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1975-03-18 第75回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月十八日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 大西 正男君    理事 愛野興一郎君 理事 片岡 清一君    理事 島田 安夫君 理事 高鳥  修君    理事 中山 利生君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       大村 襄治君    亀山 孝一君       木村武千代君    住  栄作君       戸井田三郎君    渡海元三郎君       葉梨 信行君    林  大幹君       古屋  亨君    三塚  博君       保岡 興治君    綿貫 民輔君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       山田 芳治君    林  百郎君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会 福田  一君         委員長  出席政府委員         警察庁警備局長 三井  脩君         自治政務次官  左藤  恵君         自治大臣官房審         議官      石見 隆三君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         厚生省公衆衛生         局保健情報課長 折田 貞雄君         通商産業省機械         情報産業局自動 富永 孝雄君         車課長         建設省計画局公         共用地課長   原  健彦君         自治省財政局交         付税課長    森  審一君         自治省税務局府         県税課長    福島  深君         自治省税務局市         町村税課長   栗田 幸雄君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 三月十八日  辞任         補欠選任   伊能繁次郎君     林  大幹君   小山 省二君     戸井田三郎君   篠田 弘作君     綿貫 民輔君   永山 忠則君     葉梨 信行君   古屋  亨君     三塚  博君   渡辺 紘三君     大村 襄治君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     渡辺 紘三君   戸井田三郎君     小山 省二君   葉梨 信行君     永山 忠則君   林  大幹君     伊能繁次郎君   三塚  博君     古屋  亨君   綿貫 民輔君     篠田 弘作君     ————————————— 三月十八日  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第五七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四一号)  警察に関する件      ————◇—————
  2. 大西正男

    大西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山本弥之助君。
  3. 山本弥之助

    山本(弥)委員 税の問題につきまして御質問いたします前に、大臣のかわりに政務次官お見えになっておりますので、お聞きしたいと思うのであります。  新聞の伝えるところによりますと、自治大臣地方公務員定年制の実施について決意をされている。三木総理大臣と政治的な話し合いを進める。もっとも三木総理大臣は、私の記憶違いだったかと思いますが、参議院予算委員会で、定年制の問題は実施すべきではないかというような答弁をなすったように新聞で拝見したわけであります。これは政務次官、本気にお考えになっておりますかどうか。
  4. 左藤恵

    左藤政府委員 大臣がどういうふうに答弁されましたか、私、大臣からそのことについては直接お伺いをいたしておりません。このところ国会いろいろございまして大臣からいろいろお話を伺う機会がないので、この問題について十分御連絡というか、大臣からお話を伺ったことはございません。  この定年の問題につきましては、大分以前からいろいろな問題はある、そしてその問題について検討も進められたことがあるということについては、私も十分承知いたしておりますけれども、いまの段階でこれをどういう形で出すかということについて大臣お話を直接伺ったことは、いまのところございません。
  5. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いま参議院の方で審議が行われておりますので、大臣が衆議院の委員会出席をされない場合には、政務次官大臣代理として御答弁を願うということで審議を進めておるわけであります。重要な問題につきましては大臣にかわって御答弁ができるように、十分打ち合わせをしておいていただきたいと存じます。  私の感想を申し上げますと、五十年度から地方行政としてはいろいろ大きな転換を迎えておりますときに、地方公務員対策といいますか、それを考えた問題ばかりか大きく新聞で報道されておるわけであります。私はむしろ、地方財政にそれらの問題が関連がないとは言いませんけれども、真剣に地方財政の問題、地方税制あり方等検討をしなければならぬときに、地方公務員の問題は、本来地方自治体管理者地方公務員との間で、私はあらゆる角度から十分話し合いを進めていく問題だろうと思うのですが、それを自治省が先頭に立って、財政問題より公務員対策ということに重点を置いているということにつきまして非常に遺憾に考えておるわけでありますが、こういった新聞で大きく取り上げられる問題につきましては、政務次官大臣代理として出席されるからには、十分大臣と事前に話し合われて、大臣にかわりまして答弁ができますような準備をしておいていただきたいと考えます。  むしろ私どもは、これから法案をおつくりになって地方公務員定年制を今国会提出をされるということよりも、すでに自治省で予定されておる地方自治法改正に積極的に精力的に取り組む必要があるのではないか、かように考えるわけであります。三月も末になりまして、まだ地方自治法改正については閣議決定もされていない、提案のめども立っていないということは、これは議運に対するお約束からいっても筋が通らぬのではないかと私は思うのです。地方自治法改正はお出しになるのですか。
  6. 左藤恵

    左藤政府委員 地方自治法の中身といたしまして、いま先生指摘の点は、恐らく地方事務官制度の問題ではないかと思いますが、この問題につきましては、いま鋭意折衝を進めておりまして、決して法案の作成を休んでおるとかそういうことではございませんで、話を煮詰める段階内閣の中で調整を図っておるところでございまして、まだいまのところいつ提案できるかという見通しはついておりませんが、努力はいたしておるところでございます。  それから、先ほど来いろいろお話のございました定年制の問題について法案をどうするか、大臣との連絡を十分とってそういう対策考えろという御指摘でございますが、現段階においてこの定年制法準備して出すというようなところまではもちろん行っておりませんが、いままでそういうことについて提案して国会の事情で審議未了になったというふうな経緯もございますけれども自治省としては、地方公務員能率向上といいますか新陳代謝を図るという点から考えて、こういった道を開きたいということは、かねてから念願いたしておるところでございます。それをどういうふうに政治的に取り扱うか、あるいは国会においての準備を進めていくかということについて、いま私がその見通しを申し上げることはできない、ただ、大臣はそういうことについての意欲はお持ちになるということだけは私は伺っておる、こういうことでございます。
  7. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、地方事務官関連した地方自治法改正につきましては今国会中に提案するように極力努力をする、こういうことですね。それと同時に定年制に関する地方公務員法改正については、大臣がそういうふうなお考えを持っておるという程度で、政務次官にも御相談なさらぬところを見ますと、今国会に提案するということについてはまだ固まっていない、こう了承していいわけでございますか。
  8. 左藤恵

    左藤政府委員 そのとおりだと思います。決定していないということでございます。
  9. 山本弥之助

    山本(弥)委員 七日に参考人をお呼びいたしまして、いろいろ御意見を聞いたわけでありますが、多少色合いは違ってはおりますけれども参考人のほとんど全員にわたりまして、今後の経済情勢推移等にかんがみまして、地方自治体が非常に重要な役割りを果たすということに関連して、国と地方との税源の再配分について基本的に考えるべきではないかという御意見が述べられたわけであります。このことにつきましては予算委員会におきまして自治大臣にも御質問し、また大蔵大臣にも御質問したわけであります。大蔵大臣からはほとんど期待するような答弁を得られなかったわけであります。税務局長としてはどういうふうにこの問題に取っ組んでいかれるか、お聞かせ願いたいと思います。
  10. 首藤堯

    首藤政府委員 最近の地方財政状況や、あるいは経済環境の低成長時代に移った、こういったようなことからますます地方財源、特に自主財源としての税源の拡充ということが必要だというように基本的に私ども考えております。  特にその中でも従来から考えてまいりましたことは、地方財源の中でも市町村財源が非常に、より枯渇をしておるという認識を私ども持っておるわけでございまして、従前御案内のように、法人住民税の税率の引き上げでございますとか、ことしの事業所税の創設でございますとか、こういった手段を用いてその充実に努めてまいったところでございます。  今後の問題といたしましては、具体的に何税をどうというところまでいま決定をいたしておるわけではございませんが、今後地方制度調査会等におかれての事務配分見直しの問題、税源配分見直しの問題、こういった御議論が進みますその経過等も十分踏まえまして、私どもといたしましてはできる限りの地方税源充実に努めていきたい、こう思っております。  ただこの問題はやはり現在のような財政状況でございますと、国、地方を通じた国民租税負担財政需要といった考え方も大いにあろうかと思います。具体的には、ただいま分配国民所得の国、地方合わせて二〇%程度税収財政需要が賄われておるのでございますが、今後その二〇%といった国民租税負担あり方がどうなるかと、こういう議論もございましょうし、もしこれがもう少し上がらなければやっていけないのではないかということになれば、どういった税目に今後の負担を求めていくのか、こういったことも国、地方を通じての税制として議論が出てくるであろうと思います。そういった機会もつかまえまして、新たに負担がもし増加するといたしますれば、その分の地方への配分と申しますか、付与と申しますか、こういったことをふやしていく、こういったいろいろな措置を考えてみたいと思っている次第でございます。
  11. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私がお聞きしているのは、従来の税体系のパターンの中で小手先で部分的に考えるという時代はもう終わったんじゃないか。新しく国民税負担がどうあるべきだということも重要であります。しかしこれは行政需要あり方あるいは社会保障強化して賦課方式ということになれば、ある時期には社会保障に対する年金負担というものはある程度まで高くならざるを得ないということは想像されるわけですね。それにしても地方自治体行政あり方から考えて、今後長期的といいますか、一応の税制というのはそう急激に変革するわけにいかぬのじゃないかと私は思うのですが、一つ見通しを立てて国と地方との税負担あり方考えていかなければならぬじゃないか、こういうように私は考えるわけです。  ただ、昨年の大蔵大臣諮問機関財政審議会地方財政に関する中間答申を見ましても、そういった基本的な問題には全然触れていなくて、地方公務員給与水準の問題が国家公務員より高いという、これを何とか考えなければならぬというような意味のことが触れられている。しかも国保税問題等も、健保の負担に比べても国保税はそう高いとは思われないがという前提に立ちまして、国保会計赤字解消策としていろいろなこれに付帯した答申をしておるというふうに、地方財政大蔵省側、ことに財政審議会から見たところでは、どうも国税と地方との配分をさらに変えていくというような考え方に立っておる構想が全然出てきていないというふうな感じがするわけですが、そうしますと、私は総理の演説にありましたような国を通じての行財政見直しというようなことは何を意味しているか、さっぱりわからなくなるわけです。それについて、担当税務局長として今後長期的にどういうふうなことを考えているのだということで調査もし、検討もしていかなければならぬじゃないか、こう考えます。  ことに参考人の中で井手先生のごときは、極端にはっきり国と地方との税配分を五、五にすべきであるというふうな、はっきり割り切ったような議論をなすった先生もおられるわけでございます。確かに五、五という比率にいくとは思えないまでも、逐次この方向に近づけるような検討をなさるべきではないか、私はかように考えますが、いま聞いていますと、国民税負担の問題、将来どうなるかわからぬが、それらに関連してどういうふうに地方税考えていくかということであって、国から地方税源配分するというようなことについての今後の検討については、どうもはっきりした御答弁を聞けなかったような感じがするのです。  地方制度調査会におきましても、いろいろ三木総理のそういった基本的な問題についての諮問が行われたと思うのですが、しかし当面は財政硬直化をどうするかというようなことになりますと、歳入面よりむしろ歳出面をどうするかという議論重点が置かれるような感じも私ども持つわけであります。税務局長としてそういった点について、ある程度まで税が中心ですから、税が中心になって交付税をどうするとか、あるいは負担金をどうするとか、あるいは将来の関連においては地方債をどうするとかという問題が私は出てくるのじゃないかと思う。地方税が一番後に考えられるべき性格のものではなくて、まず自主財源としての地方税制あり方考えて、それに関連して税源のないところは交付税考える、あるいはさらに後年度にまたがって負担することも必要なものは地方債でいく、あるいは国庫の補助負担金でいくというようなことになるかと思うのですが、その基本経済が変わるときにはっきりすべきではないか。そうしないと、地方自主性ということは、今後ますます安定成長に向かうにつけて、自主性というものが強化方向でなくて、むしろ喪失の方向に向かうのじゃないか、かように考えるわけですが、もう少しその点の思い切った抱負なり、御決意を聞きたいと思います。
  12. 首藤堯

    首藤政府委員 先生のおっしゃっていらっしゃいますこと大変よく理解ができるのであります。先ほど私が申し上げましたことも、先生の御発言にございましたように、地方税源充実ということで、具体的に、たとえば法人住民税とか事業所税とか、こういうことで努めてまいりましたけれども、もうすでに個々の一部分の税目をいじってどうこうという時代が過ぎまして、根本的に税源配分あり方考え直さなければならない時代に来た、私もそういう認識を持っております。そのことに関連をして先ほど申し上げたわけでございまして、そうなれば、国、地方税源配分する場合、全体で二〇%という租税負担率でいいのかどうか、こういったことが必ず前提になってまいります。恐らくいまのような二〇%というような租税負担では将来賄えないという事態になるのではなかろうか、私はそう思いますが、これが負担が増加をするということになれば、それをどういった面に負担を求めていくのか、その税のあり方が、たとえば間接税なら間接税にもっと見直しを持っていくということであれば、その間接税の国、地方配分をどう考えていくのか。もし、それが地方に非常に配分が薄いということであれば、そのときに改めて所得課税である所得税住民税といったようなものの配分を見直すのかどうか、こういったことまでやはり突き詰めて考えていかなければならぬだろうと思います。その際には、やはり現在のような七、三という配分でなしに、地方税源をもっと豊かにするという点についてわれわれは渾身の努力を払っていくべきだ、こう思っております。  なお、こういうことをやります一つ前提といたしまして、国と地方事務配分あり方がどうか、これが両方の需要の大きさに関係いたしますので、この問題がございますし、あるいはまた不要不急事務等がございますれば、これは整理をしていって、国、地方を通じての財政需要を軽くしていく、その分国民租税負担が軽くなっていく、こういうことも当然必要だろうと思いますので、それもあわせて検討すべきだ、そういう方向を踏まえて地方制度調査会等でも十分御議論があろうかと思いますので、私ども基本方針は先ほど申し上げたようなことで審議経過を見守り、また一緒に検討もしてまいりたい、こう考えておるわけであります。
  13. 山本弥之助

    山本(弥)委員 よくわかりました。そういたしますと、地方制度調査会諮問もそういった問題に触れて諮問をしておられると思うのですが、これは大蔵省財政制度審議会に対する諮問と同じように、来年度の予算編成時期までに一応財政硬直化をどう打開するかということについても諮問しておられるようであります。私は、それらの時期に、来年から税制に手を触れていくとするならば、当然国と地方との税源配分についても積極的に地方制度調査会検討願わなければならぬと思うのでありますが、その点は地方制度調査会としては十分了承しているわけですか。そういうことで作業が進められておるわけですか。
  14. 首藤堯

    首藤政府委員 国、地方を通じましての税源配分の新しいあり方をどう考えるのか、事務配分の新しいあり方をどう考えるのか、こういうことはもちろん地方制度調査会諮問をしてございまして、それは地方制度調査会基本的な問題として検討なさるたてまえでございます。さしあたり七月までには、財政硬直化等中心にいたしました当面すぐ間に合いそうなものという御検討もあろうかと思いますが、その基本的な問題が一番大きな命題として検討を続けられるということは間違いないと思います。
  15. 山本弥之助

    山本(弥)委員 政務次官税務局長答弁をお聞きになっていると思いますが、今後の税制あり方は、もう国が七を取るというようなことではなくて、これを地方に、税収の減があろうともそういう税制に変えていかなければならぬということは、大体学者の中でも一致した意見じゃなかろうか。そうしなければ、基本的に地方自治をどうするか、重要な内政の大部分を引き受けておる地方自治体自主的運営、良心的な運営を今後期待するというからには、どうしても地方住民を直結しておる自治体が、自主財源強化の中で自主性、主体性を持っていかなければならぬと私は思うのです。政治的にもそういったふうに大蔵省との折衝の関係でむずかしい問題だと思うのです。税が伸びるときではなくて、むしろ安定税源になると思うのです。そういうときに政治的にも地方自主財源強化について御努力願いたいと思うのですが、政務次官の御決意をお聞きしたい。
  16. 左藤恵

    左藤政府委員 いま御指摘のように、最近におきます社会経済情勢は非常に急速に進展しております。そして、それに伴って地方自治体におきましての社会福祉充実とかあるいは生活環境の施設の整備とか、そういうふうないわゆる行政需要というのは年々増高していく傾向にあるわけであります。そういう意味で、一方また、いま御指摘のように高度経済成長時代税収というあり方と、今日のように安定成長と申しますか、低成長経済下に、そういうふうに移り変わってきたときの国と地方を通じます税源の問題ということを考えますと、いま御指摘のような方向で積極的に検討していかなければならない。しかも当面の問題としても、七月末までに地方制度調査会財政硬直化というふうな問題を取り上げて御答申もいただける見込みもございますので、そういう問題を次の予算編成段階において十分取り上げていかなければならない、このように思います。
  17. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私どもの意図するように、地方財源強化について、できれば国、地方の税の配分をいまの七、三から五、五の線にまで努力していきたいという政務次官並びに税務局長の御答弁をいただきましたので、その線に沿うて、一気にそこまで行かないまでも、そういう基本の目標に向かって、毎年の税のあり方について早く決定して、前進していただきたいということを私は強く要望しておきます。  そこで、これらの問題に関連いたしまして、個人住民税の問題でありますが、恐らく個人住民税法人割、あるいは事業税等関連いたしまして、今後の税配分についてのやはり中心の税になるのではないか、かように思うのであります。  現在、一つは、生活費課税しないという課税最低限の問題があるわけです。もう一つは、個人住民税は前年度課税という制度をとっておると思います。  その第一点の問題は、所得税につきましては、課税最低限というのは生活費課税しない。その考え方は、住民税につきましても生活費には課税しないということが原則でなければならぬ。地域住民税負担分任だというようなことではなくて、負担分任も応能を前提とする負担担当といいますか、負担分任といいますか、そうでなければならぬと考えるわけであります。そうしますと、課税最低限という考え方は、生活費課税をしないという考え方をまず地方個人住民税考えておいて、所得税の場合は、今後所得課税を国と地方に分ける場合に、比較的中堅層以下の所得が地域的に普遍的にある税源だと思うのでありますが、大都市その他の地域差というものは、ある段階以上の所得の所在が地域的に偏在しているために税収にはね返ってこないという結果になるのではないかと思うのです。そうなりますと、課税最低限考え方、あるいはある程度まで普遍的に地方に移譲するという場合、ある段階までが所得課税のうち地方税の方に移譲いたしまして、一定の段階以上を強度の累進によりまして住民税とともに所得税にするという考え方所得税課税最低限があり、住民税課税最低限がある、同じ生活費課税しないと言いながら、地方税の場合は負担を分任しなければいかぬので多少生活費に食い込んでもやむを得ないんだという考え方になることはおかしいのであって、生活費課税しないという考え方は私は住民税についてのみ言い得ることで、所得税の場合はある程度まで地方財源を移譲することによって課税しない層を多くしていくということによって地域的な税源の分布ににもこたえるし、それからもう一つは、課税最低限という考え方も統一ができるのではないか、かように考えるわけであります。今後の税配分関連して、その点をまず私は十分検討しておく必要があるのではないか、こう思いますが、この点についてどうお考えになりますか。
  18. 首藤堯

    首藤政府委員 先生のお説はよく理解かできます。  一つは、課税最低限考え方において、住民税においてもいわゆる生活費、これが最低生活費という意味でありますならばまさしくそうでございまして、最低生活費住民税といえども課税してはならない、私もそのように思うわけでございます。またそういった考え方で、ことし設定をいたしました百二十一万余りの課税最低限も、最低生活費には食い込まない程度課税最低限を設けようということで設定したつもりでおるわけでございます。  それからなお、国の所得税課税最低限が、これは現在諸外国との比較等を考えてみましても、最低生活費そのものだけを保障したということではないようでございまして、若干その課税最低限あり方についてはそれより上回ったところで設定をされておる、こういうことであろうと理解をいたしております。  それからもう一点、住民税において、いわゆる最低生活費に食い込まない課税最低限を設け、国の所得税においてはもう少し所得の再配分といったようなことも考えて高い課税最低限を全然別に設ける、その国の課税最低限以下のものは住民税として地方団体の課税にする、こういう考え方はあるわけでございまして、それも国と地方との所得課税配分の仕方としては一つのすぐれたやり方だろうと実は思っております。まあスウェーデン方式等もほぼ似たようなやり方をとっておるわけでございます。ただ、そのような方向も私どもとしては将来十分検討しなければならぬと思いますが、現行の税制における税源配分あり方、それから所得税住民税との課税あり方、これにかなりの変動が参りますので、それなりのコンセンサスが得られる事態でありませんと、非常に思い切った改革になりますので、今後検討をすべきものであろう、こう考えておる次第であります。
  19. 山本弥之助

    山本(弥)委員 その点を検討いたしておきませんと、私どもも不合理だと思いますので、とりあえず毎年、府県税につきましては現在の二段階をある程度まで五段階ぐらいに拡大すべきではないか、こういう修正案を出しているわけです。しかし二段階にできた経緯から考えますと、所得税、府県税、市町村税を一つ税体系の中で累進課税をとり、その中で所得税と府県、市町村と配分しておるという経緯を考えますと、手をつけることになります際には、全体としての累進課税体系を是正しなければならぬということになることはよくわかっておるわけであります。なかなかそういう点が実現されないので、税収の点からも、あるいは今日の税制の不合理をとりあえず是正するという意味からも毎年出しておるわけですが、十分その点は検討願わないと、ことしは所得税は百八十三万になった、住民税は百二十一万何千円になった、その率が何か九〇%になったり八〇%になったりして、どうも一定の方針がないような感じがするわけです。生活の最低限度に課税しない線をどこで押さえるかということも、私は今後物価の推移——まあ安定すると思いますが、それにしても三月末で前年同月比一五%増というのは、従来のパターンから言いますと大変な物価水準なんですね。そういうのが来年まで是正されぬとなりますと、やはりある程度までそれらに合わして課税最低限を引き上げなければならぬのじゃないかと思いますけれども、いつもそのときの情勢の税収をにらみ合わせ、無方針と言うとちょっと語弊がありますが、まあこれぐらいにしておけばいいだろうということでおやりになることは、やはりもう少し基本的に、理論的におやりにならなければいかぬのじゃないかという感じがします。  しかし、それらの問題を解決する前提としては第二点の、税務行政の関係もありましょうが、やはりいつかの時期には地方税の方も現年度課税ということに踏み切らなければならぬ時期が来ると思うのですが、この点、どうお考えになりますか。  ことに私は、四十八年、九年、五十年と非常に物価の上昇に伴いまして所得も上がるという段階において、歳出の方は地方自治体は人件費も上がる、あるいは建設資材も上がるというのに、税収の方は国と違って一年おくれの、三割も四割も低いときの税収であり、支出の方は急激な物価高の影響を受けているということは、歳入と歳出を合わす上においても非常に不合理だと思うのであります。今後安定的な成長になるにいたしましても、その辺の関係を、やはり現年度課税にむずかしくても統一していくことを検討しなければならぬと思いますが、いかがでしょうか。
  20. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいまお説のように、所得を基準にして課する税金でございますから、できるだけ現年課税が望ましいということは全くそのとおりだろうと思います。これも先生御案内のように、ではなぜ現年課税にしないで前年所得課税をしておるか。これは主として課税手続の便宜の問題まあ現年課税にすることも非常に困難な問題がある、そういったことのためにやむを得ず前年課税になっておりますのは御案内のとおりでございます。  若干具体的に申し上げますれば、たとえば源泉徴収義務者等が現年課税になりました場合の住民税課税いたします場合に、いま行っておりますような所得税の源泉徴収事務、こういったものを二回やらなければならぬ。しかも年末調整をやらなければならぬ。さらに国税の場合は一定の税務署に納めればよろしゅうございますが、その住民の所属しておる市町村にこれを届けなければならぬ。こういった非常に複雑な手続がございますので、なかなか源泉徴収義務者の理解を得ることができないわけでございます。また普通徴収によります場合も、現在所得税を納めます場合に申告をいたしますと住民税の申告が不要でございますが、これをまた別途申告をしなければならぬ、こういうことがございます。それから、それを若干でも楽にしようといたしますと、先ほど御指摘がございました課税最低限あり方、各種控除のあり方所得税と全く同じにしてしまわないと、全然違った計算を別にやらなければならぬ。この課税最低限を全く同じにしてしまうということは、先ほどから申し上げておりますように住民税においては非常にむずかしい問題でございます。こういったようなことがありまして、やむを得ず前年所得税をやっておるわけでございます。しかしながら、御指摘のように現年課税がすぐれておることは、これは全く議論の余地がないと思いますので、今後ともそういった調整のあり方が、住民税所得税等の税源配分改正を行われるとかあるいは抜本的な配分変えが行われるとか、こういったような機会をつかまえながらひとつ実現できるように十分検討してまいりたい、こう考えております。
  21. 山本弥之助

    山本(弥)委員 確かに私も事務的に繁雑になるということはよくわかっております。ただ、税というのは公平ということが第一だと思うのです。公平ということを貫いていきまして、納税者に、繁雑な手続があっても公平な税制であればそれを納めていくという考え方をやはり徹底する必要があると思うのですが、そうなりますといまの源泉徴収の問題も、申告納税という俸給生活者にとりましてはいろいろむずかしい問題もありますし、課税最低限にいたしましても所得控除を含め——所得控除というのは御承知のとおり必要経費の概算を法定しているということでありますが、所得税の控除が課税最低限というのも中に含めるということも、筋から言って私どもは少し疑問を持っておるわけであります。そういった問題も含めまして、できるだけ正確な申告をする前提としての税の公正を図ると同時に、やはり個々人の申告にまって税務行政の繁雑な事務を簡素化していくというようなこともあわせて考えなければいかぬと思いますし、それらにつきましては、私どももみずからも十分体験いたしましてよくわかっておるわけであります。しかし税のあり方、取り方からいきますと、それらの問題に積極的にむしろ取り組んでいただかないと、安易な問題に逃避しておるのでは根本的な問題の解決も現実的な事務処理もできない、かように考えますので、積極的に推進を願いたいと考えます。  これに関連いたしまして、法人割の方の問題は一応市町村に重点を置いた改正がなされたわけであります。それにしても、都市財源中心といたしまして、法人課税が市町村に非常に少ないという感じを私は受けるわけであります。所得割を国と地方とを半々にするという方向で進めていただくと同時に、もし法人割をやはり国と地方に半々に進めていくという立場に立ちますと、長年大都市を中心にして要望しております——市町村税としての法人割は現在強化されまして八%ぐらいになっていますが、市町村の比率はこれを一〇%まで高めるということをしなければならぬのじゃないか、かように考えます。その点も来年度あたりあるいは地方制度調査会等におきましても、十分積極的に資料を出していただいて、国と地方との税源配分関連してそういったことの準備も進めていただきたい、かように考えますが、いかがでしょうか。
  22. 首藤堯

