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1975-05-28 第75回国会 衆議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年五月二十八日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 伊藤宗一郎君 理事 村山 達雄君    理事 山下 元利君 理事 山本 幸雄君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 増本 一彦君       越智 伊平君    大石 千八君       金子 一平君    鴨田 宗一君       小泉純一郎君    宮崎 茂一君       広瀬 秀吉君    松浦 利尚君       武藤 山治君    村山 喜一君       山中 吾郎君    横路 孝弘君       荒木  宏君    小林 政子君       坂口  力君    広沢 直樹君       内海  清君  出席政府委員         大蔵政務次官  森  美秀君         大蔵省主計局次         長       高橋  元君         大蔵省主税局長 中橋敬次郎君         運輸政務次官 小此木彦三郎君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君  委員外出席者         総理府人事局次         長       片山  充君         日本専売公社管         理調整本部職員         部長      後藤  正君         日本国有鉄道共         済事務局長   清水  晋君         日本電信電話公         社厚生局長   小沢 春雄君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 五月二十八日  辞任         補欠選任   山中 吾郎君     平林  剛君 同日  辞任         補欠選任   平林  剛君     山中 吾郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度以後における国家公務員共済組  合等からの年金の額の改定に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第四〇号)  昭和四十二年度以後における公共企業体職員等  共済組合法に規定する共済組合が支給する年金  の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等  共済組合法の一部を改正する法律案内閣提出  第五六号)      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
  3. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 両法案について若干の質問をしたいと思います。     〔委員長退席山下(元)委員長代理着席〕  最初に、これは大きい政治判断の問題だと思うので、森次官並びに小此木次官見解を聞きたいのですが、年金老後生活を保障するものである、これが国際的通念になりつつある、少なくともそういう方向を目指して設定されている。しかもILO百二号条約というようなものも、これはそういう方向を示しておると私は考えております。しかも、この国会ではずいぶん待たされた百二号条約批准案件が間もなく衆議院を通過する、これは恐らくこの国会で成立するのではないかと思うわけでありますが、そういう状態の中で、私どもはこの退職老齢年金というものが老後生活を保障する、こういうものでなければならぬと思うのでありますが、その点について両次官見解をまずお伺いいたしたい。
  4. 森美秀

    ○森(美)政府委員 ただいまの広瀬委員のお話でございますが、これは御承知のように昭和三十三年の審議会におきます国民年金制度に関する基本方策についての答申にもありますように、年金生活設計の有力なよりがかりだ、こう答申をしておりますが、私どもそう考えておるものでございます。最低生活を保障するということでなければ意味をなさないのだという考え方は行き過ぎだというような考えをしておるものでございます。
  5. 小此木彦三郎

    小此木政府委員 大体同様であります。
  6. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 日本経済高度成長をなし遂げて、今日は大変さま変わりの状況にはなっているけれども、少なくともGNP比較においては米ソに次いで第三位である、こういう状況には変わりない。それだけ国民の富の蓄積というか生産の実績を上げながら、経済発展を遂げながら、最も貧弱な部面が社会保障の問題であり、年金の問題である。特に年金の問題が先進諸国から見て見劣りがする、こういう状態に対して、いま見解を述べられたようなそういう態度を持っておる限り、これは福祉を目指す、成長型経済から新しい福祉型経済への移行ということを何ぼ口で言っても、その実証はないと言わなければならぬと思うのです。  そういう意味で、生活保障というものではないのだと言っておるけれども、すでに社会保障制度審議会なりあるいは公務員共済組合審議会というようなところで、老齢福祉年金ですらこれはもう社会保障的色彩というものが強まらざるを得ない今日の状況にあるのだということを意見として申し述べ、政府にその実行を迫ってきている、こういうようなことを考えて、たとえば最低生活を保障するものであるという概念規定がいまの段階でできないにしても、それに極力近づける、こういう考えであるかどうか、少なくともその辺のところの努力目標について政府決意をひとつ表明していただきたいというように思うのですが、いかがですか。
  7. 森美秀

    ○森(美)政府委員 この問題につきましては、やはり生活保護というのですか、その意味と違うのだという感じがするものでございます。先ほど申しましたように、最低生活を保障するということとはたてまえが違うと考えておるわけでございます。
  8. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 私はきょうは一時間くらいしか次の会議がありまして出られなしものですから、この問題ばかり論争しているとほかの問題を取り上げられませんから、いまの答弁は、これはまさに不誠意きわまるものであるという断定だけいたしまして、そういうことではなしに、ひとつもっと最低生活を、老後生活を保障するに足る年金制度実現のためにこれからも努力をする、少なくともこの程度のことだけでも言うならば、私は次の質問に移りたいと思うのですが、いかがですか。それすら答えられないですか。
  9. 森美秀

    ○森(美)政府委員 その問題につきましては、年金給付は、たとえば老人の扶養やあるいは老人医療サービスといったほかの社会保障制度と相まちまして、老後生活設計の有力なよりがかりにしようという努力、そしてまたその水準を引き上げようという努力は一生懸命しておるつもりでございます。
  10. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 なかなか私の質問の本旨に対してストレートにお答えにならない、そういう点で遺憾であります。この点はまた改めてやることで質問を保留しておきまして、別な機会にやりたいと思います。  次に伺いたいのは、年金改定昭和四十二年以来ずっと年々引き続いてやられてきておるわけであります。そこで、どういう基準年金改定をやるかということについては、公企体あるいは公務員共済両方でそれぞれ調整規定という、物価水準であるとか賃金水準であるとか消費生活水準であるとか、その他の経済情勢などを勘案してその改定を図っていくものであるという原則が示されておったわけですが、いま組合員、ざっくばらんに言えば被保険者、こういう立場からは賃金水準基準にして改定を図れという要求が非常に強く叫ばれてまいりました。そういう状況の中で、すでに厚生年金保険法では物価スライド物価基準にして改定をするということが法律上確定をいたしました。  四十二年以来ずっと年金改定をやってきた国共法、仮にそういうように略称いたしますが、国家公務員共済組合法あるいは地共法、その他の共済組合、こういうところでは昨年から賃金スライドと申しますか、賃金水準上昇に合わせた年金改定をやってきた。これはやはり私ども一つ皆さん方の卓見というべきか、あるいはよくそこまで来たということを評価するのにやぶさかではないわけであります。     〔山下(元)委員長代理退席委員長着席〕  ただその場合に、いままでのようにこれをずっと将来も続けていくためにはやはり法律改正を行うべきではないか。そうでないと、せっかくここまで来て年金受給者もやれやれと喜んでおる、そういう状態にあるけれども、しかし不安を持っているんですね。経済状態が悪くなると——いま現にそういう状況にあるわけですね、スタグフレーションという時代を迎えて、不況の中で物価が上がっていく。高度成長から低速、減速経済だ、あるいは低成長だと言われる。こういう中では、いつ何どきまた逆戻りする可能性がなきにしもあらずという非常な不安を持っているわけです。  この不安に対して、やはりこの際、少なくとも将来にわたって、いままでそういう形の中で一歩一歩積み上げながら到達したこの段階を後戻りさせない、こういう決意は当然当局として持っておられるだろうと思うのですが、この点についてひとつ方針を聞かせていただきたい。これは次長でよろしゅうございます。
  11. 高橋元

    高橋(元)政府委員 昭和四十二年に社会保障制度審議会から総理あての申し入れがありまして、年金実質価値を保証するために、いま広瀬先生からもおっしゃいました年金額改定についての通則というようなものを、各公的年金制度を通じて考えてみたらどうか、こういう御指摘がありました。それに基づきまして、四十六年から昨四十九年まで公的年金制度調整連絡会議で、いろいろ横断的に各公的年金制度を通じて検討を繰り返しておったわけでございます。  そこで、いま広瀬先生のおっしゃいましたように、年金たる給付の額については、国民生活水準国家公務員給与物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して速やかに改定措置を講ずる、そういう形で、できる限り共通基準方式改定を行っていった方がいいだろうということについては、御異論がなかったわけでございます。  しかし、厚生年金船員保険国民年金といった民間グループと、それから公務員グループでありますところの各共済、それから私学、農林、そういったようなものの間では、制度の目的、沿革、それぞれが違っておりますので、それぞれの年金もまた固有の体系を持っておる。そこで直ちに共通の具体的な性格を有する部分というのを引き出すのはむずかしい。と申しますのは、財源の調達方式それから負担区分、これは制度間においてそれぞれ異なっておりまして、直ちに一律に調整するということが適当でもないし、また、自身非常に困難な問題である。  そこで、私的民間グループ保険であります厚年国年といったようなものにつきましては物価スライドという形で、これは四十八年に制度化を見たわけでございます。公務員グループにつきまして物価スライドを導入するかどうかということで非常に検討がなされたわけでありますが、物価スライドの導入を急ぐことは適当でないのじゃないかという御意見、それから公務員グループ共済年金の中には、いわゆる恩給公務員期間に対応する年金部分というのがかなり含まれておりますから、恩給改善によって公務員共済年金が制約されるという部分がかなり大きい。恩給もまた非常に広い意味での社会保障と申しますか、そういう一般的な面を持っておりますので、どうしたらいいかということは結局結論を見なかったわけでございます。  そこで、先生おっしゃいますように、給与スライドということが恩給法との並びで四十八年に水準差の積み残しも補正するという形で改定が行われて、四十九年、五十年ということで今度現職公務員と同じ給与水準年金改定が行われるようになる、その機会にこれを制度化したらどうだという御提案でございますが、社会保険の中で公務員共済年金というものが持っております地位というものにつきましては少し掘り下げて考えてみる必要があるのではないか、そういう考え方があるわけでございます。  と申しますのは、恩給の、または旧令、旧法による共済年金の承継された制度である、そういう制約を持っておりますのは事実でございますけれども、次第次第に新法組合員期間というもののウエートが高くなってまいりまして、そうしますと全体の社会保障年金の中で、共済年金というのはいかなる位置づけになるかということについて、従来の恩給追随ということでいいのか、これは基本的な反省ではないかと思います。  現に昭和四十六年それから四十八年と二回にわたって国家公務員共済組合審議会からは、厚生年金たる部分と、それに上積みをされた企業年金的な部分公務員の職域ないし職務の特殊性ということに関連して上積みをする部分というものに分かって今後新しい共済組合制度というものを考えていったらどうだろう——これは長期の問題でございますから、八種類にのぼると言われております公的な年金制度全体を通じて考えなければならぬ問題でありまするし、そうなりますと、冒頭に申し上げておりました四十六年以来ずっと検討が進められてきた公的年金制度調整連絡会議というものだけでは力が及ばない、むしろ学識経験者を交えた非常に広い、広範な検討の場で審議をしていく必要があるということでございます。  一方、共済年金につきましては、先ほども申し上げたことの繰り返しになりますけれども、四十九年、五十年の改正でいわゆる恩給審議会方式によりますところの積み残し部分、一四・七%ですか、それを二ヵ年に分かって取り入れるという形の改正をやりました。これをもって共済年金実質価値保証の将来にわたる基準としていいかどうかということは今後に残された問題でございます。各公的年金共通実質価値保証と申しますか、恩給価値保証方式をどういうふうにやっていくか、これから総合的に検討したいと考えております。
  12. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これからの検討課題であるというのが結論的に答えられたことでありますが、恩給追随共済組合がその沿革の歴史から言いまして確かに恩給追随という面があったわけで、戦後三十年を経た今日、しかも、それぞれの共済組合がいわゆる新法として発足してからもう二十年たとうとして、すでに公企体共済のごときは二十年になんなんとしておるわけであります。そして間もなく公務員共済も二十年を迎えようとしておる。それだけの年月の間にかなり成熟度も増しておるしするわけですから、そういう点で恩給追随ということはどうかという反省は当然出てきていいことである。  ただし、われわれが考えているのは、新しい角度で社会保障的要素、特に年金における最低生活保障という考えを実現するためのその独立性というか、自主性というか、自立性というか、そういうものを考えるべきなんだ、こういう気持ちであったわけです。  ところが、ある意味においては、今日の景気の落ち込み、経済不況化という状況の中で、しかもそれを反映して財政における歳入欠陥が四十九年度から大変な問題になってきている。五十年度に至ってはさらにこれが大きく拡大するのではないか。こういう中で恩給追随を切っていくということをここでまた特に考えるということになると、この面では逆にそういう積極面が、自立性共済組合が持つべきであるという本来の趣旨から離れて、財政の方に合わせて、比較的おくれている厚生年金というようなところに合わせていってしまうというようなことになりはしないか。  そういう面では確かに、公務員共済組合審議会等におきましても、厚生年金相当部分に対する企業年金上積みしたものの水準というのが、公務員の勤務の特殊性それから公務員の特殊な身分、こういうようなものを考慮して、あるべき姿であるという方向は示されて、そういう方向というものを確認した上でのことで恩給追随から離れていこう、独立していこう、自立考えを打ち立てて共済組合あり方というものを根本的に考え直していこう、その基本にはそういうものが厳としてあるということは確認していいですね。
  13. 高橋元

