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1975-03-28 第75回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月二十八日(金曜日)     午後三時開議  出席委員    委員長 田代 文久君    理事 菅波  茂君 理事 多賀谷真稔君    理事 多田 光雄君       愛野興一郎君    上田 茂行君       加藤 紘一君    楢橋  進君       野田  毅君    萩原 幸雄君       前田治一郎君    三原 朝雄君       鬼木 勝利君    松尾 信人君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業省立地         公害局長    佐藤淳一郎君         資源エネルギー         庁石炭部長   高木 俊介君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   三枝 三郎君     前田治一郎君   中村 寅太君     萩原 幸雄君 同日  辞任         補欠選任   萩原 幸雄君     中村 寅太君   前田治一郎君     三枝 三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 田代文久

    田代委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛野興一郎君。
  3. 愛野興一郎

    愛野委員 まず、石炭情勢全般の問題について、特に九州地区石炭情勢についてお伺いをいたしたいと思います。  昨年、衆議院の石炭対策特別委員会九州地区を視察いたしました際に、通産局からの資料をもらったわけでありますけれども、これを見ますと、最盛期に比べ、今日の状況というのはきわめて衰退の一語に尽きるという石炭情勢であります。しかしながら、石油危機に端を発した総合的なエネルギー政策の手直し、見直し段階に入って、大体、総合エネルギー調査会で本年六月に長期的な政策答申がある、あるいはまた石炭鉱業審議会が本年六月下旬に、今後の石炭エネルギー資源としての位置づけ、あるいはまた日本石炭をどうしていくのかというようなことについての答申が行われる、こういうわけでありますけれども、御当局としては、九州石炭が今後どういうふうな格づけになり、あるいはまた石炭産業自体が今後どうなっていくのか、こういう見通し、あるいはまた対策等について、その所信をお伺いをいたしておきたい、こう思います。
  4. 高木俊介

    高木政府委員 十月一日の諮問によりまして石炭鉱業審議会でいろいろ検討されておりますことにつきましては、先日の委員会で「新石炭政策基本的方向について」という資料をお配りして、簡単に御説明いたしておりますけれども、その基本的方向につきまして、現在、肉づけの作業をやっているわけでございます。具体的には六月末までには答申をいただくということで鋭意努力しているところでございます。  新しい石炭政策基本的な考え方といたしましては、先ほど申し上げました基本的方向の書類の中にも書いてございますように、エネルギー源多元化あるいは国内資源の活用という観点から、国内炭生産維持拡大あるいは海外炭の円滑な開発及び輸入、石炭利用技術研究開発、こういうことを達成するための諸政策答申にまとめていただくということで、鋭意作業しているところでございます。この前も御説明いたしましたように、十月一日の総会以降、昨年の十一月二十八日に総合部会を開き、二千万トン以上ということは、そのとき御決定いただいておりますし、なお、先ほど申し上げましたように、先月の二十一日の総合部会で、こういう基本的方向を定めさせていただいたわけでございます。  今回、この答申によりまして、九州石炭産業はどうなるかということでございますけれども、根本的には、二千万トン以上という中で九州の占める石炭の位置というものになろうと思いますが、現在、御審議いただいております五十年度の予算の中で、調査費二億五千万が確保できました暁には、例の事業団保有鉱区あるいは消滅鉱区というような、いわゆる現在掘ってないところの炭量、これは大型炭鉱としての開発はちょっと無理じゃなかろうかと思いますけれども露天鉱等を主体とした一、二の炭鉱の再開発ということは達成されるのじゃなかろうかというふうに考えております。ただし、鉱害問題、保安問題等々もございますので、十分検討した上で、経済性のある炭鉱の再開発をやりたいというふうに考えております。
  5. 愛野興一郎

    愛野委員 昨年のこの通産局資料では、石油危機の到来によっていろいろな「施策が着々実施されることになり、低迷している九州石炭界にも、明るい見通しが持たれるようになった。」こういうふうな文章であるわけでありますけれども、いまのお話で、日本全体の数量で二千万トンということになりますと、一番最盛期九州地区だけで二千七百九十一万トン、現況で七百八十万トン、こういうわけですから、いまの御答弁では、戦前あるいは戦後のある時期に九州石炭が果たした役割りから比べると、ちょっと「明るい見通しが持たれる」という教字とはならない、こういうふうに思うわけであります。しかしながら、いろいろな事情があるわけでありますから、そうむちゃに期待は持てないにいたしましても、その小さな期待の中で、ひとつ九州石炭情勢を何とか明るい見通しに近づけるような通産当局政策お願い申し上げたい、こういうふうに思います。  そこで、私は戦前あるいは戦後の一時期に九州石炭産業が果たした役割りと比較をいたしまして、閉山後のいろいろな問題の解決がなかなか進捗を児ない。また、たとえば炭鉱があった市町村は人口が急減をする、あるいは財政的に窮乏をする、あるいはまた鉱害のために産業が疲弊をする、ことに農業等々大変な問題があるわけでありますけれど、こういった言うなれば九州地区石炭産業自体にそう格段の期待が持てないということがあるので、こういった閉山後の後始末の問題に、ひとつ積極的な力を注いでいただきたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、その点について二、三お伺いをいたしたいわけでありますけれども、この九州地区閉山後の鉱害認定についてでありますが、ぜひひとつ鉱害認定をしてくれと申し出た分と、すでに鉱害認定済みの分との比率と申しますか、あるいは鉱害認定進捗状況と申しますか、これについてひとつお伺いをしたいと思います。
  6. 高木俊介

    高木政府委員 閉山地区におきます鉱害復旧計画進捗状況でございますけれども、私どもといたしましては、国土の有効利用及び保全並びに民生安定という見地から、臨時石炭鉱害復旧法に基づきまして残存鉱害処理に現在、鋭意努力しているところでございます。昭和四十七年の十二月に鉱害復旧長期計画を策定いたしまして、向こう十年間に残存鉱害完全処理を図るということを基本方針にいたしまして、その方向に沿いまして鉱害復旧を行いつつあるところでございます。この長期計画によりますと、四十七年度の当時の残存鉱害量といたしましては千七百五億というふうに認定されておりまして、そのほとんどが閉山地区のものでございます。  現在までの進捗状況について見ますと、鉱害復旧予算は着実な増大を見せておるところでございますけれども、ここ一両年の物価高騰等によりまして、復旧量自体が必ずしも十分に行われていないというのは事実でございます。しかし、政府といたしましては残存鉱害完全処理を図るべく、今後とも最大限の努力を図ってまいる考えでございます。長期計画との対比で申し上げますと、四十七—四十九年度の三年間で、農地で約二一%、それから家屋で二二%の復旧が行われておるということになっております。
  7. 愛野興一郎

    愛野委員 いま農地で二一%、家屋で二二%復申しておるというわけでありますけれども、それは言うなれば鉱害として取り上げられた分の二一%、二二%ということだと思います。そこで、実際には鉱害認定をひとつしてくれという個所がまだまだ相当にある、こういうふうに思うわけでありますから、着実に予算が伸びはしておるといえども事業量はいまのようなお話でありますから、これは期間内に達成できるかどうか、はなはだ不安である、こういうふうに思うわけであります。しかし、本当に積極的に九州地区についてはやっていただいておるわけでありますから、ますますひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  ただ、鉱害認定の問題について若干ちょっとお伺いをいたしておきたいと思うわけでありますけれども科学認定調査期間が二年も三年もかかるというようなことでは、もう地域住民は非常に困るわけでありますから、その期間をもっと早く科学認定調査ができないものかどうか。それから、この科学認定調査の結果を地元に公表できないものかどうか。それからまた、科学調査に対する不服申し立てと申しますか、どうも異議があるというようなことは、県なりあるいは市町村なりが申し立てていいものかどうか、ちょっとその辺を御参考までにお伺いしておきたいと思います。
  8. 高木俊介

    高木政府委員 鉱害認定は、一応被害者事業団の方へ申請いたしまして、事業団から通産局の方へ申請するという手続をとっております。  佐賀県でございますけれども昭和四十九年度の認定状況について見ますと、事業団から申請がございました件数は三十六件に対しまして、すでに認定されたものが本年の二月までで二十六件でございます。残十件につきましては局において現在検討中でございます。なお、四十八年度の認定率事業団から出てきましたものの通産局での許可済みのものが九割弱というような数字になっております。今後できるだけ時期的に早くするように指導もしてまいりたいというふうに考えております。  なお、不服の申し立てでございますけれども、これは申し立てをいただきまして、もしそういう問題があるならば、十分こちらの方で調査検討したいというふうに考えております。
  9. 愛野興一郎

    愛野委員 いま佐賀県の話が出ましたが、佐賀県は地盤軟弱地帯でありますから、これの鉱害認定で、白石平野地盤沈下であるとか、あるいは佐賀平野地盤沈下であるとか、こういうふうなことで、責任の範囲がどこであるのかさっぱりわからぬような、しかも学者の方が認定するわけでありますから、これはちょっと責任の持っていき場がない、こういうような現状にあるのが佐賀県であります。いままで認定されたところも、同じ行政地域内で、片方佐賀平野地盤沈下片方鉱害、こういうふうになるわけでありますから、もともと軟弱地盤のところを石炭を採掘したことそのものに問題があるというふうに地域住民は思っておるわけでありますから、その点をひとつ御勘案をいただきたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、時間がございませんから、あとの質問をまとめていたしますので、まとめて御答弁をいただいた上で、なお疑点がある場合はまた再質問させていただく、こういうふうにお願いを申し上げます。  ボタ山防災工事進捗状況、これはまたどうなっておるのか。特に佐賀県は、もう全部閉山しておるわけでありますから、ボタ山に絶えず旧炭鉱地域はおののいておる、こういうわけでありますけれども、この進捗状況はどうなっているか。また、ボタ山防災工事を早急に完了するための抜本的な対策をお考えいただいておるのか。  また、佐賀県はミカン生産県でありますから、果樹鉱害というものが非常に問題になっておるわけであります。したがって、果樹鉱害農地と同様な一括認定をしてもらいたいということで、再三御当局にも県を初め陳情をいたしておる、こういう状態でありますけれども、この一括認定ができない理由は何なのか、あるいはまた、してもらうように努力をしていただけるのかどうか。  それから無資力調整交付金被害区分を、やはり現状に即した形で行っていただくと同時に、最高限度額を含めて、ひとつ現状に合った適正な価格に引き上げていただきたい、こういう要望があるわけでありますけれども、この点についてどう考えておられるか。  また佐賀県は、閉山が早くから始まりましたために、過去に復旧をしていただいたところが、またさらに再鉱害を起こしておる、こういうところがあるわけであります。通産局等々からもしょっちゅう来ていただいて、理解ある考えは示していただいておるわけでありますけれども、これはなかなか進まない。進まない原因に対して、再復旧を制度化していただければ御当局の方でも進めやすい、こういうふうに思うわけでありますけれども、その辺に対する御見解をお伺いをいたします。
  10. 佐藤淳一郎