    首藤政府委員 法人関係の税収入を市町村になるたけ多く与えたいという考え方は全く同感でございまして、そのためいま御指摘がございましたように、去年の税制改正法人税負担の増を求めましたものをすべてこれを市町村に回して、まあ一〇%という御説でございますが、そこまでは到達いたしませんでしたが八・一%というところまで漸進的に増加をさしてきたわけであります。今後ともこの法人関係の税収をもう少し市町村に与えるということは、やはりそうあるべきだと思いますので、あらゆる機会をつかまえてそのような動き方にいたしたいという努力は重ねてまいりたいと思います。いずれにいたしましても、法人の総体的な税負担の限度の問題もございましょうし、それからそれの配分問題等もございますので、なかなか一挙にはむずかしい問題かと思いますが、機会をとらえては市町村の法人関係の税収入をふやしていく、こういう方向に向かうことは正しいことであろうと考えております。
  23. 山本弥之助

    山本(弥)委員 それから市町村にとりまして重要な税としては固定資産税があるわけでありますが、固定資産税の評価がえが五十一年一月一日に行われると思うのですが、それに関連いたしまして、四十七年から暫定的に処置をいたしました大都市圏の宅地並み課税がA、Bが適用になっておるわけですね。そしてそれ以外のC農地とそれから大都市圏以外のA、B、C農地というものは、従来どおり農地課税になっているわけであります。評価は評価として進めていただくものと思うのでありますが、これらの課税についてもう検討を始めておられるわけでしょう。あるいはどういう方向検討し固定資産税のあり方をお考えになるのか、もし検討を進めておられるならそのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  24. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘の市街化区域における農地の宅地並み課税の問題でございますが、三大都市圏の既成市街地等の都市に所在しますA、B農地だけが現在スタートいたしておりまして、他の面においてはまだそのままになっておるわけでございます。この点を今後どうするかは与えられております宿題でございますので、五十一年度の評価がえにおきます地価の推移の状況だとか、それから都市化の状況だとか、こういったことを踏まえながら検討をいたさなければならぬ問題でございます。まだ具体的に方針を固める段階にまで到達をいたしておりません。  ただ、今後の問題として参考にしなければならぬと思っておりますことは、生産緑地制度が御案内のようにできまして、これに指定をされましたものについては農地並み課税が続くとか、あるいは今回の相続税の改正におきまして農地の相続税に二十年間といったような猶予期間が設けられたとか、こういった事態もあろうかと思いますのでただいまのところ現在の三大都市圏内のA、B農地以外の農地について直ちに宅地並み課税ということになり得るかどうか、この点についてはなかなかむずかしい問題も多かろうと思います。しかしいずれにいたしましても、評価の状況それから都市化の状況、こういったことを勘案しながら検討もいたしたい、また税制調査会そのほかの御意見も十分承りたい、こう考えております。
  25. 山本弥之助

    山本(弥)委員 当時、田中内閣のときに総理にも質問をしたわけでありますが、農地の宅地並み課税は暫定的にこれ以上拡大しないというような意味答弁を私は聞いておるわけであります。固定資産税の性格もありましょう、財産税と見るかあるいは収益的財産税と見るか。とにかくいまのところは時価評価というのが課税標準になって、それに政策的にある程度まで減額措置を講じていくというやり方をとっておるわけであります。私は参考人のときに聞いておりませんでしたが、日本大学の北野さん、経済学的税制というよりも、憲法のいわゆる法律的税制ということで学位をとられた先生だというので、ちょっとおもしろい考え方だと思うのですが、経済的な税の性格はどうあるべきか、それによってどういうふうな取り方をするのかということに余りこだわらずに、私も経済より法律を学んだ者ですが、人権というか、そういった考え方で税を考えていくことは必要じゃないか。今後の農業のあり方等についての農地の宅地並み課税、あるいは今後地価は安定すると思いますけれども、いわゆる売却をしないでそこを永住の地の住宅地と定めておるところに対する固定資産税というものを、その人の人権的な考え方から固定資産税のあり方考えていくということは、これは五十一年度の税制の際には十分考えていかなければならぬじゃないか。そうなりますと、物税なりあるいは財産税としてはちょっとおかしい。累進課税といった問題も考え得る余地が出てくるし、あるいは免税点をどうするかというような問題もそういった見地から考えていくべきではないか、こう思うのです。特に小規模宅地、住宅あるいは農地課税という問題は、いまのお話で農地課税は大都市圏の農地がだんだん宅地化していくという傾向にあって、来年はまた、いわゆる宅地並み課税というものもだいぶ少なくなっておるとは思いますけれども、これを拡大するということになると、また問題が出てくるわけでありまして、できるだけ農地課税という従来の考え方に立っていくべきではないのか。収益還元方式といいますか、そういった考え方に立ち、あるいは税の公平を期する意味において、小規模の宅地等につきましては人的要素も加味していくんだというようなことで改正をしていただかなければならぬのじゃないかと思いますが、そういうふうに了承してよろしゅうございましょうか。
  26. 首藤堯

    首藤政府委員 なかなかむずかしい問題でございますが、世の中の推移に伴いまして税制あり方等に おいてもいろいろな考え方が出てき、またそれが議論をされまして、コンセンサスが得られたかっこうで改正されていくということは当然のことだろうと思うわけでございます。  御指摘の小規模住宅用地でございますが、そういった考え方から四十八年度の税制改正で、一応全体的に住宅用地は二分の一にする、さらに二百平米以下のものは四分の一にする、こういった基本線を立てまして現行税制は仕組まれておるわけでございます。今後のこういった小規模住宅用地の税負担の問題でございますが、これが単純な地価の値上がりとかなんとかいうかっこうによりまして急激に上がっていくというようなことは、やはり居住用に使っておるという意味からは避けるべきだと私どもも思うわけでございますが、ただやはりこれも税の性格もございますとともに、もう一つ市町村の非常に大事な財源でございますから、市町村の財政需要の増加に応じましてある程度の伸び、これはやはり考えられるべきだと思います。またお払いをいただく方も、全般的に申しますれば、所得は毎年いずれにしても若干ずつ増加をいたしていくわけでございましょうから、やはり打ちどめということではなくて、若干ずつの増加はあってしかるべきだ。その増加が非常に急激なものになって負担にたえかねるといった事態はないようにしなければならない、こういったようなことを考えながら、五十一年の評価の際、ないしはそれに伴います負担調整のあり方の際、十分検討をいたしてみたい、こう思っております。
  27. 山本弥之助

    山本(弥)委員 これ以上くどくは申し上げませんが、確かに今後の住宅政策にも関連があるわけですね。低所得者に対する賃貸公営住宅の拡充を図っていくというようなこととの関連、それが急速に進まない場合には、やはり持ち家、自分の家をすでに持っておる人と、高い家賃を出して家を借りなければならぬ人との負担の均衡という問題もありましょうけれども、先ほど申し上げましたように、原則としていわゆる所得課税ではない、そういったある程度まで財産税の一種みたいな課税をしておる税の性格ということに余りこだわらなく負担を見ていかなければならぬ、今後の経済情勢はそういうふうな税のあり方に変わるのではないかというふうな気持ちも私はありますので、十分検討をして負担の公平を期していただきたいと考えております。  それから事業税の制限税率の設けられたことについては、私、欠席をいたしたわけでありますが、共産党の三谷委員から詳しく質疑応答がなされたと聞いておりますのでくどく申し上げませんが、ただ申し上げたいことは、都市の多年の要望の事業所税を新設したこと、これはいろいろなその都市に存する実態といいますか、税負担の問題といいますか、外部経済を吸収しながらそこに立地することが必要な事務所、事業所、そのことが交通混雑を招く、公害を招くということに関連して、新しい事務所税を設けること自体が必要だという考え方に立って、自治省としては多年主張をされてこられたことは事実なわけですが、それが地方自治体が現行の税制の範囲内で自主的におやりになったことに対してチェックするようなあり方で、地方税の事業税の制限税率が問題になっているということを、私ども自治省に対して非常に不満を感ずるわけであります。事業税の超過課税をしたたのは東京都だけだと思うのですが、これは二%ぐらいなわけなんですね。ところが住民税法人割等についても大体二%の開きで制限税率を認めているわけですね。それから言いますと、私は自治省に対する非常な配慮をしながら東京都は踏み切ったんじゃないかと思うのですが、それを事務所税を創設することに関連いたしまして、制限税率を一〇%増に押さえる。しかも個人事業税も一〇%ということですが、従来自治省は、個人住民税は五割まで認めているが法人は二〇%しか認めないというような、法人に甘いやり方をとっておるわけで、どうもこの点私は腑に落ちないのです。三谷さんの議論も、これは物税だ、物税だから法人税の損金に算入される、だから国及び他の団体にも影響がある、交付税にも影響がある。だから法人割に比較いたしまして半分の一一〇に押さえたんだというのが自治省のお考えのようですが、大部分は外形課税でなくて実質所得課税であるならば、むしろ法人の損金に算入することを是正して、他に波及しないようなやり方をとるのが筋が通るのであって、名目的に物税だからこれは損金に落とすんだなんという議論はまことにこじけの議論で、筋が通らぬことはなはだしいと思うのです。その点に非常に不満を感ずる。自治省ともあろうものが、そういったもの以上に必要な事業所税を設けることについて、一方は抑えてかかるんだということによってのみ新税が認められるということは、いかにも私は残念だと思う。しかも冒頭に申し上げましたように、税の国と地方配分を変えていくというときに、事業所税事業所税で認めるべきであって、そのかわりに制限税率で抑えていくんだという考え方はまずいと思うのです。これは所得課税だから思い切って損金に算入しない。税率が少しぐらい高くなっても、いろいろな特別措置で実効税率は低くなっているわけですから、それでも欧米先進国に比較してまだ低いと私は思うのですが、どうしてそういうことを強く主張なさらなかったのですか。
  28. 首藤堯

    首藤政府委員 最初に事業税の性格の問題がございまして、事業税は物税でございますので、これは当然損金算入の制度がとられておるわけでございますが、実態的には所得課税になっておる面が多いので、これを損金算入しないことにしたらどうかという点でございます。これは御案内のように、やはり事業税そのものは性格といたしましては、あくまで当該地域に所在をしますことによって受けておる行政サービスに対応してコストとして払う物税だ、こういうかっこうで成立をいたしておりますし、またそうでなければ、他の所得課税とのダブル課税等の問題が起こってまいりまして、事業税そのものの存立の基盤が問題になる、こういう問題もございます。そこで私どもといたしましては、現行の事業税をなるたけ物税の性格に徹するように今後とも努力をいたしていくということが本筋であろうと考えておるわけでございます。そうである以上、やはり現行の物税としての事業税が損金算入されるという基本的な性格をここで変えるというのは望ましくないのではないか、こう思っておるわけでございます。そのような現実の前提に立ちました場合、御指摘をいただきました法人事業税に超過課税が行われます場合、これが地方交付税それから住民税法人税割、法人事業税、これに影響を及ぼすことは御案内のとおりでございます。当時東京都が二割の超過課税をされましたときに、その後、あるいは神奈川でありますとか大阪でありますとか、他の府県においてもそのような超過課税をいたしたいという動きが大分見えたのでございますが、これに対しまして、他の団体、知事会におきましても市長会におきましても非常にこれを重視をいたしまして、特に大規模な分割法人等がたくさんあります大きな府県が超過課税をされますと、その分割法人の所在等を受けております他の弱小地方団体の痛みが大きいので、なるたけこれは慎んでいただくように自治省としても指導してくれぬか、こういう話が起こったわけでございます。もちろん超過課税地方団体の自主性に基づくものでございますから、超過課税そのものがいけないと私ども決して思っていないわけでございますけれども、そのように他団体に及ぼす影響が非常に大きゅうございますから、他の税目では通常二割程度の超過課税が許されておりますものを、影響が大きい税目であるから、その半分くらいの超過課税でがまんをしていただく、これがお互いの地方団体の相互の調整のあり方としては適当なのではなかろうか、こう考えたわけでございます。こういった事態を地方制度調査会税制調査会にも包まずお話を申し上げてお諮りをしたわけでございますが、それはやはり余り大幅な超過課税をするということは影響が大き過ぎよう、こういうことでございましたので、通常のものの半分程度でがまんをしていただく、こういう線で一割増しという提案をさしていただいたわけでございます。
  29. 山本弥之助

    山本(弥)委員 一応筋が通ったようなことですけれども、根本的に間違っているんですね。それなら外形課税ができますように自治省が知恵をしぼる必要があるんですね。そして税の性格がそのまま反映するようなことにやるのが本筋じゃないか。それが実質的所得課税であれば、国の法人課税との相談をして、これは地方にそういうことが可能な地方税制になっておるのだから、そのためには実質所得課税として支払っておるのだから、法人は損金にしないというようなことの法人税の改正をやるのが妥当なわけなんですね。それを無理やりにこじつけの議論でやるということはおかしいと思うのですが、もし少し強く大蔵省との折衝をやっていただきたいと私は思うのです。そうしませんと、いつも地方税の方がへ理屈をつけてやらざるを得ない。いかにもそのことが地方自治体としてはもっともだというように超過課税をした団体が、他の団体からつるし上げを食うような、結局悪かったのだというふうな結果にならないように、むしろ誤っている方を是正するというふうな考え方に立って努力を願いたい、かように考えております。  恐らく事務所税が創設されたいきさつも、こういうことと関連してやっと通ったんだという印象を私ども持っている。多年の要望が実現したということよりも、地方自主性を抑えることによって、そのかわりこういうこともしてやったんだというようなかわり財源として出てきたというふうな感じがするんですが、この機会に事務所税の方もあわせて御質問いたします。これは国税と地方税と両方取ることによって関係省で話し合いがまとまったというふうに思うのです。そうすれば、両方の税を地方税として取っても負担は妥当だという考え方に立つのですが、税収が新税のわりあいには平年度で一千億にも満たない、八百億そこそこというまことに貧弱な税収ですね。なぜこれをもっと倍ぐらいに地方税として取ることを主張なさいませんでしたか。
  30. 首藤堯

    首藤政府委員 事業所税が国税と地方税の両建てで五省庁の間に話がまとまりまして、税調そのほかにお諮りを申し上げたことは御指摘のとおり事実でございます。この点につきましては、従前、国税と地方税の新税の奪い合いといったような、まことに妙な印象を与えた時代がかつてあったわけでございまして、そのことが事業所税ができない一つの理由、こういうかっこうにされた時代もあったわけでございまして、私どもとしては、決して国税と地方税の奪い合いということではなくて、地方税地方税としての筋を立てた事業所税が必要であるし、国税がさらにその上国の目的として特に必要なのならば、それは別に国税でお設けになったらよろしいでしょう、こういう立場をとりまして、五省庁の案をまとめ、これが今回事業所税が実現をいたします一つの端緒になったことも事実であるわけでございます。そういう観点から考えますと、やはり地方税としてどの程度徴収をするのが適当か、こういったことは最初から私どもも一応の目標を立てておったわけでございまして、かつて事務所事業所税と言いました時代も約八百億でございました。ことしも、いろいろございましょうが、ほぼ千億見当といったようなところを目の子にして、地方としての事業所税あり方、これを組み立てたわけでございます。今度国税の方はいろいろ問題があってできませんで、地方税だけがスタートをいたしたわけでございますが、そういう意味で、当初から見込んだ地方税あり方というものを私どもとしては一応貫いた、こう考えておるわけでございまして、決して、国税がつぶれたことによって、もくろみの税収入、私どもが取得をしようとした税収入が減ったということは、ないのでございます。
  31. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、課税団体を制限したというのはどういうことでしょうか。私どもは、自治省考え方は正しいと思います。国税として取って、しかも大都市圏から、大都市の財源として取り、それから国税として取ってそれを地方にばらまくという考え方については、余り感心しないのです、こういった事務所事業所税は。あるいは燃料税だとか自動車課税みたいなものを地方に一定の基準で分けるということについては、これは譲与税その他でいいと思うのですが、大都市から取って、そこのいろいろな必要な需要に対してその税を使う、目的税として使う。そのほかに追い出し税的な考え方に立って、そこから取って、地方にそれを財源にばらまくという考え方には賛成いたしません。しかし、大都市圏の中でも、たとえば東京の二十三区以外の東京の圏域には、この前聞きますと、武蔵野、三鷹、川口ですか、そうすると埼玉の中でも浦和だとか大宮はどうなるのかという問題も出てきましょうし、あるいは小さな町村でも町づくりからいくともうどうにもならないというところもあると思うのです。もう少し課税団体を必要なところ——私は、常識的には、山村の町村がこの税金を取るとは思わぬですね。やはり類似の都市が必要に応じて取ることになると思うのです。そうしますと、なぜそういうところが取り得る余地を残さないで厳格に法律で限定をするのか、それがどうもわかりにくくなるのですが、この点はどうでしょうか。将来改正をするつもりでしょうか。
  32. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘がございましたように、地方税としての事業所税は、人口、企業の集中によってもたらされております都市機能の低下、これを回復をいたしますための目的財源、こういうことを第一義にして創設をいたすことにいたしましたので、人口や企業が集中をして、そのことに伴って都市機能が著しく低下をしておる都市が取り得る、こういうことに当然なるわけでございます。  そういうような都市をどこで線を引いて選ぶかという問題が次に出てくるわけでございまして、そこで、われわれとしては、一応人口五十万以上であれば政令指定市になり得る要件も備えるわけでございますので、そういったところはその都市に該当するだろう、それから首都圏や近畿圏の既成市街地等のある都市も、まさしく人口や企業が集中して都市機能が低下をしておると見られる、こういうことで、そこで線引きをいたしたわけでございます。したがって、それ以外の都市におきましても同じような事態のものが当然生じてくるだろうと思います。そういった点につきましては、今後税の運用のあり方ないしは都市的な財政需要の伸び方等を勘案いたしまして、将来の問題として、また線引きを広げるという事態が可能であれば、なるたけそれはそのような方向検討していきたいと考えますし、もう一つ、全く該当いたしません都市でも、全然同じような環境にあるということが客観的にもはっきりされるような都市が、類似の税を、事業所税的なものを、たとえば法定外でお起こしになるというようなことがあります場合にも、これはその実態等を十分検討させていただいて積極的に協力をしたい、こう考えておるわけでございます。
  33. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、今後弾力的に、市町村の目的税としてこれを取る団体の指定については十分配慮するということですね。必要性に応じて拡大は考えておるということですね。
  34. 首藤堯

    首藤政府委員 今後の推移に応じまして、積極的に考慮をしていきたいと考えております。
  35. 山本弥之助

    山本(弥)委員 それから、非課税だとか特例措置ですね、読んでみますと、一々もっともな点もあるし、これは何か余りたくさんありますと、考え漏れもあるんじゃないかと私どもは非常に不安を持つのですが、これは必要に応じて、それぞれの団体に自主的に訂正をすることが可能なような、たしか条文にもそういう条文があったのですが、条件が非常に厳格なようで、ちょっと不合理だという場合、これは陳情を受けて私どもわかったのですけれども、物を運ぶトラックについては非課税になっておるけれども、小規模のタクシーについては、これは二分の一ですかの特例措置を設けておる、人の方がどうも軽視されておるような感じがするんですが、その辺の是正もすべきではないか、こう思うのですが、そういった各自治体の実情に応じて、私は適宜特例措置を取捨選択していいんじゃないか、こう思うのですが、それは可能なわけですか。
  36. 首藤堯

    首藤政府委員 今回の事業所税の非課税措置あるいは課税標準の特例につきましては、いろいろ原則を立てまして、その原則で各省とも相談をいたしまして、個別の処理を行っていったわけでございます。  その原則の一つに、やはり都市環境整備のための目的税源でございますので、都市施設、つまり都市計画法に言われておりますような都市施設でございますが、これを整備をするということがこの税源の使い先として出てくる。したがって、そのような都市施設からそれに使うための税源を取得するというのはおかしいだろう、こういう考え方で、都市施設の中で、特にほっておけば市町村がみずからでも手を下してやらなければならぬようなもの、こういうものについては非課税にするという考え方一つとったのでございます。その原則で仕分けをいたしております。  その場合、御指摘の交通機関の問題でございますが、まさしく交通機関は都市施設でございますが、厳密な意味で都市施設と考えます場合に、輸送機関の場合、やはり鉄道でございますとかバスでございますとか、こういう大量輸送機関そのものは、これは都市施設そのものずばりだ、ほっておけば地方団体が交通事業をやらなければならぬ、こういう関係で非課税にいたしました。しかしタクシーをお考えをいただきますと、これは交通機関ではございますが、そのような大量輸送機関そのものではございませんで、これの補完的なものである、こう考えたわけでございます。したがって、全非課税ということにはせずに、そのかわり二分の一に減免をする、こういう態度をとりました。なお、ハイヤー等については、これまた性格が違いますので、ハイヤーはまるまるいただく、こういう仕分けをいたしたわけでございます。  それから、減免措置の問題でございますが、これは、条文にもございますように、地方団体にかなりのフリーハンドを与えておるわけでございまして、地方都市都市の特別の事情がございましょうから、その都市で特別の事情というように御判断をいただいた場合には、条例減免ができますように、その他特別の事情があるときには減免をすることができるという規定を置いておるわけでございます。この点は地方自主性にお任せをいたしたい、こう考えております。
  37. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この事業所税は私ども多年要望しておった税でございますので、創設した早々、いろいろ注文をつけたいわけですが、いま申し上げましたような点について、十分弾力的な考え方検討する、実際、十月以降課税する段階になりましていろいろな問題も出てまいるのではないかと思いますので、私ども検討をいたしまして、また、改正すべき点は要望をいたしたいと思いますので、その点は十分自治省におかれても検討をしておいていただいて、不公平にならないような配慮を願いたいと考えております。  時間も大分たちましたので、電気ガス税につきまして御質問したいと思います。  まず、ガス税については、今度税率が一%また引き下げられたわけです。これは将来ガス税というものは廃止の方向にお考えになっているのではないかと想定されるわけですが、そうであるかどうか。  それから電気税は、これは税務局長、産業用の電気の非課税措置については、来年度は十分配慮するというふうな御答弁があり、それから、昨年の暮れの臨時国会でも強くその点を折衝されるようなお考えだったようでありますが、大分後退いたしまして、二十数品目だけは実現をしたわけでありますが、大部分は残されておるということなんです。これは何か税率の経過措置でも設けて——余り個々の業種がどうのこうのということを折衝していますと、これはとても実現しないのではないか。税調の答申なんかを見ますと、最近ではどうも考え方が後退して、産業用電気税については、従来の原料課税ということについての考え方が、委員の中からちょっとそういったもとに戻るような、電気税そのものの本質は何とかというような問題が論議され出して、私どもむしろ税務局長考えている方向より逆行するのではないかという心配がある。その点についての北野参考人は徹底した考え方をお持ちになっておって、大牟田市の場合は北野参考人が鑑定人になって行政訴訟を起こすということが新聞にも報道されておるようですが、私はやはり個々の業種についてどうするということを通産省あたりと折衝しておるよりも、英断的に経過措置で税率を思い切って、全部産業用については、いままでの百三十幾らの品目については、二%ぐらいから逐次毎年高めていくことによって完全に廃止をするというような方向でもとらぬ限り、この問題は解決しないような印象を受けますね。個々のこの業種がどうだこうだという議論をしておりますと、自治省は追いまくられてだんだん後退しやしないか、こう思うのですが、ひとつ思い切って経過措置で一律に廃止の方向に向かうということを努力願えないでしょうか。どういう考えで今後これに立ち向かうつもりでしょうか、お考えを聞かしていただきたいと思います。
  38. 首藤堯

    首藤政府委員 まずガス税の問題でございますが、ガス税は、この税の性格から、つまりガスがあります都市に偏っておりまして、普遍的でないといったようなこと、それからプロパンガス等との均衡の問題等がある、こういった性格上の問題もございますので、今後でき得れば、市町村財政状況等を見ながらできるだけ計画的にこれを軽減をしていくという方向考えていきたいと思っております。廃止をというお話もございましたが、既存の税目でございますし、市町村の財政状況等の問題もございますので、いまにわかにここでお答えを申し上げる段階ではございません。  それから電気税の非課税措置の問題でございますが、私どももできるだけこれを整理をするということで努力をいたしたのでございますが、ただいま御指摘をいただきましたような議論税制調査会等でも非常に多く出まして、特に電気税が消費税であるという点から、一般消費家庭では免税点という制度、それから産業用電気では原料課税にならないようにという考え方が、二つ、思想としてはまさしくあるわけでございまして、そこをめぐって激しい議論があったわけでございます。私どもとしては、原料課税が望ましくないという論理的根拠はもちろん認めなければなりませんが、それにしても五%という現行基準は低過ぎないか、こういうことでこれの引き上げを強く議論を持ち出したのでありますが、なお検討続行だということで残念ながら実現に至らなかった、しかし二十四品目ほどは整理をいたした、こういう段階が正直なところでございます。今後ともそういった事態を踏まえて、できるだけこれを整理をしたいという念願は持っておりますので、なお議題を機会あるたびに持ち出し、税調等の論議をわずらわしたい、こう思っております。
  39. 山本弥之助

    山本(弥)委員 最後に自動車取得税につきまして、低公害車に対する配慮をなされたようでありますが、私はこの問題も重要だと思いますけれども、この際少し思い切って、取得税は一回限りの税金であるし、府県税ですけれども、七割は市町村に移譲されるような税金であるわけで、市町村の生活関連道路の整備については必要な財源になると思うのです。昨年でしたか、自家用については暫定期間少し強化したことになっておりますけれども、むしろこの際思い切って一〇%ぐらいに引き上げて、いわゆる自動車の総体的な規制というものにも役立つと同時に、市町村のいわゆる市町村道の整備についての必要な財源にもするということで、英断的なやり方をとるべきであって、二%ぐらい、あるいはその次は一%というふうに低公害車の税率を引き下げてみても、むしろ低公害車を購入することによってガソリンは高くつく、燃料は高くつく、その他の経費も余り変わりないというようなことで、税制としてはほとんど効果がないという感じがするわけでありまして、見地を変えて、むしろ市町村の道路財源としての税率を引き上げるというようなことが好ましいんじゃないか、かように考えますが、是正する御意思はございませんか。
  40. 首藤堯

