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1975-06-20 第75回国会 衆議院 地方行政委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月二十日(金曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 大西 正男君    理事 愛野興一郎君 理事 片岡 清一君    理事 島田 安夫君 理事 高鳥  修君    理事 中山 利生君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       伊能繁次郎君    亀山 孝一君       岩垂寿喜男君    柴田 健治君       細谷 治嘉君    林  百郎君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     横手  正君         通商産業省立地         公害局長    佐藤淳一郎君         労働省労働基準         局安全衛生部長 中西 正雄君         自治政務次官  左藤  恵君         消防庁長官  佐々木喜久治君         消防庁次長   森岡  敞君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      名本 公洲君         運輸省港湾局計         画課長     大塚 友則君         海上保安庁警備         救難部長    山本 了三君         建設省都市局都         市政策課長   豊蔵  一君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 六月二十日  辞任         補欠選任   小川 省吾君     柴田 健治君 同日  辞任         補欠選任   柴田 健治君     小川 省吾君     ————————————— 六月十九日  地方自治の確立に関する請願古川喜一紹介)  (第三八六一号)  同(佐藤敬治紹介)(第三八八九号)  同(古川喜一紹介)(第三八九〇号)  地方公営企業危機解消に関する請願岩垂寿  喜男君紹介)(第三八六二号)  同(大出俊紹介)(第三八六三号)  同(広瀬秀吉紹介)(第三八六四号)  同(山田芳治紹介)(第三八九一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油コンビナート等災害防止法案内閣提出第  六六号)      ————◇—————
  2. 大西正男

    大西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る石油コンビナート等災害防止法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。柴田健治君。
  3. 柴田健治

    柴田(健)委員 まず政務次官にお尋ねしたいのです。  この法案中身を読んでみてわれわれ感じますことは、災害のいろいろの種類があるわけですが、大別して天災的な災害、それから人為的な、要するに人災的な災害、この二つ立場から両面をわれわれ考えなければならぬ、こう思っておるのですが、しかしこの法案を読んでみると、どうも天災的表面が弱い、どちらかというと人災的な要素の方が強い面が出ている。要するに人災的な災害対策、こう考えざるを得ないのですが、この点についてこれを出された自治省の当局としてはどちらに本当に重きを置いてこの法案を作成されたのか、その点をまず左藤政務次官の方からお考えを聞きたい。
  4. 左藤恵

    左藤政府委員 御承知のように、この法案を立案するに至りました最大の動機と申しますか、その出発点は、過般の水島におきます三菱石油重油流出事故という一つの問題、あるいはまた大協石油の四日市におきます火災とかいった、コンビナート地域というものにおきますそうした災害というものが、いまのお話で申せば人災に当たるかと思いますが、そうした問題がわれわれのいままでの想像以上に大きな一つ危険性あるいはまた被害というものをもたらしておるというようなことから、コンビナートという特別の地域につきましてのいろいろなそういった災害特色というものに着目いたしまして、現在の法律であります消防法あるいは高圧ガス取締法その他港則法とかそういう関係法律だけでは十分にカバーし切れないものを、何か一つ地域に限っての対策として、防災組織防災対策というものを強化することができないかという点に最大の主眼を置いて立案したものでございますので、お話しのように、そういった意味では人災的なものに非常にウエートが置かれておるということは事実でございます。しかし、そうした中で、いまお話しのような、たとえば地震とかあるいは水害とか、そういったものに対する対策というものもいろいろ考えなければならない、もっと配慮すべきであるという考え方もあったかと思います。またそういった問題についてもいろいろと検討いたしましたけれども、一万に、たとえば防災基本法とかいった法律もあるわけであります。そういう現在ございます法律との調整というものあるいはまた法的なすり合わせと申しますか、そういう問題につきまして非常に手間を取り、また非常に問題もたくさんございましたので、もう一歩突っ込んでというところが十分でないという御指摘もあろうと思いますが、その点につきましては、この法律はとにかくそういった大きな被害があったものでございますから、まずそういう形で実施さしていただいて、その上でさらに検討さしていただきたい、このように考えておるところでございます。
  5. 柴田健治

    柴田(健)委員 次官も率直に認められたと思うのですが、この法案は人災的な立場に立って立法措置をした、われわれも読んでみるとそういうにおいが強いので、そういう判断に立ってこれから御質問を申し上げたいと思うわけです。  まずその前に、三菱のあの油流出事故に伴って不良個所点検全国一斉にやられたと思うのです。三菱の方は不良個所が何カ所あったか、いろいろ調査の結果、漏れておるところが二百六十四カ所、それから閉鎖個所というか閉塞の個所が二百六十一カ所、バルブの回転機器作動不良個所が二十二カ所、計装作動不良個所が十九カ所というように、事故が起きて以来直ちに不良個所点検をやって、三菱石油だけでもこれだけの不良個所が出る。こういう不良個所をいままで放置しておるのは何が原因であるのかといろいろ考えてみると、やはりこの保安基準というものが非常に不備である。それから人為的な災害予防対策は、基本保安基準というものをいかに厳しくするかというところに大きなウエートがあるんではなかろうか、こう思うわけであります。そういう点であの事件、この法案に取り組むまでの各全国六十一カ所の基地点検の結果、不良個所が実際具体的に何カ所あったのか、これをまず御報告願いたいと思う。
  6. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 昨年暮れに、とりあえず一万キロリットル以上の石油類タンクにつきましての緊急点検を行ったわけでありますが、この対象となりますタンク総数が二千六百九十七あったわけでございます。このうち、不等沈下の面におきまして非常に大きいものが百九基ございます。そのほか、本体の一部に腐蝕があるもの、あるいは配管等について不良個所があるものまた防油堤に亀裂その他の損傷個所があるものというものがございまして、その延べの総数が四百基以上に上ったわけでございます。このうち防油堤等不良個所につきましての改修工事は直ちに行わせまして、この不良個所分につきましての改修工事は現在時点においてはほぼ終わったというふうに考えておりますが、百九基のタンクにつきましては油を全部抜き取りまして内部の精密な点検を行わせるということにいたしております。その百九基のうち、こうした内部精密検査というものが全部終了いたしましたのが総数の約三分の一でございます。それから現在点検中のものが三分の一ございます。まだ油抜き取り、点検に着手しておらないものが三分の一ございます。この点検に未着手のものにつきましてはその計画を出させまして、大体夏ごろまでには全部終わらすように考えておるのでございます。  なお、内部点検の修了いたしました三分の一の分につきましてその結果を見てまいりますと、非破壊検査の結果異常のなかったものが四分の三ございまして、これらにつきましては使用を再び始めさしておりますけれども、あと残ります四分の一につきましては、必要な底板改修あるいは地盤修正というものを行わせておるというのが現状でございます。  なお、タンクにつきましては、一万キロリットル以下のタンクにつきましても、大きいタンク点検に引き続き行わせておりまして、これらの結果が逐次いまそれぞれの府県段階でまとまってきているというところだろうと思います。
  7. 柴田健治

    柴田(健)委員 まだ完全に点検が終わってないという原因、この調査の終了ができないという原因はどこにあるのか、専門的な技術職員がおるのかおらないのか、後でこの点についてはいろいろ御質問を申し上げたいのですが、私たち、不思議に思いますことは、一万トン以上のタンク、鹿児島にはもう十万トン、十五万トン、ああいう屋外タンク設置基準というもの、それから構造というものは大体どこのを見習うておるのだろうか、こういう疑問を常に持ってきたのです。聞くところによると、アメリカ損害保険協会基準日本には取り入れた、われわれ消防界の方にはそういう説が流れておるのですが、そういう点は政務次官、どうですか。この屋外タンクのいまの建築構造基準の基礎的な資料に使っておるのはアメリカ、こういうことが流れておるのですが、それに間違いありませんか。
  8. 左藤恵

    左藤政府委員 そういった科学的なデータにつきましては、いまお話しのようなアメリカ資料というものがかなり取り入れられていると申しますか、そういったものが一つのわれわれの検討の対象にされていることは事実でございます。しかしながら、埋立地というようなものが非常にコンビナートの大多数を占めておりますわが国のいろいろな特色というふうなもの、あるいはまた地震が非常に多くて地盤の問題というものが心配されるわが国実情、あるいはまた台風とかそういった天災がしばしばある日本特色というものから考えて、それでいいのかということについては非常に問題があろうかと思います。この科学的なデータというのが、まだコンビナートができましてから十数年しかたっておりませんので、いろいろなそういった面につきましての、でき始めてからその程度日本実情というものを考えますと、そういったデータというものもこれからもっと検討していかなければならない問題があろうと思います。そういった意味におきまして、われわれはいま御指摘の点につきましては、これからそういったものについての整備、あるいはまた完全な安全性確保というものについて努力をしていかなければならない、このように考えております。
  9. 柴田健治

