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1975-08-08 第75回国会 衆議院 地方行政委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年八月八日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 大西 正男君    理事 片岡 清一君 理事 中山 利生君    理事 山本弥之助君       伊能繁次郎君    塩谷 一夫君       増岡 博之君    井岡 大治君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    山田 芳治君       和田 貞夫君    林  百郎君       小川新一郎君    小濱 新次君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     福田  一君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      植木 光教君  委員外出席者         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         人事院事務総局         職員局長    中村  博君         総理府人事局長 秋富 公正君         警察庁長官   浅沼清太郎君         警察庁長官官房         長       鈴木 貞敏君         警察庁刑事局長 土金 賢三君         警察庁警備局長 三井  脩君         行政管理庁行政         管理局審議官  加地 夏雄君         防衛施設庁施設         部首席連絡調整         官       奥山 正也君         法務省刑事局公         安課長     俵谷 利幸君         大蔵省主計局主         計官      藤井 裕久君         大蔵省主税局総         務課長     福田 幸弘君         文部省大学局学         生課長     十文字孝夫君         文部省管理局助         成課長     西崎 清久君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部財         務課長     中村  徹君         自治大臣官房審         議官      石見 隆三君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君         消防庁長官  佐々木喜久治君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 八月八日  辞任         補欠選任   住  栄作君     増岡 博之君   保岡 興治君     塩谷 一夫君   細谷 治嘉君     和田 貞夫君 同日  辞任         補欠選任   塩谷 一夫君     保岡 興治君   増岡 博之君     住  栄作君   和田 貞夫君     細谷 治嘉君     ————————————— 七月四日  一、地方公営企業法及び地方公営交通事業の経   営の健全化の促進に関する法律の一部を改正   する法律案井岡大治君外六名提出、衆法第   二七号)  二、地方自治に関する件  三、地方財政に関する件  四、警察に関する件  五、消防に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件  警察に関する件(「日本赤軍ゲリラ事件の概  要)      ————◇—————
  2. 大西正男

    大西委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
  3. 小川省吾

    小川(省)委員 総務長官自治大臣が若干出席がおくれるそうでありますから、大臣答弁を除いて始めたいと思います。  本年度春闘は、政府、日経連の言う一五%を乗り越えることができずに、言うなれば一五%のガイドラインに押さえ込まれて、低成長下というか、不況下賃上げで終了をいたしたわけであります。公務員共闘が四月段階での対政府、対人事院交渉で、言うなれば公労協並み賃上げという感触を得て、五月上旬のストライキを中止をして春闘の矛をおさめたことは御承知のとおりであります。公労協賃上げは、八%プラス四千六百円プラス定昇という線、単純平均で一四・〇八%、加重平均で一四・一三%、一万七千二百七円で決定をいたしました。過去の賃上げ経過を振り返ってみると、公務員賃金は、大体公労協賃上げの結果に近い線で人事院勧告が出されて決定をしてきた歴史を持っているわけであります。  そこで藤井人事院総裁伺いますが、先月十六日の記者会見あるいは先月三十日の内閣委員会での発表答弁からかなり時日経過いたしておるわけでありますし、いわば勧告直前でもありますから、内部的には大体固まったと判断をいたしますので、具体的に直截にお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  勧告の日時ですが、十一日から十四日の間というのが大体言われているようでありますけれども総理帰国が十一日、こういうふうな形になっているわけであります。で、上げ幅の問題でありますが、公労協並みの線、一四・一三%、一万八千円前後という理解をしてよろしいのかどうか。巷間伝えられているところによれば、総理が十一日に帰国になるわけでありますから、十二日はどうも帰国直後だということで休息をとられるだろうからということで十三日に勧告をする。で、上げ幅については、私は大体低額に過ぎると思っているのでありますが、本給分については一〇・八%、定期昇給分二・八%込みの一三・六%と伝えられているわけであります。公労協よりかなり下回っておりますけれども、本当にそうなのかどうか。私はいわゆる生産者米価の線一一・六%プラス定昇二・八%で一四・四%ぐらいになるであろうというふうに思っておりますが、さらにうがった見方をしている者によれば、今年度財政的に非常に厳しい状態だから、いわゆる完全実施を守らせるためにはこのような低い線にせざるを得なかった、こういうふうにも伝えられておるわけでございますので、この際、総裁からひとつ具体的に、直截にお答えをいただきたいと思うのであります。
  4. 藤井貞夫

    藤井(貞)説明員 お答えを申し上げます。  目下、胸突き八丁というところで、連日連夜の作業をいたしておる段階でございます。  第一の、勧告の時期でございますが、これは当方の作業の進みぐあい、それと、勧告を申し上げるのでございますので、お受け取りをいただく国会側及び内閣側の御都合というものとの調整を図らなければならぬという問題がございますので、それらの連絡をずっととってきておるのでございます。私といたしましては事柄の性質上、この勧告は、内閣側においては総理大臣に直接お渡しをして、いろいろ内容の御説明を申し上げ、また御要望も申し上げたいというふうに考えておりますので、総理がお帰りになって後ということになるということはいまお話しになりましたとおりでございます。そういたしますと、十一日に帰られまして、十二日はいまお話がございましたように、恐らく一日は、大変お疲れでありましょうから、御休養ということにもなろうかと思います。しかし私といたしましては、それらを見合いながら、作業が終わり次第はなるべく早くというふうに考えておりますので、十五日以後になることはいたしたくないと思っております。したがって、そこから大体御推測がいただけますように、十三日ないし十四日ということに相なることと思います。  それから第二点の問題でございますが、これは先般の記者会見なりあるいはこの問の内閣委員会から時日経過をいたしておりまして、われわれの作業も進んできておる、また、それでなければ具体的な勧告内容も固まりませんから、進んでまいっておることは事実でございます。ただし、これはそれだけに、来週半ばごろには内閣国会にあてて具体的に勧告文を手渡すということに相なる段階でございますので、この席上で勧告の具体的な内容について触れますことは、これは差し控えさせていただきたいというふうに考える次第でございます。いま具体的な数字についてお触れになりましたが、それに対してとやかく申し上げることは差し控えさせていただきたいと考える次第でございます。  ただ、春闘終結段階におけるいろいろなやりとり、経過等につきましては、無論われわれといたしましても十分承知をいたしております。また、過去の経験、過去の実績等から見まして、三公社現業とそれから公務員ベースアップ率というものがそう大変な隔たりがあるものでないということはこれはそのとおりでございます。ただ、われわれの方の調査は、御承知のように官民較差を正確に比較いたしまして、その較差がある場合にその穴埋めをするということを骨子といたしております。したがって、直接的には民間給与というものがその比較対象になるわけでございまして、三公社現業は直接に対象になるわけではございません。ただ、過去の経験からあるいは実績から、そういうようなことで大変な隔たりが両者にあるということは出ておりません。したがって、われわれといたしましても、それらの結果を横にらみしながら作業は無論進めております。  それと、いま御心配になりましたように、本年は非常に経済界不況でございます。それに財政収入、これは国も地方もそうでございますけれども、大変な困難な事態に立ち至っていることは事実でございます。しかしわれわれといたしましては、これは財政とは一応別個に、公務員給与のあり方というものを堅持をいたしまして、そのあるべき姿に沿って勧告というものは出すべきものであるというふうに考えております。  あとは、われわれの勧告実施をしていただくということの御決定なり御判断を、最終的には内閣国会にお任せをするということに相なってまいる従来のやり方については毫も変わりはございません。したがって、御心配のような点は、われわれは毅然とした態度をもって事に臨んでいく所存でございます。
  5. 小川省吾

    小川(省)委員 最後の方はよくわかりました。ぜひそういうことで人事院としては内閣に対して臨んでいただきたい。  前の段階は、私はきょう、十三日に勧告をなさるという八日の段階としては、多少歯切れの悪い答弁だろうと思いますが、微妙な立場にあることはよく承知をいたしておりますから、十三日に勧告をなさる、公労協並みの線ということで、一応この場では受け取っておきたいと思います。  給与局長がお見えになっているようでありますから、ちょっとお尋ねをしておきたいと思いますが、特に較差是正の問題についてどのように取り組まれてきたかという問題であります。較差是正というのはいろいろあるわけでありますが、どんなふうな姿勢で取り組まれたのか。特にまたその中でも、いわゆる勧告自体上厚下薄だというふうな点については、常々勧告が出された後も、努力をしつつもそういう指摘を受けてきた勧告に、過去においてもなっているわけでございます。相変わらずそういう状態勧告になるのかどうか、給与局長に御答弁をいただきたいと思うのであります。
  6. 茨木広

    茨木説明員 ただいま御質問の点にお答えいたします前に、いま最後公労協並みというふうに要約しているというふうに申されましたが、その点について若干敷衍させていただきたいと思います。  御案内だと思いますけれども、ことしの公労協数字の中には、仲裁裁定の中にいろいろ書いてございますように、昨年の公務員仲裁裁定との関係あるいは昨年の仲裁裁定民間との関係等を付言いたしまして、そこに若干の配慮をしたように書いてございます。そこで、三公五現のアップ率は、定昇抜きで一一・七八%と言われておるようでございますが、それにどの程度そういう配慮を加えておるかということが組合との間でもいろいろ話が出ております。〇・八三とおっしゃる方もあれば、一%程度だとおっしゃる方もある、そういう点をやはり修正していろいろ考えていかないと、まず基礎といたしましては問題があるのじゃなかろうか。こちらの方は、先ほど総裁から御答弁ございましたように、官民比較の方でずばりと出てまいるわけでございまして、これはあけてみてのことになるわけでございます。その点ひとつつけ加えさせていただきたいと思います。  それから較差是正の問題でございますが、やはり例年こちらの方式といたしましては、民間の実態を見ながらこちらの配分も決めてまいるというたてまえをとっております。ことしの民間の姿は、従来の例のように、初任給重点を置くという考え方にブレーキがかかりまして、従来やはり初任給重点を置いたためにやや不遇な立場に置かれた中堅層あるいは全般的に配慮するというふうな傾向が一般的な傾向でございます。そのようなことも配慮しながら考えてまいらなければいかぬだろうというふうに思っておるところでございます。
  7. 小川省吾

    小川(省)委員 職員局長もお見えのようでございますから、ちょっと職員局長に伺っておきますが、民間定年調査など、かなり人事院としては今回やられてきたようであります。一部定年制問題等財政問題と関連をして出ているようでありますが、今度の勧告の中に、文言として調査をやられてきた定年の問題というのが入ってくるのかどうか、この点だけをちょっとお尋ねをいたします。
  8. 中村博

    中村(博)説明員 先ほど総裁も御答弁申し上げましたように、現在胸突き八丁でいろいろ御審議いただいておるところでございますので、私の方からその点につきまして、入るか入らぬかという問題は現段階ではちょっとお答えいたしかねます。
  9. 小川省吾

    小川(省)委員 大体胸突き八丁というのは藤井さんがお使いになったからだけれども勧告直前だから都合のいい言葉のようではあるけれども、現在のところで、胸突き八丁で大体内部的には固まっていなければおかしいので、私はそういう点をとらえながら八月八日という時点で聞いているので、答弁としては余り感心をしないけれども、いまここでその問題だけについて時間をとりたくないからあえて付言はしませんが、特に定年の問題については余り問題を起こすような触れ方はしてほしくない、こういう点だけを要望をいたしておきます。  総務長官見えないようですから、続いて若干人事院お尋ねをしていきたいのですが、週休二日制について簡単にお答えをいただきたいのです。人事院は従来、週休二日制については五十一年度より実施、つまり来年の一月から試行段階に入り、本年の秋の段階実施基準出していくというふうに私どもは受けとめているわけでありますが、そういうことでよろしゅうございますか。
  10. 藤井貞夫

    藤井(貞)説明員 昨年と一昨年と二年間続けまして週休二日制のことに触れたということは御承知のとおりでございます。それを受けまして、私が国会関係委員会等におきまして、本年度中には試行、いわゆるトライアルは行いたいということを申し上げております。そういうことで目下準備を進めておるのでございますが、そのためには試行基準というものをつくる必要がございます。そこで、この勧告作業が終わりましたならば、引き続いて、目下職員局を中心の鋭意検討を続けております試行基準検討に入りたい、かように考えておりまして、本年度内におけるトライアル実施に間に合うように日程を詰めてまいりたい、かように考えております。
  11. 小川省吾

    小川(省)委員 行政管理庁加地審議官、来ていますね。——一方行政管理庁では、週休二日制については時期尚早である、現状では実施は無理だというようなことを言っておるようであります。定員削減計画のペースをむしろ早めるべきだというふうなことを言っているわけであります。まさに、週休二日制の実施とは相矛盾をしてくる考え方ではないかというふうに実は私は思っておるわけであります。過日の行政監理委員会ですか、新聞発表で拝見をしたわけでありますが、これは一行政監理委員の恣意的な発言だというふうにも聞いておりますけれども行政監理委員会コンセンサスを得て、あのような時期尚早である、現状では無理だ、というふうな発表になってきたのかどうか、その点についてまず加地審議官伺いたいと思います。
  12. 加地夏雄

    加地説明員 現在の行政監理委員会は、この春四月に第四期として発足したわけでございます。御承知のようにこの春に三木総理から要請を受けまして、前期行政監理委員会が「今後における行政改革の課題と方針」という提言をお出しになった。前期監理委員会は四月をもって一応任期が満了したわけでございますが、その中で、個々の問題については引き続いて次期監理委員会検討するようにと、実はこういう提言内容があったわけでございまして、現在の監理委員会が四月に発足以来ずっとやってまいりましたのは、実は定員管理についての諸問題の審議をやっていただいたわけでございます。四月からずっと定員問題につきまして、関係各省の御意向をお聞きしながら審議を進めてまいったわけでございますけれども、御承知のように、先般「定員管理に関連する当面の諸施策について」という提言を七月二十三日にお出しになったわけでございます。  いま先生御質問の、この監理委員会提言の性格といいますか、どういうものだということでございますが、これは御承知のように、行政監理委員会は、主務大臣行管庁長官を除きまして民間は六名でございます。六名の委員全会一致の形で実はお出しをいただいたということでございます。
  13. 小川省吾

    小川(省)委員 全会一致の形のものだというふうに御説明を受けたのですが、だとするならば、人事院は、行管考え方がそのような考え方であるとするならば、いわゆる週休二日制に対する政府の受けとめ方というのがどうなっていくのだろうかという、いわゆる人事院として政府の扱いについてどうとらえているのか、それでもあくまでも従来の方針を堅持しながら、政府実施をさせるという意気込みで取り組まれていくのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  14. 藤井貞夫

    藤井(貞)説明員 行管側意向として伝えられておりますことは、いまも関係政府委員からお話がございましたように、定員管理という行管本来のたてまえからいろいろ御検討になっておりまして、その立場からの御発言ということであろうかと思います。  私たちといたしましては、この定年制を本格実施するのがいつになるかということは、これはまだわかりません。トライアルをやった上でいろいろ問題点が出てまいりますので、そういうことについて所要の調整を慎重にやりました上で、それに踏み切るということに相なるわけでございますが、その間に、いろいろ関係の各省庁と連絡調整をとっていかなければならない問題がたくさん出てくるだろうと思います。そして、人事院自体といたしましても、やはりこの週休二日ということに踏み切るということは、これは職員の利益、職員勤務条件の改善ということが直接のねらいになることではございますけれども、その反面、それによって公務能率が落ちる、行政サービスが低下するということになってはこれはゆゆしき大事でございます。これは本末転倒ということにもなりかねない事柄でございますので、そこらの兼ね合いをよく考えていかなければならぬと思いますので、したがってでき得べくんば、定数というものはそのためにふえない、ふえることのないようにいろいろ工夫をしていく、時間の割り振りなり、仕事のやり方なりについていろいろ勘案をしていかなければならぬということだと思います。それらの点が、トライアル段階でどういう点に問題点があるかということが出てまいるのだろうと思うのでありまして、その間に政府関係各方面のコンセンサスを取りつける努力をいたしながら、事柄を円滑に進めるということで進んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  15. 小川省吾

    小川(省)委員 確かに連絡調整を必要とする要素が多分にあるわけですね。それで、行管考え方人事院との考え方の中に相矛盾をする要素がかなりあるわけであります。定員削減の決められた計画なり、あるいはまた現状における不足の人員といいますか、充足をしなければならない人員というのが、週休二日制実施についてはかなり調整を要する点があるわけでありますから、実施をしようとするいま総裁の言われた御趣旨に沿って、ぜひひとつ、そういう基本的な考え方を踏まえながら、政府との連絡調整を毅然たる態度で当たってもらいたい、こういう点だけ要請をいたしておきたいと思います。  自治省にもお尋ねをしたいのですが、総務長官日程がかなり込んでおるようでございますので、ちょっと先へ進ませてもらいます。
  16. 藤井貞夫

    藤井(貞)説明員 ちょっと、先刻の私の御答弁の中で、前段の方で週休二日制のことを言い間違えて定年制と申しましたので、これはひとつ訂正をさしていただきます。
  17. 小川省吾

    小川(省)委員 総務長官がお見えになりましたから、長官お尋ねをしたいと思うのであります。  昨年の経過を振り返ってみた場合に、七月の臨時国会の開会中に早めて人事院勧告が出されたわけでありますが、それにもかかわらず閣議決定がおくれて、給与法の成立が十二月国会にずれ込みました。そこで、地方公務員の場合には、その結果条例化がかなりおくれたのが実情でありまして、物価高の中で苦しい生活を余儀なくされたわけでありますが、このようなことは繰り返さないという政府のお約束でもございますし、総務長官にお伺いをいたしたいのですが、まず一つは、勧告が出たら、これは当然だろうと思うのですが、給与関係閣僚会議を早急に開いて、閣議決定にすぐ持ち込まれると思うのでありますが、その点はどうなのか。この点が一つ。  あと一点は、かつて人事院勧告政府が値切って、いわゆる勧告どおり実施をしない時期がかなりの期間あったわけであります。十年余の日数と努力の中で完全実施に踏み切らせたというのが、実は公務員共闘といいますか、公務員労働者人事院勧告、いわゆる賃上げについての歴史的な経過でございます。巨額の赤字を抱え込んだ国鉄の職員ですら四月実施に踏み切った政府が、よもや、時期が違うから、遡及の月数が多いからというふうなことで、四月から待たせておった公務員給与を値切るようなことはすまいというふうに私も思っております。当然完全実施関係閣僚協なり、あるいは閣議決定をすると信じておりますけれども、いわば公務員生活を守る大もとでありますところの筆頭の給与担当大臣である総務長官の決意のほどをお伺いをしたいと思います。
  18. 植木光教

    植木国務大臣 お説のとおり、昨年は七月に勧告がございましたのが、大変おくれまして十二月に給与法改正が行われ、その間非常に多くの公務員の方々に、経済の厳しい中で大変御迷惑をかけたことを私どもは遺憾に存じております。したがいまして、昨年の給与法改正に際しまして、御承知のように内閣委員会におきましても附帯決議が付されまして、早期にこれを実施するようにということであったわけでございます。私どもといたしましても、その趣旨を体しまして、関係官庁とも協議をし、学識経験者とも御相談をいたしまして、どのようにすれば早期実施ができるかということについて鋭意検討を行ったのでございますけれども、結局、現制度下でなるべく速やかに国会に提案をいたしまして、そして成立さしていただくということが一番よい方法であろう、こういうことになりまして、前国会においてそのことを御報告申し上げたわけでございます。  今回、五十年度人事院勧告が近く行われるわけでございますが、勧告が行われましたならば、直ちに給与関係閣僚会議の開催をしてもらいたいということで、私どもはそのような取り計らいをいたすべく努力をいたしております。また、政府基本方針もできるだけ速やかに決めること。そして給与改定は、御承知のように一般職勧告があるわけでございますが、特別職については、これは別途に改正案をつくらなければなりませんので、その作業が、基本方針が決まりましてから約一カ月余りは要すると思うのでございますが、その作業を進めてまいりたいというふうに考えているのでございます。  第二点のお尋ねでございますが、人事院勧告を尊重いたしますことが、公務員制度を適正に運営をしてまいりますための基本であるという考え方を私どもは持っております。したがって、本年財政事情がきわめて悪いという状況、非常に厳しい状況であることは御案内のとおりであり、私ども承知はしておりますけれども、しかしながら、人事院勧告実施につきましては、私どもとしてはこれを完全実施の方向で最善の努力をいたしたいという決意を持っているところでございます。
  19. 小川省吾

    小川(省)委員 総務長官の決意をお聞きをして若干安心をしたわけでありますが、伝えられるところによりますと、財政的な関係人事院勧告を値切るというふうな、昔に戻るような、十年も前に戻るような動きがあるというふうに聞いておりますので申し上げたわけでありますが、ぜひひとついまの御答弁のように、人事院制度が設立をされた趣旨なり、公務員全体の生活を守っていくという基本に立って、しかも公務能率を高めていくという基本にのっとって閣議の決定をしていただきたい、こういうことを強く要請をいたしておきます。  と同時に、確かに特別職等の作業に手間取るわけでございますけれども、時期を早めて、臨時国会の当初といいますか、なるべく早目に決定をしていただかないと、地方公務員の場合には、さらにその後に条例化という問題があるわけでございますから、ぜひひとつそういう形で給与法審議に応ぜられるような状態にしていただくことを、総務長官に特に強く要請をいたしておきたいと思います。
  20. 植木光教

    植木国務大臣 ただいまの御趣旨に沿いまして、最善の努力をいたします。
  21. 小川省吾

    小川(省)委員 総務長官お忙しいようでございますから結構でございます。それから人事院総裁も結構でございます。  まだ自治大臣がお見えになりませんから、自治省に先ほどの週休二日制の問題についてお伺いいたします。  公務員部長だろうと思うのですが、制度として週休二日制というのが確定をした場合には、これはすべての職員に適用されなければならないことは当然であります。病院であるとか福祉施設であるとかあるいは現業職場等は、いま週休二日制をとり得るような現状には定員の面等からないわけでございます。このことは自治省十分承知しておられると思うのであります。定員の削減の計画があるとか、週休二日制実施に当たってのいわゆる人員をどう充足をしていくかというふうな点を含めて、当然自治体でも、先ほどの線のような五十一年度実施、五十一年一月からトライアルというふうな形で入っていくような通達を出していく、そういう指導方針で臨むつもりなのかどうか、この点についてどう進め、どう取り組んでいかれようとするのか、自治省考え方伺いたいと思います。
  22. 植弘親民

    植弘説明員 週休二日制の問題でありますが、基本的には国家公務員の扱いに準じて処理するというのが基本的な考え方でございます。  ただいま人事院総裁から国家公務員についての週休二日制の取り組み方についてのお考え方が示されましたが、私どもといたしましては、国家公務員人事院を中心といたしまして各省庁どのような考え方で進めていくか、その状況を十分見ながら対処していきたいと思っております。  ところで問題は、国家公務員地方公務員とは、本質的には先ほど申し上げましたように準じてやっていくわけでありますけれども、やはり国民生活に最も密着した地方団体でございますから、その地域における状況といったようなものも十分に考慮しなければならないと思います。したがって、先ほど人事院総裁がおっしゃいました指導基準といいましょうか、そういったものがどういうような形で地方の方に適用されるのか、いまのような財政事情等もございますから、定員の増加というものは非常に慎重に考えなければならないと思っておりますし、そこらのところを考えながら、国家公務員の動きを見つつ研究してまいりたいと思っております。
  23. 小川省吾

    小川(省)委員 どうも週休二日制を実施をする際の人員の充足状況、週休二日制がとれるような人員をどう配置をするかという考え方よりも、いわば行政局よりも財政局の方における、いわゆる人件費は地方財政危機、硬直化の主要な原因だという説に押されてしまって、公務員の本来の健康管理をし、士気、能率を高めていくために、少なくとも近代的な国家にやっていくための週休二日制というものが、現在の財政危機の状態から非常に軽く扱われておって、どうも週休二日というのが、私は、トライアルの時期もあるいは実施段階の時期も、恐らくぎくしゃくぎくしゃくしていくのではないかというふうな感じを持っていますが、行政局内部では、そういう問題等について討議をして、当然国が実施になったならば、そのいろいろな調整もあるでしょう、調節もあるだろうけれども週休二日を全自治体に施行させていこうという確固たる決意に立っているのかどうか、重ねてお尋ねをいたします。
  24. 植弘親民

    植弘説明員 御指摘のように、全職種について一律に実施するということにつきましては、実施段階では相当慎重に考慮しなければならない各種の要素があると思います。したがいまして、国家公務員に行われます場合におきましては、基本的に公務員という立場で、勤務条件は国家公務員と均衡をとるという立場をとっておりますから、国家公務員との関係において著しく不均衡を生じないように努力をしたいと思っております。
  25. 小川省吾

    小川(省)委員 自治大臣お尋ねをしていこうと思ったのですが、自治大臣がおくれておりますから、後ほど自治大臣にお伺いをすることにして、進めたいと思います。  私は、七月四日、通常国会の言うなれば最終日に、委員会での質問に立ちまして、当然四月一日からの引き上げ実施給与改定という前提に立って質問をしたわけでございますが、地方の税収減だとか、あるいは交付税の総額の確保であるとか、あるいは給与改定の財源手当ての問題、責任を持ってやっていくんだというふうな御答弁を松浦財政局長からいただきました。私は当然、財政局長の答弁を得ているわけでありますから、余り心配はしないつもりでありますけれども、深刻な財政状況の中で、やはり一抹の危惧の念を抱かざるを得ない現状にあるわけでございますので、その点について伺っていきたいと思うのであります。  非常に自治省なりあるいはまた政府が、深刻な財政危機に対応する努力をしておられることについては、私も承知をいたしておるわけでございますけれども、現在の窮状打開のための策がどうしても必要なんではないかというふうに実は思っておるわけであります。  当面の財源対策として、交付税総額の確保の問題であるとか、地方税収減が大体どの程度になっておるのか、先月の末あたりに発表なされているようでありますけれども、それに伴う補てんすべき財源の特別措置をどういうぐあいにやっていくのか、具体的に伺いたいと思うのであります。  総需要抑制下でかなりの公共事業がセレクトされて、必要不可欠の事業のみが現在公共事業として取り上げられておるわけでありますけれども、これが完全消化を図るための財源手当ての問題が、かなり地方自治体では深刻な問題になっているわけであります。地方債の枠の拡大でありますとか、あるいはまた充当率の引き上げの問題でありますとか、適切な強力な財源措置を講じていかなければならないし、何としても講じてもらいたいと思うのでありますけれども、そういう点についてはどうなのか。また、給与改定の経費について、九%の財源を保留をしてあるので、後は経費の節減で大丈夫なんだというふうな言い方も一部では伺うわけでありますけれども、実際には保留をした財源も、全体的な税収減の中で、かなり窮屈な状態に追い込まれているのは事実でありますから、そういう中で、人事院勧告完全実施もできるんだというふうな指導だけでは、財源手当ての問題を十分にやらなければ、自治体は大変であろうと思っているわけであります。そういう点についての七月四日の答弁での、地方自治体に心配をかけないし、手当てをやっていただくということでございますが、特に現下の状況に照らし合わせてみて、どのようにとらえ、どのように指導をし、どのように自治体に対して地方財政対策について対処されようというのか、財政局長に伺いたいと思います。
  26. 松浦功