    高橋(元)政府委員 共済組合から受け取ります年金、これを制度的に見ますと、全体の公的年金加入者が五千五百万の中で共済組合年金というのは五、六百万でございます。したがって、制度加入者全体を通じた公的年金制度充実ということを考えてまいりますときには、どうしても基幹になるところの厚生年金なり国民年金というものの制度がどう動いていくかということを見ながら共済制度について充実を図っていくという必要があるわけでございます。  そこで、少し話がそれましたのですが、先生がおっしゃいますような共済年金制度充実方向はどうか、それは先ほど私が御答弁申し上げたことですが、具体的には各共済組合から給付いたします年金の中で非常に金額の低い、低額部分につきまして最低保障制度充実していくという形でいままで各制度間のつり合いを保ってきた。しかも実質的に年金価値を保証するという考え方で進められてまいりました。  昨年の改正で、共済年金につきましてもいわゆる通算退職年金方式というものが取り入れられまして、それによりまして従前の低額年金については、大体六割のものが通算退職年金方式に切りかえることによって額の下支えができたということで、前進であったと思います。今後とも物価スライドによってそういうものが上がっていくわけでございますから、それによって年金の低い額の部分を持ち上げる、それによって年金充実を図るということで対応していくということであろうかと考えております。
  14. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういう基本的な検討が済むまでというか、当分の間、少なくともいわゆる賃金準拠現職者賃金上昇に見合った年金改定が行われるに至った、これは当分続く、こういうように理解してよろしいですね。
  15. 高橋元

    高橋(元)政府委員 先ほど来申し上げておりました現在の公務員給与に追随していくという方式は、恩給改善にならったものでございます。それが四十九年、五十年とそういう形で参りまして、五十一年以降どういう改善になるかということは、今後、五十一年度予算以降で検討すべきことであろうと私どもは思っております。したがって、そういうものを実質として今後とも続けるべきものと考えておるか、続けるのかという御質問でございますが、それらにつきましては五十一年度予算以降の問題ということでお答えを申し上げる以外にはないと思います。
  16. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういうのをいわゆる官僚答弁というのだよ。それでは年金改定は第一条の二の調整規定というものを受けてこれを基準にするんだということが法律上確定していないと、そのときそのときの財政事情というようなことの中でやるんだという答えに一応官僚的にはなるけれども、しかし、もうすでにこれは一種の言うならば既得権という形で、これからはもうわれわれの年金もこうしてくれるんだ、いままで物価上昇をカバーできないようなことになってきた、したがって実質価値はどんどん下がってきたんだということで非常に老後の不安な生活というものを訴えてきた人たちが幾らかほっとした、こういう段階で、それは五十一年度予算決定段階でしかわかりませんという言い方をするのは、老後生活をこの年金中心に営んでいる人たちにとって大変残酷な言い方なんですよ。少なくとも、当分の間ここまで来たものを逆戻りはさせないのだ、そういう方向であるべきだと思うのだけれども、両次官どうですか。
  17. 高橋元

    高橋(元)政府委員 共済年金実質価値を維持していく具体的なメルクマールと申しますか基準といたしまして、公務員給与スライドがいいのか物価スライドがいいのか、それ以外の価値基準があるのか、これは非常にむずかしい問題であろうかと思うのでございます。先ほどもちょっと申し上げましたように、物価スライドということについても国民年金厚生年金に取り入れられており、一部最低保障制度を通じて共済年金にも取り入れられているわけでございますが、これは制度化されてはおりますけれども、それについてもまだ問題が全くないとは言えない。  しかしながら、大多数を占める厚年国年というものにつきまして大体物価スライドがある中で、公務員年金でありますところの共済年金が今後ともずっと給与スライドということでいくべきかどうか。給与上昇率物価上昇率といずれが高いか低いかわかりませんけれども、そこで実質価値保証基準として給与スライドということを事実の問題として取り入れることがいいのかどうか、その辺の反省がなければならない、こう思うわけです。  それで、給与スライドを今後とも続けていくかどうかということにつきましては、五十一年度以降の改善を具体的に考える際に、諸般の問題点、要請というものを含めて総合的に考えてまいる以外にはないのではないかと思うわけでございます。
  18. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 行政仕組みから言えばそういうことになるんだけれども、しかし現実に共済年金中心相当数年金受給者がおるわけですね、こういう老人に対して先行き明るい気持ちを持って安心して生きられる、やはりそういうものを指し示していくということが政治だと思うのですよ。そういう中で、来年のことはかいもくわかりません、予算編成段階でということは、それは確かにいまの法律状況行政状況の中ではそういうことになるのだけれども、あなた方自身あり方としてどういう方向を目指しているんだということくらい、ここで来年それを逆戻りさせた方式に変えるというような考えはないのだということくらい言えなけば、これは共済組合法審議するに当たって一番重大な問題について問題が解明されない、こういうことになるのですよ。その辺は一体どうなんですか。
  19. 森美秀

    ○森(美)政府委員 ただいまの広瀬委員の御心配でございますが、そういうこともあろうかと存じますが、私どもといたしますと、共済組合審議会等を信頼いたしまして、その結論検討していくという仕組みになっておりますので、御懸念のことはあろうかと存じますが、私どもを御信頼いただきたい、こう考えております。
  20. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これはまあ森次官からやや安心しても可なりという心証を得た、こういうことでこの問題はこれで終わりますが、そういう方向でひとつ共済年金受給者が本当に安心して将来明るい希望を持ちながら老後生活を営める、そこをしっかり見きわめて、絶対後退することのないように措置をしていただきたいということを強く希望して、次の問題に移りたいと思います。  さて、この年金の問題でもう一つの重要な問題は、先ほど高橋次長からも答弁がありましたけれども、三年くらい前ですか、旧令、旧法適用者新法年金格差といいますか、こういうものは大体一四一七%ぐらいあるんだということで、四十九、五十年度にわたって七・三五%、六・八%ということで是正措置もとられ、また新法の中でも、新法当時退職した人と四十九年三月三十一日あたりに退職した人との格差というものもかなり広がっている、こういう問題も含めてこの是正措置が行われたわけでありますが、旧法年金受給者平均新法による年金受給者平均とをちょっと公務員それから三公社両方をお示しいただきたいと思います。
  21. 高橋元

    高橋(元)政府委員 国家公務員共済組合でございますが、連合会及びその他の組合を通じました全体のあれで申しますと、退職年金の一件当たり平均年金額は六十万一千円、これは四十八年度末、四十九年三月の数字でございます。  これに対して、その中が新法分旧法分に分かれておりまして、新法分が六十一万三千円、旧法分が二十五万九千円と相なっております。これは四十八年度末でございます。
  22. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 公企体の関係の数字を申し上げますと、これは四十九年十二月一日現在の数字で、予想でございますが、国鉄の数字を申し上げますと、新法年金の一人当たりの平均年金額は八十八万八千二百円、それから旧法年金につきましては三十八万六千四百円、平均いたしまして七十九万円というところになっております。
  23. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 旧法新法でいま数字が示されたわけですが、公務員の場合には、新法適用者の平均が一人六十一万三千円、これに対して、旧法は二十五万九千円、公企体では新法で八十八万八千二百円、旧法では三十八万六千四百円、こういうことになっております。  こう見てみますと、旧法人たちが三分の一とまでいかないにしても少なくとも半分にも遠く及ばない、そういう数字がはっきりするわけですね。これでいま旧法適用者は、大体七十歳を越えて、後何年生きられるであろうかという、そういう本当に人生における最後の年代を生きておるわけですが、しかもこの人たちは、やはり退職後は少なくとも年金で一人前の老後生活が保障されるのだということで、当時としては現在の掛金率というかこういうものと比較してほぼ同じかあるいはそれ以上の負担をしながら、そういう老後生活安定というものを期待しながら組合員であったわけなんです。そうして人生最後の段階において、今日のような異常なスタグフレーションの中で、生活が非常に困窮しながら惨めな生活を送らざるを得ないというところに来ているのじゃないか。この数字を見ても、裕福なゆとりある老後の幸せな暮らしなんということは、これは絶対言える数字ではないわけであります。  こういう状況に対して、古い年金受給者と、今日新規裁定ということになれば大体百二十五万円にも達するであろうというような数字も明らかになっている、そういうようなことを考え旧法適用者も概括して三割アップしたといたしましても、これは幾らのアップでもないわけでありまして、この差をどういう形で埋めていくのか、その方針をひとつ伺いたい。基本的にその点こういう乖離があるということを、少なくとも半分以下しかもらっていない、受給していないというこの状況をどう考え、どう温かい措置を配慮していくか。  この問題は非常に重要な問題でありまして、われわれが選挙区へ帰れば退職者の人たちから常々訴えられる最大の問題点である、そういうことを考えて、当局としてこの問題をどう処理していくのかという方針をひとつお示しいただきたい。
  24. 高橋元