    佐藤(淳)政府委員 御質問の第一点のボタ山につきまして御答弁申し上げたいと思います。  ボタ山につきましては、数といたしまして、全国的に約千三百ぐらいあるわけでございます。そのうち九州に約八百ございます。これにつきましていろいろ問題があるわけでございますが、私どもの方といたしましては、特に防災観点から非常に問題の個所につきまして、計画的に防災工事実施してまいっております。  進捗状況という御質問でございますが、特に問題になっておりますのは、要するに管理義務者が不存在または無資力の、いわゆる放置ボタ山でございまして、これにつきましては、三十九年度からボタ山災害防止工事費補助金制度を新たにつくりまして、三分の二の補助率によりまして、県並びに市町村工事お願いしておるわけでございます。これが三十九年から四十八年までで大体四十のボタ山を手がけておりまして、工事費で大体累計で二十五億程度の工事をやっております。すでに完了いたしましたのが二十三でございます。さらに四十九年度に対しましては、二十三の工事をいま現実にやっておりまして、そのうち、さらに三つが完了しているということでございます。  長期的にこれをどう考えているかということが、先生御指摘のように一つの問題でございます。そういうことで、四十八年から三カ年計画で、いま実態調査をさらに実施をいたしておりまして、この調査結果をもちまして防災工事見直しを行う計画でございます。できるだけ予算をふやしまして、できるだけ早い期間に問題のないようにしたい、こう考えております。
  11. 高木俊介

    高木政府委員 果樹鉱害一括認定につきまして、初めに御答弁させていただきます。  佐賀県におきましては、特に果樹鉱害の問題が大きく取り上げられておるということは十分承知いたしておりまして、政府といたしましても、県当局の協力のもとに種々いま検討を進めておるところでございます。その結果、四十九年度でございますけれども佐賀県の小城地区及び牛津地区につきましては、一部鉱害認定を行いまして、すでに復旧に着手しておるところでございます。これを手始めといたしまして、今後、他地区果樹鉱害につきましても極力早期に鉱害認定及び復旧を進めまして、果樹鉱害の問題について前向きに取り組みたいというふうに考えております。  果樹鉱害につきましては、御承知のとおり、地下水の変動による水利異常に伴います減収というようなこと、あるいは鉱害以外の事由による自然現象ということとの見分け等がなかなかつけにくいというような点、あるいは技術的に見まして鉱害認定の困難なものが多いというようなこと、あるいは水利権の問題というようなことで、いろいろな問題が絡んでおるわけでございますけれども政府としては極力迅速に鉱害認定を行いまして、他の鉱害と同様、早急に復申していきたいというふうに考えております。  なお、無資力鉱害調整交付金についてでございますけれども、無資力鉱害調整交付金基準改定につきまして、従来からいろいろ努力しておるところでございます。昨年来、専門家によります検討会を設けまして、この結果、いわゆる裏作作付率引き上げあるいは傾斜減収田支払い率引き上げ、こういうものの成案を得ましたので、五十年度の予算において、これらの基準改善のための予算措置を講じているところでございます。  ちなみに、金額を申し上げますと、支払い限度額引き上げにつきましては、従来の五十五万円から九十万円というふうに大幅な引き上げを行うことにつきまして、すでに財政当局の了承を得ておりますので、これは四十九年度から実施することといたしております。裏作作付率引き上げは、五十年度からの実施でございますけれども、現在まで三〇%以下ということでやっておりましたのを五〇%に引き上げ、あるいは傾斜減収田支払い率引き上げは、これは等級を五等級に分けておりますけれどもA等級で申し上げますと、現在まで二九・八であったものを三四・五に引き上げ、なお湿田化減収田支払い率引き上げにつきましても、同じようにA等級につきましては二五・五から三〇・三に引き上げておるというような状態でございます。  なお、再復旧の問題が最後にございましたけれども、再復旧の問題につきましては、復旧が一回実施されました後に再度鉱害が発生した場合、これがいわゆる新規発生鉱害に該当するということがはっきりいたしておりますならば、これは臨鉱法に基づく復旧の対象といたしております。新たな採掘事実がないのに、復旧後、効用が未回復であると言われる物件の再復旧につきましては。現行法上いろいろな困難な問題がございますし、また、現在まだ復旧されていない物件も数多く残っておりますので、こういう現状から見まして、法制化ということはなかなか大変なことではなかろうかというふうに考えております。しかし、技術的に何か関連復旧という形でできるような鉱害につきましては、現在でも鋭意進めているような次第でございます。
  12. 愛野興一郎

    愛野委員 いまの無資力鉱害調整交付金の問題については、前進をしていただいて、この地域住民も喜ぶことと思うわけでございますが、果樹鉱害については、佐賀県はミカンの産地である。言うなれば佐賀県の産業というものは、大きな産業構造の中で見ますと、ノリとミカンと米以外には見るべきものがない。そのミカン産業に非常な被害を与えるわけでありますから、佐賀県としても佐賀県独自の鉱害調査をして、通産当局にもそれをお願いをしておる、こういうふうに思うわけであります。それでいきますと、これは小城町、牛津町の一部ということであれば、ほかに八つの行政地域全部がミカン果樹鉱害ということで現実減収をしておるわけであります。そういうわけでありますから、やはりいまのお話のように、水資源が確保しやすいというような理由果樹鉱害認定をするというようなことではなくて、やはり本当に果樹鉱害であるということを認められた場合においては、やはり一括して認定していただくべきではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。  そこで時間が参りましたから、また次の機会にいろいろとお願いをいたすわけでありますけれども、先般、政務次官が二日間にわたって、九州、特に佐賀県の産炭地等々を見ていただいたわけでありますけれども通産政務次官の言葉のとおりに言えば、百聞は一見にしかず、やはり自分の目で見てこれは大変なことであると思った、こういうふうに言っていただいたわけでありますから、九州閉山後のいろいろな復旧の問題については、九州地域通産省に期待するところ大なるものがある、こういうふうに思うわけであります。したがって、そういう見地から、ひとつ御当局におかれましてもできるだけ積極的に、抜本的に今後対策を講じていただくよう期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  13. 田代文久

  14. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 通産大臣に、私は石炭政策について初めての質問でありますので、一応いままでの石炭政策反省をしてみて、どういうように大臣は従来の石炭政策について反省があるのか、これをまずお聞かせ願いたい、かように思います。
  15. 河本敏夫

    河本国務大臣 戦後、エネルギーは非常に激しい変遷を経てきております。そこで、その激しいエネルギー問題の変遷の中におきまして、石炭問題も大きく揺れ動いたわけでございますが、いまから考えますと、あのときにああすればよかった、あるいはこうすればよかったというようなことも言えると思いますが、大体の方向といたしましては、その都度大体やれることはやってきた、こういうふうに思います。
  16. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、各国のエネルギー政策、なかんずく石炭政策を見ると、一番動揺の激しかったのは日本であると思うのです。ですから、大臣はその都度それぞれの対応策をしてきたとおっしゃるけれども、私は率直に言いますと、なるほど日本石炭についての法案が非常に多いということは、他に類を見ない状態だ。しかし、それは結局は突っかい棒なんですね。問題はバックボーンがなかった、背骨がないのですよ。エネルギー政策についての背骨がなかったというところに、今日の石油ショックで一番大きな動揺を見たゆえんがあるのではないか、こういうふうに私は思うわけです。これだけのエネルギーを消費する国が、基本的なエネルギー政策がなかったというところに、私はいわば非常に崩壊しやすい経済基盤があったのではないか、こういうように考えるわけです。それで大臣は、その都度対応策をした、こういうように考えられておられますか、何かここにどういう反省があってしかるべきだ、こういうふうに思われるのですか。私がなぜこのことを質問するかというと、次の政策関連をするからです。
  17. 河本敏夫

    河本国務大臣 お話の要点は、昭和三十年前後から要するに二十年の間に、石炭中心とするエネルギーから石油中心とするエネルギー政策に変わった、その間、柱がないではないか、こういうお話でございますが、これだけ激しい変遷、いわば革命的とも言っていいくらいの変遷をしたわけでございますから、私は、大局的にはそんなに間違っていなかったのではないだろうか、いま御指摘になったような点も確かにあったと思いますし、いまから反省してみますと、こういうこともすれば、ああいうこともすればよかったというふうなことはいろいろ考えられますけれども、まず、この激しく揺れ動いたエネルギーの動きの中におきまして、大体方向としてはそんなに間違っていなかった、部分的にはいろいろ問題があったと思いますが、一応そういうふうに考えておるわけでございます。
  18. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、部分的にはいろいろ施策をしたと思うのです。しかし、基本的な線が抜けておった、こう考えるのです。あれもやり、これもやり、確かに個別的ないろいろな対応策をした、しかし、大きな背骨が抜けておったという感じを持つわけです。現にイギリスやドイツや、あるいはフランスだってそうですか、日本と同じような工業国状態を見てごらんなさい。日本は非常に違うのですね。イギリス西ドイツにおいては一億トン以上の石炭を維持しておる。そうしてたとえば電力においても石炭を使う比率が全然違うでしょう。そういう点は私は諸外国と非常に違うのじゃないか、こういうように思うのです。いろいろの小さな小手先の政策はずいぶんしましたよ。日本ほどした国はない。また、日本ほど石炭に対するいろいろな法律のある国もない。しかし、基本が抜けておる。  いまイギリス西ドイツ火力発電にどのくらいの石炭を使っておるか、比率で結構です。それから、日本ではどのくらいになっておるか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  19. 高木俊介