    首藤政府委員 自動車取得税でございますが、これは御案内のように地方道路目的財源、こういうことに相なっておりますので、四十九年度の税制改正で、やはり市町村の道路目的財源強化するという目的で三%から五%に自家用車の税率を引き上げるという措置をとりました。これは二年間の暫定措置ということで道路整備長期計画との関連で二年間はこのままで行くというかっこうになっておりますので、ことしはそのままのかっこうで据え置いておるわけでございます。したがいまして、今後五十一年度以降の道路目的財源をどう持っていくのか、市町村に対する配分をどうするのか、こういう問題は改めて問題になろうかと思いますので、これはそういう観点から適正な税率のあり方について、なお税制調査会等に諮問申し上げて検討していただくというつもりは持っております。
  41. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、五十一年度におきましては暫定措置も含めましてむしろ税率を高めるということについて自治省としては努力したい、こういうふうに了承していいわけですね。
  42. 首藤堯

    首藤政府委員 負担問題等もございましょうが、道路目的財源充実をしていくという方向は私どもの念願でございます。
  43. 山本弥之助

    山本(弥)委員 大分最初の答弁から後退してきたね。  それでは終わります。
  44. 大西正男

    大西委員長 林百郎君。
  45. 林百郎

    ○林(百)委員 この前うちの三谷委員の質問で残されている問題で、この事業所税が基準財政収入額に算定されるということですね。そうすると、指定都市なりあるいは事業所税の創設を望んでいたところは、これだけはまるまるプラスになると思っているのが、収入額へ算定されるということになると、まるまるプラスにはならない、幾らかプラスになるところもあるでしょう、ということになるのですか。そこら辺をわかるように説明してください。
  46. 首藤堯

    首藤政府委員 事業所税を基準財政収入に算定をするといたしましたことについてはいろいろ理由があるのでございますが、まずこれを基準財政収入に算定をいたしますことによりまして、七五%は基準収入で差し引かれますが、その当該分だけ、いわゆる都市的需要というもの、交付税の算定の際の基準財政需要額そのものを増加することができるわけでございます。基準財政需要額の算定は基準収入の総額と交付税の総額、それに合うように設定をすることが可能でございますから、基準収入がふえるということになりますと、その分だけ需要を増加さすことができる。したがいまして、大都市におきましても、基準財政収入に算定をされましたことによって自己財源で残るのは二五%だけだということにはならないのでございまして、二五%の上に、基準財政需要額のうち都市的な需要として伸ばし得たものだけはプラスになるわけでございます。  それからもう一つは、このような措置をとりますことによりまして、この事業所税課税団体そのものになり得ませんでした、たとえば都市周辺の人口急増等の要素のある都市でございますが、ここにも交付税制度を通じての余慶を及ぼすことができる、こういうこともございますので、基準財政収入に算定をいたす、こういう方法をとったわけでございます。
  47. 林百郎

    ○林(百)委員 はっきり聞きますが、そうすると、本来交付税として自主的に使える財政の中へ目的税である事業所税が一部分入ってくるということになるわけですか。それはそれだけ自主財源の幅を狭めることになるのじゃないでしょうか。  それともう一つは、あなたの言う、二五%はいいですよ、これはいいとして、七五%の幾らがその当該市に残り、幾らがよそへ回されるのか、そこら辺の基準は何で決めるのですか。
  48. 首藤堯

    首藤政府委員 一つは目的税を基準収入に算定することの可否の問題であろうかと思いますが、これは御案内のように、現在でも目的税の中で道路関係の譲与税、このように基準収入に算定をされておるものもあるわけでございます。  それからもう一つは目的税でございますが、都市環境整備のために必要な財源に充てるということで、使途を御案内のように法律で決めておりますが、非常に範囲が広うございまして、これにおける行政需要というものはやはり都市の行政需要の非常に大きな分野を占める。したがって、この税があるなしにかかわらず、そのような歳出にはどうせ都市は直面をするわけでございますから、そういった面でも収入算入は差し支えがないのではないかと思っておるわけでございます。  それから当該都市に需要の増加がどのくらいに当たるかということでございますが、これは基準財政需要額を算定いたします場合に、この事業所税によって増加をいたしました基準財政収入額、この相当額を都市的需要の増加というかっこうで需要に盛り込むかっこうになりますので、これは当該団体についていま何割来ておるということは交付税の算定の結果でなければわからないわけでございますが、たとえば人口急増でございますとかそういったたぐいの都市的需要を代表いたします需要額の増加算入というかっこうであらわれてくると考えておるのでございます。
  49. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、事業所税は市町村税ですが、市町村税のうちで基準財政収入額に算入されておる例がありますか。あなた何だかえらいあるような例を言っておりますが、市町村税であったら言ってください。
  50. 森審一

    ○森説明員 目的税のうちで自動車税それから軽油引取税のようなものが、ただいま税務局長答弁にございましたように基準財政収入額に算入いたしておりますが、軽油引取税は市町村のうちの指定都市に対しては交付されております。(林(百)委員「いまのところ、何ですか」と呼ぶ)指定都市に対しては軽油引取税が基準財政収入額に入っております。
  51. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、本来市町村税でありながら市町村の基準財政収入額に算入されておるものがあるかと聞いているのです。本来市町村税として課税されておるものが市町村の基準財政収入額へ算入されるなんという例があるのかと聞いているのです、都道府県へやいろいろ兼ねているものじゃなくて。
  52. 森審一

    ○森説明員 目的税は、原則としては基準財政収入額には入れないのがたてまえでございますが、ただいま申しました自動車取得税あるいは軽油引取税、贈与税のように……(林(百)委員「市町村税だけ聞いているのです」と呼ぶ)市町村税ではございません。
  53. 林百郎

    ○林(百)委員 ないんでしょう。それを聞いているのですよ。どうして今度新しくこれだけを基準財政収入額に入れるのですか。いままで事業所税を望んできた人たちは、いまの交付税だけでは足りない、だから何とかして新しい財源が欲しいということで事業所税の創設を望んできたわけでしょう。ところがこれがまるまるもらえるのじゃないんだ、実はこれは収入額に算定されてそれを埋めて、そしてそのほかに幾らか——二五%は別ですよ、七五%という一定のものは都市環境整備か何かに使われるが、後はよそへ持っていかれるんだなんということがわかったら、指定都市にしても、事務所事業所税の設定を望んでいた都市にしても、これはもう大きな不満になると思うのですよ。それでお聞きしますが、じゃ受け入れる方の、上の方の頭をはねられてよそへ持っていかれる、よそへ持っていく受け入れられる方の市ですか、町村まではいかないでしょうが、市はどういう条件のところに持っていくつもりなんですか。
  54. 森審一

    ○森説明員 途中の段階事業所税の使途とされております、たとえば都市計画、道路、橋梁、公園、こういうふうなたぐいのものにつきまして、指定都市並びにこれに準じます、現在事業所税課税主体とされております市に準ずるところに交付税、基準財政需要額が行きますように算定をいたしたいと考えております。
  55. 林百郎

    ○林(百)委員 それならそういうところへ事業所税が取れるようにしたらいいじゃないですか。なぜよその都市の事業所税をそこに持っていくのですか。
  56. 首藤堯

    首藤政府委員 この税を都市的需要の増加ということに交付税を通じて充てることにいたしましたのは、やはり大都市周辺で同様な理由を持っておるような都市もございますし、それからもう一つは、そのような都市でございましても、たとえばベッドタウンのようなかっこうで成立をいたしておりまして、事務所、事業所というものがそうたくさん存在しないというようなことになってきますと、税源あり方等の問題もあろうかと思います。したがいまして、全般として都市環境の整備といったような財政需要を持っておる団体を交付税需要の方で算定をして、そこにもある程度財源の付与が行われるというような措置をとった方が適当であろう、このように考えたわけでございます。
  57. 林百郎

    ○林(百)委員 事業所税の設定を望んでいるところは、その事業所税が都市環境整備に必要なんですよ。それぞれ、それだけはまるまる欲しいところなんですよ。まるまる欲しいところから削っていって、よその方にも同じような環境整備の必要なところがあるからそこへ回してやるのはいいじゃないかということは、この創設を望んでいた指定都市やそれぞれの当該市の要望しているところと非常にかけ離れているのですよ。だから、もしそういう環境整備のために新しい税源が必要だというならば、そこへも事業所税を設けてやればいいのであって、せっかくもらえると思っていた事業所税を削られて、違う方へ持っていく。そういうやり方は、これは当初の目的、そしてまたこの制度を望んでいた都市の期待に背くものではないかと思うのですが、どうなんですか。だから普通の人たちは、事業所税ができたからいままでの基準財政需要額と交付税とのそのバランスの上にプラスされると、みんな思っているのですよ。ところが、そうじゃないんだ。それは頭はねられますよ、どの程度はねるかは自治省のこの計算によりますよなんということになったら、これはあなた、全然期待に反しますよ。そう思いませんか。
  58. 首藤堯

    首藤政府委員 その付近につきましてはいろいろ御説もあろうかと思いますが、私ども、この税を創設をいたします経過におきましてこの税の課税団体となります大都市、そのほかとも十分相談をいたしたのでございますが、これを基準財政収入に算定をする、そのかわり都市的な基準財政需要の増加、こういうものを十分図ってくれ、こういうことで話をいたしておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、この税を起こすことはできませんが、都市的な財政需要に悩まされておる団体にもある程度の額が交付税を通じて強化をされていくという事態は、それで望ましいのではなかろうか、こう考えておるのであります。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 それはあなたの方の身勝手な解釈で、決してこれは満足してないですよ。実態がわかるに従って不満が出てくるのですよね。しかも平年度八百億ですか、というような当初の期待に沿わないような非常にわずかな額だったということも不満がある上に、そういう制度だということになりますと非常に大きな不満があるわけですよ。だから、あなたの言うように、よそへ持っていくんだ、それで受け入れるところも都市整備が必要があるんだというところへどうして事業所税を設定することはいけないのですか。多い少ないは別として、そこに事業所税を設定さしたらいいじゃないですか。
  60. 首藤堯

    首藤政府委員 この税の創設に当たりまして、毎々申し上げておりますように、この税を、人口集中や企業の集中によりまして引き起こされました都市環境の低下、これを改善をいたしますための目的財源といたしますので、いずれにいたしましても、これをかけ得る団体はそのような団体であるという制度をとらざるを得ないわけでありまして、その点、全市町村ではなくて何らかの線引きが要る。その線引きのあり方について、五十万以上の市であるとかあるいは首都圏、近畿圏の既成市街地を持っている市であるとか、こういうやり方をいたしたわけであります。ただ、そのほかにも非常に類似をいたしましたような団体がある、これは確かでございますので、今後そのような団体がなるたけ課税団体になり得ますように、今後の運用の状況を見ながらこれは検討を続けていきたいと思うわけでございますが、一応新税を創設をいたします場合には線引きが必要でございますので、五十万以上の市に限って、あるいは既成市街地を持っておる市に限って線引きをいたした、こういうことでございます。(三谷委員配分する必要があるんなら課税すればいいじゃないか」と呼ぶ)
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 三谷委員も言っているように、配分を受ける必要のある都市だったら、そこへ課税権を与えてやったらいいんじゃないですか。それじゃ具体的に説明してみてください。どこでこれだけ事業所税が取れる、しかしよその市で需要度があるからそっちへこれだけ回すようになりますよ、たとえばこの市で仮にこれだけになればこうなるということを、あなた、説明してください。何か人口集中都市とベッドタウンとの間で、ベッドタウンの方へはかけない、こっちの人口集中の方へかけてそっちへ回してやるというのは、具体的にはどうなるのですか。どこだって、人口集中と、ベッドタウンならベッドタウンだってある程度の事業があるんだから、そこへ事業所税かけさしたらいいじゃないですか。そんな妙なことをして、せっかくもらえると思ったものを頭はねてよそへ持っていくなんという制度を設けなくったって。
  62. 首藤堯

    首藤政府委員 具体的に各市等が取り得ます金額でございますが、(林(百)委員「具体的にどこでは幾ら大体取れて、しかしそのうち幾らどこへ持っていくようになるという具体的な説明をしてみてください」と呼ぶ)具体的な数字でございますが、平年度見込みで申しますと、たとえば札幌では二十七億ぐらい、横浜では五十八億程度、川崎では二十六億程度、名古屋では九十億程度、こういったような金額に相なります。(林(百)委員「それがどうする。よそへ持っていかれるのですか」と呼ぶ)これがよそへ持っていかれるというお話でございますが、これは基準財政需要額の算定を、当該市につきまして具体的にどれだけその市が財政需要額が増加するのか、この額が決まらなければ、額はいま明示をいたすわけにはまいらないわけでございます。つまりこの額の二五%と、それから、この新設をしたことによりまして、都市的な需要が増加をいたしましたその増加額の当該市分で需要が幾ら増加をしたか、増加額の合計額が当該団体の増強された財源、こういうことに相なるわけでございます。
  63. 林百郎

    ○林(百)委員 いまあなたの言った数字は何ですか。その都市でそれだけの事業所税が取れるということですか。私の聞いているのは、その都市で事業所税がこれだけになる、その二五%を除いた七五%のうちから、大体よそへ回す見込みのものはどのくらいか。あなたがいま言った都市でいいですよ。どのくらいがよそへ回されることになって、受け入れる都市はどういうことになるのですか、横浜、札幌、何とか、あなたが言った例で。そういうことを具体的に説明してくれなければ、私たちこの法案に対して賛成か反対か、どうしていいかわからないじゃないですか。
  64. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま申し上げました額は当該都市が取り得ます事業所税の収入見込み額でございます。それから幾ら回すかという額は、当該団体に基準財政需要額が幾ら増加になるのか、その算定が出ませんとわかりません、こういうことを申し上げております。
  65. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、あなたはこうですか、この事業所税は取るけれども、その取った事業所税が当該市に幾ら回るかわかりません、自治省のこれからの基準財政需要額の計算、それによってわかりません、それから環境整備の費用がどのくらいになるか、それの計算によってわかりません、こういうことですね。だれだってこれだけはプラスになるとみんな思っているのですよ。そんなばかな税金てないですよ。取ったけれども幾ら自分の物になるかわからない税金なんて、どこにあるのですか。
  66. 首藤堯

    首藤政府委員 これは需要額の増加の方は全般数字に相なりますので、平年度の計算で八百億なら八百億という額の税収の増加がございますと、このうち不交付団体分は基準財政収入に算入をいたしましても交付税に影響が来ないわけでございます。そこで交付団体分のその七割五分分、この分が交付団体における都市的な需要の増加に全般として充て得るわけでございます。その具体的な配分は、札幌に幾らになるか、横浜に幾らになるか、これは八月なり何なりの算定の状況が出ないと具体数が出ませんのでわかりません。ただ全体の数字としては、いま申し上げた八百億の七五%分の交付税の増加と、それから当該都市における事業所税収入見込み額の二五%の額、この合計額がプラスになる、こういうことです。
  67. 林百郎

    ○林(百)委員 同じことを幾度言ったって、そんなことはわかっていますよ。  じゃ、交付団体で、七五%分でよそへ回ると思われるのはそのうちのどれくらいですか、それもわからない、いままだ計算してないから、八月ごろにならなければわからない、それからよそへ回るとすればどういう受け入れ市に回るか、その受け入れる市の方もわからない、こういうことなんですね。それでこの法案をとにかく通してくれ、こういうことですか。何だかわからない法案ですね。
  68. 首藤堯

    首藤政府委員 需要額の方は、いま御指摘のとおりわかりません。しかし、いずれにいたしましても、税制そのものとしては、これだけの新税を設定いたしますことによって市町村税全部の財源が増加をするのは確実でございますから、そういう意味でこの税の新設をお願い申し上げたいということで御審議をお願い申し上げておるのでございます。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 人口急増地帯の財政的な需要というのは非常に多いんですよ。多い中で、事務所事業所税をこの程度かけたって、これでは実際は満足できないわけですよ。しかもそれが、受け入れる方はこれが従来の交付税にプラスになるとみんな思っていたわけですよ。ところがそれはどうなるかわからぬ、幾らが徴税をした当該市のものになるかわからない、それからまた、よそへ回るけれどもどこへ回すかわからない、それは自治省にお任せだ、それではちっとも自主的な財源を都市に与えたことにならぬわけですよ。  それから、これは三谷さんも社会党の山本議員も聞いておりますが、これを設けると同時に法人の事業税の標準税率の超過の制限をする。これも憲法の九十四条を見ますと「法律の範圍内で條例を制定することができる。」というのだから、これがどうして法律で升を決めなければいけないのですか。各自治体の常識にまって条例で決めさしていったらいいんじゃないですか。何かよその方へ影響するとかなんとかともっともらしいことを言いますけれども、実際はこれがずっと波及していって大企業に超過課税されるのを自治省は恐れているということじゃないですか。本心はそうじゃないですか。東京都でせっかく二%プラスを始めましたね。これはもう標準税率なんですから、そこの弾力性というものはこれは条例で決めることができるわけですから、それを法律で升を決めていくというようなことは、憲法の精神から言っても地方自治体固有の課税権に対する制限になりませんか、そういうようにお考えになりませんか。
  70. 首藤堯

    首藤政府委員 事業税の制限税率についての御指摘でございますが、毎々申し上げておりますように、東京都が一%から一四%へ約二%アップをなさいましたことに伴いまして、その他の地方団体、特に大規模団体においてもこういった機運が醸成をされたわけでございまして、その場合に他の道府県や市町村から、大規模団体において非常に大幅な超過課税がありますことは他団体に及ぼす影響が非常に大きいのでこれはぜひ遠慮をしてもらうように指導してほしいという話がずいぶん起こったのは、毎々申し上げておるとおりでございます。  そこで、今回制限税率を設けるに当たりまして、これは自治体に許されておる自主権の一つのあらわれてございますから、一定税率にするということはもちろん考えなかったのでございますけれども、この超過課税あり方の幅、これが通常の税目で約二割でございますが、その半分程度で、超過課税をやる場合も勘弁をしていただく、こういうことにいたしたわけでございます。いきさつはそういうことでございまして、そのような結果が生じますことについて、これは地方制度調査会税制調査会にもお諮りを申し上げたわけでございますが、そうするのが適当であろう、こういう御答申もいただきましたので、一割に抑えた、こういうことでございます。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 それはもうさっき聞いていますし、うちの三谷議員の質問にも答えているところですが、それは行政的な指導で自治省意見としてはこうだということで、原則として許されている自治体固有の課税権を法律で枠をはめていくというようなことを次から次へやっていくことは、本来自治体の持っている固有の課税権、だからこそ標準税率が決まっていて、あとは自治体の自主性と良識にまつという法の精神なのですから、それを枠を法律で次から次へ決めていくということは、それは好ましくないことじゃないですか。自治省行政的に、他の隣接市にも影響する、事業税やあるいはそのほか法人関係の税に影響してくるからこの程度でどうだろうかという行政指導は自治省が持っている権限ですからいいですけれども、法律で本来自治体が持っている自主的な課税権をそういうように制限をしていくということは、自治体の固有の課税権というものに対する一つの干渉というか抑制になるのじゃないかというようにわれわれは思いますが、それは自治省行政的な指導でいけないですか。これ法律で出てしまっているのですからあれですけれども、そういうことをすべきじゃないですか。憲法でもちゃんと法律の範囲内で条例で決めるということが、条例の制定権が保障されているのですから、それがまた自治体の自治権の保障にもなっているわけですから、そういうのはやはりなるべく慎むべきじゃないですか。どうでしょうか。
  72. 首藤堯

    首藤政府委員 地方団体における課税自主性はできるだけ尊重すべきであるという立場を私どももとっておりまして、その点に関しては異論はございません。しかしながら、他方この事業税に関しましては、他団体に影響を及ぼすということがあることも事実でございまして、その面から、他団体の方からできるだけこれを慎むように制限をしてくれという話があったのも事実でございまして、その間の調整と申しますか、その結果通常二割であるものを半分程度でがまんをしてもらうような制限税率を設けた、こういうことでございます。両方の考え方の調整でございます。
  73. 林百郎

    ○林(百)委員 いま三谷さんが言うように、それは損金で落としてしまうものだから、今度法人課税やよそへ影響してくるわけです。それを損金で落とさなければまた救済の道もあるわけですね。  だからそれはそれにして、委員長に、もしできたらひとつ資料を自治省に出してもらいたいのです。要するに事業所税を基準財政収入額に入れて、そしてあと都市整備のために必要な部分は埋めていって、それに七五%分、そして従来の基準財政収入額と需要額との限界を若干越すようになると思いますが、それ以外はよその同じ必要な都市に持っていく。そこら辺の比率がどうなるのか。法案はきょう採決されちゃうのだけれども、私たちは指定都市や方々の都市から陳情を受けていますから、説明するときそれがないと後々説明もできないわけですよ。どうなるかわかりませんよ、おたくこれだけ取ってもこのうちの幾らかおたくの市にいくかわかりませんよじゃ、国会議員として説明のしょうがないわけなのですよ。だからなるべく具体的な資料を当委員会として自治省の方から提出してもらうように委員長にお願いしたいのですが、いかがでしょう。
  74. 大西正男

    大西委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  75. 大西正男

    大西委員長 速記を始めて。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 それから事業所税について非課税措置、これは公共性を持っているものについての非課税はわかりますけれども、私たち検討してみましたら、たとえば電気ガス事業あるいは本来企業の負担で行われるべき公害防止施設、それから莫大な利益を上げている私鉄あるいは倉庫、ホテルとか、これはかけてもいいと思うのですけれども、こういうのはどうして除外するのですか。ことに公害の施設というのは、言うまでもなく公害に対するいろいろな補償だとかそれの防止の費用というのは原因者負担の原則というものがあるわけですから、これを除外するというのはどういうわけなのか。そして、そのほかいま私の申し上げましたようなものをどうして非課税措置にするのか説明願いたいと思うのです。ことに私鉄だとか電気ガス事業だとかそういうようなものを含めて。
  77. 首藤堯

    首藤政府委員 この事業所税の税の使途が御案内のように都市環境の整備、都市施設の整備、こういうことに充てられる財源でございますので、都市施設そのものにつきましてこれに課税していくということはいかがかという原則論がまず起こったわけでございます。そういったものを整備するための財源を確保するのにそういった施設から税金を取るのはどうか、こういう議論があったわけでございます。結論的には、都市計画法に制限列挙をされております都市施設のうち、通常ならば地方団体がみずからでも行わなければならぬようなたぐいのものにつきましてはこれを非課税にする、こういうとり方をとったわけでございます。  なお、私鉄等につきましてはそういうことでございますが、もちろんその非課税部門は当該運送部門そのものに関しますものだけでございまして、本社関係であるとかあるいはそのほか不動産業とかなんとか営んでいらっしゃる、そっちの方は全部別で、これは課税をする、こういう考え方でございます。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 公害防止の施設についてはどういうことになるのですか。
  79. 首藤堯

    首藤政府委員 公害防止施設を落として申しわけございませんでした。  公害防止施設の設置が本来企業の原因者負担であると考えられますことは御指摘のとおりでございますが、この公害防止施設の設置が、一つには都市環境の確保にとってやはり不可欠なものであろうということは確かでございましょうし、また大きな社会的な要請でもございますので、公害防止施設は主として償却資産に相なると思いますが、償却資産は関係ございませんが、公害防止施設を主として入れると申しますか、そういう建屋を建てた場合には非課税にする、こういう措置をとることが適当だと考えたのでございます。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほども言いますように、公害については発生原因者である企業負担によって解決すべきだという原則が確立されているわけですね。ですからあなたの言うように、タンクを入れるのはもちろんこの税の性質上かけられないにしても、そういう公害施設のある建屋等についてはかけていいのじゃないですか。これはどうして除くのでしょう。それからホテルとか倉庫も一定の限度を非課税にするのじゃないですか、その点をちょっと答弁してください。
  81. 首藤堯

    首藤政府委員 公害防止施設にもっぱら使います建屋でございますが、やはり先ほど申し上げたように良好な都市の環境確保にどうしても必要でつくってもらわなければならぬものでございますので、逆に申しますと、そういうものの設置について課税をするということがそれを新たにつくるということのブレーキになる、こういうこともいかがかとも思ったわけでございますが、いずれにいたしましても都市環境の確保にとって不可欠なものである、またその設置が社会的な要請である、こういった考え方から非課税措置をとったのでございます。  それから倉庫、旅館等の御指摘でございますが、これは課税標準のとり方が物的な面としては床面積ということに限って単純化をいたしてしまったものですから、床面積の一単位当たりの通常の租税負担力と申しますか、それが業種によってかなり違いがあり得るわけでございます。その極端なものといたしまして、倉庫の場合はもともと床面積だけうんと広いということが不可欠な業種でありまして、単位当たり三百円というのは担税力、負担力を勘案いたしました場合に、他の業種と比べて著しく格差があるわけでございます。そこで、これは個別個別の業者業者について担税力があるないの判断ではもちろんございませんが、業種全般として考えてみました場合に歴然たる差がありますので、その分だけ面積という課税標準そのものを補正をする、こういう考え方で二分の一ないし四分の一に軽減をしたという考え方をとっております。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 非常に御親切なことで、われわれどうも納得できないのですが、何でそんなにホテルや倉庫に自治省が御同情なさるのか。そうすると、本来かけるべきものがそういう非課税措置によって幾ら減るのですか。倉庫の場合幾ら、それからホテル、旅館、まあ、あなた旅館と言いますが、近代的なホテルですね。幾ら減るのですか。それくらいのものをかけられたらやっていけないような額になるのですか。
  83. 首藤堯