    高橋(元)政府委員 旧法、旧令年金というものは官吏の恩給制度に相当する年金であったわけでございます。そこで、その算定の基礎というものが、退職時の俸給と公務員期間と申しますか、組合員期間というものの二つをよりどころとして算出をされてまいった。  旧法、旧令時代には、旧法の場合はそうではございませんが、旧令時代から年金期間を持っておられる方々につきましては、年金年限が非常に短い者があるわけであります。十年、十五年年金というものもございましてかなり短かったということが一つ指摘されるかと思います。それから戦前におきましては、公務員期間、組合員期間というのが平均しましてかなり短かった。そこで、支給される年金額が低くなっておるわけでございますが、恩給の場合でも同様に、二十三年に給与法が切りかえになりました以前の退職者の恩給というのが非常に低かったという問題がございまして、これは昭和二十七年以来、通し号俸四号引き上げるとかいろいろな措置を五回にわたって講じてまいりまして、その点はほぼ是正されてまいった。その事情は、旧法、旧令の年金につきましても同様であったかと思うわけでございます。  本年の改正でも、官吏の恩給にならいまして、年金額を来年の一月から三八・一%引き上げる。それから八十歳を超える年金受給者につきましては、最短年金年限を超える一年について俸給年額の三百分の一の割り増しをする、こういうことで年金額の引き上げをやっておるわけでございます。  旧令、旧法新法の退職者とで年金水準に差がある事情というのは最初に申し上げたようなことでありますし、それに対する是正状況につきましてもいま申し上げたのですが、さらに最低保障額というものを、後進組合につきましては通退年金方式に切りかえることによってこれで下支えを図って引き上げをしておる。しかしながら、三十三年または三十年以前の旧法退職者につきましては、通退年方式というものがないわけでございますから、大体通退年方式によりますところの退職金の最低基準に見合ったような恩給法の最低金額、今度お願いしております改正では四十二万円にしたいと思っておりますが、それを取り入れることによって、これは退職年金の最低保障額を引き上げるという形でバランスをとっておるということでございます。
  25. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いま方針を一応お聞きしたわけですけれども旧法、旧令時代に退職をされた人たちというのは、少なくとももう七十五歳程度かそれ以上になっているはずであります。それでも今日、まだ健康で生存されておられる方が非常に多いわけですよ。こういう人たちは、本当に人生の最後の段階においてこういう面から非常に苦しい生活をしている。そういう人たちはもはや働くこともできなくなっているということですから、特に通算退職年金方式による引き上げという可能性ももうすでにないわけですし、こういう人たちに対して当時の低い賃金に一定の倍率を掛けて是正をするというようなことはなかなかむずかしい段階に至っていると私は思うのです。これは事務処理も大変むずかしいことになる。  だから、そういうことになれば、やはり思い切って最低保障額を引き上げるような形、まあそういう中では在職時代の賃金のそれぞれの格差というようなことがすべてなくなってしまうということに若干の不満や抵抗があるいは出るかもしれないけれども、やはりもうここまで来ては最低保障額を思い切って引き上げていく。  公務員の場合に新法者が六十一万三千円、これに対して旧法者が二十五万九千円、こういうような者が少なくとも月五万円、まさに年金年額としてそれよりもやや低いぐらいということで月額五万円ぐらい、年額六十万円ぐらいまでいく。新法適用者はまたさらに急速に在職者の俸給引き上げ、賃金アップというようなことで増加をしていくわけでありますから、この格差はなかなか埋まらぬということになるわけですけれども、その辺のところを、少なくとも最低保障額を四十二万円程度というような低い額ではなしに、思い切って五万ないし六万というぐらいの線を目指して、やはり最低保障額でその面はカバーしていく。  こういうようなことにすれば、老夫婦で人生最後の幸せな安定した暮らしも保障される。こういうことに持っていかなければ、これは福祉国家が泣くものだと言わざるを得ないと思うのです。だから、そういう方向に本当に努力をするのかどうか、その辺のところの考えをただしておきたいと思うのです。
  26. 高橋元

    高橋(元)政府委員 旧令、旧法年金公的年金制度の中における位置づけから申しますと、これは恩給とパラレルという考え方になっておるわけでございます。つまり現行の新法国家公務員共済組合法施行前の公務員期間に対応する年金としては、旧法年金、旧令年金というものと官吏についての恩給というものは等しい計算方法でもございますし、等しい制度になっておるわけでございます。  そこで、御指摘のように、旧令、旧法年金についてだけ最低保障を飛躍的に引き上げるということは、現行の制度のたてまえからしまして非常に問題があろうかと思います。しかしながら、国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法の三条の二で先ほど申し上げましたような年金額改定の精神規定というものもあるわけでございますし、恩給についても同様の規定があるわけでございますから、できるだけ旧令、旧法年金受給者の最低水準については妥当な範囲での引き上げを行うということにしたいと考えております。
  27. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 昨年の附帯決議におきましても、この格差是正の問題については引き続き努力をしていくということがうたわれておるわけであります。今回もわれわれとしては少なくとも附帯決議等においてでも、それをさらに再確認をする意味でそういうことをしたいと考えておりますが、もうその点は措置済みであるというような感覚ではなしに、この激動する経済情勢生活水準の激変というような新しい時代に対応して、引き続いてその点の是正をしっかりやってもらうように強く要請をいたしておきます。  次に、年金財政の問題でありますが、時間も多くありませんのでやや焦点をしぼって、公共企業体の中でも特に国鉄の共済について財源問題を中心にして若干聞いておきたいと思うのです。  五十年度の予算概況があるわけですが、この中で収入が国鉄共済の場合に、昭和五十年度で一千九百十二億ばかり見込まれておる、支出がこれに対して千五百七十二億ということであります。この千五百七十二億はまあ給付と負担金ということでありますが、給付が九九%でありますけれども、これはいま審議をしております今回の法改正による年金上昇というものを全部見込んだ数字でありますか、このことをまずお伺いします。
  28. 清水晋

    ○清水説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいました五十年度の予算は、年初予算で編成いたしましたので、したがいまして、ただいま御審議いただいております年金改定等の数字は見込んでございません。
  29. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この法律が通ります、そうしますと、約二百七、八十億ふえるのではないかということを私ども目見当で推測するわけだけれども、どのくらいこの数字がふえますか。
  30. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 推定的な計算でございますが、約二百四十億程度でございます。
  31. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 二百四十億、そうしますと、掛金等について賃金上昇が何%というようなことを一応おいて、まあ収入の方はほぼ千九百億であると一応置いていきますと、これについても計算の基礎で若干違うかもしれないけれども、二百四十億ふえるということになりますと、収支がほとんどとんとんで、準備金への繰り入れのできる余地ということが非常に狭まってきているという状況を迎えておるわけです。  これはもう一九二〇年以来の日本でも一番成熟度の高い国鉄共済組合であります。年金受給者が発生してからでももう三十五年になっている、すでに五十五年も経過しているわけでありますから、最も成熟度の高い、年金受給者と在職者の人そろそろ切りそうだ、現職者が二人を切りそうだ、一・九八というようなことになる、こういう成熟度の高い状況で、そしてこの恩給から移行したときにも、整理資源というか追加費用というか、そういうようなものが一切遮断をされて出発をしているというようなことがあるわけであります。  そしてそれに続いて、今度は軍人期間の通算であるとかあるいは外国特殊法人勤務の年限の通算であるとか、あるいはたび重なる高度経済成長の中で物価値上げによるベースアップ、こういう問題など、いわゆる過去勤務債務というものが大変な数字になっている。過去勤務債務、これは要するに即責任準備金というものが大変な驚くべき数字に達している。昭和五十年度では四兆五千五百億に上るだろう、こう言われている、こういう状況であります。これはもうそういうもので、その内容は新法施行前の過去勤務債務から恩給公務員期間の吸収による増加、新法施行時の所要財源率改正による増加、年金改定による増加、ベースアップによる増加、軍人期間算入による増加、満鉄等外国特殊法人期間通算による増加、四十一年、四十六年の所要財源率改正による増加額、過去勤務債務の利息増加額、こういうようなものを全部足し合わせますと、先ほど申し上げたような大変な数字になる、こういうことであります。  これは本来、全部これだけのものがこれに見合って積み立てられなければならないということではないけれども、少なくとも過去勤務債務に見合う、予定利率五・五%が使われておるわけですが、これを予定利率四兆五千五百億で計算しても、利息分だけは確保されていなければ、やがて年金財源はその分だけ枯渇をする、支払い不能という事態が出るのだという、理論上は少なくともそうなるはずであります。その利息額は五・五%なら五・五%で計算しているのですから、それを計算しても少なくとも二千五百五十億ぐらいにはなるはずであります。  それに対して、国鉄の場合には追加費用を千分の五ずつ年々積み増しをしてきている、こういう状況でありますが、これが七百七十四億円ぐらいにしかならないということを聞いておるわけであります。そうしますと、この分に対する追加費用というようなものもこれはもう三分の一、過去勤務債務に対する少なくとも利息額に到達する目標というのは、現在昭和五十年度においても二千五百億程度になるのに、その三分の一以下の七百七十億程度だ、こういうことでは、これはまことにおかしな姿になってきているし、しかもこういう状況の中で現職者がどんどん減少をして、年金受給者は逆にどんどん急速にふえつつある、こういうようなことで、長期経理の本体でも少なくとも来年度あたりにはすでに収支が逆転をするという事態に直面している。そして追加費用は、少なくとも過去勤務債務の利息相当分に至るまでには一体何年かかるだろうか、恐らくこれはもう追いつけないだろう、いまの状況では永久に追いつけない、そういうような状態になっている。  しかも国鉄の財政、これは運賃収入を中心に運営されておるわけでありますが、まあ足らないところはみんな借金だ、こういう状況になっている。その債務負担がいまや著増をして、一日十五億以上の利払いを経営の面でしなければならぬという状況になっている。こういうようなことを考えましたら、これはどうもおかしいのではないかと言わざるを得ない。そして、しかも掛金率も一番高くなっている。これはもう収支計画策定審議会で、これ以上ふやすということはもはや限界に来ているという状況になっている。そういうもろもろの状況考えたら、これはもういわゆる年金経理としてこのまま放置していいのかということが、すでにこの審議会等からも指摘されて久しい。  そして、その点に対してことしの場合でも、社会保障制度審議会等でもその面についての大きな懸念と、それに対する政府の対策というものが要請されているという事態もあるわけです。こういうことを踏まえて、いま一番成熟度が高い国鉄年金でそういう危険な不安な状況を迎えるに至ったという状況に対して一体これをどう処理していくのか、この点についての御見解を承りたいと思うのです。これは運輸省の方から、まずその点の対策というか、基本的な考え方をただして、その後、国の責任の問題について、国の負担の問題について大蔵省にただしたいと思うのです。
  32. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 現在の国鉄共済組合財政再計算は、五年前に実は行っているのです。その時点におきまして計算をした段階では、大体昭和五十三年度ぐらいまではおおむね収入が支出を上回るというような想定をいたしました。それ以後かなりの長期にわたりまして赤字になるであろう、こういう想定をとっておるわけでございます。  これに対しまして、その後諸般の事情に大きな変化がございまして、ただいま先生が御指摘になりましたような支出の増という面から考えますと、かなり財政的には困難な情勢になっておるのではないかというふうに考えるわけでございますが、五年目に行っております収支計画策定審議会の開催を現在着々実行いたしておりまして、現実の財政状況と、それから将来にわたる財政の見通しというものにつきまして鋭意検討をいたしまして、大体七月、八月ぐらいにそれが結論が出されるということになっておりますので、私どもの方はその結論を待ちまして、共済制度の今後の方向につきまして十分に対応策を考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、現在どのような対策を講じようとしておるかということにつきましては、まだ具体的に申し上げる段階ではございません。
  33. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 清水局長に聞きますが、いま追加費用は、千分の幾つ積んでどれだけになっておりますか。
  34. 清水晋

