運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-05-07 第75回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年五月七日(水曜日)     午後三時十分開議  出席委員    委員長 田代 文久君    理事 金子 岩三君 理事 菅波  茂君    理事 田中 六助君 理事 三池  信君    理事 山崎  拓君 理事 多賀谷真稔君    理事 多田 光雄君       愛野興一郎君    加藤 紘一君       三枝 三郎君    篠田 弘作君       野田  毅君    三原 朝雄君       上坂  昇君    渡辺 惣蔵君       松尾 信人君    小宮 武喜君  出席政府委員         資源エネルギー         庁石炭部長   高木 俊介君         労働省職業安定         局失業対策部長 岩崎 隆造君  委員外出席者         厚生省年金局年         金課長     坂本 龍彦君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 田代文久

    田代委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  石炭対策に関する件、特に石炭鉱山保安問題について、参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田代文久

    田代委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人出頭日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田代文久

    田代委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 田代文久

    田代委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠田弘作君。
  6. 篠田弘作

    篠田委員 石炭政策についてちょっとお尋ねいたしますが、先般の五月三日の通産省新聞発表によりまして、「国内二千万トンを維持 6〇年度メド 中小炭鉱の再開発」あるいは新鉱の開発ということがわかりましたが、これは従来の方針がそのまま発表されておるわけでありまして、別に目新しいところがないと思うのです。そこで、実はこの既定の石炭政策のほかに、私の友人でやはり石炭専門家でございますが、これが最近、カナダルールドイツ等露天掘り状態調査してまいりました。その写真をもらいましたので、それを基礎にしまして、ひとつ通産省当局にお尋ねしたいと思います。  そこで、まず質問に入る前に、参考までにお配りいたしました写真をひとつごらん願いたいと思います。  一番目は、ライン川の西方エルフト川とルール川の流域にある露天掘り面積二千五百平方キロメートルの図面でございます。  その次は、ライン褐炭田地層図でございます。これで見ますと、一九七二年、西独全出炭量二億三千万トンのうち、露天掘りによる出炭は一億一千万トン、約五〇%の出炭で、ライン褐炭鉱業はその九五%、約九千五百万トンを産出しておる。  三番目は水抜きボーリングでありまして、まず、最初に貯水池をつくっておきまして、採掘場内のたまり水は採掘前に揚水されまして、採掘跡地利用した貯水池にためて、上水道、農業灌漑工業用水として使用される。  四番目は広大な露天掘り状況でありまして、表土は、ベルトコンベヤーでもって埋め戻しのためにそこに保存されて、褐炭だけがベルトコンベヤーで送られる。この表土もと復元される。  次は、露天掘り状況でありまして、剥土は、現状最大二百メートルぐらいまでいっておるけれども、将来は三百メートルまでいくということです。  それから掘削は、バケットホイールエキスカベーターとかいうのですけれども掘削能力が、新しい方の機械でやりますと一日二十万立方メートル、古い方が十万立方メートル。重量は、古い方が一台七千四百トン、新しい方が一万三千トンの機械を使っています。高さは、古い方が七十メートル、新しい方が八十三メートル。長さは、片一方が二百メートル、片一方が二百二十メートル。それで、この機械を二人の人間で操作している、こういうことです。  そこで、これを日本北海道における状況と比べてみますと、北海道採掘状況は、使用機械ロックダンプ三十トン、ロックバケット十トン。そして採掘深度北海道は八十メートルから百メートル、ライン褐炭田は二百メートル。年間六十万トンしか出しておりません。ところが、さっき申し上げましたようにドイツでは一億一千万トン出しております。  それから第七の写真でございますけれども、先ほど申しましたようにオペレーター二人でもって、掘削能力が一日に古い方で十万立方メートル、重量が七千四百トン、高さが七〇メートル、長さが二百メートル、こういうことです。  八番目の写真は、露天掘りの跡の貯水湖として利用された地図でございます。大体二十五億立方メートルの貯水掘削の跡にする、これはライン川から水を引いてやる、そういうことになっております。  次は、褐炭を掘った後の跡地をすっかり埋め返しまして、再開発された森林と湖沼が、もとのままの姿でできておるということです。  次の十番目は、褐炭採掘するために剥土された良質な土を残しておきまして、その跡に埋め立てた農場の姿でございます。  十一番目は、やはり森と湖がもとの姿で復元されておる。こういうことです。  そこで、なぜこういうことをお話しするかといいますと、大体まず一番には、露天掘りは、何百メートルという広さ、あるいは何千メートルという長さをもちまして、二百メートル、百メートルというふうに掘っていきますから、ガス爆発あるいは落盤といったような事故は全然ないというのだそうです。すなわち、いままで言われてきた保安、その問題が一挙に解決される。  それから第二には、断層や、あるいは断層の変化が初めからわかりますから、安定生産が可能であるということ。  坑内採掘による地表陥没等の二次災害がない。  四番目は、完全機械化によるのであって、少数の人数で高い能率を上げる。したがって、いまの労力不足のときには非常に適当である。  それから五番目には、開発後の営業開始時間、これは普通の坑内採炭でございますと、大体着工後四、五年かかる。そこでここに例がありますが、出炭一日三千四百トンの新鉱があるとします。それに使う金は大体三百億である。これが四、五年先にいかなければ、その投資の効力がない。それで大体採掘深度は六百メートル前後に行って初めて効果が出る。露天掘りの場合は三分の一の百億で済む。露天でありますから、初年度から生産ができる。そうして大体地表百メートル前後から石炭が出る。坑内掘りの場合は大体五〇%の石炭しかとれないけれども露天掘りの場合は一〇〇%の石炭がとれる。人員は、坑内の場合は同じ仕事で千四百人であるけれども露天掘りの場合は百四十人で済む。そういうようないろいろな便利がある。  いままでのいわゆる石炭というものは、坑内採掘だけがもう大部分を占めていまして、露天掘りというのは、現在北海道などでも、農林省の許可は五ヘクタールが限度であります。それはもちろん表土をはがして、森林とかそういうようなものを、いわゆる自然を破壊するという思想に基づいていると思いますけれども、しかし、いま申しましたように、こういうふうにあるいは農地となり、あるいは貯水池となり、あるいは森と湖となって復元されるということであれば、それも考え直していいのじゃないか、こういうふうに考えたわけです。  そこで結論までしゃべってしまいますと、私は北海道ですから、もし露天掘りというものを北海道でやるとしたならば、新しい更地でやったらいいのじゃないか。それには天北炭田が非常に適当である。天北炭田の二百ヘクタール、採掘可能炭量は千六百万トン、年産大体百万トン計画で十六年間採掘可能である。その経費開発設備が六十億、それから跡地利用経費が四十億、合計百億である。そういうようなことで、ここに名前も専門家から聞いておりますが、大体天北炭田の小石、猿払、浅茅野、曲淵、豊富、この五区でやってみたらどうか。私なりにいろいろな材料を集めまして、そういう結論を得たのでありますが、いま申し上げたことにつきまして、石炭当局からお考えを伺いたい。まず、このことを認めるか認めないかから話してください。
  7. 高木俊介

    高木政府委員 初めにお断りさしていただきますけれども、五月三日の新聞に出ている記事でございますが、まだ通産省の方から、正式に今度の新政策について発表はいたしておりませんで、記載になっている事項は、恐らく新聞記者の方々が推定されたところで記載されたものだと考えております。  露天掘りの件でございますけれども、いま各国とも、坑内掘りよりもむしろ露天掘りの方に力を入れておるという傾向が、生産数量的にも出てまいっております。たとえば、六五年と七三年を比較さしていただきますと、露天掘りで二三%、世界的に露天掘り生産が伸びておりますし、逆に坑内掘りの方は三七%減っているというのが実態でございます。カナダ、あるいはオーストラリア、あるいはアメリカ等々の露天掘り坑内掘り比率でございますけれども、簡単に申し上げますと、カナダでは八五%が露天掘りでございます。オーストラリアでは三四%が露天掘りでございます。アメリカでは約五〇%が露天掘りでございます。そういうような傾向になっておるのが現在の石炭生産状況でございまして、世界的な傾向でございます。わが国におきましても、今後坑内掘りのみならず、露天掘りもできるだけやりたいという考えを持っております。  いま先生からいろいろ御説明ございましたし、あるいは御指摘のあった点でございますが、欧州における、特にドイツ露天掘りの例でございますけれども、これは炭層賦存状況というものにも、一つ大きく左右されるのではなかろうかと思います。御存じのように、図面にも出ておりますように、ドイツ露天掘り炭層平層でございます。大体傾斜が緩い平層になっておるというのが一つございます。また、わが国北海道におきます。天北はちょっとのけまして、空知地区の現在やっております露天掘り、ここにも写真が出ていますけれども炭層が急傾斜でございます。大体急傾斜でございますので、炭を狭い範囲で深く掘る、あるいはそのために広く剥土をのけるということにおいても、いろいろ技術上問題があるのではなかろうかと思います。現在わが国におけるいわゆる石炭剥土比率でございますけれども、大体五ないし六倍というくらいのところまでは可能になっております。今後、これが機械化され、あるいは大型化されてまいりますと、恐らく百メートルあるいは百五十メートルまで掘れる可能性は十分あろうというように考えております。  先ほど御指摘の、特に天北炭田の問題でございますけれども天北炭田炭量といたしましては、一応私どものいろいろな調査によりますと、露天掘りが約千二百万トン、坑内掘りといたしまして二億トンくらいあるのではなかろうかというふうに計算いたしております。この炭におきましては、空知地区炭層と違いまして、質が悪いということが一つございます。それでどうしてもここの炭を掘るためには、需要業界と一緒になりまして、この地域で直ちに電気なりに使用するという方向に持っていくということが第一ではなかろうかと思いますけれども、今後電力事情その他との関係もございますが、少なくとも国の資源といたしまして、天北地区の炭は坑内掘りのみならず、露天掘り坑内掘りとを併用して、いま先生指摘のような年間百万トンあるいはそれ以上の規模に持っていきたいというように考えております。  また天北炭層賦存状況からいたしまして、全部が全部坑内掘り、あるいは全部露天掘りというわけにもまいらぬのではなかろうか。なお、一山で百万トンというような大きな規模の山はできません。これは炭層賦存状況から見まして、そういう状態になっておりますので、もし、やるといたしましても、二十万トンあるいは三十万トンクラスの山が幾つか重なった上で、百万トンなり百五十万トンなりというような生産規模に持っていかざるを得ないのではなかろうかと思っております。  なお、ここを開発するといたしました場合は、先ほど先生から御指摘がございましたように、当然露天掘りも入りますので、緑地の問題あるいは掘り跡の水の問題、そういうことも総合的に勘案いたしまして、地元の協力を得つつ、ぜひ、この天北地区開発を進めたいというふうに、当局としては考えておる次第でございます。
  8. 篠田弘作

    篠田委員 天北埋蔵量が大体二億トンで、採掘可能が千二百万トンですか、いま言われたのは。
  9. 高木俊介

    高木政府委員 露天掘りとして掘れる炭が千二百万トンくらいではなかろうか、坑内掘りとして掘れる炭は、炭量的には二億トンあるというのが計算上出ておりますので、この辺を、将来の需要との関係を見つつ、規模を決め、幾ら投資をやり、あるいはどういうような用途に使うかというようなことも総合的に検討した上で、ことし二億五千万の調査費もとっておりますので、そういう点を使いまして、総合的な開発ということに進めたいというふうに考えております。
  10. 篠田弘作

    篠田委員 天北の炭質が悪いという、いまお話がありましたね。悪いというのは、すでに掘ってみて悪いのですか、それともボーリングか何かして悪いのですか。
  11. 高木俊介

    高木政府委員 昔、天北地区にも山がございまして、その炭とほとんど同一のものでございますし、なお、相当のボーリングもやっておりまして、質の悪いことだけは確実でございます。
  12. 篠田弘作

    篠田委員 ぼくらの調べたところでは、四千六百カロリーから五千二百カロリー石炭だというのですが、これはどうですか。
  13. 高木俊介

    高木政府委員 私、ただいま質の悪いと申し上げましたのは、いわゆる揚げ地へ持ってくる六千カロリーとか、そういうふうな高品位の炭はとれないということでございまして、いま先生指摘のように四千六百から五千キロカロリーぐらいの炭はとれるというふうに考えております。
  14. 篠田弘作

    篠田委員 四千六百カロリーから五千二百カロリー石炭であれば、発電用石炭としては十分じゃないのですか。
  15. 高木俊介

    高木政府委員 これは設備にもよりますけれども揚げ地で、いわゆる京阪神その他で使っております発電所の方は、約六千カロリーの炭を対象にするような設備になっておりますし、ここに発電所をつくるとしますと、四千六百ないし五千カロリーの炭を対象とした発電所設備になろうと思います。
  16. 篠田弘作

    篠田委員 京浜のことをわざわざ言わなくても、北海道では四千カロリー石炭を使っているのじゃないですか。
  17. 高木俊介

    高木政府委員 北海道北海道電力株式会社における発電所は、いま先生指摘のとおり低品位炭を中心にしました発電所でございます。
  18. 篠田弘作

    篠田委員 天北というのは北海道にあるのですよ。その北海道にある天北の低カロリー石炭を使うということは、とりあえず北海道で使うということをまず考えなければいけないのじゃないか。それをわざわざ大阪まで持っていくというようなことを考えるのがおかしいのじゃないか。
  19. 高木俊介

    高木政府委員 私、そういう点で申し上げているのじゃございませんで、天北の炭は地場消費という形で開発されなくてはならぬだろうということを申し上げているのでございます。
  20. 篠田弘作

    篠田委員 それなら何も大阪揚げ地のことは関係ない。いま大阪まで持っていくとどうということを言われたけれども、そういうことは必要ないのじゃないか、地場で使うということであれば。
  21. 高木俊介

    高木政府委員 天北の炭のカロリーが低いということに対しての御質問でございましたので、先ほど電力用につきまして、中央向け電力用炭地元で使う電力用炭の違いということで御説明したような次第でございます。
  22. 篠田弘作