    高木政府委員 外国の例を初めに申し上げますと、アメリカで、これは七〇年でございますけれども五五・四%、イギリスで、七一年でございますけれども七二・七%、西ドイツが、七一年でございますけれども七二・四%、カナダが、七〇年でございますけれども六九・三%、フランスが、七一年でございますけれども四四・五%というふうになっております。  なお、わが国の火力における石炭比率を申し上げますと、全国で七・七%というような数字になっております。
  20. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大臣、この数字を見てもおわかりのとおりですよ。イギリス西ドイツは電力において七二%石炭を使っておる。そして日本はその十分の一の七・七%である。フランスだって四四・五使っている。ここに私は、その都度対応策をした、それで一応は妥当な線をいっていると言うわけにはいかないじゃないか、やはり基本的な関頭が抜けておったのではないか、こういうように思うのですが、どういうようにお考ですか。
  21. 河本敏夫

    河本国務大臣 確かに御指摘のような点は私も認めます。ただ、外国の場合は埋蔵量も違いますし、品質も違いますし、したがって生産のコストも違ってくる。わが国も実際言えば、石炭は貴重な国産のエネルギーでありますから、産業面で使いまして十分石油に対して太刀打ちができる、こういうことであれば、私は減らさないで、あるいはむしろふやしてやるべきであったと思いますが、やはり三十年代から四十年代へかけましてのわが国の実情から考えますと、必ずしも外国と同じようにやるわけにはいかなかった、といって私は、必ずしもこれまでの石炭政策が全部正しかったのだ、よかったのだ、こういうことを言っているのではございませんで、反省すべき点も多々あった、こういうふうに言っておるわけでございます。
  22. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 石油ショック前の各国の石炭の一般炭の価格がわかりましたら、日本と比較してお知らせ願いたい。
  23. 高木俊介

    高木政府委員 申しわけございませんけれども資料を持ってきておりませんので、後日お答えさせていただきます。
  24. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大臣、私の資料によりますと、日本の場合よりも外国の方が高いのですよ。アメリカはちょっと別ですが、ドイツ、フランス、ベルギー、皆日本の価格よりも電力用炭は高い。ですから価格の面でも能率の面でも、日本の方がむしろ高能率なんですよ。そうして石炭の価格も安い。それなのになぜ七・七%なのか。閉山をして買い上げた埋蔵量が、水没したのが約六十三億トンぐらいある。これは金に換算して買い上げたわけですよ。ですから、やはり基本的に間違ったという反省がないと新しい石炭政策は生まれない。われわれはどこが間違っておったろうかという反省をしてみる必要がある。それは外国だってやはり重油が入ってきたわけですよ。各国とも入ってきたわけですよ。石炭の値段だって日本よりも高いのですよ。それなのに発電の七割も石炭を使っておるという状態、これは一体どこに原因があると考えるか。
  25. 高木俊介

    高木政府委員 確かに先生御指摘のとおり、石炭石油というものを比べましたときに、石油の方が安いということで、いわゆる流体化、価格という両面から、わが国としましては石油に重点を置かれたと思います。先ほど御指摘のとおり、価格におきましては確かに海外の方が国内よりも高いので、いわゆる経済性ということが重点的に考えられた結果というふうに考えられるところでございます。
  26. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ついでに一九七一年の石炭の値段を言いますと、一ドル三百円といたしまして、ドイツが七千四百五十八円です。フランスが六千三百四十五円あるいは五千八百五十九円、ベルギーが六千五百七十円、日本はどのくらいであったか、これは役所に聞きたいと思いますが、そういう状態であった。ですから、価格の面から言っても、外国日本よりも非常に高い価格での石炭を使っておるのですね。ですから、やはりそこに一番の問題があったのではないですか。日本の価格、七二年をちょっとおっしゃってください。
  27. 高木俊介

    高木政府委員 揚げ地におきます電力向けの一般炭で四千五百円でございます。
  28. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 すなわち、いろいろな面から言っても、経済性から言っても、これだけ石炭が軽視をされることはなかったわけです。私はやはりそこに非常に問題がある、かように思います。それは大臣、重油がずっとトン五千円ぐらいしておった時期は確かに石炭が当時高かった。しかし、そういう時期は何も日本だけが石油が安かったのじゃないのですよ。それはアメリカは重油は高かったですね。アメリカは国内に重油が出ますから、それは国内産業を維持するために、アメリカは一番高い石油を使っておった。ところが西ドイツでは、入ってくるのは安いけれども、そこで消費関税を設けておったわけでしょう。こういうふうにしていろいろな政策があったわけですね。ところが、日本にはそれを野放しに入れた。ですから政府が少々めんどうを見ても、それはとても追いつく問題ではなかったというところに問題があるのじゃないかと思うのだ。  しかも、もう少し言いますと、日本の場合には石炭の埋蔵地帯が北海道と九州に偏在をしておるということ、そういう問題もありますね。そこで九州、北海道の電気は高いわけですが、これは石炭を使ったから高いのじゃないのですね。これはむしろ送電費が要るわけです。送電費がよけいかかるから高い。ですからより安いものを使いたがる。あるいは北海道はすでに石炭の方が安いわけですから、北海道では石炭を使ってきましたが、九州ではまだ石油の方が安いというので石油を使っておった、こういう問題もあるわけですね。ですから、今後の石炭政策をやる場合において、一体どういうように柱を立てていくか、これが非常に大きな問題だと思うのです。  そこで大臣にお聞かせ願いたいと思うのですが、国内エネルギーを重要視するというならば、一体具体的にはどういう方法でその保証をしていくのか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  29. 河本敏夫

    河本国務大臣 多賀谷委員の言われんとするところは、まあ日本のようにエネルギーをほとんど全部外国に依存しておるという場合には、国産エネルギーである石炭をもう少しずつと重視すべきではなかったか、ここに問題があったのではないか、こういうお話だと思います。  そういう点につきましては私も同意見でございます。もう少しうまいやり方はなかったか、こういうふうにも感ずるわけでございますが、一昨年の秋に石油ショックが起こりましてから、やはり石炭見直しといいますか、石炭のわが国のエネルギーにおいて占めるべき地位はいかん、こういうことが改めてクローズアップされてきたわけでございまして、そういう認識に基づきまして、いま石炭鉱業審議会に対して、これからの石炭政策はどうしたらいいか、国際エネルギー危機のもとにおける日本石炭政策いかんということで、幾つかの問題点について審議をしていただいておるわけでございますが、やはり石油をできるだけ少なくしていくということが、日本エネルギー政策において非常に安全であるという意味から、私は、これからも国内炭の一定の出炭量を維持、継続いたしますと同時に、ことしの予算でも御審議をお願いしておりますが、電源開発株式会社等におきました、輸入の一般炭を活用することによって発電所を検討していくとかそういう石炭を従前以上に重要視し、見直しをしていく、こういう基本方針のもとに、いま具体的な答申を練っていただいておるわけでございます。昨年お願いをいたしましたので、六月には答申がいただける。その答申に従って今後の基本的な石炭政策というものを進めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  30. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そこで私は、先般、石炭部長が「新石炭政策基本的方向」という問題について若干御説明なさったわけですが、それについて質問をしてみたい、こういうように思います。  まず時間もありませんから、一括して質問したいと思いますが、「国内炭生産の制約条件」という中で「限界生産コストを合理的な範囲に抑えることが前提である。」さらにまた「国内炭生産維持の前提としては、経済性を考慮する必要があるが、その判断にあたっては、国内資源の安定供給上のメリットを尊重する。」ここはいいわけですけれども、さらに「経済性比較の対象は、原料炭については、輸入原料炭価格、一般炭については、輸入一般炭価格又は石油火力発電コストとする。」この点を見ると、これは従来と余り変わらない政策が出るのじゃないかという感じを持つわけです。  ですから、経済性ということを言いますと、確かにいま現状においては、重油よりも北海道においては石炭が安い。しかし、国内の石炭というものはだんだん深部に入る、あるいはまた労賃も上がるということになると、必ずしも将来にわたって国内炭が安いという保証はない。そうすると、外国の一般炭やあるいはまた石油火力発電のコストというものを勘案すると、同じ轍を踏むのではないかという心配をするわけです。しかし、将来石炭生産費が高くなってもそれを補償してやるのだという、この確たる方針がなければ、これは私は石炭生産を続けるわけにいかないと思う。今日のこれだけ問題になった見直し時期において、その保証がとれないようでは、とても将来について不安だ、こう考えざるを得ないわけです。一体その保証はどういうようにしてするつもりであるか、これをお聞かせ願いたい。
  31. 高木俊介

    高木政府委員 今回の石炭政策としましては、ただいま先生御指摘のとおり、いわゆる今後の石炭生産費は恐らく高騰する、アップするというふうに考えられます。こういう石炭生産の中で、二千万トン以上という量の確保と、これを使ってもらうという二つの問題が出てまいりますので、現在、需要業界とその点将来の価格をいかにすべきかということを詰めておる最中でございまして、原料炭においては輸入炭よりも高く引き取ります。また金額もどの点までか、はっきりしておりませんけれども、そういう姿勢も出てきておりますし、一般炭につきましても、経済性のみを加味して購入するのではないということも、お話をいただいておりますので、こういう価格と、もう一点のいわゆるそれで不足します生産費との関係というものにつきましては、政府として現在やっております各種の助成がございますけれども、こういう助成を強化し、ぜひ二千万トン以上の石炭を確保するということで、今回御審議いただいているところでございます。
  32. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 問題は、電力、鉄鋼二つありますが、一般炭ですから、電力について申し上げますと、将来話し合って保証してもらうと言うけれども、これは一つは電発を通じて発電をするという方式、もう一つは主として産炭地域における発電、大部分が北電、それから若干が九州電力、こういうことになるわけです。ところが、北電と九州電力は、今度の新料金はいわば暫定的なような料金ですから、必ずしも正確に料金とコストの関係が均衡を保っておるかどうかわかりませんけれども、四十八年現在において電灯、電力の総合単価を見ると、一番高いのが九州電力であり、その次は北海道電力ですね。ですから、将来一番石炭を使うであろう北電やそれから九電に対して、石炭が高くなったとき、それを取ってくれという、個別企業に負担をさすというには、なかなか保証が取りつけにくいのじゃないか、こういうように思うわけです。しかし、それかといって、私は東電に石炭をたけとは言わないのです。関西電力に石炭をたけとは言わないのです。そんなむだな移送をする必要はないわけですから、やはり重点的には石炭の産する地域の発電に供してもらいたい。そうすると個別電力会社の負担には限度があると思うのですね。安いうちはいいわけですが、高くなれば限度がある。その調整を一体どういうようにするか、受けざらがないじゃないですか、私はこう言いたいわけです。それでなくても高い発電費のあるところに持たすというのは、本来限界があるのじゃないか、こういうように考えるのですが、その点どういうようにお考えですか。
  33. 大永勇作

