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1975-04-15 第75回国会 衆議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年四月十五日(火曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 伊藤宗一郎君 理事 浜田 幸一君    理事 村山 達雄君 理事 山下 元利君    理事 山本 幸雄君 理事 佐藤 観樹君    理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君       大石 千八君    鴨田 宗一君       瓦   力君    小泉純一郎君       齋藤 邦吉君    塩谷 一夫君       中川 一郎君    原田  憲君       宮崎 茂一君    毛利 松平君       高沢 寅男君    広瀬 秀吉君       藤田 高敏君    武藤 山治君       村山 喜一君    山中 吾郎君       荒木  宏君    小林 政子君       坂口  力君    広沢 直樹君       内海  清君    竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         大蔵政務次官  森  美秀君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       西沢 公慶君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         大蔵省主税局長 中橋敬次郎君         国税庁次長   磯辺 律男君         国税庁間税部長 星野 孝俊君  委員外出席者         日本専売公社副         総裁      泉 美之松君         日本専売公社総         務理事     斎藤 欣一君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   内海  清君     小宮 武喜君 同日  辞任         補欠選任   小宮 武喜君     内海  清君     ————————————— 三月二十九日  企業組合に対する課税適正化に関する請願  (田中伊三次君紹介)(第一七二〇号)  同(梅田勝紹介)(第一七三六号)  同(梅田勝紹介)(第一七五五号)  同(梅田勝紹介)(第一八〇五号)  同(村上弘紹介)(第一八〇六号)  同(梅田勝紹介)(第一八三九号)  同(梅田勝紹介)(第一八七〇号)  個人立幼稚園事業用財産に対する相続税の減  免に関する請願粕谷茂紹介)(第一七二一  号)  同(千葉三郎紹介)(第一七二二号)  同(濱野清吾紹介)(第一七二三号)  同(栗原祐幸紹介)(第一七五六号)  同(葉梨信行紹介)(第一七五七号)  同(八田貞義紹介)(第一七五八号)  同(西岡武夫紹介)(第一八〇七号)  土地譲渡所得重課制度の運用に関する請願(正  示啓次郎紹介)(第一八六八号)  住宅ローンの緩和に関する請願(正示啓次郎君  紹介)(第一八六九号) 四月三日  企業組合に対する課税適正化に関する請願  (梅田勝紹介)(第一九〇六号)  同(梅田勝紹介)(第一九二四号)  同外三件(玉置一徳紹介)(第一九二五号)  同外三件(寺前巖紹介)(第一九五三号)  同外一件(坊秀男紹介)(第一九五四号)  同(梅田勝紹介)(第一九五五号)  同(梅田勝紹介)(第一九九八号)  同(梅田勝紹介)(第二〇四三号)  個人立幼稚園事業用財産に対する相続税の減  免に関する請願福田篤泰紹介)(第一九五  六号)  同(塩崎潤紹介)(第二〇四二号)  音楽舞踊演劇演芸等入場税撤廃に関す  る請願石母田達紹介)(第一九九九号)  同(石母田達紹介)(第二〇四四号)  同(坂本恭一紹介)(第二〇四五号) 同月九日  企業組合に対する課税適正化に関する請願  (梅田勝紹介)(第二一二三号)  同(梅田勝紹介)(第二一七五号)  同(梅田勝紹介)(第二二〇三号)  同(梅田勝紹介)(第二二六一号)  音楽舞踊演劇演芸等入場税撤廃に関す  る請願石母田達紹介)(第二一二四号)  同(大橋敏雄紹介)(第二一二五号)  同(金子みつ紹介)(第二一二六号)  同(清水徳松紹介)(第二一二七号)  同(高橋繁紹介)(第二一二八号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第二一二九号)  同(馬場昇紹介)(第二一三〇号)  同(広沢直樹紹介)(第二一三一号)  個人立幼稚園事業用財産に対する相続税の減  免に関する請願福田篤泰紹介)(第二一七  六号)  大企業本位財政金融政策反対等に関する請  願(増本一彦紹介)(第二一七七号)  自衛官退職年金制度是正に関する請願外一件  (江崎真澄紹介)(第二二五八号) 同月十四日  個人立幼稚園事業用財産に対する相続税の減  免に関する請願河野洋平紹介)(第二三三  七号)  企業組合に対する課税適正化に関する請願  (広瀬秀吉紹介)(第二三九六号)  同外三件(竹村幸雄紹介)(第二四四九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第四  号)  製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五号)  国の会計に関する件      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより会議を開きます。  この際、当面の財政事情について政府より発言を求められておりますので、これを許します。大平大蔵大臣
  3. 大平正芳

    大平国務大臣 昭和四十九年度税収につきましては、先般、参議院予算委員会におきまして、最近の経済情勢を反映して税収が相当落ち込む懸念があり、いずれ具体的な計数が判明した際に、処置してまいりたいと考えておる旨申し述べたところでございます。  現段階では、まだ最終的な計数は確定いたしておりませんが、最近までの収納状況等から見ますと、四十九年度税収につきましては、八千億円程度不足を生ずると見込まれるに至りました。  四十九年度に多額の税収不足が生じましたのは、企業収益の著しい低下、土地譲渡減少等税収面に反映し、予期せざる減収をもたらしたことによるものと考えます。今後の安定成長下におきましては、従来のように自然増収に多くを期待することは困難となり、わが国財政は、財源面から厳しい制約に直面せざるを得ないと思われます。この際、当面の財政事情について御説明いたしますとともに、各位の御理解と御協力をお願いしたいと考える次第であります。  四十九年度税収不足につきましては、税収所属年度区分改正によって新たに四十九年度所属となる税収があるほか、税外収入にかなりの増収が見込まれ、また、歳出面においてもある程度不用を生ずる見込みでありますので、これらによって補てんし得るものと考えております。  税収所属年度区分につきましては、本日、国税収納金整理資金に関する法律施行令改正について、閣議決定を行ったところであります。この改正趣旨は、四月に収納される税収を新旧いずれの年度所属させるかについて、区分する基準を合理化し、納税義務が成立する日によって区分することに改めるものであります。この改正により、新たに四十九年度所属税収となる額は、約四千億円と見込まれます。  次に、このような四十九年度税収不足に関連して、五十年度財政が直面する問題について申し述べます。  歳入面につきましては、四十九年度税収減が五十年度税収にも影響を及ぼすことは避けられないものと思われますが、五十年度税収が最終的にどのようになるかにつきましては、現在、年度開始直後でもあり、確たることを申し上げることは困難であります。今後の経済情勢推移を十分注視してまいるほかはないと考えますが、いずれにいたしましても、従来のように自然増収を期待することは困難であり、むしろ、自然減収が生ずる事態考えておかなければなりません。この場合、公債増発によって対処すべしとする考え方もありましょうが、安易な公債増発は厳に慎むべきことは言うまでもないところであります。  このような歳入面制約に対しては、まず、行政経費節約を初めとする既定経費見直しにより、極力歳出節減を図る必要があると考えます。さらに、公務員の給与改善問題、米価問題等年度途中に予想される追加財政需要につきましては、厳に慎重な態度で臨む所存であります。なお、これらにつきましては、別途、各省庁と十分協議しながら、具体的な措置を講じてまいりたいと考えております。  また、地方財政につきましても、最近の経済情勢を反映しまして、五十年度財政事情は国と同様厳しいものになると思われ、さらに、国税三税の減収が生ずる場合には、これに伴って地方交付税にも当然影響が及ぶことになりますので、国と同一基調のもとに経費節減等に努め、節度ある運営を図るよう要請いたしたいと考えております。  以上申し述べたとおり、五十年度財政財源面において深刻な困難に直面しておりますが、今後の財政は、安定成長下において、引き続き財源面に厳しい制約を免れ得ないものと思われます。このような制約条件に対応していくためには、財政あり方を抜本的に改善してまいる必要があります。  このため、財政支出の面におきましては財政負担によって実施すべき施策を厳しく選択し、補助金等既定経費について、従来の制度、慣行にとらわれず根本的な見直しを行いますとともに、定員、機構簡素合理化等によって行政コスト節減を図る必要があります。  一方、財源面におきましては、新たな税収確保の方策について検討するほか、社会保険についても費用負担あり方を見直す必要があります。また、公共料金につきましては、物価の安定に極力配慮することは申すまでもありませんが、安易な財政依存を厳に排除し、利用者負担の原則に立って、コストとの関連における適正な水準の料金を設定する必要があります。  これらの問題につきましては、財政制度審議会税制調査会等の御意見も伺いながら早急に検討を進め、結論を得たものにつきましては速やかに実行に移していく所存であります。  以上、四十九年度税収不足に関連して、当面の財政事情について申し述べましたが、わが国財政の直面する困難を打開するため全力を傾ける所存であり、重ねて各位の御理解と御協力をお願いする次第であります。  なお、最後に、当面の財政金融政策について一言申し述べたいと思います。  財政金融政策運営に当たりましては、物価の安定を第一の政策目標として、すでに長期にわたり総需要抑制政策基調のもとで各般の施策を行い、着実にその成果を上げてまいっております。  この間にあって、政策の遂行に伴うひずみや摩擦現象に対処するため、きめ細かい配意を行ってまいったところでありますが、さらに本年二月十四日、三月二十四日の二回にわたり経済対策閣僚会議において当面講ずべき景気対策を取りまとめ、実施に移してまいりましたことも御案内のとおりであります。  最近の経済情勢を見ますと、景気はおおむね下げどまり状況に入ったと見られますけれども、今後の政策運営に当たりましては、物価の安定に配慮しながら、景気を着実な回復軌道に乗せるため、当面すでに実施した景気対策の効果を見守りながら、経済情勢推移に即応し、引き続き適切かつ機動的な政策運営を行ってまいる考えでございます。      ————◇—————
  4. 上村千一郎

    ○上村委員長 酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。高沢寅男君。
  5. 高沢寅男

    高沢委員 酒税法それから製造たばこ定価法に関してこれから御質問をいたしますが、私はその前に、いま大臣から御説明のありました当面の財政事情、これについてはあした一般質問が予定されておりますので、またわが党の同僚議員から十分御質問もあると思いますが、しかし、私のいま感じたことは、この国会の初めに大臣から行われました財政演説中身よりも、きょうのこの御説明中身の方がはるかに重大な、しかもまたいろいろな意味で具体的な内容が含まれていると思うのであります。したがいまして、この中身自体をこれから国会の場でどう審議するかというふうなことについては、私たちも十分そういう審議の場を持たなきゃならぬと思いますし、そのことについてはひとつ政府側においても十分配慮をお願いしたい、こう思うわけであります。  それで、酒、たばこ審議に入る前提として、いま問題になっております四十九年度税収不足の問題でありますけれども、これについてはそれぞれその不足を埋めるための見通しはあるというふうな大臣のきょうの御説明であるわけですが、しかしこの施策については、最終的には当然予算補正という問題になってくると思うわけですが、これは扱いとしてはいかがでしょうか。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 四十九年度につきましての税収は、いま御披露申し上げましたように、大幅に予想以下の収入にとどまりそうな気配でございます。しかしながら、一方、歳出不用を立てましたり、税外収入で補いますと同時に、先ほど御披露申し上げましたように、国税収納金整理資金法律施行令改正によりまして、四十九年度に帰属する収入として五十年度の四月中に入った税金で納税義務が四十九年度に成立しておるというものが四千億程度ございますので、そのように整理させていただくことによって補正予算を伴うことなく処理できるということで、行政府責任で処理させていただきたいと存じておるわけでございます。
  7. 高沢寅男

    高沢委員 いまの説明で四千億の御説明はあったわけですが、しかし歳出不用分振りかえであるとか、あるいはまた専売納付金も含めて、そういうような税外収入見込みより増収になる分があるとかいうふうなことになってくるとすれば、これは当然歳入補正ということになるのじゃないのか。あるいはまた、歳出不用分振りかえということになれば、これは歳出補正ということになるわけであって、補正の手続が不要であるという説明はちょっと私理解できないのですが、もう一度御説明を願いたいのです。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 歳入予算は私の理解しておるところでは、一応見積もりにすぎないわけでございますので、その見積もり以上に入る場合、見積もりより以下に入る場合、それはあり得るわけでございまして、その都度予算補正を伴う必要はないものと私は考えております。  それから歳出予算につきましては、国会の議決によって初めて行政府歳出権が付与されるわけでございますので、その限度額を超えての歳出を行う場合は、当然仰せのように予算補正を伴うものでございますが、いま申し上げておりますのは、歳出不用がその限度内において起きたということでございまして、それは使用するに至らなかったということでございますので、改めて予算補正の必要はないものと私は心得ております。
  9. 高沢寅男

    高沢委員 制度論の問題はあるいは大臣の方が私よりよく御存じかと思いますが、さっきも言いましたように、いま大臣がこれからの財政執行に当たってこういうふうな考え方でいかなければいかぬと言われた中身は、私はいろいろ重要な問題を含んでおるという感じがするのです。  たとえば「公務員の給与改善問題、米価問題等年度途中に予想される追加財政需要につきましては、厳に慎重な態度で臨む」、私はこれは抽象的な表現だけれども中身はかなり厳しい感じがします。そういうような問題とか、あるいは「行政経費節約を初めとする既定経費見直し」、これは私は行政機構の問題にも絡んでくるということにもなるんじゃないかという感じがいたします。  ですから、その意味では、これから租税の自然増収もまた期待できない状態になってくるという情勢評価もあるわけであって、そういうふうな情勢評価前提に立って、いままで毎年ある程度恒例的に行われてきた給与問題あるいは米価問題等等扱いについても、これからは厳しく臨むというふうになってくれば、私はきょうのこの中身は、実質的には非常に重大な政策方向意味しておると思うのです。そうすると、この政策方向というものは、これはたとえば予算委員会なら予算委員会という場を持ってその年の予算審議の中でその年の基本的な政策方向論議される、あれと同じような場を持って、十分政策論議をなされるほどの重要性を持っておる、私はこう思うわけなんであります。  私が予算補正扱いはどうかということをお聞きしたのは、この関係で言えば、あえて補正予算も組まれて、そして予算委員会を持って、そこでこうした基本的な政策問題を論議されるという場を持たれるだけの必要性重要性があるんじゃないか、こういう意味で実はお尋ねをしたわけですが、これについては大臣のお考えはいかがですか。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 五十年度会計年度は始まったばかりでございます。御指摘のように、今度私どもがとりました措置は、確かに財政政策といたしまして大きな問題をはらんでおると思います。それは御指摘のとおりだと思います。  これが従来のように経済が成長し、成長財政のもとである程度自然増収が期待できたというような状況のもとにおきましては、年度途中に追加財政需要が起きましても、行政府がこれに対応いたしましてある程度措置を講じて、補正予算段階国会の御審議を得まして措置してまいるという、そういうパターンでずっと繰り返してきたと思うのでございます。  それで、いまあなたが言われる趣旨は、五十年度予算が始まったばかりだけれども事柄は重大なんで、こんな重大な内容をはらんだままの状態では、この五十年度予算と並行して五十年度補正予算をこの段階で本当は考えるべきじゃないかという御意見だと思うのでございますが、私はそれは一つの見識だと思います。そういう考え方もあり得ると思うのでございますが、私どものとっておる立場は、五十年度は始まったばかりでございます。そうして、五十年度は確かにいままでと違ったような経済状況財政状況が予想されます。漫然としていて税の自然増収が期待できるような状況ではない、まかり間違えば自然減収が起こりかねないような状況であることを私どもも認めておるわけでございます。  そこで、政府はこれから慎重な経済政策運営を通じまして、ことしの日本経済に秩序と活力を与えていかなければいかぬわけでございますが、そしてそれを通じてわれわれの期待しておる税収をこの経済からくみ上げてまいらなければならぬわけでございますが、この状態は確かに自然増収が期待できるような状態ではない、相当政府が努力をいたしましても自然減収になりかねないような事態ではあるまいかという私は懸念を持っております。持っておりますが、これはこれからしばらく、いま私の発言でも申し上げましたように、経済運営を慎重にやってまいりまして、ある段階に参りまして、補正を必要とするようになるのかならないのか、これは判断すべき段階が来るだろうと思いますが、いまあなたがおっしゃるように、ことしの経済を予想して、事柄が重大だからもう一遍補正予算案を組むというまでには踏み切れないわけでございます。  われわれのいまの態度は、せっかく成立さしていただきました予算は忠実に執行さしていただきたい。ただ、この予算に計上されていない追加財政需要につきましては、厳に慎んでいかないと、この予算執行はよほど困難だという意味のお願いを、各方面にいまとりあえずお願いしておかなければいけないというのが私の心境でございます。
  11. 高沢寅男

