か抜けてくるのです。私は昭和四十三年だったと思うのです。佐藤さんが総理のときだったのですが。したがって、タンクを設置したところ、こういうところには廃油処理施設をきちっと義務づけなければならぬ。こういうことでこの法案を見てまいりますと、そういうことは全然ない。その点については、これは防災ではないけれども、環境保全ということから考えますと、陸になると通産省あるいは消防庁です。しかも石油コンビナートの精製しておるところは通産省が管理しておる。そしてタンクだけは消防庁、海は運輸省、そこに盲点がある。したがって、運輸省の方から底の抜けている企業に、つけなければいかぬぞと言うことはできるのですか。
  314. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 実はただいまの資料につきましては、ちょっと私の方で未調整でございましたので、また研究させていただきますが、原則といたしまして、廃油処理につきましては、廃油処理の専門の業者がやる施設がございます。これは申請によりまして運輸省の方で許可をしております。それから石油精製業者等の自家用の処理施設、これは届け出という制度になっております。そういうようなものでなお覆われない部分につきましては、港湾管理者から同じような施設をつくらせる、それに対しまして国が補助をするというようなことをやっておりまして、この三種類の形すべてにつきまして、運輸省の方で責任を持ってやっているわけでございます。したがいまして、先ほどの件につきましてはちょっと検討させていただきますけれども、いずれかの方法によって施設を設置すべきものと思われましたときには、私の方から十分に指導していくことができると思っております。
  315. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうせタンカーの中のバラスト水を抜かなければ石油は入らないわけです。これはどうしても必要なんです。それを抜いた後の廃油処理を近くでやらないと、向こうの遠いところの港湾にあったところで、これはだめなんです。しかもまたタンカーなんというのはチャーターされておりまして、時間的に非常に忙しい。したがって聞いてみると、ずいぶんいいかげんなのがある。中には、私たちが調べて回りますと、廃油処理施設は閑古鳥が鳴いておる、船はたくさん入っておる、こういうところもあった。したがって、いまあなたに聞きましても、それについては調査してないということですから、これは大分いいかげんであるということです。したがって、本当は法案の中に、そういった新設の届けについては、廃油処理施設をやはり義務づけていくというようにしないと、なかなか本当の環境保全はできないと私は思うのです。これについて消防庁長官——大臣の方がいいな、大臣何も言ってないから。あなた座っておるだけでは退屈でしょう。
  316. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 法律規制をいたします分野は、やはりその法律の性格に基づいて規定をしなければならないというふうに考えるわけでありまして、現在の災害防止法という法律の性格から申しますと、いまの環境保全施設についてまで規制をしていくということは困難だと思いますが、やはり国全体としての環境保全という立場からいたしますならば、こうしたコンビナート地域に環境保全施設が整備されるということは望ましいことであり、必要なことでありますので、十分所管省と打ち合わせしてまいりたいと思います。
  317. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは打ち合わせをしてやってください。それでないと、あとこの海洋汚染がされると、それ全部環境庁でいつもおしりふきなんですよ。もっと環境庁長官もしっかりがんばってくださいよ。  時間が参りましたから、最後に、水産庁に来てもらっておりますから、先般、瀬戸内海で赤潮が発生したときに、環境・公害委員会に家島の組合長さんの中村さんという方がお見えになった。そのときに兵庫県出身の参議院の先生からいろいろと指示を受けた、それをこれからやるのです、こういうことであったわけでありますけれども、きょうこの新聞を見ておりますと、赤潮の特効薬、実はこれは逆効果であったというような報道が出ておりますが、この参議院の方はもと農林省にいらっしゃった。そういうことで非常に現地の漁業者の皆さんは信頼をしておったわけですが、それが逆効果だったというような報道が出ておりますけれども、あなたの方では調査してどういうことになっておりますか。これをひとつお聞きしておきたい。
  318. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 ただいま御指摘になりました新聞報道があったことば私どもも承知しておりますけれども、直接詳細にその件に限りまして県の方からの報告は受けておりません。ただ従来から、赤潮が発生しましたときにその被害をどういうふうにして軽減するか、防除するかということで、それについての技術者の打ち合わせば何回かやっておりました。その過程の中で、硫酸銅を使って赤潮生物をいわば殺してしまったらどうかとか、あるいは石灰石等で沈でんをさしたらどうかとか、そういうような一連のいろいろな提案がありまして、それぞれ検討しましたけれども、二次公害その他が心配されますので、どうも的確な対策として直ちに採用はしにくいというようなことが結論になっております。兵庫県の水産試験場からも、直接具体的にどういうような薬剤をということではありませんけれども、そういったような提案が民間の方からもいろいろありまして検討したが、いますぐ取り上げ得る的確な赤潮発生時の直接著効がある対策というものはどうも見当たらないようだ、こういうような報告はございました。
  319. 岡本富夫