    篠田委員 まあ、それはそれでいいのですけれども、いわゆるガス爆発であるとか落盤であるとか、そういう人命をたくさん、日本ばかりではないと思いますけれども、非常に多くの犠牲者を出しているわけです。それで保安保安と言って、ずいぶん保安にも注意をしておるけれども、毎年毎年何百人かの犠牲者を出しておる。全部を露天掘りにできないということは、これはもうだれしもわかっていますが、できる限り露天掘りにすれば、少なくも何十%かの露天掘りができれば、何十%かの人命災害というものは防げるということは認めますか。
  23. 高木俊介

    高木政府委員 天北炭田開発につきましては、いま先生の御指摘のとおり、坑内掘りだけじゃなくて露天掘りも十分生かされる可能性がございますので、そういう点をやるということが、むしろ保安上もベターではないかと思いますし、投資面からいきましても、より経済性が上がるということも言えるのではなかろうかと思います。
  24. 篠田弘作

    篠田委員 露天掘りをするとすれば、日本には天北しかないですか。
  25. 高木俊介

    高木政府委員 天北のみならず、いわゆる石狩炭田事業団保有鉱区あるいは消滅鉱区等の中にもございますし、なお、九州にも一部そういう点で露天掘りができるような地域がございます。
  26. 篠田弘作

    篠田委員 そうしますと、先ほども申しましたように鉱害とか投資効果とか、あるいはまた機械化による人員のあれとか、そういったもののほかに跡地利用というものも考えれば、日本石炭政策というものは、いままで大体一〇%以下しか露天掘りはやっていないのですね。それを二〇%なり三〇%なりにふやしていくという可能性はありますか。
  27. 高木俊介

    高木政府委員 現在でも、二千三十万トンの生産でございますけれども、その中に約百七、八十万トンの露天掘りがございます。  露天掘りの炭が今後ふえるかということの御質問だろうと思いますけれども、一応露天掘りには寿命がございまして、坑内掘りと比べまして短いという点もございますので、現在露天で掘っておるところの鉱命は近いうちに切れるということもございますので、今後、露天で掘る炭というものがあってもキャンセルされるようになるのじゃないかと思います。しかし、私どもといたしましては、できるだけ投資効率を上げるという点からいきましても、露天掘りに力を入れたいというように考えておりますけれども、いま八%、七%くらいの露天掘りが、将来二〇、三〇というふうに急激に上がるということは、ちょっと考えられないのではなかろうかと思います。
  28. 篠田弘作

    篠田委員 露天掘りをやろうとする意図と、それに対する、たとえば調査費とか前向きの姿勢は、通産省、とっているのですね。
  29. 高木俊介

    高木政府委員 ことし見直しのために二億五千万円の予算を確保いたしておりますので、その金をもちまして、天北のみではございませんけれども、全国にわたって再開発可能性のある調査をしたいというふうに考えております。なお、本年度の予算だけでは、恐らく全部を賄うほどの予算でもございませんので、来年度以降も続けて確保していきたいというふうに考えております。
  30. 篠田弘作

    篠田委員 一番の問題は、露天掘りをやろうと思っても、結局五ヘクタールくらいしか許可しないのですね。
  31. 高木俊介

    高木政府委員 その件につきましては、林野庁の方との関係がございますので、現在は確かに先生指摘のとおり使用面積は三鉱区限度といたしまして、一鉱区が五ヘクタールということになっておりますけれども、この点は実態に合うように、将来林野庁の方とも交渉いたしたいというふうに考えております。
  32. 篠田弘作

    篠田委員 結局五ヘクタールしか許さないということは、それ以上やると森林なり自然を荒らすということから来ているのでしょう、そうじゃないのですか。だから復元ができれば、もとのよりもっとりっぱなものができるかもしれないから、幾らでも許すかもしれないけれども、いまのあなたの話によると一カ所で百万トンもとるところがないということで、十万とか二十万トンのものをあっちこっち散らかすのでは、復元についてのこういうりっぱな計画は立たないわけでしょう、立つのですか。
  33. 高木俊介

    高木政府委員 いままでの露天掘りが小規模でございますので、あるいは、いままでは一鉱区五ヘクタールということで済んでいたかもしれませんけれども、今後大規模な、先生指摘のような天北露天掘りというようなことになりますと、とてもこういうような面積ではどうにもなりませんので、その点は十分林野庁の方とも話し合いをし、確保したいというふうに考えております。
  34. 篠田弘作

    篠田委員 そうしますと、最後に、いまおっしゃったように日本でも天北一つのテストケースとしてやってみる、それにはやはり、この写真で示したほどでないかもしれないけれども、自然というものも復元できる、そういう考え方でおやりになるのですか。
  35. 高木俊介

    高木政府委員 そのとおりでございます。
  36. 篠田弘作

    篠田委員 そうですか。どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。
  37. 田代文久

  38. 小宮武喜

    小宮委員 二、三日前の一部新聞報道によりますと、長崎県西彼杵郡高島町の三菱石炭鉱業高島砿業所では、鉱員三百三十人を初め、常雇いの臨時鉱員下請関係を含めて六百人を超す合理化案が、会社側から労働組合側提案されたと伝えられておりますが、事実ですか。
  39. 高木俊介

    高木政府委員 事実でございます。
  40. 小宮武喜

    小宮委員 それでは、事実であれば、石炭部長もその具体的な合理化案の内容を御存じと思いますので、具体的にひとつ説明を願いたいと思います。
  41. 高木俊介

    高木政府委員 当鉱は四十七年の十二月でございますけれども、九百メートルレベルのところで採掘していました。当時いろいろ自然発火等保安上の問題もございまして、五百人を解雇いたしました。その後三百五十メートルのレベルのところに移行しました。これが飛島区域と申します。その区域に主力を置いて、当時の百万トンを維持するということで配転をし、開発にかかったわけでございます。  九卸という区域から先を飛島区域と申しておりますけれども、当時移りますときは、九卸の状態と、九卸の向こう、すなわち北部断層という断層がございます向こう飛島地区については、一応ボーリングを十数本打っております。そういうものによりまして、必ずここの飛島区域で百万トンの体制ができるというようなめどのもとでやったわけでございます。不幸にいたしまして飛島区域に、いわゆる断層と申しますか、小断層あるいは新北部断層あるいは二卸断層等断層が多く出てまいりました。採掘するためには、片盤とかあるいは切り羽面長というものが要るわけでございますけれども、それが当初の予定どおりいかなくなったということで、現在の生産でございますけれども、四十九年度五払いで七十五万トンの生産をいたしておりますけれども、今回九卸区域に三払いで六十万トンの生産体制に切りかえたいというようなことで、四月の二十九日に、山元臨時場所経協というようでございますけれども会社の方がただいま先生指摘鉱員三百三十四名、臨時夫二十三名の合理化をしたいということで、合理化提案をしたようでございます。  なお、本件につきましては、提案の一週間ぐらい前でございましたけれども、うちの方に提案したいということでございましたので、うちといたしましては、できるだけ労働者の解雇ということがないように、何かそこに生産維持というものができないかということで、いろいろ相談もいたしておりますし、なお、組合の方にもこういうような旨があるというようなこともお知らせいたしておりましたけれども、不幸にして四月二十九日に合理化提案をしたというのが実態でございます。
  42. 小宮武喜

    小宮委員 この新聞記事によりましても、「四十八年春から採炭を始めた。新炭層と旧炭層合わせて年産百万トンを計画していた。だが四十九年度初めから新炭層断層にぶつかり、さらに、わき水やガス発生などで採炭が思うようにいかず、四十九年度は年間六十万程度の実績しか上がらず、単年赤字だけでも約四十億に上り、合理化による対策しか道がなかった。」こういうふうに言われておるわけです。この飛島地区開発の際、いわゆるボーリングをやっておるわけですから、その際、こういった断層があるというのはわからなかったのかどうかということなんですが、ボーリングをやる以上、そういうような断層のあることは当然わかったはずだと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  43. 高木俊介

    高木政府委員 大きな断層は、先ほど申し上げました北部断層あるいは新北部断層あるいは二卸断層、こういうような大きな断層はわかっておりますけれども、実際切り羽をつくります、いわゆる採掘場をつくりますためには、この中を断層をよけましていろいろ沿層掘進をしなければならぬわけでございますけれども、その中に小断層が入ってきたということでございます。そういう関係からいきまして、従来ならば片盤長は二千メートル以上とるというのが通例でございましたけれども飛島区域については、小断層の頻発のために三百メートルないし四百メートルぐらいしか片盤長がとれぬようになったというのも事実でございます。  それから片盤卸の坑道の掘進能力でございますけれども、これは出水あるいは断層というような自然条件の悪化によりまして、月間せいぜい三十メートル程度しか進めないようになった。当時の目標は五十メートルということを目標にいたしておりましたけれども、三十メートル程度しか行けぬようになったというのが実態でございます。  こういうようないわゆる自然条件悪化ということで、現在の労働をもっていたしますれば、これは会社からの数字でございますけれども、四十九年度、いわゆる肩がわりを差し引いた実質の経常損益でございますけれども、四十二億というようなことで、トン当たりに直しまして六千六百円というような赤字になっておるのが実態でございます。
  44. 小宮武喜

    小宮委員 高島砿業所は高カロリーの、硫黄分も少ない、原料炭としては非常に優秀な炭鉱ですね。したがって、そういうような炭鉱を、こういうような原因でやめる、縮小するというようなことは、いまの石炭見直しの折から、何としても食いとめなければならないというように考えるのですが、これに載っておるように、事実単年度赤字だけでもこういうように四十億から出ているということなんですが、高島砿業所の累積赤字というのは大体どれくらいになりますか。単年度だけ四十億ということになりますと、累積赤字でどれくらいになりますか。
  45. 高木俊介

    高木政府委員 累積赤字の方は資料を持ってきておりませんけれども、申しわけございませんが、恐らくその前年度も数十億の、四十億までいかぬにいたしましても、相当な赤字が出たのじゃなかろうかと思います。それでうちといたしましては、生産が減し出したということは、何もきょう、きのうの問題じゃございませんで、昨年の暮れから、そういうような傾向が出ておりましたので、できるだけいわゆる資金繰り、金繰りをつけてやらなくちゃいかぬというようなことで、本年の一月、二月、三月の三カ月間にわたりまして、例の経営改善資金でございますけれども、六億五千万というものを交付いたしまして、ぜひ立ち直ってもらいたいということで、会社の方にも激励していたわけでございますけれども、不幸にしてそういうような提案があったというのが実態でございます。
  46. 小宮武喜

    小宮委員 高島砿業所は、一人当たりの一カ月間の出炭量、これはほかの炭鉱と比べてどうなんですか。これはこの問題が起きる以前の問題も含めて、どうなんですか。
  47. 高木俊介

    高木政府委員 いま全国の平均能率が約七十トンだと思いますけれども高島におきましては、四十八年度が五十二トン、四十九年度で四十四トンというように能率は低下いたしております。
  48. 小宮武喜

    小宮委員 これはいわゆる飛島地区断層があるというのが原因なんですか。
  49. 高木俊介

    高木政府委員 そうでございます。
  50. 小宮武喜

    小宮委員 新石炭政策が五十一年度から六十一年度まで今後十年間を見通して、いま審議会でいろいろ検討されておるわけですが、そうしますと、これは高島砿業所の問題だけではなくて、私が心配するのは、この十年間に今後ほかの炭鉱でも、やはり自然条件の悪化だとか、あるいは炭量の枯渇によって、閉山とかあるいは縮小というような問題が起きる可能性もあるのではないか、こう考えるのですが、高島砿業所を除いて、ほかの炭鉱でそういうようなことは想定されないかどうか、その点ひとつ部長からお聞きしておきます。
  51. 高木俊介

    高木政府委員 自然条件の悪化、そういうものにつきまして、十年先までの見通しというのがはっきり山で立っておるというところは、恐らく少ないのではなかろうかと思いますけれども、現在、例の北海道でございますけれども北海道におきまして北炭でございますけれども、これは別に閉山とかそういうあれではございませんけれども、いわゆる能率のいい区域に転換したいという希望は聞いております。いわゆる採算性のいい、能率の上がる区域に転換していきたいという話は聞いております。なお、これは特殊な石炭でございますけれども需要面の方で、どうも現在思うようにいかぬということで、うちの方に話がある山も一つございます。そのほかは別にさしあたって山がどうなるとかという話は全然聞いておりませんし、新政策に乗って今後続けていくという気概に燃えておるというふうに感じております。
  52. 小宮武喜

    小宮委員 新石炭政策では、二千万トンを基本にしてやっていこうということが、大体中間報告の中でも明らかにされておるわけですが、そうなりますと、結局二千万トンという根拠についてもお聞きしたいのですけれども、こういうようにせっかく既存の炭鉱がつぶれていくということになると、やはり二千万トン体制にしても、それは別に新鉱の開発だとか、あるいは有明鉱の稼働が本格的になるとかという問題、それで補いがつくとは思いますけれども、やはりわれわれの考え方は、既存の炭鉱はできるだけ、炭量が枯渇すれば別だけれども、そういった採算面だとかの問題だけで閉山というのはぜひ避けたいという気持ちなんです。だから、今回の高島炭鉱の問題そのものについては、いま会社側から労働組合側提案をされて、いまから労働組合側がそれに対していろいろ検討をするわけですから、いまここで深く突っ込んでいろいろ質問するということもどうかと思いますから、やめますけれども、そういった意味で、この新石炭政策というものは、これは中間報告でも明らかなとおり、われわれはこの二千万トン体制が本当に維持されるのかどうかということについても、一抹の危惧を持つわけです。特にあの石油ショックの時点では、石炭の見直しということが非常に大きく取り上げられて、石炭石炭というふうに目が向いたけれども、しかしながら実際問題としては、その石炭政策の問題にしても、たとえば炭価の問題とか輸入炭との価格の問題とか、いろいろな問題があるものですから、非常に心配されるのですが、いま二千万トン体制を確保するために、新たに開発可能な山がどれくらいあるのか。また、石炭鉱業審議会からの答申に基づいてやられるとは思いますけれども、現実に一応考えられるところは大体どれくらいあるか、その点いかがですか。
  53. 高木俊介