    ○清水説明員 五十年度予算におきましては、千分の百六でございます。
  35. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この追加費用の積み立ても、三公社の中では国鉄は最大限にやっているのですね。いまのところ、担当省の運輸省としてもこの問題については相当頭を痛めているだろうと思うのですが、答弁はまことに内容がございませんけれども、いずれにしても大変な財政的な一つの危機状態を迎える。ことしはしのげるにしても、来年は収支が逆転するという状況になっている。そういう状態がこのまま続いたら大変だ。  それじゃ、掛金を無限に——無限にと言っても、もちろんそういう状況はとり得ないわけだけれども、少なくとも、現行でも日本共済組合制度の中で最も高率の掛金率に到達している国鉄のこの共済組合員に、これ以上の負担ということはもはや限界だという事態がある。それをもうどんどん無限にふやすのも一つの方法かもしれないけれども、そんなことはとり得るはずはないということになる。  それじゃ、企業としての日本国有鉄道が、追加費用の積立率をさらに倍増、三倍増して、そういう過去勤務債務であっても将来支払わなければならない、給付しなければならないものなんですから、そういうものに対しては少なくとも利息相当分が積み立てられて、そこで凍結をされるというような事態にまで一体どれだけかかるのかという見通しも立たない。  そして、国鉄の経営は御承知のように、もう最悪の状況に立ち至っている。そういう中で運賃収入だけに頼っている。運賃というのは何だと言えば、大体コストだということですけれども、そして共済組合社会保障だ、社会保障と言うからには、これは国の責任というものがその中でもう明確にされて、国の財政支出が行われなければならない。そうでなければ貫徹しないだろう。少なくとも共済組合法のたてまえで国の負担分は一五%である、そして、その残った八五%を労使双方で負担をしていく、折半負担をしていく、こういうたてまえできておるわけでありますが、少なくとも国鉄共済に対して、あるいはその他の公共企業体も同じでありますが、国は一五%の負担を税金でびた一文やったことがないわけであります。  そういうシステムになっておって、追加費用というようなことで、あるいは修正賦課方式だとかというようなことを言っておりますけれども、そういうようなことではもはやカバーできない状況に立ち至っている。こういう中で、本来の休眠しておった国の負担というものが、この段階で少なくとも厚生年金並みに国の一般財源から共済組合の支払い財源に充てるために二〇%というようなものが確保されなければならない時期に来ておる。これでようやく共済組合も、これは社会保障である、そして国の責任がそういう形で明確になった、こういうことになるであろうと思うのです。  その辺のところについて、一体、国はそういう方向でやる気があるのかないのか。このピンチに瀕しておる国鉄の経営、そして運賃はコスト主義だというそういう理念的な問題も含めて、そういうコスト分に社会保障の国が本来行うべきものを突っ込んで、それで国鉄自体だけに財源措置を強制していくというようなことは、もはやできない相談になっておる。そういう状況を迎えておる。これに対して国の責任、大蔵省の責任をどう考え、どう対処しておられるのか、この点を聞きたいと思います。
  36. 高橋元

    高橋(元)政府委員 広瀬委員から御指摘のありました過去勤務債務が非常に大きな金額になっておるということは、私ども実情をつまびらかにいたしておりませんが、観念的に申しますと、その中は二つのものに分けられるだろう。一つはいわゆる整理資源でございましょう。もう一つは、現在組合員の、たとえば給与改定等によって将来生ずるであろうところの給付の増に対応する過去勤務債務。  それで、公企体共済組合法施行前の恩給公務員期間等にかかる部分、いわゆる整理資源、これにつきましては、事業主としての公企体が負担をする。それから新法施行後の組合員期間にかかる分につきましては、いわゆる三者分担と申しますか、公経済主体としての公企体と、事業主としての公企体、それから組合員、この三者がそれぞれ分担をする。それが共済制度における基本的な考え方でございます。  公企体の職員にかかる公経済主体分の負担というものを一般会計から繰り入れるべきではないかということ、これはもう前回の御質疑でもありましたけれども、これは公共企業体が発足いたしましたときのいきさつからと申しますか、その考え方と申しますのは、従前国の事業であったものを公共企業体に移した。したがって、公共企業体は国のいわば一種の権力と申しますか、そういうものをバックにして独占的な事業を円滑に運営なさる制度だ。そういうことになりますと、公企体の職員に対して社会保障的な意味での年金の支払いを円滑にやっていくということにつきましても、やはり公共企業体が公経済主体としての地位にお立ちになるべきではないか。そのことは、地方公務員についても同様であろうというのが現在の制度基本でございます。  それで、過去勤務債務のうち整理資源に当たる部分の繰り入ればどうか。これは国鉄共済組合及び国有鉄道のそれぞれの財政状況でやっておられると思いますが、私どもの承っておるところでは、収支計画策定委員会ですか、そこの御方針で、整理資源の繰入額の累計額が追加費用発生額の累計額に達するまでだんだん繰り入れ率を上げていくという形で、過去の部分は逐次解消をなさっておられるところだと伺っております。  それから、前向きの部分につきましては、五十一年度の財政再計算の問題ではないかというふうに考えておるわけでございますが、ここで一五%の国庫の負担分というものを引き上げるべきだという先ほど先生の御指摘について、私ども考えを申し上げておきたいと思うわけでございます。  現在、国家公務員等の共済組合の長期給付費用の国の公的負担割合というものが一五%であることは御指摘のとおりでございますが、それを厚年並みの二〇にしたらどうかということでございますけれども、これは両者の年金給付水準というものを考えていただく必要があるのではないかと思います。  厚生年金の二一・八%スライド後ではじきますと、厚生年金年金給付というのは約八万一千円くらいになろうかと思います。それから国家公務員の本年、いま御審議をいただいております法律施行後の年金水準は十万四千円というふうにはじかれる。私がこの前の委員会で年額百二十五万と申し上げておりましたのはこの数字でございます。十万四千円と八万一千円の格差があるわけでございますから約八割ということになるわけでございますけれども、支給開始年齢が国共済の場合それから公企体共済の場合いずれも五十五歳になっておりまして、厚年の六十歳に比べて五年間早く年金を受け取れるという制度でございますから、その点を修正いたしますと、大体共済年金給付水準を一〇〇とすると厚年は六〇ということになろうかと思うわけでございます。  そこで、厚年の国庫負担率が二〇%であるというのは、国共済に置き直して考えてみますと、一二%くらいのものを国が負担をしておる、公経済主体として負担をしておるということに相なろうかと思います。  ちなみに、受給者一人当たりの国庫負担額にそれを引き直して申し上げますと、国共済連合会一般組合員の場合に一人当たりの国庫負担額は、年金額百二十四万八千円に対して十八万七千円、一五%負担としてそうなります。厚年の場合には十七万一千百二十円、これは二十七年組合員期間を持った男子の組合員の場合でございますが、モデル計算をいたしますとそうなります。現在の一五%の国庫負担率のもとでも厚生年金に比べて遜色のないと申しますか、むしろ厚い国庫負担を共済組合にはしているのではないかというふうに私ども考えております。
  37. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いま数字を示されたわけだけれども、一体、国鉄共済組合に対してあるいは三公社の公企体共済に対して、どういう形で国庫は負担しておりますか。
  38. 高橋元

    高橋(元)政府委員 現行の公企体共済法では、費用負担について二つの規定が設けられておるわけでございます。  その一つ新法期間に対応するもので、これにつきましては長期給付に要する費用の百分の五七・五は公企体が持つという形になりまして、残りの四二・五%は掛金負担になっております。  それから、整理資源につきましては同法の附則に規定がございまして、経過措置に伴う費用負担は、つまり更新組合員新法前の期間に対応する「組合の追加費用は、公共企業体が負担する。」というたてまえになっております。したがいまして、国が国家公務員について行っておりますところの事業主負担及び公経済主体負担というものは、公企体の場合にはいずれも公企体が負担をしておるというのが現行の制度でございます。
  39. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ごらんなさい、公企体がみんな負担しているじゃないですか。そういう答弁では、理解が私どもと全く食い違うわけで、少なくとももう給付そのものがやり得ない状況、二、三年先にはそういう事態にまで立ち至る。まだ四千四百億ぐらいの準備金もありますから、それを取り崩しながらいけば何年かはもつであろう、しかしそれから先はかいもく見当がつかない状況になるではないか。  そういう現況にありながら、国は一般財源から給付費に対して一五%を出していない。いま法律上は少なくとも一五%は国の負担ということをたてまえにしてこの法律が構成されているわけですね、条文で国は一五%負担しますということが明確に明示されていないにしても、それを前提にしてこの法律ができ上がっているわけですね。ところが、その一五%に見合うものを共済組合に出していない。こういうことが今日現実だと思うのですよ。少なくともそういうたてまえであったにもかかわらずそれが出ていない。それをさらに二〇%、厚生年金並みにしていったらどうか。  厚生年金との格差はいろいろな面でありますけれども、掛金の面でも、国鉄の場合四・九五%、約五%の負担をもうすでにしている。厚生年金はあの改定段階で掛金率が上がりましたけれども、これはまだ七・六%、これを折半負担でやりますから、あるいはまたその折半負担も逐次民間においては企業体が、会社がそれを七割持つというようなことすらやられていきつつあるという段階で、折半の会社もまだ相当多いわけだけれども、それにしても七・六%の折半でありますからきわめて低廉な三・八ということにしかなってない。その開きもあるわけです。  そういう状況にありながら、なおかつ給付が安定的に確保されるのかどうかという問題は、少なくとも先ほどいろいろ数字を申し上げた中で、あるいは状況の変化というものがそういう状態になってきているという段階では、改めて真剣に考えてもらわなければならない、こういうことを強く要請をしておきます。  私もちょっと次の会議が控えておりますので、後また山田委員の方からもこの問題はさらに突っ込んだ追及をしてもらうことにいたします。この論争はこの程度に問題提起を強く出しておきますので、これは両次官も十分私が申し上げた状況はおわかりいただいたと思うので、次の質問を一点だけやりたいと思っておりますが、遺族年金の問題です。  今日の遺族年金制度は、公的年金共済組合ばかりじゃなくて、最高でも五〇%以上ということはない。こういう状態では、これはやはりILO百二号条約というようなものの批准段階を迎えても——先進諸国等では必ずしも半額ということではないわけであります。これを少なくとも第一段階としては六割、終局的には八割ぐらいまで持っていかなければ遺族年金として十分機能しないし、実態に合わない。こういう面からこの遺族年金の比率の増率をして支給率を引き上げるということを十分考えていってもらいたいと思うのだが、この辺についてひとつそういう方向を目指す考えがあるかどうか、この一点だけ聞いてきょうは私の質問を終わりたいと思います。
  40. 高橋元