    ○松浦説明員 本年度の国税の予算計上額からの減収、これがどの程度になるか、この点については、私どもでは明確にならないわけでございます。いずれ補正予算等の編成の段階でこれが明白になると思いますが、少なくとも現在の段階では、相当大きな穴が交付税にもあくだろうと思っております。さらに、御指摘がございましたように、法人税を中心とする地方税にも欠陥が起こるだろうということは、既定の事実とお考えいただいて間違いないと思っております。  この穴の問題につきましては、毎回大臣からお答えを申し上げておりますように、地方財政計画というものは、地方団体に財源を保障するための全国的な見積もりでございます。これは不用なものが歳出にございますれば別でございますが、そうでない限りは、歳入に穴があくということになれば、地方財政の運営はできなくなると私どもは考えております。したがって、この穴埋めについては、大臣も毎回お答えを申し上げておりますように、どういう形にするか、これはいろいろ問題があろうかと思いますが、地方財政の運営に支障がこないように、関係省とよく折衝をいたしまして措置をいたしたい、これが現在の考え方でございます。もう少し詳しく申し上げられるとよろしいのでございますが、これから大蔵省といろいろ折衝をしていく過程でもございます。その辺のところをお含みおきをいただいて、お許しをいただきたいと思います。  給与改定の財源につきましては、お説のように、財政計画には九%を計上いたしております。したがって、人事院勧告が九%を超えるという形になりますれば、超えた部分だけは地方財政計画における財源措置が不足するということになります。これにつきましては、現在の財政計画の中に当然積み上げるということが前提だと思いますが、先ほど御指摘がございましたように、国においても閣議決定がすでになされておりますが、大幅な経費の節減を行います。そういうやり方は当然、地方財政計画の中でもとらざるを得まい。さらには一部、具体的なことは申し上げませんが、財政計画上よけいなものを積み込んだ形になっている部分がございます。そういったところを財政計画の中で全部修正という形で精算をいたします。それでなおかついまの規模がふくらむということでございますれば、当然、それだけの財源を大蔵当局に要求をするということになろうと思います。あるいは逆に、改定率が少ないために内部のやりくりで足りるということになれば、その分だけは減額をする、こういうことになろうかと思っております。これはいままでのやり方と全く同じやり方でございます。むしろ私ども地方公共団体に申し上げておりますのは、そういう形で新規財源が積み上げられる可能性がどうも少なそうだ、だから現ナマが行くということは余り当てにしないでほしいということは、現実の運営の問題としてあらかじめ申し上げた方がいいと思って、財政課長等が地方課長財政課長会議で申し上げていることは否定をいたしません。決してごまかしをするということではございません。きちっと計算をいたしますると、プラスになるかマイナスになるか現在の段階ではわからないというのが実情でございます。  なお、もう一つ御指摘をいただきました公共事業費の財源の問題でございます。これはいまの財政計画の中できちっと財源を見ておるわけでございますので、これについて新規の財源措置をするという考え方は現在のところ持っておりません。
  27. 小川省吾

    小川(省)委員 大蔵との折衝の中で微妙な点もあるようでありますから、いずれにしても自治体財政の総元締めであります財政局はいまの御趣旨のような線で、自治体の財政運営というか、業務の執行に支障のないような形でぜひ引き続き努力をしてもらいたいということを強く要請しておきます。  そこで、大臣がお見えになりましたから一言だけお尋ねをいたしたいわけであります。  先ほど総務長官から、人事院勧告が出た場合には完全実施の線に沿って給与関係閣僚会議なり閣議決定の線、そしてさらに給与法早期提出についても努力をするという力強い答弁もいただきました。そこで、あなたは給与関係閣僚会議の中で、二百八十五万の地方公務員とその家族を抱えた有力な実力ある大臣でありますから、公務員生活を守るという観点でぜひひとつお伺いいたしたいのでありますが、私たちが非常に長い間努力と日子を積み重ねて、人事院勧告というのは四月遡及、完全実施という形に実はなってきたわけであります。ところが、巷間一部には、財政問題から給与改定完全実施は無理だとか困難だというふうなうわさが流布をされている面もあるわけであります。  そこで、私は、この二十何年間かの完全実施に踏み切ってきた歴史を振り返りながら、政府も当然そういう線で努力をいたしたわけでありますからお尋ねをいたしたいわけでありますが、独立採算が本来たてまえであるところの三公社現業、わけても国鉄のような大幅赤字を抱えたところが四月実施をやったわけでありますから、本家の公務員はおくらせて実施をしていいというわけは、これは私は許されることではないというふうに思っているわけであります。さらに一説には、ボーナスにはね返らせないために七月から実施だなんていう説も実際に流れているわけでありますから、給与関係閣僚会議を開いてみました場合には、福田さんの発言は、給与関係閣僚会議コンセンサスなりあるいは閣議決定の最も有力な発言だろうというように思っているわけでありますから、特にそういう点では、いわゆる完全実施にならないような、足を引っ張るような発言はなさらないというように思っていますが、あえてくどくお伺いをいたしたいわけでありますが、総務長官と同じように、ぜひひとつ完全実施にするための発言をしていただきたい。足を引っ張るような発言などないように、その点については慎重にしていただいて、完全実施をするような態度で閣僚会議なり閣議の決定に持ち込めるような状態をぜひ要請をしたい、お約束をしていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  28. 福田一

    福田(一)国務大臣 人事院勧告の問題につきましては、実はきょうの閣議においても、ちょっとそのようなことを私、発言をしておいたわけですが、やはりいま御主張のあったような完全実施という方向で努力をいたしたいと思います。しかし、どうするかは閣僚会議で決まり、閣議で決まることでありますから、いま閣僚の一員としてこういたしますという御返事はいたしかねますけれども、従来から順次四月に繰り上げて実施するように努力をしてきた経緯を見ても、非常に苦しい財政状況であっても、できるだけこれは実現をすべきではないかというのが私のいまの考えでありますけれども、しかし、閣議がどう決まるかということは、みんなで集まった上でなければわかりません。したがって、逃げ口上ではありませんけれども、閣議の決定には従わなければならない、こういうことであります。
  29. 小川省吾

    小川(省)委員 いいですか、現在のその心境のまま貫いていただいて、大蔵のおかしな圧力に屈することなく、ひとつ二百九十万とその後ろにある家族のためにも、ぜひその態度を貫いていただくことを特に要請をいたしておきたいと思います。  行政局長はいないようですから公務員部長に聞きますが、あなたは印丸保子さんという女性を知っていますか。
  30. 植弘親民

    植弘説明員 存じております。
  31. 小川省吾

    小川(省)委員 そこで、存じておられるようですからお伺いをしたいのですが、井手係長は何日から何日まで公務出張命令をもらって熊本へ出張したのですか。
  32. 植弘親民

    植弘説明員 何日から何日までは正確に覚えておりませんが、新聞報道等から承知いたしておるところによりますと、熊本に出張したのは六日間の命令が出たように承知いたしております。
  33. 小川省吾

    小川(省)委員 公務員部長という職は私は知りませんけれども地方自治体の職員についてはいろいろな意味で統制をし、綱紀の粛正なり、そういうことについても責任を持つけれども自治省内部の職員については、公務員部長というのはそういう職責にはありませんか。
  34. 植弘親民

    植弘説明員 いま先生御指摘のとおりでありまして、地方団体の職員につきましてはいろいろと地公法に基づいての厳正な服務について、いわゆる必要な指導助言をいたしますが、自治省職員につきましては、大臣ですか、官房長ですか、私は国家公務員の方は余り知りませんのでまことに申しわけありませんが……。
  35. 小川省吾

    小川(省)委員 まあいいです。局長も見えてないし、官房長もまた私呼ばなかったので、植弘さんに、公務員部長ということで当然地公法のそういう全体を取り仕切るわけですから、自治省内部にあなた責任はないけれども、当然同じように国の公務員であればそうなければならぬ、特に自治省の役人であればそうなければならぬということはわかっておるのですから、あえてお尋ねをいたしてまいりたいと思います。  すると、その出張命令が出たのは何か十四日から十九日までというふうに聞いているけれども、五月十六日の次官通達の出た後ですね。どうですか。
  36. 植弘親民

    植弘説明員 後だと思います。
  37. 小川省吾

    小川(省)委員 そしてこれは七月ですね。それで十七日には博多で印丸保子さんと落ち合っているのですね。すると十四、十五、十六の二泊三日なり、往復の時間がありますから、せめて三泊四日の出張命令で当然私は——私も地方庁の役人だった生活も持っているわけですから、当然三泊四日の出張命令でもよかったはずだと思うのであります。いま地方自治体では、その次官通達が出た以降は、出張旅費などは強い規制を受けておりまして、一泊でできるところも日帰り、関東地方の自治体でも、新幹線があるから大阪まで日帰りの出張命令を切っているのが実態であります。そういう次官通達を出している本家本元である自治省が、二泊三日なり三泊四日で仕事が終わって、あとは愛人とデートだというふうな出張命令を切るような態度というのは、どうしても理解ができない。そんな、財政窮迫の折から自治省だけがその影響を受けていないというようなゆとりのある状態ではないと思うのだけれども、こういうときに五泊六日ぐらいの出張命令を切れるような、財政的に自治省というのはゆとりがあるのですか。
  38. 植弘親民

    植弘説明員 まことに答弁しにくうございますが、出張命令は旅行命令権者が出すものでございますから、当然その出張につきましても用務に必要な日数についての出張命令を出されたものと思います。それが何かの事情で早く終わったということではないかと思うのであります。  決して自治省も、私ども立場から考えてみましても、そんなに旅費に余裕があるとは思われません。いわば予期しないことが起こったということだと思います。しかし、いずれにいたしましても、先生のおっしゃいます通達なり、通達で仮にないといたしましても、公務員が職務を遂行するに当たりましては、十分住民なり国民の負託にこたえるという基本的態度がございますから、そういうものに照らして、適当でない部分は適当でないというふうにはっきりと処断すべきものであるということで、大臣からも厳しい服務規律の指示があったわけでございます。
  39. 小川省吾

    小川(省)委員 二十六日にこれに関連をする処分が出たことは承知をいたしております。私はそのことをもって終わりとするのではなくて、少なくとも、地方自治体にあんな厳しい合理化通達を出しておる本家本元の自治省に、こんなことが通達を出した以降にまかり通っている自治省の姿勢に問題があるのですよ。ですから私はただしたいと思うのですけれどもね。  出張命令の期限の中で愛人と一泊旅行ができるような、ずさんな、でたらめな出張命令が出ているわけだけれども、そのくらいの、実は妻以外の愛人と一泊旅行もできるような日程を組むというのは、自治省のいわば温情ある命令なんですか、どうなんですか。
  40. 植弘親民

    植弘説明員 私は、当然旅行命令権者は、必要にして十分な日数によって命令を出したものと思っております。
  41. 小川省吾

    小川(省)委員 ということは、もうやめていったからいいけれども、本人が悪いんだというふうなことだと思うのだけれども、私はそういうのがいわゆる役所全体の、省全体の空気の中にあること自体が問題だと思う。そうでなければ、あんな通達を三千三百の地方自治体にどの面をして出せるのか、私はその態度がおかしいと思う。これは自治省全体の空気だと思うのですよね。当然自治省の中でも、私は、あの地方自治体に出したような通達と同じようなことが出されていなければおかしいというふうに思うのですが。第一、自治体に示しがつかないじゃないですか。二十六日の処分で事は終わりじゃないのですよ。そういう点については大臣いかがですか。
  42. 福田一

    福田(一)国務大臣 御指摘の事件につきましては、まことに自治省としては遺憾であると思っております。したがって、従来にもないような厳重な処分を直ちに実行いたしたわけでありまして、事務次官以下に注意もし、さらにまた関係者の処分もいたしたわけであります。  そういう意味合いにおいて、通達との関係において何か弛緩したものが自治省内にあるのではないかということでございますが、私としてはそういうものが全体としてあるとは思いませんけれども、こういうことが起きたことによって、そういう一つの疑いを抱かしたことについてはまことに責任があると考えておる次第でございます。しかし、処分としてはもう徹底した処分を行ったつもりでございまして、まことに申しわけないことであったと私は考えておる次第であります。
  43. 小川省吾

    小川(省)委員 財政局長に伺いますが、次官通達は財政局が出した通達ですから、どうなんですか、ああいう通達を出しておって、自治省内でああいう状態が起こって、財政局長はまるっきり顔へどろ水をはねかけられたような感じを持っていると思うのだけれども、局長自体のあの問題についての見解はいかがですか。
  44. 松浦功

    ○松浦説明員 ただいま大臣からお答えを申し上げたところと、私も考えていることは同じでございます。全く残念なことだ、絶対に今後ああいうようなことが起こらないように、事務次官以下心を引き締めて事に当たる、これは当然のことであろうと考えております。
  45. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ、当然なことを当然なように今後お願いしたいと思うのであります。  今月十五日に、自治省は各県の人事委員会の事務局長や地方課長会議を持つというふうに新聞報道で見ております。最近の自治省は、いまのことじゃないけれども、どうも常軌を逸したような指導をやられることが多いわけなんですよね。だから、常軌を逸するのが出ることは無理もないのですよ。大体自治省が常軌を逸したような指導をときどきやっているわけですから。  私は従来も委員会の中でたびたび指摘をしてきましたけれども公務員給与というのは戦後三十年の変遷を経て現在に来ているわけであります。現行の給料表が適用になったのもこれは昭和三十二年でありますから、すでに十八年の日子を経過をいたしておるわけであります。急に外科手術をしてみたところで、あるいは絶食療法をさせてみたところで、患者である自治体というのは気持ちを暗くしてみたりあるいは重くしてみたり、衰弱をしていく以外の何物でもないわけであります。十年かかったものは十年、二十年かかったものは二十年というような形で、いわば何といいますか、食餌療法みたいな形で治していかなければ、自治体というのは健全にはなってまいりません。地方自治体の外科手術で地方自治を抹殺しては元も子もないわけでありますから、私は、そういう点を口を酸っぱくして委員会の中では言い続けてきたつもりでおります。何かこの十五日の会議の中ではやはり調整改定をやれとかなんとかというふうな指導をやる会議だというふうな話も聞いているわけだけれども地方の自主性を損なうような、自律性を認めないようなあるいは自治権に介入するような、労使問題に不当介入をさせるような、人事委員会設立の趣旨にもとるようなあるいはまた人事院勧告そのものすら否定をしていくような指導はしてほしくないと思うし、やるべきではないというふうに思っているわけであります。そういうふうな指導をこの十五日の会議ではするのではないというお約束をいただきたいわけであります。常軌を逸したような指導をやる方はだれだかわかりませんが、だれが答弁なさるかわからぬけれども、この十五日の会議の件についてひとつお答えをいただきたいと思うのであります。  私は、たまたま地方制度調査会の委員をいたしておるわけであります。答申原案には反対という立場でいろいろな意見を申し上げてまいりました。そして、いわば少数意見という形での原案に対する反対の意見があったわけでありますけれども、これは調査会の会長から口頭で総理にも当然言うという約束でもあったわけであります。ところが、何か十五日の会議調査会の答申に沿ってやるんだというふうなことなども新聞などでも言われているようでありますが、自治省地方自治法の番人でありますから、いわゆる民主的な議会制度の中では少数意見というものは当然尊重されなければならないというのを、自治省の幹部はいろいろな地方議会の指導等に行ってもやっておられるわけでありますから、当然地方制度調査会の答申の文言にあらわれなかった少数意見というものを尊重されなければならぬ。そういう意味で、私は常軌を逸した指導がやられてはならぬというふうに実は思っているわけでありますが、少数意見等についてはどう受けとめていらっしゃるのか知りませんけれども、十五日の会議についてどう指導なさるのか、また常軌を逸したような指導はしないという約束をいただけるのかどうか、お答えをいただきたいと思う。
  46. 植弘親民

    植弘説明員 先ほど先生から人事院総裁に対しまして、五十年度勧告お話ございましたが、先ほどのお話でも、十三か十四日に勧告をしたいという総裁のお言葉でございました。勧告が行われました場合においては、これを受けて、地方団体の方でどのように給与改定をやっていくかという問題が大きな日程になってまいるわけであります。したがいましてその勧告の行われました後、十五日に、いま先生の御指摘のような諸会議を持って意見の交換を行いたい、こういうことでございます。  今回の人事委員会会議につきましても、文言も意見交換ということを主体にいたしてございます。したがいまして私どもは、人事委員会が新しい地方公務員制度の中において設けられた趣旨というものは、先生の御指摘のとおり心得ているつもりでございます。したがって、中央の立場から個別的にいろいろと干渉するといったような気持ちは毛頭ございません。ただ、現在における給与管理というものがどのような実態にあるのか、ないしはこの給与というものを取り巻く行政、地方行政なり地方財政の環境はどのようにあるのか、こういったことも御説明をし、また地方からも私どもに対して御意見もございましょうから、そういうものを忌憚なく意見交換をして、給与管理行政というのが地公法の精神に従って適切に行われるようにというつもりで会議を開くつもりでございます。したがいまして、いま先生御指摘のように個別的に何か強制するとかいったような考え方を持っているものじゃございません。
  47. 小川省吾

    小川(省)委員 人柄もよく承知をしている植弘さんですから、その辺のところはぜひひとつ地方自治権の侵害にならぬような指導をお願いしたいと思います。  大蔵省見えていますね。藤井主計官にお尋ねをいたします。  大蔵省では、財政の窮迫の状況というか歳入欠陥に関連をして、人事院勧告——先ほど総理府総務長官あるいはまた福田自治大臣からお答えをいただいたのですからいいのですが、大蔵省筋から出てくるのですけれども、どうも人勧完全実施は困難だなどというPRを実は盛んにしているのですね。大蔵省筋からであります。  そこで、先ほどもくどく申し上げたように、公共企業体が四月でよくて、公務員が四月ではいけないなどということは許されてよいはずはありません。そこで私は本会議でも指摘をしたわけでありますが、やはり何といっても国の不況の見通しの甘さというか、とうに早く不況対策をやれやれと言っているけれども不況対策のおくれに起因することがかなり多いというふうに思っております。四月段階では大蔵は、歳入欠陥が一兆円だなどと言いながら、いまや三兆円だなどということも言っているわけですね。国の場合はそうでありますが、地方自治体の場合には、加えるに自治体自体の税収減があります。当然国の歳入欠陥に伴うところの交付税の落ち込みもあるわけですね。そこで、給与改定財源の捻出方法にも非常に苦慮をいたしておるわけであります。  そういう点で私はお尋ねをしたいのですが、歳入欠陥の現時点の状況であるとか、地方財政と国税の歳入欠陥に伴うところの交付税の落ち込みの状況であるとか、これに対する対処の仕方といいますか、大蔵省の考え方について一言ただしておきたいと思います。
  48. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 どうも直接のお答えにならぬと思いますが、おっしゃるとおり国税が相当多額な減収になることはまず間違いないと思います。したがいまして、たてまえからいって、交付税の特会への繰り入れということも減るということも、これは間違いないと思います。それからまた、お話しの地方税の減収、これも一いまの経済情勢から言えば、相当多額な減収になろうかと思います。それをどうするのだ。またもう一つ、歳出要因といたしまして公務員給与の問題が、これは追加財政需要として出てくる、これも事実でございます。それらをひっくるめてどうするのかという御指摘であろうと思いますが、大蔵省といたしましては、初めに申し上げましたように、この地方交付税の落ち込みがどのくらいになるか、地方税収の落ち込みがどのくらいになるかというようなあたり、また人事院勧告がどういうふうになるかというふうな事態がはっきりいたしておりませんので、まずそこいらの数字を見きわめていくということが第一であろうと思います。それを見きわめた上で、現在のこの経済情勢において地方財政計画上歳出はどういうふうに持っていくのか、あるいは歳入の中にも、地方財政計画で見たものよりもふえるものもあろうかと思います。いま申し上げたように、減るものももちろんございますが、ふえるものもあろうかと思いますが、そこいらの歳入歳出全体をよく見きわめて、その上で、要は、先ほど財政局長の答弁にもありましたように、地方財政の適正な運営をやるということでございますから、そういうものを見きわめた上で、適正な地方財政の運営ができるにはどうするかというようなことを、具体的にこれから自治省と御相談申し上げたいということでございます。
  49. 小川省吾

    小川(省)委員 この点に関連をして、山田委員から一言関連質問をお許しをいただきたいと思います。
  50. 大西正男

    大西委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。山田芳治君。
  51. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 国税については、非常にいろいろなことが減収で言われています。たとえば、当初は一兆七千億ぐらいではないか、そのうちに二兆円を超える、最近では大蔵大臣が三兆四千億ではないかとさえ言うておるわけであります。そこで私が聞きたいのは、税務局長さんと財政局長さんに伺いたいのですけれども、大体国税と地方税とのバランスといいますか、仕組みは二対一であります。本年は地方税総収入八兆八千億でありますから、国が三兆四千億ぐらい落ち込むならば、その半分の一兆七千億。この間、新聞等によると、府県税だけでは六千八百億ないしは七千億程度ではないかというような発表も見たわけでありますが、一体減収はどのぐらいになるのか。国税の中においては、財政審議会に至っては、五十五年の先までこのぐらいだなどということを発表をしている。地方税についてはさっぱりそれが出ていない。その点についての減収の見込みは一体どうなるのかということについての、それぞれの徴税実績等は税務局においてとっておられるはずでありますから、それが一体どうなっているかということを、ひとつこの際はっきりしていただきたいというのが一点。  それから第二点は、交付税がもう算定をされているはずであります。その場合、交付税には基準財政収入というものが計算されているけれども、恐らくこれは、いまの減収との関連において、税目ごとにも非常に不完全な推定のもとに出された交付税計算であるというふうに思うので、これは大幅に再算定をせざるを得ない。そういう場合に九%の給与改定財源というものが、たとえば一三%ないし一四%になるかどうかわかりませんけれども、その程度給与勧告があった場合、いまの話ですと、非常に節減等をかけて、余り現実の金は出ないぞ、こういうような財政局長さんのお話であるわけでありますけれども、税収の算定が一体どういうふうになるかによって現実に交付税総額というものが動いてくるべきものだというふうに思うのですが、そこらあたりの関係、それから市町村と府県における基準財政収入の見通しについて、一体現実に交付税で現在算定をされておる——これは仮算定であろうと思います、伸びておらないのでありますから。だから、そういう問題と、府県と市町村の税収の現実、実態というものと、交付税計算、それから再算定の関連について、もし現段階においてわかっている点があれば、これをひとつ明確にしていただきたい。いずれ給与勧告等があった場合においてそういう点も明確になるであろうと思いますけれども、現段階におけるわかっている点について、この際ひとつ明確にしていただければ幸いです。
  52. 首藤堯

    ○首藤説明員 本年度の税収の見込みでございますが、これは、ただいまの状況が景気の落ち込みのために非常に悪いということは事実でございます。年度中を通しましてどの程度の減収になるのか、これは御案内のように、九月期決算等の状況も見ないと的確なことはわからないわけでありまして、したがいまして、国の方も、あるいは一兆と言い、二兆と言い、三兆と言いといったように、いろいろな条件を前提に置きながらいろいろな計算、試算をされておるようでありますが、地方税の方でただいま私どもがつかんでおります状況では、法人関係でやはり大きな決算期であります三月決算期、これを調定いたします五月末調定の状況、これをつかんでおるわけでありますが、府県税におきましては、法人関係のこの調定率が、平均をいたしますと大体前年同期の八〇%、二割減でございます。前年同期の二割ほど法人関係税が落ち込みを見ておる、これが九月期に向かってどうなってくるか、これが問題だろうと思います。  それから、法人関係ではそのような大きな減がございますが、他の税収におきましては若干ずつでこぼこがございまして、全税収を総合して申し上げますと、九月末現在の府県税では前年同期の九一%程度、こういった状況でございます。したがいまして、府県税全部で七千億近くになりはせぬかといったようなことは、そのままの徴収率が続くとすればそんな程度ではないかという、一つの単純な推定でございます。また、法人関係税がこのように二割減という状況で全部続くとすれば、法人事業税それから法人住民税、これは市町村分も入れてですけれども、もし八割額のまま推移をすれば、これもまた、法人関係税は、府県分、市町村分を合わせてまあ八千億前後、こういったものの減収が立つのではなかろうかと思いますが、いずれにいたしましても、これは今後の推移を見ないと的確な数字は出ないわけでございます。  それから、先ほど御指摘がございました国税と地方税の比率が二対一だから減収もほぼそうならないかということでございます。原則的にはそのとおりでございますが、若干違います点は、住民税の個人分でございますが、これは先生御案内のように前年所得課税でございます。これには大きな見込み違いは余り出てこないわけでございます。そういった要素をのけますならば、やはり国税と同じようなテンポで地方税も減収が立つ、これについて、補てんの措置を講ずる必要がある、このように私ども考えております。
  53. 松浦功

    ○松浦説明員 ただいま交付税の算定についてのお尋ねがございましたが、今度の算定におきまするそれぞれ基準収入の積み込み方は、財政計画に計上いたしましたものを基礎にして当然計上いたしておるわけでございます。したがいまして、ただいまの税務局長の御発言のとおり、穴があくとすれば非常に過大な見積もりをしたという形になろうかと思うのでございます。これをあとどうするかという問題、これはきわめてむずかしい問題でございますが、交付税自体に穴があいて、相当多額のものをどうするか、これは大蔵省もそう簡単には応じないと思いますので、それの穴埋めに大変な苦労が要る上に、基準収入を現実に落とすという形にいたしますると、さらに、先生御指摘のように交付税を上積みしなければならない、それだけのことがいまの日本経済の状況でできるかどうかという判断一つあるわけでございます。そこいらのことを頭に置きながら、一つの方法としては法人等のきちんとした税についてはこれを地方債で穴埋めをする、そしてその地方債の償還について将来交付税に算入するという形をとれば、これは理論的には同じになるわけでございます。そういったような方向で、足りない部分を実質的には何年かの延べ払いという形にしていくという形でもとらないと、本年度財政計画自体の編成が困難になるだろうし、さらにはもう来年にはどうにも交付税の仕組みというものが立ち行かなくなる、こういう事態も考えられます。  ただいま申し上げたのは単なる私の一つの腹案として、せっかくのお尋ねでございましたから申し上げたのでございまして、省としての方針が決まっているわけではございませんし、これ自体については大蔵省と相当激しいやりとりを行わなきゃならない問題だと思っておりますが、いずれにいたしましても、地方公共団体に起債で穴埋めをしょうが交付税で配ろうが、実質的に後で地方団体の負担にならないような形をとる、これであれば結論は、計数的には同じことでございます。何かそういうことを考えないとこの事態は乗り切れないのではなかろうかという気持ちを持っております。それ以上の問題は、交付税がどのぐらい穴があいてくるのか、地方税がどのくらい穴があいてくるのか、そういったものとの関連もございますし、大蔵省がどれだけ御理解を示してくれるかということにも関連をする問題でございますので、この段階ではひとつこれ以上の御説明は御容赦をいただきたい、こう思います。
  54. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 その内容はよくわかりますが、地方団体も最近非常に厳しい自己規制というか、それをやっていることは、それぞれいろいろやり方は違うでしょうけれどもやっておるわけであります。で、問題はいま言いましたように、法人税がやはり九月の決算を見ないとわからない、これは大体十一月、最近は決算が若干延びておりますから、ちょっと時間がかかるわけでありますが、そうしますと、最終的な本年度の交付税についてどうするかという問題は、やはり十二月なり何なりの段階にならざるを得ないというふうに考えられるわけですが、補正予算との間において、いまのように見込みが非常に立たないということになると、補正予算が十一月の下旬なり何なりに出てくる段階で果たしてそういうものがわかるのかどうか。そこらあたりをひとつ作業の見込みをどう判断されているか、御答弁をいただきたいと思います。
  55. 松浦功

