○
植弘政府委員 非常に多岐にわたっての御
質問でございますから、場合によっては落ちるところがあるかもしれませんけれ
ども、お許しいただきたいのですけれ
ども。
まず、基本的に私
どもが
地方公務員の
給与水準、これについてどう
考えるかということが基本問題であろうかと思います。そこで
ラスパイレス指数というのを比較に持ち出しているのですが、
地方公務員の
給与がどの
程度の水準にあるべきかという点は、先生に申し上げるまでもなく、非常にむずかしい問題だと思います。
給与決定要件といいますか、要素といいますか、これは
労働条件の決定の中でもむずかしいのですから、特に現在のような公務に従事するわれわれ公務員の
給与をどう決めるかということは大変むずかしいことで、いまさらここで申し上げるまでもないと思います。
そこで、
国家公務員につきまして人事院が官民較差の実態調査をやりまして、追随主義をとっているわけでありますが、その
意味では
地方公務員の
給与の水準というのは同じく税金を原資としておりまして、従事している業務が公務の提供という、公務サービスといった非常に酷似して同一性が強い
国家公務員の
給与水準をまず
考えて、これに均衡をとるべきであろうというのが大前提なわけでございます。もちろん
地方公務員法二十四条の第三項には、単に
国家公務員のみならず、他の
地方公共団体なり
民間企業なり、そういったものの実態を考慮しなさいという訓示規定がございます。しかしその前段に生計費の問題がありますが、
国家公務員の
給与水準の中には、当然に
民間における
給与の実態なりあるいはまた生計費の実態なりというものが加味され、含まれて毎年人事院が
勧告しておるわけでありますから、少なくとも
国家公務員の
給与水準に準ずる形をとることによって、二十四条三項が意図しておりますところの
地方公務員の
給与決定原則の趣旨は十分生かされるであろうということから、ずっと
国家公務員に準じなさいということできたわけであります。
その場合に、では準ずるには一体いまの水準はどうかということになりますと、現在の統計学的な処理からいきますと、やはり
ラスパイレスが最も実態をあらわすものだと言われております。もちろんいま先生おっしゃりたかったのは、
給与というのは単価掛けの定員といいますか人員でございますから、単価が低ければ、人数が多くてもそう大したことはないではないかといったようなことになるのかもしれません。それから単価にいたしましても平均年齢、年齢の要素がありますから、平均年齢が低ければ全体の
給与費は上がらぬではないか、こういったようなこともあると思いますが、やはり何かを基準にして物を
考えることになりますと、できるだけ同じような
条件のもとに存在するということを前提にしないことには比較にならないわけであります。したがって、年齢が三歳も五歳も違う平均年齢の場合に、それによって平均
給与が幾ら違うと言いましたところで、これは
意味がない。やはり同じような経験年数のもとに、同じ学歴を卒業した者が一体どのような
給与を受けているのかということを比較する、これが統計のABCといいますか、出発点であろうと思います。そういう
意味からいたしますと、
ラスパイレス方式で、まさに同じような学歴で同じような経験年数の場合にはどのような状態で
給与水準が分布されているかということを見るわけでございます。もちろん人事院が
給与勧告をいたします場合も、
民間給与との比較は
ラスパイレス方式を使っておるわけであります。そういうことから
ラスパイレスを使っておりますが、いま先生御
指摘のように、私
どもも発表の当時から申し上げておりますように、一〇〇%だと申しておりません。しかしながら大量的な立場で見ますときには、現在では最も精度が高いということは多くの人が認めているところだと思います。その点については先生方もお認めいただいたと思います。もちろん一〇〇%でないという点は私
どもも認めております。そういうようなことでございますから、私
どもとしてはあくまで
国家公務員の
給与水準に準じていただきたいということが
一つであります。
それからもう
一つは、
地方自治の原則といいますか、立場から、やはり
地方団体みずからの立場で決定すべきである。そうなると一体何かといいますと、これも釈迦に説法で恐縮ですけれ
ども、
地方自治を
考えます場合には、住民自治と団体自治がございます。といたしますと団体、その団体の中における
民間企業との
関係はどうかというのは非常に大きな要素であると思います。そういう