    ○岡本委員 この報道を見ますと、私はまだ中村さんのところへ連絡はしてないのですけれども、この薬をまきますと赤潮にえさを与えるようなもので、さらに赤潮がふえた、勝手にやっておるんだろうというようなのんきなことを水産庁は言ってなくて、あれだけの被害を起こしたわけですし、今後の養殖漁業につきまして、どうしたらいいか、いつごろどうなるんだろうというめどを水産庁の方でつけてもらいたいというような意見も出ておるわけです。したがって、現地から何にも言うてこなければもうほうっておくというんでなくして、頼りにしておるわけですから、もっとあなたの方で検討して、その結果をまた御報告をいただきたい。これを要求いたしまして、ちょうど時間ですから、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  320. 大西正男

    大西委員長 野間友一君。
  321. 野間友一

    ○野間委員 私はラストバッターです。私は商工委員会に属しておりまして、例の出光の徳山事故災害等の調査にも関係しまして、そのときに、コンビナートを一元的に規制する必要があるんだということの感を深くしたわけです。  今度の法案は、少し吟味をしましたけれども一元化と言いながらばらばらであるということ、しかも中身が非常に乏しい。しかし、これらの点についてはすでにかなり議論が出ておりますので、重複を避けたいと私は思います。  石油化学コンビナート災害防止の大きな柱の一つは、防災のための科学研究ですね。防災のための科学技術の飛躍的な進歩が一番必要になってくると思うんですね。いまこそ、部分的、局所的あるいは後追い的なそれぞれの施策でなくて、防災科学をいかに発展させるかということについて、本当に行政が一元化してこれらに真剣に取り組まなければならないということを私は痛感しておるわけであります。  そこで、まずお聞きしたいのは、政府のコンビナート防災施策の基本的な柱に防災科学の発展がしっかりと位置づけられておるかどうかですね。この点について、最初に自治大臣、それから通産省にひとつお聞きしたいと思います。
  322. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 私どもも、一連のコンビナート災害を通じまして、防災科学の水準が非常に低いということを痛感いたしておるものでございます。それにまた、研究の未開拓の分野が相当ありますために、事故の原因がある程度わかりましても、それに対応するだけの技術がなかなか見出せない、この点が私どもいろいろな安全基準を作成いたします段階におきましても非常に問題でございます。たとえばタンクの火災一つにいたしましても、実験室における火災の態様はわかりましても、それが直径五十メーターないし百メーターの巨大なタンクの火災の場合に、それと同じような基準が適用になるかどうかということにつきましては、まだはっきりした具体的な実験のデータがございません。  そういう意味におきまして、これからの防災につきまして、こうした防災関係の技術水準の向上ということは、私どもにとりましても非常に大きな目標でございます。私ども消防研究所を持っておりますけれども、これと政府関係の各研究所が、防災技術についてお互いに連絡しながら目標を定めて研究テーマを取り上げて、それを実らせるように努力していくべきであろうと考えております。
  323. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 通産省で所管いたしております、特に石油化学の保安対策というものは、非常に高度の技術を要しますし、防災科学という面につきましても、単に国内的のみならず国際的な視野に立って研究しなければならないということで、いまから申し上げますけれども、過去相当の実績を上げてまいってきております。幸いに工業技術院に数千人の技術者がおりまして、各試験所におきまして、それぞれ公害関係等につきましても連日研究に取り組んでおりますので、これらの機関をフルに活用いたしましていろいろの研究をやってまいっております。  いま実例を若干申し上げますが、その中でも最近非常に問題になっております地震対策につきまして申し上げますと、まず、高圧ガスの審議会の中に地震対策分科会というものを設けまして、川崎のコンビナート等中心といたしました地震対策をどういうふうに持っていくか、装置的にどうするかということの研究をやっておりますし、現実タンクを実容量でつくりまして耐震実験もやっておりますし、それから一連の爆発実験をやりまして、それを保安基準の方に反映させる等々の防災上の勉強をいたしておりますし、来年度以降につきましても、工業技術院を中心にしてさらに拡充強化いたすつもりでおります。
  324. 野間友一

