-
-
-
○
横路委員 私は、五十一年度の
乗用自動車排出ガス規制に伴う
税制措置、この問題にしぼってお尋ねをしていきたいと思いますが、具体的な内容の
議論をする前に、少し
通産省、
運輸省、
環境庁の方にいろいろとお尋ねしたいと思います。
時間が余りないようなので、少しはしょりまして、まず第一にお伺いしたいのは、いままでの
自動車の
排気ガスの
規制と
自動車の
生産の関係なんですけれ
ども、四十八年度
規制車というのは、ことしの十一月の末まで、四月以降
新型車は無理にしても、継続
生産できるということになりますね。それから、五十年
規制についてはこの四月一日から、そして
継続車については五十二年の二月の末までということになっているわけですね。それ以後は五十一年
規制ということになるわけですが、そこで初めに、五十年度の
規制適合車は四十九年度においてどのくらい
生産されていますか。
-
○
富永説明員 お答え申し上げます。
五十年度の
規制適合車が四十九年度の上期におきまして
優遇税制の対象となったわけでございますが、その
台数は三万六千三百二十二台ということになっております。
-
○
横路委員 九月以後も含めて四十九年の一月から十二月までということになると、どのくらいになりますか。
-
-
-
○
富永説明員 お答え申し上げます。
メーカー別に見ますと、先ほどお答え申し上げました四十九年度の上期につきましては、東洋工業の車、これが二万三千八百台、本田技研工業の車、これが一万二千五百台、三菱
自動車工業の車、これが二十二台ということが
販売の
実績でございます。
-
○
横路委員 本田、東洋、三菱ということになるわけですね。
そこで、今度の五十年度四月以降でよろしいですけれ
ども、全体の
自動車の
生産計画がどうなっていて、そのうち
乗用車は大体どのようになっているか、この辺のところはいかがですか。
-
○
富永説明員 五十年度の
生産計画につきましては、現在いろいろな要素を考慮いたしまして検討している
段階でございますが、ごく大ざっぱな
感触を申し上げますと、ほぼ四十九年度の
生産台数と同じ
程度の
規模になるのではないかと思われます。
-
-
○
富永説明員 約六百五十万台。これは輸出が入っておりますので、それを合わせますと六百五十万台
程度ではなかろうかというのが現在の
感触でございます。
-
-
○
富永説明員 乗用車の内示について申し上げますと、恐らく二百三十万台前後ではなかろうか。これは現在の
感触でございますので、
数字の若干の出入りはお許しいただきたいのでございますが、その
程度ではないかと思われます。これは軽
自動車は入っておりません。
-
-
○
富永説明員 お答え申し上げます。
四十八年度
規制適合車は、先はど
先生御
指摘のございましたように、五十年の十一月三十日までは
生産が可能なわけでございますが、四月から十一月までの間におきまして極力速やかに五十年
規制車に切りかえるということで、現在それぞれ
各社とも
計画が進められているということでございますが、ごく大ざっぱに申し上げますと、五十年度の十二月から三月までの四カ月間は、これは全部五十年
規制車ということになるわけでございますので、もし
生産の
規模が同じということでございますれば、全体の
生産の中で三分の一の
規模を占めるであろう、これが五十年
規制車の
数字でございます。
しかしながら、もちろん四月から十一月末までに五十年
規制車が出ているわけでございますので、大体の
感触を申し上げますと、全体で半分くらいが恐らく五十年
規制車となるのではなかろうかというのが現在の
感触でございます。
-
○
横路委員 半分が五十年
規制車になるというのは、ことしの四月から来年の三月までの一年間の
生産全体をとった場合にそうなるというわけですか。
-
○
富永説明員 現在の
見通しといたしましてはそういう感じでございますが、四月以降の
生産の切りかえ、これは
運輸省の方におかれまして
審査が済み次第、逐次切りかえが進んでいくということでございますので、四月以降の
生産の具体的な
計画につきましては、それぞれの車につきましての
審査が終わり次第明らかになるという
状況でございまして、
個々の
車種につきましての細かい
数字は現在持っていないわけでございます。大体の
感触を申し上げているわけでございます。
-
-
○
富永説明員 お答え申し上げます。
通産省におきまして
生産計画を
各社からとるという場合は、従来までは主として景気の
動向といいますか
生産の
動向をとらえるということで、
車種別に細かい
数字をとっているわけではございませんで、せいぜい
乗用車あるいは
トラック別ということでとっているわけでございます。
それから、いわゆる
生産計画と申しますのは、非常に間際になりませんと明らかにならない性質のものでございまして、せいぜい三カ月ぐらいというものをめどにいたしまして、それぞれの
状況を明らかにするということをいたしているわけでございます。
-
○
横路委員 いま
議論しているのは、
排気ガスの
規制適合車の問題を
議論しているわけですよ。いまの
状況で、特にことしの場合は四十八年
規制、五十年
規制、五十一年
規制とあるわけでしょう。これから五十一年
規制の税金について
議論するわけですよ。そうすると、それが一体どういう
状況で
市場に出てくるのかということはきちんと押さえておかなかったら
議論にならないわけでしょう。
環境庁の方はどうですか。押さえていますか、その辺のところは。
-
-
○
横路委員 そうしたら、これまた
議論が横に行ってしまいますから
指摘だけしておきますけれ
ども、
排気ガスの
総量が、たとえば
NOxでどうなっているのか、今回の
措置でどの
程度各
規制によって空がきれいになるのか、
NOxの量が減るのかという
計算ができないじゃありませんか。
皆さんの方で一応
計算して出しているでしょう。たとえば今年度なら今年度、四十八年
規制の
適合車はどのくらい、五十年度はどのくらい、五十一年度はどのくらいという
計算をやらなかったら、そんなものはできぬでしょう。
後で時間があれば
議論しますけれ
ども、
運輸省の方はどうですか、掌握していますか、四十八年度
規制適合車、五十年度、五十一年度。ことし一体どうなるか、四月から来年三月まで。
-
-
○
横路委員 私の方で
自工会の方の
資料を見ますと、各
メーカーのものをいろいろ集めてある表なんですけれ
ども、ともかく
トヨタにしても
日産にしても、九月、十月、十一月に
生産が集中しているのです。十二月以降はがたっと落ちているのですよ。九月、十月、十一月で二十万台です。十二月以降になると、十五万台から十六万台に落ちるという一応の
計画になっているのです。これは一月
段階ですけれ
ども。そこのところをきちんと掌握しないで
感触で五〇%なんと言ったって、一体これでもって
トヨタ、
日産という大手の
——これはいま
シェアは二つ合わせれば大変なものですよ。
シェアで五〇%になんかなりっこないじゃありませんか。九月、十月、十一月の各
メーカーの
生産計画をごらんなさい、ここに集中しているのですから、五十年四月から来年三月までの
生産の
計画というのは。
皆さんは
メーカーの方からその
数字を取り寄せてちゃんと掌握していないじゃないですか。どうなんですか。
-
-
○
横路委員 いや、たとえば
トヨタなんかはことし二百二十万台
生産だと言っているわけですよ。去年より五%増だと言っているわけでしょう、
トヨタ自販の
社長が。そうすると、その二百二十万台というのはどういう
中身なのかということが問題になるわけですよ。特に
乗用車の部分については、どういう
中身なのかということが問題になるわけでしょう。そして、一応
トヨタの方の
計画を見ると、九月、十月、十一月、つまりその辺に
生産を集中させて、その後はかなり落としているのですよ。
そうすると、
先ほど生産規模が一緒だったら大体五〇%というお話だったのですけれ
ども、それだったら全くの推察にしかすぎないんで、
現実に
メーカーがどう考えているのかということをやはりきちんと押さえなかったらいけないんじゃないですか。だから、そこのところを
皆さんの方で、個別にどういう
生産計画なのかということをやはり
業界からきちんと
資料をとる、その上で
指導する点は
指導するということにしないと、形だけつくろったってだめなんですよ。あなたの方で、きのう、
駆け込み生産ということを少し
規制しなさい、自粛しなさいという何か
通達を出したようですけれ
ども、それだったら何も
実態を掌握しないで出していることになるんじゃありませんか。
だから、その
計画を
——特に問題は
トヨタ、
日産なんですよ。この
トヨタ、
日産について私の方で持っている
資料によれば、九月、十月、十一月のところに
生産が集中しているのです。そうすると、そういう
体制をとらなければだめでしょう、車の
生産の方もそれに対する人の手当てから何から全部。
トヨタや
日産の方でそういう
体制をとっているのですよ。あなたの方でまず、どういう
生産計画になっているのか、これはやはりきちんと前提としてその
実情を掌握しなければならぬ。
これは
環境庁だって同じですよ。一体こういう一連の
規制によって
NOxなりCOなりどういうぐあいに減っていくのかということは、
大気汚染に対する
自動車の
寄与率というのは高いのですから、その辺のところを全然わけもわからないで、一体どういうぐあいに推移していくかというのはわかるはずがないじゃありませんか。どうですか。
これは
官庁としては
通産省が
責任官庁ですから、
通産省の方で各
メーカーに対して、どういう
計画を持っているかきちんと出させて掌握するということにしていただきたいと思うのですよ。そうでなければ、後で
指摘しますけれ
ども、いま大変な
駆け込み生産体制になっているわけです。その点はどうですか。
-
-
○
横路委員 実態を把握しないでこんな
通達出したって
意味ないじゃありませんか。あなたの方で、各
メーカーがどういう
生産計画かもわからないで
駆け込み生産を自粛しろと、何も
資料に基づいてやったことにならぬじゃありませんか。ちょっと質問していることに答えてもらいたいと思います。いいですか。
それぞれもういまから
計画を立ててやらなければ間に合わぬわけでしょう。いまからそれぞれ
計画を持っているのですよ。だから、その持っている
計画をあなたの方できちんとまず掌握しなさい。そしてそれは
環境庁の方にもその
資料を
提出して、そして全体として、たとえばこの
規制でもって
総量がどうなっていくのかということでなかったら、肝心の
公害の方の
議論なんてできないわけですよ。そうでしょう。だから、それをやってくださいよ。どうですか、
通産省。
-
-
○
横路委員 同じ
答弁を繰り返したって……。ちょっと問答している時間がないので残念なんだけれ
ども、要するに、それは
運輸省の方の
審査があれしてからと言うが、ただ、そのことはもう
計算の中に入れて
体制をとっているわけですよ。そうでしょう。だからきちんともう各
メーカーごとに、
自動車のことしの四月から来年三月までどういう
生産をするのかというのが出ているから、
トヨタの
社長のように二百二十万台とか
数字が出てくるわけでしょう。各
メーカー、みんなそうですよ。だから、それを
メーカーに
提出さしたらどうですか、ことしの四月から来年三月までの
自動車の
生産計画。そしてそのうちのどれが四十八年
規制適合車、どれが五十年
規制適合車、どれが五十一年
規制適合車、その
資料をあなたの方できちんと、そういう形で掌握しなさいよ。それで、できれば報告してもらいたいと思うのです。よろしいですか。
-
○
富永説明員 現在、大体
四半期ごとに
生産の
計画をとっております
段階で、できるだけ
先生の御
指摘の御
趣旨に沿うようにしてまいりたいと思っておりますが、ただ、繰り返しになりますけれ
ども、
個々の非常に細かい
車種別の
段階での区別ということになりますと、なかなか具体的に把握しがたい点もございますので、一部はやはり見込みないしは
感触といったようなことになろうかと思われるわけでございます。
-
○
横路委員 だから、その
感触というのは当てにならぬと言っているのですよ。九月から十月、十一月というところに
生産が集中しているのです。だから、そのならした
生産でもって、十二月以降はこれは四十八年度
規制適合車というのはだめだからということで五〇%なんという
数字を言われるけれ
ども、実際はそんな
数字は出てこないのですよ。
環境庁の方ではどのように大体把握しておりますか。五十年
規制適合車というのはこの四月から来年三月ぐらいまでの間に全体の
自動車生産のうちの
乗用車の大体何%ぐらい出てくるというように見ていますか。
-
○
小林説明員 私
どもが
自動車の
新車の
台数を想定するというのは、
排出量を
計算する場合に用いるわけでございますけれ
ども、これにつきましては一定の仮定を設けまして試算を出しておりまして、実際的な
個々のその
時点における
生産量というものを把握してやっているわけではございませんので、したがいまして、五十年で一体どの
程度の
規制適合車が出るかということはつまびらかにいたしておりません。
-
○
横路委員 全くいいかげんなもんなんですね。五〇%と言ったら百万台くらいでしょう。百万台という
計算なんか
自工会だってしていないですよ。見ているのはその半分以下じゃないですか。ただ、掌握していないところを
相手に
議論してもしようがないんですけれ
ども、
通産省の先ほどの
答弁、その意向に沿うようにやるということ、それをちゃんと約束していただきたいと思います。
そこで、ともかく最近の
トヨタ、
日産の車の
販売はすごいですよ。これは去年の七月に出された「カー・アンド・レジャー」という何かあまりよくわけのわからない
新聞なんですが、いま
トヨタがこういう
新聞を二百万部ほど買い上げて各
販売店へ全部おろして、
セールスマンがこの
新聞を持って売って歩いているわけですよ。
そこに
無鉛化の問題を一応表に出しながら、その中でどういうことを
セールスポイントとしているか、
セールスマンがどういうことを言っているかというと、「この際思い切った
新車に代替する手もある。「幸いに……」といったら叱られるかもわからないが、現在
新車に代替しておけば
無鉛化問題はすべて解消される上に、
性能低下、燃費の増大、
コストアップなどが予想される五十年
規制は
フリーパスだ。また今、
中古車市場は
タマ不足だから代替を希望すると、予想以上の
価格で下取りしてくれる」ということで「三拍子そろってお買い得」という、そんなことを書いてある
新聞を持って、まさか
トヨタが自分でもってそんなのをつくって配るわけにはいかぬから、こういうのを買い上げて
セールスマンが持って歩いて
販売しているのですよ。いまの
セールスポイントは何になっているかというと、低
公害車が出てくると、つまり
規制が厳しくなると車が値上がりをする。したがって高くつく買い物だから、いまが買いかえどきだと言って
宣伝しているのですよ。
トヨタの方はともかく
シェア五〇%確立に邁進をするというような、
自販の
社長みずからディーラーにそういう檄を飛ばして、去年はT二四
作戦だとか二五
作戦、三〇
作戦だとか言って、すさまじい
販売をやったわけです。去年十二月の
実績で
乗用車の
シェアが四八・六%になっていますね。
規制が厳しくなると高くなる、いまのうちが買い得だと言ってどんどん売っている、こういう
販売の
実態について、
皆さんの方で掌握されているのかどうか。それについて
通産省としてどう考えているのか。どうですか。
-
-
-
○
小林説明員 車の
販売が非常に熾烈であるということ、御
指摘のとおりだと思います。私
どもの
立場といたしましては、やはり低
公害車を早く普及させたいという
立場でございますので、そういう
意味におきましては、そういう低
公害車でない車、高い
公害の車を乱売するということはあまり好ましいことではない、そういうふうに考えております。
-
-
-
○
横路委員 それはだから人によって安くしたり下取りで見たり、いろいろあると思いますよ。しかし、そういうことが
販売促進の方法としてとられている、しかも高
公害車について。そこをやはりきちんと掌握して
指導する。これは
環境庁と相談して、そういうような
業界の
実態を
皆さんの方で掌握されて、そしてきちんとした
指導をする。よろしいですか。
-
-
○
横路委員 それはどういう
指導をしたか、後でちょっと報告をしていただきたいと思います。
ともかく見ておりますと、
トヨタにしても
日産にしても、非常に甘く考えているのですね。どうせ政府は自分たちの言うようになるだろう、こういう甘い考えがあるのですよ。だから、去年モデルチェンジをした例ですが、これは
通産省の
自動車課の
自動車関係
資料四十九年十二月二十日というのによりますと、たとえば
トヨタではカローラ、クラウン、
日産でチェリーについて、これはフルモデルチェンジですね。フルモデルチェンジしたものが
排気ガスについて
運輸省の方の型式指定を受けたときの
数字はどうかというと
——大体モデルチェンジしているのは四十九年の九月、十月ですから、五十年
規制に適合した形でやるなら話はわかりますよ。そうじゃなくて、全然適合しないで四十八年
規制のままでこういうモデルチェンジを行っている。
これは去年の参議院の予算委員会でも
議論があったところなんですけれ
ども、あのとき
皆さんの方では、自粛を求めるという御
答弁がたしかあった。ところが、実際には去年の九月、十月の
段階でも、これは数値がありますけれ
ども、クラウンで言えば、たとえば
NOxは一・九三です。COが一三・〇八、HCが二・一九というような車が堂々とモデルチェンジされている。まさにリードタイムを見て、そこに向けて
生産を集中している。
販売の方もそうですよ、だから
トヨタの方はカローラを中心にわっとやったわけですから。だから、
皆さんの方で自粛を求めるなどと言いながら、全然そんなことになっていないじゃありませんか。いかがですか。
-
○
富永説明員 お答え申し上げます。
モデルチェンジの自粛につきましては、
先生御
指摘のように、昨年の五月に私
どもの
機械情報産業局長名で
通達を出しまして、不急不要のモデルチェンジというものについて自粛を求めたわけでございます。ただその際、モデルチェンジの重点といたしまして、
公害、安全対策というものを重点に行うべきであるという
指摘をしたわけでございます。
御
指摘の
トヨタのカローラの例、あるいは去年の秋に行われましたクラウン等の例でございますが、その際のモデルチェンジは、これは将来、五十年になりまして五十年
規制適合車に合致したエンジンを搭載するという前提で、エンジンルームあるいは触媒装置等を装着しますために床を上げる、そういったモデルチェンジをしたわけでございまして、五十年対策のための準備という
意味でのボデーのモデルチェンジということでこれは行っておるわけでございます。
-
○
横路委員 問題はCOとHCと
NOxの量なんですよね。それが五十年
規制どころか四十八年
規制ですよ。COなんかの場合だったらかなり厳しいあれですよ、一三・〇八ですから。結局
メーカーの方はリードタイムを見て、
トヨタにしても
日産にしても猛烈な
販売をやる、そのためのモデルチェンジも行う。しかし、ほかの東洋なり何なりというのはもうすでに、たとえばマツダのカペラロータリーなんというのは
運輸省の方の型式指定のときには
NOxで〇・三ですよ、そういうやつをやはり努力してやっているわけでしょう。こういうのが本来のモデルチェンジなんで、確かにそういう、改善したというような
トヨタの方の発表はありました。あったけれ
ども、
現実に排気の量から見るとこれはまさに四十八年
規制そのものなわけですよ。しかも五十年
規制が始まるということを承知しておってこういうようなモデルチェンジを
——皆さんの方でいまのお話だと認めたようでありますけれ
ども、まことに残念なことだというように思います。
それで、
皆さんの方で
通達を出したということなんですけれ
ども、
通達を出して、先ほどのたとえば
駆け込み生産の問題だって、やはりきちんと先ほど言った
生産計画をつかまえるということ、それから
販売の
実態をつかまえる、そして低
公害車を普及していく、高
公害車を抑えるという視点に立った
指導というものを、
通達の出しっ放しじゃなくて、きちんと後々事実を掌握をしながらひとつ進めていってもらいたいというように思うのです。
そこで、時間がないので
運輸省、
通産省の方にお尋ねしますが、五十一年
規制適合車、低
公害車についての
生産計画、それぞれ
メーカーから
皆さんの方で
資料を取り寄せたようでありますが、五十一年
規制適合車は各
メーカーごとにどういうことになっているか、いつ完成するのか、そして今年末ではどの
程度、来年度、五十一年度末ではどの
程度、そして最終の
見通しは大体どのぐらいというあたりをひとつお答えをいただきたいと思います。
-
○
北川説明員 お答えいたします。
五十一年
規制適合車の
生産状況、こういうことになりますと、先ほど来
通産省の方から
先生の御質問に対してお答え申し上げておりますように、現在のところ五十年の
状況がどうであるのかということが詰められておる
段階でございまして、五十一年度はそれを踏まえた上において出されるということでございます。
それで、そういう具体的な正確な
生産計画というようなものは、残念ながら私
どもとしては把握できておらないわけでございまして、全体的な五十一年
規制を実施する場合におきまして、
生産を一生懸命やって基準に間に合う車を出すとすると、いわゆるリードタイム、これがどのくらいかかるのかということについて、五十一年度
規制実施を決める前に参考
資料としてとったこともございますけれ
ども、これらにつきましてはその基礎となるものがまだ決まっておらない
段階のものでございまして、それについてどうだと申し上げるわけにはまいらない状態でございます。
ただ、五十一年
規制を早く出していくということにおいて
計画が煮詰まっておる
メーカー、五十年
規制を先取りした
メーカー、これはトップを切っておるところはすでに二年前に五十年
規制車を出しておるわけでございまして、その二年間の技術とか安全性、信頼性を踏まえまして今回の五十一年
規制車に適合するものをどう出していくか。これは五十年度に五十一年
規制を先取りして出すという
メーカーにおいては、そこら辺の
計画は非常に具体性を帯びてきておるということが言えるわけでございます。
-
○
横路委員 自工会の方で運輸大臣や通産大臣あての陳情書がありますね。「昭和五十一年度
自動車排出ガス規制に関する要望について」、これで見ても、これは
業界の主張ですけれ
ども、五十二年の十月でようやく九四%ということになっていますね。東洋工業、本田、三菱といういわゆる低
公害車の非常に進んだところでは、大体ことしじゅうにもうかなり、過半数を超える車が五十一年
規制適合車になるのじゃないですか、どうですか。
-
○
北川説明員 お答えいたします。
五十年度に先行して五十一年度
規制基準に適合した車を
生産していくという関係につきましては、これから私
どもの方に基準に適合しておるかどうかの申請が参りまして、その基準値に適合するということになれば五十年度にある
程度のものが出てくるということでございまして、五十年度にすべてが基準に適合するものが出るというわけにはまいらないわけでございまして、五十一年度に入ってある
程度の期間がたたないと、いま御
指摘の会社におきましても、基準に適合したものをすべて出していくというわけにはいかない
状況であると思います。
もちろん個別の会社によりましては、一部において、そこら辺についての
計画を進めているところもあるようでございますが、全般的傾向といたしまして、五十一年度で五十一年
規制に適合するものを出していく、これが主流になっておりまして、実は、先般の五十一年
規制の実施時期ということにおきましても、
新型車については五十一年四月、継続
生産車についても可能な限り早く実施したいわけでございましたけれ
ども、そういう車が出てこない、こういうことで、全体のものは出るというわけではないのでありますが、ある
程度の需要に合うだけ出るそれを少なくとも五十一年度中にすると規定すべきであるということから、
継続車としては五十二年の三月、こういうことになったわけでございまして、それまでには相当数のものが出るよう
計画が進められるということでございます。
-
○
横路委員 わかり切ったことはどうでもいいですよ。問題は、この間三菱も発表しましたけれ
ども、五十年
規制を通り越して五十一年
規制でやろうというわけでしょう。それは今回の税制のこともありますよ。そうでしょう。そうしてそれぞれの
メーカーがやはり
計画を持っているわけですよ。いままで
新聞で発表されたやつを見ても、ことしじゅうに大体五〇%を超えて六〇%ぐらいまでいくなんという
メーカーだってあるわけでしょう、自分たちの車の
生産の六〇%まではもう五十一年
規制適合車でいくと。すでに
皆さんの方で型式指定した東洋工業なり本田なりのいろいろな車の中で、もう五十一年
規制に合格している車だってあるでしょう。物すごく差が開いているのですよ。
トヨタ、
日産のように
シェアが大きいけれ
どもおくれているところと、小さいけれ
ども非常に先行しているところとの差があるのですね。
大体いつごろまでに一〇〇%になるのかということで、リードタイムを決めるための
資料と称して各
メーカーから
皆さんの方に
資料を出したでしょう。
トヨタなんかの場合は、
皆さんに対しては五十一年の十二月末で大体一〇%
程度だと言っているのでしょう。違いますか。
-
○
北川説明員 お答えいたします。
メーカー側の話といたしまして、いま御
指摘の
トヨタなどにおいて五十一年十二月において約一〇%
程度、というのは、基準をつくるその前におきましてそういうような対応しか、
生産準備と申しますか、
適合車の
生産という段取りができないという話を聞いたあれはございますが、現
時点におきましては、基準が出ましてそれに対応いたしました対応策をしておるんではないか、こういうふうに思っておりますし、少しでも早く基準に適合するものを、ある
程度の需要があるわけでございますから、それに対応して出していくということが必要であり、私
どももそういうものが出てくることを期待しておるという
状況でございます。
〔
委員長退席、山本(幸雄)
委員長代理着席〕
-
○
横路委員 そうなんですよ。
トヨタにしても
日産にしても、
皆さんの方に出している
資料なんというのはふざけたものでありまして、五十一年の末になって一〇%ぐらい、そして五十二年の大体六月ぐらいでもってようやく五〇%ぐらいになるというような
資料を
皆さんの方に出して、
皆さんはそれを参考にして今度の
規制措置を決めたわけでしょう、告示を出したわけでしょう。全くでたらめなんですよ。実際に
トヨタなんかどういうことを言っているかと言いますと
——アメリカの七五年
規制の輸出等との関係から言えば、やる気になってやればできるのですよ。だから、こういう
メーカーの
資料を
皆さんの方でうのみにしないできちんとやっていかないと、もう
トヨタとか
日産に完全になめられているということを私は言わざるを得ないと思うのです。
今度の
規制で
NOxの
総量がどうなるかというような
議論をしようと思いましたけれ
ども、肝心の税制の方の
議論ができなくなりますから、悪いけれ
どももう少しおってもらって、今度はちょっと大蔵省の方と
議論をしていきたいというように思うわけです。
今度の
税制措置、どの
程度の軽減になりますか。たとえば九十万ぐらいの小売り
規模の小型
乗用車の場合。
-
○中橋政府委員
小売価格九十万円でございますと、蔵出し
価格は六十万円ぐらいと考えまして、物品税で減税額は二万三千円になる予定でございます。
自動車取得税は一万九千円ぐらい軽減になる予定でございます。
-
-
-
○
横路委員 すると、従来たとえば九十万ぐらいの車だと、どのぐらいになりますか。産構審の答申を見ると、一〇%から一五%ぐらい
コストアップというふうに出ていますがね。
-
○
富永説明員 恐らく九十万という
先生御
