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1975-03-28 第75回国会 衆議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月二十八日(金曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 伊藤宗一郎君 理事 村山 達雄君    理事 山下 元利君 理事 佐藤 観樹君    理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君       越智 伊平君    奥田 敬和君       鴨田 宗一君    瓦   力君       塩谷 一夫君    野田  毅君       原田  憲君    坊  秀男君       宮崎 茂一君    毛利 松平君       山中 貞則君    高沢 寅男君       武藤 山治君    村山 喜一君       山中 吾郎君    小林 政子君       坂口  力君    広沢 直樹君       内海  清君    竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         大蔵政務次官  森  美秀君         大蔵大臣官房会         計課長     野崎 元治君         大蔵大臣官房審         議官      旦  弘昌君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       西沢 公慶君         大蔵省主計局次         長       高橋  元君         文部省社会教育         局長      安養寺重夫君         気象庁次長   高野  晟君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局調整課長 中  庄二君         国土地理院総務         部長      岩本 昭夫君         会計検査院事務         総局事務総長官         房会計課長   丹下  巧君         日本専売公社副         総裁      泉 美之松君         日本専売公社総         務理事     斎藤 欣一君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 三月二十七日  インフレによる預貯金の減価補償に関する陳情  書外一件(  第二二五号)  サラリーマンのための所得税減税等に関する陳  情書  (第二二六号)  農地等相続税軽減措置等に関する陳情書外三  十一件  (第二二七号)  住宅金融拡充等に関する陳情書  (第二二八号)  政府系金融機関の融資に対する指導強化に関す  る陳情書  (第二二九号)  身体障害者使用自動車用揮発油税免除措置に  関する陳情書(第  二三〇号)  たばこ値上げ反対に関する陳情書  (第二三一号)  塩、たばこ料金値上げ反対に関する陳情書  (第二三二号)  日本万国博覧会記念協会残存施設活用に関す  る陳情書外二件  (第二三三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第三九号)  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第四  号)  製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五号)      ――――◇―――――
  2. 上村千一郎

    上村委員長 これより会議開きます。  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしております。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。山田耻目君
  3. 山田耻目

    山田(耻)委員 旅費の審議に入るわけですが、賛成法案でございますし、多く質疑をする内容もありませんから、二、三点伺っておきたいと思います。  四十八年に旅費改定をいたしましてから一年でございますか、今回の値上げ日当宿泊料などについて四割、移転料について五割、これか内国旅費改正ですが、御説明を伺いますと、かなり宿泊料金等の値上がりがしておるので、実態調査を綿密に行った結果こういう結論を引き出したという説明ですか、実態調査の結果、宿泊料はどの程度上がってきたのか、実数がございましたらひとつ説明をいただきたいと思います。
  4. 高橋元

    高橋(元)政府委員 四十九年の四月時点におきまして、全国の財務局財務部、これを動員いたしまして、出張者通常宿泊いたします旅館というもののランキングをつけまして、本省局長クラスが行った場合に泊まる部屋課長クラス課長補佐係長クラス係員クラス、こういうことで全体で百七十七都市、七百七件の旅館を調べたわけでございますが、その結果、平均をいたしますと、総平均で四十九年四月に五千八百九十三円になっております。これは四十七年四月の実態調査の四千四百二十九円から比べまして、三三・一%のアップでございます。  なお、御質問がございますれば、等級別級地別数字を申し上げます。
  5. 山田耻目

    山田(耻)委員 財務局等を動員されて綿密にお調べになったのが三三・一%ということです。ランキング別調査をなさったようですか、局長さんはどういう宿泊所にお泊まりでございますか、そして課長課長補佐係長一般課員と大体四ランクに分けておられますが、公務出張におけるそういう旅館区別は、どういうことを基準になさってそういう区別をなさっておるのでございましょうか。
  6. 高橋元

    高橋(元)政府委員 これは各省ともさようであると思いますか、地方出先本省から出張してまいります者の受け入れを実際にはやるわけでございますから、地元の事情に一番精通しておりますそれぞれの出先で、それぞれのランキングに相当した宿屋旅館、ホテルというものの選別をいたしておるわけでございます。したがいまして、そういう形で本省庁の局長クラスか行った場合に通常泊まる旅館、それから本省庁の課長が行った場合に通常泊まる旅館課長補佐係長級の泊まる旅館係員クラスの泊まる旅館、こういうふうになっておるわけでございます。  これは、旅費実費弁償をたてまえにしておりますが、やはり定額制というものによりまして実際的な事務簡素化というものを図っております関係で、やはりそれぞれのランキングに対応した従前定額というものの範囲でやり繰りをしておると申しますか、実行をしておるわけでございます。したがって、そのそれぞれの出先におきます宿泊を常とする旅館というのも、大体そういう形で固まってきておるというふうに私どもは思っております。
  7. 山田耻目

    山田(耻)委員 よくわからないのですが、A、B、C、Dとありまして、局長A級旅館係員D級旅館と一応のつかみ方としては決められているわけですね。そういうことなんですか。おっしゃること、よくわからないのですが。
  8. 高橋元

    高橋(元)政府委員 A、B、Cというランクに当たるかどうかわかりませんですが、大体通常の場合係員の泊まる旅館というものが、今度の実態調査数字で申し上げますと、甲、乙地平均で三千九百五十九円という数字になっております。それから課長補佐係長クラスで申し上げますと四千九百八十六円という数字でございます。それから課長クラスで申し上げますと六千五百三円、局長クラスで八千八百五十七円、これは甲、乙地平均いたしましたそれぞれの夕食、朝食、サービス料、その他込みの宿泊料金実態調査の結果の平均でございます。  したがいまして、いま申し上げました数字がそれぞれ先生がお考えのA、B、C級に当たるかどうか、そこは私ちょっとわかりかねるのでございますけれども通常そういう旅館に泊まっておるということでございます。
  9. 山田耻目

    山田(耻)委員 まあ出張旅費というのは実費弁償ですし、だから非課税措置になっているわけです。局長とか課長出張する場合と、係長とか課員出張する場合と、かなり差がついているわけですね。人間そのものに差がついているというよりか、結局、身分制扱いというのがこういう実費弁償的なものにも大きく差が開いてきておる。だから、指定職の方の宿泊日当と六等級一般課員宿泊日当とを見ますと、一般課員指定職の人の大体五〇%強ぐらいの旅費しか支給されていない。こういう一つ基準をつくられたという根拠は何なんであろうか。これは非常に古い議論であり、しかし今日の議論でもあるわけです。少なくとも実費弁償をし、公務出張をする一そういう立場から見たら、それほどの差が必要なのであろうか。  特に局長出張なさるときに、局長単独出張なさるということは私は少ないと思うので、必ず課長とか、あるいは係長とか一般課員が、調査あるいは説明という形で随行するのが例として多いと思うのです。局長さんは出張旅費が高くてA級旅館に泊まられて、そして随行していった係長とか課員C級の宿に泊まる、現実にこういうことがありますか。私はないと思うんですよ。私も官庁の生活を長くしましたけれども、やはり行きますときには、一緒に行って一緒旅館に泊まるですよ。夜、飯を食うときには、みんなおいでよと、一緒に食べますよ。別に局長さんとかえらい人というのは特別にタイが目の下一尺ぐらいあって、そして随行課員はメダカみたいな魚を食べておるというわけじゃないのですよ。一つも差はない。それでいて、こういう実費弁償出張旅費とか宿泊料になぜ一〇〇対五五という差をつけなければいけないのか。私は何となくお役所的な身分制太政官達がまだ生きているような気がしてならない。  だから私は、きょうここでこの問題をすぐけじめをつけてくれとは言わないけれども、やはり将来にわたって実費弁償していくのですから、多少差があるにしても、七、八割程度に最低限を底上げしてあげて、二、三割程度の差に縮めていく、こういうふうな扱いというのが、私は公務員出張現実あり方ではあるまいかという気がするわけです。そこらあたりについて、いかがでございますか、将来に向かってやはり何とか検討していくという心構えでもございますか。
  10. 高橋元

    高橋(元)政府委員 先生指摘でございますが、現在の旅費法のとっております日当宿泊料のいわゆる格差というものについての考え方を最初に申し上げさせていただきますと、三十七年の旅費法改正までは、一般職でございますと各等級に見合ってそれぞれ八等級、そういう日当宿泊料区分があったわけでございます。それを三十七、八年のときに統合いたしまして、内国旅行の場合には六段階、いわゆる国務大臣等を除きますと、事務次官以下の一般行政官の場合には四段階というくくりにいたしました。その際、現在ありますような大体の各等級間の開きというものができたわけでございます。それは、従前の形に比べれば圧縮をしてそういう形になっております。  一方、いま御指摘のありましたように、旅費はもちろん旅行のために要する実費弁償でございますけれども、その旅行を行います実態を見ますと、やはり職員の職責と申しますか地位と申しますか、そういうものに応じて支給の差が多少ともあるのが民間の場合の実例であるようにも思います。私ども民間の若干の会社について上下間の比較をとってみますと、やはり社長さんから一般の社員に至るまでの開きというものがあるようでございます。もちろん、こういう上下間の金額差というものが、職員間の職務と責任の差異にぴたっと合っておるかどうかという見方については、いろいろなお考えがあろうかと思うわけでございますが、われわれも旅費実費弁償であるという趣旨に照らして、実態調査をこれから継続して行っていきたいと思っておりますので、その際に、御指摘のあった点も考えまして、より一層実態にかなったものにしていきたいというふうに思っております。  それから、長くなりまして恐縮でございますが、随行の場合でございますけれども、前回四十八年の改正をお願いしました際に、随行者旅費支給に非常に無理があるのではないかということで、今回の実態調査に当たりまして随行者とキャップとの関係を調べてみたわけでございますが、大体、課長クラス、いわゆる一、二等級職員出張いたします場合には四等級ないし六等級職員随行していく、それから、局長部長クラス指定職の場合には四、五等級職員がついていくというのが統計的には一番多くなっております。  その間の旅費定額格差を見ますと、上位のものを一〇〇とすると六五ないし七〇%ぐらいという定額でございますが、宿屋の中にいろいろな料金部屋がございまして、比べてみますと大体六割ぐらいまでの部屋があるかというふうに思っておりますので、同じ旅館に泊まりまして、部屋に若干の差があるという形でおさまれるのではないかと一応思っておるわけでございますが、今後実態調査の際に、旅館ランキング等についても配慮してまいりたいというふうに考えております。
  11. 山田耻目

    山田(耻)委員 おっしゃっていること、わからないことはないんですけれども、私は実費弁償ということに若干こだわるんですよ。確かにいまの身分差というのは、昔は十二倍ぐらい開いていましたが、いまは六倍近くに、半分くらい縮まっていますね。これは賃金俸給の歴史的な変遷もあるわけですが、いまの身分差の中で賃金が違うことは、私はそれはそれで一応承知をしますよ、職階給与制をとっているんですから。それは賃金俸給であって、出張するときにはやはり実費弁償原則なんですから、賃金を延長させたような格差をつけておくということは、私は余り適当でないという感じがします。  それは、宿泊料なり食卓料なりあるいは日当なりというのは、だれが行こうと日当は同じであるし、あるいは食卓料というのは若干の違いはあったってさして大きな違いはないのですから、だから、それはさっきの宿泊料実態調査を見ましても、できるだけ下級職人たち宿泊できる状態でみんな見てあげて、上位職の方はその上に何かプラスされていっておるというふうな感じが受け取れるわけですよ。そうなると、実費弁償という原則は私はやや崩れていくという気がしますので、今日の経済動向などを見ましたら、もっと下を底上げしてあげて、上位下位との差は二、三割程度に縮めてあげるというのが、実費弁償の本来の趣旨に沿った旅費制度あり方でなくてはなるまい、私はこういう気がいたしておるのですよ。  それは、後段の移転料を見るとかなり立場が違ってくるのです。移転料は、上位職の人の移転料下位職の人の移転料も、その差は一〇〇対七五くらいになってきていますね。これはうんと縮まっているのですよ。上位職の人もやはりたんすもあるだろうしテレビもあるだろうし、茶わんなべもあるだろうし、あるいは子供もおるのです。一般課員の人もやはりたんすもあろうし茶わんなべもはしもあろうし、そして子供さんもいるでしょう。みんな同じなんですよ。だから、移転料は一〇〇対七五に縮められている。  しかし、いまの出張旅費の方は一〇〇対五五という開きを持っている。私は、ここには完全に実費弁償原則を外れた身分制というものが生きているような気がしてならない。だから、少なくとも移転料段階くらいまで、出張旅費は下を底上げしてあげて縮めていくというのが、私は自分の気持ちとして、どうもその方が適正だという気がしておりますので、私は、そこらあたりを含められまして次の段階では御検討いただきたいという気がいたしておるわけです。これは高橋さんいかがでしょうか、そういう発想は間違いでしょうか。
  12. 高橋元