    高木政府委員 先ほど篠田先生の方からも御質問がございましたけれども、まず、大きくは天北炭田が、電力というような地場消費というものに結びつけるならば、一番有力な炭田ではなかろうかと思います。そのほかに、予算要求時の資料にも出しておりますように、五地域十六地点というものが一応の可能性があろうということで、現在二億五千万の予算をベースにしまして、いろいろ調査の方法、そういうことを検討している段階でございまして、こういう調査の結果、そのうちの何カ所が掘れるかという問題になってくるのでなかろうかと思います。また、予算時の要求とは別個に、あるいは採掘可能の個所も出てくると思いますし、なお、鉱区を保有していまして全然手をつけていないようなところ、こういうところもできるだけ開発するような方向に指導していきたいというふうに考えております。
  54. 小宮武喜

    小宮委員 やはり問題は財源対策だと思うのです。たとえば四十九年度で炭価が三千円アップされましたね。しかし、その後さらに原料炭が八百円上積みされて、一般炭を含めて平均三千四百円アップされておりますけれども、それでもなおかつ、現在石炭企業の収支見込みはトン当たり千五百円から千七百円赤字を出しておるというふうに聞き及んでおるわけですが、その点、事実ですか。
  55. 高木俊介

    高木政府委員 昨年、年度当初に一般炭、原料炭ともに三千円の値上げをしていただきました。その後、原料炭につきましては、流通経費と、そのほかに炭価アップというようなことで、なお九百円のアップをしていただいたことは事実でございます。なお、一般炭関係につきましては、五十年度の四月からということで、流通経費分としまして一応五百円アップしてくれるということは了承をとっております。そういうような炭価アップを見たわけでございますけれども片一方、昨年度のいわゆる労賃のベースアップというような点あるいは資材代のアップというようなことで、現在も千五百円前後の赤字があるというのは事実でございます。ただし内容的には、一部いままで償却もできなかったような山が、ある程度償却もしておりますし、なお、退職金も積み立てるというようなことで、そういう点を取った後の昨年の当初の千六百円の赤字、本年度の千五百円前後の赤字という、金額的には同じでございますけれども、内容的にはある程度違っておるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  56. 小宮武喜

    小宮委員 昨年度の炭価アップは三千円だったわけですが、ことしの五十年度の炭価アップの問題がどのようになっておるのか。これはもちろん審議会からの新石炭政策の中にこの問題も含まれるとは思いますけれども、しかし、現実に炭鉱労働者の賃上げ闘争も行われておるし、やはりこの賃上げ額の決定に、炭価アップの額の問題が大きな影響を及ぼすと思いますけれども、この炭価アップの問題については大体どのようになっておりますか。
  57. 高木俊介

    高木政府委員 現在、新政策におきまして将来の炭価のあり方というようなことも検討いたしておりますし、なお、鉄鋼業界の方で豪州炭との間の炭価交渉をやっているようでございますけれども、まだ、これも決まっていないというのが実態でございまして、うちの方から、いま鉄鋼業界あるいは電力業界の方に炭価交渉をやるというような、向こうが受け入れてくれるような状態ではございません。いましばらく待ちまして、答申の線に沿い、安定した炭価交渉をやりたいというふうに考えております。
  58. 小宮武喜

    小宮委員 それでは炭価アップの問題は、今月中にどうこうということはかなり見通しが薄いと思うのですが、一方では賃上げ闘争もやっておるし、だからそういう意味では、賃上げ闘争の結果が幾らになるか知りませんが、そういうような問題も含めて、やはり炭価アップの際の何かルールというものを確立する必要もあるのじゃなかろうか、こういうふうに考えるのです。そうしなければ、いまの場合に経営者から見れば、炭価アップもどうなるかわからぬ。いま言われたように、鉄鋼関係は理解を示しておるようですが、電力業界の需要家の方ではなかなか厳しいという中で、やはり賃金闘争というものが非常に壁にぶつかっておるということも考えるのですが、そういうような場合に、炭価アップがあるから、これだけ賃上げできるということにも問題があるでしょうけれども、やはり今後の新石炭政策の中においても、その分だけは炭価アップの中に一つルールとして何か確立するような考え方も必要ではなかろうか、こういうように考えるわけですが、その点どのように考えておられるのか。
  59. 高木俊介

    高木政府委員 なかなかむずかしい問題でございまして、私一存でお答えするわけにはいかぬと思いますけれども、鉄鋼業界の方は、一応輸入炭よりも高く引き取ってくれるというような発言はいたしております。そういう点からいきまして、国内炭の価格を先に決めるというようなことになりますと、先ほどお話しいたしましたように、いま豪州炭との価格交渉をやっている最中でございますので、とてもこちらの方から言う話に乗ってくれるような状態でないというのが事実でございます。なお電気の方も、決して経済性のみで購入するのではない、いわゆる国内の資源ということで石炭を見たいということは、事務ベースでは話をいただいておりますので、そういう点を考慮いたしまして、今後の一応の炭価のあり方ということは、私どもとしましては内部的にはいろいろ試算いたしておりますけれども、それが事実そうなるかどうかというようなことも、いろいろ疑問ございますので、もう少しこの点は審議会の方で詰めさしていただきたいというふうに考えております。
  60. 小宮武喜

    小宮委員 やはり石炭企業というのも、いま現在かなり炭価アップはされたといっても、なかなか窮迫しておるような状態ですから、そういうような意味では、それを打開する方法としては炭価アップの問題もあろうし、もう一つはそういうような各種の補助金の補助率を高めていくということも、これも必要だと思う。しかし、いま言われたように当面の資金繰りのために、経営改善資金等によって、やはり経営を円滑にやっていくための、政府としても措置を考えるべきだと思うのですが、そういった意味ではエネルギー庁として、そういった各企業の運営について、融資の道については、これは万全の策を講じておられるのかどうか、その点ひとつお聞きします。
  61. 高木俊介

    高木政府委員 一〇〇%融資なり補助金が満足しておるというふうには考えられませんけれども、一定の予算枠もございますので、その予算枠の中で各企業にできるだけ、平等のみならず、現在の資金繰りの状況あるいは赤字の状況ということ等を考慮しながら、交付しておるというのが実態でございます。  ただし、補助金の方は一定のルールがございますので、これに従わざるを得ませんけれども、経営改善資金につきましては、特にそういう点を強く配慮しつつ交付しておるというのが実態でございます。
  62. 小宮武喜

    小宮委員 労働力の確保の問題については、最近心配要りませんか、どうですか。
  63. 高木俊介

    高木政府委員 幸いにいたしまして、現在若年労働者も炭鉱の方に就職してくれているようでございますし、労働の確保という根本問題は、炭鉱の将来への希望というものが第一だろうと思いますし、なお、高賃金で労働者に来てもらうという賃金問題あるいは保安問題あるいは環境問題ということが、一番労働の確保のベースになるのではなかろうかというように考えておりまして、昨年も例の賃金アップにおきましては、金属並みとまではいきませんでしたけれども、できるだけ早く近づけるというようなことで、賃金も相当な額をアップされましたし、なお住宅問題その他につきましては、近代化資金あるいは住宅公庫その他の金をもちまして十分配慮しているつもりでございます。
  64. 小宮武喜

    小宮委員 最後に、この労働力確保のために、各企業が持っておるところの、たとえば鉱業学校だとか、あるいはそういうような訓練校みたいなものを各企業で持っておるわけですが、そういうようなところに対する国としての助成の道は考えられないかどうか、その点ひとつ最後にお聞きします。
  65. 高木俊介

    高木政府委員 実は現在学校を持っておりますのは、九州の松島炭鉱だけではなかろうかと思います。ほかの山の方もいままでそういう学校を持っていたわけでございますけれども、生徒が募集されないということで、やむなく閉鎖していったという実態ではなかろうかと思いますけれども、直接学校の方に補助するのがいいのか、役所としましては、今回新人教育というようなことで、保安センターの方に一応助成を強化いたしまして、そちらの方で新人教育ということを考えたわけでございますけれども、いま先生指摘の点につきましては、労働省の方とも十分連絡をとってみたいというふうに考えております。
  66. 小宮武喜

    小宮委員 質問終わります。
  67. 田代文久

    田代委員長 松尾信人君。
  68. 松尾信人

    ○松尾委員 この新石炭政策というものですね、われわれも昨年一年かかって、いろいろの提案を政府にいたしまして、大臣も、その趣旨をくんでしっかりがんばってまいります、このようなお答えであったわけでありますが、どうもその後の経過をながめておりますると、新しい石炭を見直していく、そうして石油ショック、ああいう問題を二度と日本には繰り返さないようにしていこう、石炭が唯一の日本における固有のエネルギーだ、これをしっかり開発もするし、助成もしていく、閉山なんかはもちろんなしにする、このようなことであったのでありますけれども、どうもその後の政府のやり方は、やはり昔のままの石炭政策をやっていらっしゃるのじゃなかろうか。今年度の予算を見ましても、ある程度新鉱の開発をするというような地点十六カ所等ありますけれども、大した予算はない。調査をするということでありまして、そういうことでわれわれの決議に対する取り組み方というものがどうも真剣でない、足らぬのじゃないか。何もこれはあなたを苦しめるためにこのようなことを言うのじゃありません。もう一回もとに戻って、そしてあの石油の危機のときの苦しみというものを思い出して、そうして日本の唯一のエネルギー資源である石炭というものを何とかしていこうという立場で、私は言っておるわけであります。そういう点で、まず、いままでの法令等を見直していかなければならぬのじゃないか、こういう問題を私は一、二きょうは提起したい。  最初は、石炭鉱業年金の基金という問題でございます。これは一体何を目的として、そのような基金ができたものであろうか、また、その運営状況はいかがであるか、こういう点からまず入っていきたいと思うのですが、いかがですか。
  69. 坂本龍彦

    ○坂本説明員 石炭鉱業年金基金と申しますものは、昭和四十二年にできたわけでございますけれども、この基金の目的は、法律に書いてございますように、「石炭鉱業の坑内労働者の老齢について必要な給付を行なうことにより、その老後の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」こうなっております。  当時、この基金ができます以前に、昭和四十一年の七月に石炭鉱業審議会から「石炭鉱業の抜本的安定対策について」の答申というものが出されまして、その中で、こういった石炭鉱業の坑内員に対する特別の年金制度というものをつくるべきである、こういう御提案があったわけでございます。この審議会の中に特に年金問題小委員会というものが設けられまして、石炭鉱業の事業主が共同して一つ石炭年金という制度をつくり、それによって石炭鉱業に従事する労働者の雇用の安定あるいは労働力確保、さらに老後保障、こういうものを目的とした事業を行うようにという一つの御提言がございまして、それを受けまして石炭鉱業年金基金法というものを制定いたし、石炭鉱業年金基金という法人をもって、そのような年金制度を実施することにいたしたわけでございます。  この基金は、石炭鉱業を実施しております事業主が会員となりまして基金をつくり、その会員つまり事業主が、その年金制度の実施に要する費用を、出炭量に応じまして全額負担をし、そして石炭鉱業の労働者が、一定期間勤務し、一定年齢に達したときに、老齢年金を支給する。そのほかに付随的な給付もあるわけでございますが、そういう制度でございます。  なお、この石炭鉱業年金は、厚生年金保険の被保険者を同時にこの基金の対象といたしております関係上、厚生年金の年金給付の上に上積みをするというような性格のものになっておるわけでございます。
  70. 松尾信人

    ○松尾委員 事業主が会員になるのだということでありますけれども、その会員の資格ですね、資格、条件、そういうものがどういうふうになっておりますか。
  71. 坂本龍彦

    ○坂本説明員 石炭鉱業年金基金法の規定によりますと、「石炭鉱業を行なう事業場であって、坑内において石炭を掘採する事業を行なうもののうち、厚生年金保険の適用事業所であるものの事業主」が、この基金の会員になるということになっております。
  72. 松尾信人

    ○松尾委員 事業主が会員になるわけでありますけれども、その他石炭事業ということであります。石炭事業を営んでいる、そこにはまたいろいろ租鉱権だとか、そういう問題があるのではないですか。少し詳しくその点を説明してください。
  73. 坂本龍彦

    ○坂本説明員 「石炭鉱業を行なう事業場であって、」と法律に書いてございますので、私どもといたしましては、その事業が石炭鉱業における鉱業権、さらには租鉱権、こういうものを持って、実際に石炭の掘採を行っている事業、そういうものをこの会員とするというように理解しております。
  74. 松尾信人

    ○松尾委員 そうしますと、この鉱業権なり租鉱権というものを持たない、要するに下請関係会社でございますけれども、これは全く会員になる資格はない、こういうことになるわけですね。
  75. 坂本龍彦

    ○坂本説明員 この法律の規定から申しますと、「石炭鉱業を行なう事業場」の中には、下請で関連の事業と申しますか、そういうものを行っているというだけでは、この会員になる資格はないというように理解しております。
  76. 松尾信人

    ○松尾委員 そうしますと、この石炭年金というものの本来の性格の問題になりますけれども、先ほどの御説明は、要するに坑内労働者対象とする、また雇用の安定等を図っていくのだというような御説明があったわけでございますけれども、この石炭年金というものは一体だれのために設けられたものであるか。そうすると鉱業権、租鉱権がある会社の直轄として働いていらっしゃる方は適用を受ける。そうでなくて、下請で働いている方々は、もともとそこには鉱業権、租鉱権がない、持たない。そうすると、働いておりながらも、同じような仕事をしながらも、適用される人が片やあり、適用されない方が片やある。これも日本全国でいま働いていらっしゃる数はわかるわけでありますが、その中で直轄の方々と下請の方方がどのくらいあるのか。ぼくは半数近くは下請の方でないか、ある一つの事業所を通じて見れば、そのような感じがするわけです。そうすると、仮に私のいまの仮説が正しいとすれば、片や半数の方は、このような石炭年金の適用を受けておるけれども、その半数近くの人々は、鉱業権、租鉱権がないために、この年金の恩恵というか、年金制度というものの適用が全然ない、このようになると思うのですけれども、いかがですか。
  77. 坂本龍彦