    高沢委員 五十年度予算がいま成立して、これから始まるばかりのところでその補正ということもできぬという大臣のお答えですが、私は、その五十年年の予算がいま成立したその途端に、その五十年度歳入自然減にすらなりかねない大きな税収欠陥が予想されるという、このことに一体予算の編成と成立を進めた政府の重大な責任があるのじゃないのか。その重大な責任という観点から考えれば、普通の常識でない措置かもしれないけれども、この段階でもう一度その歳入を含めて見直すというような補正予算というものはあっても私は当然なことじゃないか、こういうふうなことに考えるのですが、成立したばかりで補正というわけにいかぬという行政上のお考えでしょうが、成立した途端にそれだけの歳入の穴が予想されるというふうな、この責任ということは一体大臣はどういうふうにお考えなんですか。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 八千億という膨大な税収の減がただいま予想されておるわけでございます。これを分析いたしますと、あしたいろいろ御審議いただくと思うのでございますけれども源泉所得税が千二百億、申告所得税系統で三千九百億、法人税が千二百億、その他が千七百億というようなことになりそうでございます。この申告所得税のうちで、二千四百億ばかりが土地譲渡所得税なんです。それから相続税印紙税、関税で千七百億でございます。  したがって、これは土地譲渡所得税というのが二千四百億、四十九年度特有現象としてあるわけです。つまり八千億というのが、一体四十九年度税制特有のものとしてどれだけあるのか、一般的な経済の停滞を反映したもので五十年度に尾を引くやつがどれだけあるのか、そういった点の分析をこれから私どもはいろいろやっていかなければいかぬと思うのです。  それで、五十年度経済がどのように回復してまいりますか、その足取りを見ながら、われわれがエスティメーションをやりましたことしの歳入予算、そして皆さんの御審議を得ました歳入予算が果たして執行できるかどうかという検討は、やはりこれから慎重にわれわれも検討せなければなりませんし、国会の方でも御関心を持って御検討されることと思うのでございますが、いまこれを、あなたがおっしゃるように、これに違いないという断案をいまの段階で下せと言っても私は無理だと思うのであります。  そこで、私がきょうの発言を通じましてお願いしてありますのは、いずれにしても、順調にこの経済状態推移してうまくいっても、大きな自然増収を期待できるような状態には恐らくならぬだろう、へたをすると自然減収になりかねないんじゃないか。だから、国会で今度認められた歳出権を越えるような追加財政需要は、理由のいかんを問わず厳にこれはひとつ御遠慮いただくことの方向財政運営をやらぬと、ことしは大変だという気持ちで私はお願いしておるわけでございます。  いまの分別はそれが精一ぱいのところでございまして、これからいろんな分析を通じまして五十年度財政運営経済運営というようなものをずっと見ていきながら、四月二日に成立さしていただきました予算の適切忠実な運営を図って、経済安定成長路線への軌道に早く乗せていきたいというのが、いまの政府の念願するところでございます。そういうわれわれの願いを御理解をいただきたいと思うのでございます。  ただ、これだけの減収が起きたということにつきましては、かなり大きな責任を私は感じております。
  13. 高沢寅男

    高沢委員 この問題だけで時間をとるのはあれですから、あとはあした予定される一般質問や、そういう場で十分御論議をいただきたいと思います。  ただ一つだけ、そういうふうな税収欠陥が生まれている中で、それを埋める対策の中で、専売納付金は予定されたものから一体どの程度増収が見込めるのか。これは主税局長にお尋ねするのか、あるいは専売公社の泉さんにお尋ねするのか、どちらかからひとつ御説明願いたいと思います。
  14. 泉美之松

    泉説明員 専売納付金につきましては、五月末に決算をいたしまして納付いたしますので、目下のところ正確に申し上げかねますけれども、現在の見込みで申し上げますと、御存じのように、四十九年度の当初予算におきましては専売納付金を三千四百四十億円と見込んでおったのでありますが、その後物価の値上がり及び給与の改善等によりまして、補正予算でこれを二百八十二億減額いたしまして、専売納付金見込み額は三千百五十八億円に相なっておったわけでございます。  ところが、御存じのように、たばこの定価改定問題が起きまして、十二月以降かなり売れ行きが伸びまして、当初予定いたしておりました一兆二千四百億円に比べまして約三百二十億ほど収入がふえました。もちろん経費もふえますのでそのまま納付金がふえるわけにはまいりませんけれども、納付金が約二百六十億円、補正予算で予定いたしておりましたよりもふえます。しかし、もちろん当初予算の三千四百四十億には達しない数字になります。
  15. 高沢寅男

    高沢委員 もう一度私は税制の問題に戻りたいと思うのでありますが、これは直接税と間接税の関係ということでお尋ねをしたいと思います。  前にも私この場でそのことを申し上げたのですが、いま税制のいろいろな機能はありますけれども、一番大事な機能は所得再配分の機能だというふうなことを申し上げたわけです。その点においてその機能が一番よく働いている税は何といっても所得税、この超過累進制というものがそういうふうな役割りを果たしているわけですが、しかし考えてみると、その所得税の中でも、たとえば利子なり配当なりというふうなものは、これはいろいろなそういう特別措置の対象になっているということで、結局、源泉所得税だけがそういう機能が一番働いておる税になっているのじゃないかというような感じがいたします。  それに対して特に間接税、消費税というふうなものになってくると、そういう機能は全然ないどころでなくて、いわゆる逆進性というふうな性格が強く出てくる。今回のたばこの値上げあるいは酒の値上げというふうなことになってまいりますと、この税の負担の増加分というものはむしろ低所得の、所得税という関係で言えば、所得税を納税する対象になる人たちよりも所得税の納税対象にすらならぬ、そういうふうな階層のところへは負担が非常に重くかかる、こういう意味での逆進性ということをこの場合特に非常に問題にせざるを得ないのじゃないか、こう思います。  それで、過去において税制調査会でそういう間接税、消費税の逆進性というものを調べて、そうしてパーセントを出された経過がありますが、昭和三十六年十二月の税制調査会の答申では、納税世帯の間接税の負担率が五・一八%、それに対して所得税を納めない世帯の間接税の負担率は八・四四%、こうかなりはっきりしたパーセントで逆進性というものを税調が出された前例もあります。そういうことで、今回の酒、たばこの税の引き上げがこの逆進性を当然進める効果をもたらす、こういうことに対して、そこに対する何か手当てが私は当然必要になってくると思うわけです。  それで、いま租税の自然増収ということも大臣との間でちょっと問題になったわけですが、いままでは所得税であれば、自然増収というものが出て、その非常に大きな部分をとるか少しの部分をとるかは別として、そういう自然増収の中から減税に向けていく、もう毎年必ずそういう形がとられるということできたわけですが、これから先そういうふうな自然増収が期待できない、いまの大臣のお話によれば、自然減収すら起こりかねないというふうな状態になってくると、このいままでの自然増収そして減税という一つの毎年重ねてきたこの形もこれからはどうなるかわからぬ。こういうふうな事態になってくると、この減税ということのやり方もむしろ間接税という面で考えなければならぬということすら出てくるのじゃないのか、そしてそこへいま言った所得の再分配という機能を結びつけていくというふうなことを考えるとすると、たとえば酒あるいはたばこ、その他ほかの間接税も当然対象になりますが、そういうものの税の決め方の中に、低所得者には負担が軽く、それから高額の所得者にはそういうものの負担が重いというようなやり方、これをかなり意識的にとっていく必要があるんじゃないのかという感じがするわけですが、そういう間接税の面において減税というものをどう考えるべきか。  それから、その中でいま言った高額所得者と低額の所得者の間における所得再分配という機能をここに結びつけるやり方を果たして考えられるのかどうか、私はこれを主税局長からお考えを聞きたいと思うのです。
  16. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 いまお話しのように、累進税率をとっております所得税なり相続税といいますものが、所得なり財産の再分配機能に一番適しておることはそのとおりでございます。  もちろん、わが所得税制の中におきまして、租税特別措置によりましてその総合課税の分野が若干フラットな税率で終わっておるというところはございますけれども、やはり基本的には、たとえば所得税を見ますれば、その累進性、所得の再分配機能というのはかなり達成せられておると思います。  四十八年の数字で申しましても、たとえば納税者の中の一割の人間が所得税額総体の中の約二七%を負担しておるわけでございます。もう少しその納税者の数を上からとってまいりますれば、ますますその負担部分というものはふえてまいりますから、何といいましても所得税制といいますのは、おっしゃいますような所得の再分配機能ということを所期しておりますし、また現にわが国におきましてもそういう機能を果たしておると思います。  もちろん、間接税につきましては、それを所得階層別に見ましたときには所得税制とはそれは比べものにならないようなフラットな負担でございますから、収入に対しましてあるいは所得に対しましての逆進性というのは、それは避けがたいことだと思います。  ただ問題は、そういう所得税制などを中心といたします直接税体系とそれから間接税体系といいますものはやはり相当バランスのあるものを持っておりませんと——本来は所得再分配機能を果たすものあるいは財産の再分配機能を果たすものとしては所得税制なり相続税制だけによればよろしいわけでございますけれども、何と申しましてもそういった一つ、二つの税目によりますと所期しないような執行上の不均衡というものがまたあるわけでございますから、やはり各国とも所得税制を補完する意味において、あるいは所得税制を上回る割合をもって間接税をとっておるわけでございますから、わが国におきましてもおっしゃいましたような所得なり財産の再分配機能ということを考えながらも、やはり執行面の難易あるいは納税者の税制に対しますところの摩擦的な感覚というものを考えながら、バランスのいい体系をとらなければならないと思います。  ただ、自然増収のことになりますれば、御指摘のように、所得税でございますとか法人税でございますとかなり弾性値というものが間接税の場合よりも高うございますから、特に景気の動向、所得の変動に一番左右されやすい所得税あるいは法人税におきましては、より一層その税収におきます反映が大きくなってくるわけでございます。  私どもといたしますれば、税収見積もります場合にはできるだけ新しいデータをとり、できるだけ数多くのデータを求めて正確を期するわけでございますが、残念ながら今日のような大きな見込み違いがあったことにつきましては非常に遺憾に思っておりますけれども、それは間接税につきましても、どうしても決算になりますれば、毎年度ごらんいただきますように、若干の差異というのは免れがたいわけでございます。  その点が何といいましても景気に敏感な直接税、特に所得税、法人税はそれが一番大きい、しかもそれが累進構造をとっておればおるほど大きいということでございますから、それの自然増収あるいは自然減収ということがかなり大きな問題としてあるわけでございます。これに対しまして、われわれはもちろん今後とも税収見積もります場合には、直接税であれ間接税であれ、できるだけ正確を期さなければならないことは申すまでもないところでございます。  そこで、いままでは毎年毎年経済成長が非常に急速に、しかも大幅に伸びてまいりましたから、特にこの所得税、法人税におきます自然増収というものが大きゅうございましたので、それを毎年の減税財源に充てる。しかもかなりの歳出規模の増加にも充て得るということでわが国の財政は経過してきたものと思いますけれども、今後経済が安定的な成長をたどるということになりますれば、恐らくそういった大きな自然増収というものは、今後そう期待はできないのではないかというふうに考えられます。  そういう場合に、それでは減税ということができないのではないか、そのために間接税の財源によるべきではないかというお話でございますけれども、それは一にかかりまして正確な見積もりをし、それに対応しますところの財政需要というものを測定いたしまして、その上でなお年度当初におきましてあるいは年度経過中におきましてそういう財源があればまた減税ということも起こり得ましょうけれども自然増収という観点から申しますれば、やはり所得税であれ間接税であれ、特に今後におきまして間接税により多くの減税財源を求め得るという事態もなかなか予測できないのではないかというふうに私は思っております。
  17. 高沢寅男

    高沢委員 私がいま主税局長にお尋ねしたもう一つのことは、そういう間接税の財源による減税の見通しをお聞きしたのと同時に、間接税の負担の中における再分配的機能、つまり高額所得者の人は同じ間接税でも負担が非常に重くなる、低額の所得者の人は同じ間接税でも負担が軽いとかあるいは負担がないとかというふうな、たとえば非常に安いたばこと一方では高い税を含んだたばこ、お酒にしても、特級酒というものは非常に高いけれども二級酒は非常に安いとかいうような形のそういう差のつけ方というものは、間接税の中でも私は当然政策的に十分考えられてしかるべきではないか、そのことを一つお尋ねしたのです。
  18. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 間接税を考えます場合に、おっしゃいますように、その課税対象といたします物品なりサービスの質的な内容につきまして、いろいろ税負担を違えるということは十分考えなければならないことだと思っております。現に今日のわが国の間接税はすべて個別消費税でございますから、いろいろな物品、サービスのその内容を勘案いたしまして、たとえばそれが嗜好品に対するものであるとかあるいは必需品に対するものであるとかということでいろいろな配慮を加えております。戦後かなり余裕もございましたから、戦争中に課税範囲を広げてまいりましたものをその後なるべくは必需品については課税をしないように、あるいは便益品についてはもっと奢侈品よりは低い税率で課税するようにということをやってまいりまして、今日の体系全体とすればまさにそういった考え方がかなり入っておると思います。  それはやはり個別消費税をとっておりますからそういうこともできるわけでございますけれども、またその中で、たとえばお酒で申せばいわゆる高級な酒類、小売価格が高いお酒についての酒税の負担をより高くしますとか、たばこにつきましても、私は専門でございませんから後ほどお答えがあるかもしれませんけれども、値段の高いたばこの中のいわゆる税金相当部分というのは、値段の低いたばこの中の税金相当部分よりは高くなっておる、こういうような配慮はおっしゃいますようにいろいろやらなければならないと思っております。
  19. 高沢寅男

    高沢委員 その直接税と間接税の関係で直間の比率を見ますと、これはもう御承知のところであるわけですが、昭和九年−十一年という戦前の標準の状態のときには直接税は三四・八%、間接税は六五・二%で、戦前では間接税の方がずっと比重が高かった。それが戦後はその関係がずっと変わってきて、昭和五十年度の今度の予算ベースでは、直接税で七三・五%、間接税で二六・五%で、大まかに言って三対一というふうな形になってきておりますが、私は、この姿は従来の経済高度成長という一つの構造の中でなってきたというふうにも考えられますけれども、これは大蔵省から見てある程度政策的にこういう三対一というようなバランスにしたのか、あるいはそういう政策意図はなかったが結果としてそうなったということなのか、この辺はどうなんでしょう。
  20. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 直接税と間接税をどのようにバランスのいい体系としてとるかということはそれぞれの国の事情によっても違いますけれども、わが国におきましては、おっしゃいますように、戦前におきましては、国税、地方税を含めましたところで直接税は約五五%でございました。その後シャウプ勧告当時で、国税、地方税を通じまして直接税は約六割でございまして、あの当時はほぼこれくらいのウエートでいいのではないかということも言われましたし、またある時期におきましては、昭和三十年代の初めぐらいでございますけれども、直間の比率がほぼ半々くらいがいいのではないかということも言われたわけでございます。  その後、税体系としては余り大きな変動をとっていなかったのでございますけれども、何しろいまお話しのような高度経済成長の結果、所得税、法人税というものの税収そのものが非常にふえてまいりまして、だんだんこのウエートが高くなってまいりました。四十年代の初めにはこれが約六〇%直接税のウエートとしまして占めておったわけでございます。それがまた、十年たった今日におきましては、いまお示しのような数字でございます。  私どもといたしますれば、あるいは税制調査会の御議論もそうでございまするけれども、さっきお答え申しましたように、直接税に過度に依存するということもやはりいろいろな弊害を伴いますから、バランスのいい体系、特にわが国におきましては直間の比率から言いまして——わが国よりも直接税の高い国と言いますのは、実はアメリカぐらいでございます。そういう意味におきまして、もう少し間接税のウエートを高めてはどうかという御意見があるわけでございますが、どうもいまの構造そのままを置いておきながらそういうことを期待いたしましても、今日まで税収がもっぱら所得税、法人税にウエートがかかってまいりまして今日のような状態になったわけでございますので、やはり直間比率ということを考えますれば、相当大きな税制改正ということを考えないと、なかなかこうした傾向というのは私は変わらないのではないかというふうに考えております。
  21. 高沢寅男

    高沢委員 いま局長の言われた、直間比率にある程度の変更を加えるとすれば相当大きな税制改正をしなければならぬじゃないか、こういうことですが、今後の行き方としてそういうことをやることになるのかどうか。  これは結局、私がお尋ねしたいのは付加価値税の問題ということになってくるわけですが、さっきの局長のお答えの中でも、従来の間接税は個別の商品に対する消費税、間接税、こういうふうな性格であったから、それぞれの商品ごとの政策判断で一定の、高くするあるいは低くする、こういう選択もできた、こういう御説明であったわけですが、これが付加価値税という一般的、普遍的な消費税になってくると、そういうことも今度はできないというふうなことにもなってくるわけです。  したがって、税負担適正化を図るということからすれば、間接税というものはやはり個別商品に対するものということの中で取捨選択をするというような行き方が当然望ましい、私はこう思うわけですが、これからその法人税一所得税というふうな直接税関係では自然増収が余り期待できないということが一方ではある。そうなってくると、間接税の方へ大きくその比重を移していく必要が出てくるわけで、そこに付加価値税の必要が出てくる、これはこれで一つのあなた方の立場からの論理じゃないかと思うのですが、そこのところをこれから、まあこれからと言う場合には二年なり三年なりというふうなことも含めてのことになりますが、そこのところを出してくるお考えがあるのかどうか。これはむしろ大臣からお聞きをしたいと思うのです。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 そんな大きなことは考えておりません。私どもやはり政府・与党といたしまして、着実に予算に計上した歳入をいかにかして確保するかということを主眼にいたしまして、じみちに考えていきたいと考えておりまして、直間の比率でございますとか付加価値税の採用でございますとかというアカデミックな議論はありますけれども、そういうことをやり遂げるような政治状況にはございませんので、いまある税制の中でじみちに、どういう点を改善したらいいか、少し克明に考え国会の方の御審議を願いたいものと思っておるわけです。それは税制ばかりではございませんで、何によらず、いま大きな胸のすくような改革なんてなかなかできないことでございますことは、あなたもよく御承知のとおりでございます。
  23. 高沢寅男