    ○松浦説明員 考え方としては、国が補正予算をお立てになる場合には、所得税でどれだけ穴があくか、法人税でどれだけ穴があくかということは必ず予算面上はっきりせざるを得ないわけです。そういたしますと、地方の法人系統の税金も当然これにつながっておるわけでございます。国と同じ算定基礎で計上いたしておりますから、国の改めておやりになる算定方法に従って落とす、そしてその率でそれぞれ精算をしていく、こういう考え方になるかと思います。なお、所得税とは関連ございません。税務局長からお答え申し上げましたように、四十九年度の分を基礎にして地方はやっておりますので。これ自体はそう大きな食い違いがないと思っております。問題は法人であろうかと思います。やはり国が補正予算をお立てになる際に実質的には地方財政計画の修正というものを行って、それに基づいて交付税の再算定をやる、これは当然のことではなかろうか。国がもし十一月におやりになれば、十二月まで待つというわけにはいかないのではないかと思っております。
  56. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 もう結構なんですが、お願いしておきたいのは、従来地方財政計画についてはいわゆる修正というものがきわめてあいまいであったこと、当委員会等には出されている資料があったわけですが、今回は非常に問題がありますので、そういう点の修正なり何なりはひとつ明確にお出しいただくということをお願いして、私の関連質問を終わります。
  57. 小川省吾

    小川(省)委員 最後に一言だけお伺いをいたしておきたいのですが、地方自治体の中で最も財政的に苦しいのは、地方公営企業に関連をするわけであります。余り内容に触れるつもりはありませんから、簡単に一言だけお答えをいただきたいと思うのであります。運輸省と自治省に一言ずつお答えをいただきたいと思います。  ことしの四月十六日の当委員会で山田委員から、五月二十二日に井岡委員から、六月二十六日に参議院の地方行政委員会和田静夫委員から、地方公営企業問題の中で特に地下高速鉄道の建設費、いわゆる地下鉄に対する助成の問題と大規模改良工事に対する補助の問題、あるいは地方鉄道軌道整備法に基づく路面軌道の欠損補助の問題、あるいは新住宅地バス路線運行補助等の問題が具体的に討議をされたわけであります。私もきのう実は会議録を読ませていただいたわけでありますが、内容については、詳細に質疑をされているわけですから、触れません。  当時、運輸省の民営鉄道部長と自治省の山本審議官から、五十一年度の予算要求に当たって見直しをいたします、努力をするという答弁をそれぞれいただいているわけであります。何か最近になってまいりますと、ちょうど来年度予算の編成期に入ってくるわけでありますが、財政危機の状態からかもしれませんけれども、どうも雲行きがおかしい状況になっているようであります。特に、ついこの間の国会の中で三回にわたって三人の委員からそれぞれ質疑が行われて、責任ある運輸省の民鉄部長なりあるいは自治省審議官から、そういう形で五十一年度予算編成に当たっては見直しをいたしますし、努力もしますという答弁をいただいたわけでありますから、これを再確認をする意味で四月十六日の質疑応答、あるいは五月二十二日における井岡委員の質疑応答、六月二十六日の参議院における質疑応答について、その考え方に従って予算編成に当たっては努力をしていくんだという点の確認で結構でございますから、運輸省並びに自治省の方から一言ずつお答えをいただきたいと思うのであります。
  58. 中村徹

    中村(徹)説明員 ただいま先生からお話のございましたように、私どもの民営鉄道部長が御答弁いたしました考え方に従いまして、五十一年度予算編成に当たって検討はいたしておるわけでございます。ただいま検討中でございますが、ただごく最近の状況といたしまして、予算要求の枠を前年度一五%増の枠内におさめるという閣議了解がございますので、そういう意味で非常に厚い壁にぶつかっておるという事実は確かにございます。  それから、地下鉄の補助につきましては、現行の補助制度のもとにおきまして、補助金額といたしましては前年度に比較いたしまして大幅な増加を要求いたしたい、要求いたさねばならないということで、補助金額につきましてはただいま大変努力いたしておりますし、先ほど申しました制度の問題についてももちろん検討いたしておるわけでございますが、そういう補助金額の増加という事情もございます。そのような事情を考慮しつつ、勘案しながら、ただいま来年度予算編成について検討を行っておる。考え方は決して変わったものではございません。
  59. 石見隆三

    ○石見説明員 お答え申し上げます。  地下鉄の補助金につきましては補助率の引き上げ、あるいは先生から先ほど御指摘のございましたいわゆる大規模改良工事を補助対象として取り扱ってほしいということにつきましては、私どもといたしましてもかねがねそういうふうに非常に強く望んでおりました。運輸省に対しましてもお願いをいたしておるところでございますが、なお七月九日には、財政局長名をもちまして文書でもってもお願いしておるというふうな状況でございます。御指摘の点につきましては、引き続き運輸省の方にも十分お願いしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  60. 小川省吾

    小川(省)委員 御答弁いただいたように財政窮迫の事情からいろいろな変化も考えられるのではないかというふうなこともちらっと触れられましたけれども、三日間の委員会の中で詳細に論議をされ、さらに努力を約束した点に沿ってぜひひとつ強い努力要請をいたしまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  61. 大西正男

    大西委員長 この際、去る四日発生した日本赤軍ゲリラ事件の概要について、警察庁当局から説明を求めます。浅沼警察庁長官
  62. 浅沼清太郎

    ○浅沼説明員 日本赤軍ゲリラ事件につきまして御報告をいたします。  まず事件の概要でございますが、八月四日午後零時五十分ごろ、これは日本時間でございまして、以下日本時間で申し上げますが、マレーシアのクアラルンプール所在の米国大使館及びスウェーデン大使館に、日本赤軍を名乗る五人のゲリラが拳銃等を使いまして乱入し、米国領事、スウェーデン臨時代理大使ら五十二人を人質にいたしまして館内に監禁し、西川純ら七人を日航機により現地に移送することを要求いたしました。  犯人らは、日本政府が要求に応じなければ人質を射殺するという緊迫した状況に立ち至りましたので、人質の人命尊重を第一義として、犯人の要求に係る者を釈放するということとされるに至ったのであります。  犯人から釈放要求のありました西川ら七人について、法務当局が意思確認を行いましたところ、五人が釈放に応じ、二人が拒否をいたしました。翌五日午前五時十九分までに西川ら五人が羽田空港に移され、その後、釈放を拒否した一人について、犯人が直接電話で再確認する等の経過を経まして、同日午後二時二十七分、西川ら五人が日航特別機に搭乗、同午後二時四十七分クアラルンプールに向けまして離陸、同日午後九時十五分クアラルンプール国際空港に着陸いたしたのであります。  クアラルンプール到着後、西川が犯人らと電話連絡をとりまして、その後、六日午前二時二十分ごろ、人質中の婦人と子供ら九人が釈放されました。  次いで、同日午後零時四十五分犯人らは米国領事、スウェーデン臨時代理大使ら十五人、内日本人一人が含まれておりますが、この十五人の人質を連れて空港に向かい、午後二時五十分ごろ日航特別機内に移ったのであります。犯人らが空港に向かった後、残りの人質二十八人は、午後一時十五分ごろまでに全員釈放されました。その後、犯人らの受け入れ国及び武装解除につきまして交渉が難航いたしましたが、リビア国より受け入れる旨の回答がなされました。その結果、西川ら五人と人質十五人の交換が行われ、新たに人質として指名された日本及びマレーシア政府関係者四人が搭乗し、日航特別機で同日午後七時十六分リビア国のトリポリに向けて離陸をいたしました。  先ほどの報道で、同機は本日午前十時過ぎトリポリ国際空港に着陸をいたしました。  第二に、警察措置でありますが、警察庁では、八月四日本事件の発生を認知いたしますとともに、午後二時十五分庁内に八・四在マレーシア米大使館占拠事件対策室を設置いたし、全国警察に対しまして関連事件並びにハイジャック等の未然防止を図るとともに、内外要人、重要防護対象に対する警戒警備の強化を指示いたしました。  その後、事態の推移に伴い、釈放要求がなされました西川らの収監されている東京拘置所及び宮城刑務所に対する警備を強化し、釈放することとなりました五人の者を羽田空港に移送するに当たりましては、沿道各都県警察において、車列及び沿道の警戒警備を徹底し、関連事案の未然防止を図ったのであります。五人の者を日航機でマレーシアに輸送するに際しましては、警視庁の警察官七人を搭乗させまして、機内における警備に当たらせました。  マレーシアにおける今回の事件につきましては、マレーシア政府当局の協力を得て捜査を進め、犯人が特定され次第、逮捕状の発付を得て国際手配に付する方針であります。  第三に、今後の対策でございますが、日本赤軍のテロ犯罪はもっぱら海外で敢行されますため、その未然防止、検挙は国際協力にまつところがきわめて大でありまするので、警察といたしましては情報の収集、手配者の逮捕、身柄引き渡し等国際協力の一層の緊密化に努め、日本赤軍の検挙、封じ込めを図りますとともに、国内における送り出し支援組織を解明し、検挙してまいる所存でございます。
  63. 大西正男

    大西委員長 以上で説明は終わりました。  質疑を続行いたします。和田貞夫君。
  64. 和田貞夫

    和田(貞)委員 いま御報告のありましたクアラルンプール、マレーシアの首都における赤軍派の占拠事件ですが、いま御報告の中で人質の人命尊重を第一義的に考えた、こういうことなんですが、捜査当局、警察当局としては、そのことはわかりますが、犯人の要求のあったすでに逮捕している犯人七人の釈放に踏み切ったことについて、その法的根拠というのは全然明らかでない。そのことが非常に疑問視されておりますし、今後これらの事件の再発を防止するために、あるいはこの前の一連の企業爆破事件に見られるようなああいう凶悪な犯罪を未然に防止するために、これは国際的な問題からあるいは人質の人命尊重ということはよくわかるとしても、今後の問題として、別に法的根拠なしに釈放するというようなことに政府が踏み切ったことに対して、警察庁としてあるいは捜査当局としてそれでよかったというように思っておるのか、あるいは法的根拠の上に立って釈放したのかどうか、この点、ひとつまずお尋ねしたいのです。
  65. 三井脩

    ○三井説明員 ただいま御報告がございましたように、今回の事件の緊迫した状況と申しますか、人質が殺害される、こういうような状況の中で要求を入れるということを決定されたわけでございまして、そのことにつきましては、われわれといたしましてはせっかく逮捕し、公判に付され、あるいは服役をしておるこういう人物、こういう犯人たちが釈放されることについては大変残念でありますけれども、当該事態の中では人命尊重のためにやむを得なかったものというように考えるわけございます。  法的根拠につきましては法務省当局においていろいろお考えの末、現行法規の明文には必ずしも当たらないけれども、いわば緊急避難と申しましょうか、そういうような立場から釈放するという考え方に立って、政府において決定されたものというように理解しておるわけでございます。
  66. 和田貞夫

    和田(貞)委員 法務省は来てないらしいのですが、この法的根拠が明確でない。緊急避難だということをいま言われたのですが、捜査当局として今後禍根を残すというようなことはないのですか。
  67. 三井脩

    ○三井説明員 緊急避難と言えるかどうか別といたしまして、いわば緊急避難的な立場ということであろうというように思うわけでございます。法の執行に当たり、法秩序の維持ということが私どもの仕事でございますので、脅迫によるものでありますけれども、こういうような事態に立ち至ったということは、私たちといたしましてははなはだ残念であります。したがいましてわれわれの今後の措置といたしましては、こういうような事態を起こさないように未然防遏に努めるということが、われわれの努力目標であろうというように考えるわけでございます。
  68. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは法的根拠は明らかでないのです。法的根拠なしに釈放だとか保釈だとかいう言葉を使っていますが、せっかくつかまえた犯人の国外逃亡を政府がそのまま見逃したということでしょう。そうじゃないですか。もう明らかに脱走ですよ。逃亡ですよ。脱走、逃亡を、本来検挙し捜査しなければならない警察庁当局、捜査当局が認めた、こういうことになりやしないですか。
  69. 三井脩

    ○三井説明員 法務省当局も同様であろうと思いますけれども、法秩序の維持に当たるわれわれといたしましてはもとより本意ではないわけでありますが、当時の状況上やむを得なかったということで今回のような措置に立ち至ったということであります。
  70. 和田貞夫

    和田(貞)委員 人質の人命尊重上やむを得ないということはよくわかるわけです。わかるのだけれども、国内的あるいは国際的な法律がある、その法的な根拠に基づいて釈放さした、あるいはクアラルンプールに送ったということでなければ、これはあなたの方はこれからこういう問題について禍根を残すということになりますよ。法務省は後で、来られるらしいですが、これは警察当局としては、今後の対処の仕方ということをいま言われましたが、それでは、今後国際刑事警察機構の協力等を得てこれらの釈放した犯人あるいは現地におけるところの犯人を逮捕する、あるいはいま逃亡さした犯人を再逮捕する、こういう方針で臨まれるわけなのですか。
  71. 三井脩

    ○三井説明員 今度の事件を起こしました五人の犯人につきまして、これが日本人であります場合には日本の捜査の対象になります。外国人であればなりません。したがって、過去において行われましたいわゆる日本赤軍の外国における事件と同様これを処理してまいります。  ついでに申し述べますと、いままで海外におります日本赤軍のメンバーでこの種事件を犯し、わが国において逮捕すべく国際手配を行っておる者は十名あるわけでありますが、これと同じケースということになります。今回国内で身柄を拘束されておりました五名を釈放した、これについては新たなケースでございますが、ただいま申しましたような事情で釈放の事態に立ち至ったわけであります。これを再びまた身柄を拘束して裁判の継続あるいは服役の継続というような結果を実現するよう、われわれは努めてまいるということでございます。
  72. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、リビアの方に身柄が行ったわけなんですが、国内で逮捕しておったこの犯人は、あなた方が逃亡さしたわけですからね、リビア政府に対して身柄の引き渡しを請求する、こういう考え方はおありですか。
  73. 三井脩

    ○三井説明員 この現在の事件は、御存じのようにまだ事態が続いておるわけです。つまり、リビアに到着いたしましたが、日航機にはいま乗員が乗っております。それから日本政府並びにマレーシアの次官も乗っておるわけです。この人たちが無事に羽田に帰ってくるということを見届けて初めて今回の事態は一応一段落した、こういうふうに考えるべきだと思います。したがいまして、まだリビアに着いたばかりという段階においてこれをどのように措置するということを申し上げることは差し控えたい。これもまた人命尊重のためでございます。
  74. 和田貞夫

    和田(貞)委員 いままだ事件が継続中である、まだ完結しておらないということでありますが、一つはやはり、あなたの方も言うに言われず残念至極でならない。しかも犯人の中には、あなた方の部下が浅間山荘で射殺をされた、そういう事件の当事者も含んでいるわけです。あるいは、企業爆破事件によって何も知らない国民にはなはだ迷惑をかけた、しかも人命まで無視された、そういう事件の犯人も含んでおるわけです。そういうせっかく逮捕された犯人を、いかに犯人の要求とはいえ、人命尊重ということはわかりながらも、あるいは国内的な法律の根拠なしに逃亡を認めたということは、あなたの方はやはり腹が煮えくり返るほどの思いを持っておられると思います。したがって、いまは言えなくても、再逮捕に全力投球する、あるいは将来この事件が完結すれば、リビア政府に対しまして身柄の引き渡しを要求する、そういうような積極的な姿勢というものがなければ、国民は不安でかなわぬですよ。だからいま言えないとしても、事件が完結した際にはいま申し上げましたようなことで、あなたの方が強い姿勢をもって臨むというように理解していいですか。
  75. 三井脩

    ○三井説明員 先ほど申し上げましたように、マレーシアにおいて犯行を犯した五名は、過去の十名と同じように国際手配をいたしましょう、そのつもりでありますということを長官の報告でも申しましたし、私も申し上げたわけでございます。こちらから釈放した人間五名につきましては、新たなケースでありますが、これにつきましても服役の継続また公判の継続というふうに持っていきたいという方針を明確にいたしたわけであります。  それを具体的にどういう手順、どういう方法でやるかということにつきましては、まだ事態が進行中でありますので、この際は御勘弁願いたい、こういう趣旨でございます。
  76. 和田貞夫

    和田(貞)委員 この点はひとつ国民が納得できるように、警察の威信が低下しないように強い姿勢で十分やってもらわないと、これは大変なことになると思いますので、そのこといかんによっては、このような事件の再発を防止できるかできないかということになるわけでありますから、厳しい姿勢で、厳重な態度で臨んでもらいたいということを、この機会につけ加えておきたいと思うわけであります。  そこで、今度釈放した犯人の一人に戸平和夫というのがあるわけなんです。この戸平和夫が過日スウェーデンから国内に送致された。そして逮捕されて拘置中であったわけなんですが、この捜査に当たりまして、捜査の過程で全くぬれぎぬをかぶった人がおる。それは具体的に名前を申し上げましたならば、大阪府立女子大学の西村教授がその被害者なんです。  当時の新聞の切り抜きを見てみましたら、各紙が大々的な記事を書いている。これでは西村教授が赤軍派と関係があるという新聞の書き立て方です。内容はそうでなくても、見出しが「西村大阪女子大教授宅など捜査」、そのほかのところも捜査しておるのですが、皆西村教授宅、西村教授宅ということで、見出しを見ましたらこれは西村教授たまったものではない。これは三月三十日にそういう強制捜査が行われているわけでが、その翌日の新聞に一斉に書き立てられておる。西村教授はその当時は病気のために入院なさっておった。つい一月ほど前に退院してこられているわけなんですが、強制捜査の際に奥さんが立ち会いをしております。その捜査の仕方たるや警視庁から九人、それから大阪府警から二名を出しまして、日曜日のことでありますが、朝八時ごろに同教授宅の前で、どんどんと戸をたたいて西村さん、西村さんと、ちょうど閑散とした住宅街ですから近所の人はどうなったことやと、こういうことであります。  しかもこのことに対しまして、全く名誉棄損だということで民事訴訟を同教授と奥さんがやっておられるわけです。それの第一回の公判が六月三十日に大阪地裁で行われております。その際に、被告側の第三被告は警視庁になっていますが、その第三被告の主張された部分をとってみましても、全く事実に反する内容が主張されておる。しかも本人が準抗告の申し立てをやったら、これが却下されておる。却下する理由としては、すでに押収物件は返してある、だから却下するんだというのが裁判所の言い分なんです。押収された物件というのは、これまた捜査に全然関係のないようなものを持っていっておる。全くぬれぎぬで、本人の名誉棄損というのは取り返しのつかない事態になっておる。  こういうような捜査に当たって、準備が不十分な中でやられると本人としては非常に迷惑なんです。西村教授宅を捜査をする段階に踏み切った理由、あるいはこの捜査の過程において余りにもひどいやり方をやっておるわけなんですが、この事実関係をあなた方は掌握をして、それであたりまえだ、当然だというように考えておられるのかどうか、お答え願いたい。
  77. 三井脩

    ○三井説明員 先ほどもお話がございましたように、この海外におりますいわゆる日本赤軍の取り締まりにつきましては、彼らのおる諸外国はもちろんわが国においても大変苦心をしておるところでございます。戸平、西川の二人は日本赤軍のれっきとしたメンバーでございまして、本年三月五日ストックホルム警察に挙動不審ということで身柄を拘束され、その結果わが国に三月十三日に送還されてまいりましたので、警視庁では逮捕状を用意をしてこれを逮捕し、裁判にかけておる、それが今回奪還されたということで、今回の奪還の第一目標になっておるのが、この西川、戸平であるということでございます。  なお、この西川は、昨年九月のハーグ事件において殺人未遂、傷害、監禁ということも敢行しておるわけでございますが、そういう意味でこの二名について逮捕したということでございます。  このうち、ただいまお話のございました戸平和夫の関係でございますが、この本人につきましては、戸平和夫は大阪府の堺市に両親がおりますので、戸平和夫の実家を捜索をいたしました。この捜査は三月十三日でありますが、この捜索の結果得た資料によりますと、西村なる人物の名前が彼のノートの中に記載してある。この人物は何者であるかということを捜査を進めた結果、ただいまお話のございました大阪府立大阪女子大学教授の西村氏であるということが判明をいたしたわけであります。したがいまして、こういうような状況でありますので、この西村教授宅に本件戸平の犯行にかかわる事件に関する証拠資料の存在が追認されるという状況でありましたので、捜索差押許可状の請求をいたしました結果、この許可状をもらった場所はちょっと正確でありませんが、裁判所の捜索差押許可状を得たわけであります。それに基づきまして、三月三十日西村教授宅を捜索をいたしました。この捜索は、当日の午前七時四十三分から午前九時三十七分まで行ったのでありまして、それによって押収いたしましたのは、封筒一通、航空便三通、計四点を押収いたしました。  こういうような状況でございまして、この捜索、差し押さえの実施につきましては、いまお話がございましたように、隣近所その他の迷惑にならないようにという点を、どの捜査の場合にもそのように努めるわけでございますけれども、当日はできるだけ静かに実施をするということで、実施時間もかなり早め、また近隣に影響が及ばないように、努めて静かに実施をいたしたわけであります。実施に当たりました警察官は、大阪府警察官、警視庁警察官合わせて十名でありますが、そこで約二時間捜索に時間を要しておりますが、この二時間という時間は、普通捜索として特に長いということはないのであります。なお、この西村教授のお宅は木造二階建てで八部屋、こういうようなことで、いわば居宅が広いということでありましたので、約二時間の時間を要しておるということであります。  なお、新聞報道で戸平、西川と並べて顔写真が出ておる、こういうことから、戸平ら日本赤軍の一味ではないかというような印象を与えておるということでございますが、私たちは、新聞がどういう考えでこういうような報道をしたのかという点についてはわからないわけでありますが、その点は先ほどお話の損害賠償事件の訴訟でいろいろ論議されておるということを承知いたしておるわけであります。  なお、この押収いたしました四件につきましては、その後捜査を続けた結果、これをあえてとめ置く必要はないという判断のもとに還付いたしておる、こういう状況であるわけであります。
  78. 和田貞夫

    和田(貞)委員 捜査のやり方も、たとえば令状にはちゃんと捜査をやって押収すべき物件というのは明記されているわけです。そういうような明記されておる物件を押収しようと思いましたら、押収のしようがある。一、二例を挙げますと、たとえば教授の書斎がある、あるいは寝室もある、押し入れもある、あるいは納戸もあるわけです。当然あなたの方が捜査しようと思いましたら、その部分を捜査しなければならぬ。ところが、確かに書斎を捜査されておる。書斎を捜査されて後で返された物件を見つけてきておる。納戸もある、押し入れもある。そういうところは全然捜査されないで、しかも全然令状に関係のない——この教授の奥さんというのは、昭和四十六年の四月から反公害堺泉北連絡会議というのを組織されて、堺の臨海工業地帯の石油化学工業の増設に反対するという主目的を持って公害反対運動をなさっておるわけです。その名簿を、奥さんが立ち合いで書斉に行っている間に、下におる警察官が写しておる。捜査と何も関係ないじゃないですか。後でそのことについて奥さんが注意すると、これは見ておっただけだ。関係のないようなことをやっておる。  しかも、押収された三件というのは、かつて同教授がイギリスに留学をされておった当時に、自分の友人から送られた印刷物の空封筒です。中に入っておらない空封筒、これを一通。それから同教授がエジンバラ大学に留学中に、自分の知人であるイギリス人二名からクリスマス用の航空書簡が送られておるのですが、そのクリスマスのあいさつの書簡を二通持っておる。あるいは自分の教え子がいま留学中でありますが、その留学中の自分の教え子から送られてきた私信一通、押収された物件というのはその三件なんですよ。何ら関係ないじゃないですか。しかも、先ほど申し上げましたように、公害反対運動をやっておる活動家の名簿なりあるいは関係の資料に目を通して、写して持って帰るというようなことは、全くこの捜査と関係ないじゃないですか。  強制捜査自体にも私は問題があると思う。先ほど申し上げましたように、民事訴訟をやりまして、第一回公判の六月二十日のあなたの方からの主張の中で、いま言われました、これは強制捜査の理由になっておるわけですが、戸平の持っておったメモに西村という名前があった、その名前が出てきたのが大体四十五年に記載されたものと確認されたことと文書であなたの方は主張しているのですよ。ところがいま申し上げましたように、戸平がその西村とかいう言葉を使っておる中で、反公害の堺泉北連絡会議、この堺泉北連絡会議というのは四十六年の四月から組織されている。あなたの言っておる四十五年にはそういう組織がない。そういう組織がないのに、四十五年ごろ記載されたものと確認する。そのときには公害運動もやっておらないし、戸平とどんな関係が出てくるか。その西村という名前が記載された時期というのはそれ以前の場合でありますから、全くあなたの方の捜査のずさんさというものは、そういう中にも明らかになるわけです。こういうような点について、どういうように御本人に言いわけをされようとしておりますか。
  79. 三井脩

    ○三井説明員 西村教授について、戸平のメモの中に西村教授の名前があったということは一つの手がかりでありまして、捜査をいたしまして、この西村なる人物が西村教授であるということが判明をし、かつその他のいろいろの捜査の結果、西村教授宅を捜索する必要ありというように考えて実施したものでございます。
  80. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私が最初に言いました捜査令状と全然関係のない公害運動の資料をあなたの方が写して帰るということ、これは正当ですか。あるいは押収された物件がこの捜査令状とどういう関係がありますか。
  81. 三井脩