    ○坂本説明員 下請関係実態につきまして、私ども必ずしも十分な知識はございませんが、いずれにいたしましても、この石炭年金制度ができましたときの石炭鉱業審議会の御答申によりますと、石炭鉱業を行っておる事業主が共同して、そして事業主の負担によって、その従業員の確保、雇用安定、さらに老後保障を行うという目的での制度をつくるべきである、こういうお考えが示されておったわけでございまして、その審議会のお考えとして、そういった石炭鉱業の従業員という一つの縛りがあったわけでございますので、確かに下請の労働者の方の労働の実情としては、石炭鉱業会社の従業員の方と非常に類似した、あるいは同じような実態は、あるいはあるかと存じますが、この石炭年金ができますときのそういう審議会のお考え、その辺がやはり一つの基本になっておりますので、この年金制度の目的からいたしますと、そういった制約があるわけでございます。  なお、下請の方につきましても、厚生年金の適用は通常行われておると考えられますので、厚生年金の方の年金給付というものは、これは当然そういった方にも及ぶわけでございます。その点におきましては、地下労働、抗内労働の方については、厚生年金の面でいろいろと優遇措置も講じておりますので、そういった方の老後保障の問題については、その面での考慮はなされておるわけでございます。
  78. 松尾信人

    ○松尾委員 法制定の経緯等は、いまあなたの御説明のとおりでありましょう。それを新しく今度は石炭を見直していこうというときになりまして、同じく働いておる人の中で、片や受けて、片や受けられぬ、そのような、これは一種の社会的な不公正になるわけです、そういうものを変えていって、そして全体的な石炭産業というものを明るい職場にしていこう、こういう考えがわれわれ土台あるわけでありまして、むしろ政府としても、そのような考え方に立たなければならないと思うのです。ですから古い制度、古い法令を見直さなくちゃいかぬのじゃないか、そして本当に見直したという、その結果を示していかなくちゃいかぬじゃないか、こういうことを言っているわけです。  ですから、要するにあなたたちの言うとおり、なるほどそうだ、たくさんの人々が厚生年金に入っていらっしゃる、基礎の部分、比例部分、こういうものを政府がやるわけでありますから、いいですけれども、独自給付としての石炭鉱業年金基金、こういうものの適用が受けられないということは、やはり差別的な取り扱いということになるわけでありますから、職場が働く意欲を失うし、活気がない。こういう人々を温かく迎えるということが、私は一番大事な点であろう、このように考えるわけです。これはあなたの方もひとつしっかり、この資源エネルギーの問題から、これは新しく見直していこうという考え方でありますから、ひとつ法改正、その他について積極的にこれは推進していくべきである。また、通産省資源エネルギー庁としましても、大いにこれは積極的に提案をして、そうして厚生省の方に力強く要請していく、あわせて大蔵省にも当たる、事業主にも納得させる、このような方向が当然だと私は思うのですが、まず、石炭部長のお考えを聞いて、そして年金の担当の方の、また今後の処理の仕方という決心を聞いておきたいと思います。
  79. 高木俊介

    高木政府委員 石炭鉱業年金問題につきましては、現在三組合、いわゆる炭労、全炭、職員組合でございますけれども、三組合からも同じような要望がございますし、また、私どもといたしましても、今後の労働確保あるいは労働の安定あるいは将来の福祉というような点から考えまして、十分この点を答申の中にも盛り込みたいというふうに考えております。
  80. 坂本龍彦

    ○坂本説明員 私どもの気持ちといたしましては、こういった事業に従事している方に対するいろいろな面での所得保障の充実、これは当然進めていかなければいけないと考えておるわけでございますが、石炭鉱業関係のいろいろな実態につきましては、この制度ができましたときの審議会のお考えなどがやはり基本になっておりますので、実際に今後の労働状況、そういったものがどのように変わっていくかという問題がございます。そういった問題とあわせまして、この石炭鉱業関係実態というものもひとつ十分考えながら、所得保障の充実というものをどのようにやっていくか、いろいろとまた研究をいたしてみたいと思う次第でございます。
  81. 松尾信人

    ○松尾委員 いまの御答弁で、私、ある程度了承するわけであります。やはりもとは厚生省じゃなくて石炭当局でありますから、ひとつこの審議会等に強く要請されまして、早くそのような意向を固めて、そして働く人々が不公平のないようにしてもらいたい、これは要望しておきます。  いままで私がこの年金問題を取り上げたと同じようなことが、いわゆる閉山交付金についても言えるわけなんですね。やはり不公平が出てはならぬ。同じように働く人に、そこにやれ下請だとかなんとかといって、差別的な待遇があっては相なりませんし、これも法令上の問題がいろいろありましょう。ありましょうが、この年金の問題と同じく、これはひとつ資源エネルギー庁で基本的な線を出して、そして石炭を新しく見直すという、そのような見地から、これは処理していかなくてはいけないと思うのですが、これはあなたの方のひとつ今後の対策の仕方、腹構えというものを念のため聞いておきます。
  82. 高木俊介

    高木政府委員 閉山交付金の中で見ておりますいわゆる労働者の退職金でございますけれども、現在は山と雇用契約のございます労働者に対しましては、いわゆる札幌とか、あるいは炭鉱と異なるところに事務所があるところに従事しておられる方は別といたしまして、全部支払いしているわけでございます。計算の中へ入れてお支払いしているわけでございます。組夫の場合には、いわゆる採炭あるいは選炭あるいはボタ処理というような、いわゆる炭鉱と直結するような業務に従事しておいでの方につきましては、労働省の方でいわゆる黒手帳というものをお出しになる、ここで判定していただいておりますので、そういう方に対しましては離職金を事業団を通じてお支払いはいたしておりますけれども、閉山交付金の中に組夫の方の退職金を見るという規定には、現在なっておりません。むしろ事前に、早く雇用関係を直轄夫という形でお結びいただいた方がいいのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。しかし、いま先生の御指摘の点もございますので、十分検討させていただきたいというふうに考えております。
  83. 松尾信人

    ○松尾委員 雇用関係の問題はありますけれども、やはり基本的に閉山交付金というものは働いた人に全部いくのだというような、そういうものを明確化していくことが、資源エネルギー庁としての基本的な姿勢であるということを私は言っているわけですから、行政指導でそういうことができるとすれば、とりあえずその雇用関係をはっきりさせるというような点を速急に手を打ってもらいたいし、基本的には、そのことをやらないでも、この閉山交付金というものはどうとかしていけるというような、もとから変えていくというような考えに立ちませんと、従来どおりでないかというようなことを下請から言われるわけですよ。もう一回、念のため答えてください。
  84. 高木俊介

    高木政府委員 十分検討させていただきたい、かように考えております。
  85. 松尾信人

    ○松尾委員 先ほど同僚の議員から高島炭鉱の話が出ました。これも合理化提案、そういうものが四月二十九日になされておる。現在ここは直轄で千五百名見当じゃないかと思うのでありますけれども、下請が約その半分で七百名を超えております。そういうところで相当の数の整理ということは、下請にも大きな影響がございます。もうこういう問題は、一つ断層がどうだとか、大きな断層だとか小さな断層がその間にはさまってたくさん出てきたとかいうことは、結局は次々にそういうことをやっておいて、四十億の赤字だとか、累積赤字はいまのところはっきりわからぬというようなことはありますけれども、相当大きいと思います。  そういうことになりますと、企業としてはもう行き詰まることは目に見えているわけですね。高島町なんかは、やがてもう閉山になるのじゃないかと言って、あそこの町民の方々は不安、動揺でいっぱいでした。この前は端島があのようなことで閉山になりました。今度はそのわきの本元の高島が不安、動揺の中にさらされておるということは、やがて一つの閉山という方向に進んでおることはやはり間違いないですよ。これをどうかして食いとめようじゃないか、こういうことがありますから、やはりこれは資金的な行き詰まりがあれば政府資金でやるとかしないと、こそこそやっておるから思い切った掘削もできない、採掘もできない。高島以外にも何かそんな開発点を検討していらっしゃるかどうか。三菱鉱業としては高島砿業所以外に資金のめどもない、調達力もない。そうするとこれが失敗したら手を引く以外にない。これが物の順序である。  このようになりますと、これはもう日本全体の石炭鉱業にとって同じような方向をたどっていく。そうしますと答申自体がおかしくなる。二千万トンどうだこうだと言いながらも、片っ方からそのようにつぶれていくということになりますと、これは何にもならない。従来の石炭政策そのままの繰り返しということが言えるわけですね。何かそこに基本的にそれをとめるというのが、新しい時代の石炭の見直しということになるわけですからね。これはひとつ政府は腹を決めて、そして乗り出す。本当に困っている、そうしてもう投げ出すかもわからぬというようなところから乗り出してみるというようなかっこうになりませんと、目先をどうだとか、何とか金をどうだとか、五億出した、六億出した、そういう問題では片づかぬと思うのですよ。それは端島がつぶれた、高島がつぶれる、過去約百ぐらいあった長崎県の炭鉱が同じようなケースで次々とつぶれていっているわけです。北海道もしかりですよ。あるのですから、そのあるものをどうとかしていこう。これは炭価の問題等もありますけれども、炭価の問題じゃない。もうそういう炭価を交渉して、鉄鋼から買ってもらうとか電力に買ってもらうとかという時代じゃないと思うのですね。やはり炭価というものは国が決める。会社の立つような決め方をやる。それで石炭を守っていく。そしてそこには金を入れる、現在、炭鉱の借金については入れているわけですから。今度赤字がずうっと重なっている、これは新しい借金、これをどうとかしなければいけないときがまたきますよ。  いまのうちに新しい石炭政策の中の、炭鉱を維持していくためにはどうするかということは、これは抜本的にお考えにならないといけない。これは大臣の所管になりましょうけれども、やはりそれを補佐していくあなた方がしっかりした考えを持っていきませんと、だめです、だめです、そうか、そうかと、このようになって、やはり旧態依然たる閉山になっていくのじゃないか、このように非常に懸念されるわけであります。これは高島町民を代表して言うのじゃありません。日本全体の石炭鉱業のことを思い、そして働いていらっしゃる方々のことを思い、そして石炭こそが大事な大事な日本資源だ、唯一の資源だ、それをどうするかという大きな立場からお考えなさいと、こう言っているわけでありますけれども、決意はいかがですか。
  86. 高木俊介

    高木政府委員 いま先生の御指示の点を十分理解しているつもりでございますけれども、そういう点をもちまして、例の審議会の方にも諮問いたしておりますし、現在の山はできるだけ長期に続けさすということが第一でございますし、なお、炭量枯渇、そういう点でやめるような場合があったときでも、少なくとも労働者の方々へ迷惑がかからぬような形で、ほかの産業部門をつくるというようなことも頭に入れつつ、いわゆる長期的に石炭が安定するというようなことをベースにして、いま審議会でいろいろ御審議いただいているわけでございまして、先生の御趣旨を十分尊重し、なお、そういう方向に行けるように具体的な対策もつくりたい、こういうふうに考えております。
  87. 松尾信人

    ○松尾委員 審議会の答申を待つとかなんとかいうことも結構であります、一つの手順を踏むわけでありますからね。しかし、その審議会に対して、何を審議するか、やはり政府の腹構えというものを示して、こういう腹構えだ、だけれどもおまえはどうか、どのように審議会は考えるかというようにぶっかけていかなければ、審議会というのは政府の出ようをじいっと見て、御都合のいいようなものを持ってくるわけですからね。それじゃいかぬ。ですから、基本的な問題をちゃんとしておいて、炭価なんかの問題でもそういうものじゃなくて、国策の一環としてきちっとやる。そうでなくては、石炭というものは日の目を見ないし、やがてつぶれていくのだし、新鉱の開発は間に合わぬしということで、やがてまた泣かなくちゃいけないときがくるから言っているのですからね。もう一回、くどくなりますけれども、審議会の答申を待つとかなんとかじゃなくて、そこにぶっかけていってでも、ひとつやりたい、やるべきである、こうぼくは言っているわけですから、そこをもう一回答えてください。
  88. 高木俊介

    高木政府委員 いま先生の御指示のとおりのことを、審議会の方には十分意見を述べているつもりでございますし、また今後も述べつつ、いわゆる長期安定という形の答申が出てくることを期待しておるわけでございます。
  89. 松尾信人

    ○松尾委員 終わります。
  90. 田代文久

    田代委員長 多田光雄君。
  91. 多田光雄

    ○多田委員 きょう通産大臣が出席するということを前提にして、総括的な質問を準備してまいりましたけれども、そうなりませんでしたので、幾つかの点について事務当局に伺っておきたいと思います。  本論に入ります前に、私、三月二十八日の当委員会において、国の助成を受ける企業の政治献金は、子会社あるいは系列企業グループを通じての献金行為であっても、これは違法行為に類することじゃないかということで、北炭関連の企業グループである北友調査会、これについていろいろ伺ったわけです。これについては通産大臣も好ましいことではないと、数度にわたって御答弁なさっていたわけです。そこで、その後どういう処置を政府の方でとられたのか。特に北炭及び空知炭砿に対してどういう調査を行って、どういう措置をとったのか、これをひとつ伺いたいと思います。
  92. 高木俊介

    高木政府委員 調査した資料は先生のお手元にお届けしたと思いますけれども先生の方から御指示がございましたすぐ後、たまたま石炭協会の方で社長会議をやりましたので、その旨十分伝えましたし、また、今後そういうことがないようにということは、社長方に指示しております。
  93. 多田光雄

    ○多田委員 社長会議でそういう注意をしたということは、私、結構だと思うのですよ。しかし、政治献金をしているということは、当事者の萩原会長すらもこれは明確に新聞で言っていることなんですね。やはりその程度で終わらしている政府当局の感覚というものが問題だ、私はこう思っているのですよ。  そこで、北炭と空知炭砿について北友調査会からの脱会をさせる、こういう疑惑を持たれているわけだから、現にまた政治献金をしているわけだから、そういう脱会をさせるというふうなきちんとした行政指導をすべきだ、私はこう思うのですが、どうですか。
  94. 高木俊介