    高沢委員 私は、いまの大臣のお答えは非常にはっきりしていたと思うのです。これはひとつわれわれも十分に記録にとどめていきたいと思います。  今度は具体的な問題でお尋ねをしたいと思います。  今回のたばこの値上げの理由の中に、たばこの専売益金率が六〇%というものからずっとパーセントが割り込んできたというようなことが一つの理由になっているわけであります。しかし、これを考えてみますと、いまの制度が納付金制度というふうな制度で行われているわけであって、結局たばこの事業に関して総売り上げといいますか総収入といいますか、そこから総支出あるいは総損失といいますかを差し引いたその残額を国庫に納付する、これが専売納付金、こういうような制度になっているわけです。  そういたしますと、その納付金と、一方では今度は地方のたばこ消費税、これを合わせて益金率というふうなことでパーセントを出してこられたわけですが、その納付金がどの程度の額になるか、あるいはまた納付金の総売り上げの中でのパーセントがどのくらいのパーセントになるかということは、これはむしろあらかじめこうするというふうな考え方よりは、むしろどのくらいのたばこの製造のためのコスト、たとえば葉たばことかあるいは製造のための人件費であるとか販売経費であるとかというようないろいろなコスト要因というものは、これはそのときの経済情勢で動くわけですから、そういうコスト要因というものによって、この総支出、総損失というものがいろいろに変動しながら結局固まってくる。すると、その全体の売り上げとそれとの差額でもって納付金の金額が決まる。  つまり、この納付金というものは、結果論で決まる性格のものじゃないのか。その結果論で決まる性格のものを、これは何%でなければいかぬというような形でもって一つの決まった益金率の土台に乗せようということ自体が、制度の性格からいってこれは無理があるんじゃないのか、私はこういう感じがするわけですが、泉さん、そこのところをひとつまずお考えをお聞きしたいと思うのです。
  24. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 ただいま先生のお話のとおり、たばこ事業の益金率は、ここのところずっと下がってきておるわけでございます。この前定価改定をお願いいたしました四十三年度におきましては、これが六三%程度にまで回復いたしたわけでございます。自来四十七年度までは大体六一、二%で推移をしてまいったわけでございますが、四十八年度以降これが六〇%を割り五九・三、四十九年度の見通しでは五四・三というふうに下がってきておるわけでございます。  それで、このたばこ事業益金率につきまして何%でなければならないということはございませんけれども、過去の経緯を見ますと大体六〇%を超えたところで推移をしてきていたということと、それからさらに諸外国のたばこ消費に対する税負担率を見ますと、これは先生すでに御案内のとおり、七割を超えておるというようなことが実態になっておるわけでございます。したがいまして、たばこの消費に対しまする税負担が余りにも減少することは、われわれの方では意図せざる減税ということで申しておりますけれども、やはり適当でないのではないか。やはり適正な税負担たばこの消費者にも御負担いただくということが今回の定価改定の理由になっておるわけでございます。
  25. 高沢寅男

    高沢委員 この前の、いま説明された四十三年度の値上げをされたときも六〇%を割ったからということで値上げをして、値上げの結果六三%になった。それがまただんだんと下がってきたということから今回の値上げがまた出ているわけですが、とにかく、そうしているわけじゃないと言われるが、実際上六〇%というパーセントが何か目安になり、基準になっているということは間違いないと思うのですね。この六〇%というものは一体どこからそういう数字が出てきたのか、またその六〇%でなければいかぬということは一体どこからそういうことが行政目標として出てくるのか、これをもう一度聞かしてください。
  26. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 ただいま申し上げましたとおり、六〇%でなければならないということは特に定まっておるわけではございませんけれども、過去のたばこ消費に対する負担が六〇%を超えたところで推移してきていたという経緯と、わが国におきますたばこ消費の負担が諸外国に比して決して高くないというふうなところを見まして、やはりわれわれとしては一応六〇%が一つのめどではないかというふうに考えています。  ただし、今回の定価改定におきましてはいろいろな物価抑制の問題等々がございまして、なかなか六〇%台までは行っておりません。今度の定価改定をお認めいただいた場合におきましても、たばこ事業の益金率は大体五六・九%程度になるのではなかろうかということでございまするので、六〇%が絶対的なものであるというふうには考えておりませんけれども、一応のめどとしては六〇%ということがわれわれの念頭にあることは事実でございます。
  27. 高沢寅男

    高沢委員 いまの御説明のように、今回の値上げが実現をしてもその益金率は五六・九%ということで、しかもそれがまた来年、再来年と、こう年度を追って先を見ていくと、これはもちろん見込みであるわけですが、昭和五十三年度にはもう五一%くらいにまたなるという、そういう見込み専売公社の方でも持っておられる。こういうことだとすると、ことし値上げをした、また一年か二年たったら値上げだ、こういうことになるのじゃないかと私は思うのですが、その見込みはどうなんでしょうか。
  28. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 ただいまのお話にございました公社の方での将来の見通しでございますけれども、これは先生すでに御案内のとおり、各種の推定、推測が入ってできておるものでございます。要は、私は二つになるんだろうと思います。  一つは、公社自体の経営努力、これを今後ともますます積極的に推進していくことは当然でございます。それから二番目としましては、やはり将来の見通しに関しまするいろいろな前提がございます。人件費がどうなるであろうかとか、あるいは葉たばこの収納価格が将来どうなるであろうかとか、こういうふうないろいろな原価要素の上昇見込みがどうなるかということが大きな決め手になるわけでございまして、これをせんじ詰めますれば、経済全体の運営が安定的な基調でいくかどうかということにかかってくるのではないかと思います。
  29. 高沢寅男

    高沢委員 過去の益金率の推移を見ても、四十八年度は五九・三で、六〇を割ったとはいってもほぼ六〇ですね。それから四十九年度が五四・三とここでかなり大きく落ちますね。それから五十年度がその定価の改定をしないとすると四六・五で、ここで物すごく落ちるというようなことになっていますが、この四十九年度、五十年度というここで非常に益金率が大幅に落ちている。このことは、つまりこの四十九年度、五十年度というふうなところで非常にコスト要因が上がっておるということの結果であって、そのコスト要因の上がったということは何かというと、これはまさに政府経済政策、われわれの言うインフレ政策ということからそうなったというふうにしか、もうほかの要素は考えられないですよ。  そうすると、そのことで値上げだ、こうなる。これはつまり国民の負担であります。政府経済政策の結果が、このたばこの場合もそのための値上げだ、こういうふうになってくる。そしていまのお話では、値上げを仮にしたとしても五十年度の益金率は五六・九。それがまたその後一、二年たつと、いろいろな要素を含めて公社で予測されておるところで見ても、また上げなければならぬような、そういう益金率を見込まざるを得ない。  これは私は、何と申しますか、全く政府責任ということの結果としてこうたびたびたばこの値上げという、国民の負担の増加という、こういう結果が出てくるということでは、これは国民の側からすればとうてい納得ができないということになるわけですが、この益金率の大きく落ちておる要素はどこからきているかということについては、ここではっきり、私は政府責任だ、こう申し上げるわけですが、その点は公社の側ではどう見ておられるか、ひとつお聞きしたいと思います。
  30. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 ただいままで先生から御質問のありました点、監理官からお答えいたしました経過で数字の足取りはおわかりいただいたと思いますが、確かにたばこの場合、御承知のとおり、余り過去から定価改定というものはやっておりません。公社が発足いたしましてから全般的な定価改定をやりましたのは前回の四十三年でありまして、その間、二十年近くの間定価を捉え置いておる。それから四十三年からいままで七年間据え置いておる。  たばこと申しますものが一般の消費者の皆さんに大変かかわり合うということ、公社の使命といたしまして、片一方では、たばこの場合は財政専売という使命を帯びておるわけでございます。そういった財政専売という使命を達成する、片一方にそういった目的があると同時に、たばこを消費される多数の、三千五百万と称しておりますが、そういった方々にできるだけ安くていいたばこを供給するという使命もあるわけでございます。そういうわけで、一度決めた価格というものはできるだけ守っていきたいという立場を持っております。財政に対する貢献とそれから消費者に対するそういった貢献という両方、場合によっては矛盾するような二つの目的をかかえながら公社というものはやってまいりました。  それで、今度値上げをいたしますのは、確かに御指摘がございましたように、原料費、材料費が上がってきている、あるいは人件費が上がってきている、これは一体だれの責任なのかというのが御質問でございますけれども、そういうことに対して私たちが、これはだれの責任だということを申し上げる立場にはございませんが、現実の問題として公社が企業として運営していく中におきまして、そういったものが上がってきておるという現実があるわけでございます。片方財政という目的に寄与しながら、片方消費者の方々に対する影響というものをできるだけやわらげながら、これをどういうふうに運営していくかということが私たちのまさに努むべきことであると思います。したがいまして、そういった両方の兼ね合いの中から今年度の定価改定というものをお願いしておる次第でございます。
  31. 高沢寅男

    高沢委員 その六〇%議論とこれは私は共通した性格の問題だと思うのですが、大蔵省と公社の間で納付金率の覚書というものがあるわけですね。その納付金率の覚書の内容はこういうものだということを、私はまず御説明願いたいと思うのです。
  32. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 昭和四十六年の五月にただいま先生からお話のございました覚書が大蔵省と公社の間で交わされたわけでございます。この目的といたしましては、国の財政収入の安定的確保あるいは公社の経営責任の明確化、こういうことをねらいといたしまして、四十六年度から一応三カ年程度でやろうというのが最初の覚書だったわけでございます。  この覚書によりますると、一つは、第一種納付金と申しておりますけれども、毎事業年度たばこの国内販売総定価代金の額の五六%に相当する金額から、その事業年度に納付した地方たばこ消費税の額を控除した金額、これが第一種納付金と言われておるものでございまして、いわば消費税に相当しておる分でございます。  それから二番目は、第二種納付金と申しておりますけれども、これは毎事業年度の決算上の利益から、ただいまお話ししました第一種納付金を控除した金額の五〇%に相当する金額ということでございます。  これが当初の覚書の内容であったわけでございますけれども、その後、これは塩の事業会計における損失を勘案いたしまして、五〇%を三七・五というふうにいたしました。さらに四十九年度におきましては、この五六%という率も維持できなくなりまして、予算におきましては五四・五、それから補正後におきましては五二・五というふうにパーセントを下げております。  本年度におきましても引き続きこの覚書方式を延長するということを現在考えておりますけれども、五十年度におきましては、ただいまのような定価改定の引き上げを行いましても第一種納付金率は五〇%程度になり、第二種納付金率は三七・五を維持していくというふうなことが考えられておるわけでございます。
  33. 高沢寅男

    高沢委員 いま覚書の内容の御説明がありましたが、それで見ると、第一種納付金の前提になるパーセントが四十六、七、八の三年度は五六%、それが四十九年度は五四・五%になり、四十九年度補正では五二・五%になり、今度五十年度は五〇%、非常にこのパーセントが動くわけですね。このパーセントのこういう変動の根拠は一体何なのかということですね。  大蔵省と専売公社との間で覚書を交わされて、それを実行するのにこういうふうにパーセントがそのときどきの情勢で動くということになると、このパーセント自体に一体どういう権威というか、あるいは根拠があるのか、これもそのときの情勢次第だというふうな感じがしてくるのですが、この数字の性格というか、あるいは根拠というものは一体どういうところから出てくるのか、お聞きしたいと思います。
  34. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 確かに先生から御指摘のございましたように、第一種納付金の率が当初設定いたしました四十六年度から今日までかなり動いてきております。本来、この第一種納付金と申しますのは、さっき監理官から御説明申し上げましたように、国及び地方に納めるものの中から地方消費税を引き去ったもの、したがって、実態的には国に対するたばこ消費税だというふうな観念の仕方があるわけでございます。そういう意味から申しまして、この率が頻繁に変更されるということは本来望ましくないことであると思います。  それから、公社といたしまして、この第一種納付金というものが一応国及び地方に対する公社の財政貢献の限界であるという受け取り方もできるわけでございます。その範囲内のもの、それだけのものを国と地方にお納めして、そしてそれを前提として、いわば残ったもので公社の企業というものをやりくりし、やっていくというたてまえからいたしますと、こういったセットされたものが頻繁に変わるということは本来的には望ましくございません。そういう意味で、いま先生のおっしゃったことについては同じ感じを持っています。  ただ問題は、四十八年度の後半から昨年、まあ今日かなり鎮静してまいりましたけれども、いわゆる狂乱物価と俗に言われておりますような、そういった経済変動の中で、五六%という当初設定されました第一種納付金の率というものを守ってまいりますと公社の方の経営が大変やっていけなくなる、そういう現実というものがあったわけであります。そういうわけで、ちょっと言葉は不適当かもしれませんが、いわばこの際、こういったさしあたり当面しておる現実というものにかんがみまして、公社と大蔵省との間のいろいろな協議の結果、この程度の第一種納付金の負担率にしようではないかということでお話し合いをしているわけでございまして、経済というものが今後安定してまいりまして長い見通しが立つという段階におきましては、これはやはりあるものがセットされましたらそれは将来相当長期的に維持されていくべき性質のものであるというふうに考えます。
  35. 高沢寅男

    高沢委員 私はさっきも言いましたけれども、いまの納付金制度の性格そのものが、総売り上げ、それから総支出、総経費、この差額の中から納付金というものが結果として決まってくるわけでしょう。その決まってくるやつを、何かあらかじめ五六%とか、いや今度は五四%だとか、いや今度は五〇%だとか、こう枠をあらかじめかけてみたところで、結果論でもって経費が上がれば納付金の額は減ってくる。こういうことになってきたときに、今度はその現実に合わせて、それじゃ五四と言ったけれども五二でしょうがないぞというようなそういうパーセントの動かし方、しかもそれが大蔵省の担当者と専売公社のあなた方との間の何か話し合いの中で、国民にはちっともわからぬところでパーセントをお互いに話し合ってあれこれ動かしている。このことが、いまの制度の性格との関係から、大体そういう一定の枠を決めるということに無理があるのじゃないのかということが一つ。  それから、これはまさに国の歳入に関係する重要な性格を持つパーセントが、あなた方の判断や話し合いの中で上げたり下げたり適当に動いている、このこと自体が、私は、この予算制度国会審議権との関係ということから見ても、非常に好ましくない姿じゃないかという感じがするのですよ。ですから、そういう運営が必要だというなら、これは堂々と法律なり制度改正して、そして国会の場において何%だとはっきり決めて、国民にもわかるようにパーセントを決めて、それを実行していくというような、そういう制度なり法の改正というものをやってそういうことをやられるのならわかりますけれども、いまはそういうことなしに、何か裏の方の話し合いで適当にやって、パーセントはそのときどきの情勢で適当に動いているということでは非常に不明朗だし、また実際の効果というものもないんじゃないか、私はこういう感じがするのですが、いかがですか。
  36. 泉美之松

    泉説明員 お話しのように、現在までのところ第一種納付金の率がしばしば変更になっておりますことは、こういう制度あり方として好ましいものではございません。  御存じのように、すでに従来からたばこについて消費税制度を設けるべきではないか、そしてたばこに対する国民の負担というものを明らかにすべきではないかという御議論、それによって専売公社の経営の責任も明確化できるではないかということが言われております。これらの点につきましても、私どもいろいろ検討をいたしておるのでございますが、たばこ消費税制度をすぐさま採用するにつきましては、いろいろ問題点があります。関係各方面の理解と納得を得ないとなかなか容易に実施できないということから、第一種納付金率を大蔵省と専売公社との間で決めるということをやってきておりますが、この納付金につきまして、消費税制度ができなくても少なくとも納付金率というものは法定すべきではないかという御議論もあろうかと存じます。  私どもとしましては、消費税についてもいろいろ問題がございますが、望ましいのは少なくとも第一種納付金の率は将来法定する方向考えるべきではなかろうか、このように思っております。ただ、そういうふうに第一種納付金率を法定することになりますと、これまたいろいろ問題が出てまいります。  たとえば、納付金率を一定に決めておいて定価を抑えられておりましては税負担の転嫁ができませんので、そういうことになりますと、定価改定につきまして今日のやり方とは違うやり方をやっていかなければならないというふうに考えられます。そのほか、いろいろな問題がございますので、納付金率の法定につきましても検討はいたしておりますが、いますぐに実施する状況にないのでございます。  しかしながら、この問題はきわめて重要な問題でありますので、私どもは精力的に勉強してまいらなければならない、このように思っております。
  37. 高沢寅男

    高沢委員 いまの泉副総裁の御説明で、消費税制度は必要だし、またやりたい、しかし、いまの法律や制度の中ではそれはまだやれる段階になっていない、それで一種の苦肉の策と言っちゃ言葉は悪いけれども、そういうところから覚書というやり方も出てきているんじゃないかという感じがするわけです。  その消費税制度についてはどうかとなれば、また私たちも態度がありますし、これは後で私の質問でも触れたいと思いますけれども、ここで一つだけ、覚書方式との関係で、五十年度値上げが実現したとした場合、さっきの御説明では、五十年度の第一種納付金の率は五〇%、こう言われたのですが、値上げが実現して五〇%ということなのか、値上げが実現したら五〇%はまた別のパーセントになるのか、ここはどうなんですか。
  38. 泉美之松

    泉説明員 その点につきましては、目下大蔵省と折衝いたしておりますが、仮に五月一日から値上げができるといたしましても、四月は値上げがもちろんできないわけでありますし、それから御存じのとおり、四月には定価改定を前にいたしまして相当多量に仮需要として売ります関係上、五月一日に定価改定ができましても、昭和五十年度中の第一種納付金率は、五〇%程度にならざるを得ないという事情にございます。
  39. 高沢寅男