    ○野間委員 通産省は自信満々ですね。消防庁と違うわけです。そこで具体的に窒素の問題についてお聞きをしたいと思います。  いまさら申し上げるまでもなく、石油化学工業において窒素は非常に重要な物資であります。平常時の生産活動においても、また緊急時の防災のためにも、水あるいは電気と同じぐらいの必要不可欠なものだと私は理解しておりますけれども、そのような理解は誤りであるかどうか。つまり窒素の役割り、位置づけについてまずお伺いしたいと思います。
  325. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 防災上窒素の果たす役割りはものすごく大きいという観念を私たちは持っておりまして、これについてはいろいろの対策を講じております。
  326. 野間友一

    ○野間委員 通産省は、緊急時に備えて窒素の備蓄、窒素の必要量の確保を各事業所に義務づけております。そこでお聞きしますけれども、窒素の必要量については具体的にどのように想定されておるのか、お答え願います。
  327. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 必要量につきましては、各施設ごとのタンクの容量あるいは石油化学におきますところの毎日の実際の取扱量等々の規模に応じまして一応の保安基準を定めまして、それを持たせるように義務づけておるわけでございます。
  328. 野間友一

    ○野間委員 確かに、出光のケースもありましたけれども事故の規模あるいは大小によって必要量も変わってくるというのは当然だと思います。ただ問題になるのは、一つコンビナートならコンビナートの中で、どの程度の事故を想定して必要量を決めるのかということが非常に問題になると思うのですね。後で若干触れますけれども、あの徳山の場合でも八十二時間燃え続けたわけでしょう。具体的にこの必要量についてお聞きしたいのは、どの程度の規模を想定した上での必要量ということになるのかという点です。
  329. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 これを想定いたしますということになりますと、確かに災害の規模を想定しなければならないということに通じますので、実際問題としては、多ければ多いほどいいということにならざるを得ないわけでございますけれども、それでは義務づけの数量ははっきりいたしませんので、これは八月一日から実は施行するつもりでやっておるわけでございまして、これの保管基準をどういうふうに決めるか、いま盛んに検討中でございますが、いずれにしても、個別の事業所に義務づける量と、それからある程度共同的な考え方で酸素センターを設置しまして、酸素センターから個別の事業所で足りない場合には補給するという二段構えを考えてみたらどうかというふうに考えております。実は徳山のときも、自分の保有量は非常に少なかったわけでございまして、むしろ周南酸素というコンビナートの中におきます別のセンターからの補給を受けまして間に合ったというような例がございます。徳山のケースは、いかにも企業自体の保有量は少ないわけでございますから、もっと持たせますが、さらに周南酸素の役割りというものは非常に大きかったわけでございますが、こういうことも含めまして各事業所の保有義務量というものを検討してまいりたいと思っております。
  330. 野間友一

    ○野間委員 まだそういう基準について確たるものがないということは、私はもう手おくれだと思うのです。これは何度も事故があるたびに問題になりながら、その必要量というものについて具体的にまだ決めていない。万全の対策をとらなければいけない、こう言われるわけでしょう、通産省は。であれば、緊急にもっと早くこういう点についての手当てをせねばならない。  私は冒頭に申し上げた。あなたはお答えになったけれども、いかにも工業技術院で防災計画を立てておると言われますけれども、具体的に窒素一つを取り上げてみてもまだそういう状況なんですね。具体的にまた触れていきますけれども先ほど申し上げた出光の場合には八十三時間、これは調査記録がありますね。この中でも、八十三時間も燃え続けた、こういうふうに書かれております。その際、いま若干話がありましたけれども、この出光の場合には、ここのコンビナートで間に合わないということで、液体窒素をローリーでずっと運んだわけですね。感謝状まで出したということも聞いております。そこでお聞きしたいのは、この八十三時間も燃え続けたという出光の場合に、どの程度の窒素の量の消費をしたのか、これは御存じでしょうか。
  331. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 全使用量が、液体窒素で二百三十トン、生体としての窒素ガス四十七万立方メートルでございます。
  332. 野間友一