指摘の車でございますと、ほぼ三万円前後ではないかというのが
感触でございます。
-
○
横路委員 そうすると、産構審の方のあの
資料はでたらめですか。
-
○
富永説明員 産業構造審議会の
自動車分科会の報告書の中で取り上げておりましたのは、五十年
規制適合車の四十八年
規制適合車に対するアップ分ということではないかと思います。私いま手元に持っておりませんが、多分そういうことであろうと承知しております。
-
○
横路委員 あの産構審では五十年
規制なんか全然問題になっていないのですよ。もっぱら五十一年
規制の問題を
議論しておって、
コストアップがどのくらいになるかということを
議論しているわけですね。したがって問題は、そのどこからどこへということを別にして、五十一年
規制に向けてどのくらいの
コストアップになるかという
数字として一〇%から一五%くらい、
皆さんその
資料をそのまま中公審の方に出しておりますよ。そこから
資料を引用されて、あなたがしゃべって
資料をつくって持っていって、前に国会で問題になったあの
資料の中にその一〇ないし一五というのが入っていますよ。
そこで、先ほどお話ししたように、つまりいまの車の
販売から言うと、先ほど
富永さんの御
答弁だと、何か三十万
値引きしているのもあるようでありますけれ
ども、十万から十五万ぐらいいま
値引きしてどんどん売られているわけですよ。そうすると、今回のこの
程度の
税制措置で、どの
程度低
公害車に対する誘導効果というのはありますか。
-
○中橋政府委員
値引きをせられておりましても、物品税につきましては蔵出し
価格に対しますものですから、先ほど申した
数字が参ります。
自動車取得税は確かに
現実に売られる
小売価格に対しましての税負担でございますから、若干この金額が変わってくるかと思います。
そこで、今回の税制が一体どの
程度の誘導効果を持つのかという点は見方として非常にむずかしゅうございますが、まずは、先ほど
通産省からお話のございましたような
コストアップとの関係がございます。しかし、私
どもとしますれば、税金でございますから完全に
コストアップを賄うということもまた必要ないのではないかという気がいたすわけでございますし、税制でいろいろ誘導効果を考えるとしましても、私
どもはいま講じようとしておりますいわゆる取得課税の問題と、今後検討してまいらなければなりません保有課税と両方兼ね合わせまして、低
公害車への誘導というのをできるだけ促進いたしたいというふうに考えております。
-
○
横路委員 五十年
規制適合車に対して今回と同じような
措置がとられましたね、これが適用になったのはどれくらいですか。四十八年度、四十九年度、四十八年の四月から四十九年の三月三十一日まで、物品税四分の一、取得税二%、それから四月一日から九月三十日までが物品税八分の一、
自動車取得税一%、これを適用した車というのはどのぐらいになりますか。
-
○中橋政府委員 四十八年度におきましては約三万台でございます。それから四十九年の四月から九月までは三万六千台でございます。
-
-
○中橋政府委員 約二%から三%
程度になると思います。
-
○
横路委員 要するにその
程度のことなんですね。二%
程度なんですよ。これで誘導効果は相当上がったというように大蔵省としては判断しているわけですか。
-
○中橋政府委員 そこは、先ほど申しましたように税制の理屈というのがございます。やはり高額な資金を投じまして
自動車を買い得るという人に対する税金でございますから、
公害という点から非常に望ましいという車につきましても、それ相応の負担をしてもらわなければならないということが原則でございます。しかも五十年度、五十一年度
規制がだんだん進んでまいりまして、リードタイムということも済んでしまえば、およそ
自動車というのはそういうものだけが
自動車になるわけでございますから、そこの負担というものも考えてまいらなければなりません。したがいまして、取得課税におきましてのインセンティブとしましては、おのずと限度があるというふうに私
どもは考えております。
-
○
横路委員 今回の税制が出てきたのは、一つは、中公審の方の十二月五日の大気部会
自動車公害専門委員会の排出ガス
規制についてという報告書の中で、「汚染物質
排出量の少ない
新車の開発、普及及び使用過程車から
新車への代替促進を図るための税制上の
措置などについて検討が望まれる」と、まずこれが出まして、それから、十二月十日に中公審の大気部会長から中公審の方へ報告が出て、その報告の中でも「低
公害車の開発と普及を促進するため、汚染物質
排出量の多い車と少ない車及び
新車と使用過程車との間に充分な格差をもつような税制上の
措置」ということになって、中公審の答申の中でも、その三番のところで「低
公害車の開発と普及の促進を図り、低
公害車の
生産者及び使用者が不利となることのないよう税制上の
措置を講ずべきである。」ということで、五十一年度
規制の適合を受ける車については、税制上、窒素酸化物の
排出量〇・六グラムを基準としてその上下に十分な格差を設けること、というのが第一点ですね。それからもう一つは、「
大気汚染防止の見地からあわせて汚染物質
排出量の多い使用過程車からそれの少い
新車への代替を促進させるため、税制上、使用過程車と
規制適合車種との間に十分な格差を設けること。」となっていますね。もちろん中公審の今回の暫定
措置についてのこの答申そのものが非常に大きな批判を受けたわけです。そして、本来中公審として
規制措置できちんとすべきところを、自分らできなかったから、何とか税制の方でやってもらいたいというのがありありと見受けられるわけであります。
いずれにしても、ここでとってもらいたいと要望している点は、二つに分けられるように思うのです。一つは、この最後の中公審の答申の方からいきますと、使用過程車と
規制適合車との間の格差はちょっと後にして、ここでは、窒素酸化物の
排出量〇・六グラムを基準としてその上下に十分な格差を設けること、となっていますね。それは、本来ならばこの〇・六そのものについていろいろ
議論があったわけです。
議論があったけれ
ども、中公審としては
自動車業界のいろいろな
実態から見てやむを得ないということで、〇・六と〇・八五という二つの基準をつくった。しかし、〇・二五を目標にしてずっと進んできているところがある。その進んできているところに対しては優遇
措置を本来とるべきじゃないか。それから、それを基準にして高いところについては、おくれているのだから、もうちょっと厳しいのをやるべきじゃないか、つまり〇・六と〇・八五という二つに分けたことについて、その差をつけろというものが、今回のこの
税制措置では十分な差ということにはならぬですね。〇・六と〇・八五の点では四月一日からリードタイムのところで若干差をつけているだけで、この中公審で言っているような格差ということにはならないのじゃないかというように思いますけれ
ども、いかがですか。
-
○中橋政府委員
NOx〇・六と〇・八五の問題につきましては、今回御提案申し上げておりますものは、ただいまお話しのように、五十一年度から差をつけることにいたしております。五十年度までは、私
どもの考えといたしますれば、まだその〇・六なり、〇・八五という
規制が
現実には始まっていないわけでございます。したがいまして、今回の税制によりますインセンティブとしましては、少なくとも五十年度中におきましては同じに扱って、まだ
規制が始まらないうちに五十一年度
規制を満たす車ということで同列に扱いまして、物品税なり
自動車取得税につきましてのインセンティブをつけるという態度でございます。
それで、五十一年度が始まりまして、いよいよ本格的に五十一年度
規制が開始しましたときには、先ほど申されましたように、物品税につきましても
自動車取得税につきましても、それぞれ〇・六と〇・八五について差をつけておるわけでございます。
それから、さらにその後で、先ほど申しましたような保有課税として一体どういうふうにこれを考えるかというときには、恐らくまたこの〇・六と〇・八五という問題もより強く問題とされるというふうに考えております。
-
○
横路委員 つまり誘導効果をきちんと見るということになれば、五十一年
規制新型車について適用になるのは五十一年四月一日からですね、だからその前に開発を進めていったところには、やはり差をつけて優遇
措置をとるということですね。四月以降は、この〇・六と〇・八五というのは本来
規制を分けるのがおかしいわけでしょう。これは中公審でも言っていますね。
規制を分けるのは本来おかしいのだけれ
ども、いろいろな事情からやむを得ないという答申になっているわけですよ。そこで税制上では、つまり
措置としてはやむを得なかったのだけれ
ども、税の面ではめんどうを見てくれというのがこの中公審の答申の精神だと思うのですが、そういう精神じゃありませんか、この去年の十二月二十七日の答申のこの点に関する考え方というのは。
-
○中橋政府委員 確かにそういう精神だと思います。ただそれを税制の方から見ますれば、やはり直接
規制と間接
規制というものの果たすべき役割りがおのずとあると思います。すべて間接
規制に、しかもその間接
規制の中で税制にと言われましても、やはり果たす役割りというのが違っておると思います。
そこで、私
どもは、先ほど来申し上げましたように、間接
規制としての税制とすれば、五十年度中は、中公審の答申においても〇・六に並んで〇・八五というものを許容しましたものですから、そういうものについてのいわば
規制が始まらない前の車としてのインセンティブをつけますし、いろいろ
規制が始まりました五十一年の四月以降につきましては、それについての差を開始する。しかもその後におきますところの保有課税については、より一層そういう点が重視されるだろうということで、中公審の答申の気持ちも十分そんたくしておるつもりでございます。
-
○
横路委員 ただ、そういうことには実際としてはならぬのじゃありませんか。つまり五十一年の四月一日までは、できれば五十年
規制というよりも五十一年
規制の車をできるだけ早く開発するようにという目的があるわけですね。そうすると、そのための
措置を見てやらなければいけない。優遇
措置をとることによってそういう誘導効果を上げようというのが今回のこの
措置ですね。四月一日から今度はリードタイム終了の六カ月前まではどういう効果を見たらいいのかという場合に、この中公審で言っているのは、繰り返すようですけれ
ども、〇・六と〇・八五の考え方としては、たとえば〇・六というのを一つの基準にして、それより高いものについては少し低くしてもいいじゃないか、それから、〇・六を達成してかなり進んでいるところについては、その進んでいるということに応ずる
措置をとったらいいじゃないか。つまり〇・六というものを基準にして物を考えるという考え方じゃないかと思うのです。
本来、〇・八五というのはおかしいのだ、これは中公審の方は非常に率直に認めていますよ。同じ政府のやることなんですから、
規制の方だって税制の方だって一体とした政策として考えれば、片方でできなければ片方でそれをどこかで補う、そして低
公害車の方の開発というものをできるだけ促進していく。ということになると、〇・六を基準にして、たとえば四月一日以降もうちょっと差をつけていく。
〔山本(幸雄)
委員長代理退席、
委員長着席〕片方を軽く片方を重くするということだって十分考え方として成り立つと思うのです。つまり格差をつけろというわけなんですからね。これだったら〇・六と〇・八五でほとんど格差がないでしょう。余り大した格差じゃないんじゃないですか。だからそこのところの格差をもう少しつけるということを考えるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
-
○中橋政府委員 その点に関しましては、むしろ私
どもとすれば、中公審がなぜ〇・六と〇・八五という並列を認めたかということでございます。本来〇・六が一番望ましいのであれば、直接
規制として〇・六を選ぶべきではなかったかと思いますが、やはりそれはいろいろな事情から〇・六も〇・八五も許容されておりますから、税制としますれば、やはりまず第一次
段階としてインセンティブを考える場合には、中公審のそれを尊重せざるを得ないということでございます。
それからさらに、私はやはり
自動車のいわゆる低
公害車への移行という問題を総合的に考えます場合には、保有課税ということが間接
規制を促進する上においても非常に有力なる手段となると思っております。その場合に、恐らくは〇・六と〇・八五あるいはそれを超えます古い車というものについて、それぞれの配慮がなされてしかるべきものだというふうに考えております。
-
○
横路委員 大蔵省の方でそうやって中公審に対して開き直って、
規制が本来と言うのは、それはそうなんですが、ただ政府としては、そちらに座っている
皆さんは一体なんですから、そこで政府の方針として決めたわけでしょう。中公審の答申の中でも、〇・八五というのを決めざるを得なかったということについてずいぶん言いわけしてありますわね。だから、片一方の方でだめだった、では税制の方でもうちょっとそれを促進するような
措置をとるかと言ったら、本来きちんとやるべきなのをやらなかったのが悪いので、われわれの方は間接的な政策にしかすぎないんだから、そこで余り思い切ったことはできませんということになれば、国民の側に立ってみると、それは
官庁のいろいろな仕事のあれはあったとしても、政府としては一体なわけですから、そこのところでそんな
議論をしてもらっては本当は困るので、中公審の方がこうだったら、ではそれを促進するために税制の
措置としては中公審が
指摘しておるようにやりましょうということにならなければおかしいのじゃありませんか。
だから、この差から言うと、できるだけ進んでいるところに格差をつけるということになれば、五十一年の四月一日以前の
措置についても差をつけるべきだったというように私は思いますし、それから四月一日以降になれば、さっき言ったように〇・六を基準にして、これはいわば車としては普通の車ということになるわけですから、それより高いのはむしろ高
公害車ということになるのでありますから、そこに上下の差をつけるべきではなかったかというように思うのですが、いかがでしょう。
-
○中橋政府委員 五十一年の三月までは〇・六車と〇・八五車とはインセンティブとして同じに扱っておりますが、五十一年の四月からちょっと差をつけているわけでございます。その差のつけ方が多いか少ないかという御
議論はもちろんあると思いますけれ
ども、私は先ほど来申し上げておりますように、そのリードタイムが終わりました暁におきましては、〇・六車といい〇・八五車といえ
ども、
自動車としての通常の税負担に耐えてもらわなければならないわけでございます。
したがいまして、そんなに軽減をつけて、リードタイム終了前六カ月と言いましても、そのときから一挙にまたもとの税負担に復するということもなかなか問題がございまするので、やはり四分の一、八分の一、十分の一という
程度でございますので、〇・六車と〇・八五車につきましての差というものもそう大きく開くわけにはまいりません。そこで、税制としてなおそういった問題をあわせて、使用過程車との問題も含めて考えますには、やはり保有課税というものが非常に大きなウエートを占めてまいるということは想像にかたくないわけでございますから、その際におきましてはそういった点を十分配慮する。しかもそれを一体いつからどの
程度やるかということは、今後検討してまいるという予定でございます。
-
○
横路委員 もう一つ、今回、使用過程車と
規制適用車との間の十分な格差を設けるということができなかったのはどういうわけなんですか。この中公審の方の希望としては、そこにも差をつけてくれということですよ。
-
○中橋政府委員 それも
横路委員からおっしゃいますれば政府部内の意思の統一としましての問題でございますが、リードタイムというのが認められておるわけでございます。古い
規制値の車の
生産を認めておるという
段階を一体税制でどういうふうに判断したらいいかということでございます。
したがいまして、これからの保有課税の強化についてはなお今後の問題でございまするが、今日そういう
措置を明らかにいたさなかったというのは、一応あの
段階におきましては、五十一年度
規制を満たさない車のリードタイムが五十二年の二月末ということでございまするので、そういった具体的な日にちというのは決まらない
段階でございましたけれ
ども、ほぼリードタイムというのが前回の例に徴しましてもある
程度認められるということでございますから、そういう五十一年度
規制値を満たさないような車の
生産を政府として認めておる間はともかく、それを終わりました暁におきましては、いよいよこれは五十一年度
規制車とそれからそれを満たさない使用過程中のものにつきましての保有課税の制度というのは本格的に働き出してもいいということを考えたわけでございます。
そうしますと、それはほぼ五十二年度の始まる前後ではなかろうかということでございまするから、来国会までに十分そういう問題を
議論いたしまして、いかなる保有課税を使うか、その
程度についてはどういうような格差をつけたらいいかということで、実は今回具体的な御提案をしなかったわけでございます。
-
○
横路委員 先ほど私の方で少し通産や運輸の方と
議論した、つまりいま
トヨタや
日産は何を
セールスポイントにしているのかと言うと、ともかくこれは安上がりの車だ、
規制が始まったら高くなって大変だぞ、いまは買い得なんだと言って、十万から十五万くらい
値引きをしながらすさまじい
販売をずっと昨年からやってきているわけでしょう。そうすると、国民の側からいって、低
公害車の方に買いかえをするという場合、それはやはり買うときの値段もあるでしょう、それから使っているときにどういうぐあいに税金が変わるのかという問題があるだろうと思うのです。
それをどういうぐあいに見るのかということは、これは非常に問題なんですが、
自工会の方でもいま何かいろいろ調査しておるらしくて、それによると、一つは、買うときの値段が十五万も差が開いたのではなかなかむずかしいというのと、それから持っている場合の負担がどれくらいになったら厳しくなるのか、これはなかなか
数字としては出てこないようでありますけれ
ども、いずれにしても、やはりそういう先ほど言ったような
実態というのが
自動車メーカーの側にあるわけです。したがって、それを野放しにするのではなくて、それに対してある
程度規制し得るような
措置というのをやはりとっていかなければいけないのではないかというように思うのです。
だから、本来ならば今度の
税制措置の中にその辺の方針が明確になっていると、これは
メーカーの方の駆け込み増産なんというのはちょっと危ないぞということになると思うのです。その辺の
体制を私は本来ならば今回の
措置で本当はとってもらいたかったというふうに思うのです。いまそのリードタイムは認めているからというお話なんだけれ
ども、そこを基準にして考えるとそうだと思うのです。ところが、本来ならばこの五十一年
規制でいくのだということを基準にして考えれば、リードタイムというのは実は
業界に与えた優遇
措置なわけでしょう。そうすると、そういう優遇
措置を与えたんだから、そのかわり税金の面では少し負担をしてもらいますというのが本来の政策じゃありませんか。
-
○中橋政府委員 確かにリードタイムが認められておるからと言いまして、やがて認められないような
規制に対策を講じていない車が駆け込みにつくられ、駆け込んで売られるということは望ましいことではないと思っております。その点に関しましては全く同感でございます。したがいまして、私
どもも先ほど申しましたように、保有課税を強化するということを法的に
措置しますよりは、かなり早い時期にどういうような方向をとるかということを政府で決めまして、一般の消費者にもわかり得るような方法を講じまして、早く広くこれを周知徹底する必要があると思っております。
その具体的な内容を実は今日まで
議論して決めるという
段階に至らなかったことは残念でございますけれ
ども、恐らく政府といたしましては、排出ガスの
規制対策閣僚協議会というのがございまして、発足をしましてまだ日にちは浅うございますが、四月以降になりますれば、その問題も急速に
議論をいたしまして早く結論を得まして、できるだけ早くこれを消費者あるいは消費者になるような人たちに周知をするということで、その問題についても対処をいたしたいというふうに考えております。
-
○
横路委員 環境庁の方は本来は、先ほどから
議論しているように、あなたの方の基準のところで厳しくすべきだったと思うのですが、いろいろな事情からできなかったということで、
環境庁としても税制に期待をしている面がかなり強いんじゃないかというように思うのですが、いかがですか。
-
○
小林説明員 お答えいたします。
確かに
先生おっしゃるとおり、私
どもの方で直接
規制を厳しくやるということが一番いいわけでございます。
それからもう一つは、五十一年
規制でございますれば、すべての車について五十一年の四月から適用するということを実施できれば、ただいま
先生御
指摘のような諸問題というものはほぼ片がつくわけでございます。ただ、
実態といたしましては
現実の姿がそのようになっておりませんので、ただいま御
指摘のような点がいろいろ問題があるわけでございます。
税金につきましても、私
ども確かに期待をしているところが多いわけでございますけれ
ども、やはり先ほど来主税局長から御説明がございましたように、税は税としてのたてまえなり
立場というものがございますので、必ずしも私
どもの
立場とは全面的に一致するというわけではございません。しかしながら、この取得につきましては私
どもとも十分御相談をさしていただきまして、私
どもは私
どもなりに税の
立場というものも理解いたしまして、こういう形になったわけでございます。
-
○
横路委員 いまの厳しい
規制車よりも安上がりだからいまのうち買い得だというのを
規制していくというためには、早く
措置を決めて、方針を決めて、そしてそのことを周知徹底させるということが必要だと思うのです。その時期について、できるだけ早くその方針を決めるという点についていかがですか。できるだけ早く決めてもらいたい。
-
○中橋政府委員 私からお答えするのはいかがかと思いますけれ
ども、少なくとも税というものをそういう効果をあらしめるように使うためには、おっしゃるとおりだと思います。
-
○
横路委員 本当の一番の問題は、ことしの十一月末までなんですね。つまり四十八年
規制適合車がどんどん継続
生産されるというこの時期、だからいま
メーカーの方は、ともかく
生産計画を見ても九月、十月、十一月というところに相当集中した
生産体制をとっているというわけですよ。だから、本当はそれに対して少しチェック機能を働かせるとすれば、本来できるだけ早いうちに、こういうことになるぞ、四十八年
規制適合車を持っておると高くなるぞということを国民の方にわからせるということになれば、相当
メーカーに対するチェック機能としての役割りを果たすことになるのじゃないかというように思うのですけれ
ども、この今回の保有税等の問題については
環境庁が中心になっておやりになっているのですか。それでは
環境庁からちょっとお答えいただきましょうか。
-
○
小林説明員 お答えいたします。
閣僚協議会につきましては、そもそも話を出しましたのは私
どもの方でございますけれ
ども、一応
内閣の審議室が主になってつくったものでございます。それで三つのグループに分かれておりますけれ
ども、税制につきましては審議室長が座長ということで今後運営されることになっております。
-
-
○
小林説明員 時期については私は承知いたしておりませんけれ
ども、閣僚協議会の下に幹事会というのがございます。これは事務次官の会合でございます。これはすでに一回やっております。その下の局長レベルの
会議がございます。これもすでに一回行われておりますけれ
ども、現在までのところいっその結論を得るということは、私
どもまだ伺っておりません。
-
○
横路委員 国民の方は中公審の答申にもみんながっかりしたし、それから今回のこの
税制措置についても、
新聞の社説そのほかみんな非常に厳しい世論ですね。これで一体本当に低
公害車を誘導するということになるのかという
意味では、大体みんな批判をしているのです。それは大蔵省も御存じだと思うのです。
政務次官、そういうようなことで、この保有課税、つまり使用過程車との格差の問題等についてひとつできるだけ早く大蔵省としても、いまの場で
措置を決めて、ともかくことしの十一月の末まで許されている四十八年
規制適合車に向かって
生産がいま集中していっていますので、そういうことのないように税制の面からひとつ考えていただきたいと思うのですが、いかがですか。
-
○森(美)政府委員 先ほどからのお話を聞いておりますと、いわゆる努力をしている企業が損をしているというような感じがいたします。ごもっともなことでございます。この点に関しましては、排出ガス
規制関係閣僚協議会で至急に結論を出すつもりでおりますが、ただいま国会中なもので少しおくれておりますが、御
趣旨に沿って努力をするつもりでございます。
-
○
横路委員 そこで、この
自動車全体の税制をどうするかという問題、社会的費用とも関連して問題だと思うのですが、
公害健康被害補償法という法律がございますね。ここで
公害病患者についてのいろいろな
措置が決められているわけですけれ
ども、その
大気汚染ということになると、
自動車の
寄与率というものは相当高いわけです、特に
NOx等については。これは東京都の調査そのほかありますが、具体的な事実をここで申し上げるのは時間の関係上控えますけれ
ども、そうすると、やはりその
寄与率に従って何らかの費用負担というのをさせるべきではないかというように思うのですけれ
ども、どうですか。これは大蔵省がいいですかな。
環境庁の方でも結構です。
-
○
小林説明員 先生の御質問は、
公害について
自動車にも応分の費用負担をさせるべきだという御質問でございます。私、直接の担当でございませんので、あるいは間違ったことがあるかもしれませんけれ
ども、現在この健康被害補償の制度におきましては、
自動車からも一部費用を取っております。それは重量税の一部を引き当てるということで取っておるわけでございます。
-
○
横路委員 自動車に対する税
措置というのもそのときどきの政治的な
状況の中からずいぶんいろいろとつくられてきているわけですけれ
ども、基本的に今回のこの税制との関連で考えますと、この前もちょっと大蔵委員会で
議論したのですけれ
ども、従来から外部不経済とみなされて
市場メカニズムの外に置かれていた環境汚染にかかわる費用というものをある
程度内部化させていく、合理的に
生産とか消費の中に組み込ませるための経済的な、効果的な手段というものをやはり考えるべきじゃないか。そうすると、たとえば賦課金を課すなんということも一つの方法なんですね。賦課金を課す方法として、たとえば
自動車そのものを対象にして、
自動車の種別ごとにあるいは汚染物質の
排出量を勘案する。そうすると、これはかなり細かく、たとえば
NOxについては〇・二なら〇・二、〇・二五だとか〇・三だとか、〇・四、〇・五、〇・六というような、そういう
段階に応じてある
程度賦課金を課す。そして
メーカーの方から徴収することにして、出荷
台数を調べて、それに掛けてばあんと取ってしまうという
税制措置。
これはたとえば五十一年
規制適合車にすべてがなったとしても、従来からの車というのはたくさん走っているわけですから、それこそ四十八年
規制適合車前の車から四十八年
規制適合車、それから五十年
規制適合車、五十一年
規制適合車というのが
現実に走ることは走るわけですね。走っていることに対してやはりある
程度の社会的な費用を負担させるということになると、それはたとえば先ほど言いました
公害健康被害補償法をある
程度改正することによって、まあ税としては特別なまた一つの新しいあれになるのかもしれませんけれ
ども、
自動車と社会的費用の負担というようなことを考えた場合に、従来ずいぶんいろいろあるのをこれは見直しも必要になってくるとは思うのですけれ