    高橋(元)政府委員 御指摘の点は、確かに今後の問題であろうかというふうに思います。移転料につきましては、これは後ほどまた御説明をすることになろうかとも思いますが、昨年の六、七月に移転をしました人たちが実際にかかった費用というものを、領収書のあるものは領収書を徴しまして、実際にやってみまして、旅費定額との差を出しました。そういう形で実額で把握しております。  一方、宿泊料の部分につきましては、この調査は受け入れる旅館料金の上がり方の調査でございます。したがいまして、そこに従前からあります旅費定額についての開き先生のおっしゃるように、確かに指定職を一〇〇としますと六等級は五五くらいになるわけでございますけれども、そういう開きに合わせて従前から泊まってまいったという実態がそのまま反映して、伸び率調整をされるということになるわけでございますが、今後実態調査につきましていろいろ工夫を加えて、先生のおっしゃいますような考え方について検討を進めていきたいというふうに考えます。
  13. 山田耻目

    山田(耻)委員 それでよろしいと思いますが、念のために申しておくのは、いまの移転料というのは、実際に調査をしたところ七五対一〇〇というほど実際経費がかかっていく。そうして宿泊料の方は五五対一〇〇でいい、実態調査の結果そうだ。私は、この実態の取り方に少し誤差があるのじゃないだろうか、あるいは取り方に問題があるのじゃないだろうかという気は、やはりいまのお答えでは消えていかないのです。  私にも経験がないことはありませんけれども、それは上位職のえらい人が泊まられたときには女中さんはつきっきりでサービスをして、そうして地方のいろいろな人たちがあいさつに来て、まあそれはいろいろサービスしてもてなしてくれる。しかし、C級D級の方に泊まっている人は、女中さんなんて相手もしてくれない、飯が食いたければついで食いなさい、こういうふうな開きが起こることを当然のこととして組まれておる旅費規定なんですよ。そういう一つの差があるのは、役所で結構じゃないですか、賃金も違うのだから。しかし、地方に出ていって、本当に出張旅費そのもの実費弁償という原則をとるのだったら、出張目的がみごとに達成できるように、やはり配慮してあげるということが正しいのです。そういう物差しとり方移転料物差しとり方とは若干違うと私は思うから、それを重ねて申したのですが、どうか来期出張旅費の御検討をいただくときには、やはりそういうふうに実費弁償原則に立って見ていただくように、ひとつ重ねてお願いをしておきたいと思うのです。  それから、そのほか別にございませんが、外国旅費関係、一点聞いておきたいのですが、外国旅費日当宿泊料が三七%程度移転料が五五%程度引き上げられております。これはこれで、私はこれでいいのかなという気はいたしますが、結構です。  ところが、最近、公務員国外出張というのはどういう傾向を示しておるのだろうかという気がいたしますので、そこらあたりお答えいただきたいと思うのです。  例のOECD関係国際観光振興会調査を見ますと、去年一年国外旅行をしておる日本の国民は、観光客アメリカのみで二四・三%上昇しておる。日本という国は世界一のインフレ狂乱物価と言われる国家であるけれども国外出張は去年は二四・三%伸びてきておる。こういう一つのことについていろいろな批判が加えられております。こういうふうにしていろいろと国外に出向いていく日本人がふえてきております。経済問題にしても資源問題にいたしましても、いろいろと日本行政上多くの問題を起こしてきておる昨今でございまして、一体去年一年の公務員国外出張動向というのはどういう指数を示しておるのか、おわかりになりましたらひとつお話しいただきたいと思います。
  14. 高橋元

    高橋(元)政府委員 いま手元に四十九年度、四十八年度、どのような件数でどの地域職員出張したかという資料を持ち合わせておりませんので、申しわけございませんが全体の予算伸びで御説明申し上げますと、外国旅費は四十九年度三十九億五千九百万円でございますものを、五十年度四十四億六千九百万円というように一二・九%伸ばしております。その中で、法改正によりまして単価がアップする分がございますので、それを差し引きますと、九・六%ぐらいの伸びでございます。  最近、先生もいま御指摘のように、国際的な視野の中で日本の問題を考えなければならぬ。行政につきましてもさよう傾向になってきておるわけでございまして、諸般の機構に参加いたしまして、それの国際会議が数多く開かれる。従前のように視察のために出張するというよりは、そういう特定の会議のために出張をいたす、その会議も比較的長い期間頻繁に開かれる、そのための出張者が多いように私は思っております。いま計数的に具体的にお示しができないのはまことに遺憾でございますが、そういう状況にあるわけでございます。
  15. 山田耻目

    山田(耻)委員 傾向として、予算伸びは大きく指摘できるものじゃなさそうです。ただ、全体としては若干の上昇を見せておるんだと思いますが、そういう形で在外公館に迷惑をかけておる傾向はないんであろうか。いまの宿泊料日当等が三七%程度上昇移転料の方は別ですけれども、いまの国際的なインフレ動向を見てまいりましたら、この程度の三七%余りの上昇でいいのだろうか。  私、去年の十月ヨーロッパへ国会から派遣されまして行ったときに驚いたのでありますけれども、十年ばかり前ILOにおりまして、スイスのジュネーブに何回か常駐していたわけですが、その当時とは円も変わってまいりましたけれども、当時は五ドル程度宿泊料でございました。ところが、昨年暮れ参りましたときには大体三十ドル、六倍ぐらいにはね上がっておりました。こういうふうに比較してみましたら、今日の外国出張する公務員の数は若干伸びておる程度でございますけれども、いまの三七%程度の引き上げで在外公館の方に何となく迷惑をかけぬで出張目的がみごとに達成できるというふうな旅費支給されておるのだろうか、これで十分なんだろうか、こういう気持ちがいたしておりますのでお伺いしておるわけですが、その点、別に支障ございませんか。
  16. 高橋元

    高橋(元)政府委員 いまのお答えをいたします前に、先ほどの御質問数字をちょっと申し上げさせていただきたいと思います。  四十八年度中に外務省で把握いたしております外国出張者は八千四百五十六人、その中で大公使が百四人でございますが、指定職一等級が九百八十五人、二等級八百九十七人、三ないし五等級五千二百五十五人、六等級以下千二百十五人。地域的に申しますと、ヨーロッパが一番多うございまして三千二百八人、アジアがそれに次ぎまして千八百八十九人、アメリカが千五百九十九人、こうなっております。  その次に、先ほどの御質問でございますが、今回の実態調査は、外務省に依頼しまして在外公館が本国から出張してまいります人たちを泊める宿屋についての料金値上げ率を見たわけでございます。それが三二・五%というふうに把握されておりますが、これにつきましては為替レートの差とかいろいろな問題がございます。それから、ヨーロッパアメリカに比べて非常に物価上昇が激しい。ヨーロッパの域内でも、国によって宿泊料上下かなり差があるということがあろうかと思います。したがいまして、今回地域区分改定いたしますと同時に、指定都市につきましても従前よりも拡充した適用をいたしまして、実態に沿うた宿泊料日当というものにいたしたいと考えておるわけでございます。
  17. 山田耻目

    山田(耻)委員 大体、内国旅費外国旅費含めまして実情に適合できるような旅費定額というものは将来に向けて御検討いただくという御答弁をいただいておるわけですけれども、申し上げたような実費弁償の性格を持つものですから、十分実費弁償が保証できるような旅費定額改定ということは将来とも十分考慮していただいて、出張する人々にいろいろな意味で苦労をかけておるわけですから、不便を与え、みずからの生活設計を狂わすということのないように配慮いただきたいということを特に申し添えまして、私の質問を終わります。
  18. 上村千一郎

  19. 増本一彦

    増本委員 四十八年以降、物価上昇率が非常に高くなっている。中でもサービス部門物価上昇率というのは、非常に顕著なものがあるというように考えるわけです。そういう経済実態を見てみますと、私は、今度の旅費の四〇%あるいは移転費の五〇%のアップというのは、さらにまだ実態に即応したものになっていないのではないかということを非常に危惧するわけであります。  これはもちろん、実費弁償という点がありますから実態調査は当然ですけれども、従来から言っても、四十八年のあの改正のときにもいろいろ指摘されたように、共済の宿舎を使わなければ間に合わない状態だとか、あるいはそういうところのないところではもはや足を出して、それでも職員人たちは精勤をしていた。いろいろな実態指摘されてきたわけです。今回引き上げることそのこと自身は結構なことだと思いますけれども、それでもなおかつ本当にカバーできるのかどうかということを危惧いたしますので、まずその点についての御見解を伺っておきたいと思います。
  20. 高橋元

    高橋(元)政府委員 ただいまサービス部門物価上昇率ということでございますので、私ども消費者物価指数の中のサービスと対個人サービスと、この二つの上昇率を見て、旅費法改正の際にいろいろ検討いたしたわけでございます。そういたしますと、四十七年を一〇〇といたしました場合の四十九年のサービス上昇は三〇%、対個人サービス上昇は約四〇%でございます。それから四十八年一月この方五十年一月までの上がりぐあいを見てみますと、個人サービスで四六%、それからサービス部門全体で三七%、こんな数字になるわけであります。  これは消費者物価指数でございますから、その内訳になります宿泊料だけを取り出して見てみますと、四十七年四月を基点といたしますと、四十九年四月は二一%弱、それから四十八年一月を基点といたしまして五十年一月を見ますと二二%弱と、それぞれの上昇になっております。  一方、日銀が調べております宿泊料金指数というものが別途あるわけでございますが、それをとりまして申し上げますと、四十八年一月を一〇〇といたしますと、五十年一月は一三五・六になっておる。  法案の起案をいたします段階で、いろいろ全体の物価上昇の中で今回の旅費日当宿泊料定額の引き上げ率が妥当であるかというチェックをいたしたわけでありますが、いま申し上げましたようなサービス部門物価上昇、それから対個人サービス物価上昇宿泊料上昇率、そういうところから見まして、旅費実費弁償であるとはいえ、できるだけぜいたくな部分がないようにしまして、全体として公務の能率を上げていくという趣旨でありますので、もちろん物価上昇に見合った改定をいたすのでありますが、その辺、上昇率実態調査の結果を利用いたしましても、いま申し上げたような物価指数の上昇には適応しておる、そういうふうに判断をいたした次第であります。
  21. 増本一彦

    増本委員 調査の時点が四十九年ということですね。実態調査も四十九年の四月だった。四十九年一年間今日までの物価上昇を見てみましても、さらに前年対比で見ても消費者物価二十数%のアップになっているという事態で見てみますと、これからさらにこれは五十年度以降の問題ですから、いまの四〇%引き上げたところで、四十九年の事態はカバーできるかもしれぬけれども、それはもう全然遡及する問題ではないからですから、将来の問題としてどうなのかという、その見通しのところはどうなんですか。
  22. 高橋元