    柴田(健)委員 私たちがああいう石油コンビナート基地をつくる場合においては、もっと根本的な問題を十分基礎に置いて建設にかかるべきではなかろうか。それは要するにアメリカとは違うという日本特殊事情、要するに人口密度から言ってもアメリカの約三十倍の人口密度を持っている。そしてまた気象条件なりその他自然の災害の起きる可能性、要するに地震その他いろいろあるわけですが、そういうものを考える。それから日本産業構造密度から言ってもアメリカの約八倍以上の密度を持っておる。そういう特殊事情と、また日本列島の周囲は全部海であって、この海がわれわれ日本人の魚介類たん白資源供給基地として経済効果を上げておる。そういうもろもろの特殊事情を持っておる日本列島の中において、こういう高度の石油化学基地をつくることについては、そういうものを十分踏まえて事故の起きないような安全基準をこしらえるべきであるし、また屋外タンク構造についても、基礎工事なり、また鋼材等の仕様については、ただ厚さだけではなくて鋼質そのものも思い切って、一万トンの基準または五万トンの基準、十万トンの基準、そういう厚さだけに拘泥をするのではなくして、鋼質そのもの基準というものも十分考えなければならぬのではなかろうか、こう思うのですが、次官、どうですか。
  10. 左藤恵

    左藤政府委員 御指摘のとおりだと思います。今回の三菱石油タンクが破裂したという事故、これにつきましても御承知のとおりただいま事故原因調査委員会を設置いたしまして、そこにいろいろな点で諮問と申しますか御検討いただいておるわけであります。そうした御答申の結果というものを十分われわれも体しまして、そうした基準というものをしっかりしたものをつくっていかなければならない、このように考えます。
  11. 柴田健治

    柴田(健)委員 そういうものを考えてこれから十分配慮をしてもらわなければならぬということを強く要望しながら、私たち防災という立場災害予防という立場、そういう立場からお尋ね申し上げるのですが、災害対策災害が起きた場合には敏速な行動、秒速を争う行動をしなければならぬ。特に実行行為の中で非常に敏速を要するわけですが、そういう行動をしてみて、常に日本行政官庁というかそれぞれの系列の官庁のとっておる態度というもの、それから要するに指導能力、そういう面が常に一つの壁として出てくるわけです。たとえば山林火災なら農林省であるし、水害の場合は建設省の担当であるし、また建物火災自治省管轄である消防庁任務である。こういうふうに上はばらばらであります。今度の法案を見ても、高圧ガス関係通産省が握る。普通の石油の方は自治省が握る。私たちは常に、末端災害活動防災活動をする中にはやはり一元化というものを強く望むわけであります。この法案を見ると一元化になっていない。本当災害対策災害防止を本気でやるなら一元化でなければならぬ。これは災害活動をする者の原則なんです。その原則を忘れてもらっては本当災害対策にはならぬと私は思うのです。なぜこれができなかったのか、次官お聞かせ願いたいと思います。
  12. 左藤恵

    左藤政府委員 確かに御指摘のとおり、今回の一番大きなねらいでありますコンビナートに何が一番危険かと申しますと、御指摘のような石油高圧ガスだと思います。この二つそれぞれの化学的な性質とかそういったものも違うわけでありますし、それぞれに対します最近の近代科学という点から見まして、非常に高度のいろいろな問題についての技術的な知識とかいったものも、消火あるいは防災という点から考えまして、必要な問題でもございまして、過去にいままでそういった面もございまして、一方は消防法によりまして市町村長がそうした問題につきます責任を持ち、一方には通産関係高圧ガス取締法につきましては、通産省から委任されました都道府県知事にそうした取り締まり責任というものがあるわけでございます。そうしたいろいろの過去の今日までのいきさつ、あるいはそういった技術的な問題、この問題につきましても三菱石油事故が起こりました後すぐ取り組んで、通産省といろいろと話し合いをいたしましたけれども、そうした人的ないろいろな配置の問題とか、過去のそうした行政管理の問題、そして現行法があるという問題について、それをコンビナート地域だけにつきまして、管理監督を別にいたしましてやるということが非常にむずかしかったものでございます。そういった意味合いにおきまして、御期待一元化というものについて、いま一歩でできなかったという点はわれわれ反省しなければならない問題もございますが、今日までそうした努力をしてまいったという点は御理解いただきたい、このように思うわけでございます。
  13. 柴田健治

    柴田(健)委員 苦しい答弁をされておるようですが、実際災害予防なり対策というものは一元化でなければならぬということはだれしも考えておる。だれしも常識の問題なんですよ。その常識がこういう二元化方式をとらなければならぬというところに日本官庁のもろさというか、弱さというか、エゴというか、そういうものが明らかに出てきたと思うのです。そういうことですから、私たちはこの法案について大きな期待をかけておったのですが、どうもこの中身を見ると政令省令にほとんど任してしまう。立法精神そのものが頭がたくさん出て、要するに船頭が多くてどっちへ行くやらわからぬということになるので、政令省令でいろいろな形でがんじがらめにしていこうという悪知恵が働いた。これが本当の生活の知恵ではなしに、悪知恵積み重ね立法だ、こう判断をせざるを得ないのですが、善意に解釈した場合には、ないよりはましだというような感じを持っておるわけですが、私は先ほど次官が言われたように、高圧ガスについては通産省管轄にして、いままでも通産省が握っておる、火薬も握っておる、そして都道府県にやらせておる。それから一方、石油関係危険物その他については、消防庁市町村任務としてやらせておる。片一方は県だ、片一方市町村対象、これが今度一緒くたになって、防災本部都道府県に置くわけですが、防災本部長知事にしてそれの兼ね合いというものがどうなるのか。通産省知事対象にだけ考える、消防庁の方は市町村長対象に考える、その兼ね合いはどうなんですか。
  14. 左藤恵

    左藤政府委員 兼ね合いというお話でございますが、いま御指摘都道府県知事が、コンビナートにつきまして、平素から防災組織をつくっておきますが、一たんそうした活動をいたしますときには、高圧ガス取り締まり責任者であります都道府県知事という人格でなくて、そうしたコンビナート地域に対します防災対策指導的な責任者としての都道府県知事、そういう人格で、関係市町村長も入りましょうし、また、たとえば港湾につきましての港の長だとか、あるいはそういった自衛防災組織の各責任者、そういうものを統轄指導するという立場に立つ、そういった法の仕組みになっておるわけでございます。
  15. 柴田健治

    柴田(健)委員 通産省にお尋ねしたいのですが、通産省がこの中に入ってきて、今度どれだけの防災業務指揮能力を出すのか、私はちょっと疑問を持っておるのですが、大体通産省生産を担当する。いままで生産だけにのぼせて保安環境というものに手落ちがあった、その最大の張本人は通産省だと私は思うのです。要するに、流れを変えるという発想の中で、いままでは生産第一主義であったけれども、生産保安環境、この三つを均衡のある考え方をとる、そういう行政能力を出さなきゃならぬ通産省が、いままでの責任を反省しない、誤りを反省しない。そしてこの法案ができると割り込んできて防災もやるのだ。防災をやる前に、あなたの方はいままでに保安基準を完全に立てるべきであった。今度にわかにこの立法措置の中に入り込んできて、保安基準も厳重に厳しい措置をしました、そういうことを言いながら入ってきて、防災業務にどれだけの指揮能力を持っておるのか、ひとつ通産省に聞きたいのです。
  16. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 通産省はいろいろな物資の生産官庁ではございますけれども、一方、鉱山については国の末端に至りますまで国の機関が直轄で保安行政をやっておりますし、それから電気、ガスについても保安をやっております。保安の問題は、単に高圧ガス火薬のみならず、ほかの産業につきましても相当保安責任を担当いたす省でございます。特に最近の環境の問題あるいは保安の問題、確かに先生の御指摘のとおり、問題が発生いたしまして、こういう問題からいろいろと地域住民に対して御迷惑をかけたということについては、われわれも深く反省いたしておるわけでございます。  一方、対策といたしましては、まず第一に先生のおっしゃいました環境対策につきましては、昭和四十年度から、特にコンビナート地域には産業公害事前調査といういわゆる環境アセスメントをずっと実施いたしてまいっておりますし、それから工場立地法というものもつくりまして、生産設備敷地面積に対しまして一定の制限を設けたというようなこともやっておりますし、それから設備改善につきましては、特に最近の環境改善設備投資については大体年々五割以上のアップ率で、いまや一兆円の設備投資まで指導してまいってきている等々の配慮指導はやってきているつもりでおりますけれども、さらにいま問題になっておりますところのコンビナート関係防災につきましては、四十七、八年の頻発災害にかんがみまして、これは、抜本的にわれわれとしては保安基準を見直さなきゃいかぬということで審議会を設けまして、約二年間にわたりまして多角的な、諸外国の例の調査も含めましてその実態を究明いたしまして、その結果をすべて反映いたしまして、今国会の七十五国会高圧ガス取締法の一部改正は四月二十五日ですでに成立を見ておるわけでございまして、その中で、すべて保安基準は従来の中身に比べますと画期的な強化を義務づけておるわけでございます。そういう経過で、一生懸命努力いたすつもりでございますが、今回のこの法律ができますれば、自治省とともにこの問題についてさらに前向きに努力してまいりたい、こう考えております。
  17. 柴田健治