    首藤政府委員 倉庫の場合でございますが、新増設分、これは今後幾らできるかによりますが、従前の実績で計算いたしますと、大体二十億ぐらいでございます。それから既設の分につきましては、従業員割の方は減免を全然いたしませんが、資産割の方で十一億程度でございます。それからホテルでございますが、これは新増設、これも仮定によりますが、従前どおりぐらいの店舗でございますと一億四千万程度、それから資産割の方では二億二千万程度、このくらいの減になります。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 その程度のものを取ったっていいんじゃないですかね。そういうところから、あなた方が倉庫だとかホテルというものを除いていけば、あなた方が公正な課税行政をしているということに対する大きな疑惑を持たれますよ。倉庫やホテルだっていまそれぞれ収益を上げているのですからね。しかも、そこに資本が集積されて、その自治体にはいろいろの恩恵を受けているわけですからね。ことに床面積が大きいわけですから、火災の場合だとか、あるいはホテルなどは上下水道そのほか。そういうものから取ってもいいんじゃないですか。  それから、公害防止のための施設に課税すると、その課税をするためにそういう施設をつくることをどうも抑制することになるんじゃないかという配慮も、余りにこれは非常識な配慮じゃないですか。そんなわずかな事業所税がかかるために、公害防止のための施設をつくらないなんというものがあったら、それはあなた、それこそ社会的に許されないことなんですよ。しかも、そういうものは、石油業だとか近代的な重化学工業としていま最も利益を上げている企業でしょう。そうして、当該自治体にも大きな迷惑をかけている。どうしてこういうものを除くのですかね。だから結局、事業所税といっても、何かこういうところを拾ってみると大きな企業には非常に親切な配慮をしているように思うのですけれどもね。そして、当初の金額よりも非常に絶対金額も低いですしね。そういう点疑惑を持たれるということを自治省としてはよくお考えになる必要があると思うのですよ。  まあ、ここでその論議をしていると時間がありませんから、同じようなことで、地方税法の七十二条の十九、これはきのう自治省にも話しておきましたが、この課税が行われている自治体はあるのですか。
  85. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘の条文、事業税の外形課税をとり得るということかと思いますが、七十二条の十九の規定がこれまで具体的に適用されたところはございません。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、適用しようとして計画を立てたところはあるのですか。きのう自治省には具体的に言っておきましたが、どこの県でこうしようとしたができなくなった——そこへ自治省が一枚かんだかかまないかまでの証拠は私の方は握っていませんから言いませんけれども、どこかにあるのでしょう。それはどこですか。
  87. 首藤堯

    首藤政府委員 具体的な検討をしておりますところはございます。かつて東京都が一遍やったことがございます。それから最近は、千葉県でございますが、石油関係の企業に対しまして、当該県内における売上額を外形標準にして課税をしたいということで、いろいろ検討をなされた実績がございます。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 その千葉県のそういう計画に対して、自治省が何か意見を述べるなり、あるいはそれを抑制した方がよかろうというような行政指導か何かされたことがありますか。
  89. 首藤堯

    首藤政府委員 その話は千葉県からも承りましたが、私どもとしては抑制をしようということは考えたこともございません。いつか当委員会でも御指摘があったかと思いますが、こういう研究が行われること自体非常に前向きで結構なことだと私ども考えておるわけでございますが、具体的な内容につきましては、いろいろ話を聞いたりいたしました経過においてやはり問題点がございまして、一つは、たとえて申し上げますと、対象企業を石油関係だけに限ることの根拠がどうなるかとか、それから何よりも問題は、千葉県分にかかわります売上金額をどう把握するのか、これは大企業でございまして、一県だけに関係のある企業でございませんので、他の関連府県との関係をどう考えていくのか、この付近に非常に問題があるので、結論としては、石油企業等を持っております他府県とも十分相談をして、やり方をもう少し建設的に詰めてみようじゃないか、そういうことで御相談があればわれわれも検討に参加をすることはやぶさかでないということで、目下検討続行中というかっこうに相なっております。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 われわれは、これが中小企業に影響したり、あるいは付加価値税の方向へこれが傾斜することについては警戒しなければなりませんけれども、しかし、大企業に対してこのような課税をすることについては、私の方は当該自治体の固有の課税権として許されてしかるべきだと思うのですよ。  それで、税務局長も、まあ結構ではありますと言いながら、後の説明を聞いていると結構でないような説明になっちゃうものだから、千葉県としては、局長がそう言うならこれはやはりということになると思うのですね。だから、私の方から千葉県に、局長がいい方針だと言っていた、前向きに取り組むと言っていたと言っていいですか。
  91. 首藤堯

    首藤政府委員 前向きに取り組む、結構でござます。私自身も千葉県から相談に参りましたときに、方向そのものとしては結構なことだから十分検討しようじゃないか、具体的な問題は、売上金額等が把握できないといったような問題がありますから、具体的な解決方策について検討を続けようじゃないか、こう言っております。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  もう二つほど問題があるのですが、個人所得住民税なんですけれども、これ、課税最低限を引き上げたというのですが、所得税課税最低限との開きはどうなるのですか。
  93. 首藤堯

    首藤政府委員 四十九年度の所得税課税最低限は、夫婦子二人の場合百五十万ほどでございます。今度の住民税課税最低限が百二十一万八千円でございますので、約三十万ぐらいの格差があるわけでございます。率は所得税課税最低限の八一%ぐらいになっております。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、上昇率から言うと、対前年度、所得税の方が二一・五%、住民税の方が一九・九%と見ていいのですか。
  95. 首藤堯

    首藤政府委員 ことし一年分だけを考えますと御指摘のとおりでございます。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 製造業の勤労者あるいは国家公務員の賃金の上昇率は、四十九年度どのぐらいだったかわかりますか。もしわからなかったら、私の方から調べたのを言いますけれども
  97. 首藤堯

    首藤政府委員 賃金の伸びで申し上げますと三〇%でございます。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 賃金の伸びが三〇%なのに課税最低限の上昇率が一九・九%では、いままで課税されなかった人が課税対象人員としてかえってふえることになるのじゃないですか。だから、四十九年度と五十年度のいま提案されている税と比べて、課税対象人員はふえるのですか、ふえないのですか。ふえるとすればどのぐらいふえるのですか。
  99. 首藤堯

    首藤政府委員 所得割の納税義務者数の推計でございますが、四十九年度は三千四百六十万人余りでございましたが、五十年度の、現行法見込みですと四千万人に達すると思います。それが、改正後の見込みでは三千四百三十万見当で、四十九年度とほぼ同じ程度で推移をするものと推計いたしております。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 そうですか。私の方の計算ですと、五十年度は相当ふえるような計算になっていますが。住民税の納税義務者は、四十九年度は三千四百六十七万でしたね。これは横ばいですか。横ばいになるはずはないと思うのですがね。  それでは、仮に対象人員が横ばいだとして、今度は税収見込みですね。四十九年と五十年と比較して、道府県、市町村、何%アップしますか。
  101. 首藤堯

    首藤政府委員 まず道府県でございますが、所得割におきましては二七%の増を見込んでおります。市町村では二九%の増を見込んでおります。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 対象人員は横ばいで税収見込みがそれだけふえるということは、どういうことになるのですか。一人当たりの税額がふえることになるわけですか。それじゃ、減税じゃなくて増税になるのですね。
  103. 首藤堯

    首藤政府委員 平均的に見ました場合には、一人平均は増加することに相なろうと思います。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、インフレが非常に進行していますから、名目的な賃金が上昇しても、実質的な賃金が対前年度比マイナスになっているときに、地方税では税収がふえるということは、住民税の面では減税の効果を与えたことにならないんじゃないですか。もっとも、もしこの措置をしなければこれだけふえるんだから、ふえるのをこれだけにしたという論理もありますね。あるけれども、実際はふえるんだから、そうすると減税にならないということになるんじゃないですか。そうなりませんか。要するにふえるのを抑えたから減税だ、そういう意味の減税というのですか。
  105. 首藤堯

    首藤政府委員 積極的な意味での大減税ということには相ならぬかと思いますが、消費者物価とか、そういったものの伸び率を考えまして、減税をすべき額の見込み、これは下らない額だと思っております。具体的に申し上げますと、昨年課税最低限の引き上げを行いましたときに、所得控除をかなり大幅に引き上げたのですが、国の所得税におきます給与所得控除の去年の引き上げがことしの住民税に非常に大きな影響をもたらしますので、それを先取りいたしますようなかっこうで、去年課税最低限を従前の比率から見ますとかなり高く引き上げた、こういう実態があるのは御案内のとおりでございます。  そこで、四十九年度改正と、今回お願いをいたしております改正とを両方ひっくるめてお考えをいただきますと、四十八年度の課税最低限は八十六万五千円でございましたが、それが百二十一万八千円になっておりますので、約四〇%課税最低限が引き上げられております。それから消費者物価を例にとって申し上げますと、四十七年度指数は一一七%程度、四十九年度は二八〇%程度でありまして、四十七年度に比し四十九年度は三六・二%というアップになっておると思います。したがいまして、両年度を通じて課税最低限の引き上げを考慮いたしました場合には、消費者物価の値上がり分にはほぼ見合う、それより少しよけいだということでございます。ただ、財政状況等から、非常に大幅な積極的減税はいたしかねたということは事実でございます。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう説明もあるかもしれませんが、四十九年度は対前年度比、消費者物価の値上がりが二一%前後ということになっておりますね。そうすると、一九%の減税率では、物価の上昇率以下の減税率にしかならない、そういう説明の仕方もできるわけですね。  一方、それじゃ、国の所得税の減税によって所得税課税対象から外れた人はどのくらいふえているのですか。それはわかりませんか。
  107. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 お答えいたします。  昭和四十九年度の所得割でございますが、失格者は約三百万人でございます。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 いや、私の聞くのは、国税の所得税課税最低限が上がったでしょう。そのために課税対象から外れた人はどのくらいあるのか、人員がどのくらい減ったのかということがわかるかどうかということです。これは本来ならば大蔵省に聞かなければならないのを自治省に聞くのだから、無理なら無理で結構ですが、ある税度減っていると思うのですよ。それに対して地方税の方は横ばいだ、そして税額絶対額全体としては、いま言ったように二〇%前後ふえているということになると、これはどうも減税という実感が出てこないのじゃないかと思うのですがね。ただ、こういうことはありますよね。この措置をしなければもっと取られるのをこの措置によって歯どめをしたと言えば、それは言えないことはありませんけれども、しかし減税という実感、地方の住民の減税を受けたという実感は出てこないのじゃないかということを私は聞きたいと思うのですがね。そういう意味で、国税の方の所得税課税最低限が引き上げられたことによって対象人員が減ったかどうかということを聞いているのです。
  109. 首藤堯

    首藤政府委員 国税の方の数字はいまちょっと手元にございませんので、調べましてまた申し上げます。  御指摘をいただきましたように、今回の減税がいわゆる大幅な積極減税になっておるとは、私どももそこまでは考えておりません。しかし、消費者物価の増でございますとか、最低生活費の上がりの状況でございますとか、こういうところは勘案をいたしまして、そこには矛盾がないように減税の幅を考慮をしたということでございます。  それからもう一点は、今回の住民税の減税額そのものが、平年度で四千六百億というかなり大きな額になるわけでございますが、これは例の給与所得控除の引き上げをそのままこちらがのみ込むという手段をとりましたことによって、三千三百億という非常に大きな減収が生じてまいります。そこで、市町村の財政状況等も十分勘案をしなければなりませんので、積極減税という態度はとりませんでして、いわば調整減税と申しますか、それに少し毛の生えた程度、こういうように考えておることは事実でございます。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 だから私たちの言うように、思い切って交付税率を上げるという積極的な方針へ自治省が取っ組めば、こういうこそくな手段をとらなくてもいいんじゃないですか。何かあなたの言うのは、所得税の方が減税措置で大きな額が減税された、したがってそれによって地方交付税の方へのはね返りがあるというような、そういう意味のように聞こえたのですけれどもね。そういうこともあるので、大幅な地方税の減税ということは考えられない条件があるんだと言うのですが、それだったら交付税の方の率を上げるということも一つの手段で、そして実際の地方税の方も、少なくとも課税最低限を国と同じぐらいにして減税をされたという実感を持たせるようにしないと、これによって地方税も減税になりましたと言っても、それはパーセントや率だけはそうなっているけれども、実感としては、また実質的な絶対額としては減税になっていませんからね。これはやはり庶民の受ける感じとしてはどうも減税としては受け取れないんではないか、こういうように思うわけですが、それじゃ、まあそれはそれにしましょうか。  時間が来ましたので、あとは本会議後にさしていただきましょうか。——ちょっと租税特別措置のはね返りの問題がありましてね。これは予算委員会で私、質問しまして、そして福田副総理答弁もありますので、それを受けて自治省がどう考えているかということを聞きたいと思いますので、午前の質問はこれで終わらしていただきたいと思います。
  111. 大西正男

    大西委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際暫時休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  112. 大西正男

    大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。林百郎君。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 これは自治大臣も御出席の場で、私予算委員会で質問をいたしまして、ちょっと詰まっておりませんので、当委員会でもう少し具体的に詰めさせていただきたいと思います。  実は国の制度としても、それから地方自治制度としても、租税特別措置によって所得からいろいろの名目で損金として落とす制度がございますので、各種引当金あるいは法人の支払い配当軽減措置、法人の受取配当の非課税あるいは買いかえ資産などの圧縮記帳、いろいろございますので、これが当然地方財源となるべきものが圧縮されているという事態がございます。全国の都道府県知事会議あるいはそのほかの自治体からも強い要望が出ておりますので、この点を若干質問したいと思うのですが、国の租税特別措置の制度地方税の中における独自の減免措置によりまして課税が減免されておる金額は、四十五年から四十九年までで結構ですが、大体どのくらいの額になるか、各年度別、そして合計額がわかったら知らせていただきたいと思います。
  114. 首藤堯

    首藤政府委員 租税特別措置によりますものの影響の減収は、四十五年が千二百八十一億、四十六年が千三百八十三億、四十七年が千四百五十八億、四十八年、千二百七十四億、四十九年、千四百四億、合計いたしますと六千八百億ほどになっています。  それから地方税で独自の非課税措置をやっておりますものの額は、四十五年が千三百九十九億、四十六年が千六百二十七億、四十七年が千七百六十一億、四十八年が千九百六十八億、四十九年が二千九十億、合計をいたしますと八千八百四十五億、国税の影響と地方独自のもの両方合計をいたしますと、一兆五千六百四十五億ほどに相なります。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 こういう莫大なものが減免措置を受けておるわけなんですけれども、この中で租税特別措置で法人所得からいろいろの名目で会計法上損金として落としておるために、欠損法人として事業税をかけることのできなくなっておる法人ですけれども、資本金一億以上の法人で事業税を免税されて均等割だけ納めておる比率はどのくらいでしょうか、わかりますか。
  116. 首藤堯

    首藤政府委員 資本金一億円以上の法人一万四百四十三社のうち、欠損法人になっておりますのは二千六百九十九社、比率にいたしまして二五・八%ほどでございます。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 資本金十億以上の法人で、これは大法人ですが、これで均等割しか納めておらないという法人はどのくらいでしょうか。
  118. 首藤堯

    首藤政府委員 全体で千五百七十六社ございますが、そのうちに三百四社、一九・三%に相なります。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 これは大臣にお聞きしたいのですが、私の予算委員会の質問のとき、福田副総理もこういう資本金十億以上の大法人が均等割、三千円から四千円ぐらいだと思いますが、それしか納めておらないというのはそれが二〇%前後、一億以上の法人だと三〇%前後、これは所得がないわけじゃないので、所得をいろいろの租税特別措置によって損金として落としたり、あるいは準備金引当金等として落としているわけなんで、これについては検討する必要があるのではないかということを副総理も言っていたわけなんです。ことに地方税の面における租税特別措置についてはケース・バイ・ケースで再検討してみる必要があるのではないかという答弁があったわけなんですけれども、これは自治大臣も御承知のとおり、いま地方自治体財政はかつてない危機と言われているわけなんですが、そういう中で、こういう資本の集積をしてその地域で大きな所得を上げている法人がわずか三千円か四千円の均等割しか納めていないというのはいかにも不公正であり、社会的不公正を是正するということを言われておる三木内閣としては何としてもこれは手をつけなければならない問題だと思いますが、大臣どういうふうにお考えですか。
  120. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 国の租税特別措置は、なぜこういうことが起きたかということは、私が林さんに申し上げないでも、一種の何というか輸出増進とか高度成長をするためにはやはりそういうような措置を講ずる必要があったという条件が私はあったと思うのです。今日になってまいりますというと、いまや成長をある程度抑えてそしていわゆる低成長というか、余り高度成長をやるというような必要もない。また無理に輸出を何か強引に伸ばしているというような形が国際的なマイナス面も出てきます。そういうことから考えてくると、一応ここいらで見直しをしたらいいのじゃないかというのが考え方として起きて当然のことであると私は思います。実際問題として、税制調査会におきましてもその他においても、今後どのようにしたらいいかということを審議をしていただくことになっております。したがって今後の方向としては、ただいま林さんの言われたような方向検討も行われ、また政治的にもそれが実現をしていく、言うなれば、それがまたある意味地方財源確保につながっていく形になるのではないか、私はかように考えております。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣もおっしゃるように、私たちがそういう立場について賛成、反対は別として、経済の高度成長政策を自民党の歴代の内閣がとるためにとったこういう租税特別措置が、いわゆる成長をある程度抑える、そして福祉を重点に転換するということを言われておるとすれば、この非常に大きな数に上る租税の特別措置については、それが地方財政に及ぼす影響を考えると、どうしても再検討しなければならないと思うのですね。私たちこれはいろいろ風評で聞いているところによりますと、たとえばある電力会社のごときは、退職引当金という制度を利用して、職員の半数以上がその年にやめる場合の退職金の引当金ぎりぎりのところまで所得から損金に落としているというようなことも聞いているわけなんですが、そういうことが法人税として交付税の対象を減縮させますし、また、そういうことによって、本来所得を上げているにもかかわらず、欠損法人として事業税をかけることができないということになりますと、これまた資本の集積による地方自治体のいろいろの恩恵に対して不当に税金を減免されるということにもなりますので、ぜひひとつこれは前向きに、政治的に言いますと前向きに取り組んで、具体的にひとつこれを審議会なり何なりに、大臣も言われるように諮問されまして、手直しというか、洗い直してみることを積極的にやっていただく必要があるのじゃないか一福田さんが自治大臣をやっている間にせめて一つぐらい思い切った仕事をやっていただきたいと思うので、その点ひとつもう一度局長と大臣にお尋ねして、この点は終わりたいと思います。
  122. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 同じ福田でも大分違いがありますが……(笑声)  私は、いま電力会社の例を引かれましたが、実を言うと、日本の会社の資本構成というのは、あなたも御存じのように自己資本が非常に少ないのですね。それで、もうほとんど債務でやるというような仕組みに税制上なっているわけなんです。そこで、会社自体から見ますと、いずれにしても自己資本というものをどれだけ充実するかということにはあらゆる努力をしておるわけで、私はその要件がそこに、そういう希望がいま言ったような面にもあらわれておるのじゃないかと考えておるわけです。だから、これを悪意と見て、そういうようなやり方をするのは、いわゆる資本主義の最も悪い面があらわれておるのだという考え方でこれを見るわけにはいかないと思っておるわけです。実は四十年前後のときにはもう余りにも資本が少ないので、これを何とかせにゃいかぬじゃないかという問題がずいぶんあったわけですが、そういうことが積もり積もって今日のあれが来たのだと思うのですけれども、今日になれば、先ほど申し上げたような事情で、方向をここで変えていく必要があるということになっておるのでありますから、そういう面もあわせてどういうふうに持っていったらいいかということを今後研究をし、そしてまた、前向きで検討をしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  123. 首藤堯

    首藤政府委員 私も、大臣からいま御答弁がございましたとおりの考え方でおります。  具体的には、たとえば税制調査会等におきましても、諸外国の法人課税におきます各種引当金等の経費控除、所得控除の問題、こういったことを、部会を設けまして現在調査中でございますが、そういったこととあわせて、今後具体的なやり方について十分検討もしていただく、われわれもまた、その成り行きについて十分努力をしたい、こう考えております。
  124. 林百郎

    ○林(百)委員 地方税法の質問については私、これで終わりたいと思いますが、くしくも福田自治大臣がおっしゃったように、いま自己資本が非常に少ない、それで借入資本でやっておるというところに日本の資本主義の一つの弱い点があるのだということ。それは自民党の大臣としておっしゃることはわからないことはありませんけれども、しかし同時に、日本の国民の生活の水準、物価の値上がりの状況が他の資本主義の諸国と比べてどうか、あるいは福祉行政がどの水準かということを考えますと、これまた、決してほめたわけじゃない。やはりこの方に力をもっともっと入れなければならないというように思うわけです。したがって、大臣の後半の面ですね、これについては、経済情勢もいろいろ変わってきているから、前向きに検討するという点をぜひ積極的に進めていただきたいというように思うわけです。  それから局長にも、地方税の中にもいろいろそういう不公正さが見えているわけなんですが、今度の、たとえば土地取得税の中の土地の譲渡の短期の所得についての減免措置を延期するというようなことですね。これはもうそういう措置はとらなくてもいいのではないかとわれわれは考えるわけなのですけれども、そういうような面だとか、あるいは電気税の大企業に対する非常な手厚い減免措置だとか、この事業所税でも、先ほど私がお尋ねしたようにまだまだ納得できない。たとえば公害を発生する企業の施設については、当然これは原因者負担の原則に基づいて企業が負担すべきものであって、それに対する一般的な課税を受けるべきものだというふうに私たちは考えるわけなのです。そういう点で地方税の中に残されているこの不公正を是正する方向へひとつ局長も今後そういう側面も十分検討されたい。一貫して、どうも局長の説明の大きな流れとしては大企業の方へ非常に親切なトーンが聞こえますので、それはそれとして、またそういう地方税の中における不公正、そうして、ことに地域住民、勤労者の地方税負担の軽減だとか、あるいは資本の集積によって地方自治体にいろいろの負担をかけているものに対する公平な課税だとか、そういう側面もぜひひとつ今後積極的に取り組んでいってもらいたい、こういうことを希望して、私、この地方税改正案についての質問を終わって、あと警察にちょっと聞きたいと思いますが。      ————◇—————
  125. 大西正男

    大西委員長 次に、警察に関する件について質疑の申し出がありますので、これを許します。林百郎君。
  126. 林百郎

    ○林(百)委員 地方税の質問の途中でございますが、最近、右翼の行動が目に余るものがありますので、もう警察なりにそれぞれ取り締まりに努力はしているかと思いますけれども、ちょっと目に余るものがありますので、二、三事例を申し上げまして、さらに一層その方面の取り締まりを十分にして、平穏な市民生活を保障するような方向努力していっていただきたいと思うのです。  実は三月十四日に三重県津市の文化会館で私が行って演説会をしたのですが、聴集が約六百名ぐらいでしたが、右翼の三団体二十名が宣伝カー三台で会場の周りを徘回して、スピーカーのボリュームをいっぱいに上げて、演説会をやっている午後五時から九時半ですか、その間を、私が演説をやっている津市文化会館にデモをかける、そういう届け出によってデモをやっている。もう非常に大きな音を立ててやっている。それでもう、こんな演説会へ入るなとか共産党にだまかされるなとか、これはもう明らかに威力による業務の妨害あるいは軽犯罪に該当するような、もう窓をあけておくと演説ができない、それから善良な市民が来ても、そういう右翼の特別な服装をした右翼が大きな声でどなっているわけですから、もう演説会場へ入れないというような状態があるわけですね。警察官もいることはいましたけれども、しかし、これは野放しになっているわけですね。これは一体どういうことなのか。警察庁の方で調査をしておくようにということを私の方からも要望しておきましたけれども、この実情をひとつ報告していただきたいと思います。
  127. 三井脩

    ○三井政府委員 お尋ねの事案は、三月十四日津市内の文化会館で行われました演説会でございますが、これをめぐりまして、当日右翼の六団体十六名ぐらいが午後五時ごろから会場周辺を中心に街頭宣伝活動を行ったわけでございます。当日この団体は、道路交通法によりまして街頭宣伝の許可を受けてやっておるわけでございますが、不法事案等の発生を警戒いたしまして、相当数の警察官を出しましてこれを視察したわけでございます。演説の際に、高音のボリュームでいろいろの宣伝活動を行ったわけでございますが、この点につきまして、ただいま威力業務妨害はどうかというようなお話もございましたけれども、われわれが調査いたしましたところ、威力業務妨害の成立を証明するというところまでには至っておらない。また当日、会場で高音を発するこの放送に対しまして、警察官が軽犯罪法違反ということで制止をいたしました。これに対しまして、警察官に反抗し暴行を加えた者一名を公務執行妨害で逮捕いたしておる、こういう状況で、その他に警察官の警告を聞かなかった者二名を道交法違反ということで検挙しておる次第でございます。
  128. 林百郎

    ○林(百)委員 警察官が軽犯罪法で制止をしたというのですけれども、何ら制止の効果はなくて、九時半ごろまで、演説会が終わるまで、実にボリュームを大きく上げて声の暴力みたいなものが野放しにされているわけですね。たしか相当数の警官もいたと思いますけれども、全く警官がなめられているというか無視された形でやられているわけですね。警察の威厳というものは全然見られないわけですね。私は、地方行政委員会で警察の実情にもなるべく精通をして、一線の警察官の待遇の改善等には努力したいと思いますし、そしてまた不偏不党な日本の警察になってもらいたいと希望しているわけですけれども、どうもあれでは右翼に完全になめられているのではないかという感じがしますので、今後十分注意をされてしかるべきだと思います。  そのちょうど二日前の三月十二日に桑名の市民会館で、これは聴衆約三百人ですが、日本義勇団と青嵐塾、それらがそれぞれ宣伝カーで行動している。青嵐塾の五名が五時半ごろ会場入り口に押しかけて、入場しようとする市民に対して、会場に爆弾を仕掛けたと脅迫している。また演説会はもう終わったと言って妨害している。このため入場せずに帰る人も若干いた。ことに婦人のごときは恐れをなして、入場しないで途中で帰ったという人もいるわけですね。警察はたしか、主催者が入るなと言っているからと言って説得をしたというのですが、全然説得の効果も何もなくて、こういう暴言を吐いている。爆弾を仕掛けているとまで言えば、これは普通の人はちょっと入る気がしないわけですね。それがただ説得だけで済ませるものかどうか、この点もどういうことになっているのか、実情を報告願いたいと思うのです。
  129. 三井脩