    高橋(元)政府委員 宿泊実態調査の結果では、上昇率は四十七年四月から四十九年四月までに三三%であると申し上げましたが、今回の旅費改定では日当宿泊料定額を四〇%引き上げておりまして、若干のアローアンスというものをそこに加味しているわけであります。  ちなみに、四十九年のたとえば一月の宿泊料というものを見ますと、これは消費者物価指数の中に入っておるわけでございますが、一三三・八でございまして、五十年の一月が一三六・三と、まあこの消費者物価指数の中の宿泊料のサンプルの取り方がいかようであるか詳細承知しておりませんけれども、そこにはそれほど大きな変化がないわけでございます。  日銀の料金指数、宿泊料の指数で申し上げますと、四十九年一月を一二〇としますと、五十年一月が一三五と、約一割ばかり上がっておりますが、これは今後実態調査をまた財務局を通じて行いまして、その際に把握してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  23. 増本一彦

    増本委員 たとえば宿泊費、旅館代ですね、これのアローアンスは大体八%ぐらいということになりますね。そういうことでこれから済むのか、しかも後追いのような形で実態調査をされながら、それが一年前のことを基準にして、しかもそれ以降の見通しについては八%のアローアンスしかない。ここのところが私は、さらにまだ本当に実態に即したものとなっていないのではないかという危惧を非常に持つわけであります。  この点は、いずれにしても、いろいろ検討もされるということですから、十分実態に即して——これは実費弁償ですから、実態に即して、やはり負担がかからぬようにしてあげるというこの鉄則はしっかりと守っていただきたいというように思います。  ところで、いま、たとえば気象庁の富士山の測候所とか、あるいはいろいろな地質調査、あるいはまた国土地理院などで測量をするというような場合に、これが本来山岳地帯などに長期にとどまっていなければならないのに、実質は日額旅費で済まされているという分もある。しかも、そういう山岳地帯で測候や観測をするというようなことで、山には交通機関というものがありませんから、かちで登りおりしなければならない。それにもかかわらず平地と同じ車馬賃で支払われている、こういう実態もある。  その点について、一つ改善を要求しながらお尋ねしたいのですが、たとえば気象庁では、こういうように山岳地帯で測候または観測などをする施設というのは幾つあって、旅費との関係では実態はどうなっているのでしょうか。
  24. 高橋元

    高橋(元)政府委員 御案内のように、現在の旅費法には日額旅費の規定がございまして、測量、調査、土木営繕工事、巡察等の旅行、長期の研修、講習、訓練等の旅行、それから職務の性質上常時出張を必要とする職員出張、そういったような旅行につきましては、定額にかえまして日額旅費支給することができるということになっております。その額、支給条件、支給方法につきましては、各庁の長が大蔵大臣に協議してお定めになるということでございまして、四十八年の旅費法改正の際に、一般旅費改定に合わせまして、またそれぞれの省庁のおやりになる職務の実態に合わせて、日額旅費改定が行われておるわけでございます。  気象庁の日額旅費が具体的にどうなっておりますかということは、気象庁からお聞き取りいただくことになろうかと思いますが、今後、今回御提案申し上げております旅費法改正が成立をいたしましたならば、それに合わせまして、日額旅費につきましても単価等の所要の改正をいたしていきたいというふうに考えて、予算措置もいたしておるわけでございます。
  25. 高野晟

    ○高野政府委員 気象庁には、御承知のように、山岳その他僻地等がいろいろございますけれども、私ども、現在、山としてはたとえば富士山、剣山その他の山で十二カ所ほど測候所あるいはレーダー基地等がございます。その日額旅費の決め方につきましては、それぞれの事情、山の状況、困難度、そういったものによりまして三段階ほどに分けて、五等級以上と五等級以下の二種類についてそれぞれ額を決めてございます。
  26. 増本一彦

    増本委員 それはたとえば富士山測候所などというところは、あの山のてっぺんまで登っていくわけです。かちで登っていかなければならぬ。そういう困難な状況のもとで仕事をなすっておられる。そういう困難な仕事あるいは困難な実態というものが、日額旅費の単価に正しく反映されているのかどうか。  それでは、一体そういう場合に何を基準にしてそういう困難度に応じた単価の決め方をなすっておられるか、その点はどうなんでしょうか。
  27. 高野晟

    ○高野政府委員 いまお尋ねの点は、先ほど申し上げましたように、山岳等につきましても、困難の度合い、勤務の難易等を考慮いたしまして、たとえば富士山の場合でございますと、私どもとしては最高のと申しますか、たとえば五等級以上でございますと、現在日額が二千十円という最高の額を支給するということにいたしております。その他の山につきましては、たとえば弥彦山その他につきましては、同じものについても七百八十円というふうに決めてございます。  その基準をどうするかということでございますが、これは日額旅費の従来からの決め方等も参照いたしますし、またその後の状況の変化、こういったものも加味しながら、これは運輸省の方にお願いをいたしまして、われわれの事情をよく疎明いたしまして、できるだけ実情に合うように決めていただくというふうにいたしております。
  28. 増本一彦

    増本委員 特に山岳地帯の観測、測量あるいは調査というような場合ですと、非常に長期の出張になるわけですね。しかも、そういうところは宿泊施設も十分にないし、あるいは普通の都会での生活環境などから見たら非常に悪い生活環境のもとで長期間仕事をしなければならない。必然的に二重生活を強いられるという状態になるわけですね。いまは二十六条の一項で、結局、長期出張調査する場合でもあるいは研修などの場合でも日額旅費にとどまっているという状態があると思うのですが、その法の支給の形式は別にして、そこで働く人たち生活実態といいますか、こういったものをしっかりと反映させてそれぞれの額を決めていくということが非常に重要だというように思うわけです。  そこで、やはり日額旅費というような形式でそのままにとどまっていると、どうしても支給額そのものが——今度の場合、これからの単価改定ということになりますけれども支給の額そのものも、それからその他内容の面でもいろいろ低く抑えられがちだという実態は、形式そのものから制約されて限界があるというように思うのですが、その辺もっと実態に即した、支給の形式まで含めた工夫をして、根本的に検討をし直すということが私は必要じゃないかと思うのですが、その点については主計局ではどういうふうにお考えでしょうか。
  29. 高橋元

    高橋(元)政府委員 日額旅費の制度と申しますのは、普通の旅費支給いたします場合には旅行実費を超えた旅費支給する結果になるのではないか、したがって、実費弁償のたてまえから見まして、普通の旅費支給いたすことが適当でないということ、それからさらには、行政事務の繁雑化を避けるために旅費支給の簡便化を図るということ、それらによりまして、出張によります公務の遂行と、旅費支給に要します一般行政事務簡素化と、両方を両立させる制度として設けしられておるわけでございます。  日額旅費の単価をどう持っていくかということにつきましては、各省庁のそれぞれの事業によりまして特殊性もございますし、出張先によりまして、ただいま富士山について御指摘のありましたように、特殊な掛かり増し費用が要するというようなこともございますので、実情に合わせてやっていかねばならぬと思いますが、日額旅費の制度は、先ほど私が申し上げましたような趣旨で今後とも存置をしておく必要がある、さように考えております。
  30. 増本一彦

    増本委員 全面的に日額旅費をなくせと言うわけじゃないのですよ。だから、そういう長期の、しかも困難な環境のもとで仕事をしなければなやないような人については、もっと別の支給の形式ということも、二重生活その他を強いられているわけですから、考えてもいいのではないか。それを、いままでのように定額旅費だ、日額あるいはその他、こういう支給の形式そのものが固定されていて、その中で日額旅費の場合にはこれこれだということが、二十六条で研修や調査、その他の関係で決められている。その調査や観測そのものの中にもいろいろなものがあって、測候だとか観測だとか、あるいは山岳地帯の地質調査というような場合には、もっと実態に即した支給方法というものが考えられてしかるべきではないかということを申し上げているんでして、その辺のところの検討の余地というものはないのかということを伺っているんです。
  31. 高橋元

    高橋(元)政府委員 御指摘の二十六条の第二項が日額旅費の額を定める場合の基準を書いておるわけでございますが、日額旅費の額は「各庁の長が大蔵大臣に協議して定める。但し、その額は、当該日額旅費の性質に応じ、第六条第一項」これは普通の旅費でございますが、「第六条第一項に掲げる旅費の額についてこの法律で定める基準をこえることができない。」となっておりまして、日額旅費の運用におきましても、たとえば富士山測候所の場合には、特別に高地で非常に酷寒、酷烈な気象条件のもとで出張要務を果たします職員について、実情に応じて改定をいたしておりますように、仕事の性質に応じて工夫を加えてまいることは十分可能であろうかというふうに考えております。
  32. 増本一彦

    増本委員 ところで、私はいまの御答弁そのものに納得しているわけじゃないのですが、単価を改定して実情に見合うように予算措置もしているということが先ほどのお話にありましたけれども、では今度の旅費法の四〇%のアップという実態に見合う形で五十年度旅費予算全体が一体組まれているのかどうか、一体財政の裏づけというものがちゃんとされているのかどうかということ、実はこの点も非常に危惧をしているわけです。  まず会計検査院にお伺いしたいんですが、この五十年度の予算案での検査旅費というのは幾らになっているんですか。
  33. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 約三億一千五百万円でございます。
  34. 増本一彦

    増本委員 四十九年度の予算では幾らでしたか。
  35. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 二億六千二百万でございます。
  36. 増本一彦

    増本委員 それでは伸び率が二〇%ちょっとという状態ですね。  国土地理院の方の測量旅費は、この五十年度の予算案とそれから四十九年度の予算とでは数字がどういうようになっていますか。
  37. 岩本昭夫

    ○岩本説明員 四十九年度は一億九千九百八十万七千円、五十年度は二億三千百五十五万二千円でございます。
  38. 増本一彦

    増本委員 これも一九・一%ぐらいなんですね。  行政管理庁の行政監察旅費はどうでしょう。五十年度の予算案と四十九年度の予算から見てどういう状態ですか。
  39. 中庄二

    ○中説明員 四十九年度は九千五百四十八万七千円、それから五十年度は一億一千四百八十三万五千円となっています。
  40. 増本一彦

    増本委員 待ってください。ちょっと速記をとめてください。
  41. 中庄二

    ○中説明員 これは行政監察局関係の経費で申し上げました。
  42. 増本一彦

    増本委員 では、これの伸び率は幾らになりますか。
  43. 中庄二

    ○中説明員 約二〇%でございます。
  44. 増本一彦

    増本委員 二〇%でございますね。本庁関係で見ると八・五%ですね、つまり八千百九十二万六千円が五十年度で、四十九年度の場合が七千五百四十九万円。監察局関係行政監察旅費といっても二〇%しか上がっていない。  国土庁の場合も、私が予算書で見た数字でいきますと二千八百九十五万八千円が五十年度、それから四十九年度が二千六百八十四万五千円、七・八%の伸び率しかない。  いまこういう実態なんですが、四〇%の旅費アップ基準になって上がっていながら、予算にはそれが反映されていないというのは、これはどういうことなんですか。
  45. 高橋元

    高橋(元)政府委員 日当宿泊料アップ率は四〇%でございますが、ただ旅費の中には、約半分が鉄道賃というふうな形で入っておりまして、その分につきましてはすでに国鉄運賃の改定に合わせて四十八年以降引き上げておりますので、したがいまして、全体としてのアップ率は二〇%程度になろうというように思います。したがいまして、今度の単価改定をフルに織り込みました旅費予算額は、二割アップというふうに考えていただきますのが通常の姿でございます。
  46. 増本一彦

    増本委員 しかし、たとえば会計検査院というのは全国を検査で回るわけでしょう。それが二〇%で、しかもその基準というのはさっき次長も言うたように、四十九年の四月の時点での実態調査に基づいて、しかもアローアンスは——四十九年の四月の時点から考えて今度は五十年度ですから、いま審議してこれから施行するという段階でもうすでに一年の開きがある、それ以降さらに五十年度を消化していくという上ではほぼ二年の間隔があるわけですよね。そのもとで本来出張が仕事のこういうところで、この二〇%という伸びで従来どおりの行政サービスあるいは行政の執行が一体できるのかということなんですよ。あなたの方では、これはどういうようにお考えなんでしょうか。
  47. 丹下巧