    ○野間委員 膨大なものですね。先ほどから必要量について何度も言っているのはそのことなんですね。ですから、各コンビナートにおいてもこの事故に学んで、この必要量は、一体ここのコンビナートはどのくらいかということを早急に十分調査し検討するということが必要になると思うのです。これらについて検討されておるのかどうか。この徳山の経験を生かしておるのかどうか。
  333. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 八十三時間、なぜこんなにもかかったかといいますと、むしろこれは燃やし続けさせるためにこういう結果になったわけでございますが、しかし、先生御指摘のように、これは非常に貴重な教訓でございますので、この教訓を生かして四十八年のこの事故以来ずっと検討してまいっておりまして、大体現状におきましても、相当程度の規模の災害については保有させておりますけれども、もう少しはっきりした科学的な数字を出したいということでいま検討いたしておるわけでございます。
  334. 野間友一

    ○野間委員 これは早急に各コンビナートを点検して出さないとだめですよ。少し具体的に挙げますと、生産能力、つまり供給能力になりますけれども石油化学工業に欠かせない窒素の供給能力は、生産規模とつり合いがとれてないということが非常に大きな問題だと思うのです。この点についてはどういう認識をされておるのか知りませんけれども、たとえば四日市の第三コンビナート、これは私ども調査しましたけれども、窒素の供給は帝国酸素がやっております。ここは液体窒素ですけれども、ここでの窒素の生産能力は時間当たり五千立米ですね。時間の関係でこちらから申し上げますけれども。第三コンビナートで通常どのくらい必要なのかということになりますと、二千五百立米、これはやはり時間当たりですね。検査あるいは修理のときの需要量は五千立米、こう言われております。ここのエチレンセンターは新大協和石油化学、こういうことになっております。出光のこの徳山の事故で全国の石油化学会社が窒素の重要性を学んだ、こう言われております。先ほど局長答弁にもありました。本当に全国から集めたんですね。感謝状まで出したわけです。  そこで、新大協和石油化学のある人、これは幹部の人ですけれども、この人に聞きますと、出光のような事故が起こった場合には窒素がどのくらい必要であるかを試算したのです。その結果、時間当たり二万立米、これが必要であるという結果を発表しております。発表というか、公表はしておりません。そして窒素を供給する帝国酸素に、そのことについて試算の結果をもとにして言ったわけですね。ところがこの帝国酸素は、もう責任は持てない、こう言うのです。この帝国酸素で聞いてみますと、液体ですから一定量は備蓄しております。しかし変化が多い。大体通常最高で四万立米というふうに私は聞いているのですけれども、そうしますと、たとえば徳山のような規模の事故が起こればこれは全く役に立たないということになるわけですね、こんな状態ですから。しかも聞いてみますと、この第一コンビナートでは気体窒素を三菱油化がつくっております。ここに応援を求めるという話もあったのです。ところが、ここでは気体ですから、パイプを通さなければならぬ。これはもう金がかかるし、なかなかできないということで、これはさたやみになっております。  ただ一つ、このように四日市のケースを調べただけでも、先ほど冒頭に申し上げた、あるいは局長答弁されたけれども、窒素が必要だと言い条、いまなおこういう状況です。もっていかんとなされますか。
  335. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 徳山の事故以後、コンビナートの一斉点検をやりまして、いま先生のおっしゃった四日市も含めまして、保有量その他生産量等につきまして全部調べがついておりまして、それで十分かどうかということを実はわれわれも重大な関心を持って調査をいたしておるわけでございますが、確かに不十分なコンビナートもございますので、その点につきましては、早急に酸素センターの設置等を含めまして考えていきたい。大体いま保有量としては相当の量は持っているわけでございますけれども、新しく発生するパワーを増さなければならぬというのが私の考え方でございます。
  336. 野間友一