ども、そういうような方向も考えられないものかというように思うのですね。
自動車税の中の目的税でいくと、道路財源というようなことになって、道路の拡大がまた
自動車の拡大につながるというようなサイクルを繰り返しているので、その辺のところをやはり基本的にお答えになったらどうだろうか。いま私たちも中で
議論をしているところなんですけれ
ども、これは大蔵省と
環境庁、それぞれ考え方としてどうでしょうか。
-
○中橋政府委員 その問題は当委員会においても、先日、
横路委員の御
議論にお答え申したという記憶がございますが、確かにおっしゃいますように、これまでほぼ二十年間道路整備ということでいろいろ
自動車関係についての税金問題を処理してきましたものを再検討する必要は、私自身はあると思っております。その萌芽は実は
自動車重量税にもあったと思っておりますが、いまお示しのように、確かに一つ賦課金という方法も可能かとも思います。
ただ、その際に、今日のように
自動車というものを取得します場合、あるいはこれを保有します場合について、国、地方団体が税金を取っております。それからまた、運行に対応します燃料課税ということもやっておるわけでございまするから、そのほかにさらに賦課金を取るということのために、いろいろそういうコストが追加されるという問題も考えてみなければならないと私は思います。
それから、いまお話しのように、やはり二千万台とかいう車が動いているのをどういうふうにするかという問題でございまするから、賦課金というものを考えます場合には、どうしても取得
段階だけではなかなかむずかしいということになりますれば、いろいろ執行面の難易ということも考え合わせなければならないと思いますが、いずれにしましても、今後そういった問題は、
自動車を取得するという
段階もさることでございますけれ
ども、
自動車を持っておることについての税制なり、あるいはお示しのような別の方法ということもあわせて検討しなければならないと思っております。
-
○
小林説明員 先生御
指摘のように、
自動車の社会的な費用というものはいろいろな面であるわけでございますけれ
ども、それの
公害に関する部分というものも当然あるわけでございます。一つは、五十年、五十一年のように
規制が厳しくいたされますと当然
コストアップになる、あるいは使用上非常に燃料がかかるというようなことで、その一部は当然内部化されるわけでございます。しかしながら、高速道路沿道とかなんとかでいろいろ問題が起きることもまた事実でございます。こういうものに対しまして、賦課金等の手段も当然あるわけでございます。
ただ、
自動車の
排気ガス公害に関しましては、一つ非常に大きな社会的な費用が問題になりますのはやはり都市部でございまして、都市部を運行する車とそれ以外の車をどういうふうに仕分けをするかということに非常に問題があろうかと思います。
それからもう一つの点は、実際、現在の税の体系のもとで行いますれば非常に徴収が簡単でございますけれ
ども、新しい制度といたしますと、どういう徴収の手段方法があるかというところに非常に問題が出てくると私
どもは考えております。
私
どももそういうことについて全然関心がないわけではございませんで、内部的にはいろいろ
議論をしておりますけれ
ども、まだこれといった決め手がないというのが
実情でございますので、今後ともそういう点について十分検討してまいりたい、そういうふうに考えております。
-
○
横路委員 問題は、車の
総量を
規制するのかしないのかというところが基本だと思うのですね。建設省は、いまのままの道路
計画でいくと四千二百万台ぐらいまで可能だろう、こういうことですし、産構審でいくと三千七百万台くらいでしたかな、それくらいですね、ということですよ。いまの車の
状況から見たって、これが三千七百万台だ、四千二百万台可能だなんということを言われて、それに向けていままでのようなことでやられたら一体どうなるかということになるわけですね。
これは予算委員会の方でも東京都の方から御
答弁があったようですが、柴田さんという方だったと思います、東京都の
公害関係の人が来られて、今回の五十一年
規制の後退によって
NOxの削減にどのくらい変動があったのかということでいろいろ
計算をされて、それは二万四千トンくらい、東京都の目標を達成するためには交通量の削減によらなければいけない。そうすると、後退した分を交通量で
規制をするということになったら、どのくらい交通量を
規制しなければいけないのかということでいくと、もう膨大なあれですね。昭和三十年代後半の交通量くらいにしていかなければいけない。今度の後退は、窒素酸化物の量から言うと、いまのほぼ半分以下くらいに
規制しなければいけないというような後退なんですね。したがって、問題は、
総量規制にどういう効果があるのかということになると、いまの税制度を使えば、中心は保有税ということになるだろうと思うのです。
ただしかし、先ほ
ども指摘しましたように、いまの税制度そのもので、道路というものと結びついた、たとえば目的税のいろいろなあり方みたいなものをこの際社会的費用を負担するという考え方に変えると、むしろ排出の量に応じた課税の方法がとれるわけです。そんな
意味で、
環境庁の方でも中で
議論されているようですけれ
ども、ぜひ
総量規制ということを一つ頭に置いてお考えをいただきたいと思うのですけれ
ども、いかがでしょうか。
-
○
小林説明員 先生御
指摘のとおりだと思います。ただ私
ども保有
台数と実際の台キロと申しますか、一台一日当たりの走行キロというものは必ずしも相関がないわけでございまして、
大気汚染の場合にはやはりある地区における一台当たりの総走行キロというのが一番問題になるわけでございます。私
どもそういう点に着目をいたしまして、交通
規制なり税制の面、あらゆる面におきましてこの
自動車の
総量を何とか減らしてまいりたいというふうに考えております。
-
○
横路委員 今度の
規制でどの
程度NOxが下がってきて、五十一年
規制達成後、ではまたいつから反転して上がっていくのか、本来ならばいろいろとお尋ねしたいのでありますけれ
ども、先ほどお伺いしたら、たとえば一体四十八年
規制車がどのくらい
生産されて、五十年
規制車がどのくらいだということについてあまり詳しくお調べになっていないようなんですけれ
ども、その辺のところは
環境庁としてはどうなんですか。
-
○
小林説明員 先生御承知のように、この問題というのは非常にむずかしい要素がございます。一つは、いま申し上げましたように、総走行台キロというものがどういうふうに推移するかというようなものであるとか、景気の変動によって
新車と中古車との代替がいかに進むかということもございますし、どの地域を選ぶかということもございます。私
どもは一応東京湾岸地区ということで、一都三県について少なくとも
新車と古い車との代替というのは現在と同じような率でいく、それからこの地域における走行台キロの伸びというのは年率二%伸びる。年率二%というのは実は少し大きな見積もりじゃないか、安全サイドの見積もりじゃないかと考えておりますけれ
ども、二%伸びるということで試算いたしましたものがございます。そういうことでございますので、実際に四十八年度の車が何%出るかということは、確かに御
指摘のとおり半年の差はございますけれ
ども、私
どものマクロにとらえました
数字では、それほど差が出てこないのではないか、そのように考えております。
-
○
横路委員 最後に一つ二つ、ちょっといままでの
議論と別なことなんですが、低
公害車にかえていくということで、七大都市あたりでもたとえば新しく買いかえる車については低
公害車にするということにしているようですけれ
ども、大蔵省はどうですか、そういう方針をとっておられますか。
-
○中橋政府委員 ちょっと正確な
数字は覚えておりませんけれ
ども、現在まだ大蔵省としましては余り今日のいわゆる低
公害車を保有いたしていないと思います。
-
○
横路委員 政務次官、やはり
官庁が率先して低
公害車の方に切りかえていくということが与える影響というのは相当大きいと思うのですよ。したがって、そういう方針で、進んでいるところはもう五十一年
規制適合車だって出てくるわけでありますから、
皆さんの方で使うのはかなり大きい車ですから、そういうのが出てきた場合には、やはり低
公害車の方に買いかえのときには買いかえるということの方針を大蔵省も持ってやっていただきたいと思うのですが、政務次官いかがですか。
-
○森(美)政府委員 実は、詳しくはわからないのですが、あるいは違っておるかもわかりませんが、この二年ほど大蔵省は新しい車を買っていないというふうに聞いておりますので、もちろん新しい車を買うようになりましたら、いまの
横路委員の御
趣旨を生かしていきたいと思います。
-
○
横路委員 それと、いままでの型式指定を見ますと、進んでいるところではもう五十一年
規制に適合している車がありますね。たとえば
運輸省の方からいただいた
資料によると、マツダのカペラロータリーですか、COが〇・八一、HCが〇・〇四、
NOxが〇・三〇。〇・三〇ということになると〇・二五の目標だってすぐというところまできているわけですよ。これからいろいろと五十年
規制車ということで
運輸省の方に殺到すると思うのですね。したがって、たとえばもうこの
排気ガスの
規制に従来の検査で
——排気ガスの関係ですよ、騒音は非常に
皆さんの方はずさんなようですけれ
ども、適合しているやつについては
審査を早めてやるということが必要じゃないかと思うのですけれ
ども、
運輸省の方、いかがでしょう。
-
○
北川説明員 お答えいたします。
運輸省におきます
審査は、交通安全
公害研究所において実施いたしておりまして、五十年
規制に対応するために、
審査の施設といたしましても、従来の施設は一セットでやっておったものを二セットに増強いたしまして
審査の
体制もつくり、早期に
審査をし、基準に適合しているものは早く世に出るように、そのように
措置をしていくよういま進めておる
状況でございます。
なお、今後ともそういう関係の施設、
体制の充実には努力をしていくという予定にいたしております。
-
○
横路委員 すでにそういう
意味では型式指定をとっていて、その数値によれば五十一年
規制をも達成しているという車については、そういう
措置を
運輸省としてもいま考えるということでございますから、ぜひ考慮していただきたいと思うのですが、それと同時に、これから殺到していくわけでしょう。それに対する対応策が十分あるのかということになると、この間あそこの研究所へ行っていろいろ
審査部の人やら研究室の人にも話を聞いてきたのです。研究所の方はずいぶん
皆さん若い人で、若い人たちが一生懸命やっておられましたけれ
ども、
排気ガスについてはかなり自信を持っている。ただ、自信は持っているけれ
ども、五十一年
規制よりさらに進んで〇・二五あたりになると、非常に細かいところになると、いまの機械で果たしていいのかということについては、測定の方法についても、それからいまの機械の能力についても、かなり不安感を持っておられるようなんですね。その辺のところはどうなんでしょうか。
したがって、やはり〇・二五なら〇・二五ということに向けて
体制もいまから
計画を立てて、人の面でも機械の面でも考えていかなくては、騒音のように、機械があるのにストップウォッチで去年までやっていたなんということがないように、きちんとした
計画を立てて、人員の面、まあこれは行管と、最後は大蔵が査定するわけですけれ
ども、
計画を出してきちんと対応できる
体制をひとつ
運輸省としてとっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
-
○
北川説明員 NOx〇・二五の対策につきましては五十三年ということでございますが、なるべく早くそれを達成するように努力をさせるわけでございます。それを受ける
審査体制につきましても、それに応じ切れるように測定方法の問題でございますとか施設の充実の問題でございますとか、
体制の充実において万全を期すよう努力をしてまいる所在でおります。
-
○
横路委員 その研究所の方に行ってあそこの当局の責任者の人から話を聞いたら、たとえば
皆さん方の人員なら人員の要求の仕方というのは、相変わらず業務量がこうで、したがって人員をこれだけふやせというような、そういう要求パターンなんですね。ところが、実際に職員の人から聞いてみますと、
審査件数なんて言ったって、
審査の項目がどんどんふえているわけでしょう。これは
公害ばかりじゃありませんよ。安全の面からも物すごく
審査の内容が変わってきているわけですよ。したがって、行管や大蔵に対する要求の
資料をつくるのに、あんな
資料ではとてもじゃないけれ
どもわかってもらえないような
資料をつくっておられるんじゃないか。ちょっと心配になりましたから、ひとつそういう
実態をもう少し
皆さんの方でもきちんとされて、本当に低
公害と安全という車の非常に大事な点を
——とりわけ低
公害車ということになりますと、また安全の面にもいろいろなしわ寄せが来て、低
公害にしたんだけれ
ども安全面がルーズになっても困りますから、そういうようなことを考えると、あそこの
体制というのは
審査という実施部門と研究部門と一緒にやっておられるわけでありますけれ
ども、ひとつ十分
運輸省の方として考えてやってもらいたいと思いますし、
環境庁の方も、あそこの
体制についてあなたの方だって無関係なわけじゃないのですから、基準というのはつくればいいというんじゃなくて、つくったのが
現実にどれだけ実行されていくのかということの
体制も
——環境庁の方からも何か少し予算が出ているようですけれ
ども、ひとつ
運輸省の方と相談をされて、そういう検査
体制というものについて一日も早く万全の
体制をとってもらいたいということを最後にお願いをしたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
-
○
小林説明員 私
どもが行っておりますのは、国立の研究所の研究費についての一括した見積もりの調整でございまして、その中には恐らく施設的なものは含まれないと思います。私、直接担当しておりませんのでよくわかりませんけれ
ども、恐らくそうであろうと思います。
したがいまして、私
どもの方で施設について考慮するというわけにはまいりませんけれ
ども、研究の面におきましては、確かに先ほど
先生御
指摘のように、〇・二五グラムというようなものを測定するということになりますと、測定方法だとか、その他それに使います試料の関係、たとえば構成しますガスの濃度が正しい濃度のものがあるとかないとか、あるいは湿度、温度というようなものが非常に微妙に関係いたしておりますので、そういう面の研究については十分今後配慮していきたい、そのように考えております。
-
○
横路委員 政務次官がせっかくおられるから、そういうこともひとつ大蔵省としても目配りしてください。
運輸省の交通安全
公害研究所で
公害の関係の型式指定の
審査、それから
排気ガス、騒音、安全面についての測定の方法等の研究をいろいろやっているわけですよ。ここの
体制が、言ってみますと、どうもなかなか十分とは言えない、まだできて四、五年くらいのことですね。それまでは書類
審査だけで、実は企業の方に出かけていってやるというような
体制だったわけです。それが例の欠陥車問題、安全問題が出てきて、そういう
体制ができて
運輸省の方でやるようになったわけですね。したがって、これは少し先の来年度の話になるわけですけれ
ども、そういう
体制を強化するために、これは大蔵省としても十分ひとつ考えていただきたいと思います。
-
○森(美)政府委員 その点につきまして、大蔵省の
立場で十分に努力をしたいと考えております。
-
-
-
○上村
委員長 休憩前に引き続き
会議を開きます。
質疑を続行いたします。荒木宏君。
-
○荒木委員 このたびの特別
措置法で、農地の相続についての特例の規定が提案をされておりますので、その点についてまずお尋ねをしたいと思います。これはいままで本委員会でも論議がございましたけれ
ども、まずどの範囲の農地に適用されるか、これをひとつ明確にお伺いしたいと思うのです。
いま農地についてはいろいろな法律上の規定がありまして、御案内のように、農業振興会による指定地域、あるいは都市
計画法による調整区域、また市街化区域、さらには
生産緑地法による指定区域といろいろありますけれ
ども、農地の中で適用対象となるのはどういう範囲の地域であるか、これをひとつお伺いしたいと思います。
-
○中橋政府委員 今回御提案申し上げております農地の相続税の特例につきましては、いま御質問の地域的な制限というのはございません。むしろ相続をします人的な条件というのがあるだけでございます。
-
○荒木委員 そういたしますと、市街化区域のA、B農地、これも今回提案の要件を満たす限りは、農地法二条一項の農地として適用の対象になる、こういうことですね。
-
○中橋政府委員 相続人が農業経営をやっていただければ適用がございます。
-
○荒木委員 そういった適用される農地に対する評価として、このたび農業投資
価格という概念が法律に含まれておりますけれ
ども、これについても従来論議が重ねられてまいりましたが、まず私がお尋ねしたいのは、これがいわゆる理論
価格であるのか、あるいは
現実価格と申しますか実際
価格をもとにしておるのか、いろいろ要素としてはそれらのものが複合されておる向きもあると思うのですけれ
ども、一口で言いますと、理論
価格か実際
価格かという点ではどのようにお考えになっておりますか。
-
○中橋政府委員 農業投資
価格といいますのは理論的に定義をいたしておりますけれ
ども、もちろん適用いたしますものは、
現実に農地として売買をされておる、そういうものを適用いたす予定でございます。
-
○荒木委員 そういたしますと、実際の売買には、これは売買の契機というのはさまざまありまして、当事者の取得目的あるいは売却目的、あるいは周辺の相場とか、いわゆる農地以外の宅地化の期待利益といいますか、開発利益といいますか、こういうものも
現実価格の中にはずいぶんとあるわけですけれ
ども、そういうふうな点については
現実価格のどこに基礎を求めるか、どういうふうにお考えでしょうか。
-
○中橋政府委員
現実的には、いわば純農村地域におきまして、農業委員会などのあっせんによりまして農業経営を続けてまいるための農地を取得するという実例がございまするから、そういうものが基本になると思います。
-
○荒木委員 主として実際は東京でありますとかあるいは大阪でありますとか、こういったところの大都市圏の周辺地域の農地の相続が大変大きな問題になってきたわけですが、いま言われました純粋農村地域の純農地としての取引
価格、これはたとえば東京、大阪などの地域では非常に求めがたいと思うのですが、実際の適用の予想されるあり方としては、どういうふうな形をお考えでしょうか。
-
○中橋政府委員 たとえば東京におきましても、都内を広く見ますと、都心を離れましたところでは、農業委員会のあっせんによりましてそういう売買が行われているそうでございます。そういうものが恐らくベースになって考えられると思います。
-
○荒木委員 いま大蔵省の手元に
資料はありますか。実際に、たとえば東京、大阪で純粋農地としての取引の実例の調査をされておりますか。
-
○中橋政府委員 それは今回御提案申し上げております法律が成立しまして、国税庁におきまして全国的にそういうものを集めてもらうことになっておりますが、いま申しましたのは、この制度を立案します過程におきまして、東京近郊においても、そんなに数多くはございませんけれ
ども、
実態的に調査をいたしまして、ただいま申し上げたようなものがあったのでございます。
-
○荒木委員 それは大阪でもありますか。神奈川でもありますか。
-
○横井政府委員 お答え申し上げます。
主税局長が申し上げましたように、ただいまそういう関係の
資料を収集するべく
計画中でございまして、まだ手元に集まってまいっておりませんけれ
ども、大阪府におきましても神奈川県におきましても、純農村に近いような地域がございますので、その辺の農業委員会によります恒久的な農地としての売買実例、この辺を収集する予定でございます。もし万一大阪府下にそういう地域がございません場合は、近辺の和歌山県あるいは奈良県、そういう方面の純農村地帯の
価格を参考にして検討いたしたい、かように考えております。
-
○荒木委員 ちょっと念を押しておきますが、いま主税局長は
資料が国税庁の方にあるとおっしゃったけれ
ども、そうじゃなかったですか。これから集めるということですな。
-
○中橋政府委員 はい。
-
○荒木委員 いまの取引
価格が農業投資
価格として基準にならないというのは、これは先ほどの開発利益とかあるいは宅地化期待利益とか、これを取り除こう、そして純粋に農地として見ていこうと、こういう
趣旨ですね。これはひとつ念を押しておきます。
-
○中橋政府委員 今回の制度の
趣旨は、つづめて申せば、いま言われたような
趣旨でございます。と申しますのは、今日いろいろな土地利用の
計画がございまして、一応の線引きもございますけれ
ども、それが完全に長い間守られておるかと申しますと、まだその点についてはそう断言できないのが
実情でございますので、農地としましても転用が行われる事例が非常に多いわけでございます。したがいまして、
現実に相続が起こりました農地についての評価も、そういうような宅地に転用せられたものあるいは宅地に転用せられる期待利益を含んだもの、そういうものの売買実例が反映せざるを得ないわけでございますので、ある一定の条件のもとにおきましては、いま納めてもらう相続税としては、そういうものを排除した評価をもって算定したものにしようというのが
趣旨でございます。
-
○荒木委員 考え方は御説明でわかりましたけれ
ども、さっき東京でも例はないことはない、若干ある、ただそれをこれから法案が通ったら集めていくのだ、こういうふうに
答弁されたように私は記憶するのですが、しかし、いまは
資料はないということでしょう、結局は。そうですね。
-
○中橋政府委員 数多くまとめたものはございませんけれ
ども、この制度を立案する過程におきまして、一体どの
程度のものかというので、たとえば三多摩地方に出かけてまいりまして、そういうものがあるということは調べたことはございます。
-
○荒木委員 大阪でもありますか。現におわかりの純粋に農地として取引された実例というのはありますか。
-
○中橋政府委員 そのときは実は東京近郊においての調査にとどまったわけでございますが、恐らく大阪としましても、先ほど直
税部長からお答えしましたように、必ずしも行政区画に限りませんから、大阪府にとどまらず、その近辺におきましてはそういった事例を見つけることはできると思っております。
-
○横井政府委員 補足して御説明申し上げます。
資料は集まっておりませんけれ
ども、大阪府下におきましては、農業委員会のあっせんによる農業継続を目的とする売買実例は、ないことはございませんが、きわめて少ないというふうに聞いております。したがいまして、これを収集いたしました上で、それが実際に判定の材料になるかどうか、これを検討いたしまして、もしもそれが適当であればそれに基づきまして検討いたしますし、適当でなければ隣県等の
資料を参酌して決めたい、かように考えております。
-
○荒木委員 問題は開発利益だとかあるいは宅地化期待利益が入っているかどうか、一つはここにあると思うのですね。制度の
趣旨がそういうことだというお話のようですから。そうすると、まあ例は非常に少ない、少ないけれ
どもないことはない、たとえば東京で三多摩地域とか、大阪は場所を特定されませんでしたが、どこか知らぬけれ
どもそういったところとか、そのときにたとえば三多摩なら三多摩で、それが開発利益あるいは宅地化期待利益が入っていないということはどうして言えるのでしょうか。つまり東京都下で、大阪はもしなかったら奈良でも和歌山でも、こういう話だからそれはまあいいですけれ
ども、ただ東京の中で三多摩なら三多摩にあるとおっしゃる場合に、それは宅地化期待利益は全然入っていないのですか。その点はいかがですか。
-
○中橋政府委員 その点は、たとえば農業委員会のあっせんで売買をせられました事例でございますし、農業委員会のそういう学識経験のある人の話によりましても、まずは農業を継続する、その投資として見合うものとしての
価格としてはこの
程度であろうというようなものがあるようでございます。
-
○荒木委員 そうしますと、農業委員会の方のあっせん
価格といいますか、そういった農業関係機関、農業関係者の指示せられる
価格というのがいまの大蔵省のお考えの大体基礎である。つまり、そこへ足を乗っけていくんだというふうに思ってよろしゅうございますか。
-
○中橋政府委員 そうお考えいただいて結構でございます。
-
○荒木委員 ついでに伺っておきますが、たとえば大阪では地域としてはどの辺ですかね。
-
○横井政府委員 大変申しわけございませんが、大阪府下のどの辺の地域であるか、私、現在つまびらかにいたしてございません。
-
○荒木委員 投資
価格をどうして決めるんだということが大変問題になっておることは御案内のとおりですけれ
ども、しかも実例が非常に少ない。
〔
委員長退席、山下(元)
委員長代理着席〕
少ない上に、わずかに御
指摘のようなところも、法案の
趣旨どおりに宅地化期待利益が除去されたものと言い得るかどうか、ここのところが大変問題なところだと思うのです。ただ
皆さん方が別途に大蔵省としての物差しをお持ちじゃなくて、あるいは国税庁としての基準をお持ちではなくて、もう農業関係団体、農業機関の方のあっせん
価格だとか基準、物差し、考え方に大体基礎を置くんだということをここではっきりお認めいただくようなら、それはそれで
実情はまた農業関係者の意見が反映されるでしょうから、一つは具体的妥当性の点の担保にもなり得るかと思うのです。
はっきりお尋ねしたいのは、たとえば東京、大阪、神奈川、こういった地域で農業委員会の意見に大体従ってやるんだということなのか、それとも別途に基準なり物差しなり、投資
価格について大蔵省としてお持ちなのか、ここをひとつはっきりしていただきたい。
-
○横井政府委員 お答え申し上げます。
農業委員会の関係
資料等を基礎にいたしますけれ
ども、土地評価審議会を二十名以内の方々で各局ともに構成いたすわけでございまして、そこで御
議論をいただいて決めてまいるわけでございます。したがいまして、私
どもがただいま物差しを持っておるわけではございませんが、いずれも地価事情に、あるいは土地の評価に精通した方々でございますので、おのずから物差しが出てまいるものだ、かように考えております。
-
○荒木委員 わかりました。
一つはっきりしておきたいのは、農業委員会、農業関係者の意見を基礎にする、いま直
税部長はこう言われましたね。それから審議会の問題は後でお尋ねしますが、別途に大蔵省が物差しを持っているわけではない、それではこの二つは確認してよろしゅうございますね。農業関係者の意見が基礎になる、大蔵省は別に物差しはない、それでよろしゅうございますね。
-
○中橋政府委員 結構でございます。
-
○荒木委員 ところで、その農業関係団体、農業者の意見なんですが、例として農業委員会のあっせん
価格というお話がありました。ところが、農業委員会のあっせん
価格自体が宅地化期待利益を全部取り除いたものかどうか、これは検討の余地があるんじゃないでしょうか。やはりあっせんでありますから、両方の当事者の意向がどうしても無視できない面がある。その場合に、市街化ということでありますと、周辺の
状況その他でどうしても開発が進む。そういう要素が入ってくることは否定できないのじゃないかと思うのです。
ですから、理論的に宅地化期待利益を取り除く、それを
現実価格としてどういう方法でどこに求めるかということになりますと、必ずしも農業委員会のあっせん
価格をもって理論要請が全部充足されたと言い切れない面がある。現にこの点については、一応調査機関としてしばしば引用されます日本不動産研究所の「田畑
価格並びに小作料調」というのがあります。ここで東京、大阪、神奈川などについて田畑の売買実例、宅地化期待を持った