意味からいきますと、先生おっしゃいますように、
地方によっての差は当然出てくるだろうと思います。だれが
考えても、
東京都や大阪市というものと過疎地帯における町村とが一緒の水準ということは、常識的にも
考えられないと思います。そこにはおのずから差があるということは私
どもも
承知いたしております。しかし百分の百といいますか、
国家公務員との
ラスパイレス一〇〇に近づける努力というのがまず先であろうと思います。
そこで、この前の
人事委員会の
事務局長会議にも私
どもはそういった各県別の
民間の資料、すなわち労働省の
民間事業の
給与水準といいますか、
給与実態の調査資料も出しました。
そこで、もう
一つ申し上げますと、
人事委員会の
事務局長会議をやっていろいろ
指導した点はどうかという点がございましたが、私
どもも、
人事委員会に対しても
自治省設置法なり
地方公務員法に基づきまして技術的な
指導、援助、監督というものは、当然やらなければならない責務だと思いますが、しかしながら、
人事委員会と申しますのは、これもまた言わずもがなでございますが、いわゆる知事部局なり市町村長部局と違いまして、第三者機関的な要素を持っております。したがいまして、その場合における
指導というのは、一般の知事部局なり市町村長部局の職員に対する
指導とは、おのずから差があってしかるべきであろうということでございますので、私
どもは、
人事委員会に対しましてはいろいろな資料を提供しながら、
人事委員会独自で判断していただきたいということを言っただけでございます。個別的に各
人事委員会はこうすべきであるというところまでは言っておりません。ただ、その場合に
人事委員会の機能を弱めたのではないかとおっしゃいましたが、実は逆でございまして、私
どもは、
人事委員会が本来あるべき機能を全うしたならば、不合理に不適性に上がっている
給与がある
程度ストップされたのではないかということを申し上げたわけでございます。と申しますのは、
人事委員会の
勧告に当たっても、
民間との
関係をいろいろ
考えた場合にはそれほどの差が出てこない、それからまたもう
一つは、
給与の運営が適正であるかどうかという点につきましても、
人事委員会には監理機能というのがございますが、こういう機能もやりますと相当
程度適正な
運用ができたのではないだろうかという感じがするから、そこらのところにおいては十分目を見開いていただきたい、そして
人事委員会がその信ずるところによって適切な
措置をされるならば、
地方公務員における
給与管理というものはもっと適正さを保持できるのではないだろうかということで要請したわけであります。それで、オープンの
会議でございましたから
新聞社等入っておりましたが、おおむねの
新聞記者が、異例とは言っておりましたけれ
ども、要請という言葉を使っております。私
どもは、何もしかったり、こうしろと言ったつもりはございません。やはりあるべき姿において
人事委員会の機能が十分に発揮されるようにお願いしますということを申し上げたわけでございます。
それからもう
一つは、現在の
給与水準が高くなった原因には、先ほど
制度論が出ましたが、
制度は
国家公務員とほとんど同じでございまして、いわば
運用において適正でない面が多いわけであります。したがいまして、その
意味では
制度は
制度としてある
程度いまのままでいいと思いますが、
運用の面においては、不適正なものをこの際是正していただきたいということがまず第一の願いであります。
それこれ
考えまして、私
どもといたしましては、
国家公務員の
給与水準に準ずることが
地方公務員の
給与としては最も大事であるという点の
指導方針は変わりません。しかし、だからといってすべてが一〇〇でなければならないとは
考えておりません。一〇〇に近づける努力はすべきである。したがって、その
意味では一〇〇より若干出るところもあってもよろしいし、ということは、逆に言うと一〇〇より低いところがあってもこれは常識ではないだろうか。しかし、それじゃAの県は一
○三にしろ、Bの県は一〇〇でなければならぬとかCの県は九〇でなければならぬとか、そういったような個別的にやるつもりはございません。それはそれぞれの団体が
民間の事情等も
考えながら、
国家公務員の水準と合わしてどうあるべきかということを真剣に
考えていただきたい、そういう
意味では
地方議会でも十分自分の
地方団体の
状況はどうであるかを
認識していただいて御審議を賜りたい、このようにお願いしているところであります。