    ○野間委員 相当量と申されましたけれども、いま私、具体的に生産能力、供給能力、それから具体的な消費、この問題について挙げました。それから、最高の許容量はどのくらいか、これも挙げました。これは合っているのですか。違っているのですか。
  337. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 四日市の窒素の保有量は三十二万立方メートルでございます。
  338. 野間友一

    ○野間委員 これは第三コンビナートですよ。私、具体的な前提事実を申し上げて言っておるでしょう。
  339. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 失礼申し上げました。三つ合わせて全体として三十二万立米を保有いたしております。
  340. 野間友一

    ○野間委員 ですから、質問をよく聞いておいてくださいよ。このコンビナートが違いますと、液体の場合にはまだローリーで運べるのですよ。ただ気体の場合には、パイプでなかったら運べないでしょう。実際にそういう設備がありますか。ないでしょうが。ですから、私が具体的にお聞きしているのは、第三コンビナートこれは帝国酸素でしょう。これはいま私が具体的に数字を挙げましたが、これは誤りかどうか。これで十分なのかどうか。この点なんですよ。
  341. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 全体としての量はいま持っておりますけれども、第三コンビナートそれ自体としての数字をいま持っておりませんが、感じとしては少ないかもしれませんし、早急にただいま全体のコンビナートを、先ほど申し上げましたように、必要量を算定いたしておりますので、不足であれば当然措置しなければならない、こう考えております。
  342. 野間友一

    ○野間委員 徳山の事故は四十八年七月なんですよ。私も二度ばかり実際に行きました。ここで本当に窒素のことについて痛切に感じたのです。四十八年からもう五十年でしょう。二年たっておるのです。この期に及んで、しかも通産省はえらい自信満々に冒頭に言われた。しかもその点検も十分して、さらに必要量を近々八月に決める、こう言われた。しかし実態は、この第三コンビナート一つ見ただけでもこういう状況なんです。これは意外と本当にエアポケットになっております。しかし、この事故の経験で産業界は非常に学んだのです。これはえらいこっちゃということで、新たに産業界がそれぞれコンビナートを見直したのです。そこで試算したのです、これは必死ですから。その結果出てきたのが、いま申し上げた第三コンビナートにおいては、これではもうとうてい足らぬ、どうしたらいいかということで、そして他のコンビナートへ行ったところが三菱油化から断わられた、こういうケースなんです。ですから、これは早急にやらなければ、実際に四十八年に事故が起こりながら、二年たった今日においても、まだあなた自信満々に言われるけれども非常に不十分でしょう。だから、こういう状況ではもうたまったものではないと思うのです。これでは本当に災害を防ぐという姿勢に立っておるのかどうか、私は疑わざるを得ないと思う。  この点について、いま、少ないと思うというふうに、具体的な数字を挙げずに感触で申されました。そういうことなんです。そこで、先ほどの若干の答弁もありましたけれども、これは非常に重要性を感じて、そして徳山に学んでやらなければならぬということも言われた。これは本当に緊急を要しますから、エアポケットのような感じを持たれているかもわかりませんけれども、早急にこの改善方をぜひ約束していただきたいと思います。
  343. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 私どもは窒素の重要性は十分に認識いたしておりますので、御指摘のとおりに善処してまいるつもりでございます。
  344. 野間友一

    ○野間委員 四十八年の二月に産構審の化学工業部会の答申が出されております。これからの化学工業のあり方、この中で無公害コンビナートへのモデル試算を発表していますね。その中でエチレンを百万トン生産する際の無公害化のモデルを書いておられます。それには、水とか、あるいは燃料、電力、蒸気、あるいは人員、これなどのユーティリティーにも触れられておりますね。ところが、先ほどから申し上げておるような窒素については、全く触れられていない。これは事実なんですね。これはどういうわけでしょう。
  345. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 ちょっと申しわけないのですが、これは基礎産業局の所管の問題でございますので、私から答えられませんが、多分そのころはそういう認識が薄かったということは、やはり認めざるを得ないと思います。
  346. 野間友一