    ○大永政府委員 おっしゃるとおりの問題ございまして、北海道電力の料金は、現在では石炭が比較的安いために、安い方から三番目くらいだと思います。しかしながら、今後石炭がだんだん上がってまいりますと、将来北海道電力の料金改定をいたします際に、北海道電力の料金が他の八電力に比べましてコストが高くなるという点が、非常に大きな問題になってくるかと存じます。
  34. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 もう一つの問題は電発ですね。電発が石炭をたいて発電をするという場合に、九電力がコストだけ必ず買ってくれるという保証が取りつけられるかどうか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  35. 大永勇作

    ○大永政府委員 現在電発の石炭火力発電所は、高砂それから磯子、竹原とございます。揚げ地火力でございますが、そのうちの竹原を除きましては一応燃料クローズというのがついておりまして、燃料が上がれば、その分が電発の卸料金にはね返るという契約になっているわけでございます。ただ、問題といたしましては、そういうことで石炭の代金が上がりまして卸料金が上がってまいりますと、だんだん電力会社といたしましては電発から電力を買うことをきらうような傾向になってくるということがございまして、契約上は先ほど言いましたように燃料クローズがついておりますけれども、実際問題としては、やはり電力会社との折衝ということになりまして、電力の引き取りの問題と絡みまして、なかなかむずかしい問題になるのじゃないかというように考えます。
  36. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 保証がなければ、結局石炭生産の維持ができないのじゃないですか、将来高くなった場合には九電力が引き取りをきらうという状態があるならば。石炭の場合、その取りつけをぴしっとしなければ、生産の維持を保証することにならないでしょう。どうですか。
  37. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答え申し上げます。  したがいまして、先ほどの基本方針の中にも述べられておりましたように、やはり電力サイドとしましては、国内炭の将来価格が、石油火力あるいは輸入一般炭等と比較いたしまして、合理的な経済性を有しておるということが必要なのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  38. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大臣、やはり問題はここにあるわけですよ。というのは、九電力が全部石炭を使うなら、これはわりあいに調整もできるわけです。国内炭を使うのは北電が主である、あとは九州電力である、こういうことになると、結局個別企業の負担になるわけです。ではそれを全部財政で見るかというとまた問題が起こる。そこで、ただ企業間の調整をする、そういう次元よりもさらに高い次元で、国はこれだけの石炭は必ず使うのだ、その石炭は一番輸送費のかからぬ地域の発電所が使え、こういう大方針を出すということが必要じゃないかと思う。その補てんをどうするのかというのは今後の問題になると思うのですね。ですから、たとえばAという電力会社は余裕があるから、本土の真ん中であるけれども石炭を使いなさい、そういうことでは国のエネルギー政策というものはないに等しい。ですから、やはり国として国内のエネルギー資源を維持しよう、確保しようという大政策のもとにあるならば、個別電力会社の負担になるようなことではなくて、さらに高い次元で調整をする必要があるのじゃないか、こういうように思うのですが、どうですか。
  39. 河本敏夫

    河本国務大臣 この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、近く審議会の答申を得まして、国の基本的な政策として二千トン以上の出炭を維持していく、こういう基本方針が確立されると思います。同時にあわせまして、いまエネルギー問題全体を見直そうとしておるわけでございますが、そればどうしてかといいますと、昨年は石油中心に世界的に大混乱をしておりましたけれども、ほぼ見通しもついてまいりましたので、来月中旬を目途といたしまして、国のエネルギー政策全体の見直しをいまやりまして、基本的な方向を明らかにしたい、こういうことで作業をいたしておりますが、その際、原子力発電というものが六千万キロを目途としておりますが、これはなかなか実現がむずかしい。したがって、それにかわるべきものは何か、国内の出炭は二千万トンをふやすことができるのかどうか。できなければ、石油ばかりに依存するということは危険でありますから、外国からの一般炭の開発輸入、そういうことが考えられないかという問題が起こってくると思います。そうした場合には、先ほどちょっと触れましたように、九州の松島を電源開発がやろうとしているわけでございますが、それだけではございませんで、なお若干各地にそういうものができる可能性が必ず私は出てくると思うわけでございます。そういうふうな国の基本的なエネルギー政策を基礎にいたしまして考えましたときには、そこで明らかに企業間に国策に基づいていろいろ料金問題の不公正が出てくるというふうな場合には、これは国の方針でそういうことをやらしておるわけでありますから、当然何らかの対策考えまして、そういう不公正を解消していくということは、その時点において当然考えていかなければならない問題だと思います。
  40. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 その不公正の是正の問題で、当然考えるべきであるというお話でありましたが、残念ながら、そういうことが前提でこの文章がつくられていないのですね。大臣はよく御存じでしょうけれども、かつて水力電気と火力の調整金がありました。これは会社間にあったわけです。それから石炭と油の場合も、各社が使っておりました時代は油と石炭の調整金があったわけです。今日は、石炭を使わない電力会社はかなり多いわけで、ですからその調整金というものはないわけですよ。しかし国が、高くても立地条件上この会社は使うべきだ、こういうように割り当てをするならば、何らかの制度が必要じゃないのか。ですからそれだけ石油の割り当てが多くなるわけです。まあ割り当てと言うと問題がありましょうが、外貨その他は日本経済全体で言えばいわば割り当てのようなものですけれども、自分は便利な石油がよけい使えるのですからね。ですから、やはり九電力の中の調整というものが、国の政策として必要ではないか。しかし、それは九電力の利害関係だけではなくて、国の政策としての次元で物を言うべきではないか。北電のコストの高いのを、なぜ東京電力が見なければならぬかなんという議論はさすべきじゃない。国は、東京電力に石炭火力を使えということは本来無理だ、だからそれは北電に使わすのだ、しかし、その調整は国がやってやる、こういう高い次元でやらなければ、私は、産炭地が北電と九電にあるだけに、石炭が非常に高くなったときにはまた同じ轍を踏むのじゃないかという危惧がしてならない。大臣は経済人でもありますから、その点はよく御理解あると思いますが、その点ひとつ明確に、将来そういう時点になったら保証するということをはっきりしていただきたい。これが私はやはり石炭政策が大きく崩れるゆえんではないかと思うのですが、どうでしょう。
  41. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、石炭鉱業審議会の方からは六月に答申をもらうわけです。それから別に総合エネルギー政策といたしまして、いま総合エネルギー調査会で審議をいたしておりますので、これも六月に答申をいただくことになっております。ただしかし、こういうふうにエネルギー問題が非常に大きな課題になっておりますときに、その審議会の先生方だけに何か考えてくれということは、これはおかしいわけでございますから、先ほども申し上げましたように、来月の中旬までに国のエネルギーについての考え方を、これは油だけではございませんで、原子力、石炭、それからLNG等のガスそれから将来の代替エネルギー、サンシャイン計画等、全部含めまして、基本的な国の考え方をまとめるわけでございまして、その国の基本的な考え方に従って、それぞれの審議会で作業をしておりますその作業を促進してもらおうと思っておるわけであります。大体六月ごろにそういうものがまとまると思いますので、その段階におきまして、やはりいま申し上げましたようなことを総合的にいろいろ対策を立てまして、国の総合政策というものをスムーズに、あちこちで摩擦を起こさないようにやっていく、必要とあらば、先ほど私が申し上げましたようなことも当然考えながらやっていきたい、こういうふうに考えております。
  42. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、その点をぜひひとつ大臣に留意しておいていただきたいと思うのです。そうしなければ政策は崩れていくと言わざるを得ません。  そこで最後に、外国炭を入れる場合の国内炭との調整について、「国内炭の需給の安定を阻害しないよう措置する。」というのは、一体どういうように考えられておるのか、これは部長からお聞かせ願いたい。
  43. 高木俊介

    高木政府委員 四十九年度も一般炭の緊急輸入ということで八十万トンを輸入するべく、鉱業審議会の方で御承認いただいてやっておるわけでございますけれども、これはいわゆる緊急輸入ということで、ことしは電力用炭株式会社を通じまして、国内の生産関係に影響を及ぼさぬような範囲内ということで、八十万トンを割り当てしておるような関係でございますけれども、いわゆる今後の一般炭の輸入という問題につきまして、一つは貿易管理令に基づきます発券というようなこともあるのじゃなかろうかと思いますし、また、これだけで十分かどうかということも十分内輪でも検討しなければなりませんですけれども、将来の価格の問題等々も考えますと、これだけではなくして、これは私見でございますけれども、別途何かそういう輸入を取り扱うような一つの機構というものもつくらなければならぬのではなかろうかというふうに現在考えておるところでございます。
  44. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 御存じのように石油の国際資本すなわちメジャーは、また石炭の多くの鉱区を保有しておるわけであります。ですから、この液化問題が起こり、ことにオイルシェールが液化できるというような段階になりますと、シェルにいたしましても、あるいはまたスタンダードにしても、三千ぐらいの石炭山を買収しておる。今度昭和石油が定款を変えまして、石炭業を営むことができるというようにするというのを、二、三日前の新聞で見ました。ですから、日本石油会社も皆石炭会社になる可能性があるわけです。そういう状態になると、これはいままでは石油日本炭鉱をつぶしたと言うけれども、今度は外国石炭がやはりメジャーと同じ形で、同じルートで入ってきて、日本炭鉱がつぶれていくということも、これは否定できない状態になりつつある、なる危険性が非常に大きい、こういうように考えるわけであります。その点をひとつ十分検討していただきたい、こういうように思います。
  45. 河本敏夫