    高沢委員 それから、もう一つ念を押す形ですが、第二種納付金の方はその値上げが実現したとしてやはり五十年度三七・五%、こういうことですか。
  40. 泉美之松

    泉説明員 さようでございます。
  41. 高沢寅男

    高沢委員 あと質問のあれを次に進めたいと思いますが、その前に、佐藤委員からこの問題と物品税の関係で関連質問がありますから、佐藤委員から……。
  42. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 いま高沢委員の方から益金率の問題について御質問があったわけですが、いまの専売制度財政専売、つまり財源を捻出するための専売をとっておるという立場に立てばわからぬわけではないのですけれども、ちょっとお伺いしておきたいのですが、きょうは間税部長来ておりますか。——物品税の最高に高いものは何%ですか。
  43. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 物品税におきましては小売課税と製造者課税がございまして、小売課税につきましては小売価格の一五%が一番高い税率でございます。それから製造者課税におきましては、製造者の販売価格の三〇%でございます。  したがいまして、いまたばことの関連で御質問でございますから、製造者販売価格の三〇%といいますのは、小売換算いたしましたら大体その半分程度と思っていただければ適当だと思います。
  44. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そうでしょう。物品税ですら、現実には一番高いものでも、製造者課税の場合でも、いまわざわざ御説明していただいたように、半分くらいということは実際の販売価格にしたら一五%ということですね。要するに、物品税でも最高額は一五%なんですね。  物品税というものは一体どういうものにかけるのですか。
  45. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 今日の物品税におきましてはいわゆる奢侈品あるいは便益品、そういうものを大体頭に置いて課税をいたしております。  そこで、いま御質問たばこと御比較になるのでございますれば、むしろ酒税と御比較していただくのが適当だと思いますので、たとえば酒税におきましては、ビールでは小売価格の四〇%以上の負担をしておるというようなことでございますから、やはりそういう嗜好品、特に酒、たばこという非常に縁の深いものでございますから、御比較していただくのでございますれば、やはり酒税と御検討いただきたいのでございます。
  46. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そう勝手に自分で問題をすりかえてはだめですよ。問題は、私も何年かやってきたけれども、物品税というのは奢侈品だ、便益品だと言って、それでもわれわれに言わせれば冷蔵庫までかかっておる、何にかかっておるといろいろ問題があったわけですね。そういった物でも、要するに背後にある担税力に期待をして物品税というものはかけておるわけですね。それが最高のものは一五%でしょう。たばこの場合には便益品でもない、あえて言えば嗜好品である。これだけが物品税の最高のものよりも三倍も四倍も高い。  しかも高沢委員が冒頭に質問をしたように、消費税というもの、間接税というものはどんな収入の人でも一律にかかるという不公平を持っておるわけですね。そうなってきますと、物品税という背後にある担税力を期待して、また十分それにこたえる所得を持っておる人のみが使うものにかけられる物品税の最高が一五%、ところが、たばこという全く大衆的なものに五〇%だ、六〇%だという議論がされておること自体が非常におかしいのであって、財政専売という立場に立てば、これは財源を得るのだから七〇でも八〇でもいいということになります。しかし、税体系の根本を考えた場合に、担税力を考えてかける物品税と、全く大衆的なたばこの税金とがこんなにかけ離れておること自体、専売益金率のみに焦点を置いてものを考えることはおかしいと思うのです。社会的不公平の是正を言う三木内閣の大蔵大臣としてどうですか。  物品税は最高一五%ですね。しかも額は非常に高い物。しかも物品税のかけられている物なんというのは、毎日毎日買う物なんかありませんよ。宝石だとか貴金属とかあるいはその他いろいろな物を考えてみたならば、これは毎日毎日買う物ではない。ところが、たばこは吸われる方はほとんど毎日買われるわけですね。それに五〇%だ、やれ六〇%割ったから大変だということ自体が、どうも私には納得がいかぬのです。  中橋局長はなんとか酒税とのすりかえによって言おうとしているけれども、私はやはり税制の本質を考える場合に、これは物品税と関連して考えるべきだと思うのですが、この点について、益金率というのは財政専売をとっている限りはこれは皆さん方の立場でやむを得ないと言われるかもしれませんけれども、社会的不公平の是正を言っている三木内閣のもとで、物品税が最高一五%という時代に、全く大衆的なたばこだけ六〇%、やれ五〇%にやっとなったのかんのと言うのは、どうも財政専売のあり方自体がおかしいのではないか。これは財政専売の問題についてはもう少し掘り下げて考えなければいかぬので、また改めてお伺いをしますけれども、どうも六〇%が何かいかにもあたりまえだというような発想でものを考えると、これは非常におかしなことになってくるのじゃないかと、私はいまの高沢委員質問に関連して思っているわけです。その点一点、大臣にお伺いをしておきたいのであります。
  47. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 たばこの消費に対します税の負担率としましては、先ほど来益金率が出ておりましたけれども、この益金率から公社の内部留保分を差し引いたところで、同じような率として総合納付率というのがございます。これが地方たばこ消費税と国の専売納付金でございますので、これがいわばたばこ消費に対する純粋な意味での消費税率になろうかと思いますけれども、これが従来大体におきまして五八%程度を維持してきておったわけでございます。今回の定価改定によりまして、このたばこ事業総合納付率は大体五二・六%程度になります。  確かに先生御指摘のとおり、他の物品税率に比して高いわけでございます。たばこに対する税率は、先ほども申し上げましたけれども、諸外国におきましても非常に高率でございます。七〇%を超えているところが多いわけでございますけれども、これは歴史的な、沿革的な原因によってこうなっているのではないかというふうに考えます。  すなわち、当初たばこが原産地のアメリカからヨーロッパに持ち込まれたときには禁煙政策というのが徹底して行われたわけでございます。ところが、この禁煙政策はその後いろいろな事情で維持できなくなりまして、次いで国家財政上重要な財源として着目されるようになって今日に至っておるわけでございます。すなわち、たばこ財政物資として着目されるようになったわけでございます。そして一つには、今日におきましてもたばこが嗜好品であること、二つには一個当たりの価格が小口であるというようなこと、あるいは税金相当分を含んだ小売定価そのものが価格として消費者に受け入れられて、なじまれてきておるというようなことが因となり果となって、旧来からこういった高率の税負担をお願いしてきておるわけでございまして、この事情はひとりわが国だけではございませんで、先ほど申し上げましたように、諸外国においても同じような事情になっておることを御理解願いたいと思います。
  48. 大平正芳

    大平国務大臣 いま監理官から御説明がございましたけれども、佐藤さんがいま言われましたとおり、財政専売なんでございます。財政専売につきまして六〇%云々がいま高沢さんからも問われたわけでございますが、塩も財政専売でございますが、財政専売でありながら八〇%損しているわけなんでございます。六〇%どころじゃないのです。損をしているのでございます。つまり財政専売というのは、そういう公益専売といたしまして、財政収入を主として考えるかあるいは公益を主として考えるかという政府政策にもっぱら依存しておるわけでございます。  したがって、いま監理官から御説明がありましたように、沿革的にこれは政府歳入を確保する手段といたしまして財政専売制度を各国ともとってまいったわけでございまして、先進諸国おしなべて七〇%程度以上をちょうだいしておるようでございまして、わが国が六〇%程度ちょうだいいたしましても、私、ちっとも悪くないのじゃないかと考えておるわけでございます。  物品税との比較でございますが、物品税なんかができない前からこれはやっておるのでございまして、物品税と比較すること自体比較のベースが違うわけでございますので、御理解をちょうだいいたしたいと思います。
  49. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 財政専売という前提は、同じ土俵の中で話をしているわけです。しかし、財政専売がいいか悪いかとなると、もっと大きな財政あり方自体から考えていかなければいかぬですから、そこまで私はいま論議しているわけじゃないのですね。ただし、財政専売であってもおのずとこれは限界があろうかと思うのです。六〇%という公社と大蔵省との取り決めがいいか悪いか、これが一つの問題だと思うのです。  それと、物品税というのは背後にある担税力に着目をして、そういった物品税がかけられている物でも買える人、もっとも、そういう物じゃない物も物品税がかかっているということで、物品税の改正のときにいつでも問題になっているわけですけれども、しかし税制全体としては物品税というのは担税力に着目をしているわけですね。ところが、たばこというのは背後にある担税力に着目しているのか、そうじゃないと思うのです。物品税は確かにそれなりの、ステレオだ、やれ貴金属だ、モーターボートだといういろいろな品物について、特別な物について、それ以外の物にかけられているから問題なんですけれども、そういった背後に担税力を考えているわけですよ。  ところが、たばこというのは担税力を考えているのじゃないのでしょう。どんな人でも吸おうと思えば吸えるわけですね。背後にある担税力が着目されているわけじゃないわけですよ。そこが基本的に問題なわけでしょう。  大臣は、それは財政専売だ、だから過去の経緯、外国との関係、こういうところからいってもいいのだと言う。ところが、日本の税制全体の体系から言って、百円の物に五〇%も六〇%も税金が入っている、片やステレオだ、やれ貴金属だという物には現実には最高一五%しか税金が入っていない、これで果たして税のバランスとしてどう思っているのだろうか。さらに高沢委員が冒頭に質問したように、間接税というのは所得に関係なくかかってくるわけですから、不公平の拡大になっていくわけですね。是正よりも拡大になっていく、その点はどんなふうに考えていらっしゃるのだろうか、再度お伺いしたいと思います。
  50. 大平正芳

    大平国務大臣 いま税制をもう全然白紙で一遍全部やり直すということでございますれば、佐藤さんの考え方一つ考え方だと思うのですよ。だけれども、これは長い沿革でわれわれの先輩がいろいろ血のにじむような試行錯誤を繰り返しながらこれをやってきて、ここまでできてまいりました制度のもとでわれわれは歳入をちょうだいいたしておるわけでございまして、それをどの程度、どのように改変してまいるかということが現実のわれわれの、実際的な政治家の仕事であろう。学者は別ですよ、詩人は別ですよ、われわれは政治家なんだから。  その場合に現実にどこまでが改変可能かという程度考えますと、結局、益金負担率、益金をどの程度専売にお願いするかというような問題及び物品税率はどの程度お願いするかという判断になってくるのじゃなかろうか。その場合に、かつて物品税の税率とたばこの益金率、納付率とが大きな論争になったということを私はまだ寡聞にして聞いたことがないのでございますが、いままでそういう議論は展開されたことはなかったと私は思うのですけれども、これは確かに佐藤さんおっしゃるように、そういうことは議論する問題になり得る性格を持っておると思いますけれども、少なくともいままでそういうことは余り問題にならなかったし、現実の政治といたしましては、財政専売は財政専売のフレームの中でどの程度改変が可能か、物品税は物品税としてどの程度改変が可能かということがいま問われておるんじゃなかろうか、そういう感じを私は持っておりまして、答えになりませんけれども私の意見を問われますので……。
  51. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 関連の最後に、もっと端的に言えば、たとえばダイヤモンドとかルビーとかサファイヤ、こういったものは物品税は一五%、それからじゅうたんは一〇%、真珠は一五%、モーターボートは三〇%、こういったものの物品税はいま言ったように一五%から三〇%という税率であるわけですね。ところが百円のたばこは、われわれの聞いた範囲では、専売公社ははっきり言いませんが、セブンスターの税金は五十七円だという。チェリーでもハイライトでも、百円のものは五十七円だとわれわれの調べた範囲では聞いているわけですね。こういった大衆的なものは百円の中に五十七円も、つまり五七%の税金がかかって、ダイヤモンドは一五%の税金だ。これで果たして——社会的不公平の是正と言っている内閣が、さらにその五七%の税金では安い、足りないというふうに逆の方向に、不公平を拡大するような方向に行く、これで果たしていいですかと聞いているわけです。  背後にいろいろあることはわかりますが、最後に端的に、ダイヤモンドが一五%で、百円のセブンスターは五七%も税金が入っている、これが果たして社会的不公平の是正を言う内閣のやることですか。関連ですから簡単にお伺いしたい、これだけをお伺いしておきたいのです。
  52. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 確かにたばことか酒に対します税金は、非常な嗜好品でございますし選択の可能性が大きいものでございまするから、先ほど大臣からお話がございましたように、わが国におきます過去の歴史におきましても、諸外国の税制上におきましても、かなり高い税金を取っておることは事実でございます。おっしゃいますように、物品税、それに類するものも各国で取っておりますけれども、それとの負担で見ましても、やはり酒税なりたばこの税金相当部分というのは非常に高いことは事実でございます。  それから、なおそのほかに私どもは、たとえばダイヤモンドの小売価格に対する一五%の税金が高過ぎるとは思っておりません。これも検討しなければならない問題でございますけれども、やはりこれは物品税という一つの体系の中で、小売課税あるいは製造課税というものの税率を過去昭和十三年来いろいろやってきた経緯がございますので、今日の姿になっておることも御了解願いたいのでございます。  それから、たばこにつきましては特に財政専売でございまするから、御指摘になりましたのも、恐らく先ほど高沢委員がお示しのような第一種納付金というのはいわば消費税でございまするから、そういうものと御比較をしていただいておると思いますけれども、やはりたばこの中には、私どもから申せば、いわば財政専売ということはいわゆる法人税相当部分あるいは地方の法人税割相当部分、さらには財政専売を委託しておるということによります何らかのそういった特例の負担部分というのも、これは専売公社たばこにお願いをしなければならないわけでございまするから、やはり消費税としての権衡、それからまた酒とたばこの権衡、あるいはまたダイヤモンドとの権衡というようなものについて、われわれも今後、過去の沿革、諸外国の考え方、あるいは今日わが国におきますところの酒、たばこに対する消費の動向というようなものをあわせて考えなければならないというふうに思っております。
  53. 大平正芳

    大平国務大臣 物品税率の問題とそれから財政専売の納付率との関連のバランスという問題が提起されたわけでございます。私の経験ではこれは初めての提起じゃないかという感じがいたしますので、卒然とお答えする用意を私いま持ちません。したがいまして、いまの御質問につきましてはもう一度考え直しまして、改めてお答えいたします。
  54. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 考え直してください。
  55. 高沢寅男

    高沢委員 それじゃまた前に進みたいと思います。  値上げとたばこの販売数量の関係ですけれども、私は今回の四八%という値上げが行われると、これは売り上げの数量にかなり響くのじゃないかという感じがするわけです。そこで、この前の四十三年度のあのときは、値上げのパーセントが一八・四%、そのパーセントと今度の四八%じゃかなり値上げの幅が違うわけですが、前回のときは、当時公社が計画あるいは予定されていた売り上げの見込みに対して実際上どういう変化が生じたか、それをお聞きして、それで今回の値上げはこうなるだろうという見込みもまたお聞きをしたいと思います。
  56. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 ただいま先生御指摘になりましたように、価格に対して価格弾力性と申しますか、価格が上がりますと消費が減る、そういう性質が当然ございます。前回の値上げにおきましても、これはいまお願いしておりますのと同じでございますけれども昭和四十三年の五月一日に定価改定を実施いたし、定価改定の前月、四十三年の四月でございますが、四月に約半月分程度の仮需要がございました。その結果、五月以降の需要が減りまして、年度を通計いたしますと、前年度、四十二年度に対しまして一・四%ぐらいの増になっております。と申しますのは、例年でございますと四、五%の増加になるところが、落ちまして一・四%程度の増加にとどまっておるということでございます。
  57. 高沢寅男

    高沢委員 今度の場合はどういう見通しですか。
  58. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 今度は、値上げがございません場合には、数量で申し上げまして恐縮でございますけれども、二千九百三億程度の売り上げがあるというふうに計算をいたしておりまして、値上げがあることによりまして数量がかなり減るであろうということで二千七百三十二億ということで、差し引き百七十一億本販売数量が減るという計算をいたしております。
  59. 高沢寅男

    高沢委員 そういうことになりますと、これは今度は国の収入地方財政の関係ということになるわけですが、地方たばこ消費税の方は売り上げの本数というものがその税額を出す一つの基準になっていますから、値上げの結果国へ入る納付金はふえる、しかし本数が計画したより減るということになると、地方財政の方はたばこ消費税が減るというふうなことになる。これはつまり地方財政の犠牲で国の納付金をふやしたというようなことになるわけですが、それはそういう結果もやむを得ぬということでお考えになっているわけですか。
  60. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 地方たばこ消費税につきましては、先生すでに御案内のとおり、単価は前年度の単価をとりまして、売り上げ本数としましては当年度の本数をとっておるわけでございます。したがいまして、先ほどの話で約百七十億本程度売り上げ本数が減少するということになりますと、定価改定をしない場合に比較しまして、地方たばこ消費税は減少するわけでございます。定価改定がございません場合には、地方たばこ消費税は三千六百九十二億円と考えておるわけでございます。既定どおりにいきまして、この売り上げ本数の減をそのまま反映さしたといたしますと、これが三千四百七十二億円になるわけでございます。差し引き二百二十億円減少するわけでございますけれども、これは定価改定に伴ってこういう影響が出たのではいけないということで、この二百二十億円を補てんすることにいたしてございます。したがいまして、地方たばこ消費税につきましては、定価改定がなかった場合と同じ金額を保証いたしておるわけでございます。
  61. 高沢寅男

    高沢委員 今度の場合はわかりましたが、四十三年度のときはここのところはどうしましたか。同じような措置をやられたわけですか。
  62. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 おっしゃるとおりであります。
  63. 高沢寅男

    高沢委員 同じ措置をやられたわけですね。
  64. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 さようでございます。
  65. 高沢寅男

    高沢委員 いまのところは、税制調査会の昨年の年末の答申で、値上げが行われる場合は地方たばこ消費税の税収が減るだろうから、その税収確保のため所要の調整をやりなさい、これはそのとおりにやられておる、こういうようなことで結構だと思います。  それで、同じ昨年暮れの税制調査会の答申の中に、将来の問題として「昭和五十一年度以降の売上見込等を参しやくしつつ、たばこ専売納付金及び地方たばこ消費税の調整について検討する必要がある。」こういうふうなことが出ておりますが、この調整について検討する必要があるということは、国庫納付金の額と地方たばこ消費税の額と、その関係が従来は国庫の納付金の方が額として多いという形できたわけですね。それが専売公社の見通しでも、将来逆転する、地方たばこ消費税の方が多くなるという見込みも持たれておるというふうに聞いておるわけですが、その逆転をさせない、そういう意味の調整ということになるわけですか。この税制調査会が調整するということを専売公社ではどういうふうに受けとめておられるのか、それをお聞きしたいと思います。
  66. 泉美之松

    泉説明員 これは二つの問題があろうかと思います。  一つは、先ほど御説明申し上げましたように、昭和五十年度におきまして、従来のままほうっておきますと地方たばこ消費税が減収になりますので、その減収を補てんするために二百二十億円補てんをいたします。しかし、昭和五十一年度になりますと、今度は値上げ後の単価に対しまして売り上げ本数を乗じて、それに地方消費税を掛けたものが地方たばこ消費税になりますので、値上げの影響をもろに受けまして地方消費税が非常に増額いたします。したがって、五十年度で増額いたしました二百二十億円を五十一年度で調整して引かせていただきますというのが一つ。  それからいま一つは、先生お尋ねのように、将来国と地方との間でたばこ消費税なり専売納付金の率がどのようにあるべきか、これらについて十分検討をしていくべきではないかという問題、この二つあろうかと思います。
  67. 高沢寅男