    柴田(健)委員 今度の法案を見ると、既存のものはまあまあで、新設、増設の方について力点を置いているという、そういうことになっているが、既存のものはいままでの高圧ガス取り締まり保安基準強化して、それで十分やれるという判断ですか。
  18. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 今度の改正におきまして保安基準の抜本的な見直しをやったわけでございますが、その中でいわゆるコンビナート地域につきましては、その他の地域に比べまして特段と厳しい基準を設けてございまして、たとえば保安物件に対する距離なんかも従来二十メートルないし三十メートルであったものを大体十倍程度、最低五十メートルに広げるとか、それから防消火設備につきましてもいろいろ相当設備強化を義務づけておりまして、この二年間に約一千億円程度設備投資をやらせたいというようなことでいろいろ配慮をいたしておるわけでございますので、既存設備につきましてはそういう面で防災の面を強化してまいりたい、こう考えております。
  19. 柴田健治

    柴田(健)委員 私は、通産省が割り込んできたねらいというものは、防災業務ただ施設改善を命令するだけじゃなしに、実際消防庁一緒になってどれだけ防災対策をやるのかというのが、われわれ末端における考え方なんですね。ただ法律改正して基準改正して指導性を高めて改善させるというだけでは本当防災対策にはならない、一緒になって防災対策をやるのだということにならなければならぬのですね。たとえばいまこれだけの立法措置をして、そして一方では高圧ガス取り締まり基準を変えてみたところで、都道府県に、商工行政の中で保安要員というか、そういう職員配置を見ても、岡山県はたった七名ですよ。そしてほかに危険物なり火薬なりその他があるわけですが、火薬の方もあなたの方の関係ですが、火薬だけ取り上げてみても一年間に大体三千八百件から四千件事務処理をしなきゃならぬ件数があるわけです。これは岡山県だけですよ。それに火薬を使っておる現場が約千カ所くらい一年間にある。そしてまた貯蔵庫が百七十カ所あるから、それを年に一回くらい巡視しなければならぬ。こういう各都道府県の、一方では高圧ガス、LPGその他いろいろあるわけですが、それらの屋内、屋外タンク点検をするためにどれだけの人が要るかということをあなたの方は真剣に考えたことがあるのか。人をふやさずにこの立法措置の中に通産省が割り込んできて、本当にそういう、保安基準があってそして施設改善をやる、そして防災整備をやる、そして優秀なそれに対する人材確保をしなければならぬ。そういう人材確保について通産省がどういう構想を持っておるのか、まず聞かしてもらいたいのですよ。
  20. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 保安のまず人的の問題につきましては、質的の問題も入れましてわれわれとしては最大重要課題、こう考えております。特にわれわれ本省におきましては、年々進歩いたします技術に対応いたしまして、新しい保安基準をつくっていかなくちゃならないということになりまして、これにつきましては相当高度の専門家判断によらなければならないということで、まず、専門学者の問題が一つございます。これにつきましては、幸いにしてすでにこの高圧ガス取締法法律の中に特殊法人として高圧ガス保安協会というものが設立されておりまして、ここに相当の方々の専門家をプールいたしまして、それで都道府県知事の非常に高度な問題に対する技術的な能力の不足をここで補っていくという仕組みをすでに今度の中に入れておりますし、それから問題の現場監督をやっていただきますところの都道府県職員の質的の向上という問題につきましては、毎年二回、担当者の研修を約三週間程度やっておりますし、それから通産局単位にいろいろなブロック会議を年二回開催する、あるいはまた八通産局の地方分局ごとに化学保安対策本部というものを設けまして、これは約七十人の学者先生を常設いたしておりまして、いろいろ御指導願っております。それから都道府県の方の職員の増員の問題でございますが、確かにわれわれとしては十分でないということを承知いたしておりますので、毎年自治省の方に増員方を毎年の予算時期にいろいろお願いしてまいっておるわけでございますが、これにつきましては今後ともその点を要請してまいりたい、こう考えております。
  21. 柴田健治

    柴田(健)委員 私は、今度の法案通産省がこれだけ重要な役割りを持つなら、それに対応する石油コンビナート基地におけるそれぞれの企業の、規模によって多少防災設備が違うかわかりませんが、しかし生産総量がどうあろうとも、やはり防災対策については通産省通産省で企業に対してどういうものをやらせるか。たとえばそれぞれの企業の中には防災管理室を設けさせて、その部屋に入ると一目瞭然に設備の良、不良がすぐわかるような、そういう防災管理室をつくらせていく、そういう考え方があるのかないのか、まず聞いておきたい。
  22. 佐藤淳一郎

    佐藤政府委員 われわれ今回の高圧ガス取締法改正に当たりましては、四十八年からの連続頻発災害の中で、先生の御指摘になったような一元的に操業の実態が判断できるような仕組みをやはり考える必要があるという強い御指摘もございましたので、その中へ十分に織り込んだつもりでございますが、まず第一点は保安機構の改善でございまして、これは上は工場長から下は末端職員に至るまで、その責任の分野というものをきわめて明確に限定いたしまして、責任体制を確立させたということがまず人的な問題でございます。  それから設備面につきましてはいわゆるコントロール室というところにいろいろな計器を整備させまして、一たん事故が発生した場合に対応できるような計器類の設置を義務づけておりまするし、それからそれを実際動かす場合のマニュアリングをはっきりさせまして、いわゆるこの間の事故におきまして幾多指摘されました従業員の誤操作というような問題が起きませんように危害予防規程の整備も義務づける等々の幾多の配慮をやって万全の措置を講じたつもりでございます。
  23. 柴田健治

    柴田(健)委員 万全の措置をやったやったと言うが、やってないところにあなた方の——全国的に消防白書の中に数字が出ておるのですが、やはり高圧ガスの系統の方が事故の発生件数がどうしても多い。やはり手落ちがあるわけですから、その点はあなた方が十分反省をして適切なる措置をしてもらわなければ困るのです。だからそういう企業別の、いろいろ実態が違いますけれども、やはり防災管理室を設けさしていく、そのくらいの姿勢がないと、この法案に対してあなた方が入ってきた価値がないのじゃないか、こういう気がするわけです。ただ入ってきておいて基準だけ決めて、あとは消防庁に任しておけばいいんだ、これでは無責任なので、本当防災対策で連帯性を高めてその中で一緒にやるということにはならない、こう私は思うのです。  消防庁にお尋ねしたいのですが、今度の特別区域を設定するという特別区域の設定の場合に、これは場所によっては多少違いますけれども、岡山の水島をたとえて申し上げますと、どうも陸上だけではない、港則法に基づく港湾の区域内、海上の区域というものを、またあの中には相当たくさんの企業が水島地区全体に入っているわけですが、いろいろ業種別に違っている。だから企業別に特定区域を決めるのか、全体をばさっと網かけしてしまうのか。港湾の中で、きのう連合審査であなたはお答えになっておったが、ああいうことをたとえば岸壁、桟橋、また係留船、係留していない船というような、どこまでが防災上の区域に指定した方がいいのか、悪いのか。行政官庁の縦割り、なわ張りというものにこだわり過ぎて、ただ陸上にごく部分的に区域を指定していくのか、その点をもう一遍、きのうはどうもあなたの答弁はわからなかったので、明快にこの点だけはっきりしてもらいたい。
  24. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 特別防災区域の指定に当たりましては第一種事業所、第二種事業所を中心にいたしまして、それ以外の事業所も含めまして、いわば地域の事業所が一体となって防災体制をとることが適当であるというふうに考えられる地域を指定していきたい。この地域の区分の仕方につきましては地元の市町村長、府県知事の意見を十分に反映をしてやってまいりたいというふうに考えております。したがいましてこの地域指定の場合におきましては地番までを掲げた地域指定になると思います。またこうした地域指定は、そういう意味におきまして地番の設定される地域というような形になりますから、いわば陸地での地域指定という形になってまいるわけであります。そういう意味でございますから、ただいま御指摘港湾の施設ということになりますと、いわば岸壁の部分まで、あるいはまた石油類の搬入搬出をいたします施設につきましても、陸と見られるところまでが指定になってくるわけでございます。シーバース等におきましても、これが陸からの防災活動に直ちに従事できるというものは当然地番の設定対象になる地域になるというふうに考えますので、そこまでは含むわけでありますけれども、陸から相当離れたところにあって、災害活動としては海上からでなければできないというようなシーバースの場合にはその地域の中には含まれないというふうに考えております。
  25. 柴田健治