    ○三井説明員 押収捜査許可状によりますと、本件に関係ある往復文書、書簡というものを押収対象として掲げられておる。こういうものがあれば押収してもいい、こういうことであります。そういう中で、ただいま申しました四点につきましては、いずれも往復文書であることは明瞭であります。そういう意味におきまして、この内容判断をいたしまして、これを押収すべきものというように考えたわけでございます。  この反公害の組織の問題という点については、やや私の知識で、記憶で正確でない点がありますが、戸平和夫はそういうことにも関係をしておったというように聞いておりますので、その辺のところも判断一つの材料になったかというように考えるわけでございます。
  82. 和田貞夫

    和田(貞)委員 最後のそういう判断になったというのが、あなたの方から出されておる主張ですね、大阪地裁に出されているその主張の中にいろいろと書かれている。メモのことを書かれている。連絡したということを書かれている。これらが昭和四十五年に記載せられたものと確認されたこと、と。捜査をしたというこの理由にそういうように書いているんですよ、文書に。あなたの方が出されているのです。ところが、いま私が申し上げましたように、戸平も関係しておったか、しておらないかわからぬけれども、ともかく西村さんが公害運動を組織したのは四十六年の四月なんですよ。あなたの方は四十五年だということで確認したというと、四十六年の四月以前はそういう組織も何もないんですよ。そこらが、あなたの方が捜索令状を出されるについて非常にずさんな考え方、ずさんなやり方じゃなかったかということを私は指摘しているわけです。あるいはこの三つの押収された物件というのは、いま私が具体的に読みましたように、あなたも承知されたように何らの捜索令状と関係ないわけなのです。何も関係ない。全くの私文書なんだ、自分の教え子であるとか自分の友人であるとか。しかもあいさつ状とかあるいはクリスマスのあいさつ状あるいは空封筒、何にも関係ないじゃないですか。そういうものを押収して持って帰っておるわけです。そのほかは何も手をつけられておらない。そうすると、あなたの方の見込みとこの捜索の結果と大きな隔たりがあったということは言えないですか。
  83. 三井脩

    ○三井説明員 まず、この押収物件の点でございますが。捜査の問題でありますので、すべてここで手のうちを申し上げるわけにまいりませんが、せっかくの御質問でございますので、一、二例を挙げますと、この西村徹あて外国便の封筒一通というのは発信地がイギリスでありまして、イギリスには戸平が滞在をいたしておりました。しかもその名前が「タカコ」と書いてあるわけです。「タカコ」というのは、日本赤軍の中に信原孝子というのがおるわけです。だからそういうものについてまでわれわれは眼光紙背に徹する気持ちで、これはそれでないかという捜査をやって、この種海外におる日本赤軍の捜査に肉薄しなければならぬという気持ちでやっておるわけでございます。それからまた、西村教授の西村という名前が四十五年に書かれたものである、こう言われるわけでありますが……
  84. 和田貞夫

    和田(貞)委員 あなたの方ですよ。
  85. 三井脩

    ○三井説明員 それはそれといたしまして、時期が古いからということではなくて、古い時期に書かれたといたしましても、西村教授と戸平との関連というものは考えられるわけです、時期は古いといたしましても。  なお、先ほどもちょっと申しましたが、西村教授には、これらとの関係について捜査上われわれの一われわれは資料を持っておるわけです。そのことをここで申し上げるということは、捜査が完結しておらない現状において、捜査の内容をいろいろ申し上げますことは、個人の名誉あるいは人権にもかかわるというようなこともございますので、その辺は差し控えて、単にこの西村というメモにあった名前だけをもとにしてやったものではありませんと、先ほど来申し上げておるわけでございます。
  86. 和田貞夫

    和田(貞)委員 捜査されるのは、憲法三十五条というのがあって、相手の人権というものを尊重しなければいかぬ。ところが押収された物件というのは三通ともイギリスが発信先です。ところが、あなたの方が後で還付しているわけでしょう。関係ないということで還付しておるんですよ。その還付の仕方も四月九日に、その準抗告の申し立て書を却下するという決定がされる以前です。だから、還付をしたから準抗告を棄却する、こういう決定がなされているわけですね。その理由としては、いま申し上げましたように、すでに押収物件が還付しておるから、こういうことなんです。その還付の仕方も、地元の大阪府警の橋本という刑事と南署の阪中という刑事から最初は電話が来ているわけです。先日の押収させていただいた手紙をお返しに上がりたい、こういうことです。そこでその奥さんが、まだ主人の徹さんが入院しておられたので、奥さんが、その押収物件をなぜ還付するのか理由を明らかにしてほしい、こういうふうに言うておるわけです。そうすると警察側の方は、これはとにかく連絡だけだからわれわれの方はわからぬ、後ほど警視庁の方にその理由を明らかにしてまた返事をします、こういうことであります。ところが、今度は再び警察の方から本人の宅へ来ているわけです。還付しに来ているわけです。還付しに来て、押収物件の還付の受領証に判を押してくれ、署名捺印をしてくれ、こういうことですが、さらにその理由を聞いているのですが、自分たちは使いに来ただけだからわからない、それじゃいま申し上げたように警視庁にしかと問い合わせて返事をするからと、こういうことだったので、受領証に奥さんの夫佐子さんが署名捺印しておる。三日ほどたって大阪の府警から電話で、押収物件の還付理由は警視庁に問い合わせてみたところが、捜査上の秘密だから言えぬと、この一本やりです。これじゃ、この事件にあなたの方が見込み捜査をされて、その捜索令状に基づくところの事件の発展に役立つというような物件であればいざ知らず、全く関係ないからあなたの方は返してきているわけです。しかもその返してきた物件に対して何ら、誤りであったとかあるいは申しわけなかったとか、そういう言葉の一端でもあってしかるべきじゃないですか。捜せば何とか出てくるわい、たたけばほこりが出るわいというようなやり方で強制捜査をやられるということになりますと、憲法三十五条はどうなるのですか。そういうようなやり方で強制捜査をされたら人権はたまったものじゃない。そのようなことで、行き過ぎは行き過ぎとしてやはり警察の方は明らかにすべきじゃないですか、どうですか。
  87. 三井脩

    ○三井説明員 ただいま還付をした理由という点についてのお話がございましたが、御存じのように刑事訴訟法によりますと、押収した物件で留置する必要ないもの、とめ置く必要ないものは還付する、こういうことになっておるわけでありまして、一言で申しますと、そういう意味で還付をしたということであります。  これの捜索、押収の主体は警視庁でありまして、大阪府警はこれに応援をした立場でありますので、大阪府警として連絡をしたと思いますし、また警視庁に問い合わせた結果、捜査の秘密であるから還付した理由は言えない、こう言っておるというお話でありますが、正確に申しますと、留置する必要がなくなったのでお返しをいたします、というのがその趣旨でございます。なぜとめ置く必要がなくなったかという点については、これはまた先ほど警視庁の答えとして御紹介のありました、捜査の秘密ということになるというふうに考えるわけであります。
  88. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは本人は、名誉棄損でいま民事訴訟をやっておるのですが、形式的な言い分ではなくて、あなたの方で現物を見られたが、捜索令状にいろいろと書き並べていることと何ら関係がないのです。だから留置する必要があるとか留置する必要がないとかいう問題じゃなくて、全くかけ離れた、あなたの方の見込み捜査をやられたことと全然関係のない——クリスマスのあいさつ状というのはどういう関係があるのですか。しかも先ほどあなたが言われたような名前でなくて、れっきとした名前が入っておるのですよ。そういうものと何が関係があるのですか。関係がないから返したのでしょう。そういうようなことでは人権がどうなるんだということ、しかも本人は病気で入院中で新聞に書き立てられておる。しかもその書き立てておる新聞の中でほかの新聞は全部取材は明くる日ですが、サンケイ新聞はあなたの方の捜査員が踏み込まれた直後にやってきておるのですよ。被疑者でもないし、まして犯人でもない、そういうところを捜索する場合になぜ報道機関に連絡して——連絡がなかったということは全く言い逃れだと私は思う。捜査員が行って、その直後にサンケイ新聞だけは来ておる。ほかの新聞社は全部翌日の取材です。そういう人権を無視したようなこと、やればいいんだ、たたけばほこりが出るんだ、捜せば何とか出てくる、こういうやり方で今後捜査をされるのですか。
  89. 三井脩

    ○三井説明員 サンケイ新聞だけ来たというのは、サンケイ新聞の取材の努力によるものであろうというように考えるわけでありまして、私たちがサンケイ新聞に教えてやるとか通報するというようなことはいたしません。御存じのように、一社だけそのようなえこひいきをいたしますと大変なことになります。  なお、本件は御質問、御指摘がいろいろございますけれども、私たちは、先ほど申しましたように、押収した封筒等につきましても、日本赤軍のメンバーの名前と思われるものであり、あるいはまた日本赤軍が国外から国内へ連絡をするときには暗号あるいは符号、コードネーム、そういうものを用いることがしばしばあるわけでありまして、こういうような点についても十分に解明をする、こういう着眼点で物を見ていかなければ彼らの本当の動向を見落とすという立場で、捜索、押収というものは徹底してやる、こういうことでやっておるわけでございます。もとより人権の尊重という点については十分な配慮をするというのは、われわれの捜査執行における基本的心構えということでありまして、その点については今後ともそういう心構えでやっていくという考えでございます。
  90. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私は、明確にしておいてほしいと思いますが、いまの言葉の中で、あなたの方が押収された物件、三つですね。これは日本赤軍関係があるというように断定するわけですね。関係のある者が差出人であるから押収した、こういうことですな。はっきりしておいてください。
  91. 三井脩

    ○三井説明員 そういう観点で押収をいたしました。押収したものがすべてどういう関係にあるかということは、捜査の進展とともにいろいろ変化が生ずるのは、またやむを得ないものであるというように考えます。
  92. 和田貞夫

    和田(貞)委員 押収した物件の差出人が日本赤軍関係があったと断定してないわけでしょう。そうであろうということで押収した結果そうでなかったということで、留置をする必要がないから還付しておるわけでしょう。そうじゃないですか。
  93. 三井脩

    ○三井説明員 押収する物件は本件に関係ありと思量されるもの云々ということであります。そういう意味におきまして、押収のときにそういうものに該当するという判断をいたしたわけであります。いろいろ捜査が進んでいって、最終的に関係が薄いとかあるいは関係がゼロに近いとかいうことは、だんだんと捜査の発展の中であり得るわけでありますけれども、押収したときに全然関係がないということを知りながら押収したというようなことはございません。
  94. 和田貞夫

    和田(貞)委員 したがって、捜査の進展する中で押収した物件が関係がない。関係があれば還付する必要がないじゃないですか。関係がないということになったから還付しておるのでしょう。
  95. 三井脩

    ○三井説明員 捜査の資料は、その後にまたよりよい証拠力の高いものが出てくるということになりますと、程度の低いものは落としていくということはあるわけでありまして、捜査資料というのは事件によって大変膨大になってくる。何千点、一万点近いというようなものも事件によってあるわけでありますので、そういうものはすべて価値あるということでありますけれども、事件の性質によって証拠価値を選別し、選定、ふるい分けをしていく。したがって、その中で証拠価値が公判その他に利用する立場から見てよりよいものがあるので、これは落としましょうということがしばしばあるわけでございます。したがいまして、還付したから全く関係がなかった、こう言い切るわけにはまいらない。本件の場合、それがどの程度関係があったということについては、先ほど来申し上げておりますような捜査の問題でありますので、差し控えたいということでございます。
  96. 和田貞夫

    和田(貞)委員 一般的な言い方でなくて、三件なんです。百件も二百件も押収してそのうち三件を還付したんじゃないのです。押収した物件が三件。そして先ほど具体的に私が話しましたような内容、その三件とも還付しておるわけです。だから一般的なことでなくて、この件についての還付というのは、留置する必要がもうなくなった。だから三件とも還付したわけです。だから捜査の秘密上言えないとかどうとかいうことでなくて、あなた、具体的に還付した物件、押収した物件を見てみなさい。全く関係がないわけです。自分の教え子、自分の友人、それだけ。しかもその内容というのは、あいさつ状を持って帰っておるからわかるはずなんです。日本赤軍と何ら関係がないのです。そこを私は言うておるわけなんです。しかも捜索の場所が納戸もあるのです、押し入れもあるのです。全然手をつけてないじゃないですか。ただ書斎に入って、その書斎の中から三件だけを持って帰っておる。必要がなくなったから返したんだ、こういうことじゃないですか。だから行き過ぎは行き過ぎとして人権上の問題があるんだから、警察のやったことは何でもいいんだ、令状さえあれば何をやってもいいんだ、こういうような考え方でやられると、人権問題。憲法三十五条で保障されておるわけだから、あなたの方が令状を請求する場合も、裁判所が令状を発行する場合に、やはり憲法三十五条に基づいてもう少し慎重に今後取り計らってもらわなければいかぬということを私は言いたいわけです。これらの問題について、これからもそういう国民の人権が侵されるような強制捜査でないようにひとつ努力してもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  法務省の俵谷公安課長出席されたようですが、先ほど申し上げたように、人質の人命尊重ということを第一義的に考えて、国内で逮捕され拘置されておった裁判中の犯人を釈放したということでありますが、法的な根拠がなければ、脱走、逃亡を政府みずからが認めた、捜査当局が認めたということになるわけなんです。これらの犯人を釈放した法的な根拠を法務省の方からお答え願いたい。
  97. 俵谷利幸

    ○俵谷説明員 御案内のように、本件につきましては刑事裁判が係属中でありました者が六名おりまして、このうち五名は拘置施設に収容されておりまして、他の一名は服役中であったわけでございます。さらに、全員で七名でございますが、その七名のうち五名が収容されて、一名は保釈中であった、一名は服役中であった、こういう状態にあった者につきまして釈放の要求がなされてきた。そのうちの五名の内訳は、四名が裁判係属中で他の一名が服役中である、これを釈放することになったということでございますが、その者たちに対しまして、そういう裁判係属中で勾留されておる、あるいは刑の執行を受けて服役中であるという者に対しまして釈放が許されるかどうかということにつきましては、法律が厳正に要件を定めているところでございます。これにつきましてなされた釈放はこの法律の要件には当たらない。しかしながら、当時の緊急の状態におきまして、釈放いたしませんと外国におきまして人質となっておりました五十二名の方々の人命が非常に危険にさらされるというような状態でございまして、その事態の解決は、もちろん第一義的には外国政府が責任を負うべきものだと考えまするけれども、外国において行われておるという事態の解決の困難性等に関しまして、政府におきましては犯人らの要求に応ずることもやむを得ないという判断に達して、法律上の規定にかかわらず、法律上の要件はございませんが、超法規的に釈放の措置がとられたのでございます。いわば緊急避難的な措置として行われた、かような次第でございます。
  98. 和田貞夫

    和田(貞)委員 法的要件が備わっておらぬ、法的要件が伴わない、にもかかわらず、人質の人命尊重を第一義的に、しかも今度の場合はアメリカ大使館、アメリカと日本との間の関係悪化ということを憂慮する余り、国内法規を無視して緊急措置に踏み切ったということでしょう。そういうようなことがなされるということになりますと、第二のこの種の事件、第三のこの種の事件が起こってきたら、やはり同じことを繰り返すのですか、どうですか。
  99. 俵谷利幸

    ○俵谷説明員 このような決定は、一国の司法権がどうなるかという問題でもございますし、きわめて重要な問題でございます。もちろん軽々にそのような措置をとっていいということにはなりませんし、緊急にしてやむを得ない場合に限ってそういう措置もとり得るということでございまして、かような事態は二度と起こしてはならないし、またあってはならない、かように考えております。
  100. 和田貞夫

    和田(貞)委員 あってはならないということはあなたの方の希望的観測であって、未然に再発を防止すると言ったところで、こんなことができるのだということであれば、むしろ再発を助長することになるじゃないですか。今回の緊急措置というのは今回限りなのか、あるいはこれからも、同種の事件があれば、法的根拠よりも国際的な関係あるいは人命尊重ということを第一義的に考えて、このような緊急措置はあり得るというように考えておられるのか、どっちですか。
  101. 俵谷利幸

    ○俵谷説明員 私どもといたしましては、そのような事態があってはならない、またこのような措置が行われてはならない、かように考えております。果たして将来こういう事件が起きるか起きないかということにつきましては、私どもといたしまして防止に全力を尽くすべきであるとは考えますけれども、それ以上のことは何とも申し上げられないわけでございます。このような非常に重大な不幸な事件が起きたわけでございますが、何よりも今回の事件を契機といたしまして、二度とさような事件が起きないあるいは起こさないということを、国際的な協力関係あるいはいろいろな観点から早急に検討すべきである、かように考えております。
  102. 和田貞夫

    和田(貞)委員 今回限りだというように私たちは把握しておいていいですね。
  103. 俵谷利幸

    ○俵谷説明員 私どももそうあるべきであると考えております。
  104. 和田貞夫

    和田(貞)委員 最後に、公安委員長、どうですか。これの対策本部が内閣官房にあるわけですが、あなたの部下も殺されておるし、善良な市民が殺されておる、そういう犯人を法的な根拠なしに持っていかれるということになると、あなたの方は腹の中が煮えくり返るような思いだと思うのですよ。いかに人命尊重とはいえ、今回の措置はやむを得なかったとはいいながら、そういう人命尊重あるいは国際関係を憂慮する余りこういうことを繰り返すということになると、これは警察不信どころか、国民はどうしたらいいだろうという思いがこれからいたすことになりますよ。もちろんそういう事件の再発を防止するために努力してもらわなければいかぬし、がんばってもらわなければいかぬけれども、むしろ犯人側にとっては、これはうまいことできた、またこういうことをやってやろうかということで必ず計画されると私は思うのです。  そういうことですから、公安委員長として今度の措置はよかったのか悪かったのか、あるいは将来にわたってこういうことが再び起こった場合に、国内法規を無視してでも犯人をしかも凶悪な犯人です。こういう犯人が海外に逃亡することを政府が認めたという結果になるわけですが、そのようなことに対してこれからどういうように対処されていくか、国家公安委員長として決意のほどをひとつ最後お話し願いたい。
  105. 福田一

    福田(一)国務大臣 御指摘がございましたように、今回の事件はまことに遺憾なことであったわけでありまして、これにいかに対処するかについては内閣の内に対策本部を設けて、私もそのメンバーの一人として協議に参画いたしたのでありますが、人命尊重といいますか、五十数名の者がインターンされ、またこれを釈放しない場合にはいかなる事態が起きるやもしれないというようなことであったので、実はいまお話があったように、警察に関するこのことをいたしております公安委員長としては、これはもう本当に断腸の思いであったわけでありますけれども、しかし今回のことはやむを得ないと思って今回のような措置を認めたということであります。  今後の問題に処しては、われわれは万全を尽くして、この種のことが起きないように全力を挙げて国内的にも国際的にもそういう努力をいたさなければならないと考えておるところでございます。
  106. 和田貞夫

    和田(貞)委員 終わります。
  107. 大西正男

    大西委員長 林百郎君。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 国務大臣としては福田さんしかおらないのでお聞きしたいのですけれども、一体そういういわゆる超法規的な措置、法律で決められてない措置を、政府が行政的なそういう措置をするということ、しかも一方では暴力が行使されているわけですね。暴力の前に国の法秩序を従わさせるということですね。これは一体だれの責任において行ったとわれわれは考えればいいのですか。だれの責任でこういう措置をされたのですか。
  109. 福田一

    福田(一)国務大臣 政府の責任において措置をいたしました。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 政府の責任というと、政府の連帯の責任ということになるわけですか、それとも内閣総理大臣の責任において行われたのですか。
  111. 福田一

    福田(一)国務大臣 各大臣が署名をいたしておるのでございますから、内閣全体の責任とお考えいただいて結構でございます。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 各大臣がどういうことに署名されたのですか。
  113. 福田一

    福田(一)国務大臣 緊急避難的な措置として今回の事態はやむを得ないことであるから、法務大臣が釈放を、あるいは一定の刑の執行を停止するというような措置をとることはやむを得ない、こういう意味であります。
  114. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっと大事なところは声が小さくなってしまったのですけれども、何ですか、緊急避難的な事情にあるから法務大臣がそういう措置をすることはやむを得ない、こう内閣全体が認めた、こういうことなんですか。
  115. 福田一

    福田(一)国務大臣 こういう措置をとらざるを得ないということを提案したのは法務大臣でございます。しかし、それを法務大臣の一存でしてもらったわけではないので、内閣全体の責任として、やむを得ざる措置である、緊急避難的な措置としてこの際はやむを得ない、こういうたてまえにおいて措置をとった、こういうことであります。
  116. 林百郎

    ○林(百)委員 これは大津事件以来の司法に対する行政の介入とか、関係とか、そういう報道をしている新聞もあるわけなんですね。先ほど私が聞いた範囲では、法務省の俵谷公安課長説明ですと、五名のうち公判中の被告人が四名いたというのでしょう。そうすると、公判中の被告人の身柄については裁判官がその権限を持っているわけでしょう。裁判官の持っている権限を、行政府内閣の名においてこの身柄を自由にさせることは、これは行政府の司法権に対する重大な介入になりませんか。どうして裁判長はそれをいいと言ったのでしょうか。
  117. 福田一

    福田(一)国務大臣 私は、検察庁からそういう措置を求められた場合に、やむを得ないと裁判官は認めたのだと思います。ただし、私は、自分の担当のことではございませんから、この点については法務大臣から十分お聞き取りを願わないと——私としては、これをやった責任はだれが負うのか、こういうような、とにかくあなたの言われたような三権分立と相反するような措置をとったことについて、だれがやったのかということであれば、私は内閣全体の責任であり、私もまたその一人であるということを申し上げておるのでありまして、その措置が裁判官と検察庁との間においてどういうような形においてどのように処理をされたかというようなことについては、これはひとつ関係当局からお聞き取りを願う以外に道はないと思っております。
  118. 林百郎

    ○林(百)委員 これは確かに福田さんの言うように、本来法務大臣にも聞いてみたいし、また、内閣法による内閣総理大臣の行政的な処分あるいはその行政的処分を中止させる権限、これに基づいたのかどうかという、この辺も確かめてみなければならないと思いますが、同種の公判が昨日ですか開かれたときに、ある被告人が、われわれはこうやって日本の裁判を受けておる、ところがわれわれと同じように公判を受けていた者がこの席にいない、これはどこのだれの責任においてそういうことがなされたかということについて、検察官の方は研究するというようなことで公判ができなかった。これは俵谷さん御承知ですか。そういうことが新聞に出ているわけですね。  そうしますと、先ほど福田さんの言われているように、身柄の権限を持っている裁判官に対して、行政府である内閣がその権限を、裁判官のよろしいという保釈の意思表示も求めずして公然と出したということは、これは重大な問題だと私は思うのです。だから、これは俵谷さんにお聞きしますが、さっき福田国家公安委員長のおっしゃるように、果たして裁判官は承諾を与えたのですか、裁判官のそういう明確な意思表示があるのですか。
  119. 俵谷利幸

    ○俵谷説明員 結論的に申し上げまして、本件については裁判所の判断を受けておりません。このような緊急な事態が発生いたしましたときに何らかの適切な措置をとらなければならないということは、当然御理解いただけるところであろうかと思います。そこで、どこでどういう機関がやるべきかという問題が出てこようかと思いますが、私どもは、そのような場合には国の責任ではないかということになってまいるだろう、そしてどこの機関がやるべきであるか、どこの機関にやらせたらよいかという問題になってくるであろうと思います。  このような場合におきましては、法律の定めによるところではこの手続が認められていないわけであります。しかしながら問題の重大性、それから緊急性というようなことを考えますと何らかの緊急の措置を講じなければならない。この場合には拘禁されている者を釈放するかどうか、そういう判断をしなければならない、かように考えるわけであります。そうしてその判断に係る事柄は、御指摘のように裁判中の被告あるいは収容中の、服役中の者の処遇でございますから、確かに司法権の、裁判権の問題に密接に関連しておる重大な事柄でございます。これを統一的な結論を出しながら緊急事態に対処していく、そういう場合に、この事務は一体どこが所管すべきものかというようなことを考えてみますと、それは法律にもちろん書いてないということもございますけれども、裁判所の仕事になるかならないか、あるいは裁判所の判断になじむ事柄であるかどうか、特に今回のような事件は、外国で起きまして、外国政府がその責任を持つとは申しながら、そうような特殊な事情のもとにおきましてどのような判断をするかということが、果たして裁判所の判断事項になじむかどうか、こういった問題もあろうかと思います。  この点につきましてはいろいろ議論もあろうかと思いますが、こういう問題の微妙なところ、それから決断といいますか、判断の重大性、また迅速な判断が要求されるというようなことを考えてみますと、裁判所の判断事項と申しますか、特に法律で定められれば別でございますが、このような場合につきましては裁判所の事務にはなじまない、司法作用にはなじまないことではなかろうか、かようにも考えられるわけでございます。しかしながらこの問題は、一国の司法権に重大な影響を与える問題でございますから、国の治安とか、そういった面におきましても国民に対して責任を持たなければならない、こういうことになるのは当然でございます。しかしながら裁判所は、個々の事件につきまして裁判を行うということでございますから、国民あるいは国全体に対して責任を負う、こういうたてまえになっていないように理解されます。そういたしますと、国民に対して責任を持ち、これを速やかに妥当な処置をするということは行政府の責任になるのではないか。そういうふうに考えてまいりますと、こういった行為は政府が責任を持って行う——司法権の外にあると申しますか、政府が責任を持って行う行政的な事項ではないか、かように理解されるわけでございます。  さような観点等がありまして、閣議決定がなされ、それを受けて法務大臣が釈放等の手続をとるようにされた、かように考えております。
  120. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたは法律家ですからそれじゃ法律的に正確を期したいのですが、釈放というのはどういう意味ですか。保釈じゃなくて釈放ということは、今後の裁判を受ける責任、あるいは刑を受ける責任を免責したという意味ですか。そうじゃないように先ほど聞いていますね。そうすると、保釈の手続だってあるわけなんですから、そういう手続をとることだってできるわけでしょう。先ほど警察当局もそういうような法理論を言っているのですがね。緊急避難的な行為だ。緊急避難というのは個人の刑事責任が成立するかしないかの問題であって、国の行政的な範疇と司法的な範疇がお互いに侵してはならないという限界がある場合に、緊急避難的な、緊急避難の刑法のこの条項を持ってきて行政府がやってもよろしいんだという論理は成り立たないと私は思うのですよ。だから、釈放なんという言葉はこれは法律用語としてはないんで、あなたは一体釈放ということはどういうことをお考えになるのですか。今後、たとえばリビアへ行った。リビアへ行って、リビアと日本の警察の間であるいは日本の政府との間で犯人の交換の取り決めでもなければ、これはもう全然司法的な責任は免除されたことになるわけでしょう。これはどうなるのですか。
  121. 俵谷利幸