    ○三井政府委員 本件は、三月十二日桑名市の市民会館で行われた演説会に対する右翼の行動のことでございます。当日は皇道同志会三重県本部、またただいまお話の青嵐塾などの団体が約十名ばかり、会場入り口付近で共産党批判の宣伝等を行ったのであります。三重県警では、相当数の警察官を現場に配置する等、厳重な視察警戒等を行いました。当日会場に入ろうとする者に対して、爆弾を仕掛けたので帰った方がいいといったようなことを言ったというようなこと、あるいはボリュームをいっぱい上げまして会場周辺で街頭宣伝を行って、これが結果的に妨害になる、こういうようなことを行ったということでございますが、この爆弾を仕掛けたから早く帰れといったような点につきましてただいま捜査しておりますけれども、確実な事実関係またこれを行った容疑者という点の確認には至っておらないわけでございます。この入り口のところで入る、入らないで多少トラブルがありましたが、視察員、警察官が制止をいたしております。したがいまして、結果的には暴行に至っておらないということであるわけでございます。また、周辺における街頭宣伝の騒音によって演説に対する妨害的な効果をねらうという行動につきましては、警告をし説得をして現場から立ち去らせるというふうに努めた次第でございます。
  130. 林百郎

    ○林(百)委員 どうも警察の処置が手ぬるいように思うわけですが、これは三月十三日国会の周囲ですが、右翼の宣伝カー五台がものすごいボリュームを上げて軍歌か何かやりながら回って歩いているわけですね。そして第二議員会館の駐車のところを入って、玄関のところをぐるっと回ってまた道路に出ているわけです。それで衛視があわててその入り口のところでとめたのですが、一台だけは入らなかったが、あと四台はずっと入っている。公然と議員会館の玄関にまで右翼が自動車を連ねて、しかもものすごいボリュームで、部屋の中で話もできなければ、あんな大きな声でやられたのじゃ委員会審議もできないですよ。それで警察がついているようでついていないようで、その制止が全然効果をあらわしていないわけですね。国権の最高機関で真剣に審議をしている国会の周囲で右翼があんな思うままなことをやり、しかも議員会館の玄関まで入れさせるようなことを警察がしたということになりますと、これは国会全体の威信にもかかわる問題ですが、警察としてはどうお考えになっているのか。右翼に対して少し甘やかし過ぎているのじゃないかというように思うわけですが、再びそういうことをさせないように厳重な取り締まりと規制をしてもらいたいと思いますがどうでしょう。  これは事が国会に関する問題ですから、後で福田大臣にも国家公安委員長として一言お聞きしておきたい。
  131. 三井脩

    ○三井政府委員 ただいま御指摘の事案は、三月十三日午前十時十三分ごろ、大日本生産党の車が第二議員会館の南側入り口から敷地の中に入り、後から車がこれに続いて進行したというものでありますか、警戒中の警察官が直ちに駆けつけまして車を北側の入り口から出し、また続いている車は入れなかったという措置をいたしておりますが、さらに本件につきましてこの大日本生産党の車を運転しておった運転手から事情を取り調べたところ、この運転者の申し立てによりますと、前方を右折して会館に入るタクシーが五、六台あったために、真っすぐ行きたい、先を急いでおったために敷地内を便宜通行して迂回して早く行こうとしたのだ、こういう弁解をいたしておるわけでございます。警察といたしましては、これについて厳重に警告を発しておるわけでございます。  御存じのように、この街頭宣伝の場合には道交法によりましてその道路使用の許可をとるわけでございますけれども、これに付する条件といたしましては、道路交通法の目的から言いまして騒音関係について条件を厳しくするということは性質上困難だというような点もありまして、われわれといたしましては軽犯罪法が当面騒音の問題を直接に取り締まり得る法規であるということでございますので、ここに言う警察官の制止活動を十分に実施をする、活用するという立場から、これに対して現場において警告をする、また道路使用の許可を与える際にこの点について十分な注意を与え、説得に努めるということで措置をしておるわけでございます。  騒音の問題についてはかねがね私たちも大変迷惑だと考えておるわけでございますけれども、現在の軽犯罪法というようなものしかないといいますか、取り締まり法規としてはそういうようなものでございますので、これを十分に活用する。それには日ごろからの説得によってやめさせるというような活動も大切であるというように考えておる次第でございます。
  132. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、これで終わりますが、今度大臣答弁していただきたいのですが、実は一斉地方選挙も近く行われますし、最も言論の自由が保障されなければならないし、それからまた、主権者である国民としてはいろいろなことを知る権利があるわけなんです。それがそういう右翼の妨害で、この演説会場へ入るなとかあるいは爆弾を仕掛けてあるから入るなとか、こういうようなことを公然と、右翼が何か特別な服装をして、そしてこれ以上上げようのないようなボリュームを上げた宣伝カーで飛び歩くということは、主権者である国民が投票権を行使する、あるいは政治活動の自由を享受することのできる機会を全く踏みにじる非常に危険な行動だと思いますので、厳重にこういうことのないように、ことに国会というのは静ひつを必要とし、そして国民にかわってわれわれが十分に審議をすべき国会の周囲を、こういうものがわがもの顔に歩き回って審議の妨害になるようなことをすることは、国家公安委員長の権威にかけてもこういうことをさせないようにしてもらいたいと思うのです。先ほどから警備局長は軽犯罪法だけ言っておりますけれども、警職法の五条でもって犯罪の予防、制止の権限も警察官は持っておるわけなんですから、十分あなた方に権限を与えておるはずですから、これも行使されて、こういうことのないようにぜひしてもらいたいと思うのです。最後に国家公安委員長答弁を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。
  133. 三井脩

    ○三井政府委員 ただいま軽犯罪法を活用しておると申し上げたわけでございますが、警職法五条によりまして、警告、制止という権限もなるほど私たちは持っております。ただ警職法の五条で警告、制止できる犯罪の態様、警告の方はいいわけですけれども、具体的に物理的実力によって制止できるというものになりますと相当しぼられておりますので、条件は厳しくなっておりますので、この宣伝活動について直ちにこれを発動するという点については困難な点もあるわけでございます。しかしながら先ほども申し上げましたように、この執行については前段の警告、説得という点を活用して、こういう事案の防止に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  134. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 先ほど国会の周囲の問題が出ましたが、あのとき私も実は予算委員会におって、少し音が大きいなと思ったわけであります。こういうことは、右翼であろうと左翼であろうと保守であろうと、みんな取り締まることは当然でございまして、特に私は自治大臣としてきれいな選挙を推進するということでいまやっておるわけで、そういう意味においても、そういうことが行われるというと、いかにも何か選挙が力によって動かされているというようなことになりますから、私は国家公安委員長としては、いま三井局長が申し上げたような趣旨で、極力そういうことは取り締まりをいたすべきである、かように考える次第であります。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 では、私の質問を終わりますが、国家公安委員長、右翼と左翼なんて余分なことを言わないで、私は右翼について質問をしておるわけなんですから。あなたのそういう公平ぶったやり方で実は右翼を泳がしているので、その点を警告しているのですから、十分注意されたい。  私の質問は終わります。      ————◇—————
  136. 大西正男

    大西委員長 内閣提出に係る地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。小川新一郎君。
  137. 小川新一郎

    小川(新)委員 地方税法改正について二、三お尋ねしておきますが、大臣、今回自動車の排気ガスに関する問題で自動車税の改正を行うわけでございますが、低公害車というのは、一体何を指して低公害車と言っているのか。また、この低公害車というのは現在どのような状態になっているのか。この辺の御認識というものをまず私はお聞きしたいのでございます。またその前に、こういった自動車の排気ガス規制というものを税金によって抑えていくということは一体好ましいのか好ましくないのか、税体系の上から言ってどうなのか。この問題については非常に大事な問題でございますので、大臣の御所見をまず承りたいのであります。
  138. 首藤堯

    首藤政府委員 低公害車の定義でございますが、各種の排出物につきましてそれぞれいろいろな基準がございますが、最近は先生御案内のようにNOxの排出基準、これが一番問題になっておりまして、最終的には〇・二五グラムパーキロメートル、こういった目標を達成をすべく努力が重ねられておると承っておりますが、最近の問題といたしましては、五十一年度規制では、一トン未満車については〇・六、それから一トン以上の車については〇・八五、こういう暫定基準を設けまして、これが五十一年度規制に基づきますいわゆる低公害車、こういう範疇に入るのかと心得ております。
  139. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 まず低公害車とはということでは、いま説明を政府委員がいたしたわけでございますが、私は低公害車を推進していくということは非常に必要だと思っておるのです。このことは公害をなくすという意味では当然なことで、同時に急にはなくせませんから、たとえば警察面から見ると、ある程度交通の規制をするというようなこともして、十大都市あたりでは交通量一割削減というようなことも実施をすることにして、そういうこともいたしておりますが、これを税でもって規制するのはいいのかどうかという問題になりますと、すぐにこれを規制するということは実際面としてできない。そうすれば、やはり低公害車をつくる会社をある程度優遇してやる、それからまた、一般の方にも公害問題というものを認識してもらう意味で税金をその分だけ安くするというような方法で、いわゆる公害防止に協力してもらうというような気持ちで税制をある程度活用するということは、私は特に悪いことだとは思いません。しかし問題は、それもありますけれども、私はむしろもう一つ心配することは、低公害車ということを実現するために、低公害にならない前にどんどんいわゆる駆け込み生産をやるというようなこと、これは非常に問題があるということを一つ考えておるわけですから、基準が決まるまでの間にいまの低い基準でもってどんどん生産をふやしていくというようなことをしたら、これは問題があるし、それから、今度は低公害車が完全にできたとしても、その後で、低公害車でないからといって公害車に余り税金をかけ過ぎますと、そうすると資源問題で、それほど資源のない日本がそういう低公害車を助長するという意味で、まだ二年か三年しかたってないものでも廃棄して低公害車に乗りかえるのがいいのか悪いのかという問題も総合的に考えてみなければならない問題があると思うので、税の問題をどう活用するか、ということと同時に別の意味で公害をなくするという工夫、同時にまた資源をある意味で愛護をするという面、こういうことを総合的に考え対策をとっていくべきじゃないか、こういうのが私の考え方でございます。
  140. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、この自動車の排気ガス規制という問題を、税金の面で規制をしたり税金の面で問題を解決するということについては御質問いたしました。そうしたら首藤税務局長は、税体系の上から見てこういった公害対策車、公害問題を税金の上で、税金を取るとか取らないとかという問題でこういう環境問題を左右することは好ましくないんだというような意味の、私のいま言っているとおりお答えしているわけではないけれども、そのような意味のことを、私、委員会でかつて聞いたことがあるわけですね。ぼくの聞き違いかもしれませんし、また認識の違いかもしれませんから、私はそのことでいま首藤さんを責めているわけではないのですけれども、そのときには、こういう地方公共団体が自動車というものを野放しにしておいたならば、総量規制の中で排気ガスすなわちCOとかNOx、窒素酸化物または不燃焼カーボンという問題を、要するに有毒排気ガスとして抑えていかなければならない、そのためには税金でもってこれを抑えていくんだということをある公共団体が考えたときの質問なんです。そのときに、これは余り好ましいことではない、自動車自体のエンジンの問題で解決すべきであるというようなことをおっしゃったやに聞いておる。そこで、いまこういうような問題に課税をしてきたということで、税体系の上からいったんでは、こういう公害、環境問題は自動車エンジンそのもので解決すべきものであって、こういった税体系で、税をかけて抑制すべき筋のものではないというようにぼくは認識しているのですけれども首藤さん、これは違うのでしょうか。
  141. 首藤堯

    首藤政府委員 私申し上げましたことは、税だけで公害対策をやっていけるというものではなくて、総合的に各種の直接規制でありますとか、エンジンの問題であるとか、こういうことも検討されるべきであるという意味で申し上げたつもりでございます。なお、当時御質問をいただきましたときは、ただいまの中公審の審議の最中のときでございまして、まだ暫定規制値も出ていない、そういう事態でございましたので、そういった中公審等の暫定値そのほかの基準が出ますと、またそれに応じた対策がいろいろとられるであろう、こういうことを含めまして申し上げたわけでございまして、税が絶対いけない、こういうつもりではございませんので、御理解いただきたいと思います。
  142. 小川新一郎

    小川(新)委員 確かにそのようなことをおっしゃったと思いますけれども、私はそのときの首藤さんの感覚は、確かに自動車税を三倍にするというような地方公共団体が独特にあらわれてきたんでは、これは非常に税体系を乱すんでいけないというような、その時分はまだ確かに中公審の排気ガスの暫定価に対する答申が出ていなかったということもあるけれども、本来はこれは余り好ましいようには聞かなかったんですね。ただ世の中がこう変わってまいりまして、確かに総合的に公害問題と取り組んでいかなければならないということで、地方公共団体がこういった政策の、税問題の先取りをするということに対して御批判があったように私は思ったんですけれども、その点はいまここで議論をしても、当時といまとまた状況が変わってきたから、私は何もこれに反対して言っているわけじゃないけれども、多少あなたの考え方の中にそういうものがあって、こういうものが全然起きなければ、地方公共団体独自で自動車税を増税するということになったらまずいということだったように思っていますが……。
  143. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほど申し上げましたように、税だけではむずかしいかろうという意味のことが私の本当の気持ちでございました。  それからもう一つは、中公審の基準も決まっておりません時代でございましたことと、したがって、あれは自動車税の三倍増加、こういうことでございましたので、まだ低公害車というものがたくさん出そろわない事態において高公害車に対して一種のペナルティー課税というようなかっこうでたくさん課税をされる、こういうこともいかがかという気持ちもございまして申し上げた次第でございます。将来の問題といたしまして、低公害車がたくさん出てまいりまして、なるたけこれを普及さしていくといったような事態から考えますときには、総量規制等の直接規制が行われますとともに、また税制もそれに対する応分の貢献ということは当然考えてしかるべきものであろう、そう思っております。
  144. 小川新一郎

    小川(新)委員 道路財源という性格を強く持たされている自動車関連税ですけれども大臣、ここが大事なことなんですがね。日本版マスキー法、俗に言う〇・二五グラム、一キロ走行自動車が窒素酸化物を〇・二五グラム以上出してはならない、これを決めたのは昭和四十七年の六月なんです。昭和三十九年の自動車排気ガスの長期計画のときにもうこの計画ができた。ところが、アメリカのマスキーという議員がアメリカのマスキー法をつくった。ところがアメリカは五年後退した。そのときに四十七年の時点では三木環境庁長官は、日本は後退しないんだ、こう発表しておりながら、昭和四十九年の六月に自動車工業会、要するに自工会のいろいろな調査、データを集めたときに後退を決定をした。それから約三年ですな。後退です。昭和五十一年は五十三年、二年ですか、五十三年から日本版マスキー法を実施するわけです。そうすると、暫定価に到達するまでに、いま申し上げました一トン以上の車は〇・八以上一・二まで、一トン以下の車は〇・六以下、これまでに暫定価を決めましょう。これが要するに昭和五十一年度排気ガスの規制です。暫定価なんですね。これは日本の道路事情や自動車事情、また日本という国はアメリカの三十分の一の面積の中で、国民は約三世帯に一台の割りで何らかのエンジンを持つ機動的な車を持っている。こういうときに日本版マスキー法がぜひ必要であるということは、自動車道路交通法規上、自動車取り締まりの警察の立場から言っても、また環境庁の問題から言っても、厚生省の保健の問題から言っても、またこれを実際に走らしている地方公共団体の財源から言っても、いろいろな面から言っても、日本の自動車の許容量というものが、ある程度来て、祝田橋あたりではわずか一キロ走るのに二十分も三十分もかかる、全くもって時速四キロしか進めないようなラッシュ、こういう中でまき散らされる排気ガスというものは大変なものだ。そういう中で日本版マスキー法が後退した時点においては、自動車の今回の税改正によって、低公害車と言われている各種自動車が昨年の四十九年度の生産台数に占める——昭和五十年度版をクリアしたものについては二%でしたか、物品税と自動車税を減税した。ところがその効果というものは一体出たのか、出ないのか。ところが昭和五十一年版の暫定価をクリアした車に対しても同じく二%、同じ比率でいくわけですから、私はまずここに、効果という問題を論じたときに非常に大きな疑問がある。そこで、いま日本版マスキー法が後退した現在、一体このような課税程度でもって自動車公害対策車が高公害自動車、既成の自動車とどれほどコストが違うんだという点をまず考えなくちゃいけない。そのコスト高と税金の減税された面とプラスマイナスして、ゼロになるのかマイナスになるのかによってお客さんは車の選択をするわけです、私の言っていることはおわかりになると思いますけれども。そうなってまいりますと、御存じのとおり、自動車というものは、昭和五十年版にするには、触媒方式という三つのクリーニング方式を加えないと、現在走っている一・二五から二・四というNOxの規制を縮めるわけにいかないのです。それをくっつけるには自動車の完成品に対する価格が相当上がるわけです。これに対して物品税幾らまける、これに対して自動車税幾ら下げるということでございますから、公害、無公害車については、当然販売価格の面でユーザーの私たちとしては価値のある方を選択するわけです。その辺のところを大臣はどのように把握されてこの法改正という問題を審議なさいましたか。それをまず聞きたい。
  145. 首藤堯

    首藤政府委員 若干数字のことがございますので、前もって私からお答え申し上げます。  今回の五十一年適合車に対します物品税と自動車取得税の減税でございますが、これはさしあたりの技術開発なり、五十一年適合車の生産を促進をする、こういう面でとられた措置であることは先生御案内のとおりでございまして、考え方の基礎は、五十年適合車から五十一年適合車に進歩いたしますのに必要な、余分にかかる経費でございますが、これを平均的にとらえてみますと、私ども聞いておりますのは四万円余り平均的にかかる、こう承っております。そこで、これを打ち消しますために物品税で減税をやり、それから自動車取得税で二%の減税をやるということになりますと、この平均減税額が四万九千円ほどになるわけでございます。そこで、平均的に考えて五十年規制車から五十一年規制車に移るためにコストがよけいかかります分を、物品税、取得税の両方でございますが、これでもって消し込む、こういうことをさしあたり措置としてとる。将来の問題は、また閣僚懇等の御審議によりまして、直接規制とあわせ、自動車税そのほかの他の税目もあわせてなお今後検討を続けていこう、こういうことであると承っております。
  146. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 五十一年規制の問題についてはただいま局長が申し述べたとおりでございますが、問題は、公害というものを皆でなくそうじゃないかという意識を強めたいという気持ちが一つは大きく働いているわけです。しかし、それにしても、幾らそういうことを推奨してみても、どうもこちらを買った方が得だということになると、消費者はなかなか言うことを聞きませんね。そういうことが税の問題で措置をした理由なんです。もっともこのごろテレビなんかで見ますと、低公害車を推薦するのに、かっこいい車に乗ろうじゃないか、なんというような表現でもって大いに宣伝をしている面もございます。しかし私は、かっこいいとかかっこ悪いとかという問題じゃなくて、やはり政治的に、みんなで低公害車を使用することによって公害をなくすることに協力してもらう、こういう意味努力をしていくべきではないか、かように考えているわけでございます。
  147. 小川新一郎

    小川(新)委員 だから私がいまくどくど言っていることは、四万円かかると言っているのですよ。実際はもっと安く上がるか高く上がるか私は自動車屋じゃないからわかりませんが、いまの統計を見ても四万円かかる。税金か四万九千円だ。九千円ぐらいでは低公害車よりも普通車の方へいく人もある。だから私が言うのは、大体現在の既成の車の中で〇・六、要するに一トン以下の車でコンマ六をクリアした車に対してはこれぐらいしてやる、暫定価、昭和五十年規制、五十一年規制のできない車にやや近いものに対してはこれぐらいする。しかも、〇・二五という、五十三年からやらなければならない日本版マスキー版に到達した車に近い車に対してはこのくらいにしてやるという格差というものがあってしかるべきだと私は思うのです。  いま低公害車でもって売り出されている車の種類、エンジンを首藤さん、知っていますか。
  148. 首藤堯

    首藤政府委員 五十年度規制におきましては、本田、三菱、東洋工業、この三社の車でございます。五十一年度の分につきましてはまだあれでございますが、秋ごろからこれに適合したものが年内に十五万台かそこらぐらいは出るのではなかろうかというように私ども承っております。
  149. 小川新一郎

    小川(新)委員 その新しい車のエンジンの名前、わかりますか。
  150. 福島深

    ○福島説明員 ちょっと技術的な問題でございますので、お答えさせていただきたいと思いますが、五十年度規制につきましては、御承知のように本田につきましてはシビックの系列でございますし、それから東洋工業につきましてはロータリーエンジンの系統の車でございます。  それで五十一年度規制につきましては、これはまだ運輸省の方の告示もございませんので、それによって判断をしなければいかぬわけでございますが、私どもの承っているところでは、東洋工業のロータリーエンジン関係の車のある特定のもの、それからシビックについては若干手を入れなければいかぬようでございますけれども、シビック系統につきましては、それに若干手を入れたものが五十一年度規制に適合し得るのではないかというような話は承っております。そういうようなものが五十年度から市場に出てまいりますので、大体それが先ほど局長が申しましたように、十五万台程度というふうに踏んでいるわけでございます。
  151. 小川新一郎

    小川(新)委員 五十一年規制というのは大幅に後退したのです。五十一年規制というのは正確に言うと、わかりますか。わかりますね。言ってみてください。
  152. 福島深

    ○福島説明員 先生の御質問の御趣旨は、恐らく〇・二五と比べてのお話だと思いますが、確かに御指摘のように、五十一年規制というのは暫定価でございますので、おっしゃいます意味からいたしますと後退をした数値ということになろうかと思います。
  153. 小川新一郎

    小川(新)委員 いま御答弁いただいたとおりですね。要するに五十一年規制の〇・二五というのはできないのだ。自動車業界では、まだできないから、五十一年からやれないから二年延ばしてくれ、五十三年からやろうじゃないか、それまでは規制を設ける、暫定値を設ける。その暫定値というのは、厳格に言えば五十一年規制じゃないんですね。〇・八五とか〇・六というのはあくまでも暫定値なんです。これは専門の自動車関係の方でいいですが、この暫定値にもう到達している車はどこなんですか。
  154. 富永孝雄

    ○富永説明員 先生ただいま御指摘の五十一年の暫定値に到達している車は何かということでございますが、先ほど自治省の方からお答えございましたように、五十年規制に先立ちまして、四十八年の開発促進税制の対象となっている車種が先ほど三つばかり挙げられたわけでございますけれども、大体現在の技術の開発状況から考えまして、この三つの車種しか恐らく五十一年の暫定値……(小川(新)委員「名前を挙げてください」と呼ぶ)本田、それから三菱、東洋工業、この三社の車でございます。それぞれロータリー、シビック、サーマルリアクター方式、そういった対策技術をとっているわけでございますけれども、それらの会社の車が恐らく対象となるであろうと考えておるわけであります。
  155. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は本当に不思議に思うことは、大企業であるトヨタ、日産が開発できないで、中クラスの会社の車が率先して開発している。これはもういつも私は疑問に思うことなんです。そしていま、そのシェアの過半を占めるトヨタ、日産の車が駆け込み生産をし、駆け込み販売をし、しかもいま言ったような税の優遇が、優遇ということはありませんが、全く四万円と四万九千円でわずかの差しかない。これでは、低公害車への国民の要求というものからほど遠い、環境庁や通産省や運輸省の、この自動車の排ガスに対する姿勢が後退したと言わねばならない。たとえば昭和四十九年の生産台数に占める低公害車が売れたのは何台ですか、五十年規制で結構ですけれども。何%ですか。
  156. 富永孝雄

    ○富永説明員 先ほど申し上げました三つの会社の車、これは五十年対策車ということで売り出されているわけでございますけれども、四十九年の九月末で税制の適用期限が切れております。したがいまして、四十九年度の上期だけの数字を申し上げますと、三万六千三百二十二台というものが五十年の開発促進税制の適用対象となっております。したがいまして生産台数に占める割合は、国内向けの乗用車約二百数十万台といたしますと、二%強ということではないかと思います。
  157. 小川新一郎

    小川(新)委員 私の調査では、四十八年六月から四十九年九月までの十六ヵ月間に販売された低公害車が六万四千二百五十台、全乗用車三百二十八万五千四百台中のわずか一・七%。これは税制が、それも適用期限が切れちゃって間がかくんと落ちちゃった、断層ができちゃった。だから私がこの前首藤さんにお聞きしたことは、低公害車というものを普及するには税金だけではだめなんだと言ったら、確かにそのとおりだ。これは総合的に勘案しなければいかぬですね。だけれどもいま言ったように、トヨタ、日産の大手は、この低公害開発車に対する意欲的な生産についてはいまだにあいまいもことして、昭和五十一年から行う日本版マスキー法を大幅に後退させ、自動車工業会の圧力に屈して、昭和四十九年六月に三木環境庁長官は前言を翻した。アメリカの環境保護局では、アメリカ版マスキー法を後退させた責任によって、環境保護局の長官は首になった、日本においては環境庁長官が総理大臣に昇格している、こういうばかげたことがある。日本とアメリカとは違うというのですか。私はアメリカの自動車に対するデータをいつも持ち出すのですが、自動車局長と私と年じゅうやり合っているから、もう私の顔を見るとNOxが来たなんて言っているけれども、それほど日本というものは自動車に対する———きょう自治大臣を責めているわけでも何でもないのですが、三木内閣の同じくクリーン福田と言われているあなたなんだから、どうしても言いたいのですけれども、ぜひ聞いてもらいたいことは、通産省でも環境庁でも運輸省でも、正式に省庁が自分のところでやるデータというものはないのですよ。大概は自動車工業会や自動車会社に委託したデータ、もしくは自動車会社のデータで〇・六だ、〇・八だ、一・二だということを審議している。アメリカはちゃんと環境保護局がデータを出す、それから、アメリカのアカデミーにおいてもこれを出している。そうすると自動車局長あたりは、米国方式モードだとか、日本とアメリカとはモードの仕方が違うのだ、試験の仕方が違うのだとおっしゃいますけれども、私はこのことをここでいま審議しているのではない、だからそのことは深く言いませんが、いま言ったように、この低公害車の税金問題をするには、四つの問題を私は提起したい。  一つは、いまの物品税、これは国税ですね、それから自動車取得税、これは府県税ですね、この二つだけではだめだということです。あと自動車保有税、それと問題の重量税、この四つに絡ませて、低公害開発車に対する政府の手厚い保護をまずしてあげる。しかし私は、これを先ほどおっしゃったように安くしてしまいますと、自動車はまたどんどんふえ、資源がなくなります。現時点のラインで、ここから上を高公害車に対する課税にする、このラインを引いて、このラインから低公害車の方を安くしてやるといつも自動車の販売台数はふえてしまいます。ここを最低限度にして、高公害車についてはこの上の課税をつける、そうすると自動車の生産台数に対する過剰生産はなくなるし、またいま言ったような、自動車問題に対して住民の感覚というものも、もっとかっこいい車なんということよりも、本当にもっと総合的な、生命と健康を守る、そして安全と快適な、自動車のメリットを生かせるような自動車産業というものに国民も協力できるというような事態になるのじゃないか、いまはもう自動車を利器とするよりも凶器として、デメリットとしての、大都市問題の財源をいかにしたら自動車税から取るかということで、自動車税三倍論というようなものが東京とかまたは広島に出てきているわけですね。そういうことを考えたときに、私はこのままではどうしても納得できない。どうせ私たちも審議するわけです、また提案なされたのですから、地方税法改正の中で、自動車の問題と低公害車に対する問題、そして地方公共団体の与えられた財源取得の、問題と地方財政の問題と、こういう大きな総合的視野に立って、もう一遍ひとつお考えをお聞きしたい。
  158. 首藤堯