    高沢委員 いまの御説明の最後の点は、私、非常に重大な意味を持っているのじゃないかと思うのです。いま、地方たばこ消費税が地方自治体にとっては非常に安定した財源になっておるということは御承知のとおりです。また、その中身としても、そのたばこの平均価格というものが積算の基礎になりますから、したがって、比較的安いたばこの売れる農村地区、高いたばこの売れる都市地区、この間のあれが調整されて、農村地区からすれば地方財政収入は、実際のその地区のたばこの売り上げよりより多くの消費税をもらえる、都市の方はそれだけ少なくなる、こういうふうな調整の中身を持っておるし、この税金の性格は地方財政の面ではいろいろな意味で非常に有効な役割りを果たしておるということだと思うのですが、いま副総裁が説明された、将来その税率も含めて検討するというふうなことになってくると、現在の二八・四%にも手をつけるというふうなことになりますと、私は地方財政の立場としては、いま地方財政もそれぞれ非常に重大な問題を抱えておるわけですから、これは重大な意味を持つので、そこのところはもう一度、そこまで考えておられるのかどうか、二八・四%に手をつけるということまで考えているのかどうか、ここのところをお聞きしたいと思います。  これは専売公社と同時に、主税局長の方もひとつ。
  68. 泉美之松

    泉説明員 その問題は、私は問題点であるとだけ申し上げるわけでありまして、専売公社はそういうことを考える立場にございません。これは国と地方との財源配分の問題でございますので、大蔵省においてそれをどうお考えになるか、それに従って、私どもは地方消費税として納付するだけでございまして、私からお答えするのは適当でないと思います。
  69. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 ただいま泉副総裁の方からお話がありましたように、今後の課題でございまして、いまここでどういうことを考えておるということは特にございません。
  70. 高沢寅男

  71. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 全体の、いわゆる専売納付金と地方に納めますところのたばこ消費税の配分の問題と、そのほかに、さらにお尋ねのように地方団体相互間におきますところのたばこ消費税の配分という問題はございますけれども、地方たばこ消費税を創設いたしましたときにも、一体価格割りでやるのがよろしいか、本数割りでやるのがよろしいかというような議論を重ねた末今日のような制度になっておりますので、もちろん地方たばこ消費税の配分基準と申しますか、そういうものについて検討の必要はございましょうけれども、やはりそういった議論の末でき上がりました制度を今日まで長年続けてまいったものでございますから、重要な検討課題とはなると思いますけれども、そういう方向改正するということはなかなかむずかしいのじゃないかというふうに思っております。
  72. 高沢寅男

    高沢委員 先ほど佐藤委員の関連質問に対する大臣のお答えの中でも、こういう税制の問題は白紙にしてやるということは現実としてはなかなかできない、結局、長い間の積み重ねを踏まえて、それをどう手直しするかというふうな扱いしかできないというお答えがありましたが、この地方たばこ消費税のことでは、いま主税局長の言われた、いろいろな過去の経過で現在の制度になってきている、それから現在の税率になってきているということであるわけですから、私は、これは将来にわたって地方財政という見地からはひとつ堅持をすべきだ、こういうわれわれの立場をこの場では一応申し上げておきたいと思います。  理事さんの方から、この辺で昼休みにしてまた午後ということですから、私も一たんここで打ち切らせていただきたいと思います。
  73. 上村千一郎

    ○上村委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後三時十八分開議
  74. 上村千一郎

    ○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。高沢寅男君。
  75. 高沢寅男

    高沢委員 午前中の審議の中で、専売公社の泉副総裁から、消費税制度方向考えておる、あるいは考えたいというふうなお話もありましたが、このことについてお尋ねをいたしたいと思います。  昭和四十三年の七月の税制調査会の長期税制あり方に関する答申の中で、これは消費税制度についての、ある意味では代表的な考え方を述べているというふうに見ていいと思いますが、たばこに課せられる国と地方の消費税負担区分を明確にする、こういう意味、それから財政収入の安定的な確保を図る、こういう意味、もう一つは、専売公社の企業責任の明確化と能率の向上、こういうふうな観点から消費税制度について速やかに具体的な検討を加える必要がある、こういうことが四十三年七月の税制調査会の答申に出ているわけであります。  この消費税制度についてわれわれの態度はどうかということになりますと、これは社会党としては反対、こういう立場をとっているわけでありますが、しかし現在の納付金制度が、これは先ほども言いましたように、特にインフレなりあるいはコストが上昇してくるというふうなことになると、その結果として益金率は当然低下するということになるし、納付金の金額としてもそれは減ってくるというふうなことで、いまの納付金制度が非常に合理的な制度かというと、これはこれで問題がある。さりとて消費税制度ということになりますと、これまたいろいろな問題があり、いま言いましたように私たちとしてはこの制度には反対である、こういう立場であるわけですが、この間のこの委員会で、わが党の広瀬秀吉委員がこの問題で質問した際、政務次官からは、この問題については検討に値するが、やるやらぬの問題はきわめて慎重に考えなければいかぬ、こういうふうなお答えがあったわけです。しかし、事柄の性格上、この問題はどうしても専売制度に関してこれからも非常に根強く続く問題である。こういうふうに考えるとすれば、私は、ここでこの問題に関する幾つかの点を公社なりあるいは大蔵省のお考えをお聞きしておいた方がいい、こう思うわけです。  そこで、その国と地方の消費税の負担水準を明らかにできるというところにこの消費税制度の利点がある、こういうふうなことであるわけですが、その税の負担の水準は、財政収入を確保しようという立場からすればいわば高いほどいいということになるわけですが、しかし、公共企業体として公益性ということを主体に考えていこう、その公益性の中身たばこの専売であれば、国民に対して安い税負担で、そして安くてうまいたばこがいつでも買えるという状態でいくということは、これはこれで公共性の立場からはどうしても必要なんですね。これが目標になろうかと思うわけです。  そこで、この財政専売ということからすれば、できるだけ税負担は高い方がいい、公共性という立場からはできるだけ低くあるのが望ましい、こういう二つの相矛盾することをどういうふうに調整すべきか、ここら辺のところのお考えはどうか。ひとつこの制度考えていく場合の重要な前提としてお考えをお聞きしたい、こう思うわけです。
  76. 泉美之松

    泉説明員 先般山中先生の御質問にお答えしたのでございますが、私ども日本専売公社は、公共企業体といたしまして三つの使命を負わされていると思っております。一つは、財政専売でありますから、国及び地方団体にできるだけ財政寄与をするということ。いま一つは、国民大衆にできるだけ安くて、うまくて、しかもより安全なたばこを供給するということ。三つ目は、たばこ及び塩の専売を実施しておりますので、たばこの耕作者、あるいはフィルターその他巻き紙等の材料の供給者、あるいはたばこ、塩の小売人、元売人、こういった人たち、さらには専売公社の職員に適正な給与を払い、先ほど申し上げました関連産業に適正な収益をもたらす、そしてたばこ産業が全体として繁栄する方向に持っていく。この三つの使命を負わされているものと思っておりますが、これらの三つを理想的にあんばいしていくことはなかなかむずかしいことでございまして、いま高沢先生の御質問の点は、先ほど申し上げました第一の使命と第二の使命との調和点をどこに求めるかということであろうかと思います。  私どもとしましては、従来からできるだけ安くて、うまくて、しかもより安全なたばこを供給する。しかし同時に、財政専売でありますから、諸外国のたばこ消費税——諸外国は専売国でも消費税を設けている国が相当多いわけでございますが、それらの国の消費税なりあるいは付加価値税を加えた税負担というものと余りにもバランスを失することのないようにという配慮のもとに考えておりまして、先ほど休憩前に御質疑がございましたように、益金率六〇%というのは諸外国の消費水準から見ると必ずしも高くない、むしろ低い程度のものである、したがって、これを一応のめどにしていくということで考えておるような次第でございます。
  77. 高沢寅男

    高沢委員 公共企業体の運営なりそこにおける労働関係等々を審議される閣僚協議会の専門委員懇談会へ大蔵省が出された意見があるわけですが、その中では、消費税制度の導入との関連でたばこの価格決定方式を弾力化すべきである、こういうふうな意見も出されているわけです。  その弾力化の具体的なやり方としては、定価の基本的な基準のみを法定して、具体的な決定は主務大臣の認可にゆだねる、こういうふうな大蔵省の御意見も出されているわけですが、こういう方式がもし実現されたとした場合、いまのような経済情勢のもとにおいては、弾力化という枠の中でほとんど毎年のように値上げというふうなことになるのじゃないかと思うのですが、ここのところはどういうふうに公社としてはお考えになるか、お聞きしたいと思うのです。
  78. 泉美之松

    泉説明員 公社といたしましては、お話のように毎年値上げをするというようなことはもちろん考えておるわけではございません。  今回値上げをお許しいただけますならば、益金率は五六・九%になるわけでありますが、これから後は、従来の予測でございますと、葉たばこの価格であるとか給与のアップ、材料費の値上がり、こういったものが相当大きいという情勢のもとで見込みますと、益金率がだんだん低下していくことは避けられませんけれども、しかし今日のように経済状態が鎮静してまいりますと、本年の春闘でのベースアップがどのようになるかわかりませんけれども、しかし昨年のような異常な上昇といったようなものはおよそ考えられないのではないか。としますれば、そういったことが落ちついていきますと、もちろんいつまでも据え置くわけにはまいりますまいけれども、数年は価格を据え置いていく。  もちろん、その間新製品の発売等は起きようかと思いますけれども、しかしお話のように、毎年定価を改定するといったようなことは、いかに弾力化すると言っても考えるべきことではなく、できるだけ公社の経営の合理化を図りまして、一般大衆の方に、たばこの値上げはそうたびたびは起こらないというふうにすべきものと考えております。
  79. 高沢寅男

    高沢委員 いまの副総裁のお答えの中にも新製品というふうな言葉もあったわけですが、私は、いままでにもこれが行われてきた経過の中で、新しいたばこの品種が発売される。それは比較的高い値段でもって新しい品種のものが出されてくる、こういうふうなこととか、全体のたばこの製造数量のバランスの中で、いわば非常に安い大衆性を持ったたばこの方は生産の本数が次第に少なくされていく、高い方の生産の数量が多くなる、こういうようなやり方で、つまりそういう級別のたばこの生産の調整のやり方によって、実際上高単価誘導と言われることが行われる。たばこの価格においてもあるいはその中に含まれる税負担においても、結局高い水準へ事実上誘導する。国会における製造たばこの価格の法律の改正というものはないけれども中身としては高い方向へ実質上誘導されるというふうなことが従来もあった、こう思うわけです。  私はこういうやり方というのは、弾力化という、制度上の問題はまだこれからの問題ですけれども、いままでの運用の中には、現にそういう意味では非常に弾力化というふうな運営のやり方が内容的にはやられてきているのではないかというふうに考えるのです。そういう級別の高いたばこの生産のシェアとそれから安いたばこの生産のシェアの推移というものが、たとえばここ五年なら五年どういうふうに推移してきているかということも含めて、実態と、いまの実質上の弾力化じゃないかということについてのお考えを聞きたいと思うのです。
  80. 泉美之松

    泉説明員 御存じのように、現在の製造たばこ定価法は、シガレットにつきましては一級品、二級品、三級品と区別いたしまして、それぞれの級別に最高価格が設けられておるわけでございます。したがって、その最高価格の範囲内で新製品を出すことは許されておりまして、これは別段弾力化ということではないと思います。  従来、昭和四十三年の定価改定後におきましても、お話しのように新製品を出しましたが、必ずしも高いものばかりではなく、たとえばエコーであるとかあるいはおおぞらであるとかいうふうに平均単価以下の品物も発売いたしておるわけでございます。世間では俗に高単価誘導政策であるというふうなお話もございますけれども、私どもは、できるだけ消費者の方に好まれるようなたばこ、喫煙と健康の問題がやかましくなってまいっておりますので、できるだけニコチンレベルの低い、しかもうまいたばこを提供するという意味で、新製品を供給したわけでございまして、あながち高単価誘導政策であると言われるのは当たらないかと存じます。  ここ五年ほどの間におきまして、従来は御存じのようにハイライトが二級品の最高銘柄であった。ハイライトが昭和四十四年から五年にかけましては五〇%近い、四十数%の割合を占めておりまして、二級品の方が全体としては多かったわけでございますが、ここ二、三年ハイライトは、依然として第一位の銘柄ではございますけれども、一時の千億本という本数から七百三十億本程度に落ちてまいりました。その間、セブンスターとかチェリーといったものがふえてまいりましたために、今日では一級品が五割四分程度に相なっております。
  81. 高沢寅男

    高沢委員 結局いまの製造の本数のシェアを聞いてみれば、やはり一級品のパーセントが五〇%を超すようになっている。ハイライトに代表される二級品の本数のパーセントは五〇%を割る。その関係においては明らかに逆転してきておるということで、これはやはり高単価誘導政策、そうじゃないと言われるけれども、実態としてはやはりそういうことになっておるのじゃないのですか。  そうすると、そういう生産面における運営が行われているとすれば、これはそのことによって、たばこの実際上の価格の引き上げという効果も持つし、法律は変えなくとも内容的にそういう効果は持つし、またそれなりに今度は税負担の引き上げという効果も持つし、こういうふうな実態になるということは、これは客観的に泉さんも認められるのじゃないですか。
  82. 泉美之松

    泉説明員 高沢委員も御承知のとおり、世界各国のたばこには、ライフサイクルと申しまして、一つの銘柄を発売してから、売れ行きがふえまして、それからだんだんまたそれが衰退していく。大体、発売いたしまして、ものによっていろいろ違いがありまして、二、三年でだめになってしまう銘柄もございますけれども、比較的大きな銘柄に育つものは、発売いたしましてから十年後に最高の水準に達しまして、それからだんだん減っていくというのが普通のたばこのあれでございます。  したがって、そういうライフサイクルを考えますと、常に同じものだけ出しておったのではいけないので、だんだんと新しい銘柄のものを出していかないと、むしろたばこの売れ行きが伸びないということになってまいります。そして消費者の嗜好もだんだん変わってまいりますので、その変わった嗜好に応じていく必要がありますので、そういうことをいたしておるわけであります。  その結果、結果的にはいまお話しのように、定価法は改正しないでも、そういう新製品を出すことによりまして、またその高単価の銘柄の数量がふえることによりまして、単価的に毎年若干の上昇が生ずる。これが昭和四十三年の定価改定後でございますと、四十四、五年ごろは毎年三%六、七というように三%を超える単価アップ、十本当たりの単価アップがあったわけでございます。しかし、いま申し上げましたように、ハイライトであるとか、セブンスターであるとか、チェリーといったようなものが非常に大きな銘柄に育ちました後は、新しい銘柄を出すことによって単価アップを図ることがだんだんむずかしくなってまいっております。昭和四十九年度におきましては、単価アップはごくわずかしかなくて、二%を割っておるというような状況になってまいっておるのであります。  したがって、こういった銘柄が今後どういうふうに推移するか、なかなか予測がつきませんけれども、しかし新製品を発売することによる単価アップというものは、今後はなかなかむずかしくなってまいる。それだけ大きな銘柄に育つような銘柄が生まれにくい、こういう環境にあることは事実でございます。
  83. 高沢寅男

    高沢委員 そういう非常に専門的な、味の問題から何から含めての議論になりますと、私もこれ以上公社に対して言うだけの知識もないのですが、たとえばハイライトがそういう最高の売れ行きの山を越してきたとすれば、それにかわる銘柄の開発や何かは、同じ二級品の中でたとえばそういうものをつくり出していくというような努力は、これは当然の一つのあれじゃないかと思うのですが、それが一級品の方で新製品を出すことでそういうものにかわるものをまたつくっていくということになると、結果としてそれは高単価誘導だということになるのではないですか。
  84. 泉美之松

    泉説明員 ハイライトが四十四、五年をピークにいたしましてだんだん消費本数が減ってまいっておることにつきましては、私どもとしては、それにかわるものとして実は同じ値段のおおぞらを発売することにいたしたわけでございます。ただこのおおぞらにつきましては、私どもの失敗であったかと存じますが、初め「宙」という字を書いて「おおぞら」というふうに読ませるつもりはございませんで、これは読む、読めないということよりも、これが意匠である、デザインであるという感じでおったわけでございますが、いろいろその点がやかましい問題になりまして、デザインを変更するというような事態になりましたのと、それから二十五本入り百円の値段ということの方がいいんじゃないかということで売り出したわけでございますが、二十五本入りになりますとどうもワイシャツのポケットに入りにくいといったようなことから、消費者から不満が出まして、二十五本入りでは適当ではないということで二十本入りに戻したというようなことで、どうもけちがつき始めますと、その後なかなかうまく育たないのでございます。私どもとしてはハイライトにかわる品物と考えて売り出したわけでございますが、なかなか思うようにまいらないのが現状でございます。  したがって、何か新しい銘柄を出してそれによって消費本数をふやしていこうといっても、消費者はやはり賢明でありますから、なかなかわれわれが考えるようにはうまくいくものではございません。やはり消費者の嗜好に合った望ましい銘柄を出していくよりほかはないものと思っております。
  85. 高沢寅男

    高沢委員 そうすると、こういう問題はかなり山の当たり外れ、こういう性格があるということですか。
  86. 泉美之松

    泉説明員 山とおっしゃるとやや語弊があると思うのでございますけれども、やはり消費者にこういうたばこなら好んでいただけるのではなかろうかと思いまして、いろいろ社内のモニターあたりにもテストをしてもらいまして、またそれから社外の消費者にもテストしてもらいながら発売計画を立てるわけでございます。しかし、何分にもそういう場合のテストに合格したからといってすぐに一般大衆の方が飛びつくかというと、必ずしもテストの場合と一致しない場合が出てまいるのが実情でございます。  したがって、世界のたばこ会社も、大衆に非常に喜ばれて大量に売れる新規の銘柄をいかにしてつくるかということに苦心惨たんいたしておるのが実情でございまして、私ども公社といたしましても、そういう意味で大衆の方に喜ばれるたばこをどのようにしてつくっていくかということに苦心いたしておるのが実情でございます。
  87. 高沢寅男