    ○丹下会計検査院説明員 私どもの方では若干事情が違いまして、長期の出張が非常に多いものですから、やや日当宿泊料の率が高いという事情がございまして、全体の検査の赴任日数といたしましては若干の低下を免れないのではないかというふうに考えておりますけれども、検査の日程、人数の配分、そういったものを効率的に配分するということによりまして、検査の効果には支障のないように努力したいというふうに考えております。
  48. 増本一彦

    増本委員 行政管理庁の方はどうですか、やはり二〇%程度だということですか。
  49. 中庄二

    ○中説明員 行政監察業務は、現地の実態を把握するということが活動の基本になっております。そういう意味で、私ども旅費は、活動の範囲なりを規制する非常に重要なものと思っておりまして、今回の旅費法改正が組まれました場合にはどのようになるかという一応の考えを内部的に検討しておりましたが、先生指摘のような四〇%というような影響ではございませんで、先ほど主計局次長が申されましたような二〇%を超える数字が出てまいりますので、結果的にはアップ率と現実予算の予測との面も見ますと、若干下回るというふうに考えております。  しかしながら、この業務の旅費予算の執行の面につきましてはいろいろなやり方もございますので、調査対象の選定方法等を十分配慮いたしまして、少なくとも監察業務の質の低下を来さぬように十分努力してまいりたい、こういうように考えております。
  50. 増本一彦

    増本委員 結局、行政的なその部内の努力で業務に支障を来さないようにしようということで、予算の裏づけとして十分な手だてをとっているということにはなっていないということじゃないですか。ほかにも、たとえば農林省の地方農政局の出張旅費を見ましても、一六・四%しか上がっていませんよ。いま国民が期待している公正取引委員会調査旅費を見てみても、これだけですわ、三八・三%ふえているというのは。だから結局、会計検査院にしましても、行政管理庁とかそういうところを見ても、行政の執行そのものが、予算の枠が押えられて少し下回っているから、あとは自分たちの努力で何とか支障のないようにしようということで、もっと十分な調査なり監察のために仕事を進めていこうという立場に立った予算の裏づけになっていないというように考えるのですが、いまの会計検査院にしたって行政管理庁にしたって、そういう趣旨の御答弁ですよね。この点はいかがですか。
  51. 高橋元

    高橋(元)政府委員 今回の旅費日当宿泊料移転料定額を引き上げますにつきましては、五十年度の予算編成の全体の基調がいわゆる抑制的基調ということで、非常に圧縮した、各般の行政経費の節減、合理化を図るという形で進めなければならなかったという事情の中にありましたので、旅費の回数、件数というものにつきまして、最近の旅行実態というものに合わせて、できるだけ節約できる分は節約していただくということで、各省の御了承を得て、現在御提案いたしております予算に示されたような旅費の額になったわけでございます。  その中で、単価改定によりまして必要になりますアップ率、それは私は先ほどざっと、普通旅費の場合には二割であろうというふうに申し上げましたが、その旅費改正分の増のほかに件数の増というものももちろん見込んでおりますが、件数の増は極力圧縮をしていただく、しかも行政の分野によりまして、たとえば人命の安全とか検査業務、それから保安監督業務、そういった安全なり人命なりに関係いたすもの、また裁判の旅費、それから麻薬取り締まりの旅費、海上保安庁の旅費、税務の旅費、そういった国の活動の基礎をなすような旅費というものにつきましては、圧縮率と申しますか、能率化率を節減をいたしておるという形で予算の調理をいたした次第であります。
  52. 増本一彦

    増本委員 それが行政サービスの低下につながらないのかということを私は伺っているのです。そういう点で、行政サービスあるいは行政の合理化をいわば直接所管する行政管理庁の行政監察局自身が、二〇%ではちょっと下がる、こう言っているわけですよ。ですから、そういう意味での行政サービス、国民サービスの低下を来すようないまの実態だということは私は否めないというように思うのですね。  こういうふうに、結局、法案では上げるようになっても、しかし実際にそれを施行していく上では非常に窮屈になるというようなことでは、これはやはり本来の制度の趣旨からいってもまことに遺憾なことでして、その点については、大体四十九年の四月の時点での実態調査に見合ってのもので施行までの間に一年あって、しかも進めていこうという上にわずかのアローアンスしか持たない、そして窮屈な予算にしている、こういうところも非常に問題ではないかというように考えるわけですが、この点についてひとつ検討、改善を含めて、やはりもう一度いろいろな角度からやっていくという必要があると思うのですね。この点について、ひとつ政務次官から御意見を伺いたい。
  53. 森美秀

    ○森(美)政府委員 いまお話しの点につきましては、旅費というのは御承知のとおり実費弁償という立場をとっておりますので、そういう意味におきまして厳正なる態度でやっていかなければならないわけでありまして、実態調査に関しましても間違いなくやって、そして先ほどお話しのありましたようなことにつきまして十分に検討してやりたいと思います。
  54. 増本一彦

    増本委員 あと一つ、たとえば国土地理院ですが、いま二万五千分の一の地図をつくっておられるわけですよ。その中で一九・一%のアップというのは、これは実態から言ったって、もっとそういう測量だとか調査というものは行政の上では発展させていかなくちゃならないという事態だと思うのですが、この点ちょっと聞き落としましたので、皆さんの方ではどうされるか、その点だけひとつ政務次官に先ほどの答弁とリンクして伺って、私の質問を終わるようにしたいと思います。
  55. 岩本昭夫

    ○岩本説明員 お答えいたします。  五十年度の二万五千分の一の作業を含めまして、測量作業につきましての事業量の消化について、先ほど申し上げました二億三千一百五十五万二千円の旅費で一応十分消化できる見込みでおります。
  56. 増本一彦

    増本委員 それは違うよ。実際にやっている職員人たちは、足りなくて困るということで、皆さんと交渉しよう、こう言っておるわけでしょう。大蔵省にそんなことで気がねする必要ないですよ。  そういうことで、ぜひひとつ政務次官に、実態に合うように、しかも行政サービスや能率が低下することのないように、その辺の配慮は十分していただきたい。
  57. 森美秀

    ○森(美)政府委員 御承知のように、災害とか検査とかいった問題に関しましては、やはり遅滞なくやらなければならない。しかしながら、現在財政の硬直化の問題もございますし、私ども行政経費の節減ということの問題も十分注意しながら、いま御指摘のような点につきましても、要るものは喜んで出さなければならないという立場は当然のことと考えております。
  58. 増本一彦

    増本委員 終わります。
  59. 上村千一郎

    上村委員長 午後零時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時三十五分軍休憩      ————◇—————     午後零時三十四分開議
  60. 上村千一郎

    上村委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  61. 上村千一郎

    上村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 上村千一郎

    上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  63. 上村千一郎

    上村委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ————◇—————     午後一時二十七分開議
  64. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長代理 休憩前に引き続き会議開きます。  酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。山中吾郎君。
  65. 山中吾郎

    山中(吾)委員 酒税とたばこ値上げ問題についてお聞きしたいと思いますが、私は酒もたばこものまないので、個人的には余り関心がないのですが、それにつけてもいつも問題になるのは、なぜ酒税が重税であるか、なぜたばこ値上げせなければならぬかという理由が、どうしても私に一番問題になるわけであります。  それで、国民にわかりやすいように、酒税を特に間接税の中でこれだけ重く課税をしておる理由は何か、それから専売事業を国の独占事業としておるその目的、根拠は何か、この二つを国民にわかるように説明してください。
  66. 旦弘昌

    ○旦政府委員 まず、酒税についてお答えいたします。  酒税につきましては、先生指摘のように、単にわが国だけでございませんで、各国を見てみましても、その他の間接消費税に比べまして、一般にわりあいに高い課税がされておるのが現状でございます。  この点につきまして、いろいろ理由があろうかと思うわけでございますが、一つは、酒が嗜好品であるということであろうかと存じます。それからもう一つは、酒がやはり国民の保健という面から関係がある、そういうことから、この消費を余り乱に流れないようにという配慮もあるのではなかろうかというふうに考えております。  今回私どもが酒税の改正を、税率の調整をお願いいたしておりますのは、前回酒税の改正がございましたのは四十三年でございますが、それ以後、従量税課税の酒類につきましては、その後の酒の値上がり等によりまして負担率が下がってきたということを調整しようという理由からお願いいたしておる次第でございます。
  67. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 たばこにつきましても事情は大体におきましてお酒の場合と同様でございます。歴史的、沿革的に見まして、たばこは最初は禁煙政策がとられまして、その後それが財政物資として着目されるに至り、その際に相当程度の高い税率が課せられるようになった、こういうことだろうと思います。
  68. 山中吾郎

    山中(吾)委員 一応お聞きして、これから各論的にたばこ、酒税のことをお聞きしたいと思いますが、ただ感想を申し上げますと、どうも酒税とたばこ消費税と国家関係を頭に浮かべますと、国家はマッチポンプのような役割りを果たしているように思うのです。かつてある古い代議士がマッチポンプと言われたが、一方で火をつけておいて、飲ますだけ飲ます奨励をしておいて、後で消すというふうな二重人格的な国家の行動というのがどうも私の頭の中に入ってくるので、まじめに考えていくと国家論まで問題になってくるわけなんです。そういうことを考えながらお聞きしていきたいと思うのであります。  まず、たばこの方からお聞きいたしたいと思うのですが、いま専売事業の最初のきっかけは禁煙からという説明でしたね。それがだんだんと、国の独占事業の姿で専売事業が発達したというお話でありますが、そうすれば、たばこ納入金というのは実際は税金でありますから、禁煙を解除する公認料みたいなものですね。普通はのむと体にはよくないけれども、のみたいものを無理にとめるということも人間性に反するから、禁煙を解除して喫煙を公認した公認料、こういうことになりますか。
  69. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 ただいま申し上げましたように、最初は禁煙政策がとられておったわけでございますけれども、その後、たばこにつきまして財政物資としての特性が着目されるに至りまして、税金を取るようになったということであろうと思います。
  70. 山中吾郎

    山中(吾)委員 禁煙という立場から、一般の民営で自由にしておけばやたらにのます、営利事業ですから。そういう放任ができないので、国が独占的にこの事業をやり、しかし余り好ましくない喫煙の慣行をとめるのはどうも無理だ、人間性に反する、禁欲主義はよくないというので、それがのむことを認めながら、余りのむといけないから、安たばこをより高くして、できるだけのまないように財政的に重い納入金を加えて、節煙の方向に持っていこうという論理になるのじゃないですか、あなたの説明は。いまの説明ではよくわからないのですが、その辺をもう一度伺って次のことを質問したい。
  71. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 なぜ財政物資として着目されるに至ったかという根拠の話をお尋ねかと思いますけれども、その点につきましてはいろいろな考え方があろうかと思います。先生がただいまおっしゃったようなことも確かにその考え方としてあると思いますけれども、私自身、一体どういうことが論理的な根拠となって財政物資として着目されるに至ったかという点については、つまびらかにいたしておりません。
  72. 山中吾郎

    山中(吾)委員 原点に戻って、こういう問題をこういう機会に私は論議すべきだと思うので、値上げの幅がどうだこうだということは私はわりに興味ないのです。むしろ何の目的でこういう事業が発展し、税金に相当する重い納入金が発達したかということだけは見きわめておかないと、何か財源が不足になると、一番抵抗の少ないたばこと酒を上げようというふうな思想が、大蔵省の問題意識を持たない税行政の思想であれば困ると思うので私はお聞きするのでありますが、今度のたばこ値上げの最大の動機は、財源的に不足したものを、法人税とかその他は大企業の圧力が多いから、喫煙の習慣を身につけた者にとってはこれはもう必需品のようになり、たばこを相当高くしても節煙などはしないであろうから、一番税源としては有利だというので、そこでたばこ値上げ考えたのですか。
  73. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 今回のたばこ値上げにつきましては、法案の提出理由の中にも書いてございますけれども、一番目といたしましては、税負担の適正化ということでございます。それから二番目としましては、財政収入の確保ということに要約できるかと思います。
  74. 山中吾郎

