○竹本
委員 最後はまとめてひとつ
質問申し上げますが、先ほ
ども議論になりまして、総理は、付加価値税については、いまやろうと思っても来年やれるはずはないというお考えを御答弁いただきました。
それに関連してでございますけれ
ども、減速経済、低成長というようなことになりますと、財源はいよいよなくなる。一方で福祉国家建設ということになれば財源がたくさん要る上に、財政が硬直化する。こういうことで、財源対策が非常にむずかしくなる。そういう意味で付加価値税というものが、来年か再来年かは別としても日程に上ってくるという可能性というか、それが大いにあるというふうに思うのです。また政府がそれを考えようとされているようにも思うのですけれ
ども、その場合に
前提条件として二、三の点を私から申し上げておきたいと思うのです。
まず第一は、一般的な消費税という形で付加価値税が出てまいりますから、消費税といったようなものはそれ自身いわゆる大衆
課税になります。そうしますと、政府はいま直接税、間接税の比率のことを大変やかましく言っておられるようでございますけれ
ども、一番大事なことは、大衆の負担になるかならぬか、もちろん大衆が全然負担しないでいいと私は思いません。やはりある
程度のものを負担するのが当然だと思っておりますが、それは割合の問題、
程度の問題がむずかしくなるわけですけれ
ども、そうした意味において、一般消費税というものは、それ自身がいわゆる大衆
課税になるんだ。
それから、きょうもずいぶん
委員会において御議論が出ましたけれ
ども、いまの税制の中には、弱い庶民の立場に立って考えると、アン
バランスあるいは不公正というものが相当多い。したがって、いまはアン
バランスがないというようなときに付加価値税が出てきて、むしろそれを是正するという形になってくるならば、これはまた
一つの意味があると思うのですけれ
ども、事実は恐らく逆で、いまがすでに不公正が大きい。その上にまた今度は付加価値税が出るということになると、不公正が二倍にも三倍にもなってくる。そういう意味で、付加価値税を導入するということをもし政府で決断されるならば、そして社会的公正ということに三木
内閣としては大変な決意を持っておられるとするならば、私は付加価値税導入の
前提条件として、いまの税制の不公正を大きく是正しておかなければならぬと思うが、その点はどうか。これが第一点であります。
それから第二点は、そごの不公正を是正する
一つの有力な方法として、富裕税というものを政府で考えられる意思があるかないか。私は考えるべきだと思うのですけれ
ども、政府に御意思があるかどうかというのが第二点であります。
それから第三番目は、
中小企業に対する付加価値税の影響というものは非常に大きい。ある意味から申しますと、税務署に攻め立てられて大変うるさくなるという問題もあるでしょう。ある意味から言えば、
中小企業は付加価値税が出てくれば、系列化され、整理をされ、合併されて、系統の中に織り込まれてしまうというような危険もありますが、そういう点、
中小企業対策について慎重な
配慮が要ると思うけれ
ども、それはどうか。
最後に、もう
一つの問題点は、税務職員の問題であります。これも先ほど来御議論がありましたけれ
ども、大体五万人あるいは五万二千人いるところの国税の職員というものは、最近職員の数はほとんどふえていない、あるいは二十年間ふえていないというような
状況であるにもかかわらず、事務は十年間に二倍にもなっておる。そこにまた付加価値税が入ってくる。こういうことになる場合に、
一つの
心配は、付加価値税というのは大体二万人ぐらいの人が要るということを言う人もおります。私もまだ正確な
数字はわかりませんが、大変な職員が専門的に要るということになっているが、いまの五万人をさらに二万人ふやすということは、いまの現実の姿ではほとんど不可能に近い。
そうすると、これは労働強化ということになるのであろうか。あるいはそうではなくて、その労働力なり力を、付加価値税の二万人の者をいまの職員でカバーするということになれば、労働強化の問題は別にしても、たとえばいま
法人を何年に一回調べておるか、
個人について
所得税その他何年に一回調べておるかということの問題になりまして、いまでも持ち帰りだとか休暇が十分とれないとかいったように労働が強化されておるのに、この上の労働強化はできないので、結局は十年に一遍
会社に行ってみる、あるいは二十年に一遍行ってみるといったような非常なお粗末な調査体制にならざるを得ない。
結局、税金というものは、税を高くしたり新税を設けることが税収になるのか、あるいはいまある税制を正直に完全に実行して、取るべきものはちゃんと取るということがいいのかという問題がまず
一つあると思うのですけれ
ども、そういう意味から、
一つは国税職員のむちゃくちゃな労働強化になるのではないか。
一つは税の調査が散漫になってしまう
心配はないのか。
あわせて、これも先ほ
ども議論が出ましたけれ
ども、いまの国税の職員の例の水準差の問題がありますが、これは一時二五%といったものがだんだん減って一〇%を割りまして、最近また御努力の結果一〇%に回復したのですけれ
ども、その税務職員の水準差の問題は一体どういうふうに考えられるのであるか。
というのは——総理私がわかるように言いますから大丈夫です。教職の方は今度二五%、いままでなかったものが改めて二五%ということで、去年は一〇%か九%、ことし七%、来年また何とかということで、これこそいままでなかったものには二五%の特別なプラスアルファをくっつけるという御努力をなさっておる。
ところが、税務職員の方は、仕事はいま言ったようにだんだん忙しくなる。付加価値税でも出ればなおさら忙しくなる。しかるに、実際は二五%あったようなものが、だんだん減って一〇%以下になって、やっと回復していま一〇%だということですけれ
ども、付加価値税を導入するかしないかにかかわらず、この問題は一遍に二五%へ、もとへ返せというようなことは言いませんけれ
ども、やはりもう少し上げるような努力をいまの段階でやるべきではないかと思いますが、その点についてどうか。
以上であります。