○多田
委員 先ほど、
大臣の
お話を聞いていても、六月の
石炭鉱業審議会の
答申を待ってという
お話です。これは
政府の方々が言われるとき、一様にそれを言うわけですが、この間の
大臣の所信表明、それから石鉱審で確認された
基本方向、これはこの間
高木部長から御説明いただいたのですが、さらに、二月二十六日の衆議院の
予算委員会第四分科会での
高木部長の
答弁、こういうのを聞いておりますと、大体
政府の
考えている、あるいは石鉱幕の
考えている
昭和五十五年ないし六十年を目指す
石炭政策の骨格というものが、一応浮かび上がってきておるように思うのですよ。私は、こういう
方向に対して、次に述べる二つの
理由から、
政府のこういう
考え方には賛成できませんし、また、石鉱審の審議についても大いなる疑問を抱かざるを得ないというように思うのです。
そこで、その一つの疑問というのは、やはり従来の
石炭政策、これは
基本的には変わっていない、つまり資源・
エネルギー、その大宗を海外に依存するということですね。たとえば、これはエネ調の
計画でしたけれ
ども、原子力発電を六千万キロワット、そして純国産というのですが、これはもう純国産というものじゃなくて、原料からプラントまでアメリカ依存で、
石油と同じようにこれは非常にセキュリティーの乏しいものだという意味から言えば、これはやはり
基本的には海外依存だと思うし、それから二千万トン維持にしても、いろいろな
理由は挙げているけれ
ども、その一つに、
海外炭開発のためのてこだ、あるいは二千万トン維持しなければ
石油産油国に対してメンツも立たぬ、平べったい言葉で言えば。そういう自国資源に対する見方というものは、むしろ変わらないというより、いままでよりももっと質的に言えば後退していると言わざるを得ないと私は思うのです。
大臣は先ほど、いまだから云々できるというふうに言われていました。
大臣の立場はそうかもわかりませんけれ
ども、私
どもは十数年前の
石炭の後退のときも、
国内資源は大事にしていかなくてはいかぬ、そして余り
産業の根幹になる
エネルギー資源を海外依存にしていくのは危険だ、できるだけ
国内資源を積極的に活用していく、あるいはその
国内資源に立脚した研究体制を自主的に進めていくということを述べているのですよ。ですからそれは
大臣のお
考えはいまさらというふうにお
考えになるかもわかりません。私らとしては、いまさらそんなことと、逆にそういう
考えでいるわけなんです。
それからもう一つは、やはり
昭和三十八年にトン当たり千二百円引き下げましたね。あれは何といっても
石油の問題との
関連もありますけれ
ども、鉄鋼、電力という大ユーザーにいかに安い
石炭を供給するかということがやはり至上命令だったと思うのですよ。事実、それを基礎にして過去の高度経済成長をやってきている。これはやはり根本的に直っていないというように思うのです。これが第一点ですね。
それから第二点の、われわれが石
鉱害に対して疑念を持ちますのは、私
ども、先ほど言ったようにすべての
エネルギーの原料、資源を国内で賄えるとは思わない。しかし、やはりあくまでも国産の資源・
エネルギーに立脚して自給型のものに持っていく、そして
日本の経済を自主的にしていかなくてばいかぬということを年来主張してきていますし、したがって
エネルギー、
石炭の問題についても、私
どもは、将来総合
エネルギー公社のようなものをつくって、総合的にこれは国が見ていかなくてはならないということも、これは隠してはいないのですよ。しかし、今日の社会経済情勢、あるいは民間の私企業が優良鉱区を独占している、あるいはまた、その基幹労働者がほとんど民間にいるという段階、この
現状を踏まえれば、当面
日本の
石炭産業をもっと拡大
生産の方に持っていくというのには、やはり相当民間企業の力というものをわれわれは活用しなければならないというふうに
考えているのですよ。したがって、再
生産できないような炭価じゃまずいというようには
考えております。
ただ、大事なことは、この肝心な
石炭産業を支えている民間企業の経理の内容、この実態が、
石炭鉱業審議会の中では、あるいは明らかにされて論議されているのでしょうけれ
ども、肝心の国会や国民には一言半句も明らかにされていない。それどころか、聞くところによれば、
石炭鉱業審議会の討議の審議された記録も十分メンバーにさえ配られていない。いわば密室の中の論議というふうに、われわれから見れば言わざるを得ないのですよ。とりわけ
石炭企業の、経理の内容を含めたあり方というもの、これがいま非常に大事な問題だというように私思うのです。しかも、「
基本方向」を見ましても、「
国内炭生産の制約条件」があると言っていますけれ
ども、制約条件というのは
自然現象だけじゃないですよ。
自然現象といえば、ヨーロッパやソ連やアメリカへ行ったって、いろいろな社会的な、自然的な制約条件があると私は思う。その制約条件を克服していくというのが、
日本の自主的な
開発であり、また技術の発展で、そうでないと技術まで全部あちら任せということになってしまうわけなんです。やはり制約条件は、いままでの
政府の
石炭政策、それから企業の食い荒らし——国から金をもらって、そして食い荒らしていいかげんに投げていく、ここに
炭鉱を非常に荒廃させている大きな原因があるのですね。そういう意味で、きょうは
基本的な
方向については、時間が非常に少ないので次回に譲らせてもらうことにして、私はもう少し企業の実態について突っ込んで
お話を
伺いたい。そうしないと、石鉱審やエネ調はいつも
見通しを誤っているのですよ。さっき
大臣も言われたのだけれ
ども、原子力発電所の六千万キロワット、こんなまるで非常識なことを立てて、いまさらこれを変えなければならない。そういう意味では、私は相当真剣にこの石鉱審の問題は
考えなければいけないというふうに思うのです。
そこでこれはちょっと具体的に
伺いますが、北炭は昨年から経営危機と言われていて、三月期の役員会でも二百九十六億の累積赤字があるというふうに言われているわけですね。その
現状と、それからそういう累積赤字を生んだ、つまり経営危機を生んだ原因、これについて簡単に説明してください。