価格ではなくて、純粋農地としての取引実例というものを把握することが可能だと見ているかどうかですね。この機関に限りませんが、いろいろな調査機関がありますけれ
ども、純粋に農地として、東京や大阪や神奈川の行政区域内でそういうものを認定することが可能かどうか。
皆さんはできるとおっしゃる。いま例は少ないが、これからやりますとおっしゃる。しかし、
皆さん方以外の機関でそういうことが東京、大阪、神奈川でできると言っている機関があるでしょうか。あるかないか。もしあるとすれば、それはどこだということをひとつ教えていただきたい。
-
○中橋政府委員 それは私
どもが、先ほど申しましたように、この制度を立案するに当たっていわゆる農業委員会のそういった面における経験者の話を総合しましたところによれば、大体この
程度の
価格であれば農業経営として成り立ち得るというようなものがあると判断をいたしたからでございます。具体的にそれが一体どのくらいになるかということは、まさに土地評価審議会における審議にまつばかりでございまして、そこにおいての農業についての学識経験の豊かな人がそういうものを見出してくれるということにこの制度は乗っておるわけでございます。
-
○荒木委員 そうすると、すべては今後であって、いままでのところでは、たとえば東京、大阪、神奈川では、農業投資
価格を決めるに当たって宅地化期待利益を除去したような
価格算定の基礎になり得るデータはこれです、それをやっておる団体はたとえばこれですということはない、つまり、東京、大阪、神奈川の範囲内ではそういうことを行政区域内の
資料で見つけることはできないということになるんじゃないでしょうか。
皆さんはできるとおっしゃる。これからは別ですよ。いまの
時点でですよ。いまの
時点でできるかできないかという点はいかがでしょうか。
-
○中橋政府委員 それは先ほどお答えしましたように、三多摩におきましてはそういう例がございましたから、私
どもは見出し得るという判断をいたしておるわけでございます。
-
○荒木委員 しかし、東京都内では、不動産研究所が調査をして、ここ四年間で純粋に農地としての取引でありますと言い切れるのはゼロだ、こう言っておるのです。
皆さんの方は、農地取引については余りいままでよく調査研究して
資料をまとめ上げてはいないようにいまお伺いしたのですけれ
ども、こっちの方は、民間と言いながらそれを専門にやっておるところです、それが、ない、こう言っておるのですがね。
ですから、一つは農業委員会などの農業関係団体の意見に基礎を置くとおっしゃっておる。これは一ついただきたいと思うのです。しかし、その農業関係団体の意見にしても、民間の専門機関では、それは純粋に農地としての取引
価格じゃありません、こう言っておるのです。だとしたら、その基礎を置く置き方がそこから上へも行くし、下へも行くし、縦へも横へも自由自在に行くという、その一つの単なる基礎というものじゃなくて、それよりもまだまだ農地としての
価格を詰めていくといいますか、つまり農業委員会のあっせん
価格からさらに宅地化期待利益を除いていくという方向での基礎であり出発点でなければならぬのじゃなかろうか。この機関が、そういうのはもう東京や大阪や神奈川では見つけられません、こう言っているのですから。つまりみんな開発利益だとか宅地化期待利益が、
程度の差はあっても入っていると言うのです。その点いかがですか。
-
○中橋政府委員 そこは先ほど冒頭に私がお答えいたしましたように、農業投資
価格というのは理論的につくり上げるものでございますけれ
ども、それをつくり上げるについては
現実のそういったものがある、それをもとにしますということを申し上げた、それに尽きるわけでございまして、たとえば不動産研究所においてそういうものがないということをおっしゃいましても、
現実に売買をあっせんいたしました農業委員会のそういった経験のある人は、これがまさに農業を継続する上においての投資として成り立ち得る
価格であるという認定をしておるわけでございます。そういう
価格をもとにして農業投資
価格というものは算定できるであろうというふうに考えております。
-
○荒木委員 考え方の方向を伺っておるのですが、つまり農業委員会が投資として成り立ち得ると言っている。しかし、投資として成り立ち得ると言っているかどうか、これはまた一つ問題じゃないでしょうか。だってあっせんなんですから、両方の言い分を聞いて、やはり売り手の意見も聞かなければなりません。投資というのは買い手の方の意見ですからね。その間の妥協、調整としてあっせん
価格というものはそれぞれ決まっていくわけですからね。だから、それがはたして理論的に見て宅地化期待利益を全部除いた
価格と言い切れるかどうか。むしろ民間の団体では、それは宅地化期待利益が入っている、だから農地としての純粋
価格としてはとり得ないという意見もあるのですから。
皆さん方のお考えの方向としては、農業委員会のあっせん
価格に基礎を置く、それはそれでいいでしょう。それからの方向として、さらにそこから宅地化期待利益を取り除いていくという方向でお考えをいただく筋合いではないでしょうか。この方向を伺っているわけです。
-
○中橋政府委員 その点については、先ほど御質問の大蔵省として基準を持っておるかとおっしゃいましたことについての答えでございます。基準は大蔵省として持っていないわけでございます。したがって、各国税局ごとに置かれる土地評価審議会においてそういうものは決定されますから、おっしゃるように一人の人が出す農業投資
価格というものにつきまして、他のまた学識経験のある人がどういうふうな判断をするか、全体がどういうふうな判断をするかということで、それは今後の問題、土地評価審議会における審議にまつというのがこの制度の
趣旨でございます。
-
○荒木委員 評価審議会の結論に拘束される、あるいは農業団体の意見に基礎を置いて、それを採用するという法律になっていれば、いまの局長の御
答弁はそれでもいいかと思います。だけれ
ども、意見を聞くだけでしょう、法律上は。農地の場合には聞く義務になっていますけれ
ども、聞くだけでしょう。それに拘束されるという法律にはなっていない。任命権もあるし決定権はやはり国税局長にある、こういうたてまえで
皆さんの方は御提案になっている。だとしたら、
法律案をそのとおり読ましていただくとして、
趣旨をはっきりしていただきたいのです。
つまり、出された意見はそれを大体よほどのことがない限りはそのまま採用する、こういう方針なのか、決定権なり何なりを持っている大蔵省としてですよ。また、そうじゃない、やはり決定権は国税局長にあるとするなら、出された答申をもとにどっちの方向に決定をしていくのか、つまり、農業委員会のあっせん
価格をもとに意見が出されてくる、そこへもう一つそれをいじる場合に、宅地化期待利益がまだ入っているのではなかろうかということで取り除く方向で決定権を行使なさるか、いまあなたのおっしゃるように何も物差しはない、まあ審議会任せでありますと言うなら、何も局長に決定権を持たせる必要は必ずしもないじゃないか、形式的決定権はあっても実質的にはそれに拘束されるなり、最大限に尊重するなり、だから決定権の内容としてそういった実質的な決定権は農業団体にあるというようにおっしゃるならそれはそれでもいいし、そうでなくて国税局長が決めるという
立場でおっしゃるなら、やはり物差しの方向はおっしゃっていただかないと、どっちを向いて走るやらわからぬ、こういうことになるのじゃないですか。
-
○横井政府委員 御
指摘のように諮問機関でございますので、意見をお伺いするということでございますが、特別に評価審議会を置く、こういう
趣旨からおわかりいただけておりますように、当然その御意見は尊重するということを考えておるわけでございます。
次に、どういう方向で
指導するか、国税局長はどう考えるかということでございますが、もしも御
指摘のように、たとえば東京都内におきまして、主税局長が申しておりますように、適正な実例があればそれでよろしゅうございますし、ない場合におきまして、それらの実例も宅地化の要素が相当入っておるということでございましたならば、その実例
価格から宅地化要素を除くような方向で
指導はいたさなければならない、かように考えております。また地域間に著しいアンバランスが生ずるというふうな場合におきましても、国税庁におきまして
指導いたしたい、かように考えておるわけでございます。
-
○荒木委員 大体のお考えはわかりましたが、そこで現在
皆さんがやっていなさる農地に対する評価のやり方が、いまおっしゃったお考えの方向に向かってどのように適用されていくか、どのように変わっていくかということをお聞きしたいのですが、いま市街化区域内の農地評価、これが一つありますね。それから周辺農地の評価、こういうやり方も一つやっていらっしゃる。それから中間農地というふうな評価のやり方、これもやっていらっしゃる。こういった周辺農地としての評価のやり方とか中間農地としての評価のやり方とかいういまやっていなさる二つのやり方は、宅地化期待利益が混入しているというふうに見ていらっしゃるのか、あるいはもういまのやり方そのままで、これは宅地化期待利益を除いたものであるというふうにおっしゃられるのか、この点をお伺いしたいと思います。
-
○横井政府委員 お答え申し上げます。
一般論といたしましては、宅地化の要素が入っておる場合が多いというふうに見ております。特殊な例外といたしましては、現在でも開発のおくれております地域につきましては、純農村的な
価格あるいは農業継続を前提とする
価格が形成されておるのではないか。しかしながら、一般的に開発が進んでおる地域が多うございますので、そこで宅地化要素が含まれておると考えるわけでございます。ただ御承知のように、私
ども評価の過程におきまして、農地につきましては現在の法律上許される範囲内におきまして評価のしんしゃくをいたしてまいっておりますので、その評価の最初の姿から見ますと、現在宅地化の要素がある
程度は除去されておる、かように考えるわけでございます。
-
○荒木委員 そうすると、一般的には周辺農地とか中間農地とかいうのは、これは宅地化の利益が入っている。ですから、それが純粋に入らないということになると、どうしても純農地といいますか純粋農地といいますか、現行法の評価のやり方の分類から言えば、純粋農地という部分が一般的に宅地化期待利益というものを除いた評価領域である、こういうふうに見ていいわけですね。そうですね。それをちょっと一言議事録の関係があるから
答弁しておいてください。
-
○横井政府委員 おおむね御
指摘のとおりでございます。
-
○荒木委員 それと関連しまして、先ほど局長から、いまの農業委員会のあっせん
価格で農業投資が成り立っている、こういう話がありましたね。これは一般的なことですけれ
ども、金を出して農地を買って農業を継続する、成り立つということですね。いま局長がおっしゃった成り立つということは、それで採算がとれるということだ、こう伺っていいですか。農業が成り立っている、それは農業でそろばんが合っている、こういう
意味でしょうか。
-
○中橋政府委員 恐らくそのときには追加的に買った農地でございましょうから、前から持っておる農地の大きさとも関連をいたしますけれ
ども、そういうものを追加的に足しても十分全体の農地としての農業経営は成り立つ、採算がとれるということだと思います。
-
○荒木委員 そうすると、成り立つ、採算がとれるということは、収益と支出がバランスがとれる、こういう
意味でしょうね。
-
○中橋政府委員 恐らく基本的にはそういうことになると思います。
-
○荒木委員 そうしますと、一般的な物の考え方として、収入から経費を引いて利益なり何なりが残る、大体収益をもとに見てそれでそろばんがとれていく、成り立っていく
価格、だからそれで投資利益と見ていいんだ、こういうことになってまいりますと、収益を大変超えたり、それと離れたような
価格は農業投資
価格とは見られない、こういう
意味だと伺ってよろしいですね。
-
○中橋政府委員 純粋理論的に申せば、恐らく収益還元
価格に非常に近い
価格になると思います。ただ、今日の収益とそれから将来の、農業経営をずっと続けていきましたときの収益予想額というようなものがかみ合わさりました、そういったものが頭の中にあると思います。
-
○荒木委員 理論的なお考えはほぼわかりました。理論的に言えば、
皆さんのおっしゃっている法案の農業投資
価格というのは、いわゆる収益還元
価格に非常に近い、局長はこうおっしゃっているわけですね。問題は、経済変動も将来予想されないことはない。しかし、
現実にその法案を提起された場合に、一つは理論的な考え方をはっきり伺っておかなければならない。問題があれが
指摘もさしていただかなければならない。同時に、当面適用されたらどうなるか、これも一つの問題ですね。ですから、将来の農業収益の予想がどうなるか、これはいろいろな要素もありますし、政府の農業政策の成否も大いにからんでくる。ただ、いままで過去十年、二十年の日本の農家経営のなにを見ますと、非常に農業経営は苦しくなってきている。
〔山下(元)
委員長代理退席、
委員長着席〕
これは現に農業経営者や関係団体の
皆さんがおっしゃるのですから、私は間違いないと思うのです。
そうすると、先に行って非常に好転するという蓋然性があれば別ですが、いまの政府の提起されておる農業政策の範囲内で、実際に農民の
皆さんや農民団体の
皆さんから、これで農業収益というものの未来はバラ色であるというような声を聞いたことは私は残念ながらまだないわけです。恐らく局長もその点はおっしゃれないんじゃないかと思うのです。ですから、抽象的な将来のことというのは別にしまして、
現実にいま収益というもの、そろばんというもの、採算というもの、それが投資
価格だとおっしゃるなら、単に理論的にそれに近いものになるというのではなくて、いま
現実的に適用すれば大体その辺になる、こういうことになるんじゃないでしょうか。
-
○中橋政府委員 今回の制度をいろいろ考えましたときに、農業をやっておる人たちから訴えられましたことは、自分たちは将来に向かいましてはずっと農業をやっていくんだ、そういうときに相続税というものが障害にならないようにということでございますから、いま荒木委員がおっしゃいますように、必ずしも農業の将来について私は灰色という意識ばかりを持っておるとは思っておりません。やはり一つの経営として十分成り立ち得るために、農業を自分たちは将来に向かって続けていくんだということを言っておる。その将来にわたって農業を続けるについて相続税をどういうふうに考えたらいいかということが今回の問題の発端であったと思います。
したがいまして、過去から今日におきますところのそういう農業経営の推移と、それから今後そういうものを伸ばしましたときの農業経営の
動向というものを勘案して、私はそういうものを推定するということは十分可能ではないかと思います。しかし、
現実におきましては、そんなに今日におきますところの収益とかけ離れた農業投資
価格というのはあり得ないと思っております。
-
○荒木委員 少し質問と
答弁のつながりがそれかけた感じがするのですけれ
ども、しかしいまの御
答弁で、理論的にも農業投資
価格というのは収益還元
価格というものに近い、それから
現実的にもそれとかけ離れたものにはならない、理論的にどう、
現実的にどうということで、そういう御
答弁だったと思うのですよ。
資料がいまのところまだ十分じゃないというお話ですから、
現実にどうというのはちょっとこれ以上の論議はむずかしいかもしれぬと思うのです。
しかし、私のいまお尋ねしております論旨は、宅地化期待利益というものを取り除くべしという大命題を、この農業投資
価格の考え方と、その考えを適用した実際と、これについて当てはめてみますと、一つは農業委員会のあっせん
価格というのが基礎になる、こうおっしゃる。それはそれでお伺いするとして、そこからさらにそこの中にも宅地化期待利益が含まれておれば取り除くべし、こういう方向をとるべきではないかというのに対しては、含まれておればそれは取り除くようにしますと直
税部長はおっしゃっておる、考え方の方向として。
それから、
現実の適用として、いまの四分類のうち、中間農地あるいは周辺農地については一般的には期待利益が入っておるから、言うなれば領域としては純粋農地の領域だ、ここも明らかになってきたわけですね。
収益との関係では、理論的には収益還元
価格に農業投資
価格は近いということを大体お認めになり、
現実にもかけ離れたものにはならないということまできたわけですが、私は時間的な、時系列的な点から言いまして、いまの
現実適用の純粋農地にしても、それから農業委員会のあっせん
価格にしても、どうしても社会全体の開発傾向といいますか、あるいは政策効果の及ぶ範囲といいますか、そういうことと遮断されてはあり得ない。ですから、いま端的に言えば、一番純粋に農地だというふうに見られるところを地図の上でずっとたどっていきまして、これは大阪や東京の都心からはだんだん離れていくでしょう、宅地化期待利益を除くのですから。そして先ほどお話しのように、たとえば大阪について言えば、和歌山へ伸ばし、奈良へ伸ばし、できるだけ純粋農村というところにずっと手を伸ばしていって行き着いた一番先ですね、これはどこになるかわかりませんけれ
ども、そこでもやはり宅地化期待利益というものが全くないかというと、それも考えてみなければならないのじゃないか。
たとえば、いまずいぶん山奥の方に、田舎の方に、ゴルフ場ができたり高速道路が走ったりすることによって、農業委員会のあっせん
価格というものがやっぱり影響を受けるのではないか。売り手があるわけですからね。農業投資を考える買い手の
立場だけではなくて、それによって売買代金を取得するという売り手の
立場があるわけですから、そういう
意味合いでは、いまの
時点というよりも、いまのように開発を政策的にどんどん進めてきた、そういう政策をとるよりも前の
時点というものが、ひとつどうしても純粋に農地としての投資
価格を考える場合には取り上げる
時点になるのではないか。
場所ということを一つずっとお尋ねしてきました。理論
価格と
現実価格というものをお尋ねしてきた。今度はその基準となる
時点についてお尋ねをしたいのですが、純粋に農地としての投資
価格というのを追求していくときに、いまの
時点のあっせん
価格だけを基準になさるのか、それとも期待利益を除くということなら、数年間に四十四兆円の札束が乱れ飛んで大変な面積の土地が動いた、そういう一時期を経ない前の農地の
価格というものも考えてみる必要があるんではないか、こう思いますがいかがですか。
-
○中橋政府委員 相続が起こりましたときのその
時点における
現実の農地の評価額、これは従来どおりの評価額、それからその
時点におきますところの農業投資
価格というものにおいて算定しました相続税額、その間の差額が徴収猶予になるわけでございまするから、過去におきますところの農業投資
価格なり売買実例価額の評価というものは取り得ないものでございます。
-
○荒木委員 つまりその考え方を現在に適用する場合に、たとえば農業委員会のあっせん
価格に期待利益は全く入っていないか、これを時系列的にいま問題にしているのですよ。
御案内のように、日本列島改造
計画などという案がありまして、それで四国の面積に匹敵するぐらいの農地が数年間に動いた。そのことはいまの農業投資
価格に全然影響を与えていないか、まるきり遮断されているか、このことを聞いているわけです。いまの取引
価格がそのままでもとになるという法案でしたら、いまの局長の
答弁でもいいかもしれない。しかし、やはり理論的には宅地化期待利益を除く、これは地域的にもそうであるし、時間的にもそうであるし、ですからいまの農業投資
価格を決める上で、現在のあっせん
価格をそのままストレートにいただいていいのか。つまりそれは数年間のあの日本列島改造
計画で土地がどんどん値上がりをした、それが全く遮断されているものかどうか、こういうことなんです。
ですから、時系列的に見て、農地としての取引
価格はどういうカーブで推移してきているでしょうか。局長、農地としての取引
価格はこの十年間横ばいですから、それとも三十度ぐらいの曲線で上がってきていますか、あるいはその間に屈折点がありますか。現在の
現実あっせん
価格が、理論的に見た場合の期待利益を全然除去していると言えるかどうか。むしろ期待利益を除去した
価格というものは、過去のある
時点をもとにして
——その後の環境の変化もあるでしょうけれ
ども、そういったもとに置くべき
時点というのをいまに置くのがいいか、それとも過去にさかのぼってとって、そしてそこからの影響をいろいろ考えていまのカーブを決める、こういうことの方がいいのではないか、そのことなんです。
-
○横井政府委員 御
指摘の点、ごもっともにも存ずるのでございますけれ
ども、宅地化が進んでまいったことば事実でございまして、そのために今度の特例のような
措置を考えるに至ったわけでございますが、同時に、その間におきまして農産物の
価格も変化がございます。また農家の所得も変化があるはずでございます。その辺を考えますと、私
どもといたしましては、実務的には最近における農家間の純農地としての売買実例等を収集いたしまして、先ほど御
指摘がございました、そこに宅地化の要素が相当
程度入っておるということであれば、それを除去するというふうな方法の方が妥当ではないか、かように考えております。
-
○荒木委員 さっきお尋ねした農地としてのあっせん
価格、取引
価格の時系列的な変化はどう見ておられますか。横ばいか、それとも漸増か、あるいは屈折点があるか。
-
○中橋政府委員 具体的な
数字をもちろん私
ども持っていないわけですけれ
ども、それはやはり農業経営に対する見方の変遷をあらわすと思っております。わが国におきましての農業の地位の今後における
動向、それは毎年毎年もちろん変わってくるわけでございましょうけれ
ども、そういうものを判断いたしますれば、私はやはり固定しておるとは思いません、漸増しておるのではないかというふうに思いますし、それでは今後のわが国における農業の地位ということを考えますれば、私はそんなに下降線をたどるものでもないと思っております。
-
○荒木委員 いま漸増しておる、こうおっしゃったのですが、足取り曲線は局長がおっしゃったのと違うのですよ。昭和三十九年が一つの屈折点になっておりまして、そしてそのころからずっと上がってきて、もう四十四年、四十五年、四十六年とかけてカーブが非常に急カーブになっておる。そういうことですので、全体の土地の値上がり原因、大不動産会社の土地買いあさりだとか、あるいは開発政策だとか、つまり農業継続ということとは違った次元の政策なり社会現象なりが入っておる、そういう時期はやはり除いた方が宅地化期待利益を取り除く理論
価格の
現実化の上では妥当なのではないか。
ですから、何も三十九年の農地のあっせん
価格をもってきてそのまま現在にせよ、こう言っているのではないのですよ。しかし置く基礎を、その
時点としてはそういった異常現象といいますか、あるいは別の原因が入っていると思われるようなところはなるべく取り除いて決めていくのか妥当ではないか。さっき局長も部長も、収益が上がってきているということもあるし、今後も収益が決して灰色とは思わぬ、こういうお話なんですけれ
ども、農業投資
価格は、
皆さん方は理論的には収益は別にしているのでしょう。
現実の取引
価格、ここへもとを置いているわけです。ただ理論的にも
現実的にも、結果としては投資
価格に近くなる、あるいは余り離れない、こうおっしゃっているだけであって、考え方としては
現実取引
価格と、こうおっしゃるのですから、それなら地域としては東京、大阪、神奈川を離れた、ずっと農村一色になっているところをもとにするのがいいし、それから時間的にも列島改造
計画その他の、ああいった撹乱、土地
価格の急騰が起こった時期を戻したところをもとに、そこからいまの
価格を見るということの方がいいのではないか、こういうことを言っているわけです。
ですから、どの地点という点は大分御意見も伺いましたから、いま基準を置くべき
時点が、現在の投資
価格を
計算するにしてもいまの取引
価格をそのままストレートにするだけでいいか、それとも異常
価格、異常値上がりを示した前の三十九年ごろの農地というものを片方でどうしても見なければいかぬのじゃないか、こう言っているわけです。
-
○中橋政府委員 いまおっしゃいましたその昭和四十年代の前半におきますところの異常な農地の
価格上昇といいますものは、今日私
どもが言っております農業投資
価格ではないわけでありまして、いわば宅地期待含みの
価格が非常に反映したもの、それが
現実にそういう姿になっておるわけでございます。
そこで、私
どもが言っております今後見出さなければならない投資
価格といいますのは、そういう農地を他に転用するということを全く捨象した、農業投資としてだけの
価格でございますから、そんなに変動もないことは確かでございましょうが、また昭和四十年代のあの一般の地価の変動にもそんなに影響もされていない。したがって、そういうものをわざわざ引く必要もない、こういうことを申し上げているのであります。
-
○荒木委員 初めの部分はそれでわかるのです。つまり宅地化期待利益を取り除く、そのお考えがどうあられるか聞いておるのですけれ
ども、できるだけ東京、大阪、神奈川を離れて田舎の方をもとにする、純農村をもとにする、これはわかるのです。しかし、その純農村地帯におけるあっせん
価格というものが、異常時期の影響を全く受けていないですか。だって、山奥にゴルフ場がありますよ、高速道路が通りますよ。そのときのあっせん
価格が宅地化期待利益が全く入っていないと言い切れますか。三十九年ごろ、三十八年ごろのあっせん
価格は、まだこんなところにゴルフ場は来ないだろう、高速道路も走らぬだろうということで、それは常識的にわかりますけれ
ども、いま純粋農村地帯に行ってもそういったものがずっと来ている、その影響がずっと及んできているというようなところは、やはりそういう影響を除去するためには、一つはそういったことがある前の
価格というものを一遍考えてみる、これも必要なんじゃないでしょうか。
-
○中橋政府委員 農地が転用せられるということをいろいろ配慮すれば、おっしゃるようにいろいろな
価格が農地にも反映することは確かでございます。そういうものを捨象した農業投資
価格ということでございますから、昭和三十九年であれ、四十四年であれ、今日であれ、そういう農業の収益というものを土台にしまして
価格というのは恐らくそれに収斂するであろうということを私も先ほどは申し上げたのでございます。私は先ほど来、恐らく農業投資
価格というのは、純粋に農業収益というもの、それはもちろん将来における農業の収益というものを反映しながら、そういうものを土台にして成り立つであろうということは再々申し上げておるとおりでございまして、収益と離れて考えられるというのは、いろんな他の要素が入ってくるからこそ売買実例と収益還元
価格の違いが出てくるわけでございます。ここにそれが一番出ておりますのは、そういう宅地含みを含んだ
価格でございますので、いま
議論をしなければならないのはそういう影響のない農業投資
価格というものなんであります。
-
○荒木委員 これは具体的な実例を提起すれば、幾ら純粋農村地域の方に行っても開発影響を受けて農地としての地価も上昇してきたという地域を
指摘すれば、論議はもっとはっきりすると思うのですけれ
ども、時間の関係もありますから、それはまた他の同僚委員の討議の時期に譲るとしまして、先ほどから出ております審議会、これがかなり重要な役割りを果たすというふうに思うのです。先ほどは、農業委員会のあっせん
価格を重視するとおっしゃって、それをもとにするというような話ですが、そうすると、農業委員会の委員さんなどは当然審議会の構成メンバーに入られる、こういうことになりますね。
-
○横井政府委員 御提案申し上げておりますように、各国税局ごとの評価審議会の委員の定数は二十名以内でございます。したがいまして、その範囲内におきまして関係行政機関あるいは学識経験者、こういう方々に委員になっていただくというようなことを考えております。その中におきまして、都道府県ごとに置かれております農業