    河本国務大臣 御指摘の点は十分検討いたしまして、総合的なエネルギー政策に支障を来さないようにやっていきたいと思います。
  46. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 時間がありませんから、これで終わります。
  47. 田代文久

    田代委員長 多田光雄君。
  48. 多田光雄

    ○多田委員 先ほど、大臣お話を聞いていても、六月の石炭鉱業審議会答申を待ってというお話です。これは政府の方々が言われるとき、一様にそれを言うわけですが、この間の大臣の所信表明、それから石鉱審で確認された基本方向、これはこの間高木部長から御説明いただいたのですが、さらに、二月二十六日の衆議院の予算委員会第四分科会での高木部長の答弁、こういうのを聞いておりますと、大体政府考えている、あるいは石鉱幕の考えている昭和五十五年ないし六十年を目指す石炭政策の骨格というものが、一応浮かび上がってきておるように思うのですよ。私は、こういう方向に対して、次に述べる二つの理由から、政府のこういう考え方には賛成できませんし、また、石鉱審の審議についても大いなる疑問を抱かざるを得ないというように思うのです。  そこで、その一つの疑問というのは、やはり従来の石炭政策、これは基本的には変わっていない、つまり資源・エネルギー、その大宗を海外に依存するということですね。たとえば、これはエネ調の計画でしたけれども、原子力発電を六千万キロワット、そして純国産というのですが、これはもう純国産というものじゃなくて、原料からプラントまでアメリカ依存で、石油と同じようにこれは非常にセキュリティーの乏しいものだという意味から言えば、これはやはり基本的には海外依存だと思うし、それから二千万トン維持にしても、いろいろな理由は挙げているけれども、その一つに、海外炭開発のためのてこだ、あるいは二千万トン維持しなければ石油産油国に対してメンツも立たぬ、平べったい言葉で言えば。そういう自国資源に対する見方というものは、むしろ変わらないというより、いままでよりももっと質的に言えば後退していると言わざるを得ないと私は思うのです。大臣は先ほど、いまだから云々できるというふうに言われていました。大臣の立場はそうかもわかりませんけれども、私どもは十数年前の石炭の後退のときも、国内資源は大事にしていかなくてはいかぬ、そして余り産業の根幹になるエネルギー資源を海外依存にしていくのは危険だ、できるだけ国内資源を積極的に活用していく、あるいはその国内資源に立脚した研究体制を自主的に進めていくということを述べているのですよ。ですからそれは大臣のお考えはいまさらというふうにお考えになるかもわかりません。私らとしては、いまさらそんなことと、逆にそういう考えでいるわけなんです。  それからもう一つは、やはり昭和三十八年にトン当たり千二百円引き下げましたね。あれは何といっても石油の問題との関連もありますけれども、鉄鋼、電力という大ユーザーにいかに安い石炭を供給するかということがやはり至上命令だったと思うのですよ。事実、それを基礎にして過去の高度経済成長をやってきている。これはやはり根本的に直っていないというように思うのです。これが第一点ですね。  それから第二点の、われわれが石鉱害に対して疑念を持ちますのは、私ども、先ほど言ったようにすべてのエネルギーの原料、資源を国内で賄えるとは思わない。しかし、やはりあくまでも国産の資源・エネルギーに立脚して自給型のものに持っていく、そして日本の経済を自主的にしていかなくてばいかぬということを年来主張してきていますし、したがってエネルギー石炭の問題についても、私どもは、将来総合エネルギー公社のようなものをつくって、総合的にこれは国が見ていかなくてはならないということも、これは隠してはいないのですよ。しかし、今日の社会経済情勢、あるいは民間の私企業が優良鉱区を独占している、あるいはまた、その基幹労働者がほとんど民間にいるという段階、この現状を踏まえれば、当面日本石炭産業をもっと拡大生産の方に持っていくというのには、やはり相当民間企業の力というものをわれわれは活用しなければならないというふうに考えているのですよ。したがって、再生産できないような炭価じゃまずいというようには考えております。  ただ、大事なことは、この肝心な石炭産業を支えている民間企業の経理の内容、この実態が、石炭鉱業審議会の中では、あるいは明らかにされて論議されているのでしょうけれども、肝心の国会や国民には一言半句も明らかにされていない。それどころか、聞くところによれば、石炭鉱業審議会の討議の審議された記録も十分メンバーにさえ配られていない。いわば密室の中の論議というふうに、われわれから見れば言わざるを得ないのですよ。とりわけ石炭企業の、経理の内容を含めたあり方というもの、これがいま非常に大事な問題だというように私思うのです。しかも、「基本方向」を見ましても、「国内炭生産の制約条件」があると言っていますけれども、制約条件というのは自然現象だけじゃないですよ。自然現象といえば、ヨーロッパやソ連やアメリカへ行ったって、いろいろな社会的な、自然的な制約条件があると私は思う。その制約条件を克服していくというのが、日本の自主的な開発であり、また技術の発展で、そうでないと技術まで全部あちら任せということになってしまうわけなんです。やはり制約条件は、いままでの政府石炭政策、それから企業の食い荒らし——国から金をもらって、そして食い荒らしていいかげんに投げていく、ここに炭鉱を非常に荒廃させている大きな原因があるのですね。そういう意味で、きょうは基本的な方向については、時間が非常に少ないので次回に譲らせてもらうことにして、私はもう少し企業の実態について突っ込んでお話伺いたい。そうしないと、石鉱審やエネ調はいつも見通しを誤っているのですよ。さっき大臣も言われたのだけれども、原子力発電所の六千万キロワット、こんなまるで非常識なことを立てて、いまさらこれを変えなければならない。そういう意味では、私は相当真剣にこの石鉱審の問題は考えなければいけないというふうに思うのです。  そこでこれはちょっと具体的に伺いますが、北炭は昨年から経営危機と言われていて、三月期の役員会でも二百九十六億の累積赤字があるというふうに言われているわけですね。その現状と、それからそういう累積赤字を生んだ、つまり経営危機を生んだ原因、これについて簡単に説明してください。
  49. 高木俊介

    高木政府委員 北海道炭砿汽船株式会社の件につきまして御質問がございましたので、概略簡単に御説明いたしますと、当会社の生産は、これは四十九年度の見通しでございますけれども、三百四十八万トンの生産を予定しておりますし、鉱員が約五千百名、職員数が千三百三十一名、炭鉱は五炭鉱でございます。  財務の状況でございますけれども、四十九年度の純損益といたしましては、トン当たり千七百六十円の赤でございまして、四十九年度は純損益で六十億というような赤字になるのじゃなかろうかと思います。また、現在までの累積損益は三百億というふうに計算上出ております。四十九年度末の借入金の残高でございますけれども、七百三億ございまして、一次、二次、三次の肩がわりとして、政府の方で支払うという約束の金が、その七百三億のうち二百三十四億、これが肩がわりになっております。七百三億のうち四百五十二億というものが長期の借り入れでございます。  こういうような形になったというのは、どこに原因があるかということでございますけれども、一つは新鉱の開発ということが、大きな計画の違いが出てきたというところにあるのではなかろうかと思います。いまやっております北炭の新鉱につきましては、当初百六十億で百五十万トンの山ができるという予定でございましたけれども、途中、出水あるいはガス突によりまして、約一年八カ月ぐらいの工事のおくれがございまして、幸い現在は着炭しておりまして、六月から出炭の予定でございますけれども、当初の百六十億の投資予定に対しまして、総額三百六億というような投資額の増という点が出てまいりまして、これに対するいわゆる資金繰りというような点から、いろいろな苦しい点が重なりまして、なお、現有鉱の各山の生産状況あるいは収支状況を見ますと、幌内を除きましてほかの山が大体、大きな赤字を抱えつつ生産しなければならぬというような点が重なりまして、いま申し上げたような膨大な債務状況になっているというのが実態でございます。
  50. 多田光雄

    ○多田委員 新聞その他を見ますと、新鉱の資金繰りについて不足資金がなお百四十六億あって、うち国の融資が六〇%の八十八億だ、残りの五十八億を何とかやり繰りしなければならないということで、新日鉄だとか日本鋼管それから東京瓦斯の大きなユーザーに頼み込んだけれども、うまくいかないというので、三月十七日の役員会でまたまた萩原吉太郎さんが会長に復帰するということが出ておりましたけれども、八十八億円の手当てというのは政府はもう終わったわけですか。それからユーザーの方の五十八億というのはどうなりましたか。これも簡単に答えてください。
  51. 高木俊介

    高木政府委員 三百六億の投資に対します百七十一億が財政資金でございまして、これはいわゆる合理化事業団を通じて出しております開発資金あるいは開銀等々の融資でございます。この百七十一億につきましてはすでに手当て済みでございます。  それからユーザーの方に九十九億——当初百六十億のときは四十億でございましたけれども、これを九十九億お願いするということで、昨年からいろいろやったわけでございまして、現在そのうちの六十億というものをお約束いただきまして、今月末までにすでに四十億は出ておりますし、残り二十億につきましては、昨年の暮れに十億出していただき、今月末に十億ということで、六十億につきましてはすでに手当てがついているところでございます。
  52. 多田光雄

    ○多田委員 これは大臣伺いますけれども大臣はこの間石炭鉱業家との懇談をなされて、新聞を見ますと石炭業界ももっと経営のあり方について検討しなければならないというような御発言をなさったということが出ておりましたけれども、とにかく異例と言われるほど国から石炭業界にかなり注ぎ込んでいるわけで、これはいまも昔も変わらない。特に北炭なんかは、先ほどお話のあったように、新鉱開発で百六十億、それからもう倍くらいに伸びてしまう。国の融資もどんどん伸びていくということなんですが、これについて一体こういうことが好ましいとお思いになるのかどうなのか、それを伺いたいと思います。
  53. 河本敏夫

    河本国務大臣 石炭会社と二回懇談会をいたしまして、その実情についてはいろいろ報告を受けたわけでございます。報告を受けまして感じたことは、石炭そのものが御承知のような状態でございますから、経営が苦しくなるということもわかるわけでございますが、しかしなお、経営そのものにもやはり一段と努力をすべき点があるのではないか、こういうふうに感じたわけでございます。そこで国の政策に協力するという意味におきまして資金が必要になった場合には、政府はあくまでこれに協力いたしまして、その資金の調達等を助けていくつもりでございますが、あわせて国の貴重な資金援助をするわけでございますから、経営者におきましてもよほどしっかり経営をしてもらいたいというのが、偽らざる私の感想でございます。
  54. 多田光雄