    柴田(健)委員 私たちは、陸上だけに限定するわけじゃなしに、せめて港湾までは入れておかないと防災活動の面において連携がとりにくいのではなかろうか。ただ法的には相互援助協定、また保安庁なりあるいは港則法に基づく港長さんがそこの船の出入りの権限を持っているのですが、そういう場合の平素の訓練においても、そしてまた万一災害が起きた場合に平素の訓練が非常に影響するわけですから、訓練のときに、おまえのところは区域指定だ、おまえのところはこういうふうにやりなさい、海上の方はこうやります。港湾の方はこうやりますぞ、そういうようにばらばらにやっていると万一の場合の連携というものにミスを起こす可能性があると思う。初めから区域指定、海上、陸上を問わず、非常に危険性のある区域内においては一括網をかけるべきじゃなかろうか、こういう気がするのですよね。いまのあなたのような考え方で、平素の訓練もばらばらにやる、たとえば一年に一回だけは総合訓練をやる、あとは平素それぞれのなわ張りでやりなさいということでは、まさかのときにどうなるのか。平素の訓練が一番大事だ、私はそう判断します。消防庁も平素そういう指導をやっているのでしょう。そういう指導をやっておいて、今度はまさかのときに重要な防災対策をしなければならぬのに、ばらばらの指導方針を出すというのはおかしいと私は思うのです。どうですか、長官。
  26. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 コンビナート地域防災面におきまして海の部分が非常に重要であるということは御指摘のとおりでございます。ただ、現在のいろいろな行政の機構のもとにおきましては、海の防災という面は、担当をいたしておりますのが海上保安庁でございまして、その組織等を見ましても全くこれは地方公共団体と異なるわけでありますし、また、海上全般ということでございますから、地方公共団体の行政権が現実的に及ばない地域もあるわけでございます。そういう意味におきまして、このコンビナート災害防止法の立案に当たって、運輸省の方と海と陸との関係についてどういうふうに考えるかという問題、いろいろ検討したわけでありますけれども、やはり海上の部分につきましては別途海全体についての防災立法を行うべきであるというような結論に達しまして、この法律はどちらかといいますと陸を主体にいたしましてそうした防災体制をとらせるということにいたしたわけであります。ただ、水島の事故のような事例がございますので、陸から海に災害が及ぶということを前提にいたしまして、それに対応する規定を設けておるわけでありまして、まず第一次的には陸の災害を海に及ぼさないということのための、たとえば二次防油堤の設置義務といったようなものの施設の義務づけを行うとともに、防災資機材の面におきましても、オイルフェンスあるいは油回収船、オイルフェンス展張船といったような海の防災資機材につきましても自衛防災組織の中に備えさせる、あるいはまた海上の災害については、この自衛防災組織活動いたします場合に海上保安庁の指揮下に入るというような規定を設けるなどいたしまして、陸と海との接点におけるものにつきましてはこの法律の中でも相当程度考慮したつもりでございます。  ただ、御指摘のように港湾の中における災害という点は、これは災害が発生した場合に海から陸に災害が及ぶおそれも十分にあるわけでございまして、それについての体制をどういう形にしていくのかという点は、運輸省における海上防災立法の立案の過程におきまして私どもも十分検討させていただいて、海と陸との接点に穴が生じないように対処をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  27. 柴田健治

    柴田(健)委員 いま長官の発言の中に、保安庁との話し合いですね、別々に取り扱った方がいいということがあったが、保安庁の方は何か海上防災法というものをつくる用意があるのか、つくるとするならばいつごろこれを出してくるのか、まずそれをお聞かせ願いたい。
  28. 山本了三

    山本説明員 海上保安庁におきます海上防災関係の法制の整備の問題でございますが、いま消防庁長官がお答えになりましたとおりでございまして、私ども、本法が成立いたしました場合の海上防災のあり方、それからそれを含めました海上全般の海上防災の法的なあり方はいかにあるべきかというような点につきまして、現在鋭意検討を進めております。なるべく次の国会を目途といたしまして、現在鋭意検討をいたしておる、そういう段階でございます。
  29. 柴田健治

    柴田(健)委員 この前は徳山でアセチレンガスが爆発した。あそこの生産能力は約五万トン、岡山の水島はアセチレンの生産でも約十五万トン、約三倍の生産なんです。あのアセチレンの工場が爆発したら港湾もくそもない、恐らく皆いかれてしまう。そういう非常に危険性の高いところですね。だから陸上だとか海上だとか港湾だという区別をすることは、ますます防災上の隘路をつくっていくような気持ちをわれわれは持つわけでありますが、この点は将来、海上保安庁の方も消防庁の方も十分煮詰めてもらわないといけないし、また将来、非常に危険性の高い石油コンビナート基地については、防災上は陸上だけでなしに海上も、また空からも考えなきゃならぬ。そうすると日本も将来防災航空隊というものをつくらなきゃならぬだろう、もう準備をすべきだ、こういうふうにわれわれは判断しているのですが、次官、どうですか。防災上ぜひ必要な防災航空隊をつくる考えはあるのですか、ないのですか。
  30. 左藤恵

    左藤政府委員 そういった防災航空隊というところまでは非常にいろいろの問題があろうかと思いますが、消防庁といたしましては、本年度の予算におきまして、飛行艇で消火することができるものを発注するというようなこともそれはすでに考えておるわけでありまして、次第に規模が大きくなり、そしてまた化学消防というものが必要になってまいり、その精度もまた技術的にも非常に高めなければならないという見地から考えまして、そうしたものも配備するということは考えていかなければならない、こう思いますが、いまそういった法的な体制というところまでは取り入れることができない段階でございます。
  31. 柴田健治