会議の方で地価、土地の評価等に精通しておられる方、そういう方にお願いすることは当然あり得ることだというふうに考えております。
-
○荒木委員 これは農地取引、農地
価格に精通された方ということのようですが、農業委員会なり農業
会議あるいは農業協同組合中央会といろいろ農業関係団体がありますけれ
ども、そういった団体で農地
価格に精通しておられる方に入っていただくというお話のようですが、これは試験するわけじゃないでしょう。採用に当たって農地
価格にどの
程度精通しているか一遍テストするとか、こういうわけでもないと思うのですがね。だとしますと、やはり農業委員会なり農業
会議なり、関係団体の推薦が実務的には一つのめどになっていくのじゃないでしょうか、その点はどうでしょうか。
-
○横井政府委員 御
指摘のように試験をするとかいうことではございませんので、関係行政機関でございます農政局とか、あるいは都道府県等とも御相談いたしまして、精通者に委員を委嘱するということになろうかと思います。
-
○荒木委員 相談する中には農業
会議や農業協同組合な
ども入りますか。
-
○横井政府委員 必要に応じまして御相談することもあり得るかと思います。
-
○荒木委員 ただしかし、先ほどのお話だと、農業委員会のあっせん
価格に基礎を置く、それで、
現実にあっせん
価格があると御
答弁の中でしばしば繰り返して言われたわけで、ほかには余り
資料がない、大体そこがもとだというような
趣旨の御
答弁に聞いたのですが、基礎を置く、重視をしておられる、そこに必要に応じて相談というのは、ちょっと先ほどの御
答弁の
趣旨とはニュアンスがずれるのではないか。そんなに重視して基礎を置かれるのなら、やはりそこには相談を持ちかけて、そして、どういう方がよろしいでしょうかというのが常識的じゃないかと思うのですが、これはどうですか。
-
○横井政府委員 事実上は御
指摘のようなことになるであろうというふうに思っております。
-
○荒木委員 なるであろうというふうな何かこうあなた任せじゃなくて、
皆さんはどうなさるか、こう聞いているんですよ。ですから、なるであろうと言うんなら、私たちはそういうふうにするつもりです、こうおっしゃっていただく方が筋じゃないでしょうか。
-
○中橋政府委員 これは当委員会におきまして、相続税法の一部改正案の審議の際にその点についての附帯決議がつけられましたところでございますし、政府としましてもそれを尊重するということでございまするから、その附帯決議のとおり「農業団体の構成員で農地の評価に精通していると認められる者をもその対象とする」
——対象といいますのは土地評価審議会の委員となる対象とするということでございますが、「その対象とするよう配意すること。」ということでございますので、政府としましては十分それを尊重してまいりたいと思っております。
-
○荒木委員 大体二十人以下ということのようですけれ
ども、その中でいまの方々がどのぐらいの割合になりましょうかね。最後は多数決ということになるのかどうかよくわかりませんけれ
ども、しかし二十人の中に一人、二人では、これは先ほどの附帯決議の
趣旨から言ってもあまり尊重していただけるとは考えられぬ、こういう意見もあるいは出ようかと思うのですよ。ですから、めどとしまして大体どのぐらいの割合になるか、あるいは人数としてはどのぐらいになるか、これもひとついまの考えを聞かしていただきたいと思うのです。
-
○横井政府委員 まだ素案でございますけれ
ども、ただいまのところ予定しておりますのは、関係行政機関の方ということで農林省の地方農政局、営林局の方、それから大蔵省財務局の方、この辺を予定しております。それから地方公共団体の方ということで、各都道府県の職員の方で市町村の固定資産税に関する事務を担当しておるような方を予定しております。それから学識経験者でございますが、日本不動産研究所の職員の方、不動産鑑定士の方、あるいはただいま御
指摘になりました都道府県農業
会議などの農業団体の構成員で農地の
価格事情に精通している方というふうな方を予定しております。
したがいまして、農業団体の方が何名になるかということはいまのところはっきりいたしておりませんけれ
ども、農政局、営林局の方等も加えますと、ある
程度の数の方が参画されるということになるのではないかというふうに考えております。
-
○荒木委員 私がお伺いしましたのは、最初の投資
価格をどう決めるかという論議のときに、
皆さん方は、農業委員会のあっせん
価格に基礎を置く、で、それを東京では三多摩にも行って若干の例も調べたと、農業委員会ということを非常に重視しておっしゃった。ところが、民間の研究機関について私が申し上げたけれ
ども、それについては特に重視するというようなお答えもなかった。あるいは地方自治団体の固定資産評価について重視するというような御
答弁もなかった。
だとしますと、構成のメンバーの大体の類別といいますか、これはいま伺ったけれ
ども、さっきの農業委員会なり農業関係団体を重視する、附帯決議を尊重するとおっしゃる
趣旨から言えば、その範囲の
皆さんは少なくとも何名、あるいは少なくとも割合は何割、これをおっしゃっていただかないと、いろいろな向きの人をずっと寄せてきてとにかく農業に関係ありますと言うだけでは、農業委員会のあっせん
価格を基礎にするとおっしゃったのとはニュアンスが一致しない点がある。附帯決議を尊重するとおっしゃったのなら、めどは大体どのぐらいでしょうか、こう聞いているわけです。
-
○中橋政府委員
現実にはこれから法案が成立しました暁において、国税庁で具体的にどういった種類の方々にお願いをするかということを決定すると思いますが、立案者としましてもいまおっしゃった
趣旨を兼ねまして、もちろん私
どもの頭の中には、関係行政機関、その中にはもちろん固定資産税の精通者も入ります。それから農地その他林地、採草放牧地についての経験のある方を含む。そのほかに、一般の宅地についても今後この審議会で御
議論をいただかなければなりませんからそういう方々も入っていただくということでございますので、大体、行政機関の方々、それからいわゆる農林業の方々、それから宅地についての経験のある方々、こういうグループででき上がるものと思っております。
-
○荒木委員 つまり農業に関係しているかどうかというだけじゃないんです、ぼくが聞いていますのは。実際の取引
価格の
実情をどの
程度御存じか、これも一つの要素でしょう。だけれ
ども、一番の生命とも言えるのは、宅地化期待利益を除くという方向での学識経験がどれくらいあるか、これでしょう。だって、いまの
現実価格をかなりよく知っていると言っても、それをそのままスライドしたってだめなんですから。
問題は、期待利益なり開発利益なりを除いて、純粋に農地として見た場合に幾らになるかということの学識経験が必要だ。その経験なり実践なり調査を伺えば、
皆さんは農業委員会だ、こうおっしゃっておる。あるいは農業協同組合なんかもありましょうけれ
ども。だとしたら、その肝心かなめの点での学識経験を持つというふうに思われる層の
皆さんが少なくとも何割、少なくとも何人というのでなければ、宅地化期待利益が混入するおそれがないとも言えない。こういうことで言っているわけですよ。これから案をつくるというふうにおっしゃっておるわけですから、ひとつ最大限その点の
趣旨を尊重していただいて、たとえば半分以上にするとか、そのめどですね、そういうふうなことについて検討されるかどうか、これをひとつ伺っておきたいと思います。
-
○中橋政府委員 ある
価格から宅地含みの
価格を除外するという作業ではないことは先ほど来申し上げておるとおりでございまして、農業投資
価格に当たるものの
現実にあるものを見出すというところに、先ほど来農業委員会のあっせん
価格というようなものを申し上げたつもりでございます。したがいまして、そういう方々の学識経験者としての御意見、それから行政機関としての御意見、それからもう一つには、宅地その他一般についての土地評価についての学識経験のある方々の御意見、この三者構成でやってはいかがかというのが立案をしました私
どもの考えでございますけれ
ども、そういう三者構成的な要素を勘案しながら、今後国税庁で具体的な人選をすると思っております。
-
○荒木委員 だけれ
ども、さっき
皆さんの
答弁であっせん
価格が出てきた、そこから宅地化期待利益が入っておると思えば取り除く、こうおっしゃったじゃないですか。だから、宅地化期待利益を取り除くというのは重要な作業の一つでしょう。さっきの
答弁、そうおっしゃったですよ。これからの方向として、あっせん
価格を調べる。調べた中でまだ入っている場合がある、私はこう言ったのです。あればそれは取り除く、こうおっしゃったのだから。取り除くのなら取り除く経験をやっている人、その学識のある人でなければなかなか取り除き作業はできぬじゃないですか。それを言っているわけです。ですから、いま質問している
趣旨を、宅地化期待利益を取り除くということを十分含めて審議会の構成を進められるかどうか、その点ひとつはっきりしてください。
-
○中橋政府委員 私は先ほど来申し上げておりますように、農業投資
価格としましては理論的にもそういうものは見出し得ますし、
現実に基礎とすべきものはあるということを申し上げてきたつもりでございます。しかし、そういうものを
現実に見出すにつきましては、農業委員会等のそういった精通者に土地評価審議会に入っていただくということは重要でございますし、私の申し上げる三者構成の中の重要な部分を占めるということもまた、今後の人選に当たって配慮しなければならないことだと思っております。
-
○荒木委員 少し論議がすれ違いになってきましたから、この点は一応これでおきます。
次に、担保の点を伺っておきたいのですけれ
ども、
皆さんの案ですと、猶予期間中担保を設定する、こういうことになっているようですがね。いま農地については農業関係の政策金融が進められて、いろいろ農林中金だとか農林漁業金融公庫から貸し出しがあるわけですけれ
ども、このことのために担保権を設定して、それで今度は制度金融が受けられぬ。担保に入っていますからね。これはもう残存価値がないからあとは受けられぬ、こういうふうなことになるおそれはないでしょうか。税務署なり国税局なり国が担保を取っちゃった、全部農地を担保に入れたから、あと担保価値が余りない。農林中金も金融公庫も担保を求めた場合に、もうほかにはないから貸せません、こういうおそれはありませんか。
-
○岡崎説明員 農業の政策金融機関といたしまして農林漁業金融公庫がございますが、それの金融に当たりましての担保につきましては、担保または保証人という形で弾力的に取り扱うというのが基本になっておりますので、もし本制度に基づきまして農地が担保になっておりまして、その担保評価が農林公庫が貸すお金の評価として足りないということでありますれば、まず保証人を立てていただいて融資をするということになろうかと思います。
-
○荒木委員 そうすると、この担保を設定して、実際に制度金融の貸し出しに当たって断る、このことのために断るということは
現実にはない、こういうことですね。
-
○岡崎説明員
個々具体的の取り扱いにつきましては、そのような
趣旨を踏まえまして、担保、保証人関係については弾力的に取り扱うということでございまして、頭から全くないかどうかということにつきましては、
個々の具体的な例として考えさせていただきたいと思います。
-
○荒木委員 私
どもは、農業団体のいろいろな要求その他、
皆さんも聞いていらっしゃるでしょうし、農地の相続税問題については純粋に農地として評価をすべきであって、そのことから、猶予制度であるとかあるいは担保をつけるとか、しかもそれが二十年とかいうふうなのは要求に沿っていないし、
措置としてはよろしくない、こういうふうに考えておるわけですけれ
ども、いま
皆さんがお出しになった法案の内容について、そういう点も含めてただしておるわけですが、この担保が二十年ということについて、いまの法律制度の上で、たとえば時効制度、課税債権の時効制度というのがありますね、それから除斥期間というのもある。こういった法律上の、ある債権がどのぐらい存続すべきかというふうな行政法上の年限の設けられた制度の
趣旨はどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。課税債権の時効制度、除斥期間制度については、その存在意義は何か、これはどうでしょうか。
-
○中橋政府委員 そういう制度は、ある一定期間をたちますれば、それまでに経過したそういう時日を尊重しまして、安定性を付与しようということででき上がっておるものでございます。
-
○荒木委員 いまの時効とか除斥期間で、税法に関係した分野で一番長いのは何年ぐらいですか。
-
○中橋政府委員 時効としましては五年でございます。
-
○荒木委員 そうすると、五年たったら権利は消滅するということは、先ほどの局長の
答弁ですと、もうそのくらい続けばそれで一つの新しい法律状態になった、だから権利消滅だ、こういうふうに伺っていいわけですね。
-
○中橋政府委員 たとえば、徴税当局が五年間課税すべきものを課税しないという事態が存続をしましたならば、その事態を五年たてばいまさら覆すことはしないということでございます。
-
○荒木委員 五年たてばいまさら覆すことをしないというその
趣旨はどういうことなんでしょうか。何のためにそういうことが設けられているのでしょうか。
-
○中橋政府委員 課税債権をそこで新たにつくるということをしないものでございます。
-
○荒木委員 新たにじゃないでしょう。いままであるものが消滅するというのでしょう。いままで存続してきたものを消滅させる
趣旨は何かと聞いているのです。
-
○中橋政府委員 五年間そういう課税権を行使しなかったという、その五年間の事態をそのままそこで認めようということでございます。
-
○荒木委員 そうしますと、ある
程度続いてきた事態を前提にして、それをそのまま認める。これは二十年にしなかったのはどういうわけでしょうか。つまり、五年でもう切ってしまった、二十年にしないで時効制度を五年で切った、これはどういうことでしょうか。
-
○中橋政府委員 課税につきましては、やはりある
程度短い期間にそういった事態の安定性というのをつくろうということでございます。
-
○荒木委員 一般には、御案内のように、法的安定とか継続した現状態を尊重するとか言われておるわけですけれ
ども、そうだとしますと、今度の場合二十年ということですけれ
ども、本来、課税権それからそれに基づく徴収権があって、五年たてば権利が消滅する、徴収権があっても五年行使しなかったらなくなるわけですから。そうだとしますと、たてまえとして恒久的に農業の用に供する、だから本来死ぬまでだ、それを二十年に縮めた、こういう話ですけれ
ども、ある法律状態が一定期間存続をして、そしてそれを一定年限経過したことで事実状態が法律状態にまで高まるという
趣旨から言えば、たとえば今回の場合も、五年継続して、そうしてそれでもって徴税を猶予してきたわけだから、あと課税権としては、徴収権としては消滅をするということも考えられるのじゃないでしょうか。
-
○中橋政府委員 この制度は、課税権は行使しまして課税という事態が生じたわけでございます。したがって、国の債権としてはもうそこででき上がっておるわけでございますが、特別の事情がございますので徴収猶予制度を導入しようというものでございます。したがいまして、時効の問題とは別個でございます。
-
○荒木委員 一般的には、たとえば更正決定をしたとかあるいは申告があって課税権は成立した、しかし実際に執行しないで、徴収権を行使しないで五年たてば権利は消滅するのでしょう。同じことじゃないですか。どちらも課税債権は成立している。しかし徴収権をどちらも行使しないで、片や五年、正当なやればやれる状態でも五年たったら消滅する。こっちは国として一定の配慮をしようという場合に二十年も続くというのは、これはどういうわけですか。
-
○中橋政府委員 納税猶予の制度でございますから、課税しました国もその納税猶予を受けます納税者も、そういう事態を望んでやるわけでございます。したがいまして、いわば時効の問題とすれば中断状態に入るわけでございますから、普通の時効問題をもってこれを律することは誤りだろうと思います。現に、相続税につきましては十年というような延納を認めているものでございます。そういった長い期間におきまして納税の猶予ということを認めることは許されると思います。
-
○荒木委員 これは除斥期間という考え方は税法の領域ではなかったのですか。全くないですか。つまり、中断その他行使されぬ場合、五十年でも百年でも永遠に続く、こういうことですか。
-
○中橋政府委員 この制度の
趣旨は一体何を目的としてできておるかということでございます。本来ならば、宅地含みでございましても、そういう評価でもって相続税を納めなければならないのを農業を継続する、いわばみずからが線引きを確立しまして、そういう評価でもって相続税を納めるという人について納税猶予の制度を導入するのでございますから、普通の課税時効、徴収時効というものとは全然問題が違うわけでございます。したがって除斥期間という設定も実は考えられないものでございます。
-
○荒木委員 時間の方の御注文がありましたようですので、まだお尋ねしたいことがありますけれ
ども、ちょっと問題を次の問題に移したいと思います。
今度は法人税の問題ですけれ
ども、貸倒引当金が従来たびたび論議になりまして、本委員会でも御
答弁願ったことがあるのですけれ
ども、私がきょうお伺いしたいのは、いま税法上は千分の十ということですね。しかし、
実績に比べますと非常に大きいと従来から論議がありまして、それで少しずつ減ってきているわけですけれ
ども、大体その
実績に比べてどのくらいのところを
実績対比でめどにしていらっしゃるのか、これをひとつ伺いたいと思います。
-
○中橋政府委員 過去におきましても非常に大きな貸し倒れが一時に出たときもございます。あるいは金融機関によりましても、その種類、個別金融機関についていろいろなニュアンスの差がございまするので、ある
程度の線を設定しなければなりませんが、今日の一%と申しますのは、ここ三年間の間に一・五%から下げてきたわけでございますので、今日一体どの線が妥当であるかというところはまだわれわれとしても決心のつかないところでございますが、今後におきますところの経済情勢と、金融機関のそれに対する内部留保の厚みというものとを勘案しながら、そういうものを漸次見出していかなければならないと思っております。
-
○荒木委員 しかし、これは去年もおととしも
実績との関係で問題にしたわけですね。現在大体その
実績の何倍くらいか、それからどのくらいをめどにしていくのか、これはまだ全然見当つかないわけですか、一定のおよそこのくらいというのも出ていないのでしょうか。
-
○中橋政府委員
実績としてはもちろん金融機関別にいろいろな率を私
どもも調査をいたしております。たとえば都市銀行におきましては〇・〇〇一%
程度でございます。
-
○荒木委員 そうすると、〇・〇〇一%というのは何に対してですか。引き当て計上は
実績の千倍ということですか。
-
○中橋政府委員 簡単に申し上げまして失礼しました。貸出金に対します滞りました貸し金の償却額の割合が〇・〇〇一%でございます。
-
○荒木委員 それに対して一%というのは千倍ということになりますね。そうですね。大体どのくらいのところがめどなんですか。大体百倍くらいか、二百倍くらいか、三百倍くらいか、まるっきり見当もないのですか。
-
○中橋政府委員 いまお尋ねは都市銀行でございましたが、それぞれの金融機関がございます……(荒木委員「いま聞いたやつでいい、それでどのくらいのめどかということ」と呼ぶ)
めどは、実は先ほどお答えしましたように、いま持っていないわけでございます。
-
○荒木委員 そうすると、めどをいつごろお出しになるのでしょうか。
-
○中橋政府委員 これは先ほど申しましたように、三年間の間に三分の二にしたわけでございまするから、いましばらく
実績を見ましてつくり上げたいと思っております。
-
○荒木委員 ほかの特別修繕とか返品調整なんかは
実績対比でやっているでしょう、ある
程度実績のどのくらいとか。貸倒引当金についてはこれだけ再々予算委員会でも論議になりましたよ。いつ出すのですか、
実績とのめどでこのくらいというのを。それとも、出さなくてもいいとお考えなのか。やはり出さなければならぬ、しかし、それはちょっと暇がかかるから、たとえば半年待ってくれとかいうことになるのか。その点いかがでしょうか。
-
○中橋政府委員 たとえば特別修繕引当金などでございますと、四年とかいう期間を繰り返してまいるわけでございますので、直近の修繕に要しました費用というものをその期間に割り当てればよろしいわけでございます。貸倒引当金につきましては、非常に長期の期間におきまして滞りました貸し金の償却額が一体どの
程度になるのかというめどがなかなかつきがたいものでございます。それを過去におきます一番高くあったとき、あるいは最近におきます見込みというようなものを勘案しながらつくらなければなりませんので、まだ確定的な
数字が出ないものでございます。
-
○荒木委員 しかし、これはすぐ出るんじゃないですか。五年、十年、二十年の間の、たとえば都市銀行に限って言えば、そんなのはすぐ出るんじゃないですか、少し調査されれば。貸出総額が幾ら、貸し倒れ
実績が幾ら、この
数字がそんなに困難でしょうか。どうもいままでこれだけ繰り返して論議があったのに、言を左右にして
実績対比がどのくらいがめどになるのかをおっしゃらないということは、結局うやむやにされようとしているのではないかという意見さえ出ようかと思うのですよ。いまの千倍というのはこれでいいと思ってらっしゃるのでしょうか。それとも、やはりまだよく
実績を見て下げていくということを考えていらっしゃるのかですね。
-
○中橋政府委員 ただいま都市銀行について申しました〇・〇〇一%、それはある
時点におきますものでございます。それをまた過去にさかのぼって見ますれば、その四倍
程度であったときもありますし、金融機関の種類によりますれば、またさらにいま申しましたものの十五倍だったというものもございます。それから、
個々の金融機関別にそれを見てみますれば、また非常に高いときがあるわけでございます。
そういう過去におきます
実績と、将来におけるそういったものを勘案しながら、金融機関としての内部留保として一体どの
程度を貸倒引当金として認めるのが適当かというのを判断いたさなければなりませんので、単に過去におきますものと比べて何倍であるからすぐ決められるというものでもございません。
-
○荒木委員 それじゃ決めないとおっしゃるのですか。それとも、いつかは決めるとおっしゃるのですか。
-
○中橋政府委員 貸倒引当金につきまして、どういうふうにやるかというのに二通りあると思っております。ある
程度……
-
○荒木委員 時間ないから、結論だけ言ってください。決めるのか決めないのかを言ってくださいよ。
-
○中橋政府委員 決め方につきまして……
-
○荒木委員 決め方じゃない。決めるのか決めないのかという方針を。
-
○中橋政府委員 決めるということにつきまして、長期的に
段階的に下げていくのがよろしいか、随時そういうものが必要だというときに下げていくのがよろしいか、それを今後決めなければならないものでございます。
-
○荒木委員 決める方向と決めるやり方、それを聞いているのじゃないのですよ。
実績対比でどのくらいがいいかというその結論を出すか出さないか、これを聞いているのですよ。
-
○中橋政府委員 したがいまして、それをどういうふうに決めるかというのはこれからの検討事項でございます。
-
○荒木委員 どういうふうに決めるかという方法を聞いているのじゃないのですよ。決めるか決めぬかという結論、これを聞いているのです。だから、決めると言うのなら、その決める方法はまたいろいろありましょう。だけれ
ども、決めないとおっしゃるのなら、方法を聞く必要はないからね。それで聞いているのです。
-
○中橋政府委員 決めるということは、ある年度に幾らにするということを決めるということでございますし、もう一つの方法といたしましては、下げるときに下げることを決定するという方法もあるわけでございます。
-
○荒木委員 いつごろ決まりますか。あなたのおっしゃった二つの方法のどっちをとるかということは。
-
○中橋政府委員 あとの場合には、毎年度の税制改正のときでございます。
-
○荒木委員 つまり毎年毎年積み立ての率がどのくらいかということは検討はしておるわけでしょう。ですから、国会ごとにこれだけ問題になり、委員会ごとにあちこちで論議になっているのですから、諸外国との
実績対比だってありますし、この点はもっとはっきりしてくださいよ。もう何回も論議しているわけですから。
関連して一言伺っておきますが、いま銀
行課長がお見えですけれ
ども、無担保で貸し出しているのがありますね。これは大体率はどのくらいですか、都市銀行で。
-
○宮本説明員 都市銀行で大体四〇%でございます。
-
○荒木委員 これは主税局長どうでしょうかね。貸し出す金融機関自体が担保を取らなくたって回収できる、つまり回収の可能性はまず間違いない、こう見て貸している分まで引当金を積むのは、自由かもしれないけれ
ども、税金をまけてやるというのはどうでしょうかね。
-
○中橋政府委員 すべて金融機関は回収を前提として貸し付けておるのでございます。しかもそれがいろいろな事由でもって滞るところに貸倒引当金というものの必要があるわけでございまして、無担保で貸し付けておるからそれについて貸倒引当金を設定しないというのは、むしろ逆の場合が多いと思います。
-
○荒木委員 いや、貸倒引当金の設定はいいのですよ。それを減税の対象にするのはどうかと、こう聞いているのです。
-
○中橋政府委員 貸倒引当金と申しますのは、貸し金についての評価をどうするかという問題でございますから、貸付金の回収問題と非常に絡まるわけでございます。貸付金がたとえいまの
時点で一〇〇あるとしましても、それを一〇〇として課税するのがよろしいかどうかというところに引当金の設定の事由があるのであります。
-
○荒木委員 あなたがさっきおっしゃったのでも、実際の
実績対比で年によって時期によっていろいろ変動がある。だから、実際貸したものがどのくらい回収できるかという
実績対比は、やっぱりそのうちどのくらい減税にするかという率を決める上で一つの重要な
資料ですね。
だとしたら、金融機関みずからがこれは担保を取らなくたっていいのだというものは、回収の可能性が非常に高い。回収の可能性の少ないものは担保を取るのですよ。健全経営、サウンドバンキングという点から言ったって、野方図の貸し出しはできないのですからね。ですから、金融機関自体が担保を取らないということは、貸し出しは安全なんだ。信用にしたって人的保証にしたって、いろいろな引き当て、回収の方法がありますけれ
ども、金融機関みずからこれは安全性が高いと見ておるものについて、会計上引き当てを計上するのは、自由かもしれないけれ
ども、それに対して税金をまけてやるというのはいかがか、こう聞いておるのです。
-
○中橋政府委員 それは評価性の引当金の
趣旨としましては、いまある債権を幾らに評価して課税したらいいかということでございます。恐らく金融機関とすれば、おっしゃるように、回収を前提として全部債権を持っておるわけですけれ
ども、それを課税上どういうような引き当てをして、どういうように評価して、一〇〇のものを九九にして課税したらいいのか、あるいは一〇〇そのままにして課税したらいいのかということが貸倒引当金の存立の
趣旨でございますから、すべて貸し付けは健全であるべきであって、銀行はそれを信頼しながら貸し付けておることはおっしゃるとおりでございますけれ
ども、その中で過去におきますようないろいろな事例から見て滞るということはある。それを税制上反映しようというのが貸倒引当金でございます。
-
○荒木委員 しかし、都市銀行では、滞る例というのは千分の一じゃないですか。ですから、いま貸倒引当金に対する特別
措置を設けられた
趣旨、ことにそれについては批判が強くて整理、改善をしていくと
皆さんはおっしゃっておるのですから、担保なしに貸している分を減税対象にしていいかどうか、こういう点も、いま局長は二つ三つ方法をおっしゃられたわけですけれ