    高橋(元)政府委員 遺族年金につきましては、二つ大きな問題が現在あろうかと思います。一つは通算の問題、もう一つはいま御指摘のありました水準の問題でございます。  各種の公的年金を通じまして、遺族年金退職年金の二分の一ということを基準にしております。その支給率が二分の一でいいかどうかという点は最近非常に問題が提起されてきておるわけでございますが、この公的年金の中で、国民年金はこういう遺族年金という制度を持っておりませんので、また被用者年金年金者の妻が国民年金に任意加入することができるという制度もございますので、妻の年金権をどう考えるかという基本的な問題との絡みで遺族年金水準というのは議論していかなければならないのではないかと思います。  それともう一つ共済にとどまらず、共済以外の各種の公的年金全体に通じてこの二分の一の遺族年金水準を仮に改めるということになりますと、財源率に与える影響というものが非常に大きいのではないかと思います。財源率に与える影響が大きいということは、掛金、負担金の水準にまた戻ってまいります。  そういうことで、将来にわたる安定的な年金制度というものを考えてまいります際、遺族年金水準というものをどう持っていくかということにつきましては、国共審でもいろいろ問題の御提起がありまして、私どもは広範な見地からほかの年金制度との連携につきましては公的年金制度調整連絡会議等の場をかりまして十分検討していきたいと思っておりますが、いまのところ具体的な考え方は持っておりません。
  41. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 たくさん要求したいこともあるし、申し上げたいこともあるのですが、私の時間がございませんので、きょうはこれで終わります。  ぜひひとつ両次官政治的に、新しい福祉の時代を迎えて、しかも共済年金厚生年金よりもやや有利な状況にはあるけれども、これは公務員の身分あるいは特殊な条件というものを踏まえて、すでに国共審でもいわゆる企業の上積み年金というものを考慮した程度のものであることが大切だということを当然と言われておる、こういう状況も踏まえて、言うならばこれは日本社会保障全体のガイディングスターだと思うのですよ、そういうような面も十分踏まえて、さらに改善方向を目指してひとつ努力されんことを最後に要望だけいたしまして、終わりたいと思います。
  42. 上村千一郎

    ○上村委員長 山田耻目君。
  43. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 私がしんがりになったわけですが、ほとんど質疑は尽きてきたようでして、重なるところはできるだけ省略をいたしたいと思います。  いまお話をいろいろ聞いておりまして、三公社の中では特に国鉄が目立って財源枯渇を見せようといたしております。聞いていて、このままの状態では三木総理の言われる福祉国家の土台そのものが口先ばかりである、こういう側面を見せられたようで非常に残念な思いです。しかし、来年は各共済の財源再計算期に入ります。五年目に一度の再計算期ですが、一体この時期を迎えてどういうふうな財源方式を確立して抜本的な施策を講ぜられるのか、いまの質問ではうかがい知ることができません。きわめて残念です。  私はこの中でふと感じたのですけれども、いまの日本年金制度というのは、福祉年金なりあるいは国民年金を除きますと、国民年金もかなりその色彩を持っておりますが、ほとんど保険数理に基づいてやられています。いわゆる積立方式です。この保険数理そのものに矛盾が目立ち始めてきたのではないだろうか。組合員の数が減ろうと減るまいと、掛金がふえようとふえまいと、ある意味では財源の動向に余り深い関心を払わなくても、五年目ごとに迎える財源再計算のその時期に、向こう五十年間にわたっての財源を安定させていくその方式保険数理で貫かれております。  ところが、これは社会的にも経済的にも静態的な現象の中からつかみ取られておるわけです。一体今日の社会、経済が静態的であろうか。私はきわめて動態的であると思うのです。激しいインフレ、高度経済成長の中で培われてきた高物価政策、それにかてて加えて社会福祉国家を唱えられておる。そのこと自体は年金受給者に対する地位の向上につながるものであります。  また、かてて加えて、先般来片づけてまいりました軍人期間の算入、外地鉄道の算入、こうしたものが保険数理の中に組み込まれている。その保険数理の中に組み込まれた財源計算の中には、予期しなかった部分にこれがみんな該当しておるわけです。あるいは予期した部分もありますけれども、予期しなかった部分がかなり大きなウエートを占めている。こういう状態にどういう手だてを打つのか。実はそれらがいまの広瀬君の質問の中でも聞きたかったのだと私は思う。しかし、何も答えてはくれない。  私は、いまの広瀬君の質問の中にありました過去勤務債務の問題についてもう一度見直してみたいと思うのですが、ここで話題になりました国鉄共済の中で四兆五千五百億という過去勤務債務がかなり大きな重荷になっておることは、疑うべくもない事実です。そこで、国鉄共済だけを取り上げてみる前に、電電なり専売の共済はどういう過去勤務債務を持っているか、それらについてまずお伺いをしてみたいと思います。
  44. 後藤正

    ○後藤説明員 専売公社の過去勤務債務の総額は一千四百八十五億でございます。先生から内訳についていろいろ御要請がございましたが、先生の御要請のような内訳の区分ができませんで、これを簡単に私どものできます区分で分けますと、軍人期間等部分が百九億でございます。それから、ベースアップ、年金改定が千二百七十八億でございます。その他旧法時代からの不足等の持ち越し、それから財源率等、年金原価の増分が九十七億、そういうような内訳に相なります。
  45. 小沢春雄

    ○小沢説明員 電電公社の共済組合の過去勤務債務についてお答えいたします。  四十八年度末現在の過去勤務債務の総額は七千四百二十八億円でございます。その内訳を先ほどの専売公社の分け方に準じて申し上げますと、軍人期間等に対応するものが一千五十一億円でございます。それからベースアップ及び年金改定に対応ずるものが五千九百三十五億円でございます。それからその他が四百四十二億円、このようになっております。
  46. 清水晋

    ○清水説明員 四十八年度の数字で申し上げます。  分類の仕方は専売、電電さんが申し上げた分類と同じでございますが、恩給、軍人、外国機関等の勤務期間の算入、これが一千百八十九億五千三百万円、全体の三・九%に当たります。それからベースアップ、年金改定等によります増加額二兆一千五百十五億三千二百万円、全体の七〇三%、その他財源率の改正による増加額あるいは過去勤務債務の遺族相当分を含めまして七千八百八十三億二千六百万、二五・一%、過去勤務債務のトータルが三兆五百八十八億一千百万、四十八年度末の数字で申し上げました。
  47. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 大蔵省、これはどうなんですか。こういう時代になってきておりますから、少なくとも再計算の時期になかなか見直していけない。ある意味ではそれぞれの単位共済の財源とかかわり合いのない軍人期間の算入あるいは外地のそれぞれの算入、こうしたものがかなり大きなウエートを占めておりますが、こういうものは特に区分をして国で見るべきものは国で見る。  それからベースアップの改定あるいは年金改定、こうしたものは、その中にあるインフレ要因分は国で見る、その中にある生活改善分、これは組合で見る、労使で見る、こういうふうに区分けをして、それぞれ三公社とも国鉄の比ではございませんけれども大きな過去勤務債務分を持っておりますので、この過去勤務債務分の取り崩しないしはこれに要する金利相当額は区分けによって明確に見てあげるというふうな措置が再計算期にとられなければ、従来のパターンだけでは片づけられない、こういう気持ちがしてなりませんけれども、これはひとつ高橋さんの御意見を伺ったあと、非常に高い政治的な問題でもありますから、いつもあなたは私に聞いてくれということですので、森さんにここらあたりは高度な政治判断お答えをいただきたいと思うのです。よろしくお願いします。
  48. 高橋元

    高橋(元)政府委員 公企体共済組合の過去勤務債務の分担でございますが、公企体共済組合法施行前の恩給公務員期間等に係る部分、それは公企体共済組合法の附則の三十条で事業主としての公企体が負担をする。それから同法施行後の組合員期間に係る部分新法組合員期間に係る部分につきましてはいわゆる三者分担で、公経済の主体としての公企体、事業主としての公企体それから組合員、この三者が負担をするというたてまえでございますし、このたてまえは私どもとしては変えることができないものであろうという考え方を持っております。  先ほど軍人期間等部分が百九億、千五十一億等等という御指摘がございましたが、私どもが各公企体から伺っておりますところでは、この軍人期間等部分にはいわゆる恩給公務員期間等を含んでおるということでございまして、この中で整理資源として事業主としての公企体が負担をされるものと、しかしそれが現在の永久債務方式のもとで完全にカバーされておらないということに基づく部分もあるのではないかと思いますけれども、それは各公企体の内部の事情でございますので、私どもから申し上げるのは適当でないと思います。
  49. 森美秀

