○石田(幸)
委員 それではもう一点、原価公開の問題です。これは今回の
改正案には含まれていないわけですけれ
ども、いろいろいままでの論議の対象となってきたわけでございますから、お伺いをするわけでございます。
まず、原価公開の反対理由としては、先ほ
ども長官述べられておりましたけれ
ども、
企業秘密の問題あるいは外国にその例がないという問題、それからもう
一つは、原価の規定というのは百人集まれば百人の原価計算の学説があるというようなことでその原価の規定を明確にしがたい、この三つの点が反対理由の大きな柱ではないかと実は私も思うのです。いままで
公取の
見解を伺っておりますと、たとえば昭和四十年七月二十九日に出されました「不当廉売の判断基準について」、これはみそ
業界の問題でございますけれ
ども、「不公正な
取引方法」の第五号における「不当に低い対価」ということについては、従来
公取委員会として一般的に製造原価あるいはその仕入れ原価を割って販売することであると言われておるわけですね。仕入れ原価等はわりと簡単にわかると思うのですけれ
ども、製造原価も
公取委員会としては一応その判断の基準を持っているのではないか、こういうふうに思うわけです。また、これに関連して申し上げますれば、新聞
業界において中部読売の問題がございました。この場合も、五百円で売りたいということに対して
公取ではたしか八百十二円ですか、それ以下であってはならないというような勧告をされてそれが守られておるわけでございますけれ
ども、この八百十二円の
一つの算定基準というのも、当然その原価というものが
公取の中で想定され、いろいろな要素が積み重ねられてそういうような、それ以下であってはならないというような判断になってきたのではないかと思うのですね。
そこで、まず
公取委員長にお伺いをしたいのでございますが、その原価の規定が明確でないとは言いながら、
公取自体でも、こういう方法ならば原価というものが想定できるのではないかという根拠を持っていらっしゃるように思うわけなんです。
時間がありませんからまとめてお伺いします。そういうようなことから、もし私の話が肯定されるならば、先ほど申し上げました三つの反対理由のうちの
一つが脱落をしていく。それから、海外にも例がないという話でありますけれ
ども、例がないということは、これを取り上げないという理由にはならないと思うのですね、
日本が積極的にそういう
一つの事例をつくっていくということも
考えられるわけでございますから。それからもう
一つ、
企業秘密の問題。この問題は、
カルテルを結成したという弊害に対する規制として設けらるべきだ、こういうような意見がございます。その根底になるのは、自由競争を原則とする今日の
経済社会の中にあって、これに
違反するものにはしかるべき強力な
罰則が必要だというようなところからこういう意見が出てくるのだと思うのでございます。したがって、そういうような原価公開というような刑罰規制、そういうような形になりましても、
企業全般が一般的に全部公開を迫られるわけではありませんね。それだけの特定のそういった
企業なり
カルテルを形成した幾つかの
企業がそれを迫られるわけでございますから、そのくらいのことはあってもいいのじゃないか、私はこういうふうに思うのですがね。そういった
意味で、ひとつこの原価の問題について
公取委員長からお話をお伺いしたい。
それから、いま私、この三つの反論を申し述べましたけれ
ども、この点から原価公開の問題について
総務長官の意見を承って終わりにしたいと思います。