ども、これは十分検討されるべしと私は思いますので、いまの御
答弁はお聞きしておることとは十分かみ合っていないし、時間が余りないから、これはまた次の機会に引き続いてやらしていただきます。
次に退職給与引当金、これをちょっと関連して伺っておきたいと思うのです。これは大体
実績との対比でどのくらいにごらんになっておりますか。
-
○中橋政府委員 今日、累積限度額の二分の一を退職給与引当金として税法上計上することを認めておりますから、
実績としますればある
程度の年限勤めた人がもらう退職金としましてはそれで引き当てが行われておるということでございます。もちろん一時にやめるということはございませんけれ
ども、二分の一ということで、ある年限勤めたらその部分がそれぞれ支払らわれるということを予定いたしております。
-
○荒木委員 予定じゃないんです。その予定が
現実の何倍くらいか、こう聞いているんです。
-
○中橋政府委員
現実にたとえば従業員の一二、三%がやめていくというようなことでございますれば、大体二分の一を積み立てておれば間に合うということでございます。
-
○荒木委員 やめていきますと考えればという、ればじゃないんです、私の聞いておりますのは。実際に
現実の上場企業があるでしょう、千幾つか、東証一部にしたって。そこで取りくずし額というのは一体どのくらいあるんですか。それに比べていま
皆さんが認めている二分の一というのは大体何倍くらいか、こう聞いているんですよ。
-
○中橋政府委員 退職金といいますものは、毎年毎年勤めれば……(荒木委員「理屈じゃないんです、結論を言ってください、何倍くらいかということを」と呼ぶ)
ですから、それは
現実に払うものとの比較をするのではありませんで、毎年毎年勤めた人については、その人がやめれば払わなければならないものを積み立てるわけでございまするから、課税上、積み立てるからと言ってその事業年度においてそれをしんしゃくしないで課税するのは理屈に合わないということから引き当てを認めるわけでございます。
-
○荒木委員 それを聞いているんじゃないんですよ。
皆さん方の言っている制度の
趣旨を聞いているんじゃなくて、それはそれ、
現実との対比はどうかと聞いているんですよ。質問をよく聞いてください。持っていなければ持っていないと言ってくださいよ。いま制度の
趣旨を聞いているのではなくて
現実はどうか、こう聞いているんですから、ほかのことにそらさないでくださいよ。
-
○中橋政府委員 負債性の引当金といいますのは、その事業年度に負債として見なければならないものを見るものでございますから、その事業年度に
現実に払ったものと比較をするということは合わないのでございます。
-
○荒木委員 質問自体が無
意味だということの論証はやめてください。私が聞いておるのは
実績との対比はどうかということなんですから。その上で聞いた場合に、そういう論証は制度の
趣旨とはずれておりますと言うならこれはまたわかるけれ
ども、聞いていることに答えもしないで、いまの制度の
趣旨だけ言ったって
答弁にならぬでしょう。
-
○中橋政府委員 私
どもはそういう負債性の引当金でございまするから、毎年度の取り崩し額というのは持っておりません。
-
○荒木委員
皆さんが制度を設けた
趣旨を机の上でいろいろおっしゃるのはこれは自由かもしれません。しかし問題は、その退職金を受け取る側の労働者がそれによって本当に保護されているかどうか。引当金というのはそれなりの制度の
趣旨があるでしょう。それぞれの将来の負債だとか特定の支出に備えての会計処理なんですから。だとしたら、本当にその制度の
趣旨が
現実に生かされているかどうかということは、退職給与引当金と言う以上は、労働者がそれによってどの
程度に保護されているかということが一つの大きな制度目的の中に入るでしょう。
私が伺いたいのは、たとえば実例として、最近日本熱学の倒産事件がありました。あれは退職給与引当金を計上しています。労働者はあのときに退職給与引当金の計上によって、
皆さんがそんなにおっしゃる大企業に対する減税
措置によって、労働者の退職請求権は保護されたかどうか、この点はいかがですか。
-
○中橋政府委員 労働者が
現実に退職金を受ける権利を保護するかどうかという問題はまた別でございまして、法人税をかけます場合に、一体、その期において生じたいわゆる経費に当たるものを引くか引かないかというのが退職給与引当金の問題でございます。
-
○荒木委員 税法上の
皆さんのいまのお考えはそうかもしれません。しかし、その税法上の考えは何を目的にしているのでしょうか。
皆さんが特別
措置として、経理操作されたもののうちの二分の一、半分は税金をかけないとこうしている。何のためにそういうことをするのですか。
-
○中橋政府委員 それは法人税におきますところの課税所得をいかに算定するかという問題でございます。毎期毎期、たとえば労働者に対して将来払う退職金というのは、その期の課税所得に算入してはならないという負債性の引当金というものと考えておるからでございます。
-
○荒木委員 しかし引当金は一種類じゃないでしょう。それぞれの項目がある。項目に従ったその項目の存在目的がある。退職給与引当金の存在目的は一体何ですか。
-
○中橋政府委員 当期に発生をします将来払うべき退職給与金の増加額を課税所得から除外するということでございます。
-
○荒木委員 それは制度の内容の説明ですよ。目的は何かと聞いているのです。
-
○中橋政府委員 そのものを課税所得から除外をする、それを課税しないというのが目的でございます。
-
○荒木委員 なぜ課税をしないのですか。何のために課税をしないのか。
-
○中橋政府委員 それはもう当期にチャージすべき経費と見ておるからでございます。
-
○荒木委員 それを経費として見るその目的は何ですか。つまり退職給与というものを将来払わなければならないからじゃないでしょうか。つまり、将来払わなければならない経費を当期の経費として見るという会計処理が、そのときの存立目的でしょう。
現実の経費じゃないのですから、引き当てなんだから、将来発生が予想される経費を、期間
計算、収益対応の原則によって、当期に会計処理上計上するというだけでしょう。だとしたら、それを計上するのが
実態と比べてどの
程度に適応しておるか。そしてそのことが
現実に労働者保護に機能しておるかどうかという観点は、
皆さんの中には全くないわけですか。
-
○中橋政府委員 そこは労働協約がありあるいは就業規則があって、会社が、従業員が退職をしたら払うと約束をしておるのですから、それはまさにその期においてチャージをしなければならないもので、
現実に払うときよりも、それが発生する増加額のあるときに、その期の利益にチャージをさせなければならないものであります。
-
○荒木委員 少しやりとりのテンポが早くなりましたけれ
ども、私が言っておるのはこういう
趣旨なんですよ。
皆さんのおっしゃるその説明を
現実に当てはめて考えてみますと、つまり大企業の経営者というものは労働協約で約束をすれば必ず払う、そして約束をされればそれはもう当然権利が実現をされる、こういう前提に立っておられる。実際はそうでしょうか。たとえば日本熱学の場合は、約束によれば二億八千万円払わなければならぬのですね。ところが、
現実に払われたのは一億一千万円ですよ。引当金を計上し、
皆さん方の手によって税金をまけてやり、将来の
現実に発生する可能性のあるものとして二億八千万円に見合う分は計上されておる。しかし、実際はその半分も履行されなかった。だから本当にそういった将来の発生が予想される、それが履行されるということならばまた別ですよ。しかし、いま申し上げた例によれば、大体金融機関に担保に取られておって、そして紙の上の
計算では引当金の計上がある。しかし、
現実には担保に取られておるために、労働者の退職請求権というものは一般の先取り特権の効力しかありませんから、これは銀行の抵当権に対しては劣後債権になります。金融機関が、さあいよいよ企業がぐあいが悪いといったときに出かけていって品物を全部持って帰ったという例すら最近あるわけですよ、ある大銀行の某支店で。だから、そういう点から言えば、いま二分の一と
皆さんが言っているそれを、会計上の費用収益対応の原則だけで、あと企業の方はもう協約ができ、それによって誠実に履行し、
現実に労働者はそれによって権利が充足されるというふうな前提があれば別だけれ
ども、
現実はそうでないとしたら、法律なり税制の
措置というものは、実際に国民の権利だとか労働者の権利を保護するために究極的にはあるんですからね。そういう点での再検討はないかと、こう言っているわけです。
-
○中橋政府委員 たとえば労働協約で一年勤めれば退職時におきます給与の一月分を加算して払いますという退職給与規定がありますれば、一年勤めれば一月分というものはその期にチャージさせるのが私は至当だと思います。しかし、それを退職給与引当金として積んでおりますものが、
現実に労働者が退職をしましたときに払われるかどうかというのは、また別個の労働政策の問題であり、あるいはまた、会社更生法の場合における先取り特権としての対象とするかどうかという、いろいろほかの方の判断、要請があることも事実でございますけれ
ども、それを全部税制の中に取り込むというわけにはまいりません。
-
○荒木委員 同時に、税制の中でもそれが
現実に果たしている機能というものに目をつぶって事を処理するわけにはいかぬでしょう。現に、今度も返品調整だとかそのほか引当金の中で、やり方によっては入れないぞというふうな、いろいろな
現実実績との対比だとか、
現実機能との照合ということも考慮してやっておられるのだから、貸倒引当金と退職給与引当金の問題、それに対する特別
措置限度について私が問題提起したことは、いまの局長の
答弁ではとても納得できないし、これも時間の関係があるからまた引き続いて
議論を続けるということを申し上げて、最後にもう一点だけお聞きをしておきます。
これは最後の質問の点ですけれ
ども、基礎控除について伺っておきたいのです。いま二十六万ということですが、そもそも基礎控除とは一体どういうものなんでしょうか、それをお尋ねしたい。
-
○中橋政府委員 まず一人世帯におきます生計費というものを頭に置きまして、その標準的なものは課税除外をいたしますというときに、幾らを所得税の基礎控除として考えたらいいかというものでございます。
-
○荒木委員 つまり、それは何を目安にしておるわけですか、概念としては。
-
○中橋政府委員 標準的な一人世帯の家計費でございます。
-
○荒木委員 そういたしますと、いまの標準的な一人世帯の家計費というのはどのくらいですかな。
-
○中橋政府委員 人事院の調べによります一人世帯の標準生活費は、三万九千二百円ということに四十九年度の調査でなっております。(荒木委員「年ですか」と呼ぶ)
月額でございます。
-
○荒木委員 三万九千二百円というと、年でどのくらいになりますか。五十万くらいですかな。そうすると、二十六万ではその半分じゃないでしょうか。
-
○中橋政府委員 私
どもは給与所得控除というのもその場合に考えますので、五十万円の給与所得控除の最低限がございますから、それを加算いたしまして十分賄えると考えております。
-
○荒木委員 それはいいでしょう。では、
所得税法上の基礎控除というのは給与所得者であって、それ以外の者は対象にせぬ、こういう考えですか。それ以外の人、もちろん全国民を対象にしておるわけでしょう。だとしたら、いま局長おっしゃった五十万。にもかかわらず、
皆さんの
措置は二十六万。これはどういうことでしょう。
-
○中橋政府委員 事業所得者としましても、給与所得者のたとえば初任給が幾らあるかということがおよそ事業所得者として継続をしていく場合の目安になると思いますので、給与所得者の初任給がさっき申しましたような金額をカバーするということでございますれば、ほぼ事業所得者としてもそういう所得があるというふうに推定されます。
-
○荒木委員 いや、標準生活費でおっしゃったんでしょう。局長、標準生計費というのが基礎控除の考え方だ、こう言われた。給与所得とか事業所得とか所得面じゃなくて、要するに控除するんだから、その概念の
中身は何かと聞いたら、標準生計費とおっしゃった。これは五十万。なのになぜ二十六万か、これを聞いているのです。
-
○中橋政府委員 先ほど申しましたような基礎控除なら基礎控除という一人世帯の生計費というものをどれだけカバーしなければならないかという問題は、前々から当委員会におきましてもお答えをしておるとおりでございまして、
現実に出しますもの、たとえば、先ほど申しましたような年に五十万円というものを全部基礎控除でカバーしなければならないかと言うと、だんだん生活が豊かになってまいりますれば、それは必要ないわけでございます。過去におきましては、確かに非常に低い課税最低限、低い家計のときにはそれがほぼ同じようにカバーをいたしておるということでございましたけれ
ども、だんだん生計が豊かになってくるということになりますれば、家計費と基礎控除との関係というのも、従来とはかなり違った様相で十分であろうと思っております。
-
○荒木委員 どうも初めの
答弁と大分違うのじゃないですか。標準生計費がもとだ、こうおっしゃるから、標準生計費は幾らですか、それは五十万。それでは法律で最低生活費ときめでおるのがありますね、生活保護費、これは幾らでしょう。一級地で、東京都の場合十七歳で住宅費を入れて百五万、局長よろしいですか。最低生活費で百五万、これをカバーできるのかできないのかというのはどうでしょう。これは明らかにできないでしょう。だから、標準生計費を基準にしておる、生活費をカバーする、こうおっしゃるなら、基礎控除をもっと引き上げなければならぬのじゃないでしょうか。
給与所得控除とかあるいは標準世帯とかおっしゃるけれ
ども、いま世帯課税じゃないでしょう、個人課税なんだから。また、給与所得者だけの給与所得者
所得税法というものをつくっておるなら別です。しかし、いまは全国民を対象にしておるのですから、ベースとしての基礎控除は生活保護の基準よりもはるかに低い状態ですね、二十六万。それはいいと思っていらっしゃるかどうか、どうですか。
-
○中橋政府委員 先ほどおっしゃいました生活保護につきましても、たとえば住宅についてどの
程度の保護費が出ておるかとか、あるいはほかの職業についておりますときの勤労控除をいかほどに見るかという問題がございます。そういうものも勘案いたさなければなりませんし、それから、たとえば十八歳の男にしまして、先ほど私が申しましたようなものを捨象しましたものの生活保護基準額が一体幾らであるかということを見ますけれ
ども、その場合にも、いわば屈強の十八歳の男で生活保護を受けておるというのはほとんど考えられないわけでございます。そういった人はおよそもう少し高い収入を持っておるものでございますから、私が申します標準生計費の中で所得税で見なければならないものというのは、そういうものも十分カバーいたしておると思います。
-
○荒木委員
現実にカバーしておるかどうかと聞いておるのじゃないのです。基礎控除とは何か、それについて具体的に言っておるわけです。五十万と二十六万、百五万と二十六万。こういうものもあるかもしれぬし、こういうものもあるかもしれぬしとおっしゃるけれ
ども、それなら具体的に言ってくださいよ。たとえば東京の場合、十七歳、第一類だけで四十六万七千五百五十五円です。第二類、雑費だとかそういうものを一切除いて、衣と食だけでそうです。二十歳から四十歳の場合は、これも第一類だけで四十万円、住居費を除いて七十六万五千円です。それから十八歳から十九歳の場合、みんな同じで、国の決めておる最低限度の生活費の衣食だけでいまの基礎控除の倍以上になる。だとしたら、やはり低過ぎるのじゃないでしょうか。
ですから、考え方として基礎控除というものをそういうふうにとるなら、これはそういうほかの生活保護費だとか標準生計費というものに比べて低ければ、それをめどに努力するのが普通だと思います。だから全体としてどの
程度カバーしていますかとか、あるいは給与所得者を含めてどの
程度の態様でしょうかということを聞いているのじゃないんです。基礎控除というものは一体どういうものか、それについていまの金額でいいという論拠はどこか、こう聞いているのですから、問題をほかへそらさないで、その問題についてはっきり答えていただきたい。もしほかにこういうものも入っているんじゃないかというのならその
数字を示してください、どういう費目で、何が幾ら入っているか。二十六万はどの
数字をとったって低い、こういうことを言っているのです。
-
○中橋政府委員 先ほど申しました一人世帯におきますところの生計費を考えます場合に、一体一番多い形の一人世帯というのはどういうものかというのを判断いたさなければなりません。いまお示しのように、生活保護世帯でたとえば十八歳の男一人というようなものは非常に希有な、ありましたとしても希有な例でございます。われわれが一人世帯の家計というものの基礎控除の金額を算定する場合に一番考えますのは、やはりそれが事例として一番多い給与所得者を考えればよろしいということで基礎控除金額を定めておるわけであります。
-
○荒木委員
理事さんが再々おっしゃっておりますからこれでかわらしていただきますけれ
ども、希有なものならそんなものは基礎にならぬでしょう。基礎の控除だ、こう言うのだから、基礎と言う以上はその基礎を内容の充実したものにしていくのは当然でしょう。ですから私はそれを言いましたので、あまり再々時間の点のお話がありましたので、当初の予定もあったと思いますので、これはまた引き続いて御意見を伺いたいということにしまして、私の質問はこれで終わらしていただきます。
-
-
○
山中(吾)委員 いま提案になっております法人税の一部改正の
中身を見ると、ごく簡単なものであって、同族会社の留保所得課税に対する定額控除額の引き上げと徴税手続の問題ばかりのようでありますが、これを一千万から千五百万に引き上げておるわけでありますけれ
ども、同族会社だけに定額控除制度を法律が採用しておる理由はどこにあるのですか。
-
○中橋政府委員 同族会社と申しますのは、個人及びその近親者でもって組織をせられておる会社でございまするから、いわばその同族会社が得ました利益の処分についてはかなり自由な面があるわけであります。そこで、税制上、一番比較検討しなければなりませんものは個人企業との関係でございます。同族会社におきまして利益を上げましたときに、同族会社の経営者として一番考えますことは、税金面で申し上げれば、その上げました利益を会社に留保するのがよろしいのか、あるいは賞与として、あるいは配当として重役なり株主に配分をした方が得かということになるわけでございます。
そのときに一番税金の面でインセンティブが強いのは、恐らく法人税率と個人が配当として受けましたときに受ける税率との関連から申しまして、同族会社に留保した方がそのときの税金は安く済むということが起こり得るわけでございます。そういうことが同族会社について非常に多いわけでございまするから、留保金課税をその場合には行いまして、配当をしなくてもそこの法人という形で得ました利益についての課税と、個人企業において利益を得ましたものに対する課税とをほぼ権衡あらしめるというのが、そもそも同族会社の留保金課税制度を設けた
趣旨でございます。
-
○
山中(吾)委員 どうも私は専門家でないのでわかりにくいのですが、同族会社というのはみなし個人企業というような思想に立っているわけですか。どういうことなんですか。
-
○中橋政府委員 同族会社はやはり会社でございまするから、そういう会社としましての課税をもちろん行うわけでございまするけれ
ども、やはりそこに働きます経営者の税金に対する配慮という点につきましては、おっしゃいましたようにかなり個人的な恣意が貫かれまして、留保した方が得なのか配当した方が得なのかということを考えるということを前提としております。
-
○
山中(吾)委員 どうも私素人ですからわからぬが、はっきりしないので立法の精神を聞きたいと思うのですが、大体同族会社の場合は親兄弟が株主になっておるのですから、個人に分配されても同族会社に内部留保されても、その資産とか利益に対する支配力は変わらない。会社に残しておっても全部一〇〇%コントロールできる。田中さんの屋敷の中に同族会社的な会社の所有地があっても自分の宅地にみんな使われるということと同じように、個人の所有と同じものになっている、こういうことの場合に、内部留保したものに対して税金の控除制度をどんどん多くしていくということは、何か合法的脱税機構を大蔵省で公認しているということになるのではないか、私は読んでそういう感想を持つのですよ。その点はどうなんですか。
-
○中橋政府委員 同族会社の留保金課税を設けておる
趣旨は先ほど来御説明したとおりでございまするが、いま御質問の控除額をどんどん上げていくことはむしろその精神に反するではないかということでございましたら、ちょっと私は勘違いしてお答えをいたしておりました。
確かに留保金課税の考え方を徹底いたしますれば、そういう控除は一切なしでやってしかるべきものであります。ただ、同族会社にも大小ございまして、一番留保金課税をしなければならないといいますのは、たとえば同族会社として留保しましたときにかかる法人税率と、それからそれを配当しまして株主が受けましたときに受ける個人の所得税率と比較をいたしまして、そういう場合に法人に留保した方が得であるという場合に、留保いたしますものを留保金課税でもってそのアンバランスを解消しようというものでございまするから、ある
程度大きくない中小法人につきましては、その留保金課税をやめても適当なものでございます。
それからまたもう一つ、一般の大会社、所有と経営が分離いたしております会社にしますれば、外部資金の調達というのが非常に容易でございますが、同族会社と申しますのは、そこは同族会社でございまするから、もちろんそういう道もありましょうけれ
ども、みずから会社として得ました利益を内部留保することによって拡張を図らなければならないという部面も非常に強いわけでございます。そうしますと、いわば一般の会社が自分の利益を上げまして、それを内部留保しまして拡張をするという
程度までは留保金課税をやめても適当ではないかという考えも出るわけでございます。そういうような観点から、今日、留保金課税につきましていま御
指摘のような金額なりあるいは率なりで非課税という制度を導入しておるわけでございます。
-
○
山中(吾)委員 次官、私の質問を聞いていましたか。親兄弟で組織しておる同族会社ですね。留保しようが分配しようが同じようにコントロールできる所有権だと思うのですよ。どうにも使える。留保しておいても分けても、自分の事業目的に使おうと思ったらどちらにも使える。ところが、留保したときに千五百万までは定額控除で税金を取らないという制度を公認することは、合法的脱税機構を国家が承認していることにならないのかというふうに私は読んだわけです。そうじゃなくて、ほかにこういう社会的な積極的な目的があってこういう税制をとっているのだという説明があるのか、それを聞きたいのです。
局長の話は、後で速記録をみないとわからぬのです、はっきり頭に入らないのです。次官は、この制度の合理的根拠がどこにあるのかということを、もし説明できればしてもらいたい。私も、この制度の立法の精神というのか、社会的な機能がどこにあるのかということを聞きたいので言っているのですから、それをお聞きすれば、次に移りたい。
-
○森(美)政府委員 それは脱法行為かどうかと言われますと多少問題がございますが、いままで千万でやっておったわけでございます。それをいろいろ社会情勢を判断いたしまして、今回千五百万にしたわけでございまして、したがって、私
どもといたしますと、いい
意味に理解していただきたい、こう考えております。
-
○
山中(吾)委員 いい
意味に理解しようと思ってお聞きしているのですが、親子兄弟仲よく共同財産的なものをつくって大いにいい事業をしなさい、それじゃこれだけは税金はおまけするという
趣旨の説明なら一つの説明だし、そうでなくて、とにかく税金を軽くするために形式的に親子兄弟、株主になり
社長になり副
社長になって、千五百万の内部留保は全部税金をなくするということだけが目的、それが奨励になっておれば、私は決していい
意味にもならないと思うのでお聞きしたのですが、どうも政府の方では積極的な理由はないのですね。惰性でこういうようにやっておるわけですか。
-
○中橋政府委員 同族会社の留保金課税を設けました
趣旨は、いま
山中委員が御
指摘のように、親兄弟でやっておりますから、かなり恣意的な支配が可能であるということに着目をして設けた制度でございます。その制度をせっかく設けましたのに、何百万円までは、あるいは何千万円まではそれをかけなくてよろしいとか、三五%までの分は課税しなくてよろしいということにいたしましたのは、同族会社の留保金課税制度という観点から申せば、一つの例外をつくっておることは確かでございます。
その例外をつくりました
趣旨は、先ほど申しましたように、中小の法人といいますものは、一つには会社に留保をするのが得か、あるいは個人に配当するのが得かというような判断をいたします場合には、恐らく留保よりも配当をした方が得な場合が多いわけでございます。そういう場合には、普通は留保金課税というものは必要はないわけでございます。それが一つの理由でございます。
それから第二の理由は、同族会社と申しますのは、特に中小の法人はみずからがもうけました利益を内部に留保しまして拡張するよりほかに、なかなか拡張する資力を得がたいというものでございまするから、それもある
程度の金額までは留保金課税をしないことによって中小法人の拡張の原資を得やすいようにしてやろうということでございます。
そういう二つの理由から、第一に申し上げました
趣旨でできました同族会社の留保金課税につきましての特例を講じておるものでございます。
-
○
山中(吾)委員 私こういう質問を申し上げたのは、
現実に確実に調査しておるわけではないですが、書物によると、西独においては同族会社の法人税は累進制をとっておるというのを見ました。専門家がおるからおわかりになると思うのですが。
そこで、同族会社というのは個人事業とほとんど変わらないから、いわゆる法人税については累進制思想はまだ多数派になっていないけれ
ども、同族会社に限って西独が累進制をとっておるということが事実ならば、こういうわが国の比例税制を前提として控除額をどんどん多くしていくのは逆行だという感じがしたので、西独の法律、制度についての価値観と日本の価値観は違うかもじれぬけれ
ども、どっちが正しいのか、どっちの方向に持っていくのがいいのか、それをちょっと判定したいと思ってお聞きしたのです。西独は累進制をとっておると書いてあるのですが、そうじゃないですか。
-
○中橋政府委員 いまおっしゃいました西独についても、わが国の同族会社の留保金課税をやっておるようでございます。したがいまして、
山中委員のおっしゃいましたように、そういう累進制ということであれば、わが国の法人税制におきましても、いまの同族会社の留保金課税は、普通に取っております法人税のほかに、ある限度を超えましたものについては、一〇%、一五%、二〇%という累進税率で課税をいたしておるわけでございます。
それは一体何かといいますれば、わが国については、先ほど申しましたような法人企業と個人企業のバランスということでございますから、恐らくドイツにおきましても同じような理屈から、わが国におきます同族会社と同じようなものについて課税をいたしておるものだろうというふうに思います。
-
○
山中(吾)委員 それでわかりました。わが方がそういうとにかく累進的制度をとっておれば一応合理性があるのだと思うので、その説明で初めてわかった。
そこで、一般の法人税全体についてお聞きいたしたいのですけれ
ども、昨年の法人税率の改正で、五十年度において基本税率四〇%に、実効税率が四九・四七%になった。これで日本の法人税率が大体ヨーロッパ水準に達したということで、どうも法人税問題はもう終結したという感想をお持ちになっているのじゃないか。しかし私は、現在の法人税そのもののあり方を再検討しなければ、三木さんの言葉をかりれば社会的不公正というものが依然として残る。むしろ特別