    山中(吾)委員 税負担の適正化、私は不適正とは少しも思わないのですが、一般の国の財源の不足をたばこの税金によって是正するのが適正なんですか。
  75. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 税負担の適正化と申しますのは、先生すでに御案内のとおり、昭和四十三年度にたばこの定価改定をしまして、その後七年間据え置いたわけでございます。その間におきまする葉たばこ等の諸原価の高騰によりまして、その税負担が大幅に低下をしてまいっておるわけでございます。そして、これを象徴的にあらわしておりますのが益金率の低下という形になっておるわけでございまして、これを適正化いたしていくということが今度のたばこの定価改定の理由でございます。
  76. 山中吾郎

    山中(吾)委員 何が適正か、何か基準がありますか。たばこ益金のいわゆる納入金はどういうパーセンテージが適正であるかどうか、そういうものがないとあなたの説明は根拠がないわけですから……。
  77. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 昭和四十二年度におきましてたばこの益金率が六〇%を割りまして、五九・八になったわけでございます。それを契機といたしまして、昭和四十三年度に定価改定をお認めいただきまして、益金率が六三%に回復いたしたわけでございます。自来、昭和四十七年度に至りますまでは大体六一、二%で推移してまいったわけでございますけれども、四十八年度に五九・三になり、四十九年度の見込みでいきますとこれが五四・三になります。もし来年度たばこの定価改定をいたしませんと、これが四六・五程度に下がるであろう。  そこで、われわれとしましては、過去の益金率の水準というものを考慮し、これを回復さしていただくべく定価改定をお願いいたしておるわけでございまして、定価改定をお認めいただきました場合には、これが五六・九程度まで回復するという案になっておるわけでございます。
  78. 山中吾郎

    山中(吾)委員 したがって、一体七〇%が適正なのか六〇%が適正なのか、五〇%が適正なのか、安いほどいいのか、高い方がいいのか一その辺の価値観が別に皆さんにないんじゃないですか。何年度より安くなったからここへ持ってくる。何年度ということで、幾らでも便宜主義でどうにでもなると思うのですね。  私が聞いているのは、したがって、たばこ納入金は皆さんの方の価値観として何%が妥当だという一つのものがあってこの値上げの提案をしているのかどうか。これを明確にしないと、そのときどきの思いつき、そのときの財源が足らなくて、ほかの方から勢力の圧迫があると、一番人間の弱点の心理をつかんで、たばこ値上げの方をやろうという便宜主義にしかならない。後でそういう理屈がついてくるだけだ。一体、何%が妥当であるという大蔵省の価値観としての基準があるかどうかを聞いているわけなんです。
  79. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 ただいま申し上げましたように、昭和四十三年から四十七年度まで六一、二%で推移してまいったわけでございますけれども、われわれといたしましては、大体、六〇%程度の益金率が最も望ましいのではないかというふうに考えております。
  80. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その六〇%は、そうしますと、これから国の財源がどう不足になっても動きませんか。
  81. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 ただいま申し上げました六〇%程度と申しまするのは、あくまでも一応のめどでございます。それで、そのほかに、その年におきまする財政収入の面からの要請あるいは物価全体の政策、そういったものとの総合勘案した結果、今度の場合におきましても、六〇%ではなくて五六.九%という益金率になっておるわけでございます。
  82. 山中吾郎

    山中(吾)委員 いまの五六・九%になるというのは偶然の結果であって、六〇%というものが適当だとするなら、六〇%という法案をきっちり出して、そのときどきの変更をわれわれに相談、審議を要求するようなことをされるのならそれでまたいいと思うのです、それを論議しますから。日本の場合六〇%とするのが妥当だと言うならばですね。そうでないから私はお聞きしているわけなんで、仮に六〇%というものが妥当だと言うならば、六〇%を妥当とする根拠を説明できますか。
  83. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 六〇%につきましては、法律その他できちっと六〇%という数字はございません。ございませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、四十三年度以来の益金率のあり方、それから諸外国におきまするたばこに対する税負担率、そういったもの、それからそのときどきの経済情勢、政策面を総合勘案して決められるべきものだろうと思います。
  84. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そうすると、要するに基準はないという御答弁になると思うのですが、そのとおりですね。別に確固たる基準があるわけではなくて、国際比較をしてみたり、そのときどきの財政状況があったり、また一般の国民の抵抗力その他を見ながら、すきがあれば七〇%まで上げる。何かこれはもう野党その他国民の抵抗があると五〇%でしんぼうする。現段階では、ひとつこの辺は無理でも六〇%で持っていけそうだからというので出したということですか。
  85. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、六〇%という数字そのものが法定されておるとかいうことではございません。ございませんけれども、われわれとしましては、やはり六〇%というものが一つのめどになっておることも事実でございます。
  86. 山中吾郎

    山中(吾)委員 一応不得要領の質疑応答で次に進みたいと思いますが、そこで私は、一番問題になるのは、たばこ値上げをする場合に、値上げそのものの賛成反対というよりも、たばこに対する害も含めて、国全体のたばこ政策のあり方というものがどうあるべきかということが、この法案について私にとっては一番問題になるわけであります。  一方、学界の方から、喫煙とがんの関係というものが非常に大きい問題にされておることでありますから、国がたばこ値上げをし、一定の財源増、今度は二千億ぐらい多くなるんでしたか、取るだけ取って、がんになろうが何でも構わぬと言うならば、たばこ税というものは国家の収奪性を一番典型的にあらわしたものになる。国民の健康を損ねても、いわゆる大企業が公害を発生しても最大利潤を追求するのと同じ思想で、国家が独占企業というものをもって、がんになろうが何になろうがそんなものは知ったことはないんだ、益金を多くすればいいんだという、しかも国がそれを独占しておるとすれば、国家の収奪性を最もシンボライズするものになる。したがって、私は、国家論にまでなってしまうのです。  そこで、このたばこ値上げをするについて、国としては、国民の健康保持とそれから財源の確保というものも含めて、全体としてどういう基本方針にあるかということを国民の前に明確にしてもらいたい。そうでなければ、この法案をわれわれが審議するのに各論だけやっておっても実に便宜主義の論議に終わると思いますので、それをひとつ確信を持った国の政策として開陳を願いたいと思うのです。これは次官にお願いすることになると思いますが。
  87. 森美秀

    ○森(美)政府委員 先ほどからお話をお聞きしておりますと、先生のおっしゃることは大変よくわかります。しかしながら、いま私どもたばこ値上げ、酒の値上げについてお願いを申し上げておる根本趣旨は、はっきり申しまして、やはり歳入にかかわる問題だと私は考えております。そうして、世の中が物価を鎮静させるというときになぜ値上げをするんだという問題も絡めまして、やはりこれは私どもとすると、いまの現状から言ってやむを得ないという判断をしておるわけでございます。たばこにしても酒にしても、国民が喜んで吸い、喜んで飲むということは何とか防がねばならないとは考えておりますが、今回の値上げにつきましては、はっきり申しまして、歳入の点にかかわっていることだ、こう御理解をいただきたいと思います。
  88. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は理解できません。国民の健康に害になる事業に対して、財源を確保するためだけを考えて処理することは、私は理解できません。したがって、何か国民にわかるような説明を大蔵省がしないと、国家が国民に対して一番悪徳であるということにしかならないと思うので、これはこの法案を決めるまでには明確にしてもらわなければいかぬ、ただ財源と言うだけでは国民は絶対に納得しないのではないか。  そこで、大蔵省にお聞きしたいのですが、大蔵省は専売公社に対してどういう指示をしておるわけですか。これだけの益金を上げてこい、ほかはどうでもいいという指示をされておるのか。どういうことです。
  89. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 ただいまの先生の喫煙と健康の問題でございますけれども、この問題につきましては、先生すでに御案内のとおり、専売事業審議会におきまして、昭和四十五年の八月から四十六年の三月まで相当長期間にわたって検討がなされたわけでございます。そしてその際、医学の専門家を特別委員にお願いいたしまして、慎重に検討いたしたわけでございます。  その結果、これもすでに先生御案内のとおりでございますけれども、肺がんによる死亡者や心筋梗塞、狭心症などの心臓障害はたばこの重喫煙者に多いという統計的、疫学的事実が指摘されているが、それらの病気と喫煙の病理学的な因果関係については不明な点が多く、これに臨床医学的立場からの観点を加えれば喫煙と健康との関係は簡単に結論づけられる問題ではない、こういうふうな報告がなされておるわけでございます。したがいまして、現在直ちにたばこが有害であるときめつけるのもいかがかしらと思うわけでございます。  しかしながら、やはりこういうことが言われましたので、大蔵省としましては公社と相談いたしまして、御案内のとおり、たばこの包装に「健康のため吸いすぎに注意しましょう」というふうな表示をいたしましたし、また諸外国に先駆けまして、販売店の店頭に銘柄別のニコチン、タールの量の掲示を行っておりますし、健康面に配慮したたばこの吸い方のPRとか、あるいは喫煙と健康問題に関する内外の研究を推進しておりますとか、あるいは低ニコチン、低タール製品の研究開発、こういったことにも鋭意努力をいたしておるわけでございます。
  90. 山中吾郎

    山中(吾)委員 いまいろいろ説明がありましたが、必ずしも有害であるとは結論が出ないという答申が出たということですね。専売事業審議会のことでしょう。専売事業審議会というのはどういう構成ですか。
  91. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 専売事業審議会は委員長のほか八名から成っておりまして、その中には公社の職員、それからたばこ耕作者の代表、その他学識経験者が大半を占めております。
  92. 山中吾郎

    山中(吾)委員 有害だという結論が出ると困る人ばかりで構成をしておって、アメリカその他においてはもう有害だということが常識になり、生産制限まで論議をされて、公示制度というものが制度化しておるのに、ひとり日本だけが必ずしもそうでない、そして表示の是非は差し控えるような答弁をさしておるのは、構成の中でそういうふうにしておるのじゃないか。審議会のメンバーはもっと一般国民の代表を入れてやるというような改正もやはりすべきだと思うのです。密室の専売審議会で、何かその審議会をひやかしておる者に、あいまいもこ会なんというような言葉まで使われておるんですね、いろいろなものを見ますと。改正すべきじゃないですか、その構成は。
  93. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 専売事業審議会におきましては、ただいま構成は学識経験者が大半を占め、大蔵大臣の諮問機関になっておるわけでございますけれども、こういった医学の問題の際には医学の専門家を特別委員といたしまして、そういった専門的見地からの意見が十二分に反映されておるというふうに考えております。
  94. 山中吾郎

    山中(吾)委員 後で、公社の代表、耕作者代表、それから学識経験者の構成、何名、人の名前、みな出してください。  それから、同じ問題を別な角度でもう一度お聞きしたいのですが、余りたばこを安く売るとのみ過ぎるから節煙の趣旨で高くするんだという、そういう最も明確に小学生でもわかる回答をすれば、それは一つ私も納得するのですよ。それが言われないのですよ。いま次官もあれは財源だけなんだと言われた。財源だけだったら、国民はこれは絶対に納得しませんよ。  そこで、もし余り安くたばこを売るのでは節煙というブレーキにはならないという意味において、六〇%あるいは七〇%の税金を加えるんだと言うならば、そういう目的を持っておるならば、国の政策として、いわゆる全体の喫煙人口が減ることを期待しながら、同時に全体として益金はそう減らないという総合政策がなければならぬと思うのですね。絶えずそういう科学的調査が出て、そして何%ぐらいが国民の健康を守りながら一方に財政的な目的も適当に保持できるという結論が出て、七〇%にしても喫煙人口は減らない、四〇%にすると喫煙人口がどうもふえて困る、いままでの経験からすると六〇%は喫煙人口もふえないし、むしろ減る、そして財源もそう減らない、したがってこう……と言うなら国民はわかる、私もわかる。そんな調査をしているのですか。喫煙人口の推移をひとつ材料があれば発表してみてください。
  95. 泉美之松