    柴田(健)委員 防災上将来そういうこともぜひ考えてもらわなければならぬ問題だ、御検討願いたいと思うのです。  この法案の中でいろいろ文句をつけようと思えば幾らでもあるわけですが、それは時間の関係上言いませんけれども、まず先ほど申し上げた特定区域の問題については十分考えてもらわなければならぬ重要な問題点だと思います。  それからもう一つは、災害に対応する消防機材なり人員の問題、これが重要な任務を持つことは皆さんも御承知のとおりだと思う。それから、いまの消防力の機材の基準というものを市町村消防で法的には任務を一応明確にされておるのですが、消防力の基準は、消防庁は五月三十一日にもいろいろと改定を出しているのですが、あの基準を見ていると、うなづける点もありますけれども、問題は財政力の問題だ。もう一つは消防機材におけるそれぞれの種目別の基準が何を基礎に置いておるのだろうかというような疑問を持つ点があるのです。それからいまだに決めてない問題もある。たとえば避難袋のごときはまだ依然として基準を決めてない。消防庁は人手がないのか、あるのか。まあ六十人ほどでやっている。消防研究所や消防学校は別として、六十人ほどの人で、これだけの立法措置をして、本当にやれるのだろうかというのが一つの問題点。それから末端市町村の、機材を含めて、人の問題。非常勤でなしに常勤消防職員の、特にコンビナートを持っておる、たとえば岡山県の倉敷ですが、倉敷は何ぼの人員を持っているかというと、三百四十八名です。三百四十八名で今度これだけの——相当の化学製品を製造しておる石油コンビナート基地相当の専門職員が要るわけですが、今度のあの事故発生後いろいろ各機関で論戦をしている中で、どうも企業優先というか、企業が先に工事に着工して、後から点検なり検査をするというようなそういうルーズなやり方をしている。それは法律にははっきり明確に書いてあっても、守れないのはやはりそれだけの優秀な職員技術を持っている優秀な職員がおらないというところに問題がある。それからあなたらは十分なる消防力の基準で人員の基準を決める。決めてもそれを充当しないその県なり市町村の姿勢の問題と、それから自治省が地方財政需要額の基準にしている単位費用の問題、それから施設の補助に対する補助率のアップというものがいろんな形でいま制約をされておる。その制約をどう解除するかというところに本法の生きる道もまた見つけ出されるのではなかろうか、こういう気がするのですが、その点、長官どう考えておりますか。
  32. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 御指摘のように、消防力の強化という面は、人員並びに資機材の面において、全国的に見ましてもまだ非常に不十分な点がございます。本年新しい消防力の基準というものを出しておりますけれども、これに対応する人員、資機材が充足されているというような市町村はまだ少ないのではないかというふうに考えております。そういう意味におきまして、これからも人員の充足あるいはポンプを初めとする資機材の充足ということにつきましては、私どももさらに努力を重ねていかなければならないというふうに考えておるところでございます。ただ、現在地方交付税におきまして消防費というものについての財政需要額の算定をいたしておりますが、この基準財政需要額に算定しております金額だけ市町村において消防費として支出をしているという市町村はこれまた非常に少ない状況でございまして、この点は市町村市町村長を初めとする市町村当局者が、消防について、いわば地域の安全の問題についてさらに十分考え直していただかなければならない面もあるというふうに考えております。最近の情勢は、市町村の決算額も次第に基準財政需要額の額に近づいてきておるということは私ども非常に喜んでおるところでございますが、さらにこの基準財政需要額の算定に当たりましては、十分に消防活動確保されるように、人員の面、資機材の面において配慮していきたいというふうに考えております。  それから新しい消防力の基準におきましては、特に化学消防力という面についていろいろ検討をしておるわけでありますけれども、特に石油コンビナート地帯があります市町村の消防力には、最近の巨大な石油タンク群に対応するだけの化学消防力があるかどうかという点になりますと、私どもも非常に問題があるというふうに考えておりまして、これのいわば追加消防力というものについて、先般改定をいたしました消防力の基準につけ加える必要があるというふうに考えております。この法律が成立いたしますと、自衛消防力というものが、これまでの自衛消防組織が有しております化学消防車等を全部取りかえなければならないほどの高い水準の消防力を義務づけるつもりでございますので、それとの見合いにおいて市町村の水準の高い消防資機材の手当ても必要になってくるだろうということを考えております。この点は、この法律の末尾におきまして消防施設強化促進法の一部改正を行いまして、補助率の引き上げという点を考慮しているところでございます。  なおまた人員の面におきまして、特に技術水準の問題がコンビナート地帯の市町村消防にとっては非常に問題のところでございます。相当な高い水準を維持しているところもございますけれども、やはり地方の小さい都市の市町村の消防におきましてはこの面に非常に心配があるわけでございます。私どももいろいろな教育を通じてこれらについての技術水準の向上を図るということをいたしますと同時に、本年度の予算におきましては技術援助チームの派遣というようなことも予算化をして、この夏から発足さしたいというふうに考えておるところでございます。
  33. 柴田健治

    柴田(健)委員 消防庁基準をこしらえるのはいいのですけれども、消防機材の基準も早急に決めてもらわなければならぬし、この法案から言うと、政令省令、特に消防法改正というものを早急にやらなければならぬと思うのですが、消防法改正作業をやられると思うのですが、いつごろから改正をやられるのですか。
  34. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 コンビナート地域の、特に危険物施設の保安関係というのがどうしても消防法系統の法令の改正によって強化をするということにならざるを得ないと思っております。そのために現在一番むずかしい問題がタンク技術基準の問題でございます。これにつきましては、これまでの技術基準の抜本的な改正を行いたいということで、いまその準備を進めているところであります。ただタンク構造並びに基礎に関しましては非常に検討が時間を要しますので、いま学識経験者による委員会を設置をいたしまして、その作業を進めてもらっておるところでございますけれども、これの結論が得られますのは恐らく一年半くらいかかるであろうというふうに考えておりますので、こうした法令の改正に至るまでの間の暫定措置といたしまして、将来タンク構造なり基礎なりについて設定されるであろうと思われます基準を想定をいたしまして、暫定的な指導基準というものを近く出したいというふうに考えております。  そのほか水島事故、あるいは四日市の大協石油火災という問題の教訓から、タンク防油堤の問題、あるいは保安距離、保安空地の問題、あるいは防油堤構造の問題、こういうものにつきましては、近くこれは政令省令改正になるわけでありますけれども、これらの新しい基準も近くつくりまして指導をしたいというふうに考えておりますが、この時期は大体この法律案が今国会で成立いたしますれば、これに合わせてこの法案による規制との関連を考えながらできるだけ同時くらいの時期に出していきたいというふうに考えております。
  35. 柴田健治

    柴田(健)委員 あなたの説明を聞いておると、まだ相当、本格的な法の改正はいろいろ技術的に検討するのに一年半くらいかかる。私は水島のこの間の事故が起きてからでも、事故調査委員会というのが設置されて、五月末には出るだろう、これがまだ七月に中間報告、また十月ころだろう。それから私は日本の役所の姿勢というものが——日本人は優秀なんだから、相当優秀な技術者なり専門家がたくさんおるのだから、すぐ原因調査をやって究明をする、そうして結論を早く出す、そのくらいのことができるはずだと思うのですが、それができない弱さというのが、とにかく技術的なものは進んでいるけれども、そこに介入する政治的だとか、いろいろな行政的というか、不純なものが入ってくるところに結論が出ないのではなかろうかという気がするのです。  それから、私は先ほど通産省から答弁がありましたが、相当職員の問題についても、また消防庁の答弁にもやはり優秀な技術職員を配備する、養成をしていく、こう言いながら、一つ調査をするのに、日本の最高の機関が原因の確認が早くできないというような実態の中で、末端にそれだけの技術職員が配備できるのだろうかというような気持ちを私は持つわけなんですね。末端では早く原因の究明をして調査結果を発表してもらいたいと、首を長くして待っている。それをいつまでも出さない。今度の法案ができて、通産省とか各省みんな入っているのですが、各省が入るところに、また事故が起きた時分に原因究明の調査につくと、第三者の機関に委嘱をする。この第三者の委嘱というのがくせ者だと私は思うのです、本当は。そういうふうに第三者の機関に委嘱しなくても適切に消防庁がぴしゃっと出すべきだ。それを出せない消防庁の弱さというものは本当に色男だなあ、金も力もないところだという感じを常日ごろ持つ。だから、金もない、財政的に市町村に号令だけかけている、文書と号令だけかける。本当にできるのだろうか。財政的に見ても、私は水島だけを調べてみて、大蔵省見えていますか、大蔵省はよう聞いてもらいたい。昭和三十九年から四十八年まで十カ年の間に税収が四千七百五億一千七百万円、四千七百億円のこの税収が、国税、市町村、県税皆入っている。その中で国税が四千七十一億取っているのですよ、国の方が。四千七十一億円十カ年、一年四百億円、これだけ。そうして県はどのくらい取っておるか、十カ年で二百二十九億、市町村が四百四億です。こういう税の配分から見て、国の方はもう取るだけ取る。工場建設にはおまえら誘致したのだから、地元は少々犠牲払えということで、県も市も無理をして財政投資をして臨海工業地帯をつくる。それでもうかるようになったら、国ががさがさ取っちゃって、そうして県なり市町村へ今度は公害と防災をやれとこう言う。悪いところはおまえらが皆やれ、工場誘致したのだから、甘いところは取りますよと、これでは末端の住民が、どんなに法律つくって防災に協力しろと言ったって、協力しない。この点は税金をまけいとかなんとかいうのじゃなくして、たとえば消防力の基準を決めたら消防庁の要求どおり大蔵省は予算をつけるべきだ。こういう税の取り方をしておいて、国を挙げて防災対策をしておるとは私は言えないと思う。  政務次官、この点についてどうお考えになりますか。
  36. 左藤恵

    左藤政府委員 国税、地方税の割合は個々の地方公共団体ごとにいろいろそこだけで論ずるというのは問題があろうと思います。地方公共団体によりましては、国税として納める額以上に地方交付税とか、あるいは国庫支出金の交付を受けているものもあろうと思いますし、逆にいま御指摘のような多額の国税を納めて国からの交付が少ないという団体もあろうと思います。  そうしたことですから、地方公共団体全体の財源調整という問題もあろうと思いますが、従来からのいろいろな考え方から見まして、特に最近のいろいろな防災の重要性というもの、そうしてまた規模が大きくなり、複雑になり、そうしてお金がかかるような体制という点から考えましても、もう少しわれわれはそういったものにお金を地方の財源としてかけて、そうしてそういう施設をすべきではなかろうか、このように考えます。
  37. 柴田健治