    首藤政府委員 おっしゃっております事柄の趣旨、内容はもうまことによく理解ができます。実はことしの排出ガス関係に伴います税制改正におきましても、税制調査会でも御説のような議論が十分あったわけでございまして、結論的には、ただいまのところは、さしあたりの措置として五十一年暫定基準に適合する車の開発を促進をするというかっこうで、一応物品税と自動車取得税の取得課税だけに手がつけられましたが、将来の問題としては、ただいま御指摘いただきましたとおりのような趣旨で、やはり保有課税等についてもこれを考え直すという措置を考えるべきだという議論も十分あったのでございまして、そういう点を含めて、今後税制も、直接規制そのほかに付随をいたします一つの手段として、私どもは積極的に検討してまいりたい、こう考えております。
  159. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいま局長か申しましたとおり、私も、あなたの御意見を聞いておってまことにごもっともな御意見である、一つの見識であると考えております。したがって、今後の政策立案に当たりましては、十分尊重させていただきたいと思います。
  160. 小川新一郎

    小川(新)委員 大変ありがたい御答弁でございます。感謝いたしますが、もう一つ問題になるのは、いまのはあくまでも新しい車に対しての問題でございますね。そうすると、ここに七百万台から一千万台近い中古車の問題が出てくるわけですね。これは私はこの前の点火装置、自動車局長よく御存じの昭和四十九年でございましたか、いまの点火方式によるところの二・幾つかの規制が中古車に行われたときに問題になりました、この新しい今度の触媒方式とか、いまの一トン車における一・二以下〇・八までの暫定値、また〇・六、こういう問題について、いまも走っている高公害車の中古車について、これは問題が出てくると思うのでございます。これに対する課税方式、これはどうなんでございましょう。
  161. 首藤堯

    首藤政府委員 これも今後の検討課題になると思いますが、税制調査会等における議論経過におきましては、いわゆる使用経過車と申しますか、低公害でない車のことでございますが、これの保有課税について、やはりある程度の割り増し課税をするというようなこともあわせて検討をしてみるべきではないかといったような議論もあったわけでございまして、今後の検討の課題だと存じております。
  162. 小川新一郎

    小川(新)委員 政府は、いまのお話で、五十二年からの高公害車に対する自動車税の増税を考えていらっしゃいますが、広島県は低公害車の自動車税は減税し、高公害車は増税する、これは、いまのあれとは全く違うわけでございます。そういう独自の税制措置の検討を始めておりますが、その後、こういう問題について各都道府県、また市町村独自の条例改正などという動きが出てくるやもわからない状態でございます。これはいつも問題になる。首藤さんから言わせますと、どうも先走っているというようなことを言われるのですが、こういう問題、広島県の例等はその後どうなっておりますか。
  163. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘の広島県の案でございますが、いわゆる非適合車については一割増しの課税をする、適合車につきましては五割に減額をする、こういう措置でございます。この問題は、全国的に考えてみました場合には、ただいまも申し上げましたように、今後、早い機会に閣僚懇等におきましても今後の税制あり方、公害に対応する税制あり方といったようなことも結論が出ようかと思うのでございますが、もしそういったものが出ますならば、日本全国同じような基準でそういった税制をとっていくということが実効的にはより望ましかろうと考えておるわけであります。ただ、広島の場合は、そのような目的もありますとともに主目的は現在の財政状況にかんがみまして、特に交通関係や公害環境関係の目的財源的に使います財源が欲しい、こういう主目的もお持ちで一割の超課税をとる、こういうかっこうに、相なっておりますので、これはこれで広島県としては結構なことではなかろうかと思っております。なお、その他の府県についてこれと同じような措置をとるという例はまだ出てきておりません。
  164. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、これは大事なことでございますが、法律の範囲を超えて条例が先走ったような問題になってくる。広島県の例で言えば自動車増税ですね。皆さんが考えているよりももっと多額に取ったり、範囲を広げるということになっていくことは、地方団体の公益その他の理由により地方税法第六条第二項の「地方団体は、公益上その他の事由に因り必要がある場合においては、不均一の課税をすることができる。」とあり、また地方税法第百四十七条三項の、税率は、「自動車の種類によって更に区分することができる。」となっておるところから、環境保全は公益、公害発生の分は自動車の種類の範囲に入るという法解釈のもとで、他の都道府県がこれにならったときには、自治省としては何らクレームをつけることはございませんか。
  165. 首藤堯

    首藤政府委員 広島県の場合の課税あり方は、いまの六条の不均一課税方式というより、むしろ一条にございます標準税率超過課税でございますね。自動車税の税率は標準税率というかっこうになっておりますので、財政上の特別の必要があるときには標準税率超過課税をすることができる、こういう規定に基づいて一割アップをやる。それから、低公害車につきましてこれを減免をいたしますのは、これは公益上の理由ということで六条で減額をする、こういうかっこうをとられておるわけでありまして、そのことはそれで法律上違反をしない、そのとおりのことであろうと考えております。
  166. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、私が聞きたいのは、国が定めた自動車税の問題よりもさらに自動車税の拡大というもので、地方公共団体が独自の条例によってそれを徴収することについては、結構なんですか。
  167. 首藤堯

    首藤政府委員 超過課税方式を結局とることになろうかと思いますので、それであればそれは結構でございます。
  168. 小川新一郎

    小川(新)委員 ありがとうございました。それじゃその点はよく理解いたしましたが、先ほどの取得税、これは府県税、物品税、国税のみでなく、自動車税の府県税保有税及び自動車重量税は国税と、税収の四分の一は自動車重量譲与税として地方へ移譲しておりますが、この四種類の税の組み合わせの問題についても前向きにこれから御検討してくださるというふうに理解してよろしいですか。
  169. 首藤堯

    首藤政府委員 重量税につきましては、これは国税でございまして若干技術的な問題があるようでございますが、少なくとも、私どもの方としては保有課税である自動車税、これは含めて前向きに積極的に検討いたしたいと思っております。
  170. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、そのような方向で進めていただけるわけですか。
  171. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいま局長が申し上げましたとおりでございます。
  172. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは大分時間がたちましたので、次に土地の問題でちょっとお尋ねいたします。  土地譲渡所得の問題、まず質問に先立って、自治省から御答弁いただいたのですが、用地の先行取得の問題でわが党の北側君が質問いたしました。先行取得に関する法律に従って地方公共団体が土地の取得を行った。たまたま地価が下がって、国が買い上げるときにはそれはそのときの時価だ。そのことによって地方公共団体がその差益分について損をする。これについて大蔵省自治省との間に意見が相違しておるやに聞いておりますが、この税金を議論する前に、地方公共団体の土地の先行取得に関して、土地の値段の高低によって損失をした場合の地方公共団体の補償の問題について、国、大蔵省自治省の御意見をお聞きしたいのでございます。
  173. 松浦功

    ○松浦政府委員 形がどういう形でありましょうとも、国の了解あるいは国の依頼によって地方公共団体が本来国の機関等あるいは国の事業等に使う土地を実質立てかえというような形で取得している事例が非常に多いわけでございます。これにつきましては、この前公明党の先生から御指摘をいただきましたように、土地の価格が上がっておる間はこれはまことに問題はなかったわけでございますが、土地の価格が比較的安定をするあるいは下がるというような事態になりますと、自治省大蔵省との間で、そういう形で委託をいたしました土地は、取得価格に金利をつけました上で買うという規定があるにかかわらず、協定の中の括弧書きに、時価の方が低い場合は時価だ、こういうことが書いてあります。私どもの方から、具体的な事例は起こっておりませんが、協定の破棄を申し入れておったところであります。先般の御質問に対して、大蔵省とけんかをしても絶対に地方団体に損をさせるということはしない、私は言い切ったわけでございます。その後、そういったこともあったと思いますけれども大蔵省の方から、具体的にまだ事例が起きておらない、具体的な事例が起きた場合においても、地方団体に決して損をかけるようなことにはいたしません、したがって、大蔵省とえらいいさかいがあるようなことは余り国会答弁をしないようにというお話がございました。これは内幕でございます。実質的には、したがってどういう形で買い取るか、その問題はございましょうと思いますけれども、迷惑がかかりさえしなければ、自治省としては何ら言う筋合いがないのでございます。どういう形でやっていただくかについてはいずれ御相談があるかもしれませんけれども、私どもとしては、地方団体には絶対に損をかける心配はないという確約が大蔵省からとれたものというふうに理解をしております。
  174. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵省……。
  175. 大西正男

    大西委員長 大蔵省はいないそうです。
  176. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵省きょう呼んでおいたのですけれども、ちょっとあれでございますが、いまそういうふうに、自治省大蔵省がいさかいをしておるのではない、これはどんなことがあっても、ただ、事例がまだ起きてないから具体的にどういうふうにやるかということについてはないけれども、絶対に地方公共団体に——国の依頼によって先行取得した土地についての損失分については譲るところは譲ってもらわなければいかぬというような御意思に理解したわけでございます。  そこで、土地譲渡所得の分離課税の実態を見ますと、その高額所得者のほとんどが譲渡所得者であることはよく知られておる事実であります。そこで現行課税方式から総合課税方式に完全に切りかえた場合、これは現行税法ではございませんが、全国で所得税、道府県民税、市町村民税はどのぐらいふえるかというような試算は、自治省としてはしたことがございますか。
  177. 首藤堯

    首藤政府委員 全部総合課税をいたしました場合の試算はちょっといたしておりませんが、四十九年度で、現行税制のままでまいりました場合の土地の譲渡所得に対します住民税課税が二千七百五十億程度、それから、四分の三総合課税をいたしました場合の税が三千三百九十億程度でございますので、差し引きをいたしまして六百四十億でございますか、その程度の増になる、こういう計算はいたしております。
  178. 小川新一郎

    小川(新)委員 それは政府の税制調査会の課税方式の四分の三総合課税のやり方での問題でございましょうか。その方式によると、全国で所得税、道府県民税、市町村民税はどのぐらいになるでしょうか。これは政府の言っている税制調査会の課税方式でございますので、その試算は出ていると思いますが、いかがでございましょうか。
  179. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま申し上げました三千三百九十億という収入見込みは、今回の政府の税調でやりましたその方式による四分の三総合課税の場合の額でございます。
  180. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、現行税法から言っても大体二倍から三倍ぐらいにはなるのですか。
  181. 首藤堯

    首藤政府委員 全般的に申し上げますとそんなにはなりませんで、二千七百五十億に対して六百四十億ほどの増でございますから、二割五分か三割弱、そのぐらいの増収だと思います。
  182. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、いまのこれは政府の税制調査会でお出ししたものです。それでも六百何十億かふえているわけですね。これはそういう税制に、土地譲渡に関する税の体系を改めるお考えはいまのところございませんでしょうか。
  183. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 今度、いま申し上げましたような数字に改めることになっておるように承っております。
  184. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、いまのような六百何十億ですか、そのぐらいの増税にはなるということですか。
  185. 首藤堯

    首藤政府委員 五十年度すぐの増収ではございませんが、適用が、先生御案内のように五十二年度からになりますので、その暁にはそれだけの増収になる、増税になるという今度の改正提案でございます。
  186. 小川新一郎

    小川(新)委員 それは大臣、五十一年からはならないですか。五十二年じゃなければだめなのですか。
  187. 首藤堯

    首藤政府委員 これは国税との関連があるわけでございますが、国税は五十一年から実施でございます。うちは一年おくれでございますので、どうしてもやむを得ず五十二年度からになるわけでございます、前年所得課税ですから。
  188. 小川新一郎

    小川(新)委員 わかりました。これはちょっと、国税の方の関係がありますので……。  昭和四十四年度の土地税制改正によりまして、土地供給の促進等を目的として土地譲渡所得に対する分離課税制度が創設されたわけですが、これは所得税から分離し、保有期間五年以上の土地建物等を譲渡した場合の税率として、四十五年から四十六年が一〇%、四十七年から四十八年が一五%、四十九年—五十年が二〇%ですが、短期保有の場合は分離課税で譲渡所得の四〇%を課するというものでございますね。しかし、一般勤労者のための土地供給促進のためには余りならなくて、これがいままでの法人企業の土地の買い占めということにつながってしまったのですが、また、そうして個人から法人へ土地が動いただけであるということのみでなく、土地成金やその他の資産所得者の優遇税制税負担の不公平さということを生み出したわけです。勤労所得者との税負担の格差をますます増大させているということも一つの大きな例だと私は思っているのですが、税負担の公平を確保するためには、土地譲渡所得の分離課税の廃止を、これは国税の方ですが、一年以上おくらせる理由はない、私はこう思っているのですが、地方はそれからまた一年おくれるわけですね。これは見解として大臣、いま言った点はどうでございましょうかね。首をかしげてないでひとつお願いしたいのですが。
  189. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 これはもうすでに五十一年までは政府の方針として決めておりますので、私がいまここで意見を述べるべき筋合いではない、その後の問題については申し上げてもあれですが、もう決まっておるのをいま申し上げてもいたし方がないのじゃないかと思いますので、お許しを願います。
  190. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、私がちょっと勘違いしたようなあれになってしまった。したがって、ちょっとぼくの質問があれになったのですけれども、土地譲渡所得税制の改正を、分離課税の適用期限を待つまでもなくということで、昭和五十一年度からの実施を一年繰り上げて昭和五十年度から実施すべきであると思う、こういうふうに質問を訂正いたします。
  191. 首藤堯

    首藤政府委員 御説のようなお考え方はもちろんあろうかと思います。しかし、税制調査会でこの問題が不公平税制の是正の一つの代表選手として議論をされました場合、先生御案内のように、従前の分離課税の特例が五十一年度までの税制として一応既存の税制のかっこうになっておりますものですから、それの期限が切れる事態から、どう改正をするかという前提議論になりまして、その結果、従前の制度を残すことなく課税の増強に踏み切ろう、こういう結論に相なりました次第でございますので、その旨をお答えさせていただきたいと思います。
  192. 小川新一郎

    小川(新)委員 それじゃ、もう一つお尋ねいたしますが、保有課税としては一体何をどのようにこれから改正しようとされていますか、譲渡じゃなくて。
  193. 首藤堯

    首藤政府委員 保有課税の問題といたしましては、御案内の固定資産税の問題と、それから特別土地保有税の問題があるわけでございます。  特別土地保有税は、先生御案内のように、最近の事態に即しまして、緊急の用でないと思われる土地の取得やら保有に対して重課をするという方向で、いまやっと定着をしてまいりまして、進んでおるところでございます。  それから固定資産税の方につきましては、五十一年度に御案内の評価がえの時期が参りますので、これの評価がえを行いますことに伴いまして、負担の調整措置、そういったことも改めて今後じっくり検討しなければならない問題だ、こう考えて、これから取り組むべく準備をいたしておる段階でございます。
  194. 小川新一郎

    小川(新)委員 その事態はいますぐということより、前向きに取り組んでおるわけですから、その取り組んでいることが明快になるのはまだ相当先のことなんですか。
  195. 首藤堯

    首藤政府委員 土地の評価がえのやり方につきましては、現在いろいろスケジュールを組みまして仕事を進めておるところでございますが、いずれにいたしましても土地の評価がえの状況、結果と申しますか、そういった見通しを立てる必要がございますし、それとともに毎々御指摘をいただいております、たとえば小規模住宅用地等に対する税負担の変動をどのように調整をしていくかといったような問題も出てまいりますので、そういったものをあわせて検討いたしたい。時期的には秋ごろまではかかるのではないかと思っております。
  196. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、土地譲渡所得の総合課税方式及び政府案の四分の三課税方式のいずれの場合も、増収分の約八〇%は所得税すなわち国税として占められてしまいますが、国、地方を通ずる税源配分になっているこの問題を、われわれは国税収入と地方税収入とが五対五になるのが好ましいと主張しております。この土地譲渡所得課税強化機会に、国が土地譲渡所得税の収入総額の二分の一を地方交付税とは別に該当土地の所在する市町村の都道府県へ、仮称土地譲渡所得税交付金として交付するような考えを私どもは持っておるのでございますが、これは非常に税の根本問題に触れる問題でございますので、私ども考えとして御提言申し上げたいのですが、いかがでございましょうか。
  197. 首藤堯

    首藤政府委員 土地の譲渡所得につきまして、地方に譲与税制度を設けたらどうかという御提言でございますが、御指摘のように、これは一つには国、地方を通ずる税源配分あり方、それから財源措置のあり方、これとも関連をいたす問題であろうと思うわけであります。しかし、一般的に現行税制上の常識的な姿といたしましては、所得税のうち土地譲渡所得分だけを何らかのかっこうで譲与税化するというようなシステムをとりますことは、現行税制上はなかなかそれだけをこなすということは困難な問題ではなかろうかと考えております。
  198. 小川新一郎

    小川(新)委員 それではもう一つ私の考えを言いたいのでございますが、そういった問題ができない場合に、新たに土地譲渡に対する地方税の創設ということで具体的な提案をしたいと思います。  地方自治体生活環境整備のための財政支出を行ったことが資産所有者の地価の増大に大きく寄与していることは事実でありますね。したがって、この地価の増加に対して、土地譲渡の際、自治体との受益関係に着目して応分の負担を求める必要があると私は考えております。すなわち社会開発利益税というような名称で、たとえば市町村税として売った人から土地の譲渡価格の三%程度というものの新税を創設することが、地方財源確保と社会的不公平是正の立場からも必要ではないかと考えておりますが、これは行き過ぎた考え方でございましょうか。またこういう考えはどうでございましょうか。
  199. 首藤堯

    首藤政府委員 財源確保の方法論の一つとしてそのような考え方もあり得ようかと思います。しかし、これも具体的な問題といたしまして、土地の譲渡所得の増加分だけに対して新たな地方税を課することが、現行の税制等との関連で、さらに積み上げることが適当かどうか、可能かどうかというむずかしい問題も残ると思います。現在特に特別土地保有税におきましては、先生御案内のように新たな税制を設けまして、新たな保有それから取得に対して重課をするという制度をすでにとっておるところでございますので、いまの考え方といたしましては、国税のこの措置の改正に伴ってわが方も住民税について増収、増加が来る、こういうことでそれでよろしいのではなかろうか、そう考えております。
  200. 小川新一郎

    小川(新)委員 税金をいたずらに拡大して取るということが好ましいか好ましくないかということはいろいろ議論があると思いますが、ただ土地のある者とない者、それから資本主義の本当に爛熟した、きわめ尽くされたいまの時代において、いろいろといま社会的不公平をなくすという立場で、先ほどの自動車の問題、土地の問題、それからもう少しお話をしてみたいと思う電気ガス税というような問題も、私は違った角度から資本主義の爛熟期にある、大きなターニングポイントに差しかかっているいま、これはやはり洗い直しをやるべきだという考えを持っておるので、いまのような一つの提言を申し上げたのでございますが、政府としていま法案を出しているとき、地方税改正審議しているときに、新しい考え方を導入しようと言ってもこれはできないことは私もよく理解をしておりますけれども、そういった視野に立った上で、先ほど私が一例を引いた自動車の公害発生という問題を、税金によって抑えることだけが完璧でないという考え方から一歩前進して、税の持つ力、抑制力というものが、核の抑止力じゃありませんけれども、人間の生命と健康を守るという高度な、一つの中枢的な理論になるための一つの方法論として考えるということで、土地の譲渡所得税の総合課税の問題や、四分の三課税の問題の中におけるところの地方と国との税配分や、またいま言ったような開発利益税というようなものを取って、そこで社会の不公平さをなくすということが、いろいろといま議論されるのではないかという考え方に立って、私はいま提言したわけであります。  そこで、時間もありませんから、簡単に申し上げますと、去る三月十三日の福岡県大牟田市議会で特定企業の電気税非課税を定めた地方税法第四百八十九条第一項、第二項の規定は、地方自治体財源を枯渇させるもので憲法違反だとして、国家賠償法に基づき国を相手取った行政訴訟を起こすとの市側提案を、賛成多数で議会が可決したわけです。これは全国で初めての地方税に関する行政訴訟であると思うのでございますが、こういう問題は前々年の摂津訴訟、要するに超過負担におけるところの行政訴訟の問題と、質は異にしますが、全くその軌を同じくするものではないかと考えておりますが、こういう訴訟が起こった問題についての大臣のお考え方、御所見をまずお伺いしたいと思います。
  201. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御質問がどういう御趣旨か、ちょっと私意味をとりかねたのでありますが、行政訴訟を起こすことについての善悪のことならば、訴訟を起こすことは権限があるのですから、起こして悪いとは申せないと思います。ただ大牟田の問題において、こういうことはどうであろうかというお話でございますれば、われわれとしてはこれは裁判の問題ですから、裁判が決まらなければ、どう決まるべきかというようなことは言う筋合いのものではありませんけれども、われわれとしては電気税を非課税とする、その品目を順次なくしていくというやり方でやっておりますのは、一つはこれが地方の大きな税源になっておる面もありますし、またコストに占める問題もございまして、それらを勘案しながら措置をいたしておるのでありまして、順次これをなくしていくということについてはもう異議はございませんけれども、いまの段階において直ちにこれを全部措置してしまうという考えはないということでございます。
  202. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは摂津訴訟と全く——方公共団体が憲法第九十二条の地方自治の本旨に基づいて、地方税法及びそういった法律に従って地方のことは地方がやるのだ、その税源を賄うのであって、われわれの自主性に任せろということですね。ところが非課税措置によって、地方公共団体に入るべき金が入ってこない、国の法律によって自分たちは損をしているのだから、しかもこの非課税措置そのものが産業社会に及ぼす影響、こういう問題でコストや何かの面ではね返ってくる。また、産業を振興させなければならない昭和二十年代とはもうおおむね違ってきた。こういう中で、その製品に占める電気の五%ですか〇・五%ですか、その五%以下のものは課税するんだ、五%を超えているものはしないんだと。それはなぜかと言えば、そのことによって製品にはね返ってくるコスト高、それが大きく物価高に影響してくる。また、産業の育成に影響してくる。ということは、やはり昭和二十年代と四十年代とは多少違う。いまのような不況のときにこういう議論をすることは、また違った角度から御批判されるかもしれませんけれども地方公共団体の財源確保ということで、こういった行政訴訟にまで持ち込んで、しかもここは革新市長じゃないわけですね。保守の市長さんのところでさえもこういった問題が起きてきた。これがどういうふうに飛び火してくるかわかりませんけれども、こういう問題について、私はいま大臣の御見解を承ったわけでありますけれども昭和四十年度から四十九年度の合計で、国税の租税特別措置によるものが一兆八百億、地方税の非課税措置等によって一兆三千百七十七億、総額で二兆三千九百七十七億円減になっているわけです。このように、国は地方自治体の独自の課税権を一方的に、これは自主権だと私は思っておりますが、ないがしろにしてきたわけではないでしょうけれども、そういった行政訴訟に持ち込む一つの理由として、地方財政の危機は国の施策によって制度的につくられたものと言わざるを得ないというような感覚というような議論も成り立っているのではないかと思うわけです。国は、自治体にこういった押しつけた地方税の減税措置を、まずそういった面で考えなければならないと思うのですが、まずこういう考え方は、私の考え方が常軌を逸しているのか、不健全なのか、どうなんでしょうか。
  203. 首藤堯

    首藤政府委員 大牟田の訴訟の問題に関連をいたしまして、政策論的な考え方と、それから法律解釈によります考え方と二通りあろうかと思います。政策論議的な考え方では、現在、国の税法ないしは地方税法が決めております各種の非課税措置、これを私どもも、もう用なしになりましたものはできるだけ整理をしていきたい、こういう気持ちを持っておるわけでございまして、そういう観点から立法政策としてなるたけ非課税措置を整理をしていく、このことが望ましいということは私どももそのように考えておるわけでございます。  なお、非課税措置の中にはそういうものばかりではございませんで、やはり、たとえばマル優の貯金であるとか、こういったものもございますので、物々次第によってこれは検討を進めていくべき問題ではなかろうかと思っております。そういうことでございますので、私どもといたしましては、電気税の非課税措置もできるだけこれを整理いたしたいという基本的な考え方に立っているわけではございますが、今回は二十四品目の整理にとどまったのでございます。そのこと自身をつかまえまして、大牟田市が地方財源確保のために、なるたけ電気税の非課税措置を減らしてほしいと言われる気持ちはわかるのでございますが、このことを直ちに法律論として憲法に結びつけまして、憲法違反であるから国が補償をしろというかっこうになってまいりますと、いささか通説上は議論があろうかと思うわけでございます。憲法解釈はいろいろ学者さんで説はあると思いますけれども、現在の通説といたしましては、憲法九十二条に基づいて地方自治法及び地方税法の規定があり、それに基づいて地方課税権を持っている、こういう段取りになっているようでございまして、その意味では地方税法に、法律で規定をしてありますことに条例は従わざるを得ない、こういう仕掛けでございます。その点については、直ちにこれが憲法違反になるかどうかについては、これは若干私ども意見があるわけでございますが、これは訴訟の問題でございますから、それでけりをつけるべき問題ではなかろうか、こう思っております。
  204. 小川新一郎