    ○森(美)政府委員 公企体共済組合に対して国が負担したらどうかという問題だと思いますが、私はこれは絶対に負担すべき性質のものではない、それは山田委員もおわかりのことと思います。したがいまして、たとえば国鉄そのものの財政問題とかその他は別途に考えるべきものであって、共済組合についての国の負担というようなことはすべき性質のものでないと心得ております。
  50. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 公経済であるからひとつそれぞれの公企体が負担をしていくべきであると、法律条項まで読み上げられておりますが、三公社のうち専売さんは今回またたばこの値上げをやりますけれども、一出されております法律を見ますと、経営が苦しいから値上げをするのではなくて、税金の取り分が少ないからもうちょっとふやせという値上げなんです。専売さんはそういう性格を持っておられるし、電電さんも、内情は十分まだわかりませんけれども、国鉄と比較をしてみてそれほど経営が苦しいとは承知をいたしておりません。  私は、特に目立ってきた国鉄の年金財源、それにいま申し上げた過去勤務債務の異常なふくれ方、これと国鉄共済財源の枯渇の状態に関連があるという立場に立って見ているわけですよ。先ほど広瀬君の話に出ておりました千分の百六の追加費用をとる、昭和五十年で七百七十四億である。これは修正賦課方式をとっているのですからね。修正賦課方式組合員数と無関係ではないのですよ、それは給与総額に掛けるのですから。昨今の国は、国鉄経営に対していろいろと助成措置をする、再建整備のためにこういうことをしてやる、そして次にはこれだけ人間の数を減らせとくるわけです。これといまの過去勤務債務の追加費用と、間接的には無関係じゃないのですよ。  ちょっと私なりの資料でながめてみますと、いまの組合員数と年金受給者の層は、いま五十年ですけれども昭和六十年にはかなりの変化をしてくるわけです。いまの国鉄再建整備計画に基づいて人間の数を減らす、それは共済財源の枯渇に拍車をかけていく。本来、保険数理だったらそういうことは起こり得ないのですけれども、しかしいまのような変動厳しい状態の中で、特に変動に拍車をかけていくような要因がこの中にある。  ちなみに私の資料を見ますと、五十年には組合員数が大体四十三万六千、年金の受給者が二十四万、昭和六十年には、十年後には組合員数が三十四万、年金受給者は四十三万になっていくんです。いまの国鉄の職員構成を見てみますと、四十五歳以上が全職員の四五%、四十歳以上になりますと六二%になります。これも国家の施策と無関係でない現状なんです。外地から帰ってくる軍人、外地から帰ってくる引き揚げ者、そういう者が国で経営する企業であるということで差し込まれてきたのが、こういう異常なちょうちん型の年齢構造を持ってきたわけなんです。そうして今日、国鉄再建というものがなかなかうまくいかない。そこで人を減らしなさい。そうしてその分については利子補給もいたしましょう。  しかし、結果として年金財源にはどういう影響を与えてきたか。それはいまの千分の百六の追加費用分は組合員給与総額に掛けて出してきた七百七十四億円です。この数が減れば、当然この金額は減ってきます。ところで、今度は掛金率を高めていけということになるんです。掛金率を幾ら高めたら過去勤務債務の金利相当分と収入分とが一致点を結ぶか、それは私にもわかりません。恐らく国鉄職員の給料五〇%を年金にぶち込んでもできないと私は思う。こういう見通しを立てて財源の再計算をしてもらわないと、いまの保険数理で再計算をしてみたんでは絵にかいたもちになる。そういう危機感、そういう直面した現実性、こういうものを理解して一体高橋さんは述べられたのかどうか、もう一ぺん高橋さん、そこらあたりを答えてください。
  51. 高橋元

    高橋(元)政府委員 過去勤務債務の話から申し上げますと、過去勤務債務のうち軍人期間それから満鉄期間、そういったものは一般の厚生年金では通算はされていないわけでございます。これは公企体が三十一年に新しい共済組合をつくっていまの制度になられたときに、そこの従業員と事業主との関係で、そういった資格期間と申しますか年金期間を通算するという形で特別な配慮をなさったということに私どもは理解をしております。したがって、過去勤務債務のうち軍人等期間と申しますか恩給組合員等期間と申しますか、そういうものにつきましては、事業主としての国鉄ないし各公企体の負担ということが現行の制度でございますし、それは十分しかるべき理由があるというふうに私どもは思っておるわけでございます。  それから、過去勤務債務のうち一番大きなものは、年金改定給与改定によりますところの年金給付現価が高まっていくということによるものだと思います。確かに俸給の総体の現価というものに比べて年金給付現価が高まっていくということは年金の成熟ということを意味しているんだと思いますが、その過程で財源率をどういうふうに具体的に設定するかということは、収支計画策定審議会等で具体的に御検討になることだと思いますけれども、各公的年金を通じてそういった過去勤務債務の部分というものは、永久債務方式によるかどうかは別といたしまして、三者で負担をするということがたてまえでございますし、公企体共済についてだけその原則を崩すということははなはだ困難であるというふうに考えておるわけでございます。
  52. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 いまあなたのおっしゃったように、過去勤務債務の中で年金改定額とベア上昇分が一番大きなウエートを占めている。この分は国鉄の場合が二兆一千五百十五億ですか、それぞれ各公社ともかなりのウエートを占めていますが、ただこれがいまあなたの気持ちの中に出ておりましたね。年金改定、ベースアップによる改定、これによって年金制度成熟度をあらわしている。昭和四十七年、八年、九年の年金改定は、果たして私が冒頭申した田中内閣、三木内閣を通して福祉国家の成熟を期していくという立場から生まれてきた年金改定なのだろうか、異常な狂乱物価と言われた物価上昇の中で年金価値を減価させていったために引き上げの措置が講じられたのであろうか、私は後者だと思うのですよ。それを年金成熟度を増したということだけで割り切るところに保険数理そのものに対する理解度が足りない。だから、このベア分、年金改定分は、ヨーロッパでもそうでしょう、アメリカでもそうでしょう、物価上昇が二ないし五%変動を起こすと自動的に年金改定されるのでしょう。その費用をみな国家が持っているでしょう。これはこういうベア分にしても年金改定部分にしても、この中にインフレ要因が大きく占めていることは間違いないのですよ。このインフレというのは政府の政策の失敗じゃないですか。その政府の政策の失敗を、社会保障制度の性格をしっかり持っておるいまの年金制度の中の組合員負担に押しかぶせてみたり企業負担に押しかぶせてみたりすることは、私は発想が違うと思う。だから、いまの過去勤務債務の中でも、このベア分にしても年金改定分にしても、それぞれインフレ要因分がどれだけのものを占めておるのか、本当に成熟させていく生活改善分がどれだけのものを占めておるのか、こういうことはしっかり御協議をいただいて、それぞれの負担分を明確にしてほしいと申し上げているのですよ。無理はないでしょうが。  軍人期間の算入にしても、外地鉄道なり外地公務員の算入にしても、こうした人々の年金は一文もそれぞれの共済に過去の掛金として入っちゃおりませんよ。一文も入っていないものを支出していくわけなんですから、そうしたそれぞれの共済の財源というのはプラスされて支出をしていくわけなんですから、だから本来軍人期間の算入にしても外地鉄道その他の算入にしても、これはまるまる国家が見るべきものだ、こういうふうに負担区分を明確にして、保険数理がみごとに静態な状態で維持できる、その条件を整えてやらないと、長期にわたって五十年間保険数理に基づいた共済の財源の安定を図っていくということにはならないと私は思うんだが、この一つの原則についてどうしても御理解いただけませんか。
  53. 高橋元

    高橋(元)政府委員 これは法律の条文ばかり申し上げるようで恐縮でございますが、現在の国家公務員共済組合法の規定では、長期給付に要する費用は、費用の予想額と長期給付に係る掛金と負担金の額、それから予定運用収入の額の合計額が将来にわたって財政の均衡を保つことができるように定める、これは長期の給付費用に関する収支相当の規定であろうと思います。公企体共済組合法ではこういった明文の規定を欠いておりますけれども、掛金の負担、それから事業主負担というものを考えていきます場合に、こういった保険数理に基本的に基づく費用の高さというものが定められなければならないということは、共済組合制度のみならず各社会保険制度についての根本の原則であろうかと思うわけでございます。  それで、その中でたとえばベースアップがある、そうすると掛金の掛け込みを行いました時期の給与の高さ、水準と、最終的に退職年金の支給の裁定を受けます時期の給与の高さというものが変わっておりますから、そこで過去勤務債務が発生してくる。それからさらに、既裁定年金者について年金改定が行われますれば、これはすでに完全に共済組合の外に出た人でございますから、したがってその部分の財源がない、それはすなわちまた即責任準備金の問題になってまいるわけでございます。  こういった過去勤務債務をどういう形で将来組合員と現在組合員に負担させるかということ、これは財源率をどういうふうに設定するか、平準保険料率でいけばそれは全部責任準備金を金利に直しまして現在組合員、将来組合員に掛けていくということになりましょうし、修正保険料であればその中で激変を緩和しつつできるだけ数理的保険料率以上のものを将来組合員、現在組合員に負担していただくということであろうかと思います。  それで、掛金によることが適当でないんじゃないかということでございますけれども、やはり過去の共済組合員は退職年金を受けておられるわけでありますから、そういう方々のために将来及び現在の組合員が負担をする、また現在の組合員の拠出が積立金になって将来の年金給付の財源に充てられる、これはやはり世代を通ずる一種の負担の分け合いということで、私はそういうことがやはり社会保障制度の根幹にあってしかるべきだというふうに思っておるわけでございます。  現在、修正積み立て方式というものをとっておりまして、このように変動の激しい経済社会でございますから、将来の財政がどうなるか非常に心配だという山田先生先ほどのお話は、私どもとしても動態の年金財政というものを考えてみます場合には、やはり同じような懸念を持つのでございますけれども、やはり社会保障制度の中の公的年金制度の組み立てというものを考えてまいります場合には、スライド財源を一般財源と区分して特別に現在の一般納税者が埋めるべきだという考え方には私はとうていなれないと思うわけでございます。  現行の外国の制度というものを私どもは余り詳しくは知らないのでありますけれども、いろいろと調べてもらいますと、スライド財源は他の一般給付財源と区別されていない。すなわち、その被用者及び事業主というものが分けて負担をしておるということのようでございます。したがって、スライド財源と申しますか、給与改定及び年金改定に基づく財源を一般財源、つまり納税者の負担に直に求めるということは、その制度の趣旨からしてはなはだ困難ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  54. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 まあ社会保障の原則を述べられておりますが、私もおっしゃることはわからないことはないのです。やはり現在組合員としておる人が掛金を掛けて労使で折半をし、国の補助も受けて、そうしてすでに働きを終えた人たちに救済の手だてを間違いなく伸べていく、このやり方が保険数理として取り入れられておる、私はこの日本制度に別に異論をはさみません。ただそうした原則が崩れようとしておる、やはりこのことを直視をしてほしいな。その直視をしていく中で、現実の運営の中で非常にアンバランスが出てきておる、そのアンバランスの一つの中身として過去勤務債務の違いを出してみたわけです。  その中には、申し上げましたように、軍人期間というものは当然国が保障すべきものであって、一つの単位の共済にかぶせるものではありますまい。満鉄に勤めていた、あるいは中支の鉄道に勤めていた、開拓団にいたというこういう人たちが通算をされたけれども、これもやはり一つの所属している単位の共済にかぶせるべきではあるまい。こういうものは国家政策の中から生まれてきた事柄なんですから、ひとつ国でお持ちになったらいかがですか。過去勤務債務の中でかなり多額のものを占めておるベースアップ分、年金改定分の中には、ここ二、三年の非常な物価上昇、これも国家政策のある意味では失敗の中から帰せられた物価上昇であるから、この部分についてはやはり国が見るべきじゃないですか。生活改善なり、ある意味では年金成熟度の中で得てきたメリットに対しては、当然これは組合員が負担すべきでありましょう。  だから、いまの過去勤務債務の中に数点ございますけれども、それぞれは一応やはり協議をしていただいて、それぞれの負担区分を明らかにしながら年金財源の確保、保障、将来にわたる安定、こういうことを来年は見直しの時期だからやっていただくことがいいのじゃないか、こういうことを申し上げておるわけなんですよ。  いまここですぐ何をどうしろということを私は申しておりませんけれども、再計算期に入るわけですから十分検討していただいて、この共済の財源の安定を図っていただくために国として負うべき分野、こういうものの理解をしていただけるかどうなのかということをひとつ最後にお伺いをしまして次の質問に入っていきたいと思いますが、森さんそれから小此木さん、両次官にひとつ考え方を述べていただきたいと思います。
  55. 森美秀