    柴田(健)委員 交付税は酒税が入っておるし、たばこも入っておるわけですよ。この税金は入れていないのですよ。この分は大体揮発油税だとか、関税だとか、基地のものが四千億の大体七六%握っておるのですよ。市町村の方は主にほとんど固定資産税が七〇%近く。それから建物の防災については市町村任務があるということは、固定資産税を取っておる限りはそれは任務がある。けれども危険物、爆発や何かは国が責任を持っている。それで、県の方は事業税ですから、これはいろいろな面に、教育だとかその他で、労働者の宅地造成だとかその他は県がある程度見なければならぬだろうと思いますけれども、この税金の中身を見ると揮発油税が多いのですから、揮発油税を取る限りは、たとえば道路を直すのは自動車の重量税を取ったりいろいろやっているわけでしょう。それだからもう少し防災に国が思い切って金を出すべきだ、特に石油コンビナート基地については出すべきだ、こう思うのですが、大蔵省答弁願いたい。
  38. 名本公洲

    ○名本説明員 先ほど政務次官からお答えがありましたように、国といたしましては全体の財政需要を賄うために、それを負担する能力のある方々から税金をちょうだいして全体の財政需要を賄っていっておるということでございますので、たくさん上がったところにたくさん還元できるというような考え方には立ってないわけでございます。  防災問題につきましては、ことにこのコンビナート法を御審議願っておるわけでございますけれども、コンビナート地帯の防災というものが非常に重要なものであるという、これは公害も含めまして同様に重要な問題であるというふうに考えておるところでございまして、今後各省からの予算の御要求を待っていろいろ検討してまいらなければならない問題であるというふうに考えておりますが、しかし、そこで一つ私どもの方としての考え方の中にありますことは、コンビナート地帯のいろいろな危険というのはコンビナート構成企業というものがつくり出しておるということでございます。公害につきましても、公害発生源の企業というものがそこに相応の、何といいますか原因者負担という考え方が当然入ってきてしかるべきであるというように考えておるわけでございます。  コンビナート法の中におきましても、考え方といたしましては立案途中でいろいろ伺ったところによりますと、自主防災組織というものをかなりの程度で拡充してまいるという御方針のように承っております。そういう考え方は企業の原因者としての責任というものから考えましてまことに適当な考え方ではなかろうかというように思うわけでございます。法律の中におきましても、先ほど長官からお話がございましたように、国といたしましても補助率のかさ上げとかそういう面も考慮いたしておるところでございます。また一方、消防そのものの責任というのは地方公共団体にあるわけでございますので、自治省の財政局の方におきまして交付税の方において所要の手続、措置もとられるものであるというふうに考えておるわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、コンビナート防災、公害も含めまして、そういうものを国といたしましても十分考慮してまいらなければならないものであるというふうには考えておるところでございます。
  39. 柴田健治

    柴田(健)委員 大蔵省は本気でやる意思がないですね、正直に言って。これは消防庁に力がないのか、自治大臣が力がないのかわかりませんが、どうもそういう考え方でこの法案が生きるとは思えない。大蔵省の判断は、この法案については企業の自衛消防、自衛防災組織、そういうものを厳しく義務づけていく、そういう方向で国の方では財政的なものは一般論としてはいろいろ努力はする、しかし特別に配慮するということは余りやらない、こういう答弁であります。自衛消防組織なり自衛防災組織というものが今度法案で明確になるわけですが、この企業ごとにやらせるというものは、たとえば今度の防災管理者、いままでは消防の方は依然として防火管理者、今度は防災管理者。防災管理者の資格というものは私たちは企業代表者であるべきだ。企業代表者、社長というものは東京におるのだからなかなかうまくいかないと思いますけれども、やはり専務か常務、重役が恐らく工場長になっておるところもあるし、なってないところもあるわけですが、できるだけ防災管理者は身分の高い——身分が高いと言ったらおかしいのですが、本当に内外ともに責任を持つ人が防災管理者になるべきだというのがわれわれの考え方。  それから今度はそれぞれの企業に防災訓練とか防災組織だとがいうことをやらせるわけですから、その企業の中の職員、労働者、この労働者に対してどういう訓練をさせるかということも重要な任務になってくると思うのですよ。  労働省が見えておると思いますからお尋ねしたいのですが、いままで労働省の方での管轄の現行制度の中では、労働安全衛生法もある、また労働基準法で労働組合ができて、また労働協約を結べるようになった。今度労働協約を結ぶ中で、防災というものをどう協約の中に入れさしていくのか。私は、その防災の方は知らぬ、われわれはそういう条件で雇われたのじゃないのだ、とにかくそれは専門官、自衛の消防職員を雇ってやりなさい、こういうことになるのか。企業ぐるみ全部どんな職場におろうとも、年に何回とか月に一回とか防災訓練をする、災害訓練をある程度やらせていく、そういう任務を持たせるためには労働協約の中でどうさしていこうとするのか、労働省の考え方があれば聞かしてもらいたい。
  40. 中西正雄

    ○中西政府委員 災害防止対策を効果的に進めますには、そこで働く労働者あるいは労働組合の協力を得ることがきわめて重要なことだと考えております。その協力を得るためにはやはり労働者、労働組合の意見をよく取り入れる、よく聞く、話し合うということが重要かと思うわけでございます。  そこで、安全衛生法の中で一定規模の工場、事業場等につきましては安全委員会を設けて、そこで労働者、労働組合の積極的な災害防止についての意見を聞くようにということが定められているわけでございます。この委員会制度を活用いたしまして、労働災害はもとよりでございますが、防災につきましても十分労使が協力してやれる体制をつくっていくということについて今後十分指導してまいりたいと考えております。
  41. 柴田健治

    柴田(健)委員 消防庁長官どうですか。今度は義務づけるのですよ。自衛防災組織をつくらせるのですよ。そうした場合に防災管理者の身分、そしてその中の職員というものの指導が、労働省はいまああいう答弁をされたのですが、どういう考えを持っておられるのですか。
  42. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この法律に規定いたします防災管理者というものは、その事業所のいわば統括責任者というものが防災管理者になるということになっておるわけです。したがって、その事業所における責任者が同時にいわば防災管理者としての仕事を行うということになっているわけであります。この自衛防災組織には当然に私どもとしましては専任の職員を置いてもらうということを考えておるわけでありますけれども、やはり災害発生時におきましては、現在の公設消防と消防団というふうな関係にもございますように、その専任の自衛防災組織職員だけでは完全に災害防除活動というものができるわけではございませんので、やはり従業員がそれぞれ協力をするという体制がなければいけないというふうに考えております。  また、この事業所の安全を確保するためにはやはりそれぞれの持ち場における企業の安全ということが確保されなければならないわけでありますから、職員、従業員一人一人についても保安教育の徹底ということについては十分配慮してもらわなければならないというふうに考えておるところでございます。また、災害時における訓練につきましては、それぞれの防災規程なり事業所の防災規程それから県でまとめてつくりますコンビナート地域防災計画というものに、そうした全体的な訓練あるいは教育等の規程をつくりましてその防災体制の徹底を期してまいりたいというふうに考えております。
  43. 柴田健治

    柴田(健)委員 この法案の中に停止命令の条項があるのですが、この停止命令は主務大臣になっている。ところが災害の場合は緊急を要するというのですね。都道府県知事に対する権限というものはどうなるのか、その点を第一点にひとつ聞いておきたい。  それから建設省が見えていますね。今度の法案の中に緑地計画で建設省担当になるわけですが、なぜこの法案の中に建設省が入ってきたのか。誘惑されたのか侵入してきたのか何だかよくわからないけれども、この防災法の中に都市公園法で言うような緑地の規定を入れてきたのだ、こう思うのですが、どうも防災について緑地計画を、建設省がわざわざこれに入ったというのが、私はちょっと割り切れないところがあるのですね。たとえば避難道路をつくる、たとえば防災上必要な緩衝地をつくる。ところが緑地というものは憩いの場にも使えるしまた公園のような形にも使えるしいろいろ使えるわけだが、広っぱをつくることはいろいろな意味で使えることは間違いないけれども、どうも私はぴんと来ないのですが、わざわざこれに入った理由をひとつちょっと聞かしていただきたい。
  44. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 この法律の規定によりまして使用停止命令というのが規定されておりますのは、主務大臣段階、府県知事段階あるいは市町村段階、いろいろございますけれども、主務大臣が使用停止命令を行いますのは第五条以下の新設の計画の変更指示に違反をして施設がつくられた場合等につきまして使用停止命令というものがかけられるということになっているわけであります。それからまた府県知事あるいは市町村長がその使用停止命令をかけるというのは、主として災害予防関係におきまして必要な施設を持たない、あるいは維持しない、あるいはまたこの法律の規定によりまして事業者の義務とされておりますものについて違反をしたというものにつきましては、それぞれその権限のもとにおきまして使用停止命令がかけられるという規定になっております。
  45. 豊蔵一