    高沢委員 先ほど触れました公企体等関係閣僚協議会の専門委員懇談会ですか、それに対して出された大蔵省の意見の問題にまた戻るわけですが、やはり消費税制度の導入との関係で、この意見の中でも専売公社の経営責任を明確にさせるということが非常に強調されております。このことは昨年の暮れの税調の答申の中にも「たばこ専売納付金制度については、消費税制度への切換え等を引続き検討することとするが、当面の措置としては、従来と同様、消費税相当部分の明確化、専売公社の企業責任の明確化等を図る必要がある」ということが出ております。  こういうふうに、この問題にいろいろな文書で触れるときは、いつも専売公社の企業責任あるいは経営責任を明確にするということが強調されているわけですが、午前中の質問で私がお尋ねした例の納付金率の覚書方式ですね、あれで五六%というふうなパーセントを決めたという考えも、やはりそこにはそのパーセントを確定することによって、逆に公社の経営合理化あるいは企業努力というものを促進させる、こういうふうなねらいがあったんじゃないかと思うのですが、この辺はどうでしょうか。
  88. 泉美之松

    泉説明員 お話しのとおり、消費税制度をとりますと、それによって国民のたばこについて負担する税負担というものが明確になります。したがって、公社が専売納付金なり地方たばこ消費税を納める際にその基準が明確になって、そして企業努力でどれだけふえたのか、あるいはコストの上昇によってそれがどうなったのかといったような関係がきわめて明らかになる、こういう意味で消費税の問題があるわけでございます。納付金率について覚書方式で決めることにいたしましたのも、もちろんそういう点があるわけでございます。  ただ、従来の覚書でございますと、たばこの銘柄によってコストがいろいろ違いますにもかかわらず一律に五六%ということになりますと、これは実態に即さないわけでございます。たばこのうち安いたばこでございますと、五六%の納付金を賄えないコストすれすれのものあるいは赤字のたばこもあるわけでございまして、そういったものが五六%を負担することはできない。そういたしますと、勢い定価の高いたばこに相当の負担を負わさないと、一律五六%の納付金というものは出てまいりません。  そういう点からいたしますと、納付金にいたしましても、一律五六%でなくして価格群別に、たとえば今後定価改定をお願いいたしましたならば、百七十円の銘柄のものは幾ら、百五十円のものは幾らというふうに銘柄別に納付金率を決めていただくのでないと、やはりその点は国民の税負担の額も明確になりませんし、また公社経営につきましても、どうしてもこの製造原価を賄い切れないあるいは地方消費税を負担し切れない、こういった銘柄が出てまいりますと、公社経営自体がうまくまいりません。  そういった点からいたしますと、どうしても価格群別の納付金率を決めていただく必要がある、このように思いまして、昭和五十年度におきましてはぜひそのように、先ほど申し上げましたように、総体としては五〇%でございますけれども、価格群別に納付金率を決めていただきたいということで、目下大蔵省と協議いたしておる次第でございます。
  89. 高沢寅男

    高沢委員 いま副総裁の言われた価格群別にそういう納付金のパーセントを決める覚書方式、大蔵省の方ではどういうお立場をとっておられるか  それからさらにもう一つ、われわれとして見れば、たばこの銘柄ごとにこのたばこは値段が幾らで、その幾らという値段の中で税金部分はこれだけなんだということがはっきりと国民にわかるようなあり方が、この専売の、そういう財政専売という立場から見ても、これは一つの民主的なあり方じゃないか、こう思うのですが、そういうようなことがいまの価格群別な納付金の率の決め方ということと関連で、今度はたばこの銘柄ごとにそういうことを示すということができるかどうか、おやりになるかどうか、それをひとつ聞きたいと思います。
  90. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 ただいま副総裁のお話にございましたとおり、公社の方から価格群別に益金率を定めてもらいたいという話が参っております。それに対しまして、まだ大蔵部内におきましては検討は終わっておりませんけれども、関係局とも御相談した上で、その方向考えてはいかがかしらんという気持ちではおるわけでございます。  なお、各銘柄ごとということまでいけるかどうか、少しきめが細か過ぎるということもあろうかと思いますけれども、その点につきましては、また公社の考え方もお聞きした上で善処してまいりたいというふうに考えます。
  91. 高沢寅男

    高沢委員 ぼくは公社にそういう経営努力なりあるいは企業努力ということを要求するというふうなことになれば、今度は当然公社に対してはそういう努力ができるだけのいろいろな制度上の、あるいは予算運用上の条件というものはまた与えなければならぬじゃないか。そういうものを与えずにおいて、企業努力をやれ、経営努力をやれと言っても、これはまた無理があるんじゃないかというような感じがいたしますので、これは今度は公社と大蔵省との関係になるかもしれませんが、いまのようなそういう細かいところまで、もしやるとすれば、やる中から、その企業努力というものをやれる前提条件がまたできてくるんじゃないか、こう思うのですが、その点は大蔵省では、また泉副総裁はどういうふうにお考えでしょうか。
  92. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 いまのお尋ねでございますけれども、午前中の先生の御質問にもございましたように、公社のいまの納付金というのは、法律のたてまえは、平たく申し上げますと、たばこの売り上げの中から、かかったものは全部差し引いて、残ったものはお納めいたします、そういうかっこうになっております。私どもは、これで申しますと、要するに、先生のいみじくもおっしゃいましたように、結果として納付金というものは出てくるということでございまして、理屈といたしましては、結果が多かろうが少なかろうが、出てきたんだから仕方がないというようなことになると思います。  そういうことでございますので、私どもは、どうでもいいということでサボっているつもりは全然ございません。一生懸命にやっておるつもりでございますけれども、対第三者から見て、これは果たして努力をした結果であるのか、そうでないのかということが——とにかく結果としてそんなものは出てきただけじゃないかというようなことになりますと、事業をやっております立場といたしまして、大変とにかく責任もはっきりしない、あるいはメリットもはっきりしないというふうなことになりますので、先ほどから消費税の制度でございますとか、あるいは納付金率を低くしろとか、そういった議論が出てきておるわけでございます。  そこで、仮にそういったことになって公社の責任の限界がはっきりするといった場合に、たとえばいろいろな制度面においてそれを仮に制約するものがあるとすれば、それは直していかなければいかぬじゃないか。たとえば予算については、何か直す必要も出てくるんじゃないかというお尋ねでございますけれども、いま公社の場合の予算というものは、普通の官庁予算、一般会計予算などと違いまして、事業予算ということにおきましてかなり弾力的な運用ができるようなかっこうにはなっております。一体この中でそれをフルに活用して、そしてどれだけのものができるか。いま申し上げましたような公社の責任の限界がはっきりするということになった場合に、仮にそれを制約するような何かが出てくるかどうかということは、そういった場というものを設定した段階において、仮にそういうものが出てくるとすれば、それをどうやってこなしていくかというようなことで、これはまた財政当局といろいろ議論をしながら、直していただくものは直していただくというふうなことに相なろうかと思います。いままだそういった制度になっていない中で、これはこう、あれはこうと軽々に申し上げる——いろいろな想像はいたしておりますけれども、そういったことをいま申し上げられるというようなことではないということでございます。
  93. 高沢寅男

    高沢委員 これは大蔵省の方ではどういうふうにお考えですか。
  94. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 基本的にはただいま斎藤総務理事の方から申し上げたと同様の考え方でございます。
  95. 高沢寅男

    高沢委員 専売公社法の四十三条の十三は利益金の納付の規定であるわけですが、「公社は、毎事業年度の決算上の総収益から総損失を控除した金額から左の各号に掲げる金額を控除して得た金額を翌年度五月三十一日までに国庫に納付しなければならない。」こうあって、その一、二というふうにあるわけですが、「一 当該事業年度において固定資産、無形資産及びたな卸資産の額の合計額が増加したときは、その増加額に相当する金額からこれらの資産の増加に伴う長期借入金の増加額に相当する金額を控除した金額」。  ここのところを読んでみると、資産の増加と長期借入金の増加、この関連というものがここに出てくるわけですが、これは公社の方で出しておられる資料を見ても、特に昭和四十九年、五十年、ここら辺の年度になりますと、長期借入金が非常に大きなふえ方になってきているというふうに数字が見れるわけですね。そうすると、この資産の中で大きいものは、何といってもたな卸し資産、葉たばこの買い入れということで、たばこをつくるという事業の運営上、葉たばこを買い入れてそうして二年間倉庫に寝かしてと、こういうふうなことになれば、しかもその買い入れる葉たばこの値段も上がるとなれば、当然たな卸しの資産はふえる、それに伴って長期借入金も激増するというふうな情勢になっておるわけですが、この葉たばこの買い入れ、たな卸し資産の増加と長期借入金というのは一体どういう関連にあるのか、ちょっとお尋ねしたいと思うのです。
  96. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 公社の場合、毎年毎年ただいま御指摘のございましたように資産がふえてまいります。固定資産とたな卸し資産、主としていま非常にウエートの高まっておりますのは葉たばこの在庫でございます。そこで、このふえてまいります資産をどうやってファイナンスしていくかという点につきましては、これは一般の企業も同じでございまけれども、自己資本と他人資本とで賄っていかなければならない、その二つの方法で賄うことに相なります。  その場合に自己資本と申しますのは、公社の資本金なりあるいは資本積立金なりというふうなもので、資本金は、御承知かと存じまけれども、二百億ぐらいしかございません。それで、実は毎年度決算上出ました利益の中から、さっきの条文にございました規定に従いまして国庫に納付をいたします。そうして一部を内部留保として公社の方に留保しております。その内部留保分、いわば自己資本で賄うということになります。その足ら前が借入金ということになります。  したがいまして、資産増加に対しまして内部留保が比較的高い割合でできれば借入金は比較的少なくて済む。逆になればまた逆のことが起こる、そういう関係にあります。
  97. 高沢寅男

    高沢委員 私は、これは結局専売公社——公社だけでなくて、ほかのたとえば電電あるいは国鉄というようなものを含めて、そういうものの当事者能力という問題に絡んでいく問題だ、こういうふうに考えるわけですが、結局、いま労働関係の問題では、そういう賃金の決定なりあるいは交渉なりというふうなことに対応できる当事者能力をそれらの政府関係機関、公社は持つべきであるというふうな議論がわれわれの側からあるわけですが、その議論を実体のある、中身のあるものにしていくには、公社が経営努力あるいは企業努力を主体的にできる条件というものがまたなければいかぬということになってくると思うわけです。  そういうふうな立場からいまの点もお聞きをしているわけですが、専売公社の立場としては、そういう当事者能力というものを労働関係においても持ち得るために、そういう経営上、企業上、企業運営ということを含めてのいわば主体性、自主性といいますかを拡大していく必要性をどういうふうにお考えか。また、それをやるとすれば、具体的にはここをこうすればそういうものは拡大できるというポイントをどこに置いて考えておられるか。これは泉副総裁にお尋ねしたいと思うわけです。
  98. 泉美之松

    泉説明員 いまお尋ねの当事者能力の増大の点につきましては、予算制度の問題、特に給与総額制の問題が絡んでまいるわけでございますが、これらの点につきましては、高沢委員御案内のとおり、目下閣僚協議会におきまして、争議権の問題を含めていろいろ御検討になっておるところでありまして、私どもとしましては、その閣僚協議会におきまして、従来よりも当事者能力をふやすようにお願いしたい。それについては、給与総額制につきまして、これを全然取っ払うことが非常にむずかしいとしても、何らか従来のようなやり方に改善を加えてやっていただけることができるのではなかろうか。  それからまた予算制度につきましても、先ほど斎藤総務理事から申し上げましたように、官庁会計とは違うような事業会計になっておりますけれども、しかし、やはり外国から葉っぱを買うようなときに、毎年の予算制約されておりますと——安いときに大量に買うのが一番経営としてはうまくいくわけであります。毎年毎年買っておりますと、高くて買いにくいようなときにも買わなければ在庫が持てない、こういうようなことになりまして、そういう点からいたしますと、やはり事業会計にはなっておりましても、いま少し弾力性を与えていただくことができないものか、こういったような見地で当事者能力につきまして前進をさせていただくようお願いいたしておる次第でございます。
  99. 高沢寅男

    高沢委員 いま専売公社の側のこの問題についての考え方が副総裁のお話で出たわけですが、先ほど言った閣僚協議会の懇談会で出された大蔵省の意見という中では、予算統制を外すわけにはいかぬというふうな方向が出ておりますし、また給与の総額制も外すわけにはいかぬというふうなことが大蔵省の意見としては出ておるわけです。ここの非常に重要な予算統制の問題や給与総額制という一番ポイントになる問題のところで、大蔵省の意見専売公社意見に違いがあるというふうに見受けられるわけですが、いま副総裁が言われた問題点は、西沢さんの方ではどういうふうにお考えになっておりますか。
  100. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 予算統制あるいは給与総額制を現状よりもさらに緩和するということにつきましては、先ほど先生が御指摘になりましたように、やはりわれわれといたしましては、公共企業体としての性格上、これを現状よりさらに緩和するということは非常に困難ではなかろうかというふうに考えております。  ただ現在、御承知のとおり、こういった当事者能力の問題、経営形態の問題、スト権も含めてでございますけれども、公共企業体等関係閣僚協議会におきまして慎重に検討がされておるところでございまして、いずれにしましても、その結論を待って対処をしていくということになろうかと思います。
  101. 高沢寅男

    高沢委員 私は、その結論を待ってということではなくて、大蔵省は大蔵省なりの立場はあると思いますが、これは企業努力をやれと言う、経営努力をやれと言う。しかし、やろうとすればその枠がかかっている。その枠は外さない。しかし努力しろということでは、常識的に言っても、言う方に少し無理があるのではないか、こういうふうな考えを私は持つわけです。やはりこれは公社側のそういうふうにしたいという方向はわかりましたけれども、大蔵省のその辺の立場は少し無理難題のような印象を私は受ける。ここのところは閣僚協議会の結論を待ってということではなくて、大蔵省として主体的にそこはこうあるべきだという線をもう少し前向きに出すべきじゃないかというふうに私は思うわけです。  したがって、ここのところは閣僚協議会というところで扱っておる問題でもありますので、せっかく大臣がいらっしゃるので、大平大臣から、そこのところは政治的な判断も加えて、こうする方向が望ましいというお考えをひとつ聞かしていただいたらいいんじゃないかと思います。
  102. 大平正芳

    大平国務大臣 制度論といたしまして、公共企業体がどういうあり方がいいか、その中での当事者能力というものがどの範囲において許されるべきであるかということは、それ自体大変むずかしい問題でございますが、しかし非常に重要であることに間違いはないと思います。  しかし、私は、そういう問題より前に、たとえば公共企業体の料金政策、あるいは価格政策、それから賃金政策、そういったものが政府で掌握されておる、また政府がそれに対して責任を持たなければいかぬ、そういうことが根本にあるわけでございますので、そういうことがある限りにおきまして、制度論というものは幾ら究明してみましても満足する姿の解決になかなかならぬのじゃないかと思うのであります。したがって、そういう政策の力、政策決定権というようなものは政府にあるということ、あるいはもっと言えば、国会にあるということになる。そういう仕組みのもとにおける公共企業体制度でございますし、したがって、その中での当事者能力でございますから、ここにおける当事者能力というものは、そういう大きな制約のもとにおいてごく限られた範囲のものにならざるを得ないのじゃないかということ、いい悪いは別にいたしまして、そういう決定的な制約があるように思うのであります。  しかし、私が伺っているところでは、従来、大蔵省はその中におきましても、できるだけ公社側の当事者能力を拡大しなければならぬということで鋭意努力してきたと聞いておりますし、現に努力しておると思います。私もそれを受け継ぎまして、今後一層努力してまいりたいと存じますけれども、そういう大きな制約がある中でどのように工夫していくかということは大変むずかしいことじゃないかと自分で苦慮いたしているわけでございます。ほかの仕事が忙しいものでございますから、この関係閣僚協議会もそう頻繁に開かれていないわけでございますけれども国会の忙しい仕事が手がすいてまいりますならば、この問題も頻繁に会合を持ちまして詰めていかなければならぬ仕事であると思っております。
  103. 高沢寅男

    高沢委員 この問題は、公務員労働者なりあるいは公共企業体の労働者の労働基本権というかねての懸案事項の解決に非常に関連することですから、ぜひ閣僚協議会の中で前向きな解決がなされるようにひとつ御努力を願いたいと思います。  それで、私は、公社にまた戻るわけですが、当事者能力は大いに拡大すべきだという前提に立って、その当事者能力を今度は生かして活用していくに当たっては、当然国民の各層、特に先ほど言われた葉たばこをつくる農民であるとか、たばこを買って吸う消費者であるとか、あるいはたばこをつくる専売公社の労働者であるとか、それを販売する卸、小売の人であるとか、いろいろな関係の人たちがあります、そういう人たちの意見を十分にくみ上げ、その中で公社の当事者能力を踏まえた運営がなされるということで民主的な公社のあり方ということになると思うのですが、そういう国民各層、各方面の意見の聴取を公社の運営に反映させるという仕組みといいますかあるいは機構といいますか、そういうものではどういうことをお考えになっていますか。
  104. 泉美之松

    泉説明員 現在のところ、一つには大蔵大臣の諮問機関でありますが専売事業審議会というのがございまして、これには学識経験者としてたばこなり塩に権威のある方々、それからたばこ耕作の代表者、公社の職員の代表、こういった者が委員となっております。そして大蔵大臣の諮問に応じて各種の事項について答申するということになっておりまして、それによってそういった方々の意見をくむことができるようになっております。  いま一つは、消費者会議と申しまして、これは年に数回消費者の代表、これはまあ各層にわたるわけでございますが、それらの方から総裁以下幹部が出まして消費者の御意見を承って、公社の仕事のやり方について反省を加え、またどういうふうに今後やっていくべきかといったことを検討いたしております。  それから、特に塩と葉たばこにつきましては、葉たばこにつきましてはたばこ耕作審議会というのがございまして、これに葉たばこ耕作の代表者とそれから学識経験者と双方の委員がおられまして、葉たばこの価格のあり方につきましていろいろ御検討いただく。それから塩につきましても、塩収納価格審議会というのがございまして、やはり塩の工業会の方、あるいは消費者の方、さらには学識経験者が加わりまして塩の価格はどうあるべきかということを御検討いただいておるような次第でございます。そのほかに、塩につきましては塩事業のあり方について基本的な検討をする審議会もございます。  このようにいろいろの審議会なり消費者会議がございますが、これらにつきまして、いま先生のお話のように、できるだけ各方面の意見が幅広く反映されるように運営してまいることが大切なことだと思っておりまして、私どももそういう方向で今後これらの審議会なり消費者会議運営をやっていきたい、このように思っておるわけでございます。
  105. 高沢寅男