    ○多田委員 高木部長に伺いますが、北炭の各種補助金ですね。これは昭和四十七年から四十八年、四十八年から四十九年に元利補給金、再建交付金を合算してどのくらい出ていますか。  それからもう一つは、四十二年の第一次の肩がわり以来第三次まで一体どれくらい北炭に金を出していますか。
  55. 高木俊介

    高木政府委員 四十八年度、四十九年度に分けて申し上げますと、まず補助金関係でございますけれども、四十八年度が四十八億三千百万円でございます。四十九年度が六十億九千九百万円というのが補助金関係になっております。それから融資関係でございますけれども、四十九年度分として出しました金額が、これは近代化資金が十九億七千九百万、開発資金といたしまして四十二億三千万、整備資金で一億七千万、経営改善資金が七十六億二千四百万という金を出しております。それから肩がわり関係でございますけれども、一次、二次、三次という三つを一緒にして申し上げますと、現在までに出しております北炭への肩がわり関係の資金は百五十七億四千四百万でございます。これは肩がわりが始まってからでございまして、四十九年度末までに百五十七億四千四百万円出しているという数字になっております。
  56. 多田光雄

    ○多田委員 これは一九七四年ですから昨年ですね、三月期の有価証券報告によりますと、第一次から第三次までの国庫による元利補給及び再建交付金など、長期債務肩がわりの補給契約予定額は二百五十七億というふうになっているのですが、ともかくこれだけの膨大な金を一北炭に出しているわけですよ。  そこで、私もうちょっと角度を変えて伺いたいのだけれども、国がこういう異例なほどの援助を炭鉱にしている。その企業、もしくはその企業が一〇〇%出資している子会社などが、直接経営目的と違った交際費あるいは政治資金、選挙資金、こういうものを支出しているということが認められた場合、これはどうでしょうか。
  57. 高木俊介

    高木政府委員 北炭につきましては、いわゆる政治資金としましての資金規正法に該当する寄付行為というのはいたしていないようでございます。
  58. 多田光雄

    ○多田委員 それでは聞きますが、北友調査会という北炭を特別会員とする、北炭子会社、系列会社グループ十六社の献金団体をつくっているのを知っていますか。
  59. 高木俊介

    高木政府委員 北友調査会につきましては手元に資料がございます。けれども、規約によりますと十一条でございますが、政治関係を除く寄付金または補助というようなことで規約がなっているようでございます。
  60. 多田光雄

    ○多田委員 ところがそうなっていないのですよ。北友調査会というのは、私の方から時間がないから言いましょう。これは二月二十一日の読売新聞に非常に大きく「政治献金ヤミに消えた」という見出しで、北友調査会の問題が出ていて、萩原社長自身が政治献金のためにつくったということが、この記事の中で談話として載っているわけですね。この北友調査会ですが、会長がいまの北炭の社長の萩原さんですね。確かに四十年につくった任意団体ですよ。事務局はどこにあるかといえば三井観光開発株式会社の秘書室にこれが置かれている。そして北炭が特別会員、正式会員ではないのです。これまでに会員各社に、各月の会費のほかに総選挙あるいは参議院選挙などには臨時会費を割り当てている。そして四十七年十月一日から四十九年九月三十日までの二年間で合計三億八千三百万円を集めて、三億三千三百万円を政治献金として、与党の派閥を中心に約七十団体と一部野党に対して献金している。これの献金先は自治省の官報で全部出ています。これは通産大臣をやっていた方、やっている方あるいは与党の自民党の幹部ほとんど含まれております。これも時間がないから私は一々申し上げません。  そこで、この十六団体の中に北炭は特別会員として入っているのだけれども、空知炭砿が入っているというふうに言われているのですが、それはどうですか。
  61. 高木俊介

    高木政府委員 十六団体の中には空知炭砿が含まれております。私どもが調べましたところでは、四十六年から北炭としては会費は免除されているというふうに聞いております。
  62. 多田光雄

    ○多田委員 そうすると、集めた金はほとんど全部これは政治献金なんです。これはずっとメモをとってみると、出ているのは選挙のときが一番多い。必要ならば後で資料を渡します。幾らかの事務費を除いてまあ九九%が献金されている。その中に国からいろいろな補助をもらっている炭鉱が入っているということ、これは政治資金規正法、公職選挙法その他に対して違反じゃありませんか。
  63. 高木俊介

    高木政府委員 公職選挙法に基づきます寄付につきましては、石炭鉱業においてはあり得ないというふうに考えております。ただし、政治資金規正法に該当する寄付行為につきましては、北炭のみならず数鉱業において実施しているやに数字はいただいております。
  64. 多田光雄

    ○多田委員 すっきりしないけれども、公職選挙法の百九十九条に、国から援助する企業だとか会社、これはそういう国政段階での政治献金とか選挙関係とかに出してはいかぬことになっているのですよ。確かに北友調査会のメンバーであることは事実だ。有力なメンバーなんです。そのメンバーの出したものが選挙その他に流れていっている。これをあなた方は全然違法でないというふうに、そのまま見過ごすつもりですか。北炭のことは別にして、空知炭砿はどうなんですか。それで、幾らくらい出ているのですか。
  65. 高木俊介

    高木政府委員 ただいまの、空知の方から幾ら団体の方に出ているかという金額は調査しておりませんので、今後調べてみたいと思っております。
  66. 多田光雄

    ○多田委員 もしそれが事実とすれば、どういう処置をとられますか。
  67. 高木俊介

    高木政府委員 公職選挙法に該当するか、あるいは政治資金規正法に該当するかという点がはっきりとれるかどうかというところに、一つ大きな問題があるのではなかろうかと思います。
  68. 多田光雄

    ○多田委員 いや、これははっきりしているのですよ。公職選挙法は金を出す者を規制しているのですよ。しかもその中の百九十九条には、きちんとそう書いてある。石炭だけじゃありませんよ。その出したものが、毎年出しているわけだから、一年間以内の選挙資金に使われるということは十分あり得ることなんだ。また、そのために出しているりということを萩原さんは新聞で言っているのです。だから、そういう事実があった場合にどうなさるのかと言うのです。調査は結構です。調査は大いにしてもらわなければならぬ。ではその調査結果について、当委員会に発表してください。  ところで、私は大臣にお伺いしたいのですが、先ほど来いろいろお話ししておりますが、膨大な金が炭鉱に注ぎ込まれている。特に北炭は多いですよ。ところが、金額の多寡は別にして、政治資金としてそれが出されている。一体こういうことを大国、好ましいとお思いになりますか、もし事実とするなら。
  69. 河本敏夫

    河本国務大臣 原則といたしまして、国から補助金をもらっておる企業が、政治資金あるいは選挙資金とか、こういうふうなことに資金を使うことは、私は好ましいことではないというふうに思います。
  70. 多田光雄

    ○多田委員 大臣が好ましくないと言っているわけだから、まずそれを調査して、当委員会にひとつぜひ明らかにしてもらう。その後どういう処置をとるか、これはひとつ後でいろいろ伺っていきたいと思うのです。  そこで、北炭は特別会員ということになっているのです。どういう金を出しているかということは別にいたしまして。しかし、その北炭自身が、昭和四十年の上期から四十二年の上期、この二年間で独自にこれは政治資金を出しているのですよ。たとえば四十年上期から四十二年上期の二年間に、与党の甲辰会、これは椎名派と言われていますが、ここに合計千二百万円、第一国政研究会、これは福田派とも言われているのですが、それから国政研究会、これに合計二百六十万。それから北炭関連企業も献金しています。ところが、これが四十二年の下期にばたっと北炭独自の献金がとまってしまうのです。表に出てこないのです。それはどうしてかというと、四十二年七月に御承知の石炭鉱業再建整備臨時措置法ができて、そして毎年一千億に達する債務の肩がわりが始まって、これが公職選挙法に抵触している。つまり、北炭の場合は子会社を集めて、そこで北友調査会というのをつくって金を出している。しかし、北炭は制約がある。これは非常にこうかつな脱法行為だと私は思う。私は金を出していないということを言えば、幾らでも法律的には逃げられる。しかし、実際に北炭の社長が会長になっていて、自分のほとんど一〇〇%出資の子会社を集めて、数億の金を集めて出している。その中の北炭が特別会員である。いままでは出していた。だれが見ても非常にこうかつな脱法行為だというふうに私は言わざるを得ないのじゃないかと思うのですね。  これについて脱法行為かどうかという論議はここでする時間もありません。しかし、こういうことが許されていいのかどうなのか。先ほど言ったように、文字どおり国から出ているのは巨額な金ですよ。しかも萩原さんは、御承知のとおり昭和三十年代から、河野一郎さんその他親しくしている方に膨大な献金をやっている。政商とも言われている。こういう問題について、一体大臣どうお考えでしょうか。先ほど好ましくないというふうにおっしゃられたわけですけれども、本当に石炭をいま復興させていく、まあ大臣の言葉で見直しということなんですが、それにはやはりいまの民間企業が何といっても中心にならざるを得ないのです。その場合これからも膨大な金を投下する、一定の金を投下せざるを得ないでしょう。ところが、このように新聞にも大きくたたかれて、国会でも問題になるような、そういう政治献金をやっている。こういう問題について大臣、どうお考でしょうか。これを見過ごすおつもりでしょうか。
  71. 河本敏夫

    河本国務大臣 子会社というのは、普通は五割以上一〇〇%までの株を親会社が持っておる会社のことを言うようでありますが、親会社が直接補助金をもらっておるから、そういうような政治資金を出さなくても、五〇%以上の子会社をたくさんつくって、そこを通じて出しておるということであれば、同じことでありますから、私はやはり好ましくないというふうに思います。
  72. 多田光雄