    ○野間委員 通産省は、通産大臣も次官も来てないですね。次官を呼んでおったのですけれども。  では、時間の関係自治省に少しお伺いしますけれども危険物規制に関する政令がございますね。その九条の十八では、「危険物を取り扱うにあたって静電気が発生するおそれのある設備には、当該設備に蓄積される静電気を有効に除去する装置を設けること。」こうありますね。これはそのとおりですね。
  347. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 そのとおりでございます。
  348. 野間友一

    ○野間委員 そこでお聞きしたいのは、「石油学会誌」のことしの二月号、ここでは「静電気に関しては、運動、流動する物質が接触する場合、ほとんどあらゆる場所に発生あるいは蓄積する可能性があるが、これに対する除去あるいは、発生防止に対し、どの程度の設備あるいは操作を実施すればよいのかとなると、まだほとんど基準がない」、こういうふうに「石油学会誌」には出ているわけです。この静電気の除去設備の基準は一体どういうふうになっておるのか。またその研究が進められておるのかどうか。この「学会誌」でもいま申し上げたような指摘があるわけですね。「除去あるいは、発生防止に対し、どの程度の設備あるいは操作を実施すればよいのか」、これになりますと「まだほとんど基準がない」、こう言われております。いかがですか。
  349. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 危険物政令には、静電気の除去についての設備をするということになっておりますが、この静電気の除去に関する技術の水準ということになりますと、どういう程度をもとにしてこの水準ということを言うか、非常にむずかしいところでありますけれども、私ども危険物を扱う場合に、この静電気による事故防止ということが非常に重要なことであるというふうに考えておりまして、特にこの静電気を発生させないということでの指導を行っておるわけであります。そして特に、この静電気の蓄積をできるだけ少なくして、その着火源となります火花放電というものを起こらないような静電気の蓄積を備えさせていく、こういう考え方に立っておるわけでありまして、特に現在は石油タンクの中における静電気の発生ということにつきまして、いま指導上非常に注意しておるわけでありまして、その油の流速の基準というものをいま具体的に指示をしているわけでありますが、いずれにしましてもこの静電気除去の方法につきましては、御承知のように何種類かの方法があるわけでありますが、私どもの指導としましては、いま申しましたように、静電気ができるだけたまらないような措置をとるということで指導いたしております。
  350. 野間友一

    ○野間委員 抽象的にはそれでいいと思うのですけれども、現時点においてはこういうことのようですけれども、これはお認めになりますね。「学会誌」をいま引用しましたけれども、その研究状況はこういうことだということは。
  351. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 私どもも、技術的な水準の問題につきましては、どうもはっきりよくわかっておりません。
  352. 野間友一

    ○野間委員 一、二挙げましたけれども、本当に大変なんですよ。だから、意外とこういうところは重要でありながらなかなか研究が思うように進んでいないというのが実態でなかろうかと私は思うのです。ですから冒頭に、消防庁長官は正直に言われましたけれども通産省は偉いですね。地質の問題一つとってみてもこういう状況だということで、ひとつぜひ深い反省と緊急な施策をしなければならぬと思うのです。  石油化学工業において、防災技術の開発、これは各企業間の非常に激しい競争の焦点になっております。しかもこの中では、防災技術の開発、これは各企業にとっては非常に高度の機密に属するということを、直接私は関係業者からも聞いたんです。今回のこの防止法二十二条の二号の中で、事業者は「災害の発生又は拡大の防止に関する技術の共同研究」、これに努めるようにという文言がありますけれども、実際、いま申し上げたように、防災技術の開発やあるいは研究、この成果、これについては高度の企業秘密に属するということとの兼ね合いで、具体的に本当に災害をなくしていくという観点からどのように進めていったらいいのかということについて、業界の実態は、私が申し上げたように、非常に高度な企業秘密に属するということかどうかということと、さらにいま申し上げた点について、ひとつ答弁を願いたいと思います。
  353. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 業界におきますところの保安技術の自主研究につきましては、一つには、高圧ガス保安協会というのは会員制度になっておりまして、高圧ガスの生産業者の技術者が大部分その会員のもとに属しておりまして、ここの中で技術委員会を開きまして、連日いろいろ研究をいたしております。特に保安に関する問題に関しましては、秘密は全部取っ払いまして、お互いの企業秘密を越えてやるということの強い指導を行っておりますし、現実にそういう方向へ向かっております。  それから現地におきましては、コンビナート関係いたします企業群が集まりまして、コンビナート防災協議会というものが実はもうすでに四十三年に発足いたしておるわけでございまして、そこで、いろいろ保安協会で議論されました問題点を現地においてさらに討論するとか、あるいは先ほどちょっと申し上げましたけれども、一連の爆発実験を九州において行っておりますけれども、こういう場合も、企業も自主的に参加して一緒に勉強する等々、いろいろな問題を多角的に検討させております。
  354. 野間友一