    高沢委員 現在いろいろなそういう仕組みや機構があるということで御説明があったわけですが、しかし現状として見れば、それが必ずしも有効な効果を上げているというふうには判定はできないんじゃないか、私はこう思うのです。ことにいま納付金制度というもの、これ自体もこのまま行っていいかどうかというところへ来ている。消費税制度というものをとるとすれば、いろいろまたそれに伴う問題がある。公社の当事者能力というものを考えても、その当事者能力の実際の運営発揮も国民各層との関係でどうすべきか、いろいろそういう根本問題がたくさんあるわけですから、この際いわば専売公社の総裁の諮問機関として、少しそういう根本的な問題を討議する審議会とでもいいますか、そういうふうなものを設置する。これでは、いままでの役人の経験の方とかあるいはたばこ耕作組合の代表の方とか、それぞれそういう場合には委員になりそうなところは従来の慣例でいえば大体あるわけですが、そういうところも含みながら、われわれの関係でも財政学の見地からずいぶん専売の問題を研究しているという学者もいるわけですし、あるいはまた労働組合の代表でもそういう制度問題で非常に勉強し、理論的にも備えている人もいるわけでありますし、そういう少し新しい見地からこういう制度を根本的に考え、そして公社の運営を根本的に考えるという審議会というものを設置する、このことの必要性は副総裁としてはどういうふうに考えますか。
  106. 泉美之松

    泉説明員 お話しのように、専売公社といたしましては、消費税制度なりあるいは納付金制度を今後どういうふうにやっていくか、それからいまお話しの当事者能力を拡大するといっても、具体的にどういうふうにしていくべきなのか、公社の将来の経営のあり方等いろいろ多くの問題を抱えておるわけでございます。そういう意味では、先ほど申し上げましたような専売事業審議会なり、たばこ耕作審議会なりあるいは消費者会議といったものだけでなしに、より深い理論的な検討をすべきではないかという御意見と拝聴いたしました。  私どもも、そういったものは審議会という名前が適当かどうかわかりません、むしろ私どもはそういう点について総裁の諮問機関としての研究会といったようなものをつくって、そういった制度あり方なり基本的なやり方についての検討はすべきものだと思っております。定価改定が終わりましたならば、できるだけ早い機会にそれを発足させたい、このように思っております。
  107. 高沢寅男

    高沢委員 いまの副総裁の言われたその線は、私は是非やってもらった方がいい、こう思うわけです。そういうふうな研究会といいますか、そういうものができる段階では、その構成なりあるいはその委員の人選なりというふうなことでも、これはまたわれわれの側にもひとつ大いに相談をかけてもらって、われわれの方でも、こういう人を入れたら非常にいい審議ができるじゃないか、いい結論が出ますよというふうな、大いに人材があるわけですから、是非その節は御相談をかけてもらいたい、こう思いますが、いかがですか。
  108. 泉美之松

    泉説明員 こういう研究会でございますので、まあ広く国民の意見が公平に反映されるように委員を選任する必要があろうかと存じます。したがいまして、できるだけりっぱな方を選出するという意味で御相談申し上げたいと存じます。
  109. 高沢寅男

    高沢委員 そこで、その当事者能力の中の一つのポイントである労働基本権ということになってくるわけですが、これは過去の国会審議の経過の中で、昭和三十九年十二月十七日、参議院の社会労働委員会で当時の阪田総裁、それから四十一年七月十五日のこの衆議院大蔵委員会で当時の東海林総裁、それぞれこの労働基本権の問題で答弁されている内容があるわけですね。阪田総裁の場合には、これは専売の労働組合のスト権を含む労働基本権ですが、これは一般の労働組合と同じでよい、労働組合法の規定を受ける民間産業の労働組合と同じ基本権の保障がなされるべきだ、こういう阪田総裁の言葉があるわけです。また東海林総裁の場合も、この企業の本質から罷業権というものは認めるべきだ、その認めるという考え方に変わりはない、こういうことを言っておられるわけです。  このお二人の総裁の発言を受けて、その後公社でつくられた長期経営計画の中では、労働基本権についてはその制限排除の方向を今後とも支持する、スト権に対する制限を取り除いていく、こういう方向で労使関係の近代化を図るということが出ておりますし、それから、第二次中期計画の中でも、それを受けて、労働基本権については長期経営計画の方針を維持して、そして当事者能力の拡充等諸条件の検討を進めるというふうな方向が出ているわけです。これはわれわれが主張しあるいは要求している方向と合致した方向である、こういうふうに私たちは見るわけですが、この点については専売公社として、閣僚協議会でそういうことが論議の焦点になっておるいまの段階において、この方向は当然変わりはないというふうに考えてよろしいわけですか。
  110. 泉美之松

    泉説明員 お尋ねのとおり、専売公社といたしましては、阪田元総裁、東海林元総裁時代以来、争議権につきましては制限排除の方向を支持するということでまいっております。  ただ、その場合に、長期計画にもございましたように、そういうことになりますと、専売公社の当事者能力を増大させてもらうのでないとそれに対応できませんし、そのほか公社につきましていろいろの制約がございますので、そういった制約につきましても排除をしていただかないと、単に争議権を与えることによってだけ物事が解決するものではございません。当事者能力が増大して労使の双方の協議が円滑に進むということでないと、その目的は達成されないと思います。  そういう意味で、先ほど申し上げましたように、閣僚協議会におきましてこの問題が論議されるに当たりまして、単に争議権の問題だけでなしに、当事者能力の増大の問題であるとか、そのほか公社に課せられているいろいろな制約につきまして合理化を図っていただくようにお願いいたしておるような次第でございます。
  111. 高沢寅男

    高沢委員 これは公社としての運営の問題の一つになるかと思うのですが、今回のこのたばこ値上げの案、初め値上げを公社が発表されたのが昨年の十二月六日、五五%という案で発表されて、それが十二月二十六日、年末迫ってから公社と自民党の間で調整されて、それで政府案が決まる、政府案は四八%の値上げという形で決まる、その翌日の十二月二十七日に税制調査会の答申が出る、答申の中身は四八%の値上げというのが出てくる。  こういうふうな経過を見て、さっきの公社の運営ということにも関係するわけですが、非常にこの問題の扱いは国民の生活に重大な関連があるということだとすれば、公社案が最初発表されて、それから自民党との調整がされる、これは予算編成との関連は当然あるわけですが、そういう段階において、たとえば、われわれ野党の側とも、公社としてはこうしたいがどうかというような話し合いの場があっていいのじゃないか。当然われわれの側からもそれに対して意見を出す、それは公社として当然また役に立つ意見もある、こういうふうになると思うのですが、そういうふうな運営というものは、これから何事につけても私は大事なやり方だと思うのですが、いかがですか。
  112. 泉美之松

    泉説明員 今回の値上げ問題についての経緯は、お話しのとおりの経緯をたどったわけでございます。たばこの定価改定ということは国民の負担に与える影響が大きいわけでございますから、そういう意味でできるだけ各方面の御意見を承るということは望ましいことだと思います。  したがいまして、私どもといたしましては今後もし定価改定を行うような場合におきましては、できるだけ各方面の御意見を承るようにいたしたいと思いますが、その際にやはり基本的には、先ほども申し上げておりますように、いまの専売公社法の規定に基づく専売納付金のままではどうも国民の負担というものが明らかにならないわけでございます。したがいまして、将来は消費税制度なり、あるいは一挙に消費税制度にいくことに問題がありますならば、納付金率法なり——納付金率法につきましても、先ほど申し上げましたように、一律でなしにシガレットとかあるいは葉巻だとかパイプだとかいう品種ごと、あるいはシガレットの中におきましては、先ほど申し上げましたように、価格群別に納付金の率を、第一次納付金でございますけれども、第一次納付金の率を変える、さらに第二次納付金の制度を設けるというようなことで、国民の負担を明確にしていくという方向がやはり必要なのではないか。  その負担の明確化が行われないで現行の専売納付金の規定のままではなかなかそこのところが明らかにされませんので、国民の負担というものが明確にされない。したがって、また定価改定をする際におきましても、なぜ値上げをするんだという基本の問題から論議しなければならなくなってまいりますので、国民の負担がこうあるべきなのがこういうふうに下がってきたから定価を上げなければいかぬのだというような論議に結びつくような制度の仕組みというものを考えておくべき必要があろう、このように思います。
  113. 高沢寅男

    高沢委員 今度は問題がずっと変わりまして、たばこの輸入の問題でお尋ねしたいのですが、輸入たばこの自由化を強力に促進することにより競争原理を導入すべきだというような意見が大蔵省の意見として公共企業体関係の閣僚協議会に出た意見の中にあるわけです。私はこれも非常に重大な意見である、こう思うわけです。  今日、国際的にたばこの大きな資本というものがあって、特にこの日本に対してなどは大きな市場として自由化を求めてきておるというふうな事態の中で、その自由化を進めるべきだということが一体どうかという問題がありますし、それによって競争原理を導入しろということなんですが、競争原理の導入になると、さっき言った専売公社の自主運営というものができるだけのそういう前提条件がどれだけあるのかということになってくる。それはこう縛っておいて競争原理と言うのも大変矛盾するという感じがするのですが、公社としては、輸入たばこの自由化あるいはそれによる競争原理の導入の問題を一体どういうふうに考えておりますか。
  114. 泉美之松

    泉説明員 輸入たばこにつきましては、現在は御承知のとおり公社以外のものが輸入をいたしますときには三五〇%という関税を課することになっております。これはいわば公社以外のものが輸入することを禁止しておるわけであります。ただ、旅行者の場合、本数を限りまして一定の税率で輸入することを認めております。二百本までは免税でございますけれども、それを超える分については一定の税率で輸入を認めておるわけでございます。そのようなことに対しましては、諸外国からいろいろな物資の輸入の自由化が働いておる際に、公社が輸入権を持っておるということはいわば一種の関税障壁である、したがって、それは非関税ではありますけれども、そういった非関税障壁を撤廃すべきだという意見が強うございます。  公社といたしましては、もちろんその輸入権を行使するに当たりまして、やはり消費者の意向を考えまして、国民の間に実需があればそれはできるだけ輸入していくという方針をとっておりまして、近年は輸入数量が相当ふえてまいっております。  たとえて申し上げますと、昭和四十七年度におきましては約十四億本、国内の総販売高の〇・五%でありましたものが、昭和四十八年度には二十億六千万本、昭和四十九年度には二十九億六千万本というふうにふえてまいりまして、四十九年度におきましては、国内総販売数量のうちの一・〇四%に達しておるわけでございます。  このように近年急激に輸入たばこをふやしておりますのは、いま申し上げました、諸外国から非関税障壁として非難されることのないようにいたしまして国際関係を円滑にしていくという考え方と、同時に、国民の間の消費の多様化に応じまして、国民の嗜好するたばこをできるだけ輸入する、こういう見地で運営してまいっておるのであります。  しかしながら、それでも販売数量全体のうちではまだわずかに一%でありまして、そういう意味では、諸外国からもっともっと日本はたばこを輸入してほしいという希望が強くございます。しかし、私どもとしましては、何といっても国民の嗜好が一番基本でございますので、いわゆるボンド銘柄と申しまして、国民の需要があればもう別段制限なくしてどんどん輸入できるというその銘柄をふやしていくことを考えておりまして、現在のところボンド銘柄は十五銘柄になっておりますが、今後その増加について検討してまいりたい。  それからまた、英国展とかフランス展だとかいろいろな展示会が催されるときには、やはりその国のたばこを輸入してその展示場で販売することを認めるというふうなことによりまして、諸外国のたばこに国民がなじむような措置も講じておるような次第でございます。
  115. 高沢寅男

    高沢委員 その自由化についてはどうですか。
  116. 泉美之松

    泉説明員 先ほども申し上げましたようなボンド銘柄というのは、ほとんど自由化と同じでございまして、需要があれば幾らでも輸入することになっておりますので、その銘柄をふやすことによって実質上自由化と同じ効果を期待できると思っておるわけでございます。
  117. 高沢寅男

    高沢委員 そうすると、需要があればその輸入はその需要のあるなりにふやしていく、だけれども、輸入に関しては当然もう公社が一手に輸入をする、公社を必ず通して輸入する、こういうことですね。
  118. 泉美之松

    泉説明員 これにつきましては、いろいろの考え方はあろうかと存じます。現在は公社が輸入いたしておるわけでございますが、あるいは公社より別に輸入して販売する会社をつくるかどうかといったような問題もあり得ようかとは存じますけれども、しかし、現在のような関税制度のもとではそれはやはり適当ではございませんので、できるだけ自由な方向に進めながら、輸入権は公社が持っておるというのが望ましいのではないか、このように思っております。
  119. 高沢寅男

    高沢委員 その場合、輸入たばこの国内市場へ売り出すときの値段は、どういう原理というか基準で決めるのか。  それから、その値段の決まったたばこの中で、今度はいわば利益率、それは一体どのくらいになるのか。それぞれの銘柄によるでしょうけれども、実態をひとつ御説明願いたいのですが。
  120. 泉美之松

    泉説明員 製造たばこにつきましては、当然輸入価格というものがございまして、それに対して一定の関税率があり、それに国内消費税率というものがあるべきでございますが、先ほど来申し上げておりますように、現行関税率は公社以外の者が輸入する場合は禁止税率になっておりますので、これは参考になりません。また国内消費税率というものも、先ほど申し上げましたように決まっておりません。現在第一次納付金率というものも法律で決まっておるわけではないわけでございます。  そういったことからいたしまして、輸入たばこにつきましては国内の製造たばこの定価とバランスをとりながら、輸入価格に応じまして、大蔵省、経済企画庁と協議いたしまして、その価格を決定するルールというものを一つつくっております。そのルールに従いまして、年一回を原則として輸入たばこの定価を決めていく。今回も五月一日に国内の製造たばこの定価改定を行いますれば、それとのバランスを図りつつ輸入たばこの定価改定も行いたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  121. 高沢寅男

    高沢委員 いま、企画庁や大蔵省と相談される、年一回決めるルールと言われましたが、そのルールというのはどういう中身になるわけなんですか。
  122. 泉美之松

    泉説明員 先ほど申し上げましたように、本来ならば関税率があり国内消費税率があって、その数字に基づいて計算するのがいいわけでありますけれども、そういうものがございませんので、そういったものがもしあったとすればどの程度の値段になるであろうか、国内製造たばこコストと販売価格といったようなものとバランスをとりながら、先ほど言い忘れましたが、収益率と申しますか、益金率につきましては銘柄によって違いますけれども、定価代金の大体六九%から七〇%程度を目途に輸入たばこの定価を決めることにいたしております。     〔山下(元)委員長代理退席、山本(幸雄)     委員長代理着席〕
  123. 高沢寅男

    高沢委員 そうすると、六九から七〇というとかなり高い益金率ですね。公社としてもうけるその度合いは、国内産のたばこよりは輸入したたばこの方が大きい、そういうふうに見ていいわけですか。
  124. 泉美之松

    泉説明員 それは先ほど申し上げましたように、関税相当分とそれから国内消費税相当分とが入っておりますので、国内製造の場合には国内消費税相当分だけでございますので、そういう意味では輸入たばこの方が関税相当分が入っておるだけ益金率は高くなっております。
  125. 高沢寅男

    高沢委員 その製品の輸入とクロスライセンスの関係ですが、一方ではいま公社は西ドイツなりあるいはアメリカなりオーストリアなり、そういうふうなところとクロスライセンスの契約を結んで、そういう外国の銘柄のたばこを今度はこちらで生産されておるというふうな関係があるわけですが、このクロスライセンスで外国銘柄のたばこを国内でつくるということと製品のたばこを輸入する、この両者の関連は、いわばどちらが主体というとおかしいですが、そういう国民の嗜好の中で外国風のたばこを吸ってみたいというふうな需要にこたえるのに、どちらを主体に公社は考えておられるわけですか。
  126. 泉美之松

    泉説明員 クロスライセンスということの考え方は、二つ問題があると思うのでございます。  一つは、専売公社は従来イギリス・ブレンドタイプのたばこについては経験が深いわけでございますけれども、戦後ふえてまいりましたアメリカン・ブレンド・タイプのたばこの製造につきましては、ここ数年でやっとそういう製造技術を習得してまいったような次第でございまして、まだ各国の製造技術につきまして勉強すべき点があるように思いますので、したがって、クロスライセンスによって外国のそういうたばこを国内で製造いたしまして、それにつれてそういうたばこの製造技術というものの向上を図っていくということが一つでございます。  いま一つは、御存じのように世界各国は関税障壁を設けておりまして、たばこの輸入につきましては外国からの輸入はできるだけ制限する方向にございます。したがって、日本のたばこを輸出しようと思いましてもなかなか容易でございません。  そこで、その関税障壁を越えるためにクロスライセンスによって向こうのたばこを日本で製造すると同時に、日本の銘柄のたばこを向こうでつくって売ってもらう、それによって日本のたばこを国際的に知ってもらうし、またそれによって日本のたばこがふえていくということ、この二つのねらいでクロスライセンスをやっておるわけでございまして、同時にクロスライセンスによりますと、先ほど申し上げました国内製造になりますので、国内の消費税だけで済みまして関税分がかかりませんので、比較的安い価格で消費者に——厳密に申しますと、純粋の外国製品とは日本でつくりますだけに多少違うかもしれません。非常に似た味でほとんど変わりないものを消費者の方に供給できる、そこに消費者の方としてはそれが望ましく喜ばれるということでありますので、私どもとしましては今後はクロスライセンスに大いに力を入れていきたいと思いますけれども、しかし相手のあることでございまして、それをそう数量的に大きくふやしていくということはなかなか困難でございまして、御案内のとおり、現在のところ外国のたばこ会社とは、アメリカのフィリップモリスとオーストリアの専売庁と西ドイツのレームッツマ社とそれからBAT社と、この四社とだけクロスライセンスを結んでおるのが現状でございます。
  127. 高沢寅男