    ○豊蔵説明員 ただいまお話のありましたコンビナート地域防災に関して緑地の整備というものがどういう位置づけになるということになろうかと思いますが、コンビナート地域におきましての防災につきましては、まず第一義的にはコンビナート地域内の事業者がそれぞれの立場において防災対策を充実させることが必要であろうかと考えております。しかし、一面におきまして、特に既存の事業所等の周辺におきましてはなお大災害が発生いたしました場合に周辺の地域災害を及ぼすおそれがありますので、住民の生命、財産を守るという立場から市町村長と地方公共団体が何らかの意味での防災的な対策を講ずる必要があるのじゃないかと思ったわけであります。ただ、その際にいろいろなやり方がありますが、現段階におきましては、緑地を設けましてコンビナート地域と一般市街地とを遮断するということが効果的であると考えられております。その緑地をつくります場合に、もちろん一般の都市公園で整備することもできるわけでございます。ただその場合には一般の補助率であるとかまた企業者の負担を求めることができないとかいった制度上の制約がございます。たまたま公害防止の緩衝緑地におきましてもこの法律案と同様な制度になっておりまして、企業者から一定の負担を求め、またこれに要する事業費が非常に多額なものになり緊急性があるというような立場から、補助率のかさ上げ等も行っておりますが、そういったような制度をやはり設けまして、促進を図ることが必要であると考えまして、関係の規定を設けたものでございます。
  46. 柴田健治

    柴田(健)委員 それなら結果は金を取るためにこういうところへはめたということですね。企業から金を取るのは、簡単に言えばいまのほかの法律では取れないから、企業から負担金を取るためにひとつ法律をこの中へつくってやろう、こういうことで普通なら都市公園法でそういう緑地をつくっていくのが建設省任務なんですね。それをわざわざこれへ入れたというのは、負担金を企業から取るために入れた、こう判断してよろしいな。
  47. 豊蔵一

    ○豊蔵説明員 その点もございます。また一面補助率のかさ上げというようなこともございますし、また一方自治省において措置していただいております交付税の特別な配慮等々のことを総合的に考えまして、このような規定が必要であると考えた次第であります。
  48. 柴田健治

    柴田(健)委員 国土庁はお見えになっておると思うのですが、日本には天災、人災を含めて災害対策については災害の憲法といわれる災害対策基本法というものがある。中央防災会議がある、都道府県防災会議がある、市町村にもある。こういうことで一貫しているわけですが、縦の系列がはっきりしているわけですが、われわれはそういう災害対策基本法というものが一つ基本になって、いかなる人災であろうと天災であろうと、それに対応するような体制づくり、そしてそれに合わせて、地方の防災計画というものに合わせてのいろいろの訓練を平素やっておるわけですが、今度の条文の中には災害対策基本法に基づく防災会議における協議会、それに点を打って、石油コンビナート等の防災会議の協議会と二つの名前が並ぶわけですね。その場合に国土庁が管轄しておる災害対策基本法に基づいて、この法案との関係に矛盾があるのかないのか、ないと思われるのか、多少あると思われるのか。その点ひとつ国土庁の方に見解を聞いておきたい。
  49. 横手正

    ○横手政府委員 今回のコンビナート防災法案は、防災面につきましては災害対策基本法を補完する特別法の性格を有するものであろうというふうに考えております。したがいまして、基本であります災害対策基本法との調整は、この法案につきましても十分行っておりますので、その間に支障はない、かように考えております。
  50. 柴田健治

    柴田(健)委員 それなら、たとえばある県なら県が、この災害対策基本法で網を全体にかけた。今度の法案では局部的に石油コンビナート基地だけに防災会議だとかそういう協議会をつくる。末端では二重になるというおそれがあるのですが、その点についておれはこっちの方の関係だ、石油コンビナート災害防止法に基づく協議会の方に参加しておる、県の方の防災協議会には参加していない。その点についてどういう連絡調整をやられるのか、国土庁の方はどういう考えを持っておるのですか。
  51. 横手正

    ○横手政府委員 従来コンビナート防災体制につきましては、都道府県段階と市町村段階と、いわば二重の備えがあったわけでございますが、今回の法案によりまして、これを都道府県一元化して、防災会議にかわる防災本部、この仕組みを考えておるわけでございます。そして、この防災本部を通しまして、特定区域に係ります保安防災体制、これを総合的に整備しようということでございます。  おっしゃられますように、地域的に見ますと、あるいはこの区域と区域外の関係で二重構造的な感じがされるかとも思いますが、その点につきましては、地域防災計画とコンビナート防災計画の間で抵触があってはならないという規定も設けられておりまして、この間の調整は十分可能なことだというふうに考えております。
  52. 柴田健治

    柴田(健)委員 私は、この二重構造組織は弊害が起きる可能性がある、これは実践部隊の中でいろいろな矛盾が出てくると思うのです。今度企業で自衛防災組織をつくられる。企業の中で働いておる労働者も、地域に帰れば消防団員になっておる。おれは消防団の方をやめる、非常勤消防の方をやめる、私は今度は会社に義務づけられて自衛消防隊員になるというような、二重構造ができた場合に、いろいろなトラブルというかそういう点が起きたときには、消防庁はどういう指導をせられるのか見ものだと私は思っているのですよ。だから、地域消防団はやめた、私は会社で義務づけられたから会社の方で自衛消防隊に入る。そんなことを言わずに二重に身分を持ってくれ、二重国籍を持ってくれ、こう言ったってなかなかできるものじゃない。その点の混乱が起きる。どうしても二重構造というものはいろいろな面で混乱が起きることはもう明らかなのですね。それをどう調整するのか。皆さんは上の方で、机上論でこしらえるけれども、現実にはいろいろ問題が出てくる。その点を長官よく考えておいてもらいたい。  それから、いま水島で操業再開に関連して、全企業が同じような文書で市当局と協定、覚書を結ぶ。その前提条件としては、それぞれの企業の中の防災計画というものを立てさせて、その防災計画を基礎に置いて協定や覚書を結ぶ。これらのそれぞれの企業の保安、それは国の保安基準を基礎に置いて防災計画というものを立てるわけですが、この防災計画が立って市と協定を結んである。ところが、今度の法案でいくとそんなものはもう問題外です。それは別です。ところが、協定の覚書の中には、石油コンビナート等の災害防止法案が国で通った場合にはそれに準じてまた文書を変える、こういうこともうたわれているわけですね。それらの関連について、それは市と企業が勝手に協定を結んでいるのだから、この法案とは関係がないのです、こう言い切れるものかどうか。この二つの点でひとつ……。
  53. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 会社の自衛防災組織と消防団との関係でございますが、この点は、現在の消防法のもとにおける自衛消防組織と消防団との関係ということについてもあるわけでございます。自衛防災組織の中に含まれております消防団員というのは、災害発生時においてどういう体制をとるかということになりますと、やはり自衛防災組織の中に含まれております会社の従業員は、その勤務時間中あるいはまた会社の防災規程に基づいて勤務を要します時間というものは、会社の自衛防災組織の一員として働くということが現実的であろうというふうに考えます。ただ、災害もいろいろあるわけでありますから、勤務時間外においてその地域防災活動に当たって、消防団員として活躍されるということは、これは消防団の団員としての使命からして当然のことであろうというふうに考えるわけであります。  それから、いま倉敷におきまして会社との防災協定というのを締結をするという話を聞いておりますが、この防災協定と新しい法案が成立いたしました場合における防災計画との関係でありますが、この法案に基づきます自衛防災組織あるいは特定防災施設等の基準を守らなければならないということは当然のことでありますので、防災協定がこの法案に基づくいろいろな施設あるいは資機材等の整備基準を下回っております場合には、この法案の規定に基づくところの施設水準まで引き上げてもらわなければならないということになるわけでございます。ただ、この法案なりあるいは消防法の規定に基づきますところのいろいろな義務規定があるわけでありますが、それに当該市町村において上乗せの基準防災協定の中において結ぶということは可能でございます。その市と各企業体との協定に基づきまして、上乗せ基準防災協定の中に決めるということは可能でございます。これは両者相まって、防災体制がその地域実情に応じてとられるということは、十分に私どもも歓迎すべきことであるというふうに考えております。
  54. 柴田健治