    ○野間委員 もう時間が参りましたけれども、静電気の研究については所管はどこになるのですか。消防庁ですか。もしそうであれば、早急にこの研究を、いま申し上げたような「学会誌」の中でもこういうような状況にあるので、これはぜひ積極的に研究を進めなければならぬと思いますけれども、いかがですか。
  355. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 危険物と静電気の関係は非常に密接な関係がございますので、私どもの方の消防研究所におきまして、十分これらについての研究をさせたいと思います。
  356. 野間友一

    ○野間委員 それじゃ時間が参りましたので、最後に一言だけ申し上げておきますけれども高圧ガス取締法、これは通産省関係ですが、これが対象とする事業所は全国で八千六百ございますね。そのうちコンビナートを形成しているのは三百から三百五十、こう言われている。したがって高圧ガス取締法は、コンビナートを形成していない八千二百余りの事業所を主な対象とした法体系となっておるわけですけれどもコンビナートであるがゆえに災害が発生し拡大することを防止することを目的とした法律が望まれていたわけですね。今度出されたのは、そういうことを踏まえた上で出されたものであると思いますけれども、国民もそこに非常に期待を持っておりました。ところが、実際出されてきたものは、冒頭に申し上げたように、個別企業規制は個別法でやっていく、そうして補完できない分を新法でやる、こういうような体系になっておると思うのです。しかも私が指摘したのは、災害の発生の防止というこの点について、この規制法を見ましても、ほとんどこれが見当たらない。ただ一つあるのは、いまの二十二条の二号の問題だけであります。非常に不完全だと言わざるを得ないと思う。この点についてさらに検討をして、本当にこの災害を未然に防ぐという立場から、さらに各コンビナート規制する観点から緊急かつ真摯に検討すべきじゃないかと思いますけれども、この点について自治大臣通産省最後答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。
  357. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 申すまでもなく保安の問題は非常に重大でございますので、実は今国会におきましても高圧ガス取締法の改正をお願いいたしまして、特にコンビナートにつきましては、コンビナート保安規則というものを別に設けまして、コンビナートだけに重点的に義務づけを強化した面もございますけれども、さらに今国会で出されましたコンビナート防災法を中核にいたしまして、今後とも防災面について前向きに対処してまいりたいと思います。
  358. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 災害の発生を防止するということは、コンビナート災害防止の際に最も重要な事項でございます。私どもも、これまでのコンビナートの爆発火災事故の経験等から見まして、この法律の中で、職員の訓練の問題、教育の問題ということを非常に大きく防災計画の中で取り上げて、特に企業、事業所の物の流れを完全に把握できるような保安体制というものをとってもらいたいというふうに考えておりますと同時に、事業の責任者、特に防災管理の面から、第一種事業所におきましては、常に防災管理者または副防災管理者というものは、だれかが二十四時間その事業所に勤務をしている体制をとるというようなことにして、災害の発生防止ということにつきましては、この法律にはなかなか的確にその条文があらわれてはおりませんけれども、そういう意味におきまして災害発生の防止に極力努めていきたいというふうに考えております。
  359. 野間友一

    ○野間委員 納得できないけれども、これで終わります。
  360. 大西正男

    大西委員長 以上で連合審査会は終了いたしました。これにて散会いたします。    午後七時八分散会      ————◇—————