    高沢委員 クロスライセンスの場合、こちらが導入する場合は外国の葉を入れて日本の国産の葉と大体五対五でまぜて生産をされておるというふうに聞いているわけですが、これは実態としてそういうことかどうか。  もう一つは、逆にこちらのライセンスで向こうで生産する進出の契約の場合、日本の葉っぱが向こうの生産の約五割使われるというふうにこちらの葉っぱが出ていっているのかどうか、その辺の実態はどうですか。
  128. 泉美之松

    泉説明員 クロスライセンスを結ぶときに国内の葉たばこ耕作者の方から、そういうクロスライセンスで外国銘柄のものを製造することによって、外国からの葉たばこの輸入がふえて国産葉たばこの消費が減るということでは困るというような御意見がございまして、もちろん専売公社はクロスライセンス以前から、国内でできるたばこで賄えない香喫味であるとかあるいはオリエント葉の香りであるとか、そういったものを得るために相当量の輸入をいたしておりましたけれども、そういう耕作者の御意見がございましたので、国内で外国銘柄のものを製造するときには国産葉を少なくとも五〇%入れる。それからクロスライセンスで外国で日本銘柄のたばこをつくるときには少なくとも五%は日本の葉っぱを使う、こういう条件にいたしております。
  129. 高沢寅男

    高沢委員 あともう一、二点で終わりますけれども、塩の専売ですね。さっき大臣の御説明でこれも財政専売なんだ、しかしいまは赤字でそれを埋めるという形でやっておるというふうなお話があったわけですが、この塩の専売は、これは四十六年の段階ですからもういまとかなり経済情勢が違うときですけれども、塩業審議会の答申の中では、塩の生産なり何なり近代化が達成された暁は、塩の専売制度は廃止すべきものと考えるというふうなことが出ているわけですが、この問題は、いまの段階ではかなり経済事情が変わってきておりますけれども、塩という非常に大事な物資の国民への供給を確保する、こういう観点から年年塩の専売では赤字は出るけれども、現在の塩の専売の仕組みは今後も続けていくというふうに考えてよろしいですか、これは大臣からひとつ。
  130. 大平正芳

    大平国務大臣 そう考えております。
  131. 高沢寅男

    高沢委員 それでは、もう塩はその程度にして、あとたばこ及び酒の小売の指定の問題でちょっとお尋ねをしたいと思います。  たばこの小売店の指定の場合、小売店の指定を受けたいと、こう言って申請を出される人が非常に多いわけですね。ところが、認可をもらえる人もあるけれども、いろいろ距離の制限がどうだとか、あるいはその地域における売上高の見通しがこうだとかいうことで条件に合致しないというふうなことで受けられないで、われわれのところへ何とかならぬかとよく相談に来るケースがわりに多いのです。そういうことで、小売の免許を出すその基準は当然あるわけですけれども、実際の運用として非常にきつく運用する場合と、ある程度弾力的に運用する場合とあるわけですが、現段階ではその辺どのように公社はお考えになっているわけですか、その運用の仕方。
  132. 泉美之松

    泉説明員 御存じのとおり、たばこ小売店の指定につきましては指定基準というものを設けておりまして、これは都市とかあるいは農村部であるとかあるいはその中間のところであるとかいうふうな地域によって差がございますけれども、やはり既存の小売店から一定の距離があることが必要であるということと、それからそこで売れる販売数量につきまして、ある程度の数量がないと小売店の手数料が少な過ぎてそこの経営が成り立たぬということになりましてもかえって御迷惑でしょうから、やはりある程度の販売数量の見込みがあること、こういうことで一つの指定基準をつくっておるわけでございます。  その点につきまして、たとえば百五十メートルというふうに距離の制限がある場合に、どういうふうにはかって百五十メートルになるかというようなことは、はなはだデリケートな場合がございます。しかし百五十メートルというような距離の制限がございますと、やはりそれ以下の距離の場合ですとなかなかむずかしい。しかし百五十メートルはないけれども、百四十九メートルであったらどうだと言われるようになりますと、そこは運用で、そこに住民の方から小売店がほしいという御希望があるかどうか、あるいはそこに小売店ができて販売数量が一定の基準以上の見込みがあるかどうか、そういった点を考慮いたしまして常識的に判定することにいたしておるわけでございまして、私どもといたしましては、距離基準はもちろんでございますけれども、やはり一定の販売数量見込みがないと、指定をいたしましてもかえってお気の毒な結果になりますので、そういう販売見込み数量というものにできるだけ重点を置いて運用いたしておるわけでございます。
  133. 高沢寅男

    高沢委員 私は、特に弾力的な運用としては、身体障害者であるとかあるいは母子家庭であるとか、そういうふうな人たちには、現在でもそれなりにある程度何割かの比率で緩い運用はされているようですけれども、ぜひできるだけそういう弾力的な運用をしていただくように、これはひとつお願いをしたいと思います。  それで、あと今度は酒の小売に関係してくるわけですが、これは特に生活協同組合に関して私はお尋ねしたいわけです。  生活協同組合がたばこなり酒なりの小売店の指定を受けるという場合に、たばこも何か以前は員外利用という、そういう協同組合として知事の認可があって、だから組合員以外にも売れる、それなら認可を出しましょう、こういう員外利用の条件をとっているということがかつてはたばこも認可をもらう条件になっていた。だけれども、いまではたばこはそういうあれもなくなって、生活協同組合であるなしに全く関係なしに、条件に合うものは認可されるというふうになってきたということですが、聞いてみますと、酒の場合はいまでも員外利用という許可を知事から取れ、取れた協同組合ならば酒の小売の認可も出す、こういうふうな運営になっているということですね。  員外利用という問題自体、生活協同組合のあり方の根本に触れる問題ですが、生活協同組合法の中では員外利用は原則としていけないということになっているわけですね。例外的に、ただしこれこれの場合には認めてもいい、こうなっておるわけですが、原則としていけないというものが、それが取れれば小売を認めていいという国税庁の方の酒の小売に関する運営がありますと、生活協同組合の本来の原則と何か違うことを要求するというような感じになるわけで、この辺は若干行政として矛盾しているのではないかという感じがするのですが、どうですか。
  134. 磯辺律男

    ○磯辺政府委員 酒の小売免許につきましては、ただいま専売公社の副総裁からお答えいたしましたが、一般的に小売免許につきましては、やはり同様な趣旨でわれわれは免許を与えておるわけでございます。その免許を与えるかどうかという基準といいますのは三つ柱がございまして、一つは人的要件、それから第二は距離要件、それから第三には需給要件、これは必ずしも順番は一、二、三の順番の重要度ということはありませんけれども、その三つの問題を柱といたしまして審査をいたしております。  この中で消費生協に関連がありますのは、やはり需給要件ということだろうと思います。つまり酒の小売をいたしますときには、やはりそこの地域住民の方々、消費者の方々の利便にならなければならぬということは言うまでもないのでありまして、その場合に、その消費生協が員外利用を禁止されておるということになりますと、せっかく免許を与えましても一般の住民の方はそれを利用できない。さればといって、一般の住民の方の利用をできるようにするということで新たな普通の小売免許をいたしますと、今度はまた距離的に非常に近い地域において二つの小売店が競合するというふうなことになるわけでございます。  これは御承知かと思いますけれども、消費生協の組合法には、員外利用の場合には所轄庁の員外利用の許可をもらわなければいかぬということになっておりますが、同時に都道府県知事が許可を与えるにつきましては、その許可によって周囲の一般の同種の小売店に迷惑をかけるといいますか、それが余りにも影響が大きい場合に与えてはいかぬ、こういうことになっておるわけでございます。  したがいまして、私たちはやはり消費生協が免許を申請されます場合には、一般の小売店と同じように、どういった方についてもそこで利用できるというふうな状態になるということがまず大前提ではないかというふうに考えておるわけであります。    〔山本(幸雄委員長代理退席、委員長着     席〕  ただ、その場合でありましても、たとえばこれは酒の小売免許に当たりまして、昭和四十五年六月でございますか、物価対策閣僚協議会がございまして、酒の小売免許については単なる形式基準にとらわれずに弾力的に取り扱うようにというふうな決定もございまして、事実私たちは、大きな団地ができてきた場合であるとか、あるいはへんぴなところに一つの地域生協が生まれたといったような場合には、必ずしもそういった形式基準にこだわらずに免許を与えておるというのが実情でございます。  消費生協につきましては、ちょっといま申しましたけれども、一般に員外利用の許可がなくともそれが特に離れたところで地域生協が設けられておるといったような場合には、もちろんその近くの店舗との競合という問題はございませんし、同時にまた、そこに住んでいらっしゃる方は消費生協の組合員の方ばかりでございますから員外利用という問題も起こらないというようなことでありまして、例外的にはそういった地域生協に対しては別に都道府県知事の員外利用の許可が与えられてなくとも認可するといったようなケースもございます。  いずれにいたしましても、私たちは、生活協同組合の本旨云々というふうな問題、そこまでこの問題を大きく考えておるということよりは、むしろやはり一般の既存の小売店舗との間の無用な摩擦と競合、それによって逆に酒の流通というものが過度にわたるとか、あるいはまた、特に酒というのは御承知のように非常に税金を含んでおります財政物資でございますから、その酒税の確保に支障が来てはならないというふうなことを中心に考えておるのでありまして、消費生協本来の問題云々ということまでは、われわれ考えずにやっておるのが実情でございます。
  135. 高沢寅男

    高沢委員 いま磯辺さんの言われた、知事からそういう員外利用の許可をもらうという場合に、先にできておる小売店は、もうこれは大変だ、生協にそういうものを与えられたらおれたちはまいっちゃうという形の陳情攻勢がざあっと出るわけですね。そうすると知事さんはなかなかそれを出さぬ、出さなければ今度は小売の免許がもらえない、どうもこんなような循環になっているようなんです。  生活協同組合というのも、最近、特にこういう経済情勢の中でずっとできつつある発展過程でもあるわけですね。そうであるとすれば、その生活協同組合がどの程度の組合員の数を持っているかというふうなことによって、そこで完全にこの地域で員外利用が問題になり得ないほど地域の全員がもう生活協同組合員になっているというそういうケースでなくて、ある一つの住宅地域で組合員である人もいるし、ない人も混在している、だけれども、組合員の数としては相当な数を持っているというような生活協同組合であれば、それだけに酒の売れ行きというものを確保する可能性もまたあるわけですから、そううい場合には員外利用とかなんとかいうことをそう必須条件にせずに小売の免許を出すというやり方も当然出てくるのじゃないか、こう私は思うのですが、その点はどうでしょう。
  136. 磯辺律男

    ○磯辺政府委員 そういった場合は、まあ典型的な例といいますのが、先ほど申しましたようにへんぴなところに一つの大きな団地等ができまして、そこの団地に住んでおる方のもうほとんどがそういった地域生協に加入していらっしゃる、その地域生協に加入されていない方はごくわずかだ、問題にするに足りないといったような場合には、都道府県知事の認可がなくとも酒の小売の免許を差し上げても恐らく問題ないとわれわれは思っておりますが、ただ一般に、都市部にありまして、それが組合員と組合員でない人たちが混在しているといったような場合にそこまで広げるということになりますと、これはそこでなかなかむずかしい問題が出てまいります。  たとえばすでに、これは参議院でございますけれども、大蔵委員会の方で全党一致で可決されたことでございますけれども、酒の小売免許を与える場合には、すでに存在している小売人等で組織している組合でございますか、そこの組合の意見を求めるようにということが決議されております。そういった意味で私たちも、免許を与える場合には必ず一応その意見を参酌するということになっているわけでありますけれども、そういうときに、そういった組合に対しましては非常にトラブルが多いわけでございます。  これは、ちょっと余談になりますけれども、単に生協だけでなくて、たとえばスーパーに対する免許の問題なんかにつきましても、非常に既存の小売店の方々との間のトラブルが多いというふうなことがございまして、実は各国税局並びに税務署でも、酒の小売免許の問題については非常に行政的に頭の痛い問題を多くかかえているわけでございます。  私たちは、生活協同組合だから特に有利に計らうとか、あるいは既存店舗の権利だけを中心に考えているといったようなことでなくて、あくまでも酒の流通の円滑化、それから同時に消費者の利便ということをうまいぐあいにマッチさせていきたい、それによってトラブルのない行政をしていきたいというのが念願でございますから、ただいま先生おっしゃいましたようなことは非常に私たちも尊重してまいりたいと思いますけれども、現在のところ、そこの組合員と組合員でない人とが混在しているといったような地域における生協に対して免許を与えるというのはなかなかまだむずかしい問題があるのではないか、かように考えております。
  137. 高沢寅男

    高沢委員 その場合は、やはり員外利用の許可が必要だということになるわけでございますか。
  138. 磯辺律男

    ○磯辺政府委員 さようでございます。
  139. 高沢寅男

    高沢委員 では最後です。これはまた別な性格の問題ですが、酒に関してのやや公害問題的な性格の問題になりますが、醸造した酒をこして清酒にする、つまり酒をろ過する際に何か最近石綿ろ過という、石綿を使ってろ過をするやり方が非常に普及しておる。その場合に、その石綿の非常に細かい粒子が酒の中へまじって、それが人体に対してどういう影響を与えるかということが、これはまだ確定はしていないけれども、もしそれが危険なあれを及ぼすとすれば非常に重大なことじゃないか、これをどうするかという問題が一つ。  それから、この石綿ろ過はいかぬとなると、非常に多くの業者がそういう設備を持っておる。その設備はだめになって、また別な設備を持たなければならぬということになってくると、特に中小の酒造業者がそのことによって非常に大きな経営的な打撃を受ける。そういうことを聞いたわけですが、国税庁の方でそういう問題をキャッチされているとすれば、どういうふうにその問題をお考えになっているかお聞きしたいと思います。
  140. 磯辺律男

    ○磯辺政府委員 これは非常に専門的、技術的なことでございますので、私の御答弁で果たして御満足いただけるかどうかと思いますけれども国税庁の方で承知しておる事情並びにそれに対してとった措置につきまして、御説明させていただきたいと思います。  現在、清酒製造業者で使っておりますろ過機というのは、そのほとんどが御指摘のように石綿を使用してございます。これは石綿が非常に安価であるというふうなことと、それから現在におきましてはその石綿というものが非常に効率的であるといったようなことから、ほとんどの中小メーカーというものがこの石綿を使っておるというのは事実であります。  ところが、この石綿の有害性の問題につきまして世上論議されまして、その有害性といいますのは、一つはその石綿の繊維そのものを肺に吸い込んだような場合、呼吸することによって肺に入った場合に、そこで肺に対していろいろと有害な効果が出てくるのではないか——ないかというよりは、これは有害であるという認定をすでにもう労働省の方で受けております。  酒造業界におきましても、こういったことにつきましてはつとにキャッチしておりますし、それから同時に、私たち国税庁におきましてもこのことは承知いたしておるのでありますけれども、ただ、呼吸することによって肺に入る、それによっていろいろな害を及ぼすといったような場合というのは、かなり多量に石綿を使っていろいろと加工しているような場合に言われることでありまして、実際の酒造業界におきましては、石綿を使うと言いましてもごく少量であります。したがって、庁といたしましては石綿を使ってそういったろ過をするような場合には、たとえばマスクをしてやるとかあるいは戸外においてそういった石綿の作業をするようにというふうな指示をいたしております。それから同時に、作業主任者の選定をする、それから作業環境の測定、健康診断というふうなことが労働安全衛生法によって基準を義務づけられておるわけでありますけれども、ただ酒造業界におきましては、先ほど言いましたように、石綿を使う作業というのは一日せいぜい数分ぐらいの時間でございまして、一日じゅう石綿を使って工場の中で作業をするといったようなものでもございませんので、労働安全衛生法で義務づけられておるほどのことでもないのじゃないかというふうなことで、現在、労働省とその取り扱いについては協議中であります。これは呼吸によって石綿の繊維が肺に入った場合でございます。  それからもう一つは、石綿そのものが経口によって胃に入ったような場合に、それが果たして有害であるかどうかという問題については、ただいま先生のおっしゃいましたように、これはまだ有害であるという結論は出ておりません。肺の方に入った場合に有害であるという結論はありますけれども、経口によって胃に入った場合には、まだ有害であるという結論は出ておりませんけれども、しかし事情酒に関することでありますから、メーカーの方に対しましては、石綿でろ過いたしました後の酒についても、さらにまたまざっておるかもしれない石綿を除くように、メンブランフィルター等の樹脂膜を使ってさらにもう一度ろ過するといったような指導をいたしておるわけであります。そういうふうにして、清酒につきましては、そういった経口によって胃に入った場合、体に入った場合に、害があるかどうかという結論は出ておりませんけれども、われわれとしては万全の措置をとるように清酒業者に対して指示しておるというのが実情であります。  ただ、それじゃ初めから基本的に石綿を使用しないで別なろ過方式をとればいいではないかというような議論が基本的にはあるわけでありますけれども、これもただいま先生から御指摘いただきましたように、石綿にかわるそういったろ過材というものがきわめて高い。現在の中小メーカーの方ではとても備えつけられないようなものだということと、それから現在の石綿にかわるろ過材では、まだろ過の性能そのものが十分でないというふうなことから、石綿の使用を全面的に禁止する、あるいはそれ以外のものを使うというようなことは指示しておりませんけれども、しかし、この問題につきましては今後われわれも検討いたしてまいりたい、かように考えております。  ただ、繰り返して申し上げますけれども、現在の医学といいますかでは、肺から入った場合にはそれは有害である、しかし経口によって体に入った場合にはまだ有害とは言えないというのが現在の結論のようでございますけれども、しかし、なおかつ私たちはそういった場合でも十分の措置をいま講じておるということを申し上げて、消費者の方にいたずらな不安をお招きしないように十分注意しておるつもりでございます。
  141. 高沢寅男

    高沢委員 そういう点、これからも十分国税庁の方で検討されることをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  142. 上村千一郎

    ○上村委員長 次回は、明十六日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。   午後五時八分散会