    高木政府委員 そこまでは、私、指示しておりませんけれども、いまそういう御意見のございましたことも参考にし、また長官とも御相談の上、必要ならば北炭の方に指示したい、このように考えております。
  95. 多田光雄

    ○多田委員 いままでやはり当委員会で問題になっているぐらいだから、それぐらいの指示を私は当然すべきだと思う。国から助成を受けている企業が政治献金をやっているという問題なんですから。それをしないということが私は問題だと言っているのですよ。したがって、それはひとつぜひ長官とも相談していただく、そしてこういう疑惑を持たれ、また、実際に政治献金をやっておるような団体からは、政府から補助をもらっておるような企業はやめるべきであるということを、はっきりひとつ勧告なり、あるいはそれを進めていただきたい、こう思うのです。これは政治や選挙、こういう公正ということにかかわる非常に重大な問題なんですよ。ですから私は、この問題がきちんとした決着ができるまで、この問題は引き続いてこれを伺っていくつもりだし、また皆さんからもその措置を伺うつもりでおりますから、その点ひとつ私、冒頭に申し上げておきたい、こう思うのです。  次に政府は、エネルギー情勢の変化に対応する、こういう立場で、石炭政策の上では、現状の二千万トン体制を長期的に、少なくとも十年間維持する、こう言っているわけですね。これが新石炭政策の骨格だと言われているわけだけれども、数字的には現在の二千万トン体制とは変わっていないわけですよ。これは政府も御承知のとおり、私どもとしては、日本の貴重な国内資源、これを積極的に増産していく、あるいは重視していくという立場を、当委員会でも何回か主張してまいったのです。そういう意味から言えば、この二千万トンの維持というのは新石炭政策という名に値するものなのかどうなのかという疑問さえ、私は非常に感ずるのですね。それを新石炭政策と感ずるぐらい、いままで石炭取りつぶしになれっこになっていたということさえ、反面感ぜざるを得ないのですが、政府がこれを石炭の新政策、つまり五次政策までの石炭政策と違った新しい政策である、こう言われる根本的な違い、いままでの石炭政策と、あなた方が言う新しい石炭政策との大きな違いは一体どこにあるのか、これをひとつはっきり述べていただきたいと思うのです。
  96. 高木俊介

    高木政府委員 現在までの五次にわたります石炭政策は、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドとは言いながらも、縮小をベースにした政策ではなかったろうかと思います。今回の新政策と申しますのは、いわゆる生産量におきましては二千万トン以上を確保するということでございまして、この二千万トン以上の確保にいろいろな問題がございます。いままでの例を見ますと、たとえば需要業界が必要だというときは石炭の供給ができる、あるいは石炭生産が過剰になった場合、過剰生産が出たときに需要業界の方からは引き取らないというような矛盾がそこにあって、むしろ縮小の一途をたどったのじゃなかろうかというふうに思われますので、今回の石炭政策におきましては、いわゆる長期にわたりまして需要業界と供給者のはっきりした結びつきをやりたいというのが私ども考えでございまして、このためには法律もいままでの合理化法ではなくして、新たな、名前はまだはっきりしておりませんけれども、たとえば安定法というような形に直しながら、内容的にも十分それに沿うような形の法体系に持っていきたいということで、現在審議会の方でいろいろ審議していただいているわけでございまして、その答申を得ましたら、それに沿うように法律も改正するという気持ちで、いまいろいろ検討しておる最中でございます。
  97. 多田光雄

    ○多田委員 いまの答弁で、どうも私はまだよくわからないのですが、二千万トン以上の確保だ、そしていままでと違って、長期にわたって需要と供給との関係をしっかりさしていきたい、こういうことなんですけれども、長期にわたってそれを確保していくということは、どういう背景なり事情があるのですか。
  98. 高木俊介

    高木政府委員 そのためには、先ほども篠田先生から御質問がございましたけれども、たとえば新鉱の開発あるいは事業団が保有しております消滅鉱区あるいは保有鉱区等々の開発という点にも力を入れなければならぬのではないかというふうにも考えておりますし、なお労働の確保、そういう点にも力を入れつつ、ぜひ二千万トン以上の生産をもって、国内資源開発したいという気持ちでおるわけでございます。
  99. 多田光雄

    ○多田委員 それじゃまたちょっと聞きますが、政府の試算によっても、昭和五十五年度と六十年度の需要見込み、これは現在の内外炭合わせて八千五百七十七万トンから、一億一千四百万トン並びに一億三千万トン、こういう大幅な需要増大を見込んでいるわけなんですよ。そうした需要増を見込みながら、なぜ国内炭の増産あるいは国内炭の量的な拡大に思い切った政策転換ができないのか。その転換のできない障害と考えているもの、ネックになっているもの、これが幾つかあると私は思うのですが、それを一番大きなネックの順からひとつ述べてください。これほど需要があり、皆さん必要だと言っているのに、国内炭を本当に量的に拡大していけない原因、くどいようですが、その一番大きな原因から幾つか挙げてください。
  100. 高木俊介

    高木政府委員 まず第一に、わが国炭層の自然条件の悪化というのが挙げられるのではなかろうかと思います。これは、今後採掘するにあたりまして深部化するという問題がございますし、それに伴います保安の問題ということもございますので、この点、自然条件の悪化によるコストアップという点がなかなか大きな問題ではなかろうかと思います。  次いで、これとうらはらになりますけれども、当然炭価問題ということも一つの大きな問題になってくるのではなかろうかと思います。これは競合燃料の将来の動向ということも、いろいろ推定はいたしておりますけれども、現在、どういうふうになるということの断定が下せないという点もあろうかと思いますし、そういう点で、一番大きなのは自然条件の問題あるいはそれに付随する炭価アップの問題ということじゃなかろうかと思います。  なお、このほかに鉱害及び今後の環境保全という問題、あるいは、これは当然技術で開発をしていかなくちゃなりませんけれども、現在、現時点におきますNOXの問題とか、あるいはばいじん問題というような点から考えまして、なかなか困難な問題を抱えておるということでございます。  最後に、労働確保の問題、これは先ほども説明したと思いますけれども、例の石炭鉱業の将来に対するビジョンというもの、あるいは賃金の問題あるいは環境問題あるいは保安問題という問題が確立されるならば、必ずや労働の方は確保できるというふうに考えておりますけれども、現時点における坑内労働というものに対する、いわゆる若年者の認識という点からいきましても、労働確保という問題はなかなかむずかしい問題ではなかろうかと思います。  そういう点を考えまして、国内の資源、現在の炭層のあり方、あるいは残っている山というものを考えますと、二千万トンを維持することも相当困難でございます。これはもう当然やらなくちゃなりませんけれども、このほかに、先ほどから申し上げますいわゆる事業団の保有鉱区なりあるいは消滅鉱区、あるいは鉱区をたくさん持っていて現在掘っていない鉱区のところを、何とか指導によって掘らすというようなことによりまして、ぜひとも国内の資源である石炭を二千万トン以上掘りたい、掘らしたいということで、新政策に向かっているわけでございます。
  101. 多田光雄

    ○多田委員 かなり前の委員会ですが、当時の中曽根通産大臣が答弁の中で、はっきり政府の石炭政策は間違っていた、こう言ったのですよね。私、それを聞いたところが、そんなこと言った覚えはありません、こう言うのだけれども、後で速記録を見たら、やはりそうなっているのです。それで、その当の中曽根通産大臣が言っていたのは、やはり第一に経済性の問題ですよ。ところがいまあなたの御意見を聞いても、一番大きな理由というのは、第一は自然条件の悪化、それに伴うコストアップという経済性の問題、第二番目もそれに関連の炭価ということだったのですね。やはり経済性が再優先している。だからわれわれは、経済性を全く度外視するなんてことはこれは不可能なことなんだけれども、しかしながら、資源を有効に活用するという場合には、これだけにこだわっていては、これは政治的にも重大な失点をかせぐのだ、これはもうこの一年、二年の石油危機以来はっきりしているのですよ。これは私どもが前から言ったとおりなんです。そういう意味では、根本的に、いままでの中曽根通産大臣が言ったあの失敗の根底にあるものは変わっていないというふうに私は考えざるを得ないのですね。きょうは時間がありませんので、これはいずれ通産大臣のときに質問をしたいというふうに考えております。  そこで、いま部長が第四に挙げた労働力の問題、私は恐らくここにも致命的な問題が出てくるだろう、こう思うのです。私どもはこの二千万トン体制というものには賛成はしないけれども、仮に一歩を譲って、二千万トンあるいはそれ以上を掘るという場合に、果たして労働力が、この五年、十年で二千万トン体制にふさわしい労働力を確保できると考えているのかどうなのか。もしできるとすれば、どういう見通しとどういう計画性を政府は持っているのか、これをひとつ述べてください。
  102. 高木俊介

    高木政府委員 いま具体的に五年先、十年先の労働力確保をどうするという案は、ここにはございませんけれども、先ほどから申し上げますように、いわゆる石炭鉱業の将来性というものに対するのが私は一番じゃなかろうかと思いますし、賃金問題あるいは環境問題あるいは保安問題、こういうことをやることによって、労働力は自然についてくるのじゃなかろうかと思うわけです。ただし、これだけに頼っているわけにはまいりませんので、今回の審議会の答申もそういうように持っていきたいということで、いま検討しておるわけでございますけれども、審議会の中に労使のいわゆる委員会と申しますか、そういうものによりまして、企業別ではいろいろ現在でも労働問題を交渉しておられるわけでございますけれども、産業別としての労使問題ということを審議会の中で取り上げてもらう、あるいは審議会の下部組織になるかもしれませんけれども、具体的に取り上げて、将来の労働時間の問題とか、あるいは週休制の問題あるいは賃金問題等々、その場でいろいろ御検討いただければいいのじゃなかろうかということで、いま検討しておる最中でございます。
  103. 多田光雄

    ○多田委員 いま部長の答弁になった産業別の労使問題、それはそれとして計画はあるのでしょうけれども、果たして、炭鉱労働者になりたいという人あるいはいまなっている人が、いまの政府の政策に対してビジョンを一体持てるのだろうか。いっそういうビジョンを出すのか。これはまた石鉱審の答申待ちだというふうに皆さんおっしゃるかもわからないけれども、やはりいまの瞬間から労働者を大事にする、あるいはまた石炭産業に魅力を持つ、そういう政策がなければ、一朝一夕に地下労働者、しかも熟練した労働者を何千人、場合によっては万に達する人を入れるということは不可能なんですよ。これは私が言わなくたって、専門家の部長はもうよく御存じのとおりだと思う。  そこで、年金の問題はさっき出ましたから、これは後でちょっと私も実はお伺いしたいと思っていたのですが、なぜ私はそれに不信感を持つかというと、たとえばいま手元に、北炭の夕張新第二炭鉱がことしの四月に出した「従業員、家族各位」「出勤協力方のおねがい!」というチラシがあるのです。これを見せてもらって、私は何人かの労働者に伺った。ともかく中身はひどい。あなた読みましたか。ともかくひどいものですよ。  いま北炭は経営のピンチだ、新鉱を抱えている、それで萩原さんが再び返り咲いた。これは鉄鋼や、あるいはその他ユーザーからも相当圧力がかかったのだろうと思うのだけれども、これはかなりの狂的なものですよ。たとえば「北炭は未曽有の経営危機に直面して」いる、これは確かにそうでしょう。その後に「緊急措置として、締結された協定書の四項目」として、たとえば3には「労働力体質改善、並びに職種別適正人員の配置。4 出勤協力。」「特に“出勤協力”については、坑内員の平均出勤率目標を八七%とする。」これは高いですよ。「特に出勤不良者に対しては、人事委員会を毎月開催し、労働協約に基づく措置を行い個人別指導を強化する。」私は戦前の労働者に対する態度じゃないかと思うくらいなんです。  そして、この「職種別適正人員の配置。」というところを少し聞いてみたら、たとえば掘進とか採炭などの直接生産現場、比較的賃金は高いわけだ。そこの比較的年配になっている労働者を有無を言わさず、生産能率を上げるということを言っておいて、一方的に配置転換をする。その人はもちろん賃金ダウンなんですよ。そして数少ない若手の労働者をそこへまた持ってくる。前から北炭の労働政策というのは問題になっているのだけれども、これがちょっと狂気じみてきている。だから私が会った労働者はこう言っている。四十歳でこんな体にだれがしたのだ。これは大なり小なり似ているのですよ。  そういうことがいま目の前にまかり通っていて、そして労使の会議を開くと言ってみても、その結果何が出るかということはわかっているのです。まして、ちょうど石炭幾らか上向いてくるというと、いよいよ調子に乗ってくるわけだ。だから私は、そういう点から言って一層——これはいままでと同じですよ。労働条件を社会常識に沿って幾らかよくするでしょう。賃金も幾らか上げるでしょう。あるいはまた保安についても、事故を起こしたら石炭出ませんからね、ユーザーが困るのだから、それは一定の保安の改善もやっていくでしょう。やはり根本的に労働者を犠牲にしてやっていくというこの姿勢と体制、変わっていないのですよ。これであれば、若干の労働者がふえても、本当に二千万トン体制維持できるような労働力を確保できるのだろうかという疑問さえ私は持つのです。  いま不況が来ているわけだから、仕事がなくなっているから、幾らかの若手労働者は来る人もいるでしょう、背に腹かえられませんから。それは決して炭鉱に魅力を持ったのじゃないのです。行くところがないから来ているという人がかなりいるということも、私は労働監督署に行って聞いたのです。このままでいきますと、労働力の点からも、石炭産業というのは、幾ら部長が善意でおっしゃっていても、これから余り期待を持てないのじゃないか、私はこういうように思うのです。  そういう意味で私のきょう実はお伺いしたいと思っていた一つは年金の問題なんです。賃金の問題は、これは労使の問題で解決しなくてはならない問題ですけれども、年金について言えば法律があるわけでしょう。石炭についても先ほどお話のあった法に基づいてやっておるわけだ。ただ、年金について言いますと、石炭産業をもし維持なり復興さしていくとすれば、それを支えるものは何といっても労働力ですよ。そういう意味では、いまの厚生年金の上にプラス石炭鉱業の年金をつけると言っているけれども、これも調べてみたら十五年以上二十年未満の人が月額五千五百円なんです。厚生年金自身が低いのに、いいかげん体をすり減らしてきた労働者が、いま賃金もさることながら、これからやめた後どうなるかということを心配している、だんだん高齢化してきているから。その人たちに五千五百円やったって、これは孫のだちんにもならないですよ。炭鉱労働者を本当に大事にしていく、そして二千万トンなり、あるいはそれ以上掘ると皆さん言っているのだから、そうすれば、年金の問題で思い切って国自身がめんどうを見る必要があるのじゃないか、単に年金をどうするかという問題じゃなくて。これは石炭企業の経営難と言っておりながら、先ほど言ったように一部の企業で二年間で三億八千万円も政治献金をやっている。こんな金のあるぐらいの余裕があるのだったら、やる気があれば、経営者だってやれぬわけじゃないと私は思う、そろそろ退職金の内部留保さえ始めてきているのだから。だから本来は資本家が出すべきですよ。しかし同時に、それだけでは不十分だから、本当に国が国策として石炭を重視していくのであれば、国自身が労使と一体となって、この年金をめんどう見ていく、こういうことが年金問題の具体的なアプローチの問題だ、私はこう思っているのです。  そういう意味で、ひとつ部長にお伺いしたいのですが、先ほど部長は、これは答申に含ませたい、こういう前向きと思われる発言をしておりましたが、私は、政府自身がもっと本腰を入れていくという意味で、やはり政府自身がこの問題を考えてみたらどうか。石炭を取りつぶすときには一兆円近い金を経営者に出しているわけだから、せめて、いまこれから石炭を見直していくという場合に——そう大きな額じゃないですよ。私はこれは直接はじいたわけじゃありませんけれども、それくらい国でめんどうを見ていく、これは経営者を援助しろと言っているのじゃないのです。労働者に対して、そういう援助を国としてすべきじゃないのかというふうに思うのですが、どうでしょう、これはひとつ長官なり大臣と相談して、答申の場合でも、そういう積極的な内容を盛るようにしてもらえるかどうか、ひとつ御検討願えますか。
  104. 高木俊介