    ○泉説明員 喫煙者率につきましては、大分古くから調査をいたしておりますが、私どもの得ております数字で申し上げますと、成年男子の場合には、昭和四十二年、つまり先ほど申し上げました四十三年の定価改定が行われます前年が男子の喫煙者率が一番高かったときでございます。そのときが八二・三%に相なっております。それから四十三年の定価改定後、七八・五%に低下いたしました。それからは大体七八%台で推移いたしておるのが現状でございます。  それから成年女子につきましては、過去の数字でございますと、昭和四十一年の一八%というもの、これが最高でございます。四十二年には一七・七%に相なっております。それが四十三年の定価改定を行いますと一五・四%に低下いたしました。その後は女子の方が若干ふえまして、昭和四十九年には一六、七%、昭和四十三年の定価改定後の数字より一・三%ほどふえております。  これが喫煙者率の実情でございます。     〔伊藤委員長代理退席、委員長着席〕
  96. 山中吾郎

    山中(吾)委員 男の場合は十人に七・八人のんでおる、こういう意味ですね。それは現在全体としては喫煙人口が、大体四十三年前後から現在の四十九年までふえているのですか、減っているのですか。
  97. 泉美之松

    ○泉説明員 その点につきましては、現在の喫煙者人口は、年々成人がふえております関係で、四十三年以降成年男子の喫煙者率は大差はございませんけれども、喫煙人口それ自身は逐次ふえておりまして、昭和四十三年当時三千二百万でありましたものが、昭和四十九年には三千五百万人に達しております。約三百万人ほど増加いたしておるわけでございます。
  98. 山中吾郎

    山中(吾)委員 喫煙人口がふえるのが望ましいと思っておりますか、減るのが望ましいと思っておりますか。
  99. 泉美之松

    ○泉説明員 この点の評価はなかなかむずかしい問題でございますが、山中委員もおっしゃいますように、たばこは決して身体に対して有益なものではないことは御存じのとおりでございます。さりとて、それでは全部禁煙をさせたらいいかということになりますと、やはりたばこを吸うことによって精神的な安らぎを得るというような面がありまして、なかなか禁煙も妥当ではない。となりますれば、やはりある程度の財政負担をしてもらいながら喫煙をなさる。  しかし、その場合にも、喫煙者が非常に多くなることは好ましくはない。ことに、先ほどお話がありましたように心臓に疾患のある方とか、あるいはよく言われることでありますけれども妊産婦であるとか、そういう方々が喫煙を行うことはやはり健康上好ましくないと思われます。そういった配慮が必要だ。そういう意味では、喫煙者が著しく大きくふえることは必ずしも適当ではない、このように思っております。
  100. 山中吾郎

    山中(吾)委員 減っても困る、余りふえても困るというような御意見を述べられておるようですが、一体専売公社の経営哲学というのは何ですか。何かありますか。とにかく大蔵省の御命令どおり納入金の目標を果たすということだけが経営の原理なんですか。何かあなたの方で、国がやらなきゃならないのだ——民営論が出ていますよ。民営論はいけないのだ、もう国がやらなければやはり健康保持もできないのだという確固たる経営哲学がなければならぬと思うのですが、お持ちですか。
  101. 泉美之松

    ○泉説明員 大変むずかしい、お答えしにくい御質問でございますけれども、私どもといたしましては、日本専売公社に課せられた使命というのは三つあると思っております。  一つは、何と言いましても、塩は公益専売でありますから別でございますけれどもたばこは財政専売のたてまえになっておりますので、やはりたばこを製造し、販売することによって、国家及び地方公共団体に財政的な寄与をすること、これが一つの使命であると思います。  いま一つは、国民大衆に安くてうまくて、しかもより安全なたばこを供給する。また、塩につきましては、安くて安全な塩を供給するということだと思います。  それから第三点は、たばこにつきましては、葉たばこの耕作者でありますとか、あるいは日本専売公社たばこを製造するにつきまして、フィルターであるとか段ボールであるとかライスペーパーであるとか、そういったいろいろな資材の供給者あるいはでき上がったたばこを配送する配送会社、小売人等に対しまして適正な収益を得させる。塩につきましても、塩の生産会社、元売り及び小売人に対しましてそれぞれ適正な収益を得させる。さらに、専売公社四万人に上ります職員が適正な給与の支払いを受ける、こういうふうなこと。大きく申し上げまして三つの使命があると思うのでございます。  ただ、この三つの使命は、いま私が申し上げた順序で大切というわけではなく、それぞれのときにおきましてそれぞれ重要性を持っておるものでありますが、しかし、相互に矛盾を来たす面がございます。  たとえば、先ほど先生からおっしゃられましたように、国及び地方公共団体に対する財政寄与を高めようとするならば相当値上げをしなければならぬ。そうすると、国民大衆に安くてうまくて安全なたばこを供給するという使命と矛盾することになってまいります。  しかしながら、これらの三つの使命を達成するに当たりまして、それぞれ所を得させるような配慮をいたしまして、この三者の間の調整をとりながら経営をやっていくのが専売公社の経営者の責任である、私どもはこのように思っております。
  102. 山中吾郎

    山中(吾)委員 専売公社の非常に矛盾した問題の中で一応調和のとれた経営の哲学はわかりました。  大蔵省の方では、たはこの税金——税金と言います。こういうものは少ない方がいいと思っているのですか、多い方がいいと思っているのですか。
  103. 西沢公慶

    ○西沢政府委員 先ほど申し上げましたように、われわれとしましては、一応のめどではございますけれども、益金率を六〇%にしたいという気持ち一つ。それから、そのときそのときの財政需要の問題がございます。さらに、そのときの経済情勢に伴う物価の問題、公共料金抑制の問題等々がございまするので、それらを総合勘案したところで決めていかざるを得ない、かように考えております。
  104. 山中吾郎

    山中(吾)委員 どうもわからないのですが、私は、税金としては非常に古いタイプの税金だと思うのです。いまの国家の常識がもう福祉国家という常識になっているわけです。国民の福祉というものを最大の目的として一つ国家観がだんだん常識化してきておるけれども、そういうときに、国民の害になるもので税の対象としておるものはだんだんとなくしていく性格のものであって、税金としてはいわば一番古いタイプの税だ。  したがって、沿革的に戦費を調達せなければならぬときにたばことか酒の税金がいつも倍加されてきておるという沿革からいっても、国民の福祉というふうなものを動機としてこの税が発達してきておるのではない。だから、現在の政治常識から言えば、こういう税金については財政目的として重視をすべきでなくて、こういうものは財源としてむしろ軽く考えるべきものではないか、こういうふうに私は思うのですが、そういうことを考えて、何かすぐ飛びつくかっこうで国民の害になる酒とかたばこを対象とした税金で財源を多くしようとする考えは捨ててもらいたい。そうでないといろいろの矛盾が出てくるのではないかと私は思います。  そういうことを考えて、よく似たものとして民間に競輪とか競馬事業団体がある。それから国みずからまだ伝統的なものとして競馬事業を国営でやっているものがありますが、これもいわゆる投機的な国民の心理というものをうまく活用しておるわけで、これはいわゆる禁止をすべきものであるが、特に解除をしてそのかわりに公認料を取るという姿で、競馬なんというのは一つの財源と見ているわけです。これを多くするという思想はもう捨てなければならぬと思うのです。  それと同じ、余りよい飲食欲ではない、悪性飲食欲、余り健全な飲食欲でない悪飲食欲のいわゆる禁止を解除して、そこに税金を加えているのが専売事業だ。投機心というものを活用して、投機的事業、ばくち的なものは禁止したいけれども一般の大衆の娯楽として、ことにいまのように正直に働いても金もうけのできぬ者の人間解放の場所として、競馬とか競輪とかも禁止できない。その事業を認めるかわりに、その収益の何ぼかを国の財源にしろというのと同じような思想が共通したものとしてあると思うのです。  そういうことを考えるときに、たとえば民間の競輪あるいは競艇の場合も、収益について教育、文化、社会施設等に寄付させておる。事業団体も罪滅ぼしの意識で、競輪、競馬でいわゆるテラ銭というのか、取り上げたものはそのまままた営利事業に使うということは良心に恥ずるという点もあって、相当自治体に貢献をしておるわけである。そういう弱点を突いた事業収入というものを、国が経営する場合には税金として取る。民間の場合には寄付をさせて、社会的貢献でその辺のアンバランスを地ならししているという、私は同じような性格だと思うのです。専売事業に関する場合も同じように考えるならば、取り上げるだけでなくてその収益を有効に使う責任もあるし、民間が事業として行っておるのは、国が監督する立場であるから監督できるのだけれども、国自身が事業家である場合は、監督するのは自己監督しかないはずである。そこに専売事業の自制という問題は、まじめに考えなければならぬと思うのであります。そういうことを考えて、単なる財源、財政事業と考えるならば、私企業の経営原理と同じように、最大多数の益金を取ればいいということになる。そこに私は独特の経営の哲学が必要だということをいま考えて、副総裁にお聞きしたのであります。  そういうことを考えて、少なくともたばこ値上げするに従って喫煙人口は減るという実績が出てこないと、上げる根拠というのは国民にはわかってこないと思うのですよ。いまのお話は、喫煙人口が大したことはないが若干ふえてきておるということなので、減らすという政策が同時にないと、私はたばこ値上げについてどうしても賛成できない。私は吸わないから個人としては関係ありません。しかし、私は、喫煙人口が減るという実績、裏づけがあれば、たばこの価格が上がることによってもうこの機会にたばこをやめるという刺激になっておるのならば一種の意味があると思うのですが、その辺は実証できませんか。  そこでお聞きしますが、日本法律で最も守られない法律であるけれども未成年禁煙法がある。未成年の喫煙人口を調査しておりますか。これは専売公社や大蔵省の責任だと私は思うのです。調査していますか。
  105. 泉美之松

    ○泉説明員 先ほど申し上げましたように、昭和四十三年の定価改定の実績で申し上げますと、男女ともに喫煙者率が下がりました。これは確かに値上げによって生じた影響だと思います。前回は約二〇%足らずの値上げであったわけでありますが、今回はそれより大きい四八%という値上げでございますから、私どもの推測いたしておるところでは相当喫煙者率は下がるものだと思っております。ただ、それではおまえ何%になるかと言われますと、それはちょっと申し上げかねますけれども、過去の実績からいたしまして必ず下がる、そしてまた、それは私どもとしては適当な値上げの妥当な結果である、こういうふうに思っております。  それから、先生質問の未成年者での喫煙者というのは私ども調査いたしておりません。
  106. 山中吾郎

    山中(吾)委員 一番大事な調査事項だと思うのですが、いかがですか。
  107. 泉美之松

    ○泉説明員 それは山中先生御存じのとおり、わが国の未成年者で喫煙しておる者がおりますことは、私どもが過去、中学校、高等学校の生徒のときに先生に隠れてたばこを吸ったというようなこともございます。確かにそういう事実は現在もあることと私は思いますし、また一部の学校につきましてそういうことを調べてもらったこともございますけれども、全国的な統計として未成年者が幾ら吸っておるかということの調査は、実はいたしておりません。
  108. 山中吾郎

    山中(吾)委員 国がたばこを販売しておるために禁止されておる未成年者がたばこを吸っている、これは専売事業の一種の罪ですからね。それがどの程度にマイナスの悪影響を与えておるかということを調査する精神が専売公社にあって、専売経営哲学が成り立ってくると私は思うのですが、なぜ調査しないのですか。法律で禁止されておるからのむはずがないということにしてあるわけですか。
  109. 泉美之松

    ○泉説明員 お答えいたします。  たてまえとしては先生のおっしゃるとおり、未成年者は法律をもって喫煙を禁止されております。罰則の適用があるわけでございますから、そういうことはあり得べからざることでありますけれども、社会的な事実として、先ほど私が申し上げましたように、学校で先生に隠れて吸っているというような事実もまたあることも事実でございます。  確かに、そういった点で専売公社がそういったことの調査もすべきではないかとおっしゃることはごもっともに思いますけれども、これはやはり国民の教育の問題と絡んでおります。学校当局の中には、そういう調査をきらう学校もございます。過去において、全部ではございませんけれども、若干の学校につきまして調べたいということを申し入れましたけれども、お断りになられた学校もございまして、そういう調査を行うということは非常にむずかしい問題でございます。
  110. 山中吾郎