    ○森(美)政府委員 なかなかむずかしい問題でございまして、先ほど高橋次長が言っておりますように、これは国が負担する余地は全くないという立場で高橋次長は話をしておりました。私もそう考えておるものでございますが、やはりこういうことは共済の不足その他という部分で見ないで、全体の問題で財政問題として見ていくべき必要があると私は考えております。
  56. 小此木彦三郎

    小此木政府委員 先生おっしゃるとおり、世界的な経済政治、社会の動態的な現象の中から見れば、またそのようなことが動態的であったからこそ、国鉄そのものの財政がこのような危機にもなった。そういうことから考えますれば、見直しの時期あるいは見通し等についてわれわれも十分検討してみなければならないと思うのでございますが、森政務次官あるいは大蔵省当局のようないろいろな論議もございますので、なお検討いたしたいと存ずる次第であります。
  57. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 お三方では小此木さんの答弁が一番りっぱですね。しかしこの問題は、やはり日を追って深刻なものになるような気もしますから、私がこの委員会に所属する限りこの問題を片づけることにはある意味では心血を注いでいきたいと思いますから、十分ひとつ大蔵省なり政府側の皆さんも、やはり将来のあり方がどうなるのか、ただ従来のパターンで五年目ごとに再計算をするんだということの繰り返しだけでは、私はどうも問題の本質をつかまえての処方せんだとは思えない。十分ひとつ御検討いただいて、本当に福祉国家への歩み出しを続けておるわけなんですからそごのないように、従来の発想はやや変えていかなくちゃならぬ時期に来つつあるということもひとつお含みの上、御検討いただきたいと思います。  それから、公共企業体の共済の中に審議会を設置してほしいということは、年々歳々附帯決議でも取り上げられてまいっておるわけです。しかし、なかなか現実には今日まで実を結んでおりませんが、こういう時代になってまいりまして、国民年金に関する関心は非常に強いものがございます。しかも最近の動態期に入りまして、いろいろな苦情、意見もございます。  三公社は今日まで運輸省が窓口になりまして取りまとめていたようでございますが、私は何も運輸省を別にここでどうこう言うわけじゃございませんが、公共企業体の制度について審議会を設置して民主的運営を図るよう検討していただきたいということを再三今日まで申しておりましたので、この点については、来年のこともございますので、ひとつぜひとも御検討いただいてこの審議会が設置をされるように御配慮いただきたいと思いますが、これはいかがでございましょうか。
  58. 杉浦喬也

    杉浦政府委員 ただいまの審議会の問題でございますが、過去におきましても検討するようにという附帯決議もございますし、私ども検討を続けておるわけでございますが、昨年もたしか申し上げたと思いますが、公企体共済制度基本的な問題につきましては、まず社会保障制度審議会という機関に必ず諮問をいたします。ここで例年かなりいろいろな御意見を賜りまして決議をいただき、またそれに沿いまして法案の検討を、また実行を行っておるという状況でございますので、私どもの方としましては検討はいたしておりますが、基本的にさらに三公社を通じましての諮問機関的審議会につきましては、まだ実は設けるべきであるという決断といいますか認識というものにつきまして、はっきりお答えができない状況でございます。  しかし、昨年も附帯決議がございましたので、引き続き十分に検討はいたしてまいりたいというふうに思うわけでございますが、その場合におきましても、御承知のように、三公社はそれぞれの三省の監督下に置かれて、たまたま運輸省はいわば幹事役といたしまして取りまとめをいたしておるわけでございますが、仮に正式な大臣の諮問機関というものを設ける場合に、これは手前勝手な議論かもしれませんが、運輸大臣の諮問機関であるという形のものであってはならないというふうに思うわけでございまして、この点も含めまして今後十分に検討をしてまいりたいと思います。
  59. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 従来とも社保審には出して意見も述べておるし、聞いてもおる、しかし認知された存在ではないというふうにかなり軽く見られておる、そういう危惧もあったわけです。だから、どうしてもひとつ公共企業体共済組合制度審議会として、学識経験者なり構成員を十分配慮して、関係大臣に建議できるそういう一つ審議会をつくっていただきたい、こういう私の気持ちなんですが、杉浦さんのお話では、まあ何とか前向きで検討してみたいということです。  それぞれの省にまたがることになる企業を持つ審議会ですから、運輸省になさるのか総理府になさるのか、これは私当面ここで考え方は申しません。とにかく公共企業体共済組合に関する制度審議会をつくっていただきたい、こういうことを申し述べておりますので、高橋さんの方、いかがでしょうか。いまの杉浦さんの言葉で、前向きで検討というだけでしょうか。もう一歩進んで、何とか措置をしたい、こういうふうにお考えでございましょうか。
  60. 高橋元

    高橋(元)政府委員 公企体共済組合法の主管の大臣というのは、各公企体所管大臣でございますから、私ども国公を担当しております立場から意見を申し述べるのははなはだちゅうちょされるわけでございますけれども公企体制度の調整、また公企体と国公共済制度の調整というようなことは、国公共済組合制度を所管しております私どもとしても非常にそれは重要なテーマであろうと思っておりますので、社会保障制度審議会なり現在の各所管大臣なり、そういった権限ないし事務との調整を図りながら、公企体共済審議会というものをつくることが適当かどうか、よく運輸省と意見を詰めていきたいというふうに考えております。
  61. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 御存じのように、所管の大臣は大蔵大臣、運輸大臣、郵政大臣とあるわけですね。それで去年この附帯決議をつけますときに、結局どちらに持っていってもなかなかという気もするので総理府の長官の所管にしたらどうだろうか、こういう話もありまして、何とか御検討いただけたものと私は理解しておったわけですよ。ことしになりましても、何となく言葉の繰り返しのような気もしますが、しかし、気持ちの上では真剣に前向きで検討をする、私流に言えば来年は発足させますよ、こういう気持ちをそのままストレートで答えてほしいとは言わぬが、いまの前向きの検討の中には、私が申し述べておる意向というものを十分参酌して検討する、こういうふうに理解をさせていただきたいと思いますが、そういうことでよろしいですか。
  62. 高橋元

    高橋(元)政府委員 先生の御提案もございますので、そういうことを含めまして、附帯決議——昨年の附帯決議、本年のこれから後どういう御提案になりますか、附帯決議の問題として検討を進めてまいりたいと考えております。
  63. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 それでは間違わない結論が出るように、いまの答弁の中に私は期待をいたしましてこの問題を終わります。  それからもう一点、広瀬君が述べたかどうか私聞き漏らしたのですが、退職手当法五条の二にかかわる問題ですね。昭和二十九年、この経緯は去年、おととしのこの委員会で激しくやったので別に述べませんけれども、百分の九十七しか三公社には支給しない。この一つの理由は、公務員年金の基礎俸給を三ヵ年間の平均にしておる。三公社は最終の月の俸給にしておる。この違いが公務員退職金百に対して三公社は九十七である、こういうおっしゃり方をされておりました。  昨年の共済組合法改正のときに、公務員は三年間の平均が一年になりました。そこで議論が出まして、いろいろと詰めた結果、百分の九十七はひど過ぎるから百分の九十八・五くらいはどうだろうか、こういうバナナのたたき売り式の話がございましたが、一応これはたな上げをして、近い将来適当な金額に是正しましょう、こういうふうにした経緯がございますが、いまだこの問題も放置されております。これも附帯決議に出ていたわけです。私は、大蔵委員会における附帯決議というのは、他の委員会がそうでないとは言いませんけれども、かなり実施の確度の高いものだという歴史も持っておりますし、確信をしております。しかし、これもなかなか日の目を見ておりません。  そこで、最近の定年退職の退職日に若干の変化が起こっているように思いますので、総理府人事局お見えいただいておると思いますが、公務員で三月三十一日付、四月一日付、これでおやめになる年間総数、そうしてそれぞれの日にち別の概数がわかればお話しいただきたいと思います。
  64. 片山充

    ○片山説明員 最近の数字は、申しわけないのでございますけれどもございませんで、ちょっと古くなって恐縮でございますが、四十八年度における公務員の退職者数という数字はございます。それによりますと、昭和四十八年の四月は七千九百八十一人、それに対しまして四十九年の三月、その年度末の三月は六千四十九人、こういうふうに相なっております。
  65. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 こうなりますと、四月一日付でやめた人は三月三十一日付でやめていく人たちよりか、新しい年度の賃金改定分を受けた年間平均給与ということになりますね。そうなりますから、三月三十一日付でやめていった人はその年度の賃金平均、四月一日付でやめていく人はその次の年度、これの賃金平均ということになりますから、私はかなり変化が起こってくると思うのです。大体三公社と国家公務員との違いは、この年度によってならされてきておるという見方ができはしないかと思うのです。  たとえば昭和四十九年、これは四十八年がとってございますが、四十八年の四月一日と四十九年の三月三十一日、この者は同じ年度になるわけですね。ところが昭和四十九年三月三十一日にやめていった人、五十年四月一日にやめていった人は大変な違いが出てきます。四十九年三月三十一日にやめていった人は四十八年度の賃金ベース平均でとられます。五十年の三月三十一日でやめていった人は四十九年度の賃金平均、五十年四月一日でやめていった人はことし上がった賃金べ—ス、人事院勧告に基づいたベースの平均ということになります。     〔委員長退席山下(元)委員長代理着席〕  この違いが出てきますから、私は私のいろいろな資料に基づいて、確たるものでございませんから資料提示はできませんけれども、この五十年四月一日でやめていった国家公務員は四千名を超えていると言われております。そうなりますと、一年平均というものの価値が全然なくなってくるわけです。比較になりません。そうなりますと、百分の九十七、百分の百というものの違いは一体どこから出てくるのか。ただ観念的に、何かほかの方にしゃくにさわるところがあるからということで、いやがらせ的に抑え込みにかかっておるような気がしてならない。  昨年の話のときも、この議論をしていたら、三公社の方は最高号俸頭打ちがなくて青天井じゃないか、国家公務員は頭打ちがあるんだ、二十四万五千円の頭打ちだ。当時はたしか二十一万ぐらいじゃございませんでしたか。ことしはこの二十四万五千を三十一万にする。公務員は頭打ちがあるからということで、それはこれだけの差があってしかるべきだ、こういうふうに理由が変わってきておる。しかし昭和二十九年、本来百分の九十七という退職手当法の五条の二が生まれてきたのは、三年間の平均と最終俸給の違いがこうだということで生まれてきたわけです。そのように見ていただけますならば、私は今日百分の九十七の五条の二というのはもう改正されてしかるべきじゃないか。これも附帯決議に入れてあるのですよ。まじめに真剣に検討しましょうということになっておる。これもまたほっぼらかされておるわけですが、これはいかがなものでしょう。これは人事局の所管になりますか。
  66. 片山充

