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小川(新)
委員 私は公明党を代表して、ただいま議題となっております
内閣提出に係る
地方税法の一部を
改正する
法律案に反対し、社会党、公明党及び民社党の三党共同提案による修正案に賛成する立場で討論を行います。
以下その主な理由を申し述べます。
まず、国と
地方との
税源配分についてであります。
現行の
地方財政は
自主財源が少なく、国のひもつきの補助金
制度によってその
財政運営の
自主性が損なわれております。これまでも、このような三割自治を打開するために、
地方制度調査会及び当
委員会の附帯決議など、たびたびにわたって国
地方の
税源配分の適正化についての根本的
対策を講ずるよう、強く
指摘してきたにもかかわらず、今回の
改正案にはその具体化がなされておりません。これが反対理由の第一であります。
次に、
個人住民税についてであります。
今回の
改正では、
個人住民税の
課税最低限を百二十一万八千円に引き上げたとはいうものの、最近の諸物価の高騰などによって実質
所得水準の低下を
考えると、中、低
所得者にはきわめて過酷な税となっております。したがって、
住民税の
負担の軽減を図るために、さらに
課税最低限を大幅に引き上げるべきであります。これが反対理由の第二であります。
次に、個人事業税についてであります。
わが党は、個人の事業税については、
所得課税に対する二重
課税であるとの観点から、その廃止を強く主張してまいりましたが、今回もこのような措置がとられず、政府
提出の
改正では個人事業税の事業主控除を百八十万円に引き上げ、個人の白色申告者の専従者控除限度額を三十万円に引き上げたのみであります。個人事業税が廃止されないとすれば、最近の個人
所得の上昇などから見て、その
税負担を軽減するために、事業主控除、専従者控除限度額を大幅に引き上げるべきであります。これが反対理由の第三であります。
次に、
法人事業税についてであります。
従来から、都道府県税に対する制限税率は、都道府県税の
法人税割以外設けられず、
地方団体の
課税自主性か尊重されておりました。ところが昨年、東京都が
法人事業税の超過
課税を行ったことに端を発し、今回事業税に制限税率を設定しようとしているわけであります。それも東京都は昨年事業税の税率を一四%に引き上げておりますが、それを下回る十三・二%にしたことに対しては、報復措置と言われてもやむを得ないものであります。
われわれは必ずしも制限税率を設けることに反対するものではありませんが、少なくとも東京都の現状を認めるぐらいの温い配慮があってしかるべきです。制限税率の設定に対し、政府は租
税体系の秩序維持及び
法人の総合的な
税負担の適正化を理由にしているが、この背景には事業税を損金算入していること自体に問題があることを
認識しなければなりません。事業税に制限税率を設ける以前に、
法人所得の計算において、事業税を損金算入にしないよう、
税体系を改めるべきであります。
さらに事業税は現在、物税でありながら、
所得課税の形態をとっております。そのために、欠損
法人はわずかな
法人均等割を
負担するのみで、膨大な土地と多くの従業員を抱え、企業活動を行っていても、
法人税はもちろん、
法人税割及び事業税が
課税されていないという不合理が生じております。
このような不合理を是正するため、従来から
法人事業税を現在の
所得課税から外形
課税に改めるよう
指摘されてきたにもかかわらず、その措置がとられておりません。これが反対理由の第四であります。
次は、
事業所税についてであります。
今回、大都市
財源の
充実のために
事業所税が
地方税として設けられましたが、これは従来から
地方側が強く要望してきたものが一応実現したわけであり、その創設に対しては賛意を表するものであります。しかし、今回の政府案では、指定都市並びに首都圏、近畿圏の既成市街地及び人口五十万以上の都市に限定されておりますが、他都市についてもこれらの大都市と同様、非常な
財源不足を来しております。また、
課税対象は床面積と従業員の給与を基準としているため、
地方が期待していたような
税収が見込まれておりません。したがって今後、
課税対象に資本金、償却資産等を加えるとともに、
課税団体の範囲を中小都市にも拡大し、税の
充実を期するべきであります。これが反対理由の第五であります。
次に、自動車関係税についてであります。
自動車排気ガス規制は、
国民の健康に係るものであり、最優先して行わなければなりませんが、政府は自動車排気ガス総量規制の五十一年度実施を、当初の予定を大幅に後退させております。そのために
税制などの積極的活用によって補完的
対策を講ずる必要があります。しかし、今回の政府案では、国税において物品税、
地方税では自動車の取得税にわずかな格差をつけることによって規制及び誘導を行おうとしておりますが、これでは十分な効果は上がりません。十分な効果を上げるため、その他の自動車税等についても総合的に
検討すべきでありますが、このような措置がとられておりません。これが反対理由の第六であります。
次には、電気税、ガス税についてであります。
従来から産業用電気に係る電気税は、産業優先の政策として、その非
課税措置を抜本的に改めることを
指摘してきました。しかし今回は、製品コストに占める割合が五%以下のものを整理したのみで、その姿勢は全く変わっておりません。このように、産業用に優遇措置をとりながら、一般家庭用の電気税、ガス税は依然撤廃しようとしておりません。特にガス税は、ほとんどが家庭用に
課税されている現状であり、また同じ家庭用にしても、プロパンガスには
課税されていないことなど、さらには電気税、ガス税の創設は戦時中軍費の調達にあったことなどを
考えると、これら一般家庭用に係るものは即座に廃止すべきであります。これが反対理由の第七であります。
次は、租税特別措置についてであります。
現行の税
制度では、国の租税特別措置によって、
地方も影響を受ける仕組みになっております。本来、国の租税特別措置は国の要請に基づくものであり、これが
地方に影響を及ぼすことは厳に慎まなければなりません。これまでもたびたびこのことを
指摘してきたにもかかわらず、政府は一向に改める姿勢がうかがわれません。早急に国の租税特別措置が
地方税へ及ぼす影響を遮断する措置を行うべきであります。これが反対理由であります。
以上でもって討論を終わります。(拍手)