○小濱
委員 私は公明党を代表して、ただいま
議題となっております
内閣提出に係る
地方交付税法の一部を
改正する
法律案及び日本共産党・革新共同提出の修正案に反対し、社会党及び公明党共同提案による
地方交付税法の一部を
改正する
法律案に対する修正案に賛成する討論を行います。
以下、その要点を申し述べます。まず
交付税の税率についてであります。最近国土利用
計画法の
施行などによる国の機関委任事務の激増、またこれまでの高度経済成長時代のひずみを是正するため、
義務教育施設、上下水道、市町村道など、立ちおくれている生活
関連施設の整備充実、住民の要求である福祉の拡充など、自治体の
財政需要は増大の一途をたどっております。しかしながら、低経済成長下においてはこれまでのような
地方税の大幅な伸びは期待できないのであります。
このような現状で、立ちおくれている生活
関連施設の充実、福祉の増進などを図るには、国税の大幅な地方移譲を行うとともに、
交付税率の大幅引き上げを
実施すべきでありますが、
交付税率は
昭和四十一年以来据え置かれたままであります。また国債発行の現状においては、その一定割合を
交付税に上乗せして交付すべきでありますが、政府案はこのような
措置が全くとられておりません。これが第一点であります。
次に
地方財政計画についてであります。四十八年度の
地方財政計画と
決算との対比でも明らかなように、これまでの
決算は
計画よりも二ないし三割増加しております。このように
計画と
決算が乖離していることに対し、政府は
人件費と福祉の先取りが原因であると言っておりますが、これは全く本質をゆがめたすりかえ論であります。
計画を実際よりも過少に策定している政府の意図は、
人件費を低く押えることと、自治体本来の使命である福祉
行政にブレーキをかける以外の何ものでもありません。また、このように実際よりも低く
計画を作成していることが超過負担など、地方
財政を一層締めつける結果となっていることは明らかであります。
本来の
地方財政計画は地方の
財政運営の指針となるべきものであり、特に高度経済成長から低経済成長に移行する経済の変動期においてこそ、その
役割りは一層重要であることは言うまでもありません。今回の
財政計画も従来の姿勢を踏襲し、実態とかけ離れたものであり、本来の使命を果たすどころか、地方
財政を締めつける以外の何ものでもありません。これは第二点であります。
次に超過負担についてであります。国庫補助負担事業に係る地方超過負担は現在の地方
財政危機の最大の原因となっているとともに、国と地方との
財政秩序を乱す原因となっております。政府は普通建設事業や
一般行政費について単価や対象、数量の是正を行っているとは言うものの、単価については実勢単価を大幅に下回るとともに、対象、数量についても実態に即したものとはなっていません。また超過負担に対して国と地方との見解の相違があり、このことが超過負担の解消を一層困難にしております。超過負担に対する国と地方側との見解の違いを調整し、その解消を図るために、国、地方の代表からなる地方超過負担調査会を設けるべきであります。
公明党は、現行の超過負担の実態を是正するため、これらの
趣旨を織り込んだ超過負担解消法案を提出しておりますが、政府もこの
趣旨を十分取り入れ、超過負担の完全解消を図るべきであります。
なお、国の直轄事業に伴う地方負担金は事業の
趣旨から即座に廃止すべきでありますが、これらの改善
措置が何ら講じられておりません。これが第三点であります。
次に、人口急増市町村対策についてであります。従来から人口急増市町村の
義務教育施設、公共下水道、道路、清掃などの生活
関連施設整備は著しく立ちおくれており、高度経済成長政策のひずみの犠牲を強いられております。これに対し政府は、若干の予算
措置で対処しているのみで根本的な対策を講じようとしておりません。公明党は、人口急増市町村特別
財政措置法案を今国会に提出しておりますが、
財政窮迫を告げる急増市町村を救済するにはこの
立法化以外にはないと
考えるものであります。政府もこの
趣旨を十分勘案し、その
立法化に努力することを望むものであります。
なお、戦後の第二次ベビーブームと最近の高校進学率の上昇に伴って今後高等学校の不足が顕著になることは明白であります。準
義務教育とも言うべき現在の高等学校に対し、現行のように
都道府県のみに責任を負わせるのではなく国も大幅な補助
制度を確立すべきでありますが、これらの
措置が講じられておりません。これが第四点であります。
次に、過疎対策についてであります。過疎市町村に対して
昭和四十五年に過疎法が成立して以来、さまざまな対策が
実施されましたが、いまだ深刻な問題が続いております。過疎問題は人口急増問題と同様に高度経済成長政策のひずみでもあり、国家的
立場から十分な対策が講じられなければなりません。従来から過疎債の元利償還に対する
交付税の
基準財政需要額の算入率の大幅引き上げ、過疎債に対する適用事業の拡大が要求されておりますが、その実現がいまだなされておりません。さらには国勢調査に基づく人口減少率が現在は一〇%以下の市町村が対象にされていますが、その減少率の引き下げを行うなど準過疎対策の充実を期さなければなりませんが、これらの
措置が講じられておりません。これが第五点であります。
次に、公営企業と国民健康保険事業についてであります。住民の生活水準の維持向上のために重要な
役割りを担っている交通、病院、水道などの公営企業の経営はますます逼迫しております。これらの公営企業の経営悪化の原因は最近のインフレによる物価高、交通事情の悪化などいわゆる企業の外的条件の悪化によるもので、企業努力の限界を超えるものであります。これまで政府は、交通事業と病院事業の不良債務に対する特例債の発行を認め、その利子の一部を補助する対策を講じたとはいうものの
部分的な対策にすぎません。自治体では公営企業に対して乏しい普通会計の中から大量の繰り入れ
措置を講じておりますが、それにもかかわらず四十九年度においても膨大な赤字が予想されております。このように経営の悪化に苦しんでいる公営企業に対し、従来の利子の一部を補助するという
部分的な対策ではなく、元金の三分の二、利子の全額を補助するなどの抜本的な対策を立てなければ公営企業経営は成り立っていきません。
なお、国民健康保険事業の赤字についても、経営努力のみではもはや対処することは不可能な事態になっており、国庫負担を大幅に増額すべきでありますが、そのような十分な
措置がとられておりません。これが第六であります。
次に、地方債についてであります。現在の地方債は国の許可制によって厳しく制約されておりますが、これは戦後の経済の混乱期に当分の間の
措置として定められたものであって現状に即したものではなく、これまでもその改善が強く叫ばれてきたものの政府は一向に改める姿勢がうかがわれません。また財投に占める地方債の政府資金の割合もここ数年二〇%以下であり、立ちおくれている生活
関連施設整備などの事業を推進するためには政府資金の割合を大幅に拡大することが急務でありますが、このような
措置がとられておりません。
さらに、国の金融引き締めにより縁故債など民間資金の引受先がないためにどの自治体も縁故債などの獲得に頭を悩ましているのが実情であります。これについても政府は十分な対策を講ずるべきであります。これが第七点であります。
なお、日本共産党・革新共同提出の修正案については、
交付税率引き上げの
趣旨には賛成いたしますが、増額された
交付税の配分方法については満足できません。たとえは社会福祉の単独事業分の増額を図るなどの
考えを打ち出すべきものと思量されます。したがって、わが党といたしましては反対せざるを得ません。
以上をもって討論を終わります。(拍手)