○中橋
政府委員 まず税目の配分としての御質問でございましたから私からお答えさしていただきますが、
地方財政と国の
財政をどういうふうに
財源の面から分担をさせるかという問題は、実は、非常にむずかしい点をはらんでおると思います。
一つには、独立税目として
地方にどういうものを与えれば一番いいのかということでございます。
地方自治を伸ばすためには、その自主的な
財源を確保しなければならないということはおっししゃるとおりでございまするけれ
ども、その自主的な
財源を一体どの程度独立的な税目で確保するのがよろしいのか、あるいは今日のような全国的な調整
財源としましての交付税というものでカバーするのがよろしいのか、あるいはまた譲与税というような形でもって調整をする部面もございまするから、こういうものでどの程度したらよろしいのか。それから最後には、非常に個別的な補助金というものがあるわけでございまして、その総合的な兼ね合いをどういうふうにしたらいいかということは、非常にむずかしいことであると思っております。
そこで、
わが国の
地方団体と申しますかその
行政水準について、一体、
地方団体の
住民はどういうふうに
考えておるのかというのが一番問題でございますが、この狭い
日本の国土におきましては、同じ
水準の
行政を期待するというのが、どうも今日まで三十年間やってまいりました経験から言いましても、私はそれを痛感せざるを得ないのでございます。
それを一体どういうふうに実現するのかというと、
一つには補助金という形がございます。しかし、補助金であれば、おっしゃいますように、きわめて中央依存という度合いが強くなりますから、そこでの兼ね合いは、何と言いましても、全国的な調整
財源としての交付税というものの役割りが非常に大きくなるのではないかというふうに
考えております。ただそのときにも、客観的な基準であるとは申せ、
地方団体の自主的な判断が全然加わらない中央からの
財源というものに余り依存をしても困りますから、やはりそのときにはある程度の独立税目によって自主的な
財源を得るということも必要なわけでございます。
ただそのときに、独立税目を各
地方団体に与えるということになりますと、やはり非常に狭い
日本の中で数多くの
地方団体がいろいろな事情を持っておりまするので、どうしてもその間におきます
財源事情で独立税目では非常に変化を多く持つという欠点がございます。たとえば同じような
地方自治を古くから続けてきておる英国とアメリカにおきましても、国土の大きさあるいはその
地方自治の生い立ちというふうなものが違いまして、英国におきましてはいわば固定
資産税だけが
地方の独立税である。しかも私は、英国の
地方自治というのはそんなにひけをとらないぐらいの
水準であるというふうに思っております。また一方、非常に国土の広いアメリカにおきましては、連邦
制度ということがございまするから、非常に強力な
地方財源、まあ私
どもから見ればむしろ
わが国税に匹敵するような非常に広い対象領域を持っておる
地方税というもので動いておる。しかもそこにおきましてもなお、連邦
政府においてのグランツというものがかなり大きなウェートを占めなければならないということでございます。
したがいまして、私は、やはり
地方自治ということを伸長しなければならないことはもちろんでございまするけれ
ども、その
財源をどういう形で、しかも私が先ほど申しましたような調整
財源というものとも兼ね合わせながら、独立税目というものも相当持ち得るということで
考えなければなりませんので、独立税目を中央から
地方に与えることだけが
地方自治を伸長する道ではないというふうに思っております。