    山中(吾)委員 文部省の社会教育局長が来ておるのですが、専売公社がそういう調査をしようとしたら、あなた方はきらって断るのですか。
  111. 安養寺重夫

    ○安養寺政府委員 学校のことは私の所管じゃございませんけれども、いま御専門の方でもいろいろお話がございましたように、これはきわめてむずかしい調査ではなかろうかと思います。
  112. 山中吾郎

    山中(吾)委員 文部省も非常に消極的なんだが、大体無記名で調べればすぐわかる調査ですよ。アメリカで男女関係の処女性があるかどうかの調査だってちゃんと出ているじゃないですか。たばこをのんでいるかのんでいないかくらいは、掛けるとマルをすればすぐできるじゃないですか。そんな最初から消極的でなく、健康教育に熱意を持って、あなたはいま社会教育局長だけれども、学校教育をみんな知っているから、職務は別にしても、文部省の役人の代表として答えられるはずなんです。もっと国民健康ということを考え、いわゆる保健教育の立場から、心身の発達が未熟の場合について一番害の多いこういうものをなくしていこうという積極的姿勢が私は足りないと思うのです。  だから、専売公社の方でも、とにかく未成年は法律上のまないというたてまえになっているからと言って調査しないで、一方にたばこの販売宣伝を盛んにして、未成年はその誘惑にかかってのんでいる、その責任を果たそうとしない。また、学校教育、社会教育の方でもこういう問題について、文明人の生き方の問題ですから、もっと積極的にやるべきである。  大体、少年の非行化のコースというのは、最初はたばこをのむ。次に酒を飲む。酒のあるところには女性がおる。女性と交際すると金が要る。金が要ると窃盗をする。窃盗を繰り返したら強盗になり、暴力になっていく。これは少年の非行のコースですよ。この軌道は決まっている。したがって、未成年時代に人間形成にひずみを生ませないという熱意があれば、くそまじめなような話をいましているようだけれどもたばこと酒というのは案外非常に大事な問題なんです。それに対して非常に消極的だと思うのですね。  副総裁、これから未成年の喫煙人口について調査をすべきだと私は思うのですが、やりますか。そして私に報告してくれますか、文部省と協定をして。できないはずないですよ。
  113. 泉美之松

    ○泉説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、こういう調査をするにはやはり学校の御協力を得なければできません。過去に断られたようなこともございますので、そういう点につきましては、今後文部御当局の方と十分お打ち合わせをいたしました上で、できますれば先生のおっしゃるような調査をいたしたいと存じます。
  114. 山中吾郎

    山中(吾)委員 個々の学校に持っていったら断られるのですよ。文部省と協定をしてやってください。あなたから初中局長に伝えてもらわなければならない。いいですか。
  115. 安養寺重夫

    ○安養寺政府委員 大変むずかしいいまだないようなことでございますけれども、御趣旨はよくわかりますので伝えます。
  116. 山中吾郎

    山中(吾)委員 伝えて後どうだったか、私の方に電話で知らせてください。  いずれにしても、国がたばこを販売しているのですから、デメリットは最小限に防ぐべきである。それを国全体としてたばこ政策の中に私はまじめに考えるべきであると思うので、特に申し上げたわけであります。  そこで、先ほどちょっとこちらへ報告がありましたが、たばこをのむこととがんとの関係が科学的に証明されておる。したがって、専売益金との関係において、益金の中からがん予防、防止についての予算措置その他ができておりますか。
  117. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 喫煙と健康問題、特に喫煙と肺がん問題というのがいろいろ世間に問題になりましてかなりの年月になるわけでございますが、専売公社といたしましては非常に早くからこの問題に注目をいたしまして、実は自分自身研究所を持っておりますし、また病院もございます。その中でいろいろの研究をするほかに、外部の大学なり学者、そういったところにお願いをいたしまして委託研究というものをやっております。昭和三十二年からたしかやっております。次第にお金もふやしていただきまして、本年度は八千万円、来年度の予算では九千万円というものを委託費として計上いたしております。そのほかには、プロパーで研究所なり病院なり、そういったところで使っておりますお金は相当な金額に上っております。
  118. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その辺はひとつ責任を持ってやってもらいたいと思うのであります。  それで、今度のたばこ値上げの法案が提案されると新聞に報道されたことについて、これは週刊読売ですが、これに対する民衆の反応というのが出ておるわけです。国の政策は民衆に学ぶべきだと思うので御紹介をして、専売公社においてももう少し国民の立場に立って考えてもらいたいという希望を申し上げたいと思うのです。  これを見ますと、たばこをのまない者、のんでいるけれどもやめたい者、やめる気のない愛煙家と三通りあるのですね。ここに載っておるのは大体日本の国民の教養層のトップレベルの人たちですが、おのおの感想を述べているのです。十二人のうち、たばこをのまない者が三人、のんでいるけれども何とかやめたいというのが五人、やめる気はないというのが四人ほどある。  これは軍事評論家の小山内宏さん、「たばこは公害のひとつ、吸わない人にとってはあれほど不愉快なものはない。外国では喫煙車と禁煙車が汽車の車両ではっきり分かれているし、飛行機だって座席の仕切りがあります。欧米では吸わない人を守るという動きが強くなっていますね。日本だけじゃないですか」、もっとルールを守ってもらいたいということが、禁煙者から盛んに要求されておる。こういう問題についても、たばこを販売しておる専売公社がこういう人たちの声に耳を傾けるべきだと私は思うのです。  それから将棋九段の升田幸三さん、「禁煙は、三度ほど経験がある。ハオリやハカマをよく焦がし、女房にしかられるので、たばこをやめようと思った。」そしてなかなかやめられない。この人は「専売公社は、なにをビクビクしてるんだろう。たばこなんてものは、百害あって一利ない、十倍ぐらいに値上げすればいい」と言っております。こういう声がある。こういうやめさすための値上げというのならば私も考え直すんですよ。あなたらは金を取ることだけを考えているから、絶対反対せざるを得ない。  それから映画監督の市川崑さん、これはやめる気のない人だ。数年前四日間だけはやめたことがあるが、やめる気はないと言う。しかし、のむ人から言えば今度の値上げは、「上がり過ぎだと思うから痛いなあ。まあ、値上げはまだ大分先のことだから、それまでにどうするか、禁煙の決心がつくかどうか」ということを書いているから、これも懐疑派として一つの批判がある。  それから歌手の佐良直美さん、この人はたばこをのんでやめる気はないと書いている。金があるので値上げは余り心配ない。金持ちは余り気にかかっていないようだ。  それから参議院の野末陳平さん、この人は一度もたばこをのんだことがない。「たばこなんて、体に害を与えるだけで、吸っていいことなんか一つもない。みんなたばこをやめればいい」こういう論を出している。  それから石垣純二さんは愛煙家で、やめる気はない。したがって、この人は「値上げを実施するようなら、三木さんを信用できない。なぜなら値上げをする必要はないからです。たばこ料金の五〇−六〇%が税金ですよ。」上げれば絶対支持しないと書いてある。これは愛煙家の方だ。  貴の花は、たばこは心臓に負担がかかるから、商売上吸ってはいけないと言われながら、なかなかやめられない、しかし何とかやめたいと書いてある。  それから女優の太地喜和子、これはどういう人か知りませんが、やめたいといつも思っているけれどもやめられないというようなことを書いている。  これを見ると、やはりたばこについては、のまない者についてはのまない者の考えがあるし、のんでいる者もやめたいという者が五人に三人ある。こういうことを前提とすれば、やはり国民のたばこに対する心理状態を吸収して調査をして、それに対して素直にたばこ政策は考えていいのではないか。単に財源的に、取りさえすればいいというような時代はもう過ぎているのだと私は思うのであります。  こういうことを最後に申し上げて、もう少し問題意識を持って専売事業をお考え願いたいと思うのであります。そうでなければ民営論がまた出ます。民営の方がいい、国が監督できるから。国自身がみずから事業をして、みずから監督しなければ、むしろ百害あって一利なしということになるので申し上げたわけであります。いまたばこについて申し上げた中で、未成年の喫煙人口をぜひ調査をして、次の機会に報告してもらいたいと思うのであります。  次に、酒税のことでありますが、これも同じような問題意識を私は持たざるを得ないのでありまして、同じような質問をいたしますが、なぜ酒税に高い税金を加えるか、その根拠をもう一度説明してください。
  119. 旦弘昌

    ○旦政府委員 酒税につきましては、先ほど御説明いたしましたように、わが国だけでございませんで、世界の多くの国におきまして、他の消費税課税に比べまして割り高な課税がされていることは御案内のとおりでございます  その理由をいろいろ考えてみますと、たとえばわが国におきましては、明治年代におきましては、国税の中に占める最も大きな税収は地租であったわけでございます。そのほかの税目といたしますと、やはり酒税がかなりのパーセントを占めておった。二割とか三割とかいう割合を占めておった時代がございます。その当時はまだ産業がございませんので、そういうことで、余った米で酒をつくった、それに対して担税力を見出して課税をしたということで、非常に大きなウェートを占めておったのだろうと思います。  その後、わが国に近代的な産業が発達いたしましたから、所得税あるいは法人税というような近代的な税制がしかれるとともに、酒税の占める割合というのは徐々に下がってきておりまして、今日かなりの額にはなっておりますけれども、しかし全体といたしましては六%を割る程度のものになっておることは御案内のとおりでございます。  そこで、今回の改正をいたしましたのは、前回、酒税の改正をいたしましたのは四十三年でございますが、そのときには、三十七年の減税をいたしました後に生じましたいろいろな税負担の問題につきまして、その調査をいたしたというのが四十三年でございます。新しい一つの体系ができたわけでございますが、御案内のように酒には従価税と従量税がございます。従価税は三十七年に発足いたしまして、もうかなりの年数がたちましたけれども、他の物品税におきましては従価税だけでございます。このような従価税の場合には、値段が上がりましても、それにつれまして税負担も、その従価によって額としてはふえてまいるという体制になっております。  酒におきましては、大部分のものが従量税でございますから、その間、従価税の適用されております酒税の負担率、これは余り変わらない。しかし、従量税の適用酒類につきましては、酒の値段が税以外の要素におきましていろいろ上がってまいる。そうしますと、必然的にこれが税負担としましては下がってまいる。この辺のアンバランスを調整する必要があるということで、今回その見直しをいたした次第でございます。
  120. 山中吾郎

    山中(吾)委員 御説明によると、高い酒税というのは歴史的なものであると。だんだんとこれは人間の弱点に乗じて高い税金を取るということはやはり考え直すべきだという思想ですか、あるいは飲み助の心理の弱点を突いて、やはり取るだけ取った方がいいし、一番取りやすい税金だから、これをこのまま高い税金でいくべきだという思想なんですか、そこはどちらなんですか。
  121. 旦弘昌

    ○旦政府委員 酒税につきましては、これは嗜好品でございますから、人によりましては、非常に極端なことをおっしゃる方は、酒はなくてもいい、それからまた、酒は飲まなくても生きていかれるということで、そういう意味では必需品ではない、嗜好品である。そういう嗜好品に対しましては、それぞれの応能的な負担をしていただいてもいいのではないかという考え一つあると思います。  それからもう一つ、酒につきまして恐らく各国共通のかなり高い税負担を求めておるということにつきましては、一つは国民保健上の観点から、これを余り放置いたしまして乱に流れることのないようにした方がいいのではないかということ、あるいは酒を飲むことによりまして、たとえば障害が起こる、事故が起こる、あるいは家庭の破壊につながるというような面からいたしまして、いろいろな社会的費用もかかるわけでございますから、この点に着目いたしますと、一般の消費税よりもかなり高目のものを課税してもいいのではないかというふうな考えがあるのだろうと思います。
  122. 山中吾郎