    ○俵谷説明員 釈放と申しましたのは、裁判所の裁判あるいは裁判の効力によりまして拘禁施設に拘束されておる者の拘束状態を解く、こういう意味で釈放と申し上げたのでございます。したがいまして、正確に釈放ということを申しますと、裁判係属中、つまり裁判官の勾留状によって勾留がされておる。その指揮監督は、執行につきましては検察官が責任を負っておるわけでございますが、その勾留の状態を解いて施設の外へ出す、こういうことになりますし、服役中の者につきましては、裁判の結果によりまして一定の宣告された刑期の間刑務施設に入っておる、この者を施設から出す、こういうことになります。したがって、形の上では刑の執行を受けない状態にして外へ出す、こういうことになります。  しかしながら、それは法律上の根拠に基づかない措置でございますので、行政府の責任におきまして身柄を釈放するというにとどまるものでございます。したがいまして、国内的にはなお被告人の地位を保ちあるいは服役者としての地位が残っておる。したがって、その者が日本に帰ってまいりまして拘禁され得る状態になれば拘禁され得る。つまり勾留状なり判決の効力は残存期間について残っておる、かように解釈しております。  それから、緊急避難的な行為ということを申し上げましたが、これは刑法三十七条の緊急避難という意味合いで申し上げたわけではなくて、このような事態において、国家あるいは行政府といたしまして緊急にとらざるを得ないやむを得ない措置である、こういう意味合いで申し上げたわけでございます。それも法律の規定に基づいて、法律上の用語として緊急避難、こういうふうに正確な意味で申し上げたというわけではございません。
  122. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、時間の関係で残念ですが、これはいずれ、福田国家公安委員長も言うようにこれは重大な問題ですので、法務大臣あるいは総理の見解をたださなければならない。これは行政と司法との関係に関連する重大な問題と思いますが、実は昨日の夕刊を見ますと、国家公安委員長として見解を表明されている。その中で「今回の事件は、悪質、卑劣であるばかりでなく拘置または服役中の者の釈放を要求するというわが国の法秩序の根幹を揺るがす言語道断の行為である。」言語道断の行為だと言いながら、署名されたのはわからないので、せめてあなたぐらいは警察の利益のために、私は国家公安委員長立場からこれは署名するわけにはいきません、そう、どうして言えなかったのか。署名しておきながら「言語道断の行為である。」これは今後はこういうことを再びさせないということの意味でこうおっしゃったと思いますが、この見解がどういう意味か、ひとつお聞きしたいと思います。  それから俵谷さんには、一体これは、身柄について責任を持ち、公判について責任を持っている裁判官には何らの連絡も事前にしなかったのですか、どうですか。もう内閣のそういう連名の処置、これも内容がどういうものであったか、あなた見ましたか。見たら、一体どういう内閣の各国務大臣の連名の指示書であったか、その説明を願いたいと思うわけです。  それから、警察にこれはひとつお聞きしたいのですが、ハイジャック犯人、これは外国で行っても成立する犯罪ですから、これは当然犯罪が成立しているわけなんですけれども、これが仮に犯人がリビアへ行って、リビアで逮捕されて日本の警察の手に渡るという、そういう国際的な関係に日本の国とリビアとの間はあるのかどうか。そういう犯人引き渡しの取り決めとか、そういう二国間の取り決めがあるのかどうか。これは浅沼さんにお聞きしておきたいと思うのです。  その三つ、それぞれ答弁を求めたいと思います。
  123. 福田一

    福田(一)国務大臣 警察当局の、今後の治安維持に対する一つの非常な困難な事態をこの措置が引き起こすのではないか、しかもこれは、言語道断なことをなぜ認めたのだ、こういうお話でございます。私は、国家公安委員長という仕事は、これは総理大臣から、国家公安委員長を兼任をしてもらいたいという意味でゆだねられたので、私が署名したのは国家公安委員長の署名ではなくて、自治大臣の署名でございます。すなわち国務大臣として、この際これはやむを得ない措置である、こういうふうに考えまして、緊急避難としてやむを得ないという意味で私は署名をいたしたわけであります。  しかし、このままにいたしておきますというと、実は私、こんなことは申し上げていいかどうかわからぬが、テレビで五人の者が連れていかれる姿を見て、私の警察から来ている秘書官あるいは警務の人などというのは涙を流している。私はあの涙を見たときに、このままであってはいけない、さぞかし残念なことであろう、そこでこれについては、やはり国家公安委員長立場においては何としてもこういうことはけしからぬことなんだ、しかしやむを得なかったんだ、今後はこれを根絶せねばいけないのだ、こういう意味の措置をとる必要がある、こう考えまして、国家公安委員の人たちと御相談をいたしました。  そして、私は談話を発表いたしたわけでありまして、私は警察立場から言えば、まことに何と言って表現していいか、その無念のほどはよくわかるわけであります。かといって、この五十数名の者が国外において、しかも外国人といいますか、日本人にあらざる者あるいは公職にある外国の人たちがその生命を脅かされているこの事態というものは、こういうことはいまだかつてなかったことで、今後もあっては大変でありますけれども、そういう緊急な、法をつくる場合において想定されなかったことであると私は考えております。いままでに国会において法律をつくるような場合においても、この種のことが起きることはほとんど想定されなかったと思うのでありまして、そういうような、いわゆるわれわれが考えも及ばないような、すなわち緊急事態が起きた、こう解釈をいたしました。  その場合に、どう人命を尊重すべきか、そして国際的に日本の名誉を守るというか、良識を明らかにするためには、五人の者を、一応の刑に服しておる者については釈放、罪がないことを認めたわけではございません。一時の停止というように考えておるわけであります。それから、いま取り調べておる者についても、犯罪がもうなくなったという意味でしたのではない、一応海外へ出すことを認めた、こういうこととしてやむを得ない措置である、こう考えまして、政府としてはこういう措置をとったわけでございますので、これは法理論の問題よりはむしろ緊急避難といいますか、その緊急という言葉も法律上の意味の緊急避難ではなくて、非常な特異な国際関係並びに人命問題を含んだ非常な異常事態として政府としてやむを得ずとった措置である、こういうふうに御理解をしていただきたいと思うわけでございます。
  124. 俵谷利幸

    ○俵谷説明員 裁判所の判断を受けるべきかどうか、裁判所に通知をしたかどうかという御質問があったかと思いますが、この点につきましては先ほど来申し上げておりますように、この問題は日本政府において処理すべき事柄である、かように判断をいたしましたので、私どもの方からは連絡はとっておりません。  それから、どのような内閣での決定があったか、こういう御質問があったように思いますが、私ども承知いたしておりますところでは、これらの要求のあった者につきましては、事態の緊急性にかんがみ、それぞれ本人らの意向を慎重に確認した上で、これらの者をクアラルンプール、マレーシアでございますが、これに向けて出国せしめる等の適宜な措置をとること、こういう閣議決定がなされて、それから法務大臣の指揮がなされた、かように承知しております。
  125. 三井脩

    ○三井説明員 先ほど御質問は、リビアと日本との関係が緊密であって、その後うまくいくだろうかという御質問であったと思いますが、先ほど和田委員にもお答えいたしましたけれども、ただいまも御論議になっておりますように、出国前の状態、服役とか公判係属中、こういう状態にこの釈放された五名が戻るようにわれわれは努力をいたします。しかし、その努力やり方につきましては、まだ人質を押さえられておる、まだ羽田へ帰ってきてない、こういう現状においてそれ以上の具体論を申し上げることについては差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
  126. 林百郎

    ○林(百)委員 それはわかりますが、ハイジャックをやった者は、国外においてもこれは特別立法によって日本人に関しては犯罪が成立するわけです。そして、これはリビアの方へ連絡して逮捕して、日本の方へ引き渡しを要求できる筋合いです。そういうことができる関係にあるのかどうかということなんです。
  127. 三井脩

    ○三井説明員 その関係を申し上げるのが、まだ事態進行中において何らかの悪影響を与えるおそれがあってもならない。したがって、すっかり落着をいたしまして、それからこういう論議をしてお答えを申し上げたい、こういうことでございます。
  128. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、ハイジャックを行った者についても、いまの段階ではそれをどう処置するかということについては、微妙な国際的な関係があるので、ここで言明することについては差し控えさせてもらいたい、こういうことですか。五名の、公判を受けている最中の者や服役中の者やあるいは取り調べ中の者、それについてはわかりました。しかしハイジャックを行った者は、これは外国で行おうと日本人がそういうことをやれば犯罪が成立するわけですから、これは逮捕して、身柄の引き渡しを当然求めることができるわけです。そういう措置を当然国民としては、一方で暴力によって日本の法秩序が国家的な緊急避難の名のもとにどうなってもいい、こういうことは国民はなかなか納得できない側面があると思うのです。もちろん、人命も大事ですけれども。それはやはり警察としてはちゃんと筋を通したことをしないと国民は納得しないと思います。それで、ハイジャックを行った者自体の今後の捜査、身柄の引き渡しについてもどうなるのか。ここで言えないというなら言えないで、それはやむを得ない。またいずれ明らかにしなければいけないと思います。
  129. 三井脩

    ○三井説明員 ハイジャックを行った犯人とおっしゃるのは、現地で本件犯行を行った五名の犯人、こういう意味だと思いますが、この犯人五名のことにつきましても、こちらから釈放して行った五名につきましても、リビアという具体的な国の名前を挙げて云々ということは、事態終結に至らない現段階で申し上げるのを差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
  130. 林百郎

    ○林(百)委員 事は非常にデリケートですし、国際的な関係がありますから、いまの段階はやむを得ないと思います。  ただ俵谷さんに申し上げたいことは、これはやはり将来重大な問題になると思います。こういう暴力によって脅迫をされて、そうして人命も大事ですけれども、同時に日本の国の法秩序が破壊をされる、あるいは法秩序が守られないということは、これは非常に重大な問題だと思いますので、やはり引き続き国会で私自身もこの問題をさらに追及したいと思いますし、法務当局も十分検討されてしかるべきではないか、こういうように思います。  このことを申し上げて、私の時間が参りましたので、質問を終わります。
  131. 大西正男

    大西委員長 午後二時三十分から再開することとし、この際休憩いたします。     午後一時四十二分休憩      ————◇—————     午後二時三十三分開議
  132. 大西正男

    大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方自治地方財政及び消防に関する件について質疑を続行いたします。  林百郎君。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 最初に、私の午前中の質問でやや正確を欠く言葉がありましたので、この際、記録にとどめておいていただきたいのですが、それは日本赤軍によるマレーシアの米、スウェーデン大使館の占拠をしたテログループを、その後彼らの要求によって半ば暴力で支配されながらクアラルンプールからリビアまで飛行をしたわけなんですけれども、これをハイジャックをしたテロリスト、こういう言葉で呼びましたが、これは政府の半ば納得の上で飛んだ飛行機でございますので、脅迫はありましたけれども、ハイジャックというよりはむしろ在マレーシアの米とそれからスウェーデン大使館を暴力によって占拠した日本赤軍のグループ、こういう言葉にしておきたいと思いますので、ハイジャックという言葉のかわりに……
  134. 大西正男

    大西委員長 訂正ですか。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 ええ、そういうことです。そういうようにひとり訂正していただきたい。  それでは、消防庁と文部当局を呼びましたのは、実は国立大学の寮が非常に荒廃しておりますので、この点についての改善が早急に必要だと思いまして、きょう文部省と消防庁から来ていただいたのですが、文部省へお尋ねしますが、国立大学の学生寮約二百二十と言われますが、そのうち耐久度が五千点以下の寮というのは幾つぐらいあるのでしょうか、おわかりですか。
  136. 十文字孝夫

    ○十文字説明員 国立大学の寄宿舎は現在全部で二百四十二寮ございます。そのうちで耐用度点数が五千点未満、いわば官庁営繕で申しますと、改築の対象となる老朽建物ということでございますが、それに該当いたしますのが九十二寮ございます。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 実は昨年、北海道大学の恵迪寮、これは男子寮ですが、火災に遭って焼失しているわけです。続いて、ことしになって北海道教育大学の女子寮の春光寮が焼失しておるのですが、この火災原因について、消防庁お調べになったでしょうか。
  138. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 昨年十一月の北大の恵迪寮の火災につきましては、その出火原因は、明確に確定いたしているわけではございませんけれども、各種の要因からたばこの火の不始末というふうに推定をいたしております。  また北海道教育大学の旭川分校春光寮の火災の原因につきましては、これもまだ確定というところではございませんけれども、その出火原因といたしましては、ストーブの消し忘れによるものであるというふうに推定をされております。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっと委員長、参考までにこれを文部省と消防庁に見せていただきたい。私の質問の合い間合い間に見ていただけば結構です。写真を示していただきたい。  それから消防庁の方で、消防法の四条の立入調査あるいは五条の措置命令ですか、要するに非常に荒廃しておる建物で、非常に危険ですし、また出火のおそれがあるというようなことで、全国の消防署で大学の寮に対して消防法四条または五条の警告、まあ警告といっても措置命令ですから五条になると思うのですが、そういう警告が出された数字がおわかりでしょうか。
  140. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 私どもの資料としまして、大学の寄宿舎ということを限定して調査いたしておりませんので、全国的にどういう数字になっておるかということは相当期間をかけて調査をしなければわからないわけでありますけれども、少なくとも各消防機関におきましては年一回程度の立入検査というものは実施しているというふうに考えております。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 その立入検査の結果、何らかの措置を必要とするというような警告を発した事例がおわかりでしょうか。
  142. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 予防査察の結果に基づきまして、その火災予防の必要から改善の勧告をするとか、あるいは消防法の規定に基づく消防用施設の不備を指摘しているという事例は、相当件数あるものだろうというふうに考えております。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 文部省にお尋ねしますが、こういうように消防庁からも相当の注意を発しておるような状態であるわけなんですが、これは私が言うまでもなく、所管省ですから、文部省はもう国立大学の寮がどういう荒廃の状態にあるか十分わかっておると思うのですが、これがこの四、五年、一九七一年からで結構ですが、どのくらいずつ改築されているのでしょうか。先ほどお聞きしますと、五千点以下という危険度の相当高い寮が九十二と言いましたね。一九七一年からで結構ですが、幾つくらいずつ改築しているのでしょうか。
  144. 十文字孝夫

    ○十文字説明員 ただいま手元に昭和四十六年以降の数字を持ち合わせておりませんが、私どもとにかく国立大学の老朽の現状につきましては大変憂慮いたしておりまして、早い時期からこれの早期改築につきまして何とか促進を図っていきたいと考えてきたわけでございます。そこで、そういう寄宿舎のうちで管理運営上比較的問題のないものにつきましてはできる限り早く改築を図るということで、これは大学の方の御方針もございますので、できるだけ早く大学当局に御方針を決めていただいて、その方針のもとに老朽寄宿舎の改築等の改善を図るということで進めてまいりました。  昭和四十六年からの数字はございませんけれども、先ほど申し上げました九十二寮のうち五寮につきましては現在改築が進められているところでございます。なお、そのほかに幾つかの寄宿舎につきましてもただいま鋭意改築計画を進めようということで取り組んできているところでございます。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方で調査しました資料によりますと、いまから約五年前ですが、一九七一年に三、七二年に四、七三年に二、七四年に三というわけで、この調子でいきますと、九十二を平均年三つということになりますと、約三十年も必要とする。皆さんも多分大学を出られておると思いますが、これは青春時代をここで過ごす大事な大学生の生活の本拠であります。これがいま写真でお見せしたような荒廃した状態にあるということは、大学にいる者にとっては耐えられないことだと思いますが、こんなような年に三つか四つというような程度でしか改築は進められないものでしょうか。こういう点をもっと早く大学生の生活の根拠である寮を少なくとも近代的な生活ができるようなものに建てかえさせていくことが文部省の大事な責務だと思いますが、この点はどうでしょうか。
  146. 十文字孝夫

    ○十文字説明員 私どもも何とかして改築の速度というものを速めて、できるだけ早い時期に老朽寄宿舎がなくなるように努力していきたいと思っているわけです。そういうことで、具体的な努力といたしまして私ども、たとえば去年の三月に全国の国立大学の厚生課長会議がございました。そのときにも老朽寄宿舎については私どもの方では早急に改築していく方針であるので、各大学でその準備をお進めいただきたいというようなお願いをしているわけでございます。  そのほか、具体的に老朽の寄宿舎を持っている大学で、特にその老朽の状況がひどいという大学につきましては、個別に大学の学生部の担当者に私どものところへ来ていただきまして、その寄宿舎の現状をお聞きするとともに、それに対して特別の措置を早急に御検討いただきたいというようなお願いも申し上げてきているわけでございます。ことしに入りましても学生部の次課長会議がこの六月にございましたが、その席でも重ねて私どもは、老朽寄宿舎の改築をできるだけ早期に行っていきたいので、各大学に速やかに方針を立てて対処していただきたい、そういうことでお願いもしてきているわけです。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 五千点というのは、これはもう正常に住める建物ではないというものなんですね。それから三千点以下というのは生命に危険を及ぼしてくるというようなものなんですが、たとえば東京学芸大学の大泉寮を見ますと、二寮が三千四百十点、三寮、四寮、五寮、六寮、七寮、八寮、九寮がありますが、ほとんど三千点から二千点以下で、生命に危険を及ぼすおそれがあると判断されるような建物の中に、国立大学の生徒がいるというわけなんです。学生諸君に聞いてみますと、寮の建物、これはことに焼けた北海道の恵迪寮の場合に、この寮にいた寮生の話を聞いてみますと、寝ていたら天井が落ちてきたとか、ドアを開けたら窓ガラスが頭に落ちてきてけがをしたとか、非常に危険な状態にあるわけですね。それから防火、消火施設はほとんど整備されておらない。それから出火の場合の報知機、これも全然機能を発揮していないというものがいわゆる五千点以下の建物、寮のほとんどだというのですね。こんな火災の巣になるような建物がいまもって国立大学の寮の名において存在するということは、消防行政からいっても許されないことなわけなんですけれども、先ほどこういう老朽化した寮を近代的な施設に改築するように努力しているというようにお話をお聞きしたわけですが、たとえば私がかつておりました信州大学の思誠寮、それから繊維学部の修己寮、それから工学部の若里寮、これは長野県ですが、これらははなはだひどい状態になっているわけですが、ことに修己寮、これは繊維学部なんですけれども、火災発生時の危険を考え、二階に住まないようにしている、床が抜ける、角材で傾いてくるのを支えている、壁が崩れている。思誠寮、これは元松本高等学校ですが、これは松本消防署の方からも注意があったというのですが、危険建造物の指定はあえてしないけれども、危険な建物であることは周知の事実だ。三分間で火の手が全体に回る。若里寮、これは工学部ですが、床が抜け、屋根が波を打っている、壁が落ちている、土台が腐っている、ドアは締まらない、倒れないように突っかい棒で支えているが、その突っかい棒がもう腐ってきている。これが信州大学の三つの寮の現状ですけれども、とりあえずこの三つの寮に対して何らかの措置を考えておいでですか。
  148. 十文字孝夫

    ○十文字説明員 先生ただいま御指摘のとおり、信州大学には七つの寮がございますけれども、そのうちの三つが木造の古い寮でございます。思誠寮、これは人文、理学部の寮でございますが、大正九年に建てられた建物でございます。若里寮は昭和二十年でございますが、これは戦後間もない時期に建てられた建物でございます。修己寮、これは繊維学部の建物で、大正三年、最も古い建物でございます。この修己寮につきましては、建物の耐用の度数からいいましても一番低い、危険度の高い建物でございます。これにつきましては大学といたしましても早期に改築すべく計画を進めておりますので、私ども大学とよく連絡をとりまして、できるだけ早くこれが改築できるように進めてまいりたいと思っております。そのあとの二つのものにつきましても、これから逐次大学とお話し合いを進めながら改善に努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 参考までに東京学芸大学の大泉寮、先ほど言いました大体三千点から二千点ですが、これは昭和十二年ですかに建造して三十八年を経過しているわけですけれども、これも練馬区の三大危険建造物の一つに数えられておって、石神井消防署から三分間で燃え尽きる寮だと言われている。周辺の住民はお化け屋敷だと言っている。老朽化の現状は、四つの寮が傾き出して、トイレの入り口の柱が腐ってぶらぶら浮いてきておる。雨漏りのためにビニールを置いたり、たらいを置いたりしている。七寮は特にひどい。窓の破損のため部屋、廊下に雪が積もる。窓の破損七カ所、こういう状態です。実情については私が言うまでもなく十分承知されていると思います。  こういう将来の日本の国をしょって立つ大事な、ことに国立大学の学生の青春時代を過ごす寮でありますから、これを少なくとも人間の住むに値する住居にするような努力を文部省としてはする必要があると思います。年間三つか四つというようなものをもう少し早く、九十二ですから、少なくともこれを五カ年計画か、あるいはその前後の計画で近代的な建物にしていくというような計画をお持ちにならないでしょうか。もちろん文部省が計画を立てても大蔵省がありますから、なかなか折衝が困難を来すと思いますが、毎年三つか四つ、七三年のごときは二つ、これでは三十年もかかるわけですから、もう少しこれをスピードアップするようなことは考えておらないでしょうか。
  150. 十文字孝夫

    ○十文字説明員 先ほども申し上げましたように、私ども、この老朽寮の現状を長い間放置することはできないということで考えておりまして、その速度を速めるように、できるだけ早く改築ができるように大学当局にも個々具体的にお願い申し上げております。  先生のお話のありました東京学芸大学の大泉寮の現状ども大変ひどいものでございます。東京学芸大学当局に対しましても、早い時期から改築整備の計画を進めるようにお願いもしてございます。そういうことで全体の速度を上げてまいりますれば、十年以上かからずにこの状況を、しかも老朽度の高いものから早急に整備していくということで解決ができるのではないかと思います。なお今後とも大いに努力してまいりたいと思います。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 消防庁長官、こういう機会ですから、ちょうど文部省当局もここにおりますが、どこの消防署も火がついたら三分ぐらいで燃えてしまうだろう、危険な建築物だと言う。これは古い寮のことで、二百幾つのうちの九十幾つぐらいですが、こういうものは消防行政からいっても早急に近代的な、防火等の施設も完備した、あるいは出火のおそれのないような建物に改築するようなそういう希望をお持ちでしょうか。ここで消防庁としての希望を言っておいていただければ、文部省の方にも参考になると思いますが、どうですか。改めて交渉するといえばまた大変でしょうから。
  152. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 こうした寄宿舎等の施設につきましては、いろいろな消防法上の消防用設備等の設置の義務づけが行われているわけであります。現在これらの古い建物につきましては、先般消防法の改正を行ったわけでありますけれども、これらの寄宿舎の部分につきましては既存建物についての遡及の規定がないわけであります。そういう意味におきましては、たとえば自動火災報知器等の設備のない寄宿舎もあるわけでございます。それからまた、非常に老朽化しておりますと火の回りが非常に速くなる。そういう意味においての居住者の危険性は高いということも御指摘のとおりでございます。消防立場から申しますと、いわば消防設備の完備した寄宿舎ということが望ましいわけでございます。そういう意味におきましては、できる限り老朽のものについての改善をお願いしていきたい、こういう考え方でございます。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 ひとつ文部省も、消防行政の上からいっても消防庁もそういう要望を持っているということをよく含んでおいてもらいたい。  それからもう一つは、寮にいる人たちが全寮連という組織をつくって、これが国立大学の寮に住んでいる人たちの六割くらいを組織しているわけです。寮にいる人たちの自主的な組織ですが、これが文部省と、いろいろの居住者としての要望を話し合おうとしても文部省が応じてくれないという声があるわけです。もちろん寮を建て直すか建て直さないかというのは、管理権を持っている学校当局にその権限があるのは当然ですけれども、しかし現実にその寮に住んでいるのは寮生なんですから、寮生がいまどういう状態に住んでいるかというようなことを、文部省へ行った場合には、文部省はその声を聞くということは当然だと思いますが、会わないとか話を聞かないとか、そういうようなことを耳にしているわけです。現実に私たちは見たわけじゃありませんが、その関係はどうなっているのですか。
  154. 十文字孝夫

    ○十文字説明員 先ほども申し上げましたように、寮の整備につきましての方針は、まず第一に大学当局がお決めになることでございます。したがいまして私ども一は、大学当局の方からは寮の現状その他をいろいろお聞きし、またそれに対してこういう対策を講じたらいいのではないかというようなことで、改築その他の面でいろいろ御相談をしてまいるわけでございます。個々の大学の学生が直接私どもの方に参ってお話しされて、私ども事柄によってこれはいいとか悪いとか言うような話になりますと、結局大学当局としての対学生の方針を、いわば文部省が頭越しにないがしろにするというようなかっこうになりますので、私どもは直接具体的な問題で学生の方々とお会いするということはお断り申し上げているわけでございます。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 あなた方から行政的な裁断を求めるのじゃなくて、たとえばこういう実情だからということを陳情するのを聞くことはいいでしょう。これは主権者である国民なんですから、行政当局に対して実情を陳情することはできるわけですからね。その決定はあなたのおっしゃるように管理権を持っている大学当局と文部省で決めますが、皆さんの声は謙虚に聞きましょうと言うことはよろしいのじゃないですか。その点はどうでしょう。
  156. 十文字孝夫

    ○十文字説明員 その点につきましては従来から、要望書などをお持ちいただきました際に要望書をお受け取りいたしまして、その際に希望があれば私どももお聞きするというようなことで対処しております。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 けじめをつけることは結構でございますが、現実に寮に住んでいる諸君の切実な声ですから、文部行政の参考にするためにそういう声を聞かれるという道は思い切って開かれた方が、やはり民主主義的な態度だと思います。その点をぜひこれからひとつ広げていっていただきたい、こういうふうに要望いたしますが、最後にその点をお聞きして私の文部省に対する質問を終わりたいと思います。どうでしょう。
  158. 十文字孝夫

    ○十文字説明員 先ほど申し上げましたように、大学当局の方針というものを離れて具体的な問題について詰めたお話し合いをするということは、私ども差し控えさしていただきたいと思いますけれども、寮生の直接の声を聞くということでは、その要望書の中身なども十分検討さしていただきますし、またその際にいろいろ御希望があれば十分お聞きするということで対処してまいりたいと思います。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、消防庁と文部省の方もう結構です。これは本来文教委員会でやらなければならないことですが、文教委員会質問の機会がないということで、消防行政に絡んで聞いたわけですから、どうぞお引き取りください。  もう時間がありませんので、地方財政についてあと一、二問だけ質問さしていただきたいと思います。簡単に済みますので……。  本年度地方財政の実情、第一・四半期を過ぎました実情について、楽観的な見通しがなかなかあり得ない。むしろ未曾有の困難な状態になるのじゃないかというようなことも、松浦財政局長もそれとなく——もちろんようやく第一・四半期を過ぎたばかりの今日ですから、今日直ちに本年度の究極的な見通しはこうだということは言えないにいたしましても、それぞれの要因を調べてみますと、国の財政の落ち込みもしかることながら、地方財政の落ち込みも相当のものになると思うのですね。一つは国の三税の所得、国税全体の落ち込みからくる、それの三税のはね返りの交付税の落ち込みと、もう一つ地方自治体自身の、ことに法人二税の落ち込み、これはダブルパンチを受けるということが考えられるわけですね。ここで早急な結論を私も言うつもりはありませんけれども、このことは相当深刻な状態になっております。  そこで、質問を要約いたしますが、大蔵省の考えとしては国税の落ち込みを第一・四半期を過ぎた今日、一体どのくらいと見ているだろうか。九月九日には臨時国会が開かれ、十月には補正予算を組むと言われておりますので、国税全体の落ち込みを大体どのくらいと見ているだろうか。その中で三税の落ち込みはどのくらいになるだろう。そして交付税の落ち込みは必然的に出てくるわけですが、どのくらいと見ているだろうか。先ほど同僚議員も数字を聞いていましたが、もしいまのままでいけばどうなるということしか皆さんだって答弁できないと思います。それで結構です。  それから松浦さんには、いまのままでいったら地方税の方の、交付税の方は三税と絡んできますので大蔵省とも関係してきますが、自治体の方の地方税としての法人二税の落ち込みはどんなことになるのだろうか、見通しがありますかどうか、ちょっと数字がつかめたら言ってもらいたいと思いますが、二つを大蔵当局と自治当局にお聞きしたい。
  160. 福田幸弘