    柴田(健)委員 一つ防災訓練をする場合には、同じ工場の中でもいろいろ製造工程が違う、また備蓄構造も違う、輸送体制も違うわけですね。そういう場合に、どういう方法でこの防災対策防災訓練というものをきめ細かくやらせていくか。たとえば、製造部門における防災訓練なり、また備蓄構造に対する防災訓練、また輸送構造の中でどういう防災訓練をさせていくかというような部分的なものは、どういう基準というか、それはただ運用の面でその場その場の指導でやっていくのだとかいうのではなしに、何か基準を決めてやられるのかどうか。こういういままでのような総論的な防災訓練というのは、化学工場だけに意味がない。よほど綿密な、精密な訓練計画を立てなければならぬだろう。それにはある程度の訓練基準というものが必要だ、こう思うのですが、その点について消防庁はどういう考えを持っておりますか。
  55. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 水島の事故から考えまして、ただいま御指摘のように、水島地区におきましての防災訓練というものが、やや一般総論的な訓練であったというような感じがいたすわけであります。これは結局災害想定というものが非常に甘かったのではないかというふうに私どもも反省をいたしております。そういう関係で、今回のこの法案の中で、防災本部におきまして作成いたします石油コンビナート防災計画というものにつきましては、災害想定に関する事項というのを非常に重要な項目というふうに考えておるわけでありまして、この災害想定というものを、考えられる限りの災害を想定して、その災害の種類に応じた訓練体制あるいはまたその災害防除活動基準というものを定めておく必要があるというふうに考えるわけでありまして、各事業所のいろいろの施設あるいは製造設備の種類があるわけでありますから、それらに対応するところの災害想定を十分につくっていただいて、それに対応する訓練をしていただきたいというふうに考えております。
  56. 柴田健治

    柴田(健)委員 私は、今度の水島の流出油事故一つの疑問を持っているのは、あの長期間にわたる期間の問題もありますけれども、あれは陸上が災害で海上も災害なのか、公害なのか、それからある面から言うと、陸上は災害で海上は公害だということで、国会の中でもどうも海上の問題は全部公害特別委員会の方でやる。そしてああいう取り扱いを見ておると、どこまでが災害として消防庁の方は理解しておるのか、どこまでが公害として理解をしておるのか、その点を聞かしてもらいたいのです。
  57. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 水島の事故のような場合におきましては、やはり考え方としては災害であり、同時にそれが公害という形になってあらわれていると思うのであります。事故が発生をいたしまして、その発生源を取り除いて直ちに被害の追加的な発生がなお残るというような場合には、いわば災害でありますけれども公害としてのとらえ方というものがあるのではないかというふうに考えるのでありまして、この点は確かにコンビナート地域における災害発生というものは環境破壊も同時に発生してくるということが通例の姿ではないかというふうに考えます。
  58. 柴田健治

    柴田(健)委員 今度の事件は、C重油というのは可燃性ではない、燃えないのです、燃えないものを燃えるという認識をしたところに初期動作の誤りがある。それはタンク構造なり、またらせん形のはしごを垂直型のはしごにかえさせた、これの誤りはどこにあるか、これは通産省だと私は思うのです。会社も勝手にやったといえばそれだけのものだけれども、通産省があんな基準を認めたところに問題があると私は思うのですよ。だから総合的に考えてみると、平素の訓練なりそういう化学製品に対する認識というものが非常に足らなかった、だからああいう後遺症が残るような、災害でなしに公害の方がひどいという事態を招いた。これは国の方が十分反省してもらわないといけない、こう私は思うのですよ。C重油が一たん出て、出たらアスファルトみたいなものだから、あんなもの燃えるはずはないのですよ。ただ、熱があるから冷却水をかけるから、夜であったから霧が発生する、それを火災だと恐れをなして港長が船をどんどん動かしたという点もあるわけですからね。平素の訓練なり、そういう取り扱う石油製品の品目において、どう処置するぐらいのことは知っておかなければならぬ。  それからもう一つは、私は港湾局も見えておると思うのですが、港湾整備において、いま既存港湾でもそうですが、新しい港湾設備にしても母屋の構造なり、まさかの災害の時分には敏速な行動なり動作がとれるような、そういう港湾整備をしないといけない。水島のを見ておっても、企業の専用岸壁、公共岸壁というように二つに分かれておりますが、その専用岸壁の方はめったに一般の者を入れてくれないが、行ってみても、それはこんなことで、まさかの時分には化学消防車であろうと普通消防車であろうと救急車であろうと、何でも動けない。そういう岸壁の使い方、船が接岸をしてそして陸上——今度は消防庁の方が区域指定をするのだから、その点は港湾局の区域ではあるけれども、施設については、この区域指定をした場合に港湾局に対してどういう要請をするのか、規制をするのか、また警告をするのか。そういう点は消防庁はどう考えておるか。港湾局の方も一緒に答弁願いたい。
  59. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 御指摘のように、港湾との関係がやはり重要な問題だろうと思います。そういう意味におきましては、知事部局の職員につきましても港湾担当の職員というものは防災本部の構成員というふうに私ども考えておりますし、それから港湾管理者としての防災設備整備ということも考えてもらわなければならないわけでありますが、また同時に消防側といたしましても、特に石油類の搬出入に係る施設の部分について防災設備が非常に不十分ではないだろうかというような観点から、いまその地域への防災設備の見直しを検討しているところでございます。
  60. 大塚友則

    ○大塚説明員 港湾の中における施設の管理でございますが、いまおっしゃいましたように、現在の港湾法のたてまえではいわゆる公共施設の管理に限られておりまして、専用施設内のたとえば道路あるいは空間といったものについては、なかなか港湾管理者の権限が及ばなかったわけでございます。  そこで、今回の法案が成立した場合には、当然港湾管理者としてもその面についてのいろいろの関与といいますか御相談をしていただけることになるというふうにわれわれは思っておりますので、港湾管理者もわれわれの方から指導いたしまして、いまおっしゃったようなことのないようにわれわれとしても努力していきたい、かように思います。
  61. 柴田健治

    柴田(健)委員 まだ言うことがあるのですが、時間が参りましたからこの辺でやめますが、いずれ同僚議員その他の方から御質疑があろうと思いますが、私たちはいまこの法案を見て、いろいろな基準を立てる、そして防災施設をそれに合わして改善さしていく、それには何としても人材確保だという気が最終の段階では強くするわけですね。それから人材確保について、県なり市町村なり、また消防庁もまず自信が持てるのか。この法案をつくって、あんたの方が全部どろをかぶって、割り込んでこなくてもいいところまで入ってきておる省を相手にして本当にやれるのかというのが第一点。これをまずお答え願いたい。  それから、この石油コンビナート基地にはそれぞれの専門的な要素がある、各省にまたがるだけに、入ってくる要素があったから入ってきたのだろう、私はこう思いますから、総合的な国の出先機関規模において防災理事務所を設置すべきだ、これは長年の私の気持ちなんですが防災理事務所を国の出先機関としてぜひ大規模の石油コンビナート基地には設置してもらいたい。これも優秀な人材確保の一環として必要だ、こう思っておるのですが、この二つの点を次官と長官にお答え願っておきたいと思います。
  62. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 確かに私どもも、人をいかに得るかという点につきましては非常に心配をしておるわけです。やはり地方におきましては、地方の小さい都市におけるコンビナート所在市町村というものの総合機関の充実ということは特に配慮していかなければならない問題でありますけれども、一面においては、教育の問題と、それから私ども消防庁自身の強化の問題も含めて、今後こうした技術系の職員のプール機関的なものを設置したいというつもりで、来年度の予算案等を通じましてその実現に努力してまいりたいというふうに考えております。
  63. 左藤恵

    左藤政府委員 確かに御指摘のように、防災訓練、防災教育というものは高度化しなければならないし、そしてまた、人的にも高度化し、それからまた非常に化学的ないろいろな問題についても指導をできる人の養成という問題が特に大切だろうと思います。そういった意味におきまして、いま先生指摘のようなそういう一つの特別の機関をつくるのがいいのか、あるいはまたそうした教育機関を消防大学校とかいったところで強力に推進するのがいいのか、そういうような問題もあろうかと思いますが、要は、いまそういった人的確保という問題が一番大切だと思いますので、その点について予算要求とともに努力してまいりたい、このように考えております。
  64. 柴田健治

    柴田(健)委員 将来の展望としては、国の出先機関としての防災理事務所でそれぞれ基地の企業といわず、自治体といわず、消防署であろうと何であらうと総合的なコントロールをし、常に年に何回かはどういう部門で訓練をさせていくとか、点検の方式はこうするとか、人材の指導はどうするかというような専門機関をぜひ置いてもらいたい。これでやってこそこの法案が生きてくる、こう思うのですよ。ですから防災理事務所、これは私がつけた名前だけれども、名前はどうあろうとも、そういう機関をぜひつくってもらいたい。これを次官なり長官にお願いして私の質問を終わります。
  65. 大西正男

    大西委員長 次回は、来る二十四日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十四分散会