    高木政府委員 炭鉱労働者のみにそういう年金制度を特に政府として見ることがいいのかどうか、私にはこの点はっきり理解できませんので、他の年金制度との関係もあろうと思いますので、厚生省の方と十分連絡をとってお答えしたいというふうに考えております。しかし、現在の年金制度におけるいわゆる高額支給なり、あるいは年齢の短縮なりというようなことについては、現在の制度のもとの年金につきましては、先ほど申し上げましたように三組合からの要望もございますので、十分その意思を生かしたいということで、審議会で御検討いただいている最中でございます。
  105. 多田光雄

    ○多田委員 審議会で検討いただくというのは、どういう中身のものですか、ちょっと伺いたいのですが。
  106. 高木俊介

    高木政府委員 来ておりますのは、例の金額が安いということで、もう少し高額にしてもらいたいということが大きな要望でございます。いわゆる年金制度の改善ということで要望が参っております。
  107. 多田光雄

    ○多田委員 企業家の積み立ての金というだけじゃなくて、国自身がやる。石炭産業だけの労働者と言われるけれども、いままでの経過を見ていたら、そういうことは言っておれないですよ。ここまで炭鉱を取りつぶしてきて、しかも数十万の炭鉱労働者を失職させてきている。常識的に、罪滅ぼしから言ったって、私は国としてそういうことは言えないと思うのだけれども、ともかくあなただけの一存では、これは御答弁願えないと思うけれども、私の申し上げた内容、それから先ほどお話のあった下請企業の問題も含めて、これはひとつぜひ大臣とも相談して、積極的に答申なりその他に盛り込むなり、そういうことをやっていただけるかどうか。これは相談の結果でしょう。あるいは厚生省ともしていただいて結構です。それをひとつもう一度お伺いしたいと思います。とりわけ大臣、厚生省とも十分やっていただけるかどうか。
  108. 高木俊介

    高木政府委員 私の一存ではこれは申し上げられませんので、上司とも相談いたしまして、できるだけ御意思に沿いたいという方向で検討したいと思います。
  109. 多田光雄

    ○多田委員 五十年度の石炭単価改定期に入っているわけですが、現在どういう検討をなされているでしょうか。  それからもう一つ、鉄鋼、電力などのユーザー、それから石炭業界の双方の主張の内容は、具体的にどういうようになっているのか。できればこれは数字を出して述べてもらいたいと思うのですが。
  110. 高木俊介

    高木政府委員 まだ石炭企業の方からは、今年度、五十年度の炭価アップの問題については、幾ら上げてもらいたいということは、うちの方には数字が参ってきておりません。なお、炭価問題につきましては、一応国で決めるという法律のたてまえにはなっておりますけれども、現在、審議会でいろいろ将来の炭価のあり方ということも御相談している最中でございますので、うちの方からも企業の方にそういう話もいたしておりません。  なお、現在聞くところによりますと、鉄鋼業界の方では、豪州炭との間の価格交渉につきまして、まだ妥結していないというような点もございまして、とてもいま話を持っていけるような状態ではないのでなかろうかというように考えまして、現在のところは、炭価問題は一切触れていないというのが実態でございます。
  111. 多田光雄

    ○多田委員 豪炭の問題はまた後でちょっと伺いますが、外国の輸入原料炭が大幅に値上げされていて、もうこれは新聞で報道されているように、米国炭が五十九ドル九十五セント、約六十ドル、こういう値上がりですね。これに運賃を入れると、大体これはCIFで日本円にすると二万二千円以上、こういうふうになるのは確実と言われているわけですね。そういう中で、いままで国内原料炭の価格と比較されてきた、比較的安定して供給していた豪州の原料炭価の交渉は、いま部長が言ったようになかなか難航しているようです。しかし、日本の鉄鋼業界は四十七ドルを主張した。これすらも十五ドルアップですね。しかし、豪州は米国炭並みの価格を要求していて折り合っていない。えらいことになっているわけですよ。この見通しが立たないと、炭価の問題もちょっと軌道に乗らないというお話でしたけれども、この見通しについて、政府の方としてはどういうふうにお考えになっていますか。五十ドルくらいになるというふうにお考えになっているのか。あるいは五十ドルになったとしても、それに今度は船賃が入りますからね。どういうふうなお見通しになっているのですか。
  112. 高木俊介

    高木政府委員 先ほども申し上げましたように、価格問題一切、現在うちの方で触れていないわけでございますけれども、先ほど先生の御指摘の米炭六十ドルという数字は、これは強粘結炭ではなかろうかと思います。日本の原料炭と匹敵いたしますのは、いわゆる豪州の弱粘が一番いいのではなかろうかと思います。豪州の弱粘結炭は、現在時点における輸入のCIF価格でございますけれども、約九千円でございます。これに比べまして、豪州炭と匹敵いたします国内炭のCIF価格は一万一千五百円ということで、二千五百円高い金額で引き取ってもらっているというのが実態でございます。それでいま豪州炭の価格交渉について、先生の四十七ドルというようなお話は、いま初めて承ったような次第でございまして、実態が、豪州炭の価格アップにつきまして、鉄鋼の方とどういうような交渉経過になっておるのかということは、なかなか難航しておるという話は聞いておりますけれども、具体的にこの数字がどういう点に詰まっておるのかというのは、現在聞いていないような次第でございます。
  113. 多田光雄

    ○多田委員 若干私、強粘結、弱粘結混乱しました。それで、いずれにしても原料炭全体として、かつてない大幅な値上がりをしてきておるということですね。そこで、ことしの国内炭の価格は、少なくとも外炭価格に見合うということで、先ほど鉄鋼の方は幾らかプラスするというお話でしたけれども、政府として積極的にこの外炭に見合うように、あるいはそれを上回る、そういう価格指導をなさっておられるのかどうなのか。それに対して、たとえば鉄鋼、あるいは一般炭の場合は電力になりますが、どういう態度をとっておりますか、もう一度お伺いしたいと思います。
  114. 高木俊介

    高木政府委員 鉄鋼の方は、輸入炭よりも高く国内炭を引き取ってくれるということは、はっきり申しておりますし、また現在までそういうような実績がずっと例年重なってきておるような状態でございます。たとえば、四十八年度の上期でございますけれども、このときは輸入炭がCIFで五千四百円でございます。国内炭が七千三百八十円ということで、千九百八十円高い金額で引き取ってくれたわけでございます。下期におきましては、これは四十八年度の下期でございますけれども、輸入炭が五千九百七十円に対しまして国内炭が七千五百六十円ということで、千五百九十円高い金額で引き取ってくれております。四十九年度の上期でございますけれども、輸入炭が、これは全部豪州炭でございますが、九千二百七十円でございまして、これに対しまして国内炭を一万一千二百円ということで、千九百三十円高い金額で引き取ってくれております。四十九年の下期でございますけれども、これは一部見込みが入りますが、輸入炭が八千七百円でございます。これに対しまして国内炭は一万一千五百円ということで、二千八百円高い金額で引き取ってくれたという実態がございます。こういう点からいきましても、今後とも鉄鋼業界の方は、国内炭の原料炭に対しましては高い金額で引き取ってくれるということは、間違いないところであろうというように確信しておりますし、また、話をしましても、国内資源という立場から、輸入炭よりも安く引き取るというようなことは、決して言ってもおりませんし、十分その点は考慮してくれているというふうに考えられます。
  115. 多田光雄

    ○多田委員 石炭業界はどういうふうな期待を持っておるのですか、価格の面では鉄鋼に対して。
  116. 高木俊介

    高木政府委員 まだ、先ほども申し上げましたように、五十年度の価格については、全然話はうちの方にも来ておりませんし、聞いてもおりません。審議会でいろいろ話が出ておりますのは、いわゆる石炭鉱業が成り立つような価格設定をしていただきたいということは、業界としては盛んに言っておられますけれども、五十年度の価格問題について幾らの炭価アップが望ましいとか、あるいはしてもらいたいというような話は来ておりません。
  117. 多田光雄

    ○多田委員 いずれにしても稲山鉄連の会長さん、石鉱害の会長さんでもあって、前からも千二百円くらい高く買うと、大変理解のあるようなお話をされていたわけなんだけれども、確かに豪炭を基準にしてお話しされたわけです。同時に、石炭の場合は、先ほど言ったように、これは政府も言っている日本の貴重な資源である、できれば二千万トン以上、そして労働者に対しても、去年三千円アップしたから、賃金も幾らかよくなったとはいっても、まだ十分ではない。つまり、本当に炭鉱にビジョンを持つような内容のものじゃないわけですね。そういう意味で、私は積極的に鉄鋼その他に政府としても、この価格の問題でひとつ話し合いをしてもらいたい、こういうように思うのです。  何といってもこの十年、十五年、二十年を見ますと、いわば石油で押されたと言っているけれども、その中身を見ると、やはり鉄鋼、電力に低炭価を押しつけられてきているのですよ。その結果、今日この九電力にしても、あるいはまた鉄鋼にしても、日本石炭を、海外の原料炭確保でも一定の安全弁として使ってきているわけだし、そういう点から言えば、いわば日本石炭産業の取りつぶしの裏表というのは、日本の鉄鋼の繁栄でもあったのです。いわばユーザー本位なんですよ。そういう意味から言えば、私は石炭企業も幾らか強腰になっているようだと思うけれども、積極的に炭価問題については、政府の方としてもひとつ指導してもらいたい、こう思うのです。  そこで、四十九年度の輸入一般炭の価格はトン当たり幾らになっておるか。それから今後の輸入一般炭の価格を、どのように政府の方で把握しておられるのか、それをひとつ伺いたいと思います。
  118. 高木俊介

    高木政府委員 四十九年度には、一般炭の輸入を緊急輸入ということで審議会にお諮りしまして、需給のバランス上、八十万トンを輸入してよろしいということで許可をいただき、いろいろ電力向けと一般産業向けに輸入炭の手続をやったわけでございますけれども、実際、発券いたしましたのは五十八万トンでございまして、現在入っておりますのが四十万トンでございます。このうち電力向けに二十三万トン入っておりまして、残りが一般産業向けでございます。価格の点でございますけれども、いわゆる四十九年度は緊急輸入という形でスポット物でございます。中国、ソ連、豪州、米国と四国から入っておりますけれども、中国炭が九千四百円から一万八百円、それからソ連炭が七千六百円から八千七百円、豪州炭が七千四百十円、それから米炭が一万二千九百十円というような金額になっております。これはそれぞれカロリーも違いますので、一概にこの金額はどうだということは申し上げられませんけれども、いま申し上げたような金額で入着しているというのが実態でございます。
  119. 多田光雄

    ○多田委員 先ほど言った今後の見通しはどうですか。
  120. 高木俊介

    高木政府委員 今後の見通しにつきましては、これはいろいろむずかしい点でございますけれども、いま申し上げました数字は、いわゆる緊急輸入ということでスポット物でございますので、今後需給関係上一般炭を輸入するとなりますと、長期展望に立った場合は相当量を恐らく入れなくてはならぬようになるのじゃなかろうか。その場合の長期契約のあり方というのも一つの問題になってくるのじゃなかろうかと思いますけれども、たとえば豪州炭で採掘コストだけで見ますと、恐らく露天掘りの豪州炭では五ドルないし六ドルぐらいではなかろうかと思います。しかし、そのほかにインランドチャージあるいはフレートというようなもので国内に着くわけでございますけれども、果たして、その価格が幾らのCIF価格で引き取りができるのかということは、現在全然未定でございます。
  121. 多田光雄

    ○多田委員 新聞で見ますと、六十年ごろを想定して、一般炭の輸入を相当量見込んでおられるようですね。これを事務当局の方でいろいろ計算もしておられると思うのですけれども、主に使うのは電発関係ですか、それともその他どういう方面に需要があるのですか。
  122. 高木俊介