    ○多田委員 大臣が好ましくないとおっしゃった。ですから、問題はこれをどうするかの問題なのです。  私、ついでに申し上げますと、この北炭のいままでの経過をひとつ振り返ってみてくださいよ。私は貸借対照表それから有価証券、ずっと振り返ってみたのですけれども、この北炭は石炭産業スクラップ・アンド・ビルド政策の中で、早くから社外投資をやってきているのです。そして、いままで炭鉱でもうけた利潤を他に移しているのですよ。昭和三十戸年にはあの北炭観光、いまの三井観光です。これを北炭の鉱業所、山林を除く優良資産である土地、家屋を譲渡して設立した。このほかに北炭林野、北炭建設も同様につくっているのです。それから北炭の貸借対照表から投資勘定を拾ってみますと、総資産に占める投資勘定の比率がここはきわめて高いのですよ。炭鉱は一体に高いから、昭和四十三年出版の通産石炭局炭政課が出した「石炭政策の概観」の中にもこういうことを書いていますね。「再建整備を図るための手段として多額の元利補給金を交付するのであるから、元利補給契約の期間内においては、この目的に反するような会社の行為は、これを是正させる必要がある。石炭鉱業の現状は、第二会社、系列会社、関連会社その他に対する出資及び資金の貸付けが相当な額に達しており、ちなみに大手十七社の資本金六四四億円に対して、その社外投融資は四十一年三月末では残高ベースで九七五億円余に達しており、この中には石炭会社の経理の適正化に支障を及ぼしているものも含まれており、その是正の必要性を石炭鉱業審議会答申でも指摘されている。」ところが、北炭は非常に高い。北炭の経常損益が赤字になるのは、大体昭和四十四年九月期からなんですよ。それ以後は投資勘定比率は若干低くなっていますが、それまでの比率は一番高い。異常なんです。たとえば三十九年九月期には、ここに資料がありますが三分の一に達しているのです。  このことは、北炭が石炭生産設備の近代化、それから保安対策に十分に取り組むのじゃなくて、炭鉱労働者を劣悪な労働条件で働かせ、そして得た利潤をもっぱら有価証券投資や関係会社に振り向けて、つまり資本を投資させているわけです。そしていま赤字だ、赤字だと言っている。しかも、その投資勘定の比率の高さは、主として関係会社に対する投資と貸付金なんです。この投資と貸付金は、昨年三月期の有価証券報告を見ますとべらぼうなものです。この資料も後で、皆さん押さえていると思うが、お見せしてもよろしいです。こういうことをやっていて、山は赤字だから新鉱開発で何百億という金の融資、政府投下を要求している。しかも北炭は、いつかあなた方も説明したように、災害率はもう炭鉱で一番多いでしょう。それから近代化の設備も一番劣悪でしょう。典型なんですよ。  もっともこう言ったからといって、私は三井、三菱を免罪するつもりはありませんよ。同じ資本の食い逃げは、北炭の場合は子会社をつくって投資していく。ところが三井、三菱の場合は石炭部門の分離なのです。形が変わっているだけの話なんですよ。ですから、こういうめちゃくちゃなやり方は、だれが聞いたって腹が立つし、労働者は、会社は国からの援助があっても、おれたちには援助がないと言っているのですよ。  そこで、私はここで申し上げたいのは、三木総理がことしの三月三日の予算委員会で、私どもの金子議員の発言に対してこういうことを言っているのです。この前にずっと補助金の問題の話が出て、「これは金子さんの御指摘のように、補助金、資金こういうものを受けておるものが政治献金をすることは、これはやはり私は適当だとは思わない。政治資金規正法において、この点は厳重にいたしたいと考えております。」総理もこう言っているのです。  そこで高木部長に伺いますが、三井系の三友会というのを御存じですか。知っておれば説明してください。
  73. 高木俊介

    高木政府委員 三友会は任意団体でございまして、政治団体ではない。したがって、政治資金規正法に該当する団体ではないと考えております。当会は三井関係の二十七社をもって構成されております。会費は一律負担額と資本、収益能力案分額の合計によりまして、各社に割り当てられておるようでございます。なお、上記割り当てにつきましては、三友調査会の決定によりまして、事務局の三井不動産施設部より会費の請求があると聞いております。
  74. 多田光雄

    ○多田委員 そういう献金団体が物すごく多いのです。  時間も迫ってきましたので、大臣に私はお伺いしたいのですが、こういう実態にメスを入れないで、石炭鉱業審議会で、かっこうだけいい石炭計画や方針をつくってみても、大臣の言われる本当の石炭見直しにはならぬと思う。肝心の石炭を掘る会社がこういう実態なんですから。  そこで、第一点として次のことをお願いしたいのです。石炭鉱業審議会の審議内容をぜひ公開していただけないか。いろいろ問題がある独禁法でも、価格の公開がもうすでに論議になっているような時代なんですから。  いま一つは、石炭鉱業審議会の会長さんは、御存じのとおり鉄鋼の稲山さんなんです。稲山さんは、昨年からの政治献金問題で、一番最初に政治献金をやるべきだと言った人なのです。こういう人が石炭鉱業審議会の会長を務めていれば、どうしても鉄鋼や電力のユーザー本位になるし、石炭企業のこういう疑念を持たれる問題が不問に付されて、石炭見直しだからといってまた国から膨大な金を吸い上げていく。石炭関係は食うや食わず、鉄鋼、電力は安い石炭を使っていく。そういう意味では、石炭鉱業審議会のメンバーをもうそろそろ根本的に考え画さないといけない。見通しもずいぶん誤っているし、内容的に言っても非常に不明朗なんです。  この二点についてお伺いしたいと思います。
  75. 高木俊介

    高木政府委員 初めに私の方から申し上げたいと思います。  審議会の会議は一応非公開ということにはなっておりますけれども、現在、非公開でやっておるわけでもございませんし、議事録もとっておりますので、議事録は公開して結構でございます。  なお、審議会のメンバーでございますけれども、先生の方からいろいろ御注意もあるところでございますが、一応審議会の定数その他規則に定められておるところによりまして、中立あるいは行政機関のいわゆる事業団等の職員、経営者側、労働者側、需要業界、産炭地関係、金融機関ということで、現在定員は四十五名でございますけれども、三十八名の任命をしておるところでございます。現在審議をやっていただいておる途上でございますので、今回の審議が済み次等、またそういう点も考慮させていただきたいと考えております。
  76. 多田光雄

    ○多田委員 私、大臣お願いしたいことは、石炭鉱業審議会のメンバーの改正の問題と、議事録は、いま公開すると言ったから結構だと思うのです。もう一つは、こういう石炭会社が国から金をもらってやるようなことに対して、何らかの規制、たとえて言うならば目的に合わないところの社外投資だとか、そういうものは規制をしていく、そして真剣に石炭産業の復興に努力してもらう、それに違反した場合には補助金を返済させるとか、そういう思い切った措置をやらなければ、私は二千万トン体制だってこれからは安泰ではないと思っているのです。その点どうでしょうか。その二点。
  77. 河本敏夫

    河本国務大臣 国の大切な資金を補助金として出し、あるいはまた多額の貸し付けをしておる、こういうことでございますから、経営のやり方等については、通産省といたしましても十分厳正に指導していきたいと思います。
  78. 多田光雄

    ○多田委員 石鉱審のメンバーの改正の問題はどうでしょうか。
  79. 河本敏夫

    河本国務大臣 国の補助金をもらっておる会社は経営上しっかりせねばいかぬ、あるいはまたむだ遣いをしてはいかぬ、そういう点については、私はあなたの意見には同調します。ただしかし、稲山さんが不適当であるというのは私は反対です。私は、稲山さんは最適任者であると考えております。ただしかし、メンバーが非常に多いわけですから、その点につきましては任期が来ましたら、よく検討してみたいと思います。
  80. 多田光雄

    ○多田委員 あとの問題は、この次に譲りたいと思います。
  81. 田代文久

    田代委員長 鬼木勝利君。
  82. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 大臣は参議院の方においでにならなければならぬそうで、お忙しいようであられる。実は、昨年の十二月に所信表明をお聞きして、また、今回の国会の開会当初に当たって所信表明をお聞きしたわけでございまして、その点について詳細にお尋ねするということになりますと、時間がございませんし、なおまた多岐にわたりますので、大半事務当局にお尋ねしなければならぬようなことになりますから、きょうは要約しまして、私なりに最も大事なことであると思うことを一、二お尋ねいたして、なるべく大臣の時間に支障を来さないようにしたいと思います。  先ほど、社会党の多賀谷議員のお尋ねに対して、従来の石炭政策について、大臣は決して悪いとは思わないとおっしゃっておりましたが、私としましても、過去の石炭政策が全部誤りであったとか、そういうことは申し上げませんが、確かに石炭政策の柱がなかったのじゃないかということは同意見でございます。  そこで、石炭政策見直し、いわゆる従来の石炭政策を部分的に手直しをするということでなくして、いわゆる政策の転換という、抜本的に石炭政策はこうあるべきだという柱をはっきり立てていただきたい。これは、エネルギー政策に対しては御造詣の深い通産大臣ですから、もう十分おわかりと思いますが、やはり過去の政策に対する批判とか反省とかいうことは、私はあり得ることだと思います。  それはまず別として、石炭産業の長期安定政策はこうあるべきだという点で、先ほどから六月あるいは七月には答申も出るから、その答申をよく拝見した上で態度を決めて決定したいという大臣お話でした。まことにごもっともでございますが、大臣御自身として、これからの石炭産業の長期安定ということに対しては、こういう点にはっきり柱を立ててやるというのは何か。これは予算書を拝見しましても、第一次から第五次まで、これももう三年目でしょうが、昨年、一昨年と従来ずっとほとんど同じ予算の足取りで、わずかに増減があるだけです。私は必ずしも予算をふやしたからどうだ、これを減じたからどうだというようなことを申し上げるのじゃなくして、現に本年度は三十億から減額しております。予算は減っております。それは私はどうこう言うわけではない。全部これを洗い直して、いわゆる積み上げでなくして政策の転換を図れ。世間では、まあ世間に限らずその道の方々も、二千万トンを下らないようにするのだ、こう決まっておるようでございますが、もっと多く生産すべきだという説もございます。いや、もう二千万トンは絶対確保してもらいたい、これで結構だから、これを永久に安定、固定化するようにやってもらいたいという説もあります。いや、まだもっともっと掘るんだ、石炭公社あたりでは露天掘りなんか掘れば千五百万トンは可能だとも言う。ところがまた一部には、露天掘りをやられたのじゃ環境を壊していくじゃないか、跡を必ず完全復旧をしてもらわなければ困る、厳しい規制をつくれというような説もある。これはいろいろ説があります。でございますが、ここに担当大臣として河本大臣は、石炭政策に対する確固たる柱を、どこに重点を置いてやるのか。これにもずっと書いてございますが、これはもういままで毎年やっておることで、保安対策がどうだとか、あるいは閉山の防止はどうだ、国内炭をどうだ、あるいは産炭地振興はどうだ、鉱害対策はどうだ、労働力確保、これはもう全部同じことで、石炭政策を進めていくためには、これは必須欠くべからざることでございます。だがしかし、それをいままでやってきてこのような状態に立ち至っている。ところが石油ショックによって石炭が見直される。ではどう見直すか。まことになにでございますけれども予算面を見ましても、どこが政策を転換したのか、こういう点を、細かいことは事務屋に尋ねますので、本質的に根本となるその点を、まず大臣の御見解を承りたいと思います。
  83. 河本敏夫