    山中(吾)委員 現在、ビールは大体四〇%ちょっと切れますかな、日本酒は三〇%ですね。これは高いと思うのですが、安いと思うのですか。
  123. 旦弘昌

    ○旦政府委員 おっしゃいますように、現在のところ清酒の一級につきましては、四十三年の改正の直後におきましては、負担率が四〇%を若干下回るところでございました。その後、これが従量税でありますために約一〇%下がりまして、現在二六%程度になっております。それからビールにつきましては、四十三年には約五〇%でございましたが、現在は四一%程度になっております。  それで、これが高いか安いかという問題でございますが、これは絶対的な基準はないと思います。ただ、諸外国におきます、先進諸国におきます税の負担ということを一般的にながめてみますと、現在のわが国の水準はやや低いか、今度の改正案後くらいのところがちょうどいいところではないか、これは例のとりようにもよりますので、いろいろございますけれども、おおむね改正後の姿としてはいいところになるのではないか。  御指摘のビールにつきましては、これは率直に申し上げまして、諸外国に比べて若干日本が高い負担率になっております。
  124. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は大蔵省の価値観を聞こうとしておる。なかなかそういう答弁がないから、まあいいでしょう。  そこで、嗜好品と言いますけれども、だから私は国家がマッチポンプだと言うんですよ。盛んに飲む習慣をつくらす、奨励政策をしておいて、飲んだ後は嗜好品、それは一たん習慣つけばやめられない、三度のおまんまは二度にしても飲み助は飲みたいと思うので、国家がつくっておいた嗜好品を、今度はその習慣をつくった後に心理の弱点をついて高い税金をかける。マッチポンプじゃないか。何とかいう代議士のあだなを使えばね。だから、大蔵省全体としては、酒の習慣をつくらない政策というものについても、総合的に考えるべきではないか。  一たん習慣づけば、それはもう生活リズムの中に入ってくるのですから、酒の習慣がつけば、酒を飲まないと意見を述べられない人も出るし、たばこを習慣づければ、たばこをやめると作家が文章も書けないくらい、生活のリズムの中に重要な要素として入ってしまう。したがって、健康上害があるとしてもそれをやめることは苦痛であるが、一番いいのは、やはり習慣づかないものについては人間形成に何の欠陥もないし、一番いいことなんだと思うので、だから、酒税という一つの税制を持っておるならば、同時にそういう慣行を予防する政策だとか、逆にアル中になった者を救済する政策というものが並行して存在しない限りは、国民に対する言いわけは私は立たないと思うのです。  この点は私の持論で、酒税還元思想を盛んに説いておるわけですが、どうも大蔵省の方ではいわゆるまだ取りっぱなし、たばこ、酒については、収奪思想が非常に顕著にあると私は思うのです。今度一兆円を超えて、一兆五百億くらいでしょう。全体としては六%に下がっておると言うことはこれは詭弁であって、酒自身の税金はやはり高い税金で、酒税の収入はふえておる。この酒税そのものをやはり酔っぱらいに、酒の不幸を救うためにいわゆる還元するという思想も同時に説明されて、そして酒税法の審議を皆さんは願うべきではないかと思うのですね。その点について、大蔵省全体の行政としてどういう配慮をしておるかということをお聞きしたい。
  125. 森美秀

    ○森(美)政府委員 酒は一般財源になっておりますし、先生おっしゃるような目的税的なことは考えておらないわけでございます。
  126. 山中吾郎

    山中(吾)委員 いや、そういうことを少しも聞いておりません、目的税でないことはわかっておりますから。ただ、大蔵省の現在の思想、大蔵省から発行しておるパンフレット全体も、税というものは福祉社会の参加費用であるという定義を下しておる。そこまで思想が進んできておるわけですから、酒とかたばこの取った税金が福祉社会の参加費用としてどう使われておるかということを説明しなければ、事国民の健康を害する部面の税金ですから、この税金はなぜ高くするのだということについての法案提案の説明には欠くことのできないもので、その説明がなければ、取る理由はもうなくなってくる。税金として取るべきでないという結論しか出ないので申し上げておるわけなんですが、目的税であるかどうかは質問しておりません。
  127. 森美秀

    ○森(美)政府委員 御指摘のことにつきましては、歳出面につきましては、主計局から来ておりますので、ちょっと説明をさせていただきたいと思います。
  128. 高橋元

    高橋(元)政府委員 酒税、または専売納付金、これを税率を上げまして取りました増収をどうしたか、また、その根っこからあります酒税、また専売納付金が何に使われておるか、こういうことを御質問かと思いますが、これは、先ほど政務次官から申し上げましたように、いずれもいわゆる一般財源、一般会計ないし特別会計の歳出の全体をもって御判断いただくというほかはないかと思うわけでございます。  ただ、最近の予算の動向でございますが、これも改めて申し上げるまでもないわけでございますけれども、漸次その福祉ということに重点を置いてまいりました。本年度の社会福祉関係の財源の充実ということ、これはごらんになり方はいろいろあると思いますけれども、私どもとしては、限られた予算、それから現下の経済情勢の中では非常に努力をしておるというふうに考えておるわけでございます。  そのように歳出をふやしていきます場合に、その裏側になります歳入ということは、ちょっと話が長くなって恐縮でございますけれども、これは公債か税金か、いずれかでございます。公債を現在の情勢のもとではふやす以外にないけれども、これは二兆円に減額をいたしております。そうなりますと、税金でございますが、物価はようやく鎮静してまいりましたけれども経済活動もまた沈滞しておりまして、税収の伸びが余り多く望めない。その中で施策を充実していって全体として物価も抑制し、それから経済も安定的に推移させよう、こういうことでございますので、したがって、その限界的な部分をいずれの増税に求めるか、こういう話になってくると思うわけであります。  先ほど来、主税局、専売監理官からお答え申し上げておりますように、酒、たばこにかかります税または益金というものは、これは嗜好品課税でございますから、したがって、一般的に申せば必需品課税でないという意味で、税負担力をその支出の裏に求めることができるというふうに考えておりまして、仮に酒、たばこの税金をやめてしまったらどうなるかということをお考えいただけば容易にわかりますように、それにはまた保健と申しますか健康と申しますか、そういうものについての配慮もまた裏にある。これは税の理論としても、酒やたばこについてのかなり高い税率というものが健康と関係がある、または消費抑制に関係があるというふうに説かれておるように私は承知しておりますが、そういう意味で酒、たばこの税率を今度上げることで法案の御審議を願っておるわけでございますが、単に歳入目的ということでなくて、全体の歳出を福祉重点に伸ばしながら、どうやって財政全体を安定的に持ってまいるか、こういうことが今回の酒、たばこの定価改定法案なり増税法案なりの御審議をお願いしておるゆえんかと思います。  その中で、いま御質問になりました酒税収入の一部を、たとえばアルコール中毒対策というようなアルコールの犠牲になった人に回したらどうだというお話でございます。これもかねがね山中先生から当委員会で御質問いただいておりまして、私どもも主税局を通じ、または直接に先生のお考えを承っておるので、非常にごもっともなお考えだと思うわけでございます。しかし、繰り返しになりますが、これは税収の一定部分をそういったアルコール中毒対策に振り向けるという考え方でなくて、アルコール中毒を撲滅していくということが重要でございますので、その面でその施策の重要性にかんがみて予算を伸ばしていくという考え方でわれわれは臨んでおるわけでございます。毎年度この御質問をいただきます際に、アルコール中毒対策費というものは非常に金額が小さいわけでございまして、ことしも金目というよりは、内容的に新しいものが二つ盛られておるかと思います。  一つは、アルコール中毒臨床医等研修委託費というものを新しく計上いたしました。それでアルコール中毒の臨床のお医者さんの技術の向上を図りたいということでございます。もう一つは、国立療養所久里浜病院、そこにアルコール中毒の基幹施設としての整備を図ろうということでございます。こういった施策によりまして、非常に不幸な状態にありますアルコール中毒患者というものを救ってまいることができるかとわれわれは考えておるわけでございます。
  129. 山中吾郎

    山中(吾)委員 この質問をすると局長がにやっと笑うほど、私は厚生省関係に盛んに言っておる問題ですが、議員をしておる間続けて質問しますから覚悟しておいてください。  現在、全国で一万五千人ぐらい精神病院にアルコール中毒患者が入っております。奥さんに見放されて離縁されておる者もあるし、子供から見放されておる者もあるし、大部分がアル中にかかって生活保護家庭に転落しておる。保護費だけでもかなり国家の税金が浪費されておる。これを救済すればどれだけ国の税金が節約になるかしれない。家庭は崩壊する、あるいは犯罪の温床になっておるということですから、目的税ではなくても、酒税を一兆以上も吸収しているのですから——酒を飲んでアル中になって、私の言葉で言えば、酒税を飲んでアル中になっているから、酒税を通じて多額納税者なので、少しは還元しなさい。目的税という法律論を言っているのではなくて、国の政治道義として還元すべきである。  この人たちはやめたいから入っているのです。やめる気はないのじゃなくて、やめたいから入って、また出ると誘惑に駆られて飲む。「初めに人は酒を飲み、終わりは酒が人を飲む」という言葉があるように、そういう人ですから、余りけちけちしないで、第一査定は必ずゼロにして、ちびっと後で復活するようなやり方をしないで、一兆円の一万分の一だって一億円なんですから、それぐらいは還元したらどうか。  その辺は目的税であるとかないとかという理屈、形式論理でなしに、やはり国民の健康を保持する責任は、酒の税金を取りたばこの税金を取っておる国家にあるわけでありますから、税金を取る方とどう使うかというのは大蔵省の中にある行政ですから、その辺をもう少し自覚していただいて、局長級の方で査定してからまた復活なんというめんどうくさいことをしないで、来年度あたりから、精神病院に何回も御厄介になっておるような者は十分に救済してやる。その救済はむだではありません。生活保護家庭がなくなっていくのですから、ひとつ御検討願いたい。これは毎回申し上げますからね。私の顔を見て幾らにやっと笑っても言いますから、覚えておいてください。  最後に文部省の局長に伺います。これは初中局長にも来てもらわなければいかぬと思ったのですが、こういうたばこと酒の問題は、最近大蔵省だけで論議をしてしまって、教育政策としては少しも論議をしなくなってしまった。いわゆる未成年時代の人間形成の一つの問題として、できるだけ酒とたばこの刺激から離れるように努力をして、これは少なくとも非行少年のコースを歩むことに関連をしておるので、学校教育、社会教育で、いまは話せない教育なのかもしれないけれども、もう一度、戦前の学校経営で考えたように、たばことお酒という問題は教育課題として相当まじめに取り上げるべきではないか。  戦後ほとんどこういうものが軽視をされて、中学校の校内などは、もう堂々と酒でもたばこでものめるような環境になってしまっておる。それに対して無関心であることは、私は遺憾だと思うのです。こういう機会でありますから、文部省においてももう少しこの問題をまじめに取り上げて検討してもらいたい。帰ったら初中局長にもよく言っておいてもらいたいと思うのです。  ことに、一応未成年禁酒法あるいは禁煙法という法律があるのだから、満十八歳までの高等学校に在学しておる者に対しても、禁欲主義的な教育でなくて、健康とか、たばこについてはがんとの関係の科学知識を授けるとか、あるいは酒とアル中体質の関係とか、そういうことは教育の中に入れるべきだと私は思うのですが、現状と局長考え方を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  130. 安養寺重夫

    ○安養寺政府委員 大変有益なお話を伺ったのでございますが、保健とか社会とか生活指導とか、いろいろございますが、包括的に指導しておるといいますか、触れておる程度でございますので、また私どもの社会教育も、もっぱら成人の方を対象にしてやっておるわけでございまして、おっしゃるように、これは社会、学校を通じてなお一層がんばるように考えてみたいと思います。初中局長にも申し伝えます。
  131. 上村千一郎

    上村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十七分散会