    高木政府委員 主として電力向けでございます。一部セメント向けのものがございますし、なお、鉄鋼関係で一部入れるのがございますけれども、主体はほとんど電力向けでございまして、また、この電力向けも、いま計画であれしておりますのは、電発の方が主体になるのじゃなかろうか。しかし、そのほかの電力は、今後いわゆるエネルギー政策上どういうような発電所計画が出てくるかによって、その量はまた異なってくると思いますけれども、前に、将来の一般炭の輸入ということで、一千万トン、二千万トンという数字を出しておりますけれども、あれは輸入することが可能であるという数字をお示ししたのであって、需給と結合さした数字では、現在のところございません。  なお、その結合につきましては、現在総合エネルギー調査会の方で、今後の輸入炭と発電所関係あるいはそのほか原子力との関係、いろいろなことをいま作業をやっておられる最中でございます。
  123. 多田光雄

    ○多田委員 最後に、石鉱審の答申ですが、これはいつごろ得られるのか、それからそれに基づいての政府の新しい施策というのは、作業がどうなっておるのか、これを伺って、終わりたいと思います。
  124. 高木俊介

    高木政府委員 答申の点でございますけれども、これは前ほどから何回も申し上げておりますように、六月末にはぜひ答申をいただきたいということで、現在作業しておりますし、また六月末にいただきますと、それをベースにしました来年度の予算編成ということもございますし、なお、答申をいただきましたら、それをベースにいたしまして、いろいろ法律の見直しもやらなくてはなりません。そういう点で、先ほどもちょっと申し上げましたように、今回答申をいただいた後、現在もいろいろ内容的には検討しているわけでございますけれども、新しい法律を次の国会にはぜひお願いいたして、石炭の長期安定に持っていきたいというふうに考えております。
  125. 多田光雄

    ○多田委員 終わります。
  126. 田代文久

  127. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 新政策として、関係者並びに国民からかなり期待を受けたこの政策答申の過程をいろいろ仄聞すると、どうも大したものは出ないのじゃないかという感じを受けるわけです。これはまあ結局こういう中で、先ほど高島炭鉱の話もありましたけれども、だんだんまたじり貧になっていくのじゃないかという感じがしてならないのであります。そこで、いまいろいろ論議をしておられます過程を、少しざっくばらんにお話し願いたいと思うのです。私が特にそれについて決まった意見を言うわけではありませんけれども、お聞かせ願いたい、かように思うわけです。  そこでまず第一、二千万トンの維持というのが非常に問題になっております。大体既存炭鉱が今後五年あるいは十年で、どのくらい既存炭鉱の分から縮小をするのか。それからいわば新鉱開発というのがどのくらい見られるのか。既存炭鉱のことを言うと問題が起こるといたしますれば、新鉱開発でどのくらい見られるか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  128. 高木俊介

    高木政府委員 私どもが試算いたしましたデータによりますと、現有鉱の中にも露天掘り等ございまして、ことし二千三十万トンでございますけれども、その中には百七十万トンぐらいの露天掘りも含まれております。こういう数字を引きますと、千八百数十万トンということになるわけでございまして、そのほか先ほど出ておりましたような一部縮小というようなところもございますけれども、逆に太平洋あるいは九州の松島炭鉱みたいに増産体制をとっていただいている山もございますし、なお、有明の新鉱も今後出てまいりますし、北炭の新鉱も六月から炭が出てくるということをあれしますと、長期的に見ますと、一応現有鉱で千八百数十万トンの線は確保できるのではなかろうかというふうに考えております。そのほか、先ほどから各先生方からの御質問がございましたように、天北開発を初めとするいわゆる露天掘り、あるいは事業団の方の保有鉱区、消滅鉱区というところで再開発できる可能性のある山もございますので、そういうものを掘りつつ二千万トン以上を確保したいというのが基本的な考えでございます。
  129. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうも明確でないのですけれども、新鉱開発は新しい鉱床の場合もありましょうし、さらに、再開発の場合もあるでしょう。大体どのくらい六十年度あるいは五十五年度までに見込まれるのか。これはどういうようにお考えになっておるのか、数字があったらお示し願いたい。
  130. 高木俊介

    高木政府委員 現在調査対象になっております五地区十六地点、一部変更はあろうと思いますけれども、当時予算要求のときの資料でございますけれども、それが全部仮に開発し、採炭されたとしたならば、約五百数十万トンの数字になったと思います。そのうちに、開発にはいろいろな問題がございます。たとえば環境問題、鉱害問題あるいは投資問題、最近いろいろな問題が発生しておりますので、そういうことを加味いたしますと、安全に見て半分という数字を見た場合、二千万トン以上は可能ではないかというようなことで、二千万トン以上ということを申し上げているような次第でございます。
  131. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうしますと、まだはっきりしないのですけれども、これは開発方式はどういう方式でおやりになるのですか。
  132. 高木俊介

    高木政府委員 まず現有鉱の増産面におきます事業団の所有鉱区における隣接鉱区と申しますか、現有鉱でございますけれども、それは現在いわゆる鉱区調整という形でやっておりまして、この点はもう少し緩和した意味で拡大していき、できるだけ現有鉱が、そういう隣の消滅された鉱区採掘することによって、長期的に採掘できるような方法をとりたい。現在は同一鉱床で合理的にとかいうようないろいろな規則がございます。こういうものを今度改正いたしまして、たとえば、その山の労働者の方の問題とか、あるいは場所的な問題もあろうと思いますけれども、現有鉱を中心にした鉱区調整というのをまず考えなくてはならぬのじゃなかろうかと思います。これはむしろいままでは鉱区調整はどちらかと言いますと規制の方に入っていたわけでございますけれども、これを緩和する方向で、できるだけ現有鉱が続くような形をとりたい。  もう一つは、事業団の保有あるいは消滅鉱区で、全然周りに炭鉱がないというところは、現在の法律体系では掘れません。今度はこれを法律改正いたしまして、ぜひ掘るような形に持っていきたいというのが一つのねらいでございます。そのときに掘る形といたしまして、どういう企業体で掘るか、あるいはどういう形で掘るかというようなことでございますけれども、当然国として融資をし、力を入れなければならぬわけでございますけれども、まず第一は、地元の了承等をとる必要もございますので、これは特に鉱害問題という点からいきますと、地元の協力ということが必要になるのじゃなかろうかというようなことが一つございます。それに、ただ単に事業団で掘らすといたしましても、事業団にそういう技術があるわけではございません。いろいろな技術も、当然当時の山を稼働しておられたときの技術を買うというような点が必要になってくるのじゃなかろうかと思いますので、そういうことの協力あるいは消費者、いわゆる需要家の協力というようなことで、国、需要家あるいは地元、山というようなものが一体になりました第三セクター的なものを形成いたしまして、そこで掘らすようにしたらどうかというのが現在の案でございまして、これはまだはっきりどういうような形でということを決めておるわけではございませんけれども、できるだけ今後の採掘につきましては、鉱害問題等々もございますので、地元の協力も得つつ採掘すべきではないかというような思想に立っておるような次第でございます。
  133. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 純然たる新鉱開発は。
  134. 高木俊介

    高木政府委員 いま申し上げましたのは例の事業団の保有鉱区あるいは消滅鉱区の点でございますけれども、新しい開発問題につきましては、たとえば、天北の問題等々があるのではなかろうかと思います。そのほかに、あるいは現有している鉱区で、一部行政指導なりによりまして、その鉱区を掘ろうというような新鉱開発というような点が出てくるのではなかろうかと思いますけれども、この点につきましても、先ほど申し上げましたようないわゆる地方公共団体あるいはユーザー、業界というようなことの御協力を得つつ、事業団の融資ということで、出資という点も一つ考えておるのでございますけれども、この点についてはいろいろ問題もあるようでございますので、今後検討させていただくことにいたしまして、そういう第三セクター的なもので掘っていくようにしたらどうであろうかというのが現在の案でございます。
  135. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうも新しい構想は確かに新しい構想ですけれども、これは果たしてうまくいくのだろうかという疑問が若干なしとしないのです。一つはやはり自然条件の差を一体どういうように見るか。ですから、これはいろいろの形で掘られるのでしょうけれども、その自然条件の差というようなもの、結局はコストの差ということになるわけです。これらをどういうように扱っていかれるのか。ですから、かなりコストがかかるというところは、結局は採掘できないのじゃないか、こういうような感じがするわけですが、どうも公団といいますか、事業団といいますか、それが後ろに後退をしたような印象を与える、こういうような形で、果たして日本石炭政策ができるだろうか、こういう疑問を私は持つわけです。それは地方自治体を入れるとか需要業界を入れるという発想は、私は悪くないと思いますけれども、しかし、現実問題としては各所でばらばらに行われている。それがかなり自然条件の関係でコストが違う。そういう場合にコストのかなりかかる地域は結局残されていくのじゃないか。そうすると余り期待できないのじゃないか、こういう感じを持つのですが、その点はどういうようにコストの差というものを調整する考えがあるのか。
  136. 高木俊介

    高木政府委員 確かに先生指摘のとおり山別のコスト差というのは出てくるだろうと思いますけれども、現在このコスト差をどうするという具体案を持っているわけではございません。現在の企業間におきましても、それぞれコスト差もございますし、あるいは格差もついておることでございますので、この辺の問題をどういうふうにするかということとも、また絡み合ってくるのではなかろうかと思います。現在の開発体制につきまして、開発する山ごとのコストの違い、これは当然出てくると思いますけれども、これを平均化するとか、あるいはどうするというようなことは、現在まだ検討いたしておりません。
  137. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 制度を考える場合の発想の出発点、これがやはり、いわばいまからかなり無理をして掘ろうというわけですから、限界炭鉱がどうなるかという問題になっていくわけです。ですから、ある一定の出炭規模維持しようとするならば、結局限界炭鉱を、どれだけコストが高くても生産ができるようにするかというのが、やはり石炭の量を確保する問題点だと思うのであります。そうすると、確かに第三セクターのように地元を入れるということは、私は鉱害や何かの協力面においてはいいと思うのですけれども、問題はかなりの量を維持するためには、ある価格で、それ以下になるものだけやれといういままでの方式なら、私はそれはやれるものはやる、やらないものはやらないということになると思うのです。しかし、ある程度出炭規模維持するということになると、どうしても限界炭鉱をどうするかという問題、それがためにはどういう方式をとるかということが、私はやはり肝心じゃないかと思うのです。  それで、この前、私が岡田利春君と四十三年に英国に行きましたときに、例の日本の国際石炭大会に来ましたシューマッハ石炭庁の顧問が、国有化してどこがよかったかというと、結局限界炭鉱をつぶす炭鉱が全国的視野に立って見れることがいいのだ、こういう話をしました。全国的に見て一番コストが高くてやっていけぬ炭鉱から整理していくことができるというのが、やはり国有化した一番いいメリットだということを言っておったわけですね。結局それは何も国有じゃなくて、一社でもいいのですけれども、要するにそういう視点で物を考えないと、出炭規模維持というものはなかなかむずかしいのじゃないかという感じがするわけです。  ですからそれを今度逆に、単価が決まって、そしてそれでおやりになるところはおやりなさい、しかし、もう少し出炭が要りますから、ある程度調整金の交付金を上げましょうという物の発想では、私は石炭政策の転換にはならないのじゃないか、こういうふうに思うわけです。ですからやはり正面に政府といいますか、公団といいますか、事業団といいますか、それが採掘の主体になっていく、それはもちろん私の申し上げますのは既存の炭鉱ではありません、新しくやる場合にはやはり国が主体になってやるという方式でないと、いままでと余り変わらないのじゃないかという感じを持つわけです。ですから、そういう点の解明が十分されないで、ただ第三セクターでやればこれはいけるのじゃないかというのは、私は基本問題の解決ができないで、少し安易じゃないかという感じがするわけです。そういう点をどういうふうにお考えであるのか、お聞かせ願いたい。
  138. 高木俊介

    高木政府委員 確かに先生の御指摘の点が十分あろうと思いますので、まだ、いままでそういう点検討しておりませんでしたので、今後まだ時間もございますから、審議会の先生方等の御審議をいただきまして、先ほどから申します二千万トン以上の体制ということだけは崩さないような方向で検討したいというふうに考えております。
  139. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私どもは昨年決議した「新石炭政策の確立に関する件」という中で、四番目の事項として「買上げ、封鎖鉱区及び未開発鉱区について調査を実施し、買上げ及び封鎖鉱区の再開発に当つては、政府の責任において行なうこと。」というのは、ただ融資ということでなくて、やはり政府がこの際前面に出て、その責任において開発しなければできないのじゃないかということを考えて、私どもそういう決議をしたわけですから、私はその点が解決しなければ、出炭規模というのがどうしても縮小の方向に行くのじゃないかというように思うわけです。ですから、その点ひとつ十分考えていただきたい。これがやはり政策のかなめになっていくのじゃないかと思うのですね。ですから、みずからやるか、あるいはとにかく責任をもってどうやるかという、これが一つのかなめになっていくのじゃないか、こういうように思うので申し上げたわけであります。  次に、先ほど組夫のお話が出ておりましたけれども、これはもう二十数年来この委員会でも論議をしてまいりまして、なかなか解決しない問題であります。これは労働省の方は、御存じのように組夫といえども、それから本鉱員といいますか、常用といえども、区別をなさっていないのであります。ただ通産省の方の関係が区別をされておるわけであります。これは私どもとしては非常に遺憾でありまして、労働省の方は、石炭事業に従事した者については、同じように黒い手帳をいただけるわけですけれども通産省の方は、いわゆる鉱業権者及び租鉱権者と雇用関係がない者は政策の外に置かれておる、こういうことになっておるわけですね。それが御存じのように先ほどの石炭年金の問題に絡んでおるわけであります。ですからこの点は、私は率直に言うと本当は組夫なんか禁止したらいいと思うのですよ。そのことを言っておるけれども、あなたの方はどんどん使っておるのを認められておるから、認めておる以上は同じにしたらどうか。逆説的に言うと、いや同じようにするとますます組夫がふえるなんとおっしゃるけれども、そういうわけじゃないわけですよ。結局、同じような労働条件ならば、組夫なんかメリットがないのですから雇わないのですよ。本鉱員にしてしまうのですよ。結局それはメリットがあるから組夫を入れるわけです。  ですから私は、この点は災害の起こるたびにはっとするわけですね。災害が起こって、ぱっと見て組夫が何名というと、何かわれわれ政治的な責任を感じますよ。一番はなはだしかったのは三井山のときですね。二千名の従業員で千名は組夫であった。能率が上がったと言っているけれども、実際は組夫の分を入れるとそれほど能率は上がってなかった、そうして大災害があったとき組夫の方が多かった、こういう例があるわけです。私はやはり組夫問題というものは、新政策を立てる今日の時点において、人間尊重とか言われ、いろいろ言われているときに、かつて女子労働を坑内から禁止したように、組夫問題はこの際はっきり決着をつけた方がいいのじゃないか、こういうように思うわけです。これは災害のたびに問題になるのですけれども、いまお話がありました年金問題でも、それから退職金問題でも、あるいは離職金問題でも、常に問題が起こってくるわけですから、これはひとつ業界と相談して、労働省も、自分のところはちゃんとやっておるから余り関係がないという形でなくて、いまの職安の労務供給の問題にもなるわけですよ。ですから私は、掘進や何かの特別開発に三井建設が入るとか、それを言っているのじゃないのですよ。常時使っている組夫ですね。これは私は、いままでの制度をぜひ是正してもらいたいと思うのです。これは何も炭鉱だけでなくて、鉄鋼だって造船だってやっておるじゃないかと言えばそれきりですけれども、非常に災害が多いわけですからね。そうして坑内の管理は、やはり結局は一元化した管理体制にある。幾ら言ったって、部品をつくるような工場じゃないのですから。ですから結局保安技術職員の配下におるわけですね。傘下におって仕事をしているわけですね、いろいろ言ってみても。それで最終的な保安の責任はだれにあるかというと、管理の責任者にあるわけです。ですから、これはやはりこの際、一つ一つから前進をする意味においても、坑内の組夫というものについて十分検討してもらいたい、こういうふうに思います。ひとつ通産並びに労働省から御答弁願いたい。
  140. 高木俊介