    福田説明員 ただいまのお尋ねでございますが、本年度の収入の不足の問題、これは大きな問題で検討を進めておるわけでございますけれども、税収の方の前提になります経済の動きというものは、これから先いかにも見通しが困難でございます。その状況はしばらく続くと思うのですが、税の方で言いますと先月末でわかりました税収というのは、四月、五月、六月までなんです。この三カ月、これは税収としますとまず普通一年のうちの二割ぐらいしか入らないわけですが、四、五、六しかわかっていないわけです。そういうことでございますので、いまの段階でことし幾らになるかというのは、非常に残念でございますが数字としては申し上げられません。しかしやはり歳入は不足の問題が懸念されるということは申し上げられると思います。その不足額の中で、三税はますます数字を申し上げられないのでございますが、いまの不況の原因あたりを見ますと、法人その他三税に相当影響されておりますので、相当部分三税が占めるであろうという感じがいたします。  以上でございます。
  161. 首藤堯

    ○首藤説明員 地方税におきます法人二税関係の状況につきまして、ただいま把握しております状況を御報告申し上げます。  もちろん年間の収入見込みといたしましては、先ほども御指摘がございましたように、年度始まってまだ幾らにもなりませんので、しかとはつかみかねるわけでありますが、ただいま手元にございます資料では、三月決算を調定をいたしました五月末の税の調定状況、これも府県関係の法人税収について把握をいたしておるのでございます。これを調べてみますと、平均的に申し上げますと、事業税、法人住民税両方ともでございますが、昨年度の実調定額の約八割、二割程度の減が出ておる、こういう状況でございます。  今後これがどう推移をいたしますか、これは私どももちょっとつかみようがないのでございますが、去年の実績の八割しか調定ができていない五月末の状況がそのまま続くというごく乱暴な前提に立ちますならば、法人関係二税、これは市町村分も含めてでありますが、まあ八千億と申しますか、その前後と申しますか、そういう数字が単純なあれでは出てまいるわけでございます。もちろんこれは、もっと時期を経まして精査をいたしませんと明確にはならないと思います。
  162. 林百郎

    ○林(百)委員 通常常識からいいまして、第一・四半期の六月には交付税の大体五〇%程度のものを下におろすというように聞いておるのですが、六月末の交付税を下におろしているパーセントはどのくらいのパーセントになっているのでしょうか、おわかりでしょうか。
  163. 松浦功

    ○松浦説明員 御承知のように、全体の予算計上の交付税の九四%は普通交付税、したがって特別交付税は二月まで配賦しないで持っておるわけでございます。普通交付税の四分の一、これだけをお配りしておるというふうにお考えいただきたいと思います。
  164. 林百郎

    ○林(百)委員 四分の一は満額でおろしているのでしょうか。情勢から見てこのぐらいということで縮めていないでしょうか。
  165. 松浦功

    ○松浦説明員 法律にそれぞれ四分の一、もっと正確に申し上げますならば、前年度の各地方公共団体の普通交付税の額に交付税総額の対前年度伸び率を乗じた額。たとえば、ある団体で百万円であった、全体の普通交付税の伸びが一割伸びているということであれば、百万円に一・一を掛けた百十万円、それを四つ割りにして四、六に配ります。そして、実際には八月になりますと本決定がありますから、本決定になった金額から前の二度に配ったものを引いた残りの半分ずつを九月、十一月に配る、これがシステムでございます。
  166. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣、お疲れのようですけれども、当委員会で大臣が五十年度地方財政計画で組まれている数字については、どういう経済の変動があってもそれだけは私は責任を持って保障するつもりだ、少なくとも地方財政計画で組まれたものについては減額するようなことはさせないつもりだということをはっきりおっしゃって、これは記録にも出ておるわけですが、これについては自治大臣として依然として変わらないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  167. 福田一

    福田(一)国務大臣 記録に出ておるとおりでございます。
  168. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ大蔵当局からお聞きしますが、三税が当初見込みより少なかった、したがって三二%の交付税は当初計画よりも少ないからこれだけは引き上げる、あるいはこれだけの交付税は減額して交付する、そういう措置はとられることがあり得るのですか、どうですか。
  169. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 ただいまのお話のとおり、交付税の総額は、数字ははっきりいたしませんが、恐らく三税は減るということであろうと思います。その場合に、法律のたてまえから申しますと、一般会計から特別会計へ繰り入れる金額は減るということになるように考えております。
  170. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると減っただけのものが地方自治体に行って、当初の地方財政計画で見込んだ交付税より減額される場合がある、こういうことなんですか。
  171. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 そのとおりでございます。  ただ、なお付言して申し上げますと、お話のように地方税そのものも相当減るかもしれない、交付税もそうなるかもしれない、また追加財政需要というものも何がしか出るかもしれないというような事態になるわけでありますが、そこのあたりは、全体としてこの厳しい財政事情と申しますか、経済情勢のもとにおいて、地方の歳出なり歳入がどうなるべきか、またどうなっていくかということをよく見きわめて、その際には国でもいろいろ節約をするわけでございますから、そういうことも当然地方にも考えていただかなければならぬと思っておりますが、そういうようなことを見きわめた上で自治省とも十分御相談して、この段階における適正な地方財政はどういうふうにしたら運用できるかというような観点から、措置については自治省と相談いたしたいと思います。
  172. 林百郎

    ○林(百)委員 いまの方は大蔵省の主計官ですね。大体大蔵省がそういうなかなか詰めた話をされることはよくわかっておりますが、しかし、自治大臣も当初の財政計画で組んだものについては責任を持つ、それがあれやこれや、多くなることは結構ですが、減らされることによって地方自治体の財政計画に混乱を起こすようなことはしないと言っているわけなんですね。そういうときに大蔵当局が、減れば当然交付税も減るのはあたりまえだというようなわかり切ったようなことをおっしゃっていて、それで地方自治体が納得できるかどうか。ことに国税の減収の原因が地方自治体に責任があるのか。あるいは国の従来の経済の高度成長政策、その結果出てきたスタグフレーション、そういうようなものに対する低成長政策というようなものから出てくるとすれば、これは地方自治体よりむしろ国のそういう行政措置から出てくる要素が非常に多いわけなんですね。もちろん、地方自治体と国とあえて好んで相拮抗しろと私は言うつもりはありませんけれども、しかし国のそういう大きな行政の結果出てきたものに対しては、地方自治体に対してはできるだけの配慮をするのが当然だというように私たちは思うわけです。  そこで、午前中の答弁でも松浦財政局長が、まだわかりませんけれども万一の場合に、さっき言ったようなダブルパンチの形で自治体の財政に落ち込みが出た場合には、一種の補てん債的な方法も考えられる、松浦局長は慎重に私見ではあるがということを言っておりましたが、これはいわゆる従来の補てん債的な考え方と見ていいのでしょうか。要するに、そういう国の三税の落ち込み、それから地方自治体の財政の落ち込みを埋めるために補てん債を地方債として認める、その償還については国でしばらく見る、そういう構想も考えられる。これはあなたも慎重に、私の個人的な見解だと言っておられまして、その点は結構でございますが、いわゆる補てん債的な考え方と見ていいのでしょうか。
  173. 松浦功

    ○松浦説明員 あるいは午前中の御答弁は舌足らずだったかもしれませんが、私は国税三税の減収、これによって落ち込む交付税、これは法律上どうにもならないわけでございます。これは大蔵省のお答えになっていることはちっとも間違っていない。二兆円の国税三税が予算に減収という形で計上されれば、当然交付税は六千四百億円マイナスになる。これは法律上どうにもならない。そこで、問題はその落ちた交付税が、現実に落ちない形で、現ナマで地方公共団体に配られるようにしたいというのが私ども考え方でございます。臨時特別交付金という形で国の方へかけ合うのか、あるいは借り入れという形で、国と地方財政との間の貸借関係にして、将来の経済状況の見通しを立てた上で返していくか、その辺は現在の国の財政事情にも非常に大きく左右される問題だと思っておりますが、いずれにしても、現在の予算に計上した四兆四千億の交付税を、現実に配って決定をしてしまったものを、後から返してくれというような形には、それは部分的にはあり得ると思いますけれども、大幅にそういう姿が出てくるということは、これは大変なことだと思います。ですからそういう意味では、六千四百億円予算上減少になることは、これは正しいと思います。しかし、その後の補てんをどうするかということになりますと、これは大蔵省との間には相当な意見の食い違いが出てくると思います。大臣がおっしゃられましたように、地方財政の運営に影響が出ないような形で、交付税という形で確保をいたしたい、それだけの気持ちを持って大蔵省と強く折衝したいというのが現在の気持ちでございます。  税の落ち込みの問題はまた別でございまして、これにつきましては、私ども財政計画で、これだけの税金は取れるはずだから、これでこれだけの財政計画に基づく支出というものをおやりになったらどうでしょうかという形で、地方財政計画というものは国会まで御提案を申し上げて御審議をいただいたものでございます。それに穴をあけっぱなしということはまことに無責任だ。これは大臣がおっしゃられるように、地方財政の運営に支障がないようにということでございましたら、減収補てん債を発行するとかいろいろ方法があると思います。どの方法をとるかについては、まだ折衝が残っておりますので、ここでとやかくのことは申し上げかねますが、基本的にはそういう考え方で、財政計画に計上しております税収入が確保できて、それによって財政計画に計上された支出の執行に遺憾のないようにする、これを基本の態度として折衝に臨みたいと思います。
  174. 林百郎

    ○林(百)委員 松浦さんの言われているように、特例交付金というような前例もございます。相当大蔵省との間には現実的、理論的な交渉もされなければならないと思いますが、かつては特例交付金という形で自治体の財政を見たこともございますので、ひとつできるだけ地方自治体の財政に混乱を及ぼさないような方向で考えてもらいたいし、また主計官にも、これは法律的には三二%ですから、三二%の対象が少なくなれば、それ掛ける三二%は少なくなるのはあたりまえだという、これははなはだ冷たい論理なんですね。冷たい論理ですけれども自治大臣も言うように、すでに地方財政計画として確定され、そして国会でも論議され、予算の際、予算の委員会においても論議され承認をされたものが、実はその後の見通しが誤っていたので、甘かったのでこうなったからおまえたちこうしろ、ことに福祉を縮めていけとかあるいは行政費を縮めていけとか、余り弾力性のない自治体にそういう財政的な無理を押しつけても思うようにはいきませんので、混乱を起こさないような方法を考えてもらいたいと思うわけです。  最後に大蔵省にお聞きしたいのですが、国税の落ち込みのために建設公債の枠があと一兆四、五千億しかない。国税の落ち込みが三兆円以上、三兆五、六千億という数字も出ていますが、そうなると、財政法にある、歳入の欠陥は公債で埋めてはならないというあの条項を変えるかあるいは単独立法かによって、純粋な赤字公債を出さなければならない事態も想定しておかなければならない。もちろん、そうすると決めておるわけではありませんけれども、そういう事態も考えなければならないほど事は深刻だということになっているわけですね。  さて、そういう場合に、それが地方自治体へ国の補助金というような形でもしおりるとすれば、地方自治体では国からおりてくるその国の補助金に対する裏負担等も考えなければなりませんので、仮にそういう事態が起きた場合に、それに対する地方自治体への財政的なはね返りというか負担というか、それについてはどういう考慮をなされるか。われわれは三税と同じように、三二%の交付税をというような性格で、その中から特例交付金という形にするか補てん債という形にするかはあるにしても、何とかして純粋な赤字公債を発行することによって出てくる地方財政へのはね返りについての考慮も、あわせてしていかなければならないと思うのですけれども、その辺はどう考えているのでしょうか。
  175. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 先ほどのお話と関連しますのでまとめて申し上げますが、この時点で交付税、これは法律的には落ちる、それから地方税の相当の減収がある。一方に追加財政需要には、おっしゃいますように、これは仮の話でございますが、景気対策とかなんとかいう形で公共事業費の追加があるかもしれない、人勧が出る、それは追加財政需要になるわけでございます。そこで公共事業が追加になれば、当然、おっしゃるように裏負担の問題が出てまいります。これも追加財政需要でございます。それらをひっくるめまして、先ほど申しましたように——私も交付税が減った分は全部減ったままでいいということを申し上げたつもりはなかったわけでございますが、そういうような追加財政需要、それから落ち込みの分、それらを現在の時点でいろいろ見直してみまして、しかし同時に地方財政の運営というものは、これは住民の方と一番直結した部門でございますから、これが混乱が起きてはいけないというのはそのとおりでございますので、適切な地方財政の運営が行われるということを頭に置きつつ、いまのいろいろなファクターを組み合わせていきまして、どういう措置をとるかということを自治省当局と十分御相談させていただきたいこういう趣旨でございます。
  176. 林百郎

    ○林(百)委員 一問だけで終わりますから……。  自治大臣、国の財政から申しましても地方財政から見ましても、恐らくちょっと想像を超える困難が出てくると思うわけですが、国務大臣として当委員会において、当初決めた地方財政計画について変更をし、地方財政を混乱に陥れるようなことはしないということを明言されておるわけでありますから、今後、三税の落ち込みあるいは地方自治体の特に法人関係の税収の落ち込み等があっても、それについては地方自治体の利害を代表して大蔵省とひとつ十分筋の通った交渉、私は筋の通らないことをあなたにやれとは言いませんから、筋の通った交渉をぜひされるように、この際決意を聞いておきたい。  それから大蔵当局も、実は税収の七割は大蔵当局が持っていくのですけれども、仕事の七割は地方自治体が現にやるわけなんですから、これは見てやらないと国の仕事全体ができなくなるわけです。そこを十分理解されて今後の自治省との折衝に当たられたい。その点についてどうお考えになるか、それをお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  177. 福田一

    福田(一)国務大臣 林議員の仰せのとおり、私はこの際地方自治体の立場に立って、当初予定したものはどういう形式をもって補てんするかは別にしても、極力補てんすることに努力をいたしたいというかたい決意をもって当たってまいりたいと思っております。
  178. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 国の財政事情は繰り返すまでもなく非常に苦しゅうございますので、いろいろのお話をそのままオーケーというようなことにはなかなかならぬと思いますが、地方財政現状、それから地方行政というものが住民と非常に密接した行政でなければならない、これが混乱が起きてはいけないということを十分頭に置きまして、今後折衝いたしたいと思っております。
  179. 林百郎

    ○林(百)委員 委員長、終わります。
  180. 大西正男

  181. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は一般質問でございますので、財政問題をも含めて当面地方公共団体の抱えている諸問題についてお尋ねいたします。  まず第一番目に、埼玉県の所沢市におけるオーバー・ザ・ホライゾン、俗にOTHというこの問題ですが、住民感情を逆なでする日米安保条約の問題等々、外務省や防衛施設庁、また国の大きな問題に絡めていま三木内閣の問題になっております日米間における防衛分担問題、こういう問題等を抱えながら、いま埼玉県の所沢市におけるOTHの撤去の問題について非常に大きな問題になっておりますが、この問題については所沢市から自治省、防衛庁ないし大蔵省に何らかの調査の依頼等々があったのでございますか。
  182. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま御指摘の所沢市の問題でございますが、私ども、まだ細かに承っておりません。現在のところ存じておりません。
  183. 小川新一郎

    小川(新)委員 こういう事態が発生しているということは、自治省では知っていますか。
  184. 首藤堯

    ○首藤説明員 私ども、まだ細かに承知をいたしていないのでございますが、県を通じていろいろ聞いてみたり調べてみたりしてみようと思います。
  185. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣もよく御存じないようですし、埼玉県の片田舎の問題だからおれはわからないんだというのでは困っちゃうので、所沢といったら埼玉県の中でも有数な都市であり、私の住んでいる埼玉県の中でもまことに誇り高いところであって、戦後、安保条約に従って日本の防衛のために数多くの貢献をし、また犠牲を払ってきた所沢、朝霞、新座、こういった一連の県西部の諸都市における撤去問題が非常に大きな政治問題になっておる。余りよく御存じないようですが、これはきょうやきのう始まった問題じゃないのですよ。もう十何年間騒いでいる。ところが、最近になってえたいの知れないアンテナが立っていて、その方に向かっておった団地のテレビが映らなくなってしまった。それから調べ始めてきましたところが、超低空で飛んでくるミサイルをキャッチするレーダー網が、このOTHオーバー・ザ・ホライゾンだ。極超短波によるところのこういう施設、これは沖繩の那覇と北海道の千歳、青森の三沢、そして所沢と四カ所あるということは国会の予算委員会の問題になった。この極超短波、要するにミサイルというのはレーダーというのがこう上がってきてここでとらえるわけです。超低空を飛んでくる、地表とある一定の空間の中はレーダーがとらえられない。これをキャッチするために、日米安保条約第六条、地位協定四条等に従ってアメリカがやったとかやらないとかいうことが問題になりまして、住民運動が展開されましてこれを撤去するということになり、この所沢の基地の六〇%が返還になり、残り四〇%はいまだに返還になるかならないかはっきりしないわけです。ところがこのアンテナが四列に並んでおりまして、これは内閣委員会調査に行きました。私も地元代議士として現地参加をしたのでございますが、その前列の一列だけがいまだに取り外されていない。これは取り外すということに米軍との間に約束ができたと聞いております。これは専門の防衛施設庁、この経過をひとつお聞かせください。
  186. 奥山正也

    ○奥山説明員 先生御指摘のとおり、OTH施設は撤去されつつございます。ただいま八本のアンテナがまだ残っております。ただしこれにつきましては、近く米軍はその残りましたアンテナも撤去いたしまして処分をするというふうに聞いております。
  187. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、この間所沢市が防衛庁に聞いたときには、米軍に予算がないから外さないのだろうというような無責任なことを答弁したというのですね。これは私が直接聞いたわけではないから、その真偽のほどはわかりませんが、所沢の市の役人に聞いたところが、こういう答弁が防衛庁から返ってきたという。だけれども、この防衛施設における予算の問題については日米の安全保障に関する予算の分担でございまして、米軍があるとかないとかの問題じゃないのですね。しかも所沢市に対しては、OTHの施設については撤去するとはっきり明言しておきながらいまだに取り外さない。でありますから、私どもはこれに対してまず疑問を持ったわけでございます。そういたしますと、八本の残ったOTH施設のアンテナは確実に取り外すんですか。これは間違いないのですか。
  188. 奥山正也

    ○奥山説明員 ただいまのところ、米軍に問い合わせましたところ、米軍はそのように申しております。
  189. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、取り外したところにいまできている新しいアンテナ用の施設は一体何であり、どこの所管なんですか。
  190. 奥山正也

    ○奥山説明員 ただいま約六十本の木柱のアンテナが建設されておるということを、地元からの情報によりまして私ども承知いたしましたので、米軍の方に問い合わせましたところ、これは一般の通信用のアンテナといたしまして米軍が設置しておるということであります。
  191. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は専門的なことばよくわかりませんけれども、そうすると、この新しいアンテナの使用目的というのはOTHレーダーとは関係ないということですね。
  192. 奥山正也

    ○奥山説明員 OTHとは関係ないというふうに考えております。
  193. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、地域住民また所沢市の疑問に対して私どもは明確に、これはOTHと全く関係ない。だけれども、どういうわけでこういうアンテナが建ったかという説明については、この議事録にとどめておきたいのでもう一遍明快にお答えいただきたいと思います。
  194. 奥山正也

    ○奥山説明員 米軍の一般通信用のアンテナといたしまして米軍が設置しておるという状況でございます。
  195. 小川新一郎

    小川(新)委員 六割が返還されましたが、その四割の未返還地に建ったものだと思うのでございますが、こういうふうに新しくアンテナやなんかをつくってしまうともう四割は返ってこないと理解していいんですか。これは、日米間の事務レベルの取り決めの中ではどうなっているんですか。
  196. 奥山正也

    ○奥山説明員 地位協定に基づきまして米軍に提供しておる施設でございますので、その中で米軍が工事をすることにつきましては、条約上は、米軍にやめろと言うわけにはまいらないものだというふうに解釈をいたしております。
  197. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治大臣にちょっとお尋ねします。  埼玉県の所沢でいまこういう問題が起きておるのですが、大臣はきょう初めてお聞きになったふうでございますけれども、これは非常に大きな問題だと思うのです。残り四割の返還については自治省としてはどういうお考えをお持ちなんでございましょうか。建設省とかそういった地元の問題ではございますが、自治省としてはどういう考えを持っているのか、われわれにはよくわからないのですが、どういうふうなあっせんをしていただけるのか。また、地方自治の問題として、自治省が介入することは好ましくないという問題であるならば好ましくない問題であるとして、当該所沢市に対して、そのような方法として、大蔵省なり外務省なりを通じて私どもは返還要求をやらなければならぬと思います。  私が質問している要点は、米国宇宙開発局ですかが所管しておりますオーバー・ザ・ホライゾン、特にこういった軍事用に使われている核兵器またはミサイル要撃装置に対する問題について、地元が非常に不安に思っておりますので、この際、三木内閣の国務大臣の一人としてぜひひとつ所見をお承りしたいと思うのです。
  198. 福田一

    福田(一)国務大臣 実は私ははなはだ不勉強でございまして、きょう初めてそのお話を聞かしていただいたわけでありますが、地方自治体が非常な関心を持っておる問題である限りにおいては、自治省としても関心を持つべき筋合いのものであると思っております。しかし事態は、やはり防衛施設庁の問題あるいは外務、自衛隊等々との関係が中心に相なるかと思いますので、ひとつそういう面で接触を願いまして——非常にむずかしい面もございます。自治体全体の御要望でもあれば、われわれもまたそれをほうっておいていいという考え方ではございませんから、自治体が非常に困っておられるということであれば、そのときはまたそのときで連絡をいただいて、問題の所在というか内容、それから解決の方法等々についても、われわれまたその時点において関係をさせていただくということにいたしたいと思うのでございます。まず第一義的には直接の部局と十分な御連絡をお願いいたしたいと考えます。
  199. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういう面でひとつお話し合いを進めていただきたいと思いますが、重ねてお尋ねしては失礼なんですけれども、これは全くOTHには関係ないのですね。そのように地元へ行ってしゃべってもよろしいですね。
  200. 奥山正也

    ○奥山説明員 OTHとは関係ございません。
  201. 小川新一郎

    小川(新)委員 ありがとうございました。ただ、私が遺憾に思うことは、この国会の場でなければこういう問題が明確にならない。地元の公共団体所沢市が何回行っても、いまあなたからお答えいただいたような明確な御答弁をいただけなかった。非常に残念に思います。大変お忙しいところおいでいただきましてありがとうございました。  次に、自治大臣、選挙区のことで聞くのは、ここは公職選挙法の特別委員会でないから本当は違うのですが、一点だけお聞きしたい。  法案も通ったことでございますが、私の所属しておりますところの埼玉一区の区割りの問題が何としても私は納得できない。未練がましいと言われるかもしれないし、笑っていらっしゃる方もいるかもしれないが、これは大変な問題なんで、どうして飛び地をつくったのか、いまだに理解できない。どうして飛び地をつくらなければ埼玉一区の選挙区の区割りはできなかったのか。埼玉一区と五区は人口比分を何であんなに差をつけてしまったのか。こういう不可思議な問題は、私は国会議員として地元の百七十万有権者の皆さんに説明する必要がありますので、これは大臣、担当自治大臣として、埼玉一区の選挙区割りの飛び地の問題について、何であえてこういう飛び地をつくったのか、ひとつ御説明をしていただかない限りは私は納得できない。当委員会は公職選挙法の特別委員会でない。しかもこの法案は七十五通常国会で通りましたから、あえてこんなことをいまここで言うのはあれでしょうけれども、私はその特別委員会委員でございませんし、直接に大臣の御答弁も聞いておりません。しかし、自治大臣として、また国務大臣として、これは国会議員に説明をして納得をさせるのが民主主義でございますから、民主主義というのは、無理解、暗黒、そしてわからないまま押し通すということは非常によろしくないとある人から教わりましたので、どうぞひとつ私にわかるように御説明いただきたい。
  202. 福田一

