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佐藤政府委員 産業を所管する通産省といたしましては、先生の御質問はまことに重大な問題でございます。
現状におきましても、いろいろ問題は出ておりますけれ
ども、特に
公害、保安を中心にいたしましていろいろな問題が出ておりますけれ
ども、やはりわれわれ産業官庁といたしましては、少なくとも十年先ぐらいの日本の産業構造というものを踏まえまして立地問題を考えていかなければ時間的に間に合わないということで、昨年来、いろいろな前提を置きながら、具体的な立地問題について、机上計画ではございますけれ
ども、われわれなりの案を持っていることは事実でございます。ただ、これを実行するに当たりましては、いろいろな問題がございますので、これは慎重に取り計らっていかなければならない。それから、単に通産省だけの
考え方だけではとうてい実行はできませんので、海の問題にしても、環境の問題にしても、
関係省庁非常に多いわけでございますから、それらの省庁と十分な整合性を持った形でこれを実行に移していかなければならぬという基本的な
考え方に立っているわけでございます。
しからば当面具体的な問題についてはどう考えるか。たとえば先生いま御質問の、この間御視察になりました三井石油化学にしても、出光興産についても、ごらんになったとおり、現実にまだ
空地があるわけでございます。これにつきましては、率直に言えば、あの
コンビナートは大体県が造成されて
企業を誘致されたという歴史的な経過がございまして、大体あの
空地については、全部何らかの
施設を建てたいという希望に立ってあそこに立地したということは、紛れもない事実でございます。したがいまして、この間ごらんになっていただきました
空地につきましても、
企業側も
答弁していましたように、できればさらに増設をしたいというようなことは申しておったわけでございます。ただ、
企業側は仮にそういう希望を持っておったにいたしましても、われわれ保安に携わる身からいたしますと、東京湾の最近の問題なり、あるいはこういう
コンビナート防災法をつくらなければならない状況というものを考えますと、そう簡単に
企業の計画どおりにはいかないということは当然でございまして、これらにつきましては、十分にこの
法律の意図されるところの趣旨を体した形で実行に移していくということを考えたい、こう考えております。
それから、当面石油の備蓄の問題でございますが、これもさらに、現在六十日分ぐらいの余裕がございますけれ
ども、あと三十日分をどこに張りつけていくかということは、まさに具体的な問題で早く決定しなければならないという情勢になってまいっておるわけでございますけれ
ども、これも実は
企業側の希望としては、この間ごらんになったような、投資の面、あるいはまたそれを使う場合の効率の面から言って、できるだけ原油
施設のそばに増設したいという希望は相当強いわけでございまして、しかしこれも、水島事故の経験にかんがみまして、今後の新増設については、新しい消防法の政令の
改定にどうしてもよらざるを得ないわけでございますので、それによって規制されるということにならざるを得ないということでございますので、現在時点においては、備蓄しなければならない全体の量は具体的に
数字としては出ておりますけれ
ども、まさにいまこういう
問題点を御
議論願っている最中でもございますので、この
基準が明確にならない限りは、具体的な着工というのは、実際問題としては不可能じゃなかろうかという感じがいたしております。
さらに十年先の長期を考えました場合、日本の重化学工業というのは、なるほど
公害型でもありますし、資源多消費型ではございますけれ
ども、これを単純に海外立地ということも、いろいろわれわれとしても勉強いたしておりますけれ
ども、なかなか海外でこれだけの高度の技術をこなすだけの現地人がおられない、また労働者も簡単に移民を許さない等々のいろんな条件がございまして、海外立地はそう簡単にいかないという情勢が
一つございます。
そういう問題もございまして、通産省全体としては、できるだけ知識集約型の産業に転換したいという希望は持っておりますけれ
ども、現実問題としては、当面、鉄とか石油化学というような問題も、ある
程度やはり増設していかなくちゃならないということでございまして、これらの新規の
コンビナートについては、できるだけ過疎地帯、つまり、この間から申し上げておりますけれ
ども、むつ小川原とか東苫小牧とか秋田とか、これなりにもまた
住民のいろいろな反対されておられることもございますけれ
ども、一応そういうところを、実は十年前からアセスメントをやりましていろいろ勉強中だということでございまして、まことに抽象的な
答弁で恐縮でございますけれ
ども、大体そういうような
考え方で進んでおるということでございます。