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中橋政府委員 御
指摘のように、私は、相続税はやはり富の集中をある段階において排除する、財産の再分配を図るという
税金だろうと思っております。ただ、一体どの
程度の人にそういうことをやったらいいのかというのは、やはりそのときそのときの国民の
所得の状況、資産の状況から判断をしなければならないのではないかと思います。
たとえば、私
どもはいまごく最近におきます基準年次と
考えておりますのが
昭和四十一年、このときに最近においては一番大きな
改正が行われましたが、
昭和四十一年において、大体毎年死ぬ方は七十万人くらいの人間になっておりますけれ
ども、相続税を
課税される遺産を持っておった人というのは一・四%でございました。それが逐次その後二、三回
課税最低限の
引き上げは行われましたけれ
ども、ほとんどその後におけるいろいろな価格の上昇を反映し切れませんで、
昭和四十八年、現在の
課税最低限が設けられた年でございますけれ
ども、そのときにはこの一・四人という率が四・二人になっております。
もちろんわれわれも、一・四人という
数字が、たとえ四十一年を基準と
考えましても、その後の状況から見まして絶対に守らなければならないような
数字とは思っておりません。だんだん国民の富が上がってまいりますれば、この
数字が上がるのは当然でございますし、またアメリカであれ、イギリスであれ、ヨーロッパの諸国であれ、そういう
数字を仮にとってみましてもかなり高いところにございますから、だんだん
わが国も幸いにして国民の富が上がれば、これも上がっていっていいのだろうと思います。
しかし、たとえばこの七年間に一・四から四・二に上がってきたということは、国民の富が非常にふえたということのほかに、もろもろの価格の異常な上昇というのがあずかって力があると私は思っております。これをこのまま
現行法を続けますと、五十年度においては約五・〇
程度になるという見込みがございます。正確に申しますと四・九
程度になるという見込みでございます。
そこで、今回の
改正では、被相続人に
着目いたしましての
課税人員というものをある
程度の
数字にするのが現状から申して適当ではないかということで、まず、
課税最低限の問題を
考えたわけでございます。
この場合やはり一番基本になりますのは、いまの相続税の
課税対象の七割を占めておるのが土地でございますから、土地の価格は一体どの
程度四十一年から伸びてきておるのかと申しますと、宅地価格指数で約四倍、正確に申しますと三九六・二%に四十九年度でなっております。あるいはまた、国民
所得の一人当たりの金額で見ましても三三九・六%ということになっております。そういうふうに大体四倍をこの際の目標にいたせば、
先ほど私が申しましたようないわゆる
課税人員
割合というものも適当な線に来るのではないかということであの四十一年当時の
課税最低限、配偶者と相続人四人で一千万円というのを、今度五十年度における
改正では四千万円にしていただこうということでもって発足をしたわけでございます。
そういうことによりまして、
先ほど申しました
現行法のもとにおきまして
課税をされる死亡者の率が四・九から二・八
程度に下がる。大体このくらいの率が、ヨーロッパの国のその同じような
数字に比べてみてそんなに不当なものでもないというようなことから、この
課税最低限をとらせていただくことにいたしたわけでございます。