    河本国務大臣 石炭に対する基本的な考え方、これからの考え方でございますが、やはり、世界のエネルギー事情が流動的でありますので、国産エネルギー資源というものをとにかくできるだけ大切にしていく。一定の国産エネルギー資源というものを将来とも確保するようにいたしまして、エネルギーの面で日本ができるだけ立場を強くする、こういう意味において石炭政策というものを考えていく。したがって、何とか最低二千万トンという線は将来とも維持していきたい。いまお話しのように、もっとやればいいじゃないかという意見もあるということでございますが、あるいはそういうことが可能かもわかりませんが、しかし、少なくとも現時点におきましては、国産エネルギー資源としての石炭を大切にするという意味におきまして、二千万トン以上確保していく、これが基本だと思います。
  84. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 二千万トンを長期安定化させる、いささかもこれから後退するようなことがないようにという点において、おれは重点政策として進めていく、まあこういうお話でございます。それはそれといたしまして結構だと思います。私どもも、いささかも二千万トンを下らないようにということで、一応答申の結果を了承しております。ところが、第五次政策を踏まえて、二千二百五十万トンということを五十一年度には生産するのだ、こういうお話があっておりますが、下らないこと、ですから、上へ上がっていけば何ぼ上がってもいいが、大臣は、二千万トンは絶対後退させない。そうしますと、第五次答申を踏まえて二千二百五十万トン、こういうふうにお話を聞いておりますが、それは部長、どうなっているのか。
  85. 高木俊介

    高木政府委員 現行法のもとでは、一昨年のオイルショックのときでございますけれども、五十一年度の目標といたしまして二千二百五十万トンという数字が出ております。しかし、今回見直しますのは、五十五年あるいは六十年という長期でございますので、まだそういう数字は出てないわけでございますけれども、先ほど大臣からもお話ございましたように、今後の長期的な考えといたしまして、ぜひ二千万トン以上の数量を確保したいのだという姿勢でございます。
  86. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いまの部長の御説明で私も納得します。まことに明快なお答えです。ところが、石炭鉱業審議会の意見を聞きながら、五十一年度から新政策をスタートさせるのだ、こういうふうに聞いておりますが、いまの大臣お話のように、いずれにしても二千万トンは絶対下らないという意味に解釈していいですね、大臣のおっしゃるとおりに。
  87. 高木俊介

    高木政府委員 石炭産業でございますので、一定の資源を掘っておる炭鉱でございますので、当然炭量の枯渇ということで、一長期的に考えた場合、あるいは山が閉山というようなことも起こる場合もあろうと思います。しかし、そういうものだけでは二千万トンという現状生産を維持することはできぬわけでございますので、先ほどもお話しいたしましたように、調査費その他によりまして今後の開発可能のところを調査しつつ、なお生産をしつつ、新鉱なりあるいは事業団保有鉱区あるいは消滅鉱区、そういうところの炭量開発しつつ、二千万トン以上確保するというのが念願でございます。
  88. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 大臣の所信表明について、先ほど言いましたように全部チェックして、予算面とにらみ合わせてお尋ねしようと思ったのですが、大臣もお忙しいのですから、私、その点は省略します。  そこで、予算編成の上から見ました場合に、先ほどもちょっとお話があっておりましたが、長期的に石炭を安定させる、いわゆる位置づけを二千万トンベースで永久に安定化させる。それにはまず引き取り体制を確立しなければならぬと思うのです。こういうことに対する御説明、これは大臣の御説明じゃないですが、予算面の説明の場合には何もない。先ほどちらちらお話があっておった。また一般炭については、いままでは国内炭中心ということでございましたが、輸入もこれから相当多くしなければならぬと私は思う。その点もある。それからエネルギーの多様化、さらにまた石炭利用の技術、つまりガス化、液化、こういうような開発を促進するというような点については、予算面では非常に微々たるもので、予算に載っておりますもので今度新たになったのは、調査費がわずかに二百五十万組んでありますね。炭量調査をするのに二百五十万ぐらいでできますか。委託費として二百五十万。そういうことで何を委託するのか、何を調査するのか。
  89. 高木俊介

    高木政府委員 調査委託費でございますけれども、二億五千万でございます。
  90. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そう、二億五千万。その二億五千万の使途は、現有鉱とそれから閉山鉱区あるいは新鉱開発、そういうところに詳細に見当はついておるのですか。それによって二億五千万を積算されたと思いますが。
  91. 高木俊介

    高木政府委員 単なる炭量ということでいきますと、三十年前後にやりました全国の埋炭量調査というものでわかっておるわけでございますけれども、そのあとの、ある程度の経済性ということで、一万五千円までで掘れる炭は幾らかとか、いろいろな調査もやったわけでございます。そういう数量が十億トンとかいうことも御説明したと思いますけれども、今回の二億五千万という数字につきましては、当初、全国で残っております現在考えられます五地区十六地点の調査ということで、六億を要求していたわけでございますが、初めての予算であるということで、大蔵の方でも難航したわけでございますけれども、初年度として二億五千万の予算を確保できる見通しがついたということでございますので、この二億五千万につきましては、先ほど申し上げました五地区十六地点のうち最重点的なものから、いろいろ地方の専門の先生方とも御相談しつつ、できるだけ有効に調査をし、その結果に基づいて、先ほどから申し上げますような開発実施していきたいというふうに考えております。
  92. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで、私が先ほど申しましたが、大臣のおっしゃる二千万トンは絶対確保していくのだ。そうしますると、いまあなたのお話のように、あるいは閉山なんということも考えられぬでもないから、非常に困難なことに立ち至るようなこともあるいはあるやもしれぬ。しかし、何としても二千万トンは確保したい、そういうことになりますと、やはり炭量調査を十分やるべきだ。それに二億五千万の調査委託費を組んでおる。これが今年度の予算としては一番目新しい予算であって、あとは全部従来の予算に増減を加えたのみである。これだけが新しい予算面に出てきておる。そういうことになりますと、結局石炭の位置づけという点で、ぜひこうやらなければならぬ。では、それをはかす、引き取ってもらうという需給の点で、私先ほど申しましたように引き取り体制を固めなければいけない。  まだ時間があれば、輸入炭の問題、エネルギー多様化の問題あるいはガス化、液化の問題を、順を追ってお尋ねしたいのですけれども、時間がありませんので、引き取り先の問題だけをお尋ねしたいと思うが、石炭の長期安定化を図るというならば、やはり需給体制も長期安定策をつくらなければいけない。原料炭は鉄鋼業界、一般炭が電力業界、これはもう申すまでもないことでございますが、少なくとも三年、五年の長期引き取り量の計画を立てるべきである。それにはエネルギー界におけるところの最も造詣の深い河本大臣をいただいておるのだから、そういう点こそ大臣に折衝していただいて、業界とユーザーとの間で十分そういう長期計画を立てるべきだ、そういうふうに私は考える。こういうときこそ大臣にやっていただく。大臣いかがでしょうか、そういう私の考えは。毎年毎年行き当たりばったりでやるのじゃなくして、いや、ことしはどこがどうだ、あそこがどうだということではなくして、そういう協力を求める。そういう点において大臣のお力をフルに発揮していただきたい。いかがでしょう。
  93. 河本敏夫

    河本国務大臣 石炭政策を確立する上におきましては、引き取り体制が一番肝心だと思います。でありますから、六月に答申が出ました段階におきまして、あわせて同時にこの問題を抜本的に解決したいと思います。
  94. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私は先ほども申しましたように、この予算書にある各項目はもう十年も二十年も昔から、私も石炭対策委員はもう十年以上やっておりますが、毎年同じ、款項目は一つも変わっていない。だからそれがいけないと私は言っているのじゃないですね、これがいけないとは言ってはいない。重点政策の柱をはっきり立てる。いま河本大臣がおっしゃるのは、そういう石炭政策を進めていくというためには、一番大事なことは引き取り体制を固めることだ、そういう点にもう少し年次計画でも立てて十分協力をしてもらうというようなことが大事だと私は思う。やはり石炭政策の根本となるのは何というても、その筋、その道の人たちからいろいろな批判があっておりますが、エネルギー政策の中で、どれだけの石炭を、どのような条件のもとに、どのように使用をさせるのであるかということをはっきり明示しないから、だから石炭政策がいつも安定してないのじゃないか、いつもその議論は空転しているじゃないか、こういう厳しいところの批判をいただいておる。私どもは石特の委員として非常に責任を感じる。ですから、石炭政策に対する議論が空転しないように、まず柱を立てて、石炭産業に携わる人たちが皆安心してこれが振興増進を図るように考える。どうぞそういう意味において大臣の格別の御配慮、御高配を願いたいと思います。  まだ、いろいろ私たくさん質問要項は持ってきておりますけれども大臣が非常にお忙しく、参議院の方でお待ちのようですから、最後に大臣のお考えを拝聴しまして終わりたいと思います。
  95. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまいろいろ御指摘がございましたが、いずれも石炭政策中心をなすものばかりでございます。したがいまして、御指摘の点は十分気をつけて、今後石炭政策の柱としてやってまいりたいと思います。
  96. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 まことにありがとうございました。どうぞひとつ大臣はなるべくかわらぬで、長く通産大臣をしていただいて、御高配願いたいと思います。  これで終わります。
  97. 田代文久

    田代委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十四分散会