措置法を若干手直ししても、法人税に対するわれわれが考えておる社会的不公正はどうも直らない。どうしても法人税のあり方を根本的に再検討しなければ、社会的公正が実現しないという感想を持ったわけです。
それは、比例税制による大法人と中小企業法人の不公正、一種の逆進制ですね、
数字までいってなくても、だんだんと大法人に有利だという
意味の不公正、それから特別
措置法による不公正、それからこれは受取り配当の損金算入ですか益金不算入ですか、どちらか知りませんけれ
ども、そういうことのために日本の場合幾ら法人税率を上げて多くしても、法人税の社会的不公正というものは少しも解消されていないという感じがするのです。法人税そのものにメスを入れなければ、どうも国民の感覚から言っても法人税に対する不公正感というものはなくならないと思うのですが、いかがですか。
-
○中橋政府委員 確かに昨年の改正によりまして、いわゆる法人の実効税率といいますものは欧米の水準に比肩するようになりました。その際、いま御
指摘のように、そういった税率がかかるいわゆる課税所得の問題としまして、わが国の課税所得と欧米の課税所得とは一体内容的に比肩し得るのかどうかというのが問題になるわけでございます。
それに対しまして、一つは、いわゆる租税特別
措置がございます。あるいは先ほ
ども御
議論がございました引当金というのがわが国においては過大でないのかというような
議論もございます。
それからもう一つは、法人税の基本的な仕組みというものが一体今日のままでよいのかという問題。これは現象的には、いま御
指摘のように、法人の受取配当を課税所得に入れないということがいいか悪いかという問題としてあらわれております。
第三番目の問題として、御
指摘になりました大法人と中小法人との税率について累進制が必要なのかどうかという問題がございます。
第一の問題としまして、いわゆる課税所得としまして特別
措置が一体
——それをもちろん減殺、圧縮いたしておりますから、その問題を常に見直さなければならないという点、あるいは引当金が引き当てのために適正かどうかということを見直さなければならない点、それは確かにあると思います。
第二の法人税の基本的な仕組みと申しますのは、これはもちろん今後根本的な検討を行わなければなりませんが、実はわが国においても十何年来この問題をめぐっていろいろな
議論がありまして今日の形になっておりますが、むしろヨーロッパ的に申せば、その線はいま御
指摘になったのと違った方向、逆の方向に進んできておるようでございます。それがいいか悪いかは、私はまだ今後のわが国における検討だと思っておりますけれ
ども、そういう問題がございます。
第三番目の大法人と中小法人との間において、たとえば累進税率を採用することによりまして権衡をとるべきであるかどうかという問題につきましては、これは実は国際的には余りそういった例はございません。ドイツにおきましての御
指摘も、これはわが国においてすでに同族会社として留保金課税としてやっているものでございますから、一般的な利益に対する課税に累進課税をとっておる国というのはそんなにないわけでございます。せいぜいわが国がとっておりますように二段税率ぐらいでございまして、所得税に近いような累進税率をとらないのが法人税に対する考え方の一般的なもののようでございます。
-
○
山中(吾)委員 法人税の場合になぜ累進課税をとっては不合理かという説明が、いろいろの学者が書いているのを見ても私は納得しないわけなんだ。大きな所得を獲得したものには累進的に多く取るという原則は、個人であろうが法人であろうが同じであるべきだというのがわれわれの社会的公正感だと思うので、その説明がどうもつかない。そしてだんだん聞いていると、観念論としての擬制説と実在説にどうも絡んでいるのですね。そうでないのかね。それをぼくにひとつわかるように説明してください。
-
○中橋政府委員 今日までいわゆる実在説、擬制説というのは、確かにおっしゃるように、非常に概念を混乱する弊害があると私は思っております。法人は私が申し上げるまでもなく法律的には擬制の産物でございますから、当然法律でもって法人格を認めるということで初めて法人が成り立つわけでございます。その
意味におきましては擬制説に立っておるわけでございます。
しかし、いままで擬制説、実在説と言われましたのは、そういうことのために言っておるのではございませんで、私が先ほど申しました第二番目に問題となること、すなわち、法人税の基本的な仕組みとしまして、法人の
段階で生じました利益について法人税が一たんかかります、そしてそのかかったあとを配当として株主に配りましたときに、その法人の
段階でかけました法人税を、配当として受け取りました株主の
段階で調整をする必要があるかないかという問題が、これはもう各国とも非常に長い間論議を重ねてきた問題でございます。
そこで、擬制説と申しますのは、そういう法人の
段階でかけられました法人税を株主の
段階で調整をすべしという
議論でございます。それを擬制説と称しておるわけでございます。
実在説と申しますのは、そういう法人の利益について法人の
段階でかけられました法人税を、配当を受け取ります株主の
段階で調整する必要がないという
立場に立つものを実在説と申しておるわけでございます。
したがいまして、法人は、冒頭に申しましたように、あくまでも法律の産物であるという点におきましては擬制説の上に成り立っておるわけでございますが、実在説、擬制説と申しますときには、そういうことを言っておるのではありませんで、法人の利益に対する課税と、それから流れ出るところの配当に対する課税を調整する必要があるかないかという観点から、擬制説、実在説ということを言っておるのであります。
-
○
山中(吾)委員 調節をしなければならぬという思想が擬制説の上に立っているのではないかと私は思っているからいま言っておるので、その辺をしっかりと割り切って物の考え方を決めなければ、法人税というものの合理化はなかなかできないと思う。これは何回もやはり国会で論議をせねばならぬと思うのでするのですが、どうですか次官、個人と法人が社会的存在としては権利義務の主体として認められておる限りにおいては、どこの場面においても差別する何物もないと私は思うのです。
自然に生まれた人間も民法で権利義務の主体として認めるから法律上の人格になっているので、たとえば未成年は無能力者だと言ったら、これは権利主体から外れるわけです。だから、一定の人間の集団とか財産の集団も法律上権利義務の主体だと言ったら、これは明らかに社会的存在としては社会生活における権利義務の主体、その点については、社会的存在としては個人も法人も何ら変わるところはない。結局は法律に基づいて与えられた位置なんですね。だから自然人だって、民法が満二十歳までは無能力とすれば、これは権利義務の主体じゃないのですから。
そういう
意味において、個人と法人について、ヨーロッパの十八世紀のいわゆる個人主義思想で、個人だけが実在というような考え方の偏見で、法人という会社が何らか擬制に感ずるということは私は間違いだと思っているのですよ。どちらも法律上権利義務の主体として認められておる、そこに何らの差別はない。したがって、法人の活動によって得た所得に対しても、資産に対しても、個人の活動によって得た所得に対しても資産に対しても、それを差別的に取り扱うという根拠はないじゃないか。だから、調節ということはそういう思想というものからどこか外れて、一つの古い偏見がどこかにあって来ているんじゃないかというのが私の感じです。どうですか、次官の感想は。
-
○森(美)政府委員 どうも法律的には
先生のおっしゃるようなものと思いますが、ただ経済の問題になりますと、やはり果たして別個であるかどうかという問題については、いろいろ
議論のあるところだと思います。
-
○
山中(吾)委員 経済的に所有権の主体、財産権の主体として認めておれば、個人事業であろうが法人事業であろうが、経済的には同じじゃないですか。ばりっとそういう思想の上に立って法人税を考えるかどうかということが非常に違った結論になる、ぼくはそう思うのです。どこか違いますか。
-
○中橋政府委員 そこは、法人の
段階で得ました利益といいまするのは、配当としてその期以降に配分をされますか、あるいは解散をしましたときに株主に残余財産の分配として分けられるかということが常にあるわけでございます。それを常に頭に置きながら考えますと、やはり法人が法人という法形態でもうけました利益と、それから個人という、そういうことがない者がもうけました利益というのはおのずと経済的に違うということで、課税上もやはりしんしゃくが違ってくるというわけであります。
-
○
山中(吾)委員 個人でも七、八十年たつと死にますからね、その財産の帰属はどうなるかということもあり、法人もこれは破産をすれば……。しかし、法人の場合は更生法その他で保護されて、むしろ永久的存在になっていると思う。相続はない。それとは関係ないんじゃないかね。
私は、やはりヨーロッパの思想というものを受け売りしないで、日本の法人の場合にはもっと考えなければならぬと思うのは、これこそ終身年功序列型の法人であって、従業員も企業愛というものはヨーロッパと違うのであるし、生涯の自分の職場と考えておる。一方、株主自身は企業の外から配当だけを考えておる一つの意識の自然人であり、したがって、私はそこの労働組合を形成しあるいは経営者になっておる者が、むしろ経済的にも法人の構成者であると思うのですよ。生涯の企業というふうな考え、これをヨーロッパ的にしろ、あるいは日本の風土に合っているから残せという論議は別にありますが、これはむしろ私はそう否定しないんだ。日本の法人というのは、ヨーロッパのそういう翻訳書の中で理論をつくって、税制までを考えることは間違いではないのか。むしろ企業に対する意識とかいうふうなものから考えたならば、
現実の企業、と言うと間違いを起こすから法人だね、法人格を持ったいわゆる法人の構成者というのはやはり経営者であり労働者である。
現実に日本の場合については、銀行の預金者と同じように、株主が配当を考える、いわゆる有利な利殖あるいは資産の保全の場所ということになっているんじゃないか。やはりその
現実の上に立って社会制度を考えるべきではないかというふうに思うのですが、どうですか。
-
○中橋政府委員 法人というものができましてからは所有と経営というものが分離をすることが可能になったわけでございます。したがいまして、日本的な企業が、その企業の中におります者の企業観というものが外国と違っておると言いましても、所有と経営の分離ということはまさに同じでございまして、そういう場合には、たとえ事業を経営しておる者が非常に有能であり、長くそれを経営し、また外部の人もそういうものとして意識をするとしましても、依然として所有をいたしております株主というのが現に存在するわけでございます。
したがって、やはり何といいましても、その株主があります以上は、その法人と株主との関係というものを無視し得ないわけでございまするから、その場合に、企業そのものが全く株主から離れてしまっておるというふうにはなかなか割り切れないものがあるわけでございます。
-
○
山中(吾)委員
個々の株主は配当だけを考えておるので、やはり法人の外にあるんじゃないですかね。ただ、株主総会というのが一つの法人の機関として存在しておるが、これはいわゆる経営協議会であって、
個々の株主はそんなものは関心ない。やはり税というものは
実態に基づいて課すべきである。形式で課すということになると大変な不公平、もう国民から言えば、不平不満のもとにしかならない。やはり
実態というものの上に立って税というものは考えないと、税の不公平感というものは大変なことになると思う。
形式的法律論から言えば株主総会というものがあるが、株主総会というのは総会屋でどうにもなるのだし、実際はそうでないところは経営者
会議でしょう。経営者というのは、いわゆる株がなくても経営者になれるわけですから、その辺はどうももう少し税を考える場合に、実は国会でも原点に戻って、
現実の法人のあり方の中から、税制をわれわれは立法論としても考えるべきでないかということを痛感するのですよ。
ことに大法人の場合には経済的支配者でもあって、国民経済には大きい影響力を与える、いわゆる管理
価格の決定権まである
意味では持つ。私は教育も支配しておると思うのです。文部省の教育審議会には財界、法人の代表者が入って、その影響力というのは大変で、ある
意味では文教政策を曲げておるのです。つまり政治を支配しておる。企業、法人が政治献金をできるということによって、これは実質の参政権ですよね。何億というものを政党に献金することによって一定の政策に影響を与え、ある
程度提案をしておるようなものですから、一般の国民は一票しか投じないが、献金に基づく参政権というものも与えられておると思うのですよ。
だから、経済を支配し、政治を支配し、教育を支配しておる。本当を言えば、人間まで支配しておるのだ、低賃金労働ということを言えば、理屈を言えば。そういうところまで来ておるいわゆる大法人の社会的機能の
立場からその税制を考えなければならぬのじゃないか。ことに大法人というのは、下水道から道路から、その一定の所在する都市の公共施設の半分くらいは大企業が使っておるようなものではないのか。そういう
実態の上に立って法人税を考えるべきではないか。だから私は、累進税というものはやはり緩慢であっても考えなければいかぬのではないかとどうしても思うのです。私は学者じゃないですからね。どうですか。
-
○中橋政府委員 いろいろ
山中委員がおっしゃいました法人に対する経済的な評価というものはあると思います。現にそういうような評価があればこそ、法人に対する課税というのがだんだん各国において行われてくるようになったものであります。仮に
山中委員のおっしゃいますような考え方をとりまして、私が先ほど第二の問題点ということで申し上げました配当に対する課税の調整問題という観点でこれを取り上げておりますのは、いわば一番端にあって
山中委員に一番近い考え方をしておるのはアメリカでございます。それから、一番反対の
立場に立っておりまするのはイギリスでございます。その間にわが国があり、あるいはフランスがあり、あるいは改正案におきますドイツがあるわけでございます。ですから、そういう配当に対する課税の調整問題とすれば、いろいろな考え方が成り立ち得ると思います。
その場合に、いまおっしゃいますように、それだから法人について累進税率を適用すべきであるという考えをとっておる国は、実はアメリカから右はイギリスにおきましてもないわけでございます。二段税率は確かにございます。わが国の二段税率
程度のものはございますけれ
ども、累進税率をとっておるという国はございません。ですから、おっしゃいます論点を突き詰めていきましても、配当に対する課税問題としての違いは出てまいりましょうけれ
ども、おっしゃいますように、したがって、累進課税を適用すべきであるというその点になりますれば、法人というのは株主から構成をせられておるということで、累進税率をとっていないのが国際的な通念であると申し上げても誤りでないと私は思っております。
-
○
山中(吾)委員 その通念を日本が破るべきだという論なんだ、私は。
-
○森(美)政府委員 本問題に関しましては、税制調査会で特別部会まで設けていろいろ検討されているようでございますが、法人と言いましても、十九万五千で、八百屋さんでもクリーニング屋さんでも会社になれるような状態でございますし、また大企業が、累進課税をつけますと企業の分割というような、わざわざ小さくしてやるような事態も起こる可能性もございますし、またもう一方、国際社会に出ていくのに、
生産性の向上その他やはり資本の蓄積という問題も必要かもわかりませんし、私
ども、いまここで結論を当然出せる性質のものでもございませんので、それなりに研究は続けさしていただきたいと思います。
-
○
山中(吾)委員 余り大企業化することのスピードを抑えるためにも、社会的な
意味においても累進課税の検討をすべきであり
——累進の傾斜は別ですよ。それから、企業が大企業になって国民経済に影響力を与えるに比例をして、独禁法その他の法律をつくるまでもなく、国民経済に対する影響力に比例して、おのずから大法人は公共化するのであるという価値観をつくるべきだと思うのですね。それだけの一つの社会的、経済的地位を大法人が持つわけですから。だから、最大利潤の追求の経営哲学を適正利潤の経営哲学に移行さるべきものである。そういうことも含んで、ヨーロッパ
——日本というのは、どこかの国がやったものしかやらないですからね。一遍、日本だけの制度を創造するようなことがあってしかるべきだという
意味で申し上げておるわけです。
それをなぜ申し上げますかというと、たとえば、岩手には釜石という市があるのです。人口五万。あそこには新日鉄の釜石製鉄所がある。人口五万のうちで一万五千ぐらいはそこの従業員です。それから市の三分の一ぐらいは会社の土地でしょう。それから港湾はほとんど新日鉄が使う。ところが、国の投資というのはそのためにもう大変な投資をしておる。そして市長の選挙でも、その会社のどの者を出そうと思えば市長に出せる。市
会議長もちゃんとできる。だから、五万の釜石における一つの大法人の存在というのは、経済的、政治的、あらゆるものをコントロールできるという存在なんですね。
ところが、それに対する市民税というものは、法人税は国ですから、固定資産税があっても大したものじゃない。そういう矛盾というものがあって、そういう一つの法人は、社会的存在としては擬制的なものの考え方でなくて、社会的利益を受けておるに応じた責任もあるわけですから、そういうことを考えてみると、やはり税法を見ると非常に矛盾を感ずる。こういうことは私は国会の中でももっと論議をすべきだと思うので、若干控除額を上げたとか特別
措置を若干どうしたというようなことを幾らやっても何となく空虚感を感ずるので申し上げておるわけであります。
私は四時に終わりますので、そういう思想のもとに一つ提案だけしておきたいと思うが、こういうことだって一つの税制として考えられるのではないかと申し上げておきたい。
法人が大学の卒業生を雇用する場合には、私は人材雇用税を取ってもいいのじゃないかとさえ思う。一人の国民を大学まで出すのには大体親は五百万、国は小、中学校の教育費を
計算すると大体五百万くらいかかっておる。つまり、大学卒のいわゆる優秀な技術労働者を出すのに一千万はかかっているのですね。その一千万もかかっておる人間を大法人が自由に自分で選択して使える。人材雇用税をむしろ出すべきだと私は思う。一年に大学卒業生一人に一万、三十年の勤続なら三十万ぐらいは人材を活用することのできることに対する税があってもしかるべきだとさえ思うのです。
そういうことを考えてみると、経済成長政策というならば、また大法人にうんと利益を与えてしりをたたくということの政策的な
意味があるいは税の中に入るのもこれは一つの何だろうが、安定経済、スピードと安定というものとのバランスをとっていくという政策に立つならば、もっと税の公平化を図っていくべきではないか。したがって、税法の改正について、税制調査会においていままでと同じような人ばかり幾ら集めても角度の変わった発想が出ないのであるしするから、もう少し法人税のあり方を根本的に検討され、その上に立った税法の改正案が国会に提案されることを期待して、私は終わりたいと思います。
-
-
○坂口委員 きょうはいろいろの角度からお聞きをしたいわけでございますが、最初に医療法人の問題をひとつお聞きをしておきたいと思います。
先日も税制調査会の副会長さんでございましたかお見えになりまして、いろいろ意見の開陳がございましたが、その中で租税特別
措置に対するかなり厳しいお言葉がございまして、その御意見等も承ったわけでございますけれ
ども、単なる診療所の七二プロの問題だけじゃなしに、医療機関全体から見ますと、かなり多種多様な税制の問題がございます。特に大きい病院、それも私立の病院とそれから診療所というものにつきましてはかなりの違いもございますし、また病院形態によりまして内容もかなり違っていることは御承知のとおりでございます。
いまさら申し上げるまでもなく、現在の医療制度そのものの中にいろいろの問題がございます。その中の一面の税制だけを考えるわけでございますから、いろいろそこに無理も来るわけでございますが、いずれにいたしましても、現在の現物給付、出来高払いというこういう制度の中で、それが公立病院であれ、それが私立の病院であれ、あるいはまた診療所であれ、同じ形態の中で医療が行われているわけでございます。その中で、たとえば最近問題になっておりますように、自治体病院等が非常に赤字で、どうにもこうにもやっていけないというような問題が出ておりますし、また日赤や済生会だというような病院においてもしかりでございます。
そういう反面、私立の病院はどうかということを見ますると、やはりかなり厳しい内容のところもございますし、それから利益がかなり上がっておるところもあるわけです。これは、先ほど申しましたように、同じような現物給付、出来高払い、この制度の中で自治体病院が非常に赤字で困っている、そして一方の私の病院は悠々とやっていけるわけは決してないわけでありまして、もし仮にそうだとすれば、自治体病院等がかなり放漫財政なのか、さもなくば私立の病院の方がかなり厳しい経営をしいているということなのか、いずれかということになるだろうと思うわけです。
私立の病院を見ましたときに、やはり人の問題にいたしましても内容の設備等にいたしましても、かなり厳しい条件の中で仕事をしておみえになるところが多いと思います。しかし、自治体病院がそれほど全部が全部、放漫財政であるとは考えられないわけでありまして、正常にとまではいかない非常に厳しい条件の中ですから、なかなか健全な財政が保てないというのが現在の地方自治体の病院ではないかと思うわけです。
それに対比するのには、若干問題もございますけれ
ども、私立の病院、多くの場合には医療法人になるわけでございますが、その経営が決して楽なわけはないわけでありまして、かなり厳しい状態であるのが当然だろうと思うわけです。四十八年度の
資料が私の方にもないのですが、昭和四十七年の国税庁がお調べになりました私立の病院の結果を拝見いたしますと、欠損を出しておみえになるものが三百七十三件、それから利益を上げましたものが千七百三十五件ございますが、そのうち百万円未満のものが百四十四、百万から五百万の間が三百四十六、五百万以上で一千万未満というのが三百四十四、それから一千万以上で五千万未満というのが八百三十一、五千万以上一億円未満というのが六十、一億円以上というのが十、こういうふうな結果が出ております。
これで見ますと、一千万から五千万の間のところが率としては一番高くなっているので、この
数字だけを見まするとやっていけているじゃないかという結果になるだろうと思うのですが、これはあくまでも私立の病院でありますから、もう赤字になればやっていけないわけでありまして、この
数字が出ている裏に、果たしてこれが正常な医療が行われた上でこういうふうになっているのか、非常に厳しいいろいろの条件の中でやってこういう結果が出ているのかということが一番大きな問題になるだろうと思うわけであります。病院の場合には同じ経営と申しましても、その経営成果というものは、一般の企業のように利潤が上がったかどうかということが目安にならないと思うわけです。病院でありますからその効果が上がったかどうかは、その医療効果があったかどうかということによって決定されるべきものだと思うわけです。
そういたしますと、いわゆる経営の改善と申しますか、経営がうまくいかなかった場合にその改善をどんどんやっていくというときに、いわゆる
生産性原理というものを導入して立て直しをしていくという形をとりますと、結局従業員の人数を減らすかあるいはまた余分な仕事をやめるか、そうして一方において患者の数をふやすということをしなければいけない。そうすればするほど、一人一人の患者に対する医療サービスというものは低下をせざるを得ないという、そこに特殊性があるわけでございます。このことを抜きにして医療法人等の税制の問題は論じられないであろう、こう思うわけであります。このことについては恐らく
皆さんも異論はないだろうと思いますが、また後で御意見があればお聞かせをいただきたいと思います。
その中で医療法人でございますけれ
ども、医療法人は医療の公共性ということから医療法の第五十四条によって、いわゆる利益配当というものを禁止されていると思うわけです。しかし、いま一般商事会社と同じように法人税はかけられております。この利益配当を禁止しているというのは、恐らく資本の蓄積ということをやはりその根底にしているのではないかと私は考えるわけでございますが、この点何か御意見がございましたら、まずお聞きしておきましょう。
-
○中橋政府委員 医療法人におきまして剰余金の配当を禁止いたしておりますのは、御
趣旨のように、できるだけそれによって内部留保を厚くするという
趣旨だと思っております。
-
○坂口委員 そういう
意味からいたしますと、この利益配当というものを禁止しているというのは一つの方法であろうというふうに私も考えるわけであります。こういうふうな考え方でいくのならば、やはりすべての問題がこの考え方のもとに統一して行われなければならないというふうに考えるわけです。私立の病院じゃなしに診療所の場合を見ますと、これは個人の利益とそれからその診療所の所得というものとがミックスした形になってしまって、はっきりそれの選別がつかないような形になるわけでありますが、病院の場合には、特に医療法人の場合にはその点はっきりしているわけでありますけれ
ども、たとえば建築をするとかあるいは内部のいろいろな設備を充実するというような問題がございます。この建築だとかあるいは設備の充実ということができ得る限りできやすくなるようにという配慮からこの利益配当というものを禁止しているのではないかと思うわけです。いまお答えになったのも大体そういう
意味ではないかと思うのです。
ところが、減価償却の問題を見ましても、これが最近かなり改善はされましたけれ
ども、以前はこの建築物一つとりましても、普通のホテルでありますとか、そういうものよりもこの期間が長かったりというようなことがございました。最近は病院の場合も大体ホテル並みになってきたわけでありますが、こういう減価償却の問題一つとりましても、普通のホテルや旅館と同じように扱われているという側面がございます。これは私の記憶に間違いがなければ、現在、普通の病院、鉄筋コンクリート建てで五十年だろうと思いますが、これだけ激しい人の出入りのあるところで、しかもいろいろ機械器具等を持ち込んだりというところで、五十年というのはいささか無理な感じがするわけなんです。それから、中へ入れます機械器具等を見ましても、妥当なものもございますし、非常に妥当でないものもあるわけです。こういうふうに建物だとか、それからそれの中に備えつけます設備というようなものは、できるだけしやすくするというのが、これもまた一つの税制上の問題ではないかと思うのです。
そういう
意味で、諸外国の例を調べてみますると、アメリカやそれからスウェーデンあたりでは、いわゆる自由償却制度というものを採用いたしております。日本にも特別償却制度というのがあるわけでありますが、この自由償却制度というのを取り入れて、でき得る限り私立の病院が上がった利益の中から施設やそれから設備に努力をするような、それに対する前向きな姿勢がとられているというふうに思うわけであります。
それで、この医療法の第五十四条による利益配当を禁止しているということと、それからホテル並みの減価償却の期間というものとの間には少し矛盾した内容がありはしないか、もう少し積極的に、上がった利益の中から設備や建築物の方に向けられていく、そうして、それがまた地域住民や患者の方のサービスに、再
生産の方向に向かっていくという方向にこれはすべきではないかと思いますが、その点いかがでございましょうか。
-