    小川(新)委員 私も即そのまま憲法違反だとは言っているわけじゃないのです。これは、ぼくの質問はそう言っているわけじゃないと思います。だから、私もその点には非常に言葉を慎重に選択しているつもりでございますが、いずれにいたしましても、地方公共団体が、摂津にいたしましても大牟田にいたしましても、その種類は変わってはおりますが、こういう財政から端を発した行政訴訟が起きたということは、やはり一つの新しい時代の流れとして見るか、そういう住民の自意識というか、いろいろな面でいろいろな批判があると思いますが、あるということは御自覚いただかなければいかぬと思うんですね。これをそのまま、何だ、自治体が勝手にやっていることなんだ、おれたちはおれたちの言い分があるんだということになると、いまの地方財政議論だってそういう問題になって不毛の対立になっちゃうと思う。人件費の問題について、地方財政が傷められているのは人件費の高騰なんだ、何でもかんでも人件費だと言う側と、いや、そうじゃないのだ、超過負担や何かあるんだ、抜本的にやるんだという二つのことでいたずらに論争してみても地方財政がよくなるわけじゃない。私は、そういう中で政府の姿勢という問題が、指導的立場に立っている国家の姿の中に、そこに思いやりと寛容の中で財政というものを見きわめていく新しい地方と国との取り組み方の問題をいま指摘しているわけですから、どうかひとつよろしくお願いしたい。  そこで、いま二十四品目は、先ほど申しました五%以下のものだけなんですか、それとも五%を上回った、コストの問題にはね返る、どちらですか。
  205. 首藤堯

    首藤政府委員 原則として五%以下の見直しでございますが、それだけではございませんで、五%を超したものにつきましても、税額が小ちゃくて影響がごく少ないと目されるものも含めて整理をいたすことにいたしました。
  206. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは五%という非課税に対する現行基準を今後改める考えはないのでしょうか。たとえば一〇%とか一五%とかと基準を改めて、そこで洗い直しの線を、点検の線を定めて、そしてそれ以下のものは非課税措置をとる。しかし、まだその中で産業的ないろいろな分野においてこれは守ってあげなければならない、中小企業やそういった企業に対する圧迫になるということであるなら、また、それが非常に大衆の生活品目に関連するものであって製品にはね返ってくるというような問題は別といたしましても、いまの五%というものはもうそろそろ改正してもいいんじゃないかと私は思っております。いかがですか。
  207. 首藤堯

    首藤政府委員 正直に申し上げまして、私どもも原料課税となります基準の五%というパーセンテージを見直したいと実は思ったわけでございます。したがいまして、これを引き上げるべきだという案をつくりまして税制調査会等に御提案申し上げ、御論議をいただいたわけでございます。その結果といたしまして、やはり原料課税にわたらないようにするという基本観念から見た場合に、このパーセンテージの見直しということはどの程度にするのが適当かという点については、やはりずいぶん議論があるので、なお引き続きこれは検討すべきである、こういう御結論になりまして、そのままの率に終わったという経過をたどっております。したがいまして私どもとしては、できるだけこれは見直していきたいという気持ちは持っておるわけでございます。
  208. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、これはちょっと大きな問題でございますが、いま局長のお考えを聞いたのでございますが、大臣としてのお考えはいかがでございますか。
  209. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御案内のようにいま二十四品目あれしたわけですから、今後の問題として、局長が言ったように順次見直していきたい、こういう考え方は変わりはございません。
  210. 小川新一郎

    小川(新)委員 私が聞いているのは、それはそれとして、その見直す基準が五%の線を上回るか下回るかということの議論なんでございます。だからそのパーセントを上げるか上げないかということでいまお尋ねをしたわけでございます。
  211. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 五%でとるか品目でとるかということは、今後の税制調査会等で審議のときに十分検討していただきたいと思っております。
  212. 小川新一郎

    小川(新)委員 せっかく局長から前向きに御答弁いただいたのですけれども大臣答弁の方がちょっと後退しているように思うのですがね。これは大臣、先日の参考人意見の中にも、電気税の非課税措置というものは、戦後の経済の混乱期ならともかくとして、経済が現在のように大幅に伸びた時代には、このような措置は納得いかないと述べておった先生もありました。全く私、同感だと思うのです。電気税は昭和十七年、戦費の調達において緊急な要請に応ずるため国税として創設され、昭和二十一年一たん廃止されたわけです。それが昭和二十三年都道府県税として復活し、さらに昭和二十五年の地方税改正によって市町村の独立税に変更し今日に至っておる、こういうこともあるし、いま言った電気税の非課税の問題、これは先ほどから申し述べているように、基準資材の製品コストに占める電気料金の割合が五%以上となっている産業用電力の免税基準は五%ということなんです。だからこの五%は、いまの時代はもう昭和二十年代とは違うんだからもう少し上げて、一〇%なら一〇%を基準のラインとして、それを上回ったものについては非課税とし、それを下回ったものについては順次洗い直しをしていくべきではないかという質問に対して、局長は非常に前向きの答弁をなさったのですが、大臣はこれをまだ税制調査会の答申ということでお答えになって、前向きの御答弁をいただけなかった。それをいまぼくは指摘しているわけでございます。
  213. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 パーセンテージでとるのがいいのか、品目でとるのがいいのか、いわゆる税額でとるのがいいのか、いろいろの考え方があると思うのですよ。品目でとった場合でもパーセンテージは上がっていく場合もありますからね。金額でとった場合も同じです。だから、私は何も局長の言っていることを否定して答弁申し上げておるんじゃないのです。しかし、これはわれわれだけで決定はできないわけですね。いままでの経緯から見て税制調査会というものでやってもらうのですから、ここでどういうふうにするかということは余りはっきり言わない方がいいと思ったから、先ほどのようなことを申し上げたのです。結果において、品目が減っていけば実質的にはもちろんパーセンテージにも影響します。あるいはこれが一つ財源だという意味から言えば、税額で考えてみるという手もあるし、いろいろあるだろうと思うのです。そこいらはやはり税制調査会のあれに任しておいたらいいじゃないかということであって、局長の意見を否定したわけでもないし、あなたの御意見に反対したわけでもございません。
  214. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は一国の自治大臣としての見解を聞いているわけでございます。税制調査会の意見をいまここで聞いているわけじゃない。でありますので、品目でとるか、税率でとるか、パーセントでとるか、金額でとるかということを聞いているんじゃなくて、一つのラインが五%と決まっているわけです。その五%という線についてはどうかと一つ一つ問いただしているわけでございますが、大臣はそのように御答弁をなさったわけでございます。私は議事録をもう一遍よく読んで、この次にその御見解を聞くわけですが、大臣はよくぼくの質問を理解しなかったんじゃないかというふうに思うのです。税制調査会の方々の意見、それはもちろん大事です。だけれども大臣なんですから、局長さんのお答えになっていることも全く前向きに私はとれたのに、じゃ局長さんだって税制調査会のあれを待てばいいと答弁してもいいわけですから、やはり首藤税務局長としての見識をお答えになってはね返ってきたわけです。私は非常にその点は残念だと思うわけでございます。  いろいろとございますけれども、とにかくちょうど私の時間が参りましたからこれでやめますが、最後に言だけ、これはちょっと違うのでございますが、大臣の御見解を聞いておきたいと思います。  これは税制とは直接関連がないのですけれども、教員ベアの問題できょう新聞に出ておりましたから、一分間でも二分でも御答弁いただきたいのは、人材確保法に関連して、「自治省は十七日、人事院が教員給与の七%引き上げを勧告したのに伴い、都道府県人事委員会に対して「すでに国より高い給与を教員に支払っている都道府県では、国なみの水準とするよう配慮すべきだ」という異例の“給与引き下げ指導”をはじめた。」ということがけさの新聞に出ております。これは新聞でございますから、きょう確認だけとっておきたいのでございますが、人材確保法で先生方の給与が他の職種よりもよくなる、しかしその公共団体の人件費の中で国の給与よりも上回っているところにおいては配慮すべきだという異例の問題が出たと報道されておりますが、この実態はどうなんでございますか。
  215. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 詳しいことは局長から答弁いたさせますが、そのような方針でございます。ということは、超過負担等いろいろの問題もありますけれども、われわれとしては人件費の問題もこの際ひとつ考えてもらいたい、こういう考えを強く持っておりますので、すでにいままでによその地域と比較して非常な給与の増額を行っておるというようなところはこの際ひとつ配慮してもらいたい、こう申し上げておるわけであります。
  216. 松浦功

    ○松浦政府委員 きょうの新聞記事は恐らく給与課長の内簡の問題に絡めた記事ではないかというふうに私ども推測をいたしております。したがって、本来でございましたら行政局長がお答えすべきなのですが、行政局長が参っておりませんので私からお答え申し上げますが、御承知のように教員の給料表というものがあるわけでございますが、この給料表の運用につきまして、全国的に非常に運用短縮が行われております。数字を申し上げることはいかがと思いますので具体的なことは申し上げませんが、相当極端な運用が行われております。したがって、現在の給与のままで今度の勧告をそのままストレートに受け入れたとすると、一般職員とのバランスがまるっきり崩れてしまうわけでございます。それで教員がうんと高くなる、今度は一般職員がそれにつれてと、こういうことになりますと給与競争になって、いまでも容易でない事態だとわれわれは認識しておるのに大変なことになる。そこで、やはり国家公務員である教員についての給料表を人事委員会に勧告したわけでございますから、それに見合ったような形にしてほしい。いままでの運用をそのままにしておけば国家公務員たる教員よりもはるかに高いことになる、これはいけないよという趣旨の通達を先般出しております。そのことと絡めての記事であろうというふうに私ども考えますし、また、今後そういう方針で自治省としては、大臣からも御指摘がありましたように指導してまいりたい、こう考えております。
  217. 小川新一郎

    小川(新)委員 私どもの党といたしましても、人件費の問題は非常に注目して見ております。何でもかんでも無謀に高く出せばいいといって住民福祉を置き去りにするようなことは許されるべきでないことは了知しておりますが、自治体の財政運営というものは自治体の責任のもとに行われるべきものであり、給与行政については地方公務員法第二十四条第三項の規定の適用で、当該団体の職員の給与をどうするかは最終的には自治体の判断によって決定されるべきものであると私は理解しております。でありますから、これは常識の問題であり見識の問題であり、そのために議会があり監査があるわけでございますから、その自治体の財源の問題はその自治体が一番よく知っているわけでございまして、それは自治体本来に任すべき問題であると私ども思っておりますが、こういうような勧告というものが自主権の侵害に当たらないのかどうか、こういう心配もあるわけです。これは憲法九十二条の地方自治の本旨の問題とも絡めて私はお尋ねしているわけでございますから、いかがでございましょう。  これをもって質問を終わらせていただきます。
  218. 松浦功

    ○松浦政府委員 地方自治法に基づきまする指導、助言の権能は、そういうものに立脚をいたしまして地方財政が乱れないようにという配慮から通知を出しておるものであって、これは私どもとしては憲法違反などということでは全然ないと思っております。先生から御指摘をいただきましたように、給与につきまして地方公共団体が自主的に御決定をいただいて、それが常識から外れないものであれば私どもは何も申し上げるつもりはございません。ただ、地方団体が自主的に決定できるからといって勝手にお決めをいただいて、支出が多額になったから歳入が不足をする、それは国のせいだと何でも持ってこられるという傾向がございます。また、一部にはそれが赤字の原因になるというような事態も見られますので、そういうことであっては困るという趣旨で、私ども財政の乱れないようにということをお願いをいたしておるところでございます。
  219. 小川新一郎

    小川(新)委員 この問題になりますと、また時間をかけて議論するようになりますから、私の時間の範囲を超えておりますからもう申しませんけれども地方自治体も、財政局長が御心配になっている以上に、当該公共団体の人件費の問題や職種の問題や、なぜ人を必要とするのか、なぜそうならねばならないかという根源の問題にメスを入れないわけにはいかないという苦情を聞いておるわけですね。いずれにいたしましても、きょう私がこの問題を提起したということは、いまの地方財政の問題、地方税審議していく中において重大な絡みがあるのでお尋ねしたわけでございます。後日また意見等については申させていただきます。本日はどうもありがとうございました。
  220. 大西正男

    大西委員長 小濱新次君。
  221. 小濱新次

    ○小濱委員 関連しまして質疑の時間をいただきましたので、この際、料理飲食税などの税収問題にも関連がありますので、自治大臣並びに自治省、それから厚生省の方に順次御質問をしていきたい、こういうふうに思います。  神奈川県の湯の町、湯河原町に、春の観光シーズンを前に集団腸チフスが発生し、地元では大変な騒ぎとなっておるのでございます。急遽町役場に設置された厚生省、県、町の防疫対策本部で、飲料水、食べ物、接触など感染原因を現在探求しているわけでございますが、その並み並みならぬ御苦労に対しましては、私は心から感謝を申し上げておる次第でございます。  現在、熱海国立病院において検査の結果、これは三月十三日、四十歳の女性、三十一歳の男子、大人二人と、三歳の女子、三名であったわけですが、決定された真性患者数は、その後十四日に七名、十五日十三名、十六日三十名、十七日四十一名、けさの発表によると四十五名と、毎日増加をしているという状況でございます。なお疑似患者は三十一名で、合計七十六名となっているわけでございますが、本日は約三千五百名の地域住民の検便を行い、明十九日検査をするわけですが、患者数は相当ふえる見込みだ、こう言われておるわけでございます。  この点について、今後の対策ということと、それから四十九年度について厚生省の防疫法の三分の一の補助金というのがございますが、これを年度内にすぐに概算交付できないものかどうか、この問題について厚生省からまずお伺いをしたいと思います。
  222. 折田貞雄

    ○折田説明員 ただいま先生が御指摘になりましたように、神奈川県の湯河原町で腸チフスの発生がございました。その状況はいま先生が御説明しましたような患者の発生数でございますが、現在私どもといたしましては、まず患者の発見、それから患者の隔離、と同時にその周辺の消毒を行うということに重点を置いてやっております。患者の発見には、いま先生が御指摘になりましたような保菌者がおりますので、保菌者も含めた患者の発見に努めておる次第でございます。  さらに、並行いたしまして、われわれといたしましては疫学調査をやりまして原因の究明を図らなければならないということでやっております。御承知のように腸チフスというものは水または生鮮食料品に関連しまして起こるものでございますので、その面におきまして現在疫学調査を、専門家を中心に県及び市が現場で行っておるのでございます。私どもといたしましては、今後原因がわかり次第、それらに対するさらに強硬な、効果的な防疫対策を行いたいというふうに思っておる次第でございます。  これが防疫に関する問題でございますが、財政的な問題につきましては、先生が御指摘になりましたように、ただいまちょうど年度末でございますし、地方財政の逼迫している今日でございます。伝染病予防費の国庫負担につきましては、都道府県の支弁及び支出いたしました費用の二分の一を持つことになっておるわけでございまして、原則としていま申し上げましたように神奈川県が支出をしない経費に対してはその年に国庫負担をすることができないことになっております。しかしながら、私どもといたしましても神奈川県及び湯河原町においてどのような財政的な問題があるかということにつきまして詳しくわかりませんので、先般私どもといたしましては現地に技術指導あるいは技術援助のために行っていろいろ現場で指導してまいりましたが、いまの先生指摘財政問題につきましても、よく県並びに町に対する指導をして御心配の件がないように努めてまいりたい、そういうぐあいに思っております。
  223. 小濱新次

    ○小濱委員 防疫法で定められている国の補助率ですが、いま何と言いましたか。
  224. 折田貞雄

    ○折田説明員 二分の一です。
  225. 小濱新次

    ○小濱委員 その二分の一の国の支払い条件ですね、これはどういうふうになっておりましょうか。請求が出ればすぐに出るものなのか、そこに相当の期間が必要なのか。現地では相当に急いでいるわけですけれども、その条件についてお答えをいただきたいと思います。
  226. 折田貞雄

    ○折田説明員 湯河原町から請求が出てきまして、それから県がさらに国の方に請求してきましたものにつきまして、国がその二分の一を負担をするということでございます。したがいまして、それがおくれればおくれますし、できるだけ早く出すようにわれわれとしても努力いたしますが、相手が出てこないと出せない形になっております。
  227. 小濱新次

    ○小濱委員 市町村には直接交付はしない、県を通す。しからば、県に概算交付、概算払いをした例はあるかどうか、その点どうでしょうか。
  228. 折田貞雄

    ○折田説明員 そのような例は、ちょっと記憶にございません。
  229. 小濱新次

    ○小濱委員 厚生省が直接の担当であって、現地にドクターを送られて、大変防疫対策をやっておられることはよくわかるわけです。その対策がまず優先だというのですけれども、地元では立てかえ分、持ち出し分が非常に多いわけですね。ですから、概算払いというものの必要性ができてきているわけですが、厚生省の見解はなかなかむずかしいようでありますから、その程度で結構であります。  次は、ひとつ自治大臣及び財政局長に、そういうことでございますので、お尋ねをしていきたいと思います。  この総枠の国が三分の一、この補助金を年度内に金額が確定しなくても概算交付ができないものかどうか。いかがでしょう、局長ひとつ。
  230. 松浦功

    ○松浦政府委員 厚生省の伝染病予防費の問題でございますので、ちょっと私どもにお聞きいただいてもお答えできないのでございます。
  231. 小濱新次

    ○小濱委員 防疫法で三分の一、三分の一、三分の一になっているわけですね、国と県と地元ということで。財政局長にやはりよく御認識をいただきたいことは、いまの年度末というこういう時期に、地元が当初の予算の審議もできない、それを組み替えをやろうかどうか、補正を組もうかどうか、手持ちはないということでいろいろと予備費も支出をして、そして立てかえにまた立てかえをしているわけですけれども、そういう点で、地元からの要請がなければ県から国への要請は来ないということですから、したがって、それがいま行われていないということですけれども、地元ではてんやわんやで、いまその対策に毎日努力をしている、こういう状況になるわけですね。これはよく御存じのとおりであります。そういう点で、県の補助金が年度内に、金額の確定はしなくても概算交付ができないのかどうか聞いたわけですけれども、局長はいま、厚生省の関係だ、答える段階ではない、こういうことですからそれは仕方ありません。  そこで地元負担分ですね、三分の一については当面予備費で何とか賄うということで努力をしております。これは具体的には、患者の入院費は町の立てかえとなっているわけです。それから保険はきかないし、町は国及び県から補助金が届くまでは立てかえ払いをしていくという、こういう姿になっているわけです。毎日消毒用の薬品類、あるいは日曜返上で働く職員の手当、その他経済問題も起きているわけです。この経済問題についてはきょうは細かくは申し上げませんけれども、大変な内容があるわけです。  そこで財政局長にお尋ねをしていきたいと思いますが、先ほどお話ししましたように、現在よりも患者が年度内に順次毎日ふえているわけですけれども、こうした場合、四十九年度の予備費の支出では当然これは不可能となるわけですね。それでいまお尋ねしたけれども、はっきりとした御答弁がなかったけれども、相当の期間がかかって初めて、その地元からの全額の三分の一、県からまたその三分の一が上乗せされて地元に届けられるわけですけれども、それには相当の期間がかかるということ。したがって、現在小都市と言われる町で例のない、最近は少人数の腸チフスの発生はあったけれども、今回のような集団的な腸チフスの発生というものはなかったわけです。こういう事件を抱えて小都市という町の財政上非常に困却をしているという、この不足する金額について二点ばかり、これは財政局長にお尋ねしたいのですが、県から借り入れることができないかどうか、自治省としては起債その他で対処するよう援助することはできないかどうか、この二点についてお尋ねしたいのです。県から借り入れすることができないかどうかということについては、自治省から県に、これはそういう状況ですから話してくれるかどうか、この点についてはどうでしょう。お答えいただけましょうか。
  232. 松浦功

    ○松浦政府委員 どうも町の方が大きな集団発生にやや少しあわ食っておられるんじゃないかと思うのですが、こういう性格の大規模な集団発生が起きれば、議会が開会中でなくとも、当然必要な経費というものは全部専決処分でやってよろしいというのがたてまえでございます。予備費で全部賄おうなどということでは、むしろ予防体制が非常に立ちおくれるわけです。そういう意味では、どんどん新しく予算をつくってやっていただきたいというのが私ども考え方でございます。しかも、こういった経費は起債にそぐわないということは先生よく御承知のとおりでございます。したがってわれわれといたしましては、そういう形で防疫に遺漏のないようにどんどん専決でも何でも結構でございます、もうまさに専決に該当する条項でございますから、大いに予算を組んで万遺漏のないよう期してもらいたい。  その後の財源の問題でございますけれども、それは三分の一国が見、所定のものについては県が三分の一、それから地方が三分の一、こういうことになっているわけであります。地方については、私どもは特別交付税のこれは典型的な該当事項であるというふうに考えております。残念ながら、本年度は特別交付税を配ってしまいましてことしはございませんので、必ず五十年度の予算できっちり私の方は特別交付税財源措置をとるつもりでございます。財源の目当てがついている以上、それで予算を組まれましても、金か入ってくるのがおくれたとしても、後は一時の金の回しだけの問題でございますから、銀行からお借りいただくなり、銀行も貸してくれないということでございますれば、それは当省が政府資金のあっせんをやる、そういうことに乗り出しても結構でございます。  いずれにいたしましても、起債という問題でこの問題は片づけるべき問題ではないと思いますので、県の方にもいま申し上げたような趣旨で指導をし、これから発生してくるもの、あるいはこれ以上広がらないようにする対策、これには万遺漏なきを期すように、よく地方課を通じて御指導を申し上げてまいりたい、こう考えております。
  233. 小濱新次

    ○小濱委員 自治省のその指導方向というものがはっきりと示されたわけです。新しい予算を組んで専決予算としてもいいし、そういう方向で、もうちゅうちょできないんだ、その対策にまず、どういう形でもいいから、ある財源を使って対策を講ずるべきである、こういう方向づけというものをちょうだいいたしまして非常に力強く感じたわけでございますが、そこで、四十九年度の特交配分はもう残ってないという状態ですから、五十年度の特交でそれでは十分見てくれるんですね、いかがですか。
  234. 松浦功

    ○松浦政府委員 これは災害と同じものだと考えておりますので、私どもとしては、最も手厚く特別交付税で措置をすべきものの一つだと考えております。  ただ、何でもかんでも使った金を全部見るということをここでお約束しろと言われても、それは困りますけれども、これはやはり一定の基準があることでございますから、それに従って最大の手厚い配分考えるということをお約束申し上げます。
  235. 小濱新次

    ○小濱委員 ありがとうございました。よく理解できました。  そこで、最後に自治大臣にひとつお尋ねしておきたいのですが、たとえば一般論としてですが、年度末になって特交の配分が終わってから、三月二十七、八日ごろ、そういう時期にいろいろな事件が発生するおそれが、これはなきにしもあらずでございます。  そこで、今回のような事態が起こった場合の対策といたしまして、この一時借り入れなど、こういう問題の弾力的運用を当然検討すべきではないかというふうに、これは湯河原の問題だけではなくして、今後起こり得る一般の事件に対しての考え方をお尋ねしているわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
  236. 松浦功

    ○松浦政府委員 特別交付税は御承知のように二月に配っておりますが、配りました日の翌日から起こったものは、一年間分まとめて二月に払うわけでございます。だから、年度末であるとかどうとかという考え方は、私どもは持っておりません。一年以上たってから見るということは決して理論的にはあり得ないわけでございます。仮にそういたしましても非常に複雑な制度になりまするし、いま申し上げたように、仮に歳出を立ててやっておいていただければ、後で入ってくる金でございますから財政運営としては全く同じものだと思っております。もちろんそういうことができれば結構でございますけれども、かえって大蔵省または国庫金から特別会計に借り入れるというような操作をいたしますと、それの返還とかいろいろ法律的な問題も出てまいります。その辺を考えると、なかなかそういう措置をとることはむずかしいのではないかというふうに考えております。
  237. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に自治大臣に一言やはりお尋ねしなくちゃならないのですが、この前の当委員会で、地方自治体を守る、育成をする、そういう自治省の立場から自治大臣は、自治体に困ったことがあったならばどんなことでも遠慮なく相談に来いという発言をいただいている。今度の場合も、わずかな財源しか持たない小さな都市でこういう大きな事故が起こっているわけですから、当然その相談の対象になろうかと思うわけですけれども、そういうことのいわゆる窓口として、自治省がやはり懇切丁寧にめんどうを見てくれるかどうか、最後に大臣からお答えいただいて……。
  238. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 大変地方自治体に対して同情あるというか、好意的な御発言があったわけでございますが、局長が申し上げましたとおり、これはもし必要ならば専決処分でやっておいていただいて、そして、専決すれば幾ら金を出すということは決まるわけですから、それを地方の銀行その他が受け入れない、金がもう集まらないということになれば、これはわれわれの方でめんどうは見ますけれども、特交で見るというのはどうしても来年にならざるを得ません。でありますから、こういう事態につきましては、まあ専決処分というので対処するより以外にちょっと地方自治体としては——何もこの問題だけじゃなくて、いま先生が言われたのは、この問題だけじゃなく言われたと思うのでありますが、そういうものはやっておいて、そして必要なものは特交でめんどうを見ます。  それから、専決したけれども金が実際に手に入らないのだということであるならば、これは言ってこられれば、銀行になり何なりわれわれの方から指示してもいいし、場合によっては何らかの政府資金のめんどうを見るなり、それは適当な措置を講ずることにいたしたいと思います。
  239. 小濱新次

    ○小濱委員 ひとつ、局長の御答弁にもございましたけれども、なかなかいろいろと行政のすぐれた自治体もあろうし、また、大変周章ろうばいをしているという自治体も小都市ではあろうかと思いますが、どうかそういう点で、本当にいろいろと現地へ行きましてこの窮状というものを見聞きしてまいりましたので、いろいろとお尋ねをしたわけでございますが、今後よろしく御協力を賜りまするようにお願いして、私の質問を終わります。
  240. 大西正男