    福田(一)国務大臣 実は、その問題につきましては、選挙関係委員会におきまして、自治省において案をつくって出してもらいたいという御依頼がありまして、それで案を出したのだと私は思います。私が説明を聞きましたときには、あなたの選挙区のことでありますけれども、何といってもあそこでは大宮と浦和が都市としての二つの拠点である。(小川(新)委員「川口」と呼ぶ)川口もありますが、最近、こんなことを言うとおかしいけれども、私の聞いているところでは、何といっても埼玉でということになれば大宮と浦和……(小川(新)委員「そんなことはないですよ、埼玉県で一番人口が多いのだ」と呼ぶ)まあまあ、認識の問題は別なんです。いままではそういうふうなことと理解をしておる。そこで大宮と浦和を分けて、ひとつ選挙区を分けるようにしたらどうかということで案が出てまいりましたので……実は私もどういうふうにしていいかわからないのですよ、本当の話は。私自身は自分で具体的に線を引くだけの知識がないのです。実際、それが本当のところなんです。いま、あなたに川口の問題でおしかりを受けたけれども、その程度のあれでやったらけしからぬ、こう言われるが、しかし、私は、事務というものは非常に勉強してやってくれたんだ、こう思っていますから、事務の持ってきた案を一応私が認めた、こういうことでありますから、これはどうしても御納得がいかなければ、ひとつ事務を呼んで聞いていただきませんと、私としてはそういう事務の持ってきた案が、公平に考えてみてそうだと思って事務は出したのだ、私自身に余り知識がないということであれば、やはりそれを認めるのが私は筋だと思って、そうか、こう言って認めたということでございまして、納得のいく説明を聞かせろとおっしゃっても、これ以上は申し上げることができないわけでございます。
  203. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、自治大臣、私の選挙区だからこんなことを言うのはあれだというのじゃなくて、いやしくも選挙の区割りというのは、代議士のための区割りじゃないと思うのです。選挙は、議会制民主主義の基盤にかかわる大事な問題だからこそ公明党はいろいろな面で賛成もし、反対もし、議論もした。私は、大臣、その言葉では情けないですよ。おれはわからないんだ、これは事務当局がつくっちゃったんだからそのままなんだ。それじゃ大臣、少し無責任じゃないですか。これはまんじゅうを割るのと違うのですよ。少なくともあなた——じゃ、埼玉県で一番人口が多いのはどこなんです。そのぐらい大臣、わかるでしょう。一番が川口ですよ。二番目が大宮、浦和です。それをなぜ川口が拠点にならないのですか。しかも埼玉五区というのは、御存じのとおり新座、志木、和光、朝霞、この旧新座四市が四十六キロも離れている吹上と一緒になって、四、五、六キロしか離れていない草加と一緒にならない。人口が八十五万対八十四万でぴったり割れたものを差をつけちゃったじゃないのですか。それで飛び地ですよ。私はいつも言うのです。この飛び地を渡ってくるときに、荒川をどうやって渡ってくるのか。鞭声粛々夜河を渡る、マイクを消してどろぼうネコのようになって十七万の四市の行政地域に入ってこなければならない。私は、大臣、少なくとも埼玉県の一選挙区という、国の選挙の区割りを割るのに、おれはわからないから、その程度だから事務屋に任せちゃったんだ。そんなあの公職選挙法の通し方だったのですか。そんなことをいまになって言われたんじゃ大問題じゃないですか。通っちゃった法案だから、私はあえてこんなことを持ち出すのはおかしいと最初から言いましたけれども、私は大臣にこの問題に対して何回もお願いに行ったじゃないですか。それから事務当局にも、絶対自治省ではこれはやらないのかと聞いたら、私たちの関与するところじゃないと言った。それを新聞がどんどんすっぱ抜いて、割り方を割って、大宮と浦和に代議士の候補者が殺到しているために割れないというもっぱらの評判なんですが、これは国民、市民、この埼玉一区の有権者が非常に不思議に思っていますから、これは明快にしてもらわない限りはどうにもならない。人口三十何万、トップである川口が拠点として認められないというような、そんな自治省の役人の考え方じゃ、大事な選挙区割りを、しかも選挙制度審議会の答申では、区割りは好ましくないという答申が出ている。それも、一つの町を交換するのに四市と交換している。これは私はいまだに納得できないですね。  私は尊敬していますよ、福田先生。福田大臣と言えば自民党の中でも最も自治に明るく、住民サイドに立って松浦財政局長とともにどろをかぶり、砂をかみ、自治体のいまの問題に対して、地方制度調査会のこの財政再建の問題についても、あなたがあれだけの情熱を込めて運営の指示をなさっている。しかるに、議会制民主主義の基幹になるところの選挙の区割りについてはその程度の御知識しかなかったのか、その程度の知識でもってオーケーを出したのか、ゴーのサインを出したかということは私はまことに情けない。八月の暑いときに私も熱くなってこんなことを本当に言いたくないですけれども、大変な問題じゃないですか、この程度の御答弁だったら。これじゃ有権者をばかにするもはなはだしいじゃないですか。大宮と浦和だけなんてとんでもないですよ、あなた。川口から入って浦和へ入って、大宮が一番遠いのです、北へ入って。川口は東京に一番接近しているのです。その次に接近しているのが浦和なんです。そしてその次に大宮なんです。大宮は北へ入って四十キロなんです。これは私は絶対納得できません。
  204. 福田一

    福田(一)国務大臣 おしかりを受けて恐縮でございますが、しかし、大臣がすべてのものを全部理解しておるかどうかということは、これは人間としてとてもそこまでは私の知恵、知識がございません。そこでああいう案を出したのですが、案をつくれと言われて、恐らく自治省の事務当局もそれは非常に困ったんだろうと思うのですよ、いろいろな意味で。だけれども最後にああいう案を出した。しかし案を出したときに、公選法の理事会あるいは公選法の委員の皆様がどういう御意見をお持ちになるかということでこの問題は決まったと私は思うので、私の知る限りにおいては、公選法の委員会の大多数のお方がそれで結構だとおっしゃつたからそういうふうに決まったと理解をいたしておるわけでございまして、反対のあったこともよく承知はいたしております。  しかし、確かにあなたのおっしゃるように選挙区の区割りの問題というのは、やはりその当該選挙区の選挙民の意図並びにそこから出ておられる代議士のお方、あるいは将来出ようとする方等々の利害に非常に大きな関係のあることでありますから、慎重を期していかなければならないことも事実だと思うのでありますけれども、結果において出てきた案がそういう案でありましたので、私もそうかなと思って——もう非常に不合理であれば、委員会等において反対意見でも出てまた変わることがあるかもしれぬとは思いましたが、とにかくつくって出せと言われたからつくって出した。つくって出したら委員会では、反対もあったけれども多数で通ってしまった、こういうわけで、私は、実はこんなことは言いたくないけれども、あなたからもちょっとお話もありましたしね、実は非常に御迷惑なことになっておるような感じもなきにしもあらずでございまして、その意味では、どうも遺憾なことであるとは思っておるので、その点はよくわかりますがね。しかし、大臣というものは物を決めるときには、右に決めるか左に決めるかという判断をせざるを得ないときがあるわけですよね。そうすると、やはり親友のためにならないと思ってもやる場合もありましてね。そこが政治家としてまことにつらいところだと御理解を願いたいと思うわけであります。
  205. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、親友のためとか代議士のためとかという、そういう問題じゃなくて言っているんであって、それによってその当該選挙区から出ている代議士の損得なんて、第一そんなことを口にすること自体がわれわれおかしいのであって、あくまでも公平利害の立場に立ってだれ人本すっきりするような、納得のいくような選挙区割りというものをやらなきゃいかぬですけれども、人間のやることであり、またその地域のいろいろな環境変化というものもあり、多少のでこぼこあることはこれは認めます。私もそんなやぼなことを言っているんじゃないのです。しかし、だれが見ても人口がぴたっと割れるものを、浦和をこちらへ入れて四市と交換するといううわさが出て、いま大臣がいみじくもおっしゃった種々の理由、この種々の理由をいまここで明かせというわけにはお互いにいかぬけれども、こういう種々の理由によって当局が非常に悩んだということもよく知っておりますが、公平な政権を担当していらっしゃる自民党がこういう選挙区の法案を提案された。しかも今回の問題で野党間にいろいろなあつれきが出た。選挙区法の解釈の違い、いろいろな考え方、イデオロギーの問題等もあった。だけれども、そこに一貫して流れているのは、全部国民の側に立ち、国家の百年の大計の側に立った、民主主義の基盤の上に立つ選挙法でなければならぬという立場に立ってこれはやることであって、私は自分の選挙区だから、小川新一郎が損をするとか得するとか、友人だからあなたには迷惑だとか、そんなことでこの場合ここで議論されたのでは、議事録に残ったのではえらいことになってしまうので、そんなことではないのです。あくまでも地域有権者の皆さんが疑惑に思っていらっしゃるから、この問題について明確にお答えをいただきたい。これは賢明な、力のある実力大臣なんだから当然おわかりだと思う。私は大臣の苦境もよく知っていますよ。人間であるし、また政治家の一人としてそのくらいのことはわかりますよ。だけれども、それを超えていく、右か左かの決断をするのは、人情論とか議員の利害、メリット・デメリットによる圧力とか、そういう問題でない立場に立って判断を下してこそ名のある自治大臣であり、それこそ名誉ある国務大臣として国民の信託を受けているのだと私はいつも理解している。それに対する質問なんです。
  206. 福田一

    福田(一)国務大臣 私が例を引いたのは、親友の場合とかなんとか言ったのはあなたを指したわけではございませんから、これはひとつ誤解のないようにお願いをいたしたい。(小川(新)委員「そうすると、だれのこと……」と呼ぶ)いやいや、物事を決する場合にはということでございまして、何も今度の選挙法の問題を決した、決するということだけを言ったのではございません。AをとるかBをとるかというような案は間々あるものでございます。そういうときに、親友がBの方におっても——これは選挙区の話じゃないのですよ、ひとつ誤解のないようにお願いをしたい。それはやはりAの方の案をとらざるを得ないという立場もあるということを実は申し上げたわけでございまして、あなたの名誉にかかわるような、またあなたがそんな小さな、小さなというか、一身の利害をもっていま発言をされておるというふうには絶対に私はとっておりませんから、その点ははっきり記録に残さしていただきたいと思うのであります。  思うのでありますが、政治家というものはつらいものだという愚痴をこぼしたとお思いになっていただきたいわけでございまして、私はその意味で、埼玉の県民のお方から御批判を受ける場合もあるだろうということも、決裁をするときにはやむを得ない。事務の出してきた案であるから、それをこう直しなさいというほどの自信も私になかったし、そうなんだというから、ああ、そうかというので決裁をしたわけでございまして、これが埼玉県民として非常に遺憾であるというあなたのお言葉は、そのまま私は素直に受け取っております。あれは御案内のように、衆参両院いろいろ説明して通ったわけでありますから、あなたとして、国民の一人としてこういうことは納得できないのだというおしかりは十分ちょうだいをさせていただきますが、私の立場も了とせられて、御了承を願いたいというか、御理解を願いたいということをお願いする次第でございます。
  207. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は無理解者じゃありませんから理解はいたしますが、納得のいかない問題について一言、過ぎた問題ではありますが、大臣としての所見を聞いたわけでございます。政治という問題は非常に微妙な問題がたくさん絡んでおりますから、われわれもその点は子供じゃありませんからよく理解はいたしますが、どうかひとつそういった面で御判断をいただきたいと思うのです。  次に、歳入欠陥につきましては、種々議論が朝からおありでありますし、暑い中いつまでも同じことを繰り返しておったのでは、お互いに苦痛でございます。ただ、インフレと不況によって地方財政が危機に直面し、国税三税の落ち込みによる地方交付税の減収が大きな問題になっていることは、先ほどからの議論でよくわかります。四十九年度決算によると、国の国税三税は、予算計上額に比べて七千六百億から八千億に近い減収と言われております。それをいま私がここで数字をどうのこうのでございませんが、減額精算しなければならないか、どうするかという問題について、私が松浦さんを尊敬するのは、この面について大蔵省に対して非常にきつい立場で言いにくいことも言っております。よく私はその点は理解しております。  そこで、この財政の危機的状況から見て、大臣、いま中小企業、零細企業の間で法人二税、事業税と住民税ですね、この落ち込みというものは三木内閣経済政策の失敗なんだ。また失敗とまできめつけなくとも、緊縮財政をあえてやらなければならない。一般家庭も国も地方公共団体も同じだと思うのです。  赤字になればとるべき手段は三つしかない。一つは、財政を切り詰めて節約をする、もう一つは借金をする、もう一つは、アルバイトをやって、お母ちゃんも子供も一生懸命になって働いて収入、所得を上げる、この三つしかないわけですね。国も地方公共団体も個人も、このパターンは全く同じだ。そうであるならば、切り詰めて財政をやっていくための合理化または人件費の問題、こういった問題も検討されなければならぬでしょうが、それだけがすべてではない。借金をする場合には赤字公債も出さなければならないだろうが、これも限度がありますね。それから所得を上げる、また財源を取るためには税金をよけい取る、また新しく取るということ、この三つ。  特に私はこういった方針の中で二つの点はよく理解できますが、財源を拡大する、要するに所得を上げてこなければならない、お金を取ってこなければならぬという考え方は、住民税を三倍に上げるとか、いまちまたにいろいろ言われております。または新しい税を考えているとか、事務所事業所税なんという新しいものもできてくる。こういった財源確保のためにとるべき考え方、方策というものは、この曲がり角に立った、ターニングポイントになったいまの時点において、高度経済成長から安定、低成長、これに国民、与野党ともに行かざるを得ない。これはいろいろ議論やイデオロギーの相違があっても、世界的な問題として、日本が国の内外いろいろな面から超然としていられない、こうなってきたということは私たちも十分理解しておりますので、地方公共団体がこれからどうとっていくかという問題については、地方制度調査会のこの答申に盛られたようなこういうもろもろの問題がたくさんあります。  これについても意見がいろいろとあったのですけれども、大きく分けましてその三つの点について、大ざっぱで結構でございますから、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  208. 松浦功

    ○松浦説明員 ただいま三つの点とおっしゃられましたのは、歳出の問題、借金の問題、もう一つは独自の増収対策、このお尋ねであったと思いますが、節減の問題につきましては、これはこれまでもいろいろと申し上げております。地方公共団体もその気になっていま努力をしていただいておるようでございます。給与費を含めましてもろもろの経費について、低成長下においていかにあるべきかということを命題としながら、それぞれ将来にわたっての硬直化要因を除去するという立場で御検討をいただきたいものと考えております。  二番目の借金の問題でございますが、借金というものは結局返さなければならなくなるものでございますから、できるだけ野方図な借金というものは戒めたい。しかし、ただいま御発言をなさっておられる趣旨の裏には、たとえば地方税が非常に落ち込むじゃないか、そういう場合においては緊急避くべからざる問題として、私ども地方債ということを考えて、現実の本年度財政の運営が困難にならないようにという配慮は、先ほどもお答えいたしましたとおり今後もしてまいるつもりでございます。  三番目の独自の収入増の対策の問題でございます。税の問題につきましては、税務局長からいま考えておられる方針についてお話があろうかと思いますが、税以外の問題といたしましては、いわゆる使用料、手数料等の受益者負担ともいうべき性格のものがございます。これを極端な形で安くいたしておきますことは、利益を受ける者が非常に安くなって、結果的には不足分を利益を受けない者の税金で賄う、こういう形になりますので、やはり受益者負担の原則にのっとって、その時点時点における常識に合った形で歳入を確保するという努力地方公共団体の側においてもお願いをいたしたいと考えておるところでございます。  税の問題は、税務局長から御答弁があろうと思います。
  209. 首藤堯

    ○首藤説明員 地方団体の税収入につきまして、何とかして税源を拡充をし、増収の対策を立てていきたいということは、常日ごろ私ども考えておる問題でございます。この問題につきましては、非常に長期的な問題としては国、地方を通じましての国民の租税負担のあり方、これが現在、先生御案内のように分配国民所得の二〇%程度の負担でございますが、これが将来のわが国の国、地方を通ずる福祉行政その他を中心とする需要の伸び、これに対応してどの程度の負担というところまで許容されるものか、こういった基本的な問題もございまして、こういったことはもし税を増徴しなければならぬとすれば、どういった面からどういう税目で税を増徴していくのか長期的に考慮しなければならぬ問題だろうと思っております。しかしさしあたりの問題といたしましては、このような経済状況にございますし、また住民の生活状況でもございますので、いま端的に大幅な増税を一般増税として行うという点については、やはりいろいろ問題もあろうかと思っておる次第でございます。  そこで、さしあたりの問題としては、先ほど先生も御指摘ございました地方制度調査会等においても、さしあたり検討すべき問題として税目につき幾つか掲げられております。たとえて申しますと、住民税のあり方をどう考えていくのか。それから事業税につきまして、景気の変動によって非常に税収入の変動がございますが、外形標準を導入することによって安定化が図れないかといった問題。それからことし新設をお許しをいただきました事業所税、こういったものの課税団体をもう少し拡充ができないかといったような問題。あるいはことしで期限切れになります道路関係税、つまり車の税金、燃料課税でございます。こういうものを増徴ができないか、適正化の措置がとれないか。それからさらには各種の租税特別措置でございます。こういったものをもう少し整理をしていくべきではないか、こういったような事柄が御指摘をいただいておるのでございます。  こういった点は、ことし地方税法の改正を御審議をいただきました際にも、諸先生から御指摘をいただいた項目にそれぞれ属するものばかりでございますけれども、こういった問題点につきまして、私どもとしても今後税制調査会等の審議を煩わしながら、地方制度調査会が企図いたしておりますような線に向かって努力をいたして、地方団体の税収の確保を図っていきたい、こう考えておる次第でございます。
  210. 小川新一郎

    小川(新)委員 いまお話がありました地方制度調査会の具体化についてはいろいろとございますが、さしあたって何から手をつけられるということをいま大ざっぱに三つに分けてお尋ねしたわけでございます。  そういたしますと、いま言った外形標準課税の法人に対する問題などは、われわれが前々から指摘しておった、これは地方制度調査会で指摘するまでもない問題でございますが、これなどはまず早急にやらなければならぬのじゃないかと思います。ただ住民の均等割の問題、これなんかは、一般住民税を高福祉高負担であるという原理、福祉またはそれだけの受益サービス、行政サービスを受けるのだから、見合ったものは当然納めなければならぬのだといってむやみやたらにこれを引き上げるということは、いまのような不況、インフレの時代においてただでさえも生活困難な階層についてはこれは大変なことになる。しかし過疎地域の所得の低いところは年々課税標準率は上がりますからどんどん財源が落ち込んでくる。こういった問題を考えたときに、具体的にはどの問題から手をつけられ、一体それがどのような時期に具体化されていくのか、その辺の御構想が私は聞きたかったわけでございます。いかがでございましょう。
  211. 首藤堯

    ○首藤説明員 税につきましては、まだ本省といたしましては、省でもって全部の基本的な方針を固める段階には至っておりませんが、先ほど申し上げましたような制度調査会等において御指摘をいただいております税目のそれぞれにつきまして、私どもとしても十分な検討を行いまして、そのそれぞれについて、やはり税制調査会等の御審議を賜りながらしかるべき方向に向かって進みたい、挙げられております項目それぞれにつきまして努力をいたしたいと思っておる次第であります。
  212. 小川新一郎

    小川(新)委員 そのような問題は早急に私どもも期待しております。  そこで、もう何回も何回も聞かれておりますから、重ねて本当にくどくなるのですが、聞くのでなくて一応私の意見として申し上げますが、五十年度地方交付税交付金は地方財政計画上、法人税、所得税、酒税の国税三税の三二%として、臨時沖繩特別交付金を含めて四兆四千三百億円計上しております。しかし五十年度の国税の落ち込みによって、五十年度の当初予算の交付税が確保できるかどうか、大変心配しておる状態の中で、国の税収不足及び交付税の減収は一体どのくらいになるかという質問に対しては、先ほども明確な数字が出ませんでしたが、そこで、重ねてお聞きしてお聞き苦しいと思いますが、松浦さんが一番心配しておる点、すなわち一般会計に計上された四兆四千三百億円に対して、税の減収分に伴う地方公共団体へのはね返りの穴埋め、これをどうするかということが議論の焦点だと思うのです。これは各党各人にかかわらず心配するわけでございます。  そこで先ほどから臨時特別交付金ですか、一般会計から繰り込むという問題やら、その赤字公債の問題等いろいろな問題を含めて、公共団体の落ち込んだ分のその穴のあいた分だけは、どんなことをしても穴があいたまま五十年度を過ごさせることはないという、これは松浦さんからの何回もの御答弁で私もよく了解しております。でありますが、これはまた大蔵省がここにがんとしておるわけでございますね。松浦さんの決意は決意として私も尊重するけれども、実際財布のひもを緩めてくれるかどうか。またこれから重ねて何回も議論をし、その方策について自治省が大蔵省に対して説得をするということは、いま前の議員に対する皆さんの御答弁で私もわかりましたが、これは大蔵省、私にもひとつその決意のほどを、もう少し先ほどよりも詳しく、三番手でございますから、同じことを聞いているのならオウム返しというのであって、これじゃ何にもなりません。先ほどの林さんよりもサービスのある答弁、また納得のいく答弁、これを望むのがやはり各党一番最後から出てくる者のしょうがない宿命でございますから、同じことでありますけれども、なるほど小川新一郎に答えた答弁の方が進んでおった、またなるほど考えているうちによりよい考え方がこの委員会発言されたということが大事なことでありまして、ただただ同じことを同じように聞いたのなら、テープレコーダーを逆回しにすればいいのであって、そんなことはないと私は信じていまお聞きしているわけでありますから、もう少し、実のある、情け深い御答弁をお願いするわけでございます。
  213. 松浦功

    ○松浦説明員 国税三税に落ち込みが出ますと、たとえば二兆円穴があいた場合には国債の二兆円の増発というかっこうで処理をしないと現行予算の執行が不可能になるわけです。しかも交付税に穴が仮に二兆円で六千四百億円あいたとすると、もし臨特ということになれば、さらに赤字公債を六千四百億増発をしなければならぬ、こういう事態になる。いまの経済の見通しのもとで、自分の国税にあいた穴を埋めた上に、地方の穴を埋めるために赤字国債を発行しろという言い方が、果たして現在の国と地方との財政の結びつきの関係から、言い方として酷に過ぎないだろうかという考え方を率直に私ども持っております。それだけの無理をかけるとかえって来年度にひどい、仕返しという言葉は非常にまずうございますが、逆のはね返りが出てくる可能性も十分にあるわけです。そこらの点を勘案して、私どもは決して臨特ということを表に言っておらないわけでございます。地方公共団体は全体で、借りてあろうがなかろうが、ことしの問題としては四兆四千億の交付税が現実に三千三百の地方公共団体の手に渡れば財政運営はできるはずでございます。  したがって、この問題についてはとっくり大蔵省と腰を据えて話し合いたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、全額臨特で埋めるというような段階ではないと私は思っております。また大蔵省も、恐らく私どもがそういう要求をすれば頭からかみ合いになってしまうと思います。その辺の事情を勘案して地方団体が困るようなことにはならないようにしたい。これは借り入れをいたしましても、国の経済状況が将来よくなればもう出世払いということで棒引きにしていただいた例もあるわけなんです。それを言うと、また借りることを大蔵省は、棒引きだなんていうことを頭へ出しますと、非常にいやがりますけれども、そういう事例もございます。先行きは日本の経済がよくならなければ困るわけでございます。当座借り入れという方法もあるかと私どもも思っております。  いずれにいたしましても、四兆四千億の交付税を現ナマとして地方団体にお渡しするという地方財政計画上の国会に対するお約束があるわけです。大臣がおっしゃられたように、大蔵省がどういう態度をおとりになるか、これからの問題でございますけれども、ともかく私どもとしては最後までその線でがんばるという方向をお約束いたしておきます。
  214. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 せっかくの御質問でまことに恐縮なんでございますが、いまこの場で前よりもっと前進した答弁をせいというお話でございますが、どうも私ども主計官の立場ではちょっとそれは荷が重うございます。しかし、地方の行政というものが一番住民の方と密接した行政でもあり、ここで理屈どおりやるということがいろいろなフリクションを起こすということは私ども十分承知しておりますので、どういう形かということはいま財政局長からいろいろお話がございましたけれども、具体策については今後折衝、検討する課題だとは思いますが、できるだけの措置はとっていくというようなことで努力したいと思っております。
  215. 小川新一郎

    小川(新)委員 いま、松浦さんがこれから大蔵省とテーブルに着いて、日米外交問題以上に厳しいこの財政問題をやるベースの口火を私は切ってあげているようなものであって、こういうふうに国会ではいろいろと配慮のある質問の中からこういった問題が出ているということを一つのきっかけとして、大蔵省または自治省との対話の中でスムーズにやっていけるためにも、この委員会でいろいろな議論が出るということは非常にやりやすいんじゃないかと私は思うのです。しかし、これ以上いまこの短い時間の中で思いついたように発表するほど軽々とした問題ではございませんから、私もよくその辺の所を踏まえた上で時間をかけられることを希望いたしますが、いずれにしても臨時国会が九月の五日ないしは十日の間に召集ということが三木内閣で打ち出されております。予算委員会等でこの問題は十分審議されると思いますが、それまでの間は十二分にひとつこの暑い中を御苦労していただかなければならぬと思います。  そこで、私の考えとして、ひとつ資金運用部資金からの交付税及び譲与税配付金特別会計に資金を繰り入れ、これを地方自治体に貸し付けることも一つの手段ではなかろうか。しかしこれは赤字国債との関係もございます。インフレをいたずらに増長させるための歯車になったのではならないと思いますが、私ごとき素人が口をはさむだけの問題ではないと思いますが、この考えについてはどのようなお考えをお持ちですか。
  216. 松浦功

    ○松浦説明員 先生御指摘のように本当に苦しい国の財政というものを考えてそれを前提に置かれた場合の私どもの主張を満たす一つのりっぱな方策だろうと思います。私どももその方策は一つの方策であるということを頭に置いて大蔵省と折衝をさせていただきたい、こう思っております。
  217. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで財政局長、これもまた一つ問題点が提起されているのは、地方公共団体が国の公共事業のために、これは都道府県の土地開発公社が国や公団のために昭和四十九年に先行取得をした土地代金、これがまだ消化されてない分が一千三百億円も残っている。国の責任によって、おまえがかわって買っておいてくれ、金を出しておいてくれ、仕事をするときにおれが必ずそれはやるからと言って四十九年度の約束の中で都道府県が開発公社を通して買い上げた土地が、総需要抑制または公共事業のストップということでそのままたな上げになってしまっている。またこのことは民間のデベロッパーにも言えることなんですね。市街化調整区域に買い付けた土地、これなどは塩づけになっちゃったまま金利がかさむ。しかも食糧増産という立場に立っても、県がこのまま放置はできないということで、あえてこれを買い上げるというような埼玉県の施策も出ております。この千三百億円残っております自治体の重荷になっております土地先行取得に関するこの件については、どのように自治省としては御配慮いただけますでしょうか。また大蔵省としては、こういう問題について、建設省とか国土庁——国土庁はあれですが、こういった関係省庁に対してどのように公共団体のこの重荷を、五十年度の景気の浮揚がこのようにおくれている、景気が冷え切っている中でさらに繰り越していくのではないかという懸念がございますが、いかがでございますか。
  218. 松浦功