    高木政府委員 ただいま先生の御指摘の点でございますけれども、五十年の二月末の数字でちょっと見てみますと、常用労働者が二万四千四百人、臨時労働者が千八百名弱、請負労働者が六千名、職員が四千八百名、全部で三万七千というような数字になっておりますけれども、この請負労働者の中にも、先ほど先生の御指摘のとおり、いわゆる何々組という、大型の掘進あるいはその他を担当している組夫と、別途常時使っている組夫と二通りの人がいるのじゃなかろうかと思います。この常時使っている方の組夫という問題についてのいま御指摘だと思いますけれども、これは企業サイドにとりましてもいろいろな問題がございまして、このまま組夫を使いたいという希望があるやに聞いておりますし、なお組夫自身でも、直轄夫になるよりも、束縛されない組夫のままでいたいというような労働者の方もおいでのようでございますので、一概にここでどうということは言えませんけれども、精神といたしましては、いま先生の御指摘のとおり、組夫は当然、私なんかとしましては、直轄夫として採用された方がよりベターでございますので、そういうような方向で業界の方を指導したいと考えております。
  141. 岩崎隆造

    ○岩崎政府委員 いま先生の御指摘の点につきましては、先生も御指摘になりましたとおり、離職者対策につきましては同じような扱いをしておるわけでございますが、いま御指摘いただきました職安法の労供の問題、これは職安規則で、労供でないための要件というものを列挙しておるわけでございまして、そういった法令に適合しているかどうかという観点から御指摘がございましたので、もう一層検討してまいりたいと思います。
  142. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 いや、ぼくが言っているのは、法令には適合しているんですよ。法令違反というのは少ないのでしょう。法令には違反していないかもしれない。しかし、御存じのように戦後ずっとなかったわけですからね。職安規則を、あなたの方で施行規則を変更されてから組夫というのができたわけですよ。戦後それまでは、組夫なんというのは全部なかったのですからね。炭鉱の場合はわりあいにおくれたのですよ。鉄鋼や造船が先にやりまして、炭鉱が不況になってから起こったのですよ。ですから終戦後から、職安法ができて、そうですね、昭和三十年の後半ぐらいまでは炭鉱には組夫なんていませんでしたよ。それは臨時はいましたけれども、組夫というものは一掃されたのですよ。それが復活して今日まであるというのは、それは法律違反だと私は言っているのじゃないのですよ。法律違反ではないのです。法律違反ではないけれども坑内というような特殊事情を考えれば、坑内だけでもそういう組夫のような、保安の責任がはっきりしないような問題は、いわゆる施行規則から除外をして、そして本鉱員じゃなければいかぬというようにしたらどうか、こういうことを言っているわけですね。  それから臨時の方はだんだん減っていることは、これは何も炭鉱だけではありません。全体に臨時なんという状態で雇われる人はいないのですから、これは臨時はもう減っている。しかし、下請組夫という数字は減っていないのです。  それからいま部長からお話がありましたが、組夫だって好んでおるじゃないかと言うけれども、あれは言いぐさなんですよ。もとはなかったのですから。終戦後十五年ぐらいは全然なかったのですから。あれは本人が自由であるから本人は好むのだと言うけれども、制度がなくなれば、そんなに組夫をつくってくれなんて言いませんよ。これは制度そのものを、少なくとも炭鉱だけは別個に扱ってもらいたいということですね。ことに坑内には、基準法やその他いろいろな面において制度が違うのですから、坑内だけを別に扱うということは、労働時間の問題だって差がありますし、それから御存じのように、炭鉱の年金の資格の期間だって違うのですし、いろいろの面において違うのですから、坑内は、組夫は特別な開発以外には入れない、そういう制度を災害の面から言ってもつくってもらいたい。これはやはり新政策にぜひ必要だ、こういうように考えるわけです。  それからもう一つ、ついでに、いま年金の話が出ましたから申し上げておきますが、確かに坑内は期限が四分の三で資格ができる。一年を四分の三で見るようになっております。しかも五十五歳で資格ができますけれども、残念ながら、資格ができても六十五までは厚生年金をもらうことができないのですよ。それはほかに働きに行きますと、五万円以上の場合は厚生年金の支給がないのです。ですから、非常にありがたかった資格要件がなくなっておるのです。それだけに私は、石炭年金というもの、これも一緒ですよ、一緒ですけれども、手厚くやってもらいたい。ですから、厚生年金だって保護しておるじゃないかと言うけれども、厚生年金の保護は現実においては余り実効がない。五十五歳で資格があっても、六十五歳でないと実際はもらえないという人が相当多いということですね。でありますから、私は石炭年金という上積みをひとつ十分やってもらいたい。それはやはり政府で、ある部分はおやりになってもらいたいと思うのです。しかし、その政府というのが、御存じのように、たとえば石炭特別会計から出されても結構だし、それはまあ言いませんけれども、実質上かなり政府から出していただいてもいいのじゃないか、こういうように思うわけであります。  それから次に質問したいと思うのですけれども、輸入炭との関係です。新聞情報でよくわかりませんけれども、輸入炭が国内炭の足を引っ張らぬように輸入割当制か、一元輸入機構によって輸入量を調整する方針というのは、これは大体そういう方向で決まっているのですか、どうなんですか。
  143. 高木俊介

    高木政府委員 輸入炭につきましては、新聞にはそういうふうに書いてございますけれども、また、これも確と決まっているわけではございませんけれども、いわゆる一手購入というのをどこへやらすかという問題が一つあろうと思います。たとえば現在の電力用炭株式会社というようなところを通じまして、一手購入という方法もあるのじゃなかろうか、あるいはそのほかまだ別途な考えが出てくるかもしれませんけれども、現在、一手購入ということを電力用炭にやらしたら、むしろ国内炭の圧迫というような点には、除外する一つの大きな要因になりはせぬかというふうに考えております。
  144. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、価格の問題はなかなか国際的にむずかしい問題でしょうけれども、そこに国内炭とのプール的な調整的なものを、これは考えられるのかどうか。
  145. 高木俊介

    高木政府委員 価格問題、特に輸入炭の価格問題につきましては、いろいろ国際的な問題もあろうと思いますので、むずかしい点が出てくるのではなかろうかと思いますけれども、仮に国内炭を一定量引き取ったところに輸入炭を一定量割り当てをするというような方法がとれたとしますれば、それがむしろ価格調整、輸入炭と国内炭の価格プールということにもつながるのではなかろうかというような考えも成り立つのではないかと思っております。いまそういう点もあわせまして、いろいろ検討をいただいている最中でございます。
  146. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると平たく言いますと、国内炭と輸入炭の価格の差があっても、その使用量で石炭の割り当てと言ったら問題があるのでしょうけれども、要するに電力会社なら電力会社の当該会社の使用量で、そういう調整をする、こういうような考え方ですか。
  147. 高木俊介

    高木政府委員 先生のおっしゃいますような考えで、いわゆる価格プールというのも一つの方法ではないかということで、検討しておるということでございます。
  148. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 次に、これは筑豊では非常に心配しているのですけれども石炭生産に直結をしない費用については、石炭特別会計から除外をするという、これはずっと前にそういう意見もありましたし、あるいはまだ残っておるかもしれませんが、そういうことについては一体どういう動きをされておるのか、あるいは通産省としてはどう思っているのか。せっかく見えておられますから、労働省としてはどういうお考えであるのか、この際、お聞かせ願いたい。
  149. 高木俊介

    高木政府委員 財源問題でございますけれども、現在、御存じのとおり重油関税によりまして石炭関係予算をすべて賄っておるわけでございます。今度の新しい政策を確立する場合に、仮に三年なり五年なりというものの一応の予算のめどということは、これは当然とらなくてはならぬと思いますし、また、そういう作業もいまやっておるわけでございますけれども、そういうようなものをもちまして、答申とあわせて、大蔵の方で今後の財源の確保ということを、どこにどういうような形で配分してもらうのか、あるいは確保するのかということを、大蔵省の方と協議したいというふうに考えておりまして、現在はいずれにせよ必要な対策費は確保するということで進まざるを得ぬというふうに、事務当局としては考えておる次第でございます。
  150. 岩崎隆造

    ○岩崎政府委員 先生、筑豊という御質問でございましたので、恐らく炭鉱離職者対策としての緊就事業、開就事業の財源の問題だと思いますが、これは炭鉱離職者ないし炭鉱関連企業からの離職者対策として、臨時的な就労の場を講ずるということで、石炭対策の一環として行っておるわけでございます。現在これを石炭・石油特別会計でやっておるわけでございますが、この措置そのものは妥当であるというように考えております。
  151. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 妥当であるというのは当然ですけれども、たとえば具体的に言いますと、一般の離職者対策のほかに、緊就であるとか開就であるとかいう費用が石炭特別会計から出ておるわけですね。それからまた鉱害の費用も出ておるし、産炭地振興の費用も出ておる。これらはいわば石炭生産とは直結しないのではないか。だから石炭見直し論が出ておるときに、かつてそういう意見があったわけですけれども生産と直結しないものは、ひとつ石炭特別会計からは御遠慮願いたい、こういう議論があっておるわけですよ。  それに対して私ども心配しておるというのは、これは鉱害を持ち、産炭地振興をまだまだ推進しなければならぬ地域、それから緊就とか開就の労働者の多い地域、こういうところは石炭特別会計の枠からはずされる、これは大変なことになるというので心配しておる。ついては、労働省としてはこれに対してどういう対処をされようとしておるのか、こういうことを聞いておる。
  152. 岩崎隆造

    ○岩崎政府委員 現在、新石炭政策につきましては石炭審議会で御検討いただいているわけでございますが、まだ私どもその経過につきまして、どういうことになろうかということについて、率直のところはっきりつかんでおりません。ただ、現在やっております開就事業なり緊就事業、これはやはり産炭地域におけるそういった離職者の生活の確保ということがございますので、必ずしも石炭対策すべて生産直結でなければならぬということではなかろうと存じておりますので、現在の特別会計でやっている姿が、私どもとしては妥当である、こういうつもりで申し上げたわけであります。
  153. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから、外されるとするならば、相当の覚悟をもって労働省は積極的にそれに抵抗しないと、これはなかなかむずかしいかもしれないという心配をし、激励をしているわけですね。  もう時間もございませんが、最後に、私はこの新石炭政策というのは恐らく最後になる政策ではないかという感じがするわけですね。とにかく炭鉱の場合は——メタルマインもそういう点もありますが、メタルマインはまだ岩盤はかたいし、一回閉山したのをまた掘り起こして採掘するという面もありますけれども、炭鉱の場合は、水を入れてしまったら、なかなか再開発してもむずかしい。そういう中で、今後の長期的な見通しを立てながら、いまの鉱量をどうして保存していくかということを真剣に考えてみなければならないと思うのです。ですから、一時的な価格の変動等で閉山をするということのないように、長期的に、日本でその資源が全部失われるのだ、そういう観点に立って、この政策の立案に当たっていただきたい。ですから、若干の価格変動があってもそれに十分対応のできる制度をつくってもらいたいというわけです。ですから、その制度が果たして十分できるかどうか、私はやはり少し制度論にこだわるわけですけれども、制度論にこだわっておかないと、どうしても皆さん方の行政指導程度では、積極的に努力をいただいたけれども、残念ながら放置せざるを得なかったというのがいままでの例でありますから、ひとつそういう若干の価格変動にも耐え得るという、それは競争エネルギーの問題もありますし、外国からの石炭の問題もありますし、あるいはその当該炭鉱のコストの問題もありましょうが、そういう点をひとつ強靱な耐え得る制度をつくってもらいたいということを最後にお願いし、それから高島炭鉱の問題が出ましたけれども、これは私はもう少し詳細に事情を聞いて次回に質問をしてみたい、かように思って、留保しておきます。
  154. 高木俊介

    高木政府委員 いま価格変動に対する問題でございますけれども、この前お示しいたしました基本的方向にも書いてございますように、「短期的な競合財価格の変動により、石炭企業の安定経営が阻害されない」ような何か措置をとらなくちゃならぬ。要は金になるわけでありますけれども、この辺、財政当局と十分話を詰めまして、一時的な変動により石炭の企業が倒産するということがないような方向に持っていきたいと考えております。
  155. 田代文久

    田代委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時九分散会