    大西委員長 これにて地方税法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  241. 大西正男

    大西委員長 本案に対して山本弥之助君、小濱新次君及び折小野良一君から、三党共同をもって修正案が提出されております。  この際、修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。山本弥之助君     ————————————— 地方税法の一部を改正する法律案に対する修正  案    〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  242. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案について、日本社会党、公明党、民社党を代表し、その提案の理由と内容の大要を御説明申し上げます。  地方財政は、不況とインフレの共存する中でかつてない深刻な危機に直面しております。貧困な自主財源、高度成長のもとでの中央集権化、インフレと不況による収支バランスの崩壊という構造的、財政的要因こそ今日の地方財政危機の真の原因であります。こうした原因による地方財政危機を打開する道は、国、地方の税財政を根本的に改め、自治体の自主財源強化するとともに財政自主権を保障する以外にありません。  しかしながら自民党政府の改正案は、こうした基本的課題に何ら触れていないばかりか、依然として大企業優遇税制に終始しております。われわれが長年要求してきた事業所税の創設については、法人事業税に制限税率を設けることの引きかえによるものであり、自治体の財政自主権を否定した新税の創設は、地方自治の本旨とは相入れないものであります。さらに個人住民税についても、課税最低限をわずか二十万円程度引き上げたにすぎず住民の税負担はますます過重なものとなっております。われわれは、自民党政府の不況インフレ政策のもとで増大する住民の税負担を軽減し、法人課税強化中心とする地方税源、とりわけ基礎的自治体である市町村財源強化を図り、もって憲法に保障する地方自治の本旨を達成するため、緊急に必要と認められる事項について所要の修正を行うこととしたのであります。  以下順を追って修正案の概要を御説明申し上げます。  その一は、個人住民税についてでありまして、基礎控除、配偶者控除、扶養控除をそれぞれ二十四万円に引き上げ、平年度の課税最低限を約百七十万円といたしております。  また障害者、寡婦等の非課税限度額を七十万円に引き上げるとともに、白色事業専従者控除限度額も六十万円に引き上げております。  次に、現行道府県税所得割税率を、低所得者との負担の均衡を図るため、税率を五段階に区分する超過累進税率制に改めることといたしております。  その二は、法人住民税についてであります。  大企業の都市への集中は、いまや集積の効果よりも、マイナスの効果を増大させ、地方自治体財政需要を急増させております。こうした大企業にある程度税負担を求めることは、きわめて当然であり、法人税割を道府県民税にあっては、五・六%、市町村民税にあっては、一五・五%といたしております。  第二は、事業税についてであります。  二重課税の性格を持つ事業税は、将来、撤廃すべきであり、当面、所得税を納付するに至らない者に対する個人事業税の解消を図るため、事業主控除を二百二十万円に引き上げることといたしております。  また中小事業者の負担軽減を図るため、白色申告者の専従者控除額を六十万円に引き上げることといたしております。  法人事業税については、自治体の財政自主権を保障する立場から制限税率を一四・四%といたしております。  第三は、料理飲食等消費税についてでありますが、インフレのもとでの物価の高騰に対処するため、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食の基礎控除を二千円、免税点を四千円、飲食店等における免税点を二千円、チケットごとの免税点を千円に引き上げております。  第四は、固定資産税についてでありますが、地価の高騰による異常とも言うべき個人住宅の固定資産税を引き下げるため、二百平方メートルまで昭和四十七年度の税額に据え置くことといたしております。  第五は、電気税でありますが、産業用の非課税措置については三年間の経過措置を設け廃止することといたしております。  第六は、事業所税でありますが、地域環境及び都市施設の整備のためすべての市町村が目的税として条例で課税することができるものとし、公益上必要があると認める場合、非課税措置、課税標準の特例について条例で定めることができることといたしております。  第七は、自動車取得税についてでありますが、自治体の道路目的財源強化するため税率を一〇%に引き上げることとし、排ガス規制適合車についてはリードタイム終了前六カ月までは五%といたしております。  以上の修正により、昭和五十年度においては、個人住民税等においては、二千五百五十七億円、事業税において百十四億円、料理飲食等消費税において百七十一億円、固定資産税において百七十九億円の減税となりますが、法人税割、道府県民税所得割の税率の改定、産業用電気の非課税措置の廃止、自動車取得税の引き上げなどによって四千二百十八億円の増収が見込まれますので、自動車取得税を市町村に交付した後の道府県においては八十七億円の減税、市町村においては一千二百八十四億円の増収が、それぞれ見込まれます。  以上が修正案の提案及び大要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  243. 大西正男

    大西委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。  修正案については、別に発言の申し出もありません。     —————————————
  244. 大西正男

    大西委員長 これより原案及び修正案を一括して討論を行います。  討論の申し出がありますので、これを許します。島田安夫君。
  245. 島田安夫

    ○島田(安)委員 私は自由民主党を代表して、政府提案の地方税法の一部を改正する法律案に賛成、同法案に対する日本社会党、公明党、及び民社党の三党共同提案による修正案に反対の討論を行おうとするものであります。  わが党は、従来から国民負担の軽減を図るため、毎年度できる限りの減税に格段の努力をいたしているところでありますが、明年度におきましても総需要抑制下における厳しい経済情勢の中にあって、国民生活を守り抜くため、かつてない昨年度の二兆円の大幅減税に引き続き、所得税及び住民税中心として減税を行う等の昭和五十年度税制改正大綱を定め、国民の前にこれを明らかにしているところであります。このうち、地方税につきましては、住民負担の軽減合理化を図るため、個人の住民税課税最低限の引き上げ、事業税の事業主控除額の引き上げ、料理飲食等消費税の免税点の引き上げ、ガス税の税率の引き下げ等を行うとともに、人口、企業の集中に伴い、大都市地域において増高する都市環境整備に必要な財政需要に対応するために、市町村の目的税として事業所税を創設することを重点として提唱いたしたのであります。  今回政府が提案されました地方税法改正案には、わが党が提唱いたしましたこれらの事項がその重点となっているのであります。  すなわち、政府提案によります地方税法改正法案の主な改正事項は、まず個人の住民税の減税であります。住民負担の軽減を図るため、昨年に引き続き基礎控除等の各種の所得控除額を引き上げた結果、個人の住民税課税最低限は、夫婦子二人の給与所得者で現在の百一万円が百二十一万円に引き上げられ、これによって初年度で四千四百億円に及ぶ大幅な減税をすることになるのであります。  次に、事業税についてであります。個人事業者の負担の軽減を図るため、事業主控除額を現在の百五十万円から百八十万円に引き上げております。今回、事業税に新たに制限税率を設けることといたしておりますが、これは都道府県の課税自主性と租税体系の秩序維持の調和を図るためのきわめて適正な措置であると考えます。  また、料理飲食等消費税の免税点を旅館においては一泊二千四百円から三千四百円に、飲食店においては千二百円から千七百円にそれぞれ引き上げ、また、ガス税の税率を四%から三%に引き下げることにより、大衆負担の軽減を図っているのであります。  自動者取得税におきましても、低公害車の開発及び普及を促進するため、いわゆる五十一年度規制適合車について軽減措置を講じております。  次に、今日、地方団体における財政需要はなお増高の一途をたどっております。これに対処するためには、地方税源、特に都市税源充実を図る必要がありますが、今回、大都市等における都市環境の整備に要する費用に充てるため、長年の懸案でありました市町村の目的税としての事業所税を創設することといたしております。  また、鉱泉浴場所在市町村におけるごみ・屎尿処理施設、消防施設等の整備の促進を図るため、入湯税の税率を百円に引き上げることとしているのであります。  以上のほか、産業用電気に係る電気税の非課税措置の整備合理化、外国貿易船に係る固定資産税の非課税措置の廃止等の措置を講じており、これらの内容は、地方財政の現状を勘案しつつ、各税を通じてできる限りの住民負担の軽減合理化を図るとともに、税負担の公平化に努められている努力の跡が見受けられるのであります。  もとより、わが国の経済が転換期に直面している現状にかんがみ、地方税源あり方については、地方財政の全般的な再検討とあわせて根本的に見直しをする必要があると存ずるのでありますが、以上申し上げましたとおり、今回の政府原案における税制改正の内容は、現段階においてはいずれも適切妥当なものと考え、政府原案に賛成、日本社会党、公明党及び民社党の三党共同提案による修正案に反対の意を表するものであります。(拍手)
  246. 大西正男

    大西委員長 小川省吾君。
  247. 小川省吾

    小川(省)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、二月の二十八日本委員会に提案、本日ただいままで審議を継続してまいりました地方税法の一部を改正する法律案の政府原案に対して反対、ただいま提案をされました日本社会党、公明党並びに民社党提案の修正案に対して賛成の立場に立って討論を進めてまいりたいと存じます。  まず総論として、いまだかつて経験したことのない、インフレと不況が共存をしているという異常な事態のもとで、財政危機にあえぎ苦しんでいる自治体、そのもとにある住民の期待にこたえるにはほど遠い改正案であるということ、現下今日の時点で地方税法改正に取り組もうとするならば、一方で事業所税等も取り入れた今日、もっと抜本的に自主財源強化に踏み切るべきであったというふうに思うわけであります。この期待にこたえているとは、どう考えても言いがたいと判断をされるわけであります。まず総論として私はそのように考えるわけであります。  以下、順を追って七点にわたって反対の理由を申し述べてまいりたいと存じます。  まず第一点として、課税最低限の設定でありますけれども、各種の人的控除をもっと大幅に引き上げて、少なくとも昭和四十九年度の所得税課税最低限までは当然引き上げて合わせていくべきであったと思うわけであります。税法のもとに、公平、平等であることは当然でありますが、最近特に税の負担感といいますか、税に対する恨みが地方税に集中的にあらわれてきておるわけであります。このことは所得税との課税最低限の相違の問題であり、少なくとも前年度所得税に見合う改正をするべきことは当然だというふうに考えるわけであります。  第二点といたしましては、道府県民税に関連をしてもう少し増収を期待していいのではないかというふうに考えるわけであります。昨年も指摘したわけでありますけれども所得割税率を二段階制にして、ずっとそのままにしておくという理由はないわけでありますし、当然、市町村民税の十三段階とまでは言わないけれども、少なくとも五段階程度には段階制を取り入れて、そして少なくともある程度の現行より以上の増収を期していくべきだというふうに考えます。また、均等割も当時設定をされた時代とは現在の時点では情勢も異なるわけでございますから、年額百円というふうにとどめておかなくてもよろしいのではないかというふうに考えるわけであります。  第三点といたしましては、法人税割税率を道府県、市町村とももっと引き上げて、地方の歳入を確保すべきだというふうに考えるわけであります。  次に、事業税に関連をするわけでありますけれども、個人の面では百八十万まで控除額を引き上げたわけでありますけれども、該当人員が大変少なくなってきておる現状でもありますし、これは道府県としても期待をしている税目ではなくなってきたというふうに判断をされるわけであります。こういう点はわが党が常々主張をいたしておりますように、個人事業税については撤廃に踏み切っていくべきではないかというふうに思っております。それから個人、法人とも制限税率を一・一にしたわけでありますが、改正するとするならばもう少し、少なくとも修正案程度には引き上げるべきだというのが反対の第四点の理由であります。  次に第五点といたしまして、昨年もこれまた指摘をいたしたわけでありますが、個人の住宅の用に供する固定資産等については、少なくとも二百平米程度については少なくとも四十七年度の税額に据え置いて、一般庶民の持ち家願望といいますか、そういうものに沿い得る状態に、住宅政策としても当然改正をしていくべきではないかというふうに考えるわけであります。  第六点といたしましては、事業所税を設けたことは評価されるわけでありますけれども、少なくとも地方団体の要望に沿い、都市的な環境整備を要する自治体が現在では非常に激増している状態でもありますので、そういう意味では課税団体を条例で定めるように当然すべきではなかったかというふうにも考えておりますし、少なくともこういう状態で課税団体を狭めてしまった、こういう点については私どもは反対であります。  それから非課税特例等についても、わが党の質問者が入れかわり指摘をいたしましたように、タクシーやバスとトラックとの関連でありますけれども、少なくとも現状の中ではバスの利用者も大変減ってきた、そういう状態の中でタクシーの占めておる、特に早朝なり深夜なりの補完的な問題は、大量輸送機関と何ら変わりのない状態になりますので、タクシーをバス、トラックと区別をする理由はないというふうに判断いたすからでございます。  最後に第七点といたしまして、電気税の非課税措置の廃止の問題であります。二十四品目を廃止したわけでございますが、わが党はかねがね指摘をいたしておりましたように、少なくとも大牟田等においても電気税非課税に対する訴訟も起きておりますように、地方自治体の要望は非常に強いわけでございます。そういう意味では、二十四品目にとどめずに大幅な廃止をして、全品目廃止に持っていくような方向改正をいたすべきであったというふうに思うわけでございます。  以上七点の重要な理由を挙げて、私どもは低成長時代に入って自治体財源の低下が固定化していこうという現状にありますので、この改正案は自治体や住民の期待にこたえるような、少なくとも五十年度における改正としては、どうも住民の期待あるいは自治体の期待とはほど遠いというふうに思うわけでございます。  以上、反対の理由の趣旨弁明といたします。(拍手)
  248. 大西正男

    大西委員長 三谷秀治君。
  249. 三谷秀治

    ○三谷委員 私は日本共産党・革新共同を代表して、政府提案に係ります地方税法の一部を改正する法律案に反対の意見を述べます。  改正案は第一に、インフレと不況に苦しむ国民に対してますます多くの税負担を求めようとしておることであります。個人住民税課税最低限は、改正によりまして標準家庭の場合年所得百二十一万円とされておりますが、所得税課税最低限との間に六十万円以上の大きな差が開くことになり、物価上昇や名目所得の上昇を考慮しますと、明らかに昨年以上に過酷な税負担となっており、大衆課税をさらに進めるものとなっております。税収見込みにおいては府県民税と市町村民税の伸び率は、均等割では個人住民税昭和四十九年度の対前年伸び率が一〇三%であるのに対して、昭和五十年度におきましては一一〇%と増加しておる反面、法人住民税は両年度とも一〇九%と横ばいとなっております。所得割においても個人住民税が一三六%から一二八%と若干の伸び率の抑制に対して、法人住民税は一四五%から一三〇%と大幅に伸び率が落ち込んでおります。結局のところ不況と総需要抑制政策によります法人関係の増収が期待できなかった分を、国民負担増に求めることで切り抜けようとしておることは明らかであります。  次に、政府が今回の改正案の中で唯一の目玉としております事業所税について見ますと、集積の利益を享受しながら逆に集積の不利益を生み出しておる企業に負担を求め、都市財源を補給しようとするこの税の基本性格は、質疑の中で政府みずからが明らかにしたところでありますが、この目的から見るときに、提案されております事業所税の内容は余りにも粗雑であると言わざるを得ません。  課税団体の制限、企業の活動を十分に捕捉できない課税標準の設定と非課税並びに特例措置など、前宣伝に比べて、税収見込みは平年度におきましてわずか六百億円余りというとんでもない内容になっております。とうてい都市の財政需要を満たし得るに足る財源を確保することはできないのであります。  わが党はこの事業所税の創設を早くから要求してきており、当然のことながら、この税の創設そのものに反対するものではありません。しかしこの税の創設が都市におけるさまざまな行政需要に十分にこたえ得るものにするように、中小企業に対する軽課措置とともに企業の実態に即した厳正な課税を行うよう強く要求するものであります。  改正案の中で特に問題になりますのは、法人事業税などにきわめて低い制限税率を設けたことであります。わが党は制限税率そのものに反対するものではありませんが、課税団体の自主的選択権を極端に制限する政府の税率設定は、課税自主権を大幅に制限するものでありますから、同意できないのであります。超過課税によりまして他に波及減収が生ずるのは、政府が事業税において所得課税を行っておるにもかかわらず損金算入扱いをしておるところに原因があるわけでありますから、今回の措置はまさに本末転倒の措置と言わなければなりません。  最後に指摘しなければなりませんのは、大企業に対する税の面でのさまざまな優遇措置の是正が問題になっておりますのに、依然として政府はこれを改めようとしていないことであります。  わが党などの追及によりまして、産業用電気税の非課税品目を、今回、わずか二十四品目に限って廃止しようとしておりますが、これは原価に占める電気料金の比率のいわゆる五%基準を変えようとするものではなく、当然廃止しなければならない、いわば遅過ぎた措置であります。  社会的な不公正の是正を主張して成立しました三木内閣成立後における初の地方税法改正は、実質的には国民にさらに過大な負担を強いるとともに、大企業に対する優遇措置を引き続いて維持しようとすることを基調とするものでありまして、また財政危機に陥っております自治体の財政措置も全く不十分なものとなっており、わが党はとうてい賛意を表することはできません。反対を表明するものであります。  次に、社会党、公明党、民社党提出の修正案について一言申し述べます。  三党の修正案は大筋におきましてはわが党の主張と一致するものであり、基本的には賛意を表するものでありますが、中小法人や個人の中小業者に与える影響及び自動車取得税の税率引き上げなどについてなお検討を要するものがあり、わが党としましては採決には加わらず棄権の態度をとることを表明します。  以上で討論を終ります。
  250. 大西正男

  251. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は公明党を代表して、ただいま議題となっております内閣提出に係る地方税法の一部を改正する法律案に反対し、社会党、公明党及び民社党の三党共同提案による修正案に賛成する立場で討論を行います。  以下その主な理由を申し述べます。  まず、国と地方との税源配分についてであります。  現行の地方財政自主財源が少なく、国のひもつきの補助金制度によってその財政運営自主性が損なわれております。これまでも、このような三割自治を打開するために、地方制度調査会及び当委員会の附帯決議など、たびたびにわたって国地方税源配分の適正化についての根本的対策を講ずるよう、強く指摘してきたにもかかわらず、今回の改正案にはその具体化がなされておりません。これが反対理由の第一であります。  次に、個人住民税についてであります。  今回の改正では、個人住民税課税最低限を百二十一万八千円に引き上げたとはいうものの、最近の諸物価の高騰などによって実質所得水準の低下を考えると、中、低所得者にはきわめて過酷な税となっております。したがって、住民税負担の軽減を図るために、さらに課税最低限を大幅に引き上げるべきであります。これが反対理由の第二であります。  次に、個人事業税についてであります。  わが党は、個人の事業税については、所得課税に対する二重課税であるとの観点から、その廃止を強く主張してまいりましたが、今回もこのような措置がとられず、政府提出改正では個人事業税の事業主控除を百八十万円に引き上げ、個人の白色申告者の専従者控除限度額を三十万円に引き上げたのみであります。個人事業税が廃止されないとすれば、最近の個人所得の上昇などから見て、その税負担を軽減するために、事業主控除、専従者控除限度額を大幅に引き上げるべきであります。これが反対理由の第三であります。  次に、法人事業税についてであります。  従来から、都道府県税に対する制限税率は、都道府県税の法人税割以外設けられず、地方団体の課税自主性か尊重されておりました。ところが昨年、東京都が法人事業税の超過課税を行ったことに端を発し、今回事業税に制限税率を設定しようとしているわけであります。それも東京都は昨年事業税の税率を一四%に引き上げておりますが、それを下回る十三・二%にしたことに対しては、報復措置と言われてもやむを得ないものであります。  われわれは必ずしも制限税率を設けることに反対するものではありませんが、少なくとも東京都の現状を認めるぐらいの温い配慮があってしかるべきです。制限税率の設定に対し、政府は租税体系の秩序維持及び法人の総合的な税負担の適正化を理由にしているが、この背景には事業税を損金算入していること自体に問題があることを認識しなければなりません。事業税に制限税率を設ける以前に、法人所得の計算において、事業税を損金算入にしないよう、税体系を改めるべきであります。  さらに事業税は現在、物税でありながら、所得課税の形態をとっております。そのために、欠損法人はわずかな法人均等割を負担するのみで、膨大な土地と多くの従業員を抱え、企業活動を行っていても、法人税はもちろん、法人税割及び事業税が課税されていないという不合理が生じております。  このような不合理を是正するため、従来から法人事業税を現在の所得課税から外形課税に改めるよう指摘されてきたにもかかわらず、その措置がとられておりません。これが反対理由の第四であります。  次は、事業所税についてであります。  今回、大都市財源充実のために事業所税地方税として設けられましたが、これは従来から地方側が強く要望してきたものが一応実現したわけであり、その創設に対しては賛意を表するものであります。しかし、今回の政府案では、指定都市並びに首都圏、近畿圏の既成市街地及び人口五十万以上の都市に限定されておりますが、他都市についてもこれらの大都市と同様、非常な財源不足を来しております。また、課税対象は床面積と従業員の給与を基準としているため、地方が期待していたような税収が見込まれておりません。したがって今後、課税対象に資本金、償却資産等を加えるとともに、課税団体の範囲を中小都市にも拡大し、税の充実を期するべきであります。これが反対理由の第五であります。  次に、自動車関係税についてであります。  自動車排気ガス規制は、国民の健康に係るものであり、最優先して行わなければなりませんが、政府は自動車排気ガス総量規制の五十一年度実施を、当初の予定を大幅に後退させております。そのために税制などの積極的活用によって補完的対策を講ずる必要があります。しかし、今回の政府案では、国税において物品税、地方税では自動車の取得税にわずかな格差をつけることによって規制及び誘導を行おうとしておりますが、これでは十分な効果は上がりません。十分な効果を上げるため、その他の自動車税等についても総合的に検討すべきでありますが、このような措置がとられておりません。これが反対理由の第六であります。  次には、電気税、ガス税についてであります。  従来から産業用電気に係る電気税は、産業優先の政策として、その非課税措置を抜本的に改めることを指摘してきました。しかし今回は、製品コストに占める割合が五%以下のものを整理したのみで、その姿勢は全く変わっておりません。このように、産業用に優遇措置をとりながら、一般家庭用の電気税、ガス税は依然撤廃しようとしておりません。特にガス税は、ほとんどが家庭用に課税されている現状であり、また同じ家庭用にしても、プロパンガスには課税されていないことなど、さらには電気税、ガス税の創設は戦時中軍費の調達にあったことなどを考えると、これら一般家庭用に係るものは即座に廃止すべきであります。これが反対理由の第七であります。  次は、租税特別措置についてであります。  現行の税制度では、国の租税特別措置によって、地方も影響を受ける仕組みになっております。本来、国の租税特別措置は国の要請に基づくものであり、これが地方に影響を及ぼすことは厳に慎まなければなりません。これまでもたびたびこのことを指摘してきたにもかかわらず、政府は一向に改める姿勢がうかがわれません。早急に国の租税特別措置が地方税へ及ぼす影響を遮断する措置を行うべきであります。これが反対理由であります。  以上でもって討論を終わります。(拍手)
  252. 大西正男

  253. 折小野良一

    ○折小野委員 私は、民社党を代表して、政府提案の地方税法の一部を改正する法律案に反対、三党共同提案の地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成の立場において討論をいたします。  政府案に対する反対の理由の一端を申し上げます。  まず第一は、事業税についてであります。  今回の改正案においては、標準税率の一・一倍の制限税率を採用しようというのでありますが、このことは特定団体の措置に対する対応策という色彩がきわめて濃厚でありまして、政府の態度として必ずしも適当であるとは考えられません。むしろ、許されたる不均一課税あるいは超過課税でありましても、それが他団体にマイナスの影響がある、すなわち、他団体の課税権を侵害するという税制について基本的に再検討すべきであります。  次には、新たに設けられました事業所税についてでありますが、この税は多年大都市が都市化のもたらす財政需要に対応する税源配分を要望してきたその期待にこたえるものでありますが、今日、都市化の現象はさらに広範囲に及んでいるのでありまして、課税団体の制限は公平を欠くものと言わざるを得ません。  さらに、今回の政府の改正案は、今日地方財政の危機が叫ばれておりますときに、地方財政の抜本的な改善にはほど遠いものがあります。また、かねて改善が要求されてまいりました諸問題について、電気税を中心にした非課税規定の整理が一部なされたにとどまり、基本的な諸問題につきましてはほとんどその解決を見るに至っておりません。これらの点につきまして、今回の改正案はまことに不満でございます。今後の前向きの改善への努力を期待いたしまして、討論といたします。(拍手)
  254. 大西正男

    大西委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  255. 大西正男

    大西委員長 これより採決いたします。  まず、山本弥之助君外二名提出の修正案を採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  256. 大西正男

    大西委員長 起立少数。よって修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  257. 大西正男

    大西委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  258. 大西正男

    大西委員長 ただいま議決いたしました法律案に対して、片岡清一君、佐藤敬治君、小濱新次君及び折小野良一君から、四党共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議の提出者から趣旨の説明を求めます。片岡清一君。
  259. 片岡清一

    ○片岡委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表いたしまして、地方税法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。    地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、低成長下にある国民経済の動向と地方財政の現状にかんがみ、地方税制あり方について根本的な検討を加えるとともに、次の点について善処すべきである。  一、国・地方を通ずる税源配分を再検討し、地方自主財源充実強化するよう努めること。  二、住民税については、引き続き、課税最低限の引上げ等の措置を講じ、住民の負担の軽減をはかること。  三、法人事業税の所得課税について、外形標準を導入する等再検討を加え、税負担の合理化をはかるよう努めること。  四、都市財源充実をはかるため、法人所得課税強化をはかるとともに、事業所税課税団体の範囲の拡大等について検討すること。  五、地方税における租税特別措置を再検討の上、その整理をはかるとともに、国税の租税特別措置による地方税への影響をしゃ断するよう努めること。  六、地方道路財源とくに市町村の道路財源充実をはかるため、必要な措置を講ずるよう努めること。  七、昭和五十一年度以降の固定資産税については、最近の地価の動向等を勘案して適正な評価替えを行うとともに、税負担について適切な配慮を加えること。    右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  260. 大西正男

    大西委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  261. 大西正男

    大西委員長 起立総員。よって、片岡清一君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福田自治大臣
  262. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
  263. 大西正男

    大西委員長 この際、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 大西正男

    大西委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  265. 大西正男

    大西委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十七分散会