    ○松浦説明員 ただいま御指摘をいただきました国の要請あるいは国の内諾を得て買った土地が、いまだに国から買い上げられないという問題があることは承知をいたしております。幸いなことに、この土地の買い上げにつきましては、取得価格に必要といたしました金利を全部乗せた形で買っていただくということについては、関係省の間で意見の一致を見ておりますので、一年あるいは二年おくれることによって、たとえば利子負担が財政を圧迫をするという形には現実にはならないわけでございます。その点は私どもせめてもの救いだと思っておりまするが、そういう資金を焦げつかせておくこと自体が後の行政に非常に大きな影響を与えるということが先生の御指摘のようにございますので、自治省といたしましては、早くひとつ買い上げてくれ、約束どおり買い上げてくれということを関係各省に今日までもお願いをしてまいりましたし、今後も繰り返してお願いを申し上げていきたい、こう考えているところでございます。
  219. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 大蔵省といたしましても、ただいまの件は地方財政上大きな負担になっているということについて皆十分な認識を持っておりまして、建設省、それからうちの方の公共事業の担当の主計官等々といろいろ話をしておるところでございますが、現在のところ。これというはっきりした結論は出ておりませんが、そういう非常に地方財政上重要な問題であるという認識のもとに検討を進めておる段階でございます。
  220. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういうような問題も踏まえた中で、まだ日銀の問題もございますが、私が心配しておりますことは、このような都道府県税調定額が前年同期に比べて八・七%も落ち込んでいる。本年度の都道府県税収は、地方財政計画に計上した額に比べて、先ほど申し上げたような額が予想され、ダウンする、これは同じように市町村税にもはね返ってくる。同じような状態が出る。ところが市町村税は、三千幾つの自治体のさまざまな環境や、また実態や、いろいろな問題の中でいろいろとあるわけでございますから、自治省としてもその実態を把握することがなかなか困難だと思います。また私たちも、いますぐその数字をどうのこうの、ここに示せなどということは申しませんけれども、都道府県よりももっと大変な市町村の財源問題、このような巨額の地方税の税収不足が発生するのは、これは全く異例ともいう、いままでこのようなことはないんじゃないかと思っております。  そういう中で、大蔵省の財政制度審議会が、七月二十一日にこれまでの検討結果をまとめて大蔵大臣に中間報告しておりますけれども、その中で地方財政問題に触れて、地方財政計画に見込んだ歳入が年度途中で欠陥を生じたからといって、直ちに国が所要の措置を講じなければならないというものではないと、自治省の見解と全く対立する見解が答申されたことを私は知っておりますが、いまこういういろんな問題が出て、議論しておりましても松浦さんの苦しみはよくわかるのですが、これは大蔵省としては、この制度審議会の答申をそのまままず受けるようなことはないと思うし、またこれも、議論の中における基本ベースの中で、こういう問題を自治省が議論をする中で非常に邪魔になったりすることのないように、私はあえてこの場をおかりしていま発言しているわけでございますが、地方財政計画に見込んだ歳入が年度途中で欠陥を生じたからといって、直ちに国が所要の措置を講じなければならないというものではないという、これは一体何を指すのか、この辺の御説明をひとつお願いしたいと思います。
  221. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 ただいま御指摘のとおり、財政制度審議会の中間報告にそのようなことがあるのは事実でございます。先ほどから私がお答えいたしましたのは、この財政制度審議会の中間報告の気持ちをも体したつもりでございますが、要するに非常に端的に言いますと、交付税の減った額、そのものイコールをすぐ補てんしろということは意味していないんだ。先ほど来私が申し上げましたように、歳出にもいろいろ、この経済情勢のもとにおいては節約した方がいいものもあるかもしれない。歳入にふえるものがあるかもしれない。そういうようなものをいろいろ検討し直して、それを財政制度審議会の言葉で言いますと、「要は、その後の経済情勢の推移等に応じ、収入支出両面の見直しを行い」云々、こういうところであります。そして最後に「地方財政の適正な規模を見極め、その円滑な運営を図る」ということでございまして、そのままとってしまえということではない。審議会の答申も、円滑な運営を図ることはぜひ必要であるということを言っておるというふうに理解しております。
  222. 小川新一郎

    小川(新)委員 よろしくお願いいたします。そのとおりにひとつお願いいたします。  時間がございませんから、棒読みにして次々に飛ばしていきますから、答弁も率直にお願いしたいと思います。  日銀の国庫納付金増額についてでございますが、日本銀行が国庫の歳入不足を補うために外国為替変動準備金をゼロとして、その分をそっくり税金のかからない国庫納付金に回すなどの措置をとったため、地方自治体が外国為替変動準備金などを日銀の利益とみなして課税していた法人事業税、法人住民税が大幅に減少することになってしまいました。四十九年度上期に日銀が支払った地方税は八百六十六億、四十九年度下期が八十億円、十分の一以下に減ってしまったのですね。少なくとも八百六十六億で、下期が七百五十億ぐらいというのならまだわかりますが、十分の一にまで落ち込んで、これは法人事業税が二一・八%落ち込む最大の原因ではなかろうかと私は思っております。またこれに伴う法人税も、四十九年度上期の一千七百六十億から下期は百六十三億に減少したため、この三二%分が地方交付税の減収となってくると思います。このように国の税収不足を自治体の犠牲で乗り切ろうとすることは不当であり、国の責任で地方税と地方交付税の減収分を補てんすべきであると思うが、どうか。これが一点。  二点は、少なくとも地方財政に大きなウエートを占める日銀の地方税、法人二税を大幅に減収させるような措置をとるときば地方自治体と事前に協議すべきではなかろうか、これが私の考え方でございます。  この二点について、どなたでも結構でございますが、御答弁いただきたいと思います。
  223. 松浦功

    ○松浦説明員 日銀法の規定と大蔵当局がおとりになった措置自体は、私は法律に違反しているとは思いません。しかしながら、後段でお尋ねのように、私どもの方に全然そういう形になることの連絡もございませんで、結果的にがたっと落ち込んでしまって、地方公共団体の期待権を裏切ったという形になっていることは事実だと思います。ただ幸いなことには、この問題のみを取り上げる必要がない事態になってまいりました。というのは、交付税の落ち込みがあるわけでございます。その落ち込みの中に日銀分も入っちゃっておるわけでございます。あれは五十年度の交付税の減額になってあらわれます。百九十数億という金額を私どもは算出しておりますけれども、減収分の中に入っております。その入っておるものを交付税で穴埋めをするときにどうするかという議論の一環として私どもは処置をいたしたい。  税の問題も全く同じでございまして、法人税の落ち込みは五十年度分で地方関係の法人関係で落ち込んでまいります。それの補てんの問題。景気の落ち込みによって落ちるものがありますので、それを加えて大蔵省と——法律的におまえの方がやったのは間違っているから国の責任だという言い方は、ちょっとできません。地方公共団体の期待を裏切るようなやり方をせずに、もしそうなるならば何で親切に連絡をしてくれなかったか。これは私どもとしては当然に主張できることだと思います。少なくとも、公の場ではございませんでしたけれども、大蔵省の銀行局の責任のある方から、連絡をとらなかったことは申しわけないという言葉もいただいております。したがって、もうそういった過去の問題は捨ておいて、穴のあいた部分を交付税なり、税の穴埋め、これと絡めてどう措置するか。その中に日銀も入っているじゃないかということを含めて大蔵省と折衝させていただきたいと思います。
  224. 小川新一郎

    小川(新)委員 私も、法律的にどうのこうのいま言おうとするのじゃないし、また、過ぎ去ったことよりもそれは確かに穴をどうするか、前向きの政策こそ大事でございますけれども、いま私が言わんとする意図は、そういう問題が事前協議もなくて、それは確かに謝ったということをいま言っておられますけれども、これほど地方財政が逼迫を告げているときに、やはり地方として割り切れないものが残っておるということで、国の政策もしくは施策の失敗とまでは言いませんけれども、その欠落が地方公共団体の財源の犠牲という面にあらわれてきて、少なくとも、知事や市長が公約しております〇〇の公約または計画、そういうものが大幅に後退するという、住民行政サービスに対するはね返りが大事だということを私はいま指摘しているわけでございます。そういう点をひとつお考えをいただかなければならぬじゃないかというので、あえてこれも、局長が大蔵省と対話を重ねる、議論を重ねる中において一つのベースだと私は思うのです。  そこで、地方財務調査官制度について次にお尋ねいたしますが、国は、現行の地方財政があたかも放漫財政であるかのごとくみなし、自治体の財政運営を監視するため、まあこれは、私非常に厳しいことをいま言いましたけれども、七月一日から地方財務調査官の新設を決めるということでございますが、これは自治体に対して非常に逆なでするんではないかという気持ちもあります。また一面には、先ほど申しました、やりくり女房の監督というか、放漫女房の使い方が悪いから、おやじが監督に乗り出したという財政的な問題。これはさっきも、国も地方公共団体も一般家庭も、全くその一つのパターンは同じだという議論の中から言うならばそういうこともあるでしょうけれども、これが国、地方公共団体という、憲法第九十二条の地方自治の本旨というような法律に関する問題、憲法に関する問題になってきますと、介入姿勢というのが少し強まっていくんではなかろうか。これはわれわれが言いたくない言葉ですが、中央集権体制を強化する、民主的な自治体行政に不当に介入するおそれがあるのではなかろうかという疑問も生じてくるやに思うのでございます。御見解をひとつ伺いたいと思います。
  225. 松浦功

    ○松浦説明員 先般の委員会でもお答えをいたしたと記憶をいたしておりますが、私どもで今度財務調査官制度を設けましたのは、地域の担当を決めて、それぞれの地方公共団体の特殊事情等については担当者が頭の中に入れておくということが今後の行政運営のために必要であろうという角度と、もう一つは、非常に経済の変転に伴って、地方財政自体が先生御指摘のように考え直さなければならない時期に至っておるようでございます。それらの点について地方公共団体が戸惑いをお持ちになって、いろいろと御相談をお持ちかけをいただくという場合があるだろう、その相談業務というものを中心に財務調査官というものの存在意義を明らかにしていきたいというのが私ども考え方でございます。  したがって、強制的な調査を行ったり指導を行ったりというつもりでは全くございません。むしろ、こちらの方でいろいろと知識なりあるいは知恵なりを持っている場合もあり得ますので、そういう場合には、思わぬところからヒントを得て、地方公共団体の運営がスムーズにいくようなきっかけになるかもしれません。そういう意図でございますので、御指摘をいただいたようなことに絶対にならないように、十分注意をしてまいりたいと思います。  現に、先般も財務調査官を中心にいたしまして、特定の都道府県の財政状況がどうかということを伺う会を開いたわけでございます。そうしますと、早速、今度はぜひうちの方も聞いてくれということで、呼ばなかった団体から御要望が出てくる、こういう形でございます。  いずれにいたしましても、先生の御指摘、万が一にも誤りのないように、相談機関、本当に意見を求められてきた場合に意見を述べる。調査の場合でありましても、具体的に都道府県から正式の申請がない限りは、こちらから乗り込むというようなことは、いままでもございませんし、これからも考えない、そういう方針でまいりたいと思いますので、御了解をいただきたいと思います。
  226. 小川新一郎

    小川(新)委員 話というものはすべて両面というものがありまして、人の考え方というものは、善意にやっても悪意にとられる場合もある、これは世の中の定めでございまして、そういう面で、私はあえて御質問したわけでございますが、十二分に過ぎるほどの注意をお払いくださいまして、地方公共団体にいやしくもそういう、気持ちを萎縮させ、逆なでするような、財政という問題について非常にいま頭を痛めている中においては、人というものはとかくひねくれてとる場合もありますので、気をつけていただきたいと思うのでございます。  次に、固定資産税の問題で一、二点お尋ねをしておきます。  固定資産税の評価額は三年ごとに改定されるということでございますが、五十一年度には評価がえをすることになっております。四十八年度に比べてどのくらいの引き上げになるのか。またかねてから、昭和五十一年度には固定資産税制度の抜本改正を行うことになっておりますが、どのような方向でこれは改正するのか。最近の地価の鎮静などによって税制改正の必要はもうなくなってしまったのかどうか、こういった客観的な動きの中で、まずお尋ねしたいと思います。これが第一点でございます。  次に二点目は、市街化区域内の農地の宅地並み課税については、三大都市圏のうち、百八十二市のA、B農地は順次適用されておりますが、それ以外の農地、C農地などについては五十年中に検討することになっておりますが、現在どの程度検討が進んでおりますか。これらの点をお尋ねいたします。
  227. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま御指摘がございましたように、固定資産税の土地家屋等の評価がえ、これば三年に一遍ございまして、明年度は評価がえの予定の年でございます。ただいま各市町村でその作業が進んでおる最中でございますので、四十八年対比どのくらいのアップになるか、まだつまびらかにはいたしませんが、先生御案内のように、大体四十八、四十九はかなり土地の値上がりがございました。五十年に至りましては、もう鎮静化をいたしまして、むしろ下がってきたところもございます。  そこで、この三年間を通じて考えてみますと、いわゆる基準地と申しますか、一県に一つずつ、一番繁華街の中心にある土地でございますが、こういうところの評価見込みは、大体四十八年度の評価に対して二割五分ぐらいの評価増という見当になろうかと考えております。そういった基準から想定をいたしてみますと、これはもちろんまだ結果はわかりませんけれども、全国平均で土地の評価倍率、三割の台ぐらいの評価増に落ちつくのではなかろうかと、いまのところ想定をいたしておるのであります。  その程度のことでございますと、四十八年度の評価倍率は実に一・八倍、その前は二・三倍でございましたか、こういう非常に大きな倍率であったのが落ちついてまいりましたので、今度の評価がえに伴いまして、固定資産税のものすごい激変が起こるという事態は避け得るのではなかろうか、こう考えております。  なお今後、これは三年に一遍の評価がえでございますので、今後の三年間、五十一、五十二、五十三という三年間の税負担の調整をどう持っていくか、こういう点につきましては、その結果を見ながら案もつくり、税制調査会等にお諮りを申し上げて、また明年度の税制改正で御審議をいただきたい、こう考えておるのであります。  それから、市街化区域内の農地課税の問題でございますが、これも御案内のように、前々から各種の問題がある点でございますけれども、市街化区域の例の線引きが始まりましてもう五年たちますので、調整区域と市街化区域の線引きの見直し、こういった点も今後は行われようかと思います。つまり、長く農地として残しておいて適当であると思われる土地は、もし市街化区域に入っておれば、これを調整区域に編入をしかえると、こういうこともございましょうし、それからもう一つの措置としては、例の生産緑地制度が発足をいたしまして、これによりまして、市街化区域内の農地でも、生産緑地に指定をされれば農地並み課税で、宅地並み課税には移らない、こういう制度もとられたところでございますので、こういった状況の進捗状況等もいま十分調査をしておるところでございます。  それからまた、C農地と申します市街化区域内の農地は、原則的には十年程度かかって市街化が進むであろうというように想定をされておった土地でございますが、その地域におきます下水道とか街路とか、こういうものの整備状況ということも、C農地をA、B農地並みの課税に移すかどうかという点については非常に大きな要素になると思いますので、そういった状況も十分調査をさせていただいて、無理のない方法でこの操作を実施をいたしてみたい、こういうふうに考えて、ただいま検討中でございます。
  228. 小川新一郎

    小川(新)委員 次に、都市計画税についてお尋ねいたします。  都市計画税は、昭和三十一年から市町村が都市計画事業を進めるため、目的税として課税しておるものでございますが、この課税対象地域をどの範囲にすべきかということが問題になっております。市町村の課税状況、実態をどのように把握しているのか、また、地方税法七百二条と地方税法附則三十二条の三との関連などで政府の統一見解を示してもらいたいということでございますが、これは私が昭和四十六年の二月に、建設委員会の常任委員のときに質問したわけなんでございますが、市街化調整区域に指定したのは、これは国の私有権の侵害とまで言われているくらいのときだったのですが、その市街化区域と調整区域の調整区域にまで都市計画税を課税するということは、これは非常に酷ではなかろうか、しかも農用地の問題はどうなのかという質問をしたときに、既指定調整区域は廃止の検討ということが四十六年の二月に実は出たわけなんです。ところが実際には市街化調整区域、農用地、農用指定地域にまで都市計画税を取っておる、線引きをした中で。これは明らかに先ほど申しました地方税法七百二条と地方税法附則第三十二条の三との関連で見解の相違が出てきておる、実態の調査というものを私はここでお願いしたいのは、一体地方公共団体の中で市街化調整区域や農用地や農業振興地域、農用地というものはつまり調整区域の中に入りますが、その農用地まで、ある公共団体においては都市計画税を取っておるという実態が出てきたわけなんです。そういった実態はよく自治省では把握しておりますか。どのようになっておるのでしょうか。
  229. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま御指摘がございましたように、都市計画税につきましては、昭和四十六年度改正であったと思いますが、いわゆる線引きが終わっております団体については市街化区域だけ取る、市街化調整区域は原則として都市計画税を取らないという規定をいま御指摘の七百二条で設けたわけであります。ただ、これも例外がないわけではないのでありまして、先生も御承知の市街化調整区域といえども、たとえば二十ヘクタール以上の団地でございますと開発ができるという規定がありますが、そういうところはもちろん都市計画税を取ります。それからまた「その他特別の事情がある場合」ということで、調整区域の中でも、関連をいたしまして下水道ができるとか街路ができるとか、こういう集落がございますが、そういうところでは取ってもよろしいという規定になっておるわけでございます。  そこで、現在都市計画税を取っております地方団体が七百二十ほどございますが、その七百二十のうちに市街化区域と調整区域の線引きが終わっている団体が三百九十一でございますか、ありまして、残りの三百何がしぐらいはまだ調整区域と市街化区域の線引きが終わっていない、やっていないわけでございます。  そこで、そういう市街化区域と調整区域の線引きのやっていないところはどうしておるかというと、ただいま御指摘がありましたように附則で、これは当該団体が条例でその都市計画区域の中で都市計画税をかけられる地域を決めろ、こういうことになっておりまして、それを決める場合には、大変端の方でありますとか、山奥でありますとか、こういったようなところは当然外せ、こういうことになるわけでありまして、先ほどの関連から申し上げますと、線引きの終わっていないところでも、たとえば農振地域のようなところは、農振法でも市街化区域に入らないような仕掛けになっておりますので、原則としてはこれは徴収をしないのが適当、こういうことになろうかと思います。ただ、これも例外がありまして、農振地域の中でもいわゆる集落等がありましてそこで都市計画事業が行われる予定があるというようなところは取ってもいい、こういうことになろうかと思うわけであります。  こういう点で現在の課税状況でございますが、先ほど申し上げたように、七百二十団体のうち市街化区域ということで都市計画税を課税をしております区域は、大変大きな数字になりますが九十七億平米でございますか、それから市街化調整区域の中で取られておりますものはごく小そうございまして千二百万平米、このくらいでございます。それで百億平米くらいのところは、まだ線引きが行われていないというところで取られている状況であります。したがいまして、最近農振地域等におきましても、従前は課税をいたしておったけれども課税を外すといったような事態も出ておるわけでありますが、原則的には先生御指摘になりましたように、集落等があって都市計画事業等が進むという見込みがあるとか、あるいはそういう事業が行われる予定がある、こういうところを除いては農振地域には課税をしないという方が妥当である、このように考えております。
  230. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はいまお聞きしておいた二つの問題を考えたのですが、一つはまず、どうしてまだ新都計法の用途指定地域がはっきり明確に、各自治体で五年もたっても引かれないかという理由ですよ。片方では市街化調整区域を線引きすれば住宅が建てられないという、憲法第二十九条の財産権にまで及ぶような強権を国が都市計画法で強圧的にさせておきながら、片方では五年たってもいまだに野放しのまま、しかも集落でない農用地にまで都市計画税が旧法の用途指定地域にはかかる、こういうばらばらな、住民サイドから見たら全く不可解な税の取り方という問題は問題があると思うのです。ここで私が統一見解を、いま好ましいとか好ましくないとにかかわらず、先ほど申しました地方税法七百二条と附則の三十二条の三、この見解が全く特例、当分の間とか、たとえば調整区域においても二十ヘクタール以上の問題は、こういった集落をつくり都市化するような、下水道や公共事業を必要とする、最低の文化生活を営む権利を有する国民の権利を充足させるための公共施設をつくるための都市計画税を取るという、それこそ高福祉高負担じゃありませんが、公共団体が住民サービスをするために必要な負担は当然いただくのだということはわかりますが、たんぼで農用地で、しかも集落が当然入ってこないというようなところに都市計画税を取るなんというのは、だれのための都市計画税なんですか、稲のための都市計画税ですか、大根や菜っぱのための下水道処理費なのかということが、住民の間に法解釈のまちまちのために生じてきた問題として提示されているわけですね。ですから私は、ここで自治省がまず第一に行わなければならぬことは、新都計法の線引きが五年もたっているのになぜおくれておるのか、こういう不公平さがまず一つある。しかもその不公平さを乗り越えて、旧法におけるところの用途指定地域の農用地については都市計画税を取っている。こういう点が非常に住民サイドにおいては不可解な問題になって、圧力の強いところでは撤廃に踏み切ったとかいうことであっては、まことに不平等性を生み出すのではないかと思いますので、統一見解をまずお示しいただきたいという質問をしたわけであります。
  231. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま御指摘のように、都市計画税を課税をいたしております。百二十の団体のうちに三百九十余りしか線引きは終わってないという事態が実情でありまして、これにつきましては線引きが早く行われるように、これは建設省の方からも指導がいっておると思いますが、私どもの方もできるだけ早く線引きをしてもらいたい、このように実は考えておるのでありますが、地元等にもいろいろ問題があるのでございましょう、こういった事態で推移をいたしておるのであります。  それからもう一点の、そういった線引きを終わっていない団体が条例で都市計画税をかけます際に、たとえば農振地域等の扱い、これをどうするかにつきましては、四十六年の立法がありました際に、内簡等でも実は指導をいたしておるのでございますけれども、先ほど申し上げましたような特別な例、こういう場合にはもちろん取れますけれども、その他の場合には都市計画税を徴収をしない方が妥当だ、こう考えられるのは当然でありまして、今後とも各団体の事態、そういうものの状況がわかる都度、私どもとしても趣旨のあるところを十分指導してまいりたい、こう考えております。
  232. 小川新一郎

    小川(新)委員 きょうは大臣がおりませんけれども、この問題非常に大きな問題でございますから——私の配慮によって大臣退席をさせたのでありますが、ひとつ責任を持って統一見解の方向にお願いしたい。  それで最後に、もう時間もありませんからこれで終わります。各省への申し入れでありますが、特に文部省に対して高校の問題、この問題について御質問させていただきます。  最近の地方財政硬直化は深刻でありますが、国においても地方自治体の職員数の増加をもたらすような施策は極力抑制すべきである。文部省においても既定の教職員定数改善計画は重要なことではありますが、地方財政危機にかんがみ、その計画の実施を繰り延べるなど教職員の増加をできるだけ少なくすべきであると思いますが、まず一点、どうお考えでございましょうか。
  233. 松浦功

    ○松浦説明員 自治省といたしましては、ただいま先生の御指摘になられた意見と同意見でございまして、これは制度としても新設をしてもらいたいと考えております。したがって、次官名及び財政局長名で各省に申し入れをいたしました事項の一つ重点事項として、文部省の方へはぜひこれを実現するように努力してほしいという申し入れをしてあるところでございます。
  234. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいま先生の御指摘の点、私管理局でございまして、定数問題は初中局所管でございます。したがいまして、私からお答えすることはいかがかと思いますが、来年度予算の問題として、定数増問題については文部省内において種々検討が行われておるということでございますので、八月末の段階においてその姿が決定されるというふうに御了承いただきたいと思います。
  235. 小川新一郎

    小川(新)委員 次に、昭和五十年度から三年間に新増設四百四十一校、所要経費は五千八十六億の巨額に上る高校の問題ですが、各都道府県は毎年度合計一千五百億円もの経費がかかることになっております。高校への進学率が九一%を超え、準義務教育化している現在、国は高校新増設に対する国庫補助制度を創設すべきであると思います。わが党においては、建設費、用地費を含めた費用の二分の一を補助にせよと、公立高校建設を促進する臨時措置法案をまとめておりますが、文部省は昨年三十億、ことし七十億の国庫補助費を大蔵省に要求したわけですが、いずれもこれはゼロ査定です。この点について大蔵省はどういうお考えでゼロになったのか。これはゼロ戦の大蔵省では困るんで、来年もまたゼロということになると大変でございますので、まず御見解をお聞きしたい。  二番目は、地方債については、政府資金を充当し、この起債充当率を現在の七〇%から一〇〇%に大幅に引き上げ、起債枠の拡大を図るとともに、校舎新増設については地方交付税による財源措置を強化すべきであるという議論は毎回しております。この点についてまずお尋ねいたしておきます。
  236. 西崎清久

    ○西崎説明員 高等学校の新増設問題、これに対する補助でございますが、現在文部省で種々検討を行っております。具体的には、七月一日付で高等学校問題対策協議会というものを省内に設置いたしまして、高等学校問題プロパーとして、あるいはこれに対する政府の助成という問題を含めて、いろいろ検討いたしておる段階でございます。この点につきましても、八月末の段階までに固めてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。  それから、大蔵省への御質問でございましたが、本年度の補助がなぜ削られたかというふうなことでございましたが、実はこの点はさきの国会においていろいろお答えしておるわけでございますけれども、大蔵、文部、自治省関係各省の相談において、今年度は起債措置でこれを措置していこうというようなことで今年度の課題になっておるわけでございまして、来年度以降の問題として補助金の問題は、私どもは積極的に検討しておるということを申し上げたいと思います。  以上でございます。
  237. 松浦功

    ○松浦説明員 高校建設の地方債の問題でございますが、先生御案内のように、地方交付税の算定の中に、高等学校費に建設費が入っております。それからさらに、その他の行政費の中で包括的に建設費を見ております。そういう関係がございますので、かかった経費の一〇〇%充当ということになると二重財源になります。その辺を考慮して、できるだけ地方団体の運営が困らないように、充当率を今日まで定めてきたわけでございます。なお、よく事情も調査をいたしました上で、改善できる部分があれば改善に努力をしてみたいと思っております。
  238. 小川新一郎

    小川(新)委員 これで終わりますが、最後一つ。児童生徒急増地域における小中学校用地取得費に対しては、現在国が三分の一を補助する特例措置がありますが、四十六年度から五十年度までの五年間の期限となっております。  先ほどもお話がありましたように、人口急増都市協議会が全国の人口急増自治体百五十二の実情をまとめておりますが、これによりますと、昭和五十五年までに児童生徒百二十万増が見込まれ、小学校八百八校、中学校四百二十八校の建設が必要となっております。用地取得費分だけでも九千三百六十億にもなります。今年度、すなわち昭和五十年度限りで用地の取得費に対する補助が打ち切られると、自治体の小中学校建設の負担額は五〇%増になると試算しております。そういう中で用地取得債に対する国庫補助制度を昭和五十一年度以降も継続するようお願いしたいわけでございます。補助対象の拡大、補助率及び交付率の引き上げを図っていただきたい。  このように、最後質問が各省への陳情、申し入れということで締めくくったわけでございますけれども、何分ともに国も地方も、また一般家庭も赤字にあえいでいる中で大変だとは思いますけれども、国の施策というものが、三木内閣の大きな福祉政策という柱を国会で公約し、国民に期待を持たせて誕生したクリーン三木でございますから、その中に補佐をし、また行政運営をなさっていく各省の悩みもあると思いますが、そういう点、いま私がるる申し上げました最後質問の御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  239. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいま先生の御指摘の、小中学校用地費の補助問題は仰せのとおりでございまして、文部省としましては、来年度も補助を継続するべく努力をいたしたい。これはまた概算要求のお願いになるわけでございます。積極努力をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  240. 松浦功

    ○松浦説明員 この問題は、人口急増地域の市町村にとって非常に重大な問題でございます。私どもは、存続のみではなくて、制度の拡大をも含めて手を打っていただくように文部省にお願いをします。
  241. 小川新一郎

    小川(新)委員 どうもありがとうございました。
  242. 大西正男

    大西委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十八分散会