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佐藤(敬)
委員 この
コンビナートというのは、いわば技術革新というか巨大科学の落とし子みたいなものなんですね。いわばジャンボジェット機だとか、新幹線だとか、マンモスタンカーだとか、ああいうような巨大技術、いま盛んにやられていますが、ああいうものと同じようなものでありまして、巨大なずうたいが事故を起こせばそのまま大変な事故につながっていくという、こういうような非常に大きな社会的な災害を起こすところの危険性を持っておるわけです。一度事故を起こせば、単に
会社だけではなくて、社会全体に非常に大きな被害を、打撃を与える、こういうようなものであります。したがって、この巨大技術
コンビナート、こういうものについてはその当初からやり過ぎても過ぎることがないというほどの安全性というものを慎重に
考えながら築いていかなければいけないんじゃないか、こういうふうに思います。ところが、残念ながらこの
日本の
コンビナートは、安全性ということに非常に
配慮が欠けておる。いわば集積のメリットだけをどこまでも
追求して、デメリットというものはそのまま置き去りにしてきました。私は、デメリットというものをもっともっと重視していく、結局
コンビナートの安全性というものをうんと重視して、それにどんどん金をかけていけば、この間から盛んに
総量規制ということが問題になっておりますけれ
ども、
総量規制というのは人為的にやらなくてもおのずから私は
総量の
規制ができると思うのです。これは
経済ですから、ペイしなければできません。ですからどこまでも巨大にしていけば、それを防ぐためには大変な金がかかる。そこでちょうど
経済性のバランスのとれた適当な規模が
総量規制という形でもってあらわれてくる、こう思いますけれ
ども、
わが国の
コンビナートの場合、デメリットの方は全然無視して、安全性というのを全然無視して、集積の利益だけをどこまでも
追求したために大変に巨大なものになって、一遍事故が起きるとあの水島のように、水島の
タンクというのは決して大きな
タンクではない、むしろ小型の
タンクだけれ
ども、あれを切れば瀬戸内海が全部油浸しになる、こういうふうな大変な事故につながっていくわけです。そこでこの前の
委員会からずっと
総量規制という問題が盛んに出ています。確かにいま話しましたように、大きくなったのでこれは
総量の
規制をしなければいけない、こういうことはあると思いますし、ぜひそうやるべきだと思いますけれ
ども、そのほかに、私は、その
総量規制のもう
一つの
前提として、
コンビナート全体を
規制すると同時に
一つ一つの構築物を
規制していく必要があるのではないか。たとえば、
石油タンクのことを
考えてみますと、ああいう三万キロリットルぐらいの
タンクでもあれほど大きな事故が起きる、ましていまあるのは十五万キロリットルとか二十万キロリットルという大変大きな
タンクがあります。ああいうのがもし事故が起きたならば、これはちょっと想像がつかない。しかもそういうものがもし破れたり、火がついたりするならば、いま持っている、たとえば
川崎あたりは大変な消防力を持っているというけれ
ども、ああいう消防力だって私はとうてい追いつかないのではないか、こういうふうに
考えます。いまの
コンビナートを幾ら消防力を充実したとしても、とても
一つの市町村やそういうものでは受け付けない、それほど大きな災害になるのではないかと思うので、
総量規制と同時に
一つ一つの
タンクの大きさ、たとえばどのくらいの
タンクがいいかわからないけれ
ども、三万トンでもあれほどの災害が起きるならば、たとえば五万トンぐらいでとめておくとか、そういうふうな
タンクの大きさや、入ってくるタンカー、ああいうものも、いま五十万トンなんというものすごいばかでかいマンモスタンカーもあるけれ
ども、ああいう大きなものが水島のあたりあるいは
東京湾あたりに入ってきて右往左往すれば、事故になるのはあたりまえなんです。ああいうタンカーの大きさだとか、こういうものを地形に合わして
一つ一つ規制していく必要があるのではないか、こういうふうに
考えております。
この安全性の無視ということについては非常におもしろい例があの事故の直後に新聞等に載っておりました。月世界に行くという科学の発達した時代、そういう科学の粋を集めた
コンビナートをつくって、そのけつが破れて油が
流れ出した。回収船
一つなくて、昔ながらの肥びしゃくでもって六万人だか五万人だか一生懸命に重油を回収した。肥びしゃくがよく六万本も十万本もあったものだと思って感心しましたけれ
ども、ああいう近代科学の粋を集めた
コンビナートのしりを、肥びしゃくでもって回収していかなければいけない。ここのところに、いいところは何ぼでもやるけれ
ども、安全性というのは
一つも顧みないということが象徴的にこの事実にあらわれていると思うのです。だから私は言うのだけれ
ども、
総量規制すると同時に、水島なら水島、あの港は、聞くと十万トンぐらいしか入れない深さしかない。それに三十万トンくらいの船が入ってきている。ああいう無理をすれば必ず事故につながっていく。
東京湾はあれよりずっと広いけれ
ども、それでもあれだけの事故が次から次へと頻発しておる。そういうことを
考えますと、
総量規制と同時に、タンカーなり
タンクなりああいうものを
一つ一つ全部
規制して余りでたらめに大きなものをつくらせない、こういうふうな
配慮が必要かと思いますけれ
ども、
消防庁の御意見をちょっとお伺いしたい。