○中橋政府委員 医療法人におきまして、いまおっしゃいますように、医療機械を充実していただいて、診療の水準を高めるということは望ましいことだと思っております。ただ、わが国の償却制度全般につきましては、いまお示しのように、たとえばアメリカ流のそういう中央のラインの二〇%以内で自由に償却ができるというような制度をとっておりません。それにかえる特別償却制度がございますが、医療法人も現在取得される設備につきましては、初年度五分の一の特別償却制度というのは全般的に適用になり得る制度になっております。そのほかに、果たしてもっと高い特別償却率を採用すべき機械があるいは今後入りますれば、今日ありますような特別の償却制度としてとることも可能かと思いますが、今日まではまだ残念ながらそういった機械がございません。今後の推移を待ちまして、そういうものがございますればまた検討をいたしてみたいと思います。
-
○坂口委員 たとえば西ドイツの例でありますと、病院施設に対します特別償却制度がありまして、いわゆる固定資産の取得年度及びその翌年度に不動産は三〇%、動産は五〇%の割り増し償却が行われているだろうと思うのです。いま局長の言葉にもありましたように、今後の推移を見てということでございますが、ひとつこれは今後の医療全体の税制の中で検討していただいていいことではないか、こう考えるわけです。
いままで問題になりますのは、診療所のいわゆる七二%の問題だけが医療機関の税制の問題としてクローズアップされて、ほかのことが存外見失われておりますけれ
ども、いま申しましたようなことは、すぐれた医療を保っていくためには非常に重要なことではないかと考えるわけです。そういう
意味で、そういうキカイがいままでなくてという御発言は、そういうチャンスがなくてという
意味でございますか、それとも機械器具という
意味でございますか。その点もう少しはっきりとしたお答えをいただいて、でき得る限り
——現在まではチャンスの方もなかったということかもしれませんが、そうではなしに、この問題をひとつ今後の検討項目の中に入れていただきたい、かように考えますが、いかがですか。
-
○中橋政府委員 私が申し上げましたのは、特別償却にふさわしい医療機械器具、装置、そういうようなものについて、まだ今日まで私
どもが採用したものがなかったということで申し上げたわけでございます。もちろん、医療全般につきまして、ただいまお示しのように、個人の社会保険診療報酬の問題もございますし、それから診療体系自体として、恐らくそれが契機となりまして技術上という問題、それが先ほどお示しのような医療法人の赤字経営というものとも関連いたしましょうし、また医療法人全体として建物、機械器具の問題も今後あわせて検討しなければならないという事態に立ちますれば、私
どもも十分適当なものについてそういう考えを検討いたしたいと思っております。
-
○坂口委員 それからもう一つ、みなし法人の課税制度がございますね。このみなし法人の制度そのものは評価すべきだというふうに思いますし、特に診療所の場合等は、先ほ
ども申しましたとおり、個人の所得と診療所の所得とがミックスした形で出てくるということがありますので、それをある
程度区別するということになりますと、この制度を評価すべきだと思うわけでありますが、存外にこの制度をやっておみえになるところが少ないわけなんです。大体二%以内ぐらいな
程度ではないかと思いますが、このみなし法人課税制度というものができてからまだ日が浅いということもありましょうし、その他もろもろの条件もあろうかと思いますが、これがいい制度だというのに、わりに進められていかない理由には、やはりここに踏み切りにくい幾つかの条件もあるのだろうと思うわけです。
その一つには手続上の問題もありましょうし、それからいわゆる事業主報酬額の変更というものが非常にむずかしいという面もあると思うのです。一度届け出された事業主報酬額というものは、年の途中では一切変更することができないという条件がついておりますし、あるいはまた、本制度の採用者が中途でいわゆるみなし法人課税の選択を取りやめた場合には、それ以後の年度においては再びこの制度を利用することができないというような条件もついているわけです。
それからもう一つは、いわゆるみなし配当について、このみなし法人所得の七二%を配当とみなすということは、法人企業における利益配当とのバランス上設定されたものだろうと思うわけですが、先ほど申しました医療法五十四条の医療法人におけるいわゆる配当禁止ということとのバランスから見るといささか矛盾をするような気もするわけですが、これに対して何か御意見ございませんか。
-
○中橋政府委員 みなし法人制度を導入しました経緯といいますのが、実は個人の青色事業者が事業主の報酬をそのままの形で分別課税をしてほしいというのが発端でございました。しかし、それは私
どもからしますれば、やはり法人形態をとればともかくも、個人形態をとりながら単に事業主の報酬を自分で決めたからと言ってそれを分別課税するということはできないことでございますので、そこで今日のみなし法人制度ということで、実質的には法人形態をとったと同じような
措置を講じていただければ、そういうような課税上の効果を及ぼしましょうということで設けたものでございます。
したがいまして、いまいろいろ御
指摘の点がございました手続上の難点といいますのは、やはり法人形態をとったならばというようなこととの権衡上どうしても避けがたいわけでございまして、その手続上の難点は、冒頭の個人企業経営のままで事業主報酬を分別課税してほしいという要望には、端的に応じがたいということを示しておるものだろうと思います。したがいまして、やはりみなし法人制度をとられるというときには、法人成りをしたと同じような難点を克服していただかなければならないということがあるわけでございます。
-
○坂口委員 御説明わからないわけじゃないのですが、先ほど
指摘しましたような幾つかの点があるということが、この制度に踏み切っていきにくい一つの壁になっているのではないかということを考えましたので御質問したわけです。
それからもう一つ、医療法人上の問題としまして、医療法人におきます
理事というのは
法人税法上の役員に該当するだろうと思うのです。医療法の第十条によりますと、一般病院の管理者というのは医師または歯科医師ということになっておりまして、さらに医療法人においては
理事の中に管理者である医師を加えなければならない、こういうことになっているわけです。そういたしますと、病院管理の責任を明確にしますためにも、院長ですとか副院長その他の医師が
理事になることは一応避けることができない、そういう形態になっているだろうと思うのです。
そういたしますと、この
理事になっている医師は、一方においては役員であり、一方においては使用人と申しますか自分で連日仕事をやらなければならない、一人二役をやらなければならない、そういう
立場に立たされるわけです。これは
法人税法上は使用人兼務役員という形になるべきではないかというように思うわけですが、これはなっていないということで、そうすべきではないかという意見もあるわけでございますが、この意見に対してはいかがでございますか。
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○中橋政府委員 恐らく医療法人を設けました際に、やはり医業は医師がやらなければならないというところから、医業を経営する医療法人ということを設けました場合に、やはりその管理者に医師を持ってくる、あるいは
理事の中にその管理者たる医師を加えるということでもって調整したのだろうと思います。そういうことを税制の側から見てみますれば、やはりその
理事たる医師は医療法人の経営について非常に重要な役割りを演じられる人というふうに見なければならない地位にあると言えると思います。
今日、株式会社におきまして、たとえば常務取締役ということで会社の役員としての地位が非常に重要であるという表示をさせられましたならば、その人の仕事のいかんを問いませずこれは使用人兼務重役ではなしに重役そのもの、重要な重役としていろいろ課税上扱うわけでございますので、そういう類推をもってしますれば、いまお示しのような管理者たる医師、その
理事ということになりますれば、やはり医療法人の経営上非常に重要な役割りを勤められる方としまして、いわゆる使用人兼務重役ということにはなかなか見がたいと思います。
-
○坂口委員 病院の経営ということにとりますと、やはり役員としての
立場にあることは間違いございませんが、一方において病院を支える一人の労働者であることにもまた間違いがないわけでありまして、その辺にこの
議論の出てくる主な原因があるだろうと思います。このことについても今後ひとつ十分に御検討をいただきたい。いま結論が出ることではございませんで、最初に申し上げましたこと等と含めて、こういったこともきめ細かくひとつ御検討をいただきたいと思うわけです。
いずれにいたしましても、現在の医療の中におきます税制というものがいろいろの目で見られ、またいろいろの意見が出ておりますのも、やはり問題をあいまいなままに過ごさせてはならないということであろうと思いますし、何か政治的に解決をしてしまったりとか、あるいはまたこわいものにさわるような形でおいておくということでは、これは国民の信頼をかち得ることはできないであろうと思うわけです。やはりはっきりせしめるところははっきりとさせて、そして出すべきものは出して、そしてまた支払うべきものは支払うという、すっきりとした医療の中の税制というものが確立されなければならないだろうと思うわけです。いわゆる平等という
意味から、ただ何でもかんでも普通の企業と同じように、パーセントさえ同じ
数字になっていればいいというものでは決してない。それは、最初に申しましたような医療という特殊性、その背景となるものが非常に大きく違うということを忘れてはならぬと思うわけです。
そういう
意味から、いまこの医療法人の問題の幾つかの点を
指摘したわけでございますが、最近、一番問題になっております七二プロの問題につきましては、先日の委員会でも私、質問をさせていただきましたし、あらあら了解できたわけでありますけれ
ども、了解できたと申しますよりも説明が理解できたわけでありますけれ
ども、ただ一つだけ、先日の質問でもはっきりしなかった点は、病院なりそれから診療所でもいいわけですが、大きくなっていけばいくほど必要経費というものがよけい要らないという形で示されていますね。一千五百万までが七二プロで、五千万以上が五二プロでございますか、そういうふうに
段階的に示されております。
ここで、私、心配しますのは、最近の自治体病院等も含めて見ておりますときに、存外大きい病院ほど非常に苦労をなすっている。非常に経営的に困難なところが多いということを考えますと、五千万円以上は五二プロでいいんだ、それから一千五百万までは七二プロでいいんだというこの分け方が、果たして本当に
数字上そうなっているのであろうかどうかということに対して、何となく疑惑を持たざるを得ないわけです。
この点について一つだけお聞かせをいただきたいわけですが、先日お聞きしましたときにも、いままでの青色申告等の中からアトランダムにサンプリングをして、その結果が大体五二プロであった、こういう御
答弁だったと思うわけでありますが、それは、こういう病院または診療所の
規模別に集められた
資料がそういう結果であったのかどうか、その点だけひとつ明確にしていただきたいと思います。
-
○中橋政府委員 あの改正案に示されております基本は、いわゆる実質的な経費は五二%を基本にいたしております。その五二%といいますのは、収支の明細が明らかである青色申告をとっておりますお医者様について見て、自由診療分を除外しまして、社会保険診療部分の経費が一体どの
程度であるのかというのから見たわけでございます。したがいまして、大体その結果によりますれば五二%というのが、おおむね収入階層のいかんにかかわらず適用できるということで考えたわけでございます。
-
○坂口委員 そういたしますと、収入階層の別なくということでありますと、いわゆるランクづけをなすったのはどういうわけでございますか。
-
○中橋政府委員 そこで、その五二%という、いわゆる実質的な経費率のほかにいろいろ特別の配慮を社会保険医について加える必要がありますということで、一番収入階層の低い部面を七二にいたしまして、上限におきまして五二%に漸次下がっていくということをしたわけでございますが、確かに収入階層が非常に高くなってまいりますれば、そこにおきますところの経費率というのは上がっておる例がございます。それは何かというと、先ほど来いろいろ御
指摘のように、むしろ人件費が非常に大きなウエートを占めておるわけでございます。大
規模な診療所、病院の形態をとれば、その経費率というのはだんだん上がってくることは当然でございます。
現在、七二%のあの特例
措置が講ぜられておるものは一体どういうような社会保険医であるかということを申し上げれば、これは大体、やはり家業を中心としております診療所を対象にしておるものでございまして、それよりも大
規模な、いわば医療法人とまではいきませんが、そういったものに類する経営をやっておられる大
規模なものについては、すでに七二%を超えるような経費率の適用をやって課税を受けておられるところがたくさんあるわけでございます。あるいはさらには、医療法人化してそういうものとしての課税を受けておられるところがあるわけでございまするから、七二%のあの課税特例
措置を改善しますというときに、私
どもの頭としては、やはりいわば家業としてやっている診療所というのを頭に置いてまいりまするから、そういう人件費のウエートが非常に高くなってきて、したがって、実際、経費率が高くなっておるというのは余り考える必要はないということで、五二%を基本にいたしまして、その上にいわば自家労賃というものに対する評価をどの
程度に加えていったらいいかということで、二〇%を加えましたものから五%を加えましたものまでを設定したものでございます。
-
○坂口委員 わかりました。
それからもう一つ、病院の医療法人の問題にいたしましても、それから診療所の問題にいたしましても、基本的な考え方の中にこういうふうなことが含まれているかどうかということをもう一つだけ確認をさせていただきたいと思います。
それは初めにも申しましたように、一般企業と医療機関というものとは性格が非常に異なっている。したがって、その一年なら一年の結果のトータルだけを見て、そしてこれが黒字だからいいとか赤字だから悪いと一概に言えない点があるわけですね。たとえば、人を正規に雇わなければならないだけきちっと雇ってやっておみえになるところもあるし、そうではなくて、本当は五人雇わなければならないのだけれ
ども、三人でどうにかこうにかやり切っていくというところもあるでありましょうし、そういうふうな内容を一応抜きにして、結果を帳簿上だけで見て云々できにくいところがあるわけです。置くべき人は置き、そしてまたきちっと整備すべきものはして、なおかつその上で、その結果がどうかということが本当は重要ではないかと思うわけです、特に医療を受ける側の人間から見ますると。そういうふうな形で、なすべきことはなされて、置くべき人は置かれて、そうして本当に良心的な医療が行われる、そういう中で初めて患者というのはより多くの恩恵を受けることができるわけでありますし、よりよい医療というものがそこから芽生えるであろうと思うわけです。
そういうふうないろいろの条件がありますが、その条件が一応満たされた上で、果たして何%要るのかということが論じられるのか、そうではなしに、とにかく、たとえば看護婦さんにしましても、看護婦さんが足らないということもありますが、置くと人件費というものが非常に高くつくし、それではやっていきにくい、だからもう看護婦さんは本来ならば置くべきなんだけれ
ども、置かずに奥さんを
相手にやっていくというような形、そういうふうな形のところから出てきたものを集めて、そしてその値がたとえば五二%なら五二%になっているから、これでいいんだという考え方と二通りあると私は思うのですね。
それで、患者側の医療を受ける側の方から見ますと、それはやはり置くべき人を置いてもらい、そして設備も置くべきものはきちっと置いてもらった上で受けた方がよりよい医療が受けられることは、これはもう当然でありますから、したがって、そういう医療が行われるような
体制というものがつくられなければならないと思うわけです。その辺のところが考慮に入れられているかどうか。ちょっとこの私の言い回しが悪いものですから御理解いただけたかどうかわからないのですが、御理解いただけたら、その辺のところをひとつお答えいただきたいと思うのです。
-
○中橋政府委員 いまおっしゃいました点について、社会保険診療報酬自体の問題が確かにあると思います。設備をよくし、雇うべき人を雇って水準を高くしますれば、やはりそれについては対価というのが高くなりますから、そういうことをあえて是認するという問題、これを別におきまして、税金だけのお話を申し上げれば、いま言われましたように非常にいい機械の償却が多くて、あるいは看護婦さんをたくさん雇っているというようなところでありますれば、恐らく今日の七二%という経費率を上回って非常に高い経費として現に課税を受けておられるところは多々ございます。
問題はそういうことでなしに、いまおっしゃいましたように、たとえば奥さんとかおうちの方も一人の看護婦さんのほかに動員をせられます、あるいはお医者さん自身の所得というものもいわば自家労働としての報酬というもので、これは
所得税法上どうしても一体として課税をされるものでございますけれ
ども、そこについてある
程度の配慮をしようとしましたのが実はあの改正の内容でございますから、それについてのしんしゃくをいろんな形でやってみまして、一番多くて二〇%、一番少なくて五%、普通が五二%の経費にいたしましょうということでございますから、おっしゃいますように非常に水準の高い医療給付をしますということは、もちろん理想でございますけれ
ども、今日の税制七二%特例が一体どういうところに一番機能しておるのかといいますれば、いま坂口委員が御
指摘になったのとは違った、むしろ自家労働というもので非常に一生懸命やっておられるお医者さんに当たるものでございますので、それについてもかなりしんしゃくをしようというのが実はあの改正案なんでございます。
-
○坂口委員 私が申し上げておりますのは、決して七二%がいいとか五二%がいいとかという問題ではないわけです。国民の側からよりよい医療が受けられる
体制をつくり上げるためにはどうなければならぬかというところからの発想から質問をしているわけでありまして、そういうふうな
立場からいろいろ考えると、たとえば看護婦さんを先ほど例にとりましたが、これが二人でいいところを四人も五人も雇うというのは、これは別であります。いわゆる必要最低限度の設備と人的配置をして、しかる上でのこの必要経費というものがどれだけかということと、それからただ経営ということだけに目をとられて、現状はもうできる限り人も設備も抑えに抑えた中の現状の結果と、その結果を見て基準にすべきものがかなり違うじゃないかということを申し上げておるわけです。
ですから、よりよい医療の場をつくっていくということを考えますと、ただ現状のパーセントだけに目をとられて、そうしてこれはこうだとかああだとか決めつけるという行き方は間違いではないか。各医療機関が適切な人的配置や設備というものを持って、そうしてやっていける条件づくりをやはりしていく、そういう税制でなければならぬ、こう思うわけであります。
したがって、初めにもお断りしましたように、それが何%であるべきだというようなことを決して私は申し上げておるわけではありませんで、そういう努力を税制面からもやはりなされていくべきではないか、そのことが結果としてほかの職種の人たちに比べて非常に税制上の不公平があるということではこれは困るわけでありまして、そういう不公平が起こらない、しかも皆が納得し得る、そういう医療というものをつくり上げていくための税制というものがやはり検討されないと、ただ現状の結果の平均値だけからものが考えられているとしたら、これは今後に大きな禍根を残すことになりはしないか、こう考えるわけであります。
この点、幾つか申し上げましたけれ
ども、医療法人の問題、それからこの七二プロの問題等を含めて、ひとついろいろな角度から御検討をお願いしたいと思うわけであります。
この問題はそれだけにしておきまして、次に少し交際費や寄付金の問題についてお伺いをいたします。
昭和四十七年、四十八年度の交際費につきましては、私の記録に間違いがなければ、四十七年度は一兆三千二百五十五億円、四十八年度が一兆六千四百五十九億円になっております。寄付金の方はいかがでございますか。
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○中橋政府委員 寄付金を法人が支出しました金額でございますが、四十七年度は七百五十九億二千九百万円でございます。四十八年度は千二百六十六億五百万円でございます。
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○坂口委員 交際費の方だけを見ましても、四十七年度が一兆三千二百五十五億円でございますし、四十八年度は一兆六千四百五十九億円、非常に大きな額になっているわけでありまして、この委員会でも再三この是非については取り上げられているところでございますが、これは次官にお伺いをしなければならぬと思いますけれ
ども、こういうふうな交際費が使われていることに対してどのようにお考えになるか、ひとつ率直な忌憚のない御意見をお伺いしたいと思います。
-
○森(美)政府委員 交際費課税の問題は、御承知のとおり、何回となく毎年直しておりますので、現在のところはまあまあというところに来ておると思っております。
-
○坂口委員 交際費について日本では四百万円の定額控除とプラス資本金の千分の一でございますか、まで無条件で経費として課税対象から外しているわけですね。しかもこの枠を超えた交際費の二五%は経費として扱っているわけですが、こうした制度がベターであるとはどうも考えられないわけであります。この四百万円の定額控除、この根拠はどういうところにありますか。
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○中橋政府委員 当初は、売り上げに応じまして業種別に交際費の限度額というものをいろいろつくっておりましたのですけれ
ども、業種別の分類がなかなかとりにくいということから今日のような形にだんだんなってきたわけでございます。
それで、今日の四百万円という定額控除につきましては、三十六年度の改正におきまして初めて三百万円というのをとったものでございまするが、そのときは、先ほど申しましたような前の交際費の否認方式からの移り変わりもございましたので、いわば中小法人について余りきつくならないようにというようなことから三百万円というのを設定したわけでございます。その後三十九年に大体この三割増ぐらいの
程度で四百万円というのを設定いたしました。その後だんだん否認割合をきつくしてまいりましたし、資本金割合というものも四十九年度にきつくしましたが、この四百万円というのを十年余り据え置くことによりまして、むしろこの点についても強く課税をするという
趣旨でそのまま据え置いてきたわけでございます。
-
○坂口委員 交際費は、諸外国と比べましても日本はいかにゆるいかということがわかるわけであります。アメリカあたりも完全な実額控除になっておりますし、御承知のように、イギリスや西ドイツもほぼアメリカと同じだというふうに思います。日本では商談と申しますか、そういう習慣の違いというようなことから温存されてきたのではないかと思いますが、これはこの辺でひとつはっきりと決断をすべきときではないか。三木
内閣が、新しい門出のときだ、こう言っておみえになるわけでありますから、この辺もひとつはっきり決断をして門出のときにすべきではないかと思いますが、次官、いかがでございましょうか。
-
○森(美)政府委員 検討してみたいと思います。
-
○坂口委員 検討が五年先の検討であったり、十年先の検討であっては困るわけでありまして、検討をしていただくならもう早急に検討をしていただいて、そして決定をしていただかなきゃならないと思うわけです。
初めにちょっと時間を取り過ぎましたのではしょってお聞きをいたしますが、もう一つ、退職給与引当金の問題がございます。この退職給与引当金は、会計上は退職者となったときの額を引き当てるということでありますが、商法上、税制の中でも認めないわけにはいかないということではないかと思うわけです。二分の一を認めているその根拠ですね、なぜ二分の一に押えているのかということ。先ほ
どもちょっと御
議論がございましたけれ
ども、ひとつ簡単にお願いをしたい。
-
○中橋政府委員 本来、退職給与引当金を設定いたしますれば、その事業年度にいわば勤務しました従業員につきまして、将来払うべき退職給与金の増加額を全部引当ててもしかるべきものでございます。また一方、そういうような要望をする向きもございますが、税制上はむしろ、その従業員がやがてある年限を勤め上げました後でやめるものでございまするから、累積限度として二分の一を積み立てておきますれば、ほぼやめますまでに実際の支給金額に達するということで、二分の一に制限をしておるわけでございます。
-
○坂口委員 いまの説明、わからないわけじゃないのですが、この辺も今後の課題としてひとつ検討をしていただきたいと思います。
それからもう一つ、急いで申しわけありませんが、農業
生産法人の問題がございます。この問題も民社党の竹本委員でございましたか、前回お取り上げになったと思うのでありますが、農業
生産法人の育成については、これは農林省自身が進めてきた政策ではないかと思います。しかるに、この法人の所有となる農地は今回の特別
措置の対象となっていない。このことに対して、矛盾があるのではないかというのがこの前の御質問ではなかったかというふうに私は記憶しているわけでございますが、その後この問題について省内でお話をお煮詰めになっておりましたら、どういうふうな状態になっているかということをお伺いしたいと思います。
-
○中橋政府委員 あのときにもお答えしましたように、農業
生産法人は必ずしも出資者が全員そのまま常時農業に従事するということにならないわけでございます。いわば個人農業経営者の延長線上にあるような出資者で、しかも農業に従事するような人につきましては、農業継続という判定をいたします場合にできるだけのしんしゃくをいたしましょうということをあのときに申し上げたわけでございまするが、申しわけございませんけれ
ども、どういうものをそういうものとして規定をし、農業経営を恒常的に継続しておるものという範疇に入れ得るかということについて実はまだ結論は出ておりませんけれ
ども、この前にお答えしましたような線で、農業を個人でやっておると同じような形でもって、農業
生産法人に参画をするというふうな場合につきましての配慮を何らかの形で政令上行えるということで検討をいたしておるところでございます。
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○坂口委員 そういたしますと、一応特例の対象とする方向で検討をされているというふうに理解させていただいてよろしゅうございますか。それからもう一つ、結論が出ていないということでございますが、いつごろにこの結論が出るのかということもあわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
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○中橋政府委員 できるだけそういう方向で検討をいたしておるところでございます。それで、それは政令でもってそういうことをやり得る余地がございまするので、
租税特別措置法の改正案が成立をいたしましたときには政令を同時に施行しなければなりませんので、そのときに内容を確定いたしたいと思っております。
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○坂口委員 ありがとうございました。では、以上で終わります。
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○上村
委員長 次回は、明十九日水曜日、午前十時
理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十八分散会