○野間
委員 要するに、ソフトでうまみのあるものということのようですね。と同時に、ニコチンとかあるいはタールの緩和というかそういうことと関連あると思いますけれども、いろいろ本を読みますと、そういうことが書いてあります。
それで、その指定銘柄としてはセブンスターとかチェリーあるいはおおぞら、こういうものがありますけれども、いずれにしてもこのすべてがいわゆる上級
たばこであるわけですね。ここで、私がいま申し上げたもうかりさえすればいいのじゃないかということとの兼ね合いで聞くわけですが、いま単にマイルドという表現がありましたけれども、緩和でうまみのある
たばこということだけでなしに、経営のうまみがかなり緩和され、しかも消費者の嗜好を、高い
たばこを吸うような方向に誘導しておるというのがその実態ではなかろうかと思うのです。この四十八
年度の業務概況報告書によりますと、「数量
目標は達成したものの、育成銘柄の不振により利益
目標を達成しえず、市場における経営成果の実現に問題を残した。」こういう
指摘をしているわけですね。
つまり、このことから言えることは、育成銘柄が他の銘柄に比べて利益率が非常によいということ、こういうことを示しておると思うわけですね。ですから、利益率のよいこと、これが
一つの育成銘柄指定の条件になっているというのが公社のこういう
指摘の中にも出ておると私は思うのです。しかもいま申し上げたように、下級品と申しますか三級品にはこのような緩和な本格ブレンドした
たばこがないわけですね。ほとんどというか、すべてが上級
たばこ、高級
たばこ。おおぞらというのが八十円、これが辛うじて二級品で
一つあるということだけなんです。
しかも、それらの売り出しの
趣旨をいろいろ拾ってみますと、たとえばおおぞらについて言いますと、こういうふうに業務概況報告書にも書いてあるわけです。「緩和の本格ブレンド製品を中級価格群に投入し、中下級品喫煙層の転移を促して消費の量的、質的
水準の向上をはかる。」こういう記述があるわけですね。これは出ておりますから、そのとおり読んだわけですけれども、これを見てみましても、おおぞらそのものが、要するに中下級品の喫煙層をおおぞらの方にずっと引き連れていけ、これがねらいであるということが明らかに出ております。そして「量的、質的
水準の向上をはかる。」こういうことも書かれておるわけですね。
みねについては「チャコールフィルター製品(セブンスター)の
需要が旺盛なのにかんがみ、チャコールフィルター付の、本格ブレンド高級品を発売して、次期主力価格群の育成に資する。」こういうふうに書かれておるわけですね。つまり、このみねを次期の主力価格群——これは非常に高い
たばこですね。出すごとに高い
たばこを買うように買うように、ちゃんとこれは書いてあるわけですね。
さらに外国
たばこ、たとえばマールボロとかあるいはオールドスプレンダーですね。ライセンス商品と言われておりますけれども、これらについてもその
趣旨が「外国著名ブランドを、ライセンス製造販売し、消費し好の高級化、多様化傾向に応えるとともに、高級品市場育成の先駆的役割を期待する。」つまり、マールボロとかオールドスプレンダー、こういうものによって、ずっと高いところの市場を開拓して、そこにほうり込んでいく。
ですから、おおぞらにしてもあるいはみねにしても、これはその他ほとんどそうですけれども、指定銘柄というのは利益率を高くして、そして高いところに消費者の嗜好をずっと引き連れていく、こういうのが一連の
専売公社あるいは
大蔵省がとった方針の中で明らかに出ておるわけですね。しかも、いまはたとえばニコチンとかあるいはタールが健康に害があるということで、フィルターつきの緩和されたこういう味、これも
一つの指導をされて、しかもこういうところに消費者の嗜好がずっと移っておる。それに乗りまして、利益率の高い
たばこにどんどん国民を引き連れていく。
先ほどの概況報告書の中にもありましたけれども、数量は消化したけれども、しかしそのお目当ての銘柄品がこれは売れなくて利益がうまいぐあいにいかなかった、こういうことまで書いているわけですね。ですから、こういう点からしたら、やはり国民に高い
たばこを買わせて、そして利益の幅を上げていく。まさにこれは営利会社と同じような方針を立てておる、こう言っても私は過言じゃないと思うのですね。
こういう方針をどうしても変えなければならぬ。特にニコチンとかあるいはタールが少ない
たばこ、これは必ずしも、高級品あるいはおおぞらのような中級品と申しますか、これでできるものが、
大衆たばこ、つまり下級品でできないことはない。これをやらない。これはやはり国民軽視、
大衆軽視の
専売公社なり
大蔵省の方針だと私は思うのです。一体これらについてどういうふうに思われるのか、御見解を承りたいと思います。