    ○片山説明員 御指摘のとおり、昨年の改正の際の附帯決議に入っておりますことは、われわれとしてもよく承知いたしております。その後も関係省庁と協議を続けておるわけでございますが、ただいま先生御指摘のとおり、五条の二の趣旨といたしますところが、三公社の共済年金それから国家公務員共済年金との間には歴史的にもいろいろと関係があるわけでございまして、一定のバランスが保たれなければならないという趣旨のもとに、おっしゃいました三年間平均の俸給月額をベースにいたします公務員に対して、退職時俸給額をベースにする公社職員との関係その他のファクターを計算いたしまして、当時三十四年の改正であったかと思いますが、百分の九十七ということが決められたわけでございます。そういった退職時以後の給付に関します国家公務員と三公社の職員との間の一定のバランスという観点から総合的に問題を詰めてまいらなければならないということがまず第一にございます。  それからもう一つは、退職手当の制度そのものといたしましても、制度創設以来十五年余もたっておるわけでございまして、給与制度あるいはその運用その他の状況も非常に変わってまいっております。こういった問題を総合的に検討をいたすために時間がかかっておる。今回の改正に当たりましても、関係省庁で御協議いただいたけれども、一括して結論を得るには至らなかったというふうに承知いたしております。
  67. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 その他の不均衡といいますか、新しいいろいろな事象が加わっておる、だから関係者協議の中でなかなかまとまらないというふうに聞けるわけです。百分の九十七にしたときの理由は均衡をとりたいということだが、具体的に出ておるのはいまの三年と最終俸給との違いが主体であったからこそ、昨年のこの委員会では、それをなくしていくんだから、委員会の議事録には載ってはおりませんけれども、百分の九十八・五ないし九十九ぐらいでいかがなものだろうかという議論が出てきたのですよ。それがまたずっと遠のいてしまっておる。私は、新しい理由づけを求めては格差をつけていくということは承認できません。  いずれこの問題については、私はどうせこの委員会で始末をすることになろうと思いますけれども、ことしのこととして求めてはおりません。しかし、ことしも附帯決議がついておるんですよ。来年はやはりこのことについては決着をつけませんと、このことが問題になりながら、大蔵委員会で三年も四年も引っ張っておくということは、附帯決議自体の権威を喪失いたします。それはこれからの大蔵委員会の審議全体に影響してきます。そういうことになったのではいけませんので、やはりこうした問題は、決着の理由、解決へのめどは大蔵委員会は立てておるわけなんですから、どうかそういう私たちが作業を進めてきたことを各行政部門は受けていただいて整理を願わなければならぬと思いますので、そのように御理解をいただきたいと思います。よろしいですか。
  68. 片山充

    ○片山説明員 大変むずかしい問題でございますので、いつまでにというお約束をこの場で申し上げるわけにはまいりませんが、今後とも関係省庁とよく協議をしてまいりたいと思っております。
  69. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 関係省庁が大事なのか、大蔵委員会が大事なのか、いずれわかっていただきますから、どうぞひとつ……。  最後になりましたが、いろいろと問題になっております。長期に勤続した組合員が退職をした場合、医療給付の激変を避けるために、任意の継続制度が昨年できました。健康保険法の中に生まれてきたわけですが、同様のことを国公、地公の中にも生かしてきたわけです。今日、地方自治体でこの任意継続に加入している人が約五百名、国家公務員で約百名だと理解しています。これは二十三日に武藤同僚委員から指摘がございまして、前向きで検討という常用語が飛び出して一応質問を終わったわけです。  長期にわたって短期共済を掛けてきて、そのころはまあ健康です。しかし、退職間際ごろから、人間ですからいろいろ老齢現象を起こしてくる、いろいろな疾病にかかる率が強まっておる。そのころは退職していって、なかなか医療給付もままならない、こういう状態で苦しんでおる。これはひとつ長期給付じゃないけれども、やはり何とかして救済の手だてを講じなければならぬ、こういうことで去年任意継続が生まれてきた。この六月二十五日で一年です。  この任意継続の中にも、確かに制度としては一つの前進でありましたけれども、欠陥がありました。それは退職をしていって年金をもらっている人が、この任意継続をしたいばかりに、掛ける掛金は退職前の給料である。これが基礎俸給になっている、あるいは一年間の平均給与が基礎俸給になっている。それに短期給付の率を掛けて、労使折半の分を一人が背負う、それぞれの共済の折半分を一人で掛金を掛けて任意継続をする、こういう不合理が生まれてまいっております。  そもそも保険数理でございますから、自分のいまの所得は幾らなのか、所得に掛金率を掛けていくべきであります。やめるときの月給が十万円と仮定いたしますと、年金は六万ないし七万円以下でございましょう。この六万ないし七万円に掛金率を掛ける。年金受給額に掛けていくならわかりますけれども、もらわない、すでに過去の所得である月給十万に掛けておる、こんなことがそのまま通っておる。任意継続を受けたいばかりにこういう不合理な掛金を泣き泣き掛けてきておる。だから地方公務員がたった五百人しか参加していない。国家公務員は百人しか入っていない。こういう状態を改めていかなければならない。  そういうことで武藤君も審議をしたわけですが、前向きでということでありましたけれども、しかし現実には、私は新しい制度をつくって、一年と言わずに、三年、五年にかけてやはりこの人々の医療給付はしっかり保護してあげる。そうしてその場合の掛金の基礎額は年金の受給額を基礎とする。そうしてその負担は従来ございました労使折半の原則を守る。この手だてを講じてこうした長期勤続した人々に対すそ老後の医療給付措置してあげたい。こういう気持ちまでは武藤君は述べておりませんでした。これが簡単な前向きの姿勢になりまして、今日地行との間にいろいろ混乱を招いておりますが、この大蔵委員会としては、いま私が申し上げたことそのものに対して近い将来どの方向をたどるか、一つ見解をお示しいただきたいと思います。
  70. 高橋元

    高橋(元)政府委員 任意継続組合員制度が昨年の法律改正で取り入れられました際、健康保険における同制度を引き移していった形のものになったわけでございます。したがいまして、健康保険の任意継続組合員はいわば摩擦的な失業期間、それに対応する期間は大体一年を限度として従前の健康保険給付を受けられる。しかしながら、その健康保険給付を受けるための掛金は、退職時の報酬を基礎として事業主負担を本人にかぶせた、つまり従前の倍、こういう制度でございます。それはそれとして、短期で、一年以上勤続して次の事業所に移る、その間の摩擦的な失業期間の健康保険利用ということであれば、それはまたそれで一つ制度であろうと思います。  しかし、いま山田先生からお話もあり、先週の金曜日であったかと思いますが、当委員会で種々御質疑がございました、そういった長期継続して、恐らく年金年限に達せられて退職をされる、老齢を迎えておるでしょうし、健康で組合員としてほとんどの方が推移してこられた、退職後病気の機会も自然にふえてくる、そういう方々に対する制度としては、新しい退職医療制度というものを充実していかなければいけないのではないか。  現在の任意継続組合員としてはそれなりの制度の趣旨を持っておりますし、それなりの機能を果たしておる。これはあるいは誤っておるかもしれませんが、健康保険では現在二万人ぐらいの方がいわゆる健康保険の任継を使っておられるようでございます。  これに対して、長期勤続して退職される組合員の方々に対して、退職後も相当期間継続して共済の短期給付、医療給付及び福祉給付を受けられるようにしていきたい、そういう制度を新しく設けたいということにつきましては、私どもきわめて前向きに考えております。その場合の掛金の負担がいかにあるべきかということ、それはその制度の、つまり共済組合員の現職の方々の短期の掛金負担それから共済組合の短期の財政状況というものを見て、具体的にこれから制度をつくります際に考えていかなければならないことでございますけれども、すでにその俸給という所得を失って年金所得者になっておられる方々でございます。そういった方々につきましてどういうふうに考えたらいいか、御質問の御趣旨のようなこともよく考えまして、今後制度化していく場合にいい制度に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  71. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 何かくつの上から足をかいているようにもどかしい気がするのです。しかし、高橋さんという人は正直だし、言ったらおやりになることは、私、長いつき合いで承知しておりますので、前向きで検討は本物だという気が私はいたします。ただそこで、この六月二十五日でいまの五百人の任意継続は切れるわけですね。これが実はいまとても私の頭を悩ましているんですよ。恐らく切れた人たち国民健康保険にお入りになるでしょう、あるいは他の社会保険にお入りになるかもしれませんね。ただ問題は、二十年、三十年勤めていた自分の職場と、自分が長い間掛金を掛けてきた共済組合とは、人間の社会というのはおかしいものでして、非常に深い観念的なつながりを持っていて、それが具体的なつながりになることを非常に求めております。だから、ことしやめていく五百人の人たちは、やはり新しい制度が生まれれば加入の資格を与えてあげなくちゃいけません。さかのぼってそのことを十分配慮して、検討していただくということをつけ加えて認識をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  72. 高橋元

    高橋(元)政府委員 国共済で、先ほど先生百人とおっしゃいましたが、ことしの三月現在で約六百人弱でございます。それから地方公務員共済で五百人くらいの方が任意継続組合員としてやっておられるわけでございますが、現在の法律の規定ですと、任意継続組合員となってから一年を経過したときに資格を喪失するということになっておりまして、そういった方々が、私がいま前向きに検討したいという答弁を申し上げた、新しい退職医療の制度に乗ってこられるように、これは国民健康保険制度との間の技術的な調整はかなりあると思いますけれども、そういう御趣旨の線で私ども検討を進めたいと思っております。
  73. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 大体質問は終わりました。申し上げたような共済の財源的な見直しの時期に来ておる来年は、特に重たい荷物になっておる過去勤務債務などなどについて、いろいろと検討をいただくよう強く求めたわけです。そのほか五条の二の退職金の問題、あるいは長年の懸案でございました公共企業体制度審議会の設置の問題、それにいまの短期の継続給付の問題、多くの人が議論をされておりますので、間を縫いながらこうした問題をただしてきたわけです。  一つ一つきわめて重要な事柄ですし、よく私が言いますように、前向きでということ、真剣に検討するということ、これが委員会の一つの常用の言葉になっておりますが、こういう時世を迎えておりますし、一つ一つを真剣に御検討いただく、そうして可能な最大の実行に踏み切っていく、こういう一つの決断もこうした時代には特に必要かと思います。大事な年金関係の事柄でございますし、十分ひとつ御精査いただいて実行していただけるように心から要求いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  74. 山下元利

    山下(元)委員長代理 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、来る三十日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとして、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四分散会